2: 名無しさん@おーぷん 18/09/30(日)17:57:07 ID:lxZ
>>1の書き忘れです。
業界最王手プロダクションをクビになったPが新しい事務所で、新しいアイドル達と一緒に成り上がっていく話です。

某事務所独立ssにかなり影響を受けています。

3: 名無しさん@おーぷん 18/09/30(日)17:57:26 ID:lxZ
P(俺はアイドル事務所最大手、シンデレラプロダクションのプロデューサー。入社してから数年経って担当アイドルがそれなりにブレイクし、上司からの評価も最近上がってきた感じだ。)

--シンデレラプロダクション、Pの仕事場
P「おはようございます、ちひろさん」ガチャ

ちひろ「おはようございます」

藍子「おはようございます、Pさん」

P「おっ、藍子もう来てたのか。おはよう。今日はいつもより早いな。レッスンだけだったよな?」

藍子「はいっ。今日は天気が良かったので、早めに家を出てお散歩しながら来たんです。そしたら早く来すぎちゃって」

P「そういうことか。ここに来る間に本田さんと日野さんを見かけたから探してみたらどうだ?」

藍子「二人とももう来てたんですね。それならレッスンまで少しお話ししてきます。Pさんとちひろさんも頑張ってくださいっ」

P、ちひろ「行ってらっしゃい」

ちひろ「そういえばPさん、部長が話があるから出社し次第部長室に来てほしいって言ってましたよ。深刻そうな顔をしてたので何かあったのかもしれません」

P「なんですかね、問題を起こした記憶はないんですけど...」

ちひろ「まあ、行ってみたら分かりますよ」

P「そんな他人事だと思って...。まあ、確かにそうですね。行ってきます」

4: 名無しさん@おーぷん 18/09/30(日)17:58:52 ID:lxZ
--シンデレラプロダクション、部長室
P「失礼します、Pです。部長、千川さんに話があると聞いたのですが、何でしょうか」

部長「何って君、自覚はないのかね!君には期待していたというのに...」

P「なんのことですか、部長?」

部長「数日前の夜中週刊誌の記者から私に電話がかかってきたんだ。話を聞くと、高森君と君が車でホテル街に入っていく写真を撮ったらしい」

P「まさか!自分はそのようなことは決してしていません!」

部長「私も最初はデマだと思っていたよ。だが昨日、私宛にその写真が送られてきたのだよ。これがその写真だ」バンッ

P「なんですかこの写真!こんなのは記憶にありませんし、そもそも高森を仕事以外で連れ回したこともないです!スキャンダルで高森を落ちぶれさせるための罠としか考えられません!」

部長「罠だったとして、一体誰がこの写真を作ったというんだね。合成だとしたら君と高森君が一緒にいるところを撮らなければならない」

部長「おそらく現場に向かう途中を狙うだろうが、変装して車に乗った彼女をすぐに見つけて撮るなんてプロでも簡単にできることじゃないぞ」

部長「そもそもそんな手間なことをしたところで、出版社が何の得をするっていうんだね」

5: 名無しさん@おーぷん 18/09/30(日)17:59:32 ID:lxZ
P「それはそうかも知れないですけど...。でも自分は本当にやってないんです!」

部長「やったかやってないかは問題じゃない!スキャンダル写真が向こうにあるというのが問題なんだ!」

部長「君にはこの責任を取って今日限りで辞めてもらうことになった。いきなりクビを切ることは出来ないから自主退職扱いだが」

P「そんな!部長!こんな写真合成に決まっています!鑑定士か何かに出せばすぐに分かることじゃないですか!」

部長「既に週刊誌側には口止め料を振り込んでいる。すぐにでも振り込まないと表に出すと言われたんでな。その上で鑑定士に出してもし本物だった場合、損失がさらに大きくなる」

部長「多くのアイドルを抱えるシンデレラプロダクションとしては一人のアイドルだけを特別扱いして予算を割り当てるわけにはいかないんだ」

P「そんな...。そうだ!高森はどうなるんです!まさか、引退なんてさせないですよね!?」

部長「安心したまえ。高森君は今やシンデレラプロダクションに不可欠のアイドルだ。辞めさせるなんてことはしない。高森君には別の優秀なプロデューサーをつける。君は高森君の身代わりになると思ってくれ」

P「よかった...。でも高森と千川さんと三人でここまできたんです!それが崩れてしまっては高森も今まで通りできるとは限りません!」

部長「確かにそうだ。だから次のプロデューサーには君の同期から選ばせてもらった。年齢も近く、君のことをよく知っている人なら他の人よりも上手くいくはずだ」

P「俺は辞めるなんて言ってないですよ!なんで勝手に代わりのプロデューサーが決まっているんですか!その写真が偽物だって分かれば辞めなくてもいいですよね?だったら自費で鑑定士に頼みます。それまで少し待って下さい!」

部長「それは出来ないな。君のクビはもう会議で決まったことだ。それを撤回することは私の独断では出来ない」

部長「それに鑑定に出している間、高森君にこのことが知れたら精神的なダメージを受けるかもしれない。だから出来るだけ早く辞めてほしいのだよ。高森君がレッスンに行っている間に全ての荷物を持ってここを出て行ってくれ」

部長「退職理由については私から適当に話しておく。最後の挨拶をしようとか余計なことを考えるんじゃないぞ。まあ千川君にするぐらいなら問題ないと思うが」

部長「おっともうこんな時間になってしまったか、私はこれから接待があるから行かせてもらうよ」

P「あっ、ちょっと部長!まだ話は終わって
」バタン

P「...」

6: 名無しさん@おーぷん 18/09/30(日)18:00:14 ID:lxZ
--シンデレラプロダクション部長室前廊下
P「...」ガチャッ

同僚P「ようP、どうした、スキャンダルがバレてクビ切られたような顔しやがって」ニヤニヤ

P「...まさかお前があの写真を!」

同僚P「俺は何もしてないさ。ただ知り合いの記者にホテル街に入る車の写真とお前ら二人が車で現場に向かう写真を渡して合成してもらっただけだ」

P(変装してたのにシャッターチャンスが短くて難しい写真を撮ることが出来たのは、事務所を出る前からつけられていたからだったのか...)

P「何故こんなことをしたんだ!藍子はお前に何もしてないだろう!」

同僚P「俺の目的は高森の没落じゃない。お前のクビだ。同期に評価の高いお前がいると俺の出世が遅れるんだよ。大した能力もないくせに運だけで金の卵を担当アイドルにもらいやがって」

P「まさか、藍子のプロデューサーの後任って...」

同僚P「ああ、俺だ。実行に移す前に部長に媚びを売っといて正解だったぜ」

P「こんなことが部長に知れたら、ただじゃ済まないぞ!」

同僚P「そうかな?問題を起こしたお前と今の俺、より部長に信頼されているのは俺の方だ。お前が部長にチクったところで、言い訳して人に擦りつけてるようにしか思われないだろうな」

P「お前...そんな汚いことしてまで出世したいのかよ!自分の担当アイドルが悲しむとは思わないのか!?」

同僚P「バレなけりゃいい話だ。そもそも芸能界なんて汚いことは常套手段だろう。この程度で汚いとかいう甘い考えを持ってるんじゃこんな計画なしでも俺が先に出世してたかもな」

同僚P「この話はここまでだ。俺は無職様と違って仕事があって忙しいんでな」スタスタ

7: 名無しさん@おーぷん 18/09/30(日)18:00:42 ID:lxZ
--シンデレラプロダクション部長室前廊下の物陰
ちひろ(なんの話か盗み聞きしようと思って部長室前まで来たら、なんか凄いことになってました。どうしましょう)

ちひろ(あっ、同僚Pがこっちに来ます!どうか気づかないで!)

同僚P「...」チラッ

ちひろ「...なんかこっち見られたような気がしましたけどセーフですよね。Pさんにバレないうちに早く部屋にもどらないと!」

8: 名無しさん@おーぷん 18/09/30(日)18:01:03 ID:lxZ
--シンデレラプロダクション、Pの仕事場
P「戻りました」

ちひろ「あっ...お帰りなさい。えっと、あのー...」

ちひろ(どうしましょう、何の話か聞くのが自然でしょうけど、内容知ってるだけに聞けません...)

P「俺、今日限りでクビみたいです」

ちひろ「へっ!?」

P「ちひろさんも異動になるでしょうから
荷物とか整理しておいた方がいいですよ」

ちひろ「ちょっ、ちょっと待って下さい!実は私さっきまでの話全部聞いてたんです!あんな理不尽なのないですよ!私も一緒に部長に掛け合いますから!」

P「そういう訳にはいきませんよ。奴の言った通り今の俺が部長に話に行っても悪印象なだけです。それにちひろさんも加わってしまえばちひろさんの今後にも影響が出ます」

P「奴はやり方は汚いですが実力は確かですし、無駄に長引いて藍子に知られるよりはよっぽどいいです」

ちひろ「そんな...じゃあ私だけでも部長と話してきます!」バタン

P「無駄だと思うけどな...。とにかく、藍子のレッスンが終わる前に荷物整理して帰らないと」

9: 名無しさん@おーぷん 18/09/30(日)18:01:34 ID:lxZ
-- 数日後、 P自宅
P「はぁ...落ち込んでいても仕方ないし、そろそろハローワークでも行くかなぁ」

ピンポ-ン

P「こんな時間にお客さん?通販で何か買った記憶は無いな...どうせ新聞屋だろ」ガチャッ

P「はい、新聞はとらないって何回も...って、え!?ちひろさん!?どうしたんですか、こんな時間に!?」

ちひろ「私もクビになりました。知らない間に会社のお金を横領していたらしいですよ、私。全く汚いやり方ですね...」

P「ちひろさんがあの話を知ってることが奴に知れたんでしょうね。とりあえずこんなところじゃ何なんで入りますか?」

ちひろ「はい。失礼します」

P「そういえば、なんでちひろさんが俺の部屋を知ってるんですか?教えた記憶ないんですけど...」

ちひろ「クビって言われたすぐ後に Pさんの名簿を探したんです。あそこには住所書かれてますからね。いきなり押しかけてすいません」

P「いや、別に問題ないんですけど、そこまでして俺の家に来たのは何でですか?」

ちひろ「そうだ、本題に入るの忘れてましたね。でも、その前に Pさん、確認なんですが、まだ再就職先決まってないですよね?」

P「決まってない前提で話されるのはちょっと傷つきますね、まあ決まってないんですけど...。ていうかクビになってからやる気出なくて探してもいないです。今日から探そうと思ってたんですけど...」

ちひろ「よかった、ギリギリセーフですね。Pさん、」

ちひろ「新しくプロダクションを作りませんか?」

10: 名無しさん@おーぷん 18/09/30(日)18:02:09 ID:lxZ
P「え?どういうことですか?」

ちひろ「私の両親が東京にビルの空き部屋を持ってたんです。そこを譲ってもらって、新しくアイドルをスカウトして二人で事務所作りませんか、ってことです」

P「でもどうしていきなりそんなこと言い出したんですか?ちひろさんなら他の就職先なんていくらでも見つかるでしょう?」

ちひろ「私こう見えて結構アシスタントの仕事好きだったんですよね。アイドル達がステージで輝くお手伝いをするなんて素敵じゃないですか。その好きな仕事を理不尽に取り上げられたんです。まだやりたいって思うのは当然じゃないですか?」

P「だったら他の事務所に行けば良くないですか?ちひろさんならすぐに活躍できますよ」

ちひろ「それも考えましたけど、デレプロより大きい事務所なんて現状ないですからね。だったらPさんに手伝ってもらってそういう事務所をつくろうと思ったんです」

P「デレプロより大きな事務所って、どれだけ時間がかかると思ってるんですか?」

ちひろ「簡単なことですよ。ライブバトルでデレプロに勝てばいいんです。実力があることの証明になりますし、評判も上がります」

P「確かにそうでしょうけど、たとえ新事務所を建てたしてもそんなできたての弱小プロがデレプロと戦う機会なんて年に一回だけのライブバトルフェスティバルしかないですよ。それも予選を通過しなきゃいけませんし...」

ちひろ「通過すればいいんですよ。Pさんは最高のアイドルの卵を見つけて育てる。私はそのアシスタントをする。さらにデレプロでのノウハウを生かせばどうにかなりますよ」

ちひろ「それから、私のやりたいことがどんなに非現実的だとしてもそれはPさんがこの誘いを断る理由にはなりませんよね。大事なのは私の気持ちではなくPさんの気持ちですから。Pさんはもうプロデュースしたくないんですか?」

P「そう聞かれると弱いですね...確かに俺もあんな終わり方をするのは嫌でしたけど...」

ちひろ「それならいいじゃないですか!私と、新しいアイドル達と、やりきれなかったこと全部やりましょう!」

P「...分かりました!そこまで言うなら俺にも協力させて下さい!」

ちひろ「そう言ってくれると思ってました!じゃあ早速事務所設立の準備を始めましょう!」

11: 名無しさん@おーぷん 18/09/30(日)18:03:45 ID:lxZ
--数ヶ月後、東京のとあるビルの部屋
P「よし、やっと諸々の手続きも終わってやっとアイドル事務所みたいなことができますね」

ちひろ「そうですね。でもやらなきゃいけないことはまだたくさんありますよ。何からやりましょうか...」

P「とりあえずちひろさんはこの事務所のホームページを作ってください。あとそこにオーディション実施のお知らせをお願いします。俺はとりあえずスカウトしてきます」

ちひろ「分かりました。オーディションの詳細はどうします?」

P「特に制限は設けないほうがいいですかね。そもそもの認知度がほぼ皆無な事務所なのでそこまで多くの応募があるとは思えませんから」

ちひろ「なるほど、確かにそうですね。じゃあこっちはやっておくのでスカウト頑張って下さい!」

ちひろ「あっそうだ、この事務所の名前、どうしますか?」

P「そういえば何も考えてませんでしたね。ちひろさん何か思いつかないですか?」

ちひろ「そうですね...。やっぱりアイドル事務所ですから、星に関係するのがいいんじゃないですか?」

P「星ですか...じゃあスピカにしませんか?確か乙女座のα星で、一等星だったと思います」

ちひろ「なるほど!数ある乙女の中で一番輝く星になるってことですね?いいじゃないですか!」

P「ありがとうございます。じゃあ、俺たちの新事務所はスピカプロダクションということで行きましょう!」

P「それじゃあスカウト行ってきます!お互いに頑張りましょう!」

14: 名無しさん@おーぷん 18/10/04(木)17:04:40 ID:OuY
~~1話 Until next time!~~

15: 名無しさん@おーぷん 18/10/04(木)17:04:48 ID:OuY
--スピカプロダクション前

P(スピカプロダクションもようやく始動だ!。まずは未来のアイドルをスカウトしなくては。とりあえず繁華街にでも行ってみるか...)テクテク

P(おっ、あの娘とかいいんじゃないか?クールビューティって感じでアイドルになったらおもしろそうだぞ)

P「あの、すいません。私スピカプロダクションのプロデューサーをしているPという者です。君、アイドルに興味はないかな?」

モブ子「スピカプロダクション?何それ、聞いたことない。どうせ何かのキャッチでしょ?私急いでるから他の人当たってよ」

P「あっ、ちょっと...」

P(そうか、デレプロと違って認知度が無いからただでさえ怪しいスカウトがより怪しく見えてしまうのか...。誠意を見せて信用してもらわないといけないな...)

16: 名無しさん@おーぷん 18/10/04(木)17:05:19 ID:OuY
--数日後、スピカプロダクション
P「ただ今戻りました...」

ちひろ「おかえりなさい。スカウトは...今日もダメだったんですね...」

P「はい。どうしても怪しまれちゃって...。最初は乗り気でも、まだ所属アイドルがいないって言うと、途端に警戒し始める子が多いですね...」

ちひろ「やっぱりそうですか...。無名プロダクションだとスカウトも一苦労ですね」

P「何日も繁華街に行ってたらちょっと不審者扱いされるようになったので、明日からは少し違うところに行ってみたいと思います」

ちひろ「分かりました。警察呼ばれないように気をつけて下さいね」

P「分かってますよ。そういえばちひろさん、オーディションの応募ってありましたか?」

ちひろ「今日も0です。ホームページの閲覧数は少しあるんですけど...」

P「こっちもダメですか...」

ちひろ「明日、明後日とPさんはお休みですし、事務仕事もほとんど終わったので、私も少し外に出てスカウトしてみますね」

P「お願いします。女性とはいえ、やっぱり怪しまれるでしょうけど、頑張ってください。」

ちひろ「そういえばPさんが2連休取るなんて珍しいですね。何か用事でもあるんですか?」

P「高校時代の友達が奈良に転勤になったんですけど、その引越しの手伝いですね。終わったらそのまま奈良まで行ってプチ同窓会です。お土産買ってくるので楽しみにしててください」

ちひろ「そうなんですか。楽しんできてください」

18: 名無しさん@おーぷん 18/10/05(金)00:07:49 ID:Ki6
--翌々日、奈良県
P(昨日は楽しかったな、あいつら俺がクビになったって言ったらスピプロの応援してくれるって言ってたし、やっぱ持つべきものは友達だよなぁ。やることもないし、いつでも帰れるけどせっかく奈良まで来てそれもつまらないし、ちひろさんにお土産買わなきゃいけないし、少し散歩するか)

P(とりあえず奈良公園にでも行ってみよう)テクテク 

19: 名無しさん@おーぷん 18/10/05(金)00:08:29 ID:Ki6
--奈良公園
P(もっと少ないものだと思ってたけど、すごい鹿の数だな。なんとなく鹿せんべいなんて買っちゃったけど、迂闊に出したら凄い勢いで囲まれそうだ)

??「し、鹿さん!スカートひっぱっちゃダメです~!あぁ、こっちにも鹿さんがぁ~!はぅわわ!助けてくださいぃ~!」

P「...あの娘、大変そうだな。どうせ勢いで買っただけだし、鹿せんべいで助けてやるか」ポイッ

鹿「」ドドドドド

??「あ、ありがとうございます~。でも、あなたの鹿せんべい無くなっちゃいましたね...。あっ、あのっ!私もう1つ買ってきますから、ちょっとここで待っててください!」タッタッタッ

P「いいよ、わざわざ...ってもう行っちゃっ...」ドンガラガッシャ-ン

??「ふ、ふぇぇ~。また転んじゃいました~っ!」

P「おいおい、大丈夫か?」

??「あっ、すみません~。もうっ、歌鈴のばかっ」

P(なんだか変わった子だな...)

P「君は歌鈴って名前なのか。苗字は何ていうんだ?」

歌鈴「道明寺っていいますっ。えっと、あなたはどなたですか?」

P「俺はPだ。東京でアイドルのプロデューサーをしてる。そんなことより、怪我はないか?結構派手に転んでたけど...」

歌鈴「だ、大丈夫ですっ!いつものことなのでっ!」

P(あれがいつものことなのか...)

20: 名無しさん@おーぷん 18/10/05(金)00:08:54 ID:Ki6
歌鈴「それじゃあ買ってきますね。今度は転ばないようにゆっくりと...」

P「鹿せんべいはいいよ。俺もそこまで欲しかった訳じゃなかったからな」

歌鈴「そうなんですか?ならいいんですけど...。そ、そういえばPさんは奈良に何しにきたんですか?もしかしてお仕事!?そしたらこの近くにアイドルが!?」

P「残念ながらプライベートだな。用があってこっちにきたんだが、そのまま帰るのもつまらないからちょっと散歩してたんだ」

歌鈴「そっか...そうですよねっ!そんな簡単に有名人に会えるわけないですよね!もうっ、はやとちりしちゃって...」

歌鈴「あっ、そうだ!散歩してたんだったら、うちの神社に来ないですか?あまり大きくないですけど、鹿せんべいのお詫びもしたいですし...」

P「お詫びなんていいよ。それよりうちの神社?歌鈴の実家は神社なのか?」

歌鈴「はいっ!お父さんが宮司をやってて、私も一応巫女をやってるんですっ!ドジばっかなんですけど...」

P「へぇ、面白そうだな。じゃあ案内してくれないか?」

歌鈴「はいっ!こっちですよ!」ガッシャ-ン

歌鈴「ひゃああああっ!」

P(本当にいつものことなんだな...)

21: 名無しさん@おーぷん 18/10/05(金)00:09:21 ID:Ki6
--歌鈴の実家の神社
歌鈴「ここがうちの神社です~。今お父さんを呼んできますからちょっとここで待っててくださいっ!」タッタッタッ

P(...よし、今度は転ばなかったな。それにしても彼女、危なっかしいけどなぜか応援したくなる子だな。巫女さんの経歴も目立つし、もしかしたらアイドル向いてるんじゃないか?)

P(帰るのはもう少し後にして彼女をもう少し知っておくか)

歌鈴父「あなたが歌鈴を助けてくれたPさんかな?いつもこいつはドジしてばかりで...。迷惑ではありませんでしたか?」

P「大丈夫ですよ。それより彼女怪我はありませんでしたか?かなり派手に転んでましたけど...」

歌鈴父「いつものことですから。うちの歌鈴は誰よりも危なっかしいのに、ほとんど怪我をしないんです」

P「彼女もいつものことと言っていましたがそんなによくあることなんですか?」

歌鈴「はいっ!1日に5回くらいは転んでますっ!今日はさっきまで1回も転んでなかったんでふっ...あぅぅ~」

歌鈴父「今のもいつものです。緊張したりするとなんでもないところで噛んだりするんです」

P(滑舌に難ありか、ちょっと厳しいな...いや、彼女のキャラクターならそれもいっそプラス要素になるか...?)

22: 名無しさん@おーぷん 18/10/05(金)00:09:52 ID:Ki6
歌鈴父「巫女である以上はもう少し落ち着いてもらいたいんですけど、なかなかそうはいかないんですよね」

歌鈴「私も最近は境内では落ち着いていようと思ってるんです~。それで転ぶことも少し減ったんですよっ!」

P「さっきは2回も転んでたけど...」

歌鈴「はわっ、そ、それは境内じゃなかったので...」

P「1日5回くらい転ぶとも...」

歌鈴「あっ...ふぇぇ...」

P「なんて、冗談だよ。いいじゃないか、ドジでも。個性的で素敵だと思うぞ」

歌鈴父「そう言ってもらえるとありがたいです」

歌鈴父「ただ、こう見えて歌鈴は努力家なところがありまして、苦手な巫女舞を克服するために私の制止も聞かずに1日中修行していたこともあるんですよ」

歌鈴「もう、お父さん!恥ずかしいからやめてよっ!」

P(努力家か...。人よりもドジが多いからやらざるを得ないという側面もあるだろうが、それでも努力できるのは長所だな。...よし!本人の意思は分からないけどスカウトしてみるか!)

歌鈴父「ちょっと話しすぎましたね。あまり広くないですが、ゆっくりしていってください。私はここで結婚式を挙げる人との相談があるので失礼しますが、歌鈴が案内しますので」

P「お時間取らせてすいませんでした。お言葉に甘えて少し見物してきます」

23: 名無しさん@おーぷん 18/10/05(金)00:10:26 ID:Ki6
歌鈴「それじゃあとりあえず本殿に行きましょう!」テクテク

P「悪いな、案内までしてもらって」

歌鈴「いいんですよっ!参拝客のおもてなしも立派な巫女の仕事ですから!」

P「歌鈴は巫女の仕事が好きなんだな」

歌鈴「はいっ!最初はミスばっかりだったんですけど、少しづつできるようになって、最近ではお父さんも褒めてくれるようになったんですよっ!」

P「そうか...。巫女の仕事が好きなんだな。それじゃあ辞めたくないよな...。実はアイドルしに東京に来ないかって聞こうと思ってたんだけど...」

歌鈴「えええええっ!?それって、も、もしかしてスカウトですか!?いや、そんな、あ、あり得ないですよぉっ!」

P「どうしてあり得ないんだ?魅力的な性格で努力家。向いてると思ったんだけど...」

歌鈴「だって私ドジだし、噛んじゃうことも多いし、想像できないですよ~!」

P「確かに歌鈴は完璧なパフォーマンスをするのはかなり難しいだろうな。でも、完璧だけがアイドルの完成形じゃない」

P「ファンの前で何かをやって、満足して帰ってもらう。それが出来ればドジがあろうがなかろうがそれは最高のパフォーマンスなんだ。もちろんドジを減らすのも大事だけどな」

P「歌鈴の場合、それを含むことで、最高のパフォーマンスになると俺は思ったんだ」

P「それに巫女の仕事も最初は上手くできなくても今は褒められるまでになったんだろ?その努力という才能があればなんでもできるんじゃないかな?」

歌鈴「あ、ありがとうこざいます~。でも、私には巫女のお仕事がありますし、東京になんて行けないですよ...」

P「ああ、だから俺は強制するつもりはない。巫女を続けたいなら続ければいいし、アイドルやりたければ連絡くれたらいつでも歓迎だ」

P「とりあえず名刺を渡しておくから、気になることがあったら連絡してくれ。とりあえず今日のところは帰るよ」

歌鈴「じ、じゃあ駅まで送って行きますよっ。Pさん道分からないですよね?」

P「携帯で調べられるからいいよ。それよりお父さんの手伝いをした方がいいんじゃないか?」

歌鈴「大丈夫ならいいんですけど...」

P「大丈夫だって。まだ明るいから道もわかりやすいし」

P「それじゃあな。またどこかで会えたらいいな」

歌鈴「そうですねっ。また会いましょうっ!」

24: 名無しさん@おーぷん 18/10/05(金)00:10:47 ID:Ki6
--帰りの新幹線
P(アイドルに対する興味は無いわけではないみたいだったけど、流石に巫女やめて東京に来ることはないだろうな。今までかなり頑張ってきただろうし...)

P(残念だけど、落ち込んでいても仕方がないか。明日からまたスカウト頑張ろう)

P(そういえば何か忘れてるような気がするな...)

25: 名無しさん@おーぷん 18/10/05(金)00:11:12 ID:Ki6
--スピカプロダクション
ちひろ(そろそろPさんは帰って来てる頃でしょうか。お土産は何を買ってきてるんでしょう、楽しみです)

26: 名無しさん@おーぷん 18/10/05(金)00:11:33 ID:Ki6
--翌日、スピカプロダクション前
P(まずい、よりにもよってお土産を忘れるなんて...。ちひろさんこういうのは厳しそうなんだよな...ここは覚悟を決めて謝るしかないか!)ガチャ

P「おはようございます!すいませんちひろさ...」

ちひろ「あっ、やっと来ましたねPさん!やりましたよ!オーディションの応募が2件きてます!履歴書を見ただけですがなかなかの逸材だと思いますよ!」

P「えっ!?本当ですか?見せてください!」

P「...確かにこの二人はいいアイドルになれそうですね。じゃあ早速連絡します!えっと、電話番号は...」ピンポ-ン

ちひろ「お客さんですか。私が対応するので電話しててください」

P「お願いします」

27: 名無しさん@おーぷん 18/10/05(金)00:12:00 ID:Ki6
--数分後
P「よし、オーディションの日程も決まったし、あとは実際に会ってからだな」

P「それにしてもちひろさん遅いな。様子を見てくるか」ガチャ

ちひろ「あっ、Pさん!電話終わったんですね!それにしてもPさん、先に言ってくださいよ!いつのまにかスカウト成功してたなんて!」

P「はい?今までスカウト成功したことなんて一回も無いですけ...ど...えっ!?」

歌鈴「こんにちはPさんっ!また会えましたねっ!これからよろしくお願いしますっ!」

28: 名無しさん@おーぷん 18/10/05(金)00:13:07 ID:Ki6
~~Until next time!完~~

30: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:40:15 ID:fA1
~~2話 Make up your mind~~

31: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:41:13 ID:fA1
--スピカプロダクション
歌鈴「こんにちはPさんっ!また会えましたねっ!これからよろしくお願いしますっ!」

P「歌鈴じゃないか!どうしてここに?これからよろしくって...まさか!」

歌鈴「はいっ!アイドルになるために来ました!」

P「でも、巫女の仕事はどうしたんだ?」

歌鈴「あの後、お父さんに相談したんです!そうしたらお父さんが東京の知り合いの神主さんに連絡してくれて、住み込み修行も兼ねて上京させてくれたんですっ!」

歌鈴「アイドルと巫女、両方やるのは大変かもしれないですけど、それでもいいですか?」

P「ああ、大歓迎だ!そのかわり、どっちも本気でやるんだぞ。あと、キツくなったら必ず教えてくれ。日程とかは出来るだけ調整する。倒れられたらお父さんに申し訳ないからな」

ちひろ「ちょっと、Pさん、私を置いて話を進めないで下さいよ!」

P「あっ、すいません。つい興奮しちゃって...」

P「実は奈良に行った時に1回会ってるんです。その時にスカウトしたんですけど、巫女さんの仕事をしてたから厳しいと思って諦めて帰っちゃったんです」

ちひろ「なるほど、そういうことだったんですね。私も歓迎しますよ、歌鈴ちゃん」

歌鈴「あ、ありがとうございます~」

P「改めて、俺はこのスピカプロダクションでプロデューサーをしてるPだ。よろしくな」

ちひろ「私はアシスタントの千川ちひろです。分からないことがあったらとりあえず私に聞いてくれれば大体のことは教えてあげますよ」

歌鈴「ど、道明寺歌鈴でつ!(噛んだ...)

ちひろ(噛んだ...)

P(いつものことだな...)

32: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:42:14 ID:fA1
ちひろ「そういえば、Pさん、事務所入ってくるときすいませんとか言ってましたけど、どうしたんですか?」

P「あっ...えーっと...奈良のお土産をですね...その、買い忘れてしまいまして...」

ちひろ「えぇー!!奈良漬楽しみにしてたんですけど...」

歌鈴「あ、あの...奈良漬だったら私、待ってますけど...」

P、ちひろ「えっ?」

歌鈴「お父さんがお近づきの印にって持たせてくれたんです。一応老舗のお店のですよ」

ちひろ「あっ!これ有名なところじゃないですか!仕方ないですね、歌鈴ちゃんに免じて今回は許してあげます」

P「はい...次は必ず買ってきます...」

P(後で歌鈴に何かご馳走しないとな...)

33: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:42:34 ID:fA1
--数日後、スピカプロダクション
ちひろ「今日はオーディションですね。私も行きたいところですが、事務所を入ったばかりの歌鈴ちゃん一人にするわけにはいかないので...」

P「希望者は二人しかいないので俺だけでも大丈夫ですよ。それじゃあ行ってきます」ガチャ

34: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:43:08 ID:fA1
--事務所近くの喫茶店
P(オーディション希望者は...あのテーブルに座ってる二人かな?)

P「失礼します。自分はスピカプロダクションのプロデューサーですが、オーディション希望の方ですか?」

??「そうよ。私は松山久美子、21歳。アイドルになれればもっとキレイになれると思ったから応募したの」

P「なるほど、分かりました。それではあなたは?」

??「アタシは的場梨沙よ!パパにもっと可愛いって言ってほしくて応募したわ!もちろんアタシをアイドルにしてくれるでしょ?」

P「まあ、それはあと少し話してからで...、まず松山さん、キレイになるためにアイドルをやりたいとのことですが、もう少し詳しくお願いできますか?」

久美子「人に見られるとキレイになるって言うじゃない?アイドルならたくさんの人に見てもらえると思ったのよ」

P「それならアイドルじゃなくてもモデルとか女優でもいいんじゃないですか?」

久美子「ええ、だから他にも色々なオーディションを受けているわ」

P「なるほど。では的場さんにも一つ、あなたががアイドルになりたいのは、お父さんのためだけですか?」

梨沙「当たり前よ!アタシがパパ以外のためになにかするわけないじゃない!」

35: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:43:34 ID:fA1
P「そうですか...。それでは、二人とも今回は落第です。他の事務所を当たって下さい」

梨沙「ちょっと!どういうこと!?説明してよ!」

P「まず、的場さん、芸能人が活躍するにはファンの応援が不可欠です。もちろん個人的な理由を持っていることは悪いことではないですが、それだけではファンはついてきません」

P「あなたがお父さんに褒められるためにアイドルをやるのは何の問題もありませんが、ファンのことを全く考えていないのはいただけません」

P「それから松山さん、あなたは自分に自信を持っていて、実際素晴らしい才能を持っているんでしょう」

P「しかし、その自信が仇になっています。自分がキレイになるために芸能界に入る。そのために色々なジャンルのオーディションを受けていては、あまりにも印象が悪い」

P「アイドルは立派な仕事です。そのような中途半端な覚悟でやりたいと言われても受け入れられません。一つの業界に絞ってオーディションは受けるべきです」

P「以上が理由です。何かありますか?」

久美子「なによ、そんな理由で落とされなきゃ行けないわけ?いいわ、そんなとこ私から願い下げよ」

梨沙「アタシを落とすなんて分からないオトナね!いいわよ、他の事務所を探すわ!」

P「何もないようですね。それではオーディションは終了です。お疲れ様でした」

36: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:43:56 ID:fA1
--スピカプロダクション
P「ただ今戻りました」

ちひろ「あっ、Pさん、おかえりなさい。早かったんですね。オーディションはどうでしたか?」

P「二人とも落第です。覚悟が全くできてません」

ちひろ「覚悟ですか?そんなのは事務所に入ってからでもどうにでもなるんじゃないですか?」

P「はい。だから俺に考えがあります。もう少し待っていて下さい」

37: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:44:19 ID:fA1
--2週間後、スピカプロダクション
ちひろ「Pさん、今日は出張ってことになってますけど、どこに行くんですか?」

P「この前オーディションした二人に会って来ようと思います」

ちひろ「今更ですか?何しに行くんです?」

P「まあ、後で分かりますよ」

ちひろ「Pさんはたまによく分からないことをしますね...」

P「そうですか?でも悪いようにはならないと思うので待っててくださいね」

38: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:44:51 ID:fA1
--梨沙の家
ピンポ-ン

梨沙父「どちらさまですか?」

P「私はシンデレラプロダクションのPです。的場梨沙さんのお父さんですね?娘さんに少し話があるので呼んでいただけないでしょうか」

梨沙父「シンデレラプロダクション...ああ、この前梨沙がオーディションを受けた事務所ですね。今呼んできます」

梨沙「...何よ。話すことなんてないわ。帰ってよ」

P「残念だけど俺があるんだよ。的場さんのあれからのオーディションの結果を聞こうと思ってたけど、やっぱり思った通りだったみたいだな」

梨沙「思った通りって何よ。分かるなら言ってみなさい!」

P「書類審査は全て合格。実技の審査もまずまず。でも最終面接で毎回落とされる。落第理由も教えてくれないから対策もできない。そんな感じじゃないか?」

梨沙「...何?わざわざ調べてから来たの?悪趣味ね」

P「調べたわけじゃないさ。ただあの時のオーディションで分かったんだよ。君が相当な才能に恵まれいること、そしてアイドルになるための覚悟が全くできていないことをね」

P「才能があるから書類も実技も問題ない。だけど面接ではそれ以外のところが審査される。そうなると君はとことん弱い」

P「俺も君の履歴書を見たときは心が踊ったよ。こんな子が入ったら百人力だと思った。それだけに面接でがっかりしたんだ」

39: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:45:19 ID:fA1
梨沙「アンタはそうかもしれないけど、他の事務所はそうとは限らないじゃない!理由を言ってこないってことはアタシが悪いんじゃなくて他がもっとすごかっただけなのよ!」

P「落選理由は伝えないのが普通だ。大きな事務所になればなおさらだな」

P「それに、面接までコンスタントに残れるのに一つも合格しないなんてのは精神的な弱点があるとしか考えられないよ」

梨沙「じゃあその弱点ってなんなのよ!」

P「前にも言っただろ、ファンの人を楽しませたいという思いだ。それが無いとどんな才能の持ち主でもアイドルにはなれない」

梨沙「気持ちなんて見えないじゃない!結局適当に言ってるだけでしょ!」

P「本当にそうかな?気持ちは自然に溢れ出るものだ。ここに行けばそれが分かると思うぞ」

梨沙「...高森藍子のソロライブチケット!?しかも今日じゃない!なんでこんなものを!?」

P「まあ、昔のツテでな。興味があるなら行けばいいよ。俺の言ったことが分かると思う」

P「それじゃあ俺は次の仕事があるから失礼するよ。お父さんによろしくな」

梨沙「あっ、ちょっと!...いいのかしら、このチケットすぐに売り切れちゃって入手困難だったはずなんだけど...」

40: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:45:39 ID:fA1
--久美子の家
ピンポ-ン

久美子「...何しに来たの、あなたに用なんてないんだけど」

P「ハハッ、見事に同じ反応だな。さっき的場さんの家に行ったけど同じことを言われたよ」

P「でも俺には用があるんだよ。あの後オーディションはどうだった?」

久美子「...全部落ちたわ。どこも見る目がないとこばかりね」

P「だから松山さんは不合格になったんだ。自分に自信があるあまり、非を認められていない。俺に言わせれば面接官は相当な目利きだな」

P「オーディションのときも言ったけど、松山さんはアイドルを舐めている。歌も踊りも半端でいい、容姿さえ良ければ誰でもなれると思っているんじゃないか?」

久美子「事実そうじゃないかしら?テレビに出てるアイドルは素人が見ても分かるような初歩的なミスが多い子がほとんどじゃない」

P「確かにそうだ。歌の音程は合わないし、ダンスの動きは小さかったり、周りとずれたりするなんてのは日常茶飯事だ。専門家が見たら酷評の嵐だろうな」

41: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:46:00 ID:fA1
P「でも、ファンが求めているのはそんなことじゃない。アイドルがミスしながらも一生懸命に努力する姿に惹かれるんだ」

久美子「意味不明ね。完璧なステージを見てこそじゃない。ファンは諦めているのよ。どうせアイドルには完璧なパフォーマンスなんてできないってね」

P「松山さんはアイドルのステージを生で見たことがないでしょう。あったらそんなことは言えないはずだ」

久美子「ええ、ないわ。もっと見るべきものは他にたくさんあるから」

P「それなら今日の夜、ここに来てくれ。違う発見があるはずだ」

久美子「今日の高森藍子ソロライブチケット...ニュースで見たわね。確かすごいレアものって聞いたけど...」

P「俺はもう1枚持ってるから遠慮なく使ってくれ」

42: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:46:23 ID:fA1
--ライブ会場
久美子「まさかこのチケットが指定席だったなんてね。本当にこんなのもらって良かったのかしら...、あれ?あの子は確か...」

梨沙「あら、松山さんじゃない!まさか松山さんもアイツに言われてここに来たの?」

久美子「ええ、何が言いたいのかよく分からなかったけど、せっかく貰ったから行かないと勿体無いと思ったのよ」

梨沙「アタシも意味が分からなかったわ。まあ、せっかくいい場所なんだし、普通に楽しむわよ!」

久美子「そうね。そろそろ始まりそうだし」

43: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:46:51 ID:fA1
--数分後
藍子「こんばんは!高森藍子ですっ!今日は私のソロライブに来てくれて、ありがとうございます!」

ワ-ワ-ワ-ワ-!!!

藍子「今日のためにたくさんレッスンしてきました!最後まで観てくれたら嬉しいですっ!」

藍子「そういえば今日の朝、いいことがあったんですっ。緊張して早く起きすぎちゃったのでお散歩に行ったら...」

久美子「なかなか歌い出さないわね...」

P「これが藍子のやり方だからな」

梨沙「うわっ!なによ!いきなり出てきて!」

久美子「これがやり方ってどういうこと?」

P「藍子はそこまで体力がある方じゃないんだ。だからソロのときはトークをわざと多めにしてるんだ」

久美子「そんなの甘えじゃない。体力がないならつければいいのよ」

P「いや、これは戦略なんだ。体力のなさをプラスとして考えて、ゆったりしたMCを楽しんでもらおうとしてるってことだ」

P「ファンも藍子のMCを楽しみにしてるし、歌メインのステージにしては逆に不満が出るだろうな」

P「アイドルは完璧である必要はない。ファンにとって完全な存在であればなんだっていいんだ」

44: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:47:32 ID:fA1
梨沙「アンタはさっきからファンっていっぱい言ってるけど、そんなにファンが必要なわけ?」

P「ああ、必要だ。まず一つに事務所が困る。ファンがいないとお金が入ってこないからな。でもそれよりも大事なことはモチベーションだな」

P「営業に行っても誰も見向きもせず、時には迷惑がられながら毎日歌えるか?2,3日なら大丈夫だと思うが、人気アイドルになるには何ヶ月も、もしかしたら何年もそれが続くんだ」

P「それでも続けられる人がいるのはファンの応援があるからだと思う。だからファンへの感謝は絶対に忘れてはいけないんだ」

P「藍子のMCを観て伝わってこないか?他愛もない話だけどファンを楽しませたいっていう強い気持ちが」

梨沙「...」

梨沙「さっきは気持ちは見えないなんて言ったけど、確かに感じるわね。これがアイドルなの?」

P「そうだ。それが体力のない藍子が人気アイドルになれた理由だろうな」

久美子「あなたの言いたいことは分かったわ。要するにアイドルやるならファンを第一に考えろってことでしょ。それで今更そんなことを私たちに伝えてどうするのよ。私も的場さんもオーディションは全部落ちたからもう手遅れよ?」

P「アイドルになるにはオーディションに合格する以外にも方法はあるぞ?例えばスカウトとかな」

梨沙「スカウトされるまでなんて待てないわ!アタシはまた違う事務所のオーディションを受けるわよ!」

45: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:47:56 ID:fA1
P「それは残念だなぁ。せっかくうちの事務所にスカウトしようと思ってたのに」

久美子、梨沙「えっ!?」

P「2人とも今の話でなんとなくアイドルとはどうあるべきかが分かったみたいだしな。あのとき言った落第理由がなくなったんだ。別にスカウトしてもおかしい話じゃないだろう?」

P「なんとなくではまだまだ足りないけど、デビューしたらはっきりと分かってくるさ。それで、スカウトの返事はどうするんだ?小さい事務所だが、全力でサポートするぞ?」

久美子「もしかしてここまで分かってて落第にしたわけ?もし他のところに合格してたらどうするつもりだったの?」

P「それは考えてなかったな。俺は見る目だけは自信があるんだ」

梨沙「なんか手のひらで踊らされてたみたいで悔しいわね...。でも、なかなかやるじゃない!いいわ、アンタの事務所に入ってあげる!そのかわり絶対トップアイドルにしなさいよ!」

P「ああ、的場さんならすぐになれるよ。それで、松山さんはどうする?」

久美子「あなたの話を聞いて分かったの。やっぱり私はアイドルを舐めてたのね。でも今は違う。私、モデルでも、女優でもなく、アイドルがやりたい!」

P「じゃあ決まりだな、このライブ後は時間はあるか?あるなら手続きを始めたいんだけど...」

梨沙「もちろんあるわ!」

久美子「私も大丈夫よ」

P「そうか、じゃあ終わったら事務所まで送るよ。さて、話も済んだことだし、ライブを楽しもうか」

46: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:48:30 ID:fA1
梨沙「ねぇ、そういえばなんだけど、どうやってこのチケット手に入れたの?しかも3枚も。すごい倍率高かったはずだけど」

P「実は前の事務所で藍子の担当プロデューサーをしてたんだ。今は色々あってクビになったけど、このイベントはその前から決まってたから関係者ってことで何枚かもらったんだよ」

梨沙「へぇ...って、はぁ!?アンタが高森藍子のプロデューサーだった!?そんなの聞いてないわよ!」

P「言ってないからな。でも見る目に自信があるって言ったろ?実績がなかったらそんなこと言えないよ」

梨沙「そんなので気づくわけないでしょ!」

P「ほら、もうすぐ歌に入るから聞こう。いい歌だぞ」

久美子「話を逸らしたわね...」




久美子(でも、見る目があるってのは本当みたい。もしかしたら私もいつかは高森藍子みたいになれるのかな...)

47: 名無しさん@おーぷん 18/10/14(日)15:49:42 ID:fA1
~~Make up your mind完~~

49: 名無しさん@おーぷん 18/10/28(日)21:26:21 ID:DyF
~~3話 What is happiness?~~

50: 名無しさん@おーぷん 18/10/28(日)21:26:26 ID:DyF
--スピカプロダクション
P「というわけで、新たに事務所に所属することになった松山久美子さんと的場梨沙さんだ」

久美子「松山久美子よ。これからよろしくね」

梨沙「アタシは的場梨沙! すぐにトップアイドルになってみせるわ!」

歌鈴「道明寺歌鈴でつ。よ、よろしくお願いします~」

ちひろ「私はアシスタントの千川ちひろです。よろしくお願いしますね」

P「さて、挨拶も終わったことだし、連絡を一つ。スピカプロダクション初の仕事が決まったぞ!」

ちひろ「本当ですか!? 歌鈴ちゃんにですよね、どんな仕事なんですか?」

P「地方局の深夜番組ですね。京都や奈良の神社やお寺を巡る企画だそうです」

P「ロケに行く人は新人アイドルがほとんどらしいですし、巫女をやっているっていうのがイメージに合うってことで声がかかりました」

歌鈴「はわわっ! テ、テレビですかっ!? き、緊張します~」

P「確かに初仕事がテレビってのはラッキーだけど、緊張するよな。でも向こうも新人の扱いには慣れてるだろうからフォローはあると思うし、いつも通りやればいいと思うぞ」

歌鈴「分かりましたっ! 事務所の恥にならないように頑張ります~」

ちひろ「そんなに重く考えなくていいですよ。楽しんでこようくらいがちょうどいいんじゃないですか?」

歌鈴「は、はいっ。そうします~」

P「久美子と梨沙の仕事も明日から探し始めるからもう少し待っていてくれ」

久美子「ええ、分かったわ」

梨沙「早く見つけてきてよね!」

51: 名無しさん@おーぷん 18/10/28(日)21:26:53 ID:DyF
--歌鈴の初仕事、休憩中
歌鈴「はうぅ......、失敗ばかりでした......」

P「まあ、初めてなんだからあれくらいは普通だよ。むしろ自分でカバー出来たんだから上出来だと思うぞ」

歌鈴「でも、緊張してセリフたくさん噛んじゃいましたし......」

P「確かにそこは改善点だな。でも一生懸命に伝えようとしているのはすごい伝わってきたよ。きっと視聴者も分かってくれるさ」

歌鈴「そうでしょうか......」

D「おっ、歌鈴ちゃん! こんなとこにいたのか! 前半戦すごい良かったよ! 今のところ撮れ高十分だからこの調子で後半も頼むよ!」

歌鈴「あ、ありがとうございます~」

D「スピカプロダクションさんだっけ? いいじゃない、気に入ったよ。知名度なんてほとんどない番組だけど、これからも定期的にオファーさせてもらうよ」

P「ありがとうございます」

AD「撮影再開しまーす!」

D「よし、じゃあ行こうか。今度は参拝客のインタビューだ!」

歌鈴「はいっ!」

52: 名無しさん@おーぷん 18/10/29(月)01:54:57 ID:NAC
歌鈴「それでは、あちらの参拝客にお話を聞いてみましょう!」

歌鈴「こんにちはっ!」

参拝客「こんにちは♪」

歌鈴「今日は何しにここへきたんですか?」

参拝客「ここって有名なパワースポットじゃない? 最近占いの結果があまり良くないから運気を回復しようと思って来たの♪」

歌鈴「確かに有名ですよねっ! 私のドジもここのパワーで治らないかな......」

歌鈴「そういえば、嬉しそうですね。何かいいことあったんですか?」

参拝客「せっかく有名なところに来たんだからって運試しにおみくじを引いてみたの。そうしたら大吉だったのよ! この神社、本当にご利益あるわね!」

53: 名無しさん@おーぷん 18/10/29(月)01:56:16 ID:NAC
P(後半も順調だな。この調子なら今日は大丈夫そうだ。......ん?)

??「......」

P(誰だあの子......、遠くの物陰で撮影を見てる......? 見たいならもう少し近づけばいいのに。話しかけてみるか)

P「君、そんなところで何してるんだ? 撮影が見たいならもっと近くに来てもいいぞ。スタッフには話をつけてあげるからさ」

??「......近づかない方がいいんです。私が行くと何が起きるか分かりませんから......」

P「遠慮しなくていいよ。ほら、こっちに......」

??「やめてください! 迷惑かけてからでは遅いんです!」ダッ

P「ちょっと! 待っ......」ガシャァァン

P「うぉっ! ......一体どこから植木鉢が落ちてきたんだ? っと、さっきの子は......、もう行っちゃったか。迷惑なんてこと無いのにな......」

54: 名無しさん@おーぷん 18/10/29(月)01:56:40 ID:NAC
--撮影終了後
歌鈴「ふぃ~、緊張しました~」

P「そうか? いつも通りのびのびとやれてたと思うぞ。参拝客のノリが良かったってのもあるけど、それをうまく引き出せたのはさすが歌鈴って感じだな」

P「よし、初仕事大成功の記念にご褒美をあげないとな。なんでもいいぞ」

歌鈴「いいんですか? じゃあ、帰る前に実家の神社を掃除したいですっ!」

P「それだけでいいのか?」

歌鈴「はいっ! 久しぶりにお父さんとお母さんに会いたいですから」

P「そうか、じゃあ歌鈴が掃除している間は事務所のみんなに買っていくお土産を探してるよ」

55: 名無しさん@おーぷん 18/10/29(月)01:57:29 ID:NAC
--歌鈴の実家の神社
歌鈴「♪~」

参拝客「ここが口コミで有名な神社ね。早速お参りするわよ!」

歌鈴「お参りですか? でしたらこちらから......、あれ? さっき撮影協力してくれた方ですよね?」

参拝客「えっと......、道明寺歌鈴ちゃんだっけ? また撮影?」

歌鈴「撮影は終わりましたっ! 帰る前に一回実家に顔出しに来たんです」

参拝客「実家? どこにあるの? っていうかその巫女装束は何?」

歌鈴「実家はここです。私、ここの神主の娘で、巫女やってるんですっ」

参拝客「ええっ!! 歌鈴ちゃんって神主さんの娘だったの!?」

歌鈴「あんまりそうは見えないですよね、ドジばっかで落ち着きないですし......」

P「おーい、歌鈴! お土産買ってきたぞ......って、ん? 君は確か......」

歌鈴「さっきの撮影でインタビューした人です。名前は、えーと......」

参拝客「あら、名前をまだ言ってなかったわね。あたしは藤居朋よ」

P「藤居さんか。まだパワースポット巡り中か?」

朋「ええ。ここら辺は有名なパワースポットが多いから、よく来るのよね」

朋「そんなことより、歌鈴ちゃんがここの神社の子って本当?」

P「ああ、本当だよ。スカウトしたのもここだったな」

56: 名無しさん@おーぷん 18/10/29(月)01:57:57 ID:NAC
朋「へぇ~、はっ! そういえばさっきのおみくじに待ち人来たるって書いてあったわね! まさか、歌鈴ちゃんが私の待ち人!?」

歌鈴「ふぇっ!? 何でそうなるんですか!?」

朋「神社の娘なんて、絶対強運に決まってるわ! あたしは運のいい人と仲良くなって自分の運気を上げたいって思ってたのよ!」

歌鈴「わ、私そこまで運いい方じゃ無いんですけど......」

朋「運の悪さなんて、いつ好転するかわからないんだから! 最終的には歌鈴ちゃんは絶対強運になるわよ! なんたって神社の子なんだから!」

朋「そうと分かればやることは一つね。あたし、歌鈴ちゃんの家の近くに引っ越すわ!」

P「おいおい、歌鈴は今東京に住んでるんだぞ? 学校はどうするんだ? まだ高校生くらいだろ?」

朋「失礼ね! あたしは短大に通ってる19歳よ。短大は辞めて上京すればいいでしょ?」

歌鈴「え!? 朋さんって年上だったんですか!?」

朋「歌鈴ちゃんまで......」

P「それだけじゃない。そんなことをしてアテでもあるのか? いきなりでは家も借りられないぞ?」

朋「それは......、まあ、どうにかなるわよ。あとは、親を説得する理由が必要ね。さすがに運勢のために上京するなんて言っても許してくれないだろうし......。そうだ、あんた、あたしをアイドルにしてくれない?」

朋「昔からちょっと興味あったのよね♪ 何よりおみくじにも新しいことを始めると良いって書いてあるし♪」

P(すごい決断力だな......。歌鈴の生まれを知ってからこの少しの時間でここまで話を進めるなんて......。この勢いが事務所に加わったら面白いことになるんじゃないか? 動機が少し不安だけど、素質もありそうだし、ここは引き受けるか!)

P「よし、分かった! 歓迎するよ。ただ、もう少し待ってくれないか? こっちも手続きとか色々やることがあるんだ。名刺を渡しておくから、最終的に上京が決まったら連絡してくれ」

朋「分かったわ。じゃあ早速話をつけてくるわね! 明日にでも連絡するわ!」ダッ

57: 名無しさん@おーぷん 18/10/29(月)01:58:21 ID:NAC
P「元気な子だなぁ......。っといけない、言わなきゃいけないことがあったんだった」

P「さっき調べたんだけど、事故があって電車が止まってるらしい。今日は帰れないだろうから、ご両親に頼んで泊めてもらうといい。俺は駅の近くのネットカフェにいるから何かあったら連絡してくれ」

歌鈴「Pさんもうちに泊まればいいんじゃないですか? きっと喜びますよ?」

P「いきなり2人も人が増えたら迷惑だろうからいいよ。それにネカフェも案外休めるからな」

歌鈴「そうですか......。分かりましたっ」

58: 名無しさん@おーぷん 18/10/29(月)01:58:53 ID:NAC
P(さて、とりあえずネカフェに向かうか......、あれ? あの子はさっきの......)

P「ちょっと、君、さっき撮影見てた子だよね? いきなり逃げなくても良かったじゃないか」

??「気づかれちゃっいましたし、迷惑かける前にいなくなった方がいいと思ったので......」

P「迷惑なんてことないよ。ギャラリーがいた方が盛り上がるんだぞ?」

??「知ってますよ。私も前までやってましたから、アイドル」

P「ならなんで逃げちゃったんだ? それに前までって今はもう引退したってことか?」

??「そうです。前に所属してた事務所が詐欺師に騙されて倒産しちゃって、それからもう気力が無くなったんです......」

P「それは......、気の毒だな。違う事務所に入ろうとかは思わなかったのか?」

??「どうせ入ったってまた倒産するに決まってますよ。私はきっとアイドルになっちゃいけない人なんです......」

P「そんなの分からないんじゃないか? 大きめの事務所を探せば倒産するとは考えにくいし」

??「〇〇プロって知ってますか?」

P「〇〇プロ? ああ、最近有名になってきた関西で活動してる中堅プロダクションか。知ってるけど、それがどうしたんだ?」

??「そこが私の入っていた事務所です。決して小さいプロダクションではないですけど、昨日倒産しました。私が入ってまだ2週間しか経ってないんですけどね......。その前にも△△プロとか□□プロも私が入ってすぐに潰れました」

??「私の名前は白菊ほたるです。あなたも名前くらいは聞いたことあるんじゃないですか?」

59: 名無しさん@おーぷん 18/10/29(月)01:59:44 ID:NAC
P「白菊ほたる......、まさかあの呪われたアイドルって有名な? あんなの作り話だと思ってたよ」

ほたる「全部本当の話です。私が所属した事務所で1ヶ月もったところはありません」

P「だから撮影には近寄らなかったのか、不幸が降りかかることを気にして......」

ほたる「そうです。私もお世話になったことのある番組なので迷惑かけたくなかったんです。気にはなったので遠くから見てましたけど......」

ほたる「もういいですよね。電車が止まって帰れないのも多分私と話したからだと思います。これ以上不幸になる前に私から離れた方がいいですよ」

P「これから君はどうするんだ?」

ほたる「どうするも何も、実家に帰りますよ。そのあとは......、きっと普通の暮らしに戻るんだと思います......」

P「君はそれでいいのか? 本当に諦められるのか? 何回倒産しても違う事務所を探してアイドル続けてきたのに。それだけアイドルになりたかったんだろ?」

ほたる「諦めるしかないんです。私がアイドルになったらたくさんの人が困るんです」

P「本当にそうかな? 君がいた事務所はそれなりの規模のものばかりだ。デビューすればそれだけで一定数ファンがつくのを期待できるようなね」

P「そのファンは君がアイドルをやめるって聞いたらどう感じると思う? 君なら分かると思うけど、アイドルが一番に考えなきゃいけないのはファンの事だぞ?」

ほたる「それは......、でも、どこかの事務所に入ったらそこは絶対潰れちゃうんです。他のアイドルの夢を潰すなんてもう出来ません」

60: 名無しさん@おーぷん 18/10/29(月)02:00:14 ID:NAC
P「芸能界は甘くない。事務所が潰れたくらいで諦めるようなアイドルはせいぜいそこまでだ。夢を諦めるのは君のせいじゃない」

P「君がまだアイドルでありたいっていうんならやりたいようにやれよ。ウチの事務所でよかったら協力するぞ」

ほたる「それはスカウトですか?嬉しいですけど、やっぱり無理です。もうこんなことにはなりたくないですから......」

P「倒産なんてしないさ。ウチのアシスタントは特別金にうるさくてね、騙されたり、大損こいたりすることは絶対にないんだ」

ほたる「いろんな人が不幸になりますよ?」

P「何が不幸かはその人が決める。実際さっき撮影してた子は運悪く電車が止まったおかげで久しぶりに家族と暮らしてるし、むしろラッキーなんて思ってるかもしれない」

P「俺も君とこうやって話して、あわよくばスカウトしようとしてる。帰れないことは決して不幸なんかじゃない」

P「これで君が断る理由は無くなったよな。ウチの事務所に来てくれるか?」

ほたる「なんでそこまで肩入れしてくれるんですか......」

P「俺と同じだからかな。俺も一回クビ切られて気力を失った時があって、でもそれをさっき言ったアシスタントに救ってもらったんだ。おかげで今はすごい楽しいからな」

P「君にも知ってほしいんだ、不幸はいつまでも続くもんじゃないってな。不運はいつ好転するか分からない。さっきスカウトした子もそう言っていたよ。」

ほたる「本当にいいんですか、私なんかが入っても......」

P「何回も言ってるだろ、大歓迎だ」

ほたる「......変わった人ですね。酷い目にあうかもしれないのに私なんかに構って......。そんな人今まで両親以外にはいませんでした。前の事務所でも、その前のでも」

ほたる「こんな人がいる事務所だったら、もしかしたらうまくいくこともあるかもしれませんね......」

ほたる「もし、最後のチャンスが今なのだとしたら、やっぱり私、まだ諦めたくないです......!」

P「......そうだと思ったよ。名刺を渡しておくから、落ち着いたら連絡してくれ」

61: 名無しさん@おーぷん 18/10/29(月)02:00:32 ID:NAC
P(決断力があって活発な藤居さんと、アイドル経験ありの白菊さんか。まだ詳しいことはよく分からないけど、事務所がまた賑やかになりそうだ。ただ、ライブバトルに参加するには最低でもあと4人、まだまだ足りないし、明日からもスカウトだな!)

62: 名無しさん@おーぷん 18/10/29(月)02:01:40 ID:NAC
~~What is happiness?完~~

64: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:33:41 ID:FlM
~~4話 Original Intension~~

65: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:35:37 ID:FlM
--スピカプロダクション
P「とまあ、そんなことがあって、この2人が事務所に所属することになった。よろしく頼むぞ」

朋「あたしは藤居朋。これでも19才よ。よろしくね」

ほたる「白菊ほたるです......。迷惑かけることが多いと思いますが、よろしくお願いします......」

P「迷惑なんてことはないさ。ほたるの前の事務所が倒産でドタキャンした仕事のいくつかが回ってきたんだ。企画を知ってるほたるがウチに移籍したことが決め手になったらしい。ウチとしてはむしろラッキーだな」

P「急なオファーだから準備はほとんどできないけど、どれも大きな仕事ばかりだから楽しみにしててくれ!」

66: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:36:32 ID:FlM
--撮影現場
久美子「大きな仕事とは言ってたけど、初仕事がまさか有名雑誌の撮影とは思わなかったわ」

ほたる「すいません、せっかくのお仕事が私なんかと一緒で......」

久美子「 何言ってるのよ、初仕事でこんな大きい仕事、経験のあるほたるちゃんがいないと怖くてやってられないわよ。むしろほたるちゃんが一緒でよかった」

P「そういうことだ。ほたるもあまり気にしすぎるなよ。前にも言ったけど、何が不幸かはその人が決めるんだからな」

P「よし、じゃあ、先輩に挨拶しに行くか。久美子より年下だけど、芸歴としてははベテランの域だから失礼のないようにな」

ほたる「確か岡崎さんですよね? 天才子役として有名だった......」

P「そうだ。もっとも今は昔ほどは見なくなったけどな」

67: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:37:04 ID:FlM
--泰葉の楽屋
コンコン

泰葉「空いてますよ」

久美子、ほたる「失礼します!」

久美子「本日ご一緒させていただく松山久美子です。お願いします」

ほたる「お願いします」

泰葉「お願いします。いきなりのオファーだったって聞いてますけど、頑張ってください」

泰葉「あと、そんなにかしこまらなくていいですよ。白菊さんはほとんど同世代でしょうし、松山さんは年上ですよね?」

泰葉「わざわざ挨拶してくれてありがとうございます。お互い頑張りましょう」

ほたる「あの、撮影してる間、見学しててもいいですか? 岡崎さんの撮影を見て勉強したいんです」

泰葉「勉強だなんて、そんないいものじゃないですけど、私のでよかったらどうぞ見ていてください」

ほたる「ありがとうございます」

68: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:38:16 ID:FlM
久美子、ほたるの楽屋
久美子「すごいしっかりしてたわね。私があれくらいの歳の頃はあんな余裕なかったわよ」

P「なんたって芸歴11年だからなぁ。いやでも礼儀とかは身につくんだろう」

P「それにしても、ほたるが自分から見学したいなんて言い出すとは思ってなかったよ。前までなら俺が誘っても迷惑だから楽屋にいるとか言いそうだったのに」

ほたる「岡崎さんの撮影はいつも順調だって聞いたので、どんなテクニックがあるのか、気になったんです」

P「ほたるも成長したってことだな。自分の意思を伝えられるようになったのはいいことだ」

P「さて、そろそろ始まる頃だし、見に行くか」

69: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:38:50 ID:FlM
--泰葉撮影中
カメラマン「さすが岡崎さん! 完璧だよ。この調子だったら30分は早く終われそうだな」カシャッカシャッ 

久美子「すごいわね、カメラマンさんの指示を聞く前から要求通りのポーズが出来るなんて......」

ほたる「これは私たちが一回見学したくらいで真似出来るものではないですね......」

P「二人もまだまだだな。あれではファンの心は掴めない。」

久美子「どういうこと? 撮影は順調じゃない。カメラマンさんも絶賛してるし」

P「一回、勉強しようとするんじゃなくて、ファンとして見てみたら分かるんじゃないか? 今の彼女にはやるべきことをやっているだけで、情熱が感じられないということが」

ほたる「そうでしょうか......? 私には分からないです」

久美子「私もよ。まあ、Pがそう言うならそうなのかもしれないけど、それでも私たちでは到底敵わないのは確かね」

P「まあ、そのうち分かるようになるさ。今はレッスンも碌に出来てないからそれでも仕方ないよ」

アシスタント「それでは次、松山さんの撮影開始しまーす!」

P「俺は岡崎さんに話があるから少し外すけど、頑張ってくれ。カメラマンさんはベテランだから上手く行くはずだし、ほたるもいるから大丈夫だろ?」

久美子「そうね。緊張は少ししてるけど、イメージトレーニングはたくさんしてきたし、なんとかなると思う」

P「何かあったら連絡くれればすぐ行くからな。初仕事頑張れよ!」

70: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:40:03 ID:FlM
--泰葉の楽屋前
泰葉「......人の楽屋の前で待ち伏せして、一体何の用ですか」

P「どうも、松山久美子と白菊ほたるのプロデューサーのPです」

泰葉「知ってますよ。そんなことを伝えるために待ってた訳じゃないですよね。撮影の時も私のことを何か言ってましたし、そのことじゃないんですか」

P「おっと、聞こえてたのか。ただ、本当にそう思ったもので」

泰葉「余計なお世話ですよ。私に構うより、松山さんの撮影見てた方がいいんじゃないですか? 確か初仕事ですよね」

P「久美子はしっかりしてるし、ほたるはそれなりに場数を踏んでるから大丈夫だろう」

泰葉「でもあなたがいるのに越したことはないですよね。なんで私の楽屋なんかに来てるんですか」

P「単に気になったんだ。一昔前に子役として一世を風靡して、その後もずっと活躍を続けていた岡崎泰葉がなぜあんなしょうもない撮影をするようになってしまったのかってね」

71: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:40:34 ID:FlM
泰葉「中々きつい事を言いますね。じゃあ何がしょうもなかったっていうんですか」

P「聞こえてたんだろ? 情熱感じられなかった。与えられた仕事を全うするだけ。まるで操り人形だ。そんなものを人間がやる意味はない」

泰葉「情熱なんて必要ありませんよ。仕事に感情を持ち込んだら、クオリティにムラができます」

P「それで君は楽しいのか? 本当に自分のやりたい事ができているのか?」

泰葉「私が楽しいかどうかなんて関係ありません。共演者やスタッフさんに迷惑をかけないように、やるべきことだけをやる。それだけでいいんです。それができなくて消えていった人をたくさん知ってますから」

P「そうやって自分の意思を消しても周りからの評価は上がってないぞ。そんな事をしているから仕事が減ったんじゃないのか?」

泰葉「っ!......余計なお世話です。次のお仕事の準備がしたいので失礼します」

P(芸能界を知りすぎたが故にああなってしまったということだろうな。さて、久美子の撮影見に行くか)

72: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:41:12 ID:FlM
--久美子撮影中
カメラマン「いいねぇ、松山さん。モデルの才能あるよ。初仕事でこんなに上手く行くとは思わなかったよ」

久美子「ありがとうございます!」

P「えっ、もう終わったのか!? ちょっと早すぎないか?」

カメラマン「アンタ、いい子スカウトしたね。こんな逸材中々いないよ。それで、予定より早く進んでかなり時間に余裕があるから白菊さんの前に一回休憩入れようと思うんだけど、どうかな?」

P「大丈夫です。後半もよろしくお願いします」

P「お腹空いてきてないか? 俺は近くのコンビニに行ってくるけど、何か買ってきてほしいものとかあったら買ってくるぞ」

久美子「私も行くわ。緊張してたから少し動いてリラックスしたいし」

ほたる「私は何もいらないです。楽屋で撮影の準備してます」

73: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:41:47 ID:FlM
--コンビニ帰り
P「本当に何もいらなかったのか?」

久美子「コンビニの食べ物ばかり食べてると栄養のバランスが崩れて美容に悪いからいいの。Pも気をつけておかないといつか身体壊すわよ?」

P「耳が痛いな......。体に悪いのは分かってるけど、時間がないとつい行っちゃうんだよな」

??「あっ、あのっ! すいません!!」ガシッ

P「うわっ、なんだ!」

??「あそこで撮影してる事務所のプロデューサーさんですよね!? 私、工藤忍って言います! 私をアイドルにしてください! お願いします、今日を逃したらもうチャンスは無いんです!」

P「おいおい、いきなりなんだよ君」

忍「お願いです! 青森から家出してきて東京まで来てるんですけど、もうお金がなくて今日の夜には帰らなきゃいけないんです! 両親には反対されているから今日を逃したらもう二度と東京なんて行かせてくれない......」

74: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:42:36 ID:FlM
P「だいたい、何で俺がプロデューサーだって知ってるんだ?」

忍「あの建物の中でアイドルが撮影してるって聞いて、そこでスカウトしてもらおうと待ってたらあなたが綺麗な女の人と一緒に出てきたのできっとそうだと思ったんです。あなたはアイドルですよね?」

久美子「ええそうよ。まあ、今日が初仕事の新米だけどね」

忍「やっぱり! そうだと思った! ねえ、いいでしょ、アタシをスカウトして!」

P「悪いけど、今は忙しいんだ。まだ撮影も終わってないしな。今日の夜に帰るんだったら他を当たった方がいい」

久美子「えっ? でも撮影はもうほたるちゃんだけじゃ......」

P「それじゃあな。スカウトしてもらえるといいな。頑張ってくれ」

忍「そんな!? そうだ、今から少しだけ踊って見せるから、それだけでも見てよ!」

P「悪いな、本当に時間が無いんだ」

75: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:42:56 ID:FlM
--撮影所
久美子「中々衝撃的な子だったわね、かなりアイドルになりたかったみたいだけど、何で無視しちゃったの?」

P「あんなに必死になってるのを見てちょっと引いてた。今冷静に考えれば別にダンスくらい見ても良かったな」

久美子「今からでもさっきの場所戻る? もしかしたらまだいるかも」

P「流石にもういないだろ。あの子には悪いことしたな。工藤忍って言ってたっけ?」

久美子「そうね。ウチのスカウトマンはPしかいないんだから次からはちゃんと見逃さないようにしてよ。ちひろさんも今はスケジュール管理とかで忙しくて他の事に手が回らないみたいだし」

P「ああ、気をつけるよ。あの子、スカウトされるといいな」

76: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:43:38 ID:FlM
--撮影後
カメラマン「そろそろ撮影再開しようか。白菊さん、よろしく頼むよ」

ほたる「よろしくおねがいします」



P「うまくいってるな。楽しんでるのが伝わってくる。いい写真になりそうだ」

久美子「久しぶりに順調なお仕事なんじゃない? 前の事務所ではなかなかうまくいかなかったって言ってたし」

P「ああ、岡崎さんもこれくらい楽しそうにやればもっと良くなるのになぁ」

久美子「あんまり大きな声で言うと聞こえちゃうかもしれないわよ。ここから楽屋まであまり離れてないんだから」

泰葉「そうですね。些細なことで干されることもある世界で、そういうことを言うのはどうかと思いますよ」

P「なんだ、いたのか。次の仕事の準備してるんじゃなかったのか?」

77: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:44:06 ID:FlM
泰葉「少し息抜きです。別に私が何していようが貴方には関係ないですよね」

P「息抜きねぇ......だったらほたるの撮影見ていってくれないか? 後でアドバイスやったら喜ぶと思うぞ」

泰葉「私のことをあれだけ酷評しておいてそんな都合のいいことがよく言えますね」

P「勘違いしないでくれよ。俺は岡崎さんの技術は素晴らしいものだと思ってる。ただ気持ちが見えないってだけだ」

P「それに、岡崎さんにも何か得るものはあるんじゃないかな。ほたるは自信なさそうにしてるけど意外となかなかの実力者だぞ」

泰葉「別に元から見学するつもりで出てきたのでいいですけどね」



泰葉(......楽しそう。私も昔はあんな顔してお仕事してたのかな......)

78: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:44:39 ID:FlM
--撮影後
P「無事に終わってよかったな」

ほたる「はい。機材が故障しない撮影なんて初めてだったので少し新鮮な気分です」

久美子「あっという間だったわね。カメラマンさんもすごい褒めてくれたし、少し自信ついたわ」

P「二人ともよくやったよ。俺の出る幕も無かったしな。さて、今から帰れば暗くなる前に着くと思うけど、どうする? どこか寄っていきたい場所とかあるか?」

久美子「私はないわ。さすがに疲れたし、早く帰って休みたいかな」

ほたる「私もです。何か悪いことが起こる前に落ち着きたいです」

P「そうか、それならさっさと帰ろう。忘れ物はないよな。じゃあ車に......ん? 岡崎さん、何か用か?」

79: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:45:18 ID:FlM
泰葉「あのすいません、白菊さん、ちょっといいですか?」

ほたる「え? 私は大丈夫ですけど......」チラッ

久美子「私のことは気にしなくていいよ。車で待ってるわ」

ほたる「それなら少しだけ......」

泰葉「ありがとうございます。少しここでは話しづらいので私の楽屋で話しましょう」

80: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:46:18 ID:FlM
--泰葉の楽屋
ほたる「あの、なんでしょうか。私何か失礼なことでもしてましたか?」

泰葉「あっ、いや、そういうのじゃなくて、その......何であんなに楽しそうなのかなと思って......」

泰葉「白菊さんって呪われたアイドルって言われて、実際酷い目に沢山遭ってるのに、それでも本当の笑顔でお仕事できるって何でなのかなって。私はとうの昔に笑顔なんて失ってしまったので......」

ほたる「? 岡崎さんは素敵な笑顔でしたよ?」

泰葉「あれは嘘の笑顔です。白菊さんの心からの笑顔とは違う。私はそんな嘘の笑顔を本当の笑顔と他からは区別できなくなるほどにやり慣れてしまったんです。私はもうどう笑ったらいいのか分からない」

泰葉「あのプロデューサーの言う通りなんです。私はスタッフさんの命令通りに動くだけの意思のない操り人形なんです」

泰葉「でも、白菊さんは違った。散々苦しい思いをしてきて、いつも不安そうな顔をしてるのに、いざ撮影が始まれば眩しいくらいの笑顔なんです。それでどんな工夫をしてるのかって気になったので......」

81: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:46:42 ID:FlM
ほたる「何の工夫もありませんよ。ただお仕事が楽しいだけです。岡崎さんは楽しくないんですか?」

泰葉「お仕事が楽しい、ですか。私にもそんな時がありました。あの頃はただがむしゃらにオファーをこなして、必死でした。あの時の私は本当の笑顔だったんでしょうか......」

ほたる「私は岡崎さんほど芸能界にいないのでよく分からないですけど、自分が楽しくないのにファンを楽しませるなんて無理なんじゃないかなって思うんです」

泰葉「自分が楽しむことで、ファンも楽しませる......。なるほど、私はいつのまにか楽しませる対象がスタッフさんに変わっていたのかもしれませんね。だから自分の意思を殺すようになってしまった......」

泰葉「ありがとうございました。何か掴めたような気がします。私ももう一度、お仕事の楽しさを思い出してみます」

82: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:47:11 ID:FlM
--同時刻、駐車場
久美子「岡崎さん、何かしらね。結構深刻な顔してたけど......」

P「まあ、向こうも色々あるんだろうさ。あまり詮索してやるなよ」

久美子「ええ、それは分かってるけど、何でほたるちゃんなのかしら......」

P「さあな。考えても分からないだろうし、座席で待ってよう」

忍「あのっ、すいません。もしかして撮影終わりました?」

P「はい、終わりましたけど、どうかしましたか......って君はさっきの、工藤さん......だったかな?」

忍「はいっ! 急いでるのに無理やり声かけてすいませんでした」

P「こちらこそ無視してしまって申し訳なかった。それより時間は大丈夫なのか? てっきり他の現場とかに行ってると思ってたけど」

忍「他のところは出待ちが多くて声すらかけられなかったんです。それで最後のチャンスと思ってまた戻ってきました。今からお時間ありますか? 5分だけでいいので」

P「そりゃあ大変だったな。じゃあ近所に迷惑にならない程度で5分と言わず好きなだけやってごらん」

忍「本当ですか!? ありがとうございます! じゃあ歌とダンスをやります!」

83: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:47:36 ID:FlM
忍「♪~」

P(普通だな。決して下手ではないが、才能があるわけではなさそうだ。まあ、素人が独学でやってたらこんなものだろうな。しかし......)

P(ものすごい集中力だ。さっきから通行人にジロジロ見られてるのに、全く気にしていない。それに気持ちが強く伝わってくる。これは生半可な覚悟で上京してないぞ......)

久美子「ねえ、P、彼女......」

P「ああ、まさかここまでやるとは思わなかった。おい! ちょっと、聞こえてるか!?」

忍「あっ、はい! すいません。何ですか?」

P「最後まで見るまでもない。採用だ。うちの事務所でアイドルになってくれ」

忍「本当ですか!? ありがとうございます! これで安心して青森に帰れる......!」

P「これが名刺だ。事務所の住所宛に履歴書とか送ってくれたら後は好きなタイミングでもう一回上京してくればいい。あと、両親にはしっかりと話をしておくようにな。俺の名刺を見せても反対してくるようだったら俺が青森まで行って話してやる」

忍「大丈夫です。絶対に説得してみせます。それじゃあそろそろ新幹線の時間が近いので帰ります。ありがとうございました。これからよろしくお願いします!」

P「ああ、いい知らせを待ってる。説得頑張れよ!」

84: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:48:01 ID:FlM
久美子「あの子の諦めが悪くて助かったわね」

P「本当にそうだな。危うくダイヤの原石を見逃すところだった」

久美子「これで一件落着ね、ほたるちゃんもそろそろ帰ってくるだろうし、車で待ってましょう」

P「いや、まだ一つだけ残ってる。まあ、俺に出来ることはもうないからほたる次第だけどな」

久美子「?」

85: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)15:48:27 ID:FlM
--数日後、スピカプロダクション
ちひろ「Pさん、この前言ってた忍ちゃんって子の履歴書が届きましたよ。ご両親も納得してくれたみたいです」

P「おっ、そうですか。案外早く解決したな」

ほたる「忍さんって誰のことですか?」

久美子「そうか、ほたるちゃんは会ってなかったわね。撮影の時にPがスカウトした子よ」

ほたる「また一人メンバーが増えるんですね」

ピンポ-ン

P「はい、今出まーす!」

ガチャ 

P「どちら様で......、ふふっ、増えるのは一人じゃないみたいだぞ」

86: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)16:03:12 ID:FlM
超えていないはずなのに行数制限がかかって続きが投稿できません。もう少々お待ちください。

87: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)16:04:37 ID:FlM
泰葉「私をこの事務所に入れてください! 芸能界に入ったばかりの頃の気持ちを思い出して、全力でお仕事に取り組みます!」

P「ちゃんと人間の顔になったじゃないか。前の事務所はどうした?」

88: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)16:06:16 ID:FlM
泰葉「白菊さんに言われたことをプロデューサーに相談したら、ものすごい怒られたんです。楽しいだけが芸能界じゃないだろって」

泰葉「でもそのときに、プロデューサーは私に人形になれって言ってきたんです。だから辞めてきました。私は事務所にお金を運んでくる馬車馬の一つでしかなかったんです」

P「まあ、そんなことだろうと思ったよ。何はともあれ、ようこそスピカプロダクションへ。前の事務所みたいな力はないけど、出来る限りのことはするよ」

泰葉「はい! よろしくお願いします!」



ちひろ(ウチもだんだん賑やかになってきましたね。ただ、泰葉ちゃんもあまり話し合って辞めた感じではないですし、変ないちゃもんつけられなければいいですけど......)

89: 名無しさん@おーぷん 18/12/04(火)16:08:17 ID:FlM
~~4話 Original Intention完~~

91: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:38:49 ID:AQf
~~5話 Do your best!~~

92: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:39:40 ID:AQf
--スピカプロダクション
ガヤガヤ

ちひろ「泰葉ちゃんと忍ちゃんが入って事務所が狭くなってきましたね」

P「そうですね。レッスンとかがあれば事務所に溜まる子も減るんでしょうけど、現状そんなお金は無いですし......」

ちひろ「ほたるちゃんのコネで来たお仕事も一段落しちゃいましたし、本格的に暇になりますね......。次のお仕事って何でしたっけ?」

P「......未定です」

ちひろ「......まあ、事務仕事は山ほどあるのでPさんに手伝ってもらえるのはありがたいですけど、アイドルの子たちに何もすることないのはモチベーションにも関わりますからどうにかしてあげませんと......」

93: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:40:32 ID:AQf
プルルルルルルガチャッ

P「はい、スピカプロダクションです」

D「おお、この声はあの時のプロデューサーかな? この前の神社仏閣巡りの時のディレクターだよ」

P「道明寺の時のですか。その節はお世話になりました。この前放送されてましたけど、評判はどうでしたか?」

D「上々だったよ。『あの道明寺歌鈴って子は何者だ』って電話が数本あったけど、そっちには連絡来なかったのかい?」

P「来てないですね。まあ、うちはファンクラブもないですから仕方ないといえば仕方ないですけど」

D「そんなものなのか? まあいい、今回はそんなことを伝えるために電話したんじゃないんだ」

P「違うんですか? それじゃあ何を?」

D「何ってテレビ局の人間がプロダクションに連絡してるんだから仕事の依頼に決まってるだろう」

P「本当ですか!?」

D「ああ、しかも2つだ。1つ目は街ブラロケのゲストだな。今回は茨城県に行って適当に散歩する予定なんだ」

D「そこで的場梨沙ちゃんと工藤忍ちゃんを使わせてくれないか?梨沙ちゃんは物怖じしないで物が言える子だし、忍ちゃんはまだ関東には慣れてないだろうから面白い画が撮れると思うんだよなぁ」

P「はい! 喜んで! 撮影はいつになりそうですか?」

D「それが問題でね、もともと違う人にオファーしてたんだけど、その人に急な仕事が入っちゃってキャンセルになっちゃってね。その代役としてのオファーだから、あんまり時間がないんだ。2週間後ってのは大丈夫かい?」

P「大丈夫です! それで2つ目っていうのはどんなお仕事何ですか?」

D「こっちはすごいぞ。バラエティのミニコーナーレギュラーだ。しかもゴールデン。歌鈴ちゃんにお願いしたい」

P「ゴールデンのレギュラーですか!? 一体何でそんな大きな仕事をウチに......?」

D「さっきも言った通り歌鈴ちゃんが中々評判良くてね。知名度はまだまだだけどチャレンジしてみてもいいんじゃないかってなったんだ。ちなみにゲストを呼ぶこともあるんだけど、その枠におたくのアイドルを使うこともできると思う」

P「あ、ありがとうございます! そっちも受けさせていただきます!」

D「じゃあ決まりだな。歌鈴ちゃんの方はまだ先のことだからいいとして、とりあえずロケの資料を急ぎで発送するから、目を通しておいてくれよ」

P「はい! ありがとうございます!」

94: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:43:59 ID:AQf
ガチャッ

ちひろ「今の電話、お仕事の話ですよね? レギュラーが決まったんですか!?」

梨沙「レギュラー!? それって本当!? 誰にオファーが来たの!?」

P「歌鈴だよ。一番最初の撮影はもう少し後だけど、その前に打ち合わせとかあるだろうから少し忙しくなるかもな」

梨沙「アタシの仕事はまだ無いの? 事務所に入ったのはアタシが2番目なのに仕事の数はみんなより少ないと思うんだけど! 努力が足りてないんじゃないの?」

P「そんな生意気なことを言う子には仕事はあげられないなぁ。せっかくオファーが来たのに、もったいないけど断るしかないかなぁ」

梨沙「えっ!? 嘘よ、嘘。何でもないから早く詳細教えなさい!」

P「冗談だよ。茨城で街ブラロケ、忍も一緒だ。名指しでのオファーだったから評価されてるってことかもな」

忍「私がテレビ......? 夢みたい......」

P「忍はこれが初仕事だな。みんなに同じこと言ってるけど、いつも通りやれば何の問題も無いはずだよ」

ちひろ「Pさん、少しお話があるんですが......」

P「いいですよ。何ですか?」

ちひろ「ウチの事務所、あのテレビ局に気に入られた感じじゃないですか。今回のゲストやレギュラーのお仕事以外にもたくさんのオファーが来るかもしれませんよ」

ちひろ「そうしたら事務所にはそれなりのお金が入りますし、場合によってはトレーナーさんを雇えるようになる可能性も出てくるんじゃ無いですか?」

P「確かにそうですね。歌鈴のコーナーに他の子をゲストでねじ込むこともできるって言ってましたし。じゃあ今のうちから安く請け負ってくれるトレーナーを探しておきます」

忍「レッスンもできるようになるの!? 本当にアイドルになったみたい......」

P「まあ、良い人が見つかればの話だけどな」

95: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:44:32 ID:AQf
--2週間後
忍「うわぁ......。カメラも大きなマイクもある......。これが撮影現場なんだ......」

P「緊張してるのか?」

忍「ううん、緊張っていうよりかは感動って感じかな。アタシもアイドルになったんだなって」

梨沙「早く衣装に着替えて始めるわよ! 久しぶりのお仕事だし、気合い入れていくんだから!」

D「おっ、やる気十分って感じで頼もしいな。今日のトリは夜景だから楽しみにしててくれよ。それにしても突然の連絡で申し訳なかったね。スケジュールに問題はなかったのかい?」

梨沙「問題も何もそもそもお仕事が1つも決まってないからね!」

P「あんまりそういうことは大きな声で言わないでほしいかな......」

忍「まあまあ、Pさんも頑張ってるし、今回こうやってお仕事できるんだからいいじゃない」

D「おたくの懐事情は知らないけど、潰れない程度に頼むよ。せっかくウチが見つけた有望株なんだから」

P「......善処します」

D「よし、じゃあ準備できたら早速始めようか。今日は梨沙ちゃんがいるから21時までには撤収しないといけないからね」

96: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:45:10 ID:AQf
--夜景撮影現場
忍「うわぁーーー!! すっごいキラキラしててキレイ!!」

梨沙「夜景なんて東京でも見れると思ってたけど、これは想像以上ね! パパにも見せてあげたかったわ」

D「早速で悪いけど撮影始めようか。もう8時回ってるし、エンディングのことを考えるとそんなに時間はかけられないぞ!」

P「すいません、ウチのアイドルが力不足で......」

D「あ、いや、そういう意味で言ったんじゃないんだ。二人とも頑張ってくれてるよ。それにまだ急げば間に合う時間だしな」

梨沙「時間ないんだったら早くやるわよ! アタシのせいで中途半端になったなんて言わせないんだから!」

97: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:45:33 ID:AQf
--撮影終了後
D「よし、なんとかギリギリ9時前に終わったか。2人とも最後の方は駆け足になって悪かったね」

忍「大丈夫です! とっても楽しくて、あっという間でした!」

梨沙「アタシはカワイイところが撮れてれば問題ないわ!」

D「だったらばっちりだ! 2人とも今日はずっとかわいかったよ」

梨沙「......なに? アンタロリコンだったの?」

D「辛辣だなぁ。ところであまり急いでないみたいだけど、時間は大丈夫なのかい?」

P「時間? 撮影は終わりましたし、大丈夫ですよ?」

D「いや、そうじゃなくて、すぐにでも電車に乗らないと東京に着く頃には11時を過ぎるぞ。そうしたら深夜徘徊で補導されるんじゃないか?」

P「......忍! 梨沙! 急ぐぞ! ディレクターさんもありがとうございました!」

忍、梨沙「あ、ありがとうございました!」

D「はいよ、気をつけてな」

98: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:46:04 ID:AQf
梨沙「で、結局間に合わないことが分かった訳だけど、どうするつもり?」

忍「タクシーでも捕まえて帰れないかな?」

P「出来ないこともないけど、経費で落ちるかは微妙なとこだな。中々高くなりそうだし。2人とも明日って何か用事あるか?」

梨沙「明日はないわね。パパが仕事で家にいないからせっかくの日曜日なのにどこにも行けないのよ」

忍「アタシも何も無いかな。まだこっちで一緒に遊びに行くような友達はいないから、しいて言えば事務所でおしゃべりするくらいだけど......。もしかしてここで一泊するつもり?」

P「ああ。仕方ないけどそうするのが一番だろう。親御さんには連絡しておくよ」

梨沙「アタシは自分でするからいいわよ! そんなことより、帰らないんだったらまだ時間あるでしょ? ちょっと遊んでいってもいいんじゃない?」

P「ダメだ。明日は朝一で帰るんだからな。疲れてるだろうし早く休んだ方がいい」

忍「ちょっとだけでもダメかな? 駅前ぶらつくくらいでいいから」

P「......そこまで言うなら仕方ないな。ちょっとだけだぞ」

99: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:46:39 ID:AQf
--駅前
梨沙「駅前に来たはいいけど、これといってすることもないわね」

P「まあ、そんなもんだろう。そんなに大きな駅じゃないし。どうする? 散歩ぐらいしかできないけど」

忍「ねえ、あそこに人がいっぱいいるよ! 何かやってるんじゃない? 見に行こうよ!」

P「ストリートパフォーマンス的な何かじゃないか? よく聞くと音楽聞こえてくるし。梨沙は行きたいか?」

梨沙「もちろん! ダンスとかだったら嬉しいわね!」

P「そういえば梨沙はダンスが得意だったな」

梨沙「そういえばって何よ! 忘れてたの?」

P「いや、忘れてたわけじゃないけど、実際に見たことないからな。そんなことより早く行こう。終わっちゃうかもしれないぞ?」

忍「確かにそうだね。早く行こう!」

100: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:47:44 ID:AQf
ズンチャカズンチャカ

梨沙「やっぱりダンスだったわね! アタシも混ざってきていいかしら?」

P「駄目だからな? 邪魔するもんじゃない」

梨沙「ちぇっ、いいじゃない少しくらい」

忍「まあまあ、迷惑になってもいけないし、仕方ないよ。それよりすごいダンスだね。あんなに激しい振り付けなのに動きがピッタリで、息のあった仲間って感じ」

梨沙「そうね、みんな楽しそうだし、きっと、ずっと同じ仲間で踊ってきたのね」

P「......」

忍「どうしたの、プロデューサーさん?」

P「ああ、いや、ちょっと気になることがあってな」

梨沙「なに? またスカウトしようとしてるの?」

P「んー、ちょっと引っかかることがあるから、スカウトするならそれが解決してからだな」

忍「じゃあパフォーマンス終わったらその人に話しかけてみようよ」

P「そうだな。ちょっと時間かかるかもしれないけど、いいか?」

忍、梨沙「もちろん!」

101: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:48:16 ID:AQf
パチパチパチ

梨沙「これで終わりよね。気になる人っていうのはどの人なの?」

P「あの端のほうにいるちょっと小さめの人だよ」

忍「もしかしてあの人? すごい綺麗な人だよね。アタシも気になってたんだ。おーい、そこのお姉さん! ちょっと質問してもいいかな? あ、いや、質問があるのはアタシじゃなくてこの人なんだけど......」

??「えっ、何? 何か用ですか?」

P「いや、怪しい者じゃないんだが、ちょっと気になることがあってな......」

??「まあ、ちょっとくらいならいいけど、気になったことって?」

P「君のダンス、素晴らしかった。あのグループでダンスが一番上手いのは素人目に見ても君だ。なのになぜそんな端でやってるんだ? センターに出ればもっと輝けるのに」

??「どうだっていいでしょ、そんなこと。アタシもいろいろ考えて迷惑にならないようにやってるんだから」

P「迷惑、ね。君がセンターになると誰に迷惑がかかるんだ?」

??「みんなだよ。アタシがセンターにいったらアタシだけが目立ってみんなが楽しくなくなるからね」

P「それで君は本当に満足してるのか?」

??「......もちろん。みんなが楽しく踊れるならそれが一番でしょ?」

P「そのみんなの中に君は入ってないんじゃないかな。少なくとも俺にはそう見えたけど」

??「それは......」

ダンサー「ちょっと聖來ー! 何してるのー! もうみんな飲み会行っちゃうよー!」

聖來「え? あっ、ちょっと待って! 今行くから! そういうわけだから、悪いけど行くね!」

102: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:48:38 ID:AQf
梨沙「タイミング悪いわね......」

P「まあ、こんなこともあるさ。スカウト失敗で一々落ち込んでたらプロデューサーなんてやってられんからな。よし! そろそろいい時間だし、ホテル行くぞ! っていうか急がないと連絡した時間に間に合わないから走るぞ!」

忍「そんな! 撮影終わりで疲れてるのに!」

P「遊びたいって言った2人が悪いんだからなー。全力で行くぞ!」



??「あれ? あの人はもしかして......。へへっ、これは確認の必要がありますなあ」

103: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:49:00 ID:AQf
--翌日早朝、駅までの道
梨沙「何もこんなに早く出る必要なかったんじゃない? どうせ今日も休みなんだし」

P「二人は休みかもしれないけど、俺が仕事なんだよ。昨日ちひろさんにサボる気じゃないかと散々疑われたから遅れるわけにはいかなくてな」

忍「ちひろさんそんなこと言うの? いつも優しいのに」

P「二人はちひろさんの本当の怖さを知らないんだよ......。あの人どこから聞きつけたのか分からないようなネタを使って精神攻撃してくるからな。二人とも気をつけた方がいいぞ。怒らせたら大変なことになる」

梨沙「まるで経験者みたいな言い方だけど、もしかして怒らせたことあるの?」

P「昔にちょっとな。あんまり深く聞かないでくれるか? 思い出すだけでも鳥肌が立つ......」

忍「そんなに怖いんだ......」

P「まあ、怒らせなければただの優しい人だからいいんだけどな」

梨沙「でも、それにしたってこんなに早くなくてもいいじゃない。まだ誰も歩いてないわよ?」

P「誰もってことはないだろう。ところどころでランニングとか散歩してる人もいるし......ん? あの人はもしかして......」

忍「......昨日の人じゃない? 確かセーラって呼ばれてたけど。もう一回スカウトしてみようよ!」

P「やっぱりそうだよな。ちょっと時間ないけど、チャンスだし話しかけるか!」

104: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:51:25 ID:AQf
P「おはようございます」

聖來「おはようござ......えっ? な、何? もしかして尾行してたの!?」

P「おいおい、いきなり物騒なこと言わないでくれよ。たまたま駅に向かってたら君が反対側から来たんだ。犬の散歩か? 朝早いのに大変だな」

聖來「......じゃあそういうことにしといてあげる。別に散歩は大変なんかじゃないよ。わんこと歩くの楽しいし」

P「そういうものか。ところで、こっちも帰り道で時間があまりないんで本題......というより昨日の続きを話したいんだけど」

聖來「ああ、本当に楽しんで踊ってるのか、ってやつ? まあ、確かにアンタの言う通りアタシは全力出せてないけど、それでも楽しいよ。気の合う仲間と一緒に一つのものを作り上げるって楽しそうだと思わない?」

P「それについては大賛成なんだが......君が本当にしたいのは楽しいだけのダンスなのか? 大きなステージで全力のパフォーマンスを見せて、観客全員感動させる。そんなことを夢見てダンス始めたんじゃないのか? 楽しむだけが目的だったらあのレベルまでは到達できないぞ」

聖來「確かに始めた時はそうだったよ。でももう違うんだ。どんなに頑張ってもアタシは所詮ちょっと器用な路上パフォーマーくらいにしかなれないから。アタシくらいのレベルなんか山ほどいるし、それにもう夢見てられるような年齢じゃないし」

聖來「だから諦めたの。っていっても決めたのはついこの前で、だからこそアンタに気づかれて、質問にも即答できなかったんだけどね」

P「なるほど、ギリギリセーフだったってことか」

聖來「なんのこと?」

P「今まで黙ってたけど、実は俺は東京の芸能事務所で働いてるんだ。まあ、スカウトマンってやつだな。そこでだ、アイドルやってみないか? 大きなステージ、沢山の観客、信頼できる仲間、ライバル。なんでも揃ってるぞ」

聖來「へぇ、スカウトマンなんて実在するんだ。じゃあ横にいるその二人もアイドルなの? やたらかわいい子連れてると思ってたけど」

忍「そうです! アタシは工藤忍。アイドルっていっても昨日が初仕事だった新人だけどね」

梨沙「アタシは的場梨沙! いつか絶対にトップアイドルになるから覚えておいた方がいいわよ!」

聖來「アタシも名乗ってなかったね。水木聖來だよ」

P「自己紹介もいいけど、スカウトの件どうしたい? 強要はできないけど、チャレンジしてみないか? やりたいことやらない人生なんてつまらないだろ?」

聖來「まあ、魅力的な話ではあるけどね。童顔なんだけどアタシもう23歳なの。そろそろ現実見ないとね。アイドルならなおさらじゃない? 流行りの子って大体10代の子だし、この二人もそうでしょ?」

P「まあ、確かに20過ぎでアイドルデビューってのは滅多にないことだな。でもそれに何の問題があるんだ? 成功例だって山ほどあるし、水木さんなら成功出来ると思ったからスカウトしたんだ」

聖來「んー、でもやっぱりアタシはできないかな。せっかくちゃんと就職して両親安心させられたのに、今更アイドルやるなんて言えないよ。悪いけど他をあたって?」

P「そうか......そこまで言うなら仕方ないか。一応名刺だけは渡しておくから、いつかやりたくなったら連絡くれ」

聖來「ありがと。多分しないと思うけど」

105: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:52:25 ID:AQf
梨沙「ねえ、電車の時間大丈夫? 結構長く話してたけど」

P「......あっ! まずい、もう過ぎてる......。次の電車は......20分後か。結構待つな......」

聖來「まだ通勤ラッシュ前だから仕方ないよ」

梨沙「じゃあ、時間あるならセーラと一緒に踊ってみたい! 昨日は出来なかったし!」

聖來「もちろんいいよ! 曲は何にする? 聞いたことあるやつなら多分出来るけど」

梨沙「昨日の曲でいいわよ!」

聖來「じゃあそれでいこうか!」

忍「梨沙ちゃんのダンス、初めて見るなぁ。どんな風に踊るんだろう」

P「俺も得意ってことしか知らないから分からんな」

106: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:52:53 ID:AQf
--5分後
梨沙「あー楽しかった。アタシもこういうのお仕事でやってみたいなー」

聖來「すごいね! 1回見ただけでほとんど振り付け覚えてるなんて」

忍「二人ともすごいなぁ。アタシの見様見真似のダンスとは訳が違うよ」

P「忍も決して下手ではないんだけど、これがトレーナーの有無の差なんだろうな」

聖來「レッスントレーナーとかいないの?」

P「ウチは小さい事務所だからな。いないというより、雇う金がないんだ。最近資金の目星がついたから引き受けてくれる人を探してるんだけど......」

聖來「......へぇ、大変なんだ。いい人が見つかるといいね。ところで、そろそろ時間丁度いいんじゃない? あと10分で電車来るよ?」

P「そうだな。じゃあ帰るか。連絡待ってるからな。いつでも大歓迎だ」

聖來「うん、期待しないで待っててよ」

P「待っててってまるで連絡するみたいなこと言わないでくれよ。期待しちゃうぞ?」

梨沙「じゃあね! 一緒に踊れて 楽しかったわ!」

忍「元気でね!」

107: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:53:18 ID:AQf
??「おーい! そこのお姉さーん! ちょっといい?」

聖來「え? 何?」

??「さっき男の人に名刺もらってたよね? ちょっとだけ見せてもらってもいい?」

聖來「名刺? いいのかな? 連絡先とか色々書いてあるけど」

??「大丈夫! あの人、私の知り合いかもしれないからその確認だけ!」

聖來「だったらあの人に直接話しかければいいんじゃない? 今なら追いかければ間に合うよ?」

??「分かってませんなあ。捜査の醍醐味は聞き込みだよ? 本人に聞いたら面白くないでしょ?」

聖來「捜査って......まあ、知り合いならいいけど......はい、これが名刺」

??「ありがとう! どれどれ......スピカプロダクション代表、P.......なるほどなるほど、やっぱり思った通りだったよ! 昨日見失ったときはどうしようかと思ったけどホテルが同じで助かったね。お姉さん、この名刺、写真撮っていい?」

聖來「いいけど、ヘンなことに使わないでよ?」

??「もちろん! あーちゃんに報告するだけだから!」

未央「それにしても、未央ちゃん、ファインプレーしちゃったかな?」

108: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:53:38 ID:AQf
--数分後、スピカプロダクション
プルルルルル

ちひろ「はい、スピカプロダクションで......あ、Pさんですか? はい......、はい? なるほど、分かりました。待ってますね」ガチャ

ちひろ「20分遅刻ですか......。今回はあのネタ使いますかね......」

109: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:53:58 ID:AQf
--数日後、スピカプロダクション
ちひろ「今日はトレーナー志望の人が面接に来る日ですけど覚えてますか?」

P「もちろんですよ。忘れるわけないじゃないですか」

ちひろ「スカウトに夢中になって遅刻する人が何を言って......」

P「は、はい! すいません教えてくれてありがとうございます!」

ちひろ「なんて、冗談ですよ。根に持つタイプじゃないのは知ってるじゃないですか」

P「まあ、それだけ反省してるってことで......。とにかく、面接してきますね。いい人だといいんですけど......」

ちひろ「今度は遅刻しないでくださいね」

P「は、はいぃぃぃ!」

110: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:54:20 ID:AQf
--喫茶店
P「ここも久しぶりだな。久美子と梨沙の面接したとき以来か。面接希望者はまだみたいだけど、俺じゃなくて向こうが遅刻か?」

カランカラン

聖來「ギリギリセーフかな? あ、いたいた! 東京の道は入り組んでて難しいね!」

P「え? は?」

聖來「あ、ごめんごめん、ダンストレーナー志望の水木聖來です! 面接お願いします!」

P「いや、どういうこと? 就職したからダンスは諦めたって言ってただろ?」

聖來「それはプロになることね。ダンスをやめる気はないよ。それから、前いた会社は辞めてきたから。こっちの方が楽しそうだし!」

P「そんな簡単に決めていいのか......?」

聖來「スカウトしてきたのはアンタのくせにそんなこと言わないでよ。それに形は違ってもダンスを仕事にできるってすごい魅力的なんだよ?」

P「いや、期待するなって言われてたからこの展開は予想してなかったな......」

聖來「そう? てっきりバレてると思ってたし、むしろ気付いてて欲しかったんだけど」

P「どこに気付く要素があったんだ?」

聖來「言ったでしょ、期待しないで待っててって。アイドルになるつもりはないけどそっちに行くってこと」

P「そんなので気付くかよ......」

聖來「それで、採用? 不採用? ちなみにさっきも言ったけど前の会社退職してるから後には引けないから」

P「もう採用だ、採用! 1本取られたよ」

聖來「やったね! それで、事務所はどこなの? 早く行ってみたいな」

111: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:54:49 ID:AQf
--スピカプロダクション
P「ただいま戻りました」

ちひろ「あれ? 早いですね。その人はもしかして?」

P「ウチの専属ダンストレーナーの水木聖來です」

聖來「よろしくお願いします!」

忍「あ! 水木さん! アタシ達のトレーナーになるの?」

聖來「そうだよ。これからよろしくね」

久美子「この人が前話してたダンスの上手い人? よろしくね」

梨沙「そうよ! アタシと同じくらいだから相当上手いわよ!」

久美子「梨沙ちゃんと同じって言われても見たことないから分からないわよ......」

聖來「確かに上手だったよ。でも少し基礎が疎かになりがちかなとは思ったけど」

梨沙「仕方ないでしょ! ぶっつけ本番だったんだから!」

P「はいはい、喧嘩しない。トレーナー目線のアドバイスなんだから受け入れなきゃダメだぞ?」

ちひろ「なんかまた事務所が騒がしくなりそうですね」

P「そうですね。まあ、賑やかなのはいいことですが」

112: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:55:19 ID:AQf
バタ-ン!

P「こら! 歌鈴! 転びながらドア開けるんじゃない! 壊れちゃうだろ......え?」

藍子「お久しぶりです、Pさん。ずっと探してたんですよ」

P「あ、藍子? なんでここが? いつかはバレると思ってたけどこんなに早くとは......」

藍子「この前未央ちゃんが茨城で仕事だった時にPさんを見かけたそうです。それで色々調べて私に教えてくれました」

P「それで何の用だ? 居場所が分かったから何となく来たってことはないだろう?」

藍子「ここに移籍しに来ました。デレプロはもう退所してます」

P「なんてことを......。こんなことにならないために何も言わずに辞めたのに......」

藍子「そんなことだと思いましたよ。Pさんもちひろさんも何も言わずにいなくなっちゃって、後任のプロデューサーさんも教えてくれませんし」

ちひろ「でも、デレプロ辞めたとなると、もうポジティブパッションの活動はできなくなりますよ? 他のデレプロ所属のアイドルからも共演NGがかかるかもしれませんし」

藍子「その時はその時です。未央ちゃんも茜ちゃんも賛成してくれましたし、仕事が無くなったらそれは私が事務所の力がないと何もできないレベルのアイドルだったってことですから」

P「でも......」

藍子「あと、移籍させてくれないんだったら私はアイドル引退します。もうデレプロには戻れませんし、Pさんとちひろさん以外の人とやるつもりはありませんから」

113: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:55:35 ID:AQf
聖來「ねえ、あの人ってアイドルの高森藍子だよね? なんでPさんと知り合いなの?」

梨沙「プロデューサーは高森さんの元担当プロデューサーなの。何か訳ありらしいけどあんまり詳しく話してくれないのよね......」

久美子「あれが高森藍子......こんなに近くにいる......」

聖來「松山さん? どうしたの?」

久美子「あ、ごめんなさい。あと、久美子でいいわよ。Pに高森さんのライブ観させてもらってから目標にしてるのよね。アイドルとしてのタイプは結構違うんだけど」

114: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:57:12 ID:AQf
藍子「やっぱりあの時のライブ、来てたんですね。見かけた人が結構いたのでもしかしたらって思ってましたけど」

P「まあ、チケット持ってたからな」

藍子「あのライブ、すごい好評でみんな喜んでくれたんですけど、私は全然嬉しくなかったんですよね。Pさんとちひろさんが一生懸命企画したライブなのに手柄は全部あのプロデューサーのもので、それを誰も疑わないんです」

ちひろ「まあ、そういうものですよ。私たちは事務所を追われた身ですから」

藍子「ちひろさんはそう言いますけど、私はそうは思いません。何より人の努力を踏みにじって威張っているあの人と一緒に仕事したくなかったんです」

P「でも、ウチでは藍子を受け入れられない。すでにトップアイドルの藍子をこんな小さな事務所で扱うことなんてできないよ。俺も一緒に謝りに行くからデレプロに戻るんだ」

藍子「私がデレプロに入ったばかりの時、アイドルが常に考えていなければならないことはファンのことって教えてくれましたよね」

P「ああ。確かにそうだけど、いきなりなんだ?」

藍子「私はそう教えられてからなによりもファンのことを考えてましたし、今もそうです。デレプロをやめてここに移籍しにきたのもファンのことを考えてのことなんです」

ちひろ「どういうことですか? メディアへの露出は減るでしょうし、デメリットの方が多いと思いますけど」

藍子「Pさんとちひろさんがいないと私は全力でステージに立てないんです。舞台袖で二人が見てくれてると思うから頑張れるんです。この前のライブで実感しました。好評でしたけど、私の中では大失敗でした」

藍子「そんな中途半端なお仕事をするくらいだったらいくらお仕事の数が少なくても全力を出せるところでやりたいと思ったんです」

P「こんなところに移籍したらなおさら全力なんか出せない。設備も資金もない。下手したら活動すらまともにできなくなるぞ。そんなことになったら申し訳が立たないよ」

久美子「ちょっと! さすがにそれは私たちに失礼なんじゃない? まるでもし活動できなくなっても私達にはなんとも思わないみたいじゃない!」

P「それとこれとは話が違う。そんなわけないだろう」

梨沙「高森さんのファンって確か数万人は超えてるわよね。ファンを大事に考えろって教えてくれたプロデューサーがその数万人を裏切れって言うなんて、ちょっとがっかりね」

P「でも、ファンは十分に満足してるんだ。結果的には裏切ってはいない。デレプロにいれば藍子はきっと引退するまで気の合う仲間とずっとファンを楽しませられる。ウチではそもそも続けられるかどうか......」

藍子「私がやりたいのは全力のパフォーマンスでファンの方に楽しんでもらうことです。アイドルを続けることじゃありません」

忍「久美子さんと梨沙ちゃんの言う通りだと思うな。私もファンのことを思ってデレプロ辞めた高森さんを突っぱねるようなPさんは見たくない」

聖來「Pさんと高森さんとの関係はアタシにはよく分からないけど、退路を自ら絶ってここまできたっていうのは相当の覚悟だと思うな。アタシもそうして面接に来たから分かる気がする」

P「......本当にウチでいいのか?」

藍子「何度もいってるじゃないですか。ここしかありえないですよ」

P「分かった。移籍を受け入れるよ。辛いことも多いと思うが、頑張っていこう」

115: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:58:10 ID:AQf
藍子「はいっ! あと、もう一つお願いがあるんですけど......」

ちひろ「なんですか?」

藍子「ちょっと待ってて下さいね、今呼んでくるので」

116: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)20:58:31 ID:AQf
ちひろ「なんでしょうね。面倒事はやめてほしいですけど......」

P「呼ぶって誰を呼ぶんでしょうかね」

藍子「連れてきましたよ。この人はトレーナー志望です。未央ちゃんからトレーナーがいないらしいって聞いたので......」

慶「あの、お、お久しぶりです!」

P「え? 慶ちゃん? どういうこと?」

藍子「デレプロ辞めた後に麗さんにトレーナーのツテがないか聞いてみたんです。そしたら慶さんを武者修行させたいってことで一緒にデレプロから移籍することになりました」

慶「私はデレプロではほとんど雑用係でしたし、実際にトレーナーとしての経験を積んだ方がいいってことになったみたいです」

ちひろ「これはナイスプレーですよ、藍子ちゃん! ダンスレッスンは聖來さんに任せることにして、それ以外を慶ちゃんに任せられればトレーナーを雇う資金も節約できます!」

P「なるほど、確かに大きいですね。レギュラー決まったとはいえまだ一つですし、抑えられるとこは抑えたいですからね」

忍「じゃあこれからはたくさんレッスン出来るってこと?」

P「ああ! 慶ちゃんの大学の予定にもよるけど、きっと忙しくなるぞ」

慶「あ、それなんですけど、武者修行中は休学することにしました。理論を学ぶのはいつでもできますけど、実践経験を積めるのは今だけですから。だから呼ばれればいつでもレッスン出来ますよ!」

P「マジか! ありがたいよ! これからよろしくな!」

慶「よろしくお願いします!」



ちひろ(レッスンも出来るようになったことですし、そろそろ大きなイベントとかに出たいですね......。オーディションに出すならなんのイベントがいいでしょうか......)

117: 名無しさん@おーぷん 19/01/24(木)21:01:19 ID:AQf
~~5話 Do your best!完~~

120: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)20:47:55 ID:4NT
--ボーカルレッスン室
久美子、ほたる、忍、梨沙「♪~」

慶「はい、OKです! 今日のレッスンはここまで!」

梨沙「やっぱりちゃんとしたレッスンとなると普段の歌い方じゃダメみたいね......」

忍「そうだね......。歌うのは好きだからそれなりにはいけると思ってたけど、発声の仕方が全然違うみたい......」

慶「いやいや! 2人とも十分ですよ! 確かに技術はまだまだですけど、指示したことはすぐに修正できてましたし、むしろかなり上出来です!」

ほたる「みなさんとっても上手ですごいです。私なんかよりずっと......」

慶「ほたるちゃんはせっかくいい声してるんですからもっと自信持っていきましょう! 前のプロダクションでも多少レッスンしてたってことですし、他の皆さんを引っ張っていくつもりでやってみてください!」

久美子「ほたるちゃんはさすがね。音楽だったら負けないと思ってたけど、やっぱりアイドルとしての経験の差を感じたわ」

慶「そうですね。久美子さんの音感は現状でこの事務所ではずば抜けているので、所謂『アイドルの歌い方』ってやつを出来るようにしていきましょう!」

慶「ところで、今日は皆さんプロデューサーさんに呼ばれてるんですよね? 何の話か聞いてるんですか?」

梨沙「それが教えてくれないのよ! 全員揃ってからじゃないと駄目だってもったいぶっちゃって」

忍「みんなでやるような大きなお仕事が決まったんじゃないかな。この前ちひろさんがそろそろそういう仕事が必要って言ってたし」

久美子「だったら待っていられないわね。ちょっと早いけど事務所に集まっておかない? 向こうのレッスンが終わったらすぐに始められるようにね」

慶「そういうことでしたらここの掃除は私がしておくので着替えてきていいですよ。後でお話し聞かせてくださいね!」

121: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)20:48:37 ID:4NT
--ダンスレッスン室
バタ-ン!!

聖來「はいストップ! 歌鈴ちゃん大丈夫?」

歌鈴「は、はい~、なんとか......」

聖來「うーん、テンポ上がってくると足が遅れて転んじゃうのかも。遅いテンポで慣らしてからやった方がいいかな」

藍子「歌鈴ちゃん大丈夫? 立てる?」

歌鈴「だ、大丈夫です~」

聖來「泰葉ちゃんはやるべきことをやってるだけって感じかな。もっと自分を出してみてもいいんじゃない? ほら、演技とか得意なんだし、それと同じようにさ!」

泰葉「なるほど、演技もダンスも似たようなものってことですね。次から意識してみます」

聖來「朋ちゃんはもうちょっと大袈裟に動いてみようか。練習のうちは大きく動いておいた方がいざ本番って時に楽になるよ」

朋「うーん、分かってはいるんだけど、どうしても出来ないのよね......」

藍子「あの、私はどうでしたか?」

聖來「ちょっとテンポに遅れがちになるけど、自分で気づいて修正できてるし、基礎レッスンの段階では問題なしかな。しばらくはみんなのレベルに合わせてこれくらいのレッスンをする予定だから物足りなかったら連絡して? 宿題でも考えておくからさ」

藍子「はい!」

歌鈴「藍子ちゃん流石です......。私なんてもう立ってるのでやっとなのにさらに宿題なんて......」

藍子「私なんてみんなよりちょっと早くレッスンしてただけですからね。すぐにできるようになりますよ」

聖來「それよりさ、この後プロデューサーさんから話があるんでしょ? アタシも行っていいかな? このあと何も予定なくて暇なんだよね」

朋「いいんじゃない? 別に内緒話しに行くわけじゃないし」

聖來「じゃあ決まり! さ、早く着替えて事務所戻ろ!」

122: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)20:49:39 ID:4NT
--スピカプロダクション
朋「ただいまー。ダンスレッスン組戻ったわよ!」

ちひろ「あら、こちらも案外早く済んだんですね」

聖來「ダンスレッスンは初心者がやると結構キツイからね。立てなくなるまでやってもあんまり意味ないから早めに切り上げたんだ」

P「なんだ、聖來も来てたのか。まあいいか。全員揃ったことだし、早速集めた理由話すぞ」

P「端的に言えば、みんな揃ってイベントに出る!」

ちひろ「ちょっとPさん、それじゃ皆さんにちゃんと伝わりませんよ?」

P「分かってますよ。みんな、アイドルコラボレーションってイベント知ってるか?」

忍「もしかしていろんな事務所のアイドルが単発のユニット結成して歌うやつ? 毎年テレビでやってるよね」

P「そうだ。それに参加できることが決まった。もちろん全員でな」

久美子「ちょっと待って、そんな大規模なイベントになんでウチみたいな小さい事務所が参加できたの?」

P「このイベント、元々は無名アイドルと有名アイドルを組み合わせて、無名アイドルは技術を盗み、有名アイドルは初心を思い出すことを目的に開催してたんだ。ま、今は無名同士も有名同士も組むことあるけど」

P「で、その昔の名残もあってシンデレラプロダクションみたいなデカいとこも参加するけど、ウチみたいな弱小プロも実は割と簡単に参加出来るんだよ」

ほたる「他の方とコラボ......悪いことが起きなければいいですけど......」

P「なに、相手は百戦錬磨の有名アイドルたちだ。ちょっとやそっとのトラブルは軽く対処してくれるよ。胸を借りるつもりでいいんじゃないかな」

泰葉「それで、私たちはどの事務所の誰とコラボするんですか?」

ちひろ「今日の17時に第1弾のユニットが発表されるみたいですけど、それ以降の発表分はまだ決まってないみたいですね。有名なアイドルと組む場合、スケジュールの確保が必要になるのでユニットを決める運営サイドも中々手間取るらしいです」

梨沙「17時っていったら......あと5分しかないじゃない!」

P「まあその時間に合わせて集合かけたからな。どうせならみんなで見たいだろ?」

123: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)20:50:15 ID:4NT
タイトル忘れてました

124: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)20:51:23 ID:4NT
~~6話 Unrelenting effort~~

125: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)20:51:45 ID:4NT
ちひろ「ということで、はい、これがアイドルコラボレーションのユニット発表会場を生中継した映像です!」

朋「やけに準備がいいわね......」

ちひろ「こういうのは楽しんだ者勝ちですからね♪」

歌鈴「あ、なんか偉そうな人が喋ってますよ。この人が発表するんですかね?」

藍子「確かイベントを主催してる会社の社長さんですね。挨拶した覚えがあるような......」

P「そういえば藍子は前にデレプロ代表として参加したことがあったな。その時ペア組んだ子、何してるんだろうな、最近名前聞かないけど」

ちひろ「そんなことより、もうすぐ発表が始まりますよ!」

『それでは、アイドルコラボレーションの参加ユニット第1弾を発表させていただきます。まずは1組目、緒方智絵里、三村かなこ、持田亜里沙、柳瀬美由紀。2組目は......』

梨沙「1組目からすごいメンバーね。みんな有名どころじゃない」

P「イベントのトップバッターだからな。運営も置きにいったんだろう」

『14組目は相葉夕美、高森藍子』

藍子「えっ! スピプロトップバッター私ですか!?」

P「お、流石、持ってるなあ。相葉さんは何回か一緒に仕事したことあるし、最高のスタート切れるんじゃないか? 第一印象は重要だし、嬉しい限りだ」

『17組目は本田未央、松山久美子、矢口美羽』

忍「あっ、久美子さんが呼ばれたよ!」

ちひろ「未央ちゃんですか。懐かしいですね。矢口さんも別のプロダクションですけど、最近人気急上昇中ですし、中々いいクジ引いたんじゃないですか?」

泰葉「確か藍子さんは本田さんとユニット組んでましたよね?」

藍子「うん。茜ちゃんも入れてポジティブパッションっていうユニットでね。未央ちゃんは面白いのできっと楽しいコラボになると思いますよ」

『以上で第1弾のユニット発表を終わりにいたします』

P「第一弾はとりあえず終わりか。じゃあ藍子と久美子はこれからのことについて打ち合わせしたいから残ってくれ。それ以外のみんなは解散! レッスンで疲れてるだろうし、各自家でしっかり休むこと!」

126: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)20:52:30 ID:4NT
--数日後、Fプロダクション(夕美所属事務所)
夕美「いらっしゃい、藍子ちゃん。久しぶりだねっ」

藍子「夕美さん、お久しぶりですっ」

夕美P「お互い知らない仲では無いですし、早速打ち合わせ始めましょうか。とは言ってもレッスン日程は決まってますし、ユニット名決めるくらいしかやることないですが」

P「相葉さんは何か考えてた案とかあります?」

夕美「うーん、私は華やかなステージにしたいからお花関連の言葉がいいかなーって思ってたんだけど......。藍子ちゃんはどう?」

藍子「いいんじゃないですか? 夕美さんといえばお花ってイメージありますし、私もお散歩してるときによく写真に撮りますし」

夕美「じゃあ、『Flowery』なんてどうかな?」

藍子「いいと思いますっ。可愛らしくて素敵な名前ですねっ」

夕美P「......かなりあっさり決まっちゃいましたね」

夕美「だったらまだ時間あるし、一緒にレッスンしていかない? 正直組まれてる合同レッスンの日程だけだと足りなさそうだし......」

藍子「私はもちろんいいですけど......Pさんは大丈夫ですか? この後すぐ久美子さんの方の打ち合わせですよね?」

P「いや、大丈夫だ。正直なところ俺がいない方が捗る筈だ。本田さんのプロデューサー、奴に変更になったらしいからな。打ち合わせにも参加してくるだろう」

藍子「あー......、未央ちゃんもそんなこと言ってたかもしれません」

P「まあ久美子はもう大人だし、矢口さんのプロデューサーもいるみたいだから連絡入れておけば問題ないだろう」

夕美「なんだかよく分からないけど、大丈夫そうなら早く始めよっ♪」

127: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)20:55:39 ID:4NT
--デレプロ(未央所属事務所)
美羽「お、遅れてすいません!」

美羽P「いやぁ、デレプロは大きいですなぁ。ウチのNプロとは大違いだ。お陰で迷っちまいましたよ。アハハ」

元同僚P「ちょっとは悪びれてほしいもんだが......まあいい、全員揃ったところでデレプロの主張だけはさせてもらうぞ」

元同僚P「本田の今まで見せたことのない姿を見せろ、ということで上層部から指示が降りている。ユニット名は『サンセットノスタルジー』。後は好きに決めてくれ。俺は他の仕事があるのでこれで失礼する」

未央「ちょっとプロデューサー、言い方悪いよ~。それじゃあみうみうとくみちーに誤解されちゃうよ?」

久美子「......くみちー? 私のこと?」

美羽「未央ちゃんはいろんな人にあだ名をつけるのが得意なんですよ!」

未央「もしかして嫌だった? それだったらやめるけど......」

久美子「いや、そういう訳じゃないわ。ちょっと驚いただけ。あだ名、ありがと。それでお願いするわ」

美羽P「それで、本田さん、誤解って一体どういうことなんだい?」

未央「えっとね、まずユニットのコンセプトもユニット名も一つの案ってだけ。プロデューサーはちょっと強引なとこあるからあんな言い方してたけど、違うものでも全然大丈夫だよ」

久美子「でも、いいんじゃないかしら? サンセットノスタルジー。私たち年齢もバラバラで統一感ないから、だったらいっそのことちょっと古めのコンセプトで行くのも面白いと思うけど」

美羽「私も賛成です! サンセットだけに!」

美羽P「ガハハ! 美羽は面白いこと言うなあ! このユニットはうまくいきそうだぞ!」

久美子「そ、そうね......」

未央「それじゃ、この後は合同レッスンの予定だよね? トレーナーさんは多分もう準備済んでるはずだから早く行こっ!」

128: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)20:56:09 ID:4NT
--デレプロレッスンルーム
麗「矢口と松山は初めてだな。青木麗だ。よろしく頼む」

サンノス「よろしくお願いします!」

麗「初対面といっても手加減するつもりはないから心してかかるように」



麗「松山! 動きが小さい! それだとアイドルコラボレーションのような大きなステージでは止まっていると思われるぞ!」

麗「動きを大きくしてもテンポには遅れるな! リズムに合わせることすら出来ない者にステージに立つ資格はない!」

麗「疲れを顔に出すな! 指先まで意識を向けろ!モニターには一人一人がアップで映されるんだ! みっともない姿を晒してもいいのか!」

麗「ストップ! 松山の立ち位置がずれた。最初からやり直し!」

麗「まったく、一体慶は今まで何を教えていたんだ......」

129: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)20:56:36 ID:4NT
--スピカプロダクション
P「ただいまー」

藍子「あっ、もうみんな集まってるんですね」

ちひろ「よかった、間に合いましたね。もうすぐ第2弾ユニットの発表ですよ」

泰葉「でもまだ久美子さんが帰ってきてないんですよ」

P「言われてみれば確かにいないな。合同レッスンは結構前に終わったらしいからもう戻ってると思ってたけど」

『では、アイドルコラボレーション参加ユニットの第2弾を発見させていただきます』

梨沙「あっ、始まるわよ!」

P「仕方ない、久美子は発表終わってから様子聞いてみるよ」

『42組目は道明寺歌鈴、藤居朋、依田芳乃』

朋「歌鈴ちゃんと一緒ね!」

歌鈴「よ、よろしゅくお願いします!」

ちひろ「依田さんは、独特な雰囲気があるアイドルみたいですね。実際に会ったことはないのでネットの情報しかないですけど......」

『以上で参加ユニット発表第2弾を終わりにいたします。続いて......』

忍「第2弾は朋さんと歌鈴ちゃんだけみたいね」

ガチャ

久美子「ただいま」

P「お、遅かったな。もう発表終わっちゃったぞ」

久美子「......ちょっと休んでから来たからね」

プルルルル

慶「あっ、すいません! 一番上の姉から電話かかってきちゃったのでちょっと出てますね」

久美子「あっ......」

P「ん? どうした?」

久美子「えっと......いや、なんでもないわ。ちょっとお手洗い行ってくる」

藍子「......」

130: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)20:57:12 ID:4NT
--屋上
藍子「どこにいるのかと思ったらこんなとこにいたんですね」

久美子「......来ないで」

藍子「嫌ですよ。慶さんから聞きました。今日のレッスン、麗さんだったんですよね」

久美子「そうよ。でもそれがなんだって言うの? 私は2人の足手まといで、何もできなかった。得意だと思ってた歌でもね」

藍子「麗さん、褒めてたらしいですよ。大した根性だ、って。初めてあの人のレッスン受けて1時間持つ人は滅多にいないですから。私は20分で動けなくなりましたし、確か未央ちゃんも3、40分くらいでギブアップしてたと思います。茜ちゃんは元気でしたけど」

久美子「そんなの関係ないわ。私は2人に比べて歌も踊りも下手だった。それもこれから本番までの期間では追いつくことすら出来ないくらい」

藍子「......そんなの当たり前です。未央ちゃんは何回も何回もレッスン受けてきてるんです。きっと矢口さんも。たった数回のレッスンで巻き返せると思えるほどの覚悟でやっていけるほどアイドルは甘くないですよ」

久美子「じゃあどうすればいいのよ」

藍子「それは久美子さんが自分で考えることですよ。でも、一つだけ。ウチの事務所は、入ってくる仕事は少なく、トレーナーも2人しかいないのでレッスンもたくさん組めるわけじゃない。となると自由な時間はたくさんあるはずですよね?」

久美子「......ありがとう、何で気付かなかったのかしらね。ピアノはレッスンが無くても散々自主練習してたのに」

藍子「そういえばさっきプロデューサーさんが独り言言ってましたけど、夕方からは誰のレッスンも入ってなくて、レッスン室の鍵は慶さんの靴箱の奥にあるらしいですよ」

久美子「何よ、全部バレてるんじゃない。恥ずかしいことしちゃったわね」

藍子「なんのことですか? 私はただプロデューサーさんのやたら大きい独り言をそのまま伝えただけですよ」

久美子「はいはい、そういうことにしといてあげる。ありがとね、藍子ちゃん」

131: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)20:57:40 ID:4NT
--事務所
P「あぁ~、やっと終わったぁ~。今何時......って、えっ! もう日付超えてるし! おい、終電ないぞ! はぁ~、仕方ない、今日はここで寝るか」

P「っと、その前に戸締りしないとな」

P「......なんでレッスン室の電気がまだ付いてるんだ。しかもなんか音聞こえるし。まさか......」ガチャ

P「おい、久美子! いつまでやってるつもりだ!」

久美子「あら、プロデューサー。まだいたのね」

P「まだいたのね、じゃないよ。帰れるのか?」

久美子「大丈夫よ。ここから歩いて5分くらいだから」

P「そんな近いとこだったのか!?」

久美子「そ。だから心配しなくても大丈夫。それよりプロデューサーは? もう電車ないんじゃない?」

P「まあな。でも、何時間やってたんだよ」

久美子「休憩抜いたら大体5、6時間くらいかしら。やればやるほど課題が見えてくるからやめどきが分からなくて」

P「やる気があるのはいいことだけど、体調管理はしっかりしてくれよ。確認してなかった俺も悪いけど、詰め込み過ぎは良くない。次回からはレッスン室は20時までな。それより後は休むとかにしてくれ」

久美子「分かったわよ。私も身体壊したい訳じゃないしね」

P「ならいい。さ、送っていくから早く着替えて帰るぞ」

久美子「ありがと。5分待ってて」

132: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)20:58:17 ID:4NT
--帰り道
久美子「そうだ、プロデューサー、ウチ泊まる? 布団一枚くらいだったらあると思うよ。事務所で寝泊まりなんてプロデューサーが身体壊しちゃうよ」

P「いや、申し訳ないし大丈夫だよ。職業柄雑魚寝には慣れてるしな」

久美子「雑魚寝に慣れる職業ってどんな職業よ......」

P「ほら、前いたデレプロは事務所がデカい分仕事も多かったんだよ。残業してて終電逃すってのはよくあることだったんだ」

久美子「芸能界って大変なのね......」

P「ま、あの時はそれはそれで楽しかったけどな。ちひろさんは一緒に残業してくれたし、昼間は藍子も手伝ってくれたし」

久美子「そっか......。ねえ、デレプロに入ったばっかの時の藍子ちゃんってどんな感じだったの?」

P「んー、普通、って感じだったかな。歌も踊りも特別出来るって訳じゃなかったし」

久美子「じゃあ、やっぱり居残り練習とかしてたのかな」

P「してたぞ。ポジティブパッションの本田さんと日野さんは運動神経いいから迷惑かけたくなかったんだろうな。それこそ今日の久美子みたいに何時間も」

久美子「いいえ、きっと全然違うわ。藍子ちゃんはデビューしてすぐ売れっ子になったんだもの。お仕事とかで忙しい中自主レッスンしたんだから私よりずっと大変だったはずよ」

P「条件は関係ない。藍子も久美子も自分が出来る最大の努力をしようとしてる。もちろん他のみんなも。それが全てじゃないかな。スピプロにはそういうことが出来る子しかいないから、だから俺はみんながいいアイドルになれると思ってるんだ」

久美子「随分と褒めてくれるのね。じゃあ期待に応えるためにまずはアイドルコラボレーション。成功させなきゃ。次の合同レッスンで未央と美羽をあっと言わせてやるわ」

P「よし、じゃあそれには俺も付いていくか。楽しみにしてる」

久美子「ますます失敗出来ないわね。明日からも気合入れていかないと。あ、もう家あそこだからもう大丈夫よ」

P「そうか、じゃあ俺は事務所に戻るよ。ゆっくり休めよ」

133: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)20:58:53 ID:4NT
--1ヶ月後、アイドルコラボレーション本番
夕美「いよいよ本番だねっ! 絶対成功させようね!」

藍子「そうですね。たくさんレッスンしてきましたから、ファンのみなさんを笑顔にしてみせますっ」

スタッフ「Floweryのお二方、スタンバイお願いします!」

P「ステージはかなり温まってるぞ。全力出してこい!」

134: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)20:59:39 ID:4NT
Flowery「みなさんこんにちは! Floweryです! お願いします!」

ウワァァァァァ!!! 

ファンA「おい、まさかあのユニット、夕美ちゃんと藍子ちゃんのペアじゃないか!?」

ファンB「2人とも超有名どころじゃん!」

ファンC「ってか藍子ちゃん、事務所辞めて引退したって噂無かったか!?」

藍子「ふふっ、みなさんびっくりしてますね♪ お仕事はちょっと減っちゃいましたけど、引退してないですよ」

夕美「じゃあみんなが盛り上がってるうちに曲に入ろ!」

藍子(こんなにたくさんのファンに大きなステージ、久しぶりですね。絶対に失敗できません)

夕美「あれっ、藍子ちゃん! 立ち位置! もう1歩くらい右だよ!」

藍子「あっ! すいません!」

P(ん、どうした? まさか久しぶりの大舞台で緊張してるのか?)

135: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)21:00:14 ID:4NT
藍子(あっ! ここのステップは右足からじゃなくて左足からでした......)

藍子(あれっ、次の歌詞って何でしたっけ......)

藍子(いけない、ミスに気を取られてテンポが遅くなって......)

夕美「藍子ちゃん! 顔強張ってるよ!」

藍子「あっ......」

ファンA「なんか2人とも動きがバラバラじゃないか?」

ファンB「もしかしたら仲悪いのかもな。無理やりコラボさせられて可哀想に」

ファンC「もうすぐ曲も終わるな。次のユニット誰なんだろう」

P「最後まで挽回出来なかったか......」

夕美「あ、ありがとうございました!」

藍子「ありがとうございました......」

136: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)21:01:48 ID:4NT
P「藍子、一体どうしたんだ? レッスンではあんなに調子良かったのに」

藍子「すいません......。ちょっと頭冷やしてきますね......」

P「あ、おい、ちょっと!」

スタッフ「サンセットノスタルジーのお三方、スタンバイお願いします!」

夕美「サンセットノスタルジーって確かスピカプロダクションの子がいましたよね? 藍子ちゃんは私に任せてステージのサポートをしてあげてください!」

P「すいません、ありがとうございます」

137: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)21:02:16 ID:4NT
元同僚P「フン、どうやらやらかしたようだな。無理言って事務所辞めた結果こんなパフォーマンスになるとはよほど素晴らしいレッスンをしてたらしい」

P「......久しぶりだな。今回のレッスンは相葉さんの事務所に主導権あったからデレプロが絶賛してたと伝えておくよ」

元同僚P「自分の事務所でレッスンする金が無いだけだろうが。高森でさえあれなのだからサンセットノスタルジーのステージが楽しみだな」

P「そう思って見ていればいいさ」

美羽P「お、何か揉め事ですかな!? そんな時はアイドルでも見ましょうや! 陽気な気分になれますぞ! ほら、もうサンノスの曲が始まります!」

元同僚P「そ、そうだな」

138: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)21:02:48 ID:4NT
久美子(まずは曲の入り。インパクトが大事だから特に大きく動いてキビキビと......)

久美子(観客の盛り上がり方からしてまずは成功したかしら。次は難しいステップ。何回も練習したから出来るはず......!)

久美子(美羽がアドリブを入れた! 反対側の私も何かしないとバランスが悪くなるから......)

久美子(アドリブにはなんとか対応できたと思うけど......。っと、いけない。次はハイトーンが連続する所。綺麗な声で歌うことを考えなきゃ)

久美子(最後の決めポーズ。かなりキツいけど背筋伸ばして笑顔をキープ!)

ウワァァァァァ!!!

P「よし、決まった!」

サンノス「ありがとうございました!」

139: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)21:03:17 ID:4NT
久美子「やったわ! プロデューサー!」

P「ああ、よくやった! 最高だ! 努力が報われたな!」

美羽P「こら! 美羽! ほとんど打ち合わせ無しの即席ユニットなんだから突然アドリブなんかしちゃダメだろ? 松山さんがバランス取ってくれたからどうなっていたか!」

美羽「えへへ、ごめんなさい! でも久美子さんだったら絶対にカバーしてくれると思ってたし!」

久美子「ありがと。でもやるならやるで一言言って欲しかったわ。びっくりしたんだから」

未央「まあ、大成功だったんだし、それでよし! だよね? プロデューサー!」

元同僚P「ああ、そうだな。本田の足が引っ張られなくて安心したよ。特にどっかの弱小事務所はついさっきFプロの相葉にかなり迷惑かけてたからな」

久美子「相葉ってもしかして相葉夕美ちゃん? 迷惑って藍子ちゃんに何かあったの!?」

P「ああ、ちょっと調子悪かったみたいでちょっとミスを連発しちゃったんだ。今相葉さんが様子を見てるはずだけど......」

久美子「それを早く言ってよ! 今すぐ行くわよ!」

140: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)21:03:39 ID:4NT
--控え室
久美子「藍子ちゃん!? 大丈夫!?」

藍子「......久美子さんですか。大成功みたいですね、サンセットノスタルジー。ここでも歓声が聞こえてましたよ」

久美子「私のことなんてどうでもいいわ! 一体何があったの!?」

藍子「久しぶりの大きなステージで上がってしまって、レッスンでは出来ていたことが一つも上手くいかなくて......。ファンのみなさんは楽しみにしてくれていたのに申し訳ないです......」

夕美「レッスンで出来ていたっていうのは嘘じゃないんです。ただちょっと気負い過ぎちゃった感じというか」

P「そういうことだったのか。申し訳ない。俺が今まであんまり仕事を取ってこれなくてブランク空いたからだ。メンタルケアの面でも目が行き届いてなかった」

久美子「......プロデューサーは謝る必要なんか無いわ。失敗したのは全て自分の実力不足のせいよ」

夕美「ちょっと、松山さん! 流石に言い過ぎなんじゃ......。藍子ちゃんだってたくさんレッスンしてきて、だからこそ今落ち込んでるんですよ?」

久美子「悔しいなら納得行くまで練習するしかない。半端な覚悟でアイドルできるほど甘くない。だったよね?」

藍子「......いつだったかそんな話もしましたね。要するに私は再スタート切るために移籍したのに頭の中はデレプロのまま切り替えられてなかったってことですか」

夕美「どういうこと?」

藍子「前は多少のミスはあっても次の仕事はいくらでもありました。事務所の力が強かったおかげです。でもスピプロでは一つのミスが自分、そして事務所の命取りになります。それが分かってなかった時点で私は覚悟ができてなかったんです」

P「でもそれが今回分かった。それだけで収穫なんじゃないかな」

藍子「そう言ってもらえると嬉しいです。また0から少しずつ積み重ねていくことにします。もうこんなミスだらけのステージなんて嫌ですから」

P「それから、一つのミスが事務所の命取りとか言ってるが、甘くみるなよ? 誰がプロデューサーしてると思ってるんだ? 元トップアイドル、高森藍子の生みの親だぞ?」

久美子「今はやたら知名度の高い地下アイドルだけどね」

藍子「ふふっ、そうですね。でも裏を返せば、またスタート地点に立てたってことですから。誰よりも早くゴールまで行ってみせますっ♪」

P「もう大丈夫そうだな。そろそろ朋と歌鈴の出番だし、ステージ袖に戻ろうか。相葉さん、ありがとうございました」

夕美「ありがとうございました! また共演できるといいねっ♪」

藍子「そうですねっ。その時は絶対に大成功させましょう」

藍子(それにしてもサンセットノスタルジーのステージ、凄い盛り上がってましたね......。みんなたくさんレッスンして新人とは思えないくらいにレベルアップしてますし、私も負けていられません!)

141: 名無しさん@おーぷん 19/06/26(水)21:04:20 ID:4NT
~~6話 Unrelenting effort完~~

143: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:39:00 ID:kjI
~~7話 My strength is......~~

144: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:39:38 ID:kjI
--Mプロ会議室
芳乃P「ようこそ我がMプロダクションへ」

P「よろしくお願いします」

芳乃「わたくし依田は芳乃と申しましてー。ゆにっと会議、始めて行きましょー」

朋「あたしは藤居朋。よろしくね!」

歌鈴「ど、道明寺歌鈴でしゅっ!」

芳乃P「まずはこのユニットのリーダーですが、こちらとしては最年長の藤居さんにお願いしたいです」

朋「えっ、あたし!? 知名度で言ったら芳乃ちゃんの方がずっと上だし、あたしがリーダーになったら芳乃ちゃんのファンはがっかりしちゃうんじゃないかな?」

芳乃「年長者を敬うのは当然のことでしてー。ふぁんの皆にも理解してもらえることでしょー。それに朋さんはりーだーに相応しい器のゆえー」

歌鈴「朋さんはいつも事務所でほたるちゃんとかのお話相手になってますからね! 私もお仕事でドジしたときも何回も助けてもらいました!」

朋「そうなのかな......? ただのおせっかいだと思ってたけど......」

芳乃P「意識しなくても周りの状況を見て行動できるというのはリーダーに必須のスキルです。是非お願いさせて頂きたい」

P「中々ない機会だし、やってみたらいいんじゃないか? きっといい経験になる。Mプロさんもこう言ってくださっていることだしさ」

朋「そこまで言うならやってみようかな!」

芳乃P「では、ミス・ラッキー・テリングのリーダーは藤居さんということで登録しておきます。他の事務方の仕事は全て引き受けさせて頂きます」

P「ありがとうございます。ではその代わりに、レッスンはこちらの主導で行ってもよろしいでしょうか?」

芳乃P「もちろんです。よろしくお願いします」

P「依田さんのこの後の予定はありますか? 藤居と道明寺はレッスンを予定しているのですが、よろしければ一緒にどうでしょうか?」

芳乃「それは良き案でしてー。いべんとまでは忙しいゆえー、少しの時間でも無駄にはできませぬー」

朋「じゃあ慶ちゃんにも連絡入れておくね!」

145: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:40:21 ID:kjI
--スピカプロダクションレッスン室
慶「ミス・ラッキー・テリングのレッスンは私が主導するってことなので、いつもよりはハードにいきますよ! 芳乃ちゃんはお仕事が忙しくて合同レッスンはあまりできないようですからね!」

朋「望むところね! 完璧にこなしてやるわよ!」

146: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:40:44 ID:kjI
--1時間後
慶「はい、今日のところはおしまいです! しっかりとクールダウンしておいて下さいねっ」

朋「はあ、はあ、最初に言ってた通り、いつもとは段違いに厳しかったわね......」

歌鈴「そうですね......何回も転んじゃいましたし......あっ、芳乃ちゃん大丈夫ですか? 途中ぶつかっちゃいましたけど......」

芳乃「大丈夫でしてー。ただ本番までには全員がもう少し上手くならなければいけないかとー。今のままではふぁんに喜んでもらうには程遠いでしょうー」

朋「もちろん! 合同レッスンは少ないけど、お互い個人レッスンしてレベルを上げていくわよ!」

147: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:41:10 ID:kjI
歌鈴「芳乃ちゃん、あんなに厳しいレッスンでも全然疲れてませんでしたね......」

朋「あれが本物のアイドルなのね......。あたしたちも負けてられないわ」

歌鈴「私は転ばないようにしないと......。どうしたらいいんでしょうか」

朋「慶ちゃんなら何か分かるかもしれないわね。次会った時に対策考えてもらいましょ?」

慶「朋ちゃん、呼びましたか?」

朋「うわっ、まだ残ってたのね」

慶「久美子さんにちょっとだけ引き止められちゃったんです。最近は前以上にモチベーション高くてものすごいレベルアップしてるんですよ! ところで、私に何か用でもあるんですか?」

歌鈴「あの、私がレッスンしててすぐに転んじゃうのって、どうしたら改善できるんでしょうか......」

朋「あたしが見るに歌鈴ちゃんは転びさえしなければすごいパフォーマンスをしてると思うんだけど......」

慶「うーん、歌鈴ちゃんが転んじゃうのはメンタルの部分が大きい気がするので自信をつければ大丈夫だと思うんですけど......そんなこと言われても難しいですよね......。じゃあ体幹トレーニングなんてどうですか?」

朋「あのテレビでよくやってるインナーマッスルを鍛えるってやつ?」

慶「そうですね。体幹鍛えると身体の軸がしっかりしてブレなくなるので転びにくくなるかもしれません。それに、トレーニングの成果が身体に出てくると自信にもつながりますし、やってみる価値はあると思いますよ!」

歌鈴「どんなことやればいいんでしょうか......」

慶「じゃあ明日までに歌鈴ちゃん向けのトレーニングメニュー考えておきますね!」

朋「あっ、それあたしのもお願いしてもいい? 歌鈴ちゃんが頑張るならあたしも何かやりたいし!」

慶「分かりました。じゃあ明日レッスン室空いてるのでそこで実際にやってみましょうか」

148: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:41:39 ID:kjI
--翌日、レッスンルーム
慶「とりあえずはこれくらいですね。まだ初日なので軽めですけど、余裕出来てきたらまた教えて下さい!」

朋「これで......軽めなの......?」

歌鈴「でも、これだけキツいってことはきっと効果があるってことですよね......頑張らないと......」

P「お、やってるな。慶ちゃんに聞いたぞ。アイドルが筋トレ、意外かもしれんが結構効果はあるらしいからな。デレプロの体育会系アイドルは大体やってたし、世の中には『筋肉は全てを解決してくれる』なんてことを言うアイドルもいるらしい」

歌鈴「一体誰ですかその人......」

P「さあな、俺も噂で聞いただけだからなんとも言えん。そんなことより、もうすぐアイドルコラボレーションの第3弾ユニット発表始まるぞ。早く着替えた方がいい。もうみんな集まってるよ」

朋「ちょっと今動けないから少し休んでから行くわ......」

歌鈴「わ、私も朋さんと一緒に行きます......」

P「分かった、風邪引かないようにしとけよ」

149: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:42:10 ID:kjI
--スピカプロダクション
梨沙「あっ、プロデューサー! 遅かったじゃない! もう発表終わっちゃったわよ!」

P「えっ、嘘だろ!? 誰が呼ばれてたんだ?」

ちひろ「梨沙ちゃんがBプロの結城晴ちゃんとデュオユニット、忍ちゃんが、Sプロの桃井あずきちゃん、喜多見柚ちゃん、Aプロの綾瀬穂乃果ちゃんと4人ユニットを組むことになりました」

P「なるほど、だから梨沙が元気なんだな」

忍「アタシ以外の3人はみんな結構大きな事務所だよね。レッスンに置いていかれないかなあ」

聖來「忍ちゃんなら大丈夫じゃないかな。最近どんどん上達してるし、大きい事務所ってことはトレーナーも充実してるだろうし」

泰葉「Sプロはトップクラスの優秀なトレーナーを揃えてることで業界内でも有名なので、タダで良いレッスンを受けられるチャンスかもしれないですね」

ほたる「綾瀬さんは以前現場で見かけたことありますけど、とても真面目でスタッフさんからの評判はかなり良い方だったと思います」

ちひろ「結城さんと梨沙ちゃんは......相性は良いかもしれませんね」

P「......良いでしょうね、とても」

梨沙「なによその微妙な反応?」

P「ま、顔合わせてみれば分かるよ」

150: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:42:34 ID:kjI
--数週間後、レッスンルーム
歌鈴「今日のメニューも終了しましたっ!」

朋「あたしも終わったわ!」

慶「今日は早いですね! もしかしたら少しずつ筋力付いてきて、今のメニューだと物足りなくなってきたのかもしれませんね」

歌鈴「確かに始めた頃よりは大分楽にはなってきましたね!」

朋「慶ちゃんの言った通り、ここまで差が実感出来ると自信つくわね!」

慶「それなら明日レベルアップしたメニュー持ってくるので次からはそれをやっていきましょう!」

151: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:42:57 ID:kjI
--レッスン後
歌鈴「あれ、朋さん帰らないんですか?」

朋「明日はオフだし、もうちょっと居残りしようかなと思って。あ、歌鈴ちゃんは気にしないで帰っていいわよ。明日朝早いでしょ?」

歌鈴「そうなんです......。明日は朝からテレビ収録が入ってて......。なのでお先に失礼しますっ!」

朋「レギュラー持ちは大変ね......。あたしもそうなれるように頑張らなきゃ!」

朋「......あれ? レッスンルームの電気がついてる。誰かいるのかしら?」

朋「失礼しまーす......って、久美子さん?」

久美子「あら、朋ちゃん。忘れ物?」

朋「いや、この後ちょっと自主レッスンしようかと思って......久美子さんも?」

久美子「ええ。ここ最近は毎日ね」

朋「全然知らなかったわね......。最近頑張ってるっていうのは聞いてたけど」

久美子「大きな声で言いふらすようなことじゃないからね。そうだ、せっかくだし良かったら一緒にレッスンしていかない?」

朋「いいの? 邪魔しちゃったかと思ったんだけど......」

久美子「いいわよ。年長者同士で頑張りましょう?」

152: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:46:16 ID:kjI
--1時間後、自主レッスン後
久美子「それにしても自主レッスンなんて、何かあったの? いつもはしてなかったわよね?」

朋「アイドルコラボレーション、歌鈴ちゃんと芳乃ちゃんと組むことになったでしょ? この前レッスンした時に全くついていけなかったのよ。芳乃ちゃんがすごいのはもちろんだけど、歌鈴ちゃんも転ぶ以外は大体出来てたし。あたしだけ何も出来なかったの。リーダーなのに」

久美子「それで筋トレ始めてたのね。みんなの話題になってるわよ。何かスポ根めいたこと始めてるってね」

朋「それが実際効果ありそうなのよ。それで歌鈴ちゃんが転ばなくなったら足手まといはあたしだけになるでしょ? そう思うとレッスンしないでいられなかったの」

久美子「私もそんな感じよ。サンノスで一人だけうまく出来なかったから一人でこんなことしてたの。似た者同士ね」

朋「......それはどうかしらね。久美子さんって、あたしがどうやってここに入ることになったか知ってる?」

久美子「確かスカウトだったわよね? 歌鈴ちゃんがロケしてる時に現場に居合わせたとか聞いたけど」

朋「そうなんだけど、他にスカウトで入ってきたみんなと違って、あたしは才能を見込まれてスカウトされた訳じゃないのよ。その場の勢いで押し切って無理やりスカウトさせたっていうか......」

朋「だから素質のない分もっと前から自主レッスンしてこなきゃいけなかったの。最初から意識高かった久美子さんとは違うわ」

久美子「違くないわ。私は朋ちゃんには他の誰にも無い良さがあると思うし、プロデューサーはそれを分かってるからスカウトしたはずよ。何も考えないで勢いで才能無しをスカウトするなんて馬鹿馬鹿しいことするような人じゃないわよ、プロデューサーは」

朋「じゃあ久美子さんはあたしの素質って何だと思う?」

久美子「それは自分で見つけるものよ。そのための自主レッスンでしょ?」

朋「それもそうね。本番までに見つかるかしら......?」

久美子「でも、一つヒントをあげると、自分の長所って、自分では当たり前過ぎて中々気付かないもの、ってこと」

朋「そういうものなのかしら。なんだかかえって難しくなってきたかも......」

久美子「ねえ、良かったらこれからも一緒に居残りしない? 朋ちゃんの長所探し、私も手伝うわよ」

朋「本当? 久美子さんが手伝ってくれるなら百人力だわ!」

153: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:46:41 ID:kjI
P「おーい、久美子、そろそろ上がれよ......って朋もいたのか。珍しいな」

久美子「今日から朋ちゃんも一緒することになったの」

P「そうか、モチベーションが高いのは良いことだな。でも無理はするなよ?」

朋「それくらい分かってるわよ。体調管理はアイドルの基本でしょ?」

P「分かってないで何時間もレッスンしてた人もいるみたいだけどな」

久美子「あれは......もう過ぎたことなんだから良いじゃない! 反省はしてるわよ!」

朋「久美子さんって意外と無茶なところもあるのね」

P「おっ、知らなかったのか? 他にも前にはな......」

久美子「さ! 風邪引く前に早く着替えましょう! プロデューサーは早く出てって!」

154: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:46:58 ID:kjI
--青木家
慶「うーん、このメニューだとちょっとバランスが悪いかな? でも全部大事だし、かといって足りないところを増やしたら歌鈴ちゃんも朋ちゃんも全部消化できないかもしれないし......」

麗「筋トレのメニューか? 頑張っているようだな」

慶「あっ、麗お姉ちゃん、良いところに! このメニュー、ちょっとバランス悪いと思うんだけどどうしたらいいかな?」

麗「私に手直ししてくれと言っているのか? 自分の持ったアイドルのレッスンメニューは全て自分で考えなさい」

慶「じゃあせめてアドバイスだけでも......」

麗「それもダメだ。慶はデレプロではないプロダクションの人間だ。それを手伝う訳にはいかない」

慶「でも、姉妹なんだしちょっとくらいだったらいいんじゃない?」

麗「何のためにスピカプロダクションに移籍させたと思っているんだ? 責任を持って自分の力でアイドルを育ててやりなさい」

慶「そんなに頑なにならなくても......」

麗「聖や明に頼んでも同じことを言ってくるだろう。無駄なことに時間使わないで自力でどうにかしてみなさい」

155: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:47:17 ID:kjI
--翌日、レッスン室
歌鈴「はあ、はあ、もう立てないです......」

朋「これは、かなり難易度上がったわね......。でもこれくらいならなんとかなるかも!」

慶「何言ってるんですか? まだメニューは半分しか消化してないですよ! あと半分頑張りましょう!」

朋「でもこんな状態でやっても意味ないんじゃない? あたしもだけど、歌鈴ちゃんはもうクタクタよ?」

慶「どれも大事なトレーニングなので......。時間を開けてでも一通りこなせるようにならないと!」

歌鈴「わ、私はちょっと休憩すれば大丈夫です! 朋さんが大丈夫ならやりましょう?」

朋「あたしはまだ多少はいけるけど......。無理はしないでね?」

慶「じゃあ、10分休憩してから再開しましょう!」

156: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:47:34 ID:kjI
--1週間後、スピカプロダクション
歌鈴「おはようございます......」

P「おっ、おはよう。......体調悪そうだけど、今日の仕事大丈夫か?」

歌鈴「今日は藍子ちゃんも一緒ですし、多分大丈夫だと思いますけど......」

P「多分じゃ困るな。とりあえず体温測って藍子が来るまで横になってていいよ」

157: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:47:48 ID:kjI
P「で、体温測ったら38度超えてた訳だ。こんな状態で仕事に向かわせるなんて出来ないよ」

歌鈴「でも、スタッフさんに迷惑かかりますし、Pさんにも......」

P「スタッフさんには後で謝りに行くからそんなのは気にしないでいい。ちひろさんが一緒に来れば大きな問題にはならないだろうしな。あの人は色々と顔が広いし」

歌鈴「藍子ちゃんのスケジュールも空いちゃうんですよね?」

P「もう藍子には連絡して朋と一緒にレッスン受けることにしてもらったからそっちも心配ない」

P「なあ歌鈴、ちゃんと休んでるのか? こんな高熱、中々出ないぞ?」

歌鈴「最近はあんまり......」

P「......最初に言ったよな、キツくなってきたら教えてくれ、日程は調整するからって」

歌鈴「ごめんなさい......」

P「とりあえず今日は帰りなさい。送っていくから。神主さんにも話はつけておくよ」

歌鈴「ありがとうございます......」

158: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:48:06 ID:kjI
--レッスンルーム
ルキトレ「そろそろいい時間ですし、終わりにしましょうか」

朋、藍子「ありがとうございました!」

ルキトレ「歌鈴ちゃん、大丈夫ですかね......」

朋「もしかしたら寝てるかもしれないけど、お見舞い行ってみる?」

藍子「いいですね。1人だと心細いでしょうし」

ルキトレ「それ、私も行っていいですか?」

藍子「もちろんです。一緒に行きましょう?」

159: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:50:18 ID:kjI
--神社
朋「ごめんくださーい、歌鈴ちゃんの友達でお見舞いに来たんですけど......」

神主「いらっしゃい。今起きたとこだったから丁度良かった。こちらの部屋にいますよ」

藍子「ありがとうございます」

朋「歌鈴ちゃん? 入るわよ?」

歌鈴「あ、朋さん......藍子ちゃんに慶さんも......」

ルキトレ「大丈夫ですか? プロデューサーさんから突然連絡きてびっくりしたんですよ?」

歌鈴「朝に比べれば多少は楽になりましたけど......」

藍子「Pさんに聞きましたよ。最近休んでなかったって、一体何してたんですか?」

歌鈴「お仕事と、神社のお手伝いと、自主レッスンに、朋さんとやってるトレーニングです......」

朋「それは......ちょっとオーバーワーク過ぎたんじゃない?」

歌鈴「でも、芳乃ちゃんに追いつくためにはこれくらいのことはしないと......。神社のお手伝いをしてるのは自分の都合ですし......」

藍子「歌鈴ちゃん、お仕事に穴を開けるっていうのはタレントが一番やっちゃいけないんです。他の共演者やスタッフさんにも迷惑がかかりますからね」

藍子「そうなるくらいだったら、レッスンをセーブするとかして休んでも大丈夫なんですよ。すぐに依田さんに追いつかなきゃいけないわけじゃないんですし」

歌鈴「そうですよね......。今日は藍子ちゃんもお仕事が1個無くなっちゃったんですもんね......」

藍子「私のことはいいんです。それに、みんなも心配するんですよ? スピカプロダクションのみんな、他の人はお仕事やレッスンで来れませんでしたけど、とっても様子を知りたがってました」

160: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:51:10 ID:kjI
朋「藍子ちゃん、歌鈴ちゃんももう分かってるみたいだしさ、そこら辺にしといてあげよ?」

藍子「そうですね。怒ってばかりじゃ仕方ないですし」

朋「でも、突然体調悪くなった、なんてことはないわよね。いつくらいからだったの?」

歌鈴「1週間くらい前でしょうか......」

藍子「1週間前って言うと......」

ルキトレ「......私のせいです。1週間前に私が無理なトレーニングメニューを作ったから......!」

朋「......確かにその通りかもしれないわね」

歌鈴「でも慶さんは私たちのことを思ってあのメニューを......」

朋「でも明らかにあたし達にとってはレベルが高過ぎたわ。それが分かっててメニューを変えなかった慶ちゃんにも非はあるんじゃないかしら?」

藍子「朋さん、ちょっと言い方が......」

朋「......だから、今度は3人でメニュー作るわよ。無理なくできる範囲に絞って少しずつやっていけばいいのよ。そもそもあたし達のトレーニングなのに慶ちゃん一人に作らせるなんて無責任だったわ」

ルキトレ「朋ちゃん......」

朋「間違っても責任取って辞めるとか言わないでよ。スピカプロダクションでまともなトレーニングの知識があるのなんて慶ちゃんしかいないんだから、居なくなられたらこっちが困るわ。慶ちゃんが思ってる以上にあたし達は慶ちゃんを頼りにしてるんだから」

ルキトレ「ありがとうございます......」

藍子「さあ、話も済んだところですし、そろそろ帰りませんか? あんまり長居しても迷惑ですし」

朋「そうね。突然お邪魔してごめんね」

歌鈴「そんな、来てくれて嬉しかったですよ......」

161: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:53:38 ID:kjI
>>158
訂正
--レッスンルーム
慶「そろそろいい時間ですし、終わりにしましょうか」

朋、藍子「ありがとうございました!」

慶「歌鈴ちゃん、大丈夫ですかね......」

朋「もしかしたら寝てるかもしれないけど、お見舞い行ってみる?」

藍子「いいですね。1人だと心細いでしょうし」

慶「それ、私も行っていいですか?」

藍子「もちろんです。一緒に行きましょう?」

162: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:54:24 ID:kjI
>>159
訂正
--神社
朋「ごめんくださーい、歌鈴ちゃんの友達でお見舞いに来たんですけど......」

神主「いらっしゃい。今起きたとこだったから丁度良かった。こちらの部屋にいますよ」

藍子「ありがとうございます」

朋「歌鈴ちゃん? 入るわよ?」

歌鈴「あ、朋さん......藍子ちゃんに慶さんも......」

慶「大丈夫ですか? プロデューサーさんから突然連絡きてびっくりしたんですよ?」

歌鈴「朝に比べれば多少は楽になりましたけど......」

藍子「Pさんに聞きましたよ。最近休んでなかったって、一体何してたんですか?」

歌鈴「お仕事と、神社のお手伝いと、自主レッスンに、朋さんとやってるトレーニングです......」

朋「それは......ちょっとオーバーワーク過ぎたんじゃない?」

歌鈴「でも、芳乃ちゃんに追いつくためにはこれくらいのことはしないと......。神社のお手伝いをしてるのは自分の都合ですし......」

藍子「歌鈴ちゃん、お仕事に穴を開けるっていうのはタレントが一番やっちゃいけないんです。他の共演者やスタッフさんにも迷惑がかかりますからね」

藍子「そうなるくらいだったら、レッスンをセーブするとかして休んでも大丈夫なんですよ。すぐに依田さんに追いつかなきゃいけないわけじゃないんですし」

歌鈴「そうですよね......。今日は藍子ちゃんもお仕事が1個無くなっちゃったんですもんね......」

藍子「私のことはいいんです。それに、みんなも心配するんですよ? スピカプロダクションのみんな、他の人はお仕事やレッスンで来れませんでしたけど、とっても様子を知りたがってました」

163: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:55:21 ID:kjI
>>160
訂正
朋「藍子ちゃん、歌鈴ちゃんももう分かってるみたいだしさ、そこら辺にしといてあげよ?」

藍子「そうですね。怒ってばかりじゃ仕方ないですし」

朋「でも、突然体調悪くなった、なんてことはないわよね。いつくらいからだったの?」

歌鈴「1週間くらい前でしょうか......」

藍子「1週間前って言うと......」

慶「......私のせいです。1週間前に私が無理なトレーニングメニューを作ったから......!」

朋「......確かにその通りかもしれないわね」

歌鈴「でも慶さんは私たちのことを思ってあのメニューを......」

朋「でも明らかにあたし達にとってはレベルが高過ぎたわ。それが分かっててメニューを変えなかった慶ちゃんにも非はあるんじゃないかしら?」

藍子「朋さん、ちょっと言い方が......」

朋「......だから、今度は3人でメニュー作るわよ。無理なくできる範囲に絞って少しずつやっていけばいいのよ。そもそもあたし達のトレーニングなのに慶ちゃん一人に作らせるなんて無責任だったわ」

慶「朋ちゃん......」

朋「間違っても責任取って辞めるとか言わないでよ。スピカプロダクションでまともなトレーニングの知識があるのなんて慶ちゃんしかいないんだから、居なくなられたらこっちが困るわ。慶ちゃんが思ってる以上にあたし達は慶ちゃんを頼りにしてるんだから」

慶「ありがとうございます......」

藍子「さあ、話も済んだところですし、そろそろ帰りませんか? あんまり長居しても迷惑ですし」

朋「そうね。突然お邪魔してごめんね」

歌鈴「そんな、来てくれて嬉しかったですよ......」

164: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:55:45 ID:kjI
--1ヶ月後、アイドルコラボレーション本番
歌鈴「結局合同レッスンは最初の1回だけでしたけど、大丈夫でしょうか......」

朋「きっと大丈夫よ。あれだけ頑張ったんだから。リハーサルもバッチリだったしね」

芳乃「お二人とも素晴らしかったのでしてー。もちろんわたくしもー。あれなら本番でも問題無いでしょー」

P「よし、前のユニットが始まったぞ。スタンバイしとけ」

朋「ねえ、P、ちょっといい?」

P「どうした、何か問題でもあったか?」

朋「そういうのじゃなくて、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

P「何だ? あんまり時間ないから手短にな」

朋「あんたって、あたしの何が良くてスカウトしてくれたのかなって。ほら、あの時は無理矢理スカウトさせたみたいだったし。ずっと考えてたんだけど、その答え合わせがしたくて」

P「まあ、端的に言えば決断力だな。それから周りを見て行動できること。これは他のみんなには無い朋の良さだと思ってるよ」

朋「......それってアイドル関係あるの?」

P「そりゃああるよ。ライブバトルでは一瞬の判断の遅れで勝敗が決まることもあるし、周りが見れるってことは仲間のカバーができるってことだからな」

P「だから、変にぐたぐた考えないで、いつも通りやるのが朋にとって一番いいんじゃないかな。それにほら、この雑誌の今日の星座占い、かに座は普段通りを意識すると吉、だってさ」

朋「......その雑誌の占い、あんまり当たらないので有名なのよ」

P「えっ、そうだったのか!? でもほら、有名な人が担当してるって書いてあるし、もしかしたら当たるかも!」

朋「別に変な気使わなくてもいいわよ。あたしの見つけた答えは正解だったみたいだし、それに当たらない占いなんかよりもあんたの方がよっぽど信頼してるから」

朋「じゃ、行ってくるわね!」

165: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:56:10 ID:kjI
--数分後
三人「ありがとうございました!」

歌鈴「Pさん! 一回も噛まずにコケずに出来ましゅた~!」バタ-ン!!

P「ははっ、本番終わるまでよく耐えたな! ステージちゃんと見てたから分かってるよ!」

P「朋も前よりずっと良くなったぞ! リーダーとしてみんなのカバーもしてたし、自分も目立ってた。いつも周りが見えてる朋だから出来たことだよ」

朋「あたしにかかればこんなものよ!」

芳乃「お二人とも見事だったのでしてー。此度のライブの成功はー、各々の努力の結果でしょー」

芳乃(れっすんは1度だけだったのにここまでの完成度になるとはー。やはりお二人の素質は間違いの無いようでしてー。らいぶばとるふぇすてぃばるでは戦いたくないものですー)

166: 名無しさん@おーぷん 19/10/03(木)20:57:07 ID:kjI
~~7話 My strength is......完~~

168: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:21:55 ID:xdI
~~8話 Company~~

169: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:22:24 ID:xdI

――収録現場
梨沙「本当に大丈夫なの? 今まで一度も結城さんと会ったことないのにいきなり歌番組の収録なんて。一応歌詞と振り付けは覚えてきてるけど……」

P「結城さんのプロデューサーと打ち合わせして、そっちの方がお互いプラスになるって結論になったんだ。梨沙と結城さんのキャラクターからして相性がいいのは想像できるし、それならいっそのこと最初から実践編で、って感じかな」

梨沙「確かユニット発表の時もそんなこと言ってたわね。具体的にどんな子なのかは教えてくれなかったけど」

P「お互い初見の状態でぶつけてみようって話だからな。さ、挨拶行くぞ」

170: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:23:04 ID:xdI
梨沙「失礼します! 的場梨沙です! よろしくお願いします!」

晴「お、アンタが的場梨沙か? オレは結城晴! よろしくな! オレと相性良いって言うからもっとカッコいい系かと思ってたけど結構かわいい感じなんだな!」

晴P「こ、こら! 失礼だろ! すいません……」

P「いえいえ、褒めていただき光栄ですよ」

晴「それで、ポジションはどこが得意なんだ?」

梨沙「ポジション? えっと……何の話?」

晴「何ってサッカーに決まってるじゃんか。どこやってるんだ?」

梨沙「アタシサッカーなんて体育くらいでしかやったことないからよく知らないんだけど」

晴「えっ、そうなのか!? それならどうせ撮影始まるまで時間あるんだし、今からやろうぜ! オレが教えてやるからさ! 楽しいぞ、サッカー」

梨沙「そんな急に言われても……。挨拶するだけのつもりだったから何も準備してないし」

P「少しくらいならいいんじゃないか? 仲良くなるには一緒に遊ぶのが一番だろ」

晴「ほら、プロデューサーさんもそう言ってるんだし、ちょっとだけだからさ!」

梨沙「仕方ないわね……。少しだけだったらいいわよ……」

171: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:23:26 ID:xdI
――30分後、本番直前
梨沙「ちょっと、あの子何なのよ……。おかげで本番始まる前に疲れちゃったじゃない……」

P「いいコミュニケーションになったみたいでよかったじゃないか。大体どんな子か分かっただろ?」

梨沙「確かによく分かったわ! あんなサッカーバカと同じステージに立つなんて今から憂鬱よ……」

P「そうやって言うけど、結城さんはネクストブレイク筆頭って言われてるアイドルだからな。案外勉強になるところもあるかもしれないぞ?」

梨沙「あんな自分勝手がネクストブレイクなんだったらアタシはとっくにトップアイドルになってるし!」

P「相変わらず頑なだなぁ。でも本番中は仲いい感じにしてくれよ?」

梨沙「ふん! そんなの言われなくても分かってるわよ!」

172: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:23:49 ID:xdI
――収録中
MC「今日のゲストは、結城晴ちゃんと、的場梨沙ちゃんでーす!」

二人「よろしくお願いします!」

MC「二人はアイドルコラボレーションのために結成されたユニットなんだよね? どんなコンセプトでいくのかな?」

晴「オレは体動かすの好きだし、梨沙もダンスが得意だからそういうところが見せられたらいいかな」

MC「梨沙ちゃんは今までステージで歌ったり踊ったりする仕事はしてこなかったみたいだけど、不安とかはないのかな?」

梨沙「ちょっと不安なところもあるけど、でもそういう仕事は晴がいっぱいやってるって聞いたし、困ったことがあれば相談できるから心配はしてないです!」

P(トーク自体は問題なさそうだな。さっきサッカーしながら仕入れた情報を使って上手く返せてる。問題は最後の歌パートか)

MC「ということで歌の方に行きましょう。ビートシューターです! どうぞ!」

173: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:24:15 ID:xdI
梨沙(この曲は終盤に向けてキツくなるから序盤は体力を温存して控えめに……、ってあのバカ! 最初から全力じゃない! あれじゃ最後まで保たないわよ!)

晴(……げ、なんか怒ってる。もっと大きく動けってことか?)

梨沙(なんでさらに激しくしてんのよ! ああもうアタシがサボってるみたいに見えるじゃない!)

晴(お、あいつも攻めてきたな? よし、オレもガンガンいくか!)

174: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:24:39 ID:xdI
MC「ありがとうございましたー!」

スタッフ「テープチェンジしまーす!」

P「よかったぞ梨沙。レッスンの時よりだいぶペース上がってたけど、疲れてないか?」

梨沙「疲れてないわけ……ないでしょ……。あのバカが頭からハイペースで踊るからアタシも合わせなきゃいけなかったのよ……」

晴「あれ、そういうことだったのか? 一応控えめにしてたつもりだったから、てっきり手を抜くなって言われてると思って本気出しちゃったよ。ごめん」

梨沙「っていうかなんでアンタはそんなに元気なのよ……」

晴「これくらいの運動だったらサッカーでよくやってるからな!」

梨沙「これくらいって……」

スタッフ「撮影再開しまーす!」

MC「いやー、二人とも元気いっぱいでかっこよかったよ!」

晴「ありがとうございます!」

MC「結構激しいダンスもあったけど疲れてないかな?」

梨沙「大丈夫です! すっごく楽しくて一瞬で終わっちゃったので!」

MC「そうかそうか。それはよかったね! ということでビートシュータ―の二人でした! 続いてのゲストは……」

175: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:24:58 ID:xdI
P「お疲れ様。収録の感想、どうだった?」

梨沙「大きなミスもなかったし、上手く合わせられたから良かったんじゃない?」

P「それだけ?」

梨沙「……何よ」

P「いや、梨沙だったら今日のパフォーマンスで満足してるはずはないだろうと思ってたからさ」

梨沙「……」

P「確かにお客さん目線で見れば悪くないステージだったよ。上手く結城さんに合わせてたし、トークもよかった。でも梨沙が今思ってるのはそういうことじゃないだろ?」

梨沙「……明日からランニングする。あんたが言わせたんだから付き合いなさいよ!」

176: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:25:28 ID:xdI
――Sプロダクション
SプロP「……ということでユニット名は『フリルドスクエア』に決定ということでいいでしょうか?」

P「自分は異論ありません。忍はどうだ?」

忍「アタシも良いと思います!」

穂乃果「とても素敵な名前ですね」

柚「さんせーい!」

あずき「あずきも候補の中で一番かっこいい名前だと思う!」

SプロP「それではユニット名に関してはその方向で進めていきましょう。疑問点等ありますでしょうか」

P「大丈夫です」

穂乃果「一応持ち帰ってプロデューサーさんに確認しますけど、多分大丈夫だと思います」

SプロP「了解しました。それでは本日の打ち合わせは以上です」

あずき「それにしても穂乃果ちゃん、プロデューサーさんが来れないのに打ち合わせできるなんてすごいね!」

穂乃果「プロデューサーさんは今、売り出し中の新人の子にかかりきりなんです。今日もその子の取材とこの打ち合わせの予定がかぶってしまったみたいで……。最近こういうことが多かったのでいつの間にか慣れてしまいました」

忍「大きい事務所は大きい事務所で大変なこともあるんだね。ウチは小さいからPさんが一人で8人担当してても問題ないもんね?」

P「そうそう、ウチは弱小だからこそのプロデュースが出来……ってこら!」

穂乃果「ふふっ、お二人はとても仲がいいんですね」

あずき「それじゃ、いろいろ大変な穂乃香ちゃんと忍ちゃんのために、コラボ大作戦スタートだね!」

柚「おっ、あずきチャンの大作戦が始まった! そうと決まれば早速みんなで合わせてみよっ」

SプロP「だったら確か第5レッスン室が空いてたはずだよ。案内してあげなさい」

柚、あずき「はーい!」

P「俺はこの後梨沙と予定入ってるから失礼するよ。帰る時はタクシーで頼む。領収書忘れるなよ?」

忍「うん、いいけど……。でも、今日って梨沙ちゃんはオフじゃなかった?」

P「秘密の特訓ってとこだよ。本当は毎日付き合う約束だったんだけど、最近忙しくて顔出せてなかったから怒られちゃってね、今日は外せないんだ」

忍「へー、梨沙ちゃんも頑張ってるんだ。アタシも負けないようにしないと!」

あずき「おーい、忍ちゃん! 追いてっちゃうよー!」

忍「あっ、ごめん! じゃあねPさん!」

P「ん、頑張れよ」

177: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:25:55 ID:xdI
――第5レッスン室
忍「ねえ、さっき第5レッスン室って言ってたけど、ってことは第1から第4までもあるの?」

柚「うん、全部で第8まであったカナ? でもちょうど今、他の事務所からの引き抜きを進めてるらしくて、今のままだと部屋が足りなくなるんだって。それであと何部屋か増やすつもりらしいよ」

穂乃果「さすがアイドル事務所ナンバー2のSプロですね。Aプロにはレッスンルームは5部屋しかないですから、ちょっと羨ましいです。スピカプロダクションには何部屋あるんですか?」

忍「ウチはあんまり予算がないから1部屋だけなんだ。所属アイドルが少ないからそれで十分なんだけどね。それにしてもみんなすごい事務所なんだね……」

あずき「たくさんあれば使える人も多いし、長い時間使えるし、多いに越したことはないよねっ! シンデレラプロダクションは20個もあるらしいし!」

Sプロトレーナー「はい、おしゃべりはそこまで! レッスン始めるぞ! まずは披露する曲を通しで見させてもらう!」

178: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:26:28 ID:xdI
――レッスン後
Sプロトレーナー「初めて合わせるにしては上出来だ。ただ、コンビネーションが悪いところがある。まあこれはレッスンを繰り返していけば良くなっていくはずだから大した問題じゃないだろう」

4人「ありがとうございます!」

Sプロトレーナー「喜多見と桃井の個人の改善点は後で個別に連絡しておく。綾瀬と工藤は少し残ってくれ」

あずき「じゃああずきたちは先に着替えて待ってるね!」

柚「トレーナーサンのアドバイスは容赦ないから気を付けてねー」

Sプロトレーナー「全く、余計なことを……。まずは綾瀬。ダンスは見事なんだが、発声は見直した方がいい。そのままだといつか喉を潰してしまうぞ」

穂乃果「確かにライブの翌日は喉の調子が悪くなることがありますし、苦手意識はあるところですね」

Sプロトレーナー「それから工藤はもう少し周りを見た方がいい。自分のことでいっぱいいっぱいになっているように見えるから、もう少し自信を持って自分以外にも意識を向けられるとより良くなるはずだ。二人とも時間のある時に事務所のトレーナーに相談してみろ」

忍「ありがとうございます!」

Sプロトレーナー「最後に、二人とも、連絡先を教えてくれないか? 何か分からないことがあったときはすぐに相談に乗れるし、課題点の細かい説明もできるからな」

穂乃果「それはありがたいんですけど……。どうしてSプロの所属じゃない私たちにそこまでしてくれるんですか?」

忍「確かに。ユニットを組んだとは言っても、コラボイベントが終わったらそんなに頻繁に活動できるわけじゃないし……」

Sプロトレーナー「確かに普通ならそうだな。だが、今回は普通じゃないんだ。詳しい話は彼から話してもらおうか」

SプロP「やあ、外で見させてもらってたよ。とてもすばらしかった」

穂乃果「Sプロのプロデューサーさん? 話っていうのは一体……?」

SプロP「二人の才能を見込んで、Sプロから君たちに一つ提案があるんだ」

SプロP「君たち、Sプロに移籍する気はないか?」

179: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:28:43 ID:xdI
――河川敷
梨沙「いまどき東京でもこんな河川敷があるのね」

P「少し郊外に出ればな。いかにもアイドルの特訓場所みたいでいいだろ?」

梨沙「言われてみればそんな雰囲気あるかも! たまにはいいことするじゃない!」

P「たまには、ってなあ……。俺ってそんな役に立ってないか?」

梨沙「な、なに急に落ち込んでるのよ! いつもはヘラヘラしてるくせに……」

P「なんてな。でも、ちょっと怒ってるんじゃないかって思ってたんだ。作戦だったとはいえ、この前の本番、梨沙には何も伝えてなかったわけだし、結局ランニングもあんまり付き合えてないし」

梨沙「別に気にしてないわよ、それくらい。アンタがそれなりに考えてやってることぐらいアタシだってわかってるもん」

P「お、分かってくれてるのか~! よかったよかった。じゃあ俺が知らない間に梨沙がどれくらい成長したのか教えてもらおうかな」

梨沙「調子に乗るんじゃないの! 昨日タイムは1キロで4分40秒だったけど、どう?」

P「この前は5分ちょいだったのに、もうそんなに速くなったのか、頑張ったじゃないか。それだけタイム上がったならもう十分だ。今度はゆっくりのペースでいいから20分間走ってみようか」

梨沙「そんなに走るの!?」

P「そりゃそうだよ。確かにコラボイベントで披露するのは1曲だけだから今くらいの体力があれば十分だけど、ライブバトルフェスティバルの本選は1試合で20分あるからな」

P「スピプロで梨沙は最年少だから体力面で他のみんなに劣るのは仕方ないことだけど、仕方ないからっていつまでも放っておくわけにはいかないだろ? 長い目でみたらきっと役に立つから、やってみないか?」

梨沙「分かったわよ! やればいいんでしょ! ほら、ストップウォッチ早く準備して!」

P「はいはい。じゃあ行くぞ、よーい、スタート!」

180: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:29:02 ID:xdI
――20分後
P「3、2、1、終了! よく頑張ったな」

梨沙「はあ、はあ……、お、終わった……」

P「走れたじゃないか。前よりだいぶスタミナついてるよ。これならステージで歌って踊ってもバテずに最後までやり切れるはずだ」

梨沙「終わった瞬間にこんなに疲れてたら意味ないでしょ……。楽勝になるくらいまでは続けなくちゃ……!」

P「お、すごいプロ意識。いつの間に成長したなあ」

梨沙「オジサンみたいなこと言ってんじゃないわよ。アタシだっていつまでも新米アイドルじゃないんだからね!」

181: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:29:21 ID:xdI
――スピカプロダクション
忍「戻りました……。あー、今いるのってちひろさんだけ?」

ちひろ「おかえりなさい、忍ちゃん。今は私だけですけど……。何かありました? 元気ないように見えますよ?」

忍「な、何でもないよ! 慶さんいないなら今日は帰ろうかな……」

ちひろ「慶ちゃんはあと1時間くらいしたら来るはずですけど……。レッスンの質問ですか?」

忍「うん。そんなところかな」

聖來「おはようございまーす」

ちひろ「あれ、聖來ちゃん、ダンスレッスンは今日誰も入ってなかったはずですけど……」

聖來「ちょっとだけダンスしたくなってね。この時間はみんな事務所にいないと思ったからレッスン室借りようと思ってたんだけど、もしかして忍ちゃん使う?」

忍「いや、今日は遠慮しとくよ。割り込んだみたいになっちゃうし」

聖來「気にしなくていいのに……。そうだ、一緒に使わない? ダンスするなら一人より二人の方が楽しいし! 外でちょっと聞こえたんだけど、レッスンで悩んでることあるなら聞くよ? アタシも一応トレーナーだからさ」

忍「……そういうことならお願いしようかな」

聖來「じゃあ早速行こうか!」

ちひろ「夕方から久美子ちゃんと朋ちゃんの予約入ってるので、その前には空けておいてくださいね!」

182: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:29:40 ID:xdI
――レッスン室
聖來「じゃあまずは忍ちゃんの課題を聞いておこうかな。今日はそこを重点的に見てみるから」

忍「コラボする子とさっきまで合同レッスンをしてたんだけど、その時にもっと周りを見ろって言われたよ」

聖來「周りを見る、か……。簡単に言うけど、結構難しいんだよね。細かいところをある程度無意識でできるようにならないと周りなんか見てる暇ないし」

忍「じゃあどうしたらいいんだろう」

聖來「アタシは基礎練習をお勧めするかなあ。アタシが周りを見れるようになったのも基礎練習が一通りできるようになってからだったし」

忍「やっぱり何にしても基礎って大事なんだね……。そういえば、アイドルになったら基礎レッスンをいっぱいするものだと思ってたけど、スピプロでは歌もダンスも基礎レッスンはあんまりやってないよね」

聖來「ライブバトルフェスティバルまで時間がないから実践的な練習をしてくれってPさんに頼まれてるんだ。本当は基礎からしっかりとやるべきなんだけど……」

忍「そんな指示があったんだ。やっぱりアタシも基礎レッスンした方がいいのかなあ」

聖來「基礎を固めて、癖が抜けたら相当やりやすくなると思うよ。良かったらアタシが見ようか? 基礎レッスンくらいだったら動画に撮って転送してくれればいつでもメールでアドバイスするし、時間が合えば見てあげるよ」

忍「本当? それならお願いしてもいいかな?」

聖來「もちろん! さて、結構話し込んじゃったね。そろそろ始めようか!」

忍「お願いします!」

183: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:31:33 ID:xdI
――レッスン後
聖來「はいとりあえず今日のところは終わり!」

忍「ありがとうございました!」

聖來「基礎レッスンっていうとだいたいこんな感じになるかな。空き時間にちょっとずつでもやると変わると思うよ」

忍「基礎レッスンってこんなにキツかったんだ……。これはちゃんとやらないとだね……」

聖來「でしょ? アタシもそう思ってPさんには何回も言ってるんだけど、毎回大丈夫って言われるんだよねー」

忍「もしかしたら黙っててもアタシみたいにそれぞれが勝手にやると思ってるのかも。Pさん結構鋭いところあるし!」

聖來「あー、そういうことなのかな? 自称『見る目はある』らしいから。知ってる? 梨沙ちゃんと久美子をスカウトした時そう言ったみたいだよ」

忍「えー! 何そのすっごい格好付け! 笑っちゃうね」

聖來「だよね! アタシも久美子から聞いたときはドン引きしちゃったもん。聞いてるこっちが恥ずかしくなっちゃうよ」

忍「そういえば聖來さんをアイドルにスカウトした時も恥ずかしいこと言ってたよね! 『やりたいことをやらない人生はつまらない』とか!」

聖來「『君なら成功できる!』とも言ってたよね! まったく、アタシになに期待してるんだかって思うよ」

忍「でもアタシは聖來さんがアイドルになるの賛成だけどなー。綺麗だし、ダンス上手だし!」

184: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:32:02 ID:xdI
聖來「そんなことないって。実際ダンスのプロにはなれなかったわけだし、アタシなんてまだまだ……って、湿っぽい話になっちゃったね、ゴメンゴメン。湿っぽいって言えば忍ちゃんも事務所来たときそんな顔してたみたいだけど、何か悩み事?」

忍「あー……、まあ、うん……」

聖來「聞こうか? それかアタシが話しにくいならPさん呼んでくるけど。多分もう帰ってきてると思うし」

忍「……Pさんには話さない方がいいことなんだ。多分」

聖來「どういうこと? もしかしてSプロで何かあった?」

忍「Sプロのプロデューサーさんにスカウトされたの。Sプロに移籍しないかって」

聖來「ヘッドハンティングってこと? スゴイじゃん! って単純な話じゃないよね。もう少し詳しく聞かせてくれる?」

忍「移籍するってことはもちろんスピプロを抜けるってことでしょ? みんなを裏切るみたいだから最初は断ろうと思ったんだけど、大きい事務所の方が活躍できるとか、トレーナーが充実してるとか色々話を聞くうちに、移籍した方がいいような気がしてきて……」

聖來「あー……、それは確かにPさんには言えないよね。うーん、難しいね、困ったなあ……」

忍「聖來さんはどう思う? アタシ移籍した方がいいのかな?」

聖來「どうなんだろう。アタシには判断できないな。すごい当たり前のことなんだけど、一番大事にしなきゃいけないのは忍ちゃんの気持ちだからさ。忍ちゃんはどうしたいのか、ってことを考えれば答えは出てくるんじゃないかな」

忍「アタシはどうしたいのか……」

聖來「本当は立場的に引き止めるべきなんだけど、忍ちゃんには後悔のない選択をしてほしいんだ。突き放してるみたいだけど、もう少し自分で考えてみて。それで出た結論なら移籍するにしてもしないにしてもみんな納得してくれると思う」

忍「そっか、そうだよね。大事なことは自分で決めなきゃだよね。ありがとう、もうちょっと考えてみるよ」

聖來「そうしてみて。レッスン室の片付けはやっておくから忍ちゃんは着替えてきな」

忍「本当? じゃあお願いしようかな。ありがとう聖來さん」

185: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:32:34 ID:xdI
聖來「ヘッドハンティングね……、もしアタシも今そういうことされたら忍ちゃんみたいに悩んだりするのかな……っと、いけない、久美子と朋ちゃんが来る前に片付けないと……」

久美子「私たちがなんだって?」

朋「聖來さんこんばんは!」

聖來「あー、間に合わなかった……。ごめんね、今すぐ片付けるから!」

久美子「いいわよ、別に気にしないでも。それより聖來、一人だけ年上ポイント稼ぎすぎじゃない?」

聖來「年上ポイント?」

朋「忍ちゃんの相談乗ってかっこいいこと言ってたじゃない。そういうポイントよ。惜しいことしたわ、私たちがあともうちょっと早く来てたらあたしたちのポイントだったのに」

聖來「え、何そのすっごいくだらないポイント……。っていうか、二人って一緒に自主レッスンするほど仲良かったっけ?」

久美子「いろいろあって昨日から一緒にやることになったのよ。私たちの『どうしたいのか』が同じだったからね」

聖來「またそうやってすぐからかうんだから……。っと、はい、片付け終わったよ。遅くなってごめんね」

朋「ありがと。せっかくだし聖來さんも一緒にやらない? トレーナーとしてじゃなくて気分転換にでも。ちひろさんが言ってたけど、もともとそのつもりだったんでしょ?」

聖來「うーん、今回は遠慮しとこうかな。忍ちゃんと踊ってたら結構本気になっちゃって疲れちゃったんだ。明日は藍子ちゃんのレッスンあるから休んどかないと」

久美子「そういうことなら仕方ないわね。趣味のダンスなんかよりも仕事の方が大事だもの。まあ私としては、聖來は仕事より大事なもの見落としてるんじゃないかと思うけど」

聖來「えっ……それってどういう……」

久美子「さ、朋ちゃん、始めましょ。聖來、帰らないの? 疲れてるなら早く休んだ方がいいんじゃない?」

聖來「あ……、うん。そうする……」

186: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:33:06 ID:xdI

――数日後、スピカプロダクション
泰葉「アイドルコラボレーションのユニット発表、楽しみですね、ほたるちゃん」

ほたる「はい……。ちゃんと呼ばれるといいんですけど……」

P「俺とちひろさんの二人でちゃんと確認したからエントリーは出来てるはずだよ。今日発表される分で参加ユニットは全部だからほたると泰葉はこのあと発表されるはずだ」

ちひろ「発表が遅い分だけ準備期間が短くなるので、今日発表されるメンバーは特に優秀な子たちが多いみたいですよ。そういう子たちと組めるのはウチとしてはいい経験になりますし、それにほたるちゃんと泰葉ちゃんが優秀だって判断されてるのも嬉しいですね!」

P「そうですね。しかし歌鈴がこの発表見られないのは残念だなあ。神社との兼ね合いだから仕方ないんだけど」

朋「歌鈴ちゃん、忙しいのね。昨日も夜遅くまであたしとレッスン室使ってたんだけど、ちゃんと休んでるのかな」

『それではアイドルコラボレーションのユニット発表に参ります』

藍子「始まりましたね。二人は誰とユニット組むんでしょうか?」

ちひろ「残ってる子たちはみんなそこそこ名前が売れてますから、どんなユニットになったとしても面白いはずですけど……」

『98組目は関裕美、松尾千鶴、白菊ほたる、岡崎泰葉』

泰葉「同じユニットですね。よろしくお願いします、ほたるちゃん」

ほたる「はい……。泰葉ちゃんがいるなら私も安心です」

『100組目は松本沙理n』

聖來「あっ!、もう、テレビ消さなくたっていいじゃん、まだ見てたのに……」

P「あ、すまん。すぐ点けるよ」

『以上でユニット発表を終わりにします』

P「あ……」

聖來「……まあ仕方ないよ。どうせ1時間もすればネットニュースになるだろうし」

P「と、とにかく! これで無事にみんなのユニットが決まったんだ! 本番に向けて頑張っていこう!」

187: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:33:35 ID:xdI
――音楽番組収録現場
スタッフ「OKです!」

梨沙、晴「ありがとうございました!」

P「お疲れ様。二人ともよかったよ」

晴「へへっ、まあオレたちならこれぐらいはトーゼンだよな!」

梨沙「当たり前じゃない! むしろ物足りないくらいね!」

P「お、ということは特訓の成果ありってことか?」

梨沙「もちろん! バッチリよ!」

晴「ん? 何の話だ?」

梨沙「晴は知らなくていいの! スケジュールみたら合同レッスンの予定全然入ってなかったから少し不安だったけど、この調子ならアイドルコラボレーションも上手く行きそうね!」

P「こうして実戦経験で成長していく戦法が取れるのはテレビ局とのコネがあるBプロの強みだな」

晴「社長が昔テレビ局の人だったらしいぜ? この音楽番組も社長の昔の後輩が作ってるらしいしな」

梨沙「デレプロにいたくせに何のコネもないウチのプロデューサーとは違うわね」

P「そんなことないだろ。ほら、スカウトした時に藍子のライブチケット渡したじゃないか」

梨沙「今は藍子もスピプロのアイドルじゃない。そんなのコネなんて言わないわよ」

晴「藍子ってまさかあの高森藍子!?」

梨沙「そうよ。それがどうしたの?」

晴「どうしたのって、高森藍子なんていったらトップアイドルじゃんか! 最近あんまり見なくなったと思ったらまさか梨沙と同じ事務所にいたなんて……」

梨沙「それならこの後事務所来る? 確か今日は相場夕美さんと合同レッスンの予定だったから多分事務所にいるわよ。そうだ! ついでにアタシたちもレッスンすればいいじゃない! 慶に見てもらえばもっと改善できるかも! 晴も収録後はオフって言ってたし、いいでしょ?」

P「この時間レッスン室は空いてるし、慶ちゃんも多分問題はないけど……。結城さんはどうだ?」

晴「あー……、ゴメン。オレ明日サッカーの試合あるから今のうちに休んどきたいんだ。次勝ったら決勝の大事な試合だからさ、万全の準備をしたいんだよ」

P「そうか、そういうことなら……」

梨沙「ちょっと待ちなさいよ! もうすぐ本番なのはコラボも同じでしょ! そんな時にサッカーなんかやって怪我でもしたら仕事はどうするのよ! そんな中途半端な気持ちでアイドルやってたの!? アタシは晴に負けないように頑張ってるのに晴はそんな適当だったの!?」

P「梨沙、やめなさい。そんなのただの八つ当たりだぞ」

晴「なんだよ! オレが頑張ってないって言うのかよ!」

P「結城さんもそこまでだ」

晴「……っ!」

P「結城さん! どこ行くんだ!」

晴「車! Bプロまで送ってくれるんだろ!?」

P「梨沙! 行くぞ!」

梨沙「なんで晴と同じ車乗らないといけないのよ」

P「梨沙!」

梨沙「……」

P「……分かった。ちひろさんに連絡して迎えに来てもらうように頼んでおくから楽屋で待ってるんだ。いいね?」

梨沙「……」

P「何かあったら連絡してくれ。ちひろさん来るまでちゃんと待ってるんだぞ」

188: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:34:15 ID:xdI
――Pの車内
P「さっきはごめんな、結城さん」

晴「……別に梨沙のプロデューサーさんは悪くねーだろ」

P「そんなことないよ。担当アイドルの粗相はプロデューサーの責任だ」

晴「……オレってみんなに適当にアイドルしてるって思われてんのかな」

P「そんなことない。結城さんはれっきとしたプロのアイドルだよ。結城さんが努力家なのは業界でも有名だしな。梨沙は知らなかっただけだよ。あの子は一生懸命すぎて視野が狭い時があるから」

晴「そうなのかな……?」

P「結城さんと初めて会った収録の時、梨沙はすごい悔しがってたんだよ。結城さんについていくだけで精一杯だってね。それから毎日特訓して、やっと追いついたと思ったところで、レッスンを断られたんだ。余裕かましてるって思ったのかもしれない」

晴「余裕なんて全然……!」

P「うん、分かるよ。でも梨沙はまだ分からないだろうな。なぜなら梨沙は自分の才能に気付いてない」

晴「……マジ?」

P「マジ。コラボすることで自分で気付いてくれたら嬉しいんだけど、結城さんは気付けると思う?」

晴「梨沙のプロデューサーさんができるって思うならできるんじゃねーの?」

P「お、お手本みたいな答え」

晴「な、なんだよ、オレだってたまには真面目な時も……」

P「ははっ、ごめんごめん。でも、俺は多分無理じゃないかなと思ってるんだ。梨沙にとってはそれが当たり前すぎることだから」

晴「……天才ってやつだな」

P「そういうことなのかもな。だからさっきの八つ当たりも悪気があったわけじゃないと思う。今度ちゃんと謝りに行くから、その時は許してやってくれないか」

晴「まあいいよ。オレもカッとなって大声出しちゃったし」

P「ありがとう。ついでなんだけど、その時に梨沙にヒント出してやってくれないか? もし梨沙が自分の才能に気づいたら、もっといいコラボができるはずだ」

晴「分かったよ。でもなんか、梨沙のプロデューサーさんと話してるとうまく丸め込まれたみたいで悔しいな」

P「よく言われる。でもそういう仕事だからな。結城さんのプロデューサーさんだって本気出したらこうなるよ」

晴「……オトナは敵に回すモンじゃねーな」

P「そういうことだ。……っと、ちょうどBプロ着いたよ」

晴「送ってくれてありがとな。それから、オレのせいで梨沙置いていくことになっちゃってごめんなさい」

P「今頃は事務員さんが迎えに来てるはずだから気にしないで大丈夫だよ。明日のサッカー頑張ってな」

晴「おう、任せろ! ハットトリック決めてくるぜ!」

189: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:35:50 ID:xdI
――聖來の車内
梨沙「てっきりちひろさんが迎えに来ると思ってたんだけど、まさか聖來が来るなんてね」

聖來「Pさんもそのつもりだったみたいなんだけど、この前歌鈴ちゃんが熱出しちゃって仕事いくつかキャンセルしたでしょ? その対応が忙しいみたいだからアタシが代わったんだ。で、収録どうだった? ビートシュータ―のレッスンはしたことないからちょっと気になるな」

梨沙「……うん、収録は上手く行ったわよ」

聖來「……そっか」

梨沙「……」

聖來「……」

梨沙「……聖來ってさ、最初は全然敵わなくて、それでも頑張って練習して、やっと追いついたって人が、実は本気出してなかったとしたら、どうする?」

聖來「えっ?」

梨沙「今日の収録、確かに上手く行ったのよ。特訓の成果もちゃんと出て、いいステージにできた。そこまでは良かったんだけど、そのあと晴を自主レッスンに誘ったの。でも晴には明日サッカーあるって言って断られて……」

梨沙「やっと追いついたのにアイドルよりサッカー大事にしてるって思ったら、なんかイライラして喧嘩になっちゃったの」

聖來「そっか。だからあんまり元気がなかったんだね」

梨沙「うん」

聖來「あくまでアタシだったらだけど、今よりもっと練習するんじゃないかな。最初はもちろん凹むと思うけど、いつまでも凹んでても仕方ないから」

梨沙「今よりももっと練習……」

聖來「あっ、でも、それはアタシの話で、梨沙ちゃんはこれ以上無理したら身が持たないよ。歌鈴ちゃんみたいに体壊したら元も子もないし」

梨沙「じゃあアタシはどうしたら……」

聖來「……ちょっと話変わるけど、梨沙ちゃんってさ、サッカーしてる晴ちゃん見たことある?」

梨沙「初めて会ったときに少しだけ一緒にやったけど……。でも振り回されすぎてその時のことはあんまり覚えてないかも」

聖來「この前テレビで晴ちゃんの密着取材やってて、そこでサッカーの試合をしてたんだ。なんか大きな大会みたいで、本気さが伝わってきたの」

梨沙「それがどうしたの?」

聖來「その時の雰囲気がさ、アイドルとしてステージに立ってる時の晴ちゃんとそっくりだったんだ。真剣で、楽しそうで」

聖來「梨沙ちゃんはさっき、晴ちゃんがアイドルよりサッカーを大事にしてるって言ってたけど、アタシはそんなことないんじゃないかなって思うんだ。そもそも晴ちゃんはサッカーも仕事みたいなところがあるし」

梨沙「どういうこと?」

聖來「晴ちゃんって、よくサッカーアイドルって言われるじゃない? でも、そうやって名乗るからにはサッカーにも本気じゃないといけない。だからサッカーで活躍するために体を休めたりしてるんだと思うな」

梨沙「でも、だからと言ってアイドルのレッスンをおろそかにするのは違うでしょ? サッカーする時間だけレッスンの時間減るじゃない。サッカーが無ければ合同レッスンできた日もあったかもしれないのに……」

聖來「これはちひろさんに聞いたことなんだけどね、晴ちゃん、試合の前後数日以外は毎日自主レッスンしてるんだって。サッカーの練習でアイドルのレッスン時間が取れない分を取り返そうとしてるんだよ。晴ちゃんは晴ちゃんなりに真剣にアイドルしてるんだと思う」

梨沙「何よそれ……そんなの聞いてないわよ……」

聖來「梨沙ちゃんだって秘密の特訓のこと晴ちゃんに話してないでしょ?」

梨沙「それは……。確かにそうね……」

聖來「で、話は戻って梨沙ちゃんがどうしたらいいかって話だけど、アタシは今のままを続けるだけでいいと思うな」

梨沙「今のまま?」

聖來「前までは全然敵わなかったのに今では追いついてるんでしょ? 晴ちゃんも自主レッスンやってるのに追いつけたってことは成長速度は梨沙ちゃんの方が速いってこと。だったらきっとすぐに抜かせるよ」

梨沙「そうなのかしら……」

聖來「そうだよ。トレーナーのアタシが言うんだから間違いない!」

梨沙「……分かったわ。聖來を信じて、このまま頑張ってみることにする!」

聖來「あと、ちゃんと晴ちゃんに謝っておかないとだめだよ?」

梨沙「うっ……、ま、まあ今回はアタシが悪かったし、仕方ないわよね……」

190: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:36:21 ID:xdI
――スピカプロダクション
P「ありがとな、急にお迎え頼んじゃって」

聖來「いいよ別に。久しぶりに運転していい気分転換になったし!」

P「そうか、それならよかった」

聖來「あっ、でも、アタシが梨沙ちゃんの相談乗ったことには感謝してほしいな~。アイドルの相談は本来Pさんの仕事でしょ? 特別ボーナス要求しちゃおうかな~」

P「ウチは金がないんだから勘弁してくれ……」

聖來「ふふっ、冗談に決まってるでしょ? それに頼られるのは嬉しいし!」

P「でも本当にありがとな。助かったよ」

聖來「困ったときはお互い様だからね。アタシにできることだったらいつでも手伝うよ」

P「ああ、頼む。聖來も困ったことあったら言ってくれ」

聖來「うん、もちろん。じゃ、アタシ忍ちゃんと約束あるから」

P「そうだったのか、急に呼んで悪かったな。忍と何の約束なんだ?」

聖來「最近基礎レッスンしてるんだ。大体久美子と朋ちゃんと時間がかち合ってレッスン室使わずに屋上でやってるからPさんが知らないのも仕方ないけど」

P「お、忍も自主レッスン始めたのか。みんな意識が高くていいことだ」

聖來「うん。センスのいい子たちばっかだし、ボーっとしてたら他の事務所に引き抜かれちゃうかも」

P「確かにそうだな。ウチはギリギリの人数でやってるから引き抜きなんかされたらやっていけないし、その時は全力で止めないとな。まあそんな話はまだないけど」

聖來「……」

191: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:37:32 ID:xdI
――忍の自室
プルルルルルル

忍「こんな時間に着信……? しかも穂乃香ちゃんだ。もしもし?」

穂乃果「夜遅くにごめんなさい。今って少しお話しする時間ありますか?」

忍「全然大丈夫だよ。でも穂乃香ちゃんも電話とかするんだね。ちょっと意外かも」

穂乃果「私だって電話でおしゃべりくらいはしますよ……」

忍「ふふっ、ごめんごめん。それで、話って何? もしかして移籍のこと?」

穂乃果「はい。忍ちゃんはどうします?」

忍「もう少しだけじっくり考えようかなって思ってる。穂乃香ちゃんはどうするの?」

穂乃果「私ですか? 私は移籍することにしました」

忍「えっもう!? そんなにあっさり決まったんだ! 事務所に相談とかしなかったの!?」

穂乃果「もちろんしましたよ。ただ、私の気持ちを知ったら、引き止められないからって。最終的には応援してくれました」

忍「ってことはSプロで提案された時から気持ちは決まってたってこと?」

穂乃果「はい。Sプロの方が力のある事務所ですし、今後のことを考えたら事務所は大きいに越したことはないですから。もちろん今の事務所に不満はないですし、恩もあるので罪悪感はありますけど……」

忍「うん、そうだよね……」

穂乃果「でも、Aプロは今後アイドル部門に加えて新しくモデル部門を立ち上げようとしていて、そのためにお金が必要なんです。プロデューサーさんが交渉して、私の移籍でSプロからお金がもらえることになったみたいなので、そういう面で利害が一致したみたいです」

忍「あー、お金はね……。スピプロもお金はないからもしかしたらアタシの移籍も喜んでくれるのかなあ……」

穂乃果「それは分からないですけど、でも私は忍ちゃんも移籍した方がいいと思いますよ。私、フリルドスクエアにはすごい手ごたえを感じてるんです。Sプロもそう思ってるからこその移籍話だと思いますし、事務所の垣根がなくなればフリルドスクエアももっと活躍できると思いませんか?」

忍「それは……、うん。私もそう思うけど……」

穂乃果「難しい話ですけど、移籍するにしてもしないにしても決めるのは速い方がいいですよ。事務所との今後の信頼関係にも影響しますし……」

忍「そうだよね……。でも、もうちょっとだけ考えたいんだ。絶対に後悔はしたくないし」

穂乃果「そうですよね。急かすようなこと言ってすみません」

穂乃果「それから、こんな電話をした口が言えたことじゃないですけど、私の移籍に気を使って忍ちゃんの意見を変えるなんてことはしないでくださいね。私は忍ちゃんがどっちの選択をしても応援しますよ。きっと柚ちゃんとあずきちゃんもそうだと思います」

忍「ありがと、そうするよ」

192: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:37:56 ID:xdI

――Bプロダクション
梨沙「この前はごめんなさい!」

晴「ちょ、ちょっと待てって! 来るなりそんな急に謝られても何のことだか分からないだろ!」

P「先日の音楽番組収録で的場が結城さんに失礼をしたので、その謝罪です」

晴「あー……あの事な。別にもういいよ。オレの方こそ、梨沙の気持ち考えずに言い返しちゃったっていうか……。っていうか梨沙のプロデューサーさん、この前と口調変わってないか?」

P「一応正式な謝罪ですから」

晴「なんか調子狂うな……」

梨沙「珍しくアタシが謝ってるのにアタシの関係ないところで喋ってるんじゃないわよ!」

晴「……なんでオレ謝られてるのに怒られてるんだ?」

梨沙「だからごめんなさい! 全部アタシの八つ当たりだから気にするんじゃないわよ!」

晴「だからそのことはもういいって!」

梨沙「じゃあサッカーするわよ!」

晴「は!? ど、どういう意味だよ!?」

梨沙「よくあるでしょそういうやつ! 『一緒にサッカーしたら仲直り!』みたいなやつ!」

晴「確かによくあるけど……。いや、だとしてもオレ今ボール持ってないし……」

P「はいボール。そこらへんの公園でやってきなさい」

晴「なんかデカい荷物持ってると思ったらボールかよ! っていうかオレこの後レッスン!」

P「結城さんのプロデューサーさんには了承もらったから大丈夫なはずだよ。思う存分やってきな」

晴「プロデューサーもグルかよ……」

梨沙「ほら! ぼさっとしてないでいくわよ!」

晴「ああもう分かったよ! 行けばいいんだろ!」

193: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:38:14 ID:xdI
――スピカプロダクション
ちひろ「それで勢いで仲直りさせちゃったんですか? またPさんも強引なことしますね……」

P「まあ、謝ったところでしばらくは気まずいだろうし、本番まで時間もないんで、一発台風起こして気まずさも吹き飛ばしてしまおうと思いまして」

ちひろ「相変わらず悪い大人ですねー。あの手この手で女の子を掌でくるくる回して」

P「悪いのはちひろさんだって同じじゃないですか。別に大して忙しくもないのに聖來に梨沙を迎えに行かせるなんて」

ちひろ「説教とか相談は私の領分じゃないんです。聖來ちゃんならそこらへん上手くやれるだろうし、結果うまい具合に行ったんだからいいじゃないですか」

P「なら今回の俺の作戦もセーフですよね? 仲直りは大成功でしたし」

ちひろ「……今回は負けを認めます」

P「お、久しぶりに勝った! 仕事のし過ぎで頭働いてないんじゃないですか? 休み取ります?」

ちひろ「みんなが頑張ってるのに私だけ休めませんよ」

P「ま、それはそうですよね。みんな壁にぶつかりながら、協力して乗り越えてくれるから、俺も頑張らなきゃ、って気になりますよ。最近彼女たちに大したことしてあげられてないですから」

ちひろ「確かに言われてみればそうですね……。歌鈴ちゃんの体調不良も見逃して、ビートシュータ―も喧嘩して、Pさん全然いいところないじゃないですか」

P「そういわれると反論できないのが辛いところで……」

ちひろ「あっ、じゃあ今日のところは1勝1敗で引き分けですね!」

P「えっ嘘! また始まってたのかよ、せっかく久しぶりに勝てたのに……」

ちひろ「勝負はいつ始まるか分からないんです! そんなだからいつも負けるんですよ?」

P「おっしゃる通りで……」

ちひろ「はいまた私の勝ち! Pさんは相変わらず詰めが甘いですね~」

194: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:39:09 ID:xdI

――数日後、アイドルコラボレーショ本番前、控室
P「梨沙、もうすぐスタンバイだ。俺は忍の方に行かなきゃいけないから、あとは結城さんのプロデューサーさんの指示に従ってくれ」

梨沙「う、うん……」

P「なんだ? 緊張してるのか? らしくない」

梨沙「そりゃあ緊張もするわよ! こんな大きなステージなんて立ったことないもの! それに隣にいるのは今売り出し中の結城晴なのよ!? ヘタなことしたらアタシはきっとすごい叩かれるじゃない!」

P「結城さんより凄いパフォーマンスすればいいだけじゃないか。そうしたら一気に注目のアイドルになれるぞ。結城晴の謎の相方、期待の新星、的場梨沙。なんて記事が書かれたりしてな。きっとパパさんも喜ぶぞ」

梨沙「それ言えばアタシが喜ぶと思ってない? そんな簡単なことじゃないから緊張してるんじゃない」

P「はは、バレたか。でも、梨沙ならできると思うぞ。だってあれだけ特訓したんだ」

梨沙「確かに特訓はたくさんしたけど……」

P「じゃあ不安な梨沙に一つだけヒントだ。結城さんに謝りに行ってサッカーした時、結城さんに何か言われなかったか?」

梨沙「晴に言われたこと? ああ、そういえば、成り行きで晴と組んで近所の子と2対2した時、カバーリングが巧いとか言われたけど、それがどうしたの?」

P「ふふっ、結城さんも中々いいヒント出すじゃないか。これで気付けないなら答え教えるしかないかな……」

梨沙「な、何の話よ.……?」

P「梨沙はさ、周りを見てバランスをとるのが凄い上手いんだよ。誰かがミスしても、咄嗟の判断でカバーできる。それが梨沙のすごいところだよ」

P「ビートシュータ―の最初の仕事でも、結城さんがどんどん突っ走ってるのについて行って違和感を感じさせないように修正してただろ? それはそう簡単にできることじゃないよ。初対面ならなおさらだ」

梨沙「あの時はアタシがサボってるように見えると思ったから合わせただけで……」

P「普通の人はそう思っても合わせられないよ。カメラに映ってない時はヘロヘロになってたけど本番中はそんな風には見えなかったし、自分の限界も計算に入れて結城さんの暴走をカバーしてたんだよ。しかもほぼ無意識で。結城さんもいつからか気付いてたみたいだよ、梨沙が天才だってこと」

梨沙「アタシが天才……」

P「そう。梨沙は天才。天才が努力したらできないことなんてないよ」

梨沙「……そうよね! アタシはトップアイドルになるんだから、それくらいの才能はなくっちゃ!」

P「その通り。で、トップアイドルになるためにまずはこのコラボを成功させなきゃだけど、俺にいい作戦があるんだ。聞きたいか?」

梨沙「決まってるじゃない!」

P「よし来た! 天才とは言っても、まだまだ梨沙はトップアイドルじゃない。もちろん結城さんもそれは同じだ。だから少なからずミスは出る。そこをいつも通り上手くカバーするんだ」

P「結城さんは気合入ってるだろうし、梨沙が巧くカバーしてくれるって分かればミスを恐れずにギア上げてくると思う。そうしたら観客は盛り上がってコラボは大成功ってわけだ。この作戦どう思う?」

梨沙「賛成! プロデューサーにしては上手いこと考えるじゃない」

P「だろ? これでも天才アイドルのプロデューサーだからな。これくらいのことはしないと」

スタッフ「的場梨沙さん、スタンバイお願いしまーす!」

梨沙「それじゃ、行ってくるわね!」

195: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:40:39 ID:xdI

――数分後
P「すまん忍、遅くなった。準備は大丈夫か?」

忍「うん。衣装もメイクもばっちりだよ」

P「そうか、よかった。じゃあスタッフさんが呼びに来るまでモニター見てようか。ちょうど梨沙の出番だ」

忍「ほんとだ! 確かビートシュータ―にはコラボのためにつくられた新曲があるんだよね?」

P「ああ、『輝け!ビートシュータ―』って曲だ。俺もリハーサルで聞いたけどかっこいい曲だったぞ。なんでもBプロが懇意にしている作曲家と作詞家に依頼したらしい。1回きりのコラボなのに新曲書き下ろしてもらえるんだから、羨ましい限りだよな」

忍「やっぱり大きい事務所はそういうのも持ってるんだね……」

P「まあ少なからずそういうところはあるよ。ウチみたいな小さい事務所は実績がないから信頼を得ること自体難しいけど、Bプロは老舗だからその点はやっぱり強い。Sプロもそうだけど、有名な事務所はそれだけで大きな強みだよ」

忍「……あのさ、今までずっと黙ってたんだけど、アタシ、Sプロに移籍しないかって言われたんだ」

P「……そうか」

忍「あんまり驚かないんだね」

P「驚いてるよ。ただ、みんなが活躍していけば、そういうことも覚悟しなきゃいけないっていうのは分かってることだったからな。忍が誘われたってことはもしかして綾瀬さんも誘われてるのか?」

忍「うん。穂乃香ちゃんはもう移籍決めたみたい。今日がAプロのアイドルとしてステージに立つのは最後だって」

P「綾瀬さんは、ってことは忍はまだ迷ってるってことだよな」

忍「うん。最初は聖來さんに相談して、アタシがどうしたいかを考えれば答えは出るってアドバイスされたんだ。でも考えても結局は同じところにたどり着いちゃって……」

忍「柚ちゃんもあずきちゃんも穂乃果ちゃんもみんな凄くて、アタシも一緒に活動すればもっと成長できるかな、とか、でもスピプロのみんなを裏切ることになるのは嫌だな、とか……」

P「……スピプロにいても忍はもっと成長できると思うし、もしSプロに行くことになったとしても、スピプロのみんなは裏切られたとは思わないんじゃないかな」

忍「どういうこと?」

ビートシュータ―『ライバル同士~♪ ぶつかりながら~♪ 限界はないどこまでも二人~♪』

P「この曲が言ってるみたいにさ、ライバルなら、たとえいつも一緒にいなくても成長できると思うんだよ」

P「梨沙と結城さんは違う事務所だけど、ライバルになれたからお互いが大きく成長して、今のこの素晴らしいステージがあるんだ。わざわざ移籍しなくても競い合って成長できるっていう証拠じゃないかな」

忍「つまり、移籍しないならフリルドスクエアのみんなと、移籍するならスピプロのみんなとライバルになれたら裏切ったことにはならないってこと?」

P「そういうこと。それから逆の視点で見ると、どっちを仲間にするかとも言えるな。仲間はライバルと違って、協力して、共に戦うことで一緒に成長していく。忍にとって誰がライバルで、誰が仲間であるのが理想なのかを考えてみたらいいんじゃないかな」

P「まあこれは俺の考えだから、聖來のアドバイスと、もちろん忍の気持ちも含めてしっかり考えなさい。結論がどっちになろうと俺は応援するから」

スタッフ「工藤忍さん、スタンバイお願いしまーす!」

P「よし! 今の話はいったん忘れて、まずは本番! いつもの忍なら大丈夫だ! 頑張ってこい!」

忍「えっ……、あっ、うん!」



P「……もしもし、ちひろさんですか? 一つお願いがあるんですけど……」

196: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:41:03 ID:xdI
――舞台袖
忍「って言われたけど、そんな簡単に忘れるなんてできないよ……」

柚「忍チャン、どうかした?」

忍「あー……、いや、大丈夫!」

あずき「せっかくのコラボ大作戦だもん、元気出していこっ!」

忍「うん、そうだよね……」

穂乃果「……忍ちゃん、ちょっといいですか?」

忍「えっ……、うん」

穂乃果「私はこのステージに、Aプロへの感謝のすべて込めようと思っています。忍ちゃんはまだ迷ってるみたいですけど、もし移籍することになった時は今回がスピカプロダクションとしての最後のステージになるかもしれないんです。余計なこと考えてミスでもしたらきっと後悔しますよ?」

忍「……ごめん、そうだよね。集中しないと!」

スタッフ「フリルドスクエアの皆さん、ステージにお願いしまーす!」

フリルドスクエア「はい!」

197: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:41:21 ID:xdI
――ステージ
忍(Sプロに移籍するにしても、スピプロに残るにしても、今やるべきことはこのステージを成功させること! まずは立ち位置について……)

聖來「忍ちゃん頑張れー!」

忍(聖來さん!? それにちひろさんに、久美子さんと藍子ちゃんも! しかも最前列に陣取って……)

藍子「失敗しちゃった私の分まで頑張ってください!」

久美子「忍ちゃんならできるよ! 初めて会ったとき、私びっくりしたんだから! 忍ちゃんが本気になったら誰にも負けないはず!」

聖來「屋上レッスンを思い出していつも通り頑張ればきっと大丈夫!」

ちひろ「忍ちゃん頑張ってください! みんな応援してますよ!」

忍(ちひろさんまであんなに大声出しちゃって……。でも、あんな応援されたらもう失敗なんかできないよね!)



ちひろ(それにしてもPさん、忍ちゃんの出番直前になって私たちにこんな指示出して、どういうつもりなんでしょう……? 確かに忍ちゃんの士気は上げられたみたいですけど……」

198: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:42:00 ID:xdI
――ステージ終了後
SプロP「素晴らしいステージだったよ。みんなの個性とコンビネーションが調和した完璧なパフォーマンスだった。特に工藤さん、君は私が思っていた以上の逸材だったようだ」

忍「ありがとうございます、って言ってもアタシ、ステージで何してたかほとんど覚えてないんですけど」

あずき「えっ、忍ちゃん覚えてないの!? 前に合わせたときよりずっとかっこよかったから、あずきびっくりしたんだよ!」

忍「なんか気が付いたら曲が終わってて……。凄い歓声だったから成功したっていうのは分かったんだけど……」

柚「もしかしたら、ゾーンに入ってたってやつかもね!」

忍「ゾーン?」

穂乃果「高い集中力によって、普段以上の力を発揮できる状態のことです。きっと忍ちゃんは、覚えていられないくらいにステージに集中していたおかげで、今までレッスンしてきた全部を出せたんじゃないでしょうか」

SプロP「その通りだ。工藤さんは元々の集中力が高いから、他の人よりゾーンに入りやすいんだと思う」

忍「そんな大それたことしてないと思うんですけど……」

P「いや、きっとそうだよ。忍に初めて会ってダンスを見た時もゾーンに入ってたんだろう。久美子も言ってたけど、あれはなかなかの衝撃だったぞ」

忍「あれ、Pさん、いつの間に。でもそういえばスカウトされた時のこともあんまり覚えてないかも……」

SプロP「だからこそSプロは君が欲しい。柚やあずき、綾瀬さんとともに切磋琢磨すれば、もっといいアイドルになれるはずだ」

忍「……せっかくの話だけどその話、やっぱりアタシは乗れないです。アタシは、スピカプロダクションのみんなと仲間でいたいんです。アタシのことをどんな時でも応援してくれるみんなと一緒に頑張りたいんです」

忍「フリルドスクエアはすごい良いユニットだと思うし、3人ともアタシよりずっと立派なアイドルだと思うけど、だからこそライバルとして勝ちたいって思ったんです」

SプロP「ライバル、か。それならば仕方ないな。今回の話はなかったことにしましょう」

忍「ありがとうございます」

SプロP「ただ、ライバルと決まった以上、私たちは手加減しません。ライブバトルフェスティバルで会いましょう。Sプロは全力でスピカプロダクションを倒しにかかります」

P「望むところです。ライバルとはそもそもそういうものですから」

柚「えっと、柚たちなにも聞いてなかったんだけど、プロデューサーサンが忍チャンを引き抜こうとしてて、それを忍チャンは断ったってこと?」

SプロP「そういうことだよ。ちなみに綾瀬さんは明日からSプロ所属だ」

あずき「えーっ!? そんなの聞いてないよ~! っていうかそれだと忍ちゃんは仲間外れってこと?」

忍「ううん。ライバルは離れてても繋がってるんだって梨沙ちゃんたちが歌ってた。だから仲間外れじゃないよ」

穂乃果「忍ちゃんがそう決めたならそれがきっと正しいんだと思います。私たちもライバルとして忍ちゃんに負けないようにしないとですね」

忍「うん。絶対負けないからね」

202: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)22:08:47 ID:xdI
 
P(今回のコラボで梨沙も忍も大きく成長できたはず。こうして事務所は小さくてもアイドルは大きくなり続けている。この調子ならライブバトルフェスティバルでも恥ずかしくないライブができるはずだ。あとはライブバトルに最低限必要な9人目のアイドルさえ見つかれば……)

200: 名無しさん@おーぷん 20/08/28(金)21:43:20 ID:xdI
~~8話 Company完~~

引用元: [デレマスss]REVENGE!