1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:32:15.946 ID:c28fhx9u0.net
人は女に生まれるのではない、女になるのだ
 -シモーヌ・ド・ボーヴォワール「第二の性」


少年「放課後だってのにこれから準備室に行くのか…しかも準備室は校舎の外れにあるし、資料は重いし…早く帰りたいなぁ」


-放課後・準備室-

少年(やっと着いた…ん? 中に誰かいるのか?)

少女の声「ったく、だからオレは嫌だって言っただろうが、クソが!」

少年「!?」

少女の声「押しゃあいいってもんじゃねーんだよ! わかれ! ああ、もう、思い出すだけでムカつくぜ! くそっ、あのヤロウ、キメェんだよ!」

少年「うゎぁ…」(ドン引きだぜ。すげえ可愛い声なのに…)

少女の声「!! ……誰かいるの?」

少年(うっ、仕方ない。ドアを開けてっと)
少年「えーっと、資料を置きに来たんだけど…」

少女「あ、し、少年くん。資料を、お、置きに来たの?」

2: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:32:34.294 ID:c28fhx9u0.net
少年「日直で資料を片付けるの忘れてて…」
少年(同じクラスの少女さんだったか。美少女だけど殆どクラスに馴染んでいない子だ。黒いロングヘアが目立つ、いつも物静かでクールビューティーな子だと思っていたが…)

少女「そう。……」

少年「……」

少女「……」

少年(くっ、気まずい!)
少年「じゃ、資料も片付けたし、俺はこれで…」

少女「…っ! 少年くん、ちょっと…」

少年「な、なに?」

少女「あの、さっきの、聞こえた?」

少年「さっきの? え、いや、まあ、その…何となく…」

少女「そ、そうだよね…。実は演劇の練習をしていて…アハハハ」

少年「あ、あははは…」
少年(めっちゃ笑顔だけど目が笑ってねぇ。なんか普段の物静かな感じと全然違うぞ。引きつってる笑顔も超可愛い!)

少女「…ふぅ、でもまぁちょうどよかったか」ボソボソ

少年「え、なに?」

8: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:34:53.159 ID:c28fhx9u0.net
少女「ねえ、わたし女に見える、男に見える?」

少年「え? 男? え? 少女さんもしかして男の娘?!」

少女「わたしは女よ」

少年「じゃあなんで聞いたし! 女以外に見えようがないぞ」

少女「そうだよね。わたしの身体は女。でも、心は男だと思っているの」

少年「え? あの、LGBTってやつか?」

少女「そう。トランスジェンダーってやつね。で、面倒なんで『地』をだすけどいい?」

少年「地?」

少女「ああ。女言葉や仕草は外見に合わせて演技しているんだ。中身はおまえらと同じ男だと思ってもらっていい」

少年(同じ顔、同じ声なのに雰囲気ががらっと変わった!)

少女「まあ地と言っても表に出すことは殆どないけどな。いつもは頭の中だけで叫んだり話したりしていたのさ。でもまあ、我慢できなくなって今日みたいに人気ひとけのないところで吐き出してたってわけだ。まあ運悪くおまえに見つかったけど」

少年「男って言うけど、ただそういう話し方が好きなだけで、別にトランスジェンダー?だっけ? そういうわけではないんじゃないのか?」

少女「オレ、普通に女の子しか恋愛対象、いや性的対象にならないぜ?」

9: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:35:19.010 ID:c28fhx9u0.net
少年「普通って…」

少女「まあまあ。それで今日男に言い寄られてな。付き合わねーっつってんのにしつこくてよ。男と付き合うなんてできるかよ。  じゃねーんだし」

少年「  ではないだろ、確かに…」

少女「もちろんこんなこと誰にも言えんし、言うつもりもなかったんだが。しかし聞かれちまったもんはしょうがねぇ。ちょっとこの後オレん家ちまで付き合ってくれないか?」

少年「え、おまえのうち? なんでまた急に?」

少女「これ以上ここで話すのも何だしな。誰かまた来るかもしれないし」

少年「それもそうか」

少女「カフェやファミレスもまずいし、な。今後のことも含めて色々話しておきたい」

少年「わかった」
少年(このまま俺がクラス中に触れ回っても困るだろうし、状況説明した上で釘を刺しておきたいということか)

少年(しかし、途中から全然違和感なかったな。顔と声が少女さんなのに、普通に男友達と話しているような感じになった)

10: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:37:32.444 ID:c28fhx9u0.net
-帰り道-

少女「わたしの家はこっち。悪いけどよろしくね」

少年「ああ」
少年(うーむ。今は女モードか。しかし可愛いな)

少年(ちょうど部活の最中で下校している生徒が少ないからいいけど、こんな一緒に帰っているところをみんなに見られたら一発で噂になるな)

少年(クラスでは浮いてるけど、言い寄る男が多いのもわかる。しかし女の子と一緒に下校なんて初めてだな。ふふふ)

少女「なに笑ってんだよ」ヌッ ヒソヒソ

少年「うゎ、顔ちけーよ!」

少女「まあ、気持ちはわかるけどな。でも中身は男だってこと忘れんなよ」ニヤ ヒソヒソ

少年「お、おう」
少年(くっそ、こいついい匂いしやがる! はあぁ、幸せな気分だ……っていやちょっとまて、こいつのいうとおりこいつは男だ! 男だ男だ男だ…)

少年(変な気持ちはおこさないように……って、女でいいのか。ああもう!)

少女「そろそろオレん家だけど、ちょっと一言言っておく。たぶん家にはお袋がいると思うけど、オレのこの中身のことは家族も知らないから」ヒソヒソ

少年「おまえ、家族にも言ってないのかよ」

少女「ああ。知ってんのはおまえだけだ。誰にも言ってないからな」

少女「っと、着いたぜ」ヒソヒソ

11: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:37:57.868 ID:c28fhx9u0.net
-少女の家-

少女「ただいま」

少女の母「あら、少女ちゃんおかえりなさい」

少年「お、おじゃましマシュ」(くっ、咬んだ…女の子の家なんて緊張するぜ)

少女「同じクラスの少年くん。ちょっとクラス行事の打合せがあるからわたしの部屋にいくね」

少女の母「いらっしゃい。あらまあ、珍しいわね、少女ちゃんがお友達を連れてくるなんて。ふふ。じゃあ少年くん、よろしくね。おばさん、しばらく上の部屋には行かないから!」ニッコリ ウィンク=☆

少年「はへ?」

少女「少年くん、こっちよ」

少年「あ、ああ…」(何だ、今の?)

少年(…女の子の家、女の子の部屋! ちょっとドキドキしてきた!)

14: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:41:19.862 ID:c28fhx9u0.net
-少女の部屋-

少女「まあ、その辺に座ってくれ」

少年「…ああ。…すごい部屋だな。アイドル・アニメのポスターにフィギュアか」

少女「まあ、そんなにディープじゃないけどな」

少年「確かに。TVとかでみたオタクの部屋ってびっしりグッズやポスターがあったもんな。ここは抱き枕とかもないし。でも少し女の子の部屋を期待したぞ」

少女「そりゃすまん。まあ、自分の部屋は別に偽装する必要ないしな。誰も呼ばないし。そのかわりお袋がちょっと心配しててな。こんな趣味で男の影もないときた。さっき、お袋はおまえに多大な期待をかけてたはずだ」

少年「年頃の男女が二人きりで部屋に籠こもるっていいのかなって思ったけど、あれはそういう…」

少女「男と付き合うこともそうだが、ちゃんと結婚できるのか心配なんだろうな。その点親には悪いと思っているよ。男と付き合ったり、まして結婚なんかできるわけないし」

少年「そうか…」

少女「あ、ちょっと悪いが、後ろ向いててくれるか?」

少年「? ああ」クルッ

少年(何だ? あ、戸棚のガラスに反射して見える。ジャージを制服のスカートの下に穿くのか。太ももの根元まで見えそうで色っぽい…)

15: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:41:44.041 ID:c28fhx9u0.net
少女「もういいぜ」ドカッ

少年「…胡座かきたかったのか」

少女「ああ。そのままだと見えちまうからな」

少年(色っぽくなかった…)
少年「さっそくだけど、その、中身が男だってことは秘密にしておくんだよな」

少女「ああ、頼む」

少年「誰彼にいう話しじゃないだろうけど、カミングアウトはしないのか?」

少女「さっき言ったとおり、親には心配かけたくないし、周りに言って面白おかしく見られるのもな。いや、面白おかしく見られるのは別にいいんだがな。気にしなければいいし…」

少年「?」

少女「オレが中身は男だとみんなに言うわな。で、男どももオレを男と認識してくれたとする。で、男同士のつきあいになる。実際『男友だち』って欲しいしな。当然  話とかもするよな?」

少年「当然と言われるとあれだが、まあ、男同士だしな」

少女「おめえ、いい してんじゃん、男同士なら恥ずかしくないだろ、ほら。とか言って上半身裸になって、俺も脱いだんだから…とか言って脱ぐことを強要したり…オッス!とか言って股間を触り合ったり…」ブルブル

少年「おまえ、想像力豊かすぎだろ! 身体は女だし、さすがにそんなことはないと思うぞ」

少女「いや、オレと同じ奴がいたら、オレならそうする。ぐへへ。だって女の体だぜ?」

17: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:42:00.817 ID:c28fhx9u0.net
少年「…おまえ…。いや、そうすると俺に正体明かすのもまずくないか?」

少女「うん、少年は大丈夫。実は前からカミングアウトするならおまえだと思ってたんだよ。まさか本当にカミングアウトすることになるとは思わなかったけどな」

少年「前から?!」

少女「おう、目を付けてたぜ」ニヤ

少年「あまり話もしたこともなかったと思うけど、なんでまた?」

少女「そりゃおまえから漂うヘタレ…いや、女子に話しかけられたときのビビりぐあいとかな…。男子同士で猥談してるときも何となく避けてるし」

少年「ぐぁ!」

少女「猥談くらい普通に参加しろよ。それに、それとなく会話は聞いてるようだし」

少年「余計なお世話だ! よく見てたな…」

少女「まあ、そんなわけで、ムッツリだけど実際に手を出すことはないだろうと…」

少年「ほっとけ!」

少女「信用してるってことさ」ニヤリ

18: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:42:17.138 ID:c28fhx9u0.net
少年「ヘタレを信用されるってのもな…。とにかく、この件は秘密なんだな?」

少女「そう。よろしく頼むよ」

少年「でも家族にはやっぱり話したほうがいいんじゃないか」

少女「うーん、今はちょっとな。将来言えるかどうかも…」

少年「そうか。確かに他人が口を挟むことではないな。わかった」

少女「今はカミングアウトできてホッとしてるよ。この口調で本当に会話したかったし」

少年「頭の中ではずっとそんな感じで話してたのか?」

少女「そうだな。まあ、小学校高学年くらいからかな。そのころから、自分は周りと比べておかしいと感じてたのさ」

少女「小さいころは男も女もあんまり関係なくて、オレくらいお転婆な女の子やお人形遊びよりヒーローごっこのほうが好きな子も多少はいたさ。でもいわゆる思春期になってきて、好きな男子は?とかいう話になるわけだ。男嫌いの子もいたけど、そのころからはっきり自分は違うと感じたな」

少年「ふうん」

少女「で、あるとき、男言葉で話してみたらすごくしっくりきてな。ちょっと周りの子にもそれで話してたら微妙な雰囲気になったりしたんで空気よんで頭の中だけで話すようになったんだ」

少年「確かにちょっとイタイ子に見えるかもな」

19: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:42:40.919 ID:c28fhx9u0.net
少女「あと、一時髪もベリーショート、つまり男っぽくしたり、男っぽい服装したこともあったけど、自分から見ても全然似合わなかったよ。外見的に。で、今はこんな恰好さ」

少年(ショートヘアも美人だから似合うと思うけどな。でも確かにロングヘアのこの感じはすごくあってる気がする)
少年「いろいろあったんだな」

少年「あんまり知らないんだけど、こういうのって手術して男になったりとかあるらしいじゃん。それなら似合うこと気にしなくてもいいんじゃないか?」

少女「うーん、親からもらった身体に傷をつけたり、薬で無理に変えるってのもな。なんだかんだで産んでくれた親には感謝してるし」

少年「いや、変なこと聞いてすまなかった。わかった、秘密は守るし、俺でよければ話し相手くらいにはなるさ」

少女「すまない。まあ、よろしく頼むぜ!」バン!!

少年「痛っ!」

少女は豪快に少年の背中を叩く。そんなわけで、奇妙な男?友達が少年にできたのだった

20: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:42:58.968 ID:c28fhx9u0.net
-ある日・少女の部屋-

少年「よっ、それ! あ、ヤベ!」バシッ! ガッ!

少女「っしゃ、勝った!」チャラララー

少年「くっ、また負けたか。さすが所有者は強いな。この格ゲー俺も買おうかな」

少女「おう、買え買え。これ通信で対戦もできるからな」

少年「ところで俺にカミングアウトしたときの話だけどさ、あのとき別に中身は男だってバラさなくてもよかったんじゃないか? 乱暴な男言葉を使う女子もいないわけじゃないし、それこそ『ストレス発散でやった。反省はしている』とかでもいいわけだし」

少女「うーん、あのときは『バレた!』って気持ちと、『少年でちょうどよかった!』って気持ちが先に立ってたからな。でもずっと抱え込んでるより少年に言えてよかったよ」

少年「そう言われると少しこそばゆいな」アセアセ「あ、そのポスターのアイドル〇子の写真集、昨日買ったぜ」

少女「マジでか!   い写真もあるという…。今度貸してくれ」

少年「まあいいけど、それほど  くはなかった。高校生でも買えるヤツだし」

少女「マジかー。……なあ、アイドル本じゃなくて、そのものズバリの  い本も持ってるだろ?」

少年「えっ…いや、その…まあ持ってるけど」

少女「いかんな。18禁だぞ」

21: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:43:21.412 ID:c28fhx9u0.net
少年「じゃあ聞くなよ!」

少女「今度それも貸してくれ」

少年「えええ! 興味あるのか!?」

少女「あたりまえだろ。健全な男子なんだから。いや、女だけど」

少年(心は男とわかっていても、美少女からそんなこと言われるとビビるな…。普通に  本持ってるとか言っちゃったけど)

少女「こんなこと頼めんのおまえだけだからなぁ」

少年「そらそーだろうな。女の身じゃこっそり買ったり、男友達から借りたりできないだろうし。俺の持ってる本も友達からもらったりとかが多いんだが」

少女「今度頼むよ」

少年「あ…、変なこと聞くけどさ、おまえ心は男だろ?」

少女「ああ」

少年「自分の裸見たらいいんじゃないの?」

少女「アホか。自分の裸でどう興奮するんだ」

少年「俺は身体も男だから自分の裸じゃ興奮しないよ? でも女の身体だったらいろいろ触ったり見たりしちまうとおもうけどなぁ。男ならわかるだろ?」

22: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:43:48.299 ID:c28fhx9u0.net
少女「うーん、そうか。オレも別の女の子の身体と入れ替わったらそうなるのかなぁ。でも自分の身体は別だな。ナルシストでもないし
おまえ、自分の母親の裸で興奮するか?」

少年「おえ…。変な想像させるな。親はオバサンだろ。自分はピチピチの女子高生じゃないか」

少女「ピチピチて。なら、自分の妹でもいい。家族や血のつながった人間には興奮しないんだよ。自分なら一番血がつながってるからな」

少年「妹とかいないからよくわからんが、なんとなく理解した。でも、女なら女湯とか女子更衣室とか入り放題じゃねーか。裸なんて見放題だろ。これは正直羨ましいわ」

少女「ぐへへ…ばれたか」ジュルリ「それに関してはいい思いをさせてもらってるよ」ニヤリ

少年「思いだしヨダレはよせ。拭け」

少女「へへへ」ゴシゴシ「ふふふ………、はぁ」

少年「どうした、溜息ついて」

少女「確かにそういうところは天国だけどな、そうジロジロ見れるもんじゃないぜ。たまにすげープロポーションのいい女が、私を見てって感じで何も隠さず堂々と歩いてることがあるけど、基本隠すしな。じっくり見てたらさすがに女でも痴漢容疑で逮捕されるだろうし。それになんかその、恥ずかしくてな。自分も裸だし。なんかそういうところだと視線を下にしてササっと過ごしちまう」

少年「おめーのほうがヘタレじゃねーか! まあ、俺も急に女だらけの混浴に投げ込まれたら、周りが自分を気にしなくてもそうなっちゃうかも…」

23: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:44:10.394 ID:c28fhx9u0.net
少女「で、話を戻すけど、いいやつを頼む。スマホやPCは閲覧制限かけられてるしな」

少年「いいやつ? ああ、  本のことか。まあ、わかった。隠し場所だけは気を付けてくれよ。おまえんとこの親にでも没収されたら俺泣くぞ」

少女「ああ。没収以前に、見つかったときのダメージは普通の男の何十倍だからな。そのときは『少年くんが無理やり部屋に置いて行ったの』って言うよ」

少年「やめろよ! 下手したら俺が訴えられるぞ?!」

少女「ははは。冗談だ。デスノートばりに隠すさ」

そんなわけで、密輸品を扱うような慎重さで少年と少女は  本をやりとりするのだった

24: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:44:47.942 ID:c28fhx9u0.net
-ある日・とある駅前-

少年(ちょっと早めに待ち合わせ場所の駅前に着いたけど…あ、もうあいつ来てる。遠目でも目立つな。フリルの白いミニのワンピースにデニムのジャケットか)

少女「あ、少年くーん!」ノシ ブンブン

少年(めっちゃ笑顔で手を振ってきた! ヤバ可愛い! 余計に目立って、周りからも超注目集めてる!)
少年「悪い、待たせた?」

少女「ううん、今来たところ」ニコッ

少年「あれ、大きなバッグだね」

少女「うん、少年くんと食べようと思ってお弁当作ってきたの。サンドイッチだけどよかったかな?」

少年「マジで! ありがとう! あ、そのバッグ持つよ」

少女「ありがとう。でも大丈夫だよ」

少年「女の子に重い荷物持たせておくわけにもいかないしな。さあ」サッ

少女「じゃあ、お願いするね! ありがとう」ウフフ

25: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:45:03.594 ID:c28fhx9u0.net
モブ1『あのコ、すっげえ可愛いな』ボソボソ
モブ2『あんな可愛いのにあんなサエナイ男と…。なんでだ!』ボソボソ
モブ3『美女と野獣みたいな組み合わせってタマにみるけど、彼女騙されてるんじゃ…』ボソボソ
モブ4『あの地味ヤロウが彼氏? 金持ちのボンボンか何かか? クソが』ボソボソ

少年(聞こえてるっつーの! ウチは超中流だっての。くそ…。でもこんな美少女を独占してデートとか…。テンション上がってきた!)

…話は数日前に遡る

-少女の部屋-

少年「おう、例のブツだ」コソコソ

少女「いつもすまねぇな。少年のブツは質がいいからな」ニヤリ

少年「比較したことあんのかよ。まあ、希望に合ってれば嬉しい」

少女「ああ。真面目系っていうか、地味目のコが趣味でな。そんなコがあんな  いポーズとってるとか…ぐふふ」

少年「世の中には『清純派AV女優』って矛盾しきった言葉もあるくらいだから需要は高いんだろうな。まあ、俺もその手のが好きだから持ってるんだけど…
あ、AVって言えば今度はDVDも持ってこようか?」

少女「マジで!? うわ、やった!」

少年(満面の笑みで喜んでる…。傍から見たら  DVDに大喜びしているようには絶対見えないな)

26: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:45:26.824 ID:c28fhx9u0.net
少女「しかし、そうするといつもこっちが貸してもらうだけで申し訳ないな。といってこっちから提供できるブツなどないし……
はっ?!」

少年「?」

少女「へへへ、目の前に次世代匂い付DVDがあるじゃねぇか。脱げよ、とか思ってないだろうな!」

少年「D・V・D! D・V・D!…ってノセるなよ!」

少女「おまえ古いこと知ってるな」

少年「ほっとけ! おまえから振ってきたんだろうが」

少女「まあまあ。でも悪いが、オレの身体で…ってのはナシで」ブルブル

少年「言わねぇよ! ダチにそんなお願いできるか!」

少女「オレだったら土下座してお願いするかも」

少年「相変わらずだな、おまえ…。しかし  関係が自分の身に及ぶのはマジで嫌なんだな」

少女「当たり前だろ。男から  い視線を浴びさせられてると想像してみろ。  だったら嬉しいかもしれんが」

少年「確かにガチムチ兄貴からその手の視線を浴びたらめっちゃ震えるな…」

27: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:45:43.076 ID:c28fhx9u0.net
少女「そうだろ。で、話を戻すけど借りっぱなしってのもな」

少年「まあ、気にするなよ」

少女「そうもいかんだろ。…うーん、やっぱり身体で払うか」

少年「えええぇぇ!! さっきの話は何だったんだよ!」

少女「落ち着け。身体で払うけど、  いこと抜きだ」

少年「? 肉体労働ってことか? 部屋掃除に来てくれるとか」

少女「それでもいいけど、一度おまえを接待するぜ」

少年「接待? 政治家の料亭とかの?」

少女「  で思いついたんだが、オカマバーって楽しいらしいな。オレはあまり理解できないけど」

少年「よく聞くな。そこに招待してくれるのか? 18歳未満でも入れんのか?」

少女「いや、オカマバーの話でさ、楽しいのはショーとかもなんだが、行き届いた接待術が絶妙らしい。何しろ男なんだから、男が喜ぶツボを心得ているとか」

少年「ふぅん」

少女「だから、オレ自身がやられたら嬉しいと思うことをやろうと思う。一番嬉しいのは  いことだが…」

少年「おまえ本当にブレないな」

少女「それは無理として。一度デートに行こうぜ」

少年「デート?」

少女「ああ。デート接待だっ」サムアップ

28: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:46:04.177 ID:c28fhx9u0.net
…というわけでデート当日に話は戻る

-とある街中-

少年(さて、そんなわけで少女とデートしているわけだが…)

モブ5『チラチラ』グヌヌ
モブ6『チラチラ』ハアァー
モブ7『チラチラ』クソガ
モブ8『チラチラ』イイオトコ///

少年(相変わらず少女は周囲の視線を集めてるな。最後おかしいけど。しかしこうなってくるとモブどもの嫉妬の視線も心地いいぜ!)ワハハ

少女「少年くん、急に笑ってどうしたの?」

少年(はっ、しまった!)「あ、いや、少女さんとのデートが楽しくて…」

少女「もう!」///

少年(うおおおぉぉぉーー!! 何そのハニカミポーズ?! 演技と分かっていてもめちゃくちゃ嬉しい! 萌える!
   さすが少女、男のツボを心得てやがる!)

29: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:46:23.792 ID:c28fhx9u0.net
少女「ねえ、どこに行く?」

少年「うーん、お昼にはちょっと早いし…
  (あ、あそこにあるのは…)
   じゃああそこで少しだけ時間つぶしてから公園とか行ってご飯食べようか」

少女「うん! 何か面白そうなところだね!」
  (少年、いきなりゲーセンか…しかもプリとかも無いアーケード中心の店じゃねーか…オレは嬉しいが…)

少年「そう? 少女さんこういうとこ来たことあるの?」

少女「うううん。ないけど、少年くんこういうところはよく知ってるの?」

少年「へへ、まあね///」

少女「えっ、じゃあ色々教えてね!」
  (おいおい、オレだからいいが、実戦だったらおまえもう死んでるぞ…)


-ゲームセンター-

少年「うーん、いろいろあるけど…。お、これなら初めての女の子でも楽しめるかな」

少女「わあ、面白そう!」
  (初めての女の子でもって…格ゲーじゃねえか…。大丈夫か、少年)

30: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:46:38.966 ID:c28fhx9u0.net
ゲーセンモブ1『チラチラ』
ゲーセンモブ2『チラチラ』
ゲーセンモブ3『チラチラ』

少年(やっぱり少女は注目を集めるな)
  「これはこっちとこっちで戦うんだけど…。やってみたほうが早いか」

少女「うんうん。ね、やって見せて!」

少年「お、おう。じゃあ…」

<少年プレイ中>

少年「ふう、こんな感じかな」

少女「面白い! わたしもやってみたい!」

少年「お! じゃあ2人でやることもできるから一緒にやろうか。やり方は今のでわかったよね」

少女「うん。じゃあ、真剣勝負だよ!」

少年「ははは。よし、俺も頑張るぞ!」

ゲーセンモブ1『あの可愛い娘、あのゲームやるのか』
ゲーセンモブ2『女の子で格ゲーやるなんて珍しい』
ゲーセンモブ3『くう、俺も一緒にやりたい』

ゲーム機『Are you ready? OK, FIGHT!!』

31: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:47:00.173 ID:c28fhx9u0.net
-数分後-

少年「くそっ! おっし!」

少女「オラ! っしゃあああ!」

少年「ちぃ! 負けたぁ!」

少女「どうだオラ! ははは!」

ゲーセンモブ1『うわぁ』
ゲーセンモブ2『うわぁ』
ゲーセンモブ3『うわぁ』

少女「あっ……」

少年「あっ……」

少女「…」

少年「…くく!」クスリ

少女「す、すまん…接待するつもりが自分が楽しんじまった…」キマズゲー

少年「ははは。いや、俺も楽しかったよ。もうデートとかじゃなくて普通に二人で遊ばないか?
   もう演技とかもいいしさ」

少女「すまねえ…。でもこのゲームは楽しかったよ。もう一回やりたいけど、先に飯食わないか?」

少年「ちょっと早いがいいな。じゃあ行こうぜ!」

32: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:47:18.512 ID:c28fhx9u0.net
-公園のはずれ-

少年「おお、このサンドイッチ豪華だな! うまそう!」

少女「おう。作ったのはお袋だけどな」

少年「そうだと思ったよ」

少女「おまえと遊びに行くって言ったら張り切ってな」

少年「あのお母さんだからな…目に浮かぶよ」

少女「それよりすまなかった。接待だのなんだの言ってこのありさまだ」

少年「気にするなって。さっきも言ったけど、普通に遊ぶんでも楽しいじゃん。
   それより、おまえの接待っていうか演技、すごいな。男のツボも押さえてるし」

少女「いや、本当は最初に腕くんだり手を繋いだりもしてやりたかったんだが…
   さすがにそれはいくらダチ相手でもキツかった…」

少年「無理すんなよ」

33: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:47:37.191 ID:c28fhx9u0.net
少女「なんかおまえと一緒だとつい地が出ちまうな」

少年「そりゃいつも俺とは地を出して話してるしな」

少女「いや、どうも色々と興奮してくると地が出ちまうみたいなんだ。興奮というか、我をわすれたとき?」

少年「ふうん」

少女「実はな、こんなオレでも彼女がいたことあんだよ」

少年「ええええ! 初めて聞いたぞ。マジかよ。カノジョって、女のカノジョってことだよな」

少女「彼女なんだから女に決まってるだろう」

少年「そらそうか。でもそんな子がいて良かったじゃないか」

少女「ああ。向こうから告られてしばらく付き合ってたんだけど、『少女さん男の子みたい』って言われて振られた」

少年「うーん、複雑だなあ」

少女「その子と付き合ってるとき、すごく楽しかったから、多分地が知らず知らず出てたんだろうな」

少年「そうか…(辛かったろうな)」

34: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:47:54.827 ID:c28fhx9u0.net
少女「だから、学校でもなるべく地が出ないよう大人しくしてるし、女子グループにも入ってない」

少年「ふうむ。俺もおまえの最初の印象は、物静かで孤独を愛する(クールビューティーな)大人しい子だったしな」

少女「孤独を愛するって…ボッチって言ってくれてもいいぞ」

少年「あ、いやいや! ボッチではないだろ。女子グループには入ってないけど、たまに他の女子とご飯食べたりしてんじゃん」

少女「まあたまにな。グループ内に他の女子が入ってくるのって嫌がられるかと思ったけど、結構大丈夫だな」

少年(それは少女がすごい美人だからでは…?)

少女「ま、それより早く飯食おうぜ」

少年「そうだな。いただきます!」パクリ「うま!」

少女「ほら、お茶もあるから…。で、この後どうする?」パクパク

少年「そうだな。本当は水族館とかも考えてたけど、とりあえずさっきのゲーセン戻るか」グビリ

少女「ああ! ちょっと主旨は変わっちまったが、今日は楽しもうぜ」

少年「おう!」

こうして少年と少女はその日デートを楽しむのだった

35: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:48:11.122 ID:c28fhx9u0.net
-ある日・少女の部屋-

少年「……」ペラリ

少女「……」ペラリ

少年「このマンガ、次のあったけ」

少女「あ、今度出るんだよ」

少年「ふうん…あっ」

少女「?」

少年「おまえ、見えてんぞ」

少女「おっと、失敬失敬」スカートナオシ

少年「…最初の頃は随分気にしてたのに」

少女「わりぃわりぃ」

少年「いや、悪くはないけど…(むしろありがとうございますだよ)」
少年(いわゆるボクサータイプで色気はないし少女のだけど、やっぱりちょっと、いや相当嬉しいな)

36: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:48:30.874 ID:c28fhx9u0.net
少女「ちょっと失礼」ガサゴソ

少年(目の前でジャージ履き始めるし)
少年「関係ないんだけどさ」

少女「ん?」

少年「その、おまえの身体のことだけど聞いていいかな」

少女「いやん!」ムネカクシ カラダヒネリ

少年「そんな仕草されたら色っぽくてしょうがねーじゃねえか!…あ、いやそうだな、不躾だったな」

少女「不躾って…まあなんでも聞いてくれよ。パンツの色以外だったら答えるぜ」

少年「それはさっき見たわ!」

少女「ははは。じゃあ  の色以外だったら答えるぜ」

少年「そ、そんな、おまえ  って…」///

少女「おまえ相変わらず猥談ダメだなー」

少年「猥談っていうか、おまえがそういうこと言うと生々しいんだよ!」

少女「まあまあ、何が聞きたいんだよ。お姉さんに言ってみ?」

少年「いや、この前ネットで見たんだけど、身体が完全に女でも内部っていうか内臓的には男ってパターンもあるらしいじゃん」

38: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:48:50.744 ID:c28fhx9u0.net
少女「オレに精巣、いや  があるかって?」

少年「コ、    って…(何で言い直した)」

少女「そんなんでおまえ保健の時間どうすんだよ」

少年「だからおまえが言うと生々しいんだって!」

少女「オレ普通に生理あるぜ」

少年「お、おう(生理とか言われるとどう答えていいかわからないな)」

少女「まあ実際検査したわけでもないけど、多分身体は完璧に女だな。おそらくホルモンとかも」

少年「そうか、おまえの見た目以外、本当に普通の男だからさ。
   いやでもすまん、こういうのっておまえにとってデリケートな問題だったよな…」

少女「いや、いいって。普通の男って言ってくれて嬉しいけどさ、こんな“変な男“なんだ。
   気になることはなんでも聞いてくれよ。 毛の本数以外なら答えるぜ」

少年「 、 毛って…どんどん下品になるじゃねーか!」///

少女「これでも抑えてるんだが」

少年「せめてそこはスリーサイズくらいにしろよ!」

少女「猥談レベルがオコサマか」

39: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:49:11.274 ID:c28fhx9u0.net
少年「…いや、やっぱりつい何か普通の女性とは違うんじゃないかって…いや、違うんだけど、
   女性ではないのかもって…っ…失礼だよな、こういうの。ごめん」

少女「だからいいって。こういうのがLGBTなのさ。…多分」

少年「…」

少女「まあでも、女で良かったって思うことも一つあるな」

少年「女湯に入れることか?」

少女「二つあるな」

少年「…」

少女「女湯や更衣室はもちろんなんだが、オレ運動オンチでさ。男で運痴はマズイだろ。
   でも女ならある程度は許容されるしな」

少年(俺、どっちかっつーと運痴なんだが…)
少年「でも、もし男になったら、男並みの運動神経になるんじゃないの?」

少女「オレ、女子の中でも体育の成績ドベに近い…」ナミダ

少年「良く知らなかったけどそうなんだ。まあでも確かに外見のイメージどおりっちゃあどおりか」

40: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:49:32.877 ID:c28fhx9u0.net
少女「でもさ、モテる女ってのはみんな運動神経いいんだよな…」

少年「? そういうのもあるけど、運動神経なくてもモテてるじゃん。例えばおまえ自身そうだろ」

少女「男にじゃねーよ。女にモテる奴のことさ。女子バレー部や女子バスケ部のエースの先輩とかめちゃモテだぞ」

少年「そういやキャーキャー言われてる女ひといるな」

少女「オレがアニメやゲーム、アイドルの話してもドン引きされるだけだ…」

少年「一部の男どもにはウケるだろうな」

少女「男にウケてもしょーがねー! くそう、モテたいぜ!」

少年「そりゃ俺もだ!」

そうして2人は、どうしたらモテるのか真剣に語り合うのだった

41: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りしbワす 2018/11/01(木) 22:49:50.831 ID:c28fhx9u0.net
-朝・校門前-

ガヤガヤ ワイワイ オハヨー ヨッス ガヤガヤ

モブ1『あの校門の横に立ってるの、少女さんだよな』

モブ2『本当だ。なんかうつむきかげんで、儚げだな…なんであんなところで…誰か待ってるのか?』

ガヤガヤ ワイワイ

少年(あれ、少女のやつ、なんであんなとこに突っ立ってんだ? 壁を背にしてカバンを前に持って…)

少女「…」ジー

少年(なんか俺の方見てんな…まあここで関わると目立つよな…とくに校門前だし)スルー

少女「少年くん!」ジー

少年「あ、少女さんおはよう」スルー スタスタ

少女「ちょ、ちょっと…!」

少年「あ、何かな」(なんだ、用事があったのか…こっちにくりゃいいのに)

42: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:50:07.893 ID:c28fhx9u0.net
少女「おまえ、LINE見てないな…」ヒソヒソ

少年「あ、今日スマホ忘れた…悪りい」ヒソヒソ

少女「くっ、そうだったのか…」ヒソヒソ

少年「こんなところで何してんだよ」ヒソヒソ

少女「オレは今ここから動けねえ」ヒソヒソ

少年「え、どうした?」ヒソヒソ

少女「…パンツ穿き忘れた」ヒソヒソ

少年「ええええ!」

少女「ばか、静かにしろ!」ヒソヒソ

少年「す、すまん。それって忘れるもんなのか?」ヒソヒソ

少女「今朝ちょっとシャワーを浴びてな。そのあとバスタオル一丁でいてさ。考え事してて、いつも学校に行く時間になって焦って着替えたらパンツ穿くの忘れた…」ヒソヒソ

少年「そんな  漫画みたいなこと本当にあるのかよ…それで動けないのか…いや、じゃあどうやってここまで?」ヒソヒソ

43: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:50:22.368 ID:c28fhx9u0.net
少女「っていうか、さっきまで穿き忘れてたの気づかなかった。気づいたらもう動けねえ…」ヒソヒソ

少年「マジかよ。途中、そ、その、大丈夫だったのか?」ヒソヒソ

少女「もう大丈夫と思うことにした。じゃなきゃオレの心が持たねえ…まあパンチラについてはいつも異様に気をつけてるし、無意識でもチラリとか覗き込まれたりはしてないと思うが…」ヒソヒソ

少年「確かに俺といるとき以外はすげーガード固いよな」ヒソヒソ

少女「まあそれはもういい。頼みたいんだがオレの体育着とってきてくれないか? オレのロッカーのロック番号教えるからさ。ちょっとダサいが短パン・イン・スカートするしかねえ」ヒソヒソ

少年「いや、それムリ! おまえのロッカー俺が漁って体育着持っていくってヤバすぎだろ! なんとか教室まで行けんのか?」ヒソヒソ

少女「気づいた今となってはもうムリ…階段もあるし。ロッカーから出すとき屈まないといけないし」ヒソヒソ

少年「だったらクラスの女子に頼んだら?」ヒソヒソ

少女「馬鹿やろう。そんなことしたらオレが『ノーパン通学した変態女』って噂になるだろが。おまえみたいに親しい友達なんて他にいねーんだから」ヒソヒソ

少年「悲しいこと言うなよ…っていうか短パン姿見られたらどっちにしろそう思われるんじゃ?」ヒソヒソ

少女「そんなの寒いからとかなんとでも言える。でも校門のとこまで持ってきてもらう理由はないだろがい」ヒソヒソ

44: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:50:39.345 ID:c28fhx9u0.net
少年「じゃあ嫌かもしれないけど俺の短パン履くか?」ヒソヒソ

少女「そしたら『クラスの男子の短パン履く変態女』ってなるだろがい!」ヒソヒソ

少年「女子も男子もデザイン一緒だろ」ヒソヒソ

少女「サイズが違うだろ! 名前も付いてるし」ヒソヒソ

少年「名前はスカートめくらん限りわからんだろ…じゃあ俺の穿いてるパンツ貸そうか? 俺ズボンだし。ははは」ヒソヒソ

少女「…」サー...「妊娠しそうだからいいわ…」ヒソヒソ

少年「引くなよ! 冗談だろが! それにニ、ニンシン…俺のパンツでって…」/// ヒソヒソ

少女「これくらいの下ネタついてこいよ…」ヒソヒソ

ザワザワ
モブ3『少女さん、なんか地味なやつと校門前で話してんな』

モブ4『あれ少女さんと同じクラスのやつじゃね』

モブ3『くそ、なに話してんだよ…』
ザワザワ

45: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:50:58.259 ID:c28fhx9u0.net
少女「おっと漫才やってる場合じゃねえ。このままじゃ目立ってしょうがない。仕方ない、買い物頼めるか?」ヒソヒソ

少年「もしかしてパンツか?!」ヒソヒソ

少女「ああ。そこのコンビニで多分売ってるから。お金はこれで…」ヒソヒソ

少年「ムリムリ! 男物のパンツでも買うの恥ずかしいのに…まあ、でも男物でよければなんとか買ってくるけど…」ヒソヒソ

少女「ばか、そんなの穿いてるのがバレたらそれこそ変態だろ。男物だとこの後も使えないし」ヒソヒソ

少年「じゃあとりあえず男物穿いて、おまえが女物のパンツ買うか短パン取りに行けばいいじゃん。男物は俺が買い取るから」ヒソヒソ

少女「…」サー...「おまえ意外と変態だな…」ヒソヒソ

少年「あっ」///「ああ! そうか! そう云う意味じゃ!」///

少女「だから静かに…なんとかお願いするよ…」ヒソヒソ

少年「あー…」///「わかったよ…なんでもいいよな…」ヒソヒソ

少女「おう。サイズはSかMで。なるべく濃い色のがいいけど、なんでもいいや。恩に着るよ」ヒソヒソ

少年(くっ、確かにこれ以上少女をここに立たせとくわけにもいかないし…仕方ない、買って来てやろう…)

46: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:51:19.422 ID:c28fhx9u0.net
-コンビニ-

少年(あった。『女性用ショーツ』か。ふつうに置いてあるな。黒というか紺色だし、これでいいだろ。MとLしか置いてないからMを…)

女子生徒『…』チラチラ
男子生徒『…』チラチラ

少年「!!」アセ「オット、コレワ女性用カー…黒イカラ間違エタナー…」ボソボソ

少年(まずい! ここ学校の近くだからウチの生徒がいっぱいいるんだった! さすがにここじゃムリ!)ソソクサ

少年(別のコンビニ行こう!)


-校門-

少女(お、もう出てきた。って、走って行きやがった。どこ行くんだよ! まさか逃げた? いやいや、あそこにパンツが無かったのか? くそ、スマホ忘れやがって…)


-別のコンビニ-

少年(よし、ここはウチの生徒いない)

少年(あった。ここはピンクのしか売ってねえな。ここもSは無いからM…と)

少年(……)

少年(もういいや。すぐ買おう)

47: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:51:34.022 ID:c28fhx9u0.net

少年(レジまで来たが…やっぱり恥ずかしい! そうだ『罰ゲームで…へへへ』とか言えば…いや、却ってワザとらしい! 堂々と買おう。多分家族に頼まれたとか思うだろ。こんな朝だし、へんなことに使うなんて思わないはずだ…)

店員「しゃーせぇー」

少年「…」パンツスッ ドキドキ

レジ『ピッ』

店員「626円になります」

少年「…」ヒデヨスッ

店員「お品物と、こちらお返しとレシートです。ありがとーございましたー」

少年(よかった…普通に買えた…。店員さんも普通だったな。でももうこのコンビニ来れねえ)///


少年(とにかく早く戻ろう。女物のパンツなんて初めて買ったな…)スタスタ

少年(…)

少年(これ、少女が穿くんだよな…こんなピンクの…さっきパッケージに着用したイラストが描いてあったが…。あんな感じに穿くのか…)

少年(…)///

少年(いや! ヘンな想像するな! 早く持ってってやろう)ダッシュ

48: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:51:50.981 ID:c28fhx9u0.net
-校門-

少女(お、戻ってきた!)

少年「お、お待たせ」ハァハァ ヒソヒソ

少女「おー! ありがとう。別のコンビニまで行ってもらったんだな」ヒソヒソ

少年「よくわからんからテキトーだ。これお釣り。一応サイズはMな。色もピンクだけどいいか?」ヒソヒソ

少女「なんでもいいよ。助かったよ。悪かったな」ヒソヒソ

少年「まったくだよ…でもこれ、どうやって穿くつもりだ?」ヒソヒソ

少女「さすがにここじゃ穿けんから、どっかのトイレでも行こう。ちょっとついてきてくれるか」ヒソヒソ

少年「トイレにか?!」ヒソヒソ

少女「ばか、オレの後ろを壁になってガードして欲しいんだよ。一応スカートの端をちょっと引っ張って捲れないようにして歩くけど、後ろから急に誰か来て欲しくないし、万一のときはそれこそ壁になってくれ」ヒソヒソ

少年「ああ、わかった」ヒソヒソ

少女「じゃあ校舎の方じゃなくて体育館の横にあるトイレに行こう。今あっちに行くやつほとんどいないだろ」ヒソヒソ

49: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:52:09.293 ID:c28fhx9u0.net

少女「…」テクテク

少年「…」テクテク(今、あいつスカートの下ノーパンなのか…)

少年(! だから余計なこと考えるな!)テクテク「少女、そのままでいいから聞いて欲しいんだが…」ヒソヒソ

少女「なんだ?」ヒソヒソ

少年「今となってはもうどうでもいいんだが、保健室にパンツとかって常備してるんじゃないの?」ヒソヒソ

少女「…さあ…小学校まではあるって聞いた気もするが、そんなこと考えたことないし知らんよ。仮に保健室まで行って空振りだったら恥を晒しに行くだけだ」ヒソヒソ

少年「それもそうか。おっと、ここまででいいかな。さすがに中には入れんぞ」ヒソヒソ

少女「おお、サンキュー。もう周り誰もいないな」ヒソヒソ クルッ

ヒュウ
フワァ!

少年(っ!! うおぉぉぉぉ! スカートが捲れてっ…!)

少女「……っ!!!」/// バッ「み、見たか?」

少年(本当に一瞬だったけど、生身の女の子(?)の初めて見ちまった!)「お、おまえ、結構あれだな…」///

少女「っ!! 言うなっ! 忘れろ!」

50: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:52:26.472 ID:c28fhx9u0.net
少年「わ、悪りい…でもなんで振り向いたんだよ…」

少女「おまえにちゃんと礼を言おうと思ってな…」

少年「そんなのいいから、早く行ってこい」

少女「ああ…」

少年(スカートの端を押さえて入っていった…。今日は朝から色々あったけど、今の衝撃で全部吹っ飛んじまったな…まったくあいつめ…)

少年(…しかし、本当にあいつ身体は女なんだな。いや、そう思ってるけど、これほど確実に見せつけられるとは)

少女「お待たせ…って、別に待っててもらわなくても良かったのに」ニコニコ

少年「すっきりした顔で出てきやがって…さっきまでの不安げな顔はどこいったんだよ」

少女「おまえもノーパン・スカートで歩いてみろ。いや、おまえなら却って興奮するか? ははは」

少年「もう変態ネタはいいよ…」

少女「ははは」

少年(さっきのことはなるべく早く忘れてやろう…でも今、オレが買ってきたあのピンクのパンツを穿いてるんだよな…)

少年(おっと、考えるな考えるな!)

結局その日一日、少年はスカートが捲れたシーンと自分が買ったパンツのことが頭から離れないのだった

51: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:52:47.249 ID:c28fhx9u0.net
おまけ①「地味っ娘! 少年ちゃん」

-少年の部屋-

少年(朝起きたら女になってた…)

少年「マジかよこれ! 」モミモミ
少年(胸あるけど、自分の胸触っても別にそんな興奮しないな。これも女になったからか?)

少年(鏡で見ても女だな。なんとなく女になったら少女みたいに可愛い女の子になると思ってたけど…元の俺をそのまま女にしたような、地味な感じだな…)

少年「胸は結構あるな」プルン
少年(やっぱり自分の胸見ても興奮しないな。少女の言ってたことが少しわかった気がする)

少年「っ! とにかく! 何とかしないと! …でも何とかって何をすれば…」ウロウロ

少年「なぜか親に知られちゃいけない気がする…こういう場合はやっぱり少女に話を聞いてもらおう。今日は日曜だし」

52: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:53:09.031 ID:c28fhx9u0.net
-スマホ-

 (朝から悪い。今からそっちに行っていいか? > 少年

少女 < どうした? 別に構わないが)
少女 < 親が旅行に出てて今はオレしかいないし)

      (すまない。今から行く。よろしく > 少年

少女 < おう、待ってる)


-少女の家-

少年(何も書き置きもせずコッソリ出てきちゃったな。家には後でLINEしとこう)

チャイム『ピンポーン♪』

少女「はーい(少年かな)」ガチャ

少年「お、おう、俺、こんなになっち…」

少女「……地味っ娘キターーー!」ガバッ

少年「うぉ! なんだなんだ! 急に抱きつくなよ!」///

少女「いいじゃねえか、オレたち女どうしだろ」

少年「おまえ、中身は男なんだろ」

53: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:53:25.698 ID:c28fhx9u0.net
少女「そりゃおまえもだろ。やっぱり問題ないじゃん」ガバッ

少年「ちょっと待てー! っていうか、俺が誰だかわかるのか?」

少女「少年だろ。来るって言ってたし、その顔見たら、少年が朝女になっちまったんだなって」

少年「理解はえーな!」

少女「玄関口で話すのも何だ。オレの部屋行こうぜ」ヘヘヘ ハァハァ

少年「すごく危険な気がする…」


-少女の部屋-

少女「さて」キリッ「どうしてそうなったんだ?」ジー

少年「俺の胸ガン見しながら何言ってんだ! 俺にもわからねーよ。朝起きたらこうなってたんだ」

少女「女物の服着てるけど…へへへ、いいな」ジュルリ「どうしたんだそれ」

少年「おまえ…いや、服とかも全部女物になってた」

少女「マジか。じゃあ下着もか?」ドキドキ

少年「…ああ」///

54: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:53:40.855 ID:c28fhx9u0.net
少女「じゃ、じゃあどんな感じ!? どんな感じのパンツなんだ!?」

少年「どんだけ必死だよ」

少女「色だけでもいいから!」

少年「…肌色…ベージュってやつ? 地味なやつだよ…」

少女「地味パン! ヒューーッ!」ブンッ

少年「何で空中にハイタッチしてんだ」

少女「さて」キリッ「LGBTだ何だ言ってたけど、実はオレも同じようにある日突然女になったんだ」ジー

少年「オレの下半身をパンツ透かすように見つめて何言ってんだ! って、ええええええ!!」

少女「今まで黙ってたけどな。だから戻り方とかはわからないんだ」

少年「おまえもそうだったなんて…」

55: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:53:56.596 ID:c28fhx9u0.net
少女「とにかく今は女どうしになったんだ。これから女子会しようぜ!」

少年「なんだよ、急に」

少女「女子会といえば女の子どうしでキャッキャウフフと楽しむ会だ。別名ランジェリーパーティーと言ってな」

少年「言わねーー!」

少女「女どうしだからいいだろ」フフフ ジュルリ

少年「脱がすなー!」

少女「オレのパンツ今までさんざん見てきたろ。おまえのを見てもいいはずだ」キリッ

少年「おまえが無防備なだけだったろうが! それにさんざんってほど見てねー!」

少女「じゃあオレも今脱ぐから!」

少年「セリフが完全にセクハラオヤジのそれだー!」

少女「へへへ」ハァハァ「ほら覚悟しろ!」ヌガシ

少年「やめー! うわあぁぁ!」

56: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:54:14.818 ID:c28fhx9u0.net
~~~

-ベッドの上-

少年「……っ!!」ガバッ!
少年「………」ハァハァ

少年(夢オチかい!!)

少年(そりゃそうか…あの状況を普通に受け入れてたし、第一少女が元男ならお母さんああならないし)
少年(少女の家もあんな近くにないしな。でもリアルだったな。少女の性格はそのままだったし)

少年「第一俺が女になるなんてな……えっ!?」

少年(これは少女の声!?)

少年「まさか…」サワリ「少女の身体になってる!?」

少年「もしかして…」

少年「俺たち」
少女「オレたち」

少年・少女「「入れ替わっ(略

これ以上続けると色々ヤバいので、ここで終了いたします

57: ここから後半 2018/11/01(木) 22:55:32.562 ID:c28fhx9u0.net
-ある朝・HR後の教室-

クラスモブ1『なあ、となりのクラス、転校生が来たらしいな』

クラスモブ2『高校では珍しいよな。確かにとなり、さっきちょっと騒がしかったな』

クラスモブ1『女の子かな』

クラスモブ2『可愛い女の子だといいな。少女さん級の』

クラスモブ1『でもとなりのクラスじゃ意味ないよな』

クラスモブ3『男みたいだぞ』

クラスモブ1・2『『えええ』』ガックリ



クラスモブ4『となりに来た転校生、イケメンって噂!』LINE スッ

クラスモブ5『マズィ? あとで見にいくっきゃないっしょ』

クラスモブ6『あたし、今朝職員室でちょっと見たよ』

クラスモブ4・5『『ど、どうだった?』』

クラスモブ6『……マジイケメン』

クラスモブ4・5『『おー!』』キャイキャイ

58: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:55:58.614 ID:c28fhx9u0.net


少年(となりのクラスの話なのにすごい盛り上がってるな。やっぱり転校生イベントってすごいんだな)

<ガラッ>

転校生「すみません」

ザワザワ ~ ナンダナンダ ~ ダレ? ~ ザワザワ

クラスモブ6『あ、噂の転校生』

クラスモブ4『マジでイケメンじゃん!』

ザワザワ ~ アイツガ... ~ ヘエー ~ ナニシニキタンダ ~ カッコイイジャン ~ ザワザワ

転校生「少女さんいますか?」

クラスモブs (((((えっ?)))))

少年(えっ?)

少女「えっ?」

転校生「おー! 少女だよね」ズカズカ

少女「え、誰?」

59: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:56:12.372 ID:c28fhx9u0.net
転校生「僕だよ、転校生だよ。小学校のとき一緒だった」

少女「あー! おm…転校生くん? どうしたの?」

少年(今『おまえ』って言いそうになったな…)

転校生「どうしたって転校してきたんだよ。またこっちに引っ越してきたから」

少女「へえ、変わったわね! わからなかったわ」

転校生「少女は変わってないな。すぐわかったよ。でも昔のイメージと違って随分おとなしい感じになったな。一緒に泥だらけになって遊びまくったころが懐かしいよ」

少女「ちょっ、やめてよ! 昔の話は!」

転校生「いやいや、さらに美人になったよ。ははは」

少女「…」

転校生「いや、隣のクラスに少女の名前があったから懐かしくてね」

少年(どこで名前見たんだろう)

転校生「この学校で知り合い少女しか居なそうだしさ、色々学校のこととか教えて欲しいんだ」

少女「別にいいけど…」

転校生「もう1時間目始まるし、また昼休みか放課後、どこか別のとこでいいかな」

少女「じゃあ放課後に。ここに来てくれればいるわ」

60: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:56:28.787 ID:c28fhx9u0.net


ザワザワ

クラスモブ7『くう、俺の少女さんに気安く声を…』

クラスモブ8『おまえのじゃねーだろ。転校生の方がお似合いだったろ、美男美女で。なんか知り合いみたいだし』

クラスモブ7『言うな! おまえはいいのかよ』

クラスモブ8『どうせ俺には高嶺の花だからな。こうやって同じクラスにいてくれて、遠く眺めるだけでも幸せだよ。花だけにな』

クラスモブ7『安いヤツめ…。イケメンが憎い…俺なんかずっと同じクラスなのに』

クラスモブ8『だから、幼馴染ぽかったろ。もっと前からあいつは一緒だぞ』

クラスモブ7『おまえ、俺の心をえぐってくるな…』



ワイワイ

クラスモブ9「ねえ、少女さん、あの転校生と知り合いなの?」

少女「小学校の途中まで一緒のクラスだっただけよ。そのあと彼引っ越しちゃったから、もう何年ぶりかしら」

クラスモブ10「へえ。彼格好いいよね。どう、久しぶりに再会した幼馴染は? 結構少女さんとお似合い、みたいな…」

少女「いえ、別に…」

クラスモブ10(少女さん、告白とか断わりまくってるって聞くし、本当にあまり興味なさそう…もしかしてわたしにもワンチャン?)

少年(あのイケメン転校生、少女と小学校が一緒?)

61: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:56:49.484 ID:c28fhx9u0.net
-次の休み時間・少年のスマホ-

         (なあ、あの転校生知り合いなのか? >少年

少女< ああ 幼馴染ってヤツだな
    ただ小学校んとき引っ越していって何年も会ってなかったが)

                  (へえ、偶然だな >少年

少女< ちょうどよかった
    頼みたいことがあるんだが、昼休みちょっと話せないか?)

               (いいけど、なんの話? >少年

少女< そのとき話すわ じゃあ飯食ったらいつものところで)

                       (りょ >少年

62: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:57:05.878 ID:c28fhx9u0.net
-昼休み・校舎の外れの準備室-

少女「わりいな」

少年「いいって」

少女「今朝の転校生の話なんだが…」

少年「幼馴染なんだろ」

少女「ああ、懐かしいし、ぜひ旧交を温めたいところだが…」

少年「?」

少女「まず、オレの昔の男丸出しだった頃を知ってるわけだ」

少年「丸出しって、小学生だろ」

少女「ガキの頃、女の子の遊びより男の子の遊びの方が好きでな 。小学生くらいになると男のグループにいるとからかわれたり、男の方も女の子が入ってくるのを嫌がってな」

少年「小学生の頃ってそうだよな」

少女「素直に女の子のグループに入ってた方が絶対楽しかったろうにな。昔のオレに教えてやりたい」

少年「相変わらずだな!」

63: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:57:30.199 ID:c28fhx9u0.net
少女「そんな中、オレと一緒に『男の子の遊び』を付き合ってくれたのがアイツともう一人くらいだったんだよ」

少年「ふうん」

少女「虫捕りしたり、秘密基地作ってそこでヒーローごっこしたりな。ゲームやマンガもそいつが貸してくれた男の子向けのものを一緒にやったり読んだり…懐かしいぜ」

少年「いいやつじゃん」

少女「ああ。しかし今は昔と違う。オレもこの中身のことはまだおまえ以外に知られたくないし、昔みたいな調子で来られたらちょっと困る」

少年「そうだろうけど、さすがにお互い成長してるし、そんなことはないだろ。それに昔は男の子みたいだったけど、今はおとなしい女性になったなんてよく聞くじゃん」

少女「周りはそれで納得しても、アイツにとっては小さい頃のオレで記憶が止まってるし、頭でわかってても、小さい頃の刷り込みってあるだろうし…何よりオレが懐かしくなって色々さらけ出しちまうかもしれん」

少年「それは心配だろうけど、おまえこういうこと本当に心配性だよな」

少女「でだ。放課後あいつと会う約束したんだが、一緒に来てくれないか」

少年「えええええ!?」

少女「そのために会うのも放課後にしたんだよ。少年とその前に話したかったから」

64: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:57:46.713 ID:c28fhx9u0.net
少年「いやいや、無理ムリ! あの転校生となんの面識もない俺が一緒にっておかしいじゃん! 第一校内では俺と少女って接点がほとんどないように見せてるじゃん。校内のやつが見てもおかしく見えるって」

少女「確かにそんな場に男連れて来たら彼氏かもって思われるかもな。それはおまえに悪いか…」

少年「それ以前の問題で俺に悪いと思ってくれよ…」
少年(二人でいると俺に彼女ができないって心配してくれてるけど、そんなのどっちにしろできないだろうし、どっちかっていうと少女と付き合ってるって噂になった方が色々ヤバそう(俺の命的に)なんだけど…)

少女「じゃあさ、ちょっと離れたとこから見ててくれるだけでいいんだが…」

少年「そんなに心配なのか?」

少女「あいつ、昔はぽっちゃりした感じでカワいかったんだが、今はあんなシュッとしてるだろ」

少年「ああ、イケメンだよな」

少女「なんかリア充っぽい感じだし、すぐ口説いてきたりしそうだよな」

少年「さすがにそりゃ偏見すぎだろ」

少女「オレはイケメンを一切信用してない」キリッ

少年「おまえ…仮にも昔良くしてくれた幼馴染だろ…第一おまえ自体整った顔立ちだし、男だったらイケメンだろ、絶対」

65: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:58:01.740 ID:c28fhx9u0.net
少女「オレのことはいーんだよ! でもまあ確かにあいつ自体には恩もあるし、昔の懐かしい話もしたい。でも怖いんだよ」

少年「怖いって…」

少女「男はみんな狼だからな。女の身になってみないとわからねーよ…イケメンでリア充とか言われてる連中は気楽に、しかも自分に自信があるのかしつこく口説いてくんだよ…」

少年「イケメンじゃないけど俺も狼か? 他の女の子だって普通話するくらい…(っ! しまった、この言い方はまずかったか)」

少女「まあオレは普通の『女』じゃねーしな…」

少年「いや、そういうつもりじゃ…」
少年(こいつ、男友達ほしがってるわりに異様に男を恐れてたしな…クラスとかでも男との接点は俺だけだし)

少女「おまえの言うとおり、あいつはいいヤツだと思う。昔話もしたいし。だから今回の話もOKしたんだが、そうじゃなければ断ってた」

少年「そうか…(なんか実際怖い目を見たのか?)。さすがに一緒にってのは無理だけど、離れたとこで見てるんでいいならやるよ」

少女「そうか、すまんな。いや、ありがとう」

66: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:58:17.931 ID:c28fhx9u0.net
少年「どっちにしろ言うとおりにするけどさ、例えばクラスの女の子と一緒とかじゃダメなのか?」

少女「おい、ボッチなめるなよ」

少年「いやいや、昼たまに女子と食べてるし、今朝もなんか女子と話してたじゃん!」

少女「飯は誘われたときだけだ。話もな。普段話しかけるなオーラ出してるからあまり誘われん」

少年「それ自発的だったのかよ!」

少女「いや、自発的でもないけど、おとなしいキャラを演じてるとどうもそうなってしまう。でもこの中身がバレるよりボッチのほうがまだマシだしな」

少年「…」

少女「まあ放課後のことは恩に着るよ。よろしく頼む」ペコ

少年「別に他に用事もないしいいさ。さて、そろそろ戻ろうぜ」

少女「ああ」

少年(何かと思ったらこんな話だったとは。リア充・イケメン○ねは俺もいつも思ってるが、幼馴染に対してもか…まあ確かに少女にとっては色々あるんだろうな。転校生とは何もないとは思うけど…)

67: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:58:36.125 ID:c28fhx9u0.net
-放課後・教室-

少年(なんだ? 廊下から例の転校生の声が聞こえてくる)

転校生「いや、本当だよ!」

隣クラスモブ1「ははは! ウソだろ?!」

隣クラスモブ2「まじ半端ねぇなあ、転校生!」

隣クラスモブ3「ねえ転校生くん、その話、続きあるんでしょ?」

転校生「だからないって! はは」

隣クラスモブ4「またまた~w」

少年(リア充すげえ…転校たった1日で男女問わず…コミュ力の化け物か)

転校生「じゃあ悪いけど、この後約束あるから…」

隣クラスモブ1「ああ、隣のクラスの少女さんだろ。羨ましいぜ、あの子と幼馴染とか」

隣クラスモブ3「少女さんって、小学校の頃ってどんなだったの?」

転校生「いやあ、それは本人の許可を得ないと僕からは言えないよ!」

68: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:58:49.985 ID:c28fhx9u0.net
隣クラスモブ5「えー、意味深!」

転校生「いやいや! 普通の子だったから!」

少女(ぐぐ…)ビキビキ

<ガラッ>

転校生「少女さん!」

少女「…じゃあ行きましょうか」チラ

少年(オッケー)チラ

69: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:59:03.026 ID:c28fhx9u0.net
-校庭の外れ・ベンチ-

転校生「いやあ、本当に少女は変わったなあ!」

少女「今朝は変わってないって言ってたわよ。変わったのはあなたの方よ」

転校生「見た目じゃなくて、雰囲気がね。ちょっとあの頃からは想像できないよ」

少女「あんな小さかった頃だもの。成長もするわ」

転校生「そりゃ僕だって秘密基地作ったり泥だらけでかけっこしたりはもうしないけどさ」

少女「わたしだって女なんだから、ずっと男の子のようではないわよ」

転校生「『わたしだって』って言うまでもなく少女は綺麗な女性じゃない。美人になったし!」

少女「美人かどうかは知らないけど、あまり昔の話を周りでしてほしくないの。恥ずかしいから」

転校生「それは気をつけてたつもりだけど…」

少女「今朝わたしの前で昔の話をしてたし、さっきもわたしの小さい頃のことを意味ありげに話してたでしょう」

転校生「朝のことはゴメン! あとさっきの聞こえてたか…否定したつもりだったんだけど…」

70: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:59:25.802 ID:c28fhx9u0.net
少女「それはもう済んだことだしいいわよ。それより学校のこと聞きたいって言ってたけど、あのお友達たちに聞けばよかったんじゃない」

転校生「いや、実はそれは方便でさ、本当は少女と昔の思い出話をしたくてね。あの裏山の秘密基地だけど、まだあったよ」

少女「まj…本当に!?」

転校生「こっちに引っ越して来て懐かしくてね。すぐに裏山に行ってみたよ。あの頃は小屋みたいな感じがしてたけど、今見ると小さなただの物置だね」

少女「わたしはあれ以来裏山なんて行ってないから…」

転校生「あのあと誰にも見つからなかったのか、ゴミとしても処分されなかったのか、まだ中にあのときのマンガがあったよ」

少女「ええ?」

転校生「多少湿気ったような感じだったけど、まあよく残ってたよね。あ、そうだ。写真は撮ったよ」スマホ スッ

少女「あー本当ね! こんなとこだったわ。懐かしい!」

転校生「これがそのマンガ」スッ

71: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:59:38.274 ID:c28fhx9u0.net
少女「懐かしいわ。何か段々思い出してきた。これの最終巻、結局読めなかったのよね」

転校生「懐いな。そうそう、どの店にもなくて。今考えればちょっと待てば再入荷とかしたんだろうけど」

少女「そのあと買えないままあなたが引っ越しちゃって、結局わたしも自分じゃ買わなくて…」

転校生「どう、実際に見に行かない? 秘密基地」

少女「今から?」

転校生「いやいや、別にいつでもいいけど」

少女「いえ、やめとくわ。裏山探検って歳でもないし、さすがに女性が入り込んでいくところではないわ」

転校生「そうかー。本当に変わったなあ。いやゴメン、そうだよね。なんか僕の中ではあのときの少女のままだからさ」

少女「昔は昔よ」

転校生「そうだな。あ、じゃあそうすると、今はもうカレシとかもいるんじゃない?」

少女(来たな…)

72: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 22:59:54.151 ID:c28fhx9u0.net
-校庭の外れ・茂みの中-

少年(来たな…こうやって付いて来たんだからいないこと前提のクセに『いないわ』→『じゃあ僕はどう?』ってパターン!)


-ベンチ-

少女「…別にいないけど…そういうの今は興味ないし(男に対しては今後もないけどな)」

転校生「ふうん、可愛いから絶対いると思ったけどなあ。いや、こうやって来てもらってから言うのも何だけど、カレシがいたら悪いなって。っていうか、そうだったら僕殺されちゃうか!」ハハハ

少女「…(さあ、この後どう出る? 最悪は少年もいるし、もうどうとでも来いだ)」

転校生「いやゴメンゴメン。こういうのもセクハラになるのかな」

少女「別に同級生なんだし…」

転校生「いなくて良かったけど、あまりこうやって二人で会うのも変に誤解を周りに与えちゃうかな。でもやっぱり少女と話したかったんだよ。僕にとってはあの頃が一番楽しかったんだ」

73: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:00:08.049 ID:c28fhx9u0.net
少女「わたしも楽しかったわ。夏休みなんか永遠に終わらないかと思ったし、ずっと続けばいいと思ってたわ」

転校生「夏休み! あれ覚えてる? 変なアミ持って虫捕りに行ってさ…」

少女「え、あのクワガタ事件?」

転校生「そうそう!」ハハハ

少女「あれはヒドかったわ…」

転校生「まあまあ!」


-茂みの中-

少年(俺の知らない話題で盛り上がってる…少女楽しそうじゃん。昼休みに言ってたことは杞憂だったな。彼氏の話から口説きにもならなかったし)

74: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:00:27.765 ID:c28fhx9u0.net
-ベンチ-

転校生「ははは…話は尽きないけどさ、あまりずっと一緒にいてもまずいかな…」

少女「そうね。でも今日は昔を思い出せて楽しかったわ」

転校生「もっと話していたいけどなぁ。そうだ、二人きりだと確かになんだから、今度は僕のクラスのやつと一緒に話さない? あ、少女のクラスの人たちを連れて来てもらってもいいけど」

少女「知らない人たちの輪に入っていく勇気はわたしにはないわ。第一自分のクラスの人たちだったとしても、子供の頃の話は周りに知られたくないって言ったじゃない」

転校生「だよねー」

少女「もう、忘れてたでしょう」

転校生「ははは」

少女「また機会をみて話をしましょう」

転校生「そうだね。あ、LINEのQRいい?」

少女「ええ」

75: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:00:42.205 ID:c28fhx9u0.net


転校生「じゃあまた明日!」

少女「ええ、またね」(さてと…)

少女(よし、もういなくなったな。少年のところに行ってと…)

少女「おい、少年、もういいぞ」ヒソヒソ

少年「いや、今出てっておまえと一緒になるのもアレだろ。このまま今日は別れよう」ヒソヒソ

少女「すまんな。本当にありがとう」ヒソヒソ

少年「大丈夫だったろ?」ヒソヒソ

少女「…そうだったな。でもまあおまえがそこに居てくれたからこそってのもある」ヒソヒソ

少年「楽しそうだったよな。よかったじゃん」ヒソヒソ

76: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:00:57.934 ID:c28fhx9u0.net
少女「ああ。でも転校生、本当に変わったなあ」ヒソヒソ

少年「ああ、ポッチャリ少年だったんだっけ」ヒソヒソ

少女「それもあるが、あんな『ウェ~~イwww! レッツパーリィーナイッwww!』みたいなヤツではなかったんだが」ヒソヒソ

少年「そういうパリピバリバリな感じでもなかったろ!」ヒソヒソ

少女「まあ、そういうリア充臭に満ちたヤツではなかったんだよ」ヒソヒソ

少年「ふうん。まあ人は変わるしな。あのコミュ力で女子グループに入れないおまえとも遊んでたんだと思ったよ」ヒソヒソ

少女「まあ、当時確かに一緒に遊んでくれたのは嬉しかったよ」スマホ サッ ヒソヒソ

少年「ん? 電話かけんのか」ヒソヒソ

少女「いや、独り言言ってるみたいだからかけてるフリをな」ヒソヒソ

少年「じゃあもう俺らも電話でいいじゃん。ははは」ヒソヒソ

少女「ははは。そうだな。ずっと茂みに入っててもらってんのに悪かった」ヒソヒソ

少年「それはいいけどさ」ヒソヒソ

少女「まあ、今日の礼は改めて。こんなとこで悪いけど、また明日な」ヒソヒソ

少年「ああ、またな」ヒソヒソ

77: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:01:14.245 ID:c28fhx9u0.net
-ある日・教室-

ウィーッスw
キャイキャイ♪
ワイワイ

少年友「あー、世界滅びねーかなぁ」

少年「物騒だな」

少年友「いや、滅びるのは女とイチャイチャしてるやつだけでいい」

少年「それでも早晩世界は滅びるな」

少年友「ああ、俺も女の子とイチャイチャしてえ」

少年「おまえ、言ってることメチャクチャだな」

少年友「できれば少女さんとイチャイチャ、いや付き合いてえ」

少年(相変わらず少女は人気あるな…)

少年友「くそう、なんか少女さん居ないし…まさかあのイケメンクソ野郎が…」

少年(相変わらず転校生は嫌われてるな、俺ら陰キャに…。結構いいやつなのに)

78: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:01:27.179 ID:c28fhx9u0.net
少年友「まあ おまえといると落ち着くよ。女に縁のない同士だし」

少年「勝手に決めつけんな」

少年友「だって女の子から話しかけられることなんてないだろ」

少年「まあな(少女はノーカンだよな)」

クラスメイト(女)「ねえ、少年くん!」

少年友「なにぃっ!?」

少年「え、なに?」

少年友(クラスでも少女さんに次ぐ美少女と言っても過言じゃない、ボクっ娘のクラスメイトさんが、なぜ少年のところに?!)

クラスメイト「少年くんって少女さんと付き合ってるの?」ズバァ

少年「ブフォォ!!」

少年友「えええええ! いやいやなんでそんな話に?」

79: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:01:46.223 ID:c28fhx9u0.net
少年「そ、そ、そうだよ! なんで付き合ってるなんて思ったの?」

クラスメイト「だって、この前転校生くんと少女さんが話してるとき茂みの中から見てたみたいだし…」

少年「わーーー!」

少年友「おまえ普段少女さん興味ないみたいなこと言って、ストーカーばりに興味津々じゃん」

少年「そうそう! ついストーカー的なことを…(あああ…俺の評判が…)」

クラスメイト「そのあと少女さんと話し込んでたし、教室でもいつもアイコンタクトしてるし、よく準備室で…」

少年「わーー!わーー!わーー!!」

少年「そ、その話は、あっちでしない? ハハハ」バッ

クラスメイト「あ、うん。わっ!」グイッ

少年友(あいつ、クラスメイトさんの手を取って外に行きやがった…くそう、あいつも敵だったか)グス

少年友(まあ少女さんと付き合ってるっていうのはクラスメイトさんの勘違いだろうけど…あいつなんの接点もないし。ああ、本当に世界滅びねーかな…)ポロリ

80: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:01:57.351 ID:c28fhx9u0.net


クラスメイト「少年くん、急に引っ張られたら痛いよ」

少年「あ、うわわわ!」バッ「ご、ごめん! つい手を…」///

クラスメイト「それはいいけど、付き合ってること秘密にしておきたかったの? だったら教室でいきなり聞いちゃってごめんね」

少年「いや、秘密も何も、付き合ってないから!」

クラスメイト「え、だってこの前二人でゲームセンターに入って行ったり、公園でご飯食べてたでしょ。てっきり公認なのかと」

少年(そこも見られてたぁ! 離れた街に行ったり、公園も人通りのないとこで食べてたのに…)

クラスメイト「ボクの勘違いかもしれないと思ってたんだけど…よく見るといつも二人で目で会話してたり、なんかよく準備室に二人きりで入って行ったり…」

少年「準備室」ヒヤッ「…俺たちの話、聞いてた?」

クラスメイト「はは、まさか! プライバシーは守るよ!」

81: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:02:14.982 ID:c28fhx9u0.net
少年(ホッ…しかしそこまで見られてたとは…家によく遊びに行ってることまではバレてないよな…)
少年「もう十分プライバシーは侵害されてる気も…」

クラスメイト「ごめんごめん。じゃあ秘密にしておけばいいのかな。でもボクは二人を応援してるよ!」

少年「だから付き合っていないです!」

クラスメイト「ふふふ。同じクラスのボクにまで秘密にしなくていいのに…」

少年「付き合ってはいないけど、秘密にしておいてくれると助かるんだけど…」

クラスメイト「うんうん! わかってるよ!(パチッ)」ウインク

少年「…」(仕方ない、誤解は後から解こう。今はこれ以上広がるのを阻止しないと…後で少女とも相談しないとな…)

82: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:02:26.679 ID:c28fhx9u0.net


少年「ふう、やれやれ」チャクセキ

少年友「あ、少年さん、おかえりなさい」

少年「え? どうしたんだよ」

少年友「おや、こんな陰キャのどクソ野郎にもお声をかけていただけるとは。さすがクラスメイトさんとイチャイチャできる方は違いますね」

少年「やめろよ…なんかクラスメイトさんが勘違いしてたみたいだから説明を…」

少年友「うるさい。貴様も結局リア充野郎だったか…」グス

少年「泣くなよ…」

83: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:02:43.328 ID:c28fhx9u0.net


-校舎のはずれ・準備室-

少年「大丈夫だったろうな」

少女「ああ、いつもよりさらに注意して来たよ。つけられたりはしてないと思うが…しかしクラスメイトさんが…」

少年「ああ。まさかあそこまで見られているとは…」

少女「オレからも否定しておこうか」

少年「いや、それは意味がない…って言うか逆効果な気がする」

少女「そうだな…」

少年「もうこうなったら、公式に俺たち付き合ってるってことにしてもいいけど…そうしたらおまえへの告白も無くなるだろうし、いつでも堂々話せるし、遊べるじゃん」

少女「偽装交際な。でもそれはダメだ」

少年「俺、別に彼女作るつもりもないし(作れない、が正しいが)」

少女「うそつけ。一緒にモテるためのシミュレーションまでしたじゃねーか。もしおまえのことを想ってる子がいたらその子も傷つけるし、そんな芽まで潰したくねえ」

84: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:02:58.254 ID:c28fhx9u0.net
少年「いや、そういうのないから…」

少女「おまえは自己評価が低いな。クラスメイトさんと手まで繋いだんだろ」

少年「だからそれはとっさに…」

少女「でもそんなに嫌がらなかったんだろ。第一ふつうに声かけて来たっていうし…羨ましいぜ、クラス一の美少女に…」

少年(クラス一はおまえだ)

少女「とにかく、おまえはいいやつだ。オレが女なら惚れてるぜ?」

少年「女だろ…まあ今度女モードのときそれ言ってくれ。それより、どうやってクラスメイトさんの誤解を解くかだ。クラスメイトさんだけに偽装交際を打ち明けて、口外しないように釘をさす、つまり今の状態でもいい気がしてきた」

少女「それもダメだ。クラスメイトさんが約束を破るとは思えないけど、どこから漏れるかわからんし。もし彼女の周りでおまえを好きなやつがいて、彼女に相談したりしたら…」

少年「恐ろしく低い可能性だな」

少女「クラスメイトさん自身がおまえを好きになる可能性も…」

少年「それはゼロだな」

85: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:03:10.702 ID:c28fhx9u0.net
少女「とにかく、万一全校にバレても問題のないストーリーにしておいたほうがいい。別に交際じゃない、というか男女の付き合いじゃないってことにすればどうだ」

少年「どういうことだ?」

少女「いわゆるタダの友達、男女間の友情で付き合ってるみたいな」

少年「うーん、でもそれってまず信用してもらえないだろ。とくに突然じゃ…」

少女「じゃあ転校生みたいに、実は幼馴染だった、っていうのは? 今も転校生とはチラチラ話してるし。今まで恥ずかしくて言えなかった、でも二人は兄妹みたいなもので恋愛感情はないとか」

少年「本物の幼馴染の転校生がいるわけだし難しそうだな…幼馴染で付き合うってのもよく聞くし…」

少年「待てよ、兄妹…?(なぜおまえが妹かは置いといて)いっそのこと実は生き別れの双子の兄妹とかにするのは? 別々の家に貰われて行ったから名前も違うみたいな」

少女「それはハードルが高すぎるな…ドラマかよ」

少年「あ! だったら少女には実は婚約者がいることにすれば…彼氏だと日頃から『興味ない』とか言ってるからさ。友達だろうが幼馴染だろうが、俺と一緒にいてもくっつくことはないとわかるし」

86: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:03:24.211 ID:c28fhx9u0.net
少女「生き別れの双子とか高校生で婚約者とか、この現代日本でおよそありえないこと言われてもな…。ドラマやマンガの見過ぎだぞ」

少年「ぐう」

少女「まあ生き別れの双子まで言わないけど、遠い親戚ってことでどうだ。親戚状況なんて学校のやつや幼馴染だって知らないし」

少年「なるほど」

少女「イトコ、いやハトコってことにして、それこそ兄妹みたいに育ったって…」

少年(ハトコはおろか、イトコも結婚できんねんぞ…でも少女が乗り気ならそれで行こう)

少女「さっきもあったけど、今までは恥ずかしくて隠してたけど、付き合ってるとか言われたから言うことにしたとかにして。それでもクラスメイトさんに冷やかされたら、オレから『じゃあ少年に彼女を紹介してあげて』とか言おう。これで付き合ってるようには思わんだろ。そしてこのことも絶対周りに言わないように釘をさして…」

少年「ふうむ、それで行ってみるか」

87: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:03:41.844 ID:c28fhx9u0.net
-翌日・準備室-

少年「というわけで、今まで黙ってたけど少女とは親戚同士でね。色々からかわれそうだから黙ってたんだ。昨日言おうと思ってたんだけど、一応少女の了解を得てからと思って」

クラスメイト「本当に付き合っていないの?」

少女「ええ。勘違いをさせてしまったようでごめんなさい。もし少年にいい人がいたら紹介してあげてほしいわ」

少年「おい、よせよ!」ハハハ

クラスメイト「ほわー、すべてボクの早とちりだったかぁ。少年くん、少女さん、ごめんなさい!」

少年「いやいや、ちゃんと親戚だってことを言っとけばこんな勘違いもなかったし」

クラスメイト「そうかー。なんかアイコンタクトしてるのも、ここによく来てるのも最近からだから、最近付き合い始めたんだとばっかり…」

少年「(ギク)いや、外で二人でいるとこ見たから、それから俺らのことがよく目に付くようになったんじゃない?」

クラスメイト「そうかなあ…あ、ごめんね、また勘違いを重ねるところだったよ! とにかくハトコだっけ?親戚同士のことは秘密なんだね。よくわかったよ!」

少女「申し訳ないけど、お願いするわ」

クラスメイト「うん、ボクたち三人の秘密だね!」

94: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:38:11.825 ID:i8ISn1R2p.net
スマホからチマチマ投下
 
-廊下-
 
少年(ふう、やれやれだったな…)
 
転校生「やあ、少年くん!」 ニコニコ
 
少年「え、転校生くんだよね? えっと、俺の名前知ってるの?」
 
転校生「君だって僕の名前知ってるじゃないか」ニコリ
 
少年「だって有名人じゃない。少女さんとこに来てたし」
 
転校生「ははは。転校早々悪目立ちしすぎたかな。それよりちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?」ニコニコ
 
少年「うん、いいけど…」
 
転校生「じゃあ、ちょっと向こうの隅に…」
 

 
少年(いったい何の用だろう…)
 
転校生「君は少女と付き合ってるのかい?」ズバァ
 
少年「ブフォォ!!」

95: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:39:50.395 ID:i8ISn1R2p.net
少年「え、な、なんでそんな話に?」

転校生「昨日クラスメイトさんが君に確認したらしいじゃない」ニコニコ

少年(え、もうクラスメイトさん話しちゃってた?)

転校生「そんな話を君のクラスの人から聞いたよ。君とクラスメイトさんの名前も一緒にね」

少年(ホッ、クラスメイトさんからじゃなかったか。だったら…)

少年「いや、あれはクラスメイトさんの勘違いなんだよ」

転校生「なんでそんな勘違いを?」

少年(う、ゲーセンのことや準備室のことは言えないし…)
少年「さ、さあ…」

転校生「ふうん。でも君、この前僕と少女が話してたのを隠れて聞いてたって言うじゃない。やっぱりカレシだからかい?」

少年「あのときは盗み聞きなんかしてごめん! ついクラスのマドンナ少女さんと転校生くんとの関係が気になっちゃって…」

転校生「マドンナって…ははは。いいよ、実は盗み聞きもお互い様でね。準備室での話、聞いちゃったんだ」

97: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:41:58.646 ID:i8ISn1R2p.net
>>96
oh、検索してくれたとは…

98: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:43:11.879 ID:i8ISn1R2p.net
少年「えっ!!」(あの言い訳の相談聞かれた? いや、それより男モードの少女まで!!)

転校生「いや、ごめんごめん。少女とクラスメイトさんと君の3人で入っていくからなにかなと思って」

少年(ホッ さっきのやつか。でも少女が言ってたとおりどこから漏れるかわからないな。親戚シチュを用意しといてよかった)
少年「あれ聞かれちゃったか…だったらクラスメイトさんに言ったとおりだよ。なんだ、知ってたのか。人が悪いなあ」

転校生「ははは。この前僕らの昔の話を聞かれたからね、ちょっとしたお返しさ。ハトコどうしなんだって?」

少年「ああ、うん。できればこのことは秘密にして…」

転校生「うん。でもそれ嘘でしょ、親戚っていうの」ニヤ

少年「(っ!!!)え、ウソじゃないけど…(ドキドキ や、やっぱり昨日のも聞かれてたのか…)」アセ

転校生「子供のとき少女のお母さんから、少女のお爺さん・お婆さんは全員一人っ子でお母さんにもお父さんにもイトコは居ないって聞いたもの」

少年「(っ! マジか…)え、それ…(くっ、これがウソかも、っていうかあからさまにウソくさいし…)あの、いや、そんなことはないっていうか…」

99: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:43:54.767 ID:i8ISn1R2p.net
転校生「ははは。本当に親戚ならすぐ答が返ってくるはずだよ。そんなに動揺しないで」

少年(やっぱりカマかけだったのか? クソ…)アセ

転校生「おっと…さすがにあのときのお返しにしてはやりすぎだった…」

少年「?」

転校生「ごめん! 実はさっきの準備室の話を聞いて、本当のところを確認したかったんだ。でも盗み聞きだし、素直に聞けなくて…」

少年「ええええ!」

転校生「なんか少年くんがすごい焦ってるのが面白くて、ついいつもの友達にやるみたいな悪ノリを…本当にごめん!」

少年(これがリア充のノリか…※)

※違います

少年「でも確かに先に盗み聞きしてたのはこっちだし…あと本当のところって言われても…」

転校生「僕らの話をこっそり聞くくらいならただの野次馬かと思ったけどさ、親戚だなんて嘘をついてまで関係を誤魔化すってことは、やっぱり特別な関係じゃないのかと思ってね」

100: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:45:07.877 ID:i8ISn1R2p.net
少年「なんでウソだと思ったの? 実際俺たちは…」

転校生「まあまあ。少なくとも子供のころ親戚はみんな年が離れてて遊んだことないってこと言ってた気がするし」

少年(何が幼馴染でも親戚状況までは知らないだよ…)

転校生「さっきのやりとりで確信はしたけど、他にも少女が子供の頃の髪型とか分かる?」

少年「それは…(ここまできたらもう認めるしかないか…)わからないよ…転校生くんの言うとおりハトコとかじゃないから…」

転校生「あっ、別に君たちのことを何か暴こうとか、クラスメイトさんや学校中に言い触らそうとか、そういうつもりじゃないんだ! ちょっと悪ふざけが過ぎちゃって信用してもらえないかもだけど…」

少年「…」(何が言いたいんだ? というか目的はなんなんだ?)

転校生「ベンチでの話を聞いてたなら、僕が少女にカレシがいるかどうか確認してたのも聞いてたと思うけど、もし君がカレシなら本当に申し訳ない。申し訳ないんだけど、やっぱり少女と昔の話とかもしたいんだ。そのことを言いたかったんだよ」

少年「たしかにハトコじゃないけど、俺は彼氏でもないよ。だから俺には気を遣わなくていいけど…。少女だけどさ、恋愛に興味ないって言ってたろ」

転校生「ああ」

101: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:47:36.442 ID:i8ISn1R2p.net
少年「あれは本当なんだ。だから俺とも付き合ってるとか、そういうのは一切ないんだ。でも男女間の友情とかそんなの信じられないだろ?
それにあの少女だ。絶対おもしろおかしく噂にされるに決まっている。だから無理矢理親戚ってことにしようとしてたんだけど…幼馴染の転校生くんには通じなかったよ」

転校生「ふうむ。普通の友達ってことか。最初から言ってくれれば良かったのに。僕は信じるし、他の人にも言ったりしないけど…もし冷やかされたりしても時間が経てばおさまるし、みんなもわかってくれるんじゃ…」

少年「少女って何もしてなくてもあんな感じだろ。少しでも目立つのが嫌いなんだよ」

転校生「ふうん、本当に変わったみたいだね、少女。じゃあ遠慮なく少女とは昔話に花を咲かせてもらうよ!」

少年「遠慮も何も俺のことはいいからさ。それより確認したかったなら、少女に訊けば良かったのに。話したこともない俺に訊くより訊きやすいでしょ」

転校生「うーん、1回少女には訊いてるってのもあるし、カレシの許可を取るつもりだったし…その前に盗み聞きの話だからさ。申し訳ないけど君の方がカミングアウトしやすかった」

少年「なるほど、悪いことはできないな」

転校生「ははは、全くだね」

少年「ところで、転校生くんはもしかして少女のこと好きなの?」

102: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:48:27.961 ID:i8ISn1R2p.net
転校生「ああ、好きだよ」シレッ

少年「…!?」

転校生「ははは、もちろん幼馴染としてね。そりゃあんなに美人になった少女だもの、みんな放っておかないだろうけど、僕にとっては昔の少女なんだよ。カノジョ、って言うより、泥だらけになって一緒に遊んだ幼馴染って言う方がしっくりくる」

少年(少し羨ましくもあるな…)

転校生「君がカレシだったら、そんな話もして少女とは何もないことをアピールするつもりだったんだけど」

少年「なるほど」

転校生「でも校内の話とか君の話を聞くと、今の少女はあまり友達も作らないようにしているふうにも思えるんだけど、君たちはどうやって友達になったんだい? とくに男の友達は少女にとってハードルが高くないかな…」

少年「それは…いや、転校生くんだって男友だちじゃないか」

転校生「はは、そうだね。詮索するようなこと聞いてごめん。さっき言ったとおり友達どうしっていうのは信じてるんだけど、ちょっと不思議だったからさ。君の方こそ友達からのランクアップを考えてるなら、僕は応援するよ!」

103: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:49:02.601 ID:i8ISn1R2p.net
少年「いや、それはないから…」
少年(クラスメイトさんも転校生くんも冷やかしたりやっかんだりしないで応援してくれるんだな。まあ意味ないし無駄なんだけど…)

転校生「あんなに美人だし、いい子だし、おすすめなのになあ。ははは」

少年「ははは…」

転校生「今日はなんかふざけて驚かせたり、根掘り葉掘り聞いたりしてごめん。よかったらLINE交換してくれないかな。転校したてでまだ友達あまりいないんだ」

少年「(あれで『まだ』だと…)うん、いいよ」QR コードスッ「でもこのことはやっぱり秘密にしていてくれるかな」

転校生「それはもちろんだよ! じゃあ隣のクラスだけど、これからよろしく!」

少年(これでもうこいつの『友達』の一人になったのか。リア充すげえ)

104: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:49:38.085 ID:i8ISn1R2p.net
-スマホ-

    (これから長文を送るけど、絶対に誰も見てない
          ところで開けてほしいんだ いいかな >少年

少女< おう なんかわからんが了解)

  (実はあのあと転校生くんに会って…
   ~
   …ということでせっかくの親戚作戦も彼にはバレて
   しまったんだ ごめん 一応口止めはしといたけど… >少年

少女< ふうむ まあしゃーなしだな
    そういえばあいつに親戚の話したことあるかも…)

   (いや、俺がもっとちゃんと立ち回ってれば親戚で
                  押し通せたと思う >少年

少女< まあお互い過ぎたこと言ってもしょうがない
    こうなったらある程度本当のことを言っておいた方が
    いいかもな)

   (えっ、まさかおまえの中身のことは言わないよな >少年

105: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:50:09.287 ID:i8ISn1R2p.net
少女< まさか
    でも中身のことっちゃあことだな
    あいつ、オレの子供ころの嗜好を知ってるから
    実は今もアニメやゲームが好きで、隠してたけど少年に
    バレて今はその話題で色々少年に世話になってることに
    しよう これは親戚みたいに嘘じゃなく本当のことだし)

             (わざわざ言う必要あるかな >少年

少女< なんで友達になったか訊いてきたんだろ
    またカマかけられて色々聞き出されるかもしれんぞ)

 (あのときはもう訊かない…とは言ってなかったか…
            たしかに気にはなってるのかも >少年

少女< まあオレからその話は転校生にしておくよ
    結果は報告する)

                (わかった お願いする >少年



少年(大丈夫かな…)

106: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:50:52.038 ID:i8ISn1R2p.net
-翌日、校庭の外れ・ベンチ-

少女「呼び出してごめんなさい」

転校生「だいたい何のことかはわかるよ。昨日少年くんと話したことだよね」

少女「そのとおりよ。少年くんから聞いたわ」

転校生「だから少年くんも一緒だと思ったんだけど…」

少女「三人で集まったりしてまた目立つと嫌だわ」

転校生「ははは。昨日はみんなの話を盗み聞きしてしまったからね。ごめん」

少女「だからあまり大きな声では話さないでね。一応周りの茂みはさっき見たけど…」

転校生「あはは!…っと失礼…。昨日は少年くんをからかうようなことになっちゃって悪かったと思っているよ」

少女「それは少年くんに言ってあげて」

転校生「そうだね。改めてお詫びはするよ」

107: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:51:22.550 ID:i8ISn1R2p.net
少女「その少年くんとは付き合ってるとかはないんだけど、それで冷やかされたり騒がれるのは嫌なのよ」

転校生「それは聞いたよ。友達なんだよね。僕は信じてるし、絶対誰にも言わないよ!」

少女「それはぜひお願いしたいの。騒がれたりも嫌だけど、そんな噂で少年くんに彼女ができなくなっては悪いわ」

転校生「それは少女も一緒じゃない?」

少女「わたしはそう言うのに興味ないし、彼氏とか作るつもりはないから。でも少年くんは違うわ。なんなら転校生くんから誰か紹介してあげて欲しいわ」

転校生「それクラスメイトさんにも言ってたね…でも本当は少年くんが少女のことを好きだったら? あ、これは冷やかしとかじゃなくて」

少女「それはまずないけど…もしそうだとしてもわたしが断るから、どっちにしろそうはならないわ」

転校生「じゃあ、僕が少女を好きだと言ったら?」

少女「それも少年くんから聞いたわ。幼馴染としてでしょ」

転校生「ありゃ、少しくらい焦ると思ったのに…」

108: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:53:41.046 ID:i8ISn1R2p.net
少女「なんで少年くんとわたしが友達になったか不思議なのよね」

転校生「まあぶっちゃけて言うとそうだけど、それは他人が首突っ込む話じゃないよね。それについてもすまなかったよ」

少女「でもその疑問をそのままにしておいて、またあなたが暴走するといけないわ」

転校生「おぅ、厳しいな…」

少女「これは少年くんと友達、ってこと以上に絶対知られたくないことなの。でもあなたは昔のわたしも知っているし、本当のところをわかってもらってたほうがいいと思って」

転校生「…真剣な話なんだな。心して聞くよ」

少女「もう昔のような、男の子みたいじゃない、って言ったけど…実のところは変わってない部分もあるのよ」

転校生「それは…?」

少女「本当に恥ずかしいんだけど、いわゆる男子が読むようなマンガやアニメ、あとゲームなんかがいまだに好きなの」

転校生「意外だな…いや、僕にとっては昔のとおりで意外じゃないけど、こんなに女性らしくなった少女だし、この前聞いたみたいにもう昔の少女じゃないと思ってたよ」

少女「流石に裏山で走り回ったり虫捕りしたりはしないけどね」

転校生「ははは」

109: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:55:58.824 ID:i8ISn1R2p.net
少女「ただでさえクラスで浮いてるのに、そんなことがバレたら…」

転校生「まだ数日しか知らないけど、少女はわざと周りと距離を置いてるのかと思ってたけど」

少女「…そうね。そういうところもあるわ。でもそんな趣味がバレたらなにを言われるか…。とにかく絶対に秘密にしておきたいの」

転校生「それはわかったけど、少年くんとの話は…」

少女「このわたしの趣味がきっかけなの。そういう本なんかは学校に絶対持ってこないんだけど(実際持ってきたことはないがな)、
あるときどうしても読みたい新刊の単行本を朝コンビニで買っちゃって、帰るまで我慢できなくて学校で読んでたのよ。そうしたら少年くんに見つかっちゃって…」

転校生「え、どこで読んでたの?」

少女「あの準備室よ。少年くんが日直の仕事忘れてて、絶対誰もこないと思ってた放課後にバッタリ、ね。最初は誤魔化そうと思ってたけど…なんかその本少年くんも気になってたみたいで。
わたしも嬉しくなってついつい話し込んで…それから友達、というか同好の士みたいな感じで続いてるの。少年くんも秘密を守ってくれてるし」

転校生「その手の同好の士って、多分もっといるよね。たぶん女子でも結構いるんじゃ…」

少女「これ以上増やすつもりはないから。あなたにも黙っておくつもりだったし。これ以上秘密がバレるようなら本気で転校を考えるわ(多少大袈裟に言っておかねーとな…)」

110: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:56:28.381 ID:i8ISn1R2p.net
転校生「(かなり頑なだな)おっと、それは責任重大だな。わかった。小さい頃の話もその趣味の話もみんなの前では絶対にしないようにするよ」
転校生(それほど重大な話ではない気もするけど、なにかトラウマみたいなことがあったのか?)

少女「ありがとう。お願いするわ」

転校生「ところでさ、実は僕もアニメとかは相変わらず好きなんだよ」

少女「そうなの?」

転校生「僕はとくに隠してはないけどね。というわけで僕も同好の士なんだけど…今少女が一番気になってるアニメってなに?」

少女「…」キョロキョロ「…ここではやめとくわ。それはまた今度ね」

転校生「じゃあそれはまたってことで!」

少女(転校生もあまり中身は変わってないのか?)

111: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/01(木) 23:57:01.533 ID:i8ISn1R2p.net
-スマホ-

少女< これから長文を送るけど、絶対に(ry )

       (略すなよ なにを言いたいかは分かるけど >少年

少女< そんなわけであいつと話したぜ
    ~
    ということで、昨日話したとおりオタク趣味でおまえと
    繋がってることにした 感触としては問題なさそうだ)

             (オッケー まあ ひと安心かな >少年

少女< あと、話を合わせるために準備室でおまえに
    見つかったっていう本はさっき言ったとおりに
    するから気をつけてくれ)

       (あれの最新刊な
        たしかにおまえも俺もハマってるもんな >少年

少女< オレん家におまえが遊びに来てることは 訊かれない
    限り黙っていようと思う ただ、訊かれたときは素直に
    答えよう またボロ出るかもしれんしな)

           (まあ了解だな そんなところか?>少年

少女< ああ 引き続きよろしく頼む)

112: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:00:22.930 ID:BKmku7OBp.net


少年(せっかくなら本当のことを言って転校生くんもあいつの本当の(男同士の?)男友達になれればいいんだがな…。こうやって男モードで話ができるのが俺だけっていうのもな…)


-数日後・スマホ-

         (今日おまえん家遊び行っていいか? >少年

少女< わりい 今日はアニメショップに転校生と行く
    約束しちまってな なんの用だ?)

 (いや、別に用とかじゃなくてただ遊びに行こうと
  思っただけだ この前続きがないか訊いたコミックス
  あったろ 昨日それが出たから買ったんでね
  それは今度貸すよ                 >少年

少女< おお、サンキュー! アニメショップだけど
    少年も一緒に来るか?)

       (いや、俺アニメ関係よくわからんし…
        それよりそんな店行って大丈夫なのか?
               また誰かに見られたり… >少年

少女< ああ 離れた所の店に行くし、一応幼馴染の転校生に無理
    矢理付き合わされた、っていう体にするようにしている
    欲しいものがあってもあいつに代行で買ってもらうし)

          (なるほど じゃあまた別のときにな >少年

少女< おけ)

113: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:00:55.513 ID:BKmku7OBp.net


少年(二人きりでももう大丈夫っぽいな)

少年(しかし二人で遊ぶのか…。まあ見られても学校の連中は幼馴染だってこと知ってるし、よく転校生が話しかけてるのも知ってるからな。それほど噂にもならないだろう。却って少女にとっては偽装になるし告白とかも減りそうだし、良いこと尽くめじゃないのか、これ)

少年(…でもなんだろう…ちょっともやもやする…)


-数日後・少女の家-

少年「ほら、例の最新刊」

少女「おお! 悪いな。サンキュ」

少年「この前のアニメショップは問題なかったのか?」

少女「ああ、おかげさまでな。おまえも来りゃよかったのに」

少年「いや、目立つだろう」

114: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:01:37.166 ID:BKmku7OBp.net
少女「ふうむ。そうだ、そんときこれ買ったんだよ」

少年「なんだ? そのちっちゃいフィギュア」

少女「今やってる深夜アニメでな、すでに第二期が決まっていて……」ペラペラ

少年(俺は全然わからないけど、楽しそうだな、少女)

少女「……で、原作のラノベも転校生に借りたんだよ」

少年「へえ」モヤア

少女「少年にも貸していいって言ってたし、オレも読み終わったからどうだ?」

少年「いや、俺は遠慮しておくよ」モヤモヤ

少女「そうか。まあこのアニメも録画してるからさ、一緒に観ようぜ」

少年「お、おう、また今度な」

少年(俺、そのアニメあんまり興味ない…観たくないな…)

115: 1 2018/11/02(金) 00:03:29.852 ID:OxbuQQ1J0.net
PCに戻りました…


-別の日・教室-

少年友「暇だな」

少年「ああ」

少年友「なんかびっくりするようなことねーかな」

クラスメイト「やあ、少年くん!」

少年「えっ?」ビク

少年友「こういうびっくりはいらねーんだよ!」

クラスメイト「あ、少年友くん、お話中邪魔しちゃったかな」

少年友「クラスメイトさん! いやいや、全然! それより私の名前を覚えてくれているなんて恐縮です!」

クラスメイト「あはは、同じクラスなんだから当たり前じゃない。でもなんで敬語…?」

少年友「あ、ごめん、緊張して…」

クラスメイト「緊張? はは、少年友くんは面白いね」

少年友「いやあ、ははは」(うおぉ、クラスメイトさんと会話してるぅ!)

116: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:04:17.797 ID:OxbuQQ1J0.net
クラスメイト「そうだ、少年くん、今日一緒にご飯食べない?」

少年「ええ?」

少年友(なん、だと…)ギロ

少年(俺を睨むなよ)

クラスメイト「少年友くんもよかったらどう?」

少年友「はっ! 喜んで!」ビシッ

クラスメイト「ははは、面白いなあ、少年友くんは。で、少年くんはどうかな。もし予定とかなければ…」

少年(なんで急に…? でもクラスメイトさんっていつもいろんな人とご飯食べてるよな、主にリア充な面々と。こうやって気兼ねなく、男子でもお昼を誘えるのがリア充たる所以ゆえんか…)

少年「いや、俺も喜んで一緒させてもらうよ」

クラスメイト「ありがとう。少年くんたちと一緒に食べるのは初めてだよね。ボクはお弁当なんだけど、みんなは…」

117: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:04:37.153 ID:OxbuQQ1J0.net
少年「俺たちも弁当だよ」

クラスメイト「じゃあお昼に中庭で。またね!」

少年(もう別のグループに交じって話をしてる。明るくて活発で、俺らとは全然違うよな)

少年「なあ、なんで急にクラスメイトさんお昼に誘って来たんだろうな」

少年友「うふふ、クラスメイトさんとお昼…うふふ」

少年(だめだ、会話できる状態じゃねえ…)

少女(少年がクラスメイトさんとお昼…だと……。メチャクソ羨ましいんだが?)

118: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:04:52.917 ID:OxbuQQ1J0.net
-昼休み・中庭-

少年「クラスメイトさん一人なんだね」

クラスメイト「ダメ…だったかな?」

少年「いやいや、そういう意味じゃなくて、いつもみんなといるからさ。今日も他の人たちも一緒だとばかり」

クラスメイト「ああ、今日は純粋に少年くんたちと一緒したくて」

少年友「ほ、本当ですか!」ナミダ

少年「なんで泣くんだよ…」

クラスメイト「あはは。たまにはいいよね?」

少年友「たまと言わず、クラスメイトさんとならいつでも喜んで一緒させてもらいますよ!」

119: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:05:08.667 ID:OxbuQQ1J0.net


クラスメイト「ごちそうさまでした!」

少年友「あ、じゃあ俺みんなの飲み物なにか買ってくる!」ダッシュ

クラスメイト「あ、ボクは水筒持ってる…行っちゃった」

少年「ごめん、あんな慌あわただしいやつで…」

クラスメイト「面白いよね、少年友くん」アハハ「でもちょうどよかったかな…」ボソ

少年「え?」

クラスメイト「実は少年くんに話があってね。いや、少年友くんとも一緒に食べたかったのは本当だよ。今まで一緒に食べたことなかったし、少年友くん面白かったし」

少年「話っていうのは…?」

クラスメイト「今周りに誰もいないからいいかな。例の少女さんとのことなんだけど、ハトコなんだよね」

少年「う、うん。それが?」ドキドキ

120: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:05:24.714 ID:OxbuQQ1J0.net
クラスメイト「ハトコって結婚できるんだよね」

少年「ブーッ! い、いやそうだけど、そういうのじゃないって話はしたと思うんだけど…。なんていうのか、双子の兄妹みたいな感じでさ」

クラスメイト「ふうん。あのときはそう思ってたしそうなんだと思うんだけど、少年くんは本当にそれでいいの?」

少年「いいの、って言われても…」

クラスメイト「最近、少女さんの幼馴染の転校生くんがよく一緒にいるじゃない。少年くん、その二人をなんとも言えない目でいつも見つめてるよ」

少年「よく見てるな!…あ、いや、そんなことはないと思うけど…」アセ

クラスメイト「このままだと転校生くんに取られちゃうよ」

少年「取られるも何も…それはあいつの自由だし。でもその前にあいつは彼氏とかそういうの興味ないから、転校生くんとも ましてや俺なんかとそういう風にはならないと思うよ」

クラスメイト「少女さんは少年くんに彼女紹介してあげてって言ってたけど…それで少年くんはいいのかな」

少年「そりゃ紹介してくれたら嬉しいけど、こんな彼女いない歴=年齢のやつの彼女になろうって人いないでしょ」

121: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:05:40.694 ID:OxbuQQ1J0.net
クラスメイト「そんなことないよ。例えb」
少年友「買ってきたよ!」

少年「え、クラスメイトさん、なんだって?」

クラスメイト「ははは、なんでもないよ! それより少年友くんありがとう! いくらだったかな」

少年友「いや、勝手に買ってきたんだし、いらないよ!」

クラスメイト「そうはいかないよ。じゃあ、今度ボクが何か買うよ。それでどうかな」

少年友「そんな、いいよ…」(いや、クラスメイトさんとまた会うことになるし、手渡しでジュースが貰えるんだよな…)

少年友「でも気になるなら今度奢ってもらおうかな!」

クラスメイト「うん、そうさせてもらうね!」

少年友「じゃあ、カンパーイ!」

少年「何にだよ…」

少年(俺、少女と転校生くんのことそんな目で見てたのか…自分じゃ全然わからないけど、本当かな…)

少年(今日の話は少女にするほどのことじゃないな…なにかがバレたわけでもないし)

122: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:05:58.098 ID:OxbuQQ1J0.net
-翌日・教室-

少女(くそう、少年のやつ昨日はクラスメイトさんとうまくやりやがって…。しかもオレに何の報告もねーし…いや、特にあの話は出なかったのか? でもそうならそうと言やーいいのに…)

クラスメイト「おはよう!」

少年「あ、クラスメイトさん、おはよう」

クラスメイト「まだ少年友くんは来てないのかな」

少年「いつも遅刻スレスレだから」

クラスメイト「いやあ昨日はありがとう! 楽しかったよー」

少年「こっちこそ誘ってもらって嬉しかったよ」

クラスメイト「本当? ボクこそそう言ってもらえると嬉しいな!」アハハ

少女(すっかり仲良さそうじゃねーか。もしかするとクラスメートさんと付き合うってのもないことも…。クラスメイトさんじゃないにしろ、あいつに彼女くらいすぐできそうだけどなあ…女どもは見る目がないぜ)

少女(しかし、彼女ができたらさすがに隠れてでもオレと遊ぶことは…)モヤ(いや、まだ先の話だ! そのとき考えよう)

123: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:06:12.163 ID:OxbuQQ1J0.net
-ある日・中庭-

クラスメイト「あはは。そんなことはないよ!」

少年「そうかなあ」

クラスメイト「まあたまには、ね」

少年「やっぱり!」ハハハ

少年友(クラスメイトさんかわいい…)


-中庭の端-

少女「…」チラリ

少女(またクラスメイトさんとお昼か…本当に仲良いじゃねえか。なんか一緒の少年友は空気だな。

少年友『そんなことねえ!』)

少女(うお、オレの頭の中の少年友がツッこんで来やがった…。しかしなにやってんだオレは。こんな覗き見みたいなことして…馬鹿らしい、戻ろう)モヤモヤ

124: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:06:31.947 ID:OxbuQQ1J0.net
-ベンチ-

転校生「いや、全くだね!」アハハ

少女「…ねえ」

転校生「ん?」

少女「なにかみんなにチラチラ見られてるし、わたしたちのことってだいたい知られてるんだから、もう話をするのはこんな校庭の外れとかじゃなくてもいいんじゃないかしら」

転校生「少女の方からその話をされるとは思わなかったな。たしかにここまで来るの面倒だよね」

少女「こうなったらもうどこでも同じと思っただけよ」

転校生「じゃあ今度からは別の適当なところに集まろうか」

少女「さすがに教室はやめてほしいけど」

転校生「あはは、そうだね。ところで今日もあの店にいこうと思ってるんだけど、一緒にどうかな」

少女「…」キョロキョロ「いいわね」

転校生「じゃあ僕は先に出てるから、いつものところで待ち合わせよう」

少女「わかったわ」

125: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:06:47.141 ID:OxbuQQ1J0.net
-茂みの中-

少年(放課後、あの二人でよく話すようになったよな)

少年(またあのアニメショップに行くのか…俺を誘ってもいいか訊かないところをみると、多分また二人で行くんだな…)

少年(しかし、あんなに隠れるようにして転校生と会ってたのに、もう気にしないんだな…。たしかに転校生と少女の間柄ってほとんど校内では暗黙の了解だが…)

スマホ『ヴィー』

少年(少女からだ。『これから転校生とアニメショップに行くんだが、おまえもどうだ』…か。さてどうするか……)

少年(……『わりぃ、今日は用事があるんだわ また誘ってくれ』送信っと。ふう……これでよかったのか…)モヤモヤ


-別の茂み-

クラスメイト(少年が渋い顔を…いや、そんなことよりボクは今出て行ったらまずいよね…)

126: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:07:01.209 ID:OxbuQQ1J0.net
-別の日・教室-

少年(あれから、あんまり少女の家に遊びに行ったり、二人きりで少女と話したりしてないな…。幼馴染で男友達の転校生がいるし、趣味のことはバラしてるし、楽しくやってるよな。でもあいつ男モードでしばらく話してないだろうなあ…)

少女(最近少年と遊んでねえなあ…アニメショップ誘っても来ねえし…アニメには興味ないみたいだけど遠慮してんのか? まあクラスメイトさんとはよろしくやってるみたいだし…)


転校生「やあ、少女!」
クラスメイト「少年くん!」

少女「転校生くん、どうしたの」
少年「あ、クラスメイトさん」

少女「…」チラ(またクラスメイトさんと…)
少年「…」チラ(また転校生と…)

127: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:07:21.374 ID:OxbuQQ1J0.net

転校生「そこまで一緒に来てくれない?」

少女「何かしら」

転校生「ちょっと話がね…」

少女「いいわよ」ガタッ



クラスメイト「ちょっと話があるんだけど」

少年「なに?」

クラスメイト「うーん、それは場所を変えてでもいいかな」

少年「わかった。じゃあ行こうか」ガタッ

少年友(えっ! 俺は?)

128: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:07:34.733 ID:OxbuQQ1J0.net
-ベンチ-

少女「結局ここなのね」

転校生「まあ『例の』話だからね」

少女「何かしら」

転校生「例のアニメの円盤だけど」

少女「あの限定版のね。特典映像がすごいらしいじゃない。でもまず手に入らないんでしょ。プレミアもついてるっていうし…」

転校生「実は手に入れた」

少女「マジかy…本当に?」

転校生……
転校生「一緒に見よう、と言いたいところだけど、流石に二人きりではまずいだろうし、他の奴が混じってもまずいしなあ」

少女「少年くんが一緒ならどう?」

転校生「彼、あんまりアニメに興味なさそうだし。だから、よかったら貸すけど?」

少女「えっ、本当にいいの?」

転校生「うん、持ってきてるからあとでコッソリ渡すよ」

少女「ッシャア…りがとう…」

転校生「…」

129: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:07:52.131 ID:OxbuQQ1J0.net
-中庭-

クラスメイト「こんなとこまでごめんね。ちょっと教室だとね」

少年「ううん、それより何かな」

クラスメイト「少女さんのことだけど…最近結構転校生くんとよく一緒にいるよね」

少年「う、うん」ズキ...「そうみたいだね。でもクラスメイトさんが前言ってたようなことはないと思うよ」

クラスメイト「ねえ、この前少女さんと転校生くんをまた茂みから見てたでしょう」

少年「ブーッ! え、また見られてた!?(前は少女に頼まれてだったけど)」

クラスメイト「やっぱり気になってるんだよね?」

少年「い、い、いや、ソンナコトナイヨ!(くっ…。苦しくても誤魔化すしかない!)」

クラスメイト「そうだよね。そういうことにしておくよ。じゃあここからはボクの独り言だけど…」

少年「?」

130: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:08:08.181 ID:OxbuQQ1J0.net
クラスメイト「ボクはやっぱり少女さんには少年くんが似合ってると思うんだ」ズキ...「少女さんが転校生くんと話してるときって、確かに楽しそうなんだけど、どこか取り繕っているような感じがするんだ」

少年(取り繕ってるというより、女の演技をしてるからな…)

クラスメイト「でも、同じような幼馴染である少年くんとはもっと親密な感じがするんだ。普段はほら、内緒にしてるけど、こっそりアイコンタクトしてるときとかアウンな感じがするし、準備室で秘密を教えてくれたときも…」

少年「それは…」

クラスメイト「だからボクは今でも君たち…いや少年くんを応援してるんだ…おっと、これは独り言だからね。他では言わないし、少年くんにもどうこうしてほしいとか、そういうことではないよ! あはは…」

少年「…」

クラスメイト「でもボクだって本当は少年くんには少女さんと一緒になって欲しくなんかは…」ボソッ

少年「えっ、なに?」

クラスメイト「あはは! なんでもないよ。急に変なことで呼び出してごめんね。じゃあ!」

クラスメイト(少女さんと少年が…なんて本当は嫌に決まってるじゃないか…でも…)

131: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:08:45.086 ID:OxbuQQ1J0.net
-少年の家-

スマホ『ヴィー、ヴィー、ヴィー』

少年(珍しい。少女から直電か)

少年「おっす」

少女『おお、少年。周り誰もいないよな』

少年「ああ俺の部屋だ」

少女『オレのこの中身のことだが…転校生にバレた』

少年「ブフォー!!」

少女『まあ、バレたというよりオレがバラしたんだが…』

少年「ええええ…中身のことがバレたって、本当は心は男ってことをだよな。大丈夫なのか?」

少女『ああ。大丈夫かどうかは正直言ってわからんが、多分…。最初に思ってたよりは平気な気はしてる』

少年「うーん、俺もあの転校生ならそんな問題ない気はするよ」
少年(少しでも本当の『男友達』は増えた方が少女のためでもあるよな)

少女『オレも今はそう思ってはいるが…』

少年「ところで、バレたってどこまで? 俺とのこととかは?」

少女『まあ一切合切だな。悪いとは思ったがおまえとの関係も全部話した。そうでないと辻褄が合わんところもあるし』

少年「いや、それは構わないが…またおまえの部屋で話したのか?」

少女『まだ部屋はちょっとな。公園の端の方で小声でな…あいつと二人のところは今さら見られても問題ないし』

132: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:08:57.494 ID:OxbuQQ1J0.net
少年「ふーん。でも話もあまりしたこともなかった俺を、よくいきなり部屋に上げたよな…」

少女『最初からおまえ(のヘタレ)は信用していたからな』

少年「どんだけだよ、俺…。しかしどうやってバレたんだ?」

少女『オレからバラしたと言ったけど…薄々転校生は気づいていたようだな。そんなときについ興奮して男言葉が何度かでちまってな…隠しきれないと思って話しちまった』

少年「まあ、そうして本当のおまえを知る友達が増えるのはいいことじゃないのか?」

少女『そうなんだが…じゃあどこまで増やすのがいいのか…。極端な話、クラス全員が知ってしまえば、それはオープンにしているのと変わらないからな』

少年『ふうむ。でも、転校生は男言葉ってだけで気づいたのか?』

少女『オレの男言葉を何度か聞いて、おまえも言ってたように最初は単に言葉遣いが悪いのを隠してるだけと思ってたらしい。しかしあいつの言葉を要約すればこうだ。

男言葉だけじゃなく、その趣味、男を近づけない、彼氏は作らない宣言、そして言葉の端々から感じる男っぽさ。しかしそれ以上に、とくに昔の少女と比べて、過剰なくらい女性らしさを“演じている”感じ。

だとさ。よく見てやがる』

少年「…」

133: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:09:12.175 ID:OxbuQQ1J0.net
少女『他にもおまえとの付き合い方とかな。女オタとかも珍しくないのに、男を避けてるっぽいオレがなぜワザワザおまえだけをオタ友にしたのかとかな』

少年「そうか…。すごい観察眼だな」(いや、それだけ少女を見てたのか? 昔の少女との違和感を感じて…)

少女『まあそんな感じだ。これからどうしていくかも考えていかないといけないが、ちょっとこれ以上知ってるやつを今は増やしたくないな』

少年「そりゃそうだろ。今まで誰も知らなかったのに、ここにきていきなり二人も知ったわけだし。あと、転校生はこの秘密を漏らしたりはしないやつだろ?」

少女『たぶんな。オタ趣味のことも誰にも漏れてないし、一応信用してはいる』

少年「そうか」

少女『とりまこんなとこだ。まずは状況だけ伝えたくてな』

少年「わかった。さっきも言ったとおり、おまえの中身をわかってる男友達が増えるのは基本いいことだと思ってるよ。ただ今はそのペースが早いだけで」

少女『……そうだな。じゃあまたな』

少年「おう、じゃあな」

134: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:09:26.968 ID:OxbuQQ1J0.net

少年(転校生にバレたか…でもいいことなんじゃないかな。あの転校生ならそんな問題ない気はする。口説いたりとかもしてこなかったわけだし。男女の幼馴染が男同士の幼馴染になるだけだろ…)

少年(しかしモヤモヤするのは何故だ…今まであいつの秘密を知ってるのは俺だけだったけど、幼馴染の転校生が俺の知らない少女を知っていて、同じ趣味で盛り上がって…ただの嫉妬じゃねーか…情けねえ)


-翌日-

スマホ『ヴィー、ヴィー、ヴィー』

少年(LINEの音声通話…転校生から?)

少年「もしもし?」

転校生『やあ! 少年くんかな。転校生だけど』

少年「うん、なに? 例のことかな…」

転校生『そう。よかったら少女についてちょっと話したいんだけどいいかな?』

少年「わかった」

転校生『じゃあ場所は…』

135: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:09:39.140 ID:OxbuQQ1J0.net
-準備室-

転校生「やあ、ここは本当に誰もこないしいいね!」ニコニコ

少年(…? 転校生くん怒ってる? 目が笑ってねえ)

転校生「少女から聞いたけど、少年くんも少女のあのこと、知ってたんだって?」ニコニコ

少年「ああ。少女から聞いてると思うけど、ちょうどこの準備室で男モードの少女を見かけてね」

転校生「男モード…。なるほどね。で、今の少女はどういう状態かも?」ニコニコ

少年「状態? あ、心が男ってことか? LGBTってやつだろ」

転校生「心が男ねえ…LGBTのことって本当にわかってる?」

少年「一応授業で話は出たけど、心と身体の性が一致しないってことだよな。あとは同性愛とか?」

転校生「一言で言えば性の多様性を表したものだね。しかし最近はLGBTって言葉が独り歩きしすぎてるよ。TVとかでもライトに扱われすぎてる」

少年「…」

136: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:09:57.263 ID:OxbuQQ1J0.net
転校生「おネエタレントとかいうのもそうだし、ネットでも  をネタ的に扱ったり、SSのオチがことごとく  ネタだったり…」

少年「なんの話だ?」

転校生「おっと、話が飛びすぎた。少女の場合、LGBTで言えばトランスジェンダーってことだろうけど『性の多様性』で一括りにするのはちょっと違和感がある。トランスジェンダーって言うか、ジェンダーアイデンティティーに関わることだな。別の言い方、というかより正しい言い方をすれば、少女は性同一性障害だ。聞いたことあるかい?」

少年「ああ。聞いたことはある。LGBTと同じだろ」

転校生「全然違う!」

少年(ビクッ!)

転校生「さっきも言ったが、LGBTは性の多様性を肯定的に表す言葉だ。しかし少女は本当は男なのにと感じているし、男でありたいとも思っているように思える。少女は心が男なんじゃない。身体が意に反して女なんだよ。心と身体が同一でなくそれに悩んでいる。極端に言えば精神的な疾病だ」

少年「疾病…」

転校生「性同一性障害者がどれくらい苦しんでいるか知ってるか? もちろん僕にはその苦しみの百分の一も理解できていないと思うよ。しかしゼロの君よりマシだ」

137: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:10:11.982 ID:OxbuQQ1J0.net
少年「苦しみ…ゼロ? いや、俺も少女の苦しみくらい!」

転校生「ではなんであいつに女の演技をさせてデートとやらを?」

少年「(そんなことまでまで話してるのか…)い、いや、それは…少女の方から…」

転校生「じゃあとめろよ! そのとき! 少女をっ!」カベバン!

少年「うっ」

転校生「他にも色々聞いたぞ。度々少女が女であることを前提にして接していたようだな」

少年「いやそんなことは…っていうか俺、色々知らなくて……いや、これは言い訳にならないよな…」

転校生「そのとおりだな。ちょっと調べりゃわかることだろうが! おまえ、どれだけ少女を傷つけて来たと思ってる? あいつはもちろんそうは言わないだろうが、心の奥には貯めてるぞ」

少年「う、そんなこと…いや…本当に知らなくて…でもそれが免罪符にはならなくて…」グルグルグルグル

転校生「本当はおまえのこと殴ってやりたかったよ。結構前から少女のことをわかってたのに、なにも知らない連中よりあいつを傷つけて来たんだからな」

138: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:10:50.651 ID:OxbuQQ1J0.net
少年「……」ダラダラ

転校生「もういい。ただこれだけは言っておく。もう少女に近づくな。少女がおまえの顔を見るたび、表面的には気づかないだろうが、心の奥の傷が疼くはずだ。それが溜まればあいつもただじゃすまなくなる」

少年「…ああ」ガク

転校生「無知も罪だが、なにも知らない馬鹿を殴っても仕方ない。しかし、今後少女を傷つけることがあったら、ただじゃすませないつもりだ。わかるよな」

少年「わかってる…」

転校生「じゃあな」スタスタ

ガラッ
ピシャ

少年(そんなに…傷ついていたのか…)

少年(『ちょっと調べりゃわかることだろうが!』『無知は罪だが』…)

少年(『性同一性障害』…検索と…)スマホスッ

少年(『性同一性障害 - Wikipedia』…タップと…)タップ

139: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:13:11.626 ID:OxbuQQ1J0.net
-Wikipedia-

性同一性障害(せいどういつせいしょうがい、英:Gender Identity Disorder, GID)・性別違和(せいべついわ、英:Gender Dysphoria, GD)は、
『出生時に割り当てられた性別とは異なる性の自己意識(Gender identity、性同一性)を持つために、自らの身体的性別に持続的な違和感を持ち、
自己意識に一致する性別を求め、時には身体的性別を己れの性別の自己意識に近づけるために医療を望むことさえある状態』をいう医学的な疾患名。
やや簡潔に『性同一性(心の性)と身体的性別(身体の性、解剖学的性別)が一致しない状態』とも説明されている。

このため、性同一性障害を抱える者は、自身とは反対にある身体の性別に違和感や嫌悪感を持ち、生活上のあらゆる状況においてその性別で扱われることに精神的な苦痛を受けることが多いとされる。

少年(少女もずっとこの苦痛を…?)


以上の事例や経緯によって、「性同一性(性の自己意識)」の存在、そして「身体の性」と「性同一性(性の自己意識)」はそれぞれ別個であり、
ひとえに「身体」が人の性別を決定づける根拠とはならないことが明らかとなった。

少年(『おまえの身体のことだけど聞いていいかな』『普通の女性とは違うんじゃないかって』…っ!!)


性同一性障害を有する者は、例えば FtM(生物学的性別が女性で、性の自己意識が男性)に対して「本当は女性」「実は女性」等といった、
身体の性別、出生時に判定された性別を基準とする言われ方に対して嫌忌することが多い。

少年(!! これ何度も少女に言ってるじゃねーか!…クソ)

140: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:14:15.219 ID:OxbuQQ1J0.net

性同一性障害を抱える者は、もし生来から自身の性同一性と同じ性別の身体で生まれてさえいれば、何ら違和感を持つこともなく普通にその性としての
人生を過ごしてきたはずであり、人格や自己の性が“途中で変わった”わけではない。当事者は(心身ともに)「異性になりたい」のではなく、
「本当は女性(男性)なのになぜ身体が男性(女性)か」という極めて率直な感覚を胸中に持っていることも多く、当事者自身にとっての
「本当の性別」とは、まさしく自分を自分たらしめる自己意識にしたがった性別である。FtM にとっての「本当の性別」は男性であり、
MtF にとっての「本当の性別」は女性であり、だからこそ現にその性別としての人生を過ごしているといえる。

少年「……」


性同一性障害を抱える者は、性の自己意識と身体の性とが一致しない以外は一般の人々となんら変わりはない。そして多くの当事者は、
性の自己意識に基づく性別での普通の生活をすることを第一義としている。身体的性別も公にしたがらないため、いたずらに自身が性同一性障害の
当事者であることをわざわざ周囲の人に告げることもない。

少年(少女の場合は心の性を公にしたがってなかったが…平穏に過ごしたいってところはそうだよな)


ジェンダー・アイデンティティと反する生物学的性別を持っていることに違和感、嫌悪感を持つ。間違った性別の身体で生まれたと確信する。
  や精巣、月経や  に嫌悪を抱いたり、取り除くことを希望する。

少年(!!! 何が『自分の裸見て興奮しないの?』だ!クソ、俺はなんてことを少女にっ!…)

141: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:14:47.999 ID:OxbuQQ1J0.net

・生来から常に身体的性別としての扱いや役割を求められる環境にあったため、その身体的性別に応じた男性性または女性性の一部を身につけている場合がある。
・より社会へ適応するため、あるいは違和感や嫌悪感から逃れるために性の自己意識を抑え込み、身体的性別に応じた過剰な男性性または女性性の行動様式を取ろうとする場合もある。
・自身が反対の性の容貌や外  を持っているという確然たる事実や、当然のように身体的性別で扱われる環境にあって、姿形の見えない性の自己意識は
それだけでは不安定であるため、その自認する性に基づく男性性または女性性の行動様式を過剰に取ろうとする場合もある。

少年(これ全部少女に当てはまる…学校どころか家でも女の子を演じて、俺と話すときだけはやたら男っぽくて…)


性同一性障害は、自身の身体への強い嫌悪感、日常において常に反対の性役割を強いられる等の精神的苦痛から、うつ病、摂食障害、アルコール依存症、
不眠症などの合併症を患うことがある。また、過去に自殺企図や自傷行為の既往があることが多く、性別の不一致の苦悩が甚だ深刻なものであるといえる。

性別適合手術を経た人のうち、世間の認識との誤解に苦しんで自殺した人の割合は全体の4割に及ぶ。また、全体の7割は自殺を考えたことがあるとされている。

少年(!!! 『性別の不一致の苦悩が甚だ深刻なものであるといえる』…そんなに苦しんでいたのか、少女…。『全体の7割は自殺を考えたことがあるとされている』………)

少年(他のサイトの説明や実際の性同一性障害の人のブログなんかも同じような感じだ…そんなあいつに女のフリさせてデートまでさせて…)

少年「全部っ…! 全部転校生の言ったとおりじゃねえか!! くそっ!!」

少年(男友達が欲しいのに、転校生ですらあんなに恐れてたのは、いやらしい目で見られるとか口説かれるとか、そんな以前に自分のことを『女』として見られるのが嫌だったんだ…)

少年(すまん、何も知らなかった俺が馬鹿すぎた…ちょっと調べりゃすぐ分かることを…ごめん…ごめん…)

142: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:15:06.631 ID:OxbuQQ1J0.net
-数日後-

少女(なんか最近少年に避けられてるような気がする…向こうから誘ってこないし、こっちから誘ってもそれとなく断ってくるし…。そういや転校生にバレるちょっと前くらいからだよな…いや、バレたときは普通にあいつと話したな…)

少女「あ、少年くん。ちょっといいかしら」

少年「少女さん…ごめん、ちょっと先生のところに行くから…」

少女「そう。ごめんなさいね」

少女(やっぱり避けられてる…? LINEの返事も最近そっけねえし…)

少年友(あの野郎、クラスメイトさんだけじゃなくて最近はちょくちょく少女さんにも声かけられてやがる…。ハーレムか? ハーレムのファラオ気取りか?)

少女(なぜか全力で少年友にツッこみたくなった)

143: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:15:23.903 ID:OxbuQQ1J0.net
-職員室前-

少年(またつい避けちまった…これじゃ少女は自分が嫌われてると思うよな…いや、それでもいいのか?)

少年(職員室まで来たけど別に用もないしな…時間潰して教室戻るか…)

クラスメイト「少年くん」

少年「うわっ…って、クラスメイトさん」

クラスメイト「ごめんごめん、おどかすつもりはなかったんだけど…先生に用事があったんじゃないのかな」

少年「さっきの…聞いてたんだね」

クラスメイト「うん…何か少女さんとあったのかなって思ってね」

少年「別に…いや、ちょっとだけね。しばらく距離を置いた方がいいと思ってるだけだよ」
少年(本当はこれからずっとけど…)

クラスメイト「よかったらボクが間に入ってもいいけど…多分余計なお節介だよね?」

少年「ありがとう。とても嬉しいけど、ちょっと自分で考えたいんだ。せっかく言ってくれてるのにごめん」

クラスメイト「こっちこそごめんね…」

少年(クラスメイトさんに悪いことしたな…せっかく心配してくれてるのに…)

クラスメイト(転校生くんと少女さん最近いい感じだし、あの二人くっついちゃうよ…このままじゃ…)

144: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:15:37.657 ID:OxbuQQ1J0.net
-放課後-

転校生「少女、今度はあのアニメの限定版手に入れたよ」

少女「マジか! しかしおまえ金持ってるな…」

転校生「ああ、小遣い貯めてるからね。…あ、ちょっとごめん、LINEが…いいかな」スマホスッ

少女「おお、別にいいよ」

転校生「…」スッスッスッ「悪いね。で、これ僕もまだ観てないんだよ。一緒に観ない?」

少女「一緒にか(二人で観たら楽しいだろうな)。いいけどどこで観る?」

転校生「うちでもいいけど、少女の家とかダメかい?」

少女(まあ転校生なら大丈夫と思うが…今日お袋もいないしなあ…)
少女「うーん、そうだな…」

転校生「じゃあ少年くんも誘おうか?」

少女(転校生から少年誘おうとか珍しいな)
少女「実はさ、なーんか最近少年に避けられてる気がしてな…」

転校生「えええ、そうかい? まあ一回訊いてみたら?」

少女「まあそうだな。一応…」

145: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:16:02.107 ID:OxbuQQ1J0.net
-スマホ-

少女< 今日オレんちで転校生と遊ぶんだが、おまえも来ないか?)

            (おう、いいな あとから行くわ >少年

少女< おけ じゃあ家で待ってるわ)



少女(なんだ、大丈夫じゃん)

転校生「少年くん何て?」

少女「ああ、あとから来るってよ。じゃあオレんちで観るか」

転校生「おお、小学校のとき以来だね。懐かしいよ」


-少女の家・居間-

少女「少年遅えな…」

転校生「まあすぐ来るんじゃない? しかし来ないとこれ観られないな」

少女「あいつアニメ興味ないし、オレらで先に観ちまってもいいかも知れんが…」

スマホ『ヴィー』

少女「噂をすればだ…えっ、なんか少年急に来れなくなったってさ」

転校生「本当かい?」

少女「じゃあこいつ観ちまおうか」

転校生「そうしようか」

146: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:16:28.995 ID:OxbuQQ1J0.net


円盤『END』

少女「うおおお、いいな、これ!」

転校生「ああ、これはすごい。買ってよかったよ!」

少女「作画もすげーし…一部で原作キラーだの何だの言われてるけど、これはこれでアリアリのアリだな!」

転校生「原作読んだことあるのかい?」

少女「ああ、全部揃ってるぜ。読むか?」

転校生「おお、サンキュー! ぜひ読みたい!」

少女「じゃあ取って来るわ」

転校生「あ、僕も行くよ」

少女「…え、あ、おう」(まあいいか)

転校生「2階だったよね」

少女「ああ…」トントントン「あ、そうだ」クルッ

転校生「…」サッ「うん、なに?」

少女(いま上視てた? 少し離れて上がって来るし…いや気にしすぎか)
少女「片すからちょっと待っててもらえるか?」

転校生「うん、わかったよ」

147: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:16:55.342 ID:OxbuQQ1J0.net
-少女の部屋-

少女「お待たせ」ガチャ

転校生「お邪魔するよ。おお、綺麗じゃない」

少女「いま片したからな。本も出しといた。これだよ」

転校生「これか! 読んでも?」

少女「もちろん。オレも2巻から読み直すわ」



転校生「…」ペラリ

少女「…」ペラリ

転校生「…」チラ

少女(おっと、いけねえ)ヒザ スッ

転校生「…」サッ

少女(また脚を開いちまった)チラ(まあ一応転校生は見てなかったようだな)

転校生「あ、ここここ!」

少女「どうした?」

転校生「ほら、アニメ版では違ってたやつさ」

少女「どれどれ」ズイ

転校生(前かがみですごい顔を近づけてきた…前かがみだから胸の谷間も…いや、先っぽもかすかに…)

少女「あー、ここか! これ全然意味違っちゃうよな!」カオアゲ ニコッ

148: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:17:10.266 ID:OxbuQQ1J0.net
転校生「…少女」

少女「なんだよ」

転校生「少女!」ガバッ

少女「うおお! 何だ急に!」ゾワ!「抱きつくなよ! 気持ち悪りい!」ジタバタ

転校生「少女…僕はもう我慢ができない。自分の気持ちに…」

少女「はあ?! いいから離せ!」ゾワゾワ!

転校生「僕は! ずっとこうしたかったんだ! 小学校の頃から!」オサエツケ

少女「知るか! 痛てて、痛えよ! 離せ!」

転校生「僕はあの頃から君のことが好きだった。でも気持ちを言えなかった」

少女「だから知るか! やめろ!」

転校生「そんな中僕は引っ越しちゃうし…少女のいる高校に編入できてどれだけ嬉しかったと思うかい? 彼氏もいないと言うし、ゆっくり君との時間を紡いでいこうと思ってたんだ」

少女(くそ、やっぱり家に入れたのは間違いだったか。今さら言ってもしょうがねえ。転校生の野郎、クドクド話し出しやがって…準備しておいて良かったぜ。あのことを言おう…)

149: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:17:23.596 ID:OxbuQQ1J0.net
転校生「実はトランスジェンダー? くそ、もうチャンスも何もないじゃないか!」

少女「おい、言っておくが…」

転校生「黙っててくれ!」

少女(ビクッ)

転校生「僕の今までの気持ち、どこへ持っていけばいいんだ! この胸の! この気持ちだよ! こうなったら行くとこまで行かせてもらう。それで目覚めて僕のことを好きになるかも知れないし」

少女(ダメだ、こいつ考えがおかしい。目覚めるってなんだよ。そんなんで好きになったり女になったりするかっ)

転校生「トランスジェンダーってのも君が言ってるだけで信じ切れるものじゃない。ダメだとしても、僕はこの思い出を抱いてこれから生きて行くことにする」

少女(つまり何を言っても無駄ってことか…クソッ。まさか本当にこんなことになるとは…)

転校生「僕だってこんなことするつもりはなかった。でも君がさっきから色々見せつけてくるから…その気になってもしょうがないだろ?」

少女「…そんなわけねーだろ」
少女(なんて眼をしてやがるんだ。興奮って言うよりむしろ絶望した眼だ…完全にいつもの転校生じゃねえ)

150: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:17:48.800 ID:OxbuQQ1J0.net
転校生「もういい。少女にはこれから僕のものになってもらうよ」

少女「クソったれがっ! わかった! おまえを誰もいない家に上げたのも、隙を見せたのもオレのせいだ! 離せ!」バッ

転校生(ビク)

少女「ああそうだ! おまえのこともわかってなかったオレが悪かったよ! もう好きにしろ!」ダイノジ ゴロリ

転校生「そうさせてもらうよ…」プチ プチ

少女(冷静にシャツのボタン外しはじめやがった。この先は…)ゾゾゾゾ...

少女「っ! やっぱりやめろ!」ゾワ~

転校生「…男らしくないぞ。暴れないでくれ」ギュッ

少女「ああ? オレは女なんだろ?! くっそ、離せ!」

ガチャ!

少年「てめえっ!! 何してやがる!!」ドカッ!

転校生「っつぅ…痛いだろ…」

少年「知るか! 少女を離せ!」

少女「少年! どうして…?」

転校生「おい」ムナグラギュッ「邪魔してくれたな!」バキッ!

少年「ぐおぉっ!」バン!

少年(くそ、殴られるとマジ吹っ飛ぶのな…って感心してる場合じゃねえ!)

少年「てめえ! 何やってるかわかってんのかよ! さんざん俺に言っといてよ!」

少女(さんざん言っておいた?)

151: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:18:02.313 ID:OxbuQQ1J0.net
転校生「黙れ」ムナグラツカミ

少年「ぐっ…」(くそ、思い切り掴みやがって…これだけで苦しい)ジタバタ

転校生「君みたいな喧嘩もしたことないようなお坊ちゃんが僕に勝てると思ったのかい」ギュギュッ

少年「ぐぐぐ…」ジタバタ

バキ!

転校生「うっ」パッ

少年「っ…ハアハア」(苦しかった…少女?)

少女「オレを忘れんな。喧嘩すんならオレら二人が相手だ」

少年「馬鹿! 逃げろ!」

転校生「そんなカバンで殴ろうが大したことないよ。二人がかりでも僕に勝てるかい?」

少女「ああ、勝てないかもな。でもオレはオレの喧嘩をするぜ。これを見ろ」スマホスッ

転校生「?」

少女「もう110まで押してある。この通話ボタン押せばもう通じるぜ」

152: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:18:22.415 ID:OxbuQQ1J0.net
転校生「…」

少女「あと念のためと思って、この部屋に入ってからのことはこいつで録音させてもらってるぜ。ちなみにデータは端からクラウドに保管されてるからコイツを奪っても無駄だ…」

転校生「…」

少女「…」

少年(? なんで少女黙ってる?)

少女「オレは…できればこの通話ボタンを押したくねえ…」ポロリ グス

転校生「…警察呼ぶくらいじゃ僕の想いは変わらないよ。少女が僕のものになればあとはどうでもいい…」

少女(ダメか…しかし眼つきは変わったぞ…)

少年「てめえ…」ギリギリ(なんとかあいつを取り押さえて少女を逃がさないと…)

転校生「と言いたいところだけど…たしかにここまでのようだね。少年くんにも出て行くかここで倒れててもらおうと思ってたけど…」

少年「ふざけんな!」ガシッ!

153: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:18:40.724 ID:OxbuQQ1J0.net
転校生「なんだ、胸ぐら掴むだけで殴らないのかい」

少年(さっきは思い切り蹴ったが…くそ、改めると殴る勇気が…)
少年「少女! こいつ押さえてるから、ここから出て警察に電話しろ!」

転校生「ははは。勇ましいね」

少年「笑うんじゃねえ! 何がおかしいんだよ!」

少女(?…どうして急におとなしくなった?)ゴシゴシ

転校生「少女、悪かった。警察でもなんでも呼んでくれ」

少年「ああ!? あれだけしといて『悪かった』かよっ! ふざけんな!」

転校生「僕のことは好きにしてくれていいよ…」

少年「そういうことじゃねえだろっ! それより少女! 早く…!」

少女「…。少年、ちょっと転校生と話させてもらっていいか?」

少年「なっ! また襲ってきたらどうする! おまえはここから離れろ!」

154: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:18:56.184 ID:OxbuQQ1J0.net
少女「ここはオレんちだぜ。さっき言ったようにこの状況は録音してるし、すぐに警察も呼べる。もし転校生がまた襲ってきたら、おまえは外に出て周りの大人を呼んできてくれ」

少年「でもその間に!」

少女「そんな早くコトが済むかよ。頼むよ。第一もう転校生はそういうことしねえよ」

転校生「ああ」

少年(信用できるかよ…)

少女「オレを信用しろ」

少年「おまえは信用しているが…」
少年(これ以上は説得できそうにない…万一のときは警察に電話繋げてから、死ぬ気で転校生を押さえよう。大声も出して周りに助けも呼ぼう)

少女「だったら…」

少年「わかった。ただ、せめて下に行こう」パッ

転校生「ありがとう、離してくれて。誓ってもう少女には手を出さないよ」

少女「信用してやってくれ」

少年「…」

155: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:19:14.335 ID:OxbuQQ1J0.net
-1階・居間-

少年(転校生を奥に座らせて俺らは玄関近くに陣取った。万一のときはなんとか外に出れるだろう…)ジンジン

少年「痛てて…」(あのときは興奮してたせいか殴られてもそんな痛くなかったが…落ち着いたら結構痛い…)

転校生「大丈夫かい? 冷やしたほうがいいよ。あとで腫れが残るといけない」

少年「てめえが言うな…」

少女「転校生の言うとおりだ。ちょっと待ってろ」

少女「ほら、アイス枕をタオルで巻いてきた。これでそこ冷やしとけ」

少年「ありがとう…」

少女「少年、おまえにも色々聞きたいが…なあ、転校生」

転校生「ああ」

少女「なんで急に諦めたんだ? オレをモノにするのを?」

転校生「警察を呼ぶっていうからさ」

少女「嘘つけ。だったらさっき警察でもなんでも呼べとか言わないだろ」

156: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:19:26.149 ID:OxbuQQ1J0.net
転校生「そうだな…僕も急に気持ちが冷めたんだ。自分でもわからないよ…いや…多分…」

少女「?」

転校生「少女の涙を初めて見たからかな…」

少年(そういやオレもさっき初めて見たが…そんなの他の友達とかでもたいていそうじゃん)

転校生「小さい頃、その辺駆けずり回って、思い切り転んだりさ。悪いことして大人に怒られたり。僕はその度に大泣きさ。でも少女は泣かなかった」

少女「そうだったかな…」(そんな昔のこと憶えてねえ)

転校生「男と遊んでるって、少女が悪ガキどもにからかわれても泣かなかった。逆に僕は女と遊んでるってからかわれて泣いてたよ。でも…少女は僕とずっと遊んでくれた。からかう奴らを逆に怒ってくれた。暗くてろくに友達もいなかった僕と、仲良くしてくれたんだ…そんなことを想い出したよ」

少年(前に少女から聞いていた話とちょっと違うぞ…)

少女「オレはおまえの方こそ女子グループにも入れないオレと、からかわれようがずっと遊んでくれた親友だと思っていたぜ」

転校生「そりゃそうだよ。だってそんな少女を僕は好きになったんだから、からかわれるくらいなんともなかったさ。初恋ってやつだよ」

157: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:19:39.101 ID:OxbuQQ1J0.net
少女「……。まあオレは女だしな。当時は自分が完全に男だとは思ってなかったし。でもそんなそぶりはおまえ見せてなかったろ」

転校生「ああ。あんな小さなガキでも、いわゆる告白をしてしまえば今の関係が崩れるってわかってたからな。そうしているうちに引っ越し、転校だ。あのときはあっさりお別れを言ったけど…僕はあとでさんざんまた泣いたのさ」

少女「…」

転校生「子供じゃ行けないけど…大人になったら少女に自分から会いに行こうと思ってね。それからは身体を鍛えたり、性格も明るくするよう頑張って…少女にまた会ったとき恥ずかしくないように…」

少女「変わりすぎだぜ」

転校生「そしてこっちに戻ってくることがわかって…嬉しかったよ。少女の高校調べて編入することもできた」

少年「どうやって調べたんだよ」

転校生「簡単だったよ。この辺の高校の生徒のSNSとか調べたら、さすが少女だね。君のことツイートしてる奴かなりいてね」

少女「マジかよ…オレフォローする友達もいねぇからツイッターやらねえし、知らなかった…プライバシーもクソもないな」

少年「おまえ目立つしな」

少女「これでも目立たないようにしてるんだがな…ツイッターとかで調べるより直接オレに訊きゃあよかったろ」

158: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:20:29.143 ID:OxbuQQ1J0.net
転校生「もう電話番号も忘れてるし、君も僕のことを憶えてるかもわからなかったしね。で、久々に教室で会ったとき。確かにすっかり大人しくなってたけど、面影そのままで、より綺麗になっていて…。
でもそのあと話したら結構昔のままのところもあって…。付き合ってる奴もいないって聞いて、ゆっくり関係を深めていこうと思ったんだ」

少年「おまえ、俺が彼氏だったらごめんとか、俺と少女を応援するとか言ってたじゃねえか」

少女「そんなこと言ってたのか…」

転校生「それはそうだよ。いきなり別れろだの応援できないだの言ったら警戒されるし僕に敵意を持つだろう。まずは君の味方と思わせて懐柔して、もし付き合ってるなら別れさせるよう誘導したりするつもりだったのさ。どうも君は少女とかなり親しい、というか近しい関係みたいだったからね」

少年「おまえ…よくもぬけぬけとそんなこと言えるな」

転校生「もうこれ以上嘘はつかないことにしたよ。少女と付き合うためならなんだってするつもりだったさ。でも…少女がトランスジェンダーとわかって…
確かに子供のときのこととか再会してからのこととか思えばそんな気配はあったけど、まさか本当に…。僕は焦ったよ。どうしていいか何も分からなくなった。
僕は少女の男友達じゃなくて恋人になりたかったんだからね。まずはLGBTや性同一性障害のことをその晩調べたよ。そしてチャンスだと思った」

少女「チャンス?」

159: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:20:58.124 ID:OxbuQQ1J0.net
転校生「ああ。少年くんを少女から離すね」

少年「…そういうことだったのかよ」ギリ

少女「なんでオレと少年が離れるチャンスなんだ?」

少年「こいつはなぁ、俺に性同一性障害のことを説教してきたんだよ! 俺がどれだけ少女を苦しめてたかってな! だからもう少女には近づくなって!」

少女「えっ?」

少年「でもそのことには感謝してるんだよ! 転校生の言ってたこと自体には嘘はなかったし、俺は転校生みたいにおまえがLGBTだって聞いても何も調べもしなかったし。言われなきゃまだ少女を苦しめてたろうし」

少女「オレを苦しめる…?」

少年「でもなあ!! そんなおまえがなんであんなことすんだよ!! ふざけるなよ!! 俺を遠ざけるためでも、一夜漬けの知識でも、そんなことはいいんだよ!
なんで少女を、そんなことを言ったおまえが苦しめるんだよ! トラウマとかそんなレベルじゃねえ心の傷になるだろうが!」

転校生「…」

少年「俺がいなくても、転校生、おまえが少女を守ってくれると、支えてくれると思っていたのに…だから今日だって言うとおりにしたのに…」

160: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:21:18.082 ID:OxbuQQ1J0.net
転校生「本当にすまなかった。そのとおりだ。僕は少年くんのこともそうだけど、少女のことも実は考えてなかった。LGBTが嘘であってほしいとすらさっきまでは考えていたよ」

少年「俺はもうおまえになにも言う気はない…ただ今後、少女の身に何か起こることだけは排除しておきたい。悪いが俺はおまえを信用してないし、警察に連絡させてもらう。立派な暴行未遂だからな。証拠もある」

転校生「ああ、そうしてくれ」

少年「未遂だし未成年だから刑務所に入ったりってことはないだろうが、ストーカーとかでよくある接近禁止とかにはなるだろう」

少女「少年、ちょっと待ってくれ。それはやめてくれないか」

少年「えっ? いや、幼馴染を庇う気持ちはわからなくないけど、あそこまでされたんだぞ?」

少女「この件はもういいよ。結果なんでもなかったわけだし」

少年「いや! オレが来なかったらどうなってたか!」

少女「ほら、録音も消した」スマホスッ

少年「ばっ…少女っ!(くそ、俺も録音しとけば良かった!)でも俺が証人だ!」

転校生「証拠や証人なんかなくても僕から真実を証言するよ」

161: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:24:07.671 ID:OxbuQQ1J0.net
少女「自首しようが警察呼ぼうが、婦女暴行とか強制わいせつ?とかは親告罪だ。オレが被害届出さなきゃそれまでだ」

少年「ぐ…なんでそこまで…おまえ自身のためなんだぞ」

少女「ああ、オレを気遣ってくれてるのはよくわかるし、とても嬉しい。でも、まず警察沙汰になったらオレのLGBTの話もしなきゃだろ。こんな大ごとになったら学校にも伝わるだろうし」

少年「別にLGBT関係なく暴行未遂だし、それは言う必要もないんじゃないか?」

少女「それよりだ。転校生の気持ちもわかるからな」

転校生「?!!」

少年「なに言ってるんだよ! おまえがLGBT、いや性同一性障害と分かっててあんなことしたんだぞ! 俺は1ミリもこいつの気持ちなんかわからねえよ!」

少女「オレもさ、好きな女の子は何人かいたさ」

少年「?」

少女「でもこんなんだろ? 好きなのに想いすら伝えられないのって辛いよな。仮に想いを伝えたとしても断られる…いや嫌悪されるのはほぼ確実だし」

転校生「っ!!」

少年(ぐっ、やはりそんな思いも今までずっとしてきたのか…少女…)

162: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:24:22.404 ID:OxbuQQ1J0.net
少女「どうしてこんなことをしたのかも聞くつもりだったけど、今までの話で大体わかったよ。こんなさ、男の輪にも女の輪にも入れなかったオレのことを好きになってくれたんだろ。
こんなオレをよく好きになってくれたよ。しかもその想いを今までずっと持ち続けてくれて…そのために自分自身をそんなに変えてくれたんだろ。
オレなんかがちょっと隣の女の子を好きになったりするのとは全然違うよな」

転校生「…」

少女「でもさ、その想いにオレは応えることはできないんだよ」

転校生「…わかってる」

少女「おまえの話を聞いて、どれだけオレを想ってくれてて、オレがLGBTと聞いてどれだけ絶望したか、よくわかったよ」

少年(確かにそう言われれば転校生にも同情できる点はあるが…やったことはまた別だ)

転校生「ぐっ」ポロポロ

少女「はは。オレもおまえの涙は初めて見たぜ。再会してからはな。昔の転校生に戻ったか?」

転校生「少女、本当にすまなかった…」ポロポロ

少女「おまえのこと、好きにしていいって言ってたよな。なんでも言うこと聞くってことでいいか?」

転校生「ああ、どうされてもいいし、なんでも言ってくれ。警察ももちろんだが、このことを学校中に流してもらっても、気がすむまで殴ってもらってもいい」

163: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:24:34.370 ID:OxbuQQ1J0.net
少女「じゃあ、まずこんなことは二度としないと誓ってくれ」

転校生「それはもちろんだよ」

少女「そうしたら、明日も普通に学校に来い」

転校生「え?」

少年「え?」

少女「そして今までどおりオレにも少年にも接しろ。つまり今日のことは無かったように振る舞うんだ」

少年「少女! それは!」

少女「少年、今日は助けてもらって本当に感謝してる。でもこの件はオレの思ったとおり進めさせてくれないか」

少年「いや!…」

少女「転校生、オレは今日のことを忘れるわけじゃないぞ。あくまで無かった『ように』振る舞うんだ。だから、今後はおまえと二人きりで会うことは避けさせてもらう」

転校生「それはもちろんだけど…」

少女「オレと二人きりにならないこと、そして今までどおりオレらと付き合うことでおまえに気まずさを感じてもらうのがオレからの罰だ」

164: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:24:51.598 ID:OxbuQQ1J0.net
少年(やはり幼馴染には甘くなるのか?…これ以上俺が何か言っても無駄だろうな…二人きりになるつもりが少女にないのがせめてもの安心材料か?)

転校生「わかった…ただ、気が変わったらいつでも言ってくれ。どんな罰でも受ける」

少女「だからこれが罰だって」

転校生「少女…」グス

少女「さて、この後は少年と話がある。転校生はここで帰ってもらえるか」

転校生「ああ、わかった」

少年(本当にこのまま帰すのか…でも少女が決めたならもうしょうがない)

転校生「少女。あと婦女暴行とか強制わいせつ、いわゆる強制  等罪だけど、今は親告罪じゃ無くなってるよ。少年くん、納得できなければ訴えてもらってもいいから」

少女「そうか。知らなかったが、オレからおまえへの罰はさっき言ったとおりだ。少年もそれでいいよな」

少年「正直訴えたいと思ってるけど、俺も今は少女に従うことにした」

少女「明日、ちゃんと学校来いよ」

転校生「ああ。では先に失礼するよ。少年くんも殴って悪かった」

165: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:25:05.170 ID:OxbuQQ1J0.net
少年「俺のことはどうでもいい。俺も蹴ったしな。それより最初に約束した『二度とこんなことはしない』は必ず守れ」

転校生「もちろんだよ。あと、来ないようにさせておいてなんだけど、君が来てくれて感謝してるよ。ありがとう」

少年「さっきの2階でのことを思い出せば素直に受け取れねえな」

少女「もういいだろう。転校生、また明日な」

転校生「……それじゃあ」

バタン

少年(深々と礼をして出て行きやがった…)

少女「あ、あいつ円盤置いて行きやがった…明日持ってってやるか」

少女「さて…『納得してない』って顔だな」

少年「そりゃそうだ。なんであいつが急に大人しくなったのかも、そしれおまえが許したのかもわからないし。転校生はまだ演技かもしれないが…おまえが好きなのになんであんなことを…」

少女「理由はさっき転校生が言ったとおりだし、オレが許したのもさっきオレが言ったとおりで他にはねーよ」

166: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:25:46.728 ID:OxbuQQ1J0.net
少年「それはもちろん聞いてたからわかるんだけど…でもたかがそんなことで、というか納得できないというか…」

少年「いや、おまえの決めたことには従うことにしたんだ。話を混ぜ返してすまん」

少女「そうだな…オレと転校生が小さいときに秘密基地とかで男の子の遊びばかりしてたって言ったろ。あいつも言ってたんだが、あのころの想い出って特別というか…今まででたしかに一番楽しかったんだ。
その想い出を共有していることを再認識したんだよ。あいつはそれを今回のことで一瞬忘れただけだ。あいつにとってそんなことも忘れてしまうくらいのことだったってことさ。あとは可愛さ余って、ってやつかもな」

少年「……わかった(でも安心はできないが)」

少女「まあ完全に納得はできないだろうが…それより聞きたいことは色々ある。まずなんで今日来れないって言ってたのに急に来たんだ? おかげで助かったが」

少年「そうか…転校生のことがあってすっかり本題を忘れていた…」

少女「本題?」

少年「少女! 本当にすまなかった!」ガバッ

少女「うおっ、なんでおまえが土下座?」

少年「俺、今までさんざん少女を苦しめて来たよな…転校生に言われたとおり、もう近づかないつもりだったんだけど…。でも! 妙に避けてるばかりじゃ、おまえも気分良くないよな」

少女「やっぱりわざと避けてたのか…しかしおまえの言ってることが今ひとつ分からないんだが…」

167: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:25:59.729 ID:OxbuQQ1J0.net
少年「避けてたことはごめん。それで俺が嫌われるのでもいいと思ってたんだ。でも、ちゃんと今までのこと謝ってから離れようと思ったんだ」グス

少女「おまえまで泣くのかよ…何を謝るんだよ。さっきもおまえ言ってたけど、オレを苦しめるって第一なんなんだよ」

少年(『そうは言わないだろうが、心の奥には貯めてるぞ』…自分でも気づいてないのか…)
少年「またおまえに思い出させることになるが…俺、おまえに女の格好させて、女の子としてデートさせたよな」

少女「は? 女の格好って…今もそうだが毎日してるだろ。デートって、あのゲーセン行ったやつか。あれはオレから言い出したんじゃねえか」

少年「制服は仕方ないとして…休みの日まであんな格好させてさ、仮におまえから言い出したことだとしても、俺は本当は止めるべきだったんだ…」

少女「よくわからんな。なんでだよ?」

少年「俺はおまえを女として見てて、本当は男なのに女の振りをさせて楽しんでたんだ! 辛かったよな…ごめん…本当にごめん…」グスグス

少女「あー、言ってることはなんとなくわかったが…別にそんな辛くはないぞ。女を演じるなんてそれこそ毎日してるわけだし。さっきも言ったけど、嫌ならオレから言い出したりしねえよ。それでおまえが喜んでくれりゃあと…」

168: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:26:14.541 ID:OxbuQQ1J0.net
少年「たしかにあのときは喜んじまった。でも…おまえ本当は男だろ」

少女「まあ心はな」

少年「それなのに…『おまえ女だろ』って言ったり、おまえの身体のこと根掘り聞いたり、挙句に自分の身体で興奮しないかとか…! ごめん…」グスグス

少女「『女だろ』とかただの軽口だったろ? 身体のこともオレがなんでも訊けって言ったんじゃねえか」

少年「でも…」グスグス

少女「わかった。そのことはあとで聞くけど、先に気になってること教えてくれ。なんで急に来たってのは、オレに謝りに来たかった、ってことだよな? じゃあなんで来ないって言ったんだ? 転校生がいるからか? だったら最初に来るって言わなきゃよかったろ」

少年「そうだな…まず転校生からおまえと離れろって言われた話はしたよな」グス

少女「ああ」

少年「あいつからLINEが入ったんだ。『これから少女か僕から遊びの誘いをする。最初は承諾して、30分以上経ったら今度は行けなくなったって言え』ってね」

少女「あいつ、いつのまに…」

少年「俺は単純におまえに嫌われるか呆れられるためと思ったんだが…あまり深くは考えずに了解した。そしたらおまえから、家で転校生と遊ぶって来て…一応言われたとおりOKした後に断ったんだ」

少女「なるほど、さすがに二人きりで家に来るんじゃオレが断ると思っておまえも来るように見せかけたのか。しかも今日は家に誰もいない日だったから、色々偶然も重なったな」

少年「さっきも誰もいないみたいだから、勝手に入らせてもらったんだ。そういやチャイムを普通に押せばよかったな…。あのときはとにかく早く行かなきゃ、って思ったから。おまえの叫び声とか外まで聞こえたからさ」

169: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:26:27.706 ID:OxbuQQ1J0.net
少女「なるほど」

少年「実は…早く行かなきゃって言ったけど、ちょっとした喧嘩かもしれないし、少し様子を見ちまったんだ。でも全然収まらないし、家の人が止めに入る様子もないし、誰も家にいないのかと思って…もっとすぐに飛び込んで行けばよかったよ」

少女「いや、助かったよ。よく飛び込んで来てくれた」

少年「最初は転校生に言われたとおり、ここに来るつもりもなかったんだ。でも今日も突然拒絶するようなことしたし…。あと…転校生がおまえと部屋で二人きりになるってのにどこかしらモヤモヤした気持ちがあったのも確かだ。まさか転校生と二人のときに入って行けないし、情けない話だけど転校生が帰るのを家の外で待ってたんだよ…」

少女「よくわかったよ。なるほどね」

少年「おまえ、最初は転校生と二人きりになるの嫌がってたよな。俺はよくわからないまま『幼馴染なのに考えすぎだ』って思っちまったし、おまえにも『転校生なら大丈夫だ』とか言っちまったよな。ごめん、おまえが正しかったよ…」

少女「オレだって転校生がああなるとは思わなかったよ」

少年「だから今日はまた来ちまったが…おまえはなんともないって言うけど、心の中ではかなり負担だったはずだ。女扱いされてな。オレの顔見たらまた思い出して苦しくなるだろ。表面的には感じなくても」

少女「そんなわけないだろ…誰からそんなことを…って転校生から聞いたのか」

170: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:26:42.453 ID:OxbuQQ1J0.net
少年「ああ、そうだけど、別にちゃんとネットとかでも調べたよ。俺は性同一性障害者の苦しみについて全然わかってなかったよ」

少女「ネット情報丸呑みにすんなよ…」

少年「ネットって言ってもいろんなサイトを見たよ。LGBTとかの扱いに反対するようなサイトもあったけど一部だし、読んでてもただの差別にしか思えなかった」

少女「結局おまえの感想じゃん」

少年「そうかもしれないけど、例えば性同一性障害者の自殺率とか実際にひどく高いし、どれだけの苦しみか各所で書いてあるし、俺も今まではそんなだなんて想像力がなかったけど、今はその苦しみがわかるよ。実際の何分の一かもしれないけど」

少女「それはオレも知ってるし、自殺するほど苦しんでる人がいるのも知ってる。たしかにおまえよりその苦しみについてはわかってるかもな。なにせこんなだからな」

少年「ぐ…」

少女「でもオレはそこまでじゃないんだよ。多分。おまえには今までどおりでいてほしいんだが」

少年「少女…俺はおまえの心の中は分からねえ。でも、少なくとも今まで傷つけて来たことはたしかなんだ…」グスグス

171: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:26:54.688 ID:OxbuQQ1J0.net
少女「そんな落ち込むなよ、な? だからオレ、この身体のことそんな気にしてないんだって。ほら、    触るか? ヘヘ」モチアゲ

少年「やめろよ!! さっきあんなことあったのに…おまえに冗談でもそういうことさせたく、いや言わせたくねーんだよ! …今の冗談も俺を気遣ってくれたのはわかるんだけどよ、でもおまえにこれ以上はよぅ!」

少女「…ごちゃごちゃうるせーんだよ! 黙って聞いてりゃ! オレがボケたら普通にツッこんで来りゃいいんだよ! いつもみたいによ!」

少年「できるかよ! 今は何も知らなかった以前とはちげーんだよ! おまえには男でいてほしいんだよ! その手のことは冗談でも挟み込んでほしくねーんだよ!」

少女「男でいてほしいだぁ? はあ? できるかよ、オレが『こんな身体』でよ!」

少年「っ!! 言うなっ! 身体とかは関係ねえっ!」

少女「ああ?」イラッ「そうかよ、身体は関係ねえんだな」ビキビキ

少年「ああ!」

少女「じゃあオレが裸になっても関係ねえな」ヌギッ

少年「バッ、馬鹿野郎! やめろ!」

少女「オレは『男』なんだろ」ヌギヌギ

172: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:28:17.035 ID:OxbuQQ1J0.net
少年「やめろ! それ以上やったらおまえとは友達をやめるぞ!」

少女「は? オレとは離れるんだろ? それに裸になったくらいでやめる友達ならオレもいらねえ」ヌギヌギ

少年「やめろーーーっ!!」ビリビリ

少女「うおっ」

少年「お、俺はおまえに女を感じたくねえ…」グス「おまえにも自分自身に女を感じて欲しくねえんだ」グスグス

少女「それは無理だな…それよりまた泣くのかよ…」

少年「ご、ごめん、またおまえにこんなことさせちまった…」グスグス ポロポロ

少女「泣くなって。ほら、服も着たし、な?」

少年「すまねえ、少女、すまん…」グスグス

少女こいつメンドくせえ…
少女「おまえメンドくせえな」ズバァ

少年「え」グス

少女「おっと、本音が出ちまった。さっきは土下座して泣くは、今は身体は関係ねえって言いながらオレが脱いだ途端に怒り出すわ、そうかと思えばまた泣いたり謝ったり、情緒不安定にもほどがあるわ!」

少年「いや、それは…」グスグス

少女「身体は関係ねえが女を感じたくねえ? 関係ねえなら感じるなよ。矛盾しまくりじゃねえか。それにオレにも自分に女を感じるな? 知るか! 人がどう感じるとかそれこそ関係ねえだろが」

173: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:28:27.492 ID:OxbuQQ1J0.net
少年「ごめん、そういうつもりじゃ…言い方が悪かった。おまえがそう感じてしまうようなことを俺はしたくなくて、それで…」

少女「さっきも言ったが、オレに感じるなってのは無理だ。なにせこの身体でずっと、十何年も過ごして来たからな。この身体にはちょっと、いやかなり違和感があるけど、産んでくれた親には感謝してるし、これがオレなんだよ」

少年「…」

少女「それにさっきなんて言った? 『これ以上やったら友達をやめる』? ははは。おまえオレから離れるとか言ってて友達続けるつもり満々じゃねえか」

少年「いや」///「それはつい…」

少女「こんなオレと友達を続けてくれるのは嬉しいぜ。オレから離れるとか言うなよ」

少年「俺だっておまえと友達はやめたくねえ」

少女「はは、やっと素直になったか? おまえが友達やめたら、オレは転校生としか遊ばなくなるぜ?」

少年「!! その言い方は卑怯だ…」

少女「さっきも言ったけどさ、LGBTで苦しんでる人は大勢いるしその苦しみがハンパじゃないってのもオレにはよくわかるよ。とくに同年代でさ、同性愛が周りにバレたり女なのに男として生きなければならなかったりして自殺した奴の話を聞くとさ、なんとも言えないやりきれない気持ちにもなるよ。でもさ、半数が自殺だか自殺未遂してるとしても、オレは多分残り半分の方なのさ」

少年「…」(自殺を考えたやつはもっといなかったっけ…)

174: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:28:49.531 ID:OxbuQQ1J0.net
少女「まあもしオレのことがクラス中にバレたりしたらまた違うのかもしれないけど…もし本当に辛くなったらおまえに言うよ」

少年「…わかった」(俺も少女のことを信じよう。そして何かあったら全力で少女の助けになろう)

少女「それにそんなに嫌だったら、こんな髪伸ばしたり女らしい格好しねえだろ。偽装のためとはいえ」

少年「それは性同一性障害の場合、社会に合わせたり、自分の違和感から逃れるために過剰に身体の性に合わせた行動をすることもあるってウィキには書いてあった」

少女「またネットかよ…そんなネットの向こう側じゃなくてさ、生身の本物がここにいるんだぜ。こっちを信用しろよ」

少年「ごめん、もう信じてるよ。たしかに本当に辛いならおまえなら正直に言ってくれるはずだから…」

少女「お、おう…ははは。じゃあこれからも今までどおりってことでいいよな」

少年「うん、すまなかった。これからもよろしく」

少女「ああ! じゃあ…」スッ

少年「おう」ガシッ
少年(握手してみると、こいつの手ちっちゃくてやわらけえな…どうしても女を感じちまうけど、オレも割り切ろう)

少年「俺にできること、助けられることがあったらなんでも正直に言ってくれ。俺はおまえの力になりたい」

少女「サンキューな。おまえのほうこそ何かあったらオレに言ってくれよな」

175: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:29:09.092 ID:OxbuQQ1J0.net
少年「うん。あ、さっき胸触るか?とか言ってたよな」

少女「ん? おう、なんだ、やっぱり揉みたくなったか? ははは」モチアゲ

少年「ああ。やっぱり触らせてくれ」

少女「お? お、おう…ははは、な、なんだよ、やっぱりムッツリさんだな! ははは…じゃ、じゃあ今日だけ特別だぜ? あ、服の上からな。あの、あんまり長くは困るぜ。は、ははは」///

少年「ツ・ッ・こ・め・よ・お!!! ボケたんだからよお!」

少女「あ……ああ!」///「ナ、ナニユウテンネーン…」///

少年「今までどおりって言ったじゃねーか! 今までの俺、そんなこと言ったことあるか?!」

少女「心の中では?」

少年「ねーよ!」

少女「ははは!」

少年「とくに転校生のことがあった後にそんなことするわけねーだろうが!」

少女「まあまあ。ははは」


少年:今日は本当に色々あった。少女のことはなるべく男として接していこうと思っていたのに、あのときの恥ずかしがる少女の顔を見て、とても可愛いと思ってしまったんだ。

176: おまけ② 2018/11/02(金) 00:30:30.538 ID:OxbuQQ1J0.net
一応ここまでで一段落

おまけ②「少女、アイドルやるってよ」

-少女の部屋-

少年「このポスターの○子ってさ、本当に可愛いよな」

少女「ああ、2000年に一度の美少女と言っても過言じゃない」

少年(少女ならいい勝負だと思うが…あっ)
少年「おまえさ、アイドルになってみない?」

少女「は? 第一簡単になれるもんじゃないだろ」

少年「いや、おまえのビジュアルを活かせば絶対大丈夫だ!」

少女「オレレベルならいくらでもいるだろ」

少年(自分じゃあまりわからないのか?)

少女「歌やダンスもあるし。それ以前に恥ずかしすぎる」

少年「やれば絶対成功間違いないのに」

少女「仮にアイドルになったとして、男どもの   な視線を浴びるわけだろ」ゾクリ「そんなん耐えられんよ」

177: おまけ② 2018/11/02(金) 00:30:55.395 ID:OxbuQQ1J0.net
少年「   なって…」

少女「この○子の、貸してもらった水着写真集だって男どものいやらしい妄想を掻き立ててるわけだろ」

少年「おまえも掻き立ててるうちの一人だろ」

少女「まあそうだが…」

少年「でもさ、アイドルになったらこの○子にも生で会えるわけじゃん」

少女「握手券手に入れれば会えるし、ちょっとだけなら話せるしなあ」

少年「でも楽屋も一緒だろうから、一緒に着替えたり…」

少女「…」ピクリ

少年「打ち上げで温泉に…」

少女「“アイドル王”に!!! オレはなるっ!!!!」ドン!!

少年「それだとドルオタのチャンピオン目指すみたいになってんぞ」

178: おまけ② 2018/11/02(金) 00:31:14.060 ID:OxbuQQ1J0.net


アリスP「おめでとう! 今日から君は○ラチナ○ーンのメンバーです!」ワーパチパチ

少女「えっ 話はやっ!」

少女(しかしこれでオレも今日からアイドルか…まさか○子ちゃんのアイドルグループに入れるとは思わなかったが)

九条「わたしがリーダーの九条です。少女ちゃん、よろしくね」

少女「よろしくお願いします!」

少女(あ、○子ちゃんだ!)

少女「○子さん、よろしくお願いします! わたし、○子さんに憧れてアイドル目指したんです!」

逢坂あいさか○子「エ...ア、ドウモ...」
逢坂○子(すごい可愛い子が入って来た! まあオレは星野さん一筋だけど)

少女(声ちっさ! これこそ本物の○子ちゃんだ!)

まなか「よーちゃん相変わらず知らない人だと声ちっちゃいねー」

えみ「ちょっと時期はズレたあるけど、うちらと同期ゆうことになるん?」

りん(また美少女…この子は歌とかダンス大丈夫でしょうね…)

179: おまけ② 2018/11/02(金) 00:31:42.188 ID:OxbuQQ1J0.net
星野「やあ。君が少女君か。メンバーの星野です。一斉オーディション以外からの参加とは珍しいね」

少女「あ、星野さん! よろしくお願いします!」

少女(オレ、本当にアイドルになったんだなぁ…)



少女「あの、○子さん」

逢坂○子「あ、少女さん。同期だし、わたしの方が年下なんだから○子でいいですよ」

少女「同期といっても皆さんの方が先輩ですし、わたしの方こそ少女でいいですよ」

逢坂○子「じゃあ、それはおいおい…で、何ですか?」

少女「あの、打ち上げとかで温泉に行くことあるんですか?」

逢坂○子「(何そのピンポイントの質問)前に撮影の打ち上げで温泉に行きましたよ」

少女「マジで!…いや、本当ですか」ニタリ

逢坂○子「うん、貸切で…」

少女「今から楽しみです!」ダラダラ

逢坂○子「まあ、今後もあるかはわからないけど…(そんなに温泉好きなのかな。オレはもうコリゴリだけど)」

180: おまけ② 2018/11/02(金) 00:32:13.199 ID:OxbuQQ1J0.net
-ライブ後-

少女「ゼェ…ハァ…」
少女(ライブ中はなんとかなったけど、これはキツイ! とくに運痴のオレにとっては…センターの○子ちゃんは輝いてたな。見習わないと…)

逢坂○子「ゼェ…ハァ…」

少女(○子ちゃんもバテてる!)

星野「逢坂君、よくやった。輝いていたよ! 少女君も頑張ったな!」

少女(すげえ、星野さん息ひとつ切れてねえ…)

少女(レッスンもキツかったけど、本番はハンパなくキツイな)

少女(キモオタどものキモい視線を浴び続けるのってどうかと思ったけど…)
少女(これ、本当に元気貰えるな…みんなこの声援を受けて頑張ってるんだな)

九条(少女ちゃんは何かつかんだみたいね)フフフ

182: おまけ② 2018/11/02(金) 00:32:40.676 ID:OxbuQQ1J0.net
-楽屋・着替え中-

少女「…」コソコソ ゴソゴソ
少女「…」チラッ

逢坂○子「…」コソコソ ゴソゴソ

まなか「よーちゃんたち、いっつも端っこでコソコソ着替えてるねー。とくによーちゃんは後ろ向きっぱなしだし」

えみ「でも少女はチラチラこっち見とるし、こっち気になるん? そんな端っこやのうて、もっとこっち使こうてええのに」

逢坂○子「い、いやわたしはこっちが落ち着くから!」
逢坂○子(キモオタのオレがアイドルの着替えを見るとか…ダメ、絶対!)

少女「わたしも大丈夫です!」
少女(く、視線バレてた…でも恥ずかしくて真ん中には行けないぜ…)

逢坂○子(なんか少女さんてオレと同じニオイがするんだよな)

184: おまけ② 2018/11/02(金) 00:33:16.433 ID:OxbuQQ1J0.net


少女「明日水着撮影…」ドヨーン

逢坂○子「やっぱり水着は嫌ですか?」

少女「それはそうでしょう。あんなの下着じゃない」

逢坂○子「(っ!)まあ仕事だから…でもさっきからメンバーの水着写真集を食い入るように見てるけど…」

少女「えっ」ジュルリ「あは、あはは」

逢坂○子(オレの写真もそんなに見つめられるとめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど…)

少女「女の子の水着姿っていいわよね。自分がなるのは嫌だけど」

逢坂○子「もしかして…ある日突然女の子になった…元男だったなんてことないですよね?」

少女「ええ!」ギクッ「そっそそ そんなわけないでしょ! ワタシ ウマレタトキカラ女ノ子ヨ!」
少女(まさか…オレの中身のこと気づかれた?! いや、そうだったら『元男』なんて言わないよな? 一体どこまで…)アセ

185: おまけ② 2018/11/02(金) 00:33:37.182 ID:OxbuQQ1J0.net
逢坂○子(この焦りかた! 普通は『意味がわからない』とかなるはずなのに…やっぱり!)
逢坂○子「いや、実はオレもある日突然この姿になったんだけど…元はキモオタです」

少女「ええええええ! ウソでしょ!」

逢坂○子「でも少女さんもそうでしょ?」

少女「いや、オレは生まれつきこの姿なんだけど…」

逢坂○子(オレっ娘の若葉さんとも微妙に違うこの言葉遣い…確定だ!)

少女(ええい、もういいや!)
少女「でも心は生まれたときから男だぜ」

逢坂○子「ええええええ! ウソでしょ!」

186: おまけ② 2018/11/02(金) 00:34:15.619 ID:OxbuQQ1J0.net


えみ「二人とも、最近仲ええな」

逢坂○子「うん。ねえ少女さん!」ニコ

少女「う、うん!」...ニコ

逢坂○子(まさか○ラチナ○ーンに2人も男が入り込んでいたとは…からだは女かもしれないけど…)

少女(くう…あれから○子のマークが厳しくてメンバーの着替えをチラ見することすらできない!)
少女(せっかく水着撮影のあと温泉行ったのに、なぜかオレだけあいつに目隠しされるし…メンバーに不思議がられてたじゃねえか)

逢坂○子(ラッキー   とか絶対阻止しなくては!)ダメゼッタイ

少女(オレ、何のためにアイドルになったんだろう…)ナミダ

こうして少女のストイックなアイドル活動は続くのだった

--
TGモノでは「キモオタ、アイドルやるってよ」が好きなので書きました
あとTGモノではけんぷファーも好き

187: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:34:48.816 ID:OxbuQQ1J0.net
-転校生事件の翌朝・教室-

少女(昨日は本当に長かった…映画化するなら『少女の一番長い日』だな…転校生、少年、そして……。おっ)

少女「あら、おはよう、少年くん」

少年「少女さん、おはよう」
少年(少女から教室で挨拶してくるの珍しいな。昨日のことはあの後も大丈夫だったのかな)

少女「…」ニコ

少年「…」フッ(大丈夫そうだな)

少女(さて…転校生はちゃんと来るかな)

クラスメイト「おはよう!」

少年「あ、クラスメイトさんおはよう」

ワイワイ ガヤガヤ


-休み時間・教室-

少女(あいつ来ねーし! 約束したじゃねーか…やっぱ来づらいのか…学校やめたりしねーよな…LINE送っとくか)スマホスッ


-次の休み時間-

少女(LINEの返事すらこねー! 既読も付かないしマジかあいつ…一応少年と今後のこと話しとくか…)


-昼休み・準備室-

少年「あいつ、結局来ねえな…なんか学校には病気だって連絡があったらしいが…」

少女「来ないつもりならマズいな…LINEの既読すらつかねえし」スマホスッ「あっ」

少年「?」(まあもう来ないつもりならそれでもいいけど、こいつとの約束破るのかよ…)

少女「既読ついてる…一応見てはいるよう…おっと、今返事来た!」

少年「なんだって?」

188: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:35:29.877 ID:OxbuQQ1J0.net
少女「本当に病気らしいぜ。熱出したって」

少年「マジか。本当かね」

少女「もちろんわからんが…昨日の夜、あれから色々考えてたら熱が出て、朝になっても下がらなくて病院行ってたらしい。だから返事もできなかったってよ」

少年「知恵熱かよ!」

少女「昨日のことはごめんとか、約束破ってごめんとか、返信できなくてごめんとか、あとはそんなことばっかりだな。治ったら必ず来るとさ」スッスッスッ「……送信っと。病気なら無理せずよく養生してから来いって送っといた」

少年「ふうむ。とりあえずいなくなるとかってことはなさそうだな」

少女「ああ」

少年「しかし昨日は本当に色々あったな。おっと少女は俺どころじゃなかったよな」

少女「まあな。あの後も実は色々あったし」

少年「色々? まさか転校生がまた…?」

少女「あ、いやいや、あいつはあのとき素直に帰って、戻って来たりはしてないよ。…実はさ、オレの秘密って結局おまえら二人しか知らないだろ」

少年「うん」

189: 1 2018/11/02(金) 00:40:13.353 ID:BKmku7OBp.net
また規制…

少女「心配かけたくなくて、親にもこのことは話してなかったじゃん。でも今回のこともあったし、実の親にも言わないってどうだろって…今更ながら思ったのさ」

少年「たしかに赤の他人が知ってて親が知らないってのも…まさか?」

少女「昨日親が帰ってきてから告白したよ、オレがトランスジェンダーだって」

少年「マジか…いや、俺もその方がいいって思ってたけど…昨日あんな色々あった後に…」

少女「まあ色々あったからこそだよ。そうじゃなきゃなかなか踏ん切りつかなかった。でもさすがに告白の瞬間は自分でも足とか手が震えるのを止められなかったよ。めちゃくちゃドキドキしたし」

少年(オレや転校生にカミングアウトするのとはやっぱり違うよな)
少年「それでお母さんとかお父さんとかどうだったんだ? 認めてくれたのか?」

少女「ああ。お袋には泣かれちまったよ」

少年「…そ、そうか…ごめん…(あのお母さんだしな…)」

少女「ん? ああ! 違う違う! 昨日オレが告白したらさ、お袋が泣き出したんだけど、オレのことを抱きしめてさ、『今まで気づいてあげられなくてごめんね』って…」

少年「ああ…」

少女「オレこそ今まで隠しててごめんって謝ったんだけどさ。親父もお袋もそんなこと全然責めないでさ…」ホロリ

少年「いいご両親だな…」ホロリ

少女「親ってのはありがたいものだな。オレの言うこともすぐ信じてくれたし」

190: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:41:37.825 ID:BKmku7OBp.net
少年「それはおまえが真剣に話したからだろ」

少女「そうかもしれないけどな。逆によく勇気を出して言ってくれたとか、今まで女らしくしろって言って悪かったとか言われてさ。
そんなの当たり前なのにな。他にも辛いことはないかとか、カウンセリングを受けたいならいいところを調べとこうかとか、
学校に言って配慮してもらおうかとか、その気ならいつか手術を受けるか?とか…」

少年「本当におまえのこと思ってくれてるじゃん」

少女「ああ。早く言っておけばよかったよ。まあ今のところそんなに辛くないと言っといたし、
できれば少なくとも高校卒業までは学校や周りにはこのことを言いたくないとかも言っておいた。
あと、手術とかもするつもりもないこともな」

少年「なるほど」

少女「このことを知ってる友達もいるって話もさせてもらったよ。おまえと転校生な」

少年「昨日の転校生の話もしたのか?」

少女「いや、さすがにしてないよ。そうそう、忘れてた。お袋がさ、おまえにありがとうって伝えてくれってさ」

少年「え、なんで?」

少女「オレの支えになってくれてってさ。オレからも礼を言わせてくれ」

少年「支えって…俺何もしてねーじゃん…」(逆に無神経に少女を女扱いしてたりしたのに…)

少女「そんなことはない。例えば今だって男として話してくれてるし、ずっとオレを『男友達』として付き合ってくれてただろ」

191: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:42:22.302 ID:BKmku7OBp.net
少年「いや、昨日の話じゃないけど、結構女扱いもしてきたじゃん…」

少女「ふふふ。そのことはもういいってことにしただろ」

少年「そうだったな。でもとにかくご両親にも言えてよかったじゃないか」

少女「そのとおりだ。しかも一人娘がこんなでも受け入れてもらえるとはね…」

少年「本当、いいご両親だと思うよ」


-準備室の外-

クラスメイト(また二人で入っていった…中で何を話してるんだろう…もうちょっと近づけば…いや、それをしたらただのストーカーだよね…)


-準備室-

少女「でもまあ最悪の事態も覚悟はしたけどな」

少年「最悪の事態…? ご両親に拒絶されたり…とかか?」
少年(そういや親にLGBTがバレて、親に自分を否定されて自殺した人の話も見たな…)

少女「そうだ。まあ杞憂だったわけだが。その場合はおまえの家に家出するつもりでいた」

少年「えええ! いや、困っているなら助けてやりたいが…世間的っていうかウチの親だってそんなの…」

少女「いや、コッソリおまえの部屋の押入れにでも匿ってくれればいいから」

192: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:42:58.074 ID:BKmku7OBp.net
少年「犬や猫拾ってきたんじゃないんだから…第一俺の部屋押入れなんかないし」

少女「押入れはモノの例えだが…緊急避難的にな」

少年(親に拒まれたら確かにいたたまれないだろうしなあ…)

少女「ははは、もう過ぎた話だし、仮の話でそんな真剣な顔すんなよ」

少年「まあそうだけど…でもこれからそういうことがあったら言ってくれ。できる限りのことはする」

少女「…ありがとうな」

少年「さあ、そろそろ行こうぜ」


-準備室の外-

クラスメイト(ん? 出てくるのかな…)サササッ

ガラリ

少女「…」キョロキョロ(よし誰もいない…ん? さっき廊下の先を曲がってったやついたような…気のせいか)

少女「じゃあお先」ヒソヒソ

少年「じゃあな」ヒソヒソ

194: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:43:41.406 ID:BKmku7OBp.net

少年(よし、もういいだろ)

ガラリ

少年「…」キョロky...「うわっ!」

クラスメイト「わっ! びっくりしたよ!」

少年「クラスメイトさん! びっくりしたのはこっちだよ…」
少年(え、転校生と同じパターン? さっきまでの、聞かれた…?!…でも少女が出たときはいなかったよな…)アセ

クラスメイト「いやごめんごめん」

少年「…な、なんでここに?」ドキドキ

クラスメイト「実は少女さんと君たちがここに入っていくのが見えてね」

少年「えっ…!」

クラスメイト「いや、何を話してたかは聞いてないよ! プライバシーは守るよ。とくに少女さんと少年くんだったら」

少年(もし本当に聞いていたならもっと色々聞いてきそうだしな…でもそれも含めて演技なのか…わからん!)

クラスメイト「ストーカーじゃないんだし、ね」(本当はもうストーカーみたいなものかもしれないけど…)

少年(でも入っていくとこから見てるんだよな…)

195: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:44:13.716 ID:BKmku7OBp.net
クラスメイト「実は少年くんに話があってね」

少年「俺に?」

クラスメイト「少女さんが先に出ていったようだから待ってれば少年くんに会えると思って」

少年(少女が出て行くときは隠れてたのか)
少年「別に教室で声かけてくれれば…」

クラスメイト「ちょ、ちょっと2人だけで話したかったんだ…いいかな…」

少年(俺なんかと2人だけでって…なんだろう?…クラスメイトさんの行動はときどきわからん)

クラスメイト「でももうお昼休みも終わるし、単刀直入に言うよ。今日放課後ボクにちょっと付き合ってくれないかな?」

少年「え、付き合うってどこに?」

クラスメイト「うーん、ボクの家なんだけど、いいかな」

少年「え、クラスメイトさんの家?! い、いいの、俺が行っても?」

クラスメイト「かまわないけど…」

少年「でも女の子の家に男が行って大丈夫かな…」

クラスメイト「気にしないでよ。おっと、もう授業が始まるよ」

196: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:45:20.701 ID:BKmku7OBp.net
少年「わ、わかったよ。じゃあ放課後に」

クラスメイト「ありがとう! あ、あとこのことは周りにナイショにしてくれるかな」

少年「わかった」

少年(何の用だろう? また少女との関係こととかか? まあどっちにしろ俺自身のことじゃないよな…。でも放課後クラスメイトさんの自宅に?
本当にいいのか? 女の子の家に行くなんて初めてだよな…。少女の家はノーカンとして… でもこれ、放課後に女の子の家で会うなんて、これは実質デートじゃないのか?

少女『そんなわけないだろ』

心の中の少女がツッこんできた!)

クラスメイト「じゃあ放課後、ナイショにしたいから集合場所は…」

少年(前のことがあるし、もしかするとクラスメイトさんが俺らの関係が親戚じゃないことに気づいたのかもしれないから、少女に伝えた方がいいのかもしれないけど…内緒だって約束しちゃったしなあ…しかし本当に何だろ?
っ、まさかさっきの話をやっぱり聞いていて? だったら自宅でこっそりってのもわかるが…)アセ

少年(わからないこと考えてもしょうがない。頭の中ではデートと思い込んで楽しもう)

197: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:45:54.060 ID:BKmku7OBp.net
-放課後・学校近くの空き地-

クラスメイト「やあ、こんなところに集合で悪いね」

少年「まあ周りにわからないようにするためにはしょうがないよ」
少年(確かに俺なんかと一緒に下校しているところを見られたくないだろうからな)

クラスメイト(まだ少女さんに見つかるわけにはいかないからね…)

少年「クラスメイトさん。昼休みには時間がなくて訊けなかったけど、わざわざクラスメイトさんの家でって、何の話かな」

クラスメイト「ああ、見てほしいものが…というか、ちょっと相談かな。少年くんに」

少年「うん、わかったよ」(まあ、行けば分かるか…)

-クラスメイトの家-

少年(クラスメイトさんの家、マンションなのか。しかし緊張するな)ドキドキ

クラスメイト「じゃあ、どうぞ」カギ ガチャ

少年「え、今誰もいないの?」

クラスメイト「うん、両親は働いてるし、あ、姉もバイトで今働いてるかな」

少年「さすがに二人きりはまずいんじゃ…」ボソ

198: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:48:13.138 ID:BKmku7OBp.net
クラスメイト「ん? どうぞ。こっちだよ」スタスタ

少年(どんどん入って行く…)「お邪魔します…」

クラスメイト「ここがボクの部屋だよ」

少年(まずリビングにじゃなくていきなり部屋か…クラスメイトさんの名前のプレートがドアに掛けてあって、いかにも女の子の部屋だな…少女の部屋とは違いそうだ)ドキドキ

クラスメイト「どうぞ」

ガチャ

少年「う、うわああぁ! なんだこれは!」


-クラスメイトの部屋-

クラスメイト「これを見てほしかったんだよ」

少年「壁一面に少女の写真がびっしり! っていうか、天井にも…」

クラスメイト「ど、どうかな…」///

少年「どうかなって…っていうか、これドラマとか漫画でよく見る、ストーカーの部屋!」

クラスメイト「失礼だね。ボクはストーカーなんかじゃないよ」

少年「でもこれ、ほとんどが盗撮っぽいんだけど…」

クラスメイト「確かに黙って撮ってしまったのもあるけど…。でもストーカー行為なんかしてないよ。よく見て。ほとんどがクラスか校内での写真だよ」

200: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:49:57.853 ID:BKmku7OBp.net
少年「(ものもあるって、これほとんど…)あ、まあ、確かに。でもこの量…」

クラスメイト「ボクは少女さんの後をつけるようなことはしたことないよ。あと、個人情報を無理に調べたりとかも。実際、ボクは少女さんの自宅すら知らないよ」

少年(確かにストーカーといえば、自宅とかにも張り付いたり、常に尾行してたりするイメージはあるが…)
少年「あ、でも、俺たちが別の街で遊んでるのを見たり、準備室に入るところを見てたり…」

クラスメイト「別の街や公園にいたのを見かけたのは本当に偶然さ。あと、校内だったらちょっと見守るくらいいいんじゃないかな…」

少年「いいんじゃないかなって…どうりで俺たちのことをよく見てたと思ったよ…だからクラス内だけじゃなくて校内での写真も充実してるのか…。でもクラスメイトさんが少女の写真を撮っているところなんて見かけなかったけどな…」

クラスメイト「最初はスマホでこっそり撮ってたんだけど、今はこの高画質望遠付きペン型カメラで…」スッ

少年「本格的!(なストーカー!) でも、こんなことしてるってことは…クラスメイトさんは少女のことが好きなの?」

クラスメイト「うん、実はそうなんだ」///

少年「えええ! 俺は?!」

クラスメイト「ん? どういうことかな?」

少年「だって! 本当は少女と一緒になってほしくないとか言ってたからとっさに難聴になってフラグを折らないよう努力したのに…」

203: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:52:51.137 ID:BKmku7OBp.net
クラスメイト「それは、本音では少女さんには少年くんと付き合ってほしくはなかったよ…」

少年「でも俺らを応援するとか、転校生に取られちゃうとか…」

クラスメイト「それは君を味方にしておきたくて…」

少年「転校生と同じパターン!」

クラスメイト「転校生くん? 確かに彼に取られちゃうより、親戚の君のほうがまだいいかなって…途中でハトコだって聞いて少し安心したんだ。だって親戚なんだから」

少年「まだいいって…確かに俺らは付き合うとかはないけど」

クラスメイト「信じていいのかな」

少年「双子の兄妹みたいなものだし、俺と少女が付き合うことはないよ」

クラスメイト「そうだよね! やっぱり親戚同士だものね!」

少年(喜んでるクラスメイトさん可愛い…いや、喜んでるってことは…まさか…)
少年「本当に少女のことが好きなんだね。もしかしてクラスメイトさんも心は男なの?」

クラスメイト「も?」

少年「っ…(しまった) あ、クラスメイトさんも今よく言われてるLGBTってやつなのかなって…」

クラスメイト「ボクはこんな喋り方だし、オトコ勝りとかオトコ女とか言われるけど、これでも自分は乙女なつもりだよ」

少年「クラスメイトさんのことオトコ女とか言ってる人見たことないけど…」

クラスメイト「親とか姉にはしょっちゅう言われてるよ」

少年「じゃあ、とにかく女性として女の子が好きなんだね」

204: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:54:32.185 ID:BKmku7OBp.net
クラスメイト「別にボクは女の子のことが好きなわけじゃないよ」

少年「えええ、だったらなんで…」

クラスメイト「好きになってしまった人が、たまたま女の子だっただけだよ」ドヤァ

少年「そんなドヤ顏で…。まあ少女が好きだってことはわかったよ」

クラスメイト「よかった。女の子を好きだなんて信じてもらえないかと思ったよ。でもこの部屋を見ればわかってもらえるかなって」

少年「そのためにわざわざ家に…わかりみが溢れるくらいだよ…。じゃあ俺に相談っていうのは?」

クラスメイト「うん、時間をかけて君とも仲良くなって、少女さんとも仲良くなっていくつもりだったんだけど…最近結構転校生くんと少女さんが接近してるよね」

少年「うん、まあ(もうこの先はそうならないけどな)」

クラスメイト「だからもうそんな時間をかけてられないのかなって。少年くんを通してもうボクの気持ちを少女さんに伝えようと思ってね」

少年「俺を通して? 少女に直接じゃダメなの?」

クラスメイト「やっぱり怖くて…女の子同士だし…」

205: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:57:39.691 ID:BKmku7OBp.net
少年「でも、それは俺を通しても結局は同じなんじゃないかな」

クラスメイト「だから、まずはハトコの君から、少しずつ話をしてほしいんだ。最初はボクの名前とか出さずに、少女さんが好きな女の子がいるってところから訊いてほしいんだ。
そこで拒絶されるようならそれまでだよ…。本当は拒絶されても今のままでいたいって云う都合のいい話なんだけどね…卑怯だよね」

少年「卑怯って…そこまで思わなくていいんじゃないかな。あと少女だけど、少なくとも拒絶することはないと思うよ」

クラスメイト「え、なんで?」

少年(おっと、詳しく話すわけには…)
少年「あ、ごめん、俺の勝手な思い込みなのかもしれないけど、少女はそういうのを否定するタイプじゃないから…。もちろん実際はわからないから聞いてみるけどね!」アセ

クラスメイト「ありがとう!」

少年(クラスメイトさんと一緒にいるの羨ましがってたし、少なくとも拒絶までされることはないだろう)
少年「あ、あと、少女が女の子とわかってて好きなんだよね」

クラスメイト「? そのとおりだけど、どういう意味かな?」

少年「あ、いや、結構あいつああ見えて男っぽいとこあったりするから」
少年(…これギリギリの言い方だな…でもまた途中で少女をがっかりさせたくないし)」

206: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:58:19.090 ID:BKmku7OBp.net
クラスメイト「そうなの? 見かけによらないところもあるんだね! そうだとしてもそういうところも含めて全て少女さんなんだから…。
兄妹みたいって言ってたから、親戚とかに対してそうなったりするんじゃないかな。家族からオトコ女って言われてるボクみたいに。ボクにもそういう一面を見せてほしい…」

少年(大丈夫みたいだな…)
少年「おっと、今言った話は少女にはしないでね!」(まあ本当は話しても困らないけど、それっぽくしとかないと…)

クラスメイト「もちろんさ。じゃあ、まずボクのことは出さないで訊いてみてくれるかな」

少年「オッケー。じゃあ善は急げで今訊いてみようか?」

クラスメイト「え! 今? でも…いやいや、いつでも一緒だよね。だったら確かに早い方がいいかな…」

少年「大丈夫だよ。さっき言ったとおり少なくとも拒絶はないよ。じゃあ早速少女に電話してみるけど…」

クラスメイト「う、うん、お願いするよ…」ドキドキ

少年「じゃあ、ちょっと外に出てかけてくるね」

クラスメイト「それは悪いよ。ボクの部屋使ってよ。ボクがリビング行くから」

207: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:58:59.962 ID:BKmku7OBp.net
少年「え、そんな、クラスメイトさんの部屋に俺だけ残るとか…」

クラスメイト「じゃあよろしくね!」

ガチャ
バタン

少年(…俺だけ残るとか、落ち着かないんだけど…少女だらけで…まあ電話するか)

少年(多分大丈夫的にクラスメイトさんには言ったけど、 まず間違いなくうまくいくだろ、これ。何が運痴はモテないだよ…羨ましいのはこっちだぜ…)

少年(…でもよかったよな。あいつ自身がクラス一って言ってた美少女のクラスメイトさんと付き合えるとか。前にも彼女がいたって言ってたけど、こういう女の子も結構いるんじゃん)

少年(俺もフラグ折らないようにと思ってたけど、フラグが立ってもいなかったとは…)グスリ

少年(…とにかく電話しよう)

208: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 00:59:47.808 ID:BKmku7OBp.net
スマホ『プルルルル…ピッ』

少女『おっす。なんだ?』

少年「おう。確認するまでもないことなんだが、ちょっといいかな」

少女『なによ?』

少年「じつはさ、おまえのことが好きだっていう女の子がいるんだが…」

少女『…! マジで!? 本物の女の子が?』

少年「本物の女の子がだ。別にLGBTとかじゃなくて、普通の女の子として、女の子であるおまえが好きなんだってさ」

少女『マ、マジか…でもそれって普通にLGBTだよな…』

少年「たまたま好きになったのがおまえで、たまたまおまえが女の子だっただけだってさ」

少女『マジかー』

少年「さっきから『マジ』ばっかりだな」

209: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:02:21.814 ID:BKmku7OBp.net
少女『そりゃそうだよ。ここ2日ばかりドラマチックすぎねえか…まあモテ期ってやつかな。ははは』

少年「モテ期に転校生入れんのかよ…。男カウントしてたら年中おまえモテ期だろうが。あ、まあその話は置いといて…
その子はやっぱり女の子同士なんでおまえの気持ちを聞くのが怖いらしい。だから、女の子がそういう好意を寄せていることについてどう思うかまず確認してくれって言われたんだ。まあ確認するまでもないと思うけど」

少女『もちろんだ。めちゃ嬉しい!』

少年「まあ、おまえの本当のことは言えないから、一応確認するって言って、今電話してるわけだ。その子はもちろんおまえが心は男ってことは知らないんだけど、別に男の子みたいなところがあっても受け入れるみたいなことは言ってた」

少女『マジか。天使だな…。で、誰なん?』ドキドキ

少年「いや、それはまだ言えないよ。その子に確認してからだ」

少女『んー、でもおまえにオレのことを頼んでくるっていうと…まさか?』

少年「おっと、早合点はなしだ。まずはその子に今の話をして、そのあとどうするかはその子が決めることだ」

少女『そうか! そうだよな! …マジかあ。まさかあのクラスメイトさんがなあ…フフフ』ボソ

少年(完全に気づいてるよ…)「まあ、また連絡する」ピッ

少年(なんだよ、完全にうまく行きそうじゃん。よかったな、少女…。さて…)

210: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:04:31.413 ID:BKmku7OBp.net
ガチャ

少年「クラスメイトさん、訊いたよ!」

クラスメイト「あ、少年くん、ありがとう! で…?」ドキドキ

少年「やっぱり問題なかったよ。そう想ってくれる人がいて嬉しいって」

クラスメイト「本当に! よ、よかった…。少女さんが男の子からの告白をずっと断ってるって話は聞いてたから、もしかしたら女の子ならと思ったこともあったんだけど…そうは言っても女の子同士っていうのはね…やっぱり少女さんって女の子のほうが好きなのかな?」

少年「い、いや、そうかどうかは知らないけど…」アセ

クラスメイト「ああ、でも問題はボクの気持ちを受け取ってもらえるかだよね…」

少年「うん、でもそれは直接クラスメイトさんからのほうがいいよね?」

クラスメイト「…そうだね。うん、せっかくだし、今日思い切って想いを告げてみるよ」

少年「そうか…。絶対うまくいくよ! 応援してるよ! じゃあ、電話する?」

クラスメイト「電話でっていうのもどうかな……。うーん、まずここに来てもらおうかな」

少年「クラスメイトさんの家に?」

クラスメイト「うん、わざわざ来てもらうのは申し訳ないんだけど、ボクのことをすべて知ってもらいたいと思ったんだよ」

211: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:07:42.481 ID:BKmku7OBp.net
少年「すべてって…まさかこの部屋も見せるつもり?!」

クラスメイト「だめかな」

少年「いや、そのままの自分を見てほしいっていうのはわかるけど…この部屋はどうかな…。
あの、少し仲良くなってからとかじゃダメ?」
少年(ここ見せたら一発アウトだろ…)

クラスメイト「それは今だって同じだよ」

少年「それはそうだけど…。あ、さっき『女の子が少女を好きって言ってる』って訊いてみたように、クラスメイトさんの名前を出さずに
『その子は少女の写真をたくさん部屋に貼ってる』とかって訊いてみるけど…」

クラスメイト「うん、さっきは確かに女の子同士っていうのが怖くて少年くんに訊いてもらったけど、やっぱりそれじゃダメかなって。
女の子なのに少女さんを好きになってしまった自分、少女さんのことが大好きで写真を部屋に飾っている自分、全部ボクなんだ。
最初から全部少女さんにさらけ出すべきだったんだけど、勇気がなかったんだ。でもさっき、少女さんからの返事を聞いて勇気が出たんだ。調子よく聞こえるかもしれないけど…」

少年「調子いいってことはないよ。誰だって不安だろうし」

212: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:08:44.358 ID:BKmku7OBp.net
クラスメイト「少年くん、少女さんにボクの家に来てもらえるか訊いてくれるかな。
場所は今少年くんにマップを転送するから…あ、もちろん少女さんの都合があるだろうから、もし大丈夫だったらね」

少年「わかったよ…でも、せめてこの部屋の写真は剥がさない? 全部はあれだろうから、まあ何枚かは残して。これは多すぎというか…」

クラスメイト「もし剥がしても、これだけ貼っていたのは事実だし…このままを見てもらうよ。剥がしてOKもらったとしても、それは本当のボクじゃないし」

少年(うーん、もうこの部屋を少女に見せるしかないのか…ちょっとわからなくなってきたぞ…っていうか多分…)
少年「うん、わかった。じゃあ、少女を呼んでみるよ」

クラスメイト「ありがとう」

213: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:09:09.257 ID:BKmku7OBp.net
クラスメイト「少年くん、少女さんにボクの家に来てもらえるか訊いてくれるかな。場所は今少年くんにマップを転送するから…あ、もちろん少女さんの都合があるだろうから、もし大丈夫だったらね」

少年「わかったよ…でも、せめてこの部屋の写真は剥がさない? 全部はあれだろうから、まあ何枚かは残して。これは多すぎというか…」

クラスメイト「もし剥がしても、これだけ貼っていたのは事実だし…このままを見てもらうよ。剥がしてOKもらったとしても、それは本当のボクじゃないし」

少年(うーん、もうこの部屋を少女に見せるしかないのか…ちょっとわからなくなってきたぞ…っていうか多分…)
少年「うん、わかった。じゃあ、少女を呼んでみるよ」

クラスメイト「ありがとう」

214: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:09:47.285 ID:BKmku7OBp.net
スマホ『プル…ピッ』

少女『おう、オr』ワクワク
少年「ああ、今クラスメイトさんと一緒なんだけど」ハヤクチ(一応聞こえるとマズいからな…)

少女『クラスメイトさんと一緒なの? 何かしら』(やっぱり…)ドキドキ

少年「あ、今って時間ある?」

少女『大丈夫だけど…』

少年「クラスメイトさんが話があるんだって。あとで地図を送るけど、クラスメイトさんの家まで今来れる?」

少女『クラスメイトさんの家ね。了解よ』ピッ

少年(すぐ切りやがった…)
少年「少女いま来るって」

215: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:13:32.471 ID:BKmku7OBp.net
クラスメイト「本当? ありがとう。そうだ、お茶も出してなかったね」

少年「ああ、おかまいなく。俺はもう帰るよ」

クラスメイト「あ、もしできれば一緒にいてくれないかな…」

少年「え! 少女が来てからも? それはちょっとマズくない?」

クラスメイト「やっぱり怖くて…もしダメだったとき、少年くんが間にいてくれると助かるんだけど…」

少年(うーん、その可能性も出てきたしな…)
少年「わかったよ。でも少女と話すときは俺は一緒じゃないよね?」

クラスメイト「ああ、それはそうだよ。ありがとう。じゃあリビングに行こうか。お茶でも淹れるよ」


―リビング―

インターホン『ピンポーン♪』

クラスメイト「あ、少女さん。どうぞ」オートロック カイジョ

少年(早いな。あいつもう来たか。今モニタ越しにチラリと見えたけど、女物の私服だったな。着替えてきたのか)



ガチャ

クラスメイト「いらっしゃい。ど、どうぞ」///

少女「こ、こんにちは…」ハァハァ

少年(こいつ、例のデートのときより気合の入った可愛い恰好してきやがった…)

少女「あ、しょ、少年くん、どうも」ハァハァ

少年「その格好で走ってきたのか…」

216: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:14:26.829 ID:BKmku7OBp.net
クラスメイト「少女さん、素敵な服だね。とても似合ってるよ」///

少年(走ってかなり乱れているが…)

少女「あ、ありがとう…」ハァハァ

クラスメイト「じゃあ、あがって」

少女「お邪魔します」ハァハァ

クラスメイト「少女さん、ごめんね、急に。今日はボクの話をどうしても聞いてほしくて来てもらったんだ」

少女「ええ、大丈夫よ。何の話かしら」ドキドキ

クラスメイト「それはボクの部屋ででいいかな」///

少女「わかったわ」

少年「あ、俺はリビングで待ってるから…」

クラスメイト「じゃあ、こちらへどうぞ。ここがボクの部屋だよ」

少女(おおお、女の子の部屋だ! ここで告白? うわぁ、ど、どうなんるんだろ…)ドキドキ ワクワク

クラスメイト「さあ、どうぞ」///

ガチャ

少女「お邪魔し…どうわぁぁぁっ!?」

217: 以下、5ちゃんねb驍ゥらVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:15:03.511 ID:BKmku7OBp.net
―リビング―

少年(そりゃそうなるよな…)


―少女の部屋―

少女「こ、これは…」ガクガク

クラスメイト「実はボク、少女さんのことが好きなんだ…」///

少女「へ、へえ、オ…わたしのことが好きなの」アセ

クラスメイト「女の子同士なのにおかしいよね。でもボクは本気なんだ」

少女「ソウナンダー」アセ

クラスメイト「聞きたいんだけど、転校生くんと付き合ってたりするのかな。あと、少年くんとかとも」

218: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:18:15.963 ID:BKmku7OBp.net
少女「転校生くんとも少年くんとも何もないけど…」

クラスメイト「よかった…」

少女「で、でも、このオレの、いやわたしの写真はいったい…」ガクガク

クラスメイト「少女さんが好きすぎてつい…」///

少女「ついって…これ、ほとんど撮られた記憶ないけど…クラスメイトさん、わたしをストーキングしてたの?」ガクガク

クラスメイト「少年くんもそう言ってたけど、そんなことボクはしないよ。これ、ほとんど学校での写真だよ」

少女「た、確かに…。でもどうやって…いや、そんなことより、これ盗撮よね」

クラスメイト「ごめんなさい。少女さんが美しくて、可愛すぎて…」///

少女(可愛いって言われても全然嬉しくないけど…。可愛いのはクラスメイトさんだよ…)
少女「ははは…いや、盗撮しちゃったのはもういいけど、この写真をこんなに部屋に貼るのはやめてもらえないかしら…」アセ

クラスメイト「うん、これからは隠れずに撮るようにするよ! でもここの写真はこのままにしたいんだ…」

少女「いえ、まず撮るのをやめてくれないかしら…。そして写真も…」

220: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:21:24.883 ID:BKmku7OBp.net
クラスメイト「え、写真を剥がしてしまったら、ボクが寝るときとか安心できないんだけど…」

少女「このままではわたしが安心できないわ。これは勝手に撮った写真だし、剥がしてくれないならわたしも怒るわ」

クラスメイト(ゾクゾク)「しょ、少女さん、怒った顔も素敵…。ボク初めて少女さんが怒ったところ見たよ…」///

少女「え?(何か喜んでる?)本当に怒るわよ? わ、わたしのことが好きなら、話を聞いてちょうだい!」

クラスメイト「少女さん!」ガバッ

少女「うわっ!」
少女(急にクラスメイトさんが抱きついてきた! クラスメイトさんの胸が当たってる…/// そしてオレの胸もクラスメイトさんに…/// いい匂いだし、クラスメイトさんのからだ柔らかい!)スーハー

クラスメイト「ああ、ごめんなさい。ボクだって少女さんを怒らせたくないんだ。でも、少女さんに叱られて、なにか今までにない感じがしてきて…」ゾクゾク

少女(えええ…)

クラスメイト「少女さん、本当に素敵だ…。ああもう! もっとボクのことを叱ってほしい!」///ギュ

少女「じゃ、じゃあ、まずわたしを離してくれるかな…」(名残惜しいが…)

クラスメイト「あ」パッ「ごめんね」

221: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:22:08.425 ID:BKmku7OBp.net
少女「ははは…。クラスメイトさんがわたしのことを好きで嬉しかったよ。じゃ、じゃあ、そういうことで」スタスタ(もうオレの写真のことは諦めよう…)

クラスメイト「え、もう帰るの?」

少女「う、うん、ちょっと用事を思い出したから、またね」ハハハ

ガチャ

少年(お、出てきた)
少年「少女、どうだった?」ヒソヒソ

少女「変態の人はちょっと…」ヒソヒソ

少年「…あー、まあなあ…。でも(超美人の)クラスメイトさんだぞ。いいのかよ」ヒソヒソ

少女「だからお断りはしてない…」ヒソヒソ

少年(ええええ。まあ気持ちはわかる)

クラスメイト「少女さん!」

少女「あ、ごめんなさいね?」ニコリ スタスタ

クラスメイト「ああ、その目が笑ってない笑顔も素敵だ…」///

少年(ええ…)

223: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:25:22.703 ID:BKmku7OBp.net
クラスメイト「あの、また叱って…遊びに来てくれるかな…」

少年(叱って?!)

少女「あの写真を剥がしたらまた来るわ。でも剥がさないんでしょう。普通にお友達として他のところで遊ぶのはどうかしら」
少女(写真はもう諦めたけど、オレの写真だらけのあの部屋にはもう入りたくねぇ…)

クラスメイト「わあ! ありがとう!」ガバッ

少年(うお、少女に抱きついた! …あいつ、抱きつかれた途端目がにやけてるじゃねえか…。あ、でも引き剥がした)

少女「ま、まあ、とにかく、また今度ね。じゃあまた」

クラスメイト「うん、それじゃあまたね!」

バタン

クラスメイト「ふふふ。少女さん可愛かったなあ。ああ、今日はボクの部屋に少女さんが来たというのに写真を撮ってなかったよ」

クラスメイト「よし、また部屋に戻って少女さんの写真を見て過ごそう」

クラスメイト「そういえば少女さんの返事をもらってなかったけど…また遊ぶ約束したし、いいよね!」スタスタ

バタン

少年(クラスメイトさん、部屋に入っていった…俺どうしよう…)

少年はクラスメイトにその存在をすっかり忘れられているのだった

226: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:28:31.853 ID:BKmku7OBp.net
-1週間後・朝の教室-

ワイワイ ガヤガヤ

ガラッ

転校生「おはよう!」ズカズカ

少年(転校生、1週間ぶりに出てきたな…)

転校生「おはよう少女。やっと登校できるようになったよ」

少女「おはよう、転校生くん。からだの方は大丈夫なの?」

転校生「ああ、心配をかけたよ。医者のOKがやっと出たのでね」

少女「その割には前より太ってない?」

転校生「ははは、ずっと寝てばかりだったから」

少年(思うところはあるが…転校生、本当にいつもどおりだな)

転校生「まず出てこられるようになったことを知らせないとと思ってね」

少女「昨日LINEで連絡してくれたじゃない。それより…あなたに返すものがあるわ」ヒソヒソ

転校生「! 限定盤のあれか…別に少女が持っててくれていいけど…」ヒソヒソ

少女「そうはいかないでしょう。もちろん今は渡せないけど、少年くん経由で渡すわ」ヒソヒソ

転校生「…わかった」ヒソヒソ

クラスメイト「少女さん!」ワリコミ

少女(ゾクッ)「ク、クラスメイトさん、なにかしら」

クラスメイト(転校生くんが久々に出てきたと思ったらさっそく少女さんのところで何やらヒソヒソと…本当になにもないのかな)
クラスメイト「あ、転校生くんも久しぶりだね!」

転校生「うん、おはよう、クラスメイトさん」

クラスメイト「そうそう、今日のお昼もボクと一緒に食べない?」

少女「えっ?」

227: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:31:41.655 ID:BKmku7OBp.net
-その前日、昼休み・準備室-

クラスメイト「今日はお昼を付き合ってくれてありがとう!」

少女「え、ええ。わ、わたしも誘ってもらって嬉しいわ。中庭に行くかと思ったけど、なんでここに…?」ガタガタ

クラスメイト「だって二人きりになりたかったから…」///

少女(つい、ここまでついてきちゃったけど…大丈夫だったかな…)

クラスメイト「ああ、少女さんと学校で二人きりだね。ふふふ」

少女「そ、そうね」(クラスメイトさんと二人きりは嬉しいような怖いような…やっぱり少年も誘えばよかったか)

クラスメイト「準備室の少女さんも素敵だよ…写真撮ってもいいかな」サッ

少女「なにその大きな一眼レフ…やめてもらえるかしら」

一眼レフ『カシャ カシャ カシャ』

少女「ちょ、ちょっと、やめてって言ったでしょ!」

クラスメイト「ああ、その怒った顔…」ゾクゾク

一眼レフ『カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ カシャ』

少女「うお、や、やめーー!」カオカクシ

クラスメイト「素敵だよ、少女さん…」ゾクゾク

少女「ねえ、ちょっと!!(怒)」

クラスメイト「少女さん!」ギュッ

少女(うお、また抱きついてきた…柔らかくていい匂いだ…)ニヤケー

クラスメイト(ふふふ、少女さんはハグが好きだなあ。ボクも気持ちいいし…)ギュッ

すっかりクラスメイトに見抜かれているのだった

少女「…」ヒキハガシ「と、とにかくもう撮らないでね?」

クラスメイト(可愛いなあ)「うん、じゃあご飯食べようか」

少女「そうね」

228: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:35:13.296 ID:BKmku7OBp.net

クラスメイト「ああ、お弁当を食べてる少女さん!」

一眼レフ『カシャ カシャ カシャ』

少女「ちょっっ!」


-朝の教室に話は戻る-

少女(もうあれはコリゴリだけど、断ったらクラスメイトさん悲しむよなあ)
少女「それなら、転校生くんも一緒にどうかしら」

クラスメイト「え…も、もちろんだよ! 転校生くんはいいのかな?」(断ってくれないかな…)

転校生「もちろんだよ」(僕は少女に従うだけだ)

クラスメイト「チッ」

少女「え?」

クラスメイト「ん、なにかな?」ニコニコ

少女(なにか今不穏な音が聞こえたが…でもクラスメイトさんと転校生と一緒っていうのも…転校生はもうああならないとは思うけど、もし同時に襲われたら…)
少女「そ、そうだ、少年くんも一緒でいいかしら」

クラスメイト「えっ、そr」
少女「少年くん!」

少年「え、少女さん、なにかな」(また濃いメンバーが揃ったな…)

少女(タスケテクレ)アイコンタクト

少年(どう助けんだよ…)

少女「少年くん、今日のお昼ご飯みんなで一緒に食べない?」

少年「え、いいのかな?」

クラスメイト「いや、無理にとは言わないよ! 少年くんも忙しいよね!」

少女(タノムカラ)ヘルプミー

少年「あー、ぜ、ぜひ一緒したいなあ!」

230: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:38:29.591 ID:BKmku7OBp.net
少女「ありがとう!」

クラスメイト「チッ」

少女「…」

少年「…」(少年友は相変わらず遅刻スレスレのようだけど、このことは黙っておこう…)


-昼休み・準備室-

少女(またここか…少年の希望でもあるから仕方ないが…)

少年(この組み合わせで中庭とかで食ってたらひと悶着ありそうだからな…とくに俺に対して…少年友に見られても面倒だし)

少女「さあ、食べましょうか」

クラスメイト「いただきます!」サッ

転校生「え、クラスメイトさん、なんでカメラを取り出したのかな…? 食べないの…?」

少年(盗撮じゃなく堂々と?!)

少女(まさかみんなの前でも堂々と盗りにくるとは…)

クラスメイト「あ、ボクのことは気にしないで」

一眼レフ『カシャ カシャ カシャ』

転校生「ええ、少女の写真撮りだした!」

少女「ね、ねえ、やめましょう」ヒクヒク
少女(くう、みんなの前だし怒れない…っていうか、怒ったらクラスメイトさんを喜ばせてヒートアップさせるだけだし…)

クラスメイト「引きつってる少女さんの笑顔、可愛い!」

一眼レフ『カシャ カシャ カシャ』

231: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:39:23.970 ID:BKmku7OBp.net
転校生「少年くん、なんだいこれ?」ヒソヒソ

少年(いきさつ話すわけにもいかないしな…)
少年「知るか」ヒソヒソ

転校生「冷たいね」ヒソヒソ

少年「あたりまえだろ!」ヒソヒソ


少女「ねえ、怒るわよ」

クラスメイト「あああ…もっとボクを叱って!」ゾクゾク

転校生(何か少年はわかってるみたいだし、僕の知っているクラスメイトさんじゃないし…)
転校生「ねえ、僕のいない1週間で一体なにがあったのか教えてくれないかい」ヒソヒソ

少年「だから知るかっ」ヒソヒソ


少女「と、とにかくカメラをしまって、ね?」

クラスメイト「ああ、少女さん…」ゾクゾク

一眼レフ『カシャ カシャ カシャ』

この事態が収拾しないまま昼休みが終わり、4人はほとんどお昼を食べられないのであった

232: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/02(金) 01:42:30.047 ID:BKmku7OBp.net
ここで一旦終わりです

保守してくれた皆さん感謝です!

続きはそのうちなろうの方に書きます

引用元: 少女「ねえ、わたし女に見える、男に見える?」