0001以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 10:03:30.82ID:BjDxeBgA0
いや、何で俺の部屋にいるの?

女「え、ここ君の部屋!?あっれーおかしいなぁ・・・」

なんで、下着しか着てないの?

女「暑いじゃん?今日。だから、脱いだほうが涼しいかなぁ~って・・・」

今、何月?

女「しちがつ?」

いちがつだ!出てけ!!

女「し、失礼しましたー!!!」

0007以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 10:15:08.30ID:s8Fr6OwbO
親しいものがいなくなればそれ相応の傷は出来ます。心にね。

しかもそれが親しければ親しかったほど倦怠感や後から押し寄せる後悔で精神的に弱くなります。
簡単に言うと、心の中深い程、その分ナイフは傷口を深めてなかなか治らないようにします。

軟膏なんてないですし、塗る気力すらない。
でも人間も達者なものでいつしか自然に治癒してるものです。古傷は治らないけど、その分痛みについては我慢できる幅が広がります。
人はそうやって成長していくものですよ。

僕は臆病だから無くすものを極端に少なくしてますよ。
だから動物も飼わないし、それほど深く親友と呼べる者もいません(笑
ですがね、多分僕はその少ないものがいなくなれば生きれませんね、
少ないから余計になくしてからの哀しみがあまりにも深いから。


だから君は多くのものと接しなさい、傷付くのは当然で、休息するのも当然。
傷が癒えたら、君は前を向けばいい。 
簡単なことだろう?

0008以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 10:16:33.74ID:BjDxeBgA0
ったく、なんなんだあいつ

コンコン(家の壁が薄いので何でも丸聞こえ、面倒くさがりの彼女は大体こうして会話する)

女「ごーめーん」

何謝ってんだよ

女「勝手入ってごめんってー。ねー、一つ屋根の下だからこういうことよくあるじゃん?」

ない!寝ぼけるような時間でもないし、まして真冬下着一丁で歩き回る
体力のある人間に、こんな間違いは起きないんだ!

女「だってー、年頃の男子がどんなもんか気になるじゃんよー」

な、何言ってんだよ・・・

女「あー、赤くなったっしょ?絶対顔まっかっしょ?」

う、うるせーばか!

0015以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 10:39:35.70ID:BjDxeBgA0
母「ごはんよー」

はーい

女「待ってましたっ!!ごっはんごっはん!」

ガチャ ダダダダダ

食い意地はってんなぁ

~リビング~

母「今日もいっぱい作ったからねー」

女「マジでママさんの料理いつ食ってもうまいっすねぇー」

しゃべりながら食うなよ

女「このうまさは、しゃべりながらじゃないと伝わんないってー」

うわっ!こっちにとばすな!

母「あらあら~、うふふ」

女「へへへー」

0019以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 11:06:31.84ID:BjDxeBgA0
>>18
母「ちょっとお話しがあるの」

何?

母「母さんね。お父さんと明日から旅行行ってくるから!」

は?

父「会社で、宿泊券もらっちゃってな。もうずいぶんどこも連れて行ってやれなかったからさ」

いや、それはいいんだけど。

母「お小遣いは置いておくし、月曜の夜に帰ってくるからね」

俺は、あいつと二人きり?

父「いいじゃないか。これからのことをゆっくり話し合いなさい」

これからって!なんだよ!?

母「あらら、うふふ、父さんったら」

父「ははは、これはこれは」

0025以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 13:49:36.98ID:BjDxeBgA0
そうこうしているうちに、次の日の朝。
父さんと母さんはにこやかに家を後にしていった。

女「さてー、どうしようか」

どうしようもなにもないだろ。

女「普通、若い男女が一つ屋根の下で二人きりになって何もないわけないよねー」

どういう意味だよ。

女「そういう意味だよ。ふふっ」

ニヤニヤするな。

女「へーい。で、この連休どうしよっか」

なんもねぇよ。ゲームするくらいしか。

女「えー、若い男女が連休中部屋にこもってゲームやんのー?」

何か計画でもあるんなら、言えばいいだろ。俺は面倒なことになりたくないんだよ。

0027以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 13:57:10.56ID:BjDxeBgA0
女「ちょっとじゃあ、あたしの部屋に来てみなよ、少年」

なんでだよ。口頭発表じゃいけない理由でもあるわけ?

女「あたしが語彙足んないの知ってるっしょ?完璧な計画は完璧な形で相棒に伝えないと」

相棒とか、少年とかやめろ。

女「いつも君とかじゃつまんないっしょ。変化に富んだ日常を欲するみたいな?」

意味がわからん・・・

女「とにかく、あたしの部屋に来るのだ!」

手ぇひっぱんなよ!ちゃんと行くって!

0028以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 14:06:46.01ID:BjDxeBgA0
ガチャ

女「そういえばあたし部屋はいるの初めてだっけー?」

うん、ああ。

女「そかそか。まぁ、自分の部屋だと思ってくつろぎたまえよ」

ここは俺んち!お前は居候だろ!!

女「なーにいまさら言ってんだか、もう家族みたいなもんじゃん?」

お、俺は認めてないからなっ。

女「そーんな悲しいこと言うなよー。おっと、ささ、入った入った」

お邪魔しま・・・、うわぁ・・・。

女「最近片付けてないけどさー。そこ、座れるっしょ?テーブルの前」

最近て、いつから片付けてないんだよ・・・

女「そう言われると、いつからだろうなぁ・・・。先月も先々月も忙しかったしぃ~」

これはもう片付けた痕跡はないものとみなす。この部屋は今すでに片付いてない!

女「ま、女の子が一人で生活できてるからそこそこ清潔っしょ。安心しなー」

できるか!!

0029以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 14:40:01.63ID:BjDxeBgA0
で、計画って何?

女「これー!じゃじゃーん」

市内探訪思い出めぐりの旅、二人のラブメモリーツアー20XX。

女「Yes!その通り!That's right!」

いや、まったく意味がわからないんですけど。

女「タイトルでネタばれしてるけどねー。まぁ、要するにお散歩ツアーっすよ」

つか、お前とそんなに思い出深い場所なんてこの町にはないんですけど。

女「じゃあ、今から作ろうじゃん!家に引きこもってたってつまんないよー」

わーったわかった!行くよ、行けばいいんだろ。

0033以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 14:59:11.99ID:BjDxeBgA0
で、どこ行くんだ?

女「んーとね。まずはあの山の上のお寺」

あそこかよ。あそこ遠足で言ったけど何にもないぞ。

女「自然の中で戯れるって素敵じゃん?どうせ移動はこれだしさ」

これ、二人乗りできたの?つか、しちゃだめなんじゃ・・・

女「見つかんなきゃやってないのと同じだってば。ほら、乗んな。」

キュルルルル ブルン ドルルルルルルル

おっかねぇ・・・

女「少年はあたしにしっかりしがみついてなよ。そうすりゃ、吹っ飛ばされても一人じゃないからねー」

怖いこというなよ!怪我したくないぞ!

女「はっは!冗談冗談。さ、行くよ!」

ドッルルルルルルル ブィィィィィィィィ

0035以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 15:05:35.31ID:BjDxeBgA0
ブィィィィィィィィ

女「ひっさしぶりだなー、これ運転すんの」

家に来てから、あの部屋でずっとぐうたらだったもんな。

女「ちゃんといろいろやることやってたよー」

あの汚い部屋で?

女「そう、あの部屋で」

なにを?

女「そこまで言わなきゃわからないなんて・・・、ああ無知は罪ですねぇ神様・・・」

はぐらかすなよ!ふん。

女「そのうち話すよ、そのうち、ね」

ブィィィィィィィ

0036以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 15:09:47.96ID:BjDxeBgA0
ブィィィィィィィィ

女「ねぇ!見て!鳥の群れ!」

珍しくもなんともないじゃないか。お前の部屋からだって見れるだろ。

女「見えないよー。すごいよねー、何で飛べるんだろ」

鳥だからだろ。

女「そういうことじゃなくてさー、ほら、もっとなんて言うかなぁ~」

何でもいいよ、飛べるのが当たり前なんだよ、あいつらにとって。人間が歩けて当然なのと同じ。

女「そういうもんかなぁー。賢いね、少年は」

まぁな。

ブィィィィィィィィ

0038以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 15:22:41.04ID:BjDxeBgA0
ドルルルルルルル カチャ

女「着いた!」

あー、この階段・・・

女「まぁ、ちょうど冷えてるし。いい運動じゃないか?」

どうだろ。

女「なんで階段を登るかって?そこに階段があるからさ、少年」

いや、何も聞いてないし。つか、それ階段じゃなくて山でしょ。

女「つべこべいわない。今を楽しむ方法はっ!階・段・の・ぼ・り!以上!ダーッッシュ!!」

あ、ずるっ!!待てよー!


キャッキャウフフ

0039以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 15:34:47.80ID:BjDxeBgA0
はぁはぁはぁ・・・

女「ひぃひぃひぃ・・・」

い・ち・ば・んー!!!

ドサッ

女「少年は、はぁはぁ、若いな・・・ぜぇぜぇ・・・」

暑い・・・はぁはぁ・・・

女「スニーカーはいて来れば、はぁはぁ、負けなかったのに・・・」

なに、それ。負け、惜しみ?

女「ま、今日のところは、ね。少年に勝ちを譲ろう」

で、ここまで来て、なにするの?

女「この寺の裏に、おっきい木があるっしょ?そこ行こ、そこ」

う、うん。ほら、手貸してやるよ。

女「さ、サンキュー。へへへ」

0041以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 15:50:30.44ID:BjDxeBgA0
こんなに狭かったっけ?

女「君がでかくなったからじゃないかなぁー」

そうなのか?2年しか経ってないよ。

女「そういうもんでしょ。少年くらいのときの2年はとんでもない2年なのさ。お、あったあった」

この木は相変わらずでかいな。

女「ホント、変わらないな」

えっ?

女「君は、私がなんで君の家に居候しに来たのか知ってる?」

お父さんの親戚のおじさんの家から飛び出してきたって、お前言ってたじゃん。

女「でも、親戚だったら一回くらい顔見たことあるはずじゃない?」

そりゃそうかもしれないけどさ。お父さんもお母さんも知ってるみたいだったし。

女「それはね。私が、そういう風にお父さんとお母さんに思わせてるだけなの」

0042以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 16:04:06.22ID:BjDxeBgA0
はぁ?何言ってんだよ。

女「あたしね、流れ星なの。正確に言えば、彗星だけどね。流れ星のほうが私は好き」

・・・。

女「きっと誰も見つけてない彗星だよ。10年に一度、私はここにやってくる」

まっさかぁー。また、得意のへんてこ話だろ?

女「ううん。これはホント。そして、10年の周期のあと1ヶ月だけ私を見つけてくれた人と暮らせるの」

だ、だまされねぇーよ。そんな、話し・・・

0045以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 17:03:14.52ID:BjDxeBgA0
女「で、今日はちょうど・・・」

・・・一ヶ月。

女「いい思い出、できたね」

お、俺はまだ信じてないからなっ!!

女「うん、ありがと」

なんだよ・・・ありがとうって。

女「さーって、帰りますかー!おなかも減ったし」

もう4時か。昼飯食わずにきちゃったからなぁ。

女「よーっし、下まで競争!!」

あっ!またぁー!!

0047以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 17:09:30.37ID:BjDxeBgA0
はぁはぁ・・・

女「今度は、あたしの、勝利っ・・・はぁはぁ」

ずるじゃん・・・

女「勝ちは勝ちっしょ。負けっぱなしは、ね。まずいっしょ」

知るかよ・・・、疲れた・・・。

女「冷えないうちに、帰るぞ。少年」

ギュルルルル ドルルルルルルル

女「さ、乗った乗った」

ういー。

女「往路同様に、しっかりつかまってご搭乗くださーい!」

りょうかーい。

ブルンブルン ブィィィィィィィィ

0048以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 17:14:44.03ID:BjDxeBgA0
ブルルルルルルル  ガチャ

女「やっぱ、お日様いなくなると寒いねー」

はだびずが・・・

女「ははは。早く家入って風呂でも入ってきな」

ご飯は、どうずんだびょ。

女「あたしが作ってやっから、心配すんなって」

でぎるど?料理。

女「なめてもらっちゃ困るよ少年。私だって米くらいは炊ける」

俺だってそのくらいできらー!

女「ま、冷蔵庫の中に何もなけりゃその辺に食べに行けばいいじゃん?」

そのほうがいいや。そうしよう。

0049以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 17:33:25.53ID:BjDxeBgA0
~風呂~

あいつの言ったこと、ホントかな。

嘘かな。なんだろう・・・今日のあいつ少し変だ。

彗星?まさか、ね。あー、わかんねぇー。ブクブク

~リビング~

女「喜べ。ママさんがハンバーグを作っていてくれてたぞ」

じゃあ、あっためるだけだね。

女「米はもうジャーにかけてある。あたしも風呂に入ってくるよー」

あ、うん。

本当に今日が最後?最後なのか?もしそうなら、俺は・・・俺は・・・

・・・ハンバーグ、温めるかな。

0050以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 17:36:28.99ID:BjDxeBgA0
女「ふぅー、いい湯だった」

今日は、温泉の素入れたからな。

女「今頃、パパさんママさんも温泉かなぁー」

ご飯炊けたし、食べよ。もうお腹ペコペコ。

女「だな!今日は山盛りライスでも3杯はいけそうだ」

マジかよー。

パクパクモグモグ  キャッキャウフフ

0052以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 17:49:10.39ID:BjDxeBgA0
ぷはぁー、食った食ったぁ~。

女「うー、食いすぎたー」

本当に山盛りご飯3杯食べれば、そりゃそうなるって。

女「今日はそんな気分だったの」

まだ、8時かー。

女「どうせ連休だし、徹夜でゲームするか?」

いいねぇ~。

0053以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 17:51:52.19ID:BjDxeBgA0
~夜も更けて~
キラキラキラ

うーん、眩しいよ。電気消して・・・あれっ?あいつは?

うわっ!外が光って・・・あいつ!!2階だっ!

ダッダッダッダッダッダッダ  ガチャ

うわっ!眩しい!!

女「あー、起こしちゃったか。少年」

あー、じゃないよ!何も言わないでさよならなんて!

女「楽しかったよ、君と出会えてさ。君ほどあたしをかまってくれた人はいなかった」

こんなときに、寝ちゃうなんて。もっといっぱい話したかったのに!!

女「君が憶えてくれているなら、もう一度会えるかもね」

俺!忘れないからな!お前のこと忘れないからな!!

女「・・・うん」

さよならじゃないからな!!

女「ああ、また会おう、少年」

0054以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 17:53:31.20ID:BjDxeBgA0




      ~~~  10年後  ~~~
      
0055以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 18:01:01.87ID:BjDxeBgA0
「浩平さん、起きて」
「うーん」
「お父さん、酔って寝てるから、新年の供え物お寺まで、ね?」
「へいへい」

寝ぼけた眼で、時計を見る。午前0時を5分過ぎたところ。
久しぶりにあいつの夢を見た。これももしかしたら何かの縁なのかもしれない。
ジャンパーとスウェットを履き、マフラーを巻いて年始の供え物とやらを受け取る。

「いってきまーす」
「気をつけてねー」

ついさっきまで地元では珍しく降っていた雪も上がり、少しだけ濡れた路面が街灯できらきらと光る。
気温はきっと氷点下。さっきまで雪が降ってたんだしな。そして、今日はさっき新年を迎えたばかりの1月1日。
あの日から、10回目の新年だ。

0056以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 18:06:32.05ID:BjDxeBgA0
10年前のあいつとの一時は夢や幻だったのか。
あいつがいなくなってから、旅行から帰ってきた両親はあいつのことを何も憶えちゃいなかった。
何を言っても知らぬぞんぜぬで、俺は少しの間変人扱いされた。

でも、俺は憶えてる。あいつとの約束。思い出も。

今日、俺はあいつに会う。会える、でなきゃ俺はあいつを許さない。
話したいことは山ほどあって、今日のために溜めに溜めて、放出する先は他にない。

あいつと原付で通った道も、実はそんなに遠くないし
あいつと競争した階段も、実はそんなに長くはなかった。

それも、俺が成長したからだろうか。

0057以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 18:14:11.24ID:BjDxeBgA0
寺までの階段を登り終え、街を見渡す。
10年経っても、そんなに景色は変わっちゃいない。当たり前だ、毎年こうやって見渡してるからな。

寺の境内と本堂の周りには、初詣の親子連れや自治会の爺さんばあさんがいて
それなりににぎわっていた。俺もその流れに乗って、賽銭を投げ、初詣を手短に済ませた。
年始のお祝いを置いて、知り合いのおじさんと少し世間話をして、俺は本堂の裏へと向かった。

さっきまで降っていた雪で整備されていない道はぬかるみ、何度かこけそうになった。
靴はもはや泥だらけ。あとで洗わせてやる。

目的地に着いた。あの、大樹の目の前。

「こら!出て来い!!」

声は少し響いて、すぐに夜空に消えて行った。

返事はない。

0058以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 18:20:06.29ID:BjDxeBgA0
「やっぱ、俺、頭どうかしてたのかなぁ・・・」

少しだけ寂しい気持ちになった。
近くにあったちょうど腰掛けられる石に座り、空を思わず見上げた。
さっきまで雪を降らせていた雲は流れ、星の瞬きが見える。

「あいつの光は、どれかなぁ・・・」

それから、少しだけそんなことを思いながら夜空を眺めてぼんやりと時を過ごした。
だけど、あいつは現れなかった。

さすがに1月。そろそろ寒くなってきたので、重い腰を上げ、何の収穫もなくまたぬかるんだ泥道を
戻るのかと思うとため息しか出てこない。一歩、また一歩元¥もと来た方へ戻る。
どんよりと重い気分が俺の中に立ち込め始めたとき、後ろから何かが俺を照らした。

0059以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2009/01/29(木) 18:30:23.96ID:BjDxeBgA0
俺は思わず後ろを振り向いた。
あの大樹が輝いている。
いや、木が光るなんてのは俺ももうさすがにわかる年齢に達していたからもう少し冷静になって考えた。
木の前に、光り輝くものがある。そうだ、それだ。
そしてその光は、10年前、あいつと別れた日に見たものと同じだと感じた。

光が徐々に薄れ、それがあった場所に何かが現れた。
俺の目が順応するまでの間、その何かは身動きすらせずじっとしている。
もしかしたら、動物ですらないのかもしれない。
だんだん、俺の目が元通りになってくると、そこにいた何かはこちらのほうに体を向けた。

そして、右手を挙げ
「久しぶりだな、君」

なんだ、会えたじゃないか。

俺もなんだか照れくさくて、右手を挙げて

「よう」

とだけ、つぶやいた。

                                   「流星の女性(ひと)」(終)