1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 21:51:18.949 ID:AyB3wW/O0.net
王「勇者よ、頼んだぞ」

勇者「はい、必ずや魔王を討ち滅ぼしてみせます!」

姫(250cm220kg)「待って勇者様!」

勇者「姫、どうしたんだ」

姫「私も連れていって……!」

勇者「それはダメだ! 君が来てしまったら……!」

姫「ただ待ってるだけなんて嫌! 私だって戦える!」

勇者「姫……!」

9: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 21:54:23.071 ID:AyB3wW/O0.net
姫「お願い! 私も連れていって!」

姫「でないと私……! 寂しさでどうなってしまうか……!」

勇者「分かったよ、姫」

勇者「ただし一つ約束してくれ。同行するのはいいが、君は決して戦ってはならない」

勇者「君が戦ってしまったら、僕は勇者失格になってしまうから……」

姫「分かったわ! 私は戦わない! 約束する!」

勇者「ならいいけど……」

12: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 21:57:44.298 ID:AyB3wW/O0.net
―村―

村長「おお、これはこれはお強そうな勇者様と姫様じゃ」

村長「この村では昔から、近くの洞窟の主に多くの作物、時には生贄まで要求されておりますのじゃ」

村長「どうか助けて下され……!」

勇者「分かりました」

勇者「この僕が洞窟の主を倒し、この村の人々を救ってみせます!」

勇者「さあ行こう、姫。ただしずっと僕の後ろにいなきゃダメだよ」

姫「はいっ!」

15: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:00:10.681 ID:AyB3wW/O0.net
―洞窟―

洞窟の主「なんだお前たちは……」ズシン…

勇者「魔物め、永らく村の人々を苦しめてきた罪、今こそ償う時だ!」

姫「行くわよ!」ダッ

勇者「えっ」

姫「ぬぅんッ!!!」


ボッ!!!


姫が放った右拳は、鱗に覆われた巨大な魔物である“洞窟の主”を、跡形もなく四散させた。

19: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:03:13.440 ID:AyB3wW/O0.net
グチャ… ビチャ…

勇者「……」

勇者「姫!」

姫「は、はいっ!」

勇者「あれほどいったのになんで戦ってしまったんだ! 君は戦うなといっただろう!」

姫「ごめんなさい、つい……」

勇者「次からは気をつけてくれよ。分かったね!」

姫「はい……」

20: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:07:06.293 ID:AyB3wW/O0.net
―山―

勇者「この山には山賊が出るらしい」

姫「まあ、怖い……」

勇者「君は絶対手を出さないように――」

勇者「――あ」

姫「山賊だわ!」

山賊A「!」ビクッ

山賊B「!」ビクッ

21: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:09:08.108 ID:AyB3wW/O0.net
山賊A「ひ、ひいいいい……! なんだありゃ……!」

山賊B「絶対勝てねえ……!」

山賊たち「もう二度と悪いことはしませぇぇぇぇぇん!!!」ドドドドドッ



姫「……あらやだ、私たちを見ただけで逃げていったわ」

姫「どうしてかしら?」

勇者「さぁ……」

22: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:13:48.054 ID:AyB3wW/O0.net
―城塞都市―

市長「おお、勇者様! 各地でのご活躍は耳にしております」

市長「今この街は魔物の大軍勢に狙われており、まもなく総攻撃が始まるでしょう」

市長「とても常備兵だけでは守り切れません! 力をお貸し下さい!」

勇者「もちろんです」

勇者「魔物の軍勢など、僕の手でやすやすと打ち破ってみせましょう」

勇者「姫はこの市庁舎で休んでいて……」

勇者「あれ、姫!?」キョロキョロ

23: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:16:17.958 ID:AyB3wW/O0.net
ウジャウジャウジャウジャウジャ… ウジャウジャウジャウジャウジャ…

ギャァァァァス! グジュグジュグジュ… グオォォォォォ! ワサワサワサワサ…



姫「来たわね、魔物の軍勢」

姫(数はざっと一万……ってところかしら)

姫「破ァァァァァ……」コォォォォォ…



呼吸を整える姫。体内に莫大なエネルギーが蓄えられる。

25: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:18:41.119 ID:AyB3wW/O0.net
姫「勢ィィィ!!!」



ズオオオッ!!!



姫の両掌から放たれた闘気の奔流。

紅き光は瞬く間に万の侵略者を消し飛ばし、塵と化した。



後に残るのは、地表が大きくえぐれた地平線だけであった――

29: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:23:35.113 ID:AyB3wW/O0.net
―魔王城―

魔王「四天王よ、揃ったか」

魔王「勇者の進撃により、我が魔王軍の部隊が次々と敗れ去っておる!」

魔王「貴様らの手で、なんとしても勇者を葬り去るのだ!」

鉄巨人「オレ様の怪力で叩き潰してやりましょう!」

火炎竜「勇者如き、ワシが焼き尽くしてくれるわ」

闇術士「ククク、お任せ下さい……いかなる力も“闇”の前には無力……」

暗黒騎士「吾輩の剣に斬れぬものはありませぬ」

31: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:26:19.040 ID:AyB3wW/O0.net
鉄巨人「オレ様は魔王軍四天王の一人、鉄巨人! 勇者、お前を捻り潰してやる!」

勇者「ついに現れたな、四天王!」

姫「ここは私がやるわ!」バッ

勇者「えっ」

鉄巨人「アイアンパーンチ!!!」


ドゴォンッ!!!


鉄巨人の巨拳が、姫の全身に炸裂した。

33: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:29:01.158 ID:AyB3wW/O0.net
姫「まるで蝿が止まったかのようだわ」

鉄巨人「な……!?」

姫「むんっ!」グググッ…

鉄巨人「や、やめ……! ひぎゃああああ……!!!」


ベキッ! ゴキッ! ボキッ! コネコネコネ…


姫「できた、鉄球!」

勇者「ああ……」



鉄巨人は姫の腕力によって、こねられ丸められ、巨大な鉄球にされてしまった。

34: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:32:34.325 ID:AyB3wW/O0.net
火炎竜「鉄巨人を倒しおったか……勇者。下等生物にしてはやるようじゃのう」

火炎竜「ワシの火炎吐息を受けてみよ!」

勇者「来い!」

姫「私が戦う!」

勇者「あっ」


ゴォワァァァァァッ!!!


数千度を誇る火炎が、姫をくまなく包み込んだ。



火炎竜「フハハハ……! 骨も残らぬわ! さあ次は勇者がこうなる――」

35: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:35:43.277 ID:AyB3wW/O0.net
姫「あーあ、お肌が日焼けのようになってしまったわ」プスプス…

火炎竜「……なにい!?」

姫「お肌が荒れたらどうするの!」



バチィンッ!!!



姫の張り手(ビンタ)によって、火炎竜の頸部は360度捻じり曲がり――


ズズゥン…


そのまま息絶えた。

38: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:39:52.490 ID:AyB3wW/O0.net
闇術士「ククク……いかな力や技の持ち主でも我が術の前では木偶と化す……」

勇者「面白い……どんな術か見せてもらおうか!」

姫「まず私に見せて!」ダダダッ

勇者「ちょっ」

闇術士「愚かな……。闇よ、あの者を縛りつけよ!」



ズオォォォォォ……!



漆黒の闇が姫にまとわりつく。

この術が完全に決まってしまえば、たとえ巨人や巨竜の類ですら身動き一つ取れなくなるのだ。

40: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:42:10.269 ID:AyB3wW/O0.net
姫「喝ッ!!!」


ボンッ!!!


闇はあっさりと弾かれた。


闇術士「えっ」



――と同時に、姫の気合によって生じた衝撃波で、闇術士もまたこの世から弾かれた。

41: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:45:46.456 ID:AyB3wW/O0.net
暗黒騎士「会いたかったぞ、勇者よ……。四天王をことごとく打ち破るとは大したもの」

暗黒騎士「この海や大地をも切り裂く暗黒剣で……貴様の命をもらい受ける」

勇者「勝負だ!」

姫「私だって戦える!」ダッ

勇者「姫ぇ!」



暗黒騎士の大地をも割る“暗黒斬”が、姫の首を直撃した。

42: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:48:23.935 ID:AyB3wW/O0.net
パキィンッ!


暗黒騎士「ば、馬鹿な……!」

暗黒剣はガラスのように砕け散った。

姫「笑止!!!」



ザンッ!!!



次の瞬間、姫の手刀によって暗黒騎士は脳天から左右に分断されてしまった。

46: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:54:14.649 ID:AyB3wW/O0.net
―魔王城前―

勇者「ついにここまでたどり着いた……」

姫「空は黒い雲に覆われてるわね」

勇者「姫!」

姫「なにかしら?」

勇者「危ないから魔王城には絶対入ってはダメだよ。これだけは絶対守ってもらう!」

姫「……分かったわ! 絶対入らない!」

48: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 22:56:34.130 ID:AyB3wW/O0.net
姫「だから、魔王城を持ち上げて……」グイッ

姫「太陽へ!」ポイッ



ジュッ…



勇者「あ……」

勇者(暗雲が晴れていく……魔王が死んだ証だ……)

勇者(結局、最初から最後まで姫が戦ってしまった……)

51: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 23:00:34.397 ID:AyB3wW/O0.net
勇者「姫ぇぇぇっ!!!」

姫「どうしたの?」

勇者「なぜこんなことするんだ! 自分ばかり戦って! あんまりじゃないか!」

姫「!」ハッ

姫「ご、ごめんなさい……私ったら……」ウルッ

勇者(涙……)

勇者「ごめん、言いすぎた。君だって一生懸命やってくれたというのに」

姫「勇者様……!」

勇者「姫……!」

姫「大好きっ!!!」

ギュッ!!!

56: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/09/30(月) 23:03:19.179 ID:AyB3wW/O0.net
バキボキベキゴキバキボキベキ…

勇者「あ……」

姫「ご、ごふっ……!」

姫「さすが……勇者様……。私より……大きく、重く……そして強、い……」ピクピク

勇者「姫ぇっ!!!」

勇者(しまった! つい抱き締めすぎて、姫の骨を砕いてしまった!)

勇者(こんなか弱い姫をずっと戦わせてしまったなんて、やっぱり僕は勇者失格だ!)







― 完 ―

引用元: 勇者「君は来るな!」姫(250cm220kg)「嫌っ!私だって戦える!」