1: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:00:15.30 ID:hs7Qijs7
\石焼き芋~オイモッ/


ダイヤ「あら、近くを通っていますわね」

ダイヤ「そういえばこの前ルビィが焼き芋食べたい食べたいとゴネていたような……」

ダイヤ「仕方ありませんわね、買って行ってあげましょう」


ダイヤ「すいませ~ん!お芋さん2つくださいな」

果南「ん?」

ダイヤ「あれ!?」

果南「ダイヤじゃん、なにしてんの」

ダイヤ「いやいや!こっちのセリフですわ!」

果南「見りゃ分かるでしょ。焼き芋売ってんだよ」

ダイヤ「ど、どうして果南さんが?」

果南「ダイビングショップだけじゃ食っていけないから」

2: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:02:10.70 ID:hs7Qijs7
ダイヤ「そ、そうなんですか……」

果南「しかし焼き芋ってのはよく売れるもんでね~、今や冬の立派な収入源だよ」

ダイヤ「……免許持ってましたっけ?それも中型車の」

果南「ん、いや、まあ。余裕でしょ」

ダイヤ「え??」

果南「や、だから、余裕余裕」

ダイヤ「……ああ!持ってるってことなんですのね!まあ、そりゃそうですわよね!」

果南「そそ。現に運転してる訳だしさ。それよりこの話はさっさとやめにして」

果南「2つ欲しいんだっけ?」

ダイヤ「あ、ええ。2つほど……」

ダイヤ「……って!私が1人で食べるんじゃないのよ!誤解しないでくださる!?」

果南「なんも言ってないじゃん……」

果南「ルビィの分でしょ。分かってるよ。はい、2つで840円ね」

ダイヤ「たっか」

4: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:04:33.10 ID:hs7Qijs7
果南「はい、じゃあ確かに840円頂きました。毎度あり~!」

ダイヤ「う~ん、焼き芋の値段ってこんなものだったかしら……」モグモグ


\石焼き芋~オイモッ/


千歌「あ!美渡姉焼き芋だ!」

美渡「本当だ。最近よく走ってるねえ」

千歌「ねーねー、食べたい!買ってこうよ~!」

美渡「ダーメ!晩ご飯前でしょ」

千歌「あれが晩ご飯でいいじゃん~!」

美渡「いいわけないでしょ!もー、駄々こねるんじゃないの!」

千歌「美渡姉は食べたくないの~?」

美渡「……」

美渡「ん~」

千歌「今日は寒いよね……?」

美渡「ん゛~……!」

美渡「……分かった!買ってくか!その代わり志満姉には言うなよ!」

千歌「わーい!」

6: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:06:19.08 ID:hs7Qijs7
美渡「すいませ~ん、焼き芋2つ欲しいんですけど……」

果南「あれ、美渡姉じゃん」

美渡「へ?果南?」

果南「おっ、千歌も」

千歌「あれー?なんで果南ちゃんが??」

果南「芋買ってってくれんの?」

美渡「え?まあ……そのつもりなんだけど」

果南「へー、志満姉好きだもんね。焼き芋」

美渡「!」

千歌「え?そうだっけ?」

美渡「う……そ、そうなんだよ……実は」

果南「1回で3,4個食べるでしょあの人」

千歌「……あ!もしかして」

千歌「志満姉に言うなって言ってたの!あれ晩ご飯前のおやつがバレたらまずいからじゃなくて!」

美渡「……そう。志満姉の分まで買ってくと値が張りすぎるんだよ……」

美渡「こっそり食べたのがバレるとあの人めっちゃ拗ねるしね~、3日くらいグダグダ言うし……」

千歌「なるほどー」

果南「……へえ」

7: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:08:13.06 ID:hs7Qijs7
果南「じゃあ志満姉の分まで買ってきなよ」

美渡「えっ、何が『じゃあ』なの!?アンタ話聞いてた!?」

美渡「志満姉の分まで買うと6個くらい買わなきゃいけないんだって!私と千歌の分も含めて!」

千歌「というか、志満姉に買ってくならお母さんにも買ってかなきゃだよ~。食べるか分かんないけどお父さんにも!」

美渡「あー、お母さんもよく食べるしなあ……」

美渡「そうなると10個くらい買うハメになる……それはイカン」

美渡「やっぱ2個だけちょうだい。ここで千歌と私だけ食べる。うん、それが一番いい!」

果南「イヤだね」

美渡「!?」

果南「ここは断固として10個買ってってもらう」

果南「じゃなきゃ私は売らないし、2人だけで食べようとしたことを志満姉にバラす。今バラす。電話してバラす」

美渡「お前ぇ……!!」ワナワナ

8: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:11:06.70 ID:hs7Qijs7
美渡「泣き虫果南が随分したたかになったもんだなぁ……!?ええ?おい……」ワナワナ

果南「泣き虫果南ねぇ。ははっ、昔の話かなん」

千歌「なにその無駄にカッコイイやり取りは……」

果南「安心してよ美渡姉。幼馴染のよしみだし、ここは安くしとくからさ。ね?」

美渡「……ちなみに、いくら?」

果南「……千歌、今日って26日だっけ?」

千歌「え!?う、うん。26日だよ?」

果南「じゃあ10個で5000円だね。大特価」

美渡「待てこら!今お前昨日が給料日なの気付いてちょっと高くしただろ!」

9: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:14:30.86 ID:hs7Qijs7
果南「さあ~???なんの事かなん?果南ちゃんさっぱり分からな~い!」

美渡「こいつぅ……!いっぺんぶん殴ったろか……!」ギリギリ

果南「いいじゃん!ワンコインならぬワン樋口で。キリいいしお買い得だよ?」

美渡「んな訳あるか!」

果南「あのさあ……出し渋っててもしょうがないよ?私本当に志満姉にバラしちゃうよ?それは困るでしょ?ほら早く樋口出そうよ。それで丸く収まるんだからさ~。ほらはよ、はよ!」

美渡「新手のカツアゲだろこんなん……」プルプル

果南「はい、毎度ありぃ!じゃあこれが焼き芋10個セットね~」

千歌「わーい!おいしそー!」

美渡「くっ、覚えてろよ果南……」

果南「冷めないうちに早く食べてねー」

千歌「わっ、美味しいよこれ!」モグモグ

美渡「あ、本当だ。味はマジで美味いなこれ……腹立たしい」モグモグ

11: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:18:14.58 ID:hs7Qijs7
\石焼き芋~オイモッ/


果南「……ん?あれって……」

果南「……おーい!おーい!」


鞠莉「ホワッツ?」テクテク

果南「おー、鞠莉じゃん」ブロロロロ……

鞠莉「あれ?果南じゃん。何してるの、トラックなんか運転して」

果南「芋売ってんだよ。見たまんま!」

鞠莉「芋……?なんで?なんでトラックで芋を?」

果南「あれ、知らない?石焼き芋見たことないの?」

鞠莉「あー、なんかそういえばちょいちょい走ってるような……?毎年冬頃に」

果南「そうそう。それが石焼き芋って言うんだよ!日本ではフツーなの」

果南「なんだ、意外と鞠莉ってまだまだ知らない日本文化あるじゃんw」

鞠莉「ソーリーwお恥ずかしいw」

果南「仕方ないなあ、じゃあ実際に食べて体験してみなよ!美味しいから!」

鞠莉「でも私現金持ってないんだけど……」

果南「へーきへーき!後で小原家に請求書送り付けるから!」

13: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:21:39.00 ID:hs7Qijs7
鞠莉「じゃあその焼き芋?1個だけ貰おうかしら?」

果南「ん。1個でいいの?お母さんとお父さんは食べない?」

鞠莉「食べると思う?」

果南「……まあ、食べないか~。あの親御さんはね~」

果南「じゃあ1個だけね!えーっと、値段は……」

果南「……………………」

果南「……(頭フル回転中)」

果南「……鞠莉!!」

鞠莉「!」ビクッ

鞠莉「な、なに?急に……」

果南「言い忘れてたけど私のとこで売ってる焼き芋はすっっっごく高級な伝説の芋を使ってるの!」

鞠莉「え、そうなの!?」

17: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:25:37.49 ID:hs7Qijs7
果南「そうだよ!だって私の家はこれを生業にしてるんだよ!?こだわりにこだわり抜いた焼き芋しか売りたくないの!!」

鞠莉「生業はダイビングショップでしょ!?」

果南「と に か く ! !」

果南「細かいことは置いといて!!これは結構値段が張る焼き芋で!!!それでも鞠莉は買おうと思うのかな!?ってことを聞いてるの!」

鞠莉「え、ええ~?まあ別に値段はどうでもいいけど……そんなにこだわりがあるものなの??」

果南「あるよ(迫真)」

果南「まず使ってる芋!これはここ日本でしか取れないと言われてる伝説のクズ芋なんだ!スーパーなんかでは決して買えないこともない超貴重な芋なんだよ!そしてそのありふれたホクホク食感は病みつきになること間違いなし!(超早口)」

鞠莉「ふんふん(ほぼ聞こえてない)」

果南「それを揚げるでも蒸すでも煮るでも燻すでも茹でるでもなく、なんと石焼き!贅沢にも石焼き!石焼き芋だから石焼き!どう!?凄いでしょ!!」

鞠莉「え?え~っ……?凄い……?凄いのかしら……?」

果南「鞠莉!!」

鞠莉「!」ビクッ

果南「鞠莉は!石焼いたことある!?」

鞠莉「な、ないけど……」

果南「でしょ!?普通焼かないよね!?でも今は焼いてるんだよ!石焼き芋だから!」

鞠莉「おお……!」

20: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:28:41.67 ID:hs7Qijs7
果南「という訳でめちゃくちゃ高くてね~。でもそのせいか、なかなか売れなくてさ」

果南「……1個9800円するんだよこの芋」

鞠莉「え!?それは流石に高くない!?」

果南「でしょ~?たかが芋1つにこの値段は高いと思うよね?」

果南「……ちょっと待ったぁ!!」

鞠莉「!?」

果南「なんと今から30分以内にお買い上げの方に限り!この!9800円の焼き芋を!

果南「半額の4900円まで値下げ致します!!!!!!!!」

鞠莉「え!?9800円が!!!!!!?」

果南「そう!凄いでしょ!!」

果南「しかも更に……!?」

鞠莉「更に!?」

果南「なんと今だけお値段そのままで、焼き芋がもう1個付いてくるッ!!」

鞠莉「えええええええええええ!!!!?」

鞠莉「すごい!」

22: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:31:31.78 ID:hs7Qijs7
果南「本当はこんなに値下げしたくないんだけど……鞠莉は友達だから!出血大サービスだよ!」

鞠莉「果南……!」

鞠莉「分かった、買ってく!凄いわ!こんなお得なもの見逃せるはずがアリマセーン!」

果南「うっへっへ、毎度ありぃ!」


鞠莉「いや~、いい買い物した!それじゃあ請求書は後でお家に送ってね~」モグモグ

果南「はーい。気を付けて帰るんだぞ~」

鞠莉(うーん、確かに美味しいけど2つもいらないなあ)モグモグ


果南「いやー、儲けた儲けた!」

果南「さて!だいぶ在庫も捌けてきたかな?……あと数個か!売り切っちゃおう!」


\石焼き芋~オイモッ/


ルビィ「あ、あの……すいません……」オズオズ

果南「ん?今度はルビィちゃんか」

24: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:34:33.53 ID:hs7Qijs7
ルビィ「あれ!?果南ちゃん!」

果南「Aqoursは皆芋が好きだね~」

ルビィ「うゆ……?果南ちゃんがお芋さん売ってるの……?」

果南「そうそう。松浦のお芋屋さんだよ~」

ルビィ「そ、そうなんだ……」

ルビィ「でも、果南ちゃんでちょっと安心したかも……」

果南「なにが?」

ルビィ「えー、だってお芋さん買うのちょっと恥ずかしいし……」

果南「そうかな?」

ルビィ「そうだよー」

果南「ちなみに売るのは?私今恥ずかしい状態だったりする?」

ルビィ「売るのは別に……というか果南ちゃん運転免許持ってたっけ?」

果南「あー、持ってる持ってる」

果南「で、それはさておき!買ってくんだよね?」

果南(さっきダイヤが買ってったはずだけど、多分入れ違ったんだね)

果南(まあ、黙っとくけど)

果南「いくつ買ってくの?」

ルビィ「ふ、2つで……」

果南「おっ、ダイヤにお土産だな~?偉いぞー!」

ルビィ「いや1人で食べるんだけど……」

25: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:37:09.51 ID:hs7Qijs7
果南「…………」

ルビィ「果南ちゃん?」

果南(ダイヤよ…………)

果南(お前はしっかり妹の分まで買ってったというのに……)

ルビィ「おーい?」

果南(見ろ、目の前のこいつはお前のことなど1mmも考えていないぞ……)ホロリ

ルビィ「ど、どうしたの果南ちゃん!?」

果南「いや、ちょっとね……切なくなっちゃって」グスッ

果南「……ルビィさあ」

ルビィ「うゆ?」

果南「何か大事なことを忘れてない……?」

ルビィ「え?なにが?」

果南「焼き芋2つ食べたいの?」

ルビィ「うん!」

果南「本当にそれだけでいいの?」

ルビィ「うん!」

果南(即答かあ……)

27: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:39:21.40 ID:hs7Qijs7
果南(ダメだこりゃ)

ルビィ「で、いくらなの?」

果南「……2個で3000円」

ルビィ「え!?高くない!?」

果南「高くない!今の私の心境的にそんなもん!」

果南「もしルビィがもうちょっと『誰か』のこと考えてたならこんな請求しないけど!」

果南「ルビィ1人だけで食べるって言うならこの値段!」

ルビィ「……分かったよぅ。払うよう」ゴソゴソ

果南(払うんかい!)

果南「ま、毎度ありぃ……」


ルビィ「わーい!焼き芋だぁー!ちょっと高かったけど2つも食べれるなんて幸せー!」モグモグ

果南「ダメだありゃ、がめつすぎる」

果南「しかし……う、うへへへへへw」

果南「それはそれとしていい売り上げになった!w今日の売り上げだけでかなりのもんだこりゃ!w」

果南「残ったてるのはあと1個か……。うへへ、これもも誰かに高値で売りつけてやろうかな!wうへへへへへへへw」

32: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:41:02.30 ID:hs7Qijs7
\石焼き芋~オイモッ/


果南「お芋はいらんかね~」

果南「おーい、お芋だよ~」

果南「………………」

果南「うーん、流石にもう売れないかあ」

果南「今の時間は……20時!ちょうど晩ご飯が終わるくらいだもんね」

果南「まあ十分儲けたからいいとして、1個だけ余ったのもなあ。できれば売り切りたかったよ」

果南「……まあいいや!お腹減ったし、これは私が食べよっと!」

果南「いただきまー……ん?」


梨子「…………」チラッチラッ


果南「なーにしてんの」ブロロロロ……

梨子「うわっ!?な……果南ちゃん!?」

果南「なにこっちチラチラ見てたのさ」

梨子「え、ええ……?いや、焼き芋屋さんがあるなあと思って……」

果南「なに?食べたいの?」

梨子「あ、いや!///これはその……///っていうか果南ちゃんそんなこともしてたのね?」

果南「まあね。副業的な?」

梨子「免許持ってたっけ?」

果南「いやまあ、ぶっちゃけると実は持ってないんだけどさ」

34: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:42:56.43 ID:hs7Qijs7
果南「それで?買ってく?ちょうど残り1個なんだけど」

梨子「えっ、そうなの?……あ、いや、でも……」

果南「なに?お金ないの?」

梨子「お、お金はあるんだけど……なんというか、こういうの初めてで……」

果南「初めてって、焼き芋が?」

梨子「いや、東京にこういうのって走ってなかったから……ちょっと、恥ずかしいというか///」

梨子「わ、私が焼き芋買ったこととか、皆に言ったりとかしないよね?」

果南「……はあ」

果南「あのね~、梨子」

梨子「え?」

果南「っんなくだらんこと言ってないで食え!!んなこと気にするのは東京モンだけ!内浦の乙女は皆焼き芋食って晴れて成人するんだよ!」グイッ

梨子「う、うそだあ!」

37: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:45:17.38 ID:hs7Qijs7
果南「はあ~……ったく、しょうがないな」

果南「…………よっ」パカッ

梨子「あ……」

果南「ほら、私も一緒に食べてやるから」

梨子「あ、うん……」

果南「こうやって誰かと分けて食べるのが焼き芋の一番美味しい食べ方なの。これは知らなかった?」

梨子「し、知らなかった……」

果南「ん、うまい」モグモグ

梨子「……あ、本当だ。おいし……」モグモグ

果南「でしょ?」

梨子「うん///」

果南「……よーっし!なんとか、売り切ったかぁ~!」

果南「また明日も売りに行くかあ~!梨子ちゃん、また食べてってよね!」

梨子「ええ」ニコッ

38: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:45:49.48 ID:hs7Qijs7
果南「という訳で1個420円の半分で210円ね!毎度あり!」

梨子「あ、お金はしっかり取るのね……」

39: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 21:46:04.69 ID:hs7Qijs7
終わり。

57: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 22:15:21.36 ID:hs7Qijs7
せっかくなんで残りメンバー分も書いちゃおうと思います。

65: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 23:21:37.58 ID:hs7Qijs7
\石焼き芋~オイモッ/


果南「さあさあ美味しい焼き芋だよ~!今なら実質値下げ中だよー!」

果南「……ん!おお、あれは」


果南「よー、善子!今帰り?」ブロロロロ……

善子「ひゃっ!?な、なに!?」ビクッ

果南「そんなびっくりしないでよー。焼き芋屋さんだよ?見たら分かるでしょ?」

善子「え、え?……アンタ、果南じゃない!」

果南「そそ。お芋屋さんの果南ちゃん」

善子「お芋?あー……。そういえばルビィがなんか言ってたような……」

果南「え?ルビィが?」

善子「そ。なんかヤクザみたいにぼったくってくるお芋屋さんがいるとかなんとか」

善子「凄く愚痴ってたけど……それアンタのことだったのね?」

果南「へールビィちゃんがそんなことを。ほーん」

果南「まあいいや。その話は後でルビィちゃんから 詳 し く 聞くとして……」

果南「どう?美味しい焼き芋だよ、買ってかない?」

善子「いやよ。ぼったくるんでしょ?」

果南「チッチッチッ……違うんだなあ」

果南「確かに値段が高いのは私も反省してね……さっきも言ってたけど、今は実質値下げ中なんだよ」

66: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 23:23:44.26 ID:hs7Qijs7
善子「へえ……値下げ?」

果南「うん!実質値下げ!」

善子「……いくらなのよ?」

果南「420円!」

善子「高いわ!本当に値下げしてんの!?」

果南「うーんとね、お値段は据え置きなんだけど」

善子「じゃあ値下げしてないじゃない!」

果南「待って、早とちりしないで!言ったでしょ?『実質』値下げなんだって!」

善子「……どゆこと??」

果南「聞いて驚くがいい!」

果南「実はなんとこの度、ウチの店のポイントカードを作ったんだよ!」

善子「焼き芋の屋台で!?」

果南「焼き芋の屋台で!!」

69: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 23:27:14.79 ID:hs7Qijs7
果南「このポイントカードでポイントを溜めていくと、お芋が1個無料ってサービス始めてね~」

果南「だから『実質』値下げなの!どう?」

善子「それ値下げって言う……?というか、何ポイントで無料になんのよ」

果南「100ポイント」

善子「……1ポイント溜めるには?」

果南「1000円で1ポイント」

善子「10万円分食べなきゃダメじゃない!アホか!」

果南「えー?いいアイディアだと思ったんだけど……」

善子「どこの世界に焼き芋を10万円分食べる奴がいんのよ!」

果南「あ、ちなみにこのポイントは有効期限1シーズンね。来年からは失効するから」

善子「ますますアホか!!」

70: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 23:28:56.96 ID:hs7Qijs7
果南「で、どう?買ってかない?ついでにポイントカードも作ってよ!」

善子「いやよ!高いのは変わりないし、帰ったらママが晩ご飯作ってるんだから」プイッ

果南「頼むよ~、今日まだ1個も売れてなくて」

善子「もー、しつこい!食べないったら食べない!」

善子「今日の晩ご飯すき焼きなのよ!!」

果南「う……すき焼き……」

善子「そうよ、すき焼きよ!」

果南「そ、それは確かに余計なものお腹に入れたくないね……」

善子「でしょ?分かってくれた?」

果南「そっか、善子ちゃんすき焼き楽しみにしてるのか……(拡声器の電源ON)」


\善子ちゃんすき焼き楽しみにしてるのか……/


善子「!?」

71: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 23:31:54.56 ID:hs7Qijs7
\善子ちゃん……じゃなくてヨハネはすき焼き大好きだったか……/

\堕天使でもすき焼きの魅力には勝てないよね……/

\ごめん、ムリ言って。ヨハネの晩餐にはすき焼きがお似合いだよね……/


善子「ぎゃあああああああ!!!!!やめなさいこら!!!!!スイッチ切りなさいバカ!!」

果南「へ?スイッチ?」キョトン

善子「うっ……」

果南「あれ、あれ……これどうやって切るんだっけ」

善子「こ、こいつぅ~!!」

善子「……分かった買うわよ!買えばいいんでしょ買えば!」

果南「あっ、スイッチの切り方思い出した」ガチャッ

善子「新手のカツアゲじゃないこんなの……」

果南「それ皆言うね」

善子「皆に言わせてるのね……」

72: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 23:36:41.86 ID:hs7Qijs7
善子「はあ、じゃあ2個頂戴。ママの分も買っていくから」

果南「あっ、本当?ありがとうね!」

果南「毎度あり!はい、どーぞ!」

果南「あ、あとついでにポイントカードは……」

善子「作らないわよ……ポイントカードはシステムいっぺん見直しなさい……」

善子「ったく、予想外の出費だわ」パクッ

善子「……!」

善子(なにこれ……普通に美味しい)モグモグ

果南「お母さんによろしくねー」

善子「ふんっ、ばーかばーか!」

果南「さて、と……」


\石焼き芋~オイモッ/


果南「美味しいお芋だよー!」


タタタッ


ルビィ「すいませ~ん!焼き芋くださ……」

ルビィ「げっ!果南ちゃん!」

果南「あ!ルビィ!」

73: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 23:38:51.20 ID:hs7Qijs7
ルビィ「うわっ、よく確認しないで来ちゃった!」

果南「ルビィー!おまえー!」

ルビィ「ひっ!」

果南「なんかぼったくりとか言ってたらしいなー!もう!」

ルビィ「だ、だってそうじゃん!後々考えてみたら1個1500円はやっぱりおかしいもん!」

ルビィ「しかもお姉ちゃんはもっと安く買ってたみたいだし!意味分かんないよ!」

ルビィ「……というか、別に1個420円でも安くないやい!」

果南「じゃ、じゃあ1個いくらぐらいが適正価格なのさ!」

花丸「……焼き芋はせいぜい200円くらいずら」

果南「あっ、マル!」

75: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 23:42:53.27 ID:hs7Qijs7
果南「一緒にいたの?」

花丸「うん。一緒にこの辺まで遊びに来てて……」

花丸「そうしたらルビィちゃんが急に『お芋屋さんだ!』って走って行くから」

ルビィ「うゆ……ルビィお芋さん好きだからつい……」

花丸「というか放送まんま果南ちゃんの声だったし、気付かなかったの?」

ルビィ「へへ……お腹減ってて……」

果南「なんだ、ちょうどいいじゃん!じゃあ二人とも買ってきなよ!」

花丸「お断りずら」アッカンベー

花丸「せめて200円くらいじゃないとマル達は買わないもんね。420円はぼりすぎずら」

果南「………………」

果南「……(頭フル回転中)」

76: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 23:46:19.90 ID:hs7Qijs7
果南「……分かった分かった。じゃあこうしよう。いいこと思いついたよ」

花丸「ずら?」

ルビィ(絶対ロクなことじゃない……)

果南「マルは食いしん坊だよね?」

花丸「え?きゅ、急になに??」

果南「もし!もしだよ?お金が一切かからないとしたら……もしどれだけ食べてもお金がかからないとしたら……」

果南「そんな夢みたいな話、あったらいいよね?」

花丸「そ、それはまあ……」

果南「……分かった!叶えよう!その願い!!」

花丸「ええっ!?」

ルビィ「花丸ちゃん!よく分かんないけど耳を貸しちゃダメっ!」

79: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 23:52:46.70 ID:hs7Qijs7
果南「いっぱい食べたいマルのために、特別に限定サービスをやってあげる!」

花丸「限定サービス?」

果南「そう!名付けて!お芋大食いチャレンジ!」

ルビィ「大食い!?」

果南「その通り!」

果南「ルールは簡単!今から私がこのストップウォッチで10分測ります!」

果南「その間に焼き芋を2人で10個食べれたら、その分は全部無料!ただし!」

果南「食べきれなかったら、その時はきっかり10個分の代金を貰う!ただそれだけ!」

ルビィ「10個分って言うと……よ、4200円!?ピギィ!」

花丸「…………」

果南「さあ、どうする!?やるか、やらないか?」

ルビィ「は、花丸ちゃん?」

花丸「…………」

花丸「余裕ずら!」

ルビィ「ええっ!?」

果南(きた!!!!!)

81: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/28(水) 23:57:40.92 ID:hs7Qijs7
果南(マルならそう言うと思った……!絶対乗ってくると思ったよ!)

果南(ふふ、『2人で』10個ってのがポイントだね。マルの胃袋を考えると、『1人で』10個がギリギリキツいくらい……)

果南(なら『2人で』という条件であればいけると思うはず!ここは絶対乗ってくる!)

果南(でも、甘いねえ……)


ルビィ「だ、大丈夫かなぁ!?」

花丸「心配いらないよ!マルがいっぱい食べてあげるから!」エッヘン


果南(そこにいるルビィは!ほぼ役に立たない!!まず間違いなく!)

果南(確かにルビィはポテト類が好きかもしれない……けど!それと食べる速さは関係ない!好きな物とは言え、ルビィは食べるのが極端に遅い!)

果南(となると結局はほぼマルの1人挑戦と変わらない……そしてそこの可能性も完全にない!)

果南(なぜなら!)

果南(私が提供するのはこの『あとほんのちょっと焼き切れていない芋』!中の方はまだやや生っぽくて、水分がなければ完食は微妙にしんどい!)

果南(そして当然水分は提供しない!2人も飲み物は持ってない様子!)

果南(ふっふっふ……)

果南(勝った!4200円は貰ったよ!)

82: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/29(木) 00:00:47.08 ID:HIni/pcj
果南「えー、ゴホン。それじゃあ今から10分、このストップウォッチで測るからね」

果南「時間内にここにある10個の焼き芋を『2人で』食べきれたら、無料です。準備はいい?」

花丸「ずら!」

ルビィ「……」ドキドキ

果南「ふふっ、頑張ってね!それじゃあ位置について……よーい、ドン!」


ピッ
ピピピピ


花丸「はぐっ、はぐっ!」ガツガツ

果南(お、おお。流石に速い……)

ルビィ「うゆ……」

果南(ん?ルビィちゃんは見てるだけ……?)

果南(しかも携帯いじってるし……これはいったいどういう……)

果南「!」

花丸「はぐっ……!……よーし!あと6個ずら!」

果南「うそ!?早くない!?」

83: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/29(木) 00:02:37.60 ID:HIni/pcj
7分経過……


花丸「ゲフッ……よーし、あと、2個ずら……」モグモグ

ルビィ「花丸ちゃん!がんばって!」

果南「う、うわわ……!」

果南(甘く見てた……!このままじゃ普通に全部食べられる……!)

花丸「う……!あと……2個……!」

果南(マズイ……)

花丸「……!う~……」

果南(……!こ、これは!?)

果南(マルの手が止まりつつある!)

花丸「う゛ー…………」

果南(よかった……!やっぱり生焼けの芋はキツかったんだ!お構い無しに食べてたから焦ったけど、やっぱアレは水分ないとキツイよね!)

花丸「うー……!」

果南「あと1分!」

果南(勝った!)


タタタ……


曜「お~いたいた!よく分かんないけどこれ食べればいいの?」

果南「!?」

曜「あ、あとこれ。頼まれてたお水ね!はい、花丸ちゃん!」

84: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/29(木) 00:04:42.15 ID:HIni/pcj
果南「ちょっ、なんで曜が!?」

花丸「ふ~、助かったずら……」ゴクゴク

曜「じゃ、いただきまーす」モグモグ

花丸「ぷはっ……!よし、マルもこれでもう一個食べられる……」モグモグ

果南「えっ!?あっ!……あ、あと40秒……」

ルビィ「二人とも、がんばれー!」

曜「うん、おいしいねこれは」モグモグ

花丸「もう食べ終わるずら」モグモグ

果南「こ、これは一体……」

曜「ご馳走様でした!」

花丸「美味しかったずら~」


ピピピピ


果南「食べ、終わった……」ガクッ

花丸「これでマル達の勝ちだね!w」

曜「?よく分かんないけどやったね!」

果南「……ってちょっと待ったぁ!!」

花丸「ん?」

果南「こ、これは反則じゃないの!?なんか急に乱入してた曜が食べたけど!これは……」

花丸「最初に取り決めたルールは『2人で』食べるということだけだよ?何もマルとルビィちゃんとは言ってないずら」

ルビィ「ルビィは一切食べてないからね!最初から参加してないよ!」

果南「なにぃいいいい!!!!!?」

86: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/29(木) 00:06:31.83 ID:HIni/pcj
果南「で、でも!なんでそんな都合よく曜が……」

花丸「ほら、この辺沼津だし。善子ちゃんや曜ちゃんの家近いでしょ?」

花丸「マルが食べてる最中、ルビィちゃんに曜ちゃんへ連絡してもらったんだよ!」

果南「っ!それで携帯見てたんだ!」

ルビィ「うゆ!」ドヤア

花丸「曜ちゃんは食べるの早いからね!ついでにお水も持ってきてもらったし!」

花丸「ルビィちゃんは食べるの遅いから、最初からアテにしてなかったずら!」

ルビィ「そうなのだ!」エッヘン

果南「バ……バ……バッ……!」

果南「バカなあああああああ!!!!!」ガクッ



曜(どういう状況なんだろうこれ……)

87: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/29(木) 00:08:56.83 ID:HIni/pcj
花丸「さて、果南ちゃん……?」

果南「う……!う……!」

花丸「ご馳走様でした!w」

果南「うわーん!ちくしょー!」

果南「覚えてろよー!この世に芋がある限り、松浦の焼き芋屋さんは消えないからなー!」ブロロロロ……!!!


ルビィ「へっへ!wざまあみろー!」

花丸「というか、ダイビングショップの経営はしなくていいのかな……」

ルビィ「本当、あの焼き芋……味は美味しんだけどね!味は!」

曜「で、これは一体なんの騒ぎで……?」

花丸「ああ曜ちゃん。えっと、何から説明したらいいか……」


プゥ~


花丸「!」

曜「!」

ルビィ「!」

88: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/29(木) 00:10:40.87 ID:HIni/pcj
花丸「……誰?」

ルビィ「私じゃないよ」

曜「私じゃない」

花丸「それはおかしくない?」

ルビィ「誰かが嘘ついてるよね」

曜「いっぱい食べたのは花丸ちゃんなんでしょ?」

花丸「はあ!?量は関係ないと思うな!」

曜「関係あるよ!言っとくけど私じゃないから!」

ルビィ「ふ、二人とも落ち着いて……ルビィでもないけど」

花丸&曜「なにぃ~!?」


ギャアギャア……



果南「うーん、とは言ったものの焼き芋はもうダメかな~」

果南「次はおでんにでも挑戦してみるかなん、うん」

89: 名無しで叶える物語(家) 2018/11/29(木) 00:11:24.77 ID:HIni/pcj
終わりです。
オチはお芋ネタなので無難にオナラにしました。
様式美です。

引用元: 果南「いぃ~しやぁ~~↓き芋ぉ~!!!オイモッ!!!」