地の四天王「光の勇者よ、助けてくれ!」 前編

520: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 15:51:32.76 ID:ua+8PPg4o
書きます


水の四天王「祝福の聖女よ、式が中止になりましたわ」

521: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 15:54:58.37 ID:ua+8PPg4o
祝福の聖女(以下、聖女)「えっ、婚約発表の式が……ですか?」

水の四天王(以下、水王)「ええ、何者かが侵入して……」

聖女「そ、それって一大事じゃないですか!?」

水王「……そうですわね」


水王「この私――水の四天王の顔も潰してくれましたの」

水王「犯人を捕らえたら……ふふっ、どうしてくれましょうね!」


聖女「と、とりあえず落ち着きましょう! ねっ!?」

522: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 15:58:42.55 ID:ua+8PPg4o
水王「はぁ……全く、事後処理も大変でしたのよ」

聖女「水の四天王さん……お疲れ様です」

水王「うふふっ、貴女のその言葉だけでも癒やされますわ」

聖女「そ……そうですか?///」


水王「ええ、貴女のお陰でこれからも頑張れそうですわ」

水王「彼の――地の四天王の領地を侵略するのを!」グッ!


聖女「それは良かった……」

聖女「……って、侵略!?」

523: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 16:01:16.01 ID:ua+8PPg4o
聖女「えっ!? 四天王同士で……戦争ですか!?」

水王「うふふっ、まあ……ある意味ではそうですわね」

聖女「だっ、大丈夫なんですか!? そんな事して!」

水王「勿論、抜かりはありませんわ」


水王「地の四天王の領地の民達も……ええ」

水王「とても、感謝してくれているんですのよ」


聖女「か……感謝……?」

524: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 16:04:33.89 ID:ua+8PPg4o
聖女「し、侵略で……戦争なんですよね?」

水王「貴女は、私と地の四天王の領地が隣なのはご存知?」

聖女「はい……知っています」

水王「それで……彼は、今不在でしょう?」


水王「その隙を突いて、ね?」

水王「――水の四天王が居ると、地の領地はとても助かる」

水王「……と、地の領地の民達が思う様に行動してるんですの!」


聖女「それって……どういう事ですか?」

525: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 16:08:23.71 ID:ua+8PPg4o
水王「具体的には、上下水道設備の充実ですわね」

聖女「は、はあ……」

水王「あとは、農耕に必要な河の流れを操作したり……」

聖女「……えっと、つまり」


水王「地の領地の民達に、感謝の言葉と共に聞かれますの」

水王「――水の四天王様は、地の領地のためにどうしてここまで……?」

水王「……うふふっ! なんてね!」


聖女「……外堀を埋めてるってことですか!?」

526: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 16:13:49.75 ID:ua+8PPg4o
水王「私、聞かれたらこう答えるようにしてますの」

聖女「な、何て答えてるんですか……?」

水王「……うふふっ!」

聖女「……!」


水王「――貴方達は、彼の愛する領地の民達ですもの」

水王「――ならば、彼が不在の時に私が動くのは当然ですわ」

水王「……ってね! うふふっ!」


聖女「物凄く色んな憶測が飛び交いそうな返しですね!?」

527: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 16:20:36.19 ID:ua+8PPg4o
水王「この間も、街を視察していたら言われましたの……」

聖女「なっ、何て!? 何て言われたんですか!?」

水王「小さな子供と言うのは、時に驚くような事を言いますわよね……」

聖女「えっ?」


水王「――地の四天王様と、水の四天王様っていつ結婚するの?」

水王「……ですって! うふふふっ!」

水王「私、驚いてしまって! もう! うふふっ!」


聖女「小さな子供まで、そういう風に思ってるんですか!?」

528: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 16:31:02.51 ID:ua+8PPg4o
水王「周囲に居た大人達は、慌ててしまって……」

聖女「他の領地を収める四天王相手……ですもんね」

水王「けれど、小さな子どもに罪はありませんわ」

聖女「水の四天王さん……」


水王「だから、ね?」

水王「その子の頭を撫でながら――」

水王「――残念ですけど……水の四天王の私でも、わかりませんの」

水王「――地の四天王様に、聞いてくださいな」

水王「……と、微笑み、許してあげましたわ」


聖女「……想像しただけで和やかになります!」

529: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 16:38:42.87 ID:ua+8PPg4o
水王「それを見ていた、伝統の職人の方が居ましてね?」

聖女「地の領地で、伝統と言うと……」

水王「石工や、彫刻ですわね」

聖女「そうでした! 本当に、見事な細工ですよね!」


水王「その……職人の方達がね?」

水王「広場に建っている、地の四天王の像の隣に……」

水王「私の――水の四天王様の像を立てる……と、盛り上がってしまって」

水王「……うふふっ! 困ってしまいましたわ!」


聖女「……」

聖女(すみません、魔王さん……今だけは……!)


聖女「……もおおおお! 困ってる顔じゃないですよー!」

530: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 16:47:45.56 ID:ua+8PPg4o
水王「けれど、彼の像よりも大きく作ると言っていたんですの!」

聖女「えっ? それって……良い事じゃないんですか?」

水王「……いいえ、そんな事はありませんわ」

聖女「えっ?」


水王「――私は、支えに来たのです」

水王「――決して、あの方より目立とうとは思いません」

水王「……ねっ? わかるでしょう?」


聖女「すっ、凄いです! えっ、あっ、あっ、わっ!」

聖女「わ、私も……その台詞、どこかで使って良いですか!?」

531: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 16:57:53.53 ID:ua+8PPg4o
水王「……結局、そのお話はお断りしましたわ」

聖女「えっ!? どうしてですか!?」

水王「……言い出した職人の方達が、ね?」

水王「地の四天王の像を作った方達だったみたいで……」

聖女「……どう断ったんですか?」


水王「――腕の悪い職人には、頼めませんわ」


聖女「ええっ!? そんな事言っちゃったんですか!?」


水王「――広場の、地の四天王の像を見れば……腕はわかります」

水王「――地の四天王は、もっと凛々しい顔立ちですわ」


聖女「うう――っ!?/// 聞いてるこっちが恥ずかしいです!///」

532: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 17:04:53.87 ID:ua+8PPg4o
水王「なので、今は……地の四天王の像を作り直してますの」

聖女「えっ、と……出来はどうなんでしょう?」

水王「私も、その原因なので見に行きはするんですけれど……」

聖女「その言い方だと、見られてないんですか?」


水王「私の意見を全て聞いたら、別人になってしまう、って」

水王「……うふふっ! だから、出来てからのお楽しみなの!」


聖女「もーっ、水の四天王さんったら!///」

聖女「ふふっ……似てない様に見えても、怒っちゃ駄目ですよ?」

533: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 17:14:23.11 ID:ua+8PPg4o
水王「けれど……彼の妹が問題なのです」

聖女「えっ? 地の四天王に……妹さんが居たんですか?」

水王「ええ、とても可愛らしい子ですのよ」

聖女「へええ……でも、問題って?」


水王「――義姉上、と」

水王「‘まだ’そう呼んではいけないと、何度も言うのに……うふふっ!」


聖女「もう、妹さんも攻略済みなんですか!?」

534: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 17:26:25.17 ID:ua+8PPg4o
水王「彼の両親は、もう遠方でご隠居なさってますし」

聖女「えっ、それじゃあ……」

水王「彼が不在の今、留守を預かっているのは彼の妹ですの」

聖女「それは……大変そうですね」


水王「当然、不慣れな事もありましたわ……」

水王「けれど、水の四天王の私もフォローしましたもの」

水王「……あの兄には勿体無い――と、言われていますわ!」


聖女「……」

535: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 17:32:58.01 ID:ua+8PPg4o
聖女「水の四天王さん、あのっ……!」

水王「? どうかしましたの?」

聖女「……!」


聖女「もし! もし……恋敵が出てきたら、どうしますか!?」


水王「……祝福の聖女?」


聖女「お願いします、答えてください!」


水王「……」

水王「――当然、戦いますわ」


聖女「……!」

536: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 17:40:46.96 ID:ua+8PPg4o
聖女「ま……魔法の撃ち合いとか、ですか」

水王「えっ!? そ、そんな事しませんわよ!?」

聖女「えっ!? そ、そうなんですか!?」

水王「もうっ! 貴女は、とんだ勘違いをしていますわ!」


水王「――水の四天王の戦いは、とても静か」

水王「それは……恋の戦争と言えど、同じ事ですわ」

水王「……うふふっ!」

水王「陣地の形成は……もう、済んでいましてよ?」


聖女「……水の四天王さん」


水王「まあ、最悪の場合は武力行使をしますけれどね?」


聖女「やっぱり、勘違いじゃなかったじゃないですかー!」

537: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 17:46:29.37 ID:ua+8PPg4o
  ・  ・  ・

光の勇者(以下、勇者)「おい」

大地の魔女(以下、地女)「んー?」モグモグ

勇者「寝転がって菓子を食いながら返事をするな!」

勇者「お前……そういえば、自分の領地は良いのか?」


地女「うむ!」

地女「俺の配下の者達は、出来る者達が揃っているからな!」

地女「ふはは! それは、俺を見ればわかるだろう?」


勇者「ああ……お前が頭でも、うまく機能してたんだもんな」

538: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 17:53:27.72 ID:ua+8PPg4o
勇者「気になったりはしないのかよ?」

地女「それは、まあ……多少はな?」

勇者「たまには、見に行かなくて良いのか?」

地女「大丈夫だろう」


地女「俺の――地の四天王の領地の民達」

地女「奴らは、心配せずとも大丈夫だ」

地女「ふっ……何せ、俺が帰るべき場所の者達だしな!」


勇者「……早く問題を片付けて、帰ってくれよな」

539: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 18:04:58.07 ID:ua+8PPg4o
地女「ふむ……その時は、お前も遊びに来い!」

勇者「勇者を遊びに招く四天王が何処に居る!」

地女「ふはは! 罠の可能性を恐れているのか!」

勇者「罠の方が気分的にマシだよ!」


地女「俺の妹は、この姿の俺に似て美少女だぞ!」クネッ!

地女「お前が祝福の聖女にフラれたら、紹介してやろう!」


勇者「余計なお世話だ!」

勇者「地の四天王! 俺は、お前とは違う!」

勇者「……って、お前妹居たのかよ!?」


地女「……はっはっは!」


地女「何にせよ、領地に戻る時が楽しみだな!」



おわり

544: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 22:18:41.83 ID:ua+8PPg4o
書きます


火の四天王「剣の乙女、お前に大事な話がある」

545: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 22:21:26.39 ID:ua+8PPg4o
剣の乙女(以下、乙女)「あら、思ったよりも元気そうじゃない」

火の四天王(以下、火王)「……ああ、まあな。それで、話というのは――」

乙女「――待って」

火王「? 剣の乙女?」


乙女「……火の四天王」

乙女「随分と雰囲気が違うけれど……何があったの?」


火王「っ!? す、鋭いな……」

546: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 22:26:02.24 ID:ua+8PPg4o
火王「それは……これからする話に関わりがある」

乙女「……ふぅん?」

火王「その……だな……!」

乙女「……随分と、言いにくそうね」


乙女「……当ててあげるわ」

乙女「火の四天王、貴女――‘女’になったわね?」


火王「っ!!?」

火王「すっ、鋭すぎないか!!?」

547: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 22:30:11.33 ID:ua+8PPg4o
火王「なっ、何故それがわかった!?」

乙女「脚さばき、雰囲気、そして……魔力が増しているもの」

火王「……それでわかるのは、お前位なものだろうな」

乙女「もう、話はわかったわ」


乙女「貴女……私を笑いに来たんでしょう!?」

乙女「光の勇者は――光の加護」

乙女「祝福の聖女は――愛の祝福」

乙女「剣の乙女は――鉄の処女、って!」


火王「鈍い!!!」

549: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 22:35:24.29 ID:ua+8PPg4o
火王「私が、そんな事でお前を笑う筈がないだろう!?」

乙女「良いのよ、わかってるわ」

火王「全然わかっていないぞ!?」

乙女「良いのよ、慣れてるもの」


乙女「男には――あれだけ美人で‘まだ’って……なんか怖くね?」

乙女「……とか!」

乙女「女には――剣の道を歩いてるのに、バージンロード歩いてるよね」

乙女「……とか!」

乙女「……陰で、散々言われてきたんだから!!」


火王「剣の乙女! おっ、落ち着いてくれ! 頼む!」

550: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 22:39:47.52 ID:ua+8PPg4o
火王「私は、お前を笑ったりなどはしない!」

乙女「相手は誰? 中止になった、婚約発表の相手?」

火王「ち、違う! お……お前の……よく知る人物だ」

乙女「私の、よく知る人物……?」


乙女「……」

乙女「……光の勇者?」


火王「あああ、違う違う!」

火王「光の勇者ではない! 良いか!? 違うからな!?」

551: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 22:45:20.69 ID:ua+8PPg4o
火王「ほら! い、居るだろう!?」

乙女「私のよく知る人物となると……ねえ、まさか……?」

火王「その……だ、大地の魔女だ……!」

乙女「……ねえ、待って頂戴」


乙女「それが本当なら……」

乙女「……大地の魔女のお姉様は――」


乙女「――     が、生やせるって事?」


火王「ま、まあ……ある意味では」

火王「しかし、何というか……真剣な顔で、その単語はやめてくれるか?」

552: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 22:50:15.19 ID:ua+8PPg4o
乙女「もしかして、婚約発表の場を壊したのも……お姉様?」

火王「……そう、だな」

乙女「そして、貴女を‘女’にした……と?」

火王「……ああ///」


乙女「――閃!」

ヒュッ―!


…ゴガァァンッ!


火王「っ!?」

火王(何という剣速だ! それに、離れた場所の岩を真っ二つに……!)


乙女「……」

553: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 22:54:00.57 ID:ua+8PPg4o
乙女「……火の四天王、ここからは偽りは許さないわ」

火王「……ああ、無論だ」

乙女「少し、移動しましょう」

火王「私は……此処でも構わない」


乙女「? 何を言ってるの?」

乙女「あの、斬った岩の所まで行くわよ」


乙女「――それで、どんなだったか描いて教えて頂戴」


火王「……か」

火王「描いて教える!?」

554: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 22:58:44.13 ID:ua+8PPg4o
乙女「貴女、絵は得意かしら?」

火王「まあ……苦手ではないが……」

乙女「だったら、早く……ん、この小石で良いわね」

火王「まっ、待て! 私に、何を描けと!?」


乙女「そんなの、決まってるでしょう」

乙女「大地の魔女のお姉様の――     よ」


火王「剣の乙女!? お前、本気で言っているのか!?」

555: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 23:04:45.34 ID:ua+8PPg4o
乙女「……敵を知り己を知れば、百戦危うからず」

火王「こ、小石を握らせないでくれ!」

乙女「? なら、どうやって描くつもり?」

火王「描くつもりは無い!」


乙女「良いじゃないの!! 描いて教えてよ!!」

乙女「もおおおおお!! もおおおおお!!」

乙女「ねえ、火の四天王!! あのね!!?」

乙女「私が!! 怒ってないと!! 思ってるの!!?」


火王「すっ、すまない! 描く! 描くから、落ち着いてくれ!」

556: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 23:09:53.43 ID:ua+8PPg4o
乙女「出来るだけ、正確に描いて頂戴」

火王「……静と動が、ハッキリしているな」

乙女「ねえ、早くして」

火王「……どうしてこうなってしまったんだ……!?」


火王「た、確か……こんな感じ、で」

カリカリ…


乙女「……嘘でしょう?」


火王「こう……だったぞ(ボワッ)///」

カリカリ…


乙女「……絵が下手過ぎて、全然わからないわ!!」

557: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 23:17:02.09 ID:ua+8PPg4o
乙女「ねえ、私は何を描いてと言ったか覚えてる?」

火王「お、   ……お、覚えている!(ボワッ)///」

乙女「他の物を描いてとは、言ってないわよ?」

火王「わ……わかりやすいかと思ったんだ!」


乙女「火の四天王、貴女――……」

乙女「……」

乙女「口頭と……こう、手で教えて頂戴」


火王「可哀想な物を見る目を向けないでくれ!」

558: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 23:23:59.16 ID:ua+8PPg4o
乙女「長さは?」

火王「な、長さは……こ、この位?」

乙女「!? ふ、太さは!?」

火王「確か……こ、この位だった気がする」


乙女「……」ジィッ


火王「どうした?」


乙女「いえ、そこに……こんなのが入ったのかと」ジィッ


火王「!?(ボワッ)///」

火王「そういう目を向けるのもやめてくれ!(ボワッ)///」

559: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 23:32:25.86 ID:ua+8PPg4o
乙女「や、やっぱり痛かった?」

火王「喜びで、体の昂ぶりが凄くて……(ボワッ)///」

乙女「ど、どんな風に? ねえ、どうやって?」

火王「こう、私が上になって……(ボワッ)///」


乙女「うっ、上になって!?」

乙女「……うう、上になって!?」


火王「この話は、そろそろやめにしてくれないか!?(ボワッ)///」

560: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 23:41:10.60 ID:ua+8PPg4o
火王「大事な話があると言っただろう!?」

乙女「そんな……ええっ……?/// う、上に……?///」

火王「剣の乙女、戻ってきてくれ!」

乙女「……え、な……何?」


火王「――剣の乙女」

火王「お前は人間で、敵だが……私にとって、大切な友人だ」

火王「だから――」


火王「――こちら側に、付く気は無いか?」


乙女「……」

561: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 23:48:47.80 ID:ua+8PPg4o
乙女「……残念だけど、それは出来ないわ」

火王「……やはり、そうか」

乙女「ええ、私がこう答えると……わかってたでしょう?」

火王「……まあ、な」


火王「それd」


乙女「じゃあ、話を戻すわね」

乙女「上に乗って……あ、貴女が腰を振ったの?」ジィッ!


火王「~~~っ!(ボワッ)/// 剣の乙女!(ボワッ)///」

562: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/15(木) 23:58:46.37 ID:ua+8PPg4o
火王「お前は、どうしてそう……そっちに話を行かせたがる!?」

乙女「だ、だって……仕方ないじゃないの!」

火王「何が仕方ないんだ!?」

乙女「……だって!」


乙女「こんな事を聞けるの、貴女位なんだもの!」

乙女「他に、誰に聞けって言うの!?」


火王「つ、剣の乙女……」


乙女「世界を救う勇者パーティーの一員の――剣の乙女が!」

乙女「     や、   の事を誰に聞けるって言うの!」


火王「す、すまない……確かに、お前の言う通りだ」

563: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 00:11:31.07 ID:wp+PDzrqo
乙女「私だって……怖いものは、怖いの」

火王「……わかった」


火王「――この、火の四天王!」

火王「お前のために、出来うる限りの事はしよう!」


乙女「火の四天王……!」


火王「お前には……色々と借りもあるからな」


乙女「じゃ、じゃあ――」

乙女「私の時は、一緒に居てくれる!?」


火王「……」

火王「えっ!!?」

564: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 00:19:26.76 ID:wp+PDzrqo
  ・  ・  ・

光の勇者(以下、勇者)「おい」

大地の魔女(以下、地女)「んー?」パタパタ

勇者「寝転がって足パタパタさせて本読んでんじゃねえ!」

勇者「お前……火の四天王は、どうなったんだ?」


地女「うむ!」

地女「よくわからんが、時間が欲しいらしい」

地女「愛と友情と仕事と……とにかく、板挟みだそうなのだ」


勇者「……その点、お前は悩みがなさそうだな」

565: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 00:24:06.48 ID:wp+PDzrqo
地女「何を言う、俺とて悩みの一つや二つはある」

勇者「お前の行動からすると、少なすぎるぞ?」

地女「悩んでいても、始まらんしな」

勇者「……で? その、悩みってのは何だよ?」


地女「いや、最近……剣の乙女がな?」

地女「――私も、覚悟しています」

地女「と言ってくるのだが……何の覚悟かわからんのだ」


勇者「……くれぐれも、これ以上ややこしくするなよ?」

566: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 00:39:21.29 ID:wp+PDzrqo
地女「まあ……時が来れば、自ずと分かるか」

勇者「……お前、考えるのやめたな?」

地女「うむ! なるようにしかならんからな!」

勇者「どうしてそんなに楽観的になれるんだよ!」


地女「ふはは! それが俺の長所なのだ!」

地女「並大抵の輩には、真似出来んだろうがな!」


勇者「真似したいとも思わねえよ!」

勇者「地の四天王! 絶対に、パーティー内で揉めるなよ!?」

勇者「……最近、祝福の聖女も時々様子が変になるし……!」


地女「……はっはっは!」


地女「光の勇者よ、存分に思い悩むが良い!」



おわり

571: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 19:49:03.06 ID:wp+PDzrqo
書きます


大地の魔女「祝福の聖女よ、相談とは何だ?」

572: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 19:52:35.62 ID:wp+PDzrqo
祝福の聖女(以下、聖女)「……すみません、急に呼び出して」

大地の魔女(以下、地女)「なぁに、気にすることはない!」

聖女「……お姉ちゃん」

地女「うむ! お姉ちゃんに、何でも相談するが良い!」


聖女「……」

聖女「……奇跡が……起きちゃったんです」


地女「……」

地女「奇跡?」

573: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 19:56:50.78 ID:wp+PDzrqo
地女「奇跡が起きたのなら、良い事では無いか?」

聖女「はい……そう、なんですけど……」

地女「祝福の聖女よ、何を暗い顔をしているのだ?」

聖女「……」


聖女「……」

聖女「……子供が……出来たんです」


地女「……」

地女「……何だと?」

574: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 19:59:15.33 ID:wp+PDzrqo
地女「誰が?」

聖女「……私に」

地女「誰との?」

聖女「ゆ、勇者様とのです!」


地女「それは――」


聖女「っ……!」ビクッ!


地女「めでたいではないか!!」


聖女「……」

聖女「えっ?」

575: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:01:35.34 ID:wp+PDzrqo
地女「光の勇者は、その事を知っているのか!?」

聖女「い、いえ……まだです……」

地女「ふはははははっ! 奴が、父親か!」

聖女「あ……あのっ!」


聖女「おっ……怒らないんですか!?」


地女「何故だ!?」


聖女「え……ええっ!?」

576: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:06:08.76 ID:wp+PDzrqo
地女「怒る理由が、何処にあると言うのだ!?」

聖女「で、でもっ!」


聖女「私達は、世界を救う旅をしてる最中なんですよ!?」

聖女「そ、それなのに……妊娠だなんて……!」


地女「子を授かった事を喜ばぬ世界など滅びれば良いのだ!!」

地女「ええい! 何ならば、この手で直々に滅ぼしてくれる!!」


聖女「……!」

聖女「お……お姉ちゃん……!」ポロポロッ

577: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:13:02.00 ID:wp+PDzrqo
地女「あああ……!? な、何故泣く……!?」

聖女「わ、わた……ふ、不安で……!」ポロポロッ

地女「……大丈夫だぞ、何も不安になる事など無い」

聖女「だ……誰にも、言えなくっ……て……!」ポロポロッ


地女「大地の魔女の――お姉ちゃんの胸で好きなだけ泣くのだ」

地女「……ほうれ、触り心地の良い美乳だぞ!」

ぎゅっ!

聖女「っ……! うっ、えええっ……!」ポロポロッ


地女「……」

地女(……ぬうう! どうしたものか!?)

578: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:19:24.63 ID:wp+PDzrqo
  ・  ・  ・

聖女「……えへへ、いっぱい泣いちゃった///」

地女「うむ!」

聖女「……ありがとう、ちょっとスッキリした」

地女「はっはっは! おかげで、服がビショビショだ!」


聖女「……お願いがあるの」

聖女「この事は……誰にも言わないで」


地女「……」

地女「……むう」

579: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:26:17.74 ID:wp+PDzrqo
地女「誰にも言わず、どうするつもりだ?」

聖女「……パーティーを抜けて、隠れて過ごすつもり」

地女「何だと?」

聖女「だって……子供が出来たって、バレたら――」


地女「うむ」

地女「お前は、確実に狙われるだろうな」

地女「光の勇者と、祝福の聖女の子など……生かしておく訳にはいかん」

地女「魔の者にとっては、天敵の様な存在だからな」


聖女「……うん」

580: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:28:36.83 ID:wp+PDzrqo
地女「だがな? お前が抜けて、どうなる?」

聖女「えっ?」

地女「抜けた後のパーティーの事を考えてみるのだ」

聖女「それは……」


地女「うむ」

地女「祝福の聖女が不在のパーティーなど、取るに足らんな」

地女「最初の内は良いかもしれんが、次第に厳しくなるだろう」

地女「それ程までに、お前の存在は大きい」


聖女「……」

581: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:37:56.85 ID:wp+PDzrqo
地女「まあ、お前もそれがわかっていたのだろう?」

聖女「うっ……ふぅっ……!」ポロポロッ

地女「あああ! 責めているのではないぞ!」

聖女「で……でもっ……!」


地女「一緒に、考えるのだ」

地女「なぁに、大抵の事はなんとかなるものだからな!」


聖女「……ふふっ」

聖女「お姉ちゃんが言うと……本当に、そんな気がしてくる」

582: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:48:17.79 ID:wp+PDzrqo
  ・  ・  ・

地女「……」

地女(今日は、それぞれが考えて、明日……という事になったが)


地女「……どうしたものかなぁ」


地女「……」

地女(地の四天王として考えるならば――またと無い好機)

地女(聖女を庇いながら戦う勇者を仕留め……)

地女(後は、残った剣の乙女と祝福の聖女を殺す……と)


地女「光の加護も、愛の祝福も無くなり――」

地女「――多分、色々バレて俺も死んでしまうなぁ」


地女「……どうしたものかなぁ」

583: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 20:55:26.83 ID:wp+PDzrqo
地女「むう……!」


地女(闇の魔王様は、祝福の聖女を友人と仰っているが……)

地女(むう……どう動かれるか、わからんな)


地女「むうう……!」


地女(他の四天王達も……どう動くかわからん)

地女(……ええい、女心は理解出来ぬ!)


地女「むううう……!」


地女(剣の乙女は? そもそも、光の勇者の加護はどうした!)

地女(この俺――地の四天王が、追い詰められているではないか!)


地女「……ええい! わから――んっ!!」

584: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 21:07:54.50 ID:wp+PDzrqo
地女「俺は、こういった小賢しい事は考えられんのだ!」


地女「大地の魔女として生きようとも!」

地女「追い詰められていき……俺は死ぬ!」

地女「光の勇者、祝福の聖女、剣の乙女……」

地女「……誰が欠けても、俺は死ぬ!」

地女「そもそも!」


パァァ……ァァァ


地の四天王(以下、地王)「正体が、地の四天王とバレている!」

地王「そして、勇者達を全滅させたら……俺は死ぬ!」

地王「酔った勢いで、  ちゃったので……」

地王「……痴情のもつれで、俺は死ぬ!」


地王「……ぬあああん! どうすれば良いのだ――っ!?」

585: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 21:19:40.58 ID:wp+PDzrqo
地王「何か……何か無いものか……!?」

地王「こう、良い感じに……」


地王「勇者達の旅が休止しつつ……」


地王「魔王様達も、動きを止め……」


地王「……俺が! 生き残る方法は!」


地王「……」


地王「ええい、駄目だ!」

地王「思いつく考えは、どれも最終的に俺が死ぬ!」

586: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 21:27:03.58 ID:wp+PDzrqo
地王「ぬうう……! どうすれば良いのだ……!?」


―ガチャッ

勇者「おい、微妙に外に声が漏れて――」


地王「おっ、おのれぇ……光の勇者……!」

地王「この俺をここまで追い詰めるとは……!」


勇者「……はっ?」


地王「! 現れたな、このクズめ!」


勇者「はあっ!?」

587: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 21:32:53.48 ID:wp+PDzrqo
勇者「……」


…バタンッ!


勇者「――おい! 誰がクズだ! 誰が!」

地王「ええい、お前以外に居らんだろうが!」

勇者「お前が言える台詞じゃねえよ!」

地王「何を言っているのだ!」


地王「父親になるとも知らず、のほほんとしおって!」

地王「……」

地王「今の無し!」


勇者「……」

勇者「はっ?」

588: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 21:38:44.15 ID:wp+PDzrqo
地王「地の四天王、何も言っていない」

勇者「何だその一人称!? おい、もう一度言え!」

地王「地の四天王、何も言っていない」

勇者「そっちじゃねえよ! 父親とか言ったよな!?」


地王「……光の勇者よ」

地王「祝福の聖女には、誰にも言わないでと言われたのだ」

地王「だから……なっ? この通り、なっ?」


勇者「な……何で……! よ、よりによって……!」

勇者「お前の口から聞かされなきゃいけねえんだよおおおおお!?」

589: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 21:43:13.91 ID:wp+PDzrqo
勇者「おい、何でお前がそれを知ってる!?」

地王「俺が、聖女のお姉ちゃんだからだ」

勇者「……聖女の所へ行ってくる!」

地王「っ!?」


地王「待て! 行って、どうするつもなのだ!?」


勇者「抱き締めるに決まってんだろうが!!」


地王「うむ!! 行け、光の勇者よ!!」

590: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 21:53:50.36 ID:wp+PDzrqo
  ・  ・  ・

地王「いやぁ~……どうしたものかなぁ」

地王(勇者のあの様子なら……旅の休止は受け入れられるだろうな)


地王「……だがなぁ」

地王(腹が出てくれば、確実にバレるからなぁ)

地王(下級の魔族でも、数が多ければ凌ぎきれんだろうしなぁ)


地王「……むうう」

地王「どうしたものかなぁ」

591: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 22:00:59.05 ID:wp+PDzrqo
地王「ぬうう……!」


闇の魔王(以下、魔王)「地の四天王よ、どうした?」


地王「!? ま、魔王様!」

魔王「魔王様、だと?」

地王「! も、申し訳ありません……!」


魔王「二人きりの時は……ハニー、と」

魔王「そう、呼ばないと拗ねると言った筈だが?」


地王「も、申し訳ありません……ハニー……!」

592: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 22:10:37.58 ID:wp+PDzrqo
地王「し、しかし……恐れながら!」

魔王「どうした? 其方は、何を恐れる?」

地王「は……ハニー呼びは、流石に恥ずかしいのです!」

魔王「何を言う」


魔王「其方は――余の、彼ピッピであろう?」モジモジ

魔王「ハニーと呼ぶは、当然の義務と知れ」モジモジ


地王「は……はっ!」

593: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 22:15:24.24 ID:wp+PDzrqo
魔王「だが……余の影に引き込まれても、気付かぬとは」

地王「い、いつの間に!?」


魔王「地の四天王よ、椅子になれ」


地王「……御意!」

…どすっ!

地王「……さ、どうぞ」


魔王「うむ」

…ぽすんっ


魔王「地の四天王の玉座は――城の玉座よりもほっこりするな」


地王「……勿体なきお言葉」

594: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 22:24:51.78 ID:wp+PDzrqo
魔王「して……其方は、何を考えていた?」

地王「いえ……大した事ではありませぬ」

魔王「余の魔眼を欺けると思っているのか?」

地王「っ……!」


魔王「余ではない、他の女の事で思い悩むとは……」

魔王「……地の四天王よ、其方に罰を与える」


地王「ば、罰……ですか……!?」


魔王「――今日は、敬語を禁ずる」


地王「な、何と……!? 敬語を……!?」

595: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 22:33:42.69 ID:wp+PDzrqo
魔王「余の命に、逆らうつもりか?」

地王「では、普通に話させて貰うぞ」

魔王「……ふふっ、それで良い」

地王「しかし、ハニーよ」


地王「毎回、このやり取りをする必要があるのか?」

地王「最近、ちょっとまどろっこしく思ってきたのだ」


魔王「……ある!」

魔王「これをやらぬと……その、上手く切り替えが出来ぬ!」

596: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 22:40:01.08 ID:wp+PDzrqo
魔王「それで? 其方は、何を悩んでいた?」

地王「……それは、秘密なのだ」

魔王「何? 余にも言えぬ事なのか?」

地王「言えんなぁ……」


魔王「もしも、余以外の……他の女の事だった場合――」

魔王「――今、言わねば……」

魔王「誰のとは言わぬが、命は無いと思え?」


地王「祝福の聖女の事なのだ!」

597: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 22:50:35.65 ID:wp+PDzrqo
魔王「そうか……祝福の聖女、か」

地王「うむ」

魔王「お姉ちゃんと呼ばれ、慕われているそうだな」プクー!

地王「……」


地王「うむ……お姉ちゃん、困っているのだ」

もにっ、もにもにっ

魔王「ぷふっ! んむむむっ……ん~っ」


地王「……はぁ、困ったのだ」

魔王「……頬のもにもにを続けよ」

598: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/16(金) 23:03:15.60 ID:wp+PDzrqo
魔王「祝福の聖女の事で、悩んでいる……と」

地王「うむ……こんなに悩むとは、思わなんだ」

魔王「……不愉快だな」

地王「?」


魔王「祝福の聖女は、余の……ゆ、友人」

魔王「だが、其方は余の事だけ考えて居れば良い」

魔王「……ふふっ、喜べ」


地王「ぬう……?」


魔王「地の四天王よ、祝福の聖女に関する悩み」

魔王「……闇の魔王が――滅してやろう」



おわり

603: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 10:06:16.13 ID:CMkDw/X/o
書きます


闇の魔王「祝福の聖女よ、余の魔眼は欺けぬ」

604: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 10:12:25.53 ID:CMkDw/X/o
祝福の聖女(以下、聖女)「っ……!」

闇の魔王(以下、魔王)「ふふっ、そう構えるな」

聖女「貴女は、私を……どうするつもりですか……!?」

魔王「何、少しばかり話をするだけだ」


魔王「その、子の――」

魔王「――名前は考えているのか?」


聖女「……き」

聖女「気が早すぎやしませんか!?」

605: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 10:19:35.49 ID:CMkDw/X/o
聖女「それに……祝福の聖女と、光の勇者様の子なんですよ!?」

魔王「ああ、聖なる力を其方の内から今でも感じるぞ」

聖女「っ……!?」


魔王「さて、では――」

スッ―


聖女「影から……それは、魔導書!?」


魔王「――この書から、名付けの方法を学ぶが良い」


聖女「……」

聖女「えっ!?」

606: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 10:25:52.75 ID:CMkDw/X/o
魔王「どうした? 祝福の聖女よ、受け取れ」

聖女「あ……ありがとう、ございます」

魔王「礼は要らぬ」


魔王「さて、では――」

スッ―


聖女「影から……無数の魔導書が!?」


魔王「――結婚の情報に関する書」

魔王「――妊娠、出産に関する書」

魔王「――育児に関する書」

魔王「ふふっ……余は、一通り揃えている」


聖女「か……数が多いので、とりあえずしまってください!」

607: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 10:32:13.94 ID:CMkDw/X/o
聖女「え、ええと……!?」

魔王「この様な時、男は頼りにならぬと言うからな」

聖女「そ、それは……はい、よく聞きますね」

魔王「ならばこその、備えよ」


魔王「祝福の聖女よ」

魔王「何かあれば……何時でも余を頼れ」


聖女「……魔王さん……!」

608: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 10:39:08.94 ID:CMkDw/X/o
聖女「本来、敵である私を……見逃してくれるんですか?」

魔王「其方は、何を言っている?」

聖女「えっ? だ、だって……」

魔王「……ふむ」


魔王「――闇の魔王に、敵など居らぬぞ」

魔王「何人足りとも、余の前では無力」

魔王「我が闇の魔力は――全てを呑み込むのだから」


聖女「ぜ、絶望的な台詞なのに……それが頼もしい!」

609: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 10:47:48.68 ID:CMkDw/X/o
魔王「力の差を知り、まだ抗うと言うのなら……それも良かろう」

聖女「わ、私達は……人間は、負けません!」

魔王「ほう、面白い」

聖女「……!」


魔王「ならば――三年の時を与える」

魔王「それだけの時があれば、赤ちゃんに関しても落ち着……」


聖女「えっ!?」


魔王「……それだけの時があれば、余を楽しませるだけの」

魔王「――戦いになる程度には、力を付けられよう」


聖女「……」

聖女「……闇の魔王さんっ!」

610: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 11:00:18.11 ID:CMkDw/X/o
  ・  ・  ・

光の勇者(以下、勇者)「――クソッ! 一体、何を話してるんだ!?」

地の四天王(以下、地王)「光の勇者よ、心を鎮めるのだ」

勇者「だけど! 聖女と魔王が、二人きりなんだぞ!?」

地王「だが、今のお前に何が出来ると言うのだ」


地王「……光の勇者よ」

地王「俺は――既に、死を覚悟しているぞ」


勇者「地の四天王……まさか、お前……!?」

勇者(魔王を裏切って……こちら側について、戦うつもりか!?)


地王「……」

地王(酒を飲んで寝ている内に、全て解決しておらんかなぁ)

611: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 11:05:14.23 ID:CMkDw/X/o
聖女「で、でも……他の魔族が、黙ってないと思うんです」

魔王「余の意に反し、其方を襲う者が出てくると?」

聖女「……はい」

魔王「ふむ……そうかも知れぬな」


魔王「ならば、全て滅ぼすか?」

魔王「余は、地の四天王が――」

魔王「――彼ピッピが居れば、それで良い」


聖女「そ、それは……暴君すぎませんか!?」

聖女「それとあと、教えたのは私だけど……彼ピッピ呼びはやめません!?」

612: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 11:08:31.05 ID:CMkDw/X/o
  ・  ・  ・

勇者「地の四天王……お前、良いのか?」

地王「良いも何も、こうなっては仕方が無いのだ」

勇者「っ……!」

地王「心残りがあるとすれば……」


地王「光の勇者よ」

地王「お前と、心ゆくまで存分に酒を酌み交わしたかったぞ」


勇者「っ……地の四天王っ……!」

613: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 11:15:42.45 ID:CMkDw/X/o
  ・  ・  ・

聖女「だ、だけど……もし、そうなっても……」

魔王「人間側が――其方が子を生む事を良しとせぬ、か」

聖女「はい、私が……しばらく、戦えなくなりますから」

魔王「ふむ……」


魔王「やはり、全て滅ぼすか」

魔王「そう……全てをな……!」


聖女「そ、それもちょっと!」

聖女「あのっ! 一度、滅ぼす所から離れませんか!?」

614: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 11:18:58.82 ID:CMkDw/X/o
  ・  ・  ・

勇者「……馬鹿野郎、何言ってやがる」

地王「む?」

勇者「酒なんか、いくらでも飲めば良いじゃねえか」

地王「……光の勇者?」


勇者「最後まで、諦めるんじゃねえ」

勇者「お前は――光の勇者の仲間だろ?」


地王「っ……光の勇者……!」

615: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 11:36:50.65 ID:CMkDw/X/o
  ・  ・  ・

魔王「だが、滅ぼさぬとなると……少し面倒だな」

聖女「……」


魔王「勇者の一行が、旅を中断せざるを得ず……」


魔王「そこに、迂闊に手を出せぬと思う状況……」


聖女「そんな状況……!」


魔王「――ある」


聖女「……」

聖女「えっ?」

616: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 11:46:57.78 ID:CMkDw/X/o
  ・  ・  ・

勇者「……行こう、二人の所へ」

地王「……まあ、逃げられはせんだろうからな」


地王「――むん」

パァァ……ァァァ

大地の魔女(以下、地女)「はあ……どうしてこうなったのだ」

地女「……光の勇者よ」

地女「お前の光の加護を……頼りにしているぞ」


勇者「……ああ、任せとけ」

勇者「っと……こういう時は、やっぱり言っておくべきだよな」


地女「む?」


勇者「地の四天王よ、助けてくれ」

617: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 11:52:57.89 ID:CMkDw/X/o
  ・  ・  ・

地女「――地の四天王よ、助けてくれ」キリッ!

勇者「お前! 本当もうマジでやめろってえええええ!!」

地女「はっはっは! 良いではないか、良いではないか!」

勇者「クソッ……チクショウ……!」


地女「さすがは、闇の魔王様だ!」

地女「まさか、あんな案を思いつくとはな!」

地女「やはり男は駄目だな、男は!」


勇者「お前も男だろうがよおおおおお!!」

618: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 12:00:08.05 ID:CMkDw/X/o
勇者「っていうか、どうして聖女と魔王があんなに仲が良いんだよ……!」

地女「ぷくく! お前の顔、傑作だったぞ!」

勇者「っぐ……うおお……!」

地女「床に、正座させられ――」


地女「――考えの足りぬ男だな」

地女「――己が欲望を制御出来んとは」

地女「――其方は、それでも光の勇者か?」

地女「……と、魔王様に説教されているお前の顔はだ!」


勇者「ふっ……ぐうおお……!」

619: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 12:14:25.20 ID:CMkDw/X/o
地女「うむ、だが……奇跡は仕方無いよな? うむ、奇跡は」

勇者「変ななぐさめすんなよ!」

地女「お前も、避妊魔法は使っていたのだろう?」

勇者「その……盛り上がって、雰囲気で……」


地女「――この、馬鹿者が!」

地女「男側が魔法を使うのがエチケットだと教えたではないか!」

地女「それに、女の言う――大丈夫――は、信用するなと!」

地女「お前の油断が、この事態を招いたのだ!」


勇者「言い返せないからって……ここぞとばかりに……!」

620: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 12:24:04.57 ID:CMkDw/X/o
地女「だが――魔王様の智謀には恐れ入ったぞ!」

勇者「ああ……本当にな」

地女「うむ!」


地女「大地の魔女に――地の四天王が封印された事にする」

地女「こうなれば……魔族は、迂闊に手を出せぬ」

地女「何せ、この俺を封印する程の力があるのだからな!」

地女「この、地の四天王を!」


勇者「だが……それと引き換えに、大地の魔女も大量に魔力を失った」

勇者「それに気付かれないよう、一時的に身を隠す」

勇者「……地の四天王を封印する程の力の持ち主だ」

勇者「人間側としても、無理をさせて失うのは大きな痛手になる」


地女「うむ!!」

621: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 12:37:01.13 ID:CMkDw/X/o
地女「主要な者達に、声をかけておく必要があるがな!」

勇者「……ああ、そうだな」

地女「と、言うわけで……ちょっと行ってくるのだ!」

勇者「いやお前、軽く言ってるけど大丈夫か!?」


地女「光の勇者よ、案ずるな!」

地女「俺から説明しないと、納得せぬ者も居るだろう」

地女「それにな? ほら……あれだ」

地女「色々と、バレちゃうかも知れんしな?」


勇者「俺は、そっちの心配をしてんだよ!」

622: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 12:46:48.80 ID:CMkDw/X/o
地女「無論、わかっている」

勇者「本当にわかってんだろうな!?」

地女「うむ! 俺は、この計画の要だからな!」

勇者「……そうじゃねえよ」


勇者「……地の四天王」

勇者「お前は、俺と思いっきり酒を飲むんだろう?」

勇者「だから――必ず、生きて帰って来いよ」


地女「……ぬうっ……不覚!」

地女「この地の四天王をキュンとさせるとは……!」


勇者「キュンとか言うんじゃねえよ気持ち悪ぃな!!」

623: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 12:53:47.62 ID:CMkDw/X/o
地女「浮気は――聖女のお姉ちゃんとして、許さんぞ?」

勇者「するわけねえだろ!」

地女「妊娠中に娼館に行くのはセーフか、話し合っておけよ?」

勇者「行くわけねえだろ!?」


地女「……うむ! それでこそ、俺が見込んだ男!」

地女「光の勇者よ、やはりお前は天晴な奴だ!」


勇者「ああもう、わかったら行ってこい!」


地女「だが、お前に……一つだけ忠告しておこう」

地女「――酒は、飲んでも呑まれるなよ?」


勇者「良いからさっさと行けってんだよおおおおお!!」



おわり

630: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 20:26:09.88 ID:CMkDw/X/o
書きます


地の四天王「光の勇者よ、俺は無力だった」

631: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 20:30:17.36 ID:CMkDw/X/o
光の勇者(以下、勇者)「地の四天王!? もう戻ってきたのか!?」

地の四天王(以下、地王)「……うむ」

勇者「無力だった、って……何があったんだ?」

地王「俺には……もう、何も出来ぬ状況だったのだ」


地王「……地の領地、水の領地、火の領地、風の領地」

地王「どこも、顔を出したら結婚せざるを得ない感じになっていたのだ!」


勇者「……」

勇者「はあっ!?」

632: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 20:32:39.34 ID:CMkDw/X/o
勇者「待て待て! どうしてそうなった!?」

地王「俺は、まず自らの領地――地の領地に向かった」

勇者「ああ……妹さんに、留守を頼むって話だったな」

地王「……ところがな」


地王「俺の留守中に、水の四天王が妹を懐柔していたのだ!」

地王「俺の屋敷に、何故か水の四天王の部屋があったのだ!」


勇者「滅茶苦茶入り込まれてるじゃねえか!?」

633: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 20:36:31.75 ID:CMkDw/X/o
勇者「それ、本当に水の四天王の部屋だったのか!?」

地王「間違いない! これを見るが良い!」

勇者「……ん? なんだコレ……?」

地王「うむ!」


地王「水の四天王の、お気に入りの下着なのだ!」

地王「見ろ! 水の魔力で編まれた、スケスケの下着だ!」


勇者「自宅で下着泥棒して帰ってきてんじゃねえええええ!!」

634: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 20:40:41.29 ID:CMkDw/X/o
地王「水の四天王はナイスバディな上、この下着……そそるぞ~?」

勇者「あ、ああ……って、そういう話じゃねえだろ!?」

地王「加えて、広場の俺の像の隣に……水の四天王の像が建っていたのだ」

勇者「……えっ?」


地王「なのでな? 見つかったらマズイと思い、撤退した」

地王「すまぬ……成果は、この下着しか無い」


勇者「お前、本当にそれは心の底から謝ってくれ!!」

635: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 20:51:08.00 ID:CMkDw/X/o
地王「そして、水の領地の――水の四天王だ」

勇者「!? 水の四天王に会ったのか!?」

地王「はっはっは! そんな訳が無かろう!」

勇者「そうだよな! 外堀埋められまくってるもんな!」


地王「色々と、仕事の引き継ぎをしているようだったな」

地王「水の四天王は――嫁に来る準備を着々と進めているようだ」


勇者「なんか……本当に、地に足ついた生き方してんな」

636: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 20:54:14.18 ID:CMkDw/X/o
地王「まあ、なので……次に行ったのだ」

勇者「次って言うと――火の四天王だな」

地王「うむ」

勇者「火の四天王なら、割と話が簡単に行ったんじゃないか?」


地王「それがな? 火の領地に踏み入ったらな?」

地王「火龍王に決闘を申し込まれたのだ」


勇者「……」

勇者「はああっ!?」

637: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 20:59:40.43 ID:CMkDw/X/o
勇者「火龍王って、火の四天王の父親にか!?」

地王「うむ! 先代の、火の四天王なのだ!」

勇者「それで……ど、どうなったんだ!?」

地王「うむ!」


地王「――我を倒さねば、娘には会わせぬ!」

地王「……と、言われてな」


勇者「お前……それ、よくある‘アレ’じゃねえか!!」

638: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 21:08:23.19 ID:CMkDw/X/o
勇者「お前のような奴に娘はやれん、とか言われたんだろ!?」

地王「おおっ! 光の勇者よ、よくわかったな!」

勇者「やっぱり、プロポーズした事になってんじゃねえか!!」

地王「うむ……それには、俺も慌ててな」


地王「――ならば、帰る!」

地王「……と、一旦出直そうとしたのだ」

地王「火龍王には……幼き頃から、世話になっているからな」

地王「そんな、恩のある相手をボコる訳にもいくまい?」


勇者「いや……それ! それ、お前……!?」

639: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 21:12:43.37 ID:CMkDw/X/o
地王「すると、火龍王は怒り狂ってな……」

勇者「そうだろうな! 父親の立場なら、怒るよな!」

地王「プロポーズは誤解だ、と言おうとしたのだがな?」

勇者「言ったのか!?」


地王「……言えなかったのだ」

地王「――火の四天王と、その母君が突然現れてな」


勇者「……陰で見てたんだろうな」

640: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 21:23:13.54 ID:CMkDw/X/o
地王「もう怒る怒る……怒りに釣られて火山も噴火してな」

勇者「……妻と娘に怒られる父親、か」

地王「絶え間ない口撃に、火龍王も為す術が無かったぞ」

勇者「それで……お前は、どうしたんだよ?」


地王「――また今度、出直して来て!」

地王「……そう、二人に言われてな」

地王「助けを求めるような火龍王の視線を振り切り、撤退した」


勇者「その状況なら……まともに話も出来なさそうだしな」

642: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 21:32:02.07 ID:CMkDw/X/o
地王「そして、俺は風の領地――風の四天王を訪ねたのだ」

勇者「流石に、風の四天王は話がスンナリ行ったよな!?」

地王「まあ……話すには、話したぞ!」

勇者「? 何か、ひっかかる言い方だな」


地王「身を隠す間、風の領地に留まる事を条件に出された」

地王「風の四天王の狙いは、恐らく――事実婚なのだ」


勇者「いや……えっ、そうなのか!?」

643: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 21:40:36.91 ID:CMkDw/X/o
勇者「純粋に……善意とかじゃないのか?」

地王「残念だが、それは無いぞ」

勇者「いや、そんなのわからねえだろ!?」

地王「光の勇者よ、風の四天王を甘く見るな」


地王「奴は――風の結界を用意していた」

地王「地属性の俺では……その結界の出入りは出来ぬのだ」


勇者「……お前、さりげなく一番の危機だったのか!?」

644: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 21:49:29.15 ID:CMkDw/X/o
地王「ふはは! だが、みすみすやられる俺では無い!」

勇者「まあ……此処に居るってことは、逃げられたんだもんな」

地王「うむ!」

勇者「お前……どうやって逃げたんだよ?」


地王「――お前は、良い嫁になりそうだな!」

地王「と、そう言って照れている間に颯爽と撤退した」

地王「……死中に活を見出したのだ!」


勇者「お前……邪推だったら、自分で自分の首を締めただけだぞ!?」

645: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 22:02:22.46 ID:CMkDw/X/o
地王「しかし、まあ……風の四天王の協力は取り付けた……な?」

勇者「ああ、まあ……そうだな」

地王「水の四天王は顔を合わせられず……火の四天王は保留だ」

勇者「……それで、こんなにすぐ帰ってきたのか」


地王「……こんな成果では、おめおめと帰れなかった」

地王「己の無力を嘆いた俺は――酒場へと赴いたのだ」


勇者「……」

勇者「待て」

646: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 22:10:17.58 ID:CMkDw/X/o
地王「久々の酒は美味かった! ああ、美味かった!」

勇者「お前……飲んで、どうした!?」

地王「銘酒『竜殺し』! スルリとした飲み口で、カパカパいけた!」

勇者「酒の感想なんか聞いちゃいねえんだよ!」


地王「朝起きたら見知らぬ女がベッドに居たのだ!」

地王「薄らぼんやりと、  ちゃった記憶があるのだ!」


勇者「なんでお前はそうなんだよおおおおお!?」

647: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 22:17:32.98 ID:CMkDw/X/o
勇者「お前! それでどうしたんだ!?」

地王「うむ! その女が寝てる間に逃げてきたぞ!」

勇者「このクズ! んあああもう、このクズ!」

地王「大丈夫だ! 俺が、地の四天王とはバレていない! 多分!」


地王「それでな? 確か……」

地王「雷の――勇者だったか、女帝だったかと言っていたのだが……」

地王「光の勇者よ、どちらだと思う?」


勇者「俺に聞くんじゃねえよおおおおお!!」

648: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 22:26:47.51 ID:CMkDw/X/o
勇者「お前って奴は……どうしてだよ!?」

地王「うむ……俺も、自分で自分が恐ろしい」

勇者「いっそ、全部話した方が早いんじゃねえか!?」

地王「光の勇者よ、何を言っている!」


地王「和平など、有り得ぬ!」

地王「――全滅か!」

地王「――先延ばしか!」

地王「既に……和解など出来ぬ状況なのだ!」


勇者「お前のせいでな!」

649: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 22:33:03.42 ID:CMkDw/X/o
地王「それでな? 先延ばししている間に、なっ?」

地王「良い感じに、時が解決してくれると……俺は信じているのだ」


勇者「クソッ……どうして、こんなにややこしくなったんだ!」


地王「――光の勇者よ、すまぬな」

地王「俺が、酔って  ちゃったばかりに、迷惑をかけている」


勇者「本当にな!?」


地王「だが……そのおかげで、こうして気安く話せる仲になれた」

地王「その点に関しては、俺に感謝しても良いのではないか?」


勇者「うるせえよ!……うるせえよ!!」

650: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 22:45:30.57 ID:CMkDw/X/o
地王「何にせよ、あまり時間は残されていない」

勇者「まあ……そうだな」

地王「祝福の聖女のお腹が目立つ前に、何とかせねばな!」

勇者「……本当にな!」


地王「さて……それでは」

パァァ……ァァァ

大地の魔女「――明日に備えて、今日はもう寝るか!」


勇者「くそっ……どうしてこうなったんだ……!」

651: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 22:53:21.75 ID:CMkDw/X/o
  ・  ・  ・

祝福の聖女(以下、聖女)「……という訳なんです」

剣の乙女(以下、乙女)「……なるほどね」

聖女「すみません……迷惑をかけちゃいますよね」

乙女「何を言ってるのよ、水臭い」


乙女「――赤ちゃんと、光の勇者との結婚」

乙女「祝福の聖女……本当に、おめでとう」



聖女「ふふっ……ありがとうございます」

652: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/17(土) 23:01:59.10 ID:CMkDw/X/o
乙女「旅が中断している間……私達が、貴女も守るわ」

聖女「剣の乙女さん……」

乙女「光の勇者と、私と……大地の魔女のお姉様の三人で、ね」

聖女「本当に……ありがとうございます……!」


乙女「猶予は三年、でしょう?」

乙女「それだけあれば……私も、お姉様との子供を授かれると思うの」

乙女「だから、私も感謝してるわ」


聖女「……はい?」


乙女「ふふっ! きっと――奇跡が起きると思うのよね!」


聖女「……」

聖女「えっ!?」



おわり

656: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/18(日) 19:52:02.73 ID:CrfyuX0vo
書きます


地の四天王「光の勇者よ、世話になった!」

657: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/18(日) 19:55:41.43 ID:CrfyuX0vo
地の四天王(以下、地王)「俺とお前は、本来ならば敵同士!」

地王「だが、お前は……そんな俺を救ってくれた!」

地王「お前が居なければ、とうに俺の命は尽きていただろう!」

地王「……ふっ」


地王「光の勇者よ! 例え、敵同士であろうとも……」

地王「お前は……俺の――真の友だ!」


地王「友よ、本当に世話になった!」

658: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/18(日) 19:58:47.02 ID:CrfyuX0vo
  ・  ・  ・

光の勇者(以下、勇者)「……まあ、そうだな」

勇者「だけどな? 地の四天王」

勇者「なんで……こんな朝っぱらから、そんな事を言うんだ?」

勇者「……と、いうか――」


地王『む、ちょっと待つのだ光の勇者よ』

地王『酔い止め? 何を言う!』

地王『この俺は、酒には酔うが船酔いなどせぬわ!』


勇者「――お前はどこに居んだよおおおおお!?」

659: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/18(日) 20:03:10.16 ID:CrfyuX0vo
勇者「起きたら、お前の痕跡は綺麗サッパリなくなってるし!」

勇者「大体、どっから思念波飛ばしてんだ!? 酔い止め!?」

勇者「地の四天王! まさかとは思うが……」

勇者「――全部放り出して、逃げる気じゃねえだろうな!?」


地王『光の勇者よ』

地王『大地の魔女として、お前達と……仲間と過ごした日々!』

地王『俺は、決して忘れる事はないぞ!』


勇者「待て! 待て待て待て待て! 待て!!」

661: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/18(日) 20:08:26.72 ID:CrfyuX0vo
勇者「お前、ふざっ……ふざけんなよ!?」

勇者「計画にしても、まだお前の仕事が残ってんだろうが!」

勇者「せめて、それを片付けてからにしろよ!」

勇者「やる事をやってからだろ!? なあ、おい!!」


地王『光の勇者よ、後は任せた!』

地王『……と、引き継ぎは果たされた!』

地王『お前ならば、見事やり遂げてみせるだろう!』


勇者「ふっざけんじゃねえぞこらあああああ!?」

663: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/18(日) 20:14:09.00 ID:CrfyuX0vo
勇者「お前は、真の友と言っておきながらそういう事するのか!?」

勇者「状況が状況なら、感動する台詞だよ!」

勇者「けどなぁ! この状況で言われても怒りしか湧かねえよ!」

勇者「さっさと戻って来い! 冗談じゃねえぞ!?」


地王『光の勇者よ、何を言っているのだ』

地王『――俺とお前は、本来ならば敵同士!』 

地王『……と、言う訳でな?』

地王『お前を困らせる事に、何の躊躇いもない!』


勇者「……こんのクズ野郎があああああ!!」

664: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/18(日) 20:20:17.92 ID:CrfyuX0vo
  ・  ・  ・

地王「まあ、俺とてこの決断をするのは躊躇った」

地王「……だが!」

地王「俺は、気付いた! 気付いちゃったのだ!」


地王「――あれ?」

地王「何がどう転んでも、俺が死ぬ状況になっているな?」

地王「……とな!」


勇者『俺がぶっ殺してやるから戻って来いやあああああ!!』

665: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/18(日) 20:26:17.31 ID:CrfyuX0vo
  ・  ・  ・

勇者「そもそも、お前が原因だろうが!」

勇者「勇者に尻拭いを頼む四天王が何処に居る!?」

勇者「っつーか、友とかいう発言はどうしたんだよ!」

勇者「お前、友に対する仕打ちがこれか!?」


地王『ほう! クラーケンが出るかも知れぬと!』

地王『ふはは! 酒のツマミにしてくれるわ!』


勇者「聞けよお前はよおおおおお!?」

666: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/18(日) 20:35:37.78 ID:CrfyuX0vo
勇者「……もうキレた」

勇者「ああ、上等だよ! 地の四天王!」

勇者「お前の所業を洗いざらいぶちまけてやるよ!」

勇者「そうすりゃ、魔王や四天王達がお前を追うだろうからな!」


地王『光の勇者よ、やめておくのだ』

地王『――何故、お前がそれを知っているのか?』

地王『と、いう流れになったらな? なっ? わかるだろう?』

地王『――俺の次に詰んでいるのは、お前なのだ』


勇者「……どチクショウがあああああ!!」

667: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/18(日) 20:39:47.33 ID:CrfyuX0vo
  ・  ・  ・

地王「それになぁ……嫌な予感がするのだ」

地王「こう、何と言うかな?」


地王「――今が、限界」


地王「――これ以上は、必ず誰かが不幸になる」


地王「……とな」

地王「まあ! その、誰か、の中に俺は確実に含まれているが!」


勇者『今は俺が不幸の真っ最中だよこらあああああ!!』

668: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/18(日) 20:43:04.04 ID:CrfyuX0vo
地王「――光の勇者よ!」

地王「お前は、この俺が見込んだ男!」

地王「どんな苦難にも負けず、未来を掴み取る!」

地王「――真の勇者だ!」


地王「それに……お前は、父親になるのだろう」

地王「へこたれている暇など……あるまい?」


勇者『余計なお世話だよくそったれえええええ!!』

669: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/18(日) 20:50:10.80 ID:CrfyuX0vo
  ・  ・  ・

勇者「あああもう! 何て言えば良いんだよ!?」

勇者「聖女は魔王と仲良くなってて……」

勇者「剣の乙女も、火の四天王と……」

勇者「それに! 他の四天王にも何て言えば!」


地王『光の勇者よ、案ずる事は無い!』

地王『お前が、良い感じに立ち回り……ほとぼりが冷めた頃!』

地王『――俺は、必ず戻ってくる!』

地王『お前と酒を酌み交わし……お前と聖女の子を見に、な』


勇者「まるっきり俺任せじゃねえかあああああ!!」

670: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/18(日) 20:53:55.70 ID:CrfyuX0vo
  ・  ・  ・

地王「ふはは! ならば、今一度言おう!」


地王「光の勇者よ、助けてくれ!」


地王「……と、言うわけで俺はもう船に乗り込む」

地王「なので、別れの挨拶はこれで終わりなのだ」


地王「――船に乗り遅れる訳にはいかんからな!」

地王「そして!」

地王「――もし出港が遅れでもしたら、気まずいのでな!」


勇者『なんでそういう所はまともなんだよお前はよぉ!?』

671: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/18(日) 21:01:08.43 ID:CrfyuX0vo
  ・  ・  ・

地王「まあ、なんだ」

地王「――待っていてくれ、必ず戻る」

地王「……とか言っておけば大丈夫なのだ! 多分!」

地王「それでは――光の勇者よ、さらばだ!」

地王「また、相まみえる日を楽しみにしているぞ!」


勇者『っ!? おい、ちょっとまっ』


地王「はい、終了……と」

地王「……さて」


地王「船室に行き、たらふく酒を飲んでくれるわ!」

地王「はっはっはっ! はぁ―――っはっはっはっ!!」

672: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/18(日) 21:10:25.56 ID:CrfyuX0vo
  ・  ・  ・

勇者「おい! ちょっ……おい、マジでか!?」

勇者「……」

勇者「マジでかぁ……!?」

勇者「……」


勇者「本当に……俺がやるしかねえのか……!?」

勇者「アイツの……超弩級の尻拭いを……!?」


勇者「……」


勇者「こんな事になるなら……!」


勇者「最初から、奴を倒しておくんだった……!」

673: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/18(日) 21:17:14.70 ID:CrfyuX0vo
  ・  ・  ・

地王「……う……むむ」

地王「……ふわぁぁあ……む」

地王「……」

地王「あー……たらふく飲んで、寝てしまったのだ」


地王「……む?」


地王「船室で飲んでいた筈なのだが……」


地王「……むうう?」



地王「俺は、どうして砂浜で寝ているのだ?」



おわり

677: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/19(月) 20:13:14.66 ID:t+7DveKTo
書きます


光の勇者「地の四天王、戻って来るなよ」

678: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/19(月) 20:18:44.49 ID:t+7DveKTo
光の勇者(以下、勇者)「……頼むぞ、本当に」

勇者「……」

勇者「顔も見たくない、ってのは正直ある」

勇者「……」


勇者「地の四天王、本当に頼むぞ」


勇者「……お前が戻って来たら――」


勇者「――地獄が始まる」

679: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/19(月) 20:25:29.60 ID:t+7DveKTo
  ・  ・  ・

祝福の聖女(以下、聖女)「ふんふん~ん♪」

聖女「……ふふっ!」


聖女(突然居なくなっちゃって……悲しかったけど)

聖女(でも――帰って、来るんだよね)

聖女(大地の魔女の……お姉ちゃん)

聖女(戻って来るの……楽しみだなぁ)


聖女「お姉ちゃん……闇の魔王さんとは、もう知り合いだから――」

聖女「――水の四天王さんも紹介したいな!」


聖女「それで、光の勇者様と、剣の乙女さんと……」

聖女「……私達の赤ちゃんと、皆で……えへへ///」

681: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/19(月) 20:40:32.81 ID:t+7DveKTo
  ・  ・  ・

闇の魔王(以下、魔王)「……ふふっ」

魔王「地の四天王よ……まさか、余をも欺くとは」


魔王(隠れ潜む間、余の側近として傍に置こうとしていたのだが)

魔王(計画が露見せぬ様、念には念を……という訳か)

魔王(ふっ……余は、きっと引き止めてしまっただろうな)

魔王(……地の四天王よ)


魔王「――其方は、今何処に居る?」

魔王「嗚呼、何故……余は、こんなにも苦しい思いをせねばならん」


魔王「……戻ったら、この苦しみの代償を支払って貰わねば」

魔王「ふふっ……地の四天王――其方自身で、な」

682: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/19(月) 20:47:52.44 ID:t+7DveKTo
  ・  ・  ・

水の四天王(以下、水王)「……ふぅ」

水王「地の四天王は……貴方は、まだ戻らないのね」


水王(けれど――待っていてくれ、必ず戻る)

水王(貴方がそう言ったらしいと……魔王様にお聞きしましたわ)

水王(皆の前では、戻ってこなくても良いと……虚勢を張るのが精一杯)

水王(けれど……次に貴方の顔を見た途端、涙が溢れてしまうでしょうね)


水王「――早く、戻ってきてくださいな」

水王「地の領地の民も、妹君も……祝福してくれますわ」


水王「……戻ったら、皆に二人で言いましょうね」

水王「私達が――愛し合っている、と」

683: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/19(月) 20:54:42.83 ID:t+7DveKTo
  ・  ・  ・

剣の乙女(以下、乙女)「――閃!」

乙女「……少し、休むか」


乙女(お姉様……あんまりよ)

乙女(恋人である私と、顔も合わせず行ってしまうなんて)

乙女(……けれど、もし面と向かって言われたら)

乙女(……私は、無理にでも貴女に着いて行ってしまったでしょうね)


乙女「……大地の魔女のお姉様」

乙女「貴女の思惑通り――戻るまで、私が聖女を守るわ」


乙女「その役目が終わったら……きっと」

乙女「私達にも――愛の奇跡が起きるわよね」

684: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/19(月) 21:02:59.15 ID:t+7DveKTo
  ・  ・  ・

火の四天王(以下、火王)「……はぁ」

火王「地の四天王……私の、愛しい人」


火王(パパは……ママと二人で叱り倒しておいたぞ)

火王(――言ってみたかった)

火王(……なんて、そんな理由だったんだからな)

火王(そもそも……婚約の話も、パパが最初に言い出したのに!)


火王「お前は……私を奪いに、単身乗り込んできてくれた」

火王「あの時の喜びが、今でも私に力を与えてくれる」


火王「……戻ったら皆に……剣の乙女に二人で言おう」

火王「地の四天王――大地の魔女は……火の四天王と結婚する、と」

685: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/19(月) 21:18:15.00 ID:t+7DveKTo
  ・  ・  ・

風の四天王(以下、風王)「どれ、少し味見……」

風王「……少し薄いけど、その方が良いかな」


風王(――お前は、良い嫁になりそうだな!)

風王(地の四天王……君は、恐ろしい男だよ)

風王(まさか、この僕が……料理の練習をするだなんて、ね)

風王(それもこれも……全部、君が悪いんだ)


風王「君を逃さないための風の結界に気づいていながら……」

風王「僕にあんな言葉をかけた意味が……わからない筈、ないだろ?」


風王「ははっ! エプロン姿は……気に入ってくれるかな?」

風王「君が戻ったら……誰を犠牲にしてでも、二人で居ようね」

686: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/19(月) 21:22:20.43 ID:t+7DveKTo
  ・  ・  ・

勇者「……お前がきっかけで、結ばれた友情もあった」

勇者「……」

勇者「それが無ければ、俺と聖女も……ただの仲間のままだった」

勇者「……ああ、驚いたよ」


勇者「――勇者様が浮気しても、私は怒りませんよ」

勇者「――全身の毛穴から血が吹き出し、激痛で発狂しますから」


勇者「……感謝はしてるさ!  ああ、凄くしてる!」

勇者「だけど……何か……! 何かなぁ!?」

687: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/19(月) 21:26:22.54 ID:t+7DveKTo
勇者「……だけど、地の四天王」

勇者「……」

勇者「お前が戻ってきたら……全部、終わるんだ」

勇者「……」


勇者「地の四天王よ」

勇者「頼むから……帰って来ないでくれ……!」


勇者「それが……俺の望みだ……!」

688: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/19(月) 21:31:51.41 ID:t+7DveKTo
  ・  ・  ・

地の四天王(以下、地王)「帰りたい! 今すぐにでも、帰りたい!」

地王「ええい、何なのだこの島は!」

地王「何故、溢れんばかりの聖なる力に包まれている!」

地王「おかげで、思念波も全く使えん!」


地王「伝説の、妖精達の楽園でもあるまいに!」


地王「泳いで離れようとしても、島の反対側についてしまう!」

地王「これでは、島から離れることすら出来ぬではないか!!」

689: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/19(月) 21:38:09.67 ID:t+7DveKTo
地王「何が楽園だ、図に乗るな!」

地王「まあ、確かに? 素晴らしい場所ではあるが?」

地王「俺は――」


地王「――肉が食いたい!」


地王「それに何より――酒が飲みたい!」


地王「どちらも無い島でなど、バカンスにならんわ!」

地王「……ええい!」


地王「魔法で、島を海の底に沈めてやろうか!」

690: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/19(月) 21:45:10.91 ID:t+7DveKTo
地王「そのためには……島の中央に行く必要があるな」

地王「あのでかい樹が……恐らく、島の中央か」

地王「……何とも見事な」

地王「もしもこの島が妖精達の楽園ならば……あれは世界樹か」


地王「まあ、だからどうしたという事も無いな!」

地王「俺は、一刻も早く酒が飲みたいのだ!」


地王「酒よ、待っていろ!」


地王「この地の四天王、すぐにでも舞い戻るぞ!」



第一部 おわり

714: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:16:21.23 ID:2DniCj+/o
三日三晩反省したので、全然違うの書いて練習します


狼男「勇者達に相談がある」

715: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:21:06.21 ID:2DniCj+/o
女勇者(以下、勇者)「ワンコが……相談?」

女魔法使い(以下、魔法)「どうしたの、ワンコ」

女僧侶(以下、僧侶)「ワンコちゃん?」


狼男「……確かに、仲間になる時に好きに呼べと言った」

狼男「……」

狼男「いや、その話は今は置いておこう」

716: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:24:09.35 ID:2DniCj+/o
狼男「相談というのは、戦闘中の事だ」


勇者・魔法・僧侶「戦闘中の事?」

勇者「別に……問題なんてある?」

魔法「無い、いつも安定してると思う」

僧侶「私も、そう思いますけど……」


狼男「君達にとっては問題では無いかも知れない」

狼男「……」

狼男「しかし、私にとっては改善したい事がある」

717: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:28:02.18 ID:2DniCj+/o
狼男「手間を取らせてしまって済まないが……」


勇者・魔法・僧侶「……」

勇者「良いよ! ワンコは、大事な家族だから!」

魔法「私も。家族を大事にするのは、当然」

僧侶「はい!……あっ、家族会議ですね!」


狼男「……仲間で」

狼男「パーティー会議という認識で頼む」

718: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:30:57.57 ID:2DniCj+/o
狼男「まず、勇者」

勇者「えっ、僕?」

狼男「ああ、そうだ」

勇者「えっと……何かな?」


狼男「私が、敵に効果的な攻撃を与えた時」

狼男「――その都度、小さな干し肉を放らないで欲しい」


魔法「そんなことを……」

僧侶「……してたんですか?」


勇者「……え、えへへ!」

719: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:35:35.63 ID:2DniCj+/o
魔法「でも、そんな素振りは見られなかった」

僧侶「いつの間にそんな事を?」


勇者「こう……ナイス! ってさ」


魔法「親指を立てて……」

僧侶「……よく言ってますね」


勇者「あれ……親指で、干し肉をワンコの方に弾いてたんだよね」


魔法・僧侶「……」

721: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:39:32.51 ID:2DniCj+/o
勇者「でも、本当に小さい干し肉だよ!?」

魔法「そういう問題じゃない」

僧侶「そうですよ! 危ないです!」


狼男「勇者、二人の言葉をよく聞いてくれ」


魔法「オヤツのあげすぎは、良くない」

僧侶「ちゃんとゴハンが食べられなくなります!」


狼男「勇者、二人の言葉は聞かなくて良い」

722: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:48:43.50 ID:2DniCj+/o
狼男「戦いの最中、隙を作るべきではない」

勇者「……うん、そうだね」

狼男「ありがとう、わかって貰えて良かった」


勇者「今度から、一匹倒した毎にするね!」

勇者「だから、今までよりも大きめな干し肉で!」


狼男「勇者、そうではない」

狼男「頻度と、干し肉の大きさは関係ない」

723: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:53:40.48 ID:2DniCj+/o
狼男「……次に、魔法使い」

魔法「私も?」

狼男「ああ、そうだ」

魔法「何?」


狼男「敵のモンスターを火の魔法で倒した時」

狼男「――その都度、焼き加減を報告しないで欲しい」


勇者「焼き加減を……」

僧侶「……報告?」


魔法「……」

724: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:58:34.65 ID:2DniCj+/o
勇者「確かに……何か、言ってるよね」

僧侶「小さな声で、戦闘中だから……」


魔法「ワンコなら、聞こえるから」


勇者「ワンコ、耳良いもんね!」

僧侶「はい! ピンと立った耳が、可愛いですよね!」


魔法「でも、食べてくれた事はない」


勇者・僧侶「……」

725: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 20:03:09.17 ID:2DniCj+/o
魔法「どれだけ上手に焼けても、食べてくれない」

勇者「上手に焼けたは関係ないって!」

僧侶「そうです! 魔物を食べるなんて、駄目ですよ!」


狼男「魔法使い、二人の言葉をよく聞いてくれ」


勇者「オヤツじゃなくて、ゴハンじゃん!」

僧侶「ワンコちゃんには、ちゃんとゴハン買ってるんですから!」


狼男「魔法使い、二人の言葉は聞かなくて良い」

726: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 20:07:01.07 ID:2DniCj+/o
狼男「魔物には、体内に毒を持つものも居る」

魔法「……確かに」

狼男「ありがとう、わかって貰えて良かった」


魔法「今度から、しっかり中まで火を通す」

魔法「ベリーウェルダンなら、大丈夫」


狼男「魔法使い、そうではない」

狼男「よく焼けば良い、という話ではない」

727: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 20:11:30.59 ID:2DniCj+/o
狼男「……最後に、僧侶」

僧侶「わ、私もですか!?」

狼男「ああ、そうだ」

僧侶「な、何ですか……?」


狼男「回復魔法を詠唱中、私がカバーに入っている時」

狼男「――その都度、撫で回さないで欲しい」


勇者「魔法を唱えてる間……」

魔法「……撫で回してる?」


僧侶「……あ……あははは……!」

728: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 20:18:11.50 ID:2DniCj+/o
勇者「えっ? 何? ズルくない!?」

魔法「ズルい、卑怯千万」


僧侶「ま、マイナスイオン! マイナスイオンです!」


勇者「わかるけど! 僕だって撫でたい!」

魔法「私も、詠唱中は撫でる権利がある」


僧侶「じゃあ――今度から皆で撫でましょう!」


狼男「駄目に決まっているだろう」

729: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 20:21:18.41 ID:2DniCj+/o
勇者「ワンコ、すっごく毛並みが良いもんね!」

魔法「毎日のシャンプーの甲斐があった」

僧侶「はい! 栄養にも、気を使ってますもんね!」


狼男「三人共、私の言葉を聞いてくれ」


勇者「尻尾もさ、フワッフワだし!」

魔法「ブラッシングも完璧」

僧侶「癒やされますよねぇ~」


狼男「三人共、頼むから聞いてくれ」

730: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 20:25:21.36 ID:2DniCj+/o
狼男「僧侶の撫で方は、最近本格的になりすぎている」

僧侶「……そう、ですね」

狼男「ありがとう、わかって貰えて良かった」


僧侶「……詠唱中、無防備な私」

僧侶「撫でられて、お腹を上に向けてゴロンとなったワンコちゃん」

僧侶「――こうなれば、仲良しですね!」


狼男「僧侶、そうではない」

狼男「仲良くあの世行きになりはするが、そうではない」

731: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 20:33:23.63 ID:2DniCj+/o
狼男「勇者、魔法使い、僧侶」

狼男「君達の行動は、とても危険だ」

狼男「戦闘中は――戦闘に、集中するべきだろう」


勇者・魔法・僧侶「……」


勇者「――うん、わかったよ」

魔法「――ワンコが、そこまで言うなら」

僧侶「――今度から、気をつけますね!」


狼男「ありがとう、わかって貰えて良かった」

732: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 20:47:40.58 ID:2DniCj+/o
  ・  ・  ・

勇者「ほ~ら、干し肉だよ! 頑張ったねー!」

魔法「ホネは残した、好きに噛んで良い」

僧侶「ワンコちゃ~ん! モフモフさせて~!」


狼男「三人共、そうではない」

狼男「戦闘が終わったら良いと言う話では無い」


勇者・魔法・僧侶「……えっ?」

勇者・魔法・僧侶「言われた通りに我慢して……」

勇者・魔法・僧侶「……勝ったのに?」


狼男「……わかった」


狼男「今回は、私の負けだ」



おわり

739: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:11:43.46 ID:5O1+d0Eno
反省点は山のようにあります
そこを修正したいので慣らし書き、って感じです


勇者「仲間を三人、全員男で」

740: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:13:47.00 ID:5O1+d0Eno
店主「全員……男、ですか?」

勇者「ああ、全員男で頼むよ」

店主「職業の指定……ではなく?」

勇者「ああ、まずは男が第一条件だ」


勇者「女は駄目だ、絶対に」


店主「は、はあ……そうですか」


女達「……」

741: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:16:20.10 ID:5O1+d0Eno
女戦士「――待ちなよ、勇者の坊や」

女戦士「女は駄目って、どういう意味だい?」


勇者「……そのままの意味だが」

店主「も、揉め事はやめてくださいよ!?」


女戦士「それは……そこの坊やの返答次第さ」


勇者「……」

742: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:19:17.94 ID:5O1+d0Eno
女戦士「坊や、もう一度聞くよ」

女戦士「アタシは、剣の腕ならそこらの男に負けない」

女戦士「……それでも不服かい?」

女戦士「女だからって――舐めるんじゃないよ!」


勇者「……じゃあ、こっちも言わせて貰う」

勇者「男の性欲――舐めんじゃねえよ!」


女戦士「……」

女戦士「えっ?」

743: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:22:18.73 ID:5O1+d0Eno
女戦士「そりゃ……どういう意味だい」

勇者「アンタは美人だし、それにセクシーだ」

女戦士「お、おう」

勇者「鍛え抜かれた肉体も、美しいの一言だよ」


勇者「そんなアンタがパーティーに居てみろ!」

勇者「前かがみになっちゃって、戦いにならないだろうが!」


女戦士「……」

女戦士「はあ」

744: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:25:15.67 ID:5O1+d0Eno
女戦士「何だい……そんな事かい」

勇者「そんな事!? 一大事だろうが!」

女戦士「はっは! なら、アタシが夜の相手もしてやるよ!」

勇者「馬鹿な事を言うな!」


勇者「そんな事をしたら、好きになっちゃうだろうが!」

勇者「好きになったら、帰りを待ってて欲しくなるだろうが!」


女戦士「……」

女戦士「はい」

745: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:28:39.67 ID:5O1+d0Eno
女戦士「体だけ、って訳にはいかないのかい?」

勇者「無理だ! 好きになっちゃう!」

女戦士「隣で戦って支え合う、って訳には?」

勇者「無理だ! 危機に陥ったら、ハラハラする!」


勇者「とにかく、アンタは駄目だ!」

勇者「これ以上話しかけないでくれ、好きになる!」


女戦士「……」

女戦士「お、おう」

746: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:32:41.82 ID:5O1+d0Eno
勇者「……という訳で、全員男で頼む」

店主「勇者様の仰ること、少しわかりますよ」

勇者「女だと、途中でパーティーを抜けて貰う事になる」

店主「なら、最初から男だけの方が……ですか」


勇者「女は駄目だ、絶対に」


店主「男のメンバーを……見繕ってみます」


女達「……」

747: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:35:40.00 ID:5O1+d0Eno
女魔法使い「――待って」

女魔法使い「私なら、その心配は無い」


勇者「……どういう意味だ?」

店主「あの、私に聞かないで頂けますか?」


女魔法使い「私は、他人に好かれるような性格じゃない」


勇者「……」

748: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:39:11.78 ID:5O1+d0Eno
女魔法使い「好きになるのは、性格も考慮するはず」

女魔法使い「……女戦士は、性格も良い」

女魔法使い「けれど、私は彼女の様に優しくはない」

女魔法使い「――笑わない女なら、問題ない」


勇者「……性格が悪い? 笑わない?」

勇者「そんなの――笑顔が見たくなるだろ!」


女魔法使い「……」

女魔法使い「えっ?」

749: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:41:52.32 ID:5O1+d0Eno
女魔法使い「私は、決して笑ったりしない」

勇者「ああ、今まではそうだったのかも知れないな」

女魔法使い「……」

勇者「性格も、どういう風に悪いかはわからない」


勇者「だけどキミがふとした瞬間笑ってみろ!」

勇者「そんなの、絶対に好きになっちゃうだろうが!」


女魔法使い「……」

女魔法使い「はあ」

750: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:45:00.98 ID:5O1+d0Eno
女魔法使い「私は、笑ったりしない」

勇者「もういい! もう、やめてくれ!」

女魔法使い「戦闘だけでなく、探知の魔法も使える」

勇者「やめてくれって言ってるだろ!」


勇者「笑わないと言っておいて、笑っちゃう恋の罠だろ!」

勇者「そんなの、恋と言う名の落とし穴に落ちちゃうだろうが!」


女魔法使い「……」

女魔法使い「そう」

751: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:51:44.25 ID:5O1+d0Eno
女魔法使い「なら……万が一笑う時は、顔を隠す」

勇者「逆効果だ! 好きになっちゃう!」

女魔法使い「性格が悪いのは、良いの?」

勇者「逆効果だ! 俺はどっちかと言うとMだ!」


勇者「とにかく、キミは駄目だ!」

勇者「これ以上話しかけないでくれ、好きになる!」


女魔法使い「……」

女魔法使い「……残念」

752: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:54:14.04 ID:5O1+d0Eno
勇者「……という訳で、全員男で頼む」

店主「勇者様の仰ること、物凄くわかりますよ」

勇者「旅って言うのは、人間を変えるものだからな」

店主「やはり、最初から男だけの方が……ですね」


勇者「女は駄目だ、絶対に」


店主「すぐに、男のメンバーを見繕います」


女達「……」

753: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:59:52.91 ID:5O1+d0Eno
女僧侶「――待ってください!」

女僧侶「私を仲間に……パーティーに入れてください!」


勇者「……」

店主「彼女は、顔も性格もスタイルも……実力的にも完璧ですね」


女僧侶「お願いします、勇者様!」


勇者「じゃあ、彼女が一人目で」


女僧侶「……」

女僧侶「えっ!?」

754: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:04:28.78 ID:5O1+d0Eno
女僧侶「あれっ……い、良いんですか!?」

女僧侶「えっ、と……あ、あれっ?」

女僧侶「さっきまでみたいに、問答をしなくても?」

女僧侶「ええと……や、やったぁ~……?」


店主「宜しいんですか?」

勇者「ああ、全然タイプじゃない」


女僧侶「……」

女僧侶「な、なんか……なんかなんか!」

755: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:08:00.25 ID:5O1+d0Eno
女僧侶「そ、そんなに私って魅力ありませんか!?」

勇者「えっと、その……ごめん」

女僧侶「謝らないでいただけますか!?」

勇者「……しょうがないだろ!」


勇者「なんか、パッと見で全然ピンと来ないんだから!」

勇者「好きになっちゃう可能性は無いな、って思うんだから!」


女僧侶「……」

女僧侶「……ぬぐうう……!?」

756: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:14:32.31 ID:5O1+d0Eno
女僧侶「あっ……貴方みたいな失礼な人、初めてです!」

勇者「ごめんって! 謝ってるから良いだろ!」

女僧侶「やっぱりやめます! 仲間になりません!」

勇者「えっ、マジ? オッケ!」

女僧侶「~~っ! ちょっとは食い下がってくれませんか!?」


勇者「店主、やっぱり男三人で頼む」

店主「はい、こちらがリストになります」


女僧侶「そんなに!?……そんなに!?」

757: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:20:18.68 ID:5O1+d0Eno
店主「しかし……淫魔の類の対策は?」

勇者「ああ、男を惑わすってアレだろ」

店主「男だけだと、最悪全滅の可能性が」

勇者「大丈夫だ、ちゃんと考えてある」


勇者「仲間になった男三人の内、一人の玉を潰す」

勇者「これなら――何の心配も無いだろ?」


男達「!!?」

758: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:24:48.91 ID:5O1+d0Eno
店主「それは……また……」

勇者「だけど、確実な方法だ」

店主「まあ……そうですね」

勇者「一人の玉を潰すだけで、全滅を免れるしな!」


勇者「さあて……」

勇者「だ、れ、に、し、よ、う、か、な……」


男達「……!!?」

759: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:27:44.48 ID:5O1+d0Eno
女僧侶「――待ってください」

女僧侶「勇者様のやり方では、誰も着いてきませんよ」


勇者「……何?」

勇者「そんな事無いよな!?」

勇者「世界と玉を天秤にかけるような男は、此処に居ないよな!?」


男達「……」フイッ


勇者「……」

勇者「あれっ!?」

760: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:32:42.58 ID:5O1+d0Eno
勇者「おい、どうしたんだよ皆!」

勇者「まさか……玉を潰されるのが嫌なのか!?」


男達「……」


勇者「……おい、おいおいおいおい!」

勇者「お前ら、それでも男か!?」

勇者「我こそは、って奴は居ないのか!?」


男達「……」フイッ


勇者「……クソッ! 計画が水の泡だ!」

761: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:41:26.53 ID:5O1+d0Eno
女僧侶「勇者様、諦めちゃ駄目ですよ」

勇者「えっ? いや、だけど……」

女僧侶「勇者様のさっきの言葉、とても感動しました」

勇者「は? さっきの言葉……?」


女僧侶「――世界と玉を天秤にかけるような男は、此処には居ない」


勇者「……」


女僧侶「……誰かさんの玉を潰せば、色々と問題が解決しますね?」


勇者「……」

勇者「ピンと来なかった理由がわかった」

762: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:53:36.13 ID:5O1+d0Eno
勇者「店主……全員キャンセルで、一人で旅立つよ」

店主「一人で……ですか?」

勇者「ああ、俺の玉の安全が第一だ」

店主「旅の安全が犠牲になりますが」


勇者「俺の玉は駄目だ、絶対に」


女達・男達「……」

…ガタッ!


勇者「……店主、囲まれたぞ!?」


店主「敵は男女、全員ですね」



おわり

766: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:23:21.71 ID:IBZFFyZFo
書きます


盗賊「止まれ、前方に魔物が二匹居る」

767: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:25:04.04 ID:IBZFFyZFo
勇者「凄いな、わかるのか?」

僧侶「何も見えませんけど……」

戦士「アタシもサッパリだ」


盗賊「俺の目を甘く見るなよ」

盗賊「あの二匹は……番だな」


勇者・僧侶・戦士「……」

768: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:27:35.04 ID:IBZFFyZFo
勇者「番ってことまでわかるのか」

僧侶「魔物の恋人……ですか」

戦士「恋人ねぇ……ただの番だろ?」


盗賊「あれは群れの戦士と、ボスの娘だな」

盗賊「どうやら、許されざる恋みたいだ」


勇者・僧侶・戦士「そこまで正確に!?」

769: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:30:10.87 ID:IBZFFyZFo
勇者「どこでそんなの判断するんだよ」

僧侶「ゆ、許されざる恋……?」

戦士「待ちな、変に食いつくんじゃないよ」


盗賊「雄の方は、少し困ってるみたいだな」

盗賊「雌の方が、雄に縋り付いてやがる」


僧侶「ちょ……ちょっと様子を見ましょう!」

勇者・戦士「……」

770: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:31:56.00 ID:IBZFFyZFo
勇者「様子を見るっつったって……」

僧侶「ちょっとだけ! ちょっとだけですから!」

戦士「はぁ……全くアンタって子は」


盗賊「! 待て!」

盗賊「雄が……雌を抱きしめたぞ!」


僧侶「! やりましたね!」

勇者・戦士「何が!?」

771: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:34:40.71 ID:IBZFFyZFo
勇者「なあ、さっさと倒しに行こうぜ」

僧侶「勇者様!?」

戦士「ああ、もう良いだろう?」


盗賊「そうだな……雄の方は死を覚悟してるようだ」

盗賊「だから、今まで雌の気持ちに応えられなかったらしい」


僧侶「そんな……!」

勇者・戦士「や、やりにくい……!」

772: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:37:11.16 ID:IBZFFyZFo
勇者「俺たちが来るって知ってたのか」

僧侶「魔物にとっては、死活問題ですもんね」

戦士「そんなの気にしてたらやってられないだろう」


盗賊「……チイッ!」

盗賊「奴ら、甘く……とろけるようなキスをしてやがる!」


勇者・僧侶・戦士「……」

773: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:39:15.61 ID:IBZFFyZFo
勇者「……ちょっとだけ、待ってやるか」

僧侶「勇者様……! はいっ!」

戦士「……やれやれ、アンタ達は甘いねぇ」


盗賊「! 待て!」

盗賊「奴ら……    を始めるつもりだぞ!」


勇者・僧侶・戦士「!?」

774: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:42:08.97 ID:IBZFFyZFo
勇者「こ、    ……!?」

僧侶「あ、あうあ……!?///」

戦士「なあ……どうするんだい?」


盗賊「雄の奴、本能のままに    するかと思いきや……」

盗賊「――なんて丁寧な  をしやがるんだ」


戦士「そっちの方は聞いてないよ!」

勇者「……」

僧侶「……///」

775: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:45:39.03 ID:IBZFFyZFo
勇者「魔物にも、そういう理性はあるんだな」

僧侶「……///」

戦士「丁寧かどうかなんて、どうでも良いんだよ!」


盗賊「……なんてこった」

盗賊「雌の方が、焦らされて雄を押し倒しやがったぞ!」


戦士「アタシに喧嘩売ってるのかい!?」

勇者「落ち着け! 落ち着け、戦士!」

僧侶「お、女の子の方から……!?///」

776: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:50:07.80 ID:IBZFFyZFo
勇者「あまり大声を出すと、敵にバレる!」

戦士「だ、って……ああもう、悪かったよ」

僧侶「そ、それから?/// それから?///」


盗賊「あれは……始まったな」

盗賊「遂に、本格的に    を始めやがった」


勇者・戦士「……」

僧侶「……!///」

777: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:54:12.40 ID:IBZFFyZFo
勇者「まあ……雌の方が力が強い場合も多いしな」

僧侶「雌の方が体が大きい事も、少なくありませんしね」

戦士「……ふんっ! 情けない雄だねぇ!」


盗賊「いや……そうでも無いみたいだ」

盗賊「あの雄、下から雌を突き上げて――主導権を握ってる」


戦士「……や、やるじゃないか」

勇者「? どうした僧侶?」

僧侶「し、下から……!?/// 突き上げ……!?///」

778: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:58:22.00 ID:IBZFFyZFo
勇者「……終わった瞬間を狙おう」

僧侶「……は、はい///」

戦士「……さっさと倒したい」


盗賊「凄い……流れるように体 を変えたぞ」

盗賊「今度は、雄が雌の上に――」

盗賊「っ!? なんて、ねっとりした腰使いなんだ……!」


勇者・戦士「……」

僧侶「……!/// ……!///」

779: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 15:04:04.03 ID:IBZFFyZFo
勇者「……おい、冷静になるんだ」

僧侶「ね、ねっとり……!?///」

戦士「……駄目だね、聞いちゃいないよ」


盗賊「あの雄、緩急もつけてるな……」

盗賊「っ!? いや、待て!」

盗賊「雌の方も、負けじと腰を振り出したぞ!」


僧侶「そ、そそっそ、そんなっ……!?///」

戦士「勇者、この子をなんとかして正気に」

勇者「……俺がか!?」

780: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 15:06:21.20 ID:IBZFFyZFo
勇者「僧侶」

ぽんっ!

僧侶「うひゃうっ!?/// ゆ、勇者様……?///」

戦士「……アンタらが始めたら、たたっ斬るからね?」


盗賊「……お前達、何をやってるんだ?」

盗賊「あの激しさ――そろそろ終わりが近そうだぞ」


勇者・僧侶・戦士「……」

781: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 15:11:28.84 ID:IBZFFyZFo
勇者「相手は魔物だが……まあ、最期だからな」

僧侶「そ……そうですね。これも、神の慈悲ですから」

戦士「アンタ達……準備は良いかい?」


盗賊「よし、同時に果て――」

盗賊「――っ!? 何っ!?」


勇者「っ! どうした盗賊!?」


盗賊「そのまま、二回戦が始まった!」


僧侶「そ、そのまま……!?///」

戦士「ああもう、さっさと行くよ!」

782: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 15:18:52.22 ID:IBZFFyZFo
  ・  ・  ・

盗賊「――まあ、コイツらも最期に愛を確かめ合ったんだ」

盗賊「そして、俺たちもやるべき事をやった」

盗賊「だから……そんなに自分を責めるな」


勇者「あれだけ、細かに実況するから……!」

僧侶「動物系の魔物だとばかり思ってましたけど……!」


盗賊「? どうして俺を睨んでるんだ?」


戦士「植物系の――まんま樹の形の魔物じゃないか!」


盗賊「! 見ろ!」

盗賊「倒れた雌から、もう子供が――新芽が出てる!」


勇者・僧侶・戦士「知らねえよ!」



おわり

789: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 20:56:23.21 ID:IBZFFyZFo
書きます


女勇者「パーティー内の性の乱れ」

790: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 20:59:58.59 ID:IBZFFyZFo
女勇者(……いつから、こうなってしまったか)

女勇者(今となっては、もう思い出せない)

女勇者(私達は、命がけの旅をしている仲間同士)


『もう……アタシ、我慢出来ない』

『おいおい、しょうがないな』


女勇者(……こうなる事は、必然だったのかも知れない)

791: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:02:03.14 ID:IBZFFyZFo
女勇者(今日は、久々に街で宿泊)

女勇者(高級な宿じゃないけど、ベッドがある)

女勇者(昼間には、皆で浴場にも行った)


『ふふっ……もう    』

『ああ、何せ  ってたからな』


女勇者(……この宿、壁が薄いな)

793: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:04:33.39 ID:IBZFFyZFo
女勇者(声を抑えてって、注意した方が良いかな)

女勇者(……ううん、多分無駄だよね)

女勇者(だって……)


『ほら見て、アタシも……』

『ははっ、こりゃ凄いな』


女勇者(こういうの、本当に久々だから)

794: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:05:50.76 ID:IBZFFyZFo
>>792
では、オチ書いてこのネタ終わります

795: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:09:49.52 ID:IBZFFyZFo
  ・  ・  ・

男戦士「さあ、今日も張り切って行きましょ!」

男僧侶「……元気だねぇ」

男戦士「勿論よ! アタシ達、あんなに愛し合ったじゃないの!」

男僧侶「……そのせいで、こっちはクタクタだよ」


女勇者「ねえ、大丈夫?」

女賢者「ちょっと腰が……手、繋いで良い?」

女勇者「うん、勿論」


女勇者(パーティー内の性は乱れている)


女勇者(だけど、そんなに悪くない)



おわり

796: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:25:27.77 ID:IBZFFyZFo
書きます


勇者「俺、実は武道家なんだ」

797: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:27:06.78 ID:IBZFFyZFo
戦士「えっ!?」

賢者「はっ!?」

僧侶「へっ!?」


勇者「明日の魔王との決戦の前に、話しておこうと思って」


戦士・賢者・僧侶「遅い!!」

798: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:29:51.00 ID:IBZFFyZFo
戦士「お前、今までは本気じゃなかったのか!?」

勇者「そんな事は無い」

戦士「! そうだよな! 何せ、伝説の剣も持ってるし!」

勇者「……その事なんだけどな」


勇者「……戦士」

勇者「明日は、お前がコレを使ってくれ」


戦士「やめろよ勇者! 伝説の剣を差し出すなよ!」

799: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:32:42.22 ID:IBZFFyZFo
賢者「勇者、貴方……本当に武道家なの?」

勇者「ああ、実は」

賢者「でも、伝説の鎧を装備出来てるじゃないの」

勇者「……ああ、これな」


勇者「……伝説の鎧」

勇者「正直、重くて動きにくいと思ってたんだ」


賢者「謝って! 手に入れるため苦労した私達に謝って!」

800: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:35:36.24 ID:IBZFFyZFo
僧侶「ほ、本当に武道家なんですか!?」

勇者「ああ、ごめんな」

僧侶「だ、だって! 伝説の盾もあんなに使いこなして!」

勇者「……ああ、あれか」


勇者「……実を言うとな」

勇者「見えないように、コッソリ手で捌いてたんだ」


僧侶「使いこなしてたのは、盾じゃなく体って事ですか!?」

801: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:40:58.94 ID:IBZFFyZFo
戦士「だが! お前は、剣も使えるだろう!?」

勇者「使えなくは……無いけれども」

戦士「だろ!? 今まで、剣で敵を倒してきたじゃないか!」

勇者「……ああ、それは」


勇者「……こう、パッと剣から手を離してな」

勇者「ドカッと殴って、死んだ所を追撃で斬ってたんだ」


戦士「お前、そんな曲芸を今までやってたのかよ!?」

802: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:44:49.70 ID:IBZFFyZFo
賢者「ねえ……伝説の鎧、邪魔なの?」

勇者「邪魔って程じゃ……無いけれども」

賢者「邪魔なのね!? あの苦労は何だったの!?」

勇者「……それには感謝してる」


勇者「……だから、ほら」

勇者「傷がつかないよう大事に保管しないと……な?」


賢者「決戦に着ていくつもりは無いって事ね!?」

803: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:50:34.34 ID:IBZFFyZFo
僧侶「じゃ、じゃあ……私をかばってくれた時も!?」

勇者「こう、クルッと回し受けしてた」

僧侶「伝説の盾が役に立った事は無いんですか!?」

勇者「……いや、そんな事は」


勇者「回し受け出来ない攻撃とか、あるしな」

勇者「そういう時は……ほら、丈夫だし」


僧侶「傘感! いえ、正しい使いみちなんでしょうけど……傘感!」

804: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:53:19.22 ID:IBZFFyZFo
戦士「お、お前は伝説の剣に選ばれたんだろう!?」

勇者「……あー」

戦士「その剣を引き抜いて、勇者になったんだ!」

勇者「……実は、さ?」


勇者「刺さってた台座が普通の岩だったから、さ」

勇者「……あ、誰にも言うなよ?」


戦士「砕いたんだな!? 台座の岩を砕いたんだな!?」

805: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:58:37.23 ID:IBZFFyZFo
賢者「あの時の苦労は何だったの……!」

勇者「ごっ、ごめん……ごめんて」

賢者「謝らないで! 明日は、皮の鎧でも着るつもり!?」

勇者「……あ、いや」


勇者「皮の鎧もアレだし……」

勇者「少し前に買った、お気に入りの布の服で行こうかな、って」


賢者「決戦に、そんなカジュアルな感じで臨むつもり!?」

806: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:03:23.47 ID:IBZFFyZFo
僧侶「で、でも! 伝説の盾は役立つんですね!?」

勇者「まあ……時には」

僧侶「絶対! 絶対、明日の決戦は役に立ちます!」

勇者「……そう、かな」


勇者「左手に持った盾で、攻撃を塞ぐよりも……」

勇者「左のジャブで、攻撃させる暇を与えない方が……」


僧侶「左のジャブで、平和な世界を勝ち取るんですか!?」

807: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:06:36.78 ID:IBZFFyZFo
戦士「岩を砕いたんなら、お前は勇者じゃないのか!?」

勇者「あ、それは大丈夫だ」

戦士「わかってるのか!? 伝説の剣の重みを!」

勇者「……勿論だ」


勇者「この……伝説の剣が、俺に語りかけてきた」

勇者「――もう貴方が勇者で良いよ」

勇者「ってな」


戦士「伝説の剣、軽い!!」

808: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:10:50.04 ID:IBZFFyZFo
賢者「どれ!? どの布の服!?」

勇者「この服だ」

賢者「これは、体に張り付くような服で……動きやすそうね」

勇者「……それだけじゃない」


勇者「体にフィットして、動きを阻害しないだけじゃない」

勇者「この布の服、なんと……汗の吸収性も凄いんだ」

勇者「更に――通気性も、抜群だ」


賢者「運動着じゃないの!!」

809: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:15:43.34 ID:IBZFFyZFo
僧侶「じゃあ、剣も盾も! 鎧すら要らないんですか!?」

勇者「まあ……うん」

僧侶「勇者様は、身一つで決戦に臨むと!?」

勇者「……いや、違う」


勇者「俺には、皆という仲間が居る」

勇者「仲間との絆が……最大の武器だ」


僧侶「勇者様……!」

僧侶「……」

僧侶「あ、違う! 結局、勇者様は身一つですよね!?」

810: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:22:38.99 ID:IBZFFyZFo
戦士「……決戦前の緊張を和ますための、冗談だろ!?」

勇者「戦士?」

戦士「俺には信じられねえ! 武道家だって、証拠を見せてくれ!」

勇者「……わかった」


勇者「はぁぁぁっ……!」

勇者「アァッタタタタタタタタタ! ホワチャァッ!」

勇者「……どうだ? 今の拳の連打は」


戦士「確かに凄まじい、が……掛け声はそんな感じなのかよ!」

811: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:27:52.33 ID:IBZFFyZFo
賢者「……でも! 万が一、攻撃を受ける事もあるわ!」

勇者「賢者?」

賢者「不意をつかれたら、どうするつもり!?」

勇者「……その時は」


勇者「――硬っ!」

勇者「こうやって、己の生命エネルギーを高め、肉体を鋼と化す」

勇者「……伝説の剣なら、ギリギリ刃が通るかな」


賢者「伝説の剣でもギリギリなの!?」

812: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:34:48.90 ID:IBZFFyZFo
僧侶「本当に……武道家なんですね」

勇者「ごめんな、今まで黙ってて」

僧侶「でも、どうして今になって……?」

勇者「……それは」


勇者「明日の決戦で、誰も失いたくないから……」

勇者「伝説の剣は――戦士」

勇者「伝説の鎧は――賢者」

勇者「伝説の盾は――僧侶」

勇者「……こう、それぞれ装備して欲しいんだ」


戦士・賢者・僧侶「……」

813: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:38:57.82 ID:IBZFFyZFo
戦士「ま……そういう事なら、しょうがねえか」

勇者「戦士」

賢者「あ、この鎧って体型に合わせて形状が変わるのね」

勇者「賢者」

僧侶「この盾があれば、庇われなくても大丈夫です!」

勇者「僧侶」


勇者「……皆!」

勇者「明日の決戦は……絶対に、生きて帰るぞ!」


戦士・賢者・僧侶「おーっ!」

814: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:42:40.27 ID:IBZFFyZFo
  ・  ・  ・

魔王「その伝説の剣……貴様が勇者か!」


戦士「いいや! この剣は借りてるだけだ!」


魔王「何? ならば……伝説の鎧を装備している、貴様か!」


賢者「いいえ! 私のこの鎧も、借り物よ!」


魔王「? な、ならば……伝説の盾を持つ、お前か!」


僧侶「違います! この盾は、私のじゃありません!」


魔王「!?」

815: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:48:42.51 ID:IBZFFyZFo
魔王「ぬうう、誰が勇者なのだ!」

勇者「魔王! 俺が勇者だ!」

魔王「何、貴様が!? ええい、何とカジュアルな!」

勇者「……行くぞ、魔王!」


勇者「人々の願いが乗った、この拳で!」

勇者「必ずお前を――」


勇者「――撲殺してみせる!!」


戦士・賢者・僧侶「せめて『倒す』って言って!?」



おわり

818: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 20:53:00.93 ID:jObjrYRwo
書きます


勇者「魔王、こっちも切り札を使わせて貰う!」

819: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 20:55:14.89 ID:jObjrYRwo
魔王「はっはっは! 切り札だと?」

魔王「――笑止!」

魔王「ワシの真の姿の前では……全てが無力!」


勇者「来いッ!!」

―バッ!

勇者「勇者ロボォ――ッ!!」


魔王「……」

魔王「ロボ?」

820: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 20:57:14.16 ID:jObjrYRwo
ゴゴゴゴゴッ!


魔王「な、何だ……この地響きは!?」


ゴガァァンッ!


魔王「な、何だ!? 城の壁が!?」

魔王「きょ……巨大な手!?」


勇者「――とうっ!」


魔王「えっ、えっ、えっ、えっ!?」

821: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:00:08.04 ID:jObjrYRwo
勇者ロボ『待たせたな、勇者!』

勇者「いいや、良いタイミングだ!」

勇者ロボ『さあ、早く乗り込め!』

勇者「おうっ!」


パシュィ~ン…


勇者『――さあ、魔王!』

勇者ロボ『ここからが――』


勇者・勇者ロボ『本当の戦いだ!』


魔王「待て待て待て待て!!」

822: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:04:32.45 ID:jObjrYRwo
魔王「何だそれは!?」

魔王「巨大なゴーレムか!?」


勇者『違う! コイツは、俺の真の友!』

勇者ロボ『――熱き魂を持ち! 正義を愛する!』

勇者『――鋼鉄の勇者! その名も、勇者ロボ!』


勇者・勇者ロボ『悪を倒しに、只今参上!!』


魔王「世界観が違う!!」

823: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:08:29.16 ID:jObjrYRwo
魔王「さっきまで、剣と魔法で戦っていただろう!?」

魔王「何だ!? 踏み潰すつもりか!?」


勇者『……剣なら――あるッ! 勇者ロボ!』

勇者ロボ『オーケー、勇者!』

バッ!


勇者・勇者ロボ『来いッ! ブレイブ・ソォ――ドッ!!』


――キランッ!


魔王「何!? 何何何何!?」

824: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:11:31.59 ID:jObjrYRwo
魔王「な、何だ……!?」

魔王「魔王城の上空の暗雲が晴れて――」


…ズドシュウッ!!


魔王「――きょ、巨大な剣が降ってきた!?」


勇者ロボ『……ふんっ!』

ガシッ!


勇者・勇者ロボ『――待たせたな、魔王!!』

ジャキィィンッ!(キラーンッ!)


魔王「待て待て待て待てちょっと待て!!」

825: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:15:49.94 ID:jObjrYRwo
魔王「その剣の巨大さ……城も真っ二つになるぞ!?」

魔王「えっ、えっ……えええっ!?」


勇者ロボ『勇者! 魔王が混乱しているぞ!』

勇者『――騙されるな、勇者ロボ!』

勇者ロボ『何っ?』


勇者『あれは恐らく……俺達を油断させるための演技だ!』


勇者ロボ『何だって!? それでは、迂闊に手が出せない!』


魔王「……」

魔王「…………」


魔王「ふ、ふははははっ! よくぞ見破ったな、勇者よ!!」

826: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:22:31.00 ID:jObjrYRwo
魔王「そ、その程度の鉄の塊なぞ、ワシの敵では無いわ!」

魔王「剣を振り下ろした時が、お前達の最期よ!」


勇者『くっ……! さすがは魔王……!』

勇者ロボ『――諦めるな、勇者!』

勇者『勇者ロボ……!?』


勇者ロボ『この地上の愛と平和を守るのが、私達の使命!』


勇者『……ああ、そうだったな!』

勇者『俺達は、負けるわけにはいかないんだ!』


勇者・勇者ロボ『――勇気と希望がある限り!!』

…パァァァッ!


魔王「な、何だ……胸のクリスタルが光りだした!?」

827: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:26:10.75 ID:jObjrYRwo
魔王「な、何をしても無駄だぞ!」

魔王「諦めて、ここから立ち去るが良い!」


勇者『――勇者ロボ!』

勇者ロボ『オーケー、勇者!』

バッ!


勇者・勇者ロボ『来いッ! ブレイブ・バァァ――ッドゥッ!!』


――キランッ!


魔王「……え、ええい! ちょこざいな発音を!!」

828: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:31:47.41 ID:jObjrYRwo
魔王「んんんんまた来た!」

魔王「空の彼方から――」


…バサァァッ!!


魔王「――巨大な鋼鉄の鳥が現れた!!」


勇者ロボ『――チェィィンジッ!!』ガキンガキンッ!

…ガッシィィンッ!


勇者ロボG『勇者ロボ・グレェェ――ト!!』

ピキュァァンッ!(キラーンッ!)


勇者『――待たせたな、魔王!!』


魔王「……ふ」

魔王「ふーん!?」

829: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:40:25.28 ID:jObjrYRwo
魔王「た、たかが翼を持った程度で!」

魔王「ワシには、お前達の攻撃など通用せんわ!」


勇者『……勇者ロボ』

勇者ロボG『……ああ、勇者』


勇者『一撃に、全エネルギーを集中するんだ!』


勇者ロボG『わかっているとも!』

勇者ロボG『――とああっ!』

ブワアァッ!!


魔王「空に飛び上がって……」

魔王「……か、帰るのか!?」

830: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:46:47.63 ID:jObjrYRwo
魔王「ふ……ふはははっ!」

魔王「良かろう! 見逃してやろうではないか!」


勇者『――俺たちは、逃げないッ!』

勇者ロボG『――例え、この身が砕けようともッ!』


勇者・勇者ロボG『――勇気ある限りッ!』

勇者・勇者ロボG『ブレイブ・ソォ――ドッ!!』

ジャキィィンッ!(パァァァァッ…!)


魔王「な、何だ……!?」

魔王「巨大な剣が、輝いている……!?」

831: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:51:25.08 ID:jObjrYRwo
魔王「よ、よせ! 何をする気だ!?」


勇者『勇者の剣よ……力を貸してくれ!』

勇者ロボG『――!』


勇者ロボG『ブレイブ・ロォォ――ド!!』


ブワアアアッ!!


魔王「ぬ、ぬおおおおっ!?」

魔王「ま、魔王城が!」

魔王「魔王城が、巨大な力の渦に飲み込まれた!?」

832: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:55:29.50 ID:jObjrYRwo
魔王「よせ……よせ、やめろ!!」


勇者『いくぞおおおっ!! 魔王おおおっ!!』

勇者ロボG『――!』


勇者ロボG『ブレイブ・スラァァ――――ッシュ!!』


グワアアアッ!


魔王「ひ、ひえええっ!?」

サッ!


―スパァァァンッ!!


魔王「……ま」

魔王「魔王城が真っ二つに!?」

833: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 22:00:18.33 ID:jObjrYRwo
魔王「……!?」

魔王(あ……あんなものを食らったら、ひとたまりもない!!)


勇者『どうだ、魔王――む……無傷!?』

勇者ロボG『……ぐっ!』

…ズシィンッ!

勇者ロボG『全てのエネルギーを注ぎ込んだ一撃が……!』

勇者『大丈夫か!?』

勇者ロボG『ああ……だが、私はもう戦えそうにない……!』


魔王「!」

834: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 22:06:29.42 ID:jObjrYRwo
勇者ロボG『……すまない、私の攻撃は奴に通じなかった』

勇者『……いや、後は任せてくれ』


魔王「……!」ドキドキ!


勇者『俺が、この手で奴との決着をつけてくる!』

勇者ロボG『――任せたぞ、勇者!』

勇者『――ああっ!』


パシュィ~ン…


勇者「――さあ、魔王! ここからが本番だ!」


魔王「うむ!! うむ!! そうだな!!」

835: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 22:14:29.88 ID:jObjrYRwo
魔王「やはり、こうでなくてはいけないな!!」


…キィィィンッ!!


魔王「……何だ、この音は」


勇者ロボG『! あれはっ!』


戦士ロボ『――だらしないぜ、勇者ロボG!』

忍者ロボ『――使命を果たさず、膝をつくなど!』

賢者ロボ『――こんな事もあろうかと、燃料は積んできましたよ!』


勇者「皆……来てくれたのか!」

勇者「ようし……――合体だッ!!」


ロボ達『オーケー、勇者!!』


魔王「もういいよ!!」




おわり

841: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:10:37.38 ID:A5ybnzRno
>>836
書きます


魔王「ワシの真の姿を見せてやろう!」

842: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:13:19.79 ID:A5ybnzRno
勇者「何!? 真の姿だって!?」

魔王「フハハ! もう、遊びは終わりだ!」

勇者「くっ……まだ、力を隠していたのか!?」


魔王「……フフフ」

―バッ!


勇者「な……何だ!?」

勇者「あの、腰に光る銀色のベルトは!?」

843: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:16:29.99 ID:A5ybnzRno
勇者「あのベルトから、もの凄い力を感じる……!」


魔王「!」

シュピンッ!

魔王「変んんん……」

スウゥッ―

魔王「……身ッ!」

キュワアアアッ!

魔王「――トアッ!」

トンッ―


―スタッ!

真・魔王「――真・魔王!」


勇者「何だその変身の仕方は!?」

844: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:20:36.68 ID:A5ybnzRno
真・魔王「ワシがこの姿となったからにh」

勇者「ちょっと待て、魔王!」

真・魔王「何だ? 命乞いでもする気か?」

勇者「違う! 俺はそんな真似はしない!」


勇者「お前の変身は、今の方法で良いのか!?」

勇者「今のだと……何と言うか……」

勇者「――お茶の間の子供の応援を受けるぞ!?」


真・魔王「何!?」

真・魔王「絶望に落ちるべき、人の子に応援されるだと!?」

845: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:24:03.87 ID:A5ybnzRno
真・魔王「馬鹿な! そんな事は有り得ん!」

勇者「いいや、ある! 男の子なら、特にそうだ!」

真・魔王「ええい! 根拠でもあるのか!」

勇者「……根拠は、ある!」


勇者「根拠は、俺だ!」

勇者「幼き頃の俺が、お前の変身を見たら……」

勇者「――勇者の俺でなく、お前を応援してしまう!」


真・魔王「ば……馬鹿な!?」

真・魔王「魔王であるワシが……人の子に希望を与えるだと!?」

846: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:30:29.96 ID:A5ybnzRno
勇者「今だって、正直変身のポーズを真似したい!」

真・魔王「何だと……!?」

勇者「良いのか、魔王!? 今の変身の方法で!」

真・魔王「ぬ……ぐうおお……!」


真・魔王「――ハァッ!」

バサァッ!

魔王「……しばし待て、やり直す!」


勇者「ぐああっ! マントを翻して変身解除だと!?」

勇者「お、俺の少年の心をくすぐりやがる……!」

847: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:33:42.76 ID:A5ybnzRno
魔王「勇者よ、今の変身の何がいけかったのだ!?」

勇者「いけなかったというか、凄くいけてた!」

魔王「答えろ、勇者! どうすれば、希望を与えない変身になる!」

勇者「そう……だな……」


勇者「こう……変に無駄な動作をいれて」

勇者「変身の声も、手短にすれば……あるいは」


魔王「……フハハハ! かかったな!」

魔王「再び変身し、絶望を与えてやろう!」


勇者「っ!? し、しまった! つい!!」

848: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:38:12.13 ID:A5ybnzRno
勇者「クソッ! 図ったな、魔王!」


魔王「!」

バッ!

魔王「――!」

バッ! ババッ! バッ!

魔王「……――変身」


キュワアアアッ!


真・魔王「――見よ、これが絶望だ」


勇者「格好良い!!」


真・魔王「何ぃっ!?」

849: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:42:29.93 ID:A5ybnzRno
真・魔王「お前の言う通り、無駄な動作を入れたぞ!?」

勇者「馬鹿! あの手の動き、最高だった!」

真・魔王「変身の声も、短く! 聞こえない程度に抑えた!」

勇者「阿呆! 激しい手の動き――動! からの静、最高だ!」


勇者「ああ、クソッ! チクショウ!」

勇者「魔王! 今の手の動き、もう一回やってくれ!」


真・魔王「や、やめろ!」

真・魔王「魔王であるワシをキラキラした目で見るな!!」

850: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:47:18.45 ID:A5ybnzRno
勇者「仕方がないだろ! 格好良かったんだから!」

真・魔王「ぬうおお!? 夢と希望に溢れた視線が!」

勇者「! 必殺技! 必殺技とかあるのか!?」

真・魔王「ま……まずい! このままでは!」


真・魔王「……ぐうっ!?」

―パキィンッ!

魔王「……くっ、何という事だ……!」


勇者「変身が……勝手に解けたのか!?」

勇者「大丈夫か!? 魔王!!」

851: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:51:37.82 ID:A5ybnzRno
勇者「おい、しっかりしろ! どうした!?」

魔王「ワシは、恐怖と絶望を力としている……!」

勇者「!? お、俺が……キラキラした目を向けたからか!?」

魔王「そうだ……!」


魔王「――だが、この魔王は負けぬ!」

魔王「この世を闇とする、その時まで!」

魔王「何度でも蘇り、お前達を苦しめ続ける!」


勇者「そうだ、魔王! その意気だ!」

852: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:56:47.95 ID:A5ybnzRno
勇者「立ち上がれ、魔王!」


魔王「……ぬおおおおっ!」

バッ!

魔王「――変身ッ!!」

キュワアアアッ!

真・魔王「――真の力、見せてくれる!!」


勇者「うわあああっ! か、格好良いいいっ!」


真・魔王「ぐあああっ!?」

―パキィンッ!

魔王「へ……変身があああっ!?」

853: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 23:01:33.61 ID:A5ybnzRno
勇者「まっ、魔王!? 大丈夫か!?」

魔王「ゆ、勇者め……! ワシに、変身させぬつもりか!」

勇者「そんな事はない! 出来る限りの協力はするぞ!?」

魔王「……ほう、その言葉に偽りは無いな?」


魔王「――ならばっ!」

魔王「ワシが変身を終えるまで、向こうを向いていろ!」


勇者「な、何だって!?」

勇者「俺に、お前が変身する所を見せないつもりか!?」

854: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 23:06:08.73 ID:A5ybnzRno
勇者「その言葉は、受け入れられない!」

魔王「出来る限りの協力をすると言ったではないか!?」

勇者「出来ないものは、出来ない! 見たいからだ!」

魔王「……ならば、仕方あるまい」


魔王「――玉座の裏に回り!」

魔王「隠れて変身してくれるわ!」


勇者「な、何だと!?」

855: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 23:12:06.12 ID:A5ybnzRno
勇者「よせ! やめろ、魔王!」


魔王「ふはは! もう遅いわ!」

―サッ!


「変身ッ!!」


「――トアッ!」


――クルンッ――ズシャァッ!


真・魔王「……待たせたな、勇者」


勇者「ひいいいっ! な、なんて格好いい登場の仕方を!」


真・魔王「ぐあああっ!?」

―パキィンッ!

魔王「ま、またもや変身があああっ!?」

857: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 23:20:13.84 ID:A5ybnzRno
魔王「ぬうう……ぐ、おおっ……!」

ズシャッ!


勇者「!? どうした、魔王!?」

勇者「何てこった……どんどん力が弱まってる!」


魔王「ゆ、勇者よ……!」

魔王「ワシの真の力を抑え込むとは……み、見事だ……!」


勇者「何言ってるんだ! 立て、魔王!」

勇者「お前の力は、そんなもんじゃない筈だ!」

858: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 23:24:10.37 ID:A5ybnzRno
勇者「死ぬな! しっかりしろ、魔王!」


魔王「ふ、ふははは……!」

魔王「――ワシは死なぬ!」

魔王「人の心に闇が有る限り、何度でも蘇る!」


勇者「本当か!? 良かった……良かった!」


魔王「ぐあああっ!?」

シュウウウッ…


勇者「ああっ!?」

勇者「ま……ま……魔王おおおおおおっ!!」

859: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 23:31:06.55 ID:A5ybnzRno
  ・  ・  ・

そして、月日は流れた……


勇者「……」


勇者(そろそろ……お迎えが来たみたいだな)

勇者(魔王……お前が消えて、世界は平和になった)

勇者(だが、俺はお前が復活するのを待ってたんだぜ……)

勇者(……いや、俺だけじゃない)


勇者(世界中の子供が、お前の変身を見たいと思ってるんだ)


勇者「俺が……ちゃんと、語り継ぐ様に言っておいたぞ」

860: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 23:36:30.42 ID:A5ybnzRno
勇者「お前の変身は……物凄く格好良い、って」

勇者「人の心に闇が有る限り、お前は蘇る、って」


勇者(皆……お前が復活するのを待ってるんだ)

勇者(世界中が……魔王の復活を待ってるんだ)

勇者(お前の変身を見たくてしょうがないんだ……)


勇者「……もしも、あの世で会えたなら」


勇者「見せてくれよ……お前の……」


勇者「変……身……」

…トサリ



おわり

863: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 20:54:36.47 ID:hgM56IV4o
書きます


勇者「皆、忘れ物は無いな?」

864: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 20:56:11.53 ID:hgM56IV4o
戦士「当たり前だろ、子供じゃねえんだから」

僧侶「いえ、あの」

勇者「ははっ、それもそうだな!」

僧侶「すみません、あの」


勇者・戦士「よし、出発するか!」


僧侶「賢者さんを置いていく気ですか!?」

865: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 20:59:12.01 ID:hgM56IV4o
勇者「僧侶、この旅はとても辛いものだ」

僧侶「はい、それはわかってます」

戦士「賢者は、気が強いがあれでも女だからな」

僧侶「はい、私も女です」


勇者・戦士「よし、出発しよう!」


僧侶「!? 待ってください待ってください!」

866: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:01:47.02 ID:hgM56IV4o
勇者「俺だって、黙って別れたくはないさ」

僧侶「だったら」

戦士「だが、顔を合わせたら辛くなる」

僧侶「その、ですから」


勇者・戦士「よし、出発しよう!」


僧侶「宿屋に置いてきちゃっただけですよね!?」

僧侶「それで、怒られるのが怖いだけですよね!?」

867: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:06:30.24 ID:hgM56IV4o
僧侶「私は、教会に寄ってから合流するって言いましたよね!?」

勇者「……ああ」

僧侶「それで、どうしてお二人だけが街の入り口に!?」

戦士「……いや」


勇者「こう……門に背中を預けて、さ」

戦士「――よう、遅かったじゃねえか……ってのをな」


勇者・戦士「偶然……俺たち二人共、やりたくなっちゃって」


僧侶「なんでそんな所で息ピッタリなんですか!」

868: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:09:26.15 ID:hgM56IV4o
僧侶「じゃあ、賢者さんはまだ宿に居るんですね!?」

勇者「……ああ、多分」

僧侶「だったら、すぐに迎えに行きましょうよ!」

戦士「……それは、アレだ」


勇者「……多分、察してると思うんだよ」

戦士「宿前で待ち合わせだったのに、俺達が居ない理由な」


勇者・戦士「……確実にブチ切れてる」


僧侶「当たり前じゃないですか!」

869: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:12:51.24 ID:hgM56IV4o
僧侶「ほら! 早く賢者さんを迎えに行きましょう!」

勇者「僧侶!? 今の話を聞いてなかったのか!?」

僧侶「聞いてましたよ! ほら、行きますよ!」

戦士「待て! 待ってくれ、僧侶!」


勇者「賢者の怒り方は、何て言うか……賢いんだよ!」

戦士「理詰めで、反論も出来ずに……なんか、こう!」


勇者・戦士「泣きそうになるんだよ!!」


僧侶「……成る程」

僧侶「――だから!?」

870: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:18:47.36 ID:hgM56IV4o
  ・  ・  ・

賢者「……」オオォォ…!



勇者「ほらあああ! めっちゃ怒ってるものおおお!」

戦士「何て眼光だ! 真っ直ぐ勇者を射抜いてやがる!」

勇者「はあ!? 俺じゃなくてお前だろ!?」

戦士「馬鹿言うんじゃねえよ! 絶対にそっちだっての!」


勇者・戦士「……!」


勇者・戦士「どっちを睨んでるか、街の外で決闘で決めるぞ!」


僧侶「戦いに逃げないでくださいよ!」

871: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:22:28.41 ID:hgM56IV4o
賢者「……」オオォォ…!



勇者「……戦士、俺はわかってるんだぞ」

戦士「あぁ!? 何をだよ!?」

勇者「お前――賢者に惚れてるんだろ?」

戦士「なっ……!?」


勇者「惚れた女を置いて、お前は何をしてるんだよ!」


戦士「っ……!」


僧侶「えっ!? えっ、そうなんですか!? ええっ!?」

872: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:29:03.03 ID:hgM56IV4o
賢者「……」オオォォ…!

ちょいちょい



勇者「ひっ!? 指で『来い』ってやってるよおおお!?」

戦士「ゆっゆゆゆ、勇者! お前の出番だ!」

勇者「好きなんだろ!? お前が行けよ! 告れよ!」

戦士「今じゃないだろ! 今は無理だろ! 死ぬよ!」


勇者・戦士「……!」


勇者・戦士「僧侶、頼む!」


僧侶「二人が悪いんですから、駄目ですよ!」

873: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:32:38.07 ID:hgM56IV4o
賢者「……」オオォォ…!

ポイッ…ドサッ!



勇者「あ……あれは、俺の盾!? どうして!?」

戦士「はぁっはっはぁ! 馬鹿め! 今頃気付いたのか!」

勇者「っ!? おい、どういう事だ!?」


戦士「忘れ物だよ、勇者!」

戦士「おら! さっさと忘れ物を取りに行けやぁ!」


勇者「そ……そんなっ!?」


僧侶「えっ、ちょっと!? 伝説の盾を忘れてたんですか!?」

874: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:37:09.47 ID:hgM56IV4o
賢者「……」オオォォ…!

ポイッ…ドサッ!



勇者「嫌だ! 嫌だ、死にたくな――……ん? あれは?」

戦士「装備は、旅に必須! さあ、行け! さあさあさあさあ!」

勇者「……おい、あれを見ろ」


戦士「……」

戦士「お、おおお、俺の剣じゃねえか!?」


勇者「かっかっか! お前も忘れ物か、戦士ぃっ!」


僧侶「二人共、大事な物を忘れすぎでは!?」

875: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:43:53.24 ID:hgM56IV4o
賢者「……」オオォォ…!

――ハ――ヨ――コ――イ



勇者「く……口の動きだけで『はよ来い』ってやってるよおおお!」

戦士「ぅ慌てるな勇者ぁい! 何かの暗号の可能性もある!」

勇者「! さすがは戦士! 何の暗号か聞いてきてくれ!」

戦士「いや、俺は戦う事しか出来ない不器用な男だ!」


勇者・戦士「……」


勇者・戦士「――僧侶!」


僧侶「……!」

僧侶「もうっ! わかりましたよ!」

876: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:47:33.29 ID:hgM56IV4o
  ・  ・  ・

賢者「――」

僧侶「――」



勇者「おい、戦士……二人の会話が聞こえるか?」

戦士「いや、自分の心臓の音がうるさくて聞こえねえ」

勇者「奇遇だな、俺はそれに加えて耳鳴りもしてきた」

戦士「恐怖でか? 何言って――あ、俺もしてきた」


僧侶「――」

ちょいちょい


勇者・戦士「……手招き?」

877: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:50:52.93 ID:hgM56IV4o
賢者・僧侶「……」



勇者「なあ……どう思う?」

戦士「賢者が、僧侶を使って俺達をおびき寄せようとしてるな」

勇者「成る程、恐ろしい程に思考が冴え渡ってるな」

戦士「生きるってのは、戦う事だからな」



僧侶「――」

ちょいちょい



勇者・戦士「……」

878: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:58:00.90 ID:hgM56IV4o
賢者・僧侶「……」

…スッ



勇者「二人が持ってる袋……あれは……」

戦士「財布に……道具袋!?」

勇者「お前、持って出なかったのかよ!?」

戦士「後から来るお前が持ってくると思ったんだよ!」

勇者「俺だってそうだよ! 何やってんだ!?」

戦士「そりゃこっちの台詞だ! それでも勇者か!」


賢者・僧侶「……」ニコリ

ちょいちょい


勇者・戦士「……!」

879: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 22:05:43.05 ID:hgM56IV4o
  ・  ・  ・

賢者「――本当、男ってどうしてああなのかしら」

僧侶「全くです! まさか、あんなに忘れ物をしてるなんて!」

賢者「格好つける事ばっかり考えてたからでしょ」

僧侶「二人共、反省してくださいね!?」


勇者・戦士「――すみませんでした!」


賢者・僧侶「……」

賢者・僧侶「……はぁ」

880: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 22:19:07.75 ID:hgM56IV4o
賢者「忘れ物をして怒られそうだからって……」

僧侶「はい! それで、賢者さんを置いて行こうとするなんて!」

賢者「ん? 私を……置いて行こうと?」

僧侶「はい! 逃げようとしてたんですよ、二人共!」


賢者「……」


勇者「忘れちまったよ、そんな昔の事」

戦士「振り向いてばかりいちゃ、真っ直ぐ進めないぜ」


賢者「……わかったわ」


賢者「――思い出させて」

賢者「忘れられないようにしてあげる」



おわり

881: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/30(金) 23:32:31.37 ID:AwOcixrmo
書きます


男「先生、勇者と魔王に挟まれてます」

882: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/30(金) 23:35:45.51 ID:AwOcixrmo
勇者「魔王……まさか、お前も生まれ変わったのか」

男「左隣が勇者みたいです」

魔王「勇者……まさか、この様な形で相見えようとは」

男「右隣が魔王みたいです」


勇者・魔王「……!」


先生「それじゃ、最初のHR始めるぞー」


男「先生、俺の最期が始まりそうです」

883: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/30(金) 23:38:15.42 ID:AwOcixrmo
勇者「その様子だと、お前も普通に暮らしているらしいな」

男「先生」

魔王「当然だろう。今の余は、普通の女子高生よ」

男「先生」


勇者・魔王「……!」


先生「今日から、俺がお前達の担任だ」


男「先生、俺の担任は今日で最後かも知れません」

884: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/30(金) 23:41:50.64 ID:AwOcixrmo
勇者「ふん! 世界を震え上がらせたお前が、普通?」

男「先生」

魔王「そう言う貴様も、以前の勇猛さは欠片も見られんぞ」

男「先生」


勇者・魔王「……!」


先生「それじゃ、出欠を取りがてら自己紹介をして貰おうかな」


男「先生、両隣の情報が嫌でも入ってきます」

885: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/30(金) 23:44:53.29 ID:AwOcixrmo
勇者「……まさか、同じ高校、同じクラスになるとは」

男「先生」

魔王「……ふふっ、運命とは皮肉なものだな、勇者」

男「先生」


勇者・魔王「……!」


先生「出席番号一番からだから、こっちからだな」


男「先生、俺の明日はどっちですか」

886: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/30(金) 23:47:37.96 ID:AwOcixrmo
勇者「だが……見過ごすわけには行かない」パァァ…!

男「眩しい」

魔王「ほう……ここで、先の戦いの決着をつけるか?」ボォォ…!

男「熱い」


勇者・魔王「……!」


先生「全員に聞こえるよう、大きな声で頼むぞー」


男「勇者と魔王に挟まれてるの助けてええええええっ!!」

887: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/30(金) 23:53:05.71 ID:AwOcixrmo
勇者「そのつもりで、結界を張ったんだろう」

男「ちょっとおおお! ねえええ!」

魔王「貴様も、余と同じ結界を張っているではないか」

男「聞いてえええ! 助けてえええ!」


勇者「結界内で起こっている出来事は――」

魔王「――外には、一切影響を与える事は無い」


先生「……はい、拍手ー!」


男「凄いねええええええ!!」

パチパチパチパチ!!

888: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:02:23.27 ID:m3Ry9jdko
男「ねえ、どうして俺を巻き込んだの!?」

勇者「すまない、咄嗟の事で……つい」

男「やっぱり、俺の事は無視してただけなんだね!?」

魔王「旧知の人間と出会ったのだ、許せ」


勇者「……魔王、話は後だ」

魔王「……ああ」


魔王「もうすぐ――余の自己紹介の番だからな」


先生「……はい、拍手ー!」


男「くそったれええええええ!!」

パチパチパチパチ!!

889: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:07:24.96 ID:m3Ry9jdko
  ・  ・  ・

魔王「――待たせたな」

勇者「魔王、お前は……変わったな」

魔王「人の身になったのだ、変わらぬ方が不思議と言うものよ」

勇者「いや、そう言う事じゃない」


先生「……終わりか? あー……はい、拍手ー!」


男「あはっはっはっは! 声ちっさ! 照れ屋かよ!」

パチパチパチパチ!!


魔王「殺すぞ」

890: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:12:50.15 ID:m3Ry9jdko
勇者「魔王、お前に何があった?」

魔王「たかが人間と見下して生きてきたら、こうなっていた」

勇者「お前も、人の身になったと言うのに……」

魔王「パパとママは、無理をしなくて良いと言っている」


先生「……はい、拍手ー!」


男「あはっはっは! っひっひっひ!」

パチパチパチパチ!!


魔王「……本当に殺すぞ」

891: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:17:51.55 ID:m3Ry9jdko
勇者「……ふん! 随分とだらしないな!」

魔王「何だと?」

勇者「この勇者が、お前に手本を見せてやろう」

魔王「……ほう、面白い」


先生「……はい、拍手ー!」


男「もうすぐ俺の自己紹介なんだけど、結界解いてくれる?」


勇者「すまないが……この事は、黙っていて貰えるか?」

魔王「喋ればどうなるか……わからないとは言わせぬぞ?」


男「……うい」

892: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:23:52.72 ID:m3Ry9jdko
  ・  ・  ・

勇者「……次が、私の番だな」


魔王「家が学校の近くと言っていたが?」

男「うん、チャリで10分。って言うか、普通に話せるのな」

魔王「この口調ならば、造作もない」

男「その口調で喋ったら、物凄く浮くだろうな」


先生「……はい、拍手ー!」


勇者「あの……見ていろ? 魔王?」

893: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:28:07.23 ID:m3Ry9jdko
  ・  ・  ・

勇者「――どうだ、魔王」

魔王「勇者、貴様……まさか!?」

勇者「ふっ……私はもう、以前の私では無い」

魔王「っ……!?」


先生「……はい、拍手ー!」


男「ギャルっぽく喋ってたけど、高校デビュー?」

パチパチパチパチ…


勇者「何っ!? 何故、それを見破った!?」

894: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:34:08.42 ID:m3Ry9jdko
魔王「くっくっく……高校デビューだと?」

勇者「くうっ!? しまった……!」

魔王「はっはっは! 愚かなり、勇者!」

勇者「特訓をしたと言うのに……!」


先生「……はい、拍手ー!」


男「まあでも、かなりそれっぽかったよ」

パチパチパチパチ…


勇者「……下手な慰めはよしてくれ!」

895: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:40:23.92 ID:m3Ry9jdko
魔王「……確かに、余も貴様がギャルと錯覚したぞ」

勇者「本当か!? モテそうか!?」

魔王「モテ? 勇者よ、貴様……それが目的か?」

勇者「そうだ! 私は……恋が! 青春がしたい!」


先生「……はい、拍手ー!」


男「勉強しろよ」

パチパチパチパチ…


勇者「良いじゃないか!……良いじゃないか!」

896: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:50:52.82 ID:m3Ry9jdko
勇者「あの頃は、そんな余裕なんて無かったんだ!」

男「でも、多分クラス全員が高校デビューって見抜いたぞ」

魔王「……当然、余も見抜いていたがな」

男「錯覚したって言ってたじゃねーか」


勇者・魔王「……!」


先生「……はい、拍手ー!」

先生「さて、それじゃあ自己紹介も終わったことだし……」


先生「早速、席替えでもするか?」


男「!!」

897: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:56:23.72 ID:m3Ry9jdko
  ・  ・  ・

魔王「――くっ! まさか、勇者に背を向ける事になるとは!」

男「前の席が魔王です」

勇者「魔王、おかしな真似をしたら……わかっているな?」

男「後ろの席が勇者です」


勇者・魔王「……!」


先生「黒板の字が見えないとか、問題ある奴は居ないなー?」


男「先生、勇者と魔王に挟まれてます」



おわり

900: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:07:51.54 ID:m3Ry9jdko
続けてみます


勇者「買い食い……」魔王「だと……!?」

901: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:11:03.72 ID:m3Ry9jdko
勇者「馬鹿な! 何を考えている!?」

魔王「貴様! 何を購入するつもりだ!」

勇者「魔王!? まさか、お前まで!?」

魔王「慌てるな、勇者。参考までに、聞いておくだけよ」


男「アイス食べたい」


勇者「この寒空の中……!?」

魔王「アイスを……!?」

902: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:16:46.30 ID:m3Ry9jdko
勇者「確かに、この世界のアイスは美味い!」

魔王「うむ……様々な味覚で舌を楽しませてくれるな」

勇者「だが! 校則では、買い食いは禁止されている筈!」

魔王「! 見ろ、勇者!」


勇者「――もう、店内に入っているだと!?」


魔王「奴め……この魔王をも凌ぐ程の力を持っているのか……!」

903: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:22:15.09 ID:m3Ry9jdko
勇者「……私も店内に入り、何か買う」

魔王「!? 一度、家に帰ってからではなく……!?」

勇者「ああ、そうだ!」

魔王「ば、馬鹿な……!」


勇者「――今の私は、ギャルJK!」

勇者「学校帰りにコンビニに寄る事に、躊躇う必要は無い!」


魔王「この気迫……本気のようだな」

904: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:26:51.70 ID:m3Ry9jdko
勇者「……私は、今まで勇者として正しくあろうと生きてきた」

魔王「確かに、予習復習もキッチリとやってきているな」

勇者「規則を破る等、あってはならないと思ってきた!」


勇者「――だが、私は生まれ変わった!」

勇者「ギャルならば、買い食い一つ出来ずしt」


男「それじゃ、お先~」


勇者「待って待って待って待って!」

がしいっ!

905: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:33:11.87 ID:m3Ry9jdko
勇者「お前は、私を見捨てるというのか!?」

男「意味がわからない」

勇者「私に、学校帰りに一人でコンビニに寄れと!?」

男「そんな事は一言も言ってない」


勇者「頼む! 私と一緒に戦ってくれ!」

勇者「同じ人間……仲間だろう!?」


男「クラスメイトだ」

906: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:38:08.93 ID:m3Ry9jdko
魔王「ふはははは! 臆したか、勇者よ!」

男「なんで偉そうなの」

魔王「所詮は、貴様のギャルなど付け焼き刃にすぎん!」

男「付け焼き刃って」


魔王「貴様は、買い食いなど出来はせぬわ!」

魔王「そこに居る、余の配下の足元にも及ばぬ!」


男「クラスメイトだ」

907: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:44:01.00 ID:m3Ry9jdko
勇者「頼む! 私と共に、店内に!」

魔王「聞くことはない! 捨て置け!」

勇者「魔王!? 私の邪魔をするつもりか!?」

魔王「ふはは! その絶望の表情、実に心地良いぞ!」


男「……じゃあ、このパピコあげるから」

男「二つに割って、二人で食べてろよ」


勇者・魔王「何ぃっ!?」

908: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:48:56.20 ID:m3Ry9jdko
勇者「お……お前は、戦利品を私達に!?」

男「戦利品て」

魔王「貢ぎ物のつもりか? 貴様、何を考えている!」

男「貢ぎ物て」


男「……大したことじゃない」

男「アイスを持って外に出たら『あっ、寒い』って思った」

男「その瞬間――肉まんの気分になっただけさ」


勇者「肉まん……!?」

魔王「だと……!?」

909: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:58:09.18 ID:m3Ry9jdko
勇者「くっ……肉まんなら――食べたい!」

魔王「貴様……! 余をどこまで惑わすつもりだ!」


勇者・魔王「……!」


男「……一つだけ言っておく」

男「さすがに、二人に肉まんは買ってこないからね?」

男「アイスをあげるのだって、どうしようか迷ったんだから」


勇者・魔王「そんなっ!?」

910: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 15:06:56.52 ID:m3Ry9jdko
勇者「ど、どうして買ってきてはくれないんだ!?」

男「お金が無いからだ」

魔王「ええい、嘘を申すな! 高々数百円だぞ!」

男「無いものは無い」


男「……男子の小遣いってのは、女子よりも低いんだ!」


勇者「……あー」

魔王「……うむ」

911: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 15:12:20.81 ID:m3Ry9jdko
勇者「それなのに……手に入れたパピコを」

男「ああ、そうだ」

魔王「寒さを感じたからと言って、手放すとは……」

男「勿論、それだけじゃない」


男「今日のこの出来事が尾を引き……」

男「明日、俺を挟んで前後でやりとりされると嫌だなぁ、って」

男「……そう、思ったんだ」


勇者・魔王「……」

912: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 15:18:00.12 ID:m3Ry9jdko
勇者「……約束しよう、そんな事はしないと」

男「勇者」

魔王「……うむ、余とてそこまで狭量ではない」

男「魔王」


勇者・魔王「――この、パピコに誓って!」


男「それじゃ、肉まん買ってくるけど……」

男「二人も買うなら、とりあえず店内入ろう」


勇者・魔王「!?」

913: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 15:26:08.87 ID:m3Ry9jdko
勇者「い、一緒に店内に入ってくれるのか!?」

男「うん、寒いし」

魔王「……良かろう、余の手を引く事を許可する」

男「えっ?」

勇者「! わ、私も頼んでいいだろうか!?」

男「……」


男「――恥ずかしいから、嫌だ」


勇者・魔王「っ……!?」

914: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 15:34:07.21 ID:m3Ry9jdko
勇者「恥ずかしい!? 買い食いは出来るのにか!?」

男「普通はそうだ」

魔王「己が身を恥ずかしがるとは、人間にしては良い心がけだ」

男「違う、そうじゃない」


勇者・魔王「ならば、何故だ!?」


男「いや……なんて言うか、ほら」

男「……なっ?」


勇者・魔王「……」

915: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 15:37:48.83 ID:m3Ry9jdko
勇者「……ならば、仕方ない」

ガシッ!

男「!? 左の手首を……!?」

魔王「うむ、致し方あるまい」

ガシッ!

男「!? 右の手首まで……!?」


勇者・魔王「――いざ、買い食い」

ガァキィ!


男「りょ、両方の腕の関節が……!」

男「ぐうっ、お、あああっ……!?」

917: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 15:44:54.22 ID:m3Ry9jdko
  ・  ・  ・

勇者「え、え~っとぉ、どれにしよっかなー」

魔王「……」

ガァキィ!

男「……」


店員「あの……痛く、無いんですか?」


勇者「やっぱりぃ、温かいの食べたいよねぇ~!」

魔王「……」

ガァキィ!

男「肉まん三つください」


店員「……かしこまりました、少々お待ち下さい」



おわり

919: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 23:42:41.75 ID:m3Ry9jdko
書きます


男「友達は?」勇者「欲しい」魔王「要らぬ」

920: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 23:45:59.30 ID:m3Ry9jdko
勇者「そう思い続けているのに、出来ない」

男「うん」

魔王「そう思い続け、孤高の存在でいる」

男「うん」


男「ここで、二人にお知らせがあるんだけど」

男「キミら――二人は、セットの扱いを受けている」


勇者・魔王「……セット?」

921: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 23:48:59.70 ID:m3Ry9jdko
勇者「……確かに、勇者と魔王は表と裏」

男「いや」

魔王「対極ではあるが、光と影と言うべきものだな」

男「違くて」


男「いつも二人は一緒に居るじゃん?」

男「つまり――女同士のゴニョゴニョだと思われている」


勇者・魔王「……ゴニョゴニョ?」

922: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 23:51:57.06 ID:m3Ry9jdko
勇者「ゴニョゴニョ? それは、流行の言葉か?」

男「ううん」

魔王「女同士の? 性別に、何の関係があると言うのだ?」

男「そうじゃなくて」


男「学校に、何故か一組は必ず居る……」

男「――あれ? もしかして、そうなの?」

男「……と思う、二人組だと思われてるんだ」


勇者・魔王「……?」

923: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 23:55:35.05 ID:m3Ry9jdko
勇者「ハッキリ言ってくれ、皆にどう思われているんだ?」

男「言いにくいんだ」

魔王「申してみよ。余と勇者は、どう見えているのだ?」

男「まあ、ぶっちゃけ」


男「女同士で、付き合ってると思われてる」

男「だから皆、何となく遠慮して近づいて来ないんだ」


勇者・魔王「……」

勇者・魔王「!?」

924: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 23:57:55.82 ID:m3Ry9jdko
勇者「私と魔王が!? 馬鹿な、有り得ん!」

男「うん」

魔王「何故、そう思われている? 理解出来ぬ」

男「うん」


男「例えば、授業中に二人でペアになる時」

男「二人は、誰を相手に選ぶ?」


勇者「魔王」魔王「勇者」

925: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:00:44.80 ID:5+VAiEZTo
勇者「魔王から、目を離す訳にはいかないからな」

男「うん」

魔王「勇者ならば、余の相手も務まるというもの」

男「うん」


男「じゃあ、休み時間中」

男「二人は、誰と一緒に過ごしてる?」


勇者「魔王」魔王「勇者」

926: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:03:10.15 ID:5+VAiEZTo
勇者「魔王から、目を離す訳にはいかないからな」

男「さっき聞いた」

魔王「勇者ならば、話し相手も務まるというもの」

男「それも聞いた」


男「それじゃあ、帰る時」

男「二人は、誰と一緒に帰ってる?」


勇者「魔王」魔王「勇者」

927: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:06:37.54 ID:5+VAiEZTo
勇者「帰り道が、途中まで一緒なんだ」

男「普通の理由だ」

魔王「ふっ、余の方が此奴よりも家が学校に近い」

男「それは聞いてない」


男「勇者と魔王」

男「――いつも一緒に居ると思わない?」


勇者・魔王「思う」

勇者・魔王「……」

勇者・魔王「ああっ!?」

928: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:10:50.27 ID:5+VAiEZTo
勇者「そんなっ!? まさか、それだけで!?」

魔王「腹立たしい限りだ! 余が、勇者と!?」


男「――結界を解いている時」

男「二人は、どんな風に呼び合ってる?」


勇者「まおちゃん」

魔王「ゆうちゃん」


男「……」

男「うん、そうだね」

929: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:14:46.12 ID:5+VAiEZTo
勇者「勇者と魔王だと、知られる訳にはいかないからな!」

男「うん」

魔王「余とて、無闇に騒動を起こそうとは思わぬ」

男「うん」


男「その呼び方をしてるの、お互いだけだよね」


勇者・魔王「そうだ」

勇者・魔王「……」

勇者・魔王「ああっ!?」

930: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:20:09.96 ID:5+VAiEZTo
勇者「待ってくれ! 私の見た目は、ギャルなんだぞ!?」

男「うん」

魔王「見よ、この眼鏡を! 伊達ではあるが、清楚そのもの!」

男「うん」


男「表と裏、光と影とかじゃなく……」

男「陰キャと陽キャで、付き合ってると思われてる」


勇者「陽キャと……!?」

魔王「陰キャだと……!?」

931: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:24:39.17 ID:5+VAiEZTo
勇者「私は、誰とでも喋るぞ!?」

男「一番話してるのは、魔王だ」

魔王「余は、誰とも話さぬ!」

男「唯一話してるのは、勇者だ」


男「俺も、たまにこうやって会話に加わるけど、さ」

男「その時は、結界が張られてるのがほとんどだもの」

男「百合ップルの間に挟まれてる被害者扱い受けてるもの」


勇者・魔王「……!?」

932: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:27:47.96 ID:5+VAiEZTo
勇者「ごっ、誤解をとかなくては! 今、すぐに!」

男「どうやって」

魔王「人と人とは、わかり合えるものだろう!?」

男「いやいや」


男「ムキになって否定すると、余計怪しい」

男「それに、実際? ただならぬ関係だし?」


勇者・魔王「違う! そうだが、違う!」

933: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:36:35.01 ID:5+VAiEZTo
勇者「私は、彼氏が欲しい! 恋がしたいんだ!」

男「……頑張れ!」

魔王「余は、静かに過ごしたい! おかしな噂になるなど!」

男「……頑張れ!」


男「二人の気持ちは、痛い程伝わってきた!」

男「……頑張れ! 頑張れ!」


勇者「そんな、無責任な!」

魔王「ええい、応援なぞ要らぬ!」

934: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:42:13.97 ID:5+VAiEZTo
勇者「魔王の正体を知る仲間じゃないか!」

男「仲間じゃない」

魔王「余の配下ならば、何とかしてみせよ!」

男「配下じゃない」


男「……それで、何なんだけどさ」

男「昼休み、俺は友達と弁当を食べたいんだ」


勇者・魔王「……友達と?」

935: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:46:07.47 ID:5+VAiEZTo
勇者「そ、それは……お、男友達という事か?///」

男「うん、男友達だ」

魔王「と、友だと?/// 貴様、何を言っている?///」

男「昼休みの過ごし方だ」


勇者・魔王「……///」


男「だから、この結界を解いて欲しい」

男「……友達が、待ってるんだ」


勇者・魔王「……」

勇者・魔王「うん?」

936: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:48:59.28 ID:5+VAiEZTo
勇者「それは……私とお前は、仲間ではなく――」

勇者「――友達として過ごしたい」

勇者「……という意味では?」


男「無い」


魔王「貴様……余の配下では、満足出来ず――」

魔王「――余の友になりたい」

魔王「……という意味では?」


男「無い」


勇者・魔王「……」

937: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:55:41.56 ID:5+VAiEZTo
勇者「今日のお弁当のオカズは何か、楽しみだ」

魔王「貴様、そんな事も知らぬのか?」

勇者「どういう意味だ?……まさかっ!?」

魔王「その、まさかよ」


魔王「余は……ふふっ!」

魔王「ママに、料理を習いだしたのだ……!」


勇者「ば……馬鹿なっ!?」

勇者「魔力だけでなく、女子力までも高めようと!?」


男「いやあの、結界」

938: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 01:02:52.18 ID:5+VAiEZTo
魔王「見るが良い……この、美しく焼かれた卵焼きをな!」

勇者「これを魔王が!? チョー美味しそうなんだケド!」

魔王「ふはは! どれ、一つくれてやろうではないか」

勇者「どれどれ……んっ、美味しい! 甘い卵焼き好き!」


魔王「卵に砂糖を加えるなど、菓子だけだと思っていたが……」

魔王「――この世界は、和食の素晴らしさを余に教えてくれた」


男「だから、結界」

939: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 01:07:58.79 ID:5+VAiEZTo
勇者「私は……あっ、青椒肉絲!」

魔王「ほう、貴様の弁当も中々やるではないか」

勇者「……私は、幼い頃はピーマンが苦手だった」

魔王「うむ、苦味と青臭さが鼻につくからな」


勇者「だが、青椒肉絲と、ピーマンの肉詰めに出会った」

勇者「――この二つが、私の世界を広げてくれた」


男「それより、結界」

940: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 01:16:25.71 ID:5+VAiEZTo
勇者「魔王、一口どうだ? 美味いぞ」

魔王「余に施そうというのか?」

勇者「違う。借りを作りたくないだけだ」

魔王「ふむ……そういう事にしておくか」


男「勇者と魔王」

男「俺に嫌がらせをして、悪いとは?」


勇者・魔王「思わない」


勇者・魔王「友達じゃないから」



おわり

942: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 21:58:07.35 ID:5+VAiEZTo
書きます


勇者「この戦いが終わったら、プロポーズするんだ」

943: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:00:11.36 ID:5+VAiEZTo
戦士「うお、そりゃ本当か!?」

勇者「ああ、まあな」

戦士「はっは! そいつぁ死ぬわけにはいかないな!」

勇者「そうだな」


勇者「魔王を倒したら」

勇者「――故郷の幼馴染に、プロポーズするんだ」


戦士「……」

戦士「……故郷の幼馴染?」

944: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:02:18.44 ID:5+VAiEZTo
戦士「故郷の?」

勇者「ああ、小さい頃はいつも一緒でな」

戦士「幼馴染?」

勇者「旅立つ時も、ずっと手を振ってくれてた」


勇者「――帰ってくるのをいつまでも待ってる」

勇者「そんな風に、笑いながら……な」


戦士「……」

戦士「……!?」

945: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:04:49.91 ID:5+VAiEZTo
戦士「なあ、勇者?」

勇者「? どうした、戦士」

戦士「お前にとって、僧侶はどんな存在だ?」

勇者「? 決まってるだろ」


勇者「僧侶は、大切な仲間だ」

勇者「旅が終わっても……そう、いつまでも、な」


戦士「……」

戦士「……!!?」

946: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:08:36.87 ID:5+VAiEZTo
戦士「……勇者、お前に大事な話がある」

勇者「? どうした、戦士」

戦士「今の話をしたのは、俺だけか?」

勇者「いや、戦士だけじゃない」


勇者「さっき、僧侶にもこの話をした」


戦士「!?」

戦士「……!!?」

947: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:11:06.49 ID:5+VAiEZTo
戦士「僧侶に!? 言ったのか!?」

勇者「? ああ」

戦士「僧侶は、何て言ってた!?」

勇者「いや、特に何も言われなかったな」


勇者「……あ、そういえば」

勇者「何故か突然、神に祈りを捧げてたぞ」


戦士「ですよね!!」

948: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:13:52.19 ID:5+VAiEZTo
戦士「なんで、今の話をする流れになったんだ!?」

勇者「いや、何でって……」

戦士「勇者、これは大事な質問だ!」

勇者「……ああ、何かな?」


勇者「魔王との戦いに生き残ったら、伝えたい事がある」

勇者「……って、真面目な顔で言われたんだ」


戦士「……」

戦士「……そっ……かぁ」

949: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:17:32.33 ID:5+VAiEZTo
戦士「そう言われたら、お前も幼馴染の事言うよな」

勇者「ああ、大切な仲間だしな」

戦士「……どんな風に、祈りを捧げてたんだ?」

勇者「それが、かなり本格的でな」


勇者「こう、胸の十字架を握りしめてだ」

勇者「地面に額をこすりつけて」

勇者「――神よー!」

勇者「……って感じだった」


戦士「……なるほ……ど~」

950: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:21:21.60 ID:5+VAiEZTo
戦士「……それから、どうなったんだ?」

勇者「ん? ああ、いくつか質問されたな」

戦士「僧侶……」

勇者「だが、意味がわからないものが多かったんだ」


勇者「幼馴染を狙ってる、意地悪な村長の息子が居ないか」

勇者「……とかな?」


戦士「アイツ、何を期待してんだ!?」

951: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:25:56.32 ID:5+VAiEZTo
戦士「居るのか!? そんな奴が!」

勇者「意地悪、ではないと思う」

戦士「居るのか!? 幼馴染を狙う村長の息子が!」

勇者「……まあ」


勇者「俺が村長の息子だ」

勇者「狙ってると言うか……もう、射止めてるな」


戦士「……」

戦士「お前、次期村長だったのな!」

952: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:31:40.52 ID:5+VAiEZTo
戦士「……他に、どんな事を聞かれたんだ?」

勇者「幼馴染は、どんな人か……って聞かれたな」

戦士「あ、それは俺も気になる」

勇者「あー……何て言うか、な」


勇者「二つ年上だけど、可愛くて……」

勇者「あ、眼を見張るほどの美人って訳じゃないんだぜ?」

勇者「だけど、俺にとっちゃ世界で一番なんだ」

勇者「しっかり者ぶってるけど、抜けてる所もあっt」


戦士「おうけい、ストップ勇者」

953: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:38:55.75 ID:5+VAiEZTo
戦士「今みたいな事を僧侶に言った、と」

勇者「ああ、笑いながら最後まで聞いてくれたぞ」

戦士「最後まで語っちゃったのか」

勇者「ああ、そしてだ」


勇者「――僧侶は、そういう相手は居ないのか?」

勇者「って、聞いてみたんだよ」


戦士「……」

戦士「……ワーオ」

955: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:42:10.59 ID:5+VAiEZTo
戦士「お前は、凄い所で会心の一撃を出すな」

勇者「? どういう意味だ?」

戦士「……いや、何でもない」

勇者「まあ、そうしたらな?」


勇者「――内緒です」

勇者「って、笑った後にな?」

勇者「――幼馴染さんに、是非会ってみたい」

勇者「……なんて言われてなぁ」


戦士「アイツ、何するつもりだ!?」

956: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:46:45.88 ID:5+VAiEZTo
戦士「勇者! お前、それを了承したのか!?」

勇者「? ああ、勿論だ」

戦士「絶対にやめておけ! 良いか、絶対にだ!」

勇者「ははっ、どうしてだよ?」


勇者「……まあ、せっかくだからさ」

勇者「僧侶に、結婚式の司式を頼んだんだ」


戦士「……」

戦士「はー……はーはーはー」

960: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:56:09.17 ID:5+VAiEZTo
戦士「勇者は、本当に勇気があるな」

勇者「? どうしたんだ、突然」

戦士「……僧侶は、それを受け入れたのか?」

勇者「勿論、二つ返事で了承してくれた」


勇者「――本当に、楽しみですね」

勇者「なんて、見たことのない笑顔をしてたぞ」


戦士「アイツ、挫けなさすぎだろう!」

961: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 23:01:40.22 ID:5+VAiEZTo
戦士「……僧侶の伝えたい事って、何だと思うよ?」

勇者「魔王との戦いに生き残ったら……だからな」

戦士「そうだ、アイツにとって大事な事だろうよ」

勇者「……っ!」


勇者「僧侶も惚れてる相手が居る、と!」

勇者「それを……仲間である俺に伝えようと!?」


戦士「鋭い! が、鈍い!」

962: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 23:08:21.69 ID:5+VAiEZTo
戦士「そこまで察せるのに、どうしてだ!?」

勇者「! そうか……!」

戦士「……わかったか、勇者」

勇者「……ああ」


勇者「僧侶は、戦いが終わった後に伝えようとしてくれてたのに!」

勇者「俺は、戦いの前に幼馴染の事を言っちまった!」

勇者「あー……俺も、全部終わった後に言うべきだったなぁ!」

勇者「な!」


戦士「本当にな!」

戦士「お前の考えてる事とは違うが、本当にな!」

963: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 23:18:35.89 ID:5+VAiEZTo
戦士「こんなんで、明日の決戦は大丈夫なのかよ……!」

勇者「俺たちなら――絶対に勝てるさ!」

戦士「ちょっと前まで、俺もそう思ってたよ!」

勇者「おいおい、弱気になるなよ」


勇者「僧侶なんか、凄いやる気だったぜ?」

勇者「――必ず手に入れてみせる」

勇者「……ってな」


戦士「……はい」


勇者「明日の戦いに勝って、必ず生きて帰るんだ!」

勇者「――平和をこの手に掴むぞ!」



おわり

967: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 21:58:51.30 ID:aqq4kDa3o
書きます


男勇者「古い装備を買い取ってくれるってよ!」

968: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:02:12.35 ID:aqq4kDa3o
女戦士「へえ、そいつは助かるね!」

女武道家「うん、捨てるのも何だしね!」

女賢者「それで、どの人が買い取ってくれるのかしら?」

男勇者「あの人だ!」


男商人「ぐふふ! 高値で買い取りますよぉ、ぐふふふ!」


女戦士・女武道家・女賢者「……」

女戦士・女武道家・女賢者「勇者、本気?」

969: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:05:07.18 ID:aqq4kDa3o
戦士「アンタ、何考えてるんだい!」

武道家「ねえ、本当に売るの!?」

賢者「あの顔、良からぬ事を考えてるわよ!?」

勇者「えっ!?」


商人「いやいや、そんな事はありませんよぉ!」

商人「……ぐふ! ぐふふふふっ!」


戦士・武道家・賢者「……」

戦士・武道家・賢者「絶対、嫌!」

970: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:09:46.07 ID:aqq4kDa3o
戦士「売る位なら、捨てた方がマシさね!」

武道家「そうだよ! ねえ、売るのやめよう!?」

賢者「勇者、もう少し考えて行動してくれる?」

勇者「いや、でも!」


商人「相場の三倍……いや、五倍出しますよぉ!」

商人「何せ、世界を救う勇者様達御一行ですから……ぐふふ!」


戦士・武道家・賢者「ご……」

戦士・武道家・賢者「五倍……!?」

971: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:13:07.11 ID:aqq4kDa3o
戦士「ふ、古くなった剣もかい?」

武道家「あ、あたしの鉄の爪も?」

賢者「わ、私の杖もかしら?」

勇者「どうなんですか?」


商人「いえいえ、さすがに持ちきれませんので……」

商人「布製の防具だけ、ですね……ぐっふふふひょう!」


戦士・武道家・賢者「ぬ……」

戦士・武道家・賢者「布製の防具だけ……!?」

972: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:15:34.07 ID:aqq4kDa3o
戦士「あるには……あるねぇ」

武道家「あー……あたしの、結構ある」

賢者「私も……布製のは多いわ」

勇者「本当に、相場の五倍なんですか?」


商人「ぐふふ、勿論ですともぉ!」

商人「ぐふふっふ! ぐふっ、ぐふふふふ!」


戦士・武道家・賢者「……」

974: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:20:32.51 ID:aqq4kDa3o
戦士「……どうする?」

武道家「どう、って言われても……」

賢者「……五倍で売れる機会なんて、滅多に無いわ」

勇者「五倍で買って、儲けは出るんですか?」


商人「ぐふふ、儲けようとは思っていませんよ」

商人「個人的……そう、個人的な……ぐふっ! ぐふふっ!」


戦士・武道家・賢者「……」

975: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:25:44.82 ID:aqq4kDa3o
戦士「じゃあ……こいつなら、いくらだい?」

武道家「あっ、それって――昔着てたやつじゃん」

賢者「懐かしいわね……本当に、初期の物よね」

勇者「戦士の、最序盤の布の服――おいくらですか?」


商人「ぐふふ、そうですねぇ……戦士様の物でしたら」

商人「――相場の、六倍は出しましょう! ぐふふふ!」


武道家・賢者「ろっ……!?」

戦士「六倍だって!?」

976: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:29:42.64 ID:aqq4kDa3o
戦士「あ、アタシの布の服が……六倍!?」

武道家「じゃじゃじゃじゃあ! あたしの、これは!?」

賢者「それは……二つ前に着てた、武闘着ね」

勇者「武道家の、二つ前の武闘着――おいくらですか?」


商人「ぐふふ、武道家様で……二つ前の物でしたら」

商人「――相場の、七倍は出しましょう! ぐふふふ!」


戦士・賢者「なっ……!?」

武道家「七倍!? えっ、ウソ! ホントに!?」

977: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:34:42.59 ID:aqq4kDa3o
戦士「聞いたかい、七倍だってよ!?」

武道家「きっ、聞いた! なっ、ななな七倍だって!」

賢者「なら、私が一つ前に着てた、水の羽衣は!?」

勇者「賢者の、一つ前の水の羽衣――おいくらですか?」


商人「ぐふふ、賢者様で……一つ前の物でしたら」

商人「――相場の、三倍は出しましょう! ぐふふ!」


戦士・武道家「さっ……!?」

賢者「……」

賢者「……三倍?」

978: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:43:22.00 ID:aqq4kDa3o
戦士「凄いじゃないか、三倍なんて!」

賢者「あ……いや、凄いんだけどね!?」

武道家「うんうん! かなりの高額になるよ!」

賢者「そうなんだけど! そうなんだけれども!」

勇者「どうしたんだ? 何が不満なんだ?」


賢者「なんか……なんか、なんかー!」

賢者「六倍で、七倍で、それなのに三倍って……なんか!」


勇者「どうした賢者!?」

勇者「賢さが大幅に下がってるぞ!?」

979: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:52:48.59 ID:aqq4kDa3o
戦士「どうしたんだい!? らしくないじゃないか!」

賢者「だって、なんか! なんか……なんかー!」

武道家「ごめん賢者! あたしにも、わかるように言って!?」

賢者「なんか、なんか……なんかなのよ!」

勇者「良いじゃないか、三倍だぞ!?」


商人「ぐふっふっふっふ! わかりました!」

商人「――相場の、四倍は出しましょう! ぐふふ!」


戦士・武道家「よっ……!?」

賢者「……」

賢者「四倍でも……なんか!」

980: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:59:07.97 ID:aqq4kDa3o
戦士「さすが賢者、交渉も上手だねぇ!」

武道家「うんうん! 賢者、これを狙ってたんだね!」

賢者「いや、でも! 六、七ときて……四は、なんか!」

勇者「じゃあ、俺の昔着てた旅人の服――おいくらですか?」


商人「ぐふふ、そうですねぇ……勇者様の物でしたら」

商人「――相場の、十倍は出しましょう! ぐふふふ!」


勇者「じゅっ……!?」


戦士・武道家・賢者「……」

戦士・武道家・賢者「……十倍?」

981: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:02:15.17 ID:aqq4kDa3o
戦士「アタシのが……六倍」

武道家「あたしのが……七倍」

賢者「私のが……四倍」

勇者「おっ、俺のは十倍!? 本当ですか!?」


商人「はぁい、勿論ですとも! ぐふっふっふっふ!」

商人「勇者様の身に付けていた物ですから! ぐふふ!」


戦士・武道家「……」

賢者「……今の気持ちは?」

戦士・武道家「……なんか……なんか、なんか!」

982: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:07:34.49 ID:aqq4kDa3o
戦士「いや、わかるんだよ!? 言ってる事は!」

武道家「わかるけど……なんか! なんかー!」

賢者「でしょう!? なんか……なんかでしょう!?」

勇者「さっ、さすがに悪いですよ!」


勇者「俺のは――多くても、二倍で良いです!」


商人「ぐふふ、何ですって? 二十倍ですってぇ?」

商人「――よろしい! 相場の二十倍は出しましょう! ぐふふ!」


戦士・武道家・賢者「にじゅっ……!?」

勇者「二十倍!?」

983: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:15:13.75 ID:aqq4kDa3o
勇者「そんなっ!? これ、母さんが作った物ですよ!?」

商人「何と!? 二十五倍は出します! ぐふひょう!」

勇者「破れた所は、俺が繕って不格好になってますし!」

商人「何と!? 三十倍出させてください! ぐふっふっふ!」


勇者「も、もう! もう、結構ですから!」


商人「結構ですと!? ぐふふっ、私も覚悟を決めましたよ!」

商人「――よろしい! 相場の四十倍は出しましょう! ぐふふ!」


勇者「ああっ!? そっちの意味の『結構』じゃなくて!」


戦士・武道家・賢者「……」

984: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:24:01.85 ID:aqq4kDa3o
戦士「アタシも……六倍じゃあ売れないね」

武道家「うん……あたしも、七倍じゃ無理かな」

賢者「私は、最初から売る気なんか無かったわ」

勇者「えっ!? ど、どうしたんだよ皆!?」


商人「何と!?」

商人「で……では! せめて、勇者様の物だけでも!」

商人「……ぐふふ! 五十倍! 五十倍なら、どうでしょう!」


勇者「ごじゅっ!?」


戦士・武道家・賢者「……」

戦士・武道家・賢者「なんか……なんか――っ!!」

986: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:28:34.82 ID:aqq4kDa3o
  ・  ・  ・

勇者「――なあ、どうして買い取りの話を断ったんだ?」


戦士・武道家・賢者「……」


戦士「やっぱり、変に甘えるのは良くないからねぇ」

武道家「うんうん、商人さんに悪いもんね」

賢者「いくら高額でも、あの場合は断るべきよ」


勇者「そっ……か」

勇者「うん! 確かに、皆の言う通りだよな!」


戦士・武道家・賢者「……」

987: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:34:31.10 ID:aqq4kDa3o
戦士「でも、さすがに五十倍は惜しかったねぇ」

武道家「元の値段を考えても、そこそこの値段だもんね」

賢者「勇者、あの旅人の服はどうしたの?」


勇者「……商人さんには、期待させるだけさせちゃったしさ」

勇者「また次に会った時にサービスしてください、って……」

勇者「……ははは、タダであげちゃったよ」


戦士・武道家・賢者「……」

戦士・武道家・賢者「本当、お人好しなんだから」

988: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:42:50.32 ID:aqq4kDa3o
  ・  ・  ・

商人「――ぐふっ! ぐふふふふっ!」

商人「勇者様が、旅立ちの日に身に付けていた!」

商人「さらには、勇者様の母上手製の装備が手に入るとは!」

商人「これは、物凄い価値が出ますよぉ! ぐふふっふっふ!」


商人「――ぐふふ、誰にも売るつもりはありませんがねぇ!」


商人「個人的なコレクションに加えるつもりでしたからね! ぐふふ!」

商人「これは、コレクションでも、一番の価値ある品になるでしょうな!」

商人「……ぐふっ! ぐふふっふっふふ!」


商人「正に、タダより高い物は無い!」



おわり

引用元: 地の四天王「光の勇者よ、助けてくれ!」