2: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:02:24.08 ID:98xiGd13
1
善子(私の夏休みは、いつもひとりぼっち)
善子(家に引きこもってゲームや生配信)
善子(それがちょうどいい過ごし方)
善子(津島善子は、そういう人間)
善子(私の夏休みは、いつもひとりぼっち)
善子(家に引きこもってゲームや生配信)
善子(それがちょうどいい過ごし方)
善子(津島善子は、そういう人間)
3: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:03:23.38 ID:98xiGd13
善子(それは仲のいい相手できた今年も変わらない)
善子(夏休みに入り)
善子(二人で早速お出かけ中の友達)
善子(送られてきた、たどたどしい自撮り写真)
善子(彼女たちからのラインに、笑いながら返信)
善子(私も誘われたけど断った)
善子(長期休みの早々ぐらい、自由を満喫したかった)
善子(ルビィは少し残念そうに、花丸は理解を示しながら)
善子(それを受け入れてくれて)
善子(夏休みに入り)
善子(二人で早速お出かけ中の友達)
善子(送られてきた、たどたどしい自撮り写真)
善子(彼女たちからのラインに、笑いながら返信)
善子(私も誘われたけど断った)
善子(長期休みの早々ぐらい、自由を満喫したかった)
善子(ルビィは少し残念そうに、花丸は理解を示しながら)
善子(それを受け入れてくれて)
5: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:04:04.57 ID:98xiGd13
善子(……今度は、一緒に行こうかな)
善子(あんまり断るのも、悪いし)
善子(けどやっぱり面倒?)
善子(一人の時間は大切だし)
善子(まあそれも私らしさ――)
ブブブ
善子(あれ、通知)
善子(誰からだろ)
善子(あんまり断るのも、悪いし)
善子(けどやっぱり面倒?)
善子(一人の時間は大切だし)
善子(まあそれも私らしさ――)
ブブブ
善子(あれ、通知)
善子(誰からだろ)
6: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:04:42.11 ID:98xiGd13
【渡辺曜】
善子(……曜、さん?)
善子(珍しい、連絡をくれるなんて)
善子(部活のこと?)
『今日用事ある?』
善子「用事……」
『特にないわよ』
『それならさ、私と遊びに行かない?』
善子(……曜、さん?)
善子(珍しい、連絡をくれるなんて)
善子(部活のこと?)
『今日用事ある?』
善子「用事……」
『特にないわよ』
『それならさ、私と遊びに行かない?』
7: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:06:01.22 ID:98xiGd13
※
善子「はぁ」
善子(待ち合わせ場所で、ため息)
善子(返事の仕方)
善子(完全に間違ったかも)
善子(確かに用事はないけど)
善子(今日は家に引きこもるつもりだったのに)
善子(出かけるつもりなんて、微塵もなかったのに)
善子「はぁ」
善子(待ち合わせ場所で、ため息)
善子(返事の仕方)
善子(完全に間違ったかも)
善子(確かに用事はないけど)
善子(今日は家に引きこもるつもりだったのに)
善子(出かけるつもりなんて、微塵もなかったのに)
8: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:06:48.88 ID:98xiGd13
善子(これなら、花丸たちと遊びに行けばよかった)
善子(でも先輩だし、逆らえないし)
善子(返事をした私が悪いから)
善子(だけど)
善子(せっかく一人の時間)
善子(ああ)
善子(憂鬱)
善子(でも先輩だし、逆らえないし)
善子(返事をした私が悪いから)
善子(だけど)
善子(せっかく一人の時間)
善子(ああ)
善子(憂鬱)
9: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:07:35.11 ID:98xiGd13
善子(そもそも)
善子(どうしてあの人は私を誘ったのよ)
善子(そんな接点があるわけじゃない)
善子(家の関係で一緒に帰るけど)
善子(そこでよく話すけど)
善子(……私的には、案外仲良しな方?)
善子(だけど、あの人からすれば)
善子(ただの後輩の一人、だろうし)
善子(どうしてあの人は私を誘ったのよ)
善子(そんな接点があるわけじゃない)
善子(家の関係で一緒に帰るけど)
善子(そこでよく話すけど)
善子(……私的には、案外仲良しな方?)
善子(だけど、あの人からすれば)
善子(ただの後輩の一人、だろうし)
10: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:08:35.14 ID:98xiGd13
曜「おまたせー!」
善子(ああ、来た)
善子「……遅かったわね」
曜「ごめんごめん!」
曜「急だったから、善子ちゃんはもうちょい時間かかるかな~と」
善子「……これでも、時間はそれなりに守る方よ」
曜「みたいだね」
曜「いい子いい子」ナデナデ
善子(ああ、来た)
善子「……遅かったわね」
曜「ごめんごめん!」
曜「急だったから、善子ちゃんはもうちょい時間かかるかな~と」
善子「……これでも、時間はそれなりに守る方よ」
曜「みたいだね」
曜「いい子いい子」ナデナデ
11: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:09:14.91 ID:98xiGd13
善子「なっ、なに?」
曜「いや、後輩を褒めてあげたくて」
善子「そ、そう」
善子(ビックリした)
善子(いつも距離の近い人)
善子(だけど今日は、特別に)
善子(近い気が、する)
曜「いや、後輩を褒めてあげたくて」
善子「そ、そう」
善子(ビックリした)
善子(いつも距離の近い人)
善子(だけど今日は、特別に)
善子(近い気が、する)
12: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:10:00.97 ID:98xiGd13
善子「今日は、どこへ行く予定なのよ」
善子(誘ったからには、目的があるはず)
曜「えっ、ノープランだよ」
善子「はい?」
曜「なーんにも考えてない」
善子「いやいや」
善子(自分から誘っておいて、なによそれ)
善子(誘ったからには、目的があるはず)
曜「えっ、ノープランだよ」
善子「はい?」
曜「なーんにも考えてない」
善子「いやいや」
善子(自分から誘っておいて、なによそれ)
13: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:10:50.88 ID:98xiGd13
曜「その場のノリで遊ぶの好きなんだけど」
曜「善子ちゃんは、嫌い?」
善子「……というか、やったことないから分かんない」
善子(これでも予定はきっちり決めちゃうタイプだし……)
曜「別に今から考えてもいいけどさ」
曜「流れに身を任せて遊ぶのも楽しいものだよ」
善子「そうなの?」
曜「うん、私の経験上は」
曜「善子ちゃんは、嫌い?」
善子「……というか、やったことないから分かんない」
善子(これでも予定はきっちり決めちゃうタイプだし……)
曜「別に今から考えてもいいけどさ」
曜「流れに身を任せて遊ぶのも楽しいものだよ」
善子「そうなの?」
曜「うん、私の経験上は」
14: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:11:20.13 ID:98xiGd13
善子(曜さんなりのやり方?)
善子(というかリア充の思考回路?)
善子(それなら、ありなのかな)
善子(うーん……)
曜「まあ難しいことは考えないで、とにかく行こうよ!」
善子「わっ」
善子(手、思い切り引かれる)
善子(というかリア充の思考回路?)
善子(それなら、ありなのかな)
善子(うーん……)
曜「まあ難しいことは考えないで、とにかく行こうよ!」
善子「わっ」
善子(手、思い切り引かれる)
15: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:11:48.22 ID:98xiGd13
曜「善子ちゃんが好きなことはなんだっけ」
善子「え、えっと」
曜「おしゃれさんだから服でも見る?」
善子「い、いや、それは」
曜「任せて! 曜ちゃん先輩が見繕ってあげるから!」
善子「ちょ」
善子(肯定も否定もしてないのに)
善子「え、えっと」
曜「おしゃれさんだから服でも見る?」
善子「い、いや、それは」
曜「任せて! 曜ちゃん先輩が見繕ってあげるから!」
善子「ちょ」
善子(肯定も否定もしてないのに)
16: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:12:25.88 ID:98xiGd13
曜「よーし、じゃあ駅まで行くぞー」
善子「ま、待って」
曜「全速前進よーしこー!」
善子「待ちなさいよ!」
善子(ああもう)
善子(勢いが凄い)
善子(これ、ついていけるのかな……)
善子「ま、待って」
曜「全速前進よーしこー!」
善子「待ちなさいよ!」
善子(ああもう)
善子(勢いが凄い)
善子(これ、ついていけるのかな……)
17: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:13:42.04 ID:98xiGd13
※
曜「あー、色々買えたね」
善子「ええ」
善子(どちらかといえば)
善子(というより、殆ど)
善子(買い物をしていたのは私だけど)
善子(連れていかれた店は、私の好みの系統ばかり)
善子(曜さんは、笑顔で)
善子(私の買い物に付き合ってくれただけ、みたいな)
曜「あー、色々買えたね」
善子「ええ」
善子(どちらかといえば)
善子(というより、殆ど)
善子(買い物をしていたのは私だけど)
善子(連れていかれた店は、私の好みの系統ばかり)
善子(曜さんは、笑顔で)
善子(私の買い物に付き合ってくれただけ、みたいな)
18: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:14:16.26 ID:98xiGd13
善子「曜さん、私と同じような趣味あったの?」
曜「いや、そうでも」
善子「その割に、お店のチョイス」
曜「あー、前から気になってたんだよね」
曜「衣装の参考にもなるかなぁとか考えてたり」
善子「あー」
曜「うん、なかなか興味深かったよ」
曜「いや、そうでも」
善子「その割に、お店のチョイス」
曜「あー、前から気になってたんだよね」
曜「衣装の参考にもなるかなぁとか考えてたり」
善子「あー」
曜「うん、なかなか興味深かったよ」
19: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:15:08.86 ID:98xiGd13
善子(だから私と一緒に来たかったのかしら?)
善子(衣装係、色々と考えてるのね)
曜「そういえば前、この辺りでお洒落なカフェ見つけてさ」
善子「へぇ」
曜「ちょうどいいから、今日行こうよ!」
善子「いいわね」
善子(反対する理由もない)
善子(だって)
善子(衣装係、色々と考えてるのね)
曜「そういえば前、この辺りでお洒落なカフェ見つけてさ」
善子「へぇ」
曜「ちょうどいいから、今日行こうよ!」
善子「いいわね」
善子(反対する理由もない)
善子(だって)
20: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:15:47.62 ID:98xiGd13
曜「ほら、あそこに見えるお店!」
善子「ふむ、なかなか良さそうなお店ね」
曜「でしょー」
善子(このお店もそう)
善子(やっぱり、ノリで動くなんて言いながら)
善子(私の好みに合わせて動いてくれてる)
善子(照れ隠しとか、見栄とか)
善子(そんな理由もあるかもだけど)
善子「ふむ、なかなか良さそうなお店ね」
曜「でしょー」
善子(このお店もそう)
善子(やっぱり、ノリで動くなんて言いながら)
善子(私の好みに合わせて動いてくれてる)
善子(照れ隠しとか、見栄とか)
善子(そんな理由もあるかもだけど)
21: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:16:26.43 ID:98xiGd13
曜「お、善子ちゃんの好きそうなチョコレートケーキもあるみたいだよ」
善子(一番は)
善子(素直じゃない私に、気を使わせないため)
善子(私を純粋に楽しませてくれる為)
善子(全部偶然で、私の都合のいい解釈かもしれないけど)
善子(聞いても、とぼけられるだけだろうけど)
善子(この人なら、きっと)
善子(一番は)
善子(素直じゃない私に、気を使わせないため)
善子(私を純粋に楽しませてくれる為)
善子(全部偶然で、私の都合のいい解釈かもしれないけど)
善子(聞いても、とぼけられるだけだろうけど)
善子(この人なら、きっと)
22: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:17:08.80 ID:98xiGd13
※
善子(気づけば、すっかり日は暮れていて)
曜「よーし、満足した!」
善子「そう」
曜「あれ、お疲れ?」
善子「まあ」
善子(そうよ)
善子(あんたに振り回されたから)
善子(疲れちゃったのよ)
善子(気づけば、すっかり日は暮れていて)
曜「よーし、満足した!」
善子「そう」
曜「あれ、お疲れ?」
善子「まあ」
善子(そうよ)
善子(あんたに振り回されたから)
善子(疲れちゃったのよ)
23: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:17:46.61 ID:98xiGd13
善子(結局、最後まで連れ回されて)
善子(もう時間も遅いし、ママに怒られちゃうかもだし)
善子(疲れたし、歩き過ぎて足痛いし)
善子(いろいろ最悪)
善子(だけど)
善子(やっぱり)
善子(……楽しかった、のかな)
善子(もう時間も遅いし、ママに怒られちゃうかもだし)
善子(疲れたし、歩き過ぎて足痛いし)
善子(いろいろ最悪)
善子(だけど)
善子(やっぱり)
善子(……楽しかった、のかな)
24: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:18:45.75 ID:98xiGd13
曜「ごめんごめん、ちょっとはしゃぎすぎた――
善子「……ねえ」
曜「ん?」
善子「どうして、私を誘ったの?」
曜「どうしてって?」
善子「誘う理由、ないでしょ」
曜「そう?」
善子「私には、思いつかない」
善子「……ねえ」
曜「ん?」
善子「どうして、私を誘ったの?」
曜「どうしてって?」
善子「誘う理由、ないでしょ」
曜「そう?」
善子「私には、思いつかない」
25: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:19:34.23 ID:98xiGd13
曜「いやまあ、今日は水泳の練習の予定が潰れてさ」
曜「せっかくだし、誰かと遊びたくて」
善子「それで、暇そうな私に声をかけたと」
曜「うん、そう」
善子「やっぱり、そんな理由なんだ」
善子(分かってたけど)
善子(この人もホント、わざわざ言わなきゃいいのに)
曜「せっかくだし、誰かと遊びたくて」
善子「それで、暇そうな私に声をかけたと」
曜「うん、そう」
善子「やっぱり、そんな理由なんだ」
善子(分かってたけど)
善子(この人もホント、わざわざ言わなきゃいいのに)
26: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:20:05.99 ID:98xiGd13
曜「いい機会だと思ったんだよ」
曜「前から善子ちゃんを誘うチャンスを窺っててね」
曜「いつも一緒に帰ってもさ、まっすぐ家に帰っちゃうじゃん」
曜「だから夏休みは、ちょうどいいかなって」
善子「つまり、なによ」
曜「簡潔に言えば」
曜「善子ちゃんと遊びたかっただけ、みたいな」
善子「……」
曜「前から善子ちゃんを誘うチャンスを窺っててね」
曜「いつも一緒に帰ってもさ、まっすぐ家に帰っちゃうじゃん」
曜「だから夏休みは、ちょうどいいかなって」
善子「つまり、なによ」
曜「簡潔に言えば」
曜「善子ちゃんと遊びたかっただけ、みたいな」
善子「……」
27: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:20:42.45 ID:98xiGd13
曜「うーん、理由になってないかな」
曜「私、こういうノリも多いからさ」
曜「迷惑だったら、ごめん――
善子「……また、誘ってよ」
曜「ん?」
善子「楽しかったのよ! 私も!」
曜「私、こういうノリも多いからさ」
曜「迷惑だったら、ごめん――
善子「……また、誘ってよ」
曜「ん?」
善子「楽しかったのよ! 私も!」
28: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:21:13.70 ID:98xiGd13
善子(迷惑なわけもなく)
善子(心の中さえも素直じゃなかったけど)
善子(私は本当に)
善子(楽しんでいた)
善子(だってこの時間は)
善子(今まで人とかかわってきた中で)
善子(生きてきた中でも)
善子(とても、素敵な部類に入る)
善子(そんな時間で)
善子(心の中さえも素直じゃなかったけど)
善子(私は本当に)
善子(楽しんでいた)
善子(だってこの時間は)
善子(今まで人とかかわってきた中で)
善子(生きてきた中でも)
善子(とても、素敵な部類に入る)
善子(そんな時間で)
29: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:21:50.14 ID:98xiGd13
曜「……気を使うのは、らしくないよ?」
善子「違うわよ!」
善子「素直な私の言葉!」
善子「私の気持ちよ!」
曜「えっ」
善子「なによその反応」
曜「マジ?」
善子「マジ!」
善子「違うわよ!」
善子「素直な私の言葉!」
善子「私の気持ちよ!」
曜「えっ」
善子「なによその反応」
曜「マジ?」
善子「マジ!」
30: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:22:24.00 ID:98xiGd13
曜「素直な善子ちゃん」
曜「これはあれだ、レアだね」
善子「べ、別に、そんなこと」
曜「いや、だけどさ」
曜「素直じゃないのが堕天使」
曜「いつもの堕天使ヨハネちゃんの、違う姿」
曜「つまりこれは――そうだ!」
曜「これはあれだ、レアだね」
善子「べ、別に、そんなこと」
曜「いや、だけどさ」
曜「素直じゃないのが堕天使」
曜「いつもの堕天使ヨハネちゃんの、違う姿」
曜「つまりこれは――そうだ!」
31: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:23:06.90 ID:98xiGd13
善子「な、なに」
曜「ごめん、もう一軒付き合って!」
善子「えっ、だけど時間が」
善子(これ以上は流石にマズいような)
曜「すぐ終わるから!」
善子「ど、どうしたのよ」
曜「この瞬間を保存しなきゃ、勿体ないなって!」
曜「ごめん、もう一軒付き合って!」
善子「えっ、だけど時間が」
善子(これ以上は流石にマズいような)
曜「すぐ終わるから!」
善子「ど、どうしたのよ」
曜「この瞬間を保存しなきゃ、勿体ないなって!」
32: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:23:52.25 ID:98xiGd13
善子(手を引かれる)
善子(またなすがまま)
善子(だって、抵抗する気なんて)
善子(起きるはずもなくて)
善子(心の中は笑っている)
善子(一緒に居たかった)
善子(この時間が、続いてほしかった)
善子(だから)
善子(またなすがまま)
善子(だって、抵抗する気なんて)
善子(起きるはずもなくて)
善子(心の中は笑っている)
善子(一緒に居たかった)
善子(この時間が、続いてほしかった)
善子(だから)
33: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:24:24.47 ID:98xiGd13
※
善子「た、ただいま……」
善子(だけど幸せな時間の後、すぐに待っている現実)
善子(すっかり遅くなって)
善子(結局怖くて連絡もできずに)
善子(ご飯とか、門限とか)
善子(うぅ、どうしよう)
善子「た、ただいま……」
善子(だけど幸せな時間の後、すぐに待っている現実)
善子(すっかり遅くなって)
善子(結局怖くて連絡もできずに)
善子(ご飯とか、門限とか)
善子(うぅ、どうしよう)
34: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:24:58.58 ID:98xiGd13
善子母「善子! 帰ったの!」
善子「う、うん」
善子(玄関の鍵を開けると、飛び出してくるお母さん)
善子母「もう心配したじゃない」
善子「えっと、うん」
善子母「連絡ぐらいしなさいよ」
善子母「事故にでも遭ったのかと思ったわ」
善子「う、うん」
善子(玄関の鍵を開けると、飛び出してくるお母さん)
善子母「もう心配したじゃない」
善子「えっと、うん」
善子母「連絡ぐらいしなさいよ」
善子母「事故にでも遭ったのかと思ったわ」
35: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:25:36.74 ID:98xiGd13
善子(やっぱり、マズかったよね)
善子(基本、いい子ちゃんだったし)
善子(連絡もなく門限を破ったことも、たぶんない)
善子(だからこそ今日みたいなことをすると)
善子(余計に心配をかけちゃう)
善子母「今日はなにをしていたの?」
善子母「怒らないから、正直に話してみなさい」
善子(基本、いい子ちゃんだったし)
善子(連絡もなく門限を破ったことも、たぶんない)
善子(だからこそ今日みたいなことをすると)
善子(余計に心配をかけちゃう)
善子母「今日はなにをしていたの?」
善子母「怒らないから、正直に話してみなさい」
36: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:26:04.94 ID:98xiGd13
善子「えっとね」
善子母「うん」
善子(説明)
善子(先輩と、じゃ変かな)
善子(やっぱり)
善子「友達と」
善子「友達と、遊んでて」
善子母「うん」
善子(説明)
善子(先輩と、じゃ変かな)
善子(やっぱり)
善子「友達と」
善子「友達と、遊んでて」
37: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:26:36.47 ID:98xiGd13
善子母「……そう」
善子「お母さん?」
善子(急に表情が緩んだ)
善子母「お風呂沸いてるから、入ってきなさい」
善子母「ご飯はまだでしょ。出たら食べましょう」
善子「う、うん」
善子「お母さん?」
善子(急に表情が緩んだ)
善子母「お風呂沸いてるから、入ってきなさい」
善子母「ご飯はまだでしょ。出たら食べましょう」
善子「う、うん」
38: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:27:20.34 ID:98xiGd13
善子(お説教を覚悟してたけど、助かった?)
善子(うーん、だけど怒らせたら怖いし)
善子(早く入らないと)
善子(色々買った物)
善子(整理は、あとでいいかな)
善子(服とか、そんなのばかりだし――)
善子「……そうだ」
善子(うーん、だけど怒らせたら怖いし)
善子(早く入らないと)
善子(色々買った物)
善子(整理は、あとでいいかな)
善子(服とか、そんなのばかりだし――)
善子「……そうだ」
39: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:28:06.47 ID:98xiGd13
善子(鞄に、大切にしまっていた紙を取り出して)
善子(ぺたりと、机の目立つ部分に貼ってみる)
善子(勝手に装飾された)
善子(エンジェルの文字と、私の写真)
善子(連れていかれたゲームセンター)
善子(そこで撮ったプリクラ)
善子(切り取った)
善子(今日の大切な時間の証)
善子(ぺたりと、机の目立つ部分に貼ってみる)
善子(勝手に装飾された)
善子(エンジェルの文字と、私の写真)
善子(連れていかれたゲームセンター)
善子(そこで撮ったプリクラ)
善子(切り取った)
善子(今日の大切な時間の証)
40: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/13(金) 22:28:33.10 ID:98xiGd13
もう少し続きますが、ひとまずここまでで
54: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:06:22.98 ID:tqZhQmT6
2
善子(沼津駅近くのバス停)
善子(一緒に遊んだ友達たちをお見送り)
花丸「じゃあね、善子ちゃん」
ルビィ「バイバイ~」
善子「ええ」
善子(沼津駅近くのバス停)
善子(一緒に遊んだ友達たちをお見送り)
花丸「じゃあね、善子ちゃん」
ルビィ「バイバイ~」
善子「ええ」
55: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:07:07.97 ID:tqZhQmT6
善子(ああ)
善子(バスに乗り込んで)
善子(去っていく2人の姿を眺めるのは、少し寂しいけど)
善子(今日も楽しかったな)
善子(夏休みも後半)
善子(始まる前は、ずっとダラダラするつもりだったのに)
善子(想定外に忙しい日々を過ごしている)
善子(バスに乗り込んで)
善子(去っていく2人の姿を眺めるのは、少し寂しいけど)
善子(今日も楽しかったな)
善子(夏休みも後半)
善子(始まる前は、ずっとダラダラするつもりだったのに)
善子(想定外に忙しい日々を過ごしている)
56: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:07:46.05 ID:tqZhQmT6
善子(その原因は部活と)
善子(空いている日は、毎日遊んでいるから)
善子(花丸とルビィ)
善子(Aqoursのみんな)
善子(一人ではない)
善子(いつも、誰かと)
善子(一番はやっぱり、あの人だけど)
善子(空いている日は、毎日遊んでいるから)
善子(花丸とルビィ)
善子(Aqoursのみんな)
善子(一人ではない)
善子(いつも、誰かと)
善子(一番はやっぱり、あの人だけど)
57: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:08:24.24 ID:tqZhQmT6
善子(別に一人が嫌になったわけじゃない)
善子(知らなかったから)
善子(人と共にある時間の楽しさを)
善子(それを、曜が教えてくれた)
善子(私に、教えてくれた)
善子(だから夢中になってる)
善子(初めておもちゃを手に入れた、子どものように)
善子(夢中に)
善子(知らなかったから)
善子(人と共にある時間の楽しさを)
善子(それを、曜が教えてくれた)
善子(私に、教えてくれた)
善子(だから夢中になってる)
善子(初めておもちゃを手に入れた、子どものように)
善子(夢中に)
58: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:08:52.84 ID:tqZhQmT6
善子(毎日が本当に楽しい)
善子(楽しすぎて、他の事は目に入らないぐらい)
善子(埃をかぶり始めた配信機器や堕天使の衣装)
善子(捨ててしまうわけじゃないけど)
善子(しばらくはきっと、そのままね)
善子(少なくとも、この夏の間は)
善子(楽しすぎて、他の事は目に入らないぐらい)
善子(埃をかぶり始めた配信機器や堕天使の衣装)
善子(捨ててしまうわけじゃないけど)
善子(しばらくはきっと、そのままね)
善子(少なくとも、この夏の間は)
59: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:09:19.85 ID:tqZhQmT6
善子(明日は、どうしようかな)
善子(曜を誘って、遊びに行くのもあり?)
善子(だけどあの人、私より遊びまわってるから)
善子(暇しているといいんだけど)
善子(連絡してから、考えればいいかな)
善子「ただいまー」
善子母「あら、おかえり」
善子(曜を誘って、遊びに行くのもあり?)
善子(だけどあの人、私より遊びまわってるから)
善子(暇しているといいんだけど)
善子(連絡してから、考えればいいかな)
善子「ただいまー」
善子母「あら、おかえり」
60: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:09:55.00 ID:tqZhQmT6
善子母「今日は早かったのね」
善子「うん、ルビィ達と遊んでいたから」
善子母「あら、曜ちゃんじゃなかったのね」
善子(曜と遊ぶ時は、お互いに沼津だからそこまで時間を気にしなくてもいいけど)
善子(内浦住みの相手、特にルビィの家は厳しいから)
善子(どうしても解散する時間が早くなる)
善子母「明日の予定は?」
善子「特に決まってないけど」
善子「うん、ルビィ達と遊んでいたから」
善子母「あら、曜ちゃんじゃなかったのね」
善子(曜と遊ぶ時は、お互いに沼津だからそこまで時間を気にしなくてもいいけど)
善子(内浦住みの相手、特にルビィの家は厳しいから)
善子(どうしても解散する時間が早くなる)
善子母「明日の予定は?」
善子「特に決まってないけど」
61: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:10:26.72 ID:tqZhQmT6
善子母「それなら、ちょうどいいわね」
善子「ふぇ?」
善子(どういうこと?)
善子母「善子」
善子「は、はい」
善子母「私はね、あなたが連日遊びに行く事には反対する気はないの」
善子母「だけどね、一つだけ気になることがあって」
善子「気になること?」
善子「ふぇ?」
善子(どういうこと?)
善子母「善子」
善子「は、はい」
善子母「私はね、あなたが連日遊びに行く事には反対する気はないの」
善子母「だけどね、一つだけ気になることがあって」
善子「気になること?」
62: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:11:04.96 ID:tqZhQmT6
善子母「宿題、進めてる?」
善子「あっ」
善子(連日、遊び惚けている時点で)
善子(当然、やってない)
善子母「その反応は、やっぱり」
善子「……やってないです」
善子(うぅ)
善子(遊び過ぎた)
善子「あっ」
善子(連日、遊び惚けている時点で)
善子(当然、やってない)
善子母「その反応は、やっぱり」
善子「……やってないです」
善子(うぅ)
善子(遊び過ぎた)
63: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:11:40.79 ID:tqZhQmT6
善子母「やれやれ」
善子母「部活もあって、全然勉強している様子が見えなかったから」
善子母「そんな事だと思ったわ」
善子「ご、ごめんなさい」
善子(私より先に危機に気づくなんて)
善子(流石現役の教師……)
善子母「部活もあって、全然勉強している様子が見えなかったから」
善子母「そんな事だと思ったわ」
善子「ご、ごめんなさい」
善子(私より先に危機に気づくなんて)
善子(流石現役の教師……)
64: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:12:14.27 ID:tqZhQmT6
善子母「謝ることはないわ」
善子母「今から、ちゃんと終わらせられるなら」
善子「それは」
善子(宿題の量)
善子(結構、多かったような)
善子(最初の引きこもり期間で積まれた分もあるし……)
善子母「今から、ちゃんと終わらせられるなら」
善子「それは」
善子(宿題の量)
善子(結構、多かったような)
善子(最初の引きこもり期間で積まれた分もあるし……)
65: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:12:51.71 ID:tqZhQmT6
善子母「なかなか大変そうね」
善子「うん……」
善子母「仕方ないわね」
善子(も、もしかして)
善子(お母さんがスパルタ指導とか言い出す?)
善子(現役教師の、身内に対する容赦のない指導)
善子(過去に経験した時は――ああ)
善子(それだけは嫌だ)
善子「うん……」
善子母「仕方ないわね」
善子(も、もしかして)
善子(お母さんがスパルタ指導とか言い出す?)
善子(現役教師の、身内に対する容赦のない指導)
善子(過去に経験した時は――ああ)
善子(それだけは嫌だ)
66: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:13:28.59 ID:tqZhQmT6
善子母「なにを震えているの?」
善子「だ、だって」
善子母「私に教わりたくない?」
善子「ぎくっ」
善子母「大丈夫よ、私もそんなに暇じゃないから」
善子「へっ」
善子母「今回はね、外部から助っ人を頼んだの」
善子母「明日から手伝いに来てくれるそうよ」
善子「だ、だって」
善子母「私に教わりたくない?」
善子「ぎくっ」
善子母「大丈夫よ、私もそんなに暇じゃないから」
善子「へっ」
善子母「今回はね、外部から助っ人を頼んだの」
善子母「明日から手伝いに来てくれるそうよ」
67: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:13:57.84 ID:tqZhQmT6
※
善子(助っ人)
善子(なんていうから、どんな人が来るのかと緊張していたけど)
曜「へーい、善子ちゃん」
善子「……」
善子(この人なのね。緊張して損した)
善子(助っ人)
善子(なんていうから、どんな人が来るのかと緊張していたけど)
曜「へーい、善子ちゃん」
善子「……」
善子(この人なのね。緊張して損した)
68: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:14:33.49 ID:tqZhQmT6
善子母「わざわざ来てくれてありがとう」
曜「いえいえ」
善子母「というわけで、あなたの宿題を手伝ってくれる渡辺先生よ」
曜「よーろしく~」
善子(……なにこの茶番)
善子母「曜ちゃん、私は出かけるからあとはよろしくね」
曜「了解であります!」
善子母「善子も遊んだりしないで、ちゃんと勉強を教えてもらうのよ」
善子「分かっているわよ!」
曜「いえいえ」
善子母「というわけで、あなたの宿題を手伝ってくれる渡辺先生よ」
曜「よーろしく~」
善子(……なにこの茶番)
善子母「曜ちゃん、私は出かけるからあとはよろしくね」
曜「了解であります!」
善子母「善子も遊んだりしないで、ちゃんと勉強を教えてもらうのよ」
善子「分かっているわよ!」
69: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:15:13.37 ID:tqZhQmT6
善子(……はあ)
善子(とりあえず、お母さんは行ったわね)
曜「いやー、ここが善子ちゃんの家か~」
曜「初上陸だなー」
善子(助っ人のはずの曜も、家中を物色し始めるし)
善子「ねえ」
曜「ん?」
善子「どうして、助っ人なんて」
善子(とりあえず、お母さんは行ったわね)
曜「いやー、ここが善子ちゃんの家か~」
曜「初上陸だなー」
善子(助っ人のはずの曜も、家中を物色し始めるし)
善子「ねえ」
曜「ん?」
善子「どうして、助っ人なんて」
70: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:15:52.24 ID:tqZhQmT6
曜「……責任、取れって」
善子「責任?」
曜「この夏、善子ちゃんを連れ回して遊んだり」
曜「遊びを教えて勉学を怠らせた、責任」
善子「……ああ」
善子(それで断れなかったと)
善子(それはまた申し訳ないような)
善子「責任?」
曜「この夏、善子ちゃんを連れ回して遊んだり」
曜「遊びを教えて勉学を怠らせた、責任」
善子「……ああ」
善子(それで断れなかったと)
善子(それはまた申し訳ないような)
71: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:16:21.75 ID:tqZhQmT6
善子「ちなみに、あんたの宿題は」
曜「終わったよ、とっくに」
善子「そ、そう」
善子(この人、私以上に遊びまわっていたはずなのに)
善子(体力の違い?)
善子(遊びや部活の後、きちんと勉強していたとか)
善子(それだけじゃない気もするけど)
曜「終わったよ、とっくに」
善子「そ、そう」
善子(この人、私以上に遊びまわっていたはずなのに)
善子(体力の違い?)
善子(遊びや部活の後、きちんと勉強していたとか)
善子(それだけじゃない気もするけど)
72: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:16:56.86 ID:tqZhQmT6
曜「大丈夫だよ」
曜「私はやさしく教えてあげるから」
曜「全然辛くないように、ちゃんと」
善子「ちょ、その言い方は逆に怖いんだけど」
曜「気のせいだよ」
曜「別に体育会系の扱きとかしないからさ」
善子「いやいや、その言い方がもう予告!」
曜「私はやさしく教えてあげるから」
曜「全然辛くないように、ちゃんと」
善子「ちょ、その言い方は逆に怖いんだけど」
曜「気のせいだよ」
曜「別に体育会系の扱きとかしないからさ」
善子「いやいや、その言い方がもう予告!」
73: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:17:43.15 ID:tqZhQmT6
>>72の前
曜「とにかくやろうか」
曜「今日から数日で終わらせるよう、頼まれたし」
善子「す、数日で?」
曜「うん」
曜「ほら、予選もあるしさ」
曜「そんな日程、余裕ないじゃん」
善子「だ、だけど」
曜「とにかくやろうか」
曜「今日から数日で終わらせるよう、頼まれたし」
善子「す、数日で?」
曜「うん」
曜「ほら、予選もあるしさ」
曜「そんな日程、余裕ないじゃん」
善子「だ、だけど」
74: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:18:21.25 ID:tqZhQmT6
曜「そんなことないよ」
善子「い、嫌よ」
善子「信じられないわ」
曜「……いいから、やるよ」
善子「は、はい」
善子(駄目だ、迫力に負ける)
善子(なんでこんなときだけ、無駄に先輩らしいの)
善子(こうなったら覚悟、決めるしかない……)
善子「い、嫌よ」
善子「信じられないわ」
曜「……いいから、やるよ」
善子「は、はい」
善子(駄目だ、迫力に負ける)
善子(なんでこんなときだけ、無駄に先輩らしいの)
善子(こうなったら覚悟、決めるしかない……)
75: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:19:03.54 ID:tqZhQmT6
※
曜「……よし、今日はこの辺までにしようか」
善子「……うん」
善子(……疲れた)
善子(すっかり、外は暗くなっている)
善子(朝から晩まで、机の前に座って)
善子(テキストに齧りついて)
善子(こんなにまとめて勉強したのは、初めてかも……)
曜「……よし、今日はこの辺までにしようか」
善子「……うん」
善子(……疲れた)
善子(すっかり、外は暗くなっている)
善子(朝から晩まで、机の前に座って)
善子(テキストに齧りついて)
善子(こんなにまとめて勉強したのは、初めてかも……)
76: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:19:41.17 ID:tqZhQmT6
曜「いやー、ところどころ抜けてはいるけどさ」
曜「善子ちゃん、地頭がいいのかな」
曜「理解が早くて助かるよ」
善子「そう?」
曜「うん!」
善子(結局、最初に脅してきた割に)
善子(普通に)
善子(むしろやさしく教えてくれた、曜)
曜「善子ちゃん、地頭がいいのかな」
曜「理解が早くて助かるよ」
善子「そう?」
曜「うん!」
善子(結局、最初に脅してきた割に)
善子(普通に)
善子(むしろやさしく教えてくれた、曜)
77: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:20:18.98 ID:tqZhQmT6
善子(説明も分かりやすいし)
善子(限界の一歩手前でちゃんと休憩も入れてくれる)
善子(なにをやらせても)
善子(できる人よね、本当に)
曜「どうしたの? 私を見つめて」
善子「いや、別に」
曜「あれかな、見惚れちゃった?」
善子「そんなわけないでしょ」
曜「えー、いけずー」
善子(限界の一歩手前でちゃんと休憩も入れてくれる)
善子(なにをやらせても)
善子(できる人よね、本当に)
曜「どうしたの? 私を見つめて」
善子「いや、別に」
曜「あれかな、見惚れちゃった?」
善子「そんなわけないでしょ」
曜「えー、いけずー」
78: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:20:58.22 ID:tqZhQmT6
善子(そう言って)
善子(ぴょっと跳ねるように立ち上がる)
曜「そういや、来た時から思ってたんだけどさ」
善子「なに?」
曜「この部屋、結構見晴らしがいいよね」
善子「ああ」
善子(川沿いで、視界を遮る建物もない)
善子(お母さんもここに住むことを決めた理由の一つに、景観をあげていたし)
善子(ぴょっと跳ねるように立ち上がる)
曜「そういや、来た時から思ってたんだけどさ」
善子「なに?」
曜「この部屋、結構見晴らしがいいよね」
善子「ああ」
善子(川沿いで、視界を遮る建物もない)
善子(お母さんもここに住むことを決めた理由の一つに、景観をあげていたし)
79: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:21:38.22 ID:tqZhQmT6
曜「いいなー、私の家じゃかろうじて川が見える程度なのに」
善子「ちょっと、勝手に窓開けないでよ」
善子(冷気が逃げちゃう)
曜「いいじゃん少しぐらい」
善子「もう……」
善子(夏なのに、普段から外ではしゃぎまわってるような人だから)
善子「ちょっと、勝手に窓開けないでよ」
善子(冷気が逃げちゃう)
曜「いいじゃん少しぐらい」
善子「もう……」
善子(夏なのに、普段から外ではしゃぎまわってるような人だから)
80: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:22:07.91 ID:tqZhQmT6
曜「あはは、この時間でもまだ暑い~」
善子「そりゃねぇ」
曜「ずっと冷房の中にいたから、身体が馬鹿になってるよ」
曜「明日は海――は行けないんだよね」
善子「ごめん、私のせいで」
曜「いやー、元をたどれば完全に自分が原因だからさ」
曜「謝ることじゃないって」
善子「そりゃねぇ」
曜「ずっと冷房の中にいたから、身体が馬鹿になってるよ」
曜「明日は海――は行けないんだよね」
善子「ごめん、私のせいで」
曜「いやー、元をたどれば完全に自分が原因だからさ」
曜「謝ることじゃないって」
81: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:22:48.68 ID:tqZhQmT6
曜「さっさと宿題を片付けて」
曜「また遊ぼうよ、一緒に」
曜「もうちょいでさ、花火大会とかもあるし」
善子「嫌よ、人混みは」
曜「えー」
善子「苦手なのよ、ああいう場所」
曜「……そっかぁ」
曜「また遊ぼうよ、一緒に」
曜「もうちょいでさ、花火大会とかもあるし」
善子「嫌よ、人混みは」
曜「えー」
善子「苦手なのよ、ああいう場所」
曜「……そっかぁ」
82: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:23:24.91 ID:tqZhQmT6
善子(うーん)
善子(あんまり表情に出さないようにしてくれてるのに)
善子(寂しそうだな)
善子(お祭りとか、好きそうだし)
善子(花火も――あっ)
善子(そうだ)
善子(あんまり表情に出さないようにしてくれてるのに)
善子(寂しそうだな)
善子(お祭りとか、好きそうだし)
善子(花火も――あっ)
善子(そうだ)
83: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:24:15.76 ID:tqZhQmT6
善子「ねえ」
曜「ん~」
善子「外に行くのは嫌だけど」
善子「ここで花火を一緒に見るだけならいいわよ」
曜「へっ、見えるの」
善子「うん、このベランダから綺麗に」
曜「おお、凄いじゃん!」
曜「ん~」
善子「外に行くのは嫌だけど」
善子「ここで花火を一緒に見るだけならいいわよ」
曜「へっ、見えるの」
善子「うん、このベランダから綺麗に」
曜「おお、凄いじゃん!」
84: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:24:56.84 ID:tqZhQmT6
曜「それなら賛成!」
曜「高い所から花火鑑賞とか、一度やってみたかったし!」
善子「なら決まりね」
曜「うん!」
善子(大袈裟なまでの喜びよう)
善子(子どもっぽいな、曜は)
善子(というより、純粋かな)
曜「高い所から花火鑑賞とか、一度やってみたかったし!」
善子「なら決まりね」
曜「うん!」
善子(大袈裟なまでの喜びよう)
善子(子どもっぽいな、曜は)
善子(というより、純粋かな)
85: 名無しで叶える物語(もんじゃ) 2019/09/15(日) 06:25:32.71 ID:tqZhQmT6
曜「よーし、そうと決まれば明日からも勉強頑張らないと」
曜「しっかり終わらせて、花火に集中!」
曜「今日は早く帰って休もう!」
善子「そうね――って」
善子(なんか突然、ベランダから身を乗り出そうと)
曜「時間が勿体ない、ここから私の家まで飛び込んで――」
善子「いやいや無茶よ! 冷静になって!」
曜「全速前進――」
善子「しちゃ駄目だから!」
曜「しっかり終わらせて、花火に集中!」
曜「今日は早く帰って休もう!」
善子「そうね――って」
善子(なんか突然、ベランダから身を乗り出そうと)
曜「時間が勿体ない、ここから私の家まで飛び込んで――」
善子「いやいや無茶よ! 冷静になって!」
曜「全速前進――」
善子「しちゃ駄目だから!」
95: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2019/09/17(火) 01:36:56.99 ID:6o1PGlW8
※
善子(数日の集中期間の末)
善子(私は無事に宿題を終わらせて)
善子(夏休みも順調に過ぎていき)
善子(週末の花火大会も迫ってきた)
善子(数日の集中期間の末)
善子(私は無事に宿題を終わらせて)
善子(夏休みも順調に過ぎていき)
善子(週末の花火大会も迫ってきた)
96: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2019/09/17(火) 01:37:34.60 ID:6o1PGlW8
善子「ふわぁ」
善子(もうすぐお昼ごはんかなぁ)
善子(今日は久しぶりのおやすみ)
善子(大会も終わって、みんな疲れているだろうからと練習は無し)
善子(遊ぼうにも、宿題に追われている人(千歌やルビィ)やお疲れモードの人も多くて)
善子(だから私も素直に休むことにした)
善子(よく考えれば、一日中ダラダラできる日もしばらくないわけだし)
善子(たまにはいいかな、なんて)
善子(もうすぐお昼ごはんかなぁ)
善子(今日は久しぶりのおやすみ)
善子(大会も終わって、みんな疲れているだろうからと練習は無し)
善子(遊ぼうにも、宿題に追われている人(千歌やルビィ)やお疲れモードの人も多くて)
善子(だから私も素直に休むことにした)
善子(よく考えれば、一日中ダラダラできる日もしばらくないわけだし)
善子(たまにはいいかな、なんて)
97: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2019/09/17(火) 01:38:12.67 ID:6o1PGlW8
善子「おかーさーん、ご飯は~?」
善子母「もう少しかかるわよ」
善子「えー」
善子母「二人分作る要領を忘れちゃったのよ」
善子母「久しぶりでしょ」
善子母「善子がお昼間から家にいるなんて」
善子「そう?」
善子母「もう少しかかるわよ」
善子「えー」
善子母「二人分作る要領を忘れちゃったのよ」
善子母「久しぶりでしょ」
善子母「善子がお昼間から家にいるなんて」
善子「そう?」
98: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2019/09/17(火) 01:38:56.17 ID:6o1PGlW8
善子母「もう、遊びまわっていたから」
善子「ちゃんと宿題もやったもん」
善子母「そうね」
善子母「偉かったわ」
善子母「曜ちゃんには迷惑をかけちゃったけど」
善子「ちゃんとお礼は言ったわよ」
善子母「……本当にいい先輩を持ったわね」
善子「うん」
善子「ちゃんと宿題もやったもん」
善子母「そうね」
善子母「偉かったわ」
善子母「曜ちゃんには迷惑をかけちゃったけど」
善子「ちゃんとお礼は言ったわよ」
善子母「……本当にいい先輩を持ったわね」
善子「うん」
99: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2019/09/17(火) 01:39:25.78 ID:6o1PGlW8
善子母「さて、できたわよ」
善子母「ご飯にしましょうか、お皿出してくれる」
善子「はーい」
善子(そうだ)
善子(今のうちに、曜のこと)
善子(花火大会の日のこと)
善子(話しておいた方がいいかな)
善子母「ご飯にしましょうか、お皿出してくれる」
善子「はーい」
善子(そうだ)
善子(今のうちに、曜のこと)
善子(花火大会の日のこと)
善子(話しておいた方がいいかな)
100: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2019/09/17(火) 01:40:15.93 ID:6o1PGlW8
善子「ねえ、お母さん」
善子母「なに?」
善子「今度の花火の日。曜が遊びに来るかもしれないんだけど」
善子母「あら、そうなの」
善子「うん、この前一緒に花火を見ようって話して」
善子母「もちろん構わないわよ」
善子「本当に!?」
善子母「曜ちゃんなら大歓迎」
善子母「なに?」
善子「今度の花火の日。曜が遊びに来るかもしれないんだけど」
善子母「あら、そうなの」
善子「うん、この前一緒に花火を見ようって話して」
善子母「もちろん構わないわよ」
善子「本当に!?」
善子母「曜ちゃんなら大歓迎」
101: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2019/09/17(火) 01:40:42.71 ID:6o1PGlW8
善子(よかった)
善子(これでもし、駄目なんて言われたら合わせる顔がないもんね)
善子母「ふふ、善子の友達が遊びに来るなんて」
善子「なによ」
善子母「ただ、楽しみだなって」
善子母「曜ちゃんも、最後に良い思い出になってくれるといいんだけど」
善子「最後?」
善子(これでもし、駄目なんて言われたら合わせる顔がないもんね)
善子母「ふふ、善子の友達が遊びに来るなんて」
善子「なによ」
善子母「ただ、楽しみだなって」
善子母「曜ちゃんも、最後に良い思い出になってくれるといいんだけど」
善子「最後?」
102: 名無しで叶える物語(えびふりゃー) 2019/09/17(火) 01:41:43.60 ID:6o1PGlW8
善子母「そろそろ終わるでしょ、夏休み」
善子「あっ」
善子(そうだ)
善子(もうすぐ、終わる)
善子(夏が)
善子(輝いていた季節が)
善子(この時間が全部)
善子(終わってしまう)
善子「あっ」
善子(そうだ)
善子(もうすぐ、終わる)
善子(夏が)
善子(輝いていた季節が)
善子(この時間が全部)
善子(終わってしまう)
107: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 21:48:26.61 ID:oZjAnIQq
※
善子(そして)
善子(やってきてしまった)
善子(花火大会の日)
曜「ヨ―ソロー!」
善子「……うん」
善子(笑顔でうちへやってきた曜)
善子(出迎えるのは、対照的な私)
善子(そして)
善子(やってきてしまった)
善子(花火大会の日)
曜「ヨ―ソロー!」
善子「……うん」
善子(笑顔でうちへやってきた曜)
善子(出迎えるのは、対照的な私)
108: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 21:49:11.75 ID:oZjAnIQq
曜「あれ、元気ない?」
善子「そんなこと、ないけど」
曜「あー、もうすぐおやすみ終わっちゃうからおセンチな気分ってやつ?」
善子「まあ、そうね」
善子(間違ってはいない)
曜「分かるよー、私もちょっと憂鬱」
曜「だけどさ、学校は学校で楽しいからさ、元気出しな」
善子「ええ、そうね」
善子「そんなこと、ないけど」
曜「あー、もうすぐおやすみ終わっちゃうからおセンチな気分ってやつ?」
善子「まあ、そうね」
善子(間違ってはいない)
曜「分かるよー、私もちょっと憂鬱」
曜「だけどさ、学校は学校で楽しいからさ、元気出しな」
善子「ええ、そうね」
109: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 21:49:52.72 ID:oZjAnIQq
善子母「曜ちゃん、いらっしゃい」
曜「あっ、お邪魔しまーす」
善子母「相変わらず元気ねー」
曜「えへへ、それが取り柄ですから」
善子母「うちの子にもその明るさを分けてあげて」
善子母「最近ずっとこんな感じなのよ」
曜「了解であります! 任せてください!」
曜「あっ、お邪魔しまーす」
善子母「相変わらず元気ねー」
曜「えへへ、それが取り柄ですから」
善子母「うちの子にもその明るさを分けてあげて」
善子母「最近ずっとこんな感じなのよ」
曜「了解であります! 任せてください!」
110: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 21:50:34.16 ID:oZjAnIQq
善子(落ち込んだ様子もなく)
善子(いつものように明るく、元気で)
善子(曜は)
善子(曜は、寂しくないの?)
善子(こんな夏は当たり前で)
善子(今までも同じような夏を、過ごしてきたから?)
善子(寂しく、ないのかな)
善子(いつものように明るく、元気で)
善子(曜は)
善子(曜は、寂しくないの?)
善子(こんな夏は当たり前で)
善子(今までも同じような夏を、過ごしてきたから?)
善子(寂しく、ないのかな)
111: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 21:51:15.64 ID:oZjAnIQq
善子母「花火はね、善子の部屋からが一番綺麗に見えるわよ」
曜「へー、善子ちゃん特等席」
善子母「もう少し時間あるけど、二人で楽しんでね」
曜「あれ、ママさんは?」
善子母「私が居たら若い二人にはお邪魔でしょ」
曜「えー、そんなことないですよー」
善子母「一人で自分の部屋から楽しむから」
善子母「善子のことはよろしくね」
曜「へー、善子ちゃん特等席」
善子母「もう少し時間あるけど、二人で楽しんでね」
曜「あれ、ママさんは?」
善子母「私が居たら若い二人にはお邪魔でしょ」
曜「えー、そんなことないですよー」
善子母「一人で自分の部屋から楽しむから」
善子母「善子のことはよろしくね」
112: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 21:51:49.28 ID:oZjAnIQq
善子(お母さん、気を使ってくれてる)
善子(最後の思い出、だものね)
曜「ねえねえ、善子ちゃん」
善子「なによ」
曜「なんか駅の方で屋台出てたんだけどさ」
曜「花火が終わったら行かない? もう人も少なくなってるだろうし」
善子「嫌よ。家に引きこもった意味がないでしょ」
曜「むー」
善子(最後の思い出、だものね)
曜「ねえねえ、善子ちゃん」
善子「なによ」
曜「なんか駅の方で屋台出てたんだけどさ」
曜「花火が終わったら行かない? もう人も少なくなってるだろうし」
善子「嫌よ。家に引きこもった意味がないでしょ」
曜「むー」
113: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 21:52:38.91 ID:oZjAnIQq
曜「いいもん、それなら私一人で行くから」
善子「駄目よ、うちでご飯食べていく予定じゃない」
善子「お母さん、張り切って準備していたんだから」
曜「マジで?」
善子「ええ」
曜「ふふっ、それは期待しちゃうな」
善子(ああ)
善子(もうすぐ、始まってしまう)
善子「駄目よ、うちでご飯食べていく予定じゃない」
善子「お母さん、張り切って準備していたんだから」
曜「マジで?」
善子「ええ」
曜「ふふっ、それは期待しちゃうな」
善子(ああ)
善子(もうすぐ、始まってしまう)
114: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 21:53:26.67 ID:oZjAnIQq
曜「善子ちゃんはそんなに楽しみじゃないの?」
曜「見慣れてるし、そんなもん?」
善子「そんなことないって」
曜「えー、だけどやっぱテンション低いよ」
善子「そんなことないわよ」
善子「ほら、カメラも持ってる」
曜「本当だ、準備バッチリじゃん!」
善子「私は私なりに楽しむから、あなたも――」
曜「見慣れてるし、そんなもん?」
善子「そんなことないって」
曜「えー、だけどやっぱテンション低いよ」
善子「そんなことないわよ」
善子「ほら、カメラも持ってる」
曜「本当だ、準備バッチリじゃん!」
善子「私は私なりに楽しむから、あなたも――」
115: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 21:54:19.75 ID:oZjAnIQq
曜「おっ」
善子「あっ……」
善子(爆音と)
善子(真っ暗な夜空に散る、鮮やかな火花)
曜「始まった!」
善子(曜は飛び出すように、ベランダへ出る)
善子(私も無言で、後に続く)
善子(離れたくなかった)
善子(最後だから、離れたくなかった)
善子「あっ……」
善子(爆音と)
善子(真っ暗な夜空に散る、鮮やかな火花)
曜「始まった!」
善子(曜は飛び出すように、ベランダへ出る)
善子(私も無言で、後に続く)
善子(離れたくなかった)
善子(最後だから、離れたくなかった)
116: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 21:54:57.57 ID:oZjAnIQq
曜「綺麗だね~」
善子「……うん」
善子(ああ、笑ってる)
善子(輝いている)
善子(太陽のように眩しい笑顔を浮かべている)
善子(きっと曜にも、私にも)
善子(最高の思い出の一ページになる)
善子(そんな、素敵な時間)
善子「……うん」
善子(ああ、笑ってる)
善子(輝いている)
善子(太陽のように眩しい笑顔を浮かべている)
善子(きっと曜にも、私にも)
善子(最高の思い出の一ページになる)
善子(そんな、素敵な時間)
117: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 21:55:52.03 ID:oZjAnIQq
善子(だけど花火は、この輝きは)
善子(夏の終わりを告げる)
善子(私と曜の時間を終わらせる)
善子(花火に夢中になってる曜)
善子(私に横でカメラを向けられても気づかない)
善子(私は何度もシャッターを切る)
善子(被写体は花火ではなく)
善子(はしゃぐ先輩の、横顔)
善子(夏の終わりを告げる)
善子(私と曜の時間を終わらせる)
善子(花火に夢中になってる曜)
善子(私に横でカメラを向けられても気づかない)
善子(私は何度もシャッターを切る)
善子(被写体は花火ではなく)
善子(はしゃぐ先輩の、横顔)
118: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 21:56:21.21 ID:oZjAnIQq
善子(この時間を)
善子(無くしたくなくて)
善子(永遠に、保存しておきたくて)
善子(花火に目を向けることもなく)
善子(カメラの容量がなくなっても)
善子(ずっと横顔を)
善子(曜を、見つめ続ける)
善子(無くしたくなくて)
善子(永遠に、保存しておきたくて)
善子(花火に目を向けることもなく)
善子(カメラの容量がなくなっても)
善子(ずっと横顔を)
善子(曜を、見つめ続ける)
119: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 21:57:18.74 ID:oZjAnIQq
※
善子母「楽しかったわね」
善子「うん」
善子母「食器片付けたらお風呂いれるから、入って早めに休みなさいよ」
善子母「新学期、万全の体調で迎えないと」
善子「はーい」
善子母「楽しかったわね」
善子「うん」
善子母「食器片付けたらお風呂いれるから、入って早めに休みなさいよ」
善子母「新学期、万全の体調で迎えないと」
善子「はーい」
120: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 21:57:54.57 ID:oZjAnIQq
善子(花火の後も)
善子(楽しい時間は続いて)
善子(曜も、お母さんも、私も)
善子(みんな、笑っていた)
善子(だけど)
善子(曜が帰って)
善子(一人になって)
善子(部屋に戻ると)
善子(楽しい時間は続いて)
善子(曜も、お母さんも、私も)
善子(みんな、笑っていた)
善子(だけど)
善子(曜が帰って)
善子(一人になって)
善子(部屋に戻ると)
121: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 21:58:36.72 ID:oZjAnIQq
善子「寂しいよ……」
善子(曜の気配が残る部屋)
善子(さっきまで輝いていたはずの部屋が)
善子(灰色に見える)
善子(彼女の存在が大きかった分)
善子(喪失感も、大きく)
善子(ぽっかりと)
善子(大きな穴を残してしまったみたいで)
善子(曜の気配が残る部屋)
善子(さっきまで輝いていたはずの部屋が)
善子(灰色に見える)
善子(彼女の存在が大きかった分)
善子(喪失感も、大きく)
善子(ぽっかりと)
善子(大きな穴を残してしまったみたいで)
122: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 21:59:13.74 ID:oZjAnIQq
善子(次に会えるのは、始業式の日)
善子(夏の時間は、もうおしまい)
善子(嫌だ)
善子(消えちゃうなんて、嫌だ)
善子(私はずっと、この夏を過ごしたい)
善子(この夏が、終わってほしくない)
善子(曜と、一緒にいたい)
善子(夏の時間は、もうおしまい)
善子(嫌だ)
善子(消えちゃうなんて、嫌だ)
善子(私はずっと、この夏を過ごしたい)
善子(この夏が、終わってほしくない)
善子(曜と、一緒にいたい)
123: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:00:22.88 ID:oZjAnIQq
善子(衝動的に、スマホを開く)
善子(なにか、伝えないと)
善子(終わらせないように、何か)
『会いたい』
善子(送った、一言)
善子(とっさに浮かんだ言葉はそれで)
善子(打って、送って、恥ずかしくなってベッドにスマホを放り投げると)
善子(すぐにブザー音が鳴る)
善子(返信、ではない)
善子(なにか、伝えないと)
善子(終わらせないように、何か)
『会いたい』
善子(送った、一言)
善子(とっさに浮かんだ言葉はそれで)
善子(打って、送って、恥ずかしくなってベッドにスマホを放り投げると)
善子(すぐにブザー音が鳴る)
善子(返信、ではない)
124: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:00:58.79 ID:oZjAnIQq
善子「あ……」
善子(曜、スマホを忘れてる)
善子(馬鹿)
善子(台無しじゃない)
善子(取り戻ってくる?)
善子(いや、だけど始業式の日に受け取ればいいって考えるかも)
善子(もし、そうだったら)
善子「っ」
善子(曜、スマホを忘れてる)
善子(馬鹿)
善子(台無しじゃない)
善子(取り戻ってくる?)
善子(いや、だけど始業式の日に受け取ればいいって考えるかも)
善子(もし、そうだったら)
善子「っ」
125: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:01:57.53 ID:oZjAnIQq
善子(気づけば、身体が動いていて)
善子母「善子、どうしたの?」
善子「ごめん、ちょっと出かけてくる!」
善子母「えっ?」
善子(突然のことに言葉を失うお母さんも無視して)
善子(私は、家を飛び出す)
善子母「善子、どうしたの?」
善子「ごめん、ちょっと出かけてくる!」
善子母「えっ?」
善子(突然のことに言葉を失うお母さんも無視して)
善子(私は、家を飛び出す)
126: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:02:40.02 ID:oZjAnIQq
善子(もう、帰ったのかな)
善子(家の場所、どっち――)
『駅の方に屋台が――』
善子「あっ」
善子(もしかしたら、そっち?)
善子(分からないけど)
善子(浮かんだからには理由があるかもしれない)
善子(家の場所、どっち――)
『駅の方に屋台が――』
善子「あっ」
善子(もしかしたら、そっち?)
善子(分からないけど)
善子(浮かんだからには理由があるかもしれない)
127: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:03:16.22 ID:oZjAnIQq
善子(走ればいい)
善子(間違っていても、また走って探せばいい)
善子(この夏の、魔法のような時間)
善子(それが終わる前に、伝えないと)
善子(必死に追いかけないと)
善子(無駄かもしれないけど)
善子(走る、全力で――)
善子(間違っていても、また走って探せばいい)
善子(この夏の、魔法のような時間)
善子(それが終わる前に、伝えないと)
善子(必死に追いかけないと)
善子(無駄かもしれないけど)
善子(走る、全力で――)
128: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:04:00.82 ID:oZjAnIQq
「あれ」
善子「……空気、よんでよ」
善子(せっかく、盛り上がってきたのに)
善子(最悪、自分が格好わる)
曜「引きこもり少女が、なんでここに?」
善子「……どうして」
善子(私のことが)
善子「……空気、よんでよ」
善子(せっかく、盛り上がってきたのに)
善子(最悪、自分が格好わる)
曜「引きこもり少女が、なんでここに?」
善子「……どうして」
善子(私のことが)
130: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:05:42.54 ID:oZjAnIQq
曜「気づいたんだよ、なんとなく」
善子「……意味、分からない」
善子(本当に)
曜「息、切れてるね」
曜「これ飲む?」
曜「まだほとんど残っているよ」
善子(差し出されたラムネの瓶)
善子(曜の瞳のように、透き通った綺麗な水色)
131: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:06:10.61 ID:oZjAnIQq
曜「どこのお店も閉まっちゃっていたけど」
曜「これだけ、余ったからってくれたんだ」
曜「でも走ってきたんだよね」
曜「炭酸は微妙かな?」
善子(いつもと同じ)
善子(私の気持ちは、この人には絶対に理解できない)
曜「これだけ、余ったからってくれたんだ」
曜「でも走ってきたんだよね」
曜「炭酸は微妙かな?」
善子(いつもと同じ)
善子(私の気持ちは、この人には絶対に理解できない)
132: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:07:17.69 ID:oZjAnIQq
善子「これ、忘れてたから」
善子(ポケットに入れてきたスマホを渡す)
曜「うわ、マジで?」
善子「部屋に落ちてたのよ」
曜「全然気づいてなかった……」
曜「ありがとう、助かったよ」
善子「別に、気にしないで」
曜「だけどさ、このためにわざわざ走ってくれたんでしょ?」
善子(それは……)
善子(ポケットに入れてきたスマホを渡す)
曜「うわ、マジで?」
善子「部屋に落ちてたのよ」
曜「全然気づいてなかった……」
曜「ありがとう、助かったよ」
善子「別に、気にしないで」
曜「だけどさ、このためにわざわざ走ってくれたんでしょ?」
善子(それは……)
133: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:07:49.16 ID:oZjAnIQq
善子(理解してくれないなら)
善子(伝えなきゃ)
曜「善子ちゃん?」
善子(その為に、私は)
善子(私は)
善子(私は)
善子(伝えなきゃ)
曜「善子ちゃん?」
善子(その為に、私は)
善子(私は)
善子(私は)
134: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:08:49.86 ID:oZjAnIQq
善子「私は」
善子「終わらせたくなかったの」
善子「この夏を、あなたと過ごした大切な時間を」
曜「それ、どういう?」
善子「二学期になって」
善子「日常が戻ってきて」
善子「そうなったらもう戻れない」
善子「だから、この時間を残したくて」
善子「終わらせたくなかったの」
善子「この夏を、あなたと過ごした大切な時間を」
曜「それ、どういう?」
善子「二学期になって」
善子「日常が戻ってきて」
善子「そうなったらもう戻れない」
善子「だから、この時間を残したくて」
135: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:09:21.77 ID:oZjAnIQq
善子「だから」
善子「だから……」
善子(衝動)
善子(感情だけが先走った行動)
善子(適切な理論も)
善子(言葉も)
善子(なにも浮かばない)
善子「だから……」
善子(衝動)
善子(感情だけが先走った行動)
善子(適切な理論も)
善子(言葉も)
善子(なにも浮かばない)
136: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:09:57.83 ID:oZjAnIQq
善子(私のこれは)
善子(思い通りにならないことを嘆き、癇癪を起こす子どもと同レベル)
善子(いや、それ以下)
善子(時間を止めるんなんて不可能だし)
善子(永遠に夏に留まるなんてあり得ない)
善子(手の出しようのない領域)
善子(そんなことは子どもでも理解できる)
善子(はずなのに)
善子(思い通りにならないことを嘆き、癇癪を起こす子どもと同レベル)
善子(いや、それ以下)
善子(時間を止めるんなんて不可能だし)
善子(永遠に夏に留まるなんてあり得ない)
善子(手の出しようのない領域)
善子(そんなことは子どもでも理解できる)
善子(はずなのに)
137: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:10:47.04 ID:oZjAnIQq
善子(目が熱くなり)
善子(湿っていくのを感じる)
曜「……善子ちゃん」
善子(ああ、最悪)
善子(せっかく、いい終わり方だったのに)
善子(最高の夏だったのに)
善子(最後にこんな、余計な)
善子(湿っていくのを感じる)
曜「……善子ちゃん」
善子(ああ、最悪)
善子(せっかく、いい終わり方だったのに)
善子(最高の夏だったのに)
善子(最後にこんな、余計な)
138: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:11:25.65 ID:oZjAnIQq
曜「……大丈夫だよ」
善子(そっと)
善子(頭に手を置かれる)
曜「夏が終わってもさ」
曜「私と善子ちゃんは仲良しのまま」
曜「前にも言ったけど、学校だって楽しい」
曜「他の季節も、楽しいよ」
善子(そっと)
善子(頭に手を置かれる)
曜「夏が終わってもさ」
曜「私と善子ちゃんは仲良しのまま」
曜「前にも言ったけど、学校だって楽しい」
曜「他の季節も、楽しいよ」
139: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:11:59.53 ID:oZjAnIQq
曜「秋になったら焼き芋でもしようか」
曜「冬は雪合戦とか、私強いんだよ」
曜「春になったら、やっぱりお花見かな」
曜「梅雨はちょっと憂鬱だけど、仲良しの人と室内で過ごせる貴重な日だし」
曜「そうやって素敵な時間を過ごして」
曜「気づけばね、また夏は来るよ」
曜「冬は雪合戦とか、私強いんだよ」
曜「春になったら、やっぱりお花見かな」
曜「梅雨はちょっと憂鬱だけど、仲良しの人と室内で過ごせる貴重な日だし」
曜「そうやって素敵な時間を過ごして」
曜「気づけばね、また夏は来るよ」
140: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:13:18.61 ID:oZjAnIQq
曜「今年の夏は終わっても」
曜「来年、再来年、夏は続いていく」
曜「終わりなんか、来ないんだよ」
曜「この輝く素敵な時間は、続くんだよ」
曜「だからさ」
曜「泣かないで、夏を楽しもうよ」
曜「今回の夏は特別に、最後まで付き合ってあげるから」
善子(……どうしてかな)
善子(どうしていつも、あなたは)
曜「来年、再来年、夏は続いていく」
曜「終わりなんか、来ないんだよ」
曜「この輝く素敵な時間は、続くんだよ」
曜「だからさ」
曜「泣かないで、夏を楽しもうよ」
曜「今回の夏は特別に、最後まで付き合ってあげるから」
善子(……どうしてかな)
善子(どうしていつも、あなたは)
141: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:14:01.35 ID:oZjAnIQq
善子「……今回だけじゃ、嫌だ」
善子(もう、恥じらいなんてどこかへ消え去って)
善子「これからもずっと、最後まで付き合って」
善子(私は子どものように、曜に抱きついて)
曜「うーん、我儘な後輩だね」
曜「私は構わないけどさ、そのぐらい」
善子「……約束よ」
曜「うん、約束」
善子(子どもじみた約束に)
善子(子どもじみた指切りで契約をする)
善子(もう、恥じらいなんてどこかへ消え去って)
善子「これからもずっと、最後まで付き合って」
善子(私は子どものように、曜に抱きついて)
曜「うーん、我儘な後輩だね」
曜「私は構わないけどさ、そのぐらい」
善子「……約束よ」
曜「うん、約束」
善子(子どもじみた約束に)
善子(子どもじみた指切りで契約をする)
142: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:14:52.00 ID:oZjAnIQq
曜「よし、落ち着いたなら――
善子「待って」
善子(もうひとつ、ある)
善子(伝えたい事)
善子「待って」
善子(もうひとつ、ある)
善子(伝えたい事)
143: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:15:10.91 ID:oZjAnIQq
善子「私、知らなかったの」
善子「誰かと過ごす時間が、こんなに素敵だったなんて」
善子「この夏を迎えるまで」
善子「あなたが教えてくれるまで」
善子(きっとあそこで誘ってくれなかったら)
善子(一人、つまらない日々を過ごしていた)
善子(あなたは、くすんだ私を、明るい世界へ引き上げてくれた)
善子(だから)
善子「だから」
善子「ありがとう、曜」
善子「誰かと過ごす時間が、こんなに素敵だったなんて」
善子「この夏を迎えるまで」
善子「あなたが教えてくれるまで」
善子(きっとあそこで誘ってくれなかったら)
善子(一人、つまらない日々を過ごしていた)
善子(あなたは、くすんだ私を、明るい世界へ引き上げてくれた)
善子(だから)
善子「だから」
善子「ありがとう、曜」
144: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:15:39.63 ID:oZjAnIQq
※
善子(休み明け)
善子(早々にやらかさないように、何度も確認した持ち物)
善子(今までで一番苦労した宿題も、もちろん入ってる)
善子(先にバスに乗る)
善子(一人で)
善子(それでも寂しさはない)
善子(だって)
善子(休み明け)
善子(早々にやらかさないように、何度も確認した持ち物)
善子(今までで一番苦労した宿題も、もちろん入ってる)
善子(先にバスに乗る)
善子(一人で)
善子(それでも寂しさはない)
善子(だって)
145: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:16:16.40 ID:oZjAnIQq
曜「おはよう!」
善子(すぐにあなたはやってくる)
善子(いつものように、あなたの姿はそこにある)
善子「おはよう」
曜「おーい、休み明け早々テンション低いよー」
善子「朝から元気なあなたの方が特殊なのよ」
曜「うむむ、それはよく言われる」
善子(すぐにあなたはやってくる)
善子(いつものように、あなたの姿はそこにある)
善子「おはよう」
曜「おーい、休み明け早々テンション低いよー」
善子「朝から元気なあなたの方が特殊なのよ」
曜「うむむ、それはよく言われる」
146: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:17:07.26 ID:oZjAnIQq
善子(まだ暑さは残る)
善子(日差しも眩しい)
善子(だけど着実に、季節は秋へと変化していく)
善子(夏の気配は消えていく)
善子(それでも、私の心は晴れやかなまま)
善子(日差しも眩しい)
善子(だけど着実に、季節は秋へと変化していく)
善子(夏の気配は消えていく)
善子(それでも、私の心は晴れやかなまま)
147: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:18:02.82 ID:oZjAnIQq
善子(バイバイ、夏)
善子(また、来年会いましょう)
(これは私が体験した)
(素敵な夏のお話)
善子(また、来年会いましょう)
(これは私が体験した)
(素敵な夏のお話)
148: 名無しで叶える物語(はんぺん) 2019/09/17(火) 22:18:31.35 ID:oZjAnIQq
以上です。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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