1: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/01/31(金) 18:29:44 ID:???00
〇〇新聞 号外
【金沢市に隕石落下 3万棟が被害】
2月10日 午前5時13分頃、石川県金沢市の卯辰山付近に隕石が落下した。
落下した隕石は、当初地球に接近後、通過予定だった彗星、「ロータス彗星」と推定される。
観測基地の情報によると、この彗星は日本上空を飛行中、突如として進路を変更し、地上に落下したと見られる。
専門家は地球の引力によって天体が崩壊したことで、破片の一部が落下したのではないかと考えているが、詳しい原因は判明していない。
この隕石衝突により、金沢市内の約3万棟が倒壊するなど、5万人以上が何らかの被害を受けたと考えられている。
現在、自衛隊が救助に当たっているが、瓦礫が多く救助は難航している。
また、隕石の落下地点の付近には市内の名門私立高校『蓮ノ空女学院』が位置しているが、上空からの映像では校舎の姿は確認できていない。
蓮ノ空女学院は全寮制であり、事故当時、寮には341人の生徒がいたと見られるが、現状安否は不明である。
【金沢市に隕石落下 3万棟が被害】
2月10日 午前5時13分頃、石川県金沢市の卯辰山付近に隕石が落下した。
落下した隕石は、当初地球に接近後、通過予定だった彗星、「ロータス彗星」と推定される。
観測基地の情報によると、この彗星は日本上空を飛行中、突如として進路を変更し、地上に落下したと見られる。
専門家は地球の引力によって天体が崩壊したことで、破片の一部が落下したのではないかと考えているが、詳しい原因は判明していない。
この隕石衝突により、金沢市内の約3万棟が倒壊するなど、5万人以上が何らかの被害を受けたと考えられている。
現在、自衛隊が救助に当たっているが、瓦礫が多く救助は難航している。
また、隕石の落下地点の付近には市内の名門私立高校『蓮ノ空女学院』が位置しているが、上空からの映像では校舎の姿は確認できていない。
蓮ノ空女学院は全寮制であり、事故当時、寮には341人の生徒がいたと見られるが、現状安否は不明である。
9: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/01/31(金) 20:16:28 ID:???00
[ Prologue ]
深夜2時。
蓮ノ湖のほとりで、赤い女は魔法陣の前に立っていた。
風はなく、湖は鏡のように月を水面に写している。
綴理「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
魔法陣が光を放つ。周囲からは生き物の気配が消え、死者たちだけがその者をじっと見つめている。
わたしを呼べ――
いいや、私だ――
機会を与えろ――
もう一度、願いを叶える機会を――
深夜2時。
蓮ノ湖のほとりで、赤い女は魔法陣の前に立っていた。
風はなく、湖は鏡のように月を水面に写している。
綴理「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
魔法陣が光を放つ。周囲からは生き物の気配が消え、死者たちだけがその者をじっと見つめている。
わたしを呼べ――
いいや、私だ――
機会を与えろ――
もう一度、願いを叶える機会を――
10: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/01/31(金) 20:23:08 ID:???00
綴理「閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する」
水面が微かに波打つ。風はいまだ吹いていない。魔法陣を中心とした強い魔力のうねりが周囲の空間を満たしていた。
綴理「――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
■■より来たれ、天秤の守り手よ――」
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する」
水面が微かに波打つ。風はいまだ吹いていない。魔法陣を中心とした強い魔力のうねりが周囲の空間を満たしていた。
綴理「――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
■■より来たれ、天秤の守り手よ――」
11: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/01/31(金) 20:37:00 ID:???00
バチバチバチ⚡
増幅し、蓮ノ湖周辺を満たしていた魔力が急劇に魔法陣に収束する。
その瞬間、常世と現世は繋がった。
次元の穴はすべての熱を奪い去り、水面は薄氷に覆われる。
そして赤い光の中、常識外の存在が姿を現す。
「サーヴァント、アーチャー、村野さやか。召喚に応じ参上しました。あなたが――わたしのマスターですか?」
黒衣の少女は、青い瞳で主を冷たく見つめる。
綴理「そうだよ。えっと...村野、さやか?よろしくね、アーチャー」
さやか「はい、我が弓はマスターの勝利の為に――」
増幅し、蓮ノ湖周辺を満たしていた魔力が急劇に魔法陣に収束する。
その瞬間、常世と現世は繋がった。
次元の穴はすべての熱を奪い去り、水面は薄氷に覆われる。
そして赤い光の中、常識外の存在が姿を現す。
「サーヴァント、アーチャー、村野さやか。召喚に応じ参上しました。あなたが――わたしのマスターですか?」
黒衣の少女は、青い瞳で主を冷たく見つめる。
綴理「そうだよ。えっと...村野、さやか?よろしくね、アーチャー」
さやか「はい、我が弓はマスターの勝利の為に――」
14: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 21:01:54 ID:???00
【2月1日】
姫芽「小鈴ちゃん~次移動教室だよ?急ごう~」
小鈴「うん!行こう姫芽ちゃん!」
姫芽ちゃんは同じクラスの友達だ。
入学初日に緊張してた徒町は、隣の席に座ったのが派手なピンクのロングヘア―をした美人なもんだから、余計に緊張して変な態度をしてしまったと思う。
でも実際に話してみると、初見の印象と違ってとても気さくで話しやすい子だった。
姫芽「今日も寒いね~」
小鈴「もう2月だもん。それより姫芽ちゃん、放課後に姫芽ちゃんの部屋に遊びに行ってもいい?」
姫芽「いいよ~小鈴ちゃんが来るの久しぶりだねどうしたの?」
小鈴「また姫芽ちゃんとゆっくりお話ししたくなっちゃった!それに夜は寒くて寂しいから姫芽ちゃんと一緒にいたくて!」
姫芽「うぐっ!そういうことさらっと言っちゃから小鈴ちゃんは人たらしなんだぞ....」
姫芽「小鈴ちゃん~次移動教室だよ?急ごう~」
小鈴「うん!行こう姫芽ちゃん!」
姫芽ちゃんは同じクラスの友達だ。
入学初日に緊張してた徒町は、隣の席に座ったのが派手なピンクのロングヘア―をした美人なもんだから、余計に緊張して変な態度をしてしまったと思う。
でも実際に話してみると、初見の印象と違ってとても気さくで話しやすい子だった。
姫芽「今日も寒いね~」
小鈴「もう2月だもん。それより姫芽ちゃん、放課後に姫芽ちゃんの部屋に遊びに行ってもいい?」
姫芽「いいよ~小鈴ちゃんが来るの久しぶりだねどうしたの?」
小鈴「また姫芽ちゃんとゆっくりお話ししたくなっちゃった!それに夜は寒くて寂しいから姫芽ちゃんと一緒にいたくて!」
姫芽「うぐっ!そういうことさらっと言っちゃから小鈴ちゃんは人たらしなんだぞ....」
15: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 21:05:58 ID:???00
小鈴「あれ、姫芽ちゃん顔赤いよ?もしかして熱あるの?」ピト
姫芽「うひゃ!?こ、こひゅじゅちゃん!?」///
小鈴「わ!すごい熱!もしかして風邪ひいてるんじゃない?」
姫芽「いや、これは絶対風邪じゃないから気にしないで!」
姫芽「――ていうか、小鈴ちゃんのせいだよ...」ボソ
小鈴「何か言った?」
姫芽「い、いや!何にも!」
小鈴「ふーん。じゃあ放課後に遊びに行くね!」
姫芽「うん!アタシもどうせ宿題くらいしかやることなかったし...あ、やっぱりダメ!」
小鈴「姫芽ちゃん?」
姫芽「ゴメンね小鈴ちゃん!あたしの部屋今ちょ~っと大きい荷物があって小鈴ちゃんが座るスペースないかも...」
小鈴「そうなの?荷ほどきなら徒町も手伝うよ?」
姫芽「う、ううん!大丈夫、小鈴ちゃんにそんなことさせられないよ~だから今日は...いやしばらくはアタシの部屋には入れられないや」
姫芽「うひゃ!?こ、こひゅじゅちゃん!?」///
小鈴「わ!すごい熱!もしかして風邪ひいてるんじゃない?」
姫芽「いや、これは絶対風邪じゃないから気にしないで!」
姫芽「――ていうか、小鈴ちゃんのせいだよ...」ボソ
小鈴「何か言った?」
姫芽「い、いや!何にも!」
小鈴「ふーん。じゃあ放課後に遊びに行くね!」
姫芽「うん!アタシもどうせ宿題くらいしかやることなかったし...あ、やっぱりダメ!」
小鈴「姫芽ちゃん?」
姫芽「ゴメンね小鈴ちゃん!あたしの部屋今ちょ~っと大きい荷物があって小鈴ちゃんが座るスペースないかも...」
小鈴「そうなの?荷ほどきなら徒町も手伝うよ?」
姫芽「う、ううん!大丈夫、小鈴ちゃんにそんなことさせられないよ~だから今日は...いやしばらくはアタシの部屋には入れられないや」
16: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 21:05:58 ID:???00
小鈴「あれ、姫芽ちゃん顔赤いよ?もしかして熱あるの?」ピト
姫芽「うひゃ!?こ、こひゅじゅちゃん!?」///
小鈴「わ!すごい熱!もしかして風邪ひいてるんじゃない?」
姫芽「いや、これは絶対風邪じゃないから気にしないで!」
姫芽「――ていうか、小鈴ちゃんのせいだよ...」ボソ
小鈴「何か言った?」
姫芽「い、いや!何にも!」
小鈴「ふーん。じゃあ放課後に遊びに行くね!」
姫芽「うん!アタシもどうせ宿題くらいしかやることなかったし...あ、やっぱりダメ!」
小鈴「姫芽ちゃん?」
姫芽「ゴメンね小鈴ちゃん!あたしの部屋今ちょ~っと大きい荷物があって小鈴ちゃんが座るスペースないかも...」
小鈴「そうなの?荷ほどきなら徒町も手伝うよ?」
姫芽「う、ううん!大丈夫、小鈴ちゃんにそんなことさせられないよ~だから今日は...いやしばらくはアタシの部屋には入れられないや」
姫芽「うひゃ!?こ、こひゅじゅちゃん!?」///
小鈴「わ!すごい熱!もしかして風邪ひいてるんじゃない?」
姫芽「いや、これは絶対風邪じゃないから気にしないで!」
姫芽「――ていうか、小鈴ちゃんのせいだよ...」ボソ
小鈴「何か言った?」
姫芽「い、いや!何にも!」
小鈴「ふーん。じゃあ放課後に遊びに行くね!」
姫芽「うん!アタシもどうせ宿題くらいしかやることなかったし...あ、やっぱりダメ!」
小鈴「姫芽ちゃん?」
姫芽「ゴメンね小鈴ちゃん!あたしの部屋今ちょ~っと大きい荷物があって小鈴ちゃんが座るスペースないかも...」
小鈴「そうなの?荷ほどきなら徒町も手伝うよ?」
姫芽「う、ううん!大丈夫、小鈴ちゃんにそんなことさせられないよ~だから今日は...いやしばらくはアタシの部屋には入れられないや」
17: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 21:08:21 ID:???00
小鈴「そうなんだ。なら代わりに徒町の部屋に――」
慈「コースーズーちゃん!」ギュッ!ムニッ
小鈴「わ!めぐちゃん!?どうしたの?」
慈「んー別にー?ただ廊下にコスズちゃんたちが歩いてるのが見えたからギュ!ってしに来ただけ♡」
姫芽「はわわ!3年の藤島慈せんぱい....!近くで見るとホント可愛い~」
小鈴「もうめぐちゃん!こんなところで恥ずかしいよ!」
慈「えーいいじゃん!めぐちゃんのマシュマロボディを堪能できるのは幼馴染であるコスズちゃんの特権なんだぞ☆」ムニッムニッ
姫芽「年の差幼馴染尊い~」
慈「それよりコスズちゃん今日の放課後私の部屋に来ない?とっておきのお菓子が届いたんだ!」
小鈴「え?あーうん!わかった!」
慈「それじゃあ待ってるからね!バイバイ!」
慈「コースーズーちゃん!」ギュッ!ムニッ
小鈴「わ!めぐちゃん!?どうしたの?」
慈「んー別にー?ただ廊下にコスズちゃんたちが歩いてるのが見えたからギュ!ってしに来ただけ♡」
姫芽「はわわ!3年の藤島慈せんぱい....!近くで見るとホント可愛い~」
小鈴「もうめぐちゃん!こんなところで恥ずかしいよ!」
慈「えーいいじゃん!めぐちゃんのマシュマロボディを堪能できるのは幼馴染であるコスズちゃんの特権なんだぞ☆」ムニッムニッ
姫芽「年の差幼馴染尊い~」
慈「それよりコスズちゃん今日の放課後私の部屋に来ない?とっておきのお菓子が届いたんだ!」
小鈴「え?あーうん!わかった!」
慈「それじゃあ待ってるからね!バイバイ!」
18: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 21:10:48 ID:???00
姫芽「いいな~藤島せんぱいと幼馴染なんて....っとそろそろ理科室行かないと遅れちゃうよ」
小鈴「そうだね...って理科室?」
姫芽「だって次の授業化学だよ?」
小鈴「は!徒町すっかり音楽だと思ってた!教科書取ってくるから姫芽ちゃん先に行ってて!」ビューン!
姫芽「あ、小鈴ちゃん!」
小鈴「そうだね...って理科室?」
姫芽「だって次の授業化学だよ?」
小鈴「は!徒町すっかり音楽だと思ってた!教科書取ってくるから姫芽ちゃん先に行ってて!」ビューン!
姫芽「あ、小鈴ちゃん!」
19: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 21:14:44 ID:???00
――――――
小鈴(授業開始まであと3分。全力で走れば間に合う!)
ゴツン!!!
小鈴「ぐわ!」
沙知「あいたたた....」
廊下の曲がり角で誰かとぶつかってしまった。
見ると小さな女の子が徒町と同じようにおでこを押さえて尻もちをついている。
小鈴「は!大丈夫?怪我はない?」
沙知「いや大丈夫だ...君こそ大事ないかい?」
女の子は立ち上がる。やっぱり徒町よりも小さい、学校見学に来た中学生かな?
小鈴「今日はひとりで来たの?それともお母さんとはぐれちゃった?」
沙知「え?あ、なるほどねぃ。あたしは学生じゃなくて先月この学校に就任した理事長の大賀美沙知だ。一応朝礼であいさつもしたはずなんだが....」
小鈴「理事長!?これは大変失礼なことを言ってしまって申し訳ありません!」ペコペコ
沙知「いやいや気にしないでくれたまえ。私が学生の頃もいちいち理事長のことまで覚えなかったさ」
小鈴「あわわわ恐縮です!」
小鈴(授業開始まであと3分。全力で走れば間に合う!)
ゴツン!!!
小鈴「ぐわ!」
沙知「あいたたた....」
廊下の曲がり角で誰かとぶつかってしまった。
見ると小さな女の子が徒町と同じようにおでこを押さえて尻もちをついている。
小鈴「は!大丈夫?怪我はない?」
沙知「いや大丈夫だ...君こそ大事ないかい?」
女の子は立ち上がる。やっぱり徒町よりも小さい、学校見学に来た中学生かな?
小鈴「今日はひとりで来たの?それともお母さんとはぐれちゃった?」
沙知「え?あ、なるほどねぃ。あたしは学生じゃなくて先月この学校に就任した理事長の大賀美沙知だ。一応朝礼であいさつもしたはずなんだが....」
小鈴「理事長!?これは大変失礼なことを言ってしまって申し訳ありません!」ペコペコ
沙知「いやいや気にしないでくれたまえ。私が学生の頃もいちいち理事長のことまで覚えなかったさ」
小鈴「あわわわ恐縮です!」
20: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 21:14:46 ID:???00
――――――
小鈴(授業開始まであと3分。全力で走れば間に合う!)
ゴツン!!!
小鈴「ぐわ!」
沙知「あいたたた....」
廊下の曲がり角で誰かとぶつかってしまった。
見ると小さな女の子が徒町と同じようにおでこを押さえて尻もちをついている。
小鈴「は!大丈夫?怪我はない?」
沙知「いや大丈夫だ...君こそ大事ないかい?」
女の子は立ち上がる。やっぱり徒町よりも小さい、学校見学に来た中学生かな?
小鈴「今日はひとりで来たの?それともお母さんとはぐれちゃった?」
沙知「え?あ、なるほどねぃ。あたしは学生じゃなくて先月この学校に就任した理事長の大賀美沙知だ。一応朝礼であいさつもしたはずなんだが....」
小鈴「理事長!?これは大変失礼なことを言ってしまって申し訳ありません!」ペコペコ
沙知「いやいや気にしないでくれたまえ。私が学生の頃もいちいち理事長のことまで覚えなかったさ」
小鈴「あわわわ恐縮です!」
小鈴(授業開始まであと3分。全力で走れば間に合う!)
ゴツン!!!
小鈴「ぐわ!」
沙知「あいたたた....」
廊下の曲がり角で誰かとぶつかってしまった。
見ると小さな女の子が徒町と同じようにおでこを押さえて尻もちをついている。
小鈴「は!大丈夫?怪我はない?」
沙知「いや大丈夫だ...君こそ大事ないかい?」
女の子は立ち上がる。やっぱり徒町よりも小さい、学校見学に来た中学生かな?
小鈴「今日はひとりで来たの?それともお母さんとはぐれちゃった?」
沙知「え?あ、なるほどねぃ。あたしは学生じゃなくて先月この学校に就任した理事長の大賀美沙知だ。一応朝礼であいさつもしたはずなんだが....」
小鈴「理事長!?これは大変失礼なことを言ってしまって申し訳ありません!」ペコペコ
沙知「いやいや気にしないでくれたまえ。私が学生の頃もいちいち理事長のことまで覚えなかったさ」
小鈴「あわわわ恐縮です!」
21: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 21:31:15 ID:???00
沙知「それより急いでいたんじゃないかな?」
小鈴「そうでした!徒町は授業があるのでこれで失礼します!」
沙知「ああそうだ、徒町さん下の名前は何ていうんだい?」
小鈴「小鈴です!」
沙知「小鈴か、いい名だね」
大賀美理事長は徒町をまじまじと見つめている。
沙知「徒町小鈴、君に叶えたい“願い”はあるかい?」
小鈴「はい?願いって、急に言われましても...」
沙知「それもそうだ!引き留めてすまなかったね。授業頑張りたまえ」
小鈴「はい!ありがとうございます!」
沙知「....徒町小鈴、なるぼどねぃ」
小鈴「そうでした!徒町は授業があるのでこれで失礼します!」
沙知「ああそうだ、徒町さん下の名前は何ていうんだい?」
小鈴「小鈴です!」
沙知「小鈴か、いい名だね」
大賀美理事長は徒町をまじまじと見つめている。
沙知「徒町小鈴、君に叶えたい“願い”はあるかい?」
小鈴「はい?願いって、急に言われましても...」
沙知「それもそうだ!引き留めてすまなかったね。授業頑張りたまえ」
小鈴「はい!ありがとうございます!」
沙知「....徒町小鈴、なるぼどねぃ」
22: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 21:46:49 ID:???00
キーンコーンカーンコーン
教師「それじゃあホームルームはここまで。風邪が流行っているから各自体調管理に気を付けること。以上」
ガヤガヤ
小鈴(さてこの後は着替えてからめぐちゃんの部屋に行って――」
陸上部「小鈴ちゃんこの後部室の掃除手伝ってもらえないかな?体調不良が多くて人でが足りなくて....」
小鈴「いいよ!徒町にできることならなんでも手伝うよ!」
陸上部「ありがとう!やっぱり小鈴ちゃんやさしいね!」
小鈴「そんなことないよ。徒町にはそれくらいしかできないから!」
小鈴(少しくらい遅れてもめぐちゃんは大目に見てくれるよね)
教師「それじゃあホームルームはここまで。風邪が流行っているから各自体調管理に気を付けること。以上」
ガヤガヤ
小鈴(さてこの後は着替えてからめぐちゃんの部屋に行って――」
陸上部「小鈴ちゃんこの後部室の掃除手伝ってもらえないかな?体調不良が多くて人でが足りなくて....」
小鈴「いいよ!徒町にできることならなんでも手伝うよ!」
陸上部「ありがとう!やっぱり小鈴ちゃんやさしいね!」
小鈴「そんなことないよ。徒町にはそれくらいしかできないから!」
小鈴(少しくらい遅れてもめぐちゃんは大目に見てくれるよね)
23: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 21:47:53 ID:???00
――――――
小鈴(すっかり暗くなっちゃったな....めぐちゃん待ってるだろうし早く行かないと)
カキン!カキン!
小鈴(?何の音だろう....体育館裏のほうから?)スタスタ
ガキン!ブワッ!
小鈴「!!!」サッ
建物の陰から音のするほうを覗くと、金属同士がぶつかる音と共に強烈な衝撃波が全身を打った。
小鈴(なに!?暗くてよく見えないけど、人影が2....いや3人?)
ひとりはこちらに背を向けて立っていて顔までは見えない。
だが問題はあとのふたりだ。
その人影は気を抜けば見失ってしまうほどのスピードで急接近と離反を繰り返し、接近するたびに火花を散らしながら金属音を打ち鳴らしている。
小鈴(すっかり暗くなっちゃったな....めぐちゃん待ってるだろうし早く行かないと)
カキン!カキン!
小鈴(?何の音だろう....体育館裏のほうから?)スタスタ
ガキン!ブワッ!
小鈴「!!!」サッ
建物の陰から音のするほうを覗くと、金属同士がぶつかる音と共に強烈な衝撃波が全身を打った。
小鈴(なに!?暗くてよく見えないけど、人影が2....いや3人?)
ひとりはこちらに背を向けて立っていて顔までは見えない。
だが問題はあとのふたりだ。
その人影は気を抜けば見失ってしまうほどのスピードで急接近と離反を繰り返し、接近するたびに火花を散らしながら金属音を打ち鳴らしている。
24: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 21:49:32 ID:???00
小鈴(喧嘩...?とてもそんなレベルの話には思えないけど、誰か先生を呼ばなきゃ!)
ここにいてはいけない。生物としての本能が身体に離脱を命令する。しかし恐怖に震える体は思うように動かず――
小鈴「うわっ!」ドテン!
???「何者だ!」
小鈴「っ!」ダッ!
先ほどまでの震えが嘘のように全力で走る!
“アレ”が何かはわからないが、関われば命が危険にさらされるということは理解できた。
小鈴(とにかくどこか隠れられそうな所に逃げなきゃ!)
寮までは距離が離れている。一刻も早く身を隠さなければ、先ほど高速の打ち合いをしていた人物ならば一瞬で追いついてしまうだろう。
自身のすぐ後ろに巨大な津波が迫っているような感覚。少しでもスピードを落とせば瞬く間に黒い死に飲みこまれる。
そんな強迫観念に突き動かされ、気が付いたら大倉庫の前まで来ていた。
小鈴「お願い....開いて!」
ガチャ
小鈴「やった!」
ここにいてはいけない。生物としての本能が身体に離脱を命令する。しかし恐怖に震える体は思うように動かず――
小鈴「うわっ!」ドテン!
???「何者だ!」
小鈴「っ!」ダッ!
先ほどまでの震えが嘘のように全力で走る!
“アレ”が何かはわからないが、関われば命が危険にさらされるということは理解できた。
小鈴(とにかくどこか隠れられそうな所に逃げなきゃ!)
寮までは距離が離れている。一刻も早く身を隠さなければ、先ほど高速の打ち合いをしていた人物ならば一瞬で追いついてしまうだろう。
自身のすぐ後ろに巨大な津波が迫っているような感覚。少しでもスピードを落とせば瞬く間に黒い死に飲みこまれる。
そんな強迫観念に突き動かされ、気が付いたら大倉庫の前まで来ていた。
小鈴「お願い....開いて!」
ガチャ
小鈴「やった!」
25: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 21:51:38 ID:???00
大倉庫は一人で入れば遭難すると言われるほど広く、高い棚に囲まれ見通しが悪い。
ここならいかに脚が速かろうと、闇夜の中で隠れた人を見つけ出すのは不可能といえるだろう。
小鈴「...」
小鈴(倉庫の中に入ってきた気配はない...逃げ切れたのかな?)
小鈴「ふー....」ホッ
???「逃げ切れると思いましたか?」
小鈴「!!!」ビクッ
真後ろから聞こえた声に振り替えろうとした瞬間――
ゴスン!
強烈な力で腹を蹴り上げられ、数メートル飛ばされて棚に激突する。
ガッシャン!ガラガラ!
小鈴「かはっ!」
棚に置いてあったものが体に落ちてくる。
だがそんなこと気にならない程に、蹴り上げられた腹が痛い痛い痛い痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛――
小鈴「おえぇ!!!」ビチャ
ここならいかに脚が速かろうと、闇夜の中で隠れた人を見つけ出すのは不可能といえるだろう。
小鈴「...」
小鈴(倉庫の中に入ってきた気配はない...逃げ切れたのかな?)
小鈴「ふー....」ホッ
???「逃げ切れると思いましたか?」
小鈴「!!!」ビクッ
真後ろから聞こえた声に振り替えろうとした瞬間――
ゴスン!
強烈な力で腹を蹴り上げられ、数メートル飛ばされて棚に激突する。
ガッシャン!ガラガラ!
小鈴「かはっ!」
棚に置いてあったものが体に落ちてくる。
だがそんなこと気にならない程に、蹴り上げられた腹が痛い痛い痛い痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛――
小鈴「おえぇ!!!」ビチャ
26: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 21:55:10 ID:???00
???「サーヴァントが助けに来ないということはまだマスターでは無いということですね...可哀そうですが、見られたからには殺すのがルールですので」
そう言って目の前の女性は倒れている徒町の首を掴み上げ――
小鈴「がっ...!あ...」
締めあげられた首が軋みを上げる。ずれた骨は脊髄を圧迫し、背骨に熱した鉄の棒を差し込まれているような熱い痛みを感じる。
小鈴(いやだ...死にたくない...徒町はまだ何もできてない!まだ“何者にもなれてない!”こんな訳もわからず殺されるなんて――)
小鈴「誰か...助けて...!!!」
バチバチ⚡
右手の甲に燃えるような痛みを感じる。
瞬間――
???「!」
ドゴーン!
大砲のような音と共に先ほどの女性は吹き飛び、目の前には――
梢「サーヴァント、バーサーカー、乙宗梢。召喚に従い参上しました。あなたが私のマスターかしら」
月光の中、紫色の長い髪に紅い着物を着た美しい女性が、徒町の前に立っていた。

そう言って目の前の女性は倒れている徒町の首を掴み上げ――
小鈴「がっ...!あ...」
締めあげられた首が軋みを上げる。ずれた骨は脊髄を圧迫し、背骨に熱した鉄の棒を差し込まれているような熱い痛みを感じる。
小鈴(いやだ...死にたくない...徒町はまだ何もできてない!まだ“何者にもなれてない!”こんな訳もわからず殺されるなんて――)
小鈴「誰か...助けて...!!!」
バチバチ⚡
右手の甲に燃えるような痛みを感じる。
瞬間――
???「!」
ドゴーン!
大砲のような音と共に先ほどの女性は吹き飛び、目の前には――
梢「サーヴァント、バーサーカー、乙宗梢。召喚に従い参上しました。あなたが私のマスターかしら」
月光の中、紫色の長い髪に紅い着物を着た美しい女性が、徒町の前に立っていた。

27: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:14:40 ID:???00
深緑色の瞳は徒町をしばらく見つめると、先ほど吹き飛ばした女性を向き直り、
小鈴「あれ?」
そこには崩れた棚があるだけだった。
梢「敵対サーヴァントは去ったようね。マスター、怪我はないかしら」
小鈴「は、はい。大丈夫だと思います。助けていただき、ありがとうございました」
小鈴(蹴られたところは痛いけど....多分骨は折れてないと思う)
小鈴「それよりあなたは一体!突然出てきたように見えたし...さっきの人も!あんな怪力人間とは思えません!」
梢「...ごめんなさいマスター。話の途中だけれど、別のサーヴァントの気配を探知したわ。今すぐ迎撃に向かいます」バッ
小鈴「あっ待って!」
バーサーカーと名乗った女性は疾風のようなスピードで大倉庫を飛び出していく。
小鈴「はあ...はあ...」
お腹を押さえながら自分も大倉庫を出る。
小鈴「あれ?」
そこには崩れた棚があるだけだった。
梢「敵対サーヴァントは去ったようね。マスター、怪我はないかしら」
小鈴「は、はい。大丈夫だと思います。助けていただき、ありがとうございました」
小鈴(蹴られたところは痛いけど....多分骨は折れてないと思う)
小鈴「それよりあなたは一体!突然出てきたように見えたし...さっきの人も!あんな怪力人間とは思えません!」
梢「...ごめんなさいマスター。話の途中だけれど、別のサーヴァントの気配を探知したわ。今すぐ迎撃に向かいます」バッ
小鈴「あっ待って!」
バーサーカーと名乗った女性は疾風のようなスピードで大倉庫を飛び出していく。
小鈴「はあ...はあ...」
お腹を押さえながら自分も大倉庫を出る。
28: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:19:14 ID:???00
ドガーン!ドガーン!
花帆「吟子ちゃん!」
吟子「だからっ!キャスターって呼んでってば!」ピュン=🔵 ピュン=🔵
梢「ふん!はっ!」バコン!バコン!
バーサーカーの前には白い着物の女の子が相対していた。
手元からは無数の光の玉を生み出しバーサーカーに飛ばしている。
しかし、バーサーカーはその攻撃を素手で真っ向から迎撃し、じわじわと接近していく。
吟子「くっ対魔力が高い!これじゃあこっちの攻撃が通らない!花帆、ここは一旦立て直し――」
花帆「吟子ちゃん前!」
吟子「え?」
バーサーカーは隙と見るやいなや10メートルの距離を一息に詰め、相手の頭を掴むと勢いそのままで地面に叩きつけた。
吟子「ごはっ!」グギッ
バーサーカーは頭を掴んだまま着物の少女を持ち上げると、枕でも投げるように人の体を軽々と放り投げた。
梢「ふんっ!」ブン!
花帆「吟子ちゃん!!!」

花帆「吟子ちゃん!」
吟子「だからっ!キャスターって呼んでってば!」ピュン=🔵 ピュン=🔵
梢「ふん!はっ!」バコン!バコン!
バーサーカーの前には白い着物の女の子が相対していた。
手元からは無数の光の玉を生み出しバーサーカーに飛ばしている。
しかし、バーサーカーはその攻撃を素手で真っ向から迎撃し、じわじわと接近していく。
吟子「くっ対魔力が高い!これじゃあこっちの攻撃が通らない!花帆、ここは一旦立て直し――」
花帆「吟子ちゃん前!」
吟子「え?」
バーサーカーは隙と見るやいなや10メートルの距離を一息に詰め、相手の頭を掴むと勢いそのままで地面に叩きつけた。
吟子「ごはっ!」グギッ
バーサーカーは頭を掴んだまま着物の少女を持ち上げると、枕でも投げるように人の体を軽々と放り投げた。
梢「ふんっ!」ブン!
花帆「吟子ちゃん!!!」

29: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:23:07 ID:???00
小鈴(後ろにいる人、制服...赤いスカーフってことは2年生?)
梢「サーヴァントは戦闘不能。盾を失ったマスターがどうなるか...あなた、わかっているわよね?」
花帆「っ!」ビクッ
バーサーカーは先ほどと全く同じ勢いで制服を着た少女に飛びかかり、その頭を――
小鈴「やめて!バーサーカー!!!」
キィーン!
再び右手の甲が熱くなり、バーサーカーは拳を当てる寸前でその動きを止めた。
梢「身体が動かない!?まさか令呪!どうして止めるのマスター!」
小鈴「その人は蓮ノ空の先輩です!ただの人間がバーサーカーに殴られたら死んじゃう!」
梢「それが聖杯戦争よ!あなたもわかっていて私を呼んだんじゃないの!?」
小鈴「知りません!徒町はただ巻き込まれただけで!助けてくれたことは感謝してます!でも徒町を救ってくれた人が誰かを殺すところなんて見たくありません!」
梢(くっ令呪の拘束程度、私なら!)ググググ
梢「サーヴァントは戦闘不能。盾を失ったマスターがどうなるか...あなた、わかっているわよね?」
花帆「っ!」ビクッ
バーサーカーは先ほどと全く同じ勢いで制服を着た少女に飛びかかり、その頭を――
小鈴「やめて!バーサーカー!!!」
キィーン!
再び右手の甲が熱くなり、バーサーカーは拳を当てる寸前でその動きを止めた。
梢「身体が動かない!?まさか令呪!どうして止めるのマスター!」
小鈴「その人は蓮ノ空の先輩です!ただの人間がバーサーカーに殴られたら死んじゃう!」
梢「それが聖杯戦争よ!あなたもわかっていて私を呼んだんじゃないの!?」
小鈴「知りません!徒町はただ巻き込まれただけで!助けてくれたことは感謝してます!でも徒町を救ってくれた人が誰かを殺すところなんて見たくありません!」
梢(くっ令呪の拘束程度、私なら!)ググググ
30: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:26:04 ID:???00
小鈴「バーサー...ごほっごほ!」ビチャ
小鈴(え?ナニコレ、血?)
小鈴「...」バタン
梢「マスター!?」
花帆「!その子、怪我してるの?」
梢「あなたには関係ないわ」
花帆「診せて!あたしなら直してあげられる!」
梢「そんな言葉を信じると思うの?近づいて殺そうという魂胆なのでしょう」
花帆「じゃあどうするの?キャスターならともかくバーサーカーに治癒魔術が使えるの?」
梢「っ...だいたいあなたが私のマスターを助ける理由がない。不自然よ」
花帆「理由ならあるよ。あたしのサーヴァントは戦闘不能で、このままだとあたしは殺される。だから、取引をしたいの」
梢「取引?」
小鈴(え?ナニコレ、血?)
小鈴「...」バタン
梢「マスター!?」
花帆「!その子、怪我してるの?」
梢「あなたには関係ないわ」
花帆「診せて!あたしなら直してあげられる!」
梢「そんな言葉を信じると思うの?近づいて殺そうという魂胆なのでしょう」
花帆「じゃあどうするの?キャスターならともかくバーサーカーに治癒魔術が使えるの?」
梢「っ...だいたいあなたが私のマスターを助ける理由がない。不自然よ」
花帆「理由ならあるよ。あたしのサーヴァントは戦闘不能で、このままだとあたしは殺される。だから、取引をしたいの」
梢「取引?」
31: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:28:41 ID:???00
花帆「あたしがあなたのマスターを助けてあげる。その代わりあたしたちのことは見逃して!」
梢「なるほど...意外と冷静なのね。でもあなたにはまだキャスターがいるわ。今はあそこで伸びてるけど、隙を見てマスターを狙っていないとも限らない」
花帆「なら...」スッ
花帆『令呪をもって命じる。部屋に戻っていて!キャスター』
キィーン!
吟子「か、ほ――」スー…
キャスターの姿が消える。
梢「なっ!?あなた正気?サーヴァントを...」
花帆「どう?これでキャスターはいないよ。あたし一人ならバーサーカーで監視できるでしょ?」
梢「...いいわ、マスターのことを診てちょうだい。ただし変な真似をすればすぐに殺すわ」
花帆「わかった!それじゃあ失礼して...ふんふん、外傷はなし。お腹が腫れてる」グイグイ
小鈴「うっ!!!」
花帆「まさか内臓が傷ついてる!?大変!このままじゃこの子死んじゃうよ!」
梢「なんですって!治せるのよね!?」
花帆「治せるけどここじゃ無理、理事長室に行こう!あそこなら安全だし道具も揃ってる!」
梢「案内してちょうだい!」
花帆「うん、ついてきて!」
梢「なるほど...意外と冷静なのね。でもあなたにはまだキャスターがいるわ。今はあそこで伸びてるけど、隙を見てマスターを狙っていないとも限らない」
花帆「なら...」スッ
花帆『令呪をもって命じる。部屋に戻っていて!キャスター』
キィーン!
吟子「か、ほ――」スー…
キャスターの姿が消える。
梢「なっ!?あなた正気?サーヴァントを...」
花帆「どう?これでキャスターはいないよ。あたし一人ならバーサーカーで監視できるでしょ?」
梢「...いいわ、マスターのことを診てちょうだい。ただし変な真似をすればすぐに殺すわ」
花帆「わかった!それじゃあ失礼して...ふんふん、外傷はなし。お腹が腫れてる」グイグイ
小鈴「うっ!!!」
花帆「まさか内臓が傷ついてる!?大変!このままじゃこの子死んじゃうよ!」
梢「なんですって!治せるのよね!?」
花帆「治せるけどここじゃ無理、理事長室に行こう!あそこなら安全だし道具も揃ってる!」
梢「案内してちょうだい!」
花帆「うん、ついてきて!」
32: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:31:23 ID:???00
【 理事長室 】
花帆「それじゃいくよ!せーの『フラワー』!」🌸
小鈴「うぅ...はっ!ここはいったい...」
梢「マスター!」
沙知「お目覚めのようだね、徒町小鈴。記憶はあるかい?」
小鈴「えーと、徒町は朝お母さんに行ってきますをしてそれから...」
沙知「それはだいぶ前の記憶だねぃ」
小鈴「そうだ!変な人に襲われて、バーサーカーに助けられて、それで...」
沙知「あーそこまで思い出したならいいよ。大体の話は花帆とバーサーカーから聞いてるから」
花帆「それじゃいくよ!せーの『フラワー』!」🌸
小鈴「うぅ...はっ!ここはいったい...」
梢「マスター!」
沙知「お目覚めのようだね、徒町小鈴。記憶はあるかい?」
小鈴「えーと、徒町は朝お母さんに行ってきますをしてそれから...」
沙知「それはだいぶ前の記憶だねぃ」
小鈴「そうだ!変な人に襲われて、バーサーカーに助けられて、それで...」
沙知「あーそこまで思い出したならいいよ。大体の話は花帆とバーサーカーから聞いてるから」
33: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:32:58 ID:???00
花帆「ね!ちゃんと治ったでしょ?」
梢「そうね、感謝するわ...ただ、内臓の破裂をそんな一瞬で治せるのなら、わざわざここに移動する必要はなかったと思うのだけれど」
花帆「あの場でやってたら治した瞬間に殺されてたかもでしょ?」
梢「あら、主の命の恩人にそこまでするほど非情じゃないわ。でもあなたがその気なら今ここで決着をつけてもいいわよ」
沙知「やめたまえ、ここは戦闘禁止区域だ。それに“監督役”である私に怪我を負わせれば即刻退去してもらうことになるぞ、バーサーカー?」
梢「なるほど、案外ちゃっかりしているのね、キャスターのマスター」
梢「そうね、感謝するわ...ただ、内臓の破裂をそんな一瞬で治せるのなら、わざわざここに移動する必要はなかったと思うのだけれど」
花帆「あの場でやってたら治した瞬間に殺されてたかもでしょ?」
梢「あら、主の命の恩人にそこまでするほど非情じゃないわ。でもあなたがその気なら今ここで決着をつけてもいいわよ」
沙知「やめたまえ、ここは戦闘禁止区域だ。それに“監督役”である私に怪我を負わせれば即刻退去してもらうことになるぞ、バーサーカー?」
梢「なるほど、案外ちゃっかりしているのね、キャスターのマスター」
34: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:33:55 ID:???00
小鈴「あ、あのー...」
沙知「おっとすまんすまん!一番説明が必要な人をほったらかしてしまった」
小鈴「いえ!お気になさらず!徒町のことはいないものとして扱ってください!」
沙知「そうもいかないさ、何せ君はもう当事者だからね。まず確認なんだが、徒町小鈴、君は魔術師かい?」
小鈴「まじゅつし?魔法使いのことですか?」
沙知「おーけー君が魔術を知らない一般人ということはよくわかった。魔術師と魔法使いは大きく異なるが、今の君に説明しても仕方がないようだね」
小鈴「すみません!所詮徒町ですので難しいことはよくわかりません!」
沙知「うむ、素直でよろしい!だがそこまで自分を卑下する必要はない。何せ魔術はその存在を徹底的に隠しているからね」
小鈴「恐縮です!」
沙知「おっとすまんすまん!一番説明が必要な人をほったらかしてしまった」
小鈴「いえ!お気になさらず!徒町のことはいないものとして扱ってください!」
沙知「そうもいかないさ、何せ君はもう当事者だからね。まず確認なんだが、徒町小鈴、君は魔術師かい?」
小鈴「まじゅつし?魔法使いのことですか?」
沙知「おーけー君が魔術を知らない一般人ということはよくわかった。魔術師と魔法使いは大きく異なるが、今の君に説明しても仕方がないようだね」
小鈴「すみません!所詮徒町ですので難しいことはよくわかりません!」
沙知「うむ、素直でよろしい!だがそこまで自分を卑下する必要はない。何せ魔術はその存在を徹底的に隠しているからね」
小鈴「恐縮です!」
35: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:35:23 ID:???00
沙知「要点だけ話そう。君が巻き込まれたのはこの蓮ノ空女学院で“2年ごと”に行われている『聖杯戦争』という儀式だ」
小鈴「聖杯戦争?」
沙知「そうだ。サーヴァントを召喚しマスターとなった魔術師が、万能の願望器である聖杯をめぐりサーヴァント同士を戦わせ殺し合う。最後の一組になったマスターとサーヴァントが、聖杯を手に入れ願いを叶える権利を得る」
沙知「サーヴァントとはそこのバーサーカーやキャスターのような、人知を超えた力を持つ使い魔のことさ」
梢「使い魔とは心外ね。サーヴァントがマスターの言うことを聞くのは『令呪』という絶対命令権あってのものよ」
沙知「これは失礼。たしかにサーヴァントは使い魔というカテゴリに当てはめるのは不適切だったね。何せ主人であるマスターよりもはるかに強いんだから」
沙知「今話に出た令呪というのは、君の右手の甲にある赤い痣のようなものさ。全部で3画あって、サーバントに対して絶対の命令を与えられる」
右手の甲を見る。そこにはいつの間にか赤いシンボルが浮かび上がっていた。既に1画消えた跡がある。
小鈴「聖杯戦争?」
沙知「そうだ。サーヴァントを召喚しマスターとなった魔術師が、万能の願望器である聖杯をめぐりサーヴァント同士を戦わせ殺し合う。最後の一組になったマスターとサーヴァントが、聖杯を手に入れ願いを叶える権利を得る」
沙知「サーヴァントとはそこのバーサーカーやキャスターのような、人知を超えた力を持つ使い魔のことさ」
梢「使い魔とは心外ね。サーヴァントがマスターの言うことを聞くのは『令呪』という絶対命令権あってのものよ」
沙知「これは失礼。たしかにサーヴァントは使い魔というカテゴリに当てはめるのは不適切だったね。何せ主人であるマスターよりもはるかに強いんだから」
沙知「今話に出た令呪というのは、君の右手の甲にある赤い痣のようなものさ。全部で3画あって、サーバントに対して絶対の命令を与えられる」
右手の甲を見る。そこにはいつの間にか赤いシンボルが浮かび上がっていた。既に1画消えた跡がある。
36: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:36:29 ID:???00
小鈴「あの、いきなりぶっ飛んだ話をされて混乱しているんですが...サーヴァントは勝手にでてくるものなんですか?」
沙知「まさか!正式な手順と召喚のための準備をしてはじめて召喚できる。そんなタケノコみたいにぽんぽん生えてくるもんじゃないよ」
小鈴「でも徒町、何もした覚えはありません!」
沙知「そのようだね、蓮ノ空の聖杯戦争で召喚されるサーヴァントは少々特殊で“この学校自体が触媒”の役割を果たしている。普通の聖杯戦争では英霊にちなんだ触媒を用意しなければならないが....それは君には関係のない話だ」
小鈴「はあ...」
沙知「簡単に言ってしまうとね、君は事故でバーサーカーを召喚してしまったんだよ」
小鈴「そんな...!」
沙知「さて、そこで君には選択肢がある。聖杯戦争に正式に参加するか、令呪を手放し戦いから降りるかだ。今回は事情が事情だからね、降りたいというのなら私が君を保護しよう」
梢「...」
沙知「まさか!正式な手順と召喚のための準備をしてはじめて召喚できる。そんなタケノコみたいにぽんぽん生えてくるもんじゃないよ」
小鈴「でも徒町、何もした覚えはありません!」
沙知「そのようだね、蓮ノ空の聖杯戦争で召喚されるサーヴァントは少々特殊で“この学校自体が触媒”の役割を果たしている。普通の聖杯戦争では英霊にちなんだ触媒を用意しなければならないが....それは君には関係のない話だ」
小鈴「はあ...」
沙知「簡単に言ってしまうとね、君は事故でバーサーカーを召喚してしまったんだよ」
小鈴「そんな...!」
沙知「さて、そこで君には選択肢がある。聖杯戦争に正式に参加するか、令呪を手放し戦いから降りるかだ。今回は事情が事情だからね、降りたいというのなら私が君を保護しよう」
梢「...」
37: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:37:26 ID:???00
沙知「だがどうだろう。君も聖杯に選ばれたからには何か強い願望があったんだろう?ならば――」
小鈴「やります!聖杯戦争!」
沙知「随分と決断がはやいな...さっきも言ったが、聖杯戦争は殺し合いだ。戦いに負ければ死ぬぞ?」
小鈴「う...死にたくはないです。でもお恥ずかしい話ですが、徒町は生まれてこのかたすごいことを一回もできたことがないんです。だから、例え事故でも偶然でも、何かを成し遂げられるチャンスがあるなら、徒町は全力で挑戦したいんです!」
沙知「ほう、なるほどねぃ」
小鈴「それにバーサーカーには危ないところを助けてもらいました。ここで徒町が逃げたら、助けてくれたバーサーカーに面目がありません!」
花帆「一応あたしも小鈴ちゃんの命救ってるよ?」ズイッ
小鈴「うわ!あなたは...えっと」
花帆「花帆だよ!日野下花帆、よろしくね!」
小鈴「はい!花帆先輩もありがとうございました!」
小鈴「やります!聖杯戦争!」
沙知「随分と決断がはやいな...さっきも言ったが、聖杯戦争は殺し合いだ。戦いに負ければ死ぬぞ?」
小鈴「う...死にたくはないです。でもお恥ずかしい話ですが、徒町は生まれてこのかたすごいことを一回もできたことがないんです。だから、例え事故でも偶然でも、何かを成し遂げられるチャンスがあるなら、徒町は全力で挑戦したいんです!」
沙知「ほう、なるほどねぃ」
小鈴「それにバーサーカーには危ないところを助けてもらいました。ここで徒町が逃げたら、助けてくれたバーサーカーに面目がありません!」
花帆「一応あたしも小鈴ちゃんの命救ってるよ?」ズイッ
小鈴「うわ!あなたは...えっと」
花帆「花帆だよ!日野下花帆、よろしくね!」
小鈴「はい!花帆先輩もありがとうございました!」
38: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:40:05 ID:???00
梢「...ちょっといいかしら、キャスターのマスター。あなた、私のマスターに馴れ馴れしくないかしら?一応まだ敵同士なのだけれど」
花帆「え~あたし小鈴ちゃんを助けるために令呪まで使ったんだよ?もう友達でいいじゃん!」
梢「そんなわけないでしょう!?そもそも令呪を使ったのだって私のマスターが先よ」
小鈴「やめてよバーサーカー!喧嘩はだめだよ!」
花帆「...ねえ小鈴ちゃん、提案があるんだけど。あたし達と同盟を組まない?」
小鈴「同盟?」
梢「何を言っているのあなた!?」
花帆「小鈴ちゃんは魔術師じゃないんだよね?だったら魔術について教えてくれる先生が必要だよね。キャスターが傷を癒してる間、あたしが小鈴ちゃんに魔術を教えてあげる!そのかわりバーサーカーはその間あたしを他のマスターから守って!」
花帆「え~あたし小鈴ちゃんを助けるために令呪まで使ったんだよ?もう友達でいいじゃん!」
梢「そんなわけないでしょう!?そもそも令呪を使ったのだって私のマスターが先よ」
小鈴「やめてよバーサーカー!喧嘩はだめだよ!」
花帆「...ねえ小鈴ちゃん、提案があるんだけど。あたし達と同盟を組まない?」
小鈴「同盟?」
梢「何を言っているのあなた!?」
花帆「小鈴ちゃんは魔術師じゃないんだよね?だったら魔術について教えてくれる先生が必要だよね。キャスターが傷を癒してる間、あたしが小鈴ちゃんに魔術を教えてあげる!そのかわりバーサーカーはその間あたしを他のマスターから守って!」
39: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:41:14 ID:???00
梢「そんな話受け入れるわけないでしょ!」
小鈴「いや...そうしましょう!正直徒町、現状をまだちゃんと理解できてませんし、魔術についても知りたいです!よろしくお願いします!」
梢「マスター!?」
沙知「話はまとまったみたいだね。なら速やかに寮に戻りたまえ、ここは談話室じゃないんだから」
梢「ふん、キャスターが回復するまでの間だけよ!」
花帆「うん!よろしくね!小鈴ちゃん!バーサーカー!」
沙知「あーそうそう、サーヴァント同士の戦いは夜、人目につかないようにやってくれたまえよ!それじゃ、また聖杯戦争について質問があればまたここに来たまえ」
小鈴「はい!ありがとうございました!おやすみなさい!」
小鈴「いや...そうしましょう!正直徒町、現状をまだちゃんと理解できてませんし、魔術についても知りたいです!よろしくお願いします!」
梢「マスター!?」
沙知「話はまとまったみたいだね。なら速やかに寮に戻りたまえ、ここは談話室じゃないんだから」
梢「ふん、キャスターが回復するまでの間だけよ!」
花帆「うん!よろしくね!小鈴ちゃん!バーサーカー!」
沙知「あーそうそう、サーヴァント同士の戦いは夜、人目につかないようにやってくれたまえよ!それじゃ、また聖杯戦争について質問があればまたここに来たまえ」
小鈴「はい!ありがとうございました!おやすみなさい!」
40: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:42:07 ID:???00
――――――
花帆「とりあえず今日は疲れただろうし、魔術の勉強は明日からにしよう!」
小鈴「わかりました!おやすみなさい花帆先輩!」
花帆「うん!おやすみ小鈴ちゃん!バーサーカー!」
花帆「ただいまー!って、吟子ちゃんなんで正座してるの?」
吟子「...」
花帆「もしもーし?」プニプニ
吟子「...」プイッ
花帆「もしかして...怒ってる?」
吟子「別に怒っとらんし」
花帆「怒ってるよね!?」
花帆「とりあえず今日は疲れただろうし、魔術の勉強は明日からにしよう!」
小鈴「わかりました!おやすみなさい花帆先輩!」
花帆「うん!おやすみ小鈴ちゃん!バーサーカー!」
花帆「ただいまー!って、吟子ちゃんなんで正座してるの?」
吟子「...」
花帆「もしもーし?」プニプニ
吟子「...」プイッ
花帆「もしかして...怒ってる?」
吟子「別に怒っとらんし」
花帆「怒ってるよね!?」
41: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:43:18 ID:???00
吟子「じゃあなんで怒ってると思うの?」
花帆「小鈴ちゃんを助けたこと...?」
吟子「勝手に決めたこと!私にもちゃんと相談して!」
花帆「だって吟子ちゃん気絶してたじゃん!」
吟子「気絶はしてない。脳震盪で動けなかっただけ」
花帆「それじゃあ意味ないじゃん!あそこで小鈴ちゃんを助けなっかたら、あたし殺されてたかもしれないんだよ!?」
吟子「でも令呪を使う必要はなかったでしょ?」
花帆「だってバーサーカーが吟子ちゃんのこと警戒してたし....」
吟子「...はあ、もういいよ。これからは何かするときは相談してね。それで、話は折神を通して聞いてたけど、本当にバーサーカーのマスターと同盟を組むの?」
花帆「うん!小鈴ちゃんにはバーサーカーを止めてもらった恩があるし、それに小鈴ちゃん巻き込まれてマスターになった感じだったし。なんか放っておけないんだよね」
吟子「敵に塩を送る気?」
花帆「確かにそうだけど、小鈴ちゃんと仲良くなればバーサーカーを仲間にできるかもしれないでしょ?吟子ちゃんの攻撃はバーサーカーに効かなかったし、敵対するよりいいと思うなあ」
花帆「小鈴ちゃんを助けたこと...?」
吟子「勝手に決めたこと!私にもちゃんと相談して!」
花帆「だって吟子ちゃん気絶してたじゃん!」
吟子「気絶はしてない。脳震盪で動けなかっただけ」
花帆「それじゃあ意味ないじゃん!あそこで小鈴ちゃんを助けなっかたら、あたし殺されてたかもしれないんだよ!?」
吟子「でも令呪を使う必要はなかったでしょ?」
花帆「だってバーサーカーが吟子ちゃんのこと警戒してたし....」
吟子「...はあ、もういいよ。これからは何かするときは相談してね。それで、話は折神を通して聞いてたけど、本当にバーサーカーのマスターと同盟を組むの?」
花帆「うん!小鈴ちゃんにはバーサーカーを止めてもらった恩があるし、それに小鈴ちゃん巻き込まれてマスターになった感じだったし。なんか放っておけないんだよね」
吟子「敵に塩を送る気?」
花帆「確かにそうだけど、小鈴ちゃんと仲良くなればバーサーカーを仲間にできるかもしれないでしょ?吟子ちゃんの攻撃はバーサーカーに効かなかったし、敵対するよりいいと思うなあ」
42: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:45:05 ID:???00
吟子「うっ...まあ最後には戦うってわかってるならいい」
花帆「ありがとう吟子ちゃん!だーいすき!」ギュッ!
吟子「ちょっとやめてよ!友達じゃないんだから!」
花帆「え~あたしは吟子ちゃんのこと友達だと思ってるよ?」
吟子「私はサーヴァントなんだから、ちゃんとマスターらしく...あ、あーっ!」
花帆「吟子ちゃん?」
吟子「はじめて...」
花帆「ん?」
吟子「はじめて『キャスター』って呼んでもらったのが令呪による退却命令だなんて!私もう恥ずかしくて人前に出られないよ!ちょっと霊体化してるね...」スー…
花帆「あ!吟子ちゃん消えないで!一緒に寝ようよ~」
花帆「ありがとう吟子ちゃん!だーいすき!」ギュッ!
吟子「ちょっとやめてよ!友達じゃないんだから!」
花帆「え~あたしは吟子ちゃんのこと友達だと思ってるよ?」
吟子「私はサーヴァントなんだから、ちゃんとマスターらしく...あ、あーっ!」
花帆「吟子ちゃん?」
吟子「はじめて...」
花帆「ん?」
吟子「はじめて『キャスター』って呼んでもらったのが令呪による退却命令だなんて!私もう恥ずかしくて人前に出られないよ!ちょっと霊体化してるね...」スー…
花帆「あ!吟子ちゃん消えないで!一緒に寝ようよ~」
43: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:46:32 ID:???00
――――――
小鈴「ここが徒町の部屋だよ!入って!」
梢「...」
小鈴「あ、寝る場所どうしよう...じゃあ徒町は床で寝るからバーサーカーベッド使っていいよ!」
梢「その必要はないわ。サーヴァントには睡眠も食事も必要ない。普段は霊体化しているからマスターは普段通り過ごしてもらって構わないわ」
小鈴「そうなの!?サーヴァントってすごいんだね!」
梢「それでマスター、話があるのだけれど――」
小鈴「あ、それ!その呼び方!」
梢「え?」
小鈴「マスターって呼ばれると、むずがゆいというか....徒町なんかがバーサーカーより偉いみたいで逆に肩身が狭いというか、だから別の呼び方にしてください!」
梢「...なら小鈴さん」
小鈴「はい!」
小鈴「ここが徒町の部屋だよ!入って!」
梢「...」
小鈴「あ、寝る場所どうしよう...じゃあ徒町は床で寝るからバーサーカーベッド使っていいよ!」
梢「その必要はないわ。サーヴァントには睡眠も食事も必要ない。普段は霊体化しているからマスターは普段通り過ごしてもらって構わないわ」
小鈴「そうなの!?サーヴァントってすごいんだね!」
梢「それでマスター、話があるのだけれど――」
小鈴「あ、それ!その呼び方!」
梢「え?」
小鈴「マスターって呼ばれると、むずがゆいというか....徒町なんかがバーサーカーより偉いみたいで逆に肩身が狭いというか、だから別の呼び方にしてください!」
梢「...なら小鈴さん」
小鈴「はい!」
44: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:49:11 ID:???00
梢「さっきの令呪はどういうことかしら?」
小鈴「?」
梢「結果的に小鈴さんの命を救うことになったとはいえ、無防備なマスターを排除する絶好の機会を妨害するなんて何を考えているの?」
小鈴「逆になんで無防備な人を攻撃できるの!?バーサーカーの力で殴ったら人間なんて簡単に死んじゃうよ!」
梢「殺そうとしたのよ。それが聖杯戦争だもの。小鈴さんはまだ聖杯戦争の何たるかを理解できていないようね」
小鈴「わかってるよ!サーヴァント同士で戦うんでしょ?じゃあマスターを狙う必要ないよね?」
梢「いいえ、わかっていないわ。小鈴さん、サーヴァントはマスターからの魔力供給があって初めて現世に存在できるの。つまりマスターを討ってしまえばサーヴァントは放っておくだけで倒すことができるということ」
梢「考えてみてちょうだい、人知を超えた力を持ち、傷もすぐに癒えてしまうサーヴァントを倒すのと、ただの人間を殺すことのどっちのほうが簡単か」
小鈴「それは...」
小鈴「?」
梢「結果的に小鈴さんの命を救うことになったとはいえ、無防備なマスターを排除する絶好の機会を妨害するなんて何を考えているの?」
小鈴「逆になんで無防備な人を攻撃できるの!?バーサーカーの力で殴ったら人間なんて簡単に死んじゃうよ!」
梢「殺そうとしたのよ。それが聖杯戦争だもの。小鈴さんはまだ聖杯戦争の何たるかを理解できていないようね」
小鈴「わかってるよ!サーヴァント同士で戦うんでしょ?じゃあマスターを狙う必要ないよね?」
梢「いいえ、わかっていないわ。小鈴さん、サーヴァントはマスターからの魔力供給があって初めて現世に存在できるの。つまりマスターを討ってしまえばサーヴァントは放っておくだけで倒すことができるということ」
梢「考えてみてちょうだい、人知を超えた力を持ち、傷もすぐに癒えてしまうサーヴァントを倒すのと、ただの人間を殺すことのどっちのほうが簡単か」
小鈴「それは...」
45: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:50:06 ID:???00
梢「理解できたかしら?」
小鈴「でも...そっちのほうが簡単だからって、人を殺すのはいけないことだよ!!」
梢「マスターを殺すことは小鈴さんの安全を守ることにもつながるのよ?」
小鈴「それでも徒町は...」
梢「...」
小鈴「...」
梢「...はあ、わかったわ。また令呪を使われたらたまらないもの。極力マスターは狙わないようにするわ」
小鈴「!」
梢「ただし、相手のマスターが小鈴さんを狙っていたら私も容赦はしない。この条件は飲んでもらうわよ」
小鈴「うん!ありがとうバーサーカー!」
小鈴「でも...そっちのほうが簡単だからって、人を殺すのはいけないことだよ!!」
梢「マスターを殺すことは小鈴さんの安全を守ることにもつながるのよ?」
小鈴「それでも徒町は...」
梢「...」
小鈴「...」
梢「...はあ、わかったわ。また令呪を使われたらたまらないもの。極力マスターは狙わないようにするわ」
小鈴「!」
梢「ただし、相手のマスターが小鈴さんを狙っていたら私も容赦はしない。この条件は飲んでもらうわよ」
小鈴「うん!ありがとうバーサーカー!」
46: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:50:59 ID:???00
梢「まったく、お人好しなマスターだこと...さあ私から話したいことは終わったわ。明日からは魔術の訓練もあるのだし、今日は寝て体力を温存しましょう」
小鈴「わかった!おやすみなさい!」
梢「おやすみなさい」
小鈴「あ、そうだ!」
梢「?」
小鈴「これからよろしくね、バーサーカー」
梢「...ええ、こちらこそ。一緒に聖杯戦争を勝ち抜きましょう、小鈴さん」
小鈴「わかった!おやすみなさい!」
梢「おやすみなさい」
小鈴「あ、そうだ!」
梢「?」
小鈴「これからよろしくね、バーサーカー」
梢「...ええ、こちらこそ。一緒に聖杯戦争を勝ち抜きましょう、小鈴さん」
47: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:53:36 ID:???00
――――――
[ Interlude in ]
沙知「さて、もう出てきていいぞ。ライダー」
ライダー「...主様の言う通り、徒町小鈴はマスターになりましたね」スー
沙知「ああ、彼女は此度の聖杯戦争において台風の目になる。今日廊下で話した時に直感したんだ」
ライダー「直感...千里眼ですか?優れた素質のあるものは未来さえ見通すと言われる」
沙知「私のはそんな大層なものじゃないよ!言っただろ、ただの直感さ。それに未来予知ができるのなら、私の目的はここに来た時点で叶ってるよ」
沙知「さて、これで召喚されたサーヴァントは5基。ライダー、キャスター、ランサー、アーチャー、そしてバーサーカー。例年の記録によれば今回も5基が限度だろう」
沙知「しかし、まさかバーサーカーを召喚するとはねぃ...てっきりセイバーかと思ったよ」
ライダー「おかしいのですか?」
[ Interlude in ]
沙知「さて、もう出てきていいぞ。ライダー」
ライダー「...主様の言う通り、徒町小鈴はマスターになりましたね」スー
沙知「ああ、彼女は此度の聖杯戦争において台風の目になる。今日廊下で話した時に直感したんだ」
ライダー「直感...千里眼ですか?優れた素質のあるものは未来さえ見通すと言われる」
沙知「私のはそんな大層なものじゃないよ!言っただろ、ただの直感さ。それに未来予知ができるのなら、私の目的はここに来た時点で叶ってるよ」
沙知「さて、これで召喚されたサーヴァントは5基。ライダー、キャスター、ランサー、アーチャー、そしてバーサーカー。例年の記録によれば今回も5基が限度だろう」
沙知「しかし、まさかバーサーカーを召喚するとはねぃ...てっきりセイバーかと思ったよ」
ライダー「おかしいのですか?」
48: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:56:18 ID:???00
沙知「ああ、蓮ノ空の聖杯戦争において召喚されるサーヴァントはここの元生徒たちだ。いくら魔術師とはいえ、生徒の中に殺し屋や狂人がいたら大変だろ?だから割り当てられるクラスはたいていアサシンとバーサーカー以外のクラスだ」
ライダー「ではあのバーサーカーは...」
沙知「さあね?狂化しているようには見えなかったけど、腹の中に何を隠しているかわからない。そうでなくても徒町小鈴は特別だ、彼女たちのことは特に注意して監視してくれ」
ライダー「御意に」
沙知「ライダーには迷惑をかけるな」
ライダー「いえ、主様の使命については召喚された際に説明を受け、私自身納得しておりますので。どうかお気になさらず」
沙知「ありがとうライダー、私の目的を果たすにはサーヴァントの協力が必要不可欠だ。今後ともよろしく頼む」
ライダー「はい」
沙知「さて、役者はそろった。いよいよ聖杯戦争も本格的に動き出すだろう」
沙知「――君たちの健闘を祈っているよ。マスター諸君」
[ Interlude out ]
ライダー「ではあのバーサーカーは...」
沙知「さあね?狂化しているようには見えなかったけど、腹の中に何を隠しているかわからない。そうでなくても徒町小鈴は特別だ、彼女たちのことは特に注意して監視してくれ」
ライダー「御意に」
沙知「ライダーには迷惑をかけるな」
ライダー「いえ、主様の使命については召喚された際に説明を受け、私自身納得しておりますので。どうかお気になさらず」
沙知「ありがとうライダー、私の目的を果たすにはサーヴァントの協力が必要不可欠だ。今後ともよろしく頼む」
ライダー「はい」
沙知「さて、役者はそろった。いよいよ聖杯戦争も本格的に動き出すだろう」
沙知「――君たちの健闘を祈っているよ。マスター諸君」
[ Interlude out ]
49: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/01(土) 22:57:38 ID:???00
――――――
OPテーマ『Take It Over』
――――――
OPテーマ『Take It Over』
――――――
53: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 21:32:05 ID:???00
【2月2日】
夢を見る。
私/少女はいつも一人だった。和風の屋敷は広く、毎日探検して遊んでいた。
前に家のものに外で遊びたいとお願いしたが、家の外は危ないからと許されなかった。
何年も家の中で過ごし、もう探検する場所もなくなったある夏の日。
ガサガサ
「なに!?野良猫?」
雲を眺めていたら裏庭のほうから物音が聞こえた。
恐る恐る覗いてみる。
「キャー!でたー!」
「きゃっ!」
「もしかしてお化け?きもの着てるし」
「失礼ね!ちゃんと生きてるわ!あなたこそ誰?泥棒!?」
「ちがうよ。あたしはおばけを捕まえに来たの!あなたはだあれ?」
それが、少女にとってはじめて出会った同じ大きさの人間だった。
──────
夢を見る。
私/少女はいつも一人だった。和風の屋敷は広く、毎日探検して遊んでいた。
前に家のものに外で遊びたいとお願いしたが、家の外は危ないからと許されなかった。
何年も家の中で過ごし、もう探検する場所もなくなったある夏の日。
ガサガサ
「なに!?野良猫?」
雲を眺めていたら裏庭のほうから物音が聞こえた。
恐る恐る覗いてみる。
「キャー!でたー!」
「きゃっ!」
「もしかしてお化け?きもの着てるし」
「失礼ね!ちゃんと生きてるわ!あなたこそ誰?泥棒!?」
「ちがうよ。あたしはおばけを捕まえに来たの!あなたはだあれ?」
それが、少女にとってはじめて出会った同じ大きさの人間だった。
──────
54: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 21:36:20 ID:???00
梢「小鈴さん、起きなさい。もう朝よ」
小鈴「うーん、もうちょっと寝かせて...」
梢「小鈴さん!」
小鈴「わっ!あれ?」
梢「いろいろあって疲れていたとは思うけど、それそろ起きないなさい」
目の前には赤い綺麗な着物の女性。
それで寝ぼけた頭が覚醒する。
小鈴「そうだ、聖杯戦争に参加することになったんだ...」
梢「何ぼーっとしているの?早く顔を洗って着替えなさい」
梢「ところで小鈴さん、あなた朝食はいつもどうしているの?」
小鈴「え、食べてないよ?徒町料理できないから」
梢「朝食を食べていない!?なんて不摂生なの!いいかしら?朝というのは1日のうちで体の栄養が最も不足している時間なのよ。朝食を食べないと活動のためのエネルギーが足りなくて勉強も運動も力を出せないの」
小鈴「うーん、もうちょっと寝かせて...」
梢「小鈴さん!」
小鈴「わっ!あれ?」
梢「いろいろあって疲れていたとは思うけど、それそろ起きないなさい」
目の前には赤い綺麗な着物の女性。
それで寝ぼけた頭が覚醒する。
小鈴「そうだ、聖杯戦争に参加することになったんだ...」
梢「何ぼーっとしているの?早く顔を洗って着替えなさい」
梢「ところで小鈴さん、あなた朝食はいつもどうしているの?」
小鈴「え、食べてないよ?徒町料理できないから」
梢「朝食を食べていない!?なんて不摂生なの!いいかしら?朝というのは1日のうちで体の栄養が最も不足している時間なのよ。朝食を食べないと活動のためのエネルギーが足りなくて勉強も運動も力を出せないの」
55: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 21:39:20 ID:???00
小鈴「あ、はい」
梢「あ、はいじゃないわ!もう、朝起きるのが苦手なら夜のうちに朝食を準備しておきなさい」
小鈴「でも聖杯戦争に参加するんだからそんな時間は」
梢「忙しいからと言って削っていいことと悪いことがあるのよ。大体、体力が落ちていたらそれこそ命取りになるわ」
小鈴「うう、じゃあやっぱり勉強時間を削るしか...」
梢「却下よ。聖杯戦争が終わっても人生は続くもの、勉強をおろそかにしてはいけないわ。それに来月には学年試験もあるでしょ?」
小鈴「でも今日からは魔術の勉強もしなきゃいけないんだよ!?普通の勉強と両立なんて、徒町には無理だよ!」
梢「気合で乗り切りなさい」
小鈴「そんな~」
梢「あ、はいじゃないわ!もう、朝起きるのが苦手なら夜のうちに朝食を準備しておきなさい」
小鈴「でも聖杯戦争に参加するんだからそんな時間は」
梢「忙しいからと言って削っていいことと悪いことがあるのよ。大体、体力が落ちていたらそれこそ命取りになるわ」
小鈴「うう、じゃあやっぱり勉強時間を削るしか...」
梢「却下よ。聖杯戦争が終わっても人生は続くもの、勉強をおろそかにしてはいけないわ。それに来月には学年試験もあるでしょ?」
小鈴「でも今日からは魔術の勉強もしなきゃいけないんだよ!?普通の勉強と両立なんて、徒町には無理だよ!」
梢「気合で乗り切りなさい」
小鈴「そんな~」
56: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 21:41:23 ID:???00
梢「それに魔術の勉強だけではないわよ。小鈴さんには体力づくりもしてもらいます。そっちは私が稽古をつけるわ」
小鈴「え?そんなの聞いてないよ!」
梢「寝ている間に小鈴さんの体をチェックさせてもらったの。あなた、あまりにも筋力がなさすぎるわ」
梢「そんな体ではサーヴァントの攻撃がかすっただけで死んでしまう。だから小鈴さんの生存可能性を少しでも上げるために私が特訓してあげる」
小鈴「そ、そんな...いやこれもまたチャレンジ!徒町、強くなって立派なマスターになって見せます!がんばるぞ~!おー!」
梢「じゃあまずはランニングからね。私は霊体化して傍についているから」
小鈴「え、今から...?」
梢「あたりまえでしょう。さあ行くわよ!」
小鈴「う、うわ~!」
小鈴「え?そんなの聞いてないよ!」
梢「寝ている間に小鈴さんの体をチェックさせてもらったの。あなた、あまりにも筋力がなさすぎるわ」
梢「そんな体ではサーヴァントの攻撃がかすっただけで死んでしまう。だから小鈴さんの生存可能性を少しでも上げるために私が特訓してあげる」
小鈴「そ、そんな...いやこれもまたチャレンジ!徒町、強くなって立派なマスターになって見せます!がんばるぞ~!おー!」
梢「じゃあまずはランニングからね。私は霊体化して傍についているから」
小鈴「え、今から...?」
梢「あたりまえでしょう。さあ行くわよ!」
小鈴「う、うわ~!」
57: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 21:43:44 ID:???00
──────
姫芽「...なんか小鈴ちゃん疲れてない?」
小鈴「うん。体力付けろって言われて、朝からランニングしてきたんだぁ」グタ
姫芽「へーがんばるね~あ、だからリストバンドつけてるの?」
小鈴「う、うん!そうなの」
小鈴(本当は令呪を隠すためだけど)
バーサーカーから誰がマスターかわからない以上は不用意に令呪を周りに見せないほうがいいと言われた。
敵にマスターであると知られると奇襲される危険が高まるからだ。
教師「このXにさっき導いた値を代入して──」
梢(今のところ教室内にマスターの気配はないわね)
小鈴「っ!」ガタッ!
教師「ん?どうした徒町」
小鈴「あ、いや...」
梢(ちょっと落ち着いて!授業中も霊体化して傍にいるって言ったでしょ?)
小鈴「そうだった!ごめんバーサーカー!」
小鈴(なんでもありません!すみませんでした!)
梢(逆よ!逆!心の声と実際の声が逆になっているわ!)
姫芽「...なんか小鈴ちゃん疲れてない?」
小鈴「うん。体力付けろって言われて、朝からランニングしてきたんだぁ」グタ
姫芽「へーがんばるね~あ、だからリストバンドつけてるの?」
小鈴「う、うん!そうなの」
小鈴(本当は令呪を隠すためだけど)
バーサーカーから誰がマスターかわからない以上は不用意に令呪を周りに見せないほうがいいと言われた。
敵にマスターであると知られると奇襲される危険が高まるからだ。
教師「このXにさっき導いた値を代入して──」
梢(今のところ教室内にマスターの気配はないわね)
小鈴「っ!」ガタッ!
教師「ん?どうした徒町」
小鈴「あ、いや...」
梢(ちょっと落ち着いて!授業中も霊体化して傍にいるって言ったでしょ?)
小鈴「そうだった!ごめんバーサーカー!」
小鈴(なんでもありません!すみませんでした!)
梢(逆よ!逆!心の声と実際の声が逆になっているわ!)
58: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 21:47:11 ID:???00
教師「なんだ?寝ぼけてるのか?ちゃんと聞いとけよ~今度の期末も赤点とったら承知しないからな」
生徒1「徒町ちゃんてたまに面白いことする時あるよね!」ヒソヒソ
生徒2「また何か『チャレンジ』してるんじゃない?」ヒソヒソ
生徒1「今度は何してるんだろうね!」ヒソヒソ
小鈴「あ、あははは...すみません...」
姫芽「...」
生徒1「徒町ちゃんてたまに面白いことする時あるよね!」ヒソヒソ
生徒2「また何か『チャレンジ』してるんじゃない?」ヒソヒソ
生徒1「今度は何してるんだろうね!」ヒソヒソ
小鈴「あ、あははは...すみません...」
姫芽「...」
59: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 21:49:02 ID:???00
──────
小鈴「やっと昼休みだー学食行こっと」
慈「...」テクテク
小鈴「あ、めぐちゃーん!」
慈「.…..」テクテク
小鈴「あれ、聞こえなかったのかな?いつもはめぐちゃんのほうから声かけてくるくらいなのに」
小鈴「あー!そういえば昨日放課後のめぐちゃんとの約束忘れてた!もしかしてそれで怒ってる...」
小鈴「うーん、あとでメールで謝っておこう」
花帆「小鈴ちゃーん!」
小鈴「花帆先輩!」
花帆「学食?一緒に行っていい?」
小鈴「もちろんです!」
小鈴「やっと昼休みだー学食行こっと」
慈「...」テクテク
小鈴「あ、めぐちゃーん!」
慈「.…..」テクテク
小鈴「あれ、聞こえなかったのかな?いつもはめぐちゃんのほうから声かけてくるくらいなのに」
小鈴「あー!そういえば昨日放課後のめぐちゃんとの約束忘れてた!もしかしてそれで怒ってる...」
小鈴「うーん、あとでメールで謝っておこう」
花帆「小鈴ちゃーん!」
小鈴「花帆先輩!」
花帆「学食?一緒に行っていい?」
小鈴「もちろんです!」
60: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 21:50:44 ID:???00
花帆「えへへ~そうだ、小鈴ちゃんにLINE聞きたかったんだった!放課後のこととか、人前ではあんまり話したくなかったから」
小鈴「わかりました!」
梢(...小鈴さん、わかっていると思うけど)
小鈴(大丈夫だよ!花帆先輩はいい人だから!)
梢(そういうことでは...まあいいわ、いずれはわかるもの)
花帆「え?大丈夫だよ!小鈴ちゃんいい子だから!」
小鈴「花帆先輩?」
花帆「ううん!こっちの話!」
梢(案外似た者同士かもしれないわね、あなたたち)
小鈴「?」
小鈴「わかりました!」
梢(...小鈴さん、わかっていると思うけど)
小鈴(大丈夫だよ!花帆先輩はいい人だから!)
梢(そういうことでは...まあいいわ、いずれはわかるもの)
花帆「え?大丈夫だよ!小鈴ちゃんいい子だから!」
小鈴「花帆先輩?」
花帆「ううん!こっちの話!」
梢(案外似た者同士かもしれないわね、あなたたち)
小鈴「?」
61: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 21:53:08 ID:???00
[ Interlude in ]
2月1日 夜
慈「もー!コスズちゃんいくら待っても来ないじゃん!電話してもでないし!こうなったら...」
慈「私のほうから突撃しちゃうんだよ☆」
慈「コスズちゃんーいる?」コンコンコン!
シーン...
慈「あれ~?いないのかな。さてはまたどっかで変なチャレンジしてるな。もう!暗くなるまでやってたら危ないって何回も言ってるのに!」
慈「しょうがない、迎えに行ってやるか!」
慈(とは言えどこにいるんだろう。校舎のほうはもう明り消えてたし、まさかこの暗い中で外にいるの?コスズちゃんならありえなくはないけど)
2月1日 夜
慈「もー!コスズちゃんいくら待っても来ないじゃん!電話してもでないし!こうなったら...」
慈「私のほうから突撃しちゃうんだよ☆」
慈「コスズちゃんーいる?」コンコンコン!
シーン...
慈「あれ~?いないのかな。さてはまたどっかで変なチャレンジしてるな。もう!暗くなるまでやってたら危ないって何回も言ってるのに!」
慈「しょうがない、迎えに行ってやるか!」
慈(とは言えどこにいるんだろう。校舎のほうはもう明り消えてたし、まさかこの暗い中で外にいるの?コスズちゃんならありえなくはないけど)
62: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 21:54:35 ID:???00
カキンカキン...!
慈「ん?今何か聞こえたような」
音は体育館裏から聞こえていた。
慈「コスズちゃ──」
ガキン!ガキン!ブオーーン!
慈「!」サッ
慈(なに今の!暗くてよく見えなかったけど、人だった...よね?でもそれにしては動きが人間離れしていたような)
『何者だ!』
慈(見つかった!?)ビクッ
シーン...
慈(あれ?誰も来ない?)
恐る恐るのぞき込む。先ほどまでは3人だった人影は2人になっており、もう争っている様子はない。
今度は注意して顔を確認してみる。
慈「────ルリちゃん?」
[ Interlude out ]
慈「ん?今何か聞こえたような」
音は体育館裏から聞こえていた。
慈「コスズちゃ──」
ガキン!ガキン!ブオーーン!
慈「!」サッ
慈(なに今の!暗くてよく見えなかったけど、人だった...よね?でもそれにしては動きが人間離れしていたような)
『何者だ!』
慈(見つかった!?)ビクッ
シーン...
慈(あれ?誰も来ない?)
恐る恐るのぞき込む。先ほどまでは3人だった人影は2人になっており、もう争っている様子はない。
今度は注意して顔を確認してみる。
慈「────ルリちゃん?」
[ Interlude out ]
63: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 21:57:02 ID:???00
──────
花帆「それでは、日野下花帆による魔術講座のはじまり~」パチパチパチ
小鈴「よろしくお願いします!」
放課後、花帆先輩を徒町の部屋に招き、魔術について教えてもらうことになった。
花帆「小鈴ちゃんは魔術について何にも知らないんだよね?だったら最初は基本的な説明になるけどいいかな?」
小鈴「大丈夫です!理解できるはわかりませんが!」
花帆「じゃあできるだけわかりやすく説明するね!まずは『魔術』について、魔術っていうのは簡単に言うと奇跡を起こすことかな」
小鈴「奇跡!」
花帆「と言ってもなんでもできる訳じゃないんだけどね」
花帆「有から有は作れるけど、無から有は作れない」
花帆「魔術を使うことで得られる結果は、魔術を使わなくてもできることだけなんだ」
花帆「それでは、日野下花帆による魔術講座のはじまり~」パチパチパチ
小鈴「よろしくお願いします!」
放課後、花帆先輩を徒町の部屋に招き、魔術について教えてもらうことになった。
花帆「小鈴ちゃんは魔術について何にも知らないんだよね?だったら最初は基本的な説明になるけどいいかな?」
小鈴「大丈夫です!理解できるはわかりませんが!」
花帆「じゃあできるだけわかりやすく説明するね!まずは『魔術』について、魔術っていうのは簡単に言うと奇跡を起こすことかな」
小鈴「奇跡!」
花帆「と言ってもなんでもできる訳じゃないんだけどね」
花帆「有から有は作れるけど、無から有は作れない」
花帆「魔術を使うことで得られる結果は、魔術を使わなくてもできることだけなんだ」
64: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 21:58:53 ID:???00
小鈴「ん?じゃあ魔術を使う意味って何なんですか?」
花帆「大切なのは結果じゃなくて、そこまでの過程の方なの」
花帆「小鈴ちゃんは花を育てたことはある?」
小鈴「はい。小学生の時にアサガオを育てました」
花帆「花が咲くまでどのくらい掛かったか覚えてる?」
小鈴「えっと…確か3ヶ月くらい?」
花帆「そうだね。時期によって少し変わるけど、大体そのくらいかな!」
花帆「でもね、魔術を使うと種から開花までたったの数十秒でできるのです!」
小鈴「おー!」
花帆「ね?花が咲くって結果は同じだけど、それまでの過程を全部省略できる。これが魔術で起こす奇跡なのです!」
花帆「そんな感じで、時間や労力をかければできることを、魔力を使うことで一瞬で実現するのが魔術ってこと!」
小鈴「なるほど!」
花帆「大切なのは結果じゃなくて、そこまでの過程の方なの」
花帆「小鈴ちゃんは花を育てたことはある?」
小鈴「はい。小学生の時にアサガオを育てました」
花帆「花が咲くまでどのくらい掛かったか覚えてる?」
小鈴「えっと…確か3ヶ月くらい?」
花帆「そうだね。時期によって少し変わるけど、大体そのくらいかな!」
花帆「でもね、魔術を使うと種から開花までたったの数十秒でできるのです!」
小鈴「おー!」
花帆「ね?花が咲くって結果は同じだけど、それまでの過程を全部省略できる。これが魔術で起こす奇跡なのです!」
花帆「そんな感じで、時間や労力をかければできることを、魔力を使うことで一瞬で実現するのが魔術ってこと!」
小鈴「なるほど!」
65: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 22:01:02 ID:???00
花帆「アルコールを使わずに火を起こしたり、砥石を使わずに包丁の切れ味を良くしたり!」
小鈴「はっ!では勉強をせずに頭を良くすることも!?」
花帆「それは...できるならもうあたしがやってるかな!」
小鈴「そんな...魔術も万能ではないんですね...」
梢「さっき花帆さんも言っていたでしょ?元々ないものは魔術でもどうしようもないのよ」
小鈴「辛辣!?」
花帆「あはは!それでね、魔術を研究して『根源』を目指そうとしてる人達を魔術師って言うんだ」
小鈴「はっ!では勉強をせずに頭を良くすることも!?」
花帆「それは...できるならもうあたしがやってるかな!」
小鈴「そんな...魔術も万能ではないんですね...」
梢「さっき花帆さんも言っていたでしょ?元々ないものは魔術でもどうしようもないのよ」
小鈴「辛辣!?」
花帆「あはは!それでね、魔術を研究して『根源』を目指そうとしてる人達を魔術師って言うんだ」
66: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 22:02:14 ID:???00
小鈴「根源?」
花帆「なんでも世界の全ての情報がある場所なんだって!そこでは過去も未来も全部わかるとか」
小鈴「世界の全てがわかる…ん~でも徒町、あんまり未来は知りたくありません」
花帆「どうして?」
小鈴「もし自分の未来が『徒町は結局何者にもなれませんでした』だったら…徒町はもう頑張れなくなるかもしれません」
花帆「そっか。実はあたしも根源には興味無いんだ!」
花帆「──あたしも、自分の未来を見るのは怖いから」
花帆「なんでも世界の全ての情報がある場所なんだって!そこでは過去も未来も全部わかるとか」
小鈴「世界の全てがわかる…ん~でも徒町、あんまり未来は知りたくありません」
花帆「どうして?」
小鈴「もし自分の未来が『徒町は結局何者にもなれませんでした』だったら…徒町はもう頑張れなくなるかもしれません」
花帆「そっか。実はあたしも根源には興味無いんだ!」
花帆「──あたしも、自分の未来を見るのは怖いから」
67: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 22:07:49 ID:???00
それから花帆先輩に代表的な魔術をいくつか教えてもらった。
小鈴「なるほど、『強化』に『変化』『投影』『転換』『支配』『魅了』...」
小鈴「花帆先輩の魔術は何なんですか?」
花帆「あたしのは分類的には『治癒』魔術かな!」
梢(破裂した内臓を一瞬で治すのは異常だと思うのだけれど…)
花帆「そしてそれらの魔術を可能にするのが魔術師にとっての命とも言える『魔術回路』なのです!」
小鈴「まじゅつかいろ?」
花帆「そう!生命力を魔力に変換するための擬似神経だよ!これが無いと魔術は使えないんだ」
小鈴「うう~次から次へと知らない単語が…」グルグル
花帆「頑張って小鈴ちゃん!」
小鈴「なるほど、『強化』に『変化』『投影』『転換』『支配』『魅了』...」
小鈴「花帆先輩の魔術は何なんですか?」
花帆「あたしのは分類的には『治癒』魔術かな!」
梢(破裂した内臓を一瞬で治すのは異常だと思うのだけれど…)
花帆「そしてそれらの魔術を可能にするのが魔術師にとっての命とも言える『魔術回路』なのです!」
小鈴「まじゅつかいろ?」
花帆「そう!生命力を魔力に変換するための擬似神経だよ!これが無いと魔術は使えないんだ」
小鈴「うう~次から次へと知らない単語が…」グルグル
花帆「頑張って小鈴ちゃん!」
68: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 22:09:46 ID:???00
花帆「あれ?そういえば小鈴ちゃんは魔術師じゃないのになんで令呪が出てきたんだろう?」
小鈴「何かおかしいんですか?」
花帆「令呪は魔術回路と繋がってるから、一度回路を『開いて』いないと出てこないはずなんだけど」
梢「一応言っておくと、小鈴さんからは令呪のパスを通して魔力の提供を受けているわ。だから少なくとも一回は魔術回路を開いたことはあるはずよ」
小鈴「え、徒町そんなことした記憶ありません!もしかして勝手に開いちゃうものなんですか?」
花帆「そんなこと絶対ないよ!はじめて魔術回路を開く時はすっごく苦しくて大変なんだよ!?」
小鈴「ならどうして...」
梢「誰が無理やりこじ開けたのかもしれないわね」
小鈴「何かおかしいんですか?」
花帆「令呪は魔術回路と繋がってるから、一度回路を『開いて』いないと出てこないはずなんだけど」
梢「一応言っておくと、小鈴さんからは令呪のパスを通して魔力の提供を受けているわ。だから少なくとも一回は魔術回路を開いたことはあるはずよ」
小鈴「え、徒町そんなことした記憶ありません!もしかして勝手に開いちゃうものなんですか?」
花帆「そんなこと絶対ないよ!はじめて魔術回路を開く時はすっごく苦しくて大変なんだよ!?」
小鈴「ならどうして...」
梢「誰が無理やりこじ開けたのかもしれないわね」
69: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 22:11:22 ID:???00
花帆「まあいつ開いたかはどうでもいいや!大切なのは、小鈴ちゃんは魔術師になる資格があったってことだよ!」
花帆「あ、根源を目指さないなら魔術使いかな?」
小鈴「!!!」
小鈴(もしかして...これで何にもない徒町から脱却できる?)
花帆「じゃあさっそく魔術回路を開いてみよう!といっても多分小鈴ちゃん自分じゃ開けないだろうから...じゃーん!」
小鈴「花?」
花帆「ただの花じゃないよ。花帆が魔力を与えながら育てた特別な花なのです!じゃあ、食べて」
小鈴「食べる!?花をですか?」
花帆「強い魔力を含んだものを体内に取り込むのが一番確実だからね。体がびっくりして魔術回路が開くの!」
花帆「あ、根源を目指さないなら魔術使いかな?」
小鈴「!!!」
小鈴(もしかして...これで何にもない徒町から脱却できる?)
花帆「じゃあさっそく魔術回路を開いてみよう!といっても多分小鈴ちゃん自分じゃ開けないだろうから...じゃーん!」
小鈴「花?」
花帆「ただの花じゃないよ。花帆が魔力を与えながら育てた特別な花なのです!じゃあ、食べて」
小鈴「食べる!?花をですか?」
花帆「強い魔力を含んだものを体内に取り込むのが一番確実だからね。体がびっくりして魔術回路が開くの!」
70: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 22:13:32 ID:???00
梢「一応聞くけど、毒とかあったりしないわよね?その花」
花帆「蓮の花だから毒はないよ。近くにある湖から採ってきて育てたの!心配なら花びら1枚食べてみたら?」
梢「そうするわ......強い魔力は感じるけれど体に害はなさそうね」
小鈴「ほんとにこれを丸ごと食べるんですか?せめて料理にするとか...」
花帆「うーん小分けにして食べるより一気にいったほうがいいかな。ショック療法みたいなもんだから!」
小鈴「そうですか...い、一気食いチャレンジです!パクッ!」モグモグ
小鈴「......っん」ゴクン
花帆「蓮の花だから毒はないよ。近くにある湖から採ってきて育てたの!心配なら花びら1枚食べてみたら?」
梢「そうするわ......強い魔力は感じるけれど体に害はなさそうね」
小鈴「ほんとにこれを丸ごと食べるんですか?せめて料理にするとか...」
花帆「うーん小分けにして食べるより一気にいったほうがいいかな。ショック療法みたいなもんだから!」
小鈴「そうですか...い、一気食いチャレンジです!パクッ!」モグモグ
小鈴「......っん」ゴクン
71: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 22:15:03 ID:???00
小鈴「食べれました...のどにつっかえて飲み込みづらかったです」
梢「それで、体調はどう小鈴さん。体におかしいところとかある?」
小鈴「いえ特にはなにも...」
花帆「そんなにすぐには効果は出ないよ。でもしばらくしたら急に来るから気を付けてね」
花帆「強制的に開いた回路は、自分で意識して閉じないと延々と生命力を魔力に変換し続けて、最終的には死んじゃうから」
小鈴「そういうことは食べる前に言ってほしかったです!」
ドクン!
小鈴「!」
梢「それで、体調はどう小鈴さん。体におかしいところとかある?」
小鈴「いえ特にはなにも...」
花帆「そんなにすぐには効果は出ないよ。でもしばらくしたら急に来るから気を付けてね」
花帆「強制的に開いた回路は、自分で意識して閉じないと延々と生命力を魔力に変換し続けて、最終的には死んじゃうから」
小鈴「そういうことは食べる前に言ってほしかったです!」
ドクン!
小鈴「!」
72: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 22:16:47 ID:???00
小鈴(体が熱い…頭が重い…)
小鈴「う──」ガクン
梢「小鈴さん!」
花帆「頑張って小鈴ちゃん!体の中でスイッチを押すイメージだよ!」
小鈴(スイッチ...スイッチ...)
体内に意識を集中する。
しかし熱に浮かされた頭では上手く集中できない。
小鈴(気持わるい...頭がぼーっとする...はやく魔術回路を閉じないと)
梢「──こ──さん!」
花帆「──ず──ちゃ──」
小鈴「」
誰かが名前を呼んでる気がする。
ごめんなさい。徒町はやっぱりダメダメでした。
こんなに良くしてもらったのに、期待に応えられな──
小鈴「う──」ガクン
梢「小鈴さん!」
花帆「頑張って小鈴ちゃん!体の中でスイッチを押すイメージだよ!」
小鈴(スイッチ...スイッチ...)
体内に意識を集中する。
しかし熱に浮かされた頭では上手く集中できない。
小鈴(気持わるい...頭がぼーっとする...はやく魔術回路を閉じないと)
梢「──こ──さん!」
花帆「──ず──ちゃ──」
小鈴「」
誰かが名前を呼んでる気がする。
ごめんなさい。徒町はやっぱりダメダメでした。
こんなに良くしてもらったのに、期待に応えられな──
73: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 22:19:48 ID:???00
花帆「『フラワー』!!」🌸
小鈴「あれ?」
さっきまでの体の熱が嘘みたいに冷めている。
花帆「ふーあぶなかった~さすがにあれ以上は見ていられなかったからね。こっちで閉じさせてもらったよ!」
小鈴「徒町...失敗しましたか...?」
花帆「はじめてだったからね。まあ自分で切り替えられないとなると魔術を使うのは難しいだろうけど...」
小鈴「...」シュン
花帆「ま、まだ絶対無理って決まったわけじゃないから!魔術回路が開く感覚はわかっただろうし、何かきっかけがあれば自分でも開けるようになるかもだし!?」
花帆「大切なのはイメージだよ、イメージ!魔術回路のオンオフのスイッチは魔術師ごとに違うから。あたしの場合は胸の奥で花が咲くイメージ!」
小鈴「は、はい!頑張ります!徒町、頑張ることだけが取り柄なので!」
花帆「その意気だよ小鈴ちゃん!」
小鈴「あれ?」
さっきまでの体の熱が嘘みたいに冷めている。
花帆「ふーあぶなかった~さすがにあれ以上は見ていられなかったからね。こっちで閉じさせてもらったよ!」
小鈴「徒町...失敗しましたか...?」
花帆「はじめてだったからね。まあ自分で切り替えられないとなると魔術を使うのは難しいだろうけど...」
小鈴「...」シュン
花帆「ま、まだ絶対無理って決まったわけじゃないから!魔術回路が開く感覚はわかっただろうし、何かきっかけがあれば自分でも開けるようになるかもだし!?」
花帆「大切なのはイメージだよ、イメージ!魔術回路のオンオフのスイッチは魔術師ごとに違うから。あたしの場合は胸の奥で花が咲くイメージ!」
小鈴「は、はい!頑張ります!徒町、頑張ることだけが取り柄なので!」
花帆「その意気だよ小鈴ちゃん!」
74: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 22:21:58 ID:???00
梢「ところで小鈴さんの魔術回路は何本だったの?さっき調べていたのでしょ」
花帆「あ...」
小鈴「花帆先輩?」
花帆「えっと...1本でした...」
梢「......」
小鈴「よくわからないけどバーサーカーが露骨にがっかりしています!」
花帆「まあ気にしないで!そもそも小鈴ちゃん、まだ魔術を使う段階にも行けてないから!」
小鈴「さらっとディスられました!?」ガーン
花帆「さっ今日はここまでにしておこう!あんまり詰め込んでも混乱するだろうし!」
小鈴「わかりました...花帆先輩ありがとうございました」
花帆「また明日ね!バイバーイ!」
ガチャン
花帆「あ...」
小鈴「花帆先輩?」
花帆「えっと...1本でした...」
梢「......」
小鈴「よくわからないけどバーサーカーが露骨にがっかりしています!」
花帆「まあ気にしないで!そもそも小鈴ちゃん、まだ魔術を使う段階にも行けてないから!」
小鈴「さらっとディスられました!?」ガーン
花帆「さっ今日はここまでにしておこう!あんまり詰め込んでも混乱するだろうし!」
小鈴「わかりました...花帆先輩ありがとうございました」
花帆「また明日ね!バイバーイ!」
ガチャン
75: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 22:25:12 ID:???00
梢「お疲れ様、小鈴さん。本当はこれからマスターを探しに行きたいところだけれど。今日は外も静かだし、行ったところで無駄でしょう」
小鈴「うん。バーサーカーもありがとうね!」
梢「私は何もしていないわ」
小鈴「でもさっき徒町が苦しんでた時に心配してくれてたでしょ?バーサーカーの呼んでくれてる声聞こえてたよ」
梢「あ、あれは!サーヴァントとしてマスターに死なれたら困るから!それだけよ!」
小鈴「そうなの?でもやっぱりありがとう。あの声のおかげで意識保てたから!」
梢「そ、そう。それはよかったわ。さあ、はやく休みましょう!明日の朝もランニングしますからね!」
小鈴「はーい!」
小鈴「うん。バーサーカーもありがとうね!」
梢「私は何もしていないわ」
小鈴「でもさっき徒町が苦しんでた時に心配してくれてたでしょ?バーサーカーの呼んでくれてる声聞こえてたよ」
梢「あ、あれは!サーヴァントとしてマスターに死なれたら困るから!それだけよ!」
小鈴「そうなの?でもやっぱりありがとう。あの声のおかげで意識保てたから!」
梢「そ、そう。それはよかったわ。さあ、はやく休みましょう!明日の朝もランニングしますからね!」
小鈴「はーい!」
76: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 22:26:49 ID:???00
──────
吟子「おかえりなさい、花帆」
花帆「ただいま吟子ちゃん!お留守番ありがとうね」
吟子「それで小鈴の様子はどうだった?」
花帆「う~ん、難しいかな…魔術回路が1本だけとなると、基礎の基礎くらいしかまともにできないだろうし。吟子ちゃんはどう思ったの?」
吟子「折神ごしじゃ声くらいしか聞こえないから、詳しいことはわからない」
吟子「あとありがとう、約束通り『兎』を置いてきてくれて」
花帆「バーサーカーの目を盗んでやるの大変だったよ!全然警戒解いてくれないんだもん。小鈴ちゃんが倒れた時になんとかベットの下に滑り込ませたけど」
吟子「おかえりなさい、花帆」
花帆「ただいま吟子ちゃん!お留守番ありがとうね」
吟子「それで小鈴の様子はどうだった?」
花帆「う~ん、難しいかな…魔術回路が1本だけとなると、基礎の基礎くらいしかまともにできないだろうし。吟子ちゃんはどう思ったの?」
吟子「折神ごしじゃ声くらいしか聞こえないから、詳しいことはわからない」
吟子「あとありがとう、約束通り『兎』を置いてきてくれて」
花帆「バーサーカーの目を盗んでやるの大変だったよ!全然警戒解いてくれないんだもん。小鈴ちゃんが倒れた時になんとかベットの下に滑り込ませたけど」
77: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 22:28:28 ID:???00
『折神』、魔力を織り込んだ折り紙で、折った形によってさまざまな用途を発揮する。
花帆には盗聴の力を持った『兎』の折神と、持っている者の座標を周りに誤認させる『狐』の折神を持たせている。
サーヴァントを自室に待機させている花帆にとっては、この折神はいざという時の保険だ。
吟子「これで小鈴とバーサーカーの会話を盗み聞きできる。あの二人、部屋では普通に話してるみたいだし」
花帆「でも小鈴ちゃんが急に裏切るとは思えないけどなー」
吟子「小鈴はそうでもバーサーカーはわからないでしょ」
花帆「そうかなー?あたしは結構いい人だと思うよ?少なくとも小鈴ちゃんのことは大切にしてるみたいだし」
花帆には盗聴の力を持った『兎』の折神と、持っている者の座標を周りに誤認させる『狐』の折神を持たせている。
サーヴァントを自室に待機させている花帆にとっては、この折神はいざという時の保険だ。
吟子「これで小鈴とバーサーカーの会話を盗み聞きできる。あの二人、部屋では普通に話してるみたいだし」
花帆「でも小鈴ちゃんが急に裏切るとは思えないけどなー」
吟子「小鈴はそうでもバーサーカーはわからないでしょ」
花帆「そうかなー?あたしは結構いい人だと思うよ?少なくとも小鈴ちゃんのことは大切にしてるみたいだし」
78: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 22:30:40 ID:???00
吟子「敵同士なんだからあんまり肩入れしないようにね。どんなに仲良くなっても最後には戦うことになるんだから」
花帆「う~もう既にあんまり戦いたくないかも」
吟子「ちょっと!」
花帆「まあでも、他にどんなマスターがいるかわからない今は下手に敵対しないほうが良いと思うな!もしかしたら協力して倒さないといけない黒幕がいるかもしれないし!」
吟子「小説の読みすぎだよ...花帆が協力するのは私だけでいいの」
花帆「あ、もしかして吟子ちゃん、あたしが小鈴ちゃんに優しいから嫉妬してたの?ごめんね!あたしが一番信頼してるのは吟子ちゃんだから!」ギュッ♡
吟子「別に嫉妬とかじゃないから!」
──────
花帆「う~もう既にあんまり戦いたくないかも」
吟子「ちょっと!」
花帆「まあでも、他にどんなマスターがいるかわからない今は下手に敵対しないほうが良いと思うな!もしかしたら協力して倒さないといけない黒幕がいるかもしれないし!」
吟子「小説の読みすぎだよ...花帆が協力するのは私だけでいいの」
花帆「あ、もしかして吟子ちゃん、あたしが小鈴ちゃんに優しいから嫉妬してたの?ごめんね!あたしが一番信頼してるのは吟子ちゃんだから!」ギュッ♡
吟子「別に嫉妬とかじゃないから!」
──────
79: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/02(日) 22:33:08 ID:???00
[ Interlude in ]
沙知「ほう?意外な来客だ。どうしたんだい、そろって学校の運営について直談判でもしに来たのかな?」
沙知「おいおいそんなに怒らないでくれたまえよ!一応最初は理事長として対応しないといけないだろう?特に君のほうはマスターではないようだし」
沙知「聖杯戦争について教えてほしいと...それはルールについてかな?それとも仕組みについて?」
沙知「サーヴァントについて?確かに蓮ノ空で召喚されるサーヴァントは特別だけど」
沙知「──なるほどねぃ。どうやら君には知る権利があるようだ」
沙知「いいだろう、話そう。蓮ノ空で召喚されるサーヴァントがどうやって生まれるのかを」
[ Interlude out ]
沙知「ほう?意外な来客だ。どうしたんだい、そろって学校の運営について直談判でもしに来たのかな?」
沙知「おいおいそんなに怒らないでくれたまえよ!一応最初は理事長として対応しないといけないだろう?特に君のほうはマスターではないようだし」
沙知「聖杯戦争について教えてほしいと...それはルールについてかな?それとも仕組みについて?」
沙知「サーヴァントについて?確かに蓮ノ空で召喚されるサーヴァントは特別だけど」
沙知「──なるほどねぃ。どうやら君には知る権利があるようだ」
沙知「いいだろう、話そう。蓮ノ空で召喚されるサーヴァントがどうやって生まれるのかを」
[ Interlude out ]
81: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 17:56:02 ID:???00
【2月3日】
夢を見る。
その人間はエリという名前だった。
最初はお互い驚いたけれど、同い年ということもあってすぐに意気投合した。
特に私/少女にとっては初めての同じ大きさの人間で、いつも一人だった少女にとっては誰かと一緒に遊ぶのは斯くも楽しいのかというほど胸が弾んだ。
エリはそれから毎日少女の家に遊びに、もとい忍び込んできた。
エリ「こずえちゃんってどこの学校に行ってるの?」
梢「がっこう?よくわからないわ。私は家から出たことがないもの」
エリ「えー!学校行ってないの!?こずえちゃんいけないんだー!」
梢「むっ、がっこうって何するところなのよ」
エリ「う~ん勉強するところかな?」
梢「勉強なら家でもできるわ!私も家のものに毎日教えてもらっているもの!」
夢を見る。
その人間はエリという名前だった。
最初はお互い驚いたけれど、同い年ということもあってすぐに意気投合した。
特に私/少女にとっては初めての同じ大きさの人間で、いつも一人だった少女にとっては誰かと一緒に遊ぶのは斯くも楽しいのかというほど胸が弾んだ。
エリはそれから毎日少女の家に遊びに、もとい忍び込んできた。
エリ「こずえちゃんってどこの学校に行ってるの?」
梢「がっこう?よくわからないわ。私は家から出たことがないもの」
エリ「えー!学校行ってないの!?こずえちゃんいけないんだー!」
梢「むっ、がっこうって何するところなのよ」
エリ「う~ん勉強するところかな?」
梢「勉強なら家でもできるわ!私も家のものに毎日教えてもらっているもの!」
82: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 17:56:44 ID:???00
エリ「でも友達にあったりはできないでしょ?」
梢「ともだち?なにかしら、動物?」
エリ「友達は友達だよ!あたしにとってのこずえちゃんだよ!」
梢「エリのようなもの?エリはたくさんいるの?」
エリ「あたしはひとりしかいないよ。みんな違っていろんな人がいるんだよ?」
梢「どれくらいいるの?」
エリ「え、わかんない...えっと、ひとクラスに10人くらいだから...うーん、50人くらい!」
梢「50人!?そんなにいるの?」
エリ「うん!」
少女はその日はじめて家の外にもたくさんの人間がいることを知った。
――――――
梢「ともだち?なにかしら、動物?」
エリ「友達は友達だよ!あたしにとってのこずえちゃんだよ!」
梢「エリのようなもの?エリはたくさんいるの?」
エリ「あたしはひとりしかいないよ。みんな違っていろんな人がいるんだよ?」
梢「どれくらいいるの?」
エリ「え、わかんない...えっと、ひとクラスに10人くらいだから...うーん、50人くらい!」
梢「50人!?そんなにいるの?」
エリ「うん!」
少女はその日はじめて家の外にもたくさんの人間がいることを知った。
――――――
83: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 17:58:50 ID:???00
今朝は昨日のうちに買っておいたおにぎりを食べた。
バーサーカーはまだ何か言いたそうだったけど、諦めたようだ。
昨日と同じようにランニングをしてから学校に行く。
小鈴「姫芽ちゃん休みか...放課後様子見に行ってみようかな。でも、万が一聖杯戦争に巻き込んじゃったら悪いしな~」
姫芽ちゃんの席は空席だった。朝のホームルームで担任の先生が風邪で欠席と伝えていた。
小鈴(風邪はやってるし、徒町も気を付けないと)
キーンコーンカーンコーン
昼休みにめぐちゃんのいる3年生の教室をのぞいてみたが、見当たらなかった。
小鈴(結局昨日はメールするの忘れちゃったし、直接謝りたかったんだけど...まあ、めぐちゃんはそんなに根に持たないから大丈夫かな!)
バーサーカーはまだ何か言いたそうだったけど、諦めたようだ。
昨日と同じようにランニングをしてから学校に行く。
小鈴「姫芽ちゃん休みか...放課後様子見に行ってみようかな。でも、万が一聖杯戦争に巻き込んじゃったら悪いしな~」
姫芽ちゃんの席は空席だった。朝のホームルームで担任の先生が風邪で欠席と伝えていた。
小鈴(風邪はやってるし、徒町も気を付けないと)
キーンコーンカーンコーン
昼休みにめぐちゃんのいる3年生の教室をのぞいてみたが、見当たらなかった。
小鈴(結局昨日はメールするの忘れちゃったし、直接謝りたかったんだけど...まあ、めぐちゃんはそんなに根に持たないから大丈夫かな!)
84: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 18:00:27 ID:???00
キーンコーンカーンコーン
授業は滞りなく進み、あっという間に放課後になった。
今日はなんだかいつもより静かだった気がする。
実家にいたときにたまに見た嵐の前の海を思い出す。
波が全然立たなくて音も静かな海。
穏やかというよりも、これからやってくる何かから身を守るために海が息を潜めているようなそんな感じ。
おじいちゃんが『こういう日はだめだ。魚もみんな隠れて何も取れやしない。こんな日にあがるのはゴミか死体くらいだ』と言っていて、子供心に怖かったのを覚えてる。
ピロン!
小鈴「花帆先輩からメールだ」
花帆『小鈴ちゃん、今日は私の部屋に来てもらえるかな?回路を開く練習ついでに小鈴ちゃんの魔術属性を調べたいんだけど、あんまり道具を持ち出したくないんだよね。どうかな?』
小鈴「わかりました、っと」ピロン
授業は滞りなく進み、あっという間に放課後になった。
今日はなんだかいつもより静かだった気がする。
実家にいたときにたまに見た嵐の前の海を思い出す。
波が全然立たなくて音も静かな海。
穏やかというよりも、これからやってくる何かから身を守るために海が息を潜めているようなそんな感じ。
おじいちゃんが『こういう日はだめだ。魚もみんな隠れて何も取れやしない。こんな日にあがるのはゴミか死体くらいだ』と言っていて、子供心に怖かったのを覚えてる。
ピロン!
小鈴「花帆先輩からメールだ」
花帆『小鈴ちゃん、今日は私の部屋に来てもらえるかな?回路を開く練習ついでに小鈴ちゃんの魔術属性を調べたいんだけど、あんまり道具を持ち出したくないんだよね。どうかな?』
小鈴「わかりました、っと」ピロン
85: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 18:01:10 ID:???00
梢「花帆さんの部屋に行くのならいつもより警戒したほうがいいわ。あの子はともかく、サーヴァントは小鈴さんのことをどう思っているかわからないもの」
梢「特にキャスターなら確実に部屋を工房化しているはずよ」
小鈴「工房ってなに?」
梢「魔術師が研究をするための場所で、自身の研究を守るために魔術的な罠が張り巡らせてある、いわば要塞よ。キャスターのサーヴァントは元々魔術に特化した人間があてがわれるクラスだから、部屋のセキュリティも万全でしょうね」
小鈴「そうなんだ。バーサーカーは工房つくれないの?」
梢「私は魔術についてそこまで詳しくなかったから...今の小鈴さんほどではないけれどね」
小鈴「う、今度工房のつくり方も教わります...」
そんな話をしながら着替えて花帆先輩の部屋に行く準備を進めていると、
Prrrrr...
梢「特にキャスターなら確実に部屋を工房化しているはずよ」
小鈴「工房ってなに?」
梢「魔術師が研究をするための場所で、自身の研究を守るために魔術的な罠が張り巡らせてある、いわば要塞よ。キャスターのサーヴァントは元々魔術に特化した人間があてがわれるクラスだから、部屋のセキュリティも万全でしょうね」
小鈴「そうなんだ。バーサーカーは工房つくれないの?」
梢「私は魔術についてそこまで詳しくなかったから...今の小鈴さんほどではないけれどね」
小鈴「う、今度工房のつくり方も教わります...」
そんな話をしながら着替えて花帆先輩の部屋に行く準備を進めていると、
Prrrrr...
86: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 18:09:23 ID:???00
小鈴「電話だ、めぐちゃんから?もしもし――」
慈「助けて小鈴ちゃん!!!」
小鈴「めぐちゃん!?どうしたの!」
慈「変な奴に襲われてるの!いま体育館裏に隠れてるから迎えに来て!」
小鈴「わ、わかった!体育館裏だね!すぐ行くからじっとしてて!」
小鈴「バーサーカー、これって!」
梢「...サーヴァントに襲われている可能性はあるわね」
小鈴「どうしてめぐちゃんが襲われるの!?」
梢「マスターからの魔力供給が十分でないサーヴァントの中には、不足分の魔力を補うために人を襲い魂を食らう外道もいるわ」
小鈴「!」
自分が大倉庫で襲われた時のことを思い出す。もしもめぐちゃんがあんな目にあってしまったら!
小鈴「行こうバーサーカー!」
梢「ええ!」
――――――
慈「助けて小鈴ちゃん!!!」
小鈴「めぐちゃん!?どうしたの!」
慈「変な奴に襲われてるの!いま体育館裏に隠れてるから迎えに来て!」
小鈴「わ、わかった!体育館裏だね!すぐ行くからじっとしてて!」
小鈴「バーサーカー、これって!」
梢「...サーヴァントに襲われている可能性はあるわね」
小鈴「どうしてめぐちゃんが襲われるの!?」
梢「マスターからの魔力供給が十分でないサーヴァントの中には、不足分の魔力を補うために人を襲い魂を食らう外道もいるわ」
小鈴「!」
自分が大倉庫で襲われた時のことを思い出す。もしもめぐちゃんがあんな目にあってしまったら!
小鈴「行こうバーサーカー!」
梢「ええ!」
――――――
87: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 18:12:11 ID:???00
全速力で走って体育館裏に着いた。
小鈴「はあ、はあ...めぐちゃん!どこ!」
慈「小鈴ちゃんこっち!」
小鈴「めぐちゃ――」
梢「っ!危ない!」グイッ!
小鈴「え?」
ヒュン!
鼻先を何かが掠める。
小鈴「うわっ!」
小鈴「はあ、はあ...めぐちゃん!どこ!」
慈「小鈴ちゃんこっち!」
小鈴「めぐちゃ――」
梢「っ!危ない!」グイッ!
小鈴「え?」
ヒュン!
鼻先を何かが掠める。
小鈴「うわっ!」
88: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 18:14:08 ID:???00
梢「サーヴァント...あなた謀ったわね!」
慈「ちっ、せっかく苦しめずに終わらせてあげようと思ったのに...悪運の強いやつ」
小鈴「め、めぐちゃん...?」
めぐちゃんは襲われてる風ではなかった。
そしてその前には金髪の小柄な女の子がピンク色の棒を構えて立っていた。
梢「その長物、ランサーのサーヴァントね」
瑠璃乃「ごめいさつ!サーヴァント、ランサー、大沢瑠璃乃!よろよろ~」
https://i.postimg.cc/rs6qRgff/IMG-E4020.jpg
慈「ちっ、せっかく苦しめずに終わらせてあげようと思ったのに...悪運の強いやつ」
小鈴「め、めぐちゃん...?」
めぐちゃんは襲われてる風ではなかった。
そしてその前には金髪の小柄な女の子がピンク色の棒を構えて立っていた。
梢「その長物、ランサーのサーヴァントね」
瑠璃乃「ごめいさつ!サーヴァント、ランサー、大沢瑠璃乃!よろよろ~」
https://i.postimg.cc/rs6qRgff/IMG-E4020.jpg
89: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 18:15:54 ID:???00
梢「わざわざ自分から名乗るなんて、不意打ちしたくせに随分と律儀ね。バーサーカー...乙宗梢よ!!!」バッ!
瑠璃乃「っ!!」
バーサーカーの体が弾けた。
初速からトップスピードでランサーの頭めがけて殴りかかる。
ガキーン!
それをランサーは間一髪槍で防ぐが、あまりの衝撃に後ろに吹き飛ばされる。
瑠璃乃「っとっと!ちょいちょい!そっちも不意打ちしてんじゃん!いま自己紹介タイムじゃなかったの!?」
梢「さっきのお返しよ。それに、これから殺す相手の名前を知ったってしょうがないでしょう?」
瑠璃乃「うわー...ちゃんとバーサーカーだこれ」
瑠璃乃「っ!!」
バーサーカーの体が弾けた。
初速からトップスピードでランサーの頭めがけて殴りかかる。
ガキーン!
それをランサーは間一髪槍で防ぐが、あまりの衝撃に後ろに吹き飛ばされる。
瑠璃乃「っとっと!ちょいちょい!そっちも不意打ちしてんじゃん!いま自己紹介タイムじゃなかったの!?」
梢「さっきのお返しよ。それに、これから殺す相手の名前を知ったってしょうがないでしょう?」
瑠璃乃「うわー...ちゃんとバーサーカーだこれ」
90: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 18:20:09 ID:???00
小鈴「待ってバーサーカー!めぐちゃん、どういうことなの?めぐちゃんもマスターになったの?」
慈「めぐちゃん、めぐちゃんって...うるさいんだよ!あんたにそう呼ばれると吐き気がするの!いいからさっさと死んで」
小鈴「そ、そんな...」
慈「ルリちゃん!」
瑠璃乃「アイアイ!」
今度はランサーのほうから突進してくる。
梢「来るわ!小鈴さんは下がって!」
瑠璃乃「おーりゃりゃー!」トリャリャー
気の抜けたかけ声とは裏腹にランサーの槍の速度はすさまじく、バーサーカーは防戦を強いられる。
慈「めぐちゃん、めぐちゃんって...うるさいんだよ!あんたにそう呼ばれると吐き気がするの!いいからさっさと死んで」
小鈴「そ、そんな...」
慈「ルリちゃん!」
瑠璃乃「アイアイ!」
今度はランサーのほうから突進してくる。
梢「来るわ!小鈴さんは下がって!」
瑠璃乃「おーりゃりゃー!」トリャリャー
気の抜けたかけ声とは裏腹にランサーの槍の速度はすさまじく、バーサーカーは防戦を強いられる。
91: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 18:21:54 ID:???00
軌道が『線』である刀と違い、槍の軌道は『点』だ。
攻撃が当たる面積が狭い代わりに、直前までどこを狙われているかわかりづらく避けにくい。
ランサーの繰り出す突きの鋭さは、はまるで空を舞い死角から襲いかかるハヤブサの如しだった。
が――――
梢「ふん!はっ!」ガキン!ガキン!
ランサーの槍がハヤブサなら、バーサーカーの拳は暴風だった。
バーサーカーが腕をふるうたびに、大気は揺れ、ランサーの槍を弾き返す。
攻めていたはずのランサーはいつの間にかじりじりと追い詰められていた。
瑠璃乃(まじかこいつ!攻撃を素手で受け止めてるぞ!?しかもこのパワー普通じゃない!)
攻撃が当たる面積が狭い代わりに、直前までどこを狙われているかわかりづらく避けにくい。
ランサーの繰り出す突きの鋭さは、はまるで空を舞い死角から襲いかかるハヤブサの如しだった。
が――――
梢「ふん!はっ!」ガキン!ガキン!
ランサーの槍がハヤブサなら、バーサーカーの拳は暴風だった。
バーサーカーが腕をふるうたびに、大気は揺れ、ランサーの槍を弾き返す。
攻めていたはずのランサーはいつの間にかじりじりと追い詰められていた。
瑠璃乃(まじかこいつ!攻撃を素手で受け止めてるぞ!?しかもこのパワー普通じゃない!)
92: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 18:23:31 ID:???00
梢「その程度かしらランサー!そんな攻撃では私の体にはかすり傷ひとつ付かないわよ!」
速度の落ちた槍をバーサーカーは左手で掴むと、そのまま引っ張りランサーの体を引き寄せる。
瑠璃乃「しまっ」
梢「はーっ!!!」
ドスン!
鈍い音と共にバーサーカーの右拳がランサーの腹に食い込み、そのままランサーを突き飛ばした。
瑠璃乃「がはっ!」ゴロゴロゴロ
梢「たいして槍の扱いがうまくないわね、すぐに終わりに――」
速度の落ちた槍をバーサーカーは左手で掴むと、そのまま引っ張りランサーの体を引き寄せる。
瑠璃乃「しまっ」
梢「はーっ!!!」
ドスン!
鈍い音と共にバーサーカーの右拳がランサーの腹に食い込み、そのままランサーを突き飛ばした。
瑠璃乃「がはっ!」ゴロゴロゴロ
梢「たいして槍の扱いがうまくないわね、すぐに終わりに――」
93: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 18:25:06 ID:???00
慈『エンジェルスマイル!』
梢「は?」
小鈴「は?」
グリン!
首を無理やり右に90度曲げられた。
いや、正確には注意を強制的に一点に向けさせられた。
視線の先にはいつの間にか真横に移動していためぐちゃんがいる。
慈「はっはっはー!どうだ私の魔術は!めぐちゃんのキュートな笑顔から目が離せないでしょ!ルリちゃん今のうちに――」
梢「問題ないわ。私の狙いは最初からあなた(マスター)よ」バッ
慈「え」
梢「は?」
小鈴「は?」
グリン!
首を無理やり右に90度曲げられた。
いや、正確には注意を強制的に一点に向けさせられた。
視線の先にはいつの間にか真横に移動していためぐちゃんがいる。
慈「はっはっはー!どうだ私の魔術は!めぐちゃんのキュートな笑顔から目が離せないでしょ!ルリちゃん今のうちに――」
梢「問題ないわ。私の狙いは最初からあなた(マスター)よ」バッ
慈「え」
94: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 18:28:04 ID:???00
瑠璃乃「めぐちゃん!!!」
バーサーカーは腕を振り上げながらめぐちゃんに突進し、――
小鈴「あぶない!」バン!
慈「きゃ!」ドシン
めぐちゃんを間一髪で突き飛ばして一緒に倒れこむ。
梢「何をしているの小鈴さん!この女はあなたを殺そうとしたのよ!」
小鈴「めぐちゃんは幼馴染なんだよ!小さいころからずっと一緒だった!大切な友達!徒町を殺そうとしたのもきっと何かの間違いだよ!」
慈「......ほんとムカつく。それが気持ち悪いって言ってんの」
慈「ルリちゃん!こいつらまとめてぶっ飛ばして!」
瑠璃乃「りょ!」
バーサーカーは腕を振り上げながらめぐちゃんに突進し、――
小鈴「あぶない!」バン!
慈「きゃ!」ドシン
めぐちゃんを間一髪で突き飛ばして一緒に倒れこむ。
梢「何をしているの小鈴さん!この女はあなたを殺そうとしたのよ!」
小鈴「めぐちゃんは幼馴染なんだよ!小さいころからずっと一緒だった!大切な友達!徒町を殺そうとしたのもきっと何かの間違いだよ!」
慈「......ほんとムカつく。それが気持ち悪いって言ってんの」
慈「ルリちゃん!こいつらまとめてぶっ飛ばして!」
瑠璃乃「りょ!」
95: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 18:31:45 ID:???00
ランサーは腰を低く落とすと槍の先を徒町たちに向けて水平に構える。
ランサーの槍は急激に周りの魔力を吸い上げ怪しく光りだした。
梢「この気配...宝具⁉まずいわ!小鈴さん!」
バーサーカーは咄嗟に前に出て盾になる。
瑠璃乃「『ド!ド!ド!』三段突き!!!」ドッ!ドッ!ドッ!
ランサーは弾丸のようなスピードで飛び込むとバーサーカーに光速の三段突きをお見舞いした。
梢「がはっ!」
梢(ギリギリ霊核は外したけど...食らった箇所が消滅した!)
バーサーカーは左わき腹がごっそりなくなっており、傷口からは大量の血が噴き出していた。
ランサーの槍は急激に周りの魔力を吸い上げ怪しく光りだした。
梢「この気配...宝具⁉まずいわ!小鈴さん!」
バーサーカーは咄嗟に前に出て盾になる。
瑠璃乃「『ド!ド!ド!』三段突き!!!」ドッ!ドッ!ドッ!
ランサーは弾丸のようなスピードで飛び込むとバーサーカーに光速の三段突きをお見舞いした。
梢「がはっ!」
梢(ギリギリ霊核は外したけど...食らった箇所が消滅した!)
バーサーカーは左わき腹がごっそりなくなっており、傷口からは大量の血が噴き出していた。
96: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 18:32:58 ID:???00
梢「ぐっ...」ガクン
小鈴「バーサーカー!」
慈「よし!今のうちにトドメだよルリちゃん!」
瑠璃乃「あ...自分もう魔力切れでだめです...」ゲッソリ
慈「ルリちゃん!?」
瑠璃乃「ミジンコのルリはいったん部屋帰ります、オツカレシタ...」スー…
慈「ちょっとルリちゃん勝手に消えないで!ぐぬぬ...命びろいしたね徒町小鈴、でも次こそは殺す」
慈「殺して必ず、あんたを世界から消すから」
めぐちゃんはそう言い残すと駆け足で去っていってしまった。
小鈴「バーサーカー!」
慈「よし!今のうちにトドメだよルリちゃん!」
瑠璃乃「あ...自分もう魔力切れでだめです...」ゲッソリ
慈「ルリちゃん!?」
瑠璃乃「ミジンコのルリはいったん部屋帰ります、オツカレシタ...」スー…
慈「ちょっとルリちゃん勝手に消えないで!ぐぬぬ...命びろいしたね徒町小鈴、でも次こそは殺す」
慈「殺して必ず、あんたを世界から消すから」
めぐちゃんはそう言い残すと駆け足で去っていってしまった。
97: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 20:46:39 ID:???00
小鈴「バーサーカー大丈夫!?すごい傷...はやく花帆先輩に治してもらわないと!」
梢「大丈夫よ小鈴さん...サーヴァントの体は人間の体とは違う、魔力の供給さえあれば...こんな傷すぐに治るわ...」
小鈴「無茶しちゃだめだよ!徒町の肩につかまって!」
梢「いえ...それよりも、少しの間霊体化させてちょうだい...そのほうが魔力の消費を抑えられるから」
ランサーと戦っている間に日はすっかり落ちてしまった。先程までの喧騒が嘘のようにあたりは静まり返っている。
寒い。
2月の夜は冷える。はやくバーサーカーを温かい場所に連れて行かないと。
めぐちゃんのことは気になるけど、今は一刻も早く安全なところに――
梢「大丈夫よ小鈴さん...サーヴァントの体は人間の体とは違う、魔力の供給さえあれば...こんな傷すぐに治るわ...」
小鈴「無茶しちゃだめだよ!徒町の肩につかまって!」
梢「いえ...それよりも、少しの間霊体化させてちょうだい...そのほうが魔力の消費を抑えられるから」
ランサーと戦っている間に日はすっかり落ちてしまった。先程までの喧騒が嘘のようにあたりは静まり返っている。
寒い。
2月の夜は冷える。はやくバーサーカーを温かい場所に連れて行かないと。
めぐちゃんのことは気になるけど、今は一刻も早く安全なところに――
98: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 20:48:43 ID:???00
ヒュン!❄↣
梢「う″っ!」グサッ
小鈴「!」
バーサーカーの傷口に突然透明な矢が刺さった。いやこれは氷でできた矢?
小鈴「誰!?」
綴理「こんばんは、バーサーカーのマスター。ぼくは3年生の夕霧綴理だよ。こっちはぼくのサーヴァントのアーチャー」
暗闇から2人の女が現れた。ひとりは『夕霧綴理』と名乗った長身で白髪の女性。
人形みたいに整った顔は、たった今襲われたということを忘れさせるほどに綺麗で見惚れてしまう。
もう一人は黒い服を身にまとった冷たい印象の少女。
長い髪を左右に結んで青い瞳でこちらをじっと見つめている。
アーチャーと呼ばれていたが、その手に弓矢らしきものは握られていない。
寒い。

梢「う″っ!」グサッ
小鈴「!」
バーサーカーの傷口に突然透明な矢が刺さった。いやこれは氷でできた矢?
小鈴「誰!?」
綴理「こんばんは、バーサーカーのマスター。ぼくは3年生の夕霧綴理だよ。こっちはぼくのサーヴァントのアーチャー」
暗闇から2人の女が現れた。ひとりは『夕霧綴理』と名乗った長身で白髪の女性。
人形みたいに整った顔は、たった今襲われたということを忘れさせるほどに綺麗で見惚れてしまう。
もう一人は黒い服を身にまとった冷たい印象の少女。
長い髪を左右に結んで青い瞳でこちらをじっと見つめている。
アーチャーと呼ばれていたが、その手に弓矢らしきものは握られていない。
寒い。

99: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 20:54:07 ID:???00
梢「漁夫の利を狙いに来たということね...」グラッ
バーサーカーがゆらりと立ち上がる。わき腹に刺さった矢はいつの間にか抜いていたらしい。
梢(まずいわね...今の私はまともに戦える状態じゃない。せめて少しでも回復の時間を稼がないと...)
梢「アーチャー...あなたにお似合いのクラスね。その貧相な身体なら弓を射るときに邪魔になるものがないもの」
さやか「...驚きました。随分と日本語の上手なゴリラですね。狂化の代わりに言語化のスキルでも持っているんですか?」
梢「くっ!このアマ!!!」バッ
バーサーカーの身体が弾ける。大けがをしているとは思えないスピードでアーチャーの頭部に殴りかかる。
対してアーチャーは左手を前に出し右手を引くと、空手で弓を構えるポーズをとる。
すると本来矢があるはずの位置にみるみると氷柱ができあがっていった。
だか遅い。矢が完成するよりもバーサーカーが殴るほうがわずかに早い。
バーサーカーがゆらりと立ち上がる。わき腹に刺さった矢はいつの間にか抜いていたらしい。
梢(まずいわね...今の私はまともに戦える状態じゃない。せめて少しでも回復の時間を稼がないと...)
梢「アーチャー...あなたにお似合いのクラスね。その貧相な身体なら弓を射るときに邪魔になるものがないもの」
さやか「...驚きました。随分と日本語の上手なゴリラですね。狂化の代わりに言語化のスキルでも持っているんですか?」
梢「くっ!このアマ!!!」バッ
バーサーカーの身体が弾ける。大けがをしているとは思えないスピードでアーチャーの頭部に殴りかかる。
対してアーチャーは左手を前に出し右手を引くと、空手で弓を構えるポーズをとる。
すると本来矢があるはずの位置にみるみると氷柱ができあがっていった。
だか遅い。矢が完成するよりもバーサーカーが殴るほうがわずかに早い。
100: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 20:58:32 ID:???00
梢「もらった――がはっ!」バシン
しかし、バーサーカーが殴る直前、アーチャーは前に出していた左手を翻すとバーサーカーの顔面に強烈な裏拳をお見舞いした。
さやか「はっ!!」ドガ!
さらに、怯んだバーサーカーの頭部に回し蹴りをし、バーサーカーをなぎ倒す。
さやか「本当にお猿さん並みの知能しかないんですね。時間を稼ごうとしたのに煽り返されたらすぐに飛び込んでくるなんて」カチカチ…❄↣
梢「アーチャーのくせに近接戦もできるの...」ユラッ
さやか「優れた弓兵なら格闘の心得くらいあります」ヒュン❄↣
梢「っ!」サッ
ヒュン!❄↣ ヒュン!❄↣ ヒュン!❄↣
アーチャーは次々と矢を放つ。その速度は先ほどのランサーの槍にも匹敵する速さだ。
しかしバーサーカーはというと、一体どんな動体視力をしているのか、迫りくる矢を紙一重ですべて避けていく。
それにしても、寒い。
しかし、バーサーカーが殴る直前、アーチャーは前に出していた左手を翻すとバーサーカーの顔面に強烈な裏拳をお見舞いした。
さやか「はっ!!」ドガ!
さらに、怯んだバーサーカーの頭部に回し蹴りをし、バーサーカーをなぎ倒す。
さやか「本当にお猿さん並みの知能しかないんですね。時間を稼ごうとしたのに煽り返されたらすぐに飛び込んでくるなんて」カチカチ…❄↣
梢「アーチャーのくせに近接戦もできるの...」ユラッ
さやか「優れた弓兵なら格闘の心得くらいあります」ヒュン❄↣
梢「っ!」サッ
ヒュン!❄↣ ヒュン!❄↣ ヒュン!❄↣
アーチャーは次々と矢を放つ。その速度は先ほどのランサーの槍にも匹敵する速さだ。
しかしバーサーカーはというと、一体どんな動体視力をしているのか、迫りくる矢を紙一重ですべて避けていく。
それにしても、寒い。
101: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 21:05:52 ID:???00
梢「大した腕前じゃないわね。アーチャーは辞めてアサシンにでもなったらどうかしら?」
さやか「わざと避けれるようにしてあげてるんです」
梢「見え透いた強がりね」
さやか「人間、ギリギリ達成できる課題を与えられるとそれに夢中になりますから」
さやか「あ、ごめんなさい。お猿さんでしたね」
梢「二度とその口を開けなくしてあげるわ」ググッ
おかしい、冬の夜とはいえ寒すぎる。これではまるで冷凍庫の中だ!
ハラリ...❄
小鈴(雪...?)
小鈴「!!!バーサーカー上!」
梢「え――なっ!?!?」
さやか「わざと避けれるようにしてあげてるんです」
梢「見え透いた強がりね」
さやか「人間、ギリギリ達成できる課題を与えられるとそれに夢中になりますから」
さやか「あ、ごめんなさい。お猿さんでしたね」
梢「二度とその口を開けなくしてあげるわ」ググッ
おかしい、冬の夜とはいえ寒すぎる。これではまるで冷凍庫の中だ!
ハラリ...❄
小鈴(雪...?)
小鈴「!!!バーサーカー上!」
梢「え――なっ!?!?」
102: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 21:07:57 ID:???00
驚愕は2人のものだ。徒町たちの上には空を覆い隠すほどの無数の氷柱が宙に浮いていた。
一体いつの間に...いや、まさか“最初”から?
さやか「わざわざマスターから離れてくれて助かりました」
さやか『Tragic Drops』
氷柱は糸を切ったかのように一斉に落下してくる。
バーサーカーもこちらに走ってきているが間に合わない。
グサッ!グサッ!グサッ!
梢「小鈴さん!!!」
咄嗟に頭は守ったが、両腕や肩に氷柱が突き刺さる。
小鈴「う″ぐ″っ~~~~~!!」
氷柱は腕を貫通し肩にも刺さり体を固定する。
あまりの痛みに転げまわりたいのに体を動かせない。
一体いつの間に...いや、まさか“最初”から?
さやか「わざわざマスターから離れてくれて助かりました」
さやか『Tragic Drops』
氷柱は糸を切ったかのように一斉に落下してくる。
バーサーカーもこちらに走ってきているが間に合わない。
グサッ!グサッ!グサッ!
梢「小鈴さん!!!」
咄嗟に頭は守ったが、両腕や肩に氷柱が突き刺さる。
小鈴「う″ぐ″っ~~~~~!!」
氷柱は腕を貫通し肩にも刺さり体を固定する。
あまりの痛みに転げまわりたいのに体を動かせない。
103: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 21:10:08 ID:???00
小鈴(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!)
氷柱が刺さった個所からは血がとめどなく流れて体を濡らしている。
血の温かさとは裏腹に、身体はどんどん熱を失い意識は遠のいていく。
小鈴(助けて...バー...サー......)バタン
梢「こ...すず、さん...」
バーサーカーは背中から無数の氷柱で刺され地面に張り付けにされていた。
綴理「あれでもまだ生きてるんだ。サーヴァントの耐久力はやっぱりすごいね。アーチャー、とどめを刺してあげたら?」
さやか「はい、マスター」
アーチャーがバーサーカーに狙いを定める。
氷柱が刺さった個所からは血がとめどなく流れて体を濡らしている。
血の温かさとは裏腹に、身体はどんどん熱を失い意識は遠のいていく。
小鈴(助けて...バー...サー......)バタン
梢「こ...すず、さん...」
バーサーカーは背中から無数の氷柱で刺され地面に張り付けにされていた。
綴理「あれでもまだ生きてるんだ。サーヴァントの耐久力はやっぱりすごいね。アーチャー、とどめを刺してあげたら?」
さやか「はい、マスター」
アーチャーがバーサーカーに狙いを定める。
104: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 21:13:52 ID:???00
花帆「そこまでだよ!2人から離れて!」
綴理「だれ?」
吟子「キャスター、百生吟子」
綴理「...百生」
さやか「なぜ止めるんです。あなた方も聖杯戦争の参加者なら、この人たちを助ける理由はないと思いますが」
花帆「あたしたちは――」
吟子「助ける?そんなわけないでしょ。私たちはあなたを倒すために来たの」
さやか「キャスターごときがわたしに勝てるとでも?」
吟子「私たちは勝算ができたからこうして出てきたんだよ」
綴理「だれ?」
吟子「キャスター、百生吟子」
綴理「...百生」
さやか「なぜ止めるんです。あなた方も聖杯戦争の参加者なら、この人たちを助ける理由はないと思いますが」
花帆「あたしたちは――」
吟子「助ける?そんなわけないでしょ。私たちはあなたを倒すために来たの」
さやか「キャスターごときがわたしに勝てるとでも?」
吟子「私たちは勝算ができたからこうして出てきたんだよ」
105: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 21:15:52 ID:???00
綴理「アーチャー、ここは一旦引こう」
さやか「ですが」
綴理「戦闘技能で劣るキャスターが、何の準備もなしに現れるとは思えない」
綴理「それに、あそこで倒れてるマスターとサーヴァントは放っておいてもすぐに死ぬよ」
さやか「...マスターがそういうのでしたら」
直後、2人の身体は霧のように消えていった。
吟子(サーヴァントはともかくマスターまで消えた...空間移動の魔術でも持ってるの?それとも幻術の類?)
さやか「ですが」
綴理「戦闘技能で劣るキャスターが、何の準備もなしに現れるとは思えない」
綴理「それに、あそこで倒れてるマスターとサーヴァントは放っておいてもすぐに死ぬよ」
さやか「...マスターがそういうのでしたら」
直後、2人の身体は霧のように消えていった。
吟子(サーヴァントはともかくマスターまで消えた...空間移動の魔術でも持ってるの?それとも幻術の類?)
106: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 21:20:43 ID:???00
花帆「小鈴ちゃん!酷い出血...今治してあげるから!『フラ――」
吟子「待って花帆」
花帆「っ!なんで止めるの!早く治さないと小鈴ちゃん死んじゃうよ!」
吟子「その前に確認することがあるでしょ」
吟子「ねえバーサーカー、確か花帆と小鈴の同盟契約は私の傷が治るまでの間だったよね?」
梢「キャス...ター...」
吟子「私はこの通り完全回復したわけだけど、もう契約は破棄ってことでいい?」
花帆「吟子ちゃん!!」ギロッ
梢「...お願いします。どうか...どうか小鈴さんだけでも助けてください...私のことは殺しても構わないから...」
吟子「待って花帆」
花帆「っ!なんで止めるの!早く治さないと小鈴ちゃん死んじゃうよ!」
吟子「その前に確認することがあるでしょ」
吟子「ねえバーサーカー、確か花帆と小鈴の同盟契約は私の傷が治るまでの間だったよね?」
梢「キャス...ター...」
吟子「私はこの通り完全回復したわけだけど、もう契約は破棄ってことでいい?」
花帆「吟子ちゃん!!」ギロッ
梢「...お願いします。どうか...どうか小鈴さんだけでも助けてください...私のことは殺しても構わないから...」
107: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 21:22:21 ID:???00
吟子「だって花帆、どうす――」
花帆「『フラワー』!」🌸
吟子「判断がはやい!」
花帆「小鈴ちゃん!小鈴ちゃん!大丈夫!?しっかりして!」
小鈴「う、うう...」グッタリ
吟子「失神してるだけだよ。花帆の魔術なら傷は完全に治せる。それよりバーサーカーはどうするの?」
花帆「......助けてあげて」
吟子「それはどうして?」
花帆「『フラワー』!」🌸
吟子「判断がはやい!」
花帆「小鈴ちゃん!小鈴ちゃん!大丈夫!?しっかりして!」
小鈴「う、うう...」グッタリ
吟子「失神してるだけだよ。花帆の魔術なら傷は完全に治せる。それよりバーサーカーはどうするの?」
花帆「......助けてあげて」
吟子「それはどうして?」
108: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 21:24:07 ID:???00
花帆「さっきのアーチャー、すごく強かった...多分バーサーカーが万全でも負けてたと思う」
花帆「あのサーヴァントがいる限り、あたしたちは聖杯戦争に勝てない」
吟子「つまりアーチャーを倒すまでは協力関係を継続するべきってことね。はあ、悔しいけどそれが最適かも」
キャスターはバーサーカーに刺さった氷柱を抜く。
梢「う"っ」
吟子「悪いけど、私や花帆の魔術はあなたに弾かれるから傷は自分で直して」
梢「大丈夫よ...ありがとう、花帆さん、キャスター...」スー…
氷柱が全て抜けるとバーサーカーは霊体化して姿を消した。
花帆「あのサーヴァントがいる限り、あたしたちは聖杯戦争に勝てない」
吟子「つまりアーチャーを倒すまでは協力関係を継続するべきってことね。はあ、悔しいけどそれが最適かも」
キャスターはバーサーカーに刺さった氷柱を抜く。
梢「う"っ」
吟子「悪いけど、私や花帆の魔術はあなたに弾かれるから傷は自分で直して」
梢「大丈夫よ...ありがとう、花帆さん、キャスター...」スー…
氷柱が全て抜けるとバーサーカーは霊体化して姿を消した。
109: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 21:26:37 ID:???00
花帆「とりあえず小鈴ちゃんをあたしの部屋に運ぼう!」
吟子「なら私が担ぐよ」
花帆「そういえば、吟子ちゃんいつの間に準備してたの?」
吟子「何のこと?」
花帆「さっき言ってたじゃん。『勝算ができたからこうして出てきた』って」
吟子「あんなのはったりに決まってるでしょ!花帆が2人がやられてるの見て急に飛び出したんだから!」
花帆「そうだったの!?もしかしてあたしたち、結構危なかった?」
吟子「もうあんなことしないで」
花帆「ごめんなさい...」
――――――
吟子「なら私が担ぐよ」
花帆「そういえば、吟子ちゃんいつの間に準備してたの?」
吟子「何のこと?」
花帆「さっき言ってたじゃん。『勝算ができたからこうして出てきた』って」
吟子「あんなのはったりに決まってるでしょ!花帆が2人がやられてるの見て急に飛び出したんだから!」
花帆「そうだったの!?もしかしてあたしたち、結構危なかった?」
吟子「もうあんなことしないで」
花帆「ごめんなさい...」
――――――
110: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 21:30:29 ID:???00
[ Interlude in ]
慈「あーもう!あとちょっとだったのにー!ルリちゃんサーヴァントになっても充電切れる癖直ってないの?」
瑠璃乃「メンボクねーです...いや~必殺技使うと魔力の消費えぐくってさぁ!」
慈「にしても、あのバーサーカーとかいうサーヴァントかなりの強さだったね」
瑠璃乃「霊核を狙ったんだけど、まさか当たる直前に横から殴って軌道をずらすとはね。敵ながらあっぱれですわ!」
慈「完全に死角から当てないとか...そうだ!今度は私がバーサーカーの真後ろで『エンジェルスマイル!』するのはどう?そうすれば横目でルリちゃんを見ることもできないでしょ!」
瑠璃乃「ぜっったい止めてね!?どうしてわざわざ相手の方に寄るの!小鈴ちゃんが助けてくれなかったらめぐちゃん死んでたかんね!?」
瑠璃乃「めぐちゃんはルリの近くにいて!」
慈「うっ...あいつの名前は出さないで...」
慈「あーもう!あとちょっとだったのにー!ルリちゃんサーヴァントになっても充電切れる癖直ってないの?」
瑠璃乃「メンボクねーです...いや~必殺技使うと魔力の消費えぐくってさぁ!」
慈「にしても、あのバーサーカーとかいうサーヴァントかなりの強さだったね」
瑠璃乃「霊核を狙ったんだけど、まさか当たる直前に横から殴って軌道をずらすとはね。敵ながらあっぱれですわ!」
慈「完全に死角から当てないとか...そうだ!今度は私がバーサーカーの真後ろで『エンジェルスマイル!』するのはどう?そうすれば横目でルリちゃんを見ることもできないでしょ!」
瑠璃乃「ぜっったい止めてね!?どうしてわざわざ相手の方に寄るの!小鈴ちゃんが助けてくれなかったらめぐちゃん死んでたかんね!?」
瑠璃乃「めぐちゃんはルリの近くにいて!」
慈「うっ...あいつの名前は出さないで...」
111: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 21:36:23 ID:???00
姫芽「――――あの~」
慈「ん?どうしたの姫芽ちゃん」
姫芽「いや、作戦会議するなら藤島せんぱいの部屋でやってくれませんかね...どうしてアタシの部屋で...」
瑠璃乃「ひめっちはルリたちのブレインだからね!」
慈「そう!ブレイン!...ブレインってなに?」
瑠璃乃「脳」
姫芽「アタシもう部外者ですよね!?」
慈「何言ってんの!嘘の電話でおびき寄せる作戦考えてくれたの姫芽ちゃんじゃん!」
慈「ん?どうしたの姫芽ちゃん」
姫芽「いや、作戦会議するなら藤島せんぱいの部屋でやってくれませんかね...どうしてアタシの部屋で...」
瑠璃乃「ひめっちはルリたちのブレインだからね!」
慈「そう!ブレイン!...ブレインってなに?」
瑠璃乃「脳」
姫芽「アタシもう部外者ですよね!?」
慈「何言ってんの!嘘の電話でおびき寄せる作戦考えてくれたの姫芽ちゃんじゃん!」
112: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/03(月) 21:39:47 ID:???00
慈「私たちはもう、同じ穴のムジナなんだよ☆」ウィンク!
瑠璃乃「へいめぐちゃん、それ多分意味違うと思う」
姫芽「ていうか!小鈴ちゃんは傷つけない約束でしたよね!?」
慈「...」
姫芽「なんで黙るんですか!」
慈「ごめんね姫芽ちゃん。私も人を傷つけたくなんかないよ。でも、こうなったら仕方がないの」
慈「徒町小鈴を殺して、私の記憶から追い出すしかないんだよ」
瑠璃乃「...」
[ Interlude out ]
瑠璃乃「へいめぐちゃん、それ多分意味違うと思う」
姫芽「ていうか!小鈴ちゃんは傷つけない約束でしたよね!?」
慈「...」
姫芽「なんで黙るんですか!」
慈「ごめんね姫芽ちゃん。私も人を傷つけたくなんかないよ。でも、こうなったら仕方がないの」
慈「徒町小鈴を殺して、私の記憶から追い出すしかないんだよ」
瑠璃乃「...」
[ Interlude out ]
115: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 20:38:38 ID:???00
【2月4日】
夢を見る。
梢「お絹さん、私がっこうにいきたいわ」グイグイ…
お絹「学校?どうしたのです梢お嬢様、お勉強なら絹が毎日見ているではありませんか」
梢「違うわ!勉強じゃなくてわたくしは“ともだち”に会いたいの」
お絹「友達...梢お嬢様ご友人ができたのですか?」
梢「あ、えっと、本!本で読んだの!がっこうにはともだちが50人くらいいるって!」
お絹「...申し訳ございません。貴女のお父様から、梢お嬢様を外に出すなと申し付けられておりますので」
梢「っ!どうして!私はもう赤子じゃないわ!家の外に出ても大丈夫よ!」
お絹「本当に申し訳ございません。お父様も、梢お嬢様のことを大切に思っておいでなのです」
夢を見る。
梢「お絹さん、私がっこうにいきたいわ」グイグイ…
お絹「学校?どうしたのです梢お嬢様、お勉強なら絹が毎日見ているではありませんか」
梢「違うわ!勉強じゃなくてわたくしは“ともだち”に会いたいの」
お絹「友達...梢お嬢様ご友人ができたのですか?」
梢「あ、えっと、本!本で読んだの!がっこうにはともだちが50人くらいいるって!」
お絹「...申し訳ございません。貴女のお父様から、梢お嬢様を外に出すなと申し付けられておりますので」
梢「っ!どうして!私はもう赤子じゃないわ!家の外に出ても大丈夫よ!」
お絹「本当に申し訳ございません。お父様も、梢お嬢様のことを大切に思っておいでなのです」
116: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 20:41:41 ID:???00
エリ「どうだった?」
梢「ダメだったわ...やっぱりお父様に直接言わないと」
エリ「こずえちゃんのお父さんってどんな人なの?」
梢「...よくわからないわ。いつも夜遅くに帰ってくるし、朝食以外で一緒になることはあんまりないの」
梢「でもきっと優しいわ!私が家で寂しくないように、よく本やおもちゃを買ってくれるもの!」
エリ「そうなんだ~あ!」
梢「エリ?」
お絹「やっぱり、最近よく庭で遊んでいると思ったら、こういうことでしたのね」
梢「お絹さん!?ち、ちがうの!この子は...」
お絹「なにが違うんですか!まったく、あなたいつから家に忍び込んでいたの?」
エリ「え、えっと、2...1週間くらい前から...」
お絹「はあ...気が付かなかった私の責任でもありますね」
梢「お絹さん...」
お絹「お父様から言われていましたよね。家の外のものと関わるなと」
梢「ごめんなさい...」
梢「ダメだったわ...やっぱりお父様に直接言わないと」
エリ「こずえちゃんのお父さんってどんな人なの?」
梢「...よくわからないわ。いつも夜遅くに帰ってくるし、朝食以外で一緒になることはあんまりないの」
梢「でもきっと優しいわ!私が家で寂しくないように、よく本やおもちゃを買ってくれるもの!」
エリ「そうなんだ~あ!」
梢「エリ?」
お絹「やっぱり、最近よく庭で遊んでいると思ったら、こういうことでしたのね」
梢「お絹さん!?ち、ちがうの!この子は...」
お絹「なにが違うんですか!まったく、あなたいつから家に忍び込んでいたの?」
エリ「え、えっと、2...1週間くらい前から...」
お絹「はあ...気が付かなかった私の責任でもありますね」
梢「お絹さん...」
お絹「お父様から言われていましたよね。家の外のものと関わるなと」
梢「ごめんなさい...」
117: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 20:43:46 ID:???00
お絹「あなた名前は?」
エリ「あ、エ、エリです」
お絹「そう......エリさん、こっちへいらっしゃい」
エリ「...」トコトコ
お絹「...暗くなる前には必ず帰ること。それと、休日と祝日は絶対に来ないこと。万が一私以外に見つかったらただではすみませんよ」
エリ「え?」
梢「お絹さん!」
お絹「最近の梢お嬢様は家にいる時もとっても楽しそうでした。何か新しい遊びでも見つけたのかと思っていましたが、まさかご友人ができていたとは...」
お絹「どうかこれからも、梢お嬢様と仲良くしてあげてください」
エリ「は、はい!」
エリ「あ、エ、エリです」
お絹「そう......エリさん、こっちへいらっしゃい」
エリ「...」トコトコ
お絹「...暗くなる前には必ず帰ること。それと、休日と祝日は絶対に来ないこと。万が一私以外に見つかったらただではすみませんよ」
エリ「え?」
梢「お絹さん!」
お絹「最近の梢お嬢様は家にいる時もとっても楽しそうでした。何か新しい遊びでも見つけたのかと思っていましたが、まさかご友人ができていたとは...」
お絹「どうかこれからも、梢お嬢様と仲良くしてあげてください」
エリ「は、はい!」
118: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 20:45:15 ID:???00
お絹「ところであなたどこから入ってきたの?」
エリ「そこの塀の穴から!」
お絹「まあ!それでは服が破けてしまいますよ」
お絹「門の鍵を開けておくから、今度からはそこから入りなさい。その代わり鍵が開いてない日はおとなしく帰るように」
エリ「はーい!」
梢「ありがとうお絹さん!」
お絹「...あとエリさん、ちょっと」コソコソ
エリ「?」
お絹「絶対に梢お嬢様の前で怪我をしないように」ボソッ
エリ「あたしが?こずえちゃんじゃなくて?うーん、わかった!」
――――――
エリ「そこの塀の穴から!」
お絹「まあ!それでは服が破けてしまいますよ」
お絹「門の鍵を開けておくから、今度からはそこから入りなさい。その代わり鍵が開いてない日はおとなしく帰るように」
エリ「はーい!」
梢「ありがとうお絹さん!」
お絹「...あとエリさん、ちょっと」コソコソ
エリ「?」
お絹「絶対に梢お嬢様の前で怪我をしないように」ボソッ
エリ「あたしが?こずえちゃんじゃなくて?うーん、わかった!」
――――――
119: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 20:47:51 ID:???00
小鈴「う、うーん」
朝日が額に当たり、だんだんと意識が覚醒してくる。
最近よく変な夢を見る気がする。自分じゃない、誰かの記憶のような...
花帆「あ、小鈴ちゃん起きた?おはよう!」
小鈴「花帆先輩?どうして徒町の部屋に...あれ、そもそも徒町どうやって部屋に帰ったんだっけ?」
花帆「ここはあたしの部屋だよ。小鈴ちゃん、昨日アーチャーにやられて気を失ってたからあたしが連れて帰ったんだ」
花帆「あ、怪我は完璧に治したから安心して!」
花帆先輩に言われてやっと思い出した。
そうだ、昨日めぐちゃんたちと戦った後アーチャーとそのマスターに襲われたんだ。それで――
小鈴「!バーサーカーは!?」
梢「私はここにいるわ」スー
バーサーカーが虚空から現れる。
あんなにひどかった傷は綺麗さっぱり無くなっていた。
朝日が額に当たり、だんだんと意識が覚醒してくる。
最近よく変な夢を見る気がする。自分じゃない、誰かの記憶のような...
花帆「あ、小鈴ちゃん起きた?おはよう!」
小鈴「花帆先輩?どうして徒町の部屋に...あれ、そもそも徒町どうやって部屋に帰ったんだっけ?」
花帆「ここはあたしの部屋だよ。小鈴ちゃん、昨日アーチャーにやられて気を失ってたからあたしが連れて帰ったんだ」
花帆「あ、怪我は完璧に治したから安心して!」
花帆先輩に言われてやっと思い出した。
そうだ、昨日めぐちゃんたちと戦った後アーチャーとそのマスターに襲われたんだ。それで――
小鈴「!バーサーカーは!?」
梢「私はここにいるわ」スー
バーサーカーが虚空から現れる。
あんなにひどかった傷は綺麗さっぱり無くなっていた。
120: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 20:49:08 ID:???00
小鈴「怪我は大丈夫なの?」
梢「サーヴァントの身体はエーテルでできているから、一度霊体化すれば傷自体はすぐに塞げるわ」
梢「ただ...体が欠損した分魔力は減っているから、今は満足な戦闘はできないわね。せめて2日は魔力の回復に充てたいところよ」
小鈴「そっか...ごめんバーサーカー、また徒町が余計なことしたせいで」
梢「小鈴さんがあやまることではないわ。むしろ、小鈴さんを危険な目に遭わせてしまったのは私の責任よ」
梢「花帆さんが駆けつけてくれなかったら、今頃どうなっていたか...本当にごめんなさい」
バーサーカーは深く頭を下げる。
梢「サーヴァントの身体はエーテルでできているから、一度霊体化すれば傷自体はすぐに塞げるわ」
梢「ただ...体が欠損した分魔力は減っているから、今は満足な戦闘はできないわね。せめて2日は魔力の回復に充てたいところよ」
小鈴「そっか...ごめんバーサーカー、また徒町が余計なことしたせいで」
梢「小鈴さんがあやまることではないわ。むしろ、小鈴さんを危険な目に遭わせてしまったのは私の責任よ」
梢「花帆さんが駆けつけてくれなかったら、今頃どうなっていたか...本当にごめんなさい」
バーサーカーは深く頭を下げる。
121: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 20:50:20 ID:???00
小鈴「そんな!やめてよ!全部徒町が悪いんだよ!徒町がマスターとして不甲斐ないから...」
吟子「それはホントにそう」
小鈴「キャスター!?回復したの?」
吟子「おかげさまで、そこのバーサーカーにやられた傷はちゃんと治ったよ」
花帆「もう吟子ちゃん!嫌味言わないの!」
吟子「それで花帆、小鈴に話があるんじゃないの?」
花帆「そうだね。とりあえず小鈴ちゃんもお腹減ってるだろうし、朝食たべながら話そっか!」
――――――
吟子「それはホントにそう」
小鈴「キャスター!?回復したの?」
吟子「おかげさまで、そこのバーサーカーにやられた傷はちゃんと治ったよ」
花帆「もう吟子ちゃん!嫌味言わないの!」
吟子「それで花帆、小鈴に話があるんじゃないの?」
花帆「そうだね。とりあえず小鈴ちゃんもお腹減ってるだろうし、朝食たべながら話そっか!」
――――――
122: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 20:52:12 ID:???00
花帆先輩は食パンにジャムとマーガリンを塗って出してくれた。
どうやら部屋に常備しているらしい。
なるほど、そういう手があったか。
小鈴「それで話というのは」
花帆「うん、単刀直入に言うね。あたしたちと協力してアーチャーを倒さない?」
小鈴「アーチャーを...」
花帆「アーチャーの強さは直接戦った小鈴ちゃんたちが一番わかってると思うけど、別格だよ」
花帆「たぶん今回召喚されたサーヴァントの中では一番強いんじゃないかな?」
小鈴「花帆先輩は他のサーヴァントのことも知ってるんですか?」
花帆「吟子ちゃんを除くとバーサーカー、ランサー、ライダー、アーチャーだね。ランサーとライダーのマスターはわからないけど」
どうやら部屋に常備しているらしい。
なるほど、そういう手があったか。
小鈴「それで話というのは」
花帆「うん、単刀直入に言うね。あたしたちと協力してアーチャーを倒さない?」
小鈴「アーチャーを...」
花帆「アーチャーの強さは直接戦った小鈴ちゃんたちが一番わかってると思うけど、別格だよ」
花帆「たぶん今回召喚されたサーヴァントの中では一番強いんじゃないかな?」
小鈴「花帆先輩は他のサーヴァントのことも知ってるんですか?」
花帆「吟子ちゃんを除くとバーサーカー、ランサー、ライダー、アーチャーだね。ランサーとライダーのマスターはわからないけど」
123: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 20:53:32 ID:???00
梢「ランサーのマスターは藤島慈という女よ。小鈴さんの...幼馴染らしいわ」
花帆「そっか、幼馴染がマスターに...それは戦いづらいね...」
小鈴「めぐちゃん、どうしてマスターなんかに...」
梢「どうしてマスターになったかを考えても仕方がないわ。大切なのは、藤島慈には小鈴さんと戦う意思があるということ。それだけよ」
小鈴「うん...そうだね」
吟子「話を本題に戻すけど、アーチャーは1対1で戦って勝てる相手じゃない。だから、アーチャーを倒すまでは同盟を継続しない?」
小鈴「はい、徒町は賛成です!花帆先輩にはまだまだ教えてほしいこともありますし!バーサーカーはそれでいい?」
梢「ええ。というか、断ったら今この場で殺されかねないもの。私たちに拒否権なんかないわ」
花帆「よし!じゃあこれからもよろしくね小鈴ちゃん!」
花帆「そっか、幼馴染がマスターに...それは戦いづらいね...」
小鈴「めぐちゃん、どうしてマスターなんかに...」
梢「どうしてマスターになったかを考えても仕方がないわ。大切なのは、藤島慈には小鈴さんと戦う意思があるということ。それだけよ」
小鈴「うん...そうだね」
吟子「話を本題に戻すけど、アーチャーは1対1で戦って勝てる相手じゃない。だから、アーチャーを倒すまでは同盟を継続しない?」
小鈴「はい、徒町は賛成です!花帆先輩にはまだまだ教えてほしいこともありますし!バーサーカーはそれでいい?」
梢「ええ。というか、断ったら今この場で殺されかねないもの。私たちに拒否権なんかないわ」
花帆「よし!じゃあこれからもよろしくね小鈴ちゃん!」
124: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 20:55:04 ID:???00
小鈴「はい!よろしくお願いします!そういえば今って何時ですか?学校が...」
花帆「今日は土曜日だからお休みだよ!」
小鈴「そっか。休日...」
小鈴「あ、あの!バーサーカー、花帆先輩!徒町を...徒町を特訓してください!」
梢・花帆「「特訓?」」
小鈴「はい...徒町、昨日実感したんです!徒町は体力もないし、魔術もまともに使えないしで、マスターなのにバーサーカーに迷惑ばかりかけています!」
梢「小鈴さん...」
小鈴「バーサーカーは本当はもっと強いのに、徒町を守るために全力を出せないでいます。それは悔しいんです!」
小鈴「せめて、自分の身は自分で守れるようにして、バーサーカーの負担を少しでも減らしたいんです!」
花帆「今日は土曜日だからお休みだよ!」
小鈴「そっか。休日...」
小鈴「あ、あの!バーサーカー、花帆先輩!徒町を...徒町を特訓してください!」
梢・花帆「「特訓?」」
小鈴「はい...徒町、昨日実感したんです!徒町は体力もないし、魔術もまともに使えないしで、マスターなのにバーサーカーに迷惑ばかりかけています!」
梢「小鈴さん...」
小鈴「バーサーカーは本当はもっと強いのに、徒町を守るために全力を出せないでいます。それは悔しいんです!」
小鈴「せめて、自分の身は自分で守れるようにして、バーサーカーの負担を少しでも減らしたいんです!」
125: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 20:57:26 ID:???00
花帆「小鈴ちゃん...!わかったよ、魔術のことならあたしに任せて!必ず小鈴ちゃんを立派な魔術師として花咲かせてあげるから!」
梢「別にマスターがサーヴァントに守られることは可笑しなことではないけれど...」
梢「小鈴さん自身が強くなりたいというのなら、私も協力は惜しまないわ!」
小鈴「2人ともありがとうございます!」
吟子「無駄だと思うけど...せいぜい頑張れば」スー…
花帆「じゃああたしは準備に時間がかかるから、夕方くらいまでバーサーカーと特訓してて!」
小鈴「わかりました!行こうバーサーカー!」
梢「ええ、まずは日課の走り込みからね。その間に私は特訓のメニューを考えておくわ」
小鈴「よーし!がんばるぞ~おー!」
――――――
梢「別にマスターがサーヴァントに守られることは可笑しなことではないけれど...」
梢「小鈴さん自身が強くなりたいというのなら、私も協力は惜しまないわ!」
小鈴「2人ともありがとうございます!」
吟子「無駄だと思うけど...せいぜい頑張れば」スー…
花帆「じゃああたしは準備に時間がかかるから、夕方くらいまでバーサーカーと特訓してて!」
小鈴「わかりました!行こうバーサーカー!」
梢「ええ、まずは日課の走り込みからね。その間に私は特訓のメニューを考えておくわ」
小鈴「よーし!がんばるぞ~おー!」
――――――
126: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 20:58:56 ID:???00
ランニングを終え、一休みしていたらバーサーカーに蓮ノ湖へ行くよう言われた。
梢「軽くあたりを見てきたけど、ここなら生徒もほとんど来ないし、周りから見えずらいから私が実体化しても大丈夫そうね」スー
小鈴「それでどんな特訓をするの?」
梢「そうね。考えたのだけれど、小鈴さんには戦うための特訓ではなく、生き残るための特訓をしてもらうわ」
小鈴「生き残るための特訓?」
梢「そうよ。そもそも、人間がサーヴァントと戦おうなんて考えてはいけないわ」
梢「どんなに卓越した格闘家も熊やサメと戦おうだなんて考えないでしょう?」
梢「そういう存在に対峙したときのために学ぶのは、戦い方ではなく、生き残る方法よ」
そういうとバーサーカーは徒町の正面に立って拳を構えた。
梢「軽くあたりを見てきたけど、ここなら生徒もほとんど来ないし、周りから見えずらいから私が実体化しても大丈夫そうね」スー
小鈴「それでどんな特訓をするの?」
梢「そうね。考えたのだけれど、小鈴さんには戦うための特訓ではなく、生き残るための特訓をしてもらうわ」
小鈴「生き残るための特訓?」
梢「そうよ。そもそも、人間がサーヴァントと戦おうなんて考えてはいけないわ」
梢「どんなに卓越した格闘家も熊やサメと戦おうだなんて考えないでしょう?」
梢「そういう存在に対峙したときのために学ぶのは、戦い方ではなく、生き残る方法よ」
そういうとバーサーカーは徒町の正面に立って拳を構えた。
127: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:00:52 ID:???00
梢「まずは攻撃の避け方...いえ、殺気の受け流し方からね」
梢「小鈴さん、今から私がゆっくりとあなたの頭に手を伸ばすから、触れられる前に横に避けてちょうだい」
小鈴「わかった!よし!いつでも来――」
グシャリ
瞬間、バーサーカーの拳が徒町の頭を粉砕した。
徒町は首から上を失くし脳みそを地面にまき散らしながら絶命した。
梢「...」ペチン
小鈴「っ!」ビクッ
小鈴「あ、あれ?徒町、生きてる?」
梢「生きてるわよ。でも、実践なら死んでいたわね」
小鈴「今、頭をバーサーカーに潰されて...それで...」
全身の震えが止まらない。体は一歩も動かせず、足が棒になって地面に突き刺さってるかのようだ。
今も頭蓋を砕かれ殺されるイメージが頭から離れない。
梢「小鈴さん、今から私がゆっくりとあなたの頭に手を伸ばすから、触れられる前に横に避けてちょうだい」
小鈴「わかった!よし!いつでも来――」
グシャリ
瞬間、バーサーカーの拳が徒町の頭を粉砕した。
徒町は首から上を失くし脳みそを地面にまき散らしながら絶命した。
梢「...」ペチン
小鈴「っ!」ビクッ
小鈴「あ、あれ?徒町、生きてる?」
梢「生きてるわよ。でも、実践なら死んでいたわね」
小鈴「今、頭をバーサーカーに潰されて...それで...」
全身の震えが止まらない。体は一歩も動かせず、足が棒になって地面に突き刺さってるかのようだ。
今も頭蓋を砕かれ殺されるイメージが頭から離れない。
128: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:03:17 ID:???00
梢「これが殺気よ。自分より上位の存在から向けられる殺意は、それだけで自分が死んだと錯覚させられるほどの力がある」
梢「小鈴さんにはまずこの殺気を向けられても、怯まずに動けるようになってもらうわ」
小鈴「わ、わかりました!よろしくお願いします!」
それから小一時間はバーサーカーに殺気を当てられ、そのたびに動けなくなってデコピンを食らった。
おかげで徒町のおでこはその一点だけ真っ赤に腫れてしまった。
さらにもう一時間経つ頃、やっと頭が空白にならずに済むようになった。
そして3時間殺気を浴びてようやく、なんとか体を動かせるまでにたどり着いた。
梢「一度休憩しましょう。ずっと殺気を浴びて疲れたでしょう。午後は実際に攻撃を避ける訓練をするわよ」
小鈴「ふー...ふー...はい」
梢「小鈴さんにはまずこの殺気を向けられても、怯まずに動けるようになってもらうわ」
小鈴「わ、わかりました!よろしくお願いします!」
それから小一時間はバーサーカーに殺気を当てられ、そのたびに動けなくなってデコピンを食らった。
おかげで徒町のおでこはその一点だけ真っ赤に腫れてしまった。
さらにもう一時間経つ頃、やっと頭が空白にならずに済むようになった。
そして3時間殺気を浴びてようやく、なんとか体を動かせるまでにたどり着いた。
梢「一度休憩しましょう。ずっと殺気を浴びて疲れたでしょう。午後は実際に攻撃を避ける訓練をするわよ」
小鈴「ふー...ふー...はい」
129: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:05:10 ID:???00
梢「本当に大丈夫?かなり顔色悪いけれど...」
小鈴「だ、大丈夫です...まだ肝心の実践にも行けてないし、こんなところで立ち止まるわけにはいきません!」
梢「そう、でも無理はしないでね。小鈴さんに倒れられたら私も困るもの」
昼食のお弁当を食べながら午前中の特訓を思い返す。
殺気に対抗するコツは、相手の殺意を受け流すことだ。
殺意を真正面から受け止めると硬直してしまうので、一瞬相手から意識を逸らす。
もちろんずっと相手から注意を外していてはただのいい的だ。
意識を逸らすのは一瞬で、その一瞬の間に相手の間合いから離脱する。
バーサーカーが言うには、殺気というのは相手の間合いに入っている時に感じるらしい。
なので相手から全力で離れれば殺気は和らぐのだとか。
小鈴「だ、大丈夫です...まだ肝心の実践にも行けてないし、こんなところで立ち止まるわけにはいきません!」
梢「そう、でも無理はしないでね。小鈴さんに倒れられたら私も困るもの」
昼食のお弁当を食べながら午前中の特訓を思い返す。
殺気に対抗するコツは、相手の殺意を受け流すことだ。
殺意を真正面から受け止めると硬直してしまうので、一瞬相手から意識を逸らす。
もちろんずっと相手から注意を外していてはただのいい的だ。
意識を逸らすのは一瞬で、その一瞬の間に相手の間合いから離脱する。
バーサーカーが言うには、殺気というのは相手の間合いに入っている時に感じるらしい。
なので相手から全力で離れれば殺気は和らぐのだとか。
130: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:07:54 ID:???00
梢「さて、そろそろ午後の特訓を始めるわよ」
小鈴「はい!」
梢「最初は攻撃されそうになった時の避け方ね。今度は実戦を想定して軽く殴るから、それを避けてみて」
バーサーカーが拳を構える。
殺気が飛んでくるので、まずはそれを受け流してから大きく後ろに飛びのく。
が――
ゴツン!
小鈴「痛いっ!」
梢「後ろに避けないの!ランサーやアーチャーのように前方向に射程が長い武器だとそのまま貫かれるわよ!」
続けてバーサーカーが拳をふるう。
小鈴「っ!」
今度は横に避けるが、バーサーカーはすぐさま突き出した手を横に振り、顔を殴ってくる。
小鈴「ぐあ!」
小鈴「はい!」
梢「最初は攻撃されそうになった時の避け方ね。今度は実戦を想定して軽く殴るから、それを避けてみて」
バーサーカーが拳を構える。
殺気が飛んでくるので、まずはそれを受け流してから大きく後ろに飛びのく。
が――
ゴツン!
小鈴「痛いっ!」
梢「後ろに避けないの!ランサーやアーチャーのように前方向に射程が長い武器だとそのまま貫かれるわよ!」
続けてバーサーカーが拳をふるう。
小鈴「っ!」
今度は横に避けるが、バーサーカーはすぐさま突き出した手を横に振り、顔を殴ってくる。
小鈴「ぐあ!」
131: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:09:48 ID:???00
梢「惜しいわね!真横じゃなくて斜め後ろに飛びなさい!」
梢「それと毎回同じ方向じゃなくて、左右にランダムに動くの!相手にこちらの動きを予想させないようにね!」
小鈴「はい!!」
バーサーカーは頭だけでなく胴や足も狙ってくる。
それを必死で避けながら後退していく。
トン
小鈴「へ?」
梢「もらった!」ベシン
小鈴「ぐっ」
夢中で後退していたら後ろの木にぶつかってしまった。
梢「そこ!止まらない!」ブン!
小鈴「!!」バッ
反射的に横に飛ぶ。
梢「それと毎回同じ方向じゃなくて、左右にランダムに動くの!相手にこちらの動きを予想させないようにね!」
小鈴「はい!!」
バーサーカーは頭だけでなく胴や足も狙ってくる。
それを必死で避けながら後退していく。
トン
小鈴「へ?」
梢「もらった!」ベシン
小鈴「ぐっ」
夢中で後退していたら後ろの木にぶつかってしまった。
梢「そこ!止まらない!」ブン!
小鈴「!!」バッ
反射的に横に飛ぶ。
132: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:11:23 ID:???00
梢「一度攻撃をくらって終わるのはスポーツだけよ!実践ではこちらが死ぬまで攻撃が飛んでくると思いなさい!」ブン!
バーサーカーは拳だけでなく今度は蹴りも入れて攻めてくる。
小鈴「はぁ...!はぁ...!はぁ...!」
練習を再開してまだ1分も経っていないのに息は荒く、体は悲鳴を上げている。
梢「動きが鈍くなってきたわよ!はーっ!」ド!ド!ド!
小鈴「ぐはっ!」バタン
突然のラッシュを全身にくらい、思わず倒れこむ。
小鈴「ま、まって!たんま...」
梢「戦場に待ったなし!」ブン!
小鈴「っ!」ビクッ
バーサーカーは拳だけでなく今度は蹴りも入れて攻めてくる。
小鈴「はぁ...!はぁ...!はぁ...!」
練習を再開してまだ1分も経っていないのに息は荒く、体は悲鳴を上げている。
梢「動きが鈍くなってきたわよ!はーっ!」ド!ド!ド!
小鈴「ぐはっ!」バタン
突然のラッシュを全身にくらい、思わず倒れこむ。
小鈴「ま、まって!たんま...」
梢「戦場に待ったなし!」ブン!
小鈴「っ!」ビクッ
133: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:13:11 ID:???00
ピタッ
梢「ここまでね。本番なら12回死んでたわ」
小鈴「はぁ...はぁ、ちなみにどの攻撃で死んでたの?」グッタリ
梢「私が繰り出した全ての攻撃で、よ」
小鈴「 」
梢「本当にこのやり方でいいの?やっぱり型の稽古とかの方がいいと思うのだけれど...」
小鈴「ううん、徒町は要領が悪いから、そのやり方だといつまで経っても強くなれないよ...」
もっと強くならなければ。ランサーやアーチャーと戦っても負けないくらい、強く――
梢「小鈴さん、近道ばかり考えてはだめよ。結果だけを求めていると本当の目的を見失ってしまうわ」
小鈴「本当の...目的?」
梢「ここまでね。本番なら12回死んでたわ」
小鈴「はぁ...はぁ、ちなみにどの攻撃で死んでたの?」グッタリ
梢「私が繰り出した全ての攻撃で、よ」
小鈴「 」
梢「本当にこのやり方でいいの?やっぱり型の稽古とかの方がいいと思うのだけれど...」
小鈴「ううん、徒町は要領が悪いから、そのやり方だといつまで経っても強くなれないよ...」
もっと強くならなければ。ランサーやアーチャーと戦っても負けないくらい、強く――
梢「小鈴さん、近道ばかり考えてはだめよ。結果だけを求めていると本当の目的を見失ってしまうわ」
小鈴「本当の...目的?」
134: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:15:17 ID:???00
梢「小鈴さんの目的は生き残ること。最低限自分の身は自分で守れるようになることでしょう?」
梢「強くなることはその結果にすぎないわ」
小鈴「あ...」
そうだ、徒町は強くなりたかったんじゃない。
バーサーカーが全力で戦えるように、守ってもらわなくても大丈夫なようになりたかったんだ。
小鈴「ごめん、なんか徒町熱くなっちゃってたみたい...」
梢「謝ることはないわ。私だって武の修練をしているときは、つい本来の目的を忘れて強さを求めてしまうことがあったから」
小鈴「強くなるためにやってたんじゃなかったの?」
梢「ええ、私の場合は『自分を律すること』が目的だったわね」
梢「強くなることはその結果にすぎないわ」
小鈴「あ...」
そうだ、徒町は強くなりたかったんじゃない。
バーサーカーが全力で戦えるように、守ってもらわなくても大丈夫なようになりたかったんだ。
小鈴「ごめん、なんか徒町熱くなっちゃってたみたい...」
梢「謝ることはないわ。私だって武の修練をしているときは、つい本来の目的を忘れて強さを求めてしまうことがあったから」
小鈴「強くなるためにやってたんじゃなかったの?」
梢「ええ、私の場合は『自分を律すること』が目的だったわね」
135: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:18:32 ID:???00
梢「武道というのは得てして自分に向き合うためのものなの」
梢「試合をする時でさえ、戦いの中で自分を見つめ、心を整える。勝敗というのは、それの結果としてついてくるものなのよ」
バーサーカーはそう言うとゆっくり目を閉じた。
きっとバーサーカーにも似たような経験があったのだろう。
願いのためにひたすらに突き進み、目的を忘れそうになるたびに自分と向き合ってきたのだ。
再び開いた瞳は、今までよりも心なしかスッキリとして穏やかだった。
梢「とはいえ、実戦形式の特訓も決して悪い案ではないわ。ただそれだけをやっているのでは駄目だということよ」
梢「さっきので小鈴さんの課題は色々と見えてきた。まずは体力、そして筋力。これらを鍛えるためのトレーニングも並行してやっていくわ!」
小鈴「はい!わかりました師匠!」
梢(師匠!なんていい響きなのかしら!)
梢「試合をする時でさえ、戦いの中で自分を見つめ、心を整える。勝敗というのは、それの結果としてついてくるものなのよ」
バーサーカーはそう言うとゆっくり目を閉じた。
きっとバーサーカーにも似たような経験があったのだろう。
願いのためにひたすらに突き進み、目的を忘れそうになるたびに自分と向き合ってきたのだ。
再び開いた瞳は、今までよりも心なしかスッキリとして穏やかだった。
梢「とはいえ、実戦形式の特訓も決して悪い案ではないわ。ただそれだけをやっているのでは駄目だということよ」
梢「さっきので小鈴さんの課題は色々と見えてきた。まずは体力、そして筋力。これらを鍛えるためのトレーニングも並行してやっていくわ!」
小鈴「はい!わかりました師匠!」
梢(師匠!なんていい響きなのかしら!)
136: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:21:23 ID:???00
梢「小鈴さんは反射神経は悪くないけれど、それを生かせるだけの筋力がないと意味がないわ」
梢「頭では反応できても、体がその反応速度についていけていないの」
小鈴「なるほど...確かに目では見えてたのに避けきれなかった攻撃がいくつかありました」
梢「そうでしょう。本当に反射神経だけはいいのだけれど...小鈴さん百人一首でもやっていたの?」
小鈴「?いえ、正月に家族でやったくらいです。それも徒町はいつも最下位でしたけど...」アハハ
梢「そう...スポーツとかもやってないの?他にも反射神経を鍛えられそうなものとか」
小鈴「う~ん...徒町、基本どんなことをやっても上手くいかないので。やってることと言えば日課の徒町チャレンジくらいですね」
梢「かちまちチャレンジ?」
小鈴「はい!徒町は小さいころからホントにダメダメで、何ひとつまともに成功できたことがないんです」
小鈴「だから、こんな徒町にもせめて一つくらい自分に誇れるものが欲しくて、毎日いろいろなことにチャレンジをしているんです!」
梢「頭では反応できても、体がその反応速度についていけていないの」
小鈴「なるほど...確かに目では見えてたのに避けきれなかった攻撃がいくつかありました」
梢「そうでしょう。本当に反射神経だけはいいのだけれど...小鈴さん百人一首でもやっていたの?」
小鈴「?いえ、正月に家族でやったくらいです。それも徒町はいつも最下位でしたけど...」アハハ
梢「そう...スポーツとかもやってないの?他にも反射神経を鍛えられそうなものとか」
小鈴「う~ん...徒町、基本どんなことをやっても上手くいかないので。やってることと言えば日課の徒町チャレンジくらいですね」
梢「かちまちチャレンジ?」
小鈴「はい!徒町は小さいころからホントにダメダメで、何ひとつまともに成功できたことがないんです」
小鈴「だから、こんな徒町にもせめて一つくらい自分に誇れるものが欲しくて、毎日いろいろなことにチャレンジをしているんです!」
137: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:27:47 ID:???00
梢「そうなのね、例えばどんなチャレンジをしていたの?」
小鈴「蓮ノ湖横断チャレンジとか、学校で一番高い木のてっぺんに登るチャレンジとか」
梢「?」
小鈴「アイスバケツチャレンジとか、お風呂に何時間入っていられるかチャレンジとか、屋上の縁を全力ダッシュチャレンジとか...」
小鈴「まあ、全部失敗したんですけどね!あはは!」
梢「ま、待ってちょうだい!後半に関してはもやは何が成功になるの!?というか毎日そんな自殺行為をしていたの!?」
小鈴「大丈夫です!本当に危ない時はいつも『あ、これ死ぬな』ってわかるので!」
小鈴「蓮ノ湖横断チャレンジとか、学校で一番高い木のてっぺんに登るチャレンジとか」
梢「?」
小鈴「アイスバケツチャレンジとか、お風呂に何時間入っていられるかチャレンジとか、屋上の縁を全力ダッシュチャレンジとか...」
小鈴「まあ、全部失敗したんですけどね!あはは!」
梢「ま、待ってちょうだい!後半に関してはもやは何が成功になるの!?というか毎日そんな自殺行為をしていたの!?」
小鈴「大丈夫です!本当に危ない時はいつも『あ、これ死ぬな』ってわかるので!」
138: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:28:58 ID:???00
梢「そんなに死ぬと感じる機会が多いことが問題なのだけれど!?」
梢「もしかして小鈴さん、生存能力に関しては鍛える必要はないのでは...?」
小鈴「そんなことないです!死なないだけでいつも死にかけてるので、保健室の先生に『またか...』って顔されてます!」
梢「...」
梢(マスターは自分と似た性質のサーヴァントを召喚すると言われているけど、もしかして私も周りからこれくらいの狂人と思われていたのかしら...心配になってきたわ...)
梢「まあ、その...どっちにしろ体力と筋力はつけておいたほうが良さそうね...今後のためにも...」
小鈴「はい!ご指導よろしくお願いします師匠!」
――――――
梢「もしかして小鈴さん、生存能力に関しては鍛える必要はないのでは...?」
小鈴「そんなことないです!死なないだけでいつも死にかけてるので、保健室の先生に『またか...』って顔されてます!」
梢「...」
梢(マスターは自分と似た性質のサーヴァントを召喚すると言われているけど、もしかして私も周りからこれくらいの狂人と思われていたのかしら...心配になってきたわ...)
梢「まあ、その...どっちにしろ体力と筋力はつけておいたほうが良さそうね...今後のためにも...」
小鈴「はい!ご指導よろしくお願いします師匠!」
――――――
139: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:30:03 ID:???00
その後バーサーカー特別メニューの筋トレや、敵と対峙するときの構えや姿勢の勉強。
そして再び実戦形式の訓練をこなし、いつの間にか時間は午後5時を過ぎていた。
花帆先輩から準備はできてると連絡があったので、一度風呂に入ってから花帆先輩の部屋に向かった。
花帆「お疲れ様小鈴ちゃん!バーサーカーとの特訓はどうだった?」
小鈴「ボコボコにされてきました!」
花帆「そっか。バーサーカーが間違って小鈴ちゃんの頭潰しちゃったときはすぐに連れてきてね!生きてるうちなら直せるから!」
梢「流石にそんなことしないわ!」
花帆「さて!疲れてると思うけど、あたしの方からも魔術の特訓始めちゃうよ」
小鈴「よろしくお願いします!」
そして再び実戦形式の訓練をこなし、いつの間にか時間は午後5時を過ぎていた。
花帆先輩から準備はできてると連絡があったので、一度風呂に入ってから花帆先輩の部屋に向かった。
花帆「お疲れ様小鈴ちゃん!バーサーカーとの特訓はどうだった?」
小鈴「ボコボコにされてきました!」
花帆「そっか。バーサーカーが間違って小鈴ちゃんの頭潰しちゃったときはすぐに連れてきてね!生きてるうちなら直せるから!」
梢「流石にそんなことしないわ!」
花帆「さて!疲れてると思うけど、あたしの方からも魔術の特訓始めちゃうよ」
小鈴「よろしくお願いします!」
140: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:31:13 ID:???00
花帆「といっても、まずは小鈴ちゃんの魔術属性を調べるところからだね」
花帆「本当は昨日やるつもりだったんだけど、いろいろあってできなかったから」
小鈴「でも徒町、まだ自分で魔術かいろ?開けませんけど、それでも調べられるんですか?」
花帆「ううん、魔術回路が開いてないとできないかな。小鈴ちゃんが自分で開けないならあたしが開くよ」
小鈴「ま、またあんな状態になるんですか...」
花帆「大丈夫!一度ちゃんと開いてるから、今度はそこまで辛くはならないと思うよ」
小鈴「わかりました、そっちに関してはお任せします。それで魔術属性って何ですか?」
花帆「魔術師がどういう魔術が得意かを決定する要素かな。性格診断みたいなものだと思って!」
小鈴「なるほど...」
花帆「本当は昨日やるつもりだったんだけど、いろいろあってできなかったから」
小鈴「でも徒町、まだ自分で魔術かいろ?開けませんけど、それでも調べられるんですか?」
花帆「ううん、魔術回路が開いてないとできないかな。小鈴ちゃんが自分で開けないならあたしが開くよ」
小鈴「ま、またあんな状態になるんですか...」
花帆「大丈夫!一度ちゃんと開いてるから、今度はそこまで辛くはならないと思うよ」
小鈴「わかりました、そっちに関してはお任せします。それで魔術属性って何ですか?」
花帆「魔術師がどういう魔術が得意かを決定する要素かな。性格診断みたいなものだと思って!」
小鈴「なるほど...」
141: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:33:06 ID:???00
花帆「主な属性は地・水・火・風・空の『五大元素』って言われるものだね」
花帆「今日はそれを調べられる道具を準備したからさっそく始めようか!」
机の上には何やら怪しげな道具や置物みたいなものがいくつか置いてあった。
これで属性というものを調べるらしい。
魔術回路を開くのにまた花を食べるのかと覚悟したが、今度は花帆先輩が背中に触れただけで開いた感覚があった。
小鈴「なんか前より全然辛くないです」
花帆「この間は無理やりだったからね。生命力の魔力への変換を魔術回路が調整できなかったんだと思う」
花帆「さて、それじゃあ診断を始めるから言うとおりにしててね!」
――――――
花帆「今日はそれを調べられる道具を準備したからさっそく始めようか!」
机の上には何やら怪しげな道具や置物みたいなものがいくつか置いてあった。
これで属性というものを調べるらしい。
魔術回路を開くのにまた花を食べるのかと覚悟したが、今度は花帆先輩が背中に触れただけで開いた感覚があった。
小鈴「なんか前より全然辛くないです」
花帆「この間は無理やりだったからね。生命力の魔力への変換を魔術回路が調整できなかったんだと思う」
花帆「さて、それじゃあ診断を始めるから言うとおりにしててね!」
――――――
142: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:34:51 ID:???00
花帆「ふむふむ、小鈴ちゃんの属性は『火』の単属性だね」
小鈴「火!なんだかカッコいい感じがします!」
花帆「そうだね!魔力を炎に変換したり、炎を操る魔術に適性がある属性だよ」
花帆「一応、五大元素の中では『ノーマル』って言われる一番ポピュラーな属性かな」
小鈴「珍しくはないんですね...」シュン
花帆「そんな落ち込まないで!一般的ってことは一番使いやすい属性でもあるから!」
小鈴「ちなみに花帆先輩の属性は何ですか?」
花帆「ん?あたしは『花』だよ!フラワー!」🌸
小鈴(何となくそうだと思いました...)
小鈴「火!なんだかカッコいい感じがします!」
花帆「そうだね!魔力を炎に変換したり、炎を操る魔術に適性がある属性だよ」
花帆「一応、五大元素の中では『ノーマル』って言われる一番ポピュラーな属性かな」
小鈴「珍しくはないんですね...」シュン
花帆「そんな落ち込まないで!一般的ってことは一番使いやすい属性でもあるから!」
小鈴「ちなみに花帆先輩の属性は何ですか?」
花帆「ん?あたしは『花』だよ!フラワー!」🌸
小鈴(何となくそうだと思いました...)
143: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:36:54 ID:???00
小鈴「でも徒町、てっきり水だと思ってました。うち漁師一家だったので」
花帆「そうなんだ、漁師さんってかっこいいよね!でも火の属性は水とは相性が良くないかな...小鈴ちゃん海で怪我とかしたことない?」
小鈴「あ...一度溺れて死にかけたことがあります」
花帆「大変!助かってよかったね!」
小鈴「はい...本当に......」
花帆「それでね、小鈴ちゃんにはまず基礎的な魔術である『強化』を習得してもらおうと思うんだ!」
小鈴「強化ですか。前に少し聞いたような...確か体とか物の性能を上げる魔術でしたよね?」
花帆「そう!ちゃんと覚えてて偉いね!小鈴ちゃんにやってほしいのは体の強化の方だよ」
花帆「純粋に身体能力とか体の頑丈さが上がるから、バーサーカーとの特訓にも生かせると思うんだ!」
小鈴「わかりました!がんばります!」
花帆「そうなんだ、漁師さんってかっこいいよね!でも火の属性は水とは相性が良くないかな...小鈴ちゃん海で怪我とかしたことない?」
小鈴「あ...一度溺れて死にかけたことがあります」
花帆「大変!助かってよかったね!」
小鈴「はい...本当に......」
花帆「それでね、小鈴ちゃんにはまず基礎的な魔術である『強化』を習得してもらおうと思うんだ!」
小鈴「強化ですか。前に少し聞いたような...確か体とか物の性能を上げる魔術でしたよね?」
花帆「そう!ちゃんと覚えてて偉いね!小鈴ちゃんにやってほしいのは体の強化の方だよ」
花帆「純粋に身体能力とか体の頑丈さが上がるから、バーサーカーとの特訓にも生かせると思うんだ!」
小鈴「わかりました!がんばります!」
144: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:38:40 ID:???00
花帆「火の属性は強化と相性がいいから簡単にできるようになると思うよ!」
花帆「じゃあまずは目をつぶって、自分の魔術回路の位置を探してみて」
言われたとおりに目をつぶり、自分の体の中に意識を集中する。
魔術回路の場所ならわかっている。
前回も今回も、回路を開かれた時には背中に痛みを感じた。
まるで背骨に針金を入れられているような不快感がある。
小鈴「背骨の中に...1本の管が入っているような」
花帆「うんそれが魔術回路だね。気持ち悪いと思うけど我慢して」
花帆「魔術回路は人体にとって異物だから、どんな優れた魔術師でもその痛みから逃れられないの」
小鈴「大丈夫です。我慢は得意なので!」
花帆「じゃあまずは目をつぶって、自分の魔術回路の位置を探してみて」
言われたとおりに目をつぶり、自分の体の中に意識を集中する。
魔術回路の場所ならわかっている。
前回も今回も、回路を開かれた時には背中に痛みを感じた。
まるで背骨に針金を入れられているような不快感がある。
小鈴「背骨の中に...1本の管が入っているような」
花帆「うんそれが魔術回路だね。気持ち悪いと思うけど我慢して」
花帆「魔術回路は人体にとって異物だから、どんな優れた魔術師でもその痛みから逃れられないの」
小鈴「大丈夫です。我慢は得意なので!」
145: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:40:16 ID:???00
花帆「そしたらその魔術回路から、魔力が血液に乗って体を循環するイメージをしてみて」
小鈴「魔力を...循環」
再び体の中に意識を集中させる。
生物の教科書で見た人体の血管の構造図を思い出し、それを自分の体に当てはめる。
動脈、静脈、毛細血管、つなぎ合わせると地球二周分になるとも言われるそれを隅々までイメージする。
そして、脊髄から伸びた血管を通して魔力を血液に乗せて全身に送り出す。
小鈴「...」
小鈴「......」
小鈴「.........」クラ
花帆「小鈴ちゃん!」ガシッ
小鈴「はあ、はあ...」
小鈴「魔力を...循環」
再び体の中に意識を集中させる。
生物の教科書で見た人体の血管の構造図を思い出し、それを自分の体に当てはめる。
動脈、静脈、毛細血管、つなぎ合わせると地球二周分になるとも言われるそれを隅々までイメージする。
そして、脊髄から伸びた血管を通して魔力を血液に乗せて全身に送り出す。
小鈴「...」
小鈴「......」
小鈴「.........」クラ
花帆「小鈴ちゃん!」ガシッ
小鈴「はあ、はあ...」
146: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:41:27 ID:???00
花帆「すごい熱。小鈴ちゃんいったん強化はやめて魔術回路を閉じて!」
小鈴「閉じる...スイッチ...」
ダメだ。いくら頑張っても回路を開閉するスイッチがイメージできない。
花帆「やっぱり自分じゃ閉じれないか...『フラワー🌸』!」
小鈴「あ。また花帆先輩にやってもらっちゃった」
花帆「ううん、いいんだよ。それより強化は上手くいった感じした?」
小鈴「いえ、血管のイメージまではできたんですけど。その後の魔力を流し込むのがうまくできなくて」
花帆「はじめてなら仕方ないよ!少し休んだらもう一回やってみよう!」
その後、徒町の体力が尽きるまで7回試してみたが、結局一度も成功はしなかった。
小鈴「閉じる...スイッチ...」
ダメだ。いくら頑張っても回路を開閉するスイッチがイメージできない。
花帆「やっぱり自分じゃ閉じれないか...『フラワー🌸』!」
小鈴「あ。また花帆先輩にやってもらっちゃった」
花帆「ううん、いいんだよ。それより強化は上手くいった感じした?」
小鈴「いえ、血管のイメージまではできたんですけど。その後の魔力を流し込むのがうまくできなくて」
花帆「はじめてなら仕方ないよ!少し休んだらもう一回やってみよう!」
その後、徒町の体力が尽きるまで7回試してみたが、結局一度も成功はしなかった。
147: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:44:20 ID:???00
花帆「今日はこの辺りで終わりにしよっか。小鈴ちゃんの課題はまず自分で魔術回路を開閉できるようになること」
花帆「そしてその後、身体の強化をできるようになることだね」
小鈴「はい!...その、花帆先輩が言っていた『スイッチ』っていうのがまだ全然わからなくて...」
花帆「そればっかりは小鈴ちゃんの中にあるイメージの話だから、あたしからアドバイスはしづらいんだよね。なんかこう、自分を切り替えるというか、別のモードになるというか...」
花帆「これからすごいことやるぞ!って感じ。そうだ、吟子ちゃんはどんなことイメージしてるの?」
吟子「へ!?私?」
キャスターは完全に油断していたのか、急に名前を呼ばれてまん丸な目をさらに大きく見開いていた。
吟子「私は体の中に針で糸を通すイメージだけど...」
吟子「というか他人のイメージに引っ張られると、かえって自分だけのスイッチが見つけづらくなるよ」
花帆「そしてその後、身体の強化をできるようになることだね」
小鈴「はい!...その、花帆先輩が言っていた『スイッチ』っていうのがまだ全然わからなくて...」
花帆「そればっかりは小鈴ちゃんの中にあるイメージの話だから、あたしからアドバイスはしづらいんだよね。なんかこう、自分を切り替えるというか、別のモードになるというか...」
花帆「これからすごいことやるぞ!って感じ。そうだ、吟子ちゃんはどんなことイメージしてるの?」
吟子「へ!?私?」
キャスターは完全に油断していたのか、急に名前を呼ばれてまん丸な目をさらに大きく見開いていた。
吟子「私は体の中に針で糸を通すイメージだけど...」
吟子「というか他人のイメージに引っ張られると、かえって自分だけのスイッチが見つけづらくなるよ」
148: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:48:04 ID:???00
吟子「たとえば小鈴の中で“戦い”のイメージって何?」
小鈴「戦い...」
『いいかこすず、――を――ってことは、相手を――』
一瞬、幼い頃に聞いたおじいちゃんの言葉を思い出したきがした。
小鈴「わからないです」
吟子「ま、そのうちわかるでしょ」
そんなこんなでその日はお開きになった。
お礼を言って花帆先輩の部屋を出る。
自分の部屋に戻ると今日一日の疲れがどっと押し寄せ気絶するようにベットに倒れこんだ。
明日は日曜日、今日教わったことが少しでもできるようになればいいな...
そうして徒町は一瞬で深い眠りへと落ちていった。
――――――
小鈴「戦い...」
『いいかこすず、――を――ってことは、相手を――』
一瞬、幼い頃に聞いたおじいちゃんの言葉を思い出したきがした。
小鈴「わからないです」
吟子「ま、そのうちわかるでしょ」
そんなこんなでその日はお開きになった。
お礼を言って花帆先輩の部屋を出る。
自分の部屋に戻ると今日一日の疲れがどっと押し寄せ気絶するようにベットに倒れこんだ。
明日は日曜日、今日教わったことが少しでもできるようになればいいな...
そうして徒町は一瞬で深い眠りへと落ちていった。
――――――
149: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:51:26 ID:???00
[ Interlude in ]
沙知「...戻ったか、ライダー。それで、マスターたちの様子は?」
ライダー「はい。徒町小鈴は昼間はバーサーカーから戦闘の手解きを受けていました。夜は同盟相手の日野下花帆と魔術の訓練をしていたようです」
沙知「彼女らしい地道な努力だねぃ」
ライダー「日野下花帆は徒町小鈴と合流するまでは学校を回って折り紙を設置しているようでした」
ライダー「微弱な魔力を感じたので何らかの魔術効果を持ったものだと思いますが、どのような効果かまではわかりません」
沙知「ほうほう、ランサー陣営はどうだった?」
ライダー「藤島慈、安養寺姫芽、ランサーの3人で...その、遊んでいました...」
沙知「は?」
ライダー「安養寺姫芽の部屋に集まり、トランプをしたり、お菓子を食べながら藤島慈の武勇伝について語っていたり...」
沙知「...戻ったか、ライダー。それで、マスターたちの様子は?」
ライダー「はい。徒町小鈴は昼間はバーサーカーから戦闘の手解きを受けていました。夜は同盟相手の日野下花帆と魔術の訓練をしていたようです」
沙知「彼女らしい地道な努力だねぃ」
ライダー「日野下花帆は徒町小鈴と合流するまでは学校を回って折り紙を設置しているようでした」
ライダー「微弱な魔力を感じたので何らかの魔術効果を持ったものだと思いますが、どのような効果かまではわかりません」
沙知「ほうほう、ランサー陣営はどうだった?」
ライダー「藤島慈、安養寺姫芽、ランサーの3人で...その、遊んでいました...」
沙知「は?」
ライダー「安養寺姫芽の部屋に集まり、トランプをしたり、お菓子を食べながら藤島慈の武勇伝について語っていたり...」
150: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:53:24 ID:???00
沙知「私の話をちゃんと聞いてたんだろうな...もういい、アーチャーの方はどうだった?」
ライダー「それなのですが、2人とも夕霧綴理の部屋に籠ったきり出てこず」
ライダー「部屋にも強力な結界が張られていて中の様子は確認できませんでした」
沙知「そうか、あれだけ強力なサーヴァントを召喚したんだ。もっと積極的に動くと思ったんだが、意外と慎重な性格らしいな」
ライダー「昨夜もバーサーカーが手負いの時を狙って現れましたし、安全かつ確実な勝利を狙っているのでしょう」
ライダー「それで、主様のほうは」
ライダー「それなのですが、2人とも夕霧綴理の部屋に籠ったきり出てこず」
ライダー「部屋にも強力な結界が張られていて中の様子は確認できませんでした」
沙知「そうか、あれだけ強力なサーヴァントを召喚したんだ。もっと積極的に動くと思ったんだが、意外と慎重な性格らしいな」
ライダー「昨夜もバーサーカーが手負いの時を狙って現れましたし、安全かつ確実な勝利を狙っているのでしょう」
ライダー「それで、主様のほうは」
151: 名無しで叶える物語◆Nm4W0gub★ 2025/02/04(火) 21:55:26 ID:???00
沙知「ああ、いろいろ資料を引っ張り出しているよ」
沙知「だか不思議なことに、聖杯戦争の参加者についての記録だけ不自然に記述が抜けている」
ライダー「参加者を隠していると?ですが何のために」
沙知「さあね、まさかプライバシーを守るためじゃないだろう」
沙知「何者かが意図的に情報を隠しているんだろうね」
沙知「私の方も調査を継続するから、ライダーも引き続きよろしく頼む。くれぐれも感づかれないようにな」
ライダー「承知しました」
[ Interlude out ]
――――――
沙知「だか不思議なことに、聖杯戦争の参加者についての記録だけ不自然に記述が抜けている」
ライダー「参加者を隠していると?ですが何のために」
沙知「さあね、まさかプライバシーを守るためじゃないだろう」
沙知「何者かが意図的に情報を隠しているんだろうね」
沙知「私の方も調査を継続するから、ライダーも引き続きよろしく頼む。くれぐれも感づかれないようにな」
ライダー「承知しました」
[ Interlude out ]
――――――
162: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 20:56:48 ID:???00
【2月5日】
また、夢を見た。
少女はリアリストだった。
奇跡を望まず、神に頼らず。
求める結果は自分の努力の先にしかないと理解していた。
姉が怪我をしてスケートを引退した後は、より一層努力し、姉の分まで頑張ろうと練習を続けた。
しかし――少女はリアリストだった。
少女は気が付いてしまったのだ。
自分では姉の代わりにはなれない、望んだ結果も得られないと。
また、夢を見た。
少女はリアリストだった。
奇跡を望まず、神に頼らず。
求める結果は自分の努力の先にしかないと理解していた。
姉が怪我をしてスケートを引退した後は、より一層努力し、姉の分まで頑張ろうと練習を続けた。
しかし――少女はリアリストだった。
少女は気が付いてしまったのだ。
自分では姉の代わりにはなれない、望んだ結果も得られないと。
163: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 20:58:24 ID:???00
だからつい、出来心で星に願ってしまった。
数週間前からニュースで報じられていた彗星の接近。
ほうき星は青と赤、黄色の綺麗な光の尾を伸ばし、空を飛んでいた。
少女は目を閉じ、星に祈る。
わたしに足りないものを、手に入れられますように――
だが、その願いは叶うことはなかった。
少女が再び目を開けた時、目に見えたのは地上に落下する願い星の姿だった。
――――――
数週間前からニュースで報じられていた彗星の接近。
ほうき星は青と赤、黄色の綺麗な光の尾を伸ばし、空を飛んでいた。
少女は目を閉じ、星に祈る。
わたしに足りないものを、手に入れられますように――
だが、その願いは叶うことはなかった。
少女が再び目を開けた時、目に見えたのは地上に落下する願い星の姿だった。
――――――
164: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:04:08 ID:???00
日曜日。
陽ざしを瞼に受け、朝の訪れを感じる。
昨日はぐっすり寝たから体の調子が――
小鈴「!?!?」
身体が動かない、上半身を起こせないどころか腕も足もまるで石のように固まっている。
それどころか、
小鈴(い、痛い痛い痛い痛い痛い!なにこれ、全身が痛い!)
小鈴(体中の筋肉をナイフで切り刻まれたみたいな...まさかサーヴァントの攻撃――いや、これは)
小鈴「筋肉痛だーーーー!!!」
陽ざしを瞼に受け、朝の訪れを感じる。
昨日はぐっすり寝たから体の調子が――
小鈴「!?!?」
身体が動かない、上半身を起こせないどころか腕も足もまるで石のように固まっている。
それどころか、
小鈴(い、痛い痛い痛い痛い痛い!なにこれ、全身が痛い!)
小鈴(体中の筋肉をナイフで切り刻まれたみたいな...まさかサーヴァントの攻撃――いや、これは)
小鈴「筋肉痛だーーーー!!!」
165: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:05:48 ID:???00
今日もバーサーカーに特訓をしてもらった後、花帆先輩と強化の練習をする予定だ。
梢「はっ!はっ!そうよ、左右に揺さぶるように動きなさい!」ブン!ブン!
小鈴「右...左...右、右、左...!」バッ!バッ!
斜め後ろに飛びのきながらバーサーカーの拳から逃げる。
昨日の今日だったからか、殺気を受け流す訓練は1時間で終わって、体力があるうちに一度稽古をつけてもらうことになった。
梢「少しスピードを上げるわよ!」シュッ!シュッ!
小鈴「左、左、右...うわ!」ドシン!
梢「はっ!」
ゴツン!
小鈴「痛っ!はあ...はあ...」
梢「集中すると周りが見えなくなるわね」
足元を見ると木の根が地面から飛び出ている。どうやらこれに躓いたらしい。
梢「はっ!はっ!そうよ、左右に揺さぶるように動きなさい!」ブン!ブン!
小鈴「右...左...右、右、左...!」バッ!バッ!
斜め後ろに飛びのきながらバーサーカーの拳から逃げる。
昨日の今日だったからか、殺気を受け流す訓練は1時間で終わって、体力があるうちに一度稽古をつけてもらうことになった。
梢「少しスピードを上げるわよ!」シュッ!シュッ!
小鈴「左、左、右...うわ!」ドシン!
梢「はっ!」
ゴツン!
小鈴「痛っ!はあ...はあ...」
梢「集中すると周りが見えなくなるわね」
足元を見ると木の根が地面から飛び出ている。どうやらこれに躓いたらしい。
166: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:07:48 ID:???00
小鈴「そうは言っても、相手を見ながら避けてるんだから後ろに何があるかなんてわからないよ」
梢「そうね、だからここに来た段階で確認するのよ。どこに木が生えていて、地面の状態はどうなっているか」
梢「頭の中に地図を作って、常に自分が地図のどこにいるのかを把握しながら動くの」
小鈴「そんなこと...」
梢「できなければ死ぬだけよ。自分で自分の身を守れるようになりたいんでしょ?だったら休憩している暇はないわ!」
バーサーカーが構える。
待ってほしい、こっちは全身筋肉痛で無理やり体を動かしているんだ。
さすがに休憩しないと午後がもたない!何か話題をだして時間を稼がないと...
梢「そうね、だからここに来た段階で確認するのよ。どこに木が生えていて、地面の状態はどうなっているか」
梢「頭の中に地図を作って、常に自分が地図のどこにいるのかを把握しながら動くの」
小鈴「そんなこと...」
梢「できなければ死ぬだけよ。自分で自分の身を守れるようになりたいんでしょ?だったら休憩している暇はないわ!」
バーサーカーが構える。
待ってほしい、こっちは全身筋肉痛で無理やり体を動かしているんだ。
さすがに休憩しないと午後がもたない!何か話題をだして時間を稼がないと...
167: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:10:30 ID:???00
小鈴「そ、そういえば!バーサーカーって戦う時、いつも最初に頭を狙うよね!何かこだわりとかあるの?」
梢「え?こだわりというか、それが一番効率的だからよ」
小鈴「効率的...」
梢「だって最初の一発で仕留められれば、反撃されてこちらが怪我をすることもないでしょう?」
梢「人間というのは心臓が止まっても10秒くらいは意識があるわ」
梢「優れた武闘家ならその10秒のうちに相手に反撃し、相打ちに持ち込むことだってできる」
梢「対して脳は全身を動かすための司令塔。ここを潰せばどんな屈強な相手だろうとイチ殺よ。一撃必勝ってことね」
小鈴「一撃必勝...つまり『ちぇすと!』ってことだね!」
梢「チェスト?」
梢(たしか、『胸』って意味の英語よね?)
小鈴「小さいころおじいちゃんがよく言ってて、徒町にも教えてくれたんだ!確か――」
――――――
梢「え?こだわりというか、それが一番効率的だからよ」
小鈴「効率的...」
梢「だって最初の一発で仕留められれば、反撃されてこちらが怪我をすることもないでしょう?」
梢「人間というのは心臓が止まっても10秒くらいは意識があるわ」
梢「優れた武闘家ならその10秒のうちに相手に反撃し、相打ちに持ち込むことだってできる」
梢「対して脳は全身を動かすための司令塔。ここを潰せばどんな屈強な相手だろうとイチ殺よ。一撃必勝ってことね」
小鈴「一撃必勝...つまり『ちぇすと!』ってことだね!」
梢「チェスト?」
梢(たしか、『胸』って意味の英語よね?)
小鈴「小さいころおじいちゃんがよく言ってて、徒町にも教えてくれたんだ!確か――」
――――――
168: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:13:49 ID:???00
7年前
祖父「チェストー!チェーストー!」ブン!ブン!
小鈴「ふあ~おじいちゃん、おはよう」
祖父「おう!おはよう、こすず!」
小鈴「なにやってるの?」
祖父「見ての通り竹刀を振ってるんだ。チェストー!」ブン!
小鈴「おじいちゃんいつも『ちぇすと!』って言ってるよね。どうして?」
祖父「ああ、こすずには言ってなかったな。じいちゃんのご先祖様は薩摩のお侍さんだったんだ」
小鈴「さつま?」
祖父「今で言うと鹿児島の方だな。チェストっていうのはそっちの方の訛りみたいなもんだ」
祖父「薩摩の武士は刀を振るう時に『チェストー!』って叫びながら振ってたんだってよ」
祖父「小さい頃はよく親父に木刀握らされて、無理やり立木打ちさせられたもんだ」
小鈴「へー」
祖父「その頃からの癖で、気合入れるときはチェストーって叫ぶようになっちまったんだ!」
小鈴「そうだったんだ~」
祖父「チェストー!チェーストー!」ブン!ブン!
小鈴「ふあ~おじいちゃん、おはよう」
祖父「おう!おはよう、こすず!」
小鈴「なにやってるの?」
祖父「見ての通り竹刀を振ってるんだ。チェストー!」ブン!
小鈴「おじいちゃんいつも『ちぇすと!』って言ってるよね。どうして?」
祖父「ああ、こすずには言ってなかったな。じいちゃんのご先祖様は薩摩のお侍さんだったんだ」
小鈴「さつま?」
祖父「今で言うと鹿児島の方だな。チェストっていうのはそっちの方の訛りみたいなもんだ」
祖父「薩摩の武士は刀を振るう時に『チェストー!』って叫びながら振ってたんだってよ」
祖父「小さい頃はよく親父に木刀握らされて、無理やり立木打ちさせられたもんだ」
小鈴「へー」
祖父「その頃からの癖で、気合入れるときはチェストーって叫ぶようになっちまったんだ!」
小鈴「そうだったんだ~」
169: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:16:05 ID:???00
小鈴「ねえ!あたしもそれやってみたい!」
祖父「お、素振りをか?よしじゃあ竹刀を持ってみろ、重いから気を付けてな」
小鈴「うわっ、お、重い!」
祖父「薩摩武士の剣技は示現流って言ってな」
祖父「『一の太刀を疑わず、二の太刀要らず』の教えの通り先手必勝、一撃必殺の剣なんだ。」
小鈴「?よくわからないけど、かっこいいね!」
祖父「そうだろう!じゃあ竹刀を頭の上にまっすぐ掲げてみろ」
小鈴「おいしょ!わ、わわわ...」ヨロッ
祖父「おっと!竹刀支えててやるからな。そのまま全力で振り下ろせ!」
小鈴「うん...ちぇすと~~」
祖父「わっはっはっは!こすず!ヘロヘロじゃねーか!」
小鈴「だって重いんだもん!」
祖父「お、素振りをか?よしじゃあ竹刀を持ってみろ、重いから気を付けてな」
小鈴「うわっ、お、重い!」
祖父「薩摩武士の剣技は示現流って言ってな」
祖父「『一の太刀を疑わず、二の太刀要らず』の教えの通り先手必勝、一撃必殺の剣なんだ。」
小鈴「?よくわからないけど、かっこいいね!」
祖父「そうだろう!じゃあ竹刀を頭の上にまっすぐ掲げてみろ」
小鈴「おいしょ!わ、わわわ...」ヨロッ
祖父「おっと!竹刀支えててやるからな。そのまま全力で振り下ろせ!」
小鈴「うん...ちぇすと~~」
祖父「わっはっはっは!こすず!ヘロヘロじゃねーか!」
小鈴「だって重いんだもん!」
170: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:17:40 ID:???00
祖父「こすずは気合が足りないんだ!」
祖父「地面まで切るつもりでもう一回振ってみろ」
小鈴「むん!ちぇすとー」ペッタン
祖父「まだ腰が入ってないなー」
祖父「ちょっと貸してみろ」
小鈴「うん」
祖父「ふう...」ググッ
祖父「――――チィェェストオオオオォーーーー!!!」ザンッ!!
小鈴「っ!」ビクッ
プシュー...
祖父「いいか、こすず、刀を抜くってことは、相手を必ず倒すってことだ」
祖父「『刀は抜くべからざるもの』なれば、抜いたからには一撃のもとに相手を切り伏せよ」
祖父「そういう信念を持って、薩摩の武士たちは刀を振ったんだ」
祖父「親父の受け売りだけどな!」
祖父「地面まで切るつもりでもう一回振ってみろ」
小鈴「むん!ちぇすとー」ペッタン
祖父「まだ腰が入ってないなー」
祖父「ちょっと貸してみろ」
小鈴「うん」
祖父「ふう...」ググッ
祖父「――――チィェェストオオオオォーーーー!!!」ザンッ!!
小鈴「っ!」ビクッ
プシュー...
祖父「いいか、こすず、刀を抜くってことは、相手を必ず倒すってことだ」
祖父「『刀は抜くべからざるもの』なれば、抜いたからには一撃のもとに相手を切り伏せよ」
祖父「そういう信念を持って、薩摩の武士たちは刀を振ったんだ」
祖父「親父の受け売りだけどな!」
171: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:19:41 ID:???00
小鈴「一撃で...」
祖父「そうだ、次なんて考えるな!一振りにありったけの力を込めろ!」
小鈴「わかった、やってみる!」
小鈴「ちぇすとーー!!」ブン
祖父「お!?いいぞこすず!その調子だ!」
小鈴「はあ、はあ、あたしできてた?」
祖父「さっきのはいい感じだったぞ!でもまだ全力じゃないな。もっと全身の筋肉を使って竹刀を振り下ろせ!」
小鈴「ちぇすとーー!!!」ブン!
祖父「もっと竹刀を高く掲げろ!」
小鈴「ちぇーすとーーー!!!」ブン!!
祖父「声が小さい!チェェストー!!!」
小鈴「ちぇーーーすとーーーーーー!!!」スポン!
祖父「そうだ、次なんて考えるな!一振りにありったけの力を込めろ!」
小鈴「わかった、やってみる!」
小鈴「ちぇすとーー!!」ブン
祖父「お!?いいぞこすず!その調子だ!」
小鈴「はあ、はあ、あたしできてた?」
祖父「さっきのはいい感じだったぞ!でもまだ全力じゃないな。もっと全身の筋肉を使って竹刀を振り下ろせ!」
小鈴「ちぇすとーー!!!」ブン!
祖父「もっと竹刀を高く掲げろ!」
小鈴「ちぇーすとーーー!!!」ブン!!
祖父「声が小さい!チェェストー!!!」
小鈴「ちぇーーーすとーーーーーー!!!」スポン!
172: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:20:45 ID:???00
母「うるさいわよ!ご近所さんに変な家だと思われげぼぉ!!」グサッ
小鈴「あ」
祖父「あ」
母「あ、あんたらああぁぁぁーーー!!!!!!!!!!」💢
祖父「ひぃ!こ、こすず、あれだ!あれくらいの気迫で剣を振るんだ!」ガクガク
小鈴「お、おじいちゃん!それどころじゃないよ!お母さん鬼みたいな顔してこっち来てるよ!」ガクガク
母「まず先に言うことがあるでしょう!?」ズンズン
「「ごめんなさい!!!」」
――――――
小鈴「あ」
祖父「あ」
母「あ、あんたらああぁぁぁーーー!!!!!!!!!!」💢
祖父「ひぃ!こ、こすず、あれだ!あれくらいの気迫で剣を振るんだ!」ガクガク
小鈴「お、おじいちゃん!それどころじゃないよ!お母さん鬼みたいな顔してこっち来てるよ!」ガクガク
母「まず先に言うことがあるでしょう!?」ズンズン
「「ごめんなさい!!!」」
――――――
173: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:23:58 ID:???00
梢「うふふ、素敵な家族ね。私の家はそんな風に騒がしくなかったから羨ましいわ」
小鈴「それから2年くらいおじいちゃんと一緒に竹刀振ってたなあ」
小鈴「徒町が10歳の時におじいちゃん死んじゃって、それ以降はやらなくなったんだけど...」
梢「そう...でも『刀を抜いたからには一撃のもとに相手を切り伏せよ』、勇ましい教えよね」
梢「私も最近一撃目を防がれてばかりだから、改めて気合を入れなおさないといけないわ」
そういうとバーサーカーは湖の方を向き直り、腰を落として構えをとる。
シーン...
梢(一の太刀を疑わず、二の太刀要らず――)
梢「はあっ!!!」ドン!
パタパタパタ!ピヨピヨ
小鈴「それから2年くらいおじいちゃんと一緒に竹刀振ってたなあ」
小鈴「徒町が10歳の時におじいちゃん死んじゃって、それ以降はやらなくなったんだけど...」
梢「そう...でも『刀を抜いたからには一撃のもとに相手を切り伏せよ』、勇ましい教えよね」
梢「私も最近一撃目を防がれてばかりだから、改めて気合を入れなおさないといけないわ」
そういうとバーサーカーは湖の方を向き直り、腰を落として構えをとる。
シーン...
梢(一の太刀を疑わず、二の太刀要らず――)
梢「はあっ!!!」ドン!
パタパタパタ!ピヨピヨ
174: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:25:34 ID:???00
バーサーカーは虚空に向かって正拳突きをした。
すると空気が揺れ、木にとまっていた鳥たちは一斉に飛び立ち、水面には波紋が広がった。
小鈴(すごい...太鼓を叩いたみたいに空気の振動がお腹に響いてきた。これがバーサーカーの全力...!)
梢「ふう、ありがとう小鈴さん。なんだか心が引き締まった気がしたわ」
小鈴「...」
梢「小鈴さん?」
小鈴「あ、ううん!何か迫力に圧倒されちゃて!」
小鈴(徒町ももっと頑張らないと!)
梢「こんなのに気圧されていたら本番で動けなくなるわよ。さ、休憩は終わり。今度は筋トレ!まずはスクワット50回3セットよ!」
小鈴「え、待って、スクワットは...スクワットだけはご勘弁を~!」
――――――
すると空気が揺れ、木にとまっていた鳥たちは一斉に飛び立ち、水面には波紋が広がった。
小鈴(すごい...太鼓を叩いたみたいに空気の振動がお腹に響いてきた。これがバーサーカーの全力...!)
梢「ふう、ありがとう小鈴さん。なんだか心が引き締まった気がしたわ」
小鈴「...」
梢「小鈴さん?」
小鈴「あ、ううん!何か迫力に圧倒されちゃて!」
小鈴(徒町ももっと頑張らないと!)
梢「こんなのに気圧されていたら本番で動けなくなるわよ。さ、休憩は終わり。今度は筋トレ!まずはスクワット50回3セットよ!」
小鈴「え、待って、スクワットは...スクワットだけはご勘弁を~!」
――――――
175: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:29:11 ID:???00
[ Interlude in ]
花帆「ふー、昨日と今日で大体の場所には折神置けたね!」
吟子「これでどこかでサーヴァントが戦ってたりしたらすぐにわかる」
2人は兎の折神を学校中のいたる所に設置して回り、今は自室で休憩中だ。
折神には魔力を探知すると起動し、キャスターに周囲の音を送るように術式が組んである。
武力で他のサーヴァントに劣るキャスターは、こうやって地道に情報収集をして勝ちの目を探すしかない。
花帆「小鈴ちゃんたちが来るまでもう少しかかりそうかな」
花帆「ね、もしよかったらなんだけど、吟子ちゃんのこと聞かせてくれない?」
吟子「私のこと?別にいいけど、何が聞きたいの?」
花帆「何色が好きかとか、食べ物は何が好きかとか、何をしてる時が楽しいとか!」
吟子「ふふ、なんそれ。そんなこと聞いて楽しいの?」
花帆「楽しいよ!あ、ちなみにあたしの好きな色は山吹色で、好きな食べ物は金沢カレー!好きな時間は読書をしてる時かな!」
吟子「結局自分のこと話してるし」
花帆「ふー、昨日と今日で大体の場所には折神置けたね!」
吟子「これでどこかでサーヴァントが戦ってたりしたらすぐにわかる」
2人は兎の折神を学校中のいたる所に設置して回り、今は自室で休憩中だ。
折神には魔力を探知すると起動し、キャスターに周囲の音を送るように術式が組んである。
武力で他のサーヴァントに劣るキャスターは、こうやって地道に情報収集をして勝ちの目を探すしかない。
花帆「小鈴ちゃんたちが来るまでもう少しかかりそうかな」
花帆「ね、もしよかったらなんだけど、吟子ちゃんのこと聞かせてくれない?」
吟子「私のこと?別にいいけど、何が聞きたいの?」
花帆「何色が好きかとか、食べ物は何が好きかとか、何をしてる時が楽しいとか!」
吟子「ふふ、なんそれ。そんなこと聞いて楽しいの?」
花帆「楽しいよ!あ、ちなみにあたしの好きな色は山吹色で、好きな食べ物は金沢カレー!好きな時間は読書をしてる時かな!」
吟子「結局自分のこと話してるし」
176: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:31:33 ID:???00
花帆「あたしは話したんだし、吟子ちゃんも教えてよ~」ズイ
吟子「う、話すから!あんま近寄らんで!」
花帆「えーいいじゃん!もっとくっついて話そうよ~」ピタッ
吟子「~~~///」
吟子「はあ...私の好きな色は水色かな、晴れた日の空みたいな澄んだ水色」
花帆「なんか吟子ちゃんぽいね!心が綺麗な感じ!」
吟子「あと好きな食べ物というか、飲み物は珈琲が好きだったかな」
花帆「あーー!ごめん、あたしの部屋コーヒー置いてないや...明日購買で買ってくるね!」
吟子「別に気つかわんでいいから!」
花帆「それで、何をしてる時が楽しいの?」
吟子「うーん加賀繍をしてる時かな」
吟子「う、話すから!あんま近寄らんで!」
花帆「えーいいじゃん!もっとくっついて話そうよ~」ピタッ
吟子「~~~///」
吟子「はあ...私の好きな色は水色かな、晴れた日の空みたいな澄んだ水色」
花帆「なんか吟子ちゃんぽいね!心が綺麗な感じ!」
吟子「あと好きな食べ物というか、飲み物は珈琲が好きだったかな」
花帆「あーー!ごめん、あたしの部屋コーヒー置いてないや...明日購買で買ってくるね!」
吟子「別に気つかわんでいいから!」
花帆「それで、何をしてる時が楽しいの?」
吟子「うーん加賀繍をしてる時かな」
177: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:34:17 ID:???00
吟子「私の家は陰陽道を起源とする魔術師の家系だったんだけど、表向きは加賀繍の工房をしてたの」
吟子「蓮ノ空に入学する前は、おばあちゃんに教わってそっちの手伝いもしてたんだ」
吟子「正直、魔術の勉強してる時よりもずっと楽しかった」
花帆「そうなんだ~!ねえ、今度あたしにも加賀繍教えて!あたし長野の出身だからあんまり知らないんだよね」
吟子「そうだったの?なら今度ゆっくり教えてあげる。加賀繍だけじゃなくて金沢にはいろんな伝統工芸があるんだから。きっとどれも好きになると思うよ」
花帆「やったー!ありがとう吟子ちゃん!」ギュッ
吟子「はいはい」ポンポン
花帆「そういえば今聞いてて気になったんだけど、吟子ちゃんの家って結構歴史古いの?」
花帆「陰陽道ってたしか平安時代とかの呪術だよね?」
吟子「うん。平安時代から天皇に仕えて政のために占いをしたりしてたの」
花帆「えー!すごいすごい!」
吟子「蓮ノ空に入学する前は、おばあちゃんに教わってそっちの手伝いもしてたんだ」
吟子「正直、魔術の勉強してる時よりもずっと楽しかった」
花帆「そうなんだ~!ねえ、今度あたしにも加賀繍教えて!あたし長野の出身だからあんまり知らないんだよね」
吟子「そうだったの?なら今度ゆっくり教えてあげる。加賀繍だけじゃなくて金沢にはいろんな伝統工芸があるんだから。きっとどれも好きになると思うよ」
花帆「やったー!ありがとう吟子ちゃん!」ギュッ
吟子「はいはい」ポンポン
花帆「そういえば今聞いてて気になったんだけど、吟子ちゃんの家って結構歴史古いの?」
花帆「陰陽道ってたしか平安時代とかの呪術だよね?」
吟子「うん。平安時代から天皇に仕えて政のために占いをしたりしてたの」
花帆「えー!すごいすごい!」
178: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:35:59 ID:???00
吟子「でも百生家が長い間、天皇に仕えていられたのはね。百生家の呪術師が特別な術を使えたからかな」
花帆「特別な術?」
吟子「『御霊移し』っていう呪術で、天皇が崩御する前に、その魂を次の天皇と交換するの」
吟子「そうすることで、やんごとなき魂を永遠にこの世に留めておくことができるんだ」
花帆「え...魂の、交換?それ交換された人の魂はどうなっちゃうの?」
吟子「前天皇の体に収まることになる。でも安心して、魂に記憶や人格の情報はないから、人格が入れ替わるなんてことはない」
花帆「じゃあ何のためにするの?」
吟子「さっき言ったでしょ。『やんごとなき魂を永遠にこの世に留めておく』って、本当にそれだけのこと」
吟子「当事者である天皇も、形式的な儀式としか思ってなかったのかもね」
花帆「特別な術?」
吟子「『御霊移し』っていう呪術で、天皇が崩御する前に、その魂を次の天皇と交換するの」
吟子「そうすることで、やんごとなき魂を永遠にこの世に留めておくことができるんだ」
花帆「え...魂の、交換?それ交換された人の魂はどうなっちゃうの?」
吟子「前天皇の体に収まることになる。でも安心して、魂に記憶や人格の情報はないから、人格が入れ替わるなんてことはない」
花帆「じゃあ何のためにするの?」
吟子「さっき言ったでしょ。『やんごとなき魂を永遠にこの世に留めておく』って、本当にそれだけのこと」
吟子「当事者である天皇も、形式的な儀式としか思ってなかったのかもね」
179: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:41:22 ID:???00
花帆「.......それ吟子ちゃんもできるの?」
吟子「今はサーヴァントになったおかげか、宝具で似たようなことはできるよ。でも生前はやったことはない」
吟子「私が生まれる3,40年くらい前に、その時の当主の『とわ』って人が、御霊移しの魔術刻印を持ったまま夜逃げしたんだって」
吟子「そのせいで百生家はお役目を果たせなくなって、今では衰退しちゃったの」
吟子「私の願いはそんな百生家を再興することなんだ」
花帆「そうだったんだ。ごめんね!なんか願いのことまで聞いちゃって」
吟子「別にいいよ。私が勝手に話しただけだし。それより、私は話したんだから花帆の願いも――」
コンコンコン!
小鈴『花帆先輩!徒町です!』
花帆「ごめん吟子ちゃん。あたしの話はまた今度話すね」
吟子「うん、わかった」
花帆「はーい!今開けるよー!」
[ Interlude out ]
吟子「今はサーヴァントになったおかげか、宝具で似たようなことはできるよ。でも生前はやったことはない」
吟子「私が生まれる3,40年くらい前に、その時の当主の『とわ』って人が、御霊移しの魔術刻印を持ったまま夜逃げしたんだって」
吟子「そのせいで百生家はお役目を果たせなくなって、今では衰退しちゃったの」
吟子「私の願いはそんな百生家を再興することなんだ」
花帆「そうだったんだ。ごめんね!なんか願いのことまで聞いちゃって」
吟子「別にいいよ。私が勝手に話しただけだし。それより、私は話したんだから花帆の願いも――」
コンコンコン!
小鈴『花帆先輩!徒町です!』
花帆「ごめん吟子ちゃん。あたしの話はまた今度話すね」
吟子「うん、わかった」
花帆「はーい!今開けるよー!」
[ Interlude out ]
180: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:45:09 ID:???00
花帆『昨日はいきなり全身をやろうとしちゃったから、今日はまず腕だけ強化するイメージでやってみて!』
花帆先輩に言われ、左腕に意識を集中させる。
全身の血管をイメージするのはとても大変だったが、片腕だけならより詳細にイメージできる。
小鈴(血液に魔力を混ぜて流し込む...)
...バチバチ⚡
小鈴「はっ!花帆先輩、なんか...なんか腕が熱くなった感じがします!」
花帆「小鈴ちゃん、この握力計にぎってみて!」
小鈴「ふん!」
握力計『43kg』
小鈴「え、徒町、入学したあと測った時は18kgしかなかったのに...」
花帆「やったよ小鈴ちゃん!強化成功だよ!」パチパチパチ
小鈴「やった...やったー!」
バンザーイ!バンザーイ!
花帆先輩に言われ、左腕に意識を集中させる。
全身の血管をイメージするのはとても大変だったが、片腕だけならより詳細にイメージできる。
小鈴(血液に魔力を混ぜて流し込む...)
...バチバチ⚡
小鈴「はっ!花帆先輩、なんか...なんか腕が熱くなった感じがします!」
花帆「小鈴ちゃん、この握力計にぎってみて!」
小鈴「ふん!」
握力計『43kg』
小鈴「え、徒町、入学したあと測った時は18kgしかなかったのに...」
花帆「やったよ小鈴ちゃん!強化成功だよ!」パチパチパチ
小鈴「やった...やったー!」
バンザーイ!バンザーイ!
181: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:47:52 ID:???00
吟子「はあ、身体の強化ができたくらいで大げさすぎ」
花帆「そういうこと言わないの吟子ちゃん!昨日は何回やってもできなかったのに、今回は4回目でできたんだよ!」
小鈴「ねえ、バーサーカーは握力どのくらいなの?徒町と比べっこしようよ!」
梢「私、それ苦手なのよね...生前の体力測定で壊してしまって...」
小鈴「え、まさか体力測定で魔術使ったの!?」
梢「そんなずるしないわ!ちゃんと腕の力だけでやりました!」
小鈴「あ、ハイ」
そんな話をしていたら、左腕の熱さはみるみる冷めていった。
小鈴「あれ?なんかもう強化切れちゃった?」
花帆「魔力を血液に混ぜる感じって言ったでしょ?血液は常に流れてるから、魔力も常に送り続けないといけないの」
小鈴「それ、魔力をすごい消費しませんか?」
花帆「うん。だから強化をメインにして戦う魔術師はあんまりいないんだ」
小鈴「そうなんですね...」
花帆「そういうこと言わないの吟子ちゃん!昨日は何回やってもできなかったのに、今回は4回目でできたんだよ!」
小鈴「ねえ、バーサーカーは握力どのくらいなの?徒町と比べっこしようよ!」
梢「私、それ苦手なのよね...生前の体力測定で壊してしまって...」
小鈴「え、まさか体力測定で魔術使ったの!?」
梢「そんなずるしないわ!ちゃんと腕の力だけでやりました!」
小鈴「あ、ハイ」
そんな話をしていたら、左腕の熱さはみるみる冷めていった。
小鈴「あれ?なんかもう強化切れちゃった?」
花帆「魔力を血液に混ぜる感じって言ったでしょ?血液は常に流れてるから、魔力も常に送り続けないといけないの」
小鈴「それ、魔力をすごい消費しませんか?」
花帆「うん。だから強化をメインにして戦う魔術師はあんまりいないんだ」
小鈴「そうなんですね...」
182: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:49:56 ID:???00
花帆「でも強化はあらゆる魔術の基礎の基礎だから、ちゃんと使えるようにならないとだよ!」
小鈴「は、はい!」
梢「小鈴さん、腕ができたなら脚の強化もできないかしら?どちらかというとそっちの方が必要になると思うのだけれど」
確かにバーサーカーの言う通り、徒町がやっている特訓は主に『逃げ』の戦術だ。
攻撃のための腕より、逃げ回るための脚の強化の方が実用的だろう。
小鈴「わかりました!やってみます」
今度は下半身に意識を集中させる。こちらは片方だけ強化しても意味がないので両脚の強化を試みる。
小鈴「う~ん...」
太ももの位置にある大腿四頭筋は、人体で最も大きな筋肉だ。
ゆえに血管の数も多く、さらに2本同時となると先ほどよりもずっと難易度は高かった。
小鈴「は、はい!」
梢「小鈴さん、腕ができたなら脚の強化もできないかしら?どちらかというとそっちの方が必要になると思うのだけれど」
確かにバーサーカーの言う通り、徒町がやっている特訓は主に『逃げ』の戦術だ。
攻撃のための腕より、逃げ回るための脚の強化の方が実用的だろう。
小鈴「わかりました!やってみます」
今度は下半身に意識を集中させる。こちらは片方だけ強化しても意味がないので両脚の強化を試みる。
小鈴「う~ん...」
太ももの位置にある大腿四頭筋は、人体で最も大きな筋肉だ。
ゆえに血管の数も多く、さらに2本同時となると先ほどよりもずっと難易度は高かった。
183: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:51:47 ID:???00
小鈴「う~~ん...ぷはぁ!ダメです、うまく魔力が回りません!」
花帆「心臓から遠いしね。血液が循環するイメージが湧きずらいのかも」
花帆「でもゆくゆくは全身強化できるようになってもらうから、避けては通れないよ!」
小鈴「はい!」
花帆「もう遅いし、今日はここまでにしようか。小鈴ちゃん、魔術回路閉じられる?」
小鈴「すみません...まだ...」
花帆「わかった。『フラワー』!」🌸
小鈴「ありがとうございます」
花帆「そういえば、吟子ちゃん。外でサーヴァントが戦ってる気配はある?」
吟子「ううん、すごく静か。戦ってるどころか出歩いてる気配もない」
花帆「そっか、他のマスターたちもあたしたちみたいに戦う準備をしてるのかもね」
小鈴「他のマスター...」
花帆「心臓から遠いしね。血液が循環するイメージが湧きずらいのかも」
花帆「でもゆくゆくは全身強化できるようになってもらうから、避けては通れないよ!」
小鈴「はい!」
花帆「もう遅いし、今日はここまでにしようか。小鈴ちゃん、魔術回路閉じられる?」
小鈴「すみません...まだ...」
花帆「わかった。『フラワー』!」🌸
小鈴「ありがとうございます」
花帆「そういえば、吟子ちゃん。外でサーヴァントが戦ってる気配はある?」
吟子「ううん、すごく静か。戦ってるどころか出歩いてる気配もない」
花帆「そっか、他のマスターたちもあたしたちみたいに戦う準備をしてるのかもね」
小鈴「他のマスター...」
184: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:54:21 ID:???00
あの夜以降、めぐちゃんとは連絡を取っていない。
小さいころからずっと一緒に遊んできた幼馴染。
同じ高校に入学してからは、よく一緒に部屋で夜更かししてお話したり、休日は街に遊びに行ったりした。
お互いにとってかけがえのない大切な存在。
それなのに――
慈『次こそは殺す。殺して必ず、あんたを世界から消すから』
小鈴「めぐちゃん...」
梢「...私はマスターになる以前のあなた達の関係は知らないけれど、前はあんな感じではなかったの?」
小鈴「うん、めぐちゃんはすっごく優しくて、かわいくて、一緒にいるといつも徒町を笑顔にしてくれたんだ」
梢「そう...私は極力サーヴァントだけを狙うから、もし次に戦う機会があればちゃんと話しなさい」
小鈴「!バーサーカー...ありがとう!」
吟子「随分と小鈴に甘くなったね、バーサーカー。前はマスターだろうと問答無用に殴りかかってたのに」
梢「うふふ、もしかしたら私も小鈴さんに絆されてしまったのかもしれないわね」
吟子「ふん!話そうとして殺されなきゃいいけど」
小さいころからずっと一緒に遊んできた幼馴染。
同じ高校に入学してからは、よく一緒に部屋で夜更かししてお話したり、休日は街に遊びに行ったりした。
お互いにとってかけがえのない大切な存在。
それなのに――
慈『次こそは殺す。殺して必ず、あんたを世界から消すから』
小鈴「めぐちゃん...」
梢「...私はマスターになる以前のあなた達の関係は知らないけれど、前はあんな感じではなかったの?」
小鈴「うん、めぐちゃんはすっごく優しくて、かわいくて、一緒にいるといつも徒町を笑顔にしてくれたんだ」
梢「そう...私は極力サーヴァントだけを狙うから、もし次に戦う機会があればちゃんと話しなさい」
小鈴「!バーサーカー...ありがとう!」
吟子「随分と小鈴に甘くなったね、バーサーカー。前はマスターだろうと問答無用に殴りかかってたのに」
梢「うふふ、もしかしたら私も小鈴さんに絆されてしまったのかもしれないわね」
吟子「ふん!話そうとして殺されなきゃいいけど」
185: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:55:57 ID:???00
花帆「まあまあ!ランサーのマスターのことはあたしも気にかけておくよ」
花帆「さ、明日は学校があるんだからそろそろ部屋に帰って明日の準備しないとだよ!」
小鈴「あー!数学の宿題やるの忘れてました!」
梢「なんですって!?小鈴さん、今すぐ帰って終わらせるわよ!」
小鈴「い、いや。国語の時間に教科書で隠しながらやれば何とか...」
梢「こーすーずーさん!!」💢
小鈴「はい!今すぐやります!花帆先輩ありがとうございました!!」バタバタバタ
花帆「がんばってね~」
ガチャン!
吟子「そういえば花帆が宿題やってるところ見たことないんだけど、2年生は宿題とかでないの?」
花帆「...」
吟子「...花帆?」
――――――
花帆「さ、明日は学校があるんだからそろそろ部屋に帰って明日の準備しないとだよ!」
小鈴「あー!数学の宿題やるの忘れてました!」
梢「なんですって!?小鈴さん、今すぐ帰って終わらせるわよ!」
小鈴「い、いや。国語の時間に教科書で隠しながらやれば何とか...」
梢「こーすーずーさん!!」💢
小鈴「はい!今すぐやります!花帆先輩ありがとうございました!!」バタバタバタ
花帆「がんばってね~」
ガチャン!
吟子「そういえば花帆が宿題やってるところ見たことないんだけど、2年生は宿題とかでないの?」
花帆「...」
吟子「...花帆?」
――――――
186: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 21:58:07 ID:???00
[ Interlude in ]
瑠璃乃「めぐちゃん、こんな毎日遊んでていいの?」
慈「大丈夫だって~ちゃんと作戦考えてるから!」
瑠璃乃「ほんとかな~?」
慈「あ、姫芽ちゃん待って!やめ...あーまた負けた!くやしいいーー!」
姫芽「勝負に情けは無用ですよ、めぐちゃんせんぱい!」
慈「ぐぬぬ、ほんとに初心者かぁ?」
姫芽「ふっふっふ。もしかしたらアタシ、ゲームの才能有りなのかもしれませんね~」
2人はスマホでシューティングゲームの対戦をして遊んでいた。
ここ数日はもっぱらめぐちゃんが用意したゲームをみんなで遊んだり、おやつを買ってきて食べながらお喋りをしていた。
最初のほうこそめぐちゃんに萎縮していた姫芽ちゃんだったけど、すぐにめぐちゃんのつくる“楽しい”の雰囲気にのまれて仲良くなった。
瑠璃乃「めぐちゃん、こんな毎日遊んでていいの?」
慈「大丈夫だって~ちゃんと作戦考えてるから!」
瑠璃乃「ほんとかな~?」
慈「あ、姫芽ちゃん待って!やめ...あーまた負けた!くやしいいーー!」
姫芽「勝負に情けは無用ですよ、めぐちゃんせんぱい!」
慈「ぐぬぬ、ほんとに初心者かぁ?」
姫芽「ふっふっふ。もしかしたらアタシ、ゲームの才能有りなのかもしれませんね~」
2人はスマホでシューティングゲームの対戦をして遊んでいた。
ここ数日はもっぱらめぐちゃんが用意したゲームをみんなで遊んだり、おやつを買ってきて食べながらお喋りをしていた。
最初のほうこそめぐちゃんに萎縮していた姫芽ちゃんだったけど、すぐにめぐちゃんのつくる“楽しい”の雰囲気にのまれて仲良くなった。
187: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 22:01:03 ID:???00
慈「ババ抜きなら絶対に負けないのになー」
瑠璃乃「めぐちゃん小学生の頃クラスでババ抜き最強だったよね」
慈「クラスどころか学年でも負けなしだったからね!」
姫芽「あ!まためぐちゃんせんぱいの武勇伝ですか!?」
慈「おう!聞きたいかめぐの武勇伝!」
瑠璃乃「ほい!武勇伝♪武勇伝♪」
「「武勇伝デンデデンデン♪レツゴ―!」」
慈「ババを抱えた一騎打ち!」
瑠璃乃「すごい!笑顔でおねだりババを引かせた!」
「「武勇伝♪武勇伝♪武勇伝デンデデンデン♪シャッキーン!」」
瑠璃乃「めぐちゃん小学生の頃クラスでババ抜き最強だったよね」
慈「クラスどころか学年でも負けなしだったからね!」
姫芽「あ!まためぐちゃんせんぱいの武勇伝ですか!?」
慈「おう!聞きたいかめぐの武勇伝!」
瑠璃乃「ほい!武勇伝♪武勇伝♪」
「「武勇伝デンデデンデン♪レツゴ―!」」
慈「ババを抱えた一騎打ち!」
瑠璃乃「すごい!笑顔でおねだりババを引かせた!」
「「武勇伝♪武勇伝♪武勇伝デンデデンデン♪シャッキーン!」」
188: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 22:02:23 ID:???00
姫芽「うわ~一騎打ちになってる時点であれだけど!笑顔で相手を堕としちゃうなんてかっこいい~」
慈「違うでしょ姫芽ちゃん!か・わ・い・い!でしょ♡」
姫芽「うっ...」バタン
瑠璃乃「ひ、姫芽ちゃん!?うわーん戻ってこーい!」ユサユサ
慈「ふふ、私の笑顔は最強だからね!」
瑠璃乃「それは確かにそうだけど」
瑠璃乃「...ねえ、めぐちゃん。実際のところどうするつもりなの?」コソッ
慈「ん?」
瑠璃乃「小鈴ちゃんを倒したいって言ってるけど、ルリじゃバーサーカーには勝てないよ」
慈「違うでしょ姫芽ちゃん!か・わ・い・い!でしょ♡」
姫芽「うっ...」バタン
瑠璃乃「ひ、姫芽ちゃん!?うわーん戻ってこーい!」ユサユサ
慈「ふふ、私の笑顔は最強だからね!」
瑠璃乃「それは確かにそうだけど」
瑠璃乃「...ねえ、めぐちゃん。実際のところどうするつもりなの?」コソッ
慈「ん?」
瑠璃乃「小鈴ちゃんを倒したいって言ってるけど、ルリじゃバーサーカーには勝てないよ」
189: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/05(水) 22:04:06 ID:???00
慈「だからちゃんと考えてるってば。休日は会えないから明日学校で話そうと思って」
瑠璃乃「会う?誰と?」
慈「アーチャーのマスター、夕霧綴理だよ」
瑠璃乃「アーチャーのマスター!?危険だよ!なんでそんなことするの!」
慈「実は3日の夜、逃げるふりしてあいつらのこと見張ってたんだよね」
慈「アーチャーはあの脳筋を圧倒するほど強かったんだよ?」
慈「徒町小鈴はキャスターのマスターと協力関係にあるみたいだし、私たちも夕霧綴理と同盟結んであいつらを挟み撃ちにするんだよ!」
瑠璃乃「そんなに上手くいくかなー。そもそもアーチャーのマスターが同盟を受け入れるとも限らなくない?」
慈「大丈夫だって!めぐちゃんにおねだりされてノーと言える人なんていないんだよ☆」
瑠璃乃「やな予感するなー」
姫芽「......」
[ Interlude out ]
瑠璃乃「会う?誰と?」
慈「アーチャーのマスター、夕霧綴理だよ」
瑠璃乃「アーチャーのマスター!?危険だよ!なんでそんなことするの!」
慈「実は3日の夜、逃げるふりしてあいつらのこと見張ってたんだよね」
慈「アーチャーはあの脳筋を圧倒するほど強かったんだよ?」
慈「徒町小鈴はキャスターのマスターと協力関係にあるみたいだし、私たちも夕霧綴理と同盟結んであいつらを挟み撃ちにするんだよ!」
瑠璃乃「そんなに上手くいくかなー。そもそもアーチャーのマスターが同盟を受け入れるとも限らなくない?」
慈「大丈夫だって!めぐちゃんにおねだりされてノーと言える人なんていないんだよ☆」
瑠璃乃「やな予感するなー」
姫芽「......」
[ Interlude out ]
196: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:26:52 ID:???00
【2月6日】
また、夢を見た。
気が付いたら、身体は重いものに挟まれて動けなくなっていた。
ぼーとした頭でどうしてこうなったか考える。
そうだ、彗星が墜ちてすごい衝撃を感じた後、気を失ったんだ。
すると体に乗っているのは瓦礫なのだろう。
さやか「お母さん...お父さん...お姉ちゃん...」
救助はなかなか来なかった。
隙間から見える光から推測するに丸1日は経っただろう。
身体を固定されて動かせないというストレスは、痛みや空腹よりずっと苦痛だった。
さやか(わたし...このまま動くこともできずに死ぬのかな...)
また、夢を見た。
気が付いたら、身体は重いものに挟まれて動けなくなっていた。
ぼーとした頭でどうしてこうなったか考える。
そうだ、彗星が墜ちてすごい衝撃を感じた後、気を失ったんだ。
すると体に乗っているのは瓦礫なのだろう。
さやか「お母さん...お父さん...お姉ちゃん...」
救助はなかなか来なかった。
隙間から見える光から推測するに丸1日は経っただろう。
身体を固定されて動かせないというストレスは、痛みや空腹よりずっと苦痛だった。
さやか(わたし...このまま動くこともできずに死ぬのかな...)
197: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:27:58 ID:???00
涙はとうに枯れ、狭い暗闇の中絶望していた時、
――その奇跡と出会った。
「おいしょっと...あ!やっぱり人がいた!生きてる?生きてる!もう大丈夫だよ!今助けるからね!」
その人は巨大な瓦礫を軽々と持ち上げ、私を暗闇の世界から救ってくれた。
「いま救助隊のところに連れて行くから!」
さやか「待ってください...まだ他にも家族が...」
「あ...うん。君を連れて行ったらすぐに助けに戻るよ!」
さやか(よかった。この人ならきっとみんな助けてくれる)
安心したせいか張りつめていた意識が朦朧としてきた。
さやか(あ、そういえば...名前、聞いて...な――)
――――――
――その奇跡と出会った。
「おいしょっと...あ!やっぱり人がいた!生きてる?生きてる!もう大丈夫だよ!今助けるからね!」
その人は巨大な瓦礫を軽々と持ち上げ、私を暗闇の世界から救ってくれた。
「いま救助隊のところに連れて行くから!」
さやか「待ってください...まだ他にも家族が...」
「あ...うん。君を連れて行ったらすぐに助けに戻るよ!」
さやか(よかった。この人ならきっとみんな助けてくれる)
安心したせいか張りつめていた意識が朦朧としてきた。
さやか(あ、そういえば...名前、聞いて...な――)
――――――
198: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:29:34 ID:???00
たった3日ぶりの学校だというのにひどく久しぶりに感じる。
それもこれもバーサーカーや花帆先輩と丸二日特訓に励んでいたためだろう。
姫芽「小鈴ちゃんおはよ~」
小鈴「姫芽ちゃんおはよう!もう風邪はよくなったの?」
姫芽「うん。土日にしっかり休んだら元気になったよ~」
小鈴「よかった!姫芽ちゃんが風邪ひくなんて珍しいから心配したよ!」
姫芽「それ小鈴にだけは言われたくないな~小鈴ちゃん体調不良で休んだことなんて一度もないでしょ?」
小鈴「徒町は昔から健康なのが取り柄だから!」
久しぶりの友達との会話は、聖杯戦争という殺し合いに参加していることを忘れさせてくれた。
こんな日常を取り戻すためにも徒町は絶対に生き残らなければならない。
そんなことを思っていると、
それもこれもバーサーカーや花帆先輩と丸二日特訓に励んでいたためだろう。
姫芽「小鈴ちゃんおはよ~」
小鈴「姫芽ちゃんおはよう!もう風邪はよくなったの?」
姫芽「うん。土日にしっかり休んだら元気になったよ~」
小鈴「よかった!姫芽ちゃんが風邪ひくなんて珍しいから心配したよ!」
姫芽「それ小鈴にだけは言われたくないな~小鈴ちゃん体調不良で休んだことなんて一度もないでしょ?」
小鈴「徒町は昔から健康なのが取り柄だから!」
久しぶりの友達との会話は、聖杯戦争という殺し合いに参加していることを忘れさせてくれた。
こんな日常を取り戻すためにも徒町は絶対に生き残らなければならない。
そんなことを思っていると、
199: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:31:29 ID:???00
姫芽「ねえ、小鈴ちゃん。危ないこととか、やってないよね」
小鈴「へ!?あ、危ないことってなに?」ドキッ
姫芽「例えば怪我しちゃうようなこととか...」
小鈴「チャレンジのことかな?大丈夫だよ!最近は危ないチャレンジはしてないよ!」
小鈴「保健室の先生にもうベッドは貸さないって言われてるし!」
小鈴(何か怪しいところでもあったかな!?)
小鈴(バーサーカーとの特訓でできた痣は、花帆先輩が治してくれたから大丈夫だと思うんだけど...)
姫芽「そう?とにかく危ないことはしないでね」
姫芽「もし危険だなって感じたら逃げていいし、誰かに押し付けていいんだからね」
小鈴「へ!?あ、危ないことってなに?」ドキッ
姫芽「例えば怪我しちゃうようなこととか...」
小鈴「チャレンジのことかな?大丈夫だよ!最近は危ないチャレンジはしてないよ!」
小鈴「保健室の先生にもうベッドは貸さないって言われてるし!」
小鈴(何か怪しいところでもあったかな!?)
小鈴(バーサーカーとの特訓でできた痣は、花帆先輩が治してくれたから大丈夫だと思うんだけど...)
姫芽「そう?とにかく危ないことはしないでね」
姫芽「もし危険だなって感じたら逃げていいし、誰かに押し付けていいんだからね」
200: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:32:48 ID:???00
小鈴「姫芽ちゃん...?」
姫芽「小鈴ちゃん“忠告”はしたから」
小鈴「それってどういう――」
キーンコーンカーンコーン
担任「はーいホームルーム始めるぞ!日直、号令」
生徒「起立!礼!」
オハヨウゴザイマース
姫芽「...」
小鈴「...?」
――――――
姫芽「小鈴ちゃん“忠告”はしたから」
小鈴「それってどういう――」
キーンコーンカーンコーン
担任「はーいホームルーム始めるぞ!日直、号令」
生徒「起立!礼!」
オハヨウゴザイマース
姫芽「...」
小鈴「...?」
――――――
201: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:34:25 ID:???00
結局姫芽ちゃんはあれ以降はいつも通りだったため、徒町も特に言及することなく昼休みになった。
慈「...」スタスタ
小鈴「あれは、めぐちゃん!」
慈「......」スタスタ
小鈴「めぐちゃん!!」ガシッ
慈「...なに?私行くところがあるんだけど」
小鈴「徒町、めぐちゃんと話がしたいんだよ!」
小鈴「どうして急に冷たくなっちゃったのかとか!どうして...あれに参加してるのかとか!」
慈「ちょっと!?変な言い方しないでくれる!寮生活で変な噂が広まるのとか簡便なんだけど」
小鈴「お願いだよ!ちゃんと話してよめぐちゃん!」
慈「あーもう!うるっさいなあ!ならこっち来て!」
慈「...」スタスタ
小鈴「あれは、めぐちゃん!」
慈「......」スタスタ
小鈴「めぐちゃん!!」ガシッ
慈「...なに?私行くところがあるんだけど」
小鈴「徒町、めぐちゃんと話がしたいんだよ!」
小鈴「どうして急に冷たくなっちゃったのかとか!どうして...あれに参加してるのかとか!」
慈「ちょっと!?変な言い方しないでくれる!寮生活で変な噂が広まるのとか簡便なんだけど」
小鈴「お願いだよ!ちゃんと話してよめぐちゃん!」
慈「あーもう!うるっさいなあ!ならこっち来て!」
202: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:35:30 ID:???00
めぐちゃんと一緒に人気のない1階の階段裏に移動する。
慈「ほんとに来るんかい...あんた殺されるかもとか考えないわけ?」
小鈴「めぐちゃんはそんなことしないよ!だって『幼馴染』だもん!」
慈「幼馴染、ねえ...」
小鈴「めぐちゃん?」
慈「じゃあ聞くけどさ。あんた私との小さいころの記憶ってある?」
小鈴(小さいころの記憶?そんなのあるに決まってる)
小鈴「あるよ!一緒に公園で遊んだり、海を眺めたり!」
慈「ふーん、あんたはそういう感じなんだ。で、その一緒に遊んだ公園てどこの?」
小鈴「どこのって、徒町の家の近くのだけど...」
慈「あんたの家って福井だっけ?私生まれも育ちも金沢なんだけど、どうしてわざわざ福井の公園なんか行くわけ?」
小鈴「――――え?」
慈「ほんとに来るんかい...あんた殺されるかもとか考えないわけ?」
小鈴「めぐちゃんはそんなことしないよ!だって『幼馴染』だもん!」
慈「幼馴染、ねえ...」
小鈴「めぐちゃん?」
慈「じゃあ聞くけどさ。あんた私との小さいころの記憶ってある?」
小鈴(小さいころの記憶?そんなのあるに決まってる)
小鈴「あるよ!一緒に公園で遊んだり、海を眺めたり!」
慈「ふーん、あんたはそういう感じなんだ。で、その一緒に遊んだ公園てどこの?」
小鈴「どこのって、徒町の家の近くのだけど...」
慈「あんたの家って福井だっけ?私生まれも育ちも金沢なんだけど、どうしてわざわざ福井の公園なんか行くわけ?」
小鈴「――――え?」
203: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:37:14 ID:???00
小鈴「い、いや!親同士が仲良くて!それでよく福井に遊びに...」
慈「じゃあ、私の親がどんな人だったか覚えてる?」
小鈴「それは!......あれ?」
小鈴(なんで、思い出せない)
慈「ちなみに私は福井なんて一回も行ったことないし、私の記憶の中の幼馴染とよく遊んだ公園は金沢の公園だよ」
小鈴「なにを、言ってるの...めぐちゃん」
慈「そして私の幼馴染は『大沢瑠璃乃』。私のサーヴァントであるランサーだよ」
小鈴(オオサワルリノ?)
小鈴「ほんとうに、なにをいっているの?」
慈「私とあんたは記憶を書き換えられたの。聖杯戦争のシステムによってね」
小鈴「ち、違う!めぐちゃんの幼馴染は徒町だよ!そうだ、ランサー...ランサーがめぐちゃんを騙してるんだよ!!」
慈「いい加減認めなさいよ!!!!!!」
小鈴「っ!」ビクッ
慈「じゃあ、私の親がどんな人だったか覚えてる?」
小鈴「それは!......あれ?」
小鈴(なんで、思い出せない)
慈「ちなみに私は福井なんて一回も行ったことないし、私の記憶の中の幼馴染とよく遊んだ公園は金沢の公園だよ」
小鈴「なにを、言ってるの...めぐちゃん」
慈「そして私の幼馴染は『大沢瑠璃乃』。私のサーヴァントであるランサーだよ」
小鈴(オオサワルリノ?)
小鈴「ほんとうに、なにをいっているの?」
慈「私とあんたは記憶を書き換えられたの。聖杯戦争のシステムによってね」
小鈴「ち、違う!めぐちゃんの幼馴染は徒町だよ!そうだ、ランサー...ランサーがめぐちゃんを騙してるんだよ!!」
慈「いい加減認めなさいよ!!!!!!」
小鈴「っ!」ビクッ
204: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:38:57 ID:???00
慈「あんたももう違和感に気づいてるんでしょ?福井で育ったあんたと、金沢で育った私が幼馴染なはずがないって」
慈「もしまだ認められないって言うんだったら、昔の記憶をそれぞれ照らし合わせてみる?」
慈「言っとくけど私、海で遊んだ記憶なんてないから」
小鈴「...」
小鈴(徒町とめぐちゃんが幼馴染じゃない?聖杯戦争のシステム?記憶の書き換え?)
慈「わかった?あんたと私は幼馴染でも何でもない、ただの他人ってこと」
慈「よかった、これで心置きなく殺し合いができるよ」
慈「もしまだ認められないって言うんだったら、昔の記憶をそれぞれ照らし合わせてみる?」
慈「言っとくけど私、海で遊んだ記憶なんてないから」
小鈴「...」
小鈴(徒町とめぐちゃんが幼馴染じゃない?聖杯戦争のシステム?記憶の書き換え?)
慈「わかった?あんたと私は幼馴染でも何でもない、ただの他人ってこと」
慈「よかった、これで心置きなく殺し合いができるよ」
205: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:39:35 ID:???00
慈「...幼馴染だと勘違いされたまま殺すのは、流石に心が痛むから」
それじゃあ、と言ってめぐちゃんは徒町に背を向けて歩き出した。
小鈴「ま、待って!まだ聞きたいことが...」
慈「あんたの疑問を晴らしたいなら、監督役とかいう理事長に聞きなよ。その方が詳しく聞けるでしょ」
めぐちゃんはそう言い残すと、今度こそ去っていってしまった。
小鈴(何がなんだかわからない...とにかく、放課後理事長のところへ行かないと)
――――――
それじゃあ、と言ってめぐちゃんは徒町に背を向けて歩き出した。
小鈴「ま、待って!まだ聞きたいことが...」
慈「あんたの疑問を晴らしたいなら、監督役とかいう理事長に聞きなよ。その方が詳しく聞けるでしょ」
めぐちゃんはそう言い残すと、今度こそ去っていってしまった。
小鈴(何がなんだかわからない...とにかく、放課後理事長のところへ行かないと)
――――――
206: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:40:35 ID:???00
[ Interlude in ]
綴理「...」モグモグ
慈「こんにちは、夕霧さん」
綴理「だれ?」
慈「私は藤島慈。ランサーのマスターって言った方がいいかな?」
綴理「何の用?昼間にやる気?」
慈「別に戦おうって言うんじゃないよ。ちょっと話があるんだけど付いてきてくれない?」
綴理「今お弁当食べてるんだけど」
慈「じゃあ食べ終わるまで待ってるね。あ、その卵焼きおいしそう!自分で作ってるの?」
綴理「はあ、やっぱり今行こう」
慈「お弁当はいいの?」
綴理「こんなのどうでもいいよ」
慈「ふーん。じゃあこっち来て」
綴理「...」モグモグ
慈「こんにちは、夕霧さん」
綴理「だれ?」
慈「私は藤島慈。ランサーのマスターって言った方がいいかな?」
綴理「何の用?昼間にやる気?」
慈「別に戦おうって言うんじゃないよ。ちょっと話があるんだけど付いてきてくれない?」
綴理「今お弁当食べてるんだけど」
慈「じゃあ食べ終わるまで待ってるね。あ、その卵焼きおいしそう!自分で作ってるの?」
綴理「はあ、やっぱり今行こう」
慈「お弁当はいいの?」
綴理「こんなのどうでもいいよ」
慈「ふーん。じゃあこっち来て」
207: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:42:52 ID:???00
慈「単刀直入に言うけどさ、私たちと組んでバーサーカーを倒さない?」
綴理「どうして協力する必要があるの?バーサーカーならぼくのアーチャーだけで倒せるよ」
慈「バーサーカーだけなら、でしょ?」
慈「感づいてるかもだけど、徒町小鈴とキャスターのマスターは同盟を結んでる」
慈「バーサーカーの暴力にキャスターの魔術が加わったら手が付けられないでしょ?」
綴理「なるほどね、でも君を信用する理由がないよ」
綴理「聖杯欲しさに逆にバーサーカーと手を組んでぼくをハメようとしてるかもしれない」
綴理「どうして協力する必要があるの?バーサーカーならぼくのアーチャーだけで倒せるよ」
慈「バーサーカーだけなら、でしょ?」
慈「感づいてるかもだけど、徒町小鈴とキャスターのマスターは同盟を結んでる」
慈「バーサーカーの暴力にキャスターの魔術が加わったら手が付けられないでしょ?」
綴理「なるほどね、でも君を信用する理由がないよ」
綴理「聖杯欲しさに逆にバーサーカーと手を組んでぼくをハメようとしてるかもしれない」
208: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:43:32 ID:???00
慈「それはないから安心して。私の目的は徒町小鈴を殺すこと、聖杯には興味がないから」
慈(“私の”目的は、ね♡)
綴理「ふーん、いいよ。協力しよう」
慈「結構あっさり受け入れるんだ?」
綴理「バーサーカーはどうにかしなきゃと思ってたからね。渡りに船ってやつだよ」
慈「おーけーおーけー、じゃあ今夜9時に体育館裏に徒町小鈴を呼び出すから。来たら2人で挟み撃ちしよ」
綴理「呼び出すって...そんな見え透いた罠に引っかかるかな」
慈「来るよ。あいつは必ずね」
慈(“私の”目的は、ね♡)
綴理「ふーん、いいよ。協力しよう」
慈「結構あっさり受け入れるんだ?」
綴理「バーサーカーはどうにかしなきゃと思ってたからね。渡りに船ってやつだよ」
慈「おーけーおーけー、じゃあ今夜9時に体育館裏に徒町小鈴を呼び出すから。来たら2人で挟み撃ちしよ」
綴理「呼び出すって...そんな見え透いた罠に引っかかるかな」
慈「来るよ。あいつは必ずね」
209: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:44:52 ID:???00
話が終わり夕霧綴理は去っていった。
瑠璃乃「めぐちゃん、ほんとにあの人と協力するの?」スー
慈「ルリちゃんは反対?」
瑠璃乃「うん、なんかあの人からは嫌な感じがする...」
瑠璃乃「強いとか弱いとか、そういうのじゃなくて、もっとなんていうか歪んだ感じ...」
慈「大丈夫だよ、ルリちゃん。私たちは誰にも負けない」
慈「勝って必ず聖杯を手に入れて、ルリちゃんを蘇らせるから」
瑠璃乃「ありがとう...めぐちゃん」
[Interlude out ]
瑠璃乃「めぐちゃん、ほんとにあの人と協力するの?」スー
慈「ルリちゃんは反対?」
瑠璃乃「うん、なんかあの人からは嫌な感じがする...」
瑠璃乃「強いとか弱いとか、そういうのじゃなくて、もっとなんていうか歪んだ感じ...」
慈「大丈夫だよ、ルリちゃん。私たちは誰にも負けない」
慈「勝って必ず聖杯を手に入れて、ルリちゃんを蘇らせるから」
瑠璃乃「ありがとう...めぐちゃん」
[Interlude out ]
210: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:46:21 ID:???00
沙知「聖杯戦争のシステムについて知りたい?」
小鈴「はい」
放課後、徒町とバーサーカー、花帆先輩、キャスターの4人で理事長室を訪ねた。
要件はもちろん、昼間めぐちゃんから聞いた話を確かめるためだ。
沙知「前にもこんな風に大勢に詰められたよ」
沙知「おおかた藤島慈と自身との関係について何か聞いたんだろう」
小鈴「徒町とめぐちゃんは幼馴染じゃなくて、めぐちゃんの本当の幼馴染はランサーだって...」
小鈴「でもそんなのおかしいです!徒町にはちゃんとめぐちゃんと小さいころから遊んだ記憶があって、それで――」
沙知「はいはいストップ!落ち着きたまえ、っといっても難しいか」
沙知「藤島慈にも同じ話をしたんだが、君にも話す必要がありそうだ」
沙知「この話をするのは心が痛むから嫌なんだけどねぃ...」
大賀美理事長は椅子に座ったまま姿勢を正し、ゆっくりと語りだした。
小鈴「はい」
放課後、徒町とバーサーカー、花帆先輩、キャスターの4人で理事長室を訪ねた。
要件はもちろん、昼間めぐちゃんから聞いた話を確かめるためだ。
沙知「前にもこんな風に大勢に詰められたよ」
沙知「おおかた藤島慈と自身との関係について何か聞いたんだろう」
小鈴「徒町とめぐちゃんは幼馴染じゃなくて、めぐちゃんの本当の幼馴染はランサーだって...」
小鈴「でもそんなのおかしいです!徒町にはちゃんとめぐちゃんと小さいころから遊んだ記憶があって、それで――」
沙知「はいはいストップ!落ち着きたまえ、っといっても難しいか」
沙知「藤島慈にも同じ話をしたんだが、君にも話す必要がありそうだ」
沙知「この話をするのは心が痛むから嫌なんだけどねぃ...」
大賀美理事長は椅子に座ったまま姿勢を正し、ゆっくりと語りだした。
211: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:47:56 ID:???00
沙知「まず本題に行く前に、通常の聖杯戦争について話さなければならない」
沙知「君たちには直接は関係ない話だか、蓮ノ空の聖杯戦争について理解するためには必要なことだ」
小鈴「わかりました」
沙知「聖杯戦争とは『聖杯』をめぐって数組のマスターとサーヴァントが争い、最後の一組となったものが聖杯を手に入れるという儀式だ」
沙知「これはうちの聖杯戦争も同じだね」
小鈴「はい。そう聞きました」
沙知「だが、大きく異なるのはサーヴァントだ」
沙知「通常の聖杯戦争で召喚されるサーヴァントは、過去に存在した英雄や偉人が、死後、人々に祀り上げられ英霊化したものだ」
沙知「『英霊』は世界に危機が訪れた際に過去・現在・未来を問わず召喚され――」
小鈴「???」
沙知「まあ、もっとわかりやすく言うと、教科書に載るような偉人がサーヴァントになる権利を持っているということだ」
沙知「君たちには直接は関係ない話だか、蓮ノ空の聖杯戦争について理解するためには必要なことだ」
小鈴「わかりました」
沙知「聖杯戦争とは『聖杯』をめぐって数組のマスターとサーヴァントが争い、最後の一組となったものが聖杯を手に入れるという儀式だ」
沙知「これはうちの聖杯戦争も同じだね」
小鈴「はい。そう聞きました」
沙知「だが、大きく異なるのはサーヴァントだ」
沙知「通常の聖杯戦争で召喚されるサーヴァントは、過去に存在した英雄や偉人が、死後、人々に祀り上げられ英霊化したものだ」
沙知「『英霊』は世界に危機が訪れた際に過去・現在・未来を問わず召喚され――」
小鈴「???」
沙知「まあ、もっとわかりやすく言うと、教科書に載るような偉人がサーヴァントになる権利を持っているということだ」
212: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:49:54 ID:???00
小鈴「じゃあ、バーサーカーも実はすごい人ってこと?」
沙知「いや、そんなことはない。蓮ノ空で召喚されるサーヴァントはただの元生徒だからね」
小鈴「!」
花帆「!」
梢「...」
吟子「...」
花帆「待って!元生徒が英霊になんて...そんなのありえないよ!」
花帆「もしかしたら、100年の歴史の中で一人くらいは英霊になるほどの人物がいた可能性はある」
花帆「でも、ここで召喚されるサーヴァント全部となるとさすがに多すぎる!」
沙知「そうだね。英雄になんてなれっこない。何せ全員10代の内に亡くなっているんだから」
花帆「10代の内に亡くなってる...って、まさか!」
沙知「いや、そんなことはない。蓮ノ空で召喚されるサーヴァントはただの元生徒だからね」
小鈴「!」
花帆「!」
梢「...」
吟子「...」
花帆「待って!元生徒が英霊になんて...そんなのありえないよ!」
花帆「もしかしたら、100年の歴史の中で一人くらいは英霊になるほどの人物がいた可能性はある」
花帆「でも、ここで召喚されるサーヴァント全部となるとさすがに多すぎる!」
沙知「そうだね。英雄になんてなれっこない。何せ全員10代の内に亡くなっているんだから」
花帆「10代の内に亡くなってる...って、まさか!」
213: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:51:53 ID:???00
沙知「蓮ノ空の聖杯戦争で召喚されるサーヴァントは、かつてここの聖杯戦争に参加し、命を落としたマスターたちだ」
小鈴「!?」
花帆「ほ、本当なの...吟子ちゃん」
吟子「...うん。私は今から50年くらい前に蓮ノ空に入学して、聖杯戦争に敗れて死んだ元マスターだよ」
小鈴「そんなのおかしいです!だって!」
――――――
沙知『君が巻き込まれたのはこの蓮ノ空女学院で“2年ごと”に行われている『聖杯戦争』という儀式だ』
――――――
小鈴「相当な人数の生徒が、2年ごとに学内で亡くなってるなんて、そんな話聞いたことがありません!」
小鈴「世間も、家族も黙っていないはずです!」
沙知「ああ、それがまさに君が聞きたがっていた話だ」
小鈴「!?」
花帆「ほ、本当なの...吟子ちゃん」
吟子「...うん。私は今から50年くらい前に蓮ノ空に入学して、聖杯戦争に敗れて死んだ元マスターだよ」
小鈴「そんなのおかしいです!だって!」
――――――
沙知『君が巻き込まれたのはこの蓮ノ空女学院で“2年ごと”に行われている『聖杯戦争』という儀式だ』
――――――
小鈴「相当な人数の生徒が、2年ごとに学内で亡くなってるなんて、そんな話聞いたことがありません!」
小鈴「世間も、家族も黙っていないはずです!」
沙知「ああ、それがまさに君が聞きたがっていた話だ」
214: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:54:05 ID:???00
沙知「蓮ノ空の聖杯にはある術式が施されている。いったいどんな大魔術か...」
沙知「ここで死んだ人間の魂を、それに関する『情報ごと』この土地に縛り付けるものだ」
花帆「情報ごと?」
沙知「その人に関する記憶や、記録が、魂と一緒に閉じ込められて世界から遮断される」
沙知「つまりは、全人類から忘れられるということだ」
小鈴「 」
花帆「 」
小鈴(忘れられる?全人類から?)
小鈴「で、でも、違和感に気づくはずです!」
小鈴「急に家族や友達がいなくなったら、その記憶の穴はどうやって埋めるんですか!」
沙知「ここで死んだ人間の魂を、それに関する『情報ごと』この土地に縛り付けるものだ」
花帆「情報ごと?」
沙知「その人に関する記憶や、記録が、魂と一緒に閉じ込められて世界から遮断される」
沙知「つまりは、全人類から忘れられるということだ」
小鈴「 」
花帆「 」
小鈴(忘れられる?全人類から?)
小鈴「で、でも、違和感に気づくはずです!」
小鈴「急に家族や友達がいなくなったら、その記憶の穴はどうやって埋めるんですか!」
215: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 17:59:37 ID:???00
沙知「人間の脳というのは都合よく記憶を改変するものだ」
沙知「小さいころのトラウマを、心を守るために忘れてたり、そういうのあるだろう?」
沙知「それと同じさ。完全に記憶から消せば、その穴は脳が都合のいいように解釈してくれる」
沙知「信じられないだろうが、実際に蓮ノ空で生徒の失踪事件が起きてるなんて報道は一度もされていない」
小鈴「そんな...じゃあ、徒町とめぐちゃんみたいな人が他にも?」
沙知「いるかもしれないね。普通は記憶から消えるだけだろうが...」
沙知「藤島慈にとって幼馴染の存在は自身のアイデンティティを形成するうえで切っても切り離せないものだった」
沙知「だから、どうしても埋められない穴を埋めるために、君がその幼馴染の『役割』を与えられてしまったんだろう」
小鈴「どうして徒町が...」
沙知「さあね。背丈が同じだったとか、性格が似ていたとか。実際のところはわからない」
沙知「小さいころのトラウマを、心を守るために忘れてたり、そういうのあるだろう?」
沙知「それと同じさ。完全に記憶から消せば、その穴は脳が都合のいいように解釈してくれる」
沙知「信じられないだろうが、実際に蓮ノ空で生徒の失踪事件が起きてるなんて報道は一度もされていない」
小鈴「そんな...じゃあ、徒町とめぐちゃんみたいな人が他にも?」
沙知「いるかもしれないね。普通は記憶から消えるだけだろうが...」
沙知「藤島慈にとって幼馴染の存在は自身のアイデンティティを形成するうえで切っても切り離せないものだった」
沙知「だから、どうしても埋められない穴を埋めるために、君がその幼馴染の『役割』を与えられてしまったんだろう」
小鈴「どうして徒町が...」
沙知「さあね。背丈が同じだったとか、性格が似ていたとか。実際のところはわからない」
216: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 18:01:40 ID:???00
沙知「君に関してはおそらく蓮ノ空に入学した後に記憶の改変が起こったんだろう」
沙知「だからそれ以前の記憶には粗があるはずだ」
数時間前の会話を思い出す。確かに昔の記憶については徒町とめぐちゃんで食い違いがあった。
沙知「藤島慈にとっては、君は世界一大事な幼馴染の席を横から奪ったことになるんだろうね」
沙知「だから今度は、幼馴染の記憶を奪った聖杯のシステムを逆に利用して、君のことを忘れようとしているんだろう」
小鈴「あ」
慈『次こそは殺す。殺して必ず、あんたを世界から消すから』
小鈴「あれはそういう...なんだかムカついてきました!そんなの、めぐちゃんも可哀そうだけど、徒町だって被害者じゃないですか!」
沙知「そうだね、君たちは間違いなく全員、被害者だよ。この蓮ノ空聖杯戦争のね」
沙知「私もこのことを知ったときは、驚きを通り越して怒りが湧いたよ。こんな外道な儀式が100年近く続いていたとはって」
そうだ、全員被害者だ。マスターもサーヴァントも、この土地にしばられた魂たちも、全員。
沙知「だからそれ以前の記憶には粗があるはずだ」
数時間前の会話を思い出す。確かに昔の記憶については徒町とめぐちゃんで食い違いがあった。
沙知「藤島慈にとっては、君は世界一大事な幼馴染の席を横から奪ったことになるんだろうね」
沙知「だから今度は、幼馴染の記憶を奪った聖杯のシステムを逆に利用して、君のことを忘れようとしているんだろう」
小鈴「あ」
慈『次こそは殺す。殺して必ず、あんたを世界から消すから』
小鈴「あれはそういう...なんだかムカついてきました!そんなの、めぐちゃんも可哀そうだけど、徒町だって被害者じゃないですか!」
沙知「そうだね、君たちは間違いなく全員、被害者だよ。この蓮ノ空聖杯戦争のね」
沙知「私もこのことを知ったときは、驚きを通り越して怒りが湧いたよ。こんな外道な儀式が100年近く続いていたとはって」
そうだ、全員被害者だ。マスターもサーヴァントも、この土地にしばられた魂たちも、全員。
217: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 18:05:33 ID:???00
沙知「だが、倫理観を捨てて考えるとよくできた儀式でもある」
沙知「マスターとなった生徒は叶えたい願いを持って聖杯戦争に参加する」
沙知「そして死した後は、再び願いを叶えるためにサーヴァントとなって戦うしかない」
沙知「そしてその戦いでまたマスターが死に、サーヴァントになりいつかの聖杯戦争で召喚される。この繰り返しだ」
小鈴「酷すぎます...」
沙知「ある意味、ここで召喚されるサーヴァントは英霊ではなく、蓮ノ空の『亡霊』または呪縛霊といったところだろう」
沙知「英霊の座からではなく、最初からこの土地に留まっている魂だからね。あり方としては妖怪に近い」
梢「...」
沙知「さて、蓮ノ空の聖杯戦争について、知りたいことは全部聞けたかな?なら今度はこちらが質問する番だ」
沙知「マスターとなった生徒は叶えたい願いを持って聖杯戦争に参加する」
沙知「そして死した後は、再び願いを叶えるためにサーヴァントとなって戦うしかない」
沙知「そしてその戦いでまたマスターが死に、サーヴァントになりいつかの聖杯戦争で召喚される。この繰り返しだ」
小鈴「酷すぎます...」
沙知「ある意味、ここで召喚されるサーヴァントは英霊ではなく、蓮ノ空の『亡霊』または呪縛霊といったところだろう」
沙知「英霊の座からではなく、最初からこの土地に留まっている魂だからね。あり方としては妖怪に近い」
梢「...」
沙知「さて、蓮ノ空の聖杯戦争について、知りたいことは全部聞けたかな?なら今度はこちらが質問する番だ」
218: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 18:06:53 ID:???00
沙知「今の話を聞いてなお、マスターとして戦う意思はあるかい?」
沙知「あるいは、君たちの願いはそこまでして叶えたいものかい?」
小鈴「それは...」
花帆「...」ペタン
吟子「花帆?」
花帆「あんまりだよ...」
花帆「あたしが勝てば誰かの人生が消えちゃう...」
花帆「家族からも友達からも忘れられて、そんなのただ死ぬよりずっと辛い...」
花帆「――なのに、なのにあたしは!もう聖杯にかける以外ないの!!」
花帆「聖杯を手に入れないと、どうせ死んじゃうから...!戦う以外、選択肢なんか無いんだよ!!!」
花帆「こんなの...酷すぎるよ...うっ...」ポロポロ
吟子「花帆...」サスサス
沙知「あるいは、君たちの願いはそこまでして叶えたいものかい?」
小鈴「それは...」
花帆「...」ペタン
吟子「花帆?」
花帆「あんまりだよ...」
花帆「あたしが勝てば誰かの人生が消えちゃう...」
花帆「家族からも友達からも忘れられて、そんなのただ死ぬよりずっと辛い...」
花帆「――なのに、なのにあたしは!もう聖杯にかける以外ないの!!」
花帆「聖杯を手に入れないと、どうせ死んじゃうから...!戦う以外、選択肢なんか無いんだよ!!!」
花帆「こんなの...酷すぎるよ...うっ...」ポロポロ
吟子「花帆...」サスサス
219: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 18:08:31 ID:???00
沙知「だそうだ。徒町小鈴、花帆は聖杯を手に入れなければ死んでしまうらしい」
沙知「君が聖杯戦争の勝者になるということは、花帆が死ぬということだ」
沙知「君の願いは、花帆の命よりも重いものなのかい?」
小鈴「徒町の、願い...」
小鈴(徒町はただ、何者かになりたかっただけだ)
小鈴(聖杯戦争に勝利すれば、こんな徒町にも誇れるものができると思っただけ)
小鈴(でもそんなの、花帆先輩の命に比べたらあまりにもちっぽけだ)
小鈴「徒町は――」
ピロン
沙知「君が聖杯戦争の勝者になるということは、花帆が死ぬということだ」
沙知「君の願いは、花帆の命よりも重いものなのかい?」
小鈴「徒町の、願い...」
小鈴(徒町はただ、何者かになりたかっただけだ)
小鈴(聖杯戦争に勝利すれば、こんな徒町にも誇れるものができると思っただけ)
小鈴(でもそんなの、花帆先輩の命に比べたらあまりにもちっぽけだ)
小鈴「徒町は――」
ピロン
220: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 18:09:41 ID:???00
小鈴「メール?え、めぐちゃん!?」
慈『今夜9時、体区館裏に来て。決着を付けよう』
梢「これは...!」
梢(まさか体育を『たいく』だと思っていたの...?)
梢「どうするの、小鈴さん」
小鈴「行くよ」
梢「正気?どう考えても罠よ」
小鈴「それでも、めぐちゃんとはもう一度会わないといけない」
小鈴「会って、話をしなきゃいけないんだ」
慈『今夜9時、体区館裏に来て。決着を付けよう』
梢「これは...!」
梢(まさか体育を『たいく』だと思っていたの...?)
梢「どうするの、小鈴さん」
小鈴「行くよ」
梢「正気?どう考えても罠よ」
小鈴「それでも、めぐちゃんとはもう一度会わないといけない」
小鈴「会って、話をしなきゃいけないんだ」
221: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 18:10:28 ID:???00
吟子「言っておくけど、花帆がこんな状態だから手助けはできないよ」
小鈴「大丈夫です。これは徒町とめぐちゃんの問題だから。徒町たちで決着をつけます」
吟子「そう...」
小鈴「バーサーカー、今から少しだけ稽古をつけてくれないかな?」
梢「いいけれど、あまり体力を使いすぎないようにね」
小鈴「うん。授業挟んで気が抜けちゃったから、感覚を取り戻したいだけだよ」
梢「...わかったわ」
小鈴「では徒町たちはこれで。キャスター、花帆先輩をよろしくお願いします」
吟子「う、うん」
小鈴(めぐちゃん、待っててね)
――――――
小鈴「大丈夫です。これは徒町とめぐちゃんの問題だから。徒町たちで決着をつけます」
吟子「そう...」
小鈴「バーサーカー、今から少しだけ稽古をつけてくれないかな?」
梢「いいけれど、あまり体力を使いすぎないようにね」
小鈴「うん。授業挟んで気が抜けちゃったから、感覚を取り戻したいだけだよ」
梢「...わかったわ」
小鈴「では徒町たちはこれで。キャスター、花帆先輩をよろしくお願いします」
吟子「う、うん」
小鈴(めぐちゃん、待っててね)
――――――
222: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 18:15:55 ID:???00
[ Interlude in ]
吟子「少しは落ち着いた?」
花帆「ありがとう...吟子ちゃん」
私たちは花帆の部屋に戻っていた。
小鈴はランサーのマスターと戦うらしいけど、今の花帆の精神状態はとても戦えるものじゃない。
花帆「吟子ちゃん、前にあたしの願いのこと教えそびれちゃってたよね」
吟子「別に無理して言わんでいいよ。私が勝手に話しただけだから」
花帆「ううん。吟子ちゃんには聞いてほしいな」
花帆「あたしね、小さいころから病気に罹ってて、まだ治療法がない難病なんだって」
花帆「それを治すのがあたしの願い」
吟子「少しは落ち着いた?」
花帆「ありがとう...吟子ちゃん」
私たちは花帆の部屋に戻っていた。
小鈴はランサーのマスターと戦うらしいけど、今の花帆の精神状態はとても戦えるものじゃない。
花帆「吟子ちゃん、前にあたしの願いのこと教えそびれちゃってたよね」
吟子「別に無理して言わんでいいよ。私が勝手に話しただけだから」
花帆「ううん。吟子ちゃんには聞いてほしいな」
花帆「あたしね、小さいころから病気に罹ってて、まだ治療法がない難病なんだって」
花帆「それを治すのがあたしの願い」
223: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 18:18:22 ID:???00
吟子「え、病気?そんなの花帆の魔術なら一発で治せるんじゃ...」
花帆「もちろん試したよ。でも、ダメだった」
花帆「傷とか風邪なら簡単に治せるのに、その病気だけは何回やっても治せなかったんだ」
吟子「っ!!」
吟子(そんな...花帆の魔術で治せないってことは、それはもう“絶対に治らない”ってことだ...)
本人は気が付いていないが、花帆の魔術は治癒魔術ではない。
あれは傷を治しているのではなく、ただ“身体を入れ替えている”だけだ。
私は花帆の魔術を何回も見てきたおかげでそのことに気が付いている。
だが、それを知れば花帆は傷つき、自分の今までの行いを酷く後悔するだろう。
ゆえに、私は花帆の魔術の本当の力を本人に伝えないでいた。
花帆「もちろん試したよ。でも、ダメだった」
花帆「傷とか風邪なら簡単に治せるのに、その病気だけは何回やっても治せなかったんだ」
吟子「っ!!」
吟子(そんな...花帆の魔術で治せないってことは、それはもう“絶対に治らない”ってことだ...)
本人は気が付いていないが、花帆の魔術は治癒魔術ではない。
あれは傷を治しているのではなく、ただ“身体を入れ替えている”だけだ。
私は花帆の魔術を何回も見てきたおかげでそのことに気が付いている。
だが、それを知れば花帆は傷つき、自分の今までの行いを酷く後悔するだろう。
ゆえに、私は花帆の魔術の本当の力を本人に伝えないでいた。
224: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 18:19:42 ID:???00
花帆「本当は今も入院してないといけないんだけどね」
花帆「でも、病院にいてもどうせこの病気は治らない」
花帆「お医者さんからは成人は迎えられないだろうって言われてるんだ」
吟子「...」
花帆「そんな時、この蓮ノ空の聖杯の噂を聞いたの」
花帆「どんな願いも叶えられる聖杯なら、あたしの病気も治せるかもしれない」
花帆「そう思って、この蓮ノ空に入学してきたんだ」
花帆「でも、病院にいてもどうせこの病気は治らない」
花帆「お医者さんからは成人は迎えられないだろうって言われてるんだ」
吟子「...」
花帆「そんな時、この蓮ノ空の聖杯の噂を聞いたの」
花帆「どんな願いも叶えられる聖杯なら、あたしの病気も治せるかもしれない」
花帆「そう思って、この蓮ノ空に入学してきたんだ」
225: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 18:20:32 ID:???00
儚げに話す花帆の横顔を、私は絶望を必死に隠しながら静かに見つめていた。
吟子「きっと、治るよ。花帆の病気」
花帆「そうかな?」
吟子「聖杯の力なら大丈夫」
花帆「でも、あたしが勝ったら誰かの人生が...」
吟子「その罪は私が全部背負ってあげる。だから花帆は気にしないでいいよ」
花帆「吟子ちゃん...」
吟子「私が必ず、花帆を護るから」
――たとえ、どんな手段を使っても――
[ Interlude out ]
吟子「きっと、治るよ。花帆の病気」
花帆「そうかな?」
吟子「聖杯の力なら大丈夫」
花帆「でも、あたしが勝ったら誰かの人生が...」
吟子「その罪は私が全部背負ってあげる。だから花帆は気にしないでいいよ」
花帆「吟子ちゃん...」
吟子「私が必ず、花帆を護るから」
――たとえ、どんな手段を使っても――
[ Interlude out ]
226: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 18:22:29 ID:???00
――――――
コンコンコン
小鈴『めぐちゃんー!』
慈『はーい!コスズちゃん!どうしたの?』
小鈴『実は夏休みの宿題がまだ終わってなくて...めぐちゃんに手伝ってほしいの!』
慈『えー遊びに来たんじゃないのー?』
小鈴『ち、違うよ!』モジモジ
慈『まあいいよ。さ、入って!』
小鈴『うん!』
慈(さすがに1年の範囲なら大丈夫でしょ!)
コンコンコン
小鈴『めぐちゃんー!』
慈『はーい!コスズちゃん!どうしたの?』
小鈴『実は夏休みの宿題がまだ終わってなくて...めぐちゃんに手伝ってほしいの!』
慈『えー遊びに来たんじゃないのー?』
小鈴『ち、違うよ!』モジモジ
慈『まあいいよ。さ、入って!』
小鈴『うん!』
慈(さすがに1年の範囲なら大丈夫でしょ!)
227: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 18:22:57 ID:???00
慈『じゃあ、宿題見せて』
小鈴『これだよ!』
慈『げっ』
小鈴『げ?』
慈(数学...一番苦手なやつだ。どうしよう、全然わかんない...)
慈『...コスズちゃん、数学の担当だれ?』
小鈴『え、杉本先生だよ?』
慈『すぎもっちゃんか...ふっふっふ』
小鈴『めぐちゃん?』
小鈴『これだよ!』
慈『げっ』
小鈴『げ?』
慈(数学...一番苦手なやつだ。どうしよう、全然わかんない...)
慈『...コスズちゃん、数学の担当だれ?』
小鈴『え、杉本先生だよ?』
慈『すぎもっちゃんか...ふっふっふ』
小鈴『めぐちゃん?』
228: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 18:24:37 ID:???00
慈『いいこと教えてあげるよ。すぎもっちゃんは...」
慈「夏休み明け最初の授業では宿題を回収しない!』
小鈴『なんと!』
慈『つまり、まだ焦る必要はないってことだよ!』
小鈴『おー!』パチパチ
慈『さ、こんなのは夏休み終わってからやればいいんだし』
慈『私たちはあと1日しかない夏休みを目一杯楽しむんだよ☆』
小鈴『さすがめぐちゃん!やっぱり天才すぎるよ!』
慈『よーし!今日は夜更かしするぞー!』
『『おー!』』
――――――
慈「夏休み明け最初の授業では宿題を回収しない!』
小鈴『なんと!』
慈『つまり、まだ焦る必要はないってことだよ!』
小鈴『おー!』パチパチ
慈『さ、こんなのは夏休み終わってからやればいいんだし』
慈『私たちはあと1日しかない夏休みを目一杯楽しむんだよ☆』
小鈴『さすがめぐちゃん!やっぱり天才すぎるよ!』
慈『よーし!今日は夜更かしするぞー!』
『『おー!』』
――――――
229: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 21:29:46 ID:???00
バーサーカーに30分ほど稽古をつけてもらい、10分ほど精神統一をしてから体育館裏に向かった。
慈「ちゃんと来たんだ。てっきり怖がって来ないと思った」
小鈴「行くよ。めぐちゃんからの誘いだもん」
慈「ふーん。でも悪いけど、今日は遊ぶために呼んだわけじゃないよ」
小鈴「わかってるよ」
慈「...」
小鈴「...」
慈「......」
小鈴「......?」
慈(夕霧綴理は何してるの...!もう9時過ぎてるんですけど!)
慈(さすがにルリちゃん一人じゃボコボコにされちゃうって!)
慈(くっ...こうなったら何とか時間を稼がないと)
慈「理事長から話は聞いたの?」スン
慈「ちゃんと来たんだ。てっきり怖がって来ないと思った」
小鈴「行くよ。めぐちゃんからの誘いだもん」
慈「ふーん。でも悪いけど、今日は遊ぶために呼んだわけじゃないよ」
小鈴「わかってるよ」
慈「...」
小鈴「...」
慈「......」
小鈴「......?」
慈(夕霧綴理は何してるの...!もう9時過ぎてるんですけど!)
慈(さすがにルリちゃん一人じゃボコボコにされちゃうって!)
慈(くっ...こうなったら何とか時間を稼がないと)
慈「理事長から話は聞いたの?」スン
230: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 21:32:14 ID:???00
小鈴「聞いたよ。めぐちゃんが言ってたことの意味も理解した」
慈「そう。じゃああんたも私と戦う決意ができたってわけ」
小鈴「違うよ。めぐちゃんとは戦いたくない」
慈「はあ!?あんたさっき...」
小鈴「戦うのはサーヴァントだよ。マスターが殺し合う必要はない」
慈「っ!まだそんなこと言ってるの!理事長から私とルリちゃんのことも聞いたんでしょ?」
慈「あんたは私からルリちゃんの記憶を奪った悪人なの!」
小鈴「な!?めぐちゃんの記憶を奪ったのは聖杯だよ!」
小鈴「徒町もめぐちゃんも、ランサーもただの被害者なんだよ!」
小鈴「めぐちゃんの方こそ全然理解してないじゃん!」
慈「そう。じゃああんたも私と戦う決意ができたってわけ」
小鈴「違うよ。めぐちゃんとは戦いたくない」
慈「はあ!?あんたさっき...」
小鈴「戦うのはサーヴァントだよ。マスターが殺し合う必要はない」
慈「っ!まだそんなこと言ってるの!理事長から私とルリちゃんのことも聞いたんでしょ?」
慈「あんたは私からルリちゃんの記憶を奪った悪人なの!」
小鈴「な!?めぐちゃんの記憶を奪ったのは聖杯だよ!」
小鈴「徒町もめぐちゃんも、ランサーもただの被害者なんだよ!」
小鈴「めぐちゃんの方こそ全然理解してないじゃん!」
231: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 21:34:40 ID:???00
慈「わ、わかってるし!」
慈「聖杯がルリちゃんに関する記憶を消して、あんたがたまたまその穴を埋める役を与えられたんでしょ!」
小鈴「そこまでわかってるならなんで徒町を恨むの!?お門違いだよ!」
慈「ムカつくの!あんたの顔や声を思い出すたび!吐き気がするの!!」
小鈴「そんなの八つ当たりだよ!」
慈「うるさい!うるさい!私はあんたを殺すと決めたの!あんたを殺して記憶から消すの!」
小鈴「このバカ!どうしてめぐちゃんはいつもそう短絡的なの!」
小鈴「徒町を殺したって何の解決にもならないじゃん!」
慈「なるの!あんたさえ消えてくれれば全部解決なの!」
慈「聖杯がルリちゃんに関する記憶を消して、あんたがたまたまその穴を埋める役を与えられたんでしょ!」
小鈴「そこまでわかってるならなんで徒町を恨むの!?お門違いだよ!」
慈「ムカつくの!あんたの顔や声を思い出すたび!吐き気がするの!!」
小鈴「そんなの八つ当たりだよ!」
慈「うるさい!うるさい!私はあんたを殺すと決めたの!あんたを殺して記憶から消すの!」
小鈴「このバカ!どうしてめぐちゃんはいつもそう短絡的なの!」
小鈴「徒町を殺したって何の解決にもならないじゃん!」
慈「なるの!あんたさえ消えてくれれば全部解決なの!」
232: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 21:35:42 ID:???00
小鈴「この...!」ズンズン
慈「な、何?こっち来ないでよ!」
小鈴「わからずや!!」バチン!
慈「いっ、よくも...やったな!」ブン
小鈴「ふっ!」ヒョイ
スカッ
慈「は?こいつ...生意気なんだよ!」バッ
小鈴「うわ!」バタン
めぐちゃんがタックルしてきて、そのまま押し倒された。
慈「な、何?こっち来ないでよ!」
小鈴「わからずや!!」バチン!
慈「いっ、よくも...やったな!」ブン
小鈴「ふっ!」ヒョイ
スカッ
慈「は?こいつ...生意気なんだよ!」バッ
小鈴「うわ!」バタン
めぐちゃんがタックルしてきて、そのまま押し倒された。
233: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 21:37:34 ID:???00
慈「あんただって私にムカついてるんでしょ!?」
慈「勝手に記憶を変えられたのに、勝手に恨まれて殺されかけて!」バチン!バチン!
小鈴「ぐっ...うっ!」
慈「だったら!あんたも私を本気で殺しに来なさいよ!」バコン!
小鈴「ぐはっ!だから...わからずやだって言ってるんだよ!!」グイッ
慈「きゃっ!」
めぐちゃんの襟をつかんで強引に引っぱる。
今度は徒町がめぐちゃんに馬乗りになる。
小鈴「徒町はめぐちゃんのこと恨んだりなんかしないし!嫌いになったりもしないよ!」バコッ
慈「ぐえ!なんで...!」
小鈴「めぐちゃんのことが好きだからだよ!!」
慈「勝手に記憶を変えられたのに、勝手に恨まれて殺されかけて!」バチン!バチン!
小鈴「ぐっ...うっ!」
慈「だったら!あんたも私を本気で殺しに来なさいよ!」バコン!
小鈴「ぐはっ!だから...わからずやだって言ってるんだよ!!」グイッ
慈「きゃっ!」
めぐちゃんの襟をつかんで強引に引っぱる。
今度は徒町がめぐちゃんに馬乗りになる。
小鈴「徒町はめぐちゃんのこと恨んだりなんかしないし!嫌いになったりもしないよ!」バコッ
慈「ぐえ!なんで...!」
小鈴「めぐちゃんのことが好きだからだよ!!」
234: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 21:39:19 ID:???00
慈「な!?だから、あんたのその気持ちも偽物なんだよ!」
慈「私のことを幼馴染だと思わされたから!好きだと感じてるだけなの!」
小鈴「違う!!徒町がめぐちゃんのことを好きなのは、めぐちゃんが幼馴染だからじゃない!」
小鈴「蓮ノ空でめぐちゃんと過ごした時間が、楽しかったからだよ!!」
慈「!!!」
小鈴「部屋でお菓子食べたり、ゲームしたり!一緒にお出かけしたり!」
小鈴「宿題を手伝ってもらおうと思ったらめぐちゃんもわからなくて、結局夜更かしして2人で次の日遅刻したり!」
小鈴「全部全部、楽しかったんだよ!!」
慈「やめて...」
小鈴「幼馴染じゃなくても!『友達』として!めぐちゃんのことが大好きだから!!」
慈「私のことを幼馴染だと思わされたから!好きだと感じてるだけなの!」
小鈴「違う!!徒町がめぐちゃんのことを好きなのは、めぐちゃんが幼馴染だからじゃない!」
小鈴「蓮ノ空でめぐちゃんと過ごした時間が、楽しかったからだよ!!」
慈「!!!」
小鈴「部屋でお菓子食べたり、ゲームしたり!一緒にお出かけしたり!」
小鈴「宿題を手伝ってもらおうと思ったらめぐちゃんもわからなくて、結局夜更かしして2人で次の日遅刻したり!」
小鈴「全部全部、楽しかったんだよ!!」
慈「やめて...」
小鈴「幼馴染じゃなくても!『友達』として!めぐちゃんのことが大好きだから!!」
235: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 21:40:43 ID:???00
慈「やめてって言ってるでしょ!」バン!
小鈴「うわ!」
めぐちゃんに下から突き飛ばされる。
小鈴「...っ!めぐちゃんは楽しくなかったの!?」
小鈴「徒町と遊んだ時間は、めぐちゃんにとっては嫌な時間でしかなかったの!?」
慈「そんなこと...聞かないでよ...」
小鈴「めぐちゃん!!」
慈「私だって楽しかったよ!!あんたと過ごした時間は!!!」
小鈴「じゃあ!」
慈「でもダメなの!ルリちゃんのことを思い出した今でも、気を抜くとルリちゃんの顔があんたの顔になる...あんたの声になる...!!」
小鈴「――え?」
小鈴「うわ!」
めぐちゃんに下から突き飛ばされる。
小鈴「...っ!めぐちゃんは楽しくなかったの!?」
小鈴「徒町と遊んだ時間は、めぐちゃんにとっては嫌な時間でしかなかったの!?」
慈「そんなこと...聞かないでよ...」
小鈴「めぐちゃん!!」
慈「私だって楽しかったよ!!あんたと過ごした時間は!!!」
小鈴「じゃあ!」
慈「でもダメなの!ルリちゃんのことを思い出した今でも、気を抜くとルリちゃんの顔があんたの顔になる...あんたの声になる...!!」
小鈴「――え?」
236: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 21:43:04 ID:???00
慈「朝起きてルリちゃんの顔を見ると、一瞬だれ?ってなって...すぐに思い出す」
慈「そのたびに自分が嫌になって、殴りたくなるの!!」
慈「起きてる間も、ルリちゃんとあんたの記憶が混ざって、どっちが本当の記憶かわからなくなって...」
慈「わからない自分に吐き気がするの!!!」
小鈴「...」
慈「あんたはいいよね、元々なかった記憶が入ってきただけなんだから...」
慈「でも私は違う!元々あった記憶が無理やり書き換えられて、それが今も続いてる!」
小鈴「めぐちゃん...」
慈「めぐちゃんって呼ばないで!!!そう呼ばれると余計に頭がおかしくなる...!」
慈「辛いの...!苦しいの!!!!ルリちゃんを忘れていく自分が、許せないの!!!!」
慈「だから、あんたを殺すしかない。コスズちゃんのことは嫌いじゃないけど...そうする以外思いつかないの...」ペタン
慈「そのたびに自分が嫌になって、殴りたくなるの!!」
慈「起きてる間も、ルリちゃんとあんたの記憶が混ざって、どっちが本当の記憶かわからなくなって...」
慈「わからない自分に吐き気がするの!!!」
小鈴「...」
慈「あんたはいいよね、元々なかった記憶が入ってきただけなんだから...」
慈「でも私は違う!元々あった記憶が無理やり書き換えられて、それが今も続いてる!」
小鈴「めぐちゃん...」
慈「めぐちゃんって呼ばないで!!!そう呼ばれると余計に頭がおかしくなる...!」
慈「辛いの...!苦しいの!!!!ルリちゃんを忘れていく自分が、許せないの!!!!」
慈「だから、あんたを殺すしかない。コスズちゃんのことは嫌いじゃないけど...そうする以外思いつかないの...」ペタン
237: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 21:46:35 ID:???00
しかし、言葉とは裏腹にめぐちゃんは力なく地面に座り込む。
そのまま大粒の涙を流して動かなくなってしまった。
めぐちゃんは最初から徒町を殺す気なんてなかった。
だってめぐちゃんからは一度も殺気を感じたことなんてなかったから。
きっと記憶の混在に苦しんで、自分ではどうしようもなくなったんだ。
だから徒町のことを消そうなんて考えた。
いや、もしかしたら徒町を遠ざけたかっただけだったのかもしれない。
小鈴(こんなことが100年も続いてきたの?そしてこの先も...)
小鈴(そんなの絶対に許せない。人の人生を弄んで、狂わせて、苦しめて...)
小鈴(終わらせなきゃ――徒町が)
小鈴「バーサ――」
姫芽「小鈴ちゃんさあ、どうして来ちゃったわけ?」
そのまま大粒の涙を流して動かなくなってしまった。
めぐちゃんは最初から徒町を殺す気なんてなかった。
だってめぐちゃんからは一度も殺気を感じたことなんてなかったから。
きっと記憶の混在に苦しんで、自分ではどうしようもなくなったんだ。
だから徒町のことを消そうなんて考えた。
いや、もしかしたら徒町を遠ざけたかっただけだったのかもしれない。
小鈴(こんなことが100年も続いてきたの?そしてこの先も...)
小鈴(そんなの絶対に許せない。人の人生を弄んで、狂わせて、苦しめて...)
小鈴(終わらせなきゃ――徒町が)
小鈴「バーサ――」
姫芽「小鈴ちゃんさあ、どうして来ちゃったわけ?」
238: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 21:49:29 ID:???00
小鈴「え、姫芽ちゃん?」
姫芽ちゃんが建物の陰から出てきた。
その顔はいつも教室で見ている優しい笑顔ではなく、感情のない冷たい顔だった。
姫芽「アタシちゃんと言ったよね?危険だと感じたら逃げていいし、誰かに押し付けていいって」
姫芽「別にバーサーカーだけ向かわして、小鈴ちゃんは部屋で待っててもよかったよね?」
小鈴「なにを――」
姫芽「アタシ、小鈴ちゃんには傷ついて欲しくなかったの」
姫芽「こんな戦いに巻き込まれて欲しくなかった。だから忠告したのに...」
姫芽「なのにどうして、自分から火の中に飛び込んできちゃうのかなあ?」ギロ
小鈴(!!!殺気!?)
姫芽ちゃんが建物の陰から出てきた。
その顔はいつも教室で見ている優しい笑顔ではなく、感情のない冷たい顔だった。
姫芽「アタシちゃんと言ったよね?危険だと感じたら逃げていいし、誰かに押し付けていいって」
姫芽「別にバーサーカーだけ向かわして、小鈴ちゃんは部屋で待っててもよかったよね?」
小鈴「なにを――」
姫芽「アタシ、小鈴ちゃんには傷ついて欲しくなかったの」
姫芽「こんな戦いに巻き込まれて欲しくなかった。だから忠告したのに...」
姫芽「なのにどうして、自分から火の中に飛び込んできちゃうのかなあ?」ギロ
小鈴(!!!殺気!?)
239: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 21:51:49 ID:???00
姫芽「悲しいよ、せっかくの忠告無視されて。そんなことされたらアタシ――」
姫芽「“もう戦うしかなくなっちゃったよ”」スッ
小鈴「令呪...!」
梢「そう、やっぱりランサーのマスターは他にいたのね」スー
梢「おかしいとは思っていたの。藤島慈にはランサーを維持できるだけの魔力は感じなかったから」
姫芽「ランサー」
瑠璃乃「了解、マスター」スー
梢「マスターが変わったくらいでは私には勝てないわよ、ランサー」
瑠璃乃「そうだね。ルリ一人ならね...」
梢「どういう意味かしら?」
姫芽「“もう戦うしかなくなっちゃったよ”」スッ
小鈴「令呪...!」
梢「そう、やっぱりランサーのマスターは他にいたのね」スー
梢「おかしいとは思っていたの。藤島慈にはランサーを維持できるだけの魔力は感じなかったから」
姫芽「ランサー」
瑠璃乃「了解、マスター」スー
梢「マスターが変わったくらいでは私には勝てないわよ、ランサー」
瑠璃乃「そうだね。ルリ一人ならね...」
梢「どういう意味かしら?」
240: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 21:54:59 ID:???00
姫芽『みらくりえーしょん』ピコピコピコ
小鈴「!姫芽ちゃんの姿が!」
姫芽ちゃんは瞬く間にランサーと同じ鎧を身に纏う。
さらに手にはSF映画で見るような近未来的な銃を持っていた。
姫芽「実はランサーの鎧もアタシが造ったんだ」
姫芽『イグニッション🔥』
さらに詠唱をすると、姫芽ちゃんの魔力はみるみる上がっていく。
そしてほとんどサーヴァントに匹敵するレベルにまでなってしまった。
梢「人間の身でこれほどまでの魔力を作るなんて...あなた死ぬ気!?」
姫芽「死ぬ気で行かないとバーサーカーには勝てない。命をかけてでも、アタシには叶えたい願いがある!」

小鈴「!姫芽ちゃんの姿が!」
姫芽ちゃんは瞬く間にランサーと同じ鎧を身に纏う。
さらに手にはSF映画で見るような近未来的な銃を持っていた。
姫芽「実はランサーの鎧もアタシが造ったんだ」
姫芽『イグニッション🔥』
さらに詠唱をすると、姫芽ちゃんの魔力はみるみる上がっていく。
そしてほとんどサーヴァントに匹敵するレベルにまでなってしまった。
梢「人間の身でこれほどまでの魔力を作るなんて...あなた死ぬ気!?」
姫芽「死ぬ気で行かないとバーサーカーには勝てない。命をかけてでも、アタシには叶えたい願いがある!」

241: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 21:56:59 ID:???00
――――――
10年前
姫芽「おとうさーん、ディズニーランドまだつかないの?」
父「まだあと30分はかかるかな~」
母「もうすぐ仮面ライダー始まる頃でしょ?お姉ちゃんに見せてもらったら?」
姫芽「あ!そうだった!おねいちゃん、スマホでみして~」
姉「はいはい、姫芽は相変わらずせわしないですね」
姫芽「この新しいフォルムちょーかっこいい~アタシもこれ着たいな~」
姉「ふふふ、いつか着れるといいですね」
父「おい...ちょっと待て!何だあのトラック!!!」
姫芽「え?」
『プオォォォォォーーン!』
姉「姫芽!!」ガバッ
ガシャーーーーン!
10年前
姫芽「おとうさーん、ディズニーランドまだつかないの?」
父「まだあと30分はかかるかな~」
母「もうすぐ仮面ライダー始まる頃でしょ?お姉ちゃんに見せてもらったら?」
姫芽「あ!そうだった!おねいちゃん、スマホでみして~」
姉「はいはい、姫芽は相変わらずせわしないですね」
姫芽「この新しいフォルムちょーかっこいい~アタシもこれ着たいな~」
姉「ふふふ、いつか着れるといいですね」
父「おい...ちょっと待て!何だあのトラック!!!」
姫芽「え?」
『プオォォォォォーーン!』
姉「姫芽!!」ガバッ
ガシャーーーーン!
242: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 21:58:48 ID:???00
安養寺姫芽は6歳の時に孤児になった。
道路を逆走してきた酒気帯びのトラックに突っ込まれて、前席に座っていた両親は即死。
後席に座っていた姫芽は、隣にいた姉が咄嗟にかばったおかげで無事だったが、姉は搬送先の病院で死亡した。
姫芽「...」
男「君、私の養子にならないか?」
姫芽「...」
男「君には素質がある。私のところで魔術を学ばないか?」
姫芽「...魔術?あなた魔法使えるの?」
男「ああ、有体にいうと、私は魔法使いなんだ」
姫芽「...魔法が使えれば、また家族に会えますか?」
男「どうだろう。死者の蘇生は難しいかもしれないね」
道路を逆走してきた酒気帯びのトラックに突っ込まれて、前席に座っていた両親は即死。
後席に座っていた姫芽は、隣にいた姉が咄嗟にかばったおかげで無事だったが、姉は搬送先の病院で死亡した。
姫芽「...」
男「君、私の養子にならないか?」
姫芽「...」
男「君には素質がある。私のところで魔術を学ばないか?」
姫芽「...魔術?あなた魔法使えるの?」
男「ああ、有体にいうと、私は魔法使いなんだ」
姫芽「...魔法が使えれば、また家族に会えますか?」
男「どうだろう。死者の蘇生は難しいかもしれないね」
243: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:00:20 ID:???00
男「でも、もし君が魔術を極め“根源”に到達することができれば」
男「あるいは死者と会話することも叶うかもしれない」
姫芽「――なります。アタシを魔法使いにしてください」
姫芽はその男の養子になった。
男は魔術師だったが、後継ぎがいなかった。
そして姫芽には家族がおらず、魔術の才能があった。
姫芽の得意魔術は『投影』魔術だ。
だが、彼女が才能を発揮したのは投影の精度ではない。
投影する“モノ”だった。
男「あるいは死者と会話することも叶うかもしれない」
姫芽「――なります。アタシを魔法使いにしてください」
姫芽はその男の養子になった。
男は魔術師だったが、後継ぎがいなかった。
そして姫芽には家族がおらず、魔術の才能があった。
姫芽の得意魔術は『投影』魔術だ。
だが、彼女が才能を発揮したのは投影の精度ではない。
投影する“モノ”だった。
244: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:01:54 ID:???00
通常の投影魔術は、モデルとなるオリジナルが存在する。
投影とは現実の鏡写しでしかない。
しかし、姫芽は現実には“ないもの”を投影で来た。
本来、魔術はないものは生み出すことはできない。
だが姫芽の頭の中には確かに“あった”のだ。
空想投影『みらくりえーしょん』、姫芽の優れた想像力があっての魔術。
男の元で魔術を学ぶ中で、たまたま蓮ノ空の聖杯の噂を聞いた姫芽は、男に頼み込んで蓮ノ空に入学させてもらった。
聖杯を手に入れ、亡くした家族に再会するために。
――――――
投影とは現実の鏡写しでしかない。
しかし、姫芽は現実には“ないもの”を投影で来た。
本来、魔術はないものは生み出すことはできない。
だが姫芽の頭の中には確かに“あった”のだ。
空想投影『みらくりえーしょん』、姫芽の優れた想像力があっての魔術。
男の元で魔術を学ぶ中で、たまたま蓮ノ空の聖杯の噂を聞いた姫芽は、男に頼み込んで蓮ノ空に入学させてもらった。
聖杯を手に入れ、亡くした家族に再会するために。
――――――
245: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:03:45 ID:???00
姫芽「行くよランサー!」ガチャ
瑠璃乃「おうよ!」バッ
梢(来る!ランサーの戦い方は知っている!)
梢(でもマスターの持つあの武器は何?)
BANG💥 BANG💥 BANG💥
梢「がっ!魔弾!?」
瑠璃乃「おりゃー!」シュッ!シュッ!
梢「っ!ふん!」ガキン
BANG💥 BANG💥
梢「ぐふっ!」グラッ
瑠璃乃「隙あり!」グサッ
梢「があっ!」
瑠璃乃「おうよ!」バッ
梢(来る!ランサーの戦い方は知っている!)
梢(でもマスターの持つあの武器は何?)
BANG💥 BANG💥 BANG💥
梢「がっ!魔弾!?」
瑠璃乃「おりゃー!」シュッ!シュッ!
梢「っ!ふん!」ガキン
BANG💥 BANG💥
梢「ぐふっ!」グラッ
瑠璃乃「隙あり!」グサッ
梢「があっ!」
246: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:07:05 ID:???00
梢(まずい...あの魔弾の威力も無視できない!)
梢(でもマスターに集中するとランサーの攻撃に対応できない!)
姫芽「このまま一気に決め――」
小鈴「うおーーー!!!」ドン!
姫芽「わっ!?」
姫芽ちゃんに体当たりをして突き飛ばす。
梢「小鈴さん!?」
小鈴「姫芽ちゃんはあたしが抑えるから!!バーサーカーはランサーを!!」
梢「!ええ、小鈴さんを信じるわ!」
梢(でもマスターに集中するとランサーの攻撃に対応できない!)
姫芽「このまま一気に決め――」
小鈴「うおーーー!!!」ドン!
姫芽「わっ!?」
姫芽ちゃんに体当たりをして突き飛ばす。
梢「小鈴さん!?」
小鈴「姫芽ちゃんはあたしが抑えるから!!バーサーカーはランサーを!!」
梢「!ええ、小鈴さんを信じるわ!」
247: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:08:19 ID:???00
姫芽「本気?小鈴ちゃん」
小鈴「本気だよ、姫芽ちゃん」
姫芽「ねえ、小鈴ちゃん。アタシは家族を事故で亡くしてるの」
姫芽「アタシは聖杯を手に入れて家族と会う。そのためにこの蓮ノ空に入学してきた」
姫芽「だから、降参してくれない?」
小鈴「そうだったんだ...だけど、徒町にも戦う理由ができたんだよ」
姫芽「それは?」
小鈴「本気だよ、姫芽ちゃん」
姫芽「ねえ、小鈴ちゃん。アタシは家族を事故で亡くしてるの」
姫芽「アタシは聖杯を手に入れて家族と会う。そのためにこの蓮ノ空に入学してきた」
姫芽「だから、降参してくれない?」
小鈴「そうだったんだ...だけど、徒町にも戦う理由ができたんだよ」
姫芽「それは?」
248: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:09:55 ID:???00
小鈴「もう二度と聖杯戦争が起きないようにする」
小鈴「この土地に縛られた生徒たちの魂も開放する!」
小鈴「あたしが、この聖杯戦争を終わらせる!!!」
小鈴(これ以上、めぐちゃんみたいな人を増やさないために――)
姫芽「そっか、聖杯戦争を終わらせる。それが小鈴ちゃんの願いなんだね」
姫芽「じゃあ...戦うしかないね!!」ガチャ
BANG💥
小鈴「ふっ!」サッ
射線から外れながら、身体の中に神経を集中させる。
小鈴「この土地に縛られた生徒たちの魂も開放する!」
小鈴「あたしが、この聖杯戦争を終わらせる!!!」
小鈴(これ以上、めぐちゃんみたいな人を増やさないために――)
姫芽「そっか、聖杯戦争を終わらせる。それが小鈴ちゃんの願いなんだね」
姫芽「じゃあ...戦うしかないね!!」ガチャ
BANG💥
小鈴「ふっ!」サッ
射線から外れながら、身体の中に神経を集中させる。
249: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:14:13 ID:???00
カチャ
刀を抜く。
背骨に刺さっていた刀身が姿を見せる。
もちろん本物の刀など刺さっていない。
徒町小鈴にとって、魔術回路を起動させるイメージが刀だっただけだ。
今まで自分で開けなかったのも無理はない。
護身の為になど、抜けるはずもないのだ。
なぜなら、――
『「刀は抜くべからざるもの」なれば、抜いたからには一撃のもとに相手を切り伏せよ』
刀とは、ただ“戦う”ための物なのだから!
250: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:16:17 ID:???00
小鈴「『強化』!」
キーン!バチバチ⚡
両脚の強化を一発で成功させる。
BANG💥 BANG💥 BANG💥
小鈴「ふっ!ふっ!」サッサッ
小鈴(体がいつもより軽い!これなら!)
BANG💥
小鈴「ぐあっ!」
小鈴(同じ方向に逃げてちゃだめだ!バーサーカーとの特訓を思い出せ!)
キーン!バチバチ⚡
両脚の強化を一発で成功させる。
BANG💥 BANG💥 BANG💥
小鈴「ふっ!ふっ!」サッサッ
小鈴(体がいつもより軽い!これなら!)
BANG💥
小鈴「ぐあっ!」
小鈴(同じ方向に逃げてちゃだめだ!バーサーカーとの特訓を思い出せ!)
251: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:18:41 ID:???00
BANG💥 BANG💥
小鈴(右、左、右――)
BANG💥 BANG💥 BANG💥
小鈴(左、左、右、左――いける!)
付かず離れず、姫芽ちゃんが無視できない距離で弾丸を避け続ける。
徒町の“目的”は姫芽ちゃんを足止めして、バーサーカーがランサーに集中できるようにすることだ。
一対一ならバーサーカーは負けない。できるだけ時間を稼ぐんだ!
姫芽(右、左、右、右――左右に3回避けた後に同じ方向に1回)
姫芽(小鈴ちゃん、ランダムに避けてるつもりだろうけど、動きがパターン化してきてるよ!)
小鈴(右、左、右――)
BANG💥 BANG💥 BANG💥
小鈴(左、左、右、左――いける!)
付かず離れず、姫芽ちゃんが無視できない距離で弾丸を避け続ける。
徒町の“目的”は姫芽ちゃんを足止めして、バーサーカーがランサーに集中できるようにすることだ。
一対一ならバーサーカーは負けない。できるだけ時間を稼ぐんだ!
姫芽(右、左、右、右――左右に3回避けた後に同じ方向に1回)
姫芽(小鈴ちゃん、ランダムに避けてるつもりだろうけど、動きがパターン化してきてるよ!)
252: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:21:05 ID:???00
姫芽「はっ!」BANG💥
小鈴「がっ!」グラ
BANG💥 BANG💥 BANG💥
小鈴「ぐ"う"う"~~~!!!」バタン
姫芽「威力は抑えてあげたから、死にはしないよ」
姫芽「でも、しばらくそこでじっとしててね」
小鈴「う...でも、目的は果たせよ...!」
姫芽「え?」
梢「はっ!!!」ゴン!
瑠璃乃「ぐわーっ!」バタン!ゴロゴロゴロ…
姫芽「ランサー!!」
小鈴「がっ!」グラ
BANG💥 BANG💥 BANG💥
小鈴「ぐ"う"う"~~~!!!」バタン
姫芽「威力は抑えてあげたから、死にはしないよ」
姫芽「でも、しばらくそこでじっとしててね」
小鈴「う...でも、目的は果たせよ...!」
姫芽「え?」
梢「はっ!!!」ゴン!
瑠璃乃「ぐわーっ!」バタン!ゴロゴロゴロ…
姫芽「ランサー!!」
253: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:22:27 ID:???00
ランサーの鎧はすでにボロボロだ。
身体も傷だらけで満身創痍といった様子だった。
瑠璃乃「ごめんマスター...」
姫芽「ううん、アタシが援護できなかったから」
姫芽「......ランサー、アタシに案がある」
瑠璃乃「え?」
姫芽「バーサーカーに宝具を使って!」
瑠璃乃「でもあの宝具じゃ...」
姫芽「攻撃はアタシが担当するから!」
瑠璃乃「...わかった!」
身体も傷だらけで満身創痍といった様子だった。
瑠璃乃「ごめんマスター...」
姫芽「ううん、アタシが援護できなかったから」
姫芽「......ランサー、アタシに案がある」
瑠璃乃「え?」
姫芽「バーサーカーに宝具を使って!」
瑠璃乃「でもあの宝具じゃ...」
姫芽「攻撃はアタシが担当するから!」
瑠璃乃「...わかった!」
254: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:26:14 ID:???00
ランサーが槍を持って立ち上がる。
梢(宝具!あの三段突きね!)バッ
バーサーカーは後ろに大きく飛び退いた。
梢(これだけの距離があれば、光速の三段突きにも問題なく対処できる!)
しかし、バーサーカーの予測とは裏腹に、ランサーは槍を水平ではなく垂直に掲げた。
梢(上段の構え!?いえ、どのみちこれだけの距離があればどんな攻撃でも――)
瑠璃乃「計測、開始――――完了!」グッ
瑠璃乃「宝具!『BANG YOU グラビティ』!!!」ブン
だが、バーサーカーの予測は再び裏切られる。
ランサーはその場から一歩も動くことなく、その宝具を振り下ろす。
梢「!」
梢(宝具!あの三段突きね!)バッ
バーサーカーは後ろに大きく飛び退いた。
梢(これだけの距離があれば、光速の三段突きにも問題なく対処できる!)
しかし、バーサーカーの予測とは裏腹に、ランサーは槍を水平ではなく垂直に掲げた。
梢(上段の構え!?いえ、どのみちこれだけの距離があればどんな攻撃でも――)
瑠璃乃「計測、開始――――完了!」グッ
瑠璃乃「宝具!『BANG YOU グラビティ』!!!」ブン
だが、バーサーカーの予測は再び裏切られる。
ランサーはその場から一歩も動くことなく、その宝具を振り下ろす。
梢「!」
255: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:27:51 ID:???00
ランサーの宝具はその槍――否、“釣り竿”である。
それは距離や時間を超え、対象を引き寄せる絶対引力。
梢「体が引っ張られ!?――きゃっ!」グイン
かなりの距離をとっていたバーサーカーは、突然自身を襲う引力に対応できない。
そのままランサーのほうへ飛ぶように引き寄せられていく。
梢(でも、わざわざ近づけてくれるならカウンターで反撃をするまで!)
慈『エンジェルスマイル!』
グリン!
バーサーカーの首が真横を向く。
梢「なっ!藤島慈!?」
梢(まずい!ランサーとの距離が掴めない!)
それは距離や時間を超え、対象を引き寄せる絶対引力。
梢「体が引っ張られ!?――きゃっ!」グイン
かなりの距離をとっていたバーサーカーは、突然自身を襲う引力に対応できない。
そのままランサーのほうへ飛ぶように引き寄せられていく。
梢(でも、わざわざ近づけてくれるならカウンターで反撃をするまで!)
慈『エンジェルスマイル!』
グリン!
バーサーカーの首が真横を向く。
梢「なっ!藤島慈!?」
梢(まずい!ランサーとの距離が掴めない!)
256: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:30:15 ID:???00
ランサーの宝具は強力な引力を発生させる。
しかし、その能力はあくまで引き寄せるだけで、攻撃能力はない。
ゆえに――
姫芽「全弾装填(セット)」ガチャ
安養寺姫芽がランサーの前に出る。
姫芽(生命力の半分を魔弾に変換!ゼロ距離からの全弾発射で確実に仕留める!)
姫芽「!?」
小鈴「ふん!」ガシ!
梢「小鈴さん!?なにを...!」
しかし、その能力はあくまで引き寄せるだけで、攻撃能力はない。
ゆえに――
姫芽「全弾装填(セット)」ガチャ
安養寺姫芽がランサーの前に出る。
姫芽(生命力の半分を魔弾に変換!ゼロ距離からの全弾発射で確実に仕留める!)
姫芽「!?」
小鈴「ふん!」ガシ!
梢「小鈴さん!?なにを...!」
257: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:31:40 ID:???00
腕を強化してバーサーカーにしがみつく。
だが、姫芽ちゃんに撃たれて動かない脚では、引っ張られるバーサーカーを止めることはできない。
それでいい。あたしの目的は、バーサーカーを止めることじゃない。
バーサーカーに運んでもらうことだ!
小鈴「姫芽ちゃん!!」
姫芽「小鈴ちゃん!?」
姫芽(どうする!?撃てば確実に小鈴ちゃんも死んじゃう!いや――)
姫芽(アタシは何を犠牲にしてでも、聖杯を手に入れると決めたんだ!!)
姫芽「フルバー...」
だが、姫芽ちゃんに撃たれて動かない脚では、引っ張られるバーサーカーを止めることはできない。
それでいい。あたしの目的は、バーサーカーを止めることじゃない。
バーサーカーに運んでもらうことだ!
小鈴「姫芽ちゃん!!」
姫芽「小鈴ちゃん!?」
姫芽(どうする!?撃てば確実に小鈴ちゃんも死んじゃう!いや――)
姫芽(アタシは何を犠牲にしてでも、聖杯を手に入れると決めたんだ!!)
姫芽「フルバー...」
258: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:33:06 ID:???00
小鈴「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
『プオォォォォォーーン!』
姫芽「っ!」ビクッ
小鈴「たー!!!」ドシン!
姫芽「きゃっ!」バタン
梢「は!!!」ゴン!
瑠璃乃「マスタ――ぐわっ!」ドーン!
引き寄せられる勢いそのままで姫芽ちゃんに突っ込む。
姫芽ちゃんは派手に倒れて頭を打ったのか、倒れたまま起き上がらない。
『プオォォォォォーーン!』
姫芽「っ!」ビクッ
小鈴「たー!!!」ドシン!
姫芽「きゃっ!」バタン
梢「は!!!」ゴン!
瑠璃乃「マスタ――ぐわっ!」ドーン!
引き寄せられる勢いそのままで姫芽ちゃんに突っ込む。
姫芽ちゃんは派手に倒れて頭を打ったのか、倒れたまま起き上がらない。
259: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:34:00 ID:???00
姫芽「う、うぅ...」グッタリ
瑠璃乃「げほっ!げほっ!」
ランサーはバーサーカーに蹴り飛ばされて姫芽ちゃんの隣でうずくまっていた。
小鈴「はあ、はあ...姫芽ちゃん、もうやめよう!」
小鈴「姫芽ちゃんが亡くなった家族に会いたい気持ちはわかるよ!」
小鈴「でも、そのためにまた誰かが大切な人を失っちゃう!そんなの姫芽ちゃんの家族も喜ばないよ!!」
姫芽「!!」
瑠璃乃「げほっ!げほっ!」
ランサーはバーサーカーに蹴り飛ばされて姫芽ちゃんの隣でうずくまっていた。
小鈴「はあ、はあ...姫芽ちゃん、もうやめよう!」
小鈴「姫芽ちゃんが亡くなった家族に会いたい気持ちはわかるよ!」
小鈴「でも、そのためにまた誰かが大切な人を失っちゃう!そんなの姫芽ちゃんの家族も喜ばないよ!!」
姫芽「!!」
260: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:36:08 ID:???00
――――――
2月1日 夜
慈『――ルリちゃん?』
瑠璃乃『めぐちゃん...』
慈『うそ...私、どうして今までルリちゃんのこと...あ、ああああ!』ペタン
姫芽『ラ、ランサー?これはどういう...藤島せんぱいと知り合いなの?』
瑠璃乃『ごめんマスター。多分ルリの宝具のせいだ』
瑠璃乃『この宝具、持ってるだけでも“縁のある人”を引き寄せちゃうんだ』
姫芽『縁って』
瑠璃乃『めぐちゃんはルリの幼馴染だよ...』
瑠璃乃『ルリが聖杯戦争で死んじゃったせいで、めぐちゃんは今まで忘れてたみたいだけど』
姫芽『!?そん、な...』
2月1日 夜
慈『――ルリちゃん?』
瑠璃乃『めぐちゃん...』
慈『うそ...私、どうして今までルリちゃんのこと...あ、ああああ!』ペタン
姫芽『ラ、ランサー?これはどういう...藤島せんぱいと知り合いなの?』
瑠璃乃『ごめんマスター。多分ルリの宝具のせいだ』
瑠璃乃『この宝具、持ってるだけでも“縁のある人”を引き寄せちゃうんだ』
姫芽『縁って』
瑠璃乃『めぐちゃんはルリの幼馴染だよ...』
瑠璃乃『ルリが聖杯戦争で死んじゃったせいで、めぐちゃんは今まで忘れてたみたいだけど』
姫芽『!?そん、な...』
261: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:38:32 ID:???00
慈『ごめんねルリちゃん...!私もうルリちゃんのこと忘れないから!』ポロポロ
慈『だからお願い...もう私の前からいなくならないで...』グイッ
姫芽『!!』
瑠璃乃『...行こうマスター。離れればまた忘れてもらえると思うから』
慈『いやっ、行かないで!ルリちゃん!!』
姫芽『待ってランサー!アタシに...提案があるんだけど』
瑠璃乃『?』
姫芽『マスターの権利を、藤島せんぱいに――』
――――――
慈『だからお願い...もう私の前からいなくならないで...』グイッ
姫芽『!!』
瑠璃乃『...行こうマスター。離れればまた忘れてもらえると思うから』
慈『いやっ、行かないで!ルリちゃん!!』
姫芽『待ってランサー!アタシに...提案があるんだけど』
瑠璃乃『?』
姫芽『マスターの権利を、藤島せんぱいに――』
――――――
262: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:40:02 ID:???00
姫芽「う、う...う"...」ポロポロ…
瑠璃乃「姫芽ちゃん、もういいよ。やめよう?誰かを傷つけるなんて、姫芽ちゃんには似合わないよ」
瑠璃乃「ルリは消えちゃうだろうから、めぐちゃんのこと、よろしくね!」
姫芽「ランサー......っ!?」
姫芽「小鈴ちゃん危ない!!!」ドン
小鈴「へ?」
綴理『Crimson lotus』🔥
🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥
姫芽「っ"...」🔥
瑠璃乃「あ"っ"!」🔥
慈「ぎ"っ」🔥
梢「う"っ!」🔥
瑠璃乃「姫芽ちゃん、もういいよ。やめよう?誰かを傷つけるなんて、姫芽ちゃんには似合わないよ」
瑠璃乃「ルリは消えちゃうだろうから、めぐちゃんのこと、よろしくね!」
姫芽「ランサー......っ!?」
姫芽「小鈴ちゃん危ない!!!」ドン
小鈴「へ?」
綴理『Crimson lotus』🔥
🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥
姫芽「っ"...」🔥
瑠璃乃「あ"っ"!」🔥
慈「ぎ"っ」🔥
梢「う"っ!」🔥
263: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:42:10 ID:???00
小鈴「姫芽ちゃん!めぐちゃん!バーサーカー!!!」
綴理「ひとり外した。残念」
梢「っ!アーチャーのマスター!!あなたまた!!」
小鈴「どうしてここに...」
綴理「藤島慈が教えてくれたんだ。あれ?どうして教えてくれたんだっけ?」
綴理「まあいっか。じゃあ死ん――」
吟子『月夜見海月』🪼
綴理「ごぼっ...」。o○
綴理(水?キャスターか)
吟子「今度はちゃんと準備してしてきたんだから!」
花帆「小鈴ちゃん!」
小鈴「花帆先輩!?」
綴理「ひとり外した。残念」
梢「っ!アーチャーのマスター!!あなたまた!!」
小鈴「どうしてここに...」
綴理「藤島慈が教えてくれたんだ。あれ?どうして教えてくれたんだっけ?」
綴理「まあいっか。じゃあ死ん――」
吟子『月夜見海月』🪼
綴理「ごぼっ...」。o○
綴理(水?キャスターか)
吟子「今度はちゃんと準備してしてきたんだから!」
花帆「小鈴ちゃん!」
小鈴「花帆先輩!?」
264: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:43:53 ID:???00
綴理『Crimson lotus』🔥
吟子『Reflection in the mirror』ピカッ!🔥
ドーン!🔥🔥🔥
綴理「魔術を反射するのか、厄介だね。なら」
綴理『DEEP――」
吟子『月夜見海月』🪼
綴理「ごぼぼっ...」。o○
綴理(またこれだ、まるで水の中に落ちたみたい...詠唱ができない)
梢「はっ!!」ドン!
綴理「あ、――」サラー…
梢「消えた!?」
吟子「分身だよ。多分、本体はここには居ない。アーチャーの気配もないから」
吟子『Reflection in the mirror』ピカッ!🔥
ドーン!🔥🔥🔥
綴理「魔術を反射するのか、厄介だね。なら」
綴理『DEEP――」
吟子『月夜見海月』🪼
綴理「ごぼぼっ...」。o○
綴理(またこれだ、まるで水の中に落ちたみたい...詠唱ができない)
梢「はっ!!」ドン!
綴理「あ、――」サラー…
梢「消えた!?」
吟子「分身だよ。多分、本体はここには居ない。アーチャーの気配もないから」
265: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:45:20 ID:???00
小鈴「花帆先輩!めぐちゃんと姫芽ちゃんが!」
慈「う...ルリ、ちゃん...」グタ
姫芽「...」
姫芽(アタシはもうだめだ。さっきの戦いで無理をしすぎた。でも、せめて...)
姫芽(再会できたこの2人には、ずっと――)
姫芽「令...呪を...もっ...」
花帆「!!酷いやけど!『フラワー』!」🌸
慈「う、...ふぅ...」スースー
姫芽「ラン...サー......めぐ...」
慈「う...ルリ、ちゃん...」グタ
姫芽「...」
姫芽(アタシはもうだめだ。さっきの戦いで無理をしすぎた。でも、せめて...)
姫芽(再会できたこの2人には、ずっと――)
姫芽「令...呪を...もっ...」
花帆「!!酷いやけど!『フラワー』!」🌸
慈「う、...ふぅ...」スースー
姫芽「ラン...サー......めぐ...」
266: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:47:05 ID:???00
花帆「こっちの人はもう大丈夫!次...!?」
姫芽「 」
花帆「っ!『フラワー』!」🌸
姫芽「 」
花帆「『フラワー』『フラワー』『フラワー』!!!」🌸
姫芽「 」
花帆「フラ...」
吟子「花帆...その子はもう...」
花帆「ごめん...なさい...」
小鈴「そ、そんな...」
姫芽「 」
花帆「っ!『フラワー』!」🌸
姫芽「 」
花帆「『フラワー』『フラワー』『フラワー』!!!」🌸
姫芽「 」
花帆「フラ...」
吟子「花帆...その子はもう...」
花帆「ごめん...なさい...」
小鈴「そ、そんな...」
267: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:48:56 ID:???00
小鈴「姫芽ちゃん...」
――――――
姫芽『小鈴ちゃんおはよ~』
姫芽『小鈴ちゃん~次移動教室だよ?急ごう~』
姫芽『そういうことさらっと言っちゃから小鈴ちゃんは人たらしなんだぞ....』
姫芽『うひゃ!?こ、こひゅじゅちゃん!?』///
――――――
小鈴「う...う...」
小鈴「――――――!!!!」
姫芽ちゃんが死んだ。
長いピンクの髪が地面に広がり、まるで大きな蓮の花みたいだった。
その顔は徒町がよく知る、優しくて明るい、いつもの姫芽ちゃんの顔だった。
――――――
姫芽『小鈴ちゃんおはよ~』
姫芽『小鈴ちゃん~次移動教室だよ?急ごう~』
姫芽『そういうことさらっと言っちゃから小鈴ちゃんは人たらしなんだぞ....』
姫芽『うひゃ!?こ、こひゅじゅちゃん!?』///
――――――
小鈴「う...う...」
小鈴「――――――!!!!」
姫芽ちゃんが死んだ。
長いピンクの髪が地面に広がり、まるで大きな蓮の花みたいだった。
その顔は徒町がよく知る、優しくて明るい、いつもの姫芽ちゃんの顔だった。
268: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:51:21 ID:???00
姫芽ちゃんの体は、理事長が持っていった。
聖杯戦争でなくなったマスターはしかるべき弔いをされるという。
しかし、徒町たちは立ち会わせてはもらえなかった。
ランサーはいつの間にかいなくなっていた。
おそらくマスターが死んだことで魔力供給が切れ、消えてしまったのだろう。
小鈴「あ――月――」
見上げると今夜は満月だった。
『スノームーン』月が地球から最も遠い位置にある日。
もう会えない距離に引き裂かれた徒町たちを、小さな月が冷たく照らしていた。
――――――
聖杯戦争でなくなったマスターはしかるべき弔いをされるという。
しかし、徒町たちは立ち会わせてはもらえなかった。
ランサーはいつの間にかいなくなっていた。
おそらくマスターが死んだことで魔力供給が切れ、消えてしまったのだろう。
小鈴「あ――月――」
見上げると今夜は満月だった。
『スノームーン』月が地球から最も遠い位置にある日。
もう会えない距離に引き裂かれた徒町たちを、小さな月が冷たく照らしていた。
――――――
269: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:53:50 ID:???00
[ Interlude in ]
ライダー「主...様......」キラキラ…
ライダーが光の粒子になって消えていく。
敗北したサーヴァントは、純粋な魔力となって聖杯に注がれる。
全てのサーヴァントが消滅して聖杯が魔力で満杯になった時、聖杯は顕現する。
綴理「しばらく姿を見せていないと思ったら、こそこそ監視してたのはライダーだったんだね」
さやか「はい、最後までマスターを吐かなかったのは見上げた忠義でしたが」
ライダーはアーチャーの矢で壁に張り付けにされ、あらゆる拷問を受けた。
だが、マスターの名前だけは決して言うことはなかった。
ライダー「主...様......」キラキラ…
ライダーが光の粒子になって消えていく。
敗北したサーヴァントは、純粋な魔力となって聖杯に注がれる。
全てのサーヴァントが消滅して聖杯が魔力で満杯になった時、聖杯は顕現する。
綴理「しばらく姿を見せていないと思ったら、こそこそ監視してたのはライダーだったんだね」
さやか「はい、最後までマスターを吐かなかったのは見上げた忠義でしたが」
ライダーはアーチャーの矢で壁に張り付けにされ、あらゆる拷問を受けた。
だが、マスターの名前だけは決して言うことはなかった。
270: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:57:24 ID:???00
綴理「別にいいよ。サーヴァントを失ったマスターに興味はない」
さやか「そうですね」
綴理「あ、あっちのぼくがやられた」
さやか「バーサーカーとランサーは」
綴理「ランサーはマスターと一緒に殺した。バーサーカーは生きてる。キャスターに邪魔をされた」
さやか「そうですか」
綴理「それにしても、また四つ巴...前回と比べて、役者も何も変わってない。ほんと――」
綴理「“つまらない展開だ”」
さやか「...」
さやか「そうですね」
綴理「あ、あっちのぼくがやられた」
さやか「バーサーカーとランサーは」
綴理「ランサーはマスターと一緒に殺した。バーサーカーは生きてる。キャスターに邪魔をされた」
さやか「そうですか」
綴理「それにしても、また四つ巴...前回と比べて、役者も何も変わってない。ほんと――」
綴理「“つまらない展開だ”」
さやか「...」
271: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 22:58:37 ID:???00
さやか「徒町小鈴はまだ生きていますか?」
綴理「生きてるよ。バーサーカーのマスターが気になるの?」
さやか「はい...マスター、お願いがあるのですが」
さやか「明日、お暇をもらえませんか」
綴理「?どうして」
さやか「確かめたいことがあります。そのために、徒町小鈴と接触したいんです」
綴理「生きてるよ。バーサーカーのマスターが気になるの?」
さやか「はい...マスター、お願いがあるのですが」
さやか「明日、お暇をもらえませんか」
綴理「?どうして」
さやか「確かめたいことがあります。そのために、徒町小鈴と接触したいんです」
272: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/06(木) 23:00:10 ID:???00
綴理「ふーん。いいよ」
さやか「わたしが裏切るとは考えないのですか?」
綴理「別に...裏切られても令呪があるから」
さやか「そうですか...安心してください。マスターを裏切ったりはしませんから」
綴理「うん。わかった」
さやか(徒町小鈴。この聖杯戦争を勝ち残るというなら、わたしがあなたを殺さないと)
さやか(それがわたしの使命だから)
[ Interlude out ]
さやか「わたしが裏切るとは考えないのですか?」
綴理「別に...裏切られても令呪があるから」
さやか「そうですか...安心してください。マスターを裏切ったりはしませんから」
綴理「うん。わかった」
さやか(徒町小鈴。この聖杯戦争を勝ち残るというなら、わたしがあなたを殺さないと)
さやか(それがわたしの使命だから)
[ Interlude out ]
275: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 20:31:10 ID:???00
【2月7日】
夢を見る。
エリ「こずえちゃん!羽子板もってきたの!やろう!」
梢「羽子板?お正月でもないのに?」
エリ「いいの!やりたかったから!」
2人の少女は楽しそうに羽子板をする。
エリ「こずえちゃん!女学生って知ってる?」カン
梢「じょがくせい?なにそれ?」カン
エリ「かわいいせいふくを着て、みんなで一緒に生活するの!」カン
梢「え!家族でもないのに一緒に生活をするの!?」カン
エリ「そうなの!それで学校がお休みの日は一緒に遊びに行ったりするの!」カン
梢「そんなことができるの!?」カン
生まれてから一度も家を出たことのなかった少女にとって、友達と一緒に生活するなど想像もできないことだった。
夢を見る。
エリ「こずえちゃん!羽子板もってきたの!やろう!」
梢「羽子板?お正月でもないのに?」
エリ「いいの!やりたかったから!」
2人の少女は楽しそうに羽子板をする。
エリ「こずえちゃん!女学生って知ってる?」カン
梢「じょがくせい?なにそれ?」カン
エリ「かわいいせいふくを着て、みんなで一緒に生活するの!」カン
梢「え!家族でもないのに一緒に生活をするの!?」カン
エリ「そうなの!それで学校がお休みの日は一緒に遊びに行ったりするの!」カン
梢「そんなことができるの!?」カン
生まれてから一度も家を出たことのなかった少女にとって、友達と一緒に生活するなど想像もできないことだった。
276: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 20:32:20 ID:???00
エリ「ねえ、こずえちゃん!大きくなったら一緒に女学校にいきましょう!」
エリ「それで1日中一緒にいるの!」カン
梢「い、行くわ!私、じょがくせいになりたい!!」カーン!
ガサッ
エリ「あ、羽...木に引っかかっちゃった」
梢「ご、ごめんなさい!力が入りすぎちゃって...」
エリ「あたし木登りとくいだから取ってきてあげる!」
梢「あぶないわよ!落ちてけがでもしたら...」
エリ「大丈夫だよ!おいしょ、おいしょ...うわっ!」ツル
梢「エリ!!」
エリ「それで1日中一緒にいるの!」カン
梢「い、行くわ!私、じょがくせいになりたい!!」カーン!
ガサッ
エリ「あ、羽...木に引っかかっちゃった」
梢「ご、ごめんなさい!力が入りすぎちゃって...」
エリ「あたし木登りとくいだから取ってきてあげる!」
梢「あぶないわよ!落ちてけがでもしたら...」
エリ「大丈夫だよ!おいしょ、おいしょ...うわっ!」ツル
梢「エリ!!」
277: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 20:33:29 ID:???00
お絹「危ない!!!」ドシン!
落ちる寸前でエリをお絹さんが受け止める。
だがお絹さんはエリを受け止めるときに腕を怪我してしまった。
お絹さんの腕から真っ赤な血――血、血、血、血、血、血血血血血血血血血ちちちちちちちちちちちちがががががが――
エリ「ごめんなさいお絹さん!まあ血が出てるわ!」
エリ「こずえちゃん早く救急箱を...こずえちゃん?」
お絹「あ、ああああああ!いけません!お嬢様!どうか落ち着い――」
落ちる寸前でエリをお絹さんが受け止める。
だがお絹さんはエリを受け止めるときに腕を怪我してしまった。
お絹さんの腕から真っ赤な血――血、血、血、血、血、血血血血血血血血血ちちちちちちちちちちちちがががががが――
エリ「ごめんなさいお絹さん!まあ血が出てるわ!」
エリ「こずえちゃん早く救急箱を...こずえちゃん?」
お絹「あ、ああああああ!いけません!お嬢様!どうか落ち着い――」
278: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 20:34:16 ID:???00
――――――
279: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 20:35:58 ID:???00
梢「え"?」
エリ「ひいっ...!」
梢「エ"リ"ち"ゃ"ん"」
エリ「来ないで!!化け物!!!!」
梢「な"ん"で"、あ"れ"、お"き"ぬ"さ"ん"?」
お絹さんはどこにもいなかった。
ただ、目の前には胴を真っ二つに引き裂かれ、腕や足がバラバラになったモノが転がっていた。
でも頭はどこに?
エリ「ひいっ...!」
梢「エ"リ"ち"ゃ"ん"」
エリ「来ないで!!化け物!!!!」
梢「な"ん"で"、あ"れ"、お"き"ぬ"さ"ん"?」
お絹さんはどこにもいなかった。
ただ、目の前には胴を真っ二つに引き裂かれ、腕や足がバラバラになったモノが転がっていた。
でも頭はどこに?
280: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 20:37:44 ID:???00
梢「け"ま"り"?」
おかしいわ。いつの間に蹴鞠なんて持ってきたのかしら?
しかもこんな毛むくじゃらで、おびえた人の顔のような――
エリ「きゃあああああああああ!!!」
エリ「だれか!だれか助けて!!!」
「何事だ!」
「これは...!」
「なんてこと...」
「て、手当を!」
「もう死んでいるに決まってるだろう!!」
「梢を捕まえろ!手荒になってもかまわん!」
お父様。痛いわ。やめて、なんでそんな風につかむの?
なんでそんな目で見るの?
おかしいわ。いつの間に蹴鞠なんて持ってきたのかしら?
しかもこんな毛むくじゃらで、おびえた人の顔のような――
エリ「きゃあああああああああ!!!」
エリ「だれか!だれか助けて!!!」
「何事だ!」
「これは...!」
「なんてこと...」
「て、手当を!」
「もう死んでいるに決まってるだろう!!」
「梢を捕まえろ!手荒になってもかまわん!」
お父様。痛いわ。やめて、なんでそんな風につかむの?
なんでそんな目で見るの?
281: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 20:40:07 ID:???00
ガチャン!!
梢「お"と"う"さ"ま"...」
「なんて醜い姿なの!」
「まさに伝承通りの姿だな...」
「これからどうするのです?」
「しばらくこの地下牢に閉じ込めておく」
「一緒にいた娘は?」
「我々が“猿鬼”の末裔だと知れたら終わりだ」
「野犬にでも食わせて道端に捨てておけ」
梢「な"ん"で"...」
皆が言っていることが理解できない。
私はどうしてこんなところに閉じ込められているの?
お絹さんは、エリはどこにいるの?
どうして――――口の中で血の味がするの?
――――――
梢「お"と"う"さ"ま"...」
「なんて醜い姿なの!」
「まさに伝承通りの姿だな...」
「これからどうするのです?」
「しばらくこの地下牢に閉じ込めておく」
「一緒にいた娘は?」
「我々が“猿鬼”の末裔だと知れたら終わりだ」
「野犬にでも食わせて道端に捨てておけ」
梢「な"ん"で"...」
皆が言っていることが理解できない。
私はどうしてこんなところに閉じ込められているの?
お絹さんは、エリはどこにいるの?
どうして――――口の中で血の味がするの?
――――――
282: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 20:41:36 ID:???00
キーンコーンカーンコーン
担任「みんなおはよう。今日は...“欠席者はいないな”」
小鈴「っ...」グッ…
姫芽ちゃんが教室にいないことに気が付いているのは徒町だけだった。
いや、正確に言うなら姫芽ちゃんを覚えているのは徒町だけだった。
姫芽ちゃんの席が空席でも、誰も気に留めようとしない。
まるで最初からずっと空席だったかのように。
姫芽ちゃんの魂は聖杯によってこの蓮ノ空に捕らわれている。
このままではあの世で家族に再会することもできないだろう。
姫芽ちゃんを正しく弔うためには、聖杯から魂を解放する他ない。
担任「みんなおはよう。今日は...“欠席者はいないな”」
小鈴「っ...」グッ…
姫芽ちゃんが教室にいないことに気が付いているのは徒町だけだった。
いや、正確に言うなら姫芽ちゃんを覚えているのは徒町だけだった。
姫芽ちゃんの席が空席でも、誰も気に留めようとしない。
まるで最初からずっと空席だったかのように。
姫芽ちゃんの魂は聖杯によってこの蓮ノ空に捕らわれている。
このままではあの世で家族に再会することもできないだろう。
姫芽ちゃんを正しく弔うためには、聖杯から魂を解放する他ない。
283: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 20:42:43 ID:???00
キーンコーンカーンコーン
授業なんてこれっぽっちも頭に入らないまま、いつの間にか放課後になっていた。
そうだ、徒町には花帆先輩に話さなければならないことがあったんだ。
コンコンコン
小鈴「花帆先輩。徒町です」
ガチャ
花帆「小鈴ちゃん...入って」
小鈴「お邪魔します」
授業なんてこれっぽっちも頭に入らないまま、いつの間にか放課後になっていた。
そうだ、徒町には花帆先輩に話さなければならないことがあったんだ。
コンコンコン
小鈴「花帆先輩。徒町です」
ガチャ
花帆「小鈴ちゃん...入って」
小鈴「お邪魔します」
284: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 20:43:53 ID:???00
花帆「その、小鈴ちゃん大丈夫?」
小鈴「大丈夫では...ないです」
花帆「そ、そうだよね。大切な友達が亡くなったんだもん...」
花帆「無神経なこと聞いてごめんね...」
小鈴「いえ、お気になさらず。それで今日は、皆さんに話したいことがあって来ました」
吟子「皆さんって、私も含めてってこと?」
小鈴「はい。あとバーサーカーも」
梢「...」
花帆「話って?」
小鈴「少し、自分語りをさせてください」
小鈴「大丈夫では...ないです」
花帆「そ、そうだよね。大切な友達が亡くなったんだもん...」
花帆「無神経なこと聞いてごめんね...」
小鈴「いえ、お気になさらず。それで今日は、皆さんに話したいことがあって来ました」
吟子「皆さんって、私も含めてってこと?」
小鈴「はい。あとバーサーカーも」
梢「...」
花帆「話って?」
小鈴「少し、自分語りをさせてください」
285: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 20:45:46 ID:???00
小鈴「...実は徒町は、最初は聖杯で叶えたい願いなんてありませんでした。いえ、今もありません。」
小鈴「徒町は昔から何をやっても上手くいかなくて、家族からも小鈴は何もしなくていいんだよって言われてきました」
小鈴「そんな扱いに反発して、徒町だって一人でできるって証明するために蓮ノ空に入学してきたんです」
小鈴「でも、蓮ノ空は色々な芸術分野に秀でた生徒ばかりで...」
小鈴「一般入試で入ってきた徒町なんかが1番になれるものなんて、一つもありませんでした」
小鈴「だから毎日、チャレンジだって言って、湖の横断とか、木登りとかに挑戦していたんです」
小鈴「別に、それができたからって何にもならないことはわかっていました」
小鈴「誰にも誇れることじゃないことは、わかっていました...」
小鈴「徒町は昔から何をやっても上手くいかなくて、家族からも小鈴は何もしなくていいんだよって言われてきました」
小鈴「そんな扱いに反発して、徒町だって一人でできるって証明するために蓮ノ空に入学してきたんです」
小鈴「でも、蓮ノ空は色々な芸術分野に秀でた生徒ばかりで...」
小鈴「一般入試で入ってきた徒町なんかが1番になれるものなんて、一つもありませんでした」
小鈴「だから毎日、チャレンジだって言って、湖の横断とか、木登りとかに挑戦していたんです」
小鈴「別に、それができたからって何にもならないことはわかっていました」
小鈴「誰にも誇れることじゃないことは、わかっていました...」
286: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 20:47:18 ID:???00
小鈴「それでも、徒町は何者かになりたかった」
小鈴「誰にも誇れなくても、自分に誇れる自分になりたかった」
小鈴「チャレンジを成功させた先に欲しいものがあったわけじゃなくて...成功できたっていう自信が欲しかったんです!」
小鈴「でもやっぱり徒町はダメダメで、一度もチャレンジを成功させることはできませんでした」
小鈴「聖杯戦争も、最初はそんなチャレンジの一つでしかなかったんです」
小鈴「聖杯が欲しいんじゃなくて、ただ聖杯戦争の勝者の称号が欲しかっただけで...」
小鈴「だから、花帆先輩の命がかかってるって聞いて、徒町はこの戦いから身を引こうと思ったんです」
小鈴「誰にも誇れなくても、自分に誇れる自分になりたかった」
小鈴「チャレンジを成功させた先に欲しいものがあったわけじゃなくて...成功できたっていう自信が欲しかったんです!」
小鈴「でもやっぱり徒町はダメダメで、一度もチャレンジを成功させることはできませんでした」
小鈴「聖杯戦争も、最初はそんなチャレンジの一つでしかなかったんです」
小鈴「聖杯が欲しいんじゃなくて、ただ聖杯戦争の勝者の称号が欲しかっただけで...」
小鈴「だから、花帆先輩の命がかかってるって聞いて、徒町はこの戦いから身を引こうと思ったんです」
287: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 20:51:44 ID:???00
小鈴「でも!記憶を失って苦しんでるめぐちゃんや、姫芽ちゃんが死んじゃったのに気が付かない皆を見て...」
小鈴「徒町にも、勝ちたい理由ができました」
小鈴「徒町は、この聖杯戦争が許せない」
小鈴「もうこれ以上犠牲者を出したくない」
小鈴「悲しい思いをする人を、増やしたくない!」
小鈴「大切な人を失ったまま、それに気が付けない人を放っておきたくない!」
小鈴「――徒町は、蓮ノ空に縛られた全ての魂を解放して、この聖杯戦争の歴史を終わらせます!」
小鈴「徒町にも、勝ちたい理由ができました」
小鈴「徒町は、この聖杯戦争が許せない」
小鈴「もうこれ以上犠牲者を出したくない」
小鈴「悲しい思いをする人を、増やしたくない!」
小鈴「大切な人を失ったまま、それに気が付けない人を放っておきたくない!」
小鈴「――徒町は、蓮ノ空に縛られた全ての魂を解放して、この聖杯戦争の歴史を終わらせます!」
288: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 20:57:00 ID:???00
小鈴「皆さんにも叶えたい願いがあることはわかってます!」
小鈴「でも、どうか徒町に協力してもらえませんか!」
吟子「ダメ」
小鈴「っ!」
吟子「当たり前でしょ。私たちは願いを叶えるために戦い、死しんだ」
吟子「そして死して尚、こうしてサーヴァントとなって戦っている。それはひとえに、願いを叶えるためだよ」
吟子「それがなに?魂を解放して聖杯戦争を終わらせる?私たちに無念を抱えたままあの世に行けってこと?」
吟子「馬鹿にしないでよ!!小鈴のわがままで私の!花帆の...命を捨てろっていうの!」
花帆「吟子ちゃん...」
吟子「誰かが犠牲になることなんて、私たちはとっくに承知で聖杯戦争に参加したの!」
吟子「何を犠牲にしても!叶えたい願いがあるから命を懸けて戦った!」
吟子「それなのに、その機会を永遠に無くそうだなんて、協力できるはずないでしょ!!」」
小鈴「でも、どうか徒町に協力してもらえませんか!」
吟子「ダメ」
小鈴「っ!」
吟子「当たり前でしょ。私たちは願いを叶えるために戦い、死しんだ」
吟子「そして死して尚、こうしてサーヴァントとなって戦っている。それはひとえに、願いを叶えるためだよ」
吟子「それがなに?魂を解放して聖杯戦争を終わらせる?私たちに無念を抱えたままあの世に行けってこと?」
吟子「馬鹿にしないでよ!!小鈴のわがままで私の!花帆の...命を捨てろっていうの!」
花帆「吟子ちゃん...」
吟子「誰かが犠牲になることなんて、私たちはとっくに承知で聖杯戦争に参加したの!」
吟子「何を犠牲にしても!叶えたい願いがあるから命を懸けて戦った!」
吟子「それなのに、その機会を永遠に無くそうだなんて、協力できるはずないでしょ!!」」
289: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 20:58:40 ID:???00
小鈴「...」
花帆「...ごめんね、小鈴ちゃん」
小鈴「花帆先輩...」
吟子「バーサーカーはどうなの?あなたのマスターは聖杯を壊すつもりらしいけど」
梢「私は...」
小鈴「バーサーカー」
梢「...ごめんなさい。今はまだ答えられないわ」
小鈴「...」
吟子「とりあえず、小鈴は聖杯戦争を終わらすことが目的ってことでしょ」
吟子「だったら、同盟は解消だね」
花帆「...ごめんね、小鈴ちゃん」
小鈴「花帆先輩...」
吟子「バーサーカーはどうなの?あなたのマスターは聖杯を壊すつもりらしいけど」
梢「私は...」
小鈴「バーサーカー」
梢「...ごめんなさい。今はまだ答えられないわ」
小鈴「...」
吟子「とりあえず、小鈴は聖杯戦争を終わらすことが目的ってことでしょ」
吟子「だったら、同盟は解消だね」
290: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:00:14 ID:???00
小鈴「え?」
吟子「私たちが同盟を結んだのは、あくまで聖杯を求める者同士、障害であるアーチャーを倒すため」
吟子「でも同盟相手が聖杯の破壊を企んでるなんて、とてもじゃないけど信頼できない」
花帆「吟子ちゃん!何も同盟解消までしなくても」
吟子「“信頼できない”これだけで理由は十分でしょ」
花帆「吟子ちゃん」
小鈴「わかりました。今まで、何度も助けていただきありがとうございました」
花帆先輩とキャスターに深くお辞儀をする。
こうなることは予想できていた。
聖杯戦争を終わらせるなんてこと、協力してもらえるはずがない。
吟子「私たちが同盟を結んだのは、あくまで聖杯を求める者同士、障害であるアーチャーを倒すため」
吟子「でも同盟相手が聖杯の破壊を企んでるなんて、とてもじゃないけど信頼できない」
花帆「吟子ちゃん!何も同盟解消までしなくても」
吟子「“信頼できない”これだけで理由は十分でしょ」
花帆「吟子ちゃん」
小鈴「わかりました。今まで、何度も助けていただきありがとうございました」
花帆先輩とキャスターに深くお辞儀をする。
こうなることは予想できていた。
聖杯戦争を終わらせるなんてこと、協力してもらえるはずがない。
291: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:01:16 ID:???00
小鈴「行こう、バーサーカー」
花帆「待って、小鈴ちゃん!」
ガチャン
花帆「...吟子ちゃんて意外と子供っぽいよね」
吟子「は?どういうこと」
花帆「昨日あたしの病気のことを聞いたから、あんなにむきになったんでしょ?」
吟子「べ、別に花帆のためじゃないから!私の願いのためだから!」
花帆「はいはい。それで、実際どうするの?」
花帆「バーサーカーいないとアーチャーに勝てないと思うけど?」
花帆「待って、小鈴ちゃん!」
ガチャン
花帆「...吟子ちゃんて意外と子供っぽいよね」
吟子「は?どういうこと」
花帆「昨日あたしの病気のことを聞いたから、あんなにむきになったんでしょ?」
吟子「べ、別に花帆のためじゃないから!私の願いのためだから!」
花帆「はいはい。それで、実際どうするの?」
花帆「バーサーカーいないとアーチャーに勝てないと思うけど?」
292: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:03:31 ID:???00
吟子「うっ、それは...」
花帆「まさか、ホントに何も考えずに同盟解消なんて言ったの?」
吟子「......ごめん」
花帆「...」
花帆「ふふっ、ありがとうね吟子ちゃん!」
吟子「なんでお礼?」
花帆「それくらい、あたしの気持ちを想ってくれたってことでしょ?」
吟子「な!?」
吟子「~~~~~///」
花帆「これからもよろしくね!吟子ちゃん!」
吟子「...うん。よろしく、花帆」
――――――
花帆「まさか、ホントに何も考えずに同盟解消なんて言ったの?」
吟子「......ごめん」
花帆「...」
花帆「ふふっ、ありがとうね吟子ちゃん!」
吟子「なんでお礼?」
花帆「それくらい、あたしの気持ちを想ってくれたってことでしょ?」
吟子「な!?」
吟子「~~~~~///」
花帆「これからもよろしくね!吟子ちゃん!」
吟子「...うん。よろしく、花帆」
――――――
293: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:07:23 ID:???00
小鈴「あれ?何だろうこれ...」
自分の部屋に帰ると、ドアの下に紙が挟まっていた。
小鈴「手紙?」
――――――
徒町小鈴へ
寮の外で待っています。
――――――
梢「告白...ではないでしょうね」
小鈴「マスターの誰かかな?でも残ってるマスターは...」
梢「花帆さんを除けば、夕霧綴理と、今だ姿を見せないライダーのマスターだけね」
自分の部屋に帰ると、ドアの下に紙が挟まっていた。
小鈴「手紙?」
――――――
徒町小鈴へ
寮の外で待っています。
――――――
梢「告白...ではないでしょうね」
小鈴「マスターの誰かかな?でも残ってるマスターは...」
梢「花帆さんを除けば、夕霧綴理と、今だ姿を見せないライダーのマスターだけね」
294: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:09:10 ID:???00
小鈴「行こう」
梢「そうね。小鈴さん、魔術回路は...」
小鈴「大丈夫。開けるよ」
魔術回路を開くスイッチはもう見つけた。
徒町にとって戦うことのイメージは『刀』だった。
昔、おじいちゃんから薩摩武士の話を聞かされたからなのかもしれない。
背骨に刀が刺さっていて、それを抜くと隙間に魔力が通り、魔術回路が起動する。
柄に手をかけたまま、階段を降りて寮を出る。
梢「そうね。小鈴さん、魔術回路は...」
小鈴「大丈夫。開けるよ」
魔術回路を開くスイッチはもう見つけた。
徒町にとって戦うことのイメージは『刀』だった。
昔、おじいちゃんから薩摩武士の話を聞かされたからなのかもしれない。
背骨に刀が刺さっていて、それを抜くと隙間に魔力が通り、魔術回路が起動する。
柄に手をかけたまま、階段を降りて寮を出る。
295: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:11:22 ID:???00
梢「!アーチャー...」
アーチャーはこちらに背を向けたまま、空を見上げていた。
その後ろ姿からは、以前見た冷徹な気配は感じられなかった。
まるで徒町たちと同じ、普通の少女のようだと感じてしまった。
小鈴「...」チラ
アーチャーにつられて上を見る。
昨日とは裏腹に、空は曇って星は見えない。
ついでに無数の氷柱が浮いていることもなかった。
さやか「今夜は曇っていますが、明後日には雲一つない綺麗な夜空が見えます」
さやか「知っていますか?10日の明け方5時頃に、日本の上空を彗星が通過するんです」
さやか「きっと多くの人が見上げて、たくさんの願いをその星は託されるんでしょうね」
さやか「ほら、流れ星には願い事をするものでしょう?」
アーチャーはこちらに背を向けたまま、空を見上げていた。
その後ろ姿からは、以前見た冷徹な気配は感じられなかった。
まるで徒町たちと同じ、普通の少女のようだと感じてしまった。
小鈴「...」チラ
アーチャーにつられて上を見る。
昨日とは裏腹に、空は曇って星は見えない。
ついでに無数の氷柱が浮いていることもなかった。
さやか「今夜は曇っていますが、明後日には雲一つない綺麗な夜空が見えます」
さやか「知っていますか?10日の明け方5時頃に、日本の上空を彗星が通過するんです」
さやか「きっと多くの人が見上げて、たくさんの願いをその星は託されるんでしょうね」
さやか「ほら、流れ星には願い事をするものでしょう?」
296: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:16:17 ID:???00
梢「そう、それは楽しみね」
梢「でも残念。あなたはそれを見ることはできないわ。だって――」
梢「ここで消滅するのだから」グッ
バーサーカーが戦闘態勢に入る。
小鈴「夕霧先輩はどこにいるんですか」
さやか「わたし一人です。まあ、マスターのことですから、どこかで監視しているかもしれませんが」
梢「昨日は分身で、今度はサーヴァントに任せて隠れてるなんて。とんだ臆病者ね」
さやか「今日は意思確認をしに来ただけです」
さやか「もっとも、回答次第では戦闘になるかもしれませんが」
小鈴「意思確認?」
梢「でも残念。あなたはそれを見ることはできないわ。だって――」
梢「ここで消滅するのだから」グッ
バーサーカーが戦闘態勢に入る。
小鈴「夕霧先輩はどこにいるんですか」
さやか「わたし一人です。まあ、マスターのことですから、どこかで監視しているかもしれませんが」
梢「昨日は分身で、今度はサーヴァントに任せて隠れてるなんて。とんだ臆病者ね」
さやか「今日は意思確認をしに来ただけです」
さやか「もっとも、回答次第では戦闘になるかもしれませんが」
小鈴「意思確認?」
297: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:17:33 ID:???00
さやか「徒町小鈴。あなたは今回の聖杯戦争、戦いから降りるつもりはありませんか?」
小鈴「ありません。徒町には勝ちたい理由があるから」
さやか「理由?あなたには願いなんてないはずですが...」
小鈴「?確かに、聖杯で叶えたい願いはないです」
小鈴「でも、徒町は聖杯に捕らわれた魂を解放したい!そのために、聖杯戦争の勝者になります!」
さやか「それが、かえって多くの人を不幸にするとしても、ですか?」
小鈴「え?」
小鈴(花帆先輩みたいな願いを持った人達のことかな。それでも――)
小鈴「それでも、徒町はこれ以上聖杯戦争の犠牲者を出さないと決めたんです」
小鈴「例えそれが、誰かの願いを打ち砕くことになっても!」
小鈴「ありません。徒町には勝ちたい理由があるから」
さやか「理由?あなたには願いなんてないはずですが...」
小鈴「?確かに、聖杯で叶えたい願いはないです」
小鈴「でも、徒町は聖杯に捕らわれた魂を解放したい!そのために、聖杯戦争の勝者になります!」
さやか「それが、かえって多くの人を不幸にするとしても、ですか?」
小鈴「え?」
小鈴(花帆先輩みたいな願いを持った人達のことかな。それでも――)
小鈴「それでも、徒町はこれ以上聖杯戦争の犠牲者を出さないと決めたんです」
小鈴「例えそれが、誰かの願いを打ち砕くことになっても!」
298: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:19:13 ID:???00
さやか「そう、ですか...」シュン
アーチャーは一瞬、とても悲しそうな顔をした気がした。
さやか「なら、そうなる前に、わたしがあなたを殺します。徒町小鈴」ギロ
梢「ふっ!」バッ!
その言葉を聞くやいなや、バーサーカーはアーチャーに突撃する。
バーサーカーは今まで以上の気迫で拳を振るう。
が――
梢「ごふっ!」
アーチャーは拳を最小限の動きで避けると、そのままカウンターで腹に拳をめり込ませる。
アーチャーは一瞬、とても悲しそうな顔をした気がした。
さやか「なら、そうなる前に、わたしがあなたを殺します。徒町小鈴」ギロ
梢「ふっ!」バッ!
その言葉を聞くやいなや、バーサーカーはアーチャーに突撃する。
バーサーカーは今まで以上の気迫で拳を振るう。
が――
梢「ごふっ!」
アーチャーは拳を最小限の動きで避けると、そのままカウンターで腹に拳をめり込ませる。
299: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:21:06 ID:???00
さやか「力任せでは勝てないと学ばなかったのですか?」
梢「いえ...近づくことが目的よ!」
ガシッ
バーサーカーはアーチャーの腕を掴むと、強引に引っ張り体を地面に叩きつけた。
梢「ふん!!」
さやか「がはっ!」ドサ
梢「力任せの攻撃は効かないんじゃなかったかしら!!」ブン!
まるでタオルでも振り回すようにアーチャーを何度も地面に叩きつける。
さやか「ぐっ...!いいんですか?わたしにばかり構っていて...今です!マスター!!」
梢「っ!小鈴さん!?」
梢「いえ...近づくことが目的よ!」
ガシッ
バーサーカーはアーチャーの腕を掴むと、強引に引っ張り体を地面に叩きつけた。
梢「ふん!!」
さやか「がはっ!」ドサ
梢「力任せの攻撃は効かないんじゃなかったかしら!!」ブン!
まるでタオルでも振り回すようにアーチャーを何度も地面に叩きつける。
さやか「ぐっ...!いいんですか?わたしにばかり構っていて...今です!マスター!!」
梢「っ!小鈴さん!?」
300: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:22:36 ID:???00
小鈴「へ?」
さやか「はっ!」ガッ!
梢「きゃ!」バタン
アーチャーは脚を蹴り払うと、掴まれた腕を起点にしてあっという間に組み伏せる。
梢「姑息な手を!」ギロ
さやか「簡単に騙される方が悪いんです」カチカチ❄↣
梢「!」
小鈴「『強化』!」バチバチ⚡
脚を強化してアーチャーに飛び蹴りをする。
小鈴「たぁぁぁ!!」
さやか「...」ヒョイ
さやか「はっ!」ガッ!
梢「きゃ!」バタン
アーチャーは脚を蹴り払うと、掴まれた腕を起点にしてあっという間に組み伏せる。
梢「姑息な手を!」ギロ
さやか「簡単に騙される方が悪いんです」カチカチ❄↣
梢「!」
小鈴「『強化』!」バチバチ⚡
脚を強化してアーチャーに飛び蹴りをする。
小鈴「たぁぁぁ!!」
さやか「...」ヒョイ
301: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:23:57 ID:???00
後ろから飛び込んできた徒町を、アーチャーはノールックで避ける。
ついでに肘で顔面を殴打してきた。
小鈴「かはっ!」バタン
さやか「せっかく死角から攻撃できるのに、大声を出してどうするんですか」ヒュン❄↣
小鈴「!!」
梢「はっ!」パリン
小鈴「バーサーカー!」
梢「助かったわ!でもあまり前には出ないで!ランサーとは格が違うわよ!」
小鈴「わかった!」
バーサーカーが立て直したのを確認して後ろに下がる。
ついでに肘で顔面を殴打してきた。
小鈴「かはっ!」バタン
さやか「せっかく死角から攻撃できるのに、大声を出してどうするんですか」ヒュン❄↣
小鈴「!!」
梢「はっ!」パリン
小鈴「バーサーカー!」
梢「助かったわ!でもあまり前には出ないで!ランサーとは格が違うわよ!」
小鈴「わかった!」
バーサーカーが立て直したのを確認して後ろに下がる。
302: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:25:51 ID:???00
さやか「...」カチカチ❄↣
ヒュン❄↣ ヒュン❄↣
梢「はっ!はっ!」パリン!パリン!
梢(氷の矢の強度はそこまで高くない!拳に魔力を集中させれば砕ける!)
バーサーカーは放たれる矢を拳で砕きながらアーチャーに近づいていく。
ヒュン❄↣ ヒュン❄↣ ヒュン❄↣ ヒュン❄↣
梢「くっ!数が多い!」パリン!パリン!
梢(全部は捌ききれない...いくつかは避けないと!)
梢「ふっ」スカッ
グサッ!
小鈴「い"っ"!」
梢「え?小鈴さん!」
ヒュン❄↣ ヒュン❄↣
梢「はっ!はっ!」パリン!パリン!
梢(氷の矢の強度はそこまで高くない!拳に魔力を集中させれば砕ける!)
バーサーカーは放たれる矢を拳で砕きながらアーチャーに近づいていく。
ヒュン❄↣ ヒュン❄↣ ヒュン❄↣ ヒュン❄↣
梢「くっ!数が多い!」パリン!パリン!
梢(全部は捌ききれない...いくつかは避けないと!)
梢「ふっ」スカッ
グサッ!
小鈴「い"っ"!」
梢「え?小鈴さん!」
303: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:26:59 ID:???00
さやか「射線に入るなと教えなかったんですか?」カチカチ❄↣
小鈴「ごめん!徒町は大丈夫だからアーチャーに集中して!」
小鈴(失敗した!真後ろは危ないって教わってたのに!)
アーチャーから目を逸らさずに物陰に移動する。
ポタ...ポタ...ポタ...
矢がかすった左腕から血が滴る。
痛いけど、前に体中に氷柱が刺さった時と比べれば大した痛みじゃない。
梢「っ!」ドクン
梢(だめよ!抑えなさい乙宗梢!)
ヒュン❄↣ グサッ!
梢「うっ...!」
小鈴「ごめん!徒町は大丈夫だからアーチャーに集中して!」
小鈴(失敗した!真後ろは危ないって教わってたのに!)
アーチャーから目を逸らさずに物陰に移動する。
ポタ...ポタ...ポタ...
矢がかすった左腕から血が滴る。
痛いけど、前に体中に氷柱が刺さった時と比べれば大した痛みじゃない。
梢「っ!」ドクン
梢(だめよ!抑えなさい乙宗梢!)
ヒュン❄↣ グサッ!
梢「うっ...!」
304: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:29:37 ID:???00
さやか「戦場で呆けるなんて、マスターが負傷したのがそんなにショックですか?」カチカチ❄↣
梢「うるさい!!」バッ
ヒュン❄↣
梢「はっ!」パリン
とうとうバーサーカーの間合いまで近づいた。
梢(とった!!)
バーサーカーの拳は今度こそアーチャーの顔面をとらえ――
スパン❄⚔
梢「は?」
いつの間に用意していたのか、拳が届く寸前に氷の剣がバーサーカーの右腕を切り落とす。
梢「~~~っ!」ブシャー!
梢「うるさい!!」バッ
ヒュン❄↣
梢「はっ!」パリン
とうとうバーサーカーの間合いまで近づいた。
梢(とった!!)
バーサーカーの拳は今度こそアーチャーの顔面をとらえ――
スパン❄⚔
梢「は?」
いつの間に用意していたのか、拳が届く寸前に氷の剣がバーサーカーの右腕を切り落とす。
梢「~~~っ!」ブシャー!
305: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:31:53 ID:???00
さやか「あらかじめ作っておいたんです」スパン❄⚔
続けて左腕も切り落とす。
梢「まず――」
さやか「はっ!」バシン!
アーチャーがバーサーカーの顔面を蹴り上げる。
梢「ぐっ」バタン
バーサーカーは両腕を切り落とされすぐに起き上がれない。
さやか「これで終わりに――」スッ❄⚔
小鈴「ふん!!!」ドン
さやか「きゃっ!」
今度はアドバイスどおり、気配を消して飛び蹴りを当てる。
続けて左腕も切り落とす。
梢「まず――」
さやか「はっ!」バシン!
アーチャーがバーサーカーの顔面を蹴り上げる。
梢「ぐっ」バタン
バーサーカーは両腕を切り落とされすぐに起き上がれない。
さやか「これで終わりに――」スッ❄⚔
小鈴「ふん!!!」ドン
さやか「きゃっ!」
今度はアドバイスどおり、気配を消して飛び蹴りを当てる。
306: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:33:45 ID:???00
小鈴「大丈夫!?バーサーカー!」
ポタ...ポタ...
梢「ええ...私は大丈夫...っ!」ドクン!
小鈴「無理しちゃだめだよ!いったん引こう!あたしが何とか時間を――」
ポタ...ポタ...
梢「あ、ああああああ!ダメ!なんで!?今まで抑えられてたのに!」ドクン!ドクン!
小鈴「バーサーカー?」
ポタ...ポタ...
梢「逃げて!小鈴さん!!!」ビキビキ
さやか「逃がすとでも思って――っ!」ゾワッ
さやか「離れて!!徒町先輩!!」
ポタ...ポタ...
梢「ええ...私は大丈夫...っ!」ドクン!
小鈴「無理しちゃだめだよ!いったん引こう!あたしが何とか時間を――」
ポタ...ポタ...
梢「あ、ああああああ!ダメ!なんで!?今まで抑えられてたのに!」ドクン!ドクン!
小鈴「バーサーカー?」
ポタ...ポタ...
梢「逃げて!小鈴さん!!!」ビキビキ
さやか「逃がすとでも思って――っ!」ゾワッ
さやか「離れて!!徒町先輩!!」
307: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:35:55 ID:???00
小鈴「え?――ごぶっ!!!」ドン!
突如、ものすごい力で下から突き飛ばされた。
小鈴「がっ!」ゴロゴロゴロ
梢?「は"ぁ"...は"ぁ"...は"ぁ"...」ビキビキビキ…
小鈴「げほっ!げほっ!...バーサーカー...?」
梢?「は"ぁ"...■■■■■■■■!!!!!!」
小鈴「っ!」ビクッ
さやか「くっ!」
バーサーカーは額から1本の角のようなものを生やしていた。
犬歯は狼のように長く伸び、深緑色の目は黄色く変わり、髪は真っ黒に変色している。
突如、ものすごい力で下から突き飛ばされた。
小鈴「がっ!」ゴロゴロゴロ
梢?「は"ぁ"...は"ぁ"...は"ぁ"...」ビキビキビキ…
小鈴「げほっ!げほっ!...バーサーカー...?」
梢?「は"ぁ"...■■■■■■■■!!!!!!」
小鈴「っ!」ビクッ
さやか「くっ!」
バーサーカーは額から1本の角のようなものを生やしていた。
犬歯は狼のように長く伸び、深緑色の目は黄色く変わり、髪は真っ黒に変色している。
308: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:38:43 ID:???00
小鈴「バーサーカー...?」
切り落とされた両手の断面からは、骨が枝のように伸びていき、その周りを赤い肉がぐじゅぐじゅと覆っていく。
サーヴァントの傷はすぐに治ると言っていたけど、あれがサーヴァントの再生なの?
小鈴「どうしたのバーサーカー!しっかりしてよ!」
さやか「死にたいんですか!!下がっててください!」ヒュン❄↣
梢?「う"っ!」アグ!
さやか「な!?」
バーサーカーは放たれた矢を口で受け止めると、そのまま嚙み砕いてしまった。
梢?「」ダッ!
さやか「!」ガキン❄⚔
切り落とされた両手の断面からは、骨が枝のように伸びていき、その周りを赤い肉がぐじゅぐじゅと覆っていく。
サーヴァントの傷はすぐに治ると言っていたけど、あれがサーヴァントの再生なの?
小鈴「どうしたのバーサーカー!しっかりしてよ!」
さやか「死にたいんですか!!下がっててください!」ヒュン❄↣
梢?「う"っ!」アグ!
さやか「な!?」
バーサーカーは放たれた矢を口で受け止めると、そのまま嚙み砕いてしまった。
梢?「」ダッ!
さやか「!」ガキン❄⚔
309: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:40:26 ID:???00
梢?「う"う"う"う"!!」グググ
さやか「なんて力!きゃっ!」
ドーン!!!
さやか「がはっ!」ボロ…
競り合いに負けてアーチャーが吹き飛ばされる。
そのまま寮の壁に激突して動かなくなってしまった。
小鈴「やめてよバーサーカー!目を覚まして!」
梢?「■■■!」ダッ
バーサーカーがこちらに向かって飛んでくる。
小鈴「危なっ!」スッ
梢?「■■■!!!!」ガシャーーーーン!
小鈴「!?寮の壁が!」
バーサーカーはそのまま寮に突っ込み、壁を破壊してしまった。
さやか「なんて力!きゃっ!」
ドーン!!!
さやか「がはっ!」ボロ…
競り合いに負けてアーチャーが吹き飛ばされる。
そのまま寮の壁に激突して動かなくなってしまった。
小鈴「やめてよバーサーカー!目を覚まして!」
梢?「■■■!」ダッ
バーサーカーがこちらに向かって飛んでくる。
小鈴「危なっ!」スッ
梢?「■■■!!!!」ガシャーーーーン!
小鈴「!?寮の壁が!」
バーサーカーはそのまま寮に突っ込み、壁を破壊してしまった。
310: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:43:27 ID:???00
梢?「う"...う"...」メキメキ…
猿鬼「■■■■■■■■■!!!」
ひときわ大きな遠吠えと共に、世界に闇の帳が降りる。
小鈴(周りの光が...消えた?)
「ギ、ギギギ、ギギ...」ニョキニョキ
「ケケ、ケケケケケ!」ニョキ
小鈴「な!?」
闇の中、地面から這い出るように餓鬼が姿を現す。
小鈴(1匹、2匹、――6匹!何が起きてるの?)
「停電?」
「今の音なに!?」
「地震?」
「何か壊れた!?」
「外で何か起きてるの?」ガラガラ
まずい。生徒たちが気がつきだした!
猿鬼「■■■■■■■■■!!!」
ひときわ大きな遠吠えと共に、世界に闇の帳が降りる。
小鈴(周りの光が...消えた?)
「ギ、ギギギ、ギギ...」ニョキニョキ
「ケケ、ケケケケケ!」ニョキ
小鈴「な!?」
闇の中、地面から這い出るように餓鬼が姿を現す。
小鈴(1匹、2匹、――6匹!何が起きてるの?)
「停電?」
「今の音なに!?」
「地震?」
「何か壊れた!?」
「外で何か起きてるの?」ガラガラ
まずい。生徒たちが気がつきだした!
311: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:45:25 ID:???00
餓鬼「ギギー!!」ガシッ
生徒「きゃーーー!!!何!なんなの!」
窓を開けた生徒に餓鬼が飛び掛かる。
幸い鉄格子のおかげで中には入れないが、壊されるのも時間の問題だ。
さやか「はっ!」ドシン
餓鬼「ギ――!?」バタン
餓鬼「ケケ!」
さやか「ふっ」カチカチ❄↣
ヒュン❄↣ パリン!
餓鬼「ケケケケケ!」ニタニタ
生徒「きゃーーー!!!何!なんなの!」
窓を開けた生徒に餓鬼が飛び掛かる。
幸い鉄格子のおかげで中には入れないが、壊されるのも時間の問題だ。
さやか「はっ!」ドシン
餓鬼「ギ――!?」バタン
餓鬼「ケケ!」
さやか「ふっ」カチカチ❄↣
ヒュン❄↣ パリン!
餓鬼「ケケケケケ!」ニタニタ
312: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:47:19 ID:???00
さやか「矢が効かない!?なら!」カチカチ❄⚔
さやか「はー!」スパン❄⚔
餓鬼「ゲ!」ブシャー!バタン
さやか「やはり剣なら効きますね。仕方ない、各個撃破を――!?」
猿鬼「■■■!!!」ドガ!
さやか「がはっ!」バタン
餓鬼「ギギギ」
餓鬼「ケケ!」
「なに?外で何か暴れてる!」
「窓を開けるな!熊だ!」
「違う、猿だよ!」
「助けて...」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
さやか「はー!」スパン❄⚔
餓鬼「ゲ!」ブシャー!バタン
さやか「やはり剣なら効きますね。仕方ない、各個撃破を――!?」
猿鬼「■■■!!!」ドガ!
さやか「がはっ!」バタン
餓鬼「ギギギ」
餓鬼「ケケ!」
「なに?外で何か暴れてる!」
「窓を開けるな!熊だ!」
「違う、猿だよ!」
「助けて...」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
313: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:48:27 ID:???00
餓鬼たちはアーチャーを無視して寮の壁を這い上がる。
小鈴(あの小さい鬼はアーチャーに任せなきゃだめだ!その為には――)
小鈴「バーサーカー!こっちだ!!」ブン!
コツン
猿鬼「?」
猿鬼「■■■!!!」
石を投げてバーサーカーの気を引く。
そのまま全速力で森の方へ駆ける。
小鈴(バーサーカーをここから遠ざけなきゃ!)
猿鬼「」ビキビキ…
ドン!!!
小鈴(あの小さい鬼はアーチャーに任せなきゃだめだ!その為には――)
小鈴「バーサーカー!こっちだ!!」ブン!
コツン
猿鬼「?」
猿鬼「■■■!!!」
石を投げてバーサーカーの気を引く。
そのまま全速力で森の方へ駆ける。
小鈴(バーサーカーをここから遠ざけなきゃ!)
猿鬼「」ビキビキ…
ドン!!!
314: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:49:45 ID:???00
バーサーカーはロケットのような勢いで飛び掛かってくる。
小鈴「!!!」バッ!
咄嗟に横に飛びのく。
ガシャーン!
肉弾はフェンスを破壊して森に飛び込んでいった。
自分もそこから森に入っていく。
小鈴(木の多い森の中なら、弾丸みたいに飛び掛かってくることもできない!)
だが、その考えが甘かった――
シーーン...
小鈴(気配が消えた!?)
殺気だけは痛いほど感じる。
でも、それがどこから向けられているのかわからない。
小鈴「!!!」バッ!
咄嗟に横に飛びのく。
ガシャーン!
肉弾はフェンスを破壊して森に飛び込んでいった。
自分もそこから森に入っていく。
小鈴(木の多い森の中なら、弾丸みたいに飛び掛かってくることもできない!)
だが、その考えが甘かった――
シーーン...
小鈴(気配が消えた!?)
殺気だけは痛いほど感じる。
でも、それがどこから向けられているのかわからない。
315: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:51:37 ID:???00
猿鬼「■■■!」ガッ!
小鈴「っ!」バッ
反射的に飛びのいて避ける。
小鈴「ぐっ!」ヨロ
小鈴(失敗した!相手は夜目が効くんだ。これじゃあ一方的に狩られるだけ!)
猿鬼「■■■!」ザクッ
小鈴「!痛っ!」
今度は反応が遅れて背中を切り裂かれた。
小鈴「はあ、はあ」ズキズキ
猿鬼「」バッ
さやか「はっ!」ヒュン❄↣
パリン!
小鈴「っ!」バッ
反射的に飛びのいて避ける。
小鈴「ぐっ!」ヨロ
小鈴(失敗した!相手は夜目が効くんだ。これじゃあ一方的に狩られるだけ!)
猿鬼「■■■!」ザクッ
小鈴「!痛っ!」
今度は反応が遅れて背中を切り裂かれた。
小鈴「はあ、はあ」ズキズキ
猿鬼「」バッ
さやか「はっ!」ヒュン❄↣
パリン!
316: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:53:00 ID:???00
猿鬼「!?」サッ…
小鈴「アーチャー!?さっきの奴らは?」
さやか「すべて処理しました。はっ!」スパン❄⚔
猿鬼「!」
パキン!
さやか「ちっ!こっちは剣も効かないんですか!」
小鈴「アーチャー」
さやか「止まらないでください!」
さやか「このまま真っすぐ行くと蓮ノ湖があります!そこまで走って!!」カチカチ❄↣
猿鬼「」ガサガサ…
さやか「そこ!」ヒュン❄↣
猿鬼「■■!!」バキン!
小鈴「アーチャー!?さっきの奴らは?」
さやか「すべて処理しました。はっ!」スパン❄⚔
猿鬼「!」
パキン!
さやか「ちっ!こっちは剣も効かないんですか!」
小鈴「アーチャー」
さやか「止まらないでください!」
さやか「このまま真っすぐ行くと蓮ノ湖があります!そこまで走って!!」カチカチ❄↣
猿鬼「」ガサガサ…
さやか「そこ!」ヒュン❄↣
猿鬼「■■!!」バキン!
317: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:54:18 ID:???00
微かな光を目指して真っ直ぐ走る。
ドゴーン!ドゴーン!
後ろではいったい何が起きているのか...
重いものがぶつかる音と、木が倒れる音が聞こえてくる。
小鈴「はあ、はあ...見えた!蓮ノ湖――」
ドガーーン!!
さやか「ぐはっ!!」バタン!ゴロゴロ…
小鈴「アーチャー!」
アーチャーは体中傷だらけで地面に倒れている。
猿鬼「う"ー...う"ー...」
木をなぎ倒しながら来たのか、バーサーカーの後ろは巨大な獣道になっていた。
両手は血だらけだが、瞬く間に傷は再生している。
ドゴーン!ドゴーン!
後ろではいったい何が起きているのか...
重いものがぶつかる音と、木が倒れる音が聞こえてくる。
小鈴「はあ、はあ...見えた!蓮ノ湖――」
ドガーーン!!
さやか「ぐはっ!!」バタン!ゴロゴロ…
小鈴「アーチャー!」
アーチャーは体中傷だらけで地面に倒れている。
猿鬼「う"ー...う"ー...」
木をなぎ倒しながら来たのか、バーサーカーの後ろは巨大な獣道になっていた。
両手は血だらけだが、瞬く間に傷は再生している。
318: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:55:47 ID:???00
さやか「どうにか最初の突進を避けてください...その後はわたしが何とかします」
小鈴「わ、わかった!」
両脚の強化を限界まで引き上げる。
猿鬼「」ビキビキ…
小鈴(来る!)
猿鬼「■■!!!」ダンッ!
小鈴「はっ!!」バッ!
バシャーン!
突進をギリギリで避けると、バーサーカーは勢いのまま蓮ノ湖に入っていった。
さやか「宝具『Eisprinzessin』!」❄❄❄
カチン――🧊
瞬間、世界が凍り付く。
小鈴「わ、わかった!」
両脚の強化を限界まで引き上げる。
猿鬼「」ビキビキ…
小鈴(来る!)
猿鬼「■■!!!」ダンッ!
小鈴「はっ!!」バッ!
バシャーン!
突進をギリギリで避けると、バーサーカーは勢いのまま蓮ノ湖に入っていった。
さやか「宝具『Eisprinzessin』!」❄❄❄
カチン――🧊
瞬間、世界が凍り付く。
319: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:56:58 ID:???00
まるで時間が止まったかのように、絶対零度の世界であらゆるものが動きを禁止される。
血液までも凍ってしまったかと思った。
だって指先一つ動かすことができないのだから。
猿鬼「う"...う"ぅ...」カチン🧊
バーサーカーは湖ごと氷漬けにされて動けないのか、微かに唸り声をあげながらアーチャーを睨んでいる。
さやか「はあ...はあ...令呪を使ってください」
さやか「今のバーサーカーは、わたしの攻撃も通りません...」
全身の血管に魔力を通し、凍った血液を送り出す。
小鈴「バーサーカー...お願い!『元に戻って』!!」
キィーン!
梢「う...ぁ...」ガクン
血液までも凍ってしまったかと思った。
だって指先一つ動かすことができないのだから。
猿鬼「う"...う"ぅ...」カチン🧊
バーサーカーは湖ごと氷漬けにされて動けないのか、微かに唸り声をあげながらアーチャーを睨んでいる。
さやか「はあ...はあ...令呪を使ってください」
さやか「今のバーサーカーは、わたしの攻撃も通りません...」
全身の血管に魔力を通し、凍った血液を送り出す。
小鈴「バーサーカー...お願い!『元に戻って』!!」
キィーン!
梢「う...ぁ...」ガクン
320: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:57:34 ID:???00
バーサーカーの額の角が消えていく。
そのまま力なく頭を垂れて動かなくなった。
小鈴「ありがとう...アーチャー」
さやか「わたしは一般生徒に被害を出したくなかっただけです」
さやか「あなた達のためではありません」
小鈴「それでも、ありがとう」
さやか「マスターが呼んでいます。騒ぎの説明を求められそうですね...」
さやか「あなたもマスターなら、自分のサーヴァントにはちゃんと首輪を着けてください」
さやか「決着はまた今度...近いうちに」スー…
アーチャーはそう言うと消えてしまった。
そのまま力なく頭を垂れて動かなくなった。
小鈴「ありがとう...アーチャー」
さやか「わたしは一般生徒に被害を出したくなかっただけです」
さやか「あなた達のためではありません」
小鈴「それでも、ありがとう」
さやか「マスターが呼んでいます。騒ぎの説明を求められそうですね...」
さやか「あなたもマスターなら、自分のサーヴァントにはちゃんと首輪を着けてください」
さやか「決着はまた今度...近いうちに」スー…
アーチャーはそう言うと消えてしまった。
321: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 21:58:38 ID:???00
凍った湖の上を歩いてバーサーカーのもとへ行く。
小鈴「バーサーカー...」
梢「こ...すず、さん...私...」
バーサーカーは傷だらけの徒町を見ると、目から大粒の涙を流した。
梢「ごめん...なさい...ごめんなさい...!」ポロポロ
梢「お願い...私との契約を切って...じゃないと、きっとまた傷つける...!」
小鈴「そんなことしないよ...」
梢「でも...見たのでしょう!私の醜い姿を!!」
梢「理性を失くし、血に飢え、獣のように人を襲う鬼の姿を!」
梢「幻滅したわよね...今まで気丈に振舞ってきたけど、私の本性はこんなものよ」
小鈴「バーサーカー...」
梢「こ...すず、さん...私...」
バーサーカーは傷だらけの徒町を見ると、目から大粒の涙を流した。
梢「ごめん...なさい...ごめんなさい...!」ポロポロ
梢「お願い...私との契約を切って...じゃないと、きっとまた傷つける...!」
小鈴「そんなことしないよ...」
梢「でも...見たのでしょう!私の醜い姿を!!」
梢「理性を失くし、血に飢え、獣のように人を襲う鬼の姿を!」
梢「幻滅したわよね...今まで気丈に振舞ってきたけど、私の本性はこんなものよ」
322: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 22:00:18 ID:???00
小鈴「幻滅なんてしないよ。バーサーカーは、今でも徒町の頼れるサーヴァントだよ」
梢「そんなはずないわ!あの姿になったら、お父様でさえ私を蔑むような眼で見て、地下牢に閉じ込めた!」
梢「出会って数日の小鈴さんが平気なわけ...」
小鈴「...ごめんね。徒町、知ってたんだ。バーサーカーが鬼の末裔だってこと」
小鈴「小さいころ、さっきみたいになって人を傷つけたことも」
梢「――え?」
小鈴「バーサーカーを召喚してから、夢を見るようになったんだ」
梢「夢...?」
小鈴「最初は何の夢かわからなかったけど、途中からこれはバーサーカーの過去なんだって気付いた」
小鈴「過去を見られるなんて恥ずかしいと思ったから、あえて言わなかったんだけどね」アハハ…
梢「そんなはずないわ!あの姿になったら、お父様でさえ私を蔑むような眼で見て、地下牢に閉じ込めた!」
梢「出会って数日の小鈴さんが平気なわけ...」
小鈴「...ごめんね。徒町、知ってたんだ。バーサーカーが鬼の末裔だってこと」
小鈴「小さいころ、さっきみたいになって人を傷つけたことも」
梢「――え?」
小鈴「バーサーカーを召喚してから、夢を見るようになったんだ」
梢「夢...?」
小鈴「最初は何の夢かわからなかったけど、途中からこれはバーサーカーの過去なんだって気付いた」
小鈴「過去を見られるなんて恥ずかしいと思ったから、あえて言わなかったんだけどね」アハハ…
323: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 22:01:27 ID:???00
梢「だったら...知っていたのならなんで!」
小鈴「でもね、鬼の末裔だろうと、人を襲おうと関係ない」
小鈴「徒町はバーサーカーを信じるよ」
梢「どう...して...」
小鈴「だって、徒町はバーサーカーの相棒だから!!!」
梢「!」
――――――
『だって、わたしは梢さんの友達ですから!』
――――――
梢(ああ、私はなんて勘違いをしていたの...私が本当に欲しかったものは、とっくに――)
小鈴「でもね、鬼の末裔だろうと、人を襲おうと関係ない」
小鈴「徒町はバーサーカーを信じるよ」
梢「どう...して...」
小鈴「だって、徒町はバーサーカーの相棒だから!!!」
梢「!」
――――――
『だって、わたしは梢さんの友達ですから!』
――――――
梢(ああ、私はなんて勘違いをしていたの...私が本当に欲しかったものは、とっくに――)
324: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 22:03:52 ID:???00
小鈴「バーサーカーの願いは鬼の血を消し去って人間として生きることなんだよね?」
小鈴「怖いよね...爆弾を抱えたまま生きるようなものだもん」
小鈴「きっと徒町だって、バーサーカーの立場ならそう願ったと思う」
小鈴「でも、徒町は悪い子だから、バーサーカーに酷いお願いをするね」
小鈴「バーサーカー、徒町が聖杯戦争を終わらせるのに協力して!」
小鈴「バーサーカーの願いを叶えることはできないのに、自分には協力しろなんて、我儘だってわかってる!」
小鈴「それでも!徒町にはバーサーカーが必要なんだ!!」
梢「...」
梢(まったく、どうして小鈴さんが私を召喚したかわかったわ)
梢(だって私と同じ、とっても頑固で、とっても――)
小鈴「怖いよね...爆弾を抱えたまま生きるようなものだもん」
小鈴「きっと徒町だって、バーサーカーの立場ならそう願ったと思う」
小鈴「でも、徒町は悪い子だから、バーサーカーに酷いお願いをするね」
小鈴「バーサーカー、徒町が聖杯戦争を終わらせるのに協力して!」
小鈴「バーサーカーの願いを叶えることはできないのに、自分には協力しろなんて、我儘だってわかってる!」
小鈴「それでも!徒町にはバーサーカーが必要なんだ!!」
梢「...」
梢(まったく、どうして小鈴さんが私を召喚したかわかったわ)
梢(だって私と同じ、とっても頑固で、とっても――)
325: 名無しで叶える物語◆BYY82T1P★ 2025/02/07(金) 22:05:18 ID:???00
梢「わかったわ。こんな私でよければ、小鈴さんに協力します」
小鈴「いいの!?」
梢「そんなに傷つけられてなお、私の手を取ろうとしてくれる人のお願いを、無碍にすることなんてできないもの...」
小鈴「ありがとう!バーサーカー!」
梢「...それで小鈴さん、私そろそろ凍傷になってしまいそうなのだけれど」
小鈴「あ!ごめん!えっと、この氷どうすればいいの?割る?」
梢「霊体化すれば問題ないけれど...かなり魔力を消費したから、すぐには実体化できないわ」
梢「小鈴さん寮まで自分で帰られる?」
小鈴「大丈夫!寮までの道ならほら!」
後ろにはバーサーカーが切り開いた――折り倒した道ができている。
梢「.........まったく、アーチャーもこんなことをするなんて、環境破壊も甚だしいわね」
小鈴「責任を押し付けた!?」
――――――
小鈴「いいの!?」
梢「そんなに傷つけられてなお、私の手を取ろうとしてくれる人のお願いを、無碍にすることなんてできないもの...」
小鈴「ありがとう!バーサーカー!」
梢「...それで小鈴さん、私そろそろ凍傷になってしまいそうなのだけれど」
小鈴「あ!ごめん!えっと、この氷どうすればいいの?割る?」
梢「霊体化すれば問題ないけれど...かなり魔力を消費したから、すぐには実体化できないわ」
梢「小鈴さん寮まで自分で帰られる?」
小鈴「大丈夫!寮までの道ならほら!」
後ろにはバーサーカーが切り開いた――折り倒した道ができている。
梢「.........まったく、アーチャーもこんなことをするなんて、環境破壊も甚だしいわね」
小鈴「責任を押し付けた!?」
――――――
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