1: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:13:53 ID:???00
台本形式SSです
時間軸は3期8話直後くらい
おまけでしきとま要素あり

発端はこちらのスレ
急募】冬毬ちゃん入部に際してキャラ被りを警戒する四季ちゃんのSS
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/anime/11224/1749970285/

4: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:15:29 ID:???00
コンコン

メイ「四季。2年生のみんな集めてきたぞ」

四季「どうぞ。入って」

ガチャッ
きな子「お邪魔しますっすー」

夏美「四季から話がしたいだなんて珍しいですの」

メイ「それで?わざわざみんなを集めて、いったいなんの……」


(カーテンで遮光して暗くなった部室)
(眼鏡をかけてゲンドウポーズで座る四季)

きな子「」
夏美「」
メイ「」

四季「本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございます」

四季「皆様に今後のLiella!にかかわる重大なお話をしたいと思い、この場を設けさせていただきました」

メイ「まずこの状況について話してくれ」

6: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:16:24 ID:???00
四季「この前の学祭で、私たちLiella!とトマカノーテが合併して11人で活動することになった」

きな子「っすねぇ。なんだかんだ、11人でまとまることになって良かったっす」

四季「それは私も同じ気持ち。だけど、それに伴い新たな問題が浮上した」

メイ「問題?」


四季「冬毬ちゃんのこと」

夏美「冬毬が?まさか、冬毬と私がまたぎこちなくなるんじゃないかってことですの?」

四季「そこは心配してない。むしろ、私と冬毬ちゃんのこと」

夏美「四季と…?あ!もしかして冬毬と仲良くなれるかが心配なんですの?」

メイ「何だよ、それなら今更心配いらないだろ。同級生とも先輩とも何だかんだ仲良くなれてるじゃないか」

きな子「そうっすよ。不安だったら、きな子たちが二人が仲良くなれるようにお手伝いするっすよ!」

四季「…それとも違う」

メイ「それも違うのか?じゃあ、いったい何だよ」


四季「………被り」

メイ「え?」


四季「私と冬毬ちゃんのキャラが被ってる」


メイ「……」
夏美「……」
きな子「……」


メイ・夏美「は?」

7: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:17:26 ID:???00
四季「考えてもみてほしい。まず、私は静かで口数が少ない」

メイ「まあ、少なくとも騒ぐタイプではないよな」

四季「冬毬ちゃんもそこは結構似ている」

夏美「ああ、それは確かに似てますの」


四季「それと、私は自分で言うのもなんだけど成績は良い方。ダンスも千砂都先輩からお墨付きをもらったし、自信はある」

きな子「確かに、文武両道って感じっす」

四季「冬毬ちゃんも、スクールアイドルとして既にかのん先輩とマルガレーテちゃんの二人に引けを取らないし、この前のテストも100点取ったらしい」

メイ「100点!?」

夏美「冬毬、昔からすごく勉強できるんですの」


四季「あと、私はメイが好き。冬毬ちゃんも、夏美ちゃんっていう大好きな家族がいる」

メイ「お、おう…」

夏美「それを他人に言われると恥ずかしいですの…」

9: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:19:59 ID:???00
きな子「ここまで言われると確かに似てるっすねぇ」

四季「由々しき事態」

きな子「そうなんっすか?」

四季「同じグループでキャラ被りが起こるなんて、お互いのアイデンティティにかかわる重大な問題」

四季「可可先輩が言っていた、同じグループ内でのキャラ被りは人気を分散させかねない悪手だと」

きな子「悪手って、そんな大げさな…」

夏美「でも、可可先輩の意見も一理ありますの。最初からメンバー全員の雰囲気が一貫してるならともかく、Liella!は決してそうでもない…」

きな子「みんな結構性格違ってて個性的っすよね」

四季「同じ属性同士が同グループにいると、人気の分散を招く」

四季「そうすると、冬毬ちゃんの人気に悪影響が出かねない」

メイ「そりゃ…そういわれれば確かにそういう問題はあるかもしれないけどよ」

四季「私一人の沽券はともかく、私のせいで冬毬ちゃんにまで悪影響を与えたくはない」

四季「だから、この危機的事態を解決したいと思っている」

メイ「でも、どうするんだよ?まさかお前がキャラ変するとかじゃないよな?」


四季「Yes」

メイ「は?」

四季「私が冬毬ちゃんとも他のメンバーとも被らないキャラに変わることで、Liella!の危機を救う」

四季「そのキャラのアイデアも考えてきたから、みんなに採点してほしい」

夏美「帰っていいですの?」

四季「この前スマホにつけたクワガタ偵察機をカバン中に敷き詰める」

夏美「お手伝いさせていただきます若菜様」

10: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:21:52 ID:???00
四季「まずはこのキャラ」

『ぶりっ子』

きな子「ぶりっ子って何すか?」

夏美「簡単に言うと、わざと弱弱しくて可愛いふりをする性格のことですの」

メイ「最近は減ってるけど、なんだかんだで需要あるんだよな」

きな子「ほえー」

四季「Liella!のメンバーは一人で何でもこなせる子が多くて、なおかつわざとらしい振舞いがない」

四季「だから、ここであえてぶりっ子を入れることで新風を吹かせようと思う」

メイ「(不覚にも案外良いアイデアだと思ってしまった…)」

夏美「それはいいけど、実際に四季にできますの?」

四季「問題ない。ちゃんと練習はしてきた」

きな子「してきたんっすね…」

四季「じゃあ、さっそく…」コホン

11: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:23:15 ID:???00
四季「ねぇ…きな子ちゃん…♡」

きな子「ふえっ!?きな子が相方役っすか!?」

四季「四季、みんなと仲良くなれないのぉ…♡」

四季「みんなとお話ししたいのに、四季、愛想がよくないから避けられやすくってぇ…」

四季「だからね、四季はね…」


四季「あ、ちょっと待って」

四季 (目薬を点す)


四季「四季、もうきな子ちゃんしか頼れなくってぇ…♡」ウルウル



きな子「ひぃぃ!!なんかいつもの四季ちゃんじゃなくて怖いっすぅぅぅぅ!!!」ゾゾゾッ

四季「…駄目だった?」

夏美「なんというか、いつもの四季じゃないのがただただ怖かったですの…」

四季「む…なら次のキャラがどうか判断して……」

13: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:24:53 ID:???00
メイ「待てよ。そもそも四季はキャラ変なんてしない方がいいんじゃないか?」

四季「でも、それだと冬毬ちゃんに迷惑がかかるし、Liella!だって…」

メイ「あのな、可可先輩の言ってることは確かに正しい。キャラ被りはなるべく避けたい課題だ」

メイ「でも、そのためにお前が無理して変わろうとするのはキャラ被り以上の悪手だぞ」

四季「え…?」


メイ「あのな、スクールアイドルに限らないけど、一番やっちゃいけないのが『急激で無茶な路線変更』だ」

メイ「急に今までと全く違う方向に行ったって、十中八九うまくいかないし、それで既存のファンを振り落とすことになる」

メイ「何より、お前自身も慣れないキャラ作りで無理してそのうち壊れちまう」

メイ「自分のためにそんなことになったなんて知ったら、それこそ冬毬が傷つくぞ」

四季「! 冬毬ちゃんが…」


メイ「四季は、今の四季のままでいいんだよ。去年ラブライブで優勝したグループの立派な一員だ、今までのファンもお前自身のことも大事にしろよ」

きな子「そうっす!キャラがどうっていうのはよくわかんないけど、きな子は今の四季ちゃんのことが大好きっすよ!」

四季「二人とも…」

14: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:25:54 ID:???00
夏美「それに、四季のキャラが冬毬に影響を与えた可能性もありますの!」

四季「…そうなの?」

夏美「そうですの!なにせ四季はLiella!で数少ない、いえ、去年までは唯一ともいえたクールビューティー系!」

夏美「四季が自覚してないだけで、実はLiella!の中でかなり存在感のあるスクールアイドルに違いないですの!」

夏美「となれば、つい最近スクールアイドルに興味を持ったばかりの冬毬の目は自然と四季へ移る…」

きな子「つ、つまり…?」

夏美「そう!冬毬と四季が似るのは必然…」

夏美「なぜなら冬毬は、四季に憧れて今のキャラを作り上げたからですの!」

四季「!」


メイ「またお前は適当なことを…」

夏美「適当じゃないですの!冬毬が実際に、四季のパフォーマンスに目が行ったって話してたんですの!」

メイ「あくまでスクールアイドルとしての話だろ?」

夏美「ですが、そこから性格に影響を与えた可能性だって十分…」

15: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:26:57 ID:???00
四季「冬毬ちゃんが、私に、憧れ……」

メイ「ん?」

四季「私が、誰かにとっての憧れになれてる……」

夏美「し、四季…?」

四季「ごめん、みんな。私、冬毬ちゃんのこと考えてるつもりで、全然冬毬ちゃんのことが見えてなかったみたい」

四季「私は、今まで通りの私でいる。私に憧れてくれてる冬毬ちゃんのために、自分自身のことを好きになってみる」

きな子「四季ちゃん…!そうっす!その意気っすよ、四季ちゃん!」


夏美「四季?今のはあくまで可能性というか、ちょっとした冗談というか…」

メイ「…夏美。後でどうなっても骨は拾わないからな」

夏美「そんなぁ~!2年生の絆はどこ行ったんですのぉ~!」

16: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:27:54 ID:???00
~卒業式当日~
冬毬「……」

冬毬「…かのん先輩!」

かのん「?」

冬毬「リボン…リボンください!」

かのん「と、冬毬ちゃんが?」

冬毬「ずっと、憧れてました…。スクールアイドルを、始めた時から…」

マルガレーテ「朝言ってたタスクって、それ…?」

冬毬「はい…」

すみれ「意外…!」



四季「……」

18: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:28:43 ID:???00
~「始まりは君の空」披露後~
四季「…かのん先輩」

かのん「? 四季ちゃん、どうしたの?」

四季「素敵な歌、ありがとうございました。先輩たちの思いを受け継いで、私たちなりの歌を世界に響かせる」

かのん「…うん!よろしくね、結ヶ丘とLiella!のこと!」



四季「……それと」

かのん「それと?」



四季「…負けないから」

かのん「?」




おしまい

19: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:29:43 ID:???00
おまけ

~始業式当日~
夏美「ふぅー、こうやって二人で始業式に行くの初めてですの」

冬毬「去年は仲違いしてましたからね…。こうやって今年は一緒に登校できて嬉しいです」

夏美「私もですの!この一年はずっとこうやって……」


四季「夏美ちゃん」ヌッ

夏美「ヒィィィィーーーーーーーーーー!!!?」

冬毬「ひゃあ!?」ビクッ

四季「…夏美ちゃん、大事な話があるんだけど。向こう、いい?」

夏美「え、えと、今は…」

四季「い い ?」ヌッ

夏美「…は、はい。では、冬毬。お先に学校向かっててくださいの~…」

冬毬「あ、アグリーです…」



冬毬「……」スタスタ

冬毬「」チラッ

夏美 (手で押すポーズ)

冬毬「……」クルッ

冬毬「」スタスタ

20: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:30:27 ID:???00
夏美「…で、四季?いったい何の話ですの?」

四季「…去年、私に言ったこと覚えてる?」

夏美「去年…?」

四季「冬毬ちゃんが私に憧れてたって話」


夏美「…………あっ」

四季「『あっ』って何!?まさかあの時、適当な出任せを言ったの…?」

夏美「ちちち、違いますの違いますの!ただ、あの時はあくまでも可能性を…」

四季「どういうこと?説明して」


夏美「その、冬毬と話した時に言ってましたの!四季のパフォーマンスに目を惹かれたって!」

夏美「だからスクールアイドルとして四季に一目置いてたのは間違いないんですの!」

四季「でも、かのん先輩に憧れてたって言ってた」

夏美「それはあくまで人間としての話というか、卒業生だからというか……」

21: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:31:19 ID:???00
四季「夏美ちゃん」

夏美「ひっ、い、いや、冬毬が2期生の中では四季を一番買ってるのは間違いないですの!それは絶対!ずぇったい、本当ですの!」

夏美「だから、もしかしたら四季も卒業する時に冬毬から『リボンください』ってねだられ…」

夏美「いや、絶対ねだられますの!間違いなく!これからも四季はブレないでいれば問題ないですの!ええ!」


四季「……」

夏美「……」ダラダラ



四季「…わかった。そこまで言うなら信じる」

夏美「」ホッ

四季「ごめん。今のは八つ当たりだったし、本気で何かお仕置きしようとは思ってなかったから」

四季「それじゃあ、カメのお世話もあるし、先に学校行ってるね」

夏美「は、はーい……いってらっしゃいですのー………」


夏美「……」

22: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:33:23 ID:???00
~~

夏美「まさか冬毬がかのん先輩に憧れてたなんてびっくりですの!」

冬毬「すみれ先輩にも言われましたが、そんなに意外でしたか?」

夏美「ええ。目標にするなら、方向性の似た恋先輩か四季と思ってましたの」

冬毬「目標、というのも少し違うような気がしますが…」

夏美「違うんですの?」

冬毬「かのん先輩はスクールアイドルとしての目標というより、人間としての憧れもあるといいますか…」

冬毬「それと、恋先輩のような優雅なパフォーマンスができるようになりたいとは思ってますが、それが私に合っているかどうかはまだ判断できなくて…」

夏美「ふむ、スクールアイドルとしての方向性は冬毬の中でまだ模索中というわけですのね」



夏美「でも、それなら四季はどうなんですの?」

冬毬「四季先輩ですか?」

夏美「ええ。四季と冬毬は性格も雰囲気も似ているし、似たような方向性でも問題ないと思いますの」

冬毬「……四季先輩は…」

夏美「?」


冬毬「…四季先輩は、わからないのです」

夏美「わからない?」

冬毬「四季先輩のことは嫌いではないのです。気が合う先輩ですし、パフォーマンスに目を惹かれるのは確かです」

冬毬「ただ、時々…四季先輩を見ていると、胸がざわざわするような感覚を覚えてしまって……」

夏美「ざわざわ、とな。それは例えばどんな時にですの?」


冬毬「…例えば、千砂都先輩とダンスの打ち合わせをすることがあるのはわかっているのですが、その時に少し…」

夏美「ふむふむ」

冬毬「それに、きな子先輩と隣り合って座っている時を見ると、なんだか落ち着かなくなったり…」

夏美「……ふむ?」

冬毬「最近ではメイ先輩や、果ては姉者と一緒にいる時にも嫌な感覚がするのです…」


冬毬「それに、ただ四季先輩のことを考えただけでなぜか涙が流れることもありまして…」

冬毬「……姉者。私はどうしてしまったのでしょうか…」

~~

23: 名無しで叶える物語◆Ja0lDGlP★ 2025/06/15(日) 21:33:54 ID:???00


夏美「…………」


夏美「(沈黙は金ですの!)」



おまけ おしまい

引用元: 【SS】四季「冬毬ちゃんとのキャラ被り問題」