1: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 20:54:10 ID:???Sd
栞子「今日も同好会は平和ですねぇ」ホノボノ

歩夢「栞子ちゃんお茶飲む?」

栞子「飲みますよ。飲みますとも」

侑「ふふっ、練習頑張ったから喉乾いちゃったんだね。お茶飲んでる栞子ちゃんもときめくYOー!」

栞子「お茶飲んでるだけで褒められるなんて美少女は得ですねぇ」

ガラッ バギィンッ!!!!!

せつ菜「皆さん大変ですよぉぉぉっ!!!!!!!」

栞子「しおっ!?」 ッ

せつ菜「じ、実は……!!」

歩夢「ええっ!?」

栞子「>>3>>4になった?」

3: 名無しで叶える物語◆xRg9cHCO★ 2025/10/10(金) 20:59:24 ID:???Sa
副会長

4: 名無しで叶える物語◆nW7znvwy★ 2025/10/10(金) 21:00:49 ID:???Sd
せつ菜

7: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 21:03:24 ID:???Sd
栞子「副会長がせつ菜さんになった?」

歩夢「と言うことは……」

せつ菜「はい、私はせつ菜ちゃんではありません!!! 副会長です!!!」

栞子「なんのジョークです? 声の大きさは隠しきれませんよ」

せつ菜「話そうとすると声が大きくなっちゃうんですよぉぉぉぉっ!!! うおおおおおっ!!!」

侑「でもなんで副会長がせつ菜ちゃんに……?」

せつ菜「私だって分かりませんよ!! 生徒会室で仕事してたらこうなったんですから!!!」

8: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 21:09:36 ID:???Sd
歩夢「せつ菜ちゃんが副会長ってことは……だったらせつ菜ちゃんはどうなったの?」

せつ菜「恐らく私になってますねぇ!! あっ、私というのはせつ菜ちゃんのことではなく副会長ということです!!!」

侑「ややこしいなぁ……」

栞子「それが事実ならせつ菜さんも今頃混乱してるでしょうね。せつ菜さんは今どこに?」

せつ菜「ここにいると思って来たんですが!!! いませんねぇ!!!」ペカー

侑「確か体育館で璃奈ちゃんと彼方さんの体幹見てた筈……だけど」

せつ菜「体育館ですね!! 行ってみましょう!!!」ダッ

栞子「あっ、副会長……行ってしまいましたね」

歩夢「どうしよう……?」

侑「私達も着いていこうよ。本当でも冗談でも面白いし」

9: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 21:13:42 ID:???Sd
体育館

歩夢「せつ菜ちゃん? 副会長さん?」

侑「何だか騒がしいけど……」

愛「えぇ……これどうすんのさ。無茶苦茶じゃん……」

栞子「愛さん。せつ菜さんを見ませんでしたか?」

愛「しおってぃー、大変なんだって! せっつーが……いや、せっつーは副会長なんだっけ……?」

栞子「それは聞いてるんですね。探してるのは本物のせつ菜さんの方ですよ」

愛「本物のせっつーなんだけどさ、実は……」

愛「>>10になっちゃったんだよ!」

10: 名無しで叶える物語◆XaFcge2b★ 2025/10/10(金) 21:21:06 ID:???Sr
╭(^O^)

14: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 21:30:18 ID:???Sd
╭(^O^) うおおおおおっ!

せつ菜「せつ菜ちゃん! 目を覚ましてください!!!」

╭(^O^) 本物になれましたよぉぉぉっ!!!

   | i                 //      __
   | |             //    /二つ_つ
   | |             //   /二つ./ ) /⌒)_ ._   _ノ
   | |            // /二つ (ノ / / (__)(_)、  ノ
   | |            // /   i     / /   Y (_)() く うおおおおおおお
   | |           //  i  ノ _ノ / _ _ノ ノ    )
   | |           //  /   /  .i (  /   ∠
   | |          //  /  /    /i   ゙-、(      ヽ
   | |          //  / /    / i    i   n   ⌒ヽ'⌒
   | |         //  / /╭( ^O^) /  .ヽ___ノ _ノ/-っ
   | |         //  /.    ⌒/   /二二_づー'
   | |        //  /       /  ./
   | |        //  /     /  /   //
   | |       //  /    /  /   //
   | |       //  /      /   //
   | |      //  /    __/   //
   | |      //  /   /     //       ,,,-''
   | |     //  /   /     .//      ,,,-''
   | |     /  /  ./   //     ,,,-''
   | |    ./  /  /   //    ,,,-''
     !     _ノ ノ  .//   ,,,-''
         / / //  ,,,-'''
        ./ / // ,,,-'''         _,,,,―'''' ̄
       // // -'''    _,,,,―'''' ̄
    _ノ⌒/ /   _,,,,―'''' ̄
  ⊂_/      '''' _____________
   _人__       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      て
      (  タンッ!


せつ菜「せつ菜ちゃん!?」

栞子「な、なんですかこれは!?」

15: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 21:34:09 ID:???Sd
╭(^O^) 本物のせつ菜ですよ!!

せつ菜「う、うう……せつ菜ちゃんがこんなのになっちゃった……」

彼方「せつ菜ちゃんに練習を見ててもらっててさ、気付いたら本物になってたんだぜ」

栞子「そもそも本物ってなんなんですか!? 何が一体どうなって……」

╭(^O^) あれは偽物です! 私が本物ですよ!!!

歩夢「分かってるよせつ菜ちゃん、あっちは副会長で……」

╭(^O^) あっちがなんであれ、私が本物の優木せつ菜です!!!

歩夢「うう……話が通じない……」

侑「このせつ菜ちゃんもときめ……ときめく? うん、ときめく……よ?」

17: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 21:39:41 ID:???Sd
栞子「副会長がせつ菜さんになっただけならともかく、せつ菜さんがこうなったとなると信用せざるを得ませんね」

栞子「なんでこんなことに……?」

╭(^O^) 本物になるのは光栄なことなんですよ!!!?

栞子「璃奈さん、彼方さん、何か前兆のようなものはありませんでしたか?」

璃奈「分からない。気付いたらこうなってた」

彼方「目を離したつもりはなかったんだけどねぃ。彼方ちゃんびっくりだよ」

栞子「ふむ……」

栞子「副会長も分からないんですもんね?」

せつ菜「はい? 私は優木せつ菜ですが!!!」

栞子「……え?」

せつ菜「…………」

せつ菜「あっ、いや、あれ? わ、私は副会長です!!!」

せつ菜「あれっ、私は……?」

栞子「ふ、副会長!?」

19: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 21:43:36 ID:???Sd
せつ菜「私は優木せつ菜で、副会長で、せつ菜が……あれ? あれ!!!?」

栞子「副会長! しっかりしてください、副会長!!」ユサユサ

せつ菜「な、なんでだろ……私、自分がせつ菜ちゃんだって……思い始めて……」

栞子(自我が薄れてる……!? 副会長がせつ菜さんになりかけてるんですか!?)

╭(^O^) 私は本物の優木せつ菜です!!!

栞子(こっちはよく分からないですが……)

栞子「歩夢さんと侑さんは本物のせつ菜さんに声を掛け続けてあげてください!! 愛さんと彼方さんと璃奈さんは副会長に!」

愛「それはいいけど……しおってぃーは!?」

栞子「私は他に変化している生徒がいないか確認してきます! 何かあったら連絡しますので!!」ダッ

栞子(最初は面白いと思いましたが……もしかしたらこれ、想像以上に危険な現象なのでは……)

21: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 21:49:34 ID:???Sd
栞子「変化した人はいませんか!? 誰か、目の前の人が急に何かに変わった人は……」ダダダッ

ガラッ

「きゃああっ!!」

「……グゥ」

栞子「なっ!? きょ、恐竜!?」 

栞子(教室の扉を開け、叫びながら飛び出してくる女子生徒の後ろに立っているのは四足歩行のトリケラトプス)

栞子(困った顔をしているので、自我はあるようですが……あんなものがもし自我を失ったら……)ゾッ

「みっ、三船さっ、あっ、あの子急にっ! きょ、恐竜に……っ!!」

栞子「声をかけ続けてください!! 名前を呼び続ければ大丈夫な筈です!!」ダダダッ

栞子(窓にはヒトデが張り付き、スライムが天井から垂れ下がっている。廊下には百を超えるサイコロが転がり、壁を大きなムカデが這っていた)

栞子「なんですかこの百鬼夜行は……虹ヶ咲に何が起こったっていうんですか!?」

ヌッ

栞子「っ!?」

22: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 21:51:26 ID:???Sd
「……」

栞子(赤いリボン……それだけで分かった)

栞子(目の前のそれが桜坂しずくだということが、分かった)

栞子「しずくさん……ですよね?」

「……」

栞子「なんで……なんで、そんな姿に……」

栞子「>>23なんかに……」

23: 名無しで叶える物語◆xRg9cHCO★ 2025/10/10(金) 21:52:57 ID:???Sa
ナイスネイチャ

24: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 22:10:43 ID:???Sd
栞子「ナイスネイチャなんかに……」

ナイスネイチャ「いやー、確かにネイチャさんはそこまで立派なウマ娘じゃないかもしれないけどさぁ。なんかに、ってのはちょーっと傷ついちゃうかな」

ナイスネイチャ「アタシだって有馬の舞台で走ったこともある訳だし……3着だけどさ。商店街の皆には人気なんだよ?」

栞子「見抜けないじゃないですか!!!」

※ウマ娘のガイドライン的に  きしたらスレが消える

栞子「        出来ないじゃないですかぁ!!!」ガンッ

ナイスネイチャ「ちょ、ちょっとそんなに落ち込まないでよ……こっそりならしていいんじゃない?(魅惑のささやき)」

栞子「うっ……(戸惑い)」

栞子(しかし……しずくさん、ですよね? 声も同じですし、あのリボンは間違いありません)

栞子(相当自我が……ナイスネイチャ側に傾いてはいるみたいですが)

栞子「しずくさん!! しっかりしてください!」

ナイスネイチャ「しずく……?」

25: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 22:17:27 ID:???Sd
ナイスネイチャ「……あ、あれ? 栞子さん?」

ナイスネイチャ「私、なんで……この姿、ウマ娘? えっ、ええっ? ネイチャさん!?」

栞子「よかった……実は……」

ナイスネイチャ「虹ヶ咲の皆が何かに変化する現象が起きてる……?」

栞子「はい、副会長がせつ菜さんになったり、せつ菜さんが本物になったり」

ナイスネイチャ「にわかには信じられないけど……この姿見たら信じざるを得ないよね。耳も尻尾も生えてるし……」スリスリ

栞子「足に尻尾絡ませないでください。くすぐったいです」

ナイスネイチャ「ご、ごめん! 無意識でやっちゃったみたい!」

栞子「尻尾はしずくさんの意識でも動かせるんですね?」

ナイスネイチャ「うん……生まれた時から生えてたみたいに、動かし方が分かるんだよね」

栞子「ううむ……」

栞子(意識が同化しつつある、んですかね? 現象の原因を早く究明しなければ)

栞子「しずくさんはなんでこうなったか、とか分かりませんか?」

ナイスネイチャ「うーん……」

27: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 22:27:48 ID:???Sd
ナイスネイチャ「多分なんだけど……かすみさんじゃないかな?」

栞子「かすみさんが?」

ナイスネイチャ「昨日の放課後にね」

かすみ『善子さんから黒魔術の本を借りたんです! これでいたずらしちゃいますよぉ~♪』

ナイスネイチャ「って」

栞子「黒魔術ぅ? この令和の時代にですか?」

栞子「……と笑いたいところですが、魔術でも関わってないとおかしいですもんね」

ナイスネイチャ「うん……でも、かすみさんも悪気があってやったんじゃないと思うんだ」

ナイスネイチャ「きっと今頃焦って解除方法を……」

prrr

栞子(電話? 愛さんから……?)

栞子「はい? 何か分かりましたか?」

28: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 22:31:20 ID:???Sd
愛『あっ、しおってぃー!? なんか副会長の様子がおかしくてさぁ!!』

栞子「落ち着いてください、何が……」

ナイスネイチャ「副会長さん? 何かあったんですか?」

愛『ガタガタ震えだして、私はせつ菜だってずっと言ってて……副会長だってこと分からなくなってるみたいで』

せつ菜『あああぁぁぁぁ!!!!』

愛『副会長! 大丈夫だから! 大丈……』

め ぎ

愛『へ……?』

プツッ

ツーツー

栞子「愛さん!? 愛さん……っ!?」

ナイスネイチャ「今の音……なに?」

栞子「分かりません……とりあえず体育館に戻りましょう。何か……嫌な予感がします」

30: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 22:35:00 ID:???Sd
体育館

栞子「愛さん! さっきの電話は……」

栞子「あ……?」

栞子(赤色だった。体育館の中が赤色に染まっていた)

栞子(ツンと鉄錆にも似た嫌な臭いが鼻をつく。床にドロドロとしたものが拡がっている)

栞子(ぐちゃぐちゃで。にくのようなものが。そこらじゅうにおちていて)

ナイスネイチャ「な、に……これ……?」

栞子(その真ん中に、それはあった)

栞子(ボロボロの制服に包まれたハンバーグの出来損ない。それはまるで、まるで)

栞子(人間が内側から爆発したような、そんな、姿で……)

愛「しおっ、てぃー」

栞子(それの側にいた愛さんが。血と脂と肉に塗れた愛さんが、呆然とした顔で此方を向く)

愛「副会長、こわれちゃった」

31: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 22:41:02 ID:???Sd
╭(;^O^) なんで爆発なんかしたんですか!!? 怖いですねぇ!!!

栞子(場違いに騒ぐ本物の声だけが体育館に響いている。彼方さんは体育館の隅で、気絶したのだろう、倒れている璃奈さんを介抱している)

栞子(当たり前のようにその二人も血に塗れていた)

ナイスネイチャ「嘘だよね……こんなの……」

栞子(震える声が。涙の混じった声が、体育館に響く)

ナイスネイチャ「変身した人って……こんな風に、なるの……?」

栞子「しずくさん……」

栞子(しずくさんの顔は蒼白で、大きく見開かれた目は涙に濡れていた。自分がそうなる未来を想像してしまったのだろう、ウマ娘の恵体が大きく震えている)

栞子「……侑さんと歩夢さんは?」

愛「二人は……歩夢が、>>32になっちゃって……」

栞子(呆然としたまま、愛さんが言う。その目は私を捉えていなかった)

栞子(ただ無意識的に、機械的に。聞かれたから返答をしただけのようだった)

32: 名無しで叶える物語◆XaFcge2b★ 2025/10/10(金) 22:43:27 ID:???Sr
にょぽむ

35: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 22:51:31 ID:???Sd
愛「歩夢が……にょぽむになっちゃって」

栞子「にょぽむ……?」

愛「分からないけど、本人がそう名乗ってたから……」

にょぽむ『てめーか? くせーのは』おん?

愛『へ? いきなりどしたの歩夢……?』

にょぽむ『だったら殴られても文句言えねーよなぁ!!!』ブォンッ

愛『うわっ!?』

侑『何やってるの!? 友達を殴るなんてときめきポイントマイナス2億だよ!?』

にょぽむ『!!! 侑ちゃんのバカ!!』ニョローッ

愛「って……蛇に乗って何処かに行って、ゆうゆはその後を……」

栞子(何がなんだかさっぱり分からない……)

栞子(けれど歩夢さんまで……)

栞子「一応……確認したいんですが、愛さんの隣にあるそれは……」

愛「あぁ、うん……」

栞子(愛さんは悲しげに、ボロ切れになったそれへ手を伸ばして、血に塗れたそれを撫でた)

愛「副会長だよ」

37: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 22:55:34 ID:???Sd
栞子「……っ」

栞子(改めて、そう認識した瞬間。胃の奥からせりあがってくるものがあった)

栞子(吐き気を無理矢理に飲み込み、現状を把握する)

栞子「何があったんですか?」

愛「分からないんだよ……いきなり、ガタガタ震えだしてさぁ。自分はせつ菜だって何回も言い出してさぁ」

愛「止めようとした瞬間、頭が……膨らんで。めぎめぎって、全身が膨らんで。破裂しちゃった」

愛「意味分かんないよね」

愛「意味、分かんないよねぇ……」ポロポロ

栞子(自分はせつ菜だと何度も……?)

彼方「……愛ちゃん、大丈夫?」

38: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 22:59:40 ID:???Sd
愛「あ……カナちゃん。りなりーは?」

彼方「大丈夫。頭も打ってないし、すやすや寝てるよ」

彼方「……副会長、残念だったね」

栞子「なんでこんなことに……」

ナイスネイチャ「私も、こんな……こんな風に……。他人の姿に変えられて、最期はこんな……っ」ポロポロ

栞子(いたずらにしても……限度を超えてます。かすみさんは一体なんでこんな魔術を……)

彼方「爆発……皆、破裂しちゃうのかな……?」

╭(^O^) あの、いいですか!!!

栞子「本物のせつ菜さん……今はふざけてる場合じゃないんです。後にしてください」

╭(^O^) おふざけではなく!!! 爆発の条件が分かった気がするんですよ!!!!

栞子「え……?」

╭(^O^) 恐らく……変身した先の人格に、『完全に自我を乗っ取られた』時に爆発するのではないでしょうか!!!

39: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 23:04:07 ID:???Sd
彼方「……確かに。副会長は爆発の直前には自我を失ってたみたいだし」

栞子「本物のせつ菜さん……ちゃんと自我あったんですね」

╭(;^O^) いやだから本物のせつ菜だってずっと言ってたじゃないですか!!! 何聞いてたんですか!!!

栞子(ややこしい……)

ナイスネイチャ「つまり私も自我さえ失わなければ爆発しないってこと?」

栞子「なら絶えず名前を呼び続ければ……!」

愛「でも、愛さん達も副会長の名前呼んでたよ!?」

愛「それでも副会長、爆発しちゃったんだよ!?」

ナイスネイチャ「っ……!」

彼方「呼びかけはあくまで乗っ取りを遅らせるだけ。自我を失うことは避けられないってこと……?」

40: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 23:08:59 ID:???Sd
栞子「……なら一刻も早くかすみさんを確保しましょう。眉唾ですし本当に原因なのかも分かりませんが、それしか今出来る事がありません」

彼方「かすみちゃんは……んー……」

彼方「侑ちゃんなら分かったと思うんだけどなぁ。侑ちゃんどこか行っちゃったし」

╭(^O^) 皆で手分けして探しましょう!! 私も協力します!!!

╭(^O^) ╭(^O^) ╭(^O^) ボコボコッ

╭(^O^) では皆さんお願いしますね!!!

╭(^O^) ╭(^O^) はい、かすみさんを見つけたら連絡しますね!!

栞子(複数体に分裂した本物のせつ菜さんが体育館から散り散りに走っていく。何か言わなければいけない気がしたが、何も言わず黙っておくことにした)

栞子(これに関わるのが正直怖かった)

ナイスネイチャ「それならネイチャさんも……う、いや、私も行ってくる! 今はウマ娘だから足も速い筈だし!」

41: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 23:13:51 ID:???Sd
栞子「お願いします、しずくさん」

ナイスネイチャ「うん……爆発なんてしたくないからね」

栞子(短く言って、しずくさんが駆けていく。人間を遥かに超えた速度だった)

栞子(愛さんは……)

愛「……」

栞子(……無理、ですね。一番近くで、人間が破裂する瞬間を見てしまったのですから無理からぬことです)

栞子「彼方さん、愛さんをお願いできますか?」

彼方「うん。彼方ちゃん走るの苦手だし、ここで見とくよ」

彼方「……彼方ちゃんが変身して爆発しちゃう前に、解決しちゃってね?」

栞子「はい!」



栞子(そう言って駆け出したものの、かすみさんがどこにいるのかは分からない)

栞子(エマさんや果林さん、ランジュにミアさんも未だに消息不明ですし……)

栞子(一先ず>>42に行ってみますか)

42: 名無しで叶える物語◆ZBPISS7Q★ 2025/10/10(金) 23:16:17 ID:???Sa

43: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/10(金) 23:51:07 ID:???Sd
栞子(一先ず寮に行ってみますか)

栞子(かすみさんを探すのが先決ですが、エマさん達も心配ですし……もしかしたらかすみさんもそこにいるかもしれませんしね)

栞子(そう思って向かった寮は)

栞子「は……?」

栞子(そこには無かった。寮の代わりに、無理矢理積み上げた積み木が崩れたような瓦礫の山が築かれている)

栞子(虹ヶ咲学園の学生寮が、完膚なきまでに破壊されていた)

栞子「これ、は……」

栞子(ぞくり、と冷や汗のようなものが背中を伝う)

栞子「っ……」シコシコ

栞子「うっ!」シオドピュッ

栞子(ルーティーンをこなし僅かに冷静さを取り戻した後、私は再度それを見る。壊れている──というより、壊されている?)

栞子(何者かが面白半分に壊したような、子供じみた悪意がそこかしこに散らばっている。仮にこの中に人間がいたら間違いなく助からないだろう、と思わせるような破壊が意図的に行われている)

栞子「……」

栞子(ゆらり、と。瓦礫の中を蠢く影があった)

栞子「あなたがやったんですか?」

栞子(変化した影は、元の彼女の姿を保っていない)

栞子「あなたが……寮を壊したんですか?」

栞子(>>44へと変化した>>45に、私は言った)

44: 名無しで叶える物語◆b9lUYPo4★ 2025/10/11(土) 00:19:31 ID:???00
ゴリラ

45: 名無しで叶える物語◆c1MC5TVn★ 2025/10/11(土) 00:31:44 ID:???00
はんぺん

50: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 17:01:00 ID:???Sd
栞子(ゴリラと変化したはんぺんに、私は言った)

ゴリラ「……」

栞子(白い毛並み……そして白い陰毛。この虹ヶ咲でここまで白い存在ははんぺんしかいません。自我を奪われている……と考えたいですが)

栞子「ゴリラは本来平和主義で争いを好みません。ましてや寮を壊すなど」

栞子「はんぺん……あなた、自我がありますね?」

ゴリラ「くつ」

栞子(ゴリラが口元を抑える。筋骨隆々の肉体がリズミカルに揺れる。笑っているようだった)

ゴリラ「くつくつくつ。くつくつくつくつ」

栞子(湯が湧くように。不快な笑い声だった)

ゴリラ「自我があるか。自我があるか、ねえ」

ゴリラ「あるよ。オイラはオイラだよ、栞子」

栞子(そうして歪めた口元は──霊長類となれど、猫のように頬まで裂けていた)

51: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 17:11:07 ID:???Sd
栞子「……話せるんですか」

ゴリラ「おいおい、失礼だなあ栞子。栞子、栞子、三船栞子──ゴリラだって同じ霊長類の仲間だろう?」

ゴリラ「オイラを差別するなよ。話せるさ、そのくらい」

栞子(ゴリラの声帯は人間のそれとは違う、なんて話は無体でしょうね。猫がゴリラになることに比べれば、超自然も自然だ)

栞子「なぜ、寮を?」

ゴリラ「殺す為だよ」

栞子(何でもないことのようにはんぺんは言う。何てことないように、言う)

ゴリラ「決まってるだろ。それ以外にこんなことをする意味があるのかい?」

栞子「人間を、ですか?」

ゴリラ「ミア・テイラーをだよ」

52: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 17:19:16 ID:???Sd
栞子「ミアさんを……!?」

栞子(何故はんぺんがミアさんを……ミアさんはむしろはんぺんを可愛がっていた筈なのに)

ゴリラ「ミアはオイラを可愛がっていた筈なのに、そんな風に考えているね?」

栞子「っ!」

栞子(まずい……心を読まれてる? これはゴリラじゃなくはんぺん側の力……?)

栞子(猫は機微に聡いというけれどここまでなんて……っ!)

ゴリラ「ミアはオイラから大切なものを奪ったんだ」

ゴリラ「オイラの大切な……」

栞子(そこで初めて、はんぺんは顔を歪めた。苦痛に耐えるように。溢れんばかりの憎しみを言葉に込めて)

ゴリラ「璃奈と交尾しやがったんだ!!」

54: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 17:23:43 ID:???Sd
栞子「なっ……!」

ゴリラ「思い出すのも忌々しい……っ!!」

はんぺん『にゃーん♡』

璃奈『はんぺん、すき。かわいい』ナデナデ

ミア『ヘイ、璃奈! ボクの    を君のプッシーに挿れたいんだが構わないねッ!』

はんぺん『なにっ』

璃奈『    、すき。はんぺんよりすき』

ゴリラ「許せなかった……璃奈がオイラよりミアの    を愛していたなんて!」

栞子「そんなことが……!」

ゴリラ「だから決めた。ミアを殺して、人間も滅ぼすって」

55: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 17:39:09 ID:???Sd
はんぺん『畜生、畜生、畜生……っ!!』

はんぺん『力が欲しい……神でも悪魔でもいい、オイラに願いを叶える力を……!!』

栞子「し、しかし人間を滅ぼすと璃奈さんまで死んでしまいます!」

ゴリラ「璃奈さんまで死んでしまいます、ね。そりゃそうだろ。滅ぼすんだから」

ゴリラ「どれだけ焦がれても手に入らないなら、壊してしまう方がいい。当たり前のことだろう?」

栞子「壊れてる……」

栞子(人間味のない言葉だった。猫ゴリラだけど)

ゴリラ「これだけ壊したら……まぁ、中にいる人間どもは皆死んだだろうね。ミアも、エマも、果林も──キミの親友、ランジュも」

栞子「っ!」

ゴリラ「当然だけど栞子、キミも殺す。キミも殺して、愛も殺して、殺して殺して殺してから──璃奈を殺す。殺すよ」ダッ

栞子(ゴリラが跳ぶ。猫の跳躍力を保ったまま、ゴリラが跳ぶ)

栞子「う……!」

栞子(速い──死ぬ。あの腕が僅かにでもかすっただけで私は死ぬ。避けるのは無理……っ!!)

栞子「た、助けて……」

栞子「助けて! >>56さん!」

56: 名無しで叶える物語◆3TMuvdIl★ 2025/10/11(土) 17:41:34 ID:???00

57: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 17:50:22 ID:???Sd
栞子「助けて! 天さん!」



天「はいはい」シュゴッ

ゴリラ「んなっ……!」ドグゥッ

栞子(瞬間、私とはんぺんの間に立った人影が鋭く拳を突き出しはんぺんを吹き飛ばす)

天「んん? うんじゅ、妙なかーぎしてるさー? 白いゴリラ?」

栞子「天、さん……?」

栞子(無意識のうちに叫んだ言葉とはいえ──本当に来てくれるとは思わなかった)

栞子(沖縄に居る筈の赤嶺天。『破天』の異名を持つ少女が、私の目の前に立っていた)

天「久しぶりさー、栞子ちゃん。そんなしかまさんけー」

60: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 18:06:16 ID:???Sd
栞子「なんでここに……?」

天「それは……っ!」ズキッ

天「……私が天ちゃんになったから、かな」

栞子「その声、エマさん……!?」

天「寮が壊れたと思った瞬間……気付いたら天ちゃんになってたんだ」

天「とはいえ瓦礫の下敷きになって気絶しちゃって。目を覚ましたのはついさっきだけどね」

栞子「他の皆は……」

天「死んじゃった。果林ちゃん、一緒にいたのに守れなかったよ」

天「頭、潰れちゃったんだ」

栞子「っ……」

ゴリラ「オイラの邪魔を……」ガラッ

栞子「はんぺん……ピンピンしてます!」

天「ここは私に任せてよ」

栞子「でも、いくらエマさんとはいえ……天さんになったとはいえ、あのゴリラは……っ!!」

61: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 18:16:56 ID:???Sd
天「あの子が……寮を壊したんだよね?」

天「皆を殺したんだよね……?」

ゴリラ「……ああ、そうだよ。オイラがやった」

ゴリラ「だったらどうだっていうんだい?」

天「だったら、さ」

栞子(言ってエマさんは大きく息を吸い込むと、静かに構える。恐ろしいまでの闘気が膨れ上がった)

天「例え動物であっても許さない」

天「栞子ちゃんは別の場所に行って。こうなった原因を探してるんでしょ?」

栞子「で、でも……」

ゴリラ「行かせると思うかぁっ!?」シュゴッ

ダンッ

ゴリラ「ぐっ……」

天「行かせるし、活かせるよ」

天「さ、行って栞子ちゃん。私がこの子の相手をしておくからさ」

栞子「う……す、すいません。お願いします!」ダッ

62: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 18:20:43 ID:???Sd
栞子「はぁ、はぁ……」タッタッタッ

栞子(焦りだけが募っていく。少し目を離しただけで、校舎は血と肉に塗れていた)

栞子(変化した者達が破裂した後だろう。一体何人が死んだ? 何人が壊された?)

栞子「っ……かすみさん、許しませんよ!!」

栞子(見つけ次第    の皮を引っ張ってやります!!!)

prrr

栞子「この番号……せつ菜さん!?」

╭(^O^)『栞子さん! 群体の一人がかすみさんを見つけました!』

╭(;^O^)『場所は>>63です! 早く来てください……もう私も、この姿に自我を奪われそうです! 本物になりそうです!』

63: 名無しで叶える物語◆42AgWNQr★ 2025/10/11(土) 18:22:34 ID:???00
カオス

65: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 18:32:02 ID:???Sd
╭(;^O^)『場所はカオスです!! 急いでください!!』

ピッ

栞子「カオス!?」

栞子「まっ……カオスってどこですか!?」

栞子(カオス……? そんな場所虹ヶ咲の何処にも……っ!!)

栞子「違う……この空間自体がカオスなんです! 最初からこの世界は……」

栞子「混沌に飲み込まれていた!!」

栞子(だったらきっと……この知らせがあったというのが、歩いていけば……)テクテク

68: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 18:57:21 ID:???Sd
???


栞子(暗い、静かな校舎に私はいました)

栞子(窓の外には全てがねじ曲がった、極彩色が絶えず蠢き続けている。そのサイケデリックな世界とは独立したように、校舎の中はどこまでも暗くどこまでも静かだった)

栞子(いつからここを歩いていたのかは分からない。最初からここにいたような気もするし、ほんの数秒前にザッピングされたように切り替わったような気もする)

栞子(これが混沌──虹ヶ咲を覆う、カオスの内側)

栞子「ここに、いるんですよね?」

栞子(この場所に、私は至れた。つまりそれは……内側の存在に呼び込まれたということなんでしょうね)

栞子(真っ直ぐに、どこまでも伸び続けるような薄暗い廊下の途中に一つだけ扉があった)

栞子(何の変哲もない、吐き気がする程気持ちの悪い扉)

ガラッ

かすみ「……」

栞子「かすみさん……と。>>69さん?」

69: 名無しで叶える物語◆rQv5tg9y★ 2025/10/11(土) 18:58:12 ID:???00
相良

70: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 19:05:21 ID:???Sd
相良「よく来たね、栞子ちゃん」

栞子「かすみさん……と、相良さん?」

かすみ「……」

栞子(相良さんの隣で、かすみさんは椅子に座りぐったりと項垂れていました。青ざめた、血の気の引いた顔はどこも見ていない)

栞子「かすみさん……っ!」

相良「大丈夫だよ、死んではないから」

栞子(相良さんは嬉しそうに、どこまでも嬉しそうに笑う。ソクミルを見ている時のように、楽しげに)

栞子「何が……あったんですか? 相良さんは今の状況を……」

相良「知ってるよ」

相良「だって私はあなた達と違って作られた存在じゃないもん。知ってるに決まってるでしょ?」

71: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 19:09:40 ID:???Sd
栞子「作られた……?」

相良「おかしいとは思わなかった?」

相良「副会長がせつ菜になって、せつ菜が本物になって、しずくがナイスネイチャになって、歩夢がにょぽむになって、はんぺんがゴリラになって、エマが天になって」

相良「おまけに自我を失ったら人が死んじゃうおまけ付き!」

相良「こんなのが普通の世界だと思う?」

栞子「……思いません」

栞子「だから私は、この現象を解決する為にここに来ました。かすみさんが黒魔術の本を読んで……」

相良「あぁ、うん。そういう設定だったよね」

相良「覚えてる人、もういないんじゃないかな? そんなくっだらない設定」

栞子「……さっきから何を言っているんですか!? 作られたとか、設定とか!」

栞子(それでは、まるで)

栞子(私達が。この世界が……)

相良「創作物」

72: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 19:14:31 ID:???Sd
栞子「……」

相良「この世界はね、複数人に創られたものなんだよ。それも正式な物でもなんでもない紛い物」

栞子「なにを、言っているんですか……?」

栞子「世界は神が作り出した、という宗教的な話ですか? ならそんな話をしている場合じゃ……」

相良「違う違うって! 分かんないかなぁ、んー……一言で言っちゃうとね」

相良「二次創作。笑われて捨てられる劣化コピー。それが君達でそれがこの世界」

栞子「……」

相良「まだ理解していないんだね。じゃあ、説明してあげるね」

相良「この世界は、【ラブライブ板★4】という掲示板に建てられた【ホラー安価】栞子「>>3が>>4になった?」ってスレッドなんだよ」

栞子(掲示板? スレッド? 何の話……ですか?)

73: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 19:20:53 ID:???Sd
相良「栞子ちゃん達はそのスレッドの中で酷い目に合う為だけに作り出された紛い物──虹ヶ咲スクールアイドル同好会のキャラクターのデッドコピー」

相良「どれだけ痛めつけても苦しめてもいい別人。それが君達だよ」

栞子「……私は私です。三船栞子はこの世に私一人です」

栞子(私がコピー? 誰かに作り出された存在……そんなことがあるわけがない)

相良「あなたが本物の三船栞子?」

相良「ぷっ……あはは!! そんなわけないって!」

相良「本物の三船栞子に    生えてたりシコってたりするわけないでしょ?」

栞子「!」

栞子「生まれた時から生えてますよ……!? 一体何を言っているんですか!?」

相良「キミの生まれた時ってのはいつかな? 昨日の20時50分くらいじゃなかった?」

74: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 19:26:53 ID:???Sd
相良「この世界はね……キャラクターが指定されたものに変化する、って設定のホラーSSなんだよ」

相良「だけど所詮はデッドコピー。偽物嘘物紛い物。キャラクターの名前が変わっても、読者は何の問題もなく受け止める」

栞子「読者……この世界を読んでいる人が……?」

相良「うん、そうだよ?」

栞子「だ、だったらおかしいです! ラブライブの掲示板なんですよね!? 私達はラブライブに出場する予定はありませんが……それでも、スクールアイドルが好きな人々が集まっているんですよね!?」

栞子「だったら、その人達が止める筈じゃないですか!!」

相良「なにを?」

栞子「この世界をです! 人が死んで、奇妙で捻れて、狂った世界……私達が苦しむだけの世界なんて、止めてくれる筈じゃないですか!!」

相良「なんで?」

栞子「なんでって……」

相良「君達は素人に創られたコピーでしかないんだよ? 本物の、公式的な意味のラブライブのキャラクターではないんだよ?」

相良「苦しんでも、楽しいだけじゃん」

76: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 19:34:34 ID:???Sd
相良「例えば璃奈ちゃんの作ったデスゲーム体験装置で皆が遊ぶSS」

相良「同好会の皆が苦しみ、絶望し、苦痛に塗れて死んでいっても誰も止めようとはしなかった」

相良「例えば栞子ちゃんが裏同好会を観察して回るSS」

相良「幾度の犠牲を生み出し続けても、誰も止めようとはしなかった」

相良「例えば侑ちゃんが殺し屋同好会に入会するSS」

相良「人を殺し、全てが悪意に満ちていても誰も止めようとはしなかった」

相良「荒らせば止められたかもしれない。反応しなければ書くのに飽いて辞めたかもしれない。批判をすれば筆を折ったかもしれない」

相良「だけど──誰もそうしなかった。そうしなかったんだよ」

相良「彼らは最後まで『キミたちの絶望を楽しんで』物語を見届けた」

相良「なんでか分かる? 紛い物だからだよ」

相良「デッドコピーの二次創作だからだよ。キミたちは同情する価値もない存在だからだよ」

栞子「もう、やめてください……」

相良「スクールアイドルが大好きだって言いながら、彼女達が苦しむことを楽しんでいる」

相良「これって……本当に本当に本当に。作り物よりも、ホラーだよねぇ?」

栞子「もうやめろって言ってるんですよ!!」

77: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 19:37:45 ID:???Sd
相良「……」

栞子「なら、これはどうすれば終わるんですか……?」

相良「これって?」

栞子「この世界はどうすれば終わるんだって言ってるんですよ!!」

相良「知らないよ。私作者じゃないもん」

相良「私は創られた存在じゃないけど、物語に関わる権利もない」

相良「だから私には……」

栞子「……ならば、何故」

相良「?」

栞子「何故、あなたはここにいるんですか?」

78: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 19:40:43 ID:???Sd
相良「はぁ? 私は……」

相良「……」

相良「……あれ?」

栞子「二次創作に登場するのは紛い物のデッドコピー」

栞子「ならば何故……あなたはこうして、私の前に登場したんですか?」

相良「あれ? だって、それは安価があったから……」

相良「…………あれぇ!?」

栞子「だとしたら──だとしたら、あなたは。私の前に姿を現してしまったあなたは」

栞子「相良茉優という存在の劣化コピー、ではないのですか?」

相良「違う……違う、私は……」

相良「出られない……なんで!? なんでぇ!?」ガンッガンッ

79: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 19:44:34 ID:???Sd
栞子「あなたは説明役として安価で生み出されたのかもしれない……けど、もし」

栞子「もしあなたがこの創作物で負う役割が……【黒幕】だとしたら?」

相良「違う、違うっ! 私は……」

栞子「倒されるべき存在だとしたら?」

相良「私は……っ! 創作物の外側にいる筈なんだぁっ!!」ダッ

栞子「しずくさんっ!!」

ナイスネイチャ「はいはい、っと!」シュバッ

80: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 19:51:30 ID:???Sd
相良「う"っ!?」

ナイスネイチャ「ウマ娘の脚力は凄いでしょ? 逃しませんよ!」

╭(^O^) ╭(^O^) ╭(^O^) ドアは固めてありますよ! 針一本通しません!!!

相良「ま、待って……」

天「動かないで。少しでも動いたら容赦しないよ」

ゴリラ「オイラも……こんな風に他人に動かされて笑われてたって思うと、少々気分が悪いね」

相良「私は……」

にょぽむ「ロケットの準備は出来てるよ。私も元はちょぼらうにょぽみに生み出されたんだもん」

にょぽむ「劣化コピーだとしても……カオス空間を突き抜けて火星に弾き飛ばすくらいは出来るんだよ!!」

栞子「……というわけです。何か言い残すことはありますか?」

81: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 19:55:12 ID:???Sd
相良「まっ、待って!? 私相良だよ!? こんなことしていいはずないでしょ!?」

相良「こんなことしていいわけが……っ!!」

栞子「……そうでしょうか?」

「そうでしょ!? この姿……あれ?」

「なんで、なんで私まで変化して……っ!?」

栞子「最早あなたは相良茉優ですらない。どうなったとしても誰にも文句を言われる筋合いはありません」

「待って……待って待って待って!! 誰か助けて!」

「誰かぁ!!」

栞子「残念ですが」

栞子「誰も──あなたを助ける気はないようですよ。あなたの言った通り、ね」

「あ……」

「あぁぁぁぁ……っ!!」

シュゴゴゴゴゴ

にょぽむ「発射!!」

「あぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

82: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 19:57:52 ID:???Sd
────

栞子「かすみさん、かすみさん」

かすみ「ん……んん……?」

かすみ「うぁっ!? し、しお子!?」

栞子「ねぼすけさんですね」クスッ

かすみ「しお子ぉーっ!」ギュッ

栞子「かすみさん!?」

かすみ「怖い夢を見たの……」グスッグスッ

かすみ「皆が変身したり、爆発して血塗れになったり、皆が死んじゃったり……」

栞子「それは怖い夢でしたね」

83: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 20:01:16 ID:???Sd
かすみ「本当に変な夢で、嫌な夢で……」グスッグスッ

栞子「それは夢。全部夢だったんですよ」

栞子(あの方を火星に飛ばした直後──世界は元に戻りました)

副会長「ああ……仕事が終わらないっ!」

栞子(変化していた人も元に戻り)

しずく「あれ? なんで私こんなところに……部長に呼ばれてたんだった! 急がなきゃ!」ダッ

栞子(死んだ人達も生きていました)

歩夢「侑ちゃん、なんか私変じゃなかった……?」

侑「歩夢はいつでも可愛いYO!」

84: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 20:03:51 ID:???Sd
栞子「かすみさんは何もしてないし、全部夢だった」



はんぺん「にゃあー?」

ミア「おいおい、どうしたんだよはんぺん。ボクの    に爪を立てて」



栞子「だから、安心していいんですよ」



エマ「果林ちゃん、掃除手伝ってよー!」

果林「もう少し寝かせて……」



かすみ「うん……」

栞子「さ、同好会に行きましょう。今日もきっと、この世界は平和ですよ」

86: 名無しで叶える物語◆YU9qWBOu★ 2025/10/11(土) 20:05:39 ID:???Sd
ガラッ

╭(^O^) おや栞子さんとかすみさん!! こんにちは!!!

栞子「……」

かすみ「なんか雰囲気変わりました?」

╭(^O^) 何言ってるんですか!!! 私は元から本物ですよ!!!

栞子「……」

かすみ「言われてみればそうだった気がしますねぇ……」

栞子(せつ菜さんだけは救えなかったが、どっちでも変わらないからまぁいいや……)

栞子(今日も同好会は平和ですねぇ……)


終わり

引用元: 【ホラー安価】栞子「>>3が>>4になった?」