1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/06(火) 00:23:40.467 ID:8J7VbjSx0.net
少年「土砂降りの雨だ!こんな日は紙を折ったボートを道路脇で流して遊ぼう」

…………………………

空から落ち道路脇に溜まった水はその行き場を排水口へと変換させた。
少年の遊ぶボートもまた同じように排水口に吸い込まれていったのであった。

少年「あっ!僕のボートが!!」

排水口を覗き込む少年、目の前には真っ暗な空間がポッカリと口を開けてこちらを見ていた。

少年「あーあ…せっかく作ったのにあまあいいか」

立ち上がろうとした瞬間
虚空だったその口から言葉が聞こえた

?「はぁいジョージ」

4: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/06(火) 00:30:11.356 ID:8J7VbjSx0.net
少年はその視線を排水口へと戻す。

そこにはピエロがいた。

?「おや?あいさつをしてくれないのかな?」

?「風船は好きかい?」

少年「知らない人からものをもらってはいけないってパパが言ってたんだ、もう行かなきゃ」

?「確かにパパの言う通りだ、俺はペニーワイズ踊るのが好きなピエロさ」

ペニ「君はジョージだろ?」

ジョージ「(なんでこいつ名前知ってるんだ…)」

5: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/06(火) 00:39:07.806 ID:8J7VbjSx0.net
一刻も早く目の前の怪異から逃げようとするジョージであったが
ペニーワイズの次の言葉は彼を引き止めるには十分だった

ペニ「これ君のボートだろ?」

ジョージ「あ!僕のボートだ!!」

ペニ「こっちで一緒に遊ぼうよ、楽しいよぉ」

楽しいと言っても排水口である。一体何ができるというのであろうか。
顔をしかめるジョージを見てペニーワイズは続ける。

ペニ「道路は危ないんだ…車が走ってるんだジョージ…そっちに行ったら駄目なんだ」

手に持ったボートを揺らすペニーワイズ。怪しいとわかっていてもそれに手を伸ばすジョージはまだ子供だ。

ペニ「今度こそ君を救ってみせる…もう君を失いたくない…」

その瞬間、ペニーワイズがジョージの腕をがっしりと掴んだ。

ペニ「YOU'LL FLOAT TOO!!」

ジョージは死んだ。

6: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/06(火) 00:42:31.750 ID:8J7VbjSx0.net
棺桶に入ったジョージ
周りには生前彼と親交があった者や親族などが集まった。

ジョージは道路で遊んでいたところを車にはねられた。

しかし目撃者によると、事故直前まで誰かと話していたジョージを見たという…

……………………………………………………

飛べよおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!


そして全てが巻き戻る。

7: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/06(火) 00:48:37.946 ID:8J7VbjSx0.net
ジョージ「土砂降りの雨だ!こんな日は紙を折ったボートを道路脇で流して遊ぼう」

…………………………

ジョージ「僕のボートが!!」

紙で作ったそのボートは道路脇を流れる水と同じように排水口に吸い込まれていった。

?「はぁいジョージ」

突然ピエロが現れた。名前をペニーワイズというらしい。なぜこんなところにいるのだろうか。怪しい。

ペニ「風船は好きかい?」

ジョージ「もう行かなきゃいけないんだ」

ペニ「いいからこっちに来るんだ!!」

語気を強めるペニーワイズ。

排水口からぬるりと伸びたその腕は、ジョージの細腕を引きずり込むのには十二分であった。


そしてジョージは死んだ。

8: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/06(火) 00:52:01.723 ID:8J7VbjSx0.net
巻戻る

そして繰り返される
……………………………………………………


ジョージ「ボートが!!」

ペニ「行かないで!」

ジョージ「変なピエロw」

ペニ「いくな!俺を信じてくれ!」


ジョージは死んだ
車に轢かれたのだ

そしてまた巻戻る

……………………………………………………………………

9: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/06(火) 00:56:01.410 ID:8J7VbjSx0.net
ハァイジョージハァイジョージハァイジョージハァイジョージハァイジョージハァイジョージハァイジョージハァイジョージハァイジョージハァイジョージハァイジョージハァイジョージハァイジョージハァイジョージハァイジョージハァイジョージ

何度も何度も同じ場面を繰り返す。
その違和感に誰も気づくことはない。ただ一人を除いて…


ペニーワイズである。

排水口からジョージを見つめて言う。


ペニ「もう疲れたよジョージ…疲れたんだ」

ペニ「どう足掻いても君を救うことができない。」

ペニ「どうやっても世界線はジョージが車に轢かれて死ぬという死に収束するんだ…」

ペニ「俺は一体どうしたら…」

10: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/06(火) 00:57:33.293 ID:8J7VbjSx0.net
?「」

11: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/06(火) 01:02:12.103 ID:8J7VbjSx0.net
?「はぁいペニーワイズ」

ペニ「!?」

どこか聞き覚えのある声と語調。なぜだろう、親近感がある。まるで自分と話してるようだ。

?「はじめましてだな、27年前の俺」

ペニ「お、お前、ペニーワイズか?」

未来ペニ「そう俺は踊るのが好きなピエロさ」

未来の自分だという謎の声に耳を傾けるペニーワイズ。
この超怪異的現象を疑いもせず受け入れたのは、彼の精神状態がそこまですり減ってたからである。

未来ペニ「ジョージを救うことに失敗したのだな。さぞ辛かっただろう」

未来ペニ「だがその辛さが俺に執念を与えた」

12: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/06(火) 01:07:26.751 ID:8J7VbjSx0.net
未来ペニ「いくつものおすすめをしてきたからこそ、ジョージを助けたいというお前はそこにいる」

ペニ「…」



未来ペニ「これより…オペレーション""IT"を開始する」

未来ペニ「お前のその手で世界を拓け、それが"運命石の溝"に到達するための条件だ」

ペニ「''運命石の溝"だと…!?」


未来ペニ「検討を祈る」


未来ペニ「YOO'LL FLOAT TOO」

13: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/06(火) 01:13:48.157 ID:8J7VbjSx0.net
声が途切れた。ペニーワイズは我に返る。

ペニ「ククッ……2017年にもなってスティーブン・キングだと?ワーナーはどうかしてるな!」



ペニ「…」

ペニ「俺は狂気のマッドピエロ…」

ペニ「未来は俺の手の中にある…!!!」


YOU'LL FLOAT TOO!!!!!

………………………………………………
………………………………
………………
……

14: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/06(火) 01:22:32.252 ID:8J7VbjSx0.net
ジョージは助かった。


ペニーワイズは未来の自分の言葉の意味がよく分からず、ジョージの死が収束するまでに、州の全ての車を素手で破壊したのだった。


ただこれで二人の記憶も、出会うはずの必然さえも失われてしまった。

……
…………
………………
……………………
…………………………   

ジョージ「雨だしボートで遊ぶか(あの日から僕は誰かを探している)」

ジョージ「(それが誰かはわからない)」

ジョージ「(ただ助けてもらったお礼が言いたい)」

道路脇を流れるボートはやがて排水口に吸い込まれていった。

ジョージ「ボートが!(誰だったんだろう…会いたい!会いたい!)」


排水口に落ちたボートを覗き込むジョージ。

ジョージ「(僕は誰を探しているんだろう)」
 
ジョージ「(やっぱり全部夢だったのかなあ)」

ボートはすでに遥か地下に流され何処にあるのか検討もつかない。覗き込んだ動作を無駄だったとため息を付きながら顔をあげようとしたその時


「はぁいジョージ」

15: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/06(火) 01:24:32.421 ID:8J7VbjSx0.net
おわり

引用元: 少年「雨降ってるから道路で遊んだろwwwww」?「はぁいジョージ」