彡(ﾟ)(ﾟ)「なら、またご近所さんに貰ったらええやろ」

(o'ω'n)「そう毎日いただくわけにはいかないんだよ！もう白い目で見られてるんだよ？わたし達」

(o'ω'n)「このままだったら年も越せないよ」

彡(ﾟ)(ﾟ)「それは困るな…けど、仕事が上手いこといかんねん」

(o'ω'n)「腕はいいのに仕事してる時もお酒のんでるからだよ！だから上手くいかないのさ」

彡(ﾟ)(ﾟ)「しかしなぁ10日も仕事してへんから何の準備も出来てないぞ？」

(o'ω'n)「盤台もちゃんと糸底に水が張ってる、包丁もよく研いでるしワラジも新しくしてるよ」

彡(ﾟ)(ﾟ)「ふぁ！？万全やんけ！」

(o'ω'n)「そうだよ！だから早く港に行って魚仕入れておいで！ほら！」

彡(ﾟ)(ﾟ)「わ、わかったて！もう行くしかないやんか…仕方ないな…ほな、行ってくるで」

彡(ﾟ)(ﾟ)「とは言ったものの、お日様も登ってへんから港に人っ子一人おらんやん…」

彡(ﾟ)(ﾟ)「カカァのやつ急かしすぎやで…こんな時間に叩き起こして仕事に行かせるとかアホちゃうか」

彡(ﾟ)(ﾟ)「他の魚屋だって寝とる時間やんけ…あかん、なんか腹たってきたわ」

彡(-)(-)「そもそも酒飲んで仕事するのが何がいかんのや、ワイの腕は一級品なんやで？酔っ払いの売る魚は食えへんってか？」

彡(ﾟ)(ﾟ)「町の奴らも嫌なもんやで…お前らだって酒飲んで楽しくやっとるやろが…仕事してる時に飲んでるかは知らんが」

彡(ﾟ)(ﾟ)「……まぁ、時間まで浜辺で煙草でも吸うてゆっくりしとくか」

>>7>>8>>10
みなさんこんばんわやで

彡(ﾟ)(ﾟ)「早朝の浜辺というのは気持ちがええもんやな」

彡(ﾟ)(ﾟ)「なによりこの潮風がええな…そして磯の匂い、穏やかな波の音、お日様が少しだけひょっこりはんしてきたから海もキラキラしてきて綺麗なもんや」

彡(ﾟ)(ﾟ)「思えば、ワイが魚屋になったのは魚が好きなのは勿論やが、朝早くに起きてこの景色を見るのが好きやからだったな…忘れてたで」

彡(ﾟ)(ﾟ)「それなのに今は飲んだくれで怠けて…そのせいで貧乏になってしもうたもんや」

彡(ﾟ)(ﾟ)「カカァには迷惑かけてきたな…感謝せなあかんわ、こんな駄目な男なのに愛想つかさずにずっと付いてきてくれてたんやから」

彡(ﾟ)(ﾟ)「仕事道具も綺麗に手入れしてくれて、おまけにワラジも新しくしてくれた」

彡(ﾟ)(ﾟ)「よし！今日からは初心に戻ってバリバリ働くで！…………ん？」

彡(ﾟ)(ﾟ)「浅瀬になにかあるな…なんやあれ」

彡(ﾟ)(ﾟ)「これは、財布やんけ！汚ったない財布やなぁ…それに」ズシッ

彡(ﾟ)(ﾟ)「長いこと浸かってたんやろな…海水やら砂やら含んでしもうて重くなってしもうとるやん」

彡(ﾟ)(ﾟ)「こんな財布やから何も入っとらんやろ…でも中身見ちゃうんやで」

彡()()「あ…あ…これは…大変やで」

彡(ﾟ)(ﾟ)「海水と砂で重くなってたんやない！二分金が入っとるやん！いくら入っとんねん…ひぃーふぅーみぃー…」

彡(ﾟ)(ﾟ)「42両！？！？！？？？？！！」

彡(ﾟ)(ﾟ)「ワイの一年の稼ぎよりあるやん！！なんでこんなものが…」

彡(^)(^)「きっとワイの日頃の行いがええからお天道様からの贈り物や！これで年が越せるし暫くは贅沢な生活ができるで！」

彡(^)(^)「はよ帰ってカカァに見せたろ！」

彡(^)(^)「ただいまやでー！」

(o'ω'n)「え！？もう帰ってきたのかい？アンタ仕事は！？」

彡(^)(^)「仕事なんてどうでもええねん！なんせ大金が手に入ったからな！」

(o'ω'n)「なに寝言言ってんだい！また飲んだのかい！」

彡(^)(^)「ちゃうわ！これ見てみぃ！」スッ

(o'ω'n)「汚い財布だね、これがなんだって？」

彡(^)(^)「聞いて驚くなよ？この財布の中は…ほら！」

(o'ω'n)「大金が入ってるじゃないか！」

彡(^)(^)「二分金で42両！どうや！ワイの日頃の行いがええからお天道様からの贈り物や！これでワイも仕事行かんでええし贅沢な生活も出来る！」

彡(^)(^)「ワイの大好きな酒も飲みたい放題やで！！」

(o'ω'n)「で、でもアンタ…これは横領なんじゃないのかい？知られたら打ち首だよ！？」

彡(ﾟ)(ﾟ)「んなもん知らんわ！バレへんかったらええ話やろ？」

(o'ω'n)「だから知られた時が怖いんだよ！」

彡(^)(^)「なら、お前が何処かに隠しといてくれや！とりあえず今日は一日中飲むで！真弓とか原ちゃんも呼んでどんちゃん騒ぎするんや！」

(o'ω'n)「アンタ…」

彡(^)(^)「さぁさぁ！早く酒と肴を買ってきてくれや！いつもの安い酒やいかんで？一番高い酒やで？肴は鯛でええわ！」

(o'ω'n)「そんなお金は…」

彡(^)(^)「たった今ワイが持って帰ってきたやろ？…あぁ、そうか！慣れない大金だから抵抗があるんやな？それならツケにしとけ！」

彡(^)(^)「いくらツケても直ぐに返せるんや！なんせワイはお金持ちやからな！がハハハハハ！」

(o'ω'n)「…………………」

翌日の早朝

(o'ω'n)「ちょいとアンタ！アンタ！起きとくれよ！」

彡(-)(-)「なんや…まだお日様登ってないやん、まだ寝かせてくれや…こちらと二日酔いやぞ」

(o'ω'n)「なに言ってんだい！仕事に行っとくれよ！もう窯の蓋が空きやしないよ！」

彡(^)(^)「なに言ってんねん！昨日の二分金があるやろ？もう忘れたんか？」

(o'ω'n)「.………？なに言ってるんだい？ウチにそんなものあるわけないでしょ？」

彡(ﾟ)(ﾟ)「いや、だから昨日ワイが拾ってきた財布があるやんけ」

(o'ω'n)「アンタ昨日は友達沢山呼んできてウチでどんちゃん騒ぎしてたじゃないか…それに鯛やら高い酒やらツケで買ってこいって言って…」

彡(ﾟ)(ﾟ)「は？な、なんやて？」

(o'ω'n)「窯の蓋が開かないっていうのに呑気な人だよ……このままじゃ私たち飢えてしまうよ…」

彡(ﾟ)(ﾟ)「いやいやいや！昨日の財布があるやろ！」

(o'ω'n)「貧乏過ぎるからお金拾う夢でも見てたんじゃないのかい？疑うなら家中を探してごらんよ」

彡(＼)(／)「言うたな？あったらおぼえとけよ！！」

彡(ﾟ)(ﾟ)「ない…どこにもない…」

(o'ω'n)「だから言ったじゃないか…」

彡(ﾟ)(ﾟ)「ホンマに…ホンマに夢やったんか…はは、金を拾ったのは夢で、どんちゃん騒ぎしたのは本当か…ハハ、笑けてくるわ」

(o'ω'n)「なぁアンタ…お願いだから仕事しとくれよ…二人とも飢えて死んでしまうよ…」

彡(ﾟ)(ﾟ)「そらそうよな…こんなワイが日頃の行いがええわけない…夢の中でも頑張るって誓ったのに…」

(o'ω'n)「…」

彡(ﾟ)(ﾟ)「よっしゃ！もう酒は止める！今日からはホンマに性根叩きなおして働くわ！」

(o'ω'n)「本当かい…？」

彡(ﾟ)(ﾟ)「あぁ！ホンマや！今まですまんかったなカカァ…こんなワイやけどこれからも支えてくれへんか？」

(o'ω'n)「当たり前だよ！ほら、盤台もちゃんと糸底に水が張ってる、包丁もよく研いでるしワラジも新しくしてるよ！」

彡(^)(^)「ホンマ、ワイはええカカァを持ったで！じゃ、行ってくるで！」

(o'ω'n)「……」

それから数年の月日が流れ……

彡(^)(^)「今日は大晦日やから飯は豪華にいくで！」

(o'ω'n)「アンタあの日から頑張ったからね」

彡(^)(^)「ありがたいことに今は、大通りにどーんと店を構えて得意先もついた、身代も増えた！生活も裕福になったしな！」

(o'ω'n)「アンタの仕事の腕がいいから、ここまでこれたのさ」

(o'ω'n)「あの日から毎日毎日、懸命に働いてくれてたからね…自慢の夫だや」

彡(^)(^)「そう褒めるな！照れるやんけ！お前こそ、ぐうたらやったワイを支えてきてくれてありがとな！」

(o'ω'n)「………それでね、今日はアンタに見てもらいたい物があるんだよ」

彡(ﾟ)(ﾟ)「見てもらいたい物？なんや？」

(o'ω'n)「……これなんだけどね」スッ

彡(ﾟ)(ﾟ)「なんや、汚ったない財布やなー…」

彡(^)(^)「あ！わかったで！新しい財布のおねだりやな！そんなもんワイに相談せんでも好きに買ったらええのに」

(o'ω'n)「アンタこれに見覚えがないかい？」

彡(ﾟ)(ﾟ)「…….見覚え？そういわれて見ると、あの時に夢で見た財布にそっくりやな」

(o'ω'n)「実はね……あの時のこと、夢じゃなかったんだよ」

彡(ﾟ)(ﾟ)「は？」

(o'ω'n)「あの日、どんちゃん騒ぎしてアンタが寝た後に大家の所へいって財布のこと相談したんだよ」

(o'ω'n)「10両盗めば首が飛ぶと言われてるでしょ、もし財布のことが知られてアンタが打ち首にでもなったら嫌だからさ…真弓さんに相談したのさ」

彡(ﾟ)(ﾟ)「…….見覚え？そういわれて見ると、あの時に夢で見た財布にそっくりやな」

(o'ω'n)「実はね、あの時のこと、夢じゃなかったんだよ」

彡(ﾟ)(ﾟ)「は？」

(o'ω'n)「あの日、どんちゃん騒ぎしてアンタが寝た後に大家の所へいって財布のこと相談したんだよ」

(o'ω'n)「10両盗めば首が飛ぶと言われてるでしょ、もし財布のことが知られてアンタが打ち首にでもなったら嫌だからさ…相談したのさ」

>>28はミスやすまん

(o'ω'n)「そしたら大家はね、とりあえず奉行所に行って財布を預けなさい。そして、アンタには夢だと一点張りで言っとけとね」

彡(ﾟ)(ﾟ)「………けど、真弓と原ちゃんからは何も聞かんかったで？」

(o'ω'n)「真弓さんや原ちゃんにも黙っておいてくれと言っておいたんだ…」

彡(ﾟ)(ﾟ)「……」

(o'ω'n)「そして、その財布の持ち主が現れないから、とっくにお下がりになってたんだよ」

彡(ﾟ)(ﾟ)「お前…」

(o'ω'n)「本当にごめんなさい！アンタが大好きな酒をやめて懸命に働く姿を見てると言い出せなくて…」

彡(ﾟ)(ﾟ)「………」

(o'ω'n)「覚悟はできてるよ、気が済むまで殴っておくれ……」

彡(ﾟ)(ﾟ)「そういうことだったんか…よくわかったわ…」

彡(ﾟ)(ﾟ)「けど、ワイはお前を殴りはしないで、そのお陰でワイはここまでこれたんや」

彡(ﾟ)(ﾟ)「ワイこそ、その財布のせいでお前に長い間辛い思いをさせてたんやな…本当にすまんかった！」

(o'ω'n)「アンタ…」

彡(^)(^)「大晦日なのに暗い雰囲気はなしやで！ワイとカカァで夫婦水入らず！楽しく過ごそうや！」

(o'ω'n)「夫婦水入らずなんだからお酒で乾杯しようよ」

彡(ﾟ)(ﾟ)「せやな…でも、もう辞めたんやけどな…」

(o'ω'n)「今日くらい飲んだってバチはあたりはしないんじゃないかい？」

彡(ﾟ)(ﾟ)「それもそうやな！それなら一杯だけ……」

(o'ω'n)「ささ、注いであげるよ」トクトク

彡(ﾟ)(ﾟ)「お、すまんな」

彡(ﾟ)(ﾟ)「…………」

(o'ω'n)「さぁ、飲んでおくれ」

彡(ﾟ)(ﾟ)「いや、やめとくわ」

(o'ω'n)「え？なんで？」

彡(ﾟ)(ﾟ)「また夢になったらいかんからな」


以上、芝浜というお話でした