ゴス姉「やあ、少年は今日も威勢がいいようだ。フフフ、いいことだね。この上ない。」

ゴス姉「ん？…………ふむ……まあ、機嫌がよいと聞かれれば、そうかもしれないな。なにせ、キミに会えた。」

ゴス姉「……などというキザなセリフを吐いてみたくなるくらいには、機嫌がいい。フフ、流石の慧眼だな。」

ゴス姉「……なにか……あったといえばあったが。なかったといえば、なにもなかった。日を生きているだけで、昂る気持ちというものもあるものさ。」

ゴス姉「人生を生きていくうえでは、こうした神のいたずらを上手く活用することが幸福への近道だと私は知っている。この根拠の無い全能感や多幸感なくしては、出来ないこともある。」

ゴス姉「だが、そこであえて普段通りの、なんの変哲もない日常のサイクルを送る選択をするというのもまた粋なものだ。さて、どうしたものかな……」

ゴス姉「……フフフ、冷たいじゃないか少年よ。こんな私を放っていくなんて、なんともなんとも…。……フム、そうだな。決めたよ。」

ゴス姉「キミに食事をご馳走しよう。どうだ少年、お腹は空いているかな？まあキミくらいの若人だ、いつだってお腹は空いているものだろう。それを私が満たしてあげよう。」

ゴス姉「しかし残念なことに、私は料理が出来ない。そこでだ、外食をしようと思うのだが……キミは、今なにか食べたいものはあるかな？善処しよう。」

ゴス姉「ラーメン…………ふむ、いいじゃないか。たらふく食べるといい。私は私の幸福をキミの幸福にしてあげたい。そしてその幸福を吸って、私はまた幸せになれる。」

ゴス姉「美味しい中華屋を知っているんだ、そこに行こう。……フフフ、ラーメン屋以外で食べるラーメンもいいものさ。若者のうちに様々なことを知るといい。その知識や経験が、いずれキミの選択肢を増やす。」

ゴス姉「そうだな、中華屋か……私は天津飯にしようかな。……うむ、餃子も頼もう……春巻きも食べたいが…………ああ、油淋鶏も……フフフ、私は今とても幸福だ…。」