1: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:04:05.064 ID:onquxQGG0.net
王「勇者よ、魔王を倒してくれ!」

王「もし倒してくれれば、国宝≪紅竜の涙≫をおぬしに与えよう!」

勇者「必ずや我が使命、成し遂げてみせます」

王「ところで……おぬしの武器はなんなのだ?」

大臣「見たところ帯剣すらしてないようだが……」

勇者「投石機(カタパルト)です」

王「へ?」

大臣「あの城攻めに使ったりする?」

勇者「はい、私専用のもので、城外に置いてあります」

5: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:08:07.536 ID:onquxQGG0.net
勇者「これです」

王「うわぁ……」

大臣「おっきい……」

勇者「このレバーを引くと」グイッ

ガコンッ!

勇者「あそこが動いて、てこの原理で石を放り投げる仕組みです」

王「ほぉ、よく出来てる」

大臣「しかし、これを移動させながら旅をするのは大変だろう」

勇者「旅をする必要なんてありませんよ」

大臣「なぜだ?」

7: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:11:08.690 ID:onquxQGG0.net
勇者(精神を集中……)

勇者「どうやら東の村がオークに襲われているようですな」

王「え!?」

大臣「なぜ分かる!?」

勇者「さっそくこの石をセット」ゴトッ

勇者「発射!」グイッ

ガコンッ!

ビューンッ!

8: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:14:17.746 ID:onquxQGG0.net
東の村――

村人「ぐわぁっ!」ドザッ

オーク「生意気な野郎だ、俺様に逆らうなんてよォ!」

村娘「お願い、やめて!」

オーク「やめるかよ! こいつを食ったら、次はお前の番だからよ!」

ヒュルルルル…

オーク「ん?」

オーク「うわっ、なんだ! 石が降ってきて――」

ゴッ!!!

10: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:17:35.164 ID:onquxQGG0.net
兵士「伝令ーッ!」タタタッ

大臣「どうした!?」

兵士「東の村を襲撃していたオークが……飛んできた石に当たって死亡しました!」

王「なにい!?」

大臣「当たったのか!?」

勇者「こんな感じで敵を倒して参りますので」

王「なるほど……頑張ってくれたまえ」

14: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:21:22.563 ID:onquxQGG0.net
……

スライムA「うへへへ……」

スライムB「溶かして食ってやる!」

冒険者「ひいいっ! 誰か助けて……」

ヒュルルルル…

冒険者「ん?」

グシャッ! グチャッ!

冒険者「空から降ってきた石がスライムを潰した!」

16: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:24:37.281 ID:onquxQGG0.net
……

オーガ「ガッハッハッハ、大したことのねえ道場主だぜェ!」

武闘家「うぐぐ……」

娘「お父さん!」

オーガ「今日からこの道場は魔物の住処になるんだ!」

ヒュルルルル…

ゴッ!!!

オーガ「あぐ……」ドサッ

17: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:28:07.894 ID:onquxQGG0.net
……

勇者「次はあっち」グイッ

ガコンッ!

勇者「次はこっち」グイッ

ガコンッ!



大臣「勇者殿が石を投下した地方からは、次々に感謝の声が上がっています」

王「本当にここから一歩も動かず世界を救っておる……」

大臣「石を正確に投下する技術も凄いですけど、あの千里眼みたいな能力も凄いですよね」

王「投石マスターたる者、あれぐらいは出来て当然なのだろうか……」

19: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:31:18.111 ID:onquxQGG0.net
老婆「あの~、勇者さん……」

勇者「なんでしょう?」

老婆「家で漬物をやろうと思ってるんだけど、いい石がなくてねえ……」

王「あーこれこれ、おばあさん」

大臣「勇者殿は今忙しいので、話なら後で……」

勇者「いえ、これぐらいかまいませんよ」

20: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:34:13.029 ID:onquxQGG0.net
勇者「今からおばあさんの家に漬物石を送ります」

勇者「それっ」グイッ

ヒュルルルルル…

ストンッ

勇者「これでいい漬物ができるはずです」ニコッ

老婆「ありがとうねえ」

王「敵を倒すだけでなく、このような身近な人助けもこなすとは……」

大臣「勇者の名に恥じぬ人格者ですね」

21: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:37:28.592 ID:onquxQGG0.net
魔王城――

魔族「魔王様!」

魔王「なんだ、騒々しい」

魔族「大変でございます。人間どもの城から飛ばされる謎の石によって、各地の魔族がやられております」

魔王「なんだと……?」

魔族「狙いも正確で、上級魔族ですら頭に正確に石を喰らい一撃で……」

魔王「ふん、ならばこちらも大軍を投入するまでよ!」

魔王「その石を飛ばしている城に、暗黒騎士を攻め込ませよ!」

魔族「ははっ!」

22: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:40:17.420 ID:onquxQGG0.net
王「おぬしのおかげで世界各地が救われた!」

大臣「勇者殿さまさまだよ」

勇者「いえいえ、私など石を飛ばしてるだけですから」

兵士「陛下ーッ!」

王「ん?」

兵士「魔王軍の総攻撃です! 空を覆わんばかりの大軍が来襲しております!」

王「総攻撃……!」

大臣「勇者殿がここから投石してるのがバレたのか!」

勇者「……来たか」

24: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:43:26.725 ID:onquxQGG0.net
バサバサバサ… バサバサバサ…



市民A「なんだありゃあ……」

市民B「空が黒く塗り潰されてるようだ」

市民C「あれ全部魔族なんだろ!? 勝てっこねえ!」



バサバサバサ…

飛竜「ギャース!」バサバサ

暗黒騎士「全軍、城と城下を攻撃せよ! 人間どもを皆殺しにするのだ!」

26: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:46:18.112 ID:onquxQGG0.net
王「ここまでか……!」

勇者「ご安心を。打つ手はあります」

大臣(こんな時にも石のように冷静だ……)

勇者「皆を総動員して砂利を集めて下さい」

大臣「砂利を……? わ、分かった!」

王(砂利などどうする気だ……)

28: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:48:13.552 ID:onquxQGG0.net
ジャリジャリ…

勇者(だいぶ集まったな。これを――)

勇者「かたっぱしから発射!」

ガコンガコンガコンガコンガコンガコンガコン!!!

王「うおおおっ!?」

大臣「すごい連射だ!」

ブワァァァァァッ……

30: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:51:08.059 ID:onquxQGG0.net
ズガガガガガガガッ! ズガガガガガガッ!

「ギャアッ!」

「グゲエッ!」

「グワッ!」

暗黒騎士「何事だ!?」

部下「砂利が……凄まじいスピードで発射され、手勢の者たちが次々撃ち抜かれています!」

暗黒騎士「砂利だと!?」

部下「これでは大軍も意味をなさな……ぐああっ!」ズガッ

暗黒騎士「お、おのれえっ!」

33: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:55:03.401 ID:onquxQGG0.net
ガコンガコンガコンガコンガコンガコンガコン!!!

勇者「……ふぅ」

王「なんと……」

大臣「砂利による散弾で、魔族を蹴散らしてしまった……」

ズバッ! ザシュッ!

兵士A「あぐっ!」

兵士B「ぎゃあっ!」

勇者「……!?」

35: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 21:58:38.667 ID:onquxQGG0.net
暗黒騎士「……やってくれたな。おかげで我が軍は壊滅だ」

王「魔族の騎士……!」

大臣「生き残りがいたのか……!」

暗黒騎士「投石機とは予想もしなかったぞ。だが、投石機には弱点がある」

暗黒騎士「それは……接近されたらどうしようもないということだ! ちょうど今のようにな!」

勇者「……」

大臣(確かにその通りだ……この距離まで近づかれたらどうしようもない!)

暗黒騎士「軍は壊滅したが、貴様らの首を手土産に帰るとしよう! 死ぬがいい!」

36: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 22:01:17.776 ID:onquxQGG0.net
勇者「発射!」グイッ

ガコンッ! ヒュルルルル…

大臣「遠くへ飛んでいってしまった!」

暗黒騎士「無駄だ! 投石機による石は放物線を描く! 懐に入った敵は倒せないのだ!」

暗黒騎士「まずは貴様からだ……もらったァ!」ギュオッ

勇者「……」

王「勇者よ、逃げろォ!」

大臣「……ん?」

38: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 22:04:05.607 ID:onquxQGG0.net
ドスンッ!

大臣(勇者殿の放った石が、落ちて……)

ギュルルッ

大臣「え」

ギュルルルルルッ

大臣「バックスピン!?」

ギュルルルルルルルルルッ

暗黒騎士「!?」

大臣(回転のかかった石が、暗黒騎士を背後から――)

暗黒騎士「し、しまっ――」

ズガァッ!

40: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 22:07:22.192 ID:onquxQGG0.net
暗黒騎士「こんな……バカな……」ガクッ

王「さすが勇者だ!」

大臣「投石機は接近戦もできるのだな……」

勇者「しかし、私の詰めが甘かったせいで犠牲が出てしまいました」

勇者「魔王を許すことはできません」

勇者「こちらも魔王城へ最後の攻撃をかけます!」

43: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 22:10:00.012 ID:onquxQGG0.net
魔王城――

魔王「何? 暗黒騎士が破れた?」

魔族「は、はい……」

魔王「ぬうう……だらしない部下どもだ。かくなる上はワシが出て……」

ゴンッ… ゴンッ… ゴンッ…

魔王「なんだ? なんの音だ?」

44: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 22:13:41.679 ID:onquxQGG0.net
ドゴンッ! ズガンッ! バゴンッ!

魔族「巨大な石です! 石が飛んできて、城が……!」

グシャンッ!

魔族「ぐぎゃああっ!」

魔王「ぬうう……こしゃくな!」

魔王「だが、ナメるなよ! ワシは投石如きでは倒せんぞ!」

ヒュルルルルル…

魔王「むん!」バリバリッ

魔王「この通り全て迎撃してやる!」

46: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 22:16:11.810 ID:onquxQGG0.net
勇者「……」

勇者(さすがは魔王。ただの投石では倒せんか。ならば――)

ズンッ!

王「でかい……!」

大臣「今までで一番の大きさの石だ! というか岩だ!」

勇者「これを……(全力でッ!!!)発射!!!」

ガゴンッ!

47: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 22:20:12.753 ID:onquxQGG0.net
ヒュルルルルルル…

投石機で打ち上げられた巨岩は――

ヒュルルルルルル…

やがて大気圏外に達し――

ボワァァァァッ

再度大気圏に突入する際、熱を帯び――

ゴォォォォォォォッ!!!

灼熱の隕石へと変貌する!



勇者「これぞ……メテオ投石!!!」

48: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 22:23:04.883 ID:onquxQGG0.net
グオオオオオオオオッ!

魔王「なんだあれは……!」

魔王「隕石……いや、投石!?」

魔王(凄まじいスピードと熱量……とても迎撃できん!)

グオオオオオオオオオオッ!

魔王「ワシは……投石に敗れるのか……ッ! 投石……恐るべし……ッ!」



ドゴォォォォォンッ……!

49: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 22:27:44.443 ID:onquxQGG0.net
……

……

王「おぬしの投石で魔王は滅びた」

大臣「よくやってくれた」

勇者「使命を果たしたまでのことです」

大臣「武器が投石機というのにも驚いたが、最後まで投石でやり遂げるとは思わなかった」

王「では約束通り、褒美を与えよう」

王「国宝≪紅竜の涙≫……しかと受け取るがよい!」

勇者「こ、これは……! なんという美しさ! 神々しさ!」

王「うむ、赤く輝く巨大宝石……これが≪紅竜の涙≫の正体よ」

50: 以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします 2022/02/07(月) 22:30:18.600 ID:onquxQGG0.net
勇者「こんな石を頂いてしまったら……ああっ!」

勇者「投石せずにはいられない! えいっ!」

ガコンッ!

大臣「こ、国宝ォォォォォォ!!!」

王「勇者にとって石とは飾るものではなく、飛ばすものなのだな」







―おわり―

引用元: 王「おぬしの武器は?」勇者「投石機(カタパルト)です」