1: 矢橋P 24/12/08(日) 07:12:31 ID:GaYA
続編が出来たので投下します。今回も完結出来るよう何とか頑張ります
-注意-
・このSSはミリオンライブ×パワポケのクロスSSです。今回の題材にしたパワポケのサクセスはタイトル通りパワポケ13の逆襲球児編です
・過去作 歩「魔人と呪いの少女」 前編 歩「魔人と呪いの少女」 後編 から3年後の世界です
・オリジナル設定、原作改変もします。というか割とガバガバです
・プロデューサーは相変わらず登場しません
・今回もパワポケのキャラがガッツリ出ます。そのためパワポケを知らない人の為にもプロフィールを細かく更新しようと思います
ある程度書き貯めましたが自分の中でも完結まで行ってません。見切り発車ですがのんびり更新して行こうと思います
-注意-
・このSSはミリオンライブ×パワポケのクロスSSです。今回の題材にしたパワポケのサクセスはタイトル通りパワポケ13の逆襲球児編です
・過去作 歩「魔人と呪いの少女」 前編 歩「魔人と呪いの少女」 後編 から3年後の世界です
・オリジナル設定、原作改変もします。というか割とガバガバです
・プロデューサーは相変わらず登場しません
・今回もパワポケのキャラがガッツリ出ます。そのためパワポケを知らない人の為にもプロフィールを細かく更新しようと思います
ある程度書き貯めましたが自分の中でも完結まで行ってません。見切り発車ですがのんびり更新して行こうと思います
2: 矢橋P 24/12/08(日) 07:15:20 ID:GaYA
私、最上静香は小学生の頃からテニスを始めて中学生時代はテニスに捧げてきたつもり
中学生時代は学校のテニス部のエースで全国中学女子テニス選手権にも参加し、惜しくも日本一を逃したこともある
そんな私は今日から高校生。私がこれから学園生活を送ることになる高校は全国で一番注目度が高い高校と言っても過言じゃない高校、混黒高校なの
3: 矢橋P 24/12/08(日) 07:17:03 ID:GaYA
未来「わぁ静香ちゃん、見て見て~。すっごい大きな校舎だね」
静香「当たり前よ未来。混黒高校(こんぐろこうこう)は5000人以上の生徒が通うマンモス高校なのよ」
未来「それってすごいの?」
静香「普通の高校は生徒数が2000人以上も居れば十分凄いのよ。5000人も居るなら化け物ね。こないだニュースでここの生徒数は日本一って言ってたわ」
未来「でへへ~。そうなんだ~」
4: 矢橋P 24/12/08(日) 07:20:00 ID:GaYA
この子は幼なじみの春日未来。彼女は女子硬式野球の推薦で私と一緒にここに入学した
この混黒高校はあらゆる分野で優秀な成績を出す生徒を輩出することが理念らしく
出来て数年経ったばかりだというのに既に数々のスポーツの大会で優秀な成績を収めているらしい
5: 矢橋P 24/12/08(日) 07:22:06 ID:GaYA
静香「私も未来もそんな凄い高校に推薦で入れた以上期待されてるのよ。期待には応えないと」
未来「うん。頑張ろうね静香ちゃん」
こうして桜が舞い散る4月。私の忘れられない3年間が始まった
6: 矢橋P 24/12/08(日) 07:24:49 ID:GaYA
1年目 一学期 4月上旬
キンコーンカーンコーン
静香「さて、初日の授業も終わり。いよいよ部活動の時間ね」
未来「うん。これから楽しみだね」
7: 矢橋P 24/12/08(日) 07:27:46 ID:GaYA
静香「だけど未来、授業もちゃんと受けなきゃだめよ。未来途中で寝てたでしょ?」
未来「うう~、だって難しいんだもん」
静香(確かに最初から簡単な内容ではなかったわね。流石エリート輩出を謳っているだけあって授業のレベルが高い)
静香(私と未来はスポーツ枠で入っているから勉強での成績が悪くても大丈夫らしいけど……。学業もおろそかにすることは出来ないわ)
静香「後でわからないことあったら教えてあげる」
未来「ありがとう静香ちゃん。静香ちゃんと同じクラスになれて良かった~」
静香「もう、部活は別だからずっと一緒じゃないのよ?」
8: 矢橋P 24/12/08(日) 07:29:43 ID:GaYA
混黒高校第一グラウンド
未来「も~。グラウンドも三つあるって広すぎて迷いそうだよ」
未来「確か今日は初日だからレクリエーションで全部の部活が第一グラウンドに集まるんだよね?」
静香「そうね。私は明日からはテニスコートね」
未来「じゃあ今日は静香ちゃんと一緒だ~」
静香(かなり広いグラウンドだけどこれがあと二つあるんだから凄いわね)
9: 矢橋P 24/12/08(日) 07:31:26 ID:GaYA
ザワザワザワ
「おい、あの二人、“新轟中学の三羽ガラス”最上静香と春日未来じゃないか」
「この高校に来てたのか」
「マジぃ。あの人がライバルになるの?」
10: 矢橋P 24/12/08(日) 07:33:20 ID:GaYA
未来「私達何だか注目されてるみたいだね」
静香「当たり前よ。私は全国選手権で二位。未来も4番でチームを全国二位に導いたじゃない」
未来「あれはチームのみんなが頑張ったからだよ」
静香「だけどお互い二位ってところは締まらないわね。今度こそ二位じゃなくてこの学校で日本一をを目指……」
静香「!!」ハッ
静香「それじゃ未来。私のテニスのレクリエーションはあっちだからもう行くわ」
スタスタスタ
11: 矢橋P 24/12/08(日) 07:35:39 ID:GaYA
未来「あっ、静香ちゃん。行っちゃった……」
翼「み~ら~い」
未来「あっ、翼!」
翼「今日は私もここなんだよ」
未来「翼は”アイドル部”だったっけ」
翼「そーだよ。私、Maihamanみたいなすっごいアイドルになるんだ~」
翼「み~ら~い」
未来「あっ、翼!」
翼「今日は私もここなんだよ」
未来「翼は”アイドル部”だったっけ」
翼「そーだよ。私、Maihamanみたいなすっごいアイドルになるんだ~」
12: 矢橋P 24/12/08(日) 07:37:59 ID:GaYA
全国的に高校の部活動にアイドル部が設立し始めたのはつい最近のことなんだよ
3年前の衝撃のPVで電源デビューしたツナミグループアイドル部門のダンスアイドルMaihaman
彼女はたちまち有名アイドルにのし上がった
それによってアイドルといえば芸能事務所という概念を壊しアイドルの敷居が低くなり、ツナミショックの後アイドルになりたいという声が続出
アイドル界隈自体、黄金期のような盛り上がりを見せているみたい
世は正にアイドル新時代なんだ~
その影響か部活動でもアイドル活動を容認するところが出てきて遂に大会まで開かれるようになったんだって
13: 矢橋P 24/12/08(日) 07:40:49 ID:GaYA
翼「……それで静香ちゃんはまだ私を避けてるの?」
未来「……ごめん翼」
翼「未来が謝ることじゃないよー」
未来「静香ちゃん、今は気持ちの整理がついてないだけだと思うんだ。またいつか三人で遊べるよ」
翼「私は気にしてないよ。それよりそんな静香ちゃんに付き合ってる未来の方がが大変じゃないの?」
未来「ううん……。静香ちゃんは私が見てないと何だか不安で……」
未来「本当は静香ちゃんだって……」
14: 矢橋P 24/12/08(日) 07:42:50 ID:GaYA
「おーい。女子硬式野球部はこっちにこーい」
未来「いけない!それじゃまたね翼」
翼「うん、野球部頑張ってね未来」
未来「いけない!それじゃまたね翼」
翼「うん、野球部頑張ってね未来」
15: 矢橋P 24/12/08(日) 07:45:10 ID:GaYA
監督「えーここの野球部の監督をされて貰っている九能敬太(くのうけいた)だ。今回は全ての部活の監督を代表して挨拶をさせて貰う」
九能「新入生達よ。我が混黒高校本校に居るということは何かしらの優秀な才能を持っているということだ。そこは胸を張っていい」
九能「だがそれが今ここでいきなり通用するわけじゃない。中学生気分は終わりだ、今日から高校生のフィールドで戦うことになる」
九能「よって諸君らは初心に返って一層精進してもらいたい」
九能「もし能力無しと判断した場合……残念ながらこの本校には居られない。別のキャンパスに移動してもらうからそのつもりでいてくれ」
九能「諸君には期待している以上!」
16: 矢橋P 24/12/08(日) 07:47:21 ID:GaYA
テニスコート
テニス部監督(彼女が噂の最上静香か)
テニス部監督「最上、ちょっとそこでレシーブ打ってみろ」
静香「はい」
バシィ!
テニス部監督「ほう……なかなかじゃないか」
「あれで1年生か!?」
「うわ…………」
17: 矢橋P 24/12/08(日) 07:49:17 ID:GaYA
第一グラウンド
女子野球部監督「春日もこっちで打ってみろ」
未来「はい!」
ヒュッ
カキーン!
18: 矢橋P 24/12/08(日) 07:50:51 ID:GaYA
九能「!!」
女子野球部監督「これは期待できますね」
九能「彼女はセンスがあるな……女子野球で留めておくにはもったいないかもしれん」
女子野球部監督「ええっ!彼女を男子に混ぜるんですか」
九能「もちろんクリーンナップは無理だろうが鍛えれば7番か8番。最悪代打要員にはなれそうだ」
19: 矢橋P 24/12/08(日) 07:56:43 ID:bGnb
九能「5年前に全ての男子高校野球チームに1チームに2人まで女子をチームに入れて良いことになった。女子にも甲子園の地を踏ませてあげたいってな」
九能「だがあれから5年、甲子園の地を踏んだ女子はたった一人だけ」
女子野球部監督「やはり女子と男子じゃ筋力が違い過ぎますから……」
九能「それで校長が二人目はぜひ我が高校からだ。とおっしゃってな。それで見込みのある女子を見つけてこいと言われていたんだ」
九能「男子の中で揉まれても大丈夫そうなのは彼女だけだな」
女子野球部監督「校長の指示なら文句はないですが……くれぐれも潰さないでくださいよ?」
九能「わかっている。慎重に調整するさ」
九能「だがあれから5年、甲子園の地を踏んだ女子はたった一人だけ」
女子野球部監督「やはり女子と男子じゃ筋力が違い過ぎますから……」
九能「それで校長が二人目はぜひ我が高校からだ。とおっしゃってな。それで見込みのある女子を見つけてこいと言われていたんだ」
九能「男子の中で揉まれても大丈夫そうなのは彼女だけだな」
女子野球部監督「校長の指示なら文句はないですが……くれぐれも潰さないでくださいよ?」
九能「わかっている。慎重に調整するさ」
20: 矢橋P 24/12/08(日) 07:58:35 ID:bGnb
次の日 お昼 食堂
未来「うわぁー。ここのご飯はすごいね」
静香「そうね。ビュッフェ形式で何取っても良いんだもの」
静香「だけど食べ過ぎは駄目よ」
21: 矢橋P 24/12/08(日) 08:00:31 ID:bGnb
バクバク
餅田「うまいでやんす。いくら食べてもただってところが最高でやんす」モグモグ
未来「あー、餅田くんだ!」
餅田「あっ、未来ちゃんでやんす~」
静香「あら、未来の新しいお友達かしら」
未来「うん、野球部のチームメイトでね。昨日男子野球部に入った時に仲良くなったんだよ」
22: 矢橋P 24/12/08(日) 08:02:42 ID:bGnb
静香「……男子野球部?」
餅田「まだ聞いてなかったでやんすか?未来ちゃんは男子野球部と一緒に練習することになったでやんす」
餅田「自己紹介が先だったでやんすね。オイラは餅田。未来ちゃんと同じ1年生でやんす」
餅田「静香さんのことは未来ちゃんにたっぷり聞いたでやんす。どうかよろしくでやんす」
静香「そう。未来から聞いているでしょうけど私は最上静香です。未来はちょっと抜けてるところがあるから私が目をかけれない部活の時は未来をよろしくお願いね」
未来「えー、静香ちゃんひどいー」
23: 矢橋P 24/12/08(日) 08:04:54 ID:bGnb
未来「餅田くんはねー。ピッチャーなんだけどけっこうすごいんだよ」
餅田「これでも中学の時には全国大会に行ってるでやんすからね。未来ちゃんも女の子だけどすごいでやんすよ」
餅田「センスだけなら1軍の先輩達に引けを取らないでやんす」
静香「なら未来が1軍に上がるのも時間の問題ね」
未来「そう簡単にはいかないよ。他の先輩達もすごい人ばかりだから」
24: 矢橋P 24/12/08(日) 08:07:24 ID:bGnb
餅田「この混黒高校本校はそんなエリートばかりの集まりでやんすからね。静香さんはどうなんでやんす?」
静香「私は秋の大会までにはテニスでこの学校の1番になるわ」
餅田「おーっ。言うでやんすね」
未来「それってこの学校のエースになるってこと?」
静香「正直この学校のテニス部はレベルがまだまだね。これなら直ぐにでも一番になれそうだわ」
静香「あっ、野球部とか他の部活だとまた違うんでしょうけど」
静香「だいたい私はテニスに全てを費やすつもりでやってるのよ。なのに周りは……」ブツブツ
餅田「もしかして静香さんって結構……」ヒソヒソ
未来「うん、自他共に厳しいタイプ」ヒソヒソ
25: 矢橋P 24/12/08(日) 08:09:40 ID:bGnb
未来「や、野球部はみんな勢いあるよ。去年いいところ行ったから今年は甲子園目指すんだって」
餅田「そうなったら未来ちゃんもいずれは甲子園行けるかもしれないでやんすよ。そうしたら史上二人目の甲子園女子でやんす」
静香「そうなったら凄いわよ未来」
未来「甲子園かぁ。でも甲子園女子になるにはただチームに居るだけじゃなくてスタメンに入らないといけないんだよね」
餅田「お情け甲子園女子ならいっぱいいるでやんすからね」
※お情け甲子園女子とは記念やお飾りでチーム入りして甲子園に来た女子のこと
26: 矢橋P 24/12/08(日) 08:12:03 ID:bGnb
静香「今は二軍スタートでしょうけどちゃんと一軍に上がりなさいよ」
未来「静香ちゃんもエース頑張ってね!」
27: 矢橋P 24/12/08(日) 08:14:15 ID:bGnb
別の日
静香「次は数学でしょ?一年数学教室に行くわよ」
未来「わー。置いていかないでよー」タタタッ
未来「でもそれぞれの教科ごとに教室があるのはすごいけど移動が面倒だね」
未来「階段は全てエスカレーターで階の移動は専門のエレベーターもあるから楽ではあるけど」
28: 矢橋P 24/12/08(日) 08:15:43 ID:bGnb
静香「電気は全て自動照明。黒板は電子黒板。便利だけど少しやり過ぎにも思えるわ」
静香「まあその設備の充実さは部活にも活かされているところは良いんだけど」
未来「お父さん授業料大丈夫かな」
静香(一回確認したけど授業料は特段高くもなかった……まあ経営のことなんか気にする必要ないか)
静香「ただパス代わりになっている学生証がないとどれも作動しない仕組みだから無くしたら不便ね」
未来「気を付けないとね」
29: 矢橋P 24/12/08(日) 08:18:07 ID:bGnb
お昼
未来「今日も今日とてバイキング~」ウキウキ
<合計500カロリー
未来「も~。一回一回カロリーが表示されるのだけは良くないなー」
静香「食べ過ぎないよう当然のことよ」
静香「ねぇ未来。今ので合計何calorieになったのかしら?」
未来「え、その……忘れちゃった」
静香「みーらーい」
静香「それとその皿に入っているシフォンケーキ。さっきも食べたでしょう」
未来「あわわっ。静香ちゃん細かすぎるよ~」
30: 矢橋P 24/12/08(日) 08:20:06 ID:bGnb
バクバクバク
餅田「静香さんの過保護っぷり。聞いてた通りでやんすね」モグモグモグ
未来「餅田くん~。助けて~」
静香「餅田さん。あまり未来を甘やかしちゃ駄目」
餅田「でも野球部の練習は過酷でやんすよ。たくさん食べないと持たないでやんす」
未来「そーそ。だからこれは必要けいひってやつなんだよ」
餅田「静香さんの過保護っぷり。聞いてた通りでやんすね」モグモグモグ
未来「餅田くん~。助けて~」
静香「餅田さん。あまり未来を甘やかしちゃ駄目」
餅田「でも野球部の練習は過酷でやんすよ。たくさん食べないと持たないでやんす」
未来「そーそ。だからこれは必要けいひってやつなんだよ」
31: 矢橋P 24/12/08(日) 08:22:32 ID:bGnb
静香「使い方間違ってるわよ……。それと説明聞いてたの?食べ物を取る際に学生証をかざすでしょ?その時に記録に残るのよ」
静香「あまり食べ過ぎると後で指導が入るらしいわ」
餅田「うげっ」
未来「え~。そんなぁ」
静香「あまりうまい話はないものよ」
未来「それを言うなら旨い話だね!」
餅田「…………」
静香「…………」
未来「あれ?」
32: 矢橋P 24/12/08(日) 08:24:21 ID:bGnb
放課後 部活動の時間
シュパーン シュパーン シュパーン
静香「次、お願いします」
女子テニス部監督「彼女は逸材だな。彼女なら今年のテニス部も結果を残せるだろう」
男子テニス部監督「ええ。男子テニス部にもこんなストイックな者が入れば良かったのですが」
33: 矢橋P 24/12/08(日) 08:26:28 ID:bGnb
女子テニス部監督「特に男子は運動に意欲のある者は野球かバスケットボールか陸上に入るからな。テニスで確保するのはなかなか難しい」
男子テニス部監督「……ただ彼女を見ているとたまに怖くなります」
女子テニス部監督「……ああ。まるで何かの気持ちをテニスにぶつけてる。そんな感じだ」
静香「……ふぅ」
女子テニス部員「「…………」」ヒソヒソ
34: 矢橋P 24/12/08(日) 08:29:14 ID:bGnb
数日後
お昼 食堂
餅田「今日もたっぷり食べるでやんす」
未来「餅田くんそんなに食べていいの~?」
餅田「ふふふ。オイラいいこと思いついたのでやんす」
餅田「食べ物を取る時、学生証をかざさなければいいのでやんす」
未来「なるほど!頭いい~。じゃ私も……」
35: 矢橋P 24/12/08(日) 08:31:25 ID:bGnb
静香「同じこと考えた人が何人もいるみたいだけど、見つかったら指導が入るそうよ」
餅田「うげっ、また指導でやんすか」
未来「で、でも見つからないようにこっそりやれば……」
静香「この学校至るところに監視カメラあるでしょ。それで見られているわよ」
餅田「ぐっ……いまいましいでやんすね」
未来「ちぇーー」
餅田「うげっ、また指導でやんすか」
未来「で、でも見つからないようにこっそりやれば……」
静香「この学校至るところに監視カメラあるでしょ。それで見られているわよ」
餅田「ぐっ……いまいましいでやんすね」
未来「ちぇーー」
36: 矢橋P 24/12/08(日) 11:30:50 ID:GaYA
麻美「ね~ね~。私も混ぜてよ」
未来「麻美ちゃんだ。久しぶりだね!」
麻美「クラスが別になっちゃったからね。静香ちゃんも久しぶり!」
餅田「もしかして新轟中学の三羽ガラス、七島麻美(ななしまあさみ)でやんすか」
麻美「そーだよ。初めまして」
餅田「こちらこそよろしくでやんす。新轟中学の三羽ガラスが揃い踏みだなんて感激でやんす」
麻美「そんなに感動してもらえることじゃないよ」
37: 矢橋P 24/12/08(日) 11:32:55 ID:GaYA
静香(そう、新轟中学の三羽ガラスとは私に未来に麻美の三人のことだ)
静香(新轟中学は小さい学校ではなかったけど取り立てスポーツに力を入れていたわけではなかった)
静香(それが私が女子テニス。未来が女子硬式野球部部。麻美が女子バスケットボール部で全国大会に行ったものだから大騒ぎになったの)
静香(三人とも同じクラスだったこともあって、目指すところは違ってもたちまち私達は仲良くなれた)
静香(結局三人とも全国大会は準優勝でそんなところまで同じじゃなくてもいいのに。って笑いあったけどね)
38: 矢橋P 24/12/08(日) 11:34:17 ID:GaYA
静香「麻美はバスケットボールの方順調なの?」
麻美「順調だよ。私はバスケ部のエースになるからね!」
静香「そう。なら私と同じね」
未来「二人ともすごーい」
餅田「オイラ達も負けていられないでやんすね」
未来(……ここに翼が入れたらな)
39: 矢橋P 24/12/08(日) 11:37:11 ID:GaYA
麻美「久しぶりに三人集まれたんだし、もうちょっとお喋りしよ?私みんなの飲み物を取ってくるね」ガタッ
静香「麻美、それはやめた方が……」
麻美「大丈夫だって~」タタタッ
未来「だ、大丈夫かな……」
餅田「何をそんなに心配しているのでやんす?」
未来「麻美ちゃんはね……」
<うわわ……
<どんがらしゃーん
未来「”超”が付くほどドジなんだよ……」
餅田「……未来ちゃんにそこまで言われるのは相当でやんすね」
40: 矢橋P 24/12/08(日) 11:39:44 ID:GaYA
麻美「痛たた……」
未来「麻美ちゃん大丈夫?」
麻美「私は慣れてるから大丈夫。それより……」
???「…………」ビッショリ
静香(他の人に思いっきり飲み物をかけているわね)
41: 矢橋P 24/12/08(日) 11:41:27 ID:GaYA
麻美「ごめんなさい!今拭くから……」
???「結構ですわ」フキフキ
麻美「うう……」
未来(すっごい睨んでる……)
???「ここは選ばれたエリートが集まるところだと聞きましたがそうでもないですわね」
???「だからこんなところに来たくなかったのに、やはり私の神桜を取り戻さないと」
スタスタスタ
42: 矢橋P 24/12/08(日) 11:43:30 ID:GaYA
静香「……飲み物をかけたこちらも悪かったけどあんな言い方はないんじゃない」
餅田「気にすることないでやんす。あの子はいつもあんな感じなのでやんす」
未来「餅田くん知ってるの?」
餅田「同じクラスなのでやんす。あの子は一ノ宮桜華(いちのみやおうか)混黒高校の分校、神桜女学院の理事長の娘さんなのでやんす」
麻美「そうなんだ。確かにお嬢様みたいな人だったもんね」
43: 矢橋P 24/12/08(日) 11:45:21 ID:GaYA
未来「混黒高校の……分校?」
静香「もう未来。混黒高校は本校以外に11の学校が合併して出来た高校。本校のここ以外にも11のキャンパスがあるって説明を受けたじゃない」
静香「混黒高校の生徒約5000名のうち本校にいるのは1500名程で残りの生徒は11のキャンパスに居るのよ」
未来「あ~、そうだったっけ」
麻美「レクリエーションでも成績次第で私達も分校に飛ばされるって言ってたね」
餅田「まあ、みんなには関係ないことでやんすよ」
静香「そうね。気にする必要ないわ」
静香(私達が成績を落とすなんてあり得ないもの)
44: 矢橋P 24/12/08(日) 11:47:24 ID:GaYA
別の日 最上家
静香「ただいいま」
静香父「…………」
静香父「学校は順調なのか」
静香「……順調です」
静香父「テニスに一生懸命なのはいいが学業を疎かにしては駄目だぞ」
静香「……わかってます」
バタン
静香父「…………」
45: 矢橋P 24/12/08(日) 11:49:25 ID:GaYA
次の日 部活動の時間
女子テニス部監督「よーし、今日はここまで。各自上がっていいぞ」
静香「監督。私はまだやれます。やらしてください!」
女子テニス部監督「……いいだろう。だが無理はするんじゃないぞ」
女子テニス部監督「それとここの施設は時間が来ると自動で閉まる仕組みになっている。それまでには引き上げるように」
静香「はい!」
他女子テニス部員「「「………………」」」ヒソヒソ
46: 矢橋P 24/12/08(日) 11:52:33 ID:GaYA
そして……
本校 廊下
静香「いけない、もう暗くなってしまったわ。早く帰らないと」スタスタ
静香(ここの学校は教室の扉からロッカーにいたるまで電子化が進んでいて時間が来たら勝手にロックされる仕組みだから気を付けないと)
桜華「…………」スタスタ
静香(彼女は一ノ宮さん……。確か彼女は部活動は参加していなかったはず。何でこんな遅い時間まで校舎にいるのかしら)
静香(……私には関係ないか)
47: 矢橋P 24/12/08(日) 11:54:53 ID:GaYA
そして月日が流れ6月……
放課後 校内
静香「そろそろ秋の大会に向けて選手の選抜が行われる頃ね」
静香(今日の練習の時、あの時リターンを失敗してしまったけど返せないリターンではなかった。もっとすぐ反応しないと……)
未来「……」ドヨーン
静香「あら未来帰ってなかったのね。どうしたの、悩み事?」
48: 矢橋P 24/12/08(日) 11:56:31 ID:GaYA
未来「うう……聞いて静香ちゃん……」
未来「同じ野球部に下山くんって居たんだけど……今日で分校行きになっちゃった」
静香「その下山さんは何か問題でも起こしたの?」
未来「ううん。下山くんはまじめで練習も毎日出てて、すっごい努力してたんだよ」
未来「だけど……君の能力はここにはふさわしくない……って」
49: 矢橋P 24/12/08(日) 11:58:25 ID:GaYA
静香「それは仕方ないじゃない。何処もおかしくないわよ」
未来「……え」
静香「私達がいる混黒高校は凄い設備が整った高校なのよ。監督やコーチだってそれぞれ用意されてるわけだし」
静香「こんな環境で結果を出せないなら本人の限界ということでしょう?」
未来「でも、下山くんはずっと努力してて、他の男の子よりも練習してたんだよ!」
静香「なおさらよ。練習してなくて能力低いのは論外だけど、そこまで練習しても他に追いつけないならむしろこの学校に留まっている方が酷よ」
静香「一旦レベルを下げて他の分校に行った方が本人にとっても良いことかもしれないわ」
50: 矢橋P 24/12/08(日) 12:00:15 ID:GaYA
未来「そ、そんな……」
静香「女子テニス部だって皆に追いつけなくて分校に行った人何人かいるわよ」
静香「この高校は私達にこれほどの投資してくれているのよ。だったら結果で返さないといけないの」
静香「心配しなくても私達はそうならないわよ」
未来「もう!そういうことじゃないよ。静香ちゃんのばかっ!」ダダダッ
静香「……何そんなにムキになっているの。そんなに下山さんと仲良しだったのかしら」
51: 矢橋P 24/12/08(日) 12:02:10 ID:GaYA
次の日
未来「…………」ツーン
静香(未来ったら拗ねてるわね)
静香(昨日言い過ぎたかしら……でもそんな酷いこと言ったつもりないのだけど)
静香(後で謝っておかないと)
52: 矢橋P 24/12/08(日) 12:03:34 ID:GaYA
放課後
キーンーコーンーカーンコーン
静香(部活に行く前に未来に話しかけないと)
女子テニス部員「最上さーん。先生が最上さんに取って来て欲しい物があるって」
静香「あら、そうなの」
女子テニス部員「今日練習の前にテニスのネット新しいのに取り替えるから最上さんに用意して欲しいんだって」
静香「わかったわ」
女子テニス部員「……」ニヤリ
53: 矢橋P 24/12/08(日) 12:07:40 ID:bGnb
倉庫入り口
静香「確かテニス用具はここね」
スタスタ
未来「……あれ静香ちゃんだ。一人でどうしたんだろ?」
未来「……これって神様が仲直りしなさいって言ってるのかな。いや、そうだよね!」
静香「確かテニス用具はここね」
スタスタ
未来「……あれ静香ちゃんだ。一人でどうしたんだろ?」
未来「……これって神様が仲直りしなさいって言ってるのかな。いや、そうだよね!」
54: 矢橋P 24/12/08(日) 12:09:08 ID:bGnb
静香「あれ、中の照明が消えてる」
静香(電源のスイッチは……無い。全く、こういう時は手動の方が便利ね)
静香(でもこないだ予備のテニスボールを取りに行った時に場所は大体把握している)
静香(確かこの辺に……)ガサゴソ
ガタガタ
静香(あれ?)
55: 矢橋P 24/12/08(日) 12:10:55 ID:bGnb
未来「静香ちゃん。昨日は……」
グラッ
ガッシャーン!
未来「えっ、静香ちゃん?」
未来「静香ちゃん!静香ちゃーーーん!」
56: 矢橋P 24/12/08(日) 12:12:36 ID:bGnb
他の生徒「何、何?」ザワザワ
他の先生「今大きな物音がしたぞ」
翼「今のは…………未来の声だ!」
57: 矢橋P 24/12/08(日) 12:14:41 ID:bGnb
未来「静香ちゃん!しっかりしてよぉ!」
バン!
翼「未来どうしたの!」
未来「つばさぁ。静香ちゃんが……」
翼「そのダンベル……まさかそれが静香ちゃんに落ちてきたの!」
翼「未来、むやみに動かさないで!頭を打ってるかもしれない」ピポピポ
翼「もしもし。はい、救急車お願いします!場所は混黒高校です!」
未来「静香ちゃん……目を覚ましてよぉ……」
バン!
翼「未来どうしたの!」
未来「つばさぁ。静香ちゃんが……」
翼「そのダンベル……まさかそれが静香ちゃんに落ちてきたの!」
翼「未来、むやみに動かさないで!頭を打ってるかもしれない」ピポピポ
翼「もしもし。はい、救急車お願いします!場所は混黒高校です!」
未来「静香ちゃん……目を覚ましてよぉ……」
58: 矢橋P 24/12/08(日) 12:17:07 ID:bGnb
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59: 矢橋P 24/12/08(日) 12:19:16 ID:bGnb
そして月日は流れ8月…… 二学期初日
混黒高校のキャンパスの一つ開拓分校 1年生教室
恵理「みんな、夏休みも終わって今日から二学期だけど元気にしてたかな?」
「「はーーい」」
詰井「オレなんか夏休み中もずっと野球の練習してて、今日だって朝練したばかりだぜ。元気なんて有り余ってるけどな」
冴花「クラスのみんながあなたみたいな脳筋じゃないの」
千羽矢「エリちゃんー。お腹空いたー」
志保「……はぁ」
混黒高校のキャンパスの一つ開拓分校 1年生教室
恵理「みんな、夏休みも終わって今日から二学期だけど元気にしてたかな?」
「「はーーい」」
詰井「オレなんか夏休み中もずっと野球の練習してて、今日だって朝練したばかりだぜ。元気なんて有り余ってるけどな」
冴花「クラスのみんながあなたみたいな脳筋じゃないの」
千羽矢「エリちゃんー。お腹空いたー」
志保「……はぁ」
60: 矢橋P 24/12/08(日) 12:21:05 ID:bGnb
恵理「それでね。新学期早々なんだけどこのクラスに転入生が来ます」
恵理「それじゃみんなにあいさつして?」
静香「はい……最上静香です。よろしくお願いします」
志保「!!」
61: 矢橋P 24/12/08(日) 12:22:50 ID:bGnb
詰井「なんだ。新学期早々、都落ちかよ」
冴花「彼女……新轟中学の三羽ガラスの最上静香じゃない」
詰井「有名人なのか?」
冴花「確か中学の女子テニスで全国大会2位よ」
詰井「ひえぇ、何でそんなやつがここに来るんだよ」
志保「…………」
恵理「それじゃみんな仲良くしてあげてね」
静香(何で……私がこんな高校に来なくちゃいけないの……)
62: 矢橋P 24/12/08(日) 12:25:51 ID:bGnb
~回想~
混黒高校校長室
静香「私が分校に転入!?」
混黒高校本校校長 福山権兵衛(ふくやまごんのひょうえ)
福山校長「ええ、今のあなたではこの高校にはふさわしくありませんからね」
福山校長「あの事件でケガを負って以降、利き腕の握力が無くてラケットも満足に握れないそうじゃないか」
静香「待ってください。今リハビリ中なんです。ケガさえ治れば……」
福山校長「病院からは報告を受けておるよ。握力低下は原因不明でしかもいつ治るかもわからないそうじゃないか」
静香「それは……」
福山校長「君に根性があればまたこっちに戻ってこれるかもしれん。まあ精々頑張りたまえ、ふぉっふぉっふぉっ」
混黒高校校長室
静香「私が分校に転入!?」
混黒高校本校校長 福山権兵衛(ふくやまごんのひょうえ)
福山校長「ええ、今のあなたではこの高校にはふさわしくありませんからね」
福山校長「あの事件でケガを負って以降、利き腕の握力が無くてラケットも満足に握れないそうじゃないか」
静香「待ってください。今リハビリ中なんです。ケガさえ治れば……」
福山校長「病院からは報告を受けておるよ。握力低下は原因不明でしかもいつ治るかもわからないそうじゃないか」
静香「それは……」
福山校長「君に根性があればまたこっちに戻ってこれるかもしれん。まあ精々頑張りたまえ、ふぉっふぉっふぉっ」
63: 矢橋P 24/12/08(日) 12:27:51 ID:bGnb
テニスコート
女子テニス部監督「……そうか非常に残念だがここはそういう決まりなんだ」
静香「……そうですか」
女子テニス部監督「最上には今秋の大会に出す予定だった。お前ならいいところまでいけると思っていた」
静香「すみません」
女子テニス部「出来るだけ早く戻ってこい。だけど無理はするな」
静香「わかりました」
女子テニス部監督(……だがあそこに落とされてしまっては彼女はもう……)
64: 矢橋P 24/12/08(日) 12:29:45 ID:bGnb
未来「静香ちゃん……」
静香「情けないわよね。自分であんなこと言っておきながら……」
未来「ごめん。あの時すぐ傍に居たのに……」
静香「未来が気にやむことじゃないのよ、気にしないで」
静香「原因不明だから治るかもしれないのよ?」
静香(……本当は治らないかもしれないって言われたのだけど)
静香「分校に行ってもリハビリは続けるわ。そして……ここに必ず戻ってくる」
未来「うん、私ずっと待ってるから」
65: 矢橋P 24/12/08(日) 12:31:20 ID:bGnb
こうして私、最上静香は混黒高校から開拓分校に移った
私の”本当の”物語はこれから始まる
66: 矢橋P 24/12/08(日) 12:43:37 ID:bGnb
ひとまずここまで
まだまだ書き溜めた分はありますが一学期 ー完ー なので
ついに自分のSSでタイトルにアイドルを付ける日が来ようとは……(アイドル描写超苦手)
でも前作の最終章のサブタイトルにあえて アイドル って付けました
あれは世界観はパワポケメインなのでプロデューサーは出て来ないしアイドル要素は無い……で始まったこのシリーズが段々アイマスに浸食されてるってことの表れだったりします
ですが本家アイマスの世界からしたらまだまだ。
この世界はアイドルだからどうにかなる世界じゃないので
それでは、ありがとうございました
まだまだ書き溜めた分はありますが一学期 ー完ー なので
ついに自分のSSでタイトルにアイドルを付ける日が来ようとは……(アイドル描写超苦手)
でも前作の最終章のサブタイトルにあえて アイドル って付けました
あれは世界観はパワポケメインなのでプロデューサーは出て来ないしアイドル要素は無い……で始まったこのシリーズが段々アイマスに浸食されてるってことの表れだったりします
ですが本家アイマスの世界からしたらまだまだ。
この世界はアイドルだからどうにかなる世界じゃないので
それでは、ありがとうございました
67: 矢橋P 24/12/08(日) 19:55:53 ID:GaYA
最上静香 熱血主人公
非常にストイックな少女、最近高校生に上がったばかりである
テニスに相当な情熱を注いでおり人生を注いでいると言っても過言ではない
その腕前は既に高校生の上級生と遜色ないほどの腕前で中学生の時には全国選手権にも出たほど
純粋なパワーより技術を駆使するテクニカルタイプのようだ
幼なじみの未来を放っておけずついつい口を出してしまう。が実のところは……
68: 矢橋P 24/12/08(日) 19:57:57 ID:GaYA
春日未来 幼なじみの野球少女
静香の幼なじみで小さい頃からずっと一緒
彼女がソフトボールではなく硬式野球をやっているのはきっかけは、とある試合の助っ人で頼まれたこと
更に続ける決定打になったのは4年前に見た甲子園の地をたった一人、足を踏んだ甲子園女子の活躍をテレビで見た時であった
また自分と静香と翼の三人の仲を元通りにしたいと密かに思っている
69: 矢橋P 24/12/08(日) 20:01:38 ID:GaYA
伊吹翼 幼なじみのアイドルを目指す少女
静香と未来の幼なじみ
とあることがきっかけで静香とは離れているが未来とは仲がいい
彼女は最近各高校に作られたアイドル部に所属している
3年前に深夜22時半に配信されたPVを見て以来Maihamanの大ファン
静香に対しては思うところもあるが未来に免じて黙っている
70: 矢橋P 24/12/08(日) 20:04:44 ID:GaYA
餅田 混黒高校本校の一年生エース
未来と同じ混黒高校の男子野球部員
一年生の野球部員の中では一番の有能株で、同じ一年生の有能株の未来と組まされ仲良くなった
ポジションはピッチャーで変化球を得意とするタイプ
得意な球種はカーブとスクリュー
71: 矢橋P 24/12/08(日) 20:07:41 ID:GaYA
七島麻美 バスケ少女
混黒本校で女子バスケットボールの推薦で入った少女
中学生時代は静香、未来とは同じクラスの親友で女子バスケ部のエースだった
ポジションはスモールフォワード
静香と未来に彼女を加えた三人は新轟中学の三羽ガラスと呼ばれて一時期有名だった
天真爛漫でとても明るい性格だがバスケには並々ならぬ感情を持っている
バスケ以外はとてもドジ、本人も両親も諦めている
ゆらりという親友がいる
72: 矢橋P 24/12/08(日) 20:10:44 ID:GaYA
一ノ宮桜華 お嬢様学校の理事長
年齢は静香達と同年代だが歴史ある女子高校、神桜分校の理事長を若くして務めている
何やら事情がありそうだが…………
73: 矢橋P 24/12/08(日) 20:15:31 ID:GaYA
九能敬太 本校の野球部監督
混黒高校本校の野球部監督にして他の監督を束ねる立場の人
未来の野球センスを即座に見抜き男子野球部に加入させた
校長のエリート意識に飲まれず生徒優先で考えている良い監督
74: 矢橋P 24/12/08(日) 21:04:10 ID:GaYA
少し時間が出来たので続きを投下します
75: 矢橋P 24/12/08(日) 21:05:15 ID:GaYA
都内の自宅から電車で50分
都内の外れに私が通うことになった開拓分校があった
校舎は木造、山が直ぐ傍にあり田舎っぽいせいか蝉の鳴き声がけたたましく聞こえてくる
混黒高校に居た時は無料のスクールバスが何本も出ていて登下校校に困ったことが無かったのに……
校舎に入る前から私は混黒高校との差に打ちのめそうになっていた
そんな私を労ることもなく開拓分校での初日が始まった
76: 矢橋P 24/12/08(日) 21:07:56 ID:GaYA
静香(とにかく、早くリハビリ終えてケガを治して本校に戻らないと)
冴花「そろそろ最初の授業始まるけど大丈夫?」
静香「あ、はい。次の授業の教科何だったかしら」
冴花「農業科学基礎よ」
静香「農業……?」
冴花「そんなことだろうと思ったわ。ほら、私の教科書貸してあげる」
静香「……ありがとうございます」
冴花(心にあらずって感じね、大畠くんと同じだわ)
冴花「私は木村冴花(きむらさえか)。席は隣だから何かわからないことあれば言って」
77: 矢橋P 24/12/08(日) 21:10:03 ID:GaYA
キンコンカンコーン
放課後
静香(農業科学基礎なんて教科初めて聞いたわ。他の教科も本校に比べるとレベルが低い)
下山「最上さんだよね」
静香「そうですけど……」
78: 矢橋P 24/12/08(日) 21:12:29 ID:GaYA
下山「やっぱり。未来ちゃんから聞いていたよ。下山です」
静香「あなたが未来が言ってた下山さんね」
下山「本校とここじゃ落差激しいよね。最上さんは大丈夫かな」
静香「……厳しいわね」
静香(絶賛、カルチャーショックで頭がくらくらしているわ)
下山「同じ本校から転入してきた同士、めげないでここで頑張ろう」
静香(同じ本校に転入してきた同士?実力が伴わなかったあなたと違って私はケガで本来の実力を発揮出来ないだけなの)
静香(ケガさえ治ればこんなところ、すぐ抜け出してやるわ)
79: 矢橋P 24/12/08(日) 21:14:26 ID:GaYA
静香「下山さん。テニス部はどこ?」
下山「え、テニス部?」
冴花「この分校にテニス部は無いわよ」
下山「木村さん」
静香「おかしいわね。テニス部がある分校って条件でここに来たのだけど」
冴花「2年前まではね。去年人数が居なくて廃部になったわ。本校も把握していなかったんじゃない?」
80: 矢橋P 24/12/08(日) 21:16:53 ID:GaYA
静香「廃部……まあいいわ。別にここのテニス部に入りたくて来たわけじゃないんですもの。昔でもテニス部があったってことはテニスコートはあるのよね?」
下山「あっそれは……」
サッ
冴花「あるわ。今案内してあげる」
静香「助かります。今、道具を用意しますので」
下山「木村さんいいの?」
冴花「本人の目で直接確かめた方がいいわ。それで折れるんだったらそれまでよ」
81: 矢橋P 24/12/08(日) 21:20:30 ID:GaYA
校舎裏
静香「これが……テニスコート!?」
静香(地面にうっすらラインが引いてるだけじゃない)
静香(おまけにその地面はでこぼこ、雑草はぼうぼう、石まで転がってる。酷過ぎる……)
冴花「2年以上使われてなかったみたいだからね。一応ネットはそこの物置に入ってるらしいわ」
静香(こんなのとても……)
冴花「整備しなきゃ使えないけど最上さん一人じゃ到底無理でしょ」
冴花「そこで提案があるのだけど」
82: 矢橋P 24/12/08(日) 21:22:33 ID:GaYA
冴花「ここが野球部のグラウンドよ」
静香(野球部のグラウンドもテニスコートほど酷くないけど同じようなものね)
冴花「この学校が合併したのは二年前。それで昨年度は合併のドタゴタで野球部も機能していなかったからグラウンドもテニスコートと同じ状況」
冴花「だから練習前にグラウンド整備を少しずつやっているの。あなたも手伝ってくれるのなら野球部もテニスコートの整備を手伝ってもいいわよ」
静香(仕方ないか。一人でやるより全然いいもの)
83: 矢橋P 24/12/08(日) 21:24:11 ID:GaYA
詰井「おーし、今日もやるかグラウンドの整備」
下山「今日は最上さんも手伝ってくれるんだって」
杉田「それは助かるなぁ。まずは石拾いだね」
軽井「ちゃっちゃっとやってしまうか」
「「「「よーしやるぞーー」」」」
静香(この野球部元気だけはいいわね……何でこんな環境でそんな元気出るんだろう)
84: 矢橋P 24/12/08(日) 21:26:12 ID:GaYA
ヒョイ ヒョイ ヒョイ
静香(何で私が石拾いなんか……いや、我慢、我慢よ私!)
志保「久しぶりね」ヒョイ
静香「久しぶり……だったかしら?」
志保「北沢志保よ。……名前を言えば思い出したかしら」
静香「北沢…………あ、思い出したわ」
静香「中学生の頃、一回だけテニスの地区大会初戦で対戦したことあったわね」
静香(苦戦することなくストレートで勝った気が……)
85: 矢橋P 24/12/08(日) 21:28:04 ID:GaYA
志保「……それだけ?」
静香「ええ、そうだけど」
志保「はぁ……まあ、いいわ」
静香(特に印象に残る選手じゃなかったけど……覚えられなくてショックを受けてるの?)
86: 矢橋P 24/12/08(日) 21:30:10 ID:GaYA
静香「北沢さんはまだテニス続けてるの」
志保「志保でいいわよ、静香。昔はお互いそう言い合ってたじゃない」
静香(そうだったかしら)
志保「もうテニスはやってないの」
静香「そうなの。じゃあ野球部のマネージャーかしら?」
志保「違うわ。私はアイドル部よ」
ガタッ
静香「アイドル……ですって」
87: 矢橋P 24/12/08(日) 21:32:09 ID:GaYA
志保「今日は居ないけどアイドル部顧問の人が野球部の監督と兼用なのよ」
志保「だから片方どちらか見てる時は片方は休み」
志保「今日は野球部の日だからアイドル部の活動は休止して野球部のお手伝いなの。一日交替で明日がアイドル部、その時は野球部がアイドル部を手伝ってくれるのよ」
静香「……アイドル」ガタガタ
志保(翼から聞いてはいたけど……ここまでなんてね)
ピーッ
冴花「今日はここまで。後はランニングとキャッチボールよ」
88: 矢橋P 24/12/08(日) 21:34:14 ID:GaYA
石拾いをした後はランニングとキャッチボールだけして終わった
まだまだグラウンドの整備が終わってない以上ノックとか打撃練習とか出来そうな環境じゃないみたいだし
この野球部は詰井くんと本校から来た下山くんの二名除いて高校生から野球を始めた人ばかり
だから最初は基礎トレーニングからというのは理にかなっている
だけど……最初から経験豊富なエリート揃いの本校の野球部とは比べ物になりそうにない
私と志保も一緒にランニングに参加した
私も今はテニス練習より腕のリハビリが先だからまだ納得出来るけど……
私はこの高校でやっていけるのだろうか
89: 矢橋P 24/12/08(日) 21:36:20 ID:GaYA
軽くクラスメートの一部をおさらい
主人公 最上静香
野球部マネージャー 木村冴花
野球部員 詰井理人 杉田祐樹 下山直人 軽井紀矢
アイドル部 北沢志保
クラスメート 雨崎千羽矢
野球部監督兼アイドル部顧問 ???
担任教師 白木恵理
90: 矢橋P 24/12/08(日) 21:39:46 ID:GaYA
次の日
教室
静香「このクラス40人ぐらいだけど、これで一学年なの?」
詰井「そうだよ。ウチの分校はひと学年がひとクラスしかなくて一年生から三年生合わせても一つずつの三クラスしかないんだ」
冴花「全生徒で150人足らずってところね」
静香(本校は約1500人だから約十倍ね……)
詰井「ウチの学校は分校の中でも人気無いからなぁ……」
詰井「野球部だって昔はもっと居たんだぜ?開拓高校は野球部だけはちょっとは有名だったからな」
冴花「それもこの高校が分校になって、生徒数も減ったところに主力選手は本校に行っちゃってこの有様ね」
静香(なるほど……)
教室
静香「このクラス40人ぐらいだけど、これで一学年なの?」
詰井「そうだよ。ウチの分校はひと学年がひとクラスしかなくて一年生から三年生合わせても一つずつの三クラスしかないんだ」
冴花「全生徒で150人足らずってところね」
静香(本校は約1500人だから約十倍ね……)
詰井「ウチの学校は分校の中でも人気無いからなぁ……」
詰井「野球部だって昔はもっと居たんだぜ?開拓高校は野球部だけはちょっとは有名だったからな」
冴花「それもこの高校が分校になって、生徒数も減ったところに主力選手は本校に行っちゃってこの有様ね」
静香(なるほど……)
91: 矢橋P 24/12/08(日) 21:49:57 ID:bGnb
同じクラスの野球部のマネージャー木村冴花と野球部員の詰井理人(つめいりと)彼ら二人は地元生
この分校のことをまず知ろうとした私は二人から話しを聞くことにした
92: 矢橋P 24/12/08(日) 21:52:11 ID:bGnb
詰井「おかげでここに残って居るのは地元生除けば農業好きか落ちこぼれか変人しか居ないぜ」
静香「農業好きと落ちこぼれはわかるけど変人?」
詰井「アレを見ろよ」
千羽矢「ねーねー杉田くん。お腹空いたー」
杉田「また?まだ2時限目だけど」
千羽矢「お腹空いたんだもんしょうが無いでしょ。あまりお腹空き過ぎると襲っちゃうぞー」
杉田「わかったよ。ほら、あんパン」っアンパン
千羽矢「わーい、杉山くんいつもありがとう。だいすきー」っアンパン
バリバリバリ!
千羽矢「あー、おいしかった」ペロリ
93: 矢橋P 24/12/08(日) 21:54:10 ID:bGnb
詰井「なっ、変人だろ?」
静香「…………」アゼン
静香(あんパンを……袋ごと食べた!?)
冴花「あの子は雨崎千羽矢(あめざきちはや)。安心して、変なのはあの子はだけよ」
静香(変ってレベルじゃない気がするのだけど……)
静香(と、とにかく。やはり分校の水準はとても低いわね。早く本校に戻らないと)
94: 矢橋P 24/12/08(日) 21:56:16 ID:bGnb
放課後
静香「そういえば北……志保。部室はどこなの」
静香(昨日は部室がどこにあるかわからなくて着替えれなかった)
志保「無いわよ」
静香「はぁ、無い?」
志保「だからこれから作るのよ。それまで着替えるなら裏口の更衣室を使って」
※農業高校は体育館前だけじゃなく校舎の裏口の前にも更衣室があります
農業の実習の際に作業ツナギや長靴に着替えるためです
95: 矢橋P 24/12/08(日) 21:58:13 ID:bGnb
志保「今日はアイドル部の日。野球部のみんなと一緒に部室を作るの」
志保「野球部の日はアイドル部と野球部が協力してグラウンドの整備。アイドル部の日はアイドル部と野球部が協力して部室を作るの」
志保「部室を作り終わったら次は練習用のステージを作る予定」
静香(本気で言ってるの?普通学校側が用意するものでしょう!)
96: 矢橋P 24/12/08(日) 22:00:05 ID:bGnb
詰井「北沢、そのことなんだけど今日も監督が居ないんだ」
志保「今日もなの。……流石に生徒だけで行うには危ないから今日は中止ね」
詰井「だからな、今日は最上の歓迎会やろうと思ってさ」
志保「歓迎会?私の時にはやらなかったくせに」
詰井「悪かったよ。あん時は俺も本校から来た生徒には敵意むき出しでな。そんな余裕がなかったんだ」
静香「志保、あなたも……」
志保「そうよ。私も本校からの転入生よ」
志保「私は推薦じゃなく一般入試で本校に入った、けどすぐ5月を迎える前にここに飛ばされたのだけどね」
静香「……」
97: 矢橋P 24/12/08(日) 22:04:06 ID:bGnb
詰井「だから今回の歓迎会は最上と北沢と下山の三人の歓迎会だ。実は昨日実家に生きの良いやつが手に入ってさ、ちょうどいいって思ってな」
静香(生きの良いやつ?)
冴花「実際あなた達三人には感謝しているのよ。大畠くんみたいにならないで協力してくれるし」
詰井「木村、あいつの名前なんか出すなよ」
98: 矢橋P 24/12/08(日) 22:06:15 ID:bGnb
静香「大畠くんって誰?」
志保「あなたが来る前にここに本校から転入してきた人。その人は野球部でケガしてここに来たわ」
詰井「だけどあいつ野球部にも入らないで一人でリハビリばっかしてやがった。レベルの低い俺らと一緒に練習なんかしたくないってな」
静香「でも私達のクラスにそんなような人、居なかったけど」
冴花「居なくなったのよ。……本校とここの落差に耐えきれなかったんでしょうね」
静香(私は……耐えられるのかな……)
99: 矢橋P 24/12/08(日) 22:08:35 ID:bGnb
そして……
校庭
下山「僕達のために屋外バーベキューをしてくれるなんて嬉しいよ」
静香(食事を用意してくれるのは嬉しいけど……)
静香(あっちは高級料理ビュッフェ。こっちは屋外バーベキューか……)
冴花「北沢さん、最上さん。悪いけど薪になる木の枝拾って来てくれないかしら」
志保「わかったわ」
静香(…………)
校庭
下山「僕達のために屋外バーベキューをしてくれるなんて嬉しいよ」
静香(食事を用意してくれるのは嬉しいけど……)
静香(あっちは高級料理ビュッフェ。こっちは屋外バーベキューか……)
冴花「北沢さん、最上さん。悪いけど薪になる木の枝拾って来てくれないかしら」
志保「わかったわ」
静香(…………)
100: 矢橋P 24/12/08(日) 22:10:54 ID:bGnb
ヒョイ ヒョイ
静香「これくらい集まればいいかしら」
静香「あれ……?」
詰井「……」
静香(あれは詰井くん。こんな隅で何をやっているの?)
クエーーーーッ
静香(え……)
ザンッ
101: 矢橋P 24/12/08(日) 22:12:35 ID:bGnb
詰井「……ふう。後はこのまま血抜きして……」
静香「く……首を……」
詰井「あっ、最上!」
静香「詰井くんそれ……」
詰井「見たのか……。都会から来た人には見せないようにしてたんだけどな」
静香「詰井くんの言ってた生きのいいやつって……ニワトリのことだったのね」
102: 矢橋P 24/12/08(日) 22:14:17 ID:bGnb
詰井「そう、今日のバーベキュー用さ」
静香「そんな、わざわざバーベキューのためなんかに殺さなくても……」
詰井「……最上はさ。鶏肉食べたことないのかよ」
静香「え、そんなことないけど……」
詰井「最上が知らなかっただけで俺達が普段食べてるニワトリはみんな生きてたんだぜ」
詰井「残さず食べてあげようぜ。その為に育てられてきたんだからさ」
静香「…………」
103: 矢橋P 24/12/08(日) 22:16:36 ID:bGnb
次の日
静香部屋
ザンッ
静香「うわっ!」ガバッ
静香(昨日の光景が夢に出て来るなんて……)
静香(でも……私が今まで食べてきたニワトリも元は生きてたのよね……)
104: 矢橋P 24/12/08(日) 22:18:34 ID:bGnb
開拓分校 HR前
冴花「ニワトリを締めているところを最上さんに見られた!?」
詰井「うっかりしてたんだ。もっと奥でやっておけばよかったなあ」
冴花「都会からきたお嬢さんには刺激が強すぎるわ。それが原因で辞めるかもしれないのよ」
詰井「悪かったって。でもせっかく仲間になりそうなのに辞めてほしくないよなぁ」
志保「大丈夫よ。静香はそんなことじゃめげないから」
105: 矢橋P 24/12/08(日) 22:20:08 ID:bGnb
ガラッ
静香「……おはようございます」
志保「ね、言ったでしょ?」
詰井「お……おう、よかったぜ」
冴花(呼び方といい、北沢さんは最上さんと面識があるのかしら)
106: 矢橋P 24/12/08(日) 22:22:05 ID:bGnb
放課後
冴花「今日は野球部の日だからグラウンド整備からね」
静香「…………」
そして
冴花「時間がきたから今日はここまで。後はキャッチボールをしてその後ランニングよ」
志保「アイドル部はこれでいいかしら」
冴花「ええ、助かったわ」
107: 矢橋P 24/12/08(日) 22:24:42 ID:bGnb
静香(こんな様子だといつになったら復帰出来るのかしら……)
志保「……どうしたのぼーっとして。私達は私達の練習をするわよ」
ズルッ
杉山「あっ、ボールがずり剥けた」
下山「他のボールもそろそろだよ、最近ほつれてきてたね」
詰井「しょうがねえな、みんなで縫い直そうぜ」
軽井「時間がもったいないけど練習のためだもんな」
志保「仕方ないわね。今日は野球部の日だから私も手伝うわ。静香はどうす……」
志保「……どうしたのぼーっとして。私達は私達の練習をするわよ」
ズルッ
杉山「あっ、ボールがずり剥けた」
下山「他のボールもそろそろだよ、最近ほつれてきてたね」
詰井「しょうがねえな、みんなで縫い直そうぜ」
軽井「時間がもったいないけど練習のためだもんな」
志保「仕方ないわね。今日は野球部の日だから私も手伝うわ。静香はどうす……」
108: 矢橋P 24/12/09(月) 06:20:03 ID:wXF6
カラン
志保「静香?」
静香「もう嫌」
静香「グラウンドやテニスコートはデコボコ、監督やコーチが居ないと思ったら部室すら無い。おまけに道具はボロボロ……こんなの…やってられないわよ!」
ダダダダッ
志保「静香?」
静香「もう嫌」
静香「グラウンドやテニスコートはデコボコ、監督やコーチが居ないと思ったら部室すら無い。おまけに道具はボロボロ……こんなの…やってられないわよ!」
ダダダダッ
109: 矢橋P 24/12/09(月) 06:22:35 ID:wXF6
冴花「……彼女もダメだったわね」
詰井「まあ下山や北沢が珍しいぐらいだからな。普通はああなるさ」
下山「僕は戦力外追放でここに来たけど、彼女の場合そうじゃないみたいだから余計だよ」
杉田「仲間が一人増えたと思ったのになぁ」
志保「……」
110: 矢橋P 24/12/09(月) 10:59:56 ID:gDXd
そして
とある土手
カァーーーカァーーー
静香「…………」
冴花「こんなところに居たのね」
とある土手
カァーーーカァーーー
静香「…………」
冴花「こんなところに居たのね」
111: 矢橋P 24/12/09(月) 11:01:58 ID:gDXd
静香「放っておいてよ。私は耐えきれなくて逃げ出した……情けない負け犬だもの」
冴花「……」
静香「ねえ、何でこの高校はこんなに環境が悪いの。ここだって混黒高校の一部でしょう?」
冴花「この高校にはお金がほとんど回ってこないのよ」
冴花「本校の異常な設備、あなた本校から来たんなら知っているでしょ」
静香「……うん」
冴花「あれは私達、十一の分校の生徒達が納めた学費で維持されているの。」
冴花「本校のエリート達が結果を出せばそれだけでいい宣伝になるからね。分校の私達はどうでもいいって考えなのよ」
112: 矢橋P 24/12/09(月) 11:03:41 ID:gDXd
静香「そうか……そんな仕組みだったのね。……っ、昨日のニワトリと同じだわ」
冴花「ニワトリ?」
静香「私は昨日まで自分が食べていたニワトリが、もともと生きていたってことを本当の意味でわかっていなかった」
静香「それと同じで本校の異常な豪華な設備を見て恩恵を受けても、どうしてそんなことが出来るのか。なんて考えることすらしなかったのよ」
113: 矢橋P 24/12/09(月) 11:05:42 ID:gDXd
冴花「……それで?」
静香「えっ」
冴花「それを知ったあなたはどうするの。大畠くんみたいに逃げ出す?」
静香「それは……わからない」
冴花「まあ、じっくり考えることね。もう今日は帰った方がいいわよ」
冴花「……後で北沢さんにお礼言っておいてね。私があなたを探したのは北沢さんが“もう一度だけ静香を信じてほしい”と言ったからよ。じゃ」
スタスタスタ
114: 矢橋P 24/12/09(月) 11:07:09 ID:gDXd
静香「……志保」
静香「私は……どうしたらいいんだろう」
115: 矢橋P 24/12/09(月) 11:09:07 ID:gDXd
次の日
静香の部屋
静香(今日は休日……だけど今までは休日でもテニスの練習をしていた)
静香(だからこんなにのんびり家に居たこと無かった)
静香(私はこれから……)
<ピンポーン
静香「……誰だろう」
静香の部屋
静香(今日は休日……だけど今までは休日でもテニスの練習をしていた)
静香(だからこんなにのんびり家に居たこと無かった)
静香(私はこれから……)
<ピンポーン
静香「……誰だろう」
116: 矢橋P 24/12/09(月) 11:10:44 ID:gDXd
ガチャ
未来「静香ちゃんー!」
静香「未来!?」
未来「でへへ~。心配になって会いに来ちゃった」
静香「ありがとう。でも未来、野球部の練習は?」
未来「学校休みだから練習は午後からだよ~」
未来「静香ちゃんー!」
静香「未来!?」
未来「でへへ~。心配になって会いに来ちゃった」
静香「ありがとう。でも未来、野球部の練習は?」
未来「学校休みだから練習は午後からだよ~」
117: 矢橋P 24/12/09(月) 11:12:37 ID:gDXd
静香「……ねえ、未来。私達が食べてるニワトリってもともと生きてたってわかる?」
未来「え~、もう静香ちゃん。いくら私でもそれくらい知ってるよ」
静香「知っているのと理解するのとは違うのよ!」
未来「わっ、そうなの。でもすごく深そうな言葉だね」
静香「……」
静香「未来は野球部のレギュラーを目指すんでしょ?私に構わないでいいから練習しなさい!」
静香「私は……負けないから!」
バタン
118: 矢橋P 24/12/09(月) 11:14:28 ID:gDXd
未来「あっ、静香ちゃん……」
翼「ふーん。思ったより元気そうだね、静香ちゃん」ヒョッコリ
未来「でも心配だよ。このままテニスが出来なかったら……」
翼「ねえ未来。未来は生クリームを食べ過ぎて嫌いになることある?」
未来「それはあり得ないかな!」フンス
翼「それと同じくらい、静香ちゃんが躓いたままでいることはあり得ないから」
翼「だから大丈夫。それじゃ午後まで一緒においしいケーキでも食べに行こ~」
未来(静香ちゃん……)
119: 矢橋P 24/12/09(月) 11:16:16 ID:gDXd
そして
とある歩道
静香「あんな啖呵切った手前、家に居られなくて外に出て来たけど何をしたらいいのかしら……」
???「おや~迷える子ぶたちゃんが居ますね~」
???「ここは聖母に悩みを打ち明けてはどうですか~」
とある歩道
静香「あんな啖呵切った手前、家に居られなくて外に出て来たけど何をしたらいいのかしら……」
???「おや~迷える子ぶたちゃんが居ますね~」
???「ここは聖母に悩みを打ち明けてはどうですか~」
120: 矢橋P 24/12/09(月) 11:18:15 ID:gDXd
静香(子ぶたちゃんって……もしかして私のこと!?)
静香(確かに私は今悩んでいるけど……そもそも自分で聖母って怪し……)
ピキーン
静香「……はい。私の悩みを打ち明けます」ボーッ
朋花「おや、こんなに簡単にかかるなんて。これは重症ですね~」
朋花「いいでしょう。聖母があなたの悩みを聴きましょう」
121: 矢橋P 24/12/09(月) 11:20:02 ID:gDXd
静香「と言うわけなんです」
朋花「ふむふむ、なるほどですね~」
静香(あれ……何で私はこの人に何でもすらすら話してしまっているの?)
静香(でも……不思議と嫌な感じがしない。まるで小さい頃お母さんに泣きついている時みたいな感じだわ)
122: 矢橋P 24/12/09(月) 11:21:34 ID:gDXd
朋花「つまり静香ちゃんは自分の存在そのものだったテニスが思うように出来なくてどうすればいいかわからないと」
静香「はい、そうです」
朋花「ん~」
朋花「一つ聞いてよろしいですか?」
静香「何でしょう?」
朋花「静香ちゃんはテニスをやってて楽しいですか?」
静香「……それは」
静香「テニスは小学生の頃からやっていて……」
123: 矢橋P 24/12/09(月) 11:23:24 ID:gDXd
朋花「あなたが経歴だとか才能だとかの話じゃないです。“楽しいかどうか”を聞いているんです」
静香「……」
静香(何で……今まであれだけすらすら喋っていたのに……)
静香(“楽しいです”の一言が言えないの!?)
朋花「……今日はこれまでにしましょう」
朋花「私の名前は天空橋朋花。またあなたに会いに来ます。その時までの宿題ですからね~」
スタスタスタ
124: 矢橋P 24/12/09(月) 11:24:42 ID:gDXd
静香「……そうか」
静香「私……テニスを楽しんでやったこと無かったんだ」
125: 矢橋P 24/12/09(月) 11:26:20 ID:gDXd
静香「結局あれから流れで開拓分校に来ちゃった……」
静香「……ランニングでもして帰ろうかしら」
グラウンド<シーン
静香「休日だもの。グラウンドも誰も居ないか……」
<それでさー
静香「人の声がする……」
静香「あっ、まさか……」
126: 矢橋P 24/12/09(月) 11:28:05 ID:gDXd
テニスコート
杉田「けっこうひどいね。グラウンドよりひどいかも」
詰井「木村、こっちにも鎌くれよ。こっちも草ひでぇんだ」
冴花「ここに置いてあるから自分で取りに来たらどう?」
冴花「それと北沢さん、今日はアイドル部の日の予定だったから無理に付き合う必要無いのよ?こないだは歓迎会で潰してしまったし」
志保「大丈夫よ。石拾いもだいぶ慣れてきたわ」
127: 矢橋P 24/12/09(月) 14:43:08 ID:wXF6
バタッ
静香「み、みんな!」
詰井「よーやく来たな。寝坊してたか?」
杉田「遅かったね。みんな待ってたよ」
志保「使う本人が居ないと私達もどこまでやればいいかわからなくて困るのよ。早くジャージーに着替えて参加して」
静香「う、うん」
128: 矢橋P 24/12/09(月) 14:45:42 ID:wXF6
そして夕方……
志保「グラウンドよりは狭いと言っても一斉にやったおかげかしら。一日で半分も終わったわね」
静香「どうせ使う人が私しか居ないからひとまず半分でも使えれば何とかなるわよ」
下山「そうか、それは良かった」
詰井「テニスコートは一件落着か。明日は野球部の日だぜ」
129: 矢橋P 24/12/09(月) 14:50:00 ID:wXF6
静香「…………」
静香「みんなありがとう。わざわざ私のために休日の朝からテニスコートの整備やってもらって」
杉田「最上さんだって野球部の整備手伝ってくれたじゃないか」
冴花「こういうのはお互い様よ。野球部の方も引き続き頼むわね」
志保「アイドル部としてはまだ何もしてもらってないけどね」
静香「……ごめんなさい志保」
志保「まあ借しにしておくわ。それと静香」
130: 矢橋P 24/12/09(月) 14:56:55 ID:wXF6
志保「この高校は本校に比べたら設備も何もかも足りてないわ。でもみんなで力を合わせて補うことは出来るのよ」
志保「私も1ヶ月間アイドル部として本校に居た。だから本校の充実ぶりは知ってる」
志保「でもいくら設備が豪華でもね、他の子より劣っていた私に手を差し伸べてくれた人は誰もいなかった。たった一人の幼なじみを除いてね」
志保「唯一の味方のその子にはアイドルの才能があってね。他の子や監督の注目の的だった」
志保「それであの子にくっついてるだけの私が邪魔だったんでしょうね。引き離すように私はすぐここに飛ばされた」
志保「だから……仲間としてここの野球部に受け入れてもらった時は嬉しかったのよ」
静香「志保……」
131: 矢橋P 24/12/09(月) 14:58:13 ID:wXF6
詰井「志保もここに来たばかりの時は荒れて荒れて大変だったぜ」
冴花「詰井くんはちょっと空気読みなさい」
132: 矢橋P 24/12/09(月) 15:02:05 ID:wXF6
静香「……私、ここに来てから本校に帰ることばかり考えてた。自分勝手でごめんなさい」
冴花「いいのよ。それと本校に戻りたいって思うことは自然なこと、間違いじゃないわ」
冴花「戻れるようになったら私達に気を遣わず戻っていいんだからね」
静香「……うん」
杉田「そうだ!せっかくだから最上さんのサーブ見てみたいな」
静香「……え」
133: 矢橋P 24/12/09(月) 15:03:49 ID:wXF6
下山「未来ちゃんから凄く鋭い球を打つって聞いているよ」
詰井「そうだよな。せっかくテニスコート半分使えるようになったし本校レベルのテニスを見てみたいぜ」
静香「ええ、いいわよ……」
志保(どうしたの?足が震えているわよ)
134: 矢橋P 24/12/09(月) 15:14:49 ID:wXF6
静香「……」ブルブル
みんな「……」ワクワク
志保(手も震えている……)
シュツ
バシー…………ボテッ
みんな「…………」
135: 矢橋P 24/12/09(月) 15:19:08 ID:wXF6
静香「……これが今の私の限界よ」
冴花「ケガか……」
静香「原因が不明なんだけど、とにかく利き手の握力が無いの」
静香「ラケットを握るのが精一杯。今みたいにボールとラケットがぶつかったインパクトの衝撃でラケットを手放してしまうほどにね」
詰井「ごめん悪かった。晒し者みたいにしちまったな」
静香「いえ、そんなことないわ」
136: 矢橋P 24/12/09(月) 15:22:37 ID:wXF6
杉田「でも握力さえ戻ればいいんだよね」
静香「そう。リハビリ続けていけばいつかは元に戻るかもしれない」
下山「じゃあそれまで野球部&アイドル部&テニス部の協力体制で頑張ろう」
志保「明日もよろしくね」
静香「うん!」
???「あーっ、お前らここに居たのか!」
137: 矢橋P 24/12/09(月) 15:27:18 ID:wXF6
詰井「監督!」
志保「コーチ!」
静香(あの人が言ってた監督兼顧問……。若い女の人だったの)
冴花「監督、随分欠席してましたね。どこ行ってたんですか?」
???「しょうがないだろ。半年に一度のメンテナンスの時期だったんだから」
冴花「メンテナンス?」
???「やべっ、とにかく監督にも事情があったんだって」
138: 矢橋P 24/12/09(月) 15:31:51 ID:wXF6
志保「しっかりしてくださいね。“昴”コーチ」
昴「ごめんって。明日からちゃんとするからみんなよろしくなー」
静香(野球部の監督って言ってたからどんな人かと思ったけど可愛い人なのね)
志保「彼女がこの学校の用務員兼野球部監督兼アイドル部顧問&コーチの“永吉昴”さんよ」
静香「最上静香ですよろしくお願いします」
昴「新しい転入生だよな。オレのことは昴でいいぜ。よろしくな!」
139: 矢橋P 24/12/09(月) 15:35:44 ID:wXF6
それから私は放課後になると基本は野球部かアイドル部の手伝いをして、その間の時間を見つけては腕のリハビリをする日々を送った
クラスのみんなとは仲良くなれたし農業実習だって慣れてきたわ
でも……利き手の握力だけは治りそうにない……
140: 矢橋P 24/12/09(月) 15:39:29 ID:wXF6
八月中旬
放課後 グラウンド
昴「よーし、ノック行くぞ!」
詰井「よーし、ばっちこい!」
下山「グラウンドもだいぶ整備されてノックや守備練習出来るようになったね」
杉田「ようやく本物の練習みたくなってきたよ」
141: 矢橋P 24/12/09(月) 15:45:35 ID:wXF6
冴花「今日の練習は……」ブツブツ
冴花(あれ?誰かが野球部練習を除いてる)
千羽矢「…………」ジーッ
冴花(あれは雨崎さん……)
142: 矢橋P 24/12/09(月) 15:47:26 ID:wXF6
夕方
昴「よーし、今日はここまでにしょうぜ」
<おつかれー
<今日も疲れたなー
昴「…………」
昴(オレ、こんなところで何やってんのかな……)
昴「ん?」
昴「よーし、今日はここまでにしょうぜ」
<おつかれー
<今日も疲れたなー
昴「…………」
昴(オレ、こんなところで何やってんのかな……)
昴「ん?」
143: 矢橋P 24/12/09(月) 15:51:44 ID:wXF6
テニスコート
バシッ バシッ バシッ
静香「だめだわ!こんなんじゃ……」
志保「……そんなことして体を痛めつけても治るわけじゃないのよ」
静香「わかってる!けど……このままずるずるとしていられないのよ!」
昴(静香……)
昴「あんなに頑張っているやつがいるのに……オレは本当に何やってんだろ」
144: 矢橋P 24/12/09(月) 15:53:25 ID:wXF6
次の日
志保「今日はアイドル部の日です。レッスンお願いしますね昴コーチ」
昴「あー、それなんだけど……」
昴「静香を連れて行きたいところがあってさ。今日一日いいか?」
静香「私が?」
志保「いいですよ。ただ……私も付いて行きます」
昴「いいぜ。野球部のみんなは自主練しててくれ」
冴花「わかりました監督」
145: 矢橋P 24/12/09(月) 15:55:15 ID:wXF6
車の中
静香「これからどこに行くんですか?」
昴「オレの知り合いの医者のところだよ。……まあ科学者でもあるんだけどな」
志保「?」
146: 矢橋P 24/12/09(月) 18:32:59 ID:wXF6
とある個人病院
絵垣「はい、いらっしゃい……って昴くんじゃないですか。サイボーグに関する不具合でも出ましたか?」
昴「違うよ!教え子が居るんだから余計なこと言うなよな」
静香「昴コーチ……この人は」
絵垣「おや初めまして。私、絵垣東児(えがきとうじ)と申します。まあ今はしがないただの町医者ですよ」
昴「なあ、この子の腕を診てやってくんねーか」
絵垣「いいですよ、他ならぬ昴くんの頼みなら引き受けましょう」
147: 矢橋P 24/12/09(月) 18:35:54 ID:wXF6
絵垣「ふーむ」
静香「それで……私の腕は……」
絵垣「治せますね」
静香「ええっ!?本当ですか!」
静香「私、三つの病院を受けたのにどこも治せないって……」
絵垣「まあ普通のじゃない方法を用いりますが」
志保「どんな方法なんですか」
絵垣「しあわせ草って知ってますか」
静香「はい。確か使用が禁止されてると聞いてますけど」
絵垣「それが最近再生医療の分野でも高い効果があることがわかってきまして」
絵垣「使用が禁止されてるのはドーピング目的での使用なんですよ。まあ日本じゃまだ実用化には至ってないですが」
絵垣「そして私はしあわせ草のエキスパート。他は無理でしょうが私なら最上さんの怪我は治せます」
静香「ぜひ、お願いします!」
148: 矢橋P 24/12/09(月) 18:38:34 ID:wXF6
絵垣「……これで治療は完了です」
静香「これで腕は治るんですね!」
絵垣「ええ、まあ完治まで三ヶ月ぐらいですか。二週間ごとに経過を診せに来てください」
静香「三ヶ月!?」
静香(年を越しちゃうのか……でも治らないって言われてたよりはましよね)
静香「先生ありがとう」ペコリ
絵垣(まあこんな余生もいいかもしれませんね)
149: 矢橋P 24/12/09(月) 18:41:20 ID:wXF6
昴「良かったな静香」
静香「昴コーチのおかげです!」
昴「いいって。なんかさ、あそこまで必死になっている静香を見てたら放っておけるわけねーじゃん」
志保(……でも怪我が治ったら静香は本校に戻るのよね)
絵垣「治るまでの間は手の平を激しく動かしては駄目ですよ。ラケットを握るのなんてもってのほかです」
静香「……はい。でもランニングとかならいいですよね」
絵垣「それくらいなら構いません。適度なら体を動かした方が治療にも良いですし」
志保「!」
150: 矢橋P 24/12/09(月) 18:43:51 ID:wXF6
志保「先生、リハビリにダンスなんかいいんじゃないでしょうか」
静香「ダンス!?ちょっと志保」
絵垣「ええ、問題ありませんよ」
志保「決まりね。静香、あなた腕が治るまでアイドル部で活動しなさい」
静香「私が……アイドル?」
静香「無理よ、アイドルだけは無理なのよ!」ガタガタ
志保「どうして!あなた……昔はあんなに楽しそうにアイドル目指していたじゃない」
静香「昔?何の話よ!」
静香「無理なものは無理なの!」
ダダダダッ
151: 矢橋P 24/12/09(月) 18:47:37 ID:wXF6
志保「……ああもう!世話が焼けるわね」ピポピポ
志保「もしもし、お久しぶりです、志保です。ええ、そうなんです」
絵垣「若いですねえ」
昴(アイドルか……。くそ、オレだってあんなことさえ無ければ……)
152: 矢橋P 24/12/09(月) 18:49:53 ID:wXF6
次の日
教室
恵理「それじゃHRを始めるよ」
静香「…………」
志保「…………」
詰井「おいおいどうしたんだよ、あの二人」
冴花「私も知らないわ。なんかあったんじゃない?」
教室
恵理「それじゃHRを始めるよ」
静香「…………」
志保「…………」
詰井「おいおいどうしたんだよ、あの二人」
冴花「私も知らないわ。なんかあったんじゃない?」
153: 矢橋P 24/12/09(月) 18:52:06 ID:wXF6
放課後
静香「……」イソイソ
志保「もう帰るの?早いじゃない」
静香「……志保。私はアイドル部には入らないわ」
志保「あなたに合わせたい人が居るの」
154: 矢橋P 24/12/09(月) 18:57:13 ID:wXF6
静香「誰だか知らないけど会ったって……」
歌織「久しぶりね、静香ちゃん、志保ちゃん」
静香「あ、あ……」
志保「お久しぶりです歌織先生」
歌織「私がハタ侵略の後パライソ中学の教師を辞めて個人でアイドル教室を開いた時、初めての生徒が静香ちゃん、志保ちゃん、未来ちゃん、翼ちゃんだったわね」
歌織「あの時はみんな小学生で四人で仲良く通ってみんなでアイドル目指すんだ!……って言ってて」
歌織「半年ぐらい経って保護者のみんなにお披露目ってことで歌とダンスの発表会開いた。けど静香ちゃんのお父さんの くだらない の一言で次の日から辞めさせられた」
志保「記憶から封印してたんでしょ?思い出したかしら」
155: 矢橋P 24/12/09(月) 19:01:24 ID:wXF6
静香「……そうよ。そして代わりにテニススクールに通わされた」
静香「お父さんはテニスで良い成績だと褒めてくれて、いつの間にか私はテニスに気持ちをぶつけるようになった」
志保「未来もあなたが辞めてすぐに辞めたわ。未来のその後はあなたの方が知ってるでしょ」
志保「翼だって……私と違って彼女はあなたの幼なじみだったのにあなたに避けられてるって聞いてるわよ」
静香「なんで……せっかく忘れてたのに」
ダン!
156: 矢橋P 24/12/09(月) 19:03:21 ID:wXF6
志保「なんでそうなるのよ!別に今からアイドルを目指してもいいじゃない」
歌織「……今とても有名なアイドルMaihamanの言葉だけどね」
歌織「”全ての女の子は皆等しくアイドルになれる可能性と権利がある“」
歌織「私もその通りだと思うわ」
志保「別にテニスを辞めろって言ってないわ。ただ…………」
志保「……また私と一緒にアイドルやってほしい。…ただそれだけ」
志保「こないだの借り、まだ返してなかったでしょ。これで返してもらうから」
静香「……わかったわよ。でもリハビリの間だけだからね」
志保(まだ完全に振り切れたわけじゃなさそう。でも向き合えただけでも一歩前進ね)
157: 矢橋P 24/12/09(月) 19:05:14 ID:wXF6
志保「わざわざ会いに来てくれてありがとうございます歌織先生」
歌織「いいのよ志保ちゃん。もう一人会いたい人もいたから」
歌織「……それと可奈ちゃんはどうしたの」
志保「可奈は……本校です」
歌織「それじゃ……」
志保(私もいずれ……可奈と向き合わないといけない。あまり静香のこと言えないわね)
158: 矢橋P 24/12/09(月) 19:07:02 ID:wXF6
昴「こら詰井。もたもたすんなよな」
昴「軽井は帰ろうとすんな。まだ終わってねーぞ」
歌織「頑張ってるわね昴ちゃん」
昴「ん?あっ、歌織先生!?」
159: 矢橋P 24/12/09(月) 19:09:06 ID:wXF6
そして
歌織「あの補習サボり常習犯の昴ちゃんが教え子持つなんて感慨深いわ」
昴「昔の話しだろ。みんなには言わないでくれよー」
歌織「昴ちゃんがアイドルになった時は私も喜んだのよ。……突然引退して何があったの?」
昴「……ごめん言えない。オレにも色々あるんだ」
歌織「そう……」
歌織「あの補習サボり常習犯の昴ちゃんが教え子持つなんて感慨深いわ」
昴「昔の話しだろ。みんなには言わないでくれよー」
歌織「昴ちゃんがアイドルになった時は私も喜んだのよ。……突然引退して何があったの?」
昴「……ごめん言えない。オレにも色々あるんだ」
歌織「そう……」
160: 矢橋P 24/12/09(月) 19:11:30 ID:wXF6
昴「歌織先生こそハタ侵略のあとすぐ学校辞めちゃったじゃんか。どうしてだよ」
歌織「私、今でもたまに思い出すの。ハタ付けられてた時のこと」
昴「……」
歌織「おぼろげだけど……嬉々として生徒にハタを付けようとする自分をね。そのことが頭によぎると……もう生徒の前に立てなくて……」
昴「……ごめん。嫌なこと言わせちゃって」
歌織「ねえ昴ちゃん。私達も向き合わないといけないわよ。あなたの教え子だって向き合っているんだから」
昴「わかっているさ。それと歌織先生」
昴「オレは引退はしてねーぞ。無期限活動停止なだけだからな!」
歌織「ふふっ、その意気よ昴ちゃん」
161: 矢橋P 24/12/09(月) 19:13:33 ID:wXF6
ひとまずここまで
ニワトリの下りは入れるかどうか悩みましたが無理やり入れました
あの話しが逆襲球児編の根幹の一つだと思っているので
ニワトリの下りは入れるかどうか悩みましたが無理やり入れました
あの話しが逆襲球児編の根幹の一つだと思っているので
162: 矢橋P 24/12/10(火) 12:21:01 ID:oOIs
詰井理人 気のいい野球部員
開拓分校の野球部員
地元生らしく開拓分校の傍に自宅があり実家も農家を営んでいる
野球始めたばかりの部員ばかりの開拓分校野球部において彼は中学生の頃から野球をしていて他のみんなを引っ張っている
ポジションはピッチャー
木村冴花とは幼い頃からの腐れ縁みたいな関係らしい
163: 矢橋P 24/12/10(火) 12:21:35 ID:oOIs
木村冴花 野球部のマネージャー
詰井と共に地元生で開拓分校野球部のマネージャー
父親が元プロ野球選手でマネージャー業務はお手の物
意外と体力もあり中学生時代は剣道をやってたらしい
164: 矢橋P 24/12/10(火) 12:24:45 ID:oOIs
杉田祐樹 まじめな野球部
開拓分校の野球部員
大人しくまじめな性格だがそれ以外取り立てて上げるところがない
大人しいところを狙われて千羽矢にはよく食べ物をたかられていたりする
本人も別に嫌がっていないようだ
165: 矢橋P 24/12/10(火) 12:26:58 ID:oOIs
下山直人 努力の野球部員
元は本校の野球部員だったが途中で開拓分校に飛ばされた
ゆえに本校を知る生徒の一人で、開拓分校に飛ばされたばかりの静香の気持ちがよくわかっていた
野手としてはポジションは外野手
打撃も守りもだいたいこなせるが突出したところがなくなかなかレギュラーにはなれない存在
特にエリート揃いの本校の野球部の中にあっては印象がぼやけてしまう
本人もそれに気づいていて3倍努力したがその甲斐なく分校に飛ばされる
だが開拓分校の野球部はそんな彼の能力を必要としており結果的に分校の方が良かったと思っており本校復帰は全く考えていない
166: 矢橋P 24/12/10(火) 12:29:12 ID:oOIs
軽井紀矢 不真面目な野球部員
開拓分校の野球部員の中でも練習をサボったり早く帰ったりする困った人
だが野球が嫌いなわけじゃなく単にやる気が薄いだけ
その背景には家庭内事情があるようだ
167: 矢橋P 24/12/10(火) 12:30:40 ID:oOIs
雨崎千羽矢 クラスメート???
開拓分校でのクラスメート
何故か常にお腹を空かしている
言動がやや幼稚でわがままな部分もあるが担任の恵理先生の言うことは必ずきく
野球部を観察していることがたまにある
168: 矢橋P 24/12/10(火) 12:32:49 ID:oOIs
白木恵理 クラスの担任
今年から教師になったばかりの新米先生
新米ながらも生徒想いで生徒達にも好かれている
実はハタ侵略の生存者
あれから泣き虫は……だいぶマシになった
今年から教師になったばかりの新米先生
新米ながらも生徒想いで生徒達にも好かれている
実はハタ侵略の生存者
あれから泣き虫は……だいぶマシになった
169: 矢橋P 24/12/10(火) 12:34:12 ID:oOIs
北沢志保 開拓分校のアイドル部員
開拓分校で唯一のアイドル部員。そもそもアイドル部は彼女が立ち上げた
元は本校の生徒だったが元々推薦で入ったわけではなく、“幼なじみ”が有望過ぎて隣にいる彼女は霞んでしまい直ぐに分校に飛ばされてしまった
飛ばされた当初は荒れに荒れて誰とも話さない有様だったが、
野球部の監督部という立場でありながらの立ち上げに協力してしてくれた昴と同じく一緒に手伝ってくれた野球部のみんなに触れて現在に落ち着いた
今のところ本校に戻る気は更々無いが本校に居る幼なじみを懸念している
170: 矢橋P 24/12/10(火) 12:36:42 ID:oOIs
永吉昴 開拓分校用務員
開拓分校の用務員として働いているが用務員としての仕事は無く
野球部監督兼アイドル部の顧問&コーチが専らの仕事となっている
野球も上手くてアイドルの造詣も深い不思議な人
教員免許は無いのに何故か学校で働いているが…………
171: 矢橋P 24/12/10(火) 12:38:12 ID:oOIs
絵垣東児 元天才科学者
かつてパライソタウンの極秘研究施設で第二世代サイボーグの総括だった人物
新たにサイボーグ研究の総括に就任した際、機械工業に優れていた前任者と違い彼は機械工業には疎かった
だが彼はしあわせ草を始めとする薬物及び人体のエキスパートであり
そのおかげで第二世代サイボーグは人体を無理やり機械化する方向から脱却
サイボーグ研究に多大な影響をもたらし、真壁瑞希や灰原といった傑作を生み出した
ハタ侵略後は研究所が崩壊、それでも政府の監視下で細々と研究を続けていたが
真壁瑞希が政府のエージェントを辞めてから研究職から足を洗い今は小さな町医者である
永吉昴をサイボーグに改造した張本人であり、今も気にかけている
172: 矢橋P 24/12/10(火) 12:41:47 ID:oOIs
桜守歌織 アイドルの先生
個人でアイドルの教室を開いている大人の女性。最近はアイドルになりたいという女の子が増えて予約でいっぱいだとか
元はパライソタウンの中学校の教師で昴達の恩師でもあった
アイドル教室を始めた時一番最初の生徒が静香 未来 翼 志保。
あの事件のきっかけで静香、未来。が抜けたことを今も気にしていた
なお、その静香らが抜けた後に新しく入ったのが”矢吹可奈“である
173: 矢橋P 24/12/12(木) 19:46:58 ID:GDpI
八月も下旬、夏もそろそろ終わりが近づいてきた
この開拓分校の近くの山の様子も変わり始める頃である
それはこの開拓分校も同じのようで……
ロコ「ここがカルティベーションハイスクールですね」
ロコ「うーんカントリーなところですね。でもこういうノスタルジックな雰囲気もインスピレーション感じますぅ」
この開拓分校の近くの山の様子も変わり始める頃である
それはこの開拓分校も同じのようで……
ロコ「ここがカルティベーションハイスクールですね」
ロコ「うーんカントリーなところですね。でもこういうノスタルジックな雰囲気もインスピレーション感じますぅ」
174: 矢橋P 24/12/12(木) 19:48:37 ID:GDpI
開拓分校 音楽室
昴「よし、そこまで。休憩にしようぜ」
昴「志保はともかく静香もダンスが様になっているじゃん」
静香「ステップとかテニスで鍛えているおかげかしら」
志保(まだ拙いところもあるけど今はおだてておいた方がいいわね)
175: 矢橋P 24/12/12(木) 19:49:36 ID:GDpI
昴「何にしても部員が増えて良かったな志保」
静香(私は一時的にアイドル部に所属しているだけなのだけど)
志保「これで狭い音楽室じゃなくて部室で練習出来たらもっといいんですけどね」
静香「音楽室だと使用する度に許可を取らないといけないしね」
昴「うーん、オレも得意なわけじゃないからなかなか進まないんだよなぁ。部室作り」
176: 矢橋P 24/12/12(木) 19:50:42 ID:GDpI
ガラッ
詰井「監督ー。なんかグラウンドに知らない女の人が居て困っているんだ」
昴「不審者かな?あ、そういうのを対処するのも用務員の仕事だっけ」
志保(昴コーチ、普段用務員らしいことしてないのよね)
詰井「監督ー。なんかグラウンドに知らない女の人が居て困っているんだ」
昴「不審者かな?あ、そういうのを対処するのも用務員の仕事だっけ」
志保(昴コーチ、普段用務員らしいことしてないのよね)
177: 矢橋P 24/12/12(木) 19:52:43 ID:GDpI
そして
ロコ「スバル。会いに来ましたよ」
昴「うわっ!?ロコが何でここに」
ロコ「カオリにレクチャーして貰いました」
昴「歌織先生……」ズーン
ロコ「スバル、何でみんなに黙ってディスピアランスしたんですか!」
志保「コーチ、その人は?」
昴「ロコ、ちょっとこっちに来い!」ガシッ
ロコ「スバル。会いに来ましたよ」
昴「うわっ!?ロコが何でここに」
ロコ「カオリにレクチャーして貰いました」
昴「歌織先生……」ズーン
ロコ「スバル、何でみんなに黙ってディスピアランスしたんですか!」
志保「コーチ、その人は?」
昴「ロコ、ちょっとこっちに来い!」ガシッ
178: 矢橋P 24/12/12(木) 19:53:41 ID:GDpI
そして
静香「昴さんの友人なんですか」
ロコ「そうです。ロコはクリエイターでアーティストなんですよ」
昴「ロコ。一応ここオレの職場だからな」
ロコ「そ・れ・と!そういうことなら何でロコにコンサルテーションしなかったんですか」
昴「な、なんで?」
ロコ「部室のクリエイトのことです」
昴「いや、ロコをわざわざ呼ぶわけにもいかないだろ。そもそもロコが得意なのはアートじゃねーか」
ロコ「アーティストはエブリィなジャンルを網羅しないといけないです。ロコはアーキテクチャだってお手の物ですよ」
ロコ「部室のクリエイトはロコにおまかせです!さあスバル、手伝ってもらいますよ~」
昴「ああ……スイッチ入ったロコはオレでも止められないんだよな」
静香「昴さんの友人なんですか」
ロコ「そうです。ロコはクリエイターでアーティストなんですよ」
昴「ロコ。一応ここオレの職場だからな」
ロコ「そ・れ・と!そういうことなら何でロコにコンサルテーションしなかったんですか」
昴「な、なんで?」
ロコ「部室のクリエイトのことです」
昴「いや、ロコをわざわざ呼ぶわけにもいかないだろ。そもそもロコが得意なのはアートじゃねーか」
ロコ「アーティストはエブリィなジャンルを網羅しないといけないです。ロコはアーキテクチャだってお手の物ですよ」
ロコ「部室のクリエイトはロコにおまかせです!さあスバル、手伝ってもらいますよ~」
昴「ああ……スイッチ入ったロコはオレでも止められないんだよな」
179: 矢橋P 24/12/12(木) 19:55:11 ID:GDpI
詰井「なんか変なことになったな」
冴花「まあいいんじゃないかしら」
千羽矢「…………」ジーッ
冴花(またあの子……)
180: 矢橋P 24/12/12(木) 19:56:16 ID:GDpI
そして……
ロコ「スバル、そこのウッドピラーを取ってください」トントン
昴「ちえっ、人使い荒いな」
ロコ「昔キャッチボールに付き合ったリベンジです」トントン
ロコ「それとそこのボードを……」
千羽矢「はいどうぞ」パシィ
ロコ「サンクスです」パシィ
ロコ「スバル、そこのウッドピラーを取ってください」トントン
昴「ちえっ、人使い荒いな」
ロコ「昔キャッチボールに付き合ったリベンジです」トントン
ロコ「それとそこのボードを……」
千羽矢「はいどうぞ」パシィ
ロコ「サンクスです」パシィ
181: 矢橋P 24/12/12(木) 19:58:08 ID:GDpI
昴「助かった……って千羽矢。千羽矢は手伝わなくていいんだぞ」
千羽矢「だいじょうぶ~」
千羽矢「チハちゃんはね-、とっても力持ちなんだよ」
グイッ
ロコ(2mぐらいの木の柱を片手で持ち上げた!?)
千羽矢「だから役に立つと思うよ?」
182: 矢橋P 24/12/12(木) 19:59:30 ID:GDpI
ロコ「スバル、いったいどうなっているんですか」ヒソヒソ
昴「…………」スッ
ロコ(スバル?)
昴「ああ、それなら頼むとするか」ニッコリ
千羽矢「わーい。お手伝い~」
ロコ(微笑んでるように見えてスバルの目が笑ってないです。それに……)
ロコ(ロコの見間違いじゃなければ……スバルはポケットの中の野球ボールに手をかけてました……)
183: 矢橋P 24/12/12(木) 20:02:43 ID:GDpI
昴「骨組みは完成したかな?」
千羽矢「わーー」パチパチ
ロコ「後は……」
ダダダッ!
詰井「監督。俺らにも手伝わせてくれよ」
昴「詰井達は練習があるだろ。素直に大人のオレ達に任せておけよ」
詰井「それ言ったら千羽矢だって手伝ってるじゃねぇか」
千羽矢「~~」ニパァ
昴「あ……」
184: 矢橋P 24/12/12(木) 20:10:47 ID:GDpI
冴花「自分が使うことになる部室だもの。みんな少しでも関わりたいってのも無理ないと思います」
志保「それとコーチがこれ以上抜けて貰っても困るんですよね。みんなで早く終わらせません?」
静香「そうです昴コーチ。みんな頼りにしているんですから」
昴「もー、わかった。じゃあみんなでやろう。危ない作業はあらかた終わったしな」
ロコ(スバルも良いストゥーデントに巡り会えましたね)
185: 矢橋P 24/12/12(木) 20:21:01 ID:GDpI
そして 夜に差しかかる時刻
ロコ「これをこうして……これでコンプリートです!」
野球部員「「「やったーー!」」」
杉田「これで僕達らの部室が出来たんだ。これから雨に濡れる心配しなくていいんだ!」
詰井「なんか自分で作ったって思うと愛着湧くよな」
下山「何とか今日中に終わって良かったよ」
ロコ「これをこうして……これでコンプリートです!」
野球部員「「「やったーー!」」」
杉田「これで僕達らの部室が出来たんだ。これから雨に濡れる心配しなくていいんだ!」
詰井「なんか自分で作ったって思うと愛着湧くよな」
下山「何とか今日中に終わって良かったよ」
186: 矢橋P 24/12/12(木) 20:22:44 ID:GDpI
志保「まあ電気は通ってないですけどね。全部木造だし」
静香「あら志保、みんなが作った部室に不満でもあるのかしら?」
志保「別にそうじゃないわ。改善点を挙げただけよ」プイッ
ロコ「ウッデンでもちゃんと壁には断熱材が入ってますからサマーは涼しくウィンターは暖かいはずです」
ロコ「ルーフには防水のためのコーキングもしてますしね」
昴「電気の配線までは流石にオレ達じゃ出来ないからそれは後で考えるとして」
※電気の線を引っ張る作業は資格が要ります
今はエアコン取り付けですら電気工事士の資格が必要です
昴「それよりみんなもう遅いから早く帰れよ~」
「「「はーい」」」
187: 矢橋P 24/12/12(木) 20:24:38 ID:GDpI
千羽矢「あーあ。お腹空いたなー」
冴花「監督。雨崎さんのことですけど……」
昴「ああ、オレも同じこと考えていたんだ」
188: 矢橋P 24/12/12(木) 20:38:44 ID:GDpI
次の日 放課後 部室
詰井「ええっ、雨崎が野球部のマネージャーに!?」
千羽矢「チハちゃんです。みんなどうかよろしくね」
杉田「大丈夫かな?」
詰井「スコアボードの付け方とか記録の取り方とか出来るのかよ」
千羽矢「?。よくわかんないー」
詰井「お前なあ」
189: 矢橋P 24/12/12(木) 20:40:09 ID:GDpI
千羽矢「チハちゃんねー。野球部のマネージャーをやってたことある気がするんだ」
杉田「やったことある気がするってなんか曖昧な表現だね」
冴花「こら、あまり詰めよらない。事務的なことは私がやるから雨崎さんはボール拾いとかお願いね」
千羽矢「わかったー。だけどみんなチハちゃんのことは雨崎じゃなくてチハかチハヤって呼んでね」
千羽矢「あとお腹空いたー。何か食べ物~」
詰井(コイツ、食べ物狙いでマネージャーになったんじゃないのか?)
昴(……千羽矢はオレの目の届くところに置いておいた方がいいだろうな)
190: 矢橋P 24/12/12(木) 21:01:27 ID:GDpI
静香「あえいおう~」
志保「あえいおう~」
静香「部室が出来たことでボイストレーニングもやりやすくなったわね」
志保「ええ。ボイストレーニングが終わったらランニングに行くわよ」
ロコ「部室のクリエイトはまだまだです」
ロコ「ここはこうして……」ブツブツ
191: 矢橋P 24/12/12(木) 21:17:36 ID:GDpI
その後も数日間ロコさんは残ってくれて部室の細かい仕上げを一人でやってくれた
……屋根のてっぺんや壁のレリーフにおかしなアートが付属されてたことは気にしないでおこう……
数日後
ロコ「それじゃスバル。ロコは一旦ゴーホームしますがまた来ますからね」
昴「ああ、みんな喜んでたよ。ありがとな」
……屋根のてっぺんや壁のレリーフにおかしなアートが付属されてたことは気にしないでおこう……
数日後
ロコ「それじゃスバル。ロコは一旦ゴーホームしますがまた来ますからね」
昴「ああ、みんな喜んでたよ。ありがとな」
192: 矢橋P 24/12/12(木) 21:21:23 ID:GDpI
ロコ「……あの子がスバルがここに留まってるコーズなんですね」
昴「悪いのは千羽矢じゃない、オレを陥れたのは“あいつら”だ」
昴「ロコや百合子や海美や杏奈を巻き込みたくなかったんだ、秘密にしてごめんな」
ロコ「でも!せめてミズキにコンサルテーションすれば……」
昴「瑞希はもう政府のエージェントじゃない。以前みたいに連絡取れないんだ」
ロコ「……みんなスバルを待ってますからね」
昴「……ああ。でも今は教え子の面倒を見るのも楽しくなってさ。そっちが終わってからかな」
193: 矢橋P 24/12/14(土) 18:25:29 ID:4Jdz
そして八月は終わり九月上旬
開拓分校 部室
静香「校内スポーツ大会?」
冴花「そうよ。混黒高校特有の行事でね、まず各種目に分かれて分校同士でトーナメントをやってトーナメントを勝ち抜いた分校が最後に本校と戦うの」
静香「でもそれって公式の大会じゃないのよね」
冴花「そう。トーナメントって言っても大した規模でもないけど私達分校には最後の見せ場だからね」
静香「最後の見せ場?」
志保「知らないのね。私達分校は公式の大会に出られないの」
静香「はぁ!?何でなの」
開拓分校 部室
静香「校内スポーツ大会?」
冴花「そうよ。混黒高校特有の行事でね、まず各種目に分かれて分校同士でトーナメントをやってトーナメントを勝ち抜いた分校が最後に本校と戦うの」
静香「でもそれって公式の大会じゃないのよね」
冴花「そう。トーナメントって言っても大した規模でもないけど私達分校には最後の見せ場だからね」
静香「最後の見せ場?」
志保「知らないのね。私達分校は公式の大会に出られないの」
静香「はぁ!?何でなの」
194: 矢橋P 24/12/14(土) 18:27:41 ID:4Jdz
志保「開拓分校といっても、分校ということはここも混黒高校の一部なの」
志保「だから本校のチームと私達のチームが同時に大会出たら一つの高校から二つのチームが大会に出ることになるでしょう?」
静香「あ……」
冴花「だから対外試合も出来ない。試合がしたかったら身内同士の紅白戦しかないわね」
静香(そんな……。ここのみんなは試合も出来ないのにあんなに頑張ってたの?)
冴花「それで不満が爆発して去年に一度、野球部は崩壊した。野球部が9人しか居ないのも一年生しか居ないのもそういう理由よ」
詰井「嫌な話になっちまったがこの大会が俺達の活躍の場だ。思いっきり暴れてやろうぜ」
野球部員「「「おーーーっ!!!」」」
195: 矢橋P 24/12/14(土) 18:44:47 ID:4Jdz
志保「アイドル部に校内大会は無いから私は応援することしか出来ないわね」ハァ
静香「……志保はアイドル大会すら無いのね」
冴花「……最上さんは早く利き手を治して本校に戻った方がいいわよ」
静香「…………」
196: 矢橋P 24/12/14(土) 18:45:59 ID:4Jdz
そうして校内スポーツ大会に向けて最後の調整に入る野球部
大会が始まる前だけは昴さんは野球部に毎日付きっきりでアイドル部には来れなくなった
それは仕方ないことなのだけど……
何とか野球部のみんなには勝ってほしい
197: 矢橋P 24/12/14(土) 18:48:18 ID:4Jdz
静香「……」
志保「……静香、今日のレッスンは無しにしましょう」
静香「え?」
志保「昴コーチは居ないし、一応あなたリハビリ中なことには変わりないからあまり負担かけ過ぎるのもどうかと思ってね」
志保「その代わり……たまには本校に行って未来に会って来たらいいじゃないかしら」
198: 矢橋P 24/12/14(土) 18:49:12 ID:4Jdz
混黒高校 本校校門前
静香「そう言われて本校に来たけど……いざ来てみると会いに行きづらいわね」
静香(本校の生徒じゃないと建物の中には入れないのよね……だからこうして外で待つしか出来ないのだけど……)
199: 矢橋P 24/12/14(土) 18:51:28 ID:4Jdz
「わぁーーーっ。よけてよけてーーーっ!!!」
静香「な、何?」
ボテン ボテン
静香「バスケットボールか……」
静香(避けるまでもなかったけど)
静香(あれ?バスケットボールにこの声……)
200: 矢橋P 24/12/14(土) 18:52:41 ID:4Jdz
「ぶつかるーーーっ」
静香「ぶつかるのはあなたの方なの!?」
バターーーン
麻美「いった~~、静香ちゃんナイスキャッチ」
静香「本当にもう。まさか坂の上からドリブルしながら転がり落ちてくるなんて」
麻美「でへへ~」
静香「未来の真似はやめなさい。絶妙に似てないわよ」
麻美「そうなんだ。久しぶりだけど変わらないね、静香ちゃん」
201: 矢橋P 24/12/14(土) 18:54:41 ID:4Jdz
静香「麻美もね、ドジの部分は変わってほしかったけど」
静香「最後に会ったのは私が怪我した時病院にお見舞いに来てくれた時だったかしら」
麻美「そうだ、ケガ!ここに居るってことはケガ治ったの?」
静香「……」
202: 矢橋P 24/12/14(土) 18:55:51 ID:4Jdz
麻美「……ごめんちょっと無神経だったね」
静香「いえ、怪我のことはいいのよ。それより麻美は調子どうなの?」
麻美「バリバリだよ。私女子バスケのエースだもん」
静香「前も言ってたわね。だけどまだ一年生なのよ、本当になれたの?」
麻美「静香ちゃんだってテニスで一番になるって言ってたよね」
静香「あれは…………」
203: 矢橋P 24/12/14(土) 18:57:26 ID:4Jdz
麻美「ケガのことまだ気になってる?静香ちゃんはケガなんかで諦める人じゃないでしょ」
静香「……そうね」
麻美「私も自分をエースだって言い続けるよ。まだこんな時期に言い張るのは慢心かもしれないけど言ってる以上はみんなに認められるエースになるよ」
麻美「エースって存在はどんな時でも前を向いて進まないといけないんだよ。だからどんなことがあっても負けないよ。負けてもすぐに立ち上がるもん」
麻美「自分のことをエースだって私は決めたんだから」
静香「麻美……」
204: 矢橋P 24/12/14(土) 18:58:07 ID:4Jdz
麻美「わかってくれた?」
静香「とりあえず麻美の諦めない姿勢は伝わってきたわ」
麻美「えへへ」
麻美「静香ちゃんは本校に戻ってくるんでしょ?」
静香「それは……」
麻美「早く戻っておいでよ。静香ちゃんはケガなんかに負けるとは思えないよ」
麻美「じゃ、私そろそろ練習があるから行くね~」
タタタタタッ
205: 矢橋P 24/12/14(土) 19:05:57 ID:4Jdz
静香「…………怪我なんかに……か」
静香(麻美は前に向かって進んでる。じゃあ私は…………)
タタタタタッ
麻美「バスケットボール忘れてたーー」
タタタタタッ
静香(でもやっぱりドジね)
206: 矢橋P 24/12/14(土) 19:07:10 ID:4Jdz
結局私は未来に会えなかった
なぜだろう。どこか未来と会うのを躊躇う自分がいて私自身、戸惑っている
そうしているうちに秋の校内スポーツ大会が開催される日が来て
野球部のみんなと私や志保は応援しに試合が行われる十一の分校の一つ天空分校に来た
207: 矢橋P 24/12/14(土) 19:11:09 ID:4Jdz
天空高校 グラウンド
冴花「初戦の相手は天空分校。特筆すべきところはないけどそれでも私の下調べだと分校の野球部の中では一番強いわね」
杉田「うわ……一番強い分校と最初に当たるのか」
軽井「ついてないなー」
詰井「へっ。どうせ野球部がある分校はオレ達入れても五校しか居ないだろ?決勝で当たるか初戦で当たるかじゃねーか」
※正式には大会に出られる程の野球部があるのが十一ある分校のうつ五校しかなく、参加しているチームも五チームしか居ないということです
のでトーナメントといってもシード込みの3試合しかありません
208: 矢橋P 24/12/14(土) 19:12:24 ID:4Jdz
冴花「特筆すべきは無いって言ったけど、彼らには一度野球部が崩壊してリセットした私達と違って積み重ねがある。格上の相手と思って挑みなさい。それじゃ監督からよ」
昴「オレから言うことは……この新生野球部が始まって5カ月間ぐらいだよな。そう思ったらまだ半年も経ってないんだぜオレ達」
昴「その短い期間でも野球の基礎的なことは充分やった。まずはどんな状況でも自分のプレイを見失わないこと。今までの練習の成果を発揮出来るよう頑張ってこい!」
野球部員「「「おおーーーっ!!!」」」
千羽矢「みんながんばれ~~」
209: 矢橋P 24/12/14(土) 19:14:13 ID:4Jdz
【混黒高校-校内スポーツ大会-野球の部】
≪トーナメント第一回戦≫
ーーーーーーーーーーーーーーー
開拓分校 CPT 詰井理人
VS
天空分校 CPT 須界鳥人
ーーーーーーーーーーーーーーー
※CPTはキャプテンの略
210: 矢橋P 24/12/14(土) 19:17:05 ID:4Jdz
新生開拓分校野球部の初となる試合、何とか勝ってほしかった
だけど現実は残酷なぐらい明らかで……
試合結果
開拓分校 0ー6 天空分校
211: 矢橋P 24/12/14(土) 19:20:13 ID:4Jdz
野球部員「「「………………」」」
昴「よい試合だったぜ。結果はあれだったかもしれないけどな。出来て半年も経ってないチームが3年生中心のチームとちゃんと“試合“が出来たんだ」
冴花「正直……コールドにならないよう踏みとどまっただけでも凄かったのよ」
212: 矢橋P 24/12/14(土) 19:26:57 ID:133j
………………………………
詰井「……でもよ監督。勝てないまでもよ、せめて1点は取りたかったなぁ……」グスッ
杉田「くやしい、くやしいよ……」グスッ
昴「ああ……。なあ、オレ達の野球部全員まだ一年生なんだぜ。来年も再来年もこのチームでやっていけるんだ」
昴「来年だ。来年こそは絶対勝とうぜ!」
「う、うん」
「俺達もっと練習しようぜ」
「そうだな」
詰井「……でもよ監督。勝てないまでもよ、せめて1点は取りたかったなぁ……」グスッ
杉田「くやしい、くやしいよ……」グスッ
昴「ああ……。なあ、オレ達の野球部全員まだ一年生なんだぜ。来年も再来年もこのチームでやっていけるんだ」
昴「来年だ。来年こそは絶対勝とうぜ!」
「う、うん」
「俺達もっと練習しようぜ」
「そうだな」
213: 矢橋P 24/12/14(土) 19:28:08 ID:133j
昴(……悔しい。オレは監督ってだけで指示するだけなのにこんなに悔しいのか)
昴(……オレもまだ出来ることあるよな)
214: 矢橋P 24/12/14(土) 19:30:03 ID:133j
数日後
放課後 開拓分校 部室
冴花「この後トーナメントで勝ち残った天空分校と本校との対戦が中継される。勉強になるから見ましょ」
杉田「本校レベルも見ておかないとね」
詰井「へっ、俺達をボコボコにした天空分校が分校の中でも一番強いってのは間違いなかったみたいだな。このまま本校もぶっ潰せよ!」
下山「……そんな簡単な話じゃないと思うけど」
静香(野球に詳しくないけど本校の試合は気になるわね……)
志保「……あそこに居るの未来じゃない?」
静香「あ、本当だわ!」
215: 矢橋P 24/12/14(土) 19:32:17 ID:133j
未来(静香ちゃん見てるかな。私、レギュラーはまだまだだけどスタメンには入れたんだよ)
未来(見ててよ。静香ちゃんの分まで頑張るから!)
下山「本当にスタメン入りしてるよ。すごい……」
冴花(公式の大会じゃなく身内同士での大会だから……ってことはあるでしょうけどね)
冴花(来年再来年に向けて今のうちに若いメンバーにも試合を経験させておこうって感じかしら)
静香「どんなことがあったにせよ、すごいわ未来!」
216: 矢橋P 24/12/14(土) 19:35:14 ID:133j
<それでは、プレイボール!
<カキーン!
詰井「おいおい、もう先制かよ」
杉田「さすが本校だね」
217: 矢橋P 24/12/14(土) 19:38:23 ID:133j
<カキーン!
<カキーン!
詰井「おいおいおい!」
軽井「うわ……」
冴花(……これは見せしめね)
静香(試合結果は一方的なもので本校が12点取ってコールド勝ちにしてしまった)
静香(これが分校と本校との差か……)
218: 矢橋P 24/12/14(土) 19:39:44 ID:133j
自分達より格上だった天空分校を圧倒的な実力で叩きのめす本校を見せられて私達は唖然とするしかなかった
杉田「まさかここまでとはね」
冴花「最上さんのお友達も凄い選手だったわね。女性なのに男ピッチャー相手に三打席全ヒットじゃない」
冴花「彼女、うちに来たら即4番よ」
詰井「本校の8番がうちじゃ4番か……」
昴(守備力はともかく打撃力の低さはうちのチームの課題だよな……)
結局校内スポーツ大会は野球以外全ての競技で本校のチームが全勝
本校と分校との差を見せつけるだけのイベントで終わった
杉田「まさかここまでとはね」
冴花「最上さんのお友達も凄い選手だったわね。女性なのに男ピッチャー相手に三打席全ヒットじゃない」
冴花「彼女、うちに来たら即4番よ」
詰井「本校の8番がうちじゃ4番か……」
昴(守備力はともかく打撃力の低さはうちのチームの課題だよな……)
結局校内スポーツ大会は野球以外全ての競技で本校のチームが全勝
本校と分校との差を見せつけるだけのイベントで終わった
219: 矢橋P 24/12/14(土) 19:41:34 ID:133j
混黒高校 校長室
福山校長「ふおっふおっふおっ、愉快愉快じゃ」
福山校長「特に野球部はコールド勝ち。よくやった九能監督」
九能「いえ……」
福山校長「だが女子バレーボールだけは危ない場面もあったそうじゃないか。直ちに女子バレーボール監督陣は緊急会議じゃ」
九能「……お言葉ですが生徒達も高校生、そういうこともあります」
福山校長「駄目じゃ駄目じゃ、圧倒的に勝つくらいでなければ。でなければ何の為の混黒高校なんじゃ」
福山校長「本校の設備で育ったエリート達が分校の落ちこぼれに負けることなどあってはいかん!」
九能「…………」
220: 矢橋P 24/12/14(土) 19:43:09 ID:133j
九月 下旬
詰井「おーし、準備体操終わったら山ランニングに行くぞ」
野球部員「「「「おおーーーっ」」」」
221: 矢橋P 24/12/14(土) 19:44:49 ID:133j
あの試合以降開拓分校野球部のやる気が折れないか心配だったけど杞憂だったようで
むしろ火が付いたようだった。練習も以前に増して勢いがある
それでアイドル部の私達はというと……
222: 矢橋P 24/12/14(土) 19:46:16 ID:133j
開拓分校 部室
キュッ キュッ キュッ
志保「静香、そこ遅れてる」
静香「……っ。もう一度!」
アイドル部も負けず劣らず猛特訓中だ
223: 矢橋P 24/12/14(土) 19:47:22 ID:133j
~回想~
昴「10月上旬に学校の行事で収穫祭ってのがあるんだ」
昴「といっても予算も無いから今年収穫したものを並べてお祈りした後、餅を突いてみんなで食べるくらいみたいだけど」
静香「本当に簡易的ですね……」
224: 矢橋P 24/12/14(土) 19:48:19 ID:133j
昴「それじゃあ華が無いだろ。そこで!」
昴「アイドル部のステージを披露する場を作ってもらったぜ」
静香「ええっ!?」
志保「……コーチがお願いしたんですか」
昴「ああ、野球部だけ披露の場があってアイドル部には無いのは嫌だろ?」
昴「学校側もぜひお願いします。だってさ」
志保「……ありがとうございますコーチ」
静香(素直じゃないけど嬉しそうね志保)
225: 矢橋P 24/12/14(土) 19:49:31 ID:133j
志保「ですがそうなると今から急いで仕上げなきゃいけませんね。曲もダンスも」
昴「オレはしばらくアイドル部に付く。こないだまで野球部の方に付きっきりだったからな」
昴「静香もリハビリ中なのは知ってるけど協力してくれるか?」
静香「……やります。みんな頑張ってる中私だけ蚊帳の外なんて嫌です!」
226: 矢橋P 24/12/16(月) 07:21:55 ID:DNrt
昴「よし、もう一回!」
志保「収穫祭まで時間が無いわ。今日もギリギリまでびっちりやるわよ」
静香「志保こそ私より先にバテないでよね」
志保(でも……まさか静香とまたこの曲を踊って歌う日がくるなんてね)
227: 矢橋P 24/12/16(月) 07:24:24 ID:DNrt
~回想~
昴「披露する曲だけど……二曲だな」
昴「それもダンスのみだ。曲は流しっぱなしにして歌は歌わない」
志保「残り時間的にそれが限界でしょうね。まずは最近流行しているこの曲なんかいいじゃないでしょうか」
昴「そうだな。この曲なら突然披露してもみんなわかるし乗ってくれると思うぜ」
昴「それに配信されてる動画の中の 踊ってみた から踊りも参考に出来るしな」
昴「披露する曲だけど……二曲だな」
昴「それもダンスのみだ。曲は流しっぱなしにして歌は歌わない」
志保「残り時間的にそれが限界でしょうね。まずは最近流行しているこの曲なんかいいじゃないでしょうか」
昴「そうだな。この曲なら突然披露してもみんなわかるし乗ってくれると思うぜ」
昴「それに配信されてる動画の中の 踊ってみた から踊りも参考に出来るしな」
228: 矢橋P 24/12/16(月) 07:26:28 ID:DNrt
昴「あと一曲、静香は何か踊ってみたい曲はあるか?」
静香「私は……」
静香「五年前に踊った曲をもう一回踊りたいの」
昴「五年前?」
志保「……いい案ね。私もあなたも一度経験しているから覚えやすいし時間が無い今最良だわ」
志保「それにこの曲なら歌えるかもしれない」
昴「よくわからないけど二人が納得しているならそれで決定だな」
229: 矢橋P 24/12/16(月) 07:27:59 ID:DNrt
そうして私達は収穫祭まで朝練から放課後の暗くなるまでびっちり練習することになった
230: 矢橋P 24/12/16(月) 07:32:11 ID:DNrt
数日後
静香「今日も練習遅くなったわ」タタタッ
朋花「おや、久しぶりですね~。覚えていますか?」
静香「あの時の……」
朋花「答えを聞きに来ましたよ~」
静香「今日も練習遅くなったわ」タタタッ
朋花「おや、久しぶりですね~。覚えていますか?」
静香「あの時の……」
朋花「答えを聞きに来ましたよ~」
231: 矢橋P 24/12/16(月) 07:33:32 ID:DNrt
朋花「怪我が治る見込みが出てきたんですか。それは良かったですね~」
静香「はい。今はリハビリ中ですけどこれで元に戻れます」
朋花「ふふっ。それなら私も必要なかったかもしれませんね~」
静香「そんなことないです。あの時は話しを聞いてもらっただけでも気持ちが楽になりましたし」
朋花「ですが今の静香さんは生き生きとしてますね~。この前と別人みたいですよ~」
静香「それは……みんなの熱意に当てられたのだと思います」
朋花「みんなの熱意ですか。詳しく聞きましょう」
232: 矢橋P 24/12/16(月) 07:35:07 ID:DNrt
そして……
朋花「そうですか~。野球部の方々もアイドル部の方々も良い人ばかりだったんですね~」
静香「本当ですね。それに、何だかアイドル部の練習も慣れてきちゃって」
朋花「……あの時の宿題。問う必要はなさそうと思っていましたが……質問を変える必要があるみたいですね~」
朋花「そうですか~。野球部の方々もアイドル部の方々も良い人ばかりだったんですね~」
静香「本当ですね。それに、何だかアイドル部の練習も慣れてきちゃって」
朋花「……あの時の宿題。問う必要はなさそうと思っていましたが……質問を変える必要があるみたいですね~」
233: 矢橋P 24/12/16(月) 07:37:47 ID:DNrt
静香「質問……」
朋花「静香さんは“アイドル部の活動楽しいんですか?”」
静香「ええ、楽しいわ」
静香「!!!」ハッ
朋花「もう私の出番は無いみたいですね~」
朋花「それでは……静香さんの行く先に幸福があらんことを」
スタスタスタ
静香「朋花さん……」
234: 矢橋P 24/12/16(月) 07:40:37 ID:DNrt
そして収穫祭当日
「収穫祭っても堅苦しい奉納して最後に餅食べて終わりだろ。かったるいなぁ」
「昔はみんなで料理作ったり軽い出店ぐらいならあったみたいだけど分校になった今じゃねぇ」
「でもなんかアイドル部がなんかやるみたいだよ」
「アイドル部なんて今年出来たばっかじゃん。期待できねーって」
詰井「好き放題言ってらぁ。俺達は期待しているからな」
杉田「二人とも頑張ってよ。野球部は応援してるからね」
235: 矢橋P 24/12/16(月) 07:42:09 ID:DNrt
千羽矢「エリちゃん~。何してるの?」
恵理「えへへ。チハヤちゃん、焼き芋の準備だよ」
恵理「今年の収穫はさつまいもが多かったでしょ?余ったさつまいもで焼き芋を作ろうかなって」
恵理「生徒には今日ぐらい少しでも楽しんでほしいからね」
236: 矢橋P 24/12/16(月) 07:43:27 ID:DNrt
千羽矢「おいしそう~わたしも手伝うよ~」
恵理「チハヤちゃんはダメ。つまみ食いするでしょ。ほら、生徒達はあっちに集まっているよ」
千羽矢「ちえ~。じゃ後でたくさん食べに来るからね!」
スタスタスタ
恵理「……今のチハヤちゃんだと目を離すと全部食べちゃうから気を付けなきゃ」
237: 矢橋P 24/12/16(月) 07:45:31 ID:DNrt
バタバタバタ
恵理「な、何」
本校の生徒「我々は本校の生徒だ」
本校の生徒「これより徴収を行う」
恵理「ち、徴収?」
恵理「な、何」
本校の生徒「我々は本校の生徒だ」
本校の生徒「これより徴収を行う」
恵理「ち、徴収?」
238: 矢橋P 24/12/16(月) 07:47:10 ID:DNrt
本校の生徒「まずは米に玉ねぎじゃがいも……」
本校の生徒「ほう、いいさつまいもじゃないか。これも貰っていくか」
恵理「そんな、それは学校と生徒達が作ったもので……」
本校の生徒「校長からは許可貰っている。文句は言わせないぞ、回収しろ」
バタバタ ドンドン
恵理「そんなぁ……」グスッ
239: 矢橋P 24/12/16(月) 07:48:54 ID:DNrt
ドン!
千羽矢「そこの人達……エリちゃんを泣かせて何してるの?」
本校の生徒「何だお前は……って痛い痛い痛い!」ギリギリ
千羽矢「早く居なくならないと……食べちゃうよ?」
本校の生徒「ひぃぃ。撤収撤収!」ダダダッ
240: 矢橋P 24/12/16(月) 07:50:34 ID:DNrt
千羽矢「なにあいつら。エリちゃんをいじめちゃって」
恵理「チハヤちゃんありがとう。……だけど暴力はダメだよ」
千羽矢「わかってま~す。あれでも手加減したんだけどなぁ」
241: 矢橋P 24/12/16(月) 08:45:35 ID:DNrt
そして
奉納も終わり……
アナウンス「奉納も終わりましたので生徒各自で自由にしてください」
恵理「みんなー。焼き芋出来たよー」
恵理「少し取られちゃって一人一個ずつだけど取りにきてね」
志保(今のうちよ)
静香(ええ)
奉納も終わり……
アナウンス「奉納も終わりましたので生徒各自で自由にしてください」
恵理「みんなー。焼き芋出来たよー」
恵理「少し取られちゃって一人一個ずつだけど取りにきてね」
志保(今のうちよ)
静香(ええ)
242: 矢橋P 24/12/16(月) 08:48:20 ID:DNrt
体育館 ステージ裏
昴「今、恵理先生が焼き芋配り終わったら生徒達が体育館に集まってくる。そしたらオレが音流すからスタートしてくれ」
昴「この収穫祭は一般開放してる。うちの生徒や職員だけじゃなく保護者や外部の人も見にくるかもしれないからな」
志保「はい。静香、緊張してとちらないことね」
静香「こんなの、テニスの全国大会の時の方が緊張したわ」
静香(実際何だかどきどきしているの。良い意味でね)
昴「今、恵理先生が焼き芋配り終わったら生徒達が体育館に集まってくる。そしたらオレが音流すからスタートしてくれ」
昴「この収穫祭は一般開放してる。うちの生徒や職員だけじゃなく保護者や外部の人も見にくるかもしれないからな」
志保「はい。静香、緊張してとちらないことね」
静香「こんなの、テニスの全国大会の時の方が緊張したわ」
静香(実際何だかどきどきしているの。良い意味でね)
243: 矢橋P 24/12/16(月) 12:20:32 ID:DNrt
昴アナウンス「ここでアイドル部から演し物があります。皆さんグラウンドから体育館に移動してください」
ゾロゾロゾロゾロ
詰井「焼き芋かじりながら見るアイドルのステージってのもいいじゃねぇか」ガジガジ
冴花「まあうちの分校らしいわ。嫌いじゃないけどね」パクパク
244: 矢橋P 24/12/16(月) 12:23:02 ID:DNrt
未来「でへへ~。よくわからないけど焼き芋もらっちゃった~」ホクホク
未来「何だかよくわからないまま来ちゃった。けどこれなら翼も来れば良かったのに」
未来「静香ちゃんはどこかな~?」
245: 矢橋P 24/12/16(月) 12:56:51 ID:DNrt
♪~♪~♪~
「曲が流れてきた。始まったのかな」
「これ知ってるー」
「私この曲好きなのよねー」
246: 矢橋P 24/12/16(月) 12:58:34 ID:DNrt
ダッ
静香&志保「…………」バン!
ダッダッダッ! ダダダッ!
「すごい曲と合ってる!」
「この曲を踊っている人を動画で見たことあるぜ。それと同じだすげぇ!」
247: 矢橋P 24/12/16(月) 13:00:35 ID:DNrt
♪~~♪~~♪~~♪~~
昴(よし、掴みはバッチリだ。やっぱり流行の曲を最初にして正解だったな)
♪~~♪~~♪~~♪~~
未来「演し物なんてあるんだ~」パクパク
未来「あれ……しず……か……ちゃん?」ポロッ
248: 矢橋P 24/12/16(月) 13:03:02 ID:DNrt
♪~~♪~~♪~~♪~~
ダダン、ダダン、ダンダダダン!
静香&志保「……」バーン
\パチパチパチパチパチパチ/
249: 矢橋P 24/12/16(月) 13:05:01 ID:DNrt
昴マイク「ありがとうございました。それでは最後にもう一曲だけ」
昴マイク「 GO MY WAY!! 」
静香&志保「……」スッ
詰井「おっ、二人ともマイク取り出したぞ」
冴花「最後は歌いながら踊るみたいね」
250: 矢橋P 24/12/16(月) 13:07:02 ID:DNrt
GO MY WAY!! GO 前へ!!
頑張ってゆきましょう
「この曲って……」
「古いアイドルソングだね」
251: 矢橋P 24/12/16(月) 13:09:17 ID:DNrt
一番大好きな私になりたい
未来「静香ちゃん……」グスグス
未来(あの呪縛を……克服したんだね……)
252: 矢橋P 24/12/16(月) 13:11:36 ID:DNrt
志保「ノンストップで行ってみましょ♪って思ったら赤信号!?!」
志保「そんな時は凹まないでハイウェイがあるファイト!!」チラ
静香「フルスロットル飛ばしてみましょ♪って思ったらスピード制限!?!」
志保(なんて楽しそうな顔してるのよ)
静香「こんな時は悩まないでジェットがあるフライト!!」
志保(やっぱりあなたは……こっち側じゃない)
253: 矢橋P 24/12/16(月) 13:14:07 ID:DNrt
GO MY WAY!! GO 前へ!!
はりきっていきましょ
全ての輝き
この指に止まれ
ラララ~ラララ~ラララララララララ~
ララララララララ~
ララララララララ~
\ダン!/
254: 矢橋P 24/12/16(月) 13:15:36 ID:DNrt
静香&志保「ありがとうございました!」
\パチパチパチパチパチパチ/
255: 矢橋P 24/12/16(月) 13:16:43 ID:DNrt
「良かったぞアイドル部ー」
「またお願いねー」
詰井「みろよ手のひら返してらぁ」ニヤニヤ
冴花「良いステージだったんだから余計な水差さないの」
256: 矢橋P 24/12/16(月) 13:18:15 ID:DNrt
ダダダダッ!!!
未来「静香ちゃーーーん!!!」
静香「未来!?どうしてここに」
未来「翼から今日のこと聞いてね。全部投げ出して来ちゃった」
未来「今のステージすっごい良かったよ。私感動しちゃった」
静香「もう、大袈裟ね未来は」
静香「未来も野球部のスタメンに入ったの凄いじゃない。こないだの校内大会で活躍したところ見たわよ」
未来「私もけっこう頑張ったもん!」フンス
257: 矢橋P 24/12/16(月) 13:19:57 ID:DNrt
未来「静香ちゃん……アイドルのトラウマ克服したんだね」
静香「え、ええ」ビクッ
未来「翼にも教えてあげよーっと。それで……」
未来「静香ちゃんが本校に戻ったら翼と一緒にアイドル部でもいいじゃないかな。でも静香ちゃんはテニスに一途だし、何とか両立出来ないかなぁ」
258: 矢橋P 24/12/16(月) 13:21:22 ID:DNrt
志保「未来。いちゃいちゃはそこまでにして。ここ開拓分校なんだから」
未来「あ、ごめん~、志保」
静香「そうよ、未来も五年ぶりでしょう?」
志保「……あなたと違ってあの後私と未来と翼は何度も会ってたの」
静香「そうだったの」
未来「だって~、静香ちゃん休日でもずっとテニスの練習してたもん」
259: 矢橋P 24/12/16(月) 13:23:02 ID:DNrt
未来「でも今の静香ちゃんは分校の生徒だよね。今度本校においでよ、翼や麻美ちゃんや餅田くんにも声かけておくからさ。じゃねー」
スタスタスタ
志保「静香は随分人気者ね。これなら本校に戻っても寂しくないでしょうね」
静香「ちょっと志保……」
志保「うるさい。一人にさせて!」プイッ
260: 矢橋P 24/12/16(月) 13:24:38 ID:DNrt
志保(わかってた。テニスを選ぼうがアイドル部に残ろうが静香は結局本校に戻る)
志保(……代わりの部員探さないと)
261: 矢橋P 24/12/16(月) 19:19:00 ID:FKgF
そして
昴「二人ともいいステージだったと思うぜ。みんな喜んでた」
志保「……そうですか。それはよかったです」
昴(なんかイマイチって顔してるな。なんかあったのか?)
昴「二人ともいいステージだったと思うぜ。みんな喜んでた」
志保「……そうですか。それはよかったです」
昴(なんかイマイチって顔してるな。なんかあったのか?)
262: 矢橋P 24/12/16(月) 19:20:22 ID:FKgF
昴「ご褒美ってわけじゃないけどな。一ついい情報があってさ」
昴「まず本校のアイドル部がこないだ大会に出て良い成績を出したみたいだぜ」
志保「!!」
昴「それに加えて……どっかのお偉いさんが提案してそのまま可決になったらしいんだけど……」
昴「来年から“ims甲子園”って大会が行われる」
静香「ims甲子園……」
※実在するアイドル甲子園とは一切関係ありません
263: 矢橋P 24/12/16(月) 19:25:13 ID:FKgF
昴「キャッチコピーは”もう一つの甲子園”みたいだぜ」
志保「なるほど、5年前女子でも甲子園に出場出来るようにしたのにさっぱり甲子園女子は現れない」
志保「だから男子は野球で女子はアイドルで甲子園を目指しましょう……ってわけね」
昴「まあそういうことだな。アイドル部の大会もようやく無名の大会じゃなくて甲子園やインターハイみたいな正式な大会が行われる」
志保「でも分校の私じゃそのims甲子園に出られないですよね」
昴「まあ最後まで聞けって。それで本校の校長がすっかりその気でな、来年はアイドル部でも校内大会あるみたいだぜ」
昴「だからしばらくはそれに向かって練習だな」
264: 矢橋P 24/12/16(月) 19:26:26 ID:FKgF
志保「……そうですか。なおさら来年に向けて部員も増やさないといけないですね」
昴「ん?ああ、せめてマネージャーくらいはほしいよな」
志保(校内大会でも練習の成果を披露する場が出来たことは純粋に嬉しい)
志保(でもims甲子園なんてそんな大会あるんだったら……静香はますます本校に戻りたくなるでしょうね)
静香(志保……)
265: 矢橋P 24/12/16(月) 19:29:39 ID:FKgF
数日後
開拓分校 部室
静香「……よし。決めた」
ガラッ
志保「静香、今日も練習……」
静香「志保、話しがあるの」
開拓分校 部室
静香「……よし。決めた」
ガラッ
志保「静香、今日も練習……」
静香「志保、話しがあるの」
266: 矢橋P 24/12/16(月) 19:30:41 ID:FKgF
混黒高校 本校校内
未来「静香ちゃん~こっちこっち~」
静香「本校の学生証が無いと建物の中に入れないから助かるわ」
静香「悪いわね未来。未来だって練習があったでしょう?」
未来「ううん。静香ちゃんもわざわざ本校に来てもらって悪いよ~」
267: 矢橋P 24/12/16(月) 19:32:09 ID:FKgF
未来「でも静香ちゃんが本校に戻って来きたらこんなこと気にする必要ないからあと少しの辛抱だね」
静香「未来、そのことなんだけど……」
未来「何とか志保も本校に……って何?静香ちゃん」
静香「実は私の怪我治りそうなの」
未来「本当に!!やったーー!」
未来「それじゃ治ったら早速本校だよね!ね!いつ、いつぐらいかな!」
268: 矢橋P 24/12/16(月) 19:33:36 ID:FKgF
静香「……」
静香「ごめん未来」
静香「私は本校に戻らない」
未来「……え」
静香「私はテニス部を辞めてアイドル部に入る」
静香「それも……開拓分校のアイドル部に」
269: 矢橋P 24/12/16(月) 19:35:02 ID:FKgF
未来「そんな!どうして!?」
未来「アイドル部はわかるよ、こないだの静香ちゃん良かったもん」
未来「でも何で分校なの!?静香ちゃんなら本校のアイドル部だって……」
静香「私はただ楽しいからアイドル部がやりたいわけじゃないの」
静香「私にアイドルの楽しさを思い出させてくれた分校のみんなと一緒にアイドル部をやりたいの」
270: 矢橋P 24/12/16(月) 19:36:28 ID:FKgF
未来「分校のみんな?」
静香「これを見てちょうだい」スッ
未来「野球ボールだ。でもすごいボロボロ……」
静香「これみんなで縫ったものなの」
静香「部室だって最初は無かったのよ。でもみんなで協力して作った」
静香「私が今通っている開拓分校はみすぼらしいかもしれない。でも……本校に無かった暖かさがあった」
静香「私は……みんなに恩返しがしたいの」
未来「……そんなぁ」
271: 矢橋P 24/12/16(月) 19:38:04 ID:FKgF
翼「ふーん。静香ちゃんの方から私に会いたいって連絡きた時は驚いたけどそういうことだったんだね」
未来「つ、翼……」
静香「ごめんなさい翼。私、今まであなたのこと避けてたわ。あなたがアイドル目指して進む姿を直視出来なかったの」
翼「別に~。私ちっとも気にしてないよー?」
翼「だって静香ちゃんのこと眼中にないんだもん」
静香「!!」
272: 矢橋P 24/12/16(月) 19:39:18 ID:FKgF
翼「実は~。私、こないだ本校のアイドル部の大会に出ちゃいました!先輩達を押しのけてね」
翼「優勝は出来なかったけど準優勝だよ?」イェーイ
翼「それで、静香ちゃんは?聞いたけど分校の小さなステージで踊ったって?わー、すごいねー」アハハッ
翼「テニス選手としての静香ちゃんならまだ興味あったけどね。アイドルとしての静香ちゃんはぜーんぜん興味なし」
静香「……っ。つばさぁ!」
未来「あわわ……」
273: 矢橋P 24/12/16(月) 19:41:35 ID:FKgF
翼「私が欲しいのはそんな情けない謝罪じゃないんだよね~」
翼「静香ちゃんも聞いてるよね?来年校内大会でもアイドル勝負があるって」
翼「静香ちゃんはアイドル部になったんでしょ?アイドルなら歌とダンスで語りなよ」
静香「!!」
翼「来年楽しみにしているからさ。勝ち上がって私と可奈の前に来てみなよ」
翼「その時本気で仲直りしよ?それまでお預けだね」
翼「……あ、そうだ。志保に伝えといて。”可奈も待ってる“って。それじゃその時までバイバイ~」
スタスタスタ
274: 矢橋P 24/12/16(月) 19:42:43 ID:FKgF
未来(翼……)
静香「……いいじゃない。お望み通り絶対あなたの前に現れてあげるわ翼!」
餅田「ちょっと待つでやんす!何で静香さんが本校に戻らないで分校に留まる流れなのでやんす!」
未来「餅田くん……」
275: 矢橋P 24/12/16(月) 19:45:04 ID:FKgF
餅田「静香さん程の才能を分校で埋もれさせるのは多大な損失なんでやんすよ」
静香「餅田さん……あなたにも悪いと思っているけどもう決めたことなの」
餅田「本校のみんなが分校のことをなんて言っているか知ってるでやんすか?“ゴミ箱”でやんすよ」
静香「!!」
餅田「口の悪い表現でやんすけど本当のことでやんす。本校にいられない落ちこぼれが集まるところなのでやんす」
276: 矢橋P 24/12/16(月) 19:46:26 ID:FKgF
私は叫びそうになった言葉を必死に押し留めた
餅田くんが悪いんじゃない。これは仕方ないこと
小中学生で活躍した子供達を潤沢な設備の中で鍛え育てる
半端な人間をふるい落とし気づいてみれば周りはエリートだらけ
そんな環境で育てば誰だって傲慢で自信過剰な人間になってしまう
悪いのは混黒高校という環境
私だって、かつては“そちら側の人間”だったんだもの。私が餅田くんを怒る資格はない
だけど……
277: 矢橋P 24/12/16(月) 19:49:38 ID:DNrt
静香「その言葉、取り消しなさい!分校の人だって……どんな環境でも一生懸命頑張ってる人がいるのよ」
餅田「な……。オイラは静香さんに戻ってほしくて……」
静香「……これ以上の会話は平行線ね。伝えたいことは伝えたわ。それじゃ」プイッ
スタスタスタ
未来「静香ちゃん…………ぅぅ」
278: 矢橋P 24/12/16(月) 19:50:54 ID:DNrt
本校 校外
静香(……未来と別れ方あれでよかったのかな……)
麻美「あっ、静香ちゃんだー」
静香「……麻美」
279: 矢橋P 24/12/16(月) 19:51:44 ID:DNrt
麻美「元気そうだね。ケガは?」
静香「……怪我は治りそうなの」
麻美「じゃあすぐだね。もうすぐ本校に戻って来れるよ」
静香「……麻美。私は………………」
280: 矢橋P 24/12/16(月) 19:55:03 ID:FKgF
麻美「…………」
麻美「……いいよ、言わなくて」
麻美「言わなくてもわかってるよ。静香ちゃんがどんな選択しても私は応援するよ」
麻美「静香ちゃんは前を進むのをあきらめない人だって知ってるから」
静香「……ありがとう」
281: 矢橋P 24/12/16(月) 19:56:15 ID:FKgF
麻美「静香ちゃん、握手しよ?」
静香「握手?」
麻美「お互い頑張ろうって握手だよ」
静香「ええ。いいわよ」
ギュッ
ビキッ
282: 矢橋P 24/12/16(月) 19:58:27 ID:FKgF
麻美(いたっ!)
静香「あら麻美。あなた手を怪我しているの?」
麻美「う、うんちょっとね」
静香「大丈夫?バスケやってるならなおさら手の怪我は気をつけないといけないわよ」
麻美「さすが。経験者は語るだね」
麻美「未来ちゃんから聞いたよ。収穫祭のステージのこと。あんなに楽しそうな静香ちゃんを久しぶりに見た!……って嬉しそうに言ってた」
静香「……未来」
麻美「あっ。ほら、あそこを見なよ」
静香「あそこ?」
静香「あら麻美。あなた手を怪我しているの?」
麻美「う、うんちょっとね」
静香「大丈夫?バスケやってるならなおさら手の怪我は気をつけないといけないわよ」
麻美「さすが。経験者は語るだね」
麻美「未来ちゃんから聞いたよ。収穫祭のステージのこと。あんなに楽しそうな静香ちゃんを久しぶりに見た!……って嬉しそうに言ってた」
静香「……未来」
麻美「あっ。ほら、あそこを見なよ」
静香「あそこ?」
283: 矢橋P 24/12/16(月) 20:00:06 ID:FKgF
坂の上
未来「……」っメガホン
静香「未来?」
未来「……」っメガホン
静香「未来?」
284: 矢橋P 24/12/16(月) 20:01:43 ID:FKgF
未来「静香ちゃんーーー!」
未来「私、春日未来はアイドル部になった最上静香を誰よりも応援してるからーーーーーっ!」
未来「分校でもがんばれーーーーっ!負けるな静香ちゃんーーーーーー!」
麻美「やれやれ、未来ちゃんには勝てないなぁ」
静香「……」スゥゥ
静香「未来こそ野球部頑張るのよーーーーーーっ!」
静香(二人……いや三人ね。三人ともありがとう)
285: 矢橋P 24/12/16(月) 20:03:56 ID:FKgF
開拓分校 部室
ガチャ
志保「……行って来たの」
静香「ええ。言ってきたわ」
静香「後は……最後の作業だけね」
286: 矢橋P 24/12/16(月) 20:05:17 ID:FKgF
その後私と志保は二人だけでテニスコートの残り半分を三日かけて整備した
野球部のみんなも手伝うと言ってくれたけど断った
これはアイドル部だけの……私のけじめだもの
287: 矢橋P 24/12/16(月) 20:06:39 ID:FKgF
三日後
テニスコート
志保「これで終わり、隅々までピカピカだわ」
静香「うん」
志保(わざわざこんなことする必要ない……とはいえないわね)
志保(これが彼女のけじめなのだから)
テニスコート
志保「これで終わり、隅々までピカピカだわ」
静香「うん」
志保(わざわざこんなことする必要ない……とはいえないわね)
志保(これが彼女のけじめなのだから)
288: 矢橋P 24/12/16(月) 20:08:11 ID:FKgF
ラケット テニスボール
静香「……」スッ
静香「ありがとう。今まで私を支えてくれて」
静香「あなたを嫌いになったわけじゃないの。でも……」
静香「お願い、今は……私の好きなことをさせてほしいの」
この日から私は正式に開拓分校のアイドル部になった
289: 矢橋P 24/12/16(月) 20:16:03 ID:FKgF
ひとまずここで終わり
ダンスの描写ムズかったですね…………やめて石投げないで!
でも収穫祭の時書いている時はずっと未来と静香のGO MY WAY!!を聞きながら書いてました
ダンスの描写ムズかったですね…………やめて石投げないで!
でも収穫祭の時書いている時はずっと未来と静香のGO MY WAY!!を聞きながら書いてました
290: 矢橋P 25/01/06(月) 09:58:56 ID:yHAM
そろそろ続きを投下します
291: 矢橋P 25/01/06(月) 10:00:17 ID:yHAM
十月下旬
開拓分校 裏山
292: 矢橋P 25/01/06(月) 10:03:03 ID:yHAM
詰井「なあ杉田。今の季節って秋だよな」ハァハァ
杉田「そうだね。山道に散らばったドングリを踏みながらランニングしてるところだよ」ハァハァ
詰井「だったらよぉ……何でこんなに暑いんだ?」ハァハァ
杉田「それはもちろん……」ハァハァ
紗代子「みんなーーっ。これで半分だよ!まだまだ頑張ってーーっ!」ハァハァ
下山「高山コーチが傍にいるからだろうね」ハァハァ
詰井「だよなぁ……」ハァハァ
293: 矢橋P 25/01/06(月) 10:04:21 ID:yHAM
~回想~
紗代子「本日からこの学校で部活動のコーチをやらせてもらいます。高山紗代子です」
紗代子「昴ちゃんの紹介で来ました。みんなよろしくね」
冴花「よろしくお願いします。ですがどういう……」
昴「紗代子はオレの先輩みたいなもんなんだ」
紗代子「本日からこの学校で部活動のコーチをやらせてもらいます。高山紗代子です」
紗代子「昴ちゃんの紹介で来ました。みんなよろしくね」
冴花「よろしくお願いします。ですがどういう……」
昴「紗代子はオレの先輩みたいなもんなんだ」
294: 矢橋P 25/01/06(月) 10:05:13 ID:yHAM
昴「今まで野球部とアイドル部。オレがどっちか付いたらどっちか付けなかっただろ?」
昴「だからどっちか片方オレが付いてる時はどっちか片方は紗代子に付いてもらうんだ」
冴花「なるほど……」
紗代子「あ、でも私野球は詳しくないからノックとかは出来ないけど……」
紗代子「その代わり運動に関するトレーニングや知識はバッチリ学んでいるから基礎トレーニングなら任せて!」
静香「基礎トレーニングも野球にとってもアイドルにとっても大事です。よろしくお願いしますね」
295: 矢橋P 25/01/06(月) 10:09:31 ID:yHAM
軽井「なあなあ。高山さんって眼鏡かけててインテリタイプみたいだよな」ヒソヒソ
杉田「うん。パソコンとかいじって『このデータによると……』とかって言いそうだね」ヒソヒソ
詰井「こりゃ木村のポジションも危ういんじゃねーか」ニヤニヤ
296: 矢橋P 25/01/06(月) 10:10:36 ID:yHAM
~回想終了~
詰井「とか言ってた俺達を殴りたいぜ……」ハァハァ
杉田「あんなに可愛い顔して熱血タイプだなんて想像していなかったよね……」ハァハァ
軽井「それを言ったら昴監督もけっこう……」ハァハァ
紗代子「こらーーーっ!男子ーーっ!女子の静香ちゃんや志保ちゃんに追いつかれたら後でダッシュ5本追加だからねーーーっ!」ハァハァ
男子「「「「ひーーっ」」」」ダダダッ
詰井「とか言ってた俺達を殴りたいぜ……」ハァハァ
杉田「あんなに可愛い顔して熱血タイプだなんて想像していなかったよね……」ハァハァ
軽井「それを言ったら昴監督もけっこう……」ハァハァ
紗代子「こらーーーっ!男子ーーっ!女子の静香ちゃんや志保ちゃんに追いつかれたら後でダッシュ5本追加だからねーーーっ!」ハァハァ
男子「「「「ひーーっ」」」」ダダダッ
297: 矢橋P 25/01/06(月) 10:11:49 ID:yHAM
昴「先頭の男子は大変だなー」ニヤニヤ
静香(高山コーチもすごいけど昴コーチも凄い……)ハァハァ
志保(全く息を切らしてない……いったいどうなっているの?)ハァハァ
298: 矢橋P 25/01/06(月) 10:12:24 ID:yHAM
千羽矢「みなさん~~。給水ポイントだよ~」
千羽矢「だけど……着くのが遅いとチハちゃんが全部飲んじゃうからね~」
男子「「「「うおおおーーーっ」」」」ダダダッ
299: 矢橋P 25/01/06(月) 10:18:44 ID:yHAM
詰井「お前が言うと冗談じゃ無くなるんだよぉ!」ガバッ
杉田「命の水を奪わないでーっ」ガバッ
<ヤイノヤイノ
千羽矢「……冴花ちゃんが言ってた通りだね」ニッコリ
300: 矢橋P 25/01/06(月) 10:20:50 ID:yHAM
静香「……はぁはぁはぁ」タッタッタッ
小屋<ポツン
静香「…………あそこに見える小屋、何の小屋だろう?」タッタッタッ
301: 矢橋P 25/01/06(月) 10:22:16 ID:yHAM
そして……
冴花「みんな山ランニングお疲れ様。ほらタオルよ」
<ひぃー
<バテたバテた
冴花「みんな山ランニングお疲れ様。ほらタオルよ」
<ひぃー
<バテたバテた
302: 矢橋P 25/01/06(月) 10:26:34 ID:yHAM
静香「……木村さんひとつ気になったことがあるのだけど」
冴花「何かしら」
静香「山の麓にある小屋って何の小屋なのかしら」
冴花「あれは確か……蕎麦道場よ」
静香「そ……ば…道場?」ワナワナ
冴花「ええ。今はあまり使われていないはず……?」
静香「そば……蕎麦ですって?饂飩じゃないの?」
冴花「う、うん。そうよ」
静香「…………」ワナワナ
303: 矢橋P 25/01/06(月) 10:28:06 ID:yHAM
次の日
教室 昼食時間
静香「ねぇ志保。この学校って農業学校で毎年作物を育てているのよね」ズルズル
志保「それがどうかしたの?」モグモグ
静香「だったら小麦は育てて無いの?」ズルズル
志保「……」チラ
冴花「うちの学校じゃ小麦は育てていないわ」
静香「……そう」ガックリ
教室 昼食時間
静香「ねぇ志保。この学校って農業学校で毎年作物を育てているのよね」ズルズル
志保「それがどうかしたの?」モグモグ
静香「だったら小麦は育てて無いの?」ズルズル
志保「……」チラ
冴花「うちの学校じゃ小麦は育てていないわ」
静香「……そう」ガックリ
304: 矢橋P 25/01/06(月) 10:30:38 ID:yHAM
志保「……あなた、まさか収穫した小麦で饂飩打ちたいって言わないわよね」
静香「えっ。ち、違うわ」ズルズル
志保「饂飩啜りながら言ってんじゃないわよ、この饂飩娘!」
静香「むぐっ!」
志保「全く……」
志保(でも……静香って元はこんな子だったのよね)
305: 矢橋P 25/01/06(月) 10:31:46 ID:yHAM
静香「まあ小麦が無いってのはいいわ。しょうがないことだし一説によれば国産小麦より外国産の小麦の方が饂飩には向いてるって声もあるもの」
静香「でもね……、蕎麦道場があって饂飩道場が無いのは納得出来ないの!」
詰井「なんか独り語りしてるぜ」
志保「無視しておいていいわよ」
306: 矢橋P 25/01/06(月) 10:34:59 ID:yHAM
静香「なれば……やることは一つ!」
千羽矢「やることはひとーーつ!」
詰井(なんかチハヤのやつまで乗ってきやがった)
静香「道場破りよ!」
307: 矢橋P 25/01/06(月) 10:36:11 ID:yHAM
放課後
蕎麦道場
ガラッ
静香「たのもーー!」
千羽矢「たのもーーう!」
詰井「いいのかこれ?」
志保「……まあ、たまにはいいでしょ」
蕎麦道場
ガラッ
静香「たのもーー!」
千羽矢「たのもーーう!」
詰井「いいのかこれ?」
志保「……まあ、たまにはいいでしょ」
308: 矢橋P 25/01/06(月) 10:37:30 ID:yHAM
喜沢「どうれーー!」
静香「えっ。どうも」
喜沢「おやおや、たのもーって言われたらどうれーって返すのが昔の決まりなんじゃが」
静香「すいません、失礼します……」
詰井(おい最初の勢いはどうしたんだよ)
志保(段々冷静になって自分で馬鹿なことしてるのに気付いたんじゃないかしら)
309: 矢橋P 25/01/06(月) 10:38:47 ID:yHAM
喜沢「わしは喜沢秀安(きざわひでやす)この学校の用務員じゃよ」
静香「昴コーチと同じですね」
喜沢「そうだのう。昴ちゃんがいるからわしは専ら機械弄りかそれでもなかったらここにいるんじゃ」
静香「あの……ここは蕎麦の道場なんですよね……」
喜沢「そうじゃが?」
静香「饂飩じゃだめなんですか!」
詰井(うわ……マジで言ったよ)
静香「昴コーチと同じですね」
喜沢「そうだのう。昴ちゃんがいるからわしは専ら機械弄りかそれでもなかったらここにいるんじゃ」
静香「あの……ここは蕎麦の道場なんですよね……」
喜沢「そうじゃが?」
静香「饂飩じゃだめなんですか!」
詰井(うわ……マジで言ったよ)
310: 矢橋P 25/01/06(月) 10:39:30 ID:yHAM
喜沢「そうじゃのう……ここは蕎麦打ちの道場だからのう」
喜沢「それに……うどんより蕎麦の方が打つのは難しいんじゃ」
静香「なっ!そんなことは……」
喜沢「蕎麦打ちに段位はあるがうどん打ちに段位はあるかね?」
静香「そ、そうですが……」
喜沢「ちょうど蕎麦を打とうとしたところじゃ。見ていくがよい」
喜沢「それに……うどんより蕎麦の方が打つのは難しいんじゃ」
静香「なっ!そんなことは……」
喜沢「蕎麦打ちに段位はあるがうどん打ちに段位はあるかね?」
静香「そ、そうですが……」
喜沢「ちょうど蕎麦を打とうとしたところじゃ。見ていくがよい」
311: 矢橋P 25/01/06(月) 10:44:10 ID:yHAM
喜沢「二八蕎麦というのは知っておるかね」コネコネ
静香「蕎麦粉八割つなぎ二割って意味ですよね」
喜沢「うむ、蕎麦の基本は二八蕎麦じゃ。なぜつなぎを入れるかというと蕎麦粉は小麦粉ほど水を吸わないからなんじゃ」コネコネ
詰井「でも十割蕎麦ってのも聞いたことあるぜ」
喜沢「十割蕎麦のことはひとまず置いておく」コネコネ
312: 矢橋P 25/01/06(月) 10:46:56 ID:yHAM
喜沢「水を吸わない以上最初の水回しが大事じゃ。つなぎと蕎麦粉が均一に混ざらないといけないしその上で水と生地も均一混ざらないといけない」コネコネ
喜沢「その後の練りや伸しもスピード勝負じゃ。もたもたしておると乾いて割れてしまうからのう」グイグイ
喜沢「生地を寝かす手前が無い点はうどんより楽かもしれんが」
喜沢「ちなみにつなぎは一般的には小麦粉じゃが水気を吸いさえすれば何でもよい。餅でもゆずでもゴマでも卵でもな。まあ打ちやすさで言えば小麦粉だがのう」グイグイ
静香「…………」
詰井(なんだかんだで真剣に聞いてんな)
313: 矢橋P 25/01/06(月) 10:48:12 ID:yHAM
そして……
喜沢「ほれ出来た。持って帰るがよい。ここまでじじいのうんちくに付き合ってくれた礼じゃ」
詰井「おーっ、いいのか」
千羽矢「これってそのまま食べれるー?」
喜沢「さすがに茹でた方がいいのう」
喜沢「ほれ出来た。持って帰るがよい。ここまでじじいのうんちくに付き合ってくれた礼じゃ」
詰井「おーっ、いいのか」
千羽矢「これってそのまま食べれるー?」
喜沢「さすがに茹でた方がいいのう」
314: 矢橋P 25/01/06(月) 10:49:15 ID:yHAM
静香「……」
喜沢「……別にうどんが打ちたかったらここで打ってもええぞ」
静香「本当ですか!」パアッ
詰井(え、ここは蕎麦打ちも教えてください!って流れじゃねーの?)
喜沢「ここには打ち台やふるいやこね鉢やのし棒もあるからのう。包丁は蕎麦切り包丁しかないのは注意じゃ」
喜沢「出来た生地もここで寝かせておいてもよいぞ。材料は自分持ちじゃが」
静香「ありがとうございます!」ペコリ
詰井(最上って案外……)
千羽矢「♪~~」ニコニコ
志保「気が済んだかしら?それじゃレッスンに行くわよ」
315: 矢橋P 25/01/06(月) 14:18:15 ID:yHAM
・
・
・
・
・
・
・
・
・
316: 矢橋P 25/01/06(月) 14:20:22 ID:yHAM
部室
レッスン終了
静香「そういえば志保、あなた中学生の時テニスやってなかったかしら」
志保「テニス?ああ、昔ね。ほんの一時期だけよ」
静香「でも大会に出てたじゃない」
志保「元々やりたくてやってたわけじゃないの」
志保「……アイドルからテニスに移ったあなたを一目見てみようと思ってやってみただけよ」
志保「だから大会に出て静香と当たった時点で私のテニスは終わったの」
レッスン終了
静香「そういえば志保、あなた中学生の時テニスやってなかったかしら」
志保「テニス?ああ、昔ね。ほんの一時期だけよ」
静香「でも大会に出てたじゃない」
志保「元々やりたくてやってたわけじゃないの」
志保「……アイドルからテニスに移ったあなたを一目見てみようと思ってやってみただけよ」
志保「だから大会に出て静香と当たった時点で私のテニスは終わったの」
317: 矢橋P 25/01/06(月) 14:21:03 ID:yHAM
志保「しかもあなたに徹底的にボコボコにされてね。少しは芽生えていたやる気も全部失せたわ」
志保(いい加減な気持ちでやってたら一言いってやろうって思ってたけど思ったより本気だったから)
静香「……」
志保「……あなた今『通りで弱かったわけだわ』とか思っているでしょう!」
静香「そ、そんなことないわ」
静香(ちょっと思ってしまったけど)
318: 矢橋P 25/01/06(月) 14:22:07 ID:yHAM
志保「……翼に宣戦布告を受けたんでしょ?……それと可奈にも」
静香「そうよ」
志保「彼女らとぶつかるのは遅かれ早かれだったから、今のうちに意識しておいた方が良いわ」
静香「翼は知っているけど可奈って……」
志保「私の幼なじみよ。あなたが辞めたあと歌織先生のアイドル教室に入ったの」
319: 矢橋P 25/01/06(月) 14:23:07 ID:yHAM
志保「その後しばらく三人でアイドル教室に通っていたから分かる。翼も可奈も“天才“よ。私と違ってね」
志保「その二人が組んでいるんじゃ他の本校のアイドル部なんか相手にならないはずだわ」
静香「……天才がなによ。本校がなんだっていうのよ!」
静香「私達は絶対勝つわ。そうでしょ」
志保「そうね。今出来ることを最大限やりましょ」
320: 矢橋P 25/01/06(月) 14:24:54 ID:yHAM
昴「ありがとな紗代子。わざわざこんな学校まで来てくれて」
紗代子「いいよ昴ちゃん。私も一回どこかで経験積みたいって思っていたの」
昴「紗代子が来て練習の質が明らかに上がったぜ。みんなひーひー言ってるけど実感してるんじゃねーかな」
紗代子「私こそ、あの子なら鍛えがいありそうだし私自身も鍛えてもらっているよ。もちろん昴ちゃんもね」
昴「えーっ、オレもかよ」
紗代子「現役から離れてると怠っちゃうよ昴ちゃん?」
昴「……オレもたまにはレッスンしないと駄目かぁ」
321: 矢橋P 25/01/06(月) 14:26:09 ID:yHAM
紗代子「……でもあやしいね。昴ちゃんが口利きしただけでこんなに直ぐに就任出来るなんて」
昴「“やつらは“日本政府にコネを持ってるみたいだからな。こんな分校に手を回すなんてお茶の子さいさいなんだろ」
昴「オレが無理やりここに就任させられた時だってあんな無理やりの編入だったのに誰も何も言わなかったぜ」
紗代子「昴ちゃん……」
昴「やつらがオレを利用するならオレだってやつらを利用してやるさ。不本意だけどな!」
322: 矢橋P 25/01/06(月) 14:29:56 ID:yHAM
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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ーーーーーーーーーーーーーーーー
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ーーーーーーーーー
ーーーーーー
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ーー
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ーーー
ーー
ー
-
323: 矢橋P 25/01/06(月) 14:33:18 ID:yHAM
そうして私の開拓分校での日々は過ぎてゆく
テニス部からアイドル部に移りレッスンと学業に時々農業実習と
そんな毎日だけど割と楽しくて充実した日々を送れてる
饂飩もいつでも打てるようになったしね!
そうしてるうちに11月……12月……と過ぎて年も越して
ついに1月1日、お正月が来てしまった
324: 矢橋P 25/01/06(月) 14:34:04 ID:yHAM
二年目 一月一日 元旦
静香部屋
静香(今日はレッスンも無い。今日一日ぐらいはゆっくりしようかしら)
325: 矢橋P 25/01/06(月) 14:35:25 ID:yHAM
<ピンポーン
静香「!」
ガチャ
未来「あけましておめでとう、静香ちゃん!」
麻美「あけましておめでとう、会いに来たよ」
静香「二人とも!」
静香「!」
ガチャ
未来「あけましておめでとう、静香ちゃん!」
麻美「あけましておめでとう、会いに来たよ」
静香「二人とも!」
326: 矢橋P 25/01/06(月) 14:36:01 ID:yHAM
未来「一緒に初詣に行こうよ~。翼は一人で福袋買いに行っちゃったからさ」
麻美「えー。『最近は未来は私とばかりいるから今日ぐらいは静香ちゃんと一緒にいたら?』って言われたんでしょ」
未来「わわっ。麻美ちゃんー、バラしちゃダメ~」
静香「ふふっ、いいわよ。今準備するわ」
327: 矢橋P 25/01/06(月) 14:38:11 ID:yHAM
そして……
未来「今日は楽しかったよ静香ちゃんに麻美ちゃん」
静香「私もよ未来」
麻美「ね~。二人とも神社で何お祈りしたの?」
未来「今日は楽しかったよ静香ちゃんに麻美ちゃん」
静香「私もよ未来」
麻美「ね~。二人とも神社で何お祈りしたの?」
328: 矢橋P 25/01/06(月) 14:39:29 ID:yHAM
静香「私はみんなの健康。未来は野球部レギュラーでしょ?」
未来「あ……、うん……。じゃなくて!静香ちゃんの腕の怪我のことだよ~」アセアセ
静香「もう、私の怪我はもう治るわ。こないだ診てもらったら完治まであと少しだったもの」
静香「そんなことじゃなくて自分のこと祈りなさい」
未来「うん……」
329: 矢橋P 25/01/06(月) 14:41:28 ID:yHAM
麻美「私は来年の大会で全国大会優勝かな」
未来「麻美ちゃんはもうレギュラーだったよね」
麻美「そうなんです!実はこないだの校内大会の試合のうちのチームの得点のうち三分の一は私一人で取ったんだよ」エッヘン
静香「すごいじゃない。大したものね」
未来「静香ちゃんだって校内大会あるんだよね」
静香「ええ。でもこれは神社で祈らなかったの。自分の力で翼と決着を付けたいから」
麻美「静香ちゃんらしいね」
330: 矢橋P 25/01/06(月) 14:43:18 ID:yHAM
静香「それと麻美。あなたまだ手の怪我治ってなかったの?賽銭入れる時テーピングが見えたわよ」
麻美「あっ……」
麻美「ちょっとね、まだ長引いっちゃって……」
静香「大会で活躍するのはいいけど体調管理の方が大事よ。下手したら出来なくなるんだから」
未来「静香ちゃんが言うと重みが違うね」
麻美「大丈夫、私は大丈夫だから……」
331: 矢橋P 25/01/06(月) 14:44:18 ID:yHAM
未来「……」
未来「ねえ、静香ちゃん」
静香「何、未来?」
未来「分校でのアイドル部楽しい?」
静香「楽しいというより騒がしいね。新しいコーチも来てね。志保は意外と体力なかったり……」
未来「……」
静香「どうしたの未来?」
未来「ううん。何でもない」
未来「そっかあ。じゃあ大丈夫だね」
332: 矢橋P 25/01/06(月) 14:46:23 ID:yHAM
この時、私は……
二人の変化に気付くことが出来なかった
333: 矢橋P 25/01/06(月) 17:49:28 ID:yHAM
一月十五日
桧垣の個人病院
桧垣「どれ…………」
静香「…………」
桧垣の個人病院
桧垣「どれ…………」
静香「…………」
334: 矢橋P 25/01/06(月) 17:50:52 ID:yHAM
桧垣「ふぅ」
桧垣「おめでとう。怪我の方は完治といってもよいですね」
静香「ありがとうございます!」
昴「良かったな静香!」
桧垣「もう診察の必要もありません。お大事に」
昴「じゃ帰るか。静香は先に車に戻ってくれ、先生に話しがあるんだ」
静香「はい」
335: 矢橋P 25/01/06(月) 17:55:12 ID:yHAM
桧垣「なんです?話しとは」
昴「一応確認なんだけどさ」
昴「静香に何か改造とかしてねーだろうな」ズイッ
桧垣「心外ですね。そんなことしませんよ」
昴「そう言って当時15歳のオレを改造したのは誰だよ」
桧垣「あの時はあの時です」
桧垣「それにこっそりあの子のサイボーグ適合率を調べてみましたがたった2%です。彼女は改造したくとも改造出来ませんね」
昴「こっそり調べてるんじゃねーか!」
336: 矢橋P 25/01/06(月) 17:58:21 ID:yHAM
桧垣「……私に流れて来た裏の情報によればツナミは既に“第四世代サイボーグ“を開発中みたいですよ」
桧垣「もう君達、第二世代サイボーグが過去の物になるのも時間の問題でしょうね」
昴「へっ……。勝手にやってろって感じだな」
桧垣(ん……これは。センサーが反応している)
桧垣(昴くんに反応しているだけですか)
桧垣(…………まさか、ね)
337: 矢橋P 25/01/06(月) 18:05:10 ID:yHAM
そうして三学期が始まってすぐだった……
一月中旬 開拓分校 教室
恵理「今日はHRの前に転入生が来たから紹介するね」
ザワザワザワザワ
冴花「久しぶりね。最上さん以来じゃないかしら」
杉田「かわいい女の子だといいなぁ」
詰井「なわけないだろ。野球部員ならいいんだけどな」
338: 矢橋P 25/01/06(月) 18:06:12 ID:yHAM
静香(私としては転入生を迎えるのは初めてになる)
静香(私みたいに落ち込んでいるだろうから慰めて……)
静香(いや、無理に関わるのもかえって逆効果だったりするのかしら)
339: 矢橋P 25/01/06(月) 18:08:02 ID:yHAM
未来「春日未来です。よろしくね」
静香「未来!?」
冴花「え、去年の校内大会で出てたあの……」
未来「でへへ~。……ごめん、来ちゃった静香ちゃん」
340: 矢橋P 25/01/06(月) 18:09:22 ID:yHAM
その日の放課後
混黒高校本校 校内
餅田「…………」ムスッ
静香「…………」ムスッ
混黒高校本校 校内
餅田「…………」ムスッ
静香「…………」ムスッ
342: 矢橋P 25/01/06(月) 18:15:09 ID:yHAM
餅田「オイラはこないだの意見を変える気はないでやんす」
静香「……そう」
餅田「本来なら静香さんとはもう相容れないでやんすけど今回は未来ちゃんが関わっているから特別でやんす」
静香「私も未来のことを聞いたらすぐ帰るわ。お互い譲れないならお互いの価値観を無理にぶつける必要はないと思うの」
静香「……未来に聞いてもね。俯いたまま『ごめん』としか言わないの」
静香「未来に何があったの」
343: 矢橋P 25/01/06(月) 18:20:41 ID:yHAM
>>341
そうです
前作の歩もMaihamanとして活躍中ですし
瑞希が前作で政府のエージェントを辞めてヒーロー連合に行ったからこそ桧垣が個人病院に居たりします
そうです
前作の歩もMaihamanとして活躍中ですし
瑞希が前作で政府のエージェントを辞めてヒーロー連合に行ったからこそ桧垣が個人病院に居たりします
344: 矢橋P 25/01/06(月) 18:23:52 ID:yHAM
餅田「……静香さんが分校残留を決めて本校に来なくなってから未来ちゃんは日に日に落ち込んでいたでやんす」
餅田「いや……その前からその傾向はあったでやんすね」
静香「私が傍にいなかったから?」
餅田「それが直接的な原因ではないでやんす」
餅田「いくら未来ちゃんでも本校のエリート達に囲まれて野球をするのは過酷だったでやんす」
餅田「そして決定的な要因は校内大会でのスタメンだったでやんす」
345: 矢橋P 25/01/06(月) 18:25:12 ID:yHAM
静香「スタメン……。でも未来はレギュラーじゃまだなかったはず……」
餅田「そうでやんす。まだ一年生で“レギュラーにも入ってないのに“スタメンに入ってしまったのが問題だったでやんす」
静香「……確かにおかしいと言えばおかしいわ」
餅田「監督は今年や来年の甲子園に未来ちゃんを起用するつもりだったでやんす。だから去年に校内大会の8番で様子見で起用したでやんす」
静香「……それが思いがけず活躍してしまったわけね」
346: 矢橋P 25/01/06(月) 18:27:43 ID:yHAM
餅田「そうでやんす。その後も練習試合に未来ちゃんを起用することになったでやんす」
餅田「でも本校の野球部は層が厚いでやんすからね、二軍、準二軍、三軍までいるでやんす」
餅田「たとえ8番でも試合に出られるということは他の部員からしたら喉から手がでるほど羨ましいのでやんす」
静香「それが甲子園女子って箔だけで起用されてるなんてなったら……荒れるわね」
347: 矢橋P 25/01/06(月) 18:28:47 ID:yHAM
餅田「始めは未来ちゃんは野球部のアイドルみたいな感じだったでやんすけど……だんだん見る目が厳しいものになっていったでやんす」
静香(普通の高校なら一人くらいそんな子がいてもご愛嬌になったかもしれない。でもここはエリート意識が凝り固まった混黒本校……)
餅田「それを受けて未来ちゃんも……試合で全然活躍出来なくなったでやんす。凡打ばかりで白い目で見られて……」
餅田「……いつも練習が終わった後には一人で泣いていたでやんす」
静香「……っ」
348: 矢橋P 25/01/06(月) 18:30:45 ID:yHAM
餅田「最後には…練習すらまともに出来なくて……」
餅田「開拓分校への転入を監督に進めたのはオイラでやんす」
餅田「未来ちゃんはどんなに傷ついてもレギュラーを……甲子園女子を諦めてはいなかったでやんすからね。見ていられなかったでやんす」
静香「……だいたいわかったわ。ありがとう、未来を気にかけてくれて」
餅田「静香さんが本校に居てくれればこんなことには……」
静香「……それは言わないで」キッ
餅田「……そうでやんすね。未来ちゃんは元々本校の環境には合わない子だったでやんす」
餅田「未来ちゃんが甲子園女子になれるところを見られないのは残念でやんすけど……」
餅田「どうか未来ちゃんを頼むでやんす」グィッ
静香「……任せて」
349: 矢橋P 25/01/06(月) 18:33:40 ID:yHAM
開拓分校 教室
未来「…………」ボーッ
ガラッ
静香「まだ教室に居たの未来」
未来「うん。何だか何していいかわからなくて……」
350: 矢橋P 25/01/06(月) 18:35:48 ID:yHAM
未来「ごめんね静香ちゃん。レギュラーになるって約束……果たせなかったよ」
静香「……そんな約束のために心をすり減らしてどうするのよ!」
未来「うん……でも行きたかったんだよ……甲子園」グスッ
静香「この開拓分校にも野球部はあるわよ。あなたならレギュラーどころか即4番だって言ってたわ」
未来「でも、分校じゃあ……甲子園には……」
静香「諦めるの?未来は私と一緒で簡単に諦める子じゃないでしょ!」
未来「でも、でもっ!規則でそうなっているんだよ?」
静香「……そのことでね、ずっと前から木村さんと一緒に考えていたことがあるの」
351: 矢橋P 25/01/06(月) 18:38:01 ID:yHAM
次の日
放課後 部室
未来「今日から野球部に入ります春日未来です」
杉田「やったぁ!」パチパチ
詰井(テレビ越しじゃあまり感じなかったけど身近で感じると……変な感じだぜ)
未来「夢は甲子園女子になることです。その為にみんなの力を借りるね」
軽井「あはは、無理だねえ。分校なうちは甲子園どころか普通の大会にすら出られないんだから」
杉田「春日さんには悪いけどそういう決まりだから……」
放課後 部室
未来「今日から野球部に入ります春日未来です」
杉田「やったぁ!」パチパチ
詰井(テレビ越しじゃあまり感じなかったけど身近で感じると……変な感じだぜ)
未来「夢は甲子園女子になることです。その為にみんなの力を借りるね」
軽井「あはは、無理だねえ。分校なうちは甲子園どころか普通の大会にすら出られないんだから」
杉田「春日さんには悪いけどそういう決まりだから……」
352: 矢橋P 25/01/06(月) 18:39:53 ID:yHAM
冴花「それがそうでもないのよ」
軽井「マネージャー!?」
詰井「おいおい、あまり希望を待たせるような冗談はよせよ」
静香「私も木村さんと同意よ」
杉田「最上さんまで……」
353: 矢橋P 25/01/06(月) 18:41:02 ID:yHAM
冴花「今年は甲子園の前に校内大会があるの。ims甲子園もあるからそれに合わせる関係でね」
冴花「それで校内大会で私達が勝ち抜いて最後本校と対決して……勝った場合どうなるかしら」
下山「ええっと……」
杉田「つまり?」
静香「うちの野球部が混黒高校の中で一番強いチームとなるでしょ。だから混黒高校代表として大会に出られるのよ」
軽井「いや木村ちゃん、それはないだろ」
冴花「混黒高校の校長の頭にあるのは本校の名を売ることよ。まったくあり得ない展開じゃないわね。……本校のチームに勝てればだけど」
354: 矢橋P 25/01/06(月) 18:42:41 ID:yHAM
下山「あの校長なら確かにそうだね……」
軽井「それじゃオレにも甲子園のチャンスが!?」
詰井「軽井、何本気になってんだよ!」
杉田「でも夢は大きく持ってたっていいじゃないか。僕も乗るよ」
355: 矢橋P 25/01/06(月) 18:43:57 ID:yHAM
静香「私達も同じよ、志保」
志保「本気で本校に……“あの子“に勝つ気なの?」
静香「志保は行きたくないの?ims甲子園に」
志保「行きたいに決まってるじゃない」
静香「素直に言いなさいよ、もう」
冴花「そこに向けて考えていることがあってね。うちは試合経験が薄いから昴監督と相談しながら進めていることが……」
356: 矢橋P 25/01/06(月) 18:45:46 ID:yHAM
詰井「木村も何具体的に決めているんだよ。こんなのムリに決まってるだろ」
未来「ツメイくん、だよね」ズイッ
詰井「ああ……」ドキッ
未来「私と一緒に甲子園目指そうよ。ダメ?」
詰井「……くそっ。そんなに面と向かって真っ直ぐに言われたら……反論出来ないだろ」
静香「決まりね」
冴花「この作戦は野球部とアイドル部、出来れば両方勝ち上がれば成功する可能性が上がるの。だからお互い目指すところは一緒、今後も一層協力し合っていきましょう」
静香「うん。お互い合言葉は“目指せ甲子園“よ」
357: 矢橋P 25/01/06(月) 18:47:05 ID:yHAM
紗代子「昴ちゃんは話しに混ざらなくていいの」
昴「ああいうのは生徒達から言い出さなきゃ駄目だろ。あれでいいんだよ」
昴(甲子園か……)
358: 矢橋P 25/01/06(月) 18:48:25 ID:yHAM
杉田「それじゃ春日さんの歓迎会でもしようよ」
軽井「いいねえ」
静香「歓迎饂飩ならすぐ出せるわよ未来!」
未来「か、歓迎うどん~?」
杉田(最上さんはうどんのことになるとおかしくなるね)
冴花(親友が引いてるじゃない……)
千羽矢「チハちゃんも食べる~」
359: 矢橋P 25/01/06(月) 18:50:14 ID:yHAM
静香「さあ、さあ。打ちたてだから美味しいわよ」ドン
未来「……これ静香ちゃんが打ったの?」
静香「私が饂飩好きなの知っているでしょ?驚くことかしら」
未来(本校のバイキングでも饂飩を食べてなかったのに……)
未来(そっか……。ようやく昔の静香ちゃんに戻ったんだね)
360: 矢橋P 25/01/06(月) 18:51:11 ID:yHAM
昴「おーっ、楽しそうだな。監督も混ぜてくれよ」
紗代子「飲み物とかだったら私も用意出来るよ」
冴花「監督!」
静香「紗代子コーチ!」
361: 矢橋P 25/01/06(月) 18:53:51 ID:yHAM
未来「女の監督なんだね~」
昴「おう、オレが監督さ。よろしくな」
静香「永吉昴監督よ。ちゃんと覚え……」
昴「あっ、本名は……」
未来「ながよしすばる……女性……」
未来「もしかして永吉昴さん!」ガタッ
昴(やべー……)
紗代子(あちゃー……)
冴花(知ってたか……)アタマオサエ
362: 矢橋P 25/01/06(月) 18:55:27 ID:yHAM
静香「知ってるの未来?」
未来「知ってるも何も……日本で唯一の甲子園女子だよ!」
静香「えっ」
杉田「ええええーーっ!」
冴花「…………」メソラシ
詰井「木村……さてはお前は知ってたな」
363: 矢橋P 25/01/06(月) 18:57:03 ID:yHAM
未来「私、4年前あなたの試合テレビで見ました。大ファンなんです!」
昴「……記録上は甲子園女子だけどな。悪いけどそれはなかったことにしておいてくれよ」
未来「え……」
静香(そういえば日本でただひとりの甲子園女子だというのに全然有名じゃない……)
静香(まるで公式から記録を抹消されているかのようだわ)
364: 矢橋P 25/01/06(月) 18:58:10 ID:yHAM
昴「だから未来が甲子園に行って“本当の“甲子園女子第一号になってくれたらうれしいな」ニッコリ
詰井「どういうことだよ監督!」
昴「……そうだな」
昴「みんなが甲子園出場出来るようになったらその時話すよ」
未来「昴さん……」
未来「わかったよ。どっちみち甲子園には行くつもりだもん」
未来「ぜったい話してもらうからね!」ビシッ
365: 矢橋P 25/01/06(月) 19:18:35 ID:yHAM
ひとまずここまで
一応静香のアイドル部の活動がこのSSのメインなのですが野球部の方も少しは触れていきます
未来を野球部員にするかアイドル部にさせるかは結構悩みましたが最終的に野球部員にしました
アイドルやらない春日未来というのもイメージしづらかったですが……
366: 矢橋P 25/01/06(月) 19:19:46 ID:yHAM
途中コメントくれた方ありがとうございます
個人的にはああいう突っ込みというか思った率直な声が聞きたいので嬉しいです
自分のクソリプと呼ばれている行為もそれを意識してます
ただ『面白かった』とか『良かった』より『ここ、こうなんだ』とか『これってどうなの?』
って作者さんに問いかけて 実はこういうこだわりなんだよ って言ってもらいたいのです
ただ迷惑がられているのも事実なのでそれが嫌な方は申し出てくれれば、その方のSSには二度とそのようなコメ送りません
個人的にはああいう突っ込みというか思った率直な声が聞きたいので嬉しいです
自分のクソリプと呼ばれている行為もそれを意識してます
ただ『面白かった』とか『良かった』より『ここ、こうなんだ』とか『これってどうなの?』
って作者さんに問いかけて 実はこういうこだわりなんだよ って言ってもらいたいのです
ただ迷惑がられているのも事実なのでそれが嫌な方は申し出てくれれば、その方のSSには二度とそのようなコメ送りません
368: 矢橋P 25/01/06(月) 22:47:55 ID:yHAM
>>367
わかりますよ
了解しました
わかりますよ
了解しました
369: 矢橋P 25/01/07(火) 15:18:36 ID:QtzM
あと申し遅れましたが今までずっと桧垣東児を絵垣東児と間違えていました
気付いたのはつい最近でこのスレッドの>>333以前の桧垣さんは絵垣さんと間違えているので心の中で修正お願いします
(桧垣の名前が出ていたのはハタ人間の時からなのでその時から間違ってることに……)
では続き投下します
370: 矢橋P 25/01/07(火) 15:21:13 ID:QtzM
数日後
開拓分校 部室
冴花「春日さん。あなたうちの野球部のキャプテンになってくれないかしら」
未来「はえ?私がキャプテン?」
未来「ど、どうして~?私この野球部に入ったばかりだよ?」
開拓分校 部室
冴花「春日さん。あなたうちの野球部のキャプテンになってくれないかしら」
未来「はえ?私がキャプテン?」
未来「ど、どうして~?私この野球部に入ったばかりだよ?」
371: 矢橋P 25/01/07(火) 15:22:02 ID:QtzM
冴花「もう少し馴染んでからとも考えたけどね。あまり時間を置くとそれはそれで難しくなるから」
冴花「それと今後の予定を考えると早い方がいいの」
未来「私、女の子だよ?」
冴花「キャプテンにそんなこと関係無いわ、実力が全てよ。……私達の野球部でそんな見栄を気にしている余裕なんて何処にもないしね」
未来「で、でも。今のキャプテンって詰井くんだよね……」
372: 矢橋P 25/01/07(火) 15:25:02 ID:QtzM
詰井「そうだぜ。そりゃ俺も自分が完璧なキャプテンだと思っちゃいないけどよ。簡単にホイホイ変えられたら堪ったもんじゃない」
冴花「……これは詰井くんのためでもあるの。野球漫画でもキャプテンって大概、野手がなっているでしょう?」
詰井「そうだけどな」
冴花「あなたは現状このチームでの唯一の投手でチームの要。他が崩れても詰井くんだけは崩れちゃいけないの」
冴花「そんなピッチャーを支えるのもキャプテンの役目よ」
冴花「ピッチャーなんてチームのことはキャプテンに任せて一人で突っ走るぐらいでちょうどいいの」
373: 矢橋P 25/01/07(火) 15:26:11 ID:QtzM
詰井「……確かに俺にピッチャーとキャプテンを両立するほどの器用さも無いからな。それは理解出来た」
詰井「だがそう簡単に はいそうですかって言えるほど俺も軽くないからな」
詰井「春日、勝負しようぜ」
未来「勝負……」
374: 矢橋P 25/01/07(火) 15:28:18 ID:QtzM
詰井「春日が打席に立って俺が投げる」
詰井「10球投げて半分……いや4球でもヒットが出れば春日の勝ちだ」
詰井「俺は全球ストライクゾーンに入れて投げるつもりで投げるが、外れてボール球なら仕切り直し。3球以降のボールはヒット扱いになる」
詰井「ヒットの内容は勝負と関係無し。二安打だろうがホームランだろうが同じ扱い」
詰井「ただファールはノーヒット扱いだ」
未来「なるほどわかりやすいね。私もそれでいいよ」
375: 矢橋P 25/01/07(火) 15:30:20 ID:QtzM
そして
グラウンド
杉田「詰井くんと春日さんの打撃勝負か。ちょっと楽しみだね」
軽井「でも春日ちゃん厳しいんじゃないの。10球うち4球ヒットたって打率でいったら4割以上ってことでしょ?」
下山「しかも春日さんまだ詰井くんの球筋を一回も見てないからね」
静香「未来……」ハラハラ
志保「あなたが緊張してどうするのよ」
グラウンド
杉田「詰井くんと春日さんの打撃勝負か。ちょっと楽しみだね」
軽井「でも春日ちゃん厳しいんじゃないの。10球うち4球ヒットたって打率でいったら4割以上ってことでしょ?」
下山「しかも春日さんまだ詰井くんの球筋を一回も見てないからね」
静香「未来……」ハラハラ
志保「あなたが緊張してどうするのよ」
376: 矢橋P 25/01/07(火) 15:33:30 ID:QtzM
昴「いきなりキャプテン交代とは冴花も思い切ったなー」
冴花「少し賭けな部分もありますけど、うちの野球部には必要な判断だと思います」
昴「……で、実際のところはまだ理由があるんだろ?」
冴花「一番の理由は空気を変えたかったからですね」
377: 矢橋P 25/01/07(火) 15:34:49 ID:QtzM
冴花「去年天空分校に負けた時の悔しさで燃えた空気が段々薄れている。あれから四ヶ月は経ちましたから仕方ないけれど」
冴花「詰井くん自体、他の部員に強く言って発破かけることが得意じゃないですから」
冴花「詰井くんの気のいい性格が悪いわけではないのですが、このことだけに限ってはマイナスね」
昴「なるほど。本校から来た未来がキャプテンになれば……」
昴「『凄いこれが本校の実力か!』となる人もいれば『本校の人間に……くそっ』と思う人もいる。良くも悪くも引き締まるってわけか」
冴花「それでギクシャクしてしまうのだけが懸念点ですが……春日さんの人柄なら大丈夫だと思いました」
378: 矢橋P 25/01/07(火) 15:36:50 ID:QtzM
詰井「それじゃ始めるぜ」
未来「うん、いいよ」
未来「…………」ググッ
詰井(こうやって向かい合っても犬みたいで迫力ないっていうか……)
詰井(いくら本校から来たっていっても女の子だしなぁ。最初の三球くらいは軽く投げてやるか)
379: 矢橋P 25/01/07(火) 15:38:58 ID:QtzM
詰井「そらよ」
ヒュッ
カキーーーン
詰井「何っ!」
未来「へへーん!今のはヒットだね」
詰井「!!」
詰井「……本腰入れないとダメみたいだな」
380: 矢橋P 25/01/07(火) 15:40:15 ID:QtzM
そして……
<カキーーーン
<カキーーーン
<カキーーーン
軽井「マジか……」
杉田「10球中9ヒット1ファール……やっぱり本校の生徒はすごいなぁ」
詰井「…………」ズーン
未来「ご、ごめんね詰井くん」
詰井「ちくしょう……俺はいつかぜったいお前から三球三振取ってやるからな!」グスッ
<カキーーーン
<カキーーーン
<カキーーーン
軽井「マジか……」
杉田「10球中9ヒット1ファール……やっぱり本校の生徒はすごいなぁ」
詰井「…………」ズーン
未来「ご、ごめんね詰井くん」
詰井「ちくしょう……俺はいつかぜったいお前から三球三振取ってやるからな!」グスッ
381: 矢橋P 25/01/07(火) 15:41:54 ID:QtzM
昴「これも冴花の思った通りか?」
冴花「本校のピッチャーでならされた春日さんが今の詰井くんの球ぐらい、打てて当然だと思ってました」
冴花(……ここまでとは思わなかったけどね。本校で弾かれたのが不思議なくらい春日さんも良いアベレージヒッターだわ)
冴花(ただ……いくつかはとても良い当たりだったけどホームランどころか二塁打すらギリギリ届かない飛距離……長打は厳しそうね)
昴「詰井も投手が一人しか居ない環境じゃ自分の力量を図りづらかっただろうからな。荒治療かもしれないがいい刺激になったと思うな」
冴花「ええ。でもやはりあと一人くらい投手が欲しいところではあるけど」
382: 矢橋P 25/01/07(火) 15:43:05 ID:QtzM
詰井「負けは負けだな。春日、今日からお前がキャプテンだ」
未来「本当にいいの……?」
詰井「おいおい、ここまで実力見せつけておいて遠慮すんなよ」
詰井「今回で俺も自分がチームでただ一人のピッチャーだって天狗になってたのに気付けたからな。またいちから練習し直すつもりさ」
詰井「これから頼むぜ新キャプテン」
未来「……わかった。みんなよろしくね!」
杉田「僕は本校から来たことなんて気にしないよ」
軽井「まああんなもの見せられたら納得するしかないよねー」
下山「また春日さんと野球を出来て嬉しいよ。今度はここで頑張ろうね」
383: 矢橋P 25/01/07(火) 15:44:28 ID:QtzM
静香「お疲れ様、未来」
未来「静香ちゃん~。でへへ~見てくれた?」
静香「うん、こんな間近で未来がバッターしてるの見るの初めてだったけど格好良かったわ」
未来「そっか~、初めてだったよね」
未来(静香ちゃんが見てくれると不思議と力入るんだよね)
冴花「それじゃ新キャプテン。今後の予定なのだけど……」
384: 矢橋P 25/01/07(火) 15:46:58 ID:QtzM
数週間後
とある会館
冴花「各分校の皆さん。密かに集まってもらってありがとう」
未来「えーと……私達分校は校内スポーツ大会で本校のチームを倒すべく連絡を密にして合同練習、対戦試合を行いレベルを上げる」っカンペ
未来「私達の分校のチームのいずれかが本校のチームを打ち倒し、混黒高校代表の地位を獲得する」っカンペ
未来「……ってことなんだけど、みんなどうかな?」
とある会館
冴花「各分校の皆さん。密かに集まってもらってありがとう」
未来「えーと……私達分校は校内スポーツ大会で本校のチームを倒すべく連絡を密にして合同練習、対戦試合を行いレベルを上げる」っカンペ
未来「私達の分校のチームのいずれかが本校のチームを打ち倒し、混黒高校代表の地位を獲得する」っカンペ
未来「……ってことなんだけど、みんなどうかな?」
385: 矢橋P 25/01/07(火) 15:48:47 ID:QtzM
≪天空分校キャプテン 須界鳥人(すかいとりと)≫
須界「ヒッヒッヒ。いいねぇ、いい感じにイカれてる」
386: 矢橋P 25/01/07(火) 15:52:25 ID:QtzM
≪海底分校キャプテン 澄原広海(すみはらひろみ)≫
澄原「ムリのある計画じゃないか。あの校長がこちらの思惑通りに動くとは思えない」
387: 矢橋P 25/01/07(火) 15:54:16 ID:QtzM
須界「じゃあ、お前さんの所はこの計画に乗らないのかい?」
澄原「いや、そうは言ってない」
澄原「甲子園に挑戦出来るかどうかは別として分校同士の協力と対戦の活性化という方針には賛成だ」
澄原「それに……」チラ
未来「?」
澄原「いや、何でもない」
388: 矢橋P 25/01/07(火) 15:55:22 ID:QtzM
須界「ウチとしてもこのあいだのスポーツ大会で本校の連中に散々やられた仕返しをしなきゃなんねえが、そもそも試合をしなきゃ野球やってる意味がないしな」
「賛成だ!」
「ウチの分校も参加するぞ!」
冴花「じゃあ決まりね。お互いに連絡先を交換して今後の予定を立てましょう」
389: 矢橋P 25/01/07(火) 15:58:12 ID:QtzM
静香「……ということなんだけど」
志保「私達アイドル部もお互い協力し合わないかしら」
390: 矢橋P 25/01/07(火) 15:59:05 ID:QtzM
≪坂夢分校代表 戸沢唯香(とさわゆいか)≫
唯香「本校に虐げられてる分校のアタシ達が集まって反逆する……ロックだねぇ、青春だねぇ!」
391: 矢橋P 25/01/07(火) 16:00:05 ID:QtzM
≪神桜分校代表 一ノ宮桜華≫
桜華「本校の横暴を正したいという考えには賛成ですわ。ですがこんなことで本校の連中が止まるとは思えません」
392: 矢橋P 25/01/07(火) 16:01:32 ID:QtzM
静香(あの人は……本校に居た一ノ宮さん)
唯香「あん?神桜分校はお嬢様だらけの女子校だったか。お高くとまったお嬢様達はアイドルなんてちゃらちゃらしたことは出来ませんってか」
桜華「……なんという品が無い言葉使い。同じ女性として同席したくありませんわね」
393: 矢橋P 25/01/07(火) 16:02:37 ID:QtzM
≪平面分校代表 佐藤正(さとうまさし)≫
佐藤「まあまあ。うちはアイドル部と言っても楽しくやれればいいって感じだからあまりバチバチしたことはやらないかな」
394: 矢橋P 25/01/07(火) 16:04:33 ID:QtzM
唯香「とか言って、あんた男だろ。男なのにアイドル目指すなんてな。風見鶏を決め込んでいるふりして心では虎視眈々としてんじゃねーの?」
※基本的にアイドル部は女性が所属するものとなっています
佐藤「ごめん、僕はマネージャーなんだ。うちの部の子は面倒くさがって誰も来たがらなくてさ」
唯香「なんだ、そうだったのかい。アタシが早とちりしてすまなかったな」
395: 矢橋P 25/01/07(火) 16:05:42 ID:QtzM
静香「別に強制するつもりはないの。ただアイドル部も野球部みたいに協力し合えるところはした方がいいと思うのよ」
唯香「具体的にはどういうことだ?」
志保「唯香さんの坂夢分校は音楽機材が一通り揃ってますよね?」
唯香「ああ、かつては県内でも有数の音楽高校だったからな」
唯香「まあその設備が金銭的に維持出来なくて混黒高校に吸収されちまったんだけどな!」
志保「私達はその設備を貸して欲しいの」
396: 矢橋P 25/01/07(火) 16:07:22 ID:QtzM
唯香「素直なこったでよろしいが……こちらのメリットは?」
昴「オレがそっちのアイドル部のレッスン指導するんだよ」
昴「要は合同練習さ。一ヶ月に一回ぐらいそちらの学校に行って分校同士でレッスンを行う」
昴「その時そちらの機材を使わせてもらう代わりにダンスなどをオレと紗代子が指導するってこと」
昴「それならそっちの負担が少ないだろ?」
397: 矢橋P 25/01/07(火) 16:08:31 ID:QtzM
唯香「確かにアタシらは音楽関連は強いがダンスとかはからっきしだからねぇ。そいつはありがたいね」
唯香「だがウチの高校の設備も普段は本校の連中が我が物顔で使っているからねぇ。その合間を狙うとなると夕方遅くとかなるぜ?」
志保「構わないわ」
静香「佐藤さんと一ノ宮さんはどうですか?」
佐藤「一応うちの子達に話してみるけどたぶんOKは出ないかなぁ……」
桜華「私の神桜の生徒を殿様方がいる高校に派遣なんか出来ませんわ」
志保(平面分校と神桜分校の説得は無理か。そんな簡単なわけないわよね)
398: 矢橋P 25/01/07(火) 16:11:25 ID:QtzM
未来「静香ちゃん~終わったよ~」
静香「こっちもよ。未来は新キャプテンとしてどうだった?」
未来「うーん。冴花ちゃんに貰った紙の内容を読んでただけだったからあまり活躍してないよー」
冴花「別に悪いところはなかったし、他の分校のキャプテンもあなたには一目置いてたわ」
冴花「私だけで提案しても田舎の弱小分校って鼻で笑われていたかもしれない。それだけで充分よ」
志保「本校から来た女キャプテンって時点で強い印象だものね」
399: 矢橋P 25/01/07(火) 16:12:47 ID:QtzM
未来「私以外にも女キャプテンはいたよ?澄原さんも女の子だったから」
志保「本当に?」
静香「未来以外にも男子と混ざって野球する女の人が居たのね」
冴花「彼女も本校から分校への転入生。だからかな、何だかんだ言いながらも春日さんの言うことを納得していたわ」
未来「そうだったんだ……。アイドル部の方は?」
400: 矢橋P 25/01/07(火) 16:14:25 ID:QtzM
静香「こっちは同意を得られたのは坂夢分校だけね」
昴「今回声かけて集まったアイドル部はオレ私達を含めても4校だけだったしな」
昴「本当はもっとあるんだけど、他の分校のアイドル部は規模が同好会止まりなんだよなー」
志保「野球部と歴史の違いが現れた結果でしょ。仕方ないわよ」
昴「まあこれからims甲子園が盛り上がってくれればもっと増えると思うけどな」
志保(……私以外にも澄原さんや未来みたいに本校から落とされて分校に転入したアイドル部の人が居るはずだけど見ないわね)
志保(どうしているのかしら……)
401: 矢橋P 25/01/07(火) 16:16:09 ID:QtzM
澄原「ちょっといいかい」
冴花「いいですけど……。何か確認かしら?」
志保(すごい体格……)
静香(……だけど確かに声は女性だわ)
402: 矢橋P 25/01/07(火) 16:17:04 ID:QtzM
澄原「おたくのキャプテンと話しがしたい」
冴花「!!」
未来「いーよ、澄原さん」
澄原「春日未来だよね。去年あんたの校内スポーツ大会での活躍、見させて貰ったよ」
未来「私はまだそんなに言ってもらえる選手じゃないよ。本校に居られなくてこっちに来たんだから」
澄原「それを言ったらあたしだって同じさ。……わざわざ男子に混ざって甲子園を目指しているところも含めてね」
未来「……」
403: 矢橋P 25/01/07(火) 16:19:29 ID:QtzM
澄原「あたしは本気で甲子園を目指している。あんただってそうだろう?」
未来「澄原さんも本気なんだね。でも私だって負けないよ」
澄原「その言葉が聞きたかったんだ。本校をうまく言いくるめたとしても甲子園に行けるのはどちらか片方だけ」
澄原「お互い甲子園女子になれるよう頑張ろうじゃないか」
スタスタスタ
未来「……何だかやる気出てきたよ。さあ帰って練習しようよ!」
静香「そうね、帰ってレッスンよ志保」
404: 矢橋P 25/01/07(火) 16:20:31 ID:QtzM
こうして分校同士で協力出来る範囲は協力し合うようになった
打倒本校のためなら出来ることは全部やらないと
405: 矢橋P 25/01/07(火) 18:43:25 ID:QtzM
混黒高校本校 校長室
九能「校長すみません。目をかけていた女子が分校に移り史上二人目の甲子園女子の実現は不可能で……」
福山校長「ああそれか。別に良いぞ九能監督」
福山校長「今はそれよりims甲子園じゃ。もし第一回目初優勝が我が校になれば……ふぉっふぉっふぉっ」
福山校長「今はスポーツ以外も注目される時代じゃからのう」
九能「…………」
福山校長「甲子園女子はもう気にしなくてもよい。野球部はそのまま甲子園を目指すんじゃ」
福山校長「九能監督としても女子をチームに入れない方がやり易かろう?」
九能「……わかりました。失礼します」
九能「校長すみません。目をかけていた女子が分校に移り史上二人目の甲子園女子の実現は不可能で……」
福山校長「ああそれか。別に良いぞ九能監督」
福山校長「今はそれよりims甲子園じゃ。もし第一回目初優勝が我が校になれば……ふぉっふぉっふぉっ」
福山校長「今はスポーツ以外も注目される時代じゃからのう」
九能「…………」
福山校長「甲子園女子はもう気にしなくてもよい。野球部はそのまま甲子園を目指すんじゃ」
福山校長「九能監督としても女子をチームに入れない方がやり易かろう?」
九能「……わかりました。失礼します」
406: 矢橋P 25/01/07(火) 18:45:09 ID:QtzM
バタン
教頭「それと校長。一ノ宮の娘ですが……」
福山校長「まだ足掻いておるのかね。無駄だというのに、まあ放っておけばよい」
教頭「しかし万が一ということも……」
福山校長「これ以上目障りになった時は別の分校に飛ばせばよい」
福山校長「その時はあの分校に飛ばすとするかのう」
教頭「……あそこですか」
福山校長「あの分校は“彼ら“の目があるからのう。監視もしやすい」
福山校長「しかもいざって時は分校ごと切ってもよいことになっておる。適任じゃろうて」
407: 矢橋P 25/01/07(火) 18:48:16 ID:QtzM
そうして私達の学校生活も進み……
数日後
早朝 電車内
ガタンゴトン ガタンゴトン
未来「眠いねー。今日も朝早いよー」
静香「家から電車で50分ですもの、始発電車に乗らないと朝練には間に合わないから仕方ないわよ」
未来「今乗っている電車だって私達以外誰も乗ってないしね」
408: 矢橋P 25/01/07(火) 18:49:26 ID:QtzM
ガタンゴトン ガタンゴトン
静香「でもその割には嬉しそうね未来」
未来「でへへ~。そう見えるかな」
未来(だってこの時間だけは静香ちゃんと二人きりでいられるんだもん)
ガタンゴトン ガタンゴトン
409: 矢橋P 25/01/07(火) 18:52:32 ID:QtzM
開拓分校 教室
休憩時間
未来「ジャガイモってナス科なの!?」
ナス科の主な野菜
ナス、トマト、ピーマン、ジャガイモ、唐辛子
未来「ピーマンやトマトはなんとなくわかるよ。でもジャガイモもナス科なんだね」
詰井「ナスと同じって思うと驚くかもしれないけどな。ジャガイモの花を見てみろよ」
↓↓↓
410: 矢橋P 25/01/07(火) 18:53:27 ID:QtzM
411: 矢橋P 25/01/07(火) 18:55:17 ID:QtzM
※上の画像は日本いも類研究会のからの提供です。貴重な写真ありがとうございます
未来「本当だー!ナスだー!」
未来「それじゃサツマイモもナス科かな?」
詰井「サツマイモはヒルガオ科だよ。そもそもサツマイモとジャガイモは全く違う野菜だぜ?」
※農業高校生あるある とりあえず野菜の科名は覚える
未来「本当だー!ナスだー!」
未来「それじゃサツマイモもナス科かな?」
詰井「サツマイモはヒルガオ科だよ。そもそもサツマイモとジャガイモは全く違う野菜だぜ?」
※農業高校生あるある とりあえず野菜の科名は覚える
412: 矢橋P 25/01/07(火) 18:56:28 ID:QtzM
静香「あら未来。詰井くんとお勉強?」
未来「そうだよ~。農業の勉強はここの分校に来てから初めてだもん」
詰井「農業のことなら俺の方が上だからな」フンス
杉田(野球で負けてるからって農業でマウント取ってるよ……)
413: 矢橋P 25/01/07(火) 18:58:13 ID:QtzM
静香「それで少しでも遅れを取り戻そうとしているのね。偉いわよ」
未来「褒められちゃった~。でもここの勉強は楽しいね、本校から来てよかったなぁ」
詰井「嬉しいこと言ってくれるな。そう言ったのは春日が初めてだぜ」
未来「そうだ。ジャガイモとサツマイモって何が違うの?」
静香「ジャガイモは芋自体は地中にあるけど茎から実を付けるの。サツマイモは根っこ自体が太くなって出来るものだったわね」
詰井「最上はちゃんとわかってるみたいだな」
未来「静香ちゃんすごーい」
静香「ちなみに小麦はイネ科よ!」ドヤァ
杉田(誰も聞いてないよ……)
詰井(いつか自分で饂飩打つ時に小麦から作るつもりなのか?)
414: 矢橋P 25/01/07(火) 19:06:39 ID:QtzM
詰井「そう言えば変な噂聞いたんだけどよ。混黒高校の分校って十一校あるだろ?」
未来「それがどうかしたの?」
詰井「何でも実はもう一つ、十二番目の分校が隠されているって話しだぜ。なんか面白そうだろ?」
未来「本当にー?」
詰井「何でもどん底まで落ちこぼれた生徒はそこの分校に引きずり込まれて帰ってこれないって話しだぜ」
静香「なにそれ。どうせどっかの先生が脅しで作った作り話でしょう?」
未来「でも面白いかも。なんか学校の七不思議みたいでさ」
415: 矢橋P 25/01/07(火) 19:09:17 ID:QtzM
杉田「不思議な話でいいなら僕も一つあるよ」
未来「えー、杉田くん。なにー?」
杉田「“ヒーロー掲示板“って知ってる?」
未来「知らないー」
詰井「俺も聞いたことないぜ」
静香「私もよ」
416: 矢橋P 25/01/07(火) 19:14:23 ID:QtzM
杉田「何でもここ1年ぐらい前から現れたんだけどね。困ったこと書き込むとヒーローが来て助けてくれるんだってさ」
詰井「なんだよそりゃ。俺の話より嘘くさいぜ」
杉田「本当なんだって。受け付けるのは子供限定でね」
杉田「基本的にはお悩み相談みたいなもんでさ」
杉田「好きな子がいるとかテストの点がやばいみたいな書き込みには励ましみたいに返信くれるんだ。なかなか手厳しいみたいだけど……」
杉田「それで本当に危ない時だけ返信だけじゃなく本当にヒーローが来て助けてくれるんだって」
杉田「実際にヒーローが来てくれたケースは二回だけみたいだけど」
417: 矢橋P 25/01/07(火) 19:17:20 ID:QtzM
静香「さすがに信じられないわね……」
詰井「どうせ数人が大袈裟に言ってるだけだって」
杉田「何より凄いのはその掲示板は“嘘“がすぐばれるんだって」
未来「嘘ってどういうこと?」
杉田「そんな掲示板があったらさ、集まる人がいい人だけじゃないんだよ」
杉田「茶化すくらいならまだいいけど、別に困ってもいないのに嘘を書き込む人とかさ」
杉田「どういうわけかその掲示板立てた人はそういうの分かるみたいで嘘とか書き込んでも相手にしないんだって」
詰井「どうせ数人が大袈裟に言ってるだけだって」
杉田「何より凄いのはその掲示板は“嘘“がすぐばれるんだって」
未来「嘘ってどういうこと?」
杉田「そんな掲示板があったらさ、集まる人がいい人だけじゃないんだよ」
杉田「茶化すくらいならまだいいけど、別に困ってもいないのに嘘を書き込む人とかさ」
杉田「どういうわけかその掲示板立てた人はそういうの分かるみたいで嘘とか書き込んでも相手にしないんだって」
418: 矢橋P 25/01/07(火) 19:20:54 ID:QtzM
詰井「分かるみたいってどうやってそんなもん分かるんだよ。ネットなんて子供が書き込んでるのかおっさんが書き込んでるのかも分かんないんだぜ」
杉田「それが不思議なところなんだよ。ある時なんか一人のユーザーがこんな掲示板なんかインチキだって暴れたんだよ」
杉田「掲示板の管理人も最初は無視していたみたいだけど……」
杉田「最終通告しても暴れるのやめなかったその人は管理人が一喝したらいなくなっちゃった」
杉田「その暴れていた人が最後に書き込んだ内容は『ディスプレイ越しからオレのこと見てやがる』だったよ」
未来「ひぇー。最後はちょっと怖かったかも」
419: 矢橋P 25/01/07(火) 19:26:07 ID:QtzM
静香「……杉田くん詳しいわね」
杉田「僕その掲示板半年前に見つけてさ。たまに覗くんだ」
詰井「そこまで言われたら気になってきたな。俺も調べて除いてみようかな」
杉田「あー……今の時期は駄目だね」
詰井「何で駄目なんだよ」
420: 矢橋P 25/01/07(火) 19:27:02 ID:QtzM
杉田「そのヒーロー掲示板って立ったり消えたりするんだ。最近は消えていて見れないよ」
詰井「なんだよ。やっぱり杉田の作り話じゃねえのか」
杉田「作り話じゃないよ本当だよ!」
未来「でも私は信じたいなぁ。この世界にそんなヒーローがいるならいてほしいもん」
静香(私は正直信じられないけど……未来の気持ちもわかるわ)
421: 矢橋P 25/01/07(火) 19:35:37 ID:QtzM
そして
たくさんの大福<ズラーッ
未来「えーーっ。チハヤちゃん本当にこれ全部食べていいの?」っ大福
千羽矢「いいよ~。杉田くんや未来ちゃんにはもらってばっかでしょ?」
未来「やったー」モキュモキュ
たくさんの大福<ズラーッ
未来「えーーっ。チハヤちゃん本当にこれ全部食べていいの?」っ大福
千羽矢「いいよ~。杉田くんや未来ちゃんにはもらってばっかでしょ?」
未来「やったー」モキュモキュ
422: 矢橋P 25/01/07(火) 19:42:07 ID:QtzM
千羽矢「だからエリちゃんにたまにはチハヤちゃんがお返ししなきゃ駄目だよって言われたんだ~」パクパク
杉田(多分このたくさんの大福も恵理先生が用意したものなんだろうな)
杉田(……でも、自分一人で全部食べなかったんだ)
未来「それじゃ……私も禁断の秘密兵器を出しちゃうよ~」ゴソゴソ
未来「じゃーん。生クリーム!!!」
杉田(えぇ……)
423: 矢橋P 25/01/07(火) 19:46:35 ID:QtzM
未来「ちゃんと保冷剤と保冷バッグに入れてきたから鮮度は大丈夫だよ」
未来「これをー大福にかけてー食べれば……」パクッ
未来「幸せ~~」
杉田「本当だ!確かにおいしい」パクッ
千羽矢「未来ちゃんてんさいだー!」パクパク
424: 矢橋P 25/01/07(火) 19:49:56 ID:QtzM
詰井「なんだあれ……」
志保「お菓子パみたいなものらしいわよ」
志保「最近千羽矢さんに未来がお菓子あげてたでしょ?杉田くんも巻き込んでいつの間にかああなったらしいわ」
詰井「あんなことして最上が黙っていないと思うんだけどな」
志保「静香は今道場で饂飩打ってるわ」
詰井「なるほどその時を狙ってか。ちゃっかりしてんな」
425: 矢橋P 25/01/07(火) 19:53:37 ID:QtzM
そして
放課後 部室
下山「今日は高山コーチの日だね」
軽井「ってことは山ランニングの後は基礎トレーニングかぁ……」
放課後 部室
下山「今日は高山コーチの日だね」
軽井「ってことは山ランニングの後は基礎トレーニングかぁ……」
426: 矢橋P 25/01/07(火) 20:01:03 ID:QtzM
バタン
未来「みんな!」
下山&軽井「キャプテン!?」ビクッ
未来「何しているの。ほら、ランニングに行くよ」ダダダッ
427: 矢橋P 25/01/07(火) 20:05:53 ID:QtzM
軽井「春日ちゃんに言われたらやるしかないかぁ」
下山「そうだね」
静香(…………)チラ
静香(しっかりキャプテンやってるじゃない)
428: 矢橋P 25/01/07(火) 20:07:20 ID:QtzM
本校から来た未来がみんなと馴染めるかどうかが不安だったけど未来はすぐみんなと馴染んだようだった
志保にそのことを話したら あなたがそれを言うの?未来の方がよっぽど素直よ って返された
ぐっ、確かに私は分校に来たばかりの時は態度悪かったけど……
そうして三学期も終わり、私達はひと学年上がり二年生に。
開拓分校で高校二年生が始まった
429: 矢橋P 25/01/07(火) 20:15:04 ID:QtzM
二年目 四月上旬
開拓分校 教室
静香「新学期もみんなよろしくね」
詰井「おう。と言ってもいつものメンバーは春休みでも練習で顔を合わせているけどな」
冴花「今年も野球部とアイドル部で力合わせていきましょうね」
未来「うん。目指せ甲子園!」ビシッ
430: 矢橋P 25/01/07(火) 20:16:07 ID:QtzM
詰井「そうだ。先輩の話だと二年生新学期早々が都落ちが一番多いんだってな」
静香「そうなの?」
冴花「本校は三学期末に校内学力テストがあるのよ」
冴花「学力の成績で本校にいる人はそこで落第点取ると分校に落とされるの」
冴花「スポーツ推薦組も学期末に総括があってね。この一年間でどんな成績を残したか、どれほど成長したかを振り返って」
冴花「そこでも成績悪かった人は分校に落とされるのよ」
杉田「うわ……厳しいなぁ」
431: 矢橋P 25/01/07(火) 20:18:15 ID:QtzM
静香「……一つ疑問なのだけど昨年度の開拓分校って転入生が少なかったわね」
冴花「……確かに去年の転入生は最上さんに大畠くん北沢さん下山くんに春日さんの5人だけ……」
詰井「誰がこんな田舎の分校を好き好んでくるかよ。部活だって野球部とアイドル部に幽霊部員だらけのバレー部しかないんだぜ」
志保(確かにそうだけど……板夢分校の戸沢さんに聞いたら本校から数十人は転入生が来ていたみたいだし少し変ね……)
432: 矢橋P 25/01/07(火) 20:19:03 ID:QtzM
静香「そう言えば私はテニス部目当てでここに来たけど志保はどうしてこの分校を選んだの?」
志保「別に。家から近かっただけよ」
志保「アイドル部云々は転入してから気付いたわ」
静香「そうだったのね。あら、そろそろHRが始まるみたいよ」
※志保が静香達と一緒に通学しないのは志保の家が学校から近いからです
433: 矢橋P 25/01/07(火) 20:22:21 ID:QtzM
恵理「みんな新学期おめでとう。二年生になっても担任は変わらず私だからよろしくね」
「「「はーーい」」」
恵理「それで……HRの前に新しい仲間、転入生を紹介するよ」
静香(昨年度は少ないって思っていたけど今年度はちゃんといたみたいね)
未来(仲間が増えるの楽しみだなぁ)
434: 矢橋P 25/01/07(火) 20:23:49 ID:QtzM
恵理「それで今回は4人も増えるから賑やかになるよ」
恵理「まず晴海若来(はるみもく)ちゃん」
若来「…………」ズーン
冴花(この世の終わりみたいな顔をしているわね……)
435: 矢橋P 25/01/07(火) 20:25:21 ID:QtzM
恵理「一ノ宮桜華さん」
桜華「……不本意ですが本日よりこちらでお世話になることになりました」
静香(え……一ノ宮さん!?)
436: 矢橋P 25/01/07(火) 20:26:32 ID:QtzM
恵理「それに川田由良里ちゃん(かわたゆらり)と七島麻美ちゃんだね」
未来「麻美ちゃん!?」ガタッ
由良里「川田由良里です。よろしくお願い致します」
麻美「麻美です……」
麻美「よろしく…………お願いします」ウツムキ
437: 矢橋P 25/01/07(火) 20:28:59 ID:QtzM
恵理「本校からここに来てショックかもしれないけれど住めば都っていう言葉もあるんだよ。これからみんなと仲良くやっていこう」
若来「…………」ボーッ
志保(晴海さんは上の空でそれどころじゃないみたいね)
438: 矢橋P 25/01/07(火) 20:29:54 ID:QtzM
桜華「先生は仲良くとおっしゃいましたけど、私は忙しいからそんなことに時間を取る暇はありません」
桜華「そのつもりで接してくれると助かりますわ」
ざわざわ
詰井(なんだよ一ノ宮ってやつ感じ悪いな。これだから本校のやつは……)
439: 矢橋P 25/01/07(火) 20:31:17 ID:QtzM
由良里「……ひとまず席に座りましょう麻美ちゃん」
麻美「……うん」
冴花(こっちもこっちで訳ありみたいね……)
新たなクラスメートが加わって始まった新学期
だけど……その転入生達は未来みたいに簡単にいきそうにないみたい
440: 矢橋P 25/01/07(火) 20:40:48 ID:QtzM
ひとまずここまで
農業高校に居た経験がSSに活かされる日が来るなんて人生何が起きるかわからないですね
物語も一年目が終わり新キャラ加えた二年目となります
ご視聴ありがとうございました
農業高校に居た経験がSSに活かされる日が来るなんて人生何が起きるかわからないですね
物語も一年目が終わり新キャラ加えた二年目となります
ご視聴ありがとうございました
441: 矢橋P 25/01/08(水) 19:53:24 ID:jcG2
新規プロフィールをまとめて投下します
442: 矢橋P 25/01/08(水) 19:55:04 ID:jcG2
高山紗代子 熱血指導コーチ
大学を卒業したばかりの新米コーチ
その秘めたる情熱はコーチにも存分に生かされている
今回昴の頼みでここに来たが本来はバレーボールのコーチが本職
かつてハタ侵略が起きた際は海美の先輩であり、パライソ高校の生徒会の一員として田中琴葉を支え続けた
443: 矢橋P 25/01/08(水) 19:57:04 ID:jcG2
喜沢秀安 開拓分校用務員
開拓分校の用務員をしているおじいさん
用務員と馬鹿にするなかれ、農作業で使用する道具や機械の整備
また畑の大掛かりな手入れ(耕耘等)などは彼の仕事
学校側から見たら昴より働いていたりする
444: 矢橋P 25/01/08(水) 20:02:49 ID:jcG2
須界鳥人 天空分校のキャプテン
天空分校野球部のキャプテンを務める男
何故か常にパイロット用のゴーグルを付けており変な髪型をしている
彼が通っている天空分校は高い山の上にあり選手達の基礎体力もやや高い
常にリズムカルな喋り方をしているが最近ウケが悪いのでやめようか悩んでいる
445: 矢橋P 25/01/08(水) 20:04:24 ID:jcG2
澄原広美 海底分校キャプテン
海底分校のキャプテンを務める女の子
ポジションは投手
女子高校生にしては破格な身長170越えの体格で“女子の中“というくくりならトップクラスの身体能力を持つ
その身体能力から繰り出される速球は本校でもなかなかないとのこと
そんな体格に可愛げは一切ないとコンプレックスを抱いてはいるが実のところは主に女子に人気があり本人を困惑させている
446: 矢橋P 25/01/08(水) 20:06:40 ID:jcG2
戸沢唯香 板夢分校代表
板夢分校の代表を務める女の子
アイドル部のリーダーだが軽音部のリーダーも兼任している
演奏する楽器はギター
バンドで培った情熱をアイドル部の活動にもぶつけたいと思っているがアイドルの試合には楽器の使用禁止を知った時は本気でがっかりしていた
姉御肌な澄原とは気が合いそうだと思っている
楽器演奏でアイドルってそれって○ンドリ……
447: 矢橋P 25/01/08(水) 20:09:48 ID:jcG2
佐藤正 平面分校アイドル部マネージャー
名前の通り平凡な高校の平凡な自分を変えるためにアイドル部のマネージャーになった男の子
ただ現実は甘くなく、部活動の内容は練習もせず普段お菓子を食べてお喋りするだけの部員達を眺めることだけだった
でも本人はそんな部活動に割と満足している
448: 矢橋P 25/01/08(水) 20:12:43 ID:jcG2
川田由良里 無表情な麻美の親友
無表情で神出鬼没な少女
麻美に救われた過去があり一生の親友でいようと思っている
麻美と同じでバスケ選手でもあった
その時は自身の特長を生かした3Pシューター
冗談も嗜むが言う状況と言う相手は選んでいる
449: 矢橋P 25/01/08(水) 20:14:05 ID:jcG2
晴海若来 普通の女の子
学力の成績で混黒高校本校に入った少女
自慢出来る特技があるわけでもなく学力もそれほど優れていたわけでもなかったので次第に端に追いやられ開拓分校に移された
彼女の名前はミリオンライブでもパワポケでも存在しないオリジナル
ただモデルはおりパワポケ13のモブの女の子に無理やり名前を付けさせてもらいました
特別な人じゃない普通の彼女の視点が欲しかったので。ごめんなさい
450: 矢橋P 25/01/08(水) 20:39:21 ID:jcG2
澄原広美が本編で出たのでちょっとだけ
散々トンチキだのなんだのと言われているパワポケですが
14のシリーズの歴史の中で甲子園に行けた女の子は澄原広美ただ一人だけです(ピンク達は人外なので除外)
割と自由な社会人野球はともかくプロ野球編ではついぞ女性のプロ野球選手は現れることはありませんでした
(パワプロには早川あおい、橘みずき、六道聖、等女性プロ野球選手は居ます)
何だかんだでパワポケはそういうところはシビアでした
それに習い自分も甲子園女子という単語を勝手に作っていますが慎重には考えています
散々トンチキだのなんだのと言われているパワポケですが
14のシリーズの歴史の中で甲子園に行けた女の子は澄原広美ただ一人だけです(ピンク達は人外なので除外)
割と自由な社会人野球はともかくプロ野球編ではついぞ女性のプロ野球選手は現れることはありませんでした
(パワプロには早川あおい、橘みずき、六道聖、等女性プロ野球選手は居ます)
何だかんだでパワポケはそういうところはシビアでした
それに習い自分も甲子園女子という単語を勝手に作っていますが慎重には考えています
452: 矢橋P 25/01/21(火) 10:37:39 ID:6VaB
山西先生「それじゃ新学期一発目の授業始めるぞ!」
「先生ー!晴海さんが居ませんー!」
山西先生「ええっ!」
453: 矢橋P 25/01/21(火) 10:38:14 ID:6VaB
冴花「晴海さんは早退しました。おそらくサボりだと思います」
詰井「……」
山西先生「い、いや決めつけは良くないよ。体調が悪かっただけかもしれないしね」
山西先生「さあ、今日は肥料について勉強するよ」
454: 矢橋P 25/01/21(火) 13:51:59 ID:jSOk
志保(絶対サボりね)
未来「ねー、静香ちゃん。何で晴海さんは早退したのかな」
静香「……彼女は学力の成績で本校にいた組だったでしょう?農業基礎なんて学科を勉強しても本校に戻るためには全く為にもならないと思ったんでしょうね」
志保「そうね。私達と混ざってこんなレベルの低い授業受けるより家に帰って自習したほうがマシだと判断したんじゃない?」
未来「そうなんだ……」
静香(私も少し気持ちが分かる。私だってここに来たばかりの時は一刻も早く戻りたいって考えが頭の中を支配していたもの)
455: 矢橋P 25/01/21(火) 13:53:46 ID:jSOk
休憩時間
<キンコンカンコーン
未来「麻美ちゃん。久しぶりだね」
麻美「あ……」
麻美「………」サササッ
未来「あー、待って」
未来「……私、嫌われることしたのかなぁ」
静香「そんなことないと思うけれど……」
<キンコンカンコーン
未来「麻美ちゃん。久しぶりだね」
麻美「あ……」
麻美「………」サササッ
未来「あー、待って」
未来「……私、嫌われることしたのかなぁ」
静香「そんなことないと思うけれど……」
456: 矢橋P 25/01/21(火) 13:55:07 ID:jSOk
杉田「あの……一ノ宮さん」
桜華「何か緊急の用でしょうか」
杉田「いや……そうではないけど」
桜華「でしたら特に話すことはありませんわ。私は忙しいのですの」
スタスタスタ
詰井(やっぱり感じの悪いやつだぜ)
457: 矢橋P 25/01/21(火) 14:00:04 ID:jSOk
そして……
放課後
詰井「晴海は一発目から早退で」
未来「麻美ちゃんは授業は普通に受けているけど、休み時間になったらどっか行っちゃって誰とも関わろうとしないんだ……」
杉田「一ノ宮さんは話しかけてみたけど相手にしてくれなくてさ。授業が終わったらすぐ帰っちゃった」
冴花「川田さんはその中ではまともだけど七島さんの付き添いというかフォローでみんなと関われないみたいね」
詰井「四人とも問題児かよ。新学期早々きついぜ」
458: 矢橋P 25/01/21(火) 14:01:10 ID:jSOk
志保「別に無理に馴れ合う必要はないんじゃないかしら。本人達の問題だし」
未来「でもせっかくのクラスの仲間なのに……」
志保「未来はお人好し過ぎよ」
459: 矢橋P 25/01/21(火) 14:02:42 ID:jSOk
静香「確かに本人次第だけど未来の言う通り、ただ黙って傍観しているのも無慈悲だわ」
志保(……静香も変わったわね)
静香「麻美は私と未来で当たってみる。何故か避けられているけど親友だもの」
未来「麻美ちゃんが打ち解けたら由良里ちゃんも何とかなると思うよ」
460: 矢橋P 25/01/21(火) 14:03:40 ID:jSOk
冴花「晴海さんは本人次第ね。本校に戻りたがっているうちは私達と馴れ合わないと思うわ」
志保「本人の中で解決できればいいんだけど……」
静香「戻れないと諦めたら……私達の出番ね」
詰井「後は一ノ宮だけど……一番厳しいかもな。申し訳なさそうにしている七島と違って本人が馴れ合うのを拒否しているみたいだからな」
杉田「でも何か事情がありそうだったよ」
461: 矢橋P 25/01/21(火) 14:05:30 ID:jSOk
志保「ならその事情を私達に打ち明けてくれない限りは私達から出来ることは無いわね」
志保「本人が一人で解決しようと思っているのに私達が無理に割り込むのも無粋だわ」
未来「そっか……」
冴花「方針はだいたい決まった。四人とも最低限は関わる用意はしておくけど、あくまで本人次第ってことを忘れずにね」
静香「わかっているわ」
462: 矢橋P 25/01/21(火) 14:07:16 ID:jSOk
数日後
教室 一時限目 国語
恵理「この文章は……」
若来「…………」ボーッ
463: 矢橋P 25/01/21(火) 14:08:53 ID:jSOk
未来「今日は早退しないみたいだね晴海さん」ヒソヒソ
静香(彼女の中で整理がついたのかもしれないわね)
464: 矢橋P 25/01/21(火) 14:09:09 ID:jSOk
放課後 校舎隅
麻美「…………」ソソソ…
静香「こんなところに居たのね麻美」
麻美「!」ビクッ
465: 矢橋P 25/01/21(火) 14:11:14 ID:jSOk
静香「あなたに避けられて未来が落ち込んでいるの。私、嫌われたのかなぁってね」
静香「何であなたが分校に?あなたに何があったの」
麻美「……私に関わらないでよ」
静香「話しぐらいしても……ってあなたその右手の包帯」
静香「まだ怪我が治ってなかったの…………あなたまさか!」
466: 矢橋P 25/01/21(火) 14:13:01 ID:jSOk
麻美「…………」
麻美「シュートを打つと痛みが走るんだよ。ドリブルするとね、ボールがコントロール出来ないんだよ」
麻美「パスもね…………片手じゃ無理なんだよ」
467: 矢橋P 25/01/21(火) 14:13:38 ID:jSOk
静香「病院には……」
麻美「もちろん行ったよ。…………私の右手もう治らないんだって」
静香「だから分校に……」
麻美「そう。静香ちゃんの時と同じだよ。本校で使えないから分校に飛ばされちゃった」
麻美「治ったら戻っておいでだってさ。……治らないって言われたのに……ね」
静香「麻美……」
麻美「分かったならもういいでしょ、今は誰とも話したくないんだよ」
麻美「……特に静香ちゃんとは」
468: 矢橋P 25/01/21(火) 14:14:55 ID:jSOk
静香「何でなの。私だってあなたと一緒で怪我が原因で分校に来たのよ。あなたの気持ちが……」
麻美「……っ!」
麻美「わからないよっ!だって静香ちゃんは治ったじゃん!」
麻美「私は治らないんだよ。治らない人間の気持ちなんて分かるわけないよ!」
麻美「……もう、放っておいてよ!」
ダダダダダッ
469: 矢橋P 25/01/21(火) 14:18:17 ID:jSOk
静香(麻美……)
静香(あなたの気持ちは良く分かるの。私も一度は怪我が治らないって言われていたもの)
静香(私の怪我……私の場合は……そうだ!)
静香(絵垣先生なら麻美の怪我も治せるかもしれない)
470: 矢橋P 25/01/21(火) 14:19:53 ID:jSOk
志保「そろそろレッスンの時間だけど静香はどこに行ったのかしら」
志保「部室にはいなかったし、未来は野球部員と一緒に練習を始めているから教室かな」
ガラッ
志保「教室にも居ないか…………っ」
晴海「……」ボーッ
471: 矢橋P 25/01/21(火) 14:20:48 ID:jSOk
志保(……仕方ないわね)ハァ
志保「久しぶりね晴海さん」
晴海「北沢さん、久しぶり……ですね」
志保「確か本校の時一緒のクラスでしたよね。私は最初の一ヶ月ぐらいしか居なかったけど」
472: 矢橋P 25/01/21(火) 14:22:58 ID:jSOk
晴海「うん。……あそこってすごいところだったよね」
志保「そうですね」
晴海「食事も豪華でタダだったし設備もこんなの高校なの?って思うくらい豪華だった」
志保「そう」
晴海「ねぇ……何で私はこんなところにいるのかな」
志保「……」
473: 矢橋P 25/01/21(火) 14:25:13 ID:jSOk
晴海「テストの点が悪かったから。そうよねそれはわかってる、全部自分の責任なの」
志保「……」
晴海「私ね、中学生の時の友人に本校でのことを自慢してたの。みんな羨ましがってくれたわ」
晴海「中学生の頃は学年の順位で一桁より落ちたことなくて……こんな自分が耐えられないくらいみじめで……」
志保「……だったら私に愚痴ってる暇あるなら勉強しなさいよ。それしかないじゃない!」
晴海「無理よ!カリキュラムも勉強の進み具合も本校とは全然違うんだもの」
晴海「一度落ちたらもう無理なのよ……」グスッ
474: 矢橋P 25/01/21(火) 14:26:30 ID:jSOk
志保「……情けないわね。そんな程度のやる気しかないくせにプライドだけは高くて見栄だけ張ってどうするのよ」
晴海「うう……」
志保「この分校に来て正解かもしれないわね。農業実習の雑草取りでもして根性を鍛え直したらいいんじゃないの?」
志保「……私もそれで少しは頭が冷えたかから」
晴海「……そうなの?」
475: 矢橋P 25/01/21(火) 14:27:53 ID:jSOk
志保「ここであなたが出来ることを見つけたら?こんな分校でもやることは意外とあるものよ」
志保「……行き詰まったらみんなに話してみることね。うちの学級はお人好しが多いわよ」
スタスタスタ
晴海「……私が出来ること?」
476: 矢橋P 25/01/21(火) 14:29:02 ID:jSOk
昴「ランニング終わったしノックを始めるぞ」
未来「はい監督!」
詰井「おう!」
黒服「…………」ソソッ
477: 矢橋P 25/01/21(火) 14:35:01 ID:jSOk
昴「!!」
未来「どうしたんですか昴監督?」
昴「……」
昴「……いや、気にすんな」
未来「?」
未来「どうしたんですか昴監督?」
昴「……」
昴「……いや、気にすんな」
未来「?」
478: 矢橋P 25/01/21(火) 14:38:27 ID:jSOk
静香「昴さん!」タタタッ
未来「静香ちゃん!?」
静香「お願いがあるんです!部活が終わってからでいいので聞いてくれませんか」
昴(まさか……気付いたのか?)
昴「分かった。終わったら部室で聞くぜ」
黒服「……」ジーッ
479: 矢橋P 25/01/21(火) 14:40:51 ID:jSOk
静香「……というわけなんです」
昴「なるほどな」
昴(“あいつら“のことじゃなかったか)ホッ
480: 矢橋P 25/01/21(火) 14:42:09 ID:jSOk
静香「何とか麻美を私と同じように絵垣先生のところに連れて行ってくれませんか」
昴「それ自体はお安い御用だけどな。静香が知っている通り、あの治療法は効果は抜群だけど一般的じゃない方法だ」
昴「本人にちゃんと話して同意を得ること。それが出来たら連れて行ってやるよ」
静香「ありがとうございます」ペコリ


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