1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/20(金) 03:16:18.955 ID:LNcxcBE40.net
改造人間「ただいま帰還いたしました。」

改造人間「……ああ、いえ。…………いけませんね。つい昔の癖で、未だに形式張った軍式の挨拶が時折出てしまいます。いい加減慣れなくては。」

改造人間「ふふっ…………ナンバー52、買い出しの任務を終え無事帰還いたしました。引き続き戦利品の冷蔵庫収監任務に移ります……なんちゃって。」

改造人間「今日は卵が安かったので、オムライスにでもしましょうか。待っててくださいね、今作りますから。」

改造人間「……いえ、そういうわけにはいきませんよ。炊事洗濯は私の務めですから。あなたはゆっくりテレビでも見ていてください。」

改造人間「…………そうですか?それなら、そうですね……お皿とスプーンを並べておいてくれると助かります。」

改造人間「まったく、あなたは昔からじっとしていられない人ですね。あなたもあなたで慣れなくてはいけませんよ。あなたは働きすぎたほどに働いたんですから、そろそろ力を抜いて休む努力もしないと。」

改造人間「それにしても、軍を退役してからもうすぐ5年ですか……はやいものですね。ふふふ、お互いに歳をとりました。まあ、私は老けたりしませんけどね。」

改造人間「あなたが私を引き取ってこの屋敷に来てから5年……初めはどうなることかと思いましたが、案外どうにかなるものですね。」

改造人間「それはそうですよ。戦うために生み出されて、今まで軍施設のなかで生活をしてきたんですよ?等身大の、人並みの生活なんて想像すら出来なかったんですから。」

改造人間「でもまあ、さすがに毎日こうした雑用をさせられていれば嫌でも慣れますね。……ふふふ、意地悪言ってしまいました。」

改造人間「だけど、あなたには感謝しているんですよ。あなたは私に“普通の人間”としての生活を送らせてくれているんですから。私にとって、それはとても幸せなことなのです。」

12: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/20(金) 03:30:58.656 ID:LNcxcBE40.net
改造人間「それはそうですよ。いくら身体を弄られていても、生身の部分は僅かばかり残っているんですからね。」

改造人間「友達とか恋人とか、私にとっては知識でしかなかった。それでも周囲の人間を見ているうちに、憧れもしましたから。」

改造人間「でも、私があそこにいる限りそんなものを手にする余裕はなかった。私はあそこにいる限り、単なる兵器や部品でしかありませんでしたから。」

改造人間「だから…………あなたが私を必要だと言ってくれたあの日、私はとても嬉しかったんです。月並みな言葉ですけど、本当ですよ。」

改造人間「あなたは兵器である私に感情を抱いて、それを向けてくれた。あれほど人間らしく扱ってくれた人は、あなただけでしたから。」

改造人間「……あなたくらいなものですよ、こんな身体を愛してくれる人間なんて。知ってますよ、こういうのを一種のフェティシズムと言うんですよね?」

改造人間「ふふふ、またまた意地悪を言ってみました。まあ、なんでもいいですよ。あなたがどんな形であれ私を愛してくれる限り、私は幸せです。」

改造人間「私にとってあなたは、救ってくれた恩人であり、人らしさを教えてくれた親であり、愛するべき……ええっと……こういうときはどんな肩書きがいいでしょうか。」

改造人間「……まあ。今の、もしかしなくてもプロポーズというやつですよね。あらやだ、一瞬のうちに伴侶になってしまいました。」

改造人間「あはは、拒むわけがないじゃありませんか。私はあなたを愛し、信じます。だからあなたが私を伴侶と呼ぶなら、その瞬間から私はあなたの伴侶なのです。」

改造人間「さあさ、伴侶が作ったオムライスが出来上がりましたよ。いつまでも顔を赤くしていないで、はやく食卓まで運んでってくださいな。」

改造人間「……ふふん、腕を上げたでしょう?工業用油をフライパンに伸ばしたあの日は、もう遠い過去なのです。」

引用元: 改造人間(♀)「あなたくらいなものですよ、こんな身体を愛してくれる人間なんて。」