1: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:28:23 ID:???00
吟子(持ち物よし。制服もよし。今日も姫芽と一緒に、なんだか嬉しい。)

姫芽「吟子ちゃん吟子ちゃ~ん」

姫芽「あのさ、今日はアタシ一人で寝るね」

吟子「えっ……?」

姫芽「吟子ちゃん?」

吟子「そ、そっか。うん」

吟子「おやすみ……」

吟子「……………」

2: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:28:54 ID:???00


花帆「それで吟子ちゃんはふくれてると!」

吟子「わ、わざわざ言わんでいいから」

花帆「えへへ~そんなに姫芽ちゃんと添い寝したいんだ~かわいいね~」

吟子「もう!」

吟子「相談相手間違えたかも……」

花帆「ああっごめんね! 待って待って!」

3: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:29:20 ID:???00
花帆「吟子ちゃんから一緒に寝るの、お願いするんじゃだめなの?」

吟子「駄目じゃない、けど。今はお互いに本当の気持ちとか、ちゃんと喋れるようになったし」

花帆「うんうん」

吟子「でも……だからかな。姫芽の本心がそれなんじゃないかって」

吟子「私と無理して一緒に寝ててくれたんじゃないかって。思っちゃって」

花帆「う~ん……」

花帆「そんなこと、ないんじゃないかな」

4: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:30:24 ID:???00


姫芽「うぅ。うぅぅ。めぐちゃんせんぱい……」

慈「どしたのさ」

姫芽「二律背反に直面したら、どうしますか……?」

慈「にりつ?」

姫芽「あっごめんなさい、具体的に話しますう」

5: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:31:33 ID:???00
慈「な~るほどね~」

慈「……あーじれったい! なんなの付き合いたてなの!?」

姫芽「付きあっ……! あっ、えへへ、あう」

慈「姫芽ちゃん戻ってこいっ、ああもう。いい?」

慈「相手の気持ちなんて、結局ひとりじゃ分かんないの」

7: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:32:37 ID:???00
慈「吟子ちゃんと一緒に寝たいのも、それが迷惑だったら怖いのも、わかるよ。どっちも本心なんだよね」

慈「でもさ。急に突き放しちゃそりゃ、悲しいもんだよ?」

姫芽「……アタシ、吟子ちゃんにちゃんと本心で話そうって思ってるんです」

姫芽「でも。本心を確かめるのも、なんだか怖くなっちゃって」

姫芽「迷惑やわがままに付き合わせっぱなしなのかなあとか思うと、吟子ちゃんの本音より先に、みたいな。あはは」

慈「……ある日突然断られる前に、自分からって?」

姫芽「はい……」

8: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:33:40 ID:???00


花帆「姫芽ちゃんってさ、いつもすごく周りをよく見てて、それで動く子だよね」

吟子「……はい」

姫芽「自分の気持ちは一旦置いといて、みんなの気持ち考えちゃうの」

花帆「そういうところ、なんか梢センパイに似てるってあたし思う」

花帆「誰かのことを先に考えて、わがままを引っ込めちゃうんだよ」

吟子「じゃあ姫芽、私のこと気遣って……?」

花帆「これはもし梢センパイなら、ってお話だけどね。えへへ」

9: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:34:33 ID:???00
花帆「でねでね! そういうとき何が大事だと思う!」

吟子「それ、は……」

吟子「……」

吟子(ふだんの花帆先輩と、梢先輩との様子なら……?)

吟子「! 自分から。私から。わがままを言う」

花帆「! 吟子ちゃん大正解!! フラワー!」

吟子「に、賑やか……」

10: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:35:22 ID:???00
花帆「本当は心の奥にある気持ち……梢センパイだったら、ほんとは24時間あたしとデートしたいって思ってる気持ちを」

花帆「あたしがばーって行って連れ出してあげるの。あたしだって考えなしにイチャイチャしてるわけじゃないのです」

吟子「花帆先輩……!」

吟子「っ、あんやと……」

吟子「いや。イチャイチャはしてますよね」

花帆「えぇっ!」

吟子「汗ベタベタでくっつきに行くし…」

花帆「えへへ……それほどでも……」

吟子「褒めてないから!」

11: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:35:50 ID:???00


慈「誰に似たんだかーって言ったら、るりちゃんにツッコまれちゃうなあ」

姫芽「?」

慈「いーい姫芽ちゃん?」

慈「ちゃんと言葉にしなきゃ、だめなんだよ」

慈「じゃないと伝わんないんだよ。どんなビッグラブでもね」

姫芽「ビッグ、ラブ……!」

12: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:36:42 ID:???00
慈「これはるりちゃんに教えてもらったことだからさ、めぐるりに借り一つってことね」

姫芽「う。うぅ、一生かけて返させてください……」

慈「重いね!」

姫芽「めぐちゃんせんぱい、ありがとうございます。ありがとうございます」

姫芽「アタシちょっと、臆病でした」

姫芽「本気で聞いて、嫌って言われたらどうしよう~ってなっちゃってました」

姫芽「……はい。怖かったです」

13: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:37:56 ID:???00
慈「……もし嫌って言われても、好きなんだよね? 一緒に寝たいよって言いたいんだよね?」

姫芽「っ、はい! アタシ吟子ちゃんと毎晩寝たいです、嫌って言われても……」

姫芽「どうにか、お願いしたいです」

慈「よし! じゃーそれ、伝えてきんしゃい!」

姫芽「うぅー!」

慈「……」

慈「……んもー。私達には包み隠さず好き好き言えるくせに」

14: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:38:19 ID:???00


……

吟子「この子、おツルさん」

姫芽「あっ、はい……」

吟子「フニオさんと一緒にいてね」

おツルさん「ドーモ」

フニオ「ドーモ」

15: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:38:46 ID:???00
吟子「これ、お気に入りの枕。蓮ノ空に来る前から愛用してる」

姫芽「わ、そうなんだ……」

吟子「それをここに置くから。姫芽のベッドに、置くからね」

姫芽「ど、どうぞ……?」

姫芽「あ~、う~」

姫芽「えっと、吟子ちゃん」

吟子「なに」

16: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:39:04 ID:???00
姫芽「寝る準備万端なとこに聞くのも、よくないかもですけれど」

姫芽「アタシと寝てくれるのって、迷惑じゃない……?」

吟子「ぁ……」

吟子「ふー」

吟子「そんなこと思って、私のこと抱き枕にしてたん?」

17: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:39:44 ID:???00
姫芽「ちょっとだけそうかも……もちろん抱き心地はさいこうで、すやぁだったよ?」

吟子「抱き心地は聞いてないけど」

吟子「はあ。ねえ姫芽。迷惑だったら何度も何度も姫芽の抱き枕にならない」

姫芽「吟子ちゃん……」

吟子「むしろなりたいの。姫芽の抱き枕」

姫芽「…へぇえっ!!」

姫芽「だ、だいじょーぶ? 問題発言じゃない?」

18: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:40:16 ID:???00
吟子「姫芽と寝るの好きだから。あたたかくて安心して、心地よくて柔らかくて」

姫芽「あっ、あっ。吟子ちゃん、ちょっとオーバーキルかも……」

吟子「……姫芽?」

姫芽「ふーっ、ふーっ、あはは……」

姫芽「よかったぁ……」

姫芽「アタシも吟子ちゃんと寝るの大好きだよぉ~」

吟子「ちょ、近い……もう。ふふっ」

19: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:40:37 ID:???00
姫芽「吟子ちゃんだいすきぃぃ」

吟子「ほんとに姫芽、たまに子供っぽいよね。かわいい、けど……」

姫芽「じゃあじゃあ、そんなアタシのこと好き?」

吟子「……」

吟子「……うん。好きやない相手と一緒に寝ないし」

姫芽「わぁ~」

吟子「近い……頬くっついとる……」

20: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:41:26 ID:???00
姫芽「吟子ちゃ~ん吟子ちゃ~ん」

姫芽「……吟子ちゃん、ありがとねえ。いつも真正面からアタシを見てくれて、言葉をくれて」

吟子「ううん。そのたびに姫芽のこと知れて、嬉しい」

姫芽「そっかそっかあ、じゃあもっと知って?」

吟子「い、いいけど、今?」

姫芽「いまいま」

姫芽「アタシの考えてるわがまま、当ててみて?」

21: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:41:47 ID:???00
吟子「……私と、もっと一緒に寝たい?」

姫芽「うん」

吟子「私達が先輩になったあとも、寝たい?」

姫芽「うんうん」

吟子「先輩が、いなくなったあとも?」

姫芽「うんうん~!」

22: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:42:15 ID:???00
姫芽「あれれ~? そこで終わりじゃないよね?」

吟子「なっ、何言うとるん……」

姫芽「え~? えへ~」

吟子「ほらっ。布団入るよ。朝練だってあるんやし」

姫芽「はいは~い」

姫芽「……あ~、ふふ。幸せだなあ」

23: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:43:17 ID:???00
……



姫芽(吟子ちゃん吟子ちゃん、もう寝ちゃったかな)

姫芽(アタシ。一人きりの夜嫌いなんだ)

姫芽(寂しい気持ちいっぱい思い出しちゃってさ?)

姫芽(そんなアタシのそばにいてくれてありがとうね)

姫芽(大好きだよ、からかってないんだよ。ほんとに大好き)

姫芽(……きゃはは。これ、吟子ちゃん気付くかな、気付かないかな)

姫芽「それじゃ、おやすみぃ……」



……

24: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:43:42 ID:???00
花帆「恋の~?」

慈「キューピッド~!」

かほめぐ「うむうむ……」

瑠璃乃「ねえねえこずこずパイセン。あの二人どったの?」

梢「まったく分からないけれど……」

梢「でも、そうね。なにか良いことがあったんでしょう。素敵な何かが」

瑠璃乃「そっかあ」

25: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:44:37 ID:???00
さやか「あの、ところで吟子さん」ヒソ

吟子「えっ? はい、なんですか」

さやか「……首のところの跡、流石に隠した方がいいんじゃないかと」

吟子「……? 首……?」

吟子「……」

吟子「!?」

吟子「っ~!?」

さやか「わたしの絆創膏、よければ使いますか……?」

吟子「ひ、め……!」

26: 名無しで叶える物語◆l1W5vkOZ★ 2024/11/06(水) 22:45:18 ID:???00
姫芽「ばれちゃったかあ~」

吟子「姫芽のだら!」

吟子「もう……」

吟子「もう一緒に寝てあげんからね!」

姫芽「あぅぅ! そんなぁ~」

姫芽「吟子ちゃ~ん吟子ちゃ~ん……許してえ~」

さやか「あはは……」

綴理「うーん、すずはどう思う?」

小鈴「はい! 徒町、さやか先輩の隠し忘れた跡をよく見つけます!」

さやか「!?!?!?」


終わり

引用元: 【SS】吟子「姫芽と寝るから。嫌って言っても寝るから。」🆓