20: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 14:02:50.49 ID:S5hfSwCc.net
函館遠征中

鞠莉「えっと、待ち合わせ場所はこの辺のはずなんだけど…」

鞠莉「あれぇ、違った?」ウーム

鞠莉「土地勘が無い出先でいきなり呼び出すなんて。まったく、曜ったら人を迷子にするつもりかしら!」プンスコ

鞠莉「…また、何かあったのかなぁ」



鞠莉(夏のぶっちゃけトークでお節介を焼いてからというもの、曜はなにかと私を頼りにしてくれるようになった)

鞠莉(たわいもないことを話したり、練習後に一緒に寄り道したり…一緒にいる時間も多くなった)

曜『突然ごめんね。今から会って話せないかな。できれば、みんなには内緒で…』

鞠莉(それが遠征中の今、メンバーの目を忍んでいきなりの呼び出し)

鞠莉(オクテの曜のことだもの。よほどのことがあったと考えるべきね)キョロキョロ

曜「…」

鞠莉(いた)

21: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 14:05:51.77 ID:S5hfSwCc.net
曜「…」ソワソワ

鞠莉(なんだか落ち着かない様子だけど、落ち込んでるわけではなさそうね)

鞠莉(よし…)コホン

鞠莉「はぁい、曜♪」

曜「あ、鞠莉ちゃん!」

鞠莉「ふふっ。遠征中、いきなりみんなに内緒で会いたい、だなんて」

鞠莉「ロマンチックな話かと期待しちゃったよ?」

22: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 14:08:05.90 ID:S5hfSwCc.net
鞠莉「やっとマリーに想いを告げるする決心がついたのかなって」クスクス

曜「あはは、残念ながらそういう訳ではないんだー」

鞠莉「まあ!そんな思わせぶりな態度をとる曜は、ギルティでーす!」

曜「ええ!?判定厳しくない!?」

鞠莉「見知らぬ土地、突然の呼び出し、裏切られた期待――」ほっぺ掴み

鞠莉「マリーの心証が悪くなるのも当然デース」むにむにぐいぐい

曜「ひょれをいわへると、はえすほとははなひよー(それを言われると、返す言葉もないよー)」



鞠莉(この様子だと、無理してる訳じゃないみたいね)ニコ

23: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 14:09:10.15 ID:S5hfSwCc.net
鞠莉「はい、おしまい」パッ

曜「ふぅ…やっと解放されたぁ」ほっぺサスサス

鞠莉「相変わらず曜のほっぺは最高ね。遠征の疲れが癒されるよ~♪」

曜「あはは、それはよくわからないけど…」サスサス

鞠莉「ふふっ。それじゃ、禊が済んだところで本題に入ろうか」

曜「うん!その前に改めて、ごめんね。時間作ってもらっちゃって」

鞠莉「いえいえ」

曜「実は…お願いがあるんだ」

24: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 14:11:09.86 ID:S5hfSwCc.net
鞠莉「お願い…」

鞠莉(悩み事の相談じゃないってこと?)

曜「うん、お願い。いいかな?」

鞠莉「内容にもよるけど、まずは聞くわ」

曜「うん…あの、笑わないでね」

鞠莉「そんなことするわけアリマセーン!」

鞠莉「…心配しないで話して。ね?」

曜「鞠莉ちゃん…ありがと!」

鞠莉「ん」ニコ

曜「じゃあ話すね。えっと――」

鞠莉「…」ドキドキ



曜「――鞠莉ちゃんのこと、お姉ちゃんって呼んでもいい?」

鞠莉「…ふぇ?」

36: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 22:57:57.16 ID:k71uSMjM.net
鞠莉「――要するに、お姉ちゃんに憧れちゃったってこと?」

曜「うん。私、一人っ子だから、妹とかお姉ちゃんって、よくわからないんだけど」

曜「ダイヤさんとルビィちゃんを見て、千歌ちゃんの話を聞いて思ったんだ」

曜「お姉ちゃんって、いつも側に居てくれて。頼りになって、厳しく、暖かく見守ってくれて…そんな存在なんだろうなって」

曜「そういうの、凄く素敵だなって!」

鞠莉「そうね。私にもきょうだいは居ないけど、ダイヤたちを見てるとそうなのかなって思う」

37: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 23:03:14.31 ID:k71uSMjM.net
曜「それでね。私にお姉ちゃんが居たらどんな人だろうって考えたら」

曜「真っ先に思い浮かんだのが、鞠莉ちゃんの顔だったんだ」

鞠莉「!」ドキ

曜「なんでかなって自分の中で考えてるうちに、どんどん鞠莉ちゃんに会いたくなってきて」

曜「居ても立ってもいられなくなっちゃって、それで…えへへ」テレテレ

鞠莉(…かわいい)

38: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 23:04:46.08 ID:k71uSMjM.net
曜「ね、お願い!少しの間でいいから、鞠莉ちゃんのことお姉ちゃんって呼ばせて!」

曜「他の人には見られないようにするし、鞠莉ちゃんも私のこと妹だと思ってくれていいから!」

鞠莉「うーん、でも…」

曜「お願い!この通りっ!」

鞠莉(…溜め込みがちな曜のことだもの。姉妹の疑似関係でも、思ってる事を話してくれるきっかけにはなるかもしれないし…)

鞠莉(何より、曜にお姉ちゃんって言われるの。悪い気はしないかな)

39: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 23:06:16.99 ID:k71uSMjM.net
鞠莉「わかった、いいよ」

曜「!」

鞠莉「曜がここまで真剣に頼んでるんだもの、むげには出来ないわ」

鞠莉「私もきょうだい居ないから、そういうの楽しそうだし、ね?」クスッ

曜「鞠莉ちゃん…!」

ハグッ

鞠莉「!」

曜「ありがと、鞠莉お姉ちゃん!」ムギュッ

41: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 23:09:15.33 ID:k71uSMjM.net
鞠莉(こ、これって…!)キュン

曜「へへ、いい匂い。安心する」スリスリ

鞠莉(胸の奥から込み上げてくるこの感覚…曜がとっても愛おしく見えて)ギュ

曜「お姉ちゃーん!」ギュー

鞠莉(新しい境地に目覚めそう…)ナデナデ

43: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 23:15:20.77 ID:k71uSMjM.net
…………………

果南「ワンツースリーフォー…」

ダイヤ「はい、ここで一旦休憩にしましょう」

花丸「はぅ~、疲れたずらぁ…」

善子「ふっ…この程度で音をあげるとは…まだまだね…」ハァ…ハァ…

花丸「善子ちゃんこそ痩せ我慢してるくせに、よく言うずら…」

花丸「もっとも、最近は『痩せ』なのかどうか、怪しくなってきたけど」ジトー

善子「そ、それは言うなーっ!」ウガー

44: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 23:20:17.88 ID:k71uSMjM.net
曜「鞠莉ちゃん。さっきの所の振り付けなんだけど、どうだった?」

鞠莉「曜だけ少しテンポが早かったかもね。音に頼らず、周りと合わせる事を意識してみたらいいと思うわ」

曜「なるほど。ありがと、次は気をつけるね!」

鞠莉「いえいえ♪水分しっかりね」

曜「はーい!」



花丸「最近、鞠莉ちゃんと曜ちゃん仲良いずらね」ハイタオル

善子「波長が似てるからね、あの2人は」アリガト

花丸「波長?それは気の流れとか、霊的ななにかが同じってこと?」

善子「そ、そこに食いつかないでよ…似た者同士ってことよ、単純に」

花丸「ふーん?」

45: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 23:25:16.69 ID:k71uSMjM.net
…………………

曜「…」ソワソワ

鞠莉「お待たせ、曜」

曜「お姉ちゃんっ!」

鞠莉「寒くなかった?」

曜「もらったカイロのおかげで大丈夫!お仕事は終わったの?」

鞠莉「少し残ってはいるけど、明日やればなんとかなるわ。私も曜と一緒に帰りたいし」

曜「そっか、へへっ」ギュ

46: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 23:32:02.39 ID:k71uSMjM.net
鞠莉「ん、やっぱり手が冷たくなってる。我慢してたんでしょ」

曜「あ、こっちの手はさっきまでカバンを持ってたから…本当に大丈夫だって」

鞠莉「ダメ。寒さも疲れも、知らず知らずのうちに蓄積してダメージになっていくのよ」

鞠莉「コンビニに寄って、温かいものでも買いましょう。待たせたお詫びに、ご馳走するから」

曜「いいの?じゃあ私、ココア!」

鞠莉「はいはい。なら、私も今日はココアにしようかな」

曜「おそろいだねっ!」

47: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 23:34:12.84 ID:k71uSMjM.net
…………………

理事長室

鞠莉「んー…」カタカタ

コンコン

鞠莉「はい」

「私です、曜です」

鞠莉「ひとりよ、どうぞー」

ガチャ

曜「やっほー」フリフリ

49: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 23:40:30.90 ID:k71uSMjM.net
鞠莉「いらっしゃい。どうかしたの?」

曜「へっへー。はい、差し入れ!」

鞠莉「私に?あら、この匂いは」

曜「曜ちゃん特製、レモンのはちみつ漬けだよ!」

曜「いつもお仕事頑張ってるお姉ちゃんに、気持ちばかりのプレゼントだよ!」

鞠莉「美味しそう…特製ってことは、わざわざ作ってくれたの?」

曜「うん!レモンは鞠莉お姉ちゃんの好きなものだし、何より元気をチャージ出来るかなって!」

鞠莉「ありがとう、嬉しいわ♪」

50: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 23:43:36.73 ID:k71uSMjM.net
曜「これね、そのまま食べるのはもちろんだけど、紅茶に入れたりしても美味しいんだ!」

鞠莉「あら、素敵じゃない」

曜「あ、でもコーヒーにはちょっと合わないかもしれないけど…」

鞠莉「そんなことないわ。コーヒーにはちみつやレモンを入れる飲み方もあるから」

曜「そうなの?ならよかった!」

鞠莉(表情が素直すぎるよ、本当にもう)ニコ

51: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 23:45:08.60 ID:k71uSMjM.net
鞠莉「ちょうど一息入れようと思っていた所なの。曜も付き合ってくれる?」

曜「あ、うんっ!」

鞠莉「何がいい?コーヒーは少し苦手だったよね、甘くすればいける?」

曜「えっとね。飲み物もいいんだけど、その…」モジモジ

鞠莉「ん?」

曜「えへへ」ウズウズ

鞠莉「ん、そうだったわね」スッ

鞠莉「曜、おいで」

曜「うんっ!」

52: 名無しで叶える物語 2018/01/03(水) 23:48:57.27 ID:k71uSMjM.net
曜「お姉ちゃーん」ムギュッ

鞠莉「いつもお姉ちゃんを支えてくれてありがとうね」ナデナデ

曜「へへ、これ好き」

鞠莉「私も。最近はこれが一番の元気の源かも」クスッ

曜「なら、嬉しいなっ」スリスリ

鞠莉(可愛いなぁ…ダイヤのことシスコンって言えなくなっちゃう)

66: 名無しで叶える物語 2018/01/04(木) 23:20:22.72 ID:rlSkpf06.net
三年生フォーメーション練習中

曜「はぁ…」ポケー

ルビィ「曜ちゃんどうしたの、元気ないの?」

曜「あ、ルビィちゃん。ごめんね、大丈夫だよ」ジー

ルビィ(曜ちゃん、お姉ちゃんたちの練習を見てるのかな)

曜「ルビィちゃん」

ルビィ「うん?」

曜「お姉ちゃんってさ、いいよね」

ルビィ「ぴぎぃ!?」

曜「憧れちゃうよぉ…」ポー

ルビィ(曜ちゃん…もしかしてお姉ちゃんのことを…!?)アワアワ

67: 名無しで叶える物語 2018/01/04(木) 23:21:40.93 ID:rlSkpf06.net
CYaRon!が練習中

鞠莉「はぁ…」ポケー

ダイヤ「どうしたんです。ぼーっとして、鞠莉さんらしくもない」

鞠莉「ああ、ダイヤ。なんでもないんだけど、ちょっとね」ジー

ダイヤ(ルビィたちが練習する様子を見てる?)

鞠莉「ダイヤぁ」

ダイヤ「はい?」

鞠莉「妹ってさぁ、いいよね」

ダイヤ「ぴぎゃっ!?」

鞠莉「可愛いよねぇ…」ポー

ダイヤ(鞠莉さん…まさかルビィのことを…!?)アワアワ

68: 名無しで叶える物語 2018/01/04(木) 23:22:42.13 ID:rlSkpf06.net
理事長室

曜(お姉ちゃん、出て行ったきり戻ってこない)

曜(お菓子とコーヒーを出して貰ったけど、ひとりで待つのはどうにも落ち着かないし)ソワソワ

曜(早く戻ってこないかなー)ゴク

曜「んぐ、にがい…」

69: 名無しで叶える物語 2018/01/04(木) 23:25:44.76 ID:rlSkpf06.net
バタン

鞠莉「…」

曜「あ、お帰りなさい!」

鞠莉「ん…」ツカツカ ストン

曜(あれ?)

鞠莉「はぁ…」イライラ

曜(ひょっとして、おこりんぼモード?)

70: 名無しで叶える物語 2018/01/04(木) 23:26:20.42 ID:rlSkpf06.net
曜「お姉ちゃん、何かあったの?」

鞠莉「別に…」

曜「そう?」

鞠莉「そう!」

曜(全然そうは見えない)

71: 名無しで叶える物語 2018/01/04(木) 23:27:29.13 ID:rlSkpf06.net
鞠莉「まったく、果南のアホ…!知らないんだから!」プンスコ

曜「果南ちゃん?喧嘩でもしたの?」

鞠莉「喧嘩じゃないわ。向こうから一方的に突っかかってきたの」

鞠莉「あの頑固オヤジ。いつまで経ってもいつまで経っても相変わらずなんだから!」

曜(さっき、ご機嫌斜めかなん?って言わなくてよかった…)

72: 名無しで叶える物語 2018/01/04(木) 23:28:45.41 ID:rlSkpf06.net
鞠莉「私の気持ちも知らないで…!」

曜「はいはい。何があったかは聞かないけど、その辺にしよう」

鞠莉「聞いてよ!」

曜「聞いてもいいけど、私が言うことは同じだもん」

鞠莉「聞いて欲しいの!聞くことはカウンセリングの基本だよ!」

曜「そこまで言うなら聞いてもいいけど…先に一つだけ、いい?」

鞠莉「なによ」

曜「早いとこ謝った方がいいよ」

鞠莉「なんでよ!」

73: 名無しで叶える物語 2018/01/04(木) 23:30:26.97 ID:rlSkpf06.net
曜「果南ちゃん意地っ張りだけど、意外と気にするタイプだから」

曜「今頃、きっと寂しがってるよ」

鞠莉「そんなのわかってる!」

曜「なら、なおさら仲直りしようよ」

鞠莉「私から謝る理由はないもん!」

曜「時間が経てば経つほど、仲直りはどんどん難しくなるよ」

曜「お姉ちゃんなら、このことがわかるよね?」

鞠莉「う…」

曜「喧嘩が出来るのも仲が良い証拠だけどさ。ありがとうと、ごめんなさいは早い方がいいんじゃないかな」

鞠莉「…」

74: 名無しで叶える物語 2018/01/04(木) 23:32:45.47 ID:rlSkpf06.net
曜「ね?」

鞠莉「…うん、そうする」

曜「さ、早く行ってあげて。果南ちゃん、きっと待ってるよ」

鞠莉「うん…!」タッ

バタン

曜「意外と子どもっぽいところもあるんだね」ニコ

曜「ふふ、頑張ってね」ゴク

曜「むぅ、にがぁい…」

…………………

曜「もー、千歌ちゃんと梨子ちゃんの分からず屋ー!」プンスコ

鞠莉「あらあら、仲の良いことで」クスクス

引用元: 曜「鞠莉お姉ちゃん!」ムギュッ 鞠莉「Oh…」