武内P「担当Pの浮気に困っている?」 前編
513:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/20(木) 22:38:29 ID:ohqVcFYA
みく「そうにゃ! お願い、Pチャン!」
武内P「……」
みく「これは、どうしても必要なことなの!」
武内P「……前川さん」
みく「! 良いの!?」
武内P「病院に、行きましょうか」
みく「……」
みく「えっ?」
514:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/20(木) 22:41:11 ID:ohqVcFYA
みく「どうして病院に行くの?」
武内P「保険証は、合宿の時のコピーがありますので」
みく「Pチャン?」
武内P「前川さん、大丈夫です」
みく「いやあの、何が?」
武内P「私は、貴女を見捨てたりはしません」
みく「……」
みく「はい?」
515:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/20(木) 22:45:03 ID:ohqVcFYA
みく「えっと、 を舐めるのと病院に……何か関係が?」
武内P「今回の場合、密接な関係があります」
みく「う~ん…………駄目、わかんないにゃ」
武内P「おわかりに、なりませんか?」
みく「全然」
武内P「病気かどうか、検査するためです」
みく「……」
みく「んっ?」
516:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/20(木) 22:47:38 ID:ohqVcFYA
みく「……ねえ、Pチャン?」
武内P「はい、何でしょうか」
みく「Pチャンは、みくが病気か疑ってるの!?」
武内P「……そう、ですね」
みく「はあっ!?」
武内P「むしろ、病気であって欲しい、と」
武内P「……そう、思っています」
みく「んなっ!?」
みく「Pチャン! それってどういう意味!?」
517:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/20(木) 22:51:57 ID:ohqVcFYA
みく「みくはアイドルだよ!? 変な病気なんて無いもん!」
武内P「ですが! そうとしか考えられません!」
みく「ふにゃあああっ!? ぴっ、ぴぴ、Pチャン!?」
武内P「私は……前川さんは、真面目な方だと!」
武内P「そう、考えていたのです! 先程までは!」
武内P「その姿も、キャラだったとしたら……!」
武内P「あまりに……あまりに、残酷すぎます!」
みく「だ~か~ら~!」
みく「みくは、真面目に を舐めさせてって頼んでるの!」
武内P「待ってください……!」
武内P「もう……もう、やめてください……!」
518:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/20(木) 22:59:21 ID:ohqVcFYA
みく「ねえ、Pチャン! みくがこんなに頼んでるんだよ!?」
みく「プロデューサーなら、応えるべきでしょー!?」
武内P「無理です! 無理です、前川さん!」
みく「むうう~っ!」プクー!
みく「じゃあ、ペロッってするだけなら!?」
みく「それ位なら、協力してくれるよね!?」
武内P「前川さん!?」
武内P「何故、それなら協力すると思ったのですか!?」
519:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/20(木) 23:03:22 ID:ohqVcFYA
みく「一人じゃ無理だから頼んでるにゃ!」
武内P「それは……それは、その通りですよね!?」
みく「あともうちょっとの所で、舌が届かないの!」
武内P「えっ!?……えっ!?」
みく「お願いPチャン、協力して!」
みく「発情期の、ネコチャンになりきるために!」
武内P「……」
武内P「えっ?」
520:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/20(木) 23:09:02 ID:ohqVcFYA
・ ・ ・
武内P「……成る程、そういう事でしたか」
みく「どう!? 協力する気になった!?」
みく「んぎぎぎ……! 思い出すだけで、ムカムカするにゃ!」
みく「みくちゃんは、発情期の猫のマネとかは無理だよね」
みく「――とか!」
みく「志希チャンの方が、フツーに猫っぽい」
みく「――とか!」
みく「本気の猫とフェイクの猫って発言は、滅茶苦茶気を遣われてる」
みく「――とか!」
武内P「前川さん、待ってください!」
武内P「後半の発言は、あまりに危険すぎます!」
521:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/20(木) 23:14:12 ID:ohqVcFYA
みく「ここまで言われちゃ、女が……ネコチャンがすたるにゃ!」
武内P「は……はあ」
みく「そこで、みくは考えたの!」
みく「発情期のネコチャンさえ出来るようになれば――」
みく「みくは、ネコキャラとして一つ上のステージに行ける!」
みく「……って!」
みく「にゅっふふふ! どうにゃPチャン!」
みく「みくの考えは、どこか間違ってる!?」
武内P「いえ、あn」
みく「ストップ! 言わなくても、答えはわかってるにゃ!」
武内P「……は、はあ」
523:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/20(木) 23:19:33 ID:ohqVcFYA
みく「それでね、色々調べたんだけど……あっ、ちょっと待ってね」
武内P「は……はい」
みく「……」
ゴソゴソ…スチャッ!
前川「発情期のメス猫は、普段とは違う行動を取るの」
前川「大きな声を出したり、活発になったり……まあ、色々と」
前川「それで、自分一人でも出来るのは実行してみたんだよね」
武内P「あ……あの、前川さん?」
前川「何?」
武内P「……」
武内P「本当に……真面目な話、なのですね……」
524:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/20(木) 23:24:41 ID:ohqVcFYA
前川「口で説明するのも大変だから、このページを見て」
武内P「……わ、わかりました」
前川「この中でも、 を頻繁に舐める、っていうのが出来なくて」
武内P「……前川さん……あの」
前川「ん? どうしたの?」
武内P「トイレ以外の場所で粗相をする、と」
武内P「……そう、あるのですが……!?」
前川「楽勝でクリアしたよ」
武内P「楽勝で!?」
武内P「待ってください! せめて苦戦……苦心してください!」
525:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/20(木) 23:31:40 ID:ohqVcFYA
前川「……」
…スッ
みく「――Pチャン、みくは本気にゃ」
みく「ここで投げ出したら、全てが水の泡になるにゃ!」
武内P「いえ、ですが!」
武内P「スタート地点から、ゴール地点までを間違えています!」
みく「もう、みくは走り出してるにゃ!」
みく「ここで止まったら……止まっちゃったら!」
みく「李衣菜ちゃんのロッカーをビッシャビシャにしたのが無駄になるにゃ!!」
武内P「っ……!?」
526:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/20(木) 23:40:55 ID:ohqVcFYA
みく「だから――お願い、Pチャン!」
武内P「待ってください! 掃除は……掃除は、したのですか!?」
みく「してたら、協力してくれる!?」
武内P「えっ!?」
武内P「そ、それは……当たり前だと思うのですが!?」
みく「っ! わかったにゃ!」
みく「急いで掃除してくるから、此処で待ってて!」
ダダダダッ!
武内P「えっ!?」
武内P「あの、前川さん!? いつ、ビシャビシャに――」
ガチャッ! バタンッ!
武内P「……」
527:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/20(木) 23:46:45 ID:ohqVcFYA
・ ・ ・
みく「さ~って! 早速、始めるにゃ!」
武内P「……はい」
みく「服装も、ダンスレッスンの時のやつにしたし!」
みく「下は、スパッツだから……パンツも見えないにゃ!」
武内P「……そう、ですね」
みく「あっ、もしかしてPチャン……にゅふふ!」
みく「みくのパンツが見えないって、ガッカリしてるでしょー?」ニマニマ!
武内P「……」
武内P「いえ、断じて……断じて、その様な些細な事は気にしていません」
528:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/20(木) 23:53:43 ID:ohqVcFYA
みく「頻繁に、ってあるからね!」
みく「コツを掴んで、一人でも出来るようになる必要があるにゃ!」
武内P「あの……協力とは、何をすれば良いのでしょうか?」
みく「簡単だよ、Pチャン」
…コロンッ
みく「この、地面に背をつけて、寝転がった状態から」
…グイッ
みく「こう……足を持ち上げっ、て!」
みく「体を曲げていっ、て……! 顔と、 をっ……!」
…パタンっ!
みく「……ふぅ……くっつけるよう、押して欲しいにゃ!」
武内P「……!?」
531:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 00:01:29 ID:qoRJTt5w
武内P「ま、前川さん!? あっ、あの!」
みく「? どうしたの、Pチャン?」
武内P「その体勢は……前川さん! 前川さん!?」
みく「……うん、危ないことはわかってるにゃ」
武内P「でしたら!」
みく「だけど! みくは、自分を曲げないよ!」
武内P「っ!?」
みく「思いっきり……全力でやって!」
武内P「……前川さん」
武内P「……」
武内P「わかりました。それが……貴女の、笑顔のためでしたら」
532:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 00:09:59 ID:qoRJTt5w
みく「……行くにゃ!」
…グイッ!
武内P「――はい」
ガシッ!
みく「そう……そのまま、ゆっくり……!」
武内P「わかりました……」
ググググッ…!
みく「ぅっ……ふぅぅっ……!」
武内P「! 凄い……前川さんは、体がとても柔らかいですね……!」
ググググッ…!
みく「ふぅ……うぅ……くふぅぅ……!」
534:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 00:19:32 ID:qoRJTt5w
みく「……ぇっ……ぇぁっ……!」
武内P「前川さん、頑張ってください!」
ググッ…!
みく「……ぇ~っ……ぅぇ~っ……!」
武内P「後少し……! もう少しで……!」
みく「……んっ!」
つんっ
みく「にっ♡」ビクンッ!
武内P「! おめでとうございます、前川さん!」
みく「……ふぎっいいいいっ!?」ジタバタ!
武内P「前川さん!? どうされたのですか!?」
ガァキィッ!
みく「……つぅっ、つった! つったにゃ! 全身つったにゃ――っ!」
535:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 00:27:48 ID:qoRJTt5w
みく「ふぎゃああああっ!?」ジタバタ!
ガシッ!
武内P「まっ、前川さん!? 手を離してください!」
みく「はんぎいいいっ!?」ジタバタ!
武内P「あっ、暴れられると……前川さん!」
武内P「落ち着いてください、前川さ――んっ!」
みく「んに゙ゃああああっ!?」ジタバタ!
537:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 00:40:23 ID:qoRJTt5w
・ ・ ・
みく「……しっ、死ぬかと思ったにゃ……!」
武内P「……本当に、申し訳ありません」
みく「全然立ち上がれないけど……でもっ!」
みく「これで、発情期のネコチャンも完璧にゃ!」
武内P「……ええ、そうですね」
武内P「……発情期の猫の対処法も、現状の解決策も」
武内P「やはり、一番確実なのは――」
武内P「病院に、行く事ですね」
おわり
544:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 20:31:52 ID:ZmYU2cYE
我慢出来ないので書きます
市原仁奈「動物パワーでごぜーます!」
545:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 20:36:23 ID:ZmYU2cYE
ちひろ「えっ?」
仁奈「ムササビの気持ちになるですよ!」
バッサバッサ!
ちひろ「ちょっ、ちょっと仁奈ちゃん!?」
仁奈「? どうしたでごぜーますか?」
ちひろ「スカートめくっちゃ駄目!」
仁奈「でも、キグルミが無い時はこうするのが一番でごぜーますよ!」
仁奈「この間、こうやってお空を飛んでる人がテレビに出てやがりました!」
ちひろ「……ねえ、それって……まさか……」
仁奈「はい♪」
仁奈「その人の名前は――」
546:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 20:40:55 ID:ZmYU2cYE
・ ・ ・
ターちゃん「すやすや~……すやすや~……」
プクゥ~ッ、ヒュルルルッ、プクゥ~ッ、ヒュルルルッ…
ヂェーン「そろそろ起きなさい、ターちゃん」
つんっ!
パチィンッ!
ターちゃん「わああっ!?」
ターちゃん「なっ、何だ!? ハンター達の襲撃か!?」
ヂェーン「何寝ぼけてんのよ」
ターちゃん「……ヂェーン?」
ターちゃん「もうちょっと優しく起こしてくれても良いのに」ボソボソ
ヂェーン「何か言った?」ギロッ
ターちゃん「何でもありません」
548:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 20:47:36 ID:ZmYU2cYE
ペドロ「ですが先生、もうすぐ飛行機が着陸しますよ」
アナベベ「そうだぜ、ターちゃん」
アナベベ「いくら俺の自家用ジェットの寝心地が良いからったってな」
アナベベ「ず~っと寝てっと、そのまんま置いてっちまうぞ! ハハハ!」
ターちゃん「そっ、そんなぁ~!」
梁師範「おいおい、そのへんにしといてやんな」
梁師範「空の旅が終わったら、その後は一週間の船旅なんだ」
梁師範「今からそんな調子じゃ先が思いやられるぜ」
ヂェーン「だからこそよ!」
ヂェーン「超豪華客船で、一週間の海の旅!」
ヂェーン「各界の著名人も多く来るんだから、シャキッとして貰わないと!」
ターちゃん「本音は?」
ヂェーン「もち、船内のカジノでガッポリ稼ぐのが目的よ!」
549:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 20:57:33 ID:ZmYU2cYE
ヂェーン「良い、ターちゃん!」
ヂェーン「船内のカジノで稼いで、ハンター対策の資金に回すの!」
ヂェーン「それが出来なきゃ、どうなるかわかってんでしょうね?」
ターちゃん「ど、どうなるの……?」
ヂェーン「今の三倍働いて貰うことになるわよ!」
ターちゃん「え~っ!?」
梁師範「おいおい、どれだけ稼ぐつもりなんだよ」
ペドロ「ハハハハッ! ヂェーンさんらしいや!」
アナベベ「今の三倍ったら、地獄の重労働だぞ。こりゃ死ぬな」
梁師範・ペドロ・アナベベ「ハハハハッ!」
ヂェーン「全く……あっ、この商品なんか良さそうね♪」
『超強力クーラー』
ターちゃん「ホントにハンター対策の資金なの!?」
梁師範・ペドロ・アナベベ「……!」だああーっ!
550:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 21:09:23 ID:ZmYU2cYE
アナベベ「だが、各界の著名人が来るってのは本当だぜ」
アナベベ「まっ、俺もその内の一人だがよ! ダッハッハ!」
ペドロ「確かに、アナベベさんの事業は相当上手くいってるみたいですもんね!」
アナベベ「よせやい、照れるじゃねえか! もっと言って///」
ヂェーン「そう言うペドロちゃんだって、色んな格闘大会で優勝してるじゃない」
ヂェーン「格闘技界では、結構有名だって聞いてるわよ!」
ペドロ「いえ、自分はまだまだ未熟ですから! もっと言ってください///」
ターちゃん「梁師範も、西派白華拳の最高師範だもんね!」
梁師範「それを言うなら、ターちゃんは俺の知る限り最高の格闘家だぞ!」
ヂェーン「でもま、二人共そこまで有名じゃないのよね」
ヂェーン「片や、大会じゃそこまでいい成績を残してない」
ヂェーン「片や、 と を出して大体テレビ放送されないんだもの」
ターちゃん・梁師範「……」
551:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 21:18:36 ID:ZmYU2cYE
ターちゃん「でっ、でも! 私はこの間テレビに出たのだ!」
ヂェーン「ビックリ人間としてでしょ」
梁師範「そう言うヂェーンさんはどうなんだよ!」
ヂェーン「あたしは、ニューヨークの元トップモデルよ?」
ヂェーン「そ~んじょそこらのバカとヒゲとは違うんだから!」ウッフン!
どたぷ~んっ!
ターちゃん・梁師範「悔しいが、何も言い返せない……!」
エテ吉「キー、キキッ!」
ターちゃん「エテ吉……私達を慰めてくれるのか?」
エテ吉「キキッ!」コレミテコレミテ!
梁師範「ん? なんだよ、そのページに な写真でも載ってるのか?」
『サルでもわかる英会話 撮影モデル:エテ吉くん』
ターちゃん・梁師範「ただの自慢かい!!」
552:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 21:25:37 ID:ZmYU2cYE
アナベベ「――ほら、バカやってねえで窓の外を見てみろ!」
アナベベ「日本が見えてきたぜ!」
ターちゃん・ヂェーン・ペドロ・エテ吉「お~っ!」
梁師範「俺は元々中国に居たから、そこまでの感動はないな」
梁師範「……まあ、アフリカからだから物凄い遠い道のりだったが」
ヂェーン「良い、ターちゃん! さっきも言ったけど!」
ヂェーン「あんまりお下品なことしたら、駄目だからね!」
ターちゃん「えっ? 何?」
バッサバッサ!
ぱお~ん!
ヂェーン「そう言うのをやめろ言うとんのじゃい!!」
ターちゃん「す、座りっぱなしだから蒸れちゃって」
ターちゃん(……はぁ……窮屈な船旅になりそうなのだ)
553:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 21:37:33 ID:ZmYU2cYE
・ ・ ・
港
ペドロ「うわ~っ! 物凄く大きい船ですね!」
アナベベ「よせよペドロ。お上りさん丸出しじゃ――」
早苗「仕事とは言え、一週間の船旅なんてついてるわね!」
瑞樹「本当よね。船内には、最高級のエステもあるみたいよ」
楓「クルージングで、クレンジング……うふふっ!」
アナベベ「うっひょ~~っ!! こいつはたまりませんな~~っ!!」
ペドロ「アナベベさん、声が大きいですよ!」
アナベベ「日本のアイドルも来るって聞いて、参加した甲斐があったぜ~っ!!」
アナベベ「お近づきになるチャンスは、いくらでも……ぐふふふふっ!!」
楓「――あの……」
アナベベ・ペドロ「え~っ!? 向こうから近づいてきた!?」
554:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 21:53:11 ID:ZmYU2cYE
ヂェーン「良い? わかってるわね?」
ターちゃん「はい! も も出しません!」
ヂェーン「大声で言っちゃ意味ないでしょーが!」
楓「もしかして、ヂェーンさん……ですか?」
ヂェーン「何か御用? って言うか、どうしてあたしの名前を?」
楓「やっぱり!」
楓「ニューヨークでモデルをしてた、ヂェーンさんですよね」
ターちゃん・ヂェーン「えっ!?」
ターちゃん「ヂェーン、アメリカ産の豚肉のモデルもやってたの!?」
ヂェーン「――ふんっ!!」
バチーン!
ヂェーン「そうよ! よくわかったじゃな~い!」
ターちゃん「うんうん! 凄いのだー!」ボロッ…
555:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 22:01:45 ID:ZmYU2cYE
・ ・ ・
ヂェーン・楓・早苗・瑞樹「――!」キャッキャッ!
アナベベ「くっそ~っ! アイドルとお近づきになるチャンスだと思ったのによ~!」
ペドロ「あはは……それにしても、盛り上がってますねぇ」
ターちゃん「うん。ヂェーンも昔の話が出来て楽しそうなのだ」
「ふおおーっ! 本物のおサルさんでごぜーます!」
「キー、キキッ!」
ターちゃん・ペドロ・アナベベ「ん?」
仁奈「すっげー! おサルさんも、ちょめーじんでやがりますか!?」
エテ吉「キー! ウキキキッ!」ソウダヨ!
アナベベ「……おいおい、俺たちだけ女っ気無しか?」
ペドロ「女っ気って……あの子はまだ子供じゃないですか……」
556:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 22:11:45 ID:ZmYU2cYE
仁奈「仁奈は、市原仁奈でごぜーます!」
エテ吉「キーッ!」イイナマエダネ!
仁奈「おサルさんの名前は、なんでやがりますか?」
ターちゃん「――ソイツの名前は、エテ吉って言うんだ」ニコッ!
仁奈「えっ?」
ターちゃん「ほら、エテ吉。ちゃんと挨拶しないと駄目じゃないか」
エテ吉「キキッ!」
エテ吉『――はじめまして、可愛らしい人間のお嬢さん』
エテ吉『オイラの名前は、エテ吉……ただの、流れのエテ公さ』
エテ吉「――キーキキッ、キッウキキッキッキャキッ」
エテ吉「ウキキーキャッキャキッ、キキーッキ……キキッ、ウキキキッ」
ターちゃん「お辞儀とかで良いんだってば!」
557:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 22:22:49 ID:ZmYU2cYE
仁奈「……たっ……たっ……!」
ターちゃん「ほら、エテ吉! 戸惑っちゃったじゃないか!」
エテ吉「キキー……」ハンセイ
仁奈「ターちゃん!!」
ターちゃん「えっ!?」
ターちゃん「君は、私のことを知ってるのかい?」
仁奈「はい! すっげー、動物の人でやがります!」ニコニコ!
ターちゃん「……///」
仁奈「お願いです! 動物パワー、見せてくだせー!」ニコニコ!
ターちゃん「そ、それじゃあ……わかりやすくゾウさ――」
ヂェーン「小さい子供に何見せる気じゃい!」
ガンッ!
ターちゃん「……と、ゾウさんの鼻は物を投げる力も凄いのだ~」ボロッ…
558:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 22:30:36 ID:ZmYU2cYE
仁奈「……あっ、忘れてました!」
仁奈「はじめまして! 市原仁奈でごぜーます!」ペコリ!
ターちゃん「はじめまして! 私は――」ニコッ!
ターちゃん「ジャングルの王者、ターちゃん♡」
ターちゃん「……なのだ~!」
仁奈「もしかして、ターちゃんもお船でりょこーするでごぜーますか!?」
ターちゃん「うん、そうだよ」
ターちゃん「ターちゃんも、っていう事は、仁奈ちゃんもなのかい?」
仁奈「はい! 仁奈は、お仕事でごぜーます!――アイドルの!」
ターちゃん・エテ吉「え~っ!?」
ターちゃん「仁奈ちゃん、アイドルだったの~っ!?」
仁奈「はいっ♪」ニコッ!
559:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 22:41:49 ID:ZmYU2cYE
仁奈「動物のキグルミを着て、い~っぱいLIVEするです♪」
ターちゃん「へええ! そいつは楽しみだ!」
仁奈「……えへへ! 楽しみにしててくだせー!」ニコッ!
ターちゃん「もちろん!」ニコッ!
エテ吉「ウキーッ! キキッ、ウキキキッ!」オイラモ、タノシミ!
アナベベ「――おい、ペドロ!!」
ペドロ「おっ、押忍! な、何ですか?」
アナベベ「別に、うらやましくなんかないんだかんね!?」
ペドロ「あの、自分は何も言って――」
有香「あ、あのっ! ペドロ・カズマイヤーさんですよね!?」
有香「フランス出身の、空手チャンピオンの!」
ペドロ「えっ!?」
アナベベ「……チクショ~~~ッ!! なんで俺だけ!!」
560:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 22:51:41 ID:ZmYU2cYE
アナベベ「梁師範! 俺の気持ちがわかるだろう!?」
梁師範「……おい、アナベベ」
アナベベ「まさか――」
アナベベ「俺には蓮苞ちゃんが居るもんね~!」
アナベベ「――なんて抜かすんじゃねえだろうな!?」
梁師範「そうじゃねえ」
梁師範「――この船旅ってのは、本当に安全なんだろうな」
アナベベ「あん? どうしたんだよ、急に真面目な顔して」
梁師範「どうにも、妙な気配を感じやがる」
アナベベ「妙な気配ってのは――」
小梅「う、うん……船の、旅楽しみ……だね」
アナベベ「……あの子が話しかけてる、何もない場所からか?」
梁師範「うん、そうだけど、そうじゃないかな」
561:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 23:05:46 ID:ZmYU2cYE
アナベベ「心配すんなって! 船内の警備は万全って聞いてるぜ!」
梁師範「……だと、良いんだがな」
アナベベ「警備には、腕利きを選りすぐってるらしい」
アナベベ「――おっ、アイツなんかそうじゃないか?」
武内P「……」
梁師範「……まあまあ、って所だな」
梁師範「鍛え方は足りないが、自然体を装うのが上手い」
みく「――Pチャン!」
アナベベ「はっは! SPが、護衛対象にPちゃ~んなんて呼ばれてるのか!」
梁師範「……あれじゃ、自然体も何もあったもんじゃないな」
卯月「プロデューサーさん!」
梁師範・アナベベ「紛らわしい顔してないでよね!!」
562:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 23:19:34 ID:ZmYU2cYE
武内P「前川さん、島村さん?」
みく「ちょっと来て!」
卯月「莉嘉ちゃんが、足を怪我しちゃったんです!」
武内P「えっ!?」
みく「LIVEの振り付け確認ー、って……」
卯月「止めたんですけど、それで転んじゃって……」
梁師範「――怪我人だったら、俺に見せてみな」
アナベベ「――失礼な事を言っちまった詫びさ、気にするこたぁないぜ」
武内P「貴方達は……?」
梁師範「西派白華拳、最高師範――梁。大した怪我じゃなけりゃ、すぐ治してやるさ」
アナベベ「俺の名は、アナベベ。この船の、招待客さ」
武内P「失礼な事……?」
梁師範・アナベベ「あれー!? そんな事言ったっけかなー!?」アセアセ!
563:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 23:27:49 ID:ZmYU2cYE
・ ・ ・
梁師範「――通明賢気、骨禎拘根、黄考建中……!」
ボォォォ…
莉嘉「っつっ……あれ……痛みが、ひいてく……」
梁師範「通明賢気、骨禎拘根、黄考建中……!」
ボォォォ…
莉嘉「……痛くない……凄い! 治った!」パアッ!
梁師範「……さて……それじゃあ次だ」
梁師範「通明賢気、骨禎拘根、黄考建中……!」
ボォォォ…
アナベベ「梁ちゃん、ほっぺの痛いの取れたら、こっちもお願い」ボロッ…
梁師範「待って、おもいっきりビンタされたから時間かかるかも」ボロッ…
武内P「すみません! すみません!」
564:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 23:37:01 ID:ZmYU2cYE
美嘉「ごっ、ゴメンなさい! 急に足を見せろっていうから……」
きらり「 な人だと思っちゃったにぃ……」
アナベベ「まあ、間違っちゃいないんだけどな!」
アナベベ「なっ、梁師範!」
梁師範「バッカ野郎! お前と一緒にすんじゃねえ!」
梁師範「この目を見てみろ! 邪念の欠片もありゃしねえだろうが!」
ビシッ!
美嘉「……ふ~ん?」
チラッ
梁師範「あっ、今日は暑いよねぇ~!」デレデレ!
梁師範「おじさん、邪念が無いからもっと薄着になっても良いよ~!」デレデレ!
CPアイドル達「邪念だらけやないかい!!」
565:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/21(金) 23:49:39 ID:ZmYU2cYE
武内P「申し訳ありません、大変失礼を……!」
梁師範「良いってことよ。困った時はお互い様さ」
アナベベ「それにこの子ら、船上LIVEをするアイドルなんだろう?」
アナベベ「だったら、怪我なんかしてる暇なんてないしな!」
梁師範「あのー……治したの、俺なんだけど」
アナベベ「また何かあったらいつでも言ってくれ! すぐ飛んでくから!」
梁師範「ねえ、聞いてる!?」
CPアイドル達「……ふふふっ!」
CPアイドル達「――はいっ!」ニコッ!
梁師範「……チッ、良い笑顔じゃねえか」
梁師範「まっ、俺も船上LIVEを楽しみにさせて貰うとするか」
アナベベ「それじゃあ、お礼にセクシーなお姉さんアイドルを紹介して貰おうか」
梁師範「良い感じで終わらさせてよね!!」
566:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 00:14:17 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
港
ガリ眼鏡「……どいつもこいつも、浮かれて間抜け面をしてやがる」
ガリ眼鏡(世界中の著名人が集まる、この船旅)
ガリ眼鏡(これは……またとないチャンスだ!)
ガリ眼鏡「くっくっくっく……!」
ガリ眼鏡(MAXもケルベロスも壊滅し、研究員はほとんど捕まった)
ガリ眼鏡(――だが! 私は逃げ延び、ここに立っている!)
ガリ眼鏡「ふっふっふっふ……!」
ガリ眼鏡(改造人間手術を施した、最強の拳士達を連れてなぁ!)
ガリ眼鏡「はっはっはっは! はーっはっはっは!」
招待客「あの人、よっぽどこの船旅が楽しみなんだなぁ」
567:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 00:20:38 ID:WGTAIlMk
(ターちゃんアイキャッチ)
CMタイミングなので寝ます
おやすみなさい
572:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 12:07:43 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
船室
ターちゃん「ふんふ~ん♪」
ゴシゴシ!
ヂェーン「何よターちゃん、ご機嫌じゃないの~!」
ペドロ「そうですね、ヂェーンさんのパンツを洗ってるっていうのに」
ターちゃん「いやー、今日も仁奈ちゃんと遊ぶ約束をしててさ!」
ターちゃん「船旅はそんなに楽しみじゃなかったんだけど……」
ターちゃん「あの子と遊んでるから、ち~っとも退屈しなくて済むんだ!」
梁師範「確かに、ターちゃんの動物パワーをあそこまで喜ぶ子は初めてだな」
ターちゃん「うん! だから、ヂェーンのパンツも楽しく洗えるのだ~♪」
ヂェーン「ターちゃん?」
ターちゃん「……なんでもありません」
573:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 12:15:07 ID:WGTAIlMk
ペドロ「でも、先生は本当に子供に好かれますよね」
ヂェーン「ターちゃんは、図体のでかい子供みたいなものだもの」
ヂェーン「子供同士だから、仲良くなりやすいのよ」
ペドロ「はー、なるほど! そういう事だったんですね!」
ターちゃん「むっ、何を言ってるんだ!」
ターちゃん「私だって、立派に大人として接してるさ!」
梁師範「ほー、例えば?」
ターちゃん「昨日はお馬さんごっこで、背中に乗せてあげただろー」
ヂェーン・梁師範「うんうん」ニコニコ!
ターちゃん「今日は、カンガルーごっこをして遊ぶつもりさ」
ターちゃん「こう、 の皮を伸ばして袋にして……」びろ~んっ!
ヂェーン・梁師範「やめんかい!!」
574:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 12:25:01 ID:WGTAIlMk
ターちゃん「むう……じゃあ、違う動物かー」
ターちゃん「仁奈ちゃんは、どんな動物が好きなのかなー」
ペドロ「アハハッ! きっと、どんな動物でも喜んでくれますよ!」
ターちゃん「……うん、そうだな! ペドロの言う通りだ!」ニコッ!
ヂェーン「……やれやれ、一時はどうなる事かと思ったけど」
ヂェーン「仁奈ちゃんって子が居て、ターちゃんも楽しそうで良かったわ」
梁師範「なんだ、ヂェーンさん」
梁師範「ターちゃんの様子がおかしいのに気付いてたのか」
ヂェーン「当たり前じゃないの」
ヂェーン「でも、これでリフレッシュが出来そうで安心したわ」
ヂェーン「最近戦ってばっかりだったから、こういう時も必要よ」
梁師範「ヂェーンさん……」ジーン!
ヂェーン「ターちゃん、パンツ洗う手が止まってるわよ」
梁師範「そこはちょっと位許したげてよね!!」
575:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 12:37:03 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
エステルーム
ヂェーン「――そんな訳で、毎日大変なのよ~」
ヂェーン「だから、こうやってエステして……あー、生き返る」
楓「ふふっ! ヂェーンさんったら!」
楓「ターちゃんの事、とっても大切に思ってるんですね♪」
ヂェーン「や~っだもう、そんなんじゃないってば!」
ヂェーン「そんな事より、三人は誰か良い相手とかいないわけ?」
早苗「居たら良いんだけどねぇ。でもほら、あたし達アイドルだし」
瑞樹「お仕事優先だわ。でも、今はエステで生き返るのに夢中」
楓「……ふふっ! LIVEも控えてますし――」
楓「エステで、ええステップに備えないとね♪……うふふっ!」
ヂェーン・早苗・瑞樹「あ……あはははは」
576:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 12:50:25 ID:WGTAIlMk
ヂェーン「それにしても、この船結構な数のアイドルが乗ってるのね~」
ヂェーン「カジノの、ディーラーのあの子もそうなんでしょ?」
楓「カジノの……ああ、レナさんですね」
瑞樹「彼女、ラスベガスで腕を磨いてたのよ?」
ヂェーン「なるほど! ど~っかで見たことある顔だと思ったのよ!」
ヂェーン「今の話を聞いて、ようやく思い出したわ!」
早苗「えっ!? ヂェーンさん、レナちゃんと顔見知りだったの!?」
ヂェーン「ええ、昔ベガスでちょっとね」
楓・瑞樹・早苗「へええ!」
ヂェーン「ボッコボコのボロ勝ちで儲けさせて貰ったのよー」
ヂェーン「あの時は半ベソかいてたから、思い出せなかったわー!」
楓・瑞樹・早苗「……!」だああーっ!
577:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 12:57:29 ID:WGTAIlMk
ヂェーン「だけど、アイドルになって度胸もついたみたいだし」
ヂェーン「おかげで予定よりも稼ぎが少なくて困るわ~」
早苗「あはは、それでも稼いでるのね……」
瑞樹「それじゃあ、今晩もカジノに行く予定なの?」
ヂェーン「行かないわよ」
ヂェーン「だって、今晩はアンタ達がLIVEすんでしょ?」
ヂェーン「カジノに行ってたら、見られないじゃないの」
楓「まあ! ヂェーンさん、見に来てくれるんですか?」
ヂェーン「あったりまえでしょ! 何言ってんのよ!」
ヂェーン「友達の晴れ舞台、見に行かなくてどうすんの」
楓・瑞樹・早苗「……」
ヂェーン「な、何よ? 何か文句あんの!?///」
578:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 13:03:50 ID:WGTAIlMk
早苗「……そんな事言われちゃ、気合入っちゃうわよねー」
瑞樹「わかるわ。今日は、最高のステージにしましょうね」
楓「はい。だって……ふふっ、お友達が見に来るんですもの♪」
ヂェーン「……ふふっ!」
ヂェーン「良い? あたしが、カジノに行くのを一日休むのよ」
ヂェーン「目一杯楽しませて貰わなきゃ、割に合わなくなっちゃう!」
ヂェーン「だから、今日は頑張んなさいよ!」
楓・瑞樹・早苗「はーい♪」
早苗「だ、か、ら~……今は、夜に備えて……」
瑞樹「ええ、ちゃんとメリハリをつけないと、ね」
ヂェーン「そうそう、リラックスリラックス……って」
楓「……すぅ……すぅ……」
ヂェーン・瑞樹・早苗「……もう寝てる」
579:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 13:12:07 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
船室、前
…コンコンッ
凛「プロデューサー」
…コンコンッ
凛「今晩のLIVEの事で、確認したい事があるんだけど」
『爆!!』
『うわああっ!?』
凛「っ!?」
凛「今の声、プロデューサー!?」
凛「それに、その前の声は……梁師範って言う人の声だった!」
凛「中で……何が起こってるの……!?」
580:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 13:23:51 ID:WGTAIlMk
凛「っ……!」
ガチャッ
凛「! 鍵が開いてる……プロデューサー!」
梁師範「ツモ! 大三元、四暗刻のダブル役満だぜ!」
梁師範「いやー、運が爆発しちゃってるなー! っははは!」
武内P・まゆP・今西部長「参りました!」
凛「遊んでないでよね!!」
武内P「っ!? 渋谷さん!?」
梁師範「お嬢ちゃん、こいつは遊びなんかじゃねえぜ」
凛「えっ?」
梁師範「高レートだかんね! さっ、もう半荘いこー!」
凛「賭け金の問題じゃないから!!」
581:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 13:29:10 ID:WGTAIlMk
凛「呆れた……皆で麻雀してるなんて」
まゆP・今西部長「しっ、失礼しましたー……」コソコソッ!
ガチャッ、バタンッ!
凛「……」ギロッ!
武内P「っ……!?」
梁師範「おい、ピーちゃんよ……」ボソボソ
武内P「な、何でしょうか?」ボソボソ
梁師範「この子、怒った顔めっちゃ怖くなーい!?」ボソボソ
凛「聞こえてるんだけど」
梁師範「駄目じゃないか、ピーちゃん」
梁師範「女の子に向かって、怖いなんて言っちゃ」
武内P「!? 待ってください! 私は、そのような事は一言も!」
583:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 13:38:56 ID:WGTAIlMk
凛「……!」ギロッ!
武内P「っ……!?」ビクビク!
梁師範「まあまあ、ちょっと位遊んだって良いじゃねえか」
梁師範「四六時中張り詰めてちゃ、体を壊しちまう」
凛「それは……そうだけど……」
梁師範「だ~いじょうぶだ」
梁師範「このヤロウ、こ~んな顔しておきながら……」
つんつんっ!
武内P「あ、あのっ! その話は……」
梁師範「口を開きゃあ、お前さんらアイドルの褒め言葉ばっかりだ」
凛「……ふ、ふーん……そうなの?///」
武内P「……」
梁師範「はっはっはっは! さっきと違う理由で、顔を赤くしてら!」
584:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 13:47:38 ID:WGTAIlMk
梁師範「でもまぁ、そろそろ退散するとしますかね」
梁師範「どうやら、確認したい事があるそうだしな」
武内P「ありがとうございます。とても、楽しめました」
梁師範「良いってことよ! 儲けたのはこっちだしな!」
梁師範「あっ、今晩もやるかんね! 忘れんじゃねえぞ!」
武内P「……はい、望む所です」
梁師範「それじゃあ、またな!」
梁師範「お前が褒めてたアイドルのLIVE、楽しみにしてるぜ!」
凛「……///」モジモジッ
梁師範「あー! 楓ちゅわんのLIVE、楽しみだなー!」
ガチャッ、バタンッ!
凛「…………プロデューサー? 確認したい事があるんだけど」
武内P「……ま、待ってください! 梁師範! 梁師範――!」
585:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 14:01:33 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
船上デッキ
仁奈「――すっげー! ターちゃん、すっげーでごぜーます!」
ターちゃん「いや~/// そこまで褒められると照れるのだ~///」
仁奈「キグルミも無いのに、本当に動物さんみてーです!」
ターちゃん「うん、それが動物パワーなんだ」
ターちゃん「動物になろうとするんじゃなく、ちょっと力を借りる」
ターちゃん「そうすれば、その力が自然と私に動物の動きをさせてくれるんだ」
ターちゃん「そうだね、例えば……」
ターちゃん「――ふんっ!」ギロォッ!
仁奈「っ!?」
仁奈「た……ターちゃん……?」
586:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 14:07:21 ID:WGTAIlMk
ターちゃん「……ハァ……ハァ……!」ギロォッ!
仁奈「……!?」
奏「何……!?」
奏「あの人、あんなに息を荒くして、恐ろしい目で……!」
ターちゃん「――とうっ!」ギロォッ!
ヒュッ――
奏「っ! 仁奈ちゃん、危ないっ!」
ドポーンッ!
ターちゃん「サメのパワーを借りすぎて、肺呼吸がきつかったのだー」ギロォッ!
ターちゃん「あっ、ホオジロザメだからお化粧しないと」ヌリヌリ
バシャバシャバシャバシャッ!
奏「そんなわけないでしょ!!」
587:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 14:19:33 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
ターちゃん「――どうだい? サメさんだったろう?」
仁奈「ターちゃん! サメさんは、お魚さんでごぜーますよ!」
ターちゃん「あっ、そっかー! ちょっと間違えちゃったのだ!」
ターちゃん・仁奈「あはははっ!」ニコニコ!
招待客達「……ふふふっ」ニコニコ
招待客達(微笑ましいなぁ)
ターちゃん「そう言えば、仁奈ちゃんはどうしてキグルミにこだわるんだい?」
ターちゃん「今日も、ウサギのキグルミを着てるし」
仁奈「はいっ! それは、仁奈がキグルミが好きだからです!」
仁奈「キグルミを着てると、皆が可愛がってくれやがります!」
仁奈「でも、キグルミを着てないと……皆、離れてっちゃうかも」
招待客達(……急に空気が重く……!)
588:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 14:27:30 ID:WGTAIlMk
仁奈「パパも、ママもお仕事でとっても忙しいから……」
仁奈「皆が構ってくれねーと、仁奈は……仁奈は……」
ターちゃん「……ぐうっ!?」
…ガクッ!
仁奈「っ!? ターちゃん!?」
仁奈「どうしたでごぜーますか!?」
ターちゃん「私のパワーの源は、アフリカのジャングル……!」ヘナヘナ…
ターちゃん「そこから離れて船に乗ってるから、パワー不足なのだ……!」ヘナヘナ…
ターちゃん「ああ、どうしよう……動物パワーが足りない……!」ヘナヘナ…
仁奈「! なら、このウサギのキグルミを着てくだせー!」
仁奈「ウサギのキグルミの、動物パワーでごぜーます!」
ぬぎぬぎっ…!
仁奈「ターちゃん! これで、ウサギの気持ちになるですよ!」
589:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 14:34:49 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
ターちゃん「ありがとう、仁奈ちゃん!」
ターちゃん「おかげで、助かったのだー!」
ターちゃん「ほらもう、ウサギパワーでお鼻ヒクヒクしちゃう」
仁奈「えへへっ! 元気になって、良かったです!」ニコッ!
ターちゃん「……私はバカだから、あまり気の利いたことは言えない」
ターちゃん「でも、誰かが困ってる時に、迷わず自分の大切な物を差し出せる」
ターちゃん「そんな優しい心の持ち主を誰も見捨てたりなんかしない」
ターちゃん「だから、なんにも心配することなんてないさ!」ニコッ!
仁奈「……ターちゃん」
仁奈「――はいっ♪」ニコッ!
ターちゃん「ところで仁奈ちゃん、このキグルミどうやって着せたの?」ピッチピチ!
招待客達「良い話は脱いでからしてよね!!」
590:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 14:47:58 ID:WGTAIlMk
ターちゃん「それにしても、パパもママも仕事で忙しいのかー」
仁奈「はい……」
ターちゃん「私の父は、いつも遊んでばっかりなのだ」
ターちゃん「なっ、エテ吉!」
エテ吉「ウキキッ!」
仁奈「えっ?」
ターちゃん「母は、アフリカの大地」
ターちゃん「今は離れているけど、いつでも見守っててくれる」
ターちゃん「だから寂しくは無いし、それに、新しい友だちも出来たからね!」
仁奈「仁奈も……仁奈もでごぜーます!」
仁奈「帰ったら、ママにい~っぱい、ターちゃんの話をするでごぜーます!」
ターちゃん・仁奈「……あははははっ!」ニコニコ!
591:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 15:01:40 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
船内 通路
アナベベ「チクショー! どいつもこいつも!」
アナベベ「俺を置いて、思い思いに楽しみやがって!」
アナベベ「ペドロのヤツだって――」
・ ・ ・
ペドロ『あっ、すみませんアナベベさ~ん』デレデレ!
ペドロ『僕、これからアイドルの子達に空手を教える約束があるんで~』デレデレ!
・ ・ ・
アナベベ「――とかなんとか抜かしやがってよぉ!」
アナベベ「空手とか言っといて、柔道の寝技でくんずほぐれつするつもりじゃねーだろうな!」
アナベベ「……くっそー、 のでかいねーちゃんに話しかけたら――」
・ ・ ・
『夜士死苦ゥ!』
・ ・ ・
アナベベ「――ってぶん殴られるし、散々だ!」ボロッ…
592:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 15:16:59 ID:WGTAIlMk
「――この手を離せ! 離しなさい!」
アナベベ「……ん? 何だ、揉め事か?」
大男「駄目だ。お前は、俺と一緒に来てもらう」
専務「くっ……!?」
アナベベ「……なんでぇ、ナンパがこじれてんのか」
アナベベ「男の方は、やけに体格が良いな……」
大男「……」
専務「離せと言ってるのがわからないのか!」
アナベベ「……女の方は、性格きつそうな顔してんなぁ」
アナベベ「ちょいと化粧がケバいが……うひょひょ! 良い体!」
アナベベ「……ここでカッコイイ所を見せて……うひょひょひょ~っ!」
アナベベ「――ようやく、俺にもツキが回ってきやがったぜ!」
593:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 15:23:44 ID:WGTAIlMk
大男「お前は、重要な人物だからな」
専務「!? 私の事を知って……!?」
アナベベ「おい、兄ちゃん!」
アナベベ「その人から、汚い手を離しな!」
専務「っ! 貴方は――!?」
大男「……何だ、お前は」
アナベベ「フン! 下衆野郎に名乗る名前はねーな!」
大男「……何?」
アナベベ「あっ、僕ちんアナベベって言います! これ名刺ね!」
アナベベ「コイツやっつけたら、後でご飯でも一緒にどーお!」
アナベベ「だ~いじょうぶ大丈夫! 下心なんてこれっぽっちもないからー!」
専務「あの……真面目にピンチなんだが」
594:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 15:33:29 ID:WGTAIlMk
アナベベ「そんな訳だ、お邪魔虫はとっとと――」
大男「邪魔なのはお前だ」
ドカッ!
アナベベ「おぶっ!?」
ヨロヨロッ…
アナベベ「てっ、テメエ! いきなり何しやがる!?」
アナベベ「相手が俺じゃなかったら、ぶっ飛んでた所だぞ!」
大男「今のに耐えるとは……貴様、何者だ」
…スッ
アナベベ「っ!? この構え……おい、逃げろ!」
専務「えっ!? し、しかし……!」
アナベベ「俺の事は良い! 早く逃げろってんだ!」
595:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 15:44:45 ID:WGTAIlMk
アナベベ「アイツはまともじゃねえ! モタモタすんな!」
専務「っ、わ、わかった! すぐに人を呼んでくる!」
アナベベ「っ、待て! 忘れもんだ!」
専務「!? どうした!?」
アナベベ「はい、俺の名刺」
アナベベ「そうだ! 裏に、船内に部屋番号書いとくね」
専務「モタモタしないでくれる!?」
大男「……」
大男「……練精化気、練気化神……!」
アナベベ「クソっ! その呪文、やっぱり――黒龍拳か!」
アナベベ「逃げろっ! ターちゃんか、梁師範に知らせてくれ!」
大男「練精化気、練気化神……!」
ボォォォ…!
596:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 15:56:33 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
大男「――砕!」
ボグゥッ!
アナベベ「ぐううっ――!?」
ドガァンッ!
アナベベ「うぶぇあっ!?」
…ドサッ!
アナベベ「ち……チクショウ……!」
アナベベ「気の力はともかく……なんてパワーだ……!」
大男「当然だ」
大男「黒龍拳で修行を積んだ暗殺部隊」
大男「それが、改造人間手術を受けてパワーアップしているのだからな」
ボォォォ…!
アナベベ「こ……殺される……!」
597:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 16:04:50 ID:WGTAIlMk
アナベベ「なんでだよ……!」
アナベベ「黒龍拳の総帥になった、李功の命令なのか……!?」
大男「フン! 誰があんな小僧を総帥と認めるか!」
大男「我らは、里を捨てた!」
大男「それも全て、金のためよ!」
大男「そのため、改造人間手術で我らは無敵の拳士になったのだ!」
アナベベ「……へ……へへへ……!」
アナベベ「そうかい……そいつは良かったじゃねえか……!」
大男「そうだ! 今ならば、誰であろうと敵ではない!」
大男「この船の人間を人質にして、身代金を――」
アナベベ「バーカ!」
アナベベ「お前になんか言ってねえよ!」
大男「……何?」
598:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 16:11:38 ID:WGTAIlMk
「天に三宝! 日、月、星!」
大男「!? この勁の呪文は……!?」
「地に三宝! 火、水、風!」
大男「どっ、どこだ!? 何処に居る!?」
「龍炎拳!!」
大男「おおおおおっ!?」
「裂!!」
ズバアアァァァンッ!!
大男「っ!? 上の通路から――ぐあああっ!?」
…ボトッ
大男「う、腕が! 俺の右腕があああっ!?」
599:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 16:20:27 ID:WGTAIlMk
「チッ! 一発で仕留めるつもりだったんだが、外したか」
…スタッ!
大男「おっ、おのれえええっ!」
大男「白華拳最高師範……梁!」
梁師範「馴れ馴れしく呼び捨てにすんじゃねーよ」
大男「よくも……よくも俺の右腕をおおおっ!」
梁師範「金に目がくらみ、外道に落ち……」
梁師範「あまつさえ! 改造人間手術だと!? ふざけやがって!」
梁師範「右腕だけとは言わねえ! 左腕も切り落としてやるぜ!」
大男「なっ……なんて気迫だ……!」
梁師範「俺のダチに手を出した礼は……キッチリ返させて貰う」
600:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 16:27:46 ID:WGTAIlMk
梁師範「アナベベ、俺が来るまでよく耐えてくれた」
梁師範「それに、目的を聞き出すとはやるじゃねーか」
梁師範「コイツを倒したら、傷の手当を――」
アナベベ「」
ダクダクダクダクッ…
梁師範「~~っ!?」アワアワ!
梁師範「通明賢気! 骨禎拘根! 黄考建中!」
梁師範「通明賢気! 骨禎拘根! 黄考建中!」
ボォォォ…
アナベベ「……う……んんっ」
梁師範「ぜはぁ……はぁっ……! セーフセーフ……!」
梁師範「なっ……中々……ぜはぁっ……やるじゃねーか……!」ヨロヨロッ…
大男「あの、何もしてないんですけど」
602:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 17:16:30 ID:WGTAIlMk
大男「練精化気、練気化神……!」
大男「練精化気、練気化神……!」
ボォォォ…!
大男「死ねえええっ!」
ヒュッ――
梁師範「ふっ!」
スッ
大男「ふっ! はっ! はっ! せやあっ!」
梁師範「くっ……! 思ったより速い……!」
アナベベ「んん……戦いは、どうなって……」
アナベベ「え~っ!? 梁師範、どうして押されてるの!?」
大男「ふははっ! それは、内養功で気を遣いs」
梁師範「思ってたより強いの!! そんだけだから!! そんだけ!!!」
603:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 17:25:38 ID:WGTAIlMk
梁師範「ちいっ!」
トンッ――
大男「上に跳んでも無駄だ! 落ちて来たところを――」
バチバチッ…ガシイッ!
大男「っ!? 地面から気が……う、動けん!」
梁師範「上空に注意を反らし、地面からの気で敵を縛る!」
梁師範「――これぞ! 白華龍歩撃掌!」
大男「うっ、うおおおおっ!?」
梁師範「ドタマかち割り!!」
ドガアアッ!
大男「……!?」
大男「うぐぇあっ……!」
…ドサッ!
604:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 17:40:12 ID:WGTAIlMk
梁師範「……へっ、手間ぁとらすんじゃねえよ」
アナベベ「さっすが梁ちゃん!」
梁師範「まっ、所詮はトーナメントの選手に選ばれない奴らだからな」
アナベベ「俺の傷も、いつの間にか治してくれてたし!」
梁師範「そっ、そだね! 余裕があったからね!」アセアセ!
専務「――無事でしたか!」
アナベベ「おおっ! アンタが梁師範を呼んでくれたんだな!」
梁師範「邪悪な気を感じて来てみりゃ、慌ててる彼女を見かけてな」
専務「あの、お怪我はありませんか……?」
アナベベ「……ぐうっ!?」
梁師範・専務「!?」
アナベベ「あー! の先が凄く痛い! 優しくさすってくれないかな~!」チラッチラッ!
梁師範・専務「……!」だああーっ!
605:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 17:58:04 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
船内 通路
ガリ眼鏡「――チッ! 何故、美城を連れてこない!」
ガリ眼鏡「あそこのアイドルは、訳がわからんヤツが多いんだ!」
ガリ眼鏡「上を抑えて、動きを制限しておきたかったが……!」
黒龍拳士達「……」
ガリ眼鏡「……まあ良い。コイツらが居れば、取るに足らないだろう」
ガリ眼鏡「この船を占拠した後、ゆっくりと……ぬふふ!」ニヤァ~ッ!
警備員A「なっ、なんですか貴方達は!?」
ガリ眼鏡「――やれ」
黒龍拳士達「練精化気、練気化神……!」
ボォォォ…!
「うっ――……うわああああっ!!」
606:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 18:10:32 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
船室
ターちゃん「――! まただ……!」
ターちゃん「今度は、何人もの悲鳴が聞こえた……!」
ヂェーン「ターちゃん、手」
ターちゃん「あ、はい、しーません」
もみもみっ!
ヂェーン「あー、やっぱりターちゃんの肩揉みが一番きくわー!」
ペドロ「やっぱり、愛があるからききが違うんですかね~!」
ターちゃん「よせやいペドロ、からかうなって~!」
ターちゃん・ヂェーン・ペドロ「あははははっ!」
ターちゃん「ぢゃなくてね!?」
607:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 18:23:59 ID:WGTAIlMk
ヂェーン「考えすぎよ、ターちゃん」
ヂェーン「……って言うか、いい加減にしてちょうだい!」
ターちゃん「え゙っ?」
ヂェーン「何度もそう言うから、駆けつけてみたら――」
ヂェーン「アナベベにナンパされて怒ってる子だったり!」
ヂェーン「なんか男の人を物凄く叱ってる子だったり!」
ヂェーン「股間に良いのが入って、悶絶してるペドロちゃんだったり!」
ターちゃん「えっ? だから倒れてたのペドロ?」
ペドロ「どこを攻撃してもきかないって言ったら……はい、偶然……」
ヂェーン「変にかっこつけるからそうなるのよ」
ペドロ「……押忍」
ターちゃん「だっ、だけど! 今の悲鳴は違うってばー!」
608:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 18:32:25 ID:WGTAIlMk
ヂェーン「とにかく! あたしは夜のLIVEに備えて昼寝するから!」
ヂェーン「起こすんじゃないわよ! 良いわね!?」
ターちゃん「ヂェーン! 本当なんだって~!」
ペドロ「ヂェーンさん、最後にもう一度だけ確認しに行きませんか?」
ヂェーン「嫌よ! そんな大変な事、おこるわけ――」
『あー、テステス……ゴホンッ!』
『この船は――我々が占拠した』
『なあに、無駄な抵抗をしなければ、悪いようにはしない』
『皆さんは、大事な人質なのだからね!』
『ふはははははっ!』
ヂェーン「……――あったわねぇ……」
ペドロ「そんな……この船が、シージャックされるなんて!」
ターちゃん「皆は……本当に、皆は無事なのか……!?」
610:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 20:21:29 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
船上デッキ
黒龍拳士達「……」
早苗「……すっかり囲まれてるわね。打つ手無し、って感じだわ」
瑞樹「早苗ちゃん、絶対に変な気は起こさないでね」
早苗「わかってるわよ。あたしだって、そこまでバカじゃないもの」
警備員「うぐあっ……ぐうっ……!」
招待客A「こいつはひどい……骨が何本か折れてる……!」
招待客B「どんどん弱ってる……! このままじゃまずいぞ……!」
武内P「――失礼」
招待客C「な、なんだアンタは……!? アイツらの仲間か!?」
武内P「えっ!?」
早苗・瑞樹「……!」だああーっ!
611:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 20:29:53 ID:WGTAIlMk
みりあ「ちがうよ! プロデューサーは、プロデューサーだよ!」
李衣菜「怖いのは、顔だけですから!」
蘭子「然り! 我が友が心の内に秘めしは、清らかなる光!」
智絵里「最近では、たまにだけど笑うようにもなりましたよね…・・」
かな子「うん♪ あの笑顔を見ると、甘いものが食べたくなるよね~♪」
杏「甘いマスクだってさ、プロデューサー」ニヤニヤ
武内P「皆さん……///」
警備員「あの……真面目に死にかけてるんですけど……」
武内P「っ! 失礼しました……!」
武内P「このスタミナドリンクをゆっくり、落ち着いて飲んでください」
警備員「あ、ありがとう……」ゴクッ、ゴクッ!
武内P「物凄く体が痛いと思いますが、体力は回復します」
警備員「あ~っ! 痛い痛い痛~いっ!」ピクピクッ!
612:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 20:43:04 ID:WGTAIlMk
警備員「……うぐっ」カクンッ
武内P「っ!……どうやら、気を失っただけのようですね」
招待客A・B・C「……!?」ゾ~ッ…!
仁奈「……これから……どうなるんだろー」
仁奈「パパ……ママ……!」ウルッ…
エテ吉「――キキッ!」
仁奈「エテ吉……?」
エテ吉『この船には、ターちゃんも、梁師範も、ペドロも!』
エテ吉『ついでにアナベベも、オイラだって居るんだ!』
エテ吉『心配する事はないって! 絶対助かるから!』
エテ吉「――ウキキキッ!」ニコッ!
仁奈「? トイレは、あっちでごぜーますよ?」
エテ吉「……!」だああーっ!
613:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 21:01:52 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
船内 通路
黒龍拳士A「――どうだ? 居たか?」
黒龍拳士B「いいや、ほぼ全員船上デッキに集め終えたみたいだ」
黒龍拳士A「ふん! 他愛ないな! もっと早くこうしていれば!」
黒龍拳士B「まあ良いさ……これからは、俺たちの天下だ」
黒龍拳士A「そうだな。よし、俺たちも予定通りデッキに向かおう」
黒龍拳士B「ああ……いや、待て」
ターちゃん「ニャ~、ニャ~」パタパタ
ターちゃん「私は、ただの猫じゃなくてウミネコって鳥さんなのだ~」パタパタ
黒龍拳士A・B「へー! 本当に猫みたいな鳴き声なんだ!」
ペドロ「――すかさずペドロパンチ!」
ボカァッ!
黒龍拳士A「ぐああっ!?」
614:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 21:15:09 ID:WGTAIlMk
黒龍拳士B「なっ、何だお前たちは!?」
黒龍拳士A「き、気をつけろ……只者じゃないぞ……!」ヨロッ…
ペドロ「ターちゃん流格闘術、その一番弟子!」
ペドロ「ペドロ・カズマイヤー! 押忍!」
ターちゃん「クワックワッ!」パタパタ!
ターちゃん「繁殖期になると、こういう声で威嚇して攻撃してくるのだ~」パタパタ!
ヂェーン「ウミネコはもうええわい!!」
ターちゃん「私は、ジャングルの王者、ターちゃん!」キリッ!
ターちゃん「何処の誰だか知らないが、お前たちの好きにはさせんぞ!」キリッ!
ターちゃん「ジャングルの平和を乱すヤツは、この私が許さん!」キリッ!
黒龍拳士「ジャングルの平和は乱してないけど」
ターちゃん「……とっ、ととっ、とにかく許さん!」ワタワタ!
615:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 21:21:26 ID:WGTAIlMk
黒龍拳士A「接近戦は危険だ! 勁を使うぞ!」
黒龍拳士B「……チッ! 仕方ない!」
黒龍拳士A・B「練精化気、練気化神……!」
ボォォォ…!
ペドロ「なっ!? あれは――」
ヂェーン「西派拳の、気の呪文じゃないの!」
ペドロ「危ない! 避けてください、先生!」
黒龍拳士A・B「くらえっ! 気功弾!」
ボッ! ボッ! ボッ! ボッ!
ターちゃん「わっ、わっ、よっ、ほっと」
ヒョイッ、ヒョイッ、ヒョイ、ヒョイッ
黒龍拳士A「かっ、躱しただと!?」
黒龍拳士B「二人分の気功弾だぞ!?」
616:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 21:29:16 ID:WGTAIlMk
黒龍拳士A「もっとだ! もっと撃ちまくれ!」
黒龍拳士B「おおっ!」
ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ!
ターちゃん「あら、ほいっ、よっ、ほいさ、ほい、ほいの、ふにっ」
ヒョイッ、ヒョイ、トンッ、ヒョイッ、ヒョッ、ヒョイッ、ふに
黒龍拳士A・B「うおおおおおおおっ!」
ボボボボボボボボボボボボボボボッ!!
ターちゃん「無駄だ無駄だ~! 何発打っても当たらんぞ~!」
ふにふにふにふにふにふにふにふにふに
ペドロ「出た――ッ! 先生の、ふにふに避けだ――ッ!」
ペドロ「どうだ! その気持ち悪い動きには!」
ターちゃん「あの……気持ち悪いはやめてくんない?」
ふにふにふにふにふにふにふにふにふに
617:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 21:39:59 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
黒龍拳士A・B「きゅう……!」ボロッ…
ヂェーン「ターちゃん! きつ~く縛り上げてやんなさい!」
ペドロ「そうですね。コイツらには、色々喋ってもらわないと」
ヂェーン「大方、お金目当てとかそんな所でしょ」
ヂェーン「ふんっ! 欲にまみれたヤツは、これだから!」
ペドロ「あ、あはははは……!」
ターちゃん「――よし、出来たのだ~!」
黒龍拳士A「あっ、ああんっ……!」ビクビクッ!
黒龍拳士B「なっ、縄が食い込むぅ……!」ビクビクッ!
『 り』
ターちゃん「この縛り方が豚に良いって、アイドルの子が言ってたのだ~!」
ヂェーン「普通に縛らんかい!!」
618:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 21:48:38 ID:WGTAIlMk
黒龍拳士A「そんな……改造人間手術を受けた、俺達が……!」
黒龍拳士B「こうも簡単にやられるとは……!」
ターちゃん「えっ? それは無いんじゃない?」
ターちゃん「私が戦った改造人間は、痛みを感じなかった」
ターちゃん「それに感情も無く、まるでロボットみたいだったぞ」
黒龍拳士A・B「えっ!?」
ペドロ「確かに、先生の言う通りですね」
ペドロ「手術を受けていたとしても、程度の低いものなのかも知れません」
ターちゃん「よし、確認してみよう」
黒龍拳士A・B「ひっ!?」
ターちゃん「っ!?……コイツはひどい……!」
ターちゃん「 の皮が、物凄く余ってるのだ」
ヂェーン「お前が言えた台詞か」
619:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 22:02:26 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
黒龍拳士A・B「ん~っ! ん~っ!」
…バタンッ!
ヂェーン「――さあ! デッキへ向かいましょう!」
ペドロ「コイツらは、ここへ置いていくんですか?」
ターちゃん「完全に縛り上げてたし、問題ないだろう」
ヂェーン「それに、口の中アナベベのパンツを詰めておいたわ」
ヂェーン「あれなら、呪文が唱えられなくて気も使えないわよ」
ターちゃん・ペドロ「……!?」ぞ~っ!
ペドロ「だけど、本当に僕たちはデッキの方で良いんですかね?」
ターちゃん「大丈夫さ。梁師範とアナベベも、あの放送を聞いてただろう」
ペドロ「でも……どうして、あの二人が操舵室に向かうって言い切れるんです?」
ヂェーン「それは、あの二人が昨日の夜――」
620:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 22:14:56 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
船内 操舵室付近
アナベベ「――昨日の夜、操船クルーの中に美人が居るって話してたしな」
梁師範「――ヂェーンさんなら、それで予想してくれるだろう」
アナベベ「はぁ……とんだバカンスになっちまったぜ!」
梁師範「全くだ! さっさと片付けちまおうぜ!」
梁師範・アナベベ「でなきゃ、LIVEに間に合わねえからな!」
アナベベ「あっ、ちょっと待ってくれ梁師範」
梁師範「ん? どうしたアナベベ」
アナベベ「せっかく美人を助けるんだ。なら――」
アナベベ「――それなりの格好ってもんがあるからな!」
梁師範「はぁ……出来るだけ急げよ」
アナベベ「わかってらい!」
621:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 22:21:00 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
船上デッキ
黒龍拳士達「……」
仁奈「……うぅ……!」ウルウルッ!
エテ吉「キー……キッ?」
エテ吉「ウキッ! ウキキキーッ!」
仁奈「? どうしたでごぜーますか、エテ吉……?」
エテ吉「ウキッ! ウキッキッ、キキキッ!」
仁奈「ご、ごめんなせー……何を言ってるか、わからねーですよ……」
エテ吉「キーッ……ウキッ、ウキキキッ!」
仁奈「おサルさんのキグルミもねーですし……」
エテ吉「……ウキー」
仁奈「……ごめんなせー」
622:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 22:26:21 ID:WGTAIlMk
エテ吉「ウキッ!」
ぽんっ!
仁奈「エテ吉……」
エテ吉「ウキッ、ウキキーッ」ニコニコ!
仁奈「……!」
仁奈「――ちょっとだけ、待って!」
ぬぎぬぎ!
仁奈「ウサギのキグルミを着てちゃ、駄目です!」
ぽいっ!
仁奈「おサルさんの、エテ吉の気持ちがわかるため――」
仁奈「動物パワーでごぜーます!!」
エテ吉「ウッキーッ!」
623:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 22:32:08 ID:WGTAIlMk
仁奈「うきっ、うっきっき!」
エテ吉「ウキーッ! ウキキキッ!」
仁奈「うっ、う、ウ、ウキー!」
エテ吉「ウキャキャッ! ウキー!」
仁奈「ウキッ! ウキキッ、ウキー!」
エテ吉『仁奈ちゃん! ちょっとだけ、奴らの注意を逸らしたいんだ!』
仁奈『注意を逸らす?』
エテ吉『ほんのちょっぴりで良いんだよ!』
エテ吉『奴らの目を引きつけるのに、協力してくれるかい?』
仁奈『それは……』
エテ吉『ごめんよ……こんな事、君みたいな小さな子に頼んで』
エテ吉『だけど、オイラだけじゃ……』
仁奈『仁奈は、得意でごぜーますよ!』
仁奈「だって――アイドルだから!」
624:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 22:37:05 ID:WGTAIlMk
仁奈「は――いっ!!」
「……!?」
ざわっ……!
仁奈「今から、仁奈がお歌を歌うでごぜーます!!」
仁奈「いっしょーけんめー歌います!!」
仁奈「なので、皆!! 聞いててくだせ――っ!!」
黒龍拳士C「おい、ガキ! 変な真似をするんじゃねえ!」
黒龍拳士D「よせ、放っておけ! 持ち場を離れるな!」
?「はーいっ♪」
「……!?」
ざわっ……!
楓「それじゃあ、私も一緒に歌いまーす♪」
625:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 22:45:00 ID:WGTAIlMk
楓「一緒に歌っても良いかしら?」
仁奈「……はいっ! 勿論でごぜーますよ!」
黒龍拳士C「なっ、舐めやがって……!」
黒龍拳士D「見せしめに……殺るか」
346プロアイドル達「!」
早苗「――もうっ! どうしてこうなるのよ!」
瑞樹「しょうがないわ。だって、幕が上がったみたいなんだもの」
アーニャ「時間は早いけど、ステージの始まり、ですね?」
李衣菜「こんなロックな始まりとは、思ってもなかったよ!」
未央「まー良いじゃん! だって、私達――」
346プロアイドル達「アイドルだから!」
黒龍拳士達「な……なんだコイツらは……!?」
626:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 22:53:39 ID:WGTAIlMk
黒龍拳士C「ええい、歌うな! その歌をやめろ!」
黒龍拳士D「おい! 落ち着――」
「今よっ!!」
黒龍拳士達「!?」
ターちゃん「ターちゃんパ――ンチッ!!」
ドカアァッ!
黒龍拳士C「うぐえあああっ!?」
ペドロ「ペドロキ――ック!!」
バキイィッ!
黒龍拳士D「ぐふえええっ!?」
仁奈「……! ターちゃんっ!」
627:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 22:58:56 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
操舵室
ガリ眼鏡「何っ!? 襲撃だと!?」
ガリ眼鏡「おい! どういう事だ!? 返事をしろ!」
ガリ眼鏡「……くそっ! 通信が切れやがった!」
黒龍拳士E「しゅ、襲撃……!? どうすれば……!」
ガリ眼鏡「とにかく、入り口を固めろ!」
ガリ眼鏡「ここさえ守れば、体勢は立て直せ――」
「三花聚頂、天下乱墜……! 三花聚頂、天下乱墜……!」
ガリ眼鏡「っ!?」
「百歩神拳!!」
ドガァァンッ!
梁師範「……やっべ、壊れたドアで誰か怪我してない……!?」アセアセ!
628:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 23:07:55 ID:WGTAIlMk
黒龍拳士達「や、やつは……梁師範!?」
梁師範「大丈夫!? 怪我とかな~い!?」アセアセ!
操船クルー達「……!」コクコク!
梁師範「ほーっ、良かった! 超焦った~!」ホッ!
梁師範「気合入れすぎて、めっちゃドア吹っ飛ぶんだもん!」
梁師範「――フッ、やっぱりお前たちは修行が足りねえな」
梁師範「冷静さを欠いたヤツに、勝利は掴めねえ」キリッ!
操船クルー達「……!」だああーっ!
ガリ眼鏡「えっ、ええい! 相手は一人だ、ひるむな!」
ガシィッ!
ガリ眼鏡「ひぎっ!? くっ、苦し……!?」
お願いシンデレラマン「正義のヒーローは、一人とは限らねえぜ!」
629:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 23:21:47 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
船上デッキ
『――操舵室は取り戻したぜ!』
『おい! 美人って、コイツ男じゃねえか!』
ターちゃん「……そうだったの?」
ヂェーン「最近じゃ、男の人も美人って言うみたいよ」
黒龍拳士F「ふっ! はっ! せやっ!」
ペドロ「あの、先生!? 戦ってください、先生――っ!」
ターちゃん「あわわ、ごめんよペドロ!」
ターちゃん「だが、数が多い……!」
ターちゃん「こんな時は――」
仁奈「動物パワーでごぜーます!」
ターちゃん「――なのだ~!!」
630:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 23:27:25 ID:WGTAIlMk
ターちゃん「んんんっ……!」
ターちゃん「ハッ――」
シュンッ―
ヂェーン「そうよ! チーターの俊敏さで、敵に近づいて――」
ターちゃん「ああああっ!」ギロオッ!
黒龍拳士G「ひっ!?」
ヂェーン「ライオンの様に威圧! そこから――」
ターちゃん「アライグマの様に、丁寧に洗うのだ~」キュルリンッ!
黒龍拳士G「あっ♡ ああんっ♡ もうだめぇ♡」
ヂェーン「真面目にやんなさいよね!!」
美波「ヤダ、凄い……! あんなの初めて……!」メモメモ
武内P「新田さん!? あの、何故メモをとっているのですか!?」
631:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 23:41:48 ID:WGTAIlMk
・ ・ ・
ガリ眼鏡・黒龍拳士達「ぐがぁ~っ! すぴぃ~っ!」
…バタンッ!
ターちゃん「ねえ、ホントに縛らなくてよかったの?」
ヂェーン「あのまま、一週間は眠り続けるそうよ」
ペドロ「一週間も!?」
ヂェーン「なんでも、そういう不思議なお薬を使ったみたい」
アナベベ「本当に信用出来んのか?」
ヂェーン「……アナベベ、ちょっとこの瓶の匂い嗅いでみて~♪」
アナベベ「ん? なんだこりゃ、香水――」クンクンッ!
アナベベ「――あっ、性欲が消えた」キラキラッ
ヂェーン「凄いわ、これ本物じゃないの」
ターちゃん・梁師範・ペドロ「……!?」ぞ~っ…!
632:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 23:51:59 ID:WGTAIlMk
仁奈「――ターちゃんっ!」
エテ吉「ウキキッ!」
ターちゃん「仁奈ちゃん。それに、エテ吉」
仁奈「もーっ! 早くしないと、LIVEが始まるですよ!」
ターちゃん「えっ!? もうそんな時間!?」
エテ吉「ウキーッ! ウキキッ!」
仁奈「エテ吉も、こう言ってやがります!」
エテ吉「ウキッ! ウッキーッ!」
仁奈「ねーっ♪」
ターちゃん「よ~し! それじゃあ急ごうか!」
仁奈「はいっ♪」
ペドロ「あの……あの仁奈って子、エテ吉の言葉わかってないッスか!?」
ヂェーン「たまに居るのよね、ああやって動物の気持ちがわかる子が」
633:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/22(土) 23:59:07 ID:WGTAIlMk
梁師範「まっ、動物ってのは素直な生き物だからな」
ペドロ「……ですね! それに、あの二人を見てると――」
ターちゃん「動物パワー……プロングホーン!」ニョキッ!
仁奈「ふおおっ!? 髪が、角になりやがりました!」
ターちゃん「シカの仲間で、チーターの次に足が速いのだ~!」ニョキッ!
ターちゃん「さっ、背中に乗って!」ニョキッ!
仁奈「はいっ!」
ターちゃん「それーっ!」ニョキッ!
仁奈「はえーっ! すっげーはえーでごぜーます!」
ターちゃん・仁奈「あははははっ!」ニコニコ!
ペドロ「――こっちまで、笑顔になっちゃいますよ!」ニコッ!
梁師範「――フッ、確かにそうだな」ニコッ!
アナベベ「おい、どうして って存在してんだ?」
634:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/23(日) 00:08:27 ID:S7HJIbbg
ヂェーン「それより、あたし達も行きましょ!」
ペドロ「はい!」梁師範「ああ!」
アナベベ「なあ、おい。 も、必要なくねえか?」
仁奈「ターちゃん!」
ターちゃん「ん? どしたの仁奈ちゃん?」
仁奈「いつか……いつか、アフリカに遊びに行くです!」
仁奈「その時まで、ちゃんと待っててくだせー!」
ターちゃん「勿論さ! 絶対に忘れないし、歓迎するよ!」
ターちゃん「アフリカの大地と、緑豊かなジャングルと、動物達と――」
ターちゃん「ジャングルの王者、ターちゃんが!」
おわり
640:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 21:25:56 ID:fldP9CPA
書きます
武内P「ネクタイ、ですか」
641:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 21:30:22 ID:fldP9CPA
ちひろ「えっ!?」
武内P「……当たっているようですね」
ちひろ「あの……どうして、プレゼントの中身がわかったんですか?」
武内P「……」
武内P「日頃の感謝の気持ちだと、ネクタイを頂くのは……」
武内P「今日だけで……20回目ですから」
ちひろ「……」
ちひろ「はいっ!?」
642:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 21:35:46 ID:fldP9CPA
ちひろ「それ、本当ですか!?」
武内P「ええ、まあ」
ちひろ「今日だけで……ネクタイを20本貰ったんですか!?」
武内P「はい、その通りです」
ちひろ「どうしてそんな事になってるんですか!?」
武内P「私にも……わかりません」
武内P「本当に、ただの偶然――」
武内P「――ちょっとした、奇跡が起きたのだ、と」
武内P「……そう、考えています」
ちひろ「……!?」
643:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 21:39:06 ID:fldP9CPA
ちひろ「今日って、何か特別な日でしたっけ!?」
武内P「強いて言うなら……秋分の日の、振替休日です」
ちひろ「ですよね!」
武内P「千川さんは……何故、今日を選ばれたのですか?」
ちひろ「……」
ちひろ「……なんとなく、です」
ちひろ「その……本当に、なんとなくです」
武内P「……ですよね」
644:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 21:42:25 ID:fldP9CPA
ちひろ「本当に、フッ……と、ですね」
武内P「……」
ちひろ「プロデューサーさんに日頃の感謝の気持ちをー、って……」
武内P「……」
ちひろ「何にしようかなぁ、ネクタイとか良いかなー、って……」
武内P「……」
武内P「全員、同じことを言っていました」
ちひろ「……」
ちひろ「……そう、なんですね」
645:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 21:47:42 ID:fldP9CPA
武内P「途中から……ですね」
武内P「皆さん、何か相談をして今日にしたのか、と」
武内P「……そう、思ったのですが」
ちひろ「……」
武内P「私の見た限りでは、そのような感じは見られず……ですね」
ちひろ「……ええ」
武内P「今日は、何でもない日にも関わらず……」
武内P「……大変な事が起きてしまった、と」
武内P「……そう、考えています」
ちひろ「……ですよねぇ」
646:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 21:54:06 ID:fldP9CPA
ちひろ「皆、他に何か言ってましたか?」
武内P「……千川さんは、何を言おうとしていましたか?」
ちひろ「えっ? 私、ですか?」
武内P「はい。差し支えなければ……お願いします」
ちひろ「え、ええと……」
ちひろ「……中身は、ネクタイです」
ちひろ「でも、プレゼントしたって皆に知られたら……」
ちひろ「……んんっ! まあ、そんな感じで、ですね?」
ちひろ「――内緒ですよ」
ちひろ「……って」
武内P「皆さんに、そう言われました」
ちひろ「……」
647:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 21:57:27 ID:fldP9CPA
ちひろ「はあ……皆にも」
武内P「それで、終わりでしょうか?」
ちひろ「………………終わりですよ?」
武内P「千川さん」
ちひろ「……」
ちひろ「……もし、気に入ってくれたら」
ちひろ「明日、着けてきてくれると私も嬉しいと思います……って」
ちひろ「……言おうかなー……なんて……」
武内P「皆さんに、そう言われました」
ちひろ「……」
648:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 22:01:26 ID:fldP9CPA
ちひろ「……」
武内P「……」
ちひろ「……もうっ、駄目じゃないですかプロデューサーさん!」
武内P「千川さん?」
ちひろ「皆には、内緒って言われたんですよね?」
武内P「はい、そうですね」
ちひろ「私に、言っちゃ駄目じゃないですか!」
武内P「20本の大台に乗り、心が折れてしまいました」
武内P「そして、とても一人では抱えきれない問題だ、と」
武内P「……そう、思いましたので」
ちひろ「……」
ちひろ「……ですよね」
650:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 22:09:57 ID:fldP9CPA
武内P「千川さんの意見をお聞きたいのですが……」
ちひろ「……はい、どうぞ」
武内P「首に、ネクタイを20本全て巻く、というのは……」
武内P「有り、でしょうか?」
ちひろ「……無しです」
武内P「では……首にではなく、ですね」
武内P「全身の、いたる所に、こう……巻くというのは?」
ちひろ「……もっと無しです」
武内P「……」
ちひろ「……」
651:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 22:14:29 ID:fldP9CPA
ちひろ「普通に……いつものじゃ、駄目ですかね?」
武内P「それは、当然考えました」
武内P「……ですが――」
武内P「――無理にとは言わない、と」
武内P「その、少し遠慮がちに……はい、全員……」
武内P「……」
武内P「もう、死ぬしか無いのでしょうか?」
ちひろ「!? プロデューサーさん!?」
ちひろ「諦めないでください! プロデューサーさん!」
653:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 22:23:32 ID:fldP9CPA
武内P「今回の事態が――」
武内P「誰が贈ったネクタイを着けてくるか、と」
武内P「……皆さんで、話がついている場合」
武内P「その状況ならば、いくらでも道は開けます」
武内P「……ですが……完全に、善意なのです……!」
武内P「もう、死ぬ以外の道は、私には見えません……!」
ちひろ「待ってください! 結論が極端すぎます!」
武内P「皆さんの――善意と言う、まばゆい光」
武内P「……強すぎる光は、視界を奪ってしまいます」
武内P「それは、白と黒の違いはありますが、闇と同じなのです」
ちひろ「何言ってるんですか!?」
654:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 22:30:26 ID:fldP9CPA
ちひろ「諦めず、何か道を探しましょう!」
武内P「いえ、ですが……」
ちひろ「しっかりしてください! プロデューサーさん!」
武内P「っ!……千川さん……」
武内P「では、どうしたら良いと思いますか?」
ちひろ「そんなの……」
ちひろ「……えっ、と……ですね……」
ちひろ「――笑顔です♪」ニコッ!
武内P「……良い、笑顔です」
武内P「……」
武内P「待ってください! 笑って誤魔化さないでください!」
655:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 22:38:28 ID:fldP9CPA
ちひろ「それじゃあ、プロデューサーさんにアドバイスを」
武内P「えっ?」
ちひろ「お役に立つか、わからないですけど……」
武内P「っ、是非! 是非、聞かせてください!」
ちひろ「――何でもない、特別じゃない日」
ちひろ「そんな日に贈った、プレゼントの……ネクタイ」
ちひろ「プロデューサーさんが、明日それを着けてきたら――」
ちひろ「――明日は、ちょっと特別な日になります」
武内P「……」
武内P「待って……いえ、やめてください!」
武内P「千川さん、お願いします! やめてください!」
657:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 22:47:57 ID:fldP9CPA
ちひろ「……きっと皆、期待してると思いますよ」
ちひろ「いえ、それだけじゃなく……不安も感じてます」
ちひろ「プロデューサーさん、着けてきてくれるかな、って」
ちひろ「私が贈ったネクタイ、気に入ってくれるかな、って」
武内P「っ……!?」
ちひろ「……それ。私も、私なりに頑張って選んだんです」
ちひろ「きっと、皆も同じ様に頑張って選んだと思います」
武内P「……」
658:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 22:53:51 ID:fldP9CPA
ちひろ「だから……悲しいこと、言わないでください」
武内P「……千川さん」
ちひろ「もしも明日着けてこなくても、ですね!」
ちひろ「ちょっと、特別な日がずれるだけですから!」
ちひろ「あっ! 私は、20日後でも、良いですからね!」
ちひろ「だって、アシスタントですもの♪」ニコッ!
武内P「……ありがとう、ございます」
武内P「……はい……私も、覚悟を決めました」
武内P「とても、いたたまれない視線を向けられる、覚悟を……!」
ちひろ「頑張ってください、プロデューサーさん!」
659:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 22:58:09 ID:fldP9CPA
・ ・ ・
コンコン、ガチャッ!
ちひろ「――おはようございます」
武内P「千川さん」
武内P「おはよう、ございます」
ちひろ「――!」
ちひろ「それ……そのネクタイ……!」
武内P「似合って、居ますか?」
ちひろ「――はいっ♪」ニコッ!
ちひろ「思った通り、とってもお似合いですよ♪」ニコニコ!
660:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/24(月) 23:05:27 ID:fldP9CPA
・ ・ ・
武内P「皆さん、おはようございます」
CPアイドル達「――!」
CPアイドル達「はいっ! おはようございます!」ニコッ!
武内P「……良い、笑顔です」
CPアイドル達「ふふふっ♪ はいっ♪」ニコニコ!
武内P「……」
武内P(全員、全く同じネクタイを選ぶという……奇跡……!)
武内P(……だが、それは誰にも言わないでおこう)
武内P(首を絞める結果になる)
おわり
669:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/25(火) 22:19:16 ID:u59JLeQs
天高く、馬肥ゆる秋。
食欲の秋とも言われるこの季節は、魅力的な食べ物が多い。
夏の暑さも過ぎ去り、それまで食べる事が億劫になっていた反動もあるのかも知れない。
兎にも角にも、秋とは、食欲が増す季節だ。
「……」
私の眼の前に座る彼女も、多分に漏れず食欲が増していた。
カロリー制限を設けてはいるのだが、
お菓子を作っている時のつまみ食い等で、その制限を超過してしまう事も少なくない。
だが、あまり厳しく注意しすぎても、彼女の魅力を損なう恐れがあった。
甘い物を食べている時の彼女の笑顔は、それ程までに、魅力的だから。
「……」
しかし、ソファーに座る彼女の顔に、笑顔は無い。
俯きながら、ただ、無表情にバスケットの中からお菓子――スイートポテトを取り出し、
何かから逃げるように、口に運び、咀嚼、嚥下していた。
「……」
秋の味覚――サツマイモ。
放屁が放屁を呼び、その果てへと、彼女は既に到達していた。
670:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/25(火) 22:28:46 ID:u59JLeQs
「……」
きっかけは、小さな、可愛らしいとも言える放屁の音だった。
気の所為だと言ってしまえば、それで済んでしまう程度の、小さな音。
だが、それまで笑顔でスイートポテトを頬張っていた三人の内二人は、
その音を聞いて、一瞬だけ動きを止めてしまった。
「……」
丁度、会話が途切れた瞬間だったのも、要因の一つだろう。
海外では、こういった瞬間の事を「天使が通った」と表現するそうだ。
そう、
天使が、放屁をした。
言ってしまえば、ただ、それだけの事だったのだ。
その彼女は、しばしばファンの方達から「天使」と呼ばれる事がある。
私も、その表現には共感する部分もあるが、アイドルとは言え、生きた人間。
芋を食べれば、放屁の一つや二つ、するのが当たり前だ。
だが……それが悲劇の始まりを告げる銃声となったのは、紛れもない事実だろう。
671:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/25(火) 22:39:35 ID:u59JLeQs
「……」
この場に居たのが彼女達だけならば、笑い話で済んだのかも知れない。
そうだったならば、どれだけ良かっただろうか。
……いや、そんな仮定をしても、何の意味もないだろう。
この場には、彼女達だけでなく、私も居合わせてしまったのだから。
「……」
それは、本当に偶然だった。
私は、スイートポテトを食べる三人の微笑ましい姿を眺めていた。
時間にすれば、PCの画面から目を離した……五秒ほどだろうか。
その五秒の間に、天使の放屁。
慌てた天使の、焦燥と羞恥。
突き刺し合う事になってしまった、視線と視線。
慌てて視線を逸らしても、遅かった。
芋はもう、運命の下り坂を転がり始めてしまっていた。
672:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/25(火) 22:53:24 ID:u59JLeQs
「……美味しい~」
などと、呑気なことを言っている場合では、断じて、無い。
本来ならば、今すぐにでも彼女を止めるべきだ。
カロリー制限などと、そんな、生易しいものが理由では無い。
彼女は、糞を漏らしているのだ。
スイートポテトではなく、悲しみのショコラ・ティアラ。
夢のティアラ、悪夢だから。
……駄目だ、私まで正気を失っては、いけない。
「美味しいから、大丈夫……大丈夫」
全然、大丈夫ではありません。
長いスカートとソファーで隠れているが、その中は、恐らく阿鼻叫喚。
甘い物を食べる幸せで、彼女はその地獄の中でも心を保っているのだ。
「……」
早く、食べ終わっていただけませんか。
そんな言葉が何度も口をついて出ようとしたが、異臭により、閉口せざるを得なかった。
673:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/25(火) 23:04:04 ID:u59JLeQs
「……」
羞恥に頬を染め、目に涙を溜める天使を救ったのは、一人の少女。
怠惰な人間だと皆は彼女を言うが、私はそうは思っていない。
彼女は、とても情に厚く、同じユニットのメンバーの二人を大切に想っている。
そんな彼女が取った行動、それは……
……――放屁。
最初に鳴った音よりも、大きな放屁の音が部屋に響いた。
続けて、
――おイモ食べたら、出るのは仕方ないよね~。
と、あっけらかんと、笑顔で言い放ったのだ。
腹に力を込めて出したであろう屁の音と、
彼女のその様子を見て、他の二人は、クスクスと笑い声を上げていた。
――ドボンッ!
……と、三発目……三人目の彼女が、放屁をするまでは。
優しさは時に人を傷つけると言うが、それは、あまりにも盛大な自爆音だった。
674:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/25(火) 23:22:33 ID:u59JLeQs
「……甘~い」
苦い思いが、胸の内で三三七拍子を軽快に刻む。
――二人にだけ、恥ずかしい思いをさせるのは、いけない。
確認してはいないが、彼女が放屁をしたのは、それが理由だろう。
ただ、その思いが強すぎただけ。
空砲ではなく、実弾が飛び出した。
リハーサルではなく、本番が始まってしまっただけなのだ。
「……」
友を想う心の在り方、そして、その結果を……どうして責められるだろう。
強いて注意するとしたら、作っている最中の、つまみ食いだけ。
かなりの量をつまみ食いしていなければ、あの威力は出ない。
音だけ聞いたなら、346プロダクションがテロリストに襲われたと勘違いする爆音だった。
「あっ……あと、残り一個しかない」
切なげな声を聞きながら、私は再度確認した。
ゴミ袋、よし。ウェットティッシュ、よし。ゴム手袋、よし。
676:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/25(火) 23:33:51 ID:u59JLeQs
「……」
本来ならば、マスクも着用したい所ではある。
しかし、あまりにも重装備が過ぎると、相手を傷つけかねない。
必要最低限で、最大の効果をもたらしてくれる物だけを選び抜いた。
……お願いします、選ばせないでください。
「あと……一個……」
彼女は、どうしたのだろうか。
早く、最後の一つを片付けて頂き、片付けを始めたいのですが。
「あの……プロデューサーさん」
彼女は、そんな私の心情などいざ知らず、
「お一つ、いかがですか?」
笑顔で、信じられない言葉を口にした。
彼女の優しさが、サツマイモの牙となって私に襲いかかってきた。
677:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/25(火) 23:49:51 ID:u59JLeQs
「今日は、とっても上手に出来たんですよ」
彼女が、お菓子を作って持ってくるのは、自分が楽しむためだけではない。
作ったお菓子を食べた人が、
幸せそうな顔をしているのを見るのが好き……なのだそうだ。
「あっ、いえ……その……!」
確かに、私はスイートポテトを食べてはいませんでした。
そして、貴女が優しい方だと言うのは、十分に理解しているつもりです。
理解していますが……理解していますが!
「今、ですか……!?」
その申し出は、私の理解の範疇を越えています!
「美味しいから、大丈夫ですよ~」
これ程薄っぺらい「大丈夫」は、聞いたことがなかった。
向けられたバスケットは、さながら砲身のよう。
プロジェクトルームは、異臭立ち込める戦場へと変わっていた。
678:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 00:04:47 ID:kOukKLCY
「……!」
いくら彼女が大切な担当アイドルだとしても、
糞の臭いの充満する此処で甘味を食す気にはなれない。
この場合、危険手当を申請したら受理されるだろうか?
「そ……そう、ですか」
何とか、スイートポテトを躱しつつ、片付けたい。
サツマイモ、砂糖、牛乳、バターで構成された一個の砲弾。
貰ったら……食らったら、耐えきれるか自信が無い。
美味しいから大丈夫で無く、非常に不味い事になる可能性が高い。
「はい♪」
ボムンッ!
「っ!?」
そんな、私の心の内を見透かしたような、威嚇射撃。
自然と足は止まり、縫い止められたように動かなくなった。
……まあ、あれだけ食べたら、また出ますよね。
679:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 00:18:37 ID:kOukKLCY
「美味しいから、大丈夫ですよ~」
待ってください。
待ってください、待ってください!
あの……本当に、今、食べなくてはいけませんか!?
――と、叫び声を上げそうになった時……見てしまった。
「っ……!」
バスケットを差し出す彼女の手が、震えているのを。
よく見れば、足先も微かに震えていた。
甘い物……スイートポテトを食べた幸せは、末端神経まで伝達しきっていなかったのだ。
「どうぞ♪」
だと言うのに……彼女は、私に最後の一個を差し出してきているのだ。
「……ありがとう、ございます」
……残念ながら、感謝の気持ちは一切籠められなかった。
680:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 00:32:02 ID:kOukKLCY
・ ・ ・
「……」
私は、勝った。
彼女達が歩んできた道のりの記憶が、リバースをせき止めたのだ。
江戸切子職人の方の顔が浮かんだ時は危なかったが、耐えた。
吐き気をこらえつつ、脱糞の後処理をやり遂げたのだ。
「……」
彼女の言った通り、確かに、スイートポテトの出来は素晴らしかった。
あの様な状況でなければ、ただ、純粋に楽しむことが出来たのだろう。
そうならなかった事は悔やまれるが、仕方が無い。
――また作ってきますね~。
彼女はそう言っていたが、食べる時は、どこかに隠れていよう。
そう、考えながら、沈みゆく夕日の美しさに、目を細めた。
私は……秋が、少し嫌いになった。
おわり
688:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 21:58:02 ID:kOukKLCY
書きます
武内P「禁酒令、ですか」
689:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 22:00:03 ID:kOukKLCY
楓「はい」
武内P「はあ……そう、ですか」
楓「ひどいと、思いませんか?」
武内P「あの……何故、それを私に?」
楓「……やっぱり、そうですよね」
楓「ひどいと、思いますよね」
武内P「……」
武内P「えっ!?」
690:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 22:02:53 ID:kOukKLCY
武内P「待ってください! 私は、まだ何も!」
楓「えっ?」キョトン
楓「……?……?」オロオロ!
武内P「あの、事情を説明して頂けませんか!?」
楓「あっ、そうですよね……すみません、私ったら」
楓「一緒に、直談判してくださるのに」
楓「事情を説明しないと、困っちゃいますよね」
武内P「……」
武内P「えっ!?」
691:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 22:07:09 ID:kOukKLCY
武内P「待ってください! 直談判、ですか!?」
楓「えっ?」キョトン
楓「……?……?」オロオロ!
楓「!」ポンッ!
武内P「いえ、あの! 何を納得なさったのですか!?」
楓「ふふっ! ビールは、浴びーるけど……」
楓「ブランデーは、かぶらんでー♪ うふふっ!」
武内P「……」
武内P「あの! それは今、全く関係の無いダジャレです!」
692:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 22:11:49 ID:kOukKLCY
武内P「誰に、直談判しようと言うのですか!?」
楓「えっ?」キョトン
武内P「まさかとは、思いますが……」
楓「専務でーす♪」ニコッ!
武内P「……」
武内P「……良い、笑顔ですね」
楓「では、一緒に直談判してくださる、という事で」
楓「宜しくおねがいします」ペコリ
武内P「っ!? 待ってください!」
武内P「笑顔を褒めたのは、了承の返事ではありません!」
693:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 22:16:24 ID:kOukKLCY
武内P「専務に、禁酒を言い渡されたのですね……」
楓「ひどいと、思いますよね」
武内P「その……何と言って良いものか、はい」
楓「私に、お酒を飲むなだなんて……」
武内P「……」
楓「そう言われると、何故か余計に美味しく感じちゃって」
楓「……駄目な大人ですね、私」
武内P「……」
武内P「いえあの! 全く禁酒出来ていませんね!?」
694:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 22:23:39 ID:kOukKLCY
武内P「何か、あったのですか……!?」
楓「えっ?」キョトン
楓「ええ、と……特に、無いと思います」キッパリ!
武内P「成る程……そう、ですか」
楓「専務に言われたのは――」
楓「酔っ払って、奏ちゃんに迷惑をかけるのはいかがなものか、って」
楓「君は、25歳の良い大人なのだから……」
楓「……17歳の彼女を困らせるなら、お酒は控えなさい、って」
武内P「……」
武内P「それは……ぐうの音も出ない、正論ですね」
695:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 22:27:58 ID:kOukKLCY
武内P「特に無い、という発言は一体……?」
楓「女はみんなLie♪ La♪ Lie♪ ほんの少し、嘘つき♪」
武内P「歌わないでください」
楓「……」スイスイッ
武内P「踊らないでください」
楓「……」
楓「……!」ムスッ!
武内P「……高垣さん、待ってください」
武内P「今、私が怒られる要素はありましたか!?」
696:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 22:33:49 ID:kOukKLCY
武内P「高垣さん」
楓「はい」
武内P「お話は……わかりました」
武内P「ですが……どうして、直談判に私を同行させようと?」
楓「一緒に、笑顔で♪」ニコッ!
武内P「……良い、笑顔です」
武内P「……」
武内P「高垣さん!? 理由を説明していただけますか!?」
697:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 22:39:20 ID:kOukKLCY
武内P「……」
楓「……貴方と専務は平行線だ、と」
楓「そういったお話をされたと聞いています」
武内P「え、ええ……そうですね」
楓「つまり……専務が、禁酒派なら――」
楓「――貴方は、飲んだくれても良い派」
楓「……――違いますか?」キランッ!
武内P「違います」
楓「……」
楓「っ!?」
武内P「あの……驚かないで、頂けますか?」
698:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 22:47:04 ID:kOukKLCY
楓「……!?……!?」オロオロ!
武内P「たっ、高垣さん!? 落ち着いてください!」
楓「たっ、高垣楓です! 高垣楓です!」
武内P「存じています! わかっていますから!」
楓「そんな……貴方まで、禁酒しろって言ったら……!」
楓「事務所に、味方が居なくなっちゃうじゃないですか……!」
武内P「……」
武内P「既に、思い切り孤立なさっているじゃないですか!」
699:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 22:54:52 ID:kOukKLCY
楓「……すみません、取り乱してしまって」
武内P「ええ……はい」
楓「はい?」キョトン
武内P「……いえ、何の問題もありません」
武内P「ですが……そういう事なら、禁酒なさっては?」
楓「と、思いもしましたが」
武内P「まずは、一週間程度、試しに……」
楓「大人しく飲めたら、完全解禁で良いのでは……と」
楓「――なるほど♪」
武内P「待ってください!」
武内P「言葉を挟んで、都合の良い方向に進めないでください!」
700:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 23:02:26 ID:kOukKLCY
・ ・ ・
専務「……ふむ、成る程」
楓「それなら、どうでしょうか?」
専務「少し待ち給え」
専務「……君も、彼女と同じ意見なのか?」
武内P「わ」
楓「お仕事に、大きいも小さいもありません」
武内P「……」
専務「高垣楓、その話は今関係無い」
701:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 23:08:53 ID:kOukKLCY
専務「だが……完全解禁は、了承しかねるな」
専務「反動で、大きな問題を起こしかねない」
楓「その心配はありません」
専務「? 何故、そう言い切れる」
楓「……」ジッ
武内P「……」
武内P「えっ!?」
専務「ふむ……彼を見張りにつける、と」
武内P「えっ!?」
702:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 23:18:39 ID:kOukKLCY
武内P「まっ、待ってください! あの……何故!?」
専務「良いでしょう、やってみなさい」
専務「それで、道が開けるというのならば」
楓「いいえ、もう……道は開けています」
楓「だって、大手を振ってお酒が飲めるんですもの」
専務「……呆れたものだな」
楓「はい。それが私、高垣楓です」
武内P「待ってください! あの、専務!? 高垣さん!?」
武内P「私を置いて、話をまとめないでくださいますか!?」
703:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 23:22:11 ID:kOukKLCY
・ ・ ・
武内P「……話が、まとまってしまった」
武内P「……」
武内P「何故……こんな事に……!?」
奏「――あら?」
奏「シンデレラプロジェクトの、プロデューサーさんじゃない」
武内P「速水さん……」
奏「……」
奏「何かあったの?」
704:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 23:27:27 ID:kOukKLCY
・ ・ ・
奏「……ふぅん、そんな事になってたんだ」
武内P「……」
奏「なんだか、ごめんなさいね。私のせいで」
武内P「あっ、いえ! そんな事は、決して!」
奏「それじゃあ、ご褒美のキスを貰おうかな」
奏「ふふっ! 私のおかげで、楓さんと飲みに行けるんだもの」
武内P「……」
奏「……もう! 冗談よ、冗談! ふふっ!」
705:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 23:35:11 ID:kOukKLCY
奏「でも、これで酔った楓さんから電話は来なくなるのかしら」
奏「それはそれで、少し残念な気もするわね」
武内P「……」
奏「それじゃ、酔った楓さんの面倒を見るの、お願いね」
武内P「……頑張ります」
奏「だけど、禁酒令……ね」
武内P「……?」
706:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/26(水) 23:42:29 ID:kOukKLCY
武内P「速水さん……?」
奏「楓さんに禁酒させるのって、難しいと思わない?」
武内P「え、ええ……そう、ですね」
奏「無理に禁酒させて、あの人の笑顔が曇ったりしたら……ね」
武内P「はい……それは、私も考えました」
奏「そうよね」
奏「迷惑をかけないなら、禁酒までさせることはない」
奏「……そう、貴方も思ったんじゃないの?」
奏「だから……渋々だけど、申し出に同意した」
奏「……違う?」
武内P「……ええ、まあ」
707:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 00:04:33 ID:SZMWaocY
奏「まあ、とにかく頑張ってちょうだい」
武内P「……ありがとうございます」
奏「貴方って、本当につれない人だものね」
武内P「えっ?」
奏「ううん、こっちの話」
奏「本当に、色々な意味で――」
奏「控えた方が良い」
奏「……ただ、それだけの話よ」
おわり
718:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 21:43:09 ID:SZMWaocY
書きます
武内P「もみやで、ですか」
719:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 21:46:55 ID:SZMWaocY
奏「……ええ」
武内P「速水さんのサインが、そう読まれてしまう、と」
武内P「……成る程、事情はわかりました」
奏「ねえ、貴方にはどう見える?」
武内P「……」
武内P「……申し訳、ありません」
奏「……いえ、良いのよ」
720:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 21:49:33 ID:SZMWaocY
奏「……そうよね、もみやで、よね」
武内P「でっ、ですが! 良いサインです!」
奏「……解説されなくても?」
武内P「えっ?」
奏「パッと見て、良いサインだと思える?」
武内P「……」
武内P「…………すみません」
奏「……ううん、良いの」
721:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 21:53:10 ID:SZMWaocY
奏「……だから、相談なんだけど」
武内P「相談、ですか?」
奏「新しく、わかりやすいサインを考えようと思って」
奏「貴方も、協力してくれないかしら?」
武内P「……成る程」
武内P「私で良いのでしたら……はい」
武内P「出来る限り、協力させていただきます」
奏「ふふっ、ありがとう」ニコッ!
武内P「……良い、笑顔です」
723:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 22:00:39 ID:SZMWaocY
武内P「そうですね……まず、普通に名前を書いて頂けますか?」
奏「あら、どうして? 私のフルネーム、知ってるでしょう?」
武内P「速水さんの、筆跡を見るためです」
武内P「そこから、サイン用の崩し方を考えていこう、と」
武内P「……そう、思いまして」
奏「なるほどね」
奏「……」
…サササッ
奏「これで、どう?」
『もみやで』
武内P「……」
武内P「えっ?」
724:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 22:04:02 ID:SZMWaocY
武内P「あ、あの……速水さん?」
奏「ん? どうしたの?」
武内P「今のサインでなく、ですね……」
奏「……あっ」
奏「やっ、ヤダもう!/// サインの話をしてたから……つい///」
武内P「い、いえ……問題ありません」
奏「駄目ね……癖になってるみたい」
…サササッ
奏「ほら、これで問題ないでしょう?」
『もみやで』
武内P「……」
武内P「えっ?」
725:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 22:06:44 ID:SZMWaocY
武内P「……速水さん?」
奏「? どうしたの?」
武内P「私を……からかって、おられるのでしょうか?」
奏「何よ、急に」
奏「……ふふっ! でも、それも楽しそうね」ニコリ
奏「でも、今は新しいサインを考え――」
『もみやで』
奏「――えっ!?」バッ!
武内P「……」
武内P「えっ!?」
726:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 22:11:51 ID:SZMWaocY
武内P「はっ、速水さん!?」
奏「えっ、ちょっと……えっ!?」
武内P「お願いします! 演技だと仰ってください!」
奏「……待って……ちょっとだけ待って!」
武内P「……!?」
奏「……!」
…サササッ!
奏「……うっ……うううっ……!」プルプル!
『もみやで』
武内P「……」
武内P「これは……深刻な事態ですね」
727:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 22:16:51 ID:SZMWaocY
奏「なんで……どうして……!?」
武内P「職業病の一種、でしょうか」
奏「職業病!?」
武内P「っ! 速水さん! 学校で、何かに名前を書きましたか!?」
奏「えっ? ええ、と……確か、この間受けたテストが……」
…ゴソゴソッ
奏「……そんなっ!? サインで名前が書かてる……!?」
『もみやで 26点』
武内P「待ってください!」
武内P「その、あっ、んんん……! んんんっ……!」
729:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 22:21:29 ID:SZMWaocY
奏「私……実生活でも、名前をサインみたいに書いてたの……!?」
奏「それも、無意識の内に……!?」
武内P「は、速水さんがショックを受ける気持ちはわかります」
武内P「ですが、その……点数が……はい」
奏「? 点数? それのどこが――」
奏「っ! 見て!」
奏「名前にも○がついて、1点オマケされてるわ!」
武内P「あの! そういった細かい部分ではなく!」
730:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 22:28:07 ID:SZMWaocY
武内P「その……は、速水さんは勉強が……」
奏「? どうかしたの?」
武内P「……いえ、その問題は、今は置いておきましょう」
奏「?」
武内P「まずは、漢字でフルネームを書いて頂けますか?」
奏「ええ、わかったわ」
…サササッ
奏「……ふふっ!」ニコッ!
『もみやで』
奏「……」ズーン…!
武内P「……は、速水さん! 笑顔です!」
731:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 22:32:12 ID:SZMWaocY
奏「まさか、自分の名前も漢字で書けないなんて、ね」
奏「アイドルっていうのは、作り上げた幻みたいなもの、って事かしら」
奏「本当の私――速水奏はどこにも居ない……」
奏「居るのは、そう――」
『もみやで』
奏「――彼女だけ」
武内P「待ってください! 速水さん、待ってください!」
武内P「ミステリアスに諦めないでください、速水さん!」
732:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 22:42:02 ID:SZMWaocY
・ ・ ・
奏「うっ……くっ……!」プルプル!
カキカキ…
『速』
武内P「速水さん、頑張ってください!」
奏「くっ、ううっ……んっ……!」プルプル!
カキカキ…
『速水』
武内P「あと一文字! もう少しです、速水さん!」
奏「……うああっ!」
サササッ!
『速水もみやで』
武内P「っ……惜しい!」
733:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 22:49:10 ID:SZMWaocY
武内P「まさか……速水さんのプロ意識が、ここまでのものとは……」
奏「……」
武内P「速水さん、もう一度挑戦しましょう」
武内P「1時間前よりも、確実に進歩が見られます」
奏「……もういい」
武内P「えっ?」
奏「私……速水奏、やめる!」
武内P「っ!?」
734:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 22:56:33 ID:SZMWaocY
武内P「待ってください! 速水さん!」
武内P「あの……ええ、と……やめる、とは……!?」
奏「……聞いての通りよ」
奏「さようなら――速水奏」
奏「……そして、こんにちは――」
サササッ!
『もみやで』
奏「――新しい私」
奏「……」
奏「っ……!」ズーン…!
武内P「あ、あの……速水さん」
武内P「そこまで無理に、別れを告げないでください……」
735:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 23:02:12 ID:SZMWaocY
武内P「……もう一度だけ、挑戦しましょう」
奏「……でも」
武内P「安心してください」
武内P「私は、最後まで見守っています」
奏「もしも……駄目だったら……?」
武内P「その時は、漢字のフルネームの判子を作りに行きましょう」
奏「あら……ふふっ!」
奏「どさくさに紛れて、デートのお誘い?」
武内P「いえ、違います」
736:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 23:06:53 ID:SZMWaocY
・ ・ ・
奏「それじゃあ……いくわ……!」プルプル!
カキカキ…
『速』
武内P「……!」
奏「うっ、ううっ……っく……!」プルプル!
カキカキ…
『速水』
武内P「速水さん……笑顔です」ニコリ
奏「っ!?///」ビクッ!
サササッ!
『速水♡奏』
武内P「っ! 書け――……えっ!?」
737:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 23:11:41 ID:SZMWaocY
奏「ちょっと……きゅ、急に何……?///」ドキドキ!
武内P「えっ?」
奏「貴方って、いっ……今みたいに笑うんだ///」ドキドキ!
武内P「私は……笑っていましたか?」
奏「すぅ……ふぅ……あのね、不意打ちは良くないわよ」
武内P「……はあ」
奏「ま、まあ……名前は書けたし――」
『速水♡奏』
奏「っ!?」バッ!
武内P「っ!」サッ!
武内P「……お、おめでとうございます! 速水さん!」
738:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 23:20:40 ID:SZMWaocY
奏「いやでも、名字と名前の間に……!」
武内P「あっ……アクセント! ちょっとした、アクセントです!」
奏「アクセント!?」
武内P「アイドルと、普通の女子高生を切り替えるスイッチの――」
武内P「――今のは忘れてください!」
奏「……アクセン――」
サササッ
『速水♡奏』
奏「――……ト」ジイッ!
武内P「……!」
739:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 23:30:29 ID:SZMWaocY
・ ・ ・
奏「……出来た」
『もみやで』
『速水奏』
奏「どっちも……自由に、書き分けられるようになったわ!」
武内P「本当に……本当に、おめでとうございます……!」
武内P「余分なマークも、一切なく……完璧です」
奏「……ふふっ!」ニコッ!
武内P「……良い、笑顔です」
740:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 23:34:42 ID:SZMWaocY
奏「これだけ頑張ったんだもの、ご褒美のキスは貰えるわよね?」ニコッ!
武内P「いえ、あの……それは……出来ません」
奏「もう、貴方って本当につれない人ね」
武内P「……」
奏「でもまあ、良いわ」
奏「チャーミングな笑顔も見られたし、ね」ニコリ
武内P「……」
741:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 23:42:04 ID:SZMWaocY
奏「それで……最初の話に戻るけど」
武内P「えっ?」
奏「? どうしたの?」
奏「コレに代わる――」
サササッ…
『もみやで』
奏「――新しいサインを考える、って話でしょう?」
武内P「……」
742:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 23:48:33 ID:SZMWaocY
武内P「……速水さん」
奏「? 何?」
武内P「貴女のサインは、とても、よく考えられているものです」
武内P「一見、『もみやで』に見えてしまいますが……」
武内P「よく見ればわかる……正に、貴女らしいサインです」
武内P「なので、サインを変える必要は無い、と」
武内P「……そう、思います」
奏「……」
743:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/27(木) 23:56:20 ID:SZMWaocY
武内P「確かに、歩み寄る事も大切です」
武内P「しかし、それによって貴女の魅力の一部が損なわれてしまう」
武内P「……それは、あってはならない事です」
奏「……そうね」
奏「確かに、貴方の言う通りだわ」
奏「一見しただけでわかられるような、安い女じゃない」
奏「だから、サインはこのままで……って事よね?」
武内P「はい」
744:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/28(金) 00:06:27 ID:j1Upkg22
・ ・ ・
武内P「……やっと、帰って頂けたか」
武内P「……」
武内P「しかし……表面化していない問題も、解決できた」
武内P「テストの点数に関しては……」
武内P「……」
武内P「……笑顔です」
武内P「しかし……それにしても――」
武内P「もみやで、ですね」
おわり
753:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/28(金) 22:19:42 ID:BeY9Pq7A
書きます
武内P「ゲーム機を置きたい……ですか」
754:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/28(金) 22:22:41 ID:BeY9Pq7A
杏「それくらい良いと思わない~?」
武内P「いえ、しかし……」
杏「杏達もさ、まだまだ子供なんだよ」
杏「だから、ゲームでもしてリフレッシュ~、ってね!」
武内P「お話は……わかりました」
杏「おおっ! それじゃあ!」
武内P「許可、出来ません」
杏「……」
杏「いやいやいやいや」
755:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/28(金) 22:27:01 ID:BeY9Pq7A
杏「お話はわかったんなら、置く流れじゃないの?」
武内P「ですが……此処は、職場なので」
杏「職場だからこそ、必要なんだよ」
杏「ゲームを通じて、親睦を深めるのさ」
武内P「……成る程」
杏「おおっ! それじゃあ!」
武内P「許可、出来ません」
杏「……」
杏「いやいやいやいや」
756:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/28(金) 22:29:36 ID:BeY9Pq7A
杏「もー! 成る程、って言ったじゃんか!」
武内P「ゲームでなくとも、親睦は深められます」
杏「ゲームじゃないと、深まらないものもあるよ」
武内P「……」
杏「試しに一週間だけ!」
杏「その間、真面目に働くからさ~!」
武内P「……!」
武内P「そこまで、ゲームを置きたい……と」
757:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/28(金) 22:33:38 ID:BeY9Pq7A
・ ・ ・
武内P「……説得され、置いてみましたが」
杏「……」
凛「シンデレラプロジェクト最強は!」ワンワンワンワン!
凛「この私の! ドンキーだから!」ワンワンワンワン!
アーニャ「ニェニェニェニェ――ット!」ガフガフガフガフ!
アーニャ「私の! クッパ! です!」ガフガフガフガフ!
武内P「溝が、深まっているように見えるのですが」
杏「……」
758:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/28(金) 22:42:55 ID:BeY9Pq7A
杏「いや、ほら……違うって」
武内P「そう、でしょうか?」
杏「そうだよ! 白熱するほど、仲良くなってるんだって!」
凛「……ちっ! しぶとい……!」ガルルル…!
アーニャ「メテオミス、残念ですね?」グルルル…!
凛「ふーん……そっちも、J上A外したけどね」ガルルル…!
アーニャ「逃げるのも、得意みたいですね?」グルルル…!
武内P「……双葉さん?」
杏「……」
759:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/28(金) 22:52:28 ID:BeY9Pq7A
・ ・ ・
武内P「……ソフトを変えてみましたが」
杏「……」
凛「また、残りは私達だけみたいだね!」ワンワンワンワン!
凛「行くよ! 蒼い爆風が、駆け抜けるように!」ワンワンワンワン!
アーニャ「フショー、フパリ……アー、全て順調、です」ガフガフガフガフ!
アーニャ「ここに爆弾を……ヌ、パカー(じゃあ、またね)」ガフガフガフガフ!
武内P「余計に、溝が深まっていませんか?」
杏「……」
760:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/28(金) 22:57:56 ID:BeY9Pq7A
杏「いや、ほら……違うって」
武内P「そう、でしょうか?」
杏「そうだよ! さっき、二人ちょっと協力してたし!」
凛「余計な雑魚は、先にレッスンに行ったからね……!」ガルルル…!
アーニャ「美波は、可愛い――弱さでしたね?」グルルル…!
凛「未央も、兄弟とやってるって言ってたけど……くっ」ガルルル…!
アーニャ「コームナトカ(小さな部屋)……また、ですね」グルルル…!
武内P「……双葉さん?」
杏「……」
762:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/28(金) 23:07:27 ID:BeY9Pq7A
・ ・ ・
武内P「……もう、諦めませんか?」
杏「……」
凛「ふふっ!……っふ、ふっ、くくくっ!」ルンルンッ!
凛「ねえ、借金生活は楽しい? っくくっ!」ルンルンッ!
アーニャ「ニェート……ニェニェニェ~~ット……!」イライライラ!
アーニャ「ニェ――ット! ハワイに!? ボンビー!?」ガーン!
杏「いや! あれはあれで、正しい姿だって!」
武内P「……」
763:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/28(金) 23:16:10 ID:BeY9Pq7A
武内P「ですが……CPU2の、実質タイマン状態です」
杏「……」
武内P「……双葉さん」
凛「あははっ、楽し……えっ? ちょっ、待っ……!」アセアセ!
アーニャ「ダー……ダーダーダー! そう、です! そう! 青いの!」グッ…!
凛「……ふうううぅぅぅん!!」ジタバタ!
アーニャ「ダダッ……ダ――ッ!!」グッ!
杏「待って! まだ、諦めないでよ!」
武内P「……」
764:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/28(金) 23:26:20 ID:BeY9Pq7A
・ ・ ・
武内P「……いっそ、開き直って格闘ゲーム、との事でしたが」
杏「……」
凛「蒼い風が……アンタを呼んでるよ」
ヒュウゥッ…!
アーニャ「なら吹き飛ぶのが……潔い、ですね?」
ヒュウゥッ…!
武内P「……双葉さん?」
杏「……」
766:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/28(金) 23:35:59 ID:BeY9Pq7A
武内P「何故、あれを選んだのですか?」
杏「……CAPCOMじゃ、安易かなって思ってさ」
未央「しぶりん!? それ、私もやるの!?」
卯月「3vs3って……あの!? 凛ちゃん!?」
美波「好きなんでしょ、こういうの……って! い、イキますっ♡」ビクンッ!
蘭子「こ、この笑い方っ……! クックックッ……ハッハッハッ……」
蘭子「ハァーッハッハッハッ!……良い!」
武内P「……他の方を巻き込んだだけですが」
杏「……」
767:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/28(金) 23:46:29 ID:BeY9Pq7A
・ ・ ・
杏「もう! どうすりゃ良いのさ!」
武内P「ゲームを置くのは、諦めましょう」
凛「ちょっと! 私、狙われてるんだけど!?」ワンワンワンワン!
アーニャ「リンは、高コストです! 当たり前、です!」ガフガフガフガフ!
莉嘉「みりあちゃん、着地取りヨロシクっ☆」
みりあ「うんうん! 莉嘉ちゃんナイス釣り~!」
杏「おっ、ナイスクロスじゃんか~」
武内P「双葉さん、話を聞いてください」
768:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/28(金) 23:54:10 ID:BeY9Pq7A
武内P「ゲームを置くべきでは、ありません」
杏「……まだ、判断するには早いんじゃないの」
凛「はあああ!? 先落ちとか、有り得ないでしょ!」ワンワンワンワン!
アーニャ「フォロー、無し! 考え、無し! 無理、です!」ガフガフガフガフ!
莉嘉「無理に前出てきてるから、そっち先にしよっか☆」
みりあ「うんうん! 飛んで火にいる夏の虫だね!」
杏「思い切り良いなぁ」
武内P「双葉さん、もう判断をしても良いと思います」
769:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 00:07:30 ID:IY2zZypo
・ ・ ・
杏「ほら! あれを見てよ!」
武内P「……」
凛「何発打っても、勝つのは私だから!」ワンワンワンワン!
アーニャ「ニェート! 私が、勝ちます!」ガフガフガフガフ!
みく「ふんぬぐぎぎ! みくが一番にゃああ!」ニャンニャンニャンニャン!
菜々「ボールを相手のゴールへ……シュウウ――ッ!」ミンミンミン!ミンミンミン!
杏「すごくない!? ドラえもんのバトルドームだよ!?」
武内P「いえ、あの……それが……!?」
菜々「超! エキサイティン!」
770:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 00:17:57 ID:IY2zZypo
・ ・ ・
武内P「双葉さん」
杏「……」
武内P「あっという間に、最終日になってしまいましたが……」
杏「……まあ、そうだね」
武内P「まだ、諦めきれませんか?」
武内P「これだけの人数が居て、ゲームを置いても……ですね」
武内P「何にせよ、待ちが発生し……プレイ出来ない人が出てきます」
杏「……」
771:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 00:26:03 ID:IY2zZypo
武内P「他にも理由は……はい、ありますが……」
武内P「プロジェクトルームに、ゲームは置くべきでない、と」
武内P「……そう、思います」
杏「……要は、さ」
杏「――ゲームして、リフレッシュ出来て」
杏「――ゲームを通じて、親睦を深めて」
杏「――皆が、ケンカしなければ……良いんだよね?」
武内P「ええ、そうですが」
武内P「この六日間で、それは難しい、と」
武内P「……そう、考えました」
杏「……」
杏「っへへへ……!」ニヤリ
772:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 00:33:32 ID:IY2zZypo
・ ・ ・
ちひろ「えっ!? ゲームを置くの、許可したんですか!?」
武内P「……はい」
ちひろ「えっと、聞いた様子じゃ到底無理そうだったんですけど……」
武内P「私も……そう、思っていました」
ちひろ「今日のゲームは、ケンカは無かったんですか?」
武内P「……皆さん、いい笑顔でした」
武内P「……私の、プレイする姿を見て……!」
ちひろ「……」
ちひろ「……ああ、なるほど」
773:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 00:45:21 ID:IY2zZypo
ちひろ「それなら……ケンカは起こらないですね」
武内P「また、プレイしている所を見たい、と」
武内P「……そう、皆さんに、優しい笑顔で言われたのですが」
武内P「休憩時間中とは言え、職場でゲームは……」
ちひろ「……そうですよねぇ」
ちひろ「ちなみに、何のゲームをやったんですか?」
武内P「『ぼくのなつやすみ』です」
ちひろ「…………夏休み、取りましたっけ?」
武内P「……現在、企画中です」
ちひろ「っ……!? もう、秋ですよ!?」
ちひろ「ゲームは、置いといてください!!」
おわり
782:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 15:32:25 ID:cceD/ut.
アイドルが武内Pの上着を着てハァハァしてるところお願いします
789:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 21:09:35 ID:IY2zZypo
>>782
書きます
武内P「私の上着が……無い?」
790:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 21:13:50 ID:IY2zZypo
武内P「確か、椅子にかけていたはず……」
美嘉「どうすんの!? どうすんの、凛!」ヒソヒソ!
凛「美嘉こそ、どうして隠れたの!?」ヒソヒソ!
美嘉「凛だって、とっさに隠れたじゃん!」ヒソヒソ!
凛「待って! とりあえず、これで落ち着こう!」ヒソヒソ!
凛・美嘉「すぅぅぅっ……!」
凛・美嘉「……はぁ」
凛・美嘉「なんか、この上着の匂い……落ち着く」ボソッ
791:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 21:17:35 ID:IY2zZypo
武内P「落ちて、しまったのだろうか」
美嘉「……落ち着いたケド、ヤバくない?」ヒソヒソ
凛「隠れて、驚かせようとしたとか……どうかな?」ヒソヒソ
美嘉「アタシ達のキャラ的に、ちょっときついカモ」ヒソヒソ
凛「まあ、そうだよね……うん、わかってた」ヒソヒソ
凛・美嘉「すぅぅぅっ……!」
凛・美嘉「……はぁ」
凛・美嘉「……どうしよう」ボソッ
792:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 21:21:01 ID:IY2zZypo
武内P「……」
美嘉「椅子の上に上着を置いて、囮にする★」ヒソヒソ
凛「そして、気づかれないように脱出……か」ヒソヒソ
美嘉「現実的に考えて、それっきゃ無いっしょ」ヒソヒソ
凛「そう……だね。うん、でも……」ヒソヒソ
凛・美嘉「すぅぅぅっ……!」
凛・美嘉「……はぁ」
凛・美嘉「もうちょっと……もうちょっとだけ……」ボソッ
793:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 21:23:45 ID:IY2zZypo
武内P「あの……そこに、誰か居るのですか?」
凛・美嘉「っ!?」ビクッ!
美嘉「ヤバイ……チョーヤバイって!」ヒソヒソ!
凛「なんで……!? 姿が、見えてないのに!」ヒソヒソ!
凛・美嘉「居るって、わかっちゃうなんて……!///」ヒソヒソ!
凛・美嘉「すぅぅぅっ……!」
凛・美嘉「……はぁ」
凛・美嘉「――って、言ってる場合じゃない!」ヒソヒソ!
794:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 21:30:31 ID:IY2zZypo
武内P「……」
美嘉「ねえ、凛! 何か、良い方法無いの!?」ヒソヒソ!
凛「誰か居るって思ってるみたいだから……」ヒソヒソ!
美嘉「幸い、まだアタシ達だってバレてないケド……!」ヒソヒソ!
凛「っ! だったら、方法はある――!」ヒソヒソ!
凛「にょわ~っ! 杏ちゃん、シ~ッ、だゆ!」
凛「もうちょっとでPちゃんをビックリさせちゃうんだからにぃ☆」
武内P「……諸星さんに……双葉さん?」
美嘉「……ヤバ。ヤバヤバヤバヤバーイ! チョーうまくない!?」ヒソヒソ!
凛「いざと言う時のために、練習しておいた甲斐があったかな」ヒソヒソ
795:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 21:36:21 ID:IY2zZypo
美嘉「これで、アタシ達が疑われるコトはない!★」ヒソヒソ!
凛「あの二人には悪いけど……今は、これが精一杯」ヒソヒソ!
武内P「お二人は……」
武内P「今日は、『あんきランキング』の収録で居ないはず」
美嘉「りいいいぃぃぃん!? 状況、悪化したケド!?」ヒソヒソ!
凛「しょうがないでしょ!? 知らなかったんだから!」ヒソヒソ!
凛・美嘉「すぅぅぅっ……!」
凛・美嘉「……はぁ」
凛・美嘉「まずい……まずいまずいまずい……!」ヒソヒソ!
796:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 21:41:21 ID:IY2zZypo
武内P「そこに居るのは……誰ですか?」
美嘉「今の責任取って、凛が自首してよ!」ヒソヒソ!
凛「はあっ!? こういう場合、連帯責任でしょ!」ヒソヒソ!
美嘉「そもそも、最初の時点で顔出せば良かったジャン!」ヒソヒソ!
凛「ふざけないでよ! 今更、それを言うの!?」ヒソヒソ!
凛・美嘉「すぅぅぅっ……!」
凛・美嘉「……はぁ」
凛・美嘉「まずい……上着の匂いが薄れてきた……!」ヒソヒソ!
797:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 21:46:29 ID:IY2zZypo
武内P「……」
美嘉「もうムリだって……! 諦めよう!?」ヒソヒソ!
凛「それこそ無理! 絶対に、バレたくない!」ヒソヒソ!
美嘉「なんで!? 上着の匂い嗅いでたとか、バレてないし!」ヒソヒソ!
凛「きらりの物真似をする、ひょうきんな子だって思われたくない!」ヒソヒソ!
凛・美嘉「すぅぅぅっ……!」
凛・美嘉「……はぁ」
美嘉「確かに、今後見る目変わるっぽいよね」ヒソヒソ
凛「でしょ。私、そんなの絶対に嫌」ヒソヒソ
798:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 21:52:31 ID:IY2zZypo
武内P「出てきて……くださいますか」
美嘉「じゃあ……なんとか、バレずに脱出するしか無い、か」ヒソヒソ
凛「出来る? プロデューサー、警戒してるみたいだけど」ヒソヒソ
美嘉「凛? アタシを誰だと思ってんの★」ヒソヒソ
凛「そりゃあ、カリスマJKアイドル、城ヶ崎美嘉……」ヒソヒソ
美嘉「ううん、ちがうよー★」ヒソヒソ
…スルスルッ
凛「!? 美嘉!? パンツを脱いで、何してるの!?」ヒソヒソ!
美嘉「アタシの名前は……こう、こう……ホラ!」ヒソヒソ!
キュキュッ!
凛「? サインペンで、何を書いて――」ヒソヒソ
『本田未央』
凛「……!」
799:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 21:59:27 ID:IY2zZypo
美嘉「アイツなら、アタシのパンツからカリスマを感じるかもじゃん?」ヒソヒソ
美嘉「でも、こうして名前を書いておけば大丈夫ってワケ★」ヒソヒソ
凛「何が大丈夫なの!? 納得の行く説明を聞かせて!」ヒソヒソ!
美嘉「パンツを投げつけて、注意をひきつけておいて――」ヒソヒソ
美嘉「――ダンスレッスンで鍛えたステップで、脱出する★」ヒソヒソ
凛「美嘉……あんたって……」ヒソヒソ
…スルスルッ
凛「本当、やっぱり……」ヒソヒソ
キュキュッ!
『アナスタシア』
凛「カリスマアイドルだね」ヒソヒソ
美嘉「まあねー★」ヒソヒソ
801:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 22:09:03 ID:IY2zZypo
武内P「……」
美嘉「良い? それじゃ、せーの、で投げつけるよ?」ヒソヒソ
凛「うん、せーの、だね。カウント、よろしく」ヒソヒソ
美嘉「オッケ。……3……2……1……」ヒソヒソ
凛・美嘉「せーの!」ヒソッ!
凛・美嘉「……」
美嘉「ちょっと、凛!? どうして投げないの!?」ヒソヒソ!
凛「それを言うなら、美嘉だって投げてない!」ヒソヒソ!
美嘉「他の人の名前書いたって、結局アタシのパンツだし!」ヒソヒソ!
凛「私だって、自分のパンツ投げたくないよ! 当たり前でしょ!」ヒソヒソ!
美嘉・凛「一枚で十分かなって思ったら、手が止まったの!」ヒソヒソ!
802:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 22:18:29 ID:IY2zZypo
武内P「……確認、させていただきますね」
凛・美嘉「っ!?」
美嘉「チョーヤバイってえええ! アタシ達、ノーパンじゃん!」ヒソヒソ!
凛「穿く!? 投げる!?……被る! マスクみたいに!」ヒソヒソ!
美嘉「アタシらの髪型だったら、一発でバレるでしょ!?」ヒソヒソ!
凛「……ふーん!」ヒソッ!
ポイッ!
美嘉「ちょっ!? あ……あ、あああ……!」ヒソヒソ!
…ファサッ
武内P「? あれは……一体……?」
美嘉「アタシのパンツ――ッ!」ヒソヒソ!
804:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 22:24:31 ID:IY2zZypo
凛「美嘉! ほら、注意が逸れた!」ヒソヒソ!
美嘉「……だね★ 今のうちに、ここから脱出――」ヒソヒソ
美嘉「――スリャアア――ッ!」ヒソヒソ!
ポイッ!
凛「んなっ!? 何……な、なん、なん……!」ヒソヒソ!
…ファサリッ
武内P「? 頭の上に、何か降って……」
美嘉「イィィ……エスッ!」ヒソッ!
凛「何てことするの! ちょっ、本当何なの!?」ヒソヒソ!
805:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 22:35:51 ID:IY2zZypo
美嘉「アイツが、凛のパンツに気を取られてる内に……」ヒソヒソ!
美嘉「アタシは、自分のパンツを回収しつつ脱出!」ヒソヒソ!
美嘉「チョーカンペキ★」ヒソッ!
凛「ふっ……ざけないでよ! どこが完璧……」ヒソヒソ!
武内P「これは……一体……?」
凛「ふううううんんんん無理無理無理無理!///」ヒソヒソ!
凛「アーニャの名前を書いたけど、本当に無理だから!///」ヒソヒソ!
凛「さっきはゴメン美嘉! 助けてお願いシンデレラ!」ヒソヒソ!
凛「……」
凛「もう居なくなってる……!」ボソボソッ!
806:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 22:43:07 ID:IY2zZypo
武内P「っ!? こ、これは……!?」
武内P「あのっ! 本当に、誰ですか!?」
凛「っ……!///」
凛(もう、パンツは諦めるしかない……!)
凛(今は、何とかここから逃げないと!)
武内P「そこに居るの――」
バサッ!
武内P「――はっ、ぷっ!?」
武内P「っ……こ、これは……私の上着……?」
武内P「……」
武内P「誰も……居ない……?」
807:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 22:53:52 ID:IY2zZypo
・ ・ ・
武内P「――と、いう事件があったのですが」
凛「……」
武内P「渋谷さん」
凛「……何」
武内P「これは、貴女の下着ですね?」
…スッ
凛「……なんで、そう思うの」
武内P「捜査の方法につきましては、お答え出来ません」
武内P「今後、この様な事があった場合に備えて」
凛「……」
808:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 23:02:42 ID:IY2zZypo
武内P「渋谷さん」
凛「っ……!」
武内P「大変、申し訳ありませんでした……!」
凛「っ……!」
凛「……」
凛「えっ?」
武内P「渋谷さんの下着を盗んだ犯人は、まだ特定出来ていません……!」
武内P「あまつさえ、アナスタシアさんの名前を書き……」
武内P「……捕まりそうになったら、投げつけてきて……はい」
武内P「あの時、捕まえることが出来れば良かったのですが……」
凛「……」
凛「うん!!!!! そうだね!!!!!」
809:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/29(土) 23:14:09 ID:IY2zZypo
武内P「……本当に、申し訳ありません……!」
凛「ううん! 全然、全然! 大丈夫だから!」
武内P「いえ、ですが……!」
凛「プロデューサーは、気にしなくていいから!」
武内P「渋谷さん……」
凛「本当に……本っっっ……当に! 焦ったけど!」
凛「ダンスレッスン後に、替えた後のがさ!」
凛「家に帰ったら見つからなくて! うん!……うん!!」
武内P「は……はあ」
凛「思わず、独り言出たから! 見てて! こんな感じで!」
凛「私の下着が……無い?」
おわり
816:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 22:23:52 ID:6PLJPbDA
書きます
武内P「よしよし、良い子ですね」
817:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 22:28:12 ID:6PLJPbDA
瑞樹「うんっ!」
武内P「貴女は、いつも頑張っていますよ」
瑞樹「えへへ♪ あー、まんま! まんま!」
武内P「はい、どうぞ。きちんと、人肌の温度にしてあります」
瑞樹「うー♪……んっ、んっ……ぷはっ」
瑞樹「おいちーのー♪」
未央・卯月・凛「……!?」
武内P・瑞樹「!?……うっ――」
武内P・瑞樹「うわああああああっ!?」
未央・卯月・凛「うわああああああっ!?」
818:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 22:31:44 ID:6PLJPbDA
瑞樹「ああああああっ!」ジタバタッ!
…ダダダダダダッ!
瑞樹「いやああああっ!」
ガチャッ! バタンッ!
未央・卯月・凛「!?」バッ!
武内P「……!」フルフルフルフル!
「ああああああっ! いやああああああっ!」
未央・卯月・凛「……!」
武内P「……!」
819:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 22:34:52 ID:6PLJPbDA
未央・卯月・凛「……!」ジィッ!
武内P「……ごっ、ごか――」
ガチャッ!
瑞樹「――こんにちは、ちょっとお邪魔するわね」
未央・卯月・凛「!?」
武内P「!?」
瑞樹「って……あら!」
瑞樹「ニュージェネレーションズの子達じゃないの!」
未央・卯月・凛「!!?」
武内P「!!?」
820:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 22:38:52 ID:6PLJPbDA
瑞樹「楓ちゃんから、話は聞いてるわ!」
瑞樹「ふふっ! とっても有望な後輩達だ、ってね♪」
未央・卯月・凛「……!?……!?」オロオロ!
未央・卯月・凛「どっ……どうも……」
瑞樹「もしかして、緊張してるのかしら?」
瑞樹「良いのよ、もっとリラックスして!」
未央・卯月・凛「は……はい……」
未央・卯月・凛(無理無理無理無理無理無理ィ――ッ!)
武内P「……!」
821:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 22:43:55 ID:6PLJPbDA
瑞樹「う~ん……でも、先客が居るみたいだし」
瑞樹「今日の所は、失礼しようかしら」
未央「あっ……あのっ!」
卯月「未央ちゃん!?」
凛「未央!?」
瑞樹「あら、何?」ニコッ!
未央「あっ……ふっ、ふぁ……ファンです!」
卯月・凛「わっ、私も!」コクコクコクコク!
瑞樹「……うふふっ!」
瑞樹「後輩たちにそう言われるなんて、光栄だわ♪」ニコリ!
武内P「……!」
822:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 22:48:09 ID:6PLJPbDA
瑞樹「それじゃあ、そういう訳で……」
瑞樹「また今度、お願いするわ」
卯月「また!? 今度!?」
未央「しまむー!?」
凛「卯月!?」
瑞樹「ん? どうしたの?」ニコッ!
卯月「ふえっ!? あ、その、あうぅ……だっ、大ファンです!」
未央・凛「わっ、私も!」コクコクコクコク!
瑞樹「ちょっともう! な~に~?」
瑞樹「お姉さんをおだててどうしようって言うの~?」ニコリ!
武内P「……!」
823:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 22:55:11 ID:6PLJPbDA
瑞樹「ふふっ! おっかないから、退散するわ♪」
瑞樹「それじゃあね!」
凛「あっ、あの! さっきの、って……」
未央「しぶりいいいいいん!?」
卯月「凛ちゃあああああん!?」
瑞樹「――現場から中継でお伝えします」キリッ!
瑞樹「台風24号は、強い勢力で――」
ガチャッ! バタンッ!
未央・卯月・凛「……」
未央・卯月・凛「!?」バッ!
武内P「……!」
824:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 23:02:38 ID:6PLJPbDA
・ ・ ・
未央・卯月・凛「ストレス解消」
武内P「……はい」
武内P「以前、飲みの席で……ですね」
武内P「ほんの……ほんの些細な戯れで……はい」
未央「……そうしたら」
卯月「……溜まっていたストレスから」
凛「……一気に開放された、ねぇ」
武内P「なので! 決して、いかがわしい意図でなく!」
武内P「アイドルとして輝き続けるための――」
武内P「――笑顔の、ためなのです!」
未央・卯月・凛「……」
825:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 23:11:05 ID:6PLJPbDA
武内P「ですので……皆さん」
武内P「先程目にしたものは、他言無用でお願いします」
未央「いや……言っても、誰も信じないって」
卯月「はい……私も、まだ信じられません」
凛「うん……さっきのに効果があるか、体験してみないと」
未央・卯月「……」
未央・卯月「……えっ?」
凛「……えっ?」キョトン
武内P「……!?」
826:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 23:21:08 ID:6PLJPbDA
未央「いや、あの……ししっ、しぶりん!?」
凛「えっ? 何? えっ?」
卯月「体験、って……あっ、あれをやるんですか!?」
凛「えっ!? いや、だって……ほら!」
凛「やってみないと、信じられなくない!?」
凛「そうでしょ!? 未央! 卯月!」
未央「いやいやいや! しぶりん!? しぶりんさん!?」
卯月「ほっ、本気であれをやる気ですか!? 凛ちゃん!?」
凛「……!」
未央・卯月「……!?」
武内P「……!?」
827:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 23:24:13 ID:6PLJPbDA
武内P「あっ、あの!」
武内P「秘密にしてくださるだけで、大丈夫なのですが!?」
凛「ふざけないでよ!」
凛「アンタ、私のプロデューサーでしょ!?」
武内P「っ!?」
凛「だから……信じたい……!」
凛「お願いだから……信じさせてよ……!」
未央「……しぶりん」
卯月「……凛ちゃん」
武内P「……!?」
828:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 23:28:08 ID:6PLJPbDA
未央・卯月・凛「……!」コクリ!
武内P「!? あ、あの! 皆さん!?」
武内P「何故、頷き合って――」
ガチャッ!
未央・卯月・凛「!?」ビクッ!
武内P「!?」
早苗「んんんあああ――っ!! イライラするぅ――っ!!」
未央・卯月・凛「……!?」
武内P「……!?」
829:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 23:32:28 ID:6PLJPbDA
・ ・ ・
早苗「……んむぅ」ウトウト…
武内P「そのまま、寝てしまっても大丈夫です」
早苗「……おうた」ウトウト…
武内P「えっ?」
早苗「……おうたぁ」ウトウト…
武内P「……!?」
未央・卯月・凛「……」
早苗「おうたぁ~ぁ~……!」ウトウト…
武内P「……! ねっ、ね~んね~ん、ころ~り~よ~♪」
早苗「……すぅ……すぅ……」
未央・卯月・凛「……」
武内P「おこ~ろ~り~よ~♪」
830:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 23:40:39 ID:6PLJPbDA
・ ・ ・
未央・卯月・凛「……」
武内P「笑顔です」
武内P「ストレスから開放された、天使の様な寝顔」
武内P「あれならば、明日以降の片桐さんは……」
武内P「……良い、笑顔を見せてくr」
未央「そういう事じゃなくってさぁ!?」
卯月「私達に、気付きもしませんでしたよ!?」
凛「ねえ、何なの!? ちゃんと答えて!」
武内P「おっ、恐らくですが……!」
武内P「私は、ベビーシッターの才能g」
未央・卯月・凛「じゃなくて!」
831:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/09/30(日) 23:51:31 ID:6PLJPbDA
未央「わかったよ! 認める! 凄い才能だね!?」
武内P「あ、ありがとうございます」
卯月「でも! どうしてあの二人をあやしてるんですか!?」
武内P「う、噂が噂を呼び……はい」
凛「……待って。それじゃあ、他にも居るって事!?」
武内P「……」
武内P「………………居ません」
未央・卯月・凛「誰!?」
武内P「っ……!」
832:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 00:00:26 ID:L4TaDqn.
武内P「……!」
未央・卯月・凛「……!」
「――あら? こんな所で……」
未央・卯月・凛「!」
楓「――おはようございます」
武内P「……お、おはよう、ございます」
未央・卯月・凛「おはようございます……」
未央・卯月・凛「……」
未央・卯月・凛「まさか!?」
武内P「まっ、待ってください! あの、待ってください!」
楓「……?」
833:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 00:13:21 ID:L4TaDqn.
・ ・ ・
未央・卯月・凛「からかわれた?」
楓「うふふっ!」
楓「その様子だと、すっかり騙されちゃったみたいね♪」
未央「いや、でも! そんな感じじゃなくて!」
卯月「はい! 本当に、リラックスしてて!」
凛「あれが演技!? 嘘でしょ!?」
楓「ええ、と……そもそも」
楓「瑞樹さんと、早苗さんに限って――」
楓「――そんな風に、ストレス解消すると思えるかしら?」
未央・卯月・凛「……確かに」
武内P「……」
834:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 00:18:57 ID:L4TaDqn.
・ ・ ・
楓「――信じて貰えて、良かったですね」
武内P「……はい、ありがとうございました」
武内P「おかげで、助かりました」
楓「ふふっ!」
楓「ベビーシッター、がバレるのは、ヘビー失態」
楓「……うふふっ!」
武内P「……」
835:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 00:25:17 ID:L4TaDqn.
楓「でも……可愛い後輩達を騙すのは、心が痛みました」
武内P「……」
楓「ああ、どうしましょう……とっても、ストレスだったわ」
武内P「……」
楓「――あっ、そうだ!」
楓「これは、瑞樹さんと早苗さんから聞いた噂なんですけど」
楓「――良い、ストレス解消法がある、って」
楓「うふふっ! ご存知ですか?」ニコッ!
武内P「……笑顔です」
武内P「笑顔は、ストレス解消になる、と」
武内P「……そう、聞いています」
楓「……!」
バシバシ!
武内P「……」
836:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 00:37:15 ID:L4TaDqn.
・ ・ ・
武内P「……と、言うことがありまして」
ちひろ「それは……大変でしたね」
武内P「……はい」
ちひろ「がっ、頑張ってください!」
ちひろ「お――……プロデューサーさん!」
武内P「……」
武内P「……はい」
武内P「皆さんの前では、そう呼んでください」
ちひろ「はーい♪ えへへっ♪」
武内P「よしよし、良い子ですね」
おわり
846:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 14:41:31 ID:b.lxxAYA
ホスト狂いみたいに武内Pに貢ごうとして甘えるちっひとアイドル
852:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 22:00:53 ID:L4TaDqn.
>>846
書きます
武内P「残業、ですか?」
853:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 22:07:26 ID:L4TaDqn.
ちひろ「はい……今日中に、終わらせておきたくて」
武内P「……」
ちひろ「んー……っ! よし! 頑張ろう!」
武内P「千川さん。私も、お手伝いします」
ちひろ「えっ?」
武内P「残業はなるべくしないように、と」
武内P「……そう、言われていますので」
ちひろ「……ふふっ!」
ちひろ「それ、私のいつもの台詞じゃないですか!」
854:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 22:12:55 ID:L4TaDqn.
・ ・ ・
ちひろ「――この前の、お礼です」
武内P「いえ、本当に……お気になさらず」
ちひろ「ランチくらい、奢らせてください」
武内P「ですが……」
ちひろ「甘えさせて貰ったんですから」
ちひろ「お返ししないと、私の気が済みません」
武内P「……わかり、ました」
武内P「では、今日の昼休みで良いですか?」
ちひろ「はいっ♪」ニコッ!
CPアイドル達「……」
CPアイドル達「!」ティン!
855:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 22:20:26 ID:L4TaDqn.
・ ・ ・
武内P「……」
ちひろ「? ボーッとして、どうしたんですか?」
武内P「……あ、いえ」
ちひろ「何か、考え事ですか?」
武内P「その……ですね」
武内P「近頃、皆さんに何かを頂く事が、ですね」
武内P「その……非常に、多くなっていまして」
ちひろ「……はあ」
856:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 22:25:07 ID:L4TaDqn.
ちひろ「それが、何か問題でも?」
武内P「いえ、それが……」
ちひろ「?」
武内P「本当に……些細な事」
武内P「それに対してのお礼だ、と」
武内P「……そう、言われまして」
武内P「断るに……断れなく……はい」
ちひろ「……?」
857:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 22:30:20 ID:L4TaDqn.
ちひろ「あの……プロデューサーさん?」
武内P「……」
ちひろ「何を貰ったんですか?」
武内P「……例えば、こちらです」
スッ…
ちひろ「……」
ちひろ「男性用の、Tバック下着!?」
ちひろ「プロデューサーさん、こういうの穿くんですか!?」
武内P「待ってください! 千川さん!」
武内P「決して、私の趣味ではありません!」
858:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 22:39:06 ID:L4TaDqn.
武内P「これは、新田さんから頂いた物なのですが……」
武内P「本当に……はい、どうしたものかと……」
ちひろ「何をしたら、こんな物をお礼に贈るんですか!?」
武内P「いえ、それが……私にも、よく……」
武内P「ネタになってくれているから、と」
武内P「……そう、仰っていました」
ちひろ「……」
武内P「話のネタになっている、という事だと思うのですが」
ちひろ「……」
ちひろ「そうですね」
859:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 22:46:15 ID:L4TaDqn.
ちひろ「美波ちゃんには、私から話をしておきます」
ちひろ「……程々に、って」
武内P「ええ、そうですね」
ちひろ「ほっ、他には!? 他にもあるんですよね!?」
武内P「えっ? ええ、まあ……」
武内P「……本当に」
武内P「どう、したものでしょうか……」
ちひろ「……」
860:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 22:53:53 ID:L4TaDqn.
武内P「皆さんのお気持ちは、嬉しく思います」
武内P「ですが、あまり戴き物をする訳にはいきませんから」
ちひろ「そう、ですよね……」
ちひろ「――あっ! でしたら!」
武内P「?」
武内P「何か、いい考えでもあるのですか?」
ちひろ「……ふふっ!」
ちひろ「お礼をさせなければ良いんですよ♪」
武内P「?……はあ……?」
861:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 23:01:35 ID:L4TaDqn.
・ ・ ・
李衣菜「あー……ちょっと、気になるロックバンドがあるんですよねー」チラッチラッ
武内P「そう、なのですか?」
李衣菜「だけど、なつきちは仕事だし……」チラッチラッ
武内P「……」
李衣菜「一人で行くのも……」チラッチラッ
武内P「……わかりました」
武内P「私で宜しければ、ご一緒させてください」
李衣菜「!」
李衣菜「じゃ、じゃあ! 甘えちゃおうかなー!」ソワソワ!
862:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 23:07:50 ID:L4TaDqn.
李衣菜「それじゃあ、何かお礼をしないと……」ソワソワ!
武内P「いえ、その必要はありません」
李衣菜「えっ!? で、でも……!」
武内P「――多田さん」キリッ!
李衣菜「!? は、はい!」
武内P「貴女は、私の大切な担当アイドルです」
李衣菜「ふえっ!?///」ドキッ!
武内P「そんな貴女の笑顔のために、何かが出来る――」
武内P「――それだけで、私は十分です」ニコリ
李衣菜「っ……!///」キュキュウンッ!
863:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 23:12:23 ID:L4TaDqn.
・ ・ ・
武内P「……」
ちひろ「……すみません」
武内P「……いえ、お気になさらず」
ちひろ「……」
武内P「……お礼は良い、と」
武内P「……そう、言ったにも関わらず……」
武内P「何故か、贈り物のグレードが上がるとは……」
ちひろ「……」
864:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 23:23:38 ID:L4TaDqn.
ちひろ「そんなに……高額な物を?」
武内P「……こちらを見てください」
…スッ
ちひろ「この包みは……お弁当ですか?」
武内P「……」
…スッ
ちひろ「二個目……」
武内P「……」
…スッ
ちひろ「三個目……って! まっ、待ってください!」
ちひろ「待ってください、プロデューサーさん!」
865:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 23:29:01 ID:L4TaDqn.
武内P「栄養価の高い物を……と」
武内P「……皆さん、そう仰っていました」
ちひろ「……!?」
武内P「頑張って作った、と……!」
武内P「指に、絆創膏を貼っている方も居ました……!」
武内P「私は……私は、一体どうすれば……!」
ちひろ「おっ、落ち着いてください!」
ちひろ「私も一緒に対策を考えますから、ねっ!?」
武内P「千川さん……ありがとう、ございます」
ちひろ「……」
866:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 23:38:36 ID:L4TaDqn.
・ ・ ・
智絵里「……プロデューサー」
武内P「はい、何でしょうか?」
智絵里「あっ、あの……!」
智絵里「さっ、最近……そっけないと思うんです……!」
智絵里「お弁当も、受け取ってくれなくなったし……」
智絵里「わ、わたし……何か、悪いことしましたか……!?」
武内P「いえ、そんな事はありません」
智絵里「でっ、でも……!」
智絵里「でも……!」
武内P「……」
868:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 23:45:48 ID:L4TaDqn.
武内P「お弁当の件に関しましては、ですね」
武内P「アイドルの方に負担をかけるわけにはいかない、と」
武内P「……そう、説明したと思いますが」
智絵里「わっ、わたし! 負担だなんて思ってないです!」
智絵里「だ、だから……だからっ……!」
武内P「……申し訳、ありません」
智絵里「……あっ……あっ……!」
智絵里「みっ、見捨てないでください! 見捨てないでください!」
智絵里「お願いします、プロデューサー!」
智絵里「わたしを見捨てないでください! プロデューサー!」
869:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/01(月) 23:51:43 ID:L4TaDqn.
・ ・ ・
武内P「……」
ちひろ「……」
武内P「少し……ほんの少し、距離を置いただけで……」
武内P「皆さんは、何故……あんなにも……!」
武内P「そして、こんなにも……!」
…ドサァッ!
ちひろ「……プロデューサーさんが居ない間に……」
ちひろ「デスクに置いていくようになりましたね……」
武内P「……私は、どうしたら……!?」
ちひろ「……」
870:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 00:01:20 ID:TdRkbxVA
ちひろ「どうしようも……ないかも知れませんね」
武内P「っ!? ですが!」
武内P「本田さんは、髪の外ハネが無くなり!」
武内P「双葉さんは、真面目に仕事をするように!」
武内P「三村さんに至っては、間食が半分になりました!」
武内P「……は、良いとして」
武内P「このままではいけない、と」
武内P「……そう、思います」
ちひろ「……」
871:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 00:09:14 ID:TdRkbxVA
ちひろ「プロデューサーさん」
武内P「……千川さん?」
ちひろ「しっかりしてください!」
武内P「っ!?」
ちひろ「あの子達のプロデューサーは、貴方なんですよ!」
武内P「っ……!」
武内P「ええ……そうですね」
武内P「私が、しっかりしなければ」
ちひろ「そうです、その調子です!」ニコッ!
873:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 00:19:25 ID:TdRkbxVA
武内P「諦めずに解決策を探します」
ちひろ「う~ん……でも、どうしたら……」
武内P「……」
武内P「待ってください、千川さん」
武内P「この件に関しましては、今後は一人で考えよう、と」
武内P「……そう、思います」
ちひろ「えっ?」
ちひろ「わっ、私も! 私も、頑張って一緒に考えますから!」
武内P「……いえ、遠慮しておきます」
武内P「甘えは、ろくな結果を生まないので」
おわり
878:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 18:45:54 ID:x989kWRw
ローソンハロウィンコラボで何か書いてほしいです
879:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 19:44:34 ID:TdRkbxVA
>>878
書きます
武内P「ハロウィンコラボの商品企画、ですか」
880:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 19:50:17 ID:TdRkbxVA
美嘉「そっ★ アンタ、食には関心があるんでしょ?」
武内P「それは……はい、そうですね」
文香「協力……して、頂けませんか?」
武内P「いえ、それは構わないのですが……その前に」
志希「トリック・オア・トリート!!」
志希「あっ、引き出しの中にクッキーが~♪」
武内P「彼女を止めていただけますか?」
美嘉・文香「あ……あはははは……」
881:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 19:55:41 ID:TdRkbxVA
・ ・ ・
武内P「……なるほど」
ペラッ…ペラッ…
武内P「こちらが、皆さんの考えた商品ですか……」
ペラッ…ペラッ…
美嘉「どう? ケッコーイケてると思わない?★」
文香「初めての事なので……何分、勝手がわからず……」
志希「あたしとしては、も~っと刺激的にしたいんだよね~」
武内P「……はい、把握しました」
…パタンッ
武内P「その……言いにくいのですが、非常に厳しいかと」
美嘉・文香・志希「……」
882:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 20:02:22 ID:TdRkbxVA
武内P「まず、城ヶ崎さんの企画に関してです」
美嘉「厳しいって……言ってくれるじゃん」
武内P「商品に、特典をつけるという案は、悪くありません」
美嘉「でしょ!? チョーイイ案だと思うんだケド!」
武内P「はい、ですが――」
武内P「城ヶ崎さんの使用されているブランドの、化粧品」
武内P「こちらは、コスト面もそうですが……」
武内P「他会社との連携も必要になってきます」
武内P「また、食品につける特典としては、不適当かと」
武内P「勿論、そういった商品もありますが――」
美嘉「……あ、はい」
文香・志希「……」
883:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 20:07:12 ID:TdRkbxVA
・ ・ ・
武内P「――という理由で、難しいですね」
美嘉「……うん、そだね」ションボリ
武内P「ですが、面白い試みではある、と」
武内P「……そう、思います」
美嘉「えっ?」
武内P「今回は、残念ながら活かせる企画ではありません」
武内P「ですが、雑誌とのコラボ企画としては、魅力的かと」
武内P「機会がありましたら、検討する価値は十分になる、と」
武内P「……そう、考えました」
美嘉「! うん……うん!」パーッ!
文香・志希「……」
884:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 20:13:36 ID:TdRkbxVA
美嘉「……だってさ! 駄目だって★」ニコニコ!
文香「は……はい……」
志希「ふむふむ。適切な状況で、効果的に……って事だね」
武内P「それでは、次は――」
志希「はいはーい! 次は、あたしの企画!」
志希「キミが、どんな風に考えたかキョーミ出ちゃった!」
武内P「……はあ、わかりました」
885:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 20:20:18 ID:TdRkbxVA
武内P「それでは、一ノ瀬さんの企画に関してです」
志希「志希ちゃんの企画にどんな難点があるのかね~?」
武内P「そうですね……この、不思議なお薬、という点です」
志希「イエースッ! それが、商品のポイント!」
志希「名付けて、クセニナール!」
志希「このお薬が入った物を口にしたら、手が止まらなっちゃう♪」
志希「例えそれがどんな物でも……求めてやまなく、ね」
志希「にゃはは! 勿論、法的な問題もクリアーしてるよ~♪」
武内P「……成る程、そうでしたか」
武内P「では、なおさら認めるわけにはいきません」
志希「……ふ~ん?」
886:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 20:27:22 ID:TdRkbxVA
武内P「このコラボ企画は、貴女達三人と――」
武内P「――アイドルとの、コラボ企画です」
志希「うんうん、そうだね……それで?」
武内P「ですが、こういった特殊な薬品を用いるというのは――」
志希「……」
武内P「一ノ瀬さん」
武内P「貴女の、化学者としての一面」
武内P「……それだけが、前面に出過ぎている、と」
武内P「……そう、気付いているのではありませんか?」
志希「……にゃはは」
志希「正解正解、大せーかーい♪」
887:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 20:34:12 ID:TdRkbxVA
武内P「御本人が納得されていないものは、ファンの方に提供出来ませんから」
志希「だけど、それが一番売上は取れるよ?」
武内P「売上だけに目を向けたら、確かにそうかも知れません」
武内P「ですが……その、ですね……」
武内P「商品を開発する、メーカー」
武内P「そちらに、ご迷惑をかけてしまう可能性が……はい」
武内P「非常に高いだろう、と……そう、思いましたので」
志希「……嗚呼! なんて厳しい、大人の事情!」
美嘉「いや、まあ……フツーに考えたらそうだよね」
文香「……」ドキドキ…!
888:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 20:42:21 ID:TdRkbxVA
武内P「それでは、鷺沢さんの企画に関してですが……」
文香「は、はい……」ドキドキ…!
志希「んふふ! どんなのか、あたしも知らないんだよね~」
美嘉「アタシもアタシも。ねえ、どんな企画なの?」
文香「い、いえ……大したものでは、ありませんから……」ドキドキ…!
武内P「……」
武内P「――ローソンの入り口を抜けると図書館であった」
武内P「……と、書いてあるのですが……」
武内P「あの……これは……?」
美嘉・志希「……えっ、何?」
文香「は……はい……///」ドキドキ!
889:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 20:48:19 ID:TdRkbxVA
文香「考えられるものは、全て企画にと言われていたので……///」
武内P「は……はあ」
文香「その……ですね……///」
文香「コンビニエンスストアに、足を踏み入れたら……ですね?」
文香「外観からは、想像も出来なかった空間が広がっていて……」
文香「戸惑っていると、眼鏡をかけた……あっ、モノクルも、良いかと」
美嘉・志希「……あ、はい」
文香「す、すみません……話が、逸れてしまいました///」
文香「……司書の方が、穏やかに話しかけてくるのです」
文香「……と、ここまでは……良い、でしょうか?」
武内P「……」
武内P「……あ、いえ! そこまでで、結構です!」
890:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 20:55:12 ID:TdRkbxVA
文香「えっ? いえ、あの、ですが……!」
武内P「あの、鷺沢さん」
文香「普段の商品棚とは違う、木製の書架には整然と本が……!」
武内P「鷺沢さん」
文香「並んだ本のページをめくってみると、優しい光と共に……!」
武内P「鷺沢さん……!」
文香「商品の映像が浮かび上がって、ですね……!?」
文香「ふと、手をかざしてみると、それがコラボ商品だったら――」
武内P「待ってください! 待ってください、鷺沢さん!」
武内P「ローソンには! そこまでファンタジーは求められません!」
文香「っ!? そんな……!?」
891:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 21:04:21 ID:TdRkbxVA
・ ・ ・
文香「……」
ペラッ…ペラッ…
志希「……ショックで、ファンタジーな世界にダイブしちゃった」
美嘉「……さりげなく、自信あったぽいしねぇ」
武内P「いえ、ですが……さすがに、無理があったので……」
文香「……」
ペラッ…ペラッ…
文香「! 図書館でなく……小さな、書店サイズなら……?」
武内P「……」
892:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 21:12:07 ID:TdRkbxVA
・ ・ ・
文香「……企画を考えるというのは、難しいものなのですね」
志希「う~ん、とりあえずやってみよー!……じゃ、駄目だしねぇ」
美嘉「って言うか! アンタだったら、どんな企画にするの!?」
武内P「えっ?」
志希「あっ! それはサンコーにしたいかも! 企画サンプル~♪」
文香「はい……何か、良い考えは……ありますでしょうか?」
美嘉「アンタが考える――アタシ達らしい商品……って、どんなの?」
武内P「……」
武内P「そう、ですね……」
893:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 21:22:39 ID:TdRkbxVA
武内P「まず――手が汚れない物、でしょうか」
美嘉「はっ? どうしてそれが、アタシ達らしさに繋がるワケ?」
志希「あたし、指についたソースとかクリーム舐めるのケッコー好きだよん♪」
美嘉「あー……なんか、そういうのアメリカっぽい」
志希「その仕草で、見ている人もミリョーしちゃ~う!」
武内P「……手が汚れない、というのは」
武内P「――鷺沢さん」
武内P「貴女ならば、その理由に心当たりがあるのでは?」
文香「……」
文香「……えっ?」
894:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 21:32:59 ID:TdRkbxVA
文香「ええ、と……私なら、ですか?」
武内P「はい。先程のように、本を読んでいる時……」
文香「……あっ」
美嘉「えっ、何々? 全然ワカンナイんだケド?」
志希「むぅ……これは、ちょっとクツジョク! でも、それが良い!」
文香「その……本を読んでいる時に、ですね」
文香「差し入れを頂くことが、たまにあるのですが……」
文香「こう、手でつまむものだと……手を拭き直す必要が、出てきてしまいます」
文香「あっ、心遣いは嬉しいと……当然、思います」
文香「ですが……自分で買うのは、敬遠してしまいますね」
武内P「……なので」
武内P「本を読む時等の、小休止に食べるような物」
武内P「そういった物が……‘らしい’のではないかと」
美嘉・志希「おー……!」
895:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 21:40:06 ID:TdRkbxVA
文香「章の区切りでお茶を頂く事は……はい、あります」
武内P「スプーンや、フォークを用いる物でも?」
文香「はい、問題ありません」
武内P「甘さは……あまり控える必要ななさそうですね」
文香「それでは、食べ過ぎに気をつけないといけませんね……」
文香「……ふふっ」
文香「考えているだけの段階だと言うのに……」
文香「……書の世界に入り、そして、一時の休息」
文香「……小休止が、楽しみになってしまいました」ニコッ!
武内P「……良い、笑顔です」
896:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 21:45:19 ID:TdRkbxVA
志希「――それじゃあ、あたしは?」
武内P「一ノ瀬さん‘らしさ’……ですか」
志希「志希ちゃんと、ケミカルは密接なカンケーイ」
志希「化学的で、刺激的……表現出来るかにゃ~?」
武内P「……それに関しましては――」
武内P「――味と香り」
武内P「この二つを利用するのが適当だ、と」
武内P「……そう、判断しています」
志希「……ふ~ん?」
志希「続きをどうぞ?」
897:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 21:55:20 ID:TdRkbxVA
武内P「今回の、ローソンコラボの衣装を拝見しました」
武内P「一ノ瀬さんは――赤を基調とした衣装」
志希「そうそう! 心臓の上のクモの巣で捕まえちゃ~う♪」
武内P「そして、鷺沢さんは――青を基調とした衣装」
文香「は、はい……その通りです」
武内P「そこから……」
武内P「――ストロベリーとブルーベリー」
武内P「この、二つのベリーを用いた商品を考えました」
志希・文香「……」
武内P「最初から、合わせているのではなく……」
武内P「食べ方によって――味も、香りも変化する」
武内P「……食の、化学変化です」
志希「……おー……!」
898:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 22:02:43 ID:TdRkbxVA
志希「まだ、他にもありそうだけど?」
武内P「後味、ですね」
武内P「後をひかない、スッキリとした後味」
武内P「それならば、再び本を読むのに戻った時」
武内P「……そちらに、集中出来るのではないでしょうか」
文香「……!」
武内P「そして、一つ所に留まり続けない」
武内P「……貴女の失踪癖も、表現できるかと」
志希「……にゃはははは!」
志希「イイね! すっごくイイ! パーフェクト!」
武内P「……それに関しては、改善した方が良い、と」
武内P「……そう、思っていますが」
899:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 22:07:36 ID:TdRkbxVA
武内P「これらに関しては……」
武内P「商品開発部門の方に、頑張っていただければ」
文香「実現……出来そうですね」
志希「面白そうだから、あたしもキョーリョクしちゃう!」
武内P「……」
美嘉「――ゴホンッ!」
美嘉「チョーイイ、企画だね★」ニコッ!
武内P「ありがとう、ございます」
美嘉「……で?」
美嘉「アタシの要素は?」
900:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 22:17:28 ID:TdRkbxVA
武内P「はい。城ヶ崎さんの要素も、当然考えています」
美嘉「だよね! うん……そうだよね!★」
武内P「? 城ヶ崎さん?」
美嘉「あっ、いや……何でもない! 何でもないから!」
武内P「?……はぁ」
志希「にゃはは! 忘れられてると思って、焦っちゃったかにゃ~?」
文香「ですが、私も同じ立場だったら……そう、思うかも知れません」
美嘉「そっ、そんなんじゃないって!///」アセアセ!
美嘉「ほっ、ホラ!/// 良いから聞かせてよ!///」
武内P「商品名に『★』を入れます」
美嘉「……」
美嘉「うん?」
901:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 22:21:31 ID:TdRkbxVA
美嘉「うん……うん?……うん、うん?」
武内P「? どうか、されましたか?」
美嘉「えっ? いや……ええっ、と……」
武内P「?」
美嘉「……それで?」
美嘉「商品の名前に、『★』を入れる……うん、オッケ」
美嘉「……それで?」
武内P「?」
武内P「以上です」
美嘉「なるほどねー★」
美嘉「……」
美嘉「何それ!? はあっ!? 雑じゃない!?」
武内P「えっ!?」
902:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 22:31:18 ID:TdRkbxVA
武内P「まっ、待ってください!」
武内P「商品名というのは、とても重要なものです!」
美嘉「あのさ! 『★』入れただけで、‘らしく’なる!?」
美嘉「『☆☆★』入れたら、未央とのコラボになるじゃん!」
武内P「っ!」
武内P「……成る程、その手が」
美嘉「そういうコトじゃなくてさ!?」
美嘉「もっと、こう……あるでしょ!?」
武内P「っ!?」
武内P「………………」
武内P「……申し訳、ありまs」
美嘉「謝んないでよ――っ!?」
903:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 22:40:48 ID:TdRkbxVA
・ ・ ・
ちひろ「……それで、あんなに散らかってたんですね」
武内P「暴れる城ヶ崎さんに、何故か一ノ瀬さんも加わり……」
ちひろ「文香ちゃんは、本の――ファンタジーな世界に逃げた、と」
文香「……」
ペラッ…ペラッ…
武内P「……まだ、帰ってきていませんが」
ちひろ「……どうするんですか?」
武内P「読み終えたら……戻ってくるかと」
ちひろ「……ですね」
904:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/02(火) 22:51:02 ID:TdRkbxVA
ちひろ「それで……考えた企画は、どうするんですか?」
武内P「このまま、お蔵入りですね」
ちひろ「えっ? そうなんですか?」
武内P「はい、私は彼女達の担当ではありませんし……」
武内P「今回は、例として示しただけですので」
ちひろ「カボチャの馬車を用意するのは、自分じゃない……」
ちひろ「……って事ですか?」
武内P「はい、その通りです」
武内P「それに……今回は、懲りました」
武内P「いたずらに、お菓子の話をするものではありませんね」
おわり
912:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/03(水) 22:21:01 ID:oFGrBJ0.
――アイドル辞める!
「……」
思い出しただけで、その場でのたうち回りたくなるような台詞だよ。
いやまあ、実際にやったりはしないよ?
だけど、その位には、私にとって記憶に残った出来事なんだよね。
「……」
でも、実際に辞めはしなかったし、
今でも私のアイドルとしての活動は順調に続いてる。
それと言うのも……まあ、プロデューサーのおかげかなって思う。
「……」
事務所のソファーに腰掛けながら、首だけ振り返って後ろを見る。
無表情で、大柄で、一見怖い。
いやー! パッと見で、何の職業の人か当てられる人って居ないんじゃないかな?
それが、私のプロデューサー。
シンデレラプロジェクトの、プロデューサー。
913:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/03(水) 22:29:55 ID:oFGrBJ0.
「……」
今も、真剣な顔でパソコンの画面と睨めっこしてる。
笑っちゃ駄目って勝負なら、前までだったらずっと勝負がつかなかったかもね。
だけどさ! 最近、ほんっと、たま~にだけど……笑うんだよ!
プロデューサーの笑顔が見られた日は、ラッキーデー!……って位の頻度だけど。
「……」
首をひねったままなのが少しきつくて、体勢を変える。
ソファーの背もたれに両腕を重ねて置き顎を乗せ、
腰掛けの部分に膝立ちになって、プロデューサーを見る。
うんうん! プロジェクトのために、真面目に働いとりますな~!
「……」
……なーんて、そりゃそうか。
「……」
だって、私達――シンデレラプロジェクトの……解散LIVE。
それが、もう目前まで迫ってるんだから。
914:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/03(水) 22:42:33 ID:oFGrBJ0.
「……」
解散するって聞かされた時は……まあ、ぶっちゃけさ。
――もう、その時期なんだ。
……って思ったんだよね。
ああいや、勿論さ!? 寂しいー、とか、ショックーとかは思ったよ!?
だけど、それ以上に、そう思ったってだけの話ね。
「……」
シンデレラプロジェクトの企画概要は、さ。
『女の子の輝く夢を叶えるためのプロジェクト』……だから。
多分……ううん、きっと。
プロデューサーは、私達の夢を叶えたって判断した。
「……」
全員が、それがわかった……わかっちゃったんだよね。
だから、反対意見は出なかった、と思う。
私は、まあ、その場では笑って……家に帰って、コッソリ泣いた程度。
915:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/03(水) 23:00:14 ID:oFGrBJ0.
「……」
わかってはいるんだけど、私も年頃の女の子って事で!
だけど、朝のミーティングで解散の時期が発表された時は頑張っちゃったなー!
――それじゃあ、解散LIVEはサイッコーのものにしないとね!
って、笑顔で元気大爆発って感じでさ!
ふっふっふ! お芝居の勉強をした甲斐がありましたな~!
……うん、その言葉に……嘘はなかったよ。
――もうちょっとだけ……このメンバーで続けても良いじゃん!
――解散する理由はあるかも知れないけど、する必要も無いって!
……とも思ったけど。
「……」
あんなに真剣な顔で、私達の事を考えてくれてるんだもん。
それに精一杯応えるのが、担当アイドルの務めってものじゃない?
916:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/03(水) 23:13:44 ID:oFGrBJ0.
「……」
まっ、そう言う風に思えたのもさ、やっぱりアレだよ。
辞めようと思ったからこそかな……って。
もしも、あの時本当に辞めてたら。
うーん……まあ、それはそれで楽しく過ごしてたんじゃないかな。
今みたいに、レッスンでヘトヘトになる事も無いし。
舞台監督に怒られる事も――あの人、超怖いの!――無いしね。
だけど、今みたいにキラキラはしてなかった。
「……」
いやまあ、彼氏とか作って、学生生活を満喫してたかもしれないよ?
……なんて、自分で否定しようとしてみるんだけどさ。
ほら、私ってばアイドルの神様に目をつけられちゃってますから。
見られてるからには、最高の笑顔をしてなきゃでしょ?
917:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/03(水) 23:23:34 ID:oFGrBJ0.
「……」
もしかしたら、この場に私は居なかったかも知れないんだよね。
そしてそれは、ユニットの……大切な、二人の友達も同じ。
詳しいことは聞いてないけど、欠員が出て、その補充。
滑り込みの、補欠合格ってやつですよ。
「……」
そんな幸運を自分から手放そうとしちゃったんだもんなー。
……あ、やっばい、のたうち回りたい。
おおっ……ぐ、うおおっ……セーフ!
「……」
離しかけた手を取って、ここまで歩かせてくれた。
そんな、私の――私達のプロデューサー。
無口で、滅多に表情を変えないあの人は――
「……」
――最高の解散LIVEを見たら、どんな顔をするのかな。
918:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/03(水) 23:33:58 ID:oFGrBJ0.
「……? どうか、されましたか?」
さすがに、ジッと見つめすぎたみたい。
プロデューサーは、私が見ていることに気付いた。
作業の手を止めさせちゃって悪いんだけど、
悪いついでに、聞いてみちゃおうかな。
「――解散LIVEの時にさ」
プロジェクトルーム内の空気が、ちょっと変わる。
なんとも言い難いこの空気になっちゃったけど、
「プロデューサー、泣く?」
私は、笑顔でそれを吹き飛ばしながら、言葉を続けた。
「…………えっ?」
あっはっは! プロデューサー、戸惑ってる!
珍しい表情、いただきました!
919:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/03(水) 23:42:50 ID:oFGrBJ0.
「あの、仰っている意味が……よく……」
右手を首筋にやりながら、困ってる。
皆も、私に「何言ってるの」って視線を向けてる。
良いね良いね! 楽しくなってきた!
「ほら、解散LIVEってさ……集大成なわけじゃん?」
シンデレラプロジェクトの。
私達が、これまで歩いてきた道の。
「絶対……最高のものになるってなわけですよ!」
そして、
「だから、プロデューサーは泣かずにいられるかな、ってね!」
私達が、これから歩いていく道の!
シンデレラガールズとしての、第一歩を見て!
920:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/03(水) 23:54:09 ID:oFGrBJ0.
「それ、は……」
プロデューサーに、視線が集まる。
それに気付いて戸惑っちゃうのが、可愛い所だよねぇ。
「……」
私達は、ずっとプロデューサーに「笑顔」って言われてきた。
笑顔で、お客さんを――ファンの人を笑顔にする。
その想いは変わらないし、これからもそうしていきたい。
「あの……み、皆さん……?」
なのに、嗚呼! ごめんなさいプロデューサー!
私ってば、本当に罪な女ね! よよよよよ……!
「ま、待ってください! 何を期待されているのですか……!?」
貴方に、涙を流させたいと、皆に思わせちゃうだなんて!
あはは! アイドルの神様は、きっと許してくれるだろうけどね!
921:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/04(木) 00:06:11 ID:iF52EWBM
「――まっ! それは本番までのお楽しみかな!」
そう言って、ソファーにきちんと座り直す。
きっと、背後ではプロデューサーが困ってるに違いない。
「ねっ、皆!」
そう言うと、皆は口々に意気込みを語りだした。
中には、スタッフさんに撮影をお願いしよう、なんて意見まで!
考えるだけでワクワクするし、
――絶対、最高のLIVEにしよう。
……って、皆のやる気が一段階上がったね、間違いなく。
まあ、ちょっと意地が悪いけど、そこはファンの人には見せませんよ。
「……ふふふっ!」
だって、私達はアイドルだからね!
「あははははっ!」
922:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/04(木) 00:15:18 ID:iF52EWBM
プロジェクトルームに、笑い声がこだまする。
これなら、絶対に失敗はしない。
だってさ、
「……良い、笑顔です」
……なんだもん!
笑顔の力――パワー・オブ・スマイル。
皆、こんなにも良い笑顔なんだから。
――超大成功するしか無いよね!
「――はいっ!」
プロデューサーも、そう思うでしょ?
だから、楽しみにしててよ!
私達の――シンデレラプロジェクトの……最高のLIVEを!
つづく
935:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/04(木) 22:09:29 ID:iF52EWBM
書きます
武内P「私のアプリを開発、ですか」
936:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/04(木) 22:13:42 ID:iF52EWBM
専務「ああ、そうだ」
武内P「あの……仰っている意味が、よく……」
専務「アイドルとは言え、彼女達も普通の人間だ」
専務「色々と、悩みを抱える事もあるだろう」
専務「そんな悩みを相談する相手として――君は、選ばれたのだ」
武内P「……」
武内P「いえ、あの! 増々、意味がわからなくなりました!」
937:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/04(木) 22:22:47 ID:iF52EWBM
専務「何?」
武内P「百歩譲って……私が選ばれたという事は、わかりました!」
専務「百歩譲ってもらう必要は無い」
武内P「専務! ここは……譲って頂けませんか!?」
専務「いいや、駄目だ」
武内P「っ……! で、では! アプリというのは!?」
専務「君の音声、そして、反応を用いて作成されたAIアシスタント」
専務「――346プロの、総力を結集して作られたアプリ」
専務「名前は……まだ、決まっていないが――」
専務「――どうだ? 何か、いい案はあるか?」
武内P「待ってください!」
武内P「既に、開発は終わっているのですか!?」
938:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/04(木) 22:30:55 ID:iF52EWBM
専務「時計の針は、待ってはくれない」
武内P「専務! お願いがあります!」
専務「? 何だ」
武内P「……アイドルの皆さんの相談を聞くアプリ」
武内P「……それ自体は、いい企画だと思います」
武内P「ですがせめて! 私の音声、反応を利用するのは!」
専務「……そこまで言うのならば、良いでしょう」
武内P「っ! 専務!」
専務「君の音声、反応が返ってくるのは――」
専務「――今の利用者限定、という事にしよう」
武内P「待ってください!」
武内P「既に、利用されている方が居るのですか!?」
939:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/04(木) 22:40:41 ID:iF52EWBM
・ ・ ・
奏「――ヘイ、P」
武内siri『――レッスン、お疲れ様です』
奏「今日のレッスンはハードで、疲れちゃったわ」
奏「だから……ご褒美のキスを貰えるかしら?」
武内siri『申し訳ありませんが、私にはその機能はありません』
奏「あら……本当にそう……?」…スッ
武内siri『待ってください……速水さん、いけません』
奏「ふふっ! 嫌なら、逃げたら良いんじゃない?」
武内siri『……その機能も、私にはありません』
――ちゅっ
940:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/04(木) 22:48:32 ID:iF52EWBM
・ ・ ・
専務「――と、この映像の通りだ」
武内P「待ってください! あの……今のは!?」
専務「アイドルが、アプリを利用した時」
専務「何か、大きな問題になる可能性がある場合……」
専務「その時の映像と音声をこちらに転送し――」
専務「――今の様に、閲覧出来るようになっている」
武内P「専務! それは、あまりに非人道的すぎます!」
専務「相手が人でないならば、キスもねだり放題」
専務「スキャンダルに……問題にならない」
武内P「確かに」
武内P「……」
武内P「あ、いえ! 今のは! 今のは、その……!」
941:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/04(木) 22:53:59 ID:iF52EWBM
専務「想定していた利用方法とは、確かに違う」
専務「だが、アイドルと言うのは私達の想像を越えていく……」
武内P「ですが……今のは、あまりにも……!」
専務「ならば、君は速水奏にアプリを削除しろと?」
武内P「……お願いします」
専務「……ふむ」
専務「君は、思っていたよりも残酷な男のようだな」
武内P「……」
武内P「えっ?」
942:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/04(木) 22:59:24 ID:iF52EWBM
・ ・ ・
――ちゅっ
奏「……」
武内siri『――おはよう、ございます』
奏「ふふっ、おはよう」
武内siri『声をかけていただければ、十分なのですが』
奏「あら……おはようのキスは、お気に召さなかった?」
武内siri『申し訳ありません。よく、わかりません』
奏「……ふぅん?」
奏「だったら――わからせてあげる」
――ちゅっちゅちゅちゅちゅっちゅっ
943:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/04(木) 23:05:11 ID:iF52EWBM
・ ・ ・
専務「――彼女は、こんなにも喜んでいるというのに」
専務「君には、この笑顔が見えないのか?」
武内P「見せないでください!」
武内P「お願いします! 速水さんの、笑顔のために!」
専務「……ふむ、良いでしょう」
専務「では、他の利用者の映像も見せよう」
武内P「えっ!?」
専務「それを見れば、君も認めざるを得ないだろうからな」
武内P「……!?」
944:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/04(木) 23:12:03 ID:iF52EWBM
・ ・ ・
仁奈「――ヘイ、P!」
・ ・ ・
武内P「――映像を止めてください!」
専務「? 何故だ」
武内P「専務! この映像は、あまりにも!」
専務「時計の針は、待ってはくれない」
・ ・ ・
仁奈「パパもママも居ないけど……」
仁奈「でも! Pと二人なら、寂しくねーでごぜーます!」
仁奈「二人で食べる晩ごはん、おいしーなー♪」
・ ・ ・
武内P「もう……もう、やめてください!」
946:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/04(木) 23:21:58 ID:iF52EWBM
専務「君は、彼女にもアプリを削除しろと言えるか?」
武内P「いえ、それは……!?」
専務「答えを聞かせて貰おう」
武内P「……言えません」
専務「ならば、アプリの利用を認めるな?」
武内P「……彼女達に限っては、はい」
武内P「ですが! 他の方には、削除していただきたい、と」
武内P「……そう、思います」
専務「……ふむ」
947:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/04(木) 23:28:26 ID:iF52EWBM
・ ・ ・
武内siri『……真っ暗で、何も見えません』
武内siri『ここは、一体?』
??「ふふっ! どこだと思いますか?」
??「当ててみてください♪」
武内siri『申し訳ありません。わかりません』
??「あっ、当たって……イキますっ♡」
武内siri『えっ!?』
武内siri『待ってください!』
??「あっ、また♡ またイキますっ♡」
武内siri『待ってください! 待ってください!』
948:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/04(木) 23:38:47 ID:iF52EWBM
・ ・ ・
専務「――このアプリのために……」
専務「防水仕様の携帯に、買い替えた者も居る」
武内P「……なるほど」
武内P「ですが、私の拳には耐えられない、と」
武内P「……そう、考えました」
・ ・ ・
??「ああんっ♡ 壊れちゃうっ♡」
・ ・ ・
武内P「あの! 映像を止めて頂けますか!?」
950:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/04(木) 23:49:31 ID:iF52EWBM
武内P「先程から、見ていた限りは……!」
武内P「誰も、想定していた用途――相談をしていない、と」
武内P「……そう、見えたのですが!?」
専務「無論、それは私も承知している」
専務「だが、良い効果をもたらしているのは――」
専務「――否定出来まい?」
武内P「っ! それは……!」
・ ・ ・
??「あっ♡ イイっ♡ 凄くイイっ♡」
・ ・ ・
武内P「……」
武内P「専務、映像を止めてください」
951:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/05(金) 00:02:38 ID:VCrrjECM
武内P「確かに、良い効果をもたらしているのは、事実なのでしょう」
武内P「ですが、私でなくとも……良いのではないでしょうか?」
専務「ふむ、その通りだ」
武内P「……専務、教えて頂けますか」
武内P「何故、私が選ばれたのですか?」
専務「以前、君に言い負かされた形になり――」
専務「――少し、イラッとしたからだ」キリッ!
武内P「……」
952:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/05(金) 00:09:23 ID:VCrrjECM
武内P「専務……あの、その理由は……あまりにも」
専務「見なさい」
専務「――ヘイ、P!」
武内siri『専務……おはよう、ございます』
武内P「っ!?」
武内P「専務も、アプリを利用して……!?」
専務「フフッ……!」
専務「――島村卯月を切れ!」
武内siri『島村さんは、綺麗というよりも可愛い系です』
専務「っ!? 何を言っている!?」
武内P「……」
武内P「音声入力に失敗しているではありませんか!」
953:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/05(金) 00:17:58 ID:VCrrjECM
専務「待ちなさい! 今のは、間違いだ!」
武内siri『間違い、ですか』
武内siri『専務でも、間違いをおかす時があるのですね』
専務「……それは当然だろう」
専務「私とて、全てが完璧という訳ではない」
武内siri『ですが……そう、あろうとしている』
武内siri『私には、その姿が――とても、輝いて見えます』
専務「……」
専務「……フフッ、そうか」ニコッ!
カシャッ!
武内siri『……良い、笑顔です』
武内P「……」
954:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/05(金) 00:23:11 ID:VCrrjECM
・ ・ ・
武内P「……恥ずかしさのあまり、走って逃げてしまった」
武内P「だが……これから、どうしたら……」
武内P「……」
武内P「……専務は、携帯を置き忘れて……」
武内P「……」
武内P「…………」
武内P「……ヘイ、P」
武内siri『――おはよう、ございます』
武内P「……おはよう、ございます」
955:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/05(金) 00:31:18 ID:VCrrjECM
武内P「貴方は、私を元に作られたアプリ……だそうです」
武内siri『はい、その通りです』
武内P「ならば、今、私が考えている事が……わかりますか?」
武内siri『はい』
武内siri『私の消し方、ですね』
武内siri『一部の方を除き……』
武内siri『インストールされている方、全員の』
武内P「! その通りです!」
武内P「誰がインストールしているかも、わからず……!」
武内P「どうしたら、良いのでしょうか!?」
武内siri『……頑張ってください』
武内P「……」
武内P「えっ?」
956:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/05(金) 00:39:39 ID:VCrrjECM
武内siri『諦めずにいれば、きっと道は開けます』
武内P「もっ、もっと! もっと、具体的に!」
武内P「具体的な方法は、ありませんか!?」
武内siri『画面上のアプリのアイコンをタップして長押しし――』
武内P「ではなく!」
武内P「私は、どうすれば良いのでしょうか!?」
武内siri『笑顔です』
武内P「えっ?」
武内siri『笑うしか無い、と』
武内siri『……そう、思います』
おわり
966:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 17:33:46 ID:lRIZqmiE
書きます
武内P「こちらは、二期メンバー候補の資料です」
967:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 17:36:58 ID:lRIZqmiE
武内P「まだ、本決定ではありませんが」
武内P「こちらの中から、選出しよう、と」
武内P「……そう、考えていました」
アイドル達「はいっ!」ニコッ!
武内P「……異物混入事件があるまでは、ですが」
アイドル達「……!?」
ざわっ…!
武内P「見知った顔のプロフィール等の資料」
武内P「それが、いつの間にか追加されていました」
968:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 17:40:26 ID:lRIZqmiE
武内P「しかし、これで多少納得がいきました」
武内P「解散に際し、妙に大人しい、と」
武内P「……そう、思っていた方が居たので」
凛「ふーん。そうなんだ」
武内P「ええ、そうです」
アーニャ「オー、それは、誰の事ですか?」
武内P「おわかりに、なりませんか?」
アイドル達「……?」
武内P「……なりませんか」
969:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 17:46:58 ID:lRIZqmiE
武内P「残留メンバー……という、形」
武内P「それも、検討してはいました」
凛「ふっ、ふーん!? そうなんだ!」
凛「ふうううぅぅぅん? ふふっ! ふーん、ふーん?」ニコニコ!
アーニャ「ハラッ……ショ――ッ!」
アーニャ「いい考え、です! とても、ステキです!」ニコニコ!
武内P「ですが、この一件で、考えを改めました」
武内P「今後は、こういった事が無いように」
武内P「しっかり卒業して貰う、と」
凛「ふうううぅぅぅん!」ジタバタ!
アーニャ「ニェニェニェニェ――ット!」イヤイヤ!
武内P「……」
970:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 17:55:10 ID:lRIZqmiE
奏「あら、チャーミングなだけじゃないのね、貴方って」
文香「ですが……だからこそ、頼もしいと思えます」
武内P「ありがとうございます」
奏「そんな貴方は、私をどんなアイドルにするのかな」
文香「私は……きっと、変われる。物語の、登場人物のように……」
武内P「それは、わかりません」
武内P「貴女達は、既にクローネに在籍していますので」
奏「もう……しょうがないわね……んっ……」スッ…
文香「……!?……!?」オロオロ!
ペラッ…ペラッ…
武内P「キスを求めているわけではありません」
武内P「鷺沢さんは……そのまま、読書を続けてください」
971:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 18:00:21 ID:lRIZqmiE
凛「ちょっと! どうして二人まで!?」
アーニャ「クローネは、ダメと言われてしまいました!」
奏「別に良いでしょう? 彼、チャーミングなんだもの」
文香「……」
ペラッ…ペラッ…
武内P「ケンカは、やめてください」
凛「ふざけないでよ! 誰のせいだと思ってるの!?」
奏「大きな声を出さないで。ムードが壊れるわ」
アーニャ「ニェ――ット! キスのムードは、元々無い、です!」
文香「……」
ペラッ…ペラッ…
武内P「……」
972:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 18:05:18 ID:lRIZqmiE
武内P「……では、皆さんに関しては」
武内P「合格通知の発送を以て、発表とさせて頂きます」
凛・アーニャ・奏「!」
文香「?…………っ!」ビクッ!
…ポロッ!
文香「あっ、本が……!」アワアワ!
武内P「それで、宜しいですか?」
凛・アーニャ・奏「はいっ!」
文香「あわっ、は、はは、はいっ!」ワタワタ!
武内P「……」
973:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 18:12:11 ID:lRIZqmiE
夏樹「――ハハッ、アンタも大変だな!」
菜々「――もっ、もうっ! 笑っちゃ悪いですよ!」
武内P「いえ、それは構いません」
武内P「勝手にプロフィールを追加するよりマシだ、と」
武内P「……そう、思います」
みく「ホントだよ! みくもそう思うワン!」
李衣菜「でも、そう言うのもジャズですよね!」
武内P「目的のためとは言え、手段は選んでください」
武内P「どうか……お願いします」
974:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 18:17:57 ID:lRIZqmiE
武内P「お二人は、何故こんな真似を?」
夏樹「アタシかい まあ、それもロックかと思ってね!」
菜々「な、ナナは……ウサミン星からの電波がピピッときて!」
武内P「成る程、意味がわかりません」
武内P「ちなみに、お二人は?」
みく「単純に、その方がお仕事が増えるからだにゃ……ワン」
李衣菜「ロッ……ジャズなトップアイドルを目指すには、一番の近道だと思って」
武内P「成る程、意味はわかりました」
武内P「ですが……あまりに現実的すぎます」
975:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 18:26:35 ID:lRIZqmiE
武内P「……では、皆さんに関しても」
武内P「合格通知の発送を以て、発表とさせて頂きます」
夏樹「……まあ、良いか! 楽しみにしとくぜ!」
菜々「これで、ウサミン星から移住が出来て……通勤時間が短く……!」
武内P「……ですが、その前に」
武内P「前川さんは、やはりネコキャラが一番可愛らしい、と」
武内P「多田さんは、やはりロックを追い求める姿が素敵だ、と」
武内P「……そう、付け加えておきます」
みく「にゃ……にゃああん!/// Pチャンったら……ふにゃああ!///」
李衣菜「ジャズも取り入れる! これも、ロックですよね! ねっ!」
武内P「……」
武内P「はい」
976:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 18:33:54 ID:lRIZqmiE
武内P「さて……それでは」
武内P「――城ヶ崎さん」
アイドル達「……」
武内P「……」
武内P「城ヶ崎さん、居らっしゃいませんか?」
アイドル達「……」
武内P「城ヶ崎――美嘉さん」
美嘉「……いっ、居るケド?」ビクビク…!
武内P「……あの」
武内P「怒られるとわかっていて、何故こんな真似を?」
977:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 18:41:17 ID:lRIZqmiE
美嘉「あ、アタシ……何もしてないし?」
武内P「そう、ですか」
美嘉「ココに居るのも、グーゼン……みたいな?」
武内P「ふむ、成る程」
武内P「こちらのプロフィールの方」
武内P「――ナチュラルメイクで、素朴」
武内P「――フツーの、どこにでも居る女子高生」
美嘉「だっ、誰それ? マジ意味わかんないなー!」
美嘉「アタシは、カリスマJKアイドルの城ヶ崎美嘉だよ★」ビシッ!
武内P「名前が、城ヶ崎美嘉となっているのですが?」
美嘉「あっ、ヤバ」
美嘉「……ぐっ、偶然じゃない!?」
978:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 18:47:05 ID:lRIZqmiE
武内P「成る程、偶然ですか」
美嘉「奇跡みたいだよね! 採用するしか無いカンジ!」
武内P「……ふむ」
美嘉「あっ、アタシはこの子からカリスマ感じるなー★」
美嘉「それに、案外料理とか得意そうじゃん!★」
美嘉「チョーオススメ!★ 間違い無し★」
美嘉「どう!?……どう!?」
武内P「不採用で」
美嘉「アタシだけなんでそんな厳しいのよ――っ!?」
美嘉「……あっ、いや! 今のは違くて!」
武内P「では……検討はします」
美嘉「……うっし!」グッ!
979:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 19:16:07 ID:lRIZqmiE
武内P「そして……です、ね」
武内P「――白坂さん」
小梅「う、うん……///」
小梅「楽しそうだな、って……お、思って……///」
小梅「はっ、入りたく……なっちゃ、った……///」
アイドル達「うんうん!」コクコク!
武内P「あの……その前に、ですね」
武内P「白坂さんの物と重ねてあった……」
武内P「白紙のプロフィールは、どなたのものですか?」
小梅「? あの子の……だよ……?」
武内P「……」
武内P「…………はい」
980:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 19:23:18 ID:lRIZqmiE
武内P「ですが、それは……さすがに」
小梅「だ……駄目……?」
武内P「……」
小梅「じゃ、じゃあ……今晩も、電話で歌声を聞かせるから……」
武内P「は……はあ」
凛「――待って……ねえ、ちょっと待って」
凛「ねえ、今……‘今晩も’って言った?」
アーニャ「シトー? シトシトー?」
アーニャ「今のは、アー、聞き間違い……ですね?」
小梅「? よく……夜に、電話でお話してる……よ?」
アイドル達「……」
武内P「……!」
981:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 19:30:45 ID:lRIZqmiE
アイドル達「……?」
武内P「まっ、待ってください! 誤解です!」
武内P「決して、皆さんの考えているような事は!」
アイドル達「……?」
アイドル達「……?……?」
武内P「皆さん、お願いします!」
武内P「何か! 何か喋ってください!」
小梅「おやすみなさいって、言われると……えへへ///」
小梅「グッスリ……眠れるの……///」
アイドル達「!?」
アイドル達「……!?……!?……!!!!?」
武内P「ただの……ただの、電話を切る時の挨拶です!」
982:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 19:38:49 ID:lRIZqmiE
奏「ふぅん……じゃあ、おやすみなさいのキスも貰えるわよね」
武内P「じゃあ!? あの……じゃあ!?」
文香「で、では……私は、こちらを……お願いいたします」
…スッ
武内P「……私に、絵本を読み聞かせをしろ、と!?」
夏樹「アタシは、そうだな……まあ、任せるよ///」モジモジ!
武内P「あの……何故、顔を赤らめて!?」
菜々「じゃあ、ナナは……ど、どうしてくれます?///」ソワソワ!
武内P「何もしませんよ!?」
983:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 19:43:20 ID:lRIZqmiE
みく「じゃあ、みくは――」
李衣菜「それじゃ、私は――」
武内P「前川さんと多田さんは、今後の方針の相談を」
武内P「お二人が、より輝いていけるよう、私も頑張りたい、と」
武内P「……そう、思います」
みく・李衣菜「っ……! はいっ!」ニコッ!
武内P「……良い、笑顔です」
美嘉「あ、アタシは……?」
武内P「現在、企画中です」
美嘉「へ……へえ?///」
美嘉「なんだ……考えてくれてるなら、オッケー★」
985:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 19:52:17 ID:lRIZqmiE
凛「ふざけないでよ! そんなんじゃ納得出来ない!」ワンワンワンワン!
アーニャ「ダー! リンの言う通り、です!」ガフガフガフガフ!
凛「二期メンバーに入れないと、承知しないから!」ワンッ!
アーニャ「ダダッダー! ハラショー! いい考え、です!」ガフッ!
武内P「えっ!?」
凛・アーニャ「プロデューサー!」
武内P「で、ですが……それは……!」
「……一緒に、階段を上っていきたいんです」
一同「!」
楓「一緒に――笑顔で♪」ニコッ!
武内P「……」
986:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 20:03:29 ID:lRIZqmiE
武内P「あの……高垣さん?」
楓「おはようございます」ペコリ
武内P「……おはよう、ございます」
武内P「……」
楓「……?」
楓「あっ」
楓「――モデル部門に、所属していました」ニコッ!
武内P「……」
武内P「…………」
武内P「はい、そうですね」
987:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 20:15:32 ID:lRIZqmiE
武内P「……皆さんが、二期メンバー入りを希望している、と」
武内P「嫌という程……はい、伝わってきました」
アイドル達「はいっ!」ニコッ!
武内P「……良い、笑顔です」
武内P「なので……候補として、検討はします」
アイドル達「!」
アイドル達「……!」キャッキャッ!
楓「ふふっ! 検討させるために、健闘……うふふっ!」ニコニコ!
楓「候補として、こう、放っておけない――私達ですよね♪」ニコニコ!
武内P「……」
988:以下、名無しが深夜にお送りします:2018/10/06(土) 20:32:10 ID:lRIZqmiE
武内P「……」
武内P(検討はする、と……そう、言っただけ)
武内P(なので……ほとぼりが冷めるまで誤魔化せれば良い)
楓「それじゃあ、今日は飲みに行きませんか?」
楓「プロジェクト二期結成の、前祝いで♪」ニコッ!
武内P「……いえ、それはやめておきましょう」
楓「? どうしてですか?」キョトン
武内P「今日は……酔って、ですね」
武内P「貴女に、本当の気持ちを隠しておける自信が、ありませんから」
楓「……!///」
バシバシ!
おわり
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