0001以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 18:22:38.96ID:2MnDHPqq0
雪女「焼きそば100円だよー」

少年「おねえさん!焼そばください!!」

雪女「あいよー、100円ね」

少年「はい!」

雪女「まいど」

少年「わーい」

雪女「はぁ……あつぅ……」

女「ねえねえ、男くん」

男「ん?」

女「店長さん、背が縮んでない?」

男「そうかな?」

雪女「あ、またこれ溶けてるなぁ……」

0004以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 18:25:16.29ID:2MnDHPqq0
夕方

雪女「はい、二人ともおつかれー。今日のバイト代ね」

男「どうも」

女「ありがとうございます」

雪女「んじゃ、明日もよろしくね」

男「はーい」

女「あの……」

雪女「なに?」

女「えと、こんなこと言ったら失礼かもしれないんですけど」

雪女「ん?」

女「店長、確実に背が縮んでますよね?」

雪女「!?」

雪女(しまった!!溶けてきてるから、そりゃそうだ!!)

0006以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 18:28:25.41ID:2MnDHPqq0
雪女「き、きき気の所為じゃないかなぁ?」

女「……」

男「おい、その辺にしとけって」

女「むー」

男「すいません、こいつ昔からバカで」

女「なによー!!」

雪女「ま、まあ、またね」

男「はーい」

女「絶対、縮んでるのに……」

雪女「やべー」

雪女「でもなぁ、ここに居る限りは……はぁ……」

雪女「例年通りだと……」

雪女「10歳児ぐらいにまでなっちゃうなぁ……」

雪女「どーしよ」

0007以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 18:31:41.70ID:2MnDHPqq0
夜 海の家

雪女「んー……」

雪女「冷房は16度に設定してるけど……海の家じゃ、あまり効果がないのよねえ」

雪女「はぁ……」

雪女「お……!そーだ」

雪女「あれがあったじゃない」

がさごそ

雪女「よーし!これをこうやって……」

雪女「あん!きもちいい♪」

雪女「うん。ドライアイスを首に巻いておけば大丈夫ね!」

雪女「おっしゃー!がんばるぞー」

0009以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 18:35:17.89ID:2MnDHPqq0
翌日

雪女「ドライアイス……溶けたぁ……」

男「どうしたんだ?朝から元気ないけど」

女「さあ?」

雪女(ううん、大丈夫!今日も確かに猛暑だけど、乗り切れる!)

男「店長ーこれ、仕込みやっといてください」

雪女「ん?あ、はいはい」

女「……」

雪女「よっと!」

ジュー……!!

男「どうかしたのか?」

女「ああやって厨房にいる店長は……その、小さくなるのが目に見えるのよね」

男「まさかぁ。ほらほら、開店準備いそぐぞ」

女「う、うん」

雪女「よっと!ふう……あっついわねえ」

0010以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 18:38:30.28ID:2MnDHPqq0

ガヤガヤ

客「あ、生二つおねがいしま-す」

男「はいはーい」

客「こっちは焼きそば二人前」

女「はーい!」

雪女「はひぃ!相変わらずいそがしいわ……」

男「あ、店長、焼きそばとラーメン追加で」

女「こっちも焼きそばお願いします」

雪女「はいはい……汗が止まらない……」

女「……」

男「ほらほら、手が止まってるぞ」

女「う、うん」

0011以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 18:41:32.24ID:2MnDHPqq0
男「ふぅ……何とか乗り切ったか……」

女「しんど……」

雪女「まったくね」

男「……あの」

雪女「なに?」

男「……店長ですよね?」

雪女「そうだけど?」

男「で、ですよねー!」

雪女「なによ?」

女「あの、店長?」

雪女「はい?」

女「鏡」

雪女「―――おや、ここにいる小学生は誰?」

雪女「―――あ、私か」

雪女(うそぉ!?溶けるの早いぃぃぃ!!!)

0013以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 18:44:54.54ID:2MnDHPqq0
女「……」

男「店長、どういうことですか?」

雪女「はぁ……」

雪女(今年もバイトが逃げ出すんだろうなぁ)

雪女(私の正体を知ったとたん、みんな次の日からこなくなるからなぁ)

雪女(まあ、仕方ないけどね。雪女だし)

女「あの、どういうことなんですか?」

雪女「まあ、あの……夏ってほら、汗で背が縮むじゃない?」

男「……」

女「……」

雪女「うぐ……」

女「店長?」

男「正直に」

雪女「……雪女なの」

女「え?」

0015以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 18:48:53.48ID:2MnDHPqq0
男「雪女?」

雪女「イエス」

女「……どうして夏の暑い海岸で雪女が海の家を?」

雪女「それは……その……好き、だから」

女「好き?」

雪女「わ、わらわないでよ?……夏の海が好きなの」

男「えと、どういうことですか?」

雪女「この空と海の透き通る色が私、大好きで、だから、その海の家を……したいなぁって」

女「雪女なのに?」

雪女「雪女なのに」

男「へえ」

雪女「……」

女「まあ、いいんじゃないですか?」

雪女「え?」

男「うん。別に変じゃないですよ、雪女が夏の海にいても。店長はかわいいし」

0017以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 18:52:07.65ID:2MnDHPqq0
雪女「こ、こわがらないの?」

女「怖がるも何も……」

雪女「だって雪女だよ?凍らせちゃうよ?」

男「凍らせるならとっくにやってるでしょ」

雪女「……」

女「店長からお給料さえもらえれば、私は文句ないですし」

男「俺は店長に惚れたから、へへ」

女「アホか」

雪女「あなた達……ふふ、ありがとう」

女「でも、このままだと今年の夏を乗り切れないんじゃないですか?」

男「流石にそれ以上、小さくなったら俺の守備範囲外になりますね」

女「ロリコン」

雪女「そうねえ。困ったわ」

0018以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 18:55:17.46ID:2MnDHPqq0
男「あ、でも小さくなればなるほどいいじゃないですか?」

雪女「え?」

女「あ、そうね」

雪女「どういうこと?」

男「だって……よっと」

ヒョイ

雪女「ちょっと!なに抱き上げてんの!?おろしなさい!!」

男「このまま冷凍庫の中に……」

ガラッ

雪女「え?あのぉ……」

バタン!!

男「入れられる!」

女「ふー解決ね」

ガタガタガタッ!!

雪女「だしなさーい!!!だしてぇぇぇ!!私、暗所閉所恐怖症なの!!!」

0019以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 18:59:04.73ID:2MnDHPqq0
雪女「ふぇぇぇ……」

男「かわいい……///」

女「はぁ……確かにそれが出来るならとっくにやってますよねぇ」

雪女「うん」

男「じゃあ、どうすんだよ?」

女「できるだけ厨房には入らなければいいんじゃないですか?」

雪女「まあ、そうね。それなら持つかも」

男「じゃあ、お前が料理するわけ?」

女「焼きそばぐらいできる。それに他のメニューも仕込みさえ出来てれば余裕だし」

雪女「やってくれるの?」

女「はい。店長が溶けてしまうとお給料もらえませんし」

男(ロリっ娘のいる海の家って流行るかなぁ)

雪女「じゃあ、お願いしてもいい?」

女「はい!」

0020以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 19:01:52.51ID:2MnDHPqq0
客「お、ここすげー涼しいな」

雪女「いらっしゃいませー」

客「え?小学生?」

雪女「ご注文は?」

客「えーと……生で」

雪女「生おねがいしまーす」

男「よろこんでー」

客「ええっと、君は?」

雪女「この店の看板娘だよ☆」

客「……」

雪女「えへ☆」

客「そうか」

雪女(はぁ……このキャラは受けがいまいちね)

0022以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 19:05:43.16ID:2MnDHPqq0
客「はーつかれたーちょっと休憩しよっと」

雪女「……いらっしゃいませ」

客「え?あ、うん」

雪女「……ご注文は……?」

客(なんだ、この子……すげー暗いぞ……)

雪女「ごちゅうぅぅもんはぁぁぁ???」

客「ひ!!」

雪女「あ、すいません……内なる私が首を擡げてしまいました……」

客「はあ」

雪女「どうぞ……ご注文を……」

客「じゃあ、焼きそば」

雪女「やぁぁきぃぃそぉぉばぁぁぁ」

女「はーい」

客「……こわ」

雪女(これもなんか違うわね)

0024以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 19:08:49.79ID:2MnDHPqq0
夕方

雪女「はい、二人とも今日の分」

女「どうも」

男「ありがとうございます」

雪女「……あの、また明日も来てくれる?」

女「え?当然ですよ。何を言ってるんですか?」

男「店長と一緒に働けて俺、嬉しいですから!」

女「ロリコンめ」

雪女「そう……ありがとう……」

男「じゃあ、また明日ですね。お疲れさまでした」

女「お疲れさまでした」

雪女「……ふふ」

雪女「不思議な子たち……うれしい……」

0025以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 19:12:43.92ID:2MnDHPqq0

雪女「でも、このままじゃダメね」

雪女「あの子たちに負担が増える一方だわ」

雪女「うーん……どうにかしないとぉ」

雪女「ドライアイスはダメだったし……」

雪女「……そういえば、人間ってスイカを海に入れて冷やす習慣があったわね」

雪女「うんうん。海に浸かってればいいんじゃないかな?」

雪女「そうと決まれば!!」

ババッ!

雪女「一人ヌーディストビーチ!!」

ザパーン!!

雪女「はぁ~♪」

雪女「極楽極楽♪」

0026以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 19:14:52.14ID:2MnDHPqq0
翌日

男「店長ー?」

女「てんちょー!?どこですかー?」

男「いないな」

女「お手洗いかな?」

男「ちょっと見てきてくれ」

女「うん」

女「てんちょー?」

ガチャ

女「あれー?」

男「いないのか?」

女「うん」

男「どこいったんだ?」

女「どうする?」

男「とりあえず仕込みだけでもやっちまおう。もうすぐ開店だしな」

0027以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 19:18:32.03ID:2MnDHPqq0
女「はぁ……どこいったんだろ……」

ジュー……

女「よっと」

男「何か事件に巻き込まれたんじゃあ……」

女「やめてよ」

男「だって、あの可愛さだぜ?連れ去られても不思議は……」

雪幼女「あ、あにょぅ……」

男「え?ああ、ごめんね。まだ開店前だから」

雪幼女「ちがうの……」

女「なにが?」

雪幼女「わたし……わたしだよぉ」

男「まさか……店長……?」

雪幼女「うん」

女「なんで幼稚園児並になってるんですか?!!」

0028以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 19:22:17.90ID:2MnDHPqq0
雪幼女「あにょ……そにょ……」

男「あーあ……守備範囲外だぁ……」

女「アンタは黙って。店長、何したんですか?」

雪幼女「それが……海に浸かってたら……こんなことに」

女「うみ!?」

男「あちゃー」

雪幼女「そ、それより!服、きせてよぉ」

女「ああ、そうですね」

男「とりあえず海の家のTシャツでいいんじゃないですか?」

雪幼女「そうにぇ。そうする」

女「はぁ……今日は休業にします?」

雪幼女「……ごめんなしゃい」

男「……いかん。アリだ」

女「死ね」

0030以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 19:26:29.01ID:2MnDHPqq0
女「本日は都合により休業しますっと」

男「これで大丈夫か」

雪幼女「ごめんね。仕込みまでやってくれたのに」

女「店長が消えるほうが大問題ですからね」

男「そうですよ」

雪幼女「あぅ」

女「それよりも、早く大きくなってください」

雪幼女「それには冷やさないとだめよ」

男「冷やす?」

雪幼女「どんな方法でもいいから冷やさないといけないわ」

女「冷やすかぁ……冷凍庫の中が手っ取り早いけど」

雪幼女「うわぁぁぁん!女ちゃんがいじめるぅぅ!!」

男「おいこら!店長を泣かせるな!!」

女「はいはい」

0031以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 19:29:49.46ID:2MnDHPqq0
女「あ、そーだ」

男「なんかいい手があるのか?」

女「店長、倉庫にビニールプールありましたよね?」

雪幼女「うん、あるよ」

女「それ用意しましょう」

男「おお。なんかピーンと来たぜ。そん中に氷とか入れるんだろ?」

女「正解。それならいい感じに冷えると思うし」

雪幼女「うんうん。いいわね。やってみまちょう」

女「おーし。男くん、探してきて」

男「俺?!」

女「いきなさい」

雪幼女「お願い」

男「任せてください!」

女「……ばーか」

0032以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 19:33:45.51ID:2MnDHPqq0
男「おっしゃー!!」

デデーン!

女「うん、いいじゃない」

雪幼女「使えそうね」

男「……で、空気はどうやって入れるんですか?空気入れ、倉庫になかったんですけど」

女「馬鹿ね。男くんが口で吹きこむんじゃない」

男「マジで!?ビニールプールを?!」

女「ほら、早くする。店長が溶けちゃうじゃない」

男「いや、せめて二人で……」

雪幼女「男くん……だめ?」

男「……死ぬ気でやります!!」

男「ふぅぅぅぅ!!!ふぅぅぅぅ!!!!!」

女「マジで死ぬかもね」

雪幼女「……(わくわく」

0033以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 19:37:23.15ID:2MnDHPqq0
20分後

男「――――もえつきた」

女「よーし、あとは水を入れて」

ジャー

女「氷は冷凍庫の使っていいですか?」

雪幼女「ええ。ドライアイスも使って」

女「はーい」

男「―――だれも、しんぱい、してくれないんだね」

女「よいしょ……よいしょ……」

女「そーれ」

ドボドボドボ……!!

雪幼女「わぁ……涼しそう!!」

女「入ってみてくださいよ、店長」

雪幼女「うん!!」

雪幼女「……はぅ……きもちいい♪」

0034以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 19:42:53.30ID:2MnDHPqq0
雪幼女「~♪」

バシャバシャ

女(でも、これは不経済すぎるわ。何度もできない)

女(もっと効率よく安価に冷やす方法はないのかなぁ)

男「頭、いてぇ……ちょっと横になる……」

女「大丈夫?」

男「おう……」

雪幼女「ありがと、男くん!きもちいいよ?」

男「そ、それはよかったですね……ふぅ……」

女「うーん……どうしよう……」

雪幼女「~♪」

バシャバシャ

0038以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 19:52:27.80ID:2MnDHPqq0
夕方

雪少女「ふう、なんとかランクアップしたわ」

女「それでも中学生ぐらいですね」

雪少女「まあ、これで明日はまた海の家営業できるから」

女「そうですか」

男「うぅ……」

雪少女「はいはい、今日はごめんね。ゆっくり休んでまた明日きてね」

女「はい」

男「おお~」

雪少女「あ、まって」

女「え?」

雪少女「今日のバイト代」

女「え?なんで?働いてないですよ?」

雪少女「ううん、二人とも私に付き合ってくれたんだもの。受け取って」

女「……すいません」

0039以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 19:55:24.31ID:2MnDHPqq0
雪少女「じゃあね~」

女「はーい」

男「うーす」

女「なんか申し訳ないなぁ」

男「そうだなぁ」

女「ねえ、幾ら入ってる?」

男「ん?……うわ!フルタイム分だぞ!?」

女「そう……」

男「はあ……いい人だな」

女「……ねえ、これで何か買っていこうか?」

男「何を?」

女「店長がずっと冷えるような物を」

男「そんなのあるか?」

0041以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 20:07:06.70ID:2MnDHPqq0

雪少女「はぁ……」

雪少女「やっぱり、雪女じゃあ海の家は経営できないのかなぁ……」

雪少女「って、当たり前かぁ」

雪少女「やっぱり畳んじゃおっかな」

雪少女「私も本当なら夏はもっと涼しい場所で夏眠しなきゃいけないし」

雪少女「うん。二人に悪いものね」

雪少女「もうこれ以上、あの子たちを巻きこむわけにはいかないもの……」

雪少女「……」

雪少女「ごめんね。でも……もう、いいよね?」

雪少女「……さよならね」

0042以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 20:11:31.57ID:2MnDHPqq0
翌日

女「てんちょー!!」

雪少女「あ、二人とも、実は話が……」

男「これ見てくださいよ!!」

雪少女「え?なに?」

女「これ扇風機なんですよ」

雪少女「ええ??なんかすっごく大きいけど?」

女「一般家庭では普通使わない扇風機なんですよ」

男「これと冷房の風が合わされば、すごく涼しくなるはずですよ!」

雪少女「これ、お金は?」

女「お給料もらいましたから」

雪少女「ちょっと、それは!?」

男「まぁまぁ。店長、早くこの扇風機の威力を見てくださいって。俺、セッティングしてきます」

雪少女「あなたたち……」

女「ほらほら、行きましょう。店長」

0043以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 20:15:20.02ID:2MnDHPqq0
男「よーし……スイッチ、オン!」

ゴォォッォォォォォォオ!!!!!

雪少女「あぁああぁぁああああああ~」

女「これは……」

男「すげえな……へっくしゅん!!!」

女「さむっ!!!」

雪少女「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~」

男「よ、よかった……うれしそうだ」

女「う、うん……でも、これ……」

男「人間には厳しいな……」

女「うん……寝たら死ぬ」

雪少女「あぁぁぁぁぁ~♪」

0045以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 20:20:04.01ID:2MnDHPqq0

客1「さむ!!!」

客2「なんだ!?この店!?」

雪女「いらっしゃーい。どうです?寒いでしょ?」

客1「ああ、なんとかならねえのか?」

女「あはは。アツアツのお鍋とかどうです?」

客2「い、いや。まずはこの扇風機を……」

雪女「まぁまぁ、そんなこと言わずに」

客2「あ……!」

カチーン!!

客1「うわぁぁぁ!!!凍った!?」

女「店長!?触れちゃだめだってば!?」

雪女「あ、ごめーん」

男「これで七人目だな。解凍するの大変だぞ」

雪女「えへへ」

0046以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 20:25:38.52ID:2MnDHPqq0
夕方

女「ふう……お客さんは激減か」

男「釣り合わないな」

女「あちらを立てればこちらが立たぬってやつね」

雪女「……ごめんなさい」

女「あ、いえいえ。そんな店長が謝ることじゃないですよ」

雪女「ううん。もういいの。ありがとう、貴方達」

男「え?」

雪女「もう海の家は畳むことにしたから」

女「店長?」

雪女「私がここに居ること自体が間違いだったの。ごめんね」

男「そんなことは!?」

雪女「海を十分に堪能できたし、もういいの」

女「店長……」

雪女「今日で終わり。バイト代、弾んでおいたから。……今までありがとう」

0048以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 20:31:30.81ID:2MnDHPqq0
女「待ってください!!」

雪女「……」

女「海、好きなんですよね?」

雪女「ええ」

女「じゃあ、どうしてやめるなんて言うんですか!?」

男「そうですよ!まだ8月が始まったとこじゃないですか!」

雪女「だって、このままだとあなた達に迷惑を……」

女「迷惑だなんて、そんなことありません!!」

男「そうです。仕事もしてないのにお給料もらって、むしろ俺たちが迷惑かけてますよ!!」

雪女「でも、それは雇用主として当然で……」

女「店長……」

雪女「だからね、もう……」

男「―――俺はやめませんよ」

0050以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 20:35:34.89ID:2MnDHPqq0
雪女「え?」

男「俺、店長のこと大好きですから!!」

雪女「えぇぇええええ!?!」

ガシッ

雪女「ちょ、男くん!いきなり手を……///」

男「ずっと傍にいたいぐらいなんです。マジで」

雪女「あの……えと……」

男「……店長……」

雪女「男……くん……」

女「おーい。いい雰囲気は他でやってくださーい」

男「あ、す、すいません」

雪女「う、うん……」

女「まあ、私も店長のこと好きですし、やめたくないですね」

雪女「えぇえええ!!?女ちゃんまで!?そ、そんな……身がもたない……」

女「いや。そういう好きじゃないんですけど……」

0051以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 20:40:31.10ID:2MnDHPqq0
男「とにかく、俺も女も店長と一緒にこの夏は働きたいんです」

雪女「……」

女「考え直してください、店長」

雪女「でも……」

男「ああ、もう!!」

雪女「え?」

男「店長はどうなんですか!?」

雪女「わ、わたし?」

男「そうです。このまま今日が海納めにしちゃうんですか?」

雪女「それは……」

女「これからもっと海は綺麗な青色になりますよ?」

男「そうそう」

雪女「……二人とも」

女「……店長、本当はこのまま続けたいんですよね?」

男「店長、やりましょうよ!!寒い海の家だって工夫次第でなんとでもなりますって!!」

0052以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 20:48:21.39ID:2MnDHPqq0
雪女「そう、かな?」

女「はい」

男「やりましょう、店長」

雪女「……じゃあ、もう少しだけやってみようかな?」

男「店長……!」

女「はい!がんばりましょう!」

雪女「でも、どうするの?このままじゃあ、寒過ぎてお客さん入ってくれないわよ?」

女「んー、そうですねぇ」

男「そんなの簡単じゃないですか」

雪女「え?」

女「どうするの?」

男「ちょっと店の規模が小さくなりますけど、大丈夫ですよ」

雪女「……?」

0053以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 20:58:35.62ID:2MnDHPqq0
翌日 昼

客1「なんだ?店の外にテーブルがあるな」

客2「でも、すげえ涼しいぞ」

客1「ほんとだ」

女「ちょっと諸事情で改装したんですよ」

客1「まあ、外でもいいか。ここの焼きそば100円とか安いし」

客2「だよな。普通は800円とか取られるもん」

女「あはは、ありがとうございます」

客1「じゃあ、生二つで」

女「はーい。生二つでーす!!」

男「おーす!!……店長ー!!!ラーメン、焼き飯、焼きそば追加ー!!」

雪女「はーい!!!まかせてぇ!!」

雪女「……はぁ……厨房を涼しくてサイコーね、ホント」

雪女「二人ともありがとう……もう少しここで海が見られて私は幸せ……」

雪女「……あと、男くんって本気なのかな……本気だったら、私……どうしたらいいのかなぁ……うぅ……///」

0054以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/01(月) 21:03:03.00ID:2MnDHPqq0
雪女「……はぁ」

男「てんちょー!!」

雪女「はひぃ!?」

男「焼きそばお持ち帰りでーす」

雪女「は、はい!!」

男「どうしたんですか?」

雪女「べ、別に……」

男「んじゃ、よろしくお願いしますね」

雪女「……やっぱり応えなきゃだめなのかな……」

女「店長?」

雪女「はい?」

女「……男くんは渡しませんからね」

雪女「……え?」

女「……負けませんよ。―――あ、生二つおまたせーしましたー♪」

雪女「え、えぇぇぇ!?!?」
                   END