なっつん「じゃあ、殺すよ、えい」
ぶんっ


グチャ

れんげ「あああ…………あああああああ！！！！！」

加賀山楓「みるな！えんげ！」
「ばかやろう！夏海おまえ何やってんだ！」


なっつん「ええ！？駄菓子屋が殺せっていったんでしょ！」

加賀山楓「れんげの見ている目の前で殺すことないだろうが！！」

なっつん「みんなも殺すべきだって言ってなっとくしてたじゃん！
でも誰もやりたがらないから
それでうちが汚れ役かってでてあげたんじゃん！
なつみちゃんわるくありませーん」

加賀山楓「だから、れんげが離れたところにいるときとか、
もっと別の場所に狸を連れていってから処理して」

「具は遠くに逃したよと言ってやるのが優しさだろうが！」

「何をれんげの目の前で叩き潰してんだ！他にやりようがあっただろ！！」

こまり「うっ……血がすごい……きもちわる……うぇえ」（げろげろ）

なっつん「なんだよ」

れんげ「具ぅーーーーー！！！！！ぐうーーーーーー……………………」

なっつん「なんでうちが怒られるの！？うちだってこんなこと好きでやったわけじゃないのに！」

このみ「ちょっとーなんの騒ぎー？」

「うわすごい血の匂い」

「なにその血の塊」

「動物？」

駄菓子屋「このみか……」

なっつん「ウチ悪くないもんウチ悪くないもん」

このみ「なっちゃんどうしたの、なんか顔に返り血ついてるよ」


なっつん「！！ウチは悪くない！！！具がほたるんの顔に消えない顔作ったのが悪いんだ！！！」ダッ

駄菓子「あっ！まて夏海！！！」

駄菓子屋「行っちまった……」

このみ「『これ』なっちゃんがやったの？」

駄菓子屋「あ？ああ……そうなるな」

このみ「なっちゃんはワイルドな子だったけど、こういういたずらはしない子だと思ってたんだけどなぁ」

駄菓子屋「ちがうんだ！これはイタズラでやったわけじゃなくて、仕方がなくなんだ……」

れんげ「あー！あー！」

こまり「オボロボロボロげぇええ」

このみ「ああもうてんやわんやだね」

なっつん「駄菓子屋の馬鹿、アホ、ケチ、金髪頭……自分だってれんげの為にも狸は殺すべきだとかなんとか言ってたくせに」

「そのくせ、れんげに殺さないでほしいのんって言われたら固まっちゃってさ」

「なつみちゃんは今回ぜんぜん悪くありません！」


「……ほたるんのお見舞いにいこう」

ピンポーン
蛍母「はーい」
「あら、なつみちゃん蛍お見舞いに来てくれたの？」
「入って、蛍も喜ぶわ」

なっつん「はい。お邪魔しまーす」


蛍母「ほたるー？お友達がお見舞いに来てくれたわよー」


蛍「はーい」

蛍「夏海先輩、すみませんわざわざ」

夏海「いいっていいって、それより怪我の具合大丈夫？」

蛍「おかげさまで、だいぶ良くなりました」

夏海（て言っても未だに顔の半分を包帯でぐるぐる巻にしてるからなぁ、大丈夫なわけないよなぁ）

夏海「具のことだけどさ」

蛍「（ビック……！！！）」
（ガタガタッ）


夏海「（！！）ほたるん大丈夫！？」

「具はウチきっちりこの手で殺したから！！」

「もう具はこの世にいないから安心して！！」

蛍「ほ、本当ですか？」

夏海「本当本当、ウチがねこうあの狸を縄で縛って、木槌でおもいっきりブチャって……ブチャァって……」
「殺したから……うん」
「ほたるんを傷つけた悪い狸はウチが退治したから……」

蛍「良かった……です、安心しました」
顔の包帯に手をあてて、お礼をいう蛍


夏海「う、うん！なつみちゃんいい事したよね！」

蛍「顔のズキズキも和らいだ気がします」

夏海「マジで！？なつみちゃん超ファインプレーじゃん」

蛍「よぐもご殺してぐれたな」

夏海「えっ？」

蛍「えっ？」

「い、今の誰の声ですか！？」
きょろきょろと周りを探す蛍

夏海「え、いや、ほたるんが自分で…」
夏海（ほたるんが喋ったように聞こえたけど声は全然ほたるんの声じゃなかった）

夏海「空耳じゃないかな」
「声なんかしなかったよ！
蛍「そうですか……」

蛍「うぅ……」
夏海「ほたるん？」
蛍「すいません、なんだか傷がズキズキいたみはじめまして、少し横になりたいので……」

夏海「う、うん、じゃあウチ邪魔になるから帰るね」

蛍「すみませんせっかくお見舞いに来てくれたのになんのおかまいもできなくて」

夏海「いいよいいよ。…………早く良くなるといいね」

蛍「はい。お見舞いありがとうございました」

夏海「お大事に」

夏海「気のせいだよね……」
「ほたるんがあんな声出すわけないし」
「空耳だよ空耳」
「二人そろって空耳を聞いたんだ」

黄昏のなか重い足取りで帰る夏海

（がさがさ）
道端の草が揺れる
夏海「ひっ！！？」


びゅーー（風）

夏海「なんだ風で揺れただけか」

「錆びたバケツが草の中に引っかかってら」

「まったく夏海ちゃんをビビらせてくれちゃって
び、びびってないけど」

「こんにゃろ！」
ガッツンとバケツを蹴る

「痛ったっ！！」

バケツを自分で決定自分ですねを傷つける夏海
「なにやってんだかウチとしたことが、ついてない」

夏海「痛てて、あれ、これ結構深く切っちゃたかな」
ほんのりと赤らんでいただけだったところから
血がとろりと流れ始める

夏海「こ、こんなのつばつけとけば治るし」

ペロペロ

器用に身をかがめて自分の足のスネを舐める夏海

ヤバいな深夜なのにホラー路線しか展開が思い浮かばない

夏海「ペロペロ」
（クソクソ血が止まらない）
「血が……」

具を叩き潰したときの血飛沫が脳裏にフラッシュバックする
夏海「……」

「あの狸が悪いんだ、夏海ちゃんは悪くない、恨まれる筋合いはない！」

ペロペロ

「くっそとまれとまれ」
半泣きで傷の止血を続ける夏海

あたりは徐々に暗くなり始めていた

なかなか血が止まらないので
ある程度で止血は諦めて
トボトボと片足を引きずりながら歩く夏海

夏海「くっそー夕暮れおわったら、もう真っ暗じゃんこれだから田舎は」
「早く家に帰って傷の手当しないと化膿しちゃう」

夏海「あっ」
「駄菓子屋……」

駄菓子屋（店舗）明かりが目に止まった

夏海「駄菓子屋にいって、足の治療してもらおうかな……」
（いや……）

駄菓子屋『なにやってんだ！夏海！』
『れんげの前で殺しやがって！』
？？？『殺しやがって！！』


昼間のやり取りを思い出し
顔を歪める夏海

夏海「夏海ちゃんは悪いことしてないのに、怒鳴りつけた馬鹿な駄菓子屋になんか頼ってやるもんか！！」（ぷんぷん！）

足を引きずりながら駄菓子屋の前を通過して歩きさる夏海

夏海「はあ、やっと家についた……」

雪子「夏海！あんたこんな時間までどこほっつき歩いてたの！！！」

夏海「いや、ほたるんのお見舞いに行っててさ」
雪子「蛍ちゃんのお家に電話したら夕方には帰ったって言ってたわよ」
「そのあとどこ道草くってたの！」

「お兄ちゃんもあんた探して行ったけど途中であわなかった！？」

夏海「にーちゃん？見てないな」

雪子「行き違いになっちゃったのかしら……」

夏海「ウチほたるんの家からまっすぐ帰ってきたから、にーちゃん来たならどっかではちあうはずだけど」
「にーちゃんがまっすぐほたるんの家にまでいったのなら」

雪子「母ちゃんお兄ちゃん探してくるからあんた風呂入ってご飯食べてなさい」

「お説教はそのあとよ」

夏海「へいへーい」べー

夏海「娘が夜遅くに帰って来たのに思いやりの言葉ひとつかけないなんて酷い母親だ」


こまり「夏海、どこ行ってたの？心配したんだからね」

夏海「ねーちゃん」

こまり「て、ああ！！夏海靴下真っ赤！なにそれ！！

夏海「ええ？」

夏海「うわぁ、だいぶ血が出てたんだな」
歩き続けてる間にも血がとまらずに靴下がぐしょぐしょになるほどの出血をしていた

こまり「そ、それ、「血」なの！？？」

夏海「うーん、みたい」


こまり「みたいって。まさかそれ、昼間の具の返り血！？」（ガクガクブルブル）

夏海「ちっがうよ！！ウチの血だよ」
「気色の悪いこといわないでよ」

夏海（あ、でもそうとも言い切れないな）
（本当に狸の返り血が少しはかかっててもおかしくはない）

靴下を脱ぎながら考える夏海


夏海「これはもう使い物にならないな」
「こまちゃん捨てといて」
ポイッとこまりに血だらけの靴下パスする

こまり「こまちゃん言うなっ！ぎゃーー」
「血怖い！！」

夏海「ただウチの血だよ、そんなんで怖がんないでよ」


こまり「夏海あんた怪我したの？」

「大丈夫？消毒液持ってくる？」

夏海「ああ、風呂入っちゃうからいいや」

サービスシーン

夏海のシャワーシーン


夏海「いちち」
シャワーのお湯を傷口にかける夏海

夏海「こんな怪我したのも全部駄菓子屋が怒ったせいだ！」

翌日

夏海「ふぁあ、なんか変な夢見た気がする、眠い」

ズキッ！！

夏海「いった！」


「ああ、昨日バケツで切っちゃたんだっけ、忘れてておもいっきりぐねっちゃった」

大きな絆創膏で応急手当で止めていたが
絆創膏が真っ赤になっていた
布団のシーツすら赤黒く転々とシミができている

夏海「ええ……これ縫ってもらったほうがいいのかな」
「昨日風呂から上がったらだいぶ血も止まってたと思ったんだけどなぁ」

絆創膏を剥がして傷口を確認してみる

夏海「うーん？」
「少し腫れてるっぽいけど」
「傷口はふさがってるように見えるな」
「血小板のジェバンニが一晩でやってくれましたかな」

新しい絆創膏に張り替えて、様子を見ることにした夏海

雪子「夏海ーーご飯よーー、早く食べちゃいなさい」

夏海「はーいはーい今行くー」


旭川分校

こまり「蛍まだしばらく休むみたい」

夏海「そりゃそうだよね、昨日だって顔の半分包帯巻きだったもん」

れんげ「…………」

こまり「れんげが気に病むことじゃないよ……」

れんげ「うちのせいなん……」

夏海「具、の、せ、い！あの狸が変な病原菌もってたんでしょ」

翌日

夏海「また変な夢見た気がする、むにゃ」

「ん？」

「え？」
絆創膏がまたしても真っ赤になっていた

「なんで？ふさがってたじゃん？」
「ウチ寝相わるすぎ？」
「寝てるときに傷口ひらいた？」

夏海「なんか腫れも酷くなってる気がする……」

あれでもなんかこの腫れ……

人の顔に見えるような……



夏海「まさかね！」

夏海「おかあさーーん、ウチ今日病院行くー学校休むー」
雪子「ズル休みは許さないわよ！！」

夏海「違うって、ほらこれ見てよ、この足の腫れ」

雪子「はあ？……どこに腫れがあるのよ」

夏海「いくら学校休ませたくないからってそんな傷を見て見なかったふりするとか……」
「あれ？」
ついさっまで赤黒く腫れていたあざがごくうっすらとしたものになっていた

「あれー？たしかに黒っぽく変色してたのに」
雪子「あんた……」

夏海「違う違うほんとに晴れてたんだって！！」

雪子「いいからさっさとご飯食べて学校行きなさい！！」

夏海「なんだたっんだろうな」
交換した絆創膏には確かに血がべっとりとついていた

夏海「絆創膏をかーちゃんに見せても信用してもらえなかった」

雪子「あんたのことだから絵の具で工作でもしたんでしょ」


夏海「とかいってさぁ、あれは本当に人の親なのだろうか、鬼なんじゃなかろうか」

旭川分校のバス停

夏海「あれあの後ろ姿」

蛍「夏海先輩！」
「こまり先輩！」
「れんちゃん！」

こまり「蛍！」
れんげ「んなぁほたるんなん！」
「もうキズ大丈夫なん！？元気になったん？」


蛍「う、夏海先輩がお見舞いにきてくれた翌日くらいから腫れがすごくひいていって」
「このまま行けばもうすぐ包帯も取れるでしょうってお医者さんが」


こまり「良かったよーほたるー！顔は女の子の命だもんね！」

夏海ちゃん「ウチのお見舞いのおかげだね」
蛍「本当にそうですね」
こまり「夏海は調子に乗らない」
「ほたるが養成頑張ったからだよ」

こまり「本当に良かったねほたる」

蛍「こまり先輩」（うるうる）

それから数日立って
蛍は包帯が取れるほどに回復した


傷跡も残らずキレイな元の顔に戻りつつあった

夏海の部屋

夏海「痛った！！！」
足の激痛で目を覚ました夏海
このところの夏海の起床は
足の痛みによる不快な目覚めがお決まりだった

夏海「また足が痛む……」
「うっ…………」
足に巻いた包帯が真っ赤に染まっていた


恐る恐る包帯をほどく

夏海「ひっ…………」

「これ、これ絶対に人の顔だよね……」

？？？「よくも殺じだな」
？？？「よくぼ木槌で身体をぐちゃぐちゃにしでくれたな」

足の傷モゴモゴとうごめいた
夏海「ひい！！！」

？？？「絶対にゆるさん」
？？？「>>58は絶対にゆるさん」

夏海「うわあああ！！！？！？？？」

完