1: 名無しさん@おーぷん 19/09/21(土)21:15:37 ID:D6O
彡(●)(●)「歯医者行かな……」

(´・ω・`)「もしもし、どうされました?」

彡(。)(;)「歯が痛いんや……」

(´・ω・`)「はいはい。急ぎですか?」

彡(。)(;)「今すぐ……今すぐ診てくれメンス……」

(´・ω・`)「わかりましたよ~ではお待ちしてますね」

5: 名無しさん@おーぷん 19/09/21(土)21:18:50 ID:D6O
彡(。)(;)「あかん……酷くなっていく一方や……」

===

(´・ω・`)「いらっしゃいませ。ワイさんですか?」

彡(。)(;)「せや。はやく診てクレメンス」

(´・ω・`)「どれどれ……どこも悪くないですよ??」

彡(●)(●)「なわけなかろうて……こんなに痛いんやから……」

(´・ω・`)「ではレントゲン撮りましょうね~」

7: 名無しさん@おーぷん 19/09/21(土)21:22:14 ID:D6O
彡(-)(-)「………………」

(´・ω・`)「はい。お疲れさまでした~」

彡(。)(;)「どうですか?」

(´・ω・`)「悪いところはどこもありませんよ」

彡(-)(-)「………………」

彡(●)(●)「ほんまやろうな???」

(´・ω・`)「はい。強いて言えば痛いと仰ってる歯の歯肉が若干縮小してますね」

彡(。)(;)「どれでこんなにいたくなるんか……」

(´・ω・`)「人によっては……正しい歯磨きの仕方を教えますから数週間続けてください」

彡(●)(●)「数週間……この痛みはどうなるんや」

(´・ω・`)「ボルタレン出しときますね~」

彡(●)(●)「痛み止めなんかとっくに飲んでるで」

(´・ω・`)「市販のお薬より強いですよ。あと抗生物質も出しときますよ」

彡(-)(-)「………………」

(´・ω・`)「それで暫く様子見てください」

彡(。)(;)「………………」

9: 名無しさん@おーぷん 19/09/21(土)21:25:13 ID:D6O
===

彡(。)(;)「あかん……全然効かへんわ……」

彡(。)(;)「なんやねん。ボルタレンって……サワシリンとかいうのも全然ダメや……」

==回想==

(´・ω・`)「対処のしようがないですよ。神経抜くとかなら出来ますけど、そんなことできないでしょ?」

==  ==

彡(。)(;)「んなこと言ったって、もうこの痛みには耐えられないで……」

彡(-)(-)「薬局行って痛み止めもっと買ってくるか……」

11: 名無しさん@おーぷん 19/09/21(土)21:27:57 ID:D6O
彡(・)益(・)「いらっしゃい。何をお探しで?」

彡(。)(;)「一番強い痛み止めを……」

彡(・)益(・)「痛み止め?症状は?」

彡(。)(;)「これこれこうで……」

彡(・)益(・)「なるほど。それは災難でしたね」

彡(。)(;)「せやせや……」

彡(・)益(・)「しかし、残念ながらお客さまが処方されたボルタレンより強い鎮痛剤はここにはございません」

彡(●)(●)「………………」

彡(・)益(・)「他をお当たりください」

彡()()「………………」

13: 名無しさん@おーぷん 19/09/21(土)21:30:59 ID:D6O
彡(。)(;)「また負け戦や……」

彡(。)(;)「ワイはどうすれば……」

レリ ゚ヮ゚ノリ「ワイ君おかえり!」

彡(。)(;)「おお、帰ってたんか……」

レリ ゚ヮ゚ノリ「どうしたの浮かない顔して」

彡(。)(;)「歯が痛くて痛くて……」

レリ ゚ヮ゚ノリ「!?」

レリ ゚ヮ゚ノリ「昨日までそんなことなかったじゃない!」

彡(。)(;)「あぁ……」

彡(。)(;)「歯医者にも行ったんやが全然ダメや」

レリ ゚ヮ゚ノリ「治らないの?」

彡(。)(;)「原因が分からんって……」

レリ ゚ヮ゚ノリ「それは困ったね……」

レリ ゚ヮ゚ノリ「夕飯作っといたんだけど……」

彡(。)(;)「ありがとう……嬉しいで……」

17: 名無しさん@おーぷん 19/09/21(土)21:32:57 ID:D6O
彡(●)(●)「あんぎゃぁ!!!」

レリ ゚ヮ゚ノリ「どうしたの!?」

彡(●)(●)「いだい…………」

レリ ゚ヮ゚ノリ「…………」

彡(。)(;)「ごめん……食えない……」

レリ ゚ヮ゚ノリ「いいのよ。可愛そうなワイちゃん……」

彡(。)(;)「ごめんよう……」

彡(。)(;)「(ワイはどうすれば……)」

27: 名無しさん@おーぷん 19/09/21(土)21:44:35 ID:D6O
テスト

28: 名無しさん@おーぷん 19/09/21(土)21:45:01 ID:D6O
書き込んでも反映されへん。ちょいまち……

40: 名無しさん@おーぷん 19/09/22(日)22:54:54 ID:aoL
彡(。)(;)「せや……なんJにスレ建てたろ……」

[歯が死ぬほど痛いんやが]

彡(。)(;)「レス来ぉへんなぁ……」

ポピン

彡(。)(;)「お、来た……」

[ヤブ医者だったんやろ]

[大半は集客に必死で儲け最優先だから厳選せなあかん]

[醤油ラーメン好きや]

彡(。)(;)「なるほど……」

彡(。)(;)「行った歯医者が悪かったんやな……」

[ドクターズ・ファイル]

彡(。)(;)「これで検索や」

彡(-)(-)「なかなか優しそうで頼りになりそうな先生や」

彡(。)(;)「ここが頼みの綱やな……」

41: 名無しさん@おーぷん 19/09/22(日)23:01:03 ID:aoL
(´▽`)「こんにちは、ワイくんだね」

彡(。)(;)「せや。歯が死ぬほど痛いんや……」

(´▽`)「わかったわかった。それは大変だったね」

(´▽`)「問診票書いて待っててね」

彡(。)(;)「はい……」

彡(。)(;)「………………」

彡(。)(;)「『頼れるクリニック』か。マニアックな雑誌もあるもんやな……」

===

(´▽`)「………………」

彡(。)(;)「どうですか?」

(´▽`)「どこも悪くないね……」

彡(●)(●)「………………」

(´▽`)「いや、痛いっていうのはよく分かるんだよ」

(´▽`)「でも原因がない限りはね……」

彡(●)(●)「それでも医者か!」

(´▽`)「ごめんねぇ。でも原因がわからなければ私としても対処のしようがないんだよ……」

彡(●)(●)「もうええ!帰る!」

43: 名無しさん@おーぷん 19/09/22(日)23:05:13 ID:aoL
彡(。)(;)「はぁ…………また痛くなってきたで……」

レリ ゚ヮ゚ノリ「どうだった?」

彡(。)(;)「だめだったで……」

レリ ゚ヮ゚ノリ「………………これね。おばあちゃんに貰ってきたの」

彡(。)(;)「なんやこれ……「今治水」?」

レリ ゚ヮ゚ノリ「そうそう。これをティッシュに染み込ませて歯に当てると痛いのが和らぐんだって」

彡(。)(;)「ありがとう…………」

レリ ゚ヮ゚ノリ「いいのよ。良くなるといいね」

彡(。)(;)「うぅ………………」

彡(-)(-)「………………」

彡(。)(;)「少し良くなった気がするお…………」

レリ ゚ヮ゚ノリ「あとね、これ睡眠薬」

レリ ゚ヮ゚ノリ「昨日も眠れてなかったでしょ?」

彡(。)(;)「バレてたんか……」

レリ ゚ヮ゚ノリ「これ飲んで早く寝なさいね」

彡(。)(;)「ありがとう……アヤちゃんは本当に優しいんやな……」

44: 名無しさん@おーぷん 19/09/22(日)23:13:12 ID:aoL
===

彡(。)(;)「早くも3日目か……」

彡(。)(;)「昨日もよく眠れんかったで……」

ピンポーン

彡(。)(;)「おや、誰やろ……」

( ゚∀゚)「いよう!ワイ!」

彡(。)(;)「おぉ、久しぶりやな」

( ゚∀゚)「暫く職場に顔を出していないだろう!心配したぜい!」

彡(。)(;)「心配かけてゴメンやで……」

===

( ゚∀゚)「歯が痛い???」

彡(。)(;)「せや……」

( ゚∀゚)「そんなんで仕事休んだんか?」

彡(。)(;)「………………」

( ゚∀゚)「まぁええわ!そんくらいでクビにはせんよ」

彡(。)(;)「すみません……」

( ゚∀゚)「それより眠れてるんか?随分痩せてるやないか?」

彡(。)(;)「正直……」

( ゚∀゚)「まぁしゃーない。本当はいけないけど飲む量を増やしたらどうや?」

( ゚∀゚)「寝てる間は痛くないんやろ?」

彡(。)(;)「まぁ、そうやな……」

46: 名無しさん@おーぷん 19/09/22(日)23:20:00 ID:aoL
===

トゥルルルルルル

彡(・)益(・)「………………」

彡(・)益(・)「あ、もしもし、店長。ご報告ですが……」

彡(・)益(・)「はい。はい。この人物には見覚えがありまして……」

彡(・)益(・)「以前この店に来たことのある人ですね」

彡(・)益(・)「被害額は大したことないです」

彡(・)益(・)「はい。それでは」

ガチャン

彡(・)益(・)「あのお兄さん金ないんかな……」

( ゚∀゚)「マスオさん、どうでした?」

彡(・)益(・)「届け出だけはしとくけど、深追いはしないらしい」

( ゚∀゚)「そっすか!いやぁ~面倒はゴメンですからね~」

彡(・)益(・)「万引されときながら深追いしないってのもどうかと思うけどな」

( ゚∀゚)「あのお兄さん本当に辛そうでしたもん。俺しつこく大丈夫ですか?って聞いちゃいました」

彡(・)益(・)「まったく。お前が優しくするからいけないんだ」

( ゚∀゚)「俺のせいっすか!!!」

47: 名無しさん@おーぷん 19/09/22(日)23:27:25 ID:aoL
===

(´・ω・`)「………………」

レリ ゚ヮ゚ノリ「先生~難しい顔してどうされたんですか?」

(´・ω・`)「アヤくん。これ読んでみな?」

レリ ゚ヮ゚ノリ「え~なんか難しそう!」

(´・ω・`)「今日の学会で発表された新しい症状だよ」

レリ ゚ヮ゚ノリ「私パス!簡単に教えて下さいよ!」

(´・ω・`)「えーつまりはね……」

(´・ω・`)「歯に原因のない歯痛があるって話だ」

レリ ゚ヮ゚ノリ「なんですかそれ?」

(´・ω・`)「今はストレス社会だろう?」

(´・ω・`)「精神の負担から歯が痛いと思い込む患者がいるって話だ」

レリ ゚ヮ゚ノリ「あー!この間来た気持ち悪いお兄さん!!」

(´・ω・`)「そそ。アヤちゃんのお気に入りの患者さんと同じ症状」

レリ ゚ヮ゚ノリ「違います!ジロジロ見てきて気持ち悪いお兄さんでしたよ!」

(´・ω・`)「ははは。そうだったね。ごめんごめん」

レリ ゚ヮ゚ノリ「平日の昼間になんか来て働いてるんですかね?」

(´・ω・`)「国民健康保険証だったからな。個人事業主なんじゃないか?」

レリ ゚ヮ゚ノリ「フリーターですよ、きっと」

48: 名無しさん@おーぷん 19/09/22(日)23:35:04 ID:aoL
===

(´・ω・`)「この男がお宅の薬局で万引を?」

彡(・)益(・)「はい。間違いないです」

(´・ω・`)「ほうほう。お宅被害届けは出された?」

彡(・)益(・)「出しましたけど、もういいですよ」

(´・ω・`)「そうですか。」

彡(・)益(・)「自殺ですか?」

(´・ω・`)「そうだねぇ」

彡(-)(-)「      」

彡(・)益(・)「まだ若いのにねぇ」

(´・ω・`)「原因はティッシュ……??を喉に詰まらせての窒息死」

(´・ω・`)「大量の睡眠薬と鎮痛剤も飲んだみたいだねぇ、謎な死に方だよ」

彡(・)益(・)「以前歯が死ぬほど痛いってウチに来たんですよ」

(´・ω・`)「あら、そうなの?」

彡(・)益(・)「そのあとに今治水と大量の鎮痛剤を万引していったというわけです」

(´・ω・`)「こんじすい?」

彡(・)益(・)「そうです。それをティッシュに染み込ませて歯に当てておくんですよ」

彡(・)益(・)「そうすると痛みが和らぐっていうね」

(´・ω・`)「あぁ、ティッシュの謎が解けたよ」

(´・ω・`)「そういうことね」

彡(-)(-)「       」

50: 名無しさん@おーぷん 19/09/22(日)23:44:22 ID:aoL
彡(●)(●)「ここはどこや……」

彡(●)(●)「………………」

彡(●)(●)「ワイの家に人が……」

(´・ω・`)「       」

彡(・)益(・)「       」

彡(●)(●)「知らないオッサンと薬局のおじさんや」

彡(●)(●)「アヤちゃんは……」

レリ ゚ヮ゚ノリ「      」

彡(●)(●)「アヤちゃん!」

彡(●)(●)「ワイの家に人が上がりこんどるんや!」

レリ ゚ヮ゚ノリ「      」

彡(●)(●)「なんで何も言わへんのや!」

レリ ゚ヮ゚ノリ「      」

彡(●)(●)「せや!おい!」

( ゚∀゚)「     」

彡(●)(●)「ワイのコト心配してくれたな?」

( ゚∀゚)「     」

彡(●)(●)「……………………」

彡(●)(●)「あれ?身体が動かへん……」

レリ ゚ヮ゚ノリ「国民健康保険ですか?」

( ゚∀゚)「働きすぎなんですよ」

彡(●)(●)「……………………」

彡(●)(●)「        」

彡(-)(-)「       」

51: 名無しさん@おーぷん 19/09/22(日)23:44:29 ID:aoL
おしまい

55: 名無しさん@おーぷん 19/09/23(月)20:01:59 ID:mBP
彡(-)(-)「ワイは働いてもいないし……可愛い彼女がいるわけでもない……」

彡(●)(●)「アヤちゃんも幻想やし、同僚くんもバックレたまま会ってへん……」

彡(。)(;)「考えてみれば後悔だらけの人生やったなぁ……」

彡(。)(;)「いつまで自分に嘘をつくつもりか……」

彡(。)(;)「結局そのまま死んでもうたから……意味ないか……」

彡(-)(-)「………………」

彡(゚)(゚)「あ……」

彡(゚)(゚)「歯の痛みが消えていく……」

( ゚д゚ )「歯の痛みが消えていくか?」

彡(゚)(゚)「…………」

彡(゚)(゚)「お前ワイが見えるのか?」

( ゚д゚ )「それはこっちのセリフですねぇ」

彡(゚)(゚)「どういう意味や」

( ゚д゚ )「どうも。死神と申します」

彡(゚)(゚)「げ。」

56: 名無しさん@おーぷん 19/09/23(月)20:06:56 ID:mBP
( ゚д゚ )「歯の痛みが消えたのは君の過剰な自意識が消えたからだよ」

彡(゚)(゚)「自意識?」

( ゚д゚ )「あぁ。君は痛みを確認していただけに過ぎない」

彡(゚)(゚)「まぁええわ。で?ワイになんの用や?」

( ゚д゚ )「質問は私からさせていただく?」

( ゚д゚ )「君はこれからどうしたい?」

彡(゚)(゚)「は?」

( ゚д゚ )「すまないね。人間界と比べて邪念やノイズの少ないこちらの世界だ」

( ゚д゚ )「重要な決断や、難しい問題を短時間で解決する場面が多くなる」

( ゚д゚ )「今回はほんの手始めさ。なれないと思うがね」

彡(゚)(゚)「(確かに。すんなり思考が進んでいく感覚がある)」

彡(゚)(゚)「(嘘偽りないワイの思考……)」

彡(゚)(゚)「同僚くんとアヤちゃんを呪い殺すことって出来ますか?」

(; ゚д゚ )「…………」

彡(゚)(゚)「できませんかね?」

( ゚д゚ )「随分正直な人間なんだね」

彡(゚)(゚)「どういうことですか?」

( ゚д゚ )「だって私は死神だよ?印象良くしとかないと地獄に連れてっちゃうかもよ?」

57: 名無しさん@おーぷん 19/09/23(月)20:10:05 ID:mBP
彡(゚)(゚)「いえいえ……」

彡(゚)(゚)「たしかにそうですね……」

彡(゚)(゚)「でも何だかすんなりモノゴトが考えられるのが嬉しくて」

彡(゚)(゚)「現世ではこれはやっちゃダメ。こんなこと考えちゃダメってのがあったんですけど」

彡(゚)(゚)「ここではそういうのないんですよ」

( ゚д゚ )「随分正直なお方だ」

( ゚д゚ )「気に入ったよ」

彡(゚)(゚)「そりゃどーも……」

( ゚д゚ )「ちょっと額に手を当てさせてもらうよ」

彡(゚)(゚)「え。いいですけど」

( ゚д゚ )「……………………」

彡(゚)(゚)「…………………?」

( ゚д゚ )「ふむふむ。随分とストレスを抱えながら死んでいったみたいだね」

( ゚д゚ )「しかも無駄死にと来たもんだ」

彡(゚)(゚)「まぁ、それは否定しません」

( ゚д゚ )「どうだい。僕からの提案だが、もう一回生きてみないか?」

彡(゚)(゚)「!?」

58: 名無しさん@おーぷん 19/09/23(月)20:17:52 ID:mBP
彡(゚)(゚)「そんなことできるんですか?」

( ゚д゚ )「できないよ」

( ゚д゚ )「でも、君は霊体になる時間が通常よりも早かった」

( ゚д゚ )「死神局にもまだ通知が行ってないんだな」

彡(゚)(゚)「というと?」

( ゚д゚ )「私の一存でまた生かしておいてもバレないってことだ」

( ゚д゚ )「実は通りすがりでね」

彡(゚)(゚)「そうですか……」

( ゚д゚ )「嬉しそうじゃないね」

彡(゚)(゚)「事故死……ですけど、正直また戻りたいとは思いませんね」

( ゚д゚ )「自殺したやつでさえ未練タラタラの人間がほとんどなのに」

( ゚д゚ )「珍しいタイプだね。君」

彡(゚)(゚)「いやぁ、正直自殺してましたよ。いつかは」

( ゚д゚ )「正直でよろしい」

彡(゚)(゚)「ワイは地獄に行くんですか?」

( ゚д゚ )「なんとも言えない。閻魔様の裁き次第だね」

彡(゚)(゚)「そーか」

( ゚д゚ )「でも裁きを受けると生き返りは難しいよ」

彡(゚)(゚)「………………」

( ゚д゚ )「どうする?もう時間がないけど」

彡(゚)(゚)「取り敢えず閻魔様に会ってみたいです」

彡(゚)(゚)「悪いことはしてないし」

( ゚д゚ )「分かった。そういう意志なら仕方ない。ついてきなさい」

彡(゚)(゚)「おかのした」

59: 名無しさん@おーぷん 19/09/23(月)20:23:44 ID:mBP
======

( ゚д゚ )「ほい。これは裁きを受けるのに必要な札だからしっかり持ってね」

彡(゚)(゚)「ついてきてくれないんですか?」

( ゚д゚ )「僕は他の仕事があるから」

カチャ

彡(゚)(゚)「うわ!レッツノートやないか!」

( ゚д゚ )「こちらの世界にもノートパソコンがあるのだよ」

彡(゚)(゚)「なんだかムード壊れるなぁ……」

( ゚д゚ )「ここで書類作成してるから、早く行ってきなさい」

彡(゚)(゚)「わ……わかったやで」

( ゚д゚ )「………………」カチャカチャ

======

(^o^)「通行札をお見せください」

彡(゚)(゚)「ほい」

(^o^)「そちらの待合室でお待ち下さい」

彡(゚)(゚)「おかのした」

彡(゚)(゚)「なんや殺風景なところやなぁ……」

ギャー

ヤメテクレー

タスケテクレー

彡(゚)(゚)「………………」

彡(゚)(゚)「扉の向こうで何が行われてるんだ……」

60: 名無しさん@おーぷん 19/09/23(月)20:26:58 ID:mBP
彡(゚)(゚)「………………ワイ、怖くなってきた」

彡(゚)(゚)「ちょっと一旦戻るか」

(^o^)「すみません。こちらは一方通行になっております」

彡(゚)(゚)「戻れないんですか?」

(^o^)「そりゃそうでしょう。」

彡(゚)(゚)「中で何が起こってるんですか?」

(^o^)「いずれ知ることになりますから」

彡(゚)(゚)「どーしよ……」

彡(゚)(゚)「まさか、扉を開けたらすぐ地獄とかやろか……」

彡(゚)(゚)「そんなんあかんで……」

(^o^)「次の方、どうぞ」

彡(゚)(゚)「え!もうですか!」

(^o^)「早くしてください」

彡(゚)(゚)「(いやや……)」

61: 名無しさん@おーぷん 19/09/23(月)20:32:05 ID:mBP
=====

彡(゚)(゚)「ども……」

( ▼皿▼)「私は閻魔大王だ」

彡(゚)(゚)「知ってます。お初にお目にかかりますやで……」

( ▼皿▼)「君は災難だったねぇ……」

彡(゚)(゚)「(なんや結構いい奴やんけ)」

( ▼皿▼)「いたって真面目に働いて、うつ病になって退職か」

( ▼皿▼)「しかし辞め方が良くなかったな」

彡(゚)(゚)「はい……」

( ▼皿▼)「落ち込んでおるな?」

彡(゚)(゚)「………………」

( ▼皿▼)「この世界では“本当に”反省している人間を地獄には連れて行かん」

( ▼皿▼)「どうしようもない悪人は別としてもな」

彡(゚)(゚)「はぁ……」

( ▼皿▼)「君は天国行きで良いだろう」

彡(゚)(゚)「(やった……!!!)」

( ▼皿▼)「しかし。小さな罪の精算をここでしてもらう」

彡(゚)(゚)「え……それはなんですか……」

( ▼皿▼)「おい!」

(^o^)「はい!」

( ▼皿▼)「そこのプロジェクターを起動してくれ」

(^o^)「はい!」

彡(゚)(゚)「(なんや随分ハイテクやな)」

62: 名無しさん@おーぷん 19/09/23(月)20:38:10 ID:mBP
(^o^)「これが『No.538973423ワイの人生』DVDです」

( ▼皿▼)「うむ。」

( ▼皿▼)「はっは。若いな。チャプターが少ないわい」

彡(゚)(゚)「(ワイの人生?)」

( ▼皿▼)「このDVDにはな。君が人生で犯した罪が記録されておる」

( ▼皿▼)「実に清廉潔白に生きておる。感心じゃ」

( ▼皿▼)「しかし……」

彡(゚)(゚)「……………………?」

( ▼皿▼)「殺生・盗み・嘘それは良い」

彡(゚)(゚)「嘘はついたことあるやで……」

( ▼皿▼)「微々たる嘘だろう」

( ▼皿▼)「問題は“  ”じゃな」

彡(゚)(゚)「!!!???」

( ▼皿▼)「この映像を見て反省しなさい」

( ▼皿▼)「天国への道はその後開かれるだろう」

彡(゚)(゚)「いや、ちょっと待っ」

( ▼皿▼)「おい!」

(^o^)「はい!」

( ▼皿▼)「  のタグがついたチャプターだけを再生しなさい」

(^o^)「はい!」

彡(゚)(゚)「ちょっっちょっと!!!!待ってクレメンス!!!!」

63: 名無しさん@おーぷん 19/09/23(月)20:42:28 ID:mBP
===

彡(゚)(゚)「やっと届いたやで……」

彡(゚)(゚)「   エアプって言われるのはもうゴメンや」

彡(゚)(゚)「うぉ!…………ぶっといなぁ……」

彡(゚)(゚)「ちょっと太すぎないか……」

彡(゚)(゚)「まぁええわ」

彡(゚)(゚)「まずは    ーションを口に含んで……」

ジュルルルルルルグッポグッポグッポ!!!!!!

彡(゚)(゚)「なんや……興奮してきたで……」

ジュルルルルルルグッポグッポルルルグッポグッポルルルグッポグッポグッポ

彡(゚)(゚)「オォウ……フーフーンァ……」

===

彡(゚)(゚)「やめてくれー!!!!」

彡(゚)(゚)「もう殺してくれ!!!地獄でいい!!!」

彡(゚)(゚)「それを止めてくれー!!!!」

( //▼皿▼)「そうはいかん」

( ▼皿▼)「おい!」

(^o^)「はい!」

( ▼皿▼)「もっと音量を大きくしろ」

(//^o^)「はい!」

ジュルルルルルルグッポグッポルルルグッポグッポルルルグッポグッポグッ
ジュルルルルルルグッポグッポルルルグッポグッポルルルグッポグッポグッ

彡()()「……………………」

64: 名無しさん@おーぷん 19/09/23(月)20:46:39 ID:mBP
彡(●)(●)「うわあああああああああああああ」

(^o^)「ぎゃぁ!」ドン

バキィ
ドン

彡(●)(●)「うわっぁあああああああああああああ」

===

彡(●)(●)「ぜぇぜぇ……」

( ゚д゚ )「あれ?随分早かったね」

彡(●)(●)「………………」

( ゚д゚ )「一方通行のこの道を戻ってきたということは」

( ゚д゚ )「君はもう一度現世に戻る必要があるというお裁きが……」

彡(●)(●)「どうでもええ!!!!早くここから逃げたい!!!」

( ゚д゚ )「言われるまでもない。それ」フッ

===

(^o^)「おい!ワイ君!!!」

(^o^)「マズいなぁ……どこへ逃げたんだ……」

( ▼皿▼)「おい、ワイはどこだ」

(^o^)「逃げました。そう遠くへは行っていないはずですが……」

( ▼皿▼)「馬鹿者!!!早く追いかけるんじゃ!」

(^o^)「は……はい……」

65: 名無しさん@おーぷん 19/09/23(月)20:52:32 ID:mBP
======

( ゚д゚ )「………………」

彡(゚)(゚)「………………」

( ゚д゚ )「おかしいですね……」

彡(゚)(゚)「なんやこれは」

( ゚д゚ )「あなたの身体ですよ」

彡(゚)(゚)「身体って。骨壷やないか」

( ゚д゚ )「閻魔様はなんと仰っていたんですか?」

彡(゚)(゚)「え……いや……その……」

彡(゚)(゚)「やり残したことがあるはずだとか言って……」

彡(゚)(゚)「戻されました……」

彡(゚)(゚)「(この嘘も罪になるんやろか……)」

(; ゚д゚ )「でもこれじゃ戻れませんよ……」

彡(゚)(゚)「そんなことワイは知らんで」

( ゚д゚ )「(私の手違いか……)」

彡(゚)(゚)「(どうしよう……死神さんなんとかしてくれ……)」

( ゚д゚ )「別の身体でも良いか?」

彡(゚)(゚)「……………………」

彡(゚)(゚)「もちろんやで!!!」

( ゚д゚ )「(こいつ正直者やなくて、ただの馬鹿やないか?)」

彡(゚)(゚)「(状況が状況とはいえ、随分アホな提案してくるんやなぁ……)」

66: 名無しさん@おーぷん 19/09/23(月)20:53:13 ID:mBP
夕飯食べてきます。診てる人いるのかな?

71: 名無しさん@おーぷん 19/09/23(月)21:30:04 ID:mBP
===

( ゚д゚ )「この男の身体に入ってもらおう」

彡(゚)(゚)「ええんか?」

( ゚д゚ )「この男の霊体は生き返りを拒否した。お前が代わりだ」

(・∀・)「僕にも愛する家族がいます。でもワイさんが僕の身体を使ってくれれば気兼ねなく死ねます」

彡(゚)(゚)「交通事故ですか……」

( ゚д゚ )「どうしますか?」

彡(゚)(゚)「(なんやこいつ……)」

彡(゚)(゚)「(乗ってるクルマはベンツだし、随分上等なスーツも着てるやないか……)」

彡(゚)(゚)「ワイなんかでいいんですか???」

(・∀・)「もちろんです!」

( ゚д゚ )「こう言ってるし。君が適任だよ」

彡(゚)(゚)「では遠慮なく……」

72: 名無しさん@おーぷん 19/09/23(月)21:31:47 ID:mBP
=======

(´ε` )「14時20分。ご臨終です」

彡()()「………………」

(*´∀`)「パパ…………」

(*´ェ`*)「あなた…………」

彡(-)(-)「ん……ン……」

彡(゚)(゚)「ほんまにワイでええんか?」

(*´∀`)「ぱぱ!!!!」

(*´ェ`*)「あなた!!!」

(´ε` )「ワイさん!!!」

彡(゚)(゚)「なんやねん……」

彡(゚)(゚)「重ったい身体やなぁ……」

彡(゚)(゚)「お前ら誰や?」

(´ε` )「一時的な記憶喪失ですね」

(´ε` )「しかし蘇生するとは……」

(*´∀`)「パパ!!!」

彡(゚)(゚)「パパ???」

(*´ェ`*)「記憶は戻るんですか?」

(´ε` )「えぇ。まぁ。しかしよく心臓が動いたものです」

(*´ェ`*)「良かった……」

彡(゚)(゚)「(あ……ワイは生き返ったのか……)」

73: 名無しさん@おーぷん 19/09/23(月)21:45:30 ID:mBP
======

彡(゚)(゚)「………………」

(*´∀`)「パーパ。」

彡(゚)(゚)「お。おう」

(*´∀`)「あれやって!」

彡(゚)(゚)「あ……あれ?」

(*´ェ`*)「…………」

(*´ェ`*)「あなた。ちえこを抱っこしてグルグル回るのよ」

彡(゚)(゚)「……そうか……」

(*´∀`)「はやくはやく!!!」

彡(゚)(゚)「は……ははは……」

彡(゚)(゚)「そーれ!」

(*´∀`)「キャッキャッ」

(*´ェ`*)「なかなか記憶が戻らないわねぇ……」

彡(゚)(゚)「あ……あぁ」

彡(゚)(゚)「ワイはなんだかこんな上等な暮らしをする身分やないと思う……」

(*´ェ`*)「何言ってるの。この物件はあなたが決めたのよ」

彡(゚)(゚)「新宿御苑を見下ろすマンションか……」

彡(゚)(゚)「ほんまにワイはワイなんか?」

彡(゚)(゚)「なにか重要なことを忘れている気がする……」

74: 名無しさん@おーぷん 19/09/23(月)21:48:58 ID:mBP
(*´ェ`*)「あなた。おまいりの時間よ」

彡(゚)(゚)「お参り?」

(*´ェ`*)「この時間になると家族で大宗寺に行くのよ」

彡(゚)(゚)「そうか」

(*´∀`)「ぱぱ!ダツエバ!ダツエバ!」

彡(゚)(゚)「チエコのダツエバっていうのはなんや?」

(*´ェ`*)「お寺に置いてある仏像よ。私は怖いから嫌いよ」

彡(゚)(゚)「ほーん……」

79: 名無しさん@おーぷん 19/09/24(火)20:11:59 ID:Hcm
===

彡(゚)(゚)「ほーん広いお寺やなぁ」

(*´ェ`*)「あなたったら何も覚えてないのね……」

彡(゚)(゚)「すまんやで……」

(*´ェ`*)「いいのよ……」

チャリーン

彡(゚)(゚)「(何をお願いしたらええんやろ……)」

(*´ェ`*)「(ワイの記憶が元に戻りますように……)」

(*´∀`)「(サンリオ・ピューロランドに行きたいです!)」

彡(゚)(゚)「さて。帰るか」

(*´∀`)「ダツエバ!ダツエバ!」

彡(゚)(゚)「あ、せやったな。どこにあるんや?」

(*´ェ`*)「こっちよ」

彡(゚)(゚)「別のお堂か」



80: 名無しさん@おーぷん 19/09/24(火)20:14:08 ID:Hcm
===

彡(゚)(゚)「真っ暗やないか」

(*´∀`)「パパ!早く押して!」

彡(゚)(゚)「?」

(*´ェ`*)「そこの白いスイッチを押すと中のランプがつく仕組みになってるの」

彡(゚)(゚)「なるほど。そこにダツエバがいるんか?」

(*´∀`)「はやく!」

彡(゚)(゚)「ほいほい」

カチッ

https://i.imgur.com/zCDXLic.jpg

81: 名無しさん@おーぷん 19/09/24(火)20:16:01 ID:Hcm
彡(゚)(゚)「ぎゃぁ!!!」

彡(゚)(゚)「……なんやこれ」

(*´∀`)「キャッキャッ」

(*´ェ`*)「あなたったらそんなに驚くことないじゃない」

彡(゚)(゚)「………………」

(*´∀`)「あ!消えちゃった!もう一回やって!」

彡(゚)(゚)「………………」

(*´ェ`*)「あなた……」

彡(゚)(゚)「………………」

彡(゚)(゚)「あ、すまん……もう一回か?」

カチッ

(*´∀`)「わー大きい!」

彡(゚)(゚)「………………」

82: 名無しさん@おーぷん 19/09/24(火)20:20:51 ID:Hcm
===

(*´ェ`*)「今日の夕飯はあなたの好きな南蛮漬けよ」

(*´∀`)「これきらーい」

彡(゚)(゚)「………………」

(*´ェ`*)「あなた……」

彡(゚)(゚)「あ、すまん。ぼーっとしとったわ」

(*´ェ`*)「お寺に行ってからあなた、少し変よ」

彡(゚)(゚)「いや、実はな。何かを思い出しそうなんや」

(*´ェ`*)「そうなの?」

彡(゚)(゚)「あぁ……」

(*´ェ`*)「でもあなた、あの事故を起こす前も変だったのよ」

彡(゚)(゚)「そうなんか?」

(*´ェ`*)「明日から会社に行くんだし……今日は早く寝たら?」

彡(゚)(゚)「そうか。会社のことは何も分からんのやで」

(*´ェ`*)「あなたの右腕がいてね。彼が全部やってくれてるわ」

彡(゚)(゚)「そうなんか……」

(*´∀`)「ママ、これきらーい」

(*´ェ`*)「好き嫌いしないで食べなさい」

(*´∀`)「ごちそうさまー」

(*´ェ`*)「こら!」

83: 名無しさん@おーぷん 19/09/24(火)20:24:30 ID:Hcm
===

彡(゚)(゚)「う……うむ。おはよう……」

(*´ェ`*)「おはよう。表にクルマが待ってるわ」

彡(゚)(゚)「?……朝食は?」

(*´ェ`*)「あなたいつも会社で食べるのよ」

彡(゚)(゚)「そうなんか……」

(*´ェ`*)「いってらっしゃい」

彡(゚)(゚)「うむ。」

===

彡(゚)(゚)「クルマが待ってるって……ワイは何者なんや……?」

( ゚д゚ )「おはようございます。社長」

彡(゚)(゚)「…………!?」

彡(゚)(゚)「ワイは社長なんか?」

( ゚д゚ )「はい。お体は大丈夫ですか?」

彡(゚)(゚)「いや……大丈夫や。記憶が少し飛んでるが……」

彡(゚)(゚)「不思議と君の顔は覚えているよ。とても世話になった気がする」

( ゚д゚ )「痛み入ります。それではお乗りください」

彡(゚)(゚)「(なんでこいつの顔だけは覚えてるんや……)」

84: 名無しさん@おーぷん 19/09/24(火)20:29:35 ID:Hcm
彡(゚)(゚)「ワイの右腕らしいが……君の名前は何ていうんや?」

( ゚д゚ )「…………」

( ゚д゚ )「私の名前は市弐紙太郎と申します」

彡(゚)(゚)「しにがみ たろうか。随分不吉な名前なんやなぁ」

( ゚д゚ )「私を面接してくださった時も同じことを申しておりました」

彡(゚)(゚)「……そ、そうか」

( ゚д゚ )「しかし。こうして戻ってきて頂けて正直驚いています」

彡(゚)(゚)「なんでや?」

( ゚д゚ )「……そうですね」

( ゚д゚ )「記憶を無くしている中、非常に申し上げにくいのですが……」

( ゚д゚ )「現在、会社は存続の危機に瀕しております」

彡(゚)(゚)「それは厄介やな」

( ゚д゚ )「相手が少し厄介なんですね」

彡(゚)(゚)「なんや?クレームか?」

( ゚д゚ )「そんなに甘っちょろいものではありませんよ」

彡(゚)(゚)「もったいぶらずに言ってくれや」

85: 名無しさん@おーぷん 19/09/24(火)20:32:13 ID:Hcm
( ゚д゚ )「ヤクザに目を付けられているんです」

彡(゚)(゚)「それは大変やな」

( ゚д゚ )「随分他人事ですね。事故の前は大変なご心痛だったんですよ」

彡(゚)(゚)「………………」

( ゚д゚ )「ウチみたいな中小企業は簡単に潰されてしまいます」

彡(゚)(゚)「詳しく事情を聞こうやないか」

( ゚д゚ )「会社、着きましたんで。あとは社長室でお話します」

彡(゚)(゚)「おう。」

87: 名無しさん@おーぷん 19/09/24(火)20:41:30 ID:Hcm
===

彡(゚)(゚)「チックフーズ株式会社か」

( ゚д゚ )「そうですよ。海鮮食品の専門商社です」

彡(゚)(゚)「商社……かっこええな」

( ゚д゚ )「実態は店舗を持たない小さい魚屋みたいなもんです」

( ゚д゚ )「私がこんなこと申してよいのか……申し訳ございません」

彡(゚)(゚)「ええんや。分かりやすいほうがええ」

( ゚д゚ )「さて。問題の話ですが……」

彡(゚)(゚)「うむ。」

( ゚д゚ )「社長が可愛がっていた西本って社員がいましたよね」

彡(゚)(゚)「…………」

( ゚д゚ )「あぁ、すみません。西本って社員がいるんです」

( ゚д゚ )「彼が当社の役員に就任した夜の話です」

彡(゚)(゚)「顔写真とかないんか?なにか思い出すかもしれん」

( ゚д゚ )「……打ち上げの写真がスマホに」

( ゚д゚ )「これです」

(^o^)

彡(゚)(゚)「アホ面しとるな」

( ゚д゚ )「あなたがお目をかけていた社員ですよ」

彡(゚)(゚)「でも不思議とこいつも覚えとる」

88: 名無しさん@おーぷん 19/09/24(火)20:46:51 ID:Hcm
彡(゚)(゚)「で?」

( ゚д゚ )「西本が打ち上げの3次会に選んだキャバクラで事件は起きました」

( ゚д゚ )「そこのお店、ボッタクリだったんですよ。でも酔ってる西本は分かりませんでした」

彡(゚)(゚)「祝いやし。会社の金で行ったんやろ?」

( ゚д゚ )「それが問題だったんです」

( ゚д゚ )「結局会社の名前で領収書切って後日、西本はその店に行きました」

彡(゚)(゚)「勇敢やな」

( ゚д゚ )「金を返せと散々騒いだんですよ。会社の名前も出して」

彡(゚)(゚)「返さへんやろ」

( ゚д゚ )「返してくれたんですよ」

彡(゚)(゚)「ほう」

( ゚д゚ )「西本の会計が70万円。返してもらった額は200万円でした」

彡(゚)(゚)「儲かったやないか」

( ゚д゚ )「……コトは深刻なんですよ」

彡(゚)(゚)「ほーん」

89: 名無しさん@おーぷん 19/09/24(火)20:51:03 ID:Hcm
( ゚д゚ )「全部録音されてたんです」

( ゚д゚ )「今度は我々の会社が差額130万円を脅し取ったという形になっています」

( ゚д゚ )「それをマスコミにバラすと脅されているんです」

彡(゚)(゚)「向こうだってボッタクリやないか」

( ゚д゚ )「世間はそう思いませんよ」

彡(゚)(゚)「まぁ、たしかにキャバクラで70万ってのが微妙な金額やな」

( ゚д゚ )「さて、どうします?」

彡(゚)(゚)「どうしようもないな」

( ゚д゚ )「………………」

彡(゚)(゚)「とりあえず話し合いに行ってくるわ」

( ゚д゚ )「!」

( ゚д゚ )「今度の社長は肝が座ってますね……」

( ゚д゚ )「(というより、すこし呆けているような感じが……)」

彡(゚)(゚)「住所どこや?」

( ゚д゚ )「あ……このキャバクラ閻魔ってお店です」

彡(゚)(゚)「わかった。きっと向こうも分かってくれるやろ」

90: 名無しさん@おーぷん 19/09/24(火)20:57:28 ID:Hcm
彡(゚)(゚)「ところで、西本って奴は今どうしてるんや?」

( ゚д゚ )「ずっと無断欠勤してますよ。こわくなったんでしょうね」

彡(゚)(゚)「かわいそうになぁ」

( ゚д゚ )「元気にしてると良いんですが……」

彡(゚)(゚)「おい太郎君。」

( ゚д゚ )「はい」

彡(゚)(゚)「ここ、開店時間17:00やないかい」

( ゚д゚ )「あ、私としたことが……すみませんでした」


91: 名無しさん@おーぷん 19/09/24(火)21:03:50 ID:Hcm
===

彡(゚)(゚)「さて。ええ時間やな。何も出来なくてすまんな」

( ゚д゚ )「まだ記憶が戻らないのですもの。仕方ありませんよ」

彡(゚)(゚)「では、ワイは行って来るやで」

( ゚д゚ )「どうかご無事で」

彡(゚)(゚)「心配あらへん」

===

彡(゚)(゚)「キャバクラ閻魔……ここやな」

カランコロン

彡(゚)(゚)「こんちゃー」

彡(・)益(・)「いらっしゃいませ」

彡(゚)(゚)「………………」

彡(・)益(・)「なんのご用ですか?」

彡(゚)(゚)「(こいつ……どこかで会ったような……)」

彡(・)益(・)「お客様」

彡(゚)(゚)「あぁ。ワイはチックフーズのワイっていうもんや」

彡(゚)(゚)「店長出してくれへん?」

彡(・)益(・)「…………少々お待ち下さい」

92: 名無しさん@おーぷん 19/09/24(火)21:07:27 ID:Hcm
===

彡(・)益(・)「店長。例の会社の社長が来ましたよ」

( ▼皿▼)「おお。待ってたで。どんなやつや」

彡(・)益(・)「そうとう肝の座ったやつですね。顔色一つ変えず「店長出せ」と……」

( ▼皿▼)「おーおー面白いやないか」

( ▼皿▼)「おい!」

(^o^)「はい!」

( ▼皿▼)「この茶ぬるいぞ!!!何回言うたら分かんねん!」

(^o^)「すみません!」

( ▼皿▼)「コトが住むまでお前はウチでタダ働きや」

(^o^)「ひぃ……」

( ▼皿▼)「でもな、ええこと教えたる」

(^o^)「はい……」

( ▼皿▼)「おまえんところの社長が助けに来てくれたで」

(^o^)「!!!」

( ▼皿▼)「良かったなぁ」

(^o^)「…………」

( ▼皿▼)「通せ」

彡(・)益(・)「はい」

94: 名無しさん@おーぷん 19/09/24(火)21:18:02 ID:Hcm
彡(゚)(゚)「こんにちは」

( ▼皿▼)「おう!社長さん。まぁ掛けなさい」

(^o^)「しゃちょう……」

彡(゚)(゚)「おぉ、君が西本くんか」

(^o^)「……?」

彡(゚)(゚)「あ、いやすまん。先日事故に遭っちゃってね」

彡(゚)(゚)「記憶が曖昧なんだ」

(^o^)「……そうなんですか」

( ▼皿▼)「事故とは不運でしたなぁ?」

彡(゚)(゚)「ええ、それはもう」

( ▼皿▼)「ほんまに何も覚えてないんか?」

彡(゚)(゚)「あはは。すみませんやで」

彡(゚)(゚)「それはさておき……」

彡(゚)(゚)「あなた……どこかで拝見したような……」

( ▼皿▼)「俺は知らんぞ」

彡(゚)(゚)「まぁいいや。ところでウチの西本が迷惑かけたみたいですみませんでした」

( ▼皿▼)「謝って済む問題じゃないなぁ?」

95: 名無しさん@おーぷん 19/09/24(火)21:23:24 ID:Hcm
( ▼皿▼)「大体金奪われて警察にも行かない我々に対して、誠意のカケラも感じられん」

彡(゚)(゚)「だって受け取らないんだもん」

( ▼皿▼)「で?社長さんはどういうカタチで誠意を見せてくれるんや?」

彡(゚)(゚)「えーっとね、これでどうですか?」

[\10,000,000-]

( ▼皿▼)「!!!」

彡(゚)(゚)「お金で済む問題ではないと思いますが、これでお納め下さい」

( ▼皿▼)「たかだかこんな問題で出しすぎと違うか?」

彡(゚)(゚)「その代わりこの証書に二度と我々と関わりを持たない署名をして下さい」

( ▼皿▼)「この小切手本物やろうな?」

彡(゚)(゚)「えぇ」

(^o^)「しゃちょう……」

( ▼皿▼)「うーむ。その物腰といい、身内を庇うガッツ……」

( ▼皿▼)「気に入ったで」

( ▼皿▼)「お前、ウチの会社の特別役員にならんか?」

彡(゚)(゚)「………………」

( ▼皿▼)「…………どや?」

彡(゚)(゚)「(こういう人間とは縁を切ったほうがいいが……)」

彡(゚)(゚)「(この人にも記憶の手がかりがありそうだ……)」

彡(゚)(゚)「喜んで」

(^o^)「(社長……大丈夫なんですか……?)」

( ▼皿▼)「大した社長さんやわ」

( ▼皿▼)「この小切手はいらん。差額の170万円は今月の役員報酬や」

彡(゚)(゚)「ええんか?」

( ▼皿▼)「ええんやで」

103: 名無しさん@おーぷん 19/09/28(土)22:14:53 ID:uIE
=====

( ゚д゚ )「………………」

( ゚д゚ )「社長……それはマズいっすよ……」

彡(゚)(゚)「なにが?」

( ゚д゚ )「だって相手はヤクザですよ?」

( ゚д゚ )「最近反社とかそういうのうるさいじゃないですか?」

彡(゚)(゚)「別に知らなかったって言えばええやろ」

( ゚д゚ )「うちの法務部から渡した我々に関与しないという誓約書は?」

彡(゚)(゚)「あ、忘れてきちゃった」

( ゚д゚ )「………………」

(^o^)「おまたせしました。社長が好きだった白桃烏龍茶ですよ」

彡(゚)(゚)「なんやこれ、変な匂いやなぁ」

(^o^)「高級品は正義って言ってじゃないですか」

彡(゚)(゚)「高いんかこれ?」ズズズ

( ゚д゚ )「のんきに茶なんかすすってる場合じゃないんですよ……」

(^o^)「でも社長、なんだか前より肝が座ってますよ」

( ゚д゚ )「(ただのアホと思うんだがなぁ……)」

彡(゚)(゚)「別にワイは肝が座ってるとは思わん」

彡(゚)(゚)「ただ、ワイは自分の判断で、自分の人生を生きるのが幸せなんや」

キィーーーーーン

彡(゚)(゚)「(なんやこの感覚は………‥‥‥・・・)」

104: 名無しさん@おーぷん 19/09/28(土)22:16:59 ID:uIE
===回想===

彡(゚)(゚)「でも何だかすんなりモノゴトが考えられるのが嬉しくて」

彡(゚)(゚)「現世ではこれはやっちゃダメ。こんなこと考えちゃダメってのがあったんですけど」

彡(゚)(゚)「ここではそういうのないんですよ」

===  ===

彡(゚)(゚)「(なんの記憶やろか……)」

彡(゚)(゚)「(なんだか徐々に思い出せてるような気が……)」

( ゚д゚ )「社長!」

彡(゚)(゚)「……ん?なんや?」

( ゚д゚ )「どうかされましたか?」

彡(゚)(゚)「ん?なんでもあらへん」

彡(゚)(゚)「おい、西本くん、普通のお茶ないのか?」

(^o^)「え?お気に召しませんでしたか?」

彡(゚)(゚)「なんかワイの舌には合わんわ」

(^o^)「別のをお出ししますね」

彡(゚)(゚)「うむ」

( ゚д゚ )「事故で味覚もお変わりになりましたか?」

彡(゚)(゚)「そうなんやろなぁ?」

105: 名無しさん@おーぷん 19/09/28(土)22:21:19 ID:uIE
(^o^)「はい、こちら左からホンズ玉露、リーサン烏龍、そして」

彡(゚)(゚)「そういうのええから。普通の煎茶ないんか?」

(^o^)「え!社長はこのような高級なものを……」

彡(゚)(゚)「そういうのええねん。普通ので」

(^o^)「はい、失礼しました……」

( ゚д゚ )「…………」

( ゚д゚ )「(味覚だけじゃない気がする……)」

( ゚д゚ )「(この方は本当に社長なのか?)」

( ゚д゚ )「(人が変わったようだ……)」

(^o^)「はい、普通のお茶ですが……」

彡(゚)(゚)「おお、ウマイウマイ。こういうのでええねん」ズズー

106: 名無しさん@おーぷん 19/09/28(土)22:26:38 ID:uIE
短いけどおしまい。
転職活動に感けて2日間お休みしました。

107: 名無しさん@おーぷん 19/09/28(土)23:16:17 ID:uIE
===

彡(゚)(゚)「てなコトがあってなぁ」

(*´∀`)「パパかっこいい!!!」

(*´ェ`*)「解決できて良かったわね」

彡(゚)(゚)「みんな褒めてくれるなぁ」

彡(゚)(゚)「ワイは大したことはしてへんのやが」

(*´∀`)「怖くなかった?」

彡(゚)(゚)「べつに」

(*´ェ`*)「記憶の方はどうかしら?」

彡(゚)(゚)「少しずつ……な?」

(*´ェ`*)「それは良かった……」

彡(゚)(゚)「でもふと疑問に思うんや」

(*´ェ`*)「?」

彡(゚)(゚)「事故に会う前のワイは今のワイと随分違う気がする」

彡(゚)(゚)「右腕の太郎君も、役員の西本君も、ワイの性格が変わってるって」

(*´ェ`*)「変なこと言わないで。あなたはいつだって同じよ」

(*´∀`)「パパかっこいい!」

彡(゚)(゚)「はは、よしよし」

(*´ェ`*)「………………」

108: 名無しさん@おーぷん 19/09/28(土)23:20:44 ID:uIE
(*´ェ`*)「(確かに、見栄っ張りなところが消えた気がするわ)」

(*´ェ`*)「(なんだかとてもニュートラルな感じ……)」

(*´ェ`*)「(気のせいかしらね)」

(*´∀`)「ねぇ……パパ……あのさぁ……」」

彡(゚)(゚)「ん?」

(*´∀`)「…………ううん。なんでもない~」

彡(゚)(゚)「そうか」

(*´ェ`*)「どうしたの?」

(*´∀`)「………………」

彡(゚)(゚)「なんや、言いたいことがあったら言うてみぃや」

(*´∀`)「なんでもな~い」

彡(゚)(゚)「変なやつやな。しかし、そのぬいぐるみ気に入ってるなぁ?」

(*´∀`)「うん!!!」

彡(゚)(゚)「いきなり元気になったなぁ?」

彡(゚)(゚)「今度そのぬいぐるみ買いに行こか?新しいやつ」

(*´∀`)「いいの!?」

彡(゚)(゚)「あぁ、別に構わんで」

(*´∀`)「実はね、私……」

彡(゚)(゚)「なんや?」

(*´∀`)「サンリオ・ピューロランド行きたい!」

彡(゚)(゚)「おう、いこうや!」

(*´∀`)「!?」

(*´∀`)「やったー!!!」

109: 名無しさん@おーぷん 19/09/28(土)23:22:56 ID:uIE
(*´ェ`*)「まぁ、良かったわねぇ」

彡(゚)(゚)「えらい喜びようやな」

(*´ェ`*)「あなた、この前は「あんな場所に連れて行くくらいなら勉強しろ」って言ったじゃない」

彡(゚)(゚)「ワイはそんなに教育熱心なんか?」

(*´ェ`*)「そうでもないわよ」

(*´ェ`*)「そういう所に行くのが恥ずかしかったんじゃない?」

(*´ェ`*)「あなたハメ外せない人だから……」

彡(゚)(゚)「ワイは親やで?関係ないやないか」

彡(゚)(゚)「子供のためについていく。ワイは居るだけでええんや」

(*´ェ`*)「まぁ。そう言ってくれると私も嬉しいわ」

110: 名無しさん@おーぷん 19/09/28(土)23:32:46 ID:uIE
(*´∀`)「♪」

彡(゚)(゚)「(職場といいヤクザといい、家族以外の記憶は戻りつつある)」

彡(゚)(゚)「(しかし、なぜ一番大切な人間の記憶が戻らへんのや?)」

(*´∀`)「パパ~!」

彡(゚)(゚)「(でも子供はかわええもんや)」

彡(゚)(゚)「なんや、そんなに楽しみなんか?」

(*´∀`)「うん!ずっと行きたかった!」

彡(゚)(゚)「…………」

彡(゚)(゚)「(ワイはこんなに可愛い娘の記憶が戻らないままなのやろか)」

(*´ェ`*)「あなた、お茶よ」

彡(゚)(゚)「おう、ありがとう。げ、会社で飲んだのと同じや」

(*´ェ`*)「そうよ。あなたの好きな白桃烏龍茶」

(*´ェ`*)「愛情込めて注いだわ」

111: 名無しさん@おーぷん 19/09/28(土)23:32:56 ID:uIE
彡(゚)(゚)「……そうか。ありがたく頂くで」

彡(゚)(゚)「(味はともかく、ワイは幸せ者やな)」

(*´ェ`*)「どう?」

彡(゚)(゚)「あぁ、とても美味いで」

(*´ェ`*)「あなたさっき「人が変わったようだって言われる」って言ってたじゃない?」

彡(゚)(゚)「あぁ、それがどないしたん?」

(*´ェ`*)「あなたいつも忙しくしてて……その構ってくれないっていうかね?私今幸せよ」

彡(゚)(゚)「それはこっちも同じやで、ありがとうな」

(*´ェ`*)「記憶、早く戻ると良いわね」

彡(゚)(゚)「あぁ」

(*´ェ`*)「さ、そろそろ寝ましょ」

(*´∀`)「サンリオ・ピューロランド!」

(*´ェ`*)「今日は寝るのよ」

(*´∀`)「はーい!」

引用元: 彡(●)(●)「あかん……歯が死ぬほど痛い……」