1: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:07:57 ID:???00

【反省文(※はじめに)】

このSSは三船栞子のセンシティブ、かつ可哀想な描写が、お話の中盤に存在します。
不愉快な表現は極力控えたつもりですが、栞子が好きな方には辛い展開に感じられるかもしれません。
あらかじめご了承の上、最後までお楽しみいただけますと嬉しく思います。

時期は『えいがさき』における、『スクールアイドルGPX』の開催直前。
初日六位に躍り出た三船栞子、彼女の活躍の原動力となった『出来事』を空想しながら描いた物語です。

    *

2: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:08:37 ID:???00

栞子「彼方さん、私はっ……!」

栞子「私は結局、何一つ、何一つ上手にできませんでしたっ……!!」

彼方「よしよし、栞子ちゃん。たまにはそういうコトもあるよ~」

栞子「彼方さんっ、彼方さあんっ……!!」

    *

彼方(彼方ちゃんに抱き付いて、ワンワンと泣き続ける栞子ちゃん)

彼方(彼方ちゃんは、そんな栞子ちゃんを抱きしめながら、頭を優しく『ナデナデ』して慰めていたのでした)

3: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:09:56 ID:???00

彼方(……ん? どうして栞子ちゃんが、彼方ちゃんの胸の中で泣いてるのか、って?)

彼方(それはね……)

彼方(時期は『スクールアイドルGPX』が開催される、ほんの少し前)

彼方(彼方ちゃんが生徒会室にお邪魔したときから、すべてをお話しましょう……)



    *

彼方「お邪魔いたす~♪」

彼方「彼方ちゃんが、生徒会室で『すやぴ』をして進ぜよう~」

彼方「有り難く思うが良い~♪」

栞子「…………」

彼方「……ん? ありゃ?」

4: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:11:26 ID:???00

彼方(栞子ちゃん、大きなヘッドフォンを掛けて、PCの画面をジッと見つめてる)

彼方(何の動画を観てるのかな?)

彼方(……まぁいいや。今のうちに、生徒会室のフカフカなソファーをお借りしちゃお、っと~)



彼方(……おや?)

彼方(テーブルの上に、分厚い大学ノートが広げて置いてある)

彼方(なになに、『児童館ボランティア』計画書……?)



栞子「えっ!? うっ、うわあああっ、彼方さんっ!!!?」

6: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:13:08 ID:???00

彼方「おおう、ビックリしたあ~☆」

彼方「お邪魔してるよ、栞子ちゃん。入ったときに、一応挨拶はしたからね~」

栞子「あっ、いえ、それは問題ありませんが……!」

栞子「あの、その……彼方さん、このノート、ご覧になってしまいましたか?」

彼方「ご覧になってしまいましたっ。まあ、チョコッとだけだけどね~」

栞子「そっ、そうですか……」

7: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:15:08 ID:???00

栞子「あの、すみません、このノートの内容については、どうか他の方には伏せておいていただけないでしょうか?」

彼方「伏せて、おく?」

栞子「はい。あの、すみません、ぶしつけなお願いで申し訳ないのですが……」

彼方「…………」



彼方「エマちゃん~、児童館ボランティアって、栞子ちゃんが……」

栞子「止めてください!!!!」

8: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:17:08 ID:???00

彼方「うわあ、またしてもビックリしたあ!」

彼方「そんなに真剣な声で、どうしたの? ……もしかして栞子ちゃん、エマちゃんのこと嫌い?」

栞子「ちっ、違います!! そんなことは断じてありませんっ!!」

栞子「でっ、ですが……その、エマさんは……」

栞子「とても『お口が軽い』傾向がある、と思いまして」

栞子「昨日も、果林さんが久々に『お寝坊』されかけて、エマさんにそのことを『口止めして欲しい』とお願いされていたのに……」

栞子「エマさんはそれを皆の前で、とても嬉しそうに話していらっしゃいました!」

彼方「ああ~、そういうことか~」

9: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:19:15 ID:???00

彼方「エマちゃんはね、果林ちゃんのことが、本当~に大好きなんだ」

彼方「それこそ、果林ちゃんのネガティブなところも含めて、ぜ~んぶが大好きなの」

彼方「んで、エマちゃんは果林ちゃんの大好きなところを、い~っぱいお話ししたくって、み~んなに広めたくって……」

彼方「結果的に、そういう風に見えちゃう……って感じになるのかな~♪」

栞子「なっ、なるほど……!」

栞子「そのような事情でしたら、とても良く分かります」

栞子「ネガティブなところも含めて、果林さんの全部が大好き。とてもエマさんらしいです!」

栞子「私にとっての、ランジュのようなものですねっ!」

10: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:21:07 ID:???00

栞子「……ああ、でもすみません、彼方さん」

栞子「やはりエマさんにも、同好会の皆さんにも、このことは秘密にしていただけないでしょうか?」

彼方「ありゃ、やっぱダメかね?」

栞子「はい。皆さんに来ていただくのは、やぶさかではないのですが……」

11: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:23:06 ID:???00

栞子「この『児童館ボランティア』は、私がスクールアイドルになる前に、よくやらせていただいていたものなのです」

栞子「ですが、スクールアイドルや生徒会長になってからは、ご無沙汰になってしまっていて……」

栞子「GPXの前に時間が取れそうでしたので、久々にやらせていただこうと計画していたのです」

栞子「ただ……虹ヶ咲のスクールアイドル全員で参加すると、大騒ぎになってしまいそうですので……」

栞子「今回は、私一人でコッソリ行こうと決めていたのです」

12: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:25:09 ID:???00

彼方「そうだったんだね~。ゴメンね、栞子ちゃん。彼方ちゃん、すごいイジワルしちゃったね」

栞子「いえ、そのようなことは……」

栞子「あっ、ですが、もしよろしければ、今回は彼方さんだけになりますが、ご一緒にいかがでしょうか?」

栞子「同好会の皆さんをお誘いする前の、デモンストレーションという形になりますが……」

彼方「いいの? うんうん、行く行く! ありがとう、栞子ちゃん~♪」

13: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:27:07 ID:???00

彼方(……このような過程で、彼方ちゃんは栞子ちゃんのお誘いをお受けしちゃったのでした☆)

    *

彼方(ちなみに『児童館』というのは……)

彼方(『様々な理由で昼間留守になる家庭の児童を安全に保護して、健やかに育成するための施設』のこと)

彼方(ボランティアの内容は、手芸や工作、本の読み聞かせ……)

彼方(あと、劇とかもやる感じかな~)

彼方(まさに『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』にピッタリのボランティアだね!)

彼方(今回は彼方ちゃんが特別参加する、デモンストレーションということで……)

彼方(スタッフの皆さんのお手伝いをメインにしよう、ってコトになりました♪)



    *

彼方(そして、児童館ボランティアの当日……)

14: 名無しで叶える物語◆nW7znvwy★ 2025/10/05(日) 10:32:42 ID:???MM
しおっ

15: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:37:19 ID:???00

彼方「いやあ~ん、もおう、彼方ちゃん恥ずかしい~☆」

子供達「おねーちゃん、かくご~!」

彼方「おおぅ、モーレツぅ~♪」

子供達「ええっ、なにそれ、おもしろい~!!」

彼方「へへっ、コレは彼方ちゃんが生まれる前のネタだから、さすがに分っかんないか~」



彼方(彼方ちゃんは、児童館の子供達から『スカートめくり』の総攻撃を受けていたのでした)

彼方(虹ヶ咲の制服はスカートが短いのと、敵は多勢に無勢なので、か弱い彼方ちゃんはされるがままです)

彼方(まあ今日の子供達は、み~んな女の子だったから、スカートを捲り上げられても別に良っか、ってことで……)



栞子「よっ、良くありませんっ!!」

栞子「皆さんっ、そのような『はしたない』遊びは止めてくださいっ!!」

16: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:39:07 ID:???00

彼方「彼方ちゃんは大丈夫だよ、栞子ちゃん。み~んな女の子ばっかりだし」

栞子「そっ、そういう問題では……」

栞子「その遊びは、何というか……せっ、センシティブですっ!!」

彼方「ああ~、そっちについても、彼方ちゃんは大丈夫だから……」

栞子「そういう訳にはいきません! 彼方さん、今お助けしますっ!!」

栞子「……さあ、皆さんっ!!」

彼方&子供達「……!!!!」

子供達「……おっ、おねえちゃ、ん……!?」

17: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:41:07 ID:???00

彼方(栞子ちゃんは、彼方ちゃん達に背中を向けると……)

彼方(制服のスカートを両手で捲り上げて、その……)

彼方(スパッツやペチパンなどでガードされていない、セミビキニのショーツを、彼方ちゃん達の眼前に晒したのです!!)

彼方(こりゃ『パンチラ』っていうより、もはや『パンモロ』って感じかな~)

彼方(彼方ちゃんも子供達も、栞子ちゃんが晒したそれに、完全に釘付けになってしまったのでした)

彼方(……おおっと、センシティブが過ぎるので、これ以上の解説は勘弁してくれたまえ、諸君!)



栞子「私は三船栞子……いえ、今は『三船おしり子』です!」

栞子「お尻のプロポーションについては、姉さんに褒められたことがあるのですよ!」

栞子「さあ、どうぞ皆さん、遠慮なく私のスカートを捲り上げてくださいっ!!」

18: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:50:12 ID:???00

子供達「……」

子供達「…………」



子供達「おねえちゃん、それは……すっ、すごくハズかしいよぉ……」

栞子「えっ!? どっ、どうして皆さん、そこで素に戻られるのですか!?」

栞子「私のお尻に、スカートを捲り上げたくなる『適正』がないからですか!?」

19: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:51:07 ID:???00

彼方「あっ、ああ~、栞子ちゃん、そうじゃなくてね……」

彼方「彼方ちゃんのスカートの中はこうなってるから、問題なかったんだよ~」

栞子「あっ!! ……そっ、それは……!!」



彼方(彼方ちゃんはスカートを捲り上げて、その中の『仕組み』を栞子ちゃんに見てもらいました)

彼方(彼方ちゃんがスカートの中に身に付けていたのは……)

彼方(たっぷりのフリルで装飾された、『ドロワーズ』だったのです~!)

彼方(わんぱくな子もいるだろうな~、ってコトで、果林ちゃんから色々アドバイスをもらって、コレを身に付けていたのでした)

彼方(ちなみにコレは『チラリズム』の具合や、動きやすさとかの検証も兼ねていて……)

彼方(GPXで披露する『Daydream Mermaid』の衣装作りにも役立ったんだよ~♪)

21: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:53:08 ID:???00

彼方「という訳で彼方ちゃんは大丈夫だから……」

彼方「とりあえず栞子ちゃんは、スカートを元に戻してくれるかな?」

栞子「えっ……でっ、ではその、私は……」

栞子「皆さんの前で『はしたない』姿を晒しただけ、になるのでしょうか……!?」

彼方「そっ、そういうことに、なっちゃうのかなぁ……」



栞子「うっ……ううう……」

栞子「うわああああああああんっ!!!!」

彼方&子供達「!!!!」

22: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:55:10 ID:???00

栞子「私は皆さんの視界に、その……!!」

栞子「とても不快なものを晒してしまいましたっ!!!!」

栞子「本当にごめんなさい、ごめんなさいっ……!!!!」



彼方&子供達「…………」



彼方(栞子ちゃんはその場にペタンを座り込むと……)

彼方(両手で顔を塞いで、大声で号泣してしまいました)

彼方(深い海の底に沈んでいく、聞いている方も息が詰まりそうな、栞子ちゃんの悲しそうな泣き声……)

彼方(彼方ちゃんも子供達も、無言で栞子ちゃんを見守ることしかできません)

23: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:57:09 ID:???00

子供達「……おねえちゃん」

子供達「おねえちゃん、だいじょうぶだよ、おねえちゃんっ」



彼方(今日この児童館に来ていた子供達は、み~んな良い子達ばかりでした)

彼方(泣いている栞子ちゃんに、ギュッと身体を抱き寄せたり……)

彼方(頭を『ナデナデ』している子もいたり……)

彼方(彼方ちゃんもその光景を見て、子供達と一緒に、栞子ちゃんの頭を『ナデナデ』してあげたのです)

25: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 10:59:07 ID:???00

女の子「おねえちゃん、泣かないでっ」

女の子「ほら、『あゆとん』も、おねえちゃんに『泣かないで』って言ってるよっ」



彼方(栞子ちゃんを慰めてた子供達のひとりが、両手で抱きかかえていた『お人形』を、栞子ちゃんの前に差し出します)

彼方(これは……歩夢ちゃん、だねっ)

彼方(ニッコリ笑顔な歩夢ちゃんのお人形に、『ピンク色のパーカー』が着せられてるみたい)

彼方(歩夢ちゃんのお人形は、スクールアイドル専門のショップで販売されている、既製品みたいだけど……?)



彼方「おおう、可愛い歩夢ちゃんだねっ。このパーカー、もしかして手作り?」

女の子「うん! ママが作ってくれたの~!!」

彼方「そっかぁ~、真ん丸なお耳とか、クルンと巻かれたシッポが可愛いねぇ~♪」



栞子「…………あゆ、とん?」

26: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:01:17 ID:???00

女の子「あっ、おねえちゃん、元気になったっ」

栞子「私は大丈夫です、まったく問題ありませんっ。そっ、それよりも……」

栞子「あっ、『あゆとん』とは、一体全体、何の略なのでしょうか?」

栞子「特に『とん』……そう、『とん』です! 『とん』がとても気になりますっ!」

栞子「申し訳ありませんが、差し支えなければ『とん』の意味を教えていただけますと……!」

女の子「とん? もちろんブタさんだよ~」

栞子「ぶ、豚っ!? あっ、歩夢さんが豚ですかっ!!!?」



彼方(栞子ちゃんは、やにわに怒号を上げると……)

彼方(『あゆとん』のぬいぐるみを持っている女の子に対して、仏頂面なお顔をグイッと近付けたのでした!)

彼方(栞子ちゃんの突然の行動に、女の子はもちろんのこと、彼方ちゃん達も驚きでまったく対応することができません……)

27: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:03:07 ID:???00

栞子「あっ、歩夢さんは確かに、やや太って……!」

栞子「いえ! その、『ふっくら』していらっしゃる感じはあります!!」

栞子「最近は体重をとても気にされているようですが……」

栞子「ですが、あの、歩夢さんは太ってなどいませんし……!!」

栞子「そうです、私は断じて、歩夢さんは『おデブ』ではないと思うのですっ!!!!」

28: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:05:08 ID:???00

女の子「おっ、おねえちゃん、『あゆとん』のこと……ひっ、ひどいよお~!!」

栞子「えっ!? なっ、何故あなたが泣くのですか!!」

栞子「そもそも『あゆとん』は、あなたが先におっしゃったことではありませんかっ……!!」

彼方「栞子ちゃん、落ち着いて! この子は歩夢ちゃんが『太ってる』なんて、一言も言ってない!!」

栞子「えっ!? でっ、でもっ、ですが……!!」

彼方「『ですが』じゃない! この子にとってブタさんは、『可愛い』以外の『意味は持ってない』んだよっ!!」

栞子「えっ!!!? そっ、そんな、そんなあっ……!!」

29: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:07:08 ID:???00

彼方(狼狽えた表情で、辺りを見回す栞子ちゃん)

彼方(栞子ちゃんの視界に入っているのは、怒ってる表情をしている彼方ちゃんと……)

彼方(『あゆとん』のぬいぐるみを抱えて、泣き出してしまった女の子)

彼方(そして、それらの様子を無言で見守っている、子供達でしょう……)

彼方(彼方ちゃんは泣き出してしまった女の子を慰めるために、彼女の身体を抱き寄せて、頭を『ナデナデ』してあげたのでした)

30: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:09:07 ID:???00

彼方「おお~、よしよしっ、泣き止んで~」

彼方「栞子ちゃんは『あゆとん』のこと、誤解してるだけだから、ねっ」

栞子「ごっ、誤解……!?」

栞子「あっ、ああっ、もっ、もしかして……」

栞子「私は、そのっ、まっ、またしても……!?」

栞子「うっ、あぅ……あううっ……!!」



栞子「うっ……うううぅ……」

栞子「うわああああああああんっ!!!!」

彼方&子供達「!!!!」

32: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:11:07 ID:???00
彼方(栞子ちゃんは凄まじい悲鳴と共に、すっくと立ち上がると……)

彼方(部屋の隅っこに向かって、全力ダッシュを始めたのでした!)

彼方(一応、子供達や彼方ちゃんを蹴り飛ばさないように、気を遣ってくれてたんだけどね~)

彼方(でも栞子ちゃんは、それらに気を取られすぎてしまったことで……)



栞子「あっ、しまっ……!!」

栞子「ぷっ、ぷぎゃあああああああああっ!!!!」

子供達「!!!!」

彼方「しっ、栞子ちゃ~~んっ!!!?」



彼方(栞子ちゃんは、大きなサイコロのぬいぐるみに足を引っ掛けてしまって……)

彼方(柔らかいプレイマットの上に、うつ伏せ体勢で豪快にダイブしてしまったのです!!)

33: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:13:07 ID:???00

栞子「……いっ、痛くない、っ……」

栞子「全然痛くないのに……」

栞子「どうしてでしょう、とても、とても胸が痛いですっ……!」

栞子「うっ、うううううっ……!!」

栞子「うわああああああああん~~っ!!!!」



彼方(うつ伏せの状態の栞子ちゃんは、プレイマットに顔を埋めたまま、大声で泣き出してしまいました)

彼方(お尻を突き出して、スカートが捲れ上がって、とても恥ずかしい姿になってるけど……)

彼方(栞子ちゃんにとっては、もうそんなことはどうでも良くって)

彼方(『あゆとん』のお人形を持っていた女の子を傷付けてしまった事実に、耐えられなかったんだね……)

34: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:15:07 ID:???00

子供達「……おねえちゃん、毛布持ってきたよっ」

彼方「すまないね~。さすがに丸見えのまんまだと、恥ずかしいもんねっ」



彼方(ずっとうつ伏せのまま、大声で泣き続けている栞子ちゃん)

彼方(お尻に毛布を掛けて、スカートの中が見えないようにした後で……)

彼方(彼方ちゃんと子供達み~んなで、栞子ちゃんの側に寄り添って、入れ替わりで頭を『ナデナデ』してあげたのでした)



女の子「おねえちゃん……」



彼方(『あゆとん』のぬいぐるみを持っていた女の子は、すでに泣き止んでいて……)

彼方(彼方ちゃん達と一緒に、栞子ちゃんの頭を『ナデナデ』してくれています)

彼方(そうしてしばらくして、栞子ちゃんはようやく泣き止むと……)

彼方(泣き疲れてしまったのか、そのまま優しい寝息を立てて、眠ってしまったのでした)

35: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:17:07 ID:???00

彼方(そして…………)





    *

栞子「……うっ、ううん……」

彼方「あっ、栞子ちゃん、おはよ~♪」

彼方「今回は彼方ちゃんが『膝枕』担当だよっ。極上の寝心地、体験していただけたかな~?」

栞子「あっ、ありがとうございます、彼方さん。とても快適でした……」

37: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:19:07 ID:???00

栞子「……あっ!」

栞子「彼方さん、あの子達は、あの子達はどうされましたかっ!?」

彼方「家族の人がお迎えに来てくれて、み~んな帰ったよっ」

彼方「もう残ってるのはスタッフさんと、彼方ちゃん達だけかな~」

栞子「そっ、そんなぁっ……!!」

栞子「ああっ、私は何てことを!!」

栞子「とても酷いことをしてしまったのに、あの子達に謝罪することができませんでしたっ……!!」

38: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:21:06 ID:???00

彼方「大丈夫だよ、栞子ちゃん。あの子達み~んな、栞子ちゃんのこと全然怒ってないよっ」

栞子「えっ、でっ、でも私は……!」



彼方(困り顔でググっと迫ってくる栞子ちゃん)

彼方(彼方ちゃんは、そんな栞子ちゃんのほっぺを、右手の人差し指で『プニっ』と突っつきます)

彼方(おおう、こりゃあ柔らかい~♪)

彼方(果林ちゃんや愛ちゃんが、何かある度に栞子ちゃんのほっぺを突っつきたがる訳だっ)



栞子「かっ、彼方さん……?」

40: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:23:18 ID:???00

彼方「栞子ちゃんが眠った後にね……」

彼方「彼方ちゃんがみ~んなに、栞子ちゃんのことをお話したの」

彼方「三船栞子ちゃんはとってもマジメで、とっても真っ直ぐな女の子」

彼方「でも真っ直ぐすぎて、時々カーブを曲がらずに……」

彼方「そのまま真っ直ぐ、全力で突っ込んでいっちゃうトコロがあるんだ、って」

41: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:25:08 ID:???00

栞子「突っ込んでいっちゃう……そっ、そうですね。彼方さんのおっしゃるとおりです」

栞子「私は変なところで完璧主義で、頑固なところがありますので……」

栞子「私の姉にも度々指摘されて、よくからかわれています」

彼方「薫子先生に? さっすが栞子ちゃんのお姉ちゃん、よく見てるね~♪」

彼方「っと、まあそれは、そのとおりかもしれないけど……」

42: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:27:07 ID:???00

彼方「キョトンとしている子供達に、彼方ちゃんは続けてこう言ったの」

彼方「……彼方ちゃんは、そんな真っ直ぐな栞子ちゃんのことが、すご~く大好きなんだっ」

彼方「真っ直ぐで、真っ直ぐすぎて、そのまま真っ直ぐ突っ込んでいっちゃって……」

彼方「その先に、新しい道を作って、見ているみんなを元気に、幸せにしちゃうの!」

彼方「そんなすご~いパワーを持っている、素敵な女の子なんだよ……って!!」

栞子「わっ、私に、そんな……その、恐縮ですっ……」

彼方「ホントのことだよ~♪」

43: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:29:07 ID:???00

彼方「そしたらね、み~んな、栞子ちゃんのこと許してくれたよっ」

彼方「というよりも……」

彼方「あの子達は最初っから最後まで、栞子ちゃんのことを『とってもマジメなおねえちゃん』って思ってくれてたみたい」

彼方「ビックリはしてたみたいだけど、怒ったり嫌ったりは、してない感じかな~♪」

栞子「そっ、そうなのですか!?」

栞子「何だか、その……とても、嬉しいですっ……」

44: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:31:07 ID:???00

彼方「それから、あの『あゆとん』のぬいぐるみを持っていた子はね……」

彼方「栞子ちゃんのぬいぐるみをお迎えして、ブタさんのパーカーを着せてあげたい、って言ってたよ!」

栞子「えっ!? どっ、どうしてそのようなことになるのですか!?」

彼方「えっ!? こっ、これは嫌だった、栞子ちゃん!?」

栞子「トンでもありません! 私には、とても勿体ない話ですっ!」

彼方「おおう、栞子ちゃん、愛ちゃんみたいに上手なダジャレだねっ♪」

栞子「あっ、いえ、そのつもりでは……」

栞子「でも侑さんでしたら、きっと楽しそうに笑ってくださるのでしょうね」

栞子「それに……あの子に嫌われていないなんて、とても申し訳ない……」

栞子「いいえ、とても嬉しいですっ! 本当に幸せすぎて、もう……!!」

45: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:33:07 ID:???00

栞子「…………」

栞子「……あの、彼方さんっ」

彼方「なんどす?」

栞子「どうして京都弁なのでしょう? ……ああ、いえ、失礼しましたっ」

彼方「ううん、『はんなり』とした感じを出したいと、彼方ちゃんは日夜研究しているのだっ☆」

栞子「そうなのですね。華やかで、上品で、彼方さんにとても合っていらっしゃると思います」

彼方「そうかい? おおう、おおきに~♪」

彼方「……って、すごい脱線しちゃったね。改めて、どうしたの栞子ちゃん?」

栞子「はい、では、私も改めて……」

46: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:35:07 ID:???00

栞子「お願いが……ひとつだけ、お願いがありますっ」

栞子「少しだけで結構です。彼方さんの胸を、お借りしてもよろしいでしょうか?」

彼方「おっけ~、いくらでも貸してあげるよ。ドーンと、彼方ちゃんの胸に飛び込んで来たまえっ!」

栞子「ありがとうございます。……では、お言葉に甘えまして……」



彼方(栞子ちゃんは、彼方ちゃんの胸の中にうずくまります)

彼方(二人とも座っている状態なので、ちょっと窮屈だけれど……まぁ、そんなことはどうでもいっか)

彼方(やがて栞子ちゃんの身体が、弱々しく震えると……)



栞子「……彼方さんっ」

47: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:35:56 ID:???00

栞子「彼方さん、私はっ……!」

栞子「私は結局、何一つ、何一つ上手にできませんでしたっ……!!」

彼方「よしよし、栞子ちゃん。たまにはそういうコトもあるよ~」

栞子「彼方さんっ、彼方さあんっ……!!」

    *

彼方(彼方ちゃんに抱き付いて、ワンワンと泣き続ける栞子ちゃん)

彼方(彼方ちゃんは、そんな栞子ちゃんを抱きしめながら、頭を優しく『ナデナデ』して慰めていたのでした)

49: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:37:08 ID:???00

彼方(……と、これが >>2 の、栞子ちゃんが彼方ちゃんの胸の中で泣いていた理由、というワケなのです)

彼方(まあこの時点で、結果論もあるけど問題はほとんど解決していて……)

彼方(後は栞子ちゃんが泣き止めばハッピーエンド、ってトコロだったんだよね~♪)





    *

彼方(しばらくして、栞子ちゃんが泣き止んだ後……)

彼方(スタッフさん達にお礼を言って、彼方ちゃん達は児童館を後にしました)

彼方(すでに夜の帳は下りていて、色鮮やかなイルミネーション達をクッキリ彩らせています)

50: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:39:07 ID:???00

栞子「彼方さん、今日は本当に、色々とありがとうございましたっ」

栞子「もしよろしければ……今晩私と、夕食をご一緒していただいても、よろしいでしょうか?」

彼方「うん、もちろん良いよっ!」

彼方「『ボランティアが終わった後に、反省会をしたい』……って、事前にお願いされてたもんね~」

栞子「ありがとうございますっ!」

栞子「……今回のボランティアは、私にとって色々と勉強になりました」

栞子「今晩はご飯を食べながら、彼方さんに色々、ご相談させてくださいっ!」

彼方「りょ~かい。ドーンと、彼方ちゃんにご相談しておくれやす~!」

51: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:41:07 ID:???00

彼方「……んじゃあ取りあえず、何食べに行こっか?」

栞子「はい、それはもちろん……」

栞子「しゃぶしゃぶを……『国産豚』の、『しゃぶしゃぶ』を食べに行きましょう!」

栞子「この近くに、リーズナブルな価格で、『国産豚のしゃぶしゃぶ』を食べ放題できるお店があるのですっ!」

彼方「おおう、ものすごい推しっぷりだけど……」

彼方「何故に『国産豚のしゃぶしゃぶ』? その心は……?」

52: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:43:07 ID:???00

栞子「はいっ、それはもちろん……」

栞子「あの『あゆとん』のお人形を持っていた……」

栞子「そして私のことを『しおとん』にしてくださる、あの女の子の期待に応えたいからですっ!!」

彼方「『もしかして』と思ってたけど、やっぱりか!!」

栞子「はいっ! さすが彼方さん、私の気持ちはお見通し、という訳ですねっ!」

彼方「いや、そんなに自信満々じゃなかったけど……」

53: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:45:07 ID:???00

彼方「……ってか、『しおとん』? 『しおとん』とは、一体なんどす?」

栞子「はい、それはもちろん……!」

栞子「歩夢さんが『あゆとん』ですから、私はもちろん『しおとん』がふさわしいだろう、と!!」

彼方「『もしかして』と思ってたけど、やっぱりそれか!!」

栞子「はいっ!! さすが彼方さん、私の気持ちは何もかもお見通し、という訳ですねっ!」

彼方「いや、そんなに自信満々……って、このやり取り、さっきもやったね」

栞子「そうですね。『ギャグは繰り返しが基本』と、璃奈さんも力説されていました!」

彼方「お、おう……(璃奈ちゃんと、どんな話題で盛り上がったんだろ?)」

54: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:46:07 ID:???00

栞子「あの子が私を『しおとん』にしてくださるのでしたら……」

栞子「私もそれにふさわしい、愛される存在にならなければ!」

栞子「私も国産豚、もとい、国産スクールアイドルの端くれとして……」

栞子「もっと皆さんに『しゃぶり尽くして』いただけるように、頑張らなければいけませんっ!!」

彼方「何だかヒワイな表現が飛び出してないかい、栞子ちゃん!?」

55: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:48:07 ID:???00

栞子「ですが……ただ食べるだけでは、単に太ってしまうだけですので……」

栞子「それは私を『しおとん』にしてくださる、あの子を失望させてしまう恐れがあります」

栞子「ですので練習量もしっかり増やして、体型バランスの維持に努めましょう!」

栞子「ロールモデルは……ズバリ『あゆとん』こと、歩夢さんっ!!」

栞子「歩夢さんの、あのふっくらとした、思わず触りたくなってしまう、マシュマロのような柔らかボディに対抗して……」

栞子「姉さんに褒められた、お尻の『適正』を強化する、名付けて『三船おしり子』モデルを目指しますっ!!」

彼方「ソッチ側もアピールするの!? 欲張りさんだなあ!!」

56: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:50:07 ID:???00

栞子「早速行きましょう、彼方さん! 予約は今先程、隙を見てスマートフォンで済ませてあります!」

彼方「はや!!」

栞子「お出汁の種類も先程調べたのですが……何と『塩とんこつ味』がありました!」

栞子「まさに『しおとん』! まるで私のために存在しているお出汁ですっ!!」

彼方「すっ、すごいねっ。そりゃあまさに『運命』ってヤツなのかな……?」

栞子「はいっ!! 『しおとん』……まさに私が目指す、理想のスクールアイドルの姿ですっ!!」

彼方「そこまで言うかね!?」

栞子「GPXで私が直接対決する、全国の、そして数多のスクールアイドルの皆さん……」

栞子「彼女達に挑むためにも、今晩は沢山食べて、ファンの皆さんに『しゃぶり尽くして』いただけるように頑張りますっ!!!!」

彼方「また出たよ、『しゃぶり尽くして』!!」

59: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:53:07 ID:???00

栞子「さあ彼方さん、今晩は一杯『おしゃぶり』しましょうっ!!」

彼方「そりゃ『おしゃべり』だよ、トンでもない言い間違いだよっ!!」

彼方「……って、おお~い栞子ちゃん、待っておくれやす~!!!!」



彼方(慣れないツッコミでスタミナ切れの彼方ちゃんを置き去りにして、しゃぶしゃぶのお店に全力ダッシュする栞子ちゃん!)

彼方(彼方ちゃんは置いて行かれないように、慣れない京都弁で呼びかけながら、栞子ちゃんの後を必死で追いかけたのです……)

60: 名無しで叶える物語◆swhNKzRK★ 2025/10/05(日) 11:55:08 ID:???00

彼方(……こうして、児童館ボランティアは一応? 成功裏に終わり)

彼方(彼方ちゃんと栞子ちゃんは、国産豚のしゃぶしゃぶをお腹いっぱい楽しんだのでした~♪)





    *

彼方(三船栞子ちゃんはとってもマジメで、とっても真っ直ぐな女の子)

彼方(でも真っ直ぐすぎて、時々カーブを曲がらずに……)

彼方(そのまま真っ直ぐ、全力で突っ込んでいっちゃう女の子!)

彼方(今回みたいにある程度は、軌道修正のお手伝いが必要かもしれない……)

彼方(いやラストは、全然アシストし切れてないけどね!!)

彼方(……まぁ、そんなことはどうでもいっか♪)

彼方(そう、彼方ちゃんは……)

彼方(彼方ちゃんは、そんな真っ直ぐな栞子ちゃんの、ぜ~んぶが大好きなのですっ!!)



【おしまい~♪】

引用元: 【SS】栞子「三船おしり子と」彼方「『しおとん』の悪日~♪」