執事「なーんだ??」 

男「30 minutes instant radio」

0001HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 20:19:07.18ID:oHFt5bdA0
男「お、黒猫だ」

黒猫「…」

男「そんなとこにいると、危ないぞ」

黒猫「にゃーん」

男「チッチッチ」

黒猫「にゃーん」

男「あ、魚肉ソーセージがあったな」ゴソゴソ

黒猫「…」

男「ほれ、こっち来いこっち来い」

黒猫「にゃーん」トコトコ

0005HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 20:26:37.96ID:oHFt5bdA0
男「ほら、こっちこっち」

黒猫「にゃーん」トコトコ

男「ん、ここなら安全」

黒猫「…」モグモグ

男「可愛いなあ」

黒猫「…」モグモグ

男「お前、野良か??」

黒猫「…」モグモグ

男「首輪してないしなあ」

0006HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 20:31:23.53ID:oHFt5bdA0
黒猫「にゃ」

男「あ、そう、バイバイ」

黒猫「…」トコトコ

男「明日も持ってきやるよー」

黒猫「…」トコトコ

男「…」

男「野良っぽい割には毛並みはよかったなあ」

男「…」

男「帰るか」

0007HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 20:37:20.64ID:oHFt5bdA0
―――

男「いよう」

黒猫「にゃーん」

男「今日はチーズを持ってきてみたんだけど」

黒猫「…」ハムハム

男「うまい??」

黒猫「…」ハムハム

男「ははは、腹減ってんだな」

黒猫「…にゃ」

男「ん、明日は何がいい??」

黒猫「…」トコトコ

男「可愛いなあ」


0010HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 20:42:17.64ID:oHFt5bdA0
―――

男「いよう」

黒猫「にゃーん」

男「今日はオニオンリングを」

黒猫「ふしゃー!!」

男「な、なんで怒ってんだよ」

黒猫「ふしゃー!!」

男「た、食べませんか」

黒猫「…」フルフル

男「そっか、嫌いなのかな…」


0013HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 20:46:31.50ID:oHFt5bdA0
―――

男「いよう、今日は…」

少女「…」

男「ごめんなさい、間違えました」

少女「ううん、間違ってない」

男「いや、あの」

少女「今日はソーセージ??チーズ??」

男「え…」

少女「それとも違うもの??」

男「えっと、スルメ…」

少女「ちょうだい」

男「あ、うん」



0014HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 20:50:19.36ID:oHFt5bdA0
少女「…」シガシガ

男「…」

少女「辛!!味濃すぎ!!」ペッペッ

男「あ、ごめん」

少女「猫にこんな味濃いもの食わそうと思うなんて、この悪魔!!」ペッペッ

男「君人間じゃん」

少女「ちゃんと黒いでしょ」

男「服がね」

少女「耳もあるでしょ」

男「それフードだよね」


0016HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 20:55:02.61ID:oHFt5bdA0
少女「かぎしっぽも」

男「それもパーカーから生えてるだけだよね」

少女「…」

男「まあ、いいけど」

少女「ご飯ありがとう」

男「はいはい」

男「で、本当の黒猫は??」

少女「だから、私が…」

男「はいはい」

少女「信じてない」

男「うん、その通り」


0018HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 21:01:11.84ID:oHFt5bdA0
男「スルメが微妙だったのなら昨日の残りのチーズも少しあるけど…」ガサガサ

少女「そっちがいい」

男「はい」

少女「…」ハムハム

男「どう??」

少女「…」ハムハム

少女「うまい」

男「そりゃあよかった」

少女「最初からこっちがよかった」

男「そりゃあ悪かった」


0019HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 21:07:42.36ID:oHFt5bdA0
男「あ、君が本当に黒猫だったら、の話なんだけど」

少女「なに??」

男「これ、首輪でもあげようと思ったんだけど」チリン

少女「…」

男「さすがに女の子の首に巻くのは…倫理的にどうかな」

少女「ほしい」

男「あ、そう」

少女「手首に巻く」

男「ああ、そうね、それがいい」

少女「…」

男「ん」

少女「巻いて」

男「はいはい」


0021HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 21:12:22.75ID:oHFt5bdA0
少女「似合う??」

男「ん、ありだね」

少女「なんで『K』って書いてあるの??」

男「黒猫と言えば『K』だからだよ」

少女「よくわからん」

男「そういうものなんだよ」

少女「そ」

男「君、名前あるの」

少女「ないの」

男「じゃあちょうどいい」

少女「なにがちょうどいいって??」


0023HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 21:19:14.78ID:oHFt5bdA0
男「だから名前」

少女「なんであんたに名前つけてもらわなきゃいけないのよ」

男「…そうね」

少女「名前なんかいらないの」

男「そうかい」

少女「でもこの『K』は外さないでいてあげる」

男「はっは」

少女「なによ」

男「このツンデレめ、と思ってね」

少女「馬鹿じゃないの」

男「…」


0025HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 21:23:26.67ID:oHFt5bdA0
少女「あんた、こんな時間に出歩いていて家族は心配しないの」

男「君には言われたくないけど…」

少女「気にするな」

男「うちの親はこの時間、まだ家にいないから」

少女「共働き??」

男「仲良くパチンコ」

少女「…」

男「どうしようもない親さ」

少女「…」

0026HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 21:27:31.89ID:oHFt5bdA0
男「あ、別に同情してほしいなんて思ってないからね」

少女「ど、同情なんてしてないし」

男「あー惜しいな」

少女「は??」

男「『ど、同情なんてしてないんだからね!!』なら完璧だったのに」

少女「馬鹿じゃないの」

男「…」

0027HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 21:32:07.47ID:oHFt5bdA0
少女「で、毎晩ご飯買って帰るわけ」

男「妹がいるからね」

少女「いくつ??」

男「今4歳…かな」

少女「離れてるわね」

男「ああ」

少女「4歳の子を家に残して親はパチンコ??」

男「そういうこと」

少女「じゃああんたも早く帰ってあげなきゃ」

男「もう寝かしてきたから、大丈夫だよ」

少女「そう」

0028HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 21:36:59.81ID:oHFt5bdA0
少女「ねえ」

男「ん??」

少女「なにか、願い事をかなえてあげる」

男「はあ??」

少女「願い事、ないの」

男「…」

男「馬鹿じゃないの」

少女「…」ゲシゲシ

男「痛い!!痛いごめん痛い!!」

少女「ふしゃー」ゲシゲシ

男「言ってみたかっただけですごめんなさい!!」

少女「ふしゃー」ゲシゲシ

0029HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 21:41:27.72ID:oHFt5bdA0
男「願い事って…そんなおとぎ話みたいな」

少女「ご飯のお礼」

男「はあ」

少女「恵んでくれたご飯3回分の願いをかなえてしんぜよう」

男「ははー」

男「って言うと思ったか」

男「大人をからかうのはやめなさい」

少女「大人ってね、私あんたよりも長く生きてるんですけど」

男「嘘吐け」


0031HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 21:46:05.31ID:oHFt5bdA0
少女「ほらほら、すごいお願いでも、しょうもないお願いでもいいんだよ」

男「…」

少女「ないのか」シュン

男「あーあれだな」

少女「??」

男「流星群が見たい」

少女「は??」

男「流星群だよ」

男「空一面の星の流れが見たい」

少女「はあ…そんなんでいいの」


0033HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 21:54:45.41ID:oHFt5bdA0
少女「じゃあ…」

男「??」

少女「…」ブツブツ

男「呪文かなんかか」

少女「さ、空見てみて」

男「ん??」

男「うおっすげえ」

キラキラ

少女「きれいでしょう」

男「はは、すっげえ」

0034HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 21:59:58.04ID:oHFt5bdA0
男「これ、いつまで見れるんだ??」

少女「今晩中は流れてるよ」

男「はは、寝るのがもったいなくなるな」

少女「こんなお願い事したのはあんたくらいだよ」

男「正直信じてなかったからな」

少女「でしょうね」

男「他にも、こんな風に願いをかなえてあげた人がいるのか」

少女「うん、何人かね」

少女「色んなお願いを聞いてきたけど、流星群ってのは初めてよ」

男「でも、これはすげえわ」

少女「信じた??」

男「ああ、信じた」

0035HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 22:07:10.08ID:oHFt5bdA0
少女「あと二つあるよ」

男「んー」

少女「どうする??」

男「それ、明日でもいいか」

少女「??」

男「一気に使っちゃうともったいない気がするからさ」

少女「まあ、いいけど」

少女「そのかわり、明日もチーズちょうだい」

男「はいはい」

0036HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 22:11:33.10ID:oHFt5bdA0
―――

男「いよう、今日は高級チーズ買ってきたよ」

少女「わお」

男「おれも半分食べるからね」

少女「ありがと」

少女「…うん、おいしい」モチャモチャ

男「チーズ専門店ってのがあるんだな。知らなかった」モチャモチャ

少女「高かったの??」

男「うん、普通に生活してたら買わないレベル」

少女「いいの??」

男「昨日いいもの見せてくれたお礼だから」

0037HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 22:16:10.90ID:oHFt5bdA0
男「君は神様??」

少女「さあ、どうだろうね」

男「おれが食べ物をあげなかったら、どうなってたの??」

少女「路地裏をうろうろして、食べ物を漁ってたよ」

男「猫みたいに??」

少女「猫みたいに」

少女「あ、でもこの姿じゃやらないよ」

男「そりゃそうか」

少女「さ、願い事、どうするの」

男「そうだなー」


0039HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 22:21:00.16ID:oHFt5bdA0
少女「お金持ちにもしてあげられるよ」

男「でも、そういう願い事をした人って、たいてい不幸になるよね」

少女「あー、うん、まあね」

男「高校出たらすぐ働いて、妹を食わしていくつもりなんだけど」

少女「へえ」

男「一気に金持ちになったって、どうせ使い道がわからず散財するか金銭感覚が狂うだけだよ」

少女「そうね、そういう人、多いわね」

男「だからお金はいいや」

少女「そう」

0040HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 22:27:22.44ID:oHFt5bdA0
少女「働くあてはあるの??」

男「今バイトしてるとこがさ、雇ってくれそうなんだ」

少女「大変じゃない??」

男「そりゃあ大変だろうね」

男「でも、こんな世の中だし、就職先が一応あるってだけでも感謝しなきゃ」

少女「そういうもんかしら」

男「どの道大学に行く余裕なんてないし」

少女「…」

男「だから、願い事は」

少女「??」

0041HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 22:34:03.38ID:oHFt5bdA0
男「オーロラが見たい」

少女「あんた、マジで言ってるの」

男「うん」

少女「呆れた…」

少女「昨日の今日で今度はオーロラねえ」

男「はは、変かな」

少女「大金持ちになれば、いくらでも見に行けるじゃない」

男「そりゃそうかも知れないけど」

少女「はあ」

男「死ぬまでに一回見てみたかったんだ」

少女「はは」


0044HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 22:42:29.16ID:oHFt5bdA0
男「ダメかな」

少女「いいよ」

少女「…」ブツブツ

少女「そんな願いじゃ私も消化不良だから、ちょっとサービス」

男「うん??」

少女「ほら、できたよ」

ふわぁー

ブゥン…プツンプツン…

男「うおお、きれい!!」

少女「こんな街中で見たって、きれいに見えないからね」

少女「街中停電のおまけつき」

男「それ、いいのか」


0046HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 22:46:36.65ID:oHFt5bdA0
男「しかしすっげえ…」

少女「さ、行くよ」

男「行くってどこに」

少女「しっぽに掴まって」

男「こう??」ギュ

少女「よっ」

ビュン

男「うおおい!!」

少女「しっかり掴まってなよー」

男「高い!!怖い!!空怖い!!」


0048HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 22:53:34.38ID:oHFt5bdA0
スタン

少女「ほら、ここならもっときれい」

男「ここ、どこ??」ゼエゼエ

少女「この街で一番高いビルの上」

男「あーあー」

少女「どう、きれいでしょ」

男「ああ、この景色一生忘れないよ」

少女「高いところ、苦手だった??」

男「まあね」

男「でも、上だけ眺めてる分には平気」

少女「そっか」

0049HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 22:57:14.62ID:oHFt5bdA0
男「これも、明日までしか見れないのか」

少女「ううん」

少女「せっかくだから、いつでも見れるようにしておいた」

男「マジで」

少女「まあ、毎日は無理だけど、それなりに条件がそろえば見るのは難しくないよ」

男「条件って??」

少女「気温とか、湿度とか、天候とか」

男「でも寒くないぜ」

少女「寒くなくても見えるようにしておいたの」

0050HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 23:01:30.51ID:oHFt5bdA0
男「よくわからんが、そういうふうに変えたってことか、オーロラを」

少女「そういうこと」

男「難しくないのか」

男「ちょっと呪文呟いただけじゃん」

少女「そんなの、簡単に変えれるよ」

男「そうなのか…」

少女「そのかわり、ちょっと日本の天候が狂っちゃったけどね」

男「どれくらい??」

少女「雲の上に雨が降るくらい」


0052HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 23:08:21.90ID:oHFt5bdA0
男「それ変じゃない??」

男「ていうかヤバいんじゃない??」

少女「まあ、気にすんな」

男「農家の人困るじゃん」

男「ダム干からびるじゃん」

少女「難しいんだよ、戻すの」

男「変えるのは簡単なのに??」

少女「変えたくて変えたわけじゃないもん」

男「ううむ」

0053HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 23:12:22.92ID:oHFt5bdA0
男「他には??」

少女「四季がちょっと…」

男「変になったんか」

少女「うん」

男「…」

少女「ああ、気にしなくていいよ」

少女「ゆっくり直しておくからさ、しばらくの我慢」

男「はあ」

少女「最後の願い事は、また考えといて」

男「…うん」


0058HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 23:16:25.44ID:oHFt5bdA0
―――

男「…おう」

少女「あら久しぶり…って、どうしたの、その顔!!」

男「親父に殴られた」

少女「どうして」

男「稼ぎが少ない、だの、飯がまずい、だの」

少女「ひどい」

男「はっは、最低な親父だよ」

少女「待って、治してあげる」

シュウウウウン

男「…そんなこともできるのか」

少女「これは特別にノーカウントにしてあげよう」

0060HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 23:21:06.52ID:oHFt5bdA0
男「ごめんな、来れなくて」

少女「いいのいいの、適当にゴミ箱とか漁ってたしね」

男「ここ数日、あいつらの虫の居所が悪くてさ」

少女「ふうん」

男「妹が、危なかったんだ」

少女「虐待??」

男「まあ、そんな感じ」

少女「通報したら??」

男「いや、そんなことしても、無駄だよ」

少女「無駄ってこと、ないでしょうに」

0062HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 23:27:47.52ID:oHFt5bdA0
男「アル中でギャンブル依存症で最低なやつらだけどさ、頭が悪いわけじゃないんだ」

少女「でも…」

男「余所にはわからないようにしてるし、何より妹になにかあったら…」

少女「妹さんを連れて逃げたり」

男「そのつもりだったけど、でも無理だよ」

男「少なくとも、金は向こうが握ってる」

男「それを手に入れなければ、どうにもなんないよ」

少女「そっか」

男「もう、嫌になっちまったよ」

0063HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 23:31:04.95ID:oHFt5bdA0
少女「願い事、使う??」

男「うん…」

少女「どんな願いにする??」

男「最初は、さ」

少女「ん??」

男「あいつらを殺してくれって、願おうとしたんだ」

少女「最初って??」

男「君が『願いをかなえてあげる』とか言い出したとき」

少女「ふうん」

0064HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 23:35:26.93ID:oHFt5bdA0
男「そしてそれが叶うと思えば、なんだか優越感に浸れて、さ」

少女「いつでもお前らなんて殺せるんだぞ、って??」

男「そうそう、まさにそんな感じ」

少女「そっか」

男「妹を連れて逃げることだって、叶うと思った」

少女「じゃあどうして最初にそれを願わなかったの??」

男「…」

少女「??」

男「わからない」

男「でもなぜか、最初にそれを考えたとき、最後の願いにしようと思ったんだ」

0065HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 23:39:49.76ID:oHFt5bdA0
少女「一応忠告しておきますけど」

男「…うん」

男「やっぱり人を殺す願いは、無理だったかな」

少女「ううん、叶えることができるよ」

男「…」

男「…」

男「そっか」

少女「叶えられない、っていうのを、どこかで期待してたでしょう」

男「…はは、なんでもお見通しなんだな」

0066HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 23:43:40.91ID:oHFt5bdA0
少女「叶えられるよ」

少女「だけど、他人の死を願うと、業を背負うよ」

男「業、ね」

男「ていうか他人じゃなく、肉親だけど」

少女「自分以外の人間っていう意味よ」

少女「今後のあなたの人生が幸せになるとは限らないわ」

男「まあ、そりゃそうか」

少女「どうする??」

男「…」

少女「怖気づくなら人の死は願わない方が」

男「いや、待って」

少女「ん」

0067HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 23:47:35.12ID:oHFt5bdA0
男「心の汚れている人間を、この世から消し去ってくれ」

少女「…」

少女「それが願い??」

男「うん」

少女「本当にそれでいいわけ??」

男「うん」

少女「…」

男「それなら、他人の死を願うわけじゃなく、世の中のためを願うってことになるだろ」

男「で、それが自分の利益にもなる」

少女「…わかった」

少女「確かにこの世は、少し汚れ過ぎたわね」

0068HAM ◆HAM/FeZ/c2
2011/10/15(土) 23:53:23.13ID:oHFt5bdA0
男「じゃあ、よろしく」

少女「ん」


男「…」

少女「今晩は、またオーロラが見えるわね」

男「…」

少女「大人しそうな子だったのに、最後にとんでもない願いを言ってくれちゃって」

男「…」

少女「一晩かけて、ゆっくり消えるから、最後の夜空を楽しんでね」

男「…」

少女「にゃーん」

★おしまい★