1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/31(水) 00:59:12.625 ID:ymttZr04x.net
母親「玄関に母さんの聖剣立て掛けてあるから持っていってねー」トントントン

男「母さんが昔魔王を倒した時に使ってた聖剣『エリクシエル』か」カチャ

男「いってきまーす」

ピンポーン

魔王の娘「はーい」ガチャッ

男「こんばんわ。お父さんいますか?」

魔王の娘「もうすぐ帰ってくると思います。中で待っててください」

男「それじゃあ。お邪魔します」

5: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/31(水) 01:09:14.869 ID:ymttZr04x.net
魔王の娘「今お茶を淹れてきますね」

男「いえお構い無く。…お一人ですか?お母さんは?」

魔王の娘「お母さんは私を産んだ時に亡くなりました。父と二人暮らしです」

男「ああ、そうなんですか。それは大変ですね」

魔王の娘「いえいえ。それより本日はどのような趣で?」

男「ええと、母の代わりに魔王を倒しに…」

魔王の娘「あっ、じゃあ勇者さんの息子さんなんですね。そっか。もうそんな時期なんですね」

男「あまり驚かないんですね。お父さんを倒しに来たというのに」

魔王の娘「父の仕事については理解してますし。私もいずれ後を継ぐでしょうしね」

男「…それって魔王として倒されることに納得してるってことですか?いいんですか?それで」

魔王の娘「ふふ、おかしな人。あなたがそれを仰るんですか?」

6: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/31(水) 01:17:16.659 ID:ymttZr04x.net
男「いやだって。魔王なんて勇者に倒されるだけの存在じゃないですか。それなのに…」

魔王の娘「あら、そんなことありませんよ。魔王がいることで魔物の世界は統率がとれるんですから。誰かがやらないといけないんです」

男「だ、だったら別にあなたがやらなくても…」

男(くそっ、俺はさっきから何を言ってるんだ!魔王になったこの子を倒すのが嫌だって思ってる…!)

魔王「ただいまー」

魔王の娘「あっ、父が帰ってきたみたいです。お帰りなさーい」

魔王「お土産買ってきたよ。ほら、たい焼き」

魔王の娘「やったぁ。後で一緒に食べよう!」

男「・・・・・・」

8: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/31(水) 01:25:19.863 ID:ymttZr04x.net
魔王「おや、珍しい。お客さんかな?あ、それ『エリクシエル』じゃないか。ってことは勇者のお子さんか。大きくなったねえ」

男「あ、ども、お邪魔してます」

魔王の娘「ご飯できてるから先に食べましょう」

魔王「おおそうだな。君も一緒に食べていきなさい」

男「え、いや、うちは母さんがもう作って・・・や、いただき…ます」

魔王「ははは。いつも二人だけの食卓だからねえ。人が多い方が食事は楽しいものだよ」

魔王の娘「準備するから座って待っててね」

男「あの、ちょっと聞いてもいいですか?何で魔王をやってるんですか?」

魔王「なんでかなあ。うちは代々魔王だったからねえ。そういうい家柄なんだよ」

男「じゃあ娘さんにも魔王をやらせるんですか?」

10: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/31(水) 01:34:50.173 ID:ymttZr04x.net
魔王「う~ん。そうだねえ」

男「・・・」

魔王「本音を言うとねえ。娘には好きなことをやらせてあげたいんだよね。魔王の家に産まれたからって魔王になることもないんじゃあないかなって」

男「じゃ、じゃあ娘さんが魔王を継ぐ必要も無いってことですね!」

魔王「君はそっちの方が良いって思ってるみたいだね」

男「そ、それは・・・」

魔王の娘「お父さんたら。またそんなこと言って。私は魔王になるつもりよ」

男「どうして…?あなたが魔王になったら僕と戦うことになるんですよ」

魔王の娘「それが運命というものじゃないかしら。あ、別にあなたが嫌いってわけじゃないですよっ!」

魔王「はい、この話はやめよう。それよりご飯を食べようじゃないか。君は好き嫌いはあるかね?」

男「いえ、ありません」

魔王「うんうん。男の子はそうでなくちゃなあ。お腹いっぱい食べなさい」

12: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/31(水) 01:41:58.525 ID:ymttZr04x.net
男(ダメだ・・・とてもこの家族を倒せる気にはなれない・・・)

男「僕、帰ります。ごちそうさまでした」

魔王の娘「えっ、用事はいいんですの?」

男「はい・・・今日はちょっと」

魔王「まあまあ。お隣だしね。気が向いたらいつでも遊びに来なさい」

男「ありがとうございます・・・」


母親「もー遅かったわね。ご飯冷めちゃったじゃない。早く食べちゃってよ」

男「いや、いいよ。お腹いっぱいだし」

母親「はああ?一体何してきたの?魔王はちゃんと倒してきたんでしょうねー」

男「うっさいなあ。部屋戻るから」

母親「あ、ちょっと!待ちなさい!」

男「そうだ、母さん聞いていい?何で母さんは魔王を倒したの?」

母親「そんなの悪いからに決まってるでしょー!」

男(はあ・・・何が悪いってんだろ・・・・・・)

14: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/31(水) 01:53:28.787 ID:ymttZr04x.net
翌朝

男「ふう、学校行かなきゃ。いってきまーす」ガチャッ

男(そういやお隣はもう出かけたかな? ・・・っ!)

男「うそ・・・なんで・・・!?」

隣にあったはずの魔王宅は 焼け野原になっていた

男「母さん!お隣が!魔王の家が無いっ!!」

母親「お母さんが夕べ倒してお・き・ま・し・た」

男「なんでっっどういうことっっっ!!?」

母親「どうもこうもないでしょー。あんたが言うこと聞かないからお母さんがやらなきゃいけなくなったんじゃないの」

男「ああっ!!あああぁぁぁぁぁぁあああぁあっっ!!!!!」

バタン!!!

母親「ちょっと!どうしたの!ちゃんと学校に行くのよー?」

男「あああああああああああああああ!!!!!」

20: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/31(水) 02:06:19.934 ID:ymttZr04x.net
男「そんな・・・なんで・・・なんで・・・!」

男「魔王の家が・・・一晩で瓦礫になって・・・こんなことって・・・」

男「ひっぐ・・・ここにテーブルがあったんだ・・・3人でテーブルを囲んで食事したんだ・・・」

男「一緒に話して・・・笑って・・・テレビ見て・・・」

ガラッ

男が瓦礫を持ち上げるとその下から何かが出てきた

それは黒焦げになった2つのたい焼きだった

男「うっ・・・うぅ"ぅ"ぅ"ぅ"~~~~!!!!!」

太陽が頂点に昇り、やがて西へ沈み、赤焼けに染まる頃になっても

男は2つのたい焼きを胸に抱えて泣いていた

引用元: 母親「母さん今手が離せないからちょっと魔王倒してきてくれるー?」トントントン 男「えぇー」