前回 【SS】かすみ「かすみんがヤクザの組長になっちゃいました!」

2: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/19(日) 18:23:54 ID:???Sd
前回のかすライブ!

デェン!

私、中須かすみはついこの前までスクールアイドルをやっていた!
けどある日お母さんから中須家がヤクザの家系だと打ち明けられて……。


かすママ『あなたが組長となって沼津を手に入れるのよ』

かすみ『そ、そんな~!』


お母さんの目は本気だった。
三島で力をつけてから沼津を手に入れるんだって。逃げたら私がロシアンマフィアに売られる事に!


かすみ『やるしか無いか!』

栞子『借金の肩に中洲組に売られたのでお供いたします』

エマ『武器なら任せて!』


色々あって私、しお子、エマ先輩は力を合わせて私たちの拠点である三島を脅かそうとする桜内梨子率いる桜内組をやっつけた!

次はいよいよ本格的に沼津のシマを手に入れようとする時に事務所にまさかの来客が!


果林『エマ~!』

エマ『果林ちゃん…?』


私たち一体どうなっちゃうんですかー!?

3: 名無しで叶える物語◆spAisRLL★ 2025/10/19(日) 18:27:17 ID:???00
続編かやったぜ

4: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/19(日) 18:47:33 ID:???Sd
~かすみんズ事務所~

果林「……」

かすみ「か、果林先輩!?」

エマ「果林ちゃん、どうしてここが分かったの?」

果林「どうしたもこうしたも無いわよ!いきなりエマが退学したって聞いて驚いて…そしたら引き続きかすみと栞子までいなくなって…」

かすみ「もしかして探してくれてたんですか!?」

果林「そうよ!まさか三島にいるなんて思わなかったけど」

エマ「……どうやってここが分かったの?」

果林「ひゃっ……」

エマは冷たい目つきで果林を見る。
今まで見たこともなかったエマの表情に果林は息を呑んだ。

5: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/19(日) 18:48:17 ID:???Sd
果林「そ、そんな顔しないでよ。私はただかすみのお母さんに言われてここに……」

かすみ「お母さんがですか?なにを言われたんです」

果林「えぇと、あまり言いたく無いんだけど……」

かすみ「言ってください」

果林「う……分かったわよ。本当に言いにくいんだけど……これ」

果林はカバンから一枚の紙を取り出した。
しわくちゃの汚い紙だ。
だがそこに書かれていた文言は3人を驚かすのに十分だった。

栞子「借用書!?果林さん借金してたんですか!?」

かすみ「それも5000万円って…めちゃくちゃじゃないですか。どうしてこんな事に?」

果林「つい先日お父さんが投資詐欺に引っかかったのよ。負債は見ての通り。それで私も学校を辞めないといけなくなったんだけど、そんな時にかすみのお母さんに出会ったの」

エマ「……」

果林「お父さんの借金を肩代わりしてあげる代わりにここへ行って仕事をして来いって。かすみのお母さんの口からエマと栞子の名前まで出たのは驚いたけど」

6: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/19(日) 18:49:40 ID:???Sd
かすみ「あのアマァッ!!!!!!」ダァン!

果林「きゃぁ!!?」ビクッ

かすみの豹変に果林は飛び上がってのけぞる。
机を叩き空を睨みつける彼女からはかつての後輩の面影が微塵も見受けられない。
その顔は憎悪に満ちていた。

果林「か、かす……」

かすみ「果林先輩を…こんな世界に紹介しやがって……」

果林「!!」

栞子「ですが5000万の借金など普通の方法では返せないでしょう」

かすみ「そうじゃなくて……クソっ」

栞子「?」


かすみはかつての母との会話を思い返していた。
かすみと栞子が三島に来てからしばらく経っての事だ。

7: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/19(日) 18:58:11 ID:???Sd
.
.
.

~東京~

かすママ『会費も遅れずに払えるようになって嬉しいわ』

かすみ『最初から上納金って言ったら?』

かすママ『何言ってるの、これはあなた達が自分の意思で払ってるんでしょう?』

かすみ『……』

かすママ『そういえばあなたの先輩の…ええと朝香さんだったかしら』

かすみ『果林先輩がどうかした?』

かすママ『結構良い素材よね。モデルで顔も良くて行動力もある。勉学はアレだけどイレギュラーな事態の対処は得意そうじゃない』

かすママ『あんな子がヤクザの世界に来ても面白いわよね』

かすみ『……果林先輩に手を出したらお母さんでも容赦しないよ』

かすママ『あはは!たかが2人の組織がウチに盾付けると思ってるの?口の聞き方には気をつける事ね』

かすみ『……』

8: 名無しで叶える物語◆wCirP3Eh★ 2025/10/19(日) 18:58:36 ID:???00
おお、あの続きか

9: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/19(日) 19:12:05 ID:???Sd
かすみ「(確証はもちろん無い。けどあの母親なら果林先輩の家庭を崩壊させる事だってやりかねない)」

かすみ「(確証はない、確証は無いんです。落ち着け……)」

エマ「何にせよここに来たんだから一緒に働いてもらったら?」

かすみ「……エマ先輩は親友の果林先輩がこの世界に入る事に抵抗はないんですか?」

エマ「人生は流動なの。普通の生活をしていてもそれがある日突然壊れちゃうこともあるし、その逆もある」

エマ「私も果林ちゃんもその波からは逆らえない。『仕方ない』と思う」

かすみ「……」

エマ「……けど親友としては悲しい、かな」

果林「エマ?」

エマ「私は飲み過ぎたしもう帰るよ。元々私はかすみんズに一時的に所属していただけだから。今日からはBto Cの関係だよ」

栞子「……徹底してますね」

エマ「ふふん、今まで通り武器の供給は任せてね。じゃあ3人ともまた会おう」


エマはそのまま事務所を後にした。

10: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/19(日) 19:29:19 ID:???Sd
果林「飲み過ぎたってお酒のことじゃないわよね?後、武器って単語が気になったんだけど……」

栞子「かすみさん」

かすみ「はぁ……仕方ないか」

果林「かすみ?」

かすみ「果林先輩、今から言うことは全て事実です。落ち着いて聞いてください」
.
.
.

果林「そ、そんな……」
 

かすみは全てを包み隠さず説明した。
自分がヤクザの組長である事、風俗を経営してる事、沼津の街を手に入れるため黒澤組といずれ抗争する事、そして……人を殺した事も。

かすみ「昨日も黒澤組傘下の桜内組っていうところとやり合ったんです。ウチが勝ちましたが…これからもこういうことが起きると思います」

果林「……」

かすみ「ウチでやっていくにしても、もちろん果林先輩に殺しはさせません。極力家で雑用をしてもらいます。それでもカチコミの危険はありますが……どうしてもと言うなら私がお母さんに掛け合って…」

果林「やるわ」

かすみ「へ?」

11: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/19(日) 19:30:39 ID:???Sd
果林「ここを辞めても借金を返す宛がないもの。やらせてちょうだい」

栞子「本当に良いんですか?」

果林「……さっきは借金のこと明るく話したつもりだったけど本当は私の家、今大変なの。連日のように借金取りが家に押しかけて来てお母さんも毎日泣いてて……」

果林「そんな時にかすみのお母さんに借金の肩代わりを提案されたのよ。ここに来なければ利子すら払うのが困難な状況。それが私1人の身で家族が助かるの。やらない選択肢はない……もちろん人殺し云々はまだ覚悟できてないけど」

栞子「……果林先輩」

かすみ「分かりました、果林先輩の命預からせていただきます。殺しはさせませんし殺させもしない」

かすみ「そして私がカタギに戻します、約束します」

果林「……何か頼もしくなったわねかすみちゃん。いや、組長って呼んだ方がいいのかしら」

かすみ「かすみんズは地域住民に愛されるヤクザを目指してます。その辺は今まで通りの呼び方でお願いします!」

果林「ふふ、分かったわ」

13: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/19(日) 23:51:39 ID:???00
果林が正式に加入してかすみんズは3人になった。果林はかすみんズに早く馴染もうと意欲的に仕事を覚えていった。

~2月~

かすみ「突然だけど今月三島駅前で小さなお祭りをするよ!」

栞子「お祭り…?三島で2月にお祭りなんてありましたっけ?」

果林「かすみちゃんが企画したやつよ」

栞子「かすみさんが!?」

かすみ「三島といえどもこの時期は冷え込むからね。街の人たちを元気づけるためあったかい食べ物を出店で提供するの」

栞子「知りませんでした…」

かすみ「しお子は風俗経営で忙しかったからね~」

栞子「おかげさまで二店舗目が開業しましたよ。それでどんな店を出すんですか?」

かすみ「おでんにしようかなと思ってるよ。静岡はおでん有名だからね」

果林「しぞーかおでんってあるものね」

栞子「沼津内のホテルの朝食とかにも出るみたいですね。良いと思います」

14: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/19(日) 23:52:43 ID:???00
かすみ「ふっふっ…実はそれだけじゃなくてね」

栞子「?」

かすみ「なんと当日は私たちでミニライブもやっちゃいます!」

果林「ミニライブ!?」

栞子「……血に染まった我々がアイドルをやるのですか」

かすみ「私は前にも言った通り街の人に愛されるヤクザになりたいと思ってる。綺麗事だと罵られるかもしれない。けど私たちが街のみんなに受け入れて貰えそうな方法ってやっぱりアイドル活動だと思うんだ」

栞子「かすみさん…」

かすみ「私たちはヤクザであると同時にスクールアイドルなんだ。培ったアイドル経験でこの地域の皆を虜にしていこう!」

栞子「ふぅ……分かりました。2度と着ることがないと思っていたアイドル衣装でしたがタンスから取ってきます」

果林「私は衣装借金の肩に持っていかれたんだけど……」

かすみ「ネットで注文しておきますよ」

果林「あ、ありがとう」

15: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/19(日) 23:53:35 ID:???00
~沼津駅前ヤバコーヒー~

ルビィ「スパァー」

ヤバコーヒー。
名古屋栄の矢場町を本店とするカフェで、ナポリタンが絶品の沼津市民の憩いの場である。

喫煙席には赤いツインテールの少女、黒澤ルビィがタバコを吸いながら店内にあった新聞を広げていた。

ルビィ「全く…お姉ちゃん今日もヒスってたなぁ。若頭の私がしっかりしないと……」

prrrr

ぶつくさ文句を言ってきたら件の姉から着信が入った。うんざりした様子でスマホを手に取るルビィ。

ルビィ「何?」

ダイヤ『ルビィ、チャカ仕入れの件どうなっていますの?』

ルビィ「今中国のルートで開拓してるよ。というかこんなことカフェで話したくないんだけど」

ダイヤ『んまー!姉に口答えする気ですか!?例のスイス人はどうしたのです?』

ルビィ「エマヴェルデは曜さんからの情報でかすみんズに付いたって言ったでしょう。枝とはいえ桜内組を潰したやつのところで買えないよ」

ダイヤ『ならとっとと拉致して武器と金のありかを聞き出しなさいな』

ルビィ「拠点も移したみたいで前いた場所はもぬけの空。発見次第渡辺一家に任せるよ」

ダイヤ『……まぁ曜さんなら大丈夫でしょう』

16: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/19(日) 23:54:50 ID:???00
ルビィ「というか武器は十分あるよね?何を警戒してるの」

ダイヤ『知ってるくせに』

ルビィ「……」

ダイヤ『内浦には何がいます?』

ルビィ「……鬼」

ルビィは虚空へと消えていくタバコの火を睨み、忌々しげに答えた。

ルビィ「松浦果南、あのクソッタレのことだね」

ダイヤ『そうです。あの怪物は資産家の娘に『飼われて』いるみたいですがアレが野に解き放たれるとウチにも重大な被害を催す』

ルビィ「まぁその時は私が出るよ。一度やり合ってみたかったし」

ダイヤ『勝てたとしても後の人生に重大な障害を負うような戦いになる。そうならぬ様に戦争できるくらいの武器を集めてるのです』

ルビィ「はいはいもう分かったよ。エマの居場所は引き続き探しておくから、これ以上私の休憩時間奪わないで」

ダイヤ『ルビィ!ま、まちな』ブチッ

ルビィはダイヤが何か言い終わる前に電話を切った。
そして不適な笑みを浮かべタバコの火を舌で消し、一言呟いた。


ルビィ「松浦果南」

19: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/20(月) 14:16:25 ID:???00
~祭り会場~

ザワザワ

果林「おでんあったかいですよー!」

「一つください!」

果林「ありがとうございます」

栞子「結構混んできましたね」

かすみ「にっしっし。この時期にはあまりこう言うお祭りがないからね。あと寒い時期にあったかい物を全面的に押し出した祭りはヒットすると思ってたよ」

果林「流石元部長ね」

栞子「かすみさんは同好会の時も鎌倉猫探しなどで企画力を発揮されてましたからね」

かすみ「もーう。褒めても何も出ませんよ~///」デレデレ

果林「午前でもう7万も利益出たわよ。今日だけで20万くらいいきそうね」

かすみ「私は他の店の様子も見てくるよ。2人もこまめに休んでね。午後からはライブだし」

栞子「承知しました」

果林「他?おでん屋以外もやってたの?」

栞子「風俗で働いてもらってる子たちに頼んでりんご飴や焼きそば屋も展開してるんです」

果林「はー…やるわねかすみちゃん」

20: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/20(月) 14:17:09 ID:???00
かすみ「ふんふん♩皆頑張ってるかな~」

ドンッ

かすみ「あだっ!!」ドテッ


「ルビィ、誰かにぶつかったわよ!」

「ウユ!?ご、ごめんなさい」

「大丈夫ずらか?」


かすみ「大丈夫だよ…って…あなた黒澤ルビィ!?」

ルビィ「……チッ」

善子「何よ、知り合いなの?」

花丸「可愛い子ずら。もしかして三島学園の子かな」

かすみ「え、えーと……」

ルビィ「うん!友達なんだ。ちょっとだけ話したいことがあるから2人とも先行っててくれない?」

善子「スクールアイドルのミニライブまでには戻ってきなさいよ」

ルビィ「うん!」

かすみ「……」

ルビィ「……」

21: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/20(月) 14:31:14 ID:???00
ルビィ「あの時ぶりだね。私に怯えてた頃と比べて随分逞しい顔してる」

かすみ「ふん、あなたはそれに比べて何?あのぶりっこキャラは。ゾワっとしたんだけど」

ルビィ「アレは私のカタギのダチだよ。心底ここには来たくなかったけどあの2人が無理やり連れて来るから仕方なくだよ」

かすみ「へー…ヤクザのくせにカタギの友達がいるんだ」

ルビィ「言っとくけど手出したら殺してやるからね」

かすみ「」ゾクッ

ルビィ「まぁ貴方は『そういう』ヤクザではないんだろうけど」

かすみ「私が甘いって事?」

ルビィ「いや褒めてるんだよ。薬に手を出さず組員のために命(タマ)賭けれるヤクザなんて今時珍しいから」

かすみ「え、えと……」

まさかの相手から褒められ反応に困るかすみ。
ルビィは続ける。

22: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/20(月) 15:43:22 ID:???Sd
ルビィ「ま、それはそうと今エマヴェルデの居場所をさがしてるんだけどさ。貴方何か知らない?」

かすみ「……知らない。本当に知らないんだよ」

ルビィ「……」

実はエマは果林が事務所に来て以来連絡が付かなかった。エマの店にももちろん行ったが結果はルビィ達と同じであった。

かすみ「知ってたらこっちが教えて欲しいくらい。心配だよ」

ルビィ「死んでるかもね」

かすみ「っ!!」

ルビィ「なんて冗談冗談。あの子を殺せる人間は黒澤組の中でも限られて来るだろうし。どうせ貴方達に迷惑かからない様に拠点を変えたんでしょう」

かすみ「……」

ルビィ「で、どうする?ヤクザのトップ同士がこうやって出会っちゃったんだもの。タダで解散するのもつまらなくない?」

かすみ「……ここでやる気ですか?」

ルビィ「冗談言わないで。まだ貴方では私の足元にも及ばないよ。かすみちゃんが傷つかない程度に遊んであげるだけ」

かすみ「ッ!!……舐めてますね。いいでしょう、そこの外れの駐車場まで着いてきてください!」

ルビィ「ウユユ。前とは大違いだ…少しは楽しませてね」

23: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/20(月) 15:50:10 ID:???Sd
~屋台前~

栞子「かすみさん遅くないですか?」

果林「そういえばそうね。昨日のウイスキーがお腹にきてるとか」

栞子「かすみさんはお酒強いのでそれは無さそうですが……」

フラ…フラ…

果林「向こうから誰か歩いて来るわよ」

栞子「あれは…かすみさん!?」

かすみ「やっほー……遅くなったよ」

果林「顔色悪!!なに、やっぱりお腹壊した?」

かすみ「黒澤ルビィとちょっと喧嘩してた」

栞子「!?」

果林「ルビィって確か貴方達が前コテンパンにされたっていう……」

かすみ「うん、喧嘩売られたから買ってやったんだけど……あれは化け物だ。仮に桜内梨子と組んで3人がかりで攻めてたとしても負けてたよ。今のままでは」

栞子「その割には顔に傷はありませんね」

かすみ「あのアマ……私が午後の部でアイドルとしてステージに立つって知ると『じゃあ顔はやめてあげる』とか言ってボディばっか打ってきやがった」

果林「ナメプ…というやつね」

栞子「か、果林さん」

25: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/20(月) 16:09:25 ID:???Sd
かすみ「ナメプだよ。私も毎日鍛えて強くなってると思ったけどなんだか思い知らされたな」

栞子「……」

かすみ「けど諦めないよ。沼津を取りに行くにはルビィという壁は絶対越えなきゃいけないんだ。2人ともこれからも力を貸してね」

栞子「もちろんです!」

果林「今更ね。……それで午後のライブは行けそう?」

かすみ「ご丁寧に顔だけは殴らないでくれましたからね。ギリギリ行けそうです」

栞子「分かりました。時間も押してますからそろそろ着替えてください…久しぶりのスクールアイドル、絶対成功させましょう」

「「おー!」」

26: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/20(月) 16:10:08 ID:???Sd
~ステージ~

ワーワー

かすみ「虹色passions~!」

善子「いえー!」

ルビィ「……」

かすみ「勇気に染まるcolours!」

花丸「ずらー!」ピョンピョン

ルビィ「……」

栞子「(最前列で腕組みながら睨んできてる……)」

果林「(全然集中できないんだけど)」

27: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/20(月) 16:20:55 ID:???Sd
ルビィ「(アイドルか……)」

かすみ「生まれたのはトキメキ 惹かれたのは輝きー♩」

栞子「見てるだけじゃ足りない カラダ動かして♩」

ルビィ「(私達がヤクザの家庭じゃなかったらスクールアイドルとかやってたのかな)」

果林「どうなるかは僕ら次第~♩」

ルビィ「(善子ちゃんは堕天使系アイドル。私は天然系アイドルかな)」

かすみ「出会いってそれだけで奇跡と思うんだよ♩」

ルビィ「(ふふ、ありえないか)」
.
.
.

かすみ「皆さん、ありがとうございましたー!!」

栞子「またこうやって皆さんの前で踊れたら嬉しいです!」

果林「私のファンになっても良いわよ~!」

アハハハハ
イイゾネーチャン!

ルビィ「はっ」

花丸「ルビィちゃん?」

ルビィ「そろそろ私帰るね!用事があるから」

善子「親戚同士で大事な会議だっけ?家が大きいと大変ね」

花丸「気をつけて帰ってね!最近沼津物騒だから」

ルビィ「……うん」

28: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/21(火) 01:27:04 ID:???00
~ライブ後~

かすみ「ん~久しぶりに踊って気持ち良かった!」

栞子「体力はむしろ鍛錬のおかげで東京にいた時よりも付いていましたね」

かすみ達はライブ終わりに私服に着替えて屋台の片付けをしていた。
時刻は17時。
もうすっかり周りは暗くなっていた。

A子「社長、私たちの店の片付けは終わりました」

かすみ「本当!?そこまでやってくれるなんてありがたいよ」

A子「いつもお世話になってますから」

栞子「A子、今日は助かりました。日当は月末にまとめて振り込みますから今日は上がっていいですよ」

A子「はーい、お疲れ様です!」

果林「あんな可愛い子も風俗やってるの?」

かすみ「はい。あの子も借金を抱えててウチの店に来たんです。もうすぐ一年になりますが良い子ですよ」

29: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/21(火) 01:27:45 ID:???00


果林「そういうお仕事の人と出会ったことはなかったけど…思ってたより普通の人だったわね。あ、変な意味じゃなくて」

栞子「かすみさんは人を見る力が凄いんです。面接も全てかすみさんが行ってるのでそのおかげかと」

ビュオ~

かすみ「うー冷えてきたね。ほら、雑談してないで手を動かしてください~!」

果林「2月だものね。静岡は雪が降らないけどやっぱり寒い!」

栞子「帰ったらあったかい物でも作りましょう。もう一踏ん張りです」

ピローン

かすみ「メールだ……あ、エマ先輩からだ!」

30: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/21(火) 02:06:44 ID:???00
~次の日熱海駅付近~

かすみ「ふぁ~あ」

栞子「深夜まで飲んでいたせいで眠いですね」

果林「zz…」

栞子「か、果林さんが歩きながら寝てる!?」

かすみ「最近私たちに追いつくため仕事を頑張ってし…疲労も溜まってるんだよ」

栞子「負けず嫌いですもんね、果林さんは」

かすみ「だね。……ふむ、地図によればそのビルの三階みたい」

栞子「熱海に来たのは初めてですが狭い通路が沢山迷路みたいになってて分かりにくいですね」

かすみ「しかも高低差が沢山あって体力を削られるよ。隠れ家にするにはもってこいの場所なのかもだけど」

カンカンカン

汚いビルを登っていく3人。
その頃には果林も目覚めており、久しぶりに親友と会えることに期待で胸を膨らませていた。

カンカンカン

階段を登る音が嫌に響く。
手入れがされてないのだろう…ところどころ鯖ができていた。

31: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/21(火) 02:07:40 ID:???00
~三階~

かすみ「な、なにこれ?」

エマがいるはずの三階は本来ならロックナンバーで開けることのできる防弾扉が設置されているはずであった。

なぜ「本来なら」という回りくどい言い回しをしたかというとその扉が砲弾でも撃ち込まれたかのようにへしゃげて室内に倒れていたからだ。

おかげさまで部屋内の無機質な廊下を外から見ることができる。

しかし3人が絶句したのはそれが理由ではない。


ダラ……


床、壁。

至る所にドス黒い血痕がついていたからだ。


果林「エ、マ……?」

かすみ「……私が先行する。しお子は果林先輩を見てて」

33: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/21(火) 13:51:34 ID:???Sd
かすみ「エマさん!エマさんいますか?」

かすみは息を殺しながら、足音を立てずに進んでいく。

エマの店は商品がある部屋にたどり着くために二つ扉がある。

一つは先程述べた通り破壊されていた。

もう一つの扉は……。

かすみ「うわ……」

こちらも床に無惨にも倒れていた。
ドアノブが引きちぎられた跡があり明らかに人地を超えた何かがここへ来たことがわかる。

かすみは勇気を振り絞り歩を進める。

34: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/21(火) 13:52:40 ID:???Sd
かすみ「エマさん!エマさ……」

かすみ「は……あ……?」

尋人はいた。
だがかつての面影はそこには無かった。


ボタ

    ボタ


エマ「」

かすみ「エマさ……ん」


店内はまさに台風が通った後のように荒らされていた。
机は真っ二つに折られ、壁には何個も大きな穴が空き、弾痕が秋のどんぐりのようにそこいらに転がっていた。


エマはというと壁を背に座っていた。
片腕は千切れ、腹に大きな空洞ができており、顔面は鼻から下の皮膚が抉り取られていた。

その瞳に光はもう無い。


もはや生死を確認するまでもない状態であった。
 


かすみ「あ…あ……」ガタガタ

35: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/21(火) 14:06:30 ID:???Sd
果林「エマ!無事なの!?」ダダ

栞子「果林さん!待ってください!!!」

かすみが呆然としていると後ろから果林が追いついて来た。


果林「は?」

栞子「ひっ……」


2人もかすみ同様目の前の現実に脳が理解を拒み硬直した。
数秒後、果林は親友の無惨な姿に脚を振るわせながら近づいていく。

かすみ「か、果林先輩」

果林「なにこれ?」

栞子「っ……」

果林が無機質な表情で2人に問いかける。
深淵に吸い込まれそうなほどの黒い瞳に栞子は恐怖で息を漏らした。

果林「エマ…よね?」

かすみ「はい」

果林「どうして、エマ……え?私夢見て無いわよね」

かすみ「はい」

果林「何でこんなことになってるの?」

かすみ「……おそらく敵対組織に場所がバレたんです。エマさんは戦ったけど殺された……」

何とか声を絞り出すかすみ。


果林「ふざっけんじゃないわよぉぉぉおおおお!!!!」


かすみ「っっ!?」

果林は聞いたこともないような大声で理不尽に吠える。

36: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/21(火) 14:11:43 ID:???Sd
果林「どこのどいつが私のエマをこんな風にしやがったのぉぉ!?かすみちゃん!!!答えろぉ!!!!」

果林がかすみに掴みかかるが栞子が間に割って入る。

栞子「やめて下さい果林さん!!」

果林「黒澤組とかいう奴らの仕業じゃないの!?殺してやるわ、私のエマをよくも!!!」

かすみ「黒澤組……」

確かに真っ先にかすみも黒澤組を疑った。
だが昨日の黒澤ルビィとの会話がかすみには引っかかっていた。

37: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/21(火) 14:17:56 ID:???Sd
ルビィ『ま、それはそうと今エマヴェルデの居場所をさがしてるんだけどさ。貴方何か知らない?』


かすみ「黒澤組の中でもトップクラスの人物がエマさんのことを『昨日』聞いて来たんだ」


ルビィ『死んでるかもね』

かすみ『っ!!』

ルビィ『なんて冗談冗談。あの子を殺せる人間は黒澤組の中でも限られて来るだろうし。どうせ貴方達に迷惑かからない様に拠点を変えたんでしょう』


かすみ「(エマさんを殺せる人間は黒澤組の中でも一握りの人間だけ。エマさんが殺されたのは昨日から今日にかけて。場所が昨日分かったとしてそんな短期間で殺せるのかな)」

かすみ「(もちろん黒澤ルビィが嘘をついている可能性もある。けど……)」

38: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/21(火) 14:30:19 ID:???Sd
果林「かすみちゃん!!!!」


かすみ「うるせぇ!!!!!!!」


果林「っっっ!!!」

かすみ「ガタガタぬかすな!!こちとら命のやり取りしてるんだ!!!身内だからって殺されない保証なんてどこにもないよ!!!!」

果林「そんな……」

かすみ「それよりも今はエマさんをこんな無惨に殺した奴を特定する方が大事だ……よ」

栞子「かすみさん?」

ポロ…ポロ

かすみ「あれ……あれ……う、クソが」ポロポロ

かすみ「自分だけが傷ついてるとか思ってんじゃねぇですよ!!こっちだってヤクザになってからずっとサポートしてくれた恩人が殺されてイラついてんですよ!!!!」

果林「かすみちゃん……」ポロポロ

かすみ「クソが……クソがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」


3人はエマの遺体を袋に詰めて三島の事務所へ運ぶことにした。
その光景を誰かに見られていたとは知らずに。


曜「あれ……かすみんズのメンバーだよね。なに運んでるんだ?あの大きさ……いやいやまさかね」

40: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/21(火) 14:39:16 ID:???Sd
~黒澤組本家~

「組長、渡辺一家の曜さんがお見えです」

ダイヤ「曜さんが?通しなさい」

曜「もう来てるよーん」

ダイヤ「勝手に上がって来ないでくれますか?で、何の用です」

曜「エマヴェルデの居場所についての報告でありますっ!」

ダイヤ「居場所が分かったんですか?」

曜「その話なんだけどさ~マジでお釈迦になってるかも」

ダイヤ「……何ですって?」

曜「いやいや聞いてよ。今日三島にうなぎ食べに行ってだんだけどさ。白昼堂々かすみんズの3人がちょうど人一人ぐらいの大きさの袋を持ち歩いてたんだよ。不用心すぎて笑っちゃった」

ダイヤ「はぁ?それだけじゃ他人の死体の可能性もあるでしょう。それか粉の可能性も」

曜「3人とも泣きすぎて目を真っ赤に腫らしていたとしても?」

ダイヤ「……」

41: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/21(火) 14:48:48 ID:???Sd
曜「あの袋がエマである可能性は十分あると思うな」

ダイヤ「ふん、なら武器有り金全て回収してやりましょうか。エマの事務所の特定を……」

曜「ダイヤさん」

ダイヤ「……なんです?」

曜「もうそういうまどろっこしいのやめにしない?」

ダイヤ「……」

曜「エマが消えた以上かすみんズはもう素人の集団だ。全員攫って有金とか吐かせようよ」

ダイヤ「ふん、なら動くのですね……黒澤組幹部のあなたが直々に」

曜「ヨーソロー!体が鈍ってしょうがなかったからね。かすみんズを潰すついでに三島も手に入れて来ます!」

ダイヤ「分かりました。期待してますよ」

曜は敬礼して本家を後にした。
ダイヤは顎に手を当て思案する。

ダイヤ「あのエマヴェルデを殺せる人物……鬼が動いたか」

ダイヤは楽しそうにほくそ笑んだ。

42: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/21(火) 23:40:56 ID:???00
~かすみんズ事務所~

かすみ「……」

栞子「……」

果林「エマ……」

かすみ達はエマの遺体を事務所に運ぶと服を脱がして改めて彼女の傷を確認する。


栞子「服の下も痣だらけですね……酷い」

かすみ「やったのは本当に人……なの?」

栞子「どういうことですか?」

かすみ「身体中の傷が人から生み出されたものとは思えないほど損壊が酷い。顔の肉を剥ぐ、片腕を引きちぎる…まるでヒグマと戦ったみたいだ」

栞子「……桜内梨子は薬物を使うことで痛覚を麻痺させていました」

かすみ「薬物で強化された人間の犯行……か。黒澤組の中にも桜内梨子のように薬に手を出してるやつもいるかもだもんね」

43: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/21(火) 23:41:17 ID:???00
果林「……かすみちゃん。エマの服に何か入ってる」

栞子「!!」

果林が泣き疲れた顔でエマの服の中から何かを取り出していた。

かすみ「これって……USBですか?」

栞子「パソコンで見てみましょう」

かすみ「分かった!」

果林「絶対仇を取るからね……エマ」

果林はエマの体に毛布をかけてパソコンのある部屋に移動する。

44: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/22(水) 00:29:19 ID:???00
~居間~

栞子「認識はしますがパスワードを入力しないと表示できないみたいですね」

かすみ「マジか……」

果林「璃奈ちゃんならハッキングできるんじゃない?」

かすみ「果林先輩、カタギには絶対頼っちゃダメですよ」

果林「分かってるわよ……」

かすみ「エマさんをやったやつの情報があるかもと思ったんだけどな……」

栞子「やはりもう一度エマさんの店を探るべきでしょうか。……一通り探しましたが」

かすみ「店してるとは思えないくらい商品が無かったよね。襲撃者が武器とかももって帰っちゃったのかも」

栞子「ふー……何にせよこのUSBは開けておきたいですね」

45: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/22(水) 00:30:10 ID:???00
その時だった。


キキィ…!!


かすみ「……」

事務所の真横で急ブレーキをかけて止まる車が一台。
普段からヤクザの事務所として認知されてるここの横に駐車する車は滅多に無いことからかすみはほんの少しの違和感を覚えた。


ガチャッ!


力強く車のドアを開ける音。

次の瞬間……。


バババババ!!!!!


昼間に似つかわしくない銃弾が、かすみんズの事務所を襲った。
部屋の中から火薬が飛び散る光がかろうじて見えた。

果林「なっ……!?」

栞子「伏せてください!!!」

かすみ「防弾ガラスなのでしばらく持ちます!エマさんをやったやつか……?」

果林「武器はあるの!?」

かすみ「銃はガサ入れ回避するために事務所には置かないんです……!」

47: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/22(水) 11:23:31 ID:???00
銃撃は15秒ほど続き、車は勢いよく去っていった。
かすみはすぐに車に乗っている人物を確認する。


かすみ「見た目はただのチンピラ……捨て駒か」

栞子「牽制ですね」

果林「……」ギリッ


かすみ達はエマを埋葬した後、武器庫からリボルバー三丁とコンバットナイフを取り出すと沼津の街へと繰り出した。

.
.
.

~渡辺一家事務所~

曜「ヨーソロ!!」ブゥン

千歌「おっと!!」

少女2名が広い道場で殴り合っていた。
成人男性を超える身体能力で戦う二人の様子は周りで見ていた部下達も釘付けになっていた。

ピピピピ

「時間です!」

千歌「ありがとうございました曜ちゃん!」

曜「こちらこそ千歌ちゃん!いたた……」

千歌「どう?前よりも強くなってたでしょう?」

曜「うん、ルビィちゃんに鍛えてもらってたの?」

千歌「ふっふっ、ルビィちゃんはダイヤさんと違って優しく教えてくれるからね」

曜「ルビィちゃんは皆から慕われてるね~!」

千歌「それよりかすみんズとかいうのと抗争するんだっけ?」

曜「耳が早いね」

千歌「抗争になるのかな?たった数人の組織なんて渡辺一家ならすぐに攫って殺して埋めて終わりじゃん」

48: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/22(水) 11:24:12 ID:???00
曜「一応彼女らは桜内組を壊滅させてるんだよ。何人も暗殺して数を減らしてね」

千歌「エマヴェルデが技術を仕込んだ少女達か……私も一度会ってみたいな」

曜「まだ会って無かったっけ?千歌ちゃんも抗争に加わるなら歓迎するよ」

千歌「本当!?やったー!嬉しいよ」

ピロン

曜「ん?メールだ……おおー、撃ち込み終わったみたい」

千歌「なにそれ」

曜「かすみんズの事務所にマシンガン発砲させてたんだよ。ま、嫌がらせだね」

千歌「怖~w」

曜「私もそろそろ武器の調達して戦闘体制に入ろうかな」

千歌「私はいつも戦えるように準備してるから大丈夫!相棒のこの鉄パイプがあれば銃弾だって弾けるし!」

曜「ヨーソロー!久しぶりにようちかコンビ結成であります!」

49: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/22(水) 12:11:55 ID:???00
~襲撃から3日後沼津駅付近のネットカフェ~

かすみ達は事務所襲撃のリスクがあることから拠点を沼津に移すことにした。

かすみ「リコー通りに配置してる情報屋によると最近渡辺一家の曜と黒澤組の特攻隊長千歌が一緒によく歩いてるらしいね」

栞子「千歌って沼津に初めて来た時に絡んできた少女ですよね。嫌な組み合わせです」

かすみ「仲が良いんだろうけど立場も違う二人が一緒にいることが多いのが気になるね」

果林「マシンガン撃ってきたのもソイツらの組じゃない?」

栞子「可能性は十分ある。エマさんを殺した可能性も……ね」

果林「!!」

かすみ「仕方ない。直接聞きますか」

栞子「なっ……!?正気ですか……?」

かすみ「昼間から商店街でいきなりドンパチはしないでしょう。リコー通りで張っておいて見つけたら声をかけます」

栞子「……危なくなったらすぐに逃げるということも頭に入れておいて下さいね」

50: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/22(水) 12:12:26 ID:???00
ため北口にあるリコー通りに行くには駅を大きく迂回する必要がある。

問題が発生したのはイーラのデパートの角を曲がろうとした時であった。


かすみ「あだっ!!」ドンッ

「いってーなこら!!」


曲がり角でかすみが人とぶつかってしまった。
相手の体幹はよくかすみは吹き飛ばされてしまった。
ガラの悪い声にかすみは萎縮しつつも勇気を振り絞り立ち上がる。


かすみ「あなたこそちゃんと前を見なさい!……って」

千歌「あぁ?」

かすみ「な、な……」

栞子「高海千歌……!?」


ぶつかった相手は件の片方、黒澤組の特攻隊長であった。
千歌は3人を見るや否やすぐ理解した。

千歌「なーるほど、仲見世で前出会ったお前らか」

かすみ「な、何のことですか?」

千歌「とぼけんじゃねぇ!!!お前らがウチのシマ狙ってるガキ共だろうが!」

51: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/22(水) 12:13:15 ID:???00
果林「知らないわよそんなこと!それよりあなた達がエマを殺したの!?それだったらタダじゃおかないわよ……!」

栞子「か、果林さん!」


千歌「なっ……!?」


かすみ「?」

千歌が果林を見た瞬間凍りついたように固まった。
売り言葉に買い言葉の千歌が威勢のいい啖呵を切られたら何か言い返しそうなものだが果林を凝視している。

果林も怪訝に思ったのか再び問いかける。

果林「何なの固まっちゃって?あなたがエマを殺した奴の一味なの!?答えなさいよ!!」


千歌「え、え、と///」

千歌「あ…あ……あの」


さっきの千歌からは想像もできない辿々しさに3人は顔を見合わせる。

52: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/22(水) 12:14:09 ID:???00
千歌「(な、何なのこの女!こんなまぶい女は沼津で見たことないよ!)」

千歌「(スタイル良すぎだよ!顔もすごい私好み……やばい、ど、どうしたら)」

果林「あ、あなたどうしたのよ一体……」

千歌「あ、お……エマ殺しはウチじゃねぇよ」

かすみ「何それ本当なの!?」

千歌「まぁその代わりエマの財産目当てにウチが動いてんだけどな。お前ら倒すために渡辺一家と私が個人的に協力してんだよ。ついでに先日の襲撃したのもウチだ」

栞子「いきなり凄い喋ってくれるじゃないですか!!どうしたんです!?」

千歌「なぁおいアンタ」

果林「私?何よ……」

54: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/22(水) 12:26:15 ID:???00
千歌「こ、恋人とかいるの?」

果林「はぁ!?」

かすみ「」

千歌「いないなら私が立候補してあげるよ。私も黒澤組幹部の一人だからお金結構持ってるよ?イーラ上にあるマンションも一室持ってるしベンツも二台ある」

果林「……」

千歌「全身ハイブランドで固めて毎日遊んで暮らせるようになるよ!どう?」

果林「唐突すぎて呆れてものも言えないのだけど」

千歌「これでも足りないの?我儘なお嬢様だね~」


栞子「口調が柔らかくなってますね」ヒソヒソ

かすみ「普段はあんな感じなんだろうね。ヤクザやる時だけキャラ作ってるんだよ」ヒソヒソ


千歌「うるせぇぞそこ!!」


かすみ「ひっ!」ビクッ

果林「お断りよ!あなたみたいな酷いことする組織の一員になんかなりたくないわ!」

千歌「うーんそっか……なら」


千歌「エマヴェルデを殺した奴を教えてあげる……と言ったら?」


「「「!?」」」

56: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 01:20:58 ID:???00
栞子「……知っているのですか?」

千歌「推測はできるよ。知っての通りエマヴェルデは元スイスの特殊部隊件、暗殺部隊隊長という経歴だ」

かすみ「え」

栞子「(特殊部隊にいるとは知っていましたが…)」

かすみ「(暗殺部隊なんて情報初耳だよ)」

千歌「結構強いんだよ彼女は。まともにぶつかれば曜ちゃんや私でも泥沼の戦いになるだろうね」

かすみ「……エマさんを殺せる人物は限られるということ?」

千歌「ふふ、エマヴェルデの遺体の損傷はかなり酷かったんじゃないかな?」

かすみ「!!」

千歌「先日ようやくエマの新居を割り出せたからね。鬼でも暴れたかのような惨状だったから……」

果林「待って!!」

千歌「ん?」

57: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 01:33:41 ID:???00
果林「私はその先を聞いてもあなたの恋人にはならないわよ?」

千歌「ねぇ果林ちゃん…だっけ。私は本気であなたに一目惚れしたんだよ」

果林「……」

千歌「私の嫁になれば一生不自由はさせないしなんならエマを殺した犯人を私が殺してもいい」

かすみ「……どうしてそこまで」

千歌「惚れた女のためには何でもするのが私なの。見た目だけじゃなくて根性も座ってそうなのがますます気に入った」

果林「そう、けど私はこの子達の先輩かつ返しきれないほどの恩があるの。あなたが本気なのは伝わったけど恋人にはなれそうにないし、そっちに行く気もない」

千歌は果林の拒絶に明らかに落胆し頭を抱える。

千歌「だー……振られちった」

かすみ「……情報はありがたく頂戴しました。あとは自力で探そうと、」

千歌「待てや」

栞子「っっ!!」

59: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 11:10:18 ID:???Sd
千歌「せっかくここで出会ったんだ。お前らは前の続きをしていこうや」

栞子「前の続きって……」

千歌「数ヶ月前商店街で会った時の続きだよ。喧嘩の前にお前ら逃げちまっただろうが」

かすみ「……いいですよ」

栞子「かすみさん!?」

かすみ「私は黒澤ルビィには手も足も出なかったけど……この子相手にどのくらい通用するかやってみたい」

千歌「タイマンでやる?じゃあちょっと場所を移そうか」

かすみ「前会った時のかすみんだと思わない方がいいですよ」

60: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 11:10:50 ID:???Sd
~中央公園~

かすみ「へー公園なのに人工芝なんですね。戦いやすそう」

千歌「ルールはなし。好きなの使っていいよ……その懐に入れてる銃もね」

かすみ「バレバレでしたか……けど舐めないでください。丸腰の相手には素手で挑みますよ」

千歌「変な矜持で死なないといいけどね」

かすみ「言ってろ!」

栞子「合図は私がします」

果林「かすみちゃん……無事でいてね」

千歌「……」

千歌とかすみは3mほど距離をとり向かい合う。
千歌は軽くステップを踏んでる。
かすみはというと体を半身にし左手を顎の前に出したオーソドックスなファイトスタイルだ。

61: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 11:13:12 ID:???Sd
栞子「スタート!!!!」

千歌「ハィィィィ!!!!!」バッ

かすみ「!?」

開始と同時に千歌がロンダートから宙を舞い、全体重を乗せてドロップキックを仕掛けて来た。

予想だにしない攻撃。

かすみは反応が遅れた。

かすみ「ぐあっ!!」

千歌の両足の裏がかすみのガードをすり抜けて顔面に刺さった。
かすみの体が2mほど吹っ飛ばされる。

果林「かすみちゃん!!」

かすみ「う、ぐぅぅ……!!」

かすみは鼻を抑えながらも何とか立ち上がる。
ポロっ……と歯が一本地面に転げ落ちた。
鼻も少し歪んでるようだ。

62: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 11:17:07 ID:???Sd
千歌「止まんねぇぞおい!!!!!」

50mを5.5秒で走ることのできる千歌はすぐさまかすみの懐に飛び込み襟を掴んだまま頭突きを喰らわす。

かすみ「ばっっっ!!!??」

重い打撃を2度も立て続けに喰らい口から血を吐きながらのけぞるかすみ。

千歌はそれでも止まらない。

千歌「あっはははははは!!!!!!!!」

立ってるのもやっとなかすみの体に細かい打撃を幾重にも重ねていく。

栞子「かすみさん!!!!!!!」

63: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 11:21:46 ID:???Sd
かすみ「舐めんじゃねぇ!!!!!」

千歌「!?」

もうトドメに入ろうとしていた千歌だがかすみの叫びに一瞬動揺する。
その隙にかすみは死に物狂いで千歌にアッパーを放つ。

攻撃に全振りしていた千歌は反応できずに打撃を浴びてしまった。


千歌「ぶらぁっ!?」グラッ

かすみ「はぁ……はぁ……」


千歌はかすみと少し距離をとる。
今し方殴られた顎を左手で軽く触ると……。

千歌「蚊が止まったか……?」

かすみ「ははっ……!」

千歌「(へぇ、その辺の不良なら心折れててもおかしくない傷なのにまだ笑えるんだ)」

千歌はかすみの根性に少し感心する。

64: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 11:30:44 ID:???Sd
かすみ「今度はこっちの番ですよ!!」

かすみは地面に落ちていた石を千歌の顔面に蹴り上げる。

千歌「目眩しにもならないよ!」

かすみ「あぁそうですか!!」

左足を踏み込むとボールを蹴るように千歌のふくらはぎを狙いに行くかすみ。
だが千歌は脛で蹴りを防いだ。

かすみ「痛っ!!」

千歌「はっはっはっ!!!!」

反撃で鳩尾に前蹴りを放つ千歌。
蹴りが「モロ」に入ってしまったかすみは嘔吐し始める、


かすみ「おぼぇぇぇぇぇぇ!!!!」ビシャビシャ


果林「ひっ……」

65: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 11:39:07 ID:???Sd
だがここでかすみは思いがけない行動に出た。
口の中にあるゲロを千歌に吹き出したのだ。

かすみ「ぶびょっ!!!!」

千歌「ぎゃーー!!!汚っっ!!」

流石に千歌も生理的嫌悪から戦闘体制を一瞬解く。
かすみはお返しとばかりに千歌の顔面に頭突きを放った。

千歌「がっっ!!!!」

かすみ「へへ……どうですか」フラフラ

千歌「この野郎~~!!」


「あ、あの人たちが暴れてるんです!」

「君たち、今すぐケンカをやめなさい!!!」


果林「あ!!」

栞子「け、警察が来ましたよ!!」


白昼堂々と公園で殴り合っていたため通行人に通報されていたようだ。
警官が2名こちらに早歩きで近づいてきていた。

66: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 12:08:47 ID:???Sd
千歌「逃げるぜお嬢ちゃん!!」

果林「ちょっ……!!」

千歌は果林をお姫様抱っこすると猿のような身のこなしで公園から逃げていった。

かすみ「こらーーー!!!果林先輩をどこに連れていくんです!!」

栞子「と、とにかく私たちも逃げないと!」

栞子もかすみを担ぎ上げるとあゆみ橋方面へ走り出す。

栞子「はぁ…はぁ……!」

かすみ「おろしてよしお子!一人で走れるって!!」

栞子「そんな死にそうな体で走ってもすぐ捕まりますよ!……かすみさん、舌を噛まないようにしていてください」

かすみ「へ?」

栞子はかすみを背負ったまま橋からダイブした。


かすみ「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

67: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 12:15:37 ID:???Sd
~沼津市第四小学校~

かすみ「へくちゅ!!へくちゅ!!!」

栞子「ズビビビビ……さ、寒いです~!」

二人は何とか警察を撒き、小学校の中に隠れていた。
だが冬に川を入ったせいで二人の自律神経は乱れに乱れていた。

かすみ「寒い寒い!風邪引くって!!」

栞子「今日学校は休みのようですね。部屋の暖房を使わせてもらいましょう」ピッ

かすみ「というか果林先輩が連れ去られちゃったんだけど!?」

栞子「もちろん取り返しますが……あの感じだと酷い扱いは受けないと思います」

かすみ「だとしても敵組織の幹部に捕まってんだから……問題が増えちゃったよ」

栞子「元はと言えばかすみさんがあの方の喧嘩を受けたからですよ」

かすみ「うぐっ……」

68: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 16:06:30 ID:???Sd
二人は風邪を引かないように服を脱ぎ全裸で暖房の前で机に座っていた。

かすみ「この机まさおって書いてあるよ」

栞子「私のはりなって書いてます」

かすみ「りな子を思い出しちゃうね」

栞子「璃奈さんは元気でしょうか……連絡来たりしますか?」

かすみ「いや、自分から同好会のメンバーは全員ブロックしたよ。私たちとはもう住む世界が違うんだから」

栞子「……ですね」

かすみ「……とはいえ、りな子ならこのUSBのハッキングができるんじゃないかなってたまに考えちゃう」

栞子「……」

かすみ「冗談だよ、もう私はお台場の地すら踏む気ないんだから」

69: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 16:16:31 ID:???Sd
栞子「こっちに来てからは毎日が波乱万丈です」

かすみ「……」

栞子「今までポイ捨てすらしたことなかった私が美人局や風俗経営、拷問、挙げ句の果てには殺人まで犯すなんて……同好会のころの私が見たら何と思うでしょうか」

かすみ「そりゃあ失神ものだよ」

栞子「ふふ」

かすみ「そういえば気になってたんだけど……」

栞子「はい?」

かすみ「お姉さんはどうなったの?」

栞子「……中須組の二次団体の若頭の妻になったみたいです」

かすみ「そ、う……」

かすみ「ごめん」

栞子「かすみさんは何も悪くありません!」

かすみ「しお子、私たちが成り上がって力をつけていずれ薫子さんも取り返そう」

栞子「そのつもりです。もちろん……!」

70: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 16:23:47 ID:???Sd
~千本浜公園~

一方で千歌は果林を連れたまま中央公園の西にある千本浜公園へ来ていた。

果林をお姫様抱っこしながらだというのにビルからビルへジャンプしながら移動してあっという間に到着してしまった。

千歌「ほいっ!」

千歌は果林をベンチに丁寧に置いた。

果林「うぅ…揺れすぎて少し酔ったわ」

千歌「自販機で飲み物買ってくるよ!何がいい?」

果林「え、と……ミネラルウォータで」

千歌「りょーかい!」

千歌は近くにあった自販機に駆け出した。

果林はすっかり千歌のペースになってることに反省しつつも現状逃げたところで追いつかれるのが先の山……というわけで相手を刺激しすぎず情報を聞き出すことにした。

71: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 16:29:10 ID:???Sd
千歌「はいどうぞ!」

果林「ありがとう」

果林は受け取った水を一口飲む。
すると千歌も果林の横に座った。

千歌「ちょっとはマシになった?」

果林「えぇ。けどあの子達が逃げられてるか心配よ」

千歌「大丈夫だって。私に1発入れられる奴なんだから警察なんかじゃ捕まえられないよ」

果林「さっきは一方的にボコボコにしてたように見えたけど」

千歌「そりゃあ私は沼津でも五本の指に入る喧嘩自慢だからね。あんな素人ヤクザなんかには負けないって」

果林「そんなに強かったんだ。なんか意外」

千歌「ほほう?」

72: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 16:37:48 ID:???Sd
千歌「私が弱そうに見えてた?」

果林「かすみちゃんと同じくらいの背丈だし…筋肉もあるように見えない」

千歌「それでも強いんだよ。沼津の女子はあまり外見にそういうの出ないからね」

果林「なにそれ」

千歌「まぁいいじゃんそんな話は!ほら、行こうよ」

果林「な、どこに連れていくつもり!?」

千歌「沼津を案内してあげる。どうせ黒澤組を警戒してまともに沼津を見て回ったこと無いんじゃないの?」

果林「あー……」

図星であった。
かすみんズは沼津という街にいる間はできるだけ息を殺し警戒しながら歩いていた。
なので観光という考えすら及ばなかった。

73: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 16:41:50 ID:???Sd
果林「あなた一応私たちを殺すなり拉致するなりしないといけないんじゃないの?」

千歌「私は私の思い通りに動く。今日は果林ちゃんに沼津で楽しんでもらうし、ちゃんとあの二人のところに帰す」

果林「渡辺曜に出会ったらどうするのよ」

千歌「曜ちゃんは分かってくれるよ。まぁ…ダイヤさんに会ったらヤバいかもだけど」

果林「はぁ……分かったわ。どうせここから一人で帰れないんだしエスコート頼むわよ」

千歌「やったー!果林ちゃんとデートだ!」

果林「やれやれね……」

74: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 17:13:53 ID:???Sd
その後千歌達は海を見たりふわふわという店でフクロウと触れ合ったりしつつ時間を過ごした。

そして……

~17時 びゅうお~

二人は展望台に来ていた。
本来は津波から街を守るための堤防なのだが、展望台からの景色が素晴らしいため通常時は一般開放されている。
入場料は百円と良心的だ。

果林「この干物みたいな怪物は何?」

千歌「それはヒモノラっていう沼津港で発見された『味』確認生命体だよ!沼津名物アジの干物をモチーフにしたゆるキャラなんだ」

千歌「色々グッズ展開してるから何か良いのあったら買おっか」

果林「いやー…なんか怖いわねこのキャラ」

千歌「子供は泣いちゃう子もいるみたいだよ。ってそんなことより景色見てよ景色!」

果林「おお……ちょうど夕日が沈むタイミングで綺麗ね~」

76: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 17:23:17 ID:???Sd
千歌「どうだった沼津は?」

果林「正直な気持ち楽しい街だと思った。今まではどうしても黒澤組のイメージがあって観光なんか考えたことも無かったけど……今日は楽しめたわ。ありがとう千歌ちゃん」

千歌「へへへ///」

果林「あなたは何でこの世界に入ったの?」

千歌「私は生まれも育ちもヤクザだからね。この世界以外は知らないよ」

果林「そう……」

千歌「たまーに思うよ。私が普通の家庭で育ってたらどうなってただろうって」

果林「あなた私より年下よね?今からでも……」

千歌「あっははは。何人殺してきたと思ってるのさ。もう今さらこの生き方を変えることなんてできないよ」

果林「……」

千歌「それに比べて果林ちゃんこそまだやり直せるんじゃ無いの?どういう経緯でヤクザに入ってきたかは知らないけど」

果林「私は……」

そこで果林は気がついた。
先ほどから地上で一人の女がこちらをずっと見ていることに。

77: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 17:29:54 ID:???Sd
果林「あれ、何?気のせいかしら」

千歌「んん?」

あたりは暗くなってきており果林も確信が持てない。
千歌の肩を叩いて地上を指差す。

千歌「わわ//」

果林「ねぇ、さっきからあそこの人影ずっとこっちを見てない?」

千歌「え、何急に怖いこと言い出して」

果林「んー…気のせいなのかしら。あそこよく見て」

気づけばびゅうおからは二人以外観光客は居なくなっていた。

ピロン

千歌「あ!メールだ……果林ちゃんの件バレちゃったかな……」

果林「いや、おかしい。絶対アイツこっち見てる……」

千歌がメールを開いてる横で、果林はブツブツと呟きながらガラスに張り付いて地上を見つめていた。

78: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 17:48:07 ID:???Sd

千歌「お、曜ちゃんからメールだ何々……」

曜『オーガがびゅうお付近で確認されたらしい。注意してね!』

千歌「は?」

果林「きゃぁぁぁぁ!!!!!ジャンプしてきた!!!!!!」

千歌「はぁ!?」


バリィィィィィン!!!!!!!!!


ありえないことだ。
地上から二人の場所までは「約30m」あるのだ。
それを人体の力だけで跳躍しガラスを破壊して室内に入ってくるなど。

だがその人外行為を行える人間が沼津には「二人」いる。
一人は黒澤ルビィ。

もう一人は……。


「芳しき雌の香り……」ユラァ


千歌「……なるほど、アナタが松浦果南か」

79: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 17:56:09 ID:???Sd
果林「あ、あ……」カタカタ

果林は年甲斐もなく失禁し、腰が砕けて自力で立てない。

エマの遺体はまるでヒグマに襲われたような損傷であった。
しかし果林が実際にヒグマに出会ったとしてもここまでは怯えないだろう。

彼女は目の前の「異形」に呼吸することすら困難なのだ。

年も背丈も自分と同じくらい…いや、背丈に限っては自分以下かもしれない。

だというのに異形は天まで届くかのような存在感を放っている。

千歌は「敵」の注意を自分に引くために声を上げた。

千歌「何とか言ったら?松浦果南。もしかして言葉通じないほど野生なの?」

80: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 18:39:23 ID:???Sd
果南「……」ギロッ

千歌「……」

果南の虎の威嚇の様な眼光が千歌に向けられる。
だが千歌は真正面からそれを受け止めていた。

果南「ほう……悪くない雌だね」

千歌「何しに来たの。沼津の『闇』そのもののアナタがもしかして観光?案内しようか」

果南「あっはははははははは!!!!!!小娘が。私は強者に自然に引かれる…アナタ達のどちらかが今日の夕食になる……」

千歌「果林ちゃんは下がってて!!」

果林「っっ」コクコク

必死に頷く果林。

果南「果林?」

果林「ひっ……」

果南に「意識を向けられた」果林は青ざめて硬直する。
だが次の一言でそれが「反転」した。

果南「確か前屠った外国人が『果林ちゃん』とか言ってたっけなぁ……」


果林「…………………は?」


果南「そうだ間違い無いよ。『最期に果林ちゃんに会わせて!!』ってしつこかったから口ごと顔面の皮剥がしてやったんだった」


ビキッッ

81: 名無しで叶える物語◆wCirP3Eh★ 2025/10/23(木) 18:46:56 ID:???00
果林ちゃん逃げて😭

82: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 18:47:37 ID:???Sd
果林「、まえが……」

果南「ん?」


果林「お前がエマを殺したのか!!!!!!」


果林は勢いよく立ち上がるとポケットからリボルバーを引き抜き果南に狙いを定める。

千歌は流れ弾が当たらない様に角に隠れた。

突然のことに果南といえど少し驚いた様だった。

果南「おお!?」


果林「死ね!!!!!!!!」


バァン!!

     バァン!!

バァン!!!

3発発砲。
1発は明後日の方へ飛んでいき、残り2発は果南の肉体に命中した……が。


果南「シャバッッッッ!!!!!!!!」

千歌「マジか!」

果南は拳で銃弾を2発とも叩き落とした。
果林はそれでも怯まず4発目を撃とうとするが……。


果南「ア゛ァ゛ッ!!!!!!!!!」ダッ


果南が地面を蹴り果林に突撃した。
しかし千歌はその行動を読んでおり、それより早く壁を蹴り果南の側頭部を蹴った。

果南「~~!!」


倒れはしなかったがわずかに果南の体勢を崩すことに成功した。


千歌「(なんて硬さだ……!)」

83: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 23:21:22 ID:???00
千歌は果林を抱えて素早くエレベータのスイッチを押す…が。

果林「反応してないわよ!?」

千歌「ありゃ?電気通ってないのかな」

果南「エレベータの電源は私が『吸った』よ」

果南が歩きながら不可解なことを告げた。

千歌「何さ吸ったって」

果南「私昔から静電気とか吸うのが趣味でさ。さっきそこのエレベータの電気も吸い尽くしたってわけ」

千歌「(訳分からん……が、電源が止まってるのは事実だね)」

千歌は果林を床に下ろすと戦闘体制に入る。
果南は牙を剥き出しにしてニタリと笑った。

果南「やっとやる気になった?」

千歌「果林ちゃんは非常用階段から下に向かって逃げて」

84: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 23:41:11 ID:???00
果林「アイツはエマの仇よ!?親友だった私に逃げろというの?」


果南「ア゛ァ゛ア゛ッ!!!!!!!!!」


果南がもう待ちきれないという様子で口から涎を垂らしながら二人に突進してきた!

千歌は再び果林を抱えるとロンダートで果南の突進を回避する。

千歌「ふうっ!!」スタッ

果南「高い身体能力……好みのタイプだ」

千歌「それって恋愛的な意味?もう恋人は間に合ってますよーだ」

果南「恋など軟弱者の情動だよ。生まれた時から私は血と破壊を求めてきた……」

千歌「そりゃあ人生損していますな!」

千歌は果林に耳打ちする。

果林「何?」

千歌「一緒に戦ってもいいけどリボルバーは私に当てないでね?」

果林「!!」

85: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 23:41:57 ID:???00
千歌「しゃぁ!!!来いや!!!!」

果南「胸ェ貸してねぇ!!!!」

二人が互いに打撃を浴びせるため距離を詰める。
先に攻撃を仕掛けたのは果南であった。


果南「ハイッッッ!!!!!!」

果南の右ストレート。
半身になり避ける千歌はそのままカウンターを繰り出す。

果南「邪!!!!!!」

千歌の拳に当たったのは果南の顔面ではなく額であった。
顔を少し下げてカウンターを行ったのだ。

千歌「痛っっ!!!」

殴った側の千歌の拳に鋭い痛みが襲う。

千歌「(一応コンクリート破壊できるんだけどな私の拳!何食ったらそんな硬くなるの!?)」

86: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/23(木) 23:53:53 ID:???00
千歌の怯みを鬼が見逃すはずがない。
果南は右に体を回転させ、勢いのまま右の手の甲で千歌を殴る。
裏拳だ。

腕でガードする千歌だがガードごと体が吹っ飛ばされる。

千歌「ぐっ!!!」

果林「千歌ちゃん!」


果南「ん~、シュートっ♡」


千歌をボールに見立てたサッカーが始まった。
地面に倒れた千歌の腹に果南の蹴りが食い込む。

千歌「ごばっっ!!!!」

5m程宙を舞う千歌であったが果林が何とか受け止めた。

果林「千歌ちゃん!!!!」

千歌「あ……果林ちゃん良い匂いだね」

果林「なっ///」

千歌「よっと」

果林の腕から自分で降りる千歌。

果林「大丈夫なの?」

千歌「心配してくれてありがとう。私は頑丈さが取り柄なんだ……とはいえ松浦果南のフィジカルは想定外。このまま素手で殴り合ったらキツイね」

87: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/24(金) 00:04:42 ID:???00
果林「リボルバー使う?」

千歌「悪くないんだけどそれが命中したとして多分致命傷にはならないよ」

果林「え、これ銃よ!?」

千歌「アイツの皮膚の硬さが以前解体したクマに酷似してる。痛みはあるだろうけど命にまでは届かないかもしれない」

果林「そんな……」

果南「いつまでイチャイチャやってんの」

果南は椅子に座りながら葉巻を咥えていた。

千歌「火いる?銃弾だけど」

果南「いらん」

果南は葉巻の前で親指と中指を合わせてフィンガースナップを行う。


バヂンッッッッッ!!!!!!!!


果林「きゃあ!!」

千歌「ッッッ!?」

人体から発せられたとはとても思えない音がびゅうお内に響く。
それと同時に葉巻の先に火がついていた。

千歌「フィンガースナップで火起こしたの?……イカれてるね」

88: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/24(金) 00:25:20 ID:???00
果南「スパー……」

千歌「(……普通にタバコ吸ってるじゃん)」

果林「……」

果林はリボルバーで果南に狙いを定める。

千歌「(松浦果南を仕留めておきたい気持ちもあるけど今やるにはリスクが高い)」

千歌「(問題は私が素手だということ…相棒の鉄パイプは本家に置いてある。クソっ……元々イーラで飯食ったら帰る予定だったからね)」

千歌「これらを鑑みて……一旦引かせていただきます!!!」ヒョイ

果林「あっ、こらおろしなさい!!」

本日何度目かの果林を抱えると猛ダッシュで果南がいる方とは反対側の非常階段に走る。

ドアを蹴飛ばして外に出ると向かいにあるビルにジャンプし、反動で車に着地した。

果林「いたたた……」

千歌「このまま本家に一旦帰るよ!!」

89: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/24(金) 17:47:54 ID:???Sd
千歌「はぁ…はぁ……」

千歌は時速30キロで沼津魚市場食堂の脇の道を走って通り抜ける。
そのまま港大橋を渡ろうとした時であった。


ガゴォン!!!と千歌の真横の建物が倒壊した。
家の中からは血まみれの人物が二人の目の前に現れた。


果南「待゛って゛ぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
 

千歌「なっ……!?」

果南の手には臓物が握られていた。
中にいた住民を手にかけたのだろう。

果南「あーはははははは!!!!!!!鬼ごっこって楽しいよね!!!!!」

千歌は果林を下ろすと跳躍し膝蹴りを果南の顔面に叩き込む。

果南「おぉ~♡」

よろめく果南。
鼻から出血した様だが口角は上がっていた。

90: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/24(金) 17:55:33 ID:???Sd
千歌「ハイッッッ!!!!」

千歌は続けて両手でピースを作ると果南の目に突き立てようとした。
しかし……。

果南「甘いわぁっ!!!!」

先ほど同様頭突きでのカウンター。
千歌の2本の指が折れ曲がる。

千歌「ぐっ!!」

果南「沼津の民に幸あれッッッ!!!!!!」

そのまま千歌は腕を掴まれる。
引き剥がそうとするも尋常でない握力に歯が立たない。


千歌「がぁぁぁぁぁ!!!!!!」

果南「はっはーーーー!!!!!!!!!」

果南は砲丸投げのように千歌をなんと狩野川の対岸まで投げ飛ばした。
数十メートル先で爆発のような音が鳴り響く。

果林「ち、千歌ちゃん……!」

対岸で倒れる千歌を呆然と見る果林。

92: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/24(金) 18:21:40 ID:???Sd
果林「クソ……クソッッッ!!!!」

果南「……」

ザッザッ

果南が果林に歩みを進める。
改めてオーガを見る果林。
その体はやはり果林よりは小さいというのにまさしく「鬼」のオーラが存在感を肥大させてる。

果林「これでもくらいなさい!!!!」

リボルバーの残弾は残り3発。
無防備な果南に向けて全てを発射した。

果南は防御行動を取らなかった。
1発目は脳天、2発目、3発目は共に腹に命中した。

果林「(やった!!)」

心の中で喜びを表す果林であったが果南は僅かに後ずさっただけで倒れない。

果林「え……」

脳天からは出血が見て取れる。
「普通」なら即死だ。

93: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/24(金) 18:23:06 ID:???Sd
果南「あの外国人も狂ったように撃ってきたけど……実際に受けてみたらこんなものか」

果林「な、な、何で」

果南「いいねぇその顔!あの外国人も最期はそんな表情していたよ」

果林「っっ!!!この野郎!!!!」

腰からナイフを取り出すと鬼に向かって振るう果林。
だが一瞬にして手首の関節が真逆に向けられてしまった。


バキィ!


果林「ぐあっ!!」

果南「芸がない……」

果南は呆れたように首を振ると人差し指で果林の腹を「刺した」

ズブッッッ!!!!と鬼の指が根元まで果林の腹に食い込む。

果林「かは……」

生まれてから今までで一番の痛みだと断言できる。果林は震えながら果南の指を押し戻そうと両手で掴む。

94: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/24(金) 18:27:13 ID:???Sd
意外にも果南は自分から指を抜いた。
その指は果林の血で真っ赤に染まっていた。

果南「おほォ♡」

果南は少し興奮しているようだ。
果林はというと憤怒の眼差しで目に涙を浮かべながらも何とか自分の足で立っていた。

果林「ふぅー!ふぅー……!!」

痛みで頭がおかしくなりそうだったが何とかエマの顔を思い出して心を保っていた。

果南「じゅぽじゅぽ♡」

果南はスナック菓子のカスを舐めとるように果林の血をしゃぶっている。

果南「美味」

果林「はぁ…はぁ…!ゲス野郎」

95: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/24(金) 18:33:30 ID:???Sd
果南「おかわりくれる?」

果林「っっ!!?」

果南は再び人差し指を立てると果林の腹に穴を開ける。

果林「がぁぁぁ!!??」

果南「もしかしてソース2度漬け禁止だった?」

果林「どけぇ!!」

両手で果南を押し除けようとするも、鬼のガタイはトラックでも動かすのが困難なのだ。
同年代と比べ多少ガタイがいい果林程度ではびくともしない。

そうこうしてるうちに果南は指を抜いて三度刺してきた。


果南「じゅぽっ♡」


果林「~~~ッッッー!!、?ぐぅ……!?ふぅ……!」

果林はようやく分かった。
目の前の悪魔は今「遊んで」いるのだと。

97: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/24(金) 18:43:03 ID:???Sd
果林は倒れたら終わりだと思って何とか自分の足で立っていたがもう顔は俯き恥辱と苦痛から涙が地面にポタポタと落ちていた。

果南は中々死なないような場所をあえて選択して刺してきている。

優しさも慈悲もかけらもない状況で果林ができる事といえばもう心を保つことだけであった。

ブスッ

果林「~~ッッッ!!!」

4度目の挿入。

ジョボ…ジョボ……

果林の自律神経が死んだ。
あまりの痛みに失禁し始めたのだ。

「助けて」
「やめて」
今すぐ言いたかった。
だがそれを口にするということはエマへの仇討ちを、目の前の鬼に屈服したことを意味する。

鬼はそれを見透かしたように問いかける。

果南「5度漬けいきまーす!!!」

果林「っっ!!!!!」

明らかに恐怖と同様で体が揺れる果林。

98: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/24(金) 19:04:19 ID:???Sd
「オオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!」


果南「ぬぅ!?」

その時数メートル横で勇ましい雄叫びが上がる。声量の大きさに果南も遊びを中断してその音源へと顔を向けた。


千歌「……」


そこには先ほど対岸の川岸へと投げた千歌が立っていた。

どうやら川を渡ってきたらしい。


千歌「テメェ……私の女に何やってんだコラ」

果南「良い目つきd」

千歌「おらぁっ!!!!!!」

千歌は手にソフトボール大の岩を持っており果南に投げつける。
それとほぼ同時にロンダートから宙を舞う。


千歌「ハィィィィ!!!!!」


先ほどかすみに行ったコンボだ。
オーガの顔面に蹴りがヒットする。

グラァッ……

果南の巨体が揺れる。


千歌「オララララララララララ!!!!!」


恐ろしい速度で果南に打撃を浴びせ続ける千歌。
果林はしゃがみ込み千歌の勇姿に釘付けになっていた。

99: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/24(金) 19:09:13 ID:???Sd
千歌「死ねや!!!!!」

左手でピースを作り果南の目を潰そうと距離を詰める千歌。
だが攻めているはずの自分が突然謎の悪寒に包まれる。


ゾワァッ


千歌「(……え?)」

果南「褒めてやる」


ガゴォン!!!!!


千歌が地面に数百メートル先まで響く轟音と共に沈む。
果南が千歌の顔面を掴んで地面に叩きつけたからだ。

今度こそ千歌の意識は奪われた。

果南「貴様は今実力以上の力を出していた。それもこの娘(むすめ)の影響か……」

果南はしゃがみこんでいる果林に目を向ける。

果南「私には分からないけど愛とやらで強くなるファイターもいるのか……良い勉強になったよ」

果南は爽やかな笑顔を浮かべている。


果南「今宵は仕舞いとするッッッ!!!!!娘よ、千歌とやらに今以上に強くなれと言っておけ!!!……私は再び殺しにくる」


果南はそれだけを伝えるとその場から一瞬で姿を消した。

101: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/24(金) 19:16:46 ID:???Sd
~黒澤家本家~

千歌「……」ムクリ

曜「千歌ちゃん!!」

「千歌さんが起きたぞ!!」

千歌「ちっ……。あっ!果林ちゃんはどこ!?」

曜「今黒澤組のドクターに治療してもらってるよ。命に別状はないって」

千歌「ふぅ……そっか」

ダイヤ「何安心してるんですの?あなた……敵を助けて何のつもりですか?」

千歌「ダイヤさん」

曜「見逃してあげてよダイヤさん。果林ちゃんはオーガと戦った数少ない人間だよ?生かして情報収集したほうがいい」

ダイヤ「それが終わったら始末しますわよ」

千歌「……悪いけどそれはさせないなぁ」

ダイヤ「千歌さん。黒澤組組長の私の意見に逆らうことがどういう事か分かってますわよね?」

千歌「……」

102: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/24(金) 19:22:27 ID:???Sd
曜「千歌ちゃん、何で果林ちゃんを助けようとするの?」

千歌「一目惚れだよ」

曜「え゛」

ダイヤ「んまー!!黒澤組の主力ともあろう方が恋心などという娑婆い感情で敵を助けるとは!!」

ダイヤ「今、目の前でエンコしなさい。組員A、短刀を持って来い」

千歌「分かった」

曜「ちょっ……」


「やめんかいッッッ!!!!!」

103: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/24(金) 19:29:10 ID:???Sd
ルビィ「オーガと戦った功労者の小指飛ばすんか?あ?」

ダイヤ「ルビィ……」

曜「そ、そうだよダイヤさん!きっと千歌ちゃんも一時の気の迷いで……」

千歌「違うよ曜ちゃん。私は本当に果林ちゃんを嫁にしたいの!」

曜「!!」

ルビィ「愛する女(タレ)のために命(タマ)張った組員にこの仕打ちはねぇだろ。あ?」

ダイヤ「はぁ……この馬鹿どもは。分かりましたわ、小指は飛ばさなくて結構。けど私は敵対組織の娘と恋愛なんて認めませんからね」

ルビィ「おう千歌。この頭の硬ェオバハンにしっかり認めさせろよ?」

千歌「うん!」

ダイヤ「誰がオバハンですか!?」

104: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/25(土) 00:19:52 ID:???00
ダイヤ「で、オーガの所感は?」

千歌「化け物だね。30m以上の跳躍力、銃弾喰らっても素で耐える耐久力、私を数十メートル投げる筋力」

曜「それだけならルビィちゃんもできるんじゃ……」

千歌「それに人を痛めつけて喜ぶ残虐性」

ルビィ「……」

曜「ダイヤさんにあってルビィちゃんに足りないものだね」

ダイヤ「曜さん、指を詰めなさい」

曜「ごめん」

ルビィ「オーガは『小原家』に囲われているんだよね?」

ダイヤ「ウチの構成員がやられたのです。もう小原家と対峙せざるを得ないでしょうね」

ルビィ「正直、オーガ1匹だけなら黒澤組だけで潰せるでしょう。今からでも……」

ダイヤ「オーガだけならね」

ルビィ「どういう事?」

ダイヤ「最近入った情報なんですけどね……」

105: 名無しで叶える物語◆NaNZg3W4★ 2025/10/25(土) 00:20:40 ID:???00
~沼津駅前21時~

かすみ「やっば……果林先輩マジで見つからないよ」

栞子「もう黒澤家本家に連れ去られてる可能性もありますね」

かすみ「二人で攻める?」

栞子「……自殺行為です。仕方ない、私が黒澤家と交渉に……」

prrrrr

その時かすみのスマホに着信が入る。

かすみ「はい?」

かすママ『かすみ、いま大丈夫?』

かすみ「ちっ……何?今かなり忙しいんだけど」

かすママ『あら、黒澤組の壊滅に尽力してくれてるのかしら?お母さんとして鼻が高いわ』

かすみ「あんたが言い出した事でしょう」

かすママ『あーそれもう良いのよ。あなた達かすみんズは三島で中洲組の指示を待ってて』

かすみ「は?どういうこと」

かすママ『中洲組は先日小原家と手を組んだの。明後日に小原家とウチの戦闘員で黒澤組の事務所を片っ端から襲うから。それまで体を休めていなさい』

かすみ「はぁ!?」


第二部終わり

引用元: 【SS】かすみ「かすみんがヤクザの組長になっちゃいました!」2