0003以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 10:29:45.75ID:7dCgLIci0
QB「いやあ、それにしても巴マミの最後はすごかったね」
まどか「マミさん……」グスッ
さやか「まどか……まどかはさ、今でも走り屋になりたいと思ってる?」
まどか「…………」
さやか「……そう、だよね。仕方ないよね……」
まどか「ずるいって分かってる……でも今でも胸が苦しくなるの」
まどか「私、あんな死に方いやだよぅ」ブワッ
さやか「まどか……」
さやか「ねぇQB、これからこの町の平和は誰が守っていくの?」
QB「他の走り屋たちが黙っていないよ。すぐにでも他の町から別の走り屋が縄張りを求めてやってくるだろう」
さやか「でもそれって、あのほむらって奴みたいに、ただガソリンが目当てなやつなんじゃないの?」
QB「そうだね。でもそれを非難できるのは、免停も覚悟で走る同じ走り屋だけじゃないかな」
0004以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 10:38:38.79ID:7dCgLIci0
数日前
マミ「私の名前は巴マミ。QBと契約した走り屋よ」
マミ「QBに選ばれた以上、あなたたちにも無関係じゃないものね」
マミ「これが私の愛車よ」
まどか「わぁ、金色……綺麗……」
さやか「すっごーい!かっこいいスポーツカーだね!」
マミ「ふふっ、トヨタ・スープラっていうの。これで暴走族と戦うのよ」
まどか「暴走族?」
さやか「暴走族って、走り屋と何が違うの?」
0005以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 10:46:05.88ID:7dCgLIci0
QB「走り屋が純粋な走りたい気持ちから生まれた存在なら、暴走族はただ暴れまわりたいという醜い欲望から生まれた存
在さ」
マミ「世の中の色々な犯罪は裏で暴走族が絡んでいることが多いのよ」
マミ「暴走族を倒すのが私たち走り屋の役目よ」
まどか「ほむらちゃんも走り屋なの?」
マミ「そうね」
さやか「同じ走り屋同士協力した方がいいんじゃないの?」
マミ「それがそうでもないのよ」
0007以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 10:54:39.16ID:7dCgLIci0
~~~
マミ「あれが暴走族よ」
まどか「あれが……」
さやか「うわあ……すごい派手なバイク……」
マミ「あなたたちはここで待っていて」
――変身!
マミ「じゃあ行ってくるわ」
さやか「マミさん行っちゃった」
まどか「大丈夫かな」
0011以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 11:02:07.34ID:7dCgLIci0
暴走族「なんだてめぇ?」ブォーン
マミ「私とレースよ!」
暴走族「望むところだ!」
QB「暴走族とのレースが始まるよ!」ヒョコッ
まどか「きゃあ!」
さやか「急に出てこないでよ、驚くじゃない!」
QB「そんなことより巴マミのレースを見守らなくていいのかい?」
さやか「あっ、マミさんの車と暴走族がスタートしたよ!」
まどか「すごいスピード……もうあんなに遠くに行っちゃった」
0013以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 11:13:14.34ID:7dCgLIci0
QB「僕のビジョンを通してレースの様子を見せてあげるよ」
まどか「わっ、マミさんの車が走ってるのが見えるよ」
さやか「マミさん負けるなぁー!」
マミ「ふふっ、所詮はそんなバイクじゃ私のトップシークレット仕様のスープラの敵じゃないわね」
マミ「そろそろ終わりにするわよ!」
マミ「ティロフィナーレ!」スイッチポチッ、バヒュゥーン
まどか「わっ、マミさんの車が急に加速した!」
さやか「やったー!マミさんの勝ちだぁ!」
0018以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 11:21:37.97ID:7dCgLIci0
さやまど「マミさーん!」ダッ
マミ「あら迎えに来てくれたのね」
さやか「すごいかっこ良かったです!尊敬しちゃいます!」
マミ「もう、見世物じゃないのよ」
まどか「見て!さっきの暴走族が!」
さやか「消えていく……!」
まどか「暴走族が消えて、何か箱みたいなものが落ちたよ」
マミ「ガソリンの携行缶―~グリーフシード~―よ」
さやか「けーこーかん?」
マミ「私の車のメーターを見て。昨日よりちょっと針の位置が下がってるでしょ?」
さやか「本当だ」
0021以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 11:29:14.50ID:7dCgLIci0
マミ「でも暴走族が落としたガソリンを給油すれば」トクトク
さやか「満タンになった!」
マミ「こうして自分の車をガス欠させないようにするのよ」
マミ「ねぇ、暁美ほむらさん」シュッ
ほむら「」パシッ
まどか「ほむらちゃん!」
さやか「転校生!」
マミ「あと一回くらいは給油できるはずよ」
ほむら「このガソリンはあなたのものよ。全部自分で使いなさい」
さやか「なんなのあいつ!ムカつくぅー!」
まどか「ほむらちゃん……」
0024以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 11:38:09.99ID:7dCgLIci0
恭介宅
さやか「はい恭介、今日も買ってきたよ」
恭介「……今度はGReddyのインタークーラーかい?」
さやか「手に入れるのに苦労したんだから」
さやか「さやかちゃんてば、レアパーツを見つける天才!」
恭介「……」
恭介「さやかはさあ……」
さやか「なになに?」
恭介「さやかは僕をいじめてるのかい?」
さやか「え……」
恭介「もううんざりなんだよ!使えもしないパーツなんて!」
さやか「だって……恭介車いじるの好きだし……」
0026以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 11:45:44.16ID:7dCgLIci0
恭介「僕のシビックはターボじゃないんだよ!」
恭介「それなのにこんなインタークーラーなんていらないよ!」
さやか「でも……毎日頑張って改造したらいつかターボになるよ」
恭介「ならないよ!」
恭介「こんなもの!」バキィ!
さやか「やめて!」ガバッ
恭介「ディーラーの人に言われたんだよ」
恭介「ターボ化は無理だって」
恭介「エンジンスワップでもしない限りね……」
さやか「あるよ……」
恭介「え?」
さやか「ターボ化も、エンジンスワップも、あるんだよ」
0029以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 11:53:38.63ID:7dCgLIci0
さやか「あっはっは、いやぁーなんて言うの?心境の変化ってやつ?」
まどか「さやかちゃん……その車……」
さやか「これ?スバル・だぶるあーるえっくすとか言うらしいよ。QBが言ってた」
さやか「なかなかかっこいいでしょ?」
まどか「……」
0031以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 12:01:52.30ID:7dCgLIci0
裏路地
まどか「ああ、逃げられちゃう!」
さやか「ちょっと、なんなのよあのデカいアメ車は!邪魔してきたせいで逃げられちゃったじゃない!」
QB「気を付けて!相手も走り屋だ」
杏子「ちょっとちょっと、あんた何やってんのさ」
QB「70年型プリマス・ロードランナーの佐倉杏子だよ」
杏子「あいつはただのケツ持ち。倒してもガソリンなんか手に入らないよ」
さやか「それでも!放っておいたらあいつも悪いことするんだよ!」
杏子「だからさぁー、しばらく暴れさせて本当の暴走族に昇格した所で倒すんだよ」
杏子「巴マミはそんなことも教えてくれなかったのかい?」
さやか「あんたってやつは……!」
杏子「チョーうぜぇ」
0033以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 12:07:42.92ID:7dCgLIci0
杏子「あんたみたいなやつはぶっ潰してやるしかないよねぇ」
さやか「望むところだ!」
まどか「さやかちゃんやめて!相手は暴走族じゃない!同じ走り屋だよ!」
まどか「さやかちゃんも、あの子も走って行っちゃった……」
まどか「こんなのってないよ!ねえQB!」
QB「仕方ないよ。彼女たちの間に割って入れるのは同じ走り屋だけだ」
まどか「QB、あたし……!」
ほむら「その必要はないわ」バビューン
まどか「きゃ!」
まどか「今通り過ぎた黒い車は……」
まどか「……ほむらちゃん」
0036以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 12:13:39.26ID:7dCgLIci0
走る2台の車
杏子「オラオラ!おせーぞ新人!」
さやか「くっ、速い!追いつけない」
杏子「へっへっへ。ん?後ろから黒いRX-7がついて来てやがる……」
ヒュンッ
杏子「何!いつの間に前に!」
さやか「何あの黒い車は?……って、危ない!」
キキィィーー!!
ガチャ、バタン
ほむら「……」
さやか「ちょっと転校生!急に目の前で止まるなんて何考えてるの!」
0039以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 12:19:23.50ID:7dCgLIci0
杏子「てめぇ……どっちの味方だ?」
ほむら「私は制限速度を守らない人の敵よ。あなたはどうなの?佐倉杏子」
杏子「ちっ、手札が見えないとあっちゃ、今日は引き下がってやるよ」ガチャ、バタン、ブオーン
さやか「転校生、邪魔しないでくれる……?」
まどか「ほむらちゃん!」タッタッタッ
まどか「助けてくれたの……?」
ほむら「鹿目まどか、言ったはずよね」
ほむら「私たちの行為は道交法に反している。あなたは関わるべきではないって」
ほむら「あなたはどこまで愚かなの」
まどか「ひっ、ほむらちゃん……」
0040以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 12:26:06.88ID:7dCgLIci0
~~~
杏子「ここなら車通りも少ない。さあ始めようか」
さやか「あんただけは絶対に許さない!」
まどか「さやかちゃん!」
さやか「まどか!?」
まどか「やめて!こんなの絶対おかしいよ!」
さやか「まどかは下がってて。これは私の戦いなの」
まどか「さやかちゃんゴメン!」ガシッ
さやか「ちょっと!私の車!」
まどか「えいっ!」ポイッ
さやか「まどか!私の車を投げ捨てるなんて、なんてこ……」バタン
まどか「さやかちゃん?」
QB「今のはまずかったよ、まどか。友達を投げ捨てるなんてどうかしてるよ」
0043以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 12:33:20.54ID:7dCgLIci0
杏子「どういうことだおい!」
まどか「何言ってるのQB!さやかちゃんを助けてよ!」
QB「何を言ってるんだまどか。さやかはさっき君が投げ捨てたじゃないか」
QB「人間の体を介して車を運転するなんて非効率的だよ」
QB「だから僕は君たちの魂を車に移して、車を操作しやすくしてあげた」
杏子「なん……だと……」
杏子「それじゃあ、あたしたち車にされたようなもんじゃねえか!」ガシッ
QB「その通りだよ佐倉杏子」
まどか「さやかちゃん!さやかちゃーん!」シクシク
ほむら「美樹さやかの車を取り返してきたわ……ゼェ…ゼェ…」ドーン
さやか「……ハッ!」
まどか「さやかちゃん!」ダキッ
さやか「何?……何なの?」
0051以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 12:39:38.66ID:7dCgLIci0
早朝
さやか「こんな体にされて……恭介に会わせる顔がないよ……」
杏子「しけたツラしてんじゃねーぞ」
さやか「!?」
杏子「ちょいと顔かしな」
ギィィー、バタン
杏子「まあ入りなよ。散らかってるけど」
さやか「何ここ?」
杏子「あたしんちさ」
さやか「このボロ小屋が?」
さやか「すごい埃っぽい。なんかガレージっぽいね」
さやか「車がある……。埃で真っ白だけど……これってレーシングカーだよね……」
杏子「親父の車さ」
さやか「お父さんの……?」
0054以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 12:45:29.54ID:7dCgLIci0
杏子「親父はプロのストックカーレーサーだった」
杏子「ちょっとカーブがあるだけでもブレーキを踏んじゃうような人でさ。いつも他の車に抜かれてた」
杏子「でもそんなだからレースではいつも負けっぱなし。うちは食うにも事欠くくらいだった」
杏子「あたしは思ったね。どうしてみんな親父を抜きやがるんだ」
杏子「5分でいい。5分でいいから他のマシンが止まっていてくれさえすれば、親父だって優勝できるんだ」
杏子「――あたしはQBと契約した」
杏子「そこからはすごいのなんのって。親父は止まってる他のマシンをゴボウ抜きさ」
杏子「親父は連戦連勝でシリーズチャンピオンを物にした」
杏子「だがあるときカラクリが親父にばれた」
杏子「最後は無残だったよ。酒におぼれた親父は、家族を乗せた車で事故って死んだ」
杏子「あたし一人を残してね」
さやか「……飲んだら乗るな、か……」
0059以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 12:52:01.66ID:7dCgLIci0
杏子「だからさ、他人のためじゃなく、自分のために走りなよ」
さやか「自分のため……」
杏子「そうさ。警察の目なんか気にすんな。アクセル全開でぶっ飛ばしてる間はあんたは自由だ」
さやか「私、あんたのこと誤解してた。それは謝る」
さやか「でもさ、あんたあの車を改造するお金はどうしたの?」
さやか「あたし、これでも車のこと結構分かるんだよ」
さやか「あの年代の車で電子制御燃料噴射装置っておかしいよね」
杏子「」アグアグ
さやか「言えないんだね。」
杏子「あたしたちは走り屋なんだぞ!擁護してくれる奴なんて他にいないんだぞ!」
さやか「じゃあね」スタスタ
0061以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 12:59:19.50ID:7dCgLIci0
さやか宅
さやか「あ、まどか……」
まどか「さやかちゃん、これから暴走族退治に行くんだよね」
さやか「……」
まどか「さやかちゃん?」
さやか「仁美が恭介に告白するって……」
まどか「えっ」
さやか「仁美に恭介を取られちゃうよぉ!」ダキッ
さやか「でも……私何もできない」
さやか「だって私車だもん!ラリーに定評のあるスバル車だもん!」
まどか「さやかちゃん……」
0064以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 13:06:43.95ID:7dCgLIci0
戦いの後
まどか「さやかちゃん、あんな走り方ないよ」
まどか「いくら板金修理できるからって、あんな体当たりするような走り方、さやかちゃんのためにならないよ」
さやか「……私のため?」
さやか「こんな体にされて何が私のためになるって言うの?」
さやか「しょうがないでしょ、最高速が伸びないインプレッサじゃ、あんな走り方でもしないと勝てないんだよ!」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「35万円」
まどか「えっ?」
0066以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 13:13:31.14ID:7dCgLIci0
さやか「カーセンサーで私の中古車価格調べたんだ」
さやか「所詮私なんて35万円の価値しかない存在なんだよ」
まどか「……そんなこと……ないよ」
さやか「QBから聞いたよ。あんた私よりずっと才能あるんでしょ」
さやか「もっと速くて中古価格が落ちない車になれるんでしょ」
さやか「だったらあんたがやりなさいよ!」ドーン
さやか「あんたが何もしない代わりに私がこんな目にあって走ってるの!」
まどか「さやかちゃ……」
さやか「付いて来ないで!」ガチャ、バタン、ブオーン
0068以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 13:20:08.51ID:7dCgLIci0
~~~
杏子「ハァ……ハァ……」
杏子「やっと見つけたよ。ふぅ」ペリペリ、ムシャムシャ
さやか「あんたにも迷惑かけちゃったね」
杏子「なんだよ急に。ガラでもない」
さやか「ただ走りたい気持ちで走り屋になったはずなのに、繰り返せば繰り返すほど自分がおかしくなっていく」
さやか「毎日家を出るたびに馬鹿でかい排気音のせいで、近所の人に白い目で見られて――」
さやか「大通りでは何もしなくてもパトカーにマークされて、ビクビクしながら走ってる」
さやか「毎日うっぷんが溜まっていって余計にレースに頼るようになる」
さやか「そうしてるうちにだんだんどうしてこんなことをしてるのか分からなくなって」
さやか「私気づいちゃったんだ」
さやか「ただ暴れたいから、憂さを晴らしたいから走ってるだけ」
さやか「こんなんじゃ暴走族と何も変わらない」
0070以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 13:28:06.08ID:7dCgLIci0
杏子「さやか……お前、まさか……」
さやか「走り屋って、そういう仕組みだったんだね……」
杏子「おい、ガソリンのゲージがもうEじゃねーか!」
さやか「私って、ホント環境性能最悪」ピキッ、パリーン
ブワァァーー!!
杏子「さやかぁぁあああ!!」
0076以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 13:35:47.18ID:7dCgLIci0
まどか宅
まどか「さやかちゃんも杏子ちゃんも死んじゃった」
QB「やあまどか!」
まどか「……」
QB「僕を恨んでいるかい?」
まどか「……」
QB「まどか、君は巴マミの最後の瞬間を覚えているかい?」
QB「いやはや、今思い出してもすごい惨状だったね」
QB「彼女の車が走行中に爆発したときは、僕も驚いたよ」
QB「NOSのホースが緩くなっていることも気づかずにニトロを噴射したら当然だよね」
QB「燃えたまま走ったマミはトラックと正面衝突」
QB「炎上する車の横で悶え苦しむマミの人間の体はまさに滑稽だった」
QB「だって事故の衝撃で頭が吹き飛んでいたからね」
まどか「う、うう……」グスッ
0078以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 13:42:44.70ID:7dCgLIci0
QB「僕はね、宇宙から来たんだ」
QB「今宇宙では大きなエネルギー問題を抱えているんだ」
QB「僕の星では感情から石油を生み出す技術を発明した」
QB「しかし当の僕たちは感情というものを持ち合わせていなかった」
QB「そこで見つけたのが人間さ」
QB「走り屋が走れなくなったときの絶望が大量の石油を生む」
まどか「そんなことのために、みんな……」グスッ
QB「そんなことって言ったって、君たちの星でも今同じ問題に直面しているじゃないか」
QB「走り屋一人の命と、エネルギー問題とどっちが大切なんだい?」
QB「所詮走り屋も暴走族も人間社会の害悪じゃないか」
QB「走り屋が消えて石油が手に入るなら万々歳だと思うけどなぁ」
まどか「そんな風に言うんだったら、やっぱりあなたは私たちの敵なんだね」
QB「君には才能がある。君が絶望したときの石油の量は計り知れないよ」
QB「宇宙のために死ぬ気になったらいつでも声をかけてくれよ」
0081以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 13:49:46.92ID:7dCgLIci0
ワルプルギスの夜襲来
ほむら「どうしてなの!?」
ほむら「どうしてもワルプルギスの夜に勝てない!」
ほむら「4ローターターボNOS仕様にしたのに、あいつに追いつけない!」
ほむら「これ以上スピードを出したら……もう……!」
パァァーン!!
ほむら「ああ!タイヤがバーストした!」
キキィィーー!!ドーーン!!
ほむら「ぐぅ……もう車体がメチャクチャ……」
ほむら「補修する力ももう残ってない……」
ほむら「これ以上繰り返したら、またまどかの因果が増えてしまう……」
ほむら「私のやってきたことって……」プルプル
――パチン
0083以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 13:56:04.52ID:7dCgLIci0
ほむら「……まどか!」
まどか「ほむらちゃん……ごめんね」テヘッ
ほむら「まどか!そんな!やめて!」
まどか「ほむらちゃん……ほむらちゃんが今までやってきたことを私は無駄にしない」
まどか「QB、私走り屋になる!」
QB「今の君ならどんな願い事だって叶えられるだろう」
QB「さあ、君はどんな願いでその車体を輝かせるんだい?」
まどか「すぅ……はぁー……」
まどか「私は全ての車を生まれる前に消し去りたい!この手で!」
0087以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 14:05:15.83ID:7dCgLIci0
QB「なっ!車は人類にとって最大の発明品じゃないか!」
QB「そんなことをしたら、20世紀以降の人間の歴史を歪めてしまう!」
QB「まさか君は神にでもなるつもりかい?」
まどか「神様でもなんでもいい」
まどか「こんな悲劇を生む機械なんて、この世から消してみせる!」
ほむら「まどかぁ!それだけは……!」
パァァ……
ほむら「うっ、眩しい……」
0089>>75
2011/09/23(金) 14:12:26.07ID:7dCgLIci0
ほむら「うっ、眩しい……」
ほむら「まどか……あ、あれは……」プルプル
ほむら「なんて……美しい姿なの……」ガクガク
ほむら「輝くピンク色の……」
QB「ブガッティ・ヴェイロン」
QB「君や、美樹さやか、それに今までの走り屋とは比べ物にならないほどの性能を秘めている」
QB「まさに人類が生み出した英知の集大成だ」
0090以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 14:19:47.32ID:7dCgLIci0
~~~
QB「いやぁ、走り屋になったまどかはすごかったね」
QB「だって2速にシフトアップしたときには、あのワルプルギスの夜を500メートル後方に置き去りにしていたんだから」
ほむら「ここは……?」
QB「今、まどかが作った新しい法則によって歴史が再編されている」
QB「自動車の歴史を築き上げてきた偉人たちも、この世界ではただの凡人だ」
QB「人々を虜にする名車の数々もこの世界では存在しない」
ほむら「そんな、F1もカーグラTVもないって言うの!」
ほむら「それがあの子の望んだ世界だっていうの?」
ほむら「そんなの……酷いよ……酷すぎるよ」
0092以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 14:26:15.22ID:7dCgLIci0
まどか「大丈夫だよ」
ほむら「まどか!?」
まどか「だって、車以外にもこの世界には素晴らしいもので溢れているんだもん」
ほむら「まどかはそれでもいいの!?」
ほむら「みんなが車に憧れて、車を楽しんでいたことを忘れてしまうのに!」
まどか「ほむらちゃんならきっと覚えていられるよ」
まどか「だって、ほむらちゃんは真正のカーキチだって、今までの世界軸で分かったから」
まどか「そろそろお別れだね」
ほむら「まどかぁぁあああ!」
0094以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 14:34:03.96ID:7dCgLIci0
~~~
杏子「おい、さやか!さやかはどうした!」
マミ「落ち着いて杏子。美樹さんはまだ来てないわ」
ほむら「いつもあの子は遅れてくるわね」
さやか「お待たせー」ギコギコ、チリンチリーン
杏子「おせーじゃねーか」
マミ「今日も暴走族退治に集まるって約束してたじゃない」
さやか「ごめんごめん、自転車のチェーンが外れちゃって修理してた」エヘヘ
ほむら「集まったならそろそろ行くわよ」
ほむら「今日も改造自転車で暴走する輩が集まってるわ」
0096以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/09/23(金) 14:41:15.61ID:7dCgLIci0
杏子「おう!」
マミ「ええ行きましょう」
さやか「レッツゴー!」
ギコギコ、チリンチリーン
車が消えたこの世界でも、暴走族は姿を変えて犯罪を繰り返している。
それでも車は確かに存在し、人間の心を輝かせたんだ。
決してそれを忘れたりしない。
だから私は走り続ける。
チリンチリーン
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