1: 名無しさん@おーぷん 2014/07/20(日)23:51:08 ID:6wak6NzuP


ギャル「とぼけるつもり!? 人のカラダをもてあそんどいて!?」

俺「な、なにを言ってる!? 俺はそんなことしてないっ!」

ギャル「いいから次の駅でおりろ、この変態痴漢野郎!」

俺「そんなあ!」


俺(まさか、この俺が痴漢冤罪にあうなんて!)

俺(しかもその相手は、俺の好みから最も遠い場所にいる顔面化粧コーティングオンナ!!)

6: 名無しさん@おーぷん 2014/07/20(日)23:53:46 ID:6wak6NzuP

駅のホーム


駅員「なにかありましたか」

ギャル「駅員さーん、ここに痴漢がいまーす!」

俺「ナニかの間違いですっ! 俺はこの人のお尻なんてさわってない!」

駅員「あー、なるほどそういことですね」


「うわあ。いかにも  ちゃいそうな人だね」

「ママーあのおじさん、今こっち見てきたよー」

「こら、見られちゃいけません!」


俺(くっ、冗談じゃない!)

俺(こんなブスのせいでさらし者にされるなんて……!)

俺(あと俺は22だ! おじさんじゃねえっ!)

12: 名無しさん@おーぷん 2014/07/20(日)23:58:07 ID:6wak6NzuP

俺(しかし、ギャルよ。残念だったな)

俺(痴漢で捕まったときの対処法、俺はきちんと把握している!)


俺「本当なんです! 俺は痴漢なんてしませんよ!」

駅員「あー、わかりましたから。
   まずは電車から降りてください」

俺「あ、まだ降りてなかったんだ俺」

駅員「とりあえず駅員室までご同行ねがいます」

駅員「ここでは他の方に迷惑になりますし」


俺(で、出た! 駅員室への誘導!)

俺(この言葉にしたがって駅員室までいったら!)

俺(痴漢として裁かれるのはほぼ確定! ジ・エンドっっ!)

20: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)00:02:01 ID:37Sxn0FnS

俺(こういうときの正しい対処方は決まっている)

俺(身分が証明できるものと、連絡先が確認できるものを駅員に渡す)

俺(そして理由をつけてこの場を去る!)


駅員「私らも忙しいんで早くしてもらえます?」

俺「待ってください!」

俺「これから仕事で、どーしても遅刻できないんです!」

駅員「そのよれよれのチェックシャツで仕事、ですか?」

俺「……」


俺(ときどき忘れそうになるが、俺は無職だった)

俺(しかも免許もないので身分証明できるものはなにもないっ!)

29: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)00:07:43 ID:37Sxn0FnS

俺(いや、落ち着け俺。まだ対処法はある)

俺(このまま走って逃げてしまえばいいのだ)

俺(そうすれば、面倒なことすべてから逃れられる!)



ギャル「ちょっと」

俺「なぜ俺の腕をつかむっ!?」

ギャル「アンタ、今逃げようって考えただろ」

俺「な、なぜそれを!?」

ギャル「あたしがどれだけ痴漢にこのカラダさわられてると思ってんだよ?」

俺「ぐっ……」

ギャル「ていうか。そんな肉団子みたいな体型で逃げるとかウケる」



俺(クソッ! 悔しい!)

俺(こんなブスに腕つかまれただけで、異性に耐性のない股間が……っ!)

35: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)00:14:39 ID:37Sxn0FnS

俺(こうなると逃げるのは絶対に不可能っ!)

俺(ならば、ほかの手段をとるしかない)

俺(そう、俺が痴漢をしないと証明するのだっ!)


俺「よく聞いてください、みなさん!」

ギャル「あ?」

俺「俺がこの人に痴漢なんてするわけないんですよ!」

駅員「はあ」

俺「こんな顔に化粧塗りたくって、原型とどめてないような女性なんてね」

ギャル「はあ!?」 

俺「だまれ! この顔面キャンバスオンナ!」

駅員「……ぷっ」

ギャル「なにコイツ!? ちょー失礼なんですけど!?」


俺(痴漢相手が好みでないと教えて、俺が痴漢していないと証明する!)

38: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)00:23:15 ID:37Sxn0FnS

俺「俺はもっとね、ナチュラルメイクがいいんすよ!」

ギャル「はあ!? だまれし!」

俺「だまらん! こっちはお前のせいで人生棒にふることになるんだぞっ!」

ギャル「いいじゃんべつに」

ギャル「どうせ人生棒にふっても、腰をふることなんてないでしょアンタ」

俺「なんだといぃ!」

ギャル「ついでにもうひとつ。アンタは決定的なミスをしたんだよ」

俺「決定的なミス? 俺が? なにを?」

ギャル「アンタは自分で痴漢したって、口をすべらしたんだよ」

俺「馬鹿なッ……!」

44: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)00:30:32 ID:37Sxn0FnS

ギャル「アンタ、はっきりとこう言ったじゃん」

ギャル「『俺はこの人のお尻なんてさわってない!』って」

男「それがどうした? 当然のセリフだろ!?」

ギャル「なんでお尻って決めつけんの?」

男「……どういうことだ?」

ギャル「あたし、一度もお尻さわられたなんて言ってないんですけどお」

男「!?」

ギャル「太ももとか、    とかの可能性もあるじゃん?」

ギャル「痴漢してないのに、お尻だってわかるんだ? へえ」


男(しまった! 気が動転して……!))

51: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)00:35:40 ID:37Sxn0FnS

駅員「あー、おじ……お兄さん、これは言い逃れできませんよ」

俺「ま、待ってくれ! 僕はウソなんてついてない!」



「ああいうキモイのがいるから、冤罪とか起きるんだよな」

「オレらオトコからしても、ああいうのは勘弁っすよねえ」

「オンナの敵め」


俺(同性までもが蔑みの視線を俺にっ!)

俺(こ、こうなったら誰か! 誰かに証明してもらうしか!)

俺(俺がこのギャルに痴漢してないと!)


青年「あのー、ちょっといいですか?」

俺「!!」

57: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)00:40:47 ID:37Sxn0FnS

ギャル「ちょっと。アンタなによ?」

青年「いや、あの……」


俺(このオトコは……ぱっと見では感じよさそうなヤツだが)

俺(まさか俺を助けてくれるのか?)


ギャル「今お取りこみ中だから、どっか行ってくんない?」

青年「いえ、そういうわけにはいきません」

青年「僕、はっきりと見てたんですから」

駅員「いったいなにを?」


青年「そこの恰幅のいい男性が、彼女のお尻をまさぐってるのを」


俺「!?」

63: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)00:47:04 ID:37Sxn0FnS

青年「最初は自分の目を疑いましたよ」

青年「でも間違いありません。この人は彼女のお尻、触りまくってました」

俺「ウソウソウソォ! そんなわけないだろうがっ!」

青年「ウソではありません。僕の目はきちんとあなたの決定的瞬間、目撃してます」



俺(そんな馬鹿なっ!)

俺(俺はこんなオンナに痴漢するほど落ちぶれてなど……!)



駅員「こりゃもう決まりですね」

ギャル「キモチワルかった。あたしのお尻もそう言ってるしね」

俺「ぐっ……」

68: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)00:52:10 ID:37Sxn0FnS

俺「ち、ちがうっ! 俺は断じてそんなオンナに……」

青年「見苦しいですよ」

青年「あなた、考えたことありますか? 痴漢された女性の苦しみを?」

俺「え? そ、それは……」

青年「あなたにとっては、彼女のやわらかいお尻は性欲のはけ口にすぎないかもしれない」

青年「でも触れられたお尻の感触は、彼女のこころに恐怖として刻まれるんですよ」

俺「そ、それはそうかもしれない! それは反省するよっ!?」

俺「でも俺はやってない! ほんとうだっっっ!」

俺「しんじでぐれよおおおおおおおおおおおおおおおおお」

72: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)00:57:33 ID:37Sxn0FnS

俺(終わった……)

俺(俺の人生は、こんなオンナの痴漢冤罪によって……)

俺(こんなオンナのヒップによってツブされたというのか……っ!)



女「あの、ちょっといいですか?」


ギャル「アンタはなによ?」


俺(こ、この人は……!)

78: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)01:03:40 ID:37Sxn0FnS

女「わたし、証明できます」

ギャル「は? なにを?」


女「この人があなたに痴漢してないって」


俺「!?」

ギャル「は、はあ!? アンタ、なに馬鹿なことほざいてんの!?」

ギャル「あたしはこのオトコに!」

ギャル「お尻というお尻を! 揉みしだかれたんだっつーの!」

女「だったら、あなたとそちらの男性」

青年「男性って……ぼ、僕?」

女「ええ。あなたとそちらの方の電話、それぞれ調べてみてください」

ギャル・青年「!?」

85: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)01:12:43 ID:37Sxn0FnS

駅員「電話を? どういう意図があって?」

女「簡単な話です。このふたりが知り合いだってことです」

駅員「お尻だけに!」


ギャル「な、なんでスマホを赤の他人に見せなきゃなんないのよっ!?」

女「あなたのアドレス帳に、そちらの方の名前がないか確認するだけです」

青年「そ、それは……!」


女「見せられない理由でも、あるんですか?」

女「あなたがスマホを見せれば、それでこの話は解決しますよ?」

女「それに先ほど、あなたがふるってた熱弁。まあまあ感動しましたよ、わたし」


青年「ぐっ……」

90: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)01:19:25 ID:37Sxn0FnS

俺(この美人さん、一瞬で状況を変えやがった……!)



「あーうん、あのデブはなにもやってねえな」

「うんうん。あんな美人がかばうんだ、まちがいねえ」

「つーか、あんなブスの尻触って捕まるとか愚の骨頂!」



女「それからもうひとつ。あなたも口を滑らせましたね」

青年「なに……?」

女「『彼女のやわらかいお尻は性欲のはけ口にすぎないかもしれない』」

女「……なんで赤の他人のお尻について、そんなことが言えたんですか?」

青年「くっ……」

96: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)01:27:08 ID:37Sxn0FnS

女「あなたの舌と情熱は、見事に空回りしたようですね」


俺(ちょっとなに言ってるかわかんない)


女「ていうか、あなたの言動と行動は一致してないんですよ」

女「あなたが本当に女性の味方なら、見てないで助けるのが普通だと思います」

青年「……ぐっ!」

女「ついでに。あなた」

ギャル「な、なによ? あ、あたしは……」

女「あなたがやったことは、男性から見ても女性から見ても最低な行為です」

ギャル「ちっくしょおおおおおおお」

100: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)01:32:01 ID:37Sxn0FnS



俺(ひとりの女性によって、誤解はとけ真実は暴かれた)

俺(あのBGMが俺の耳に勝手に流れてくる)


https://www.youtube.com/watch?v=dgqUZwEr_do



俺(そう、俺は命拾いしたのだ)

俺(よかった。あんなギャルに人生を踏みにじられなくて)

俺(そうして俺は一目散にダッシュしようとしたときだった)


女「ごめんなさい、待ってください」

俺「……な、なんでしょうか?」

109: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)01:38:06 ID:37Sxn0FnS

女「なんでだまって立ち去ろうとするんですか?」

俺「……あ、いや、その……あ、ありがとうございました!」

俺「あなたのおかげで、俺、助かりました!」

俺「このご恩は絶対に忘れません!」

女「お礼なんてやめてくださいよ」









女「痴漢にお礼されても、嬉しくありませんからね」

俺「ぐううぅっ……!!!!!!!!!!!」

118: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)01:45:18 ID:37Sxn0FnS

俺「な、なにをおっしゃってるんですか?」

女「とぼけなくていいですよ」

女「どうでしたか、私のお尻の感触は?」

俺「ま、ままままったく手に覚えがないんですけどねえ、あ、あはは……」

女「あなた、さっきの女性に糾弾されたとき、とっさにお尻って言いましたよね?」

俺「痴漢と言えばお尻でしょう!?」

女「それは否定しません」

女「でも、あなたの口からとっさにお尻って単語が出たのは、
  わたしのをさんざん触ったからですよね」

俺「ぐぬぬぬぬ……!」


俺(くそっ! 早く逃げ去ろうと思ったのにいいいい!)

119: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)01:45:18 ID:37Sxn0FnS

俺「な、なにをおっしゃってるんですか?」

女「とぼけなくていいですよ」

女「どうでしたか、私のお尻の感触は?」

俺「ま、ままままったく手に覚えがないんですけどねえ、あ、あはは……」

女「あなた、さっきの女性に糾弾されたとき、とっさにお尻って言いましたよね?」

俺「痴漢と言えばお尻でしょう!?」

女「それは否定しません」

女「でも、あなたの口からとっさにお尻って単語が出たのは、
  わたしのをさんざん触ったからですよね」

俺「ぐぬぬぬぬ……!」


俺(くそっ! 早く逃げ去ろうと思ったのにいいいい!)

126: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)01:53:53 ID:37Sxn0FnS

女「あなたをしょっぴこうと思ったら、驚きましたよ」

女「まさか全く関係ない人が、急に出てきましたからね」

俺「くっ……自分で俺を逮捕するために……!?」

女「そのとおり。痴漢はゆるせませんし、痴漢冤罪を目論む人も許せませんしね」

俺「ギャルに捕まった段階で、俺は走って逃げるべきだったんだな」

女「……」

俺「……ふっ、俺の負けだよ」

127: 名無しさん@おーぷん 2014/07/21(月)01:56:49 ID:37Sxn0FnS

俺「だが覚えておけ。俺のようなヤツは電車の中に常に潜んでいる」

俺「世界中のオトコが、アンタのその尻を狙ってると思え」

女「……駅員さん」

駅員「はっ! このオトコを連行します!」



俺(ふっ……あんな美人の尻をさわって捕まるなら、悪くないかな)

俺(いつかまた俺はこの電車に帰ってくる)

俺(オンナぁ、せいぜい待ってるんだな)
 



おわり

引用元: 俺「痴漢なんてしてないっ! してないんだよお!」