とある絵画

依頼人「とある絵画を盗んで欲しいのです」

盗賊「絵画か」

依頼人「はい。この絵画は十年前、とある女性をモデルに描かれたものなのです」

盗賊「へえ。悪いが由来には興味ないね」

盗賊「しかし絵画くらいなら交渉して譲ってもらえばいいだろうに」

盗賊「わざわざ俺みたいなのに依頼する必要、あるかね」

依頼人「先方に譲る気がないのです」

盗賊「で、俺に依頼する事にしたと。俺は高いぞ？」

依頼人「承知しております」

盗賊「ならいい。それで、その持ち主ってのは誰なんだ？」

依頼人「>>8です」

私

依頼人「私です」

盗賊「どういう事だ？」

依頼人「依頼人は私、絵画の持ち主も私なのです」

盗賊「うん？　……なるほど、そういう事か」

依頼人「分かるのですか？」

盗賊「推測はできる」

盗賊「あんたには、その絵画を他人に譲れない理由があり、公的に盗まれた事にしなければならない」

盗賊「だから俺に依頼する事にした。そうだろう？」

依頼人「はい、実は>>15」

そうです

依頼人「はい、実はそうなのです」

依頼人「絵画に描かれた女性は、私の>>30なのです」

祖母

依頼人「絵画に描かれた女性は、私の祖母なのです」

依頼人「作者は、現在では知らぬ人のない高名な画家ですが、当時はまだ無名の若者でした」

依頼人「彼は、自分の恋した女性に一枚の肖像画を送りました」

依頼人「その女性が祖母です」

依頼人「祖母はつい先月他界して、遺産は私が相続しました」

依頼人「そして遺産整理を業者に頼んだ所、この絵画が発見されました」

依頼人「高名な画家の知られていない作品です、当然噂になりました」

依頼人「絵画が見たい、できれば売って欲しい。そんな人が押し寄せました」

盗賊「で、つまりあんたはなんでその絵画を俺に盗んで欲しいんだ？」

依頼人「>>36です」

税金から逃れるため

依頼人「税金から逃れるためです」

盗賊「税金ねえ。さっきも言ったが、俺は高いぞ？」

盗賊「素直に税金を払った方がよっぽど世の中のためだと思うがね」

依頼人「>>48」

うるせえ！ぶんなぐるぞ！

依頼人「うるせえ！　ぶんなぐるぞ！」

盗賊「おお怖い、俺はただ善意のアドバイスをしただけなのになあ」

依頼人「……これは失礼。ですが、私達はあくまでビジネスの関係のはず」

依頼人「仕事は仕事、余計な言葉は必要ない。違いますか？」

盗賊「税金逃れのために盗みを依頼する人は言う事が違うねえ」

盗賊「今の話の流れなら、大方買い主も既に決まってるんだろう？」

依頼人「あなたには関係のない話ですよ」

盗賊「違いねえ。なら関係のある話をするか」

盗賊「その絵画を盗まれた事にしたいって事は、当然第三者の目撃者が必要だよな？」

盗賊「じゃなきゃ、適当にあんた自身で隠して盗まれましたと言い張ればいい話だ」

盗賊「いったい誰が俺の盗みの目撃者になってくれるんだ？」

依頼人「>>62です

全世界のネコたち

依頼人「全世界の猫達です」

盗賊「猫？」

依頼人「ええ。世界中の猫が目撃者になってくれます」

盗賊「なるほど、猫がねえ」

盗賊「なあ。あんた狂ってるのか？」

盗賊「悪いが狂人の仕事は受けられねえ。巻き込まれたくもねえ」

盗賊「あんたが正気だと言うなら、俺にも分かるように話してくれねえか？」

依頼人「>>76」

猫ひろしです

依頼人「猫ひろしです」

盗賊「全世界の猫達じゃないのか？」

依頼人「猫ひろしです」

盗賊「なあ、黙って聞いてたがよ」

盗賊「その絵、最初は１０年前に描かれたって話だったよな？」

盗賊「それがいつの間にやらあんたの婆さんが若い頃に描かれただの」

盗賊「挙句に世界中の猫が目撃者？　おまけに猫ひろし？」

盗賊「あんたの話は何から何まで滅茶苦茶じゃねえか」

盗賊「あんた最初から依頼なんてする気ねえんだろうよ」

依頼人「>>90」

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依頼人「Exactly、その通りでございます」

盗賊「はあ、とんだ時間の無駄だったぜ」

盗賊「あんたに必要なのは盗賊じゃねえ、医者だよ。頭のな」

盗賊「もう二度と会う事もねえだろうよ、あばよ」

依頼人「>>100」

おっと、逃がさないぜ

依頼人「おっと、逃がさないぜ」

盗賊「あ？　何の真似だ？」

盗賊「よく勘違いされるんだがよ」

盗賊「俺は好きで盗みをやってるだけで、腕っぷしが立たねえわけじゃねえ」

盗賊「これ以上舐めた真似するなら殺すぞ？」

依頼人「>>107」

お前を殺して私も死ぬ

依頼人「お前を殺して私も死ぬ」

盗賊「そうか、一人で死ね」　ｻﾞｸ

路地裏には心臓を一突きにされた狂人の死体だけが取り残されていた。おわり