0001以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 01:24:07.91ID:xdZxr5cA0
兄「ああ、それじゃあいってくるから」
妹「いってらっしゃい」
兄「何かあったら電話しろよ?」
妹「うん、大丈夫だから心配しないで」
兄「おまえの大丈夫は当てにならないんだよ」
妹「あはは、ほら遅刻しちゃうよ」
兄「それじゃあいってくるから」
―パタン
妹「もう…心配性なんだから」
妹「―っ」フラッ
妹「早く治るといいなあ…」
――
―
0005以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 01:24:48.99ID:xdZxr5cA0
友「おーす」
兄「おう、んでどこ行くんだ?」
友「夏はイベント満載ってことはわかっているな?」
兄「何かあったっけか?」
友「ふふふ、教えてあげよう」
兄「今日は暑いなー」
友「聞いてねえええええ」ガビーン
兄「で、なに?」
友「夏といえば海に行ったりお祭りがあったりするのだよ」
兄「まぁ行く奴は行ってるな、俺は面倒だけど」
友「別にお前と一緒じゃなくてもいいんだよ」
兄「じゃあなんだよ」
友「ナンパしようぜ!」
兄「あー、貴重な時間無駄にしたわ」
友「待て、悪かったから!俺が悪かったから」
0006以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 01:25:07.30ID:xdZxr5cA0
兄「はい」
友「高校最後の夏、一緒に夏をエンジョイする女の子が居ない」
兄「はい」
友「俺だってお祭りで女の子といちゃいちゃしながら歩き回りてーんだよ!」
兄「んなもん居なくてもいいじゃん」
友「はぁ…女の子が近くに居る奴はこれだから」
兄「いませんが?」
友「おまえには妹ちゃんが居るだろ」
兄「あれは妹だろ」
友「でも女の子だろ…くそっ!」
兄「おまえが言う女の子の定義が不明だ」
友「うるせーよ!可哀想な俺の為に協力しろ!」
―
友「…あの、すみません僕が悪かったです、だから帰らないで下さい」
0008以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 01:26:03.90ID:xdZxr5cA0
兄「ナンパはどうした?」
友「諦めた」
兄「よろしい」
友「まぁでも折角の夏休みだからなー、どこか行きたいわ」
兄「来てるじゃん、駅前」
友「はぁ…、じゃあおまえでいいや」
兄「残念なことに俺はそっちの気はない」
友「俺もねーよ」
兄「祭りか…」
友「どうした?予定でもあるのか?」
兄「いや、そんなこともないが…」
友「妹ちゃんか」
兄「あぁ…」
0010以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 01:29:25.06ID:xdZxr5cA0
友「やっぱりまだ具合悪いのか?」
兄「前より悪化してると言った方がいいかな」
友「おまえも大変だな」
兄「そうでもない」
友「まぁ、おまえ行けないならしゃーないな、一人で行ってもつまらんし」
兄「悪いな」
友「海でナンパしまくってくるわ!俺に彼女できたらごめんな!」
兄「うん、その話いつ終わる?」
友「」
0012以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 01:32:34.95ID:xdZxr5cA0
――
―
友「じゃあな、また今度どこか行こうぜ」
兄「おう、またな」
友「ああ、ちょっと待て」
兄「何?」
友「溜め込むなよ?何かあったら相談には乗るからよ」
兄「心配すんな、それより彼女作る方法でも考えとけ」
友「感動ぶち壊しですかー!」
兄「ありがとな」
友「ああ、またな」
兄(何か、か…)
0013以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 01:36:44.34ID:xdZxr5cA0
―パタン
兄「ただいま」
妹「おかえりなさい」
兄「ああ、無理して起きてくる必要ないぞ」
妹「そんな過保護にならなくても大丈夫だよ、家の中だけなら…」
兄「階段とかで転んだら洒落にならん」
妹「もう…」
兄「すぐ飯作るから、もう少し部屋で待っててくれ」
妹「ん、お手伝いする」
兄「いいから任せておけ」
妹「だーめ、今日は一緒に作るの」
兄「体調大丈夫なのか?」
妹「うん、だから心配しないで!」
兄「なら少し手伝ってもらおうかな」
0014以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 01:41:15.78ID:xdZxr5cA0
―
兄「でさー、友の奴ナンパしに行こうとか言い始めてさ…」
妹「友さんっていつも面白いよね」クスクス
兄「海とか祭り行くのに女の子と一緒じゃないと嫌だとか言ってるし…」
妹「でも男の子はみんなそうじゃないの?」
兄「まぁそうなんだろうなー」
妹「お兄ちゃんは行かないの?」
兄「ばーか、俺が行ったらお前家に一人だろ、何かあったらどうするんだ」
妹「ん…私なら大丈夫だから行ってくればいいのに…」
兄「祭りよりも大事なものがあるからな」ポンポン
妹「…」
妹「…ひくっ……ぐすっ…」
兄「え、おい」
0019以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 01:49:54.59ID:xdZxr5cA0
妹「気を遣わせてばっかりで…ごめんね…ぐす…」
兄「全然そんなことない、唯心配なだけだって」
妹「お兄ちゃんもやりたいこととかあるのに…私邪魔しちゃってる…」
兄「いいから気にするなって、俺が好きでやってるだけだからさ」ぐりぐり
妹「うぅ…、早く元気になりたいな…」
兄「気持ちはわかるが今はゆっくり休んで体調整えとけ」
妹「うん…海、かあ」
兄「海がどうかしたか?」
妹「ううん、昔は皆で一緒に行ったなあって」
兄「父さんと母さん死んでから行った事なかったからな」
妹「また、いつか行きたいね…」
兄「ああ、そうだな…」
0022以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 01:55:52.18ID:xdZxr5cA0
妹「私いつも砂浜で座ってばっかりだった…」
兄「お前昔から身体弱かったからな、母さんはそれを気にしてたし」
妹「でも砂浜から海をぼーっと見てるの好きなんだ」
兄「それ暑さで頭やられてるんじゃないか?」
妹「違うよ、海見てるとなんかちょっと元気になるような気がするの…」
兄「…よし」
妹「え?」
兄「海行くか」
妹「えええ?」
兄「勿論お前の体調が良い日にゆっくり行く、遊んだりしないぞ」
妹「見に行くだけ?」
兄「そういうのもたまにはいいだろ、な?」
妹「うん!」
0023以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 01:59:49.03ID:xdZxr5cA0
兄「んじゃあ海に行くまでに少し元気になろうな!」
妹「わかった、頑張る!」
兄「頑張るな、もっと休め」
妹「それじゃあ怠け者みたいだよぉ…」
兄「今はいいんだよ、今は」
兄「ほら、早く食って寝るぞ」
妹「うん!」
兄(心なしか少しだけ元気になったような気がする)
兄(やっぱりこういうことも必要なんだろうな)
0026以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 02:05:07.29ID:xdZxr5cA0
妹「友さんも海一緒にいくの?」
兄「いや、友は連れて行ったら悪いだろ」
妹「なんで?」
兄「ぼーっと砂浜に座るという現実に耐え切れないと思うぞ」
妹「あ…なんとなくわかるかも」クスクス
兄「まぁそんなわけで二人で行こうと思ってる」
妹「二人でどこか行くのって病院以外では始めてだね」
兄「病院はお前一人で行かせられない、危ないからな」
妹「まったくもう…」
兄「父さんも母さんも死んで、お前まで居なくなったら俺には家族が居なくなる」
兄「大切な家族だからな…」
妹「ありがとう…」
0029以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 02:08:56.52ID:xdZxr5cA0
――
―
妹「お兄ちゃん起きてる?」トントン
兄「ん、起きてる」
妹「入って良い?」
兄「ああ、どうした?って枕?」
妹「うん、寂しくなっちゃったから…一緒に寝ても良いかな?」
兄「仕方ないな…」ポリポリ
妹「ごめんね、変なお願いで」
兄「ほら、寝るなら寝とけ、俺は少し勉強するから」
妹「うん、おやすみ」
兄「おやすみ」
0030以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 02:12:56.47ID:xdZxr5cA0
―カリカリカリ、ポキッ、カチカチカチ
―カリカリカリカリ、ポキッ、コロン
兄(あー、だめだ…集中できない)
兄(海…か)
兄(勢いで行くって言っちゃったけどな…)
兄(妹の体調が良くなるとは限らないしな、困った)
兄(でも約束は破りたくないし…)
兄(様子見て考えるとするか)
兄「んー…っ」
兄(これ一緒のベッド入ったらまずいよなあ)
兄(毛布でも敷いて寝るか)ゴソゴソ
妹「ん…」
兄「ああ、起こしちまったか」
0031以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 02:16:54.70ID:xdZxr5cA0
妹「どうしたの?」
兄「いや、ベッドに二人は狭いかと思ってな」
妹「大丈夫だよ?」
兄「いや、一応女の子だしさ」
妹「でも兄妹だよ?」
兄「そうだけどさあ…」
妹「あ、お兄ちゃん何か変な事考えてる?」
兄「それはない」
妹「じゃあ一緒に寝ても大丈夫」
兄「やれやれ…」
0032以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 02:22:08.62ID:xdZxr5cA0
兄「ごめんな、やっぱり少し狭いかもしれない」
妹「ううん、平気だよ、背中合わせだし仕方ないよ」
兄「それならいいけど…」
妹「あ、じゃあこうすれば少し広くなるね」クルッ
―ギュッ
兄「なにしてんの…」
妹「お兄ちゃん抱き枕」
兄「抱き心地の悪そうな抱き枕だな…」
妹「そんなことないよ、温かくて、すごく安心する」
兄「そうか…」
兄「あのな…」
兄「海、連れて行ってあげられなかったらごめんな」
妹「…すぅすぅ」
兄(寝るのはやっ)
0035以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 02:28:49.79ID:xdZxr5cA0
――
―
兄(ん、朝か…)
兄「よいしょ…っとと」
妹「…んぅ」
兄(そういえば一緒に寝てたんだっけか)
妹「…おはよう、どーしたの?」
兄「おはよう、まだ寝ててもいいぞ」
妹「ううん、ぐっすり眠れたから大丈夫」
兄「暑かっただろ?」
妹「暑くなかったよ、いつもより快適に眠れました!」
兄「それは良かった」
妹「お兄ちゃん抱き枕の効果はすごいね!」
0037以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 02:32:52.00ID:xdZxr5cA0
兄「んー…」
妹「なぁに?」
兄「いや、海いつ行こうかなーってな」
妹「今日でもいいよ?」
兄「また突然だな」
妹「なんかお兄ちゃんと一緒に寝たら元気出てきた」
兄「お兄ちゃん抱き枕の効能か?」
妹「そんなところかなあ」
兄「それで元気になるなら毎日一緒に寝るけどな」
妹「あ、はぅ…ちょっと恥ずかしい」
兄「あ…そうだな…」
0039以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 02:38:59.20ID:xdZxr5cA0
兄「本当に今日行くのか?」
妹「うん、体調不安定になる前に行きたい!」
兄「んじゃ準備するか」
妹「わあい」
兄「できるだけ身軽な格好で行くか、電車とバスで行くことになるからな」
妹「電車も久しぶりだなあ…」
兄「切符の買い方わかるよな?子供切符の方が良いか?」
妹「むー!わかりますぅ!」プンプン
兄「はは、冗談だよ」
妹「もう…」
兄「日傘と…、財布だけでいいな」
兄「それじゃ行くか」
妹「うん!」
0042以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 02:46:38.00ID:xdZxr5cA0
兄「その白いワンピースも久しぶりに見るな」
妹「えへへ、いつもパジャマだもんね」
兄「その小さい青いリボンが可愛いよな」
妹「それだと私が可愛くないみたいな言い方ですー」
兄「いや、似合ってるよ」
妹「それなら良かった」
兄「あんまりはしゃぐなよ、結構遠いんだからさ」
妹「はぁい」
兄「今日は風が気持ち良いな」
妹「気持ちいい!久しぶりに外出たものあるかな?」
兄「そうかもな、電車の中は涼しいと思うから冷えたら言えよ?」
妹「わかったあ」
0043以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 02:51:33.47ID:xdZxr5cA0
兄「えっとー…ここまで買えばいいんだよな」
妹「忘れちゃった?」
兄「いや、乗換えを少なくしようと思ってるからさ」
妹「なるほど!」
兄「この糞暑い中待つのは色々危ない」
妹「でも1回は乗り換えないとだめっぽいね」
兄「そうだな…その1回が早く来てくれればいいけど」
妹「大丈夫だよ、きっと!」
兄「ならこれでいくか!」
0044以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 02:56:15.51ID:xdZxr5cA0
妹「誰もいないね」
兄「まぁ盆明けの平日だからな」
妹「この車両だけ貸切みたい!」
兄「確かに」
妹「早く海見えないかなあ」
兄「まだ出たばっかりだ、流石に見えないよ」
妹「楽しみだなあ」
兄(すごく楽しそうだな…喜んでもらえて何よりだ)
妹「へくちっ!」
兄「ん、やっぱ少し寒いか」
妹「大丈夫だよ!」
兄「ほら、これ羽織っとけ」
妹「あ、ありがとう」
0045以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 03:02:02.84ID:xdZxr5cA0
兄「後少ししたら乗換えだ」
妹「え、もうそんな遠く来たの?」
兄「外の風景見てたらわかるだろ?」
妹「全然わからなかった…」
兄「家から大分遠いからなあ、仕方ないさ」
妹「でも田んぼが多くなってきたね」
兄「ここから少し行くと近くに大きな山があるところを通る、その先が海だな」
妹「やった!」
兄「まぁ海まで距離あるからバスに乗っていく」
兄「っと、着いたな、一回降りるぞ」
妹「はあい!」
0049以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 03:06:33.74ID:xdZxr5cA0
兄「え…」
妹「どうしたの?」
兄「次の電車まで15分もある…」
妹「少し待たないとだね」
兄「そうだな…」
妹「あ、お兄ちゃんアイス売ってるよ!」
兄「おいそんな走るなって」
妹「えへへ、行こっ!」
―きゅっ
兄「そんな手引っ張らなくてもアイスは逃げないよ」
妹「いーのいーの!」
0052以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 03:13:02.84ID:xdZxr5cA0
―
妹「おばちゃん!アイス二つ!」
「はいよお、ちょっとまってねえ」
兄「ああ、すみません」
「いいさあ、いっつも人おらんからねえ…こうやって元気もらえると嬉しいよ」
兄「ありがとうございます」
「ほうら、アイス二つだねえ、落さないようにするんだよお」
妹「ありがとう!おばちゃん!」
「それじゃあババは裏さ行って休んでるからゆっくりしていってなあ」
兄「ありがとうございます」
妹「はい、お兄ちゃん」
兄「ん、さんきゅ」
妹「んー!冷たくて美味しい!」
0054以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 03:17:18.06ID:xdZxr5cA0
兄「やっぱり夏はアイスだよなあ」
妹「昔よく一緒に座って食べたよね」
兄「まだ妹が小さい時だな」
妹「私食べるの下手だったから落しちゃったりして…」
兄「そのたびに泣いてたよなあ」
妹「でもお兄ちゃんが頭撫でて慰めてくれてたんだよね」
兄「そうだっけか?」
妹「そうなの!もう…」
兄「言われてみればなんとなく…」
妹「ね、撫で撫でして?」
兄「ん」ナデナデ
妹「えへへ…」
兄「早く食べないと電車きちゃうぞ」
妹「それは大変!」
0055以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 03:21:39.32ID:xdZxr5cA0
――
妹「15分って結構短いね」
兄「まぁアイス食ったりしてたしなあ」
妹「幸せな時間はすぐに過ぎるって言うもんね」
兄「?」
妹「何でもなーい」
妹「あとどれくらいで海?」
兄「えっと、1時間かからないかな」
妹「じゃあもうすぐ!」
兄「そうだな」
兄(このまま妹が元気なままだったらいいけど…)
兄(無理はさせない方がいいな…)
0056以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 03:27:23.93ID:xdZxr5cA0
――
―
兄「はー着いた、バスがすぐ来てくれてよかった」
妹「駅前なにもなかったね」
兄「海がある以外何も無いからなあ、ここは」
妹「もっと人一杯だと思ってた」
兄「確かに」
妹「海見えた!」
兄「お、やっと見えたな」
妹「海ー海ー!」
兄「そんな走るなって!」
妹「お兄ちゃん早く!」
0059以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 03:33:50.99ID:xdZxr5cA0
妹「わぁ…広いなあ…」
兄「無駄に広いな」
妹「人も全然いないね!」
兄「よいしょっと…少し休憩するか」
妹「うん!」
兄「楽しいか?」
妹「すごく楽しいよ!」
兄「それなら良かった、んで元気になれそうか?」
妹「海に来ただけで元気になったよ!」
兄「そのまま病気も治ればいいけどな」
妹「大丈夫!治るよ!」
兄「あはは、それだけ元気あれば大丈夫そうだな」
妹「元気になったらまた来ようね!」
兄「そうだな」
0063以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 03:39:19.29ID:xdZxr5cA0
妹「あ、なんか光ったよ!」
兄「なんだろうな」
妹「貝殻!綺麗だよ!」
兄「お、綺麗だなそれ」
妹「お土産にしよっと!」
兄「思い出が一つできたな」
妹「同じの見つけた!お兄ちゃんにもあげるね!」
兄「ん、さんきゅー」
妹「おそろいだねー」
兄「大事にするよ」
0064以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 03:44:02.43ID:xdZxr5cA0
――
―
妹「あー楽しかった!」
兄「座って話してただけなのにな」
妹「いーの、私は楽しかったの!」
兄「俺も楽しかったよ」
妹「えへへー」
兄「それじゃぼちぼち帰るか」
妹「うん!」
――
―カタンコトン
兄「ふぅ…」
妹「やっぱり人いないね、ん…」コックン
兄「貸切だな、帰るまで寝とけ、疲れただろ」
妹「うん…ありがと」
0069以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 03:49:14.59ID:xdZxr5cA0
兄(もう寝たのか…、疲れてたんだな)
兄(明日から体調崩さないといいけどな)
妹「…すぅすぅ」
兄(少しだけでいいんだ、もう少し妹が元気になってくれるだけでいい)
兄(せめて自由に色んな場所にいけるくらいには…)
――
―
兄「ん…俺も寝てたか…」
妹「…すぅすぅ」
兄(一つ手前の駅じゃねーか、危ねえ)
兄「妹、もう着くぞ」
妹「…ん、お家?」
兄「の近くの駅だけどな、降りるぞ」
妹「ふぁぃ…」
0072以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 03:53:22.31ID:xdZxr5cA0
妹「乗り換えの記憶がない…」
兄「半分寝たままで乗り換えたからな」
妹「んぅ…覚えてるような覚えてないような…」
兄「疲れてたんだろう、帰ったら風呂はいって寝るか」
妹「そうだね…」
―パタン
兄「さってと、んじゃ風呂の準備してくるからリビングでゆっくりしとけ」
妹「うん、ありがと」
兄(んー…やっぱり少し無理させちゃったかな)
兄(明日から少し様子見ないと)
0073以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 03:56:36.65ID:xdZxr5cA0
兄「風呂沸いたぞ」
妹「あ、お茶淹れといたからゆっくりしてて」
兄「おう、さんきゅ」
妹「それじゃ入ってくるね」
兄「風呂で寝るなよ?」
妹「さっきまで寝てたから大丈夫!」
兄「ならいいけど」
―パタン
兄(やっぱり元気そうに振舞ってるけど少し疲れてるな)
兄(明日からゆっくり休ませるか)
兄(海に行っただけで病気が治れば苦労しないよな)
兄(はは…)
兄「…ぐすっ」
0076以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 04:00:53.46ID:xdZxr5cA0
――
―
妹「お兄ちゃん」トントン
兄「ああ、どうぞ」
妹「えへへ」
兄「今度ベッド運ぶか?」
妹「ううん、このベッドで一緒に寝るのが良いの」
兄「なんだそれ」
妹「お兄ちゃん抱き枕を有効活用する為です」
兄「はいはい…」
妹「それじゃ寝るね…おやすみ」
兄「ん、おやすみ」
0081以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 04:07:07.87ID:xdZxr5cA0
―
兄「ん…何時だ…」
兄「―っ」
兄「妹っ、どこだ!」
妹「あ、おはよう」
兄「おはようじゃないよ…びっくりしたじゃないか…」
妹「ごめんね…よく眠ってたから起こさなかったの」
兄「そうか、ありがとうな」
妹「あ、朝ごはん作ったの!久しぶりでしょ?」
兄「体調は大丈夫なのか?」
妹「うん!昨日海行ったから元気になったのかもしれない!」
兄「良かった…」
妹「心配かけてごめんね」
兄「ああ、それじゃあ食べるか」
0082以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 04:10:45.28ID:xdZxr5cA0
―ルルルルルル
妹「あ、電話」
兄「ああ、ちょっと出てくる」
妹「うん」
兄「はいもしもし」
友「こんちくしょおおおおがああああああああああああああ」
ガチャッ
―ルルルルルルル
兄「はいもしもし」
友「てめぇおいいつの間に彼女つくtt」
ガチャ
―ルルルルルルル
兄「はいもしもし」
友「あの、友ですが兄さんは御在宅でしょうか?」
兄「初めからそう言え」
0083以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 04:15:25.24ID:xdZxr5cA0
友「貴様が昨日可愛い女の子と一緒に出かけていたという目撃情報が入っている」
兄「はぁ?」
友「正直に言え、今なら許してやる」
兄「妹だぞ」
友「…え?」
兄「妹が海見に行きたいって言うから砂浜で海見てた」
友「妹ちゃん、元気になったのか?」
兄「昨日は体調良かったみたいでな、丁度良いから一緒に見に行った」
友「そうか、良かったな」
兄「ありがとうな」
友「いや、つまらない事で電話して悪かった」
兄「気にするな、じゃあな」
友「おう、またな」
―ガチャ
0084以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 04:19:43.65ID:xdZxr5cA0
妹「友さん?」
兄「まぁそんなところだ」
妹「何か用事だったの?」
兄「なんかお前が俺の彼女だと思った奇特な奴が居たらしい」
妹「へっ?」
兄「んでその情報を鵜呑みにしてあいつが電話してきたというわけだ」
妹「なるほどなるほどお…」
兄「つまらないことで電話するなよ、まったく…」
妹「ふぅん…彼女に見えたんだ…」
兄「らしいよ」
妹「そんなにいちゃいちゃしてたかな?」
兄「そんな事もないと思うけどな」
妹「ねー」
0085以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 04:23:13.99ID:xdZxr5cA0
兄「んじゃ俺買い物行って来る」
妹「あ、待って!」
兄「どうした?」
妹「一緒に行っちゃダメ?」
兄「まだ昨日の疲れも残ってるだろうし留守番しとけ」
妹「そんな疲れてないよ?」
兄「でも体調崩れるかもしれないから…」
妹「大丈夫!私の事は私が一番わかってるから!」
兄「んー…」
妹「ね、お願い」
兄「仕方ないなあ…」
妹「やった!」
0088以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 04:26:07.23ID:xdZxr5cA0
兄「今日の晩飯は何にするかなあ」
妹「んー、何か食べたいものある?」
兄「特にないかな」
妹「じゃあお兄ちゃんの好きなもの作ってあげる!」
兄「いいよ、飯は俺作るから」
妹「今日は元気一杯だから私がやる」
兄「んー…、じゃあ家帰ってから元気だったら頼むわ」
妹「わかったあ!」
0089以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 04:30:19.39ID:xdZxr5cA0
――
―
兄「何か多くないか?」
妹「たまには一杯食べないとだよ!」
兄「そうだな、まぁいいか」
妹「ほえ?あの人だかり何?」
兄「ああ、町内会の人達だな、祭りの準備で話し合ってるんだ」
妹「もうお祭りの時期なの?」
兄「今年は少し日程ずれたみたいでな、回覧板が回ってきてたよ」
妹「そうなんだ…」
兄「さ、帰るか」
妹「うん…」
0090以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 04:34:24.06ID:xdZxr5cA0
――
妹「ただいまー!」
兄「返事聞こえてきたら怖いけどな」
妹「いいのー、たまには言いたいの!」
兄「んじゃあ荷物片付けるか」
妹「あ、私やるからお兄ちゃんはゆっくりしてて!」
兄「いや、俺も手伝うよ」
妹「大丈夫だt―」フラッ
兄「あぶな!」
―ガタン
0092以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 04:39:48.58ID:xdZxr5cA0
兄「大丈夫か?妹?おい!」
妹「いたたたぁ…」
兄「やっぱり疲れて…」
妹「んーん、少し立ちくらみしちゃっただけ…もう平気」
兄「良かった…」
妹「でね…お兄ちゃん、その…いつまで抱きついてるの?」
兄「あ、悪い」パッ
妹「いくら私の事が好きでも急に抱きしめられたらびっくりしちゃうよ」
兄「ち、ちが!俺は」
妹「冗ー談!」ツン
兄「な、ばか…」
妹「ごめんね」クスクス
0094以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 04:46:06.31ID:xdZxr5cA0
―
妹「そういえばお祭りっていつなの?」
兄「明後日かな」
妹「そっかあ、行きたいな」
兄「まだ体調万全じゃないからダメ」
妹「さっきのは立ちくらみだってー」
兄「だーめ」
妹「じゃあ明後日までに調子良くする!」
兄「…」
妹「だめ?」
兄(海に行っても大丈夫だったからな…考えてみるか)
兄「わかった、お祭りの日に元気だったら少しだけ見に行こうか」
妹「やった!」
0095以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 04:50:39.12ID:xdZxr5cA0
兄「少しでも体調悪かったらダメだからな」
妹「うん、それまで元気にしてる!」
兄「じゃあ早く飯食って寝なきゃな」
妹「お兄ちゃんもね」
兄「まぁ俺は何があっても大丈夫だ」
妹「はい、ごちそうさま!」
兄「はや!」
妹「早く寝るの!」
兄「じゃあ後片付けはやっとくわ」
妹「お願いします!」
0096以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 04:56:15.05ID:xdZxr5cA0
――
―
兄(お祭りか…)
兄(妹と行くのは何年ぶりだろう)
兄(あー、まじ体調崩さないといいんだけどな…)
兄(今日よろけてたのも気になるところだ…)
兄(できるだけ無理させないようにさせよう)
―パタン
妹「あーいいお湯だった」
兄「ああ、湯冷めしない内に寝とけ」
妹「はーい、んでねお兄ちゃん、洗い物全然進んでないよ?」
兄「あ…はい」
兄(考え事してたなんて言えないな)
0098以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 05:03:34.46ID:xdZxr5cA0
兄(さってと、俺も風呂入るか)
兄(妹は本当に元気になってるんだろうか…)
兄(来週病院にいった時にでも先生に話してみるか…)
――カラララ
―パタン
兄(妹が喜ぶことを一杯してあげたい)
兄(それが妹にとって何を意味するかわかってるのに…)
兄(わかっているのに…)
兄(世の中…うまくいかねえ…)
兄(はぁ…憂鬱だ)
0100以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 05:09:36.89ID:xdZxr5cA0
兄「うお!」
妹「なーにー?」モゾモゾ
兄「いや、先に部屋で寝てるとは思わなかったから」
妹「だって一緒に寝るじゃん」
兄「まぁそうだけどな…」
妹「ね、お兄ちゃん」
兄「なんだよ」
妹「今私服着てないよ」
兄「―は?」
妹「だって暑いし…」
兄「い、い、い、い、いや待て何を言ってるんだお前は!落ち着け」
妹「照れちゃって可愛い、ちゃんと着てるから大丈夫だよ!」バッ
兄「てめぇ!」
妹「お兄ちゃんがいじめるぅ…」
―こんな時間が続いてくれればと、そう思った
0169以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 13:35:09.54ID:Ow8MCoHx0
妹「ねぇねぇ」
兄「何?」
妹「私が元気になったらもっと色んなところ行きたいね」
兄「ああ、そうだな」
妹「今度はお兄ちゃんが行きたいところにも行こ!」
兄「俺の行きたいところかー…」
妹「いっぱいあるの?」
兄「いや、ないかな」
妹「そっかあ…」
兄「だから妹が行きたいところに俺も行きたいかな」
妹「あはは、恋人みたいだね」
兄「言われてみればそうだな」
妹「別にそう思われてもいいけどね」
兄「あほ、兄妹だっつーの」
妹「えへへ」
0171以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 13:39:36.80ID:Ow8MCoHx0
兄「そういえばさ」
妹「なーに?」
兄「…最初は少し遠慮してたけど、今は完全に密着してるよな」
妹「だってお兄ちゃん嫌がらないんだもん」
兄「まぁ寝るのが困難なわけでもないからな」
妹「胸あたってるの気になるの?」
兄「あたるほど大きくないだろ」
妹「失礼な!少しくらいあります!」
兄「わかったわかった、早く寝なさい」
妹「ちぇー…」ギュ
兄(なんというか慣れって怖いな)
0173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 13:46:11.49ID:Ow8MCoHx0
―
兄「あー…、あっつ…」
妹「…すぅ」
兄(シャワーでも浴びてくるか)
兄(ここ2日だけなら普通の子と同じくらい元気だよなあ…)
兄(やっぱり海行ったから…?)
兄(まさかな…)
―パタン
兄(気のせいか妹が少し積極的な気がする、今までが元気なかったからかな?)
兄(そこらへんどうなのかわからんからなんとも言えないけどなあ)
兄(普通に考えて年頃の兄妹が一緒に寝ることはそんなにない、はず)
兄(まぁいいか…妹が嬉しそうだし)
0175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 13:55:18.86ID:Ow8MCoHx0
兄「ん、妹居ない?」
兄「部屋戻ったのかな」
兄「入るぞー?」
兄「あれ…部屋にもいないぞ」
兄「―倒れたのか?」
兄「妹ーどこだー?」
妹「なーにー?」
兄(ああ、母さんの部屋か)
兄「何してるんだー?」
妹「なにもしてないよー」
兄「入るぞー」
妹「ちょ、ちょっと待って」
兄「ん?まぁ入るぞ」カチャ
兄「へ?」
妹「ちょっと待ってって言ったのにー!ばかあ!」
0176以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 14:02:52.98ID:Ow8MCoHx0
兄「いや…だって着替えてるとは思わないじゃない、な?」
妹「女の子がいる部屋に入る時は返事を待ちましょう、ぷんぷん」
兄「悪かったって、んで何してるの?」
妹「明日お祭りでしょ?浴衣着たいなあって思ったから…」
兄「まぁ明日の夜だけどな…、今から準備するほどでもないだろ」
妹「うぅ…、浴衣難しい…」
兄「手伝うか?」
妹「そしたらお兄ちゃんに…その、見せることになっちゃうでしょ…?」
兄「まぁ見る事にはなるだろうな…」
妹「お兄ちゃんの …」
兄「なんでそうなる、やらしいことは考えてない」
妹「ほんと…?」
兄「はい」
妹「じゃあ手伝ってもらおうかな…」
0179以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 14:11:19.67ID:Ow8MCoHx0
兄「俺が帯持ったまま上向いてたら視界に入らないだろ?」
妹「そうだったね…、ごめん」
兄「気にすんな」
妹「うん、帯離していいよ」
妹「えっと…ここをこうして」ハタハタ
兄「まだー?」
妹「もうちょっとー!」
妹「できた!」
兄「お、可愛いな」
妹「変なところない?ちゃんとできてる?」
兄「特にないな、でも髪の毛少し長いから上でまとめた方がいいんじゃないか?」
妹「うん、そうする!」
妹「脱ぐの勿体無いから今日このままでいようかな」
兄「いくらなんでも張り切り過ぎだ」
妹「そうだね、それじゃ着替えるね」
0181以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 14:18:51.74ID:Ow8MCoHx0
妹「あっしたはおーまつりー♪」
兄「今日はしゃぎ過ぎて明日体調崩すなよ?」
妹「大丈夫だもーん」
妹「髪留めどれにしよっかなあ…」
兄(楽しそうだな…)
妹「ねね、これ浴衣に合うと思う?」
兄(先日までぐったりしてたのに…)
妹「お兄ちゃん?」
兄「ああ、悪い」
妹「もう、まだ寝てるでしょ?」
兄「そんなところだ、んで何だっけ?」
妹「この髪留めが可愛いかなって―」
――妹が笑って過ごせる、そんな日々が楽しくて
―妹の元気な姿を見られる、そんな日々が嬉しくて
何よりも幸せだった
0184以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 14:31:19.34ID:Ow8MCoHx0
妹「早く明日にならないかなあ」
兄「もう少し落ち着けよ」
―せめて普通の女の子と同じく、という儚い願い
妹「だってーお祭りなんて何年も行ってないし…」
兄「ずっと体調悪かったからな」
―願いが叶ったのだろうか…
妹「そうだ…ね」ユラッ
兄「ん…?」
―ずっと続いてほしかった
妹「ごめ…ん……ね」
兄「おい!どうした!」
―バタッ
0191以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 14:38:13.34ID:Ow8MCoHx0
――
―
兄「大丈夫か!妹、しっかりしろ!」
妹「ん…」
兄「俺がわかるか?」
妹「お兄ちゃん…」
兄「良かった…」
妹「…ごめんね」
兄「謝ることなんて何もないだろ!」
妹「ううん…元気だったらお祭り行けるからって…」
妹「私少し無理してた…」
兄「そうだったのか…」
妹「お兄ちゃんに嘘吐いてた…だから、ごめんね」
兄「俺は気にしてない、だから大丈夫だ、心配するな」
妹「あり…がとう」
0193以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 14:46:46.10ID:Ow8MCoHx0
臥せってる妹の顔色は悪く、今朝までの元気な姿はもうなかった
いや、今朝も元気ではなかった、そう振舞う以外に方法がなかったから…
俺が条件なんてつけたから妹は無理をすることになってしまった
―そして倒れた
兄(くそっ…)
兄(なんで気付いてやれなかった…)
兄(ずっと一緒に居たのに…わかってやれなかった…)
兄(あんなこと言えば無理するのは当然だろう…)
兄(ちくしょう…)
兄(ちくしょう…)
0196以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 14:57:33.17ID:Ow8MCoHx0
――
―夢を見ていた
それが夢だとわかったのは自分の罪悪感から少しでも逃れる為に見ているという自覚があったからだ、何故なら…
そこに存在する妹は元気だったから…
普通の女の子と同じように外を歩き、笑顔で楽しそうに過ごしている
しかし、それは俺の願いであって…現実は
―そう思った時に、俺は現実世界に戻ってきていた
変わりなく臥せっている妹の静かな寝息が聞こえる
少し長めの前髪を払って優しく撫でると、妹がそれに気付いたのか目を覚ます
妹「お兄ちゃん…」
兄「ああ、ごめんな、起こしちゃったか…」
妹「なんで泣いてるの?」
0199以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 15:04:25.02ID:Ow8MCoHx0
自分でも涙を流していることに気付いていなかった
兄「俺…泣いてたのか」
妹「心配させちゃってごめんね…」
兄「違う…悪いのは俺だ…」
妹「ううん、お兄ちゃんは何も悪くないよ…」
兄「俺があんなこと言わなければ…、お前が無理することはなかった…」
妹「私が勝手に無理しただけだから――だから、ね?」
心配そうに俺を見つめる妹の優しい眼差しが何よりも辛かった
兄「ごめんな…」
妹「私は大丈夫だから…もう泣かないで…」
兄「っぐすっ…ひぐっ…」
―何故、神は俺達に微笑まないのか
0200以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 15:12:13.38ID:Ow8MCoHx0
兄「祭り、一緒にいけなくてごめんな…」
妹「ううん、ずっと寝てたらわからなかった事だから…」
兄「楽しみにしてたのに…」
妹「私はお兄ちゃんが一緒に居てくれるだけで嬉しいから…」
兄「ごめんな…」
妹「さっきから謝ってばっかりだよ、少し元気出して、ね?」
兄「ああ、そうだな…」
妹「―お茶、飲みたいな」
兄「わかった、淹れてくるよ」
妹「うん」
0203以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 15:18:22.09ID:Ow8MCoHx0
―パタン
兄(少し落ち着いた方がいいのかもな)
兄(本当に辛いのは俺じゃなくて妹なんだ)
兄(あんなに楽しみにしていたのに…)
兄(今俺にできることは一緒に居てやることだけか…)
兄(早くお茶持って行ってやらないと…)
兄(あー…なんで俺が泣きそうになってるんだよ)
兄(くそ…)
0206以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 15:23:32.22ID:Ow8MCoHx0
兄「お茶、淹れてきたよ」
兄「ん…いない」
兄「妹、どこだ?」
―パタン
妹「ごめん、ちょっと部屋に戻ってた」
兄「大丈夫か?」
妹「うん、お昼より少しよくなった」
兄「お茶淹れたから少しゆっくりしよう」
妹「ありがと」
兄「あまり無理するなよ?」
妹「そうする…、お兄ちゃん心配させちゃうし…」
兄「ああ…」
0208以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 15:29:20.25ID:Ow8MCoHx0
妹「お茶、おいしい」
兄「落ち着くな」
妹「何かおじいちゃんとおばあちゃんみたいだね」
兄「確かにじじくさい」
妹「私、おばあちゃんになるまで生きてるかな…?」
兄「ばかいうな、きっと病気も治るし元気になる」
妹「そうだよね、そうだといいね…」
兄「もっと色んなところに行きたいだろ?」
妹「うん、来年も海行きたいな…」
兄「きっといけるさ…だから今はしっかり休んでおこうな」
妹「はぁぃ…」
0210以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 15:36:24.87ID:Ow8MCoHx0
妹「眠くなってきちゃった…」
兄「ん、おやすみ」
妹「お兄ちゃんは寝ないの?」
兄「少し疲れてるから俺も寝るか…」
妹「ごめんね、心配かけちゃって」
兄「いや、俺が勝手に疲れただけだから」
妹「一緒に寝よ?」
兄「そうさせてもらうよ」
妹「もうお兄ちゃんと一緒じゃないと安心して眠れない…」
兄「人をぬいぐるみみたいに言うなよ…」
妹「えへへ、ごめんね」
0310以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 22:34:20.15ID:M1RWumfq0
―
兄(もう朝か…)
兄(あまり寝た気がしないな…)
兄(妹が寝てる内に家の事済ませておくか)モゾモゾ
妹「ん…お兄ちゃんどこいくの?」
兄「ちょっと家の事やってくるから、まだ寝てていいぞ」
妹「うん、それじゃあもう少しだけ…」
兄「起こしちゃって悪いな」
妹「いいの、起きた時にお兄ちゃん居ない方が寂しいから…」
兄「そうか…、それじゃ家の事やって飯作ったら持って来るよ」
妹「ありがとう」
0313以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 22:40:07.20ID:M1RWumfq0
兄(妹は御粥にしておくか)
兄(少しでも体調を良くしないと…)
兄(お祭り行きたかっただろうな)
兄(俺のせいで辛い思いさせちゃったな)
兄(妹の傍に居て寂しい思いさせないように頑張るか…)
―キィ
兄(ん、部屋から出たのかな?)
兄(まぁいいか)
―パタン
兄(家に居ても妹が喜ぶ事ないかなー…)
兄(一緒に居るだけで嬉しいとは言っても、何をすればいいのかわからないな)
兄(考えておくか)
0315以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 22:43:28.15ID:M1RWumfq0
―キィ
兄(部屋に戻るの少し時間かかったな)
兄(やっぱり体調悪くて動くのも辛いか)
兄(あんなこと言わなきゃ良かったのに…俺の阿呆…)
―ジュッ
兄「―っ!」
兄(いてー…ぼーっと料理してるからこうなるんだな…)
兄(冷やすか…)
兄(っと、できたから先持っていこう)
0316以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 22:47:04.55ID:M1RWumfq0
兄「妹、入るぞー」トントン
妹「うんー」
兄「御粥食べられるか?」
妹「御粥なら大丈夫だと思う」
兄「ゆっくり食べるんだぞ、あと熱いから気をつけてな」
妹「わかった」
妹「ん、お兄ちゃん指どうしたの?」
兄「ちょっと考え事してたら火傷しちゃってな」
妹「そっか…」
兄「大した事無いから心配するな、それじゃ後で取りに来るから」
妹「うん、頑張ってね」
0318以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 22:51:09.43ID:M1RWumfq0
――
―
兄(これくらいかな)
兄(妹はちゃんと寝てるかな?)
兄「入るぞー」トントン
妹「はぁい」
妹「お兄ちゃん自分の部屋に入るのにノックしてる」クスクス
兄「女の子が居る部屋に入る時はって言っただろ」
妹「あはは、ごめんね」
兄「何か欲しいものある?」
妹「ううん、大丈夫だよ」
兄「遠慮しなくていいからな」
妹「うん、何か欲しくなったら言うね」
0321以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 22:55:27.05ID:M1RWumfq0
――
―
妹「暗くなってきたね」
兄「もう夕方か…」
妹「もうお祭り始まってるのかな?」
兄「多分始まってるだろうな」
妹「浴衣、片付けないとね」
兄「後で片付けておくよ」
妹「ごめんね」
兄「気にするな、それじゃ飯作ってくるから何かあったら呼んでくれ」
妹「わかったあ」
0323以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 23:00:37.63ID:Wsofa6S40
―
兄(妹の性格からして、何があっても俺には言わないだろうな…)
兄(心配させちゃうとか思ってるんだろう)
兄(それが一番困るんだけどな…)
兄(仕方ない事か…)
兄(さってと、できたから持っていくか)
兄「入るぞー」
妹「うん」
兄「無理して全部食べなくてもいいからな、残ったのは俺が食うし」
妹「ありがとう」
0326以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 23:07:17.38ID:w+APHfTT0
妹「ごちそうさま」
兄「食器片付けてくるな」
妹「うん」
―ドン、ドドーン…
妹「ん、なんの音?」
兄「ああ、花火だな」
妹「花火かあ…」
兄「窓開けたら見えるんじゃないかな?」
―ヒューン、ドン!
妹「綺麗…」
兄「そうだな、近くで見せてあげたかった」
妹「ううん、ここで大丈夫だよ」
0330以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 23:13:47.24ID:w+APHfTT0
妹「あ、見て見て!あれ綺麗!」
兄「綺麗だな…」
兄(もっと近くで見せてあげたいな…)
兄(ああ、裏の公園なら…)
兄「妹、上着羽織れ」
妹「なんで?」
兄「ちょっとだけ外行くから」
妹「ん…ちょっと外行くのは…」
兄「お前に歩かせるわけない」
妹「ほえ?」
兄「ほら、落ちないようにな」
妹「わ…私背負って外歩くの…?」
兄「まぁそういうことだ」
0335以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 23:22:45.41ID:w+APHfTT0
兄「大丈夫か?」
妹「うん、外気持ち良い」
兄「少しだけ歩くから我慢してくれ」
妹「どこいくの?」
兄「裏の公園なら広いし空がよく見える」
妹「ありがとう…」
兄「俺が勝手にしてることだから気にするな」
妹「ううん、すごく嬉しい」
兄「それなら良かった」
妹「こうやってお兄ちゃんに背負ってもらうのも久しぶりだね」
兄「まぁな、別に苦痛でもないから大丈夫だぞ」
妹「すごく安心する…」
0336以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 23:27:26.56ID:w+APHfTT0
――
―
兄「ほら、着いたぞ、ここ座っとけ」
妹「うん、ありがとね、重かったでしょ?」
兄「前より軽くなった気もするけどな」
妹「冗談でも重くなってるって言って欲しかったかな…」
兄「そうだったか…」
妹「でもいいの、重かったらお兄ちゃん辛いもんね」
―ドーン!
妹「わあ…大きい…」
兄「よく見えるだろ?」
妹「うん…すごく綺麗…」
兄「何か飲みたいものあるか?会場すぐそこだから買って来るぞ?」
妹「んと…それじゃあお茶がいい」
兄「わかった、すぐ戻ってくるから、ちょっと待っててくれ」
0338以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 23:30:40.00ID:w+APHfTT0
兄(お茶っと…)
兄「ん?」
兄(お守りか…妹に買っていこうかな…)
兄「これ下さい」
「ありがとうございまーす」
兄(さて、戻るか…)
――
―
兄「待たせた」
妹「ううん、平気」
兄「ほら、お茶」
妹「ありがとう」
0341以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 23:34:30.74ID:w+APHfTT0
兄「ああ、あとこれ」スッ
妹「お守り?」
兄「帰る途中に見かけてな」
妹「ぷ…あはは」
兄「どうした?」
妹「お兄ちゃんよく見て買わなかったでしょー?」
兄「ああ、全部同じ色してたから一緒だと思って…」
妹「これ縁結びのお守りだよ」クスクス
兄「え、まじかよ」
妹「お兄ちゃん面白いなあ」
兄「縁結びしてもしゃーないのに…」
妹「でもありがとう、大事にするね」
0346以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 23:43:32.39ID:w+APHfTT0
妹「来年はお祭りいけるといいな…」
兄「来年は海行ったり祭り行ったり忙しいな」
妹「でもお兄ちゃんと一緒ならどこでもいいの」
兄「家でいつも一緒だろ」
妹「お出かけするのは違うんだよ…もう」
兄「そうか、悪かった」
妹「…」
兄「確か毎年大きな花火が1回上がるんだよな」
兄「ああ、確かこの花火の後だ、ほら見て―」
―ドーン!
気付いたら目の前に妹の顔があって
触れた唇の感触が新鮮だった―
0350以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 23:49:13.25ID:w+APHfTT0
全ての思考が一時停止する、そして離れる唇
兄「…は、あ…え?」
妹「お兄ちゃんのばか…」
兄「いやいやいや…な、何してるんだよ」
妹「なんでもない…」
兄「そ、そうか…」
妹「…」
兄「…」
0352以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 23:53:13.82ID:w+APHfTT0
兄「…」
妹「…」
兄「花火、終わっちゃったな」
妹「…うん」
兄「帰るか…」
妹「…うん」
兄「ほら」
妹「…」ギュッ
兄「そ、の…全然気にして無いから」
妹「うん」
兄「お前も気にしなくていいから」
妹「…うん」
0355以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/20(土) 23:59:14.06ID:w+APHfTT0
妹「…あのね」
兄「ん」
妹「さっきのは、その…」
兄「ん…」
妹「もうしないから…」
兄「そうか…」
妹「うん…」
妹「少しだけ…甘えたかっただけだから…」
兄「わかった…」
妹「うん…」
兄「今日は、涼しいな」
妹「そうだね…」
兄「冷えないようにしとけ」
妹「うん…」
―ぎゅっ
0356以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 00:03:00.22ID:xcoRDn4D0
――
―パタン
妹「…お風呂入ってくるね」
兄「はいよ」
妹「花火、ありがとう」
兄「ああ」
―パタン
兄(っあー…)
兄(何してるんだよ…)
兄(んで意識してる俺はなんなんだよ…)
兄(まったく…)
0360以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 00:07:02.88ID:xcoRDn4D0
――ぽちゃん
―ぽちゃん
妹(私…何してるんだろう…)
妹(おかしいよね…こんなの…)
妹(お兄ちゃんしか居ないからって…)
―ぽちゃん
妹(ばかみたい…)
妹(少しお兄ちゃん離れしないと…)
妹(このままじゃ…)
0361以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 00:11:09.47ID:xcoRDn4D0
―キィ
妹「お風呂、あいたよ」
兄「ああ、先寝ててもいいからな」
妹「うん」
―パタン
兄「ん…自分の部屋で寝るのか?」
妹「うん、お兄ちゃんのベッド占領しちゃってたから」
兄「気にしなくていいのに」
妹「おやすみ」
兄「ん、おやすみ」
兄「…」
0364以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 00:16:12.43ID:xcoRDn4D0
―少しだけ、寂しい気がした
兄(でもこれが普通なんだよな)
兄(…これがあたりまえなんだ)
兄(何で妹が居ない事に不安感じてるんだよ…)
兄(くそ…)
兄(気にしてない素振りしないと妹が気にするだろうな…)
兄(頑張るか…)
0367以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 00:19:47.09ID:xcoRDn4D0
――
―
兄「ん…」
兄(そういえば部屋に戻ったんだったな…)
兄(よし…いつも通りいくか)
兄「妹ー起きてるか?」
妹「うんー」
兄「飯食べられそうか?」
妹「ん…少しだけ…」
兄「わかった、それじゃ作ってくる」
妹「ありがとう」
兄(妹もいつも通り、かな)
兄(あれは忘れることにしよう…)
0370以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 00:25:10.25ID:xcoRDn4D0
―
妹(お兄ちゃん、気にしてないかな…)
妹(私のせいで負担になっちゃったらちょっと嫌だな…)
妹(でも、近くに居て欲しい…)
妹(どうしたらいいんだろう…)
妹(わからないよ…お兄ちゃん…)
妹(いつも相談してるお兄ちゃんに相談できなかったら…誰に話せばいいの…)
妹「うぅ…ぐすっ…」
妹(わからないよ…わからないよ…)
0372以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 00:30:13.85ID:xcoRDn4D0
兄(さて…持っていくか)
兄(やっぱ昨日連れ出したので体調悪くしたか…)
兄(妹には悪い事したな…)
兄「妹、入るぞ」
妹「あ、ちょっと待って…」
兄「ああ」
―
妹「どうぞ」
兄「大丈夫か?」
妹「うん…」
兄「また後で食器取りに来る」
妹「わかった」
―パタン
0383以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 00:39:30.67ID:xcoRDn4D0
―その後食器を取りに行ってから、妹と話すことはなかった
晩飯を作る時に声をかけたが返事がなく、部屋から出てくる気配もない
部屋で大人しく寝てるのだろう、しかしそれが心配だったりする
兄(言わない性格だから余計に…)
寧ろ、今まで別々の部屋で寝ていたのに、居ない事に違和感を感じる俺もどうかしてる
兄(忘れろって方が無理だ…)
一瞬だけ重なった唇の感触だけは鮮明に覚えている
温かく、包み込むような優しさに満ち溢れていた
兄(あー…、くそ)
兄(どうやって整理しようか、この気持ち)
―憂鬱だ
0386以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 00:46:57.66ID:xcoRDn4D0
―ふと唇を指でさする
妹(昨日キスしちゃったんだよね…)
それがいけないことだってわかってたのに…
仲の良い兄妹で居たかったのに…
妹(私って欲張りだなあ…)
あんなに近くに居てくれる兄をもっと感じたいなんて思ってしまったんだから
机には、昨夜兄が買ってきたお守りが置いてあった
妹(縁結び…)
許されるわけない、そんな事
考えちゃいけない、これ以上
妹(どうしたらいいの…助けてよ…お兄ちゃん)
――
―
0389以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 00:51:43.02ID:xcoRDn4D0
兄「妹、起きてるか?」
妹「うん」
兄「飯どうする?」
妹「食欲ないや…」
兄「少しでもいいから食べないと身体に悪いぞ、昨日の夜も食べてなかったし…」
妹「うん…」
兄「ちょっとだけ作ってくるから頑張って食べような」
妹「ごめんね…」
兄(体調崩れてきたか…)
兄(飯も食べられなくなるのは久しぶりだな)
兄(何か悩みがあるんだろうか…)
兄(聞いてみるしかないな)
0392以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 00:56:55.03ID:xcoRDn4D0
兄「妹、入るぞ」
妹「どうぞ…」
兄「ほら、一人で食べられるか?」
妹「うん」
兄「なぁ…」
妹「?」
兄「何悩んでるんだ?」
妹「ううん、なにもないよ」
兄「…そうか」
妹「うん…心配しなくていいよ…」
兄「わかった…」
妹「ちょっと体調悪いみたいだから…」
兄「大丈夫か?」
妹「ん…ご飯食べたら少し休むね」
兄「ああ…」
0395以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 01:01:03.22ID:xcoRDn4D0
―パタン
明らかにおかしい、体調が悪いだけじゃない
兄(間違いなく何か抱えてるな…)
先日の件が負担になっているのか…、それとも別の何かか
兄(別の要素は考えにくいな…)
兄(かといって妹が気にしないようにしてるのに、俺が気にしちゃいけない…)
兄(でも本当に先日の事で悩んでるのか…?)
兄(思い過ごしじゃなければいいが…)
0403以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 01:24:23.52ID:xcoRDn4D0
妹の食欲は日を重ねる毎に減っていった、酷い日は一口も食べてないだろう
起きてるのも辛いのだろうか、日々衰弱していく寝たきりの妹
そんな妹の姿を見る俺も辛かった
兄「妹、大丈夫か」トントン
妹「ん…」
兄「起きられるか?」
妹「ごめんね…」
自然と会話も減り、妹に気を遣わせるわけにもいかず
俺は自室に閉じこもっていた
兄(どうしたらいいんだよ…)
兄(調子よくなるどころか、悪くなる一方じゃないか…)
―どこで違ったのだろうか?
0406以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 01:29:09.57ID:xcoRDn4D0
兄(少し荒療治だが…仕方ない)
兄「妹、ちょっといいか?」トントン
妹「…」
兄「入るぞ」
妹「…うん」
―キィ
兄「ああ、寝たままでいい」
妹「…どうしたの?」
兄「単刀直入に、何悩んでるんだ?」
妹「…悩んでな―」
兄「いや、明らかにおかしい」
兄「自分でもわかるだろう?」
兄「何も食べられなくなるほど、目の下を腫らすほど…」
兄「何考えてるんだよ…」
0411以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 01:35:15.93ID:xcoRDn4D0
妹「…」
兄「このままじゃお互いに良くない…」
兄「俺だってお前の事が心配なんだよ」
兄「だから教えてくれよ…頼む!」
妹「…」
兄「…」
妹「――ら―の…」
兄「ん…」
妹「どうしたらいいの!」
兄「何―」
妹「悩みの種がお兄ちゃんだったらどうしたらいいの!」
妹「わからないよ!お兄ちゃんは近くに居てくれるのに!」
妹「いつもなら相談できるのに!」
妹「お兄ちゃんに相談できなかったらどうしていいのかわからないよ…」
妹「お兄ちゃんの事こんなに好きなのに!もっと傍に居て欲しいのに!」
0413以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 01:40:48.15ID:xcoRDn4D0
妹「我儘だよね…」
兄「…」
妹「こんなに優しくしてもらって…こんなに近くに居てもらって…ぐすっ」
妹「それでも…足りないって思っちゃう…」
妹「ひっく…兄妹なのに…こんなのダメなのに…」
妹「どうしたらいいの…ねぇ…私どうしたらいいの!」
兄「なんで…」
妹「…」
兄「なんで言わなかったんだよ…」
妹「ぐすっ…」
兄「俺の事でなんか悩むなよ!」
妹「だって…」
兄「傍に居て欲しいなら俺は傍に居る…」
兄「それに、妹が俺の事好きなのと同じくらい俺もお前の事大好きだ」
兄「だから…悩まないでくれ…」
0417以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 01:48:40.48ID:xcoRDn4D0
兄「俺はここにいる…妹がそれを望むなら…」
兄「ずっとここに居るから…」
兄「俺なんかの為に…俺のせいで…」
妹「お兄ちゃん…」
兄「ひくっ…なやまないで―ぐすっ…」
―ぎゅっ
妹「ごめんね…」
兄「っく…っぅ…」
妹「いっぱい…いっぱい心配かけて…ごめんね…」
妹「…ありがとう」
兄「…ばか…やろう…ぐすっ」
兄「ずっと…ぐすっ…近くにいるから…」
妹「…うん」
兄「妹も…離れないで…ひくっ…くれ」
妹「ずっと一緒だよ…」
0422以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 01:53:14.28ID:xcoRDn4D0
――
―
兄「お茶…淹れてくるから」
妹「うん」
兄「少しゆっくりしようか…」
―パタン
兄(俺の事で悩んでたのか…)
兄(気付いてやれなかった…)
兄(これからはずっと一緒に、今よりも妹の傍に居てあげよう…)
兄(それが妹の…そして、俺の願いでもあるから)
0425以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 01:58:37.82ID:xcoRDn4D0
兄「入るよ」
妹「…うん」
兄「さっきはごめんな…」
妹「ううん、大丈夫…」
兄「話してくれてありがとな、辛かっただろ」
妹「話せなくて…すごく辛かった…」
兄「気付いてやれなくてすまない」
妹「でもね、話したらすごく楽になった…」
妹「あと…お兄ちゃんが私の事大切に思ってくれてるのがすごくわかった…」
兄「ああ、もう一人にしないから…」
妹「ありがとう…」
0428以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 02:02:49.70ID:xcoRDn4D0
妹「お茶、美味しかった…」
兄「寝るか?」
妹「うん…すっきりしたら眠くなっちゃった」
兄「そうか…、じゃあおやすみ」
妹「ん…その」
兄「ん?」
妹「一緒に寝よ?」
兄「あぁ…」
―ぎゅっ
妹「温かい…」
兄「そうだな…」
妹「ずっと…一緒……だよ」
0430以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 02:08:10.21ID:xcoRDn4D0
―妹の悩みは解決した
そしていつも通りの生活が再び戻ってきた
前に比べて、妹の甘え方が少しだけストレートになった気がする
一緒に過ごす時間の多さは増えていった、しかし
―妹が快方に向かう事はなかった
0433以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 02:13:39.31ID:xcoRDn4D0
一度崩れた体調を整えるのには時間がかかる、今までに何度も経験した事だ
季節の終わりを告げる蜩の鳴声が儚く響き渡る
妹「こほっ…」
兄「大丈夫か?」
あれから一度医者に診てもらったが原因は不明との事だった
精神的な面もあるのでしょうとも言われたが、妹に悩みはなく
―時間だけが過ぎていった
――
―――
0440以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 02:19:01.74ID:xcoRDn4D0
妹「体調、良くならないね」
兄「大丈夫だ…きっと治るから」
妹「もっとお兄ちゃんと一緒にお出かけしたりしたかったな…」
兄「やめろよ…まるでもうダメみたいな言い方」
妹「ごめんね…」
兄「来年も一緒に海行くんだろ…?」
妹「うん…」
兄「だったら諦めちゃだめだ、俺も居るから…一緒に治そう、な?」
妹「そうだね…」
兄「これからも一緒に楽しい思い出作っていくんだから…」
妹「うん…」
0446以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 02:27:44.78ID:xcoRDn4D0
―いつの間にか眠っていた
お互いに抱き合うような形のままだった
兄「…」ナデナデ
妹「んぅ…どうしたの…」
兄「なんでもないよ」
妹「そっか…」
妹「お兄ちゃんさ…小さい頃からずっと私のこと撫でてくれたよね…」
兄「よく泣く子だったからな」
妹「その度に「大丈夫だから」って励ましてくれて…」
妹「そんなお兄ちゃんが大好きで…」
兄「…」
妹「こほっ…ん…いつも私を守ってくれてた」
兄「一人にしておけなかったからな…」
妹「俺は何があっても大丈夫だからって…ずっと傍に居てくれた…」
0451以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 02:33:56.34ID:xcoRDn4D0
妹「お父さんとお母さんが死んじゃった時も…親戚の人がお金の事で家に来た時も…私を守ってくれた…」
兄「あぁ…そうだな」
妹「海に行ったときも…花火の時も…ずっとずっと一緒に居てくれて…」
妹「いっぱい、ありがとう…」
兄「俺がそうしたかっただけだよ…」
妹「また…こほっ…一緒に海、行こうね…」
兄「ああ、元気になったら一緒に泳いだりして…もっと遊んで…楽しまなくちゃな」
妹「お祭りも…もっと近く…で…花火……見たり…」
妹「ふかふかの…わたあめとか…食べたり…」
兄「大丈夫だ…来年は二人で一緒に夜店まわろうな…」
妹「うん…」
妹「―でも」
0454以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 02:41:46.62ID:xcoRDn4D0
妹「もう…お願い……一杯聞いてもらっちゃったから…」
妹「他のお願いはダメなのかな…」
兄「そんなことない…まだまだ叶えてやる」
妹「あ…はは」
妹「ずっと一緒に居たいってお願い…聞いて…くれて…」
兄「おい…どうした…?」
妹「あり…がと…ね」
兄「はは…何言ってるんだよ…これからじゃないか…」
妹「お兄ちゃん……は…何が…あっても…大丈夫だよね…」
兄「大丈夫だ…だからこれからもお前を支えてやる!」
妹「いっぱい…いっぱい…あり…が…とう……」
―ごめんね
0468以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 02:51:27.53ID:xcoRDn4D0
妹「…」
兄「おい…、どうしたんだよ…」
兄「話の…途中で……寝るなんて…酷い…ぞ」
兄「なぁ…返事…してくれ…よ」
兄「いつもみたいに…抱き締めて…くれ…よ…」
兄「ほら…手も握っ―」
―くたっ
兄「……嘘だ…ろ」
兄「一緒に…海いくんだろ…」
兄「一緒にお祭りも…いくんだ…ろ」
兄「返……事…」
―唯一の家族を、守りたかった
それだけを望んでいた
静かに眠りについた妹の亡骸を強く抱き締め、叫ぶように泣いていた
0484以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 03:00:17.99ID:xcoRDn4D0
―正直酷い顔をしていたと思う
運ばれていく妹を見ていることができなかった
死因は衰弱死、とだけ伝えられた、それ以外の事は覚えていない
数日経ち、妹の葬儀が終わった時に実感した、一人の寂しさ
声をかける家族もいない
大好きだった妹もそこにはいない
これからどうしたらいいのだろうか…
もう誰もいない
0493以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 03:09:07.35ID:xcoRDn4D0
自室に戻った時、目に付いた妹との思い出が光る
兄「こんなものっっ!」
しかし、投げ捨てることもできず、貝殻を握り締め咽び泣く
なによりも、妹が残していった思い出を消すのが嫌だった
少しでも妹が居たという事を覚えていたかった
気付いた時、俺は妹の部屋にいた
この部屋で、妹は何を思って逝ったのだろう
ふと窓際を見ると、自室にあるのと同じ思い出を見つけた
兄「何か…はさまってる…」
「お兄ちゃんへ」
0500以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 03:20:20.37ID:xcoRDn4D0
「お兄ちゃんがこれを読んでるってことは、私だめだったのかな…」
「自分でも体調が良くならないのわかるの」
「もし私が死んじゃってたらごめんなさい」
「私が居なくなっても寂しいからって泣いちゃだめだよ?」
「もっと一緒におでかけしたかった、うん」
「海も、お祭りもまた一緒に行きたかったよ」
「もうそれも叶わないかなあって思うとちょっと残念かな」
「いっぱいいっぱい迷惑かけちゃってごめんなさい」
「あと、ありがとう!私すごく幸せだった」
「最後に、お兄ちゃんはどんなことがあっても大丈夫だよ!」
「だからこんなところで立ち止まったらだめだからね!絶対だよ!」
「ばいばい」
妹
0516以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 03:28:07.49ID:xcoRDn4D0
兄「っく…ひぐっ…うあっ……」
兄「大丈夫…じゃねぇ…よ…」
兄「一人にするんじゃ…ねぇよ…」
兄「最後まで…っぅ…ばかいいやがって…」
兄「…ぐすっ、それが妹の願いなら」
兄「俺が叶えるしかないだろ…」
―蟠りが、翳っていた心が、晴れて幾野を感じた
そう、俺は一人じゃなかった
誰が忘れても、俺だけは覚えている
生き続けよう、妹の思い出と共に
0525以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 03:36:30.44ID:xcoRDn4D0
―季節は廻り、再び蜩の鳴声がこだましていた
心の整理をするまでに大分時間がかかったとおもう
俺はポケットから色と形が同じ貝殻を二つ取り出すと、墓前にそれを供えた
兄「いつまでも一緒にいるから、お前も俺の事忘れるんじゃないぞ」
兄「それじゃあ頑張ってくるから、またな」
―夕日に煌く貝殻
それはまるで妹が笑っているかのようだった
おわり
0544以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 03:48:04.93ID:xcoRDn4D0
~if~
―もしこれが現実であるなら、あまりにも酷だ
神は最後まで妹に微笑まなかった
その儚い望みすらも叶えることなく…
妹の意識がなくなってから数時間が経過していた
精密検査をするために救急病棟に運ばれた妹はまだ帰ってこない
通路に広がる闇に飲み込まれそうな感覚
逃げ出してしまいたかった
0550以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 03:56:16.89ID:xcoRDn4D0
通路に足音がこだまする、それは徐々に大きくなり、やがて目の前で静止する
「手は尽くしました」
兄「ありがとうございます…」
「結果は、今伝えた方がよろしいでしょうか?」
兄「…お願いします」
「状態は最悪ですが…一命は取り留めました」
兄「それじゃあ…!」
「原因が不明なだけに今後どのようなことが起こるかはわかりかねますが…」
兄「良かった…ぐすっ…よかった…」
兄「ありがとうございます…!」
0553以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 04:04:07.67ID:xcoRDn4D0
「しかし、意識は戻っておらず危険な状態であることは確かです」
兄「そうですか…」
「意識が戻り次第ご連絡しますので、本日は御帰りになられた方がよいかと…」
兄「わかりました…お待ちしております」
兄「それでは失礼します」
―妹は助かった、最悪の状態で
0561以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 04:16:10.51ID:xcoRDn4D0
あれから数日が経過していたが、病院からの連絡はない
それでも希望がある内は諦めてはいけない、そう信じるしかなかった
既に学校は夏期休暇を終了し、通常課程を開始していたが、自室に篭り、虚空を見上げてるだけの俺に学校に行く余裕はなく
唯、奇跡を信じ、それに縋る、そんな毎日
ふと頭を過るのは妹の笑顔、それ以外は空白だった
―ルルルルルル
兄「!」
―ルルルルルル
兄「はいっ!」
「もしもし、妹さんの担当医である○○ですが…」
0565以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 04:23:11.20ID:xcoRDn4D0
兄「妹の事でしょうか…?」
「意識が回復しましたので、一度院に来て頂けると幸いです」
兄「はい!」
―ツー…ツー…ツー…
妹が意識を取り戻した、妹と会える
それ以外の事は考えられなかった
――
―
兄「失礼します」
「はい」
兄「意識が回復しましたと仰ってましたが…」
「ええ、正常です、容体も安定しています」
兄「良かった…」
「顔を見せてあげて下さい、お兄さんの事を心配していましたよ」
兄「わかりました!」
0572以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 04:28:58.62ID:xcoRDn4D0
―コンコン
妹「…はい」
兄「失礼します」
妹「お兄ちゃん!」
兄「良かった…本当に…」
妹「何で泣いてるの…嬉しい時は笑わないと…」
兄「だって…妹がっ…助かって…」ギュッ
妹「私もまたお兄ちゃんに会えて嬉しい…」
妹「だから泣かないで!」
―そこには妹が居た
たった一人の家族であり、最愛の妹がいつものように笑っていた
0580以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 04:39:41.51ID:xcoRDn4D0
――
―妹の意識が戻ってから数日が経過し、俺は学校に通えるようになり、帰り道に病院へ向かう生活が続いていた
医者の話では、妹は順調に回復しているとのことだった
健康状態も良く、一時の仮死状態から比べると奇跡以外に考えられない
―コンコン
妹「はい」
兄「よう」
妹「はぁ…今日遅かった」
兄「悪いな、ちょっと友に捕まっててな」
妹「なあんて、冗談だよ」クスクス
兄「こいつ…」ぐりぐり
妹「やぁだぁ…」
兄「まったく…」
0585以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 04:45:47.36ID:xcoRDn4D0
―後日、妹は無事退院した
しかし、家で安静にするように言われていたので、今までと変わりない生活をする
それでも、妹がいることが嬉しくて…何より幸せだった
―――
――
―
0589以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 04:52:26.96ID:xcoRDn4D0
―季節は廻り、蝉の鳴声が町中に響き渡る
俺と妹はとある駅に居た
兄「あーあっつ…」
妹「お兄ちゃんもアイス食べたらいいのに」
兄「アイス食って電車乗ると冷えそうでなー…」
妹「少しくらい大丈夫だってー」
今年の乗り換えは20分らしい、軽い拷問のようなものだ
兄「まぁ向こうに着いたら気分的に涼しくなるだろう」
妹「そうだね!」
0593以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 04:59:42.63ID:xcoRDn4D0
――
―
妹「ほらほら!早くいこ!」
兄「そんな引っ張るなよ、海は逃げないぞ」
妹「いーの!」
兄「仕方ない奴だなあ」
妹「海冷たくて気持ちいいー!」
兄「いきなり入ると心臓に悪いらし―」
―バシャッ
妹「なーにー?」
兄「ほほう…やったな?」
―バシャシャシャッ
妹「あはは、冷たいよー!」
0599以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 05:12:07.95ID:xcoRDn4D0
―望んだ幸せがそこにあり
妹「わたあめー♪」
兄「つーかでかいんだな、わたあめって」
妹「おまけしてもらっちゃった!ちょっとたべる?」
兄「ん」
妹「ああああ!一杯たべたあ…」
兄「うん、あまい」
妹「私のわたあめがぁ…」
―願った未来が訪れていた
兄「そういえばなんでこの公園なんだ?」
妹「特別な場所だから!」
兄「まぁな」
妹「花火見るときはここって決め―」
兄「ん…甘い」
妹「ふ、ふらいんぐ!」
0601以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/08/21(日) 05:16:20.13ID:xcoRDn4D0
兄「フライングも糞もない」
妹「もう…」
―もう決して離さない
――たった一人の家族
―――誰よりも愛する妹を
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