0001以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:05:42.99ID:G+/DZhTm0
妹「ねぇ、お姉ちゃん」

姉「ちょっと五月蝿いな、黙っててよ」

妹「だって・・・・」

姉「わかったわかった。髪、乾かしたら行くから。外で待ってなさいよ」

妹「うん」

姉「・・・・・・たく、此れぐらいで燥いじゃって」

0004以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:09:44.10ID:G+/DZhTm0
妹「お姉ちゃん」

姉「はいはい、今行くから」

妹「はーい」

姉「―――っと、外は結構涼しいわね」

妹「夜だもんね」

姉「月、だっけ?」

妹「そう、月。満月だよ、お姉ちゃん」

姉「満月ねー」

妹「ねぇ、お姉ちゃん。天体観測しようよ」

姉「いいけど。そんな天体観測なんて言う、大層なものをする為のガジェットなんて家にあったかしら」

妹「ふふ、自由研究に使うっていって、買ってもらったんだ」

姉「わ、ずるい。また良い物買ってもらっちゃって」

妹「いいでしょ。持ってくるから待っててね」

姉「早くしなさいね」

0005以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:12:49.02ID:G+/DZhTm0
妹「お、お姉ちゃん」

姉「何」

妹「重くて運べないよ」

姉「で?」

妹「手伝ってよ・・・・」

姉「お願いもきちんと出来ないの?」

妹「手伝ってください」

姉「よし。―――ほら、せーので持つよ」

妹「うん、わかった」

姉「せーの」

妹「よいしょ、よいしょ」

姉「おばあちゃんみたいね」

妹「おばあちゃんの真似だもん」

姉「全く、おばあちゃんっ子ね」

妹「へへ」

0007以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:16:21.71ID:G+/DZhTm0
姉「うわ・・・・・・改めて見ると、でかいわね、此れ」

妹「ふふ、でしょー」

姉「使いきれるの・・・・?」

妹「・・・・・・・実は使い方も知らなくて」

姉「やれやれ、全く」

妹「だから教えて、お姉ちゃん」

姉「こういう時だけ頼られてもなぁ・・・・」

妹「明日のお風呂掃除、私がするから」

姉「やだ、私掃除好きだし」

妹「私のパンツ貸すから」

姉「誰が穿くのよ」

妹「うー、じゃあどうしたら良いの」

姉「逆に聞かれてもなぁ」

妹「ねぇお姉ちゃん」

姉「わかったわかった、無償で良いよ」

0008以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:19:54.06ID:G+/DZhTm0
妹「無償?」

姉「タダってこと」

妹「ありがと、お姉ちゃん」

姉「はいはい、お礼はいいから。ほら、先ず、この大きい筒の横にある小さい筒、あるでしょ」

妹「これ、なんていうの?」

姉「知らない。私詳しくないもん」

妹「適当だ」

姉「使えればいいの」

妹「気になるー」

姉「じゃああとでパソコンつかって調べなさい」

妹「インターネット?」

姉「そう。あ、でも勝手にやっちゃダメよ。悪いサイトに引っ掛かっちゃう」

妹「えー、じゃあどうすればいいの?」

姉「・・・・・後で一緒に調べましょうか」

妹「うん」

0009以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:23:27.07ID:G+/DZhTm0
姉「さて、と」

妹「どうするの、お姉ちゃん」

姉「この小さい筒、というか、望遠鏡よね。これを先ず先に見るの」

妹「で、どうするの?」

姉「見たい物に、合わせるの」

妹「なんで、小さいほうでやるの?」

姉「倍率が高いからよ、大きい方は」

妹「倍率?」

姉「それくらい、もう、習ったでしょ。教科書で調べなさい」

妹「ケチ」

姉「教えないよ?」

妹「ごめんなさい」

姉「よし。素直が一番よ」

妹「お姉ちゃんは、素直じゃないくせに」

姉「私は私、よ」

0011以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:26:39.95ID:G+/DZhTm0
妹「都合の良い様にして」

姉「私はずる賢いの」

妹「普通に賢くなったらいいのに」

姉「こっちのほうが格好いいもん」

妹「そうかなぁ」

姉「そうなの。ほら、何見たいんだっけ?」

妹「あ、うん。やっぱり月、見たい」

姉「月か。じゃあすぐ見れるよ」

妹「本当?」

姉「うん、見える見える。小さい方でもはっきり見える」

妹「見せてよ、見せてよ」

姉「まってまって、まだ調整中よ」

妹「早くー」

姉「駄々をこねると見せないよ」

妹「うぅ」

0012以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:29:46.10ID:G+/DZhTm0
姉「よし、焦点も合ったかな」

妹「見ていいの?お姉ちゃん」

姉「うん、良いよ」

妹「ん、よいしょ」

姉「またよいしょ、使うんだ」

妹「ぅ・・・・お、姉ちゃん」

姉「何?」

妹「微妙に届かない・・・・っ」

姉「仕方ないな。好き嫌いするから身長伸びないんだよ」

妹「関係ない」

姉「大有りよ」

妹「うー」

姉「みたいの?見たくないの?」

妹「見たい・・・・」

姉「じゃあ野菜好き嫌いしないって約束」

0013以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:32:35.42ID:G+/DZhTm0
妹「何で、こんな時にズルイよ」

姉「言ったでしょ、ずる賢いの、お姉ちゃんは」

妹「うぅ、でも」

姉「で?」

妹「食べ、ます」

姉「宜しい。じゃあ私が抱っこしてあげる」

妹「抱っこって」

姉「嫌? なら良いけど」

妹「嫌じゃないよ。でも、ほら、子供っぽくない?」

姉「何言ってるの、全然子供だから」

妹「もう」

姉「あれ、琴線に触れちゃった? ごめんごめん」

妹「ごめんは一回」

姉「ごめん」

妹「ん、うん。じゃあ、抱っこ」

0014以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:35:27.97ID:G+/DZhTm0
姉「よい、しょ」

妹「お姉ちゃんも使ってるじゃん」

姉「私もおばあちゃん大好きだし」

妹「っと・・・・・・・・・・・わぁ、綺麗」

姉「そう? なら良かった」

妹「凄い。凸凹してる」

姉「習ったでしょ? クレーターよ」

妹「月・・・・・すごいね」

姉「いっぱい隕石が落ちた後、だっけな」

妹「お姉ちゃん、意外と物知りだね」

姉「いや、別にそうじゃないけど」

妹「照れてる?」

姉「照れてないよ、もう」

妹「ああ、もう。下ろしちゃった」

姉「ちょっと疲れたの」

0015以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:38:10.57ID:G+/DZhTm0
妹「ねぇ、お姉ちゃん」

姉「何?」

妹「台、持ってくればよかったよね」

姉「あれ、気付いちゃったか」

妹「もう、ずる賢いんだから」

姉「ありがとー」

妹「褒めてないよ」

姉「ははは」

妹「台、持ってくるから」

姉「はいはい、じゃあお姉ちゃん。ちょっと面白いことしてるから」

妹「うん? 変なことはしないでね?」

姉「はーい、善処するよ」

0016以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:40:54.23ID:G+/DZhTm0
妹「持ってきたよ・・・・って、なにやってるの?」

姉「面白いこと」

妹「えー・・・・・・怖いんだけど。壊さないでよ?」

姉「大丈夫大丈夫」

妹「むー」

姉「ほら、出来た」

妹「見る」

姉「どうぞ」

妹「っと、台もちょうどいい高さ」

姉「そんな台、家にあったんだ」

妹「これも買ってもらいました」

姉「お父さんめ・・・・」

妹「へへー」

姉「いいもん、私も何か買ってもらうし」

妹「えー、ずるい」

0018以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:44:11.20ID:G+/DZhTm0
姉「どっちがよ」

妹「だって」

姉「ほら、良いから、見なさいよ」

妹「む、うん。――――――――――――――――わぁ、でっかい」

姉「ふふぅ」

妹「まさか、これ? 面白いことって」

姉「その通り」

妹「面白くないよ」

姉「えっ、ちょっと」

妹「でも、感動しちゃった」

姉「・・・・・・そ」

妹「すごいよ、なんかもう、月の土までみえちゃいそう」

姉「それは行き過ぎ?」

妹「でもそれくらい」

姉「ま、喜んで貰えたならいいか」

0019以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:46:38.63ID:G+/DZhTm0
妹「すごいね・・・・・月」

姉「そうね」

妹「宇宙って、神秘的」

姉「そうねー」

妹「宇宙、行ってみたいなぁ」

姉「私は日本でいいや」

妹「えー、夢がない」

姉「だって、日本でさえ知らないところがあるのに、なんか、ほら、こう」

妹「・・・・お姉ちゃんって、意外と小心者?」

姉「う、うるさい」

妹「ほら、図星」

姉「もう」

妹「ほら、やっぱり怒る」

姉「ああ、もう」

妹「どうどう」

0023以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:49:56.04ID:G+/DZhTm0
姉「ほら、月、みないの?」

妹「見るけど、これ、動かしていいの?」

姉「どうぞ」

妹「――――――――わ、逆に動いちゃった」

姉「あれ? それも習ってない?」

妹「習ってないよ」

姉「顕微鏡と一緒だよ?」

妹「そうなんだ」

姉「そ、だから、こう、行きたい方と逆に」

妹「おー」

姉「どう?」

妹「そんなに凄いことじゃなかった」

姉「でも知らなかったじゃん」

妹「でも今知ったもん」

姉「教えてあげたんだし」

0024以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:52:44.85ID:G+/DZhTm0
妹「わぁ。でっかいクレーター」

姉「へぇ」

妹「ほら、お姉ちゃんも一緒に観ようよ」

姉「えぇ、いいよ」

妹「ほら」

姉「仕方ないなぁ」

妹「ほら、こうやって」

姉「知ってるし」

妹「教えたくなるものだし」

姉「わかったし」

妹「じゃあ聞くんだし」

姉「――――――――っ、もう、なによその何々だし、って」

妹「お姉ちゃんの真似だし」

姉「うるさいし」

妹「いいから早く見るんだし」

0027以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:55:32.16ID:G+/DZhTm0
姉「ちょっと、くっつかないでよ、暑い」

妹「いいでしょ、別に」

姉「良くない、あんまり」

妹「ぶー」

姉「豚になるよ」

妹「にゃー」

姉「猫ならいいんだ」

妹「ほら、どう?」

姉「・・・・・・・・・・わぁ、本当。でっかいね」

妹「でしょ?でしょ?」

姉「燥がないの。落ちるわよ」

妹「うん、わかった」

姉「・・・・・・・・でも、本当に、きれいだね」

妹「うん、綺麗」

姉「今日は、誘ってくれて有難う」

0029以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 00:58:25.04ID:G+/DZhTm0
妹「・・・・・・・・お姉ちゃんらしくないし」

姉「そう? 素直に感謝するタイプよ、私」

妹「そうだったっけ」

姉「そうなの」

妹「そうならいいけど」

姉「――――――――――――――――――――――――さて」

妹「片付け?」

姉「もう夜遅くなっちゃったからね。明日がおやすみ、って言っても、夜更かしはダメよ」

妹「いいじゃん、夜更かし」

姉「ダメ。身長伸びないよ」

妹「いいもん」

姉「良いんだ?」

妹「・・・・・・・・うぅ」

姉「ほら、早く、この望遠鏡、持って行きましょう」

妹「はーい」

0030以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 01:01:35.75ID:G+/DZhTm0
姉「ふぅ、重かった」

妹「重かったね」

姉「高そう」

妹「高かったね」

姉「・・・・・・・・・ちゃんと自由研究、しなさいよ?」

妹「頑張る」

姉「その頑張るが本当だといいけど」

妹「その時は、お姉ちゃんも、手伝ってね?」

姉「うーん」

妹「お願い」

姉「暇だったらね」

妹「期待してる」

姉「期待されとく」

妹「ふふふ」

姉「ははは」

0032以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 01:04:14.74ID:G+/DZhTm0
姉「さて、ほら、布団はいって」

妹「暑いー」

姉「我慢我慢」

妹「裸でいい?」

姉「パンツは履いておきなさい」

妹「わかったー」

姉「むぅ、私も汗だく」

妹「この部屋にもクーラー欲しいね」

姉「欲しいね」

妹「今度、お父さんにお願いしようよ」

姉「そうね・・・・・・そうしましょう」

妹「色仕掛け」

姉「どこでそんな言葉覚えるのよ」

妹「本とか」

姉「本は読むんだ」

0033以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/07/10(日) 01:06:51.26ID:G+/DZhTm0
妹「読むよ。漫画とか」

姉「漫画は本じゃない」

妹「むー」

姉「ほら、電気消すよ」

妹「はーい」

姉「――――――――――――――――っと」

妹「・・・・・・ねぇ、お姉ちゃん」

姉「何?」

妹「また、みようね、月」

姉「うん。良いよ」

妹「ありがと、お姉ちゃん。おやすみ」

姉「――――――――おやすみ」






          ~fin~