1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 01:27:40.829 ID:txSD63Fh0.net
眼鏡娘「…………」ペラ…
ギャル「ん?」
ギャル「あっ、コイツ本なんか読んでるー!」
眼鏡娘「え……」
ギャル「休み時間なのに一人で本とか超キモーイ!」
眼鏡娘「ううっ……」
不良「やめろよ」
ギャル「ん?」
ギャル「あっ、コイツ本なんか読んでるー!」
眼鏡娘「え……」
ギャル「休み時間なのに一人で本とか超キモーイ!」
眼鏡娘「ううっ……」
不良「やめろよ」
5: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 01:30:10.504 ID:txSD63Fh0.net
ギャル「なによー!」
不良「オメェもたまにはファッション雑誌以外のもん読まねーと、ますますバカになっちまうぞ」
ギャル「ふ、ふーんだ!」
眼鏡娘「あ、ありがとう……」
不良「別に……」
不良「オメェもたまにはファッション雑誌以外のもん読まねーと、ますますバカになっちまうぞ」
ギャル「ふ、ふーんだ!」
眼鏡娘「あ、ありがとう……」
不良「別に……」
6: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 01:33:27.097 ID:txSD63Fh0.net
放課後――
眼鏡娘(改めて不良君にお礼を言いたいな……)
不良「タイマンだって呼び出しといて三人たぁ、ずいぶんな歓迎だな」
ヤンキーA「うるせえ! 今日こそお前を黙らせてやる!」
ヤンキーB「覚悟しやがれ!」
ヤンキーC「テメーにゃ前からムカついてたんだ!」
不良「……かかってこいよ」
眼鏡娘(無茶だよ……三人相手だなんて!)
眼鏡娘(改めて不良君にお礼を言いたいな……)
不良「タイマンだって呼び出しといて三人たぁ、ずいぶんな歓迎だな」
ヤンキーA「うるせえ! 今日こそお前を黙らせてやる!」
ヤンキーB「覚悟しやがれ!」
ヤンキーC「テメーにゃ前からムカついてたんだ!」
不良「……かかってこいよ」
眼鏡娘(無茶だよ……三人相手だなんて!)
7: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 01:36:08.509 ID:txSD63Fh0.net
ドカッ! バキッ! ガッ!
ヤンキーA「ぐがっ……!」
不良「はぁ、はぁ……この程度か?」
ヤンキーA「ち、ちくしょう……番長さんに報告してやる!」
ヤンキーA「そうしたら、お前なんざひとひねりだ!」
不良「番長だろうがガチョウだろうが、いつでも相手になってやるよ」
眼鏡娘(すごい……一人で三人をやっつけちゃった!)
ヤンキーA「ぐがっ……!」
不良「はぁ、はぁ……この程度か?」
ヤンキーA「ち、ちくしょう……番長さんに報告してやる!」
ヤンキーA「そうしたら、お前なんざひとひねりだ!」
不良「番長だろうがガチョウだろうが、いつでも相手になってやるよ」
眼鏡娘(すごい……一人で三人をやっつけちゃった!)
8: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 01:39:19.019 ID:txSD63Fh0.net
不良「いてて……。ちっ、何発かもらっちまった」
眼鏡娘「大丈夫!?」
不良「あれ? なんでお前がここに……」
眼鏡娘「どうしてもお礼をいいたくて……追いかけてたら……」
不良「ハハ、そんなことのために校舎裏まで来たのかよ、変な奴」
眼鏡娘「ふふっ……」
不良「あ、そうだ。今度、本貸してくれないか。俺もたまには本を読んでみたいんだ」
眼鏡娘「いいよ!」
眼鏡娘(不良君、見た目は怖いけどとてもいい人だわ……。私、不良君の力になりたい!)
眼鏡娘「大丈夫!?」
不良「あれ? なんでお前がここに……」
眼鏡娘「どうしてもお礼をいいたくて……追いかけてたら……」
不良「ハハ、そんなことのために校舎裏まで来たのかよ、変な奴」
眼鏡娘「ふふっ……」
不良「あ、そうだ。今度、本貸してくれないか。俺もたまには本を読んでみたいんだ」
眼鏡娘「いいよ!」
眼鏡娘(不良君、見た目は怖いけどとてもいい人だわ……。私、不良君の力になりたい!)
10: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 01:41:29.787 ID:txSD63Fh0.net
数日後――
番長「おう、こないだはオレの舎弟どもが世話になったそうだな」
番長「放課後、校舎裏に来い。根性叩き直してやっからよ」
不良「望むところだ……」
眼鏡娘(あの人、強そう……! 不良君……!)
番長「おう、こないだはオレの舎弟どもが世話になったそうだな」
番長「放課後、校舎裏に来い。根性叩き直してやっからよ」
不良「望むところだ……」
眼鏡娘(あの人、強そう……! 不良君……!)
14: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 01:44:30.028 ID:txSD63Fh0.net
――バキィッ!
不良「……ぐはぁっ!」ドザッ
番長「どうしたァ、こんなもんか!?」
ヤンキーA「さっすが番長! 一方的だ!」
ヤンキーB「番長は本格的にボクシングやってんだ! 敵うわけねえ!」
ヤンキーC「ボッコボコにして下さい!」
番長「右ストレートでトドメ刺してやんよォ!」グオッ
不良「ぐっ……!」
不良「……ぐはぁっ!」ドザッ
番長「どうしたァ、こんなもんか!?」
ヤンキーA「さっすが番長! 一方的だ!」
ヤンキーB「番長は本格的にボクシングやってんだ! 敵うわけねえ!」
ヤンキーC「ボッコボコにして下さい!」
番長「右ストレートでトドメ刺してやんよォ!」グオッ
不良「ぐっ……!」
15: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 01:47:30.787 ID:txSD63Fh0.net
眼鏡娘「ま、待って!」
番長「!?」ピタッ
不良「お前……!」
眼鏡娘「番長さん、私が相手よ!」サッ
番長「ヒュ~、なんだこのメガネ、お前の女かよ?」
不良「ちげえよ……! ただのクラスメイトだ!」
不良「この間、からかわれてるのを助けてやったから、きっとそれで……」
番長「ふうん、こんな真面目そうな女がお前みたいなクズに恩返しに来たってか。泣かせるじゃねえか」
番長「よぉし、最初にこいつを可愛がってやるよ!」ダッ
不良「に、逃げろ……逃げろぉっ!!!」
番長「!?」ピタッ
不良「お前……!」
眼鏡娘「番長さん、私が相手よ!」サッ
番長「ヒュ~、なんだこのメガネ、お前の女かよ?」
不良「ちげえよ……! ただのクラスメイトだ!」
不良「この間、からかわれてるのを助けてやったから、きっとそれで……」
番長「ふうん、こんな真面目そうな女がお前みたいなクズに恩返しに来たってか。泣かせるじゃねえか」
番長「よぉし、最初にこいつを可愛がってやるよ!」ダッ
不良「に、逃げろ……逃げろぉっ!!!」
18: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 01:49:41.981 ID:txSD63Fh0.net
眼鏡娘「大丈夫、昨日関節技の本を読んだから!」
番長「え?」
ガシッ!
番長(あっ、右腕を極められ――)
パキッ
番長「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
番長「え?」
ガシッ!
番長(あっ、右腕を極められ――)
パキッ
番長「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
22: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 01:53:04.516 ID:txSD63Fh0.net
番長「折れたぁ! 折れたぁぁぁぁぁっ!!!」
番長「いでえ……いでえよぉぉぉっ!」タタタタタッ
ヤンキーABC「ひえええええっ!」タタタタタッ
眼鏡娘「ふぅ、初めてにしてはうまくいったわ!」
不良「す、すげえなお前……本読んだだけで……。あの番長を……」
眼鏡娘「これからは私、不良君の力になるからね! いっぱい頼って!」
不良「お、おう」
番長「いでえ……いでえよぉぉぉっ!」タタタタタッ
ヤンキーABC「ひえええええっ!」タタタタタッ
眼鏡娘「ふぅ、初めてにしてはうまくいったわ!」
不良「す、すげえなお前……本読んだだけで……。あの番長を……」
眼鏡娘「これからは私、不良君の力になるからね! いっぱい頼って!」
不良「お、おう」
26: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 01:56:08.120 ID:txSD63Fh0.net
隣町――
パキッ ペキッ ボキッ
金髪「あがぁぁぁぁぁっ!!!」
DQN「いでえええええ!!!」
学ラン「足がっ! 足がぁぁぁぁぁ!!!」
眼鏡娘「ふう、いっちょあがり」
不良(隣町のトップ3といわれる三人を、10秒足らずで片付けやがった……!)
パキッ ペキッ ボキッ
金髪「あがぁぁぁぁぁっ!!!」
DQN「いでえええええ!!!」
学ラン「足がっ! 足がぁぁぁぁぁ!!!」
眼鏡娘「ふう、いっちょあがり」
不良(隣町のトップ3といわれる三人を、10秒足らずで片付けやがった……!)
29: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 01:59:22.499 ID:txSD63Fh0.net
巨漢「かかってきやがれ!」
眼鏡娘「この間空手の本を読んだから試したい技、色々あるんだ!」
眼鏡娘「正拳突き! セイッ!」
ドズッ!
巨漢「ぐぼぉっ! ま、参っ……」ドサッ…
眼鏡娘「セイッ! セイッ! セイイッ!」
ドゴッ! ズドッ! ドゴォッ!
不良「ちょっ……!」
眼鏡娘「この間空手の本を読んだから試したい技、色々あるんだ!」
眼鏡娘「正拳突き! セイッ!」
ドズッ!
巨漢「ぐぼぉっ! ま、参っ……」ドサッ…
眼鏡娘「セイッ! セイッ! セイイッ!」
ドゴッ! ズドッ! ドゴォッ!
不良「ちょっ……!」
30: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:02:10.506 ID:txSD63Fh0.net
不良「おい、やりすぎだ! やりすぎ!」ガシッ
眼鏡娘「え、どうして?」
不良「もうダウンしてる相手をさらにボコボコにしてどうすんだよ!」
眼鏡娘「だってダウンはしたけど、まだ意識あったよ?」
不良「お前が貸してくれた孫子の本にあったぞ! “勝ってもやりすぎるのはよくない”って!」
眼鏡娘「でも、徹底的に叩かないと歯向かってくる可能性あるし……」
不良(こいつ……!)
眼鏡娘「え、どうして?」
不良「もうダウンしてる相手をさらにボコボコにしてどうすんだよ!」
眼鏡娘「だってダウンはしたけど、まだ意識あったよ?」
不良「お前が貸してくれた孫子の本にあったぞ! “勝ってもやりすぎるのはよくない”って!」
眼鏡娘「でも、徹底的に叩かないと歯向かってくる可能性あるし……」
不良(こいつ……!)
31: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:06:36.184 ID:txSD63Fh0.net
眼鏡娘「やったぁ! 不良君、チーマーを潰してまた縄張り(シマ)を広げたよ!」
不良「…………」
眼鏡娘「どうしたの?」
不良「なぁ、もう終わりにしねえか、こんなこと」
眼鏡娘「なにいってるの!? せっかくここまで勢力広げたのに、いよいよこれからじゃない!」
不良「止まるつもりはねえのか」
眼鏡娘「ないわ!」
不良「だったら……俺たち、もう終わりにしよう」
眼鏡娘「え?」
不良「俺、もうお前についていけねえよ」
眼鏡娘「ふうん……あっそう」
不良「…………」
眼鏡娘「どうしたの?」
不良「なぁ、もう終わりにしねえか、こんなこと」
眼鏡娘「なにいってるの!? せっかくここまで勢力広げたのに、いよいよこれからじゃない!」
不良「止まるつもりはねえのか」
眼鏡娘「ないわ!」
不良「だったら……俺たち、もう終わりにしよう」
眼鏡娘「え?」
不良「俺、もうお前についていけねえよ」
眼鏡娘「ふうん……あっそう」
34: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:10:32.830 ID:txSD63Fh0.net
眼鏡娘「分かったわ。不良性の違いで解散ってやつね」
不良「……ああ」
眼鏡娘「じゃあ、お別れにこれあげる」サッ
不良「これ……お前のメガネじゃねえか」
眼鏡娘「もう私には必要ないから。これからはコンタクトにするつもり」
不良「分かった……もらっとく」
不良「それともう一つ」
眼鏡娘「ん?」
不良「こんなこといっても無駄かもしれねえけど……せめてクリーンな悪でいてくれよ」
眼鏡娘「クリーンな悪ってなに?」クスッ
眼鏡娘「でもま、記憶にとどめておくわ」
不良「じゃあな……」
眼鏡娘「じゃあね」
不良「……ああ」
眼鏡娘「じゃあ、お別れにこれあげる」サッ
不良「これ……お前のメガネじゃねえか」
眼鏡娘「もう私には必要ないから。これからはコンタクトにするつもり」
不良「分かった……もらっとく」
不良「それともう一つ」
眼鏡娘「ん?」
不良「こんなこといっても無駄かもしれねえけど……せめてクリーンな悪でいてくれよ」
眼鏡娘「クリーンな悪ってなに?」クスッ
眼鏡娘「でもま、記憶にとどめておくわ」
不良「じゃあな……」
眼鏡娘「じゃあね」
37: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:12:46.480 ID:txSD63Fh0.net
ガラッ
不良「……先生」
教師「な、なんだ!? また何かやらかしたのか!? それともこれから何かやらかすつもりか!?」
不良「頼む、俺に勉強を教えてくれ!」
教師「……へ?」
不良「俺……警察官になりたいんだ!」
教師「…………」
不良「……先生」
教師「な、なんだ!? また何かやらかしたのか!? それともこれから何かやらかすつもりか!?」
不良「頼む、俺に勉強を教えてくれ!」
教師「……へ?」
不良「俺……警察官になりたいんだ!」
教師「…………」
38: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:15:15.431 ID:txSD63Fh0.net
教師「札付きのワルのお前がどうやら本気のようだな。いいだろう」
不良「ホントか!?」
教師「ただし、警察官は公務員だ。そう簡単になれると思うなよ!」
不良「俺……頑張るよ! いや、頑張ります!」
教師「じゃあさっそく勉強を始めるか! 資料室に採用試験の問題集があったはずだ」
不良「はいっ!」
不良「ホントか!?」
教師「ただし、警察官は公務員だ。そう簡単になれると思うなよ!」
不良「俺……頑張るよ! いや、頑張ります!」
教師「じゃあさっそく勉強を始めるか! 資料室に採用試験の問題集があったはずだ」
不良「はいっ!」
39: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:17:12.016 ID:txSD63Fh0.net
不良「うへぇ~、筆記試験苦手なんだよなぁ……」
不良「こんなパズルみてえなのを解かなきゃならないのか……」
不良(だけど、警察官になるためだ! 頑張るぞ!)
カリカリカリカリカリカリカリカリ…
こうして俺は猛勉強の末、警察官になった。
不良「こんなパズルみてえなのを解かなきゃならないのか……」
不良(だけど、警察官になるためだ! 頑張るぞ!)
カリカリカリカリカリカリカリカリ…
こうして俺は猛勉強の末、警察官になった。
40: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:19:16.500 ID:txSD63Fh0.net
警察官になってからも、持ち前の体力と根性で手柄を立てまくって――
俺は刑事になった。
刑事「今日から配属になりました! よろしくお願いします!」
警部「期待しているよ。バンバン悪を検挙してくれたまえ!」
俺は刑事になった。
刑事「今日から配属になりました! よろしくお願いします!」
警部「期待しているよ。バンバン悪を検挙してくれたまえ!」
43: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:23:26.697 ID:txSD63Fh0.net
場末のバーにて
ギィィ…
刑事「…………」ザッ
大男「おめえ、刑事だな? 目つきで分かる。こんなところになんの用だ」
刑事「“女帝”に会いたい。奴について知ってることを教えてくれ」
大男「女帝だと? やめとけ、ヤケドじゃすまねえぞ」
刑事「……俺は女帝に会わなきゃならないんだ」
大男「命なんざとうに捨ててるってツラだな……いいだろう」
ギィィ…
刑事「…………」ザッ
大男「おめえ、刑事だな? 目つきで分かる。こんなところになんの用だ」
刑事「“女帝”に会いたい。奴について知ってることを教えてくれ」
大男「女帝だと? やめとけ、ヤケドじゃすまねえぞ」
刑事「……俺は女帝に会わなきゃならないんだ」
大男「命なんざとうに捨ててるってツラだな……いいだろう」
45: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:26:48.619 ID:txSD63Fh0.net
大男「女帝は文字通り、今やここら一帯の裏社会の頂点に君臨する女だ」
大男「どんな名うてのワルですら、女帝の名を聞いたとたん子犬同然に怯えちまう」
大男「このままいけば日本の暗黒街を制覇しちまうんじゃねえか」
刑事「……続けてくれ」
大男「あの女は今時珍しい、知恵と腕っぷしだけで成り上がったクリーンな悪党でな」
大男「なんでか知らないが、妙に義理がたいところもあったりする」
刑事「…………」
大男「ただし、敵対者には容赦ねえがな。いったいいくつの組織があの女に潰されたことか」
大男「どんな事情があるかは知らんが、悪いことはいわねえ。あの女には関わらない方がいい」
刑事「……ありがとう。参考になったよ。これで飲み直してくれ」スッ
大男「あんたにゃ五体無事でいてもらいたいねえ。刑事さん」
大男「どんな名うてのワルですら、女帝の名を聞いたとたん子犬同然に怯えちまう」
大男「このままいけば日本の暗黒街を制覇しちまうんじゃねえか」
刑事「……続けてくれ」
大男「あの女は今時珍しい、知恵と腕っぷしだけで成り上がったクリーンな悪党でな」
大男「なんでか知らないが、妙に義理がたいところもあったりする」
刑事「…………」
大男「ただし、敵対者には容赦ねえがな。いったいいくつの組織があの女に潰されたことか」
大男「どんな事情があるかは知らんが、悪いことはいわねえ。あの女には関わらない方がいい」
刑事「……ありがとう。参考になったよ。これで飲み直してくれ」スッ
大男「あんたにゃ五体無事でいてもらいたいねえ。刑事さん」
46: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:29:05.857 ID:txSD63Fh0.net
女帝の豪邸
側近「女帝様、ワインです」トクトク…
女帝「ありがとう」
女帝「…………」
側近(なぜだ……女帝様はここまで勢力を広げられ、まさに敵無しといってよい)
側近(なのになぜ常に、あのように満たされない表情をされているのだ……)
側近「女帝様、ワインです」トクトク…
女帝「ありがとう」
女帝「…………」
側近(なぜだ……女帝様はここまで勢力を広げられ、まさに敵無しといってよい)
側近(なのになぜ常に、あのように満たされない表情をされているのだ……)
47: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:31:08.110 ID:txSD63Fh0.net
バキッ… ドカッ… ドゴッ… ワァァァ…
側近「む?」
女帝「なんだい? 屋敷内が騒がしいね……」
側近「まさか、侵入者!? 一体どこの命知らずが――」
バァンッ!!!
側近「む?」
女帝「なんだい? 屋敷内が騒がしいね……」
側近「まさか、侵入者!? 一体どこの命知らずが――」
バァンッ!!!
48: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:33:25.521 ID:txSD63Fh0.net
刑事「……よぉ」
側近「なんだ貴様!? ヒットマンか!?」
女帝「!」
女帝「あっ、お前は……!」
側近「えっ、お知り合いですか!?」
刑事「久しぶりだな……」
女帝「……今さらなんの用だ?」
側近「なんだ貴様!? ヒットマンか!?」
女帝「!」
女帝「あっ、お前は……!」
側近「えっ、お知り合いですか!?」
刑事「久しぶりだな……」
女帝「……今さらなんの用だ?」
49: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:36:45.500 ID:txSD63Fh0.net
刑事「俺は今、こういう仕事をしている」サッ
女帝「ほう、不良だったお前が警察手帳をな……こいつは傑作だ!」
側近(警察には十分金を渡し、圧力をかけているのに、なぜこいつは単身飛び込んできた!?)
刑事「お前が道を踏み外したのは、俺の責任だ……」
女帝「道を踏み外した? 違うな、私は私に相応しい道を選んだだけのことだ」
刑事「俺にはお前を止める責務がある」
女帝「責務ときたか。お勉強の成果か、洒落た言葉を使うようになったじゃないか」
刑事「お前は……俺が逮捕する!」
女帝「ほう、不良だったお前が警察手帳をな……こいつは傑作だ!」
側近(警察には十分金を渡し、圧力をかけているのに、なぜこいつは単身飛び込んできた!?)
刑事「お前が道を踏み外したのは、俺の責任だ……」
女帝「道を踏み外した? 違うな、私は私に相応しい道を選んだだけのことだ」
刑事「俺にはお前を止める責務がある」
女帝「責務ときたか。お勉強の成果か、洒落た言葉を使うようになったじゃないか」
刑事「お前は……俺が逮捕する!」
50: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:39:51.127 ID:txSD63Fh0.net
女帝「私を逮捕? ふふ、笑わせてくれる」
女帝「あれから私はあらゆる本を読み、あらゆる格闘技を身に付け、あらゆる敵を倒してきた」
女帝「決別する前からすでに私に劣っていたお前如きに、私を倒せると思うか!」
側近「そうだ! 女帝様はピストルやマシンガン相手にも勝利を収めてきたのだ!」
刑事「だとしても、俺はやらなきゃならない」
女帝「いくら勉強して刑事になっても、しょせん不良(バカ)はバカのままか……」
女帝「いくぞっ!」ダンッ
刑事「!」
側近(速いッ! 下半身を爆発的に駆動させ、一瞬で間合いを詰める女帝様の歩法!)
女帝「あれから私はあらゆる本を読み、あらゆる格闘技を身に付け、あらゆる敵を倒してきた」
女帝「決別する前からすでに私に劣っていたお前如きに、私を倒せると思うか!」
側近「そうだ! 女帝様はピストルやマシンガン相手にも勝利を収めてきたのだ!」
刑事「だとしても、俺はやらなきゃならない」
女帝「いくら勉強して刑事になっても、しょせん不良(バカ)はバカのままか……」
女帝「いくぞっ!」ダンッ
刑事「!」
側近(速いッ! 下半身を爆発的に駆動させ、一瞬で間合いを詰める女帝様の歩法!)
51: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:41:32.842 ID:txSD63Fh0.net
ガッ! ドガッ! バキッ! ドゴッ! ガゴォッ!
刑事「がはっ!」
女帝「どうだッ! あらゆる格闘技の要素をミックスさせた私の打撃はッ!」
刑事(奥歯が折れた……)ペッ
女帝「さらにィ!」ガシッ
ボグッ
刑事「ぐ……!」ブラーン…
側近「やったぁ! 刑事の右腕をヘシ折った!」
刑事「がはっ!」
女帝「どうだッ! あらゆる格闘技の要素をミックスさせた私の打撃はッ!」
刑事(奥歯が折れた……)ペッ
女帝「さらにィ!」ガシッ
ボグッ
刑事「ぐ……!」ブラーン…
側近「やったぁ! 刑事の右腕をヘシ折った!」
53: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:43:55.806 ID:txSD63Fh0.net
女帝「もうやめておけ。お前では無理だ」
刑事「やめないさ……お前を逮捕するまでな!」
女帝「……どうしても、二階級特進したいようだな!」グオオッ
刑事(お前はずっと色んな格闘技を使って、色んな敵を倒してきたんだろう)
刑事(だが、俺は――ずっとお前を倒すためだけに)ガシッ
女帝「こいつ! 折れた腕で組んできただと!?」
刑事「柔道をやってきたんだ!!!」
ブオンッ!
――ズドォンッ!!!
側近「い、一本ッ!」
刑事「やめないさ……お前を逮捕するまでな!」
女帝「……どうしても、二階級特進したいようだな!」グオオッ
刑事(お前はずっと色んな格闘技を使って、色んな敵を倒してきたんだろう)
刑事(だが、俺は――ずっとお前を倒すためだけに)ガシッ
女帝「こいつ! 折れた腕で組んできただと!?」
刑事「柔道をやってきたんだ!!!」
ブオンッ!
――ズドォンッ!!!
側近「い、一本ッ!」
54: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:46:44.827 ID:txSD63Fh0.net
女帝「ガハッ……! 強く、なったな……」
刑事「違うな……お前が弱くなっただけさ」
女帝「そうかも……しれんな……」
刑事「このままお前を署まで連行……といいたいところだが」
刑事「お前の影響力は絶大だ。警察組織にも司法にも、お前を裁こうなんて気概のある奴はいないだろう」
刑事「たとえお前自身が望んでも、な」
側近「そうだ! その通りだ! 女帝様は無敵なのだッ!」
刑事「違うな……お前が弱くなっただけさ」
女帝「そうかも……しれんな……」
刑事「このままお前を署まで連行……といいたいところだが」
刑事「お前の影響力は絶大だ。警察組織にも司法にも、お前を裁こうなんて気概のある奴はいないだろう」
刑事「たとえお前自身が望んでも、な」
側近「そうだ! その通りだ! 女帝様は無敵なのだッ!」
56: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:49:26.882 ID:txSD63Fh0.net
刑事「逆にいえば、お前はまだクリーンな状態にあるってことになる」
刑事「なぁ……お前、足を洗え」
女帝「!」
刑事「足を洗って……人生をやり直そう」
女帝「バカな……そんなことできるわけがない」
女帝「私はもう、すっかり変わってしまったのだ。やり直すことなど、不可能だ……」
刑事「そんなことはないさ……」スッ
女帝「こ、これは!」
刑事「なぁ……お前、足を洗え」
女帝「!」
刑事「足を洗って……人生をやり直そう」
女帝「バカな……そんなことできるわけがない」
女帝「私はもう、すっかり変わってしまったのだ。やり直すことなど、不可能だ……」
刑事「そんなことはないさ……」スッ
女帝「こ、これは!」
57: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:51:34.997 ID:txSD63Fh0.net
女帝「あの時渡したメガネ!」
刑事「これ、かけてみろ」
女帝「…………!」スチャッ
刑事「ほら、あの頃のまんまだ。お前は何も変わっちゃいない」
女帝「うぅっ……」
眼鏡娘「不良君……」グスッ
不良「おいおい泣くなよ、メガネが曇っちまうぞ」
側近「…………!?」
側近(今一瞬、二人が高校生ぐらいに見えて……)ゴシゴシ
刑事「これ、かけてみろ」
女帝「…………!」スチャッ
刑事「ほら、あの頃のまんまだ。お前は何も変わっちゃいない」
女帝「うぅっ……」
眼鏡娘「不良君……」グスッ
不良「おいおい泣くなよ、メガネが曇っちまうぞ」
側近「…………!?」
側近(今一瞬、二人が高校生ぐらいに見えて……)ゴシゴシ
58: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:53:05.660 ID:txSD63Fh0.net
女帝「側近」
側近「は……はっ!」
女帝「悔しいが、私はもうお前たちのリーダーでいられそうにない……」
女帝「お前なら引き継げよう。後を頼む」
側近「はいっ……!」
側近(どんなに勝利を収めても、敵を潰しても決して満たされなかった女帝様のお顔がついに――)
側近(誰が引き止めることができようか……!)
側近「は……はっ!」
女帝「悔しいが、私はもうお前たちのリーダーでいられそうにない……」
女帝「お前なら引き継げよう。後を頼む」
側近「はいっ……!」
側近(どんなに勝利を収めても、敵を潰しても決して満たされなかった女帝様のお顔がついに――)
側近(誰が引き止めることができようか……!)
59: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/09/29(土) 02:55:09.507 ID:txSD63Fh0.net
刑事「お前を……逮捕する」
女帝「……うん」
刑事「お前はこれから罪を償うんだ……俺という刑務所でな」
― END ―
女帝「……うん」
刑事「お前はこれから罪を償うんだ……俺という刑務所でな」
― END ―
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