16: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 20:35:55.67 ID:mN58dlVf
梨子「えーっと…今日からの新患さんは…渡辺さんか…」
梨子「まだ高校生じゃない…一体どんな…」
先生「あ、桜内さん、ちょっと」
梨子「?はい」
・・・・・・・・・
梨子「私を渡辺さんの担当に?」
先生「彼女は初めての入院でね、色々不安もあるだろうから、そういう時は看護婦に1人、親しい仲を作っておいた方が安心すると思うんだ」
梨子「それで私ですか」
先生「君がここで1番歳が近いだろう?話し相手になってやってくれ」
梨子「まだ高校生じゃない…一体どんな…」
先生「あ、桜内さん、ちょっと」
梨子「?はい」
・・・・・・・・・
梨子「私を渡辺さんの担当に?」
先生「彼女は初めての入院でね、色々不安もあるだろうから、そういう時は看護婦に1人、親しい仲を作っておいた方が安心すると思うんだ」
梨子「それで私ですか」
先生「君がここで1番歳が近いだろう?話し相手になってやってくれ」
18: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 20:39:15.35 ID:mN58dlVf
・・・・・・・・
ガララッ
梨子「失礼します。渡辺さん」
曜「・・・」
梨子「え、えーっと、私はあなたの担当をさせていただきます。桜内梨子って言います。これから宜しくね?」
曜「・・・これから…」
梨子「…ええ、基本的な身の回りのお世話は私がするわ。何か困ったことがあったら私になんでも言ってね?」
曜「なんでも?」
ガララッ
梨子「失礼します。渡辺さん」
曜「・・・」
梨子「え、えーっと、私はあなたの担当をさせていただきます。桜内梨子って言います。これから宜しくね?」
曜「・・・これから…」
梨子「…ええ、基本的な身の回りのお世話は私がするわ。何か困ったことがあったら私になんでも言ってね?」
曜「なんでも?」
19: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 20:45:08.49 ID:mN58dlVf
梨子「うん。私たちは一応、ここじゃ1番年の差がないみたいだから。これから仲良くしていこうね!」
曜「じゃあ、質問」
梨子「はい、なんですか?」
曜「・・・癌なんでしょ?」
曜「じゃあ、質問」
梨子「はい、なんですか?」
曜「・・・癌なんでしょ?」
20: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 20:49:46.20 ID:mN58dlVf
梨子「・・・あら」
曜「・・・」
梨子「おかしいですね…先生もちゃんと言ってましたよ?」
梨子「渡辺さんは、慢性膵炎という病気です」
曜「・・・」
梨子「流石に病院が癌と膵炎を間違えることはないわ?」クスッ
曜「・・・そうですか」
曜「・・・」
梨子「おかしいですね…先生もちゃんと言ってましたよ?」
梨子「渡辺さんは、慢性膵炎という病気です」
曜「・・・」
梨子「流石に病院が癌と膵炎を間違えることはないわ?」クスッ
曜「・・・そうですか」
21: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 20:53:32.21 ID:mN58dlVf
曜「・・・」
梨子「・・・」
曜「…なーんだ!」
梨子「」ビクッ
曜「あーー、よかった!この年で癌なんてシャレになんないもんね!」
梨子「・・・ふふ、渡辺さん、やっと笑ってくれたわね♪」
曜「・・・えへへ」ニカッ
曜「・・・変な事聞いてごめんなさい、これからよろしくお願いします!桜内さん!」
梨子「…うん!よろしくね」
梨子「・・・」
曜「…なーんだ!」
梨子「」ビクッ
曜「あーー、よかった!この年で癌なんてシャレになんないもんね!」
梨子「・・・ふふ、渡辺さん、やっと笑ってくれたわね♪」
曜「・・・えへへ」ニカッ
曜「・・・変な事聞いてごめんなさい、これからよろしくお願いします!桜内さん!」
梨子「…うん!よろしくね」
22: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 21:00:01.87 ID:mN58dlVf
・・・・・・・・・・
ガララッ
梨子(・・・・・・)
梨子(…キツい・・・なぁ)
──数日前
先生『さて、お母様……今回の娘さんの症状ですが…告知なさいますか?』
曜母『・・・曜は・・・娘は…退院の見込みはあるのでしょうか…』
先生『・・・膵臓癌・・・これは、なかなか症状に出にくいもので、今回の診断の時には…既に…末期状態でした…』
曜母『・・・』
先生『お辛い事実ではありますが…もっても…半年…かと…』
ガララッ
梨子(・・・・・・)
梨子(…キツい・・・なぁ)
──数日前
先生『さて、お母様……今回の娘さんの症状ですが…告知なさいますか?』
曜母『・・・曜は・・・娘は…退院の見込みはあるのでしょうか…』
先生『・・・膵臓癌・・・これは、なかなか症状に出にくいもので、今回の診断の時には…既に…末期状態でした…』
曜母『・・・』
先生『お辛い事実ではありますが…もっても…半年…かと…』
23: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 21:03:39.98 ID:mN58dlVf
曜母『…』
曜母『曜は…娘は・・・しっかりした子です…でも、たくさんの友達と、もう遊べないと知ると・・・』
曜母『きっと、おかしくなってしまうんじゃないかと……』
曜母『そんな、脆さも持っています・・・』
曜母『・・・絶望の中で苦しむより…せめて少しでも希望を持って・・・眠って…ほし…い』
先生『・・・分かりました…』
曜母『曜は…娘は・・・しっかりした子です…でも、たくさんの友達と、もう遊べないと知ると・・・』
曜母『きっと、おかしくなってしまうんじゃないかと……』
曜母『そんな、脆さも持っています・・・』
曜母『・・・絶望の中で苦しむより…せめて少しでも希望を持って・・・眠って…ほし…い』
先生『・・・分かりました…』
24: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 21:10:04.62 ID:mN58dlVf
梨子『・・・渡辺さん…』
─────
──入院から1ヶ月
曜「・・・うーん」
梨子「渡辺さん?」
曜「なんだかちっとも良くなってる気がしない・・・」
曜「桜内さん、私やっぱり癌なんじゃ?」
梨子(はい、その通りです)
梨子(なんて言えるわけないわ…)
梨子「渡辺さん、症状や病気はしっかりこちらで検査して判明しているものです。もし癌だったら、今頃身体中チューブまみれで絶対安静よ?」
─────
──入院から1ヶ月
曜「・・・うーん」
梨子「渡辺さん?」
曜「なんだかちっとも良くなってる気がしない・・・」
曜「桜内さん、私やっぱり癌なんじゃ?」
梨子(はい、その通りです)
梨子(なんて言えるわけないわ…)
梨子「渡辺さん、症状や病気はしっかりこちらで検査して判明しているものです。もし癌だったら、今頃身体中チューブまみれで絶対安静よ?」
25: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 21:11:49.55 ID:mN58dlVf
曜「・・・」
梨子「・・・」
曜「うーん・・・それもそうか・・」
梨子「うん!大丈夫、きっと良くなるわ!病は気から。治るって信じていれば、必ずいい方向に向かうんだから」
梨子「・・・」
曜「うーん・・・それもそうか・・」
梨子「うん!大丈夫、きっと良くなるわ!病は気から。治るって信じていれば、必ずいい方向に向かうんだから」
26: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 21:13:35.08 ID:mN58dlVf
────
─ナース室
梨子「…渡辺さんが病名を疑っています…」
「そう…」
「桜内さん、それにほかのみなさんももちろん。言動に気をつけて、慎重にね」
「「はい! 」 」
─ナース室
梨子「…渡辺さんが病名を疑っています…」
「そう…」
「桜内さん、それにほかのみなさんももちろん。言動に気をつけて、慎重にね」
「「はい! 」 」
27: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 21:21:29.41 ID:mN58dlVf
─────
梨子「渡辺さん、検温ですよー」
曜「あ、桜内さん、聞きましたよ。高校時代は美術部だったって?」
梨子「あら、もう、ちょっと恥ずかしいわね」
曜「好きな画家さんとかいるんですか?」
梨子「うーん、ベクシンスキーかなー」
曜「い、意外ですね…」
梨子「え!ベクシンスキー知ってるの?」
曜「うん、前やってたゲームと、雰囲気が似てて」
梨子「いいよねー!ベクシンスキー!あの非現実的なリアリティ?っていうの?もうあの世界は彼にしか描けないわ!
表向きは良心的な旦那さんって言うのも素敵よね!芸術家って最期がちょっと歪だったりするけど、この人はどうやって死んだとおもう?!
なんとね!強盗に襲われて死んだの!ヤバくない?!逆にヤバくない?!」
梨子「渡辺さん、検温ですよー」
曜「あ、桜内さん、聞きましたよ。高校時代は美術部だったって?」
梨子「あら、もう、ちょっと恥ずかしいわね」
曜「好きな画家さんとかいるんですか?」
梨子「うーん、ベクシンスキーかなー」
曜「い、意外ですね…」
梨子「え!ベクシンスキー知ってるの?」
曜「うん、前やってたゲームと、雰囲気が似てて」
梨子「いいよねー!ベクシンスキー!あの非現実的なリアリティ?っていうの?もうあの世界は彼にしか描けないわ!
表向きは良心的な旦那さんって言うのも素敵よね!芸術家って最期がちょっと歪だったりするけど、この人はどうやって死んだとおもう?!
なんとね!強盗に襲われて死んだの!ヤバくない?!逆にヤバくない?!」
28: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 21:25:30.73 ID:mN58dlVf
曜「は、はは、詳しいですね…」ヒキッ
梨子「もう大好き!ベクシンスキー!なんでも聞いて!なんでも答える!」
曜「癌なの?」
梨子「がっ・・・」
梨子「もーー、どうしてそこに持っていくのよー!」
曜「いやぁ、うっかりボロ出すかと思って・・・」
梨子「無いものは出しようないわよ、嘘なんかついてないんだから!」
──────
梨子(もう、せっかく楽しくお話できると思ったんだけどな…)
梨子(・・・)
梨子(本当に・・・知らせないことが正解なの・・・?)
梨子「もう大好き!ベクシンスキー!なんでも聞いて!なんでも答える!」
曜「癌なの?」
梨子「がっ・・・」
梨子「もーー、どうしてそこに持っていくのよー!」
曜「いやぁ、うっかりボロ出すかと思って・・・」
梨子「無いものは出しようないわよ、嘘なんかついてないんだから!」
──────
梨子(もう、せっかく楽しくお話できると思ったんだけどな…)
梨子(・・・)
梨子(本当に・・・知らせないことが正解なの・・・?)
29: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 21:29:03.52 ID:mN58dlVf
─────
曜「桜内さん…この目の黄疸!これ癌の兆候でしょ!やっぱり癌でしょこれ!!証拠は挙がってるんだよ!吐いちまえば楽になるぜ?!」
梨子「違います!もう、女の子なんだから、鬼刑事のモノマネなんてはしたないわよ?」
曜「桜内さん…この目の黄疸!これ癌の兆候でしょ!やっぱり癌でしょこれ!!証拠は挙がってるんだよ!吐いちまえば楽になるぜ?!」
梨子「違います!もう、女の子なんだから、鬼刑事のモノマネなんてはしたないわよ?」
30: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 21:33:37.21 ID:mN58dlVf
─────
曜「・・・この前お母さんが来てね・・・もう耐えきれないって…泣きながら教えてくれたんだ・・・癌だって…」
梨子「ふーん、お母さん何癌だって言ってた?」
曜「・・・えーと・・・」
梨子「もう、癌も色々あるのよ?ただの『癌』って名前の病気はないんだから」
曜「ぐぬぬ・・・」
曜「・・・この前お母さんが来てね・・・もう耐えきれないって…泣きながら教えてくれたんだ・・・癌だって…」
梨子「ふーん、お母さん何癌だって言ってた?」
曜「・・・えーと・・・」
梨子「もう、癌も色々あるのよ?ただの『癌』って名前の病気はないんだから」
曜「ぐぬぬ・・・」
31: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 21:35:05.42 ID:mN58dlVf
────
曜「胃癌!いや、皮膚癌……うーんっと………膵臓癌!!」ビシッ
梨子「ブッブー、正解は、膵炎でしたー!」
曜「・・・」
曜「胃癌!いや、皮膚癌……うーんっと………膵臓癌!!」ビシッ
梨子「ブッブー、正解は、膵炎でしたー!」
曜「・・・」
32: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 21:37:49.34 ID:mN58dlVf
────
─ナース室
梨子「まったく…病室に行く度にあれじゃあ…」
「え、桜内さんまだ問いただされてるの?」
「私はもう何も聞かれないわ」
「私も」
梨子「え?!私だけ…ですか?!」
梨子(渡辺さんめ、私のならいつか言っちゃうだろうとか思ってる……?!)
梨子(臨むところよ!私は負けない!!)
─ナース室
梨子「まったく…病室に行く度にあれじゃあ…」
「え、桜内さんまだ問いただされてるの?」
「私はもう何も聞かれないわ」
「私も」
梨子「え?!私だけ…ですか?!」
梨子(渡辺さんめ、私のならいつか言っちゃうだろうとか思ってる……?!)
梨子(臨むところよ!私は負けない!!)
33: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 21:45:34.31 ID:mN58dlVf
────
梨子「取調室に行ってきます!」
「号室で呼んであげなさい…」
・・・・
梨子(よしっ気合い!!)
ガララッ
梨子「渡辺さん、お具合いかがですか?」
曜「・・・」ペラッペラッ……
[癌 症状と治療 ~必ず治る!~]
梨子(あらら)
曜「うーん、癌ってよく知らなかったけど、案外怖いものでもないんだね」
曜「私のためを思って言ってるんでしょ?不安になるからって」
曜「ふふん、私これでも飛び込みの選手だからね!この程度なんてことないよ!」
梨子「・・・」
曜「・・・」
梨子「そんなに納得出来ないなら、改めて先生に説明してもらう?」
曜「あの先生はキレものだよ。相当場数踏んでるだろうね。聞いても無駄だよ」
梨子(へー、よく見てるものね…)
梨子(…って!それ私はドジ踏みそうってこと?!)
梨子「取調室に行ってきます!」
「号室で呼んであげなさい…」
・・・・
梨子(よしっ気合い!!)
ガララッ
梨子「渡辺さん、お具合いかがですか?」
曜「・・・」ペラッペラッ……
[癌 症状と治療 ~必ず治る!~]
梨子(あらら)
曜「うーん、癌ってよく知らなかったけど、案外怖いものでもないんだね」
曜「私のためを思って言ってるんでしょ?不安になるからって」
曜「ふふん、私これでも飛び込みの選手だからね!この程度なんてことないよ!」
梨子「・・・」
曜「・・・」
梨子「そんなに納得出来ないなら、改めて先生に説明してもらう?」
曜「あの先生はキレものだよ。相当場数踏んでるだろうね。聞いても無駄だよ」
梨子(へー、よく見てるものね…)
梨子(…って!それ私はドジ踏みそうってこと?!)
34: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 21:51:32.78 ID:mN58dlVf
梨子(負けない!)
梨子「渡辺さん、あなたは癌ではありません」
梨子「最初に言ったでしょ?病は気から」
梨子「そういう精神的な影響って、かなり───」
曜「──なんで…」
曜「どうして正直に答えてくれないの!!」
梨子「っ」
曜「本人が知りたいって言ってるのに!!」
曜「どうして!!!?」
梨子「・・・」
曜「・・・っ」ブルブル…
梨子「渡辺さん、あなたは癌ではありません」
梨子「最初に言ったでしょ?病は気から」
梨子「そういう精神的な影響って、かなり───」
曜「──なんで…」
曜「どうして正直に答えてくれないの!!」
梨子「っ」
曜「本人が知りたいって言ってるのに!!」
曜「どうして!!!?」
梨子「・・・」
曜「・・・っ」ブルブル…
35: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 21:55:27.65 ID:mN58dlVf
─────
梨子(どうして・・・)
梨子(──どうしてだろう)
──スタッフの間での約束だから…
──御家族が決めたことだから……
梨子(私がもし口を滑らせたりしてしまったら…)
梨子(渡辺さんは絶望に苦しみながらこの世を去ることになるから……)
──結局、責任逃れでしかないの……?
─言っても後悔する
──言わなくても後悔する
───そんな気がする
梨子(どうして・・・)
梨子(──どうしてだろう)
──スタッフの間での約束だから…
──御家族が決めたことだから……
梨子(私がもし口を滑らせたりしてしまったら…)
梨子(渡辺さんは絶望に苦しみながらこの世を去ることになるから……)
──結局、責任逃れでしかないの……?
─言っても後悔する
──言わなくても後悔する
───そんな気がする
36: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 22:02:13.01 ID:mN58dlVf
───
ナース室
ピー、ピー(ナースコール)
梨子「さて、取調室行ってきます!」
「はいよー」
梨子(私が夜勤なのを知っていたのね…抜かりないわ…)
────
梨子「渡辺さん?どうしました?」
曜「…夜中にすみません、その・・・」モジモジ
梨子「?・・・あ、わかったわ、今(尿瓶)取り替えるわね」
梨子(渡辺さん、今日は穏やかだな…)
ナース室
ピー、ピー(ナースコール)
梨子「さて、取調室行ってきます!」
「はいよー」
梨子(私が夜勤なのを知っていたのね…抜かりないわ…)
────
梨子「渡辺さん?どうしました?」
曜「…夜中にすみません、その・・・」モジモジ
梨子「?・・・あ、わかったわ、今(尿瓶)取り替えるわね」
梨子(渡辺さん、今日は穏やかだな…)
38: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 22:12:22.42 ID:mN58dlVf
曜「さっきね、学校の友達と久しぶりに電話でお話したんだ」
曜「桜内さん、スクールアイドルって知ってる?」
梨子「あぁ、最近話題になってるわね」
曜「その友達がね、それ始めるんだって!」
梨子「あら、すごいじゃない!なかなかの自信家ね、その子」
曜「それでね、スクールアイドルってすごいんだよ。プロじゃないから、学校とかと協力しなきゃいけない。」
曜「だから今通ってる学校のアピールも兼ねてるんだって!」
梨子「へぇー、結構真面目な活動なのね…」
梨子(渡辺さん楽しそう…これが普通の病室なのね……とても落ち着くわ……)
曜「それでね、その学校のアピールPVに、私も出ないかって!」
梨子「…あら、いいじゃない・・・」
曜「ふふふ、こんな日のために、わたくし、スピーチ原稿を用意しました!」
曜「練習したい!桜内さん!新入生の役やって!!」
梨子「・・・う、うん?」
曜「桜内さん、スクールアイドルって知ってる?」
梨子「あぁ、最近話題になってるわね」
曜「その友達がね、それ始めるんだって!」
梨子「あら、すごいじゃない!なかなかの自信家ね、その子」
曜「それでね、スクールアイドルってすごいんだよ。プロじゃないから、学校とかと協力しなきゃいけない。」
曜「だから今通ってる学校のアピールも兼ねてるんだって!」
梨子「へぇー、結構真面目な活動なのね…」
梨子(渡辺さん楽しそう…これが普通の病室なのね……とても落ち着くわ……)
曜「それでね、その学校のアピールPVに、私も出ないかって!」
梨子「…あら、いいじゃない・・・」
曜「ふふふ、こんな日のために、わたくし、スピーチ原稿を用意しました!」
曜「練習したい!桜内さん!新入生の役やって!!」
梨子「・・・う、うん?」
42: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 22:19:37.23 ID:mN58dlVf
曜「・・・」スウ…
曜「っ!皆さん!初めまして!スクールアイドルの渡辺曜です!」
曜「今日集まってくれたみんなは、この学校に興味を持ってくれたって事だよね?!すっごく嬉しい!」
曜「浦の星女学院は、綺麗な海と、広大な自然に囲まれた、とっても素敵なところだよ!」
曜「ここにいるみんなと!一緒に、勉強できると思うと、今からとっても楽しみです!」
梨子「・・・」
曜「ちなみに…スクールアイドル部に興味のある人はいるかな?!」
曜「私たちの部活、と言うより、グループは、やる気があれば誰だって参加自由!!ほかはなんにもいらないよ!」
曜「私なんか!最近まで入院してたんだから!!」
曜「っ!皆さん!初めまして!スクールアイドルの渡辺曜です!」
曜「今日集まってくれたみんなは、この学校に興味を持ってくれたって事だよね?!すっごく嬉しい!」
曜「浦の星女学院は、綺麗な海と、広大な自然に囲まれた、とっても素敵なところだよ!」
曜「ここにいるみんなと!一緒に、勉強できると思うと、今からとっても楽しみです!」
梨子「・・・」
曜「ちなみに…スクールアイドル部に興味のある人はいるかな?!」
曜「私たちの部活、と言うより、グループは、やる気があれば誰だって参加自由!!ほかはなんにもいらないよ!」
曜「私なんか!最近まで入院してたんだから!!」
45: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 22:25:23.52 ID:mN58dlVf
曜「初めは怖かった!もしかしたら、死んじゃうんじゃないかって、もう友達に会えないんじゃないかって」
曜「怖くて怖くて、毎日泣いてた」
曜「もし癌だったりしたらって、ずっと不安だった」
曜「なんの罪もない看護婦さんに、たまに当たり散らすこともあったの」
曜「多分あの人、うんざりしてただろうなぁ…」
曜「なんでかな、看護婦さんはほかにいっぱいいたのに、家族も見舞いに来てたのに…」
曜「なんでかな、あの人には、私のみっともない姿を見せることができた」
曜「怖くて怖くて、毎日泣いてた」
曜「もし癌だったりしたらって、ずっと不安だった」
曜「なんの罪もない看護婦さんに、たまに当たり散らすこともあったの」
曜「多分あの人、うんざりしてただろうなぁ…」
曜「なんでかな、看護婦さんはほかにいっぱいいたのに、家族も見舞いに来てたのに…」
曜「なんでかな、あの人には、私のみっともない姿を見せることができた」
46: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 22:30:51.38 ID:mN58dlVf
曜「もし、なんてことがあったら、きっと、死ぬまでずっと、後悔するくせに…─」
曜「きっと、私はあの人のことが、好きなんだって」
曜「退院の日まで、結局、癌だの違うだの喧嘩別れしちゃったけど……」
曜「散々疑っておいて、結果なんでもなかったって、そんなしょうもない事だった」
曜「あれからその人には会っていない。それこそ後悔してる。」
曜「ずっと、桜内さん桜内さんって、堅苦しい呼び方だったな…」
──もし今目の前にあの人がいるなら…私の思いを伝えよう
そう、誓ったの
曜「きっと、私はあの人のことが、好きなんだって」
曜「退院の日まで、結局、癌だの違うだの喧嘩別れしちゃったけど……」
曜「散々疑っておいて、結果なんでもなかったって、そんなしょうもない事だった」
曜「あれからその人には会っていない。それこそ後悔してる。」
曜「ずっと、桜内さん桜内さんって、堅苦しい呼び方だったな…」
──もし今目の前にあの人がいるなら…私の思いを伝えよう
そう、誓ったの
47: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 22:32:37.18 ID:mN58dlVf
梨子「・・・」
曜「・・・梨子さん」
梨子「・・・」
曜「私は、あなたが好きです。」
曜「ここを退院したら・・・私と付き合ってくれませんか」
曜「・・・梨子さん」
梨子「・・・」
曜「私は、あなたが好きです。」
曜「ここを退院したら・・・私と付き合ってくれませんか」
48: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 22:37:50.25 ID:mN58dlVf
──言えない
──今、口を開けば
──自分が何を言い出すか見当もつかない
──ここから逃げ出すことも出来ない
──そんなの…答えを言ってるのと同じ
──ダメ、落ち着いて……渡辺さんの顔を見ちゃダメ……なにか、別のこと…楽しいことを……
(ダクソ3の赤で隠しアイテム教えたら感謝メッセージ来た…)
──……っ!情けない………!
曜「梨子さん、返事を聞いてもいいですか?」
──今、口を開けば
──自分が何を言い出すか見当もつかない
──ここから逃げ出すことも出来ない
──そんなの…答えを言ってるのと同じ
──ダメ、落ち着いて……渡辺さんの顔を見ちゃダメ……なにか、別のこと…楽しいことを……
(ダクソ3の赤で隠しアイテム教えたら感謝メッセージ来た…)
──……っ!情けない………!
曜「梨子さん、返事を聞いてもいいですか?」
50: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 22:44:01.60 ID:mN58dlVf
───ダメだ
──負けた
放送『桜内さん、桜内さん。○○号室にお願い出来ますか。』
梨子「!」
梨子「っ」ぐっ
スッ…
タタタッ…
曜「え、梨子さん?」
梨子「ご、ごめんなさい、ちょっとほかの患者さんの所に行くわ、返事はまた明日ね」
──助かった
ドアガチャッ─
曜「桜内さん、忘れ物だよ!」
梨子「え?」クルッ──
──負けた
放送『桜内さん、桜内さん。○○号室にお願い出来ますか。』
梨子「!」
梨子「っ」ぐっ
スッ…
タタタッ…
曜「え、梨子さん?」
梨子「ご、ごめんなさい、ちょっとほかの患者さんの所に行くわ、返事はまた明日ね」
──助かった
ドアガチャッ─
曜「桜内さん、忘れ物だよ!」
梨子「え?」クルッ──
51: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 22:47:05.08 ID:mN58dlVf
曜「・・・」ジッ…
梨子「・・・あ・・・」
ぽろ……ぽろ………
曜「・・・」
梨子「よ、曜ちゃ・・・これ、は・・・」
曜「・・・ごめんね・・・
・・・・・・ありがとう・・・」
梨子「・・・あ・・・」
ぽろ……ぽろ………
曜「・・・」
梨子「よ、曜ちゃ・・・これ、は・・・」
曜「・・・ごめんね・・・
・・・・・・ありがとう・・・」
52: 名無しで叶える物語(もこりん) 2018/06/06(水) 22:47:54.15 ID:mN58dlVf
おしまい
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