1: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 17:20:27 ID:???00
<ワイワイガヤガヤ…


かのん「……すごい人」


暑いかと思ったら寒くて、かと思えばたまに湿気が混じり出す夏の入口

19時からの約束は15分過ぎて、通り過ぎる人に彼女を探す

主を待ち続ける石で出来たわんちゃんと一緒に、おんなじ様にただ待ち続ける

運ばれてくる湿気はきっとそこ行く人からの熱気で、まだ少しだけ早い夏を思い起こさせる


かのん「……喫煙所いこ」


そう口をついて出たからには足を動かしたいのに、バイトの疲れから1度座り込んだ体は案外動こうとしてくれない

だって、あの交差点渡るのダルいし


かのん「……」


<ワイワイガヤガヤ…

2: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 17:23:12 ID:???00
ここで吸っちゃおっかな……周りがやってるから私も。なんて、そんな邪な考えがふっと過ぎったころに


かのん「……!」


多分、予想より人が多くて逐一かき分けてきたんだろう
いつも整ってる髪が少し乱れてて

多分、まだちょっと寒いと思ってギリギリ冬用の上着を着たんだろう
失敗したって顔しながら、少しの汗をかいてて

いつも予想を超える人混みと喧騒の中から、つい振り向いてしまいそな花の香りの持ち主が、人の波をかき分けて───


すみれ「……ごめん、待った?」


かのん「ううん……ぜーんぜん!」


でもホントは、何より早く会いたかったんだ!


https://youtu.be/JcnzBHOubcA?si=_mDsS6rrtj2O_Fyj



────

4: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 17:26:14 ID:???00
かのん「……どうしたの?遅れるの珍しいじゃん」


すみれ「電車止まったのよ、点検だかなんだかで。ごめん」


かのん「すみれちゃんのせいじゃないからいーよ。早く行こ」


すみれ「取り敢えず、コンビニ寄っていい?タバコ切れそうなの」


かのん「あ、私も。行こ行こ」


<ワイワイガヤガヤ…


すみれ「……センター街通るわよね」


かのん「うん。1番近いコンビニってそこじゃない?なんで?」


すみれ「ちょっと前にさ、店とかのゴミがまとめて置かれてる……あの街灯あるじゃない?」


かのん「まだ時間早いから無いね。朝方か」


すみれ「そうそう、もう空が白んできたくらい。その時ゴミに頭から突っ込んで寝てる人いて、それを大爆笑しながら携帯で撮ってる人見てから」


すみれ「『あっ、ここ苦手っ』ってなったの」


かのん「あはは!ごめん、正直私も撮るかもそれは!笑」


すみれ「いやそれは面白いのよ?面白いんだけど、ゴミ突っ込みさんとは無関係な陽キャ?の雰囲気が嫌だったの。うっるさくてさ」


かのん「あーね。私もただ騒いでるだけで笑ってる様なのはあんま好きくないかな」


すみれ「そうよね、苦手なのよ」


<ウィーン


<ラーシャーセー


すみれ「じゃあちょっと買ってくるわ」


かのん「ほーい」

5: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 17:30:11 ID:???00
店員「らーしゃせ」


すみれ「えーと、9番と…28番ください」


店員「あいーす。お間違えござんせんかー」


すみれ「大丈夫です」


店員「あっす。1110円っす」


すみれ「auペイで」


店員「バーコードおねしゃーす」


ピロリン


店員「あーしたー」


すみれ「どうも」


<かのん「Suicaでお願いしまーす」


<店員「ありがとうございましたー」


すみれ「先外にいるわ」


かのん「あ、もう出るよー」


<ウィーン

7: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 17:33:27 ID:???00
すみれ「ほれ」


ポイッ


かのん「うわっと!びっくりしたぁ」


すみれ「テリアのブラックメンソよね?」


かのん「え、いいの?」


すみれ「遅れたお詫び。どうぞ」


かのん「わーい!じゃ、お返しにどーぞ」ガサッ


すみれ「……ストゼロて」


かのん「渋谷で飲むんだよ?ぶっ飛ぼうよ。え、明日は?」


すみれ「………はいはい、休みですよ!もう!!」カシュッ


かのん「いやっほい!!」カシュッ


グビー


すみれ「……っ、ぷっはぁ!あーもうほんっと地獄の始まりね!」


かのん「お互い明日休みで、こんなうるさい渋谷にいて、飲まずにはいられませんよ!」


すみれ「ごく……てかいいの?どっか店とか行くんじゃないの?」


かのん「基本高いんだよなぁ。もう飲み放の時間とか大体過ぎてるしさ」ゴクッ


すみれ「まあ、確かにね」


かのん「どっか行きたい?」


すみれ「だって流石にずっと外でストゼロかっ喰らってる訳にゃ行かなくない?それじゃ、さっき言った陽キャ(笑)と同じよ」ゴクッ


かのん「それは嫌かも!じゃー、取り敢えずテキトーにどっか行こっか!」


すみれ「はーい」


────

8: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 17:37:06 ID:???00
《博多料理居酒屋》


<イラッシャイマセー!


かのん「よいしょっと」


すみれ「ごめんかのん、上着かけてもらっていい?」


かのん「はいよー。てかミスったでしょ?」


すみれ「いや今日寒いと思ったのよ。そう言えばこの人混みの事、何にも考えてなかったわ」


かのん「分かるなぁ。気温自体は低いしね、そりゃ着るよ。あ、何飲む?タブレットどーぞ」


すみれ「ん、ビールかな……瓶で」


かのん「瓶派なんだ、すみれちゃん」


すみれ「ちゃんとサーバー洗浄してるとこならジョッキでいいけどね。その確率が低い今日この頃なら、瓶の方が安心よ」


かのん「あーね?確かに言われてみれば、瓶なら味は一定か……覚えとこ」


すみれ「それと……つまむのは?」


かのん「えだまめ!ポテト!きゅーり!」


すみれ「ギリギリガキね。私は……あ、ごまさば良いわね~。エイヒレも久しぶりだわ……」


かのん「…すみれちゃんはギリどころかジジィじゃん」ボソッ


すみれ「あんですって~~~っ?」ムニー


かのん「みへのなはへほっへはつままらいへくらはい(店の中でほっぺたつままないで下さい)」


すみれ「よし、送信と……」ピッ

9: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 17:40:03 ID:???00
かのん「どう、今日も疲れた?」


すみれ「服屋はねぇ。楽な時もあるんだけど、忙しい時がいつ来るか読めないからさ」


かのん「私はいつもいい感じの時間に抜けるからなぁ。ま、カフェなんて夜は混まないんだしいいよね」


すみれ「そっか、まだカフェか」


かのん「そーだよ?」


すみれ「何で実家のカフェで働かないの?」


かのん「うん、一人暮らししといて実家で働く意味ある?」


すみれ「あ……」


かのん「完全に忘れてたでしょ今」


すみれ「ごめんなんか……普通に忘れてた。実家暮らしじゃなかったわね、そうそう、仕事で知り合った友達と勘違いしてたわ」


かのん「仕事、ね。どうなのそっちこそ」


すみれ「ん?まあ、相変わらず全然ね」


<店員「失礼します、瓶ビールとお料理お持ちしました」


かのん「ありがとうございます、貰います」


<店員「ごゆっくりどうぞ」


すみれ「枝豆置いとくわね」


かのん「ありがと。ほれ」スッ


すみれ「あどーもどーも」


トクトクトク…


すみれ「おとと……じゃ」スッ


かのん「あざまーす」トクトク…


すみれ「……では」


かのん「乾杯はストゼロだったけど、改めて」


かのすみ『かんぱーい!』


キンッ


ーーーー

10: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 17:43:11 ID:???00
かのん「ぐびっ……ぷはっ、だからぁ!その事務所の子ってだれ!!」


すみれ「5回目よ。撮影で知り合った子だて5回言ってる」ゴクッ


かのん「あそっかぁ……5回も聞けば覚えるよ」


すみれ「うん、覚えてマジで。5回言うのはダルい」


かのん「……遊んだりすんの?」


すみれ「まあ何度かご飯とかね。住んでんのもこの辺らしいしさ。かのんと同じね」


かのん「じゃあ……朝方の渋谷でって話してたやつ、その子といた時?」


すみれ「そうなのよ。撮影が渋谷のスタジオでね、早く終わったから2人で飲み行ったの。演技についてとか、好きな映画ドラマの話が盛り上がって」


かのん「……」プクー


すみれ「そんで気付けば朝4時過ぎになってて……あら膨れてる、何で?」


かのん「ビールの泡の真似」


すみれ「ああ…何で急に」


かのん「……」グビッ

11: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 17:46:22 ID:???00
<アリガトウゴザイマシター


かのん「ああ、外の風が気持ちいいや……」


すみれ「結局あの後日本酒2合行ったわね。アンタも大概強いの忘れてたわ」


かのん「こっちのセリフ。あの後ずーーーーっとメロンサワー飲んでたじゃん」


すみれ「あんまり色んな奴飲まないから、私。1度決めたらそれ飲み続けるタイプ」


かのん「私と違ってNotちゃんぽんスタイルなんだねぇ……」


すみれ「……ねぇ、かのん」


かのん「…んう?」


すみれ「……煙草吸わない?」


かのん「……ほいほい」


《渋谷センター街、22時前》


ーーーー

12: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 17:49:55 ID:???00
テクテク…


すみれ「ふー……流石に平日だからか、もうあんまり人いないわね」


かのん「んね、いつもテッペン超えてからまばらになり出すのに……何か、この感じは好きかも」フー


すみれ「人のいない渋谷か……うん、何か空気が澄んでる気がする」


かのん「ダルい陽キャいないからね!笑」


すみれ「そうそう、ぶっちゃけ今の私らの方がダルいと思うけど!笑」


かのすみ『あはは……!』


テクテク…


かのん「ふー……いやぁ悪いね、今の私達」


すみれ「……んー?そう?gloだから許して欲しいかな。今だけは」


かのん「歩きタバコに変わりないじゃんっ」


すみれ「吸殻捨てないからだいじょぶだいじょぶ」


かのん「あはは……」

13: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 17:53:47 ID:???00
すみれ「…てかさ」


かのん「んー?」


すみれ「……電車は?」


かのん「…帰りたい?」


すみれ「……全然」


かのん「…じゃ、まだ一緒にいよ?」


すみれ「……ん」


かのん「にひひー」


すみれ「……ふふ」


かのん「………あ」


すみれ「どしたの?」


かのん「…バイト先の子がさ、あれ、ダーツハマってて」


すみれ「……ああ、ダーツバー?」


かのん「ちょっと行ってみない?」


すみれ「良いわよ。ずっと外にいんのもアレだしね」


────

14: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 17:56:25 ID:???00
《ダーツバー デルタ》


店員「いらっしゃいませ!2名様ですか?」


かのん「はい、空いてますか?」


店員「ご覧の通りすっからかんです。どうぞ、お好きな席に!」


すみれ「ラッキーね。じゃあ、あそこの席で」


店員「はーい!お飲み物決まったら呼んでくださいねっ」


かのん「はぁい……」


<トテテー


かのん「……明るい人だ」


すみれ「暇過ぎてテンションおかしくなったんじゃない?」


かのん「あーあるある。何か言いながら仕事しちゃう時とかある」


<「……走り出す…べりべりぃとれいん…あーまーくて~…」


すみれ「…だってもう歌ってるもん」


かのん「あははははっ!笑」


すみれ「ふふ……さてと、どうしようかしら。アンタは?」


かのん「あーおっかし……あ、じゃあシャンディガフで」


すみれ「ん。私は……カシオレね。すいませーん」


<トテテー

15: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 17:59:27 ID:???00
店員「はぁい♡お決まりですかぁ?」キラキラー


すみれ「んふっ……(笑)えと、シャンディガフとカシオレ下さい」


店員「かしおれと、しゃんでぃがふ……はぁいっ♪」


かのん「元気だなぁ……えっと、ことりさん?」


ことり「あ、はい!ことりです!ネームカード、可愛く描けたんですよっ」スッ


ーーーーーー
♪ことり♪
ダーツ歴 ひみつ♡

(・8・)
ーーーーーー


すみれ「ことりさん、ね。歴は秘密なの?」


ことり「年齢の推測されたくないですもん!」


かのん「成程ね…」


ことり「ふふ、じゃあ少々お待ち下さいねっ♪」


<トテテー


かのん「明るいなぁ……」


すみれ「じゃ、飲み物来るまでちょっと打つかな。アンタもやる?」


かのん「すみれちゃん、ダーツやってるの?」


すみれ「……実はカードも持ってるくらい」スッ


かのん「え!?あ、ガチ勢って奴!?知らなかったんだけど!」


すみれ「最近ハマったというか、友達の影響でやり出しただけよ。カードもノリで作っただけだしね」チャリーン


かのん「……その友達って」


ピッ

17: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:02:39 ID:???00
すみれ「ん?てか何なら……」ガサゴソ


かのん「え!?それってまさか……!」


すみれ「マイダーツでーす。まいぷれしゃす」


かのん「ガチ過ぎるでしょ!!」


すみれ「何かカッコイイじゃない、ダーツって」


かのん「それは分かるけど…」


すみれ「取り敢えず……カウントアップね」ポチポチ


かのん「なんそれ…」


<『GAME ON』


すみれ「24回投げて、なるべく高い点数取るだけよ」ヒュッ


<ドォン…!


かのん「ど、ど真ん中……ッ!!?」


すみれ「もう酔ってんだけどね。今日いいかも?」ヒュッ


<テテテン!


すみれ「ありゃ、1トリプル」ヒュッ


<テン!


すみれ「うーん20。まあまあまあ……」


<『NICE ONE!』


<『ROUND 2』

18: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:05:51 ID:???00
かのん「……」スッ


すみれ「どう?やっぱやってみると面白いわよ」ヒュッ


カシャッ>


すみれ「え?」


かのん「……あ、前向いててくださーい」


すみれ「何で撮ってるのよ……」ヒュッ


かのん「割とかっこよかったからでーす」


すみれ「……!」ヒュッ


<ビシッ


かのん「…外してやんの」


すみれ「……うっさい」


<『LOW TON』


ことり「お待たせしましたぁ♡シャンディガフとカシオレですっ!」


かのん「おっと、ありがとうございます」


ことり「あっごめんなさい、タイミング悪かったかな」


かのん「いやいや、今……5ラウンド?目なんで、すぐ終わりますから」

19: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:08:42 ID:???00
ことり「お姉さんはやらないんですか?」


かのん「私?私はなぁ、実はやった事無くて。何となく入っただけなんですよね」


ことり「お友達はやる人なんだね。教えてもらいなよ!」


かのん「あーね……まさかやってるなんて知らなかったしなぁ」


<ドォン…!!


すみれ「あっ…」


<『FINISH』


すみれ「っああぁ~!越えられない600の壁ぇー!!」


かのん「うわびっくりした。こんなんなるほど越えられないもんなの?」


ことり「600なら中級者をもうすぐ卒業ってとこかな?お姉さん、今のレーティングどれくらい?」


すみれ「私?えーと……8ね」


ことり「おおう!うんうん、もう少しで上級者さんだねぇ」


かのん「ぜーんぜんわかんない。私は1とか?」


すみれ「分かんないわよ?案外才能あるかも…ことりさんは?」


ことり「ことりでいいよっ。ことりはねぇ、えっとぉ……14かな。幼なじみはもっと上だけど」


すみれ「……自信なくすわぁ……」


かのん「そ、そんなに?……ま、まあまあ!取り敢えずほら、乾杯乾杯!」


ことり「おっと、長々居座り過ぎちゃった♪ごゆっくり♡」


<トテテー

20: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:11:03 ID:???00
すみれ「そうね、うん、取り敢えず乾杯ね!」


かのん「ほいほい、乾杯!」


キンッ…


すみれ「……ん、おいし」


かのん「ぷはぁ……」


すみれ「丁度いい塩梅だわ。たまに配分エグいのあるから……」ゴクッ


かのん「……」スッ


すみれ「…どう、そのダーツ。重い?」


かのん「うん……案外」


すみれ「私は重いのが合ってて。軽いのも良いけど、こっちのが好きね」


かのん「……ダーツ、教えてもらったの?」


すみれ「そうそう。その友達がまたハマりやすい子でね。Ltubeで見たからってやりたくなったんだって」


すみれ「んで、前にご飯ついでにダーツバー行ってからお互い結構ハマったって感じかな。狙ったとこ入ると、成長が実感出来て良いのよ」


かのん「ほーん…すいません、同じの下さーい」ゴクッ


<「はーい!」


すみれ「演技のレッスンとかワークショップは長い目で見ないと成長が分かんないけど、これは根詰めてやれば結構伸びが分かるからね。あ、私も同じのを」


かのん「…貸して、ダーツ。やるから」


すみれ「え?良いけど。これ初心者には重いかもしれないわよ?」


かのん「大丈夫大丈夫、変わんないよ。カードも貸してねっ」チャリン


<ピッ

21: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:13:59 ID:???00
かのん「何かいっぱいモードあるなぁ…まあなんでもいいや」ペシッ


すみれ「…かのん、それオンラインバトルよ」


かのん「え?」


<『301』


<『VS 【LOVE ARROW】』


かのん「う゛ぇ!?もしかして強い人?!てかカメラまであんの!?」


すみれ「…レーティング、非表示にしてる……まあ、頑張んなさい。ほらお辞儀をするのよ」


<ペコッ


かのん「あはい…まあ、頑張ります」ペコッ


すみれ「かのんが先攻よ」


かのん「よし……ていっ」ヒュッ


<テテン


すみれ「おっ、20ダブル。幸先良いじゃない」


かのん「何だっけ、外側のラインが2倍なんだっけ?」


すみれ「そ。中側のラインが3倍。頑張って狙いなさい」


かのん「よっしゃ!」


<テテン


<テン!


かのん「…1ダブルと5点……あれ、私やっぱ才能無い…?」


すみれ「まだ第1ラウンドよ、諦めちゃダメ!」


かのん「ぴぇ……」


<『PLAYER CHANGE』

22: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:17:04 ID:???00
すみれ「ほら、多分だけど上手い人だからしっかり見とくのも手よ」


かのん「おっけ、ガン見する」


すみれ「ガン見はすな」


<テテテン!


<テテテン!


<テテテン!


<『TON 80』


すみれ「」


かのん「」


ことり「失礼しまーす♡おかわりのシャンディガフとカシオレで……あれ?!海未ちゃん!?」


すみれ「……え、知り合い?」


ことり「さっきちらっと言った幼なじみですっ!」


かのん「あのめっちゃ上手いって疑惑の人!?」


ことり「趣味でやってるのに腕前は普通にプロだよ。あぁ、今川崎店にいるのかぁ」


かのん「」


すみれ「とんでもないのとマッチングしたのか。持ってるわねぇ~アンタ」


かのん「何で初戦からチャンピオン相手なの!?ポケモンなら御三家選んで外出たらアルセウスいるみたいなもんじゃない!?知らないけど!!」


すみれ「そんな事もあるのよ。いや~ダーツって面白いわねぇ」


かのん「これはあんまりなんじゃない!?」


ことり「あはは……あ、おーい海未ちゃーん!」フリフリ


<『……!?──!!?────!?』


すみれ「分かりやすく驚いてる…」


かのん「目マンマルだ…」


《渋谷、0時を過ぎて》


────

23: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:20:46 ID:???00
<ことり「また来てくださいねー♡」フリフリ


すみれ「どうもありがとねー」フリフリ


かのん「初めてのダーツなのに初っ端から何であんな事に…」


すみれ「まあまあ。あの後向こうも察してくれたのか手加減してくれたじゃない」


かのん「うれしくないよ!しんけんしょーぶなのに手抜かれてんだよ!?」


すみれ「初心者相手に無双するのも違うじゃない」


かのん「それはそうだけどー」


すみれ「……さてと、いい時間だけどどうする?」


かのん「うーん……またどっかお店入るのもねぇ」


すみれ「…」


かのん「…あのさ」


すみれ「ん?」


かのん「……取り敢えず、ちょっと歩こうよ」


すみれ「…ええ」


テクテク…

24: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:23:36 ID:???00
<「あーすげぇ飲んだ…」


<「水買ってこよっかー?」


<「てか終電無くね!?エグいって明日バイトなんだけど!」


<「何とかなる何とかなる!何時からよ?」


<「普通に9時からだよ…」


すみれ「…休みでよかった」


かのん「んね」


すみれ「……どこ向かってるの?」


かのん「駐車場」


すみれ「え?車?飲酒運転?」


かのん「ちゃうわい……あ、ここ」


すみれ「…こんな所に作る意味ある?」


かのん「絶対ミスってるよね。だからだろうけど車も人っ子一人もいないんだよ、ここ。ほら座っちゃお」


すみれ「…ふーん」


かのん「……はい」スッ


すみれ「…どっから出したのよ、それ」


かのん「スミノフってたまに飲みたくなるじゃん。さっきコンビニ行った時買っといた」


すみれ「……グレープちょうだい」


かのん「ん」


すみれ「…」カシュッ


かのん「…」カシュッ


すみれ「じゃ…12時過ぎの澁谷かのんに」


かのん「何それ…」


キンッ…


────

25: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:26:18 ID:???00
すみれ「…それでね、そのドラマの現場にいた撮影スタッフがさ?すんごい面白い人で…」


かのん「どう面白いの?」


すみれ「伝えるべき事は伝えた後、大体小ボケ挟んでくるのよ。人によっちゃイヤかもだろうけど、私らエキストラみたいなもんには良い清涼剤なのよね」


かのん「あはは、人選ぶタイプだ」ゴクッ


すみれ「そうなのよ。私は結構そういう人好きだけどね。面白いしさ」ゴクッ


かのん「…」


すみれ「…」


かのん「……はぁ」


すみれ「…どうしたの?今日」ゴクッ


かのん「何が?」


すみれ「たまに沈むじゃない。居酒屋の時も、ダーツバーの時も……ふと気付けば、下見たりしてさ」

26: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:29:15 ID:???00
かのん「…」


すみれ「気付かないとでも思った?」


かのん「うん。鈍感なすみれちゃんの事だから、分かる訳ないって思ってた」ゴクッ


すみれ「何で?楽しくないの?」


かのん「そういうとこだよ」


ゴクッ


コトッ


すみれ「…?」


かのん「…………嫉妬してんの。撮影で知り合った友達だか何だか。すみれちゃんを取り巻くスタッフ達にすらね」


すみれ「…は?何で」


かのん「…」









すみれ「…ふっ、ちょっとかのん。アンタ何?まさかこのギャラクシーいちの平安名すみれ様が大好きだからって、そんなジェラシーを持っ────」


チュッ


https://youtu.be/w-xQqSpQWXU?si=QJjimVlOUcP0hOrH

27: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:32:28 ID:???00
すみれ「………~~~~~っ!!?///」


かのん「…んむ……///」


パッ


すみれ「っ、はぁ、はぁっ……!///」


かのん「…ごめん。抑えられなかった」ゴクッ


すみれ「な、何、何で…」


かのん「これで分かった?」


すみれ「かの、ん…!」


かのん「ねえすみれちゃん。その友達……好き?」


すみれ「は?!いや、友達としては…」


かのん「ご飯行ったり、飲み行ったり、2人で朝まで話し込んだりしてさ」


かのん「聞いてる方はどうにかなりそうだったよ」


ズイッ


すみれ「……っ!///」


かのん「すみれちゃんは……私の事好き?」


すみれ「す、好きよ…?友だむぐぅ!?」


かのん「やだ、"その言葉"は聞きたくない」


すみれ「……!!」


かのん「すみれちゃんに会うまでは"こう"じゃなかったよ。それは言っとく」


かのん「でもすみれちゃんと過ごしてく内に……"ただの友達"でいたくなくなった」


パッ

28: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:42:15 ID:???00
すみれ「…かのん……」


かのん「…まだお酒あるよ。飲む?」スッ


すみれ「………」


かのん「…いいなら私が飲むから」ゴクッ


ガシッ


かのん「うぇっ」


すみれ「んぐ、んぐ、んぐ……っ!!」ゴクゴク


かのん「ら、らっぱ飲み…!?」


カランッ


すみれ「ぷはぁっ……!!」


かのん「す、すみれちゃん?大丈夫?」


すみれ「大丈夫な訳無い。"親友"が告ってきたら誰でもこうなるわ」


かのん「…!」


すみれ「……何となくは分かってたわよ。私が話す度に気が落ちてンだから、理由は私と誰かに…友達にあるのかなって」


すみれ「…ホントに嫉妬だったとは思わなかったけどね」


かのん「…」

29: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:46:16 ID:???00
すみれ「……本気なんでしょ?」


かのん「聞かなきゃ分かんない?」


すみれ「分かってっから敢えて聞いてんのよ。じゃなかったらキスなんかする?」


かのん「お酒の勢いは否定しないよ。場もムードも弁えてない。タイミングなんかどうだって良かったし」


かのん「でも今、すみれちゃんにこうやって刻み込まなかったら……後悔すると思ったんだ」


すみれ「アンタ…そんな衝動的な人間だったっけ」


かのん「誰のせいかな?」


すみれ「私のせいでしょ」


かのん「……かな」


すみれ「………はぁ」


かのん「嫌いになった?急にキスしてくる友達なんか」


すみれ「…分っかんないのよ。こんな感情……レッスンでも、台本でも見た事ないから」


かのん「…」


すみれ「でも多分、恐らく……きっと」


かのん「…不確定な言葉ばっかり」


すみれ「好きなんだとは思うわ」


かのん「…!!」

30: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:49:49 ID:???00
すみれ「だって自分の中でイヤな気持ちがあったら、キスされた時もっと反発してもいいじゃない?」


かのん「すみれちゃんは優しいから、私を傷付けたくなくて受け入れただけなんじゃないかな」


すみれ「キスしといて何でそこ卑屈なの?好きなんでしょ?私の事」


かのん「……好き。本気で。すみれちゃんの友達に、会ったらビンタするかもってくらい」


すみれ「…いい子だから、やめてあげて」


かのん「……すみれちゃんが私を好きになってくれるなら、やめたげる」


すみれ「何なのよアンタ。弱気になったかと思えば急に強気になったり」


かのん「………もう、分かんない。私はただ、すみれちゃんと離れたくないだけ」


すみれ「…」


かのん「…」


すみれ「…ちゃんと言って。かのん」


かのん「……何、を?」


すみれ「分かってるでしょ。私の目を見て、ちゃんと伝えてくれる?」


すみれ「演技と同じ。目を見て、伝えようって思わなきゃ……何も伝わらないわよ」


かのん「……っ」


ギュッ

31: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:52:45 ID:???00
すみれ「…」


かのん「……私、すみれちゃんが好きです。その……私と、一緒にいて欲しい…です」


すみれ「……」


かのん「…」


すみれ「…ふっ、顔真っ赤よ」


かのん「お酒のせいだもん」


すみれ「そうかしら?今さっきよ、赤くなりだしたの」


かのん「…」


すみれ「……かのん」


かのん「…なぁに」


すみれ「…私で、いいの?」


かのん「…!」


すみれ「まだ全然、胸張って役者って言える様な人間でもない。仕事だってバイトの方がまだまだ多い」


すみれ「撮影だってエキストラばっかりで、私にカメラが向く事も殆ど無い。そんな……何者でもない、私なんて」


すみれ「…あなたの、隣にいていいの?」


かのん「……っ!!」グイッ


チュッ…


すみれ「んぅ………!///」


…パッ

32: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:55:57 ID:???00
かのん「…何者でもなくない、すみれちゃんは……すみれちゃんだよ」


かのん「エキストラだろうが、俳優だろうが…どんなすみれちゃんだとしても!私は平安名すみれが好きなの!」


すみれ「…っ!!」


かのん「私だって分かんないよ。女の子同士で……そういう関係になったらどうなるかなんてさ」


かのん「そういう先の不安とか全部度外視しても、私は……すみれちゃんといたいの!」


すみれ「…分かった、分かったわよ…」


かのん「やだ!何かそういう『しょーがないわねー』みたいなのやだ!!」


すみれ「そういう訳じゃないわよ!アンタの熱意が分かったってのよ!」


かのん「じゃあ付き合って!!」


すみれ「分かったから!宜しく!!」


かのん「ありがとう!!じゃあ……」


すみれ「何、もう…」


かのん「…すみれちゃんからキスして」


すみれ「……っ!」

33: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 18:58:20 ID:???00
かのん「俳優になったらいっぱいするんでしょ。今の内練習しときなよ」


すみれ「その時は、その時でしょ」


かのん「すみれちゃんがそういうシーン演じる事になったら、嫉妬で死ぬよ。その前に、ちゃんとここでキスして」


かのん「悪いけど……今日だけでもすみれちゃんは私の物だよ」


すみれ「…っ、あぁ~もうっ!///コイツほんと酔い過ぎよ…!」


ギュッ


かのん「……力強いよ、すみれちゃん」


すみれ「し、しょうがないじゃない。こんなの、初めてなんだし…!」


かのん「…………ん」スッ


すみれ「…!」


かのん「…」


すみれ「……はぁ…」


スッ…


────

34: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 19:01:16 ID:???00
キコキコ…


警察「君と出会った…この、水の中で…♪」


警察「手を繋いだ~ら~、息をしていた…ただ♪そう思った…♪」


警察「彷徨う、心で♪額合わッ…!!?」


キキッ!!


警察「だ、大丈夫ですか!?お姉さん達!」


かのん「すぅ…」


すみれ「うーん……はっ!!?」


警察「あ、酔ってただけか…びっくりした」


すみれ「す、すいません…!」

35: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 19:04:57 ID:???00
警察「いやいや、何か事件かと思って驚いたよ……おっ、青春だねぇ」


すみれ「え?」


<ギュッ


かのん「…すみれ……ちゃん…」ムニャムニャ


すみれ「…ふふっ、そうですかね」


警察「ちゃんとゴミはまとめてね。気を付けて帰りなさい」


すみれ「ありがとうございます」


<警察「"好き"を持った~日々を~ありの~ままで~…♪」キコキコ…


かのん「…すぅ……」


すみれ「かのん、起きなさい」ペチペチ


かのん「んにゃ……すみれ、ちゃん…?」


すみれ「そうよ。アンタの……"彼女"のすみれよ」


かのん「…えへへぇ、すみれちゃーん」ギュッ


すみれ「寝るな。もう4時過ぎよ。太陽が上がり出してるわ」


かのん「んぇ…」


パチッ

36: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 19:08:57 ID:???00
夏が始まる少し前、暑さはまだまだ鳴りを潜めていて

でもよく降る雨や太陽の昇る早さに否応無く、いつもの様に来る夏を感じ出したこの頃


「…おはよ、すみれちゃん」


「おはよう、かのん。ったく、目が痛いったら…」


私と親友は……いや、大事な人は。これから来る暑い季節を心待ちにしている

だって、夏だよ?色んな色んな楽しい事が待ってる。好きな人と過ごす季節に差は無いけど、1年で1番近付いてくる太陽を浴びる季節が、今はとにかく楽しみで


「取り敢えず、どうする?」


「…うち来なよ。休みでしょ」


「……行くとこも無いしね。お風呂も入りたいんだけど」


「一緒に入る?」


「……そ、それはちょっと早くない?///」


ビルの隙間から差し込む朝日と同じように、頬を染めた顔を見て

外の気温と同じ位、熱くなりだした手を握り締めて


「…ふふ、一緒に帰ろ?」


「……ええ」


何を差し置いても、あなたの隣にいたいんだ


────

37: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 19:09:21 ID:???00
ーCASTー


澁谷かのん


平安名すみれ


南ことり


園田海未(特別出演)


ーMUSICー


https://youtu.be/JcnzBHOubcA?si=_mDsS6rrtj2O_Fyj

(S.A.R. - New Wheels)

https://youtu.be/w-xQqSpQWXU?si=QJjimVlOUcP0hOrH

(さかいゆう - SHIBUYA NIGHT)


ーBased on a Story byー


ラブライブ!スーパースター!!


────

38: 名無しで叶える物語◆ycFG0P4S★ 2025/06/11(水) 19:10:18 ID:???00
警察「青春だねぇ」は私が友達と駅前で酔い潰れてた時言われた言葉です


⬇最新5作⬇

可可「哭憾」

かのん「ちょっと待とうか」 

曜「雨の日のコーヒー」 

かのん「オーディナリー・デイズ」 

すみれ「令和任侠伝 青い菫」

引用元: かのん「太陽がビルを超えて」