1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 01:30:39.081 ID:IHT4UGCy0.net
―自宅―

男(歯を磨くか……)

男「……」シャカシャカ

男「……」シャカシャカシャカシャカシャカ

男「うっ」

男「オエェェェェェッ!!!」

男「オエェェェェェェェェェェェッ!!!」

嫁「ちょっと、あなた」

3: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 01:33:16.325 ID:IHT4UGCy0.net
嫁「オエってなるのはしょうがないけど、そんな堂々とやらないでよ」

嫁「窓やドアを閉めてからやってちょうだい。耳障りだし、みっともないわ」

男「……」

嫁「どうしたの?」

男「今ふと思ったんだが、この歯を磨く時のオエェェェェェッはものすごい可能性を秘めてると思うんだ」

嫁「はぁ?」

男「このオエェェェェェッを世の中のために役立てたい!」

嫁「バカじゃないの?」

4: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 01:35:38.022 ID:IHT4UGCy0.net
―電車内―

痴漢「ぐへへへ……」サワサワ…

女「……っ!」



男(あ、痴漢だ!)

男(こういう時にこそ、オエェェェェェッの出番だ!)シャカシャカシャカ

5: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 01:38:13.912 ID:IHT4UGCy0.net
男「オエッ」

痴漢「?」

男「オエェェェェェッ!!!」

痴漢「!?」

男「オエェェェェェェェェェェッ!!!」

痴漢「ひ、ひええ~っ! 次の駅で降りて自首しますぅぅぅ!」



女「……痴漢を撃退して下さって、ありがとうございました!」

男「いえいえ」オエッ

7: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 01:41:23.630 ID:IHT4UGCy0.net
―会社―

課長「この役立たずがッ! いつまで学生気分でいるつもりだッ!」

新人「申し訳ございません……」

課長「このカスッ! ゴミッ! クズッ! ボケッ! ダニッ! ザコッ!」



男(ミスをしたのはよくないことだけど、いくらなんでもいいすぎな気がする)

男(よぉし)シャカシャカシャカ

8: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 01:43:28.432 ID:IHT4UGCy0.net
男「オエェェェェェッ!!!」

課長「!?」

新人「!?」

男「オエェェェェェェェェェェッ!!!」

課長「なんだね、いきなり!?」

男「オエッ!!!」

課長「ひっ!」

課長「まあ、この辺で叱るのはやめとこう……うん」

男(これイケる!)

9: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 01:45:43.076 ID:IHT4UGCy0.net
―自宅―

男「……とまぁ、こんな具合だったよ」

嫁「あなた、人前で歯磨きしてきたの?」

男「ああ、歯磨きしないとオエェェェェェッは出せないからね」

嫁「歯磨きなんてのは、誰にも見られないように聞かれないようにこっそりやるものよ」

男「君はそうかもしれないけど、俺はもっとオエェェェェェッの可能性を世間に知らしめたいんだ!」

嫁「そこまでいうのなら、もう止めないわ。好きにしてちょうだい」

11: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 01:48:55.911 ID:IHT4UGCy0.net
―路上―

男(路上でオエェェェェェッを使ったライブだ!)シャカシャカシャカ

男「オェェッ! オェェッ! オェオエェェェッ!!!」

男「オエェェェェェェッ!!! オエオエオエェェェェェッ!!! オォォォォエェェェェェッ!!!」



通行人A「お、あの曲なかなかよくね?」

通行人B「ああ、イカしてるぜ!」

通行人C「いいぞーっ! もっと歌を聴かせてくれ!」

13: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 01:51:41.830 ID:IHT4UGCy0.net
スカウト「失礼」

男「オエェ?」

スカウト「私は大手音楽会社のスカウトの者なのだが……」

スカウト「ぜひ、デビューしてみないかね?」

男「――やります!」

男(やっぱり! 俺のオエェェェェェッは音楽の世界でも通用する!)

男(よぉし、他の分野でも……)

14: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 01:54:40.632 ID:IHT4UGCy0.net
―電力会社―

男「では、ご覧下さい。私が発明した発電機にオエると……」シャカシャカシャカ

男「オエェェェェェッ!!!」

バチバチバチッ

社員「おおっ、オエェェェェェッ一回で、大都会で一夜で消費される電力をまかなえるとは!」

社員「ぜひとも、この“オエ力発電”……我が社で使わせて下さい!」

男「どうぞどうぞ」ニッコリ

16: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 01:58:16.612 ID:IHT4UGCy0.net
―田舎―

農家「うちの畑がしょっちゅう、獣に荒らされて……」

男「ご安心下さい」

男「俺のオエェェェェェッを録音したカカシをここに置きましょう」

男「そうすれば、農作物の被害はゼロに抑えられるはずです」

農家(本当にこんなことで抑えられるのか……?)

18: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 02:00:18.760 ID:IHT4UGCy0.net
カカシ「オエェェェェェッ!!! オエェェェェェッ!!! オエェェェェェッ!!!」


イノシシ「!?」ビクッ

アライグマ「……」ガタガタガタ…

ヒグマ「グオオォォォ……」オドオド



農家「す、すごい! 効果てきめんだ!」

男「お安くしておきますよ」

20: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 02:03:05.784 ID:IHT4UGCy0.net
―首相官邸―

総理大臣「今度、他国の大統領と会談なんだけど、絶対無茶いわれるんだよな……」

男「外交なら私にお任せ下さい」

総理大臣「何者だ、君は!?」

男「私を同席させて下されば、今度の会談、必ず成功させてみせます!」

総理大臣「うむむ……よろしく頼む!」

22: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 02:05:38.596 ID:IHT4UGCy0.net
他国大統領「日本には、これぐらいの要求を飲んでもらいましょうか」ピラッ

総理大臣「ひええっ! こんな無茶な……」

男「オエェェェェェッ!!!」

他国大統領「!?」

男「オエェェェェェッ!!! オエェェェェェッ!!! オエェェェェェッ!!!」

他国大統領「ひいい……無茶いいません! すみませんでした!」

総理大臣「おおっ……!」

23: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 02:08:17.528 ID:IHT4UGCy0.net
人々は男を崇め、男の周囲には常に大勢のファンが詰めかけた。



キャーキャーッ!

「オエってくださーい!」 「お願いしまーす!」 「生オエェェェェェッお願いします!」


男「オッケー! ……じゃなかった、オッエー!」シャカシャカシャカ

男「オエェェェェェッ!!!」


キャーッ!!!

24: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 02:10:41.650 ID:IHT4UGCy0.net
―コンサート会場―

男「みんなー! 今日もオエッていくぜー!」シャカシャカシャカ

男「オォエェェェェェェェェェェェェェェェッ!!!」

オエェェェェェッ!!! オエェェェェェッ!!! オエェェェェェッ!!!


ワアァァァァァ……!




男は“オエリスト”と呼ばれ、人々の絶対的カリスマになっていった――

25: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 02:14:03.465 ID:IHT4UGCy0.net
―自宅―

男「ふんふ~ん、今日はコンサートだ」シャカシャカシャカ

嫁「お弁当置いておくわね」コトッ

男「ありがとう、控え室でおいしく食べるよ」シャカシャカシャカ

男「……」シャカシャカシャカ

男「……あれ?」シャカシャカシャカ

28: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 02:17:24.772 ID:IHT4UGCy0.net
男(今日はいくら歯を磨いても、えずかない、オエらない……)シャカシャカシャカ

男(どうなってんだ!?)シャカシャカシャカ


異変の正体――

男はオエリストとしてオエるために人の何倍も歯磨きをしたことで、
いつしか自然とオエらない歯磨きの技術を体得していたのである。

オエるための努力がかえって自身をオエェェェェェッから遠ざけてしまうとは――

なんという矛盾!!!



男(ど、どうしよう……!)

29: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 02:20:23.583 ID:IHT4UGCy0.net
―コンサート会場―

司会「さぁ、カリスマオエリスト、男さんの登場です!」

司会「それではどうぞ!」

男「は、はい……」


ワァァァァァッ!!!


「始まるぞ……」 「生で見るの初めて……」 「楽しみ~!」


男「……」シャカシャカシャカ

男(ダメだ、いくら磨いてもオエられない……! 体がオエらなくなってる……!)シャカシャカシャカ

31: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 02:23:22.712 ID:IHT4UGCy0.net
「……?」 「全然オエらないぞ?」 「早くオエェェェェェッしてぇっ!」


男「くっ……!」シャカシャカシャカ


「なにやってんだー!」 「高い金払ってんだぞー!」 「早くしろー!」

ブーブー… ブーブー…



男(ああああ……どうしよう、どうしよう……!)シャカシャカシャカ

男(このままじゃ暴動に発展しかねない……!)シャカシャカシャカシャカシャカシャカ

32: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 02:26:13.998 ID:IHT4UGCy0.net
嫁「あなた」

男「! ……どうしてここに!?」

嫁「バトンタッチよ」

男「いきなり何をいって――」

嫁「皆さん、今日は私が代わりにオエェェェェェッするわ」


「ふざけんな!」 「誰だお前!」 「引っ込んでろー!」

ブーブー…! ブーブー…!


男「お、おい今すぐ退場するんだ! 火に油を注いじまう!」

男「君みたいな奥ゆかしい女性にオエェェェェェッは無理だ!」

嫁「……」シャカシャカシャカ

33: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 02:28:49.056 ID:IHT4UGCy0.net
嫁「グボエェェェェェェェッ!!!」

嫁「オヴォエェェェェェェェェェェッ!!!」

男「!?」

男(俺よりはるかにすごいオエェェェェェッ!!!だ!)


シーン…



ワアァァァァァ……!!!

34: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 02:30:32.259 ID:IHT4UGCy0.net
嫁「グボッゴヴォエェェェェェェェェェェェッ!!!」

嫁「ゲボアァエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッ!!!」

嫁「ゲェボアァグボッゲボアェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッ!!!」


「すげー!」 「新オエリストの誕生だ!」 「シビれちゃうゥゥゥ!」


男(そういや、歯磨きしてるところを一度も見たことなかったけど……)

男(俺の嫁は、こんなすごいオエェェェェェッを隠してたのか……ッ!)

35: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 02:32:31.127 ID:IHT4UGCy0.net
嫁「……ふう、皆さん」


ザワッ…


嫁「盛り上がってるところ悪いけど……」

嫁「私は奥歯に物が挟まったような物言いは嫌いだからはっきりいうわ」

嫁「私はオエェェェェェッなんてみっともないと思ってるし、オエリストになんかなるつもりはないわ」

嫁「オエェェェェェッは誰にも聞かれないようにするのがエチケットなのよ」



シーン…

37: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 02:34:48.974 ID:IHT4UGCy0.net
「うん……」 「確かに……」 「みっともないよなぁ……」


オエリストを超えるオエリストにいわれてしまっては、誰も反論しようもなかった。

オエェェェェェッはみっともない行為であると、その場にいた皆が認めた。





発電やカカシなど有用な利用法は残しつつ、こうしてオエェェェェェッブームは幕を閉じた……。

39: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 02:39:12.419 ID:IHT4UGCy0.net
―自宅―

男「コンサートでは、君のおかげで助かったよ」

男「それにオエェェェェェッブームは過熱しすぎてた。このあたりで終息して本当によかった」

男「俺も元通りの生活を送ることにするよ」

男「しかし、君のオエェェェェェッはすごかったな。もしかして、体のどこかが悪いんじゃないか?」

嫁「うん……私もそう思って、あの後病院に行ってみたの」

男「え、そうなの!? どうだった!?」

嫁「そしたら、体は健康だったんだけど……」

41: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/08/14(火) 02:41:06.328 ID:IHT4UGCy0.net
嫁「どうやら、歯磨きのオエェェェェェッにつわりが混じってたみたい……」

男「つわ……り……? ってことは、まさか――」

嫁「うん……子供ができたの」

男「やったぁ!」

男「よーし、子供には人前でオエェェェェェッはしちゃダメだよって教えてあげないと!」

嫁「というより、オエェェェェェッしない歯磨きの方法を教えてあげてね、私にも」

男「オッエー! ……じゃなかった、オッケー!」







~おわり~

引用元: 男「歯を磨く時のオエェェェェェッを世の中のために役立てたい」嫁「バカじゃないの?」