1: 矢橋P 25/02/27(木) 23:18:30 ID:q7mJ
このSSは 

静香「逆襲のアイドル!」 前編 

静香「逆襲のアイドル!」 後編

の続きとなります  

これまでのあらすじ
高校生となった最上静香は幼馴染みの春日未来と共に混黒高校へ入学する
女子テニス全国選手権にも出場したこともある彼女はエリートテニス街道まっしぐら
……だったがとある事故で怪我をしてしまい開拓分校に落とされる
本校との落差に打ちのめされそうな彼女を開拓分校アイドル部の北沢志保や野球部のメンバーに励まされ
彼らとふれあう中でかつて諦めていたアイドルへの情熱を取り戻しアイドル部に入部する決意をする

2: 矢橋P 25/02/27(木) 23:26:09 ID:q7mJ

その後本校から幼馴染みの未来やかつての親友七島麻美もアイドル部や野球部に加わり
静香の最大のライバル伊吹翼とその相棒矢吹可奈にアイドル部の校内大会で挑むも負けてしまう
実力の差を感じ悩む彼女は突然のトラブルに巻き込まれてしまう
だがそのトラブルが元で開拓分校は開拓高校へと独立を果たした
いよいよ彼女達も三年生最後の夏。合い言葉は目指せ甲子園!彼女達の最大の挑戦が始まった

3: 矢橋P 25/02/27(木) 23:28:53 ID:q7mJ

十月下旬






未来「監督、ランニング終わりました!」ハァハァ


昴「よし!一息ついたらグラウンドに集合だ!オレは先に準備しているからな」
 

4: 矢橋P 25/02/27(木) 23:29:31 ID:q7mJ





麗花「はい二人とも。腹に手を当てて声を出してみて~」


「「いーーーーーーーーーーーー」」



麗花「まだまだ。もっと声伸ばさないと。もう一回!」



「「いーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」」




麗花「私が納得するまで続けちゃうので頑張ってね」

5: 矢橋P 25/02/27(木) 23:31:18 ID:q7mJ
あの日から私達の練習の激しさは佳境を迎えている
主な行事も終わり農作業もひと段落した今、練習を阻むものは何も無いし
明確に甲子園という目標が出来たのはとても大きい
朝から日が暮れるまで練習漬けだけど誰一人として文句は出なかった
昴コーチも何だか枷が外れたのかギリギリまで私達に付き合ってくれている
あれからあの組織がどういうわけか一切接触してこなくなったみたいで 
今まで事あるごとにああだこうだ言ってきたんだよ。居なくなってせいせいしたぜ。 と言っていた

6: 矢橋P 25/02/27(木) 23:34:35 ID:q7mJ

冴花「雨崎さん全員分のタオルと水の用意出来てる?」

千羽矢「はいは~い。忙しいから腕を二本増やしちゃった~」

冴花「……今すぐ戻して」




由良里「麻美ちゃん、ダンスに使えそうな曲をCDに焼いて用意しましょう」

麻美「うん。静香ちゃん達も頑張っているんだもん、私達だって負けてられないよ」



 

7: 矢橋P 25/02/27(木) 23:40:13 ID:q7mJ
登場人物おさらい

開拓高校アイドル部 
部員 最上静香 北沢志保
マネージャー 七島麻美 川田由良里

開拓高校野球部 
キャプテン 春日未来
部員 詰井 杉田 下山 軽井
マネージャー 木村冴花 雨崎千羽矢

野球監督兼アイドル部コーチ 永吉昴
コーチ 高山紗代子 北上麗花

クラスの担任 白木恵理

8: 矢橋P 25/02/27(木) 23:40:59 ID:q7mJ
そして



若来「未来ちゃん。お客さんだよ」

未来「私に?」ハァハァ

詰井「行ってこいよキャプテン」

未来「うん。わかった!」






 

9: 矢橋P 25/02/27(木) 23:41:58 ID:q7mJ



多古「……」

未来「あなたは海底分校の……」

多古「あんたに頼みがあって来たんだ」

多古「どうか姐さんをあんた達のチームに……甲子園に連れて行ってやってくれないか」

未来「澄原さんを?」

多古「姐さんの甲子園に行きたい気持ちは本物だ。でもオレ達じゃダメなんだ。オレ達じゃ本校に勝てないし、勝ったとしても姐さんは来年が最後……もう遅いんだ」

多古「それに今しかチャンスは無いんだ。お前達来年には独立するんだろ?独立して別の高校になったらもう移籍は出来なくなる」

未来「多古さん……」
 

10: 矢橋P 25/02/27(木) 23:42:38 ID:q7mJ

多古「ウチのチーム。姐さん以外弱いだろ?」

未来「ううん。そんなこと……」

多古「気を使わなくていい。ウチの分校はな、元々野球部すら無かったんだ」

多古「それを姐さんが一人で野球部から立ち上げて野球すら知らなかったオレ達に試合が出来るまでにしてくれたんだ」

未来「……何で澄原さんは本校から海底分校に落とされたの?澄原さんなら本校でも通用したのに」
 

11: 矢橋P 25/02/27(木) 23:44:05 ID:q7mJ

多古「校長が野球部に入るのに断固反対だったからさ」

多古「姐さんの女子としては規格外な体格は希有な存在だと思ったみたいでな。他の女子の種目で活躍させたかったらしい」

多古「硬式野球部に入りたいと言った姐さんに『女の子中じゃ超一流になれるのにどうして男に混じって二流にならねばならん』と言われたらしい」

多古「姐さんは最後までせめて挑戦させてくださいと頼んだが……」

多古「筋力、体格、耐久力、生理現象……女じゃ男相手に全く相手にならんと一蹴された」

未来(ひどい……)
 

12: 矢橋P 25/02/27(木) 23:44:19 ID:q7mJ

多古「野球部が無い海底分校に送り込んだのは嫌がらせだろうな。いつか根を上げて本校に戻ってくるって思ったんだろう」

多古「あんたも女子でキャプテンだろ。あんたが居るチームなら姐さんを安心して預けられる」

未来「わかったよ。任せて」







 

13: 矢橋P 25/02/27(木) 23:45:04 ID:q7mJ
次の日

海底分校……のそばのグラウンド







未来「澄原さん。今日は話しがあって来たよ!」

澄原「またあんたかい。何度言われてもあたしの気持ちは変わらない!」

14: 矢橋P 25/02/27(木) 23:45:48 ID:q7mJ


多古「あの……姐さん……」

澄原「なんだ多古」

多古「姐さんの野球にかける情熱はそんなものなんですか!失望しました、野球部を辞めさせていただきます」

澄原「おい、お前何言って……」



海底分校野球部員達「「「オレ達も辞めさせていただきます」」」
 

15: 矢橋P 25/02/27(木) 23:46:24 ID:q7mJ

澄原「……下手な猿芝居はよせ。全く困った連中だ」

澄原「おい、春日。……全員ってわけにゃいかないよな」

未来「えっ」

澄原「……いや、何でもない」






 

16: 矢橋P 25/02/27(木) 23:47:16 ID:q7mJ
そして




澄原「お前達。あたしが居なくなったからってサボったり部を潰したら承知しないよ」

多古「任せてください。姐さんが居ない間はオレ達がしっかり守ります」

澄原「よし!」

澄原「……それじゃ春日。しばらく世話になるぜ」

未来「よろしくね澄原さん!」


海底分校野球部員達「「「行ってらっしゃいませ」」」


こうして私達のチームに投手がもう一人増えたんだ




 

17: 矢橋P 25/02/27(木) 23:48:08 ID:q7mJ





18: 矢橋P 25/02/27(木) 23:48:37 ID:q7mJ
十一月



澄原「……あんた達、毎日こんなランニングこなしていたのかい。そりゃ強いわけだ」


詰井「そうか?もう慣れちまって山一周ぐらいは何とも思わなくなってきたな」

軽井「慣れって恐ろしいね」

澄原(だけどそれより恐ろしいのは……)
 

20: 矢橋P 25/02/28(金) 04:47:04 ID:F373

昴「詰井がやってた勝負と同じでヒットさえ打てればいいぜ。三球投げたら次の打者に交代。それを時間まで繰り返す」

昴「一回もヒットが出なかった人はダッシュ十本な」ニヤリ


杉田「あの、ボール球の場合は……」

昴「ボール球は投げない、全部ストライクゾーンを狙って投げる」

昴「それでもボール球が出たらたとえ振ったとしてもヒットでいいぜ」

昴「まずは杉田からやるか」
 

 

21: 矢橋P 25/02/28(金) 04:49:18 ID:F373




杉田(監督の投げる球ってどんなボールだろう)


昴「いくぜ」



ヒュッ


バシーーン


軽井(え……)

澄原(速い!)

22: 矢橋P 25/02/28(金) 04:51:23 ID:F373
杉田(でも見た感じ130㎞超えてるわけじゃない。頑張れば打てる)




昴(あまり速い球投げると速球打ちの練習になるからな。球速はこのくらいで……)

ヒュッ




ブン!

ググッ

バシーーン


杉田「へ、変化球……」

昴「ストレートだけじゃないぜ。もちろん変化球だって投げるさ」
 

23: 矢橋P 25/02/28(金) 04:53:43 ID:F373





軽井「おい。あれ、やばくないか……」

詰井「俺、打てる気しねえ……」


澄原(一番恐ろしいのはあの女監督だね。あんな球投げる女性は見たことがない)

澄原(あんな女性がいるだなんて……思ったより世界は広いね)


未来「……」ジーッ

澄原(そしてこの子は既に狙いを定めている。さすがはあたしを破っただけはあるね)



 

24: 矢橋P 25/02/28(金) 05:01:08 ID:F373
バシーーン


<うわーっ






昴「今のところ全滅か。それじゃ次は未来だな」パシッ

未来「詰井くんとは何度もやってるけど監督との勝負は初めてだね。負けないよ」
 



25: 矢橋P 25/02/28(金) 05:02:06 ID:F373



ヒュッ


カキーーーン!



昴「ファールか。初球から打ってくるなんてな」

杉田「さすがキャプテン!」

26: 矢橋P 25/02/28(金) 05:03:21 ID:F373


未来「……」ジッ

昴「……未来にだけは本気を出すか」


ヒュッ


ブン!

バシーーン!



未来(……速い)

軽井「球速が上がった!」

下山「どうやら僕達の時は本気じゃなかったみたいだね」

27: 矢橋P 25/02/28(金) 05:07:07 ID:F373



ヒュッ


未来(ここっ!)



ブン!

ガクン!


バシーーン!


未来(フ、フォークボール!?)


昴「これでスリーアウトだな。次、」

28: 矢橋P 25/02/28(金) 05:08:08 ID:F373


未来「く、くやしーい」ブルブル


軽井(春日ちゃん本気であれを打つ気だよ……)

杉田(僕達とレベルが違う……)

澄原(やれやれ……。だけど同じ女性として負けられないね)










 

29: 矢橋P 25/02/28(金) 05:11:43 ID:F373
十二月

部室





麻美「今日はダンスレッスンからだね」

麻美「紗代子コーチは神桜分校に行ってるし昴コーチは野球部、麗花コーチは休みだから今日のレッスンは私達だけだね」

志保(痛っ……)

静香「さっそく準備を……ってどうしたの志保」

志保「さっきランニング中に足を捻ったの」

志保「大丈夫、軽い捻挫みたいだから……」
 

30: 矢橋P 25/02/28(金) 05:12:48 ID:F373

麻美「駄目だよ!」



志保「!!」ビクッ

麻美「志保ちゃんまず座って!そして足を見せて!」

志保「大げさですよ……ちょっと触れたら痛いぐらいですから」

麻美「何言ってるの!もしでも悪化したら取り返しつかないんだよ!」

麻美「由良里、そこに救急箱があるから持ってきて!静香ちゃんは氷を持ってくる!」


由良里「わかりました」

静香「ええ」

静香(今の麻美にとって小さな怪我でも黙っていられないことなのよね)




 

31: 矢橋P 25/02/28(金) 05:19:35 ID:F373
そして



テキパキ テキパキ


麻美「はい応急処置完了。よーく冷やしながら今日一日は安静だね」

志保「凄い……処置完了まで無駄な動きがない」

静香「見事だったわ麻美」

麻美「えへへ。私、ドジだからよく怪我するでしょ?だから自分で手当していたからお手の物だよっ」

麻美(……だから右手の怪我を自分だけで手当してお医者さんにも診せなかったから悪化したんだけど)
 

32: 矢橋P 25/02/28(金) 05:20:16 ID:F373

由良里「麻美ちゃんのドジも人の為になるんですね」

麻美「また由良里はそうやってー」

志保「……ごめんなさい。少し軽率な行動でした」

静香「でも驚いた。麻美にも凄い特技があるじゃない」

麻美「そうかな~……」

麻美「…………」ハッ


静香「どうしたの?」

麻美(そうだ。これは私にしか出来ないことだ)







 

33: 矢橋P 25/02/28(金) 05:21:05 ID:F373



数日後

とある個人病院





桧垣「どうぞ麻美さん」

麻美「すみません。突然連絡して」

桧垣「構いませんよ。今日は私に聞きたいことがあるのでしたね」

麻美「はい。私の進路について相談したいことがあるんです。スポーツ医療のことなんですけど……」







 

34: 矢橋P 25/02/28(金) 05:25:51 ID:F373
数週間後

静香宅





静香父「静香、ちょっといいか」

静香「……何でしょうか」

静香父「進路のことだ」

静香「……」

35: 矢橋P 25/02/28(金) 05:26:48 ID:F373

静香父「せっかく混黒高校という良い進学校に入ったのに最近は学業よりアイドル部なんかに熱を入れているようだな」

静香「ちゃんと成績は上位を取ってます」

静香父「ならいい。しかしアイドルなどという遊びは程々にして大学受験のことを……」



静香「お父さん。私、卒業してもアイドルを続けたいの」

静香父「何……?」

静香「当てがあるわけじゃないけど……アイドルに真剣でそれ以外考えられないの」

 

36: 矢橋P 25/02/28(金) 05:27:26 ID:F373

バン!


静香父「なに寝ぼけたことを言っているんだ!現実を見なさい」

静香「よく考えた上よ!私……もっとアイドルを続けたい」

静香父「お前が考えているほどアイドルは甘くないぞ」

静香父「世間じゃ第二次アイドルブームらしいが……あんなものは一時的なものだ」

静香「わかってる。でも挑戦したっていいでしょう!」

静香父「……静香の実力で通用するわけないだろう。考え直せ」
 

37: 矢橋P 25/02/28(金) 09:16:40 ID:F373

静香「……ims甲子園よ」

静香父「ん?」

静香「ims甲子園で私が優勝出来たら文句ないでしょ。実績があるってことになるんだから」

静香「私がims甲子園で優勝出来たらアイドルを続けさせて!」



静香父「ims甲子園ときたか……」

静香父「いいだろう。優勝出来るものなら優勝してみせなさい」

静香父「優勝出来たら認めてあげよう。ただし出来なかったら二度とアイドルになると言わないように」

静香「……っ」

38: 矢橋P 25/02/28(金) 09:21:30 ID:F373

静香父「本当は不安なのだろう。自分が本当に優勝出来るのかがな」

静香「出来るわ!絶対優勝してみせる」

静香父「……そこまで言うならやってみなさい」









 

39: 矢橋P 25/02/28(金) 09:22:11 ID:F373

翌日






静香「ということがあったの」シレッ

麻美「ということって……」

未来「簡単に言うことじゃないよ静香ちゃん!」

40: 矢橋P 25/02/28(金) 09:23:25 ID:F373

志保「まあそれを言えるぐらい覚悟がないとアイドルにはなれないわね」

静香「……もう。志保の物言いにも慣れてきたわ」


未来「で、でも優勝出来ないと静香ちゃん二度とアイドル出来ないんだよ」

静香「未来、何を慌てているのよ」

静香「約束があろうがなかろうが私達がやることは変わらないでしょう?」

静香「目指すものは変わらない、むしろ燃えてきた。プラスになることはあってもマイナスにはならないわ」


麻美「なんていうか……」

由良里「静香さんたくましくなりましたね」


静香(恵美さんのいう通り、私はアイドル。何があっても希望を持って進むの!)
 

41: 矢橋P 25/02/28(金) 09:25:42 ID:F373

麻美「それじゃ私も言わなきゃ駄目かな。由良里にはもう話したんだけど」

未来「麻美ちゃんも何かあるの?」

麻美「私ね。卒業したらしばらく桧垣先生の元で勉強するんだ」

静香「桧垣先生の元で?」
 

42: 矢橋P 25/02/28(金) 09:27:01 ID:F373

麻美「ようやく見つけたんだ。私のやりたいこと」

麻美「私、スポーツドクターになりたい。それもプロの選手の専属とかじゃなくて身近で誰でも相談出来るような医者にね」

麻美「私みたいに独りで抱え込んで無理する人が他にもいると思うんだよ。その人達に寄り添える人になりたいんだ」

未来「すごいよ麻美ちゃん。私も応援するよ!」

麻美「ありがとう。でも私は医学部に入れるほど頭が良くないからさ。桧垣先生に相談したらしばらく桧垣先生の元で勉強することになったんだ」

静香「それでこそ麻美ね。昔からやること決めたら猪突猛進だったもの」

麻美「うん!バスケのエースにはなれなかったけど……私は前に進むことを諦めないからね!」

由良里(麻美ちゃん……)






 

43: 矢橋P 25/02/28(金) 09:35:57 ID:F373

そして月日は流れ十二月も終わり、年が明けた
 

44: 矢橋P 25/02/28(金) 09:36:12 ID:F373
元旦





未来「お待たせ~」

静香「もう、未来遅刻よ」

麻美「うっかり財布を忘れて取りに戻った私よりも遅いよっ!」

未来「ごめんごめん~。今日は格好に気合い入れてきちゃった~」

未来(来年はこんな風にみんなで初詣に行けないかもしれないから……)


静香「志保も呼んだのだけれど家族と過ごしたいらしいから……」

未来「翼もims甲子園の決着が付くまではまだ静香ちゃんに会いたくないってさ。」

麻美「由良里も忙しいみたいだから今年もこの三人だね」

45: 矢橋P 25/02/28(金) 09:43:14 ID:F373

最寄りの神社





静香(同じ三人でも去年は未来と麻美は本校で私は分校だった。でも今は一緒)

静香(不思議な話ね。別に狙ったわけでもなかったのに)



麻美「それじゃ今年は何をお祈りする?」

未来「ねーねー。去年はみんなバラバラにお祈りしたけど今回はみんな合わせようよ」
 

46: 矢橋P 25/02/28(金) 09:45:19 ID:F373
静香「願掛けはあくまで個人の願いを掲げるものなのよ」

麻美「いいじゃん。それに私達、いや部のみんなの気持ちは一つでしょ?」

静香「ふふっ、そうね。麻美と未来の言う通りだわ」

麻美「やったー。静香ちゃんから一本取ったー」

未来「も~。それじゃ行くよ」




パンパン



「「「 目指せ甲子園優勝 」」」
 

47: 矢橋P 25/02/28(金) 10:00:45 ID:F373
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48: 矢橋P 25/02/28(金) 10:02:24 ID:F373
二月






唯香「なあ、あれから連絡なかったけどよ、どうしてだ?」

正「そうだよ!」

桜華「静香さん、不誠実ではなくて」
 

49: 矢橋P 25/02/28(金) 10:15:09 ID:F373

静香「ごめんなさい。……何だか申し訳なくて」


唯香「ああ……独立のことか」ガリガリ

唯香「言っておくがアタシらも平面も神桜もあんたらを羨んでる奴なんかいねーからな」

桜華「開拓アイドル部は校内大会を優勝したのですもの」

正「それくらいのご褒美はあってもいいって思ってたよ」


静香「みなさん……」

唯香「だからよ、アタシらを連れて行くつもりでims甲子園に絶対行けよ!」
 

50: 矢橋P 25/02/28(金) 10:29:53 ID:F373

唯香「合同練習もよ、元々本校に内緒でこっそりやってたじゃねーか。独立しても続けようぜ」

正「麗花コーチのボイスレッスン、うちの部の子にも評判いいんだよ。続けてほしいな」

静香「ええ!」



唯香「残念なのはこないだの音楽フェスみたいなことはもう出来ないことかねぇ」

正「本当にそれだけが残念だよ」

桜華「…………」









 

51: 矢橋P 25/02/28(金) 10:34:56 ID:F373
三月

天空分校グラウンド





須界「強くなったな 開拓よ」

須界「もう俺らじゃ 敵わねえ」

須界「だからよぉ、俺達の分まで甲子園に行ってこい!」

未来「うん!須界さん達の気持ち受け取ったよ」






 

52: 矢橋P 25/02/28(金) 10:37:13 ID:F373









喜沢「……」

冴花「いよいよ来月からですね。”喜沢校長”」

喜沢「そうじゃな、来月からだ」

冴花「……大丈夫なんですか、経営とか生徒数とか」

喜沢「生徒の君が気にすることじゃないのう」
 

53: 矢橋P 25/02/28(金) 10:40:16 ID:F373

喜沢「5年前経営難の時、福山校長の提案に乗って分校にしてしまったことをずっと後悔しておったんじゃ」

喜沢「本校から落とされた人間がうちの農業実習を受けた時、皆死んだような目をしておった」

喜沢「農業は人間の生活を支える大丈夫な一次産業。決して外れくじなのではない。子供たちにそのような思いをさせてしまった。このじじい、一生の不覚じゃ」

冴花「喜沢校長。私は混黒高校じゃなくて開拓高校に来たくてここを選んだのですよ」

冴花「それにうちのクラスはみんな農業実習を楽しんでいました。みんな何か感じるものがあったようです」
 

54: 矢橋P 25/02/28(金) 14:32:11 ID:F373

喜沢「わかっておるよ。君や君のクラスを見ておったからのう」

喜沢「特に最上さん。彼女が来てから少しずつ変わっていったのう」

冴花「本校からの転入組を救ったのは彼女ですからね」








 

55: 矢橋P 25/02/28(金) 14:33:12 ID:F373



志保「さて今日もレッスン行かないと……」

若来「北沢さん」

志保「晴海さん……」

若来「開拓、独立しちゃったね」

志保「そうですね」
 

56: 矢橋P 25/02/28(金) 14:33:59 ID:F373

若来「私ね、中学生時代の友人に全部話したんだ。本校に居られなくて今は開拓ってところで農業の勉強しているって」

若来「みんなに呆れられたけどすっきりしたよ。最近は土をいじるのも何だか悪くないって思ってるし」

志保「そうですか」

若来「たぶん独立できたのは野球部とアイドル部のおかげだよね。私ね、応援団作ろうって思ってるんだ。本格的なやつじゃないけど」

若来「アイドル部もims甲子園頑張ってね」

志保「はい」

志保(よかったわね)






 

57: 矢橋P 25/02/28(金) 14:35:02 ID:F373





そして新学期

四月 開拓『高校』教室








麻美「今日から三年生だね」

未来「高校生も最後の1年かぁ」
 

58: 矢橋P 25/02/28(金) 14:36:30 ID:F373

杉田「なんか静かだね」

詰井「そうか、もう本校から都落ちしてくる人もいないんだよな」

冴花「新入生の一年生も少ないみたいよ。今までの新入生も混黒高校ありきの人も多かったもの」

冴花(やはりこのままだと経営も……)



軽井「おい、入学して早々に野球部に入りたいって言ってるやつがいるらしいぜ」

詰井「はぁ、同じ区域に混黒高校があんのにわざわざ開拓に来たやつにそんなやついるのかよ」



 

59: 矢橋P 25/02/28(金) 14:38:07 ID:F373



恵理「うちのクラスも三年生か。三年間も同じクラスを持たせてくれるってありがたいことだよね」


バタバタ



恵理「あれ、君は新入生?」

???「久しぶりだねエリお姉ちゃん!」

恵理「エリお姉ちゃんって……君は誰?」

???「オイラと言えばわかるでやんすか?」

恵理「もしかして……カンタくん!?」



 

60: 矢橋P 25/02/28(金) 14:39:07 ID:F373



恵理「そういうわけなんだって」

カンタ「昴姉ちゃんも久しぶりだね」

昴「何でオレがこの学校に居るって知ってんだ?」

カンタ「恵美お姉ちゃんから聞いたよ」

昴「恵美……」ズーン
 

61: 矢橋P 25/02/28(金) 14:40:06 ID:F373

昴「わざわざオレを追っかけてこの学校に来たのかよ」

カンタ「うん。何だか面白い野球部もあるって聞いたし」

昴「そんな理由なのか。カンタは野球出来るのか?」

カンタ「あまり子供扱いしないでよ。僕はあの時とは違うんだよ」

カンタ「あの日から……お姉ちゃん達に追いつきたいってずっと思ってたんだからね!」






 

62: 矢橋P 25/02/28(金) 14:44:39 ID:F373

混黒高校 


九能「……おい。去年シニア大会で優勝した四番がウチに入ると聞いていたがいないぞ」

混黒コーチ「それが……直前に入学を取り消したみたいで……」




 

63: 矢橋P 25/02/28(金) 14:45:19 ID:F373




放課後 開拓高校グラウンド






カンタ「僕は権田カンタ。野球部のみんなよろしくお願いします」


パチパチパチパチ


未来「私がキャプテンの春日未来。よろしくね」

カンタ「うん。本当に女の子がキャプテンなんだね」
 

64: 矢橋P 25/02/28(金) 14:46:25 ID:F373
冴花「権田くんは中学も硬式野球やってたのよね」

カンタ「そう。僕は中学では一塁手だったんだ」

詰井「まあカンタはベンチからだな。まず俺達の……」


昴「まずカンタの能力が見たいな。さっそく打席に立ってくれ、オレが投げるからさ」

詰井「監督?」





 

65: 矢橋P 25/02/28(金) 14:47:20 ID:F373

カキーーーン!





冴花「監督の球を……」

詰井「ホームラン……?」




昴「いやぁ、なかなかすごいなー」

カンタ「……お姉ちゃん。今の球、手加減したよね」


昴「何のことだかな」

昴(バレてるか。しょうがねーじゃん、何処まで本気出していいかわかんないんだから)

冴花(手加減した……といっても昴監督にしてはという話しで並の高校ピッチャーぐらいの球ではあったけど)

66: 矢橋P 25/02/28(金) 14:49:21 ID:F373

冴花「でもこれではっきりした。権田くんはレギュラー入り。私達に足りなかった一発を出してくれる打者がようやく揃ったわ」

杉田「で、でもうちの四番はキャプテンじゃ……」

冴花「権田くんは五番ね。一発を持っている野手が後ろに控えているだけで春日がだいぶ仕事がしやすくなるから」

下山「確かに春日さんに敬遠しづらくなるね」

昴(うちのチーム、五番以降の攻撃は捨ててたようなもんだったからなー)

冴花「それに最初から起用しないわ。私達の野球は守備重視。権田くんも守備はまだまだでしょ?試合の途中でここぞの場面で交代しての登場になりそうね」

カンタ「うん、僕もそれでいいと思うよ」

未来「改めてよろしくねカンタくん」





 

67: 矢橋P 25/02/28(金) 14:55:33 ID:F373




静香「そう。野球部は澄原さんの移籍に権田くんの入部でだいぶ強化したのね」

由良里「そうです。去年の本校との試合では意表を突いてようやく引き分けで純粋な実力ではまだまだ本校に分がありましたが」

麻美「これで十分対抗出来るよっ!」



静香(私達アイドル部もあれから麗花コーチの指導でだいぶ基礎能力は上がってる)

静香(でも相手は天才の翼。しかも審査員の好みを見抜く特技持ち。はたして勝てるのかしら……)

静香(ううん、弱気になっては駄目よ)ブンブン

68: 矢橋P 25/02/28(金) 14:56:30 ID:F373

麻美「本校との野球部の試合、冴花ちゃんが録画してたから見たけど相手チーム驚いてたよね」

由良里「特に一回の未来さんの攻撃で……」

静香(!!)ハッ









そして月日が流れ……
いよいよ本番が近づいてきた

69: 矢橋P 25/02/28(金) 14:57:16 ID:F373

六月上旬








志保「そういえば大事なこと忘れていたわね」

静香「何よ」

志保「私達のユニット名よ。アイドル対決の大会に出場する場合ユニット名で登録するの」

志保「さすがに開拓高校だけじゃなんでしょう?」

静香「……確かに」
 

70: 矢橋P 25/02/28(金) 15:04:28 ID:F373

麻美「はいはーい。カルティベーションかフィーマーズがいいと思います」

志保「それ開拓や農業者を英語にしただけですよね」

麻美「あはは……バレたか」





静香「inferno」

麻美「えっ?」

71: 矢橋P 25/02/28(金) 19:07:08 ID:F373

静香「なんか急に頭に浮かんだの、inferno(インフェルノ)って単語が」

静香「私達の燃える情熱を現す単語だと思うの」

志保「珍しくあなたのセンスが合ったわね。それでいいと思うわ」

麻美(何だかんだこの二人仲がいいなぁ)







 

72: 矢橋P 25/02/28(金) 19:08:28 ID:F373
彼女達にとっての戦いがいよいよ始まる


七月上旬


市内グラウンド







冴花「地区予選第一回戦、私達にとっては初めての校外戦よ。最後まで油断しないように」
 

73: 矢橋P 25/02/28(金) 19:15:18 ID:F373

詰井「マネージャー。初戦の相手はどこの学校だよ」

冴花「スクール学園高校学院よ」

詰井「は……何て?」

冴花「だからスクール学園高校学院って言ったでしょ」

軽井「何だよその名前!?」

冴花「何でも四つの高校が合併して出来た高校なんだけど合併した際に下の名前を全部くっつけたみたいね」

未来(なんで上の方をくっつけなかったんだろ……)ズーン








74: 矢橋P 25/02/28(金) 19:15:47 ID:F373

【野球部-地方地区予選】
≪トーナメント第一回戦≫
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 開拓高校 CPT 春日未来
 
  VS
 
 スクール学園高校学院 CPT 磯野勝雄   
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

75: 矢橋P 25/02/28(金) 19:21:31 ID:F373


同時刻

市内 音楽ホール






静香「私達の初戦は先行高校ね」

由良里「なんでも時代を常に先取りしてきたと自称する学校みたいです」

由良里「アイドル部設立もアイドルブームを察して他の高校よりいち早く創設してます」

志保「その分歴史もありそうね。静香、油断出来ないわよ」

静香「わかっているわ」





 

76: 矢橋P 25/02/28(金) 19:22:05 ID:F373

【アイドル部-地方地区予選】

≪トーナメント第一回戦≫
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー-
 開拓高校 
inferno       リーダー 最上静香  
               &北沢志保
       VS
 先行高校 
アドバンス・バーチャル リーダー saori
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※infernoとアドバンス・バーチャルはユニット名です

77: 矢橋P 25/02/28(金) 19:24:56 ID:F373
そして……




≪アイドル試合 試合結果≫

開拓高校 41 39 40 38 36 計 194 win

先行高校 23 20 22 18 22 計 105
 

78: 矢橋P 25/02/28(金) 19:25:53 ID:F373

先行高校アイドル部員「何故だーーー」

先行高校アイドル部員「時代の先を行った我々が負けるだと!」



静香「少し驚いたわね。映像を使ったバーチャル・アイドルで勝負してくるなんて」

志保「大会のルールがまだ整備されてなかったからオッケーだったけど現実の人間には敵わないわ」


先攻高校アイドル部員「ふん、生の人間の時代はいつか終わる。これからはアイドルのライブもバーチャルでやる時代がくるさ」

静香(そうかもしれない。でもそれはまだ当分先ね)





 

79: 矢橋P 25/02/28(金) 19:27:06 ID:F373


≪野球試合 試合結果≫

開拓 001002001×4
ーーーーーーーーーーーーー
スク 000010100×2



開拓高校の勝利
 

80: 矢橋P 25/02/28(金) 19:30:13 ID:F373

詰井「よっしゃ!まず1勝だ」

冴花(スクール学園高校学院は並の高校より強いよりの学校だったはず)

昴(それに普通に勝てた。オレ達、確実に強くなったな)



そして初戦を突破した私達は次々と勝ち抜いていった……







 

81: 矢橋P 25/02/28(金) 19:36:30 ID:F373
そして……


七月下旬 市内グラウンド





  【野球部-地方地区予選】


  ≪トーナメント決勝戦≫


 
 

82: 矢橋P 25/02/28(金) 20:18:04 ID:F373


ザワザワ ザワザワ ザワザワ





軽井「何だよ、この人だかりは!」

冴花「地元の記者の取材班みたいね」

冴花「あの校長があちこちに宣伝して回ったみたいよ」

冴花「混黒高校から抜け出した開拓高校が地方地区予選大会の決勝戦、これを勝てば甲子園というところで混黒高校と当たるってね」


未来「つまり大勢の前で私達が負ける様を見せつけたいってことだね」

澄原「あの校長が考えそうなことだね」

カンタ「趣味悪いでやんす」
 

83: 矢橋P 25/02/28(金) 20:19:12 ID:F373

杉田「どうしょう……僕こんな大勢の前でプレイしたことないよ……」

詰井「俺もだよ……」





昴「みんな、しゃきっとしろ!」


「「「監督!」」」


昴「甲子園はこんなもんじゃないぜ。こんなんでビビったらどうすんだよ」

千羽矢「みんな、ファイトー!」
 

84: 矢橋P 25/02/28(金) 20:23:42 ID:F373

詰井「そうだな。むしろいい予行練習だぜ」

杉田「そうだね!」

冴花(監督が甲子園経験者なの非常に頼もしいです)




昴「なあ、みんな。勝負の世界って厳しいんだ。ここで負けたら全て終わり」

昴「甲子園の夢も、これまで必死に練習してきたことも、他の分校から受け取った思いも全部さ」

昴「だから、ぜったい勝とうぜ!」



「「「おおーーーっ!!!」」」







 
 

85: 矢橋P 25/02/28(金) 20:24:47 ID:F373


餅田「未来ちゃん……」

未来「餅田くん…………」



餅田「オイラあれから混黒高校の野球部のキャプテンになったでやんすよ」

未来「すごいよ。よく頑張ったね餅田くん」

 

86: 矢橋P 25/02/28(金) 20:25:05 ID:F373

餅田(出来れば未来ちゃんと一緒に甲子園へ行きたかったでやんす)

餅田(でもそれはあり得ないことだったのでやんす。それに初めて会った時から……)

餅田(未来ちゃんはオイラのライバルになる。そんな予感もしてたでやんす)
 

87: 矢橋P 25/02/28(金) 20:25:56 ID:F373


餅田「オイラは未来ちゃんを倒して甲子園に行くでやんす」

餅田「もううちのチームに開拓高校を馬鹿にしている選手は一人もいないでやんす。前みたいな油断はないでやんすよ」

未来「私も同じ気持ち。餅田くんを倒して初めて甲子園に行くんだ!」





 

88: 矢橋P 25/02/28(金) 20:26:37 ID:F373

≪トーナメント決勝戦≫
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 開拓高校 CPT 春日未来
 
  VS
 
 混黒高校 CPT 餅田   
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 

89: 矢橋P 25/02/28(金) 20:35:00 ID:F373
同時刻

市内 音楽ホール



ザワザワ ザワザワ ザワザワ





静香「こっちもすごい人ね」

麻美「テレビ中継まで来てるよ……」
 

90: 矢橋P 25/02/28(金) 20:37:11 ID:F373

志保「ims甲子園も野球の甲子園に日程を合わせているから日にちが重なるのはわかるのだけど……」

志保「開拓高校と混黒高校、両方とも決勝戦で当たるってのは出来すぎてない?」

由良里「どうも福山校長が手を回したみたいですよ。決勝戦で当たるように」

志保「それでこの騒ぎなの」ハァ

麻美「まあ話題になるよね。因縁の対決が野球部とアイドル部で同時に行われるんだもん」


静香「外野がいくら騒いでも関係ないわ。私達はアイドルだもの」
 

91: 矢橋P 25/02/28(金) 20:38:12 ID:F373


翼「やっほ~。静香ちゃん」

静香「……翼」



翼「やっぱり静香ちゃんは私の最高のライバルだね」

翼「ねぇ。前に話した決着をさ、今度こそ付けようよ」

静香「あれは前回で翼の勝ちになったじゃない」
 

92: 矢橋P 25/02/28(金) 20:39:33 ID:F373

翼「あはは~、あんなの無し無し。ノーカンだよ」

翼「あんな、勝っても負けても静香ちゃんだけ損して私が何も負わない勝負なんかで決着付けても納得出来ないの」

翼「私と静香ちゃん、ims甲子園に行けるのはどっちか一人だけ」

翼「その切符を取り合うこの勝負こそ、あの七年前のセンター争いの決着にふさわしいんだよ」

静香「……あなたが納得するならそれでいいけど、私は負けないわよ」
 

93: 矢橋P 25/02/28(金) 20:49:41 ID:F373

翼「そう来なくっちゃ。燃えてきた~」ペロリ

静香(あの目……翼が本気になった時の目だ)

志保(私も知ってるけど……何度見ても圧倒されるわね)

可奈(獲物を逃さない狩人の目。めったにならないけどあの目になった翼が欲しいものを手に入れられなかった時はないわ)

翼「私もims甲子園に行きたいからね。静香ちゃんでも……誰だろうと渡さないよ」







 

94: 矢橋P 25/02/28(金) 20:50:30 ID:F373






会場の隅



ホンフー「残ったのはやはりあの二人でしたか。天に二日無しとは良く言ったものです」

ホンフー「さあ、見物させてもらうわよ。アイドルさん」

 

95: 矢橋P 25/02/28(金) 20:51:40 ID:F373



とある建物




テレビ<ワーワー



朋花「…………」



ガチャ


美也「おや朋花ちゃん~。その試合が気になるのですか~」

朋花「美也さん……」

96: 矢橋P 25/02/28(金) 20:52:26 ID:F373


紬「お二人とも、お茶を用意しました」サッ

朋花「いただきますね~」スッ

美也「おやこの娘は。朋花ちゃんが一回スカウトしたことある娘でしたか~」

美也「何で朋花ちゃんはスカウトを諦めたんですか」

朋花「さあ、どうしてでしょうね~」

朋花(もしかしたら……この二人の対決は運命で決まっていたことなのかもしれませんね)






 

97: 矢橋P 25/02/28(金) 20:53:21 ID:F373

【アイドル部-地方地区予選】

≪トーナメント最終戦≫
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー-ー
 開拓高校 
inferno      リーダー 最上静香  
               &北沢志保
       VS
 混黒高校 
マグス       リーダー 伊吹翼
               &矢吹可奈
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 

98: 矢橋P 25/02/28(金) 20:57:36 ID:F373

翼「さてどっちが先にパフォーマンスするかじゃんけんで決めよっか」

静香「……私達からでいいわよ」

翼「あれっ、いいの?それとも秘策ありって感じかな」

翼「それじゃお言葉に甘えて静香ちゃん達のパフォーマンスを先に見させてもらうね」

スタスタスタ





可奈「あのことは言わなくていいの?」

翼「あれは私が勝手にやったことだよ。静香ちゃんは関係ないの~」

99: 矢橋P 25/03/01(土) 01:42:46 ID:WQNq

静香「それじゃ麻美、由良里さん。準備をお願い」

麻美「わかったよっ!」






翼(さ~て、あの静香ちゃんの顔。何かありそうだったけど)




パッ
ジャンジャンジャジャジャジャジャン!

100: 矢橋P 25/03/01(土) 01:43:29 ID:WQNq




可奈「この曲は……」

翼(確かアップテンポで激しいダンスナンバーな曲だね)

翼(意外だなぁ、静香ちゃんはそういう曲より王道アイドルソングとかの方が好きだったと思うけど)

翼(前回私達が踊ろうとした曲もダンサンブルな曲だったね。もしかして意趣返しのつもりかな?)

101: 矢橋P 25/03/01(土) 01:48:12 ID:WQNq

ダン!ダン!ダダダン!ダン!ダン!ダダダン!





ザワザワザワザワ


可奈「最初から飛ばすわねあの二人」

翼「そうだね~。でも審査員も少し戸惑っているみたい。ウケが悪いみたいだし私達が踊る時はダンス系は外そっか」

翼(策がありげだったわりには審査員の好みから外れているよ静香ちゃん。わざとじゃないみたいだし、どういうことかな~?)

102: 矢橋P 25/03/01(土) 01:50:13 ID:WQNq

ダダダン!ダダダン!ダダダダダダン!






「おいおい……」

「これは……」





可奈「まさかあの二人、最後まであの激しいペースで行くつもりなの」

可奈「無謀ね。体力が持つわけがない」

翼「……」
 

103: 矢橋P 25/03/01(土) 01:51:34 ID:WQNq

ダダダダダダン!ダダダダダダダダダン!


「やめないぞ!あの二人、少しもダンスを緩めない!」







翼「そういうことか……考えたね静香ちゃん」

翼(私と可奈じゃあれは真似出来ない。これじゃ見たって参考にならないかな)

翼(これだったらむしろ先攻を取って先に見せつけた方がいい。……やられたなぁ)

104: 矢橋P 25/03/01(土) 01:54:37 ID:WQNq

静香(どう、翼。私と志保は体力だけなら絶対負けないもの!)ダダダン

志保(野球部同様、あんだけ山の中をランニングしたアイドル部は私達しかいないでしょうね)ダダダン









可奈「それで、どうするの翼。また変更するの?」

翼「可奈……。私達、本気出そっか」

可奈「へぇ。翼の方からそう言ってくるなんてね」

翼「ダンス系が好きでもなかった審査員達が圧倒されてる」

翼「こうなったら好みなんて関係ないよ。むしろ下手な戦術は小賢しいだけかな。あの二人のパフォーマンスの前じゃね」

翼「策なんかいらない。後は私達も全力でぶつけるだけだよ」

可奈「私はその方がやりやすいかな~。志保ちゃんに感謝だね」

105: 矢橋P 25/03/01(土) 01:55:35 ID:WQNq
ダダダン!

静香&志保「……」ビシッ







\パチパチ/ \パチパチ/ \パチパチ/

ワーー ワーー ワーー





麻美「すごい、すごい反響だよ静香ちゃん、志保ちゃん」

由良里「お二人ともこれ以上にないパフォーマンスでした」

106: 矢橋P 25/03/01(土) 01:56:43 ID:WQNq

翼「……それじゃ行こっか可奈」

可奈「そうね、勝つのは最強のコンビ。私達マグスよ!」











 

107: 矢橋P 25/03/01(土) 01:59:17 ID:WQNq
そして






ジ~~~ン



\パチパチ/ \パチパチ/ \パチパチ/



ワーーワーーワーー




麻美「ううっ。相手も凄い反響だよ」

由良里「流石でしたね。これでわからなくなりました」

志保「完全に私達の空気だったのに戻されてしまったわね」

静香(……見事なパフォーマンスだったわよ、翼)

108: 矢橋P 25/03/01(土) 02:00:42 ID:WQNq
「それでは判定に入ります」




静香「……」ドキドキ

志保「……」ジワ…



≪アイドル試合 試合結果≫

開拓高校 46 43 47 42 44 計 222 win

混黒高校 45 45 46 43 41 計 220
 

109: 矢橋P 25/03/01(土) 02:02:04 ID:WQNq

「地区予選を突破したのは開拓高校でーーーす!」






麻美「やったーーー!」

静香「……」ポカーン

麻美「あれ、静香ちゃんどうしたの」

静香「何だか実感湧かないの」

静香「勝てるとも思ったし負けてもおかしくなかったもの」

静香(……でも、これでims甲子園に行けるのよね)

110: 矢橋P 25/03/01(土) 02:03:27 ID:WQNq





翼「あはは……。すごかったよ静香ちゃん」

静香「翼……。いい勝負だったわ」

翼「いい勝負だった……けどね。勝てたらもっと嬉しかったかな」

静香「これで一勝一敗よ。ようやくあなたに並んだの。また勝負しましょう」
 

111: 矢橋P 25/03/01(土) 02:04:22 ID:WQNq

翼「うん……そうだね」


スタスタスタ




麻美「あ……」

静香(これで良かったのよね。………翼)








 

112: 矢橋P 25/03/01(土) 02:05:36 ID:WQNq
廊下






翼「……」

可奈「ちょっと!あんたどこ行ってるの。まだ整列が……」


ガバッ

翼「可奈ーーー!」ブアッ

翼「勝ちたかった。勝ちたかったよ」グスグス

翼「ims甲子園に行きたかった。ims甲子園に行きたかったよぉーー」グスグス

113: 矢橋P 25/03/01(土) 02:06:37 ID:WQNq


可奈「……」

可奈「馬鹿ね。アイドルが泣いちゃ駄目じゃない」

可奈「ほら、整列があるんだから。涙拭いて」

翼「う、うん。そうだよね!」グイッ

翼「整列に行くよっ。負けても爽やか混黒高校!」









 

114: 矢橋P 25/03/01(土) 02:08:09 ID:WQNq

市内グラウンド


九回裏

混黒3ー3開拓


開拓の攻撃 一アウト、ランナー無し


 

115: 矢橋P 25/03/01(土) 02:10:21 ID:WQNq

餅田「このっ」



ヒュツ




コンッ




ダダダッ


<セーフ!
 

116: 矢橋P 25/03/01(土) 02:14:30 ID:pqMC

餅田(またセーフティバントでやんすか。1年前は使ってこなかったのに……)

餅田(そして次の打者が……)








未来「……」グッ


餅田(未来ちゃんでやんすか)

117: 矢橋P 25/03/01(土) 02:15:56 ID:pqMC

ダッ!




ヒュッ




<セーフ!





餅田(そして直ぐに盗塁。本当に厄介なチームになったでやんす)

餅田(でも成長したのはそちらだけでないでやんすよ)

118: 矢橋P 25/03/01(土) 02:17:01 ID:pqMC



ヒュッ



未来(えい)ブン


ググッ

未来(えっ、スクリューがここまで曲がるなんて、いけない!)





コーーーーン

119: 矢橋P 25/03/01(土) 07:04:35 ID:WQNq

餅田(とっさに反応したのは流石でやんすけど外野フライでやんすね。未来ちゃんを討ち取ったでやんす)


未来「この打席は餅田くんの勝ちだね。でも……」




ダダダッ



餅田「しまった、まだワンアウトだったでやんすー!」


未来「チームとしては私の勝ちなんだよ」




混黒高校センター「くそっ、間に合わねぇ」ブン

昴「犠牲フライでも一点は一点だからな」
 

120: 矢橋P 25/03/01(土) 07:06:14 ID:WQNq

九能「……負けか。去年といい、この二年間彼らには振り回されっぱなしだな」

九能「春日……行ってこい、甲子園に!」








<ピーーーーッ



試合終了
混黒高校3ー4開拓高校
開拓高校の勝利
 
 

121: 矢橋P 25/03/01(土) 07:17:23 ID:WQNq
ひとまずここまで

この話を書いている時はパワポケ13の『逆襲の時!』を聞きながら書いていました


ここからオタク特有早口

逆襲の時!という曲はサクセスで一回しか流れない曲
開拓高校が混黒高校との因縁の決着をつける時
主人公と対決するため敢えて混黒高校に戻った幼馴染みのライバルと戦う時に流れる曲です
そしてロッテの藤原恭大の応援歌の元となった数多いゲームの曲でも凄い曲でもあります
一回聴いてみてほしいです

123: 矢橋P 25/03/01(土) 07:31:14 ID:WQNq

あと静香の家庭問題にも少し触れました
ミリアニでは綺麗に解決しましたがミリアニが出る前は静香の父はみんなこんなイメージだったかと思います
自分は家庭問題をごちゃごちゃ触るのは好きじゃないのでこれ以上深くは触れませんが
あらためて考えると静香って真面目で
良い反応されないとわかってても父親にはちゃんと言うんですよね、アイドルのこと
隠してアイドルになるとも思わず、父親が高校生までに辞めろと言われれば否定しない
といって父親が好きなわけでも依存しているわけでもない。むしろ嫌い寄り
14歳ゆえではありますが今回考えさせられました

124: 矢橋P 25/03/01(土) 07:36:48 ID:WQNq
>>122
ご視聴感謝します

気付いてくれて嬉しいです
パワポケ13の試合曲は 反撃の時!→逆襲の時!→挑戦の時! って変わっていくところが大好きです
混黒高校との因縁はこれで終わり。これから静香達は甲子園に目がけていきます
いよいよタイトル通り 挑戦の時! が始まります

125: 矢橋P 25/03/01(土) 16:19:15 ID:WQNq
続き投稿します



 

126: 矢橋P 25/03/01(土) 16:19:51 ID:WQNq



喜沢「昴先生、野球部及びアイドル部の甲子園おめでとう」

昴「オレだけのおかげじゃないけどな。特に最近アイドル部は紗代子や麗花に任せっきりだし」

恵理「でも昴先生の評判はうちのクラスの生徒にもすごく良いよ」

昴「照れるからやめてくれよ。……それにこれからだろ、大変なのは」

喜沢「そうですな。引率等もありますが移動費に宿泊費……甲子園には”ただ”で行けませんからな」

恵理「大変だけど……私達大人の仕事だもんね。生徒達に負担はかけられないよ」






 

127: 矢橋P 25/03/01(土) 16:21:21 ID:WQNq
決勝戦から数日後


開拓高校 部室







麻美「ims甲子園~。ims甲子園~」

静香「麻美、浮かれすぎよ」

麻美「だって楽しみじゃん。いったいどんな大会なんだろ~」

静香(……かく言う私もドキドキしている。じっとしていると頭に浮かぶぐらいには)
 

128: 矢橋P 25/03/01(土) 16:22:18 ID:WQNq

志保「でも言われてみれば、私達ims甲子園のこと詳しく知らないのよね」

由良里「本校に勝つことで精一杯でしたから。とてもこの先まで考えている余裕はなかったです」




ガチャ


紗代子「静香ちゃんに志保ちゃん。アイドル部にお客様だよ」

志保「お客様。私達に?」

静香「唯香さんか正さんかな」







 

129: 矢橋P 25/03/01(土) 16:23:20 ID:WQNq


翼「やっほ~。静香ちゃん、遊びに来ちゃった♪」

可奈「…………」


静香「つばさぁ!?」

志保「……それに可奈も」


静香「あなた部活はどうしたのよ」

翼「アイドル部のこと?混黒高校のアイドル部と野球部は負けた罰で1ヶ月間部活動停止」

翼「だから、めちゃくちゃ暇でさ~。どうせならってことで静香ちゃんに会いに来たんだ」

静香「……」

翼「あれもしかして気にしてるの~?私としてはims甲子園を観戦する時間が増えてラッキー♪って感じだけど」

静香「……強いわね翼」






 

130: 矢橋P 25/03/01(土) 16:24:13 ID:WQNq

可奈「はぁ?ims甲子園についてよく知らない?」

可奈「よくそんなんでims甲子園に行こうとしたわね」


志保「悪かったわね。あなた達二人を倒すことで精一杯で」

志保「まあおかげでこの通り勝てたのだけど」フッ

可奈「本当にそうなのがムカつくわね……」ググ…
 

131: 矢橋P 25/03/01(土) 16:24:57 ID:WQNq

翼「まあまあ。それじゃ私達が教えてあげよっか~」

由良里「去年のデータなら私がある程度は集めてますが……」


可奈「はぁ……。それがもう古いって言ってるのよ」

静香「どういうこと?」

可奈「いい?まず今年のims甲子園は去年のims甲子園とは別物だって思いなさい」
 

132: 矢橋P 25/03/01(土) 16:25:50 ID:WQNq

可奈「去年華々しく開催されたims甲子園だけど……どこか盛り上がりに欠けたと思わない?」

由良里「確かにそうですね」

麻美「最初は騒がれてたけど直ぐに誰も話題にしなくなったよ」

可奈「記念すべき第一回なのにね。それで主催者側もこれじゃいけないということで今年はよりパワーアップしてるのよ」

可奈「まあ去年が初の試みということで色々至らないところもあったって理由もあったみたいだけど」
 

133: 矢橋P 25/03/01(土) 16:27:38 ID:WQNq

志保「それで、具体的には何が違うの」

可奈「まずはテレビ中継が入ること。これで現地に行かなくても観戦出来る」

由良里「去年は現地に行った人しか共有出来なかったですからね。これは大きいです」

可奈「それと前から建設していたアイドル対決用のステージを想定したホールが今年の始めにようやく完成したの。今年から対戦はそこで行われる」

翼「それがある場所が甲子園球場のすぐそばなんだよ~」

可奈「ims甲子園を甲子園球場の近くの会場でやって最後まで勝ち残ったアイドル部が甲子園球場で合流」

可奈「最後に優勝した野球部と一緒に表彰を受ける……って演出ね」


麻美「はえー。それは盛り上がりそうだね」

静香「正に女の子でも甲子園の地に踏めるというキャッチコピーに偽り無しね」
 

134: 矢橋P 25/03/01(土) 16:28:29 ID:WQNq

麻美「でもそのためだけに甲子園の近くに会場を建設したんだ。運営もすごい豪勢だね~」

可奈「当たり前じゃない。ims甲子園のスポンサーはあの”ツナミ”なんだから」

静香「!!」

可奈「ツナミ肝いりで始めたims甲子園が盛り上がらないってんじゃ、そりゃツナミも黙ってないでしょうね」

静香「……」


 

135: 矢橋P 25/03/01(土) 16:29:53 ID:WQNq

麻美「そっかそっかー。それじゃ未来ちゃんと静香ちゃん、二人とも甲子園で表彰される可能性もあるよねっ!」



可奈「ふふっ、可笑しい」クスクス

麻美「ど、どうしたの?」


可奈「本当に、おめでたいわね」

翼「実は今日はね。私達これを言いに来たんだ~」

可奈「未来達の野球部はともかく、あなた達アイドル部がims甲子園優勝なんて、無・理・よ」

136: 矢橋P 25/03/01(土) 16:30:30 ID:WQNq

志保「……何ですって」

静香「やってみないとわからないじゃない!」



可奈「わかるわよ」

静香「な……」

可奈「今のあなた達じゃ絶対に無理。私と翼にかろうじて勝てるぐらいじゃあの女には勝てないわ」
 

137: 矢橋P 25/03/01(土) 16:31:30 ID:WQNq

由良里「……”絶対女王”ですか」

可奈「あら、知っているんじゃない」

静香「その人、誰なの」



翼「初星学園の一番星。去年のims甲子園の優勝者。そして二年前、私と可奈が負けた人……だよ」

可奈「というか彼女、出場した大会で負けたことが一回もないんだけどね」

由良里「まさかそんなことが……」
 

138: 矢橋P 25/03/01(土) 16:32:37 ID:WQNq

翼「容姿、声、歌、ダンス。全てにおいてパーフェクトと言われる完璧なアイドル。皇帝(すめら・みかど)」

麻美「でもアイドル対決ってユニットを組んでやるものじゃ……」

可奈「彼女が大会に出る時はソロって決まっているのよ。アイドル育成の老舗、初星学園の生徒達ですら彼女に食らい付ける人はいなかった」

可奈「去年のims甲子園が盛り上がらなかったのはね、どうせ開催しても彼女が優勝するだけだろうって言われていたからよ。そしてあっさりその通りになった。これほど白ける展開はないわね」

可奈「だからあなた達が優勝するのは無理。まあ彼女に当たればいい思い出になるんじゃない?全盛期の彼女にims甲子園で当たって負けました。なんて一生自慢出来るわよ」


 

139: 矢橋P 25/03/01(土) 16:33:47 ID:WQNq

バン!



静香「ふざけないで!そんなのちっとも嬉しいわけないじゃない」

静香「それに私はどうしてもims甲子園を優勝しなきゃいけないの」

麻美(静香ちゃん……)





翼「静香ちゃん~。だから言ってるよね、”今のままだと”って」

志保「あなたまさか……」
 

140: 矢橋P 25/03/01(土) 16:34:59 ID:WQNq

可奈「はい、お喋りはここまで。危機感を持ったことだろうし、即レッスンといきましょ」

翼「静香ちゃん達はこの少ない残り時間で皇さんに勝てるようになってもらわないとね。そうなるまで私達が付き合ってあげる」

静香「翼……」

翼「静香ちゃんには私達が果たせなかった皇さんへのリベンジ。絶対果たしてもらうからね」









事実、甲子園及びims甲子園の開催まで一週間ちょっとしかない
あの翼と可奈が自分達より格上と認めるアイドルがims甲子園には居る……
浮かれている余裕なんか……一つもなかった

141: 矢橋P 25/03/01(土) 18:52:38 ID:WQNq





開拓高校 グラウンド




昴「今日はここまでにしようぜ。片付けはオレと千羽矢に任せてみんなはよく体を休めろよ」

詰井「監督!まだ明るいじゃねーか。もっと練習させてくれよ」

冴花「詰井くん。甲子園を前にして気持ちが高ぶるのはわかるけど落ち着いて」

冴花「甲子園まで1週間ぐらいのこの時期に猛練習してどうするの?ケガでもしたら取り返しつかないのよ」

詰井「う……」

昴「そういうことだな。今まで暗くなっても練習してたから慣れない気持ちはわかるけどな」
 

142: 矢橋P 25/03/01(土) 18:54:27 ID:WQNq


未来「昴監督。時間があるなら話してくれませんか、昴監督のこと」

杉田「そうだ。甲子園の出場が決まったら話してくれるって約束だよね」

昴「そうだったな。自分語りになるけどな……」







 

143: 矢橋P 25/03/01(土) 18:55:23 ID:WQNq

オレはさ。実はサイボーグなんだよ
オレが15歳の時からだな

おいおい、そんなに驚くことじゃねって
トレーニングもしてないただの女性用務員が若いお前たちと一緒に平気でランニング出来たり高校顔負けの球投げれたり出来るわけないだろ?


まあサイボーグになったいきさつは端折るけどな

なに、知りたい? ダメだ。教えねー
 

144: 矢橋P 25/03/01(土) 18:58:06 ID:WQNq

それで、オレは中学生の頃には野球大好き少年……いや少女か
だったんだけどサイボーグになった時から公式での野球は諦めた


えっ、辛くなかったかって?そりゃ嫌だったさ
でもあの時はそれ以上に大事なもんがあったしな

 

145: 矢橋P 25/03/01(土) 18:58:27 ID:WQNq

そしてそのまま高校生二年生になった時、野良試合に誘われたんだよ
久々の野球に飢えていたオレは悩んだけど誘いを受けた
まあ野良試合なら記録に残らないだろうって思って

でも……オレが九回無失点で終わらせたその試合は公式試合だった
気付いたのは終わってからさ

もう二度と試合に出ない!って言おうとした言葉は目をキラキラして泣いて喜ぶチームメイトを前にしたら引っ込んでさ

結局、先発で出る代わりに5回までしか投げないって条件を監督に突きつけてオレは正式に野球部員なって甲子園目指すことになったのさ




 
 

146: 矢橋P 25/03/01(土) 18:58:55 ID:WQNq

昴「で、禁忌まで犯して大会に出て甲子園まで行った永吉昴くんのチームは甲子園の二回戦で敗退しました」

昴「そんな手加減しながらの騙し騙しの野球で優勝出来るところじゃなかったな甲子園は」

昴「つまらない話だったろ」




詰井「…………」

杉田(監督がすごい理由がわかったけど……)

下山(なんかな……)

カンタ(昴お姉ちゃん……)

147: 矢橋P 25/03/01(土) 18:59:22 ID:WQNq



未来「……たとえサイボーグでも昴監督は最高の監督です」

未来「女の子の私が甲子園に行けるのは昴監督のおかげです」


昴「……ありがとな」
 

148: 矢橋P 25/03/01(土) 18:59:47 ID:WQNq

昴(その話にはみんなに言えない続きがあるんだ)

昴(その後すぐにオレはアイドルになる決意をした)

昴(元々なりたかったんだけど野球と距離を置きたったのが決め手になったかな)

昴(幸いオレはいいプロデューサー、いい事務所に恵まれて)

昴(1年後にはデビュー出来た)

昴(でも……デビューして1年後にアイツらが脅してきやがった!サイボーグでありながら甲子園に出た偽りの甲子園女子だってな)

昴(程なくしてオレはアイドルを辞めた。あの事務所に迷惑かけるのは嫌だったし、アイツらは事務所ゆすりのお金目当ての脅しだと思っていたからな)

昴(だけどアイツらの目的はお金じゃなかった。オレそのものだったんだ!)
 

149: 矢橋P 25/03/01(土) 19:01:07 ID:WQNq

昴(アイドルを辞めたこと、ふと後悔する時はある)

昴(でも今は……こいつらに出会えたから良かったかな)




そして一週間はあっという間に過ぎていって…………






 

150: 矢橋P 25/03/01(土) 19:01:58 ID:WQNq

開拓高校校門前






喜沢「皆様の多大なるご支援、ありがとうございます」ペコリ

 
 ザワザワ ザワザワ



軽井「俺達を甲子園行かせるために喜沢校長や昴監督や恵理先生は色んなところに頭下げたって話だぜ」ヒソヒソ

杉田「何だか悪いことしちゃったね」ヒソヒソ

151: 矢橋P 25/03/01(土) 19:03:23 ID:WQNq

冴花「そう思うなら尚更頑張ること。私達が出来ることは勝ち続けることだから」

冴花「私達が甲子園で存在感を示せばそれに惹かれてうちの学校の新入生も増えるんだからね」

静香(ますます負けられなくなったわね)




若来「頑張ってね野球部、アイドル部!」


生徒達「開拓魂を見せてやれーー!」




未来「みんなーーっ。見送りありがとう!」







 

152: 矢橋P 25/03/01(土) 19:04:12 ID:WQNq
そして



紗代子「ここがお世話になる民宿だよ」


詰井「広い民宿でみんなと過ごすのもいいもんじゃねーか」

冴花「敗退したら直ぐ帰ることになるからね」

詰井「ちえっ。わかってるよ」


千羽矢「お布団ふかふか~。ここのご飯おいしい?」

詰井「お前は俺達の分まで食うなよ」

昴(千羽矢……外に出れてよかったな)
 

153: 矢橋P 25/03/01(土) 19:05:18 ID:WQNq

紗代子「今日は乗り込みだけ。あとは自由時間だよ」

昴「よし。野球部はランニングしながら甲子園の周りに行ってみるか」

軽井「賛成ー!」

杉田「どきどきするね」



冴花「私は買い物に行こうかしら。色々用意したいものがあるし」

麻美「私も行くーっ」

静香「私も手伝うわ。志保は?」

志保「私はパス。対戦相手の資料を見直したいの」

由来里「私もです。どうか気をつけて行ってください」



 

154: 矢橋P 25/03/01(土) 19:05:57 ID:WQNq







冴花「確かこの辺に……」ウロウロ

麻美「町の外れだけどこんなところにお店があるの?」

冴花「お父さんに教えてもらったの。……あ」

冴花「いえまさか……そんな……」タタタッ

麻美「冴花ちゃんどうしたの?」

静香「ハンバーガーのチェーン店に向かって行ったわね」



 

155: 矢橋P 25/03/01(土) 19:06:37 ID:WQNq


ジオット「…………」モグモグ

冴花「あの……すみません。」


ジオット「おや、お嬢さん。はて、前にどこかで会ったかい?」

冴花「いえ、初対面です。……ツナミグループ会長さんですよね」

ジオット「おや、よく知ってるね。他の大人は誰も気付いていなかったのに」

ジオット「君みたいな女子高校生に気付いてもらえるとはね。少し寂しい思いをしていたところだったんだよ」
 

156: 矢橋P 25/03/01(土) 19:07:59 ID:WQNq

静香「冴花さんこの人は……」

冴花「ツナミグループ全会長。ジオット・セヴェルスさんよ」

麻美「ええ-っ!?」

静香「名前は聞いたことあったけど顔は初めて見ました」

ジオット「日本は甲斐くんに任せているからねぇ。いやぁこの国はいい国だ。僕が一人で食事出来るんだから」

冴花「貴方ほどの方がこんなところでハンバーガーを食べているのに驚きました」
 

157: 矢橋P 25/03/01(土) 19:09:15 ID:WQNq

ジオット「世界一のお金持ちが一人で気楽に食事する自由が無いとでも?世界一のお金持ちは世界一自由だからね」

静香「でも護衛を付けて高級レストランで食事をした方がそれらしいですよ」

ジオット「他人のイメージに合わせるつもりはないね」

ジオット「レストランの食事は堅苦しくて好きじゃない。手間がかかり過ぎて非効率だ」

冴花(なるほど。これが世界一の経営者の考え方なのね)

ジオット「それに僕はスラム街の貧しいところ出身でね。そこじゃこれが一番のご馳走だったんだ。それで今でもハンバーガーを食べてるわけさ」

麻美(ツナミグループの会長さんにそんな過去が……)

冴花「なるほど。初心を忘れないようにってことですね」
 

158: 矢橋P 25/03/01(土) 19:16:48 ID:pqMC


冴花「ジオット会長は何故日本に?」

ジオット「式典の迎賓。つまらん行事だよ。退屈だから抜け出して来たんだ。僕は世界一自由だからね」

麻美(ええ……)
 

159: 矢橋P 25/03/01(土) 19:17:28 ID:pqMC

ジオット「まったく、どこの国でもそうだがサンタクロースを信じている人が多くて困るよ」ハァ

冴花「でも大人になったら誰だってサンタクロースは信じてないですよ」

ジオット「そうかな。みんな“良い子にしていたらプレゼントを貰える“って本気で信じているけど?」

ジオット「良い子にしていたら親切なおじさんがプレゼントをくれるのかい?」

冴花「それは……」
 

160: 矢橋P 25/03/01(土) 19:18:36 ID:pqMC
ジオット「真面目に生きているだけでいつか幸せになれる?甲子園に行きたいって言っていたら甲子園に行けるのかい?アイドルになりたいって願っていればアイドルになれるのかい?」

静香「!!」


ジオット「そんなわけないだろう。目標があるんだったらそれに向かって努力しなきゃ、一センチも前に進めやしない。いい子にしていたって誰も靴下に玩具を入れてくれたりしないのさ」

ジオット「まあ君達には要らない忠告だろうけどね」
 

161: 矢橋P 25/03/01(土) 22:47:05 ID:WQNq

冴花「……気付いてたんですか。私達が甲子園に出ること」

ジオット「人を見る目が僕の自慢なんだ。街の外れで平日のこんな時間に見慣れない制服を着た浮ついた生徒がいれば大体察しがつくよ」


ジオット「……護衛に見つかったようだし戻ろうかな。僕はこの辺で失礼するよ」


スタスタスタ







麻美「とんでもない人だったね……」

静香(あれがツナミグループ全会長……)







 

162: 矢橋P 25/03/01(土) 22:48:45 ID:WQNq
翌日


阪神甲子園球場
全国高等学校野球選手権大会 開会式







炎上「……力の限り正々堂々戦うことを誓います。選手代表 サンダー学園 炎上剛」





パチパチ パチパチ パチパチ

163: 矢橋P 25/03/01(土) 22:49:33 ID:WQNq



開会式終了後


杉田「ここが甲子園かぁ。昨日は外から眺めるだけだったけど……」

下山「何だかすごいところに来てしまったね」


未来(黙っていても胸が熱くなる。ここが甲子園なんだ)




ガヤガヤ


記者1「あの、春日未来選手ですよね?」

記者2「甲子園女子でかつキャプテンというのは前代未聞ということみたいですが何か意気込みやコメントは?」グイッ

未来「あわわっ、急に言われても……」

164: 矢橋P 25/03/01(土) 22:50:19 ID:WQNq


昴「駄目です。急な取材はお断りしていますので」エイギョウスマイル

記者1「そこを何とか」

冴花「規約じゃ一回戦を勝ち上がらないと甲子園女子としてカウントされないのでは?騒ぐのはその後でもいいと思うんですよね」

記者2「それもそうか」

記者1「また後日取材します」


バタバタ



165: 矢橋P 25/03/01(土) 22:51:52 ID:WQNq


未来「ひえ~」

冴花「春日さん。あんなのまともに取り合わなくていいのよ」

昴「やれやれ。次から考えなきゃな」

昴(アイドル部はどうなっているかな)









 


166: 矢橋P 25/03/01(土) 22:52:22 ID:WQNq
ツナミグループims甲子園アリーナ

ims甲子園開会式







アナウンス「それでは前大会の優勝者、初星学園の皇帝さんが今回も出場していますので選手を代表して挨拶をしてもらいます」


パチパチ パチパチ パチパチ

167: 矢橋P 25/03/01(土) 22:53:25 ID:WQNq

帝「……」グイッ

帝「ここにいるアイドルの皆さんは何をしにはるばるこのims甲子園アリーナまで来ましたか?」

帝「まさかただ公衆の場で踊りたいだけではないでしょう。ims甲子園の優勝を狙っていることと思います」

帝「さて、私ですが……優勝に興味ありません。去年してしまいましたから」

帝「正直、燃えてもいません。興味ないことに体裁だけでも熱を入れられるような人間でもありませんので」

帝「でも周りは私が優勝するって思っているみたいです。実力があり過ぎるのも困りものですね」
 

168: 矢橋P 25/03/01(土) 22:54:15 ID:WQNq

帝「私の発言を不快に思った方、私と当たった場合どうぞ蹴落としてもらってけっこうです。去年の優勝者だからといって畏怖することも遠慮する必要もないですから」

帝「ただし、興味は無いと言いましたが私は勝負には……アイドルとしてパフォーマンスをする時は一切手を抜きません。たとえ相手が折れてしまっていてもね」

帝「ここは既にアイドルの戦場です。みんなで仲良く、見ている人を幸せに出来ればいい。……なんて考えは捨てなさい。この中の誰かが私を下してくれることを望んでいます。以上」


カッカッカッ




アナウンス「え……っと、いやはやその……」

 

169: 矢橋P 25/03/01(土) 22:54:53 ID:WQNq





奈緒「へーぇ。噂以上に際どいやん」

静香「……」

志保「……」



十四番「……」








 

170: 矢橋P 25/03/01(土) 22:55:40 ID:WQNq
ims甲子園 開会式終了後





麻美「……その、嫌な人だったね帝さん」

志保「言葉じりはそうだけどね。彼女、演技なんかじゃなくて本気でそう思っているわよ」

静香「ええ。自分の実力に絶対の自信があってのあの発言。怒りが沸くよりも気圧されるわね」

由良里「想像以上に恐ろしい相手のようです」
 

171: 矢橋P 25/03/01(土) 22:56:15 ID:WQNq


十四番「……」スタスタ





麻美「あの人もims甲子園に出場している人だ。アイドル部なのに変なマスク着けているんだよね」

由良里「麻美ちゃん。あれはホッケーマスクというものですよ」

由良里「今回初出場の選手みたいです。所属している高校は”十三番高校”だったかと」








 

172: 矢橋P 25/03/01(土) 22:57:07 ID:WQNq

甲子園球場







昴「開会式も終わったし一旦宿に戻るか」

詰井「悪い、ちょっとトイレ行ってくる」

冴花「もう、早く行きなさい」
 

173: 矢橋P 25/03/01(土) 22:58:11 ID:WQNq




詰井「やべっ。いやに長引いたぜ」タタタッ


十一番「……」スタスタ



ドン!

ポロッ



詰井「ごめん。ぶつかっちまった……あっ」

詰井「その顔、お前大畠じゃねーか!」
 

174: 矢橋P 25/03/01(土) 22:59:07 ID:WQNq

十一番「!!」サッ

十一番「誰だよそいつ、人違いだろ」

詰井「とぼけんなよ。慌ててマスクで顔を隠してもわかるぜ。その声は大畠だ」




未来「詰井く~ん、まだ~?ってあれ?どうかしたの」


十一番「!!」

十一番「うるせぇ!ヒノキめ」

十一番「俺はお前達みたいにお気楽でやってるわけじゃねぇ!」


タタタッ

175: 矢橋P 25/03/01(土) 22:59:42 ID:WQNq

未来「ヒノキ?」

詰井「おい、待てよ!」








 

176: 矢橋P 25/03/01(土) 23:00:16 ID:WQNq
そして 

民宿





詰井「……ってことがあったんだ」

冴花「大畠くんが!?見間違いじゃないのよね」

詰井「ああ。あの顔は間違いなく大畠だった。体格は別人みたいだったがな」
 

177: 矢橋P 25/03/01(土) 23:01:01 ID:WQNq

未来「大畠くんって……」

静香「私が開拓高校に来る前に転入してきた人よね」

志保「転入してきた時期が私と同じだったから私は顔を見たことあるけど」

冴花「そう。そして私達と馴れ合うことをしないままどこかに行ったのよ。てっきり混黒高校から逃げ出したのかと思っていたのだけど……」

由良里「なぜその人がこんなところに居て甲子園に出場しているのでしょうか」
 

178: 矢橋P 25/03/02(日) 06:24:49 ID:7Uib

未来「しかも変なマスクを着けていたよ」

杉田「そういえば全員変なマスクを着けていたチームがいたよね。この暑い夏に開会式中もずっと着けてて変なチームだったよ」

麻美「野球部にもいたの?全員マスクを着けたチームはアイドル部にもいたよ。確か十三番高校だよね」

詰井「それだ、間違いない!」

軽井「おいおい、十三番高校って名前だからホッケーマスク着けているのかよ」

カンタ「不気味なやつらだね」
 

179: 矢橋P 25/03/02(日) 06:25:38 ID:7Uib

静香「……」

志保「静香どうかしたの?」

静香「十三番……十三番目のキャンパス、そうだ!」

静香「詰井くん、前に混黒高校には十二番目の分校が隠されていて落ちこぼれはそこに引きずり込まれるって前に話していたわよね」

麻美「まさかそれが……十三番高校だってこと?」





 


180: 矢橋P 25/03/02(日) 06:27:17 ID:7Uib





十一番「開拓高校?アイツら甲子園まで来やがって……ふざけやがって、ふざけやがって!」





~回想~



二年前 混黒高校校長室





大畠「えっ、移動?」

福山校長「九能監督の報告によれば君は本校に相応しくない。開拓分校に移ってもらいます」
 

181: 矢橋P 25/03/02(日) 06:28:03 ID:7Uib

大畠「そんな、ぼく頑張ります。みんなに追いつくために練習だってもっとたくさん……」

福山校長「君はアスナロという木を知っているかね」

大畠「え……」

福山校長「檜に非常によく似た木でね。一流の木材の檜に明日はなろう明日はなろうって思っているからアスナロという名前だそうです」

大畠「はあ……」

福山校長「残酷な話です。アスナロはどんなに頑張っても檜にはなれない。いつまでもアスナロのままです」

大畠「!!」



 

182: 矢橋P 25/03/02(日) 06:29:42 ID:7Uib
回想終わり




十一番「俺は間違っちゃいない。こうして甲子園まで来れたんだ」

十一番「ケッ、何がヒノキだアスナロだ。燃え尽きて灰になっちまえば大して変わりやしねえ」










こうして開会式から色んなことがあり一抹の不安を抱きながらも甲子園大会はスタートした…………

183: 矢橋P 25/03/02(日) 06:30:30 ID:7Uib




184: 矢橋P 25/03/02(日) 06:31:25 ID:7Uib
次の日

甲子園球場







    \ワァーーーーーーッ/




下山「改めてグラウンドに立つと甲子園はすごいな」

杉田「ミスらないようにプレイ出来るかな……」
 

185: 矢橋P 25/03/02(日) 06:32:25 ID:7Uib

冴花「私達の第一回戦の相手は鉄砂高校。昨日説明したデータは頭に入ってる?」


詰井「何度も甲子園に出場している常連。甲子園については経験者豊富」

未来「私達と同じ守備重視のチームだね」

軽井「打撃力はやや低いけど小技を使ってくる」

澄原「特に要注意が佐藤兄弟のバッテリーだね」

杉田「兄が投手で弟が捕手。息がピッタリみたいだね」



昴「よし充分だ。これがオレ達の甲子園の初陣だ」

昴「ここは全国の野球球児の憧れ。しっかりプレイしてしっかり楽しんでこい!」




「「「「はい!!」」」」


 

186: 矢橋P 25/03/02(日) 06:32:55 ID:7Uib

【甲子園大会】
≪トーナメント第一回戦≫
ーーーーーーーーーーーーーーー
 開拓高校 CPT 春日未来
 
  VS
 
 鉄砂高校 CPT 佐藤翔太  
ーーーーーーーーーーーーーーー
 

187: 矢橋P 25/03/02(日) 06:33:32 ID:7Uib
同時刻

ツナミims甲子園アリーナ






由良里「私達の初陣の相手は聖ジャスミン女学院です」

静香「関西ではとても有名な女子校よね」

麻美「女学院かぁ~。どんな生徒なんだろ~」

188: 矢橋P 25/03/02(日) 06:34:21 ID:7Uib

奈緒「皆様、ごきげんよう」ペコリ

静香「ごきげんよう」

麻美(すごい。これがお嬢様学校のあいさつ)



奈緒「今回皆様のお相手を務めます私達のユニット名はJus-2-Mint(ジャスミン)。これは私達の女学院の創設者、ジャスミンお姉様の名前を有り難くもいただいたものです」

麻美(喋り方も上品だぁ。憧れちゃうな~)
 

189: 矢橋P 25/03/02(日) 06:35:37 ID:7Uib

奈緒「だから………………もうええわ」

麻美「えっ」

奈緒「もうこんな堅苦しい喋りかた嫌や!」
 

190: 矢橋P 25/03/02(日) 06:36:21 ID:7Uib

美奈子「駄目だよ奈緒ちゃん。急に我に返ったら」

奈緒「美奈子。何のためにあの学院抜け出してこの甲子園まで来たと思っているんや」

奈緒「ええか!あんたらはこの私と美奈子の最強コンビ。Jus-2-Mintがギッタギタのボッコボコにしてあげるから覚悟せいや!」

奈緒「あー、言いたいこと言ったらすっきりした」


スタスタスタ




静香「…………」アゼン

麻美「お、お嬢様学校にも色々な事情があるんだね……」

静香(お嬢様学校の認識が変わったかも……)ズーン




 


191: 矢橋P 25/03/02(日) 06:37:12 ID:7Uib

【ims甲子園】
≪トーナメント第一回戦≫
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 開拓高校
inferno    リーダー 最上静香
            &北沢志保
      VS
 聖ジャスミン女学院 
Jus-2-Mint  リーダー 横山奈緒
           &佐竹美奈子
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 

192: 矢橋P 25/03/02(日) 06:39:36 ID:7Uib








-

193: 矢橋P 25/03/02(日) 06:39:53 ID:7Uib
そして




≪アイドル試合 試合結果≫

開拓分校 39 37 38 36 39 計 189win

聖ジャスミン女学院
     37 34 36 35 37 計 179
 

194: 矢橋P 25/03/02(日) 06:41:07 ID:7Uib

奈緒「負けたーー!そんな馬鹿なーー!」



ジャスミン女学院の先生「横山さん」

奈緒「あ……先生」

ジャスミン女学院の先生「その言葉遣いはどういうことですか。いかなる時も常に上品な振る舞いを忘れずにと申していたでしょう?」

奈緒「いや……その……出来心ってやつです」

ジャスミン女学院「横山さんには指導が必要ですね」ニコニコ

奈緒「美奈子ー、助けてー」



 

195: 矢橋P 25/03/02(日) 13:43:58 ID:7Uib

麻美「やっぱりお嬢様学校って大変なんだね……」


静香(何とか勝てたけど……全国大会はレベルが違うわ)

志保(横山さんと美奈子さんのコンビネーションは完璧だった。私達が勝てた理由は曲の選出)

志保(横山さん達が踊った曲はお嬢様らしい上品な曲だったけど……あの二人の持ち味を活かすのならダンスの強めの曲でよかったはず)

志保(あの様子だとおそらく学校側の意向で出来なかったのだろうけど……もしそれで来られていたら私達が負けていたわね)






 

196: 矢橋P 25/03/02(日) 13:45:07 ID:7Uib

≪野球試合 試合結果≫

開拓 000001001×2
ーーーーーーーーーーーーー
鉄砂 001000000×1


開拓高校の勝利

 

197: 矢橋P 25/03/02(日) 13:46:26 ID:7Uib



カンタ「やったね。一回戦突破だ!」

冴花「お互い守備が上手い同士。どうやって点を取るかだったけど何とか勝てたわね」


杉田「でもこれでキャプテンと澄原さんは正式に甲子園女子だよ!」

未来「そうなんだけど……甲子園女子よりも甲子園で野球出来てるってことの方が嬉しいかな」

未来「だから少しでも長くプレイ出来るよう勝ち続けるよ」

澄原「そうだね。ここまできたら甲子園女子なんて肩書きじゃ物足りない。欲しいのは優勝のみだよ」





 
 

198: 矢橋P 25/03/02(日) 13:47:22 ID:7Uib
鉄砂高校側 ベンチ



佐藤風太「うう……兄ちゃん……」

佐藤翔太「泣くなよ。こんなところで泣いたら佐藤一族の名折れだぞ!」

佐藤風太「うん……」


 

199: 矢橋P 25/03/02(日) 13:47:57 ID:7Uib






詰井「見ろよ。あの兄弟、双子なだけあって本当にそっくりだぜ」


未来(……静香ちゃん、翼。昔は三人ともあんな感じで……)

未来(......いや。今いる場所が私の決めた道なんだ!)

200: 矢橋P 25/03/02(日) 13:48:34 ID:7Uib





201: 矢橋P 25/03/02(日) 13:50:08 ID:7Uib
その日の夜





静香「私達だけじゃなく野球部も初戦突破出来て良かったわね」

麻美「未来ちゃん達野球部が帰っちゃって私達だけになると寂しくなるからね」


志保「静香、近くでちょうどいい公園を見つけたわ」

静香「ありがとう志保。それじゃ行きましょうか」

麻美「静香ちゃん志保ちゃん。まさか……」





 

202: 矢橋P 25/03/02(日) 13:52:17 ID:7Uib
市街地





志保「帝に勝つにはまだまだ足りない。ギリギリまで練習しないと」

静香「幸い、ims甲子園は野球の甲子園のおかげで日程に余裕があるわ」



※補足
ims甲子園の出場校は野球の甲子園に比べるとまだまだ少ないです
ですからims甲子園の方が試合数が少ないのです
ですが開会式と閉会式が同じになるように合わせているので必然的にims甲子園の方には空き日という試合を行わない日が出てくるわけです
その間は各自レッスン出来ますし、レッスンには交代制でims甲子園アリーナを使用出来ます

203: 矢橋P 25/03/02(日) 13:52:56 ID:7Uib

「いやー。大変な目にあったわー」

「それは奈緒ちゃんが悪いよー」






静香「この声……」ハッ

志保「静香、行きましょう」
 

204: 矢橋P 25/03/02(日) 13:53:50 ID:7Uib



奈緒「まさか初戦で負けるなんてなー」

美奈子「開拓高校のアイドル部、格好よかったね」

奈緒「せめて今夜ぐらいは甲子園を満喫して帰ろうな」



志保「Jus-2-Mintのお二人ですよね」

奈緒「なんや。開拓の二人やんか」

美奈子「ちょうど二人の話をしていたところだね。初戦突破おめでとう」
 

205: 矢橋P 25/03/02(日) 13:54:26 ID:7Uib

静香「勝負は私達が勝ちましたがお二人のコンビネーション。完璧でした」

志保「正直、こちらが負けてもおかしくなかったと思います」

奈緒「もー、褒めても飴ちゃんしか出えへんで」

美奈子「私と奈緒ちゃんの絆は他のチームにも負けないからね」


静香「それを見込んでお願いがあるんです!」





 

206: 矢橋P 25/03/02(日) 13:54:53 ID:7Uib

奈緒「私らにダンスの指導をお願いしたい?」

静香「そうなんです」

奈緒「あのな、私らあんたらに負けたんやで。敵同士でかつ負かされた相手に指導せいちゅうんか?」

志保「お二人のコンビネーション。私達が今まで見たコンビの中で一番でした。もしそれをものに出来ればあの皇帝に勝てるかもしれない」

奈緒「ふーん、よくわかってるやないか」フンス

静香「どうかお願いします」ペコリ

美奈子「いきなりそう言われても……」

207: 矢橋P 25/03/02(日) 13:55:25 ID:7Uib

奈緒「ええやろ。頭まで下げてる人の頼みを無下にしたら関西人の名折れや」

奈緒「美奈子もこのまま初戦敗退したままで帰ってもすっきりせへんやろ?」

美奈子「そうだね。私もまだまだ物足りないよ!」

静香「ありがとうございます」

奈緒「でも優しく教える気はないから覚悟しときや」

志保「望むところです」






 

208: 矢橋P 25/03/02(日) 13:56:07 ID:7Uib
そして





美奈子「今日はここまでにしようか。大会中だし無理は禁物だもんね」フゥ

静香「はい!」

奈緒「でも静香も志保もごっつう体力あるやん」

志保「体力だけなら他の生徒にも負けません」

奈緒「ええ心意気や。でもコンビネーションの方はまだまだものにしたとは言えんなあ」

静香「そうですね……」
 

209: 矢橋P 25/03/02(日) 13:56:45 ID:7Uib
奈緒「よっしゃ、明日からも夜でよかったらまだまだ付き合ってあげるわ」

静香「いいんですか?」

奈緒「私の地元、大阪やからここからそう遠くないねん。あんた達が負けて帰るまでは付き合ったるで!」

美奈子「夜食も持ってきますね。わっほーい!」




奈緒さんと美奈子さんは初対面こそ当たりがキツかったけれどとても良い人で付き合ってくれるみたいで助かった

そうして私達は本戦の方も勝ち進んでいった……






 

210: 矢橋P 25/03/02(日) 13:57:49 ID:7Uib
数日後 





記者1「よし、開拓高校の試合が終わったみたいだぞ」

記者2「甲子園女子がキャプテンだなんてとんだ鳴り物入りだと思ったら順調に勝ち続けているんだもんな」

記者1「最初から注目しておけばよかったな。そろそろ来るぞ」


ゾロゾロ



記者2「あれ……春日選手が来ない?」

記者1「おかしいなぁ」




 

211: 矢橋P 25/03/02(日) 13:58:23 ID:7Uib








昴「麗花悪いな運んでもらって」

麗花「いいよ。私の力が必要ならいくらでも言ってね~」

未来「あわあわ……」



 

212: 矢橋P 25/03/02(日) 17:14:46 ID:ZvaP
その日の夜 とある公園






奈緒「よし、まだ荒削りやけどまあええ感じやないか」

志保「本当ですか」

美奈子「二人ともよく頑張ったね」

奈緒「明日やろ?アイツと当たるのは」

静香「そうです。何とか間に合いました」

美奈子「もう帰って体休めてね。明日の試合、見に行くから!」

志保「本当にありがとうございました!」





 

213: 矢橋P 25/03/02(日) 17:19:17 ID:ZvaP
次の日






甲子園球場



詰井「いよいよ甲子園も準決勝か」

杉田「何とかここまでは来たけど……」

214: 矢橋P 25/03/02(日) 17:32:36 ID:ZvaP


炎上「やあ、君が春日キャプテンか」

未来「今日はいい試合にしようね」

炎上「ああ。……ところで君は中学の時は全国大会で惜しくも優勝出来なかったみたいだね」

未来「そうだよ」

炎上「僕は優勝経験者だ。”僕達全員”だけどね」

未来「……そうみたいだね」

215: 矢橋P 25/03/02(日) 17:35:11 ID:ZvaP

~回想~







「「「全員が大会優勝経験者!?」」」




冴花「ええ。明日準決勝で当たる去年の甲子園の覇者、サンダー学園はチームメイト全員が大会優勝経験者で固められたエリートチームよ」
 

216: 矢橋P 25/03/02(日) 17:37:14 ID:ZvaP

軽井「何でそんなことが……特待生としたって問題があるだろ」

冴花「学校の方針で授業の一環として生徒達が将来有望な中学生を勧誘、スカウトしているみたいね」

冴花「一から育てるより素質がある人間を集めた方が効率がいい。って方針なのよ」

冴花「既に問題視されているけど学校側は若者の友情ってことで押し切るみたいね」

昴「ふざけた学校だな」



 

217: 矢橋P 25/03/02(日) 17:40:22 ID:ZvaP
~回想終了~




未来「チーム全員がエリートってことだね」

炎上「そう言うことになるかな」

炎上「甲子園二連覇がもうすぐだというのに甲子園女子の君がここまで来てる方が話題になっているみたいで面白くないよ」

炎上「まあせいぜい頑張ってくれ」




スタスタスタ

218: 矢橋P 25/03/02(日) 17:44:01 ID:ZvaP


澄原「完全にウチらを見下してる。嫌なやつだね」

杉田「でも去年の甲子園も今年の春の選抜も優勝しているんだよね……」

冴花「今大会のぶっちぎり優勝候補ね」

昴「……」
 

219: 矢橋P 25/03/02(日) 17:44:16 ID:ZvaP

未来「でも……エリートチーム相手は私達の得意分野だよね!散々混黒高校の相手してきたんだから」

詰井「そう言われてみればそうだよな」

カンタ「エリートが何だ!でやんす」

昴「みんな、その意気だ。エリート様に混黒高校をひっくり返した開拓高校の底力見せてやろうぜ!」



 

220: 矢橋P 25/03/02(日) 17:44:43 ID:ZvaP

【甲子園大会】
≪トーナメント準決勝戦≫
ーーーーーーーーーーーーーーー
 開拓高校   CPT 春日未来
 
  VS
 
 サンダー学園 CPT 炎上剛  
ーーーーーーーーーーーーーーー
 

221: 矢橋P 25/03/02(日) 20:15:46 ID:ZvaP
同時刻

ツナミims甲子園アリーナ






ざわざわ ざわざわ


麻美「なんか人多いよね?もしかしてそれほど私達の試合が注目されているのかな」

由良里「いえ、そうではないみたいです。なんでも特別な趣向があるみたいで……」

222: 矢橋P 25/03/02(日) 20:18:32 ID:ZvaP

アナウンス「みなさん!お知らせがあります!」

アナウンス「この準決勝と決勝戦にスペシャルゲストが登場することになりました」



ざわざわ ざわざわ ざわざわ



アナウンス「特別審査員に……ims甲子園のスポンサーであるツナミグループの所属アイドル。Maihamanが着くことになりました!」





\ワーーーーーーッ!/


帝「!!」

 

223: 矢橋P 25/03/02(日) 20:19:16 ID:ZvaP



志保「まさか本物のアイドルがやってくるなんて……運営も本気ね」

由良里「Maihamanさんは今一番勢いがあり、トップアイドルに近いアイドルの一人とも言われています。いくらスポンサーの立場があるとは言えトップアイドルを起用してくるとは……」








 

224: 矢橋P 25/03/02(日) 20:20:22 ID:ZvaP
観客席






翼「わーーぁ!本物のMaihamanが来るんだ!」

可奈「そういえば翼はMaihamanの大ファンだったわね」

翼「そうだよ。あとでサインもらえないかな~」

可奈「もう……。あの二人勝てるかしらね、あの帝に」

翼「静香ちゃんなら勝てるよ。私の最大のライバルだもん」







 

225: 矢橋P 25/03/02(日) 20:22:56 ID:ZvaP



奈緒「二人ともー気張れやー!」

美奈子「会場の人はみんな初星学園が勝つって思っているけど私達は応援しているからねー」






 

226: 矢橋P 25/03/02(日) 20:24:16 ID:ZvaP

帝「ごきげんよう」

静香「今日はよろしくお願いします」


帝「あなた達も運が悪いわね」

静香「あなたに当たったことがですか?」

帝「違うわ。審査員にあのMaihamanが来たことよ」

志保「……言葉の意図がわからないのだけど」
 

227: 矢橋P 25/03/02(日) 20:27:17 ID:ZvaP

帝「ふっ、あなた人生の指針になるようなものに出会ったことはある?」

静香「……?」

帝「5年……いや6年も経つのね。あの大神とジャジメントの合同配信の前座、今のアイドルブームの火付け役となったアイドル勝負」

帝「私はあれを見てこの世にはこれほど素晴らしいものがあるのかと感動したの。私がアイドルを目指したきっかけよ」

帝「あの勝負、あの時はMaihamanじゃなくて舞浜歩……が勝ったわけだけど私はデウエスに投票したわ」

帝「あのデウエスのパフォーマンス、あれこそが私の目指すもの。それを当事者の舞浜歩に見せる機会が思いがけず訪れたわ。ああ……なんて僥倖なのかしら」

帝「優勝に興味なかったんだけど全力でいかせてもらう。あなた達は運が悪かったわね」


スタスタスタ

228: 矢橋P 25/03/02(日) 20:32:03 ID:ZvaP


麻美「あわわ……」

由良里「……一方的に喋っていきましたね」

志保「彼女、私達をその辺の石ころ程も見てないわ。眼中にもないとはこのことね」


静香「……負けられない。彼女だけには絶対負けたくない!」

静香「私達も、そしてパフォーマンスを見てくれる人達も!全てを無視したアイドルに負けられないわ」

志保「そうね。完璧なだけがアイドルじゃないって思い知らせてやりましょう」




 

229: 矢橋P 25/03/02(日) 20:32:33 ID:ZvaP

【ims甲子園】
≪トーナメント準決勝戦≫
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 開拓高校
inferno    リーダー 最上静香
            &北沢志保
      VS
 初星学園 
デウス・エクス リーダー 皇帝
           
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
 

230: 矢橋P 25/03/02(日) 22:25:22 ID:7Uib

審査員1「さて、開拓高校でしたかな。いったいどんなパフォーマンスも見せてくれるのか」

審査員2「開拓高校は今まで無名な学校でしたか。いやはや、あの皇を相手は厳しいかと」

歩「…………」






パッ



審査員1「おや、始まるようだ」
 

231: 矢橋P 25/03/02(日) 22:26:12 ID:7Uib


ジャンジャンジャジャジャジャン






審査員2「おや、激しい曲調です」

審査員1「意外ですな。二人のビジュアルだと美しい系で攻めてくると予想していましたが」

232: 矢橋P 25/03/02(日) 22:26:43 ID:7Uib


ダン!ダン!ダダダン!



「おおっ、激しいダンスだ!」

「それなのに二人とも息がぴったりだぞ」





奈緒「そりゃそうやろ。私と美奈子直伝やからな」

美奈子「あの二人もよくこの短期間でものにしたよね」

233: 矢橋P 25/03/02(日) 22:27:18 ID:7Uib


♪~~~♪~~~♪~~




「ダンスだけじゃない、歌もすげえぞ!」




麗花「いい声出てるよ二人とも~。このままキラキラっと頑張って~」

234: 矢橋P 25/03/02(日) 22:28:19 ID:7Uib
静香「♪~」チラ

志保「♪~」ウインク



「それだけじゃないぞ……」

「ああ。あの二人のビジュアルもダンスの中に活かしてる」





翼「当たり前だよ。私の秘密のテクニック全部教えてたんだからね~」

可奈「あの見た目でダンスを激しく踊るのは上手い脳筋コンビだったからね、あの二人」

可奈「翼のビジュアルセンスというか、人を惹きつける踊り方と歌い方。ちゃんと実践しているようね」

可奈(それにしても……前よりダンスが上手くなってるわね)

235: 矢橋P 25/03/02(日) 22:29:14 ID:7Uib
審査員1「これは中々……」

審査員2「さすが準決勝。レベルが高いですな」

歩(なるほどね)






 

236: 矢橋P 25/03/02(日) 22:30:00 ID:7Uib


\ダダダン!/



パチパチ パチパチ パチパチ パチパチ




「すげぇ、最後まで激しいダンスをやりきったぞ」

「開拓高校大したもんだ」




麻美「静香ちゃん、志保ちゃん。お疲れ様!」

由良里「文句の付けどころがないパフォーマンスでした」

静香「ありがとう」ハァハァ

237: 矢橋P 25/03/02(日) 22:31:01 ID:7Uib




帝「足りない……足りないわ」

帝「彼女達のパフォーマンスでも”あの”パフォーマンスには遠く及ばない」

帝「だから……私が示すしかないのよね」

帝「音響、照明準備してちょうだい。くれぐれも私のパフォーマンスを汚さないように」


初星学園生徒「は、はい」





 


238: 矢橋P 25/03/02(日) 22:32:31 ID:7Uib
そして始まった帝さんのパフォーマンスは言うだけあって素晴らしかった
歌、ダンス、どれも気品があって美しい
大差はないのだけど……それでも全てにおいて私達より上みたい







シャン


\うぉーーーーっ/


パチパチ パチパチ パチパチ パチパチ



静香「……」

志保(これは……私達の負けかもね)

239: 矢橋P 25/03/02(日) 22:34:04 ID:7Uib

甲子園球場




開拓高校 0ー2 サンダー学園

6回の表 開拓高校の攻撃

 

240: 矢橋P 25/03/02(日) 22:34:40 ID:7Uib

昴「くそ……ここまで無得点か」

冴花「相手のエース炎上くんを未だ打ち崩せてないですね」

千羽矢「うう……」



下山「でもこんな時は……」

軽井「春日ちゃんに頼るしかない」

杉田「未来キャプテンお願い!」

241: 矢橋P 25/03/02(日) 22:35:45 ID:7Uib

<四番~ショート~春日ちゃん~




\ワーー/



炎上「出たか甲子園女子。全く大層な人気だね」

炎上「まあこちらとしては女の四番は相手にしていて楽だけどね」


ヒュツ

 

242: 矢橋P 25/03/02(日) 22:36:27 ID:7Uib

未来「マウンドにいる時は甲子園女子とか関係ない。私も一人の選手なんだよ!」





ブン!


カキーーーン



炎上「何っ!」
 

243: 矢橋P 25/03/02(日) 22:37:06 ID:7Uib

冴花「よしっ!ノーアウトでランナーが出た」

杉田「しかも二安打……」

詰井「春日にしては珍しいよな」

澄原「それほど力入ったんじゃないか。相手の扱いに耐え変えてね」


昴「ここが好機だぞ。カンタ行けるか!」

カンタ「うん、ばっちり」





<選手~交代しまして~五番~ファースト~権田くん~

244: 矢橋P 25/03/02(日) 23:38:34 ID:7Uib



ツナミims甲子園アリーナ



≪アイドル試合 試合結果≫

開拓高校 47 46 48 45 46 計 232 win

初星学園 45 43 46 47 46 計 227
 

245: 矢橋P 25/03/02(日) 23:39:35 ID:7Uib

アナウンス「おーーっと!まさかの番狂わせです」


静香「……勝ったの?私達……」




バン


帝「納得できません!何故あのパフォーマンスで負けたのです!説明してください」


アナウンス「そ……その……」

 

246: 矢橋P 25/03/02(日) 23:40:07 ID:7Uib
ツカツカツカ



「おいあれは……」

「まさかMaihaman直々に」




歩「納得いかないみたいだからアタシが答えてあげるよ」

帝「あなた……」ギリッ

247: 矢橋P 25/03/02(日) 23:41:19 ID:7Uib

歩「両者とも引けを取らない素晴らしいパフォーマンスだった。その上でどちらか選べと言われてればアンタの方が上だったね」

帝「ならなぜ!」



歩「勝敗を分けたのは目指した物の差。表現したかった物の差だね」

歩「君はあのパフォーマンスで何を表現したかったんだ」

帝「それは……6年前のアイドル勝負……」ハッ

帝「なるほど。あなたはデウエスに肩入れする私が気に食わないから評価を下げたのですね」

歩「違う!」

帝「……っ」ビクッ
 

248: 矢橋P 25/03/02(日) 23:42:07 ID:7Uib

歩「あのアイドル勝負の当事者であるアタシからはっきり言わせてもらうけどね」

歩「アンタの技術は素晴らしい。6年前のアタシより上かもね」

歩「だけど……あのデウエスのパフォーマンスを直に見ていた者に言わせたら」

歩「物足りない。はっきり言ってアンタはデウエスの足元にも及んでいない」

帝「な……な……」

 

249: 矢橋P 25/03/02(日) 23:43:04 ID:7Uib

歩「結局未完成なんだよアンタのパフォーマンスは。それに比べて開拓高校の二人は完成していた。ちゃんと表現したいことが伝わってきたよ」

歩「どんなに豪華なカレーライスでもライスが無いカレーライスはどう思う?エベレストを半分しか登らなかった人と富士山を登頂に成功した人どっちがすごい?」

歩「……せめてデウエスのパフォーマンスを表現したいならアンタの実力の半分でもいい。仲間を二人連れてデウエス一人のパフォーマンスを三人で表現しました……だったらアンタの勝ちだったかもね」

歩「アンタはそれを自分のエゴで一人でものにしたかった。それだけのパフォーマンスになったから負けたのさ」




帝「……」

帝「……」ガクッ

250: 矢橋P 25/03/02(日) 23:44:08 ID:7Uib





麻美「……なんだか帝さんかわいそうだね」

静香「……」
 

251: 矢橋P 25/03/02(日) 23:45:00 ID:7Uib

審査員1「少し言い過ぎなのでは?」

歩「いいんだ。彼女のためにもあれくらい言わなきゃいけないんだ」

歩「デウエスの呪いがまたここにも……」

審査員1「デウエスの呪い?」

歩「あの配信以来、あの時のデウエスのパフォーマンスを目指す人間がいるんだけど……」

歩「あれは……人間が目指しちゃいけないパフォーマンスなんだ」

歩(あのパフォーマンスが出来たのは人間を超えた存在だったデウエスだったからこそ。それを無理に目指して体も自信も壊すアイドルが後を絶たないんだよ)





 

252: 矢橋P 25/03/02(日) 23:46:20 ID:7Uib

≪野球試合 試合結果≫

開拓   000002002×4
ーーーーーーーーーーーーー
サンダー 011001000×3


 開拓高校の勝利
 

253: 矢橋P 25/03/02(日) 23:47:53 ID:7Uib


炎上「負けた……。なぜエリートの僕達が負けたんだ!」


未来「経験が少ないからだよ」

炎上「何っ」

未来「優勝経験者ばかりのエリートチームだと自分達の弱さを目の当たりにして必死に練習したことも、ひどく負けて悔し涙を流したこともないでしょ?それじゃ真に強くなれないよ」

炎上「なるほど……ありがとう。これからはこの負けを糧にして驕らず頑張るよ」


スタスタスタ

254: 矢橋P 25/03/02(日) 23:49:39 ID:7Uib

冴花「まあ甲子園準決勝まで来たんだから充分強いチームなのだけどね」




ガタッ

千羽矢「みんなーーーっ!速報だよ。アイドル部も勝ったって!」



詰井「ってことは……」

杉田「野球部とアイドル部、両方とも決勝戦進出?」



「「「うわーーーーっ!!」」」




未来(やったね、静香ちゃん)

255: 矢橋P 25/03/02(日) 23:59:22 ID:7Uib
ひとまずここまで

パワポケで好きなところの一つが試合前のキャプテン同士の掛け合いなのは自分だけでしょうか

ヒノキの下りは原作からの引用ですがパワポケらしさが存分出ててこれもかなり好きです
大畠くんのプロフィールに載っている"皮肉"まで含めて……ね
 

256: 矢橋P 25/03/03(月) 00:32:32 ID:82Lj

権田カンタ   開拓高校新入生

静香達が三年生の時に開拓高校に入学してきた男の子
ハタ侵略で恵美達を導いた子供であり
勇敢で格好いい彼女達の背中を追っかけて逞しく成長した
……背はあまり伸びてない

シニアの野球でも大活躍しており開拓『分校』に入学するために混黒高校に入学試験を受けたが開拓高校が独立すると聞いて取り下げている

ハタ侵略の経験がいかに貴重だったのかを最近になって自覚し初めている
……因みにあのお姉ちゃんの中で一番好みなのは響お姉ちゃんで、今一番会いたいのは環お姉ちゃんである

257: 矢橋P 25/03/03(月) 00:34:55 ID:82Lj

炎上剛   サンダー学園のキャプテン

最近甲子園で輝かしい成績を残すサンダー学園のキャプテン
去年も混黒高校を破って甲子園を優勝した。同じエリート集団の混黒高校をライバルだと思っていたらしい
自分達をエリートチームと称し、特にスタメンの9人をサンダーナインと呼んでいる


9人でサンダーナイン?それってイナズマ〇レブン……

258: 矢橋P 25/03/03(月) 00:36:13 ID:82Lj

横山奈緒   Jus-2-Mintのリーダー

聖ジャスミン女学院のアイドル部部長にして
美奈子とのデュオユニットJus-2-Mintのリーダー
元気溌剌でエネルギッシュな彼女はダンスが得意でアイドル部に入った
密かに関西の星を目指しているが中々学院との折り合いがつかない

ちなみに彼女が静香達と初対面の際、当たりがきつかったのは
自分達を負かした翼と可奈にリベンジしたる!と意気込んでいたのに
静香達が翼達破ってしまってリベンジが果たせなかったからである

259: 矢橋P 25/03/03(月) 00:39:11 ID:82Lj

佐竹美奈子   奈緒の相棒

Jus-2-Mintのもう一人のメンバーで奈緒の相棒
彼女もまたダンスが得意であの奈緒に付いて来られるのは彼女しかいない
料理の腕もまた巧みで奈緒の絶妙なウエストとボディラインも彼女のご飯によって作られている
……学院の意向でそれを活かす衣装は着れないけども

彼女が千羽矢に出会った場合……恐ろしいことになるかもしれない

260: 矢橋P 25/03/03(月) 00:41:10 ID:82Lj

皇帝   絶対女王

初星学園の生徒で絶対女王のあだ名を持つ
初星学園で一番成績が良い生徒に与えられる称号”一番星”(プリマステラ)を欲しいままにし
数多くのアイドルの原石が集まる初星学園においてトップに君臨し続けている
そのあふれ出る才能で初星学園伝統のプロデューサーも拒否するなど
やや人格が歪んでいるがそれを指摘出来る者がいない

生まれついてのアイドルというより何をやらせても人並み以上に出来る秀才が
6年前の配信を見てアイドルに人生の全てを捧げた結果が今の彼女である

この世界の初星学園には咲季達はまだ居ない
彼女達が入学するのはだいぶ後になるだろう

261: 矢橋P 25/03/03(月) 00:43:00 ID:82Lj

十一番   檜なれなかった男

十三番高校で十一番と呼ばれている男子生徒
本名は大畠で中学時代には軟式だがそれなりに有名な選手だった
それだけに開拓分校に落とされたショックは大きく
最終的にホンフーの誘いを受けてしまった

ちなみにアスナロは"一流の木材”になる
校長の話なんか鼻で笑っておけばよかったのに

265: 矢橋P 25/03/03(月) 15:14:45 ID:82Lj

杉田「明日試合する最後に残ってるチームはどこ何だろう」

冴花「えっと……。二十六(ニトロ)学園と……十三番高校ね」

軽井「なんだそりゃ。数式問題かよ」

冴花「二十六学園はたびたび甲子園に出場している強豪。チームの能力としてはひとたび勢いが付いたら止まらない激しい打線の爆発力が要注意ね」

下山「僕も二十六学園は何回か聞いたことあるよ」

冴花「十三番高校はよくわからないの。今回初出場だから……」


軽井「まあどっちが勝ち上がろうとサンダー学園より強いってことはないさ」

冴花(そうだといいのだけど……)

266: 矢橋P 25/03/03(月) 15:15:20 ID:82Lj



静香「……」

志保「何か浮かない顔しているわね」

静香「そういうわけじゃないけど……」

静香(……十三番高校か)







 

267: 矢橋P 25/03/03(月) 15:16:12 ID:82Lj
次の日

甲子園球場





《トーナメント 準決勝》

二十六学園VS十三番高校


一回の表 二十六学園の攻撃
 

268: 矢橋P 25/03/03(月) 15:17:04 ID:82Lj


昴「さて……。どっちが勝つんだろうな」

冴花「全くわからない勝負です。どっちが勝ってもおかしくないですね」

詰井「出来れば二十六学園に勝ってほしいな。十三番高校は何だか不気味だからよ……」

杉田「試合中もあの不気味なマスク着けているもんね」


 

269: 矢橋P 25/03/03(月) 15:17:50 ID:82Lj


カキーーン!




未来「いい当たりだね。冴花ちゃんのいうとおり二十六学園は打撃がすごいや」

澄原「早くも先制点が入ったかね」
 

270: 矢橋P 25/03/03(月) 15:18:39 ID:82Lj

八番「……」ダダダッ


ビュッ


ドン

パシッ!



<アウト!



\おおーっ/

271: 矢橋P 25/03/03(月) 15:19:20 ID:82Lj

軽井「え……。今の球を取るのかよ」

昴「……全力でダッシュしながら最後はフェンス際をジャンプしてダイレクトキャッチしやがった」

冴花「……一歩間違えれば大怪我ね」

昴(何だこのプレイ、高校生がするプレイか?能力高さとかそういうのじゃない。十三番高校の選手は何か違う)







 

272: 矢橋P 25/03/03(月) 15:20:05 ID:82Lj
ツナミグループims甲子園アリーナ






静香「もう!麻美ったら試合の開始時間を間違えるなんて」タタタッ


麻美「ごめんみんな。昨日の私達と同じ時間だと思ったんだよ-」タタタッ

志保「準決勝戦、まだやっているかしら」タタタッ
 

273: 矢橋P 25/03/03(月) 15:20:57 ID:82Lj

ホンフー「決勝戦の組み合わせならもう決まったわよ」

静香「!!」



志保「あなたは……誰ですか」

ホンフー「おや、まだ名乗っていなかったかしら」

ホンフー「私は十三番高校の監督なの。あなた達と決勝で戦うことになる……ね」

志保「どういうこと?」

ホンフー「準決勝ならもう終わったわ。私達のパフォーマンスを見た対戦相手が棄権したからね」
 

274: 矢橋P 25/03/03(月) 15:22:36 ID:82Lj

ホンフー「また会えたわねお嬢さん。まさか本当にims甲子園のまで来て決勝戦まで残るなんてね」

麻美「静香ちゃん、あの人知り合いなの?」

静香「少しね……」



ホンフー「やはり、あなたは私が見込んだ通り一流の人間だったわ」

ホンフー「もう少し話していたいけど甲子園球場にも行かないといけないの。私野球部の監督も兼任だから」

ホンフー「明日のims甲子園決勝戦。あなた達の開拓高校と私が引率している十三番高校、どちらが勝つかしらね?」


スタスタ

275: 矢橋P 25/03/03(月) 15:23:18 ID:82Lj

静香「待って」

ホンフー「おや……あなたの方から何か?」ピタッ

静香「あなたが率いている十三番高校は……混黒高校の十三番目のキャンパスなの?」

ホンフー「さあ?どうでしょうね」

ホンフー「……勝ったら教えてあげる。勝てたらね」


スタスタスタ

276: 矢橋P 25/03/03(月) 15:24:28 ID:82Lj

由良里「静香さん、十三番高校について何か知ってるのですか?」

麻美「何か知っているなら話してよ、静香ちゃん」



静香「……私、開拓分校に来たばかりの時は何をしていいかわからなくて腐ってた」

志保「そうね。本当に見苦しかったわ」

静香「もう。……その時に朋花さんという女性に出会ったの」

静香「朋花さんは初対面の私に境遇を親身に聞いてくれた。そして私が”何がしたいか”と問いかけてくれた」

麻美「私も!私も会ったよその人に」

静香「やっぱりね」

 

277: 矢橋P 25/03/03(月) 15:25:59 ID:82Lj

志保「それが十三番高校とあの人に何の関係が?」

静香「朋花さんは開拓分校だけじゃない、他の分校で落とされて悩んでいる人全員に声をかけていたんだと思う」

由良里「何が目的でしょうか」

静香「……これは推測でしかないのだけど、朋花さんは目的とかそんなのはなくて悩める人の声を聞きたかっただけだと思うの」

静香「そして行き先がない人を集めて救いたかったんじゃないか、って」

麻美「私も言われたよ。辛いのなら私の元に来ませんか……って」

麻美「多分あの時、静香ちゃんの桧垣さんの所に行く提案を受けていなかったらその誘いに乗ってた…………」

由来里「麻美ちゃんそうだったのですか」
 

278: 矢橋P 25/03/03(月) 15:26:52 ID:82Lj

静香「……でもこないだ会った朋花さんはあのホンフーって人に言ってた。自分の悩める子ぶたちゃん達を利用しましたね……って」

由良里「子ぶたちゃん?」

静香「朋花さんの独特の表現だから気にしないで」


志保「……それが十三番高校ってわけね」

静香「そう。全てはあの人の手のひらの上」

静香「混黒高校という歪な環境をあえて作り出して、そこで出てきた落ちこぼれた人達を都合良く操るシステムよ」

静香(私も……一歩間違えばそこに居たんでしょうね)








 


279: 矢橋P 25/03/03(月) 15:27:32 ID:82Lj
甲子園球場




試合結果

二十六 3-7 十三番


十三番高校の勝利
 

280: 矢橋P 25/03/03(月) 15:28:08 ID:82Lj

昴「十三番高校の勝ちか……」

冴花「明日も厳しい戦いになりそうですね」



杉田「パワーもあるし細かいプレイもやっているんだけど……なんか」

下山「必死って感じだね。全てのプレイに鬼気迫るっていうか……」

未来「……」






 

281: 矢橋P 25/03/03(月) 15:31:08 ID:82Lj
その日の夜

民宿






詰井「アイドル部も十三番高校が勝ち残った!?」

志保「その反応だと野球部もそうなの」ハァ

由良里「すでに世間は大騒ぎですよ、今年の甲子園はいつもと違う……と」

麻美「決勝戦で当たるのが両方とも今まで無名の高校で、どっちが勝っても甲子園初出場にして初優勝となったらそうなるよね」



静香「みんな聞いて、十三番高校のことなの。私の憶測でしかないのだけど……」




カクカクシカジカジュウサンバン

282: 矢橋P 25/03/03(月) 19:04:38 ID:82Lj


軽井「それが十三番高校の秘密か……」

詰井「それなら大畠が十三番高校に居たことも納得いくな」

志保「私も……前から私以外にも都落ちしたアイドル部の人がいるはずなのに、分校同士で協力を呼びかけた時に何故か居ないことを不思議に思っていたの」

未来「昴監督はどう思います?」


昴「……あんな組織と繋がっていたんだ。混黒高校がそんな奴らと繋がっていてもおかしくねーな」

詰井「つまり混黒高校はわざと落ちこぼれを作って陰で利用してたってことじゃねーか」

昴「ああ。こんなの許せないな。明日は絶対勝とう!」


 

283: 矢橋P 25/03/03(月) 19:05:24 ID:82Lj


紗代子「静香ちゃん、一ノ宮桜華ちゃんから電話だよ」

未来「桜華ちゃんから?」

静香「桜華さんにもこのことを伝えていたのよ」




 

284: 矢橋P 25/03/03(月) 19:06:48 ID:82Lj

静香「桜華さん、何かわかりましたか」

桜華「静香さん。あなたの推測おそらく当たりですわね」

静香「本当なの」

桜華「ええ、私はあの事件以降も混黒高校について調べていたのです。武内ミーナさんと一緒に」

桜華「そうしたら混黒高校はあの組織以外にも別な組織と繋がりがあるみたいですわね」

桜華「静香さんの言うホンフーって方が束ねている組織で間違いなさそうですわ」
 

285: 矢橋P 25/03/03(月) 19:08:23 ID:82Lj

静香「混黒高校は多数の組織と繋がっていたってこと?」

桜華「いえ、おそらく福山校長は区別がついていなかったと思います。私達をさらった組織とホンフーさんの組織を同じ組織だと思っていたみたいですわ」

桜華「区別が付かないほど深く理解していなかったか……もしくはホンフーさんの方が混黒高校が危ない組織と付き合っているのを知っていて”敢えて”利用したか」


静香「おそらく両方ね」

静香「あの裏山での事件の際、ホンフーさんがあの現場に駆けつけるのが今思えば部外者なのに早過ぎる。おそらく元々あの組織の動向を監視していたんじゃないかしら」

桜華「静香さん、十三番高校のことは私とミーナさんで突き止めます。静香さん達は気にせず試合に集中してください」

静香「わかったわ」









 

286: 矢橋P 25/03/03(月) 19:09:32 ID:82Lj
その頃……








十一番「監督、十七番の”顔”が崩れました。あと八番の体調も悪いです」

ホンフー「またなの。決勝戦までは保つと思っていたのだけど。日本の夏が想像以上に暑くて困るよねぇ」

ホンフー「明日の試合のやり繰りが大変そうね」

十一番「打たせません。オレが打たせなければ問題ありません」

ホンフー「期待しているわよ。大畠くん」









 

287: 矢橋P 25/03/03(月) 19:10:46 ID:82Lj
そして当日




【甲子園 及び ims甲子園】

 ≪トーナメント決勝戦≫

開拓高校 VS 十三番高校


 

288: 矢橋P 25/03/03(月) 19:11:44 ID:82Lj
甲子園球場






\ワァーーーーーーーーーーーーーッ/






軽井「今までもすごかったけど……」

下山「決勝戦は一段と凄いね」

杉田「由良里さんの言うとおり、かなり注目が集まっているみたいだよ」

289: 矢橋P 25/03/03(月) 19:12:20 ID:82Lj

昴「といってもな、もうみんな慣れてきた頃だろ」

冴花「みんな緊張してない?昨日はちゃんと眠れた?」


杉田「だ、だ、大丈夫だよ」

詰井「お、おうよ」

未来(緊張してるなぁ)
 

290: 矢橋P 25/03/03(月) 19:13:29 ID:82Lj

千羽矢「杉田~くん。はい、バナナヨーグルトのきな粉入り」

杉田「えっ」

千羽矢「緊張した時はこれがいいんだよ。ギャズちゃんが教えてくれたの」

杉田「まさか……手作り?」

軽井「チハちゃんが食べ物をあげる側になるなんて……」
 

291: 矢橋P 25/03/03(月) 19:14:15 ID:82Lj

冴花「試合前だからあまり食べちゃだめよ」

千羽矢「え~~」



杉田「でもヨーグルトなら重くないからちょっともらうよ」パクッ

未来「私も~」パクッ

千羽矢「ほら、詰井くんも~」

詰井「まあこれ逃したら千羽矢から食べ物もらうなんて一生無いからな」パクッ






澄原「いいチームじゃないか。こんなチームに少しでも関われてよかったよ」

カンタ「僕も!」




 

292: 矢橋P 25/03/03(月) 19:14:47 ID:82Lj
観客席





餅田「未来ちゃん……。もう未来ちゃんを女の子だって馬鹿にする人はどこにもいないでやんす」

餅田「だから思いっきりやってこいでやんす!」




 

293: 矢橋P 25/03/03(月) 19:15:54 ID:82Lj

十三番「……」

十一番「……」


未来「今日は今まで戦ってくれたチームに恥ずかしくないようないい勝負にしようね」

十三番「……勝つ。オレ達はこの日、この瞬間を勝つためだけにここにいる」

未来「そう。その気持ち、私もだよ」

十三番「甲子園女子だとか初出場だとかそんなことなど今この場所では足元にある土ほども関係ない。全てはこのために」

未来「うん。……負けないからね」





 

294: 矢橋P 25/03/03(月) 19:16:20 ID:82Lj

【甲子園】

≪トーナメント決勝戦≫
ーーーーーーーーーーーーーーー
 開拓高校  CPT 春日未来
 
  VS
 
 十三番高校 CPT 十三番    
ーーーーーーーーーーーーーーー
 

295: 矢橋P 25/03/03(月) 19:17:37 ID:82Lj
ツナミグループims甲子園アリーナ







\ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ/





麻美「すごい観客……」

由来里「甲子園とims甲子園の決勝戦が同じ高校同士の対決だなんて前代未聞ですからね。同じことは今後二度とないでしょう」

志保「静香緊張……はしてないようね。安心したわ」

静香(ついに……ここまで来た。ims甲子園優勝まであと少し)

296: 矢橋P 25/03/03(月) 19:19:18 ID:82Lj


十四番「あなた達がinfernoの二人ね。私はフォーティーンのリーダー、十四番よ」

静香「十三番高校なのに十四番なんですね」

十四番「ふふ……よく言われるわ」

十四番「あなた絞首台の階段は何段かご存じ?」
 

297: 矢橋P 25/03/03(月) 19:21:15 ID:82Lj

静香「え……」

十四番「定義はないのだけど十三段なの」

十四番「つまり絞首台に乗った死刑囚は十三段しか上ることが出来ない。十四段目の地に足を付ける時、それは絞首刑が執行された後よ」

十四番「でも!私達は生きて十四段目に足を付けることが出来た!私達のユニット名フォーティーンとはそういう意味よ」

静香「……アイドルらしくないユニット名ね」

十四番「それもよく言われるわ」スッ
 

298: 矢橋P 25/03/03(月) 21:14:17 ID:82Lj
麻美(さすがにパフォーマンスをする時はマスク外すんだ)


十四番「ふぅ……」カパッ

麻美(なんだ。普通にきれいな顔じゃん。マスクで顔なんか隠さなくてもいいのに)


十四番「……やっぱり気付いてもらえないわね」

静香「どこかで会ったかしら。忘れていたなら謝ります」

十四番「いいえ、初対面。だけど私、これでもアイドルだったの」

志保「……だからマスクを着けていたんですか」
 

299: 矢橋P 25/03/03(月) 21:15:55 ID:82Lj

十四番「勘違いしないで、“元“よ。現役アイドルは規約によってims甲子園に参加出来ないけど私はとうに引退しているからね」

静香「引退……」

十四番「私がアイドルをしていたのは中学生の時。第二次アイドルブームの最初の頃ね」

十四番まあ結果はあなた達に覚えてもらえないぐらい人気も出ず引退。というか事務所をクビになったの」

十四番「第二次アイドルブームでアイドルの敷居が低くなりアイドルを目指す人は格段に増えたわ。でも私みたいに何も出来ず消えていったアイドルもたくさんいるのよ」
 

300: 矢橋P 25/03/03(月) 21:16:43 ID:82Lj

静香「あなたは……混黒高校とは関係なく自分の意思で十三番高校に入ったんですか」


十四番「そうよ!失意のどん底で消えようとしていた私はあの人によって救われたの。このims甲子園の優勝でまた私は再び蘇る」

志保「それがあなたの負けられない理由ね」

十四番「同情はしなくていいわよ?」

志保「初めから一切するつもりは無いです」
 

301: 矢橋P 25/03/03(月) 21:17:41 ID:82Lj

十四番「その態度で安心したわ。でもあなた達も覚えておくことね」

十四番「高校を卒業した後もアイドルを目指すつもりなのかもしれないけれどあなた達が思ってるような華やかな世界じゃないわよ」

静香「……たとえそうだとしても私は希望を捨てない」

十四番「ふふ……、前途希望に溢れたあなた達と落ちて這い上がった私達。さしずめこれは光と闇の対決かしら」

十四番「アイドルの先輩として現実の厳しさを教えてあげる!」







302: 矢橋P 25/03/03(月) 21:18:44 ID:82Lj
観客席






唯香「元分校アイドル部のエース達の活躍は見に行かないわけにはいかないだろ」

正「うん、静香さん達も凄くなったよね」

陽葵「けっ……」


唯香「そういや桜華はどうしたんだよ。今夏休み中だろ?」

正「何でもやることがあるんだって」
 

303: 矢橋P 25/03/03(月) 21:20:03 ID:82Lj



恵美「ちょっとそこの君たち~。隣いいかな~」

唯香「ああ別に…………ってあんた!」

陽葵「あっ……」


恵美「しーっ、静かに!他のみんな気付いちゃうでしょ?」

恵美「一応変装はしてるけどさ。この会場アイドル好きが集まってそうだし、ばれないように挟んで目立たないようにしてくれれば嬉しいな~って」

唯香「あんたの頼みなら大歓迎だよ!」

 

304: 矢橋P 25/03/03(月) 21:20:55 ID:82Lj

恵美「しっかし凄い会場だね~。初めてims甲子園アリーナに来てみたけど下手なコンサートホールより豪華じゃん」

正「静香さん達がちょっとうらやましいね」

陽葵「う、うん」オドオド

唯香「見てな、アタシはバンドマンとしていつかここのステージに立つぜ!」


正「恵美さんは何で観に来たんですか?」

恵美「昴にどうしても来てくれって誘われてさ~」

恵美(オレは野球部の監督でアイドル部に付けないから、もしものことがあったら静香達を頼む……ってね)

恵美「でも未来のライバルを観に行くのもいいかもって思って来たんだ」






 

305: 矢橋P 25/03/03(月) 21:21:57 ID:82Lj
混黒高校




テレビ<ワーワー


可奈「翼、もうすぐ始まるけど本当に観ないの?」

翼「うん。帝さんに勝った静香ちゃんなら絶対勝つだろうからね」

翼「それより今は少しでもレッスンをしたい気持ちなんだ~」

翼「だから結果だけ後で教えてね」

可奈「気になっているんじゃない……」

翼(待っててね静香ちゃん。今度は私が挑戦者だよ!)







 

306: 矢橋P 25/03/03(月) 21:23:14 ID:82Lj
とある建物






テレビ<オーッ


美也「いよいよですな~」

紬「あの十三番高校にホンフーさんが……ツナミが関わっているわけですね」

朋花「私の子ぶたちゃんもです」ゴゴゴ

紬「ひゃい!」

朋花(静香さん……頼みましたよ)








 

307: 矢橋P 25/03/03(月) 21:24:31 ID:82Lj
元日本大神本社
現ツナミグループ日本支部総本部 
会長室







甲斐「……突然来日されたと思いましたが、会長室でims甲子園を観戦するためでしたか」

ジオット「まあね。それにここは世界の中でも僕が肩の力を抜ける数少ない場所なんだよ」

甲斐「私の気が緩みませんが」

ジオット「結構な褒め言葉のつもりなんだけどね。こんな風に軽口叩け合えるのは世界でも君だけさ」
 

308: 矢橋P 25/03/03(月) 21:26:23 ID:82Lj

ジオット「それに”ims甲子園を提案したのはこの僕”だからね。提案者が見物しないわけにはいかないだろう?」

甲斐「また……戯れを」

ジオット「一応、気まぐれじゃなくて実利もかねているんだけど」

甲斐「?」

ジオット「パイプドリームくんによると……”アイドルは具現化と相性が良い”みたいだからねぇ」

甲斐「!!」

309: 矢橋P 25/03/03(月) 21:27:32 ID:82Lj

巨大ディスプレイ<ワーッ!



ジオット「おやこの娘は……」

甲斐「開拓高校の最上静香ですか」

ジオット「そうか、彼女がね。やはり僕の目に狂いはなかった」






 

310: 矢橋P 25/03/03(月) 21:29:25 ID:82Lj

【ims甲子園】

≪トーナメント決勝戦≫
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 開拓高校 
inferno     リーダー 最上静香
             &北沢志保
      VS
 十三番高校
フォーティーン 
        リーダー  十四番 
         &二十一番、三十番   
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 

311: 矢橋P 25/03/03(月) 22:51:45 ID:82Lj
甲子園球場







開拓高校5-0十三番高校

七回の表 十三番高校の攻撃前




杉田「あ、あれ。このままだと」

軽井「勝てる、勝てるぜ俺達!」

詰井「これじゃあサンダー学園の方がよっぽど強かったな」

 

312: 矢橋P 25/03/03(月) 22:52:24 ID:82Lj

冴花「どうやら相手チームの調子が良くないみたいですね」

千羽矢「相手チーム、なんかふらふら~だね」

昴「油断するなよ、最後までな」


 

313: 矢橋P 25/03/03(月) 22:52:48 ID:82Lj

ホンフー「……これは駄目かもね」

ホンフー「はいはい、皆さん~集合~」







詰井「あいつら攻撃の前に集まって……作戦タイムか?」
 

314: 矢橋P 25/03/03(月) 22:53:52 ID:82Lj

ホンフー「残念なお知らせです。どうやらあなた達の体はここで限界のようです」

ホンフー『ここで試合をやめなさい』

ホンフー「もうデータは十分取れました。あなた達は良くやったわ」

ホンフー「今は苦しいかもしれないけれど学校に戻れば楽になるわよ」

ホンフー『もう諦めなさい』



十一番「監督!」

ホンフー「どうしたの十一番?」

十一番「どうか最後までやらせて下さい!」
 

315: 矢橋P 25/03/03(月) 22:54:45 ID:82Lj

ホンフー「だからぁ、あなた達の肉体はもう限界なの」

十一番「オ、オレ知ってます。先生が出来るのを。ツボに針を、禁断のツボを」

ホンフー「いいのかしら?今のあなた達にそれをしたらあなた達スポーツどころか一生ベッドの上から起き上がれないわよ」


十一番「構いません。かけがえのない、この日のために」

十三番「最高の力を、一瞬だけの」

十一番「お願いします」

十二番「お゛ね゛か゛い゛し゛ま゛す゛」
 

316: 矢橋P 25/03/03(月) 22:55:37 ID:82Lj

ホンフー「……わかった。先生あなた達の熱意に負けたわぁ。使ってあげるわアレを」








未来「あれ?相手のチームが円陣を組みだして……」



プスッ


「「「ぐぅおおおおお!」」」



未来「うわぁっ!」

詰井「何だよ、今の気合い入れ方は!」
 

317: 矢橋P 25/03/03(月) 22:57:08 ID:82Lj
ホンフー(さてと。この状態になったら神経と肉体が過度に酷使されて酷い激痛に苛まれるでしょうね。でも……)



十三番「勝っそ゛お゛!これが最後の試合た゛あ゛」

十二番「お゛お゛っ゛」



ホンフー「本当にあなた達最高だわぁ」

ホンフー(モルモットとしては、だけどね)



 

318: 矢橋P 25/03/03(月) 22:59:04 ID:82Lj
そして


カキーーーン!






昴「ぐっ、ホームランを打たれちまった」

冴花「相手チームが急に強くなったわ。とても……不自然ね」



未来「みんな落ち着いて。まだこっちがリードしてる。気圧されずいくよ!」

杉田「でも相手チームは人間やめてるみたいだよ?」

未来「この一瞬のために何かを捨ててきたのは私達だって同じだよ。思い出してみてよ、今日までのこと」

 

319: 矢橋P 25/03/03(月) 23:00:52 ID:82Lj


澄原「わたしは海底分校のみんなを置いて来た。ここで負けたら顔向け出来ないね」

下山「楽しい、楽しいよ。僕は本校から開拓高校に移ったけどこのチームに移って本当によかった」

軽井「俺はここまで熱を入れるつもりはなかったなぁ。でも監督や木村ちゃんや春日ちゃんに押っつけられてさ。でも案外悪くなかったしあともうちょい付き合おうかな」

杉田「僕、開拓高校に来るまで野球ボールを触ったこともなかったんだ。けどこんな僕でも甲子園に行けるんだ」

カンタ「僕は半年も経ってないけど甲子園に連れてってもらえるなんて贅沢だよ。僕も後輩が出来たら絶対後輩に連れて行くよ!」
 

320: 矢橋P 25/03/03(月) 23:02:03 ID:82Lj

詰井「毎日山ランニングしてよ。トレーニングシューズを何個使い潰したかわかんないよな。雨の日はボールを縫ったりしてさ」

詰井「いろいろあったけどこれが最後の試合だもんな。どうせなら勝って終わらせようぜ」



 
未来(私は……)

未来(翼と別れて静香ちゃんはアイドル部に行っちゃって……)

未来(なんだかバラバラになっちゃったけど後悔はしてないよ)

未来(進む道は違っても三人の心は同じだから!)





 

321: 矢橋P 25/03/03(月) 23:02:49 ID:82Lj








ホンフー「おや、そろそろアイドル部の試合結果が出る頃ね」

ホンフー「十八番、ちょっと席を外すわ。その間お願いね」


 

322: 矢橋P 25/03/03(月) 23:05:14 ID:82Lj
ツナミグループims甲子園アリーナ






静香「………」ハァハァ

志保「………」ハァハァ


十四番「……」ハァハァ



アナウンス<両者素晴らしいパフォーマンスありがとうございました

アナウンス<ただ今審査中なのでしばらくお待ち下さい




静香(全力を尽くしたパフォーマンスだった。今の私達にはあれ以上のパフォーマンスは出来ないと言い切れるぐらいに)

静香(でもそれはフォーティーンのメンバーも同じだ。お互いのチームに落ち度はない)

静香(だからもう勝敗は……運命の女神が微笑んだ方が勝つ、なんて言いたくなるほどね)

323: 矢橋P 25/03/03(月) 23:06:09 ID:82Lj


ざわざわ ざわざわ ざわざわ ざわざわ





唯香「おいおい、まだ審査結果出ないのかよ」

正「今回遅いよね」

恵美「……おそらく審査員も決めかねているんじゃないかな。それぐらい大きな優劣は無かったから」
 

324: 矢橋P 25/03/03(月) 23:07:25 ID:82Lj

志保(私達の勝ち。って思いたいけど……)

志保(今まで私達は可奈達のマグス。奈緒さん達Jus-2-Mint。帝さんのデウス・エクスと格上と挑んできた)

志保(それらのチームを相手にしている時、私達がこれだけは勝ってると思えることがあった)

志保(それはims甲子園で優勝したいという気持ち)

志保(静香の父親の約束のことだけじゃない。私達は今まで分校から出場まで勝ち取り逆境を乗り越えてきたからこそ、その気持ちがどのチームより強いって思えた)

志保(だから歌やダンスで劣っていても毅然と立ち向かえた)
 

325: 矢橋P 25/03/03(月) 23:08:09 ID:82Lj

志保(でも……パフォーマンスを見て感じた。ims甲子園で勝ちたいって想いはフォーティーンの方が上だわ)

志保(本当のどん底から這い上がって、まるでこの一瞬のためなら死んでもいいってほどの気迫が伝わるパフォーマンス)

志保(正直勝てる自信は……)


ポン


志保「静香……」

静香「大丈夫よ。私達は出来ることはした。勝てるわ」

静香「これで負けたら悔いは無いわね。これが最後のアイドル活動になっても仕方ないかしら」

志保「あなた……」




 

326: 矢橋P 25/03/03(月) 23:41:14 ID:82Lj

アナウンス<えーっと、審査結果が出たようです

アナウンス<第二回ims甲子園、優勝は……







アナウンス<開拓高校です!




\ウワーーーーーーッ/

327: 矢橋P 25/03/03(月) 23:42:44 ID:82Lj


唯香「本当にやりやがったなあいつら!」

正「よかった、本当に良かったよ」ホロリ

恵美(これもあんたが希望を持って進んだ結果だよ)






麻美「勝った!優勝だよ静香ちゃーーーーん」


静香「…………」

麻美「あれどうしたの?」

静香「自信が無かったわけでもないけれど負けてもおかしくなかったから実感が湧かないの」

志保「そうね。同じ気持ちだわ」



 

328: 矢橋P 25/03/04(火) 06:07:48 ID:pcau


審査員「決勝戦にふさわしいハイレベルのアイドル勝負でした」

審査員「これほどの名勝負はプロの世界でもなかなか無いかもしれません」

審査員「両者の健闘を心から讃えます。では……」



<あの、勝敗の分かれ目になった要因は何ですか?




審査員「それは…………ありません」


<えっ





審査員「明確な勝因ありません。以上です」






<何だよそれ

<最後は好みで決めたのかよ!

329: 矢橋P 25/03/04(火) 06:10:44 ID:pcau



ホンフー「……現実はどこまでも冷たく残酷ね」

ホンフー「二つのチームに優劣はほとんどなかった。審査員が答えあぐねるほどに」

ホンフー「だから最後の最後でものを言ったのは”アイドルの才能”」

ホンフー「結局アイドルとしての才能の差があの二人を勝利へと導いた。言葉では言い表せないほど僅かな、でも絶対的な差」


ホンフー「……猫をいくら強化しても本物の虎には敵いませんか」

ホンフー「それじゃ野球の方に戻ろうかしら」ビュン


330: 矢橋P 25/03/04(火) 06:13:09 ID:pcau


十四番「う、ふふ。負けたわ。この瞬間のために全てを捨てたのに勝てなかった」

静香「勝負では私達が勝ちましたが差なんてなかったです」

静香「あなた達は無名なんかじゃない。私はあなた達と戦えたことを誇りに思います」

十四番「……最期に本物の才能を持ったあなたにそう言われるなら本望だわ」


ガクッ


静香「どうしたんですか」




桜華「静香さんお退きになって!」

静香「桜華さん!?」
 

331: 矢橋P 25/03/04(火) 06:13:48 ID:pcau

二十一番「……」ガクッ

三十番「……」ガクッ


桜華「担架を早く!」



志保「どういうことなの」

桜華「この人達はもう限界なのですわ」

ミーナ「だから試合終わった後にすぐ救急車に運べるよう待機してましたです」

桜華「この方達は私達で何とかしますから静香さんは気になさらずに」








アナウンス<えーっと、アクシデントがありましたが大会運営に任せまして……

アナウンス<これから移動の準備を行います

332: 矢橋P 25/03/04(火) 06:15:17 ID:pcau









甲子園球場


十三番5ー5開拓

9回の裏  開拓高校の攻撃





詰井「ついにここまで来たけどよ」

冴花「私達が裏だからあと1点入れればサヨナラだけど……その1点が遠いわ」

昴「くそ……」
 

333: 矢橋P 25/03/04(火) 06:17:03 ID:pcau
<四番~ショート~春日ちゃん~




\ワァーーーーッ/




未来「……」グッ




杉田「何とか春日さんまで打順が回ってきたけど……」

下山「ツーアウト、ランナー無しじゃあ……」

冴花「それに彼女……いや私達はあれから今のピッチャーに一回もヒットを打ててない」

334: 矢橋P 25/03/04(火) 06:19:04 ID:pcau
十一番「……」ヒュッ



ゴウッ!


バシーーーッ!



<ボール!



未来(もの凄い球。打てる気がしないよ……)








<ちょっと君

335: 矢橋P 25/03/04(火) 06:20:00 ID:pcau
詰井「ん?ってあれは……」

杉田「静香さん!?」





静香「……」っメガホン

静香「未来ーーーっ!」






未来「静香ちゃん!?」
 

336: 矢橋P 25/03/04(火) 06:21:32 ID:pcau

静香「私達は勝ったわよーーーーー!」

静香「だからあなたも絶対勝ちなさーーーーーーい!」








軽井「最上ちゃんが甲子園に来たってことは……」

昴「アイドル部は優勝したんだな。ならオレ達も負けてられないよな!」




志保「何やってんだか……」

麻美「応援用のメガホン持ってきてよかった~」

麻美(あの時とは逆になったね二人とも!)

337: 矢橋P 25/03/04(火) 06:22:44 ID:pcau
未来(静香ちゃん!)

未来(ううん。喜ぶのは私達も勝ってからだ!)




ブン!



カキーーーン!








そして


≪野球試合 試合結果≫

十三番 000000221×5
ーーーーーーーーーーーーー
開拓  102101001×6
 

338: 矢橋P 25/03/04(火) 06:24:07 ID:pcau
開拓高校の勝利





十三番「ま゛げ゛た゛ー」

十二番「ウ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ッ」



未来「君たち……」

十三番「同情すんなよ」

未来「!」

十三番「勝ったお前達が胸張ってないと負けたオレ達みじめ。整列まではちゃんとやってやる」






「「「対戦ありがとうございました!!!」」」
 

339: 矢橋P 25/03/04(火) 06:26:14 ID:pcau
そして……





「ここに甲子園優勝高校とims甲子園優勝高校が揃いました」

「しかしどちらも優勝が同じ高校とは、いやー凄いですね」

「開拓高校野球部の甲子園女子でキャプテンの春日未来選手。何か一言を」


「最後の試合は負けちゃうかもって思いました。十三番高校の人達、めちゃくちゃ強かったよ!」

「それでも勝てたのは……アイドルの声援のおかげです。私にとって一番のアイドルからの激励は効果抜群ですね!」




<ちょっと未来!


<あははっ

340: 矢橋P 25/03/04(火) 06:29:31 ID:pcau
夏のよく晴れた青空広がる甲子園球場
観客席は双方の試合を観に来た人で溢れんばかり
私の隣には呆れる志保がいて涙を流す麻美とそれを介抱する由良里さんもそばにいる
向かいには未来達野球部が同じこの場所で一緒に優勝のお祝いを受けている
昴コーチや紗代子コーチや麗花コーチも祝福してくれて
遠くには分校のみんなや恵美さんの姿も見えたの


この時になって私はようやくims甲子園を優勝したのだという実感が込み上げて来たみたいで……
……そんなつもりじゃないのに視界が歪んでよく見えないの

341: 矢橋P 25/03/04(火) 06:30:31 ID:pcau







昴(良くやったよ……)

???「失礼します」

昴「あれ、取材か何か?」

???「違います。私、Maihamanのマネージャーを務めます田村典子と申します」

典子「Maihamanがあなたに会いたいと申してます。お忙しい所申し訳ないですが少々お時間よろしいですか?」







 

342: 矢橋P 25/03/04(火) 07:43:38 ID:pcau
VIPルーム






恵美「……」

昴「……恵美も呼ばれたのか」

恵美「ツナミグループのトップアイドルからのご指名とあっちゃね」

343: 矢橋P 25/03/04(火) 07:45:17 ID:pcau

歩「悪いねお二人とも。アタシも中々時間が取れなくてさ、突然で迷惑だったでしょ」

恵美「いいって。それより要件は?」

歩「まず去年の九月に起きたのことは色々迷惑かけたね。ツナミグループを代表してお詫びするよ」

恵美(この人……ツナミの裏を知ってるんだ)


昴「……別にあんたは関係ないだろ。謝る必要なんてねーし」

恵美「最初に関係ないそれを持ち出すなんて、脅しのつもり?」


歩「脅しのつもりはないんだけどさ、気まぐれで呼んだわけじゃないって伝えるにはこれが手っ取り早いって思ってね」

歩「アタシの立場も少し理解してもらったところで本題だけど」

歩「実は話のメインは永吉昴、君なんだ」

昴「オレか?」
 

344: 矢橋P 25/03/04(火) 07:46:28 ID:pcau


歩「アイドルに復帰するつもりはあるかい?」




昴「……ツナミのトップアイドル様はとことん上からだな」

昴「何でオレがアイドルを辞めたかも知らねーで!」
 

345: 矢橋P 25/03/04(火) 07:54:03 ID:uQLp

歩「君を束縛していた組織……”反ツナミ連合”だったかな」



歩「あれ、潰しておいたから」



昴「つ、潰し、ってお前」

歩「反ツナミ連合の存在には気付いていたんだけど、ウチのボスが面白そうだからって放っておいていたんだ。だけど一般人まで迷惑かけちゃ駄目だよね」

歩「だからアタシが頼んで潰してもらったよ。跡形もなくね」


恵美「あんた……」

歩「おや、そんなに驚くことかな。アタシの後ろいるのはにはツナミ、それも"ジオットのお気に入り"だ」
 

346: 矢橋P 25/03/04(火) 07:56:16 ID:uQLp

恵美「……確かにこれ以上にない説得力のある台詞だね」



バサッ



歩「これが奴らが持っていた永吉昴がサイボーグだというデータ。もちろんコピーなんかしてないよ」

歩「それを処分すればあんたをサイボーグだなんて体を解剖しない限りは誰も証明出来ない。もう脅されることはないさ」
 

347: 矢橋P 25/03/04(火) 07:58:32 ID:uQLp

昴「ずいぶん手際いいじゃねーか。何が目的だ」


歩「目的?別にツナミのトップアイドルであるアタシが君たちに求めるものなんてないよ」

歩「アタシの願いはただ一つだけ。アタシの親友……いや命の恩人がさ、望んでいたんだ。一人でも多くのアイドルの誕生を」

歩「それを妨げる奴は許さない。それだけだよ」



歩「話はこれで終わり。恵美は悪かったね、関係ないのにここまで突き合わせて」

恵美「……別にいいけど」
 

348: 矢橋P 25/03/04(火) 08:01:03 ID:uQLp
昴「データを回収してくれたことは感謝するぜ。……アイドルのことは考えさせてくれ」

歩「昴がどんな選択してもアタシは構わないよ。ただ……出来ればアイドルに復帰してほしいかな」

昴「……」



歩「二人にはまた会いたいな。アイドルのステージでね」

昴「そうかよ」

恵美「あんたのご期待に応えればいいね」





バタン

349: 矢橋P 25/03/04(火) 08:06:59 ID:uQLp


典子「……お二人とも離れましたよ歩さん」



歩「……」

歩「あ-っ、緊張したぁ。ねぇ不自然じゃなかったよね、ね~」ハァー


典子「歩さんの本質はヘタレなんですから無理して演じる必要はないのに……」

歩「それでも隠さなきゃいけないんだ。アタシは外にも内にも舐められたら終わりなんだから」
 

350: 矢橋P 25/03/04(火) 08:22:29 ID:uQLp

典子「歩さんはよくやっています。歩さんが色々手を回していなかったらアイドル業界は今頃どうなっていたか」

歩「金融、医療、工業。ツナミが手を出した事業はことごとくツナミに蹂躙されてる」

歩「“ツナミが通った後は何も残らない“。全く、津波グループとはよく言ったものだね」


典子「ツナミグループって名前、甲斐さんの案らしいですよ」

歩「ああ、どおりでセンスある名前だなぁって思った」
 
 

351: 矢橋P 25/03/04(火) 08:24:06 ID:uQLp

歩「ツナミグループが手を出して未だ無事なのはアイドル業界だけだ」

典子「それも時間の問題です。ここ数年ims甲子園アリーナを始めとしたアイドル事業の運営、整備の大半ははツナミの強大な資金力で行われています」

歩「第二次アイドルブームもツナミの支援あってこそだからね」

典子「馬鹿な人達はツナミ様々、アイドルブームにあやかるぜ!としか思っていないみたいですが、ツナミがアイドル事業に手を出したこの六年間でアイドル業界はツナミ無しには維持出来ないところまで来ています」

典子「今後はもうどうなるか……」
 

352: 矢橋P 25/03/04(火) 08:27:19 ID:uQLp


歩「それでもアタシは諦めないよ。ツナミを倒すことが出来るのはアイドルだけだ」

歩「いつかツナミをひっくり返すアイドルが出てくるって信じているさ。それまではアタシはこの立場でアイドルの居場所を守るからね」










 

 

353: 矢橋P 25/03/04(火) 08:30:05 ID:uQLp
ツナミグループ日本支部総本部 
会長室






パチパチ


ジオット「いいね。いい試合だったよ」

甲斐「満足でしたか」

ジオット「ひとまずims甲子園は成功だったよ。いやー、先行投資したかいがあった」
 

354: 矢橋P 25/03/04(火) 08:32:11 ID:uQLp

ジオット「決めたよ甲斐くん。近々じゃないけど……アイドルの大会を開こうか」

甲斐「アイドルの大会ですか」


ジオット「そう。ただの大会じゃない、世界一のアイドルを決める大会さ」

ジオット「後から他の大会の方が本物って言われても困るからさ、ツナミじゃなきゃ出来ないくらい盛大に、全世界のアイドルを巻き込んだ最高の大会にしようよ」

ジオット「ims甲子園といいアイドル業界にはずいぶん投資をしてきたからねぇ。そろそろいいんじゃないかって思うんだ」


甲斐「……」

355: 矢橋P 25/03/04(火) 08:34:16 ID:uQLp

甲斐は知っている
ジオットという人物はアイドルに感化され、アイドル業界を盛り上げる
そんな慈善事業をする人物ではないことを



甲斐(狙いはおそらく先ほどおっしゃっていたアイドルと具現化。世界中のアイドルを集めて具現化で何かするつもりですか)

356: 矢橋P 25/03/04(火) 08:36:19 ID:uQLp

甲斐「……それであれば我がグループのアイドルも増やす必要はありますね」

甲斐「皇帝をスカウトする予定だったのでは?」

ジオット「ちょっと興味あったんだけどねぇ。あれは駄目だ。」

甲斐「精神面ではまだ未熟でしたがアイドルとしての才能は申し分ないと思うのですが」
 

357: 矢橋P 25/03/04(火) 08:38:10 ID:uQLp

ジオット「甲斐くん、スポーツの世界ってさ。三十代四十代のベテランが二十歳のスーパールーキーに負けること、何も珍しくもない」

ジオット「でも職人の世界で五十歳六十歳の巨匠が二十代の若造に負けることあるかい?」

ジオット「六十も過ぎた政界の重鎮がパッと出の若手議員に負けることがあるとでも?」



甲斐「……経験ですか」

ジオット「後は人間性かな」

358: 矢橋P 25/03/04(火) 08:40:30 ID:uQLp

ジオット「スポーツの世界って割と若さと才能で何とかなってしまう時があるんだよ。でも人生ってのはそうはいかない」

ジオット「若さと才能だけで通用するのはルールがある競技の世界だけ」

ジオット「僕はね、コレクションの趣味は無くてさ。その気になったらあらゆるアイドルを手元に置くことが出来るけど、僕がほしいのは超一流のアイドルじゃない“一流の人間“だ。それ以外は邪魔なだけだ、数だけ多くても困るんだよ」



甲斐「確かに。この六年間、我がツナミグループの影響力と財力に群がるアイドルは何人も居ましたが結局誰も残らなかった」

ジオット「僕たちはアイドルの育成なんてするつもりはこれっぽっちもないからねぇ。何でも自分で何とか出来るアイドルじゃないとツナミには相応しくない」
 

359: 矢橋P 25/03/04(火) 08:43:08 ID:uQLp

ジオット「まあ彼女の場合、才能がありすぎたんだろうね。それを指摘する人もいなかった」

ジオット「初星学園にはアイドル候補生でもプロデューサーを付けるシステムがあるそうじゃないか。彼女がプロデューサーを拒否しないでうまくやれていたなら……変わっていたかもね」



甲斐「……では最上静香はどうです?」

ジオット「彼女かぁ。彼女はすごく興味が出てきたところだったんだけど……どうやら僕より先に目を付けた事務所があるみたいだからそちらに譲るよ」

360: 矢橋P 25/03/04(火) 08:45:48 ID:uQLp

ジオット「その気になったら何でも出来るけど、あえてやらないのが僕のやり方だからね。まあ、しばらくは歩くん一人で頑張ってもらうけど……」

ジオット「アイドル候補に心当たりがあるんだ。“僕の方でね“」

甲斐「……裏の人間ですか」

ジオット「いかにもアイドルって娘ばかりじゃつまらないじゃないか。少し壊れているくらいが僕の好みなんだよ」









 

361: 矢橋P 25/03/04(火) 08:48:25 ID:uQLp






とある建物



美也「無事、何事もなく終わったようで何よりですね~」

朋花「騎士団から連絡がありました。十三番高校の生徒達を無事病院に搬送出来たと」


紬「ひとまず幸いでしたが……容易にことが進みすぎでは?」

朋花「あのホンフーさんがこんな簡単に証拠を残すはずがありません。十三番高校はもう用済みってことみたいですね」
 

362: 矢橋P 25/03/04(火) 15:36:42 ID:pcau

美也「……我々も動く時が来たのでしょうか」

紬「主様。いまなんと……」

美也「紬ちゃん。朋花ちゃん」

朋花「何ですか?」


美也「アイドルになってみませんか?」








 


363: 矢橋P 25/03/04(火) 15:42:21 ID:pcau
そして月日が流れ……



混黒高校本校 校長室






桜華「十三番高校があったと思われる所から混黒高校の関わりを示す証拠がたくさん出てきましたわ!これで言い逃れは出来ません」

福山校長「ぐっ……」

福山校長(巫先生め……)
 

364: 矢橋P 25/03/04(火) 15:43:22 ID:pcau

福山校長「バレては仕方ない。そちらにはあの武内ミーナ氏もいるのだろう。抵抗しても無駄なようだ」

福山校長「ワシも男だ。大人しく……」


桜華「私の言うことを実践していただければこのことは表沙汰にはいたしません」

福山校長「何?どういうことじゃ」
 

365: 矢橋P 25/03/04(火) 15:46:15 ID:pcau

桜華「まず十三番高校の方々のケアを充分にすること。そして……十一の分校を独立させることですわ」

桜華「でも……私は混黒本校や開拓高校を含めた十二の高校の繋がりを消したくはないのです」

桜華「悪かったのは混黒本校に利権を集中させてしまったこと。開拓、海底、天空、坂夢、平面、神桜、そして混黒」

桜華「せっかくみんなと縁することが出来たのですもの。これからも姉妹校、兄弟校としてみんなで協力していきたいですわ」

桜華「そのためには福山校長、あなたの力が必要です。あなたが辞めてもらっては困りますわ」
 

366: 矢橋P 25/03/04(火) 15:46:52 ID:pcau
福山校長「……わかった、よいじゃろう」

福山校長「だが……あの反抗的な小娘がよくぞここまで考えれるようになれたもんじゃ」

桜華「あの頃の私ならそうはしなかったでしょう。これも開拓高校で学んだことですわ」

 
 





 



367: 矢橋P 25/03/04(火) 15:47:37 ID:pcau
さらに月日は流れ……





未来「静香ちゃんおめでとう!スカウトされたんだって?」

静香「ええ。”765プロ”にね。お父さんも認めてくれたわ」
 

368: 矢橋P 25/03/04(火) 15:48:06 ID:pcau

未来「志保や翼や可奈も同じ事務所にスカウトされたんだよね」

静香「そうよ。奈緒さんと美奈子さんもスカウトされたって聞いたわ」

未来「麻美ちゃんも卒業したら桧垣先生のお手伝いだし」

未来「混黒高校も来年からは事業協力みたいな感じで分校化を辞めるみたいだし、めでたしめでたしだね」
 

369: 矢橋P 25/03/04(火) 15:49:53 ID:pcau

静香「……」

未来「静香ちゃんどうしたの」


静香「ニワトリ、翼、餅田さん、分校のアイドル部、十三番高校の人達。私はここまで来るのに色んなものを踏み台にして来たのかもしれないな……って」

未来「そうかもしれないよ。でも静香ちゃんはその分……いやそれ以上に周りに希望を与えて来たんだよ」

未来「私に麻美ちゃん、桜華さんに若来ちゃんや千羽矢ちゃん、そして野球部のみんなにね」

静香「……そうね。私はアイドル、希望を持って進むの。そしてこれからは進むだけじゃない、周りに感謝しながら希望を与えられる人になるの」
 

370: 矢橋P 25/03/04(火) 15:50:45 ID:pcau
未来「だってさ~、翼」

静香「えっ」


翼「やっほ~静香ちゃん!」

静香「つ、翼……」

翼「何びっくりしてるのさ~、来年からは同じ事務所でしょ?」

静香「そ、そうだけど……」

翼「だからぁ~、静香ちゃんとは色々あったけど。はい仲直りの握手、握手~」ギュッ

静香「もう……」ギュッ

翼「えへへ~」

未来「これで三人ともまた一緒だね!」
 

371: 矢橋P 25/03/04(火) 15:51:49 ID:pcau





志保「私達もいるのだけど」

可奈「まあ三人でいい空気なんだからいいんじゃない?」

可奈「……志保ちゃんもよろしくね」

志保「今さらね……まあいいわ」






 

372: 矢橋P 25/03/04(火) 15:52:48 ID:pcau



こうして私の三年の高校生活は終わった
怪我をしたり農業をしたりims甲子園に出場したり
色々あったけどこの三年間あったことは一生忘れないだろう
でも私も未来も翼も志保も麻美も学校のみんなだって
みんなみんな前へ進んでいく
決して立ち止まることは出来ない。それが勝ち残った私の使命だと思うから



 静香「逆襲のアイドル!」  -完-

373: 矢橋P 25/03/04(火) 16:04:27 ID:pcau

十四番   スターになれなかった元アイドル

十三番高校のアイドル部で十四番と呼ばれている女子生徒
その正体は事務所に居られなくなった元アイドル
アイドルを引退後失意の底にいた彼女は高校に通うことも出来なかったところをアイドルに興味あったホンフーに拾われる
ホンフーにはims甲子園を優勝した暁にはツナミグループのアイドル部門への編入をお願いしていた

実は彼女の所属していた事務所は第二アイドルブームに安易に乗っかかった急造なアイドル事務所だったため
彼女が売れなかったのは彼女だけのせいとは言い切れない
ちなみに亜利沙は彼女のことを覚えていた。亜利沙があの場にもし居たなら……

374: 矢橋P 25/03/04(火) 16:05:36 ID:pcau

ホンフー   ジオットの側近

あの広大なツナミグループですら一握りの人間しか許されないジオット直属の部下にして超能力者 コードネームは”バッドエンド”
能力をコピー出来る能力を持ちツナミグループの能力者の能力はコピーし終えている
超能力者抜きにしても身体能力だけでも最強クラスの暗殺者であり
世界でも五本指に入るぐらいには強い

今回日本で活動していたのはジオット直々の指令であり、甲斐も把握はしていない
どうやら人間の身体能力の限界と"アイドル”について色々実験をしていたらしい
具現化である朋花の能力はコピー出来なかったようで朋花の子ぶたちゃん集めを密かに利用していた

375: 矢橋P 25/03/04(火) 16:07:28 ID:pcau

ジオット   ツナミグループ全会長

世界最高企業のツナミグループを取り仕切る男
大神とジャジメントが合併しツナミグループになってからの三年間で
ツナミグループはますます強大になっており、もはや企業が束になっても勝てないほどである
世界一の金持ちを自称するほどの財力を持ちながら本人は無駄に散財することを嫌う
反ツナミ連合やヒーロー連合など自分達の敵となる勢力を敢えて野放しにして自分達に抵抗する者を望んでいる節もある

この話の中では目立ったことはしていないが裏では……

376: 矢橋P 25/03/04(火) 16:09:02 ID:pcau

舞浜歩   ツナミのトップアイドル

ツナミグループアイドル部門で唯一の所属アイドル 芸名はMaihaman
彼女の後輩も何人かは居たが、皆辞めている
あれから相当努力したようでトップアイドルに近いアイドルとされている
それには業界に慣れない歩を支えた甲斐のサポートも大きい
ツナミグループの所属アイドルという外も内も敵だらけの激動を乗り越えた彼女は本当に強くなった

377: 矢橋P 25/03/04(火) 16:09:24 ID:pcau
その結果”ジオットのお気に入り”という名誉ももらえている
そのことを名乗るだけで並の業界人ならひれ伏すレベル
その地位を使ってツナミグループがアイドル業界に過度に干渉するのを防いでいる
今アイドル業界がツナミの好き勝手にされないのは間違いなく彼女のおかげ
ヒーロー連合とも密かに繋がっておりツナミの情報を流したりしている
育から連絡受けて甲斐にASの作戦中止の要請を依頼したのも彼女

378: 矢橋P 25/03/04(火) 16:11:06 ID:pcau

田村典子   Maihamanのマネージャー

かつて歩が住んでいたアパートに住んでいた少女
歩がアパートから引っ越してマンションに住むようになっても
彼女は追いかけて今は一緒に住んでいる
そして甲斐が歩のパートナーを解除した際に入れ替わりでマネージャーに就任した
その時に処世術を甲斐から手ほどきしてもらい、以後甲斐を慕っている
歩が身近で気を許せる人物が甲斐と彼女だけなので心の支えとなっているようだ
……あのアパートの一室は今でも契約解除しないでそのまま
ヒマワリの世話共々管理を開田にお願いしている。二人がいつでも帰ることが出来る場所なのだ

379: 矢橋P 25/03/04(火) 16:50:50 ID:uQLp

天空橋朋花   聖母を名乗る女性

その正体は美也によって目覚めた具現化系能力者
美也と同じくツナミグループの具現化部門に所属している
彼女は自分の理想とする聖母像を体現することが出来、悩める人間は彼女を見ただけで心を許してしまう
使い処によっては史上最悪の詐欺にも宗教の教祖にもなり得るが
この能力はあくまで彼女の"悩める人を救いたい”という心が具現化しているものであり
邪な考えが少しでも混じると能力は発動しないようになっている

380: 矢橋P 25/03/04(火) 20:17:50 ID:pcau
後書き

最後まで見てくれた方、本当にありがとうございます
最終的に合わせて1300ぐらいのレスになりました
完結までにかかった日数は4ヶ月。前よりは早くなったと思います。……たぶん

381: 矢橋P 25/03/04(火) 20:22:44 ID:pcau

今回題材にしたのは逆襲球児編
それに習って逆襲アイドルにしようかと思ったのですが
逆襲アイドルだと逆襲するだけのためのアイドルとも取れるのでアイドルの逆襲!という意味を込めて
タイトルを逆襲のアイドル!にしました

382: 矢橋P 25/03/04(火) 20:37:53 ID:pcau

野球部とアイドル部を両方進めるのは大変でしたね……
最初はどちらか一つに絞ることも考えましたが両方とも捨てられなくてどっちも進めることにしました
みんな創作になると欲張りになりません?
まあ大変でしたが最終的にはこれで良かったと思います

383: 矢橋P 25/03/04(火) 20:41:25 ID:pcau

正直、このSSで自分が書きたかったのは物語序盤の静香の悩みと葛藤だったので
序盤でこのSSの書きたいこと7割は終わってしまいました
だから新たに追加した目標は


・ASを全員出す
・昴、恵美、歩と前作の主人公を全員出して絡みを作る

でした。千羽矢の下りを無理やり入れたのはそれが原因です
でもこれで4作品目にして自分の最後の担当(やよい)を出してあげることが出来ましたね

384: 矢橋P 25/03/04(火) 20:51:13 ID:pcau

実は全体を通して大きな目標もありまして
ミリオンスターズ全員を出したい!と思っています。このシリーズに登場したミリオンスターズは35人
あと4人出せば達成です。次回作で全員揃う予定かな

385: 矢橋P 25/03/04(火) 20:57:15 ID:pcau

静香、今回主人公お疲れ様
主人公だからみんなを引っ張ってもらわないと困るんだけどミリアニやコミカライズだと
未来が引っ張って静香がたしなめることが多い印象だったから無理して熱血にさせてごめんね
今までの主人公の中で君が一番苦戦したよ

でもこのSSみたいに君にはどんなことがあっても希望を持ってアイドルを続けてほしい

386: 矢橋P 25/03/04(火) 21:08:59 ID:pcau

おそらく次回作がこのシリーズの最終作になると思います(撤回するかもですが)
いよいよツナミグループと全面対決……になるはず

ですがしばらく筆を置くかも。仕事が忙しくなる予定なので

最後にみんなも長編書こう!自分がここに居る時は見て感想送るから!
てめぇの感想なんざ要らない!って場合はここにでも伝えてほしいです

それではまたいつか

引用元: 静香「挑戦の時!」