妹「ただいまぁー……って、えっ……誰‥‥?」
7: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:44:51.22 ID:EswPOJ2o
男「あーくそ、まじつまんねー……」
男「彼女も出来ねーし、いっそ、死んだほうがましなのかもな……」
男「…………」
男「……バイト行くか……」
トゥルトゥルトゥル
男「ん、電話? 知らねー番号だな……まあ出るか」
男「はい、もしもし」
?『あ、男君?』
男「……ん? その声は、もしかして、店長?」
店長『おお、よく分かったね』
男「ええまぁ、何となく覚えてました」
男(妙に声高いから気持ち悪いんだよな……)
男「それで……どうかしましたか? 今、自分、お店に向かってますけど」
店長『あーうん……そのことなんだけどね』
男「彼女も出来ねーし、いっそ、死んだほうがましなのかもな……」
男「…………」
男「……バイト行くか……」
トゥルトゥルトゥル
男「ん、電話? 知らねー番号だな……まあ出るか」
男「はい、もしもし」
?『あ、男君?』
男「……ん? その声は、もしかして、店長?」
店長『おお、よく分かったね』
男「ええまぁ、何となく覚えてました」
男(妙に声高いから気持ち悪いんだよな……)
男「それで……どうかしましたか? 今、自分、お店に向かってますけど」
店長『あーうん……そのことなんだけどね』
8: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:45:38.14 ID:EswPOJ2o
店長『今日、来てくれなくていいよ』
男「……え?」
男「すみません、よく意味が分からなかったんですけど」
店長『んと、つまり、今日はバイトなしね』
男「……なんかあったんですか? お店は休みですか?」
店長『店は普通に営業してるよ。ただ……』
男「ただ?」
店長『もう、手数はいるから男君が来てくれても、やってもらう仕事がないんだ』
男「……先週、空いてるシフトに入ったつもりですが」
店長『それでも、もう大丈夫なんだよ』
男「大丈夫って……。じゃあ、とりあえず今日はやめて、土曜行きますよ」
店長『それもこなくていいよ』
男「…………」
男(どういうことだ?)
男「……え?」
男「すみません、よく意味が分からなかったんですけど」
店長『んと、つまり、今日はバイトなしね』
男「……なんかあったんですか? お店は休みですか?」
店長『店は普通に営業してるよ。ただ……』
男「ただ?」
店長『もう、手数はいるから男君が来てくれても、やってもらう仕事がないんだ』
男「……先週、空いてるシフトに入ったつもりですが」
店長『それでも、もう大丈夫なんだよ』
男「大丈夫って……。じゃあ、とりあえず今日はやめて、土曜行きますよ」
店長『それもこなくていいよ』
男「…………」
男(どういうことだ?)
9: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:46:24.69 ID:EswPOJ2o
店長『はっきり言っちゃうとさ、君の代わりに新人雇ったんだ』
店長『女子高生の子でね、とってもいい子で僕も心打たれてね』
男「……つまり、首ってことですか?」
店長『ごめんね、君には悪いことしたと思うん……』
ピッ。
男「…………」
男「……あー、マジやべぇかも」
男「俺、何やってんだろ……」
男「大学卒業して……なんとなく就職活動して入った会社、慣れずに辞めて」
男「…………」
男「こんな風になるために、大人になったわけじゃねぇのにさ……」
男「……は、はは」
男「……仕方ねぇ……帰るか」
男「……ん?」
店長『女子高生の子でね、とってもいい子で僕も心打たれてね』
男「……つまり、首ってことですか?」
店長『ごめんね、君には悪いことしたと思うん……』
ピッ。
男「…………」
男「……あー、マジやべぇかも」
男「俺、何やってんだろ……」
男「大学卒業して……なんとなく就職活動して入った会社、慣れずに辞めて」
男「…………」
男「こんな風になるために、大人になったわけじゃねぇのにさ……」
男「……は、はは」
男「……仕方ねぇ……帰るか」
男「……ん?」
10: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:47:15.59 ID:EswPOJ2o
男子生徒「妹さんっ家って、どんな家族構成なの?」
妹「お姉ちゃんと二人で暮らしてるんだ」
男子生徒「あっ……そうなんだ……」
男子生徒「ごめんね、余計なこと聞いちゃったかも」
妹「ううん、両親が亡くなったのは結構前だし……」
妹「今では、しっかりと受け止めてるよ。お姉ちゃんとの生活も楽しいしね」
男子生徒「そっか……妹さんはやっぱり凄いなぁ」
妹「そんなことないよ。……ただ、最近ちょっと不満があってね」
男子生徒「え、なんだい?」
妹「お姉ちゃんが仕事で帰りが遅くて……それがちょっと、ね」
男子生徒「お姉さん、働いてるんだ」
妹「うん、バリバリのキャリアウーマンなんだ」
妹「頭も良いし、美人だし……本当凄いっ」
男子生徒「妹さん自慢のお姉さんだね」
妹「もちろんっ」
妹「お姉ちゃんと二人で暮らしてるんだ」
男子生徒「あっ……そうなんだ……」
男子生徒「ごめんね、余計なこと聞いちゃったかも」
妹「ううん、両親が亡くなったのは結構前だし……」
妹「今では、しっかりと受け止めてるよ。お姉ちゃんとの生活も楽しいしね」
男子生徒「そっか……妹さんはやっぱり凄いなぁ」
妹「そんなことないよ。……ただ、最近ちょっと不満があってね」
男子生徒「え、なんだい?」
妹「お姉ちゃんが仕事で帰りが遅くて……それがちょっと、ね」
男子生徒「お姉さん、働いてるんだ」
妹「うん、バリバリのキャリアウーマンなんだ」
妹「頭も良いし、美人だし……本当凄いっ」
男子生徒「妹さん自慢のお姉さんだね」
妹「もちろんっ」
11: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:47:49.63 ID:EswPOJ2o
男「…………」
男(……はは、ガキどもが色気づいてるというのにな)
男(俺は、職を失って、帰って寝るだけか……)
男「…………」
男「……マジで、死のうかな……」
男(……でも、それも出来ないチキンなんだよな……)
男「あーくそ、やってらねぇよ……」
男(俺の人生、終わっちまってるな……)
男(どうせまた、似たようなバイト先で働いて……)
男(家賃と飯代を稼ぐのに精一杯で……)
男「……俺、生きてんだよな……?」
男「…………」
男(ははっ、誰も答えてくれねぇや……)
男(あーもう、今なら何でも出来る気がするな……)
男「……この際」
男(どうせ、糞みたいな人生がこの先に待ってるだけなら)
男(……一花咲かせて、綺麗に散ってやろうかな)
男「……は、はは」
男「く、くくくっ」
男「く、くははははははっ」
男(……はは、ガキどもが色気づいてるというのにな)
男(俺は、職を失って、帰って寝るだけか……)
男「…………」
男「……マジで、死のうかな……」
男(……でも、それも出来ないチキンなんだよな……)
男「あーくそ、やってらねぇよ……」
男(俺の人生、終わっちまってるな……)
男(どうせまた、似たようなバイト先で働いて……)
男(家賃と飯代を稼ぐのに精一杯で……)
男「……俺、生きてんだよな……?」
男「…………」
男(ははっ、誰も答えてくれねぇや……)
男(あーもう、今なら何でも出来る気がするな……)
男「……この際」
男(どうせ、糞みたいな人生がこの先に待ってるだけなら)
男(……一花咲かせて、綺麗に散ってやろうかな)
男「……は、はは」
男「く、くくくっ」
男「く、くははははははっ」
12: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:48:30.16 ID:EswPOJ2o
男(よし……決めたぞ。俺は、決めた)
男(やってやろうじゃねぇか……ぶち壊してやるよ……)
男(俺の今までの人生……捨て去ってやる……)
男「……どうする?」
男「…………」
男「……ん、そうだ」
男(俺は昔から一人っ子で、ずっと妹が欲しかったんだ)
男(小さい頃はよく両親にも頼んでみたが……すぐに離婚しちまったからな)
男(妹……か)
男(……欲しかったな……物語に出てくるような、優しい妹が……)
男「…………」
男「……うし、動くか」
男(やってやろうじゃねぇか……ぶち壊してやるよ……)
男(俺の今までの人生……捨て去ってやる……)
男「……どうする?」
男「…………」
男「……ん、そうだ」
男(俺は昔から一人っ子で、ずっと妹が欲しかったんだ)
男(小さい頃はよく両親にも頼んでみたが……すぐに離婚しちまったからな)
男(妹……か)
男(……欲しかったな……物語に出てくるような、優しい妹が……)
男「…………」
男「……うし、動くか」
13: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:49:02.26 ID:EswPOJ2o
──数日後
ガチャ。
妹「ただいまー」
妹「あーもう……部活で、遅くなっちゃった……」
妹「ん……あれ、電気つけっぱなしだったかな……」
妹「電気代ばかになんないのに……おっちょこちょいだなー自分」
男「──ういっす」
妹「……へ?」
男「こんばんわー」
妹「ふぇ……? だ、誰……?」
男「おう、よくぞ聞いてくれましたっ!」
男「自己紹介遅れました、男です。これからよろしくな」
妹「……ちょ、ちょっと、まって……」
男「ちなみに今、無職。数日前にバイト、クビになってね」
妹「や、やだ……なに……わけわかんない……」
ガチャ。
妹「ただいまー」
妹「あーもう……部活で、遅くなっちゃった……」
妹「ん……あれ、電気つけっぱなしだったかな……」
妹「電気代ばかになんないのに……おっちょこちょいだなー自分」
男「──ういっす」
妹「……へ?」
男「こんばんわー」
妹「ふぇ……? だ、誰……?」
男「おう、よくぞ聞いてくれましたっ!」
男「自己紹介遅れました、男です。これからよろしくな」
妹「……ちょ、ちょっと、まって……」
男「ちなみに今、無職。数日前にバイト、クビになってね」
妹「や、やだ……なに……わけわかんない……」
14: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:50:04.08 ID:EswPOJ2o
妹「あっ……け、警察っ……」
バッ。
男「──おっと、行かせないぞー」
妹「や、やめてっ! は、離して下さいっ!」
男「まあまあ、そう慌てんなって。時間はまだたくさんあるんだからさ」
妹「いやっ、やめてっ!」
妹「お願いですっ! お金なら出しますからっ!」
男「おいおい、まるで俺が強盗みたいな言い草だな」
妹「ち、違うんですか……?」
男「少しぐらい話を聞いてくれよ」
妹「…………」
妹「まずは、手を離して下さい……」
男「離したら、逃げようとするだろ?」
妹「……に、逃げませんから……お願いします……」
バッ。
男「──おっと、行かせないぞー」
妹「や、やめてっ! は、離して下さいっ!」
男「まあまあ、そう慌てんなって。時間はまだたくさんあるんだからさ」
妹「いやっ、やめてっ!」
妹「お願いですっ! お金なら出しますからっ!」
男「おいおい、まるで俺が強盗みたいな言い草だな」
妹「ち、違うんですか……?」
男「少しぐらい話を聞いてくれよ」
妹「…………」
妹「まずは、手を離して下さい……」
男「離したら、逃げようとするだろ?」
妹「……に、逃げませんから……お願いします……」
15: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:50:39.10 ID:EswPOJ2o
男「んー」
男(どうしたものか……)
男(想像してたようにはうまくいかんな……完全に怯えてるわ)
男(せめて明るくいこうと思ったんだがな……失敗した)
男「……分かった。手は離すよ」
妹「……あっ……」
男「ほれ、座って座って」
妹「………うぅ」
男「頼むよ、悪いようにはしないからさ」
妹「……は、はい」
男「ん、よし」
男「色々喋っても誤解を生むだけだし、単刀直入に言うわ」
妹「…………」
男「俺、君の生き別れの兄ね」
妹「………え?」
男(どうしたものか……)
男(想像してたようにはうまくいかんな……完全に怯えてるわ)
男(せめて明るくいこうと思ったんだがな……失敗した)
男「……分かった。手は離すよ」
妹「……あっ……」
男「ほれ、座って座って」
妹「………うぅ」
男「頼むよ、悪いようにはしないからさ」
妹「……は、はい」
男「ん、よし」
男「色々喋っても誤解を生むだけだし、単刀直入に言うわ」
妹「…………」
男「俺、君の生き別れの兄ね」
妹「………え?」
16: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:51:40.02 ID:EswPOJ2o
男「だから、生き別れた兄だよ」
妹「……い、意味が分かりません」
男「んー、説明するっていっても、これだけだからなぁ」
妹「わ、わたしには……姉一人しかいないはずです」
男「うん、知ってる」
妹「そ、それに両親はすでに他界してますし……」
妹「実は、兄がいるなんてこと、聞いたこともありません……」
男「…………」
妹「夫婦仲も良かったし……他所で子供を作るなんてこと……」
男「……めんどくせー」
妹「へ?」
男「あーくそ、めんどくせーな」
男(なんだよ、想像と全然違うじゃねーか)
男(物語の中だったら、そこはとりあえず信じとくとこだろうが)
男「ん、もういいや」
妹「……い、意味が分かりません」
男「んー、説明するっていっても、これだけだからなぁ」
妹「わ、わたしには……姉一人しかいないはずです」
男「うん、知ってる」
妹「そ、それに両親はすでに他界してますし……」
妹「実は、兄がいるなんてこと、聞いたこともありません……」
男「…………」
妹「夫婦仲も良かったし……他所で子供を作るなんてこと……」
男「……めんどくせー」
妹「へ?」
男「あーくそ、めんどくせーな」
男(なんだよ、想像と全然違うじゃねーか)
男(物語の中だったら、そこはとりあえず信じとくとこだろうが)
男「ん、もういいや」
17: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:52:15.19 ID:EswPOJ2o
妹「……え、ええと」
男「生き別れた兄っていう設定はなし、で」
妹「……は、はぁ」
男「でも、まあ、何て言うかさ」
男「今日から、一人兄が出来たと思えばいいじゃん」
妹「…………」
男「兄貴欲しくね?」
妹「……い、いらないです……」
男「またまた、謙遜すんなって。欲しいだろ?」
妹「……いりません」
男「…………」
男(やっぱり、無職ってことが問題かな……)
男(くそっ、余計なこと言っちまったぜ……)
男「生き別れた兄っていう設定はなし、で」
妹「……は、はぁ」
男「でも、まあ、何て言うかさ」
男「今日から、一人兄が出来たと思えばいいじゃん」
妹「…………」
男「兄貴欲しくね?」
妹「……い、いらないです……」
男「またまた、謙遜すんなって。欲しいだろ?」
妹「……いりません」
男「…………」
男(やっぱり、無職ってことが問題かな……)
男(くそっ、余計なこと言っちまったぜ……)
18: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:53:58.45 ID:EswPOJ2o
男「定職はさ、いつかきっと見つけようと思ってるんだ」
妹「……はい?」
男「でも、俺は思うわけよ。『若いうちこそ、苦労しとけ』ってね」
妹「そ、それがどういう……」
男「社会の荒波に揉まれてこそ、真の男たるものが出来上がるってわけ」
男「まぁ……最近は、ちょっと挫折しまくりだけどな」
妹「……そ、そうなんですか」
男「とにかく俺が言いたいのは……」
男「──将来に期待してくれって、ことだ」
妹「…………」
妹「……はい?」
男「でも、俺は思うわけよ。『若いうちこそ、苦労しとけ』ってね」
妹「そ、それがどういう……」
男「社会の荒波に揉まれてこそ、真の男たるものが出来上がるってわけ」
男「まぁ……最近は、ちょっと挫折しまくりだけどな」
妹「……そ、そうなんですか」
男「とにかく俺が言いたいのは……」
男「──将来に期待してくれって、ことだ」
妹「…………」
19: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:55:20.53 ID:EswPOJ2o
男(完全に決まったな。あまりの男らしさに、口開いたままになってるぜ)
男(まあ、ガキみたいな異性に囲まれてたら、そんなもんか)
男(……もしかして、これで惚れられたりしたら……マジどうしようか……)
男「ぐへへっ」
妹「…………」
ガチャ。
?『ただいまー』
妹「あ、お姉ちゃんだっ」
男「……え、あれ? まだ七時、予定と違くない?」
男(まあ、ガキみたいな異性に囲まれてたら、そんなもんか)
男(……もしかして、これで惚れられたりしたら……マジどうしようか……)
男「ぐへへっ」
妹「…………」
ガチャ。
?『ただいまー』
妹「あ、お姉ちゃんだっ」
男「……え、あれ? まだ七時、予定と違くない?」
20: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:56:23.72 ID:EswPOJ2o
姉『今日は早く帰れたぞー。一緒にご飯食べるかー』
男「……お、おいおい」
男(マズい……これは、壮絶にマズいぞ……)
妹「お、お姉ちゃん……おかえりなさい……」
姉「ん、誰か来てるのか?」
男「……ど、ども」
姉「ああ、どうも……」
妹「こ、こちらは、男さんです」
男「は、初めまして……」
姉「あ、ああ、こちらこそよろしく……」
妹「…………」
姉「…………」
男「…………」
男「……お、おいおい」
男(マズい……これは、壮絶にマズいぞ……)
妹「お、お姉ちゃん……おかえりなさい……」
姉「ん、誰か来てるのか?」
男「……ど、ども」
姉「ああ、どうも……」
妹「こ、こちらは、男さんです」
男「は、初めまして……」
姉「あ、ああ、こちらこそよろしく……」
妹「…………」
姉「…………」
男「…………」
21: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:57:03.28 ID:EswPOJ2o
男(なんなんだこれはぁぁぁぁぁぁぁっ?!)
男(逃げたい……一刻も早く、この場から逃げ出したいっ!)
男「じ、じゃ、僕はそろそろこのへんで……」
妹「……あっ」
男「夜分遅くおじゃまして、ホントすみませんねっ」
そそくさ……そそくさ。
姉「……おい、待て」
男「……っ」
男「な、なんでしょうかっ?」
姉「んー……」
姉「せっかくだから、飯でも食べていかないか?」
男「え、遠慮しときますよっ」
姉「そう気を遣うな。人数が多ければ飯はうまいんだ」
男「お、お気持ちは有り難いんですが……ちょっとこの後に用事もありまして」
妹「そ、そうだよ、お姉ちゃん。男さんに迷惑だよっ」
男(逃げたい……一刻も早く、この場から逃げ出したいっ!)
男「じ、じゃ、僕はそろそろこのへんで……」
妹「……あっ」
男「夜分遅くおじゃまして、ホントすみませんねっ」
そそくさ……そそくさ。
姉「……おい、待て」
男「……っ」
男「な、なんでしょうかっ?」
姉「んー……」
姉「せっかくだから、飯でも食べていかないか?」
男「え、遠慮しときますよっ」
姉「そう気を遣うな。人数が多ければ飯はうまいんだ」
男「お、お気持ちは有り難いんですが……ちょっとこの後に用事もありまして」
妹「そ、そうだよ、お姉ちゃん。男さんに迷惑だよっ」
22: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:57:50.42 ID:EswPOJ2o
姉「まあいいじゃないか。その用事とやらは今回は我慢してくれ」
男「……え、ええ!?」
姉「ほらほら、座って座って」
男「……あっ、は、はい……」
妹「ちょ、ちょっとっ! お姉ちゃん、本気なのっ?」
姉「何だ、何かおかしいか。妹の友人を飯に誘ってるだけだぞ?」
妹「そ、それはそうだけど……」
姉「…………」
姉「何か、私といられると困ることでもあるのか?」
妹「……うっ」
姉「……まあ、いい。その辺りも含めて、今日はたっぷりと聞こう」
姉「初めて妹が呼んだ、異性の友人だからなっ」
妹「……お、お姉ちゃん……」
姉「フンっ……そうだ、妹、飯の用意はしてあるのか?」
妹「ま、まだだけど……」
男「……え、ええ!?」
姉「ほらほら、座って座って」
男「……あっ、は、はい……」
妹「ちょ、ちょっとっ! お姉ちゃん、本気なのっ?」
姉「何だ、何かおかしいか。妹の友人を飯に誘ってるだけだぞ?」
妹「そ、それはそうだけど……」
姉「…………」
姉「何か、私といられると困ることでもあるのか?」
妹「……うっ」
姉「……まあ、いい。その辺りも含めて、今日はたっぷりと聞こう」
姉「初めて妹が呼んだ、異性の友人だからなっ」
妹「……お、お姉ちゃん……」
姉「フンっ……そうだ、妹、飯の用意はしてあるのか?」
妹「ま、まだだけど……」
23: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:58:33.13 ID:EswPOJ2o
姉「じゃあ、まずは酒を持ってきてくれ。今日は飲まずにはやってられん」
妹「わ、分かったよ……じゃあ、ご飯も用意してくるね」
たったったったっ。
男(……えっ、俺をこの場に置いてくの?)
姉「…………」
姉「じぃ……」
男(み、見られてる……見られてるぞっ)
姉「……なあ、男」
男「は、はいっ?!」
姉「お前、よく人に大人びてるって言われるだろ?」
男「い、いえ特に……」
姉「そうか? 妹の学友なんだろ? 今年高三か?」
男「……ええと」
妹「わ、分かったよ……じゃあ、ご飯も用意してくるね」
たったったったっ。
男(……えっ、俺をこの場に置いてくの?)
姉「…………」
姉「じぃ……」
男(み、見られてる……見られてるぞっ)
姉「……なあ、男」
男「は、はいっ?!」
姉「お前、よく人に大人びてるって言われるだろ?」
男「い、いえ特に……」
姉「そうか? 妹の学友なんだろ? 今年高三か?」
男「……ええと」
24: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:59:07.17 ID:EswPOJ2o
姉「来年はいよいよ受験だな。どの辺りを目指してるか、聞かせてくれ」
男「……そ、そのですねっ」
姉「ああ、どうした?」
男「実は……もう……その、はい」
姉「ん?」
姉「あー……なんだ、そういうことか」
男「えっ……」
姉「それならそうと、早く言ってくれっ。誤解してしまっただろっ」
男「そうなんですっ、誤解なんですっ」
男「ちょ、ちょっとした出来心で……」
姉「──もう、大学生なんだろ。変な勘違いしてすまんな」
男「…………」
姉「しかし、そうだとすると、妹とどこで知り合ったんだ? 」
男「……ちょっとした、偶然で……」
男「……そ、そのですねっ」
姉「ああ、どうした?」
男「実は……もう……その、はい」
姉「ん?」
姉「あー……なんだ、そういうことか」
男「えっ……」
姉「それならそうと、早く言ってくれっ。誤解してしまっただろっ」
男「そうなんですっ、誤解なんですっ」
男「ちょ、ちょっとした出来心で……」
姉「──もう、大学生なんだろ。変な勘違いしてすまんな」
男「…………」
姉「しかし、そうだとすると、妹とどこで知り合ったんだ? 」
男「……ちょっとした、偶然で……」
25: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 19:59:49.54 ID:EswPOJ2o
姉「深くは語らないというヤツだな。中々、焦らしがうまいな」
男「へ、へへっ」
姉「おっと、だとすると……」
妹「……はい、お姉ちゃん、ビールだよ」
姉「おおっ、やっときたかぁっ! やはりビールは瓶に限るぞっ」
ブシュッ。
姉「ああ……この感触がたまらなくいい……」
姉「言いかけたが、男、大学生なら酒はいける口だろ?」
男「えっ、は、はい、まあ、多少は……」
姉「おいおい、そんな弱気でどうするっ。今日は、私に付き合ってもらうんだからなっ」
男「え、ええ……お、お手やわらかに願います……」
姉「んーなんだ、もしかして、弱い方か? 歳は二十越えてるんだろ、幾つだ?」
男「へ、へへっ」
姉「おっと、だとすると……」
妹「……はい、お姉ちゃん、ビールだよ」
姉「おおっ、やっときたかぁっ! やはりビールは瓶に限るぞっ」
ブシュッ。
姉「ああ……この感触がたまらなくいい……」
姉「言いかけたが、男、大学生なら酒はいける口だろ?」
男「えっ、は、はい、まあ、多少は……」
姉「おいおい、そんな弱気でどうするっ。今日は、私に付き合ってもらうんだからなっ」
男「え、ええ……お、お手やわらかに願います……」
姉「んーなんだ、もしかして、弱い方か? 歳は二十越えてるんだろ、幾つだ?」
26: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:00:25.04 ID:EswPOJ2o
男「……173です」
姉「んっ? 身長じゃないぞ、歳だよ歳。はは、面白いヤツだな」
妹「い、いいじゃん、お姉ちゃんっ! そんなことどうだって……」
姉「なんだ、別に歳ぐらい構わないじゃないか。女じゃあるまいし……」
姉「ちなみに私は28だ。まだ、三十路にはいってないぞ、ハハハ」
妹「お、お姉ちゃんっ!」
姉「うるさいなぁ……。で、男、歳は幾つだ?」
男「……………です……」
姉「ん? 聞こえんぞ、もっと大きな声でっ」
男「二十……」
男「──五です……」
姉「ああ、二十五か。それなら、酒も……」
姉「──って、二十五っ!?」
妹「…………」
姉「……大学は?」
男「既に卒業しました……」
姉「……じゃ、じゃあ、会社で働いてるのか……?」
男「げ、現在、無職です……」
姉「…………」
妹「…………」
姉「んっ? 身長じゃないぞ、歳だよ歳。はは、面白いヤツだな」
妹「い、いいじゃん、お姉ちゃんっ! そんなことどうだって……」
姉「なんだ、別に歳ぐらい構わないじゃないか。女じゃあるまいし……」
姉「ちなみに私は28だ。まだ、三十路にはいってないぞ、ハハハ」
妹「お、お姉ちゃんっ!」
姉「うるさいなぁ……。で、男、歳は幾つだ?」
男「……………です……」
姉「ん? 聞こえんぞ、もっと大きな声でっ」
男「二十……」
男「──五です……」
姉「ああ、二十五か。それなら、酒も……」
姉「──って、二十五っ!?」
妹「…………」
姉「……大学は?」
男「既に卒業しました……」
姉「……じゃ、じゃあ、会社で働いてるのか……?」
男「げ、現在、無職です……」
姉「…………」
妹「…………」
27: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:01:48.48 ID:EswPOJ2o
──警察署
警官「で、どうして他人の家に入ったわけ?」
男「い、妹が欲しかったからです……」
警官「……これじゃあ、埒があかないなぁ」
警官「こっちも遊びでやってるんじゃないんだ。そろそろ真面目に答えてくれないか?」
男「う、うぅ……くっ……」
警官「正直、泣きたいのはこっちのほうなんだけど」
警官「もう一度、聞くよ? 何で、人の家に侵入したの?」
男「い、いぼうとが、ぼしがった、から、うぅっ……」
警官「はぁ……」
警官「少し、休憩にするよ……」
男「──ぶわああああああーんっ!」
ガチャ……。
警官「で、どうして他人の家に入ったわけ?」
男「い、妹が欲しかったからです……」
警官「……これじゃあ、埒があかないなぁ」
警官「こっちも遊びでやってるんじゃないんだ。そろそろ真面目に答えてくれないか?」
男「う、うぅ……くっ……」
警官「正直、泣きたいのはこっちのほうなんだけど」
警官「もう一度、聞くよ? 何で、人の家に侵入したの?」
男「い、いぼうとが、ぼしがった、から、うぅっ……」
警官「はぁ……」
警官「少し、休憩にするよ……」
男「──ぶわああああああーんっ!」
ガチャ……。
28: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:02:37.79 ID:EswPOJ2o
警官2「どうだ……口を割りそうか?」
警官「ありゃ、完全に駄目だな。お手上げって感じだよ」
警官2「ふむ。バイトを突然クビになったのが堪え……」
警官2「或いは、精神的に病んでいて……それで、突発的な行動に走ったか」
警官「…………」
警官2「どうした? なにか気になることでもあるのか?」
警官「……俺はな、今回の事件、かなり裏があると思ってるんだ」
警官2「裏というと?」
警官「あいつの泣く姿見てみろよ」
警官2「お、おう。本当に辛そうだな……」
警官「違う違う、騙されてるんだ。あれは、演技だ」
警官2「ほ、ほんとうか?」
警官「ありゃ、完全に駄目だな。お手上げって感じだよ」
警官2「ふむ。バイトを突然クビになったのが堪え……」
警官2「或いは、精神的に病んでいて……それで、突発的な行動に走ったか」
警官「…………」
警官2「どうした? なにか気になることでもあるのか?」
警官「……俺はな、今回の事件、かなり裏があると思ってるんだ」
警官2「裏というと?」
警官「あいつの泣く姿見てみろよ」
警官2「お、おう。本当に辛そうだな……」
警官「違う違う、騙されてるんだ。あれは、演技だ」
警官2「ほ、ほんとうか?」
29: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:03:40.30 ID:EswPOJ2o
警官「『妹が欲しかった』なんて、わけのわからん供述もそうだ」
警官2「た、確かに訳がわからんな……」
警官「俺達を惑わせようとする策略さ」
警官2「なっ……」
警官「やつはヤバいぜ……俺達の手には負えそうもない……」
警官2「……まさか」
警官「ああ、そうだ。そうするしかない」
警官2「い、いや、でもっ、もし違……」
警官「──間違ってからじゃ遅いんだよっ!!」
警官2「……ッ」
警官「俺は今、初めて警察に入って、自分の無力さを痛感しているっ」
警官2「お、お前……」
警官2「た、確かに訳がわからんな……」
警官「俺達を惑わせようとする策略さ」
警官2「なっ……」
警官「やつはヤバいぜ……俺達の手には負えそうもない……」
警官2「……まさか」
警官「ああ、そうだ。そうするしかない」
警官2「い、いや、でもっ、もし違……」
警官「──間違ってからじゃ遅いんだよっ!!」
警官2「……ッ」
警官「俺は今、初めて警察に入って、自分の無力さを痛感しているっ」
警官2「お、お前……」
30: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:04:30.63 ID:EswPOJ2o
警官「分かってくれ……俺の身体を流れる血が、これは大きなヤマだと言ってるんだ」
警官2「親父さんも祖父も警官だった、お前の血が、か……」
警官「ああ……死んだ親父が、俺にそう伝えてくれてるんだと思う」
警官2「殉職した、あの英雄の人が……」
警官「くっ……思い出したら、涙が出てくるぜ……」
警官2「ああ、立派な人だったよ……」
警官「そう言ってくれて、天国の親父も喜んでるよ……」
警官2「そういうことなら、俺も分かった……」
警官「本当かっ!」
警官2「ああ、彼らに任せよう」
警官2「──特別捜査官の彼らにな……」
警官2「親父さんも祖父も警官だった、お前の血が、か……」
警官「ああ……死んだ親父が、俺にそう伝えてくれてるんだと思う」
警官2「殉職した、あの英雄の人が……」
警官「くっ……思い出したら、涙が出てくるぜ……」
警官2「ああ、立派な人だったよ……」
警官「そう言ってくれて、天国の親父も喜んでるよ……」
警官2「そういうことなら、俺も分かった……」
警官「本当かっ!」
警官2「ああ、彼らに任せよう」
警官2「──特別捜査官の彼らにな……」
31: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:05:02.78 ID:EswPOJ2o
──???
男「モゴモゴモゴ」
ザバッ。
男「はぁ……はぁ……な、何なんだいったい……」
男「こ、ここはどこだ……?」
男「急に目隠しされたと思ったら……うう……」
バンッ。
男「ま、眩しいっ……」
?『幾ら優秀な君でも、今は、きっとこう考えているに違いない』
?『ここはどこだ、一体どうしてしまったんだ』
男(なんだ……この機械音は……)
?『その問いに、簡潔に答えよう』
?『我々は、君の全てを暴くためにいる』
?『この場所は、そのために用意された。そう、君だけのために』
男「す、すみません……わ、訳が分からないんですが……」
?『…………』
?『そうやって、演じているのも今のうちだ』
?『取り繕っていられなくなるのは、恐らく、すぐにやってくるだろう』
男「え、演じてるって……何を……」
?『初めの質問だ』
?『君は、MYKグループの一員か?』
男「えむわいけー? そ、そんなものは知りません……」
男「と、とにかく、早く家に帰して下さいっ」
?『もう一度、問う』
男「モゴモゴモゴ」
ザバッ。
男「はぁ……はぁ……な、何なんだいったい……」
男「こ、ここはどこだ……?」
男「急に目隠しされたと思ったら……うう……」
バンッ。
男「ま、眩しいっ……」
?『幾ら優秀な君でも、今は、きっとこう考えているに違いない』
?『ここはどこだ、一体どうしてしまったんだ』
男(なんだ……この機械音は……)
?『その問いに、簡潔に答えよう』
?『我々は、君の全てを暴くためにいる』
?『この場所は、そのために用意された。そう、君だけのために』
男「す、すみません……わ、訳が分からないんですが……」
?『…………』
?『そうやって、演じているのも今のうちだ』
?『取り繕っていられなくなるのは、恐らく、すぐにやってくるだろう』
男「え、演じてるって……何を……」
?『初めの質問だ』
?『君は、MYKグループの一員か?』
男「えむわいけー? そ、そんなものは知りません……」
男「と、とにかく、早く家に帰して下さいっ」
?『もう一度、問う』
32: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:06:18.91 ID:EswPOJ2o
?『君は、国内テロ組織MYKグループの一員なのか?』
男「し、知らないって!」
?『……心拍数が上がっているようだ』
男「え?」
男(あっ……手首に何か巻かれてるぞ……)
?『どうやら今の質問は、もう一度繰り返す必要があるようだな』
?『MYKの一員だな?』
男「ち、違うっ!」
?『どうして、あの家を選んだ?』
男「い、妹が欲しかったからだよっ! 何度も言わせんなっ!」
?『バイトをクビになったのは何故だ?』
男「て、店長が極度のJK好きだからっ! 意味なんてねぇ!」
男「し、知らないって!」
?『……心拍数が上がっているようだ』
男「え?」
男(あっ……手首に何か巻かれてるぞ……)
?『どうやら今の質問は、もう一度繰り返す必要があるようだな』
?『MYKの一員だな?』
男「ち、違うっ!」
?『どうして、あの家を選んだ?』
男「い、妹が欲しかったからだよっ! 何度も言わせんなっ!」
?『バイトをクビになったのは何故だ?』
男「て、店長が極度のJK好きだからっ! 意味なんてねぇ!」
33: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:07:02.17 ID:EswPOJ2o
?『次の写真を見て欲しい』
男「な、なんだって言うんだ……」
バンッ。
男(ま、また真っ暗になったぞ……ん? あれはスクリーン?)
?『これは君の住んでいる地域の衛星写真だ』
男「……そうだけど」
?『今、赤く点灯したのが、君の住んでいるアパート』
男(おお……確かにそうだ……)
?『次に、緑。これは、バイト先だ』
?『そして最後、青く点灯したのが、君が侵入した家』
男「……こ、これが何だって言うんだ?」
男(わ、わけがわからんぞ……)
?『この全てを線で結んでみると……』
男「ん……?」
男「な、なんだって言うんだ……」
バンッ。
男(ま、また真っ暗になったぞ……ん? あれはスクリーン?)
?『これは君の住んでいる地域の衛星写真だ』
男「……そうだけど」
?『今、赤く点灯したのが、君の住んでいるアパート』
男(おお……確かにそうだ……)
?『次に、緑。これは、バイト先だ』
?『そして最後、青く点灯したのが、君が侵入した家』
男「……こ、これが何だって言うんだ?」
男(わ、わけがわからんぞ……)
?『この全てを線で結んでみると……』
男「ん……?」
34: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:08:00.68 ID:EswPOJ2o
?『……現れたのは見事に綺麗な三角形』
男「……何が言いたい?」
?『分かっているんだろう。内心は、ただならぬ心境のはずだ』
?『なんせ、この図形の中央には……』
男「……え?」
男(そ、そんな馬鹿な……)
?『──国会議事堂があるんだからな』
?『一体、何を企んでいたんだ、男君』
男「な、何も企んでなんかいないっ!」
男「お、俺は……自分の人生に嫌気が差していただけでっ!」
男「国をどうかしようなんて、そんな勇気持ち合わせていないっ!」
?『…………』
?『……まあいい、時間はたっぷりある』
?『君が白状するまで、な』
男「……な、なんてこった……」
男「……何が言いたい?」
?『分かっているんだろう。内心は、ただならぬ心境のはずだ』
?『なんせ、この図形の中央には……』
男「……え?」
男(そ、そんな馬鹿な……)
?『──国会議事堂があるんだからな』
?『一体、何を企んでいたんだ、男君』
男「な、何も企んでなんかいないっ!」
男「お、俺は……自分の人生に嫌気が差していただけでっ!」
男「国をどうかしようなんて、そんな勇気持ち合わせていないっ!」
?『…………』
?『……まあいい、時間はたっぷりある』
?『君が白状するまで、な』
男「……な、なんてこった……」
35: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:08:51.55 ID:EswPOJ2o
──独房
男「くそっ……なんで、俺が……」
男(飯はまずいし……拷問まがいの尋問は続くし……)
男(どうすりゃいいんだ……いつまで続くんだよ……)
男(……ああ、外じゃ、どれくらいの時間が経ったんだろ……)
男(基本、真っ暗だから何もわかんねー……)
バンバン……。
男「な、なんだ……」
バンバン……。
男「……くそっ、気味が悪いな……」
男「一体、何の音だって言うんだ……もう、眠れねぇじゃねえか……」
ガチャッ!
男「お、おいっ! お前……」
看守「──貴様っ! よくも仲間を連れてきたなっ!」
男「……は? 意味わかんないって……」
男「くそっ……なんで、俺が……」
男(飯はまずいし……拷問まがいの尋問は続くし……)
男(どうすりゃいいんだ……いつまで続くんだよ……)
男(……ああ、外じゃ、どれくらいの時間が経ったんだろ……)
男(基本、真っ暗だから何もわかんねー……)
バンバン……。
男「な、なんだ……」
バンバン……。
男「……くそっ、気味が悪いな……」
男「一体、何の音だって言うんだ……もう、眠れねぇじゃねえか……」
ガチャッ!
男「お、おいっ! お前……」
看守「──貴様っ! よくも仲間を連れてきたなっ!」
男「……は? 意味わかんないって……」
36: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:09:42.92 ID:EswPOJ2o
看守「もう俺以外は、ほとんど生き残ってねぇ!」
男「生き残ってないって……ははっ、冗談キツい」
看守「……死んだんだよ」
男「…………」
看守「後は、俺だけだ……すぐここにも奴らがやってくるだろう……」
男「……う、嘘だろ?」
ササッ。
男「……って、え?」
看守「お前を盾にしてでも、俺は生き残る」
男「や、やめてくれ……」
看守「う、動くなっ! 動いたら、首の動脈が一瞬で切れるぞ」
男「……わ、分かったよ……」
ダダダ……ダダダ……。
看守「くそっ……奴らだ……」
男「MYKなんちゃらか……?」
男「生き残ってないって……ははっ、冗談キツい」
看守「……死んだんだよ」
男「…………」
看守「後は、俺だけだ……すぐここにも奴らがやってくるだろう……」
男「……う、嘘だろ?」
ササッ。
男「……って、え?」
看守「お前を盾にしてでも、俺は生き残る」
男「や、やめてくれ……」
看守「う、動くなっ! 動いたら、首の動脈が一瞬で切れるぞ」
男「……わ、分かったよ……」
ダダダ……ダダダ……。
看守「くそっ……奴らだ……」
男「MYKなんちゃらか……?」
37: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:10:26.07 ID:EswPOJ2o
看守「ここまできても、とぼけやがって。そうさ、仲間を助けにやってきたんだっ」
男「お、俺の他にも奴らの仲間が収容されてたのか?」
看守「ああ……お前はまだ良い方だった」
男「……つ、つまり?」
看守「見るに堪えない拷問が行われてたってことだよ」
男「……う、嘘だ……」
ダダダダ!
看守「くそっ……もう、こんなに近くに……」
男「お、おいっ! 俺はどうなるんだっ!」
看守「はっ? そんなの知らねぇよっ! 仲間だったら助けて貰えるんだろっ!」
男「だから初めから言ってるだろっ! 俺は無関係だっ!」
看守「だったら……お前も、俺と一緒にあの世行きさっ!」
男「お、俺の他にも奴らの仲間が収容されてたのか?」
看守「ああ……お前はまだ良い方だった」
男「……つ、つまり?」
看守「見るに堪えない拷問が行われてたってことだよ」
男「……う、嘘だ……」
ダダダダ!
看守「くそっ……もう、こんなに近くに……」
男「お、おいっ! 俺はどうなるんだっ!」
看守「はっ? そんなの知らねぇよっ! 仲間だったら助けて貰えるんだろっ!」
男「だから初めから言ってるだろっ! 俺は無関係だっ!」
看守「だったら……お前も、俺と一緒にあの世行きさっ!」
38: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:11:09.26 ID:EswPOJ2o
男(ど、どうしてこんなことに……)
ダダダダダダ!
男(ただ自暴自棄になって、妹が欲しいと願っただけだったのに……)
ダダダダダダダダ!
男(こ、こんなところで……死ぬなんて……)
ガチャッ!!
看守「くっ──」
男(くそっ……まだ死にたくないっ!!)
?「背後を狙い撃て」
バンッ!
看守「………………カッ」
男「……へっ?」
看守「…………」
バタンッ……
ダダダダダダ!
男(ただ自暴自棄になって、妹が欲しいと願っただけだったのに……)
ダダダダダダダダ!
男(こ、こんなところで……死ぬなんて……)
ガチャッ!!
看守「くっ──」
男(くそっ……まだ死にたくないっ!!)
?「背後を狙い撃て」
バンッ!
看守「………………カッ」
男「……へっ?」
看守「…………」
バタンッ……
39: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:11:42.60 ID:EswPOJ2o
男「……ま、マジか……」
男「だ、誰か……嘘だと言ってくれよ……」
男「あ、有り得ないだろ……人が、人が……死んで……」
?「貴様は誰だ?」
男「……だ、誰って……俺は……──」
男(……ドアからの光が眩しくて、顔がよく見えない……)
?「聞いたことがない名だな……。ならば、所属はどこだっ?」
男「…………」
?「ん? 何を戸惑っている? まさか貴様……」
カチャ……
男「ち、違う違うっ! 俺はただの一般人だ!」
?「嘘をつけ。一般人がこの施設に収容される訳があるか」
男「ほ、本当なんだって!」
?「もう一度だけチャンスをやろう。お前の所属はどこだっ!」
男「……うぅ……」
男(なんて言えばいいんだよ……)
男(どうせ『MYKのメンバーですっ』っていったところで、すぐにバレる嘘だし……)
男(けど、何か言わないと、アイツのように射殺される……)
男(く、くそっ! もう、どうにでもなれっ!!)
?「何を黙っているっ! 所属は……」
男「所属はッ!」
男「──無職だっ!!」
?「…………」
男「…………」
男「だ、誰か……嘘だと言ってくれよ……」
男「あ、有り得ないだろ……人が、人が……死んで……」
?「貴様は誰だ?」
男「……だ、誰って……俺は……──」
男(……ドアからの光が眩しくて、顔がよく見えない……)
?「聞いたことがない名だな……。ならば、所属はどこだっ?」
男「…………」
?「ん? 何を戸惑っている? まさか貴様……」
カチャ……
男「ち、違う違うっ! 俺はただの一般人だ!」
?「嘘をつけ。一般人がこの施設に収容される訳があるか」
男「ほ、本当なんだって!」
?「もう一度だけチャンスをやろう。お前の所属はどこだっ!」
男「……うぅ……」
男(なんて言えばいいんだよ……)
男(どうせ『MYKのメンバーですっ』っていったところで、すぐにバレる嘘だし……)
男(けど、何か言わないと、アイツのように射殺される……)
男(く、くそっ! もう、どうにでもなれっ!!)
?「何を黙っているっ! 所属は……」
男「所属はッ!」
男「──無職だっ!!」
?「…………」
男「…………」
40: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:12:25.28 ID:EswPOJ2o
?「……と、とりあえず、連れてけ」
?「は、はいっ」
男(この後……どうなるんだろ俺……)
男(……あっ……顔が見られるぞ……)
女「…………」
男(……き、綺麗な人だ……)
サッ……。
男(ん……ああ……眠く……)
男(…………)
?「は、はいっ」
男(この後……どうなるんだろ俺……)
男(……あっ……顔が見られるぞ……)
女「…………」
男(……き、綺麗な人だ……)
サッ……。
男(ん……ああ……眠く……)
男(…………)
41: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:13:12.26 ID:EswPOJ2o
──隠れ家
男(や、やめてくれ……俺は妹が欲しかっただけで……)
男(ち、違うっ! 頼むから、信じてくれよっ!)
男(うぅ……うあああああああああ)
男「──はっ」
男「……ゆ、夢か……」
男「はは……そりゃそうだよな……そんなことに巻き込まれるわけ……」
女「──目が覚めたか?」
男「え……」
女「少々荒っぽかったが、あの場ではああするしかなくてな」
女「一応、すまなかったと謝罪しておこう」
男「……ゆ、夢じゃない……?」
女「どうした? どこか具合でも悪いのか?」
男(や、やめてくれ……俺は妹が欲しかっただけで……)
男(ち、違うっ! 頼むから、信じてくれよっ!)
男(うぅ……うあああああああああ)
男「──はっ」
男「……ゆ、夢か……」
男「はは……そりゃそうだよな……そんなことに巻き込まれるわけ……」
女「──目が覚めたか?」
男「え……」
女「少々荒っぽかったが、あの場ではああするしかなくてな」
女「一応、すまなかったと謝罪しておこう」
男「……ゆ、夢じゃない……?」
女「どうした? どこか具合でも悪いのか?」
42: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:14:07.21 ID:EswPOJ2o
男「…………」
男「……なぁ、一つだけ聞いてもいいか……」
女「構わない。私でよければ、何でも聞いてくれ」
男「これは……」
男「──本当に現実か……?」
女「…………」
男「俺は……あの施設で……」
女「そうだ、我々がお前を助けた」
男「…………」
男(嘘だ……頼むから、嘘だと言ってくれよ……)
女「そのことでお前に……いや、男だったな、聞きたいことがある」
女「今度はそちらが答えてくれ。何故、あの場にいた?」
男「…………」
女「どうした、黙ってても分からないぞ」
男「……なぁ、一つだけ聞いてもいいか……」
女「構わない。私でよければ、何でも聞いてくれ」
男「これは……」
男「──本当に現実か……?」
女「…………」
男「俺は……あの施設で……」
女「そうだ、我々がお前を助けた」
男「…………」
男(嘘だ……頼むから、嘘だと言ってくれよ……)
女「そのことでお前に……いや、男だったな、聞きたいことがある」
女「今度はそちらが答えてくれ。何故、あの場にいた?」
男「…………」
女「どうした、黙ってても分からないぞ」
43: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:15:04.56 ID:EswPOJ2o
男「どうせ言ったところで、信じてくれないだろ?」
女「……初めからそう言ってくれるな」
女「これでも、一応、理解するように努めてみるよ」
男「…………」
女「……そうか」
女「なら、私の想像だけでも伝えさせてくれ」
男「……ああ」
女「男、お前は最後のあの瞬間、私に向かってこういった」
女「『俺の所属は無職だッ』と」
女「あの真剣な眼差しと力の籠った言葉」
女「それで、確実にそのことが真実であると確信した」
男「ほ、本当か?」
男(こ、こいつは分かってくれるのか……っ)
女「……初めからそう言ってくれるな」
女「これでも、一応、理解するように努めてみるよ」
男「…………」
女「……そうか」
女「なら、私の想像だけでも伝えさせてくれ」
男「……ああ」
女「男、お前は最後のあの瞬間、私に向かってこういった」
女「『俺の所属は無職だッ』と」
女「あの真剣な眼差しと力の籠った言葉」
女「それで、確実にそのことが真実であると確信した」
男「ほ、本当か?」
男(こ、こいつは分かってくれるのか……っ)
44: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:15:53.63 ID:EswPOJ2o
女「ああ、本当だ」
女「男、お前は……」
女「──フリーの殺し屋だな」
男「……へっ?」
女「ふふ……良いんだ、お前が否定するのは分かっている」
女「あの場でわざと弱き振りをして、我らの敵意を逸らし」
女「見事、MYKとの接触に成功した……その機転は凄まじい」
男「ちょっ、ちょっと待て」
女「分かっている。お前が立場上、肯定が出来ないことぐらい」
女「この世界は常に暗黙の了解で成り立っているからな、私にでも分かるよ」
男「ええとな……その……」
女「歓迎しよう、男。お前を我々は雇うことに決めた」
女「報酬は規定の口座へ振り込んでおこう。いや……現金渡しのほうがいいのかな?」
女「男、お前は……」
女「──フリーの殺し屋だな」
男「……へっ?」
女「ふふ……良いんだ、お前が否定するのは分かっている」
女「あの場でわざと弱き振りをして、我らの敵意を逸らし」
女「見事、MYKとの接触に成功した……その機転は凄まじい」
男「ちょっ、ちょっと待て」
女「分かっている。お前が立場上、肯定が出来ないことぐらい」
女「この世界は常に暗黙の了解で成り立っているからな、私にでも分かるよ」
男「ええとな……その……」
女「歓迎しよう、男。お前を我々は雇うことに決めた」
女「報酬は規定の口座へ振り込んでおこう。いや……現金渡しのほうがいいのかな?」
45: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:16:48.15 ID:EswPOJ2o
女「まあ、どちらにせよ変わりない。お前の力が我々には必要だ」
男「…………」
男(こいつ……何言ってんだ?)
女「しかし、あの機転。実際の腕は、相当なものなのだろうな」
男(あーだめだ……もう分かっちまう)
男(何言っても、この女は俺のことを理解しないだろう)
女「一度、手合わせをお願いしたいところだが……ハハ、私では敵いそうもない」
男(はは……慣れって怖いな……確信しちまってるよ……)
女「……どうだ? 返事を聞かせてくれないか?」
男(……だから、もう何言っても無駄って決まってるなら……)
男「──いいだろう。俺が助けになってやるさ、フフフ」
女「ほ、本当かっ!」
男(とことん自分を騙すしかねぇよなぁ……)
男「…………」
男(こいつ……何言ってんだ?)
女「しかし、あの機転。実際の腕は、相当なものなのだろうな」
男(あーだめだ……もう分かっちまう)
男(何言っても、この女は俺のことを理解しないだろう)
女「一度、手合わせをお願いしたいところだが……ハハ、私では敵いそうもない」
男(はは……慣れって怖いな……確信しちまってるよ……)
女「……どうだ? 返事を聞かせてくれないか?」
男(……だから、もう何言っても無駄って決まってるなら……)
男「──いいだろう。俺が助けになってやるさ、フフフ」
女「ほ、本当かっ!」
男(とことん自分を騙すしかねぇよなぁ……)
46: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:17:36.19 ID:EswPOJ2o
──数年後
女「思い出せ」
女「辛く苦しく、朋の死に涙した日々を」
女「思い出せッ」
女「国を変えたいと、我らが立ち上がった日の心を」
女「思い出せッ!」
女「変えられぬものなど、何一つ有りはしないと誓ったあの日をっ!」
女「……今日だ」
女「今日で、全ては終わるっ!」
女「この愚鈍に満ち溢れたこの国を、ついに変えることが出来るのだっ!」
女「先立った朋達に、成功の報せを伝えることが出来るのだっ!」
『うおおおおおおおおおおぉぉぉぉッ!!!』
女「思い出せ」
女「辛く苦しく、朋の死に涙した日々を」
女「思い出せッ」
女「国を変えたいと、我らが立ち上がった日の心を」
女「思い出せッ!」
女「変えられぬものなど、何一つ有りはしないと誓ったあの日をっ!」
女「……今日だ」
女「今日で、全ては終わるっ!」
女「この愚鈍に満ち溢れたこの国を、ついに変えることが出来るのだっ!」
女「先立った朋達に、成功の報せを伝えることが出来るのだっ!」
『うおおおおおおおおおおぉぉぉぉッ!!!』
47: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:18:23.16 ID:EswPOJ2o
女「……やろう、やり切ろう」
女「決して我らは、諦めない。挫けない」
女「それが、我らMYKたる所以なのだから」
男「…………」
女「男、上がってくれ」
男「ああ……」
女「皆、知っているだろう。彼が、本作戦の指揮を取る者だ」
女「彼の手腕で、我らが幾つもの難所を乗り越えてきたか」
女「彼抜きでは……正直、今日という日を迎えることは出来なかっただろう」
女「しかしッ、これだけは言えるっ!」
女「我らには、彼がついているのだっ! 何も恐れることなどないッ!」
『うおおおおおおおおおおぉぉぉぉッ!!!』
女「決して我らは、諦めない。挫けない」
女「それが、我らMYKたる所以なのだから」
男「…………」
女「男、上がってくれ」
男「ああ……」
女「皆、知っているだろう。彼が、本作戦の指揮を取る者だ」
女「彼の手腕で、我らが幾つもの難所を乗り越えてきたか」
女「彼抜きでは……正直、今日という日を迎えることは出来なかっただろう」
女「しかしッ、これだけは言えるっ!」
女「我らには、彼がついているのだっ! 何も恐れることなどないッ!」
『うおおおおおおおおおおぉぉぉぉッ!!!』
48: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:19:11.59 ID:EswPOJ2o
女「男、君の番だ」
男「はは、盛り上げるのがいつもうまいな」
女「お前に褒められるとは……光栄だよ」
男「…………」
女「…………」
男「……期待していろ。俺が、変えてやるよ」
女「……男」
男「……ん……」
女「……あ、ん……」
男「はは、盛り上げるのがいつもうまいな」
女「お前に褒められるとは……光栄だよ」
男「…………」
女「…………」
男「……期待していろ。俺が、変えてやるよ」
女「……男」
男「……ん……」
女「……あ、ん……」
49: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:19:41.91 ID:EswPOJ2o
女「……お、お前というヤツは……もう……」
男「はは、景気付けだ」
男「…………」
男「……愛してる」
女「ふふっ、やはり私達は気が合うな」
女「私もだ……男」
女「行ってこい、皆が待ってる」
男「……おう」
タンタンタン。
男「すぅー…………はッ」
男「みな、聞いてくれっ! 本作戦は本日早朝──」
男「はは、景気付けだ」
男「…………」
男「……愛してる」
女「ふふっ、やはり私達は気が合うな」
女「私もだ……男」
女「行ってこい、皆が待ってる」
男「……おう」
タンタンタン。
男「すぅー…………はッ」
男「みな、聞いてくれっ! 本作戦は本日早朝──」
50: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:20:40.49 ID:EswPOJ2o
──???
男「分かっているとは思うが、我々は今回も隠密行動を基本とする」
男「気付かれてしまえば、そこで本作戦は失敗だ」
男「気を十二分に引き締めていけ」
部下A「了解」
部下A「銃の使用は……」
男「許可する。ただし、乱用はするな」
部下B「猶予の時間は幾らですか」
男「リミットは三十分ほど……」
男「それ以上かかってしまえば、ジエンドだな」
部下B「意外と少ないですね……」
部下A「オイオイ、弱気になってるんじゃねーよな」
部下B「違うわよ馬鹿っ。ただ、現実の厳しさを痛感してただけ」
部下A「フン、ならいいが」
部下B「……ッ、あなたって人は……」
男「分かっているとは思うが、我々は今回も隠密行動を基本とする」
男「気付かれてしまえば、そこで本作戦は失敗だ」
男「気を十二分に引き締めていけ」
部下A「了解」
部下A「銃の使用は……」
男「許可する。ただし、乱用はするな」
部下B「猶予の時間は幾らですか」
男「リミットは三十分ほど……」
男「それ以上かかってしまえば、ジエンドだな」
部下B「意外と少ないですね……」
部下A「オイオイ、弱気になってるんじゃねーよな」
部下B「違うわよ馬鹿っ。ただ、現実の厳しさを痛感してただけ」
部下A「フン、ならいいが」
部下B「……ッ、あなたって人は……」
51: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:21:25.09 ID:EswPOJ2o
男「止めろ、二人とも」
男「開始の合図があるまで、作戦の概要を再確認だ」
男「我々の最大目標……それはホシの捕獲」
男「殺した状態ではなく、生け捕りにすることに意味がある」
男「勿論、それを障害する全ては……排除してよい」
男「……本作戦のホシは」
男「我が国の最大の権力者にして、我々最大の敵……」
部下A「…………」
部下B「…………」
男「──現内閣総理大臣だ」
男「開始の合図があるまで、作戦の概要を再確認だ」
男「我々の最大目標……それはホシの捕獲」
男「殺した状態ではなく、生け捕りにすることに意味がある」
男「勿論、それを障害する全ては……排除してよい」
男「……本作戦のホシは」
男「我が国の最大の権力者にして、我々最大の敵……」
部下A「…………」
部下B「…………」
男「──現内閣総理大臣だ」
52: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:22:43.06 ID:EswPOJ2o
──A地点
男「A地点よりこちらチームα。準備は整ったか」
ザザ……。
声『D地点より目標を確保』
男「狙え」
声『了解、狙いました。いつでもいけます』
男「その状態を保て……C地点はどうなってる」
声『こちらC地点。遮蔽物が邪魔して、先ほどから目標を確認出来ません……』
男「…………」
男「くそっ、時間がない……」
部下B「どうしますか」
男「…………作戦を強行する」
声『し、しかし……』
男「A地点よりこちらチームα。準備は整ったか」
ザザ……。
声『D地点より目標を確保』
男「狙え」
声『了解、狙いました。いつでもいけます』
男「その状態を保て……C地点はどうなってる」
声『こちらC地点。遮蔽物が邪魔して、先ほどから目標を確認出来ません……』
男「…………」
男「くそっ、時間がない……」
部下B「どうしますか」
男「…………作戦を強行する」
声『し、しかし……』
53: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:24:15.06 ID:EswPOJ2o
男「俺が目標を引きつける。ポイントまでの距離を伝えるから用意しておけ」
声『り、了解っ』
ザザッ……。
男「…………ふぅ」
部下A「男さん、俺が代わりに行きますよ」
男「いや、俺でいい」
男(何故こいつらが俺を信頼しているのか、未だ理解出来ないが……)
男(作戦の遂行には、確実にこの二人の力がいるからな……)
部下A「で、でもっ……」
部下B「……目標、目視できました」
声『り、了解っ』
ザザッ……。
男「…………ふぅ」
部下A「男さん、俺が代わりに行きますよ」
男「いや、俺でいい」
男(何故こいつらが俺を信頼しているのか、未だ理解出来ないが……)
男(作戦の遂行には、確実にこの二人の力がいるからな……)
部下A「で、でもっ……」
部下B「……目標、目視できました」
54: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:24:54.51 ID:EswPOJ2o
男「よし」
男「いいか、俺が引きつけた隙にドアへ向かえ」
男「裏口から入った後は、一分俺の帰りを待つ」
男「もし、それ以上超えたら……お前達だけで行け」
部下B「……お、男さんっ……」
男「開始だ。さあ、走れっ!」
部下B「……ッ、了解」
男(……はは、何かっこつけてんだよ、俺)
男(足が勝手に震える……)
男(いつからこんなに……)
男「…………」
男「いいか、俺が引きつけた隙にドアへ向かえ」
男「裏口から入った後は、一分俺の帰りを待つ」
男「もし、それ以上超えたら……お前達だけで行け」
部下B「……お、男さんっ……」
男「開始だ。さあ、走れっ!」
部下B「……ッ、了解」
男(……はは、何かっこつけてんだよ、俺)
男(足が勝手に震える……)
男(いつからこんなに……)
男「…………」
55: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:25:40.34 ID:EswPOJ2o
男「おいっ! そこのお前っ!」
見張り「──っ、貴様誰だっ」
男「いいからこっちにこいっ!」
見張り「う、動くなっ! そこから少しでも動いたら撃つっ!」
男「…………」
見張り「よしそのままだ、手を高く上げろ」
ザザっ……。
男「……対象まで……十メートル」
声『まだ目視出来ません』
見張り「頭の後ろで手を組め。いいかっ、ゆっくりとだ……」
男「……六メートル」
見張り「こんな早朝に……一体、何だって言うんだ……」
見張り「──っ、貴様誰だっ」
男「いいからこっちにこいっ!」
見張り「う、動くなっ! そこから少しでも動いたら撃つっ!」
男「…………」
見張り「よしそのままだ、手を高く上げろ」
ザザっ……。
男「……対象まで……十メートル」
声『まだ目視出来ません』
見張り「頭の後ろで手を組め。いいかっ、ゆっくりとだ……」
男「……六メートル」
見張り「こんな早朝に……一体、何だって言うんだ……」
56: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:26:15.54 ID:EswPOJ2o
男「……五」
見張り「よし、後ろを向いて……」
男「……三」
男「一」
声『も、目標を確保ッ』
見張り「ひざまづ──」
男「撃て」
バンッ!
見張り「…………」
……ドサッ。
男「……はは、いい腕だ」
見張り「よし、後ろを向いて……」
男「……三」
男「一」
声『も、目標を確保ッ』
見張り「ひざまづ──」
男「撃て」
バンッ!
見張り「…………」
……ドサッ。
男「……はは、いい腕だ」
57: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:27:14.49 ID:EswPOJ2o
──二階
男「……入った後は、客に混じってしまえばいいが」
部下A「……これじゃ、埒があきませんよ」
部下B「部屋の数が多すぎますし……このホテルは三十五階もあります……」
部下A「虱潰しに一つずつ回って行くしかないのかもな……」
部下B「そ、それじゃあ、予定の時刻までに間に合わないっ」
部下A「そんなこと俺だって分かってるさ……でも……」
男「──三十二階だ」
部下A「はっ?」
男「ホシは三十二階にいる」
部下B「なんで分かるんですかっ……?」
男「警備する人間の立場になって考えてみろ」
男「……入った後は、客に混じってしまえばいいが」
部下A「……これじゃ、埒があきませんよ」
部下B「部屋の数が多すぎますし……このホテルは三十五階もあります……」
部下A「虱潰しに一つずつ回って行くしかないのかもな……」
部下B「そ、それじゃあ、予定の時刻までに間に合わないっ」
部下A「そんなこと俺だって分かってるさ……でも……」
男「──三十二階だ」
部下A「はっ?」
男「ホシは三十二階にいる」
部下B「なんで分かるんですかっ……?」
男「警備する人間の立場になって考えてみろ」
58: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:28:24.02 ID:EswPOJ2o
男「難しいことじゃない。忌むべき事実だが、奴らは俺たちと同類の人間だ」
男「最悪のケースを常に想定している、という点がな」
部下A「……それを逆手に取るということですか」
男「そうだ。最悪のケースを想定し、奴らはその時に備えているはず」
男「それを、利用する」
部下B「……で、でも」
男「いいから、これを見ろ」
部下B「……各階の案内図ですか」
男「見るのは三十階以上だ。他の階と何が違う?」
部下A「…………連絡通路がありませんね」
男「そうだ、隣の棟との連絡通路がこの階から存在しない」
部下B「で、でも、それが……」
男「守るべきエリアは大きいほうがいいか?」
男「最悪のケースを常に想定している、という点がな」
部下A「……それを逆手に取るということですか」
男「そうだ。最悪のケースを想定し、奴らはその時に備えているはず」
男「それを、利用する」
部下B「……で、でも」
男「いいから、これを見ろ」
部下B「……各階の案内図ですか」
男「見るのは三十階以上だ。他の階と何が違う?」
部下A「…………連絡通路がありませんね」
男「そうだ、隣の棟との連絡通路がこの階から存在しない」
部下B「で、でも、それが……」
男「守るべきエリアは大きいほうがいいか?」
59: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:29:07.06 ID:EswPOJ2o
部下B「……えっ、それは小さいほうが、勿論、負担は減っ……」
部下B「──あっ!」
部下A「……そういうことですか」
男「そうだ、きっと、この階より上にいるに違いない」
部下B「……警備のために、上下のフロアを確保したいとなると……」
男「恐らく、三十二階になるな」
部下A「…………」
部下B「す、すごい……」
男「そうと決まれば急ごう」
男「正面玄関では、本人確認を義務づけて」
男「裏口にも警備をつけるという、徹底ぶりだ」
男「明らかに、敵は優秀に違いない」
男「外の警備からの連絡が途絶え、既に警戒態勢が敷かれているはずだ」
男「とにかく……まずは、三十階へ向かおう」
部下B「──あっ!」
部下A「……そういうことですか」
男「そうだ、きっと、この階より上にいるに違いない」
部下B「……警備のために、上下のフロアを確保したいとなると……」
男「恐らく、三十二階になるな」
部下A「…………」
部下B「す、すごい……」
男「そうと決まれば急ごう」
男「正面玄関では、本人確認を義務づけて」
男「裏口にも警備をつけるという、徹底ぶりだ」
男「明らかに、敵は優秀に違いない」
男「外の警備からの連絡が途絶え、既に警戒態勢が敷かれているはずだ」
男「とにかく……まずは、三十階へ向かおう」
60: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:29:41.26 ID:EswPOJ2o
──三十階
部下A「……予想通りですね」
部下A「一般人に成り済ましていますが、この階から、警備の数が格段と増えてます」
部下A「しかし、これでは……」
男(ここまで厳重だとはな……どう考えても上の階にいけそうもない)
タタタタ……。
男「どうだった?」
部下B「……やはり向こうの階段も通行禁止になってます」
部下A「エレベーターは……」
部下B「駄目、三十一階から三十三階だけ、止まらないように設定してある」
男「…………」
部下A「くそっ、なんとか手段はないのかっ!」
部下B「ホシの居場所は確実に分かったのにね……」
部下A「……予想通りですね」
部下A「一般人に成り済ましていますが、この階から、警備の数が格段と増えてます」
部下A「しかし、これでは……」
男(ここまで厳重だとはな……どう考えても上の階にいけそうもない)
タタタタ……。
男「どうだった?」
部下B「……やはり向こうの階段も通行禁止になってます」
部下A「エレベーターは……」
部下B「駄目、三十一階から三十三階だけ、止まらないように設定してある」
男「…………」
部下A「くそっ、なんとか手段はないのかっ!」
部下B「ホシの居場所は確実に分かったのにね……」
61: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:30:17.26 ID:EswPOJ2o
部下B「男さん、どうします……?」
男「…………」
男(どうする……?)
部下A「……もう、強行突破しかない……」
男(作戦を見直すと言っても……時間はそれほど残っていない)
部下B「無理よ。仮に階段の警備を突破して三十一階へ辿り着いたとしても……」
部下B「この階以上に増えた敵に対処しているうちに」
部下B「──確実に、ホシは上の階へと逃げる」
男(ここまできて、終わってしまうのか……?)
部下A「くそっ……」
部下B「……正直、お手上げね……」
男(……ああ、何も思いつかない……)
男(どうする……俺達の作戦が失敗したら、今日という一日が全て無意味になる)
男(首相を捕らえることが、計画の前提条件だと言うのに……)
男「…………」
男(どうする……?)
部下A「……もう、強行突破しかない……」
男(作戦を見直すと言っても……時間はそれほど残っていない)
部下B「無理よ。仮に階段の警備を突破して三十一階へ辿り着いたとしても……」
部下B「この階以上に増えた敵に対処しているうちに」
部下B「──確実に、ホシは上の階へと逃げる」
男(ここまできて、終わってしまうのか……?)
部下A「くそっ……」
部下B「……正直、お手上げね……」
男(……ああ、何も思いつかない……)
男(どうする……俺達の作戦が失敗したら、今日という一日が全て無意味になる)
男(首相を捕らえることが、計画の前提条件だと言うのに……)
62: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:30:53.96 ID:EswPOJ2o
部下B「男さん、大丈夫ですか……?」
部下A「……顔色、真っ青ですよ……」
男「だ、大丈夫だ……」
男(……終わった……やってしまった……)
男(そもそも、無職の俺に出来ることなんて何もなかったんだ……)
男(その場しのぎで、今までやってきたが……)
男(……何事からも逃げ続けてきた俺には、荷が重すぎた……)
男(……ごめん、女……)
男(お前との約束、果たせそうもない……)
男(…………)
男(……ん?)
部下B「とりあえず、命令を……」
部下B「……って、男さん?」
男「…………」
男「……ああ、そうか」
部下A「え?」
男「……まだ、諦める必要はない」
部下B「そ、それは一体、どういう……?」
男「いいか……」
男「──手段は、一つだけ残っている」
部下A「……顔色、真っ青ですよ……」
男「だ、大丈夫だ……」
男(……終わった……やってしまった……)
男(そもそも、無職の俺に出来ることなんて何もなかったんだ……)
男(その場しのぎで、今までやってきたが……)
男(……何事からも逃げ続けてきた俺には、荷が重すぎた……)
男(……ごめん、女……)
男(お前との約束、果たせそうもない……)
男(…………)
男(……ん?)
部下B「とりあえず、命令を……」
部下B「……って、男さん?」
男「…………」
男「……ああ、そうか」
部下A「え?」
男「……まだ、諦める必要はない」
部下B「そ、それは一体、どういう……?」
男「いいか……」
男「──手段は、一つだけ残っている」
63: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:31:34.48 ID:EswPOJ2o
──三十階
ボーイ「……フン♪」
ボーイ「……フンフーン♪」
ダンッ!
ボーイ「うっ…………」
……バタン。
部下A「……クリア」
男「よし、すぐさま着替えろ」
部下A「了解」
部下A「……しかし、従業員に成り済ましてどうするんですか?」
部下A「恐らく、彼らも上に続く階段は登れませんよ?」
男「違う、そこじゃない」
部下A「え?」
部下B「残された手段って……一体……?」
男「…………」
男「ホテルで宿泊した時、腹が減ったらどうする?」
部下B「……色々手段はあると思いますが……」
部下B「私は受付に電話して、食事を持って来てもらいますね」
男「その時に使用するのは、客が使っているエレベーターか?」
部下B「……それは、恐らく違うはずで……」
部下B「──あーっ、そういうことですかっ!」
男「そうだ、従業員用のエレベーターが確実にどこかにある」
ボーイ「……フン♪」
ボーイ「……フンフーン♪」
ダンッ!
ボーイ「うっ…………」
……バタン。
部下A「……クリア」
男「よし、すぐさま着替えろ」
部下A「了解」
部下A「……しかし、従業員に成り済ましてどうするんですか?」
部下A「恐らく、彼らも上に続く階段は登れませんよ?」
男「違う、そこじゃない」
部下A「え?」
部下B「残された手段って……一体……?」
男「…………」
男「ホテルで宿泊した時、腹が減ったらどうする?」
部下B「……色々手段はあると思いますが……」
部下B「私は受付に電話して、食事を持って来てもらいますね」
男「その時に使用するのは、客が使っているエレベーターか?」
部下B「……それは、恐らく違うはずで……」
部下B「──あーっ、そういうことですかっ!」
男「そうだ、従業員用のエレベーターが確実にどこかにある」
64: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:32:07.83 ID:EswPOJ2o
男「そして、そこに対する警備は……」
部下A「『手薄』ってことですね」
男「……ああ。俺達は、見事、最短で三十二階へ行ける」
部下B「……つまり」
男「そこからは、純粋な力勝負だな」
男「…………」
男「行くぞっ」
部下A・B「「はいッ!」」
部下A「『手薄』ってことですね」
男「……ああ。俺達は、見事、最短で三十二階へ行ける」
部下B「……つまり」
男「そこからは、純粋な力勝負だな」
男「…………」
男「行くぞっ」
部下A・B「「はいッ!」」
65: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:45:03.76 ID:BXfTKjEo
──三十二階 エレベーター前
ガタン……。
警備2「ん? 誰か来たのか?」
警備2「……なっ」
ピュンッ!
警備2「……かはっ……」
……バタン。
男(二、一のフォーメーション)
男(俺が先頭を行くから、援護を頼む)
部下A(了解)
部下B(バックは任せて下さい)
男(よし)
ガタン……。
警備2「ん? 誰か来たのか?」
警備2「……なっ」
ピュンッ!
警備2「……かはっ……」
……バタン。
男(二、一のフォーメーション)
男(俺が先頭を行くから、援護を頼む)
部下A(了解)
部下B(バックは任せて下さい)
男(よし)
66: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:46:10.37 ID:BXfTKjEo
男(…………)
男(……角に二人)
部下A(……やりすごせますか?)
男(……その時間はない……おびき寄せる)
…………ダン……。
警備3「……ん? 今、何か音しなかったか?」
警備4「そうか? 俺には聞こえなかったが……」
警備3「確認してくる」
警備4「分かった。ここは任せろ」
タタタ……。
警備3「…………」
警備3「誰もいないか……ん?」
ザザッ。
男(……角に二人)
部下A(……やりすごせますか?)
男(……その時間はない……おびき寄せる)
…………ダン……。
警備3「……ん? 今、何か音しなかったか?」
警備4「そうか? 俺には聞こえなかったが……」
警備3「確認してくる」
警備4「分かった。ここは任せろ」
タタタ……。
警備3「…………」
警備3「誰もいないか……ん?」
ザザッ。
67: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:46:46.09 ID:BXfTKjEo
警備3「──っ……」
バタンッ……。
男(……OKだ。もう一人も確実に仕留めろ)
部下A(了解)
タタタ……。
警備4「おい、大丈夫か……」
警備4「──って、お前っ!?」
ピュンッ!
警備4「……かっ……」
バタン。
部下A「クリア」
男「時間はない、急ぐぞ」
部下B「はいっ」
バタンッ……。
男(……OKだ。もう一人も確実に仕留めろ)
部下A(了解)
タタタ……。
警備4「おい、大丈夫か……」
警備4「──って、お前っ!?」
ピュンッ!
警備4「……かっ……」
バタン。
部下A「クリア」
男「時間はない、急ぐぞ」
部下B「はいっ」
68: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:47:36.69 ID:BXfTKjEo
──三十二階 一室
首相「君、さきほどから官邸のほうと連絡が取れんぞ」
付き添い「現在、我々の方でも状況を急ぎ確認しております」
首相「状況? ……一体どういうことだ?」
付き添い「国会議事堂がテロにあったようです」
首相「……て、テロ?」
付き添い「詳細はまだ分かりませんが、恐らく確かな情報でしょう」
首相「そんな大事なことを君は黙っていたのかっ!!」
付き添い「出来る限り、貴方に負担がないようにと」
首相「……っ」
首相「いいかっ! 私はこの国の代表者なんだっ!」
首相「何が重要で何が不必要な情報か、それを判断するのはあくまでも私だっ!」
付き添い「分かっております」
首相「…………くっ」
首相「君、さきほどから官邸のほうと連絡が取れんぞ」
付き添い「現在、我々の方でも状況を急ぎ確認しております」
首相「状況? ……一体どういうことだ?」
付き添い「国会議事堂がテロにあったようです」
首相「……て、テロ?」
付き添い「詳細はまだ分かりませんが、恐らく確かな情報でしょう」
首相「そんな大事なことを君は黙っていたのかっ!!」
付き添い「出来る限り、貴方に負担がないようにと」
首相「……っ」
首相「いいかっ! 私はこの国の代表者なんだっ!」
首相「何が重要で何が不必要な情報か、それを判断するのはあくまでも私だっ!」
付き添い「分かっております」
首相「…………くっ」
69: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:48:16.69 ID:BXfTKjEo
首相「……それで、勿論、制圧出来ているんだろうな……?」
付き添い「……現在、確認中です」
首相「か、確認だと? ぐ、軍はもうとっくに動いたんだろう?!」
付き添い「それが、対応が大幅に遅れておりまして……」
付き添い「最高でも、後30分はかかるそうです」
首相「……あ、有り得ない……そんなこと有り得る訳がない……」
首相「このような日が来ないようにと、あれだけ準備してきた……」
首相「……ま、まさかっ……」
付き添い「……はい。恐らく、上層部がテロの者と繋がっているのでしょう」
首相「──あの売国奴めっ!!」
首相「だから、あの男を防衛大臣に任命するのは嫌だったんだっ!」
首相「クソっ! これが片付いたら、アイツを必ず処刑してやるっ!」
付き添い「……現在、確認中です」
首相「か、確認だと? ぐ、軍はもうとっくに動いたんだろう?!」
付き添い「それが、対応が大幅に遅れておりまして……」
付き添い「最高でも、後30分はかかるそうです」
首相「……あ、有り得ない……そんなこと有り得る訳がない……」
首相「このような日が来ないようにと、あれだけ準備してきた……」
首相「……ま、まさかっ……」
付き添い「……はい。恐らく、上層部がテロの者と繋がっているのでしょう」
首相「──あの売国奴めっ!!」
首相「だから、あの男を防衛大臣に任命するのは嫌だったんだっ!」
首相「クソっ! これが片付いたら、アイツを必ず処刑してやるっ!」
70: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:48:46.03 ID:BXfTKjEo
付き添い「しかし、彼は断固として、その事実を認めないでしょう」
首相「構うものかっ! 責任を負わせ、無理矢理にでも引きずり降ろしてやるわっ!」
首相「そして、私の目の前で直に刑を下してやるっ!」
付き添い「…………」
首相「はぁ……なんて厄日なんだ……」
付き添い「……いいえ、まだ我々はツイている方です」
首相「何を寝ぼけたことを言っている……」
付き添い「救いは、あなたがあの場所にいなかったこと」
付き添い「仮に国会議事堂を落とされても、あなたがいる限り、どうとでもなります」
首相「……フンっ……なら、いいがな」
バンッ。
首相「構うものかっ! 責任を負わせ、無理矢理にでも引きずり降ろしてやるわっ!」
首相「そして、私の目の前で直に刑を下してやるっ!」
付き添い「…………」
首相「はぁ……なんて厄日なんだ……」
付き添い「……いいえ、まだ我々はツイている方です」
首相「何を寝ぼけたことを言っている……」
付き添い「救いは、あなたがあの場所にいなかったこと」
付き添い「仮に国会議事堂を落とされても、あなたがいる限り、どうとでもなります」
首相「……フンっ……なら、いいがな」
バンッ。
71: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:49:33.66 ID:BXfTKjEo
警備5「──た、大変ですっ! し、侵入者ですっ!」
首相「なにっ!?」
付き添い「…………」
付き添い(やはり、そう、うまくはいきませんか……)
首相「ど、どういうことだっ?! 安全だったのではないのかっ!」
付き添い「……いいえ、大丈夫です」
付き添い「ここまでの警備は万全ですよ」
付き添い「その者たちは、三十階か? 或いはもう三十一階まで来て……」
警備5「──三十二階っ! 既に近くまで来ていますっ!」
付き添い「なっ……」
首相「ど、どうなってるっ!! 万全のはずなんだろっ?!」
付き添い「……一体どうやって……」
付き添い「……ッ、と、とにかく、早くこの階から避難しま……」
──バンッ! バンッ!
首相「なにっ!?」
付き添い「…………」
付き添い(やはり、そう、うまくはいきませんか……)
首相「ど、どういうことだっ?! 安全だったのではないのかっ!」
付き添い「……いいえ、大丈夫です」
付き添い「ここまでの警備は万全ですよ」
付き添い「その者たちは、三十階か? 或いはもう三十一階まで来て……」
警備5「──三十二階っ! 既に近くまで来ていますっ!」
付き添い「なっ……」
首相「ど、どうなってるっ!! 万全のはずなんだろっ?!」
付き添い「……一体どうやって……」
付き添い「……ッ、と、とにかく、早くこの階から避難しま……」
──バンッ! バンッ!
72: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:50:26.88 ID:BXfTKjEo
警備5「く、くそっ! 援護してきますっ!」
タタタタッ!
首相「……まさか、今の音は……」
首相「──……銃声?」
付き添い「…………」
首相「……せ、説明しろ……」
首相「何が起こっている……? なぜ、何も言わない……?」
付き添い「…………」
首相「……そうか、そういうことか……」
タタタタッ!
首相「……まさか、今の音は……」
首相「──……銃声?」
付き添い「…………」
首相「……せ、説明しろ……」
首相「何が起こっている……? なぜ、何も言わない……?」
付き添い「…………」
首相「……そうか、そういうことか……」
73: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:51:01.22 ID:BXfTKjEo
首相「私達は……ここで……」
首相「…………」
バンッ!!
警備5『……ゴホッ……』
バタン……。
首相「…………」
付き添い「…………」
ガチャ……。
男「…………」
男「……やっと、会えた」
首相「…………」
バンッ!!
警備5『……ゴホッ……』
バタン……。
首相「…………」
付き添い「…………」
ガチャ……。
男「…………」
男「……やっと、会えた」
74: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:51:44.59 ID:BXfTKjEo
男「どれだけ、この日を待ち望んだことか……」
男「……お前には、きっと、分からない……」
首相「……あ、ああ……」
首相「や、やめろっ……」
首相「そ、それ以上……近づくなっ!!」
付き添い「こ、交渉だけでも……」
男「──殺せ」
部下A「了解」
バンッ!
付き添い「…………カ……」
バタン……。
首相「あ、あああ……」
男「……お前には、きっと、分からない……」
首相「……あ、ああ……」
首相「や、やめろっ……」
首相「そ、それ以上……近づくなっ!!」
付き添い「こ、交渉だけでも……」
男「──殺せ」
部下A「了解」
バンッ!
付き添い「…………カ……」
バタン……。
首相「あ、あああ……」
75: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:52:33.82 ID:BXfTKjEo
首相「う、うわあああああああッ!」
首相「た、頼むぅ……い、命だけは……っ!?」
男「ハハ、安心しろ」
首相「……へっ?」
男「お前を[ピーーー]ほど、俺も馬鹿じゃないさ」
首相「……ほ、本当か……?」
男「ああ、もちろん」
首相「あ、ありがとうっ!! ……い、幾らだ? 幾らでもや……」
男「──これから、もっと苦痛に喘いでもらわないとな」
首相「……は?」
首相「た、頼むぅ……い、命だけは……っ!?」
男「ハハ、安心しろ」
首相「……へっ?」
男「お前を[ピーーー]ほど、俺も馬鹿じゃないさ」
首相「……ほ、本当か……?」
男「ああ、もちろん」
首相「あ、ありがとうっ!! ……い、幾らだ? 幾らでもや……」
男「──これから、もっと苦痛に喘いでもらわないとな」
首相「……は?」
76: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:53:38.93 ID:BXfTKjEo
男「簡単には死なせない……」
男「……生きていることを、必ず後悔させてやるよ」
首相「……う、嘘だ……」
首相「た、頼む……嘘だと言ってくれ……」
男「…………」
首相「……だ、誰か、誰でもいいから……」
首相「とにかく私を……」
首相「……助けて……く……」
──ガチャン。
男「……生きていることを、必ず後悔させてやるよ」
首相「……う、嘘だ……」
首相「た、頼む……嘘だと言ってくれ……」
男「…………」
首相「……だ、誰か、誰でもいいから……」
首相「とにかく私を……」
首相「……助けて……く……」
──ガチャン。
77: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:54:07.79 ID:BXfTKjEo
──国会議事堂前
女「…………」
女「……男……大丈夫だろうか……」
トゥルトゥルトゥル。
女「はい」
防衛大臣『首尾はどうなっている?』
女「既に議事堂は制圧しました。現在は、警察との拮抗状態が続いています」
防衛大臣『……そうか、うまくやったようだな』
女「ご協力のおかげで」
防衛大臣『……私は今でもこの選択が間違いなのではないかと考えてしまう』
防衛大臣「違う手段があったのでは……と、思わずにはいられないのだ」
女「ここまできたのです。もう、引き返すことはできません」
防衛大臣『分かっている……分かっているのだが……』
防衛大臣『ん………そうだ』
女「…………」
女「……男……大丈夫だろうか……」
トゥルトゥルトゥル。
女「はい」
防衛大臣『首尾はどうなっている?』
女「既に議事堂は制圧しました。現在は、警察との拮抗状態が続いています」
防衛大臣『……そうか、うまくやったようだな』
女「ご協力のおかげで」
防衛大臣『……私は今でもこの選択が間違いなのではないかと考えてしまう』
防衛大臣「違う手段があったのでは……と、思わずにはいられないのだ」
女「ここまできたのです。もう、引き返すことはできません」
防衛大臣『分かっている……分かっているのだが……』
防衛大臣『ん………そうだ』
78: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:54:37.48 ID:BXfTKjEo
防衛大臣『協力の条件に出した、首相の確保は達成されたのか?』
女「……現在、報告待ちです」
防衛大臣『な、なんだと……』
女「進展がありましたら、こちらから連絡させて頂きます」
防衛大臣『ヤツを捕らえない限り、全ては水の泡だぞっ!?』
女「わかっています」
防衛大臣『反対派も自らの安全が保証されない限り、味方にはついてくれないッ』
女「…………」
防衛大臣『……良い連絡を期待している……』
女「はい、失礼します」
女「…………」
女「……ふぅ」
タタタタッ。
女「……現在、報告待ちです」
防衛大臣『な、なんだと……』
女「進展がありましたら、こちらから連絡させて頂きます」
防衛大臣『ヤツを捕らえない限り、全ては水の泡だぞっ!?』
女「わかっています」
防衛大臣『反対派も自らの安全が保証されない限り、味方にはついてくれないッ』
女「…………」
防衛大臣『……良い連絡を期待している……』
女「はい、失礼します」
女「…………」
女「……ふぅ」
タタタタッ。
79: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:55:43.40 ID:BXfTKjEo
女「どうした? 何かあったか?」
部下C「女さん宛に電話です」
女「もしや、男っ……」
女「──と、そんなわけないか……あいつなら私に直接かけてくるはずだ」
女「しかし、このタイミングか……」
女「……一体、誰だ?」
部下C「追跡は出来ませんでした。秘匿回線を利用しています」
女「…………」
女「わかった……貸せ」
部下C「はい」
ピッ。
女「もしもし」
部下C「女さん宛に電話です」
女「もしや、男っ……」
女「──と、そんなわけないか……あいつなら私に直接かけてくるはずだ」
女「しかし、このタイミングか……」
女「……一体、誰だ?」
部下C「追跡は出来ませんでした。秘匿回線を利用しています」
女「…………」
女「わかった……貸せ」
部下C「はい」
ピッ。
女「もしもし」
80: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:56:13.39 ID:BXfTKjEo
?『おめでとう、と言った方がいいかな、女君』
女「……誰だ?」
?『君に名乗る必要はない。用件はすぐに終わるのでね』
女「…………」
?『話というのは、君たちのグループに所属している……ある男のことなんだ』
女「……なに……?」
?『……心当たりがあるようだね?』
女「ち、違う……そういうわけでは……」
?『私が『おめでとう』と言ったのは、議事堂を占拠できたことだけではない』
?『見事、作戦は成功したよ、女君』
女「え……?」
?『君たちの精鋭グループは、首相を確保した』
女「……ど、どこでそれを……?」
女「……誰だ?」
?『君に名乗る必要はない。用件はすぐに終わるのでね』
女「…………」
?『話というのは、君たちのグループに所属している……ある男のことなんだ』
女「……なに……?」
?『……心当たりがあるようだね?』
女「ち、違う……そういうわけでは……」
?『私が『おめでとう』と言ったのは、議事堂を占拠できたことだけではない』
?『見事、作戦は成功したよ、女君』
女「え……?」
?『君たちの精鋭グループは、首相を確保した』
女「……ど、どこでそれを……?」
81: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:56:49.40 ID:BXfTKjEo
?『今、私が出る寸前のホテルでだよ』
女「私はまだそんな連絡を貰ってはいないッ!!」
?『しかし、確かな情報だ』
?『追って、君にも報告が届くことだろう』
?『ただ……その時に私はもう、ここにはいないがね』
女「…………」
女「……用件はなんだ?」
?『五年前、ある紛争地域から一人のアジア系の男が消えた』
女「な、何を……」
?『逃走兵など幾らでもいる。本来ならば、あまり気にも留めないことなんだがね』
?『……その時だけは、訳が違った』
?『男は、圧倒的な戦力と頭脳を持っていた』
?『ヤツの指揮ならば、倍の数の敵戦力も無意味だった』
女「……そ、そんな……」
女「私はまだそんな連絡を貰ってはいないッ!!」
?『しかし、確かな情報だ』
?『追って、君にも報告が届くことだろう』
?『ただ……その時に私はもう、ここにはいないがね』
女「…………」
女「……用件はなんだ?」
?『五年前、ある紛争地域から一人のアジア系の男が消えた』
女「な、何を……」
?『逃走兵など幾らでもいる。本来ならば、あまり気にも留めないことなんだがね』
?『……その時だけは、訳が違った』
?『男は、圧倒的な戦力と頭脳を持っていた』
?『ヤツの指揮ならば、倍の数の敵戦力も無意味だった』
女「……そ、そんな……」
82: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:57:46.35 ID:BXfTKjEo
?『しかし、その男が戦場から突然消えたのだよ……』
?『これは我々にとって大きな損失だった……いや、大きすぎた……』
?『そして我々は……ある結論に辿り着いた』
?『何度捜索しても死体は見つからない……いや、そもそも死んだという前提が間違っているのではないか?』
?『各国を探し求め……時間だけが過ぎた……』
?『何人もの同胞が死んでいった……』
?『そして、遂に……』
女「……ッ」
?『──この偏狭の地で、見つけてしまったのだ』
女「ち、違うっ!」
?『言うな、何も言うな。君には分かっているはずだ』
?『顔形は昔のものと違ったが……今の時代、変えることなど造作ない』
女「…………」
?『……長くなってしまった。次が電話の用件だ』
?『今、私の部下が二人の者を捕らえている』
女「……なっ」
?『一人は落ちぶれた一国の総理、もう一人は……』
?『──今作戦の指揮官、男という名の者だ』
?『これは我々にとって大きな損失だった……いや、大きすぎた……』
?『そして我々は……ある結論に辿り着いた』
?『何度捜索しても死体は見つからない……いや、そもそも死んだという前提が間違っているのではないか?』
?『各国を探し求め……時間だけが過ぎた……』
?『何人もの同胞が死んでいった……』
?『そして、遂に……』
女「……ッ」
?『──この偏狭の地で、見つけてしまったのだ』
女「ち、違うっ!」
?『言うな、何も言うな。君には分かっているはずだ』
?『顔形は昔のものと違ったが……今の時代、変えることなど造作ない』
女「…………」
?『……長くなってしまった。次が電話の用件だ』
?『今、私の部下が二人の者を捕らえている』
女「……なっ」
?『一人は落ちぶれた一国の総理、もう一人は……』
?『──今作戦の指揮官、男という名の者だ』
83: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:58:40.45 ID:BXfTKjEo
──???
?「──時刻までに用意しておくように」
女『お、おいっ……』
ピッ。
男「…………」
男(……一体、どうなってやがる……)
?「テープを剥がし、アイマスクも取ってやれ」
?「はっ」
男「……ぷはっ」
将官「どうだ? 自分の置かれた状況を理解したか?」
男「……どういうつもりだ……?」
将官「どういうつもりも何も、さきほど電話で話した通りだ」
男「……俺は、あんたの探している相手とは違う」
男「話せば幾らでも説明出来るはずだが……」
?「──時刻までに用意しておくように」
女『お、おいっ……』
ピッ。
男「…………」
男(……一体、どうなってやがる……)
?「テープを剥がし、アイマスクも取ってやれ」
?「はっ」
男「……ぷはっ」
将官「どうだ? 自分の置かれた状況を理解したか?」
男「……どういうつもりだ……?」
将官「どういうつもりも何も、さきほど電話で話した通りだ」
男「……俺は、あんたの探している相手とは違う」
男「話せば幾らでも説明出来るはずだが……」
84: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:59:12.95 ID:BXfTKjEo
男「……一つだけ気に喰わないことがある」
将官「……それは?」
男「あんた、分かってるんだろ?」
男「──俺が求める相手ではないのを、さ」
将官「…………」
男「どうしてだ? 何故、気付いているのに騙し続ける?」
将官「ククッ」
男「笑ってないで、答えたらどうだ?」
将官「……いやはや、素晴らしい」
将官「困難に直面した時の発想の機転、部下からの厚い信頼」
将官「そして、優れた洞察力か。本当に、素晴らしいな」
男「…………」
将官「……それは?」
男「あんた、分かってるんだろ?」
男「──俺が求める相手ではないのを、さ」
将官「…………」
男「どうしてだ? 何故、気付いているのに騙し続ける?」
将官「ククッ」
男「笑ってないで、答えたらどうだ?」
将官「……いやはや、素晴らしい」
将官「困難に直面した時の発想の機転、部下からの厚い信頼」
将官「そして、優れた洞察力か。本当に、素晴らしいな」
男「…………」
85: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 20:59:40.94 ID:BXfTKjEo
将官「君の問いに答えよう」
将官「そうだ、その通りだ。私が探している者は、君ではない」
男「……ならば……」
将官「実はね、もう死んでしまったんだ」
男「──はっ?」
将官「彼女には死体が出なかったと言ったが、私は自分の目で確認している」
将官「私の目の前で、彼が吹き飛んだ光景をね」
男「……お、おい」
将官「しかし、仲間の士気を下げる訳にはいかなかった」
将官「それだけ、彼は我々にとって大きな存在だったんだよ」
将官「……そう、彼女たちにとっての君のようにね……」
男「…………違う」
将官「そうだ、その通りだ。私が探している者は、君ではない」
男「……ならば……」
将官「実はね、もう死んでしまったんだ」
男「──はっ?」
将官「彼女には死体が出なかったと言ったが、私は自分の目で確認している」
将官「私の目の前で、彼が吹き飛んだ光景をね」
男「……お、おい」
将官「しかし、仲間の士気を下げる訳にはいかなかった」
将官「それだけ、彼は我々にとって大きな存在だったんだよ」
将官「……そう、彼女たちにとっての君のようにね……」
男「…………違う」
86: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:00:15.65 ID:BXfTKjEo
将官「違わないさ。自分を過小評価するのは止めたまえ」
将官「今日の結果も、電話の彼女の狼狽ぶりもそれを証明して……」
男「──本当に違うんだっ!」
将官「…………」
男「お、俺は……ただ……」
男「自分の人生に嫌気がさしていて……」
男「いつも何事からも逃げ続けて……そんな自分が本当に嫌いで……」
男「なりゆきで、こんなことをしているが……」
男「あんたの考えているような人間では、決してない……」
男「は、はは……これを聞けばあんたも落胆するだろうよ……」
男「俺はな……初め、妹が欲しいとか馬鹿なこと考えて」
男「他人の家に忍び込んで……そして、捕まったのさ」
男「全ては……そこから始まった……」
男「そう、ただ運命に翻弄されてるだけなんだ……」
将官「…………」
将官「今日の結果も、電話の彼女の狼狽ぶりもそれを証明して……」
男「──本当に違うんだっ!」
将官「…………」
男「お、俺は……ただ……」
男「自分の人生に嫌気がさしていて……」
男「いつも何事からも逃げ続けて……そんな自分が本当に嫌いで……」
男「なりゆきで、こんなことをしているが……」
男「あんたの考えているような人間では、決してない……」
男「は、はは……これを聞けばあんたも落胆するだろうよ……」
男「俺はな……初め、妹が欲しいとか馬鹿なこと考えて」
男「他人の家に忍び込んで……そして、捕まったのさ」
男「全ては……そこから始まった……」
男「そう、ただ運命に翻弄されてるだけなんだ……」
将官「…………」
87: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:00:55.34 ID:BXfTKjEo
男(……これで、もう馬鹿なことを考えないだろう……)
男(落胆のあまり、もしかしたら俺を殺すかもしれねぇな……)
男(……まあでも、それで終わりもいいか……)
男(人生のほんの少しだけだったが……女との日々は、とても充実していた……)
男「そういうことだ。俺は、あんた達の求めるような人間じゃない」
男「出来れば、首相だけでも確実に届けてくれ」
男「奴は……この国の未来のために必要なんだ」
将官「……ふむ」
将官「どうやら言っていることは真実のようだ」
将官「君の目からは、嘘偽りを言っているようには感じられなかった」
男「だろっ? なら……」
将官「──でも、いいじゃないか」
男「……は?」
男(落胆のあまり、もしかしたら俺を殺すかもしれねぇな……)
男(……まあでも、それで終わりもいいか……)
男(人生のほんの少しだけだったが……女との日々は、とても充実していた……)
男「そういうことだ。俺は、あんた達の求めるような人間じゃない」
男「出来れば、首相だけでも確実に届けてくれ」
男「奴は……この国の未来のために必要なんだ」
将官「……ふむ」
将官「どうやら言っていることは真実のようだ」
将官「君の目からは、嘘偽りを言っているようには感じられなかった」
男「だろっ? なら……」
将官「──でも、いいじゃないか」
男「……は?」
88: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:01:22.17 ID:BXfTKjEo
将官「君の過去などには元々興味などない」
将官「大事なのは今で……そして、これからだ」
男「ま、待てっ」
将官「あいにく、我々に残された時間は少ないのだよ」
将官「相手は兵器という兵器を使って、我々を圧倒している」
将官「このままでは……潰滅させられるのもすぐだ」
男「……で、でもっ」
将官「頼む、とは言えない。フェアな取引をするつもりはないからだ」
将官「ただ、彼女が私の要求を飲めば、君たちが求める男は引き渡そう」
将官「君は……私と一緒に来てもらう」
男「…………」
将官「大事なのは今で……そして、これからだ」
男「ま、待てっ」
将官「あいにく、我々に残された時間は少ないのだよ」
将官「相手は兵器という兵器を使って、我々を圧倒している」
将官「このままでは……潰滅させられるのもすぐだ」
男「……で、でもっ」
将官「頼む、とは言えない。フェアな取引をするつもりはないからだ」
将官「ただ、彼女が私の要求を飲めば、君たちが求める男は引き渡そう」
将官「君は……私と一緒に来てもらう」
男「…………」
89: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:02:06.48 ID:BXfTKjEo
男(な、なんてことだ……)
男(……ど、どうしてこんなことに……)
将官「よし、車に連れてけ」
部下「はっ」
男「……ッ」
バタンッ。
将官「予定通り、空港だ」
将官「長旅もこれで終わる……やっと故郷に帰れるぞ」
将官「そうだ、さきほど言っていたな……」
男「……なん……だ?」
将官「妹が欲しかったと」
男「……? ああ、そうだが……」
将官「残念なことに妹はいないが……」
男(……ど、どうしてこんなことに……)
将官「よし、車に連れてけ」
部下「はっ」
男「……ッ」
バタンッ。
将官「予定通り、空港だ」
将官「長旅もこれで終わる……やっと故郷に帰れるぞ」
将官「そうだ、さきほど言っていたな……」
男「……なん……だ?」
将官「妹が欲しかったと」
男「……? ああ、そうだが……」
将官「残念なことに妹はいないが……」
90: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:02:40.67 ID:BXfTKjEo
将官「──今年で二十歳になる、私の娘がいる。自慢の娘だ」
男「……は?」
将官「君さえよければ、妹だと思ってくれればいい」
男「そ、そういうことじゃ……」
将官「では、向かおう」
将官「…………」
将官「この国に……幸あれ」
男「……は?」
将官「君さえよければ、妹だと思ってくれればいい」
男「そ、そういうことじゃ……」
将官「では、向かおう」
将官「…………」
将官「この国に……幸あれ」
91: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:03:39.51 ID:BXfTKjEo
──倉庫
女「…………」
女「……まだか……」
女「もう既に約束の時間を過ぎているぞ……」
女「…………」
女「……男……無事でいてくれ……」
トゥルトゥル。
女「……っ!」
女「もしもしっ!」
将官『すまない。少し連絡が遅れてしまった』
女「約束通り、こちらは十億用意したぞ」
女「お前も、男と首相を早くこちらに引き渡せ」
将官『……よくこの短時間で集められたな?』
女「…………」
女「……まだか……」
女「もう既に約束の時間を過ぎているぞ……」
女「…………」
女「……男……無事でいてくれ……」
トゥルトゥル。
女「……っ!」
女「もしもしっ!」
将官『すまない。少し連絡が遅れてしまった』
女「約束通り、こちらは十億用意したぞ」
女「お前も、男と首相を早くこちらに引き渡せ」
将官『……よくこの短時間で集められたな?』
92: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:04:40.53 ID:BXfTKjEo
女「当然だ、この国の未来がかかっているんだっ!」
女「お前にとってもこの金は軍備のために必要なんだろ?」
将官『ああ、そうだ。……とりあえず、北の出口に出てくれ』
女「北? 中で取引をするんじゃないのか?」
将官『まあいいから、こちらの指示に従ってくれればいい』
女「…………」
将官『本当に君一人で来たのか?』
女「勿論だ、余計な問題を引き起こしたくない」
将官『ふむ、懸命な判断だな』
女「歩いていけば、いいのか……?」
将官『ああ』
タン……タン……タン。
女「まだか……こちらからは海しか見えんぞ?」
女「お前にとってもこの金は軍備のために必要なんだろ?」
将官『ああ、そうだ。……とりあえず、北の出口に出てくれ』
女「北? 中で取引をするんじゃないのか?」
将官『まあいいから、こちらの指示に従ってくれればいい』
女「…………」
将官『本当に君一人で来たのか?』
女「勿論だ、余計な問題を引き起こしたくない」
将官『ふむ、懸命な判断だな』
女「歩いていけば、いいのか……?」
将官『ああ』
タン……タン……タン。
女「まだか……こちらからは海しか見えんぞ?」
94: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:05:18.11 ID:BXfTKjEo
将官『いいから、進みたまえ』
タン……タン……。
女「……倉庫から出たぞ」
将官『…………』
女「おいっ、どこもいないじゃないか」
女「約束と違うぞっ! 金ならこの通……」
──プツッ。
女「……切れた」
女「くそっ……どういうことだ……」
女「分からん……何が目的だ……?」
ザザッ……。
女「……近辺に人影は?」
部下C『見当たりません』
女「不審な車などあるか?」
タン……タン……。
女「……倉庫から出たぞ」
将官『…………』
女「おいっ、どこもいないじゃないか」
女「約束と違うぞっ! 金ならこの通……」
──プツッ。
女「……切れた」
女「くそっ……どういうことだ……」
女「分からん……何が目的だ……?」
ザザッ……。
女「……近辺に人影は?」
部下C『見当たりません』
女「不審な車などあるか?」
95: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:05:46.44 ID:BXfTKjEo
部下C『出入りした車は一つもありませんでした』
女「…………」
女「……そうだ」
女「男たちと行動していた二人は見つかったか?」
部下C『まだのようです……』
女「……くそっ」
女「一体何がどうなってるん……」
クルっ……。
女「──へっ?」
女「…………」
女「……この男は……」
女「…………」
女「……そうだ」
女「男たちと行動していた二人は見つかったか?」
部下C『まだのようです……』
女「……くそっ」
女「一体何がどうなってるん……」
クルっ……。
女「──へっ?」
女「…………」
女「……この男は……」
96: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:06:23.29 ID:BXfTKjEo
女「──首相?」
部下C『どうしました? 状況を伝えて下さい』
女「……わ、わからんが……」
女「……倉庫の裏の隅に……首相が……」
部下C『えっ? 見つかったのですか?』
女「……両手両足を縛られた状態で、気絶している」
女「…………」
女「……ま、まさか」
部下C『女さんっ! 今、連絡が入りましたっ!』
女「どうしたっ!?」
406 名前:名無しさん@そうだ選挙に行こう[] 投稿日:2010/07/10(土) 22:15:30.66 ID:eTh1kwKr0
部下C『男さんと行動していた二人が、ホテルの一室で発見されました』
部下C『二人とも、手足を縛れて気絶したようです』
女「……首相と同じ……」
女「……お、男は?」
部下C『……ホテルにはいなかったようです』
女「……ああ」
女「そういうことか……」
部下C『……えっ?』
女「完全にやられた……」
部下C『どういうことですか?』
部下C『どうしました? 状況を伝えて下さい』
女「……わ、わからんが……」
女「……倉庫の裏の隅に……首相が……」
部下C『えっ? 見つかったのですか?』
女「……両手両足を縛られた状態で、気絶している」
女「…………」
女「……ま、まさか」
部下C『女さんっ! 今、連絡が入りましたっ!』
女「どうしたっ!?」
406 名前:名無しさん@そうだ選挙に行こう[] 投稿日:2010/07/10(土) 22:15:30.66 ID:eTh1kwKr0
部下C『男さんと行動していた二人が、ホテルの一室で発見されました』
部下C『二人とも、手足を縛れて気絶したようです』
女「……首相と同じ……」
女「……お、男は?」
部下C『……ホテルにはいなかったようです』
女「……ああ」
女「そういうことか……」
部下C『……えっ?』
女「完全にやられた……」
部下C『どういうことですか?』
97: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:07:19.32 ID:BXfTKjEo
女「……囮だ。男を引き渡す気など、初めからなかったんだ……」
女「こんな単純なこと、何故気付かなかった……」
女「判断能力が鈍っていたのか……? 男が捕まったから……?」
女「……ああ」
女「……くそぉ……くそっくそっ……」
女「……ど、どうすれば……」
女「なんとかして……助けられないのか……?」
女「……あぁ、分からない……」
女「私には……もう……正常な判断が……できない……」
女「こんな単純なこと、何故気付かなかった……」
女「判断能力が鈍っていたのか……? 男が捕まったから……?」
女「……ああ」
女「……くそぉ……くそっくそっ……」
女「……ど、どうすれば……」
女「なんとかして……助けられないのか……?」
女「……あぁ、分からない……」
女「私には……もう……正常な判断が……できない……」
98: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:07:48.05 ID:BXfTKjEo
女「……お、男ぉ……」
女「……くっ……うっ」
……トゥルトゥル。
女「……うぅ……ああ……くぅ……」
……トゥルトゥル。
女「……っ」
ピッ。
女「……い、今は手が離せないから、後で折り返……」
男『……俺だ』
女「えっ……?」
女「……くっ……うっ」
……トゥルトゥル。
女「……うぅ……ああ……くぅ……」
……トゥルトゥル。
女「……っ」
ピッ。
女「……い、今は手が離せないから、後で折り返……」
男『……俺だ』
女「えっ……?」
99: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:08:28.36 ID:BXfTKjEo
──飛行機内
女『お、男かっ!? 今、どこにいるっ! 無事だったんだなっ!?』
男「……ああ……大丈夫だ」
女『すぐに迎えの者をやるっ! 場所を教えろっ!』
男「いいんだ……女、それより聞いてくれ」
女『何がいいものかっ! これから国民にTVで知らせねばならないっ!』
女『この国が本来あるべき民主主義の、第一歩を踏めたのだとっ!』
女『早く男が来ないと、いつまで経っても始められないぞっ!』
男「俺がいなくても、お前ならやれる」
女『な、何をわけがわからないことを言っている……?』
女『首相の安否を心配しているなら……奴は今、確保したぞ?』
女『電話の男は、どうやらお前を取り逃がし、パニックになったようだな』
女『お、男かっ!? 今、どこにいるっ! 無事だったんだなっ!?』
男「……ああ……大丈夫だ」
女『すぐに迎えの者をやるっ! 場所を教えろっ!』
男「いいんだ……女、それより聞いてくれ」
女『何がいいものかっ! これから国民にTVで知らせねばならないっ!』
女『この国が本来あるべき民主主義の、第一歩を踏めたのだとっ!』
女『早く男が来ないと、いつまで経っても始められないぞっ!』
男「俺がいなくても、お前ならやれる」
女『な、何をわけがわからないことを言っている……?』
女『首相の安否を心配しているなら……奴は今、確保したぞ?』
女『電話の男は、どうやらお前を取り逃がし、パニックになったようだな』
101: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:09:15.01 ID:BXfTKjEo
女『これで防衛大臣との約束も果たした。軍は我々の味方となる』
男「……そうだな、アイツを国民の前でしっかりと裁いてやらなきゃいけない」
女『そのつもりだ。裁判でしっかりと悪事を暴かせるっ』
女『そのためにも、男、まだ私たちにはお前の力が必要だ』
女『……そして、私にとっても……な?』
男「…………」
女『どうした? 何故、何も言ってくれない?』
男「……す、すまない」
女『え?』
男「ここからは、お前と一緒にはいけない」
女『な、何を言ってるんだ……? け、契約したはずだろっ?』
女『あっ……ああっ! 報酬のことを心配しているんだなっ!?』
男「……そうだな、アイツを国民の前でしっかりと裁いてやらなきゃいけない」
女『そのつもりだ。裁判でしっかりと悪事を暴かせるっ』
女『そのためにも、男、まだ私たちにはお前の力が必要だ』
女『……そして、私にとっても……な?』
男「…………」
女『どうした? 何故、何も言ってくれない?』
男「……す、すまない」
女『え?』
男「ここからは、お前と一緒にはいけない」
女『な、何を言ってるんだ……? け、契約したはずだろっ?』
女『あっ……ああっ! 報酬のことを心配しているんだなっ!?』
102: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:10:03.47 ID:BXfTKjEo
女『分かった、すぐにでも希望の額を……』
男「──違う。もう、終わったんだ」
女『なっ……』
男「国を変えるための手助けをする」
男「それが取り決めだ」
男「そして、今、それは叶った」
女『……ま、まだだっ……終わっていない……』
男「いいや、軍を味方にした時点で、全て片付いた」
男「見事、この国は変わる。君の手でな」
女『…………』
男「一つだけ心掛かりがあるとしたら……」
男「お前がこの国を指揮する姿を、一度だけでも見たかったな」
女『……それなら側にいてくれればいい……』
男「──違う。もう、終わったんだ」
女『なっ……』
男「国を変えるための手助けをする」
男「それが取り決めだ」
男「そして、今、それは叶った」
女『……ま、まだだっ……終わっていない……』
男「いいや、軍を味方にした時点で、全て片付いた」
男「見事、この国は変わる。君の手でな」
女『…………』
男「一つだけ心掛かりがあるとしたら……」
男「お前がこの国を指揮する姿を、一度だけでも見たかったな」
女『……それなら側にいてくれればいい……』
103: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:10:38.57 ID:BXfTKjEo
男「だが、俺はいかなきゃならない」
女『……っ』
男「逃げてきた戦地へ……もう一度、やり直さねばならない」
女『お、男ぉ……』
男「ありがとう」
男「君に逢えて……本当に良かった」
男「幸せだった……」
男「…………」
女『い、いやだ……やだ……』
男「……そして」
男「──本当にごめんな」
女『……あっ』
ピッ。
女『……っ』
男「逃げてきた戦地へ……もう一度、やり直さねばならない」
女『お、男ぉ……』
男「ありがとう」
男「君に逢えて……本当に良かった」
男「幸せだった……」
男「…………」
女『い、いやだ……やだ……』
男「……そして」
男「──本当にごめんな」
女『……あっ』
ピッ。
104: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:11:07.12 ID:BXfTKjEo
男「…………」
男「…………は」
男「……は、ははっ」
男「…………」
男「……く、くそっ」
将官「……電話は終わったか?」
男「……ああ」
将官「君が騙らずとも良かったのにな」
男「いや、こうするしかなかった……」
男「……俺が、さらわれたと知ったら……」
男「アイツはきっと、どこまででも追いかけてくれるはずだ……」
男「俺を救うために、それこそあんたのように、世界中を回ってな」
将官「…………」
男「…………は」
男「……は、ははっ」
男「…………」
男「……く、くそっ」
将官「……電話は終わったか?」
男「……ああ」
将官「君が騙らずとも良かったのにな」
男「いや、こうするしかなかった……」
男「……俺が、さらわれたと知ったら……」
男「アイツはきっと、どこまででも追いかけてくれるはずだ……」
男「俺を救うために、それこそあんたのように、世界中を回ってな」
将官「…………」
105: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:11:34.97 ID:BXfTKjEo
男「でも……今、あの国にはアイツが必要なんだ」
男「誰かを引きつけるような……カリスマ的な存在がな……」
将官「確かに、彼女の演説は素晴らしいものだった」
男「は、はは……あの時から、もう忍び込んでたのか?」
将官「…………」
男「……ふー」
男(……また、全て失っちまった……)
男(少しだけ……幸せな未来を想像したのにな……)
男(まあ、俺には……似合わなかったんだろう……)
男(……次行くとこは、紛争地帯か……)
男(……俺……生きてけるかな……)
男「誰かを引きつけるような……カリスマ的な存在がな……」
将官「確かに、彼女の演説は素晴らしいものだった」
男「は、はは……あの時から、もう忍び込んでたのか?」
将官「…………」
男「……ふー」
男(……また、全て失っちまった……)
男(少しだけ……幸せな未来を想像したのにな……)
男(まあ、俺には……似合わなかったんだろう……)
男(……次行くとこは、紛争地帯か……)
男(……俺……生きてけるかな……)
106: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:12:00.58 ID:BXfTKjEo
──飛行機内
男「…………」
男「ん……ああ、寝ちまったのか……」
男「…………」
男(女との夢……か……)
男(……ああ)
男(……やべぇ……涙出そうだ……)
男「……くっ……」
男「…………」
ガタンガタン……。
男(……ん? 揺れが激しいな……)
男(乱気流だろうか……)
ガタガタッ!
男「…………」
男「ん……ああ、寝ちまったのか……」
男「…………」
男(女との夢……か……)
男(……ああ)
男(……やべぇ……涙出そうだ……)
男「……くっ……」
男「…………」
ガタンガタン……。
男(……ん? 揺れが激しいな……)
男(乱気流だろうか……)
ガタガタッ!
108: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:12:32.05 ID:BXfTKjEo
男「…………」
男(おい……まさかってことはないよな……)
男(……ってか、どれくらい寝てたんだろ……)
男(窓の外を見たいが……)
男(ちょうど座席は……真ん中なんだよな……)
男(この手足の縛りがなければ、なんとかいけるんだが……)
男「……って、あれ?」
男(あいつらはどこいった? 見張りは?)
男(……もしかして、逃げるチャンス……?)
男「……くっ」
……ミシッ。
男(おい……まさかってことはないよな……)
男(……ってか、どれくらい寝てたんだろ……)
男(窓の外を見たいが……)
男(ちょうど座席は……真ん中なんだよな……)
男(この手足の縛りがなければ、なんとかいけるんだが……)
男「……って、あれ?」
男(あいつらはどこいった? 見張りは?)
男(……もしかして、逃げるチャンス……?)
男「……くっ」
……ミシッ。
109: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:13:03.93 ID:BXfTKjEo
男「……ッ」
男(駄目だ……腕力じゃ切れそうもない……)
男(何か使えそうなものは……)
男「…………」
男「……あった」
男(……この椅子の部分で擦り続ければ……)
男(頼む……切れてくれよ……)
男(駄目だ……腕力じゃ切れそうもない……)
男(何か使えそうなものは……)
男「…………」
男「……あった」
男(……この椅子の部分で擦り続ければ……)
男(頼む……切れてくれよ……)
110: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:13:40.20 ID:BXfTKjEo
──飛行機内 数分後
ブチッ……。
男「……よしっ」
男(これで、両手が使えるぞ……)
男(足のものも取ってしまおう)
男(…………)
男(……うし……OKだ)
男「…………」
トコトコトコ。
男「……海か……」
男「どこまで続くんだろうな……」
ガタガタッ。
ブチッ……。
男「……よしっ」
男(これで、両手が使えるぞ……)
男(足のものも取ってしまおう)
男(…………)
男(……うし……OKだ)
男「…………」
トコトコトコ。
男「……海か……」
男「どこまで続くんだろうな……」
ガタガタッ。
111: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:14:10.22 ID:BXfTKjEo
男「……ッ……くそっ、揺れる……」
男「…………」
男「しかし……」
男(どうもおかしくないか……)
男(……機内が、あまりにも静か過ぎる……)
男(そして……)
男「……人の気配がない……」
男「…………」
男「…………」
男「しかし……」
男(どうもおかしくないか……)
男(……機内が、あまりにも静か過ぎる……)
男(そして……)
男「……人の気配がない……」
男「…………」
112: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:14:43.99 ID:BXfTKjEo
男「…………」
男(……仕切りを開けてみるか……)
男(相手も銃は使わないだろう……何とか、倒せるといいが……)
男(一対複数か……かなり、無理があるな)
男「……が、やるしかねぇ」
男(……何故か、とてつもなく嫌な予感がする……)
男(…………)
男「……ッ」
ザザッ!
男「…………」
男「なっ……」
男「……だ、誰も、いない……?」
男(……仕切りを開けてみるか……)
男(相手も銃は使わないだろう……何とか、倒せるといいが……)
男(一対複数か……かなり、無理があるな)
男「……が、やるしかねぇ」
男(……何故か、とてつもなく嫌な予感がする……)
男(…………)
男「……ッ」
ザザッ!
男「…………」
男「なっ……」
男「……だ、誰も、いない……?」
113: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:15:53.75 ID:BXfTKjEo
──飛行機内 数分後
男「…………」
男「……なんて、ことだ……」
男「パイロットまでいないじゃないか……」
男「ど、どうなってる……?」
男「……今は、自動操縦だから構わんが……」
男「着陸の時は……」
男「…………」
男「だ、だめだっ……頭を一旦、整理しよう……」
男「……まず……俺は、何時間寝てたんだ……」
男「時計……時計」
トコトコトコ。
男「…………」
男「……なんて、ことだ……」
男「パイロットまでいないじゃないか……」
男「ど、どうなってる……?」
男「……今は、自動操縦だから構わんが……」
男「着陸の時は……」
男「…………」
男「だ、だめだっ……頭を一旦、整理しよう……」
男「……まず……俺は、何時間寝てたんだ……」
男「時計……時計」
トコトコトコ。
114: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:16:32.20 ID:BXfTKjEo
男「──ん? ……止まってる」
男「…………」
男「ほ、他のを探そうっ」
バサバサッ……。
男「あっ……」
男「…………」
男「飲みかけのコーヒー……」
男「……まだ仄かに温かい……」
男「…………」
男「……ああ……これは……」
男「どこかで……見たことがある光景だ……」
男「……どこだ……どこで見た……?」
男「…………」
男「……ッ」
男「…………」
男「ほ、他のを探そうっ」
バサバサッ……。
男「あっ……」
男「…………」
男「飲みかけのコーヒー……」
男「……まだ仄かに温かい……」
男「…………」
男「……ああ……これは……」
男「どこかで……見たことがある光景だ……」
男「……どこだ……どこで見た……?」
男「…………」
男「……ッ」
115: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:17:32.31 ID:BXfTKjEo
男「ま、まさか……」
男「神隠……」
──ガタン、ガタンッ!
男「う、うぉっ!」
男「ど、どうした!?」
ガタガタガタガタッ!
男「た、立ってられない……揺れる……ッ!」
ガタガタガタガタッ!
男「と、とにかく近くの席に……」
ウーウーウー!
男「緊急用のブザーかっ!?」
ガタガタガタガタッ!
男「…………」
男「お、おいおい……嘘だと言ってくれよ……」
男「神隠……」
──ガタン、ガタンッ!
男「う、うぉっ!」
男「ど、どうした!?」
ガタガタガタガタッ!
男「た、立ってられない……揺れる……ッ!」
ガタガタガタガタッ!
男「と、とにかく近くの席に……」
ウーウーウー!
男「緊急用のブザーかっ!?」
ガタガタガタガタッ!
男「…………」
男「お、おいおい……嘘だと言ってくれよ……」
116: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:18:04.17 ID:BXfTKjEo
ウーウーウー!
男「……マジで……?」
ガタガタガタガタッ!
男「こ、ここで終わり……?」
ガタガタガタガタッ!
ガタガタガタガタッ!
男「ああ……もう……」
男「…………誰か……」
ガタガタガタガタッ!
ガタガタガタガタッ!
ガタガタガタガタッ! ガタガタガタ……
──バァァァァァーンッ!!!!!!
男「……マジで……?」
ガタガタガタガタッ!
男「こ、ここで終わり……?」
ガタガタガタガタッ!
ガタガタガタガタッ!
男「ああ……もう……」
男「…………誰か……」
ガタガタガタガタッ!
ガタガタガタガタッ!
ガタガタガタガタッ! ガタガタガタ……
──バァァァァァーンッ!!!!!!
117: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:18:57.23 ID:BXfTKjEo
──海
男「…………」
男「かはっ……」
男「……っ……」
男「……い、生きてるのか……」
男「は、はは……運がいいのか、悪いのかわかんねぇよ……」
男「……ここは……一体……」
男「……とりあえず、機体から出ないとな……」
男「よいしょっ……って……」
男「──うっ……」
男「…………」
男「かはっ……」
男「……っ……」
男「……い、生きてるのか……」
男「は、はは……運がいいのか、悪いのかわかんねぇよ……」
男「……ここは……一体……」
男「……とりあえず、機体から出ないとな……」
男「よいしょっ……って……」
男「──うっ……」
118: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:19:29.75 ID:BXfTKjEo
男「あっ……」
男「……足が……ッ……」
男「……これは……折れてるぞ……」
男「た、立てない……」
男「何か……杖のようなものはないか……?」
男「……ん」
男「……この鉄の棒を使うか……」
男「しかし、これ……一体どこの部品なんだろうか……」
男「もうぐちゃぐちゃでわかんねぇな……」
男「…………」
男「……これも持って行こう……」
男「……足が……ッ……」
男「……これは……折れてるぞ……」
男「た、立てない……」
男「何か……杖のようなものはないか……?」
男「……ん」
男「……この鉄の棒を使うか……」
男「しかし、これ……一体どこの部品なんだろうか……」
男「もうぐちゃぐちゃでわかんねぇな……」
男「…………」
男「……これも持って行こう……」
119: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:19:56.04 ID:BXfTKjEo
トコ……トコ……トコ。
男「……あと、ここを登って……」
男「…………青空?」
男「……うわぁ……綺麗だなぁ……」
男「あれだけ天候が悪かったのに……今は、快晴か……」
男「墜落してから、かなりの時間……気絶してたのかもしれないな……」
男「しかし、沈まないということは浅部だな」
男「もう少し周りの景色が見たい……」
男「……うっし……そこを登ろう……」
男「……おっ」
男「あ、あれは……」
男「……あと、ここを登って……」
男「…………青空?」
男「……うわぁ……綺麗だなぁ……」
男「あれだけ天候が悪かったのに……今は、快晴か……」
男「墜落してから、かなりの時間……気絶してたのかもしれないな……」
男「しかし、沈まないということは浅部だな」
男「もう少し周りの景色が見たい……」
男「……うっし……そこを登ろう……」
男「……おっ」
男「あ、あれは……」
120: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:20:30.87 ID:BXfTKjEo
──島?
男「ふぅ……」
男「近くに……島があってよかった」
男「ただ……島にしては大きすぎるような……?」
男「まあどちらにせよ、人は住んでいるに違いない」
男「もしかして……大陸だったりしてな」
男「ははっ、そんなわけないか」
男「こんな場所にあるわけないもんな」
男「…………」
男「……でも、仮にそうだとしたら?」
男「……ハ、ハハ」
男「ま、まあ、いい。とりあえず、歩くしかない」
男「ふぅ……」
男「近くに……島があってよかった」
男「ただ……島にしては大きすぎるような……?」
男「まあどちらにせよ、人は住んでいるに違いない」
男「もしかして……大陸だったりしてな」
男「ははっ、そんなわけないか」
男「こんな場所にあるわけないもんな」
男「…………」
男「……でも、仮にそうだとしたら?」
男「……ハ、ハハ」
男「ま、まあ、いい。とりあえず、歩くしかない」
121: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:21:03.35 ID:BXfTKjEo
トコ……トコ……トコ。
男「しかし……」
トコ……トコ……トコ。
男「……熱いなぁ……」
男「南の国のどこかなのか……」
トコ……トコ……トコ。
男「おーいっ!」
男「誰かいないかーっ!」
トコ……トコ……トコ。
男「はぁ……はぁ……」
男「片足だと……歩くのもしんどいな……」
男「……誰か、見つけないと……」
男「しかし……」
トコ……トコ……トコ。
男「……熱いなぁ……」
男「南の国のどこかなのか……」
トコ……トコ……トコ。
男「おーいっ!」
男「誰かいないかーっ!」
トコ……トコ……トコ。
男「はぁ……はぁ……」
男「片足だと……歩くのもしんどいな……」
男「……誰か、見つけないと……」
122: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:21:32.84 ID:BXfTKjEo
トコ…………トコ…………。
男「…………」
男「……うぅ……」
バタンっ。
男「はぁ……はぁ……はぁ……」
男「もう駄目だ……動けない……」
男「これ以上は……無理だ……」
男「何で何も見つからない……」
男「……草木の中を、ただ無心に歩いてるだけじゃないか……」
男「もしかして……無人島だったりするのか……」
男「…………」
男「……うぅ……」
バタンっ。
男「はぁ……はぁ……はぁ……」
男「もう駄目だ……動けない……」
男「これ以上は……無理だ……」
男「何で何も見つからない……」
男「……草木の中を、ただ無心に歩いてるだけじゃないか……」
男「もしかして……無人島だったりするのか……」
123: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:22:03.08 ID:BXfTKjEo
男「…………」
男「機体の上からは……何か尖ったものがみえたんだけどな……」
男「……あれは山だったか……しくったな……」
男「どうしよう……ああ……もう、いい」
男「今日は……ここで……休もう……」
男「……明日は……見つかるといいな……」
男「身体が……だるい……」
男「……おや、すみ……」
男「機体の上からは……何か尖ったものがみえたんだけどな……」
男「……あれは山だったか……しくったな……」
男「どうしよう……ああ……もう、いい」
男「今日は……ここで……休もう……」
男「……明日は……見つかるといいな……」
男「身体が……だるい……」
男「……おや、すみ……」
124: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:22:38.69 ID:BXfTKjEo
──森
男「…………」
男「何もない……誰もいない」
男「一体……いつまで続くんだ……」
男「…………」
男「……腹が減ったな……」
男「何か食べたい……が、どうする?」
男「……木の実か果物でもあるといいなあ……」
男「…………」
トコ……トコ……トコ。
男「…………」
男「何もない……誰もいない」
男「一体……いつまで続くんだ……」
男「…………」
男「……腹が減ったな……」
男「何か食べたい……が、どうする?」
男「……木の実か果物でもあるといいなあ……」
男「…………」
トコ……トコ……トコ。
125: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:23:17.11 ID:BXfTKjEo
男「熱い……もう、きついぞ……」
男「喉も乾いたし……川を探すのが先決かもな……」
男「……ん?」
男「こ、これは……」
男(見たこともない果物だな……食べて、大丈夫だろうか?)
男「…………」
男「一か八か……」
もぐもぐ。
男「……おお、甘くてうまい……」
男「たくさん取っておくか。これからどうなるか分からないしな……」
男「よし、川を見つけたらそこで休みにしよう」
男「喉も乾いたし……川を探すのが先決かもな……」
男「……ん?」
男「こ、これは……」
男(見たこともない果物だな……食べて、大丈夫だろうか?)
男「…………」
男「一か八か……」
もぐもぐ。
男「……おお、甘くてうまい……」
男「たくさん取っておくか。これからどうなるか分からないしな……」
男「よし、川を見つけたらそこで休みにしよう」
126: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:23:50.18 ID:BXfTKjEo
──数日後
ザザー……。
男「…………」
トコ……トコ……。
男「……ごほっ」
男「こほっ、こほっ」
男「……う……」
ザザー……ザザー……。
男「……雨、一向に止む気配がないな……こほっ」
ザザー……。
男「…………」
トコ……トコ……。
男「……ごほっ」
男「こほっ、こほっ」
男「……う……」
ザザー……ザザー……。
男「……雨、一向に止む気配がないな……こほっ」
127: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:24:20.48 ID:BXfTKjEo
男「っ……咳が止まらん……」
男「……うっ……ごほごほっ」
男「あぁ……ふらふらする……」
男「…………」
……ドスン。
男「ひとまず、座ろう……」
男「……これは、完全にやばいな……」
男「確実に熱がある……この状況でどうする……?」
男「正直、もうこれ以上動くのは危険だ……」
男「……うっ……ごほごほっ」
男「あぁ……ふらふらする……」
男「…………」
……ドスン。
男「ひとまず、座ろう……」
男「……これは、完全にやばいな……」
男「確実に熱がある……この状況でどうする……?」
男「正直、もうこれ以上動くのは危険だ……」
128: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:24:57.52 ID:BXfTKjEo
男「…………」
男(こんなに歩いたっていうのに、誰一人いない……)
男(進むスピードは遅いにしても……もう相当の距離は歩いたはず……)
男(……考えられるのは……)
男「……ここに、人は住んでいない……ってか」
男「…………」
ザザー……ザザー……。
男「……ああ……」
男「……一人で生きてけんのか……?」
男「話し相手もいない……そんな状況で、俺は……」
男「──こほっこほっ……!」
パタン……。
男(こんなに歩いたっていうのに、誰一人いない……)
男(進むスピードは遅いにしても……もう相当の距離は歩いたはず……)
男(……考えられるのは……)
男「……ここに、人は住んでいない……ってか」
男「…………」
ザザー……ザザー……。
男「……ああ……」
男「……一人で生きてけんのか……?」
男「話し相手もいない……そんな状況で、俺は……」
男「──こほっこほっ……!」
パタン……。
129: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:25:38.14 ID:BXfTKjEo
パタン……。
男「……はぁ……」
ザザー……ザザー……。
男「……なつかしいな……」
男(あの時もこうして、自分の部屋のベットで一人寝転がってた……)
男(……自らの人生に毒づいて、変わらない日々を憎んで……)
男(……毎日、生きている心地すらしなかった……)
男「……今は……どうなんだ?」
男「少しぐらい……マシな生き方をしているんだろうか……ごほっごほっ……」
男「……はぁ……」
ザザー……ザザー……。
男「……なつかしいな……」
男(あの時もこうして、自分の部屋のベットで一人寝転がってた……)
男(……自らの人生に毒づいて、変わらない日々を憎んで……)
男(……毎日、生きている心地すらしなかった……)
男「……今は……どうなんだ?」
男「少しぐらい……マシな生き方をしているんだろうか……ごほっごほっ……」
130: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:26:29.81 ID:BXfTKjEo
男「…………」
男「だれか……」
男(……ああ、頭が……)
男「……だれでもいいから……返事してくれ……」
男(……だんだん……視界がぼやけてくる……)
男「……お、おれは……」
男(……これはもう……駄目だ……)
男「きちんと……」
男「……生きてる……か……?」
男「…………」
男(…………)
──ザザー……ザザー……。
男「だれか……」
男(……ああ、頭が……)
男「……だれでもいいから……返事してくれ……」
男(……だんだん……視界がぼやけてくる……)
男「……お、おれは……」
男(……これはもう……駄目だ……)
男「きちんと……」
男「……生きてる……か……?」
男「…………」
男(…………)
──ザザー……ザザー……。
131: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:27:07.11 ID:BXfTKjEo
──森
トコトコ。
?「…………」
?「あれ……?」
?「……誰か倒れてる……?」
?「……大変……助けを呼んでこなきゃ……っ」
?「でも……この格好……」
男「…………」
?「…………」
?「……いいえ、詮索は後にしないとっ」
?「ちょっと待ってて下さいねっ!」
タッタッタ。
トコトコ。
?「…………」
?「あれ……?」
?「……誰か倒れてる……?」
?「……大変……助けを呼んでこなきゃ……っ」
?「でも……この格好……」
男「…………」
?「…………」
?「……いいえ、詮索は後にしないとっ」
?「ちょっと待ってて下さいねっ!」
タッタッタ。
132: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:27:37.83 ID:BXfTKjEo
男(……ん? ここはどこだ……?)
男(…………)
男(……俺、あの後、どうなったんだろ……)
男(あっけなく死んじゃったりしてな……)
男(……じゃあ、ここは死後の世界だったりするのか……)
男(…………)
男(白いな……ただ、白い……)
男(……何もねぇし、誰一人もいない……)
男(……これが……死……?)
男(…………)
男(……俺、あの後、どうなったんだろ……)
男(あっけなく死んじゃったりしてな……)
男(……じゃあ、ここは死後の世界だったりするのか……)
男(…………)
男(白いな……ただ、白い……)
男(……何もねぇし、誰一人もいない……)
男(……これが……死……?)
133: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:28:23.94 ID:BXfTKjEo
男(…………)
男(だったら、やめだ……)
男(俺は……こんな世界……っ)
男(…………)
男(……死にたくない……)
男(………まだ、俺は……)
──生きていたいっ!!
男(だったら、やめだ……)
男(俺は……こんな世界……っ)
男(…………)
男(……死にたくない……)
男(………まだ、俺は……)
──生きていたいっ!!
134: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:28:52.37 ID:BXfTKjEo
ガバッ。
男「……ッ」
男「……はぁ……はぁ……」
男「……生きてる……まだ、生きてる……」
ドクッ……ドクッ……。
男(心臓の鼓動が聞けて嬉しいと思うなんて……ホント、どうかしてる)
男(それでも今は……今だけは……)
男「…………」
男「……で、また、ここはどこだ?」
男「見るかに、人の家だが……」
男「…………」
……ガチャ。
男「……ッ」
男「……はぁ……はぁ……」
男「……生きてる……まだ、生きてる……」
ドクッ……ドクッ……。
男(心臓の鼓動が聞けて嬉しいと思うなんて……ホント、どうかしてる)
男(それでも今は……今だけは……)
男「…………」
男「……で、また、ここはどこだ?」
男「見るかに、人の家だが……」
男「…………」
……ガチャ。
135: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:29:20.45 ID:BXfTKjEo
男「……ん?」
?「あっ……目が覚めたんですね?」
男「…………」
男「……え、え?」
?「もうあんな場所で倒れているんで、死体かと思って心配したんですよ」
?「しかも高熱だったし……足も折れてて……」
男「……き、きみ……」
?「へ? どうかしましたか?」
男「…………」
?「あっ……目が覚めたんですね?」
男「…………」
男「……え、え?」
?「もうあんな場所で倒れているんで、死体かと思って心配したんですよ」
?「しかも高熱だったし……足も折れてて……」
男「……き、きみ……」
?「へ? どうかしましたか?」
男「…………」
136: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:29:54.16 ID:BXfTKjEo
?「何か言いたいことがあったら、遠慮せずにお願いしますね」
?「こういうときは助け合いです」
男「……失礼なことかもしれないが」
男「……一つだけ聞きたい」
?「はい、何なりと」
男「…………」
男「君の……その耳……」
男「──少し長過ぎやしないか……?」
エルフ「……え?」
?「こういうときは助け合いです」
男「……失礼なことかもしれないが」
男「……一つだけ聞きたい」
?「はい、何なりと」
男「…………」
男「君の……その耳……」
男「──少し長過ぎやしないか……?」
エルフ「……え?」
137: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:31:08.42 ID:BXfTKjEo
──居間
エルフ「これで、よしっと」
男「……おぉ……」
エルフ「はいどうぞ。たくさん食べて下さいね」
エルフ「しっかりお腹に入れて、怪我や体調を早く治しましょう」
男「……本当にありがとう……感謝してもしきれない……」
エルフ「いいえ、気にしないで下さい。私の好きでやっていることですから」
男「しかし……こんな豪勢な食事……」
男「大きな負担になったりはしないか?」
エルフ「大丈夫です。この村、食料には何の不自由はしてないんですよ」
男「……そうなのか、ならいいが」
男(……ん? 今……)
男「村ってことは、他にも人が住んでるのか?」
エルフ「はい、私も含めて……二百人くらいかな?」
男「そ、そんなにいるのかっ!?」
エルフ「これで、よしっと」
男「……おぉ……」
エルフ「はいどうぞ。たくさん食べて下さいね」
エルフ「しっかりお腹に入れて、怪我や体調を早く治しましょう」
男「……本当にありがとう……感謝してもしきれない……」
エルフ「いいえ、気にしないで下さい。私の好きでやっていることですから」
男「しかし……こんな豪勢な食事……」
男「大きな負担になったりはしないか?」
エルフ「大丈夫です。この村、食料には何の不自由はしてないんですよ」
男「……そうなのか、ならいいが」
男(……ん? 今……)
男「村ってことは、他にも人が住んでるのか?」
エルフ「はい、私も含めて……二百人くらいかな?」
男「そ、そんなにいるのかっ!?」
138: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:31:52.43 ID:BXfTKjEo
エルフ「そうですね。村の規模の割には多くの者が住んでます」
男「じゃあ……」
エルフ「ちょっと待って」
男「へ?」
エルフ「質問は後で幾らでも聞きますから」
エルフ「その前に、まず……ね?」
男「……あ、ああ」
男(そうだな……焦る必要もないか……)
エルフ「冷めないうちにどうぞっ」
男「おう、頂くとするよ」
もぐもぐ。
男「…………」
男(こ、これは……)
エルフ「どうですか?」
男「……う、旨過ぎる……」
男「じゃあ……」
エルフ「ちょっと待って」
男「へ?」
エルフ「質問は後で幾らでも聞きますから」
エルフ「その前に、まず……ね?」
男「……あ、ああ」
男(そうだな……焦る必要もないか……)
エルフ「冷めないうちにどうぞっ」
男「おう、頂くとするよ」
もぐもぐ。
男「…………」
男(こ、これは……)
エルフ「どうですか?」
男「……う、旨過ぎる……」
139: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:32:25.03 ID:BXfTKjEo
男「こんな旨い飯……初めてかもしれん……」
エルフ「良かった。その言葉だけでも、作りがいがありました」
エルフ「誰かが自分の料理を食べてる姿って……私とっても好きなんです」
もぐもぐ。
エルフ「おかわりもありますから、一杯食べて下さいね」
もぐもぐ。
男「ああ……ほれは何杯でもいけほうだな」
エルフ「もう、零してますよっ、ふふっ」
男「す、すまん、すまん」
男「…………」
男(しかし、どう見ても……)
エルフ「……?」
男(これは……物語とかで出てくる……エルフだよな……)
男(俺はもしかして……そういった世界に来ちまったのか……)
男(……ああ、どうしよ……)
エルフ「良かった。その言葉だけでも、作りがいがありました」
エルフ「誰かが自分の料理を食べてる姿って……私とっても好きなんです」
もぐもぐ。
エルフ「おかわりもありますから、一杯食べて下さいね」
もぐもぐ。
男「ああ……ほれは何杯でもいけほうだな」
エルフ「もう、零してますよっ、ふふっ」
男「す、すまん、すまん」
男「…………」
男(しかし、どう見ても……)
エルフ「……?」
男(これは……物語とかで出てくる……エルフだよな……)
男(俺はもしかして……そういった世界に来ちまったのか……)
男(……ああ、どうしよ……)
140: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:33:37.20 ID:BXfTKjEo
エルフ「どうかしました?」
男「……んや、ちょっとね」
男「少し……考えていただけさ」
もぐもぐ。
エルフ「……そうですか」
もぐもぐ。
エルフ「……とりあえず」
エルフ「ご飯を食べ終わったら、外に出ましょう」
エルフ「私が、この村を案内します。楽しみにしてて下さいね」
男「……んや、ちょっとね」
男「少し……考えていただけさ」
もぐもぐ。
エルフ「……そうですか」
もぐもぐ。
エルフ「……とりあえず」
エルフ「ご飯を食べ終わったら、外に出ましょう」
エルフ「私が、この村を案内します。楽しみにしてて下さいね」
141: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:34:16.80 ID:BXfTKjEo
──家の外
男「……ん?」
男「──う、うおっ……こんな……」
エルフ「どうですか、結構、住み易そうなところでしょ?」
男「いや……その……」
エルフ「え? どうかしました?」
男「……これは、あー、大丈夫なのか?」
エルフ「大丈夫とは?」
男「……家が……地面に落ちたり……」
エルフ「ああ、それは心配無用です」
男「そ、そうかっ」
エルフ「危なくなる前に、軋む音がしますから」
エルフ「それを聞いた時に、逃げ出せばいいんですよ」
男「…………」
男「へ?」
男「……ん?」
男「──う、うおっ……こんな……」
エルフ「どうですか、結構、住み易そうなところでしょ?」
男「いや……その……」
エルフ「え? どうかしました?」
男「……これは、あー、大丈夫なのか?」
エルフ「大丈夫とは?」
男「……家が……地面に落ちたり……」
エルフ「ああ、それは心配無用です」
男「そ、そうかっ」
エルフ「危なくなる前に、軋む音がしますから」
エルフ「それを聞いた時に、逃げ出せばいいんですよ」
男「…………」
男「へ?」
142: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:34:49.93 ID:BXfTKjEo
──村
エルフ「説明すれば長くなるんですが……」
エルフ「基本、私たちはこうやって生活してます」
男「木の上に家を作るってか?」
エルフ「はい、こうして家と家を橋で結んでもいます」
男「……この橋は確かに頑丈だが……」
男「単純な話、下で暮らせばいいじゃないか」
エルフ「はぁ……でも、下だと大変なことになりますよ」
男「大変なことって?」
エルフ「…………」
エルフ「ええと、すごく気になってるんで、いいですか?」
男「おう、遠慮なく聞いてくれ」
エルフ「男さんって、この土地の人じゃないですよね?」
男「…………」
エルフ「説明すれば長くなるんですが……」
エルフ「基本、私たちはこうやって生活してます」
男「木の上に家を作るってか?」
エルフ「はい、こうして家と家を橋で結んでもいます」
男「……この橋は確かに頑丈だが……」
男「単純な話、下で暮らせばいいじゃないか」
エルフ「はぁ……でも、下だと大変なことになりますよ」
男「大変なことって?」
エルフ「…………」
エルフ「ええと、すごく気になってるんで、いいですか?」
男「おう、遠慮なく聞いてくれ」
エルフ「男さんって、この土地の人じゃないですよね?」
男「…………」
143: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:35:21.78 ID:BXfTKjEo
エルフ「森で見つけたときから、少し違うなって思ってたんです」
エルフ「それでもあんな場所に倒れていたから、訳ありの方なのかもしれないって……」
エルフ「……でも起きて話を聞いてみると、私の姿に驚いて……」
男「そうだな……」
エルフ「男さんは、一体どこから来たんです?」
男「………信じないと思うぞ」
エルフ「いいえ、話してみないと分からないですよ」
男「いや、この展開は……もう、何度も経験してるんだ」
男「……そして、みんな勘違いしていった……」
男「恐らく君も……そうだ」
エルフ「……はぁ、疑り深い人ですね」
男「俺の身になれば、きっと君もそうなる」
エルフ「もうっ! そんなこと言われたら、余計気になるじゃないですかっ!」
エルフ「とにかく、ほらっ……」
ギュッ……。
エルフ「それでもあんな場所に倒れていたから、訳ありの方なのかもしれないって……」
エルフ「……でも起きて話を聞いてみると、私の姿に驚いて……」
男「そうだな……」
エルフ「男さんは、一体どこから来たんです?」
男「………信じないと思うぞ」
エルフ「いいえ、話してみないと分からないですよ」
男「いや、この展開は……もう、何度も経験してるんだ」
男「……そして、みんな勘違いしていった……」
男「恐らく君も……そうだ」
エルフ「……はぁ、疑り深い人ですね」
男「俺の身になれば、きっと君もそうなる」
エルフ「もうっ! そんなこと言われたら、余計気になるじゃないですかっ!」
エルフ「とにかく、ほらっ……」
ギュッ……。
144: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:35:49.73 ID:BXfTKjEo
男「……なっ」
エルフ「私の目を見て……ね?」
男「あ、ああ……」
男(……綺麗な碧色の眼だな……)
エルフ「はい、どうぞ」
男「……どうぞって……何を?」
エルフ「さっき私が聞いたことですっ。眼を逸らさず言って下さいっ」
男「…………」
男「俺は……多分……」
男「──違う世界からやってきた……と思う……」
エルフ「…………」
男「……ほらな、やっぱり君も……」
エルフ「──……当たった……」
男「……は?」
エルフ「私の目を見て……ね?」
男「あ、ああ……」
男(……綺麗な碧色の眼だな……)
エルフ「はい、どうぞ」
男「……どうぞって……何を?」
エルフ「さっき私が聞いたことですっ。眼を逸らさず言って下さいっ」
男「…………」
男「俺は……多分……」
男「──違う世界からやってきた……と思う……」
エルフ「…………」
男「……ほらな、やっぱり君も……」
エルフ「──……当たった……」
男「……は?」
145: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:36:23.29 ID:BXfTKjEo
エルフ「やった! やっぱりそうなんだっ!」
男「おい、おい……一体、どうし……」
エルフ「──ねぇ色々聞いていいですかっ!」
男「……あ、ああ」
男(なんだ……妙なはしゃぎっぷりだな……)
エルフ「男さんの世界には、私たちの姿の者はいないんですよね?」
男「そうだ。ただ、物語の中には出てきたりする」
エルフ「お話の世界ですか?」
男「ああ、魔法を使えたり、凄い寿命が長かったり……」
男「おい、おい……一体、どうし……」
エルフ「──ねぇ色々聞いていいですかっ!」
男「……あ、ああ」
男(なんだ……妙なはしゃぎっぷりだな……)
エルフ「男さんの世界には、私たちの姿の者はいないんですよね?」
男「そうだ。ただ、物語の中には出てきたりする」
エルフ「お話の世界ですか?」
男「ああ、魔法を使えたり、凄い寿命が長かったり……」
146: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:37:39.32 ID:BXfTKjEo
エルフ「へぇ……そうなんですか」
男「……実は、君も使えたりするのか?」
エルフ「え、何をです?」
男「魔法だよ。呪文を唱えて……みたいな」
エルフ「ふふっ、無理に決まってるじゃないですかっ。長生きもしませんよー」
男「そうか……やはり、違うんだな」
エルフ「ただ、恐らく男さんが驚くことが一つあります」
男「それは?」
エルフ「…………」
エルフ「実はね、私たち……」
エルフ「──女性しか、いないんですよ」
男「……実は、君も使えたりするのか?」
エルフ「え、何をです?」
男「魔法だよ。呪文を唱えて……みたいな」
エルフ「ふふっ、無理に決まってるじゃないですかっ。長生きもしませんよー」
男「そうか……やはり、違うんだな」
エルフ「ただ、恐らく男さんが驚くことが一つあります」
男「それは?」
エルフ「…………」
エルフ「実はね、私たち……」
エルフ「──女性しか、いないんですよ」
147: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:38:18.93 ID:BXfTKjEo
──学校
子供1「わぁーっ! お姉さん、おはよー」
子供2「今日は何するのー? 私は体を動かすのがいいーっ」
子供3「ねぇねぇ、隣の人だれっ?」
エルフ「ほら、みんな。まずは席に座って」
子供たち「「はーいっ」」
男「……しかし、すごいな」
エルフ「ふふっ、みんな元気が有り余ってるんですよ」
男「君は……教師なのか?」
エルフ「教師というか、まとめ役……んー……」
エルフ「いい言葉が見つかりませんが、多分、違うと思います」
男「どういうことだ? 子供たちに物事を教えているんだろ?」
エルフ「はい。一般常識から、時には雑学など」
男「ならそれは、教師だと思うぞ」
子供1「わぁーっ! お姉さん、おはよー」
子供2「今日は何するのー? 私は体を動かすのがいいーっ」
子供3「ねぇねぇ、隣の人だれっ?」
エルフ「ほら、みんな。まずは席に座って」
子供たち「「はーいっ」」
男「……しかし、すごいな」
エルフ「ふふっ、みんな元気が有り余ってるんですよ」
男「君は……教師なのか?」
エルフ「教師というか、まとめ役……んー……」
エルフ「いい言葉が見つかりませんが、多分、違うと思います」
男「どういうことだ? 子供たちに物事を教えているんだろ?」
エルフ「はい。一般常識から、時には雑学など」
男「ならそれは、教師だと思うぞ」
148: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:38:49.86 ID:BXfTKjEo
エルフ「……んー……ちょっと違うんですよね……」
エルフ「なんていうか……その……」
エルフ「子供たちにとっての……姉、と言ったほうがいいかもしれません」
男「姉?」
エルフ「はい。時には甘えさせたり、でも、厳しくしたり……」
エルフ「良い意味での、遠慮のいらない関係って感じでしょうか」
男「…………」
男(……よく分からない……)
男(ここは学校なんだろ? なぜ、教師と言われることを否定する?)
男(自主的にやっているボランティアのようなものだからか?)
男(……んん、俺の世界と何か根本的に違うようだな………)
エルフ「はーいっ、ではみなさん」
エルフ「なんていうか……その……」
エルフ「子供たちにとっての……姉、と言ったほうがいいかもしれません」
男「姉?」
エルフ「はい。時には甘えさせたり、でも、厳しくしたり……」
エルフ「良い意味での、遠慮のいらない関係って感じでしょうか」
男「…………」
男(……よく分からない……)
男(ここは学校なんだろ? なぜ、教師と言われることを否定する?)
男(自主的にやっているボランティアのようなものだからか?)
男(……んん、俺の世界と何か根本的に違うようだな………)
エルフ「はーいっ、ではみなさん」
149: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:39:30.72 ID:BXfTKjEo
エルフ「お早うございますっ」
子供たち「「おはようございますっ!」」
男(……まあ、考えていても仕方ないか……)
男(慣れていくしかない……この世界に……)
エルフ「今日は、みんなに是非紹介したい人がいます」
エルフ「みんなも、もう、気になっている人……いるよね?」
男(しかし……死ぬまでこの世界にいるのだろうか……?)
男(戻る方法があればいいが……多分……ないな……)
男「…………」
エルフ「こちらは……」
男(あーくそっ……難しいことを考えるのはやめやめっ……)
エルフ「──別世界からやって来た、男さんですっ!」
男「…………」
男「……って、え?」
子供たち「「おはようございますっ!」」
男(……まあ、考えていても仕方ないか……)
男(慣れていくしかない……この世界に……)
エルフ「今日は、みんなに是非紹介したい人がいます」
エルフ「みんなも、もう、気になっている人……いるよね?」
男(しかし……死ぬまでこの世界にいるのだろうか……?)
男(戻る方法があればいいが……多分……ないな……)
男「…………」
エルフ「こちらは……」
男(あーくそっ……難しいことを考えるのはやめやめっ……)
エルフ「──別世界からやって来た、男さんですっ!」
男「…………」
男「……って、え?」
150: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:39:58.33 ID:BXfTKjEo
──村
男「……はぁ……疲れた……」
エルフ「お疲れさまです」
男「あんなに質問攻めにされるなんて、聞いてないぞ……」
エルフ「ふふっ、でもみんな楽しそうでしたよ」
男「そりゃ、あいつらからしたら俺は生きる玩具だろ……」
男「……ペタペタと身体に触ってくるやつはいるし……」
男「かと思えば、相手にしてもらえなくて拗ねる奴もいる……」
エルフ「みんな男さんが気になるんですよ」
男「そんなに……俺は珍しいか?」
エルフ「はい、もちろんっ」
男「…………はぁ……」
男「……はぁ……疲れた……」
エルフ「お疲れさまです」
男「あんなに質問攻めにされるなんて、聞いてないぞ……」
エルフ「ふふっ、でもみんな楽しそうでしたよ」
男「そりゃ、あいつらからしたら俺は生きる玩具だろ……」
男「……ペタペタと身体に触ってくるやつはいるし……」
男「かと思えば、相手にしてもらえなくて拗ねる奴もいる……」
エルフ「みんな男さんが気になるんですよ」
男「そんなに……俺は珍しいか?」
エルフ「はい、もちろんっ」
男「…………はぁ……」
151: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:40:32.33 ID:BXfTKjEo
男「ほんと……疲れた……」
エルフ「文句言いつつも、優しく接してくれてありがとうございます」
男「別に……そうしたつもりはない」
エルフ「いいえ、あの子たちは意外に人の心に敏感ですから」
エルフ「少しでも怖いと感じたら、あんなに仲良くはなれませんよ」
男「…………」
男(『絶対、また来てね』、か……)
エルフ「……それで、お疲れのところ申し訳ありませんが」
エルフ「……今日は、あと一つ、案内したいところがあるんです」
男「……ん? 今度は一体どこに連れていくんだ?」
エルフ「それは、着いてからのお楽しみです」
男「……これ以上、疲れるのは勘弁な……」
エルフ「大丈夫ですよ、その辺は安心して下さい」
エルフ「では行きましょう。ここから、すぐ側なんです」
エルフ「文句言いつつも、優しく接してくれてありがとうございます」
男「別に……そうしたつもりはない」
エルフ「いいえ、あの子たちは意外に人の心に敏感ですから」
エルフ「少しでも怖いと感じたら、あんなに仲良くはなれませんよ」
男「…………」
男(『絶対、また来てね』、か……)
エルフ「……それで、お疲れのところ申し訳ありませんが」
エルフ「……今日は、あと一つ、案内したいところがあるんです」
男「……ん? 今度は一体どこに連れていくんだ?」
エルフ「それは、着いてからのお楽しみです」
男「……これ以上、疲れるのは勘弁な……」
エルフ「大丈夫ですよ、その辺は安心して下さい」
エルフ「では行きましょう。ここから、すぐ側なんです」
152: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:40:58.77 ID:BXfTKjEo
トコ……トコ。
男「……しかし、天気悪いなぁ……」
エルフ「そうですね……霧まで出ちゃってますね……」
男「こっちはこういう気候が多いのか?」
エルフ「そうでもないんですが……最近は、じめじめしています」
男「……湿度高そうだな……」
トコ……トコ。
エルフ「そういえば、足の状態はどうですか?」
男「ん……以前変わらずだな。まだ……痛む」
エルフ「あとで家に帰ったら、治療しましょうね。私に任して下さい」
男「そうだ、そのことで聞きたいことが……」
エルフ「──あ、着きましたっ」
男「……ん?」
エルフ「ほらっ、ここですっ」
男「これは……」
男「……しかし、天気悪いなぁ……」
エルフ「そうですね……霧まで出ちゃってますね……」
男「こっちはこういう気候が多いのか?」
エルフ「そうでもないんですが……最近は、じめじめしています」
男「……湿度高そうだな……」
トコ……トコ。
エルフ「そういえば、足の状態はどうですか?」
男「ん……以前変わらずだな。まだ……痛む」
エルフ「あとで家に帰ったら、治療しましょうね。私に任して下さい」
男「そうだ、そのことで聞きたいことが……」
エルフ「──あ、着きましたっ」
男「……ん?」
エルフ「ほらっ、ここですっ」
男「これは……」
153: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:41:57.27 ID:BXfTKjEo
エルフ「……どうですか?」
男「…………」
男(……先が尖った、三角の柱……)
男(……何かの碑だろうか……)
男「ほう……これは?」
エルフ「…………」
エルフ「……これですか?」
男「ああ……ちょっと、柵超えてもいいか?」
エルフ「えっ?」
トコ……トコ。
男「…………」
男(何で出来てんだ……?)
男(銀色だから、鉄……んー錆びるな。じゃあ、何だろう?)
男「…………」
男(……先が尖った、三角の柱……)
男(……何かの碑だろうか……)
男「ほう……これは?」
エルフ「…………」
エルフ「……これですか?」
男「ああ……ちょっと、柵超えてもいいか?」
エルフ「えっ?」
トコ……トコ。
男「…………」
男(何で出来てんだ……?)
男(銀色だから、鉄……んー錆びるな。じゃあ、何だろう?)
154: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:42:28.50 ID:BXfTKjEo
エルフ「お、男さんっ」
男(……叩いてみるか)
ゴン……ゴンッ。
男「……ふむ」
男(わからん……が、確かに金属のようだ)
男(となると……精製できる技術はあるのか……)
エルフ「ちょっ、ちょっと駄目ですよっ!」
男「あー悪い悪い」
エルフ「もうっ……私、知りませんからね……」
男「で、これは一体なんなんだ?」
エルフ「……碑です」
男「それは分かるが、何の?」
エルフ「さぁ、私も分かりません」
男「…………」
エルフ「…………」
男(……叩いてみるか)
ゴン……ゴンッ。
男「……ふむ」
男(わからん……が、確かに金属のようだ)
男(となると……精製できる技術はあるのか……)
エルフ「ちょっ、ちょっと駄目ですよっ!」
男「あー悪い悪い」
エルフ「もうっ……私、知りませんからね……」
男「で、これは一体なんなんだ?」
エルフ「……碑です」
男「それは分かるが、何の?」
エルフ「さぁ、私も分かりません」
男「…………」
エルフ「…………」
155: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:42:57.23 ID:BXfTKjEo
男「……謎掛け?」
エルフ「……違いますよ」
男「おいおい、そんなところに何で連れて来た?」
エルフ「他所の世界の男さんなら知ってるかなって……」
男「……知る訳ないだろ……」
エルフ「ですよね……すみません……」
男「……まぁいい」
エルフ「では、早く家に帰ってご飯にしますかっ」
男「おうっ……って、そのことだっ! 聞きたいことがある」
エルフ「……違いますよ」
男「おいおい、そんなところに何で連れて来た?」
エルフ「他所の世界の男さんなら知ってるかなって……」
男「……知る訳ないだろ……」
エルフ「ですよね……すみません……」
男「……まぁいい」
エルフ「では、早く家に帰ってご飯にしますかっ」
男「おうっ……って、そのことだっ! 聞きたいことがある」
156: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:43:28.92 ID:BXfTKjEo
エルフ「はい、何でしょうか」
男「本当にいいのか? 俺が君のうちに厄介になってしまって……」
男「迷惑なら、出来るだけ早めに出て行こうと思うんだが……」
エルフ「別に大丈夫ですよ。男さんが嫌じゃなければ、ですね」
男「全くもってそんなことはない……とにかく、感謝の気持ちで一杯だ」
エルフ「なら、何の問題もありません。これからよろしくお願いしますね」
男「こちらこそっ、恩に着る」
エルフ「そうと決まれば、早く帰りましょう。私、ご飯の準備まだですし」
男「ああ……分かった」
男「しかし……」
男(何か……気になるな……)
男「本当にいいのか? 俺が君のうちに厄介になってしまって……」
男「迷惑なら、出来るだけ早めに出て行こうと思うんだが……」
エルフ「別に大丈夫ですよ。男さんが嫌じゃなければ、ですね」
男「全くもってそんなことはない……とにかく、感謝の気持ちで一杯だ」
エルフ「なら、何の問題もありません。これからよろしくお願いしますね」
男「こちらこそっ、恩に着る」
エルフ「そうと決まれば、早く帰りましょう。私、ご飯の準備まだですし」
男「ああ……分かった」
男「しかし……」
男(何か……気になるな……)
157: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:44:19.63 ID:BXfTKjEo
──家
ガチャ。
エルフ「さっ、入って下さい」
男「……おじゃまします」
エルフ「……何ですかそれ?」
男「ん? こちらでは言わないのか?」
エルフ「はい、初めて聞きます」
男「そうだな、人ん家に入るときの挨拶みたいなものだ」
エルフ「へー、そっちの世界ではそんな風習があるんですか」
男「他にもあるぞ」
男「自分の家に入るときは『ただいま』」
エルフ「……ただいま」
男「そうそう、そんな感じ」
エルフ「なんか、気恥ずかしい気持ちになりますね」
男「ははっ、確かにそれはあるな」
ガチャ。
エルフ「さっ、入って下さい」
男「……おじゃまします」
エルフ「……何ですかそれ?」
男「ん? こちらでは言わないのか?」
エルフ「はい、初めて聞きます」
男「そうだな、人ん家に入るときの挨拶みたいなものだ」
エルフ「へー、そっちの世界ではそんな風習があるんですか」
男「他にもあるぞ」
男「自分の家に入るときは『ただいま』」
エルフ「……ただいま」
男「そうそう、そんな感じ」
エルフ「なんか、気恥ずかしい気持ちになりますね」
男「ははっ、確かにそれはあるな」
158: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:45:40.66 ID:BXfTKjEo
男「あとな、逆に帰って来た者を迎える時は『おかえり』って言うんだ」
エルフ「『ただいま』と『おかえり』ですか」
エルフ「面白い習慣ですね」
男「まあ、そうかもしれん」
男「ちなみにこっちでは……」
?「──おかえり」
男「…………」
男「ん? 今、何か言ったか?」
エルフ「へ? 私ですか? 何も喋ったつもりはないですけど……」
男「…………」
男(確かに今……聞こえたよな……)
男(しかも、『おかえり』って……)
男「……俺の聞き間違いかもな……」
?「おい」
エルフ「『ただいま』と『おかえり』ですか」
エルフ「面白い習慣ですね」
男「まあ、そうかもしれん」
男「ちなみにこっちでは……」
?「──おかえり」
男「…………」
男「ん? 今、何か言ったか?」
エルフ「へ? 私ですか? 何も喋ったつもりはないですけど……」
男「…………」
男(確かに今……聞こえたよな……)
男(しかも、『おかえり』って……)
男「……俺の聞き間違いかもな……」
?「おい」
159: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:46:16.73 ID:BXfTKjEo
男「……え?」
?「こっちだよ、こっち。後ろ向け」
男「ええと……」
?「迎える時は、『おかえり』って言うんだろ? 違ったか?」
男「いや……そうだが……」
エルフ「あーっ親友じゃないですか!」
親友「よっ、遊びにきたぜっ」
男「…………」
男「……誰?」
?「こっちだよ、こっち。後ろ向け」
男「ええと……」
?「迎える時は、『おかえり』って言うんだろ? 違ったか?」
男「いや……そうだが……」
エルフ「あーっ親友じゃないですか!」
親友「よっ、遊びにきたぜっ」
男「…………」
男「……誰?」
160: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:46:50.39 ID:BXfTKjEo
──居間
親友「お前たちのこと、もう、凄い噂になってるぞ」
もぐもぐ。
エルフ「あーやっぱり、そうですか……」
もぐもぐ……。
親友「だったら何で、子供たちのところに連れてったりしたんだ?」
もぐ……もぐ……。
エルフ「子供たちにとって良い刺激になるかなーって」
……もぐ。
親友「その気持ちは分からなくもないが……」
……ピタッ。
親友「……じぃ」
男「…………」
親友「お前たちのこと、もう、凄い噂になってるぞ」
もぐもぐ。
エルフ「あーやっぱり、そうですか……」
もぐもぐ……。
親友「だったら何で、子供たちのところに連れてったりしたんだ?」
もぐ……もぐ……。
エルフ「子供たちにとって良い刺激になるかなーって」
……もぐ。
親友「その気持ちは分からなくもないが……」
……ピタッ。
親友「……じぃ」
男「…………」
161: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:47:21.58 ID:BXfTKjEo
男(……なんだ、なんだこの視線は……)
男(こんなに見られていたら、ろくに飯も食べられない……)
男(いっそ……こちらから話しかけてみるか)
男「ち、ちょっといいか……」
親友「……ん? 私に用か?」
男「君は、俺がどういう状況か知っているんだな?」
親友「まあ人聞きではあるけど、大体は」
男「……例えば?」
親友「見知らぬ世界から迷い込んだ男だとか」
親友「超能力を隠し持っているとか、実は、宇宙人かもしれないとか」
男(噂に尾ひれついてるーっ!)
エルフ「……んー、ちょっと違いますね」
男(いや、ちょっとじゃない……かなり違う……)
男(こんなに見られていたら、ろくに飯も食べられない……)
男(いっそ……こちらから話しかけてみるか)
男「ち、ちょっといいか……」
親友「……ん? 私に用か?」
男「君は、俺がどういう状況か知っているんだな?」
親友「まあ人聞きではあるけど、大体は」
男「……例えば?」
親友「見知らぬ世界から迷い込んだ男だとか」
親友「超能力を隠し持っているとか、実は、宇宙人かもしれないとか」
男(噂に尾ひれついてるーっ!)
エルフ「……んー、ちょっと違いますね」
男(いや、ちょっとじゃない……かなり違う……)
162: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:47:54.49 ID:BXfTKjEo
親友「そうなのか? 私はそれで、ここに来たようなもんなんだがな」
男「……エルフを心配してか?」
親友「勿論、それ以外に何かあるか?」
男「……ごもっとも」
エルフ「そんな……大丈夫ですよ。ほら、この通り」
親友「まだ決まったわけじゃないだろ? これから本性を見せるかもしれない」
エルフ「ちょっと失礼ですよ。男さん……ごめんなさい」
男「んや、別に構わない。ところで……」
親友「なんだ?」
男「君は俺のことで不信感を抱いているようだが、俺も君のことが分からない」
親友「…………」
男「出来れば、自己紹介してくれると有り難いな」
親友「……まあ、そうだな。確かに、一理ある」
親友「私は……」
エルフ「──小さい頃からの、親友兼幼なじみなんです」
男「……エルフを心配してか?」
親友「勿論、それ以外に何かあるか?」
男「……ごもっとも」
エルフ「そんな……大丈夫ですよ。ほら、この通り」
親友「まだ決まったわけじゃないだろ? これから本性を見せるかもしれない」
エルフ「ちょっと失礼ですよ。男さん……ごめんなさい」
男「んや、別に構わない。ところで……」
親友「なんだ?」
男「君は俺のことで不信感を抱いているようだが、俺も君のことが分からない」
親友「…………」
男「出来れば、自己紹介してくれると有り難いな」
親友「……まあ、そうだな。確かに、一理ある」
親友「私は……」
エルフ「──小さい頃からの、親友兼幼なじみなんです」
163: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:48:46.78 ID:BXfTKjEo
──数時間後
親友「ん? もうこんな時間か……」
親友「では、そろそろ帰らせてもらおうかな」
エルフ「そんな……今日ぐらい泊まっていけばいいのに……」
親友「そうしたいのは山々なんだが……少しやらねばならないことがあってな」
エルフ「……そうですか」
親友「ああ、また来るよ。今日は色々な話が聞けたし、楽しかった」
エルフ「私もです。気軽にご飯でも食べに来て下さいね」
親友「うん。じゃあ、また」
男「…………」
親友「…………」
男(ん?)
親友「…………」
男(……そういうことか)
親友「ん? もうこんな時間か……」
親友「では、そろそろ帰らせてもらおうかな」
エルフ「そんな……今日ぐらい泊まっていけばいいのに……」
親友「そうしたいのは山々なんだが……少しやらねばならないことがあってな」
エルフ「……そうですか」
親友「ああ、また来るよ。今日は色々な話が聞けたし、楽しかった」
エルフ「私もです。気軽にご飯でも食べに来て下さいね」
親友「うん。じゃあ、また」
男「…………」
親友「…………」
男(ん?)
親友「…………」
男(……そういうことか)
164: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:49:32.37 ID:BXfTKjEo
ガタンッ……。
エルフ「……あれ、男さん?」
男「ちょっと、親友を外まで見送ってくる」
親友「ひ弱なガードマンなどいらんぞ?」
男「ヤバいときには盾にでもなるさ」
親友「ふふっ、中々言うな」
エルフ「えっ? でも、足は大丈夫なんですか?」
男「リハビリもかねてな。それと、少し夜風に当たりたいんだ」
エルフ「……そうですか、早く帰って来て下さいね」
男「ああ、分かった」
親友「……男、見送るつもりなら、早く行くぞ」
男「おいっ、待て……」
エルフ「……あれ、男さん?」
男「ちょっと、親友を外まで見送ってくる」
親友「ひ弱なガードマンなどいらんぞ?」
男「ヤバいときには盾にでもなるさ」
親友「ふふっ、中々言うな」
エルフ「えっ? でも、足は大丈夫なんですか?」
男「リハビリもかねてな。それと、少し夜風に当たりたいんだ」
エルフ「……そうですか、早く帰って来て下さいね」
男「ああ、分かった」
親友「……男、見送るつもりなら、早く行くぞ」
男「おいっ、待て……」
165: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:50:29.45 ID:BXfTKjEo
トコ……トコ。
男「…………」
親友「…………」
トコ……トコ。
男「……で、俺に話があるんだろ?」
親友「……ああ」
トコ……ピタッ……。
男「ん?」
親友「足は大丈夫なのか?」
男「まあ、この杖があるから歩くのはさほど難しくはない」
親友「そうか……早く治るといいな」
男「……おう、ありがとう」
親友「ん、別に……お礼を言われることでもない……」
男「…………」
親友「…………」
トコ……トコ。
男「……で、俺に話があるんだろ?」
親友「……ああ」
トコ……ピタッ……。
男「ん?」
親友「足は大丈夫なのか?」
男「まあ、この杖があるから歩くのはさほど難しくはない」
親友「そうか……早く治るといいな」
男「……おう、ありがとう」
親友「ん、別に……お礼を言われることでもない……」
166: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:50:55.66 ID:BXfTKjEo
トコ……トコ。
男「…………」
親友「…………」
男「おい、まさか話ってそれだけじゃないよな?」
親友「……ん、まあな」
男「それとも、切り出し難い話なのか?」
親友「…………」
男「……まだ、俺のこと信用出来ないか?」
親友「いや……話を聞いて、お前のことは大体理解した」
男「…………」
親友「嘘か本当かまでは私には分からないが……ただ」
親友「何か企んでいる、という様子じゃないのは確かだ」
男「……そうか、誤解が解けたなら良かった」
親友「…………」
親友「……聞いてもいいか?」
男「…………」
親友「…………」
男「おい、まさか話ってそれだけじゃないよな?」
親友「……ん、まあな」
男「それとも、切り出し難い話なのか?」
親友「…………」
男「……まだ、俺のこと信用出来ないか?」
親友「いや……話を聞いて、お前のことは大体理解した」
男「…………」
親友「嘘か本当かまでは私には分からないが……ただ」
親友「何か企んでいる、という様子じゃないのは確かだ」
男「……そうか、誤解が解けたなら良かった」
親友「…………」
親友「……聞いてもいいか?」
167: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:51:21.43 ID:BXfTKjEo
男「おう、構わないぞ」
親友「あの話……本当なのか?」
男「というと?」
親友「私たちが知らない、別の世界からやって来たって話」
男「ああ、本当だ」
男「こことは全く違う……そんな場所から辿り着いた」
親友「……なら」
男「ん?」
親友「頼みたいことがある」
男「…………」
男(何だ……急に真面目な顔して……)
親友「今日、ずっとお前を観察してた」
男「なっ……日中もか?」
親友「いや、そうじゃなくて……飯を食べている時だ」
男「ああ、そういうこと……」
親友「あの話……本当なのか?」
男「というと?」
親友「私たちが知らない、別の世界からやって来たって話」
男「ああ、本当だ」
男「こことは全く違う……そんな場所から辿り着いた」
親友「……なら」
男「ん?」
親友「頼みたいことがある」
男「…………」
男(何だ……急に真面目な顔して……)
親友「今日、ずっとお前を観察してた」
男「なっ……日中もか?」
親友「いや、そうじゃなくて……飯を食べている時だ」
男「ああ、そういうこと……」
168: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:51:49.41 ID:BXfTKjEo
親友「そのとき、一つ気付いたことがある」
男「……何だ?」
親友「……お前……」
親友「……実は、相当腕が立つ奴だろ?」
男「…………」
親友「身体もしっかり引き締まっているし、腕なんかもかなり太い」
親友「しかも……ところどころには、傷痕があるし……」
親友「……普通に生きているだけじゃ、そんな風にはならない」
男「…………」
男(女と過ごした数年間……)
男(生きていくためには身体を鍛えなければいけなかった……)
男(……時には、有り得ないような傷も負った……)
男(確かに、以前の俺とは……比べものにならないかもしれない)
親友「……だから思ったんだ」
親友「お前になら……ここにいないはずのお前なら……」
男「……何だ?」
親友「……お前……」
親友「……実は、相当腕が立つ奴だろ?」
男「…………」
親友「身体もしっかり引き締まっているし、腕なんかもかなり太い」
親友「しかも……ところどころには、傷痕があるし……」
親友「……普通に生きているだけじゃ、そんな風にはならない」
男「…………」
男(女と過ごした数年間……)
男(生きていくためには身体を鍛えなければいけなかった……)
男(……時には、有り得ないような傷も負った……)
男(確かに、以前の俺とは……比べものにならないかもしれない)
親友「……だから思ったんだ」
親友「お前になら……ここにいないはずのお前なら……」
169: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:52:22.42 ID:BXfTKjEo
男「…………」
親友「……お願いだ」
親友「何かあったら……」
親友「──エルフを助けてやってくれ……」
男「……それは……」
男(……助ける? 何から?)
男「一体、どういうことだ……?」
親友「…………」
男「もしかして……」
男「……この村が、地面を避けて暮らしていることに関係しているのか?」
男(……前から疑問に思っていたことだ)
男(あえて、ここまでする理由は何だろう? 危険でもあるのか?)
親友「……お願いだ」
親友「何かあったら……」
親友「──エルフを助けてやってくれ……」
男「……それは……」
男(……助ける? 何から?)
男「一体、どういうことだ……?」
親友「…………」
男「もしかして……」
男「……この村が、地面を避けて暮らしていることに関係しているのか?」
男(……前から疑問に思っていたことだ)
男(あえて、ここまでする理由は何だろう? 危険でもあるのか?)
170: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:53:04.93 ID:BXfTKjEo
親友「それは、違う」
男「……本当か?」
親友「私達が上で生活しているのは……」
親友「もう少し経つと、この一体が水浸しになることが原因だ」
男「水浸し?」
親友「ああ、雨がずっと降り続いてな。水位が上がっていく」
男「……そうなのか?」
親友「お前がここで暮らすつもりなら、そのうちやってくるよ」
男「……分かった」
親友「では……返事、聞かせてもらって良いか?」
男「エルフを守るって……話か?」
親友「ああ……お前に頼るしかない」
男「……理由は……」
男「……本当か?」
親友「私達が上で生活しているのは……」
親友「もう少し経つと、この一体が水浸しになることが原因だ」
男「水浸し?」
親友「ああ、雨がずっと降り続いてな。水位が上がっていく」
男「……そうなのか?」
親友「お前がここで暮らすつもりなら、そのうちやってくるよ」
男「……分かった」
親友「では……返事、聞かせてもらって良いか?」
男「エルフを守るって……話か?」
親友「ああ……お前に頼るしかない」
男「……理由は……」
171: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/14(水) 21:53:54.19 ID:BXfTKjEo
親友「…………」
男(……どうやら、教えるつもりはないようだな)
男「……分かった」
男「それがどんなものか分からないが、力を尽くす」
親友「……あ、ありがとう」
男「いいんだ、俺も世話になってるしな」
親友「……本当に、頼んだぞ……」
男「…………」
男(……どうやら、教えるつもりはないようだな)
男「……分かった」
男「それがどんなものか分からないが、力を尽くす」
親友「……あ、ありがとう」
男「いいんだ、俺も世話になってるしな」
親友「……本当に、頼んだぞ……」
男「…………」
187: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:11:18.22 ID:zaTWzoQ0
──数日後 学校
子供4「男ーこっちだー」
子供5「はははっ、足遅いなあ、男」
タタタタ。
男「くそっガキどもめ、なめやがって」
男「しかも、いつの間にか呼び捨てかっ」
子供2「もうへばっちゃったのー?」
男「違うっ! 少し歩き難いだけだっ!」
男「見てろよっ! 今から、俺の本気を出してやるっ!」
──ぴょんぴょんぴょんっ。
子供4「うわああっ、片足だけで走ってくるっ!?」
男「こらああ、待てーっ!」
子供6「きゃー、逃げないとっ!」
タタタタッ。
男「おらーっ、意地でも捕まえてやるからなーっ!」
ぴょんぴょんぴょんっ。
子供4「男ーこっちだー」
子供5「はははっ、足遅いなあ、男」
タタタタ。
男「くそっガキどもめ、なめやがって」
男「しかも、いつの間にか呼び捨てかっ」
子供2「もうへばっちゃったのー?」
男「違うっ! 少し歩き難いだけだっ!」
男「見てろよっ! 今から、俺の本気を出してやるっ!」
──ぴょんぴょんぴょんっ。
子供4「うわああっ、片足だけで走ってくるっ!?」
男「こらああ、待てーっ!」
子供6「きゃー、逃げないとっ!」
タタタタッ。
男「おらーっ、意地でも捕まえてやるからなーっ!」
ぴょんぴょんぴょんっ。
188: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:12:56.87 ID:zaTWzoQ0
──数十分後
男「はぁ……はぁ……はぁ……」
男「くそっ……逃げ足だけは早い奴らだ……」
男「足さえ治れば、俺だって……」
エルフ「お疲れさまです」
男「……ああ、来てたのか」
エルフ「ごめんなさいね、子供たちの面倒を手伝わせてしまって……」
男「いいんだ、家に一人でいてもつまらないしな」
男「それならこうやって、身体を動かしていた方がいい」
エルフ「……子供たち、とても楽しそうでした」
男「そうか、なら良かった」
エルフ「しかし、凄いですね。片足だけであんな素早く……」
男「ん、まあな……」
男(後半は、本気でやってたからな……)
男(大人げなく、負けず嫌いの性格が出ちまったぜ……)
エルフ「向こうの人は、片足で走る訓練でもしてるんですか?」
男「……はっ?」
エルフ「練習無しでは、あんなに続きませんよね。私ならすぐにバランスを失いそうです」
男「……いや、そうじゃない」
エルフ「違うんですか?」
男「そんな変な訓練をする習慣はない……俺の知る限りでは……」
エルフ「あーそうですか……」
男(……何故、少し残念そうなんだ……)
男「はぁ……はぁ……はぁ……」
男「くそっ……逃げ足だけは早い奴らだ……」
男「足さえ治れば、俺だって……」
エルフ「お疲れさまです」
男「……ああ、来てたのか」
エルフ「ごめんなさいね、子供たちの面倒を手伝わせてしまって……」
男「いいんだ、家に一人でいてもつまらないしな」
男「それならこうやって、身体を動かしていた方がいい」
エルフ「……子供たち、とても楽しそうでした」
男「そうか、なら良かった」
エルフ「しかし、凄いですね。片足だけであんな素早く……」
男「ん、まあな……」
男(後半は、本気でやってたからな……)
男(大人げなく、負けず嫌いの性格が出ちまったぜ……)
エルフ「向こうの人は、片足で走る訓練でもしてるんですか?」
男「……はっ?」
エルフ「練習無しでは、あんなに続きませんよね。私ならすぐにバランスを失いそうです」
男「……いや、そうじゃない」
エルフ「違うんですか?」
男「そんな変な訓練をする習慣はない……俺の知る限りでは……」
エルフ「あーそうですか……」
男(……何故、少し残念そうなんだ……)
189: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:13:24.96 ID:zaTWzoQ0
エルフ「ちなみにあのゲーム、なんて言うんです?」
男「『鬼ごっこ』だ」
エルフ「……おに?」
男「んー、どう言って説明すればいいか」
男「頭の上に角があって、凶暴な性格をしている妖怪……少し人間に似ている想像上の生き物だ」
エルフ「頭に角ですか……その発想は驚きです……」
男「で、その鬼が皆を追いかける役。タッチしたら、今度は相手が鬼」
エルフ「鬼は伝染するんですかっ!!」
男「いや……その……」
エルフ「そんなゲームがあるなんて……すごいところですね、男さんの世界は」
男「…………」
男(……意外に、エルフって天然キャラかもしれない……)
男「『鬼ごっこ』だ」
エルフ「……おに?」
男「んー、どう言って説明すればいいか」
男「頭の上に角があって、凶暴な性格をしている妖怪……少し人間に似ている想像上の生き物だ」
エルフ「頭に角ですか……その発想は驚きです……」
男「で、その鬼が皆を追いかける役。タッチしたら、今度は相手が鬼」
エルフ「鬼は伝染するんですかっ!!」
男「いや……その……」
エルフ「そんなゲームがあるなんて……すごいところですね、男さんの世界は」
男「…………」
男(……意外に、エルフって天然キャラかもしれない……)
190: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:13:57.26 ID:zaTWzoQ0
──村
男「……天気、まだ良くならないな」
男(雨は降らないが……この霧が視界を遮る)
男(どうやら、少し特殊な気候変動のようだな……)
男(幻想的な景色であるが……ただ……)
男「…………」
男「……道に、迷った……」
男(エルフが忘れた弁当を取ってくる予定だったんだがな……)
男(意地張って、一人で行くなんて言わなきゃ良かった……)
男「どう……するか……」
男「しかし、霧のせいでどっちに向かっているか分からない」
男「……ん、でも……」
男(散策も兼ねて、この辺りを色々見て回るか)
トコ……トコ。
男(……どの建物もほとんど一緒だな……)
男(これは、迷うぞ……)
男「…………」
?「おーいっ、男ーっ」
男「……天気、まだ良くならないな」
男(雨は降らないが……この霧が視界を遮る)
男(どうやら、少し特殊な気候変動のようだな……)
男(幻想的な景色であるが……ただ……)
男「…………」
男「……道に、迷った……」
男(エルフが忘れた弁当を取ってくる予定だったんだがな……)
男(意地張って、一人で行くなんて言わなきゃ良かった……)
男「どう……するか……」
男「しかし、霧のせいでどっちに向かっているか分からない」
男「……ん、でも……」
男(散策も兼ねて、この辺りを色々見て回るか)
トコ……トコ。
男(……どの建物もほとんど一緒だな……)
男(これは、迷うぞ……)
男「…………」
?「おーいっ、男ーっ」
191: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:15:29.51 ID:zaTWzoQ0
男「ん?」
男「あっ、親友か……」
親友「こんなところで何してる? もしかして、迷ったか?」
男「さすが鋭いな……その通りだ」
親友「馴れるまでには、時間がかかるからな」
親友「……で、行き先はどこだったんだ?」
男「学校から、エルフの家に向かってた……」
親友「そうか……となると、ここは完全に逆側になるな……」
男「……マジか……」
親友「これ以上迷われても困るしな、後で私が付き添ってやる」
男「すまない……」
親友「別に気にするな。それで、少し来てくれ」
トコ……トコ。
男「お、おいっ、一体、どこに行くんだ?」
親友「私の家だ。昼飯でも食ってけ」
男「……まあ、いいが」
男(エルフが折角弁当用意してくれたんだがな……)
男(……無駄に善意を裏切りたくないし、ここは乗っておくか)
親友「他人に飯を食べてもらうなんて、何年ぶりのことだろうな」
男「…………は、はは」
男(……激しく不安だ……)
男「あっ、親友か……」
親友「こんなところで何してる? もしかして、迷ったか?」
男「さすが鋭いな……その通りだ」
親友「馴れるまでには、時間がかかるからな」
親友「……で、行き先はどこだったんだ?」
男「学校から、エルフの家に向かってた……」
親友「そうか……となると、ここは完全に逆側になるな……」
男「……マジか……」
親友「これ以上迷われても困るしな、後で私が付き添ってやる」
男「すまない……」
親友「別に気にするな。それで、少し来てくれ」
トコ……トコ。
男「お、おいっ、一体、どこに行くんだ?」
親友「私の家だ。昼飯でも食ってけ」
男「……まあ、いいが」
男(エルフが折角弁当用意してくれたんだがな……)
男(……無駄に善意を裏切りたくないし、ここは乗っておくか)
親友「他人に飯を食べてもらうなんて、何年ぶりのことだろうな」
男「…………は、はは」
男(……激しく不安だ……)
192: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:16:57.52 ID:zaTWzoQ0
──親友の家
親友「ほれ、遠慮なく座ってくれ」
男「……意外に綺麗なんだな」
親友「……失礼なやつだ。掃除くらい出来るさ」
男「いや、本当に、ちょっと見直した」
親友「……まあ、分かった。ただ、それ以上は言うなよ」
男「……わ、わりぃ」
ガサガサ。
親友「料理って言ってもな、エルフみたいなのは作れないからな」
男「やっぱり、あれはここでも凄い部類なんだな」
ガサガサ。
親友「凄いなんてもんじゃない……神がかっている」
男「確かに、そうか。……で、何やってんだ?」
ガサガサ。
親友「いや、材料を何にするか考えている」
男「軽く済ませられる感じでいいぞ」
親友「んー……とりあえず、何か食べたいものはあるか?」
男「……そうだな」
男(こっちに来てからというもの、食べ物に関しては不自由してないからな)
男(エルフの料理は最高だし、こっちの食材も自分に合っているような気がする)
男(……ただ、一つあるとすれば……)
親友「ほれ、遠慮なく座ってくれ」
男「……意外に綺麗なんだな」
親友「……失礼なやつだ。掃除くらい出来るさ」
男「いや、本当に、ちょっと見直した」
親友「……まあ、分かった。ただ、それ以上は言うなよ」
男「……わ、わりぃ」
ガサガサ。
親友「料理って言ってもな、エルフみたいなのは作れないからな」
男「やっぱり、あれはここでも凄い部類なんだな」
ガサガサ。
親友「凄いなんてもんじゃない……神がかっている」
男「確かに、そうか。……で、何やってんだ?」
ガサガサ。
親友「いや、材料を何にするか考えている」
男「軽く済ませられる感じでいいぞ」
親友「んー……とりあえず、何か食べたいものはあるか?」
男「……そうだな」
男(こっちに来てからというもの、食べ物に関しては不自由してないからな)
男(エルフの料理は最高だし、こっちの食材も自分に合っているような気がする)
男(……ただ、一つあるとすれば……)
193: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:17:23.58 ID:zaTWzoQ0
男「肉料理は食べられないか?」
親友「……肉? なんだ、食べたいのか?」
男「ああ、こっちきてからというもの食べてなくてな」
親友「……それは、そうだろうな」
男「エルフが作るものは、ほとんどが野菜で出来ているし」
親友「向こうでは、食べる習慣があったのか?」
男「ん? その言い方は……」
親友「そうだ、私達は肉を食べない」
男「……ああ、そういうことか……」
親友「そういった習慣はないし、誰も好まないからな」
男「悪いな、変なこと言っちまって……」
男(文化が違うわけだもんな……そういうこともある……)
親友「……けど、それらの料理は作れないが」
親友「それに似たような物、作ってみようか」
男「……味を知らないのに、大丈夫なのか?」
親友「任せろ。いいから、お前は指でもくわえながら待ってればいい」
男「……なら、そうするが」
親友「……肉? なんだ、食べたいのか?」
男「ああ、こっちきてからというもの食べてなくてな」
親友「……それは、そうだろうな」
男「エルフが作るものは、ほとんどが野菜で出来ているし」
親友「向こうでは、食べる習慣があったのか?」
男「ん? その言い方は……」
親友「そうだ、私達は肉を食べない」
男「……ああ、そういうことか……」
親友「そういった習慣はないし、誰も好まないからな」
男「悪いな、変なこと言っちまって……」
男(文化が違うわけだもんな……そういうこともある……)
親友「……けど、それらの料理は作れないが」
親友「それに似たような物、作ってみようか」
男「……味を知らないのに、大丈夫なのか?」
親友「任せろ。いいから、お前は指でもくわえながら待ってればいい」
男「……なら、そうするが」
194: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:19:40.91 ID:zaTWzoQ0
──数十分後
親友「…………」
男「…………」
親友「……失敗だ」
男「ま、まあ、食えないこともないぞっ」
親友「……無理しなくていい、こんなの食べ物じゃない……」
男「いけるって。お前が食べないなら俺が食べるぞ?」
パクっ。
親友「お、おいっ……」
男「ん……もぐもぐ……これはこれでいけると思う……」
親友「……嘘言うな。私も少し食べたんだからな……」
男「そうか? 何度も噛み締めると味が変わってくるぞ?」
親友「……もう、いい。……すまない」
男「……もぐもぐ……もぐもぐ……」
男「──……ん。うまかったぞっ」
親友「……全部食べたんだな……」
男「ああ、初めはどうかと思ったが、意外に美味しかったよ」
親友「……ありがとう」
男「それを言うのはこっちの台詞だろ?」
男「作ってくれて、本当にありがとうな」
親友「…………」
親友「…………」
男「…………」
親友「……失敗だ」
男「ま、まあ、食えないこともないぞっ」
親友「……無理しなくていい、こんなの食べ物じゃない……」
男「いけるって。お前が食べないなら俺が食べるぞ?」
パクっ。
親友「お、おいっ……」
男「ん……もぐもぐ……これはこれでいけると思う……」
親友「……嘘言うな。私も少し食べたんだからな……」
男「そうか? 何度も噛み締めると味が変わってくるぞ?」
親友「……もう、いい。……すまない」
男「……もぐもぐ……もぐもぐ……」
男「──……ん。うまかったぞっ」
親友「……全部食べたんだな……」
男「ああ、初めはどうかと思ったが、意外に美味しかったよ」
親友「……ありがとう」
男「それを言うのはこっちの台詞だろ?」
男「作ってくれて、本当にありがとうな」
親友「…………」
195: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:20:18.41 ID:zaTWzoQ0
ガタンッ……。
男「よし、腹も膨れたことだし……」
親友「あっ……」
男「……一緒についてきてくれるんだろ?」
親友「そ、そうだったな……」
男「道案内よろしく頼む」
親友「おうっ、任してくれ。最短ルートで着いてやる」
男「ははっ、それは期待出来るな」
トコ……トコ。
親友「…………」
親友「……男」
男「ああ、何だ?」
親友「……今日は、楽しかった」
男「……そうか」
男「俺も、楽しかったよ。ありがとな」
親友「…………」
親友「……い、行こうか」
男「ん、頼む」
男「よし、腹も膨れたことだし……」
親友「あっ……」
男「……一緒についてきてくれるんだろ?」
親友「そ、そうだったな……」
男「道案内よろしく頼む」
親友「おうっ、任してくれ。最短ルートで着いてやる」
男「ははっ、それは期待出来るな」
トコ……トコ。
親友「…………」
親友「……男」
男「ああ、何だ?」
親友「……今日は、楽しかった」
男「……そうか」
男「俺も、楽しかったよ。ありがとな」
親友「…………」
親友「……い、行こうか」
男「ん、頼む」
196: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:20:45.54 ID:zaTWzoQ0
──一ヶ月後 学校
男「あーもう、だから違うって」
子供1「えー、これは二つ進めるんじゃないの?」
男「桂馬は……」
カチッ……カチッ。
男「──こうやって動くことしか出来ない」
子供4「……使えない駒だね」
男「おい、そこ。桂馬を馬鹿にすんな」
子供1「じゃあ、コレは?」
男「飛車は縦横無尽に動けるぞ」
子供1「うおっ、それは強いじゃん。じゃあこれは……」
ぐいぐい……。
子供2「ねぇ、男。あっちで鬼ごっこしようよぉ」
男「んあー、ちょっと今は無理……」
男「──って、違う違うっ、角行は斜めに動けんのっ」
子供1「あっ、そうか」
ぐいぐいっ。
子供2「つまんなーい……つまんなーいっ」
男「分かった、分かったからっ」
男「この一戦が終わったら、下でやりに行こう」
子供2「ほんとっ?!」
男「ああ、約束する。その間は他の連中と遊んでこい」
子供2「約束だからねっ! 早く男も来てねっ!」
タタタタッ。
男「あーもう、だから違うって」
子供1「えー、これは二つ進めるんじゃないの?」
男「桂馬は……」
カチッ……カチッ。
男「──こうやって動くことしか出来ない」
子供4「……使えない駒だね」
男「おい、そこ。桂馬を馬鹿にすんな」
子供1「じゃあ、コレは?」
男「飛車は縦横無尽に動けるぞ」
子供1「うおっ、それは強いじゃん。じゃあこれは……」
ぐいぐい……。
子供2「ねぇ、男。あっちで鬼ごっこしようよぉ」
男「んあー、ちょっと今は無理……」
男「──って、違う違うっ、角行は斜めに動けんのっ」
子供1「あっ、そうか」
ぐいぐいっ。
子供2「つまんなーい……つまんなーいっ」
男「分かった、分かったからっ」
男「この一戦が終わったら、下でやりに行こう」
子供2「ほんとっ?!」
男「ああ、約束する。その間は他の連中と遊んでこい」
子供2「約束だからねっ! 早く男も来てねっ!」
タタタタッ。
197: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:21:48.57 ID:zaTWzoQ0
男「ははっ、元気一杯だな」
男「ん? まだ次の手決めかねてんのか?」
子供1「んー……これで行こうかな……」
男「……え?」
カチッ。
子供1「どうだろ、王手じゃないかな?」
男「はは、何馬鹿なこと……」
男「──って、あれ……? う、嘘だろ……」
男「いやいやっ……」
男(どこか穴があるに違いない……いや、絶対あるはず……)
男「…………」
男「……そんな馬鹿な……詰んでるわ……」
子供1「待ったなしだからね」
男「…………」
男「ん? まだ次の手決めかねてんのか?」
子供1「んー……これで行こうかな……」
男「……え?」
カチッ。
子供1「どうだろ、王手じゃないかな?」
男「はは、何馬鹿なこと……」
男「──って、あれ……? う、嘘だろ……」
男「いやいやっ……」
男(どこか穴があるに違いない……いや、絶対あるはず……)
男「…………」
男「……そんな馬鹿な……詰んでるわ……」
子供1「待ったなしだからね」
男「…………」
198: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:22:27.59 ID:zaTWzoQ0
──エルフの家
ギュッ……。
エルフ「痛みますか?」
男「んー、そんなには」
ギュッ。
エルフ「ここはどうです?」
男「大丈夫だ」
エルフ「ん。もう、よさそうですね」
男「そうか、歩いてもいいか?」
エルフ「はい、過度な運動をしない限り大丈夫だと思います」
男「はぁー……これでやっと杖の生活から解放されるのか……」
エルフ「良かったですね。これからは、鬼ごっこに負けることもないですし」
男「まあな、俺を舐め切っているあいつらに、本当の実力を見せてやらねばならん」
エルフ「ふふっ、楽しそうですね」
男「ああ。……しかし、意外に治るのが早かったな」
エルフ「確かに骨折にしては治りが早かったですね。もしかしたら、折れてはいなかったのかも?」
男「そうか……とりあえず、歩いてみる」
トコ……トコ……トコ。
エルフ「痛みはありますか?」
男「いや……大丈夫。少し違和感はあるが、何とかなりそうだ」
エルフ「筋力が衰えていますからね。ちょっとの間は辛抱です」
男「そうだな……よし、ちょっくら行ってくる」
エレフ「えっ? どこにですか?」
ギュッ……。
エルフ「痛みますか?」
男「んー、そんなには」
ギュッ。
エルフ「ここはどうです?」
男「大丈夫だ」
エルフ「ん。もう、よさそうですね」
男「そうか、歩いてもいいか?」
エルフ「はい、過度な運動をしない限り大丈夫だと思います」
男「はぁー……これでやっと杖の生活から解放されるのか……」
エルフ「良かったですね。これからは、鬼ごっこに負けることもないですし」
男「まあな、俺を舐め切っているあいつらに、本当の実力を見せてやらねばならん」
エルフ「ふふっ、楽しそうですね」
男「ああ。……しかし、意外に治るのが早かったな」
エルフ「確かに骨折にしては治りが早かったですね。もしかしたら、折れてはいなかったのかも?」
男「そうか……とりあえず、歩いてみる」
トコ……トコ……トコ。
エルフ「痛みはありますか?」
男「いや……大丈夫。少し違和感はあるが、何とかなりそうだ」
エルフ「筋力が衰えていますからね。ちょっとの間は辛抱です」
男「そうだな……よし、ちょっくら行ってくる」
エレフ「えっ? どこにですか?」
199: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:22:55.69 ID:zaTWzoQ0
男「親友の家だな。心配してたから、一応、報告したほうがいいと思ってな」
エルフ「あ、ああ、親友ですか……」
男「ん? どうかしたか?」
エルフ「いやっ……別に何でもないです。気にしないで下さい……」
男「ならいいが……」
男(何だろう……この違和感……)
男「どうだっ? 今日、久しぶりに皆で夕飯でも食べないか?」
エルフ「…………」
男「どうした? エルフ?」
エルフ「……あ、はい、そうですね。親友がよければ、やりましょう」
男「……お、おう。誘ってみるよ」
エルフ「では……」
男「ああ、行ってくる」
ガチャ。
エルフ「…………」
エルフ「あ、ああ、親友ですか……」
男「ん? どうかしたか?」
エルフ「いやっ……別に何でもないです。気にしないで下さい……」
男「ならいいが……」
男(何だろう……この違和感……)
男「どうだっ? 今日、久しぶりに皆で夕飯でも食べないか?」
エルフ「…………」
男「どうした? エルフ?」
エルフ「……あ、はい、そうですね。親友がよければ、やりましょう」
男「……お、おう。誘ってみるよ」
エルフ「では……」
男「ああ、行ってくる」
ガチャ。
エルフ「…………」
200: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:23:28.15 ID:zaTWzoQ0
──親友の家
コンコンッ。
男「…………」
コンコンッ。
男「……ん? いないのか?」
男「おーいっ、中にいるなら開けてくれー」
コンコンッ。
親友『……ん、だれだ……?』
男「俺だよ。少し、話したいことがあって来た」
親友『……ああ、男か……』
男「どうした? 声に元気がないぞ? もしかして風邪でも引いたか?」
親友『いや……そういうことではない……』
男「無理ならまた後日改めようと思うが……」
親友『いいや……今、開ける』
ガチャ……。
男「……お、おい」
親友「……とりあえず、中に入ってくれ……」
男「凄く顔色が悪いが、本当に大丈夫なのか?」
親友「ああ気にするな……寝起きだっただけだよ……」
男「そうか……」
親友「ほら、腰掛けてくれ……」
男「ん……分かった」
すとんっ。
コンコンッ。
男「…………」
コンコンッ。
男「……ん? いないのか?」
男「おーいっ、中にいるなら開けてくれー」
コンコンッ。
親友『……ん、だれだ……?』
男「俺だよ。少し、話したいことがあって来た」
親友『……ああ、男か……』
男「どうした? 声に元気がないぞ? もしかして風邪でも引いたか?」
親友『いや……そういうことではない……』
男「無理ならまた後日改めようと思うが……」
親友『いいや……今、開ける』
ガチャ……。
男「……お、おい」
親友「……とりあえず、中に入ってくれ……」
男「凄く顔色が悪いが、本当に大丈夫なのか?」
親友「ああ気にするな……寝起きだっただけだよ……」
男「そうか……」
親友「ほら、腰掛けてくれ……」
男「ん……分かった」
すとんっ。
201: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:24:11.16 ID:zaTWzoQ0
親友「で、話って何だ……?」
男「あーそのな……俺のことなんだ」
親友「……男のこと? 何かあったのか?」
男「ほら、足」
親友「……あれ、杖はどうした……?」
男「実は、もう治ったんだ」
親友「それは良かったが……骨折じゃなかったのか?」
男「俺もよく分からんが、折れてなかったのかもしれない」
親友「……もう、歩けるんだな?」
男「ああ、ここまで杖なしで来たのがその証明だ」
親友「そうか……良かったな……」
男「おうっ、ありがとう」
親友「……本当に良かったよ……」
男「あ、ああ……」
親友「…………」
男「……どうした? 何か変だぞ?」
親友「……ふふっ、そう見えるか」
男「何か、問題があるのなら……」
親友「…………」
男「あーそのな……俺のことなんだ」
親友「……男のこと? 何かあったのか?」
男「ほら、足」
親友「……あれ、杖はどうした……?」
男「実は、もう治ったんだ」
親友「それは良かったが……骨折じゃなかったのか?」
男「俺もよく分からんが、折れてなかったのかもしれない」
親友「……もう、歩けるんだな?」
男「ああ、ここまで杖なしで来たのがその証明だ」
親友「そうか……良かったな……」
男「おうっ、ありがとう」
親友「……本当に良かったよ……」
男「あ、ああ……」
親友「…………」
男「……どうした? 何か変だぞ?」
親友「……ふふっ、そう見えるか」
男「何か、問題があるのなら……」
親友「…………」
202: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:24:37.67 ID:zaTWzoQ0
親友「いや……特にない。寝起きはいつもこんな感じでな」
親友「心配させてすまない……」
男「なら、いいが……」
親友「話はそれで終わりか……?」
男「あ、いや、今日のことで少しある」
親友「今日……?」
男「エルフの家で、また前みたいに一緒に飯を食べないか?」
親友「……お誘いか……」
男「前回も最終的には楽しかったし、今日もいい感じで盛り上がるはずだぞ?」
親友「……そうだな……楽しそうだな」
男「よし、なら来るな? 夜、待って……」
親友「──……だが、残念だが今日は遠慮しとくよ……」
男「えっ? どうしてだ?」
親友「……少しやらねばならない仕事があってな」
男「今日中じゃなければ駄目なのか?」
親友「ああ、本当にすまないな……誘ってもらったのに……」
男「いや、気にすることないさ。また、違う日にでも誘うよ」
親友「ありがとう……感謝してる……」
男「…………」
親友「心配させてすまない……」
男「なら、いいが……」
親友「話はそれで終わりか……?」
男「あ、いや、今日のことで少しある」
親友「今日……?」
男「エルフの家で、また前みたいに一緒に飯を食べないか?」
親友「……お誘いか……」
男「前回も最終的には楽しかったし、今日もいい感じで盛り上がるはずだぞ?」
親友「……そうだな……楽しそうだな」
男「よし、なら来るな? 夜、待って……」
親友「──……だが、残念だが今日は遠慮しとくよ……」
男「えっ? どうしてだ?」
親友「……少しやらねばならない仕事があってな」
男「今日中じゃなければ駄目なのか?」
親友「ああ、本当にすまないな……誘ってもらったのに……」
男「いや、気にすることないさ。また、違う日にでも誘うよ」
親友「ありがとう……感謝してる……」
男「…………」
203: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:26:34.68 ID:zaTWzoQ0
親友「……なあ、男」
男「……ん? どうした?」
親友「……お前、覚えてるか?」
男「……つまり?」
親友「……私とお前が交した約束だ……」
男「…………」
男(勿論、覚えている……忘れるわけないだろ)
親友「頼んだぞ」
男「……ああ、分かってる」
親友「……その返事が聞きたかった」
男「…………」
親友「少しだけ、私の独り言に付き合ってくれ」
男「別に構わないが……」
親友「そうか、ありがとう……」
親友「私は……お前と初めてあった日を今でも鮮明に覚えている」
親友「過去も何もかも不明なお前に、心底私は疑いの目を向けていた」
男「…………」
親友「だが、この一ヶ月」
親友「一緒に過ごして、一緒に話して」
親友「今は、確実に言えるよ……。男、お前は良い奴だ、本当にな」
男「……なんだ、恥ずかしくなってくるだろ……」
親友「お前を信頼しているよ。心の底から」
男「……親友」
親友「……また、遊びにこい」
親友「じゃ……な……」
ガチャ。
男「…………」
男「……ん? どうした?」
親友「……お前、覚えてるか?」
男「……つまり?」
親友「……私とお前が交した約束だ……」
男「…………」
男(勿論、覚えている……忘れるわけないだろ)
親友「頼んだぞ」
男「……ああ、分かってる」
親友「……その返事が聞きたかった」
男「…………」
親友「少しだけ、私の独り言に付き合ってくれ」
男「別に構わないが……」
親友「そうか、ありがとう……」
親友「私は……お前と初めてあった日を今でも鮮明に覚えている」
親友「過去も何もかも不明なお前に、心底私は疑いの目を向けていた」
男「…………」
親友「だが、この一ヶ月」
親友「一緒に過ごして、一緒に話して」
親友「今は、確実に言えるよ……。男、お前は良い奴だ、本当にな」
男「……なんだ、恥ずかしくなってくるだろ……」
親友「お前を信頼しているよ。心の底から」
男「……親友」
親友「……また、遊びにこい」
親友「じゃ……な……」
ガチャ。
男「…………」
204: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:27:25.65 ID:zaTWzoQ0
──エルフの家
男「ただいま……」
エルフ「あっ、おかえりなさい」
エルフ「親友……なんて言ってました?」
男「……駄目だった」
エルフ「…………」
男「分かってたのか? そうアイツが返答するの」
エルフ「……別に、そういうわけではありません……」
男「顔が真っ青だった」
エルフ「…………」
男「声も喉の奥から振り絞るような酷いものだった」
男「アイツは寝起きだと言い訳していたが……」
男「それを信じるほど俺は馬鹿じゃないし、能天気でもない」
エルフ「……男さん、考え過ぎですよ」
男「…………」
エルフ「じゃあ、私、ご飯の準備してきますね」
トコ……トコ……トコ。
男「なあ、エルフ」
エルフ「……え?」
男「ただいま……」
エルフ「あっ、おかえりなさい」
エルフ「親友……なんて言ってました?」
男「……駄目だった」
エルフ「…………」
男「分かってたのか? そうアイツが返答するの」
エルフ「……別に、そういうわけではありません……」
男「顔が真っ青だった」
エルフ「…………」
男「声も喉の奥から振り絞るような酷いものだった」
男「アイツは寝起きだと言い訳していたが……」
男「それを信じるほど俺は馬鹿じゃないし、能天気でもない」
エルフ「……男さん、考え過ぎですよ」
男「…………」
エルフ「じゃあ、私、ご飯の準備してきますね」
トコ……トコ……トコ。
男「なあ、エルフ」
エルフ「……え?」
205: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:27:53.92 ID:zaTWzoQ0
男「お前にはまだあまり喋っていないが……」
男「俺は前の場所で、少しの間ではあったが、色々ヤバい世界の中にいた」
エルフ「…………」
男「隣で死に絶える仲間を何人も見て来たし」
男「拷問で精神が狂っちまった奴も知っている」
男「……俺はな、エルフ」
男「分かってんだよ。今日の親友が普通じゃないってことをさ」
エルフ「……お、男さん……」
男「アレは……既に全てを諦めた目だ」
男「この世にいながらにして、心はもうあっちに逝きかけてる」
男「なあ、教えてくれ」
男「アイツは……親友は……何を恐れている?」
エルフ「…………」
男「この村には、一体、何があるんだ?」
エルフ「……そ、それは」
男「もう騙すのはやめろ。俺を欺くのは、お前には無理だ」
エルフ「…………」
男「俺は前の場所で、少しの間ではあったが、色々ヤバい世界の中にいた」
エルフ「…………」
男「隣で死に絶える仲間を何人も見て来たし」
男「拷問で精神が狂っちまった奴も知っている」
男「……俺はな、エルフ」
男「分かってんだよ。今日の親友が普通じゃないってことをさ」
エルフ「……お、男さん……」
男「アレは……既に全てを諦めた目だ」
男「この世にいながらにして、心はもうあっちに逝きかけてる」
男「なあ、教えてくれ」
男「アイツは……親友は……何を恐れている?」
エルフ「…………」
男「この村には、一体、何があるんだ?」
エルフ「……そ、それは」
男「もう騙すのはやめろ。俺を欺くのは、お前には無理だ」
エルフ「…………」
206: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:29:54.44 ID:zaTWzoQ0
男「はっきり言う」
男「──取り返しがつかなくなってからでは、遅いぞ」
エルフ「……ッ」
男「何事にも迅速に、正確な判断が求められる」
男「俺が数年の間に知ったことだ。お前は、今、それに直面している」
エルフ「わ、たしは……」
男「どうする? どの選択を選ぶ?」
エルフ「……うっ……くうっ……」
男「…………」
エルフ「……っ……うぅ……」
男「…………」
男「話したくなったら、俺のところに来い」
男「力になれるか分からないが、何もしないよりはマシだ」
男「ただ……」
男「どうやら、残された時間はそう無いようだな」
エルフ「ううぅ……うわあぁぁっ」
男「──取り返しがつかなくなってからでは、遅いぞ」
エルフ「……ッ」
男「何事にも迅速に、正確な判断が求められる」
男「俺が数年の間に知ったことだ。お前は、今、それに直面している」
エルフ「わ、たしは……」
男「どうする? どの選択を選ぶ?」
エルフ「……うっ……くうっ……」
男「…………」
エルフ「……っ……うぅ……」
男「…………」
男「話したくなったら、俺のところに来い」
男「力になれるか分からないが、何もしないよりはマシだ」
男「ただ……」
男「どうやら、残された時間はそう無いようだな」
エルフ「ううぅ……うわあぁぁっ」
207: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:30:54.86 ID:zaTWzoQ0
──自室
男「…………」
男(少し鎌をかけたところはあったが、うまくいったかな……)
男(しかし、あの取り乱しようは尋常ではない……)
男(……普段の様子からでは分からなかったが、何かがそこにはある)
男(日々を偽って生活しているような……そんな錯覚に落ち入る)
男「……或いは」
男(そもそも錯覚ではなく……本当にそうだったら?)
男「…………」
男「まだ……来ないか……」
男「もう……四時間は経つんだがな……」
男「最悪の場合……」
男(エルフが来ないことを考える必要があるな……)
男(もう少し待ってこなかったら、俺だけでも親友の側にいよう)
男(そうすれば何かあった時に、対処できる)
男(だが……情報があまりにもないのは気がかりだ……)
男(…………)
男「保険をかけてとくか……」
ガサッ。
男「…………」
男「…………」
男(少し鎌をかけたところはあったが、うまくいったかな……)
男(しかし、あの取り乱しようは尋常ではない……)
男(……普段の様子からでは分からなかったが、何かがそこにはある)
男(日々を偽って生活しているような……そんな錯覚に落ち入る)
男「……或いは」
男(そもそも錯覚ではなく……本当にそうだったら?)
男「…………」
男「まだ……来ないか……」
男「もう……四時間は経つんだがな……」
男「最悪の場合……」
男(エルフが来ないことを考える必要があるな……)
男(もう少し待ってこなかったら、俺だけでも親友の側にいよう)
男(そうすれば何かあった時に、対処できる)
男(だが……情報があまりにもないのは気がかりだ……)
男(…………)
男「保険をかけてとくか……」
ガサッ。
男「…………」
208: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:32:47.16 ID:zaTWzoQ0
──居間
男「…………」
エルフ「…………」
男「なぁ……」
エルフ「あっ……男さん……」
男「まだ、決心はつかないのか?」
エルフ「…………」
男「もしかして……」
男「話したことによる、俺の心配をしてたりしないだろうな?」
エルフ「……そ、それは……」
男「ああ、やっぱりそうか。何だ、それは大きな間違いだぞ」
エルフ「…………」
男「お前が今、一番に心配しなければいけない者は俺ではない」
男「親友とは、小さい頃から一緒に過ごしてきたんだろ? 」
エルフ「はい……」
男「一ヶ月前に唐突にやってきた俺と、親友」
男「比べるまでもない……違うか?」
エルフ「…………」
男「何か、言ってくれ……これじゃあ、埒があかない」
エルフ「……だ、だって……」
エルフ「男さんに話したところで、何も変わりません……」
男「…………」
男(ははっ、信用ねぇな……)
男「…………」
エルフ「…………」
男「なぁ……」
エルフ「あっ……男さん……」
男「まだ、決心はつかないのか?」
エルフ「…………」
男「もしかして……」
男「話したことによる、俺の心配をしてたりしないだろうな?」
エルフ「……そ、それは……」
男「ああ、やっぱりそうか。何だ、それは大きな間違いだぞ」
エルフ「…………」
男「お前が今、一番に心配しなければいけない者は俺ではない」
男「親友とは、小さい頃から一緒に過ごしてきたんだろ? 」
エルフ「はい……」
男「一ヶ月前に唐突にやってきた俺と、親友」
男「比べるまでもない……違うか?」
エルフ「…………」
男「何か、言ってくれ……これじゃあ、埒があかない」
エルフ「……だ、だって……」
エルフ「男さんに話したところで、何も変わりません……」
男「…………」
男(ははっ、信用ねぇな……)
209: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:33:17.14 ID:zaTWzoQ0
男(確かに、この家で暮らしている俺を見たら、そう思うか……)
エルフ「それなのに、男さんが巻き込まれる必要は……」
男「……いいか」
男「時には、何かを犠牲にしてでも成さねばならない時がある」
エルフ「でも……」
男「そして、今、その犠牲は俺が担う。どう転んでも、俺だけが損を喰らうはずさ」
男「助けてもらった恩返し……ここで、させてくれないか?」
エルフ「…………」
男「…………」
男(……ああ、駄目だ……)
男(……エルフは既に諦めている……)
男(……仕方ない……)
男(俺だけでもアイツの家に行くか……当たって砕けるしかないな)
男(しかし、そこまで絶望を与えるものとは何なんだ……?)
男(……くそっ、全く想像がつかない……)
男「とりあえず……時間の問題があるからな」
エルフ「えっ……」
男「行ってくる」
エルフ「ど、どこにですかっ?」
男「それは勿論、親友のところに決まっている」
エルフ「だ、駄目ですっ!!」
ギュッ!
エルフ「それなのに、男さんが巻き込まれる必要は……」
男「……いいか」
男「時には、何かを犠牲にしてでも成さねばならない時がある」
エルフ「でも……」
男「そして、今、その犠牲は俺が担う。どう転んでも、俺だけが損を喰らうはずさ」
男「助けてもらった恩返し……ここで、させてくれないか?」
エルフ「…………」
男「…………」
男(……ああ、駄目だ……)
男(……エルフは既に諦めている……)
男(……仕方ない……)
男(俺だけでもアイツの家に行くか……当たって砕けるしかないな)
男(しかし、そこまで絶望を与えるものとは何なんだ……?)
男(……くそっ、全く想像がつかない……)
男「とりあえず……時間の問題があるからな」
エルフ「えっ……」
男「行ってくる」
エルフ「ど、どこにですかっ?」
男「それは勿論、親友のところに決まっている」
エルフ「だ、駄目ですっ!!」
ギュッ!
210: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:33:48.72 ID:zaTWzoQ0
男「……離してくれ」
エルフ「嫌ですっ……意地でも離しません……」
男「手荒な真似はしたくない。しかも、命の恩人に対しては尚更だ」
エルフ「私、死んでも離しませんからっ!」
男「…………」
男「……ふぅ……」
ザザッ……!
エルフ「……へっ?」
……バンッ。
男「座って帰りを待ってろ」
エルフ「今、私……宙に浮いた……?」
男「……じゃあな」
エルフ「ちょっ、ちょっと待って下さいっ!」
エルフ「男さん、貴方……」
──バァァアアンッ!!
男「なっ……」
エルフ「あっ……」
男「……今の、一体、何の音だ……?」
エルフ「さ、さあ、私には分からないですけど……」
男「…………」
……タタタタタッ。
エルフ「あっ、男さん! 行っちゃ駄目っ!!」
エルフ「嫌ですっ……意地でも離しません……」
男「手荒な真似はしたくない。しかも、命の恩人に対しては尚更だ」
エルフ「私、死んでも離しませんからっ!」
男「…………」
男「……ふぅ……」
ザザッ……!
エルフ「……へっ?」
……バンッ。
男「座って帰りを待ってろ」
エルフ「今、私……宙に浮いた……?」
男「……じゃあな」
エルフ「ちょっ、ちょっと待って下さいっ!」
エルフ「男さん、貴方……」
──バァァアアンッ!!
男「なっ……」
エルフ「あっ……」
男「……今の、一体、何の音だ……?」
エルフ「さ、さあ、私には分からないですけど……」
男「…………」
……タタタタタッ。
エルフ「あっ、男さん! 行っちゃ駄目っ!!」
211: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:36:53.82 ID:zaTWzoQ0
──村
タタタタタッ。
男「……ッ……」
男(急げ……急げっ!)
男(分かっている……確実にこのタイミングは何かあるっ!)
タタタタタッ。
男(音の出た方は、ちょうど村の奥の方だ)
男(だが……あっちには何もないはず……)
男(親友の家とは方向が違うが……それでも、安心は出来ない)
男(とにかく急ごうっ!)
タタタタタッ。
エルフ「はぁ……はぁ……はぁ……」
エルフ「ま、待って……男さんっ……」
男「…………」
男(エルフ……まだ、ついて来てるのか……)
男(よくこのスピードに堪えているな……)
男(……だが)
男(悪いが、急がせてもらう)
男「……先に行ってるぞ」
タタタタタタタッ。
エルフ「……えっ?」
エルフ「は、早い……」
タタタタタッ。
男「……ッ……」
男(急げ……急げっ!)
男(分かっている……確実にこのタイミングは何かあるっ!)
タタタタタッ。
男(音の出た方は、ちょうど村の奥の方だ)
男(だが……あっちには何もないはず……)
男(親友の家とは方向が違うが……それでも、安心は出来ない)
男(とにかく急ごうっ!)
タタタタタッ。
エルフ「はぁ……はぁ……はぁ……」
エルフ「ま、待って……男さんっ……」
男「…………」
男(エルフ……まだ、ついて来てるのか……)
男(よくこのスピードに堪えているな……)
男(……だが)
男(悪いが、急がせてもらう)
男「……先に行ってるぞ」
タタタタタタタッ。
エルフ「……えっ?」
エルフ「は、早い……」
212: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:39:19.71 ID:zaTWzoQ0
──村の外れ
男「くっ……どこだっ」
男(何とか、ここまで辿り着いたが……)
男(……もう相当、奥深くまで来ているぞ……?)
男「…………」
男(駄目だ……がむしゃに考えるな、頭を落ち着かせろ……)
男「……ふぅ……」
男「よし……」
男(……ひとまず、落ち着いたな)
男(方角も場所も恐らくあっているだろう……だから、この近く)
男(村を過ぎて、森の中まで入ってきている)
男(ここに彼女たちの誰かが暮らしているとは、到底考えられないが……)
男(……ん? 何だ?)
男「……この臭い……」
男「これは……」
タタタタタタタッ。
男「……ッ……」
男(何度も嗅いだことがある……)
男(時には作戦中に……或いは、武器整備の時に……)
男(あの臭いは……火薬……)
男「………爆発があったというのか……」
男(どこで? 一体、どうして?)
タタタタタタタッ。
男「くっ……どこだっ」
男(何とか、ここまで辿り着いたが……)
男(……もう相当、奥深くまで来ているぞ……?)
男「…………」
男(駄目だ……がむしゃに考えるな、頭を落ち着かせろ……)
男「……ふぅ……」
男「よし……」
男(……ひとまず、落ち着いたな)
男(方角も場所も恐らくあっているだろう……だから、この近く)
男(村を過ぎて、森の中まで入ってきている)
男(ここに彼女たちの誰かが暮らしているとは、到底考えられないが……)
男(……ん? 何だ?)
男「……この臭い……」
男「これは……」
タタタタタタタッ。
男「……ッ……」
男(何度も嗅いだことがある……)
男(時には作戦中に……或いは、武器整備の時に……)
男(あの臭いは……火薬……)
男「………爆発があったというのか……」
男(どこで? 一体、どうして?)
タタタタタタタッ。
213: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:40:54.96 ID:zaTWzoQo
男「臭いを辿ろう……」
男(神経を集中させろ……ん……)
……タタタタッ。
男「よしっ……」
男(だんだん臭いがキツくなっている)
男(間違いなく、この方向で正しいはずだ)
男(……どこだ、どこで起きた?)
トコトコトコ……。
男「ん?」
男「……あれは……」
男「…………」
男(神経を集中させろ……ん……)
……タタタタッ。
男「よしっ……」
男(だんだん臭いがキツくなっている)
男(間違いなく、この方向で正しいはずだ)
男(……どこだ、どこで起きた?)
トコトコトコ……。
男「ん?」
男「……あれは……」
男「…………」
214: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:42:21.27 ID:zaTWzoQo
──数十分後
エルフ「お、男さん……」
男「おう、よく場所が分かったな」
エルフ「男さんが通っていた後は、草達が潰れてましたから」
男「森に暮らしているだけあるな。俺にはそのスキルはないよ」
エルフ「そんなことより……今は……」
男「ああ、俺も聞きたいことが山ほどあるからな」
エルフ「…………」
男「なぁ……」
エルフ「えっ?」
男「ちょっとついてこい」
トコトコトコ……。
エルフ「え、ちょっと私……」
男「いいからこっちこいよ」
エルフ「…………」
男「……どうした? 何か問題でもあるのか?」
エルフ「……私は行きたくありません」
男「変なことをするつもりはさらさらないさ、早くこっちに来な」
エルフ「…………」
ジャバジャバジャバ……。
エルフ「お、男さん……」
男「おう、よく場所が分かったな」
エルフ「男さんが通っていた後は、草達が潰れてましたから」
男「森に暮らしているだけあるな。俺にはそのスキルはないよ」
エルフ「そんなことより……今は……」
男「ああ、俺も聞きたいことが山ほどあるからな」
エルフ「…………」
男「なぁ……」
エルフ「えっ?」
男「ちょっとついてこい」
トコトコトコ……。
エルフ「え、ちょっと私……」
男「いいからこっちこいよ」
エルフ「…………」
男「……どうした? 何か問題でもあるのか?」
エルフ「……私は行きたくありません」
男「変なことをするつもりはさらさらないさ、早くこっちに来な」
エルフ「…………」
ジャバジャバジャバ……。
215: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:42:54.32 ID:zaTWzoQo
男「ほら、この小川の向こうだ」
エルフ「……嫌です」
男「いいから、早く来い。見せたいものがあるんだから」
エルフ「…………」
男「仕方ないなぁ」
ジャバジャバジャバ……。
男「そんなに頑なに拒むって言うなら……」
トコトコトコ……。
エルフ「なっ……」
男「……俺が、連れてってやるよ」
ガシッ。
エルフ「……嫌です」
男「いいから、早く来い。見せたいものがあるんだから」
エルフ「…………」
男「仕方ないなぁ」
ジャバジャバジャバ……。
男「そんなに頑なに拒むって言うなら……」
トコトコトコ……。
エルフ「なっ……」
男「……俺が、連れてってやるよ」
ガシッ。
216: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:43:24.23 ID:zaTWzoQo
エルフ「や、やめてっ! 離してくださいっ!」
男「ほら、いいからこいって」
エルフ「いやっ、いやっ! お願いだから離してッ!!」
バンッ。
男「……ッ……痛いな、だが俺は離さんぞ」
エルフ「いやいやいやいやっ! やだっ!」
男「ほら、後少しだ」
男「もうすぐで、川に入るぞ?」
エルフ「いやあああああああああああっ!」
男「…………」
エルフ「やだ……やだ……死にたくない……死にたくないです……」
男「…………」
エルフ「だめ……もう、やだ……頭……うぅ……」
男「……やはり、か」
パッ……。
エルフ「えっ……?」
男「悪かったな、無理矢理こんなことして」
エルフ「……いや、その……」
男「ちょっと、試したかったんだ。お前が幾ら経っても、話そうとしないからさ」
エルフ「…………」
男「でも、もう分かった。そういうことなんだな」
エルフ「な、何が……何だか私には……」
男「…………」
男「エルフ、お前……」
男「──頭の中に、爆弾があるんだろ?」
エルフ「……ッ」
男「ほら、いいからこいって」
エルフ「いやっ、いやっ! お願いだから離してッ!!」
バンッ。
男「……ッ……痛いな、だが俺は離さんぞ」
エルフ「いやいやいやいやっ! やだっ!」
男「ほら、後少しだ」
男「もうすぐで、川に入るぞ?」
エルフ「いやあああああああああああっ!」
男「…………」
エルフ「やだ……やだ……死にたくない……死にたくないです……」
男「…………」
エルフ「だめ……もう、やだ……頭……うぅ……」
男「……やはり、か」
パッ……。
エルフ「えっ……?」
男「悪かったな、無理矢理こんなことして」
エルフ「……いや、その……」
男「ちょっと、試したかったんだ。お前が幾ら経っても、話そうとしないからさ」
エルフ「…………」
男「でも、もう分かった。そういうことなんだな」
エルフ「な、何が……何だか私には……」
男「…………」
男「エルフ、お前……」
男「──頭の中に、爆弾があるんだろ?」
エルフ「……ッ」
217: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:45:29.24 ID:zaTWzoQo
──森
ズズ……ズズ……。
男「……うしっと」
男「ほら、持ってきてやったぞ」
エルフ「…………」
男「見るからに、酷い死体だな。こんな状態なのは俺も初めて見る」
男「頭の部分だけ無惨に吹き飛んじまっている、なんてな」
エルフ「……うっ……」
男「よく見てみれば分かるが……」
男「外部からの爆発では、こんな風に綺麗に頭だけは無くならない」
男「大体、他の部位も吹っ飛んで、後に残るのは幾つかの千切れた身体の破片」
男「……だが、これは違う」
エルフ「うぅ……うぅ……」
男「内部から爆発したんだ。バーンッ……って」
エルフ「……も、もういいです……」
男「いいのか? 解説しなくて」
エルフ「も、もういいですから……私はこれ以上、見たくも聞きたくもありません……」
男「おいおい、そんな様子でどうする?」
男「少し間違ったら、お前もこうなっちまうんだろ?」
エルフ「……ッ」
男「……格好から考えて、この死体の元は村の住人だ」
男「どうして逃げようとしたのかは分からないが、この有様」
男「どうだ? 少しぐらい、自分に置き換えて考えられるだろ?」
エルフ「…………」
ズズ……ズズ……。
男「……うしっと」
男「ほら、持ってきてやったぞ」
エルフ「…………」
男「見るからに、酷い死体だな。こんな状態なのは俺も初めて見る」
男「頭の部分だけ無惨に吹き飛んじまっている、なんてな」
エルフ「……うっ……」
男「よく見てみれば分かるが……」
男「外部からの爆発では、こんな風に綺麗に頭だけは無くならない」
男「大体、他の部位も吹っ飛んで、後に残るのは幾つかの千切れた身体の破片」
男「……だが、これは違う」
エルフ「うぅ……うぅ……」
男「内部から爆発したんだ。バーンッ……って」
エルフ「……も、もういいです……」
男「いいのか? 解説しなくて」
エルフ「も、もういいですから……私はこれ以上、見たくも聞きたくもありません……」
男「おいおい、そんな様子でどうする?」
男「少し間違ったら、お前もこうなっちまうんだろ?」
エルフ「……ッ」
男「……格好から考えて、この死体の元は村の住人だ」
男「どうして逃げようとしたのかは分からないが、この有様」
男「どうだ? 少しぐらい、自分に置き換えて考えられるだろ?」
エルフ「…………」
218: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:46:55.57 ID:zaTWzoQo
男「それとも何だ? 自分と他人は違うってか?」
男「他人がこうやって死のうが、私には全く関係ないし、知りたくもないって?」
エルフ「……ッ」
男「毎日、偽りながら繰り返しの生活を続けて……」
男「……いつ死ぬかもしれないという恐怖を必死に隠して」
男「楽しいか? それで、満足か?」
エルフ「……ッ!」
男「……この様子だと、あの子供たちにも同じ処置がなされているんだろうな」
男「笑顔で元気一杯な無垢な少女たちが、その実、死との隣り合わせの日々を送っている」
男「それに、お前は胸が痛んだり……」
エルフ「──あなたに一体何が分かるっていうんですかッ!!」
男「…………」
エルフ「一ヶ月前に他所からやってきた貴方にっ! 私達の何が分かるんですかっ!!」
エルフ「毎日、恐怖して……次は私の番じゃないかって怯えてっ!」
エルフ「学校で子供たちに笑顔で接している傍ら……」
エルフ「実際は、その学校自体が子供たちを逃がさないための施設で……」
エルフ「それを分かっていて……辛くて苦しいのに……日々を送らねばならない私の気持ちが……」
エルフ「──貴方に分かる訳もないじゃないですかっ!!」
男「…………」
男「他人がこうやって死のうが、私には全く関係ないし、知りたくもないって?」
エルフ「……ッ」
男「毎日、偽りながら繰り返しの生活を続けて……」
男「……いつ死ぬかもしれないという恐怖を必死に隠して」
男「楽しいか? それで、満足か?」
エルフ「……ッ!」
男「……この様子だと、あの子供たちにも同じ処置がなされているんだろうな」
男「笑顔で元気一杯な無垢な少女たちが、その実、死との隣り合わせの日々を送っている」
男「それに、お前は胸が痛んだり……」
エルフ「──あなたに一体何が分かるっていうんですかッ!!」
男「…………」
エルフ「一ヶ月前に他所からやってきた貴方にっ! 私達の何が分かるんですかっ!!」
エルフ「毎日、恐怖して……次は私の番じゃないかって怯えてっ!」
エルフ「学校で子供たちに笑顔で接している傍ら……」
エルフ「実際は、その学校自体が子供たちを逃がさないための施設で……」
エルフ「それを分かっていて……辛くて苦しいのに……日々を送らねばならない私の気持ちが……」
エルフ「──貴方に分かる訳もないじゃないですかっ!!」
男「…………」
219: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:47:47.06 ID:zaTWzoQo
男(やっと……話してくれたな……)
男(ここまで怒らせないと無理だとは……意外に、頑な奴だ)
男(よし、こうなったら出来るだけ聞き出そう)
男「……では、食料がたくさんある訳は?」
男「村のどこを見渡しても、作物を栽培している様子はなかった」
男「しかし食うに困らない……いや、余るほどの食料があるのは何故だ?」
エルフ「そんなの簡単です……」
エルフ「中央から送られてくるんですよ……」
男「中央?」
エルフ「男さんはここが未発達の世界だと考えているのかもしれませんが……」
エルフ「……ここは結局、作られた自然に過ぎないんです」
男「……それは」
男(……どういうことだ……? 作られた自然?)
エルフ「男さんの言う通りですよ……私達は、この村から出ることが出来ない」
男(それはつまり……)
男(水浸しになるという、不便な場所でわざわざ暮らす理由か……)
エルフ「子供も例外ではありません……全員、頭に細工がされているんです」
エルフ「まだ幼く何をするか分からない子供たちは、基本、学校で寝泊まりをしています」
男(そういえば、ある時、子供たちが言っていたな……)
男(みんな学校で暮らしてるんだよって……)
男(……そのとき、違和感を感じたが……そういう理由だったのか)
男(ここまで怒らせないと無理だとは……意外に、頑な奴だ)
男(よし、こうなったら出来るだけ聞き出そう)
男「……では、食料がたくさんある訳は?」
男「村のどこを見渡しても、作物を栽培している様子はなかった」
男「しかし食うに困らない……いや、余るほどの食料があるのは何故だ?」
エルフ「そんなの簡単です……」
エルフ「中央から送られてくるんですよ……」
男「中央?」
エルフ「男さんはここが未発達の世界だと考えているのかもしれませんが……」
エルフ「……ここは結局、作られた自然に過ぎないんです」
男「……それは」
男(……どういうことだ……? 作られた自然?)
エルフ「男さんの言う通りですよ……私達は、この村から出ることが出来ない」
男(それはつまり……)
男(水浸しになるという、不便な場所でわざわざ暮らす理由か……)
エルフ「子供も例外ではありません……全員、頭に細工がされているんです」
エルフ「まだ幼く何をするか分からない子供たちは、基本、学校で寝泊まりをしています」
男(そういえば、ある時、子供たちが言っていたな……)
男(みんな学校で暮らしてるんだよって……)
男(……そのとき、違和感を感じたが……そういう理由だったのか)
220: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:48:40.52 ID:zaTWzoQo
男「……では、最後に」
男「こいつが逃げ出した理由は何だ?」
エルフ「…………」
男「親友と……関係してるんだろ?」
エルフ「……ッ」
男「頼む……話してくれ……こんな状況はあまりにも異常すぎる」
男「俺に、お前の気持ちが分かる訳もない」
男「……こんな苦しみが続く世界を、俺は知らないからな……」
エルフ「…………」
男「もしかして、諦めるという手段を取るしか、自分の精神を保てないのか……?」
エルフ「……うぅ……」
男「……頼む……話してくれ……」
男「望みが少しでも生まれることは……そんなに悪いことじゃないはずだ……」
エルフ「……うぅ……くうっ……」
男「初めて親友と家で会った時……」
男「……帰りにアイツにこう約束させられたんだ」
エルフ「……え?」
男「『何かあったら、エルフを助けてやってくれ』ってな」
エルフ「そ、そんな……」
男「今日も念を押されたよ。アイツはお前のことを本当に大事に想っている」
男「…………勝手な推測だが」
男「自分に……脅威が迫っているにもかかわらずな……」
エルフ「……うぅ……うああ……」
エルフ「……ごめん……ごめんなさい……うぅっ……」
エルフ「……っ、ご、めんっ……う、あぁ、うわああああっ!」
男「こいつが逃げ出した理由は何だ?」
エルフ「…………」
男「親友と……関係してるんだろ?」
エルフ「……ッ」
男「頼む……話してくれ……こんな状況はあまりにも異常すぎる」
男「俺に、お前の気持ちが分かる訳もない」
男「……こんな苦しみが続く世界を、俺は知らないからな……」
エルフ「…………」
男「もしかして、諦めるという手段を取るしか、自分の精神を保てないのか……?」
エルフ「……うぅ……」
男「……頼む……話してくれ……」
男「望みが少しでも生まれることは……そんなに悪いことじゃないはずだ……」
エルフ「……うぅ……くうっ……」
男「初めて親友と家で会った時……」
男「……帰りにアイツにこう約束させられたんだ」
エルフ「……え?」
男「『何かあったら、エルフを助けてやってくれ』ってな」
エルフ「そ、そんな……」
男「今日も念を押されたよ。アイツはお前のことを本当に大事に想っている」
男「…………勝手な推測だが」
男「自分に……脅威が迫っているにもかかわらずな……」
エルフ「……うぅ……うああ……」
エルフ「……ごめん……ごめんなさい……うぅっ……」
エルフ「……っ、ご、めんっ……う、あぁ、うわああああっ!」
222: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:50:02.90 ID:zaTWzoQo
男「…………」
男(辛いだろうな……想像もつかないほど……)
男(しかし、何の目的でこんな残酷なことをしているんだ……?)
男(そして、この死体の主のように、どうして逃げる必要があった?)
男(村の中は安全なんじゃないのか?)
エルフ「……お、男さん……」
男「……ん?」
エルフ「……さきほどからの男さんの行動を見て……」
エルフ「私……確信しました……男さんは、きっと何かを成せる人です……」
男「…………」
エルフ「まずは……初めのことから話さないといけません……」
エルフ「私がどうして……男さんを……この村に連れて来たのか……」
エルフ「私……初め、男さんのことを中央の人だと思ってたんです……」
男「……中央? 俺が?」
エルフ「はい……中央の人は私達とは違って、耳も長かったりしませんから……」
男(どういうことだ? この世界にも人間がいるのか?)
エルフ「でも、話してみると、全然そんなことはなくて……」
エルフ「大きな誤解をしていて……すみませんでした……」
男「……いいや、謝る必要なんてない」
エルフ「で、でも……」
男「いいんだ……。それより……親友のことは?」
男(辛いだろうな……想像もつかないほど……)
男(しかし、何の目的でこんな残酷なことをしているんだ……?)
男(そして、この死体の主のように、どうして逃げる必要があった?)
男(村の中は安全なんじゃないのか?)
エルフ「……お、男さん……」
男「……ん?」
エルフ「……さきほどからの男さんの行動を見て……」
エルフ「私……確信しました……男さんは、きっと何かを成せる人です……」
男「…………」
エルフ「まずは……初めのことから話さないといけません……」
エルフ「私がどうして……男さんを……この村に連れて来たのか……」
エルフ「私……初め、男さんのことを中央の人だと思ってたんです……」
男「……中央? 俺が?」
エルフ「はい……中央の人は私達とは違って、耳も長かったりしませんから……」
男(どういうことだ? この世界にも人間がいるのか?)
エルフ「でも、話してみると、全然そんなことはなくて……」
エルフ「大きな誤解をしていて……すみませんでした……」
男「……いいや、謝る必要なんてない」
エルフ「で、でも……」
男「いいんだ……。それより……親友のことは?」
223: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:52:06.18 ID:zaTWzoQo
エルフ「…………」
エルフ「……お願いします……」
エルフ「……男さん……聞いても驚かないでくださいね……」
エルフ「今から、私達のことを話します……もう、隠し通すのは無理ですから……」
男「…………」
エルフ「……ふぅ」
エルフ「……ちょっと、勇気がいりますね……」
エルフ「男さんに、軽蔑されるんじゃないかと思うと辛いです……」
エルフ「でも決めました……もう、言うことにします」
男(……軽蔑? 意味がわからない……)
エルフ「……お願いします……」
エルフ「……男さん……聞いても驚かないでくださいね……」
エルフ「今から、私達のことを話します……もう、隠し通すのは無理ですから……」
男「…………」
エルフ「……ふぅ」
エルフ「……ちょっと、勇気がいりますね……」
エルフ「男さんに、軽蔑されるんじゃないかと思うと辛いです……」
エルフ「でも決めました……もう、言うことにします」
男(……軽蔑? 意味がわからない……)
224: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:52:49.96 ID:zaTWzoQo
エルフ「初め、男さんは私の姿を見て」
エルフ「エルフという架空の種族に似ていると言っていましたよね」
男「あ、ああ……」
エルフ「魔法が使えて……長生きもして……」
エルフ「前も言いましたが、私達はそんな性質を持っていません……」
男「でも、女しかいないんだろ?」
エルフ「……はい、そうです」
エルフ「それも……実はきちんとした訳があるんです」
エルフ「この村に、歳をとった者がいない訳も」
エルフ「中央から、大量の食料が送られてくる訳も」
エルフ「そして……」
エルフ「この村から逃げられないように、処置がされている訳も……」
エルフ「全て、説明がつきます……」
男「……それは……」
エルフ「…………」
エルフ「聞いても、今までと同じ様に接してくれること祈って」
エルフ「……いいですか、男さん」
エルフ「……実のところ、私達は……」
エルフ「──……『食料』なんですよ」
エルフ「エルフという架空の種族に似ていると言っていましたよね」
男「あ、ああ……」
エルフ「魔法が使えて……長生きもして……」
エルフ「前も言いましたが、私達はそんな性質を持っていません……」
男「でも、女しかいないんだろ?」
エルフ「……はい、そうです」
エルフ「それも……実はきちんとした訳があるんです」
エルフ「この村に、歳をとった者がいない訳も」
エルフ「中央から、大量の食料が送られてくる訳も」
エルフ「そして……」
エルフ「この村から逃げられないように、処置がされている訳も……」
エルフ「全て、説明がつきます……」
男「……それは……」
エルフ「…………」
エルフ「聞いても、今までと同じ様に接してくれること祈って」
エルフ「……いいですか、男さん」
エルフ「……実のところ、私達は……」
エルフ「──……『食料』なんですよ」
225: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:53:24.54 ID:zaTWzoQo
>>221 #^ω^)
226: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:54:11.38 ID:zaTWzoQo
──村
エルフ「男さん、本当に行くんですか……?」
男「ああ、エルフは家で帰りを待っていてくれ」
エルフ「わ、私も……」
男「──はっきり言おう。正直、足手まといになるだけだ」
エルフ「…………」
男「残念なことに、俺はまだ何の解決策も見つけられていない」
男「必死に頭という頭を使っているが……」
男「どう足掻いても根本的な問題は残ってしまう」
エルフ「……男さん……」
男「でもはっきりしていることはある」
男「誰かが何かをしなければ……この負の連鎖は一生続くだろう」
エルフ「…………」
男「親友が、あの死体のように……或いは、工場で解体されるのを」
男「俺は、見過ごせない」
エルフ「……ッ」
男「そうだ、良いことを思いついた」
エルフ「えっ……」
男「今から、お前と新たに約束を交そう」
男「俺は……お前の友を、必ず救ってやる」
エルフ「……あ、ああ……」
男「これは約束であり、契約だ。決して切れることはない」
エルフ「……わ、わたし……」
男「……お前にも、やって欲しいことがある」
エルフ「男さん、本当に行くんですか……?」
男「ああ、エルフは家で帰りを待っていてくれ」
エルフ「わ、私も……」
男「──はっきり言おう。正直、足手まといになるだけだ」
エルフ「…………」
男「残念なことに、俺はまだ何の解決策も見つけられていない」
男「必死に頭という頭を使っているが……」
男「どう足掻いても根本的な問題は残ってしまう」
エルフ「……男さん……」
男「でもはっきりしていることはある」
男「誰かが何かをしなければ……この負の連鎖は一生続くだろう」
エルフ「…………」
男「親友が、あの死体のように……或いは、工場で解体されるのを」
男「俺は、見過ごせない」
エルフ「……ッ」
男「そうだ、良いことを思いついた」
エルフ「えっ……」
男「今から、お前と新たに約束を交そう」
男「俺は……お前の友を、必ず救ってやる」
エルフ「……あ、ああ……」
男「これは約束であり、契約だ。決して切れることはない」
エルフ「……わ、わたし……」
男「……お前にも、やって欲しいことがある」
227: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:54:46.63 ID:zaTWzoQo
エルフ「何でしょうかっ、私、何でもやりますっ!」
男「……俺を」
男「──ただ、信じていて欲しい」
エルフ「……信じる?」
男「そうだ、俺を心の底から信頼して、大いに望みを抱け」
エルフ「で、でも……」
男「もう、裏切られることを恐れるな。胸に確かな希望を持つんだ」
エルフ「希望を持つ……」
男「そうすれば、きっと、今には見えないものが見えてくる」
男「自分が今やるべき行動が、選択が、必ず取れるはずだ」
エルフ「…………」
男「いいか、出来るか?」
エルフ「……はい、約束……契約します……」
男「…………」
エルフ「私は……男さん……あなたを……」
エルフ「──心の底から信じますっ!」
男「……俺を」
男「──ただ、信じていて欲しい」
エルフ「……信じる?」
男「そうだ、俺を心の底から信頼して、大いに望みを抱け」
エルフ「で、でも……」
男「もう、裏切られることを恐れるな。胸に確かな希望を持つんだ」
エルフ「希望を持つ……」
男「そうすれば、きっと、今には見えないものが見えてくる」
男「自分が今やるべき行動が、選択が、必ず取れるはずだ」
エルフ「…………」
男「いいか、出来るか?」
エルフ「……はい、約束……契約します……」
男「…………」
エルフ「私は……男さん……あなたを……」
エルフ「──心の底から信じますっ!」
228: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:55:22.46 ID:zaTWzoQo
──村
トコトコトコトコ。
男「…………」
男(ずっと考えてた)
男(どうして、俺がこんな目に遭うんだろうって)
男(何も悪いことはしていないのに、こんなに運命に振り回されるのは何故だって)
トコトコトコ。
男(自分の人生に嫌気がさして)
男(何も変わらない、つまらない日々を呪って)
男(あらゆることから逃げて来た俺……)
トコトコ。
男(……初めは妹を持ちたいと軽い気持ちで考えていた)
男(それが次の瞬間、見知らぬ収容所に押し込まれて)
男(気が付けば、テロリストの仲間になった……そして、自分の本質が変わっていくのを感じたんだ)
男(国を変えようと本気で決意した時、何かが、胸の中で生まれた)
トコトコ。
トコトコトコトコ。
男「…………」
男(ずっと考えてた)
男(どうして、俺がこんな目に遭うんだろうって)
男(何も悪いことはしていないのに、こんなに運命に振り回されるのは何故だって)
トコトコトコ。
男(自分の人生に嫌気がさして)
男(何も変わらない、つまらない日々を呪って)
男(あらゆることから逃げて来た俺……)
トコトコ。
男(……初めは妹を持ちたいと軽い気持ちで考えていた)
男(それが次の瞬間、見知らぬ収容所に押し込まれて)
男(気が付けば、テロリストの仲間になった……そして、自分の本質が変わっていくのを感じたんだ)
男(国を変えようと本気で決意した時、何かが、胸の中で生まれた)
トコトコ。
229: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:56:01.73 ID:zaTWzoQo
男(……きっとそれは確信だった)
男(変えられないものなど、何もない)
男(どんなに苦難な道だとしても、諦める以外の方法が必ずある)
男(あの最後の作戦の日、それを身に染みて痛感した)
トコトコ……ピタッ……。
男「…………」
男(だから、今なら分かるんだ)
男(どうして、俺がこんな目に遭うのか)
男(運命がここまでして俺に難題をぶつけて来たのは何故か)
男(それは、すべて……)
男「……今日という日のためだったんだな」
──バンッ。
男(変えられないものなど、何もない)
男(どんなに苦難な道だとしても、諦める以外の方法が必ずある)
男(あの最後の作戦の日、それを身に染みて痛感した)
トコトコ……ピタッ……。
男「…………」
男(だから、今なら分かるんだ)
男(どうして、俺がこんな目に遭うのか)
男(運命がここまでして俺に難題をぶつけて来たのは何故か)
男(それは、すべて……)
男「……今日という日のためだったんだな」
──バンッ。
230: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:56:35.50 ID:zaTWzoQo
──親友の家
バンッ。
親友「うわっ……だ、誰だっ!?」
男「入るぞ」
親友「その声は……お、男か……」
親友「ど、どうしたんだ……こんな夜遅くに……」
親友「今日はやることがあると言ったろ……早く、帰ってくれ……」
男「……いいや、駄目だ」
親友「いいから帰れっ!」
親友「頼むからっ! 私を一人にしてくれよっ!」
男「……それが本心か?」
親友「えっ?」
男「本当に心の底からそう思っているのか?」
親友「ど、どういうことだ……?」
男「もういいと諦めて、ただ終わりの朝を待つのか?」
親友「……ま、まさか……エルフが……話したのか……?」
親友「くそっ……なんでまた……」
男「いいか、よく聞け」
男「俺は今、猛烈に腹が立っている」
親友「…………」
バンッ。
親友「うわっ……だ、誰だっ!?」
男「入るぞ」
親友「その声は……お、男か……」
親友「ど、どうしたんだ……こんな夜遅くに……」
親友「今日はやることがあると言ったろ……早く、帰ってくれ……」
男「……いいや、駄目だ」
親友「いいから帰れっ!」
親友「頼むからっ! 私を一人にしてくれよっ!」
男「……それが本心か?」
親友「えっ?」
男「本当に心の底からそう思っているのか?」
親友「ど、どういうことだ……?」
男「もういいと諦めて、ただ終わりの朝を待つのか?」
親友「……ま、まさか……エルフが……話したのか……?」
親友「くそっ……なんでまた……」
男「いいか、よく聞け」
男「俺は今、猛烈に腹が立っている」
親友「…………」
231: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 10:58:25.54 ID:zaTWzoQo
男「理由は簡単だ。お前にも分かるだろ?」
親友「……もう私には生きることが出来ないと……諦めたから?」
男「違う」
男「お前が、俺を頼らなかったからだ」
親友「……うっ」
男「友を助けたいと俺に託したよな? 信じられると」
男「それなのに、何故自分のことは黙っていようとした?」
男「それで俺が納得でもすると思ったのか?」
親友「そ、そういうわけでは……」
男「悪いな。俺は執念深い男なんだ。今日はいつになく、無茶をさせてもらう」
親友「……だ、だがっ」
男「俺の心配をしようなんて思うなよ。これは俺が勝手にやっているんだからな」
親友「お、男……」
男「まずは、詳しい話を聞きたい」
男「あいつらは何時頃、ここにやってくる?」
親友「噂で……明け方としか……聞いていない」
男「何人で武装してくるのかはわかるか?」
親友「いや……それも分からない」
男「そうか、では質問を変える」
親友「あ、ああ……」
男「どうやって自分の番が来ると分かった?」
親友「数日前……家の前のところに手紙がおいてあった……」
親友「中には、赤字で今日の日付が書かれていただけだ」
親友「……もう私には生きることが出来ないと……諦めたから?」
男「違う」
男「お前が、俺を頼らなかったからだ」
親友「……うっ」
男「友を助けたいと俺に託したよな? 信じられると」
男「それなのに、何故自分のことは黙っていようとした?」
男「それで俺が納得でもすると思ったのか?」
親友「そ、そういうわけでは……」
男「悪いな。俺は執念深い男なんだ。今日はいつになく、無茶をさせてもらう」
親友「……だ、だがっ」
男「俺の心配をしようなんて思うなよ。これは俺が勝手にやっているんだからな」
親友「お、男……」
男「まずは、詳しい話を聞きたい」
男「あいつらは何時頃、ここにやってくる?」
親友「噂で……明け方としか……聞いていない」
男「何人で武装してくるのかはわかるか?」
親友「いや……それも分からない」
男「そうか、では質問を変える」
親友「あ、ああ……」
男「どうやって自分の番が来ると分かった?」
親友「数日前……家の前のところに手紙がおいてあった……」
親友「中には、赤字で今日の日付が書かれていただけだ」
233: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:00:32.16 ID:zaTWzoQo
男「……その状況は、今までと一緒なんだな?」
親友「そう、聞いていた話と同じ。いつかは必ず来るとね……」
男「分かった……とりあえず、準備をしないといけないな」
親友「……準備って……」
男「奴らを迎える準備だよ。今のうちにやれることはやっておこう」
親友「…………」
親友「……なあ、男……」
男「ん? どうした?」
親友「お、お前……本当に……あの男か?」
男「…………」
親友「口調も少し違う気がするし……それに」
親友「その迫力みたいなものを一体なんなんだ……?」
男「……さあ、分からんよ」
男「ただ、やっと長年の疑問が解けたことが関係しているのかもな」
親友「……どういうことだ?」
男「──もうすぐに分かる、多分な」
親友「そう、聞いていた話と同じ。いつかは必ず来るとね……」
男「分かった……とりあえず、準備をしないといけないな」
親友「……準備って……」
男「奴らを迎える準備だよ。今のうちにやれることはやっておこう」
親友「…………」
親友「……なあ、男……」
男「ん? どうした?」
親友「お、お前……本当に……あの男か?」
男「…………」
親友「口調も少し違う気がするし……それに」
親友「その迫力みたいなものを一体なんなんだ……?」
男「……さあ、分からんよ」
男「ただ、やっと長年の疑問が解けたことが関係しているのかもな」
親友「……どういうことだ?」
男「──もうすぐに分かる、多分な」
235: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:01:53.63 ID:zaTWzoQo
──明け方
男「……夜が明けたな」
親友「あ、ああ……」
男「そろそろだろう。打ち合わせ通り頼んだぞ」
親友「…………」
男「どうした、震えているじゃないか?」
親友「こればかりは……分かっていても……なっ?」
男「…………」
親友「……男……」
男「ん?」
親友「もしも失敗したら……」
男「──そんなことにはならない」
親友「…………」
男「いいから、予定通り行くんだ。分かったな?」
親友「…………」
男「返事はどうした?」
親友「あ、ああ……すまない……」
男「よし……なら俺は、少し、外に出てくる」
親友「だ、大丈夫なのか?」
男「安心しろ、恐らくまだだ」
男「……夜が明けたな」
親友「あ、ああ……」
男「そろそろだろう。打ち合わせ通り頼んだぞ」
親友「…………」
男「どうした、震えているじゃないか?」
親友「こればかりは……分かっていても……なっ?」
男「…………」
親友「……男……」
男「ん?」
親友「もしも失敗したら……」
男「──そんなことにはならない」
親友「…………」
男「いいから、予定通り行くんだ。分かったな?」
親友「…………」
男「返事はどうした?」
親友「あ、ああ……すまない……」
男「よし……なら俺は、少し、外に出てくる」
親友「だ、大丈夫なのか?」
男「安心しろ、恐らくまだだ」
237: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:02:35.45 ID:zaTWzoQo
──外
男「……さて、どうするか」
男(このままやってきた奴らを蹴散らすのは、造作ない)
男(油断し切った相手を[ピーーー]のは、難しくないからな)
男(ただ……問題が一つある)
男「……この後、どうする……?」
男(そう、成功した後のことを考えなければならない)
男(今日で相手のメンバーを皆殺しにして、それで片付くほど単純ではない)
男(エルフたちを全員逃がそうと考えても……一体どこに?)
男(そもそも、彼女たちはこの村を離れることが出来ない)
男「今日を乗り切ったとしても……これからが大変だ」
男(異常を察知した相手側は、今度こそは油断せずにやってくるだろう)
男(仮にそれを乗り切ったとしても……また、次がある)
男(永遠に続いてしまっては……俺の身体は持たない)
男(…………)
男「……ん?」
男「そういえば、今日は、霧が晴れてるな……」
男「…………」
トコ……トコ……トコ。
男「……あれは何だ……?」
男「遠くに見える……あの尖った山……にしては、鋭角す……」
男「──あっ……」
男「……さて、どうするか」
男(このままやってきた奴らを蹴散らすのは、造作ない)
男(油断し切った相手を[ピーーー]のは、難しくないからな)
男(ただ……問題が一つある)
男「……この後、どうする……?」
男(そう、成功した後のことを考えなければならない)
男(今日で相手のメンバーを皆殺しにして、それで片付くほど単純ではない)
男(エルフたちを全員逃がそうと考えても……一体どこに?)
男(そもそも、彼女たちはこの村を離れることが出来ない)
男「今日を乗り切ったとしても……これからが大変だ」
男(異常を察知した相手側は、今度こそは油断せずにやってくるだろう)
男(仮にそれを乗り切ったとしても……また、次がある)
男(永遠に続いてしまっては……俺の身体は持たない)
男(…………)
男「……ん?」
男「そういえば、今日は、霧が晴れてるな……」
男「…………」
トコ……トコ……トコ。
男「……あれは何だ……?」
男「遠くに見える……あの尖った山……にしては、鋭角す……」
男「──あっ……」
240: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:05:49.99 ID:zaTWzoQo
>>237
[ピーーー] ってwwwwww
特定ワードはこうなるのね
>男(油断し切った相手をコロスのは、難しくないからな)
[ピーーー] ってwwwwww
特定ワードはこうなるのね
>男(油断し切った相手をコロスのは、難しくないからな)
241: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:07:41.73 ID:zaTWzoQo
>>239
了解了解、ここの仕様よくしらねーんだわ
了解了解、ここの仕様よくしらねーんだわ
243: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:09:27.11 ID:zaTWzoQo
──親友の家
ガチャッ!
男「おいっ、聞きたいことがあるっ!」
親友「ど、どうしたんだ……? えらい剣幕じゃないか……」
男「ここからずっと遠くに聳え建っている、あれは何だ?」
親友「あ、ああ……あれは、多分、中央の建物だ」
男「中央の建物?」
親友「やつらのシンボルさ……この村にもモニュメントがあるだろ?」
男「……そうか、そういうことだったのか」
男(だから、エルフは初めの日にあそこに案内したんだな)
男(あれを見て俺がどんな反応をするかで、確信を持ちたかったんだ……)
男(ん……待てよ……)
男(…………)
親友「で、それが一体どうかしたのか?」
男「あそこには……恐らく、中央の敵玉が居座っているだろ?」
親友「ああ、多分、そのはずだな」
男「…………」
親友「……男?」
男「よし、いいぞ……。これで最後の駒が揃った」
親友「最後の駒……?」
男「……親友、作戦を変更する」
親友「い、今更か? それで間に合うのかっ?」
男「ああ、大丈夫だ。今より、ずっと確実で……未来がある」
親友「……そうか、お前がそういうならそうなんだろうな……」
男「それでな……お前にやって貰いたいことが──」
ガチャッ!
男「おいっ、聞きたいことがあるっ!」
親友「ど、どうしたんだ……? えらい剣幕じゃないか……」
男「ここからずっと遠くに聳え建っている、あれは何だ?」
親友「あ、ああ……あれは、多分、中央の建物だ」
男「中央の建物?」
親友「やつらのシンボルさ……この村にもモニュメントがあるだろ?」
男「……そうか、そういうことだったのか」
男(だから、エルフは初めの日にあそこに案内したんだな)
男(あれを見て俺がどんな反応をするかで、確信を持ちたかったんだ……)
男(ん……待てよ……)
男(…………)
親友「で、それが一体どうかしたのか?」
男「あそこには……恐らく、中央の敵玉が居座っているだろ?」
親友「ああ、多分、そのはずだな」
男「…………」
親友「……男?」
男「よし、いいぞ……。これで最後の駒が揃った」
親友「最後の駒……?」
男「……親友、作戦を変更する」
親友「い、今更か? それで間に合うのかっ?」
男「ああ、大丈夫だ。今より、ずっと確実で……未来がある」
親友「……そうか、お前がそういうならそうなんだろうな……」
男「それでな……お前にやって貰いたいことが──」
244: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:10:31.92 ID:zaTWzoQo
──三十分後
男「…………」
男「……来た」
親友「……わ、わかった……」
男「無理だと分かっているが、落ち着け」
親友「わ、悪い……だが、震えが止まらないんだ……」
男「…………」
男「親友、俺の目を見ろ」
親友「……あ、ああ、分かった……」
男「ほら、じっとだ」
親友「……ん」
男「…………」
親友「…………」
男「どうだ? 少し落ち着いたか?」
親友「お前の目……全くぶれないんだな……」
男「ああ、だから大丈夫だ……安心しろ」
男「俺が、お前を救ってやるから」
親友「……男……」
男「じゃあな」
男「…………」
男「……来た」
親友「……わ、わかった……」
男「無理だと分かっているが、落ち着け」
親友「わ、悪い……だが、震えが止まらないんだ……」
男「…………」
男「親友、俺の目を見ろ」
親友「……あ、ああ、分かった……」
男「ほら、じっとだ」
親友「……ん」
男「…………」
親友「…………」
男「どうだ? 少し落ち着いたか?」
親友「お前の目……全くぶれないんだな……」
男「ああ、だから大丈夫だ……安心しろ」
男「俺が、お前を救ってやるから」
親友「……男……」
男「じゃあな」
245: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:11:00.15 ID:zaTWzoQo
──親友の家
バタバタバタ……バンッ!
?「……ん? なんだ、やけに静かだな」
親友「…………」
?「いい心がけだ、悪あがきはしないに越したことがない」
親友「……もう、いいんだ……」
親友「頼むから……苦しくないようにしてくれ……」
?「……ふむ、分かっている、安心しろ」
?「ただ、ここで殺しはしない。向こうに着いてからな」
親友「もう……どちらでもいい……」
?「…………」
?「よし、薬を打って眠らせろ」
?「はっ」
プスッ。
親友「……うぅ……」
親友「…………」
?「ん、連れて行け」
?「了解」
バタバタバタ……。
男「…………」
男「行ったか……」
男「よし……後は俺にかかってるな……」
男「……やるぞ」
バタバタバタ……バンッ!
?「……ん? なんだ、やけに静かだな」
親友「…………」
?「いい心がけだ、悪あがきはしないに越したことがない」
親友「……もう、いいんだ……」
親友「頼むから……苦しくないようにしてくれ……」
?「……ふむ、分かっている、安心しろ」
?「ただ、ここで殺しはしない。向こうに着いてからな」
親友「もう……どちらでもいい……」
?「…………」
?「よし、薬を打って眠らせろ」
?「はっ」
プスッ。
親友「……うぅ……」
親友「…………」
?「ん、連れて行け」
?「了解」
バタバタバタ……。
男「…………」
男「行ったか……」
男「よし……後は俺にかかってるな……」
男「……やるぞ」
246: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:12:10.19 ID:zaTWzoQo
──???
班長「これで、今日の仕事は終わったも同然だ」
班長「本日は何時に比べて、スムーズにいった。後は送り届けるだけだな」
作業員1「一人だけでいいんですか?」
班長「もう一人は廃棄処分になったから仕方ない。また後日改める」
作業員1「分かりました」
班長「よし、貨物をトラックに入れろ。きちんと黒い袋に詰めただろうな」
作業員2「大丈夫です。今から、積んできます」
班長「ん、数分後に出発する、急げ」
作業員たち「「了解っ」」
班長「これで、今日の仕事は終わったも同然だ」
班長「本日は何時に比べて、スムーズにいった。後は送り届けるだけだな」
作業員1「一人だけでいいんですか?」
班長「もう一人は廃棄処分になったから仕方ない。また後日改める」
作業員1「分かりました」
班長「よし、貨物をトラックに入れろ。きちんと黒い袋に詰めただろうな」
作業員2「大丈夫です。今から、積んできます」
班長「ん、数分後に出発する、急げ」
作業員たち「「了解っ」」
247: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:12:47.34 ID:zaTWzoQo
──トラック周辺
男「…………」
男(敵の数は五人か……)
男(何の武装もしていない……あまりにも軽卒だな)
男(思った以上にスムーズにいけそうだ)
男(しかし、この世界にも車があるなんてな)
男(形がかなり違うから、燃料なども同じではないんだろう……)
男(……あっちの世界より、相当進歩している印象だ)
男(…………ん)
男(親友を積んだな……)
男(……よし、今だっ)
男「…………」
男(敵の数は五人か……)
男(何の武装もしていない……あまりにも軽卒だな)
男(思った以上にスムーズにいけそうだ)
男(しかし、この世界にも車があるなんてな)
男(形がかなり違うから、燃料なども同じではないんだろう……)
男(……あっちの世界より、相当進歩している印象だ)
男(…………ん)
男(親友を積んだな……)
男(……よし、今だっ)
248: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:13:46.51 ID:zaTWzoQo
──トラック
ガチャン。
作業員2「よし、これでいい。後は、俺がしておくから先行ってこい」
作業員3「分かった、任せたぞ」
タタタタ……。
作業員2「このボタンを押して……」
『……ソウサガカンリョウシテイマセン……』
作業員2「ん? あれ、なんか間違ったか?」
ザザッ。
作業員2「……んっ!?」
男「…………」
作業員2「…………」
……バタン。
男「しばらく、眠っておけ」
ガチャン。
男「…………」
親友「…………」
男「……親友」
男「後は、任せたぞ……」
ガチャン。
作業員2「よし、これでいい。後は、俺がしておくから先行ってこい」
作業員3「分かった、任せたぞ」
タタタタ……。
作業員2「このボタンを押して……」
『……ソウサガカンリョウシテイマセン……』
作業員2「ん? あれ、なんか間違ったか?」
ザザッ。
作業員2「……んっ!?」
男「…………」
作業員2「…………」
……バタン。
男「しばらく、眠っておけ」
ガチャン。
男「…………」
親友「…………」
男「……親友」
男「後は、任せたぞ……」
249: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:14:22.90 ID:zaTWzoQo
──トラック
作業員3「おい、何やってんだ? もう発車するぞっ?」
タタタタ……。
作業員3「あれ……いない?」
作業員3「……ん?」
作業員3「──っておいっ! 大丈夫かっ!」
作業員2「……あ、ああ?」
作業員3「何があった? どうして倒れている?」
作業員2「いや……分からんが、急に真っ暗になって……その後覚えていない……」
作業員3「とにかく、貨物の状態をっ」
ガチャンっ。
作業員3「……ん? 問題ないな……?」
作業員2「……そうか、なら良かった……」
作業員3「このことは、班長に伝えたほうが良いんじゃないか?」
作業員2「おいおいっ、何の問題もなかったんだろ……止めてくれよ……」
作業員3「しかし……」
作業員2「──折角、良い職にありつけたんだ……印象を悪くしたくはないっ」
作業員3「…………」
作業員2「頼む、な? お願いだ」
作業員3「……ん」
作業員3「仕方ない……伝えるのは止めとくよ」
作業員2「あ、ありがとうっ! 恩に着る!」
作業員3「そのかわり、今日の夕食はお前のおごりだからなっ?」
作業員3「おい、何やってんだ? もう発車するぞっ?」
タタタタ……。
作業員3「あれ……いない?」
作業員3「……ん?」
作業員3「──っておいっ! 大丈夫かっ!」
作業員2「……あ、ああ?」
作業員3「何があった? どうして倒れている?」
作業員2「いや……分からんが、急に真っ暗になって……その後覚えていない……」
作業員3「とにかく、貨物の状態をっ」
ガチャンっ。
作業員3「……ん? 問題ないな……?」
作業員2「……そうか、なら良かった……」
作業員3「このことは、班長に伝えたほうが良いんじゃないか?」
作業員2「おいおいっ、何の問題もなかったんだろ……止めてくれよ……」
作業員3「しかし……」
作業員2「──折角、良い職にありつけたんだ……印象を悪くしたくはないっ」
作業員3「…………」
作業員2「頼む、な? お願いだ」
作業員3「……ん」
作業員3「仕方ない……伝えるのは止めとくよ」
作業員2「あ、ありがとうっ! 恩に着る!」
作業員3「そのかわり、今日の夕食はお前のおごりだからなっ?」
250: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:15:48.09 ID:zaTWzoQo
──???
親友「…………」
親友「……ん……」
親友「……あ、れ……」
親友「ここ……」
ガバッ。
親友「…………」
親友「……男……」
親友「助けてくれたんだな……」
親友「……でも」
親友「本当にこれで……良かったんだろうか……?」
親友「…………」
親友「──……急ごうっ」
親友「…………」
親友「……ん……」
親友「……あ、れ……」
親友「ここ……」
ガバッ。
親友「…………」
親友「……男……」
親友「助けてくれたんだな……」
親友「……でも」
親友「本当にこれで……良かったんだろうか……?」
親友「…………」
親友「──……急ごうっ」
251: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:16:28.35 ID:zaTWzoQo
──エルフの家
ガチャッ。
エルフ「お、男さんっ!?」
?「…………」
エルフ「え、えっ……?」
エルフ「──親友……」
親友「……ああ」
エルフ「……だ、大丈夫だったんですね……」
親友「……あ、ああ」
エルフ「ほ、本当に、良かった……良かったです……」
エルフ「これで……ひとまず……安心……」
親友「…………」
エルフ「……あれ?」
エルフ「親友、男さんは……?」
親友「……みんなを……集めてくれ」
エルフ「…………」
エルフ「……急がないといけないんですね」
親友「……そうだ」
エルフ「分かりました。すぐに、みんなを呼んできますっ」
エルフ「それで集まる場所は……」
親友「──……憎き碑の前に」
ガチャッ。
エルフ「お、男さんっ!?」
?「…………」
エルフ「え、えっ……?」
エルフ「──親友……」
親友「……ああ」
エルフ「……だ、大丈夫だったんですね……」
親友「……あ、ああ」
エルフ「ほ、本当に、良かった……良かったです……」
エルフ「これで……ひとまず……安心……」
親友「…………」
エルフ「……あれ?」
エルフ「親友、男さんは……?」
親友「……みんなを……集めてくれ」
エルフ「…………」
エルフ「……急がないといけないんですね」
親友「……そうだ」
エルフ「分かりました。すぐに、みんなを呼んできますっ」
エルフ「それで集まる場所は……」
親友「──……憎き碑の前に」
252: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:17:35.36 ID:zaTWzoQo
──???
エルフ「みんな急いでっ」
村人1「もう……これで、大丈夫なの?」
村人2「頭が吹き飛んだりしない……?」
エルフ「はい、大丈夫ですっ!」
エルフ「とにかく急いで、この村から離れましょう」
親友「エルフっ!」
エルフ「どうかしました?」
親友「子供たちは、この速度で進むのがしんどいようだ……」
エルフ「……そうですか……でも」
親友「……急がないとな、奴らが来る可能性も高いし……」
エルフ「…………」
親友「どうした?」
エルフ「……まさか、あのモニュメントが鍵になるなんて……」
エルフ「なんで、男さんはそれに気が付いたんですか?」
親友「私も男に聞いただけだから、あまり意味が分からなかったが」
親友「『仕掛けが離れた距離によって起動するなら、それを計っている装置がある』」
親友「『仮に電波を中央で操作していたとしても、森の中だから、中継点が必要だ』」
親友「『この村で考えられるのは、あの碑しかない』」
エルフ「…………」
親友「そして、あれを壊せば、十中八九、爆発は起きないって……そう言ってた」
エルフ「みんな急いでっ」
村人1「もう……これで、大丈夫なの?」
村人2「頭が吹き飛んだりしない……?」
エルフ「はい、大丈夫ですっ!」
エルフ「とにかく急いで、この村から離れましょう」
親友「エルフっ!」
エルフ「どうかしました?」
親友「子供たちは、この速度で進むのがしんどいようだ……」
エルフ「……そうですか……でも」
親友「……急がないとな、奴らが来る可能性も高いし……」
エルフ「…………」
親友「どうした?」
エルフ「……まさか、あのモニュメントが鍵になるなんて……」
エルフ「なんで、男さんはそれに気が付いたんですか?」
親友「私も男に聞いただけだから、あまり意味が分からなかったが」
親友「『仕掛けが離れた距離によって起動するなら、それを計っている装置がある』」
親友「『仮に電波を中央で操作していたとしても、森の中だから、中継点が必要だ』」
親友「『この村で考えられるのは、あの碑しかない』」
エルフ「…………」
親友「そして、あれを壊せば、十中八九、爆発は起きないって……そう言ってた」
253: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:18:41.05 ID:zaTWzoQo
エルフ「信じたんですね」
親友「ああ、前なら怯えてそんなことしなかっただろうな……」
エルフ「…………」
親友「……あいつ」
エルフ「──きっと大丈夫です。あの人がそう言ったなら」
親友「……あ、ああ、そうだな」
エルフ「今は自分たちのことだけに専念しましょう」
エルフ「出来るだけ時間を稼ぐ……そのために」
エルフ「そして……」
エルフ「──明日を生きるために」
親友「ああ、前なら怯えてそんなことしなかっただろうな……」
エルフ「…………」
親友「……あいつ」
エルフ「──きっと大丈夫です。あの人がそう言ったなら」
親友「……あ、ああ、そうだな」
エルフ「今は自分たちのことだけに専念しましょう」
エルフ「出来るだけ時間を稼ぐ……そのために」
エルフ「そして……」
エルフ「──明日を生きるために」
254: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:20:23.08 ID:zaTWzoQo
──塔
警備員「はい、止まって」
警備員「許可証を提示して下さい」
班長「ほら、これだ」
警備員「…………」
ピピッ。
警備員「はい、どうぞ」
警備員「認証しましたので、中へお進み下さい」
班長「ああ、分かった」
班長「……これで、ひとまず終わりだな」
作業員1「お疲れさまでした」
班長「車を止めたら、いつものところへ貨物を運べ」
作業員2「了解」
班長「引き渡しが完了した後、ミーティングをして解散だ」
班長「気を抜かず、最後まで引き締めていこう」
作業員たち「「了解」」
警備員「はい、止まって」
警備員「許可証を提示して下さい」
班長「ほら、これだ」
警備員「…………」
ピピッ。
警備員「はい、どうぞ」
警備員「認証しましたので、中へお進み下さい」
班長「ああ、分かった」
班長「……これで、ひとまず終わりだな」
作業員1「お疲れさまでした」
班長「車を止めたら、いつものところへ貨物を運べ」
作業員2「了解」
班長「引き渡しが完了した後、ミーティングをして解散だ」
班長「気を抜かず、最後まで引き締めていこう」
作業員たち「「了解」」
255: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:22:01.37 ID:zaTWzoQo
──塔 内部
作業員2「ん……重いな……」
作業員3「確かになっ……」
作業員2「よし……エレベーターに行くぞ」
作業員3「角ぶつからないように気をつけろよ」
作業員2「ああ……そっちもな」
ンー……ガタン。
作業員2「よし、乗るぞ」
作業員3「おうっ……」
……ガチャ。
作業員2「で、何階だっけ?」
作業員3「確か……ん?」
作業員2「どうした? 何かあったか?」
作業員3「いや今……貨物が動いたような……」
作業員2「そうか? どうせ寝返りでも打とうとしたんじゃないのか?」
作業員3「だが、そろそろ麻酔も切れかかってくる頃だし……」
作業員2「確かに暴れてもらっても困るな……」
作業員3「念のために、ここでもう一回打とう」
作業員2「了解、じゃあ、降ろすぞ」
作業員3「ああ」
ドン……。
作業員2「ん……重いな……」
作業員3「確かになっ……」
作業員2「よし……エレベーターに行くぞ」
作業員3「角ぶつからないように気をつけろよ」
作業員2「ああ……そっちもな」
ンー……ガタン。
作業員2「よし、乗るぞ」
作業員3「おうっ……」
……ガチャ。
作業員2「で、何階だっけ?」
作業員3「確か……ん?」
作業員2「どうした? 何かあったか?」
作業員3「いや今……貨物が動いたような……」
作業員2「そうか? どうせ寝返りでも打とうとしたんじゃないのか?」
作業員3「だが、そろそろ麻酔も切れかかってくる頃だし……」
作業員2「確かに暴れてもらっても困るな……」
作業員3「念のために、ここでもう一回打とう」
作業員2「了解、じゃあ、降ろすぞ」
作業員3「ああ」
ドン……。
256: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:23:17.36 ID:zaTWzoQo
作業員2「それにしても重たい奴だな……」
作業員3「見た目はそんなでもなかったんだがな」
作業員2「隠れ肥満ってやつか……怖いね」
作業員3「ははっ、よし、じゃあ開けるぞ」
作業員2「おう」
ジー……。
作業員3「…………」
作業員2「…………」
作業員3「だ、誰だ……?」
作業員2「……今回の奴って、こんな顔だっけ?」
作業員3「いや……これは、どうみても……」
男「──……違うだろ?」
作業員2「なっ……」
作業員3「見た目はそんなでもなかったんだがな」
作業員2「隠れ肥満ってやつか……怖いね」
作業員3「ははっ、よし、じゃあ開けるぞ」
作業員2「おう」
ジー……。
作業員3「…………」
作業員2「…………」
作業員3「だ、誰だ……?」
作業員2「……今回の奴って、こんな顔だっけ?」
作業員3「いや……これは、どうみても……」
男「──……違うだろ?」
作業員2「なっ……」
257: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:24:17.18 ID:zaTWzoQo
クライマックスを前に休憩
いちいちsagaって打つのメンドイ・・・・
いちいちsagaって打つのメンドイ・・・・
260: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:37:52.64 ID:zaTWzoQo
オレもjaneだけど、こっちはメル欄固定する機能がない(知らない)んだよね
とりあえず再開
とりあえず再開
261: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:38:37.59 ID:zaTWzoQo
──塔 内部
コンコンッ。
男性「入っていいぞ」
作業員「貨物の引き渡しに来ました」
男性「そうか、ならここにおいてくれ」
作業員「了解です、こちらにサインを」
男性「分かった……」
男性「しかし、二人でいつもは運んでくるのに、今日は一人なんだな」
作業員「腕っ節には、割と自信がありまして」
男性「そうか、それは羨ましいばかりだ」
作業員「…………」
男性「……ん」
男性「よし、書き終わった。もう、帰って良いぞ」
作業員「いえ、すみません……貨物の確認もお願いします」
男性「確認? いつもは、そんなことしないはずだが……」
作業員「念には念を入れてです」
男性「そうか……なら、仕方ないな……」
ジジー……。
コンコンッ。
男性「入っていいぞ」
作業員「貨物の引き渡しに来ました」
男性「そうか、ならここにおいてくれ」
作業員「了解です、こちらにサインを」
男性「分かった……」
男性「しかし、二人でいつもは運んでくるのに、今日は一人なんだな」
作業員「腕っ節には、割と自信がありまして」
男性「そうか、それは羨ましいばかりだ」
作業員「…………」
男性「……ん」
男性「よし、書き終わった。もう、帰って良いぞ」
作業員「いえ、すみません……貨物の確認もお願いします」
男性「確認? いつもは、そんなことしないはずだが……」
作業員「念には念を入れてです」
男性「そうか……なら、仕方ないな……」
ジジー……。
262: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:39:38.03 ID:zaTWzoQo
男性「…………」
男性「……ん……」
男性「……あ、あ……」
作業員「どうかしましたか?」
男性「……き、君……」
男性「こ、これは……」
男性「──男の……死体……じゃない、か……」
作業員「…………」
男性「な、何がどうなってる……?」
男性「……どうしてこんなものを……」
作業員「…………」
男性「何故、何も答えないっ……」
男性「……ま、まさか……」
作業員「……なあ、アンタ」
男性「……お、お前……」
作業員「アンタに、色々、聞きたいことがあるんだ」
作業員「手短に……そして、迅速にお願いする」
男性「や、やめろ……それ以上、近づくな……」
作業員「……どうやったら」
作業員「──この仕事の依頼主に会える?」
男性「……ん……」
男性「……あ、あ……」
作業員「どうかしましたか?」
男性「……き、君……」
男性「こ、これは……」
男性「──男の……死体……じゃない、か……」
作業員「…………」
男性「な、何がどうなってる……?」
男性「……どうしてこんなものを……」
作業員「…………」
男性「何故、何も答えないっ……」
男性「……ま、まさか……」
作業員「……なあ、アンタ」
男性「……お、お前……」
作業員「アンタに、色々、聞きたいことがあるんだ」
作業員「手短に……そして、迅速にお願いする」
男性「や、やめろ……それ以上、近づくな……」
作業員「……どうやったら」
作業員「──この仕事の依頼主に会える?」
263: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:41:08.24 ID:zaTWzoQo
──塔 最上階
「まだ、例のものは届かないのか?」
執事「既に運び込まれたことまでは分かっています」
「それにしても……効率があまりも悪いな」
執事「しかし……一目を避けるとなると、このような手段でしか……」
「仮にこれが露呈したら、大問題に発展するからな」
執事「はい……ん?」
執事「電話です……少し、席を外してもよろしいでしょうか」
「ああ、構わん。あと、準備している者に作業を急がせろ」
執事「分かりました。では、失礼します」
ガチャ。
「……ああ、待ち遠しいな」
「ここ最近は忙しく、食べる機会に恵まれなかったからな」
「……あの柔らかい舌触りといい、癖のなさといい……」
「技術という技術を結集させて、一から生み出した甲斐がある」
ガチャッ。
「何だ、意外に早かったな。それで作業……」
執事「──状況を、お伝えします……」
「……どうした……何があった?」
執事「……あの村の碑が壊されたそうです……」
「……な、何だって?」
執事「まだ、詳細は分かりませんが、通信が途絶えてから相当な時間が経過して……」
「──何故、すぐにでも対応しなかったっ!?」
「まだ、例のものは届かないのか?」
執事「既に運び込まれたことまでは分かっています」
「それにしても……効率があまりも悪いな」
執事「しかし……一目を避けるとなると、このような手段でしか……」
「仮にこれが露呈したら、大問題に発展するからな」
執事「はい……ん?」
執事「電話です……少し、席を外してもよろしいでしょうか」
「ああ、構わん。あと、準備している者に作業を急がせろ」
執事「分かりました。では、失礼します」
ガチャ。
「……ああ、待ち遠しいな」
「ここ最近は忙しく、食べる機会に恵まれなかったからな」
「……あの柔らかい舌触りといい、癖のなさといい……」
「技術という技術を結集させて、一から生み出した甲斐がある」
ガチャッ。
「何だ、意外に早かったな。それで作業……」
執事「──状況を、お伝えします……」
「……どうした……何があった?」
執事「……あの村の碑が壊されたそうです……」
「……な、何だって?」
執事「まだ、詳細は分かりませんが、通信が途絶えてから相当な時間が経過して……」
「──何故、すぐにでも対応しなかったっ!?」
264: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:42:02.22 ID:zaTWzoQo
執事「……秘密が漏れないよう、最低限の人員で維持していましたので……」
「くそっ……もし、アイツらが逃げ出したりしたら……」
執事「……相当、危険な状態ですね……」
「……軍を動かせ」
執事「……殲滅しますか」
「こうなってしまったら、仕方がない」
「これが表に出てくる前に……全てをなかったことにする」
執事「どのような理由で向かわせますか」
「私の領土で未確認のウイルスが発生した、とな」
執事「……なるほど、それなら理由になりますね」
「ああ、加えて私の土地だからな、文句を言われる筋合いもない」
執事「分かりました」
「そして……事が収まったら、またアイツらを作り出せ」
執事「相当費用がかかりますが、よろしいでしょうか?」
「構わん……今度は情けなどやらずに、施設を作ってしまう」
執事「そこで暮らさせるんですね」
「ああ、家畜と一緒だ」
執事「では……命令を下し……」
ガチャ。
「誰だっ! 今は、重要な話し中だぞっ!」
男「…………」
「くそっ……もし、アイツらが逃げ出したりしたら……」
執事「……相当、危険な状態ですね……」
「……軍を動かせ」
執事「……殲滅しますか」
「こうなってしまったら、仕方がない」
「これが表に出てくる前に……全てをなかったことにする」
執事「どのような理由で向かわせますか」
「私の領土で未確認のウイルスが発生した、とな」
執事「……なるほど、それなら理由になりますね」
「ああ、加えて私の土地だからな、文句を言われる筋合いもない」
執事「分かりました」
「そして……事が収まったら、またアイツらを作り出せ」
執事「相当費用がかかりますが、よろしいでしょうか?」
「構わん……今度は情けなどやらずに、施設を作ってしまう」
執事「そこで暮らさせるんですね」
「ああ、家畜と一緒だ」
執事「では……命令を下し……」
ガチャ。
「誰だっ! 今は、重要な話し中だぞっ!」
男「…………」
265: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:43:36.35 ID:zaTWzoQo
執事「早く下がりなさい。今なら罪には問いません」
「用件があるなら、これが終わってからにしろ。ほら、早く出て行け」
男「……く……くくっ……」
男「くははっ……」
男「はは、はははっ」
「…………」
執事「何が、おかしいんですか?」」
男「俺に罰を与えられる立場だと思っていること」
男「そして、さきほどからの会話……あれは、笑い話か何かなんだろ?」
執事「…………」
「……覚悟は出来ているんだろうな、貴様」
男「……覚悟なら、とっくの昔にしてきているさ」
執事「……もし」
執事「貴方が今の会話の内容を聞いたことで、優位に立とうとし」
執事「それをネタにゆすろう考えていても、全くの無駄になりますよ」
執事「どうせ貴方は無事で外には出られませんから」
男「…………なあ」
男「一つ問いを出していいか」
執事「……問い……?」
男「いいから、見ろ」
男「俺がこの手に持っている物……お前らは、何だと思う?」
266: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:44:18.27 ID:zaTWzoQo
「……はっ、何を言うかと思ったら……ばかばかしい」
男「いいから、早く答えろ」
「……ッ」
執事「相手にする必要はありませんよ」
「……いや、待て……」
「その太々しさに敬意を払って、少し付き合ってやろうじゃないか……」
「見たことのない形だな、玩具か何かか?」
男「……確かに、玩具といえば玩具に見えなくもない」
「…………」
男「だが実際は、何時の時代も常に恐れられてきた代物だ」
「……分かり難いな……もっと簡単に説明しろ」
男「これでも努力しているつもりなんだがな」
執事「…………」
執事「……もう止めにしましょう」
執事「どうやら貴方は少々、頭に問題を抱えているようですね」
執事「しかし……これ以上、戯れ言を続けるつもりなら……」
男「──例えば、こうやって」
バンッ!!
「なっ……」
執事「…………か、かはっ……」
バタン……。
男「いいから、早く答えろ」
「……ッ」
執事「相手にする必要はありませんよ」
「……いや、待て……」
「その太々しさに敬意を払って、少し付き合ってやろうじゃないか……」
「見たことのない形だな、玩具か何かか?」
男「……確かに、玩具といえば玩具に見えなくもない」
「…………」
男「だが実際は、何時の時代も常に恐れられてきた代物だ」
「……分かり難いな……もっと簡単に説明しろ」
男「これでも努力しているつもりなんだがな」
執事「…………」
執事「……もう止めにしましょう」
執事「どうやら貴方は少々、頭に問題を抱えているようですね」
執事「しかし……これ以上、戯れ言を続けるつもりなら……」
男「──例えば、こうやって」
バンッ!!
「なっ……」
執事「…………か、かはっ……」
バタン……。
267: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:46:22.61 ID:zaTWzoQo
「お、お前……今……」
男「どうだ? 今、恐怖しただろ?」
「……ぶ、武器なのか……それは……」
男「……この世界にとっては、相当遅れた技術なのかもしれない」
男「だがな……それでも、こんな簡単に殺せるんだ」
「…………」
男「……お前が、彼女たちをただ食うために作り出したんだな?」
「……彼女たち?」
「それは、食料であるアイツらのことを指しているのか?」
男「…………」
「アイツらの性別に意味などない」
「女として生み出したのは、それが一番適していたからだ」
男「……それはつまり」
「そうだ、女の方が食感が良かったんでな」
男「…………」
「……ということは、モニュメントが壊れた原因は、貴様だな?」
「余計なことをしてくれた……あれで、アイツらは全員死ぬことになるぞ」
男「……軍を使ってか?」
「ああ、そうだ。幸いにも、私はこの世界の頂点に君臨している」
「力があるのなら、それを使って何が悪い?」
男「…………いや」
男「……残念だが、もう、お前には無理だ」
男「俺がここでコロスからな」
男「どうだ? 今、恐怖しただろ?」
「……ぶ、武器なのか……それは……」
男「……この世界にとっては、相当遅れた技術なのかもしれない」
男「だがな……それでも、こんな簡単に殺せるんだ」
「…………」
男「……お前が、彼女たちをただ食うために作り出したんだな?」
「……彼女たち?」
「それは、食料であるアイツらのことを指しているのか?」
男「…………」
「アイツらの性別に意味などない」
「女として生み出したのは、それが一番適していたからだ」
男「……それはつまり」
「そうだ、女の方が食感が良かったんでな」
男「…………」
「……ということは、モニュメントが壊れた原因は、貴様だな?」
「余計なことをしてくれた……あれで、アイツらは全員死ぬことになるぞ」
男「……軍を使ってか?」
「ああ、そうだ。幸いにも、私はこの世界の頂点に君臨している」
「力があるのなら、それを使って何が悪い?」
男「…………いや」
男「……残念だが、もう、お前には無理だ」
男「俺がここでコロスからな」
268: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:47:43.32 ID:zaTWzoQo
「……し、しかし、これを聞けば、貴様も考えを改めるはずだ……」
「何を勘違いしているのか知らんが……まず、ここがどこか分かっているのか?」
「仮に私を殺してでもみろ……すぐに警戒態勢が引かれて、お前は捕まり、処刑される」
男「…………」
「そんな馬鹿なことをするはずはない。私なら、決してしないからな」
男「……それで?」
「……今ここで投降するなら、貴様の罪は特例で免除してやる」
「名誉が欲しいなら言ってみろ、権力が欲しいならくれてやる」
男「…………」
「ここまで私を追い込んだんだ。その価値は十分にある」
男「……ああ」
「どうだ? 取引にのるか?」
男「そうだな……俺も予定を変更することにする」
「ああ、そのほうが貴様にとって私にとってもベストな……」
バァンッ!!
「──ッ……」
「き、貴様……どういうこと……」
バァンッ!!
「──止めろッ……止めてく……」
バァンッ!!
「──ああぁぁぁぁぁぁッ!!」
「何を勘違いしているのか知らんが……まず、ここがどこか分かっているのか?」
「仮に私を殺してでもみろ……すぐに警戒態勢が引かれて、お前は捕まり、処刑される」
男「…………」
「そんな馬鹿なことをするはずはない。私なら、決してしないからな」
男「……それで?」
「……今ここで投降するなら、貴様の罪は特例で免除してやる」
「名誉が欲しいなら言ってみろ、権力が欲しいならくれてやる」
男「…………」
「ここまで私を追い込んだんだ。その価値は十分にある」
男「……ああ」
「どうだ? 取引にのるか?」
男「そうだな……俺も予定を変更することにする」
「ああ、そのほうが貴様にとって私にとってもベストな……」
バァンッ!!
「──ッ……」
「き、貴様……どういうこと……」
バァンッ!!
「──止めろッ……止めてく……」
バァンッ!!
「──ああぁぁぁぁぁぁッ!!」
269: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:48:59.12 ID:zaTWzoQo
男「お前は何も理解していない」
バァンッ!!
「──かっ……あああああ……」
男「何一つ分かっていないんだ」
バァンッ!!
「──……あっ……」
「……こおっ……ごほっ……」
男「…………」
男「両足、両腕……そして肺に打ち込んだ」
「……かっ……かはっ……」
男「苦しいか? 早く死にたいだろ?」
「………ッ……かっ……」
男「肺に血が溜まって息がうまく出来ないもんな」
男「自分は既に死ぬって分かっているのに、そう簡単には死ねない」
男「撃たれた部分は刺すような痛みが続いて、まさに生き地獄だ」
「……ッ…………こッ……」
男「……だが、トドメは刺さない」
男「そうやって、永遠に続くように感じる苦痛を十二分に味わえ」
男「それが、今まで死んでいった彼女たちへの……」
男「──せめてもの報いだ」
「………ッ……」
バァンッ!!
「──かっ……あああああ……」
男「何一つ分かっていないんだ」
バァンッ!!
「──……あっ……」
「……こおっ……ごほっ……」
男「…………」
男「両足、両腕……そして肺に打ち込んだ」
「……かっ……かはっ……」
男「苦しいか? 早く死にたいだろ?」
「………ッ……かっ……」
男「肺に血が溜まって息がうまく出来ないもんな」
男「自分は既に死ぬって分かっているのに、そう簡単には死ねない」
男「撃たれた部分は刺すような痛みが続いて、まさに生き地獄だ」
「……ッ…………こッ……」
男「……だが、トドメは刺さない」
男「そうやって、永遠に続くように感じる苦痛を十二分に味わえ」
男「それが、今まで死んでいった彼女たちへの……」
男「──せめてもの報いだ」
「………ッ……」
270: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:49:29.09 ID:zaTWzoQo
キー……ガチャ……。
男「…………」
男(……さて)
男(どうしたものかな……)
男(奴の言う通り、かなりヤバい状況だ……)
男(ここまで辿り着くのに……少し強引な方法を使ったからな)
男(警報が鳴るのも……時間の問題か)
トコトコトコ。
男「しかし……拳銃か」
男(飛行機が墜落した後、偶然見つけたんだよな)
男(でも、弾も残り少ない)
男(最後に、無駄な弾数を消費してしまったからな)
男(素手じゃ……正直、無理だ)
男「…………」
男(……さて)
男(どうしたものかな……)
男(奴の言う通り、かなりヤバい状況だ……)
男(ここまで辿り着くのに……少し強引な方法を使ったからな)
男(警報が鳴るのも……時間の問題か)
トコトコトコ。
男「しかし……拳銃か」
男(飛行機が墜落した後、偶然見つけたんだよな)
男(でも、弾も残り少ない)
男(最後に、無駄な弾数を消費してしまったからな)
男(素手じゃ……正直、無理だ)
271: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:50:31.40 ID:zaTWzoQo
ウーウーウー。
男「……鳴ったか」
男(よし……そろそろ次の覚悟を決めないとな)
男(あまり良い結末とは言い難いが……)
男(エルフや親友たちが助かっただけでも……相当な価値がある)
男「……エルフ達は……大丈夫かな……」
男(最後に見た、エルフの目は活力に満ち溢れていた)
男(それも、今までの絶望で濁ったものが嘘のように)
男(これからは、希望を胸に抱いて、必ず、前へ進むことができるはずだ)
男(そう、彼女なら……きっと……)
男「…………」
男「……鳴ったか」
男(よし……そろそろ次の覚悟を決めないとな)
男(あまり良い結末とは言い難いが……)
男(エルフや親友たちが助かっただけでも……相当な価値がある)
男「……エルフ達は……大丈夫かな……」
男(最後に見た、エルフの目は活力に満ち溢れていた)
男(それも、今までの絶望で濁ったものが嘘のように)
男(これからは、希望を胸に抱いて、必ず、前へ進むことができるはずだ)
男(そう、彼女なら……きっと……)
男「…………」
272: VIPにかわりましてGEPPERがお送りします 2010/07/15(木) 11:50:58.65 ID:zaTWzoQo
ウーウーウー。
男「……女はどうだろうか……」
男(……人を引きつける何かを持った、強い女性だった)
男(何事を恐れず、何からも逃げることはなく)
男(諦めるという言葉を常に否定し、俺の……見本となった)
男(……今は……多分、国を変えるのに必死になっていることだろう)
男(だが、女なら……見事成し遂げるに違いない……)
男「あんまり……俺は、役に立った気がしないからな」
男「ん……もうすぐかな」
ウーウーウー。
男「…………」
男(最後に……今の俺に問おう)
男(自分の人生に誇りを持つことができるか?)
男(何事からも逃げずに立ち向かうと、誓えるか?)
男(もう二度と、諦めるなんてことはないと言えるか?)
男「…………」
男(ああ、分かっている……)
男(……ここで終わる訳がないよな)
男「……勿論、答えは……」
男「──イエスだ」
─END─
男「……女はどうだろうか……」
男(……人を引きつける何かを持った、強い女性だった)
男(何事を恐れず、何からも逃げることはなく)
男(諦めるという言葉を常に否定し、俺の……見本となった)
男(……今は……多分、国を変えるのに必死になっていることだろう)
男(だが、女なら……見事成し遂げるに違いない……)
男「あんまり……俺は、役に立った気がしないからな」
男「ん……もうすぐかな」
ウーウーウー。
男「…………」
男(最後に……今の俺に問おう)
男(自分の人生に誇りを持つことができるか?)
男(何事からも逃げずに立ち向かうと、誓えるか?)
男(もう二度と、諦めるなんてことはないと言えるか?)
男「…………」
男(ああ、分かっている……)
男(……ここで終わる訳がないよな)
男「……勿論、答えは……」
男「──イエスだ」
─END─


コメントする
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。