1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/05(木) 02:59:21.368 ID:iCE0RBs80.net
先輩「もう二度と私の前には現れないと思っていたんだがな……しばらくはまた、夕日に照らされ孤独な時間を満喫出来ると思っていたんだがね。」

先輩「でもキミはまた、私のいるこの部室に現れた。……不不可思議だ。不可解だよ。キミは……どういう神経をしているんだ?」

先輩「自ら見たものを信じられない盲目者であるというなら、私が直々に否定してあげよう。私は……ヒトの生き血を吸って、生き長らえる存在……いわばキミら人類の敵……吸血鬼と呼ばれる存在だ。」

先輩「長らくは、人知れぬ場所で暮らしていたが……いよいよ私も独立を迫られてしまってね。泣く泣くだが、この人間界で、身分を隠して暮らすことになった…。」

先輩「家族の支えもあってどうにかここに通学出来ることになったが……所詮は温室育ちの軟弱者。いよいよ社会とやらには馴染めなかったらしい。」

先輩「そんな落ちこぼれと波長が合うキミもまた……落伍者だということか。ククッ……お互い苦労するねぇ。」

先輩「で…………なんの話だったか。……ああ、そうそう。そういうわけだから、私はキミを食い物にする、悪い悪魔だということだ。キミの見たものに、間違いはない。」

先輩「さて……私が直接答えを教えてあげたんだ。もはやここにいる必要はあるまい?分かったら……大人しく帰った方が、身のためだ。」

先輩「私はちょうど、腹が減っていてね……新鮮な血ではち切れんばかりのキミのような若者を見ていると…………いてもたってもいられなくなりそうだ。」

先輩「今日は血だけではなく…………肉を食べたい気分だよ、フフフ…。…………さあ、お引き取り願おうか。」

4: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/05(木) 03:08:48.623 ID:iCE0RBs80.net
吸血鬼「……これだけ脅しても、まだ気持ちは変わらないか。……愚かな子だ。」

吸血鬼「言っても分からないというなら…………直接、痛い目を見てもらった方が早いかな……?」

吸血鬼「我々の眼はね……相手の心を麻痺させるんだ。痺れて、動けなくなる…………指一本動かせないだろう?」

吸血鬼「フフ……逃げ出そうとしても、そうはいかない。キミにはお仕置をしないとね…………吸血鬼を怒らせたらどうなるか、その身で味わうといい…。」

吸血鬼「………………。」

吸血鬼「……本当に、どういうつもりなんだ、キミは。邪眼の力はもう解いたはずなのに……なぜ一瞬たりとも逃げようとしない?」

吸血鬼「それではまるで…………自ら進んで、血を差し出しているようじゃないか…。」

吸血鬼「……………まさか、キミは……」

吸血鬼「……フゥ。脅かしても効かない相手に凄んだところで、こちらが愚かに映るだけ、か。……ああ、分かったよ。座って話そう。」

6: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2019/12/05(Thu) 03:20:54 ID:iCE0RBs80.net
吸血鬼「キミは以前から不思議な子だとは思っていたが、いよいよキミのことが分からなくなってきた。キミは大物か?それとも、ただの狂人か?」

吸血鬼「私はヒトの血を吸う吸血鬼。我々は古来からヒトの生き血を啜りながら生きながらえてきた……その過程で、多くのヒトを殺した。」

吸血鬼「そうした歴史の側面は、吸血鬼側と人類側の認識に大きな相違はないように思う。れっきとした、事実だ。」

吸血鬼「となれば、僅かなりとも私のことを恐れても不思議じゃないと思うんだけどね。それなのにキミは……何故私を恐れない?」

吸血鬼「キミは、死にたいのか?私に殺されたいのか?仮にそれが目的だとするなら、やはりキミは狂人だ。心を休め、ヒトの心のあり方を取り戻すべきだと思うよ。」

吸血鬼「……違う?ではなんだというんだ。キミが死にたがりでないというなら何故、私を恐れない?それどころか、私を求めているようにすら見える。…………キミは……」

吸血鬼「…………はあ?」

吸血鬼「私に血を……捧げる?」

吸血鬼「…………なにを……言っているんだ…。」

引用元: 実は吸血鬼だった先輩(♀)「へぇ……私の正体を知ってもなお、私の傍に来てくれるんだね、キミ。」