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2018/04/29(日) 22:22:57.109ID:rJx/0Znm0NIKU
~拷問室~
女騎士「城下の酒場で聞いたことがある、尿が泡立つのは糖尿病のサインらしい……」
女騎士「つまり、私は糖尿病というわけだ……」
オーク「いつから泡立つんだ?」
女騎士「お前らに捕らえられ、牢に入れられてから……気付いた……」
オーク「じゃあ、ここに来るまでは泡立ってなかったのか?」
女騎士「分からないんだ! だって、城のトイレは外の貯水池に垂れ流しだから……普通自分の尿なんて見ないだろ!?」
女騎士「牢のバケツに放尿して、初めてまじまじと見たんだ……じ、自分の尿を! そしたら、凄い泡立ってて!」
女騎士「糖尿病って、食事制限とかあるんだろう!? た、耐えられるわけがない……!」
女騎士「もう私に生きる希望など無いのだ! さあ殺せ! 待ちうける惨めな人生を考えたら生きる希望なんて無い!」
女騎士「私を殺せーっ!」
オーク「ばかーっ!」
バキッ
女騎士「うっ!」
ドタンッ
オーク「命を粗末にするんじゃない!」
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2018/04/29(日) 22:26:27.816ID:rJx/0Znm0NIKU
女騎士「……!」
オーク「糖尿病になったって、元気に生きている人はたくさんいる!」
女騎士「う、うぅぅ……!」
オーク「自棄になっちゃいけない。まだ糖尿病と決まったわけじゃないだろう?」
オーク「尿検査と血液検査をしてもらうといい。素人考えで思いつめるのは馬鹿のすることだ」
女騎士「だ、だが……」
オーク「解放することはできないが、ここにも医者はいる。さあ看てもらおう」
ガチャン
女騎士「……」
オーク「どうした? 錠は外したんだ。さあ立って」
女騎士「い、嫌だ……」
オーク「え?」
女騎士「こ、怖いんだ……! もし……検査の結果、本当に糖尿病だったらと思うと……」
オーク「放置して大事になったらどうするんだ!」
女騎士「分かっている! 分かっている……でも……でもぉ!」
オーク「でもじゃない! 立て! 医者のとこに行くぞ! 立つんだよ! オラァ立てぇ!」
女騎士「離せぇ! 私に触れるな! お前らの言いなりになど、なるものか!」
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2018/04/29(日) 22:29:51.282ID:rJx/0Znm0NIKU
オーク「大人しく従え!」
ビシィ
女騎士「ぐっ……! 殴りたければ殴れ! だがな、私の信念は揺らがんぞ! 怖いから検査は受けないんだ!」
オーク「バカなことを言うんじゃない!」
女騎士「私を言いなりにしたければ、拷問でもなんでもするんだな!」
オーク「検査より拷問の方がよっぽど怖いだろう!」
女騎士「検査のほうが怖い!」
オーク「こいつ……! いいだろう、そこまで言うなら望みどおりに――」
見張り「おい。今日はもうその辺にしたらどうだ。もう陽も暮れてきた」
オーク「ちっ……、オイお前! 明日は覚悟しとけよ!」
女騎士「フン! 脅しか? だが、私は貴様らなど怖くは無い! 怖いのは検査だ!」
オーク「こいつを牢に戻せ!」
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2018/04/29(日) 22:32:31.386ID:rJx/0Znm0NIKU
~牢屋~
女騎士「……はぁ」
女騎士(……さっきから尿のことしか考えられん……惨めだ……。いっそ、舌を噛み切って……)
女騎士「……はむっ」
女騎士「……」
女騎士「…………ふぅ」
女騎士(ダメだ……舌を噛み切るなんて想像しただけで気が遠くなる……)
ブルッ
女騎士「……うっ、しまった尿意が……」
ジョボボボボボ
女騎士「…………」チラッ
女騎士(おのれっ……! やはり泡立っている……!)
0023以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします
2018/04/29(日) 22:35:36.340ID:rJx/0Znm0NIKU
女騎士「…………」
女騎士(そういえば……糖尿病患者の尿は、舐めると甘く感じるって聞いたことがあるな……)
女騎士「……」ゴクリ
女騎士(な、舐めてみるか……? いや、だが騎士としてそれはどうなんだ……?)
女騎士(王妃の御手に忠誠のキスをしたこの口で、自分の尿を………)
女騎士「……」
女騎士(ひと舐めぐらいなら誤差の範囲内か……)
看守A「あっ! おい! 何してんだ! お前! 正気か!?」
女騎士「!? まずい、気づかれたか!」
看守A「汚いぞ!!! やめろ!!!」
女騎士「だ、黙れ! 貴様らの思い通りにはならん! 舐めてやる!」
看守A「おい! 牢を開けろ! やめさせるんだ!」
看守B「はい!」
ガチャ
看守B「こいつ! 尿を舐めるんじゃない! 変な病気になったらどうするつもりだ!」
女騎士「くっ、離せ! 私は決して屈しないぞ! 敵に屈して無様を晒すなら、潔く死を選ぶ!」
看守A「もう無様だろ!」
0028以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします
2018/04/29(日) 22:39:42.461ID:rJx/0Znm0NIKU
~拷問室~
オーク「聞いたぞ。自分の尿を舐めようとしたらしいじゃないか……」
女騎士「……笑いたければ笑え」
オーク「舐めようとしたってことは、結局自分が糖尿病なのかそうじゃないのか、知りたいってことだろう」
オーク「素直になれ。自分の尿を舐めるなんて愚かなことをするぐらいなら、もう検査を受けろ」
女騎士「…………」
オーク「…………」
女騎士「殺せ……」
オーク「お前……!」
女騎士「検査が怖いのではない! 怖くは無いが……そう! 貴様らの言いなりになるのが嫌なんだ!」
女騎士「主君に言われればすぐにでも検査は受ける! だがそうじゃないからな!」
女騎士「我々騎士は、決して屈しない! 貴様らの思い通りになると思ったら大間違いだ!」
オーク「……いいだろう。そこまで言うのなら、昨日の続きだ……ここは拷問室だからな。覚悟しろ」
女騎士「ふ、フン……たとえどんな責め苦だろうと、耐えてみせる……!」
オーク「おい! こいつを拘束しろ!」
0031以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします
2018/04/29(日) 22:42:10.778ID:rJx/0Znm0NIKU
オーク「まずはこいつだ……」
女騎士「な、なんだ! なんだその針は……!」
オーク「……」
女騎士「そそそそそ、それで、どどど、ど、どうするつもりだ……!」ガクガクガク
オーク「……」
女騎士「き、き、きき、貴様! 何をしても無駄だぞ! わ、私は決して! 決して!」ブルブル
オーク「チクッとするぞ」
チクッ
女騎士「わー! 痛ーいっ!」
オーク「……」
女騎士「血がぁ! 血が出て、血が――」
カクン
女騎士「……」
見張り「おいどうした? 気絶してるじゃないか」
オーク「血を見るのが苦手らしい。俺はこの血液を医者に持っていく」
オーク「そいつの拘束を解いて、牢に戻してやれ」
見張り「ああ」
0037以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします
2018/04/29(日) 22:45:52.692ID:rJx/0Znm0NIKU
~牢屋~
女騎士「ハッ!」
ガバッ
オーク「目が覚めたようだな」
女騎士「わ、私は……」
オーク「数日間寝込んでいたんだぞ」
女騎士「なっ……! 私に何をした!」
オーク「お前自身には何も……」
女騎士「ど、どういう意味だ!?」
オーク「お前の血液と尿を採取させてもらったよ」
女騎士「な、なにっ!? ど、どういうつもりで……ま、まさか!?」
オーク「そうだ。検査結果が出た」
女騎士「……!」
0039以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします
2018/04/29(日) 22:48:56.869ID:rJx/0Znm0NIKU
オーク「ここに検査結果がある。発表するぞ」
女騎士「……っ」
オーク「検査の結果、お前は――」
女騎士「わ、わー!!!」
オーク「お、おい、なんだ」
女騎士「きーこーえーなーいー! ワー! ワー!」
オーク「……おい。あいつを大人しくさせろ」
看守A「ほら! 耳を塞ぐな!」
看守B「ちゃんと結果を聞け! 医者の言葉に耳を貸さないと後悔するぞ!」
女騎士「くっ! 離せ! 誰が貴様らの話などに、耳を貸すものか!」
オーク「改めて結果を発表するぞ」
女騎士「……!」
オーク「血液と尿を検査した結果……お前が糖尿病である可能性は……」
女騎士「…………!!!」
0043以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします
2018/04/29(日) 22:53:04.986ID:rJx/0Znm0NIKU
オーク「ゼロだ」
女騎士「!!!!!!!!!」
オーク「……」
女騎士「……えっ? い、今、なんて……」
オーク「糖尿病の可能性はゼロ。お前は糖尿病じゃないってことだ」
女騎士「そ、そんな……嘘をつくな! だって、尿が泡立ってて!」
女騎士「見ろ! こんなに泡立ってるんだぞ! 見ろ!」
オーク「見せなくていい」
オーク「医者の話では、そういう体質ってだけの話らしい」
オーク「水分補給を怠っていたのも原因のひとつだな」
オーク「まあなんにせよ、お前は糖尿病じゃないんだよ。だから安心しろ」
女騎士「わ、私は……糖尿病じゃなかった……? わ、私は……糖尿病じゃ……」
オーク「そうだ。お前は健康体だ」
0046以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします
2018/04/29(日) 22:57:00.141ID:rJx/0Znm0NIKU
女騎士「…………うっ、うわ~ん! ひいぃぃぃぃ! よ、よかっだあぁぁぁぁぁぁ!!!」
オーク「ほら、泣くなって」
女騎士「だって、だって……すごく不安で……ひっぐ、うえぇぇ」
オーク「そうやって抱え込む前に、専門家に聞くのが一番なんだ。精神的な負担が病の原因にもなるんだからな」
オーク「とにかく、せっかくの吉報だ。こういう時は笑うもんだろう?」
女騎士「あ、ああ……えへへ」
オーク「フッ」
女騎士「あ~、よかった」
――こうして、不安材料の一切を取り払った女騎士は、全身全霊をかけてオークの拷問へ臨み
都防衛の弱点を洗いざらい吐くことで、王国滅亡の一翼を担ったのだった――
―――
老婆「糖尿病は多くの合併症を引き起こし、放置すれば取り返しのつかないことになる」
老婆「その女騎士を前線に出さなければ、オークに捕らえられることはなく、王国が滅びるきっかけをつくることにもならなかった」
老婆「女騎士の存在が、王国にとっての糖尿病だったというお話じゃ」
子供「へー」
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