愛「だよね、エマっちはいかにも健康優良児、って感じなのに」

果林「はぁ……愛、あなたがエマに余計なこと教えてくれたせいなのよ？」

愛「えっ、マジで！アタシなんか言ったっけなぁ～…」

璃奈「もしかして……先週言ってた乾布摩擦？」

愛「あー、あれかぁ！」

果林「あの娘ったら真に受けちゃって……『寒ければ寒いほど効くんだよ～♪』なんて一週間毎日やってたってわけ」

せつ菜「この寒い中、一週間もですか！？」

愛「あちゃぁ…エマっちには悪いことしちゃったなぁ」

しずく「さすがエマ先輩…その真面目さは見習わないといけませんね」

かすみ「それで風邪引いちゃったら意味ないけどね…」

歩夢「じゃあ今日の練習が終わったらみんなでお見舞いに行かないとね」

しずく「なにか手土産を持っていきたいですね…」

せつ菜「やはり風邪に効くものが良いかもしれませんね！」

愛「あ、おばーちゃんが言ってたんだけど、熱を下げるにはネギが効くんだって！」

歩夢「うふふっ、おばあちゃんの知恵だね」

愛「そそ！ネギで身体をねぎらおう！なんてね！」

歩夢「生姜もいいって言うよね」

しずく「喉のケアといえば、ですね。いいと思います」

愛「うんうん！生姜湯飲んだら、風邪もすぐ治るでしょうが！アハハハ！」

璃奈「……『ジト目😒』

彼方「いいなあエマちゃん……風邪なら学校お休みして、一日中だらだらごろごろできるのにな～……」

果林「彼方……」

彼方「んぅ、冗談だよ～」

果林「………」

彼方「エマちゃん、心配だね」

果林「……ただの風邪よ、すぐ治るでしょ」

彼方「そういう顔には見えないぞ～……？」

果林「………」ｿﾜｿﾜ

　―昨夜・彼方の部屋―

彼方「ふぅ、明日の予習はこれくらいにして、っと……」ｶﾘｶﾘ

📱＜🎶🎵

彼方「ん？……もしも～し」

エマ「あ、彼方ちゃん…ｺﾞﾎｯ」

彼方「エマちゃん…こんな時間に電話なんて…どうしたの？」

エマ「実はね～…風邪ひいちゃって…明日、お休みしようかなって…ｺﾞﾎｺﾞﾎ」

彼方「わぁ～…それは大変、お大事に」

エマ「それでね……ちょっと頼みたいことがあって、彼方ちゃんに電話したんだけど…」

彼方「ほほう。エマちゃんの頼みなら当然聞いてあげよう」

エマ「果林ちゃんのこと、気にしてあげてほしいんだ」

彼方「果林ちゃん？」

エマ「あのね、私が風邪ひいちゃったでしょ？」

エマ「だから、今日は果林ちゃんに　　　　あげてなくって……」

彼方「…………あぁ、うん（察し」

エマ「ちょっとだけ…ほんのちょっとだけ、心配なの」

彼方「へぇ～…………」

エマ「　　　　が足りてないと、果林ちゃん…落ち着きがなくなっちゃったりするから…」

エマ「もしかしたら、って思うと…なんだか眠れなくて…」

彼方「はぁ～…ふーん………そっかぁ」

エマ「だからね、彼方ちゃんに果林ちゃんを見守ってて欲しいの。何かあったときのために……」

彼方「それは荷が重いなぁ……。彼方ちゃん途中で確実にすやぴしちゃうよ～」

エマ「それはだめ！」

彼方「えぇ～…エマちゃん厳しい～」

エマ「果林ちゃんの学校生活のためにも…お願いっ！」

彼方「うーん……」

エマ「だめ？」

彼方「エマちゃんのお願いだし…できるだけ頑張ってみるけど……」

エマ「本当に？ありがとう彼方ちゃん！」

　
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


彼方（とは言ってみたものの……）

　　「今日は教科書の296ページ、続きから―――」

彼方（たった１日　　　　吸わないくらいのことで…変になったりするのかなあ……？）

　　「―――で、イタリア軍はエチオピアに進攻し―――」

果林「……」ﾋﾟｸｯ

彼方（あれ……果林ちゃんどうしたんだろ…？）

果林「ぁ…あっ……」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

彼方「！？」

果林「はっ…はぁっ……」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

彼方（果林ちゃんが死にかけの金魚みたいな顔に……！？）

果林「はっ…はっ…」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

彼方（あの口の動き……まさか！？）

彼方（虚空を吸ってるのか…！）

彼方（…ありもしない　　　　を求めて、口だけが…！）

果林「あぅあぅ……」

✏?ﾎﾟﾛｯ…ｶﾗｶﾗ…

　　「朝香さん、ペン落としたよー？」

果林「ぉ…あ……？」ﾌﾗﾌﾗ

　　「あ、朝香さん…？」

彼方（っ、これ以上は不味いッ……！）ｶｯ

彼方「先生～、果林ちゃん調子悪いみたいなので保健室連れていってもいいですか～？いいですよね？」

　　「え、あっ、待て近江…」

彼方「行こう、果林ちゃん！」ｸﾞｲｯ

果林「はぇぇ……？」

＜ｶﾞﾗﾗﾗ ﾋﾟｼｬﾝｯ!!

　ｻﾞﾜｻﾞﾜ…

　　「……は、速っ…」

　　「近江さんがライブ以外であんなに動くの初めて見たかも…」

　　「あたしもー」

　―保健室―

彼方「果林ちゃん、しっかりして～……！」

果林「おっ…おっ…あっ……」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

彼方（もしかしてこれ…禁断症状ってやつ……？）

果林「うぅ……あっ……あぅあぅ……」ﾊﾟｸﾊﾟｸ

彼方「えぇ…どうしよう、どうしよう～……！」

果林「！…あっ、あむっ」ﾁｭｯ

彼方「きゃっ、指っ…吸われ……っ！？」

果林「あむあむ……ちゅぅちゅぅ……」

彼方「んっ……くすぐったいよぉ……///」

果林「んっ……んっ……」ｺｸｺｸ

彼方「果林ちゃん？……もしかして、落ち着いてる……？」

果林「んっ……ちぅちぅ……」ｽﾔｽﾔ

彼方「ふふっ…よかったあ……」

彼方「んん～…彼方ちゃんもなんだかねむーくなってきた……」

彼方「おやすみなさ～い…………」

　
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


果林「んっ……」

果林「…あら…？…私、いつのまに保健室に…？」

果林（確か、授業を受けてて……途中で……）

果林（……だめね、それから記憶が曖昧だわ……ん？）

彼方「すぴー…すぴー…」Zzz…

果林「か、彼方！？」

果林（どうして一緒のベッドに寝てるのよ！？）

彼方「んぅ……あ、果林ちゃん。おはよう」目ｸｼｸｼ

彼方「もぉ、さっきは大変だったんだよ～…？」

果林「大変だった……？」

彼方「覚えてないよね、果林ちゃんは。実はね……」


　【事情説明中…】


彼方「……というわけなのですよ」

果林「うぅ…恥ずかしいところ見せちゃったわね……」

彼方「話はエマちゃんから聞いてたからね、いろいろと」

果林「……そうだったの……フォローありがとう」

彼方「ふひぃ…おかげで彼方ちゃん、いつもの100倍はエネルギー使っちゃった」

果林「世話かけちゃって、悪いわね…」

彼方「それより、これからのことを考えた方がいいんじゃない？」

果林「これから？」

彼方「授業のたびにこれだと、さすがの彼方ちゃんも困るよ」

果林「さっきはどうやって治したの？」

彼方「ゆ、指を……」

果林「指？」

彼方「果林ちゃんが彼方ちゃんの指を吸い始めて…そうしたら勝手に落ち着いたんだよ」

果林「それなら、とりあえずは自分の指を舐めてれば……」

彼方「高校生にもなって指をしゃぶるの？授業中に？みんなの前で？」

果林「……ないわね」

彼方「あ、飴はどうかな」

果林「飴？」

彼方「禁煙しようと思ってる人が、たばこの代わりに飴を舐めたりするっていうでしょ？」

彼方「果林ちゃんも、お口がさみしいだけなんじゃないかなって」

果林「一理あるわね」

彼方「ちょうどここにのど飴があります」ｽｯ

果林「いただくわ」

果林「……」ﾊﾟｸｯ ｺﾛｺﾛ…

果林「……」ｺﾞｸﾝｯ

彼方「あ」

果林「～～～～～！？！？！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

彼方「か、果林ちゃーん！？」

彼方「えーいっ…！」ﾄﾞﾝｯ

果林「ん゛ぇっ……！」ﾎﾟﾛｯ

彼方「はぁ…はぁ……」

果林「げほっ、ごほっ、ごほっ……ありがとう、彼方…」

彼方「……どうして飲み込んじゃうかなぁ？」

果林「……なんでかしらね？」

彼方（こやつ本当に赤ちゃんなのか……？）

　
＜♪…ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ…♪

果林「あ、次の授業はじまっちゃう！」

彼方「え～…彼方ちゃんもうちょっとごろごろしてたいなぁ……」

果林「二連続で授業すっぽかすわけにいかないでしょ！」

彼方「次って古文でしょ～…？」

彼方「あの先生うんちく多いし、どうせ授業進まないから出なくていいよぉ…」

果林「彼方…あなた特待生の自覚あるの…？」

彼方「彼方ちゃんは必要なときに備えて力をセーブしているのだ…」

彼方「そして今は…そのときではない……」

果林「もう…言い訳してないで、行くわよ！」

彼方「うへぇ……」ﾀﾞﾗｰﾝ

　
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


　　「えー、『徒然なるままに、日暮し』…ーー」

果林「……」ｶﾘｶﾘ…

果林「……」ｿﾜｿﾜ

📱 ｳﾞｰ

彼方（果林ちゃんからメッセージだ）

　果林『次の休憩時間お願い』

彼方「…………」

　彼方『りょーかい👍』


果林「……！」

彼方（あ、ちょっとうれしそう）

　
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


果林「ねぇ、彼方」

彼方「なあに？」

果林「その、指を吸うときにしてほしいことがあるんだけど…お願いしてもいい？」

彼方「ん、いいよ～…」

果林「できれば頭を抱えて……そう、頭を撫でてほしいの」

彼方「こうかな～」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

果林「はぁぁぁ…うん、いいわ……」

彼方（果林ちゃん、今までになく落ち着いてる……）

彼方（かわいいなぁ）ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

果林「ちゅっ…ちゅぅちゅぅ…」ﾍﾟﾛﾍﾟﾛ

彼方（果林ちゃんの吸いかた…強いのに、すごく丁寧で……）

彼方（指を舐められてるだけなのに…なんだかいけない気になっちゃうよ……）ﾄﾞｷﾄﾞｷ

彼方（この舌遣いで……む、胸も、舐められたらどうなっちゃうの…？）ﾄﾞｷﾄﾞｷ

果林「ふぇ……ま…彼方？」ﾁｭﾎﾟﾝ

彼方「あ！…なに？」

果林「もっと頭を撫でてほしいわ」ﾑｽｯ

彼方「あぁ…ごめん、手が止まってた…えへへ……」

彼方（いかん、へ、変なこと考えちゃだめだ…）ﾄﾞｷﾄﾞｷ

彼方（でも……エマちゃんはこれを毎日……　　　　で受け止めて……？///）ﾄﾞｷﾄﾞｷ

果林「ふぅ……ありがとう彼方、だいぶスッキリしたわ…」

彼方「ぁ……うん、どういたしまして～…」

果林「またお願いすることになるかもしれないけど…」

果林「今日限りだから…我慢してくれるる？」

彼方「うん……今日だけ～…ね……」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
　

―放課後―


歩夢「はぁー、疲れたねー」

しずく「皆さんお疲れさまです」

せつ菜「今日はエマさんがいないので全体練習ができませんから、この後は……」

愛「今日はもう練習切り上げて、エマっちのとこ行こうよ！」

かすみ「賛成です！」

果林「……彼方？」

彼方「んー？」

果林「この後、少しだけ残っててくれない？」

彼方「え……」

果林「いいわね？」

彼方「……うん、いいけど…」

歩夢「あれ、彼方さんと果林さん、エマさんのお見舞い行かないんですか？」

果林「あとで合流するから、みんなは先に行っておいてくれない？」

しずく「エマさんへのお土産、お二人のぶんも見繕っておきましょうか？」

果林「しずくちゃん、気が利くわね。お願いするわ」

かすみ「二人だけで何するんですか？」

彼方「ん～？３年生はね、いろいろとあるんだよ～…」

璃奈「大人の事情…憧れる」

歩夢「それじゃあ果林さん、彼方さん、お先に失礼しますね」

せつ菜「練習室の鍵、お渡しするので戸締まりはお任せします！」


　ｶﾞﾔｶﾞﾔ ﾜｲﾜｲ …

彼方「おー、いってらー」
果林「ふふっ、また後でね」

　

彼方「……みんな行ったみたいだね」

果林「…………」

彼方「果林ちゃん―――」

果林「彼方っ……」ｷﾞｭｯ

彼方「おぉ……どした～？」ｷﾞｭｯ

果林「なんだろう……、なんだかずっと、もどかしい感じがしてて……」

果林「やっぱり、指を舐めてるだけじゃ……物足りなかったみたい……」

果林「だから……！」

彼方「ん……いいよ～……？」

果林「！！」

彼方「わたしのでよかったら…果林ちゃんに…あげるよ」

果林「彼方……！」

彼方「あ、エマちゃんには秘密だぞ？」

果林「……ありがとう」

彼方「んしょっ……っと」ﾇｷﾞﾇｷﾞ

果林「…………！」

彼方「あ、め、目はつぶってて～……！///」

果林「ふぇっ……うん！」ｺｸｺｸ

彼方「じゃあ……おいで？」ﾌﾟﾙﾝｯ

果林「………ばぶっ！」ﾎﾟﾌﾝ

果林「んっ、ままぁ……」ﾓｿﾞﾓｿﾞ

彼方「んんっ……いい子だね～、果林ちゃん」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

果林「はむっ……」

彼方「あっ……///」ﾋﾟｸﾝ

果林「ちゅぱ…ちゅぷっ…」

彼方「う……んっ……ふぅっ……」ｿﾞｸｿﾞｸ

彼方（あー…やばい…興奮しちゃってるよ……）

果林「れろれろ…」

彼方「うっ、くっ……あっ♡」

彼方（っ、舌でなぞられるだけで、こんなに……！）

果林「ぢゅるっ、ぢゅるるる…」

彼方（あ、ぁ、やば……なんかクる…キちゃう……！）

彼方「ふっ、ううっ………あっ！！♡♡」ﾋﾞｸﾝｯ!

果林「ぢゅううううう……」

彼方（まだ……吸われてる……ぅっ…）ﾋﾞｸﾋﾞｸ

果林「んっ、んくっ、じゅるっ……」

彼方「か、果林ちゃんっ、もうそれくらいで……」ｼﾞﾜｧ

果林「やっ！！」ｷﾞｭｯ

彼方「えっ！？……く、ふぅぅっ……！？」ﾋﾞｸﾋﾞｸｯ!!

彼方（全然、離してくれない……あぁぁ…♡）

彼方「はぁー…はぁー…はぁー……んっ♡」

果林「あむっ…ぢゅるるる…」

彼方（まだ……、終わらないんだぁ……♡♡）ﾄﾞｷﾄﾞｷ


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
　

歩夢「エマさん、風邪が治ってよかったですね」

エマ「うん、みんなのおかげだよ～」

愛「やっぱりおばーちゃん直伝のネギが効いたんじゃない！？」

璃奈「いや、それだけはないと思う…『うーん🤔』」

かすみ「愛先輩はもう少し自重ってものを覚えてもいいと思います」

せつ菜「そうですよ。今回の件は、愛さんにも責任があるようなものなんですから！」

愛「な！今日に限って、よってたかって愛さんに集中攻撃だとぉ！？」

エマ「あはは、わたしは全然気にしてないよ」

愛「うう～、エマっちだけは愛さんの味方だー！」

歩夢「そういえば、果林さんと彼方さん、まだ来ないね？」

愛「お、エマっちの次はあの二人が休み？」

エマ「果林ちゃんは今日一緒に登校したから、学校にはいると思うよ」

かすみ「彼方先輩は……その辺で寝ててもおかしくないですけど」

しずく「お二人とも、まだ教室にいらっしゃるかもしれませんね」

エマ「わたしが呼んでくるね」

　

彼方「だ、だめだって…果林ちゃん、ここ教室……」

果林「みんなもう帰ったわよ、だから…！」

彼方「お、　　　　ならエマちゃんにしてもらいなよ～…風邪治ったんでしょ…？」

果林「うぅ……そうだけど、でもぉ……！」

彼方「だったら彼方ちゃんに頼む必要は……」

果林「……いいじゃない！」

彼方「！？」

果林「ママが何人いたっていいでしょう！？」ｸﾜｯ

彼方「えぇ～…………」

果林「お願いよ…今日は彼方ママのが欲しいの……」ｳﾙｳﾙ

彼方「……うー…しょうがないなぁ…」ﾌﾟﾙﾝｯ

果林「……ばぶっ！」


＜ｶﾞﾗﾗｯ

エマ「果林ちゃん、彼方ちゃん、いるー？」


彼方「あ」
果林「え」

エマ「二人とも…………なにしてるの？」

果林「え、あ、え、エマ？違うの。違うのよ、これはね」

エマ「果林ちゃん、これはどういうことかな？」

果林「え、えーと、えーと……あっ、か、彼方からも何か言って……」

彼方「ぐーぐー……むにゃむにゃ……」

果林「寝てる！？この状況で！？」

エマ「果林ちゃん……わたし、ショックだなぁ」

果林「ひっ！？」

エマ「悪い赤ちゃんは……ちゃんと『矯正』しなきゃ……」

エマ「ね？」ﾆｺｯ

果林「あっ、あははっ、え、エマ……冗談よね……？」







果林「いやあああああああっ！あっ♡あっ♡あっ♡もう許してえええええっ！！！♡♡♡♡♡」
　

　
彼方「やはりエマちゃん、強いな……」

エマ「あとで彼方ちゃんも『お話し』しようね♪」ﾆｺｯ

彼方（やれやれ…逃げられんか……）ｶﾞｸｯ



おしまい