75: ◆LFcKph6RSI 2016/06/30(木) 15:26:26.32 ID:xj56XTII0
『赤城の三連休』

赤城「お休みを貰ったのはいいけれど、どうしましょう」

執務室に寄った帰り際、呼び止められたかと思いきや急遽として三日間の休暇を頂いた。
提督の事だから私を慮って事なのでしょうけれど、正直お休みと言うモノがあまり実感できない。

駆逐艦の子達に限らず、鎮守府に席を置く多くの艦娘達は休暇の日を楽しみにしている。
けれど私はそうじゃない。休暇と言っても自室で勉学に励むか、あるいは自主訓練。

勿論、飲まず食わず寝ずに戦う事は出来ない。休養も重要な事であることは理解している。
だからこそ、お休みの日は何時もより少し長めに睡眠をとるし、間宮さんの酒保で甘い物も食べる。

それでもそれだけで、他の子達と違って鎮守府の外に出かけたり、お洒落な服を着たいともとくに思わない。

赤城「誰か、今お休み中の人に何か良い過ごし方は無いか聞いてみましょうか」

折角頂いた三日間、どうせなら有意義に使い、これを気に休日の過ごし方というのも勉強してみよう。
そうすれば、今回の様に提督自らが心を痛めて気遣って頂く必要もなくなる。

赤城「そうですね、↓2なら何か良い事を教えてくれるかもしませんね」


地の文いれるとこの様です
あと、この赤城さんが1人で休日過ごす姿がどうしても思いつきませんでした
↓2にそんな赤城さんにアドバイスをあげる艦娘お願いします。

78: ◆LFcKph6RSI 2016/06/30(木) 15:53:49.03 ID:xj56XTII0
蒼龍「で、休日の過ごし方を聞きに来た、と」

赤城「はい。お二人はよく外出していますし、何か良い方法は知らないかと思って」

飛龍「暗に遊んでるって思われてるような……って!蒼龍!ガルーラ使わないって言ったじゃん!」

蒼龍「メガガルーラ使わないとは言ってないも~ん」

飛龍「ぐぬぬぬ」

2人で仲良くゲームですか。こういうのも良いですけど、何分今までしたことありませんからね。

蒼龍「ていうか赤城さんって普段は休日何しているんですか?ギャアア!それはやめてぇええ」

赤城「普段ですか?そうですね、自室で次の海域に備えての勉強か、艦載機の動きの訓練ですかね」

飛龍「え?アレって休日だったんですか!てっきり待機中かと」

赤城「ええ、ですからお二人のように鎮守府の外に出たことは、ありませんね」

ガツン、とお二人が揃ってゲーム機を落とし、まるで私が姫級深海棲艦であるかのような表情で眺めてきます。
そんなに可笑しな事を言ったのでしょうか。

79: ◆LFcKph6RSI 2016/06/30(木) 16:09:47.89 ID:xj56XTII0
飛龍「え?じゃあ時折鎮守府で一日見かけないと思ったら部屋で勉強していて」

蒼龍「出撃待機中だと思った訓練はただの自主訓練ってことですか?」

赤城「はい。そうですけど」

我ながら華の無い生活だとは思っていますが、それでも私達は艦娘。
戦闘に支障が出ない程度に休養を取っていればそれで問題ないでしょう。

蒼龍「ダメですよ!そんなの!」

飛龍「そうですよ!私達は兵器だけどちゃんとした女の子なんですから!」

女の子、ですか……そんな風には考えたこともありませんでしたね。

蒼龍「飛龍。これは大問題だよ」

飛龍「そうだね。赤城さん!今日は徹底的に付き合ってもらいますよ」

赤城「此方こそ、是非お願いします」

80: ◆LFcKph6RSI 2016/06/30(木) 16:20:18.06 ID:xj56XTII0
蒼龍「でもどうする?赤城さんって、結局今まで休日らしい休日過ごした事ないんでしょ?」

赤城「そんな言い方はどうかと思いますが、けれどそうですね」

飛龍「ん~色々あるけれど、だとしたらまずは↓2に行きましょうよ」

どこか休日を過ごせる場所、鎮守府の外でも可
↓2

85: ◆LFcKph6RSI 2016/06/30(木) 16:45:53.65 ID:xj56XTII0
赤城「百貨店……ですか」

飛龍「そうです。美味しい物やお洒落な服、他にも面白い物いっぱいあるんですから!」

蒼龍「とか言いつつ飛龍ってば自分が楽しみたいだけでしょ」

飛龍「い、いいでしょ別に!ね、赤城さん。行きましょうよ!」

行った事はありませんが、どういうところかは知っています。
1人で行ってもどうせ戸惑うだけでしょうし、折角の機会ですから案内してもらいましょうか。

赤城「はい。宜しくお願いしますね」

飛龍「よーし!まずは↓2に行きましょう」

01~20:ご飯を食べる

21~40:ウィンドウショッピング

41~60:ブティック

61~80:ゲームを買う

81~99:アイドルショー

00:喫茶店で恋バナ

91: ◆LFcKph6RSI 2016/06/30(木) 17:13:10.70 ID:xj56XTII0
あれよあれよと手を引かれ、連れられた先は家電量販店、でしょうか。
鎮守府に居る時にもCMで名前を聞いていたところで、百貨店の1フロア全てを占めている規模。

ゲーム機の類を何一つ持っていないと言うと、信じられないと言われて結局このゲームコーナーに連れてこられた始末。
その心遣いは嬉しいのですが、こうも色んな種類があると果たして何がいいのやら。

飛龍「大丈夫ですよ!私達がちゃんと選びますから」

蒼龍「先ずは基本的な携帯機ですよね。VITAと3DS、あとは据え置き機も何種類か欲しいですね」

赤城「はぁ、まぁその辺りはお任せしますがん?」

ふと目に留まったのは艦載機、いえ、戦闘機が大きくパッケージに飾られたゲームのソフト。
私達が使うプロペラ機も勿論好きですが、やはり現代の航空機はまた一味違いますね。

蒼龍「ああ、それに目付けちゃいますか」

飛龍「最後にオススメしようと思ってたのになぁ」

お二人ともなんとも言えない半笑い。どうやら私がコレに興味をそそられることはお見通しだったようですね。

飛龍「実は今日此処に来たのは私達がコレを買う為でもあったんですよね」

蒼龍「新作。すっごい楽しみにしてたんですから。赤城さんも一緒にしましょ」

赤城「はい」

元々私としても興味がありましたし、嬉しそうな2人に勧められたこともあり、断る理由もなく購入を決意。
その後、冷却ファンだのキーボードだのボイチャマイクだの、2人に言われるがままに周辺設備もまとめて購入。

ソレだけでなく、ポケモン、ディスガイア、マインクラフト、とよくわからないまま色々薦められて購入し、正直ちょっと買いすぎたと思います。
ですが普段は全くと言って良いほど給金は使わず、折角の機会だという事で派手に全て揃えることにしました。

117: ◆LFcKph6RSI 2016/07/01(金) 20:36:38.96 ID:zHGhPmCI0
今までは縁もゆかりもなかった多数の機器を持って鎮守府に帰還。
早速遊んでみようかと思ったのですが、アカウント設定だのユーザー登録だの、少し面倒ですね。

飛龍「変な名前にしちゃダメですよ。その名前、オンラインで他の人から見れるし、後で変えられないんですから」

特にこだわりもありませんし、無難にAKAGIとでもしておきましょうか。

蒼龍「操作は習うより慣れろ、です。ボイスチャットにしておいたので、あとは三人で楽しみましょう」

私のゲーム機に問題が無い事を確認し、2人とも小走りで部屋に戻っていきました。
どうやらこのゲームを相当楽しみにしたようですね。せめて2人が落胆しないようにだけはしないと。

飛龍『赤城さーん。聞こえてますか?』

赤城「はい。上々です」

蒼龍『それじゃ、発艦!』


『ACECOMBAT』


118: ◆LFcKph6RSI 2016/07/01(金) 20:43:36.03 ID:zHGhPmCI0
赤城「あら……」

軽く説明は受けましたが、このゲームは艦載……戦闘機のパイロットになって空中戦を楽しむゲームらしいです。
そしてこの言葉通り、私の画面には無数の計器類と果てし無い大空、眼下の景色がとても小さく、そして凄い速度で消えていきます。

赤城「これは、やはり面白そうですね」

妖精さんの視界で索敵をする時と似てはいますけれど、あちらはプロペラ機で高度もそんなに高く無い。
対して此方の速度は優に音速を越え、成層圏すら飛び交う始末。

VRディスプレイとオーディオの演出も相まってまるで本当に飛んでいるみたいです。
ゲームだからと言って油断していましたが、これは凄い臨場感ですね。

蒼龍『一先ずは基本動作から練習していきましょうか』

119: ◆LFcKph6RSI 2016/07/01(金) 21:01:44.67 ID:zHGhPmCI0
暫くの練習の後、いよいよオンラインモードで対戦することになりました。
お二人曰く、有名なゲームなのでかなりの猛者も相当数いるとのこと。

赤城「慢心しているわけではありませんが、私達は艦娘で、そして空母です。遅れをとるわけにはまりません」

蒼龍『そうこなくっちゃ!』

飛龍『じゃあ3:3のマッチングで乱入待ちますね』

ほどなくして挑戦者がやってきたようで、いよいよ対戦開始。
手強そうですが、同じく空を制する者として、せめてお二人の足を引っ張るような事だけは気を付けなくては。

対戦結果
コンマで戦績判定
01が最弱で00に近いほど最強

蒼龍↓1

飛龍↓2

赤城↓3


128: ◆LFcKph6RSI 2016/07/01(金) 21:23:45.63 ID:zHGhPmCI0
赤城「この勝利に慢心してはダメ。索敵や戦線を大事に……」

二航戦『赤城さん、本当に素人ですか?』

頭の中、というより耳元でお二人の驚愕の声がします。

飛龍『あんな旋回在り得ないし』

蒼龍『ていうか赤城さん、明らかにオートエイムより早く正確に撃ってませんでした?』

赤城「おーとえいむ?あの丸いのは遅いですし、相手の機動を読んで弾を置いておいたほうが早いと思いますよ」

そもそも私達が普段使っている艦載機にはそんな便利な物ついていませんですしね。
慣れたらそちらの方が良いのかもしれませんが、今は自分の感覚と経験の方が明らかに頼りになります。

飛龍『駄目だ、この人火星人どころか地底人レベルのレイブンだ……』

蒼龍『置きスナならともかく置きサイドワインダーとか意味わかんないし……』

やはりこのゲームは面白いですね。

129: ◆LFcKph6RSI 2016/07/01(金) 21:28:18.29 ID:zHGhPmCI0
赤城さんのゲームハマり度コンマ

80以上で三日間ゲーム三昧
90以上で廃人ロードに入門

↓1

133: ◆LFcKph6RSI 2016/07/01(金) 21:36:38.99 ID:zHGhPmCI0
本当にこの赤城さんハイスペックですね

では赤城さんの休日は二日目に突入しますね

ということで二日目の予定を↓2でお願いします

136: ◆LFcKph6RSI 2016/07/01(金) 21:41:22.38 ID:zHGhPmCI0
赤城さんの休日
一日目

廃人技を繰り出すゲーム初心者

二日目

137: ◆LFcKph6RSI 2016/07/01(金) 21:58:52.82 ID:zHGhPmCI0
昨日は非常に楽しめました。
たかがゲームと侮っていましたが、これはいいですね。

それに、ゲームの戦闘機でやってみたストールターンやテールスライド。
あのあたりは実践でも応用できそうですね。

戦闘機ならではの機動力をもった動き、艦載機には出来ない動きが試せて面白いです。
昨日一日はゲームをして過ごしましたが、流石に何日もは出来ませんし。

赤城「そうですね、たまにはゆっくり甘い物も食べるのもいいですね」

休日を過ごす数少ない手段として、間宮さんの処で甘い物を食べていますけれど、たまには……ね。
鎮守府の外にも色々なお店が在ることは昨日の百貨店で軽く見て回りました。

けれどせっかく行くのに1人は物寂しいですし、誰か誘いたいですね。

赤城「今日お休みの人と言えば↓2でしたっけ」

一緒にスイーツ巡りする艦娘↓2

142: ◆LFcKph6RSI 2016/07/01(金) 22:15:15.72 ID:zHGhPmCI0
甘い物を食べる、という目標はあっても結局私は鎮守府の外には詳しくありません。
となれば鎮守府の外に詳しく、尚且つ甘い物に詳しい人、と言えばやはり鈴谷さんと熊野さんあたりでしょうか。

赤城「ですので一緒に行きませんか?」

鈴谷「別にいいけどさ、鈴谷今月チョーっち厳しいんだよね」

熊野「鈴谷、貴方ってば」

赤城「別に気にしませんよ」

誘ったのは私ですし、それに昨日そこそこ使ったとはいえ、給金はまだまだあります。
それになにより。

赤城「美味しい物は皆で食べた方が楽しいですよね」

鈴谷「やっり~赤城さん大好き!」

熊野「全く、貴女と来たら。それでは赤城さん。本日はこの熊野が、エレガントなスイーツをお勧めいたしますわ」

161: ◆LFcKph6RSI 2016/07/02(土) 22:45:52.76 ID:JaKHcRuD0
鈴谷「そんれじゃあさ熊野ん、せっかくだしあそこ行こうよ」

熊野「以前貴女がおっしゃっていた体験型スイーツカフェ、とやらですの?」

さっそくお二人が何を言っているのか分からなくなってきました。
甘い物を食べに行くのではないのでしょうか?

鈴谷さんは随分と乗り気なようですが、反面熊野さんは難色を示していますし。
体験型、と言うからには何かするのでしょうかね。

鈴谷「熊野んだっていい加減何か作れた方が良いって。前から料理習いたいって言ってたじゃん」

熊野「いきなりスイーツはハードルが高すぎませんこと?」

鈴谷「だいじょーぶだって。さてさて、突撃いたしましょう!」

赤城「どうしたのでしょうか?」

結局、行先も告げられないまま鈴谷さん1人で退出されてましたが、どうしたらよいのでしょうか?

熊野「諦めてくださいまし。ああなったらもう鈴谷は誰にも止められませんの。さ、ご案内いたしますわ」

そういうことなら、お願いしましょうか。

162: ◆LFcKph6RSI 2016/07/02(土) 23:01:03.22 ID:JaKHcRuD0
赤城「此処がその、体験型スイーツカフェ、ですか」

外観は洋風の、言ってしまえばよくある喫茶店。
確かに甘い物を取り扱ってはいそうな佇まいですが、果たして体験型とはいったい……

鈴谷「中に入って自分で見た方が早いじゃん!ほら、こんな感じ~」

赤城「えっと、これは……」

テレビでよく見るケーキ屋さんと同じく、店の奥にはガラスのショーウィンドウに並べられた美味しいそうなデザート。
ですが、室内の大半は展示スペースでもなければ、かといってテーブル席というわけでもなく。

赤城「調理場?」

鈴谷「そ。此処はさ、お店に並んであるスイーツを選ぶと、その作り方を教えてもらいながら自分で作るの」

鈴谷「んで、出来上がったら自分が作ったスイーツと、売ってるスイーツ両方が貰える、ってお店」

熊野「得意げに説明なさっていますが、貴女も初めていらしたのではなくて」

鈴谷「細かいことはいいじゃん」

164: ◆LFcKph6RSI 2016/07/02(土) 23:10:28.67 ID:JaKHcRuD0
自分で作る、ですか。面白そうですね。
作り方も学べるというのでしたら、今後の為にもなりますし、何よりその発想が素敵です。

鈴谷「でしょでしょ!自分で作ったヤツならきっと絶対美味しいって!それに、鎮守府に居ても本格スイーツが食べ放題になるじゃん!」

熊野「そう上手くいかないからこそ、プロの方がいるのでしてよ?」

鈴谷「それは熊野んだけだも~ん。鈴谷はバッチし作っちゃうもんね~」

熊野「安い挑発ですわね。ですが、受けて差し上げますわ」

なんだかんだ言って仲の良いお二人は早速何やら選んできたようですね。
料理の類は殆どしたことありませんが、私も↓2ならなんとかなるでしょうか。

スイーツの名前
コンマが01に近いほど難易度が高く、00に近づく程高難易度。

赤城
↓2

熊野
↓4

鈴谷
↓6

177: ◆LFcKph6RSI 2016/07/02(土) 23:21:17.26 ID:JaKHcRuD0
赤城さんがどらやき
難易度62

熊野がガトーショコラ
難易度98

鈴谷がフィナンシェ
難易度33

ですかな。もしかしてズレてたりしてます?

185: ◆LFcKph6RSI 2016/07/02(土) 23:37:31.43 ID:JaKHcRuD0
熊野「赤城さん。せっかく色んな物が有る中で、どうして間宮さんも取り扱っているどらやきなんですの?」

赤城「いえ、どうせなら食べ慣れた物の方が良いかと思って」

それに、折角の機会ですし普段、間宮さんがどれだけの重労働をなさっているのか、身をもって思い知るのもいいかと思います。

鈴谷「ていうか熊野んソレ大丈夫なの?なんか難しいそうだよ」

熊野「この熊野が作るスイーツですのよ!この程度雑作もなくて」

自信満々に胸を張る熊野さんはとても頼もしく見えます。鈴谷さんが少し心配そうな眼をしているのが気がかりですが……

鈴谷「うわぁ~盛大なフラグじゃん」

赤城「お二人の様な洋菓子もよかったんですけれどね。後で分け合いましょう」

鈴谷「赤城さんどらやきも楽しみにしてますよ~」


186: ◆LFcKph6RSI 2016/07/02(土) 23:58:26.22 ID:JaKHcRuD0
どら焼き。普段よく食べますが、実際に作るとなるとどうなんでしょう。

まずは小豆を茹でつつ、その間に粉を篩にかけてよく混ぜる。

熊野「ひゃぁあああああああ」

熊野さんの方から悲鳴が聞こえてきましたが、あちらは大丈夫でしょうか?

鈴谷「ほ~い次次~」

鈴谷さんの方は順調そうですね。
さて、私も頑張らないと。

スイーツの出来をコンマで判定
難易度を目標値にして、超えていればいるほどいい出来、下回っていればそれだけマズイ

赤城
↓1

熊野
↓2

鈴谷
↓3

199: ◆LFcKph6RSI 2016/07/03(日) 00:05:20.65 ID:3M2Nczc/0
赤城:どら焼き
62>61
-1

熊野:ガトーショコラ
98>39
-67

鈴谷:フィナンシェ
33<38
+5

213: ◆LFcKph6RSI 2016/07/03(日) 00:21:36.29 ID:3M2Nczc/0
鈴谷「赤城さ~ん。そっちはどう?」

赤城「上々ですよ」

全員のスイーツが出来上がり、私達が作った物と、お店に合った見本、合わせて6つのスイーツが並ぶお皿。
普段甘い物にそこまで熱中していないとはいえ、やはりこう並べられると壮観です。

鈴谷「あ~……いや、熊野んのは別の意味で壮観なんじゃいないかな~って」

熊野「なんかもう、いっぱいいっぱいでしたわ……」

見本と遜色なく、見事な焼き加減と色合い、香ばしくも甘い香りを放つ鈴谷さんのフィナンシェ。
それに引き換え、私のどら焼きは重ねる時に餡子が少しはみ出てしまい、修正はしましたが不格好ですね。

鈴谷「とかなんとか言って、フッツーに良い出来だし。どこかの誰かさんと違って」

その目線はそのまま熊野さんの前に盛り付けられた……黒い焦げた塊に。
一応、チョコレートの匂いこそしていますが、これはちょっと……

熊野「こ、こんなの、在り得ませんわ!」

214: ◆LFcKph6RSI 2016/07/03(日) 00:31:13.97 ID:3M2Nczc/0
熊野さんのガトーショコラが大破着底していますが、それでも全員の分が完成。
後は食べるだけです。私のどら焼きはどうなんでしょう、流石に気分が動揺します。

鈴谷「あ~やっぱり赤城さんのどら焼き美味し~」

熊野「む~コクがあって尚且つ上品な甘さと、しっとりなめらかな生地が絶妙ですわね」

赤城「あまり褒めないでください。プロの方と比べると、やはり見栄えが宜しくありません」

寧ろ、味こそ確かに自分でもよいと思える分、余計に悔しく思います。

鈴谷「そんなの食べたら一緒じゃん?」

熊野「でしたら鈴谷、わたくしのガトーショコラ、いかがかしら?」

鈴谷「う、あ……うん」

天使の様な悪魔の笑顔で熊野さんが差し出すお皿の上には、やはり贔屓目に見ても焦げたチョコレートしかありません。
流石の鈴谷さんもこれには強張って身を引いています。食べ物を粗末するのはいけませんが、いくらなんでもこれは……

鈴谷「そ、それよりさ!鈴谷のフィナンシェはどうよ?」

215: ◆LFcKph6RSI 2016/07/03(日) 00:39:25.97 ID:3M2Nczc/0
見た目から予想はしていましたが、鈴谷さんのフィナンシェは非常に美味しいです。

表面は焦がし砂糖で優しい甘さとパリパリとした歯触りから始まり。
一口噛めば今度は蜂蜜の甘さとふんわりと焼き上がった舌触りの良い生地。

目隠しして食べていたら、一体どちらが見本の物だったのか、判断が出来ないくらいの美味しさ。

鈴谷「鈴谷褒められて伸びるタイプなんです~。これからはヒマな時にでも作ろうかな」

熊野「わ、私のどうなるんですの!」

最早涙目にすらなっている熊野さんの肩にガシっと、慈愛に満ちた笑みを浮かべた鈴谷さんの手が優しくおかれ……

鈴谷「熊野……」

熊野「鈴谷」

鈴谷「当分1人で料理禁止だかんね」

熊野「あんまりですわ!」

放たれたのは残酷な通告。
ですが……ええ、これは、仕方ないですね。

216: ◆LFcKph6RSI 2016/07/03(日) 00:45:04.22 ID:3M2Nczc/0
鈴谷「ところでさ、赤城さん。今日はどうだった?鈴谷のしたいことに付き合わせちゃったんだけど」

赤城「私も楽しかったですよ。やはり間宮さんは凄い方だとわかりましたしね」

鈴谷「いや、赤城さんのも十分通用するレベルだったし」

熊野「うぅ~今にみていなさい。鈴谷!必ずや私、ガトーショコラを見事作ってみせますわ!」

鈴谷「はいはいもう分かったからさ~今日は帰るよ」

いじける熊野さんを揶揄いつつも宥めながらお二人の姿、やはり戦友というものは代えがたいものですね。
今度加賀さんと来てみましょうか。

鈴谷「そんじゃ赤城さん。今日はゴチになりました~」

赤城「いえこちらこそ、良い処に案内してくださってありがとうございました」

217: ◆LFcKph6RSI 2016/07/03(日) 00:46:26.04 ID:3M2Nczc/0
赤城さんの休日
一日目

廃人技を繰り出すゲーム初心者

二日目

本職ギリギリレベルのスイーツ自作

235: ◆LFcKph6RSI 2016/07/04(月) 22:35:50.10 ID:VBbsUhqK0
赤城「ん~良い朝ですね」

頂いたお休みもいよいよ今日で最後。
既に十分有意義に過ごせたとおもいますけれど、どうせなら最後まで満喫しましょう。

最初はゲーム、次はお菓子作り、どれも今までは考えもしなかった事。

赤城「さて、今日はそうですね……↓2とかですかね」

休日の過ごし方
↓2

240: ◆LFcKph6RSI 2016/07/04(月) 22:47:10.04 ID:VBbsUhqK0
赤城「そう言えば、お部屋が散らかっていますね」

この二日間、殆どずっと部屋に居ることなく、一日中遊んでいたせいか、少し気になります。
幸い今日は休日ですが、明日からはまた艦隊任務の日々。

赤城「良い機会です。掃除するついでに模様替えをしてみましょう」

普段とは違う事をする。この二日間で私も多少は変わった自覚があります。
普段なら掃除で済ますところですが、どうでせなら私の部屋。

これと言って装飾の無いシンプルな部屋も使い慣れていていいのですが、思い切って模様替えしてみましょう。

赤城「まずは掃除用具ですね。内装はあとで考えましょう」

コンマで赤城さんの汚部屋度合

01が一番綺麗00に近づく程汚部屋
なお、赤城さんは普段この部屋で寝ています

↓1

253: ◆LFcKph6RSI 2016/07/04(月) 22:56:14.81 ID:VBbsUhqK0
予想以上に部屋が綺麗で困惑中

あと、今回はお掃除とリフォームで終わりそうなので他の艦娘の出番はちょっとわかりません

そして現在のお部屋と模様替え予定のお部屋をそれぞれ安価で

現在のお部屋
↓2

模様替え予定のお部屋
↓4

270: ◆LFcKph6RSI 2016/07/04(月) 23:23:43.48 ID:VBbsUhqK0
お掃除の方は、二日間締め切っていた部屋の換気程度で終わらせ、さて模様替えです。
今の和風様式、井草の香りや障子の温もりも気に入ってはいますが、どうせなら思い切って変えましょう。

ここはそうですね、今まで以上に機能性を重視したお部屋にしてみましょう。

畳みを張り替え、床暖房のフローリングへ。
それに合わせて御布団の代わりにウォーターベット。

部屋に似合わなかったPCもデスクと組み合わせればいい感じ。
ついでにウォーターベットの水は支柱を通して床下から冷却器を通せばPCに水冷式冷却装置を付けれますね。

蒼龍さんと飛龍さん曰く、オンラインでFPSというゲームをするとPCが凄く熱くなるそうですが、これで安心です。

書物の類は大半を書庫に寄贈して、本当に必要な物はPDF化してHDDに保存すれば場所も取りませんよね。

元々あまり多くの物は持っていませんでしたし、こんな感じでしょうか。

273: ◆LFcKph6RSI 2016/07/04(月) 23:34:23.97 ID:VBbsUhqK0
最早元のお部屋は面影は微塵も残っていない大規模改装。
私1人ではとてもではありませんが出来ませんでしたが、流石は妖精さんの一言。

とはいえそれでもそれなりに時間は経っていますね。
お部屋なんてただ寝て、資料の作成や作戦を検討すれればそれでいいかと思っていました。

けれど、なんだかんだ言って新しいお部屋の試案。
機能性を持たせつつ、それでいて最低限の物で済ます、というある種矛盾した状況を満たす内装を考えるの楽しかったです。

アサノヒカリマーブシクテー

『赤城へ。
休日中に悪いが話がある。時間が出来たらで構わないから、執務室へきて欲しい』

提督からメールですか、ですが私用の方で送ってきた、ということは何か個人的なお話しなのでしょう。
丁度模様替えも終わったところですし、今から行ってみましょうか。

274: ◆LFcKph6RSI 2016/07/04(月) 23:42:40.89 ID:VBbsUhqK0
コンコン

提督「入ってくれー」

赤城「一航戦赤城、失礼します!」

提督「ああ、気を貼る必要はない。君は今非番だし、話す内容も別に大した事じゃない」

提督の言葉には偽り等なく、非常にフランクな様子で、どころか軍服すら着ていない有様。
上司が関わるとどうしても萎縮する、そんな考えから執務外ではご自分からは挨拶程度しか声をおかけにならない提督のこと。

秘所艦の電さんもおらず、私も提督も共に非番でありながら執務室で会う。
普段の提督の言動から考えるともはや異様とすら思える状況ですね。

275: ◆LFcKph6RSI 2016/07/04(月) 23:50:34.53 ID:VBbsUhqK0
提督「先ずは聞きたい。どうだった?この三日間、少しは楽しめたか?」

ああ、その事を聞くためにわざわざこうして……
たかが部下1人の事なんて、それこそ書類で管理すればいい物を、提督は本当に優しすぎますね。

赤城「大変有意義な三日間でした。貴重な休日をありがとうございます」

蒼龍さん、飛龍さんとのゲームでは今の時代の戦闘機を扱ったり、新しい動き方を試してみたりした。
鈴谷さん、熊野さんとはスイーツをただ食べるだけでなく、自分で作るという楽しみ方を教えてもらった。

今日にしても、このお休みの経験があったからこそ、模様替えをするなんて大胆な行動が出来た。

今までのただ愚直に戦闘の事だけを考えていた私とは違う、今は世の中には沢山の面白い事があると実感できた。

赤城「これからは戦闘だけでなく、もっと自分の事にも真剣になろうとかと思えるようになりました」

提督「よせって、そんな御大層な配慮があったわけじゃない。まぁ、お前が楽しめたならそれで何よりだよ」

276: ◆LFcKph6RSI 2016/07/05(火) 00:15:05.96 ID:7eWjyA/N0
提督「で、本題に入るとだな、今度鎮守府で鎮守府内演習を行う事になった」

鎮守府内演習。聞き慣れない単語ですが、察するに言葉通りの意味なのでしょう。

提督「まぁ、その通りだ、身内だからこそ遠慮ない行動、そして互いを熟慮した上での読み合い」

提督「少なからずお前達の為にもなるだろうし、対外的な演習では得られないものもあるだろう」

提督「お前にはその際の旗艦を務めて欲しいと思っている」

そんな大役の旗艦を私に、ですか……

提督「今までの活躍からお前なら適任だと判断した。ちなみに相手の旗艦は長門に頼むつもりでいる」

提督「とはいえ、これはまだ正式な上の命令じゃない。というより、俺達の結果を見て上が今後を判断する」

提督「だから、あくまでも俺のお願いだ。自分がその役に相応しくないと思うなら遠慮なく断ってくれて構わない」

私達が良い結果を出せれば、提督の評価も上がるでしょうし、他の艦隊の為にもなる。
そして相手の旗艦を務めるのは連合艦隊旗艦ビッグセブンの長門さん。

赤城「分かりました。私にも第一航空艦隊旗艦としての意地と誇りがあります」

赤城「ましてや相手が長門さんとあるならば、断る理由はありません。謹んで受けさせて頂きます」

提督「よかった。それじゃあ頼む!」

277: ◆LFcKph6RSI 2016/07/05(火) 00:23:54.67 ID:7eWjyA/N0
バタン

赤城「フフッ、提督ったら」

本題、だなんて言っちゃって。
私に旗艦を任せるという話、勿論咄嗟の事ではなかったのでしょうけれど。

私が執務室に入った時のあの表情。
以前の私なら気づかなかったでしょうし、気付こうとも思わなかったのでしょうね。

とても心配そうで、それでいて私の返事を聞いて安堵したようなあの表情。

あの人は私達以上に忙しい筈なのに、どうして私達の為に一番しなくていい無理をするのでしょうね。

赤城「……だからこそ、なんでしょうか」

ご自身が多くの艦娘達から慕われているのを、貴方はご存知ですか?
私だけでなく、他の人の事も、きちんと目を掛けてあげてくださいね。

赤城「さて、次のお休み日は……そうですね、どら焼きを食べながら一日ゲームでもしましょうか

278: ◆LFcKph6RSI 2016/07/05(火) 00:25:37.20 ID:7eWjyA/N0
赤城さんの休日
一日目

廃人技を繰り出すゲーム初心者

二日目

本職ギリギリレベルのスイーツ自作

三日目

お部屋の模様替えと鎮守府内演習旗艦の受諾

赤城さんの休日編


308: ◆LFcKph6RSI 2016/07/06(水) 23:06:46.51 ID:uB9xGurG0
スパイのあきつ丸

自分、揚陸艦あきつ丸であります。

艦娘として新たな生を授かったのでありますが、自分は海軍所属ではないのであります。
上陸舟艇母船、艦載機発着艦能力を持つと同時に、数多の揚陸教習部隊装備を整えた次世代艦。

という、斬新で奇抜な設計の元に生まれた自分でありましたが、言ってしまえば浮いていたのであります。
空母という特殊な状況での訓練をした事の無い生粋の陸軍のパイロット達はまともに着陸する事が出来ず、海でトンボ拾い。

連携をしない陸軍と海軍により、揚陸戦をする前に海路を自分でなんとかする事態。
当然、海上戦をまともにしたことも無く、対空兵装程度しか積んでいなかった自分達は惨敗。

艦載機格納庫はただの物置になり、揚陸部隊は土の代わりに海底を踏み、自分の前世は終わったのであります。
艦娘として新たに生まれた時、自分……私は喜んだ。

今度こそ、今度こそ活躍できると、けれどその希望はすぐに絶望に変わった。

申し訳程度の艦載機発着艦能力、戦闘を主眼に置かれていない以上、必然的に低い火力。
鈍足であり、その癖にその特異性から無駄飯くらい。

何もかも中途半端で、それ故にどうしようもなく扱いにくい性能。
餅は餅屋。結局、陸の船はどこにいても場違いの役立たず、それを実感させられた。

309: ◆LFcKph6RSI 2016/07/06(水) 23:18:24.59 ID:uB9xGurG0
そんな時、何処からか嗅ぎ付けたのか陸が声を掛けてきた。

自分たちの為に海軍の内情を探らないか、と。
全く、どこまで浅ましいのだろう。

深海棲艦という人類共通の敵に、国の垣根を超えた協力が行われているというのに。
にも拘らずやっている事は以前と変わりない。

極め付けに、与えられた任務は海軍の不祥事を暴き、自分達の優位性を保つ、というもの。
愚か過ぎて思わず顔が綻んだが、彼等は何を勘違いしたのか勝手に話を進めて行った。

それからというもの、惰性と前世の義理で密偵の真似事を続けてはいるけれど、一体何の役に立つのか。


常時陸軍口調は難しいのであります
きっと普段はこんなだろうという激しい妄想のあきつ丸です

310: ◆LFcKph6RSI 2016/07/06(水) 23:36:34.13 ID:uB9xGurG0
他の空母の方々の華々しい艦載機操作能力を羨み。
駆逐艦や軽巡方の高い対潜能力に圧倒され、今日の職務は終わりを告げる。

本日の最後の職務、最早日記を付けるかのように、日課となった艦娘達のあら捜し。
日中に見つけたそれを纏める作業。

陸はもっと有用な、あるいは提督の不始末を送ってこいと再三囀ってきている。
けれど私は揚陸艦だ、密偵するくらいなら烈風を飛ばす方がまだ上手い。

第一、一艦娘、しかも特殊な状況下でない限り使い道のないこのあきつ丸、提督殿とは会うだけで恐れ多い。
それにそもそも、鎮守府の長たるもののプライベートなんて分かる筈もない、ましてや不祥事なんて、ここの提督殿を見ている限りありそうにもない。

かといって今更陸に従わなければ、どうせこのまま告発されて特高とデートすることになるのは目に見えている。
結局、私は何時海の味方にこのことが発覚するか怯えながらこのまま陸の傀儡だ。

だからこそ、適当に最低限仕事をしていると思われる程度に、差しさわりの無い情報を流す。
……だと思っていた。

311: ◆LFcKph6RSI 2016/07/06(水) 23:42:28.94 ID:uB9xGurG0
あきつ丸「ない……」

ない。ない。何処を探しても見つからない。
提督殿から頂いた個人用PC、生活上で使う諸々、最近秘かに集めている艦載機の写真。

そして何より、今までコツコツと溜めてきた鎮守府の、言ってしまえば汚点の数々。
それら一切合切が見当たらない。

『EMPTY』

何処のフォルダをどれだけ探しても出てくる文字は同じ。
幾ら元陸軍とはいえ、今は海軍、というかこの程度は誰でも分かる。

あきつ丸「データがない」

私のPCは、何故か初期化されたように全てのデータも履歴も残っていなかった。

312: ◆LFcKph6RSI 2016/07/07(木) 00:01:53.06 ID:A+cJ8xmc0
あきつ丸「ど、どうする……」

自分のPCがただ不調を起こした結果等、何らかのトラブルでこうなったならまだいい。
その時は素直に事情を説明して修理に……いや、ダメだ。

一見するとデータが無い様に見えていても、修理すれば戻るかもしれない。
そうなった時、保存してある写真が見つかるのは非常にマズい。

ならばいっそ物理的に破壊して新しい物を支給して貰うか?
艦娘としての力があればこの程度の金属塊は雑作も無く破壊出来る。

提督殿からは白眼視されるし、皆からは妙な視線を受ける事にはなるだろう。
けれど、すくなくともそうすれば私の秘密は守られる筈だ。

あきつ丸「違う。そうじゃない」

楽観視だけで行動する程危険で愚かな事は無い。
最悪の事態。もし誰かが私の秘密を知り、その上で証拠隠滅したのだとすれば……?

その場合、ほぼ確実に提督殿はこの事を知っていることになる。
やっている事はしょうもないがコレは立派な反逆、機密情報漏洩、誰だってまず提督殿に知らせる筈だ。

313: ◆LFcKph6RSI 2016/07/07(木) 00:07:23.67 ID:A+cJ8xmc0
けれど逆に考えると、どうして私はまだ無事だ?
これだけの事をやったのだ、この場に提督が待ち構えていてもおかしくない。

まだ情報が届いていない?あるいは泳がされているのか?
それとも、可能性は低いが同じく陸の船のまるゆが何か絡んでいる?

私は……どうするべきだ?↓2

あきつ丸の行動、PCが壊れたと報告するか、今までの事を自白するか、あるいはそれ以外か
↓2でお願いします

そして今日はこんなところで終わらせて頂きます

前回とはまるで変わった進行になっていますが、あきつ丸編は大体こんな感じでやろうかと思っています

参考までに、時系列としてはお悩み相談室からあとの出来事です。
それまでは遠征に行っていて昨日は丸一日鎮守府を開けていました。

330: ◆LFcKph6RSI 2016/07/08(金) 23:38:40.05 ID:BAb7GowB0
提督殿に打ち明けよう。
自分程度が密偵なんて土台不可能な話だったのだ。

確かに前世では世話になった。その点については感謝している。
彼等がいなければあきつ丸、という存在そのものが無かった。

だが恩義と忠義は違う。
護国を共にする者でありながら、弱みを握る事しか頭が回らない連中は切り捨てよう。

提督殿は普段は温厚で柔和なお方だ、鋼の精神力の賜物か、或いは単に鈍感なのか。
好意を寄せる艦娘が多くいる中浮ついた話も聞かず、自分に隠す事の無い劣情の視線を向ける陸とは違う。

けれど、彼は何も日和見主義というわけではない。
罪には罰、締める処は厳しく締める。明確な反逆行為を冒した自分の処遇はあまり考えたくない。

しかしそれでもいいだろう。
前世は海軍の不手際で陸軍を海底へ誘ったあきつ丸、今度は海軍の手で陸軍を沈めるであります。

死なば諸共、自分と一緒に地獄に付き合ってもらうであります。

331: ◆LFcKph6RSI 2016/07/08(金) 23:57:10.08 ID:BAb7GowB0
コンコン

あきつ丸「失礼するであります。あきつ丸、提督殿に重要なお話しが有って参ったのであります」

提督「そうか、入れ」

ああ、心が重い。幾ら覚悟したとはいえ、破滅の道を自ら進むのは気が進まないのであります。

あきつ丸「……提督殿。お話しを聞いて欲しいのであります」

提督「お前の古巣についての秘密のお話しか?」

あきつ丸「ッ!」

何時ものふざけた調子とは隔絶した貫かれるような視線。
やはり提督殿は全てを気づいていたのでありますか。

335: ◆LFcKph6RSI 2016/07/09(土) 00:21:42.69 ID:phfJEiYp0
提督殿は知っていて、自分は泳がされていたのでありますか。
ならば何故このタイミングで自分のPCに干渉したのでありましょう。

それとも何時もの適当な会話……?自分が深読みしすぎているだけ?
否、例えそうであったとしても、告解すると決めたのであります!

あきつ丸「提督殿。自分は、今まで陸軍の命令に従い、艦娘と海軍の内情を探っていたのであります!」

言ってしまった。これでもう後戻りは出来ない。

あきつ丸「本日、何らかの原因によってその証拠は全て紛失したのであります」

あきつ丸「そのことをきっかけに、自分は提督殿にこれまでの反逆行為を自ら告発にきたのであります」

提督「それはつまり、どれだけ調べても証拠が無いただの自白だから、大した罪にならないと踏んでか?」

提督「言っておくが、俺はお前の集めた情報を削除なんかしていないぞ」

337: ◆LFcKph6RSI 2016/07/09(土) 00:35:11.33 ID:phfJEiYp0
た、確かに、自分の今の状況を客観的に考察すればそうなるのであります。
ですが!

あきつ丸「違うのであります!自分はただ、良心の呵責と、国を憂いてであります」

陸の連中、少なくとも自分に関わるヤツ等に軍を束ねる資格は無い。
役立たず1人と引き換えに老害共を叩き潰せるなら安い買い物なのであります。

提督「つまりお前は、あくまでもお前の意志で、損得勘定無く自らの裏切りを自白しに来た、そういうわけだな?」

提督殿の視線が怖い。
けれど、此処で退いてはそれこそ何のために来たのか分からないのであります。

あきつ丸「その通りであります。処罰を受ける覚悟は出来ているのであります」

陸の特高の取り調べで何をされるかは身に染みているのであります。
であればその前に、提督殿にだけでも首魁を伝えなければ。

提督「……はぁ」

338: ◆LFcKph6RSI 2016/07/09(土) 00:41:57.34 ID:phfJEiYp0
長い溜息の後に続く沈黙。
次に提督殿が口を開いた時、自分の命運がきまる。

奇跡が起きて除隊、良くても解体。
そして他の未来は……想像したくもないものであります。

提督「良かったぁ~」

あきつ丸「へ?」

第一声は実に的外れな安堵の溜息。
余りの場違いさに思わず素の躊躇いが出てしまったのであります。

電「だから言ったのです。あきつ丸さんならこうして自分で来てくれる、と」

提督「いやぁ~マジで助かったわ~。これで違うって言われたらどうしようかと」

あきつ丸「え?ちょ、あの……」

いつの間にか現れた電さんと提督殿が何時もの軽い調子でハイタッチしているのであります。
自分、ついに恐怖と緊張で幻覚でもみているのでありましょうか?

339: ◆LFcKph6RSI 2016/07/09(土) 00:53:08.34 ID:phfJEiYp0
提督「いや、試すような事して悪かったな。お前がただ自らの意志で自首をした、それが欲しくてさ」

あきつ丸「はい?」

そもそも最初から自分は自首しにきたのであります。
提督殿の言っていることが良く分からないのであります。

提督「俺の方からお前を問い詰める事も勿論できたけどさ、それをやっちゃうと俺としても厳しい態度を取らざるを得ないわけよ」

提督「でもさ、お前が俺のしらないところで、俺の知らない罪の自首に来た、っていうなら話は別だ」

つ、つまり、自分を慮って一芝居打った?

提督「別に騙してちゃいない。データの削除は青葉に任せた、詳しい手法や経緯は知らん」

提督「だから言ったろ?俺はお前の集めた情報を削除なんかしてい、って」

あきつ丸「どうして……」

342: ◆LFcKph6RSI 2016/07/09(土) 01:01:33.49 ID:phfJEiYp0
どうして、こんな陸の船である自分のなんかの為に……
そこまで裏で手配していたのなら、もっと手っ取り早く自分を吊るせばよかったのに。

提督「そんなもん簡単だ。俺が楽するために決まってる」

あきつ丸「へ?」

提督「お前を反逆罪だか機密漏洩なんかでしょっ引いいてみろ、憲兵に軍法会議に特高に陸との連絡。何日徹夜すると思ってる」

提督「証拠がない中でのただの自白、なら証拠が無いから大事にしようがない。俺の裁量で罰を与えるだけだ」

そ、それはつまり自分を生かすも殺すも全ては提督次第、という事になるのでは?

提督「いっそ俺が悪代官に成れればなぁ、その見事な躰に興味がないわけじゃなイダダダダッ!電さん!すみません冗談です!」

343: ◆LFcKph6RSI 2016/07/09(土) 01:19:49.31 ID:phfJEiYp0
提督「とはいえ真面目な話。証拠の方はこちらで掴んである」

提督「そしてお前のしたことは紛れもない重罪だ。然るべき罰は受けてもらう」

あきつ丸「言った筈であります。覚悟はできているのであります」

提督殿の温情で最悪の事態は回避できそうであります。
だとすれば解体くらいで済むでしょうか。

提督「お前への罰は↓2だ」

あきつ丸への罰
↓2※ 

347: ◆LFcKph6RSI 2016/07/09(土) 01:30:30.96 ID:phfJEiYp0
提督「お前への罰、それは俺の為に味噌汁を作れ」

電丸「「え?」」

み、味噌汁を作れ……そ、それはつまり……う、ぁ、うぅ。
た、確かに、提督殿はその……うん……

電「司令官さん!それ意味わかって言ってるのです?」

提督「え?何が?いやぁ、中華とか洋食とかも嫌いじゃないけどさ、やっぱり日本人なら和食だと思うんだけど」

あ……これ、無自覚だ。

電「じゃあとりあえず魚雷バット一回で許すのです」

提督「はぁ?ちょっと待って!なんでそうなイッダァッ!……~ッ!オォ、マジでいてぇ」

349: ◆LFcKph6RSI 2016/07/09(土) 01:39:30.27 ID:phfJEiYp0
駆逐艦に容赦なくお尻を叩かれ、椅子から転げ落ちて悶絶する男性。
どう見ても提督らしくないけれど、同時に彼が提督だと安心する。

提督「と、とにかく……あぁいてぇ、お前明日一日、朝昼晩、三食俺に飯を作れ」

あきつ丸「了解したのであります。それで、他には何をすればいいのでありますか?」

提督「いや、それだけだけど?」

あきつ丸「え?」

提督「え?」

曲がりなりにも自分がしたのは軍を裏切る大罪。
本来なら解体されて然るべきなのでありますが、まさか本気で食事を作るだけで……何かの海軍の隠語?

提督「言っとくが簡単じゃねぇぞ。三食全部和食だ、和食ってのは本格的に作るとかなり面倒なんだぞ」

あきつ丸「食事を作るだけだ、と本気で言うつもりでありますか?」

色んな意味で正気を疑うのであります。

350: ◆LFcKph6RSI 2016/07/09(土) 01:49:15.23 ID:phfJEiYp0
提督「良いじゃねぇかよ。俺が良いって言ってんだからさ。あ、でも手抜きは禁止、それに誰かに手伝ってもらうのも禁止だからな」

全く、この人は本当に冗談みたいな事を本気で言うから困るのであります。
先程の発言にしても、電さんもこの調子なら始終気が抜けないでしょう。

あきつ丸「承ったのであります。このあきつ丸、誠心誠意心を込め、拙い腕ではありますが提督殿に食事を振舞わさせていただくのであります」

提督「おう。期待してるぞ」

あきつ丸「提督殿、自分何か申し付けることが有るなら遠慮無く言って欲しいのであります。このあきつ丸、なんでもするのであります」

提督「あ、じゃあ飯食った後、仮眠する時に膝枕な」

恐らく他意はないのでしょうけれど、このままでは電さんの胃液が枯渇しそうなのであります。

あきつ丸「了解であります。ご所望とあれば子守歌も歌うのであります」

あきつ丸「自分の歌は雰囲気がある、と秘かに高評価を頂いているのであります」

特に童謡の類は得意なのであります。

353: ◆LFcKph6RSI 2016/07/09(土) 01:56:52.21 ID:phfJEiYp0
提督「おう。まぁ検討しておこう。もういいぞ、下がれ」

想像していたよりもあまりにもあっけない感じではああるけれど、思い返せばこれがこの鎮守府らしい、のかもしれない。

あきつ丸「は!多大なら温情、感謝するであります!失礼しました!」

提督「あ、そうだ一つ」

ん。このタイミングで、一体何を……

提督「俺は酢の物が嫌いだ。そこんところ宜しく」

あきつ丸「は、はぁ。考慮するであります」

バタン

全く、本当に気が抜ける。
けれど、どうしようも無く心地良い居場所。

さて……それじゃあ今から和食の練習しなくちゃ。


スパイのあきつ丸

艦!

355: ◆LFcKph6RSI 2016/07/09(土) 01:59:41.68 ID:phfJEiYp0
あきつ丸編はこれにて終わりにしようかと思います。

料理回はコンマではっちゃっけようかと思ったのですが、一先ず時間が時間ですしキリも良いので今日はこの辺りで。

料理回をやるとすれば、安価とコンマで乱舞する地獄絵図ですが、需要ってあるのでしょうか?

368: ◆LFcKph6RSI 2016/07/11(月) 21:26:47.33 ID:4l1VSzPK0
提督殿の恩赦により、奇跡的に処分を免れた。
その代わりに与えられた奇妙な処罰。

あきつ丸「料理、か」

多くの人員を抱える鎮守府の食堂は広大で専門的な設備が揃っている。
それ故に、自ら望まない限り料理をする機会は全く無い。

そしてそれは私にしても同じ事。
というか料理なんて生まれて一度もしたことが無い。

聞くに和食の仕込みとは非常に時間がかかるらしい。
幸い現時刻から明日の朝餉までは十分な時間がある。

練習を含めたとしてもなんとかなるだろう。
問題は何を作るか、だ。

あきつ丸「一先ず練習として↓2を作ろうかな」

レシピも材料もある、まずは自身の力量を知らねければならないだろう。

和食
↓2

コンマがあきつ丸の料理の腕前として基準設定。
今後作る料理はこれより上で美味しくて下よりマズくなります。

371: ◆LFcKph6RSI 2016/07/11(月) 21:35:26.90 ID:4l1VSzPK0
あきつ丸の料理

練習料理

卵焼き

あきつ丸の料理スキル38

374: ◆LFcKph6RSI 2016/07/11(月) 21:43:40.06 ID:4l1VSzPK0
卵料理は基本と聞く。
と、いうことで一先ず卵焼きを作ってみよう。

卵をボウルに入れてそこに出汁と砂糖、塩を加えてよく混ぜる。
油を挽いて熱したフライパンに流し込み、焼き固めながら形成する。

物が物だけに大して時間は掛からなかったけれど……

あきつ丸「まずまず……うん」

自分で食べる分にはこれで良い。
けれど間宮殿や鳳翔さん、瑞鳳殿が作る物と比べてしまうとお粗末としか言いようがない。

あきつ丸「これは、予想以上に大変かな」

もし不味ければ何か違う罰、というのはそう考えられない。
それでも提督殿への感謝を示す為にもこんなものでは駄目だ。

あきつ丸「練習するであります」

今日は徹夜であります。

375: ◆LFcKph6RSI 2016/07/11(月) 21:53:21.16 ID:4l1VSzPK0
マルロクサンマル。

一晩色んな料理を練習、いよいよ提督殿へ朝餉をお出しする時間が近づいてきたであります。
先程こちらにいらっしゃった電殿曰く、執務室で朝餉を取るということ。

このあきつ丸、最初で挫けるわけにはいかないのであります。
提督殿の希望通り、お味噌汁もバッチリであります。

それに↓2の準備は万端も出来たのであります。

味噌汁の具とか
↓2

他の朝食
↓4

コンマ38から上程良い出来

381: ◆LFcKph6RSI 2016/07/11(月) 22:00:14.78 ID:4l1VSzPK0
ワカメ、豆腐、油揚げのスタンダード味噌汁
38>33
-5

鮭の塩焼き
38<69
+31

389: ◆LFcKph6RSI 2016/07/11(月) 22:12:36.09 ID:4l1VSzPK0
奇を衒ったり創意工夫を成すのは玄人であります。
自分のような素人がしても失敗するのは目に見えているのであります。

ならば、まずは無難な具材を入れた味噌汁の方が良いで在ります。
味噌汁と言えばやはりワカメに豆腐であります。

そこに味にコクを出すためにも、これまた定番の油揚げであります。
主菜には此方もシンプルながら定番の鮭の塩焼きであります。

自分が着任したころ、鎮守府では秋刀魚を総動員して捕獲していた経緯もあり、自分魚を焼くのは得意であります。
加えて鳳翔殿から美味として重宝される部位を頂いたのであります。

ケイジ、という鮭のカマだそうなのであります。
このご厚意、無駄にはしないのであります。

コンコン

あきつ丸「揚陸戦あきつ丸。朝餉をお持ちしたであります」

提督「お!きたきた!待ってたぞ。入れ」

391: ◆LFcKph6RSI 2016/07/11(月) 22:25:44.66 ID:4l1VSzPK0
あきつ丸「不肖ながらあきつ丸、朝餉を作らせていただいたのであります」

味噌汁に鮭の塩焼き、そして白米と壺漬け。
壺漬けは厨房に在った物でありますし、白米もただ分量通りに炊いただけ。

気になるのはやはり提督殿が所望された味噌汁と、塩焼きであります。

提督「ああ、いい匂いだ。昨日は大変だったからさ、もう腹へってよぉ」

提督「味噌汁はワカメと豆腐に、それと油揚げか!ナイスだ!あきつ丸。ワカメとかもいいけど、俺油揚げ入り大好きなんだよね」

なんと!
それは僥倖であります。けれど同時に鬼門であります、これはなんとしてもご満足いただかねばならないであります。

提督「で、こっちは鮭カマの塩焼きか!いいね!分かってるね!朝飯だねぇ~ポン酒が飲みたいネー」

あきつ丸「ご要望とあらば用意するのでありますが、酔いが醒める前に電殿に見つかっても知らないのでありますよ?」

提督「……俺が鮭の餌になりそうだし止めておこう」

その方が良いのであります。

393: ◆LFcKph6RSI 2016/07/11(月) 22:37:48.95 ID:4l1VSzPK0
提督「よし!んじゃ、頂きまーす」ズズッ

まだ湯気の立ち昇るお椀を持ち、そのまま無言で一口啜る。
自分の作った料理を食されると、なんとも言えない気持ちになるのであります。

間宮殿は普段このような気持ちを抱いていたのでありますか。
ましてや自分は昨日から料理を始めた素人。緊張が止まらないであります。

提督「ん、あむ……ん」ズズッ

たかが味噌汁一杯。にも拘らずなんなのでありましょうか。凄い重圧を覚えるであります。
処刑の代わりの罰、としてもこの緊張感は凄いのであります。

提督「ん……美味いよ」

第一声は自分には勿体ないお褒めの言葉。
ですが、それで終わらないのは語感を聞けばすぐ分かるのであります。

提督「カツオ出汁に赤味噌の効いた強い味の味噌汁だ、具も木綿豆腐と太切りのワカメで強い味の汁に負けない存在感がある」

提督「けれどあきつ丸。お前コレ、油揚げの湯通しはしたか?」

あきつ丸「ゆどおし?」

き、聞いた事の言葉が出てきたのであります。
味噌汁にはそんな工程があったとは、思ってもなかったのであります。

394: ◆LFcKph6RSI 2016/07/11(月) 22:50:11.67 ID:4l1VSzPK0
提督「あ、いや、別に不味いってわけじゃない。最初に言った通り美味いよ」

提督「湯通しっていうのは油揚げの余分な油を落とす工程だ」

提督「特に味噌汁みたいな汁物の場合、油が浮いて風味を殺す要因の一つになりかねないんだ」

つまりその作業を怠った自分の味噌汁は……
素直にワカメと豆腐だけにするべきだったのであります。

提督「落ち込む必要はないって。味噌汁になら湯通しをしないところもある」

提督「それに、ベースの味が強いからそんなに気にする程でもない。単純に俺の好みだよ」

うぅ……だとしても提督殿への配慮に欠けた自分の失態であります。

あきつ丸「恩赦を頂いておきながら申し訳ないのであります。このあきつ丸、どのような処遇も……」

提督「だから大袈裟だって。俺の仕事を増やそうとするな!」

提督「だいたい塩焼き!カッリカリの皮にこうして今も身から滴る脂!食う前から分かるジューシーさ、堪んないね」

提督「話をする前にまずアツアツの塩焼きを食わせてくれ」

395: ◆LFcKph6RSI 2016/07/11(月) 23:08:45.03 ID:4l1VSzPK0
味噌汁で出鼻は挫かれたでありますが、確かに塩焼きはそれなりに自信があるのであります。

皮に塩をよく塗し、皮の面をまずは高温で一気に炙って火を通すと共に、皮から出た脂を網に掛ける。
そうして鮭の脂と流れた塩が着いた網に今度は身の部分を乗せ、今度は弱火でじっくり焼き上げる。

そうすれば網に身が焼け付くこともなく、余計な油を敷く必要が無いので味も損なわれない。
市民還元の一環で漁港の秋刀魚漁をお手伝いした結果、頂いた大量の秋刀魚を焼いた経験、鮭にも活きているといいのであります。

提督「どれどれ~……はふっ、アツッうまっ!やべぇ!めちゃっめちゃ旨い!」

おお!こちらはお気に召してただけた様子であります!

提督「お気に召すどころじゃねぇよ!さっぱりふっくらした肉厚な身、それでいてコクのあるジューシーな脂身」

提督「鮭本来の淡泊で脂の旨味がモロに反映される身が、滴る脂と薄め塩で見事に引き立たされてるよ!」

提督「かといって濃いい塩味の効いてパリパリに焼き上がった皮の部分は、身とは全く違う食感と味で飽きる気配がねぇ!」

役者な提督殿なだけにどこまでが本心かは斟酌しかねるでありますが、控え目に見ても喜んでおられるようでなによりであります。

提督「いやマジで、あっさりとした鮭に濃い口の味噌汁の組み合わせも最高だ。何杯でもお代りできる、つーか毎日食ってもいい」

396: ◆LFcKph6RSI 2016/07/11(月) 23:25:11.92 ID:4l1VSzPK0
あきつ丸「あまり仰々しく言わないで欲しいであります。鮭は良い部位を鳳翔殿から頂いただけであります」

あきつ丸「鮭が美味というのは鳳翔殿のおかげであります。自分はただ塩を撒いて焼いただけであります」

そもそも味噌汁は失敗したのであります。

提督「ん、あむ。謙遜すんな!それだったら敵を倒した功績は銃を作った町工場のオッサンで、人殺しの罪は弾を作ったオッサンか?」

提督「誇れ。間違いなくお前の功績だよ。あぁ~日本酒飲みてぇ~花冷えの純米大吟醸とか最高に合うだろうなぁ~」

あきつ丸「そんなにご満足いただけるのであれば、執務の終わった夜にまた持ってくるのであります」

頂いた鮭カマは二つ。失敗した時の為に残しておいた身がまだ残っているのであります。

提督「よし!言質とったからな!お前の罰追加だ、俺の晩酌にも付き合え!以上!」

提督殿はもしかしてもう酔っているのでありましょうか……?

提督「いやぁ~実はちょっとだけ心配だったんだが、この様子なら大丈夫そうだな」

提督「昼も期待してるぞ。あ、一応お前は今日一日謹慎だから訓練も演習も無しな」

つまりまだ練習できる時間はある、と。
昼飾には味噌汁のような失敗はしないのであります。

提督「あ、皿は後で俺が厨房に出しとくから、もう下がっていいぞ」

あきつ丸「はっ!失礼したであります」

バタン

397: ◆LFcKph6RSI 2016/07/11(月) 23:28:06.53 ID:4l1VSzPK0
あきつ丸のスパイ番外編
朝食

湯通しの忘れた味噌汁と良い焼き加減と味付けの鮭の塩焼き

439: ◆LFcKph6RSI 2016/07/12(火) 23:07:59.24 ID:xLY16HSE0
速く食べれて尚且つ腹持ちがいい、それでいて経済的。
昼餉としては鉄板メニューの一つであります。

ですがどうせなら少し趣向を凝らし、朝の挽回をするであります。
そう、うどんはトッピングが多用で色んな味が出せるのであります。

甘口の汁に漬けたキツネと丸天を具に、更に麺も勿論手打ちで作るであります。
その名もあきつ丸うどん。これならご満足いただける筈であります。

まずはボウルに水をいれて、そこに小麦粉をいれてよく混ぜる。
あとは生地をよく練って叩くだけであります。

あきつ丸「あれ?」

おかしいのであります。
小麦粉があまり固まらないのであります。

なんとか練って形を整えても……ポロポロ端が崩れるのであります。
それとも茹でれば固まるのでありましょうか?


441: ◆LFcKph6RSI 2016/07/12(火) 23:19:56.55 ID:xLY16HSE0
う~む……自分はもしかしてまた何か失敗をしたのかもしれないのであります。
けれどもう時間も無いのであります。

一応形にはなっているのであります。一先ず生地を寝かせている間に別の事に専念するであります。
用意するは食後のデザートであります。

提督殿の激務では糖分を多く要する筈であります。
そして少々暑くなってきたこの季節、羊羹も良いのでありますがどうせなら水羊羹のほうが美味しく頂けるのだります。

ひんやりとした口当たりに滑らかな舌触り、それでいて濃厚な漉し餡の甘さは疲れた体には抜群に効くであります。
そして幸いな事に、羊羹であれば間宮殿の処で頻繁に口にし、多少なりとも覚えがあるのであります。

溶かした寒天に砂糖と餡子を混ぜてよく熱する。
全てが溶けたら後は型に入れて冷やし固めるだけであります。

442: ◆LFcKph6RSI 2016/07/12(火) 23:32:34.72 ID:xLY16HSE0
あきつ丸「うぅ……こ、これは……」

ヒトサンマルマル。

いよいよ提督殿に昼餉を振舞う時、なのでありますが……

あきつ丸「失敗したのであります」

生地の段階から剥落が多かったでありますが、茹でるとそれが尚顕著になってしまったのであります。
うどんとしての体裁は保ってはいるのでありますが、これは明らかに失敗なのであります。

練りが甘かったのか、あるいは寝かせ足りなかったのか、それとももっと根本的なことをしていないのか。
とはいえうどんはまだいいのであります。問題は水羊羹であります。

あきつ丸「固まらないのであります」

寒天が少なかったのか、餡かけの餡のような状態からそれ以上固まらないのであります。
こんなもの絶対にダメなのであります。

あきつ丸「でも時間が……」

既に時刻はヒトサンサンマル。
これ以上提督殿をお待たせするわけにはいかないのであります。

あきつ丸「でも、だからってどうしたらいいの」

……↓2かな。

料理をこのまま出す?or何か別のことをする。

447: ◆LFcKph6RSI 2016/07/12(火) 23:45:43.36 ID:xLY16HSE0
あきつ丸「これは出せないかな」

人に出す体を成していない。況してや提督殿への償いとしては豚外。
だとすれば何か別の……

瑞鳳「あれ?あきつ丸じゃない、厨房でどうしたの?」

あきつ丸「瑞鳳殿!こ、これはその……ん」

そういえば瑞鳳殿は卵焼きを作るのが達者だと聞くであります。
卵焼きなら今から作ってもまだ間に合う。

あきつ丸「瑞鳳殿!」

瑞鳳「な、なに?」

あきつ丸「今は何も言わず、このあきつ丸に卵焼きの作り方を教えて欲しいのであります」

瑞鳳「ど、どうしたの?雰囲気怖いよ?卵焼きくらい別いいけど」

あきつ丸「感謝するであります!」

ヅホ式卵焼きの出来
↓1

づほ補正で+40スタート

453: ◆LFcKph6RSI 2016/07/12(火) 23:55:12.84 ID:xLY16HSE0
ヒトヨンマルマル。

少し遅くなったでありますが、まだ昼餉として通る時間帯であります。
瑞鳳殿直伝のこの卵焼き、そして白米と吸い物、少し侘しい気もするでありますが、アレを出すよりマシであります。

コンコン

あきつ丸「お待たせして申し訳ないであります。揚陸戦あきつ丸、ただいま昼餉をお持ちしたであります」

提督「お、やっとか。腹減ったよ。入ってくれ」

うぅ、申し訳ないであります。

あきつ丸「お待たせして誠に申し訳ないであります。重ねて、このような物しかお出し出来ずにお詫びするであります」

提督「卵焼きか。ま、別に昼間にしっかり食ったところで運動したら腹痛くなるだけだし、昼はこのくらいでちょうどいいんだけどな」

その気遣いが心に染みるのであります……

456: ◆LFcKph6RSI 2016/07/13(水) 00:12:47.28 ID:rraOGefd0
提督「しかしたかが卵焼きって言ってもされど卵焼きだよな。色合いとか肉厚さとか見事としか言いようがない」

あぅ……今更殆ど瑞鳳どのお陰とは言えないであります。
真横で瑞鳳殿にずっと付きっ切りで監修していただいたおかげに他ならないであります。

提督「ま、腹減ってるから、本当はうどんとか腹持ちお良い奴のほうが良かったんだが」

あきつ丸「ッ!」

提督「とはいえせっかく作ってくれたヤツだし。勿論在り難くいただかせてもらうよ、頂きまーす」

今のは……偶然?

提督「はふ、アッッ……ん~美味い!」

あきつ丸「それは、よかったのであります」

提督「いやぁ~マジで、最高だね。ん、外は箸で持てるくらいには焼き上がり、それでいて中はトロットロ、けどアツアツ」

提督「ほんのり効いてる冬菇出汁が卵本来の甘味を引き立たせつつ、それでいてしっかりと味の主軸にもなっている」

提督「ん~ほんと、絶品だね。昼はこういう軽めでいいんだよね。。ん、美味い」

こ、心が抉られるようであります。提督殿はどこまで知っているかはともかくとして。
この卵焼きを褒められればそれだけ、同時に責められているような錯覚を覚えるであります。

457: ◆LFcKph6RSI 2016/07/13(水) 00:26:11.11 ID:rraOGefd0
提督「いやぁ~食った食った。ご馳走様」

あきつ丸「お粗末様であります」

ふぅ……拷問の様な時間だったであります。

提督「味その物に癖がない分、幾らでも食えそうなのに飽きがこないもんだからさ、本当に絶品だよ」

あきつ丸「恐縮であります」

本当に、もう……やめてほしい。

提督「あとは晩飯か、期待してるよ」

あきつ丸「はい。必ずやご満足いただける物をご用意させていただくであります」

提督「それじゃ、下がっていいぞ」

あきつ丸「失礼したであります」


提督察し度コンマ
30以上でヅホ製なのを看過
80以上でヅホを派遣していた

↓1


466: ◆LFcKph6RSI 2016/07/13(水) 00:47:10.07 ID:rraOGefd0
提督「そうだあきつ丸」

あきつ丸「はい。なんでありましょうか?」

提督殿は決して嫌いではない。けれど、今は一刻も早くこの場を去りたい。
一体まだ何かあるというのでありましょうか。

提督「手を抜くな、とは言ったがそれは何も失敗は許さない、って意味じゃないぞ」

あきつ丸「は、い。肝に銘じておくのであります」

提督「今度は、失敗してもソレを持って来て欲しいかな。不味いからと言って何かを罰を与えるつもりはないからさ」

やはり、見抜かれていたのでありますか……
提督殿の慧眼には敵わないであります。

提督「それに、何時も瑞鳳が暇ってわけでもないからな。話は以上だ」

そ、そこまで全部知った上での態度でありましたか……
ですが、提督殿は確かに手を抜くな、と共に手伝ってもらうことも禁止していたのであります。

瑞鳳殿に頼った自分はまたも命令違反を冒した。
それも謹慎処分中にも関わらずであります。

本来ならもう釈明の余地なんて無い状況の筈なのに。
にも拘らず、背中に突き刺さる朗な視線が恐ろしいのであります。

提督「話は本当にこれで終わりだ。下がって良いぞ」

あきつ丸「……はい。失礼したであります」

バタン

467: ◆LFcKph6RSI 2016/07/13(水) 00:49:21.72 ID:rraOGefd0
あきつ丸のスパイ番外編
朝食

湯通しの忘れた味噌汁と良い焼き加減と味付けの鮭の塩焼き

昼食

失敗したうどんと水羊羹の代わりにヅホ式卵焼きを出した挙句全部見抜かれた

469: ◆LFcKph6RSI 2016/07/13(水) 00:57:28.81 ID:rraOGefd0
いよいよ夕餉であります。

これで最後、例えどんな結果になっても其れを提督殿にお出しするであります。
提督殿は自分に更なる失敗を着せ、自分を傀儡にしようとしている、そんな事は在り得ないのであります。

あきつ丸「このあきつ丸。全身全霊を持って挑むのであります」

メニューはあれからよく考えた結果、決めたのであります。

和食の主菜
↓2

和食の副菜
↓5

その他付け合わせなどetc
↓8

485: ◆LFcKph6RSI 2016/07/13(水) 01:10:03.51 ID:rraOGefd0
すみません。イナゴはともかくゴキブリ料理って和食で探しても無かったのでその他だけ再安価させてもらいます。

ちなみにイナゴの佃煮は割と普通に美味しいのでこのままいきます。

その他系列
↓2

490: ◆LFcKph6RSI 2016/07/13(水) 01:15:53.15 ID:rraOGefd0
今更ですが出来のほうもそのままコンマで判定させていただきますね。

イナゴの佃煮
38>31
-1

ナス田楽
38>9
-29

ほうれん草のおひたし
38<86
+48

498: ◆LFcKph6RSI 2016/07/13(水) 01:34:41.04 ID:rraOGefd0
まずはほうれん草のおひたしを作るであります。
栄養価も高く、箸休めにも丁度いいのであります。

根を落とし、軽く塩で揉んだ後に茹でてアクを落とす。
後は昆布出汁と味醂、砂糖と塩を混ぜた白出汁で和えてこのまま味を馴染ませる。

今回のおひたしの役目はあくまでも箸休めであって、あまり強い味にはしないほうがいいのであります。
主菜のほうはイナゴの佃煮をご用意するであります。

一昔前では昆虫食は郷土料理程度だったようでありますが、深海棲艦の出現以来手に入りやすくて助かるのであります。
提督殿も特に敬遠している様子もなかったでありますし、自分としてはこちらの方が馴染みがあって調理しやすいのであります。

足や羽を落とし煎り鍋に大量の水と少量の酢と砂糖を加え、あとは水が殆ど無くなるまでまずは煮るであります。
あとはこの間に付け合わせのナス田楽でありますが……

あきつ丸「ナスが無い?」

499: ◆LFcKph6RSI 2016/07/13(水) 01:40:44.90 ID:rraOGefd0
おかしいであります。
様々な食材が保管されているこの冷蔵庫、何故かナスだけないのであります。

これといってナスが大量に使用された記憶はなかったのでありますが……
仕入れと被ったのでありましょうか?

あきつ丸「ナスが無いなら仕入れればいいのであります」

確か山雲殿や武蔵殿は小さな菜園を拓いていた筈であります。
幾本か融通していただけないか交渉するであります。

幸い、おひたしにしても佃煮にしてもまだまだ時間はかかるのであります。
今のうちに行ってくるであります。

502: ◆LFcKph6RSI 2016/07/13(水) 01:53:03.78 ID:rraOGefd0
時期が時期もあって快く譲っていただけたであります。
お二方には感謝するであります。

もっとも、お二方も形が不揃いであることは気になさっていたようでありますが、そこは自分が何とかするであります。
形が不揃いなのはこの際、食べやすいサイズに切り分けてしまえば問題ないのであります。

あとは味噌を塗って焼くだけでありますが、味噌ってどれくらいがいいのでありましょうか?
佃煮が甘めの味付けの予定でありますし、ここは濃い目に盛大にするであります。

あきつ丸「えい」ドベッ

さて、あとはコレを焼く間に佃煮の方を仕上げるであります。
砂糖、醤油を入れて再度一煮たちさせれば完成であります。

フタマルマルマル。

いよいよであります。

コンコン

あきつ丸「揚陸船あきつ丸、夕餉をお持ちしたであります」

提督「ああ、入っていいぞ」

あきつ丸「失礼するであります」

503: ◆LFcKph6RSI 2016/07/13(水) 02:09:17.33 ID:rraOGefd0
あきつ丸「今度は全て自分で用意したであります」

朝は鳳翔さんから良い鮭を頂いた、昼は瑞鳳殿に手伝ってもらった。
けれど、今回は、今回だけは違う。何もかも自分で作った、ナスだってどれを頂くか自分で選んだ。

例え失敗しても、提督殿なら酷いことはしない。
取り繕うくらいなら、あるがまま受け入れよう。

それにそもそも、今回は少なくとも見た目からして失敗した物はない。
ナス田楽の形が不揃いではあるけれど、これは仕方ないし、それは問題にはならない……筈。

提督「ほぅ、イナゴの佃煮か」

あきつ丸「お嫌いでありましたか?」

提督「まさか、しょっちゅう食ってるだろ。足や羽さえ落とせば美味いしな」

あきつ丸「それは良かったであります」

一般的になったとはいえ、それでも昆虫を毛嫌いする人はいる。
艦娘にだっているくらい、提督殿が影で無理しているんじゃないかと思ったけれど、杞憂だったかな。

504: ◆LFcKph6RSI 2016/07/13(水) 02:18:46.97 ID:rraOGefd0
提督「でこっちはナス田楽に、ホウレンソウ……かな?それのおひたしか」

あきつ丸「そうであります。このあきつ丸。拙い腕ではありますが、全身全霊で挑んだであります」

提督「そうか。それじゃあ有り難くいただかせてもらうよ」

泣いても笑ってもこれが最後。
背中から汗が止まらないのであります。

提督「ん~……佃煮、うん。美味い。醤油と砂糖がいい感じに効いた甘辛い味がご飯を進ませてくれる」

ふぅ……

提督「ま、良くを言えば酢で臭みを消すんじゃなくて酒に漬けてほしかったことかな」

あきつ丸「も、申し訳ないのであります!」

そういえば提督殿は酢が……

提督「気にする程じゃないけどな、俺が過剰反応してるだけで。味付けがしっかりしてるから全く気にならんよ。うん、美味い」

うぅ、なんたる失態。

505: ◆LFcKph6RSI 2016/07/13(水) 02:24:37.85 ID:rraOGefd0
提督「こっとはナス田楽か。よくナスが手に入った」

あきつ丸「山雲殿と武蔵殿から頂いたのであります」

提督「ああ、その手があったか。あん辛っ!」

あきつ丸「えっ」

や、やってしまったのであります。
濃い目の方が良いだろう、と言う事で味噌を塗りすぎたでありますか。

提督「う~ん……ちょっと味噌が多すぎるかな。あと、そのせいで表面が焦げてる割に中まで火の通りが弱い」

あきつ丸「処罰は、お好きなように……」

提督「だから!なんでそう俺の仕事を増やそうとするの!何もしないって」

提督「それに、これならいっそ田楽として食うんじゃなくて、ひつまぶしの具として使えばいい塩梅になりそうだ」

つまりそれはそうしないと食べられない、と。
自分を気遣っての事だとはわかっているのでありますが、その心遣いが却って重くのしかかるであります。

506: ◆LFcKph6RSI 2016/07/13(水) 02:34:57.62 ID:rraOGefd0
提督「で、最後はおひたしだが……ん!」

こっちもか……

提督「これ凄く美味い!こう、薄味だからこそ口の中がさっぱりする感じ!箸休めにはもってこいだ」

提督「ていうかおひたし単品で飯が食えるくらい美味い!。うん~美味い」

あきつ丸「よ、よかった~」

おひたしまで失敗していたら本当にどうしようかと。

提督「あきつ丸ってばそんな声も出すんだ」

あきつ丸「え?あ!も、申し訳ないであります。つい気が緩んでしまったであります」

最後の最後まで締まらない。

提督「いや、別に好きなようにしたらいいけどさ」

提督「ともあれ、この後の晩酌に付き合ったらこれでお前への罰は終了だ。明日からは以前通り訓練などに参加するようにな」

あきつ丸「慈悲深い配慮、感謝するであります。このあきつ丸、護国と提督殿為に一層の忠義を尽くすであります」

提督「堅苦しいのは無しだ。さ、俺が食ってる間に鮭焼いてきてくれよ。その間に俺は片付けと鮭の準備してるから」

あきつ丸「了解であります。今夜はとことん付き合うであります」

本当に、この人の元に来れてよかった。

507: ◆LFcKph6RSI 2016/07/13(水) 02:36:20.84 ID:rraOGefd0
あきつ丸のスパイ番外編
朝食

湯通しの忘れた味噌汁と良い焼き加減と味付けの鮭の塩焼き

昼食

失敗したうどんと水羊羹の代わりにヅホ式卵焼きを出した挙句全部見抜かれた

夕食

そこそこの出来のイナゴの佃煮、味噌の塗りすぎたナス田楽、絶品おひたし


あきつ丸のスパイ番外編

艦!

526: ◆LFcKph6RSI 2016/07/15(金) 23:06:05.91 ID:io0xYMm00
バタン

瑞鶴「翔鶴姉ただいま~」

翔鶴「あら、瑞鶴。随分とご機嫌ね」

まぁ、その気持ちも無理ないわ。
改二改装。それも改装設計図に加えて特別仕様のカタパルトまで用いた大規模改装。

大鳳さんと同じく中破でも発艦可能な装甲空母の特性。飛躍的に伸びる射程距離。墳進機の搭載。
まさに良い事竦めの改二甲、私も早くその練度に達しないと。

とはいえ、瑞鶴が上機嫌なのは別の理由が大半よね。

瑞鶴「私、この改装が終わったら提督さんに告白するんだ~」

翔鶴「瑞鶴、私が言う事ではないけれど、そのセリフは死亡フラグよ」

私の妹は、今恋をしています。



528: ◆LFcKph6RSI 2016/07/15(金) 23:30:15.06 ID:io0xYMm00
瑞鶴の改装は提督が午前の業務を終えた後に執り行われる手筈。
提督は例え誰の改装であっても、改装された艦娘のお願いを聞いてくれる。

駆逐艦の子の大半は間宮さんの処に連れて行ってもらったり、重巡の方達は何か買って貰ったりしていることが多いらしいけれど。
瑞鶴はそのお願いで提督と二人っきりで話をしてもらいたいと言っている。

瑞鶴はその時に提督へ告白をするそうなのだけれど……

翔鶴「ねえ瑞鶴、私もそのお話し、同席してもいいかしら?」

瑞鶴「え……翔鶴姉、どうして?」

勿論、何の理由も無く大切な妹の晴れ舞台に踏み入るつもりは無い。
けれど瑞鶴。貴女は気付いていないのかもしれないでしょうけれど、提督は誰ともお付き合いしていないのよ?

529: ◆LFcKph6RSI 2016/07/15(金) 23:43:40.53 ID:io0xYMm00
提督の事を慕っている艦娘はとても多い。
にも拘らず、提督には誰か意中の方がいるという噂を聞いたことが無い。

きっと提督は何か理由があって私達と必要以上の接触を避けている。
断られた時、貴女の事が心配なの。

けれど他にも理由はある。寧ろ本命は別。
この事を伝えるのはとても辛い。けれど、傷つくと分かっていても、飛ばなければいけない時はあると思うの。

翔鶴「いい瑞鶴、落ち着いてよく聞いてね」

認められる事じゃない、許される事でもないし、誰も幸せになれない。
私ならそうかもしれないけれど、貴女ならもしかしたら別の可能性があるかもしれない。

翔鶴「瑞鶴。私ね、私も……提督の事を、その、男性としてお慕いしているの」

瑞鶴「え……翔鶴、姉、それって……つまり」

翔鶴「私も貴女と同じ気持ちを抱いているということよ、瑞鶴」

531: ◆LFcKph6RSI 2016/07/16(土) 00:04:26.88 ID:elwPd9tS0
瑞鶴「そ、そんなの……そんなの!どうして今言うの翔鶴姉!」

時々瑞鶴の感情が昂ると不自然に逆立つ髪はどういう仕組みなのかしら?
気にはなるけれど、つまりそれだけ瑞鶴も穏やかではないということ。

無理もないわ。ごめんなさいね、貴女を思って私は身を引くのが正しいことなのでしょうけれど……

翔鶴「私も、この気持ちだけは偽りたくないの。だからハッキリと言うわ」

翔鶴「私も提督の側にずっと居たいの」

瑞鶴「……ズルい」

ええ、そうね。
私はとても浅ましく愚かだわ。こんな事、2人がただ傷つくだけなのに。

瑞鶴「ズルいよ、翔鶴姉。そんなの……今言われたって、私どうしたらいいの?」

翔鶴「ごめんなさい。何か考えが有っての事じゃないの、ただ貴女には正直な気持ちを言っておきたくて」

告白しなさい、というアドバイスを頂いたけれど……やっぱり、どうしましょうか。

535: ◆LFcKph6RSI 2016/07/16(土) 00:32:39.91 ID:elwPd9tS0
瑞鶴「翔鶴姉も、提督さんに告白するつもりなの?」

翔鶴「できれば、そうしたいとも思っているわ」

瑞鶴「だったら、私言わない。どうせ無理だもん」

翔鶴「え?」

違うの瑞鶴、私……そういう意味で言ったつもりじゃ……

瑞鶴「だって!私と翔鶴姉を客観的に比べてよ!」

瑞鶴「翔鶴姉は強くて優しくて気立てが良くて、誰からも好かれる。第一航空艦隊旗艦だって務めた!じゃあ私は?」

瑞鶴「大して愛想も良くないし、昔だって急造された挙句嬲り殺しにされた役立たず。それに……私、体付きも貧相だし」

瑞鶴「どう考えたって誰だって翔鶴姉を選ぶに決まってるじゃない!」

瑞鶴……私……違うの……

翔鶴「瑞鶴、お願い。落ち着い……」

瑞鶴「落ち着ける訳ないじゃないッ!じゃあお幸せに!」

バタン

翔鶴「瑞鶴……」

こんな……こんなつもりじゃなかったのに、瑞鶴。
ごめん、なさい……

560: ◆LFcKph6RSI 2016/07/18(月) 23:02:15.70 ID:yW3yn4+50
瑞鶴……
ごめんなさい、貴女が取り乱すのも無理ないわ。

でもね、こんな形で終わりにしたくはないの。
だからね、きちと話しをしましょ。

貴女の行く先なら検討が付くわ。


コンコン

翔鶴「失礼します。赤城さん、あの……瑞鶴、みませんでしたか?」

赤城「あら、翔鶴さん。やっぱり来たのね」

連合国をもってして世界最強と言わしめた正規空母赤城。
何か困った事があれば、私達は大抵赤城さんの処に向かう、今回もそうだと良いのだけれど……

赤城「瑞鶴さんならあそこにいますよ」

翔鶴「瑞鶴……」

瑞鶴「知らない。さっさと提督さんに告白しに行けばいいじゃない!私なんかにかまってないでさ」

赤城「ほら、瑞鶴さん。そんな壁とお話ししてないで、私も微力ながら力添えしますから、こっちへ、ね?」

563: ◆LFcKph6RSI 2016/07/18(月) 23:27:29.28 ID:yW3yn4+50
赤城「……成程。お二人とも提督に想い焦がれている、と」

瑞鶴「そうよ!私と翔鶴姉じゃ絶ッ対に翔鶴姉の方を選ぶに決まってるじゃない!だから私は……」

瑞鶴「だから、だから……最初からフラれるくらいなら告白しない!」

瑞鶴ってば、こういうところは妙に頑固だし、やはり赤城さんの所に来て正解だったかしら。

赤城「瑞鶴さん。貴女、本当にそれでいいの?貴女の涙が、その本心じゃなくて?」

私だって瑞鶴の涙は見たくない。
赤城さん、なんとかならないでしょうか?

赤城「瑞鶴さん。何も結果が全てではないのよ?貴女の本心は何?」

瑞鶴「私……提督さんのこと諦めたくないッ!嫌だよぉ」

564: ◆LFcKph6RSI 2016/07/18(月) 23:50:33.98 ID:yW3yn4+50
赤城「でしたら迷わずに進みなさい。翔鶴さんと共に、そうすればきっと答えは見えると思いますよ」

赤城さん……やっぱり想いを告げた後どうなるのか、察しているのですね。

赤城「それに、そもそも提督がお二人ともを選ぶ可能性は考えていないの?」

瑞鶴「え?2人とも?」

あ、赤城さん。それは幾ら何でも気が早すぎるのでは?

赤城「外ではともかくとして、鎮守府ではジュウコンは大本営も認可していますよ」

それはそうですけれど、どのみち私達ではまず練度が足りていませんよ。
勿論、そうなればいいとは思っていますけれど、やはり提督がどういうお考えなのかにもよりますよね。

瑞鶴「私と翔鶴姉が提督と……ふふっ。いいじゃない!」

あら、瑞鶴ってばまた違うスイッチが入ったのね。
まあ、先程みたいに落ち込んでいるよりは笑顔が戻った貴女の方が嬉しいけれど。

瑞鶴「さ、行こう翔鶴姉!提督さんも待ってるし、2人で告白しよ!で、どうなっても恨みっこなし、いい?」

瑞鶴「ちょっと瑞鶴!スカート引っ張らないでよ」

……赤城さん、ありがとうございます。

赤城「頑張ってくださいね」

翔鶴「……はい」

568: ◆LFcKph6RSI 2016/07/19(火) 00:39:12.63 ID:YZy10bo/0
瑞鶴「ふふ~ん!どうよ!」

提督「おお!これが改二甲か」

翔鶴「足のバルジと長めの甲板が特徴なのかしら」

瑞鶴「これで一航戦にだって負けやしないんだから!」

工廠に集まって2人で瑞鶴の改二改装のお披露目会。
赤いカラーリングはやはり第一航空艦隊を意識してのことかしら。

瑞鶴「これからもよろしくね、てーとくさん」

提督「ああ、頼んだぞ。翔鶴も、もう少ししたらお前も受けてもらうからな」

翔鶴「はい。お待ちしています」

瑞鶴「それでさ提督さん。話、聞いてくれるんだよね」

提督「勿論。翔鶴、悪いが少し席を……」

瑞鶴「あ、翔鶴姉も一緒だからいいの」

提督「そうか。まぁ、俺は構わないがな。で、なんだ?」

瑞鶴「翔鶴姉」

瑞鶴、いいのね。

瑞翔「「提督(さん)好きです」」

579: ◆LFcKph6RSI 2016/07/21(木) 19:29:18.64 ID:XOeQ/Rxm0
提督「………」

瑞翔「「………」」

時間にして5秒もない空白。
なのにそれが永延のように感じてしまう。

提督「そうか」

提督。どうか、瑞鶴の気持ちを汲んだご返答をください。
提督の御答えは分かっています。ですからどうか……

提督「確認するのも失礼な事だけれど、それは上司として、ではなく男性として、だよな?」

演習中は疎か実践時ですら見た事の無いような真剣な表情。
その空気に釣られ、私も瑞鶴もただ無言で頷くだけ。

提督がこんな表情をする辺り、やっぱり何かあるんですね。

提督「嬉しいよ。美人2人から同時に告白されるなんて、男として栄誉の極みだね。正しく両手に華だ。ハハッ」

瑞鶴「じゃ、じゃあ!」

提督「けど悪い。ごめんな」

提督……

580: ◆LFcKph6RSI 2016/07/21(木) 19:42:01.12 ID:XOeQ/Rxm0
何時ものような軽い笑い。何時もよりも乾いた笑い。
開かれた口から出たのは残酷な、そして予定通りの謝罪の拒絶。

覚悟していた私ですら立ち暗みを覚える衝撃。ああ、やっぱり瑞鶴は取り乱しているみたいね。

瑞鶴「どうして!私の身体付きが貧相だから!それだったら翔鶴姉を選んであげてよ!それとももう誰か決めてる人がいるの!」

翔鶴「瑞鶴、落ち着きましょう。提督だって理由をご説明してくれるはずよ。ですよね?」

提督「勘違いしないでもらいたいのはお前達に魅力を感じないわけじゃない。それに、誰か心に決めた人がいるわけでもない」

瑞鶴「じゃあどうして!」

提督「まぁ落ち着いてくれ。こんなにも真摯に想いを告げてくれたんだ、俺だって全部答えるから」

提督「大本営がジュウコンを認可している事も、お前達の好意も十分に伝わった。俺だって応えてやりたいが、色々ある。それを全部話す」

提督の秘めた思い。明らかに好意を向けられている事を知りながら、それでいて頑なに交流を避けてきた理由。
ソレを知れると思うと心が躍らないわけではないけれど、つい先ほど盛大にフラれた身としては、なんとも言い難いわね。

582: ◆LFcKph6RSI 2016/07/21(木) 19:55:52.98 ID:XOeQ/Rxm0
提督「まず一番現実的な問題から言おう。それはお前達の練度だ」

瑞鶴の練度が90、私が86。高い方ではあるけれど、それでも練度限界は程遠い。
確かにケッコンしていただく為には練度限界であることが最低条件と聞いたけれど、それだと……

瑞鶴「でもそれってケッコン出来る出来ないかの違いでしょ!」

瑞鶴「それまでの間、私はもっと提督さんと仲良くしたい!一緒にご飯食べたい!お休みの日は何処かに行きたい!ねぇ、なんでダメなの?」

提督「瑞鶴の言う事は正しい。だから補足させてくれ」

提督「練度限界からのケッコンは艦娘をただの上司と部下の関係から一歩上の立場へと変える。能力も身分もな」

大本営がジュウコンを認めている理由。
ケッコンという銘を持ち、それでいて即物的な艦娘の強化にも繋がるケッコンカッコカリ。

だからこそ、鎮守府によっては練度限界になった艦娘とはとりあえず全員とケッコンしているところもあるらしい。
今は誰も練度限界の艦娘はこの鎮守府には居ないけれど、加賀さんや電さんを始め、近いうちにそうなることは明白。

そうなった時、提督がどういった対応を取られるのか、ちょっと想像が付かないわね。

提督「今翔鶴が挙げたことも理由の一つだが、まずは俺が挙げた方から説明させてくれ」

本当に、いつも奔放なのに変なところで真面目で頑固なんですから。

583: ◆LFcKph6RSI 2016/07/21(木) 20:11:30.36 ID:XOeQ/Rxm0
提督「少し昔の話だが、提督として未熟だった当時の俺は艦娘と将来迎えるであろう仲睦まじい未来を想像していた」

あら、実際に聞いてみると意外ね。
提督ってば普段はよくサボったりなさるのに、私達の事となれば良く言って放任、悪く言えば無関心ですし。

今の提督しか知らない私からすれば、提督がそんな想像をなさることの方が想像できないわ。

提督「で、そんな風に浮かれた時、指示を誤って俺は取り返しの付かない失態を犯した」

提督「具体的に何をやったのかは、此方についても故有って今は話せない。機会がくれば必ず話す」

提督「取り敢えず言える事は、俺は自身の不注意が原因でどうしようもない事態を招いたということだ」

瑞鶴「提督さんがそんなひどい失敗を?」

そうね瑞鶴、提督ってばお仕事をなさっている印象の方が少ないけれど、それでも提督としての仕事はきちんと果たすものね。
今までにしたって、演習では時折苦戦することもあるけれど、高い勝率を得ているし、況してや実践でなんて。

提督「………」

提督?

584: ◆LFcKph6RSI 2016/07/21(木) 20:28:53.91 ID:XOeQ/Rxm0
提督「まぁ、そういう過去があってだな、俺は艦娘とは仕事上の付き合い、と完全に割り切ることにした」

提督「これは俺が決めた事。だから仕事ではない関係を持つのだとすれば、それは艦娘が練度限界になり、一歩上のステージになった時、そう決めた」

瑞鶴「そんなの……」

翔鶴「提督が一度決めた事は頑なに守る事、貴女もよく知っているでしょ?」

瑞鶴「でも翔鶴姉、それでいいの?」

良くは無い。良くはない、けれど……

翔鶴「提督。今のお言葉ですと、練度限界さえ達すれば構わない、という風に受け取れますが、他の理由は?」

私達の練度なら険しい事には違いないけれど、絶望的とまでは言わない到達地点。
もし、叶うなら……

提督「実の処を言えばそこが一番デカい。他の理由としては、鎮守府全体として指輪をどうするかだ」

提督「受け取りたくない、ってヤツもいるかもしれないし、あるいは他に指輪を持っている艦娘がいるのは嫌だ、とかな」

前者はまず無いとして、後者は無いと言い切れないところよね。
そういう事を言いそうな人って……誰かしら?言われると検討が着きそうだけれど、いざ自分で考えるとなると、浮かばないものね。

585: ◆LFcKph6RSI 2016/07/21(木) 20:50:32.91 ID:XOeQ/Rxm0
提督「その点については誰かが練度限界に達した段階で全艦娘の意見を聞くつもりだ」

提督「あともうまぁもう一つの理由としては、こっちはこっちで深刻かつしょーもないことなんだけどな」

あら。提督に何時もの笑みが……そこまで重要ではないということかしら?

提督「練度限界、という前提情景こそあれど艦娘の能力向上させる指輪、大本営が支給してくれるのは一個だけでな」

提督「それ以降は鎮守府の資材を一部返納する形で大本営から融資してもらうしかない」

提督「で、恥ずかしい話だが、万年赤貧鎮守府のウチだと、仮に今お前達が練度限界だったとしても、指輪を二つも貰えない」

ああ、何時ものこの人の笑いだ。
何も考えていないように振る舞いながら、それでいて一番努力をしている、私達の提督の笑み。

瑞鶴「じゃ、じゃあ提督さん。私達が練度限界になったら、その時こそ、きちんと応えてくれるんだよね!」

提督「約束する。その時がきて、それでもまだ気持ちが変わらず、俺を想ってくれているというなら、その時こそ答えを出す」

提督「勿論、だからと言ってお前達だけを冷遇するつもりも優遇するつもりもない。お前達の能力等を判断し、適宜作戦に投入する」

提督「言っておくがそこから先はそう簡単に練度は上がらないから覚悟しておけよ」

瑞鶴「大丈夫だって!私と翔鶴姉なら、ビシバシ出撃して、ガンガン練度上げてやるんだから!ね?翔鶴姉」

瑞鶴のほうも何時もの調子に戻ってくれたみたいでよかった。
それに、私にもまだ望みはあるというこですよね、提督。

586: ◆LFcKph6RSI 2016/07/21(木) 21:12:22.14 ID:XOeQ/Rxm0
提督とは私達を拒絶しているわけじゃなかった。
それが実感出来ただけでもとても嬉しい。

翔鶴「さ、瑞鶴。今日の処はもうお暇しましょ」

瑞鶴「うん」

翔鶴「では提督、失礼しました」

提督「ああ、こんな不甲斐無いヤツが上司ですまなかった」

確かに、残念ではありますけれど、これも提督なりに真摯に考え抜いた結果というなら従いましょう。
それに、今まで通りの出撃ペースだと、それほど遠い日というわけでもないですしね。

瑞鶴「それじゃね、提督さん。明日からちゃ~んと出撃させ……あ!」

あら?

提督「どうした?」

瑞鶴「そうだ!結局アタシ提督さんにお願い叶えてもらってないじゃない!」

翔鶴「え、でもそれって……」

提督「まぁいいって、で?何かあるのか?言っとくが付き合ったりはだからできないからな」

瑞鶴「ふふ~ん!実はいい考えが浮かんだんだ~」

あら、瑞鶴ってば何か考えついたわね。

587: ◆LFcKph6RSI 2016/07/21(木) 21:20:38.19 ID:XOeQ/Rxm0
瑞鶴「提督さんと私って、実は次のお休み、同じ日なんだよね~」

翔鶴そういえば青葉さんや電さんに調べてもらって調整していたわね。
あら、慌ててご予定を確認なさる提督ってば、本当に気づいていなかったみたいね。

瑞鶴「だからさ、提督さん。次のお休みの日、どこか外に遊びに行ってよ。それが私のお願い」

翔鶴「え?」

提督「……成程ね。考えたな」

瑞鶴「提督さんと休日がたまたま一緒で、たまたま遊ぶ先が一緒だったとしても、それって別にデートでもなんでもないよね?」

そういうこと。いい考えね、私も次の改装の時はそうしようかしら。

瑞鶴「ね?これだったらいいでしょ。それとも……これもダメ?」

提督「はぁ……その一回だけだからな。翔鶴もだ、いいな?」

瑞鶴「やったぁ!で?提督さんってばどこに遊びに行くの?」

提督「急に言われても困るんだが、そうだな……↓2にでも行こうかな」

どこかデートできそうな場所
↓2


酷い文章でスミマセン。
本当にコレハヒドイ。

592: ◆LFcKph6RSI 2016/07/21(木) 21:41:59.64 ID:XOeQ/Rxm0
提督「ま、温泉に一日浸かって怠惰に過ごすのもいいんじゃないかな。疲れも取れるし」

瑞鶴「温泉?……提督さんの   」

提督「なんで混浴前提なんだよ。俺はあくまでも1人で休日を過ごす予定を言ったまでだ」

瑞鶴「うっ……そ、そうね。でもわかったわ。じゃあね提督さん!私、絶ッ対にあきらめないから!」

バタン

翔鶴「瑞鶴ってば!提督、お騒がせしました」

提督「気にすんな。俺の方こそ悪かった」

翔鶴「では、私もお待ちしていますからね。失礼しました」

バタン


瑞鶴と翔鶴の告白

艦!

本日はこれでおしまいとさせていだきます。
本当にひどい出来でスミマセンでした。
例の如く、降って沸いた温泉回はまた機会があればやろうかと思います。

602: ◆LFcKph6RSI 2016/07/25(月) 20:43:56.17 ID:jF7pmD3G0
提督「……で、翔鶴が居ないと出来ないって話ってなんだ?言っとくがさっきの答えは変わらないぞ」

それは分かってる。提督さんは自分で決めた事をそう簡単に変えたりしない。
でも、違うの……

瑞鶴「その事じゃないの。その、さっきはさっきで深刻な話だったんだけれど、こっちはこっちで深刻なの」

提督「そうか。提督として、力になれる事はなんでもするぞ」

頼もしいな。

瑞鶴「サンキュー。実はね、その……加賀さんのことなの」

提督「やっぱりそれか」ハァ

頭を抱える様子を見るに……

瑞鶴「もしかして知ってたの?」

提督「言い訳させてもらうとすれば、放置してたわけじゃない。俺もつい最近知った」

瑞鶴「ふ~ん」

ま、あの人は普段は凄く真面目だしね。

603: ◆LFcKph6RSI 2016/07/25(月) 20:53:20.09 ID:jF7pmD3G0
瑞鶴「一応説明すると、ここ最近の加賀さん。妙に私に構ってくるの」

瑞鶴「それ事態は別に構わないんだけれど……その……あの……」

提督「?」

ああ、もう!よりによって提督さんに言うのは恥ずかしいんだけど!

瑞鶴「お、お風呂の時とか、その、身体を触ってきたりするの。それもその、結構際どいところを」

提督「あ~……うん」

提督さんのなんとも言えない同情の視線が辛い。
本当、なんで加賀さんってば私に絡んでくるのかしら。

瑞鶴「それでね、私だけだとやっぱり言い辛いし、出来ればその、提督さんも一緒に居て欲しいんだけど……ダメ?」

提督「俺の方こそ気づいてやれなくて悪かった。勿論構わないよ」

提督「と言っても、夜には別件があるからそこまで長くは付き合えないけどな」

瑞鶴「はぁ、よかった。大丈夫だって、そんなに長くならないわ……多分」

提督「おい最後ちょっとまて!」

605: ◆LFcKph6RSI 2016/07/25(月) 21:11:25.21 ID:jF7pmD3G0
瑞鶴「じゃあ入ってきてもらうね」

提督「ああ、出来る限りは力になる」

瑞鶴「加賀さーん。もう入っていいみたいですよー」

ガチャ

加賀「一航戦加賀、失礼します。それで提督、お話しとはなんですか?」

提督「ぅえ?」

ごめんね提督さん。私からじゃ言い辛いし。

提督「……はぁ。別に畏まらなくていい。話ってのは瑞鶴の事だ」

加賀「五航戦ですか、本日の改二改装は恙無く終えたようですね。これで艦隊の戦力も増すでしょう」

本当、加賀さんってば他の誰かが居る時は普通なのに、どうして私だけと居る時は……
噂に聞く五航戦イビリってヤツともちょっと違う気がするし。

提督「まぁな。で、それはいいとして、お前、瑞鶴に良く絡むそうだな」

うわぁ、いきなり本題に持って行くんだ。
提督さんのことだからてっきり適当な話でも始めるのかと思ってた。

607: ◆LFcKph6RSI 2016/07/25(月) 21:32:45.34 ID:jF7pmD3G0
加賀「絡む?別に、私はただ、先輩として、そして同量として仲間のコンディションを確認しているだけですが」

いや、アレは……うん。

提督「お、おう」

瑞鶴「いいよ提督さん。これからは私が言うから」

加賀「あら、私に何か?」

瑞鶴「いい。私、加賀さんの事、嫌いじゃないわ。寧ろ頼れる先輩として好感を持ってる」

瑞鶴「でもさ、ここ最近、ちょっと私に対してその……執着というか、粘着というか、お風呂の時とかマジマジと見てきたりするし」

瑞鶴「正直、そういうのは迷惑だからやめて欲しいの」ポンポン

瑞鶴「それか、ん?どうしたの提督さん」

提督「アレ見ろ、聞いちゃいないぞ」

え?

加賀「頼れる先輩、好感……流石に気分が高揚します」ポケー

うわぁ……


611: ◆LFcKph6RSI 2016/07/25(月) 21:46:07.18 ID:jF7pmD3G0
提督「加賀。おーい、加賀ー戻ってこーい」

加賀「はっ!瑞鶴が私を好きだという話の途中でしたね」

瑞鶴「全ッ然違うし!一体何なのよ!」

加賀「五航戦の子と一緒にシたいです」

さっきから、ていうか時々加賀さんの言ってることが分からない。
提督さんは提督さんで頭抱えてるし。

提督「瑞鶴。お前が話しても伝わりが悪そうだから俺が言うぞ」

瑞鶴「う、うん、その方が良いみたい」

提督「いいか加賀、よく聞け」

加賀「はい。なんでしょうか」

えぇ……さっきまでアレがさっきまで女の子がしちゃいけない顔してた人の顔?
まるで別人なんだけれど。

612: ◆LFcKph6RSI 2016/07/25(月) 22:13:17.58 ID:jF7pmD3G0
提督「瑞鶴の事を気に掛けるなとは言わん。だが節度を持て他の艦娘と同じくらいのコミュニケーションに抑えろ」

提督「さもなくば瑞鶴の嫌気が差して別動隊に移ることになるかもしれないぞ」

加賀「流石に気分が動揺します」

提督「上手いこと言ったつもりかよ」

こうして傍から見る限りは何時も通りなんだけどなぁ。

提督「言っとくけど、コレは割と本気だぞ。瑞鶴に関するお前の件で他からも苦情まがいの報告は挙がってる」

一体何が言われてるんだろう。
しかも私に関する加賀さんって……加賀さん、他だと凛々しいところしか見た事ないから想像付かない。

提督「時に瑞鶴、お前は今後どうしたい?編成を変えて欲しいなら受け付ける」

提督「今までは加賀の希望で出来る限りお前と組ませて出撃させてきた」

提督「けどはっきり言って、お前達を組ませるメリットは大して無い。デメリットも無かったから今まではそうしてきたがな」

提督「改二甲として装甲空母の特性を持つようになったお前だ、新しい編成案も実は既にある」

提督「勿論このままの編成も構わない。どうしたいかはお前の希望も検討に入れる」

613: ◆LFcKph6RSI 2016/07/25(月) 22:57:34.48 ID:jF7pmD3G0
私の希望か……ていうか今まで加賀さんとやけに一緒だと思ってたらそういう事だったのね。
でも私だってもう十分高い練度だし、それに何より加賀さんとは艦載機運用が色々変わってくる。

瑞鶴「私は提督さんの指示に従うわ。資材とか航路とか色々あるだろうし、提督さんが思うように配置して」

加賀「え?じゃ、じゃあ……瑞鶴とは……今後は……」

一瞬で泣きそうな顔になった!本当に何なのよこの先輩。

提督「これからどういう編成になるかは海域によって追って検討する」

提督「ま、これまでみたく取り敢えずお前達2人、という可能性は少なくなるのは間違いない」

う~ん、出撃回数が下がると練度も上がりにくいけれど、それで提督さんに迷惑かけたくないし、仕方ないか。

加賀「さ、流石に、気分が、が……」

提督「う~ん、これは何とかするべきだな」

瑞鶴「そ、そうね」

幾ら何でもこれだと艦隊として少し問題なのは私にだって分かる。

提督「でもどうすればいいかな。まさか俺が問題を起こすわけにもいかないし。瑞鶴、なんか案あるか?」

瑞鶴「そうね↓2とかどう?」


加賀さん更生プロジェクト
↓2  
安価で成果。
01で最低値、90以上で埃脱却

あと今日はこの辺りでおしまいとさせていただきます

630: ◆LFcKph6RSI 2016/07/27(水) 21:53:34.78 ID:e6wpLdqB0
瑞鶴「私は艦隊の指揮とかよくわからないけれど、高練度の空母が2人で組む意味ってあまりないでしょ?」

瑞鶴「だったらもう、私と加賀さんのペアは解消でいいんじゃないかな」

どうせ帰投すれば一緒なんだし、私も自分そろそろ指導されてるだけじゃダメだと思うし。

提督「ま、瑞鶴のいう事は尤もだし、今後は海域事の編成を変えるとしよう」

加賀「さ、さすがに……気分がががが」バタン

加賀さんが倒れたーッ!

提督「おいマジか!瑞鶴、そっち持ってくれ、とりあえず医務室に運ぶぞ」

瑞鶴「りょ、了解」

632: ◆LFcKph6RSI 2016/07/27(水) 22:09:38.04 ID:e6wpLdqB0
――数日後……

瑞鶴「よし。いい感じじゃない!」

提督「よっ、瑞鶴。調子はどうだ?」

瑞鶴「あ、提督さん。バッチリよ、やっぱり装甲空母っていいわね。それにこの高い射程」

瑞鶴「被弾する回数も減ったし、今まで見たいに発着艦が出来なくて悔しい思いをすることも減ったわ」

提督「そりゃよかった。まぁ、装甲空母のお前が大破した日には相応の資材が要求されるから、本当に頼むよ」

あ~……うん。燃費は更に悪化しちゃったもんね。

提督「ま、それだけの成果は出してくれているからな、言っておいてなんだが資材は気にしなくていいぞ。電の胃は縮んでるけどな」

瑞鶴「提督さん……刺されないでよね?」

電ちゃんには悪いとは思ってるけれど、こればっかりは仕方無いからね。

提督「お、おう。取り敢えず大型建造は控えるよ」

提督「あ、それと瑞鶴。もうすぐ加賀達第一艦隊が帰投するから、戻ってきたら出撃してくれ」

瑞鶴「任せてよ」

633: ◆LFcKph6RSI 2016/07/27(水) 22:26:17.50 ID:e6wpLdqB0
『第一艦隊が帰投しました』

鈴谷「艦隊が帰投しました~お~つかれ~」

提督「お疲れ。被害は無いな」

鈴谷「ま、報告した通りじゃん。で、あっちもね……」

提督「あ、うん……あっちもか」

ん?誰か被弾……はしてないみたいだし、疲労したとか?
2人とも目から生気が抜けているけれど、何があったんだろう?

提督「そう言えばお前はアレから加賀に合うのは初めてだっけか」

そう言えば装甲空母の感覚に成れる為に赤城さんと特訓してもらって忙しかったしね。
赤城さんの特訓……うん、身にはついたけれど……二度と、ね。

提督「そっちもまぁ大変だったらしいな。まぁともかく見てくれ、言うより早い」

瑞鶴「分かったわ」

634: ◆LFcKph6RSI 2016/07/27(水) 22:38:43.93 ID:e6wpLdqB0
加賀「艦隊、帰投……ずい」

ずい?

提督「やっぱりか」

鈴谷「戦闘時は一応ちゃんとしてるんだけどね。終わるともうこうよ」

加賀さん、一体どうしちゃったの?目が虚ろというか、もうなんかヤバい事になってるんだけど。

加賀「補給を……ず、ずい……補給を」

瑞鶴「提督さん。まさか補給させてないとか?」

提督「なわけないだろ。あ、でも瑞鶴。最初に謝っておく、すまん」

え?ええ?いきなりどうしちゃったの?加賀さん明らかに普通じゃないし、提督さんいきなり謝るし。
提督さんのことだから何か酷いことをしてるとは思わないけれど、けれどそんな風に言われると困惑しちゃう。

提督「おーい加賀。今日は瑞鶴も出迎えに来てくれたぞ」

加賀「瑞鶴!」ガバッ

う、動いた!な、なに?

637: ◆LFcKph6RSI 2016/07/27(水) 22:54:37.61 ID:e6wpLdqB0
加賀「ず、瑞鶴!ほ、本物の瑞鶴!」

瑞鶴「ギャーッ!か、加賀さんどうしちゃったの!ちょっと近いって!そんなに疲れてたの?」

それとも加賀さんも何か特別訓練とかしてたとか?
とにかくいきなり抱き着くのは止めて欲しい。

加賀さんの体温ってただでさえ高い上に、帰投したばっかりだからか結構汗臭いし。
あと押し倒されると流石に重いし、加賀さんの豊かな胸を押し当てられるとそこはかとなく傷つく。

加賀「ああ、瑞鶴。大丈夫でしたか?きちんとやっていけてますか?辛くありませんか?」ハァハァ

瑞鶴「だ、大丈夫だから!一体どうしちゃったの?ねえ!」

そこ!提督さん、見てないで助けてよ!

提督「さ、もういいだろ。一先ず入渠してこい。小破未満とはいえお前は時間がかかるんだから」グイ

加賀「ああ、瑞鶴」

提督「鈴谷。あとは任せたぞ」

鈴谷「ほ~い。そんじゃ加賀さんも行きますか~お風呂だ~いすき」

加賀「ず~い~か~く~」ズルズル

瑞提「「………」」

瑞鶴「アレ……何?」

なんていうか、見ちゃいけないモノを見た気がする。

639: ◆LFcKph6RSI 2016/07/27(水) 23:18:05.62 ID:e6wpLdqB0
提督「まぁ、うん。見ての通りだ」

提督「ああ、なんていったらいいか、長らくバディを組んでた影響か、お前が居ないとああなってしまうらしくてな」

あ、相棒みたいに思われてたってことかな?加賀さんにそう思われるっていうのは嬉しいかな。

提督「うん。まぁ、そうだな」

なんでそこで目を逸らすのかしら。

提督「と、とにかく。あんな感じで、お前がいないと戦意の維持も大変らしい」

提督「これからは空いた時間でいいからたまには話しをしてやってほしい」

瑞鶴「そんなの言われるまでもないわ。加賀さんは大事な先輩だし」

今までがただ忙しかっただけなんだから。
それもこれも赤城さんの……赤城さん、の……

提督「トラウマを抉る必要はない。まぁ、そういう事だ。宜しく頼む」

瑞鶴「じゃ、これからも頼むよ」

瑞鶴「うん!けど提督さん、練度限界になった時は、忘れないでね」

提督「そこに不義理は働かない。戦果期待してるぞ」

瑞鶴「五航戦の真の実力、魅せてあげるんだから!」

瑞鶴と加賀さんと提督

艦!

660: ◆LFcKph6RSI 2016/08/01(月) 21:02:41.51 ID:Cg0WLcNm0
提督「で、いよいよ夜が近づいたわけだが」

電「遺書はいらないのです?」

提督「おい馬鹿やめろくださいませ」

電「冗談は半分くらいにしておいて、今日は大鯨さんの所でご飯を頂くのです?」

提督「まぁ、そういう約束だしな」

提督「けどその前に気になっていることが有る」

電「PCの前に座っている時点でもう察しているのです」

提督「そう。大鯨のPCだ、一体どうなっているのか、気にならないか?」

電「まぁ、気にならないと言えばウソになるのです」

提督「だろ!と、いうわけでポチっとな」

電「現実でその言葉を使ってボタンを押す人初めて見たのです」

指定PC艦娘NO:184
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668: ◆LFcKph6RSI 2016/08/01(月) 21:20:10.65 ID:Cg0WLcNm0
提督「………」

電「司令官さん」

提督「ハイナンデショウ」

電「大鯨さんとの夕食、楽しんでくださいね」

提督「電さん待って!このタイミングでそのセリフは本当にマズイと思うの」

電「大丈夫なのです。司令官さんは艦娘と不祥事を起こさないって信じているのです」

提督「電ぁ~」ウルッ

電「司令官さんにそんな度胸ないのです」

提督「アッハイ」

672: ◆LFcKph6RSI 2016/08/01(月) 21:39:01.77 ID:Cg0WLcNm0
提督「ま、まぁいい。俺も男だ、覚悟を決めよう」

電「上司が不祥事とか勘弁なのです」

提督「そっちじゃねぇよ」

提督「鎮守府の皆との接点を積極的に作ってこなかったが、大鯨の場合は任務ですら殆ど使っていない」

提督「おまけに大鯨は姉妹艦もいないどころか同艦種すらいない」

提督「何か悩みごとが有っても気づけなかった俺の責任だ」

提督「俺に出来る事は少ないだろうけれど、それでも出来る限りの事はするさ」

電「……凄いのです。司令官さんがかっこよく見えるのです」

提督「確かに普段はあんまし敬われるような事はしてないけれど、それでも酷いな」

電「自覚しているならもっときちんとして欲しいのです」

提督「ま、まぁその話は今度するとして。行ってきま~す」バタン

電「逃げられたのです」

673: ◆LFcKph6RSI 2016/08/01(月) 21:50:30.51 ID:Cg0WLcNm0
コンコン

提督「大鯨。俺だ、入ってもいいか?」

大鯨「は~い。お待ちしていました。どうぞ」

ガチャ

提督「失礼する」

大鯨のお部屋の様子
↓2

677: ◆LFcKph6RSI 2016/08/01(月) 22:16:27.26 ID:Cg0WLcNm0
大鯨「さ、どうぞどうぞ。手狭ですけれど、寛いでください」

提督「手狭って……掃除も行き届いているし、綺麗じゃないか」

提督「それに壁の写真は、潜水艦の皆で撮ったのか」

大鯨「はい!皆とっても仲が良くて」

提督「そりゃ良かった。ていうかここにも俺の写真があるのか。青葉のヤツめ」

大鯨「ち、違うんです!こ、これはその……私が、自分で」

提督「え?でもそうか、青葉にしては妙にピントが合ってないと思ったらそういうことか」

大鯨「提督、ごめんなさい。ごめん……な、さい」ポロポロ

提督「お、おい。泣くな、別に怒ってないし、俺は平気だから、な?」

大鯨「で、でも、でも、わたし……」

提督「大丈夫だから、ゆっくり、落ち着け。今日はお前が望むまでずっと居るから、ゆっくり話せばいい」

大鯨「はい……はい」

678: ◆LFcKph6RSI 2016/08/01(月) 23:03:29.36 ID:Cg0WLcNm0
提督「大鯨。何か悩みがあるなら聞くから、何か辛い事とかあるか?」

大鯨「ヒック、私の話……聴いてくださるんですか?」

提督「ああ、なんだ?」

大鯨「私、潜水母艦として建造されました」

大鯨「でも私、とっても弱くて、提督のお役に立ててなくて。それで……それで……」

提督「それで俺に違う繋がりを求めた、と?」

大鯨「はい……ごめんなさい」

提督「怒ってないから。そもそも、お前は潜水母艦だ、駆逐艦を倒せるだけでも凄い事なんだ。言っちゃ悪いが弱くて当たり前なんだ」

大鯨「でも、でもッ!」

提督「それに、お前が自分の存在意義に疑問を感じているなら、それはお前のせいじゃない」

提督「潜水母艦、という特異な艦種を使いこなせていない俺達、提督側に問題がある」

大鯨「提督……」

679: ◆LFcKph6RSI 2016/08/01(月) 23:04:58.07 ID:Cg0WLcNm0
今日はこの辺りで終わりにさせていただきます。

久し振りに提督出てきましたが、こんなのだったか不安です。

685: ◆LFcKph6RSI 2016/08/04(木) 21:19:25.72 ID:MJRi9AB70
大鯨「提督。私、最近思うんです。自分がいる意味は無いんじゃないかって」

大鯨「だから、私を解体してください。もう、艦娘でいることが辛いんです」

提督「ま、待て。何もそんな急く事は無いだろ」

大鯨「でも!私みたいな弱い船、いるだけで鎮守府に迷惑が掛かります」

提督「弱いことは悪い事じゃない。さっきも言ったが、潜水母艦なんだから弱くて当たり前だ」

提督「それに、夕立や阿武隈の例もある。改装すればもしかしたら凄く強くなるかもしれないぞ」←提督は龍鳳の存在を知りません

大鯨「でも潜水母艦です……」

提督「グゥッ……そ、そうだ!↓2とかどうだ?」

大鯨を元気づける何か
↓2

692: ◆LFcKph6RSI 2016/08/04(木) 21:47:15.76 ID:MJRi9AB70
>>688->>691
見事な連携ありがとうございます
寄りにもよってソレですか、わかりました。

では大鯨のお願いもついでに安価で

大鯨のお願い( 
↓2

696: ◆LFcKph6RSI 2016/08/04(木) 22:02:19.21 ID:MJRi9AB70
提督「大鯨。ウチは別に戦果にそこまで拘りが有るわけでもない」

提督「それに、今は大鯨を有効に使いこなせていないが、将来もしかたら凄い活用法が考案されるかもしれない」

提督「だから今、無理に自分の存在を定義する必要はないんだ。だいたい、俺なんて戦闘どころか海にすら出れないんだぞ」

提督「な?落ち着いて。今日はなんでも言う事聞いてやるから」

大鯨「ヒグッ……ウグッ……なんでも?」

提督「あ、ああ、俺が出来ることならなんでも」

大鯨「じゃあ……添い寝、してもらえますか?」

提督「え、ぅえ?」

700: ◆LFcKph6RSI 2016/08/04(木) 22:36:22.87 ID:MJRi9AB70
大鯨「そ、その、1人だと不安なんです。何時も解体される夢を見るんです」

大鯨「だから、その……一緒に寝てくれませんか?」

提督「一緒に、寝……ぅお」チラッ

大鯨「?」タプン

提督「あ~いや、その~」

大鯨「ダメですか?」ウルウル

提督「ダメってわけじゃないんだが、その……色々と」

大鯨「やっぱり、私なんかと居ても、暑苦しいだけですよね」シュン

提督「寝ます!寝させて頂きます!ハイ!」

大鯨「やったぁ!提督、ありがとうございます!」

提督「ただし寝るだけだからな!本当にそれだけだからな!俺何にもしねぇからな!」

大鯨「はい!あ、でも、その……私、気にしませんから、ね?」

提督「あ、ああ」

提督(うぉおおお!一晩耐え抜け!俺の理性!もし一線超えてみろ、確実に殺されるぞ!)

705: ◆LFcKph6RSI 2016/08/04(木) 22:57:46.38 ID:MJRi9AB70
――……


提督「ああ、今更だけど、本当にこんなんで良かったのか?」

提督「休みが欲しいとか、逆にもっと出撃させて欲しいとか、そんなんでもよかったんだぞ?」

大鯨「フフッ、良いんです。どうせ何時もお休みみたいな状況ですし……」シュン

提督「あ、すまん」

大鯨「気にしないでください。私、嬉しいんです!」ムギュッ

提督(うぉおお!分かっちゃいたが、大鯨の大鯨はやっぱり大鯨だ!包み込まれているっていう感覚が……なんというか凄い)ムニュムニュ

大鯨「て・い・と・く。今日はわざわざ私なんかの為に時間をとっていただいて、ありがとうございます」ギュッ

提督「大鯨……」

大鯨「私、本当に不安で……今日も……嫌われるんじゃないかって……でも、提督……ありが、と……」zzz

提督「大鯨」

提督(安心して寝落ちしたか……よかった。マジで色々と助かった)

大鯨「すぅーすぅー」zzz

提督(こんな間近で見た事ないけど、やっぱり大鯨も相当な美人だよな。蕩けるような甘い声に、それに反した凶悪なボディライン……)

提督の理性値コンマ
↓2

5、4、3、2、1で……

あ、でもどちらにせよ朝チュンですよ

708: ◆LFcKph6RSI 2016/08/04(木) 23:55:43.81 ID:MJRi9AB70
――朝……

大鯨「んっ……てい、とく」zzz

提督(た、耐えた……一晩中大鯨の大鯨押し付けられたままだったけど耐えたぞ……ふぅ~一年で一番集中した一晩だった気がする)

提督「大鯨、もう朝だぞ。起きろ」ユサユサ

大鯨「ん……あ、提督。おはようございます」

提督「おはよう大鯨。よく眠れたか?」

大鯨「はい!お陰でグッスリ眠れました」

提督「そうか。それは良かった」

提督「それで大鯨、落ち着いたか?」

大鯨「はい!私、待つことにします。潜水母艦が求められるその日まで」

提督「ああ、その時になったらよろしく頼む」

大鯨「それに……提督がお求めになる日も、待ってますね」ニコッ

提督「ま、まぁな」

709: ◆LFcKph6RSI 2016/08/05(金) 01:05:48.69 ID:Eq9XETiX0
提督「ただい……ん?青葉、どうした?執務室前で立って……誰か待ってるのか?」

青葉「あ!司令官!良い情報ありますよ」ピラッ

提督「ん?いったいこんどはなん……だとッ!」

『大スクープ!
紳士面の提督の裏の顔は狼?
咲夜、所在の不明だった提督の居場所、なんと潜水母艦の大鯨の個室!
両者は一晩部屋から出る事無く、2人は夜を過ごした……』グシャ

提督「おい!テメェ!」

青葉「今から鎮守府中に配ろうかと思ってます」ニヤニヤ

提督「おいバカ止めろ!」

青葉「止めろ?青葉、ウッカリ手を滑ってコレを窓からバラ撒きそうですね~」

提督「止めてくださいお願いします」ドゲザ

青葉「実はですね~青葉、フォトショ加工の新しいソフトが欲しくてですね、これが結構良いお値段してるんですよね」

提督「畜生分かったよ!領収書貰って来い!」

青葉「は~い。青葉、取材、いえ、調達行ってきま~す」

ガチャ

電「あ、司令官さん、おはようなのです。朝から青葉さんと何話してるのです?」

青提「「なんでもないです」」

710: ◆LFcKph6RSI 2016/08/05(金) 01:09:10.36 ID:Eq9XETiX0
大鯨との晩御飯




725: ◆LFcKph6RSI 2016/08/08(月) 22:31:20.16 ID:hyMkZwYa0
俺の帽子が変な帽子に替わる。
そんな何とも微妙なイタズラを受けてから暫く経った。

ちょっと前に出来たお悩み相談室とかに話を聞いてもらったけけど。
そん時に貰ったアドバイス通り今日はちょっとこっちからイタズラをし返してやる。

ていうか、そもそも犯人って誰なんだろうな。
ま、誰でも良いけどよ。

萩風「嵐?どうしたの?クローゼットを見つめて、油虫でもいた?」

ハギか、そう言えばハギにも誰にも、結局イタズラをされた事すら話していなかたっけ。
ちょうどいいや、今日から始めるか。

嵐「お、俺の、ぼ、ぼぼ帽子……が、ない」

うん。我ながら結構新券な表情が出来たんじゃないかな。

萩風「帽子?帽子って、嵐帽子なんて持っていたの?」

そっからかよ!
ていうかそうか、ハギと街に出る時は帽子なんて殆ど被らないし。

そもそも1人で街歩きたいとかにしか被らないもんな。後は自主トレの時くらいかな。
まぁ、ハギが犯人ってことはまずないだろうけど、面白そうだしハギにも秘密にしておくか。

726: ◆LFcKph6RSI 2016/08/08(月) 22:45:38.94 ID:hyMkZwYa0
嵐「俺の、帽子……だ、大事な帽子だったんだ……俺の、大事な」ポロポロ

萩風「あ、嵐?ちょっと!どうしたの?落ち着いて、ね?一度ラウンジに行きましょ」

ラウンジか、ここしばらくは提督も何か大きな用事が控えてるとかで、出撃も殆どないし、この時間なら結構な艦娘がいるはずだ。
フフッ、犯人め。この嵐の一芝居に肝冷やすがいいぜ。

帽子の来歴安価
一体どんな帽子だったのかという芝居設定
↓2

731: ◆LFcKph6RSI 2016/08/08(月) 23:14:02.43 ID:hyMkZwYa0
嵐「帽子……帽子……」

萩風「嵐、随分と帽子に拘ってるみたいだけれど、その帽子って、そんなに大切なの?」

嵐「あ、ああ。俺、時々1人で街に出る時あるだろ?」

萩風「月に一度くらいかしら、確かに1人で外出しているわよね」

嵐「アレ、実はな……その、友達に会いに行ってたんだ。艦娘とか軍人じゃなくて、ソイツは一般人だったんだ」

嵐「けどさ、ソイツ……は、白血病とかで身体良くなくてさ。この前……この前……」グスン

萩風「嵐……」

こんな嘘がサラサラ出る自分が怖いぜ。
1人で街出歩いてたのはどうやったら女の子っぽく見えるかってことで、可愛い服とか着てるの見られるのが恥ずかしかっただけだけど。

まさか今まで頑なに誰にも言わずにやっていた月に一度のオシャレの日がこんな時のアリバイに使えるなんて。
単じ……純粋はハギはコロっと信じてくれたみたいだけど、この様子なら他の連中にもバレなさそうだな。

嵐「ウ、グスン……そ、それで、その帽子は、ソイツから貰った大事なヤツなんだ」

嵐「ハギやマイもノワッチは勿論親友だ。けど、ソイツは艦娘でもない、俺が初めて、外で知り合って親友だったんだ」

嵐「ソイツの……ソイツから貰った、大事な、本当に大事な帽子だったんだッ!」

嵐「それが……それが、こんな変な野球帽子になっちまって。俺……俺、アイツになんて言えばいんだよッ!」

萩風「大変!だった尚更皆に話して協力してもらおう。ね?」

嵐「う、ああ」

これで証人は1人作った。
あとは犯人を吊り上げるだけだぜ。


732: ◆LFcKph6RSI 2016/08/08(月) 23:20:26.36 ID:hyMkZwYa0
ラウンジに集まった艦娘を安価で募集します。

なお、駆逐艦寮ということで駆逐艦限定、当たり前ですが嵐と萩風は除外とさせていただきます。

人数は5人、コンマが一番高かった人が犯人です。

駆逐艦
↓1

駆逐艦
↓2

駆逐艦
↓3

駆逐艦
↓4

駆逐艦
↓5

駆逐艦であれば今まで登場してこなかった子でも構いません。

あと、本日はこれにて終わらせていただきます。
結果を見次第、どんな話を作るので明日に間に合うかどうかは少し微妙なところをご容赦ください。
本日はどうもありがとうございました。

766: ◆LFcKph6RSI 2016/08/24(水) 00:22:30.03 ID:zZq5k3e80
朧「そ、それは……」

時津風「大事な大事な帽子だね」

秋雲「う~ん秋雲さん、流石にそういうガチなノンフィクションをネタにする程根性ないな~」

スミマセン。思いっきしフィクションです。

不知火「確かに帽子その物も大事ですが、艦娘の私物が紛失した事、コレは考えようによっては大事件ですよ」

時津風「そうなの?」

萩風「そうだね、もし艤装の部品とかだったら大変よね」

秋雲「ま、それもモチそうなんだけどさ。麗若くも謎に満ちた艦娘、そ~んな艦娘達の私物っしょ」

朧「?艤装なら分かるけど、私物ってそこまで問題?」

それは俺も思った。確かにスパイが艤装の不具合を誘発する可能性はあるかもしれないけど、ぶっちゃけ私物とかいらねぇだろ。
雲龍さんとかそもそも部屋に私物ねぇレベルだし、基本的に私物って官給品でもなんでもない物だからな。盗る意味がそれこそイタズラくらいじゃね?

秋雲「はぁ。分かってないな~皆さん。只でさえ現役JKの下着とか裏じゃマジで出回ったりとかしちゃってんのよ?」

秋雲「アタシ等はともかく、萩風ちゃんみたいなフェロモンムンムンな艦娘の下着とか、そりゃもうヤバいじゃん」

秋雲「外部の人は確かにまずいないけどさ、でも艦娘じゃない普通の軍人さんはいるわけだし、その人達が皆聖人君子ってわけでも無い訳ですよ」

767: ◆LFcKph6RSI 2016/08/24(水) 00:45:18.00 ID:zZq5k3e80
何時も通り軽い調子での秋雲の説明。
けれど全員が戦慄したのが顔を伏せてた状態でも空気で分かった。

……そっか、イタズラって線しか考えてなかったっけど、艦娘の私物が無くなるって、つまりそういう可能性もあったわけか。
いやまぁ、今回のはまず間違いなくイタズラなんだろうけどさ、確かにハギとかスタイル良いし、街でもしょっちゅう男に言い寄られるらしい。

不知火「秋雲の例はともかくとして、艦娘の私物が無くなる、というのは忌々しき事態です。司令には報告しましたか?」

嵐「ま、まだだ……」

そりゃこんなくだらない事言えるわけないだろ。
帽子も至って普通の帽子だし。

朧「不知火の言う通り、まず提督に知らせなくちゃ」

嵐「い、いや、いい。大事にしたくない」

本当に、もし司令に言った日には、多分笑いながらも探すの手伝ってくれる。自分が仕事で忙しいのに無理して。
そこが司令の良い所なのは間違いないけどさ、けどこんなくだらないイタズラの仕返しのイタズラに付き合わせるのは流石に悪い。

ていうか司令ならネタ晴らしして一緒にバカ騒ぎして楽しむのもいいんだけど、もし全部が電にバレた日には……
うん。やっぱり司令を巻き込むのは止めよう。

時津風「でもでも、しれぇに言ったほうがきっと早く見つかるよ」

秋雲「まぁまぁ、トッキーさんや、そういう大切な物はあまり人に広められたく無い物だったりするのさ」

秋雲が一連の流れを芝居だと見抜いたかコンマ判定
コンマ80以上で芝居だと見抜き、その上で協力します
↓1

そして今日のところは申し訳ありませんがこれにて終わりにさせていただきます
これからはまた頑張ります
お付き合いいただけたら幸いです

782: ◆LFcKph6RSI 2016/08/25(木) 22:41:32.42 ID:37lgFOgl0
やいのやいのと皆で議論が続く。
俺の予定だともう少しはっちゃけた雰囲気になるかと思っていたんだけどな。

帽子の設定をちょっと本格的にし過ぎちまったのと、集まったメンツが真面目なヤツばっかりだし。
結構本格的に警備体制やらなんやら、遺失物の届がどうかとか、聞いていていたたまれない気持ちになるぜ。

卯月「ぴょ?皆集まってどうしたぴょん?何か面白い事?うーちゃんも混ぜて欲しいっぴょん」

不知火「卯月、ですか」

あ、一瞬空気が凍ったな。
まぁ、俺もなんとなく最初から卯月が犯人じゃないかとは思ってるけどさ。

朧「実は、嵐の帽子が無くなっちゃったのよ」

卯月「ぴょそr」

秋雲「しかもマブダチの形見とかいうガチモンよ」

卯月「ぴょ……ぴょん?」

萩風「実はね」


――萩風説明中……

卯月「ぴょぉ」

時津風「それでね、皆でどうしようってお話ししてたの」

不知火「そういう事です。卯月、何か心当たりなどありますか?場合によっては鎮守府の警備体制に関わる事件ですので」

卯月「う、うーちゃんは……」


卯月はどうする?
白を切る、謝る、etc
↓2

788: ◆LFcKph6RSI 2016/08/25(木) 23:08:43.57 ID:37lgFOgl0
卯月「ご、ごめんなざぃいいい!そ、そんな大事な帽子だなんて知らなかったぴょぉん」

話を聞くや顔を真っ青にしたかと思えば大泣きで土下座。
だろうな、とは思っていたけれど、やっぱりお前が犯人かよ!

卯月「ちょっとしたイタズラだったんだぴょん!帽子はちゃんと返すっぴょん!だから許してほしいっぴょぉん」

不知火「なんとなくそんな予感はしていましたが、やはり貴女でしたか」

不知火さん……いつにも増して眼力がスゲェ。まるで龍田さんみたいだ。

秋雲「知らなかったとはいえ、ネタにして良いモンとヤバいヤツってのはあるからね~」

朧「反省しているみたいだけれど、嵐どうする?」

嵐「う、ぅぅ」

さてどうしよう。ある意味予想通りっちゃ予想通りなんだよな。


嵐がどうするか
↓2

ついでに卯月の余罪が有るか否か、あればそれも
↓5


794: ◆LFcKph6RSI 2016/08/25(木) 23:17:32.76 ID:37lgFOgl0
弥生については本当に素で忘れてましたスミマセン
人数多いとやはり大変ですね
弥生ちゃんはジッと見てたということで……

795: ◆LFcKph6RSI 2016/08/25(木) 23:30:03.25 ID:37lgFOgl0
ま、そこそこ大事になっちまったし、此処はこのまま流れに乗って置いたほうがいいかな。

嵐「おッ、おお……俺の、俺の帽子!早く返してくれ!あッ、アレはッ!ハギにも触らせてない、大事なッ、大事なヤツなんだ!」

卯月「ぴょん!す、すぐにお返しするぴょん」ダッシュ

弥生「……卯月」ジッ

卯月「ぴょ!」

弥生「他には、何かしているの?イタズラ」

卯月「ぴょ……」

弥生「……怒ってないから、答えて」ジッ

いや、絶対に怒ってるだろ。マジギレしてるだろ。不知火以上に目がヤベェもん、被弾した直後の霧島さんみたいになってるもん。

卯月「ふ、吹雪にも、同じ事してる……ぴょん」

弥生「そう……取り敢えず。今すぐに嵐に帽子を返してあげて。それと、そのあと吹雪にも返すこと、いい?」ジッ

卯月「ぴょん!卯月、スクランブルっぴょん!」ダッシュ

796: ◆LFcKph6RSI 2016/08/25(木) 23:46:45.89 ID:37lgFOgl0
島風みたいな速度で泣きながら食堂から出て行った卯月。
後に残ったのは何と言えない沈黙。

萩風「嵐、大丈夫?」

嵐「あ、ああ。帽子が無事なら、それでいい」

秋雲「まぁ、オチとしちゃ順当なとこじゃね?」

不知火「外部犯やスパイでなくて良かった、と言ったところでしょうか。とはいえ気分の良い類ではありませんね」

朧「で、でも卯月って大体いつも、あんな感じだしね」

弥生「嵐」

嵐「ん?なんだ?」

うわぁ、面と向き合うとやっぱり怒ってるのが良く分かる。
そこまで深い付き合いってわけじゃないのもあるし、弥生って表情分かり難いヤツだけど、今回はハッキリ分かる、それくらいに激怒してる。

弥生「同じ睦月型として迷惑かけて……ごめん。でも、悪気が有ったわけじゃないとは思う。卯月っていつもああだし」

うん、そうですね。
こりゃもうイタズラでした、って言える雰囲気じゃないな。

今回の件はこの辺りにしておこう。それに、流石にコレは堪えるだろうし、暫くは卯月のヤツもイタズラを控えるだろう。

卯月「ぴょぉん!あ、嵐様!た、ただいまお持ちしたっぴょん!ほ、本当にごめんんさいっぴょん」ゼェゼェ

嵐「ん……もう、二度とするなよ」

卯月「ぴょん!」

弥生「はい、次は吹雪の所」

卯月「ぴょぉん!」

慌てふためいて走る卯月を見てると、なんだか面白く見える。
イタズラするのも偶には悪くないかもな、やり過ぎには注意しないといけないけど。


嵐のイタズラ仕返し
艦!

816: ◆LFcKph6RSI 2016/08/29(月) 23:48:48.28 ID:Yq3FgOeS0
『時雨と山城』編

深海棲艦に対する特務機関。
世界の海の番人。
人類最後の希望。

色んな風に呼ばれてはいるけれど、僕達は艦娘は言ってしまえば普通の人と変わらない。
まぁ、その普通の人がどんなのか分からないから、詳しくは分からないけれど、少なくとも提督から聞く限りは変わらない。

秋雲みたいに絵の才能がある艦娘もいれば、鳳翔さんの様に料理が得意な艦娘もいる。
非番の時は皆好きに過ごしている。

そう、普通は自分の好きに過ごしている。

時雨「さて、どうしたモノかな」

山城さんとは本当の意味で古い付き合いだけれど、2人で休日に何処かに出かけた事はない。
これが僕達駆逐艦同士ならなんとでもなったのかもしれないけれど、山城さん相手だと……うん。

僕の好きな所で良い、なんてアドバイスは貰ったけれど、そう言われて直ぐに思いつくようだとそもそもこんなに悩まないよ。
確かに、あの人ならカジノにでも連れて行かない限り、失望したりはしないだろうけれど、せっかく誘うなら出来るだけ楽しんでもらいたい。

時雨「結局、どこにしようかな」

一応、ネットで鎮守府の近く、日帰りで何とかなりそうなところは調べてみたけれど。
鎮守府が在る、昨今の情勢だとそれだけで街は発展するのか存外色んな施設が有って結局決まらずじまい。

時雨「でも……ここかな」


時雨の選んだ行先
↓2

821: ◆LFcKph6RSI 2016/08/30(火) 00:05:34.70 ID:9aqaeQ7d0
面白そうなイベントも幾つかやっているみたいだし、それに此処なら山城さんだって運は関係ない。
僕達2人で遊園地や温泉に行ってもつまらないし、此処なら大人な山城さんでもきっと楽しんでくれる筈。

服装は、うん。私服でいいよね。前に提督と制服で街を歩いていると、何故か提督が捕まりかけたし。
後にして思えば、軍事機密の塊みたいな僕達がその本領たる制服姿で出歩くのは確かに不味かったかもしれない。

時雨「山城さん、楽しんでくれるかな」

悲劇の西村艦隊。その中でも始まる前から終わっていた、言えるレベルで山城さんは酷かった。
その他色々あるけれど、諸々も合わせて山城さんはなんていうか……自分も低く見過ぎている。

艦だったころは確かにそうかもしれないけれど、今は違う。
扶桑さんはその辺り結構割り切っているように思えるけど、それに比べて山城さんはまだ引き摺っている。

味方の屍を踏み抜いて生き抜いた僕が言うのも烏滸がましいけれど、やっぱり山城さんにも今を楽しんで欲しい。

時雨「そろそろ時間だね」

鎮守府で2人揃って出るのも変な気分だし、待ち合わせ場所の駅には今から歩けば丁度良い時間だ。


時雨と山城の私服センス度
01程ヤバく、00に程良いセンス

時雨
↓1

山城
↓2

828: ◆LFcKph6RSI 2016/08/30(火) 00:15:39.36 ID:9aqaeQ7d0
時雨私服センス18
山城私服センス45

時雨割と酷いですね

あと、面白そうだったので何の脈絡も無く赤城さんと加賀さんも同じく
赤城
↓1

加賀
↓2

此方はただのネタですので今回は関係ないです

838: ◆LFcKph6RSI 2016/08/30(火) 00:39:40.14 ID:9aqaeQ7d0
時雨「うん。やっぱりまだ来ていないか」

待ち合わせ時間の時間前。当たり前だけれど山城さんは居ない。
けれど僕だって何の考えも無くこんな時間から待ちぼうけるつもりは無かった。

あの人達は大抵、物凄く待ち合わせ時間に早く着てしまうか、逆に運悪く様々なトラブルに遭って時間ギリギリか。
自分達の不幸体質を理解しているからこそ、待ち合わせに遅れないように早く行動しているらしいけれど。今回はどうやら不幸に巻き込まれた方らしい。


まぁいいさ、その場合も考えて来ている。
スマホに入れておいた復活のFでも見ていれば多分良い時間になるさ。

マジュニアにセルや魔人ブウも良いけれど、やっぱり相対的な絶望、って意味だとフリーザに勝るキャラは居ないと思うんだよね。
当時からすれば本当に規格外の力を持った軍勢に、丁度悟空のピンチ、そしてそれでいて貫く絶対的な悪。

セルや魔人ブウと違って、最初から最後まで悪であることを貫き続けるのが良いよね、そういう意味ではマジュニアも良いんだけど、やっぱりピッコロがね。

……へー、セルと地獄で修行した事はまるまる無かった事にしているのか、まぁそうだよね、あのあたりを踏まえちゃうと色々とおかしくなるもんね。


――時雨視聴中……


ん?
今、何か気配が……

山城「えっと……貴女、時雨……よね?」

時雨「ああ、山城さん。ごめんね、気付かなかったよ」

すっかり夢中になっちゃったよ。
それにしても、山城、随分と顔が引き攣っているけれど、また何かに遭ったのかな?

山城「はぁ、まさか時雨の私服がそんなだったとは、不幸だわ」

ん?

時雨「ああ、コレ?良いでしょ、Z戦士Tシャツ」

山城「それ、男の子……まぁいいわ、それで、いきなり遊びに行こうなんて、一体どうしたの?」

時雨「そうだった、まぁついてきてよ」

839: ◆LFcKph6RSI 2016/08/30(火) 00:55:55.74 ID:9aqaeQ7d0
山城「へー、こうして改めて街を見ると、結構大きな街だったのね」

時雨「そうだね、僕も正直驚いているよ、何時も近場でしか遊ばないから」

カラオケや喫茶店なんかはわざわざ中心部に行くまでも無く揃っているからね、こうして電車に乗って移動するのは実は初めて。
でも、どうやらそれは山城さんも同じらしい。その点は少し助かったかな。僕だけが困惑していたら面目付かないし。

時雨「………」

山城「何?まだ顔に土が付いているの?」

時雨「いや、ただ美人だなって」

山城「び、びじッ!……」

只の無地のワンピースだけれど、それだけに却って山城さんのスタイルと器量の良さが良く浮彫になる。
何時もの和服と艤装が無いから正直見間違えるよ。頭の艦橋型艤装風のカチューシャが有るから直ぐに分かるけどね。

電車に乗るまでも、そして乗った後も、色んな人から注目される理由が良く分かるよ。
皆それとなく見ているつもりなんだろうけれど、視線や気配がまるで素人だからね、当たり前だけど。ていうか山城さん、やっぱり何か巻き込まれてたんだ。

時雨「あ、この駅だよ。降りたらすぐに着くらしいから楽しみにしていて」

顔が赤くなっている山城さんの手を引っ張って駅を降りる。
こうでもしないと自動改札機が故障してぶつかる事は目に見えて……というか入る時に学習済だから。

841: ◆LFcKph6RSI 2016/08/30(火) 01:10:27.55 ID:9aqaeQ7d0
山城「あ、案外大きいじゃない」

時雨「一応国立の研究施設と附随している所らしいからね」

港街なだけに主に海に関する研究が多いらしいけれど、一般開放している部分はそうでもないのかな。

『体験!巨視的トンネル効果!何回目で壁をすり抜けられるか!?』

なんて、どう考えても関係ないよね。えっとたしか物凄い低い確率でなら物体は壁でも何でも貫通するとかなんとか、だっけ?
多分、雪風でも出来っこないし、まぁ結局は学術的に不可能ではない、って話なんだよね。よくわからないけれどさ。


山城「此処が私と来たいって所?」

時雨「そうだよ。科学の前には幸運の不運も関係ないからね、結構面白そうなイベント一杯やってるらしいよ」

01~20:まずは軽食

21~40:『艦娘体験イベント』

41~60:『水難災害体験イベント』

61~80:『海の成り立ちを体験イベント』

81~99:典型的なナンパに遭う

00:偶然他の艦娘と出会う

何をするかコンマで
↓1

本日はこれにて終わりとさせていただきます
科学館なんて何十年ぶりかなので何か面白そうな事あれば其方を採用させていただくこともあります

あと一つ、一航戦は色んな意味で流石でした
本当にどうしてこうなった

867: ◆LFcKph6RSI 2016/09/02(金) 22:04:58.21 ID:C9aDPVES0
時雨「それじゃあ僕は入場券を買ってくるから山城さんはそこで待っていてよ」

と言っても、もうネットで購入してあるし後は受け取るだけだからすぐだろうけどね。

山城「ふーんじゃあ向こうのベンチで」

モブ男A「ねぇねぇ君達、どっから来たの?」

モブ男B「暇してるならオレ等と周らない?」

山城「なに、この人達?」

うわぁ……うん、なんていうか、凄くテンプレだね。
見るからに軽薄そうな派手な装いの人に、もう一人は目付きも顔つきも少し険しい人。

こういう古典的なナンパって未だに在るんだね。まぁ、山城さんは僕から見ても美人だし、男の人から見たら一層だろうけどさ。
ああ、山城さんが露骨に足を引きずったよ。

モブ男A「なに、ちょっと一緒に楽しもうってだけだしさ。ほら、飯とか奢るよ」

オブ男B「黙ってりゃ何も酷いことなんてしないしさ」

山城「………」

山城さん、断るならもっとハッキリ断ろうよ。ほら、その人達勘違いしちゃうから。
うん、違うんだ。山城が自分を抱き寄せる動作をしたのも、怪訝そうな顔をしたのも、別に君達に慄いているわけじゃないんだ。

そんな素人丸出しの体裁きで迫られても何も怖くないし、ましてや山城さんは男の人が純粋に嫌いなんだ。
提督にすら本心から素っ気無く接している程だし、山城さん的には面倒なのが来た、程度しか思われていないよ?

868: ◆LFcKph6RSI 2016/09/02(金) 22:20:24.61 ID:C9aDPVES0
モブ男A「大丈夫、別に何にもしないって」

山城「あ、あの……」

モブ男B「良いカラオケ知ってるし、一緒に歌おうぜ」

もう少し女性への接し方を学んだらどうかな、それで本心……下心を隠しているつもりなのかな?
山城さんは山城さんであまりの事態に困惑しているようだし、そろそろ僕が何とかしないと。

時雨「あのさ」

モブ男A「ん?あれ?弟かと思ってけど、案外可愛いじゃん」

モブ男B「クール系ボーイッシュってのも良いな。よし、姉ちゃんと一緒にオレ等と遊ぼうぜ」

ね、姉ちゃん?僕と山城さんが?どう見たら僕と山城さんが姉妹に見えるのさ。
まぁでも、説明してもややこしくなるだけだし、此処はその設定を使わせてもらおうかな。

時雨「止めてよね。お、お姉ちゃんが困ってるだろ」

これくらい脅せば素人なら素直に帰ってくれるよね。

モブ男B「チッ、やっぱガキか」

モブ男A「まぁ落ち着けって、お姉ちゃんみたいな大人はこんなトコじゃ楽しめないって。オレ等がきちんとエスコートしてやるから」

モブ男B「そうそう。ホラ、小遣いやるからお前は1人で楽しんでこいよ」

時雨「………」

お、驚いたよ。今の僕の殺気が分からなかったのかな?う~ん、一般の人と接する機会って僕自身も今までそんなに多く無かったからなぁ。
今の、鎮守府の人なら絶対に分かる程度には判り易くしたつもりだったんだけれど、でもこれ以上となると少し面倒な事に……

山城『だ・い・じ・ょ・う・ぶ・よ・し・ぐ・れ』

握った手の中で和文モールスって、随分器用な事するね。
けれど山城さんが大丈夫って言うなら、じゃあ任せようかな。

870: ◆LFcKph6RSI 2016/09/02(金) 23:37:09.85 ID:C9aDPVES0
山城「ねえ、貴方達」

あ、手を離された。
ふーん、成程。これはご愁傷様だね。

山城「私ってとっても不幸なんですよ」

男の人に山城さんが垂れ掛かる。もう山城さんが何をするつもりか分かったよ。
山城さんの他には扶桑さん他、数える程度の人しかできない有る意味での特殊能力。

モブ男A「不幸?大丈夫、オレ等と居れば幸せになれるよ」

山城「そう、それは良かったわ。今、こうしていても不安なの、在り得ないって思っていても不安なの」

モブ男A「安心しろって、必ず幸せにしてやるからさ」

そこの人、鼻の下を伸ばしている場合じゃないよ。

山城「急にハトの糞が落ちてきたりとか、ゴミが飛んできてぶつかったりとか、あるわけないとは思っているの」

山城さんの言葉に男の人が反応しようとした途端、ベチャっと頭に何かが落下し、更に車に跳ね飛ばされた生ごみらしき袋が顔面に付着。
ほんと、ちょっと気を抜くとすぐにコレだよ。

モブ男A「……え?」

山城「ほらね。こうしている間にも、急な腹痛に襲われないか心配で心配で」

モブ男A「一体なに……グォ!ォオ」

モブ男B「お、おい、一体どうした」

モブ男A「腹が、いてぇ……」

ほら、こうなる。

山城「こんな私でも、幸せにしてくれる?」

モブ男B「ヒィ!」


871: ◆LFcKph6RSI 2016/09/03(土) 00:18:58.78 ID:CWmNeDWS0
山城「……私と居ると、皆な不幸になる。はぁ、不幸だわ」

時雨「う~ん、何時見ても凄いよね」

山城「どうせ私は人付き合いもまともにできない不幸な艦よ」

時雨「そんなことないよ。こうして僕とは普通にいれるじゃないか」

というか山城さん、さっきのは意図的にやっていたよね。
確かに日常的に不幸だけれど、あそこまで凄いのは見たことが無い。

あの人達には悪いけれど、アレは自分達の危機管理能力の低さが招いた結果だし仕方ないよね。
それに、僕達艦娘が一般の人と親密な関係になるのは結構難しいんだよ。

山城「はぁ、これだから男の人って嫌なのよ、弱い」

時雨「僕達目線で見れば皆そうなるよ」

山城「結局、提督くらいなのかしらね。私達と一緒に居れる人って」

時雨「さあ、案外そんな理由かもしれないね。さ、行こうよ」

山城「そうね」

872: ◆LFcKph6RSI 2016/09/03(土) 00:37:21.05 ID:CWmNeDWS0
本日はこれで終わりとさせていただきます。
この後何をするのかコンマで決めさせてもらいます。


01~20:昼食

21~40:『艦娘体験イベント』

41~60:『水難災害体験イベント』

61~80:『海の成り立ちを体験イベント』

81~99:『自作船レースイベント』

00:偶然他の艦娘と出会う

何をするかコンマで
↓1

885: ◆LFcKph6RSI 2016/09/05(月) 22:11:13.90 ID:ZPfDWqHp0
山城「艦娘体験イベント……?」

時雨「うん。僕も詳しく知らないけれど、どうやら艤装紛いの物で艦娘みたいな事が出来るらしいよ」

山城「つまり軍のプロパガンダなのね」

それを言っちゃ元も子もない気がするけれど、それでも純粋に艤装が一部とはいえ完成しているのは凄いよね。
流石に、妖精さんを現界させる事は出来ないみたいだから、実用性は現状皆無らしいみたいだけれどね。

時雨「でもほら、やっぱり凄い人気みたいだよ」

山城「そうね。所で今更だけれど、私達が居ても大丈夫なの?」

時雨「良いんじゃないかな?」

本来は抽選倍率の高い予約制イベントなんだけれど、鎮守府からって連絡したらあっさり枠を取ってくれたのは秘密にしておこう。

係員「さて、今日集まってくれた皆ー。今日は来てくれて、ありがとう!」

……え?

山城「ねえ、時雨」

時雨「うん。あの人」

山雨「那珂(さん)が居る」

如何しよう、艦娘体験イベント会場の、多分本来ならイルカショーとかするような場所で、司会っぽい立場で喋ってる人に凄く見覚えがある。
具体的には且つて第四水雷戦隊旗艦を務めた那珂さんに似ている。ていうかどう見てもご本人だよね、あの人何しているんだい?

係員「はーい。今日は、皆に艦娘ってどういうに、どんな事をしているのか、この艦娘の那珂ちゃんが皆に伝えたいと思いまーす!」

とぅ!と可愛らしさの割に気合いの入った掛け声と共に5メートルくらいある高台から一気に水面へジャンプ。
同時に空中で艤装を展開して僕達からすれば見慣れた制服姿と主砲を携え、水面に立ってポーズを決める那珂さん。

他の人達からは拍手で歓迎されているけれど、僕達からすれば冷や汗が止まらないよ。
どうして今ここで艤装展開したのかな。無許可の艤装展開は厳罰対象だよ。

山城「落ち着きなさい、時雨。幾らあの那珂でもここまでの事、無許可でやるわけないでしょ」

そ、それもそうだね。

889: ◆LFcKph6RSI 2016/09/05(月) 22:43:53.84 ID:ZPfDWqHp0
水上をまるでスケートリンクみたいに滑りながら今回の趣旨を説明していく那珂さん。
要するに好きな艦種の模擬艤装を選んで、水面に立って的に訓練弾を当てる、ってことらしい。

どうでもいいけれど、話ながらあそこまで水飛沫を出さず、且つ失速しない低速で動く辺り流石だね。
多分、僕達以外は誰もその凄さが分かっていないだろうけれど、ゆっくり進むのってとっても難しいんだよね。

男の子「ねえねえ、艦娘って色んな人が居るんだよね」

係員「うん。そうだよー。皆とっても強いから、今日は精一杯楽しんでね!」

ああ、こういう風に子供と接している姿を見ると、なんていうか本当のアイドルみたいに思えるよ。
子供達も子供達で興味を持ってくれたみたいだし、思っていた以上に適役なのかもしれない。

係員「それじゃあ皆、艦種は選んでくれたかなー?じゃあ着け方と、注意を説明するから、よく聞いてねー」

そういえば艤装の着け方、どうするんだろうね。僕達からすれば呼吸するみたいな事だから改めて考えた事もなかったな。
それにしても、僕達だいぶ浮いてるね。結構子供向けのイベントなのか、僕くらいの年の子も少ない。ましてや山城さんは完全に保護者の立ち位置だよこれ。

係員「じゃあまずは足から!コレを付けないと沈んじゃうよー」

子供達に1人1人に丁寧に艤装を付けていく那珂さん。ちなみに僕達の所に来た時も見事な笑顔のまま優しく指導してくれた。流石だね。

お爺さん「おお、これでええんかな?」

係員「お爺さん。もうちょっと膝伸ばせるー?そうそう!ばっちり!」

うわぁ、僕達以上に凄い人いる。かなりご高齢の人だね。那珂さんと目が合った時、随分感極まったように見えたけれど……まさか、ね。

891: ◆LFcKph6RSI 2016/09/05(月) 23:21:58.79 ID:ZPfDWqHp0
時雨「山城さんは結局何を選んだの?」

山城「空母よ。でもこれ、思っていた以上に不安定ね」

時雨「そこはまぁ、模擬艤装だしね」

逆に僕は何時も以上に安定して立っている気がする、これが戦艦の安定性なのか。
ただこれ、脚部の駆動部分はそこそこの出来だけれど、主砲や電探は本当に玩具レベルだね。

山城「その辺りをしっかり作ると色々不味いんじゃない?」

それもそうか。
それにこうして水面に立つだけでも、子供達には大うけみたいだし、成果としては十分なのかな。

係員「皆ー。準備は良い?それじゃ、的の方をよーく見て。ゼーッタイに人に向けちゃダメだよ」

係員「じゃあ、まずはお姉さんがお手本を見せるからね。こうやって、よーく狙って……ドッカーン」

流石と言うか当然というか、那珂さんの放った弾は全弾命中。

お爺さん「おお、那珂……」

皆拍手しているけれど、一際盛大に拍手している向こうのお爺さんって、やっぱり……

係員「次は皆の番だよ。順番に一人ずつ、よーく狙ってね」

当たり前だけれど、水上で静止すら覚束ない素人の子供達の砲撃が当たる筈もない。
けれど、派手に散る水飛沫を浴びても、皆楽しそうだね。

山城「時雨、次は貴女の番よ」

おっと、此処はプロとしてちょっとは頑張らないと。

時雨「……見つけた」

41cm装砲
41cm装砲
15.5cm三連装副砲

シャッ、シャッ

スカーン

時雨「あれ?」

む、難しいね。

892: ◆LFcKph6RSI 2016/09/05(月) 23:40:15.68 ID:ZPfDWqHp0
山城「時雨、貴女反動を考慮せずに撃ったでしょ。何時もの小口径砲とは違うのよ」

そ、そう、みたいだね。これは流石に恥ずかしいな。

山城「主砲、よーく狙って、撃てーッ!」

12.7cm連装高角砲
12.7cm連装高角砲

スカーン
スカーン

山城「全弾外れ……不幸だわ」

時雨「山城さんは今の、射角が高すぎたんだよ。何時も使っている大口径砲程飛ばないし重くないからね」

山雨「……難しい」

そもそもが模擬装備なだけに普段と勝手が違う上に、扱った事の無い艦種の装備。
そういう意味では僕達も素人と変わらなかったね。

スカッ

お爺さん「夾叉!打ちぃい方、始めッ!」

ドーン

山城「時雨」

時雨「うん。あのお爺さん、凄い気迫だったね」

夾叉、なんて言葉そもそも一般の人ならまず知らない筈だし、この人やっぱり間違いないよ。

894: ◆LFcKph6RSI 2016/09/06(火) 00:14:15.88 ID:EHPsFqQt0
ムサシサンゲンキカナー

スカーン

今最後の1人が撃ち終わったみたいだけれど、結局まともに的へ当てられたのはあのお爺さんだけだね。

係員「皆落ち込まないでー!艦娘達だって最初から当てられるわけじゃないんだよ」

ごめんね、僕達艦娘だけど当てられなかったよ。

係員「今日は皆楽しんでくれたー?じゃあ、今日のMVPを発表するよー」

係員「じゃじゃん!軽巡洋艦装備のそちらのお爺さん!おめでとう!」

お爺さん「おお、有り難い。ごめんな……これからも、悪いが頑張ってくれ」

那珂さんに握手されて、ついに泣き出しちゃったよあのお爺さん。

係員「今日はありがとうー!まだまだ深海棲艦とのお仕事は続くけれど、那珂ちゃん達艦娘の事、嫌いにならないでねー!」

うん。大団円じゃないかな、僕としても今後大きな主砲を積む時の良い経験にもなったしね。

山城「あの人、どうするのかしら」

時雨「さぁ、でもあれだけ感極まるくらいだし、この後何とかして少しくらい話しはするんじゃないかな」

どうしたんだろう、山城さん。何時も以上に暗い雰囲気を纏って……艦娘体験イベントなんて、つまらなかったかな?

山城「時雨、貴女は昔の貴女を知る人に遭ったら、どうする?」

昔の……そうか、山城さんの最期って結局確か……

時雨「どうだろう。遭ってみないと分からないけれど、どんな気持ちだったかは聞きたいかな」

山城「そう……」

こんな空気じゃダメだね。今日は山城さんに楽しんでもらうつもりで誘ったんだし、とことん楽しんでもらうよ。

時雨「気分を変えてさ、↓2なんてどう?」

何をするか安価
↓2

別の場所に移動でも、他の事するでも


900: ◆LFcKph6RSI 2016/09/06(火) 00:31:17.66 ID:EHPsFqQt0
ご飯了解

ではついでに内容もコンマで
01程安っぽくて、00程高価な食事
↓1

それと、今日はこの辺りで終わらせていただきます
あと、山城と時雨編が終わればその次以降は次スレでやらさせて頂こうかとおもいます

シリアスとコメディを混ぜようとした結果なんとも中途半端なよくわからないものになってしまいました、申し訳ございません

因みにですが、軽巡洋艦那珂の最期は約240名が亡くなられ、210名が救助されたとのこと。
対して山城は約1300~1500名という乗組員の数すら不正確なまま、最終的に生存したのは約10名、という正しく惨劇の様相だったそうです。

那珂ちゃんは史実だと割と本当に頑張りましたし、西村艦隊も頑張ったんですよ、相手と状況が悪過ぎただけなんです。

915: ◆LFcKph6RSI 2016/09/09(金) 22:05:50.06 ID:kQX3QImU0
どうも、また更新させていただきます

中華料理についてちょっと勉強してきましたが、意外と面倒なんですね

というわけで時雨と山城の中華料理知識&マナーコンマ
01程残念で00程バッチリです

時雨
↓1

山城
↓2


921: ◆LFcKph6RSI 2016/09/09(金) 22:36:20.36 ID:kQX3QImU0
時雨「そろそろ、ご飯にしないかな?中華料理屋さん、予約してあるんだ」

山城「そうね、ちょうどいいわね。って中華料理?あのクルクル回すヤツ?」

時雨「そうだよ。僕も詳しくないから、隼鷹さんに良い処を見繕ってもらったんだけどね」

あの人、ダメな時はとことんダメだけれど、絞める場面はきちんと絞めてくれるし、鈴谷さん達とは違った意味で外食に詳しいしね。

山城「ふーん。まぁいいわ、じゃあ案内してくれる」

時雨「うん。この近くらしいんだ。えっと……こっち、かな」

この辺りは大きな路線がいくつか交差している関係もあって結構賑わっている。確かに此処なら僕達に合ったお店もありそうだね。
店の地図を見る限りだと、飲食店街からは少し外れた裏路地に居を構えているのかな。

山城「ちょっと時雨、そんなどんどん進んで大丈夫なの?道に迷ったりしない?」

時雨「寧ろこうやって進んで行けば勝手に辿り着くよ」

山城「それは貴女達だけよ……はぁ、不幸だわ」

そうか。僕は普段、適当に進めば目的地にいつの間にか着いているけれど、山城さん達はその逆なのか。
あれ。この場合はどうなるんだろう?ちょっと不安になってきたよ。

922: ◆LFcKph6RSI 2016/09/09(金) 23:05:15.93 ID:kQX3QImU0
中華料理屋
\デェェェェン/

山雨「………」

山城「時雨」

時雨「な、何かな?」

山城「本当に此処で合ってるの?」

時雨「う、うん。お店の場所も名前も、隼鷹さんに教えてもらった通りだけど……」

なんでだろうね。どうしてこんなトンネルの向こうにある神様達の銭湯みたいな凄い外見の建物なんだろうね。

山城「貴女なんて言ってお店教えてもらったのよ」

山城さんの生気の死んだ目がこんなに恐いと思う日がくるなんて……

時雨「え、えっと~2人でご飯食べるのに良い処を教えてくださ、あ」

もしかして、というか間違いないね。

山城「そうね。貴女は丁度良い、って意味で言ったんでしょうけれど、アイツは高級って意味の良い、って取ったんでしょうね。不幸だわふふふふ」

ダメだ、山城さんから何か出ちゃいけないオーラが滲み出してきている。

時雨「だ、大丈夫だよ。それにもう予約はしているんだ。さ、行こうよ。このお店なら絶対に美味しいよ」

山城「そりゃこの外観で不味い方がおかしいわよ」

924: ◆LFcKph6RSI 2016/09/09(金) 23:41:58.33 ID:kQX3QImU0
ボーイ「お待ちしておりました。時雨様と山城様でございますね。隼鷹様よりご紹介頂いております。どうぞこちらへ」

外観に負けず劣らずの内装に混乱したまま、結局何故か個室に案内されちゃったけど、本当に大丈夫なのかな。

山城「そもそも個室って言う割には広すぎるわよ」

時雨「うん。10人くらい余裕で入るよね」

わざわざ僕達に合わしたらしく、今はそこそここじんまりとした円卓になっているけれど、それでも提督の机と良い勝負だよ。

時雨「でもさ、せっかくだし楽しもうよ」

山城「そ、そうね」

ボーイ「先ずは前菜、 烏骨鶏松花蛋になります」

ボーイさんが何か真っ黒いのを置いてくれたけれど、どうしようコレなんだろう。発音がネイティブ過ぎて分からなかったよ。
前菜って言うからには食べ物なんだろうけれど……形からして、何かの卵なのかな?

山城「時雨。これ何?」

あ、山城さんも分からないのか。どうしよう、メニューなんて無いし、ボーイさん何て言ってたっけ。
確か何とかペェイタンって……ペェイタン、卵型、もしかして。

時雨「これきっとピータンだよ、僕も詳しくはないけれど、卵を発酵させた物、だった気がする」

山城「ふーん……独特の匂いが有るけれど、結構美味しいわね」

時雨「発酵食品だしね。あむ……ん、そうだね、でも僕、嫌いじゃないよ」

少し鼻に突く匂いだけれど、香草と黒酢のソースがいい感じに中和しているし、ネットリとした味の本体も結構サッパリ食べられる。

ボーイ「こちら、蟹黄湯包になります」

山城「ど、どうも」

今度のは分かるよ。コレは小籠包だね、多分。アツッ。

925: ◆LFcKph6RSI 2016/09/10(土) 00:18:08.66 ID:AqSkw9RO0
次に来たのは竹笠酿官燕とかって言って持って来てもらったスープ。
けれど何が入っているのかは全く分からないや。

山城「でもこの細くて白いのって、もしかしてフカヒレ?」

時雨「ああ、そうかもね」

あっさりとした塩味だけれど、適度に歯ごたえのあるよくわからない白い筋に深い味わいがあって、全く飽きないよ。

ボーイ「此方、隼鷹様からとのことで、至尊凯撒大帝です」

持って来たボトルが既に桐の箱に入っているし、絶対に高級品なのは分かるけれど、これって。

時雨「お酒かな?僕は悪いけど遠慮させてもらうよ」

山城「そうね。私も悪酔いしそうだし結構だわ」

ボーイ「作用で御座いますか。では烏竜茶をお持ちいたします」


――……


その後も結局、鮑だと思う物や、北京ダック、唐揚げみたいな良く分からない物、最後に杏仁豆腐、と。
結局殆ど何を食べているのか分からない物が続いたけれど。

時雨「美味しかったね」

山城「そうね、でもあんなに良い物食べたのに結局何食べたのか分からないっていうのは、不幸だわ」

時雨「ま、まぁそれは僕も同じだよ」

そこは本当に残念だった思う。今度隼鷹さんに詳しく教えてもらおうかな。

926: ◆LFcKph6RSI 2016/09/10(土) 00:29:55.18 ID:AqSkw9RO0
ああ、澄み渡った良い夜だ。鎮守府と違って、潮風の代わりに少し土の匂いがする。
山城さん。今日は楽しんでくれたかな。

山城「ところで時雨」

時雨「何かな?」

山城「どうして今日は誘ってくれたの?」

時雨「ん、これと言って深い理由はないよ。ただ、今までの恩返し、とはちょっと違うかな。ちょっとした同窓会みたいもんだよ」

改めて訊かれると、本当にどうしてなんだろうね。

時雨「戦友なんだしさ、別に大した理由が無くても良い。じゃないかな?」

山城「ふーん。ま、貴女が良かったならそれでいいけれど」

時雨「違うよ!」

山城「え?」

ダメだこの人。やっぱり根本的な所で誤解している。

時雨「今日は、その山城さんに楽しんで欲しくて、僕なりにだけれど色々と考えたんだ」

山城「私の、為に?そんな……」

時雨「この際だからハッキリ言うけれど、ソレは山城さんの悪い癖だよ。自分の事を過小評価し過ぎている」

山城「でも、どうせ私なんて」

ああ、もう!
結局僕は、この人のこういうところが心配というか、気になるんだろうね。

927: ◆LFcKph6RSI 2016/09/10(土) 00:55:39.02 ID:AqSkw9RO0
時雨「いいかい!確かに、昔は色々在ったよ。けれどそれは昔の話だ」

だいたい、山城さんは不幸不幸良く言うけれど、当時からすればかなり善戦したほうだ。
それに、ハッキリ言って且つての役立たず度合で言えばもっと物凄い艦娘だって居る。深雪なんて悲惨どころじゃないよ。

時雨「そして今はどうだい?長門さん達に負けず劣らないその火力とヌ級クラスと張り合えると制空能力」

僕が言うのもなんだけれど、なかなか反則級の性能だと思うよ。

山城「でも、同じ低速戦艦なら大和達には勝てないし」

時雨「報告した見張り係が正気を疑われたり、連合国を持ってしてモンスターと言わしめたあの2人は規格外だよ」

魚雷20発以上の直撃を受けても浮いている時点で何かがおかしいよ。

時雨「戦艦山城。それは僕達、西村艦隊の旗艦を務めたんだ。凄惨な最期こそ遂げたけれど、その事実は誇って欲しい」

時雨「それに、提督だって重要な局面だと編成に組み込んでいる。それが今の航空戦艦山城を信用している何よりの証拠だよ」

山城「でも、どうせ新しく来たアイオワやウォースパイトの練度が上がればどうせドックで待機するだけよ」

時雨「そんなことない。皆特徴が違うんだ。提督ならそれを活かした編成をしてくれるさ」

山城「そうかしら」

時雨「そうだよ。せっかく艦娘として色んなことが出来るようになったんだ。もっと自分に自信を持って、今を楽しもうよ」

山城「そう……」

時雨「うん。最初は慣れないかもしれないから、僕達にだって声を掛けてよ、こうしてまた一緒に遊ぼう、今度は西村艦隊の皆でさ」

山城「分かったわ。今度の休みは姉様と一緒に来てみるわ」

時雨「その調子だよ」

929: ◆LFcKph6RSI 2016/09/10(土) 01:10:12.56 ID:AqSkw9RO0
――後日……


提督「……で、休日は満喫した、と」

時雨「うん」

提督「山城も少しは自分に自信が持てるようになって今までよりは積極的になったと」

時雨「うん」

提督「そして高級中華料理食って給金前借したい、と」

時雨「……うん」

まさかね、あんなに高いとは思わなかったよ。
あの場はなんとか鎮守府に、って支払いを書いてもらったけれど、そんなことすれば当然こうなるよね。

時雨「その、この分は必ず取り返すから……ダメ?」

提督「そんなウルウルした上目遣いをするな!何もしてないのに罪悪感が苛むだろうが!」

提督「ま、今回は隼鷹も隼鷹だし、半分は俺が持つ。それでなんとかなるだろ」

時雨「あ、ありがとう」

提督「……と、いう事で電さん。これって経費で……落ちないですよね、はい」

提督の土下座姿をこれ以上見ない為にそろそろ出ようかな。


時雨と山城編

艦!

930: ◆LFcKph6RSI 2016/09/10(土) 01:25:59.12 ID:AqSkw9RO0
長らくお付き合いいただきありがとうございました。

本スレはコレにて取り敢えず終了とさせていただきます。

今後の予定ですが、以前に告知させて頂いた通り、残っている短編を更にもう1スレ建てて書かせて頂きます。

今の処の予定ですが今の処は
イムヤの轟沈、漣の不祥事、曙VS電、雷と阿賀野の秘密

に、本スレで降ってわいた提督の温泉休暇、をいれるかまよっているくらいです。

何かリクエストなどありましたら1スレで消化できる範囲でしたらやっていこうかと思っております。

また、此方も先に告知させて頂いた通り、曙VS電編は更に次スレの鎮守府内演習にまとめるつもりでいます。
演習メンバーにつきましては丁度良いのでこのまま安価で決めさせてもらおうかと思っております。

ですので、日曜日まではHTML化申請をせずに本スレはこのまま残させて頂きます。

と、いうことでまずは鎮守府内演習編、メンバー安価

現時点ですが、旗艦は赤城対長門。他のメンバーは電と曙だけです。
ルールなどは全然決めておりません。
参加制限なども無いので、艦娘ならだれでも参加可能とし、各陣営残り4人を安価で決めさせていただきたいと思います
被った場合はそのまま一つ下に順番に繰り下げていきます。

赤城組
↓1~4

長門組
↓5~8

引用元: 【艦これ】提督「安価で艦娘と話したら大変なことになった」