1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 22:28:44.426 ID:h1xA7sU30.net
魔王「クックック……」

姫「!」ビクッ

魔王「何をしていたのだ?」

姫「もちろん……勇者様の無事を祈ってたのよ」

魔王「勇者はここへはたどり着けんよ。もう諦めろ。諦めて余のものとなれ」

姫「触らないで!」パシッ

ボキッ

姫「……あら?」

2: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 22:32:55.964 ID:h1xA7sU30.net
グニャリ…

姫(魔王の首が曲がって……)

姫「もしもし? もしもーし?」ユサユサ

姫(起きない……)

姫(どうしよう……)

姫(私、魔王を殺しちゃった……?)

3: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 22:35:40.802 ID:h1xA7sU30.net
姫「どうしましょ、どうしましょ!」

ドクンドクン…

姫「あっ、魔王の心臓はまだ動いてる! 心臓マッサージをすれば……!」グッ

グチュッ

シーン…

姫「いやあああっ! 潰しちゃった!」

7: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 22:38:20.199 ID:h1xA7sU30.net
「魔王様、どうなされました?」


姫「!」ハッ

姫(魔王の側近が来た! もし魔王を殺したことがバレたら殺人罪に問われちゃうかも……!)


「入りますよ」


姫(こうなったら、私が魔王の死体を動かすしかない!)グイッ

8: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 22:43:30.198 ID:h1xA7sU30.net
側近「失礼します」

姫(魔王の死体を担いで……私が声を……)

魔王『う、うむ』カクカク

側近「何をしてらしたのですか」

魔王『さらった人間の姫をからかって……遊んでおったのだ』ガクガク

側近「そうですか。しかし我々の目的は打倒勇者であり、人類を支配下に置くことです」

側近「くれぐれも程々に……」

魔王『分かっておるわ!』ギクシャク

10: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 22:46:31.467 ID:h1xA7sU30.net
魔王『とっとと下がれ!』

側近「は……」

魔王『ああ、あと、しばらく余の部屋に入るでないぞ』

側近「なぜです?」

魔王『決まっておろう! 姫とあれこれするためだ! よいな!』

側近「……かしこまりました」

バタン…

姫「ふぅー、なんとかなったわ」

姫(これでしばらく時間を稼げる……なんとかして魔王を蘇らせないと……)

12: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 22:51:08.152 ID:h1xA7sU30.net
数時間後――

姫「ダメだわ! 何やっても生き返らない!」

プーン…

姫「ん?」

姫「……臭い!」

姫「どうしよ! 早くも腐ってきちゃった! 魔族って腐るのが早いのかしら!」

姫「ひいい、もう魔王を生き返らすのは無理だわ!」

14: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 22:54:23.859 ID:h1xA7sU30.net
姫(もし、このまま勇者様がやってきたら――)


勇者『あれ、魔王は?』

姫『私が……倒してしまいました』

勇者『うわっ、なんて野蛮な! 君のことは嫌いになったよ!』

姫『そんな……!』


姫「きっとこうなってしまう!」

姫「こうなったらなんとしても魔王には復活してもらわなくては!」

16: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 22:57:33.249 ID:h1xA7sU30.net
姫「あのー」

側近「! なぜ出歩いている!?」

姫「魔王様が自由時間をくださったの」

側近(また勝手なことを……!)

側近「それで?」

姫「このお城って図書室あるかしら?」

側近「図書室? 書庫だったらあそこを曲がってすぐだ」

姫「ありがとうございます!」

側近「……?」

17: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 23:01:06.807 ID:h1xA7sU30.net
姫「ここが魔王城の書庫……さすがにすごい量だわ」

姫(ここを漁れば、きっと魔王を蘇らせる方法も見つかるはず!)

姫「えーっと……」

ペラペラ…

姫「これでもない……この本も違う……」

ペラペラ…

20: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 23:06:04.399 ID:h1xA7sU30.net
姫「――あった!」

姫「“死んだ魔族をアンデッドとして蘇らせる術”……これでいいわ!」

姫「魔力を膨大に使うのと、そこまで使わないのがあるのか……使わない方でいっか」

姫「やり方は……ふむふむ……」

姫「……」

姫「……」

姫「よし、いよいよ魔王復活だわ!」

21: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 23:09:19.466 ID:h1xA7sU30.net
姫(魔王の死体を魔法陣の中に置いて、と)

姫「ドッデンア……ドッデンア……」

姫「ビーンゾ、ビーンゾ……イタシタッサク……」

姫「よみがーえーれー!!!」ボアァァァァァ…


魔王「……」ピクッ


姫(動いた!?)

22: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 23:13:36.962 ID:h1xA7sU30.net
魔王「……」ムクッ

姫「立った! 魔王が立ったわ! やったーっ!」

魔王「……」ボロボロ…

姫「!」

魔王「ウ、ウガ……」

姫「あら?」

魔王「ウガァァァァァ……」

姫(体は崩れてるし、知能もまるでない! これじゃとても魔王とはいえないわ!)

姫「くっ……ケチらず、魔力をたくさん使う方の術にすべきだったわ……」

23: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 23:16:41.654 ID:h1xA7sU30.net
側近「失礼します」ガチャッ

魔王「……」

姫「!?」ビクッ

姫(なに!? なんでいきなり入ってくるの!?)

魔王「ウ、ウガ……」

姫(ヤバイ、私が魔王の声をやらないと!)

魔王『側近よ、なに勝手に入ってきておるか。いいところだったというのに』

側近「魔王様……」

魔王『なんだ』

25: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 23:20:14.724 ID:h1xA7sU30.net
側近「あんたの天下は今日で終わりだ!」

姫「へ!?」

側近「人類支配という目的も忘れ、人間の小娘などと遊び呆け……」

側近「あんたの身勝手な独裁には、昔から我慢ならなかったんだよ!」

姫(クーデター!?)

側近「喰らえッ! 爆破呪文!」

ボウンッ!

魔王「ウガァッ!」ボロッ…

姫(ゲーッ! 今の魔王は死んでるから、熱には弱いんだってば!)

側近「おおっ、私の呪文が通じる! やはり私が魔王軍最強だ!」

姫(不完全とはいえやっと蘇らせたのに、なんてことしてくれるのよ、このバカ!)

27: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 23:23:53.753 ID:h1xA7sU30.net
側近「トドメだ!」


ボガァァァァァン!!!


側近「や、やった……!」

側近「!?」

姫「痛い……」プスプス…

側近「な!? なぜ姫が!? 魔王の盾に!?」

姫「えーと……この小娘の体を操り、盾とさせてもらったのだ」

側近「くっ、なんという卑劣な! ならばもう一撃――」

30: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 23:27:38.515 ID:h1xA7sU30.net
姫「させるかァ!!!」バチンッ

側近「ぶっ!」ボキッ

ドサッ…

姫「ふぅ……やっつけたわ」

魔王「ウ、ウガ……」

姫「――って、こいつがクーデター起こすならそのままこいつに魔王になってもらってもよかったか!」

姫「あー、失敗したー……」

姫「ま、いっか! やっぱり魔王は魔王がやらなくちゃね!」

33: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 23:30:33.061 ID:h1xA7sU30.net
姫「魔王!」

魔王「ウガ?」

姫「それじゃ改めてあんたを殺して、今度は魔力をたっぷり使う術で蘇らせてあげるからね!」

姫「そしたら、ちゃんと魔王として勇者様を迎え撃ってね!」

魔王「ウガァ……」コクッ

姫「せーのっ……」

バキィッ!


…………

……

34: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 23:34:30.138 ID:h1xA7sU30.net
……

勇者「ついに、ついに……ここまでたどり着いたぞ」

勇者「出てこい、魔王!」

魔王「フハハハハハ、来たか、勇者よ!」

勇者「姫は!? 姫はどこにいる!」

魔王「奥の部屋で大人しくしてもらっておるよ……クックック」

勇者「今こそ貴様を倒し、姫と平和を取り戻す!」

魔王「青二才めが……余の力の前にひれ伏すがいい!」

勇者「いくぞーっ!!!」ダッ

35: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 23:36:50.983 ID:h1xA7sU30.net
ザシュッ!

魔王「ぐはっ……! 余を倒す、とは……!」ドサッ…

勇者「ハァ、ハァ……やった……!」

勇者「姫!!!」

姫「勇者様!」

勇者「よかった、無事だったんだね!」

姫「はい……!」

37: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/07/03(水) 23:39:34.145 ID:h1xA7sU30.net
姫「苦しい旅だったでしょう」

勇者「うん……」

勇者「しかし、こうして手強い魔王と戦い、この手で倒すことができたのは、諦めなかったおかげだ」

勇者「君を助けることができて本当によかった……」

姫「私も……諦めないでよかったです……!」






― 完 ―

引用元: 魔王「諦めて余のものとなれ」姫「触らないで!」パシッ 姫「……あら?」