1: ◆W7gaJxN1wk4q 2018/01/21(日) 21:32:07.45 ID:AG299GLL0
己の目を疑う光景であった

普段は白波を立て、寄せては引き引いては寄せるはずの海が微動だにしない
視界に入るのは極大の氷塊

鎮守府を囲む一面の海
その全てが固く凍り付いていた

確かに昨晩は寒かったとはいえいくらなんでも…

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2: ◆W7gaJxN1wk4q 2018/01/21(日) 21:32:42.83 ID:AG299GLL0
不安げにこちらを見る艦娘たち
その視線に耐えかね
提督「最近寒いよな~こないだこたつ出したじゃん そしたら多摩がさぁ」

と、笑みを浮かべ雑談を試みるが応じるものは皆無
皆思い出しているのだろう 
謎の声そして赤い海を

提督「アイアムボトムサウンドのような現象であると?」
あの作戦に参加していた数人が頷く

怯えた目を向けてくる睦月 震える如月
私が不在の間に起きた異常事態。それは多くの者の心に傷を残しているようだ

3: ◆W7gaJxN1wk4q 2018/01/21(日) 21:33:11.42 ID:AG299GLL0
静まり返る中、唐突に吹雪が呟いた
「聞こえます」

「声が…聞こえます」

「寂しそうな…声が」

提督「……」

提督「総員 ミーティングルームに集まれ!」

号令と共に駆け足 会議を始める
誰もが厳しい事態であると感じていた

事実
この数日の間に6名もの艦娘が死の境を彷徨い、2名が心に大きなダメージを負うこととなる

4: ◆W7gaJxN1wk4q 2018/01/21(日) 21:33:39.59 ID:AG299GLL0
提督「潜水艦隊と第六戦隊を偵察に出す」

19・鳥海「はい!」

提督「偵察地点は……吹雪 声はどちらの方角から?」

吹雪「……北北西」

提督「では第六戦隊は北北西に 潜水艦隊は氷の下を通って近域を探索」

大淀「氷面に爆雷で侵入口をあけます」

提督「皆…無事に帰って来いよ」

5: ◆W7gaJxN1wk4q 2018/01/21(日) 21:34:07.13 ID:AG299GLL0
この超常現象の前では生きて帰れる保証はない
悲壮な覚悟を決め出撃する12名

提督「敵の目的が分かり次第全力で出撃する!!」

「はい!!!」


~そして6時間後~

大淀「潜水艦隊が戻りました」

提督「成果は」

大淀「それが…」

提督「どうした なぜ口ごもる」

大淀「あの…なんと言えばいいか」

脳内に浮かんだのは傷ついた人数の揃わない潜水艦隊の姿

6: ◆W7gaJxN1wk4q 2018/01/21(日) 21:34:43.53 ID:AG299GLL0
大淀「あっ 待って」

大淀の静止を振り切り走り出す
そして ドアを開けた時そこにいたのは…

港湾棲姫「アッ」
集積地棲姫「タ」
戦艦棲姫「カ」
北方棲姫「イイ~」

コタツでゴロゴロする4人の姫であった

7: ◆W7gaJxN1wk4q 2018/01/21(日) 21:35:09.62 ID:AG299GLL0
バタン



ガチャリ



バタン


大淀「戸を開け閉めしたところで中身は変わらないと思われます」

提督「なにがあった」

8: ◆W7gaJxN1wk4q 2018/01/21(日) 21:36:05.00 ID:AG299GLL0
19「海中で身を寄せ合って凍えてたのね」

提督「なんでそこで魚雷を打たない」

19「だって…身動きできないなんて…」

提督「同情か だがそんな甘いことで「いーひひっひっひ 捕虜で情報拷問尋問なのね」

提督「なるほど」

提督「敵首脳陣を捕虜にできるとは大金星だぞ」

19「じゃ獣を解き放つといいの!」

提督「へっへっへっ その豊満なボディをむさぼりつくしてやる」

港湾棲姫「キャア」

大淀「提督 目的を見失っています」

提督「……魅了の術を使うとは」

9: ◆W7gaJxN1wk4q 2018/01/21(日) 21:36:31.77 ID:AG299GLL0
提督「では尋問を開始する!!」

提督「海を凍らすなど! いったいどんな作戦だ!!」

集積地棲姫「モッチー ゲームヤロ」

望月「へいよー」

提督「聞けよ!」

戦艦棲姫「オ前達ガ凍ラセタノデハナイノカ?」

提督「何?」

戦艦棲姫「我ラハソレヲ探リニキタノダガ」

北方棲姫「探シテイタモノハココニアッタ…」ヌクヌク

港湾棲姫「デレナイ…」ヌクヌク

10: ◆W7gaJxN1wk4q 2018/01/21(日) 21:37:01.45 ID:AG299GLL0
提督「……」ソワソワ

提督「とりあえずちょっと詰めてくんない?」

北方棲姫「イヤ…」

提督「いいからいいからお前が一番ちっちゃいからねー」

北方棲姫「モチアゲルナ…」

北方棲姫「ヒザ…カタイ…」

提督「お子様の定位置定位置…ん? なんか中に柔らかいものが」

提督:ゲシゲシ

「ニャッ」

提督「?」ゲシゲシ

「ミギャ」

提督「なにやってんだ多摩」

11: ◆W7gaJxN1wk4q 2018/01/21(日) 21:37:31.85 ID:AG299GLL0
多摩「……て、提督にゃ?」

多摩「よ、よかったにぁ 多摩はてっきり皆全滅…って姫…っ」

提督「ビビるのはわかるが多分安全だ」

集積地棲姫「ハメ技…スルナヨォ…」ピコピコ

望月「お前の腕がないだけさー」ピコピコ

提督「な?」

多摩「ううう なんだか分からないけど皆無事でよかったにゃ」

多摩「オコタでぬくぬくしてたら四方から深海棲艦の足」

多摩「皆やられたと思って隠れてた」

提督「無理もない」

12: ◆W7gaJxN1wk4q 2018/01/21(日) 21:38:04.45 ID:AG299GLL0

多摩「寿命が10年は縮んだにゃ」

多摩「ところで結局どういうこと?」

提督「俺が聞きたい」

戦艦棲姫「コノ器具ヲ貸与スルナラバ我ラ戦力トシテハタラコウ」

提督「聞いてもわからん はよカエレ」

港湾棲姫「カ、カエサナイデ…」ヌクヌク

提督「まぁコタツこそが最強の武器であるということだな」

多摩「あっ 提督のお膝は多摩の場所にゃ 返すにゃ」

北方棲姫「コタツノナカニカエレ」

13: ◆W7gaJxN1wk4q 2018/01/21(日) 21:38:39.59 ID:AG299GLL0
提督「というわけで今日から艦娘が4人増えた」

4人「ヨロシクー」

大淀「そんなんでいいんですか」


19「後輩たちよく聞くのね 艦娘の一番大切な仕事は提督の性欲処理で…」

港湾棲姫「ソ、ソンナッ」

戦艦棲姫「マァシカタナイワネ」

提督「…いいんじゃないかな?」

大淀「こら」

多摩「どうでもいいにゃ 多摩はおこたがトラウマにゃ」

吹雪「…」


提督「ところでなんか忘れてる気がするんだけど気のせいかな?」

北方棲姫「ミカン…ムイテ…」

提督「はいはい」

14: ◆W7gaJxN1wk4q 2018/01/21(日) 21:39:19.12 ID:AG299GLL0
~鎮守府より北北西に32キロ海上~

古鷹「加古っ 寝ないで 寝ちゃだめぇ!」

天龍「フフフ…吹雪がガガガガ」

鳥海「横殴りのブリザード もはや帰る道する」

衣笠「あの子は一体何の声を聴いたんだろう…」

青葉「ふ、吹雪ワレェ…」バタリ


~おしまい~

引用元: 【艦これ】凍てついた海