1: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:10:00 ID:???00
花帆「さやかちゃーん……」ギュッ
さやか「どうしたんですか、花帆さん?」
花帆「……何か、変じゃない?」
さやか「? と、いいますと……」
花帆「さやかちゃん……」
花帆「──今日の気温、暑すぎない!?!?」
さやか「……あ、言われてみたら、確かに……冬が終わったのに、これじゃ……」
さやか(……あれ?)
花帆「さやかちゃん? どうしたの?」
さやか「い、いえ。きっと、地球温暖化の影響じゃないですかね、この暑さ……」
花帆「ううー……仕方ないのかなぁ。冬の後が夏。これくらい、当たり前だもんねー……」
さやか「……ええ。そうですね」
さやか「どうしたんですか、花帆さん?」
花帆「……何か、変じゃない?」
さやか「? と、いいますと……」
花帆「さやかちゃん……」
花帆「──今日の気温、暑すぎない!?!?」
さやか「……あ、言われてみたら、確かに……冬が終わったのに、これじゃ……」
さやか(……あれ?)
花帆「さやかちゃん? どうしたの?」
さやか「い、いえ。きっと、地球温暖化の影響じゃないですかね、この暑さ……」
花帆「ううー……仕方ないのかなぁ。冬の後が夏。これくらい、当たり前だもんねー……」
さやか「……ええ。そうですね」
2: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:11:00 ID:???00
────
さやか「……」スタスタ
「私、もう冷房つけちゃったよ。本当、暑いよね~」
「それな~! 二月の暑さで、今日もアイスがうまい!」
ガヤガヤ…
さやか(あぁ、もう二月になって、数日……そろそろ、夏服の季節なんですね。花帆さんの言うとおり、最近すっかり暑くなってきましたし……)
さやか「…………?」ピタ
さやか(……二月に暑いのって、普通でしたっけ……?)
さやか「……」スタスタ
「私、もう冷房つけちゃったよ。本当、暑いよね~」
「それな~! 二月の暑さで、今日もアイスがうまい!」
ガヤガヤ…
さやか(あぁ、もう二月になって、数日……そろそろ、夏服の季節なんですね。花帆さんの言うとおり、最近すっかり暑くなってきましたし……)
さやか「…………?」ピタ
さやか(……二月に暑いのって、普通でしたっけ……?)
3: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:12:00 ID:???00
さやか「……いえ。なにを考えていたんでしょうか、わたし。冬が終わり、今の季節が夏……暑いなんて、当たり前なのに」
さやか(秋、冬、夏……どこも、おかしくなんてない)
さやか(…………ですが、先ほどからずっと、何かが変な気が……なんなんでしょうか、これ……?)
「──さや、見つけた」
さやか「! あれ、どうしてこちらに……? 今から教室まで迎えに向かうところでしたが……」
綴理「うん。だから逆に、ボクがさやを迎えに来た」
さやか(秋、冬、夏……どこも、おかしくなんてない)
さやか(…………ですが、先ほどからずっと、何かが変な気が……なんなんでしょうか、これ……?)
「──さや、見つけた」
さやか「! あれ、どうしてこちらに……? 今から教室まで迎えに向かうところでしたが……」
綴理「うん。だから逆に、ボクがさやを迎えに来た」
4: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:13:00 ID:???00
さやか「え、どうして突然、そんなことを……」
綴理「……だって、もう少しで、それもできなくなっちゃうから。今のうちに、さやの気持ちになってみた」
さやか「もう少しで…………あぁ」
さやか(そう、三月になったら、いよいよ…………いよいよ……?)
さやか「あの、もう少しで……何でしたっけ? 何もないと思いますが……」
綴理「えっ……? …………あれ」
綴理「……おかしいな。ボク、なんでこうしたんだっけ……?」ウーン
綴理「……だって、もう少しで、それもできなくなっちゃうから。今のうちに、さやの気持ちになってみた」
さやか「もう少しで…………あぁ」
さやか(そう、三月になったら、いよいよ…………いよいよ……?)
さやか「あの、もう少しで……何でしたっけ? 何もないと思いますが……」
綴理「えっ……? …………あれ」
綴理「……おかしいな。ボク、なんでこうしたんだっけ……?」ウーン
5: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:14:00 ID:???00
さやか「? どうしたんですか? 冬が終わって、夏が来て……その先、三月になっても何も変わりませんのに」
綴理「そう、だったね。……さやと、ここでずっと一緒に……か」
さやか「ええ。ずっと、一緒で……」
さやか「……っ」ズキッ
さやか(──違う。何かが……おかしい)
綴理「……? さや? 具合よくないの?」
さやか「……大丈夫です。さぁ、部室に向かいましょうか」
さやか(…………何か、大切なことを忘れたままな気が……目を逸らすことなど、決して認められないような、大切なことを……)
綴理「そう、だったね。……さやと、ここでずっと一緒に……か」
さやか「ええ。ずっと、一緒で……」
さやか「……っ」ズキッ
さやか(──違う。何かが……おかしい)
綴理「……? さや? 具合よくないの?」
さやか「……大丈夫です。さぁ、部室に向かいましょうか」
さやか(…………何か、大切なことを忘れたままな気が……目を逸らすことなど、決して認められないような、大切なことを……)
6: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:15:00 ID:???00
綴理「んー……そうだ。さや、さや」チョンチョン
さやか「? どうしましたか?」
綴理「部室に行く前に、あれを見に行こう」ピシッ
さやか「あれ……?」チラッ
さやか(その指が差す窓……みずみずしい桜の木が映っていました。夏なので、咲いてこそいませんが……)
さやか(……? いえ、秋も冬も桜が咲くことなんてありませんね。そんなの常識でしょう)
さやか「? どうしましたか?」
綴理「部室に行く前に、あれを見に行こう」ピシッ
さやか「あれ……?」チラッ
さやか(その指が差す窓……みずみずしい桜の木が映っていました。夏なので、咲いてこそいませんが……)
さやか(……? いえ、秋も冬も桜が咲くことなんてありませんね。そんなの常識でしょう)
7: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:16:00 ID:???00
綴理「桜、きれいだよね。もうすぐ、高校生になって四度目の桜だ。チョウチョも一緒に見れたりして」
さやか「…………四度目の、桜……」ポツリ
綴理「さや?」
さやか「あ、いえ。……そうですね。少し回り道をして、桜を見に行きましょうか」
さやか「…………四度目の、桜……」ポツリ
綴理「さや?」
さやか「あ、いえ。……そうですね。少し回り道をして、桜を見に行きましょうか」
8: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:17:00 ID:???00
────
ミーンミンミンミン…
綴理「外、暑いね。どうして夏になっただけで、こんなに暑いんだろう?」
さやか「夏という季節だと、太陽の光や熱を普段よりも多く受け取りますからね。その分、気温も上がります」
綴理「そっか……太陽って、すごいね」
さやか「そうですね……」ジー
さやか(そんな太陽の日差しが照らす先……桜の木が堂々と立ち、わたし達を出迎えていました)
綴理「あ、そうだ、さや。ボク、さやに聞きたいことがあって」
さやか「……? 聞きたいこと、ですか? 夏の暑さの理由以外に、でしょうか?」
綴理「うん。……さやに、聞かなきゃいけないことができたんだ」
ミーンミンミンミン…
綴理「外、暑いね。どうして夏になっただけで、こんなに暑いんだろう?」
さやか「夏という季節だと、太陽の光や熱を普段よりも多く受け取りますからね。その分、気温も上がります」
綴理「そっか……太陽って、すごいね」
さやか「そうですね……」ジー
さやか(そんな太陽の日差しが照らす先……桜の木が堂々と立ち、わたし達を出迎えていました)
綴理「あ、そうだ、さや。ボク、さやに聞きたいことがあって」
さやか「……? 聞きたいこと、ですか? 夏の暑さの理由以外に、でしょうか?」
綴理「うん。……さやに、聞かなきゃいけないことができたんだ」
9: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:18:01 ID:???00
綴理「今までずっと、さやがボクの隣にいてくれて、ボクを支えてくれていた……だよね?」
さやか「そう、ですね……もう二年ほどでしょうか」
綴理「ん。そしてこれからも、冬、夏、秋……その先もずっと、さやと一緒にすごせてしまう。……さや」
綴理「さやにとって──この今、そして未来って、幸せかな?」
さやか「……え?」
さやか「そう、ですね……もう二年ほどでしょうか」
綴理「ん。そしてこれからも、冬、夏、秋……その先もずっと、さやと一緒にすごせてしまう。……さや」
綴理「さやにとって──この今、そして未来って、幸せかな?」
さやか「……え?」
10: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:19:00 ID:???00
綴理「もし、これがさやの幸せなら……ボクもずっと、隣にいよう。ボクだって、そうしたい」
綴理「……どうかな、さや? さやの答えを聞きたいな」
さやか「?? え、っと……すみません、仰った意味がよく……」
さやか(当たり前の今、そしてその先のことに……わざわざ疑問を投げかけた意図が掴めなくて)
さやか「幸せ……かどうかを、聞きたいんですか……?」
綴理「うん。さやが、どう思うかだ」
さやか「え、えー……? よくわかりませんが、そうですね……」
さやか(これから先……わたし達がお互いに、決して一人にならず、一緒に過ごせてしまう未来…………あれ?)
綴理「……どうかな、さや? さやの答えを聞きたいな」
さやか「?? え、っと……すみません、仰った意味がよく……」
さやか(当たり前の今、そしてその先のことに……わざわざ疑問を投げかけた意図が掴めなくて)
さやか「幸せ……かどうかを、聞きたいんですか……?」
綴理「うん。さやが、どう思うかだ」
さやか「え、えー……? よくわかりませんが、そうですね……」
さやか(これから先……わたし達がお互いに、決して一人にならず、一緒に過ごせてしまう未来…………あれ?)
11: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:20:00 ID:???00
さやか「……っ!」ズキッ
さやか(……違う。そんなわけがない)
さやか(こんな未来だと知って、今まで進んできたわけじゃない、と……わたしでも、そのことを知っています)
さやか(いえ、ですが何故……わたしがそれを認識して……??)
さやか「あの、わたし……何かを忘れていたりしますか……?」チラッ
さやか(そう言って、顔を合わせようとしたとき……)
綴理「…………さや」ジー
さやか「ぁ……」
さやか(その、優しい瞳が視界に映りました)
さやか(……違う。そんなわけがない)
さやか(こんな未来だと知って、今まで進んできたわけじゃない、と……わたしでも、そのことを知っています)
さやか(いえ、ですが何故……わたしがそれを認識して……??)
さやか「あの、わたし……何かを忘れていたりしますか……?」チラッ
さやか(そう言って、顔を合わせようとしたとき……)
綴理「…………さや」ジー
さやか「ぁ……」
さやか(その、優しい瞳が視界に映りました)
13: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:21:00 ID:???00
さやか(──瞬間……この人のために、わたしが今まで何をして、どう生きてきたのかを……思い出して)
さやか「…………あぁ」
さやか(……そういうこと、でしたか)
さやか「…………あぁ」
さやか(……そういうこと、でしたか)
14: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:22:00 ID:???00
さやか「……」
綴理「さや?」
さやか「……質問に、答えますね」コホン
さやか「幸せ……なわけ、ないです。こんな──偽りの世界など」
綴理「!」
さやか(わかってしまった。気づいてしまった。この世界ができた理由も、おそらく……)
さやか「ごめんなさい。……全て、わたしが原因だったんですね」
綴理「さや?」
さやか「……質問に、答えますね」コホン
さやか「幸せ……なわけ、ないです。こんな──偽りの世界など」
綴理「!」
さやか(わかってしまった。気づいてしまった。この世界ができた理由も、おそらく……)
さやか「ごめんなさい。……全て、わたしが原因だったんですね」
15: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:23:00 ID:???00
さやか「わたしが願ったこと……わたし、決して受け入れたくなかったんです。あの季節が来てしまう、なんて」
さやか「だから、無理矢理にでも理屈をつけてしまった。……別れと出会いの季節。逆に、その季節が消えてしまうと、別れが訪れない」
さやか「本当に、我ながら荒唐無稽な理論ですが……今、この世界を見て、確信してしまいました」
さやか「わたし──卒業を、否定していたんです」
さやか「だから、無理矢理にでも理屈をつけてしまった。……別れと出会いの季節。逆に、その季節が消えてしまうと、別れが訪れない」
さやか「本当に、我ながら荒唐無稽な理論ですが……今、この世界を見て、確信してしまいました」
さやか「わたし──卒業を、否定していたんです」
16: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:24:00 ID:???00
綴理「……」
さやか「……申し訳ありません。八重咲ステージでああ言って、この気持ちだって、とうに乗り越えていたつもりでしたが……」
さやか(きっと、この世界もわたしが作り出した幻想なのでしょう。あまりにも、わたしに対してだけ都合が良すぎましたから)
さやか(ですが、おそらく……)チラッ
綴理「……そっか。それなら、さやがボクをここに呼んでくれたのか」
さやか「そうなります。……最初から、気づいていらしたんですよね? この世界が、現実と違うことに」
さやか「……申し訳ありません。八重咲ステージでああ言って、この気持ちだって、とうに乗り越えていたつもりでしたが……」
さやか(きっと、この世界もわたしが作り出した幻想なのでしょう。あまりにも、わたしに対してだけ都合が良すぎましたから)
さやか(ですが、おそらく……)チラッ
綴理「……そっか。それなら、さやがボクをここに呼んでくれたのか」
さやか「そうなります。……最初から、気づいていらしたんですよね? この世界が、現実と違うことに」
17: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:25:00 ID:???00
さやか(……違和感があった。放課後、迎えに来てくださったときの言動もそうですし、桜を見に行こうと仰ったときだって……)
──
綴理「桜、きれいだよね。もうすぐ、高校生になって四度目の桜だ。チョウチョも一緒に見れたりして」
──
さやか(あの言い方……桜が咲くことを知っていないと、できません)
さやか(……つまり、わたしの幻覚の世界に引き込んでしまっていた、ということで……)
さやか「本当に、申し訳ないです……わたし一人ならまだしも、余計に巻き込んでしまって……」
綴理「……ううん。いいんだ。ボクだって……さやの気持ち、わかってしまったから」
──
綴理「桜、きれいだよね。もうすぐ、高校生になって四度目の桜だ。チョウチョも一緒に見れたりして」
──
さやか(あの言い方……桜が咲くことを知っていないと、できません)
さやか(……つまり、わたしの幻覚の世界に引き込んでしまっていた、ということで……)
さやか「本当に、申し訳ないです……わたし一人ならまだしも、余計に巻き込んでしまって……」
綴理「……ううん。いいんだ。ボクだって……さやの気持ち、わかってしまったから」
18: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:26:00 ID:???00
綴理「最初のうちだけ、演技してたんだ。さやも知らない現実なら、ボクも知らないことにした方がいいと思ったから」
さやか「あぁ……だから、迎えに来てくださったとき、あのような対応を……」
綴理「うん。でも……さやが言う世界も、ボクにとって魅力的だった」
綴理「卒業がなくて、さやとずっと一緒の世界……それでもいいかな、って、ボクも……少し思ってしまったんだ」
さやか「あぁ……だから、迎えに来てくださったとき、あのような対応を……」
綴理「うん。でも……さやが言う世界も、ボクにとって魅力的だった」
綴理「卒業がなくて、さやとずっと一緒の世界……それでもいいかな、って、ボクも……少し思ってしまったんだ」
19: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:27:00 ID:???00
さやか「……」
綴理「でも……思い出した。だから、さやに聞くことができた」
綴理「ボクだって……さやと約束したんだ。さやがいなくても生きていくために、背中を押してもらった」グッ
綴理「そんなボクの思い出に、ボク自身が気づけた。だから、さや。さやの言う偽りの世界から、また現実の世界に行くために……」
綴理「──“別れ”を受け入れよう、さや」
さやか「……!」
綴理「でも……思い出した。だから、さやに聞くことができた」
綴理「ボクだって……さやと約束したんだ。さやがいなくても生きていくために、背中を押してもらった」グッ
綴理「そんなボクの思い出に、ボク自身が気づけた。だから、さや。さやの言う偽りの世界から、また現実の世界に行くために……」
綴理「──“別れ”を受け入れよう、さや」
さやか「……!」
20: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:28:00 ID:???00
さやか(あぁ……至極、簡単なことです。わたしが卒業を否定してしまい、この世界ができた)
さやか(なので、解決にあたって……わたしが、その“別れ”を受け入れてしまう必要があります)
さやか(…………ですが……)
綴理「さや。……もしかして、不安?」
さやか「……すみません。この世界がおかしいことくらい重々理解した上で…………少し、怖いんです」
さやか(“別れ”……本当にそれが来たとき、わたしが耐えられてしまうのかどうか……想像さえできない)
さやか(なので、解決にあたって……わたしが、その“別れ”を受け入れてしまう必要があります)
さやか(…………ですが……)
綴理「さや。……もしかして、不安?」
さやか「……すみません。この世界がおかしいことくらい重々理解した上で…………少し、怖いんです」
さやか(“別れ”……本当にそれが来たとき、わたしが耐えられてしまうのかどうか……想像さえできない)
21: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:29:00 ID:???00
綴理「……そっか。でも、さや。大丈夫だよ」ナデナデ
さやか「で、ですが……」
綴理「んー……じゃあ、こうしよう。ここで、十一月のときみたいに、ボクに気持ちを教えてほしい。それで絶対、さやも大丈夫だ」ニコッ
さやか「……え…………!? ま、まさか、八重咲ステージでやったのを、もう一度……!?」
綴理「うん。今ここで、大声で叫ぼう。──ビッグボイス選手権の復活だ」ニコッ
さやか「で、ですが……」
綴理「んー……じゃあ、こうしよう。ここで、十一月のときみたいに、ボクに気持ちを教えてほしい。それで絶対、さやも大丈夫だ」ニコッ
さやか「……え…………!? ま、まさか、八重咲ステージでやったのを、もう一度……!?」
綴理「うん。今ここで、大声で叫ぼう。──ビッグボイス選手権の復活だ」ニコッ
22: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:30:00 ID:???00
さやか「そんな、無茶苦茶な……たとえそうしても、上手くいくかどうか、わかりませんのに……」
さやか(再度この気持ちを表したって、何も……)
綴理「ううん、違うよ、さや」
綴理「今のさやだって、もう受け入れてしまう準備が終わってて……一歩踏み出す、きっかけが必要なだけなんだ」
さやか「きっかけ……」
綴理「さやに助けてもらった分、ボクもさやのことを支えたい。だから……お願い、さや」ニコッ
さやか(再度この気持ちを表したって、何も……)
綴理「ううん、違うよ、さや」
綴理「今のさやだって、もう受け入れてしまう準備が終わってて……一歩踏み出す、きっかけが必要なだけなんだ」
さやか「きっかけ……」
綴理「さやに助けてもらった分、ボクもさやのことを支えたい。だから……お願い、さや」ニコッ
23: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:31:00 ID:???00
さやか(……あぁ、こんなにも優しい人がわたしを想っていて……なんて幸せ者なんでしょうか)
さやか「……そう、ですね」
さやか(…………最初からもうすでに、気づいていたことです。今になってようやく、理解できたなんて)
さやか(時間が前に進むことで、わたし達も生きていく……止めていても意味がない)
さやか(だからこそ……こんな世界から早急に出て、時計を進めなきゃいけない……!)グッ
さやか「わかりました。……聞いていてください。わたしの、想いを」
綴理「……うん」
さやか(この願いを──叫ぶ!!)
さやか「──あなたと一緒にいたい! だけど、それ以上に……未来に進んでいくあなたの姿を応援したい!!」
さやか「だから、こんな世界……わたしにとって、必要ありません!! 卒業を肯定し、前に進む世界に、わたし達を連れて行けーー!!!」
さやか「……そう、ですね」
さやか(…………最初からもうすでに、気づいていたことです。今になってようやく、理解できたなんて)
さやか(時間が前に進むことで、わたし達も生きていく……止めていても意味がない)
さやか(だからこそ……こんな世界から早急に出て、時計を進めなきゃいけない……!)グッ
さやか「わかりました。……聞いていてください。わたしの、想いを」
綴理「……うん」
さやか(この願いを──叫ぶ!!)
さやか「──あなたと一緒にいたい! だけど、それ以上に……未来に進んでいくあなたの姿を応援したい!!」
さやか「だから、こんな世界……わたしにとって、必要ありません!! 卒業を肯定し、前に進む世界に、わたし達を連れて行けーー!!!」
24: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:32:00 ID:???00
────
──
さやか「……っ!」
さやか(喉を枯らす勢いで叫び、そして──)
さやか「……!」
さやか(──その瞬間、突然、全てが元に戻りました。あたかも、何事もなかったかのように。季節も、別れも……また、平等に)
さやか「…………これで、良かったんですよね?」
──
さやか「……っ!」
さやか(喉を枯らす勢いで叫び、そして──)
さやか「……!」
さやか(──その瞬間、突然、全てが元に戻りました。あたかも、何事もなかったかのように。季節も、別れも……また、平等に)
さやか「…………これで、良かったんですよね?」
25: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:33:00 ID:???00
綴理「うん。……さや、見て」
さやか「……? ……あ」
さやか(目の前の景色……先ほどまでもずっと見ていた桜の木が、先ほどと異なった姿でそこにあった)
綴理「つぼみだ。三月になったら、きっと……咲くんだろうね。とっても、きれいに」フフッ
さやか(三月…………四度目の、桜……)
さやか「……? ……あ」
さやか(目の前の景色……先ほどまでもずっと見ていた桜の木が、先ほどと異なった姿でそこにあった)
綴理「つぼみだ。三月になったら、きっと……咲くんだろうね。とっても、きれいに」フフッ
さやか(三月…………四度目の、桜……)
26: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:34:00 ID:???00
綴理「さや」ギュッ
さやか「……!? ど、どうしましたか?」
綴理「不安に思うかもしれないけど……大丈夫だよ、さや。さやなら、きっと……」
さやか「ふふっ……ええ。ちゃんと、理解しましたよ。なので、安心してください」クスッ
さやか(もう……迷いません。わたしが進む未来を、全て受け入れてしまう決意を、改めて抱きましたから)
さやか「……!? ど、どうしましたか?」
綴理「不安に思うかもしれないけど……大丈夫だよ、さや。さやなら、きっと……」
さやか「ふふっ……ええ。ちゃんと、理解しましたよ。なので、安心してください」クスッ
さやか(もう……迷いません。わたしが進む未来を、全て受け入れてしまう決意を、改めて抱きましたから)
27: 名無しで叶える物語◆nV2siX45★ 2025/02/03(月) 23:35:00 ID:???00
さやか「未来にも必ず、楽しいことがあります。否定せずとも、わたしも……前を向いて進んでいきますよ」フフッ
綴理「! そっか。……ねぇ、さや。ボク、この桜をさやと一緒に、三月にもまた見たいんだ。……いい、かな?」
さやか「ええ、もちろんです。わたしも、あなたの期待に応えたいので……それまでの日々も、全力で過ごしていきます!」グッ
綴理「ん。楽しみだ」ニコッ
おしまい
綴理「! そっか。……ねぇ、さや。ボク、この桜をさやと一緒に、三月にもまた見たいんだ。……いい、かな?」
さやか「ええ、もちろんです。わたしも、あなたの期待に応えたいので……それまでの日々も、全力で過ごしていきます!」グッ
綴理「ん。楽しみだ」ニコッ
おしまい
引用元: ・【SS】さやか「消えた季節」
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