1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 00:32:25.362 ID:Q4VLePPM0.net
ブロロロロロ…

『次は○△台三丁目~、○△台三丁目~』

『お降りになる方は、降車ボタンを押して……』



男(例の件どうするかな~……早く決断しないと)

男(お、俺はここで降りるんだ)

男(降車ボタン押すの、結構好きなんだよな~)スッ…

4: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 00:35:06.639 ID:Q4VLePPM0.net
ピンポーン…

男「!?」

『次、停車いたします』

男(誰だ、押しやがったのは!?)キョロキョロ

女「……」

男(あの女かっ! よくも……!)

女「フフッ」

男「な……!」

6: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 00:38:11.879 ID:Q4VLePPM0.net
ブロロロロロ…


女「……」スタスタ…



男(ちくしょう、押し負けた……!)

男(だが、明日こそは! 明日こそはァッ!)

7: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 00:41:22.024 ID:Q4VLePPM0.net
翌日――

ブロロロロロ…

『次は○△台三丁目~』



男「よし、この瞬間に押すッ!」サッ

女「……」ピンポーン

男(また!)

女「フフッ」

男(ぢ、ぢくじょ~~~~~!)

9: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 00:44:11.116 ID:Q4VLePPM0.net
ブロロロロロ…

『次は……』



男「早めに押してやるぅ!」ピンポーン

女「……」

男「ハッハー、ざまあみろ!」

10: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 00:47:30.470 ID:Q4VLePPM0.net
『次の○△台二丁目で停車いたします』



男「あっ!?」

男(しまった、焦りすぎてひとつ前の停留所で押してしまった……)

男「すみません、今の間違いです!」

運転手「気をつけて下さいね~」

男(くそっ、とんだ恥をかいた……!)

女「フフッ」

男「おのれぇ~!!!」

13: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 00:50:40.676 ID:Q4VLePPM0.net
―レストラン―

男「……ったく、最近調子狂うな」

男(ファミレスで豪遊して、ストレス解消といこう)

男(えーと、どれにしようかな……)

男(ったく、例の件の決断といい、俺は決断力がないなぁ……)

男(ハンバーグとグラタンと……ドリンクバーと……)

男(……よし、やっと決まった。注文ボタン押すか)

14: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 00:53:17.951 ID:Q4VLePPM0.net
ピンポーン…

男「は!?」

男(俺が押そうとしたら、誰かが押しやがった!)

男「まさか!」バッ

女「フフッ」

男「またお前かぁぁぁ!」

店員「ご注文をどうぞ」

16: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 00:56:18.084 ID:Q4VLePPM0.net
―駅―

男「あれ、ない!? ない!?」ゴソゴソ…

男「あー……家に置き忘れたっぽい」

男(ICカード忘れたから、切符買わないと……めんどくせー)

男(ええといくらだ? 250円か……)

男(1000円札入れて、と)

17: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 00:59:08.902 ID:Q4VLePPM0.net
ポチッ

男「……!」

男(誰かが250円のボタンを……!)

女「フフッ」

男「やっぱりお前か! なんなんだ一体!」

女「……」サッ

男「あっ、逃げやがった! ――待てっ!」

後ろの客「ちょっとぉ~、早くしてよ!」

男「あ、すみません!」

20: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 01:02:16.428 ID:Q4VLePPM0.net
―ATM―

男(あぶねー、財布に1000円しか入ってないとは)

男(とりあえず、二万ぐらい下ろしとくか)

男(キャッシュカード入れて……暗証番号は……)

ピッピッピッピッ

男「ん? 手が割り込んできて、暗証番号を勝手に……」

23: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 01:05:11.688 ID:Q4VLePPM0.net
女「フフッ」

男「お前だと思ったよ!」

男「てか、なんで俺の暗証暗号知ってるんだ!? 勝手に押してんじゃねーよ!」

女「……」ピッピッ

ATM『どうぞ、お受け取り下さい』

男「あっ、ついでに二万円も引き出しやがった! 金額ピタリだよ、ちくしょう!」

女「……」サッ

男(二万円には手をつけず逃げた……なんなんだマジで)

26: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 01:08:08.200 ID:Q4VLePPM0.net
―友人の家―

男(例の件、まだ決心がつかない……どうしよう)

男(ええい、たまには友達と酒でも飲みながらダベるか)

男(留守じゃなきゃいいけど……)

女「……」ポチッ

ピンポーン…

男「あっ!」

友『どなた?』

27: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 01:10:08.179 ID:Q4VLePPM0.net
女「フフッ」

男「くそぉ~!」

友『この声はお前か! どうした? なにかあったのか?』

男「あ、いや……なんでもない。それより飲まないか?」

男(いつもいつもボタンを押そうとすると、現れやがって……!)

28: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 01:13:06.491 ID:Q4VLePPM0.net
―自宅―

男「……」グビッ

男「ふぅ~……」

男(例の件、早く決断しなきゃなぁ……)

男(とりあえず、テレビでも見るか……。バラエティ番組見て気晴らししよう……)

男(リモコンの電源を……)

ピッ

29: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 01:16:07.107 ID:Q4VLePPM0.net
女「フフッ」

男「お前! とうとう俺の家にまでやってきやがって!」

男「どうやって入った!?」

女「……」ササッ

男「待て! 逃げるなーっ! ゴキブリかてめえ!」

男(数々の勝負に勝ってきた俺だが、あの女にだけは敵わねえ……!)

30: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 01:19:24.907 ID:Q4VLePPM0.net
……

……

部下「例の件、ご決断下さいましたか?」

男「ああ……」

部下「上に立つ者は、時として非情な判断が必要なのです」

男「分かってるよ……」

男(ずっと先延ばしにしてきたけど、ついに決断を迫られる時がきたか……)

男(だけど……!)

31: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 01:22:08.957 ID:Q4VLePPM0.net
男(どうしても最後の決心がつかない……!)

男(一国を滅ぼしてしまう、核兵器のスイッチを押すかどうかなんて……!)

男(あの国は放っておけば、確実に我が国……いや全世界のガンとなる!)

男(国際世論も俺を非難はしないだろう!)

男(今ここで一発で滅ぼさねば……! だけど俺には……!)

男(一国の指導者として押さなきゃいけないのに、押せない……!)プルプル…

ポチッ

女「フフッ」

男「お前は……!」

33: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 01:25:43.433 ID:Q4VLePPM0.net
部下「ミサイル着弾! 例の国は消滅しました!」

部下「よくぞご決断なさいました!」

男「……」

女「押してあげたわ……いつものように」

男「ありがとう……」

男(俺には押せなかった……。俺には国を消す覚悟がなかった……)

男(それを、全部この女が引き受けてくれたんだ……)

34: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/11/08(木) 01:28:04.308 ID:Q4VLePPM0.net
男「今だから言おう。俺は君にムカつきながらも、常に先に押してしまう君に惚れてたんだ」

男「どうか、俺と一緒になって欲しい!」

女「……」

男(そして、ここで返事を聞く前に押し倒す!!!)

女「……」ガバッ

男「うおっ!?」ドサッ…

女「フフッ」

男(ハハ……またしても先に押されてしまったか……)





― 終 ―

引用元: 男「バスの降車ボタンをいつもクソ女に先に押される」