2: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:00:49.92 ID:5MN9cRxE0
千歌「パフェ奢ってくれるって言うから楽しみにしてたのにさぁ」

千歌「ジュース頼んだあとトイレ行くって言ってそれから全然帰ってこないし」

千歌「千歌ひとりにしてほっとくなんてひどいよ!」

果南「…………私、昨日は千歌と一緒にいなかったよね」

千歌「え?」

3: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:01:18.65 ID:5MN9cRxE0
千歌「いや、え?だって昨日……え?なに?一緒にファミレス行ったじゃん?」

果南「いや、行ってない……」

千歌「臨時収入あったからパフェ奢るよって言って……」

果南「言ってない……」

千歌「うそぉ……」

果南「ほんとだよ……」

ガチャッ

鞠莉「チャオ~……って、ふたりともどうしたの?なんだかDangerousな雰囲気?」

果南「鞠莉……」

千歌「なんか、なんか変なの!果南ちゃんが!」

果南「変なのは千歌の方じゃん!」

ルビィ「なにかあったの?」

善子「廊下まで声聞こえてきたわよ」

花丸「もしかして、ケンカずら?」

千歌「ちょっと聞いてよみんな!果南ちゃんが変なの!」

千歌「昨日果南ちゃんとファミレス行ったのに、果南ちゃんは私とファミレス行ってないって言うんだよ!」

果南「実際行ってないんだってば!」

果南「昨日は鞠莉と一緒に海辺で散歩してたんだもん!」

鞠莉「え!?」

4: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:01:51.83 ID:5MN9cRxE0
果南「えってなに?」

鞠莉「私は昨日、ダイヤと一緒に生徒会の仕事してたよ」

花丸「どういうこと……?」

千歌「それはこっちが聞きたいよ!!」

ルビィ「えーと、ええーと、昨日千歌ちゃんは果南ちゃんと一緒にいて、果南ちゃんは鞠莉ちゃんと一緒にいて、鞠莉ちゃんはお姉ちゃんと一緒にいたってこと?」

花丸「みんなが本当のことを言ってるんなら、昨日は果南ちゃんと鞠莉ちゃんが2人ずついたってことに……?」

果南「私、分裂なんてできないんだけど」

鞠莉「スライムでもないから私にもimpossibleね」

千歌「一体なにがなんだか!」

善子「…………」

ガチャッ

曜「遅れてごめんね!ってなになに?みんなどうしたの?練習は?」

梨子「なんだかみんな暗い顔してるけど……」

果南「実は……」

5: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:02:33.85 ID:5MN9cRxE0
梨子「な、なにがどうなってるの……」

曜「……ダイヤさん、まだ来てないよね」

鞠莉「生徒会の仕事があるからね、でもそろそろ来るはずよ」

鞠莉「それがどうかしたの?」

曜「もしかしたら、鞠莉ちゃんが昨日会ってたダイヤさんももうひとりいたりとかしないかなって……」

千歌「やめてよ!!」

千歌「そんな、そんなぽこぽこ人が増えちゃったら困るよ!!」

果南「困るねぇ」

善子「……あの」

鞠莉「なぁに?さっきから黙りこくってたようだけど?」

善子「あのさ、みんな、ドッペルゲンガーって知ってる?」

6: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:03:10.63 ID:5MN9cRxE0
ダイヤ「ドッペルゲンガーがどうかしたんですの?」

千歌「ダイヤさん!」ガバッ

千歌「ダイヤさんは昨日ふたりじゃなかったよね!?ひとりだよね!!」

ダイヤ「え、ええ?なんですの?」

鞠莉「ダイヤは昨日、私と一緒に生徒会室にいたよね?」

ダイヤ「ええ、あなたに生徒会の仕事を手伝って頂きましたが、なぜわざわざ確認を?」

千歌「昨日は果南ちゃんと鞠莉ちゃんがふたりになっちゃってたの!もう!ダイヤさんがひとりでよかったよ!!」

曜「わけわかんなくなるから千歌ちゃんは黙ってようか」

7: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:03:40.13 ID:5MN9cRxE0
――――

ダイヤ「……それでドッペルゲンガーがどうのこうのと」

鞠莉「くだらないって言われちゃうかな」

ダイヤ「そう言いたいところですが」チラッ

千歌「果南ちゃんと鞠莉ちゃんがふたりに増えてダイヤさんは増えてなかったけどでも他の子が増えてるかもしれないし……」

ダイヤ「……千歌さんの混乱ぶりを見る限り、どうやら一蹴するわけにもいかないようですね」

ダイヤ「曜さん、梨子さん、今日は衣装と曲作りに専念して頂けますか」

曜「千歌ちゃんがあんな状態じゃ今日は練習できなさそうだしね……」

梨子「元々それで部室に来るの遅れちゃったし……今日はもう作業に専念した方がいいのかも」

ダイヤ「そうですね、千歌さんのことはこちらでなんとかしますわ」

8: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:04:08.68 ID:5MN9cRxE0
ダイヤ「さて、問題解決しようにも情報が少なすぎますわね」

善子「ドッペルゲンガーって言っちゃったけど、私の知ってるドッペルゲンガーは積極的に人に干渉するようなものじゃないし……」

鞠莉「会話してるみたいだし、人違い……ってこともなさそうよね……」

果南「あ!」

千歌「なに!なにかわかったの!?」

果南「昨日のジュースいくらだった?」

千歌「え、なに、なんか関係あるの?」

果南「関係大ありだよ!昨日のレシート持ってない?」

千歌「えーと……(ガサゴソ)……これ……」

果南「オッケー!じゃ、えーと、これでいいかな?」チャリチャリン

千歌「ん?」

果南「昨日、私が奢るって言ったんでしょ?じゃあ奢らなきゃね!」

9: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:04:37.96 ID:5MN9cRxE0
果南「ごめんね、私の分身が勝手にいなくなっちゃって」

千歌「えっ!え、いいよお!果南ちゃんは知らなかったんでしょ!?」

果南「分身とはいえ自分の言ったことには責任持たなきゃ!」

果南「今度はちゃんと一緒にパフェ食べに行こうね!」

千歌「え、え、でも、あの」

果南「ほらほら、これで解決~!」

果南「ドッペルなんちゃらとかどうでもいいじゃん!」

千歌「果南ちゃんがそういうなら……まぁいっか」

ダイヤ「……」

花丸「解決しちゃったみたい……」

ルビィ「じゃ、じゃあ!練習!練習しよう!うん!」

善子「よかったのかしらこれで……」

10: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:05:17.09 ID:5MN9cRxE0
~~♪~~♪~~~~♪……

梨子「ここちょっと変えようかしら」

曜「りーこちゃん!」

梨子「わ、曜ちゃん、どうしたの?」

曜「なんかさっきのやつ解決したらしいよ」

梨子「果南ちゃんと鞠莉ちゃんがふたりに増えちゃった件?」

曜「そそ、なんかうやむやになって今日は普通にダンスの練習したんだってさ」

梨子「そうだったの」

曜「で、時計見て?」

梨子「え?あ!もうこんな時間……」

曜「練習も終わったみたいで、私の方もキリよかったから善子ちゃんと帰るから、梨子ちゃんも今日は帰っちゃいなね!」

梨子「うん、ありがと!」

梨子「もう少しだけしてから帰るね」

曜「じゃ、また明日ね~!」

11: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:05:46.20 ID:5MN9cRxE0
千歌「お腹すいたあ……ねぇ果南ちゃん、今日こそパフェ食べに行こーよー」

鞠莉「二日連続で寄り道はまずいんじゃないかしら~?」

果南「じゃあ明日の昼に食べるのはどう?みんなで!」

千歌「明日ひる……、明日土曜日か!」

鞠莉「いいわねぇ!お昼休憩にみんなでパフェ食べましょ!」

花丸「マル、パフェってあんまり食べたことないずら……」

ルビィ「花丸ちゃんは和風パフェとか好きだと思う!あんことか白玉とか乗ってて、抹茶もかかってて~」

花丸「わわ、聞くだけでおいしそうずら!」

ダイヤ「食べるのは構いませんが、ミニサイズにしておきなさいね?その後も運動するのですからあまり食べ過ぎるのは……」

鞠莉「んもぅ!わ~かってるってぇ!」

12: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:06:14.57 ID:5MN9cRxE0
梨子「んん……行き詰まっちゃったな……」チラッ

梨子(19時……ちょっとだけにするつもりだったのに……)

梨子「早く帰っちゃお」

梨子(カーテン閉めて……と、)

梨子「あれ、善子ちゃん……?」

梨子(校門でなにしてるんだろ?)

ガラッ

梨子「善子ちゃーん!」

善子「…………」

梨子「?」

梨子(声かけても気付かない……振り向いてすらくれない……)

梨子「うぅん……」

梨子(なにしてるのかわからないけど、校門着いたときに聞けばいっか)

パラパラ……サーーッ

梨子(あっ、雨……)

梨子(折り畳み傘持っててよかったけど)

梨子(急がなきゃ善子ちゃんが風邪引いちゃう!)

タタタッ

13: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:06:44.18 ID:5MN9cRxE0
梨子「……」

梨子(善子ちゃんいなくなっちゃった……)

梨子(雨降ったんだし、用事あってもまあ……帰るよね)

14: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:07:12.79 ID:5MN9cRxE0
果南「1、2、3、4、1、2、3、4、」パンパンパンパン

果南「バラつきも少ないし、みんな調子いいね!」

ダイヤ「あとで動画を確認して、午後に細かいところを調整していきましょうか」

果南「そのあと次のパートの合わせして、時間があればまた調整する感じかな」

果南「じゃあ一旦お昼休憩~!」

ダイヤ「まずはタオルで汗を拭いて、水分補給も忘れずに」

ルビィ「はぁい、つかれたぁ」ゴクゴク

千歌「早く早く!早くパフェ食べに行こうよ!」

花丸「千歌ちゃん元気だなぁ」

鞠莉「LunchじゃなくてパフェがMainになっちゃってるみたいね」

鞠莉「ちゃんとお財布持った?」

千歌「持ってる持ってる!はーやく!行くよ!」

曜「もう、千歌ちゃんったらはしゃぎすぎっ」フフッ

千歌「今日はパフェ休憩を楽しみにがんばってたんだもん!はーやーくー!」タタタッ

梨子「階段走っちゃ危ないわよ、千歌ちゃん」

果南「そうだよ、転んじゃ危ない……って聞こえてないな」

果南「ちーかー!」タタッ

15: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:07:40.22 ID:5MN9cRxE0
花丸「結局果南ちゃんもちょっと小走りになっちゃってるずら」

ルビィ「走りたくなる気持ちもわかるけどね」クスクス

善子「でも今朝急に『今日のお昼はパフェ食べるよ!』ってグループLINE来たのにはちょっと驚いたわ」

花丸「昨日の帰りに急遽決まったからね」

花丸「梨子ちゃんたちには連絡し忘れてたから、とりあえず伝えるだけ伝えようと思って」

曜「突然すぎてびっくりしちゃったけど、そのおかげで午前の練習はみんな集中できてた気がするね」

梨子「こうして息抜きを入れるのもメリハリをつけるのに重要なのかもしれないね」

梨子「そういえば曜ちゃんも知らなかったのはどうして?昨日はみんなとは別々に帰ったの?」

曜「ん?昨日は他のみんなが先に帰って、そのあと私と善子ちゃんが帰ったから」

梨子「え?善子ちゃんは昨日学校に残ってたでしょう?」

善子「え?」

梨子「ちがうの?」

16: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:08:13.58 ID:5MN9cRxE0
善子「……私が学校に残ってたってどういうこと?」

梨子「19時頃いたよね、校門に」

善子「いいえ、いなかったわ」

梨子「ほら、ここ、校門のここで、校舎を背にして立ってたじゃない」

善子「ここで?」

梨子「うん」

梨子「音楽室から声かけたんだけど聞こえなかったみたいで」

善子「さっき曜が言ったように、昨日は二人で帰ったわ」

梨子「じゃあ私が見た善子ちゃんは?」

曜「見間違いじゃないの?」

梨子「確かに時間も時間だったから暗かったけど……」

梨子「でも……浦女の制服だったし、おだんごヘアーだったし……」

17: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:08:51.24 ID:5MN9cRxE0
鞠莉「どうしたの?なにゆっくり歩いてるの?」

鞠莉「ちかっちが待ちきれな~い!って足踏み駆け足しちゃってるわよ?」

梨子「えと、その……」

曜「よくわかんないけど、お店で落ち着いてから話そっか」

善子「そ、そうしましょうか」

果南「ほらほらな~にやってるの?三人とも!」

果南「浮かない顔してないで、パフェ食べて午後の練習も」

ダイヤ「果南さん!危ない!前!!」

果南「え?わっ」

ブロロロロロロロロッ
ドタッ

果南「ええっ?今のバイクなに?あっぶな!」

鞠莉「大丈夫!?けがは?足くじいてない?」

ダイヤ「立てますか?信号が変わってしまいますからひとまず歩道まで、ほら、歩けます?」

果南「うん、てて……大丈夫」

千歌「果南ちゃん!大丈夫!?肩かすよ!」

ルビィ「あ、あんなに速度出すバイク初めて見た……」

花丸「ここは通学路だし、ましてや車道側は赤信号……非常識にも程があるずら!」

果南「まぁ、前向いてなかった私も悪いし、特にけがもないし大丈夫大丈夫!」

曜「無理しないでね、私も肩かすよ」

果南「大袈裟だなー!でもありがと、尻餅ついただけだから本当に大丈夫だよ」

梨子「打撲や挫いたところって一見してわかりにくいから、なんか痛いなって思ったらちゃんと言ってね?」

果南「うん、ありがと!」

善子「…………」

18: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:09:27.01 ID:5MN9cRxE0
カランカラン
「いらっしゃいませー」

果南「さぁて!なに食べよっかなー!」

千歌「果南ちゃん、ほんとに無理してない?痛いところない?」

果南「な~いない!私の見事な食べっぷりを見せて元気いっぱいなことを証明してみようじゃないの!」

ダイヤ「本当に大丈夫ならいいんですが……食べすぎには注意してくださいね」

果南「ごはん食べたらパフェも食べるしね!腹八分目にーどうしよっかな、なに食べようかな」

善子「みんな、注文したらちょっと話したいことがあるんだけど」

花丸「なにか大切な話?」

善子「大切な……というか大事になるかもしれない話」

梨子「……」

曜「その前に、さっきの……昨日の話しなくていいの?」

善子「それも関係ある話よ」

ルビィ「昨日の話って言ったら……」

鞠莉「ともかく注文するだけして、食べながら善子のお話を聞きましょう」

19: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:09:56.61 ID:5MN9cRxE0
善子「昨日、ちらっと口にしたわよね、ドッペルゲンガーって」

善子「簡単に言うと、二人あるいは二人以上存在してしまっている同じ人のことをそう言うの」

善子「世界には似た人が三人はいる、なんていうけど、ドッペルゲンガーはそういうのじゃなくて全くの同一人物なの」

善子「非現実的って思うかもしれないけど、ドッペルゲンガーっていうのは歴史的にも存在が示唆されていて」

善子「リンカーンとか芥川龍之介とかえぇーと……この辺はずら丸の方が詳しいんでしょうね、そういう人物も自分のドッペルゲンガーに悩まされてたって話があるのよ」

果南「ふぅん」モグモグ

善子「だからドッペルゲンガーは存在しないと言い切ることはできないの」

善子「これを前提に話すけど、実は昨日、私のドッペルゲンガーも出たらしいの」

花丸「えっ」

ルビィ「ええっ」

千歌「善子ちゃんも増えちゃったの!?」

果南「ふふっ」

善子「人を増えるわかめみたいに言わない!果南も笑わないで!」

果南「だって……ふふっくくっ」

20: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:10:33.82 ID:5MN9cRxE0
善子「話の腰が折れちゃうじゃない……」

ダイヤ「Aqoursメンバーのドッペルゲンガーばかりですのね」

善子「今のところ観測されているのはね」

善子「で、このドッペルゲンガーっていうのが不吉なやつで、見ると死ぬとか本人と成り代わるとかそういう怖い話がつきものなの」

善子「もしかしてさっき果南が事故に合いかけたのも、そのドッペルゲンガーのせいなんじゃないかって……」

果南「いやいやないない」

鞠莉「それはちょっと飛躍しすぎね」

善子「でも!何かあってからじゃ遅いのよ!?」

果南「事故に合いかけたって言っても私ピンピンしてるし、ドッペルゲンガーとかさぁ」

果南「善子ちゃんちょっと現実見よっか」

ルビィ「それはさすがに辛辣じゃあ……」

21: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:11:03.70 ID:5MN9cRxE0
梨子「あの、でも、見ちゃったの、昨日……本当に善子ちゃんが校門にいて、でも善子ちゃんは帰ってたみたいで」カタカタ

梨子「どうしよう……私、こわいもの見ちゃったのかな……」

果南「梨子ちゃん……」

善子「梨子……」

梨子「私が見なければ、気付かなければ、もしかしたら起こるかもしれない善子ちゃんへの事故も起こらなかったかもしれない……」

花丸「落ち着いて、梨子ちゃん……言ってることが支離滅裂ずら」

花丸「それに梨子ちゃんが見なかったからって、善子ちゃんのドッペルゲンガーがいなかったことにはならないから」

梨子「でも、じゃあどうすれば……」

善子「とりあえず……(チラッ)そのぉ、あー、梨子、大丈夫だから落ち着いてね、急を要するわけでもないから」ナデナデ

梨子「ぅぅ」

善子「とりあえず!一昨日から誰がどう行動したかを確認して、何かの勘違いならそれでよし、そうでなければ対策をとるって形をとりたいのよ、私は」

善子「何もなければいいんだけど、楽観視して何かが起こったとき、私は後悔したくないの」

鞠莉「そう……じゃ、善子を後悔させないためにも、梨子を安心させるためにも!それぞれの行動を整理しましょうか!」

鞠莉「果南もそれでいい?」

果南「うん、まあ、ここで駄々こねるようなことでもないしね、いいよ」

22: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:11:35.51 ID:5MN9cRxE0
善子「えっと……じゃあまず一昨日の千歌と果南のことだけど、大体の時間とか」

千歌「あ、まってまって、私メモ帳とペン持ってるよ」

千歌「これに書きながら整理しよ」

果南「おやおや~!千歌にしては用意がいいね~!明日は雨かな~?」

千歌「かーらーかーわーなーいーでー!もう!」

千歌「今回一応歌詞できてるけど、いまいちパッとしないからいいフレーズ思い付いた時用に持ち歩いてたの!」

果南「そうかそうか~!千歌はかしこいなあ~!」

千歌「ええ~?もぉ果南ちゃん」

ダイヤ「はいはい、じゃれあってないで」

ダイヤ「それでは書記は千歌さんにまかせてもよろしいですか?」

千歌「うん!いいよ!」

23: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:12:24.47 ID:5MN9cRxE0
千歌「えっとね、まず私ね」

千歌「一昨日練習終わったのが18時で、で~果南ちゃんがパフェ奢ってくれるっていうから急いで着替えて早足でファミレス行って~」カキカキ

千歌「ファミレスついたのが10分?くらい?席ついて私はオレンジジュース頼んで~、果南ちゃんはジュース頼む前に我慢できな~いっておしっこ行って~」カキカキ

果南「ンンッ」ゴホッゲホッ

ダイヤ「千歌さん……うら若き女性がその……そういう類いの直接的な単語を用いるべきではありませんよ」

千歌「あっ、はーい!なんか完全に気がゆるんでました!」

千歌「お花摘みに行くって言うんだよね!知ってまーす!」

千歌「で、果南ちゃんがおしっはな摘みに行ったのが15分くらいかな」

ダイヤ「……慣れない言い回しなら使わなくてもいいですが、自宅でも身内だけの場であっても、」

千歌「直接的な単語は使いませーん」

24: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:12:56.58 ID:5MN9cRxE0
千歌「そのあとずーっと待って、ずっと時計見ながら待って、ずーっと待って45分に美渡ねえから電話掛かってきたから帰ったの」カキカキ

善子「ずっとずっとって、30分じゃない」

千歌「ただただ待つだけの30分はすっごく長いんだよぉ」

千歌「果南ちゃんトイレでどんだけ大物生み出してるのかと」

果南「ンッヘ」ゲヘッケホッ

ダイヤ「千歌さん!」

千歌「えっ遠回しな言い方したよ?」

花丸「半端な婉曲表現は時に人の想像力を活性化させるずら」

鞠莉「みんなが食事中ってこと忘れないでね」

千歌「あははっ曜ちゃんなんかハンバーグ食べてるしね、色が」

曜「千歌ちゃん!!」

千歌「あっはい」

ルビィ「あの、様子見に行ったりしなかったの?電話とかは」

千歌「あ、そうそうしたの、電話、でも全然出てくんなくって、というか繋がらなかった」

千歌「電波の届かないところか電源がーって音声が流れてさ、帰るときトイレも見たんだけどだーれもいなかったの」

千歌「だから果南ちゃん、千歌ひとり置いて帰っちゃったんだ!って……」

千歌「……ちょっと悲しかった」

果南「ごめんね……」

25: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:13:28.95 ID:5MN9cRxE0
千歌「えっあっ果南ちゃんが謝ることないよ!果南ちゃんはいなかったんでしょ!?」

千歌「って言うのもなんか変だな」

千歌「とにかく千歌の方はこれでおしまいだから、今度は果南ちゃんの番ね」

果南「えと、それなんだけどさ、」

花丸「18時30分頃に海辺にいたんだよね」

果南「えっうん……そんな時間だったかなぁ」

花丸「ばあちゃんが一昨日果南ちゃん見かけたって言ってて」

果南「あ、そーなの」

果南「私さ、その、一昨日、時計全然見てなかったから、何時にどこでって把握できてないんだよね……ごめん……」

花丸「いいよいいよ」

花丸「ばあちゃんが買い物帰りに見かけたって言ってて、帰宅した時間と逆算したらそれが18時30分頃ずら」

花丸「千歌ちゃん、そうメモとってもらえる?」

千歌「りょーかい!」カキカキ

26: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:13:59.13 ID:5MN9cRxE0
善子「一昨日練習が終わったあとの行動、大体でいいから教えてもらえるかしら?」

果南「ん、えー、えーと、そうだなぁ」

果南「練習が終わったのが18時ってのはみんな一緒だよね」

果南「それから、鞠莉が海見たいって言うからじゃあ行こっかーって、海辺までのんびり歩いていって」

千歌「ここ、時間わかんないから18時すぎに果南ちゃんと鞠莉ちゃんが海って書いていい?」カキカキ

果南「うん……いいよ」

果南「それからあとは、えと……ただ世間話したり思い出話したりだからその……内容は」

善子「あ、うん、いいわ、言いにくかったり恥ずかしかったりする場合もあるしね」

果南「……うん」

鞠莉「それで、私と別れたのはどれくらい……ってわかんないかな」

鞠莉「さっきの花丸みたいに、帰宅した時間から逆算とか……」

果南「帰ってからもすぐ時計は見なかったし」

果南「ごはん食べてそれからお風呂入った時間が22時頃ってことくらいしか」

ルビィ「そこからだと逆算のしようがないね……」

曜「う~ん……」

果南「あ、あっ、でも、」

果南「鞠莉と別れたとき、大分暗くなってたから、たぶん、19時くらいだった……かも」

鞠莉「なるほど」

27: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:14:26.34 ID:5MN9cRxE0
鞠莉「じゃあ次は私」

鞠莉「と言っても行動内容は少なくて、練習終わりから19時前まで生徒会室にいただけ」

鞠莉「18時に練習が終わって着替え等したあとにダイヤと生徒会室に着いたのが18時7分だったわね」

鞠莉「それから18時50分に仕事を切り上げて19時頃に下校」

鞠莉「果南とは絶対に一緒にはいられないわね」

ダイヤ「これは……勘違い、行き違いなどでは説明がつきませんね」

鞠莉「そもそも私、海行きたいなんて言った覚えないしね」

果南「…………」

善子「それはそれとして置いておいて、次、昨日の行動を整理するわよ」

28: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:14:55.31 ID:5MN9cRxE0
善子「まず私からでいいかしら?」

曜「うん、いいよ」

善子「昨日も一昨日と同じように18時に練習が終わったわね」

善子「部室着替えたあと被服室に着いたのがのが18時5分、少し過ぎてたかな、まぁそれくらい」

善子「曜に練習前のいざこざの顛末を報告しながら衣装を片付けたあと曜が音楽室に行って、その間に私は端切れや糸屑の掃除をして、それが5分かかったかどうかね」

善子「ま、その過程はどうでもいいんだけど」

善子「梨子に声をかけた曜が被服室に帰って来て一緒に下校、30分には校門を出ていたはずよ」

曜「私の行動も全部言ってくれたから私の方からは特に何もないかな」

千歌「昨日はみんな用事がなかったから私たちも18時過ぎには帰ってたよね」

ルビィ「あとに残ったのが梨子ちゃんだけ、てことだよね」

梨子「ええ、そのはずだったんだけど」

29: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:15:23.60 ID:5MN9cRxE0
梨子「曜ちゃんが音楽室に来た時に時計は18時12分を指してた」

梨子「そのあと少しだけ続けるつもりが、気が付けば19時」

梨子「作曲も行き詰まったところだから帰ろうと思ってカーテンを閉めようとしたの」

梨子「そしたら校門に善子ちゃんがいて、」

梨子「校舎に背を向けて立っていたから、私から見えるのは後ろ姿だけだったけど……」

梨子「こんな時間なのにまだ帰ってなかったんだ、何してるんだろうって思って声をかけたの」

梨子「善子ちゃんは振り向かないどころか気付く素振りもなかった」

梨子「そのあと雨が降ってきたから、慌てて帰り支度をしたの」

梨子「私は折り畳み傘を持っていたけど善子ちゃんは手ぶらだったみたいだから、風邪引いちゃうと思って急いで校舎を出たんだけど」

善子「その時は既に私はいなかったのね」

梨子「そう……」

30: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:16:04.24 ID:5MN9cRxE0
善子「千歌、今とったメモみんなに見せてもらえる?」

千歌「あ、ちょっとまって」カキカキ

ルビィ「あとここも……」

千歌「ここ?いるかな」

ルビィ「天気もあとから見直したとき気付きがあるかもだし」

千歌「それもそっか」カキカキ

千歌「よしっ、えとね、ルビィちゃんと相談しながらまとめたのがこんな感じ」

―――――
一昨日
18:00 練習終わり
18:00すぎ 果南ちゃんとマリちゃんが海に行く
18:07 マリちゃんとダイヤさんが生徒会室に着く
18:10くらい 果南ちゃんと千歌がファミレスに着く
18:30くらい 海辺でさんぽする果南ちゃんを花丸ちゃんのおばあちゃんが見かける
18:45 千歌がおうち帰る
19:00 マリちゃんとダイヤさんが下校
19:00くらい? 果南ちゃんとマリちゃんがさよなら


昨日
18:00 練習終わり
18:00すぎ 曜ちゃん、善子ちゃん、りこちゃん以外が下校
18:05 善子ちゃんが曜ちゃんを迎えに被服室に行く
18:12 曜ちゃんが音楽室に行く
18:30 曜ちゃんと善子ちゃんが下校
19:00 善子ちゃんが校門に立ってる
19:00すぎ 雨・りこちゃん下校・校門の善子ちゃんも下校 
―――――

31: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:16:43.91 ID:5MN9cRxE0
善子「勘違いならそれでよし、って最初言ったけど」

曜「みんなの話を聞いてても思ったけど、同一人物が二人いなきゃ絶対に成立しないよね」

善子「そう、勘違いじゃないようだから、詳しく調べていきたいわ」

鞠莉「確かに……まぁ……Strangeな話よね」

鞠莉「別にDoppelgangerを信じてるわけじゃないけど、原因を突き止めなきゃスッキリしないというか」

ダイヤ「しかし、一昨日と昨日とでは決定的に違うところがありますね」

ルビィ「うん、一昨日は果南ちゃんも鞠莉ちゃんも、本物もドッペルゲンガーもどっちも必ず誰かとおしゃべりしてるけど、」

ルビィ「昨日の善子ちゃんは、ドッペルゲンガーの方はただ立ってるだけで誰ともおしゃべりしてない」

花丸「昨日善子ちゃんが下校したあと学校に戻って校門に立ち尽くしてた可能性もあるずら」

善子「そんな無意味なことするわけないでしょ」

花丸「善子ちゃんが嘘をついてないならね」

善子「ずら丸!あんたねぇ!」

花丸「……冗談ずら、もしそうだったら、こうやって不安になることもないかなって思いたかっただけ」

善子「そ、そう……そうよね、あんたも不安なのよね」

善子「怒鳴ってごめん」

花丸「ううん、今のはオラが悪かったずら、ごめんなさい」

32: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:17:19.91 ID:5MN9cRxE0
果南「も、もういいじゃん、なんかみんな必死になっててこわいよ……」

果南「はやくパフェ食べて学校戻ろうよ」

花丸「なんだかパフェ食べる気分じゃなくなってきちゃったずら……」

果南「ううん、気分じゃなくなったからこそ甘いものでも食べて、気持ち切り替えてさ、練習に戻ろう?」

千歌「果南ちゃん、こういう不思議な話とかおばけっぽい話とか昔から苦手だもんね」

果南「うん、まあ、それもあるけど……」

鞠莉「み~んながしかめっ面してるからこわくなっちゃった~?」

善子「みんなもぼちぼちごはん食べ終わってるし、この話はまた今度にしましょ」

果南「え、えぇ……もう無しにしようよ……」

ダイヤ「はいはい」

ダイヤ「それではみなさん、おいとまする準備でもしますか?それともデザートなど頼みますか?」

梨子「私はいいかな……」

曜「う~ん、私も、お腹いっぱいになっちゃったし」

千歌「あっ私みかんシャーベット頼もっと」

花丸「マルも ……、みかんシャーベット食べて気持ちを切り替えようかな」

鞠莉「じゃあ私はー、えっとコーヒー頼もうかしら」

ダイヤ「他の方は大丈夫です?では追加注文しますわね」ピンポーン

33: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:17:52.71 ID:5MN9cRxE0
善子「それにしてもこのメモ、まとめたはずなのに結構とっ散らかって見えるわね」

千歌「ええーっでも前のページ見てよこれ」

善子「うわっ千歌、メモとるの下手すぎない?」

千歌「こっちと比べたらさ、まとめた方はきれいでしょ?」

善子「そもそもまとめた方だっていらない情報が多すぎるのよ」

ルビィ「ええ?でもまとめたのは必要な情報だけだよ?」

千歌「だよねぇ?」

善子「"ちゃん"とかいちいちつけなくていいでしょ、それに"おうち"とか"さよなら"とか、もっと簡潔な単語に置き換えた方がいいじゃない」

千歌「ええ~っ?みんなのこと呼び捨てになんかできないよぉ」

善子「メモだからいいのよ、こういうのは」

鞠莉「そういえばさっき見たときに思ったんだけどぉ」

鞠莉「ちかっち、マリーの名前漢字で書けないのかな~?」

善子「……、よく見ると私の漢字も時々線が一本多いわね、梨子も平仮名だし……」

千歌「えっ、ああ、いや、善子ちゃんのは、あの~、ほら、メモだから、ね、走り書きしちゃって一本多いように見えるところもあるだけで」

千歌「そう、ほらこれ、メモだし、鞠莉ちゃんも梨子ちゃんも画数多いじゃない?だからね、時間かかるから、ね!ひらがなにしてるだけで!」

千歌「書こうと思えばね、うん、書けるんだよ」

34: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:18:20.04 ID:5MN9cRxE0
鞠莉「ほぉんとに~?」

千歌「ほんとほんと!ハハッじゃあメモしまうね」

鞠莉「書けるなら書いてほしいな~?ね、ほら、書いて?」

千歌「うう~っ」カキカキ

ルビィ「知らない漢字だ」

善子「新しい漢字ね」

鞠莉「何語かしら」

千歌「違うなら違うって言えばいいでしょー!」

梨子「ふふっ」

果南「梨子ちゃん……」

梨子「えっ、はい、なんですか?」

果南「ううん、ようやく笑ったなって」

果南「だいぶん参ってたみたいだからさ」

梨子「あ、ごめんなさい、心配かけちゃって」

果南「いいんだよ、少しでも元気になったならそれがいいよ」

果南「さぁみんな!午後からビシバシしごくよ!」

曜「ひえぇ!果南軍曹の苛烈な訓練が!!」

果南「明日は休みだから一段と厳しくいくからねー!」

鞠莉「キャーッこわ~い!」

35: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:18:49.04 ID:5MN9cRxE0
DPG対策本部(7)

高海千歌が参加しました
黒澤ルビィが参加しました
小原鞠莉が参加しました
渡辺曜が参加しました
黒澤ダイヤが参加しました
国木田花丸が参加しました

千歌:なに?このグループ

ルビィ:梨子ちゃんと果南ちゃんは?

ヨハネ:クククッよく来たわね

花丸:そういうのいいから

ヨハネ:一発目にかっこよくコメントしようとしたのに

ヨハネ:(泣き顔スタンプ)

鞠莉:DPGって何の略?

ダイヤ:ドッペルゲンガー?

ヨハネ:梨子は相当ショック受けてたみたいだし、果南は怖い話苦手だろうから呼ばなかった

ヨハネ:DPGはドッペルゲンガーの略

千歌:みんなで今日話したドッペルゲンガー問題を解決しようってことだね?

ヨハネ:(YES!スタンプ)

36: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:19:18.16 ID:5MN9cRxE0
ヨハネ:梨子と果南にはこういうの精神的に負担になると思ったから招待しなかったけど

ヨハネ:調べるのがこわかったり、調べていく中でつらくなったら言ってね

ヨハネ:それ以降は参加しなくていいから

曜:私としてはこのままほっとく方が気味悪いからがんばって調べたいと思います!

曜(がんばる!スタンプ)

千歌:(同意スタンプ)

ダイヤ:不可解なことが起こっていることは確かですし、私も解決に努めます

ルビィ:それじゃあドッペルゲンガーについては基本的にこのグループLINEで話し合うってことでいいですか?

鞠莉:その方がいいでしょうね

花丸:果南ちゃん、露骨に嫌そうにしてたもんね

花丸:梨子ちゃんを心配してのことだろうけど

千歌:だろうね

37: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:19:47.23 ID:5MN9cRxE0
ヨハネ:個人で調べてここで報告ってことで

ダイヤ:ドッペルゲンガー目撃時はここに報告かつドッペルゲンガーの本物の方に電話確認もしておいた方がいいでしょうね

千歌:(了解スタンプ)

ヨハネ:千歌のまとめた行動表だけど、写真撮ってノートに投稿しておいてもらえる?

千歌:ノートに投稿?

曜:右上のアイコン

千歌:こんな機能あったんだ!

千歌:わかった!やっとく!

ヨハネ:(ありがとうスタンプ)

38: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:20:17.05 ID:5MN9cRxE0
ヨハネ:DPGの特徴に、本人の関係ある場所に現れる・突然消えるってのがあるんだけど、

ヨハネ:他にも他人と会話をしないって特徴があってね、これは明らかに今回のDPGの行動と一致しない

ヨハネ:より詳しく調べて、どういう習性があるのか、何が目的なのか、危害を加える気ならその対策を考えていきたいと思う

ダイヤ:それでは私は自宅の蔵書から過去に類似例がないか調べていきます

ルビィ:私も!

花丸:私もお寺に何か関連書がないか探してみるね

曜:私はちょっと調べるアテがないかなー

千歌:曜ちゃんはお父さんに聞いてみたら?

ルビィ:いろんなところに行ってるし、そういう怖い話もいろいろ知ってそう!

曜:それもそうだね!そうする!

曜:けど、あんまり頻繁に連絡とれるわけじゃないから、図書館にも行ってみるね

鞠莉:じゃあ私も図書館組~!

千歌:同じく~!

千歌:(挙手スタンプ)

39: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:20:50.47 ID:5MN9cRxE0
ヨハネ:案外いろんな方向から調べられそうね

ヨハネ:私はネットでそういう情報拾ってくるわ

曜:お得意のやつー!

千歌:生放送?で聞くのもありでは!

ヨハネ:こんな状況で生放送やってられっか!

ルビィ:でも、いろんな人から情報がもらえるから意外といい方法かも!

ヨハネ:そう?

鞠莉:そう!

ヨハネ:そう

ヨハネ:じゃ、一回くらいやってみるわ

ルビィ:あ!でも、私明日のお休みはお買い物するから調べられません!

ルビィ:(ごめんなさいスタンプ)

曜:あ、衣装のあの追加した部分?

ルビィ:そうそう

40: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:21:21.03 ID:5MN9cRxE0
鞠莉:いま衣装ってどうなってるの?

曜:フリルとかまだ全然つけてないだけど、九人分とりあえずライブで着るものがある状態

曜:(写真)

曜:こんな

曜:この上に重ね着する用のスカートとか羽織る上着とか加えるんだけど

ルビィ:追加でコサージュとかつけたりしよっかって話になって、それ用に足りないものを買いに

千歌:コサージュ

ルビィ:ごめんなさい。胸につけたりする、布とかでつくられたお花のことです

ヨハネ:衣装組は無理しないで、そっちをメインにお願いね

ヨハネ:いつもありがとう

鞠莉:(ありがとうスタンプ)

ダイヤ:(ありがとうスタンプ)

花丸:徹夜とか絶対だめだからね!

鞠莉:手伝えるところがあったらなんでも言ってね!

ルビィ:ありがとう!助かります!

曜:頼りにさせていただきます!

41: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:21:48.95 ID:5MN9cRxE0
千歌(ドッペルゲンガーの話、まだ続くんだ……)

千歌(仕方ないよね、このままだと気持ち悪いし)

千歌「はぁ……」

梨子「千歌ちゃん?冷えちゃったかな」

梨子「ごめんね、付き合ってもらっちゃって」

千歌「ううん」

千歌「私も海に来たい気分だったし、ぜーんぜん気にしなくてもいいよ!」

梨子「ふふっありがとう」

千歌「どーいたしまして!ふふっ」

梨子「あれ?」

千歌「ん?どしたの?」

梨子「え、えっと」

梨子「いま、人影……見えなかった?」

千歌「どこどこ?」

梨子「わからない……」

千歌「ご近所さんじゃない?」

梨子「でも」

梨子「……ううん、気のせいよね」

梨子「お昼にあんな話したから気にしちゃってるだけなのよね」

千歌「……」

千歌「帰ろっか!風邪引いちゃいけないし!」

千歌(みんなが暗い雰囲気にならないように、私ががんばらなきゃ!)

42: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:22:19.54 ID:5MN9cRxE0
DPG対策本部(7)

鞠莉:衣装大変そうだし、明日は図書館組はちかっちと私が活動する感じかな?

曜:そうしてもらえるとありがたい!

千歌:ごめん無理そう

千歌:梨子ちゃんが思ってたよりダメージ受けてるっぽくて

千歌:明日は気分転換に梨子ちゃんと果南ちゃんとでショッピング行ってこようと思う

鞠莉:あらそうなの

鞠莉:メンバーのメンタルケアもしてくれる頼れるリーダーでありがたいわ

曜:(ありがとうスタンプ)

ダイヤ:飽くまでもAqoursとしての活動が最優先ですからね

ダイヤ:千歌さんたちは明日、しっかりリフレッシュしてきてください

千歌:(ありがとうスタンプ)

43: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:22:47.57 ID:5MN9cRxE0
梨子「果南ちゃん、なんて言ってる?」

千歌「行けるって!」

千歌「前に行ったジムが相当気に入ってるみたいで」

千歌「明日も行く気満々みたいだよ」

梨子「あんまりハードな運動しないよね?」

千歌「うーん、たぶん大丈夫!」

梨子「果南ちゃんって本当、体動かすの好きよね」

千歌「だねえ」

梨子「じゃあ、また明日」

千歌「うん、おやすみ!」

44: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:23:15.67 ID:5MN9cRxE0
カララン カランコロン

ルビィ「……」キョロキョロ

ルビィ「ふぅ」

ルビィ(あっこれかわいいかも)

ルビィ「……」キョロキョロ

ルビィ(あんまり周りを見てると万引きと勘違いされちゃうかも)キョロキョロ

ルビィ(でもさっきからずっと視線を感じる)

ルビィ(気のせい、気のせいだよね)

ルビィ「あっこれ」

ルビィ(こういうの、衣装のアクセントにいいかも)

ルビィ(買うよりも自分で作って衣装と色合わせた方がよさそうかな)

ルビィ(端切れ足りるかな)

ルビィ(とりあえずこれとこれ……)

ルビィ「……っ」ゾクッ

ルビィ(……気のせい、気のせい)

ルビィ(ルビィのことなんて誰も見てない、気のせい)

45: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:23:44.78 ID:5MN9cRxE0
カッカッ

ルビィ「……」

カッカッ

ルビィ(硬い靴底が地面を叩く音)

カッカッ

ルビィ(ずっと聞こえてる気がする)

カッカッ

ルビィ「……」クルッ

ワイワイ
ガヤガヤ

ルビィ「……」

ルビィ(視線も、どこからのものなのかわからない……)

ルビィ(人が多い)

ルビィ(ひとりで出歩いてももう平気だと思ってたのに)

46: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:24:12.27 ID:5MN9cRxE0
ルビィ(早く帰ろう)

カッカッ

ルビィ(こわくない、こわくない、こわくない)

カッカッカッカッ

ルビィ「……」グスッ

ルビィ「……」キョロキョロ

ガヤガヤ

ルビィ「……」タタッ

ウィーン
「いらっしゃいませー」

スッ
スッスッ
プルルル

ルビィ「…………」キョロキョロ

ルビィ「あ、お姉ちゃん?うん、うん」

ルビィ「いま本屋さんなんだけど、来てもらってもいい?」

ルビィ「うん、ごめんね、うん……うん、ありがとう」

ルビィ「……」キョロキョロ

ルビィ(変な人、いないよね)

ルビィ(……やっぱりまだひとりで外出するのこわいや)

ルビィ(お姉ちゃんと一緒に来ればよかった)

47: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:24:41.51 ID:5MN9cRxE0
――――

ダイヤ「ルビィ、お待たせしました」

ルビィ「お姉ちゃん……ごめんね」

ルビィ「調べものの邪魔したくなかったのに……結局来てもらっちゃって……」

ダイヤ「そんなこと気にしなくていいの」

ダイヤ「素直に頼ってくれるようになっただけ、以前より成長しましたわ」

ルビィ「成長なのかな……」

ダイヤ「一人で抱え込むより断然いいことですわ」

ルビィ「ありがとう……」

ダイヤ「さ、俯いてないで帰りましょう」

ルビィ「うんっ」

ルビィ「…………」クルッ

ダイヤ「……大丈夫?」

ルビィ「あ、うん、大丈夫!かえろ!」ニコッ

48: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:25:09.24 ID:5MN9cRxE0
ペラッ……ペラッ……

鞠莉(ドッペルゲンガー……)

ペラッ……パタン

鞠莉「はぁっ」

鞠莉(調べ方が悪いのかしら)

鞠莉(一冊の分厚い本から得られる情報が一頁分にも満たないなんて)

鞠莉(これは……ダイヤと花丸は相当苦戦するでしょうね)

鞠莉(どちらの家にも半端ない量の蔵書がありそうだし)

サッ

鞠莉「?」

鞠莉(すぐ近くを通った今の人……)

鞠莉(金髪……だった?)

鞠莉(私以外に?)

鞠莉(この町に?)

鞠莉(金髪の人なんて……そうそういないはず……)ガタン

49: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:25:37.61 ID:5MN9cRxE0
鞠莉(どこへ行ったのかしら)カツン……カツン……

鞠莉(目に見える範囲にいないということは)カツン……カツン……

鞠莉(本棚の奥に入っていった……?)カツン

鞠莉「……あっ」

「?」

鞠莉(黄色いフードを被った人)

鞠莉(なんだ……そうよね、金髪なんて)

鞠莉(私のドッペルゲンガーでもない限り……)

鞠莉「……」フルフルッ

鞠莉(金髪の人くらいどこにでもいる)

鞠莉(髪を染めることなんてよくあるじゃない)

鞠莉(毒されすぎよ、鞠莉)

鞠莉(常に冷静でありなさい)

鞠莉(……次の本を探そう)

50: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:26:06.85 ID:5MN9cRxE0
~~~~♪~~♪…………

ガラッ

千歌「梨子ちゃーん!!」

梨子「!」

ガラッ

梨子「千歌ちゃん、声張り上げちゃご近所迷惑よ」

千歌「えへへ、ごめん」

千歌「曲が終わったからつい呼んじゃった」

千歌「アレンジ、すごくいいね!」

梨子「そう?」

千歌「うん!明るくて、楽しくて」

千歌「アレンジ前のもしっとりしててすきだったけど」

千歌「アレンジ後はなんだか、元気がモリモリわいてくる気がする!」

梨子「一昨日見せてもらった千歌ちゃんの歌詞が元気いっぱいだったから、曲もそれに合わせて明るくしようって思ったんだけど」

梨子「お気に召してもらえたなら嬉しいわ」ニコッ

51: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:26:36.27 ID:5MN9cRxE0
千歌「お気に召すなんてもんじゃないよ!大・大・大満足の大興奮!!」

千歌「最後の方なんて前と全然印象違ってて、なんかがんばるぞー!って元気もらえるよ!」

梨子「そこね、金曜日に行き詰まってたところなの」

千歌「梨子ちゃんでも作曲に行き詰まることってあるんだ?」

梨子「あるわよ、行き詰まってばっかり」フルフル

梨子「でもね」

梨子「今日、千歌ちゃんと果南ちゃんがいっぱい元気をくれたから」

千歌「えへへー、楽しかったね!ジムも、ショッピングも、カフェ巡りも!」

梨子「うん!いい刺激をもらえて、作曲もがんばれたわ!」

梨子「…………私がその……ドッペルゲンガーを怖がってたから、二人とも元気付けてくれたんだよね」

千歌「……うん、私自身、こわいなって思うし」

千歌「気分転換して、ドッペルゲンガーなんていない!って思えればいいなって」

梨子「ありがとう」

梨子「いないわよね、ドッペルゲンガーなんて」

千歌「いないいない!」

52: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:27:05.85 ID:5MN9cRxE0
梨子「だから」

梨子「あそこに見える人影だって、私の気のせいよね……」

千歌「えっ?」

梨子「あそこ、道路の向こう側」

千歌「角度のせいかな……私には見えないけど」

千歌「人影なんて別に気にしなくても」

梨子「いるのよ」

梨子「バレッタで後ろ髪をまとめた」

梨子「私が」

千歌「……………………」

53: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:27:40.22 ID:5MN9cRxE0
ピロン

千歌「……」チラッ

千歌「いないよ」

千歌「そんなのいない」

梨子「いない?」

千歌「いないいない!」

梨子「……よかった」

千歌「あんまり夜風にあたるのもよくないし、今日はもうゆっくり休もう?」

梨子「そうね、それじゃあまた明日」

千歌「うん、また明日」

ガラッ シャッ

梨子「…………」

梨子「いつもはこの時間、まだカーテン閉めないよね」

梨子「なんて、聞こえないか」

梨子「……何を隠してるの、千歌ちゃん」

54: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:28:09.44 ID:5MN9cRxE0
DPG対策本部(7)

ダイヤ:進捗はいかがですか

ヨハネ:オエッ

曜:オエッて(笑)

ヨハネ:ほとんど何もわからなかった

ヨハネ:バイロケーションだのオートスコピーだの

鞠莉:自己像幻視だの鏡像幻視だの?

ヨハネ:わっけわかんないよね

鞠莉:馴染みのない文字列読んでもさっぱりだわ

ヨハネ:DPGの別の言い方みたいなのはポロポロ出てきてるんだけど

ヨハネ:DPGそのものについては元々持ってる知識以上の収穫は得られなかった

ダイヤ:そうですか

ダイヤ:私も似たようなものです

ダイヤ:風土資料などは見つかったのですが、量が多すぎてどこから手を付ければよいのかわからない状態です

曜:情報が多すぎるのも問題だね

ヨハネ:ネットなんか、情報が多すぎるように見せかけて似たような情報ばかり出てくる

曜:最初から順調にってわけにはいかないみたいだね

花丸:こっちも本が多くて関連書籍が見つかるまでどれくらいかかるかわからない

花丸:そもそも関連書籍があるのかすらもわからない

55: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:28:40.06 ID:5MN9cRxE0
ルビィ:みんな大変そうなのに手伝えなくてごめんなさい

鞠莉:いいのよ気にしなくて

ヨハネ:ルビィと曜は衣装作らなきゃだし、やっぱりこのグループから外しておこうか?

曜:気になって衣装作りに集中できないであります

ルビィ:同じくであります

曜:それに、情報共有してるとどこかで閃きとかあるかもしれないし

曜:こっちに限界が来るまではよろしくお願いしたい

千歌:(よろしくお願いします)

ヨハネ:(よろしくお願いします)

鞠莉:(よろしくお願いします)

ルビィ:(よろしくお願いします)

ダイヤ:(よろしくお願いします)

花丸:(よろしくお願いします)

曜:この一糸乱れぬスタンプ芸よ

ダイヤ:Aqoursの絆の強さの表れですね

千歌:ちょっと違わないかな

56: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:29:09.02 ID:5MN9cRxE0
千歌:私の方は、収穫を得られないことがわかったという収穫を得られたよ

曜:なんのこっちゃ

千歌:今日は果南ちゃんと梨子ちゃんとおでかけしたんだけどね

鞠莉:昨日言ってたね

千歌:果南ちゃんにもう少し詳しく、鞠莉ちゃんのドッペルゲンガーについて聞こうと思ったんだけど

千歌:その話は忘れようって言われて

ヨハネ:ああー

千歌:たぶん

千歌:鞠莉ちゃんのドッペルゲンガーと散歩した日のことはもう聞けないと思う

ルビィ:ドッペルゲンガーの話をするとどうしても雰囲気暗くなるから

ルビィ:みんなが明るくいられるように気遣ってくれてるんでしょうね

ダイヤ:暗くなる話題は避けたいのでしょうね

ダイヤ:あれでいて察しのいい人ですから、二人で散歩した日のことを話題にすればドッペルゲンガーについて探られてると悟られてしまうでしょう

千歌:そうなるともう果南ちゃんは貝だよ

鞠莉:貝

曜:口を開かない?

千歌:うん

ヨハネ:お湯で茹でたら口を開くってことか

曜:拷問か!

57: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:29:40.65 ID:5MN9cRxE0
ヨハネ:明日からも難航しそうね~

鞠莉:平日は特に時間取れないしね

鞠莉:本は何冊か借りてきたけど

千歌:あっ私

千歌:図書館行ってないから平日に調べることない

千歌:インターネットの検索なんて善子ちゃんみたいに上手じゃないし

曜:旅館のお客さんからお話聞けたりしないの?

千歌:軽い世間話くらいならするけど

千歌:こういう特殊な話は聞けないかな

鞠莉:じゃあ私の家で一緒に調べる?

千歌:学校に本持ってきてもらって、それから借りてもいい?

鞠莉:図書館からの又貸しになっちゃう

千歌:鞠莉ちゃんの家行くのは無理そうで

鞠莉:そうなの?

58: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:30:08.32 ID:5MN9cRxE0
千歌:今日っていうかさっき、ドッペルゲンガー出たの

曜:えっ

千歌:梨子ちゃんと窓から話してたんだけどね、梨子ちゃんが見ちゃったらしくて

千歌:梨子ちゃんのドッペルゲンガーだったらしい

ヨハネ:千歌は見なかったの?

千歌:角度のせいか見えなかった

千歌:ただの見間違いならいいんだけど

千歌:バレッタで髪まとめてる自分が見えるってハッキリ言ってたから

曜:本当にいたんだろうね

千歌:実際私からは見えなかったから、ドッペルゲンガーなんていないって否定しておいたんだけど

千歌:梨子ちゃんすごく顔色悪くなってて、冷や汗もかいてて

曜:心配だね

千歌:平日に鞠莉ちゃんの家に私だけ行ってたら、何か思われちゃうんじゃないかなって

千歌:梨子ちゃんには、ドッペルゲンガーの話はもう終わったって思ってもらいたいんだ

鞠莉:確かにね

59: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:30:35.35 ID:5MN9cRxE0
鞠莉:ちかっちには引き続き、梨子のメンタルケアをお願いしていいかな?

千歌:うん!

千歌:できることが少なくてごめんね

ダイヤ:そんなことは決してありません

ルビィ:とっても大変だと思います

ダイヤ:他人の精神安定に努めるというのは、自身にも多大な負担がかかるものです

ダイヤ:むしろ千歌さんには、一番労力のかかる役目を受け持って頂くことになると思っています

ダイヤ:苦しくなったときは必ず、私たちに声をかけてくださいね

ルビィ:いつでも頼ってね

千歌:ちょっと大袈裟じゃない?(笑)

千歌:でも、ありがとう!

60: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:31:04.87 ID:5MN9cRxE0
ザーッ

曜「雨、止まなかったね」

千歌「朝からずっと降り続けるなんてなー」

果南「朝練もできなかったし、気が滅入っちゃうよ」

鞠莉「まあまあ」

鞠莉「今日は梨子がアレンジした完成版の曲を聴いて、今後のスケジュールを立てましょう?」

梨子「まだダンスの練習に入ってないって言ってたからCメロをガラッと変えちゃったんだけど……」

果南「ああ、うん、大丈夫大丈夫」

果南「聴いてからまた振り付けもちょっと変えていこうね」

ダイヤ「それでは流しますね」

61: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:31:32.81 ID:5MN9cRxE0
~~♪…………

曜「印象が全然違うね!すごくいい!」

ルビィ「心が晴れやかになるというか!」

善子「そうね、テンションが上がってくるわ」

花丸「音のひとつひとつが軽やかで、元は同じ曲のはずなのにこんなに変わるんだね!」

千歌「でしょでしょ!?元気わいてくるよね!!」

果南「なんで千歌が自慢気なの」クスクス

千歌「だって~!この曲、一番初めに聴いたの千歌なんだよ!」

鞠莉「アハハッそれ関係あるの?」

ダイヤ「自分が良いと感じたものを、みんなも評価したのが嬉しいんですのよね」

千歌「そうそれ!」

梨子「なんだか照れちゃうな」

62: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:32:00.41 ID:5MN9cRxE0
曜「創作意欲がわいてくるよ!私、衣装の方しにいっていい!?」

ルビィ「あっそれならルビィも!」

鞠莉「今日は練習もできないし、いってらっしゃい」

ルビィ「いってきまーす」

曜「まーす!」

千歌「私もそーさくいよくわいてくる!」

千歌「歌詞もなんかいい感じにできそうな気がする!」

花丸「あれ、できてたんじゃなかったっけ」

千歌「できてるんだけどね、もっと印象に残るフレーズを入れたいなって思って」

花丸「それじゃあマルも、お手伝いするずら!」

梨子「主旋律に違和感なく歌詞が乗せられるように、私もお手伝いするね」

63: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:32:31.15 ID:5MN9cRxE0
果南「私、鞠莉、ダイヤ、善子は振り付け組ね」

ダイヤ「動けるように少し、机を端に寄せますわよ」

千歌「はいはーい」ガタン

梨子「花丸ちゃんはそっち持ってもらえる?」

花丸「はーい」カタッ

果南「よいしょっと」ガタッ

果南「これくらいスペースあればいいかな」

善子「私の意見、参考になるものかしら……」

鞠莉「ギラン!とした意見待ってるわ」

善子「バカにしてるでしょ」

ダイヤ「善子さんの意見は斬新で、いつも参考になってますわ」

善子「そ、そう?えへへ」

64: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:32:59.98 ID:5MN9cRxE0
――――

千歌「できた?できたかな?これは」

花丸「できてるできてる!前より良くなった感じだよ!」

梨子「歌いやすくもなったと思うよ!」

善子「振り付けの方も案外あっさりできちゃったわね」

果南「元ができてたからアレンジだけだったしね」

鞠莉「曲を何度も聞いて、何か新しいIdeaが浮かんだら組み込んでいく感じかしら」

ダイヤ「Cメロの練習に入るまでは変更可能ですしね」

善子「じゃあ今日はもう?」

果南「解散かな」

ダイヤ「やることありませんしね」

花丸「今日の活動時間は短かったずら」

梨子「雨降ってるし仕方ないね」

千歌「曜ちゃんたちにもLINE送っておくよー」スッスッ

鞠莉「忘れ物ない?曜たちはBagもちゃんと被服室に持っていってるわね?」

ダイヤ「ええ、二人とも持っていっていましたわ」

千歌「じゃあかいさーん!さよならー!ぐっばーい!」

ガチャンッ

65: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:33:35.45 ID:5MN9cRxE0
パタンッ ポスッ

善子(17時20分……)

善子(今日は思いの外早く帰れてよかった)

善子(ドッペルゲンガーについて一から整理する時間がとれる)カタン……

善子(さて……思い付いた順に書き出すと……)

カリカリ……カリカリ……

66: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:34:04.18 ID:5MN9cRxE0
―――――
・観測されたDPG
 果南、鞠莉、私、梨子

・そのDPGの行動
 果南、鞠莉のDPGは会話をした
 私のDPGはただ立っていただけ
 梨子のDPGも恐らく特殊な言動はしてない

・DPGとは
①本人の関係ある場所に現れる
 ↓
 ファミレス、海辺、校門、自宅付近

②忽然と消える
 ↓
 ファミレスの果南(木曜)、校門の私(金曜)

③他者と会話しない
 ↓
 果南、鞠莉は会話をした

④自分or第三者がDPGを見るとDPGの対象人物は死ぬ
 ↓
 果南は車に轢かれかけた

⑤本人と成り代わる
 ↓
 果南、鞠莉、私、梨子の中に偽物がいる?

⑥自分にしか見えず、それは脳が見せる幻覚
 ↓
 原因:脳腫瘍、精神病 等
―――――

67: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:34:35.80 ID:5MN9cRxE0
善子「む、あれ?」

善子(自分にしか見えないってのと第三者がドッペルゲンガーを見ると対象人物が死ぬってのは矛盾するわね)

善子(どういうこと?)

善子「いや、えっと、つまり……」カリカリ

―――――
DPGの種類
├オカルト的な存在
└身体或いは精神の疾患
―――――

善子「……ってことよね」

善子(だから……)カリカリ

―――――
DPGの種類
├オカルト的な存在 ○
└身体或いは精神の疾患 ×
他者がDPGを観測している為、
今回はオカルト的存在として調査
原因が病気である項目は排除して考察するべき
―――――

善子「うん!」

善子(これで必要な情報と不要な情報とに分けやすくなった)

善子(対策も立てやすくなるはず)

68: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:35:06.56 ID:5MN9cRxE0
善子(となると、③⑥は除外ね)カリカリ

善子(他者と積極的に関わろうとしているのにも、これで説明がつく)

善子(あとは、そのドッペルゲンガーの目的)

善子(十中八九、成り代わりね)

善子(下手したら既に成り代わってる可能性もある)

善子(まず、私は今のところ大丈夫として)

善子(果南、鞠莉、梨子……)カリカリ

善子(特筆して不自然なところはなかった)

善子(怪しいのが誰かはわからないけど、)カリカリ

―――――
果南→
鞠莉→
梨子→たぶんまだ本物
―――――

善子(梨子のドッペルゲンガーが出たのは昨日)

善子(私のドッペルゲンガーと同じようにただ立っていただけ……のはず)

善子(私のドッペルゲンガーと同じ状況なら、私が成り代わっていない以上梨子も成り代わっていない)

善子(……よね?)

善子(疑惑は持っておくべきだけど、たぶん、本物のはず)

69: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:35:38.35 ID:5MN9cRxE0
善子(ドッペルゲンガーがどこまで本人に似ているのか知ることが重要ね)

善子(容姿は瓜二つ、これは間違いない)

善子(性格は……考え方は……所作は……)

善子(……そんなのわかるわけないじゃない)

善子(成り代わっていたとして、見破るすべがない)

善子(もし鞠莉が既にドッペルゲンガーと成り代わっていたとしたら……)

善子(LINEグループに入れたのは間違いだったかもしれないわね)

善子(きっと関係ない情報や間違った情報、全くの嘘で撹乱してくるはず)

善子(こちらの情報の開示は慎重に、偽物に騙されないように)

善子「…………」コトッ

善子(……なんで仲間を疑わなきゃなんないのよ)

善子「嫌になるわ……」

善子(でも、仲間を守るためには、全てを疑ってかかるべきよ……)

善子「私はヨハネ、堕天使ヨハネ」

善子「精神を強く保つのよ、ヨハネ」

70: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:36:10.11 ID:5MN9cRxE0
曜(外暗いなあ)

曜「外、暗いね」

ルビィ「そうだね、雨降ってるから」

曜(18時30分……)

曜「そろそろ帰る?キリもいいし」

ルビィ「外も暗いし?」

曜「19時くらいに感じるよね」

ルビィ「だねー」

ルビィ「雨も……今は少し小雨になってるみたいだし、帰りましょっか!」

曜「帰りましょう帰りましょー!」

ルビィ「本当はルビィもう目が疲れちゃってて」

曜「細かい作業だもんね、そこ」

ルビィ「ステージで踊ってるのに、こんな細かいところどうせ見えないけど」

ルビィ「こんなにやらなくてもいいのかもしれないけど」

曜「それでもがんばっちゃうのがルビィちゃんなんだよねー」

ルビィ「それは曜ちゃんも!」

ルビィ「妥協を許さない精神!あるもんね!」

曜「間近で見たときに、残念な衣装って思われたくないし自分も思いたくないよね」

ルビィ「ね!わかる!その気持ち!」

71: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:36:39.28 ID:5MN9cRxE0
曜「……と、あれ?」

ルビィ「どしたの?」

曜「サブバッグ部室に忘れちゃってる」

ルビィ「今日持って帰らなきゃいけないの?」

曜「体操着入れてるんだよー!臭くなっちゃう!」

ルビィ「あー、バスケしたって言ってたもんね」

曜「体操着を忘れるなんてブッブーですわ!くっさいですわ!」

ルビィ「んっ、ふ、ククッ」ケホッエホッ

曜「ごめん」

ルビィ「意外と声が似てて、ほんと……ふふっ」ケホッ

ルビィ「こっちは片付けておくから、先に降りちゃってて」

曜「うん、ありがと!終わったら職員室前で待ってて!」

ルビィ「はーい」

72: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:37:06.19 ID:5MN9cRxE0
ガラッ

曜「失礼しまーす!スクールアイドル部の部室の鍵借りまーす!」

「まだ何かするの?」

曜「帰るんですけど忘れ物しちゃって」

「そう、早く取りに行って帰りなさいね」

曜「はーい!失礼しまーす!」

ピシャッ

73: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:37:34.80 ID:5MN9cRxE0
曜(暗い学校で一人で歩くってちょっとこわいな)

曜(早く部室行こうっと)テテテッ

ザーッ ゴロゴロ……

曜(ありゃ、雨脚ひどくなったかな?)

曜(いそげーいそげー)テテテテッ

曜(ドアー鍵ー)キッ カチャッ

曜「Hey!曜ちゃん参上!」ガラッ

曜(あら、カーテン閉まってるから思ってたより暗い)

曜(電気のスイッチこの辺?どの辺?)ペタペタ

曜(わかんないや)

曜(まぁ見えないこともないし、手探りでいっか)

曜「ええーっとー」

曜(椅子の上に置いてたからー)

曜(いや、椅子の下だったっけ?)

ガンッ

曜「あだっ」

74: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:38:09.01 ID:5MN9cRxE0
曜「いーっいたいーっうーっ」サスサス

曜(えー?机の位置変わってない?なんで?)

曜(いたいよ~)

曜(あとでルビィちゃんになでなでしてもらお)

曜(ここが机で、椅子がここで……)ペタペタ

ピカッ ……ゴロゴロゴロゴロ

曜「ひゃっ!えっ!?」ドテッ

曜(人影!?人?部室に?鍵かかってたのに?)

曜(まって、え、これ、ドッペルゲンガー?)

曜(誰の?私の?どうしよう)

曜(ひとまず、電気……手探りはもう無理……)

曜(電気……電気……スイッチは……あっ)パチッ

曜「……え、あ、あぁなんだ」

曜(トルソー……)

曜(前の衣装一着だけ飾ってたんだっけ、そういえば)

曜(衣装着せてるトルソーをドッペルゲンガーだと思うって……)

曜「ふふっばかみたい」

曜(ルビィちゃんに話そ)

75: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:38:39.18 ID:5MN9cRxE0
――――

ルビィ「……本当にそれ、トルソーだったの?」

曜「え?」

ルビィ「雷の光で一瞬姿を捉えられてから、曜ちゃんが電気のスイッチを手探りで見つけて灯りをつけるまでの間」

ルビィ「それは、その影の主が物陰に隠れるには十分な時間なはず」

ルビィ「隠れたあとは、光の中で曜ちゃんが人影をトルソーだったと勝手に思い込むのを見届けるだけ」

ルビィ「トルソーとは別に、本当に人がいたとも気付かない曜ちゃんを嘲笑いながら……」

曜「でも部室には鍵がかかってて……それなのに……」

ルビィ「例え部室にいなかったとしても」

ルビィ「外にいた人が窓越しにシルエットだけ見えた可能性だってあるよね」

ルビィ「こんな雨だもん、学校に不審者が侵入しててもおかしくない」

ルビィ「なんでもないんならいいんだけど」

ルビィ「人の気配を感じたときは、本当に誰かがいる可能性が高いんだよ」

曜「うう……」

76: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:39:07.18 ID:5MN9cRxE0
ルビィ「……なんて!」

ルビィ「びっくりした?」

曜「なっ!?もう!」

曜「ルビィちゃんホラーセンスありすぎてこわいよお!」

曜「おどかすつもりがおどかされちゃった」

ルビィ「ルビィ、実はこわい話には強いんだよ!」

ルビィ「よく善子ちゃんが怪談話してくるから」

曜「ああー、それで慣れちゃった感じ?」

ルビィ「そうそう」

ルビィ「最近は驚かなくなっちゃったから、からかい甲斐がない!って言われちゃってる」

曜「いつも聞いてればそりゃ、からかわれてばっかりじゃなくなるよね」

ルビィ「ねー」

77: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:39:37.41 ID:5MN9cRxE0
ルビィ「それより、足、大丈夫?」

曜「うん、もうぜんぜ」

曜「あ、今のなし、すご~くいたい!なでなでして~!」

ルビィ「おーよしよし、痛かったですね~!」

ルビィ「いたいのいたいの、とんでけー!」

曜「あはは、ルビィちゃんのおかげで痛くなくなった!」

ルビィ「よかったあ!」

ルビィ「じゃあ帰ろうか!」

曜「足元ぬかるんでるから気を付けて帰ろうね」

ルビィ「はーい!」

78: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:40:05.19 ID:5MN9cRxE0
~~♪~~~~♪~~~~♪……

梨子「……」カタン

梨子(ピアノを弾いたところでなんの気晴らしにもならない)

梨子(みんなの様子がおかしかったせいよ、こんなに不安になるのは)

梨子(何かを隠してるような、なんだか妙な空気だった)

梨子(特に変なのが千歌ちゃん)

梨子(明るすぎるのよ)

梨子(昨日あんな話をしたのに)

梨子(私のドッペルゲンガーがいたのに)

梨子(確認すらしに行かないなんて)

梨子(いないですって?)

ダンッ

梨子「いたわよ!!」

79: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:40:33.63 ID:5MN9cRxE0
梨子(見えないフリをした?)

梨子(なんで?)

梨子(自分に不都合なことでもあったの?)

梨子(思えば、海に行ったあの夜……)

梨子(そう、あの夜も変だった)

梨子(ずっとスマホを気にして)

梨子(果南ちゃんと連絡を取り終えたと、そのまま連絡を取り続けてるフリをして別の誰かと……)

梨子(ダイヤさんだったわね、あの時のLINEの相手は)

梨子(内容は……『Aqoursの活動を最優先に』)

梨子(最優先、ということは)

梨子(第二優先事項があるということ)

梨子(もしかして、千歌ちゃんもダイヤさんももうドッペルゲンガーと入れ替わってて)

梨子(他のみんなもドッペルゲンガーと入れ替えようとしてる……?)

80: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:41:03.75 ID:5MN9cRxE0
DPG対策本部(7)

鞠莉:ハロー

千歌:はろー

千歌:今日は誰か収穫あったー?

ヨハネ:16:30にはもう部活終わったから

ヨハネ:時間に余裕を持って、これまでのことをおさらいすることができたわ

千歌:新たな収穫は?

ヨハネ:なし

鞠莉:それは残念

花丸:私は少しだけあったよ

曜:ほんと!?

鞠莉:さすが!

ヨハネ:よっ!お寺の娘!

花丸:褒めてるの?冷やかしてるの?

ヨハネ:褒めてる褒めてる

千歌:それで?どんな?

81: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:41:41.44 ID:5MN9cRxE0
花丸:中国の妖怪の話なんだけど

ルビィ:中国?

曜:ドッペルゲンガーとどんな関係があるの?

花丸:その妖怪は、人を食べる巨大魚なの

千歌:こわっ

花丸:食べた人に成り代わって生活するらしくて

ルビィ:ドッペルゲンガーみたい

花丸:でしょ?

花丸:ドッペルゲンガーみたいだし、魚ってところも少し内浦に関連性があるように思える

ヨハネ:中国の話なんでしょ?

ヨハネ:魚と内浦で関連が~ってちょっとこじつけじゃない?

花丸:それはそうなんだけど

ヨハネ:というか、むしろ魚ってところしか内浦に関係ない

曜:でも、ドッペルゲンガーだけじゃなくて、それに似た妖怪やおばけのことも調べていけば

曜:何か対策が立てられるんじゃないかな

千歌:なるほどー

曜:その妖怪はどうやって退治したの?

花丸:大きな甕に閉じ込めて護符で封印したみたい

ヨハネ:漢字読めない

千歌:同じく

花丸:かめ

千歌:入れ物の?

花丸:そう

83: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:42:17.98 ID:5MN9cRxE0
花丸:護符ならうちで用意できるから

花丸:とりあえずひとり一枚ずつ、護身用に持っておく?

ヨハネ:かっこいいやつきた!

曜:できれば使わずにすませたいよねー

鞠莉:それはそうよね

花丸:使わなかったら返してね

ヨハネ:えー

花丸:高いんだよ

花丸:安くても一枚3000円とかする

千歌:わーっ高い!

曜:勿体なくて使えなさそう!

鞠莉:それくらいなら人数分私が買わせてもらうわ

ルビィ:えっそれは申し訳ないですよ

鞠莉:勿体なくていざという時に使えなきゃ意味ないでしょ?

花丸:鞠莉ちゃんがそれでいいなら

千歌:ありがとう!鞠莉ちゃん!

鞠莉:お返しに

鞠莉:みんな無事に、この案件を解決すること!

千歌:お安いご用!

曜:お安いかなあ

ルビィ:何事も起こらないといいですね

84: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:42:53.87 ID:5MN9cRxE0
ダイヤ:調べものをしていてLINEに気付きませんでした

ダイヤ:申し訳ありません

千歌:いいよー

千歌:気付いたときに見てもらえれば

曜:ダイヤさんのところ、たくさん本あって大変そうなのはわかってたしね

ダイヤ:そして鞠莉さん、ありがとうございます

ダイヤ:同じ年長として半分は私が支払わせて頂きたいのですが

鞠莉:いーのいーの!気にしないで!

鞠莉:それよりも果南と梨子にどう言って持たせるかよ

千歌:梨子ちゃんには普通に渡せば受け取ってもらえると思う

千歌:ドッペルゲンガー怖がってたし、お守りだよって言えば

ダイヤ:問題は果南さんですね

鞠莉:まず察するね

千歌:どう渡しても察するね

ヨハネ:察されたらいけないの?

ヨハネ:普通にお守りとして受け取ってもらえそうなもんだけど

85: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:43:24.28 ID:5MN9cRxE0
千歌:甘いね~

千歌:果南ちゃん、ドッペルゲンガーの話は完全拒否の体勢だよ

千歌:察したらまず怒る

鞠莉:わかる

ダイヤ:烈火のごとく怒りますね

千歌:ドッペルゲンガーなんていないって言ってるでしょ!

千歌:みたいな

曜:まだそんな下らないことにこだわって!

曜:みたいな

花丸:みんながドッペルゲンガーのことを忘れなきゃ真の平穏は訪れないって思ってそうだね

ヨハネ:なだめられそうにない

ダイヤ:頑固者ですからね

鞠莉:参ったねこれは

86: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:43:54.25 ID:5MN9cRxE0
ルビィ:ストラップにして渡すっていうのはどうですか

千歌:おふだストラップってわけじゃないよね?

ルビィ:ストラップの紐をつけた巾着に、畳んだお札を入れておくんです

ルビィ:巾着にはお札と一緒にポプリを入れておけば、紙の擦れる音もごまかせます

ルビィ:パッと見ただけじゃドッペルゲンガーを連想しないかな、と

鞠莉:なるほど、確かに

ルビィ:実を言うと、もうみんなの分のそのストラップ出来てて

千歌:え!なんでなんで!うれしい!

ルビィ:みんなに喜んでもらえるかなって衣装の合間に気分転換で作ってたんです

ルビィ:それがこんな形で役に立ててうれしいです

曜:こちらこそうれしいよー!ありがとう!

花丸:みんなもその巾着に入れておいた方が、お札をそのまま持ち歩くよりいいね!

87: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:44:45.12 ID:5MN9cRxE0
ルビィ:これならケータイにもカバンにも付けられるし

ルビィ:イヤホンジャックもつけてるからスマホにも付けられます!

ヨハネ:確かにそれは携帯しやすいし、いい案ね!

鞠莉:さっすが私の妹ですわ~!ってしなくてもいいの?ダイヤ?

ルビィ:お姉ちゃん、今まさに私にそれやってます

ヨハネ:ウケる

千歌:笑う

曜:LINEで想いを伝えるより断然早い

花丸:ルビィちゃんが冷静で、想像しうる状況とのギャップが面白い

鞠莉:ダイヤになでなでされながら返信するルビィ面白すぎるわ

ルビィ:自宅でも割りと日常茶飯事なので

ヨハネ:余計にウケる

ルビィ:というわけで、明日そのポプリストラップ持って行きますね

花丸:私も護符、持っていくね

千歌:はーい!よろしくね!

88: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:45:27.10 ID:5MN9cRxE0
千歌「おはよーみんな」

曜「おはよーそろー!」

花丸「おはよう、千歌ちゃん」

善子「おはよう」

ストン

千歌「今日はルビィちゃんは一緒じゃないの?」

曜「それ私たちも聞いたー」ケラケラ

花丸「ダイヤさんの生徒会の仕事手伝うからってこれより一本早いバスに乗ったんだって」

千歌「なんて姉想いな!」

善子「千歌の方こそひとり?梨子は?」

千歌「体調よくないらしくって、遅れて登校するってさっきLINEがきた」

89: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:45:53.95 ID:5MN9cRxE0
曜「やっぱりドッ……アレのせいでストレスかかってるんだろうね」

千歌「なんで言い換えたの」

善子「バスの中で公然と言うもんでもないでしょ」

千歌「それもそっか」

曜「来れなくてそのままお休みしたらお見舞い行こうね」

千歌「ゆっくり休めるといいんだけど」

花丸「遅れて来るにしても、今日は朝練もないし気が咎めないしね」

善子「えっないの?」

曜「果南ちゃんからグループに連絡あったよ」

千歌「屋上の様子見たらすごい濡れてたって言ってた」

花丸「昨日はずっと雨降り続けてたもんね」

曜「モップであらかた拭いておいたから放課後には乾いてるだろうってさ」

千歌「昨日とはうってかわっていい天気だもんね~!今日はいっぱい練習しようね!」

善子「あんまりはりきりすぎてケガしないようにね」

90: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:46:29.17 ID:5MN9cRxE0
花丸「あっそうだ、これ」スッ

千歌「あ!昨日言ってた!ごふ!……二枚?」

花丸「千歌ちゃんのと、もう一枚は梨子ちゃんの分」

花丸「渡せるときに渡しておいてもらえるかな」

千歌「了解!まっかせて!」

千歌「曜ちゃんたちはもうもらってるの?」

曜「うん、さっきもらった」

善子「頼りになるわ、お寺の娘」

花丸「なんかむず痒いからそれやめて」

善子「寺の子ならアレなんかサクッと退治できないの?」

花丸「あいにく、マルは退魔師でも霊媒師でもないずら」

91: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:46:57.48 ID:5MN9cRxE0
千歌「でもお寺の子ならなんかできそう」

曜「花丸ちゃん、たくさん本読んでて知識も豊富だしできちゃいそう感はある」

花丸「直感はそこそこ冴えてる方だとは思うけど退治なんて……」

善子「せめて偽者を見破ることぐらいできないの?」

花丸「マルはまだアレを見たことないからわからないけど」

花丸「不穏な空気をまとってたら多分、わかるかもしれない……」

千歌「花丸センサー」

善子「いいわね、花丸センサー」

曜「小型化して持ち歩きたい」

花丸「小型化して持ち歩くのは護符だけにしてほしいずら」

善子「護符の方はルビィからストラップ受け取って、それに入れれば完璧ね」

花丸「善子ちゃん不運だから、ルビィちゃんからストラップもらう前になくしちゃわないようにね」

善子「だ、大丈夫よ……今だって折り畳んで生徒手帳に入れてるし……なくさないわよ」

曜「バス降りてから生徒手帳落としたりしないようにね?」

善子「気を付けるわ」

92: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:47:28.92 ID:5MN9cRxE0
――――

花丸「あ」

花丸(ちがう)

ルビィ「あっおはようみんな」

ダイヤ「おはようございます」

花丸(突然の違和感、強い嫌悪感、直感への確信)

花丸(脳が警鐘を鳴らす)

花丸(この二人は入れ替わってる)

千歌「おはよー、朝早くからお疲れさま!」

善子「おはよう、運んでるのなに?」

曜「大変そうだね、手伝おうか?」

花丸(三人は気付かない)

ダイヤ「古い赤本です、自習室の整理をしていましたので」

ルビィ「そんなに重くないし大丈夫!ありがとう」

ダイヤ「皆さんは荷物もありますし、お気持ちだけ頂いておきますわ」

花丸(見た目も言葉遣いもいつも通り)

花丸(こんなに似てるんじゃあ、千歌ちゃんと果南ちゃんがドッペルゲンガーに騙されたのにも納得がいく)

93: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:47:58.01 ID:5MN9cRxE0
千歌「生徒会って自習室の整理もしなきゃいけないの!?」

ダイヤ「いえ、資料室に用事があったので」

曜「ついでに隣の教室も整理しちゃったの?」

ダイヤ「そんなところですわ」

ルビィ「これで受験勉強しやすくなるよー!」

千歌「まだ先の話……とは言えないよね、もう」

曜「二年生だからねー、もう受験勉強入ってなきゃいけない時期だよー」

ダイヤ「しっかり励んでくださいね」

ワイワイ

花丸(ドッペルゲンガー目撃時は本物に電話確認……)

花丸「善子ちゃん」コソッ

善子「ん?なによ」

花丸「こっちを見ないで、小声で喋って」ボソボソ

善子「……何かあったのね?」ボソボソ

花丸「みんなにバレないように、ルビィちゃんに電話してほしいずら」ボソボソ

花丸(悟られればドッペルゲンガーに警戒される)

善子「わかった、理由はあとで聞くわ」ボソボソ

花丸(オラはダイヤさんに電話を……)

94: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:48:27.85 ID:5MN9cRxE0
プルルルル プルルルル

ルビィ「ん?」

花丸「えっ」

花丸(いや、まさか……)

ルビィ「んしょ……」ポスッ……スッ

ルビィ「あれ?善子ちゃん?」

ルビィ「なんで電話?」

善子「ん?かけてないわよ?」

ルビィ「でもほら、善子ちゃんから……」

善子「あらほんと」……ゴソゴソ

善子「あー、ポケットの中で勝手に電話かけちゃってたみたい、ごめんね」ピッ

ルビィ「ううん、いいよー」

ルビィ「私も時々やっちゃうし」

曜「画面ついたままポッケに入れてると時々やっちゃうよね」

千歌「あるあるー」

善子「これでよかった?間違えてない?」ボソボソ

花丸「うん……」

花丸(ルビィちゃんの電話をなんでドッペルゲンガーが?)

花丸(もしかして……でもそれじゃあ矛盾がある……)

花丸(いや、ひょっとすると……)

95: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:48:56.40 ID:5MN9cRxE0
ガヤガヤ

善子「で、なんだったの?今朝のは」

花丸「……善子ちゃん、今朝のルビィちゃんとホームルーム以降のルビィちゃん、なにか様子が違って見えなかった?」

善子「いつも通りだと思うけど」

ルビィ「なになに?何の話してるの?」トテテ

花丸「…………朝のルビィちゃん、大変そうだったなって」

花丸「やっぱりお手伝いした方がよかったんじゃないかなって話してたの」

ルビィ「えへへ、ありがとう」

ルビィ「本当にそんなに重くなかったの、気遣ってくれてありがとう!」

花丸「そう……」

96: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:49:24.41 ID:5MN9cRxE0
ルビィ「お昼ごはんどうする?今日は天気いいし、中庭で食べる?」

善子「ベンチとかまだちょっと濡れてるみたいだし、教室でいいんじゃない?」

善子「あー、私とずら丸、今日は購買でお昼買うからルビィは教室で待っててもらえる?」

ルビィ「教室で?」クルッ

ガヤガヤ

ルビィ「……うん、いいよ」

善子「さ、ほら行くわよ、お財布は?」

花丸「ま、まって」モタモタ

善子「あぁもうまどろっこしい!鞄ごと持ってっちゃいなさいよ、早くしないとカツサンド売り切れちゃう」

花丸「あっ、えっ、わかった」

タタタタッ

ルビィ「いってらっしゃーい」

97: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:50:06.81 ID:5MN9cRxE0
善子「あんた、お弁当持ってきてたっけ」

花丸「持ってきてるずら……」

善子「じゃあそれ部活前にでもこっそり食べなさい」

善子「口実作ったんだから、手短にさっきの話してちょうだい」

善子「ルビィはドッペルゲンガーなのね?」

花丸「……たぶん」

善子「煮え切らないこと言うのやめてよ、時間ないんだから」

花丸「オラにもよくわからないから……」

花丸「ドッペルゲンガーについて、よく知らないけど、もしかしたらって思うことがあったから……的外れなこと言ってても笑わないでね」

善子「笑わないわ」

98: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:50:36.55 ID:5MN9cRxE0
花丸「ドッペルゲンガーって、病気のようなものなのかなって思うの」

花丸「感染していても発病していないような、キャリアみたいな状態があるんじゃないかなって」

花丸「今朝のルビィちゃんは間違いなくドッペルゲンガーだった……でも、ホームルーム以降はいつものルビィちゃんに戻ってた」

花丸「ドッペルゲンガーはルビィちゃんの持ち物を持っていて、本物のルビィちゃんはドッペルゲンガーだった時の記憶も持っていた」

花丸「つまりドッペルゲンガーは、ルビィちゃんの体に入り込んで、今まさに混じりあっている最中なんじゃないかって」

花丸「今はまだ主導権はルビィちゃん本人にあるけれど、内部をどんどん蝕んでいって、最終的にドッペルゲンガーが体を乗っ取るんじゃないかって」

花丸「思うんだけど……どう?」

善子「うん」

善子「そういうドッペルゲンガー、私は知らないんだけど、そうであると仮定すると」

善子「千歌や果南、梨子がみたドッペルゲンガーについて辻褄が合わないんじゃない?」

花丸「もちろん、オラだってそれは思った」

花丸「だけどね、その考え方は、固定観念にとらわれてるんじゃないかって」

善子「……どういうこと?」

花丸「ドッペルゲンガーという妖怪は、一種類しかいないの?」

99: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:51:04.85 ID:5MN9cRxE0
花丸「世界の生物、物質、事象、どれをとってもひとつとして全くの同一のものはない」

花丸「人間と一口に言っても沢山の人種があって考え方があって生き方がある」

花丸「ドッペルゲンガーだけ一種類しかないなんてこと、あるかな?」

善子「それは……盲点だったわ」

善子「昨日の巨大魚だって、ドッペルゲンガーの正体のひとつってわけね」

花丸「そうずら」

花丸「妖怪として外から侵略してくるもの、病気や怪奇現象として内から侵略してくるもの」

花丸「ドッペルゲンガーがいろんな手法を用いてくるのだとしたら」

善子「それらに対して柔軟な思考をもって応じなければならない」

花丸「……」コクン

100: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:51:32.56 ID:5MN9cRxE0
善子「……となると、ドッペルゲンガーという呼称は間違っているのかもしれないわね」

善子「侵略者、未知の……うーん……」

花丸「名称に意味なんてない」

花丸「これまで通り、ドッペルゲンガーでいい」

花丸「そんなことよりもまずマルたちが最優先でしなきゃいけないことは」

善子「ええ、これまで以上に幅広い調査を……」

花丸「お昼ごはんを買うことずら」

善子「あっそれはそうね!教室でルビィが待ってるわ」

花丸「あんまり遅いと寂しがらせちゃうずら!」タタタッ

善子「急ぎましょう!」タタタッ

101: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:52:02.42 ID:5MN9cRxE0
ガヤガヤ

「それで生徒会長のおかげで助かっちゃって!さすがだね!」

ルビィ「えへへ、自慢のお姉ちゃんだよ」

「私もお姉ちゃんほしかったなー」

善子「ただいまー」

ルビィ「善子ちゃん、おかえりー」

「あ、じゃあまたあとでね」

ルビィ「うん、あ、よかったら一緒に食べる?」

「んー……こっちもそろそろお昼買って帰ってくる頃だし、大丈夫!ありがとう」

ルビィ「そっか!」

善子「ごめんね、待たせちゃって」

ルビィ「ううん、おしゃべりしてたから全然」

ルビィ「花丸ちゃんは?」

善子「鞠莉に呼ばれたみたいで、お昼は理事長室で食べるってさ」

ルビィ「あ、護符の代金……かな」

善子「でしょうね」

102: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:52:29.86 ID:5MN9cRxE0
善子「そういえばルビィはまだ護符受け取ってなかったわね」

ルビィ「それは善子ちゃんもでしょ?」

善子「私はバスでもらったから」

ルビィ「そうなんだ」ゴソゴソ

ルビィ「じゃあ、はい!」

善子「お、かわいい」

ルビィ「なくさないうちに巾着の中に入れちゃって?」

善子「ありがたくそうさせてもらうわ」ゴソゴソ……グッグッ……キュッ

善子「これでよしっと……いい匂いね」クンクン

ルビィ「うふふ」

ルビィ「ポプリの匂いね、全部違うのにしたんだぁ」

善子「あら、凝ってるのね」

ルビィ「善子ちゃんのはラベンダーだよ」

ルビィ「私のはジャスミンで、花丸ちゃんのはオレンジのを渡したんだ」

善子「ずら丸?いつ渡したのよ」

ルビィ「2時間目の休憩時間、移動教室じゃなかったから」

善子「あー、私がトイレ行ってたときか」

善子「その時護符ももらってればよかったのに」

ルビィ「ポプリの香りの話で盛り上がっちゃって」

善子「うっかり忘れちゃった、と?あなた達らしいわ」

103: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:52:58.82 ID:5MN9cRxE0
ガラッ

花丸「鞠莉ちゃん、おまたせー」

鞠莉「いらっしゃい、お昼休憩に呼び出してごめんね」

花丸「おかげで無駄にお昼ごはん買わずにすんだずら」

鞠莉「ん?」

花丸「ううん、こっちの話」

ゴソゴソ……

花丸「はいこれ、鞠莉ちゃんと果南ちゃんの分」

花丸「……ダイヤさんのはもうルビィちゃんに渡してるから」

鞠莉「Thank you、果南の分はもう巾着に入れちゃってるのね」

花丸「うん、そのままじゃ渡せないし」

鞠莉「じゃあこれで今日中には全員にお札が行き渡ると考えていいわね」

花丸「ん……」

104: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:53:28.31 ID:5MN9cRxE0
鞠莉「代金は……」

花丸「うん……はい、ちょうど頂きます」ペコッ

鞠莉「手間を掛けさせてごめんね」

花丸「そんなことないよ」

花丸「こっちこそ、鞠莉ちゃんに全額負担してもらって……申し訳ないずら」

鞠莉「気休めでも、これでみんなの心が落ち着くなら安いもんよ」

鞠莉「って、ご利益あるお札に気休めなんて言っちゃ罰が当たるわね」

鞠莉「さ、お昼食べちゃいましょ」

花丸「うん!……鞠莉ちゃんとふたりっきりになることってあんまりなかったね」

鞠莉「そうねぇ、ユニットも違うし」

花丸「…………鞠莉ちゃんなら、大丈夫だと思うから言うんだけど」

花丸「ダイヤさんに気を付けて」

鞠莉「……それはどういう意味?」

花丸「まだよくわからないから、詳しくは言えないけど……病気になってるかもしれないずら……」

鞠莉「病気……」

花丸「ドッペルゲンガーの病気ずら」

鞠莉「……わかったわ、注意して見ておく」

105: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:53:55.64 ID:5MN9cRxE0
千歌「んわーっつかれたー!」ペタン

曜「お疲れさま千歌ちゃん、はいタオル」

善子「曜は全然疲れてないみたいだね」

曜「そんなことないよ、今日は二日ぶりの練習だったからちょっとはりきりすぎちゃった」

ルビィ「二日体を動かさないだけで、なんか動きが鈍った感じするね」

花丸「土曜日にはできてたのに、今日はちょっと足がもつれ気味だった気がするずら」

梨子「練習がない日でも、部室や自宅で簡単にステップの確認をした方がいいのかもね」

果南「はいはい、反省会は着替えてからにしてね」パンパン

ダイヤ「水分補給がすんだら速やかに部室に戻るように」

鞠莉「汗で濡れたままのんびりしてると風邪引くわよー!」

106: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:54:23.15 ID:5MN9cRxE0
――――

果南「明日は朝練あるから寝坊せずに来てね」

曜「はーい」

ダイヤ「忘れ物はありませんね?」ガチャッ

千歌「梨子ちゃん、かえろー?」

梨子「私、音楽室に忘れ物しちゃって」

曜「じゃ待ってるね」

梨子「ううん、待たせるの悪いし、先に帰ってて」

千歌「それくらい待つよ?」

梨子「いいの、帰って」

梨子「ちょっと、ピアノ弾きたい気分だし」

千歌「……あんまり遅くならないようにね」

花丸「オラもこれから図書委員のお仕事があるから、ちょっと居残りするずら」

ルビィ「手伝おうか?」

花丸「ううん、大丈夫、先に帰っててね」

鞠莉「二人とも疲れてるんだから、程々で切り上げて帰りなさいね?」

梨子「はい」

花丸「はーい」

107: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:54:56.81 ID:5MN9cRxE0
ガラッ……ピシャッ

梨子「呼び出したのは相談があったからなんだけど」

花丸「うん、それも人に聞かれたくない相談だね?わざわざ音楽室まで来るってことは」

梨子「……」コクン

梨子「これ……見てほしいの」スッ

花丸「これは……オラがあげた護符?」

梨子「本当に?これは花丸ちゃんがくれたものなの?細工されてない?」

花丸「……うん、たぶん間違いなくうちのお寺のお札ずら」

梨子「よかった……」

梨子「それ、千歌ちゃんが渡してきたものなんだけどね、ちょっと……怪しいなって思ってて……」

梨子「これは結構……その、直感、というか、感覚的みたいな、そういう無責任なところがあるんだけど」

梨子「私、千歌ちゃんがドッペルゲンガーと入れ替わってるんじゃないかって思ってるの」

花丸「千歌ちゃんが?」

108: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:55:24.84 ID:5MN9cRxE0
梨子「花丸ちゃん、こういうお札を用意してくれるってことは、ドッペルゲンガーについて調べてくれてるんだよね?」

花丸「まぁ……うん」

梨子「私、花丸ちゃんが一番信用できると思ってて」

梨子「他の子とは違うお寺の生まれで、そういうの強いんじゃないかなって」

花丸「お祓いしたりはできないよ?」

梨子「うん、でも、誰が入れ替わってるかって目星くらいはつけてるんじゃない?」

花丸「それは、うーん……」

梨子「ダイヤさん」

花丸「え?」

梨子「ダイヤさんは、ドッペルゲンガーよね?」

花丸「……半分、かな……ドッペルゲンガーになりかけてる」

梨子「やっぱり」

109: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:55:51.56 ID:5MN9cRxE0
花丸「すごいね梨子ちゃん、どうしてわかったの?」

梨子「ドッペルゲンガーと入れ替わってる千歌ちゃんが、コソコソと連絡取り合ってたのがダイヤさんだったの」

梨子「きっと二人とも、Aqoursのみんなを陥れようとしてるのよ」

花丸「あんまり大っぴらには言わないでね、みんなが恐慌状態になっちゃうかもしれないから」

梨子「みんなの前で糾弾はできないのね……」

花丸「まだ疑惑の段階ずら」

梨子「でも千歌ちゃんはドッペルゲンガーよ」

花丸「確信があるんだね」

梨子「ええ、間違いないわ」

梨子「今の千歌ちゃんは、これまでの千歌ちゃんと全然違う」

花丸「オラは千歌ちゃんがドッペルゲンガーになってるとは思わなかったけど……明日、よく観察してみるね」

梨子「ええ、お願い」

110: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:56:22.67 ID:5MN9cRxE0
梨子「私ね、この窓から見かけた善子ちゃんがドッペルゲンガーだって聞いた時からずっとこわかったの」

梨子「Aqoursのみんなが、正体不明の何かにめちゃくちゃにされるんじゃないかって」

梨子「……それから、昨日から思ってることがあって」

梨子「校門にいたのは本当に善子ちゃんだったのかなって……」

梨子「暗かったし、後ろ姿しか見てないし、本当は、あそこにいたのは、もしかすると」

梨子「私だったんじゃないかって」

梨子「こわくて……」ポロポロ

花丸「梨子ちゃん……」

ギュッ

花丸「梨子ちゃん、大丈夫、何もこわくない」

花丸「こわいことが起こらないように、マルががんばる、一生懸命がんばるよ」ナデナデ

梨子「花丸ちゃん……ごめんね、頼りない先輩で……」

花丸「こんなことが起こってるんだもん、誰だってこわいよ」

花丸「はやく解決して、みんなの笑顔が戻ってくるようにマル、がんばるね!」

梨子「ごめんなさい……ありがとう」グス……

111: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:56:52.01 ID:5MN9cRxE0
「――――!」

花丸「ん?」

「――――!」

花丸「あ」

花丸「梨子ちゃん、曜ちゃんが手振ってるよ、何言ってるのかはわからないけど」フリフリ

梨子「曜ちゃん?」

「――――――――!」

梨子「ほんとだ、何言ってるんだろ」クスクス

花丸「梨子ちゃんの名前呼んでるみたいだね、あとは……何言ってるのかなぁ?」

梨子「…………花丸ちゃん、変よ」

花丸「そう?曜ちゃんに変な様子はないけど」

梨子「違うの、声が聞こえることが変なの」

梨子「音楽室から校門は、声が届かないはずよ」

梨子「私がドッペルゲンガーに声をかけたときには、なんの反応もなかったもの」

花丸「あ……」

梨子「本人に成り済ますことを目的としてるドッペルゲンガーなのに、声が聞こえて無反応でいることってありうるかしら」

梨子「あの時は暗くはあったけど、雨でも強風でもなかったから声が聞き取りづらかったわけじゃない」

花丸「それってつまり」

花丸「ドッペルゲンガーの感覚は鈍いってこと?」

112: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:57:21.23 ID:5MN9cRxE0
花丸「梨子ちゃんすごいよ!すごいことに気付いちゃった!」

梨子「そ、そう?」

花丸「そうだよ!」

花丸「だって、マルたちは人より少し直感が鋭いおかげで気付けてるけど、他の人にはドッペルゲンガーの区別なんてつかないんだよ!」

花丸「これのおかげでみんな、ドッペルゲンガーの判別ができるようになるかもしれない!」

梨子「ま、まって、まって花丸ちゃん!これ、たぶん、みんなに言っちゃだめな情報よ」

花丸「え……?」

梨子「私は千歌ちゃんがドッペルゲンガーだってことには気付けたけど、ダイヤさんに関しては確信できなかった」

梨子「花丸ちゃんはダイヤさんには気付けたけど、千歌ちゃんには気付けなかった」

梨子「私たちの直感も、完全ではないということ」

花丸「うん……」

梨子「下手に伝えて、その伝えた人の中にドッペルゲンガーがいたら?」

花丸「……きっと、なんだかんだ言い訳できる環境を作ろうとする」

梨子「そう」

花丸「伝える人物は、慎重に選別しなきゃいけない……」

113: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:57:49.09 ID:5MN9cRxE0
トットットッ キィッ パタン

花丸「はぁ……」

花丸(結局、誰も信用できないってことになっちゃうんだ……)

花丸(ルビィちゃんとダイヤさんはたぶんもう……だめ)

花丸(入れ替わりかけてる状態でどうなるかもわからないから、こわくて護符を渡すことすらできなかった)

花丸(マルは弱いなぁ……)

花丸(気付かないだけでマルももう、ドッペルゲンガーの病気になってるのかもしれない)

花丸「ううん、そんなことない」フルフル

花丸(形代でお祓いもしたし、たぶん……マルは病気じゃない、大丈夫)

花丸(……お寺の子でよかったって思えるのは、こういうときに必要なものがすぐ手に入れられること)

コトッ

花丸(身代わり木札……)

花丸(紐を通してあるから首から下げて常に身に付けていられる)

花丸(これに何らかの変化がない間は、マルの身は正常)

114: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:58:16.50 ID:5MN9cRxE0
DPG対策本部(7)

鞠莉:Harvest festival

ダイヤ:収穫祭ですか

鞠莉:今まで調べてきたことを発表したいんだけど、既読5になってるね?

ルビィ:善子ちゃん、今日はネット配信するって

鞠莉:あとで読むだろうから発表しちゃうね!

ルビィ:はーい

鞠莉:私が調べたのは病気について!

曜:ほうほう、病気ですか

千歌:ドッペルゲンガーと病気ってどう関係があるの?

鞠莉:ふか~~~~い関係があるのよ

115: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:58:46.31 ID:5MN9cRxE0
鞠莉:そもそもドッペルゲンガーは自分の脳が見せる幻覚の一種で

鞠莉:この、自分の姿を自分で見ることを自己像幻視・鏡像幻視というの

鞠莉:これらの原因はおそらく精神疾患によるもの

ルビィ:精神病ってこと?

鞠莉:そう

鞠莉:脳腫瘍が原因なこともあるらしいんだけど、Aqoursメンバーはみんな健康だと思うから違うかなって

千歌:健康です

ダイヤ:脳腫瘍は初期症状として、慢性的な頭痛、原因不明の嘔吐、言語障害などがあるようですが

曜:健康です

花丸:そういう症状、全くないよ

ルビィ:私もありません

鞠莉:でしょ?だから、脳腫瘍は除外するね

116: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:59:14.30 ID:5MN9cRxE0
鞠莉:それでこの精神病なんだけど、統合失調症が考えられるらしい

花丸:統合失調症って、悪口の幻聴に悩まされる病気だよね?

鞠莉:そう、悪口や自分に命令してくる幻聴、誰かに操られてる感覚、独り言が多くなったり、引きこもりがちになったりする病気

鞠莉:統合失調症の幻覚には幻聴だけじゃなく幻視もあって、ドッペルゲンガーが見えるのはそのせいじゃないかって話

曜:でもみんな、そんな心の病気って感じじゃないよ?

鞠莉:ドッペルゲンガーのこわいところはね、そこなの

鞠莉:精神病じゃないから大丈夫、なんて言えないのよ

鞠莉:どうやら健常者にも起こるものらしくて

鞠莉:極度の疲労、強いストレス、集中力の低下状態にドッペルゲンガーを見ることがあるらしいの

鞠莉:それから集団ヒステリーっていうのもあって

117: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ d688-QMHH) 2019/03/13(水) 23:59:41.73 ID:5MN9cRxE0
カタッ

善子「ふぅ」

善子(一応、有益と言えなくもない情報は得たけど……今のところなんとも言えない)

善子(LINEの方は……っと)

スッ……スッ……スッ……

善子「…………」

善子「嫌な予感が当たっちゃったわね」

善子(鞠莉はドッペルゲンガー、間違いない)

善子(これだけ怪奇現象が起こってるってのに、なんで精神病なんか調べてんのよ)

善子(理由はひとつ、私たちを混乱させるため)

善子(不要な情報でかき乱して、私たちが困惑してるうちにドッペルゲンガー仲間を増やそうって魂胆でしょ)

善子「呆れるほど幼稚な作戦ね」

善子(でも、それが効果的なことは確か)

善子(精神病のドッペルゲンガーは自身のものしか見ないけど、私たちのドッペルゲンガーの始まりは他人が見たもの)

善子(それに、集団ヒステリーなんて最初の段階で起こるわけもない)

善子(収穫があったなんて言って、みんながそれぞれの調べものをする時間を削ろうとしている)

善子(あからさまな妨害)

善子「絶対に負けないんだから」

118: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:00:08.36 ID:lTL56XWE0
Aqours(9)

果南:明日の朝は部室前に集合ね!

果南:みんな体なまってるみたいだし、まずは柔軟、それから走り込み!

果南:そのあと屋上でダンスレッスンしていくよ!

千歌:りょーかいだよー

曜:了解でーす

ルビィ:はーい!

鞠莉:OK

梨子:わかりました

花丸:はーい

ダイヤ:わかりました

119: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:00:35.81 ID:lTL56XWE0
善子(Aqoursのグループの方にも通知……)スッスッ……

善子(『了解』)スッスッ

善子(……そういえば昨日、やろうと思えば朝練できたのよね)

善子(屋上が使えなくても、果南なら走り込みだけでもするって言ってきそうなもんなのに)

善子(最近の朝練は走り込みなしで屋上でダンスレッスンしてたし、何よりドッペルゲンガーのことで頭いっぱいで深く考えてなかったけど……)

善子(『昨日はその体力作りすらしなかったのはなんで?』っと)スッスッ……

善子(少しの変化も見逃さないようにしなきゃ……)

善子(…………)

善子(……返事こないわね)

善子(寝たか……それともやましいことでもあるのか……)

善子(果南……)

120: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:01:04.27 ID:lTL56XWE0
千歌「ハアッハアッ、はうー」トスンッ

曜「いい具合に体あったまってきたね」

千歌「ほかほかのへとへとだよー」

果南「これからダンスの方もやってくんだからへばってらんないよ!」

千歌「ちょっとだけ休ませてぇ」

ダイヤ「休憩は、ハァ、必要、ですからね、ハァッ」

善子「はいみんな、タオルと水」

ルビィ「ハアッ……ハアッ……ありがと……」

梨子「ありがとう、善子ちゃん」

鞠莉「案外善子はバテてないのね」

善子「私は……まぁ、いざというとき動けるように、最近は筋トレとかするようにしてるし」

千歌「筋トレ!毎日いろいろやってるのに筋トレも!」

果南「いろいろって?善子ちゃん、なにやってるの?」

121: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:01:32.82 ID:lTL56XWE0
千歌「あ、ほら、善子ちゃん、あれやってるでしょ?配信!それのこと」

果南「配信?……あぁ」

ルビィ「インターネットで動画配信して、リトルデーモンを増やしてるんだよね?」

善子「そう!日々契約者を増やすことが私の」

プルルルル プルルルル

鞠莉「うん?」

千歌「誰か電話鳴ってるよー?」

ダイヤ「私じゃありませんわ」

曜「私も違うみたい」

善子「あ、私だわ……ずら丸?」

花丸「ん?オラの電話は鳴ってないよ?」

善子「違うのよ、あんたから電話かかってんの」

花丸「んえ?……あ、ほんとずら」ピッ

花丸「画面消さずにポッケに入れちゃってたみたい」

善子「ガラケーと違ってスマホは操作ミス起こりやすいんだから気を付けなさいよね」

花丸「はーい」

122: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:02:00.49 ID:lTL56XWE0
果南「みんな落ち着いた?じゃあ屋上行こっか」

鞠莉「Go Go Go!」

千歌「鞠莉ちゃんも意外と体力あるよねー」

曜「確かに」

果南「梨子ちゃん、大丈夫?」

梨子「え?えぇ、はい」

果南「そ、よかった」

果南「カメラとかは私が持ってくからみんな先に上がっててね」

ダイヤ「一人では大変でしょう、私も……」

果南「大丈夫大丈夫!それにダイヤ、まだ少し息上がってんじゃん」

果南「さぁさ、みんな行って行ってー!」パンパン

123: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:02:28.53 ID:lTL56XWE0
ガラッ

果南(カメラ……と、三脚)

果南(あ、ノートと筆記具も……)

ゴトッ

果南「あっやばっ」

果南(スマホ落としちゃった)

果南(……よかった、割れてない)

フワッ

果南(いい匂い……ルビィちゃんほんと器用だな)

果南(柑橘系、かな、ポプリって言ってたけど……これって中身はどうなってるんだろ?)ゴソゴソ

カサッ

果南「?」

果南(なんだろ?紙?これに香水か何か含ませたりするのかな)カサ、カサ……

果南「えっ、やだ!なにこれ!」

果南(お札……?ルビィちゃんが入れたの?)

果南「……」

果南(悪いけどこれは……なんか気持ち悪いし、捨てとこ)ポイッ

124: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:02:56.43 ID:lTL56XWE0
――――

果南「1、2、3、4、1、2……花丸ちゃん!ルビィちゃん!遅れがちだよ!」

花丸「あっ!はい!」

ルビィ「はひ!」

果南「1、2、3、4、1、2、3、4……」

パン パン パン パン…… ……

ルビィ「はふ……昨日と同じとこ、またできなかった……」

果南「うぅん……」

果南(放課後、花丸ちゃんとルビィちゃんは個別で、できないところを集中的にやった方がいいかも)

果南(みんなには次のパートに移ってもらって……いや、それだと進行度にばらつきが出るかな、でも……うーん……)

鞠莉「一昨日変更したところ、ステップちょっと難しいもんね」

果南「鞠莉も若干危うかったしね」

ダイヤ「とりあえず皆さん、汗を拭いて!水を飲んで!急いで着替えて教室に戻りませんと!」

善子「わ!結構時間ギリギリ!」

千歌「急げ急げー!」

曜「授業遅れちゃう!」

125: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:03:26.53 ID:lTL56XWE0
梨子「……」

果南(梨子ちゃん最近ずっと元気ないな……)

果南(気にかけてはいるけど……本人に自覚なさそうだし)

果南(自覚ないのにいきなり元気出して、なんて言われても困るよね)

果南「ほら、梨子ちゃんも、大丈夫?」トンッ

梨子「へ、あ、はい、大丈夫です!急ぎます!」

キュッ

梨子「えっ……きゃあっ」グキッ

曜「梨子ちゃん!」ドッ

ドサッ

千歌「曜ちゃん!梨子ちゃん!」

善子「ちょっと!二人とも!!大丈夫!?」

梨子「っつぅ……曜ちゃん!曜ちゃん大丈夫!?」

曜「いたたっ……大丈夫大丈夫、梨子ちゃんこそ大丈夫?」

126: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:03:57.02 ID:lTL56XWE0
果南(え……いま……)

果南(私が声をかけたから足を踏み外しちゃったの……?)

果南(私の声で驚かせて……?)

ダイヤ「大きな音がしましたが何か……お二人とも!大丈夫ですか!?」

鞠莉「ちょっと!大丈夫!?何があったの!?」

花丸「え!え?なに!?」

ルビィ「どうしたの!?」

千歌「立てる?おんぶしようか?」

善子「血は出てない?はやく保健室に……」

果南(私が肩を叩いたからバランス崩しちゃったんだ……!)

曜「うん、だいじょ……あったたた」

梨子「曜ちゃん、曜ちゃんごめんなさい!」

梨子「私、足がもつれて……靴紐ほどけてたみたいで……」

曜「だいじょーぶ!そんな顔しないで!」

曜「滑り落ちたのも数段だけだし、梨子ちゃんこそ足挫いたんじゃない?」

127: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:04:32.26 ID:lTL56XWE0
果南(どうしてこんなところで声かけちゃったんだろ)

果南(練習後で疲れてたのに、注意力も欠けがちなタイミングなのに)

果南(階段なんて危ないところで後ろから声かけるなんて……)

果南(私のせいだ)

果南(私がちゃんと気を配ってればこんなこと起こらなかったのに)

果南(私のせいで二人にケガをさせた)

果南(私が)

花丸「果南ちゃん!」

果南「へっ!え!?」

花丸「果南ちゃん、どうしたの?ずっと呼んでたのに……ボーっとして……」

果南「あ、あぁ、いや、」

ルビィ「何があったの?転んじゃったの?二人は大丈夫?」

果南「あの、うん、梨子ちゃんが、えっと、曜ちゃんが受け止めたんだけど、転んで、階段の真ん中辺りからなんだけど、二人とも挫いたみたいで」

果南(文章がまとまらない)

花丸「……」

果南「私が、私の、っ……」

128: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:05:05.56 ID:lTL56XWE0
曜「あははっ果南ちゃんがテンパってる!めずらしーい!フフッ」

千歌「笑ってる場合じゃないよ!」

曜「えへへ、少しでも場を和ませようと」

千歌「!」ハッ

善子「いいから、大人しくおんぶされなさいよ」

善子「梨子も!ほら!」

梨子「でも私のせいで」

千歌「梨子ちゃんのせいじゃないよ!はい、背中!」ニコッ

梨子「……うん」

曜「いざ!善子ちゃん号、出港!」

善子「耳元でうるさーい!」

曜「ソーリーソーリー!」

千歌「ひげそーりー!なんちて」

曜「ん?」

千歌「ん?」

善子「なに言ってんのよ」ハァ……

千歌「それでは!千歌ちゃん号出発であります!」

曜「全速前進!ヨーソロー!」

善子「だから声大きいってば!」

129: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:05:35.50 ID:lTL56XWE0
千歌「失礼しまーす!階段で転んだんですけどー」

「あらあら大変!二人も!」

曜「なんかグキッとやっちゃいまして」

曜「二人ともありがとうね!先に教室戻ってて」

善子「大丈夫?教室まで歩けないんじゃない?」

「歩けない程痛みがあるならすぐにでも病院に行った方がいいのだけど、どう?」

曜「私は軽く挫いただけですけど、梨子ちゃんは?」

梨子「えと、痛いのは痛いですけど、たぶん大丈夫です」

千歌「ほんとに?無理してない?」

「先生が診て判断するから二人は教室に戻ってなさいね、ここまで怪我人を連れてきてくれてありがとう」

千歌「うう……じゃあ……心配だけど先に教室行ってるね」

善子「二人とも安静にしてなさいね」

千歌「お大事に」

130: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:06:06.91 ID:lTL56XWE0
――――

曜「梨子ちゃん、結構擦りむいちゃってたね」

梨子「曜ちゃんは思ってたほどひどくないようで安心したわ」

梨子「…………ごめんね、下敷きにしちゃって」

曜「ううん!大丈夫大丈夫!」

曜「とはいえ二人して捻挫しちゃったからしばらくはダンス練習できないね」

梨子「これから歌の練習の比率を上げるのか、それともみんながダンス練習してる間に曜ちゃんの衣装作製を私がお手伝いするのか……」

曜「歌の……ってそうそう、昨日!大丈夫だった?」

梨子「昨日?」

曜「花丸ちゃんは図書室にいたはずなのに音楽室にいたから!あれ、ドッペルゲンガーじゃないの!?」

梨子「あぁ、あれは私が……ちょっと悩んでることがあって」

梨子「それについて相談にのってもらってたの」

曜「えっ……ってことは」

梨子「安心して、昨日私と一緒にいた花丸ちゃんはドッペルゲンガーなんかじゃないよ」

曜「なあんだぁ……よかった」ホッ

131: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:06:38.37 ID:lTL56XWE0
梨子「心配してくれてありがとう」

曜「昨日梨子ちゃんを心配してた私が、今度は千歌ちゃんたちを心配させる立場になってるんだから世話ないよ~」

梨子「千歌ちゃん……」

梨子「ねえ曜ちゃん、千歌ちゃんのことどう思ってる?」

曜「えっえっなにっ?どう思うって!えっ!」ワタワタ

曜「いや、その、普通に、フッツーに!好きだよ!普通の好き!」

曜「中学の時も友達に勘違いされたんだけどさー!別にアヤシイ関係とかじゃないから!」

曜「いつも一緒にいるせいかそういう風に妄想されちゃうことあるんだよねぇ」

梨子「そう、好きなの」

曜「友達の好きだからね!ライク!梨子ちゃんにまで誤解されたんじゃたまったもんじゃないよ」

梨子「……」

梨子「そろそろ教室だし、雑談もこの辺にしておこうか」

曜「あっ授業の真っ只中だもんね、了解!」

132: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:07:12.04 ID:lTL56XWE0
鞠莉「みんな、揃ったね?」

ダイヤ「今日は引き続きダンスレッスン、花丸さんとルビィは今朝できなかった箇所を集中的に、その他の人は次のパートへ、但し曜さんと梨子さんは怪我のため衣装製作についてもらいます」

梨子「あの、ルビィちゃんも一緒に被服室に来てほしいのだけど」

鞠莉「んー、ルビィにはダンスの方してもらわなきゃ……」

果南「いや、ルビィちゃんは被服室に行ってもらおう」

ルビィ「えっでも」

果南「ケガ人だけに行動させるのも不安だし、梨子ちゃんがスムーズに手伝えるように指示を出してもらえる?」

ダイヤ「確かに……怪我人だけ別行動というのも心配ではありますね」

梨子「ルビィちゃん、ごめんね」

ルビィ「ううん、ルビィもふたりが心配だから気にしないで!ダンスのできなかったところはおうちで練習しておく!」

133: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:08:25.82 ID:lTL56XWE0
善子「果南、ちょっといい?一昨日のこと聞きたいんだけど」

果南「え?うん……なに?」

善子「一昨日、屋上は使えなくても走り込みはできたわよね?なんで朝練そのものを中止にしたの?」

果南「ああ……、あれ、グラウンドはぬかるんでたし、歩道も泥とか砂利とかで走ると危なそうだったから……」

善子「それでも……ええと、発声練習はできたんじゃない?」

果南「発声練習か……ちょっと思い付かなかったな、それは」

善子「……果南、ちょっと様子変よ?ボーっと……梨子の方?ばっかり見て、何かあったの?」

果南「朝、梨子ちゃんたちがケガしたの……私のせいなの」

善子「え、それどういう」

果南「私が」

鞠莉「かなーん!善子も!突っ立ってないで行くわよ?」

果南「あ、うん、今行く」

善子「ちょちょ、ちょっとまってさっきの」

果南「ごめん、気にしないで」

果南「否定してもらうのを期待して……私ってヤな奴だよね」

善子「どういう意味よ……」

134: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:09:01.87 ID:lTL56XWE0
DPG対策本部(5)

堕天使ヨハネが国木田花丸を退会させました
黒澤ルビィが退会しました

曜:えっどうして?

ヨハネ:ずら丸はもうキツいみたい

ヨハネ:グループの抜け方わからないって言ってたから私が退会させた

ダイヤ:ルビィの方は私がグループから抜けるように言いました

ダイヤ:昨日の鞠莉さんのお話で、これ以上ドッペルゲンガーに関わることはルビィに悪影響があると判断しました

ダイヤ:心の病気でなくともドッペルゲンガーを幻視する可能性があるのなら、ルビィにはもう負担をかけさせたくないのです

ダイヤ:身内に対して甘いと評されるかもしれませんが

鞠莉:妹を心配するのは当たり前よ!

鞠莉:過剰に脅すような報告しちゃってごめんなさいね

曜:最初から無理のない範囲でって話だったしね!気にしないで!

135: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:09:29.58 ID:lTL56XWE0
ヨハネ:調査を続けていく上で二人も抜けたのは厳しいけど

ヨハネ:無理に続けて病んでいったら本末転倒だしね

ヨハネ:特に報告することがなければ個人活動に勤しんでもらうけど、なにかある?

千歌:ある

千歌:今朝はごめんなさい

鞠莉:何が?

千歌:みんなが笑顔でいられるようにがんばるのが私の役割なのに

千歌:梨子ちゃんと曜ちゃんが転んだとき、そのことすっかり忘れてた

千歌:曜ちゃんが明るく振る舞ってくれたから思い出せた

千歌:役割忘れててごめんなさい

曜:そんなの気にしなくていいのに!

ダイヤ:あの状況では笑顔を維持することの方が難しいです

鞠莉:私たちなんか何が起こったかすら把握できてなかったし

ダイヤ:千歌さんはあの時できることをきちんとやり遂げていましたよ

ヨハネ:あんまり気負っちゃだめよ

千歌:でも、それが私の役割だから

曜:善子ちゃんの言う通り、気負っちゃだめだめ!

曜:みんなで助け合っていこうね!

千歌:ありがとう

136: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:09:57.16 ID:lTL56XWE0
ガララ……シャッ

梨子(ベランダに出るんじゃなかった)

梨子(またあんなもの見るなんて……)

梨子「……」カタン

梨子(ピアノ弾く気にもならない)

梨子(誰が偽者なのか……誰を信じればいいのか……)

梨子「はぁ……」

梨子(胸が圧迫されるような息苦しさ、頭にモヤがかかってるみたいな……まるで酸欠状態のよう……)

梨子(みんなの心の支えになってくれる千歌ちゃん、常に冷静で的確な指示を出してくれるダイヤさん)

梨子(Aqoursの大黒柱とも言えるふたりが入れ替わってるなんて……)

梨子(ふたりだけじゃない)

梨子(入れ替わってる千歌ちゃんを好きだと明言した曜ちゃんもきっと偽者)

梨子(今日私が階段で転んでしまったのも……よく思い出せば果南ちゃんが突き落としたからよ、果南ちゃんの手が肩に触れたもの)

梨子(週明けからいやに私に目をつけて……いつ殺そうかとタイミングを見計らってたんだ)

梨子(……死にたくない)

梨子(死にたくない)

梨子(殺されてたまるものですか!)ドンッ

137: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:10:26.86 ID:lTL56XWE0
梨子(千歌ちゃん、ダイヤさん、曜ちゃん、果南ちゃんはドッペルゲンガー)

梨子(信用できるのは鞠莉ちゃんと一年生たち……)

梨子「…………」

梨子(……この人たち、本当に信用していいのかしら)

梨子(ドッペルゲンガーは感覚が鈍い)

梨子(それを考えると……花丸ちゃんとルビィちゃんも怪しむべきかもしれない)

梨子(少し変更があったくらいで踊れなくなるなんて、感覚が鈍い証拠じゃない)

梨子(きっとそうよ)

梨子(曜ちゃんも言ってたもの……図書室にいるはずの花丸ちゃんが音楽室にいたからドッペルゲンガーだって)

梨子(昨日一緒にいた花丸ちゃんはもうドッペルゲンガーになってたんだ)

梨子(そんな花丸ちゃんと同じようにダンスのステップが踏めないルビィちゃんもドッペルゲンガー)

梨子(つまり、今日の放課後はとても危険な状態だったということ)

梨子(ドッペルゲンガーの曜ちゃんとふたりきりになるのを避けようとして)

梨子(結果曜ちゃんとルビィちゃん、ふたりのドッペルゲンガーと放課後を過ごしたことになる)

梨子(そうなるように指示したのは果南ちゃん)

梨子(鞠莉ちゃんと善子ちゃんだけが本物……)

138: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:10:54.31 ID:lTL56XWE0
梨子(……ちがう)

梨子(鞠莉ちゃんも新しいステップに少し手こずってた)

梨子(鞠莉ちゃんは体力があって、ダンスがうまくて、時には指導にまわる側こともある)

梨子(そんな鞠莉ちゃんに、できないステップがあるわけがない)

梨子(鞠莉ちゃんもだめ、信用できない)

梨子(善子ちゃんは?善子ちゃんは本当に信用できる?)

梨子(昨日、二日ぶりの練習でもちゃんと動けてた)

梨子(朝練の走り込みのときはあまり疲れてなかった)

梨子(放課後、内容までは聞き取れなかったけど、果南ちゃんに何かについて言及してる様子だった)

梨子(善子ちゃんも、果南ちゃんを疑ってる?)

梨子(もしもそうなら……ドッペルゲンガー同士で仲違いするわけもないし……)

梨子(善子ちゃんは……善子ちゃんなら……信用できる)

梨子(Aqoursで本物なのは善子ちゃんだけだ)

139: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:11:23.76 ID:lTL56XWE0
Aqours(9)

ダイヤ:連絡をし忘れていました

ダイヤ:放課後に生徒会がありますのでその準備のため、今日の朝練は行けません

ヨハネ:放課後も練習欠席?

ダイヤ:場合によってはそうなります

ダイヤ:早く終われば練習に出られるのですが、現時点ではわかりません

果南:ごめん、私も朝練行けそうにない

果南:気分悪くて

梨子:すみません、私も体調不良で行けません

千歌:二人とも大丈夫?

千歌:無理しないでゆっくり休んでね

ルビィ:果南ちゃんも梨子ちゃんもお大事にね

140: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:11:50.78 ID:lTL56XWE0
千歌「おはよー!今日も元気にバリバリ練習始めるよ!」

鞠莉「まだ来てない人いるけどもう始めちゃうの?」

善子「ダイヤと果南と梨子は今日来れないってLINE来てたわよ」

鞠莉「ほんと……果南も梨子も大丈夫かしら……」スッ……スッ……

曜「梨子ちゃんは一昨日の朝も調子悪かったし、本当に心配だな」

千歌「お休みの人の分も!がんばろうね!」

ルビィ「うん!」

曜「へっへっへっ……今日は私がみんなのダンス見て色々口出ししていくぞお!」

千歌「ひえー!お手柔らかに!」

花丸「今日は少人数でグループ分けして練習しない?」

曜「うん?グループ分け?」

花丸「そう!ふたつのグループに分けて、お互いの出来具合や癖なんかを確認して、悪いところは直して、それから放課後の練習に臨むっていうのはどうかな?」

千歌「ん?ん?分ける必要あるの?」

鞠莉「私はそれ、Good Ideaだと思うわ」

鞠莉「曜が一人で五人のダンスを見るより、少人数グループで動きを確認していく方がわかりやすいもの」

鞠莉「いつもは果南が八人を見てくれてるけど、よく考えるとあっちのスタイルの方が異常なのよね」

曜「そっか……果南ちゃんには負担かけちゃってたんだね」

141: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:12:26.24 ID:lTL56XWE0
花丸「じゃあ今日はグループ分けすることに決定ずら!くじも準備してるからね!」

ルビィ「花丸ちゃんってすごい……Aqoursの練習スタイルの改善案考えてくれてたなんて」

花丸「……じゃ、ルビィちゃんくじどうぞ!」

ルビィ「うん!あ、丸ついてる」

花丸「丸付いてる人とそうでない人とで分かれるようになってるよ」

花丸「はい、次は善子ちゃん」

善子「ん、私も丸付きね」

花丸「千歌ちゃんどうぞ!」

千歌「うりゃ!あ、丸だ!」

曜「じゃあ次は私がー」

花丸「ふふふ、もうみっつ丸付きが出たから残りは印なしだよ」

曜「なるほど確かに」

鞠莉「それじゃあこの2グループに分かれて練習開始ー!」

142: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:12:53.66 ID:lTL56XWE0
鞠莉「最初は花丸の苦手なステップからやっていきましょうか」

花丸「その前に、ごめんなさい、このくじ、実は全部に丸をつけてたの」ヒラッ

曜「えっ……え?」

花丸「鞠莉ちゃんと曜ちゃんに、お話があるずら」

鞠莉「……私たち二人じゃなきゃ話せないのね」

花丸「うん」コクン

曜「えっえっ……えっと……とにかくなにか重要な話なんだね!」

花丸「ただ、いま長々と話してたら」

鞠莉「他の三人に怪しまれる」

花丸「そう」

花丸「だから必要なこと、ひとつだけ言うね」

花丸「ドッペルゲンガーのグループLINEを抜けてほしいの」

143: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:13:21.53 ID:lTL56XWE0
DPG対策本部(3)

曜:ごめんね!衣装が遅れがちだから抜けます!

渡辺曜が退会しました

鞠莉:ごめんなさい、私も最近、理事長としての仕事を疎かにしてるから抜けるね

鞠莉:私の調べたことは報告したから、これ以上は力になれないと思うの

小原鞠莉が退会しました

144: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:13:49.62 ID:lTL56XWE0
善子「ふぅん……」

善子(またメンバーが減ったのは残念だけど)

善子(鞠莉が抜けたのは好都合ね)

ルビィ「なに見てるの?」

善子「通販サイトからオススメ商品の案内が来てたの」

善子(これなら今日の昼に生徒会室あけてもらう必要はなかったかもしれないわね)

善子(ま、頼んじゃったものは仕方ないし、予定を変えるつもりはないけど)

プルルルル プルルルル

ルビィ「あ、電話」

花丸「え?えーっと……」ゴソゴソ

善子「あんたのじゃないわよ、私の」

善子「大体ずら丸は着信音違うでしょ」ピッ

善子「もしもし」

ダイヤ『もしもし、善子さんですか』

善子「ええ」

ダイヤ『生徒会室の使用許可がおりました』

善子「そう、じゃあ呼んで行くわ」

ダイヤ『呼んで?』

善子「こっちでするから気にしないで」

ダイヤ『わかりました、それでは』

145: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:14:18.18 ID:lTL56XWE0
ルビィ「誰から?」

善子「リトルデーモンの一人よ」

善子「今日はそのリトルデーモンたちとお昼食べるから」

ルビィ「そっか……善子ちゃんいないと寂しいな」

善子「ずら丸がいるでしょ」

善子「じゃ、行くから」

ルビィ「むう……いってらっしゃーい」

花丸「ルビィちゃん、悪いんだけど……実はオラも」

ルビィ「他の人と食べるの?」

花丸「うん……近々読書週間始まるから、図書委員みんなでそのお話をしなきゃいけなくて」

ルビィ「それなら……仕方ないかぁ……」

花丸「ごめんね」

ルビィ「いいよ、いってらっしゃい」

花丸「うん、いってきます」

146: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:14:45.93 ID:lTL56XWE0
千歌「あの……、曜ちゃん……」

曜「なになにー?」

千歌「衣装大変なのに……」

千歌「……」フルフル

千歌「衣装つくるの!手伝うよ!」ニコッ

千歌「お昼ごはん食べ終わってからでも、放課後の練習が終わったあとでも!」

千歌「土日は曜ちゃんの家にお泊まりとか……」

曜「あ、ううん!いいのいいの!ルビィちゃんいるし、今は梨子ちゃんも手伝ってくれてるし!」

曜「千歌ちゃんは歌と踊りに集中してね!」

千歌「……っ、でも」

曜「あ、あとごめんね、今日は水泳部の人たちとお昼食べる約束してて!」

曜「千歌ちゃんも……今日は梨子ちゃん来てないけど、他の子と一緒に食べてね!ごめん!」

曜「じゃまたあとでね!」

千歌「あ、えと」

タタタッ

千歌「……」

千歌「みんなで助け合おうって言ったの……曜ちゃんなのに……」ポソッ

千歌「千歌なんか……頼りないのかな……」

147: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:15:13.11 ID:lTL56XWE0
プルルルル プルルルル

千歌「うん?」ピッ

善子『もしもし、千歌?傍に曜いる?』

千歌「ううん、曜ちゃんは水泳部の人たちのとこ行っちゃった」

善子『そう、それはよかった』

千歌「……よくないよ」

善子『ああ、違うの、アレの件で千歌に来てもらいたくて』

千歌「あれ……アレね、うん」

千歌「曜ちゃんがいちゃだめなの?」

善子『そういうわけじゃないけど、曜はもうグループ抜けたから』

善子『抜けた人に話を持ちかけるのも筋違いでしょ』

千歌「うん、そうだね……」

善子『ま、とにかく生徒会室に来てくれる?話したいことがあるのよ』

千歌「んーわかった」

148: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:15:39.59 ID:lTL56XWE0
花丸「理事長室、使わせてくれてありがとう」

鞠莉「You're welcome!このくらいお安いご用よ」

曜「朝の話、聞かせてくれるんだよね」

花丸「なにから話せばいいのか……まとまりがなくなっちゃうかもしれないけど許してね」

花丸「まず、ルビィちゃんとダイヤさんと善子ちゃんと千歌ちゃんと果南ちゃんはドッペルゲンガー」

花丸「オラには、たぶんドッペルゲンガーを見分ける力がある……完璧に見分けられるわけじゃないけど」

花丸「それから、ドッペルゲンガーには最低でもふたつの種類がいる」

149: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:16:06.26 ID:lTL56XWE0
――――

曜「ちょっと……頭がついていけなくなりそう……Aqoursの半分以上が偽者なんて……」

曜「本人とは別個体として現れるドッペルゲンガーは感覚が鈍くて、花丸ちゃんが見分けられるのはドッペルゲンガーの病気にかかってる人ってことだよね」

鞠莉「病気ってそういう意味だったのね、私てっきり……無駄なこと調べちゃったわね」

花丸「ううん、曖昧な言い方しちゃったオラがいけなかったんだよ、ごめんね」

鞠莉「私、Doppelgangerなんていないって思いたかったの」

鞠莉「だってそんなの、Fantasyじゃない」

鞠莉「だから最初から病気関連のものを調べて、勘違いって可能性も考えて……」

鞠莉「でも、こんなに追い込まれてるのに……もう目をそらしてはいられないわね」

花丸「信じたくない気持ち、よくわかるずら」

花丸「マルだって……信じたくない、目を背けたい」

曜「現実を見ないことは簡単だけど、それじゃなんの解決にもならない」

曜「気の利いたことは言えないけど……うん、力を合わせてがんばろう!」

150: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:16:33.07 ID:lTL56XWE0
鞠莉「ふふっ、曜は優秀なムードメーカーね、傍にいるだけで雰囲気が明るくなるわ」

鞠莉「それで……Doppelgangerになってる子はそれぞれどういう根拠で?容態は悪いのかしら?」

花丸「まず果南ちゃんは、一番最初にドッペルゲンガーが出現していたこと、それから昨日の朝練のときの反応が鈍かったことが根拠ずら」

曜「え?反応鈍かったっけ?」

鞠莉「いつも通りだった気がするけど……」

花丸「朝練が終わったあと、曜ちゃんと梨子ちゃんが階段で転んだよね」

花丸「あの時、何度か呼び掛けても反応がなかったの」

鞠莉「あ、確かにあの時の果南、ちょっと変だった」

鞠莉「果南なら顔真っ青にして駆けつけて曜と梨子をおんぶだっこして保健室までダッシュしそうなものなのに」

花丸「不測の事態で、本物ならどう動くかって判断ができなくなってたんじゃないかなって思うんだ」

151: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:16:59.62 ID:lTL56XWE0
鞠莉「……ねえ、私のDoppelgangerも最初に出たけど、私のことは疑わないの?重要な話、たくさんしちゃってるけど大丈夫?」

花丸「それは大丈夫」

花丸「これまでの様子を思い返しても、昨日一日よくよく観察してみた結果も、鞠莉ちゃんは本物って思えるものだったから」

鞠莉「んん……そういう判断基準なら、果南に関して根拠不足じゃないかしら」

曜「でもさっきは鞠莉ちゃんも納得してなかった?」

鞠莉「反応がなかったのは事実だけど、考え事をしていた、パニック状態に陥っていた、といくらでも原因は考えられる」

鞠莉「たった一回のことで偽者と決めつけるのは早計だわ」

花丸「それでも……」

鞠莉「いい?私は花丸を信じていないわけじゃない、ただ、一人の判断を真実として認識するのは危ういんじゃないかと思っているの」

鞠莉「三人いるんだもの、誰かが異論を唱えてあらゆる可能性を考慮すべきだわ」

花丸「……うん、そうだね、偽者探しに躍起になって、正しい判断を下せていなかったのかもしれない」

曜「じゃあ、果南ちゃんはドッペルゲンガー疑惑ってことでいい?」

花丸「うん」コクン

152: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:17:26.97 ID:lTL56XWE0
花丸「次に、オラが見て入れ替わってるって思ったのがルビィちゃんとダイヤさんと善子ちゃん」

花丸「昨日は朝だけ、今日はほとんどずっと違和感があるのがルビィちゃんで、善子ちゃんは今朝違和感があったけど今は普通、昨日の朝だけ違和感があったダイヤさんは今日は会ってないから病気の進行度がわからない」

花丸「根拠は直感としか言いようがないから……これは信じてもらうしかない」

曜「直感が外れたりはしないかな……」

花丸「たぶんそれはない」

花丸「だってあんなに……そっくりだけど全然別物なんだもん……見た瞬間に、本物を返してって叫びたくなった」

鞠莉「……そこまで確信してるなら、花丸を信じるしかないわね」

花丸「ただ、善子ちゃんに関してはわからないことがあるずら」

花丸「校門にいた善子ちゃん、もしかしたら善子ちゃんじゃなくて自分だったかもしれないって梨子ちゃんが言い始めてて」

花丸「校門にいたのが梨子ちゃんなら、善子ちゃんは間違いなく病気」

曜「そうでないなら?」

花丸「善子ちゃんの偽者が存在しつつ、善子ちゃん本人は病気にかかってる」

曜「それはひどい……」

153: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:17:54.52 ID:lTL56XWE0
花丸「梨子ちゃんはいま……冷静であろうと努力しているみたいだけど、たぶん精神的に限界が来てる」

花丸「だから校門にいたのは善子ちゃんの可能性が高いんだけど……」

花丸「梨子ちゃんは、いつ、鞠莉ちゃんが言ってた心の病気になってもおかしくない状態ずら」

花丸「そういう意味で鞠莉ちゃんが調べたことは無駄にはなってないよ」

鞠莉「できることなら無駄になってほしかったわ……」

花丸「最後に千歌ちゃんについて、最初はわからなかったんだけど、これは梨子ちゃんが直感で気付いたのを教えてくれて」

曜「梨子ちゃんが?」

鞠莉「精神不安定になってる子の言うこと鵜呑みにしちゃっていいの?」

花丸「逆ずら」

花丸「梨子ちゃんにとって千歌ちゃんはこっちに来て初めてできた友達、お隣さんでいつも一緒にいたのに、そんな仲のいい子が偽者と入れ替わったらどうなる?」

曜「偽者の千歌ちゃんがずっと傍にいることにたえられなくなったから、梨子ちゃんは病み始めてるってこと?」

花丸「きっとそう」

154: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:18:22.83 ID:lTL56XWE0
花丸「オラも梨子ちゃんに言われた後よく見てみたからわかるんだ、あの千歌ちゃんは入れ替わってると断言できる」

花丸「隣の家にドッペルゲンガーがいて、自分もいつ入れ替えられるかって不安を抱え続けてる梨子ちゃんの苦しみは想像を絶するものだと思う」

曜「梨子ちゃん、最近ずっとつらそうだし、体調崩し気味だもんね……メンタルがやられてるなって思うところいっぱいある」

曜「千歌ちゃんが偽者と入れ替わってるのに……私には全然わからなかった……不甲斐ない」

鞠莉「誰にでもわかるものじゃないわ、今回は梨子の直感が冴えていただけのことよ……私だって、果南とダイヤ、ふたりの変化に気付けなかった……」

花丸「だから、私たちで助けよう」

花丸「梨子ちゃんも、病気にかかってる子も、入れ替わってる子も、みんな助けるの」

鞠莉「そうね、私たちが沈んでちゃ助けられるものも助けられなくなっちゃう!がんばりましょう!」

曜「落ち込んでちゃだめだね、私たちでみんなを助けるんだから!」

155: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:18:50.91 ID:lTL56XWE0
キーンコーンカーンコーン

花丸「予鈴……まだ話せてないことあるのに」

曜「じゃあいつでも話せるようにグループ作っとこうよ」スッスッ

鞠莉「そうね、それがいいわ」

曜「はい、作って招待したよー」スッスッ

花丸「DPG対策支部?」

曜「本部もうあるからこっちは支部にしたよ」

鞠莉「……本部には病人しかいないってことになるのね」

156: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:19:18.93 ID:lTL56XWE0
善子「生徒会室でお昼ごはん食べたいってだけなのに、許可もらわなきゃ使えないなんて不便ね」

ダイヤ「形だけです、不適切な理由でなければ許可がおりないことはないでしょう」

千歌「不適切って?」

ダイヤ「さあ?学校に不利益がなければ大丈夫、ということかと」

ダイヤ「さて、二人だけですか?」

善子「ええ」

善子「LINEは見た?お昼までに二人メンバーが減ったんだけど」

ダイヤ「曜さんと鞠莉さんですね」

善子「曜はともかく鞠莉が抜けたのは私たちにとって都合がよかったわ」

千歌「どゆこと?」

善子「簡単に説明するわね」

157: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:19:45.57 ID:lTL56XWE0
――――

千歌「ルビィちゃんと鞠莉ちゃんがドッペルゲンガー……」

ダイヤ「そして果南さんは疑わしい、と」

善子「おそらくずら丸は、親友が病気になってることを受け入れられなくてグループを抜けた」

善子「ずら丸というドッペルゲンガーへのアドバンテージを失ったいま、冷静に事を見定められるダイヤに抜けられるのは困るの」

善子「ダイヤにはつらい事実かもしれないけど受け入れて、これからも協力してほしい」

ダイヤ「ええ、私もそのつもりです」

千歌「あの、私は……力になれるかな?今まで何も調べてないし、ドッペルゲンガーについて全然わかんないし……いても意味ないんじゃ……」

善子「そんなことないわ」

善子「三人寄れば文殊の知恵、私やダイヤとは別の視点から物事を見ることが出来る重要なポジションよ」

善子「頼りにしてるからね!」

千歌「!……、うん!」

158: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:20:14.18 ID:lTL56XWE0
善子「じゃ、このノート見ながらおさらいしていくわよ」ペラッ

ダイヤ「よくまとめられていますね」

千歌「几帳面だね」

善子「別に普通よ」

ダイヤ「この取り消し線は?」

善子「それはここの……これ、精神病は今回関係ないから」

千歌「鞠莉ちゃんが調べてたのは私たちを混乱させるためって言ってたよね」

善子「ええ、それから――――」

千歌「うん……うん……」

ダイヤ「なるほど……それではこの病気の項目は――――」

159: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:20:41.16 ID:lTL56XWE0
千歌「あ、ここ」

――――
果南→DPG出現/梨子を突き落とした?
鞠莉→DPG出現/DPG
梨子→たぶんまだ本物/DPG出現
ルビィ→DPG病
――――

善子「ああ、うん、忘れはしないだろうけど、整理するためにね」

千歌「じゃあさ、ちゃんと全員分書かなきゃね!」カキカキ

善子「え?まあ、確かにそれもそうよね」

――――
果南→DPG出現/梨子を突き落とした?
鞠莉→DPG出現/DPG
梨子→たぶんまだ本物/DPG出現
ルビィ→DPG病
善子ちゃん→DPG出現/本物
ダイヤさん→本物
曜ちゃん→本物
花丸ちゃん→本物
千歌→本物
――――

善子「あっまた漢字間違えて!」

千歌「あ、ごめん」

善子「あなた絶対漢検とれないわね」

ダイヤ「こうして見ると……ドッペルゲンガーはまださほど牙を剥いていない状況、なんですかね」チラッ

善子「……そうね、とはいえ入れ替わりが完了したのもいるけど」

善子「初期段階だからこそここで食い止めて、入れ替わった本物の鞠莉を取り戻して、ルビィの病気も治す!」

千歌「やることたくさんあるけど、がんばろうね!」

160: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:21:09.55 ID:lTL56XWE0
キーンコーンカーンコーン

千歌「あ、予鈴」

ダイヤ「ひとまずここまでですね」

善子「まだまだ全然何も……これまで起こったことの確認しか出来てないのに」

ダイヤ「知識の共有と現状把握は重要ですわ」

千歌「私全然わかってなかったから、これでようやくスタートラインにつけた気がするよ!」

善子「二人がそう言うなら……続きはまたLINEでね」

千歌「はーい!力合わせてがんばっていこー!」

161: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:21:36.35 ID:lTL56XWE0
DPG対策支部(3)

花丸:今日話せなかったことなんだけど

花丸:実は、ルビィちゃんとダイヤさんには護符渡してないの

曜:えっそうなの?

鞠莉:私、全員分支払ったわ

曜:鞠莉ちゃんまんまと詐欺られたね

鞠莉:してやられたわ

花丸:そんなつもりじゃなくて!ちゃんと返すつもりだよ!本当に!

曜:あやしいなぁ

鞠莉:まさか花丸が詐欺るとは夢にも思わなかったわ

花丸:明日返しますから!!!!!!!

鞠莉:ごめんごめん冗談!イッツジョーーーーク!!

花丸:ほんとに?冗談?怒ってない?

鞠莉:ほんとほんと!むしろちょっとからかいすぎて、逆に花丸が怒ってたりしない?

花丸:しないよ!!

曜:文章だと冗談が伝わりにくいね~

鞠莉:(笑)つければよかったかしらね

曜:かも

花丸:話続けてもいいですか(怒)

鞠莉:怒らせちゃった

花丸:(笑)

曜:ごめん、どうぞ

162: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:22:07.42 ID:lTL56XWE0
花丸:護符を渡す日にルビィちゃんとダイヤさんが病気にかかってることがわかったの

鞠莉:なおさら渡すべきじゃないの?

花丸:護符は身を守るものだから、不用意に渡しちゃったら病原菌も護符に守られて退治できなくなるかもしれないって思って

曜:ドッペルゲンガー菌に手出しできなくなったら困るなぁ

鞠莉:でも善子と千歌にはもう渡しちゃってるよね

花丸:そこが問題なの

花丸:そのふたりが病気になったということは、護符ではドッペルゲンガー菌を防げないかもしれないってこと

曜:私たちもいつ病気になってもおかしくないんだね

曜:衣装やってる場合じゃないな

曜:初めにドッペルゲンガーが出てからもう一週間も経つのに対策の具体例が全然出ないなんて

鞠莉:防戦一方よね

鞠莉:いや、防げてすらいないね

花丸:うちにある本をたくさん見たんだけど、何も有益な情報がないの

鞠莉:お寺の本にドッペルゲンガー関連のものがあるとも思えないしねえ

鞠莉:明日は部活休んで、対策を考える?

花丸:今日は現状確認しかできなかったし、明日改めて顔を突き合わせて話し合った方がいい案が出るかも

163: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:22:35.11 ID:lTL56XWE0
DPG対策本部(3)

ダイヤ:お昼に話せなかったことについて、詳しく聞きたいのですが

ヨハネ:それなんだけど、また明日の昼に集まって話し合った方がいいと思う

ヨハネ:ダイヤは自宅でしか調べものができないし、そっちに時間を割いてほしい

ダイヤ:わかりました

千歌:私は時間があるからいろいろできるよ!善子ちゃんの調べもの手伝う?

ヨハネ:明日の予習してもらおうかしらね

千歌:よしきた!

ヨハネ:SCP-1242で検索して目を通しておいて

ヨハネ:ダイヤも、登校時間にでもサラッと読んでおいてね

ダイヤ:私、インターネットの検索はできません

千歌:善子ちゃん!すごい難しいこと書いてるよ!わけわかんなくなりそう!

ヨハネ:流し読みでいいから、なんとなく読んでみて

ヨハネ:ダイヤは手に持ってるその機械で調べてよ

ヨハネ:調べたい文字を打つだけ

ダイヤ:どこに文字を打てばいいのかわからないのです

ヨハネ:マジか

ダイヤ:インターネットはたくさん文字を押せるところがあるので、そこからニュースを読むことはたまにありますが

ヨハネ:うわーっこんな女子高生いる!?

千歌:ダイヤさんある意味すごいよ

164: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:23:02.60 ID:lTL56XWE0
ヨハネ:ダイヤってなんでもできると思ってたのに機械は苦手なのね!!

千歌:いまだにガラケーだしね

ダイヤ:慣れ親しんだものをわざわざ変える必要性も感じられませんし

ヨハネ:しかし今時ネット検索できないなんて

ヨハネ:自宅や生徒会室にパソコン置いてないの?

ダイヤ:自室にはありませんが生徒会室にはあります

ダイヤ:が、主に使用するのは書記の方ですし、私は印刷されたプリントを頂くだけなので

千歌:だから機械オンチなんだ

ダイヤ:失礼な!

千歌:わっごめん!

ヨハネ:沸点が低い!

ダイヤ:それほど本気で怒ってません

ヨハネ:失礼な!(笑)

ヨハネ:みたいな?

ダイヤ:そういう感じです

千歌:本気で怒らせちゃったかと思った

ダイヤ:失礼な!(笑)

ヨハネ:遊んでないでもう調べものに移って!(笑)

165: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:23:29.69 ID:lTL56XWE0
桜内梨子

千歌:梨子ちゃん、ちょっと散歩しにいかない?

梨子:どうして

千歌:最近梨子ちゃんとあんまり話せてないなーって思って!

梨子:昼間も話してたじゃない、私と

千歌:?

千歌:梨子ちゃん今日お休みだったよね?

梨子:あなたと話すことはないから

千歌:そっか

千歌:おやすみ

166: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:23:57.30 ID:lTL56XWE0
千歌「…………」

千歌(文字じゃ伝わらない感情がある)

千歌(梨子ちゃんは別に怒ってなんかない)

千歌(……怒ってなんかない、よね)

千歌(近頃梨子ちゃんが冷たいように感じるのも、気のせいだよね)

千歌(私のこと嫌ってたら、私におんぶされたりなんかしないよね)

千歌(あんまり……考え込むのは性に合わないな)

千歌「……しいたけの散歩行ってこよ」

167: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:24:25.20 ID:lTL56XWE0
Aqours(9)

梨子:明日も休みます

千歌:具合よくならないね、お大事に

ヨハネ:私も明日は用事があるから朝練に出られない

ヨハネ:梨子はゆっくり休みなさいね

梨子:ありがとう

ダイヤ:生徒会の仕事があるので私も朝練は出られません

曜:梨子ちゃん心配だよー!早く元気になってね!

千歌:なかなか全員揃えないねー

鞠莉:私も明日は仕事を片付けたいから、もしかしたら部活も休むかも

花丸:私も図書委員の仕事任せられちゃったから練習出られないと思う

ルビィ:果南ちゃんは?

千歌:既読つかないし、見てないんじゃないかな

曜:明日は一日みんな集まれないみたいだし、ルビィちゃんと私はそれぞれ衣装の担当部分をやって、あとの人は個人で自分のパートを練習するってことでいいんじゃない?

鞠莉:それがいいね

花丸:次のライブまでまだ間があるし、そんなに焦る必要もないしね

曜:そうだね

ルビィ:みんななんでそんなに用事があるの?

168: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:24:51.97 ID:lTL56XWE0
ルビィ(既読はついてるのに)

ルビィ(……返事が来ない)

ルビィ(みんな嘘をついてる)

ルビィ(みんながバラバラになってく)

ルビィ「お姉ちゃん……」

ダイヤ「どうしたの?」ナデナデ

ルビィ「……ルビィを」

ルビィ(ひとりにしないで)

ルビィ「…………」

ダイヤ「大丈夫、誰もいない、誰も見てない、なにもこわいものなんてない」ナデナデ

ルビィ(いないよね)

ルビィ(今も視線を感じるのは)

ルビィ「ただの気のせい」

ダイヤ「ええ」ナデナデ

169: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:25:21.01 ID:lTL56XWE0
善子「……」キョロキョロ

善子「誰もいないわね……」

ガラッ

ダイヤ「おはようございます、善子さん」

善子「話ってなに?」

ダイヤ「病気についてなのですが……ストレスにより発症することはありませんか?」

善子「……?」

ダイヤ「……」

善子「ええと……鞠莉の報告からもわかるように、ストレスで発症するのは精神病よ」

善子「いま私たちが対峙しているドッペルゲンガーとは関係ないの」

ダイヤ「そうですか……」

ダイヤ「実は……ルビィが、あるストレスに悩まされていて」

善子「そう……ダイヤがドッペルゲンガーに関わる限り、ルビィは嫌でもこの件が続いていることを知ってしまうものね」

ダイヤ「いえ、そうではなく、別件なのですが……」

ダイヤ「タイミングを考えると、そのストレスが原因でドッペルゲンガー病にかかってしまったのかと……」

善子「……ドッペルゲンガー病っていうのは、私が考える限りウイルス性のものなの、これについてはお昼に話すわ」

善子「ストレスだけで発症するのは精神病で間違いない」

ダイヤ「そうですか、見当違いな考えだったのですね」

170: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:25:47.74 ID:lTL56XWE0
善子「昨日楽観的な意見ばかり出していたのは、病気の原因がストレスだと思っていたから?」

善子「昨日は目配せしてきたから調子合わせたけど」

ダイヤ「ありがたい限りです」

ダイヤ「最近の千歌さんは無理に空元気を出しているようで、あまりストレスを感じさせるのは、と……」

善子「病気の原因がそれじゃなくても、あんまりストレスをためない方がいいのは確かよ」

善子「そのルビィの件が理由かしら、ダイヤに疲れがたまっているように見えるのは」

ダイヤ「そう見えますか?」

善子「コンシーラーで隠してるようだけど、隈ができてるのがわかるわ」

ダイヤ「隠しきれないものですね」

ダイヤ「善子さんは私を高く評価してくださってるようですが、……私もできればそうありたいと思うのですが、今はルビィのことであまり余裕がなくて」

善子「そう……ダイヤも、無理しないで」

ダイヤ「無理はしなければなりません」

ダイヤ「既に鞠莉さんが入れ替わっているのです」

善子「ルビィも入れ替わりかけている……事態は深刻ね」

ダイヤ「千歌さんが昨日の言葉を額面通りに受け取って、あまりストレスを感じていないことを祈るばかりです」

善子「あの子の笑顔は、いつも私たちをホッとさせてくれるものね」

171: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:26:15.75 ID:lTL56XWE0
千歌「曜ちゃーん!」テテテッ

曜「ごめん今日も」

千歌「曜ちゃんごめん!今日、善子ちゃんと一緒にお昼食べることになってて」

曜「へ?え?ああ、うん!行っておいでよ!」

千歌「ごめんね!またあとでね!」

曜「うん、また……」

曜「……」

曜「私には、違いがわかんないなぁ……」ポソッ

172: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:26:43.17 ID:lTL56XWE0
花丸「せっかく朝練なしにしたのに、一緒に調べものできなくてごめんね」

花丸「どうしてもルビィちゃんと登校してほしいってダイヤさんが言うから……」

曜「お姉ちゃんだし、ダイヤさんも何か察してるのかもしれないね」

鞠莉「ルビィを一人にさせたくないのね」

花丸「うん……早くなんとかしなきゃ……」

鞠莉「図書委員のこと、どう言い訳したの?」

花丸「委員会はお昼にあるってことにしたの」

曜「ナイス機転!私たちの方はねー」

鞠莉「朝探したんだけどね、何冊か本借りてきたわ」ポスッ

花丸「図書室開けてもらったの?」

鞠莉「やましいことはないし、頼んだら先生が快く開けてくれたわ」

曜「私たち、ドッペルゲンガーについてほとんど何も知らないから、どういうものなのか知ろうと思って」

曜「善子ちゃんがもっと早く、詳しく説明してくれてればこんな最初の段階に時間取られなかったんだけど……」

鞠莉「たられば言っても仕方ないわ」

鞠莉「花丸は少しは知ってるんだったっけ?善子がそんなこと言ってたような気がするけど」

花丸「ううん……知らない」

花丸「マルの知識は善子ちゃんとは被らないことが多いの」

鞠莉「そっか、じゃあ一緒に知っていきましょう!」

173: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:27:09.77 ID:lTL56XWE0
鞠莉「私が朝チラッと読んだこの本には、Doppelgangerは死ぬ間際の姿で現れると書いてあるわ」

曜「果南ちゃんや鞠莉ちゃんのドッペルゲンガーは、本物の千歌ちゃんと果南ちゃんが何も感じずに普通に会話してたから、その本だけを参考にすると果南ちゃんと鞠莉ちゃんは……」

鞠莉「今とあまり変わらない姿で現れたってことは死期が近いってことになるわね!この程度でいちいち暗くならないの!」

鞠莉「歴史上の人物も見てるっていうからその辺から打開策を見つけられないものかしらね」

曜「えーっと……リンカーン、エリザベス一世、エカテリーナ二世、ゲーテ……うわっゲーテは21歳の時に8年後の自分を見たって!早死にだ……かわいそ」

花丸「ゲーテは若いときにドッペルゲンガーを見てたの!?」ガタッ

174: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:27:37.60 ID:lTL56XWE0
曜「う、うん、書いてる、ここ……」

花丸「ゲーテは80歳まで長生きしたんだよ!」

花丸「ゲーテがドッペルゲンガーを見てからその8年の間に起こした何らかの行動がきっかけで死を回避したなら!その行動がわかりさえすれば!」

曜「鞠莉ちゃんと果南ちゃん、善子ちゃんもみんな助かる!」

曜「やった、すごい!いきなり当たり引いちゃったよ!」

鞠莉「落ち着いて二人とも」

鞠莉「私と果南はともかく、善子は病気にもかかってる」

鞠莉「病人を助ける方法も探さなきゃ、みんな助かるとは言えないわ」

曜「た、確かに……」

花丸「でも、少しだけ未来が明るくなった気がするずら」

花丸「この調子でお昼休み終わるまでどんどん調べていこう!」

175: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:28:05.26 ID:lTL56XWE0
善子「ダイヤー、パソコンつけてもらえる?」

ダイヤ「どうすればいいのですか?」

善子「……本当に機械オンチなのね」カチッ

善子「千歌、予習はしてきた?」

千歌「した……けど……」

善子「それじゃあダイヤに教えてあげて」

千歌「ええー……そのパソコンで見ればいいじゃん」

善子「確かにそのためにつけたんだけど、あの堅苦しい文章読む前に概要知ってた方が理解しやすいじゃない」

善子「あと、千歌が正しく読めてるか聞きたいだけ」

千歌「んんー……なんか、ドッペルゲンガーウイルス持ってるAさんがいてー」

千歌「Aさんに触ったBさんがウイルスに感染して、Bさんの体はだんだんAさんの見た目と同じように変わっていくの」

千歌「体がAさんになっちゃったBさんがまた別の人に触って、その別の人もAさんに変えていくウイルスの話だった」

善子「だいたいそんな感じね、説明ありがとう」

ダイヤ「同じ人がどんどん作られていくのですね……」

176: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:28:33.26 ID:lTL56XWE0
千歌「でさ、なんかさ、私も調べたんだけどさ、」

千歌「SCP財団ってフィクションなんじゃん!」

ダイヤ「なっ」

善子「そうね、その財団自体はフィクションね」

ダイヤ「そんなもの、なんの参考にもならないじゃないですか」

善子「こういうのには稀に真実に迫るものが混じっているもんなのよ」

善子「それに、病気という点が一致している」

千歌「とは言ってもさあ」

ダイヤ「以前善子さんが花丸さんに言っていたことをそのままお返ししますが」

ダイヤ「病気という一点しか一致していないじゃないですか!」

177: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:29:00.16 ID:lTL56XWE0
善子「そう興奮しないでよ」

善子「ドッペルゲンガーのウイルスがあるなんて発想、普通するかしら?」

善子「よくある発想ならその手の話が蔓延していてもおかしくないのに、たくさん調べた中でこれだけ」

善子「このSCP-1242だけが、ドッペルゲンガーウイルスに言及しているの」

千歌「そうなの?」

善子「火のないところに煙は立たない、何事にも理由がある」

ダイヤ「しかし……私たちの身に起こっていることとは状況が違うようですが」

善子「SCP-1242は保有者が自分を増殖させるものだけど、他者を増殖させる類似ウイルスがあるとしたら?」

千歌「その類似ウイルスをもともと持ってるAさんがいなくなれば解決?」

ダイヤ「仮定の話ですね……」

ダイヤ「ですがそれにすがるしか、私たちには打つ手がない」

178: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:29:26.81 ID:lTL56XWE0
善子「病気に関してはわからないことが多すぎるのよね」

善子「本人とは別に現れてくるもう一人の自分、もう一人の他人をドッペルゲンガーって言うものだと思ってたし……」

善子「それ以外のウイルス性のドッペルゲンガーがあるなんて普通知らないわよね」

千歌「……あのさぁ、思うんだけどさ、本人とは別に出てくるドッペルゲンガーも、病気のドッペルゲンガーも、同じドッペルゲンガーじゃないの?」

善子「昨日も言ったでしょ、花丸が言ってたことや、別種でないと説明に矛盾が起こることを考えれば」

千歌「それがちょっと違うんじゃないかなーって……花丸ちゃんの言い分にケチつけるわけじゃないんだけど」

千歌「人間ってくくりと同じ位置付けになるのは、妖怪ってくくりだと思うんだ」

千歌「人間の中にはいろいろ人種はあるけど、日本人ってくくりだとそんな見た目とか性質とか変わんないよね?」

千歌「同じように、妖怪の中のドッペルゲンガーって生き物もそんなに個体差がないんじゃない?」

千歌「ドッペルゲンガーは同一人物として現れて、病気もバラまいちゃうような迷惑な人種?種族?あっ正体は巨大魚なんだけ?そんなのなんじゃない?」

千歌「全部の性質を持ってるから矛盾も起こんない、みたいな」

179: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:29:53.78 ID:lTL56XWE0
善子「……」

ダイヤ「……」

千歌「ごめん、トンチンカンなこと言っちゃったね」

善子「いや、すごいわその発想」

ダイヤ「千歌さんの考え方は私たちの視野を広げてくれますのね」

千歌「ええーだからごめんってばぁ」

善子「いや、そうじゃないのよ」

善子「千歌の考えることも正しいかもしれないってこと」

ダイヤ「その可能性も頭に置いておきましょう」

千歌「私、役に立ったの?」

善子「私のかったい頭を砕いてくれたわ」

ダイヤ「一度否定されても自分の考えを発言する強さは見習いたいところですわ」

千歌「へへっえへへー」

千歌「もしそうなら、ドッペルゲンガーは魚だから海にかえさないとね」

ダイヤ「活き活きとしてしまうのでは」

善子「そんなのカメに突っ込んでお札貼りまくって重石つけて沈めてやるわ」

180: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:30:20.76 ID:lTL56XWE0
千歌「もし別々の種族なら、Aさんが見つかればルビィちゃんはなんとかなるかもしれないけど、鞠莉ちゃんみたいに入れ替わっちゃったのはどうすれば……」

善子「それについては私に考えがあるから、いまは病気のことに集中しましょ?」

千歌「そうなの?」

ダイヤ「善子さんがそう言うのであればお任せしましょう」

ダイヤ「しかしまあ、どれだけ論じても仮定は仮定」

善子「とにかく調べて動いて失敗したり成功したりしながら下手な鉄砲数撃っていきましょう」

ダイヤ「そうなると護符を頂く前に花丸さんがグループを抜けたのは致命的でしたね、危険に身を投じるのですから」

善子「えっもらってないの?」

ダイヤ「?……ええ」

千歌「私はもらってるよ」

善子「私も」

ダイヤ「渡し忘れられてしまったのでしょうか?」

千歌「どういうことだろ?」

善子「護符、もらえないか聞いてみるわ」

ダイヤ「お願いします」

181: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:30:47.61 ID:lTL56XWE0
「――――」
「――――」

梨子「……」

梨子(また話してる)

梨子(千歌ちゃんと、もう一人の私)

梨子(嫌な……不気味な光景だけど……どうしてだか気になって見てしまう)

梨子「……」

梨子(初めに違和感を覚えた、海辺を散歩した夜)

梨子(あの時からずっと千歌ちゃんは嘘をついていた)

梨子(チラッとしか見えなかったけど、あの時見えたのはきっともうひとりの私だった)

梨子(ご近所さんなんて言って誤魔化して……)

梨子(確かにご近所さんよね、私だもの)

梨子(きっと、もうひとりの私と結託して)

梨子(いまも本物の私を殺そうと画策してる)

ズキッ

梨子(足……痛みが続く……)

梨子「病院行こう……」

182: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:31:15.81 ID:lTL56XWE0
バタン

善子(部活休みになってよかった)

善子(正直言って、練習してる場合じゃないのよね)

善子(結局果南が来たのかどうかはわからないけど)

善子(果南は……どうなんだろ……ちゃんと本物なのかな……)

カタッ カチッ

善子「……」

善子(スイッチひとつで電源がつくのに)

善子(あの完璧人間のダイヤが、まさかパソコン電源のつけ方すらわからないなんてねえ)

善子「ふふっ」

善子(ちょっとおもしろポイントだわ)

183: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:31:42.57 ID:lTL56XWE0
善子(機械オンチって言ったらずら丸も、よね)

善子(電話が鳴る度にいっつも、着信音違うのに律儀に自分のスマホ確認して……)

善子「……」

善子(…………いつも?)

善子(いつだったかの朝練……)

――ん?オラの電話は鳴ってないよ?

――んえ?……あ、ほんとずら

――画面消さずにポッケに入れちゃってたみたい

善子(電話が鳴ったときに画面を見ていたなら、自分が発信していたことに気付いたはず)

善子(あの時のずら丸は画面の確認もしないで、自分のじゃないと言い切った)

善子「…………っ!」

善子(みんなに隠れて発信した?私がルビィにかけたときと同じように!?)

善子(それは、つまり、そういう……)ゾッ

184: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:32:10.57 ID:lTL56XWE0
善子「嘘よ!!」

善子「私は違う!私は病気になってない!私は正常!私は私!!」

善子「意識だってハッキリしてる!どこもおかしくない!おかしくなんか!」

善子(本当におかしくない?)

善子(どこか調子は変じゃない?)

善子(私は本当に……本当に私?)

善子「ちがう気のせい何かの間違いよそんなの私が偽者なんて病気なんてありえないだって……」

善子(姿見に映る私)

善子(いつもとなんら変わりない)

善子(本人にすら見分けがつかないなんてことある?)

善子「私は私、大丈夫、私は本物、私は病気じゃない」ブツブツ

コンコン

「善子ちゃん?開けていい?」

ガチャッ

185: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:32:37.63 ID:lTL56XWE0
善子「梨子……どうしたの?」

梨子「善子ちゃんの方こそどうしたのよ、そんな顔して……」

梨子「何かあったの?話、聞こうか?」

善子「いえ……いいえ、大丈夫、大丈夫よ……気のせいだから……」

善子「それより梨子、何か用?連絡もなしに来るなんて」

梨子「捻挫診てもらうのにこっちの病院まで来たから」

梨子「二日も学校休んじゃったし、善子ちゃんに顔見せておこうかなって」

善子「近所じゃなくてわざわざこっちの病院まで来たの?」

梨子「うーん……こっちまで来たのは善子ちゃんに会う口実を作るためかも、なんて」フフッ

善子「なによそれ」クスクス

梨子「……」

梨子「ねえ」

梨子「ドッペルゲンガー、じゃない?」

善子「えっ」ビクッ

186: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:33:04.22 ID:lTL56XWE0
梨子「さっきの善子ちゃん、鬼気迫る顔してた」

梨子「ドッペルゲンガーへの対抗策を考えて、行き詰まって、それで苦しんでたんじゃない?」

善子「えっ、ああ、そういう……原因がってことね、うん」

梨子「善子ちゃんってオカルトに詳しいから、ひとりで頑張っちゃってるんじゃないかなって思って」

善子「ん……んん……まぁ……」

梨子「ね、私たち、協力しましょう?」

梨子「一緒にドッペルゲンガーをやっつけるの」

善子「……四六時中ドッペルゲンガーのことを考え続けることになるけど、それは梨子にとって苦痛じゃない?」

梨子「苦痛ね」

187: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:33:32.23 ID:lTL56XWE0
梨子「でもそうでなくとも既に、私はずっとドッペルゲンガーのことばかり考えてるわ」

梨子「ずっと、家の外に私のドッペルゲンガーがいるの」

梨子「千歌ちゃんと楽しそうに話してて……そうでない時はずっと、ずっと、私を見ているの」

梨子「私の居場所、私の存在意義、私の全てを奪われるようで」

梨子「早く消してやりたいの、あんな偽者」

善子「そう……そんなに苦悩してたのね……」

スッ

善子「これ、ドッペルゲンガーのことをまとめたノート」

梨子「見てもいい?」

善子「どうぞ」パラッ

梨子「……事の始まりから全部の出来事を書いてるのね、すごいわ」

善子「そんなすごいことでもないでしょ」

梨子「きちんと整理されてるなーって」

善子「そう?」

188: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:33:59.76 ID:lTL56XWE0
――――
④自分or第三者がDPGを見るとDPGの対象人物は死ぬ
 ↓
 果南は車に轢かれかけた
――――

梨子「え?」

梨子(果南ちゃんはバイクに轢かれかけた……)

梨子(書き間違い?記憶違い?……そんなことあるかしら……)

梨子(善子ちゃんも……いや……善子ちゃんは……)

――――
善子ちゃん→DPG出現/本物
――――

梨子「あ……」

梨子(善の字)

梨子(線が一本多い)

189: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:34:27.15 ID:lTL56XWE0
梨子「……これ、どういうこと?」

善子「ん?どれ?」

梨子「どうして千歌ちゃんと話したの?」

善子「いきなりなに?話ぐらいするでしょ」

梨子「善子ちゃんなら信用できると思ったのに」

善子「ええ、信用して……」

梨子「どうしてドッペルゲンガーなんかと!」ダンッ

善子「は、な、なに、なんのことよ!わわ私はドッペルゲンガーじゃないわよ!?」

梨子「善子ちゃんも仲間だったのね!!私を騙して!!殺そうとしてるんでしょ!!」

善子「ちょっとまって、ちがっ」

梨子「信じてたのに!!裏切るなんて!!」ドンッ

善子「やっ」ドサッ

タタタッ

善子「どうして急に……私……」

善子「私が……ドッペルゲンガー…………」

善子「私は……私じゃなくなっちゃうの?」カタカタ

190: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:34:54.81 ID:lTL56XWE0
――――

梨子「もうみんな敵……みんな偽者……みんな……」

梨子「どうしてこうなっちゃったの……どうして……どうして……!」

梨子「千歌ちゃんが最初にドッペルゲンガーを見たせいだ!千歌ちゃんがずっと嘘ついたせいだ!千歌ちゃんが私のドッペルゲンガーと話してなければ!千歌ちゃんのせいで!」

梨子「……」

「――――」
「――――」

梨子「千歌ちゃん……また話してるの……」

梨子「ねぇ……ねえ!千歌ちゃん!」ガシッ

千歌「ん?あ、梨子ちゃん!梨子ちゃん体調は」

梨子「千歌ちゃん!どうして話すの?どうして私と話すの?さっきの私はどこへ隠したの?どうして隠すの?」

千歌「えっ、えっなに?なにが?」

梨子「どうして私と話すの!どうして!いつもいつも!一昨日も昨日も今日もさっきも!私と!どうして私と話すの!どうして私と話すの!!」

千歌「わっわっわ、だ、大丈夫、大丈夫だよ、梨子ちゃん、私、梨子ちゃんと話すよ、たくさんお話するよ!だから安心して、梨子ちゃ」

梨子「どうしてよ!!」ドンッ

千歌「わっ、ま、まって梨子ちゃん、まって」ドタッ

梨子「触らないで!!」バッ

191: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:35:22.05 ID:lTL56XWE0
ガチャッ バンッ
ダダダッ

「梨子!?どうしたの!」

梨子「うるさい!!」バタンッ

梨子(部屋にこもればひとまずは安全なはず……)

梨子(殺される前に殺さなきゃ……殺さなきゃ……)

梨子「えっ」

梨子“…………”

梨子「だれ……」

梨子“…………”

梨子「なんで!なんでそこに!」

梨子「私がいるの!!」

梨子“…………”

梨子「なんとか言いなさいよ!!」

梨子“…………”

192: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:35:48.64 ID:lTL56XWE0
梨子「いや……いや……っ」ガタガタ

梨子「来ないで……!」

梨子「消えて!」ガッ

梨子「出ていって!」ガンッ

梨子「消えなさい!!」ガンッガンッ

梨子「消えなさいよ!!」ガンッガンッ

梨子「どっかいって!!」ガンッガンッ

梨子「私を!!奪わないで!!」

ガダンッ

193: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:36:16.31 ID:lTL56XWE0
Aqours(9)

千歌:梨子ちゃんが入院することになったそうです

194: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:36:44.44 ID:lTL56XWE0
誤字や台詞の言い回しなど物語に関わらない部分を若干修正

次レスから続き

195: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:37:11.23 ID:lTL56XWE0
千歌:事情はわからないけど、強く頭を打って気を失ったらしくて

千歌:それで梨子ちゃんのお母さんが病院に連れていったんだけど、目を覚ました梨子ちゃんがパニック状態になってるみたいで

千歌:頭を打ったことの検査入院って梨子ちゃんのお母さんは言ってたんだけど、その後はどうなるかわからないとも言ってた

千歌:それから、Aqoursメンバーはお見舞いに行かない方がいいと言われました

千歌:こんなことになってみんな、心の整理が追い付かないと思う

千歌:練習だってまともにできないと思う

千歌:だから、この土日はその心の整理と、これからAqoursがどう活動していくかってことを考えてほしい

千歌:悩んだときには相談してね

196: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:37:40.09 ID:lTL56XWE0
ガララ……

花丸「ただい……」

「おかえりなさい、今日は遅かったのね」

花丸「……あ……うん……ちょっと、いろいろあって……」

「ごはんできてるから、着替えたらすぐに食べにいらっしゃいね」

花丸「……はい」

トッ……トッ……トッ……
パタン

花丸「……」

花丸「……っ」ジワッ

花丸(お母さん……偽者になっちゃってる……)

花丸(どうして……)

花丸「うっ……」ポロポロ

197: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:38:43.28 ID:lTL56XWE0
花丸(Aqoursだけじゃなかった)

花丸(学校のみんなも、町のみんなも、きっと平等にドッペルゲンガーに襲われてるんだ)

花丸(もし、町の人がみんなドッペルゲンガーに変わっちゃったら、そのあとはどうなるの?)

花丸(入れ替わってない本物を殺そうとしてくるの?)

花丸(お母さんと見た目がそっくりな偽者……あいつが襲ってきたら……マルは耐えられる?)

花丸「……」

花丸(弱気になっちゃダメ、マルには木札も護符もある)

花丸(それに、きっとまだ病気にかかる前にルビィちゃんが作ってくれたポプリが勇気をくれる)

スゥッ……

花丸(この花の香りを匂ってると、心が落ち着いてくる……)

花丸(怖がっていられない、立ち止まっていられない)

花丸(ルビィちゃんはもうほとんど入れ替わりが完了しちゃってる)

花丸(入れ替わり終わった人を本物に戻すことができるかはわからないけど)

花丸(必ずその手立てを見つけてみせる)

花丸(絶対にみんなを助けるんだ)

198: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:39:10.60 ID:lTL56XWE0
コツ コツ コツ

鞠莉(厚い雨雲で星ひとつ見えない……)

鞠莉「はぁ……」

鞠莉(放課後三人で居残りして調べたけれど、ドッペルゲンガーの病気についてはなにひとつ分からず仕舞い)

鞠莉(本とにらめっこしすぎて目が疲れちゃったわ……)

鞠莉(ネットの方が少しは情報が転がってたりするのかしらね)

鞠莉「……っさむ」ブルッ

鞠莉(20時にもなると外を出歩くのはさすがにちょっと肌寒いか)

鞠莉「あれ?」

鞠莉「果南!なにして……」ハッ

鞠莉(……本当に果南?実は偽者なんじゃ)

果南「鞠莉」クルッ

鞠莉(気付かれちゃった)

鞠莉(偽者は感覚が鈍いってことだったけどしっかり聞こえてたってことはこの果南は本物?)

鞠莉(……この距離でさっきくらいの声量を出せば偽者にだって聞こえるか……)

鞠莉(果南はまだ本物と言い切ることはできない……)

果南「どうしたの?難しい顔して」

鞠莉「ううん……それより果南の方こそどうしたの?こんな時間に」

199: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:39:46.38 ID:lTL56XWE0
果南「……ちょっと、散歩」

果南「さっきのLINE見てさ、なんか……どうしたらいいのかわからなくて」

鞠莉「LINE?何かあったの?」スッ スッ……

果南「梨子ちゃんが怪我しちゃったんだって」

鞠莉「怪我……えっ!入院!?」スッ……スッ……

果南「こんなことになって……って、どういう意味なんだろうね」

果南「そりゃ確かに梨子ちゃんが入院したことは大変なことだけど、この一言にはそれ以外にもなにか意味が込められてるような気がして……」

鞠莉「……」

鞠莉(これは……梨子のドッペルゲンガーの仕業?)

鞠莉(病気のことはさておき、先にゲーテのことを調べた方がいいのかしら)

鞠莉(私も死にたくはないし……)

果南「――――――――」

果南「――――」

果南「鞠莉、聞いてる?」

鞠莉「え?ああうん、聞いてる聞いてる」

果南「……――――」ボソッ

鞠莉「なに?なんて?」

果南「……」

200: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:40:16.35 ID:lTL56XWE0
ダイヤ(梨子さんが……)

ダイヤ(私がさほど動揺していないのは、誰かがこうなってしまうことを覚悟していたからか、精神が摩耗しているからか)

ダイヤ(それとも、既にドッペルゲンガー病にかかり始めていて、感情の起伏がなくなりつつあるからか)

ダイヤ(いつどのような条件で感染するかわからない以上、私がドッペルゲンガー病にかかっていないとは断言できない)

ダイヤ(自分すらも疑わしいなんて)

ダイヤ「ルビィ……」

ダイヤ(眉間に皺が寄ってる)

ダイヤ(うなされてこそいないけど、悪夢を見ているのかもしれない)

ダイヤ「お姉ちゃんがついていますからね」

ダイヤ「お父様もお母様も、みんなあなたを守っています」

ダイヤ「こわいことなど、何も起こりませんからね」

ダイヤ(もしも私が入れ替わってしまっても、どうかルビィへの愛が変わることがありませんように……)

201: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:40:59.43 ID:lTL56XWE0
ピンポーン……ガチャッ

「ようこそ、いらっしゃいませ」

花丸「おはようございます」ペコッ

鞠莉「朝からおじゃましてご迷惑おかけします」ペコッ

「迷惑なんてことないわ、気にしないでちょうだい」

曜「いらっしゃーい!上がって上がって!」

「お菓子用意してるから、すぐに持って行くわね」

曜「あっ、いいよ私が持ってくから」

鞠莉「ありがとうございます、失礼します」

花丸「おじゃまします……」ジーッ

202: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:41:25.95 ID:lTL56XWE0
曜「さ、好きなとこ座ってー」

曜「それで花丸ちゃん、うちの親、どうだった?」

花丸「うん、大丈夫みたい」

花丸「曜ちゃんのお母さん見たのは初めてだから以前との比較はできないけど、変な感じはしなかったよ!」

曜「ふぅーっ、よかったぁ」

鞠莉「ひとまず曜は安心ね」

鞠莉「それにしても参ったわね、Aqours以外の人までドッペルゲンガーと入れ替わり始めているなんて」

曜「花丸ちゃんは強いね、お母さんが入れ替わっちゃってるって事実をちゃんと受け止められるなんて」

花丸「お母さんを見るたびに、嫌でも思い知らされるから……」

花丸「ルビィちゃんの時と違ってお母さんは急に入れ替わって、そのままずっと入れ替わりっぱなしなんだ」

花丸「病気からじゃなくて、別個体として現れるドッペルゲンガーと入れ替わったんだと思う」

鞠莉「昨日LINEで聞いてびっくりしたけど、よく考えたらAqoursのドッペルゲンガーしか出ないなんてことの方が不自然だもんね」

曜「一週間前……もしかしたらもう少し前から町全体がそういう……ドッペルゲンガーが出てくる状態だったってことだよね」

花丸「そういうことになるずら」

203: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:42:02.65 ID:lTL56XWE0
鞠莉「でもそれならなんで私たちの周りでドッペルゲンガーの話を少しも聞かないのかしら」

曜「同じ人が二人もいたらこわいし、その話で持ちきりになるよね」

花丸「人は案外、他人には興味がないものだよ」

花丸「本人が否定したら、勘違いだったのかって思ってそれ以上は突っ込んで聞かない」

花丸「そもそも、もっと他人に興味があれば、死人が出る前に児童虐待やDVだって防げてるはずでしょう?」

曜「それは……確かに」

花丸「今回オラたちがドッペルゲンガーの存在をきちんと認識できたのは、千歌ちゃんと善子ちゃんのおかげ」

花丸「千歌ちゃんがみんなのいる前でその話をして、気のせいって言われても善子ちゃんが引き下がらなかったから」

鞠莉「善子があの時こだわらなかったら変な話ってだけで片付けてたわよね」

花丸「きっと、そこかしこでそんなことが起こってる……だけどみんな気にしてないから、噂も流れない」

曜「死人が出るまで気付かないってことか」

花丸「ことドッペルゲンガーの件については死人が出たところで気付かないよ、だってドッペルゲンガーっていう偽者が本人と成り代わっちゃうから」

曜「なんて厄介な……なんだか宇宙人から侵略でも受けてるみたい」

204: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:42:29.98 ID:lTL56XWE0
花丸「宇宙人?」

曜「人間を偽者に作り変えたりしてるのは、宇宙人が地球人を操るために菌をばら蒔いてるからで」

曜「作り変えられた人間は見た目は変わらないけど、宇宙人に従順になっちゃう……的な」

鞠莉「また突飛な話を……」

花丸「あり得ない話じゃない」

曜「えっ」

鞠莉「えっ」

花丸「元々地球にいるドッペルゲンガーは本に記されていたりオカルト話として耳に挟むことがあったけど、病気については一切本に書かれていない」

花丸「オカルトに詳しい善子ちゃんすら知らなかったということは新種のドッペルゲンガーということ」

花丸「元々地球にいるドッペルゲンガーを活性化させつつ、新たなドッペルゲンガー菌も振り撒く」

花丸「宇宙からの侵略っていうのも、あながち突拍子もないなんてこと言えないかもしれないよ」

曜「私の思い付きから壮大な話になっちゃった……」

鞠莉「……そんなSF展開なんて起きなければいいのだけれど、可能性のひとつとして考えておきましょうか」

205: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:42:56.95 ID:lTL56XWE0
鞠莉「それじゃあ調べものに移りましょうか」

曜「鞠莉ちゃんと花丸ちゃんがゲーテのことを本で調べて、私が病気についてネット検索すればいいんだよね?」

花丸「あ、でもその前にこれを渡しておきたいずら」

花丸「曜ちゃんのと、鞠莉ちゃんの、はい」

曜「なにこれ?妖精さんっぽい形の紙と、木?小さい板?」

鞠莉「木製のネックレス?」

花丸「それは身代わり木札っていって、その名前の通り自分の身にふりかかる厄災を代わりに受けてくれるものなの」

花丸「それからこっちの紙は形代、自分を浄化するもの」

花丸「ふたりはまだ大丈夫だけど、もし病気になっちゃってもかかり始めに浄化したら、もしかしたら治るかもしれないって思って」

花丸「浄化の手順はこの紙に書いておいたから」

206: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:43:24.90 ID:lTL56XWE0
鞠莉「……お寺ってすごいのね」

曜「なんでもあるねぇ……花丸ちゃんなら本当にドッペルゲンガーを退治できちゃうんじゃない?」

花丸「だからそれはできないってばぁ……努力はするけど……」

曜「あはは、冗談だよ!ともかくありがとう、花丸ちゃん!」

鞠莉「ありがとうね、花丸」

曜「何が起こるかわからないし、木札はもう首から下げておくね!」

鞠莉「形代は……いつ病気になるともわからないから、こっちも常に持ち歩いていた方がよさそうね」

花丸「病気に自覚症状はなさそうだけど、もしも自分の体に違和感があったらすぐにでもした方がいいと思う」

曜「了解!」

207: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/14(木) 00:43:53.48 ID:lTL56XWE0
花丸「それから、木札の写真を撮ったものがあるんだけど、LINEグループのノートへの投稿の仕方教えてもらえるかな」

鞠莉「木札の写真?なんでまた」

花丸「この木札は、お守りであると同時に本人証明のためのものでもあるの」

曜「入れ替わってない証ってこと?」

花丸「偽者が入れ替わろうとするとき、この身代わり木札はきっと割れる」

花丸「偽者は割れてしまった木札の代わりに新しい木札を用意するよね」

鞠莉「割れたものを持っていたら間違いなく入れ替わったことがバレるし、なくすなんてもってのほかだものね」

花丸「そこで写真が役に立つの」

花丸「木目って人間の指紋みたいなものでね、同じものはふたつとないんだ」

花丸「実物と写真の木目が一致することを定期的に確認することで、本人証明がなされるんだよ」

曜「なるほど……」

鞠莉「それくらい用心深くいかなきゃいけないわね」

曜「ノートへの投稿はね、…………」

230: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/15(金) 01:04:25.63 ID:4jpH7yO60
千歌「うわ~…… やっぱりダイヤさんのおうちってこう、雰囲気ある~……」

ダイヤ「スナック菓子やジュースなど常備していないものですからこんなものしか出せずに申し訳ありませんが……」コトッ

千歌「お饅頭とお茶!最高の組み合わせだね!ありがとうございます!いただきまーす!」パクッ

ダイヤ「あら千歌さん、ここ……寝癖がついていますわ」

千歌「えっ?あーでもそのうち戻るし」ムシャムシャ

ダイヤ「食べながら喋るなんてお行儀が悪いですわよ」サッサッ……キュッ

ダイヤ「ヘアピンで留めておきましたから、入浴の際は忘れずに外してくださいね」

千歌「わー!ありがとう!えへへ、お姉ちゃんがひとり増えたみたい」

ダイヤ「こんな手のかかる妹、ルビィだけで十分ですわ」

善子「……あの」

ダイヤ「どうかなさいましたか?」

231: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/15(金) 01:05:00.90 ID:4jpH7yO60
善子「私、変じゃない?」

ダイヤ「寝癖もありませんし、身だしなみも整っていますしいつものかわいい善子さんですわよ?」

千歌「善子ちゃんかわいいっていうより美人だよね」モグモグ

善子「そう?本当に?」

千歌「何度も褒めてもらいたい感じ?すっごく美人だよ!」

ダイヤ「ええ、少し元気のないところが気掛かりですがいつも通りですわ」

善子「そう……そうなの……いつも通りならいいのよ」

千歌「変な善子ちゃん!」

善子「やっぱり変なの!?」

千歌「変じゃないって」

善子「おどかさないでよ」

善子「変じゃなくて、いつも通りなら問題ないのよ、うん、私は大丈夫」

232: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/15(金) 01:05:28.19 ID:4jpH7yO60
善子「今日はダイヤが調べたことについて報告してもらう予定だけど、その前にウイルスについてもう少し詳しい話をしてもいいかしら?」

善子「昨日は曖昧な説明しかできていなかったから」

千歌「そうだっけ?」パクッ……ムグムグ

ダイヤ「説明すべきところはきちんとされていたと思うのですが」

善子「……ダイヤ、あなた本当に大丈夫?思った以上に相当頭が回ってないようだけど……ちゃんと寝られてる?」

ダイヤ「そこまで言われる程ですか」

千歌「ダイヤさん寝不足なの!?」

ダイヤ「ええ、まあ……それにつきましては後でお話ししますわ、善子さんにも」

233: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/15(金) 01:06:32.46 ID:4jpH7yO60
善子「いいの?……あまり知られたくない内容みたいだったけど」

ダイヤ「いいんです、ストレスを感じすぎて梨子さんのようになってしまってはいけませんし」

千歌「梨子ちゃん……」

ダイヤ「弱っているところをドッペルゲンガーに攻められたのか、精神的に参ってしまって幻覚を見てしまったのか、の二択でしょうが……千歌さんのお話を聞く限りでは後者でしょう」

ダイヤ「私までそのようになってしまっては、真相に辿り着くことが困難になってしまいます」

ダイヤ「少しでも人手は多い方がよいでしょう?」

善子「錯乱状態に陥っていたようだし……梨子が見た自分のドッペルゲンガーっていうのも本当に存在したのかあやしくなってきたわよね」

千歌「うん……」

ダイヤ「解決までの道のりが遠いのです、私の抱えている問題はきちんとお話させていただきます」

234: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/15(金) 01:07:00.22 ID:4jpH7yO60
ダイヤ「さて、曖昧な箇所とは?」

善子「まず、本人とは別の肉体をもって出てくるものをA、ウイルス性のものをBとするわね」

善子「そしてこのAとBを別種と仮定する場合、AとBを同種と仮定とする場合とで、Bの性質は変わるものとする」

善子「Bタイプは保有者……ウイルスをばら蒔いている何者かから何らかの形で感染した場合、感染者の個体が増殖するんじゃないかって話を昨日したけど、どういうことかわかる?」

千歌「今はルビィちゃんがふたりに増えかけてるってことだよね?あっでも今はひとりしかいないし……体が増えかけてるってことなら見た目でわかるよね……頭がふたつになったり腕が四本になったりしてないし……?」

ダイヤ「ああ……確かに、病気にかかるとは一体どのような状態を指すのか理解していませんでしたわね……」

善子「私はね、AとBが別種のドッペルゲンガーだった場合は精神が増えるんじゃないかと思うの」

善子「本人とドッペルゲンガーが記憶や所持品を共有していたことから、新しい偽者の精神がウイルスによって生まれたと考えられるわ」

善子「病気にかかっているルビィの体には、本物の精神と偽者の精神が同居していて、本物と入れ替わることを目的としているドッペルゲンガーは本物の精神を壊して、肉体を完全に自身の支配下におくはずよ」

ダイヤ「そうすると本物のルビィは消えてしまう、ということでしょうか」

235: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/15(金) 01:07:27.54 ID:4jpH7yO60
善子「また、AとBが同種だった場合のBは、物理的に肉体が増殖して、その増えた肉体がAとして観測されるんじゃないかしら」

善子「これはおそらく目に見えてわからない部分……例えば臓器から増殖していって、分離は本人が寝ている間かなんかに一瞬にして行われるんじゃないかしら」

善子「そうでなければさっき千歌が言ったように頭が二つあるような怪物ができて大騒ぎになるもの」

ダイヤ「SCP-1242によると、感染者がウイルス保有者より肉体が小柄な場合、異常な食欲を示して感染者の肉体が肥大化するとありましたね」

ダイヤ「それを元に考えますと、分裂を起こすためには人ひとり分の質量が必要となるわけですから、同種Bの場合も相当な食欲を抱くのでしょう」

ダイヤ「ですがルビィは最近少し……ストレスからか食欲を失い、痩せてしまったかと」

ダイヤ「むしろ私の方が少々過食気味ですね、深夜に調べものをしていたのでお腹も空きますし」

善子「痩せた……のなら、もしかしたらもうAとして分離したあとなのかも」

千歌「だ、ダイヤさんは大丈夫なの……?」

ダイヤ「常識の範疇の食欲です」

善子「なら大丈夫ね」

236: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/15(金) 01:08:10.25 ID:4jpH7yO60
千歌「えっと……ごちゃごちゃ言ってるけどつまり、AとBが別種の場合のBは一時的に二重人格になって最後には偽者が体を乗っ取る」

千歌「同種の場合のBは新しい体が増えてそれがAってことなんだよね?」

善子「ごちゃごちゃって……いやまぁごちゃごちゃ言ってたか……」

ダイヤ「いま私たちの考えていることは仮定の上になりたつ仮定を元に仮定をしているだけのことですし、説明が雑然としてしまうのは仕方のないことですね」

善子「その上で更に仮定を重ねてしまうのだけれど、これはAqoursにかけられた呪いか何かじゃないかと思うのよ」

千歌「呪い!?」

ダイヤ「それはまた……なんとも……オカルトな話ですね」

237: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/15(金) 01:08:45.12 ID:4jpH7yO60
千歌「でもどうしてそう思うの?」

善子「私たち以外に町中にドッペルゲンガーが出ているならきっとあっという間に噂が広がってるわよ、それがこの考えの根拠」

千歌「えー?そうかなぁ……みんなそういうのに興味ないだけって可能性は?」

ダイヤ「こんな下らない……表面上はなんの問題もなく思われる話、噂話にもならないのでは?」

善子「人ってね、不思議なことやこわいことが大好きなのよ」

善子「それが身近な話であればそれこそ一瞬にしてその話題が沸騰するはず」

ダイヤ「そういうものでしょうか……」

善子「以前、誰もいないはずの放課後の音楽室でピアノが勝手に鳴り出す……なんて噂が流れたこと覚えてない?」

千歌「ああ、梨子ちゃんが転校してきてすぐの話……梨子ちゃんがピアノ弾いてたのをみんなが勘違いしてたってやつだよね」

千歌「確かにあの話、あっという間に噂が流れて、梨子ちゃんが弾いてたっていうのがわかってもしばらくは噂が消えなかった……」

善子「人はそれだけ身近なオカルトに飢えてるのよ」

238: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/15(金) 01:09:13.45 ID:4jpH7yO60
善子「そういう噂が流れていない以上、これはAqours内のみで起こっている現象だと考えられるわ」

善子「となると、メンバーの誰かが触れてはいけない何かに触れたとか行ってはいけない場所へ行ったとか、そういう禁忌を犯した代償をみんなが受けているってことになるんじゃないかしら」

千歌「善子ちゃん、もっと……その、気取らない、分かりやすい言葉で言ってほしい」

善子「さっき言ったように、何かのきっかけでAqoursのみんなが呪われてるってこと」

ダイヤ「簡単に言ってしまえば、その呪いの原因を突き止めればよいということですわね」

善子「それから、別種Bと同種に関して言えば、ウイルス保有者を排除すれば問題解決じゃないかしら」

ダイヤ「呪いをかけている人物あるいは幽霊、化け物、妖怪と、ウイルス保有者は同一であると考えるべきなのでしょうか」

千歌「ウイルス保有者っていうのは……Aqoursにはいないよね?Aqoursじゃない人が呪いをかけてて、ウイルスで私たちを苦しめてるんだよね?」

善子「と、いうかね」

善子「私たち、本当に最初から9人で活動していた?っていう疑問が生まれ始めてるのよ」

千歌「えっなに言い出すの善子ちゃん……」

239: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/15(金) 01:09:41.23 ID:4jpH7yO60
善子「例えばよ?」

善子「私たちは最初、8人だったかもしれない」

善子「ある時誰かが何かの封印を解いて」

善子「封印を解かれた者……呪いをかける者がAqoursに9人目として最初からいたかのように振る舞っていたとする」

善子「その超常の者はそれ故に関わる者全ての記憶を書き換え、何食わぬ顔でAqoursに、学校に、町に溶け込んでいる」

善子「呪いでAqoursを壊しきるまで消えることはない」

240: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/15(金) 01:10:13.58 ID:4jpH7yO60
千歌「ベタなホラー……」

ダイヤ「私たちの中に、元は存在しなかった人物がいる……ということでしょうか?」

善子「そういう可能性も考えておきたいってこと」

千歌「そんなにたくさんいろんなこと考えてるのに、なんでもっと早く教えてくれなかったの?」

善子「いや……私だって早く言いたかったんだけど……その、入れ替わってる鞠莉が本部メンバーにいたから……」

ダイヤ「言いたくても言えなかったのですね」

善子「ま、私が説明したかったのはこれくらい」

善子「結構話しちゃったわね」

ダイヤ「キリもいいところですし、お菓子とお茶のおかわりを持ってきますわね」スクッ

241: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/15(金) 01:10:45.40 ID:4jpH7yO60
善子「あのね、千歌、果南に聞いてほしいことがあるんだけど」

千歌「うん?」

善子「前にも言ったじゃない?果南が……自分のせいで梨子たちがケガをしたって言ってたって」

千歌「うん」

善子「果南に直接その……梨子を突き落としたりしちゃったのか聞いてほしいの」

千歌「何かの勘違いだと思うけどねぇ」

善子「私だって疑いたくないけど、本人がそう言ったんだもの……」

千歌「これ、ダイヤさんに聞かれたくないの?」

善子「ん、別にそういうわけじゃ」

ダイヤ「私がどうかしましたか?」

善子「いえ、果南のこと、千歌に聞いてもらおうと思って」

ダイヤ「?」

善子「自分が梨子たちをケガさせたって言ってた理由」

ダイヤ「ああ……その発言は気になりますものね」

善子「ダイヤ、本当にルビィと自分の調べものだけでいっぱいいっぱいって感じね」

千歌「お茶とお菓子のおかわりいただきまーす!」ハムッ

242: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/15(金) 01:11:15.26 ID:4jpH7yO60
ダイヤ「さて、善子さんのお話も終わりましたし、私の話をしようかと思うのですが」

ダイヤ「先に最近私の抱えている問題について始めましょうか」

千歌「なにか病気だったりするの?」

ダイヤ「いえ、私自身には問題はないのですが」

ダイヤ「……他の方には、言わないでくださいね」

ダイヤ「私以外にあまり気遣われるとルビィも居心地が悪いでしょうから……」

千歌「ルビィちゃん?」

ダイヤ「実は過去にルビィは、ストーカー被害にあっていたのです」

243: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/15(金) 01:11:48.83 ID:4jpH7yO60
ダイヤ「ルビィが小学生の時でした」

ダイヤ「最初はつきまといや待ち伏せなどだったらしいです」

ダイヤ「自分をつけまわすストーカーへの恐怖から、気のせい、勘違い、と、そう思いたかったルビィはこのことを家族に相談することができず、ひとりで不安を抱え続けました」

ダイヤ「それがおよそ一年ほど続いたのち、犯人は別のアクションを起こすようになったのです」

ダイヤ「その内容の詳細は伏せさせていただきますが、端的に言いますと封書を投函され始めたのです」

ダイヤ「ルビィの様子がおかしいとは思いつつも、ストーカー被害にあっていると気付けなかった私たち家族も、その封書をきっかけにようやく知ることができました」

ダイヤ「犯人は捕まり、接見禁止を言い渡すこともできましたが、ルビィは心に深い傷を負いました」

ダイヤ「ひとりで行動することを異常にこわがり、常に誰かに見られているかのような、付きまとわれているかのような感覚に悩まされ、不眠症、突発的なパニック障害や、他にも名前のつく精神病などにより、外出もできず家に引きこもっていた時期がありました」

ダイヤ「お医者様や私たち家族、なによりルビィ自身の努力によりその症状は落ち着いたものと思われたのですが」

ダイヤ「この度のドッペルゲンガーの件で不安障害が再発しはじめているのです」

244: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/15(金) 01:12:16.34 ID:4jpH7yO60
ダイヤ「それによりルビィに付きっきりでいるので、私も少し寝不足気味、という程度です」

ダイヤ「ルビィの苦しみに比べればなんでもないことなのですが、パニック状態がいつ起こるともわからないので常に気を張っているので少しばかり気疲れをしているのです」

善子「さっきから少し少しって……無理してるのは顔色見れば明らかなんだから変な見栄張らないの」

千歌「そうだよ……もっと私たちを頼ってほしいな……」

ダイヤ「お心遣いありがとうございます」

ダイヤ「ひとりで秘密を抱えるのにも限界がきたので打ち明けましたのに……いらない意地を張ってしまいました」

ダイヤ「しかし、お話をするだけでこんなにも胸が軽くなるものなのですね」

千歌「無理しないでね、本当に……」ナデナデ

善子「私たちにできることならなんだってサポートするからね!」

ダイヤ「ふふっありがとうございます」ニコッ

ダイヤ「それでは満を持して、私の見つけた情報についてお話ししましょう」

273: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:29:08.95 ID:C8P8VJH6a
ダイヤ「こちらをどうぞ」ペラッ

千歌「わ、プリントだ」

ダイヤ「善子さんのノートがわかりやすかったので私も用紙にまとめてみましたわ」

善子「機械オンチでもコピー機は使えるのね、すごいわ」

千歌「私たち用にコピー二枚刷れるなんてすごいね」

ダイヤ「それは貶していますね?」

千歌「いや、そんな、ハハッ……」

善子「ほんと、純粋に褒めたつもりなのよ……」

ダイヤ「まぁ、構いませんが」コホンッ

ダイヤ「トモカヅキ、という三重県に伝わる海の妖怪がいます」

ダイヤ「この妖怪は海に潜る人と同じ姿に化け、その標的の命を奪うのです」

ダイヤ「ドッペルゲンガーとよく似ていませんか?」

274: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:29:44.45 ID:C8P8VJH6a
千歌「花丸ちゃんが調べた妖怪と同じように、海の妖怪なんだね」

善子「三重県……県外の話だけど、ずら丸の中国に比べればずっと近いわね」

ダイヤ「実はですね、静岡県南伊豆町にもこの怪異がみられるそうなのです」

千歌「えっすぐ近くじゃん!」

ダイヤ「更にこのトモカヅキの姿を目にすると病気になる、とも言われているそうです」

ダイヤ「これはタイプB、ドッペルゲンガー病に相当するのではありませんか?」

ダイヤ「また、トモカヅキは同一の潜水者という意味を持ち、ドッペルゲンガーは二重の歩く者という意味を持ちます」

ダイヤ「名の意味を考えても、ドッペルゲンガーとトモカヅキは同一視してよいものと思われますわ」

275: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:30:12.80 ID:C8P8VJH6a
善子「これだけ共通点があるなら確かにそう考えてもいいかも」

千歌「じゃあこれから、ともかづき?と似た特徴を持つ人を見つければいいってこと?」

ダイヤ「トモカヅキは曇天の日に遭遇するそうですから、入れ替わりが行われるのはそういった天気の悪い日でしょうね」

ダイヤ「花丸さんの巨大魚の話も参考にしますと、魚のような方も含まれるのではないでしょうか」

千歌「魚のような?」

ダイヤ「泳ぎが得意な方が怪しいかと」

善子「私は果南と曜が怪しいと思うわ」

千歌「えっなんでどうして!?Aqoursだよ!?」

善子「果南は島で暮らしてるし、ダイビングが好きでしょ?潜ったときに入れ替わられていたとしてもおかしくない」

善子「だから、入れ替わった偽者の果南がAqoursに呪いをかけている可能性がある」

善子「曜の方は元々水泳が得意で、高飛び込みは先生たちがオリンピック選手になるんじゃないかなんて期待されてるじゃない?そんな泳ぎが上手な人がわざわざスクールアイドル部に入るなんて変だと思うのよね」

善子「本来8人だったAqoursに加入してきてみんなの記憶を操作して呪いをかけているのだとしたら、それは曜なんじゃないかしら」

276: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:30:41.15 ID:C8P8VJH6a
ダイヤ「私は鞠莉さんが疑わしいと思いますわ」

ダイヤ「鞠莉さんは既に入れ替わっていることが確定済み、周囲を海でかこまれた島暮らし」

ダイヤ「入れ替わり、ではなく、呪いをかける者として現れた9人目なのだとしたら、小学生の時に転校してきたという記憶は私たちに違和感を与えないエピソードではありませんか?」

善子「言われてみればそうかもしれないわね」

善子「じゃあひとまず果南、曜、鞠莉の三人が怪しいとみて……」

千歌「なんでAqoursのメンバーを疑うの……」

千歌「こんな犯人探しみたいなことやめようよ」

善子「みたいなこと、じゃなくて、私たちはまさしく犯人探しをしているの」

善子「私たちの中には呪いをかけているドッペルゲンガーが既に紛れ込んでる、これは間違いないことなの」

善子「元凶を取り除かなきゃいけない、わかる?」

千歌「いや、でも……ここまで話し合ってきてなんだけどさ」

千歌「入れ替わってても問題ないんじゃない?」

277: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:31:09.64 ID:C8P8VJH6a
善子「なに言ってるのよ!?大問題でしょ!」

千歌「善子ちゃん最初に言ってたじゃん……ドッペルゲンガーは全くの同一人物だ、って」

千歌「同一人物なら本物も偽者もないんじゃないかな……」

ダイヤ「千歌さん」

ダイヤ「ここまでずっと仮定の話を続けて、真実が何一つわからないからと心が折れそうになるのもわかりますが、ここで諦めてはいけません」

ダイヤ「例え同一人物であろうとも、一方はただ本物を模倣しているだけにすぎません」

ダイヤ「諦めずに、一緒にがんばりましょう?」

善子「そうよ、私たちで必ずこの問題を解決するの」

千歌「……うん、そうだね」

278: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:31:39.64 ID:C8P8VJH6a
鞠莉「ああ~~~~もう!ゲーテは一体どんな特別なことしたっていうのよ!」

花丸「恋をして恋をして戯曲を書いて小説を書いて婚約して婚約解消したね」

鞠莉「どれもこれといって特別なこととは言えないじゃない~~~~」

花丸「他のドッペルゲンガーを見た人と行動を見比べてもよくわからないよね」

花丸「でもまぁ……小説や戯曲を書くことでは死を回避できないことはわかったね」

鞠莉「どうして?」

花丸「それで死なずにいられるなら、小説を書いていた芥川龍之介が死ぬわけがないずら」

鞠莉「じゃあたくさん恋をすればいいの?」

花丸「それも……恋多き女性だったエカテリーナ二世が死んでしまっているから違うと思う」

鞠莉「それなら正式に婚約して解消すればいいのね!」

花丸「試す価値はあるけど、そんなにすぐお相手が見つかるかな……」

鞠莉「まあ……解消するために婚約するのもなんだかね……」

鞠莉「でも私、死にたくないの」

花丸「鞠莉ちゃん……」

279: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:32:08.08 ID:C8P8VJH6a
曜「あのさ、病気のことはわからなかったんだけど、ドッペルゲンガーを見たあとに死ぬ前の予兆?みたいなのがあるらしいよ」

曜「鏡に映るんだって、死んだ自分の姿が」

鞠莉「うっ……見たくないわね、そんなの」

花丸「少なくとも、鏡にそれが映るまでは死なないってことだね」

曜「それで……思うんだけど、梨子ちゃんは鏡に映った自分の姿を見て、それで入院するほどのケガをしちゃったんじゃないかな」

鞠莉「あ……それはあるかもしれないわね」

鞠莉「捻挫してたからそれで転んで頭を打った……ってだけなら、目を覚ましたときにPanic状態になるわけがない」

花丸「鏡に映った自分の死んだ姿を見て、そのあとドッペルゲンガーに殺されかけた……とかかな」

鞠莉「Aqoursに来てほしくないっていうのも、もしかしたら私たちの姿をしたDoppelgangerに殺されそうになったからかも……」

曜「うん」

280: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:32:35.62 ID:C8P8VJH6a
曜「今日はもう遅いから明日、梨子ちゃんのお母さんに詳しいこと聞いてみようと思う」

花丸「マルは明日、沼津の図書館に行ってくるね」

花丸「もっといろいろ調べて、ドッペルゲンガーが出た子が死なないようになる方法や、病気の子を治す方法を探してみる」

鞠莉「私は……よその図書館に行ってみるわ」

鞠莉「調べたい本が沼津に置いてなかったら連絡ちょうだいね、周辺で探してみるから」

花丸「うん、お願い」

曜「婚約のこと、真面目に考えてみるのもありかもだよ」

鞠莉「うーん……親に言うだけ言ってみるわ、そんなすぐすぐには決まりっこないでしょうけど」

鞠莉「はぁ……気が重いわ……」

281: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:33:04.11 ID:C8P8VJH6a
DPG対策本部(3)

ヨハネ:夜遅くに悪いけど、起きてる?

ダイヤ:起きてます

ヨハネ:千歌は寝てるんでしょうね

ヨハネ:通知音で起こしちゃったらごめんなさい

ヨハネ:トモカヅキって曇りの日に遭遇するのよね?

ダイヤ:はい

ヨハネ:行動表見直したらね、私のDPGが出た日に雨が降ってるの

ヨハネ:雨が降ったときにはDPGは消えてたって話だから、梨子が私のDPGを見た瞬間は曇り空だったことは確実

ヨハネ:トモカヅキの性質がAにそのまま継承されていると考えると、これは思っていた以上に信憑性が高いと思う

ダイヤ:ですが、果南さんと鞠莉さんのドッペルゲンガーが出た日の天気を確認すると晴れとなっていました

ダイヤ:何か条件があるのかもしれません

282: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:33:32.81 ID:C8P8VJH6a
ヨハネ:ともあれ、DPGがトモカヅキの性質を持っているのは間違いないようだから、何か弱点がないか調べてみるわ

ダイヤ:星形の印と格子状の印に弱いとされているようですが

ヨハネ:ドーマンセーマンね

ヨハネ:ただ、ダイヤ以外はみんなお札を持ってるでしょう?

ヨハネ:それなのにルビィの病気は治らないし、偽者の鞠莉も消えない

ダイヤ:お札や魔除けでは効果がない、と?

ヨハネ:お札一枚だけじゃ力が足りないのかも

ダイヤ:退治するためには皆さんのお札すべてを使う必要があるのかもしれない、ということでしょうか

ヨハネ:そうかも

ヨハネ:他にも弱点があるならそれで弱体化させて、その後護符で一気にカタをつけたいと思う

ダイヤ:それもそうですね

ダイヤ:日中に言った通り、私は明日ルビィの買い物に付き合いますので、帰宅してからこちらでも調べますね

ヨハネ:うん、よろしく

283: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:34:11.25 ID:C8P8VJH6a
「ごめんなさいね、折角来てもらったのに」

曜「いえ、お話を聞けただけよかったです、お大事にしてくださいね」

「ええ、ありがとう、それじゃぁ……」

曜(梨子ちゃんのお母さん、出掛ける前に会えてよかった……)

曜(たぶんだけどやっぱり鏡に映る自分の死んだ姿を見たかもしれないっぽい……っと)スッスッ

果南「曜ちゃん、おはよ」

曜「え、あ、果南ちゃん!おはよーそろー!」

果南「あは、朝から元気だね」

曜「果南ちゃんは少し元気ないね」

果南「親御さんに梨子ちゃんの様子聞きに来たんだけど……もしかしていま出ていった車って」

曜「うん、梨子ちゃんのとこの車」

果南「あちゃー……遅かったか」

曜「私さっきお話聞いたから、差し支えないなら話すよ?」

果南「じゃあお願い」

284: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:34:39.97 ID:C8P8VJH6a
曜「検査の結果はまだ出てないらしいんだけど」

果南「まぁそんなすぐに結果がわかるものでもないだろうしね」

曜「打撲以上に精神面が心配って言ってたよ」

曜「起きてる間はずっと虚空を見つめてなにか呟いてるみたいで」

曜「おばさんやおじさんが話しかけると、Aqoursは絶対にこの部屋に入れないでって返すらしい」

曜「みんなが殺しにくるって思い込んでるようで、知らない誰かが近くに寄るとパニックになって大声で叫んでどうしようもないんだって」

曜「あと、頭打ったってことしか知らなかったからケガしたときのことも聞いたんだけどね」

曜「捻挫を診てもらいに病院に行って帰ってきてから普段と態度が違ったらしくて」

曜「部屋で何か怒鳴り散らして暴れてたって」

曜「おばさんが部屋に入ったときには大きな家具が倒れてて、窓や鏡も割れててその破片で切り傷も多くしてたって……」

285: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:35:13.38 ID:C8P8VJH6a
果南「……何が梨子ちゃんをそこまでさせたんだろう」

曜(ドッペルゲンガーが、なんて言えないよね)

曜「なにがあったんだろうね……」

果南「お見舞いに行けないっていうのも悲しいよね」

果南「なんで……なんで、誰かに殺されるって思うようになったんだろう……」

果南「誰かに暴力振るわれたり……なんて、あるわけないよね」

曜「うん……うん……」

果南「曜ちゃん?」

曜「うん?」

果南「話、きいてるよね?」

曜「聞いてるよ」

曜「梨子ちゃんの様子が思ってたより深刻で……どうしたらいいのかなって」

果南「考えたってわかんないよね……」

曜「うん、わかんないね……」

287: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:35:42.19 ID:C8P8VJH6a
曜「あ、そういえばさ、これ、厄除けなんだけどよかったら果南ちゃん使ってみて」

果南「厄除け?この袋が?」

曜「あ、中に入ってるからあとで確認してみて」

曜「最近みんな元気なかったし、私は運悪く捻挫しちゃったし、梨子ちゃんなんて入院するほどになっちゃったから、花丸ちゃんが厄除けにってくれたの」

曜「厄の払い方は紙に書いてあるから、家に帰ったらやってみてね」

果南「ふぅん」

曜(木曜金曜会えなかったから、果南ちゃんが病気になってるかどうかわからない)

曜(病気になってるならまだ間に合うかもしれないし、病気になってないならそれを未然に防ぐために、渡したっていいよね)

曜(私はまた花丸ちゃんにもらえばいいし……ってアテにするのはよくないかな、でも果南ちゃん元気なくて心配だし……)

果南「こういうの私、信じてないんだけど……」

曜「花丸ちゃんが好意でくれたんだから!ちゃんと厄払って元気になろ?」

果南「そだね、うん」

288: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:36:11.12 ID:C8P8VJH6a
ダイヤ「買いたいものはこれで全部?」

ルビィ「んと、その……まだ、あるんだけど……」キョロキョロ

ダイヤ「大丈夫です、不審者なんていませんわ」

ルビィ「ほんとに?ずっと足音が……」

ダイヤ「休日ですのよ?たくさんの人が歩いていて、それで足音がしないわけがないでしょう?」

ルビィ「し、視線も……ずっと感じるし」

ダイヤ「そんなもの気のせいですわ」

ダイヤ「もし誰かが見ているのだとしても、それはあなたがAqoursだから」

ダイヤ「以前、ここ沼津でもライブをしたことがあるから、きっとその時ファンになってくれた方でしょう」

ルビィ「ライブはしたけど、でも……」

ダイヤ「例の人はもう近くに住んでいないのだから、そう過敏になることもないのよ」

ルビィ「……っ、お姉ちゃん!そこに、後ろに!」

ダイヤ「これだけ人が多いんですもの、似たような人もいるでしょうし、見間違いだってあるでしょうよ」

ルビィ「違うの!違うの!!いたの!!」

ポンッ

花丸「ルビィちゃ」
ルビィ「キャアアアアッ」ダッ

289: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:36:39.48 ID:C8P8VJH6a
花丸「待って!ルビィちゃん!!」

ルビィ「は、花丸ちゃん?」ピタッ

ガンッガチャンッ

ルビィ「ひゃっ」

花丸「わっ」

ルビィ「……なんで植木鉢が」

ダイヤ「ルビィ!ルビィ大丈夫!?怪我はない!?」

花丸「どこにも当たらなかった!?破片で怪我してない!?」

ダイヤ「急に走り出して……花丸さんが呼び止めてくれてなければきっと怪我どころでは……」

花丸「見たところ出血はないみたいだけど」

ルビィ「は、植木鉢を落としたのは誰?」ガタガタ

ルビィ「ルビィをケガさせようとしたのは誰!?」ガタガタ

ルビィ「いるんでしょ!?いるんでしょ!!すぐそばに!!」

ダイヤ「ルビィ、ルビィ落ち着いて、大丈夫、私が」

ルビィ「やだ!!やだ!!もうやだ!!」ダッ

ダイヤ「ルビィ!待ちなさい!」

290: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:37:07.11 ID:C8P8VJH6a
千歌「果南ちゃん!」

果南「あれ?千歌……どうしたの?」

千歌「いや、その、最近会えてなかったから」

果南「それでわざわざ島まで来たの?」

千歌「うん」

果南「さっき梨子ちゃんの家までいってたんだ」

果南「千歌の家にも寄ってけばよかったね……ちょっと話そっか」

千歌「……うん」

果南「ねぇ、最近みんな変だよね」

千歌「変?」

果南「お昼休みは鞠莉もダイヤも仕事するとか言って一緒に食べてくれないし」

千歌「忙しいんだよ、きっと」

果南「だからってお昼にまで仕事しなくたって」

291: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:37:35.29 ID:C8P8VJH6a
果南「鞠莉とさ、話しててもさ、なんか上の空というか考え事してるというか、最近ずっとそんな感じ」

果南「悩みがあるなら相談にのるって言ってるのに大丈夫なんて言って……他のみんなもそう」

果南「みんな隠し事してる、千歌も隠し事してるでしょ」

千歌「それは……」

果南「言うべきか悩んでる顔だ」

千歌「……果南ちゃんには隠し事できないね」

果南「何年一緒にいると思ってるの」

果南「言いたくないなら無理には聞かないけどさ」

果南「Aqoursってこんなにバラバラだったっけ……ってよく考えるようになって」

果南「信用してもらえてないのかな、ちょっと寂しい」

千歌「全部は、その、言えないんだけど、ひとつ聞きたいことがあるの」

果南「なに?」

292: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:38:03.47 ID:C8P8VJH6a
千歌「善子ちゃんに聞いたんだけど、梨子ちゃんが捻挫しちゃったのが果南ちゃんのせいって……」

果南「ああ、うん、そだね」

千歌「どういうこと?果南ちゃんが突き落とした、とか、なの?」

果南「……うん、そだね」

千歌「っ!」

千歌「果南ちゃんはそんなことしないでしょ!?なにか事情があったんだよね!?」

果南「……、えと、うん、そうだな……口開くと言い訳しか出てこなさそう」

果南「果南ちゃんは悪くないよ、って、そういう風に千歌は言ってくれると思う」

果南「だから言わない」

千歌「なんで!?果南ちゃんが悪くないなら私責めないよ!?」

293: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:38:36.29 ID:C8P8VJH6a
果南「何言っても言い訳なんだよ」

果南「私が梨子ちゃんにケガを負わせた、これは事実」

千歌「うそだよ……」

果南「梨子ちゃんに謝らなきゃいけなかったのに……その日の放課後はなんか……声かけるタイミングわからなくて、次の日は梨子ちゃんが休んだから、なんて自分に言い訳して」

果南「嫌われるのが怖くて、責められるのが怖くて、先送りにしてたら、こんなことになって」

果南「そうやってずっと逃げてたのに、自分だけ罪の意識から逃げようなんて許されるわけない」

果南「梨子ちゃんは、私が突き落としたの」

千歌「そんな……」

294: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:39:05.30 ID:C8P8VJH6a
――――
果南「ただいまぁ」

果南(どうしよ……千歌に嫌われたかな……)

果南(梨子ちゃんが入院する前に、ちゃんと謝ればよかった)

果南(ちゃんと話して、梨子ちゃんが許してくれるまでちゃんと謝ってたら)

果南(ダイヤも鞠莉も、私を避けることなんてなかったのかな……)

果南「げっ」

果南(ペットボトルの蓋が緩んで鞄の中がお茶浸しだ!)

果南(財布もポーチもストラップもあれもこれも全部びしょ濡れ!)

果南「ああっクソッ!」バンッ

果南「……」

果南(いけないいけない落ち着け松浦果南)

果南(華の女子高生が汚い悪態ついた挙げ句に鞄を投げつけるな)

果南(鞄に八つ当たりしたところで何も変わらない)

果南(ペットボトルの蓋は開きっぱなしだから被害は広がるばかりだし)

果南(ペットボトルを捨てる、濡れたものを拭く、拭いたものを乾かす、ひとつひとつやっていかないと)

果南「はぁぁ……」

果南(全部私のせいなのかな)

295: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:39:32.30 ID:C8P8VJH6a
果南(ダイヤと鞠莉が私を避けてお昼ごはんを食べるようになったのは、梨子ちゃんと曜ちゃんが階段から落ちた翌日から)

果南(あの二人はたぶんわかったんだ、私が梨子ちゃんを後ろから押したって)

果南(私のせいでケガさせちゃったのに、謝りもしないで……)

果南(……梨子ちゃんだけじゃない、曜ちゃんにも謝らなきゃいけなかった)

果南(朝、会ったのに)

果南(あまりにも普段通りに話しかけてくるから……捻挫してること忘れてた)

果南(自分のことばっかり考えて……曜ちゃんも捻挫してるのに、少しも気にかけなかった)

果南(私、最低だ……)

296: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:40:20.93 ID:C8P8VJH6a
DPG対策支部(3)

花丸:さっき、図書館の帰りにダイヤさんとルビィちゃんに会っただけど

花丸:突然鉢植えが上から落ちてきて、危うくルビィちゃんが大怪我するところだった

曜:大丈夫だったの!?

花丸:うん、なんとか

鞠莉:ドッペルゲンガーがルビィを殺そうとしてるのかしら

花丸:少し前からね、ルビィちゃん、足音や視線が気になるって話してた

曜:それってたぶん、ドッペルゲンガーだよね

曜:そういえば、先週の月曜日にも

297: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:40:49.23 ID:C8P8VJH6a
――――

曜:結局ただの見間違いってことになったんだけど、その時ルビィちゃんが言ってたんだ

曜:人の気配を感じたときは本当に誰かがいるって

曜:もしかしたら、ほんとはドッペルゲンガーを見たのに、こわくて言い出せなかったのかも

鞠莉:みんなを不安にさせないように黙っていてくれてたのかもしれないね

鞠莉:花丸がさっき会ったとき、ルビィのドッペルゲンガーは見なかった?

花丸:うん、私も周りを見てみたんだけどそれっぽいのは見つからなくて

花丸:でも、鉢植えが落ちる直前、ルビィちゃんの様子がおかしかったの

花丸:『違うの』ってしきりに言ってた

花丸:何が違うのか、ドッペルゲンガーじゃないってことを言いたかったのか、そうだとしたらつまり

曜:宇宙人?

鞠莉:いやまさか

鞠莉:だめだね、私ったら

鞠莉:すぐ否定しようとするなんて

花丸:ルビィちゃんの言葉の真意はわからない、でも、私たちが思っているよりももっとずっと大規模な話なのかもしれない

298: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:41:17.27 ID:C8P8VJH6a
花丸(一度最初から、整理し直そう)

花丸(何か見落としがあるかもしれない)

花丸(まずは行動表を……)スッスッ

花丸(あれ?あれっ?)

花丸(見られない!どうしよう、本部抜けたからグループ開いても見られなくなってる!)

299: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:41:48.40 ID:C8P8VJH6a
DPG対策支部(3)

花丸:あの、ごめんなさい

曜:どうしたの?

鞠莉:何かあった?

花丸:ドッペルゲンガーのこと、一から見直そうって思ったんだけど

花丸:行動表見られなくなってる

曜:あ、私保存してるから大丈夫だよ

花丸:ほんとに!?ありがとう!

曜:ノートに投稿しておくね

鞠莉:ノートの見方はわかる?

花丸:右上のアイコン開けばいいんだよね!ありがとう!

300: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:45:49.48 ID:C8P8VJH6a
――――

花丸(そんなに簡単には……新たな発見、なんてないか……)

花丸(果南ちゃんの行動だけが不確定なんだよね)

花丸「ねぇ、ばあちゃん」

「ん?なんだい?」

花丸「この前……えっと……先々週の木曜日なんだけど、海辺で果南ちゃん見かけたんだよね?」

「えらい前のこと聞くんだねぇ」

花丸「どんな様子だったかとか何時に見たかって正確に覚えてる?」

「いんやぁ、そんな前のこと、様子はともかく時間なんてさっぱり覚えてないずら」

花丸「だよね……あの日は18:30に果南ちゃん見かけてるから19:10くらいにうちに帰ってきてる、時間に関してわかるのはそれだけか……」

「うん?最近ばあちゃん、帰りはタクシー乗ってるから、海辺にいる果南ちゃんを見たのはもっとあとの時間になるんじゃないかね」

花丸「え、タクシー?」

「荷物下げて何十分も歩くのはもう難儀でなぁ」

301: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:46:33.99 ID:C8P8VJH6a
花丸「タクシーだと……ここから海辺までは10分くらい……かな」

「それぐらいかねぇ」

花丸「ねぇ、その時の果南ちゃんと鞠莉ちゃんの様子、どんなだったか教えてくれない?どんなことでもいいから」

「鞠莉ちゃん、ってのはあの派手な見た目の子だったかね?」

花丸「そうずら、金髪で、スタイルよくて、美人で……」

「その子は見てないねぇ、果南ちゃんひとりでいたずら」

花丸「え、いや、いるよ、いたはずだよ、そばにいたでしょ?少し離れたところにいたのかな?見たよね?」

「あんなべっぴんさん、視界に入ったらすーぐ気付くずら」

「気付かなかったってことはいなかったってことずら」

「果南ちゃんひとりでねぇ、海にでも話しかけてるみたいだったよ」

花丸「ひとりで?ひとりで……会話……?」

302: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:47:03.28 ID:C8P8VJH6a
花丸(そんなのおかしいよ……だって、果南ちゃんは鞠莉ちゃんと話してたはずなのに)

花丸(鞠莉ちゃんが調べてた……精神病、集団催眠、に、あてはまるわけがないよね)

花丸(だって、精神に負荷がかかるようなことなんてなかった、なんてことない日常で……幻覚なんて見るわけがない)

花丸(……よく考えたら、ドッペルゲンガーを目撃するのは、いつも一人だった)

花丸(もしかして……入れ替わる前のドッペルゲンガーは、騙そうとしてる対象者にしか見えない?)

花丸(本物をどこかへ隠してるんだと思ってたけど、入れ替わる時に偽者の体を捨てて、本物の体に寄生するのかも……)

花丸(寄生された人が……病気になってるように見える、とか……?)

花丸(わからない……ふたりに相談してみよう……)

303: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/18(月) 00:47:30.50 ID:C8P8VJH6a
Aqours(9)

ダイヤ:明日の朝、皆さんお忙しいですか?

ダイヤ:直接お話したいことがあります

ダイヤ:三年生みんなで考えて、三年生みんなで出した結論を、申し上げたいと思います

ダイヤ:いつもの朝練の時間に部室まで来て下さい

311: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/19(火) 00:41:36.05 ID:Q67eyLM7a
花丸「はぁ……」

花丸(気が滅入る……)

花丸「はぁ……」

花丸(少し遅れます……っと)スッスッ

花丸(木札は……)ゴソゴソ

花丸(平気、割れてない)

花丸(マルは大丈夫)

花丸(ルビィちゃん、ダイヤさん、善子ちゃん、千歌ちゃん……)

花丸(ドッペルゲンガーが集まる)

花丸(もし襲われても大丈夫なように扉の近くにいよう)

312: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/19(火) 00:42:10.52 ID:Q67eyLM7a
ガラッ

花丸「おは……」

花丸「……」

曜「あ、おはよー花丸ちゃん」

千歌「おはよう!遅れたのって、体調悪かったからだったりする?だったら無理しないでね?」

ダイヤ「これで全員揃いましたわね」

善子「ルビィは来ないの?」

鞠莉「その話もあとでするね」

花丸(……白々しい演技)

果南「花丸ちゃん、どうしたの?具合悪いなら座りなよ、ほら」スッ

花丸「触らないで」パシッ

果南「いたっ……な、なんで?」

花丸「騙そうとしたって無駄だよ!」

花丸「ここのみんなは偽者!マルにはわかるんだから!」

313: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/19(火) 00:42:38.30 ID:Q67eyLM7a
果南「にせ……え?なに言ってるの?」

千歌「は、花丸ちゃん?」

花丸「みんなをどこにやったの!」

千歌「落ち着いて、花丸ちゃ」

花丸「触らないでって言ってるでしょ!!」ドンッ

花丸「マルは!マルはみんなを助けるんだから!」ダッ

千歌「ま、まって花丸ちゃん!」タッ

果南「花丸ちゃん!」

鞠莉「私たちも追いましょう!」

果南「や、まって、みんなで追ったら花丸ちゃんの神経を逆撫でしちゃうかもしれない」

果南「千歌はもう行っちゃったから仕方ないとして、あとは私が様子見てくるから、みんなはここで待ってて」

ダイヤ「果南さんがそうおっしゃるなら……」

鞠莉「じゃあ、花丸たちのことは任せるね」

果南「うん!」

314: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/19(火) 00:43:21.59 ID:Q67eyLM7a
曜「ねぇ、花丸ちゃん、私たちのこと偽者って……」

曜「わ、私たちももう病気になっちゃってるの……!?」

曜「私、私は、私は偽者なの!?どうして!?いつ!?」

鞠莉「落ち着いて、曜……」ギュッ

善子「ねぇ、曜……病気って……」

曜「ドッペルゲンガーの病気!ルビィちゃんとダイヤさんが最初にかかって、次に善子ちゃんもかかっちゃって、今度は私たちみんな病気になっちゃったんだ!!」

鞠莉「曜……大丈夫、きっと大丈夫よ」

曜「なんで!?私たちもうだめかもしれないのに!花丸ちゃんが!断言したんだよ!!私たちみんな偽者って」

鞠莉「とにかく落ち着いて、深呼吸して、それからあなたの木札をご覧なさい」

曜「木札……そうだ、私が病気になる前に先に木札が身代わりになってくれるはず……」ゴソゴソ

曜「割れてない……貰ったときと何も変わってない……」

鞠莉「ね?きっと大丈夫、花丸のちょっとした思い違いよ」

315: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/19(火) 00:43:50.22 ID:Q67eyLM7a
ダイヤ「落ち着きましたか?」

曜「うん……取り乱してごめん……」

善子「いいのよ、曜が騒いでくれたおかげでこっちは逆に冷静になれたから」

善子「ねぇ、ドッペルゲンガー病のこと、知ってるの?」

鞠莉「花丸から聞いたわ」

鞠莉「その様子じゃ、善子も病気のこと知ってるみたいね」

善子「ええ」

ダイヤ「曜さんの言葉でなんとなく、察しがつきましたわ」

ダイヤ「花丸さんは最初、私たち姉妹が病気になっていると気付いたのですね?そしてその後、善子さんが病気になったと思ってしまった」

善子「でもあの子、私にはルビィのことしか言わなかったわ」

ダイヤ「花丸さんの単なる伝達ミスか、あるいは善子さんが聞き漏らしていたのでしょう、その情報を伏せる意味はないのですから」

ダイヤ「私たちと一緒にはいられないと判断した花丸さんは、病気になっていない鞠莉さんと曜さんを相談相手に選び、今日までドッペルゲンガーについて三人で調べていたのではなくて?」

鞠莉「ええ、その通り」

鞠莉「花丸を中心に、いろいろ調べていたわ」

鞠莉「花丸がどうして急にあんな風になったのかはわからないけれど……」

ダイヤ「あの様子には、覚えがあります」

ダイヤ「原因不明の精神病、カプグラ症候群」

316: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/19(火) 00:44:23.68 ID:Q67eyLM7a
曜「かぷ?なんて?」

鞠莉「なにか……聞いたことあるような……」

ダイヤ「カプグラ症候群とは、友人や家族が瓜二つの別人と入れ替わっていると誤認してしまう精神病ですわ」

ダイヤ「以前ル……身内がこの病気にかかってしまったことがあります、その人の場合は一過性のものだったので今は正常ですが」

ダイヤ「この認識障害は前触れもなく突然引き起こるものらしいのですが花丸さんの場合はおそらく、」

ダイヤ「仲間に対して懐疑的にならざるを得ない状況、慢性的なストレス、周囲からの期待、それに伴う強い責任感、重圧、これらが悪い具合に噛み合って、発症してしまったのでしょう」

鞠莉「わ、私……知ってる……知ってた……」

鞠莉「読んだ本に書いてあったのに……知ってたのに!!」

鞠莉「なんで!!気付いてあげられなかったの!!」

ダイヤ「仕方がありません、私だって実際にこの目で見ていなければ記憶に残っていなかったでしょうし……善子さんからお話を聞いた時点で私が気付かなければならなかったことですわ」

317: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/19(火) 00:44:51.85 ID:Q67eyLM7a
鞠莉「それでも、私はその病気を知っていて、花丸の傍にいた!」

鞠莉「花丸は苦しんでいたはずなのに!こんなことになって……!」

鞠莉「あの子を助けられなかったのは私のせいよ!!」

ダイヤ「鞠莉さん……そう自分を責めないで」

曜「そうだよ……それを言うなら私にだって責任がある」

曜「お寺の子だからなんとかできないかってせっついて……」

善子「私も同罪ね……」

ダイヤ「誰もが悪く、そして運も悪かったのですわ」

ガラッ

千歌「……」

ダイヤ「おかえりなさい千歌さん、大丈夫ですか……?」

鞠莉「花丸と果南は?」

318: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/19(火) 00:45:21.29 ID:Q67eyLM7a
千歌「花丸ちゃん、何度も何度も千歌に偽者って言ってきた」

千歌「止めようとしても宥めようとしても、殺されるって言ってきて」

千歌「抑え込もうとしたらいっぱいいっぱい叩かれた」

千歌「すごく、痛くて……叩かれたことより、花丸ちゃんが千歌を拒絶してくることが苦しくて悲しくて……」

千歌「果南ちゃんが来てくれたから花丸ちゃんを任せて先生呼びに行ったんだけど」

千歌「先生連れて花丸ちゃんたちのところに戻ったら果南ちゃんが頭から血を流してて」

千歌「花丸ちゃんは先生がおうちに送るって言うからお願いして、果南ちゃんはいま保健室で手当てしてもらってる……もしかしたら病院に行くことになるかもしれない」

曜「……」

千歌「ねぇ、アイドル活動やめるって、ほんと?」

善子「え……そうなの?」

鞠莉「果南から聞いたのね」

千歌「……」コクッ

319: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/19(火) 00:45:49.33 ID:Q67eyLM7a
ダイヤ「Aqoursは、一時活動を休止します」

ダイヤ「昨日起こったある事故がきっかけで、ルビィはしばらく外出できなくなる恐れがあります」

ダイヤ「外傷を負ったわけではないのですが、精神が不安定になっており、そのための自宅療養といったものです」

ダイヤ「梨子さん、ルビィの二人が抜け、Aqoursの絆にもひび割れを感じつつありました」

ダイヤ「一度アイドル活動を休み、このドッペルゲンガー事件を解決したあとまた活動を再開しましょう」

ダイヤ「これさえ解決すれば、すべては元通りなのですから」

千歌「ねぇ、それなんだけど」

千歌「千歌、もう、やめちゃっていいかな」

千歌「もう、疲れちゃった」

千歌「友達を疑うことも」

千歌「友達に嫌われることも」

千歌「もう、いやになっちゃった」

320: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/19(火) 00:46:22.15 ID:Q67eyLM7a
曜「千歌ちゃん、いいよ」

曜「もう無理しないで、この事は忘れていいよ」

曜「ずっと、私たちのために笑顔でいてくれてありがとう」

千歌「結局千歌は、何もできなかったね」

千歌「ごめんね」

ガラッ……ピシャッ

…………

善子「黙ってても後悔してても先には進めないわ」

善子「授業の開始まで、まだ随分と時間がある」

善子「曜、鞠莉、あなたたちが調べたり考えたりしてきたことを教えてもらえないかしら、私たちのことも教えるわ」

曜「うん……わかった……」

321: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/19(火) 00:47:59.09 ID:2MirYKCZa
――――

ダイヤ「いろいろ活動していたのですね……」

善子「鞠莉にはあらぬ疑いをかけちゃって……ごめんなさい……」

鞠莉「いえ、それはいいんだけれど……」

鞠莉「ドッペルゲンガー病は花丸の妄想なんでしょう?」

鞠莉「それなら、Doppelgangerなんて最初からいなかったんじゃないかしら」

鞠莉「さっきも言ったけれど、昨日花丸から聞いたことを思い出してほしいの」

鞠莉「花丸のGrandmotherは果南しか目撃していない」

鞠莉「きっと、最初から何か勘違いしていて、」

ダイヤ「鞠莉さんこそ思い出してください」

ダイヤ「果南さんが最初、この日の行動のことをどう言っていたかを」

322: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/19(火) 00:48:27.69 ID:2MirYKCZa
ダイヤ「果南さんは、あなたと分かれた時間が19時だと言っていましたわ」

ダイヤ「これはあなたと共に帰宅しなかったことを言外に含んでいます」

ダイヤ「果南さんはあなたとお話をして、帰宅する鞠莉さんを見送り、一人で海辺を散策していたのでは?」

ダイヤ「果南さんはその日、時計を見ていなかったためにその時間はただの推測」

ダイヤ「その日は一日晴れていましたが、雲の動きを確認したところ夕方以降は曇り」

ダイヤ「となればあとは簡単なこと」

ダイヤ「暗くなっていたから19時だと思う、と推定していましたが、それが果南さんの勘違いだったのですわ」

曜「ままままって、そう捲し立てられても何がなんだか……」

ダイヤ「それでは紙にわかりやすく時系列をまとめましょうか」

323: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/19(火) 00:49:12.08 ID:2MirYKCZa
――――
証言
18:30頃 花丸祖母が海辺の果南を目撃
19:00頃 果南が鞠莉と分かれる
     (一緒に帰宅していない)


事実
18:? 果南が鞠莉と分かれる
   (曇天の為、果南は19時と誤認)
19:00 果南一人で海辺を散策
    花丸祖母が海辺の果南を目撃
――――

ダイヤ「そして、曇天にはトモカヅキが現れる」

324: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/19(火) 00:49:42.86 ID:2MirYKCZa
キーンコーン……

曜「予鈴……」

鞠莉「いいわ、気にしないで続けましょう」

鞠莉「授業よりもこっちの方が大事だわ」

鞠莉「……私ね、嫌なこと、受け入れられないこと、すぐ否定してしまうの」

鞠莉「こんなこと起きてほしくない、Doppelgangerなんて嘘、ありえない」

鞠莉「そうやって否定することは、私たちの日常を守るためにとても魅惑的だから」

鞠莉「だけど、もう否定しない」

鞠莉「全部受け入れる」

鞠莉「その上で全部解決して全部取り戻して、全部元通りにしてみせるわ」

325: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/19(火) 00:50:25.88 ID:2MirYKCZa
鞠莉「勘違い、行き違いがありえないことは行動表を作ったときにわかっていたことよね」

鞠莉「Doppelgangerは曇天に現れる、つまり、私と果南と善子のDoppelgangerは存在する」

鞠莉「善子は精神不安定を理由に梨子の見たDoppelgangerを幻覚だと言ったけれど、それを見た時点の梨子は確実に正常だったと言えるわ」

鞠莉「それからルビィ」

鞠莉「……ダイヤ、話しづらいこと教えてくれてありがとうね」

鞠莉「Stalker被害にあっていたルビィが昨日しきりに違うと言っていたのはきっと、自分の見たものがStalkerではないことを意味するのよ」

鞠莉「ルビィはDoppelgangerを見ていたんだわ」

鞠莉「放っておけばDoppelgangerはもっと増える」

鞠莉「ダイヤや曜のものだっていずれ出てくるようになるはずよ」

鞠莉「それを防ぐために、元を断ちましょう」

326: ◆SBV/y6JaWSLv (庭) (アウアウウー Sae7-sOyQ) 2019/03/19(火) 00:51:16.45 ID:2MirYKCZa
曜「元を断つ……って言っても、元凶が何なのか……誰なのか……」

ダイヤ「見当をつけることはできますわ」

ダイヤ「はっきりと申し上げますと、元凶のドッペルゲンガーは果南さんだと私は考えていますの」

ダイヤ「ドッペルゲンガーが出たのは果南さん、鞠莉さん、善子さん、そしておそらくルビィ」

ダイヤ「この四人の中で最初にドッペルゲンガーが現れたのは?」

善子「果南と鞠莉のどちらかね」

ダイヤ「そして、ドッペルゲンガーと接触した可能性が高いのは、果南さん」

ダイヤ「鞠莉さんは19時以降バスを降りるまでは私と共に行動をしていました」

ダイヤ「鞠莉さんのドッペルゲンガーは19時前には果南さんと分かれ、消えていたであろうことが考えられますわ」

ダイヤ「一方果南さんは数分から数十分、一人でいたことが花丸さんのお婆様の証言により確認されています」

ダイヤ「その間にドッペルゲンガーと入れ替わってしまったのではないでしょうか」

ダイヤ「その後は入れ替わった自覚を持たずにAqoursのメンバーに厄災を振り撒いているのだとしたら」

善子「梨子を階段から突き落としたってことは本人も認めていることだしね……無自覚にAqoursを殺そうとしている、っていうのはあるかもしれない」

327: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf18-PtLH) 2019/03/19(火) 01:01:44.08 ID:LPuPzuHo0
ダイヤ「もちろん、鞠莉さんと善子さんとルビィがまだ入れ替わっていないと断言することはできませんが、これは元凶を退治すれば解決すると……そういう希望を持ちたいところですわね」

ダイヤ「入れ替わった人への対策は善子さんに何か考えがあるそうですから、今こそその考えにすがりたいのですが」

ダイヤ「入れ替わった果南さんを元に戻す方法を、教えて頂けませんか」

善子「そうね……」

善子「入れ替わる、という点についてのみ注目すれば、物語に於ける鏡や影なんかにも同じことが言える」

善子「怪奇物語でのこれらは、本体との入れ替わりを目論んでいる化け物としてえがかれることが多々あるわ」

善子「でも今回はそれがドッペルゲンガー」

善子「どこから発生して、入れ替わった本体がどこへ連れていかれるのか不明」

善子「私は、入れ替わった人は切り捨てるつもりでいた」

善子「殺してしまえばいいのよ」

ダイヤ「そんな……」

328: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/19(火) 01:03:27.14 ID:lJXghvHl0
曜「……花丸ちゃんはみんなを守ろうとしてた」

善子「その結果どうなった?」

善子「重圧に押し潰されて精神病発症してるじゃないの」

曜「そんな言い方っ」

善子「事実よ!」

曜「善子ちゃんっ!」

曜「大体、果南ちゃんが入れ替わっているかどうかっていうのはただの想像だよ!?」

曜「入れ替わっていないかもしれない、元凶じゃないかもしれない!!」

曜「確信が持てないのに殺すなんて、そんなのただの人殺しだよ!!」

善子「疑わしきは罰せよ、果南を殺して事態が進展するならそれも仕方ないことじゃない!!」

鞠莉「落ち着いて!ふたりとも!」

ダイヤ「言い争ったところで何も変わりませんのよ!」

曜「でも!殺すなんて!」

善子「仕方ないじゃない……それ以外にどうすればいいのよ……」

鞠莉「入れ替わり元がわかればいいのよね?」

340: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 00:22:46.98 ID:zKKwfHhV0
今日は更新なし
自分のワッチョイは-sOyQと-PtLHのみ
頼むから喧嘩しないで

348: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:17:03.82 ID:zKKwfHhV0
善子「言っておくけど、トモカヅキはドッペルゲンガーと同じで、発生元はわからないわよ」

鞠莉「調べていて、わかったことがあるの」

鞠莉「藁人形、あるじゃない?」

ダイヤ「人を呪うときに使用されるもの……ですわよね」

鞠莉「あれのことも、ドッペルゲンガーと呼ぶらしいの」

鞠莉「これがAqoursにかけられた呪いだとするなら、もし誰かが意図的に呪いをかけているのだとしたら?」

曜「私たち、人に呪われるような、恨まれるようなことしてないよ」

鞠莉「例えば、アイドル活動への反感」

鞠莉「例えば、急成長したAqoursへの妬み」

鞠莉「例えば、面白半分」

鞠莉「理由なんて考えたところで意味はないわ、いくらでも考えられる」

鞠莉「誰かが呪っているとして、それなら、」

鞠莉「第三者の手で作られた、そういう呪物が存在するはず」

鞠莉「それが見つかれば対策をする、見つからなければ振り出しに戻る」

鞠莉「まずはそれを探すところから始めましょう?」

349: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:17:47.55 ID:zKKwfHhV0
曜「わかった、今から探す」

善子「その……さっきは……ごめんなさい」

曜「謝られてもさっきの発言のこと、今はどうしても許せない」

曜「でも、証拠が見つかって、果南ちゃんが本当に果南ちゃんじゃないことがわかったら」

曜「私は全力でその偽者をやっつけるよ」

曜「全部元通りになったら、その時、いっぱい話し合って仲直りしようね」

ダイヤ「それでは私たちの活動範囲から探してみましょうか」

鞠莉「この部室と、屋上、生徒会室、……果南の家も探した方がいいかもしれないわね」

ダイヤ「分担して探しましょう、部室は善子さん、屋上は曜さん、果南さんの家は鞠莉さん、私は生徒会室を探しますわ」

350: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:18:15.91 ID:zKKwfHhV0
――――

善子(何かを隠す場所……隠すなら、普段私たちがあまり触れない場所)

善子(本棚……)

……………………

善子(収納ボックス……)

……………………

善子(それらしいものは何もないわね)

善子(本棚の上のボックス……は、椅子がないと取れそうにないか)

ガタタッ……ガッ バサッ カランカラン……

善子「あっ」

善子(ゴミ箱倒しちゃったわ)

善子(……そういえば、あんまりゴミたまらないからゴミ箱も月一くらいしか触らないわね)

ガサゴソ……カサッ

善子「護符?どうして……」ハッ

善子「これ……」

351: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:18:44.20 ID:zKKwfHhV0
――――

鞠莉(果南はやっぱり病院に行っちゃったのね)

鞠莉(適当に理由つけて部屋に上がらせてもらったけど)

鞠莉(理事長は授業に出ないとでも思われてるのかしら……こんな時間に来ても疑問に思われなかったからよかったけど)

鞠莉(とはいえ、あまり長居するのも不自然だから早く何かを見つけ出したいところだけど……)

鞠莉「……?」

鞠莉(机の上にあるこれは……形代?)

鞠莉(私たちが花丸に貰ったものと酷似しているけど……この……シミのようなものは……)

鞠莉(穢れだか怨念だかの類いが滲み出ているのかしら……)

鞠莉(藁人形ではないけれど、ヒトガタであることは間違いない)

鞠莉(これが呪いの根源……果南はこのヒトガタに変えられてしまったんだわ)

352: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:19:12.07 ID:zKKwfHhV0
ガラッ

鞠莉「戻ったわよ」

曜「おかえりなさい」

ダイヤ「島までの往復、お疲れさまでした」

ダイヤ「先程まで三人で話し合っていたのですが、果南さんはやはり限りなく黒に近いと結論が出ました」

ダイヤ「なので偽者を退治しようと話していたところです」

ダイヤ「呪物は見付からなかったので……確証を得られなかったことに一抹の不安が残りますが……」

鞠莉「それなら安心して、私が見付けてきたわ」

353: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:19:40.31 ID:zKKwfHhV0
鞠莉「机の上に無防備に置かれていたの」ヒラッ

曜「あ、それ私があげた形代だよ」

ダイヤ「形代?」

曜「厄除けに花丸ちゃんからもらったの」

曜「それを、昨日果南ちゃんに会ったから厄除けに使ってって渡したんだ」

鞠莉「本当に?これは本当に曜が渡したものかしら?」

鞠莉「よく見てちょうだい」スッ

曜「うん……いや、なんかこれ、ちょっと古ぼけてるというか……なにこの茶色いの……」

鞠莉「昨日渡したものが、こんな古い紙みたいによれたり色ムラが出たりするかしら?」

善子「所々汚れが濃いわね……まるで邪気が溢れているみたい」

鞠莉「きっとこれが呪物に違いないわ」

曜「ということは、果南ちゃんはこれに変えられちゃったってこと?」

354: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:20:13.29 ID:zKKwfHhV0
ダイヤ「もしその人の形をした紙が果南さんなのでしたら……この汚れは果南さんが苦しんでいる証ではありませんの?」

ダイヤ「早く偽者を退治しなければ……もしこの濃い汚れが全体に行き渡ってしまったら、本当にもう取り返しのつかないとこになるのではありませんか!?」

善子「た、確かにそうね!だとするとモタモタしてられない!すぐに準備をしなきゃ!」

ダイヤ「一刻の猶予もありません、なんとしても今日中に片をつけませんと!」

曜「でも偽者はいま病院でしょ?学校に戻るのか家に帰るのかもわからないし、いつ病院を出るかもわからないよ!」

善子「私がLINEで呼び出す!返事が来るまで準備を整えましょう!」

鞠莉「お札は多いに越したことはないわ!ダイヤは今すぐ帰ってルビィから、曜も千歌からお札を貰ってきて!事情はあとで話せばきっとわかってくれるから!」

ダイヤ「わかりましたわ!」

曜「わかった!行ってくる!」

善子「拘束するための縄や、無力化させるための武器……になりそうなものも探さないと!」

355: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:20:46.44 ID:zKKwfHhV0
――――

果南「あ、千歌!」

千歌「果南ちゃん!もう大丈夫なの?」

果南「うん、頭フラフラしちゃってしばらく病院で寝てたけどね」

千歌「それならわざわざ学校に来なくたって……授業も全部終わっちゃってるのに」

果南「ぐっすり寝たから体の方はもう大丈夫!それより、千歌の様子が気になって……」

千歌「千歌は……大丈夫だよ」

果南「本当に?」

千歌「……うん」

果南「そっか」

果南「じゃあ今日はパフェ食べに行こ!」

千歌「パフェ?」

果南「前、約束したよね」

果南「一緒に行こ?私が奢るからさ」

356: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:21:15.87 ID:zKKwfHhV0
――――

千歌「こっち行くの?いつものファミレスじゃないの?」

果南「うん、こっちの海岸沿いにカフェが新しくできたんだってさ」

千歌「あ、あそこもうオープンしたんだ?」

果南「そうそう、それでフルーツフェアしてるらしいよ」

果南「千歌の好きなみかんのパフェだってきっとあるよ!」

ピロン

千歌「ん?」

千歌「あ、果南ちゃん、みんなも一緒でいい?」

千歌「みんながね、果南ちゃん見かけたら教えてって言ってる」

千歌「LINEしても電話しても連絡つかないって……果南ちゃんスマホは?」

果南「あー、鞄ごとお母さんに預けちゃってるわ」

千歌「そっか」

千歌「果南ちゃん頭から出血してたからみんな心配してるんだね」

果南「ええー、みんなにそれ言っちゃったの?」

果南「心配かけちゃって悪いなぁ……」

千歌「パフェもりもり食べて元気いっぱいになったってとこ見せてあげなきゃね!」

果南「パフェはもりもり食べませんー!慎ましやかに食べますー!」

千歌「えー?」

果南「なによー?」

千歌「えへへっ」

果南「ふふふっ」

357: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:21:45.16 ID:zKKwfHhV0
――――

千歌「みんなが来るまでお店入らずに待ってよっか」

果南「そだね」

千歌「これから……時間に余裕ができちゃうね」

果南「そだね……」

千歌「……」

果南「……」

果南「あのさ、千歌」

千歌「うん?」

果南「私、実はさ、」

千歌「うん」

果南「……」

千歌「なぁに?」

果南「んーん!やっぱりなんでもない!」

千歌「えー?なにー?」

果南「あとで言うね!パフェ食べてから」

358: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:22:12.99 ID:zKKwfHhV0
ガッ

果南「うっ」ドサッ

千歌「えっ……」

曜「千歌ちゃん!大丈夫!?」タタッ

千歌「か、果南ちゃんが……なんで?どうして果南ちゃんを……」

善子「ありがとう、千歌!あなたのおかげで全部終わるわ!」

ダイヤ「鞠莉さん、そちらを引っ張ってください」ギュッ

鞠莉「わかったわ!こっちは縛るから、善子、早くお札を!」

千歌「果南ちゃ……」

曜「千歌ちゃん、アレは偽者なの」

曜「果南ちゃんの見た目をした偽者」

千歌「でも……でも……」

曜「大丈夫、アレは私たちが処理する」

曜「千歌ちゃんは家に帰ってて、全部終わったらちゃんと話すから」

千歌「わ、わかった……」

359: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:22:40.53 ID:zKKwfHhV0
ダイヤ「追い詰めましたわよ、ドッペルゲンガー」

鞠莉「大人しく封印されなさい」

果南「くっ……ドッペルゲンガー……?なんでまだそんな話……」

曜「……ここから落としたら深いとこまで沈められそうだよ」

善子「じゃあコレ持っていくわよ、誰か頭の方持って」

果南「なんで!?なんでこんなこと!」

ダイヤ「しらばっくれようとしたって無駄ですわ」

ダイヤ「あなたがAqoursに呪いをかけていたドッペルゲンガーだということはわかっています」

果南「なっ……違うよ!なんでそんな風に考えちゃったの!?」

果南「ドッペルゲンガーなんて最初からいなかったの!私がふざけてただけなんだよ!」

ダイヤ「何を馬鹿なことを」

善子「最初に出た果南と鞠莉のドッペルゲンガーが元々いなかったって?嘘をつくならもっとマシなことを言いなさいよ」

360: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:23:10.80 ID:zKKwfHhV0
****

千歌「じゃあ私はジュースにしようかな~」

果南「あ、私ちょっとトイレ行ってくるね」ガタッ

千歌「は~い」

――――

パタン

果南(出入口結構混んでるなぁ)

果南(……あれ、あのおばあちゃん……どしたんだろ)

果南「そこのおばあちゃん!どうかしました?何かお困りですか?」

「あぁ、よかった、ちょっと聞きたいんだけどいいかしら?この民宿に行きたいんだけど行き方がわからなくってねぇ」

「聞こうにも誰も歩いてないし、ここに来たら聞けるかと思ったのにとっても混雑してるしで困ってたのよ」

果南「あー、ここにはですね、バスで行けますよ」

果南「すぐ近くのバス停ですから送りますね」

「ありがとうね、助かるわ」

果南(千歌に言って……)チラッ

ガヤガヤ ガヤガヤ

果南(……バス停に送るだけだし、まぁいっか)

果南(あとで電話しとこ)

361: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:23:42.39 ID:zKKwfHhV0
――――

果南「えーっと……ううん……次のバスまで結構待ちますねぇ……」

果南「タクシー呼んで……ってあれ、スマホ電源切れてる」

「うーん……それじゃあ歩いて行こうかしらねぇ」

果南「ええ!?」

「聞いたところ大した距離でもないみたいだし、道筋だけ教えてくれないかしら?」

果南「重そうな荷物持ってるおばあちゃんからしたら随分な距離でしょ」

「これでも足腰は強い方なのよ!」

果南「とはいってもね……心配だから着いていきますよ」ヒョイッ

「あら悪いわよ……荷物まで持ってもらっちゃって、結構重いでしょう?」

果南「全然!軽い軽い!さ、行きましょ!」

「優しいのね、お言葉に甘えさせてもらうわ」ニコッ

――――

「本当に助かったわ、ありがとうね」

果南「いえ、お力になれてよかったです」

果南(さて……どうしよ)

果南(スマホは電源切れてるから連絡できないし、ゆっくり歩いたからかなり時間も経ってそうだし……)

果南(今からファミレスに戻っても、千歌はもういないだろうなぁ)

果南(明日説明しよ)

****

362: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:24:14.72 ID:zKKwfHhV0
果南「千歌とファミレスに行った時、知らないおばあちゃんが困ってて、それを助けてて」

果南「スマホの電源切れてて連絡もできなくって……」

果南「次の日にちょっとからかったら慌てるみんなが面白くて……悪ノリしちゃって……」

果南「それで、調子にのってその日帰ったふりして善子ちゃんの髪型真似して、音楽室の梨子ちゃんが見えるように校門に立って……」

果南「全員分真似したらネタばらししようって思ってたのにみんながドッペルゲンガーなんて言い出すから……」

果南「私だっていつか本当のこと言おうって思ってたけど、そのうちみんなドッペルゲンガーの話しなくなったから忘れたんだって思って、ずっとその話が続いてたなんて知らなくて……」

363: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:24:42.45 ID:zKKwfHhV0
ダイヤ「この期に及んで無駄な足掻きを」

善子「あなたがドッペルゲンガーだって証拠は掴んでるんだからね!」ヒラッ

果南「それ……お札?」

善子「くしゃくしゃに丸められて部室のゴミ箱に捨てられていたものを見つけたの」

善子「これ、花丸のものでしょう?」

果南「いや……それ、私のポプリの中に入ってたお札で」

善子「嘘ついたって無駄よ!知らなかったようだけど、ポプリは全員違う香りのものをルビィは作っていたの」

善子「花丸のポプリはオレンジだった」

善子「そして、この護符にはオレンジの欠片が挟まっていた」

善子「花丸自身がこんなことをするわけないから、花丸のポプリから護符を引き抜いて捨ててしまった人物がいる」

善子「ここ一週間のうちに、部室で一人きりになった人物がいたわよね?そう、あなたよ」

善子「梨子と曜が怪我をした日の朝練、手伝うと言ったダイヤの申し出を断り果南は部室から練習に必要なものを持ってきていたわね」

善子「その時に花丸の護符を抜き取って捨ててしまったんでしょう?花丸がお寺の子だから脅威に感じて」

364: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:25:21.31 ID:zKKwfHhV0
曜「私もひとつ、果南ちゃんが本物なら、ありえない発言をしていたってことに気付いたよ」

曜「ファミレスで話し合ったとき、千歌ちゃんがメモ帳を持ち歩いてたこと、果南ちゃんは知らなかったみたいだったよね」

曜「千歌ちゃんが歌詞で悩んでたときにメモ帳持ち歩けばいいってアドバイスしたの、果南ちゃんだったのに」

曜「言い出した本人がまるで知らないような様子なのって、すごくおかしい」

ダイヤ「これらに加えて、ドッペルゲンガーの存在を最初に否定していたのはいつも果南さんでしたわ」

ダイヤ「このような話をこわがっていたからだと思っていましたが、本当は正体を知られるのを恐れていたからでは?」

365: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:26:01.37 ID:zKKwfHhV0
鞠莉「これだけ証拠が揃っているのに、どうしてシラを切り通せると思う?」

果南「違う、本当に、本当に違うの!」

ダイヤ「先ほどのお話が本当ならば、そのお婆さんがどこの誰だか教えていただけませんこと?」

果南「それは……たぶん旅行客みたいだったから……内浦の人じゃないし……知らない人で……」

善子「よくもまあ口から出任せをポンポン言えるものね」

果南「だから本当に!……お願いだからこの縄ほどいてよ!」ギシッ……ギッ……

鞠莉「縄をほどこうったって無駄よ」

ダイヤ「キツく締めておりますし、何より護符を貼りましたからね、」

善子「重石も取り付けたわ、もう悪さはさせないんだから」

曜「本物の果南ちゃんは取り戻させてもらうよ」



ザプンッ

366: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:26:29.71 ID:zKKwfHhV0
ダイヤ『さて、問題解決しようにも情報が少なすぎますわね』

善子『ドッペルゲンガーって言っちゃったけど、私の知ってるドッペルゲンガーは積極的に人に干渉するようなものじゃないし……』

鞠莉『会話してるみたいだし、人違い……ってこともなさそうよね……』

果南『いや~、実はさ!昨日鞠莉と一緒にいたっていうの、ウソなんだ』

千歌『え!?』

果南『昨日トイレから出たあと、困ってるおばあちゃんがいてさー、助けてあげてたんだ』

果南『スマホの電源切れちゃってて連絡もできなくって、ごめんね!』

千歌『なんでそんな嘘つくの~!もう!』ポカッ

果南『ごーめんごめん!ちょっとからかっただけだってばぁ』

善子『ドッペルゲンガーとか言い出しちゃった私がバカみたいじゃないの!くらえ!』ポカッ

鞠莉『ちょっと心配したのに!えい!』ポカッ

果南『今度ちゃんとパフェ奢るから許して!』

ダイヤ『果南さんがAqours全員にパフェを奢ってくださるそうですから、それで手打ちといたしましょう』

果南『全員なの!?』

鞠莉『全員なの!ふふっ』

果南『も~、仕方ないなあ!』

千歌『やったー!』

367: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:26:57.56 ID:zKKwfHhV0
変にふざけなければ

そんな未来もあった

みんな壊れずにすんだ

いまも変わらずAqoursとして活動できていた

368: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:27:24.64 ID:zKKwfHhV0
水面の向こう側に薄く映る友人の影

それは次第に遠ざかり

光の届かない水底へ

意識も同様に遠ざかっていき……



全部、私のせい、なんだろうな

369: ◆SBV/y6JaWSLv (笑) (ワッチョイ cf88-sOyQ) 2019/03/20(水) 23:27:54.86 ID:zKKwfHhV0
初めてのSSでした
最後までご覧くださりありがとうございました

引用元: 千歌「果南ちゃ~ん、なんで昨日ひとりで帰っちゃったの?」果南「え?」