1: 矢橋P 24/11/10(日) 08:13:48 ID:M4e5
また性懲りもなくミリオン×パワポケのクロスSSを書かせていただきます
ここでの公開はもう少し先にする予定でしたが、最近とても嫌なことがありましてそれの払拭と
ここのアイマスSS活動が活発になってきたのを眺めるだけなのもあれなので投稿することにしました

この作品は 新球団ナマーズ編×電脳野球編×ミリオンライブ という内容になっております

 -注意点-
・このSSは 恵美「怪奇ハタ人間!」から三年後の世界です  


・オリジナル設定、原作改変もします。というか割とガバガバです
・プロデューサーは相変わらず登場しません
・今回はパワポケのキャラがガッツリ出ます。そのためパワポケを知らない人の為にもプロフィールを細かく更新しようと思います

おーぷんはあまり連続投稿出来ない仕組みなので少しずつ投下していきます それでもどうかお願いします 

2: 矢橋P 24/11/10(日) 08:14:28 ID:M4e5


プロローグ

 

3: 矢橋P 24/11/10(日) 08:21:49 ID:M4e5

アタシは舞浜歩、21歳
地元愛媛県を飛び出して今は東京に出て来たんだ
アタシ、本場のダンスを学びにアメリカに留学したことあってさ
帰国後は何とかダンスを生かした職業に就きたくて上京してダンススクールに通ったりダンス大会に出場したりしていたんだ
だけど……悔しいことに鳴かず飛ばず
生活も苦しいし親もいい加減地元に戻ってこいって言うし……
仕方なく東京のとある会社の事務員に就職することになっちゃった


あ~あ。ダンスが微塵も関係ない会社でお茶くみ……
アタシの人生って結局こんなもんなのか……   
ん?テレビのニュースがどうかしたの?


ええーっ!アタシの就職先の会社が潰れた!?
アタシの就職は!? マイガー!!!

というわけでアタシ舞浜歩は無職のまま、放り出されてしまった…………

4: 矢橋P 24/11/10(日) 08:23:15 ID:M4e5




5: 矢橋P 24/11/10(日) 08:25:39 ID:M4e5

5月5日 PM 17:00 とあるマンション



歩「中山先輩~人生ってくそ食らえだね」

中山「歩、飲み過ぎは良くないぞ」


歩(やけ酒で酔っ払ったアタシに付き合ってくれているのは中山正美、アタシより年上の女性だ)

歩(兄貴の友人でアメリカに居る兄貴があいつが心配だから自分の代わりにアタシを頼む。と言ったらしくこうして面倒を見てくれる)

歩(今日だってアタシの就職が失敗したって連絡したら自宅に上げてくれて飲み会を開いてくれた)

6: 矢橋P 24/11/10(日) 08:27:52 ID:M4e5
歩「よーやく就職出来たってところだったのに~」

中山「日本はフラッグマンショック以降どこもそうさ。歩が悪いんじゃない、次を目指して頑張れ」



三年前だっけ、宇宙人がパライソタウンで騒動を起こしたのは
1万人以上が安否不明になって一時は日本中が騒然となったけど
宇宙人を撃退して住民も何とか無事戻ってきたらしい
何でも救出作戦に出たASと島にいたごく一部の住民が団結して宇宙人をやっつけちゃったんだって

それでめでたしめでたしで終わればよかったんだけど……
日本政府の対応の遅さは国際的な信用を地に落しちゃった
そのせいで円安やら株価の下落やら起きちゃって
巨額の資金で建造されたパライソタウンの運用停止の影響も小さくなく
全てが影響してあれから日本経済が悪くなっちゃった
それを世間じゃフラッグマンショックって呼んでいる

7: 矢橋P 24/11/10(日) 08:29:43 ID:M4e5
歩「中山先輩はいいですよね~警察官でリストラとか無いでしょ~」

中山「そうでもないさ。警察だって色々あるんだぞ。……そうだ歩」

歩「な~に~」

中山「”顔の無い女”って知ってるか?」

歩「なにそれ~なぞなぞ?」

中山「知らないならそれでいい。忘れてくれ」

歩「そーなの」

歩「それで開田がさー」
 
 

8: 矢橋P 24/11/10(日) 08:31:30 ID:M4e5


PM 21:00

歩「それじゃそろそろ帰るかな」

中山「気をつけて帰れよ。タクシー呼ぶか?」

歩「アタシのアパートまで歩いて10分もかからないのにタクシーなんて要らないよ。それに酔いもさめてきたしさ」

歩「……今日はありがとう。少し落ち込んでたけど元気になったよ」

中山「おう、その調子で就職活動頑張れよ」

歩「ええ~それはどうかな。じゃまた」


バタン
 

9: 矢橋P 24/11/10(日) 08:41:00 ID:M4e5
中山「……相変わらず世話が焼ける。まあそんな放っておけないところが歩のいいところか」


中山「……顔の無い女か」


中山「そうだ。歩の就職先私の方からも探しておいてやるか」カチカチ





ズズズズズズ


中山(何だ?このおどろおどろしさは)


ズズズズズズ



さっちゃんはね……



中山「!?」



---っていうんだ本当はね



中山「……」スッ



???「わたしのほんとうのなまえはなあに?」
 

10: 矢橋P 24/11/10(日) 08:48:28 ID:M4e5


PM 22:00


ピンポーンピンポーン

歩「んー、どうしたんだろう」


ガチャ

歩「あれ、鍵が開いてる。無用心だなー」

歩「やーごめん!アタシ携帯忘れちゃってさー」


シーン


歩「……中山先輩?」

11: 矢橋P 24/11/10(日) 08:49:54 ID:M4e5


第一幕 失踪

 

12: 矢橋P 24/11/10(日) 08:52:42 ID:M4e5

5月6日 AM 8:30 
 デンノーシティ 歩が部屋を借りているアパート



開田「それで中山先輩はその後帰ってこなかったんでやんすか」

歩「そーなんだよ。鍵開けっ放しもよくないって思ってさ。1時間ぐらい居たんだけど帰ってこないから結局そのままにして帰って来ちゃったよ」

歩(こいつは開田具智(かいだぐじ)。同じアパートに住んでいるアタシの同郷の友人)

歩(中山先輩とも知り合いで、就職するならアタシと同じところに……ってことで就職先も住むところも中山先輩の世話になりながら一緒のところにしたんだけどね)

歩(その会社が潰れてしまったから開田くんもアタシと同じ無職だ)

13: 矢橋P 24/11/10(日) 08:54:26 ID:M4e5
歩「スマホも置きっ放しだったし絶対おかしいよ」

開田「気になるでやんすけどオイラ達は就職活動があるでやんす」

歩「えー、アタシは焦らないでしばらくバイトをしながらのんびり探すよ」

開田「歩はのんきでやんす。……今度は絶対潰れない企業に入りたいものでやんすけどね」

歩「今の日本でそう言い切れるのは”大神グループ”ぐらいじゃない?」

開田「そんなのオイラ達なんかが入れるわけないでやんす!」

歩「だよね」

開田「まあ入れば人生一生安泰でやんす。オイラも入りたいでやんす~」

14: 矢橋P 24/11/10(日) 08:57:25 ID:M4e5
歩(大神グループとは今日本でNo.1の企業だ)

歩(元々大きな企業だったけどフラッグマンショックで荒れる中、唯一ぐんぐんと急成長し抜きん出た)

歩(企業内容は主に工業製品の開発・製造と薬品を中心とした医療関係)

歩(日本企業にしては海外の企業にも強気で、2年前あのアメリカの企業No.1”ジャジメント”が日本に進出した時に他の企業が怖じ気つくなか一人物申した事は今でも語り草)

歩(今や大神グループに逆らう企業は存在しない。政府でさえ大神グループの発言を無視できやしない。正に拡張抜きで日本で一番の企業 )

歩(実はアタシが住んでるアパートがあるデンノーシティは大神グループの本社と工場が近くにある所謂ベッドタウンってところなんだ)

歩「アタシ達なんかがそんな大企業に入れるわけないでしょ。まあ気楽に行こうよ良いとこ見つかるって」

開田「そうでやんすね」

歩「アタシはバイト行ってくるねー」

15: 矢橋P 24/11/10(日) 08:58:50 ID:M4e5

PM 17:30


歩「あー今日もバイト疲れたな」

ガチャ

開田「歩~」

歩「あれ、どうしたの?」

開田「実はオイラも気になって中山先輩のマンションに行って来たでやんす」

歩「そうなの、先輩居た?」

開田「いや、歩くんのいう通り鍵が開いていて部屋の中は誰も居なかったでやんす」

歩「そうなんだ。……先輩どうしちゃったんだろ」

16: 矢橋P 24/11/10(日) 09:00:23 ID:M4e5
開田「それが先輩の机に資料が置いてあったでやんす。何か手掛かりになるかもしれないでやんす」

歩「それって警察の捜査資料……って勝手に持って来ちゃだめだよ!」

開田「でも手掛かりが……」

歩「ダメ!今すぐ戻しに行って!」

開田「はいはいでやんす」

開田(でも戻す前にちょっとだけ……)


この後開田くんを本気で止めなかったことを後悔することになるんだ

17: 矢橋P 24/11/10(日) 09:02:24 ID:M4e5
その後……


歩「まったく開田くんは……」


<ピピピピッ

歩「ん?開田くんから電話だ。あっもしかして!」ピッ


歩「もしもし、先輩帰って来た?」

<歩!今すぐオイラの部屋に来てくれでやんす」

歩「どうしたの?」

<とにかく早く!

歩「仕方ないなぁ」ピッ

18: 矢橋P 24/11/10(日) 09:04:15 ID:M4e5

ガチャ

歩「入るよー。っと」

歩(開田くんの部屋の玄関の扉を開けてまず目に入ったのは古くさい木の箱。届け物かな?)

ひとまずそれは無視して部屋の中へ入る


歩「まあいいや、開田くんどうした」ピタッ

と言いかけてアタシの体は硬直する。アタシが開田くんの部屋で見た光景は……

19: 矢橋P 24/11/10(日) 09:11:09 ID:P42s

開田「歩、助けてくれでやんす!」


黒い女の影のようなものが開田くんを複数の黒い手を伸ばして飲み込む瞬間だったからだ


開田「うわぁぁぁぁぁぁ」

スポン


歩(開田くんが取り込まれた、いや喰われた!)


???「…………」

???「…………」ギロリ


歩「うひゃぁぁぁぁぁぁっ!」

ダダダダダッ バタン!

20: 矢橋P 24/11/10(日) 09:12:40 ID:P42s
アタシは涙目になりながら急いで自分の部屋に戻り鍵を掛けて布団の中にうずくまったんだ

歩「うう……なんなんだよあれ……」グスッ

その日アタシは部屋どころか布団の中すら出ることが出来なかった
でもこれから始まる奇妙で刺激的な毎日の序章に過ぎなかったんだ

21: 矢橋P 24/11/10(日) 09:15:35 ID:P42s
第一幕 終了

第二幕の前にプロフィールを載せます

22: 矢橋P 24/11/10(日) 09:16:45 ID:P42s

舞浜歩  成人主人公

遠い地元を離れて上京して来た女性
留学で培ったアメリカ仕込みのダンスは中々のもの
だが評価される機会に恵まれず、また本人も都会の風に打ちのめされてナイーブになり
半ばやけに就職しようとしたところで就職が失敗した
それが良かったのか悪かったのかは今後の彼女次第

23: 矢橋P 24/11/10(日) 09:18:19 ID:P42s

中山正美    優しい先輩

歩より年上の大人の女性。職業は警察官
歩や開田とは出身が同じで歩のことは妹のように可愛がっていた

24: 矢橋P 24/11/10(日) 09:19:18 ID:P42s

開田具智  歩の同郷の友人
 
歩の同郷の友人で歩が上京する際にこれは幸いと一緒にくっ付いて東京に来た
かなりのオタクで彼の部屋はフィギュアやグッズでいっぱい




……え、オイラの出番これで終わり?

25: 矢橋P 24/11/10(日) 09:24:09 ID:P42s
中山正美はオリジナル
開田具智はパワポケのキャラです
このようにミリオンとパワポケのキャラが入り混じるので混乱しないよう、プロフィールは細かく更新します

のんびり投下しますので合間にコメント等も全然してください

26: 矢橋P 24/11/10(日) 17:38:11 ID:M4e5


第二幕 魔人

 

27: 矢橋P 24/11/10(日) 17:42:25 ID:M4e5

5月7日 AM 6:00



歩「一夜明けて明るくなったし何とか部屋から出られたけど……」

歩「さすがに怖くて開田くんの部屋に行けないよ……」

歩(あれから開田くんに電話かけても出ないしやっぱり開田くんはあの化け物に喰われて……)ハッ

歩(まさか先輩もあの化け物に!)

歩(じゃあ次はアタシの番ってこと……)ブルブル

歩(そんなーーーーーっ)バタン


そうしてその日も怖くて部屋から出ることが出来なかった……

28: 矢橋P 24/11/10(日) 17:47:13 ID:M4e5
次の日


5月8日 AM 9:00


歩(どうしよう。昨日バイト休んじゃったしいつまでも閉じ籠もってないで今日は出ないと……)

歩(でもまだ怖い……せめて誰かに相談すれば……)

歩(……あ、駄目だ。地元の友人は愛媛に居るし海外に居る兄貴には迷惑かけれないし)

歩(そもそもこの町に来たばっかりだから近くに居る友人なんて開田くんと中山先輩以外に居ないよ……)

29: 矢橋P 24/11/10(日) 17:49:56 ID:M4e5

<ピンポーン


歩「あっ、はーい」


ガチャ


渦木「すみません。警視庁刑事部捜査第一課特殊捜査第一係の渦木と申します」

歩「えっ、刑事さん」

突然の訪問者は化け物じゃなくてキリリと眼鏡をかけた刑事だった

渦木「捜査に協力していただきたく、お話しをお伺いしたいのですがお時間よろしいですか?」

歩「えーと、10時からバイトが始まる時間なのでその前なら……」

30: 矢橋P 24/11/10(日) 17:52:20 ID:M4e5

歩の部屋 玄関


渦木「実はですね。私の部下が失踪事件に巻き込まれまして」

歩(部下……中山先輩のことか!)

歩「そ、そうなんですか」

渦木「彼女は真面目で優秀な人です。何も言わず勝手に失踪なんてあり得ない」

渦木「それで彼女のマンションの防犯カメラを確認したのですが……」

歩(え……)

渦木「彼女、一昨日最後に部屋に入ってから出ていないんですよね」

渦木「その代わり怪しい男女が出入りしてましたが」

歩(アタシと開田くんのことだ……)

31: 矢橋P 24/11/10(日) 17:56:09 ID:M4e5
渦木「それで最後に入った開田具智さんの家に伺ったのですが彼居なくてですね」

渦木「その前に出入りしたあなたに話を伺おうと思いまして」キラーン

歩(あわわ……)パクパク


AM9:30 ジカンダヨ

渦木「おや、もう時間ですか。また今度話しを伺います。その時には開田さんと一緒に話しを聞けるとよいのですが」

バタン


歩(絶対怪しまれてるよこれ……)アセダラダラ

歩「……とりあえずバイトに行こう」

警察に怪しまれてしまったものの、その緊張感で化け物に対する恐怖は吹っ飛んでしまい何とかバイトに行くことが出来たんだ

32: 矢橋P 24/11/10(日) 17:59:12 ID:M4e5

PM17:30



歩(今日バイトで4回もミスしちゃったよ……)

歩(まさか警察に疑われているなんて、化け物に怖がってる場合じゃない。何とか身の潔白を証明しないと)

歩(ん?)


謎の木箱

歩(アタシの玄関の扉の前に木箱……これ、開田くんの部屋の前にもあったやつだ!)

歩(何でここに?)

歩(よくわかんないけど開田くんは中山先輩の部屋から資料を持ってきたって言ってた。この箱がそうなのかも)

33: 矢橋P 24/11/10(日) 18:01:01 ID:M4e5
昨日までのアタシなら怖がって放り投げたかもしれない
でも今のアタシは中山先輩と開田くんの手掛かりが少しでも欲しかったんだ

歩(よし、開けよう)


自分の部屋に戻って箱をおそるおそる開けてみると中から出てきたのは……

歩「ランプ?」コスコス

34: 矢橋P 24/11/10(日) 18:05:43 ID:M4e5

ドドドドン!!!


茜「呼ばれて飛び出てズドドドン!大魔人茜ちゃんだぞーー」

歩「魔人!?」

茜「ランプを擦って茜ちゃんの封印を解いたのはキミかにゃ?」

ランプから煙と共に魔人?を名乗る少女が飛び出してきた!

歩「そ、そうだけど」

茜「茜ちゃんの封印を解いたキミには願い事を3つ言いたまえ。この茜ちゃんが特別に叶えてさしあげよう」

歩(これっておとぎ話に出てくるじゃん!)

35: 矢橋P 24/11/10(日) 18:07:27 ID:M4e5
歩「え~本当に?夢じゃないよね。それじゃ……」

茜「あ、でもいくつか注意はあるよ。まず願いに関する願いは無理だね。願いの数を増やすとか願いを他人に譲渡するとか」

茜「あといくら大魔人茜ちゃんでも叶えられる願いに限度があるよ。何でもってわけじゃないにゃ~」

歩「例えばアタシをアメリカの大統領にとかは……」

茜「無理に決まってるでしょー!」

歩(なんだか段々怪しくなってきたなぁ……)

36: 矢橋P 24/11/10(日) 18:09:15 ID:M4e5
歩(ああ、これ願いだけ聞いて実は嘘でしたってパターンかな。なら過度な期待はしないでおこう)

歩「それじゃ……アタシの先輩と友人が何かに巻き込まれて行方不明なんだ。何とかならないかな?」

茜「うーん、ずいぶん曖昧な願いだにゃ~。そもそもその二人が黙ってキミの知らないところに行っただけって可能性もあるよね?」

歩「それは絶対ないよ!開田くんが何かに襲われたところは間違いなく見たしさ」

茜「でもその正体がわかんないんでしょ?正体わからないと解決しようがないにゃ~」

歩「それがわかんないから困っているんでしょ!」

茜「まーまー。それじゃ『二人が消えた謎を解いて二人を助ける』というのでいいかな」

歩「うん、それでいいよ」

歩(やっぱり駄目そう)

37: 矢橋P 24/11/10(日) 18:10:22 ID:M4e5
歩「次は……友達!」

茜「友達?」

歩「アタシさ、今回で気付いたんだ独りぼっちの寂しさに。やっぱ友人は多い方がいいよ。5人以上欲しいな」

茜「なるほどね~。うんうんそれじゃ『仲間を5人以上作る』ってことでいいかな?」

歩(んん?何か変だな。まあいいか。どうせ胡散臭いし叶ったらラッキーぐらいに考えよ)

38: 矢橋P 24/11/10(日) 18:11:48 ID:M4e5
歩「最後か……何にしようかな」

歩「………………」ウーン

歩「最後の願いなんだけど……やっぱりアタシはダンスを捨てられない」

歩「だからダンスを生かしたところで就職したい。駄目かな」

茜「まあ可能だけど就職先に要望とかあるの?企業名とか待遇とか」

歩「ダンスを生かせる就職先なら何でもいいよ。出来れば大きなところがいいけどさ」

茜「オーケー、じゃ最後の願いは『ダンスを生かせるところに就職する』だね」

39: 矢橋P 24/11/10(日) 18:14:25 ID:M4e5

茜「ファイナルアンサー?」

歩「ファイナルアンサー!」

歩(ま、どうせやってみたけど駄目でしたーって落ちでしょ)


茜「それじゃ魔法をかけるよ!アンニャカタブラサッサ!」


ぽわわ~ん


歩「あれ、今アタシに魔法をかけたの?」

歩(確かに不思議な感じがした。これはもしかするかも!)

茜「そうだよ~」

歩「案外簡単なんだね。中山先輩と開田くんはどこー?」

40: 矢橋P 24/11/10(日) 18:16:14 ID:M4e5
茜「これから頑張らなきゃいけないね」

歩「え、どういうこと?」

茜「キミにさっきの願いを“1年以内に実現しないと死んじゃう”魔法をかけたからね」



歩「…………………………」

歩「な、な、な、何だってええええええっ!!!」

41: 矢橋P 24/11/10(日) 18:18:46 ID:M4e5
茜「よかったね~絶対願いは叶うよ」

歩「それって叶うか叶わないで死ぬかの二択なだけじゃないか!」

茜「そーかもね。大丈夫死ぬ気になれば出来ないことじゃないしこの茜ちゃんもサポートするからね」

茜「それじゃここら辺でさよなら~」


ぽわわ~ん


歩「……あの…………ウソでしょ……」

歩「うそだと言ってよぉぉぉぉぉぉっ!」
 

42: 矢橋P 24/11/10(日) 18:28:23 ID:M4e5
第二幕終了

舞浜歩の受難は続く
だんだん主人公らしくなっていくのでどうかお許しを

43: 矢橋P 24/11/10(日) 18:39:25 ID:P42s

茜ちゃん  魔人

ランプから突如出現した魔人
姿は美少女そのものだが何百年も生きている
人間とは違う現象に近い存在で不思議な魔法を扱う

44: 矢橋P 24/11/10(日) 22:41:29 ID:M4e5


第三幕 仲間

 

45: 矢橋P 24/11/10(日) 22:43:01 ID:M4e5

5月9日 8:00 アパート前



歩「……昨日のこと本当のことだったのかな……もしかして夢だったのかも」

歩「ついでに中山先輩や開田くんが消えたのも夢だったり……ならないか」

歩「今日もバイト頑張らないとね」

46: 矢橋P 24/11/10(日) 22:46:35 ID:M4e5

典子「…………」

歩「田村ちゃんおはよう」

典子「……おはようございます歩さん」

歩「田村ちゃんこれから学校?」

典子「典子でいいですよ年下ですし」

47: 矢橋P 24/11/10(日) 22:48:08 ID:M4e5
歩「あ……そうなの。典子ちゃん中学校だったよね」

典子「中学二年生です」

歩「中学二年生かぁ……」

典子「はい」

歩「……………」

典子「………………」

歩(は、話しづらい子だなぁ)

48: 矢橋P 24/11/10(日) 22:52:08 ID:M4e5
典子「……じゃ」

歩「う、うん」

タタタッ


歩「ふぅ」

さっきの少女は田村典子(たむらのりこ)このアパートの住民
彼女は家庭環境で色々あって無愛想だけど本当は良い子だ

49: 矢橋P 24/11/10(日) 22:56:22 ID:M4e5
典子父「どうも」スッ

歩「あ、田村さん」

典子父「すみませんね。愛想のない娘で」

歩「そんなことないよ。アタシは年相応で良い子だと思うよ」

典子父「これも母親がいないせいかなぁ。父親の私もリストラに遭って無職だし」

歩「あははは……それ言ったらアタシだって無職だよ」

典子父「お互い大変ですね。あはははは……」

歩「ははは……」

典子父「それじゃ……」スッ

歩(典子ちゃんの最大の問題はあの父親なんだよなぁ……)


ちなみにこのアパート。立地はともかくボロいせいか住人が大家さんを除いてアタシや開田くん典子ちゃんを入れても4人しかいないんだ

50: 矢橋P 24/11/10(日) 23:00:02 ID:M4e5

AM 10:00 とある倉庫



歩「今日もよろしくお願いします」

係長「おう今日も頼むぞ歩、朱里」

歩(この倉庫はアタシのバイト先。作業内容は荷物の仕分け作業だ)

歩(シフト制で融通も利くし拘束時間も長くないから次の仕事が見つかるまではここで働くつもり)

51: 矢橋P 24/11/10(日) 23:03:07 ID:M4e5
朱里「ちょっと歩、忘れてないでしょうね。一昨日あんたが欠勤した時ヘルプで出たのあたしなんだからね」

歩「わかってるよ。それでいつも通りでいい?」

朱里「そうよ。今日は仕事終わりにいつものファミレスでたっぷり奢ってもらうからね」

歩「ははは……。お手柔らかに」

歩(彼女は浜野朱里(はまのあかり)バイト仲間だ)

歩(アタシのバイト先の女性はアタシと朱里しか居なくて。だから自然と仲良くなったんだ)

歩(手先が器用なのか仕事が早いしアタシもよく助けられてるんだけど、たまに奢らされるんだよね)

歩(よくないなぁとは思うんだけど……彼女仕事中は支給される作業服を着てるから周りは気付かないけど私服はボロボロだしよく見ると肌や髪もちょっと荒れてる)

歩(気さくに話しかけてくる彼女だけど自分の環境や境遇の話は一切したことがない。……多分何かあるんだろうな)

52: 矢橋P 24/11/10(日) 23:04:53 ID:M4e5

朱里「今日は楽しみね。さっさとバイトなんて片付けちゃいましょ」ニコニコ

歩(本人も喜んでるし、まあいいかな)

その日はバイト終わりに朱里と二人で食事をしながら話し合った
一応朱里も気を遣って数こそ頼んだけどどれも安いメニューばかりで助かった

53: 矢橋P 24/11/10(日) 23:08:04 ID:M4e5



PM 19:30 歩のアパート



歩「今日はなんか楽しかったなー。朱里と色々話し出来て良かったよ」ガチャ

茜「お帰りー」

歩「…………」

歩(ああ……夢じゃなかった)

54: 矢橋P 24/11/10(日) 23:10:41 ID:M4e5
茜「さっそくご飯にしますかご主人様?」

歩「外で食べて来たからいいよ。もしかしてご飯作ってくれた?」

茜「いや別に。ノリで言っただけだよ~?」

歩(こいつ……)

歩「それで、ご主人様ってアタシのこと?」

茜「そうだよ。茜ちゃんの封印を解いたんだからご主人様でしょ」

歩「ご主人様にあんな魔法をかけるの?」

茜「願いを叶えるには代償はつきものだよ。茜ちゃんの知り合いに願いを叶える代わりに魂を貰う悪魔がいるけどそっちがよかった?」

歩「そんなの絶対嫌だ!」

55: 矢橋P 24/11/10(日) 23:11:53 ID:M4e5
茜「まあ、うまい話はそんな簡単に無いってこと。願いは自分の力で叶えるのが一番だよ」

茜「それに茜ちゃんがアフターサービスとして願いを叶えるまでは傍にいて手伝ってあげるよ。何とかなる気がしてきたでしょ?」

歩(頼りになるのかなぁ?)

茜「そうだ。ご主人様がお出かけしている間、渦木って警察官が周りを調査してたよ?」

歩「あの警察官だ。このままだとマズいよね……やっぱり自分で謎を解いて証明するしかないのかな」

歩(アタシ怖いの苦手なんだけど)

56: 矢橋P 24/11/10(日) 23:14:05 ID:M4e5
茜「じゃあ茜ちゃんから貴重な貴重なアドバイス!その調査をしていた警察官はこう呟いていたよ。”顔が無い女”ってね」

歩「それ先輩も言ってたよ!そういえば開田くんを喰ったあの化け物の顔が一瞬見えたけど黒い女の影にライトのような目が二つあるだけだった」

歩「顔が無い女、それがあの化け物の名前か」

歩「っていうか茜って自由に出歩けるの?あまり出歩いて他の人に見つかると大騒ぎになっちゃうよ」

茜「このランプの周囲だったら多少動けるんだにゃ~。それと大丈夫、茜ちゃんの姿と声ははご主人様しか見えないし聞こえないよ」

歩(……茜と二人で話しているところを他の人に見られないようにしよう)

歩「そうなんだ。ご主人様って堅苦しいから名前で呼んで欲しいな。アタシの名前は舞浜歩だよ」

茜「じゃあマイハマンだね。あらためてよろしくねマイハマン♪」

歩「何でそうなるんだよ。マイガー!」
 

57: 矢橋P 24/11/11(月) 08:14:19 ID:tXwO

歩「顔が無い女かぁ」

歩(先輩もアタシに聞いてきたし何か関係があることは間違いない)

歩「ひとまずネットで調べてみようかな」



ズズズズズズズズ


歩「んー、スマホで検索しても出ないなー」



ズズズズズズズズズズズ

茜(…………)


ズズズズ……ズ!

茜「…………」キッ


ズズズ…… シュウウ

58: 矢橋P 24/11/11(月) 08:20:24 ID:tXwO


歩「駄目だ。検索したけど顔が無い女だけじゃ何も出てこないよ」

歩「あれ、茜どうかした?」

茜「何でもないよ」ニコニコ

茜「そういえばマイハマンって順応能力が高いよね」

歩「そうかな?」

59: 矢橋P 24/11/11(月) 08:21:41 ID:tXwO

茜「顔が無い女もそうだし大魔人茜ちゃんを見てもそんなに驚かなかったでしょ?」

茜「茜ちゃん今までいくつかの人に現れたけど、驚いて会話になんなかったり慌てて逃げた人もいたにゃー」

茜「だからほとんど動じてなかったマイハマンはすごいよっ」

60: 矢橋P 24/11/11(月) 08:22:47 ID:tXwO
歩「それはね。実はアタシは霊感……っていうのかな?が強い方でさ」

歩「昔から幽霊とか精霊みたいなものとか見慣れているんだよ」

歩「何度見ても幽霊は怖いままだけどね」

茜(なるほど……ね)

茜「なるほど、マイハマンは素質があったってことだね。だから茜ちゃんもマイハマンに引き寄せられてここに来のかも」

歩「うう……。幽霊は怖いしこんなことに巻き込まれるし今までで得したことないよぉ」

61: 矢橋P 24/11/11(月) 08:24:02 ID:tXwO
茜「それで何か手掛かり見つかった?」

歩「うん、顔が無い女の手掛かりは無かったんだけど」

歩「不思議現象やオカルトを取り扱っているオカルトマニアが近くに住んでてさ」

歩「その人ブログにダメ元で連絡してみたら興味持ってくれて明後日会ってくれるってさ」

茜「おーっ、何か手掛かりになること聞けるかもね」

歩「明日と明後日はバイト休みだし頑張って調査するよ!」

62: 矢橋P 24/11/11(月) 08:25:29 ID:tXwO

5月10日 アパート前 AM 7:30


歩「いい天気だな~。絶好の調査日和だね」


典子「…………」

歩「典子ちゃん、花壇に水あげてるの?」

典子「……うん、ヒマワリ。私が水あげないと枯れちゃうから」

歩「そうだね。このアパートで花育てているの典子ちゃんだけだからね」

歩(そもそも大家さん入れて5人しか住人いないけど)

63: 矢橋P 24/11/11(月) 08:30:26 ID:tXwO
典子「この子達他のヒマワリと違ってちょっと変わっているの」

典子「花が咲くまで遅いの」

歩「ヒマワリってそんなに花が咲くの遅かったっけ」

典子「うん」


歩「…………」

典子「……それじゃ学校に行くんで」

タッタッタッ

64: 矢橋P 24/11/11(月) 08:34:41 ID:tXwO


大家「オッホン」

歩「あ、大家さん」

大家「失礼だね、あたしだってアパートの周りを綺麗に整えたりしてるよ」

歩「今の話聞いていたんですか」

大家「あの子も大変だからね。気にかけているんだよ」

歩「ああ……確かに」

大家「でもあたしはお婆さんだからね。ああいう子はなるべく年が近い方がいいんだ。あんたもなるべく声をかけてやって」

65: 矢橋P 24/11/11(月) 08:36:05 ID:tXwO
歩「……うん」

大家「だけどねぇ。出来れば”同い年でガーデニングに詳しい女の子”があの子の近くに居てくれればいいんだけどね」

歩「そうだね……」

大家「そうだ、あんたの隣の部屋、空室だったろ?近々新しい人が引っ越してくるみたいだからよろしくね」

歩「わかりました」

歩(このタイミングで引っ越して来るの?茜絡みでトラブルとか起きなければいいけど)

 

66: 矢橋P 24/11/11(月) 12:27:14 ID:tXwO


PM 12:00   近所の公園




キュッ ダン ドン!


歩「ふーっ。こんなもんかな」

歩(一度は諦めかけたダンスだけど今も練習が出来る日はこの公園でダンスの練習をしている)

67: 矢橋P 24/11/11(月) 12:29:03 ID:tXwO
歩「そろそろ帰ろうかな」

矢橋「ばぁ~」

歩「うひゃっ」

矢橋「ねぇドキドキした?ドキドキしたでしょ?」

アタシを驚かしたのは二十歳になったかなってないかの女の子だった

68: 矢橋P 24/11/11(月) 12:34:15 ID:tXwO
歩「き、君は誰!?」

矢橋「あたし?あたしは矢橋美保(やはしみほ)って言うの。あんたは?」

歩「アタシは舞浜歩だよ。もしかしてアタシが踊っているところ全部見てたの?」

矢橋「そーよ。いやー、いいもの見せてもらったわ」

歩「見ないでよ!恥ずかしい」カアア

矢橋「やーだ。これからも見せてね。じゃ」

ダダダダッ



歩「な、何だったんだあの子……」

69: 矢橋P 24/11/11(月) 12:38:14 ID:tXwO
次の日

5月11日 9:00


歩「これからオカルトマニアの千脇さんのところに行って来るね」

茜「茜ちゃんも一緒に行こうかにゃ?」

歩「いいよ、留守番してて」

歩(連れて行ったらめんどくさそうだし)

茜「お土産はプリンでよろしくね~」

歩「何で!?旅行じゃないんだよ」

茜「ちえー」

そうして茜は家に置いてきてアタシは二駅ほど離れた千脇さんの家に向かった

70: 矢橋P 24/11/11(月) 12:42:25 ID:tXwO

AM 11:00 千脇の家



<ピンポ-ン


歩「すみませーん。ブログで連絡した歩です」

千脇「ああ、君が舞浜歩さんか。まあ中に入って」


そして


カクカクシカジカ ゲットマイシャイン

歩「ってわけなんです」

71: 矢橋P 24/11/11(月) 12:45:11 ID:tXwO
千脇「顔が無い女ねぇ。自分も結構都市伝説とか詳しいつもりだけど聞いたことないね」

歩「そうですか……」

千脇「でも最近突然人が失踪するって噂は聞いたことあるね」

千脇「もしかしたら君の言う顔がない女が関わってるかもしれない。何にせよ興味出てきたよ」

歩「本当に!」

千脇「まあ今の状況だと情報が少なすぎてなんとも言えないけどね」

72: 矢橋P 24/11/11(月) 12:47:58 ID:tXwO
千脇「そうだ。他の件なんだけどこの画像見てくれよ」

歩「これは……」

千脇「一年前に日本に向かってたアメリカの軍艦2隻が台風によって陸に打ち上げられた事件があったろ」

歩「そういえばあったね」

千脇「その時の画像らしいんだけど、ここに人影が写っているだろ」

歩「あっ本当だ」

千脇「軍艦を転覆させたのこの人影がやったんじゃないかって話しなのさ」

73: 矢橋P 24/11/11(月) 12:49:47 ID:tXwO
歩「まさか~」

千脇「いーや、間違いないね。他にも……」

歩(あれ?もしかしてこの人アタシにそういう話しがしたくて家に呼んだんじゃ……)

歩「そ、それじゃアタシは次の予定はあるからこの辺で……」

千脇「そうか残念だなぁ。じゃ新しい情報が出たらブログで教えてくれ」

74: 矢橋P 24/11/11(月) 12:51:20 ID:tXwO





千脇「中々綺麗な女性だったな。顔の無い女ねぇ。まあブログのネタにはなるか」



ズズズズズズ

千脇「えーと、最近失踪事件あり。顔が無い女の仕業!?……っとタイトルはこんなもんでいいかな」カタカタ


ズズズズズズズズズ


千脇「ん、何だ?」


-さっちゃんはね


千脇「まさかこれが……」


---って言うんだほんとはね

千脇「これはスクープだ」つビデオカメラ


ズズズズズズズズズズズ!!!

75: 矢橋P 24/11/11(月) 12:52:47 ID:tXwO

???「わたしのほんとうのなまえはなあに?」

千脇「顔が無い女だろ!」つビデオカメラ


--ざんねん


???「は・ず・れ」


ガプッ

 

76: 矢橋P 24/11/11(月) 12:54:53 ID:tXwO

PM 15:00 アパート前



歩「千脇さんと会ったけどあまり収穫無かったなー」

渦木「舞浜歩さんですね」

歩「うわっ、刑事さん」

渦木「こないだの話の続きをしたいのですが……」

歩(ああ……アタシ終わったかも)

渦木「立ち話もあれですし近くの喫茶店に行きますか」

歩「はい……」
 
 

77: 矢橋P 24/11/11(月) 12:56:45 ID:tXwO


渦木「あれから開田さんの調査も行ったのですが……どうやら彼も行方不明みたいですね」

歩(どうやらもう隠しようないよね……もう正直に話すしかないよ)

歩「あの、信じてもらえないかもしれないんですけど全て話します!」


カクカクシカジカユニゾンビート


歩(刑事さんこれまでのことを素直に話した)

歩(茜のことは除いたけど)

78: 矢橋P 24/11/11(月) 12:58:12 ID:tXwO

渦木「女の姿をした化け物ですか」

歩「……信じられないですよね」

渦木「いえ信じますよ」

歩「えっ」

渦木「実はここ二日間のあなたの動きを見てました。まあ二人を攫ったり殺したりする人の動きでは無かったですし」

渦木「それに中山からはあなたのこと聞かされていたのでね。それを聞く限りはあなたはそんなことする人ではないでしょう」

歩(中山先輩……)

79: 矢橋P 24/11/11(月) 12:59:27 ID:tXwO
渦木「とはいえ警察官たるもの私情を挟むわけにはいきませんから一応調査は行ったわけです」

渦木「ですが弱りましたね。あの現場にいたあなたからなら何か手掛かりが得れると思ったのですがこれでは……」

歩「あの!」

渦木「なんです?」

歩「アタシも捜査に協力させてください。あの二人は大事な人達なんです」

渦木「お気持ちは嬉しいですが警察が一般人と一緒に捜査することは出来ないんですよ」

81: 矢橋P 24/11/11(月) 15:09:28 ID:tXwO
歩「う……」

渦木「そうだ。武内ミーナという方はご存じで」

歩「知ってる!有名なジャーナリストですよね。あの『パライソタウンの真実』を発表した人だ」

渦木「ええ、そうです。実は彼女が今回の失踪事件に協力したいと言ってきまして。我々も捜査が手詰まりだったのでぜひ協力してもらおうと思っていたのです」

渦木「あなたは彼女と協力して我々とは別に調査してもらえないでしょうか」

82: 矢橋P 24/11/11(月) 15:11:10 ID:tXwO
願ってもない申し出だ。アタシはすぐさま体を乗り出した

歩「アタシからもぜひお願いします!」

渦木「ちょうど今日会うことになってます。一緒に来てください」



 

83: 矢橋P 24/11/11(月) 15:13:25 ID:tXwO

とあるホテルのロビー



渦木「待ち合わせ場所はここのはずです」


???「お待たせしました!」

渦木「おや、武内ミーナさんと聞いていましたが」

???「ミーナさんは色々あって今は動けません。代わりに亜利沙が来ました」

亜利沙「申し遅れました。武内ミーナの一番弟子、松田亜利沙です!」

84: 矢橋P 24/11/11(月) 15:15:22 ID:tXwO
渦木「ミーナさんに弟子がいたんですね。しかもお若いみたいですが」

亜利沙「ミーナさんには全然及びませんが亜利沙任された以上全力でミーナさんの代理を務めます」

渦木「それは頼もしい。私は警視庁刑事部捜査第一課特殊捜査第一係の渦木淳二です」

歩(すごい。まだ大学生くらいの子があの武内ミーナの弟子だなんて...)

85: 矢橋P 24/11/11(月) 15:18:18 ID:tXwO



渦木「なるほどそちらのジャーナリストの方々にも失踪者が出ていると」

亜利沙「そうです。それでこちらも独自で調査していたのですが……ミーナさんや亜利沙だけの手に負える事件じゃありません」

渦木「正直我々の手も余っている状況です。お互い協力して捜査すべきですね」

渦木「亜利沙さんはそのまま独自に捜査を進めてください。それ上で……歩さんと一緒に捜査していただけませんか」

歩「アタシは先輩と友人がその化け物に消される場面にいたんだ。きっと役に立てるよ!」

亜利沙「おお、今はどんな手掛かりでも欲しいところですからね。大歓迎ですぅ」

歩「よろしくね亜利沙さん」

亜利沙「歩さんの方が年上ですから亜利沙でいいですよ」

86: 矢橋P 24/11/11(月) 15:20:13 ID:tXwO


そうしてアタシと渦木刑事と亜利沙はお互いの情報を共有して事件を追って行くことにしたんだ
渦木刑事は頼もしい上に理解力があって
亜利沙もアタシより年下だけどあの武内ミーナさんから手ほどき受けていてすっごく頼りになりそうだよ
これなら何とかなるかも
 

87: 矢橋P 24/11/11(月) 15:22:39 ID:tXwO

PM 20:00 歩の部屋



茜「遅かったね~収穫はあったの?」

歩「あったってもんじゃないよ」


カクカクシカジカプリティーニャンニャン

茜「へー。まずは刑事さんから疑い晴れて良かったね」

歩「本当だよ。亜利沙もすっごい人でさ、失踪事件の謎も何とかなりそう」

茜(そう簡単にうまくいくかにゃ……)

89: 矢橋P 24/11/11(月) 19:49:21 ID:SdRU
茜「そうだ。マイハマンが居ない間に新しいお隣さんが来たみたいだよ」

歩「大家さんが言ってた人かな」


<ピンポーン


歩「噂をすればかな。はーい」ガチャ

???「夜分にごめんなさいね。今日から引っ越して来た者です」

???「これ、引っ越しの挨拶だぞ!」

90: 矢橋P 24/11/11(月) 19:55:58 ID:SdRU
歩(大人のお姉さんに……女子中学生かな)

歩「ありがとー。奥さんとお子さんですか?」

???「えっ。……まあそうよ。百瀬莉緒です、今後ともよろしくね。そしてこの子が」

???「たまきだぞ。おおが……」

バッ

莉緒「百瀬、百瀬環よね環ちゃん」

環「もがもが」

91: 矢橋P 24/11/11(月) 20:07:44 ID:SdRU
歩(おおが……って言いかけた気がしたけど気のせいかな)

歩「親子で引っ越して来たんだね。お父さんは仕事かな」

莉緒「わけがあって主人とは別れまして。それで引っ越してきたんです」


???「あたしからも自己紹介したほうがいいかい」

莉緒「あっ、……もうしょうがないわね」

ひなた「初めまして木下ひなたっていうんだわ。今は莉緒さんのところでお世話になってるべさ」

歩「ひなたちゃんは莉緒さんの娘じゃないんだね」

莉緒「ま、まあわけあってね。預かっているのよ~」オホホ

環「それじゃお姉さんまたねー」
 

92: 矢橋P 24/11/11(月) 20:26:37 ID:SdRU
バタン


茜「何だか騒がしい人達だったね」

歩(茜ほどじゃないけどなあ)








「もー、苗字は言っちゃだめって言ってるでしょ?」

「ごめん莉緒」

「それとひなたちゃんも勝手に出てきちゃだめ。”あいつら”の仲間だったらどうするの」

「んー。あたしあの人は大丈夫な気がするんだわ」

「たまきもそう思うぞ」

「もう。しばらくここで身を隠すわよ、いいわね」

「「はーい」」

 

93: 矢橋P 24/11/11(月) 21:16:33 ID:SdRU
第三幕終わりです

>>88
大神やジャジメント絡みだけが自分の書きたいテーマなわけではないですので大丈夫です
まあ書いていて楽しんでるのは確かですが
パワポケ有識者の方だと思うので今のうちに公表しますが
このSSの世界のオオガミには紫杏も犬井もミスターKもいません

94: 矢橋P 24/11/11(月) 22:18:59 ID:SdRU

田村典子   近所の中学生

歩と同じアパートに住む中学二年生
父親があれなせいか中学生の割にはしっかりしている。料理の腕も中々のもの
ヒマワリはとある理由で育てているが手探りで育てているため
うまくいってないところもあって悩み中

95: 矢橋P 24/11/11(月) 22:20:23 ID:SdRU

浜野朱里  歩のバイト仲間

歩のバイト先、倉庫の仕分け作業場で知り合った女性
女性ながら常人より動きが早く力もあり周りから重宝されている
彼女は自分のことは一切喋ろうとしないらしく、歩も歳すら知らないとのこと
歩とは気が合ったらしく、よき話し仲間だが何かに付けて奢らせるらしい

96: 矢橋P 24/11/11(月) 22:22:50 ID:SdRU

矢橋美保   ???

歩が公園で出会った女性。歳は19歳
元々公園には休憩で何度か訪れていたがたまたまダンスを踊る歩を見つけてファンになった
作者のペンネームの元ネタでもある

97: 矢橋P 24/11/11(月) 22:24:24 ID:SdRU

渦木淳二  ベテラン刑事

今回の失踪事件を担当している刑事
頭脳明晰で行動力もあり一般人とコンタクトをとる柔軟さも持ち合わせている
拳銃射撃の腕もすごく署内でも一番の腕前
既婚者であるが家庭内環境はうまくいってないらしい

98: 矢橋P 24/11/11(月) 22:26:22 ID:SdRU

松田亜利沙  ジャーナリストの卵

かつてハタ侵略に抗ったの立役者一人
今は19歳になりパライソ高校は卒業した
あの事件からしばらくしてハタ侵略の取材を武内ミーナから受けた際
思い切って弟子入りをお願いした。始めはミーナも彼女の身を案じ渋っていたものの
今では自分の後継にと訓練中
ハタ侵略で築き上げた彼女なりのコネとパワーアップした亜利沙アンテナが彼女の武器

99: 矢橋P 24/11/11(月) 22:28:17 ID:SdRU

千脇  オカルトマニア

その界隈では有名なオカルト関連のブログを運営している男
その範囲は心霊現象からUMAまで様々
常にブログ運営のため常にネタを探している

100: 矢橋P 24/11/11(月) 22:29:20 ID:SdRU

大家

歩が住んでるアパートを住み込みで管理しているお婆さん
本名は伊藤守
夫は先立ってしまい静かに余生を過ごしている
本人は和菓子とお笑い番組があれば幸せ

101: 矢橋P 24/11/11(月) 22:33:19 ID:SdRU

百瀬莉緒  フリーのエージェント

ハタ侵略の際宇宙人と対決した人間の一人
あの後国際スパイは廃業し当てもなくふらふらしていた
……だが今はとある組織にお願いされ重要な任務に就いている
保護者じみた生活が続いたせいか裏の技術の衰えを最近感じている
だが本人もそんな生活が自分に合っていると感じて悩んでいる

102: 矢橋P 24/11/11(月) 22:37:52 ID:SdRU

大神環  百瀬環?

友達を助けにとある女子高校生と一緒にパライソタウンに乗り込んだ子供
ハタ怪異による大冒険も終わり無事普通の少女に戻った。はずだが……
ハタ人間の時は小学生だった彼女も今は中学生
彼女の苗字はあの大企業と同じで……

103: 矢橋P 24/11/11(月) 22:41:47 ID:SdRU

木下ひなた  保護されている少女

環と一緒に莉緒に保護されている少女
どうやら環とは事情が異なるようだが……

104: 矢橋P 24/11/12(火) 07:56:28 ID:lLI7


第四幕 大神

 

105: 矢橋P 24/11/12(火) 07:57:05 ID:lLI7

あれから数日経った

アタシと亜利沙は一旦お互いの情報を整理するための情報交換することになった
その打ち合わせを今日の午後行う予定だ
 

106: 矢橋P 24/11/12(火) 07:58:37 ID:lLI7

5月15日 AM 9:00 歩の自室


歩(今日はバイト休みだけど亜利沙の打ち合わせは午後からだ。空いた午前中はどうしよう。何も無ければダンスの練習でもしようかな)

茜「ね~ね。暇なら茜ちゃんと遊ばない?マイハマンはもうちょっと茜ちゃんに構うべき!」

歩「えー。バイトから帰って来た時も遊んだりしているじゃない」

茜「茜ちゃんは常に構ってもらわないと寂しくて泣いちゃうんだよ?」

歩「だいたい遊ぶたってアタシはトランプしか持ってないからババ抜きぐらいしか出来ないよ?」

茜「もー。人間もここ数十年で大分進化しているみたいだしマイハマンもアップグレードしないと。茜ちゃんはビデオゲームってやつやってみたいな」

歩(どこでそんな知識仕入れてくるんだよ)

107: 矢橋P 24/11/12(火) 14:02:43 ID:lLI7
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第四幕 大神


あれから数日経った
アタシと亜利沙は一旦お互いの情報を整理するための情報交換することになった
その打ち合わせを今日の午後行う予定だ


5月15日 AM 9:00 歩の自室


歩(今日はバイト休みだけど亜利沙の打ち合わせは午後からだ。空いた午前中はどうしよう。何も無ければダンスの練習でもしようかな)

茜「ね~ね。暇なら茜ちゃんと遊ばない?マイハマンはもうちょっと茜ちゃんに構うべき!」

歩「えー。バイトから帰って来た時も遊んだりしているじゃない」

茜「茜ちゃんは常に構ってもらわないと寂しくて泣いちゃうんだよ?」

歩「だいたい遊ぶたってアタシはトランプしか持ってないからババ抜きぐらいしか出来ないよ?」

茜「もー。人間もここ数百年で大分進化しているみたいだしマイハマンもアップグレードしないと。茜ちゃんはビデオゲームってやつやってみたいな」

歩(どこでそんな知識仕入れてくるんだよ)


ピンポーン


歩「誰か来た。茜は他の人には見えないんだから静かにしててよ」

茜「はーい」

歩「誰ですかー」



「環ちゃんまずいべさ」

「ちょっとぐらいいいでしょ、ね?」

108: 矢橋P 24/11/12(火) 14:14:28 ID:lLI7
>>107
間違えました飛ばしてください

109: 矢橋P 24/11/12(火) 14:23:05 ID:lLI7
<ピンポーン


歩「誰か来た。茜は他の人には見えないんだから静かにしててよ」

茜「はーい」

歩「誰ですかー」



「環ちゃんまずいべさ」

「ちょっとぐらいいいでしょ、ね?」

110: 矢橋P 24/11/12(火) 14:26:30 ID:lLI7
歩(この声は)


ガチャ

環「おはよう!」

ひなた「おはようございます……」

歩「おはよう。二人揃ってどうしたの、莉緒お母さんは?」

111: 矢橋P 24/11/12(火) 14:28:05 ID:lLI7
環「莉緒は出かけて居ないんだ。ねぇ、お姉さんたまきと一緒にあそぼ~」

ひなた「やっぱりダメだよぉ。莉緒さんに部屋から出ちゃだめだと言われてるべさ」

環「だってたまきずっと部屋に居るのつまんないんだもん。ひなたと二人きりじゃ退屈だぞ~。せめてお姉さんと三人で遊ぼうよ」


歩「よくわからないけど遊ぶくらいだったらいいよ」

環「やった!じゃあたまき達の部屋に来て」

 

112: 矢橋P 24/11/12(火) 14:30:58 ID:lLI7



歩「おじゃましまーす」

環「ここで遊べば部屋から出たことにはなってないぞ」

ひなた「それはそうだけども……」

環「ねーねー。何して遊ぶ?おもちゃだったら色々あるんだ」

歩(確かに玩具はたくさんあるけど……年頃の女の子二人が住んでる部屋にしては殺風景な気もする)

歩(まあ引っ越してきてばかりだろうしそんなものだよね)

113: 矢橋P 24/11/12(火) 14:33:44 ID:lLI7
歩「あっ、そのリストバンドおしゃれだね」

環「そう!このリストバンドたまきのお気に入りなんだ」キラーン

歩「ひなたちゃんは……リストバンドじゃなくてブレスレットを着けてるんだ。お揃いじゃないんだね」

ひなた「ええっと……」メソラシ

環「このリストバンドは特製品で二つもないから着けているのはたまきだけなんだ」

環「ひなたのブレスレットもひなたにとってとても大事なものらしいぞ。だから毎日着けてるんだって」

ひなた「そうだねぇ」アセアセ

歩(両親の形見とかなのかな。いや、それは考え過ぎか)

歩(やっぱり二人とも中学生みたいだし年相応におしゃれだってしたいよね)

114: 矢橋P 24/11/12(火) 15:13:38 ID:lLI7
環「………本当はたまき外で遊びたいんだ。けど外に出ちゃだめって言われてるから」

環「りおもいつも朝に出かけて夜まで帰ってこないし何だか寂しいぞ……」

ひなた「環ちゃん……」


歩「……そうなんだ。ならアタシが暇な時は遊び相手になってもいいよ」

環「ほんとに!くふふ、うれしいぞ」

歩「あ、でもアタシもバイトで日中居ないことも多いからなぁ」

115: 矢橋P 24/11/12(火) 15:16:29 ID:lLI7

もわわ~ん


茜「しょーがないにゃ~。茜ちゃんが何とかしてあげよう」

ひなた「うわっ、なんだべ」ガタッ

環「びっくりした」パチクリ

歩「茜、出てきちゃダメ……って二人とも茜が見えるの?」

茜「基本はマイハマンにしか見えないけど茜ちゃんは他とはひと味違うからね。茜ちゃんがちょちょいと力を出せば実体化出来るのだよ」

茜「話は聞いたよ!二人とも初めまして大魔人茜ちゃんだよ~」

116: 矢橋P 24/11/12(火) 15:18:04 ID:lLI7


カクカクシガジカホップステップレインボー


環「そうなんだ。まあ宇宙人がいるんだもん、魔人だっているよね」

ひなた「環ちゃんはおっかながらなすぎだべさ」ドキドキ

茜「それでさ、実は茜ちゃんも普段は暇なのだ!だから特別にお二人に付き合ってあげよう」

茜「それでそこにあるゲーム機っていうやつで遊ぼ?マイハマンが持ってないからさ~」

歩(それが目当てじゃ無いだろうな)

環「いいぞ。くふふ、これで四人で遊べるね」
 

117: 矢橋P 24/11/12(火) 15:20:27 ID:lLI7

そうして午前中は四人で遊んだ
これからは手が空いてる時は茜が二人を構ってくれるらしい
アタシも忙しい時は茜に構えない時は茜が拗ねてたしありがたいよ

 

118: 矢橋P 24/11/12(火) 15:23:09 ID:lLI7


PM14:00 とあるカラオケ店



歩「打ち合わせここでするの?」

亜利沙「本当はホテルの一室とかが良いんですけどね。毎回利用してられませんし」

亜利沙「この中なら防音ですから他の人には聞こえないですし、飲み物などもオーダーできます。じゃあ始めますか」
 

119: 矢橋P 24/11/12(火) 15:25:04 ID:lLI7


歩「亜利沙の方はジャーナリストや新聞記者が数名行方不明か」

亜利沙「歩さんの方は警察官の先輩にご友人が行方不明。状況が同じなので同じ手口だと思うんですが……」

歩「被害者に共通点が無いよね……」

歩(そうなんだよ。先輩はともかく開田くんは先輩の何かに触れたか縁をしたから襲われた)

歩(だとすると何故アタシは襲われてないんだろう)

120: 矢橋P 24/11/12(火) 15:26:22 ID:lLI7
亜利沙「いま渦木警部に他に今回の失踪事件の被害者と思われる人のリストを用意してもらってます」

亜利沙「共通点を見つけるにはその後でもいいと思いますよ」

亜利沙「それより歩さんの友人が化け物に食われたという話しを聞いた限りこの失踪事件は人為的なものではなく怪奇現象ということですね……」

亜利沙「うーん。怪奇現象は亜利沙やミ-ナさんの専門外ですから……」

歩「アタシも詳しいわけじゃないけど……あ、そうだ!」

亜利沙「こないだ心霊現象とかに詳しい人に会ったんだ。その人に協力してもらえると良いんじゃないかな」

121: 矢橋P 24/11/12(火) 15:29:28 ID:lLI7
>>120
修正です

亜利沙「こないだ心霊現象とかに詳しい人に会ったんだ。その人に協力してもらえると良いんじゃないかな」
      ↓
歩「こないだ心霊現象とかに詳しい人に会ったんだ。その人に協力してもらえると良いんじゃないかな?」

122: 矢橋P 24/11/12(火) 15:34:30 ID:lLI7
亜利沙「オカルトマニアですか?」

歩「うん、ネットじゃ有名な人だよ。えーっと」スマホカチカチ


ズズズズズズ……


歩「あった。このブログサイトをやってる人でさー」



ズズズズズズズズズ……

123: 矢橋P 24/11/12(火) 15:35:23 ID:lLI7
亜利沙「!!」ピクピク

亜利沙「歩さん伏せてください!」バッ

歩「うえっ!?」ガン



ズズズズズズズズズ!!!


亜利沙(亜利沙アンテナがまだ最大限に警告してます。このままだと……)ピクピク

124: 矢橋P 24/11/12(火) 15:36:31 ID:lLI7
ズズズズズズ……ズ!


ズズズズ……シュウウウ


ズズ……






シーン

125: 矢橋P 24/11/12(火) 15:39:59 ID:lLI7

亜利沙(収まった?でも何故突然)

歩「あの-亜利沙?」

亜利沙「…………」キョロキョロ

亜利沙(亜利沙アンテナが収まったならひとまずは安心です)


歩「大丈夫?汗びっしょりだよ」

亜利沙「大丈夫です……」ホッ
 

126: 矢橋P 24/11/12(火) 15:42:48 ID:lLI7

歩「あっ!」

亜利沙「どうかしましたか」

歩「さっきの人のサイトなんだけどさ。アタシが会った日で最後に更新が止まっている……」

歩「一日一回は必ず更新していた人だからさ。ブログ内でも管理人が呪われたんじゃないかとコメント欄が大騒ぎだよ」

亜利沙「その人の最後のブログの記事って……」

歩「アタシが喋った失踪事件のことだ!千脇さんに会ったのは……亜利沙と初めて会った日と同じだから4日前には更新が止まっているみたい」

127: 矢橋P 24/11/12(火) 15:44:54 ID:lLI7
亜利沙「歩さん、行きましょう明日その人の家に!」

歩「え、急だね」

亜利沙「急いだ方がいいです。歩さんが最後に会ってからもう4日経っています。手掛かりが消える前に」

歩「じゃあ今日行こうか?」

亜利沙「いえ、亜利沙の準備があるので明日にしましょう。もう15時過ぎですしね」

歩「アタシ明日バイトなんだけど……」

亜利沙「バイトを休むこと出来ませんか?どうしても早く行きたいんです!」

亜利沙(亜利沙の予想が正しければ……)

128: 矢橋P 24/11/12(火) 15:46:35 ID:lLI7
歩「わ、わかったよ。バイト先に連絡すれば大丈夫だしね」

歩(朱里にはまた奢ることになりそうだなぁ)

亜利沙「すみません。では明日朝の9時に自分のアパートの前に居てください。迎えに行きますので」

歩「迎えにって、駅で待ち合わせでもいいんだよ?」

亜利沙の勢いに思わず押されてアタシは頷くしか出来なかった



 

129: 矢橋P 24/11/12(火) 15:48:19 ID:lLI7


5月16日 PM:900 アパート前


歩「そろそろ時間だけど……」




<ブォォン!

亜利沙「お待たせしました」

130: 矢橋P 24/11/12(火) 15:51:05 ID:lLI7

歩「おおっ」

アタシは少し驚いた。亜利沙は車を運転してきたからだ

歩「すごいね。これ亜利沙の車?」バタン

亜利沙「いえ、レンタカーです。発信しますよ」ブロロ-

歩「えっ、レンタカーって高いんじゃ……駅で行ってもよかったのに」シートベルトソウチャク

亜利沙「こういう場合はレンタカーの方がいいんです。さあ住所教えてください」

 

131: 矢橋P 24/11/12(火) 18:10:37 ID:5ZpP

AM 9:30 千脇宅前



亜利沙「まず車停める場所を探しますので千脇さんの家の周りを一周します」

歩「そうだね」

亜利沙(ついでに他に怪しい車が無いかチェックです)


  謎のハイエース


亜利沙(ビンゴですかね)

亜利沙「あそこの路上に停めます」

歩「あれ、車停めるなら公園の前か有料駐車場がいいんじゃ……」

亜利沙「駐禁の看板は無いですし長居はしないんで大丈夫です。広いところより少しでも目立たないところに停めないと」

亜利沙「それと車降りる前に”それ”着けてくださいね」

歩「白手(白い手袋)はわかるけど黒いジャケットにバイクのヘルメット?」

亜利沙「念のためですよ。亜利沙も着けますから」

132: 矢橋P 24/11/12(火) 18:14:00 ID:5ZpP
千脇宅前


歩「ここなんだけど……鍵かかってるね」

歩(そんなに甘くはないか)

亜利沙「大丈夫ですよ。これくらい...」カチャカチャ

歩「ええっ!いいの!?」

ガチャ

亜利沙「開きました。急ぎますよ!」

歩(これじゃ泥棒じゃん。ああ、だからヘルメットで顔を隠しているのか)
 

133: 矢橋P 24/11/12(火) 18:16:50 ID:5ZpP

歩「確かアタシが通されたのはこの部屋だからこの部屋が千脇さんの部屋だと思うけど」

亜利沙「部屋が直前まで生活していたって感じです。他の被害者と同じ、やはり千脇さんも顔の無い女にやられたみたいですね」

歩(パソコンが着けっぱなしか。直前までブログ書いてたのかな)

歩(待てよ!そういえば先輩の家もパソコン着けっぱなしだった)

ビデオカメラ コロン

亜利沙「これ……ビデオカメラです。もしかしたら何か映像が残っているかもしれません」

歩「こんなところに無造作に転がってるのおかしいし、その可能性は高いね」

134: 矢橋P 24/11/12(火) 18:19:11 ID:5ZpP
亜利沙「!!」ピクピク

亜利沙「歩さん帰りましょう」

歩「え、うん。まあ長居は無用だしね」

亜利沙「…………」窓チラ



謎の男「…………」


亜利沙「歩さん。車まで走りますよ!」

歩「えっ、亜利沙ちょっと待ってよ!」

135: 矢橋P 24/11/12(火) 18:25:12 ID:5ZpP
バタン

ダダダダダダダダッ!


亜利沙「早く早く!」

歩「どうしたのさ」

亜利沙「亜利沙達、怪しい男につけられてます!」

歩「えーーーっ!」


歩(よし車が目の前に……)


謎の男「…………!」チャキ

謎の男「…………」パシュパシュ


歩(嘘っ!拳銃を撃ってきた!)

亜利沙「早く乗って」


バタン ブロロロロロロッ!!


謎の男「……」チッ

136: 矢橋P 24/11/12(火) 18:27:52 ID:5ZpP


歩「た、助かった……」

歩(そうか、車で来たのもヘルメットを被ったのもこのため……)

亜利沙「すみません。歩さんを危ない目に合わせてしまって」

歩「いいよ……。亜利沙は慣れてるの?まったく動じてないみたいだけど」

亜利沙「ミーナさんが行く現場じゃしょっちゅうですよ」

亜利沙「世間じゃミーナさんは権力に屈しないすごいジャーナリストだ!ぐらいにしか思われてないですけど、ミーナさんを快く思わない人は星の数ほどいますからね」

亜利沙「命だって当然狙われてますよ」

137: 矢橋P 24/11/12(火) 18:43:50 ID:5ZpP
歩「……亜利沙は辛くないの」

亜利沙「辛くないといえば嘘になります。でもミーナさんに本当のジャーナリストを教えてもらいましたからね」

亜利沙「もう普通の生活には戻る気はありません」

歩(すごいよ亜利沙は)


亜利沙「それとこれではっきりしましたね」

亜利沙「おかしいと思ったんですよ。こんなに失踪事件が起こってるのに騒ぎにならなすぎる」

亜利沙「裏で化け物が人を消してる傍ら表ではああいう連中が証拠を潰している。これじゃ警察も情報が全然得られない無いわけですよ」

亜利沙「顔の無い女の裏には別の巨大な組織が絡んでいます。渦木さんに伝えないと」

歩(え、もしかしてこの事件。かなり大きな事件なんじゃ……)

歩(でもアタシも今更退くことは出来ないよ!亜利沙を少しでも見習わないと)

138: 矢橋P 24/11/12(火) 19:19:41 ID:5ZpP

一応尾行の可能性があったので思いっきり回り道して帰った
アタシも亜利沙も疲れたしビデオカメラの中身を確認するのは後日となった
でもあの怪しい男は何だったんだろう?
一瞬だけ見えた感じだと普通じゃない感じがしたんだ
 

139: 矢橋P 24/11/12(火) 19:25:18 ID:5ZpP


5月17日 AM 10:00 とある倉庫



朱里「歩~」ニコニコ

歩「は、はいぃ……」

朱里「あたしが言いたいことわかるよね?」

歩「き、昨日もヘルプで出たの」

朱里「おかげで明日も含めて6連勤なんだけど何か言うことある?」ニコニコ

歩「今日も何か奢ります」

朱里「やった!今日は少し豪華にハンバーグ店にしてもらおうかしら」フンフン

歩(とほほ……)
 
 

140: 矢橋P 24/11/12(火) 19:28:20 ID:5ZpP

PM 18:00 とあるハンバーグ店



歩「そういえばさ。朱里ってお酒飲まないよね」

朱里「どうしたの急に」モグモグ

歩「いや、なんか奢ってもらう場合ってお酒の方が喜ぶ人もいるじゃない」

朱里「そうね。まああたしは食べる方が好きだし」モグモグ

朱里「……お酒なんて飲んで酔っぱらったらいざって時に困るじゃない」モグモグ

歩「いざって時?」

朱里「独り言よ、気にしないで」モグモグ


 

141: 矢橋P 24/11/12(火) 19:55:22 ID:5ZpP


朱里「ご馳走様。また頼むわね」

歩「いやマジで勘弁してよ……」

朱里「それじゃあたしはあっちだから」

歩「また明日もよろしくねー」



歩「さて帰ろ。あまり遅いと茜がうるさいんだよね~」

店員「お客様~財布落とされましたよ」

歩「すみません。ありがとうございます」

歩「ん、これ。朱里の財布じゃないか。今から追いかければ間に合うかな」
 

142: 矢橋P 24/11/12(火) 20:49:00 ID:5ZpP



朱里「…………」キョロキョロ

歩「朱里のやつどこに行くんだ?とりあえず追いかけよう」


そして



朱里「…………」スッスッスッ

歩「は、早い。見失わないように着いていくので精一杯だよ。とても声をかけられない……」

歩(でも何であんなに急かしているみたいなんだ?まるで人に見つかりたくないみたいじゃないか)

143: 矢橋P 24/11/12(火) 20:52:40 ID:5ZpP
そして



朱里「…………」スッスッスッ

歩(後を追いかけてここまで来ちゃったけどここから先は開発地区じゃないか)


開発地区とはデンノーシティの奥にあるエリアで大規模な開発現場が置かれているところ
当然人なんて住んでない
東京ドームの10倍以上の広大な土地を大神グループが買い上げて
何でも新しい工場を建てたり従業員の住居を建設したりするのだとか
ただ色んな事実があるようで今は建設がストップしているらしい
確か関係者以外立ち入りは禁止されてるはずだけど……

144: 矢橋P 24/11/12(火) 21:01:22 ID:5ZpP

朱里「…………」スッスッスッ

歩(立ち入り禁止の看板を無視して柵を乗り越えてるぞあれってまずいんじゃ……)


そして


歩(結局アタシも入っちゃったよ……)

歩(でもここまで来たら気になってきた。朱里のやつ、何でこんなところに……)


歩「ん?」



謎の男A「見つけたぜ~朱里ちゃん」

謎の男B「まさか俺達寄りのところに住んでいたなんてな。灯台下暗しってか」

謎の男C「それもここまでだけどな」

145: 矢橋P 24/11/12(火) 21:04:29 ID:5ZpP
バキッ


朱里「うるさい連中ね。大神のサイボーグはいつから知能レベルが下がったのかしら」

謎の男B「痛って!」

謎の男A「問答無用ってか。いいね、始めようか」


歩(なんだなんだ。朱里があの怪しい男達と喧嘩し始めたぞ)


シュバッ バシッ

謎の男A「旧式のサイボーグにしてはやるじゃん。でも……」

ガシッ

朱里(しまった!?)

怪しい男C「こっちは三人なんだぜ」

146: 矢橋P 24/11/12(火) 21:11:21 ID:5ZpP
バキッ ドカッ ボコッ


歩(そんな袋叩きだ……)

ドコッ ブフッ グラッ

歩(もう勝負は付いてるでしょ)

ゴリッ グチャッ

歩「やめろ!」ダッ
 

147: 矢橋P 24/11/12(火) 21:15:43 ID:5ZpP
謎の男A「おい、何で一般人がここにいるんだ?」

謎の男B「どうすんだよ」

謎の男C「ちっ、引き上げるか」

謎の男B「本当にか?」

謎の男A「まあまあ、すぐに終わらせてもつまらないじゃないか。また次のお楽しみにしようぜ」

謎の男B「それもそうか。ぎゃはは」



歩(なんだコイツら。まるで弱いものいじめみたいに……)

謎の男C「それじゃ朱里ちゃん。また来るからよ」

謎の男B「今度も楽しみにしてるぜ。じゃあな」
 

148: 矢橋P 24/11/12(火) 21:23:52 ID:5ZpP



朱里「うう……」

歩「朱里、大丈夫?」

朱里「歩……なんでアンタがここに?」

歩「そんなことどうでもいいでしょ!」

朱里「……あたしを家まで運んでくれないかしら。それで大丈夫だから……」

歩「家ってどこさ」

朱里「……そこのビルよ」

歩「そこのビルって……まだ建設途中のビルじゃないか」

歩(よく見ると確かに人が出入りしていたであろう跡がある。朱里はこんなところに住んでいたのか!)

朱里「……あたしをそこに置いてアンタはもう帰りなさい」

歩「怪我人をそんなところに置いておけないよ!」ガシッ

朱里「ちょっと歩!」

 

149: 矢橋P 24/11/12(火) 21:27:09 ID:5ZpP

その後アタシは朱里を家まで運んできて急いで手当てしたんだ



朱里「……なんであたしをあのままにしておいてくれなかったの」

歩「怪我した朱里をそのままにしておけないでしょ」

歩「だいたいなんであんなところに住んでいるんだよ」

朱里「周りに迷惑かけないためよ。あたしが普通のところに住んでいたら周りにも被害が出るでしょ」

歩「……朱里はなんで追われているの?何か悪いことした訳じゃないよね」

150: 矢橋P 24/11/12(火) 21:30:48 ID:5ZpP
朱里「下手に隠しても無駄か……いいわ。あたしのこと話してあげる」

朱里「パライソタウンってあったでしょ?あたしはあそこで改造された第一世代サイボーグなのよ」

歩「サイボーグ!?」


サイボーグってあの大神が2年前に発表した次世代技術
確か一般的な実用化に向けて開発中って言ってたけど……


朱里「そんなの嘘よ。もう6年前にはサイボーグの技術は確立していたわ」

朱里「で、あたしはそれの初期型なのよ。まあ初期型でも後期の方らしいけどね」

朱里「ある時パライソタウンのサイボーグ開発部は第一世代から第二世代に世代交代することになってね」

朱里「そのままだとあたし達第一世代は処分されそうだったから逃げてきたの」

151: 矢橋P 24/11/12(火) 21:33:06 ID:5ZpP
歩「それであいつらは朱里を連れ戻しにきた追っ手ってことなんだね」

朱里「それはちょっと違うわ。それで細々と暮らしていた時にヒーロー連合ってのがあってね。まあほとんど野良の超能力者の集まりみたいな集団だったんだけど」

朱里「暇だったしそこに所属することにしたの」

朱里「そこでの活動はまあまあ楽しかったわ。でも問題は2年前の”ジャジメント”の日本進出」

朱里「アメリカNo.1の企業、ジャジメントグループはフラッグマンショックで弱った日本に目を付けて支配しようと進出してきた」

朱里「それに唯一対抗しようとしたのが大神グループ。大神も日本の支配狙っていたところだったからお互い邪魔だったんでしょうね」

朱里「大神VSジャジメント。その勢力戦争は”裏”で行われることになった」

152: 矢橋P 24/11/12(火) 21:35:50 ID:5ZpP
歩「裏って……」

朱里「文字通り戦争よ。一般的には知られてないけどジャジメントには非合法の”超能力者部隊”がいるの。超能力者はあっちが本場だからね」

朱里「その規模、強さは日本のASじゃ比にならないわ」

朱里「対する大神はパライソタウンから奪い取った技術で構成したサイボーグ部隊」

朱里「この二つの陣営が文字通り戦争を始めた。それが2年前のことよ」

朱里「それを知ったあたし達ヒーロー連合は一般人に被害が出ないよう第三陣営として参戦した。漁夫の利を狙ったりして上手く立ち回ったんだけどね」

朱里「だけど弱いところから先に潰すのはどこの世界でも同じ。最終的に大神とジャジメントの総攻撃を受けたヒーロー連合は壊滅」

朱里「その後大神とジャジメントの一騎打ちになったんだけど1年前に大きな戦いがあってから今は休戦中。どうやら両者痛み分けで終わったようね」

153: 矢橋P 24/11/12(火) 21:39:24 ID:5ZpP
歩「何だか漫画のような話だね……」

朱里「でも休戦してから大分経ったわ。そろそろどちらかが動き出してもおかしくはない状況なはず」

朱里「あたしをボコボコにしたのは大神の第三世代サイボーグ。歩も見たでしょあいつらの態度」

歩「うん」

朱里「ふざけた連中でしょ。子供アニメのヘボい悪役だってあいつらよりは真面目にやってるわ。あんな力を誇示したいような連中がゴロゴロいるわ」

朱里「次の戦争に向けて戦力を集中させてる。だけどジャジメントにまだ仕掛けたくない」

朱里「それで持て余している戦力が憂さ晴らしにあたしみたいな残党狩りに勤しんでいるってわけなのよ」

朱里「奴らにとってはウサギ狩りみたいな感覚なんでしょうね」

歩「そんな……」

朱里「歩、覚えておきなさい。敗れたヒーローの末路は惨めなものなのよ」

茜(人間の世界もいつの間にかバイオレンスになったものだにゃー)

 

154: 矢橋P 24/11/12(火) 21:43:57 ID:5ZpP

5月18日 AM9:00 



歩「だめ!こんなにボロボロなのにバイトに行くなんて」

朱里「クビになるわけにはいかないの……。住居不明で履歴書も書けないあたしが働ける職場はあそこぐらいなのよ」

歩「係長にはアタシから言っておくから。とにかく今日はアタシの部屋で安静にしててよ」
 

155: 矢橋P 24/11/12(火) 21:45:54 ID:5ZpP
ガチャ


環「おはよー。あゆむ~遊ぼ~。あれ、その女の人だれ~?」

歩「ちょうどよかった。環、アタシがバイトに行ってる間この女の人を見張ってて」

環「よくわかんないけど、わかったぞ」

朱里「ちょっと歩、この子供は誰なの!」

環「たまきはたまきだぞ。お姉さんはなんて言うの~?」

歩「それじゃアタシはバイトに行ってくるから!」
 

156: 矢橋P 24/11/12(火) 21:49:08 ID:5ZpP



係長「そうか、朱里は休みか。連勤だったからな」

歩「そうですね。疲れが溜まっていると思います」

係長「他人事じゃないぞお前が休んだ分も出てるんだからな」

歩「はい……」

係長「だがこうやって教えてくれてありがとな。あいつ携帯も持ってないからこちらから連絡出来ないんだ」

歩「……係長」

係長「何だ?」

歩「実は……朱里の容態は大分悪いんです。だからしばらく休んだ方がいいと思います」

係長「そうなのか!いいぞ、人数は何とかなってるしな……そうだお前も休んで朱里を看病しろ」

歩「いいんですか」

係長「ああ、あいつと一番仲良いのはお前だからな。朱里が辞めてもらっては困るんだ」

歩(良かった~。これで調査に集中できる)

歩(でも今は朱里のことが優先か。でも今度あの三人組の追っ手が現れたらどうしようもない。どうすればいいんだろ……)

歩(あれ、何だ?あの三人組が何かが引っかかる……)
 

157: 矢橋P 24/11/12(火) 21:51:46 ID:5ZpP



PM 17:30 アパート前



歩「バイトを終わらせて帰ってきたけど朱里は大丈夫かな」


バタン

環「あゆむ!」

歩「環、どうかしたの!」

環「ごめん、さっきたまきが少し目を離したときにあかりがいなくなっちゃった」

歩「そ、そんな」

環「ど、どうしよう」

歩「追いかけるしかないよ。行き先はあそこしかない!」

環「たまきも一緒に行くぞ」

158: 矢橋P 24/11/12(火) 21:55:52 ID:5ZpP


デンノーシティ 開発地区




サイボーグ男A「逃げなかったんだ。えらいね~」

朱里「なんだか疲れてきちゃってね。もう終わりにしてくれないかしら」

サイボーグ男B「諦めの境地みたいだなぁ。だけど困るんだよそれじゃあ」ハァ…

朱里「困る?」

サイボーグ男C「一応これ実戦訓練って名目なの。だから少しは抵抗してくれないと」

サイボーグ男C「無抵抗のやつを倒しても訓練にならないだろ?」

サイボーグ男A「こっちは最新装備の試し撃ちをしたくて夜まで出張って来てるんだぜ」ククク…

朱里(こいつら……)

159: 矢橋P 24/11/12(火) 21:58:32 ID:5ZpP

歩「間に合った、朱里!」

環「あかり!」

朱里「なっ、二人とも。なんで……」


歩「あんたら何やっているんだよ。警察呼ぶぞ!」

歩(奴らだって騒ぎになるのは避けたいはず。これで……)

160: 矢橋P 24/11/12(火) 22:00:28 ID:5ZpP
サイボーグ男B「こないだのやつか」

サイボーグ男C「おい、どうすんだよ」

サイボーグ男A「……もういいや。めんどくせぇ。こいつらまとめて殺してしまおうぜ」

歩(え……)


サイボーグ男B「そうだな。俺達がどんな事件を起こそうがいくらでも上がもみ消してくれるからな」

サイボーグ男C「あんまり上に仕事させると怒られるぜ。まあ正当防衛で仕方なかったって報告すればいいか」

朱里「ちょっと!あの二人は関係ないでしょ!」

サイボーグ男A「おお?朱里ちゃん、ちっとはやる気出たかい?」

161: 矢橋P 24/11/12(火) 22:03:56 ID:5ZpP

環「……そこの三人は悪者なんだね。悪の戦闘員みたいだぞ」

サイボーグ男B「だったらどうだっていうんだよ。この世界はお子様が大好きなアニメじゃねぇんだ」

サイボーグ男C「ガキが泣いて叫んでもヒーロー様は現れませんでちゅよ~」

歩「た、環……」

162: 矢橋P 24/11/12(火) 22:06:13 ID:5ZpP

環「ヒーローなら……ここにいるッ!」

環「へ~~~ん、しんっ!」キラン


  \ピカッ/


環「たまきレッド!!!」

歩「うそぉぉぉっ!!」

歩(環がリストバンドを掲げポーズを取ったら……赤いヒーロースーツを装着した!?)

163: 矢橋P 24/11/12(火) 22:08:50 ID:5ZpP
サイボーグ男A「なんだこいつは」

サイボーグ男B「た、ただのコスプレだ。ふざけやがって」

環「コスプレかどうかはその身をもって確かめるんだな!」


バキッ

サイボーグ男B「うげっ」

サイボーグ男A「お、おい。ガキ相手だからって手加減してんじゃねえ」

環「まだそんなこと言える余裕が君達にあるのかっ!」


ドコッ

サイボーグ男A「ぐはっ」



朱里「……強い。第三世代サイボーグを身体能力で圧倒しているわ」

歩(姿だけじゃなくて口調まで変わって、まるで環とは別人だ)

164: 矢橋P 24/11/12(火) 22:22:57 ID:5ZpP
サイボーグ男C「けっ、これでもくらえ」ガシャン

朱里「あの男の指。マシンガンになってるわね」

歩「えっ、さすがにそれは」


ズダダダダン!!!


歩「あわわわわ……」

歩(マジで!そんな映画みたいなことが……)

朱里(……あたしと違って無理なく武器を内蔵しているわね。こんなゴミみたいな下っ端でも第三世代サイボーグってことかしら)

165: 矢橋P 24/11/12(火) 22:48:43 ID:5ZpP
環「かなり痛かったぞ」ブスブス

サイボーグC「嘘だろ、こいつ何なんだよ……」

歩(まともにくらったように見えたけど痛かったぐらいで済むの!?)


環「これはお返し!」

ドカーン


サイボーグ男C「ちくしょう……」



歩「すごい。このままやっちゃって!」

朱里「…………」

166: 矢橋P 24/11/12(火) 22:50:41 ID:5ZpP


サイボーグ男達「ぐえぇぇ……」

環「大勝利だ」



\ピカッ/



環「ふーっ、終わったぞ」

歩「すごかったよ。環は強いんだね、本物のヒーローみたいだったよ」

環「へへ~ん」

167: 矢橋P 24/11/12(火) 22:57:21 ID:5ZpP

朱里「……あんた達何やったかわかってるの」

朱里「こいつらはクズで雑魚だけど上にいるのはあの大神なのよ」

朱里「あいつらがその気になったらあたし達なんか一瞬で潰される。何で……放っておいてくれなかったの」

歩「だからアタシ達に黙って出てきたんだね」

朱里「そうよ。あんた達には関係ないでしょ」

168: 矢橋P 24/11/12(火) 23:05:08 ID:5ZpP
バン!!

歩「関係なくないだろ!朱里はアタシにとっての仲間なんだ」

朱里「…………」

朱里「仲間、ね。久しぶりに聞いたわそんな台詞」

朱里「はぁ……。もうあたしに関わるな、って言っても無駄みたいだから言うことはやめにするけど」

朱里「後で後悔しても文句は受け付けないからね」

環「あかり……」

歩「素直になれないだけだよ。多分……」

169: 矢橋P 24/11/12(火) 23:08:21 ID:5ZpP
パキーーン


歩「うっ!」

歩(何?頭の中で何かが砕けるような感覚が……)


茜「それは願いを一つ達成した証拠だよ」

歩「茜!?なんでここに」

朱里「?」

環「あかね?見えないけどあかねがそこにいるの?」

環「あっ……たまきランプを持ってきてたんだ」

歩「ああ、それでか」

170: 矢橋P 24/11/12(火) 23:10:26 ID:5ZpP

茜「今マイハマンは『仲間を5人以上作る』って願いをクリアーしたんだよ」

茜「亜利沙ちゃん、渦木、環ちゃんにひなたちゃん。そして今朱里で五人目ってなったわけだね」

茜「あと、願いは『五人以上』だから五人で止めずにどんどん作っていいんだぞっ。仲間が多い方が良いことあるかもね」

茜「残り願いは二つ。引き続き頑張ってね」ポワーン



歩「…………」

環「あゆむ?」

歩「あああっ、願いのこと忘れてたのに~嫌なこと思い出させないでよ!」

朱里「何言ってるのよ」ハァ

歩(あれ、ってことは朱里も……アタシを仲間だって認めてくれたってことだよね)

171: 矢橋P 24/11/12(火) 23:14:12 ID:5ZpP

パンパン


莉緒「はいはい、話しはひと段落かしら。いやー良いわね。お姉さん好きよそういうの。あの子を思い出すわ」

環「りお~……り…お?」

莉緒「環ちゃん~。ここで何していたのかしら~」ニコニコ

環「あ……」

莉緒「あれほど目立つことはしないって約束したわよね~。お姉さんお仕置きしなきゃだめかしら~」

環「ひぇ~。ゆ、ゆるして~」

歩(ほんと、さっきとは別人なんだよね)

172: 矢橋P 24/11/12(火) 23:21:19 ID:5ZpP
歩「莉緒お母さんも許してあげ……」

莉緒「お、ね、え、さ、ん、よ」ニコッ

歩「はいぃ……」

莉緒「実は私、この子の母親じゃないの。帰ったら話してあげる」

莉緒「とりあえず帰るわよ。それと、あなた達も一緒にね」

歩(まあここまで来たら無関係ってわけにもいかないよね)

朱里「…………」

莉緒「ひとまず先に帰ってなさい。歩ちゃん、みんなを責任持って無事に帰しなさいよ。帰ったらお話があるからね」

歩「はは……莉緒さんは?」

莉緒「お姉さんはやることがあるから」


 

173: 矢橋P 24/11/12(火) 23:24:38 ID:5ZpP





サイボーグ男A「な、なんだよ。お、俺達は大神のサイボーグ部隊なんだぞ」

莉緒「知ってるわ。だからよ」チャキ

莉緒「あなた達には死んでもらわないと困るの」

サイボーグ男C「ひぃっ。見逃してくれぇ」

莉緒「あなた達を生かして帰して上に報告されても困るの。あの子の存在をまだ知られたくないからね」

莉緒「恨んでくれても構わないわ。あの子のためなら……ね」


パァン パァン パァン





莉緒「久しぶりに殺しをしたわね。……嫌な気分」
 

174: 矢橋P 24/11/12(火) 23:29:05 ID:5ZpP



PM 20:30 莉緒・環・ひなたの部屋



莉緒「まあ上がってちょうだい」

歩「うん……」

歩(なんだかピリピリしてるなあ)

朱里「…………」

莉緒「あの子達は席を外してもらってるわ」

175: 矢橋P 24/11/12(火) 23:31:17 ID:5ZpP
莉緒「まずは確認だけどあなた”奇跡の素体”と言われた浜野朱里よね?」

歩(奇跡の素体?)

朱里「……その呼び方で言われるの好きじゃないから。次言ったらぶっ飛ばすわよ」

莉緒「そうだったの。まああなたはいいわ。問題は……」

莉緒「歩ちゃん。あなた大神やジャッジメントとは関係ないわよね」チャキ


そう言って莉緒はアタシに拳銃を突きつけてきた
目も本気だ

176: 矢橋P 24/11/12(火) 23:34:03 ID:5ZpP
朱里「っ!」スッ


歩「……今回の一連の流れ見ていたんでしょ?アタシが奴らと関わりあるように見えた?」

莉緒「……見え無いわ。あなたはただの一般人」スッ

莉緒「ごめんなさい。念の為確認させてもらったわ」

歩「ふーっ」

歩(緊張したぁ……)

朱里「あたしのことは知ってるようだし今度はそっちのこと喋ってくれないかしら」

朱里「まさか拳銃を向けておいてだんまりってことないわよね」

莉緒「そうね、お互いここは協力しましょ。敵は共通しているからね」

 

177: 矢橋P 24/11/12(火) 23:39:53 ID:5ZpP

莉緒「あの子の本当の名前は大神環」

朱里「まさか!」

莉緒「あの大神グループの会長、大神美智男の娘……ではないけどね。大神美智男の子供は大神博之ただ一人だから」

歩「大神博之ってあの野球選手の……」

莉緒「そう、環ちゃんは博之の従兄弟なのよ」

莉緒「従兄弟だから大神グループとは関係ないはずだけど、大神の家系であることには間違いないわ」

莉緒「極秘情報なのだけど……今大神は内部でゴタゴタしているみたいね。ジャジメント絡みでしょうけど」

莉緒「それで不安要素は一つでも排除するよう動きが活発になっているわ。その不安要素の一つが環ちゃん」

莉緒「環ちゃんにその気が無くとも敵勢力にとっては大神を攻撃する良い材料になるからね」

莉緒「本来跡継ぎであるはずの博之が野球選手に専念するからと大神グループの跡を継ぐ気がないって公言しているのも拍車をかけたわ」

莉緒「そして2ヵ月前に環ちゃんは大神グループに攫われて1ヶ月以上も大神の施設の中に監禁させられた。あの下っ端のサイボーグは知らなかったあたり大神グループの中でもトップシークレットみたいだけど」

178: 矢橋P 24/11/12(火) 23:43:37 ID:5ZpP
歩「そんな、酷い……」

莉緒「本当にね。彼女は大神って名前だけであんな目に遭っているのよ」

莉緒「私はとある人の依頼で環ちゃんを大神グループから救出した後、奴らに見つからないよう匿っているのよ」

朱里「……あのひなたって子は?」

莉緒「あの子は環ちゃんを救出する時に同じく監禁されてたから一緒に救出したの」

莉緒「ひなたちゃんに関しては事前に調べた大神グループの資料にもなかった。環ちゃんレベルかそれ以上のトップシークレットみたいね」

莉緒「だからなぜ大神がひなたちゃんを監禁していたかはわからないわ」

179: 矢橋P 24/11/12(火) 23:45:40 ID:5ZpP
歩「ねえ、環がリストバンドでヒーローに変身したけどアレはどういうことなの?大神と関係があるの」

莉緒「あれは私にもはっきりしたことはよくわからないわ。少なくとも3年前のハタ侵略の時はあんなこと出来なかったはず」

莉緒「何でも環ちゃんが身につけてるリストバンドはガジェットらしいわ」

歩「ガジェット?何それ」

朱里「具現化によって生み出された本来存在しない機械のことよ」

歩「具現化?また知らないワードだ……」

莉緒「人間の意志、想いが形になって現実化することよ。ある時は超能力として、ある時は物となりガジェットに、そしてある時は幽霊のような存在として……」

歩(幽霊?もしかして……)

莉緒「大神は具現化現象の研究をしていたのかもしれない。それをなぜ環ちゃんが持っていたのかは謎だけど」

180: 矢橋P 24/11/12(火) 23:48:25 ID:5ZpP
朱里「なるほど、だいたいはわかったわ」

莉緒「当面のお互いの敵は大神でしょ?それで朱里には頼みたいことがあるの」

莉緒「私が居ない間はあの子達を守ってくれないかしら」

朱里「……あたしもあの子に助けられたしね。恩は返すわ」

莉緒「申し訳ないわね。あたしが出来ることはするから言ってちょうだい」

朱里「それは良いわね。……お互いあの大神相手にせいぜい頑張りましょ」

朱里「歩も改めてよろしく」

莉緒「巻き込んじゃってごめんね」

歩「いいよ。二人ともよろしく!」
 
 

181: 矢橋P 24/11/12(火) 23:51:44 ID:5ZpP
その後の話し合いで朱里はアタシの部屋に住むことになった
大神かぁ……なんだか話しが大きくなりすぎて飲み込めないけど仲間って認めてくれたんだものアタシも頑張るしかないよね
………………
…………
……






歩(ああっ!)

歩(頭の中で何かが引っかかってたんだけど今わかった!)

歩(亜利沙と一緒に千脇さんの家に行った時遭遇した謎の男があの大神サイボーグ達と雰囲気そっくりなんだ)

歩(え……待てよ。だったら顔が無い女のバックにいる組織って……)

歩(大神なのか!?)

182: 矢橋P 24/11/12(火) 23:55:56 ID:5ZpP
第四幕終わり
パワポケの名誉のために言っておくと原作にはこんな品のない雑魚サイボーグはいません
あとこのSSではポケレンジャーは存在しません

183: 矢橋P 24/11/12(火) 23:58:38 ID:5ZpP

大神環 ヒーローに憧れる少女

実はあの大神博之の従兄弟である。直接会ったことは無い
そもそも大神グループと意図的に関わらないように育てられていたのだが、
本編が始まる2ヵ月前に大神グループの組織の一部によって拉致されて監禁させられていた
本人はその時の記憶があまりなく例のリストバンドもいつの間にか手にしていたとのこと
そのことを知っているのは大神グループでもほんの一部で、大神グループが彼女を使って何がしたかったのかは不明である
そのリストバンドはガジェット(本来あり得ない機械)で環のヒーロー像を具現化している
口調が変わるのも環のヒーロー像に近づいている為である

184: 矢橋P 24/11/13(水) 00:00:27 ID:38j4

浜野朱里   はぐれサイボーグ

その正体はパライソタウンで改造された第一世代サイボーグ
彼女は第一世代でも後期だったようで第二世代にやや近い
第一世代後期になってサイボーグの適正を示す適合率というものが設定された際、
彼女は脅威の48%で周囲を驚かせ”奇跡の素体”と呼ばれるようになった
そのため他の第一世代サイボーグが一つか二つぐらいしか武器を装備してないのに対し彼女は四つ以上も武器を装備しているし
他の第一世代サイボーグによりも”長生き”である

185: 矢橋P 24/11/13(水) 14:41:33 ID:PVVg


第五幕 イーエス

 

186: 矢橋P 24/11/13(水) 14:42:51 ID:PVVg

今日からしばらくアタシと朱里はバイトをお休み
アタシは顔が無い女の調査に集中出来るし朱里も治療に専念出来るね
朱里は不満そうだったけど一応は納得してくれた
アタシだってバイト休んでいたら収入無いんだもの、出来れば早く決着つけて復帰しないと!
 

187: 矢橋P 24/11/13(水) 14:44:35 ID:PVVg

5月19日 AM 7:00




歩「うーん、バイトが無いとのんびりでいいな~」

朱里「何のんきなこと言ってるのよ」

歩「うわっ!」

歩(そうだった、一昨日からアタシの部屋に朱里が住んでいるんだよね。今まで一人暮らしだったからちょっとまだ慣れないなぁ)

188: 矢橋P 24/11/13(水) 14:47:00 ID:PVVg
朱里「昨日あんなことがあったっていうのに……。あなたの能天気さには感心したくなるわ」

歩「アタシはポジティブだからね。大神が相手だからってビクビクなんてしてられないよ」

朱里「……あたしはあんたみたいになれない。大神がその気になったらあたし達なんか……」


歩「…………」

歩「それじゃこういうのはどう?」

歩「ノック・オン・ウッド」コンコン

朱里「なにそれ?」

歩「アタシがアメリカに留学していた時に知ったおまじないみたいなものかな」

歩「幸福を願う時、または嫌なことが起こりそうな時木製品をこう呟きながら二回叩くんだよ。朱里もやってみる?」

朱里「迷信ね。そんなの信じないわ」

朱里「……けど少し気が楽になったわ。」

歩「それがおまじないの効果だよ。別にすがって何もしないわけじゃない。ちょっとした験担ぎみたいなものだよ」

朱里「……まあいいわ。朝ご飯にしましょ」

 

189: 矢橋P 24/11/13(水) 14:49:48 ID:PVVg



AM 8:00



典子「………………」

歩「あ、典子ちゃんおはよう」

典子「……歩さん」

歩「何かあったの?」

典子「……何でもないです。じゃ」

スタスタスタ

190: 矢橋P 24/11/13(水) 14:53:50 ID:PVVg

歩「典子ちゃんがあんな険しい顔して何があった……って、ああ!」

歩(ヒマワリの芽が荒らされてる!)

典子父「どうやら昨日の夜中に野良猫が荒らしてしまったようでね」スッ

歩「確かにこれは猫の足跡だね」

歩「それで典子ちゃんが悲しそうにしてたんだ。……お父さんその野良猫が荒らしているの見ていたの?」

191: 矢橋P 24/11/13(水) 14:55:22 ID:PVVg

典子父「あはは。いやー、俺も娘が大事にしてる花壇だし、黙って見てたわけじゃないんだけどね」

典子父「睨んでみたり声をかけてみたりしたけど猫のやつ全く気にも止めないんだわ」

歩「そりゃそうでしょうね……」

典子父「とにかく娘が困っているし、何とかしてくれないかい。ほら、君にしか頼めないからさ」

歩「そうだけど……どうすればいいんだろう」

192: 矢橋P 24/11/13(水) 14:57:09 ID:PVVg
ガチャ


朱里「歩、”一人”で何ぶつぶつ喋ってるの」

歩「まあ、ちょっとね」

歩(やっぱりアタシにしか見えないのか……)

 

193: 矢橋P 24/11/13(水) 14:59:20 ID:PVVg

そう、典子ちゃんの父親は半年前に交通事故で亡くなっている
アタシがさっき話しているのは典子ちゃんのお父さんの”幽霊”だ
母親もいなく一人残された典子ちゃんが心配でこの世に留まっているらしい
けど肝心の典子ちゃんに全く気付いてもらえないみたい
そして唯一存在に気付いているのがアタシだけなんだ



典子父「では頼んだよ」スッ

歩「全く、困った父親だよ」

朱里「?」
 

194: 矢橋P 24/11/13(水) 15:01:18 ID:PVVg

莉緒・環・ひなたの部屋



歩「というわけなんだけど典子ちゃんの花壇、何とかならないかな」

朱里「あたしに振られても分かんないわよ。園芸は専門外で……」



ゴゴゴ……

歩・朱里「「!?」」

195: 矢橋P 24/11/13(水) 15:03:28 ID:PVVg

ひなた「ふふふ……」ゴゴゴ…

歩「ひなた……さん?」

ひなた「歩さん、そういうことなら早く言ってほしかったべさ」ゴゴゴ…

歩「う、うん」

環「ひなたにすっごいやる気のオーラみたいなものを感じるぞ」

ひなた「そうかいヒマワリか、久々に腕が鳴るねぇ」ウフフ……

196: 矢橋P 24/11/13(水) 15:06:01 ID:PVVg

ひなた「環ちゃんも手伝ってくれないかい?」

環「もちろんだぞ!」

歩(アタシ達大人が置いてきぼりにされてるんだけど……)

朱里(あの子、大人しいと思ってたけどあんな一面もあるのね)

歩「あれ、でも莉緒に外に出ちゃ駄目って言われているけど大丈夫?」

朱里「あたしが見張ってるのなら多少の外出は許可出たわ。莉緒も無理に閉じ込めていたら反発して逆効果になるって思ったようね」

歩「ああ、だから昨日莉緒は朱里に環達のことを頼んだのか」


 

197: 矢橋P 24/11/13(水) 15:08:36 ID:PVVg

それからのひなたちゃんの行動はものすごく気合い入ったものだった
何でもひなたちゃんは元々ガーデニングが趣味だったみたい
それがここ最近の巣ごもりで我慢していたけど一気に火が付いたわけで、アタシも何か手伝おうとしたけど出る幕は無かったよ。
ひとまず典子ちゃんの件はひなたちゃんに任せてアタシは公園で日課のダンスの練習をすることにした

 

198: 矢橋P 24/11/13(水) 15:10:41 ID:PVVg

AM12:00 近所の公園




歩(一日のダンスのレッスン終わりっと)

歩「……また見てたでしょ?」


美保「なんだ気付いていたんだ。また驚かせようと思ってたんだけど」ヒョッコリ

歩「矢橋さんだっけ、恥ずかしいから見ないでほしいんだけど……」

199: 矢橋P 24/11/13(水) 15:12:08 ID:PVVg

美保「美保でいいわ。矢橋さんは固い」

歩「へ?」

美保「もっとくだけてミホ~でもいいわよ」

歩「言わないよ!」
 

200: 矢橋P 24/11/13(水) 15:13:32 ID:PVVg

美保「ふーん。それとあんたのダンスぜんぜんまだまだへっぽこだけど見てて楽しいわ」

歩(ぜんぜんまだまだへっぽこ!?)

美保「あんたのダンスを見てからネットでプロのダンス動画見てみたけどやっぱり本物は違う!ってなるわね」

歩「だったらアタシなんかよりそっちを見てればいいじゃないか!」

美保「何言ってんのよ。荒削りなものがだんだん上手くなっていくのを見るのが良いんじゃない」

歩(めんどくさいなぁ……)

201: 矢橋P 24/11/13(水) 15:15:07 ID:PVVg

歩「そんなアタシに構うなんて美保は暇なんだね」

美保「そーね。会社の経営が軌道に乗っちゃったから忙しくなくなっちゃったの」

歩「会社って……美保は役員か何かなの?」

美保「まだ言ってなかったわね。アタシ、自分で会社立ち上げたの。肩書きはCEOってところかしら」

歩「CEO……?」

美保「わかりやすく言えば社長ね。シャ、チョ、ウ」

202: 矢橋P 24/11/13(水) 19:14:18 ID:38j4

歩(え……アタシより年下な子が社長!?)

美保「あ、もしかしてうらやましいの?」

歩(し、正直……)

歩「社長ならなおさら忙しいんじゃ……」

美保「あたしは休憩はきっちり取る主義なの。今時たとえ社長でも休憩もきっちり出来ないようじゃ社会は認めてくれないのよ?」

美保「まーあと、社員はあたし一人の小さい会社だからね。今はネットビジネスの時代ね~。自宅でパソコンとにらめっこしていればよいんだもの」
 

203: 矢橋P 24/11/13(水) 19:16:41 ID:38j4

歩「そうなんだ。自営業みたいだね」

美保「アンタも起業するならネットビジネスがおすすめよ。大神ネット様々ね」


ガタッ


美保「あら、どうしたの。驚いちゃった?」

歩「いや、ちょっとね」

歩(大神の名前出てきて思わず過剰に反応しちゃった……)
 

204: 矢橋P 24/11/13(水) 19:19:54 ID:38j4

歩「うちのアパートのネット回線も大神ネットだけどさ、大神ネットってそんなに良いの?」

美保「去年落ち目だった通信会社大手を大神が買収したでしょ?その後大神の名前を付けてニューリアルしたんだけど」

美保「普及させるために今サービスが手厚いのよ。今ならプロバイダー料金含め全てのサービスが全て無料、流石天下の大神だわ」

歩「そんなこと出来るの大神だけだろうね」
 

205: 矢橋P 24/11/13(水) 19:23:29 ID:38j4

もし自分が顔が無い女と関わらなかったら
もしアタシが朱里に環に莉緒に会うことがなかったら
流石は日本一の企業大神グループだと、陽気に笑い飛ばしていたんだろう
でも大神の裏の顔を知ってしまった今は……
アタシ達が敵に回した大神の大きさを改めてて実感させられる
 

206: 矢橋P 24/11/13(水) 19:30:22 ID:38j4

美保「でも今までの反応で確信したわ。あなた無職でしょ」

歩「何だよいきなり、失礼じゃないか!」

美保「否定はしないところをみると正解みたいね」

歩「ぐ……」

美保「まあ良いんじゃない?ただの怠慢な無職じゃないみたいだし、あんた夢もありそうだしね」

美保「あんたが無職でいるうちはあのダンスを見ていられそうだからしばらく無職のままでいいよっ。じゃ、そろそろ休憩の時間終わりだから帰るね~」サササッ


歩「二度と見にくるなー」

歩「まったく……あれダンスシューズの紐が切れてる」

歩(今日時間あったら買いに行こうかな)
 

207: 矢橋P 24/11/13(水) 19:42:18 ID:38j4

PM 15:00 アパート前





典子「…………」トボトボ

典子「………あ」

典子「ヒマワリの芽が元通りになってる」
 

208: 矢橋P 24/11/13(水) 19:54:42 ID:38j4

ひなた「ごめんねぇ。よけいなことだったかもしれないけどあたしがちょっといじらせてもらったんだわ」

ひなた「初めまして典子ちゃん。あたしは木下ひなた。つい最近このアパートに住むことになったのにあいさつも出来なくてごめんねぇ」

典子「いえ……私も引っ越されてる気付かなかったですから」

ひなた「それでねぇ、ガーデニングに関してはあたし力になれると思うよぉ」

典子「それでしたらまず野良猫の対策をしなきゃ……」

209: 矢橋P 24/11/13(水) 19:58:30 ID:38j4

ガサガサ!


環「その野良猫ってこの子だよね。たまきが捕まえたぞ!」

野良猫<ニャー


典子「あ……」

環「この子は餌を探していただけなんだ。この子はたまき達が面倒見るからもう芽がいじられることは無くなると思うぞ」

210: 矢橋P 24/11/13(水) 20:08:49 ID:38j4

典子「そこまでしなくても……私何もお返し出来ないですよ」

ひなた「典子ちゃんのことは歩さんに聞いたんだわ。一人でよくがんばってえらいよぉ」

環「のりこは中学二年生でしょ?たまきと同い年だぞ。たまき達とお友達になろうよ」

典子「……はい、こちらこそよろしくお願いします」

歩(典子ちゃんは独りで抱え込み過ぎなんだ。これでもっとアタシ達を頼ってくれれば良いんだけどね)
 

211: 矢橋P 24/11/13(水) 20:14:54 ID:38j4





212: 矢橋P 24/11/13(水) 20:16:38 ID:38j4

PM 17:00 デンノーシティ ジャジメントスーパー



ひなた達と典子ちゃんの様子を見届けたアタシはダンスシューズの紐を買いにデンノーシティの端にあるジャジメントスーパーに来ていた
そう、ここは大神とやり合っているジャジメントが経営している大規模デパートだ
ジャジメントが日本に進出してきた時、
ジャジメントはあえて大神のお膝元と言ってもよいこのデンノーシティにジャジメント日本支部とジャッジメント系列のスーパーを建てた
当然マスコミもジャッジメントによる大神への宣戦布告ってことで大きく取り上げた
朱里は裏でやり合っているって言ってたけど表舞台でもこうやって大神とジャジメントは争っているんだ
 

213: 矢橋P 24/11/13(水) 20:22:52 ID:38j4

歩(でも安いし品揃えも良いからそんな事情を分かっていても利用してしまうよね……)

歩(それにアタシのダンスシューズはアメリカ製だからアメリカから来たジャジメント系列の方が揃え易いしね)


ガヤガヤガヤガヤ


歩「靴のコーナーは1階だったかな。いや外国ブランドは4階だったかも……」


スッ

214: 矢橋P 24/11/13(水) 20:25:30 ID:38j4
歩(あれ……どうして……体が動かない)


???「騒がないでください」

歩(ア、アタシの背後に誰か居る……)

???「6階のフードコート。ふんわり茶屋に一人で来なさい。今すぐです」

スッ

215: 矢橋P 24/11/13(水) 20:29:41 ID:38j4

歩(背後の人の気配が消えた瞬間アタシの体が動くようになった)

歩(ついに……なのかな……)


調査を開始して10日ぐらい経って遂に黒幕に目を付けられたのだろうか
アタシはいったいどうなってしまうんだろう……
 

216: 矢橋P 24/11/13(水) 20:31:57 ID:38j4

心の中では震えながら6階のふんわり茶屋という所に行くとそこそこ広い飲食スペースに客は二人しかいなかった。
物腰が柔らかそうな女性とフードを被った謎の人物だ
人払いしているのかな……


???「お~、こちらですよ~。どうぞ座ってください~」

物腰が柔らかそうな女性が手を振りながら声をかけてきた。
 

217: 矢橋P 24/11/13(水) 20:40:11 ID:38j4

歩「…………」ガタガタ

???「おや、震えていますな~。大丈夫です、まずはお茶でも飲んでください」

物腰が柔らかそうな女性の前には一杯のお茶とサンドイッチが置いてあった。
アタシの分なのだろう、アタシはおそるおそるお茶に口を付けた。

歩「……」ズズ……

???「そんなに怯えなくてもいいですよ~。二人でのんびりお茶を飲みながらサンドイッチを食べたかっただけですから。”舞浜歩”さん」

歩「……アタシの情報は筒抜けなんだね。あんたは何者なんだ」

どうやらもう白を切っても無駄みたいだ
なら堂々と行こう

218: 矢橋P 24/11/13(水) 20:42:06 ID:38j4

???「オカルトテクノロジーの申し子。と言っておきましょうか。ふふ~」

歩「オカルトテクノロジー……」

???「不可能を可能する科学のことですよ~」

カッ


歩(うっ、何だ……)

フードを被った謎の人物「…………」

219: 矢橋P 24/11/13(水) 20:49:15 ID:38j4
歩「それでアタシをどうしたいの。このまま拉致でもするの?」


スッ


歩「えっ!」

まただ。さっきと同じ。アタシを含め周りに三人しかいなかったのに
突然四人目の和服を着た雅やかな少女がアタシの隣にいつの間にかいた!

220: 矢橋P 24/11/13(水) 20:54:36 ID:38j4
???「あなた……もしかして馬鹿なのですか?」

???「主様がせっかく用意した食事にろくに口を付けず、いきり立つなど……」


パンパン

???「紬ちゃん~大丈夫ですよ~。」

紬「ですが……」

???「歩さんが萎縮してしまってますよ~。下がってください」

紬「……はい」スッ

221: 矢橋P 24/11/13(水) 21:12:32 ID:38j4
???「もう一度言いますが歩さんに危害を加える気はありませんよ~」

???「それで歩さん。歩さんが追っているアレ……」

歩「……顔が無い女のこと?」

???「私達は”イーエス”と呼んでますね」

歩「イーエス……」

???「歩さんはそのままイーエスを追って真実までたどり着いてください。私達は協力はしませんが邪魔もしませんので」

歩「……どういうこと」
 

222: 矢橋P 24/11/13(水) 21:16:07 ID:38j4
フードを被った謎の人物「……」ゴニョゴニョ

???「……そうですか」


???「……おや、お茶もすっかり覚めてしまいましたな。それではこの辺でお開きにしましょう~」

歩「えっ」

???「最後に一つだけ。聞かれたのにちゃんと名乗ってませんでしたね。私の名前は宮尾美也です」

紬「!!」

美也「それでは”また”会いましょう~」

 

223: 矢橋P 24/11/13(水) 21:17:44 ID:38j4

美也と名乗った人物はフードを被った謎の人物と紬を従えてのんびりアタシの視界から離れていった。
まるで追ってこれるものなら追って来てもいいですよ~ と言ってるように……

だけどイーエスと関わりがある人がこんな風に干渉してくるということはアタシ達の進んでいる方向は間違っていないということだ
アタシ達は少しずつ真実に近づいている
 

224: 矢橋P 24/11/13(水) 21:21:21 ID:38j4







美也「それでルチアさん。ばっちりでしたか?」

フードを被った謎の人物「……ああ」ガバッ

ルチア「あいつの心の中は充分視させてもらっタ」

美也「しっかり教えてもらいますからね~。歩さんがあのことをどこまで知ってるかチェックしますよ~」

ルチア(チッ、面倒なヤツに借りを作っちまっタ)

紬「ですが主様、あの方に主様の名前を教える必要はなかったのでは?」

美也「紬ちゃん。勝手に心の中を覗くのですから名前ぐらいは名乗るのが礼儀ですよ~」

 

225: 矢橋P 24/11/13(水) 21:26:44 ID:38j4

PM19:00 歩の部屋



朱里「遅かったわね。ちょっと買い物に行くだけじゃなかったの?」

歩「……色々あってさ」

朱里「……大丈夫?変な連中に絡まれたりしたりしなかったの?」

歩「それは大丈夫だよ」

歩「……朱里はさ。具現化についてどこまで知ってるの?」

朱里「具現化?まあ専門外だから詳しくないけど知ってる範囲なら……」
 

226: 矢橋P 24/11/13(水) 21:35:23 ID:38j4






227: 矢橋P 24/11/13(水) 21:37:17 ID:38j4

5月20日 AM 9:30



今日はこれから亜利沙と渦木さんと一緒に今まで調査した内容を確認し合うことになっている。
千脇さんの家から回収したビデオカメラの中身も一緒に確認する予定だ


歩「朱里は……環達の面倒を見ていて居ないね」キョロキョロ

歩「茜ー」


もわわ~ん


茜「も~、久しぶりに呼んでくれたね。寂しかったぞ~」
 

228: 矢橋P 24/11/13(水) 21:41:56 ID:38j4

歩「これから警部さんに亜利沙って子がアタシの部屋に来るんだ」

歩「それでその時に茜をみんなに紹介するけどいいかな」

茜「おお?マイハマン突然どうしたの。茜ちゃんのことは秘密にするじゃなかったの?」

歩「亜利沙や渦木さんも仲間なんでしょ?仲間に隠し事は無しにしたいんだ」

茜「そーか。いやー茜ちゃんも有名になっちゃうね~」

歩「あの二人はそういうの耐性なさそうだしあまり混乱させないでよ」
 

229: 矢橋P 24/11/13(水) 21:43:53 ID:38j4
<ピンポーン


歩「来たみたい」


ガチャ

渦木「お邪魔します」

亜利沙「でも当然どうしたんです歩さん。ホテルで話し合いする予定でしたのに突然自宅にするなんて」

歩「うん、ここの方が安全だと思ってさ」

亜利沙「歩さんそれって……」

230: 矢橋P 24/11/13(水) 21:46:09 ID:38j4
歩「それより渦木さんこそ大丈夫なんですか?」

渦木「私ですか?ああ、今日は私、非番でしてね。今日は警部ではなく一般人としてここに居るので心配無用ですよ」

渦木「実は三日前に今回の失踪事件の調査本部が解散させられましてね。どのみち刑事としてこの件を捜査することはもう出来ないんですよ」

亜利沙「調査本部が解散!?どうしてですか!」

渦木「上からの圧力ですよ。まあ私は部下を一人消されているのでそんなものに従いませんけどね」

渦木「ただ亜利沙さん。あなたが言った何らかの組織がバックにいるって話は本当のようですね」

亜利沙「そんな事って……」

231: 矢橋P 24/11/13(水) 21:53:16 ID:38j4
渦木「幸いなことに解散される前にそれまで捜査してきた資料はコピーしてきました。原本は今頃消去されているでしょうからね」

渦木「まあばれたらただじゃ済みませんが」

亜利沙「わざわざ危険を冒してまで……ありがとうございます」

渦木「その資料の一つ、ここ最近失踪したと思われる人達の名簿です。見てみてください」


歩(改めて失踪した人の名簿を見てみたけどやはり特に共通点はないね)

渦木「一応被害者の住所をこの広域化した地図にしるしを付けてみましたが……」

渦木「分かったことは被害は関東地方の一部にしかみられないということぐらいですか」

歩(あれ、待てよ……もしかして)

渦木「ひとまず例のビデオカメラの中身を確認しましょう。今はそれが最大の手掛かりですから」


 

232: 矢橋P 24/11/14(木) 17:21:09 ID:usHN


ジーーーーーーー


ズズズズズズズズズ


千脇「ん、何だ?」


-さっちゃんはね


千脇「まさかこれが……」


---って言うんだほんとはね


千脇「これはスクープだ」つビデオカメラ


ズズズズズズズズズズズ!!!


???「わたしのほんとうのなまえはなあに?」

千脇「顔が無い女だろ!」つビデオカメラ



--ざんねん

???「は・ず・れ」


ガプッ


ゴトン

233: 矢橋P 24/11/14(木) 17:25:07 ID:usHN
歩「うえ………」

亜利沙「………」パクパク

渦木「これは………」


歩(予想はしてたけど……ここまで心霊現象みたいなものだったなんて。まるでホラー映画だよ)


でも ホラー映画みたい なんて客観的な感想で済ませられるのは
アタシが一度イーエスを見ているのと茜を始めとした超常現象に耐性があったからだ
現に亜利沙や渦木さんは未だに信じられないといった反応をしている
失踪の原因が顔が無い女の仕業だと言われても完全には信じきれなかったのだろう
もしかしたら怪奇現象に見せかけた人為的な犯行だったんじゃないかと心の奥底で思っていたのかもしれない
でもアタシはこれからもっと二人を驚愕させることを言わなきゃいけないんだ
 

234: 矢橋P 24/11/14(木) 17:38:18 ID:usHN

歩「亜利沙、渦木さん聞いてほしいことがあるんです」

亜利沙「何ですか歩さん」

歩「ビデオカメラに映ってた化け物、顔が無い女ってアタシ達は呼んでいたけど名前をイーエスって言うみたいなんだ」

渦木「イーエス……?それはどこから出てきたんです」

歩「それはね。イーエスの名付け親……つまりイーエスを生み出し、バックに居座る組織は……大神だと思う」

亜利沙「ええっ!あの大神ですか!?」

渦木「確かに大神なら警察にも圧力をかけるのは容易いでしょう。」

渦木「ですが大神は機械工業にしろ医療機関にしろテクノロジーで名が通っている会社ですよ。こんな怪奇現象とは対極な存在です」

歩(渦木さんの言うことはもっともだ。アタシだって始めは大神がイーエスに関わっているだなんて信じられなかったよ。でも昨日それが確信に変わったんだ)

235: 矢橋P 24/11/14(木) 18:02:28 ID:usHN

歩「実は昨日アタシはイーエスの関係者と思われる人に接触したんだ」

亜利沙「本当ですか!」

歩「相手が一方的に接触してきたんだけどね」

歩「イーエスって名前もその人が言ってたんだけどね。オカルトテクノロジー……不可能を可能にする科学だって言ってた」

歩「大神は裏でオカルトテクノロジーの研究をしているんじゃないかと思う」

渦木「既存の技術だけでも天下を取ってる大神がわざわざそんな技術を何故?」

歩「それはわからない。……これはアタシの推理だけどイーエスはおそらくインターネットを通じて被害者の元に現れているんだ」

渦木「あの化け物がインターネットを通じて……もう一度ビデオカメラの映像を確認してみますか」

 

236: 矢橋P 24/11/14(木) 18:04:31 ID:usHN

ジーーーーーーー


ズズズズズズズズズッ



ピタッ

歩「ここだよ!」

亜利沙「本当です!パソコン画面からイーエスが出現しているのが写ってます」

渦木「信じ難いですがあの化け物はパソコンなどの電子機器から現れるようですね。それで機械に強い大神が絡んでいると?」
 

237: 矢橋P 24/11/14(木) 18:06:32 ID:usHN
歩「そうじゃないよ。被害者の共通点、それは大神ネットだ」

渦木「大神ネット?」

歩「さっき渦木さんの見せてくれた地図、あれは大神ネットが普及している範囲じゃない?」

亜利沙「あ……確か大神ネットはまだサービスを開始したばかりで大神グループの本社がある東京を中心とした関東でしか普及してません。ちょうどあの地図ぴったりの範囲です!」

渦木「まさか、大神ネットの開設自体がイーエスのための布石だったということですか!」

歩「もしくは大神ネットによるネット展開の邪魔者を消す露払いのような存在なのかもしれない」

歩「とにかく大神ネットで顔が無い女を調べたり書き込んだりするとイーエスに消される。だからこんだけ人が消されてもイーエスに関する情報が全く出ないんだ」

渦木「ですが歩さんも大神ネットでイーエスのことを調べたりしてますよね?それに私も一度ぐらいはネットで検索してますよ」
 

238: 矢橋P 24/11/14(木) 18:09:09 ID:usHN
歩「それは……これが理由だよ」ドン


亜利沙「ランプ?」

歩「中山先輩も開田くんも消されたのにアタシが消されて無い理由、茜出てきて!」


ぽわわ~ん


茜「うーん、まさかそんなに早く気付くなんて」

239: 矢橋P 24/11/14(木) 18:10:57 ID:usHN
渦木「……はあ?」

亜利沙「あわわ……」

歩「この子は茜。人の願いを叶える魔人なんだって」

茜「そうだよ。お二人ともよろしくっ!」


カクカクシカジカアイカネ?


亜利沙「亜利沙、理解が追いつきません」

渦木「私もです。まあしばらくホラー映画やファンタジー映画は観ないでしょうね。今起きている現実と比べてしまいますから」

茜「そーだよ。あんなフィクションより茜ちゃんの方が刺激的なんだよ」
 

240: 矢橋P 24/11/14(木) 18:14:37 ID:usHN

亜利沙「でも……歩さん、願いを叶えないと……その、死んでしまうんですよね。何も思わないですか?」

歩「アタシも最初は愚痴りたくなったよ。でもアタシが消されてないのは茜のおかげだと思うんだ。そうでしょ?」

茜「正確にはマイハマンの願いのおかげだね」

茜「“謎を解いて二人を助ける“って願いが叶うまでは呪いによって消されることはないよっ!」

茜「マイハマンにかけた魔法は茜ちゃんとマイハマンの契約みたいなものなんだよ。こういう契約は対価に何を差し出すかによって強さが変わる」

茜「顔が無い女だかイーエスだか知らないけどマイハマンが命をかけた契約をぽっと出での亡霊に邪魔はさせないよ」ゴゴゴゴゴゴ

亜利沙「おお……」

241: 矢橋P 24/11/14(木) 18:17:08 ID:usHN

茜「それともう一つの願い。これは茜ちゃんにとっても予想外だったよ」

歩「もう一つの願いって“仲間が5人以上欲しい“って方かな?」

茜「そう、せっかく仲間が5人出来たのにそのうち一人をイーエスに消されて4人になっても困るでしょ?」

茜「だからマイハマンが仲間だと認めた人間も茜ちゃんのパワーによって呪い等の超常現象の被害に遭うことは無いってことだね」

亜利沙「あのカラオケボックスの時もそれで……」

茜「ちなみに茜ちゃんがいなかったらマイハマンは3回は消されているよ!良かったね~、さあ茜ちゃんを褒めたまえ」

歩「うん、ありがとう」ナデナデ

242: 矢橋P 24/11/14(木) 18:21:08 ID:usHN
イーエスだって……今は人をひっそり消してるだけだけど、いずれは大神にとって邪魔者をイーエスを使って次々と消していくのかもしれない」

渦木「そうなれば大神に立ち向かうことが誰にも出来なくなります。そうなる前に我々で何とかしないと……」
 

243: 矢橋P 24/11/14(木) 18:26:44 ID:usHN
>>242 修正

渦木「つまり……イーエスに消されないで調査出来るのは世界でも我々しかいないということですか」

茜「お~盛り上がってきたね~」

渦木「あまり喜んでいられないですよ。このままだと非常にまずいことになります」

渦木「大神ネットは今試験的に関東地方しか展開してないですが今年の末には全国展開すると発表されています」

亜利沙「な、そんなことになったらイーエスの被害は全国に広がります」

歩「イーエスだって今は人をひっそり消してるだけだけど、いずれは大神にとって邪魔者をイーエスを使って次々と消していくのかもしれない」

渦木「そうなれば誰も大神に立ち向かうことが出来なくなります。そうなる前に我々で何とかしないと……」
 

244: 矢橋P 24/11/14(木) 18:31:31 ID:usHN

亜利沙「ある程度は覚悟してましたが……まさかこんなビックネームが出て来るなんて」

渦木「おや、亜利沙さん怖じ気づいたんですか」

亜利沙「まさか!燃えてきましたよ。亜利沙の記者人生で一番のヤマになりそうですよ」

歩(頼もしいなぁ……この二人が仲間で良かったよ)

渦木「イーエスの正体は段々明らかになってきましたが……大神相手にこれからどうすればよいのか」

亜利沙「イーエスをどう止めればいいのかもわからないですぅ」

歩「うーん……」

245: 矢橋P 24/11/14(木) 18:33:37 ID:usHN


茜「皆さんお困りかな?なら茜ちゃんからアドバイス。さっきビデオカメラの映像に歌が聞こえてなかった?」

歩「あれってサッちゃんの歌だよね」

亜利沙「子供の頃流行りましたよね。実は怖い歌だって都市伝説」

茜「あれは“媒体“だよ。茜ちゃん達具現化された存在は元が必要なんだよ」

歩(茜も具現化現象なんだ……)

茜「茜ちゃんだって突然ぴょこんと草が生えるように生まれるわけじゃないんだよ?」

茜「何でも願いを叶えてくれる魔人が居たらなーって願いから茜ちゃんは生まれたんだ」

亜利沙「だとするとイーエスはどうやって生まれたんでしょうか」
 
 

246: 矢橋P 24/11/14(木) 18:35:49 ID:usHN

茜「昔、憶測で生まれた怪談が広がって人間の恐怖の感情が具現化して噂が本当になっちゃった。ってケースはあったけど……」

亜利沙「イーエスの場合は違うでしょうね。イーエスの噂をした時点で消されるんですから」

茜「そうだね。だからイーエスは普段はネットの世界にいる。そして”人を喰う”為に現実世界に具現化する際にサッちゃんの歌を媒体にして具現化するんじゃないかな」

渦木「サッちゃんの歌の都市伝説そのものがイーエスの存在理由ということですか?」

茜「いーや、イーエスの本体は別だと思うけど……あんな都市伝説を媒体にしているなんてイーエスの存在自体はやや不安定なのかも」

茜「ほら、サッちゃんの歌の中でサッちゃんが本名じゃなくてサチコだったって言ってるでしょ?そしてイーエスも人を喰う瞬間名前を聞いていた」
 

247: 矢橋P 24/11/14(木) 18:38:06 ID:usHN
歩「つまりイーエスにも本当の名前があって、それがイーエスの攻略の鍵なのかも知れないのか!」

茜「茜ちゃんの経験上の推測だけどね。そしてその本名はイーエスが生まれる要因となった人間の名前じゃないかな」

渦木「なるほど……我々の次目指すところはイーエスの本名探し、もといイーエスが生まれる要因となった人物探しですか」

亜利沙「そしてその人物に大神が干渉している。それを止めれば何とかなるかもしれません!」

歩「よし、みんなで手分けして探そうよ!」



ようやくイーエスの実態が見えてきた気がする
これも茜が協力してくれたからだ。後でプリンをたくさん買ってこないとね!

248: 矢橋P 24/11/14(木) 18:41:57 ID:usHN
第五幕終わり

サッちゃんの下り、ややこしくなってしまったかなぁ
実はここらへんを書いてたあたりは結末をはっきり決めてなくてあやふやだったりする
あと典子とひなたの絡みは書いてて楽しかった。このSSの存在理由の一つです

249: 矢橋P 24/11/14(木) 18:44:20 ID:usHN


第六幕 ジャジメント

 

250: 矢橋P 24/11/14(木) 18:46:33 ID:usHN
の前にプロフィール

宮尾美也  ???

突然歩に接触してきた謎の女性
自らをオカルトテクノロジーの申し子と名乗る
イーエスと何らかに関係していると思われるが……
 

251: 矢橋P 24/11/14(木) 18:48:27 ID:usHN

白石紬  ???

宮尾美也のお付き人
やや早とちりなところがある
その正体は……
 

252: 矢橋P 24/11/14(木) 20:03:04 ID:Ujp8

亜利沙に渦木さんに茜まで加えた4人で話し合った結果
イーエスに対抗するにはイーエスの本当の名前を解明することになったけど
全く手がかりが無いんだよね
どうすればイーエスの名前は分かるんだろう?

 

253: 矢橋P 24/11/14(木) 20:05:54 ID:Ujp8

5月21日 AM 9:00 アパート前





ひなた「それでねぇ、ヒマワリは発芽した後はそんなに水をあげなくていいんだよぉ。毎日あげるなら土を湿らすぐらいで大丈夫だべさ」

典子「そうだったの。今まで毎日たっぷりあげていましたが逆効果だったかもですね」

ひなた「水やりの水も水道から汲みたてだと冷たくて植物達もびっくりしちゃうからねぇ。出来れば水道から汲んだ後30分ぐらいは置いて常温にしてからあげた方がいいんだよぉ」

典子「なるほど。勉強になります」

ひなた「今は芽だけども、もうちょっと大きくなったら水に液肥も混ぜてみるかい」
 

254: 矢橋P 24/11/14(木) 20:07:53 ID:Ujp8









環「最近ひなたはのりこにべったりだぞー。ね、こぶん」

こぶん「にゃー」

255: 矢橋P 24/11/14(木) 20:10:20 ID:Ujp8

ガチャ



歩「みんな、グッドモーニング!あ、典子ちゃんは今日学校休みなんだね」

環「あゆむ!遊ぼ~」

歩「おや~?ははーん、ひなたを典子ちゃんに取られちゃったのかな。いいけど朱里とは遊ばないの?」

環「だってあかりは遊びやゲームとかすっごく弱いんだもの」

朱里「悪かったわね。そういうの不慣れなの」

256: 矢橋P 24/11/14(木) 20:14:35 ID:Ujp8

歩「まあまあ、これから得意になっていけばいいじゃないか」

環「それじゃせっかくだし体を動かす遊びをしよ!鬼ごっことかかくれんぼとか」

朱里「あまり目の届かないところまで行かないでよ。アパートの敷地内から出ちゃだめだからね」

歩(朱里もすっかり保護者だなぁ)

朱里「それじゃ、鬼ごっこでもしましょうか。あたしもリハビリがてら体を動かしたくなったわ」

環「くふふ~。いいけどたまき足速いぞ~」

歩(アタシも体力はある方だと思うけど環の元気に勝てるかな?)

朱里「鬼はあたしがやるわ」

朱里(さて、たまには訓練しないとね)

 

257: 矢橋P 24/11/14(木) 20:25:28 ID:Ujp8



朱里「ざっとこんなもんね」パンパン

環「あかりすごーい」ハァハァ

歩(アタシも環も朱里にあっさり捕まってしまった)ゼエゼエ

朱里「一応あたしサイボ-グだから」

朱里「……と言っても身体能力に大差はないわ。中学生でそれなら環も十分すごいけどね」

環「そうでもないぞ。たまきよりすごい人はいーっぱい、いるから」
 

258: 矢橋P 24/11/14(木) 20:28:00 ID:Ujp8

朱里「そう。それと環は動きが読みやすいわね。だから先読みされちゃうと簡単に対処されちゃうわけ」

環「そっか。あかりは強いんだね」

環「ねぇ、あかりは前に正義の味方をしていたんでしょ。もうやらないの?」

朱里「やらないわ。正義の味方はもうこりごり」

環「……どうして?」

朱里「現実を思い知ったからよ。あんた達も知ればそうなるわ。自分の無力さをね」

環「…………」

259: 矢橋P 24/11/14(木) 20:30:09 ID:Ujp8



こぶん「にゃーにゃー」スリスリ

環「あっ、おなかすいたの?今ごはん用意するぞ」

歩「すごいね。環は猫の気持ちがわかるんだ」

環「……ひびきに教えてもらったんだ」

歩(ひびき?)

環(カンタは元気かな。久しぶりにうみみやめぐみ、みんなに会いたいぞ……)

260: 矢橋P 24/11/14(木) 20:32:04 ID:Ujp8

典子父「やあ」スッ

歩「ひぃ」

朱里「?」

歩「みんな、ちょっとごめん」ダッ

朱里「歩は時々変な行動をするわね」

環「トイレかな?」


 

261: 矢橋P 24/11/14(木) 20:34:04 ID:Ujp8






歩「みんながいる中で突然現れないでよ。お父さんの姿はアタシしか見えないんだからさ」

典子父「あはは、すまないね。私も空気は読みたかったんだけどさ」

典子父「もう時間が無いみたいだから……」スッ…

歩「え、どうして……」

262: 矢橋P 24/11/14(木) 20:36:57 ID:Ujp8
典子父「ほら、私の幽霊になった未練って娘のことだったろ?娘が久しぶりに君達と楽しくふれあっているのを見ていたら安心してしまったからじゃないかな」

歩「でも……まだ早いよ……」

典子父「そうなんだよなぁ。ひなたちゃんとたまきちゃんって友人出来たのはいいけど三人ともまだ子供だしなあ……なんかあったら不安だよなぁ……」

典子父「でもその時は大人の君が何とかしてくれないか?頼むよ……」

歩「それは善処するけど……お父さんから典子ちゃんに何かないんですか」

典子父「私なりに娘に気付いてもらえるように色々やったんだけどだめだったなぁ……死人に口無しっていうしね」

典子父「君に伝言を伝えてもいいけど 『亡くなったお父さんから伝言を預かっているよ!』なんて言ってもかえって娘を傷付けるだけだろうし」

歩「確かに……」

263: 矢橋P 24/11/14(木) 20:51:56 ID:Ujp8

典子父「はは……。君、死んでもいいことないよ。長生きするんだよ」

歩「うん……お父さんのその気持ちアタシは忘れないよ。いつか典子ちゃんにも伝えるから」

典子父「嬉しいねぇ……。そうだ、怪奇現象を追っているんだって?君の部屋で話しているの聞いたよ」

歩「亜利沙と渦木さんとの会話聞いてたんですか!?」

典子父「たまたまね。それでヒントになるかはわからないけど私が幽霊になった直後、だから……半年前ぐらいかな。私以外にも幽霊になった少女と出会ったんだよ、どうやら幽霊同士なら会話出来るようだね」

264: 矢橋P 24/11/14(木) 21:02:04 ID:Ujp8

歩「そ、それって」

典子父「その娘は”桃子ちゃん、桃子ちゃん”ってずっと泣いていたんだよ」

典子父「どうやらその娘は車に轢かれて意識不明になって魂だけ肉体から抜けてしまったようだった」

典子父「どうしても……幽体離脱になるのかな、それから抜け出せなくて誰にも気付いてもらえなくて泣いてたんだよ」

歩「その娘の名前は!」

典子父「ごめん、聞いてなかったわ」

歩「だーっ、もう!」
 

265: 矢橋P 24/11/14(木) 21:07:30 ID:Ujp8
典子父「でも数日経ったら会えなくなって元に戻れたんだなって思っていたんだ。それから会えてないけどもしかしたら……」

歩「……サッちゃんの都市伝説は電車に轢かれて……だったね。もしかして何者かがその少女の幽霊に無理やりサッちゃんの歌を結びつけて化け物にしたのかもしれない」

典子父「君の追ってる事件の何かの手掛かりになってくれれば嬉しいね。それじゃそろそろかな」スゥゥゥ

歩「あ……」

典子父「盆ぐらいには戻って来たいけど無理なんだろうなぁ……それじゃ娘を頼んだよ」スゥゥゥ


歩「お父さん……」

歩「……みんなのところに戻ろう」

 

266: 矢橋P 24/11/14(木) 21:12:00 ID:Ujp8






環「あゆむ~。作業が終わったからひなたとのりこも一緒に遊んでくれるって!」

歩「うん……それは良かったね」

典子「歩さんどうかしたんですか?」

歩「……いや何でもないよ」
 

267: 矢橋P 24/11/14(木) 21:14:24 ID:Ujp8





PM 16:00 



歩「ふーっ、環達とたっぷり遊んだ。ダンスの練習より疲れたかも」

歩(でも楽しかったな。あれ、そう言えば茜は来なかったな。茜も参加すればよかったのに)

268: 矢橋P 24/11/14(木) 21:16:57 ID:Ujp8

ガチャ

歩「ただいまー」


悪魔「……」デデーン

歩「だ、誰!?」

茜の傍に居たのは人間じゃなさそうだった。
尖った耳
厳つい顔
紫色の皮膚
それはまるで物語に出てくる……

悪魔「おや、この人間は私の姿が見れるのですか。珍しい」

茜「もういいでしょ。ご主人も帰って来たし帰ってよ」

269: 矢橋P 24/11/14(木) 21:19:07 ID:Ujp8
歩「あ、茜の知り合い?」

悪魔「ごきげんよう人間。私はあなた達人間からは悪魔と呼ばれてますね」

歩(そのまんまだ。名前には固執してないのかな)

悪魔「あなたが今回の契約者ですか。私は彼の知り合いなんですよ。久しぶりに人間と契約したと聞いて様子を見に来ました」

悪魔「彼とは昔組んだこともありまして、まあ色んなことをやりましたよ」フフフ

歩「ど、どんなこと?」

悪魔「悪魔のやることなんて人間を破滅に導くこと以外に何があるというんです?
彼と組んだ時は三つの願いを歪曲させて……」

270: 矢橋P 24/11/14(木) 21:22:25 ID:Ujp8
茜「いい加減にしないと流石の茜ちゃんも怒るよ?」ゴゴゴ

悪魔「やれやれ、昔の貴方の方が好きでしたよ。それではおいとましますかね」スゥゥゥ

茜「べーっだ!マイハマン塩を撒くから持って来てよ!」

歩(幽霊に魔人ときて今度は悪魔か。ほんと何でもありだよね)

歩「茜みたいな魔人だと色んな友達がいるんだね」

茜「もう友達じゃないよあんな奴」プンプン
 

271: 矢橋P 24/11/14(木) 21:25:38 ID:Ujp8

歩「茜は昔はどんな姿だったの?」

茜「ギニャッ!?」

歩「答えたくないなら答えなくていいんだけどさ」

茜「うー、マイハマンは時々鋭いよね」

歩「だって何百年も生きてる魔人なのに姿が今風だしさ、あの悪魔も茜をずっと“彼“って呼んでたしね」

歩(あとプリンをねだってくるし)

茜「ご名答!茜ちゃんは今でこそ美少女だけど昔は違ったんだにゃー。この姿は前のご主人が考えてくれたものなんだ」

歩「へー、前のご主人はかわいいもの好きだったのかな?」

茜「でしょでしょ!気に入ったからずっとこの姿で行こうって思ってね!」

歩(前のご主人か……ちょっと気になるけど聞くのは野暮かな)


歩「そろそろ時間かな。今日は典子ちゃんが晩御飯に手料理をごちそうしてくれるんだって!楽しみだなぁ」

茜「いいね。茜ちゃんも貰おうかな~」


 



272: 矢橋P 24/11/14(木) 21:30:52 ID:Ujp8

茜に出会ってから色々なことを体験している
今日だって悪魔と出会うなんてめったにないことだ
ちっとも嬉しくはないのだけれどね
出会いがあるってことは別れもあるわけで、なんだかんだひっそり付き合った典子ちゃんのお父さんの別れは悲しいけど乗り越えないと






……今日がこれだけで終われば良かったんだけど

その日莉緒が……帰って来なかったんだ

273: 矢橋P 24/11/15(金) 18:57:27 ID:mmFl

8月23日 PM 19:00





歩(今日も莉緒は帰って来なかったな……)

歩(典子ちゃんのお父さんからイーエスの手がかりになる情報貰ったけど今はそれどころじゃないよね)

歩(とりあえず亜利沙と渦木さんに情報は伝えた、調査は二人に任せてアタシは環やひなたのそばに居よう)
 

274: 矢橋P 24/11/15(金) 18:59:05 ID:mmFl
バタン


ひなた「歩さん!環ちゃんが朱里さんが!」

歩「二人がどうしたの」

ひなた「二人が言い争いを始めちゃって。あたしじゃどうしたらよいかわからなくて……」

歩「わかった」


 

275: 矢橋P 24/11/15(金) 19:03:01 ID:mmFl


環「行く!たまき一人でも絶対行くぞ!」

朱里「やめなさい。どれだけ危険だか計り知れないわ」


ガチャ

歩「二人とも、何があったんだよ」

環「あゆむ!これを見て」

環が見せてくれたものは手紙と思われる紙に墨と筆で“助けたくば でんのーしてぃ開発地区深部 に来なさい“
と書いてあったんだ

276: 矢橋P 24/11/15(金) 19:05:47 ID:mmFl

歩「何これ……果たし状?」

環「いつの間にかポストの中に入ってたんだ」

朱里「どう考えても罠だとしか考えられないわ」

歩(どういうこと?何でこんな回りくどいことするの?)


環「助けたくば……って絶対莉緒のことだぞ。だから……」

朱里「あなた自分の立場わかってるの?あんた大神にもジャジメントにとっても都合の良い存在なのよ」

朱里「すぐに殺されるんならまだ幸せね。一回逃げ出しているんでしょ?多分死ぬより酷い目にあうわよ」
 

277: 矢橋P 24/11/15(金) 19:08:28 ID:mmFl

環「う……。でも……」

歩(環には悪いけど今回は朱里の言う通りだよ)

朱里「……わかったわ、一緒に行きましょう」

歩「えっ」

環「本当に!」


歩「ちょっと朱里そんなことしていいの!」

朱里「……ここで無理やり彼女を止めても無駄でしょうね。いずれあたし達の目を盗んで一人で行くだけだわ」ヒソヒソ

朱里「ならあたしの目の届くうちに本人にわからせた方がいいわ。あそこがいかに危険だってことを」ヒソヒソ

朱里「それで自分から諦めてもらう。……うまくいけばいいけど」



 

278: 矢橋P 24/11/15(金) 19:10:14 ID:mmFl


PM20:00 デンノーシティ 開発地区





歩「またここに来ることになるなんて……」

夜中だけどアタシ達はデンノーシティの開発地区に居た
立ち入り禁止の看板を乗り越えるのはこれで三度目だよ
ひなたちゃんは典子ちゃんやこぶんと一緒に留守番してもらってる
 

279: 矢橋P 24/11/15(金) 19:12:31 ID:mmFl

朱里「歩、あなたは来なくてもよかったのに。今からでも帰った方がいいわよ」

歩「大丈夫!危なくなったらすぐ逃げるから」

朱里「あなたも大概命知らずね」ハァ

環「たまきは味方は多い方がいいって思うぞ」

歩(だって、今回の件はおそらくアタシにも原因がある)

歩(この回りくどいやり方、ジャッジメントデパートで出会った三人組が関わっている可能性が高いんだもの)

 

280: 矢橋P 24/11/15(金) 19:15:02 ID:mmFl

前回朱里と大神のサイボ-グと邂逅したのは開発地区でも入り口の方だったみたいだ
朱里の先導の元、開発地区をどんどん進んで行くと……


歩(入り口の方は建設中の建物とかあったけど進んで行くとそれすら何も無いただの荒れ地じゃないじゃないか)

環「灯りも少なくって道もでこぼこだぞ」

朱里「ほら、よく見なさい」ユビサシ

281: 矢橋P 24/11/15(金) 19:17:06 ID:mmFl

歩「これは瓦礫だね。あっちは……まさか地面がえぐれた後なの!?」

朱里「ここは大神とジャジメントが戦争した跡地。元はここに大神の大きな工場が立つ予定だったの。そこにジャジメントがちょっかい出したのが裏の戦争の始まりだったわ」

朱里「どう?これで少しは敵の恐ろしさが……」

環「あそこ!明るいし怪しいぞ」ダダダッ


朱里「……」アゼン

歩「環は怖じ気づく様子が全く無いみたいだね」

朱里「あの子は今までどんな人生送ってきたのよ。行くわよ歩!」

歩「うん!」


 

282: 矢橋P 24/11/15(金) 21:13:21 ID:mmFl



環「あれ?明るいと思ったら人が光ってる……」

???「ん、ガキが何でこんなところにいるんだ。お前もジャジメントか?」

環「ジャジメント?たまきは違うぞ」

???「そうか、なら……」


ボンッ


???「オレの敵ってことだな」

環「!!」

283: 矢橋P 24/11/15(金) 21:15:30 ID:mmFl

歩「環ーー先走っちゃ駄目だよ」ダダダッ

???「他にもまだいたのか。先にその女からやるか」


\ボボーッ/


環「あゆむ大丈夫?」プスプス

歩「ア、アタシを庇って……」

歩(あの男が突然アタシに向かって炎を発射してきた!一瞬で変身した環が炎を受け止めてくれて助かったけど)

284: 矢橋P 24/11/15(金) 21:17:20 ID:mmFl

環「お兄さんどういうこと?今たまき達を攻撃したよね」

???「お前こそ頭沸いてるのか?ここは戦場だぜ、攻撃することのどこがおかしいんだ?」

環「どうやら戦うしかないようだねっ」ヒュン
 

285: 矢橋P 24/11/15(金) 21:19:04 ID:mmFl

バキィ


歩(変身した環はサイボーグですら倒せるんだ。あんなやつに負けるわけないよ)

???「やるじゃないか。だが……」

環「熱っ!?」

???「オレに肉弾戦で挑もうってのは無謀じゃないのか?」

環「く……」

286: 矢橋P 24/11/15(金) 21:21:34 ID:mmFl
歩(どうしたんだ……環が押され始めた。あいつ、動きが速いわけでもパワーがあるようにも見えないけど)



朱里「やるわね、ジャジメントの超能力者、コードネーム“パイロ”。能力はファイヤースターター(発火能力)だったかしら」

パイロ「へっ、ようやく話しが出来そうなやつが出てきたな」

パイロ「オレのファイヤースターターはそこら辺のパイロキネシスとは着火のスピードが段違い。加えて手の平から足の先まで体中どこでも着火可能。オレに触れるものはことごとくやけどするだけだ」

歩(だから環はうかつに攻撃出来ないのか!)

287: 矢橋P 24/11/15(金) 21:22:45 ID:mmFl

パイロ「って誰かと思えば負け犬ヒーロー共のサイボーグ浜野朱里じゃないか。まだこの町に居たんだな」

環「このっ」


ガシッ

環「あ、あかり!?」

朱里「いいから、このまま会話させてちょうだい」ヒソヒソ

288: 矢橋P 24/11/15(金) 21:24:09 ID:mmFl

パイロ「丁度いい、最近暴れてなくて退屈していたんだ。いっそ殺してしまうか。はぐれサイボーグと女とヒーローまがいのガキの三人くらいなんてことない」

パイロ「ジャジメント様がもみ消してくれるからな」

歩(え……、この町ってこんなヤバい奴らがゴロゴロいるの!?)
 

289: 矢橋P 24/11/15(金) 21:26:05 ID:mmFl

朱里「言うわね。下っ端が」

パイロ「なんだと」

朱里「あんた超能力者でもBランクでしょ。ジャジメントでも使いっ走りのくせに、雑魚ほどよく吠えると言うのは本当みたいね」


ブチッ

パイロ「言ったな!いいぜ、形も残らないくらいに焼き殺してや……」ゴーーーッ

290: 矢橋P 24/11/15(金) 21:27:14 ID:mmFl
チッ



\ドッカーーーン/



歩「うわーーっ」

291: 矢橋P 24/11/15(金) 21:28:54 ID:mmFl


パイロ「な……何が……」ボロボロ

朱里「トンネル・バスター。二液混合型のガス状爆薬、あたしサイボーグの装備の一つ」ケホケホ

朱里「あんたがペラペラ喋っているうちにあんたの周りに撒布させてもらったわ。着火はあんた自身でやってくれるし」

パイロ「自分が……巻き添えになるかも……しれないの……にか」

朱里「発火能力者のくせに知らないの?この手の爆風は基本的に真横より真上に行くものなのよ。まあそれでも無傷ってわけにはいかないけど」ケホケホ

292: 矢橋P 24/11/15(金) 21:31:00 ID:mmFl
環「あかり……ちょっとひどいぞ」プスプス


パイロ「こいつら……」バタン



朱里「馬鹿で助かったわ。歩は巻き込まれてない?環もごめんね」

歩「あはは……何とか」

環「君もとんでもないことするんだな」

\パッ/

環「でもあかりのおかげで勝てたぞ」

293: 矢橋P 24/11/15(金) 21:33:54 ID:mmFl
朱里「でもこれで分かったでしょ。ここは危険よ、もうこれに懲りたら……」

環「ねーねー。あかりの装備ははさっきの爆弾以外にもまだあるの?」

朱里「ちょっ、あなたまだ懲りないの!?」

朱里「それに……あたしはあなたを囮に使ったのだけど」

朱里「あたしも勝つためなら手段は選ばない方だからね」

294: 矢橋P 24/11/15(金) 21:36:17 ID:mmFl

環「ん、別にあいつを懲らしめるためのチームプレイでしょ。それにあいつに近づこうとした環を止めてくれたの知ってるぞ」

環「確かにここの悪者は環一人じゃ勝てないかもしれない。でもあかりと協力すれば勝てるかもしれないぞ」

環「ねぇ、もう一回、環と一緒に正義の味方やろうよ」

朱里「な……っ」ドキン

歩「朱里、環はもう折れないよ認めてあげたら」
 

295: 矢橋P 24/11/15(金) 21:37:44 ID:mmFl

朱里「……パイロがジャジメントでも下っ端だってのは本当よ」

朱里「パイロを倒したぐらいじゃ、いい気分にもなれないわ。ボロボロになっちゃったし今日は帰るわよ」

環「くふふ、はーい」ニコニコ

歩(朱里も純粋な環に押されて反論出来ずか)

歩(……でも、ここはデンノーシティの郊外だけどこんな裏の世界があるだなんて……)


 

296: 矢橋P 24/11/15(金) 21:38:50 ID:mmFl







朱里(……少し妙ね。パイロは戦闘要員じゃない、内部破壊工作員なはず)

朱里(でもさっき見た時は環の動きにある程度対応出来ていた。トンネル・バスターの爆発をもろに受けても死ななかったみたいだし、彼あそこまで強かったかしら)

朱里(薬によるドーピング?いずれにせよジャッジメントも対大神に向けて戦力を強化しているようね)
 

297: 矢橋P 24/11/15(金) 21:40:00 ID:mmFl

ジャジメントの恐ろしさはこんなもんじゃない。そう朱里は忠告してくれたけど……
アタシ達はそのことをその身でたっぷりと実感することになる
 

298: 矢橋P 24/11/15(金) 21:41:38 ID:mmFl

日本ジャジメント支部内




デスマス「うーん、この国も戦争以来ですね。あれから1年経ちましたか」

ババヤガン「わざわざヨーロッパからご苦労だなデスマス」

デスマス「おや、ババヤガンさんお久しぶり。ロシアに居たと思っていたのですがあなたも招集されたのですか。デイライトもヨーロッパで調整が終わったらこの国に来るみたいですよ」
 

299: 矢橋P 24/11/15(金) 21:47:36 ID:mmFl

ババヤガン「そうか。天海春香は相変わらずこの国で政府の犬をやってるようだ」

デスマス「ああ……彼女は強かったですねぇ。早く我々の軍門に下って欲しいのですが」

ババヤガン「フン、私とお前にディライト、天海春香、そしてピースメーカーにあやつ。“世界で6人しかいない“Sランクの超能力者がこんな小さな国に集結するとはな。ジャジメントはまたこの国で戦争でも起こす気か?」

デスマス「いいじゃないですか。どうせなら世界中と戦争してしまいましょうよ。“我々“にはそれだけの力がありますからね」
 

300: 矢橋P 24/11/15(金) 21:52:08 ID:mmFl

ババヤガン「……冗談でもそんなことは言ってほしくないな。私は穏健派なんだ」

デスマス「おや失礼。ですが私達が呼ばれた理由は十中八九……」

ババヤガン「大神絡みだろうな」

 

301: 矢橋P 24/11/15(金) 21:56:02 ID:mmFl
第六幕終わり

遂にデスマスが登場しましたが原作と少々異なります。主に朱里絡みで
原作のデスマスと朱里のストーリーが完璧過ぎるのであえてなぞらないようにしてます
あのストーリーは私ごときが手を加えてよいものとは思っていないので

302: 矢橋P 24/11/17(日) 06:39:14 ID:RpmX

矢橋美保   自称CEO

自分で事業を立ち上げ自らCEOを名乗っている
自分一人しかいない会社でCEOは大げさのような気もするが……
言動こそ軽いが幼少期は貧乏だったらしく事業を立ち上げるまでにかなり苦労している
 

303: 矢橋P 24/11/17(日) 06:59:10 ID:D5BZ
パイロ  発火能力者

ジャジメントに所属している超能力者。パイロとはジャジメントのコードネームで本名は漁火剛(いさりびつよし)
ジャジメントに所属している超能力者はコードネームが与えられており超能力者は基本それを名乗ることが多い
生まれた時から発火能力を持つ先天性の能力者で彼の発火能力は本人の感情の動きによって発現する
そのため上手くコントロールしないと感情が高まるだけで意図しなくとも能力が発現してしまう
そのことで悩んでいた時にジャジメントにスカウトされ誘惑に負けてしまった
彼の主な仕事は体一本で潜入し建物などを中から焼却する内部破壊である
能力の影響か彼自身はある程度の高温に耐性があり、ジャジメント特性の耐火服を常に着用していることで常に能力が使える状態にしている
 
 

304: 矢橋P 24/11/17(日) 07:01:38 ID:D5BZ

悪魔   人間の生んだ悪意

具現化によって生み出された存在であり茜とは知り合いらしい
願いを叶える茜とは正反対にみえるが性質は同じ
人間が他者への憎悪を無くさない限り彼の存在は消えることはない
自らの存在意義には興味は無く、悪魔というありきたりすぎる名前にも羞恥心が無いのもそのため
 

305: 矢橋P 24/11/17(日) 07:02:43 ID:D5BZ


第七幕 対峙

 

306: 矢橋P 24/11/17(日) 07:05:45 ID:D5BZ

5月24日 9:00 莉緒・環・ひなたの部屋





環「ごめんひなた、そろそろ許してほしいぞ」

ひなた「ふーんだべさ」ツーン

ひなた「環ちゃんはあたしより年上なのに夜遊びが大好きみたいだねぇ。今日も行ってくればいいべさ」フン


※このSSでの環とひなたの年齢
 環 15歳  ひなた 14歳

307: 矢橋P 24/11/17(日) 07:07:46 ID:D5BZ
環「ひなたを一人にして悪かったぞ」ウー

ひなた「別に、典子ちゃんといっしょに居たから一人じゃなかったべさ」ツーン

ひなた「典子ちゃんは学校の宿題やっててえらかったねぇ。環ちゃんも見習ってほしいべさ」


昨日はジャジメントの超能力者に絡まれたけど何とか無事に帰ってこれた
だけど昨日一人アパートに残されたひなたの心境は穏やかじゃないよね
帰ってからひなたちゃんは環ちゃんに対してむすっとしたままだ

308: 矢橋P 24/11/17(日) 07:09:46 ID:D5BZ

朱里(あたしが忠告するよりこの子の言葉の方が堪えるみたいね)ナルホド

歩「ま、まあそろそろ許してあげたら?環も莉緒を思ってのことみたいだしさ」


ひなた「……あたしもあの人達の怖さは身をもって知ってる」

ひなた「環ちゃんには関わってほしくないんだよぉ」

環「ひなた……心配させてごめん」

 

309: 矢橋P 24/11/17(日) 07:11:37 ID:D5BZ


朱里「…………」

歩(環とひなたの話し合いは落ち着いたけど空気湿っぽくなっちゃったまま……)

歩(莉緒も戻って来た訳じゃない。この子達の不安感がますますこの場の空気を暗然たるものにしているんだ)


歩「そうだ。アタシがアメリカに居た時の話しでもしょうか?」

朱里(歩、いくら話題転換にしてもそれは唐突過ぎるでしょ……)

ひなた「アメリカかい。あたしも一回だけ行ったことあるよぉ」

環「そうなの!」
 

310: 矢橋P 24/11/17(日) 07:13:21 ID:D5BZ
歩(意外だ。ひなたは海外旅行とかしなさそうな感じだけど)

歩「すごいじゃん。アメリカのどの辺に行ったの?ニューヨーク?ロサンゼルス?シカゴ?」


ひなた「…………んー」

ひなた「それがねぇ。その時のことあまりよく覚えてないんだわ」


歩(記憶があいまいなほど小さな時に行ったのかな)

歩(少し気になったけどひなたがもの悲しげに眼を伏せているからあまり触れないほうがよいよね)

311: 矢橋P 24/11/17(日) 07:15:12 ID:D5BZ


朱里「……気分転換にテレビでも見ましょうか」

ひなた「それなら……録画しておいたよぉ、“アイドルグランプリ“」

環「ほんと!」

ひなた「昨日の放送、環ちゃん達が飛び出していったから見逃したべさ?だから録画しておいたんさ」

環「ひなたありがとうー。さっそく見ようよ」ウキウキ

 

312: 矢橋P 24/11/17(日) 07:17:11 ID:D5BZ

アイドルグランプリ、通称アイグラは人気のテレビ番組だ
まだデビューしたてのアイドルや知名度がまだないアイドルが毎回複数選ばれて1対1で競い合う
今どき珍しいどこか昭和チックな雰囲気と夜の8:00というゴールデンタイムなのもあって子供から大人まで大人気番組になっている

環やひなたも大好きだし典子ちゃんも見てるんだって。茜のやつもその時間になったらテレビの前を独占するんだ
かく言うアタシだって欠かさず見てるよ!
 

313: 矢橋P 24/11/17(日) 07:19:01 ID:D5BZ

<本日のアイドルはスポーツアイドルグループ新幹少女からひかり

<お願いします

<続いてこないだの騒動もありましたが心機一転して登場だ~。セレブアイドルは崩さない!二階堂千鶴!

<皆様ごきげんよう。この場に呼ばれて光栄ですわ



環「今日のアイドルはひかりにちづるか~。くふふ、楽しみだぞ~」

やっぱりアイドルっていいよね。見ていて元気を貰えるから
憂鬱な空気も吹っ飛ばして
環やひなたもすっかりいつも通りに戻っちゃったよ
 

314: 矢橋P 24/11/17(日) 07:20:30 ID:D5BZ



<ピピピッ


歩「あっ、電話だ」

歩「はい、もしもし歩です」

歩「えっ、渦木さん本当ですか!」

315: 矢橋P 24/11/17(日) 07:26:17 ID:D5BZ
PM 13:00 車内



渦木「突然すみません歩さん。急な話しで」

歩「アタシは大丈夫だよ。イーエスの手がかりがわかったならじっとしていられないよ」


その午後アタシは亜利沙と渦木さんと一緒に車でとある場所に向かうことになった
 

316: 矢橋P 24/11/17(日) 07:29:18 ID:D5BZ

亜利沙「歩さんの情報のおかげですよ」

渦木「歩さんの言っていたこの1年の間に交通事故で意識不明になってしまった少女……調べてみましたら一人だけ該当しました」

歩「それがいま会いに行く“中谷育“ちゃんなんだね」

歩(育ちゃん……か)


渦木「その子がイーエスと関係があるのかどうかはまだ断定出来たわけではないですけどね」

歩「うん、でも何だか確信があるんだ」

亜利沙「亜利沙も怪しいと思ってます。調査によると育ちゃんは意識不明で入院している途中、市内のとある病院からこれから行くデンノー市内病院に移っています」

亜利沙「デンノー市内病院は大神の息がかかったところですからね」

歩「意識不明の女の子を突然転院させるなんておかしいよ。やっぱり何かあるって!」

317: 矢橋P 24/11/17(日) 07:30:48 ID:D5BZ

渦木「その仮説が本当なら……我々は敵の手のひらの中に行くわけですが」

亜利沙「大丈夫です。今回は助っ人を頼んでいますので」

渦木「それは頼もしい。ジャーナリスト仲間ですか?」

亜利沙「いえ、昔の戦友……みたいなものですよ」


 

318: 矢橋P 24/11/17(日) 07:32:19 ID:D5BZ

PM 13:30 デンノー市内病院



亜利沙「着きましたね」

渦木「確認したところ中谷育さんは特別病棟に入院しているようです。行きましょう、病院には事前に連絡していますので」

歩(ついに会える。……もしかしたらイーエスにも)グッ

歩「茜、行くよ」っランプ

茜「オッケー」モワワーン


 

319: 矢橋P 24/11/17(日) 07:34:01 ID:D5BZ



特別病棟   中谷育の病室



病院の中でも一際大きな病室。その中心に周囲に医療機器囲まれて中谷育ちゃんはベッドの上で寝ていた
心電図が規則正しい音を刻んでいることが育ちゃんがまだ生きていることを証明してくれている
だけどそれだけだ
その幼なくかわいらしい顔の瞼が開くことはない
食事も取ることも出来ないから点滴でかろうじて命を繋いでいる
医学的に言えば植物人間ということになるのだろうか
 

320: 矢橋P 24/11/17(日) 07:40:00 ID:RpmX

亜利沙「…………」

渦木「…………」


アタシ達はイーエスの手がかりを探りにここに来たはずだ
でも……
アタシも亜利沙も渦木さんも自分よりはるかに幼い育ちゃんの現状を目の当たりにして
ただ立ち尽くしていた

321: 矢橋P 24/11/17(日) 07:44:15 ID:RpmX


???「お姉さん達、誰?」



そんな戸惑うアタシ達に一人の女の子が話しかけてきた
歳も育ちゃんと同い年に見えるしお友達かな
 

322: 矢橋P 24/11/17(日) 07:46:05 ID:RpmX

???「育に何か用?」

歩「ア、アタシ達は別に怪しい人達じゃないよ」

亜利沙「そうです亜利沙達は捜査のために来たんです」

???「怪しい人達ってみんなそういうんだよね。あんまり育にまとまりつくなら看護師さん呼ぶよ!」

亜利沙「それは困ります!」

渦木(私もいち警察官ではなく一般人としてここに居ますしどうしましょうか……)
 

323: 矢橋P 24/11/17(日) 07:48:05 ID:RpmX

歩「……あ」

???「何?」

歩「もしかしてキミが桃子ちゃん?」

桃子「え……何で桃子の名前を知ってるの?」

歩(やっぱり。じゃあ典子ちゃんのお父さんが言っていた幽霊って……)
 

324: 矢橋P 24/11/17(日) 07:50:30 ID:RpmX


もういいよ 桃子ちゃん


桃子「ちょっと、育!?」


亜利沙「……っ」ビクビク

亜利沙(亜利沙アンテナが急に!?)



ズズズズズズズズズ


こんにちは


イーエス「何度か顔を合わせていたけどあいさつするのは初めてだよね」

桃子ちゃんが持っていたスマホの画面から黒い影が現れてアタシ達の前に姿を現した

歩「やっと会えたねイーエス!」

325: 矢橋P 24/11/17(日) 07:52:28 ID:RpmX
少女の形をした漆黒の影に怪しく光る眼が二つに大きく裂けた赤い口が一つ
久しぶりに会ったイーエスは開田くんを食べた時とその姿は変わっていなかった


イーエス「へーぇ、初めて会った時みたいに涙目で逃げ出さないんだ。成長したねお姉さん」

歩「……アタシだって成長するんだよ」


イーエス「それじゃ……」


いただきます
 

326: 矢橋P 24/11/17(日) 07:54:23 ID:RpmX

ズズズズズズズズズッ!


桃子「……っ」

亜利沙「ひぃっ!」ビクビク


イーエスの体から黒い腕が何本も現れアタシを捉えようと伸ばしてくる!
だけど


シュゥゥゥゥゥ……


イーエス「あらあら、おっかしーな?」

腕がアタシ達に触れた瞬間消滅した
茜のおかげだ

327: 矢橋P 24/11/17(日) 07:56:05 ID:RpmX

もわわ~ん


茜「全く、ご主人を馬鹿にする割にはそっちこそ成長してないんじゃないのかにゃ?」

イーエス「!」

歩「毎度助かるよ、茜」

渦木「未だに慣れませんね……」

亜利沙「た、助かりました~」
 

328: 矢橋P 24/11/17(日) 07:58:52 ID:RpmX
イーエス「……なるほど。ずっとわたしの食事をじゃましていたのはあなただったんだね」

茜「そうだよイーエスちゃん。生まれたてビギナーじゃあ何百年生きる大魔人茜ちゃんにはかなわないにゃ~」

イーエス「…………」


茜「んー、でも実体化するのにサッちゃんの歌は必要なくなったみたいだね。ちょっとは成長したのかな?」

イーエス「そうだよ。あれからだいぶ“人を食べて取り込んだ“からね」

イーエス「確かにわたしの力はあなたに及ばないみたいだね。でもおかしいなー?」

イーエス「何であなたはわたしに手を出さないのかな?もしかして出来ないの?」
 

329: 矢橋P 24/11/17(日) 08:00:55 ID:RpmX
茜「……マイハマンの願いはイーエスちゃんの謎を解いて友人を助けること。イーエスちゃんをやっつけることは茜ちゃんの仕事じゃないんだよ」

イーエス「人々の願いから生まれた魔人かぁ……。願いの範囲しか動けないの不便じゃない?とっても強いのにわたしより不自由なんだ、かわいそうだね~」

茜「茜ちゃん達みたいな存在は表に出しゃばっちゃいけないんだよ。この世界の主役はあくまで茜ちゃん達を生みだした人間なんだからさ」

茜「イーエスちゃんを倒すのは茜ちゃんじゃない。茜ちゃんのご主人、舞浜歩だよ」

歩「茜……」

イーエス「あははは!そうだね。それじゃ……」


 

330: 矢橋P 24/11/17(日) 08:02:38 ID:RpmX


桃子「もうやめて!!!」



イーエス「!」ピクッ

歩「桃子ちゃん?」
 

331: 矢橋P 24/11/17(日) 08:04:08 ID:RpmX

桃子「育はさ……どうしてそうなっちゃったの?」

桃子「桃子の知ってる育はそんな姿じゃなかった。そんな風に笑ったりしなかった」

桃子「育は……人を食べたりはしないよ……」




亜利沙「桃子ちゃん……」

332: 矢橋P 24/11/17(日) 08:06:12 ID:RpmX

イーエス「んーー。……もういいかな」

イーエス「桃子ちゃん、今までだましてごめんね。わたし中谷育じゃないんだ~」

桃子「え……育?」

イーエス「わたしはイーエス」

桃子「それは知ってる!でも本当は育なんでしょ」

イーエス「イーエスはイーエスだよ。中谷育じゃない」

桃子「だったら……育はどこ!どこに居るの!」

イーエス「天国で天使のように見守っているわけじゃないから心配しなくていいよ。中谷育はちゃんと居る」


イーエス「わたしの中に」
 

333: 矢橋P 24/11/17(日) 08:08:21 ID:RpmX

桃子「……そんな」

イーエス「あの子はわたしにとっては特別だから囲っておかないと。わたしはあの子の心から生まれたからね」



渦木「いったいどういうことですか」

茜「……具現化される感情は良い感情だけとは限らないってことだね」

334: 矢橋P 24/11/17(日) 08:10:38 ID:RpmX

歩「そうか、だからあんたの名前はイーエスなんだな」

イーエス「ん?」

歩「イー(育から生まれた)エス(自我)って意味なんでしょ」

イーエス「するど~い。お姉さん英語がわかるんだね」

歩「育ちゃんの苦しみや悲しみ。それらの負の感情が具現化したのがアンタなんだ!」

イーエス「大正解!すっご~い。お姉さん探偵になれるかもね」
 

335: 矢橋P 24/11/17(日) 08:12:17 ID:RpmX

桃子「そんな……」プルプル

イーエス「怖がらなくていいよ桃子ちゃん。これからはわたしが中谷育の代わりに……」ニタァ


桃子「嫌っ!」ポイッ



 

336: 矢橋P 24/11/17(日) 08:16:13 ID:RpmX
イーエスに詰め寄られた桃子ちゃんは思わず持っていたスマホを投げ捨てた
スマホから実体化しているイーエスも同じく投げ出される


イーエス「あらら」ボテッ

桃子「あなたは育じゃない!もう桃子の前に現れないで!」


ダダダッ


亜利沙「桃子ちゃん!」


スマホを放り投げたまま桃子ちゃんは部屋から出ていってしまった
イーエスを部屋に残したまま……

337: 矢橋P 24/11/17(日) 14:26:20 ID:RpmX

渦木「早々あなたのパートナーが解消されてしまったようですが」

イーエス「んーー。そんなことよりお姉さんわたしの正体にたどり着いたごほうびをあげるね」

歩「ご褒美?……なんのつもりだ」

イーエス「お姉さんの願いを叶えてあげるの。わたしが食べたお姉さんのお友達二人だっけ?返してあげる」

歩「なっ!?」

338: 矢橋P 24/11/17(日) 14:28:09 ID:RpmX

イーエス「謎も解けてお友達も帰ってきて、お姉さんの願いは叶ってめでたしめでたし~」

歩「……」


願ってもない話だ
実態がある程度掴めたといってもイーエスが人智を超えた化け物であるのも事実だ
争わずに済むならそれにこした事はない
そう前までは思ってしまっていたかもしれない


歩「……遠慮しとく。今日初めて会ってはっきりした。アタシはアンタを許せない」

歩「中山先輩も開田くんもアンタからのお情けなんかじゃなくアタシの手で救うさ、アンタをぶっ倒してね!」
 

339: 矢橋P 24/11/17(日) 14:31:16 ID:RpmX

イーエス「そっかぁ、仲良くなれると思ったんだけど仕方ないなぁ。それじゃあお姉さん達は敵ってことで全面対決だね!」

渦木「元よりそのつもりです」

亜利沙「亜利沙も同じです」


イーエス「ふふ、お姉さん達アニメみたいでかっこいいけど大丈夫?」

イーエス「もう知っているでしょ?わたしには大神が付いているってこと」

イーエス「わたし達とお姉さん達じゃネズミとライオンが戦うようなものだけど」

イーエス「今さら ごめん、ゆるして は無しだよ?」

歩「そんな風に油断しているとネズミがライオンをひっくり返すことになるよ」

イーエス「現実は童話のようにはいかないよ?……まあわたしが言っても説得力ないかぁ」


 

340: 矢橋P 24/11/17(日) 14:41:05 ID:D5BZ


甲斐「呼ばれて来てみれば……これはどういうことですかイーエス」


アタシ達が振り向くとすらっと高級そうなスーツを着こなした美人な大人の女性がいた
だけど一流の上層幹部なのだと見ただけですぐわかる存在感がある


イーエス「あ、来た来た。この人がわたしの“本当のパートナー“上守甲斐(かみもりかい)さん。大神のお偉いさんなんだよ」

渦木「なんと」
 

341: 矢橋P 24/11/17(日) 14:43:28 ID:D5BZ

ダン!!


甲斐「口を慎みなさいイーエス」

甲斐「その者達は大神の関係者ではないはず。私のことまでべらべらと……」

イーエス「えー、だってこう言っておけば甲斐さんはお姉さん達を始末せざるを得なくなるよね?」

歩「!!」

イーエス「困るよね。大神の幹部が失踪事件のげんきょうに会ってるところを一般人に見られて言いふらされたりしちゃったら」

歩(こいつ……)

342: 矢橋P 24/11/17(日) 14:45:24 ID:D5BZ


甲斐「…………」ピポピポ

甲斐「私です。始末する人間が三人います。直ちに出動しなさい」

亜利沙「そんな!」

歩「ぐっ……」


甲斐「場所は転送しておきます。あまり目立たず急ぎなさい」ピッ

甲斐「これで満足ですかイーエス」

イーエス「さっそく部下を手配したのかな?ふふ……出来る大人はお仕事早いね」


亜利沙「歩さん急いでこの場を離れましょう!ここに留まるのは危険です」

歩「っ……」キッ

歩「イーエス。またアンタに必ず会いに来るからな!」ダダダッ




 

343: 矢橋P 24/11/17(日) 14:47:26 ID:D5BZ






イーエス「桃子ちゃんは始末しないでよ?あの子は中谷育にとって大事な人みたいだから。あの子が死んじゃったらわたしにもどんな影響があるかわからないからね」

甲斐「その娘には監視をつけてあります。何かあればそれなりの対処させてもらいますが」

イーエス「……ところであの三人、甲斐さんが直接始末した方が早いんじゃなかったの?」

イーエス「大神のサイボーグの中じゃ甲斐さんが“一番強い“んでしょ?」

甲斐「私は忙しいのです。私が直接出る必要は無いでしょう」

イーエス「ふーん」

甲斐(まるで精神が子供……。子供の心から生まれたのですから当然ですか)

甲斐(全く、たちが悪いですね)

甲斐「さあ帰りますよイーエス」ヒョイ

イーエス「はーい」スウッ


 

344: 矢橋P 24/11/17(日) 14:51:22 ID:D5BZ


駐車場



歩「ここまでは何とか無事に来れた」ハアハア

渦木「亜利沙さん帰りの運転はお願いします」バタン

亜利沙「わかりました」バタン

歩「でもこれから何処に逃げるの?」バタン

亜利沙「ひとまずあるところに向かいます。発進しますよ」ブロロ

歩「あるところって……」

亜利沙「本格的に大神に目を付けられた今デンノーシティ内で安全なところは存在しません。といって今から町から脱出するのも無理でしょう」

歩「そんな、じゃあどうするのさ!」
 

345: 矢橋P 24/11/17(日) 14:54:49 ID:D5BZ

渦木「……おや、言ったそばから来たようですよ」


アタシが慌てて振り向くとやたらごついハイエースがアタシ達を追いかけてる!


渦木「あれから20分も経っていないはずですが……この迅速さは我々警察も見習わなければ」

歩「渦木さん冗談言ってる場合じゃないよ」

渦木「歩さん落ち着いて」チャキ

渦木さんはそう言って拳銃を取り出した

渦木「この距離ならギリギリ行けますか」

グッ  バキューン!

そして助手席から窓に身を乗り出した一瞬で発砲し後ろのハイエースの右前輪のタイヤを一発で撃ち抜いた!
 

346: 矢橋P 24/11/17(日) 14:58:01 ID:D5BZ

歩「すごい……。渦木さんが射撃の名手って話しだったけど……」

渦木「あれは先兵部隊なものです。あれで焦っては身が持ちませんよ」


右前輪がパンクしたハイエースは右カーブを描き急ブレーキで止まらずをえなかった
幸い周りに他の車はいなかったけど……


渦木「市民の安全身でありながら事故を誘発させなければならないとは、心苦しいですね」

亜利沙「……仕方ないですよ」

渦木「これが通用するのもお相手さんが様子を見ているうちです。亜利沙さんある場所とは?」

亜利沙「こんな時のためにとある場所を押さえてあったんです。そこで迎え撃ちます!」ピッピッピッ

歩(こんな時に運転しながら電話?)

亜利沙「亜利沙です。今からお客さんをたくさん連れていきますのでお願いします」ピッ

歩「亜利沙今電話した相手って……」

亜利沙「初めに言っていた助っ人ですよ」



 

347: 矢橋P 24/11/17(日) 15:01:35 ID:D5BZ


15:00 デンノーシティのとある倉庫



亜利沙「着きました、この倉庫です」

亜利沙の運転で連れてこられたのはデンノーシティ内にあるとある倉庫だ
でもこの倉庫、廃倉庫ってわけじゃなく普通に稼動している倉庫だけど

亜利沙「稼動はしてますがここから入れます。ここの電子ロックはすでに亜利沙の助っ人がハッキングしてロック解除してますから」ガチャ

歩「ハッキングって……」

渦木「今日の私は警察官ではないつもりなので言及はしないでおきます」
 

348: 矢橋P 24/11/17(日) 15:08:47 ID:D5BZ





亜利沙「ひとまず奥に隠れましょう」

亜利沙「今日は搬入はないはずなので中に人はいないはずです。今日が祝日で助かりました」

歩「そうか、大神とは全く関わりのない大企業の倉庫の中なら奴らもむやみに騒げないよね!」

渦木「……大神はそんなに甘くはないと思いますよ」
 

349: 矢橋P 24/11/17(日) 15:11:26 ID:D5BZ
キキーッ



歩「何の音!?」

渦木「おそらく入り口に大型トレーラーでも横付けしたのでしょう。それなりの大部隊が来たのかもしれませんね」

歩「で、でもこの倉庫まだ稼動しているわけだから下手なことしたらセキュリティが働いて……」

亜利沙「……歩さん渦木さん、お持ちのスマホの調子どうですか?」

歩「スマホ?……って全く通信出来なくなってる!」

渦木「妨害電波かはたまた近くのモデムを止められたか。この町の通信源はほとんど大神ネットですからね、このくらいはやって来るでしょう」

歩「これじゃセキュリティも働かない……電話で助けも呼ぶことも出来ない……」



 

350: 矢橋P 24/11/17(日) 15:13:32 ID:D5BZ

瑞希「落ち着いてください舞浜さん」ポン

歩「え、あれ……」

瑞希「では私の手品でも見て心を落ち着かせて……手品の道具は置いてきたんでした。……失敗だぞ瑞希」

渦木「あなたが……」

亜利沙「瑞希さん!来てくれてありがとうございます」

瑞希「自己紹介は後にします。相手も目立つことは望むところではないでしょうし短期決戦で仕掛けてくるでしょう」
 

351: 矢橋P 24/11/17(日) 15:15:41 ID:D5BZ

ドン!


瑞希「お喋りはここまでにしましょうか。みなさんは奥に下がってください」

歩「え……君一人で」

渦木「私も援護したいのですが……」

瑞希「拳銃は使わないでください。後で倉庫から弾丸や弾痕が出て来たら面倒なことになりますから。それに……」

瑞希「心配は無用です。私一人じゃありませんので」


 

352: 矢橋P 24/11/17(日) 15:20:22 ID:D5BZ




大神サイボーグA「…………」

大神サイボーグB「…………」

大神サイボーグC「…………」

大神サイボーグD「…………」


サイボーグA(面倒な任務だな。三人始末するのに目立たずかつ迅速にとは)

サイボーグA(屋外なら銃器も使えたんだが……)

サイボーグA(後始末のことも考えてひとまず押さえつけたら建物から引きずり出すか)
 

353: 矢橋P 24/11/17(日) 15:25:13 ID:D5BZ

サイボーグB「うげっ」ビリビリ


サイボーグA「どうした」

瑞希「サイボーグ用スタンガン……初めて試しましたが有効のようですね」


サイボーグA「第二世代サイボーグの真壁瑞希か」

サイボーグC「……」チャキ

サイボーグA「我々の標的は君ではない。お互い不干渉にしないか」

瑞希「それは乗れない提案ですね。私の大事な後輩のためにもあなた方を通しません」
 

354: 矢橋P 24/11/17(日) 15:29:45 ID:D5BZ
サイボーグA「そうか残念だ」サッ



サイボーグC「…………」スッ

サイボーグD「…………」スッ

サイボーグE「…………」スッ


瑞希「……わぉ」

サイボーグA「君は戦闘用サイボーグではなかったな」

サイボーグA「先ほどは不意を突かれたが我々第三世代戦闘用サイボーグなら君を始末するのに一人でも充分」
 

355: 矢橋P 24/11/17(日) 15:31:49 ID:D5BZ
サイボーグA「だが容赦するな。やれ」

サイボーグC「…………」ダッ




バチッ


サイボーグC「…………」バタン

356: 矢橋P 24/11/17(日) 15:33:19 ID:D5BZ
サイボーグA「!!」

サイボーグA「次っ」


サイボーグD「…………」ダッ




バチッ

サイボーグD「…………」バタン

357: 矢橋P 24/11/17(日) 15:34:20 ID:D5BZ

サイボーグA「なっ」


瑞希「最新のサイボーグなのに頭の情報は古いようですね」

瑞希「私はあれから改めて戦闘用に改造し直して貰ったんです」

瑞希(灰原さんと対峙した時もマゼンタと戦った時もあの子達に助けて貰ってばかり。もうあのようなことは二度と……)
 

358: 矢橋P 24/11/17(日) 15:41:20 ID:D5BZ
サイボーグA「だが、それでようやく我々と五分だ」



バチッ バチッ


サイボーグE「…………」バタン

サイボーグF「…………」バタン


サイボーグA(なのに何故こうも簡単にあしらわれる)


瑞希「サイボーグの先輩としてアドバイスしておきます。どんなに肉体を改造しても経験だけはインプット出来ないんですよ」フウ
 

359: 矢橋P 24/11/17(日) 15:43:40 ID:D5BZ
サイボーグA「…………」チッ



のり子「おっと、後ろに控えていたやつらはあたしが倒したよ」

瑞希「……あまり無茶しないでください。福田さんはプロレスラーなんですから、体を大切にしてください」

のり子「平気平気!頑張ってる亜利沙のためだもん」
 

360: 矢橋P 24/11/17(日) 15:46:45 ID:D5BZ
サイボーグA(何だこいつらは。こんなの情報に無いぞ)


瑞希「……さて、私も福田さんもまだまだやれますが」

瑞希「これ以上争ってもそちらも処理に困るのではないでしょうか」





サイボーグA「…………」

サイボーグA「……一度出直すとしよう」


ササッ
 

361: 矢橋P 24/11/17(日) 15:51:31 ID:D5BZ







瑞希「お客さんは退却したようです。ひとまず安心でしょう」

歩「助かった~」ヘナヘナ

渦木「たった三人の一般人を始末しようとして失敗したんです。今頃大神の上部も大慌てでしょうね」

渦木「とにかく助かりましたありがとうございます」ペコリ

歩「ありがとう、命の恩人だよ」ペコリ

瑞希「いえ、みなさん無事で何よりです」

のり子「また危なくなったらいつでも呼んでよ」

亜利沙「のり子さんは仕事もあるのに無理しないでくださいよぅ」
 

362: 矢橋P 24/11/17(日) 15:54:22 ID:D5BZ
可憐「もう出てきて大丈夫でしょうか……」オドオド

亜利沙「可憐ちゃんも来てくれていたんですか」

可憐「大学も落ち着いて、ちょうど予定が空いてたから……」

のり子「可憐も頑張ったんだよ。アタシだってサイボーグ相手にまともにやり合ったら分が悪いからね」

のり子「可憐に敵の位置教えてもらってさ。先制攻撃出来たから勝てたかな」

瑞希「私の方もです。建物内で武器を使わせず白兵戦に持ち込めたから何とか撃退出来たんです」

瑞希「おそらく相手は実力を半分も出せてないでしょう」


……………………………………

363: 矢橋P 24/11/17(日) 15:57:34 ID:D5BZ

歩「ギリギリだったんだね」

瑞希「どんな相手でもやり方次第でやりようがあるってことです。それより今後のことを考えないと、私や福田さんもずっと傍に居れないですから」

渦木「そうですね。確か亜利沙さんはビジネスホテル通いでしたね。もうホテルには戻らない方がよいでしょう」

渦木「もう大神の手が回っている可能性がありますから」

亜利沙「うー。そうなると今晩どうしましょう。困りましたぁ……」

歩「あ、それなら……」





 

364: 矢橋P 24/11/17(日) 16:00:17 ID:D5BZ





365: 矢橋P 24/11/17(日) 16:18:44 ID:D5BZ


甲斐「……そうですか」

甲斐「その件は私の方で考えます。指示があるまで待機しなさい」ピッ


イーエス「あらあら……お顔のしわがよっちゃってるけどどうなったの?失敗しちゃった?」

甲斐「どうやら彼らはただ者ではなかったようですね」フー

イーエス「だから甲斐さんが直接行けばよかったのに」クスクス
 

366: 矢橋P 24/11/17(日) 16:19:52 ID:D5BZ

イーエス「それじゃ自分のことは自分で始末つけようかな」

イーエス「わたしならこの町の監視カメラに全てアクセス出来るしその気になれば軌道衛星だって……」

甲斐「余計な動きは控えなさい。あなたの存在を知る者を排除しているのにあなたが目立つ行動しては本末転倒でしょうが」

イーエス「んー、それもそうだね」


甲斐「あの者の始末はあの方々に任せましょう。彼らのちょうどいいガス抜きになります」

イーエス「えーー、わたしあの人達きらい」

甲斐「話しは私の方で通しておきます。あなたは自分の仕事をしなさい」



 

367: 矢橋P 24/11/17(日) 16:22:29 ID:D5BZ



PM 19:00 歩の部屋





亜利沙「おじゃまします」

歩「アタシの部屋に来るの二回目なんだしかしこまらなくてもいいよ」

可憐「し、失礼します」オドオド

歩「あ、可憐は初めてだったよね。ごめんね」

可憐「い、いえ。人見知りを卒業したいと思っているんですけど……」

亜利沙「大丈夫ですよ可憐ちゃん。高校の頃よりは大分良くなってますから!」
 

368: 矢橋P 24/11/17(日) 16:24:46 ID:D5BZ

あの後大神からの追っ手が来る前に素早く撤退した
……のはいいんだけど瑞希ものり子もずっとアタシ達に付き添うわけにもいかず……

ひとまず亜利沙を連れてアタシのアパートに帰ってきた
このアパートは大神関係者は居ないし何より“大神ネット“が接続されてない
イーエスが大神ネットを介入していると気付いた日からアタシはこのアパートにも設置していた大神ネットルーターを停止させて今は別の通信回路にしてあるんだ
多分この町で大神ネットが及ばないのはここだけだろう
渦木さんは警察署内に泊まると言ってた
彼らもそこならそう簡単に手を出せないだろう

それと一つ
亜利沙の友人、可憐が残ってくれることになったんだ
 

369: 矢橋P 24/11/17(日) 16:26:49 ID:D5BZ

歩(可憐に茜のことを教えて大丈夫かな?)



もわわわ~ん



茜「遅かれ早かれなら早い方がいいよっ」

歩「い、いきなり!」
 

370: 矢橋P 24/11/17(日) 16:28:42 ID:D5BZ

可憐「……」

歩「あ、意外に大丈夫なんだ」

可憐「いえ、歩さんの傍に何らかの存在が居ることは何となくわかってましたから」

茜「ニャッ!?」

可憐「その正体がわかって逆にすっきりしました」

亜利沙「可憐ちゃんは五感がすごいんですよ」

茜「いやー。茜ちゃんも何百年生きてきたけど事前に察知されたのは初めてかな」
 

371: 矢橋P 24/11/17(日) 16:31:56 ID:D5BZ
カクカクシカジカチイサナコイノアシオト



可憐「そうだったんですね……」

歩(この子全く動じてないよ。亜利沙も環も何を経験してきたんだろう……)

可憐「その……歩さん達が追っているイーエスって子は育ちゃんの心から生まれた幽霊みたいなものなんですね」

歩「幽霊というか悪霊というか電子生命体というか……」

茜「負の感情が具現化された存在ってところだね」

茜「でもそんな切り抜かれたようにに感情が具現化するなんて本来はありえないんだけどなー」

亜利沙「亜利沙に心あたりが一つあります。心の深層を無理やり引きずり出すことが出来る人間が一人だけ……」

可憐「それって……」

亜利沙(……南米の魔女ルチア。あの事件から消息不明だったはずでしたが)
 

372: 矢橋P 24/11/17(日) 16:33:51 ID:D5BZ

歩「ねえ、茜」

茜「むっ、なんだい」

歩「どうしたら……イーエスを退治出来るかな」

茜「ストレートど真ん中剛直球な質問だね」

茜「まあそこをはっきりさせないまま、あれこれ言ってもしょうがないかにゃ」
 

373: 矢橋P 24/11/17(日) 16:35:30 ID:D5BZ

茜「まずイーエスは生命体じゃないから殺す事は出来ない。そもそも実体が無い」

茜「こういうのは願いの元を絶つのが定石なんだけど……」

茜「イーエスは願いの元の育ちゃんを自ら取り込んで一部にしている」

歩「それじゃ手足も出せないじゃないか」
 

374: 矢橋P 24/11/17(日) 16:37:35 ID:D5BZ

亜利沙「イーエスは電波に乗って移動するんですよね?電波の届かないところに誘導して動けないようにすればどうでしょう?」

茜「そうすれば封印することは出来るかもしれない。けどそれだと……」

茜「今までイーエスに食われた人達は帰って来ない」

亜利沙「あ……」

可憐「そんな……」

歩「それじゃどうしたら!」
 

375: 矢橋P 24/11/17(日) 16:39:27 ID:D5BZ

茜「だから最後の手段が一つある」

歩「え、あるの?」

なんだ、それを最初に言ってよ!
……って言いかけた言葉は茜のこれまでで一番真剣な表情で引っ込んだ

茜「これはマイハ……ご主人様しか出来ないことなんだけど」

歩「……アタシの魂でも差し出すの?」
 

376: 矢橋P 24/11/17(日) 16:43:00 ID:D5BZ

茜「……」首フリフリ

茜「茜ちゃん達、具現化された存在にとって約束や契約は絶対なんだ」

茜「ほら、物語でも悪魔と契約って欠かせないものでしょ。あれは茜ちゃん達にとっても同じ」

茜「ご主人様がイーエスに対して互いに大事なものを賭けて勝負する。そして勝つ」

茜「契約は絶対だからね。人間みたいに反故は出来ないよ。仲介に茜ちゃんも付くしそれは心配いらないよ」

亜利沙「それって……歩さんが命を賭けてイーエスと勝負するってことですか」

茜「……」コクリ

377: 矢橋P 24/11/17(日) 16:47:59 ID:D5BZ

茜「普通なら誰だって軽々しく命を賭けて勝負なんかしない」

茜「ましてやイーエスなら勝負なんかしないで自分で実力行使に出た方が早い」

歩「でもアタシは茜に守られてイーエスからは手が出せない。ならアタシ達を始末するために勝負を受ける可能性も無くはないってことか」

茜「勝負に乗らせるよう追い詰める必要はあるけどね。ただ最大の問題は何で勝負するか」
 

378: 矢橋P 24/11/17(日) 16:48:59 ID:D5BZ

歩「……っ」

茜「こちら側が明らかに有利な種目なら相手も勝負を受けないだろうからね。契約する以上相手も勝負の内容に納得させないと」

茜「……それ以前にイーエスに勝てる種目を探す方も難しいね」

茜「茜ちゃんの見立てだとじゃんけんみたいな運否天賦でも多分イーエスが大分有利だと思う」

亜利沙「ええっ!」

茜「今日会ってわかったけどイーエスは確実に成長している。いずれ誰の手にも負えなくなるよ」


 

379: 矢橋P 24/11/17(日) 16:50:30 ID:D5BZ
茜が切り出した最後の方法はまるで堅牢な門のようだった
いや鉄壁の要塞みたいなものかもしれない

イーエスどころかアタシが他の人と勝負して勝てること、そんなのダンスしかない
でもダンス?
イーエスにダンスで勝負しょうって言って受けてくれるのだろうか
そもそもダンス勝負ってどうやって勝敗を決めるんだ?
チェスや将棋なら明確に白黒つく、ルールがあるからだ
でもダンスに厳格なルールなんてない
審査員に優劣を決めてもらうでもいいけど審査員なんてどこから呼ぶ?
最悪イーエスの息がかかった審査員を呼ばれかねない
 

380: 矢橋P 24/11/17(日) 18:10:13 ID:D5BZ

可憐「一体休憩しませんか歩さん」

茜「そうだね、結論を出すのは後にしよ?時間がない訳じゃないし。特訓パートを挟んだっていいんだからさ」

茜「何より茜ちゃんはお腹すいたにゃ~。マイハマンご飯だよ!ご飯!」

歩「前から思っていたんだけど茜はご飯食べなくても生きていけるでしょ。空腹とかどうなっているの?」

茜「それは茜ちゃんの気分によって変わるにゃ~」

 

381: 矢橋P 24/11/17(日) 18:11:37 ID:D5BZ
ガチャ



環「歩~。のりこがご飯作ってくれたって……あっ!お姉さん達だれ~?」

亜利沙「えーっと……環ちゃん!環ちゃんじゃないですか!」

環「あ……、思い出したぞ。ありさにかれんだよね。」

可憐「みんなで星を見に行った時以来だね」フフッ

歩「え、三人とも知り合いなの?」



イーエスのことはひとまず置いておこう
ここの生活がまた賑やかになりそうだ

382: 矢橋P 24/11/17(日) 18:17:32 ID:D5BZ
第七幕終わり

第六幕から第七幕の間でスランプがあったので書くまで3ヶ月ぐらい間が空いていました
1番の理由は決着の方法が思いつかなかったからですがそれが決まって
第七幕からいよいよ終わりまでの道筋が定まったと思います