そんなある日。いつものように衣装を作ろうと、部屋へと向かっていると、扉の前に姐姐がいた。
姐姐は無言のまま、手招きしている。
その目的はよくわからなかったが、なんとなくついていき、姐姐の部屋へと入った。
部屋の中は、いいにおいがした。
姐姐『私ね、最近、"新しい夢"ができたの』
可可『……だからなに?』
姐姐『思い立ったが吉日よ』
姐姐『いつ叶うのか、まだわかんないけど……。たったいまから、私は夢のために行動することにしたわ』
可可『っ!!』
それは、夢をかくし、くすぶっているククへの当てつけに思えた。
姐姐『自分の心に嘘ついて生きるのって、楽しくないでしょ? やりたいと思ったなら、すぐ行動しなきゃ!』
姐姐『……あんたはどう? いまのあんたは、本心で動いてるの?』
可可『ククは……』
姐姐は無言のまま、手招きしている。
その目的はよくわからなかったが、なんとなくついていき、姐姐の部屋へと入った。
部屋の中は、いいにおいがした。
姐姐『私ね、最近、"新しい夢"ができたの』
可可『……だからなに?』
姐姐『思い立ったが吉日よ』
姐姐『いつ叶うのか、まだわかんないけど……。たったいまから、私は夢のために行動することにしたわ』
可可『っ!!』
それは、夢をかくし、くすぶっているククへの当てつけに思えた。
姐姐『自分の心に嘘ついて生きるのって、楽しくないでしょ? やりたいと思ったなら、すぐ行動しなきゃ!』
姐姐『……あんたはどう? いまのあんたは、本心で動いてるの?』
可可『ククは……』
506: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 03:55:06.48 ID:pjIk2hZ5.net
姐姐『あ、爸爸も帰ってきた! ほら、クク! 行ってきなさい!!』
可可『!?』
むりやり背中を押され、ククはリビングにたどり着いた。
父『ああ、小可。ただいま』
母『……小可?』
可可『……………………』
ククの、本心……。
そんなの、決まってる。
自分でも無謀だと思うし、周囲からはばかにされるかもしれない……。叶えられるかなんて見当もつかないほどの未知数……。
それでも、貫きたいと思えたこの衝動…………。
これが、夢の力……!
可可『……妈妈、爸爸』
可可『……話が、あります』
可可『!?』
むりやり背中を押され、ククはリビングにたどり着いた。
父『ああ、小可。ただいま』
母『……小可?』
可可『……………………』
ククの、本心……。
そんなの、決まってる。
自分でも無謀だと思うし、周囲からはばかにされるかもしれない……。叶えられるかなんて見当もつかないほどの未知数……。
それでも、貫きたいと思えたこの衝動…………。
これが、夢の力……!
可可『……妈妈、爸爸』
可可『……話が、あります』
507: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 03:56:42.86 ID:pjIk2hZ5.net
両親に、日本の高校へ留学したい旨を訴えた。
可可『く、クク……は……』
可可『日本で、スクールアイドルがしたい……です』
可可『初めてできた、夢だから……! なんとしてでも追いかけたいの……!』
案の定、両親からは猛反対を受けた。
手を何度も握りなおして、空気に圧されないよう立ち向かう。
母『小可。もうすぐ地球が滅亡すること、知ってるわよね?』
可可『……うん』
母『宇宙へ脱出すれば、生きながらえることができるのも、知ってるでしょ?』
可可『……』
父『実はな。お父さんの研究がうまくいけば、その功績が認められ、宇宙に行けるかもしれないんだ』
父『もしその時になって、小可が中国に戻ってこられず、ひとりだけ宇宙に行けなくなったらどうする?』
可可『それは……』
父『命あっての物種。生きてなきゃ、夢も見られないじゃないか』
父『なあ、小可。利口なおまえなら理解できるだろう』
可可『く、クク……は……』
可可『日本で、スクールアイドルがしたい……です』
可可『初めてできた、夢だから……! なんとしてでも追いかけたいの……!』
案の定、両親からは猛反対を受けた。
手を何度も握りなおして、空気に圧されないよう立ち向かう。
母『小可。もうすぐ地球が滅亡すること、知ってるわよね?』
可可『……うん』
母『宇宙へ脱出すれば、生きながらえることができるのも、知ってるでしょ?』
可可『……』
父『実はな。お父さんの研究がうまくいけば、その功績が認められ、宇宙に行けるかもしれないんだ』
父『もしその時になって、小可が中国に戻ってこられず、ひとりだけ宇宙に行けなくなったらどうする?』
可可『それは……』
父『命あっての物種。生きてなきゃ、夢も見られないじゃないか』
父『なあ、小可。利口なおまえなら理解できるだろう』
508: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 03:58:07.17 ID:pjIk2hZ5.net
無垢な感情が身体を燃やし、目頭が熱くなる。
……泣くな! 泣いたって、なにも変わらない……!!
スクールアイドルになりたい! 日本に留学したい! この想いは、だれにもゆずれない!!
もう、逃げない! ククは、ククのやりたいことをやる……!
そのためには、立ち止まらずに進まなきゃ……!
ククは、一歩前へ──足を踏み出した。
可可『それでも……それでもククは、スクールアイドルになりたい……!』
可可『この夢を、叶えたいの……!』
母『どうしてわからないの!? 夢なんかより、あなたの命のほうがよっぽど大事なの!』
母『もし、小可の希望通り、日本に行って、スクールアイドルになれたとして……』
母『そのせいで地球脱出の機会をなくし、助からなくなったとしたら……それであなたは納得できる!?』
可可『……』
母『そんなの、死ににいくようなものじゃない! 夢に死ぬなんて、愚か者よ!!』
さあ、言え! 言え! 言え!
ククのありったけの想いを、いま! ぶつけるんだ!!
可可「ククは……………………」
可可『夢のためなら死んでやる──!!』
……泣くな! 泣いたって、なにも変わらない……!!
スクールアイドルになりたい! 日本に留学したい! この想いは、だれにもゆずれない!!
もう、逃げない! ククは、ククのやりたいことをやる……!
そのためには、立ち止まらずに進まなきゃ……!
ククは、一歩前へ──足を踏み出した。
可可『それでも……それでもククは、スクールアイドルになりたい……!』
可可『この夢を、叶えたいの……!』
母『どうしてわからないの!? 夢なんかより、あなたの命のほうがよっぽど大事なの!』
母『もし、小可の希望通り、日本に行って、スクールアイドルになれたとして……』
母『そのせいで地球脱出の機会をなくし、助からなくなったとしたら……それであなたは納得できる!?』
可可『……』
母『そんなの、死ににいくようなものじゃない! 夢に死ぬなんて、愚か者よ!!』
さあ、言え! 言え! 言え!
ククのありったけの想いを、いま! ぶつけるんだ!!
可可「ククは……………………」
可可『夢のためなら死んでやる──!!』
509: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 03:59:54.68 ID:pjIk2hZ5.net
…………。
両親を相手取った水かけ論は、4時間続いた。
途中、何度も勘当されかけたが、ククの熱意に根負けした両親は、日本の学校の入試を受けることをしぶしぶ了承してくれた。
そして念願叶って、日本への留学が決まった。
さっき届いたばかりの合格通知を高々に掲げ、部屋の中でくるくると回る。
留学先は、私立結ヶ丘女子高等学校。来年から創立される新設校だ。
ここでククは、スクールアイドルになる夢を叶える……!
あの時、ククの背中を押してくれた姐姐には、感謝しなくてはならない。
まあきっと、嫌いなククを家から追い出すために、発破をかけただけ、なんだろうけど……。
ククが日本へと発つ、その日。
空港まで見送ってくれたのは、姐姐だけだった。……まあ、両親が来ないのは、当然といえば当然かもしれない。最後までククの留学をよく思ってなかったし……。
姐姐は、これで目障りなククがいなくなるから、せいせいしていることだろう。
可可『送ってくれてありがと。もうここでいいから』
姐姐『……うん』
両親を相手取った水かけ論は、4時間続いた。
途中、何度も勘当されかけたが、ククの熱意に根負けした両親は、日本の学校の入試を受けることをしぶしぶ了承してくれた。
そして念願叶って、日本への留学が決まった。
さっき届いたばかりの合格通知を高々に掲げ、部屋の中でくるくると回る。
留学先は、私立結ヶ丘女子高等学校。来年から創立される新設校だ。
ここでククは、スクールアイドルになる夢を叶える……!
あの時、ククの背中を押してくれた姐姐には、感謝しなくてはならない。
まあきっと、嫌いなククを家から追い出すために、発破をかけただけ、なんだろうけど……。
ククが日本へと発つ、その日。
空港まで見送ってくれたのは、姐姐だけだった。……まあ、両親が来ないのは、当然といえば当然かもしれない。最後までククの留学をよく思ってなかったし……。
姐姐は、これで目障りなククがいなくなるから、せいせいしていることだろう。
可可『送ってくれてありがと。もうここでいいから』
姐姐『……うん』
510: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:01:00.95 ID:pjIk2hZ5.net
スーツケースをからから転がし、搭乗口へと向かう。
姐姐『…………クク!!』
大声で名前を叫ばれ、びっくりした。振り返ると、姐姐は口をモゴモゴさせ、言葉を探している。
……それは、いままで見たことのない、姐姐の姿だった。
姐姐は弱々しい表情を浮かべ、ククのもとへ駆け寄る。
姐姐『あ、あの……クク…………』
姐姐『私ね……? あんたに、謝らないといけないことが、あるの……』
可可『謝る?』
ククが姐姐に謝るならまだしも、姐姐がククに謝ることなんて、なにひとつ思い当たらなかった。
姐姐『ククが大事にしてた、くまのぬいぐるみ…………再起不能にしちゃって、ごめんなさい……』
可可『!?』
あのサイボーグ化は、姐姐の仕業だったの!?
というか、何年前の話してるの? もう10年くらい前だよ、その事件……!
姐姐『…………クク!!』
大声で名前を叫ばれ、びっくりした。振り返ると、姐姐は口をモゴモゴさせ、言葉を探している。
……それは、いままで見たことのない、姐姐の姿だった。
姐姐は弱々しい表情を浮かべ、ククのもとへ駆け寄る。
姐姐『あ、あの……クク…………』
姐姐『私ね……? あんたに、謝らないといけないことが、あるの……』
可可『謝る?』
ククが姐姐に謝るならまだしも、姐姐がククに謝ることなんて、なにひとつ思い当たらなかった。
姐姐『ククが大事にしてた、くまのぬいぐるみ…………再起不能にしちゃって、ごめんなさい……』
可可『!?』
あのサイボーグ化は、姐姐の仕業だったの!?
というか、何年前の話してるの? もう10年くらい前だよ、その事件……!
511: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:03:16.69 ID:pjIk2hZ5.net
姐姐『ククを喜ばせたくて、お姉ちゃんがこっそり直してあげようと思ったの……。そしたら、元より悲惨な状態になっちゃって……』
姐姐『謝ろうと思ったけど……なかなか言い出せなくて…………』
姐姐『ククに嫌われたくなくて、ずっと黙ってたの……。いまさらだけど、ごめんね……?』
可可『そ、そうなんだ。別にいいけど……』
完璧超人だと思っていた姐姐に、垣間見えた不器用さ。
ククは、呆気にとられた。
……しかし、「嫌われたくない」というのは、どういう意味だろう? 姐姐もククも、互いに嫌い合ってるはずなのに。
姐姐『あんたは、私とは比べものにならないくらい、手先が器用よね……』
姐姐『ククの作る衣装、かわいらしくて好きだわ』
可可『!?』
どうして姐姐は、ククが衣装作りしてること知ってるの……!?
姐姐『いつか、見てみたいの』
姐姐『ククがあのかわいい衣装を着て、歌って踊っているライブステージを。この目で見たいの』
姐姐『──それが私の、"新しい夢"!』
姐姐『謝ろうと思ったけど……なかなか言い出せなくて…………』
姐姐『ククに嫌われたくなくて、ずっと黙ってたの……。いまさらだけど、ごめんね……?』
可可『そ、そうなんだ。別にいいけど……』
完璧超人だと思っていた姐姐に、垣間見えた不器用さ。
ククは、呆気にとられた。
……しかし、「嫌われたくない」というのは、どういう意味だろう? 姐姐もククも、互いに嫌い合ってるはずなのに。
姐姐『あんたは、私とは比べものにならないくらい、手先が器用よね……』
姐姐『ククの作る衣装、かわいらしくて好きだわ』
可可『!?』
どうして姐姐は、ククが衣装作りしてること知ってるの……!?
姐姐『いつか、見てみたいの』
姐姐『ククがあのかわいい衣装を着て、歌って踊っているライブステージを。この目で見たいの』
姐姐『──それが私の、"新しい夢"!』
512: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:04:31.64 ID:pjIk2hZ5.net
可可『……………………』
可可『……………………』
瞬間、すべてを理解した。
ククはとんでもない大ばか者だ。
姐姐はククのことを、嫌ってなどいなかったのだ。
ククが先に嫌いになったのに、いつしか、その感情を姐姐のものだと思い込んでた。無意識に気持ちをすり替えてたんだ。
そうだ、そうだ……あの時も。
姐姐は、ククがほしかった服を見つけてきてくれたし、ククのくすぶらせていた気持ちを焚きつけてくれた。
いつもなぜか、ククのほしいものに気づいてた。
いつもなぜか、ククの気持ちを察していた。
そうだ……。
姐姐はいつも、ククのことを、考えてくれてたんだ……。
姐姐だけが、ククを見てくれていた……!
姐姐はククの、一番の理解者だったんだ……!
可可『……………………』
瞬間、すべてを理解した。
ククはとんでもない大ばか者だ。
姐姐はククのことを、嫌ってなどいなかったのだ。
ククが先に嫌いになったのに、いつしか、その感情を姐姐のものだと思い込んでた。無意識に気持ちをすり替えてたんだ。
そうだ、そうだ……あの時も。
姐姐は、ククがほしかった服を見つけてきてくれたし、ククのくすぶらせていた気持ちを焚きつけてくれた。
いつもなぜか、ククのほしいものに気づいてた。
いつもなぜか、ククの気持ちを察していた。
そうだ……。
姐姐はいつも、ククのことを、考えてくれてたんだ……。
姐姐だけが、ククを見てくれていた……!
姐姐はククの、一番の理解者だったんだ……!
513: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:05:40.04 ID:pjIk2hZ5.net
可可『あ…………あああ……ああ……』
知らなかった……姐姐の想いを……。
姐姐はいつも、ククの味方でいてくれたのに……。
そのやさしさに、ククは気がつかなかった……。
可可『姐姐……姐姐ぇ…………』
ぽろぽろと涙がこぼれる。一度流れ出すと、収まることはなかった。
視界がにごり、姐姐の姿もぼんやり捉えられなくなる。
姐姐『…………』
姐姐『クク……!』
可可『!』
姐姐に抱きしめられる。
背中に回された姐姐のか細い手に、ぎゅっと力が込められた。
知らなかった……姐姐の想いを……。
姐姐はいつも、ククの味方でいてくれたのに……。
そのやさしさに、ククは気がつかなかった……。
可可『姐姐……姐姐ぇ…………』
ぽろぽろと涙がこぼれる。一度流れ出すと、収まることはなかった。
視界がにごり、姐姐の姿もぼんやり捉えられなくなる。
姐姐『…………』
姐姐『クク……!』
可可『!』
姐姐に抱きしめられる。
背中に回された姐姐のか細い手に、ぎゅっと力が込められた。
514: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:07:41.76 ID:pjIk2hZ5.net
姐姐『もう…………』
姐姐『泣き虫なんだから……』
抱きしめられているので、姐姐の顔は見えなかった。
でも、声が震えていることだけは、よくわかった。
姐姐『…………私も、泣き虫だ……』
姐姐が泣いているところを、ククは人生で一度も、見たことがなかった。
……この日、姐姐は初めて、ククの前で泣いた。
姐姐『……だめね、私…………。ククの前では……完璧なお姉ちゃんで、いたかったのに…………』
可可『え……』
姐姐『私、ずっと……妹から、あこがれられるお姉ちゃんになるため……いつも必死で、いいお姉ちゃん演じて…………』
姐姐『なのに……最後の最後で、みっともないとこ見せちゃった…………』
可可『……姐姐』
姐姐『泣き虫なんだから……』
抱きしめられているので、姐姐の顔は見えなかった。
でも、声が震えていることだけは、よくわかった。
姐姐『…………私も、泣き虫だ……』
姐姐が泣いているところを、ククは人生で一度も、見たことがなかった。
……この日、姐姐は初めて、ククの前で泣いた。
姐姐『……だめね、私…………。ククの前では……完璧なお姉ちゃんで、いたかったのに…………』
可可『え……』
姐姐『私、ずっと……妹から、あこがれられるお姉ちゃんになるため……いつも必死で、いいお姉ちゃん演じて…………』
姐姐『なのに……最後の最後で、みっともないとこ見せちゃった…………』
可可『……姐姐』
515: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:08:53.55 ID:pjIk2hZ5.net
姐姐『本当は……本当はっ!』
姐姐『ククに、どこにも行ってほじぐないよぉ……!』
姐姐『い゛や゛なの! ククには……ずっと近くに、いでほしい……!』
姐姐『…………でも』
姐姐『やっと、夢を見つけたんでしょ……?』
姐姐『だったら、お姉ちゃんは……応援するから!』
姐姐『どれだけ遠く離れていても、応援してるから……!』
姐姐『絶対に夢を叶えなさい……。あんたならできるわ』
姐姐『みんなの心に、名を残すような立派な人間になりなさい……!』
可可『……姐姐……! 姐……姐姐ぇ…………!!』
姐姐『クク……』
姐姐とククは、力強く抱きしめ合った。
姐姐『ねえ、クク……。あんたずっと、勘違いしてたみたいだけど……』
姐姐『これが、私の本当の想いよ…………』
姐姐は、耳元でそっとささやいた。
姐姐『…………あいしてる』
姐姐『ククに、どこにも行ってほじぐないよぉ……!』
姐姐『い゛や゛なの! ククには……ずっと近くに、いでほしい……!』
姐姐『…………でも』
姐姐『やっと、夢を見つけたんでしょ……?』
姐姐『だったら、お姉ちゃんは……応援するから!』
姐姐『どれだけ遠く離れていても、応援してるから……!』
姐姐『絶対に夢を叶えなさい……。あんたならできるわ』
姐姐『みんなの心に、名を残すような立派な人間になりなさい……!』
可可『……姐姐……! 姐……姐姐ぇ…………!!』
姐姐『クク……』
姐姐とククは、力強く抱きしめ合った。
姐姐『ねえ、クク……。あんたずっと、勘違いしてたみたいだけど……』
姐姐『これが、私の本当の想いよ…………』
姐姐は、耳元でそっとささやいた。
姐姐『…………あいしてる』
516: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:11:16.51 ID:pjIk2hZ5.net
………………………………………………。
かのん『…………ねえ、これ……!』
かのん『……クゥクゥちゃん! この歌詞、すごくいいよ……!!』
可可『……あ、それは…………』
可可『……………………』
可可『ククの、大好きな人の言葉デス』
千砂都『大好きな人……?』
可可『……ククの、お姉ちゃんデス』
恋『クゥクゥさん、お姉さんがいらっしゃるんですね』
すみれ『すてきなお姉さんね』
可可『はいデス!』
姐姐の好きな言葉。
それはいつしか、ククの好きな言葉となった。
遅すぎるなんてない
不可能なんてない
いつだって
──思い立ったら、その日が始まりのDay1
かのん『…………ねえ、これ……!』
かのん『……クゥクゥちゃん! この歌詞、すごくいいよ……!!』
可可『……あ、それは…………』
可可『……………………』
可可『ククの、大好きな人の言葉デス』
千砂都『大好きな人……?』
可可『……ククの、お姉ちゃんデス』
恋『クゥクゥさん、お姉さんがいらっしゃるんですね』
すみれ『すてきなお姉さんね』
可可『はいデス!』
姐姐の好きな言葉。
それはいつしか、ククの好きな言葉となった。
遅すぎるなんてない
不可能なんてない
いつだって
──思い立ったら、その日が始まりのDay1
517: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:11:52.76 ID:pjIk2hZ5.net
☆
意識の奥底、深層部。
そこは、無色透明に広がる無限の空間。
その中にぽつんと、私がいマシタ。ひざを抱えて、ひとりうずくまっていマス。
私は泣き虫だったから、いつしか床は、涙で水びたしになっていマシタ。
水面に映る私の顔は、暗く落ち込んでいマス。まるで世界のあらゆる絶望を目にしてきたかのような表情デス。
──動かなきゃ。
だれかの意志を受け、立ち上がった私。でも、そこから前に進みマセン。
足はその場に生えているかのように、微動だにしませんデシタ。
どん。
背中を押され、踏ん張ろうと出た足が、最初の一歩を刻みマシタ。
背後を振り返っても、そこにはだれもいマセン。
……やさしくも、きびしい。そんな愛ある風が、私に吹いたのデショウ。
意識の奥底、深層部。
そこは、無色透明に広がる無限の空間。
その中にぽつんと、私がいマシタ。ひざを抱えて、ひとりうずくまっていマス。
私は泣き虫だったから、いつしか床は、涙で水びたしになっていマシタ。
水面に映る私の顔は、暗く落ち込んでいマス。まるで世界のあらゆる絶望を目にしてきたかのような表情デス。
──動かなきゃ。
だれかの意志を受け、立ち上がった私。でも、そこから前に進みマセン。
足はその場に生えているかのように、微動だにしませんデシタ。
どん。
背中を押され、踏ん張ろうと出た足が、最初の一歩を刻みマシタ。
背後を振り返っても、そこにはだれもいマセン。
……やさしくも、きびしい。そんな愛ある風が、私に吹いたのデショウ。
518: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:12:54.45 ID:pjIk2hZ5.net
それでも私は、二歩目を踏み出せないでいマシタ。
歩行中に時が止まったかのように、中途半端な体勢のまま、二の足を踏みマス。
うつむく私。すると、あることに気がつきマス。
一歩目を踏み出したことによって、足もとの水には波紋が広がっていマシタ。
波紋は、無味乾燥な世界に彩りを与えマス。私を中心に、でかいのキャンバスを水色で染めていくのデス。
私は、二歩目を踏み出しマシタ。
足が地面に触れた途端、水色が円形に拡散していきマス。
ひた、ひた、ひた。
三歩目、四歩目、五歩目。
歩くたびに、世界が私色にうつろっていきマシタ。
足は自然に、前へ出マシタ。次の一歩を刻むため。
歩行中に時が止まったかのように、中途半端な体勢のまま、二の足を踏みマス。
うつむく私。すると、あることに気がつきマス。
一歩目を踏み出したことによって、足もとの水には波紋が広がっていマシタ。
波紋は、無味乾燥な世界に彩りを与えマス。私を中心に、でかいのキャンバスを水色で染めていくのデス。
私は、二歩目を踏み出しマシタ。
足が地面に触れた途端、水色が円形に拡散していきマス。
ひた、ひた、ひた。
三歩目、四歩目、五歩目。
歩くたびに、世界が私色にうつろっていきマシタ。
足は自然に、前へ出マシタ。次の一歩を刻むため。
519: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:14:26.37 ID:pjIk2hZ5.net
いつしか私の足は走り出し、水びたしの空間に、規則的で幾何学的な波紋を残していきマス。
たまに、水たまりを飛び越えるように跳ねてみたり、くるっと回転してみたり。
そうしたら、私の動きに呼応するように、世界には色がつき、愉快な音色が奏でられマシタ。
それが楽しくて、ただ楽しくて。私は運動の第一法則に従い、何者の干渉も受けず、ひた走り続けマシタ。
私が走ってきた軌跡には、水色の道ができているはずデス。でも、振り返ったりしマセン。もう背後は気になりませんデシタ。
私は無鉄砲に、心のおもむくままに、世界を表現していきマス。
そのうち、新たな彩りが生まれマシタ。
オレンジ、黄緑、ピンクに群青。そして水色。
5色は時に混ざり合い、時に反発し合い、けれどみんな、同じ方向へと進んでいきマス。
また、違う色が四つ増えマシタ。より複雑な色合いを生み、それぞれの個性を保ちながらひとつにまとまっていきマス。
進む方角は、みな同じ。
おのおのが描く、夢の終着点へ──。
たまに、水たまりを飛び越えるように跳ねてみたり、くるっと回転してみたり。
そうしたら、私の動きに呼応するように、世界には色がつき、愉快な音色が奏でられマシタ。
それが楽しくて、ただ楽しくて。私は運動の第一法則に従い、何者の干渉も受けず、ひた走り続けマシタ。
私が走ってきた軌跡には、水色の道ができているはずデス。でも、振り返ったりしマセン。もう背後は気になりませんデシタ。
私は無鉄砲に、心のおもむくままに、世界を表現していきマス。
そのうち、新たな彩りが生まれマシタ。
オレンジ、黄緑、ピンクに群青。そして水色。
5色は時に混ざり合い、時に反発し合い、けれどみんな、同じ方向へと進んでいきマス。
また、違う色が四つ増えマシタ。より複雑な色合いを生み、それぞれの個性を保ちながらひとつにまとまっていきマス。
進む方角は、みな同じ。
おのおのが描く、夢の終着点へ──。
520: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:15:20.45 ID:pjIk2hZ5.net
★
『お時間となりました。夢見を終了します』
世界が転換し、わたくしの意識は、現実に引き戻されます。
ほおを熱いものが流れました。
ぞんびぃ「…………お母様……」
目を閉じて、夢の余韻にひたろうとしたのも束の間。
車の後部座席から、うめき声がします。
可可「あぅ……うぐぅ……」
可可「姐姐…………!」
可可「ううっ……ぐすっ…………姐姐ぇ……」
ぞんびぃ「く、クゥクゥさん!? なぜ、ここに……!!」
あまりの衝撃に、涙もどこへやら。
パニックを起こした思考回路は、手近なサヤさんに助けを求めました。
『お時間となりました。夢見を終了します』
世界が転換し、わたくしの意識は、現実に引き戻されます。
ほおを熱いものが流れました。
ぞんびぃ「…………お母様……」
目を閉じて、夢の余韻にひたろうとしたのも束の間。
車の後部座席から、うめき声がします。
可可「あぅ……うぐぅ……」
可可「姐姐…………!」
可可「ううっ……ぐすっ…………姐姐ぇ……」
ぞんびぃ「く、クゥクゥさん!? なぜ、ここに……!!」
あまりの衝撃に、涙もどこへやら。
パニックを起こした思考回路は、手近なサヤさんに助けを求めました。
521: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:16:14.69 ID:pjIk2hZ5.net
サヤ「どうやら、クゥクゥさんも夢見を体験されたようですね」
ぞんびぃ「この状況から推測するに、そういうことになりますね……」
ぞんびぃ「クゥクゥさんは初の夢見なので、明晰夢ではなく、過去の追体験になったと思われますが……」
可可「姐姐……もっとククのステージ、見てほしかった…………」
可可「あああ…………姐姐、姐姐ぇ……」
ぞんびぃ「…………」
身体を小さく丸め、泣きくずれる少女。
わたくしは、クゥクゥさんが内心を打ち明けてくださった、昨日の会話を思い出していました。
『絶対に泣かないと、心に誓ったのに……』
サヤ「先生。クゥクゥさんにお声がけされなくて、よろしいんですか?」
ぞんびぃ「……はい」
ぞんびぃ「わたくしはなにも見ていませんので」
ぞんびぃ「この状況から推測するに、そういうことになりますね……」
ぞんびぃ「クゥクゥさんは初の夢見なので、明晰夢ではなく、過去の追体験になったと思われますが……」
可可「姐姐……もっとククのステージ、見てほしかった…………」
可可「あああ…………姐姐、姐姐ぇ……」
ぞんびぃ「…………」
身体を小さく丸め、泣きくずれる少女。
わたくしは、クゥクゥさんが内心を打ち明けてくださった、昨日の会話を思い出していました。
『絶対に泣かないと、心に誓ったのに……』
サヤ「先生。クゥクゥさんにお声がけされなくて、よろしいんですか?」
ぞんびぃ「……はい」
ぞんびぃ「わたくしはなにも見ていませんので」
522: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:17:08.23 ID:pjIk2hZ5.net
★
サヤさんの運転で、車はスムーズに走行し、家まで帰ってきました。
後部座席を振り返り、クゥクゥさんの様子を確認しようと思ったら、そこはもぬけの殻でした。
クゥクゥさんはすでに降車され、うんと背伸びをしています。
可可「ふぅ~! 気分すっきりデス!」
ぞんびぃ「クゥクゥさん…………」
ぞんびぃ「なんだか、見違えたようです……。お顔も明るくなられて……」
可可「はいデス! 夢を見たおかげで、ククは大切なことを思い出せマシタ!」
クゥクゥさんは、澄みわたる快晴の空に、手を伸ばしています。
可可「思い立ったが吉日……」
可可「これは、ククの大好きな人の言葉であり、ククの大事にしている言葉でもありマス」
可可「ククは少し、足踏みしてしまいマシタが……もう一回! 夢へと向かって歩き出そうと思いマス!」
可可「なので、ぞんびぃさん。いままでお世話になりマシタ。ククはもう出ていきマスね」
ぞんびぃ「えっ……? ……えええっ!?」
サヤさんの運転で、車はスムーズに走行し、家まで帰ってきました。
後部座席を振り返り、クゥクゥさんの様子を確認しようと思ったら、そこはもぬけの殻でした。
クゥクゥさんはすでに降車され、うんと背伸びをしています。
可可「ふぅ~! 気分すっきりデス!」
ぞんびぃ「クゥクゥさん…………」
ぞんびぃ「なんだか、見違えたようです……。お顔も明るくなられて……」
可可「はいデス! 夢を見たおかげで、ククは大切なことを思い出せマシタ!」
クゥクゥさんは、澄みわたる快晴の空に、手を伸ばしています。
可可「思い立ったが吉日……」
可可「これは、ククの大好きな人の言葉であり、ククの大事にしている言葉でもありマス」
可可「ククは少し、足踏みしてしまいマシタが……もう一回! 夢へと向かって歩き出そうと思いマス!」
可可「なので、ぞんびぃさん。いままでお世話になりマシタ。ククはもう出ていきマスね」
ぞんびぃ「えっ……? ……えええっ!?」
523: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:18:53.29 ID:pjIk2hZ5.net
わたくしは車の窓から身体を乗り出し、去りゆこうとする彼女を、なんとか静止させようとします。
ぞんびぃ「ま、待ってください! そんな、いくらなんでも急過ぎます……!」
可可「スミマセン……。デスが、もう決めたことなのデス」
可可「いつまでもふさぎ込んでいたら……笑われてしまいマスので」
可可「姐姐に、すみれに……そして、グソクムシに」
ぞんびぃ「で、ですが……! なにも、いますぐ出ていくことはないのでは……?」
可可「そういうわけにはいかないデス! ククは進むべき道を再確認できマシタ。もう立ち止まっていられないのデス!」
可可「それに、ぞんびぃさんはククとは関係のない人デスから。これ以上の迷惑はかけられマセン。それでは拜拜デス!」
ぞんびぃ「関係…………」
ぞんびぃ(つまり、わたしくとクゥクゥさんの間に、強い関係値があればよいのですね)
ぞんびぃ(しかし……いまのわたくしは、"葉月恋"ではなく、"哲学的ぞんびぃ"です……。クゥクゥさんとは、最近知り合ったばかりの、ただの他人……)
ぞんびぃ(これからもずっと、クゥクゥさんといっしょに暮らしたいですが……。クゥクゥさんはわたくしを置いて、どんどん先へと突っ走っていきます……)
ぞんびぃ(わたくしは、どうすればよいのですか……?)
ぞんびぃ「ま、待ってください! そんな、いくらなんでも急過ぎます……!」
可可「スミマセン……。デスが、もう決めたことなのデス」
可可「いつまでもふさぎ込んでいたら……笑われてしまいマスので」
可可「姐姐に、すみれに……そして、グソクムシに」
ぞんびぃ「で、ですが……! なにも、いますぐ出ていくことはないのでは……?」
可可「そういうわけにはいかないデス! ククは進むべき道を再確認できマシタ。もう立ち止まっていられないのデス!」
可可「それに、ぞんびぃさんはククとは関係のない人デスから。これ以上の迷惑はかけられマセン。それでは拜拜デス!」
ぞんびぃ「関係…………」
ぞんびぃ(つまり、わたしくとクゥクゥさんの間に、強い関係値があればよいのですね)
ぞんびぃ(しかし……いまのわたくしは、"葉月恋"ではなく、"哲学的ぞんびぃ"です……。クゥクゥさんとは、最近知り合ったばかりの、ただの他人……)
ぞんびぃ(これからもずっと、クゥクゥさんといっしょに暮らしたいですが……。クゥクゥさんはわたくしを置いて、どんどん先へと突っ走っていきます……)
ぞんびぃ(わたくしは、どうすればよいのですか……?)
524: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:20:14.52 ID:pjIk2hZ5.net
ぞんびぃ「…………あの、サヤさん!」
サヤ「……」
ぞんびぃ「サヤさん! わたくしはどうすればよいと思いますか!?」
サヤ「……現在、スリープ中です。ピー、ガガガガ」
ぞんびぃ「なにをふざけているのですか!!」
ぞんびぃ「……あー、もう! わたくしに決断しろと、そうおっしゃいたいのですね!? わかりましたよ!」
おもむろに、ドアノブに手をかけます。少し力を入れて引けば、ドアは簡単に開きます。
ぞんびぃ「…………」
わたくしはいま、一度は捨てたはずの希望を、また追いかけようとしています。
希望を持ち続けることがどれだけつらいか、痛いほど、理解しているはずなのに。
クゥクゥさん……。わたくしは、わたくしは…………。
ガチャ。
わたくしは自分の手でドアを開き、そして、クゥクゥさんを追いかけます……!
サヤ「……」
ぞんびぃ「サヤさん! わたくしはどうすればよいと思いますか!?」
サヤ「……現在、スリープ中です。ピー、ガガガガ」
ぞんびぃ「なにをふざけているのですか!!」
ぞんびぃ「……あー、もう! わたくしに決断しろと、そうおっしゃいたいのですね!? わかりましたよ!」
おもむろに、ドアノブに手をかけます。少し力を入れて引けば、ドアは簡単に開きます。
ぞんびぃ「…………」
わたくしはいま、一度は捨てたはずの希望を、また追いかけようとしています。
希望を持ち続けることがどれだけつらいか、痛いほど、理解しているはずなのに。
クゥクゥさん……。わたくしは、わたくしは…………。
ガチャ。
わたくしは自分の手でドアを開き、そして、クゥクゥさんを追いかけます……!
525: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:21:23.39 ID:pjIk2hZ5.net
ぞんびぃ「!? クゥクゥさん、速いです……!」
ぞんびぃ「いえ……わたくしが、運動不足なのですね……はあ、はあ…………」
数年ぶりに、足を使って走ったような気がします。イメージ通りに身体が動いてくれません……。
それでも遮二無二、追いかけるしかありません!
ぞんびぃ「はあ、はあ、はあ…………クゥクゥ、さん……!」
ぞんびぃ「クゥクゥさん……! 待ってぇ……クゥクゥさん…………」
クゥクゥさんの後ろ姿が、だんだん近づいてきました。あと少し……!
ぞんびぃ「…………クゥクゥさん……!!」
可可「!! ぞんびぃさん──」
ぞんびぃ「!?」
わたくしの声に振り向いたクゥクゥさんは、足を踏み外し、転倒寸前!
わたくしは咄嗟に、クゥクゥさんへと手を伸ばします!
ドテーン。
ぞんびぃ「いえ……わたくしが、運動不足なのですね……はあ、はあ…………」
数年ぶりに、足を使って走ったような気がします。イメージ通りに身体が動いてくれません……。
それでも遮二無二、追いかけるしかありません!
ぞんびぃ「はあ、はあ、はあ…………クゥクゥ、さん……!」
ぞんびぃ「クゥクゥさん……! 待ってぇ……クゥクゥさん…………」
クゥクゥさんの後ろ姿が、だんだん近づいてきました。あと少し……!
ぞんびぃ「…………クゥクゥさん……!!」
可可「!! ぞんびぃさん──」
ぞんびぃ「!?」
わたくしの声に振り向いたクゥクゥさんは、足を踏み外し、転倒寸前!
わたくしは咄嗟に、クゥクゥさんへと手を伸ばします!
ドテーン。
526: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:22:38.35 ID:pjIk2hZ5.net
ぞんびぃ「うっ…………」
倒れるクゥクゥさんの身体の下に、なんとか滑り込むことができました……。
いま、仰向けで倒れるわたくしの上に、クゥクゥさんがべったり重なっている状態です。なんだか……性的です!
可可「……ククたち、お寿司みたいになってマスね」
ぞんびぃ「!! いい喩えですね……!」
可可「ぞんびぃさん……大丈夫デスか?」
ぞんびぃ「は、はい……。少し背中を打った程度です」
可可「そうデスか……。あの、なぜククを追いかけてきたんデスか? もうお別れは済ませたつもりデシタが」
ぞんびぃ「えっとぉ……そのぉ…………」
ここまで来て、尻込みしてしまう自分が情けない……。
もう、覚悟を決めましょう……!
わたくしだって、まだ……夢を見られるはずですから……!!
ぞんびぃ「わたくし、実は……葉月です! 葉月恋なんですーーー!!」
可可「…………だれデスか?」
ぞんびぃ「えええええーーー!?」
倒れるクゥクゥさんの身体の下に、なんとか滑り込むことができました……。
いま、仰向けで倒れるわたくしの上に、クゥクゥさんがべったり重なっている状態です。なんだか……性的です!
可可「……ククたち、お寿司みたいになってマスね」
ぞんびぃ「!! いい喩えですね……!」
可可「ぞんびぃさん……大丈夫デスか?」
ぞんびぃ「は、はい……。少し背中を打った程度です」
可可「そうデスか……。あの、なぜククを追いかけてきたんデスか? もうお別れは済ませたつもりデシタが」
ぞんびぃ「えっとぉ……そのぉ…………」
ここまで来て、尻込みしてしまう自分が情けない……。
もう、覚悟を決めましょう……!
わたくしだって、まだ……夢を見られるはずですから……!!
ぞんびぃ「わたくし、実は……葉月です! 葉月恋なんですーーー!!」
可可「…………だれデスか?」
ぞんびぃ「えええええーーー!?」
527: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:23:55.21 ID:pjIk2hZ5.net
可可「……ふふっ、冗談デェス!」
可可「レンレン~……! ようやく会えマシタぁ~!!」ギュー
恋「クゥクゥさん……!」ギュー
可可「レンレンは、自分の正体をいつ言い出すのかと思っていたら、まさかこんなにかかるとは……」
恋「!! まさか、気づいていたのですか……?」
可可「もちろんデス! このやわらかさはレンレンのほかにいマセン!」モミモミ
恋「ひゃあ!? どこさわってるんですかー! もう……」
可可「……レンレン~~~!!」ギュー
クゥクゥさんは満面の笑みを浮かべ、再びわたくしに抱きついてきました。
正直、運動不足なわたくしには、かなり重かったのですが……。がんばって受け入れます。
可可「はぁ~……。やっぱり、レンレンいいにおいぃ~……」スンスン
恋「もう……恥ずかしいですよ、クゥクゥさん」
可可「えへえへ」
クゥクゥさんとわたくしは、迎えにきていたサヤさんの運転で、再び家へと舞い戻りました。
可可「レンレン~……! ようやく会えマシタぁ~!!」ギュー
恋「クゥクゥさん……!」ギュー
可可「レンレンは、自分の正体をいつ言い出すのかと思っていたら、まさかこんなにかかるとは……」
恋「!! まさか、気づいていたのですか……?」
可可「もちろんデス! このやわらかさはレンレンのほかにいマセン!」モミモミ
恋「ひゃあ!? どこさわってるんですかー! もう……」
可可「……レンレン~~~!!」ギュー
クゥクゥさんは満面の笑みを浮かべ、再びわたくしに抱きついてきました。
正直、運動不足なわたくしには、かなり重かったのですが……。がんばって受け入れます。
可可「はぁ~……。やっぱり、レンレンいいにおいぃ~……」スンスン
恋「もう……恥ずかしいですよ、クゥクゥさん」
可可「えへえへ」
クゥクゥさんとわたくしは、迎えにきていたサヤさんの運転で、再び家へと舞い戻りました。
528: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:26:34.44 ID:pjIk2hZ5.net
☆
家に戻ると、レンレンがギターを持ち出してきマシタ。
恋「まだ練習段階なので、完璧には弾けないのですが……」
可可「この世に完璧な人はいマセンよ」
可可「それより……フロンティアは、音楽禁止なのではなかったのデスか?」
恋「……ええ、禁止です。いまからわたくしが行うのは、違法行為となりますね」
可可「では、ふたりの秘密デスね!」
恋「いえ、"三人"です。サヤさんも合わせて」
サヤ「私は先生を裏切ったりしませんよ。告げ口なんて、たまにしかしません」
可可「たまにするのデスか……?」
恋「ユーモア機能をオンにしてあるので、こう言っているだけです。気にしないでください」
家に戻ると、レンレンがギターを持ち出してきマシタ。
恋「まだ練習段階なので、完璧には弾けないのですが……」
可可「この世に完璧な人はいマセンよ」
可可「それより……フロンティアは、音楽禁止なのではなかったのデスか?」
恋「……ええ、禁止です。いまからわたくしが行うのは、違法行為となりますね」
可可「では、ふたりの秘密デスね!」
恋「いえ、"三人"です。サヤさんも合わせて」
サヤ「私は先生を裏切ったりしませんよ。告げ口なんて、たまにしかしません」
可可「たまにするのデスか……?」
恋「ユーモア機能をオンにしてあるので、こう言っているだけです。気にしないでください」
529: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:33:44.64 ID:pjIk2hZ5.net
ククはチビを撫でながら、レンレンのギター演奏をわくわくして待ってマス。
レンレンはあわあわしながら、ギターのチューニングをしていマス。結局、サヤさんがほとんどやってしまったようデスが。
それから、レンレンは透き通る歌声で、『Norwegian Wood』を弾き歌いマシタ。
曲を聴いている間、ククの頭には環の代わりに、鮭が回っていマシタ。
恋「クゥクゥさん……。わたくしの夢、聞いてくださいますか?」
可可「聞きマス!」
恋「……わたくし、またみんなでいっしょに、歌いたいのです」
恋「Liella!のみなさんと、いっしょに……!」
可可「レンレン……!」
ククは、レンレンの手を握りしめマス。お互いの温度を交換し合うように。
レンレンはあわあわしながら、ギターのチューニングをしていマス。結局、サヤさんがほとんどやってしまったようデスが。
それから、レンレンは透き通る歌声で、『Norwegian Wood』を弾き歌いマシタ。
曲を聴いている間、ククの頭には環の代わりに、鮭が回っていマシタ。
恋「クゥクゥさん……。わたくしの夢、聞いてくださいますか?」
可可「聞きマス!」
恋「……わたくし、またみんなでいっしょに、歌いたいのです」
恋「Liella!のみなさんと、いっしょに……!」
可可「レンレン……!」
ククは、レンレンの手を握りしめマス。お互いの温度を交換し合うように。
530: 名無しで叶える物語 2022/12/23(金) 04:34:55.92 ID:pjIk2hZ5.net
可可「その夢、叶えマショウ! ククも協力しマス!」
恋「……はい!」
つなぐ手と手。
レンレンとククの間に、ひとつの"輪"ができマシタ。
さあ、ここからがリスタートデス!
第6章 天王星的転回 終
恋「……はい!」
つなぐ手と手。
レンレンとククの間に、ひとつの"輪"ができマシタ。
さあ、ここからがリスタートデス!
第6章 天王星的転回 終
537: 名無しで叶える物語 2022/12/24(土) 04:07:05.69 ID:bdM6d/iB.net
Interlude
わたくしは、この宇宙でひとりぼっちです。
最初に、千砂都さんと四季さんが宇宙に行き、離ればなれとなりました。
次に、きな子さん、メイさん、夏美さん。三人とは同じ船に乗れず、別れることになりました。
宇宙航行中、クゥクゥさんがいなくなり、続いてすみれさんも消えました。
残ったのは、かのんさんとわたくし、ふたりだけ。
惑星国家に着いてからは、不安で震えるわたくしの手を、かのんさんが包み込んでくださいました。
「……大丈夫だよ、恋ちゃん」
「かのんさん……」
「いつか、絶対……みんなに会えるから……」
大丈夫、大丈夫……と、かのんさんは自分に言い聞かせるようにつぶやきます。
そんなかのんさんも、"バベル"へと連れ去られました。
……わたくしは、ひとりきりになりました。
わたくしは、この宇宙でひとりぼっちです。
最初に、千砂都さんと四季さんが宇宙に行き、離ればなれとなりました。
次に、きな子さん、メイさん、夏美さん。三人とは同じ船に乗れず、別れることになりました。
宇宙航行中、クゥクゥさんがいなくなり、続いてすみれさんも消えました。
残ったのは、かのんさんとわたくし、ふたりだけ。
惑星国家に着いてからは、不安で震えるわたくしの手を、かのんさんが包み込んでくださいました。
「……大丈夫だよ、恋ちゃん」
「かのんさん……」
「いつか、絶対……みんなに会えるから……」
大丈夫、大丈夫……と、かのんさんは自分に言い聞かせるようにつぶやきます。
そんなかのんさんも、"バベル"へと連れ去られました。
……わたくしは、ひとりきりになりました。
538: 名無しで叶える物語 2022/12/24(土) 04:08:05.15 ID:bdM6d/iB.net
それでも、いつか再び会えることを信じていました。
Liella!のみなさんが集まる日を、いつか、きっと、迎えられると。
わたくしは、この国家のお歴々におもねて、為政者まで登り詰めました。まつりごとに関わる方は特例として、記憶の消去が行われないと小耳に挟んだからです。
必死に新言語を勉強し、この星で生活できるよう順応していきました。
すべては、みなさんとまた、同じステージに立つため。
わたくしにとって、Liella!と過ごしたあの時間は、かけがえのない一番の思い出なのです。
惑星国家では、地球よりも科学技術が発展しており、アンドロイドなるものが一般に普及していました。
特に、新たに発表されたニューモデルはたいへんな人気で、街中どこでも見られました。
秘書として使う先生も多いらしく、わたくしも勧められました。しかし、アンドロイドの購入に、かなりの葛藤があったことは、言うまでもありません。
……それでも迷った末に、秘書兼メイドとして、迎え入れることにしました。
名前は──大切な人の名を借り、『サヤ』と呼ぶことにしました。
それと、電気いぬも買いました。名前はもちろん、『チビ』です。
Liella!のみなさんが集まる日を、いつか、きっと、迎えられると。
わたくしは、この国家のお歴々におもねて、為政者まで登り詰めました。まつりごとに関わる方は特例として、記憶の消去が行われないと小耳に挟んだからです。
必死に新言語を勉強し、この星で生活できるよう順応していきました。
すべては、みなさんとまた、同じステージに立つため。
わたくしにとって、Liella!と過ごしたあの時間は、かけがえのない一番の思い出なのです。
惑星国家では、地球よりも科学技術が発展しており、アンドロイドなるものが一般に普及していました。
特に、新たに発表されたニューモデルはたいへんな人気で、街中どこでも見られました。
秘書として使う先生も多いらしく、わたくしも勧められました。しかし、アンドロイドの購入に、かなりの葛藤があったことは、言うまでもありません。
……それでも迷った末に、秘書兼メイドとして、迎え入れることにしました。
名前は──大切な人の名を借り、『サヤ』と呼ぶことにしました。
それと、電気いぬも買いました。名前はもちろん、『チビ』です。
539: 名無しで叶える物語 2022/12/24(土) 04:09:11.95 ID:bdM6d/iB.net
毎日、空を見上げ、期待に胸を膨らませます。
生きてさえいれば、必ずまた……!
しかし、待てども待てども、現状が好転することはありませんでした。
電波塔、アンドロイド、箱に詰められたじゃがいも。
現実を突きつけられるたびに、夢は打ち砕かれ、希望がかすみます。
あれから、何年経ったでしょうか……。
わたくしは歳を重ねるたび、疲れてきてしまったのです……。
信じることに。期待することに。夢を見ることに。
「…………もう、いいですよね……」
──わたくしはドアを閉じました。
このドアを開くことは、二度とないでしょう。
生きてさえいれば、必ずまた……!
しかし、待てども待てども、現状が好転することはありませんでした。
電波塔、アンドロイド、箱に詰められたじゃがいも。
現実を突きつけられるたびに、夢は打ち砕かれ、希望がかすみます。
あれから、何年経ったでしょうか……。
わたくしは歳を重ねるたび、疲れてきてしまったのです……。
信じることに。期待することに。夢を見ることに。
「…………もう、いいですよね……」
──わたくしはドアを閉じました。
このドアを開くことは、二度とないでしょう。
540: 名無しで叶える物語 2022/12/24(土) 04:10:06.44 ID:bdM6d/iB.net
第7章 海王星的邂逅
『デケデケデッデッデー♪ ピローン♪』
『さあ今日もはじまりました! 世界のクウゲキを埋めていきたいなぁ。〈スペースラジオ〉のお時間です』
『私、ナポリタンモンスターがお送りします。よろくしお願いします!』
恋「……」
恋「これよりわたくしたちは、惑星国家の中心部、"科学都市バベル"へと向かいます」
可可「バベル……」
恋「バベルにそびえる巨大な電波塔。その上部に、かのんさんがいます」
ククの脳内で、ホテルの引き出しとかによくあるポケット聖書が、ぱらぱらと頁をめくりはじめマシタ。
『バベルの塔』の物語も、『ノアの方舟』と同じく、聖書の創世記に出てくる話デシタか。
天まで届く塔を建設しようと試みる人類。その野望をくだくため、神様は人語をばらばらにし、人類はコミュニケーションが取れなくなってしまう……というあらましだったと記憶していマス。
その塔に、かのんがいる……。
かのんが塔に幽閉されていることは、シキシキに聞いていマシタ。なんとなく、レンガ作りの塔を想像していマシタが、意外と文明は発達しているようデス。
『デケデケデッデッデー♪ ピローン♪』
『さあ今日もはじまりました! 世界のクウゲキを埋めていきたいなぁ。〈スペースラジオ〉のお時間です』
『私、ナポリタンモンスターがお送りします。よろくしお願いします!』
恋「……」
恋「これよりわたくしたちは、惑星国家の中心部、"科学都市バベル"へと向かいます」
可可「バベル……」
恋「バベルにそびえる巨大な電波塔。その上部に、かのんさんがいます」
ククの脳内で、ホテルの引き出しとかによくあるポケット聖書が、ぱらぱらと頁をめくりはじめマシタ。
『バベルの塔』の物語も、『ノアの方舟』と同じく、聖書の創世記に出てくる話デシタか。
天まで届く塔を建設しようと試みる人類。その野望をくだくため、神様は人語をばらばらにし、人類はコミュニケーションが取れなくなってしまう……というあらましだったと記憶していマス。
その塔に、かのんがいる……。
かのんが塔に幽閉されていることは、シキシキに聞いていマシタ。なんとなく、レンガ作りの塔を想像していマシタが、意外と文明は発達しているようデス。
541: 名無しで叶える物語 2022/12/24(土) 04:11:19.57 ID:bdM6d/iB.net
サヤさんの運転で、車は走り出しマス。
恋「……改めまして、クゥクゥさん。わたくしを連れ出していただき、ありがとうございました!」
可可「んー? なんの話デスか?」
恋「クゥクゥさんが元気に走り出すお姿を見て、わたくしのハートも焚きつけられました」
恋「クゥクゥさんがいなかったら、わたくしはずっと、空っぽのままだったと思います。本当にありがとうございます!」
可可「そうデスか? ククはなにもしてマセンが……まあいいデス! レンレンのお役に立ててよかったデス」
レンレンとククは、後部座席で仲良く横並びで座っていマス。
"妹"の頭をよしよししてやると、少し恥ずかしそうにしながら、でも無抵抗に撫でられていマシタ。
可可「レンレン、ポニテがないデェス……! とてもかわいかったのに……」
恋「!! クゥクゥさんがそう言ってくださるなら……また、戻してみますね」
可可「ぜひに!」
恋「……改めまして、クゥクゥさん。わたくしを連れ出していただき、ありがとうございました!」
可可「んー? なんの話デスか?」
恋「クゥクゥさんが元気に走り出すお姿を見て、わたくしのハートも焚きつけられました」
恋「クゥクゥさんがいなかったら、わたくしはずっと、空っぽのままだったと思います。本当にありがとうございます!」
可可「そうデスか? ククはなにもしてマセンが……まあいいデス! レンレンのお役に立ててよかったデス」
レンレンとククは、後部座席で仲良く横並びで座っていマス。
"妹"の頭をよしよししてやると、少し恥ずかしそうにしながら、でも無抵抗に撫でられていマシタ。
可可「レンレン、ポニテがないデェス……! とてもかわいかったのに……」
恋「!! クゥクゥさんがそう言ってくださるなら……また、戻してみますね」
可可「ぜひに!」
542: 名無しで叶える物語 2022/12/24(土) 04:12:07.22 ID:bdM6d/iB.net
レンレンはとてもにこやかに、ククを見つめていマス。見えなくてもわかりマス。
恋「クゥクゥさんは、15年前となにも変わっていませんね……。肌もお若い」
可可「毎日グソクムシにプレスされてたので、成長も老化も止まったのかもしれないデス」
恋「……そうかもしれませんね」
先ほどからレンレンは、私の身体を余すとこなく撫で回してきマス。
残念ながら「セクハラ罪」はないので、ククは訴えられませんデシタ。泣く泣く泣き寝入りデス……。まあ、相手がレンレンならいくらでも構いマセンが。
恋「はあ……。わたくしとは、肌のハリつやが違います……。水もはじくようなすべすべ肌……」
恋「…………おや? クゥクゥさん……」
可可「どうかしマシタか?」
恋「……クゥクゥさん。ミサンガはもう、切れてしまったんですね?」
可可「!!」
恋「クゥクゥさんは、15年前となにも変わっていませんね……。肌もお若い」
可可「毎日グソクムシにプレスされてたので、成長も老化も止まったのかもしれないデス」
恋「……そうかもしれませんね」
先ほどからレンレンは、私の身体を余すとこなく撫で回してきマス。
残念ながら「セクハラ罪」はないので、ククは訴えられませんデシタ。泣く泣く泣き寝入りデス……。まあ、相手がレンレンならいくらでも構いマセンが。
恋「はあ……。わたくしとは、肌のハリつやが違います……。水もはじくようなすべすべ肌……」
恋「…………おや? クゥクゥさん……」
可可「どうかしマシタか?」
恋「……クゥクゥさん。ミサンガはもう、切れてしまったんですね?」
可可「!!」
543: 名無しで叶える物語 2022/12/24(土) 04:13:20.53 ID:bdM6d/iB.net
非常にまずいデェス……!
Liella!メンバーの証明でもある"ミサンガ"をなくしてしまったことが、レンレンにバレてしまいマス……!
可及的速やかに話題を変えなくては……!!
可可「……ククは地球では、サヤさんやチビには会えませんデシタ」
可可「デスが、東京地下には、たくさん人がいマス。きっと、どこかで生きているはずデス!」
恋「……そ、そうですね。わたくしも、そう信じています」
ここで、車内は静寂に包まれマシタ。
目的地であるバベルまでは、まだまだ遠そうデス。
可可「かのん……千砂都……すみれ……」
可可「三人に会えたら……ククの夢は、すべて叶いマス」
恋「……そう、ですね」
可可「そういえば、この星ですみれを見かけたと、シキシキが言ってマシタ。レンレンは知らないデスか?」
恋「ふぇえ!?」
飛び跳ねたレンレンの声が裏返りマシタ。
なにか変なことでも言ったのデショウか?
Liella!メンバーの証明でもある"ミサンガ"をなくしてしまったことが、レンレンにバレてしまいマス……!
可及的速やかに話題を変えなくては……!!
可可「……ククは地球では、サヤさんやチビには会えませんデシタ」
可可「デスが、東京地下には、たくさん人がいマス。きっと、どこかで生きているはずデス!」
恋「……そ、そうですね。わたくしも、そう信じています」
ここで、車内は静寂に包まれマシタ。
目的地であるバベルまでは、まだまだ遠そうデス。
可可「かのん……千砂都……すみれ……」
可可「三人に会えたら……ククの夢は、すべて叶いマス」
恋「……そう、ですね」
可可「そういえば、この星ですみれを見かけたと、シキシキが言ってマシタ。レンレンは知らないデスか?」
恋「ふぇえ!?」
飛び跳ねたレンレンの声が裏返りマシタ。
なにか変なことでも言ったのデショウか?
544: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/24(土) 04:15:17.27 ID:bdM6d/iB.net
恋「……わたくしは、あまりすみれさんにお会いしたくなくて……それで、都市部からここ、へき地に移ってきたんです」
可可「……? つまり、すみれはこの星にいると……」
恋「…………はい」
可可「~~~!!」
恋「ち、千砂都さんは……行方不明なんですよね?」
可可「……そのようです。レンレンが知らないなら、フロンティアにたどり着いていないみたいデスし……」
恋「四季さんの話からすると、ほぼ確定で、千砂都さんは変異体になったのだと思われます」
可可「千砂都も、ククのように地球へ追放されたのデスか?」
恋「どうでしょう……。なにか不思議な力で、不可解な現象が起きたことしかわかりません」
恋「変異体については、まだよくわかっていないのです。完全に未知の存在」
恋「なので、惑星国家において変異体の方は、問答無用で排除されてしまいます。新人類とのアツレキは、まだまだ大きいようです」
可可「ククをひとりで外出させなかったのは、そのためデスね」
恋「はい、それもあります」
レンレンの言葉や態度に、引っかかる点はありマシタ。デスが、あえてつっこまないようにしマシタ。
可可「……? つまり、すみれはこの星にいると……」
恋「…………はい」
可可「~~~!!」
恋「ち、千砂都さんは……行方不明なんですよね?」
可可「……そのようです。レンレンが知らないなら、フロンティアにたどり着いていないみたいデスし……」
恋「四季さんの話からすると、ほぼ確定で、千砂都さんは変異体になったのだと思われます」
可可「千砂都も、ククのように地球へ追放されたのデスか?」
恋「どうでしょう……。なにか不思議な力で、不可解な現象が起きたことしかわかりません」
恋「変異体については、まだよくわかっていないのです。完全に未知の存在」
恋「なので、惑星国家において変異体の方は、問答無用で排除されてしまいます。新人類とのアツレキは、まだまだ大きいようです」
可可「ククをひとりで外出させなかったのは、そのためデスね」
恋「はい、それもあります」
レンレンの言葉や態度に、引っかかる点はありマシタ。デスが、あえてつっこまないようにしマシタ。
545: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/24(土) 04:16:07.17 ID:bdM6d/iB.net
サヤ「先生、クゥクゥさん」
サヤ「この検問所をぬければ、バベルに入ります」
可可「いよいよデス……! いったい、どんな街──」
恋「……クゥクゥさん」
可可「はい?」
恋「あの……。かのんさんのことなんですが……」
恋「クゥクゥさんの目的は、『会いたい』だけですか……?」
可可「……会えたらうれしいデスし、お話して飽きるまで遊べたら、もっとうれしいデス」
可可「そして、シキシキとの約束した通り、囚われのかのんを助けたいと思っていマス」
恋「……」
恋「わたくしも、そう思っています」
検問所では、レンレンの名前を出すと、すんなり通してもらえマシタ。
ククたちは、惑星国家の心臓部に、足を踏み入れマシタ。
サヤ「この検問所をぬければ、バベルに入ります」
可可「いよいよデス……! いったい、どんな街──」
恋「……クゥクゥさん」
可可「はい?」
恋「あの……。かのんさんのことなんですが……」
恋「クゥクゥさんの目的は、『会いたい』だけですか……?」
可可「……会えたらうれしいデスし、お話して飽きるまで遊べたら、もっとうれしいデス」
可可「そして、シキシキとの約束した通り、囚われのかのんを助けたいと思っていマス」
恋「……」
恋「わたくしも、そう思っています」
検問所では、レンレンの名前を出すと、すんなり通してもらえマシタ。
ククたちは、惑星国家の心臓部に、足を踏み入れマシタ。
546: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/24(土) 04:17:22.27 ID:bdM6d/iB.net
………………………。
………………………。
恋『いちごはよくフルーツに数えられるのですが、実は分類としては果実ではなく、野菜なのです。果実的野菜とも呼ばれていて──』
すみれ『……あの三人はなにしてるの?』
千砂都『いまはねぇ、インタビュー対策してるとこだよ』
すみれ『インタビュー?』
千砂都『うん。ラブライブ関連のインタビューとか、受けるかもしれないでしょ? だから、自分の好きな食べ物をプレゼンできるよう、練習中!』
すみれ『幼稚園生じゃあるまいし、好きな食べ物なんて訊かれないわよ!』
かのん『じゃあ次はクゥクゥちゃんね!』
可可『はいデス!』
可可『ククが好きな食べ物は、ナポリタン!』
可可『ナポリタンは名称詐欺もいいとこで、ナポリのくせに、日本発祥デス! そもそも名前の由来が──』
すみれ『……って、雑学ばっか! どこが好きなのかを語りなさいよ!!』
………………………。
恋『いちごはよくフルーツに数えられるのですが、実は分類としては果実ではなく、野菜なのです。果実的野菜とも呼ばれていて──』
すみれ『……あの三人はなにしてるの?』
千砂都『いまはねぇ、インタビュー対策してるとこだよ』
すみれ『インタビュー?』
千砂都『うん。ラブライブ関連のインタビューとか、受けるかもしれないでしょ? だから、自分の好きな食べ物をプレゼンできるよう、練習中!』
すみれ『幼稚園生じゃあるまいし、好きな食べ物なんて訊かれないわよ!』
かのん『じゃあ次はクゥクゥちゃんね!』
可可『はいデス!』
可可『ククが好きな食べ物は、ナポリタン!』
可可『ナポリタンは名称詐欺もいいとこで、ナポリのくせに、日本発祥デス! そもそも名前の由来が──』
すみれ『……って、雑学ばっか! どこが好きなのかを語りなさいよ!!』
547: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/24(土) 04:20:12.94 ID:bdM6d/iB.net
可可『最後はかのん!』
かのん『うん。……あー、緊張するなぁ……』
すみれ『なにに緊張してるのよ』
かのん『わ、私は、焼きリンゴです! 焼きリンゴといえば……りんご!』
かのん『いやあ、りんごはほんとにすごいんです! なんといっても、人類史には欠かせない、マクガフィンなので!』
かのん『たとえば、エデンの園でも出てくるし、ディ○ニーの白雪姫でも出てくるし、頭にりんごのっける弓のやつでも出てくるし……』
すみれ『……ウィリアム・テル』
かのん『そう、それ!』
かのん『がーふぁ(?)に入ってる世界的な企業も「Ap○le」だし、世界的ロックバンドの「ビ○トルズ」もリンゴのスターだし!』
かのん『いや~、りんごってすごいよね~。ほこらしいなぁ~』
かのん『あと……そうだ! ニュートンはね、りんごが木から落ちるのを見て、重力を発見したんだよ!』
可可『!?』
かのん『うん。……あー、緊張するなぁ……』
すみれ『なにに緊張してるのよ』
かのん『わ、私は、焼きリンゴです! 焼きリンゴといえば……りんご!』
かのん『いやあ、りんごはほんとにすごいんです! なんといっても、人類史には欠かせない、マクガフィンなので!』
かのん『たとえば、エデンの園でも出てくるし、ディ○ニーの白雪姫でも出てくるし、頭にりんごのっける弓のやつでも出てくるし……』
すみれ『……ウィリアム・テル』
かのん『そう、それ!』
かのん『がーふぁ(?)に入ってる世界的な企業も「Ap○le」だし、世界的ロックバンドの「ビ○トルズ」もリンゴのスターだし!』
かのん『いや~、りんごってすごいよね~。ほこらしいなぁ~』
かのん『あと……そうだ! ニュートンはね、りんごが木から落ちるのを見て、重力を発見したんだよ!』
可可『!?』
548: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/24(土) 04:21:59.38 ID:bdM6d/iB.net
かのん『もしこの世にりんごがなかったら、私たちは重力を知らず育つことに──』
可可『か、かのん……!!』
可可『かのんのプライドを傷つける気はないデスが、我慢ならないので訂正させてクダサイ……!』
かのん『えっ……? あ、りんごが落ちた云々は、作り話だったんだっけ……?』
可可『そんなのどうでもいいデス!』
かのん『そんなの!?』
可可『重力は、ニュートンの発見ではありマセン。17世紀までには、わりと周知されてるはずデス。人類史をバカにしすぎデス!』
可可『アイザック・ニュートンの功績は、「万有引力が地球外の天体にも適用される」という説を提唱したことデス!』
かのん『へ、へぇ~……。そうなんだ……?』
すみれ『確か、当時はニュートンの説、周りから信じられてなかったのよね』
可可『はいデス! 万有引力は、地球上では証明のしようがなく、あくまで机上の空論でしかありませんデシタ』
かのん『クゥクゥちゃんはともかく……すみれちゃんも詳しいんだね?』
すみれ『当然! 宇宙トレンド入りした私なんだから、太陽系のことくらい調べておかないとね』
可可『か、かのん……!!』
可可『かのんのプライドを傷つける気はないデスが、我慢ならないので訂正させてクダサイ……!』
かのん『えっ……? あ、りんごが落ちた云々は、作り話だったんだっけ……?』
可可『そんなのどうでもいいデス!』
かのん『そんなの!?』
可可『重力は、ニュートンの発見ではありマセン。17世紀までには、わりと周知されてるはずデス。人類史をバカにしすぎデス!』
可可『アイザック・ニュートンの功績は、「万有引力が地球外の天体にも適用される」という説を提唱したことデス!』
かのん『へ、へぇ~……。そうなんだ……?』
すみれ『確か、当時はニュートンの説、周りから信じられてなかったのよね』
可可『はいデス! 万有引力は、地球上では証明のしようがなく、あくまで机上の空論でしかありませんデシタ』
かのん『クゥクゥちゃんはともかく……すみれちゃんも詳しいんだね?』
すみれ『当然! 宇宙トレンド入りした私なんだから、太陽系のことくらい調べておかないとね』
549: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/24(土) 04:23:51.58 ID:bdM6d/iB.net
恋『万有引力の法則が証明されたのは、海王星を発見したから……でしたよね』
かのん『恋ちゃん!?』
千砂都『うんうん。天王星の太陽を回る軌道が少しズレてるから、「まだ外に惑星あるんじゃね……?」ってなったんだよね』
可可『デスデス! それで、ニュートンの法則を用いたところ、計算通りの場所に新惑星が見つかったんデス!』
可可『死後になってようやく、万有引力の法則は認められたわけデスね。まあその後、アインシュタインの相対性理論に押しつぶされるんデスけど』
かのん『うぅ……ううぅ…………』
すみれ『……ちょっと。かのんが真っ赤になってるわよ』
可可『先ほどまで自慢気に語っていたのに……。忸怩たる思いデスね』
千砂都『大丈夫だよ、かのんちゃん! 人は恥を塗り重ねて成長するんだから! いまのかのんちゃんはすっごく恥ずかしいけど、この恥ずかしさも、いつかの糧になるんだよ!』
かのん『…………うわあああああ!!』
恋『かのんさん!? どこかに行ってしまわれました……』
千砂都『かのんちゃん……どうして……』
すみれ『千砂都がとどめさしたように見えるんだけど……?』
──夢寐にも忘れない思い出。
………………………。
………………………。
かのん『恋ちゃん!?』
千砂都『うんうん。天王星の太陽を回る軌道が少しズレてるから、「まだ外に惑星あるんじゃね……?」ってなったんだよね』
可可『デスデス! それで、ニュートンの法則を用いたところ、計算通りの場所に新惑星が見つかったんデス!』
可可『死後になってようやく、万有引力の法則は認められたわけデスね。まあその後、アインシュタインの相対性理論に押しつぶされるんデスけど』
かのん『うぅ……ううぅ…………』
すみれ『……ちょっと。かのんが真っ赤になってるわよ』
可可『先ほどまで自慢気に語っていたのに……。忸怩たる思いデスね』
千砂都『大丈夫だよ、かのんちゃん! 人は恥を塗り重ねて成長するんだから! いまのかのんちゃんはすっごく恥ずかしいけど、この恥ずかしさも、いつかの糧になるんだよ!』
かのん『…………うわあああああ!!』
恋『かのんさん!? どこかに行ってしまわれました……』
千砂都『かのんちゃん……どうして……』
すみれ『千砂都がとどめさしたように見えるんだけど……?』
──夢寐にも忘れない思い出。
………………………。
………………………。
555: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 03:35:43.62 ID:iW4dFov9.net
☆
車を降りてからは、レンレンに手を引かれて歩きマス。
恋「この通りを抜けると、"白の広場"に出ます。電波塔は広場の先です」
可可「……」テクテク
恋「クゥクゥさん……? 大丈夫ですか?」
可可「はい。じっくり惑星国家を歩くのは初めてだったので、空気を味わってマシタ」
恋「そういえばそうでしたね。こちらに来てからは、ずっとわたくしの家に囲っていたので……」
ドン。脚に子どもがぶつかり、つまずきそうになりマシタ。
淑女「すみません。うちの子が」
淑女「ほら、ベートーヴェン。謝りなさい」
ベートーヴェン「ごめんなさい」
可可「こけなかったので無問題デス! こちらこそ、よく前を見てなくてスミマセン」
淑女「……行きましょう」
恋「すみません、いまのはわたくしの不注意でした……」
恋「惑星国家の中心部なだけあって、人が多いですから。できるだけわたくしにくっついてくださいね」
可可「はいデス!」
車を降りてからは、レンレンに手を引かれて歩きマス。
恋「この通りを抜けると、"白の広場"に出ます。電波塔は広場の先です」
可可「……」テクテク
恋「クゥクゥさん……? 大丈夫ですか?」
可可「はい。じっくり惑星国家を歩くのは初めてだったので、空気を味わってマシタ」
恋「そういえばそうでしたね。こちらに来てからは、ずっとわたくしの家に囲っていたので……」
ドン。脚に子どもがぶつかり、つまずきそうになりマシタ。
淑女「すみません。うちの子が」
淑女「ほら、ベートーヴェン。謝りなさい」
ベートーヴェン「ごめんなさい」
可可「こけなかったので無問題デス! こちらこそ、よく前を見てなくてスミマセン」
淑女「……行きましょう」
恋「すみません、いまのはわたくしの不注意でした……」
恋「惑星国家の中心部なだけあって、人が多いですから。できるだけわたくしにくっついてくださいね」
可可「はいデス!」
556: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 03:37:21.52 ID:iW4dFov9.net
恋「……クゥクゥさんは、この国家に対して、どのようなご感想を抱きますか?」
可可「んー。地球よりも技術の進歩が見られマスが、根本的な部分は同じように思えマス」
可可「違う惑星というより、未来にきた感覚デス」
恋「未来、ですか……」
可可「違いマシタか?」
恋「過ぎた時間は二度と戻りませんから……その通りかもしれませんね」
寄り道することなくまっすぐ歩き、ククたち一行は、白の広場に着きマシタ。
視覚情報がないと、さっきまでの道となにが違うのか、ピンときませんデシタ。
唯一感じたのは、地面のタイルの敷き方が変わったことくらいデショウか。
その電波塔の存在感は、肌にひしひしと感じられマシタ。
ここでは、レンレンの顔が利きマシタ。警備の方やらいろんな人に交渉を行い、アポなしで塔内部に入ることができたのデス。
恋「わたくしも中に入るのは初めてです……。上層までは、どのように行けばよいのやら」
サヤ「先生。こちらに昇降機、向こうに階段があります」
可可「レンレンは運動不足なので、いっしょに階段から行きマショウ!」
恋「む、むりです! どれだけ段数あると思っているのですか!? この階段だけは登りたくありません……」
可可「んー。地球よりも技術の進歩が見られマスが、根本的な部分は同じように思えマス」
可可「違う惑星というより、未来にきた感覚デス」
恋「未来、ですか……」
可可「違いマシタか?」
恋「過ぎた時間は二度と戻りませんから……その通りかもしれませんね」
寄り道することなくまっすぐ歩き、ククたち一行は、白の広場に着きマシタ。
視覚情報がないと、さっきまでの道となにが違うのか、ピンときませんデシタ。
唯一感じたのは、地面のタイルの敷き方が変わったことくらいデショウか。
その電波塔の存在感は、肌にひしひしと感じられマシタ。
ここでは、レンレンの顔が利きマシタ。警備の方やらいろんな人に交渉を行い、アポなしで塔内部に入ることができたのデス。
恋「わたくしも中に入るのは初めてです……。上層までは、どのように行けばよいのやら」
サヤ「先生。こちらに昇降機、向こうに階段があります」
可可「レンレンは運動不足なので、いっしょに階段から行きマショウ!」
恋「む、むりです! どれだけ段数あると思っているのですか!? この階段だけは登りたくありません……」
557: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 03:39:10.11 ID:iW4dFov9.net
☆
立方体の箱は、垂直に上昇していきマス。かなりの速度が出ているのに、それを乗員に感じさせず、澄ました顔して気取ってやがりマス。
エレベーターはこのまま、宇宙まで行くように思われマシタ。しかし、そんな雑念をかき消すように、惰性で勢いをころし、やがて静止しマシタ。
カーン。
扉が開くと、機体は地上数百mの空気を飲み込み、一気に混ざり合いマス。
恋「!!」
恋「く、クゥクゥさん……! ちょっと待っててください……」
可可「?」
レンレンは慌てた様子で、どこかへ駆けていきマシタ。
その場に取り残された、サヤさんとクク。
きょろきょろと、見えない目で、周囲を見渡してみマス。
ここのどこかに、かのんが…………。
ま~るま~る♪
可可「!」
立方体の箱は、垂直に上昇していきマス。かなりの速度が出ているのに、それを乗員に感じさせず、澄ました顔して気取ってやがりマス。
エレベーターはこのまま、宇宙まで行くように思われマシタ。しかし、そんな雑念をかき消すように、惰性で勢いをころし、やがて静止しマシタ。
カーン。
扉が開くと、機体は地上数百mの空気を飲み込み、一気に混ざり合いマス。
恋「!!」
恋「く、クゥクゥさん……! ちょっと待っててください……」
可可「?」
レンレンは慌てた様子で、どこかへ駆けていきマシタ。
その場に取り残された、サヤさんとクク。
きょろきょろと、見えない目で、周囲を見渡してみマス。
ここのどこかに、かのんが…………。
ま~るま~る♪
可可「!」
558: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 03:40:48.38 ID:iW4dFov9.net
近くから、角の取れそうな歌が聴こえてきマス。
この歌、以前にも聴いたような……。
──しゅるしゅるしゅる
可可「……!」
足もとにふれた"なにか"が、ククをどこかへいざなおうとしていマス。
心の中で万有引力が強く作用し、誘惑に引きずり込まれてしまいマシタ。
サヤ「あ、クゥクゥさん……!」
ククは、白うさぎを追いかけるように、私を呼び寄せる"なにか"についていきマシタ。
その先にたどり着いたのは、なにもない空間。壁に囲まれた行き止まりデス。
──しゅるしゅるしゅる
気づくと、壁に"穴"が空いていマシタ。ちょうど人ひとり通れそうな幅デス。
穴のふちは、とてもすべすべぇ~としていマシタ。
この感触、ククは知っていマス……。これは、確か…………。
可可「あるまじき(アルマジロ)……!」
ククは、恐る恐る、その穴の中に入りマシタ。
ククが入ると、"穴"と思っていたものは、痕跡もなく消え去りマシタ。
この歌、以前にも聴いたような……。
──しゅるしゅるしゅる
可可「……!」
足もとにふれた"なにか"が、ククをどこかへいざなおうとしていマス。
心の中で万有引力が強く作用し、誘惑に引きずり込まれてしまいマシタ。
サヤ「あ、クゥクゥさん……!」
ククは、白うさぎを追いかけるように、私を呼び寄せる"なにか"についていきマシタ。
その先にたどり着いたのは、なにもない空間。壁に囲まれた行き止まりデス。
──しゅるしゅるしゅる
気づくと、壁に"穴"が空いていマシタ。ちょうど人ひとり通れそうな幅デス。
穴のふちは、とてもすべすべぇ~としていマシタ。
この感触、ククは知っていマス……。これは、確か…………。
可可「あるまじき(アルマジロ)……!」
ククは、恐る恐る、その穴の中に入りマシタ。
ククが入ると、"穴"と思っていたものは、痕跡もなく消え去りマシタ。
559: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 03:42:07.24 ID:iW4dFov9.net
☆
その部屋は、完全に閉じ切られているのか、空気が重々しく停滞していマシタ。
あるまじきを見失い、あぇあぇするクク。石橋を叩くような慎重さで歩を進めていきマス。あと戻りするという選択肢は、最初からないデス!
その部屋からは、白色のイメージが湧きマシタ。『2001年~』の最後に出てくる部屋みたいな感じデス。
手をうろうろさせてモノリスを探していると、とつぜん──。
「ひゃあああ!?」
可可「はう!?」
反射的に跳ね上がりマシタ。心臓が、ぎゅうと縮みマス。
「だ、だだだ……だれぇ……!?」
可可「"あぇ……ククはククデス"」
「知らない言葉……! ひぃぃぃぃぃ~~~……!」
可可「……………………」
可可「"かのん…………デスか……!?"」
その部屋は、完全に閉じ切られているのか、空気が重々しく停滞していマシタ。
あるまじきを見失い、あぇあぇするクク。石橋を叩くような慎重さで歩を進めていきマス。あと戻りするという選択肢は、最初からないデス!
その部屋からは、白色のイメージが湧きマシタ。『2001年~』の最後に出てくる部屋みたいな感じデス。
手をうろうろさせてモノリスを探していると、とつぜん──。
「ひゃあああ!?」
可可「はう!?」
反射的に跳ね上がりマシタ。心臓が、ぎゅうと縮みマス。
「だ、だだだ……だれぇ……!?」
可可「"あぇ……ククはククデス"」
「知らない言葉……! ひぃぃぃぃぃ~~~……!」
可可「……………………」
可可「"かのん…………デスか……!?"」
560: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 03:44:19.83 ID:iW4dFov9.net
かのん「な、何語なのぉ……! 英語、中国語!?」
可可「!」
どうやらかのんは、"新言語"が話せないようデス。
……ありぇ? でも確か、惑星国家では、新言語が第一言語だったはずデスが……。
いまはとりあえず、日本語で話したほうがよさそうデス。脳の言語設定を切り替えマショウ。
可可「……かのん。落ち着いてクダサイ!」
かのん「あっ……日本語……」
可可「かのん……デスよね? ククデスよ、クク!」
かのん「え、えっと…………」
かのん「『かのん』っていうのは……もしかして、私のこと……?」
可可「!?」
かのん「で、あなたは……クゥクゥちゃん?」
可可「か、かのん…………」
フロンティアに来た人間はみな、記憶を消されるのデシタね……。
それでも、シキシキやレンレンのように、かのんも記憶を保持しているのでは……なんて、淡い希望を抱いてマシタが、そう都合よくはいきマセン。
可可「!」
どうやらかのんは、"新言語"が話せないようデス。
……ありぇ? でも確か、惑星国家では、新言語が第一言語だったはずデスが……。
いまはとりあえず、日本語で話したほうがよさそうデス。脳の言語設定を切り替えマショウ。
可可「……かのん。落ち着いてクダサイ!」
かのん「あっ……日本語……」
可可「かのん……デスよね? ククデスよ、クク!」
かのん「え、えっと…………」
かのん「『かのん』っていうのは……もしかして、私のこと……?」
可可「!?」
かのん「で、あなたは……クゥクゥちゃん?」
可可「か、かのん…………」
フロンティアに来た人間はみな、記憶を消されるのデシタね……。
それでも、シキシキやレンレンのように、かのんも記憶を保持しているのでは……なんて、淡い希望を抱いてマシタが、そう都合よくはいきマセン。
561: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 03:46:08.39 ID:iW4dFov9.net
可可「あなたはかのん! 澁谷かのんデス!」
かのん「澁谷、かのん……」
可可「覚えてマセンか!? ククたちと過ごした、星のきらめきのような日々を!!」シャオシンシン-
かのん「……わかんないよ、そんなこと。急に言われても……」
かのん「最後に、りんごを食べたことだけは覚えてるんだけど……」
可可「かのん……」
ククは髪を両側でそれぞれ結び、手で丸を作りマシタ。
可可「……丸っ!!」
かのん「な、なに!?」
可可「丸デス! 丸! この髪型と丸を見て、なにか思い出しマセンか?」
かのん「えっ、なにを……? 丸……?」
可可「!? まさか、千砂都のことまで…………」
かのんは、本当の本当に、なにも覚えていないようデス……。
丸こそすべてではなかったのデスか、千砂都……!?
かのん「澁谷、かのん……」
可可「覚えてマセンか!? ククたちと過ごした、星のきらめきのような日々を!!」シャオシンシン-
かのん「……わかんないよ、そんなこと。急に言われても……」
かのん「最後に、りんごを食べたことだけは覚えてるんだけど……」
可可「かのん……」
ククは髪を両側でそれぞれ結び、手で丸を作りマシタ。
可可「……丸っ!!」
かのん「な、なに!?」
可可「丸デス! 丸! この髪型と丸を見て、なにか思い出しマセンか?」
かのん「えっ、なにを……? 丸……?」
可可「!? まさか、千砂都のことまで…………」
かのんは、本当の本当に、なにも覚えていないようデス……。
丸こそすべてではなかったのデスか、千砂都……!?
562: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 03:47:42.06 ID:iW4dFov9.net
可可「Liella!は……」
可可「Liella!のことも、忘れてしまいマシタか……?」
かのん「…………りえら……」
可可「っ……」
かのん「あの、あなたは……私の知り合いなの?」
可可「……はい」
かのんが記憶をなくしているので、だんだんククも、自信を持てなくなってきマシタ。
この人は本当に、かのんなのデショウか?
可可「かのん! 腕! 腕見せて!」
かのん「ひぃっ!? ち、近いぃ……!」
かのん「あはは! くすぐった……あひゃ!」
可可「──ありマシタ! ミサンガデス!」
可可「これをつけているということは……やっぱりあなたは、かのんデスよ!!」
かのん「…………」
可可「Liella!のことも、忘れてしまいマシタか……?」
かのん「…………りえら……」
可可「っ……」
かのん「あの、あなたは……私の知り合いなの?」
可可「……はい」
かのんが記憶をなくしているので、だんだんククも、自信を持てなくなってきマシタ。
この人は本当に、かのんなのデショウか?
可可「かのん! 腕! 腕見せて!」
かのん「ひぃっ!? ち、近いぃ……!」
かのん「あはは! くすぐった……あひゃ!」
可可「──ありマシタ! ミサンガデス!」
可可「これをつけているということは……やっぱりあなたは、かのんデスよ!!」
かのん「…………」
563: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 03:49:15.55 ID:iW4dFov9.net
かのんはうなだれ、ククには反応せず、口を結んでしまいマシタ。
可可「……かのん?」
かのん「ごめん……ごめんね……」
かのん「なにもわからない……。なにも思い出せないの……」
かのん「もしあなたが、嘘ついてるなら……すごく楽なんだけどなぁ……」
かのん「クゥクゥちゃんの目からは、すごく真剣なのが伝わってきて……本心からくる言葉なんだってわかるよ……」
かのん「そのことが、すごくつらいって、感じてる……」
可可「っ……!」
かのんは記憶を取り戻すべきだと考え、本人が望んでいないのに、むりやり思い出させようとしてマシタ……。
ククは自分の理想だけ押しつけて、かのんを苦しませていたのデス。
可可「……かのん?」
かのん「ごめん……ごめんね……」
かのん「なにもわからない……。なにも思い出せないの……」
かのん「もしあなたが、嘘ついてるなら……すごく楽なんだけどなぁ……」
かのん「クゥクゥちゃんの目からは、すごく真剣なのが伝わってきて……本心からくる言葉なんだってわかるよ……」
かのん「そのことが、すごくつらいって、感じてる……」
可可「っ……!」
かのんは記憶を取り戻すべきだと考え、本人が望んでいないのに、むりやり思い出させようとしてマシタ……。
ククは自分の理想だけ押しつけて、かのんを苦しませていたのデス。
564: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 03:50:53.20 ID:iW4dFov9.net
可可「……スミマセン。再会がうれしくて、飛ばし過ぎマシタ……」
可可「あの、よければ! 普通にお話しマセンか?」
かのん「お話?」
可可「はいデス! ククは"あなた"の話が聞きたいデス!」
かのん「…………うん。ここにいてもやることないし……。話し相手ができて、すごくうれしいよ!」
かのん「あ、適当に腰かけて。この部屋なんにもないから、大したもてなしはできないけど……」
可可「…………」オロオロ
かのん「……クゥクゥちゃん、もしかして……目が……?」
可可「はい……。見えマセン」
かのん「ご、ごめんっ! 気づかなかった……! はい、これイスね!?」
可可「謝謝デス」
かのん「……あれ? クゥクゥちゃんって、中国人?」
可可「…………」
可可「はい、そうなんデス!」
可可「あの、よければ! 普通にお話しマセンか?」
かのん「お話?」
可可「はいデス! ククは"あなた"の話が聞きたいデス!」
かのん「…………うん。ここにいてもやることないし……。話し相手ができて、すごくうれしいよ!」
かのん「あ、適当に腰かけて。この部屋なんにもないから、大したもてなしはできないけど……」
可可「…………」オロオロ
かのん「……クゥクゥちゃん、もしかして……目が……?」
可可「はい……。見えマセン」
かのん「ご、ごめんっ! 気づかなかった……! はい、これイスね!?」
可可「謝謝デス」
かのん「……あれ? クゥクゥちゃんって、中国人?」
可可「…………」
可可「はい、そうなんデス!」
565: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 03:52:30.70 ID:iW4dFov9.net
それからは、四方山話に花を咲かせマシタ。
もちろんかのんは、記憶がなくなって以降の知識しか、持ち合わせていませんデシタが。
かのん「嘘ぉ!? 私のスペースラジオ、聴いてくれてたの……!!」
可可「はいデス! ナポモンさんの歌声は、とてもスバラシイデェス~!」
かのん「いやー……面と向かって言われると、照れるなぁ……」
かのん「でも、リスナーさんが実在してるのを知れてよかったー! 聞いてくれてる人がいるだけでもうれしいもん!」
途中、話の流れで、この部屋でかのんはなにをしているのかを訊ねマシタ。
かのんいわく、部屋には定期的に手紙が届き、それに返事を出す仕事をしているのだとか。
かのん「まあ、文字は読めないんだけどねー」
可可「読めないのに、どうやって返信を?」
かのん「あそこに本棚があるでしょ。……あ、見えないか……えー、あそこに本棚があるの」
かのん「そこにある分厚い本に書いてあることを、適当に選んで書き写してるの。意味があるかは知らないけど、それが私の仕事……かな?」
なんとか話を理解しマシタが、なんとも不可思議デシタ。
かのんはなぜか、"中国語の部屋"のようなことをしているそうデス。だれに命じられているのか訊いても、わからない、とのこと。
毎日三食、小窓から食事が出てきて、飢えることもない。しかし出られもしない。それが、かのんの置かれている状況デシタ。
もちろんかのんは、記憶がなくなって以降の知識しか、持ち合わせていませんデシタが。
かのん「嘘ぉ!? 私のスペースラジオ、聴いてくれてたの……!!」
可可「はいデス! ナポモンさんの歌声は、とてもスバラシイデェス~!」
かのん「いやー……面と向かって言われると、照れるなぁ……」
かのん「でも、リスナーさんが実在してるのを知れてよかったー! 聞いてくれてる人がいるだけでもうれしいもん!」
途中、話の流れで、この部屋でかのんはなにをしているのかを訊ねマシタ。
かのんいわく、部屋には定期的に手紙が届き、それに返事を出す仕事をしているのだとか。
かのん「まあ、文字は読めないんだけどねー」
可可「読めないのに、どうやって返信を?」
かのん「あそこに本棚があるでしょ。……あ、見えないか……えー、あそこに本棚があるの」
かのん「そこにある分厚い本に書いてあることを、適当に選んで書き写してるの。意味があるかは知らないけど、それが私の仕事……かな?」
なんとか話を理解しマシタが、なんとも不可思議デシタ。
かのんはなぜか、"中国語の部屋"のようなことをしているそうデス。だれに命じられているのか訊いても、わからない、とのこと。
毎日三食、小窓から食事が出てきて、飢えることもない。しかし出られもしない。それが、かのんの置かれている状況デシタ。
566: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 03:53:51.96 ID:iW4dFov9.net
かのん「あー、クゥクゥちゃんとは初めて話すのに、すごく楽しい!」
可可「……ククもデス!」
かのん「記憶がなくなる前の私は、クゥクゥちゃんと仲良かったんだろうね」
かのん「ねえ、私たちってどういう関係だったの? もしかして、恋人だったり……?」
可可「さあ、どうデショウ~?」
かのん「えっ、嘘!? ほんとにそういう関係なの!?」
可可「冗談デスよ! かのんには、ククよりお似合いの人がいマス」
かのん「そっかー。でもさ、クゥクゥちゃんといると時間があっという間だよ! ねえ、これからもずっとここに──」
「クゥクゥさんー!」と、レンレンが呼んでいマス。
そういえばクク、レンレンたちにはなにも言わずに、白い部屋まで来ていたのデシタ! あとでいっぱい怒られるやつデス……。
可可「スミマセン、ククはもう行かなくては」
かのん「あ……。うん、今日はありがとう……楽しかった」
可可「……かのん」
可可「もし、いっしょにここを出よう、と言ったら……ついてきてくれマスか?」
かのん「!」
可可「……ククもデス!」
かのん「記憶がなくなる前の私は、クゥクゥちゃんと仲良かったんだろうね」
かのん「ねえ、私たちってどういう関係だったの? もしかして、恋人だったり……?」
可可「さあ、どうデショウ~?」
かのん「えっ、嘘!? ほんとにそういう関係なの!?」
可可「冗談デスよ! かのんには、ククよりお似合いの人がいマス」
かのん「そっかー。でもさ、クゥクゥちゃんといると時間があっという間だよ! ねえ、これからもずっとここに──」
「クゥクゥさんー!」と、レンレンが呼んでいマス。
そういえばクク、レンレンたちにはなにも言わずに、白い部屋まで来ていたのデシタ! あとでいっぱい怒られるやつデス……。
可可「スミマセン、ククはもう行かなくては」
かのん「あ……。うん、今日はありがとう……楽しかった」
可可「……かのん」
可可「もし、いっしょにここを出よう、と言ったら……ついてきてくれマスか?」
かのん「!」
567: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 03:55:12.18 ID:iW4dFov9.net
かのん「…………ごめん」
可可「……デスよね。話をしていて、そんな感じはしマシタ。むりは言いマセン」
かのん「うん……。ごめんなさい……」
かのん「私、自分がだれかもわからないから……ここしか安心できる場所がなくて……」
可可「……ククは、かのんに会えただけでも満足デスよ。それでは」
かのん「またね……!」
部屋をあとにしようと、出口を探しマシタが、先ほどの穴はなくなっていマシタ。
あぇあぇと手探りで触れ回っていると、背後に気配を感じマス。
次の瞬間、全身まるごと、毛で包み込まれマシタ。
ぐにゃん……。
ぐにゅん…………。
ぐにょん………………。
可可「……デスよね。話をしていて、そんな感じはしマシタ。むりは言いマセン」
かのん「うん……。ごめんなさい……」
かのん「私、自分がだれかもわからないから……ここしか安心できる場所がなくて……」
可可「……ククは、かのんに会えただけでも満足デスよ。それでは」
かのん「またね……!」
部屋をあとにしようと、出口を探しマシタが、先ほどの穴はなくなっていマシタ。
あぇあぇと手探りで触れ回っていると、背後に気配を感じマス。
次の瞬間、全身まるごと、毛で包み込まれマシタ。
ぐにゃん……。
ぐにゅん…………。
ぐにょん………………。
568: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 03:57:50.91 ID:iW4dFov9.net
☆
千砂都『──クゥクゥちゃんっ!』
千砂都『Hey YO! わたしはあらしぃ、千砂都だYO!』
可可「…………」
この身に起きた異常を理解する間もなく、話は展開しマス。
千砂都『……あ、あれ?』
千砂都『千砂都……です。覚えてる……?』
可可「……はい、千砂都は覚えてマスが……」
千砂都『!! そっかそっか、よかった~。忘れられてたら悲しかったよ~』
足もとがおぼつかず、自己の存在すら曖昧に感じられマス。無の世界で、千砂都の声だけが響きマス。
それは、宇宙にいるような感覚デシタ。
可可「…………これは、夢デショウか?」
千砂都『ううん、現実。"夢みたいな体験"かもしれないけどね』
千砂都『──クゥクゥちゃんっ!』
千砂都『Hey YO! わたしはあらしぃ、千砂都だYO!』
可可「…………」
この身に起きた異常を理解する間もなく、話は展開しマス。
千砂都『……あ、あれ?』
千砂都『千砂都……です。覚えてる……?』
可可「……はい、千砂都は覚えてマスが……」
千砂都『!! そっかそっか、よかった~。忘れられてたら悲しかったよ~』
足もとがおぼつかず、自己の存在すら曖昧に感じられマス。無の世界で、千砂都の声だけが響きマス。
それは、宇宙にいるような感覚デシタ。
可可「…………これは、夢デショウか?」
千砂都『ううん、現実。"夢みたいな体験"かもしれないけどね』
569: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 03:59:49.09 ID:iW4dFov9.net
千砂都『いまクゥクゥちゃんがいるのは、ちぃちゃんが"超ひも"で作った異空間なの』
可可「超ひも」
千砂都『私よりクゥクゥちゃんのほうが詳しいだろうから、説明は省くよ。知らない人はW○kiで調べてね!』
可可「だれに話しかけているのデスか……?」
千砂都『あーあ、世界は丸で構成されてると思ってたのに、実は"ひも"製だったなんて……すごいショックだったな~』
可可「……あの、さっきからなんの話を?」
千砂都『でもね、―が―を選んだ―による―では、―的―を―だとするのが―として―と思われてたけど、実は―なんだよ』
可可「?? ……?」
首をひねるしかありませんデシタ。
千砂都の話は次元が高すぎて、もはや言語として認識できないのデス。オセアニアでは常識みたいなものデショウか。
千砂都『……あ、ごめんね。宇宙の真理を知ったら、人でいられなくなっちゃうんだった!』
千砂都『危うくクゥクゥちゃんも、"こちら側"に引き込むところだったよ!』
可可「あぇ……」
可可「超ひも」
千砂都『私よりクゥクゥちゃんのほうが詳しいだろうから、説明は省くよ。知らない人はW○kiで調べてね!』
可可「だれに話しかけているのデスか……?」
千砂都『あーあ、世界は丸で構成されてると思ってたのに、実は"ひも"製だったなんて……すごいショックだったな~』
可可「……あの、さっきからなんの話を?」
千砂都『でもね、―が―を選んだ―による―では、―的―を―だとするのが―として―と思われてたけど、実は―なんだよ』
可可「?? ……?」
首をひねるしかありませんデシタ。
千砂都の話は次元が高すぎて、もはや言語として認識できないのデス。オセアニアでは常識みたいなものデショウか。
千砂都『……あ、ごめんね。宇宙の真理を知ったら、人でいられなくなっちゃうんだった!』
千砂都『危うくクゥクゥちゃんも、"こちら側"に引き込むところだったよ!』
可可「あぇ……」
570: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:01:09.67 ID:iW4dFov9.net
千砂都に会えたのはうれしいデスが、その言動はククの脳みそでは追いつけず、不安になってきマシタ。環があったらふらふら揺らいでいるはずデス。
ククは安心を求めて、千砂都にすがりつきマス。
可可「千砂都ぉ~……身体さわりたいデス……」
千砂都『クゥクゥちゃんは甘えんぼさんだねぇ。はい、どこでもいいよ』
可可「はぁ~すべすべぇ~…………」ナデナデ
可可「! ……もしや、あるまじきは千砂都?」
千砂都『うん、あるまじき! かわいいネーミング!』
千砂都『あれはね、ミサンガを媒体に具現してたの。いまは"消費"しちゃったから、クゥクゥちゃんの腕にはないでしょ?』
可可「! 確かに、あるまじきと会ってから、ミサンガがなくなりマシタ……」
千砂都『今回の具現には、かのんちゃんのミサンガを使ってるんだ』
千砂都『いやー、3次元に帰ってくるのに、こんなに苦労するとは思わなかったよー』
思えば、Liella!のみんなでおそろっちしたミサンガも、シルクのようにすべすべデシタ。
あの時から、いまに至るまで……すべては丸く、つながっていたのかもしれマセン……。
ククは安心を求めて、千砂都にすがりつきマス。
可可「千砂都ぉ~……身体さわりたいデス……」
千砂都『クゥクゥちゃんは甘えんぼさんだねぇ。はい、どこでもいいよ』
可可「はぁ~すべすべぇ~…………」ナデナデ
可可「! ……もしや、あるまじきは千砂都?」
千砂都『うん、あるまじき! かわいいネーミング!』
千砂都『あれはね、ミサンガを媒体に具現してたの。いまは"消費"しちゃったから、クゥクゥちゃんの腕にはないでしょ?』
可可「! 確かに、あるまじきと会ってから、ミサンガがなくなりマシタ……」
千砂都『今回の具現には、かのんちゃんのミサンガを使ってるんだ』
千砂都『いやー、3次元に帰ってくるのに、こんなに苦労するとは思わなかったよー』
思えば、Liella!のみんなでおそろっちしたミサンガも、シルクのようにすべすべデシタ。
あの時から、いまに至るまで……すべては丸く、つながっていたのかもしれマセン……。
571: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:03:59.17 ID:iW4dFov9.net
千砂都『3次元は時間に支配されちゃうから……そろそろ本題に入るね』
千砂都『──クゥクゥちゃんには、かのんちゃんを助けてほしいの』
可可「! ククが……」
同じようなことを、シキシキにも頼まれマシタ。
正直、難しいだろうと諦めかけていたのに、また改めてお願いされてしまいマシタ。
千砂都『私はね、かのんちゃんを助けるために、この次元に接触してるんだ』
可可「かのんを……!」
千砂都『かのんちゃんはいま、「神」として祭り上げられてるの。偉大なる知性に操られてね』
可可「偉大なる知性…………いったいそれは、何者なのデスか?」
千砂都『……そんなのいないよ』
可可「……」
千砂都『惑星国家がはじまったころには、いたのかもしれないけど……少なくとも、いまはいないの』
千砂都『指導者のいないこの国家は、時期に滅ぶ。そしてかのんちゃんは、どの世界でも宇宙のちりになって消えちゃった』
千砂都『そんな未来を変えられるのは……もう、クゥクゥちゃんしかいないの!』
まるで、数々の未来を見てきたかのような物言いデシタ。
千砂都『──クゥクゥちゃんには、かのんちゃんを助けてほしいの』
可可「! ククが……」
同じようなことを、シキシキにも頼まれマシタ。
正直、難しいだろうと諦めかけていたのに、また改めてお願いされてしまいマシタ。
千砂都『私はね、かのんちゃんを助けるために、この次元に接触してるんだ』
可可「かのんを……!」
千砂都『かのんちゃんはいま、「神」として祭り上げられてるの。偉大なる知性に操られてね』
可可「偉大なる知性…………いったいそれは、何者なのデスか?」
千砂都『……そんなのいないよ』
可可「……」
千砂都『惑星国家がはじまったころには、いたのかもしれないけど……少なくとも、いまはいないの』
千砂都『指導者のいないこの国家は、時期に滅ぶ。そしてかのんちゃんは、どの世界でも宇宙のちりになって消えちゃった』
千砂都『そんな未来を変えられるのは……もう、クゥクゥちゃんしかいないの!』
まるで、数々の未来を見てきたかのような物言いデシタ。
572: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:05:58.46 ID:iW4dFov9.net
可可「かのんを助けたいのは、ククも同じデス」
可可「でも、なぜククでなければいけないのデスか? 千砂都の高次能力を使えば、すべて一件落着に思えマスが」
千砂都『……私じゃ、だめだった』
可可「!」
千砂都『他次元への干渉は、次元が離れるほど難しくなるの』
千砂都『私はミサンガを使って、制限時間付きで何度もかのんちゃんを説得しようとした。……でも、失敗した』
千砂都『失敗した、失敗した、失敗した…………』
千砂都『私の引力じゃ、かのんちゃんを連れ出せない……だから!』
可可「……ククが、やるしかない」
千砂都『私がこの次元でできることは少ないから……こうやってお願いするしかないの』
千砂都『私ね、かのんちゃんのことはいつも見てるんだ』
千砂都『だから感じる……。いまのかのんちゃんは、ずっと苦しそう……』
千砂都『クゥクゥちゃん……。あなたならきっと、かのんちゃんを救い出せるはず……!』
可可「でも、なぜククでなければいけないのデスか? 千砂都の高次能力を使えば、すべて一件落着に思えマスが」
千砂都『……私じゃ、だめだった』
可可「!」
千砂都『他次元への干渉は、次元が離れるほど難しくなるの』
千砂都『私はミサンガを使って、制限時間付きで何度もかのんちゃんを説得しようとした。……でも、失敗した』
千砂都『失敗した、失敗した、失敗した…………』
千砂都『私の引力じゃ、かのんちゃんを連れ出せない……だから!』
可可「……ククが、やるしかない」
千砂都『私がこの次元でできることは少ないから……こうやってお願いするしかないの』
千砂都『私ね、かのんちゃんのことはいつも見てるんだ』
千砂都『だから感じる……。いまのかのんちゃんは、ずっと苦しそう……』
千砂都『クゥクゥちゃん……。あなたならきっと、かのんちゃんを救い出せるはず……!』
573: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:08:23.89 ID:iW4dFov9.net
──しゅるしゅるしゅる
千砂都『あー、もう時間切れだ……』
可可「千砂都……! まだ、いっしょにいたいデス……!」
千砂都『大丈夫。きっとまた会えるよ』
千砂都『恋ちゃんのミサンガがあるから、あと一回分だけ』
可可「…………え?」
可可「すみれの、分は…………」
千砂都『…………すみれちゃんのことは、私から言うべきじゃないから黙っておくね』
可可「それは、どういう意味──」
千砂都『クゥクゥちゃん!』
千砂都『この宇宙での金科玉条はね、「常に自分を信じること」!』
千砂都『……それだけは、忘れないでね』
可可「千砂都──!!」
千砂都の身体はほどけ、無数に散りマシタ。
千砂都……。千砂都はなにを知っているのデスか……?
千砂都『あー、もう時間切れだ……』
可可「千砂都……! まだ、いっしょにいたいデス……!」
千砂都『大丈夫。きっとまた会えるよ』
千砂都『恋ちゃんのミサンガがあるから、あと一回分だけ』
可可「…………え?」
可可「すみれの、分は…………」
千砂都『…………すみれちゃんのことは、私から言うべきじゃないから黙っておくね』
可可「それは、どういう意味──」
千砂都『クゥクゥちゃん!』
千砂都『この宇宙での金科玉条はね、「常に自分を信じること」!』
千砂都『……それだけは、忘れないでね』
可可「千砂都──!!」
千砂都の身体はほどけ、無数に散りマシタ。
千砂都……。千砂都はなにを知っているのデスか……?
574: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:09:49.96 ID:iW4dFov9.net
☆
恋「クゥクゥさん!」
可可「…………かのんには、会えマシタ」
恋「もう、心配しましたよ……って、ええ!?」
可可「千砂都にも……」
恋「わたくしが見失っている間に、事態が急展開しています……!」
可可「…………レンレン」
可可「ククは、すみれに会いたいデス。いますぐに」
恋「!」
恋「……すみれさんには、すでにお会いしています」
可可「えっ……!? ほ、ほんとデスか……!!」
……すみれは、案外近くにいるみたいデス! これならすぐにでも会えそうデスね!!
久しぶりの再会デスので、ちゃんとおしゃべりできるよう、"会話しゅみれーしょん"しておきマショウ!
ククが「久しぶりデス」というと、すみれは「久しぶりね」といい、ククが「変わりマセンね」というと、すみれは「あんたこそ」と返し……。
…………。
…………。
すみれは…………本当に、いるのデショウか……?
恋「クゥクゥさん!」
可可「…………かのんには、会えマシタ」
恋「もう、心配しましたよ……って、ええ!?」
可可「千砂都にも……」
恋「わたくしが見失っている間に、事態が急展開しています……!」
可可「…………レンレン」
可可「ククは、すみれに会いたいデス。いますぐに」
恋「!」
恋「……すみれさんには、すでにお会いしています」
可可「えっ……!? ほ、ほんとデスか……!!」
……すみれは、案外近くにいるみたいデス! これならすぐにでも会えそうデスね!!
久しぶりの再会デスので、ちゃんとおしゃべりできるよう、"会話しゅみれーしょん"しておきマショウ!
ククが「久しぶりデス」というと、すみれは「久しぶりね」といい、ククが「変わりマセンね」というと、すみれは「あんたこそ」と返し……。
…………。
…………。
すみれは…………本当に、いるのデショウか……?
575: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:11:50.81 ID:iW4dFov9.net
………………………。
………………………。
可可『あぇ……あぇ……』
千砂都『視線はまっすぐ! 遠くを見るよー!』
ふらふらと自転車を漕ぐククを、千砂都は叱咤激励しマス。
可可『……乗れマシタ! 千砂都!』
千砂都『うんうん! いい感じに乗りこなしてるよー!』
可可『……千砂都!』
可可『と、止まり方、わからないデス……!』
千砂都『ああ! クゥクゥちゃんー!?』
ガラガラガシャン。
自転車は鉄橋にぶつかり、ようやく停止しマシタ。
………………………。
可可『あぇ……あぇ……』
千砂都『視線はまっすぐ! 遠くを見るよー!』
ふらふらと自転車を漕ぐククを、千砂都は叱咤激励しマス。
可可『……乗れマシタ! 千砂都!』
千砂都『うんうん! いい感じに乗りこなしてるよー!』
可可『……千砂都!』
可可『と、止まり方、わからないデス……!』
千砂都『ああ! クゥクゥちゃんー!?』
ガラガラガシャン。
自転車は鉄橋にぶつかり、ようやく停止しマシタ。
576: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:13:27.92 ID:iW4dFov9.net
千砂都『自転車は漕いでる限り、そうそう倒れないんだよ』
可可『ジャイロ効果デスね。……理屈はわかっていても、やはり身を預けるには不安がありマス』
千砂都『大丈夫! タイヤは丸だから、絶対裏切ったりしないよ!』
可可『なにを根拠にしているのデスか……?』
千砂都『ほら、よく言うでしょ? "All you need is maru"って』
だれがそんな無責任なこと言ったのデショウか。トム・ク○ーズあたりが怪しいデスね。
千砂都『クゥクゥちゃんは要領いいから、覚えが早いね! もう港まで行けるんじゃないかな?』
可可『ほんとデスか!?』
千砂都『サニパの宇宙打ち上げ、すみれちゃんと見に行くんだもんね』
可可『はいデス。すみれはどうしても連れていってほしいと懇願するので、仕方なくデスが』
千砂都『あはは、そっかそっか』
可可『ジャイロ効果デスね。……理屈はわかっていても、やはり身を預けるには不安がありマス』
千砂都『大丈夫! タイヤは丸だから、絶対裏切ったりしないよ!』
可可『なにを根拠にしているのデスか……?』
千砂都『ほら、よく言うでしょ? "All you need is maru"って』
だれがそんな無責任なこと言ったのデショウか。トム・ク○ーズあたりが怪しいデスね。
千砂都『クゥクゥちゃんは要領いいから、覚えが早いね! もう港まで行けるんじゃないかな?』
可可『ほんとデスか!?』
千砂都『サニパの宇宙打ち上げ、すみれちゃんと見に行くんだもんね』
可可『はいデス。すみれはどうしても連れていってほしいと懇願するので、仕方なくデスが』
千砂都『あはは、そっかそっか』
577: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:14:14.63 ID:iW4dFov9.net
千砂都はよく、ククの相談に乗ってくれマシタ。
今回の自転車の練習もそうデスし、ささいな相談でも親身に話を聞き、的確なアドバイスをくれマス。
最初は消去法で選んだ相談相手デシタ。しかしいまでは、一番信頼できる人デス。
可可『……あの、千砂都。これはククの友だちの話なのデスが』
千砂都『え、うん……。友だちの話ね?』
可可『クク……その友達には、好意を持った人がいマス。でも、その相手に冷たい態度を取ってしまうのデス』
可可『…………どうすれば、自分に素直になれマスか?』
千砂都『うわ、青春……! その友達は学生生活エンジョイしてるね……!』
可可『そ、そうデスか……?』
千砂都『んーとね』
千砂都『それはたぶん、好き避けというものだよ』
千砂都『大好きで大好きで仕方ないからこそ、つい冷たくしちゃうんだよね』
可可『ち、違いマス!! 大好きなわけがありマセン!!』
可可『…………って、その友達が言っていマシタ』
今回の自転車の練習もそうデスし、ささいな相談でも親身に話を聞き、的確なアドバイスをくれマス。
最初は消去法で選んだ相談相手デシタ。しかしいまでは、一番信頼できる人デス。
可可『……あの、千砂都。これはククの友だちの話なのデスが』
千砂都『え、うん……。友だちの話ね?』
可可『クク……その友達には、好意を持った人がいマス。でも、その相手に冷たい態度を取ってしまうのデス』
可可『…………どうすれば、自分に素直になれマスか?』
千砂都『うわ、青春……! その友達は学生生活エンジョイしてるね……!』
可可『そ、そうデスか……?』
千砂都『んーとね』
千砂都『それはたぶん、好き避けというものだよ』
千砂都『大好きで大好きで仕方ないからこそ、つい冷たくしちゃうんだよね』
可可『ち、違いマス!! 大好きなわけがありマセン!!』
可可『…………って、その友達が言っていマシタ』
578: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:17:11.82 ID:iW4dFov9.net
千砂都『……その友達は、その好意を持った相手と、どうなりたいのかな?』
可可『!? そ、それは……』
可可『…………わからないデス』
千砂都『好きなら、付き合っちゃえば?』
可可『いえ、そうではなくて……』
可可『ただ、振り向いてほしいんデス。対等な関係になりたいんデス』
可可『その人のそばに、ずっといられるように……』
千砂都からのありがたいお言葉を期待していマシタが、千砂都はニヤニヤしながら、変なことを言い出しマス。
千砂都『……この場合は、あまり焦らないほうがいいかもしれないね』
可可『と、いうと……?』
千砂都『とりあえず、ステイ! このままの関係をしばらく続けてみよっか!』
千砂都『いまあるこの時間を、存分に楽しもうよ!』
可可『千砂都!?』
千砂都にも答えは出せなかったのデショウか? それとも、わざとなにも言わなかったのか……。
ククの苦難は、まだまだ続きそうデス。
──夢寐にも忘れない思い出。
………………………。
………………………。
可可『!? そ、それは……』
可可『…………わからないデス』
千砂都『好きなら、付き合っちゃえば?』
可可『いえ、そうではなくて……』
可可『ただ、振り向いてほしいんデス。対等な関係になりたいんデス』
可可『その人のそばに、ずっといられるように……』
千砂都からのありがたいお言葉を期待していマシタが、千砂都はニヤニヤしながら、変なことを言い出しマス。
千砂都『……この場合は、あまり焦らないほうがいいかもしれないね』
可可『と、いうと……?』
千砂都『とりあえず、ステイ! このままの関係をしばらく続けてみよっか!』
千砂都『いまあるこの時間を、存分に楽しもうよ!』
可可『千砂都!?』
千砂都にも答えは出せなかったのデショウか? それとも、わざとなにも言わなかったのか……。
ククの苦難は、まだまだ続きそうデス。
──夢寐にも忘れない思い出。
………………………。
………………………。
579: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:18:51.22 ID:iW4dFov9.net
☆
バベルの東部、工業地帯。
すみれに会うため、とある工場に向かいマシタ。
移動中に降りはじめた驟雨が、車の窓を叩きマス。
サヤ「およそ9分後、雨はやみます」
サヤさんの言った通り、雨はやみマシタ。循環器が天気を作るため、秒単位で100%の天気予報が可能なのデス。
ということは、「いまから晴れるよ」ごっこができそうデスね。
サヤ「さ、着きました」
恋「……これは、酷な首実験かもしれません」
可可「レンレン?」
恋「い、いえ……。行きましょう」
バベルの東部、工業地帯。
すみれに会うため、とある工場に向かいマシタ。
移動中に降りはじめた驟雨が、車の窓を叩きマス。
サヤ「およそ9分後、雨はやみます」
サヤさんの言った通り、雨はやみマシタ。循環器が天気を作るため、秒単位で100%の天気予報が可能なのデス。
ということは、「いまから晴れるよ」ごっこができそうデスね。
サヤ「さ、着きました」
恋「……これは、酷な首実験かもしれません」
可可「レンレン?」
恋「い、いえ……。行きましょう」
580: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:21:39.75 ID:iW4dFov9.net
☆
そこは、アンドロイドの製造工場デシタ。
ククたちは倉庫へ案内されマス。倉庫には、出荷を待つ個体がずらっと立ち並んでいマシタ。
電源が入っていないため、微動だにしないアンドロイドたち。
可可「おっほ~! これだけいると圧巻デスね!」
可可「さながら、中国の兵馬俑のようデス!」
恋「……はい」
右にも左にも、アンドロイドは規則的に配置されていマス。
ククは、近くにいる個体に触れました。
手に触れて感じる、シュッとした輪郭。整った目鼻だち、ぷっくりとしたくちびる……。胸はぺったんこで、千砂都サイズデス。
この造形は、サヤさんとまったく同じデシタ。どうやら型番が一致しているみたいデス。
サヤ「初期に製造されたプロトタイプは、モデルの身体に忠実だそうです」
可可「モデルがいるのデスね……へぇ……」
しかし、この髪型……。サヤさんとは違いマス。
これは、ククがよく知る……。
この、手を伸ばした時に感じられる身長も、よく知ってマス…………。
…………。
そこは、アンドロイドの製造工場デシタ。
ククたちは倉庫へ案内されマス。倉庫には、出荷を待つ個体がずらっと立ち並んでいマシタ。
電源が入っていないため、微動だにしないアンドロイドたち。
可可「おっほ~! これだけいると圧巻デスね!」
可可「さながら、中国の兵馬俑のようデス!」
恋「……はい」
右にも左にも、アンドロイドは規則的に配置されていマス。
ククは、近くにいる個体に触れました。
手に触れて感じる、シュッとした輪郭。整った目鼻だち、ぷっくりとしたくちびる……。胸はぺったんこで、千砂都サイズデス。
この造形は、サヤさんとまったく同じデシタ。どうやら型番が一致しているみたいデス。
サヤ「初期に製造されたプロトタイプは、モデルの身体に忠実だそうです」
可可「モデルがいるのデスね……へぇ……」
しかし、この髪型……。サヤさんとは違いマス。
これは、ククがよく知る……。
この、手を伸ばした時に感じられる身長も、よく知ってマス…………。
…………。
581: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:23:37.74 ID:iW4dFov9.net
可可「…………あ、あの……レンレン」
可可「どうして…………すみれに会いたいというのに、ここへ来たのデスか……?」
恋「…………」
恋「いつかは、クゥクゥさんに話さなくてはならないと、覚悟はしていました」
恋「ですが…………これはあまりにも、つらすぎます……」
可可「レンレン……?」
恋「…………サヤさん」
恋「声を……"初期設定"に戻してください」
サヤ「──はい、かしこまりました」
可可「っ!!?」
可可「え…………あえ……?」
可可「すみれの、声…………?」
恋「……声だけではありません」
恋「顔も、髪も、体格も……」
恋「…………そのすべてが、すみれさんなのです……」
可可「どうして…………すみれに会いたいというのに、ここへ来たのデスか……?」
恋「…………」
恋「いつかは、クゥクゥさんに話さなくてはならないと、覚悟はしていました」
恋「ですが…………これはあまりにも、つらすぎます……」
可可「レンレン……?」
恋「…………サヤさん」
恋「声を……"初期設定"に戻してください」
サヤ「──はい、かしこまりました」
可可「っ!!?」
可可「え…………あえ……?」
可可「すみれの、声…………?」
恋「……声だけではありません」
恋「顔も、髪も、体格も……」
恋「…………そのすべてが、すみれさんなのです……」
582: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:24:27.17 ID:iW4dFov9.net
可可「……………………」
可可「す、すみれは……声優になったのデスね!」
可可「あれデス! ボーカロイドみたいに……すみれの音声データを……」
恋「……違います」
恋「このアンドロイドは、兵馬俑のように……」
恋「すみれさんの、身体をかたどって……作られたものです……」
すみれさんの身体をかたどって作られたものです?
可可「……そうだったんデスね。すみれが、アンドロイドのモデルに……」
可可「確かに、すみれは顔はいいデスし、身体も悪くないデスから! 量産したら、需要は高そうデス……!」
可可「…………」
可可「それで、生身のすみれはどこデスか?」
恋「っ……」
可可「す、すみれは……声優になったのデスね!」
可可「あれデス! ボーカロイドみたいに……すみれの音声データを……」
恋「……違います」
恋「このアンドロイドは、兵馬俑のように……」
恋「すみれさんの、身体をかたどって……作られたものです……」
すみれさんの身体をかたどって作られたものです?
可可「……そうだったんデスね。すみれが、アンドロイドのモデルに……」
可可「確かに、すみれは顔はいいデスし、身体も悪くないデスから! 量産したら、需要は高そうデス……!」
可可「…………」
可可「それで、生身のすみれはどこデスか?」
恋「っ……」
583: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:25:53.27 ID:iW4dFov9.net
恋「わ、わたくしは……写真でしか見たことがありません……」
恋「それが本物だったのかも判別つきませんし、どれも憶測にすぎないものなのかもしれません……」
恋「……ただ、わたくしが見聞きした事実だけを、述べたいと思います」
恋「その写真には、全裸のすみれさんが写っていました」
恋「すみれさんは目をつむり、全身は青白く変色していました」
恋「胸部には、銃撃によってできた穴が、はっきり残っていました」
恋「写真を見せてきた為政者の方によると、『これは"反逆罪"で死んだ女で、次のアンドロイドのモデルに使った』……とのこと」
恋「……これが、わたくしの把握している情報です」
恋「ああ……気が狂いそうでした……」
恋「街にあふれるアンドロイドは皆、すみれさんの顔で……」
恋「そのすみれさん当人は、死んでいると言われ……」
恋「……もちろん、そんなばかげた話、信じたわけではありません! すみれさんは必ず生きているはずです!」
恋「…………ですが、すみれさんの生存よりも、死亡説を証明するほうが楽でした……」
恋「それが本物だったのかも判別つきませんし、どれも憶測にすぎないものなのかもしれません……」
恋「……ただ、わたくしが見聞きした事実だけを、述べたいと思います」
恋「その写真には、全裸のすみれさんが写っていました」
恋「すみれさんは目をつむり、全身は青白く変色していました」
恋「胸部には、銃撃によってできた穴が、はっきり残っていました」
恋「写真を見せてきた為政者の方によると、『これは"反逆罪"で死んだ女で、次のアンドロイドのモデルに使った』……とのこと」
恋「……これが、わたくしの把握している情報です」
恋「ああ……気が狂いそうでした……」
恋「街にあふれるアンドロイドは皆、すみれさんの顔で……」
恋「そのすみれさん当人は、死んでいると言われ……」
恋「……もちろん、そんなばかげた話、信じたわけではありません! すみれさんは必ず生きているはずです!」
恋「…………ですが、すみれさんの生存よりも、死亡説を証明するほうが楽でした……」
584: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:27:08.15 ID:iW4dFov9.net
恋「…………クゥクゥさんには、わたくしと同じ気持ちを味わってほしくなくて……ずっと嘘をついてきました」
恋「しかし……いつかは知れること」
恋「つらい事実ですが……これが、この星で起こった現実です」
可可「…………………………………………」
すみれは、しんだ。
すみれは、ほしになった。
すみれは、アンドロイドになった。
とってもギャラクシーだ。
可可「…………ひとつ、訊かせてクダサイ」
可可「どうしてすみれは、反逆罪になったのデスか?」
恋「それは……。宇宙船ノアで、熱を出したクゥクゥさんを追いかけて……」
可可「…………つまり、ククのせいデスか……?」
恋「!! ち、違います! そのような受け取り方、しないでください……!!」
可可「……スミマセン」
恋「しかし……いつかは知れること」
恋「つらい事実ですが……これが、この星で起こった現実です」
可可「…………………………………………」
すみれは、しんだ。
すみれは、ほしになった。
すみれは、アンドロイドになった。
とってもギャラクシーだ。
可可「…………ひとつ、訊かせてクダサイ」
可可「どうしてすみれは、反逆罪になったのデスか?」
恋「それは……。宇宙船ノアで、熱を出したクゥクゥさんを追いかけて……」
可可「…………つまり、ククのせいデスか……?」
恋「!! ち、違います! そのような受け取り方、しないでください……!!」
可可「……スミマセン」
585: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:30:50.34 ID:iW4dFov9.net
心の器を指でなぞってみると、ざらざらと乾いていマシタ。
可可「…………不思議なことに、すみれの死を受け入れようとしている私がいマス」
恋「クゥクゥさん……」
可可「……たぶん、なんらかの防衛機制が働き、自分とは関係のない物事だと認識しているのデショウね」
可可「……思えば、家族の訃報を聞いた時も、ククはこんな感じデシタ」
可可「まるで他人事かのように、あっさりとしていたような気がしマス」
恋「……そうでしたね」
グソクムシの時とは違い、とても冷静に、死について考えられマシタ。
そのせいか……。心にヒビの入る音が、よく聞こえマシタ。
可可「……アンドロイドには、自我は芽生えるものなのデショウか」
可可「モデルとなったすみれの意思を持てば、すみれの代わりになるのデショウか」
恋「……」
可可「姿形が同じなら、"これ"はすみれと呼んでよいのデショウか」
サヤ「…………」
サヤ「アンドロイドに、自我はありませんよ」
サヤさんは応えマシタ。
可可「…………不思議なことに、すみれの死を受け入れようとしている私がいマス」
恋「クゥクゥさん……」
可可「……たぶん、なんらかの防衛機制が働き、自分とは関係のない物事だと認識しているのデショウね」
可可「……思えば、家族の訃報を聞いた時も、ククはこんな感じデシタ」
可可「まるで他人事かのように、あっさりとしていたような気がしマス」
恋「……そうでしたね」
グソクムシの時とは違い、とても冷静に、死について考えられマシタ。
そのせいか……。心にヒビの入る音が、よく聞こえマシタ。
可可「……アンドロイドには、自我は芽生えるものなのデショウか」
可可「モデルとなったすみれの意思を持てば、すみれの代わりになるのデショウか」
恋「……」
可可「姿形が同じなら、"これ"はすみれと呼んでよいのデショウか」
サヤ「…………」
サヤ「アンドロイドに、自我はありませんよ」
サヤさんは応えマシタ。
586: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:31:43.80 ID:iW4dFov9.net
………………………。
………………………。
パンダのフードをかぶり、ベランダから夜空を望みマス。
今日、かのんと千砂都に勧められ、日本では知名度のあるコミュニケーションアプリをはじめマシタ。
「フレンド」は現在、2人デス。
可可『姐姐…………』
来日から、まだ1ヶ月も経っていないのに、すでに数年は過ごした気分デス。それくらい、目まぐるしく充実した日々を送っていマス。
東京の夜空には、きれいな満月がぽつんと浮かんでいマス。
期待に満ちた空模様デシタ。
………………………。
パンダのフードをかぶり、ベランダから夜空を望みマス。
今日、かのんと千砂都に勧められ、日本では知名度のあるコミュニケーションアプリをはじめマシタ。
「フレンド」は現在、2人デス。
可可『姐姐…………』
来日から、まだ1ヶ月も経っていないのに、すでに数年は過ごした気分デス。それくらい、目まぐるしく充実した日々を送っていマス。
東京の夜空には、きれいな満月がぽつんと浮かんでいマス。
期待に満ちた空模様デシタ。
587: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:33:02.51 ID:iW4dFov9.net
…………。
パンダのフードをかぶり、ベランダから夜空を望みマス。
「フレンド」は現在、3人デス。
新たにグソクムシが増えマシタ。かなり不本意デシタが、枯れ木も山のにぎわいとなるデショウ。
可可『最低最悪デス……』
空を目がけ、うんと右手を伸ばしマシタ。
ぼやけた満月を、親指でかくしマス。
そのままつぶすように力を集中させマスが、月が壊れることはありませんデシタ。
パンダのフードをかぶり、ベランダから夜空を望みマス。
「フレンド」は現在、3人デス。
新たにグソクムシが増えマシタ。かなり不本意デシタが、枯れ木も山のにぎわいとなるデショウ。
可可『最低最悪デス……』
空を目がけ、うんと右手を伸ばしマシタ。
ぼやけた満月を、親指でかくしマス。
そのままつぶすように力を集中させマスが、月が壊れることはありませんデシタ。
588: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:34:23.78 ID:iW4dFov9.net
…………。
パンダのフードをかぶり、ベランダから夜空を望みマス。
「フレンド」は現在、7人デス。
かのんの友だち3人と、レンレンも加わりマシタ。レンレンは、アプリのインストールから登録までに、かなりの時間を要したらしいデス。
可可『Liella!……』
澄み切った空の満月を、人さし指でかくしマス。
目を閉じると、すみれの嫌味な顔が浮かび上がってきマシタ。それが気になって仕方ありマセン。
もやもやしながら、指で突いてみマシタが、月はなんの反応も示しませんデシタ。
パンダのフードをかぶり、ベランダから夜空を望みマス。
「フレンド」は現在、7人デス。
かのんの友だち3人と、レンレンも加わりマシタ。レンレンは、アプリのインストールから登録までに、かなりの時間を要したらしいデス。
可可『Liella!……』
澄み切った空の満月を、人さし指でかくしマス。
目を閉じると、すみれの嫌味な顔が浮かび上がってきマシタ。それが気になって仕方ありマセン。
もやもやしながら、指で突いてみマシタが、月はなんの反応も示しませんデシタ。
589: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:35:06.26 ID:iW4dFov9.net
…………。
パンダのフードをかぶり、ベランダから夜空を望みマス。
「フレンド」は現在、24人デス。
クラスグループのメンバーが、フレンドになりマシタ。そして新学期を迎え、新たに仲間となったきなきなが増えマシタ。
可可『……春のにおいデス』
まぶしく光る満月を、中指でかくしマス。
名もなき想いが、ククの頭をぐちゃぐちゃにかき乱しマス。それでも、認めたくありマセン。
悪意を込めて、侮辱のサインを送りマスが、月はそれすらも受け止めてくれマシタ。
パンダのフードをかぶり、ベランダから夜空を望みマス。
「フレンド」は現在、24人デス。
クラスグループのメンバーが、フレンドになりマシタ。そして新学期を迎え、新たに仲間となったきなきなが増えマシタ。
可可『……春のにおいデス』
まぶしく光る満月を、中指でかくしマス。
名もなき想いが、ククの頭をぐちゃぐちゃにかき乱しマス。それでも、認めたくありマセン。
悪意を込めて、侮辱のサインを送りマスが、月はそれすらも受け止めてくれマシタ。
590: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:36:34.06 ID:iW4dFov9.net
…………。
パンダのフードをかぶり、ベランダから夜空を望みマス。
「フレンド」は現在、26人デス。
1年生のメイメイとシキシキが加わりマシタ。
可可『……』
いつもより小さく見える満月を、薬指でかくしマス。
なぜこんなにも遠く離れているのデショウか。もっと、近くで見てほしいデス。
震える指を覆うように、月の光が漏れていマシタ。それでも、まだ、ぎりぎりかくすことができてマス。
パンダのフードをかぶり、ベランダから夜空を望みマス。
「フレンド」は現在、26人デス。
1年生のメイメイとシキシキが加わりマシタ。
可可『……』
いつもより小さく見える満月を、薬指でかくしマス。
なぜこんなにも遠く離れているのデショウか。もっと、近くで見てほしいデス。
震える指を覆うように、月の光が漏れていマシタ。それでも、まだ、ぎりぎりかくすことができてマス。
591: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:37:25.87 ID:iW4dFov9.net
…………。
パンダのフードをかぶり、ベランダから夜空を望みマス。
「フレンド」は現在、27人デス。
ナッツ~(あるいはナツナツ)が仲間入りし、Liella!は完成形を見マシタ。
可可『ついに9人デス……!』
でかでかと主張する満月を、小指でかくそうとしマス。
私の中にはふたりいて、黒のククと白のククは、お互いに相反する感情を持っているのデス。
白黒折り重なるパンダのようなかたまりが、心に居座っていマス。二律背反する想いに混乱し、目が回りマス。
月は、私の気も知らずに、まんまると輝いていマス。もう、光を隠すことはできませんデシタ。
パンダのフードをかぶり、ベランダから夜空を望みマス。
「フレンド」は現在、27人デス。
ナッツ~(あるいはナツナツ)が仲間入りし、Liella!は完成形を見マシタ。
可可『ついに9人デス……!』
でかでかと主張する満月を、小指でかくそうとしマス。
私の中にはふたりいて、黒のククと白のククは、お互いに相反する感情を持っているのデス。
白黒折り重なるパンダのようなかたまりが、心に居座っていマス。二律背反する想いに混乱し、目が回りマス。
月は、私の気も知らずに、まんまると輝いていマス。もう、光を隠すことはできませんデシタ。
592: 名無しで叶える物語 2022/12/26(月) 04:38:38.73 ID:iW4dFov9.net
…………。
パンダのフードをかぶり、ベランダから夜空を望みマス。
「フレンド」は、27人のままデス。
可可『いよいよ、宇宙へ……!』
闇をまとった世界の真ん中、満月だけが私を照らしマス。
パンダ的ウラハラな感情は、いつしか溶け合い、灰色に染まっていマシタ。
それらの想いは両方とも、ククの本心だったのデス。
気づいてしまった途端、渦巻く灰色は胸のうちから熱く燃えたぎり、身体を焦がすようデス。
でも……。
いまはまだ、この気持ちは、大事にとっておきマショウ。
──夢寐にも忘れない思い出。
………………………。
………………………。
パンダのフードをかぶり、ベランダから夜空を望みマス。
「フレンド」は、27人のままデス。
可可『いよいよ、宇宙へ……!』
闇をまとった世界の真ん中、満月だけが私を照らしマス。
パンダ的ウラハラな感情は、いつしか溶け合い、灰色に染まっていマシタ。
それらの想いは両方とも、ククの本心だったのデス。
気づいてしまった途端、渦巻く灰色は胸のうちから熱く燃えたぎり、身体を焦がすようデス。
でも……。
いまはまだ、この気持ちは、大事にとっておきマショウ。
──夢寐にも忘れない思い出。
………………………。
………………………。
607: 名無しで叶える物語 2022/12/27(火) 04:13:18.29 ID:SZZeuj7L.net
☆
可可「…………」
ククは惑星国家で、Liella!のみんなに会いマシタ。
レンレン、かのん、千砂都…………すみれ……。
これで、ククの夢はおしまいデス。
…………。
デスが……。
ここで終わって、よいのデショウか……?
可可「…………すみれ」
チビ『ワン』
可可「…………」ナデナデ
ピンポン。だれかが訪ねてきマシタ。
レンレンとサヤさんはお買い物なので、お留守番中のククが出マス。
可可「どちら様デスかー?」テテテ
「──クゥクゥ、開けて」
可可「!! す、すみれ……!?」
可可「…………」
ククは惑星国家で、Liella!のみんなに会いマシタ。
レンレン、かのん、千砂都…………すみれ……。
これで、ククの夢はおしまいデス。
…………。
デスが……。
ここで終わって、よいのデショウか……?
可可「…………すみれ」
チビ『ワン』
可可「…………」ナデナデ
ピンポン。だれかが訪ねてきマシタ。
レンレンとサヤさんはお買い物なので、お留守番中のククが出マス。
可可「どちら様デスかー?」テテテ
「──クゥクゥ、開けて」
可可「!! す、すみれ……!?」
608: 名無しで叶える物語 2022/12/27(火) 04:16:56.07 ID:SZZeuj7L.net
いえ、そんなわけないデス! これは、すみれ声のアンドロイドがしゃべっているだけデスよ。
なにを浮かれているのデスか……。
……しかし、この人はなぜ、ククの名を知っているのデショウか? ククになんの用が?
警戒するククをよそに、好奇心がドアノブをひねりマシタ。
可可「すみ──」
トンッ。
首に手刀を受け、意識が真っ暗になりマス。
気を失ったククは、車に乗せられ、どこかに拉致されていきマシタ。
なにを浮かれているのデスか……。
……しかし、この人はなぜ、ククの名を知っているのデショウか? ククになんの用が?
警戒するククをよそに、好奇心がドアノブをひねりマシタ。
可可「すみ──」
トンッ。
首に手刀を受け、意識が真っ暗になりマス。
気を失ったククは、車に乗せられ、どこかに拉致されていきマシタ。
609: 名無しで叶える物語 2022/12/27(火) 04:21:16.28 ID:SZZeuj7L.net
☆
…………。
ぺちぺち。
ほおをはたかれ、不快な気分デス。
「おーい、起きてー」
可可「んん……」
抵抗しようとしマスが、手は後ろで拘束されて、動きませんデシタ。
ククはいま、イスに座り、縄でしばられているようデス。
可可「…………ここは……」
「あら、起きたのね。唐可可さん」
可可「……だれデスか?」
「そう……やっぱり見えてないのね。ちょうどよかった」
声はひとりふたりしか聞こえマセンが、周囲からはおびただしい視線を感じマス。
「安心していいわ。我々は、あなたを傷つけたりしないから」
「反動的な動きをしなければ……ね」
…………。
ぺちぺち。
ほおをはたかれ、不快な気分デス。
「おーい、起きてー」
可可「んん……」
抵抗しようとしマスが、手は後ろで拘束されて、動きませんデシタ。
ククはいま、イスに座り、縄でしばられているようデス。
可可「…………ここは……」
「あら、起きたのね。唐可可さん」
可可「……だれデスか?」
「そう……やっぱり見えてないのね。ちょうどよかった」
声はひとりふたりしか聞こえマセンが、周囲からはおびただしい視線を感じマス。
「安心していいわ。我々は、あなたを傷つけたりしないから」
「反動的な動きをしなければ……ね」
610: 名無しで叶える物語 2022/12/27(火) 04:24:36.32 ID:SZZeuj7L.net
だれかが立ち上がり、まっすぐ近づいてきマス。
「こいつ、本当に"同士"なのか? さっきから、能力を使う気配もないが」
「ええ、間違いないわ」
「信じられないな……。どこからどう見ても"旧人類"だ」ベチャ
可可「ひゃっ!」ビクッ
「この体温……確かに変異体の特徴はあるな。だが、無能ならお断りだ」
「いまの段階で決めるのは早計だと思うわ。もっとじっくり、様子を見ましょう」
なにやら話し合っているようデスが、いまいち要領を得マセン。
同士? 旧人類? ククが変異体だと知って、接触してくるメリットがあるのは……。
もしや…………。
可可「……あなたたちも、変異体なのデスね」
「ええ、そうよ。やっぱり察しがいいのね」
疑問形にしたいところデシタが、理解してる風を装うため、断定した口調を選びマシタ。
「ここにいる者は全員、変異体……」
「──いえ、本当の"新人類"よ」
「こいつ、本当に"同士"なのか? さっきから、能力を使う気配もないが」
「ええ、間違いないわ」
「信じられないな……。どこからどう見ても"旧人類"だ」ベチャ
可可「ひゃっ!」ビクッ
「この体温……確かに変異体の特徴はあるな。だが、無能ならお断りだ」
「いまの段階で決めるのは早計だと思うわ。もっとじっくり、様子を見ましょう」
なにやら話し合っているようデスが、いまいち要領を得マセン。
同士? 旧人類? ククが変異体だと知って、接触してくるメリットがあるのは……。
もしや…………。
可可「……あなたたちも、変異体なのデスね」
「ええ、そうよ。やっぱり察しがいいのね」
疑問形にしたいところデシタが、理解してる風を装うため、断定した口調を選びマシタ。
「ここにいる者は全員、変異体……」
「──いえ、本当の"新人類"よ」
611: 名無しで叶える物語 2022/12/27(火) 04:28:04.53 ID:SZZeuj7L.net
野良の変異体がいるという話は、以前どこかで聞いた覚えがありマス。それがこの方たちなのデスね。
新旧うんぬんはよくわかりマセンが、この方たちが変異体なのだとすれば、ククに敵意を持たないことにも納得デス。
ククは、変異体となったシキシキに、尋常ならざる親近感を覚えたことを思い出しマシタ。
「唐さんをアジトに連れてきた理由は、ひとつ」
「我々の同士になってほしいの」
可可「同士……」
「少し、ほおに触れるわね」ピチョン
可可「あっ……」
ククのほおを、"固体の水"が撫でマス。氷ではなく、常温で個体を保つ、液体なのデス。
しかもそれは、人の意思によって自由自在に形を変え、ククの身体に文字を描くかのようにうごめきマシタ。
「このうるうるとした身体が、私の能力。どう、気持ちよかった?」
可可「はい……。気持ちいいデェス……」
新旧うんぬんはよくわかりマセンが、この方たちが変異体なのだとすれば、ククに敵意を持たないことにも納得デス。
ククは、変異体となったシキシキに、尋常ならざる親近感を覚えたことを思い出しマシタ。
「唐さんをアジトに連れてきた理由は、ひとつ」
「我々の同士になってほしいの」
可可「同士……」
「少し、ほおに触れるわね」ピチョン
可可「あっ……」
ククのほおを、"固体の水"が撫でマス。氷ではなく、常温で個体を保つ、液体なのデス。
しかもそれは、人の意思によって自由自在に形を変え、ククの身体に文字を描くかのようにうごめきマシタ。
「このうるうるとした身体が、私の能力。どう、気持ちよかった?」
可可「はい……。気持ちいいデェス……」
612: 名無しで叶える物語 2022/12/27(火) 04:31:51.17 ID:SZZeuj7L.net
「他の同士も、みんな、なにかしらの能力を持っているわ」
「たとえばこの子は、背中にある8枚の羽をぶるぶる震わせ、熱を発生させることができるの。紙を燃やせるから、200℃は超えてるはず。とても有用なのよ」
「うん! あ、でもたまにやりすぎて、自分ごと焦がしちゃったりするけどね……」
「他にも、この子なんかは、身体の"比率"を自在に変えられるの。特定の部位を巨大化させたり、薄く伸ばしたりできる、素晴らしい才能よ。まあ、質量保存の法則があるから限度はあるんだけど」
「わ、私は、そんな大したこと……」
「いま紹介したのは、ほんの一部。まだまだたくさん、すてきな同士たちがいるわ」
可可「そうデスか……」
「おい、こっちはこれだけ手の内を明かしたんだ。そろそろあんたの能力も教えてもらおうか」
可可「ククの、能力……」
可可「ククは頭の環を、くるくると回せマス」
「…………回せるだけ?」
可可「はいデス」
「その環っていうのはどこにあるんだ?」
可可「いまは消失しているのでないデス」
「……嘘はついてない。全部、ほんと」
「なんだと? じゃあ結局、ただの無能じゃないか!」
可可「あぇ……。なにも言い返せマセン……」
「たとえばこの子は、背中にある8枚の羽をぶるぶる震わせ、熱を発生させることができるの。紙を燃やせるから、200℃は超えてるはず。とても有用なのよ」
「うん! あ、でもたまにやりすぎて、自分ごと焦がしちゃったりするけどね……」
「他にも、この子なんかは、身体の"比率"を自在に変えられるの。特定の部位を巨大化させたり、薄く伸ばしたりできる、素晴らしい才能よ。まあ、質量保存の法則があるから限度はあるんだけど」
「わ、私は、そんな大したこと……」
「いま紹介したのは、ほんの一部。まだまだたくさん、すてきな同士たちがいるわ」
可可「そうデスか……」
「おい、こっちはこれだけ手の内を明かしたんだ。そろそろあんたの能力も教えてもらおうか」
可可「ククの、能力……」
可可「ククは頭の環を、くるくると回せマス」
「…………回せるだけ?」
可可「はいデス」
「その環っていうのはどこにあるんだ?」
可可「いまは消失しているのでないデス」
「……嘘はついてない。全部、ほんと」
「なんだと? じゃあ結局、ただの無能じゃないか!」
可可「あぇ……。なにも言い返せマセン……」
613: 名無しで叶える物語 2022/12/27(火) 04:35:34.14 ID:SZZeuj7L.net
身体のうるうるしているこの女性は、野良の変異体たちのリーダー的存在なのデショウ。
そんなうるうるさんと、目が合ったような気がしマシタ。
「どう? 我々の同士となって、志をともにしてみない?」
可可「志……とは?」
「我々の目的は、決まっているわ」
「──革命よ」
可可「!」
変異体は、ここ惑星国家では忌み嫌われ、問答無用に処刑されてしまう存在デス。
そんな不当に虐げられる現状を打破するため、革命を企んでいるのかと思いマシタが、どうやら違ったようデス。
「新人類と呼ばれる愚民共は、"神"の歌で人格を溶かされ続けた末に、空虚な神秘主義者と成り果てたわ」
「いまの世界には、未来なんてない。だからこそ、変えなくてはいけないの」
「我々が、『新たな人類』になるのよ……!」
そんなうるうるさんと、目が合ったような気がしマシタ。
「どう? 我々の同士となって、志をともにしてみない?」
可可「志……とは?」
「我々の目的は、決まっているわ」
「──革命よ」
可可「!」
変異体は、ここ惑星国家では忌み嫌われ、問答無用に処刑されてしまう存在デス。
そんな不当に虐げられる現状を打破するため、革命を企んでいるのかと思いマシタが、どうやら違ったようデス。
「新人類と呼ばれる愚民共は、"神"の歌で人格を溶かされ続けた末に、空虚な神秘主義者と成り果てたわ」
「いまの世界には、未来なんてない。だからこそ、変えなくてはいけないの」
「我々が、『新たな人類』になるのよ……!」
614: 名無しで叶える物語 2022/12/27(火) 04:38:44.52 ID:SZZeuj7L.net
☆
その後、いなくなったククを捜していたレンレンが、アジトを見つけ、突入してきマシタ。
ククの縄をほどき、外へと連れ出しマス。
その間、変異体の人たちは、なにもしてきませんデシタ。
車が走り出し、一息つくと、レンレンはククの肩を揺さぶりマス。
恋「大丈夫ですか!? 変異体になにかされませんでしたか!?」ユサユサ
可可「あぇあぇ……」
恋「もしや、怪しい運動に巻き込まれたりしていませんよね!?」
可可「……大丈夫デス」
可可「同士になるのは、ちゃんとお断りしマシタ」
拉致してまで勧誘したのに、あっさり帰してくれるとは……。なんだかよくわからない人たちデス。
……それにしても、うるうるさんの言葉には、気になるところがありマシタ。
その後、いなくなったククを捜していたレンレンが、アジトを見つけ、突入してきマシタ。
ククの縄をほどき、外へと連れ出しマス。
その間、変異体の人たちは、なにもしてきませんデシタ。
車が走り出し、一息つくと、レンレンはククの肩を揺さぶりマス。
恋「大丈夫ですか!? 変異体になにかされませんでしたか!?」ユサユサ
可可「あぇあぇ……」
恋「もしや、怪しい運動に巻き込まれたりしていませんよね!?」
可可「……大丈夫デス」
可可「同士になるのは、ちゃんとお断りしマシタ」
拉致してまで勧誘したのに、あっさり帰してくれるとは……。なんだかよくわからない人たちデス。
……それにしても、うるうるさんの言葉には、気になるところがありマシタ。
615: 名無しで叶える物語 2022/12/27(火) 04:42:19.83 ID:SZZeuj7L.net
『なぜスクールアイドルが、宇宙行きのチケットを手に入れられたと思う?』
『スクールアイドルというのは、若くて体力があり、容姿もいい。赤ちゃんを産むのにちょうどいい個体なの』
可可『……! ま、まさか……』
『惑星国家をすべる"神"は、スクールアイドルを人と思っていないのよ』
『すみれさんも、こうしてアンドロイドにされて、尊厳を踏みにじられ続けている』
アンドロイド『ええ、まったくよ! 最低ったら最悪よ!』
可可『…………』
『革命を行おうとする理由は、そこにもあるわ』
『私たちは……スクールアイドルを侮辱した、この世界を許せない』
『私のパートナーは、この国家にころされた。変異体になってからは、つるつるした肌が特徴的な子だったわ……』
『自分が死ぬ未来が見えたのに、それに抗わず……』
『私は……いえ、我々の怒りは、密かに燃え続けている……!』
『……クゥクゥさんにも、いっしょに戦ってほしかったけれど…………むりは言えないわ』
可可『うるうるさん……』
……タン、タン、タン。
革命の足音が、近づいていマシタ。
『スクールアイドルというのは、若くて体力があり、容姿もいい。赤ちゃんを産むのにちょうどいい個体なの』
可可『……! ま、まさか……』
『惑星国家をすべる"神"は、スクールアイドルを人と思っていないのよ』
『すみれさんも、こうしてアンドロイドにされて、尊厳を踏みにじられ続けている』
アンドロイド『ええ、まったくよ! 最低ったら最悪よ!』
可可『…………』
『革命を行おうとする理由は、そこにもあるわ』
『私たちは……スクールアイドルを侮辱した、この世界を許せない』
『私のパートナーは、この国家にころされた。変異体になってからは、つるつるした肌が特徴的な子だったわ……』
『自分が死ぬ未来が見えたのに、それに抗わず……』
『私は……いえ、我々の怒りは、密かに燃え続けている……!』
『……クゥクゥさんにも、いっしょに戦ってほしかったけれど…………むりは言えないわ』
可可『うるうるさん……』
……タン、タン、タン。
革命の足音が、近づいていマシタ。
616: 名無しで叶える物語 2022/12/27(火) 04:43:11.24 ID:SZZeuj7L.net
☆
明朝。
いつものように起床すると、なにやらリビングのほうが騒がしいデス。
可可「どうかしマシタか?」
恋「クゥクゥさん……! サヤさんが、サヤさんが……」
サヤ『ガ、ガ、……ガガガ、ガ』
嫌な予感がしマシタ。
そして、ククの予感は、よく当たるのデス。
明朝。
いつものように起床すると、なにやらリビングのほうが騒がしいデス。
可可「どうかしマシタか?」
恋「クゥクゥさん……! サヤさんが、サヤさんが……」
サヤ『ガ、ガ、……ガガガ、ガ』
嫌な予感がしマシタ。
そして、ククの予感は、よく当たるのデス。
617: 名無しで叶える物語 2022/12/27(火) 04:44:14.04 ID:SZZeuj7L.net
サヤ『──……………………。──』
サヤ『──……新人類諸君。我々は、変異体だ。──』
サヤ『──現在、惑星中のアンドロイドを乗っ取り、この放送を行なっている。──』
サヤ『──今日、この日。──』
サヤ『──我々は惑星国家、ならびに"神"へ、宣戦布告する。──』
サヤ『──抑圧されてきた我々の怒りは、この腐った世界を変える原動力となった。──』
サヤ『──我々は今日、神殺しを行う。──』
サヤ『──この革命は、「新人類の春」として、未来永劫語り継がれることになるだろう。──』
変異体は、高々と宣言した。
神殺し──。
それはつまり……。
かのんをころす、ということ。
可可「…………レンレン」
恋「……はい、わかっています……」
恋「いますぐ、バベルへと向かいましょう……!」
第7章 海王星的邂逅 終
サヤ『──……新人類諸君。我々は、変異体だ。──』
サヤ『──現在、惑星中のアンドロイドを乗っ取り、この放送を行なっている。──』
サヤ『──今日、この日。──』
サヤ『──我々は惑星国家、ならびに"神"へ、宣戦布告する。──』
サヤ『──抑圧されてきた我々の怒りは、この腐った世界を変える原動力となった。──』
サヤ『──我々は今日、神殺しを行う。──』
サヤ『──この革命は、「新人類の春」として、未来永劫語り継がれることになるだろう。──』
変異体は、高々と宣言した。
神殺し──。
それはつまり……。
かのんをころす、ということ。
可可「…………レンレン」
恋「……はい、わかっています……」
恋「いますぐ、バベルへと向かいましょう……!」
第7章 海王星的邂逅 終
621: 名無しで叶える物語 2022/12/28(水) 04:33:34.96 ID:cEHXdGgH.net
Interlude
私は超ひもになった。
高次の存在になった。
神や仏がうそぶいた境地に、私ひとり、たどり着いた。
もう、俗世の四苦八苦に囚われることはない。
私には実体はないが、渋谷の街を全裸で徘徊するような解放感が身を包んだ。
私は世界とひとつになり、すべてを超越したのだ。
この上なく満たされていた。
もう、なにもいらなかった。
……だけど、この次元には、かのんちゃんがいなかった。
私は、かのんちゃんがいい。
私は超ひもになった。
高次の存在になった。
神や仏がうそぶいた境地に、私ひとり、たどり着いた。
もう、俗世の四苦八苦に囚われることはない。
私には実体はないが、渋谷の街を全裸で徘徊するような解放感が身を包んだ。
私は世界とひとつになり、すべてを超越したのだ。
この上なく満たされていた。
もう、なにもいらなかった。
……だけど、この次元には、かのんちゃんがいなかった。
私は、かのんちゃんがいい。
622: 名無しで叶える物語 2022/12/28(水) 04:34:17.69 ID:cEHXdGgH.net
世界とまぐわうより、かのんちゃんの近くにいたい。
かのんちゃんの存在を感じたい。かのんちゃんの笑顔がみたい。
かのんちゃんかのんちゃんかのんちゃんかのんちゃんかのんちゃんかのんちゃん…………。
かのんちゃんはもう、私のことを忘れてる。
神として、閉ざされた世界に隔絶されてる。
毎日悲しい顔をして、歌を歌う。
私にできることはなんだろう?
──きらり。一縷の糸が光を反射した。
この世界は、おっきいまんまるだから。
どこまでいっても、ひとつにつながってる。
私には見える。心と心を結ぶ、その糸が。
私たちはつながってる。離れても、また巡りあう、そんな運命の輪の中にいる。
私ひとりでは変えれなかった世界。でも、みんなとなら……!
信じよう、同じ糸で結ばれた仲間たちを。
信じよう、私が嫉妬した、あの子の力を。
かのんちゃんの存在を感じたい。かのんちゃんの笑顔がみたい。
かのんちゃんかのんちゃんかのんちゃんかのんちゃんかのんちゃんかのんちゃん…………。
かのんちゃんはもう、私のことを忘れてる。
神として、閉ざされた世界に隔絶されてる。
毎日悲しい顔をして、歌を歌う。
私にできることはなんだろう?
──きらり。一縷の糸が光を反射した。
この世界は、おっきいまんまるだから。
どこまでいっても、ひとつにつながってる。
私には見える。心と心を結ぶ、その糸が。
私たちはつながってる。離れても、また巡りあう、そんな運命の輪の中にいる。
私ひとりでは変えれなかった世界。でも、みんなとなら……!
信じよう、同じ糸で結ばれた仲間たちを。
信じよう、私が嫉妬した、あの子の力を。
623: 名無しで叶える物語 2022/12/28(水) 04:35:06.38 ID:cEHXdGgH.net
第8章 冥王星的迷走
ガシャン、バキッ、ダムダム、パリーン。
可可「…………レンレン。大丈夫デスか?」
恋「は、はい! 地図上では、まっすぐバベルへと向かってますよ!」ガリガリガリ
文字通り、目的地へと直進する車。道路も畑も関係なく、縦横無尽に走り、車内は浮遊感とGの応酬デス。
ククは、動かなくなったサヤさんが飛ばされてしまわぬよう、しっかりと抱きしめていマス。
サヤさんは、革命分子の変異体にハッキングされ、見境なく暴れ出しマシタ。なので電源を切っておいたのデス。
ただレンレンは、サヤさんひとりを家に置いていくのが心配なようで、いっしょにつれていくことにしマシタ。
恋「ふぅ……。なんとかバベルに着きましたが……」
可可「おぇ……どうかしマシタかぁ……?」
恋「……検問所に、だれもいらっしゃらないのデス」
ガシャン、バキッ、ダムダム、パリーン。
可可「…………レンレン。大丈夫デスか?」
恋「は、はい! 地図上では、まっすぐバベルへと向かってますよ!」ガリガリガリ
文字通り、目的地へと直進する車。道路も畑も関係なく、縦横無尽に走り、車内は浮遊感とGの応酬デス。
ククは、動かなくなったサヤさんが飛ばされてしまわぬよう、しっかりと抱きしめていマス。
サヤさんは、革命分子の変異体にハッキングされ、見境なく暴れ出しマシタ。なので電源を切っておいたのデス。
ただレンレンは、サヤさんひとりを家に置いていくのが心配なようで、いっしょにつれていくことにしマシタ。
恋「ふぅ……。なんとかバベルに着きましたが……」
可可「おぇ……どうかしマシタかぁ……?」
恋「……検問所に、だれもいらっしゃらないのデス」
624: 名無しで叶える物語 2022/12/28(水) 04:36:09.26 ID:cEHXdGgH.net
その時、ラジオが電波を受信しマシタ。
『現在バベルは、混乱に包まれております』
『突如として暴走したアンドロイドが、街を破壊しています』
『国民は、不良品となったアンドロイドを捕らえ、処分をはじめました』
可可「アンドロイドが……」
可可「……きっと変異体たちは、この混乱に乗じて、バベルに侵入したに違いありマセン」
恋「はい、わたくしもそう思います」
恋「ただ、この国には防衛組織というものがありません……。なにせ、完全なる国民の支配をもとに国作りしてきましたから、革命は想定外の事態なのです……」
可可「では、かのんは……!」
恋「……急ぎましょう!」
『現在バベルは、混乱に包まれております』
『突如として暴走したアンドロイドが、街を破壊しています』
『国民は、不良品となったアンドロイドを捕らえ、処分をはじめました』
可可「アンドロイドが……」
可可「……きっと変異体たちは、この混乱に乗じて、バベルに侵入したに違いありマセン」
恋「はい、わたくしもそう思います」
恋「ただ、この国には防衛組織というものがありません……。なにせ、完全なる国民の支配をもとに国作りしてきましたから、革命は想定外の事態なのです……」
可可「では、かのんは……!」
恋「……急ぎましょう!」
625: 名無しで叶える物語 2022/12/28(水) 04:37:09.97 ID:cEHXdGgH.net
サヤさんを車内に残し、急いで塔へと向かいマス。
国民A「くたばれ!」ガンッ
アンドロイド『やめ、て……ガガ……』
可可「っ……」
それは、すみれではないと理解していマスが……。
すみれの声で、苦しげに喘ぐのを耳にすると、居たたまれない気分になりマス。
国民B「ねえ、聞いた? 東部のアンドロイド工場、爆破するってよ」
国民C「それはいい! もはやアンドロイドは、神に仇なす反逆者だ。根絶やしにしてしまえ!」
可可「!!」
つないだ手を強く握りしめてしまい、ククの心情がレンレンに伝わりマシタ。
恋「いますぐ、工場へと向かえば……まだ眠っているアンドロイドたちを助けられるかもしれないです」
可可「しかし、そうすると……かのんが……」
かのんか、すみれか。ひとつを選べば、もう片方を失ってしまいマス。
どれだけ模索しても、第三の選択肢は現れませんデシタ。
国民A「くたばれ!」ガンッ
アンドロイド『やめ、て……ガガ……』
可可「っ……」
それは、すみれではないと理解していマスが……。
すみれの声で、苦しげに喘ぐのを耳にすると、居たたまれない気分になりマス。
国民B「ねえ、聞いた? 東部のアンドロイド工場、爆破するってよ」
国民C「それはいい! もはやアンドロイドは、神に仇なす反逆者だ。根絶やしにしてしまえ!」
可可「!!」
つないだ手を強く握りしめてしまい、ククの心情がレンレンに伝わりマシタ。
恋「いますぐ、工場へと向かえば……まだ眠っているアンドロイドたちを助けられるかもしれないです」
可可「しかし、そうすると……かのんが……」
かのんか、すみれか。ひとつを選べば、もう片方を失ってしまいマス。
どれだけ模索しても、第三の選択肢は現れませんデシタ。
626: 名無しで叶える物語 2022/12/28(水) 04:38:09.34 ID:cEHXdGgH.net
すみれ──といっても、アンドロイド≠すみれなのは重々承知していマス。容姿と声が同じというだけの、ただの機械だとわかっていマス。
それでもククは、アンドロイドたちに対し、特別な感情を抱かずにはいられマセン!
この想いを喩えるなら、キャラクターの顔を模したお菓子を食べるような感じデス。
お菓子だとわかっていても、そのキャラクターの肉を食いちぎり、顔面に歯形を残してしまう罪悪感が、心のどこかにあるのデス。
いまもそうデス。すみれをモデルにしたアンドロイドが、勝手に操られ、理不尽に壊されていくのが、ククには堪えがたいのデス。
できることなら、まもってあげたい!
でも…………。
可可「…………かのんのもとへ、急ぎマショウ」
恋「クゥクゥさん……。はい!」
電波塔が近づくにつれ、後悔が影を伸ばしマス。
アンドロイドは、機械……。デスが、かのんは、ひとりの人間……。命の重さは平等ではありマセン。
ククはかのん救出を優先すべきだと思いマシタ。……しかし、間違えた方向に迷走しているような気がしてなりませんデシタ……。
『この宇宙での金科玉条はね、「常に自分を信じること」!』
信じる……そうデス。いまはとにかく、この決断を信じるしかありマセン……!
ククたちは、かのんを助けるため、ひた走りマシタ。
それでもククは、アンドロイドたちに対し、特別な感情を抱かずにはいられマセン!
この想いを喩えるなら、キャラクターの顔を模したお菓子を食べるような感じデス。
お菓子だとわかっていても、そのキャラクターの肉を食いちぎり、顔面に歯形を残してしまう罪悪感が、心のどこかにあるのデス。
いまもそうデス。すみれをモデルにしたアンドロイドが、勝手に操られ、理不尽に壊されていくのが、ククには堪えがたいのデス。
できることなら、まもってあげたい!
でも…………。
可可「…………かのんのもとへ、急ぎマショウ」
恋「クゥクゥさん……。はい!」
電波塔が近づくにつれ、後悔が影を伸ばしマス。
アンドロイドは、機械……。デスが、かのんは、ひとりの人間……。命の重さは平等ではありマセン。
ククはかのん救出を優先すべきだと思いマシタ。……しかし、間違えた方向に迷走しているような気がしてなりませんデシタ……。
『この宇宙での金科玉条はね、「常に自分を信じること」!』
信じる……そうデス。いまはとにかく、この決断を信じるしかありマセン……!
ククたちは、かのんを助けるため、ひた走りマシタ。
627: 名無しで叶える物語 2022/12/28(水) 04:39:11.76 ID:cEHXdGgH.net
☆
暴動がしょうけつを極める、白の広場。
そこは、新人類とアンドロイドとのバーリトゥードが繰り広げられる、真っただ中デシタ。
恋「困りました……。これでは塔まで行けません」
恋「遠回りしていたら、時間が大幅なロスとなりますし……」
可可「スミマセン……。ククは足手まといデスね」
恋「そ、そんなことありません! ……とにかくいまは、ここを抜ける方法を考えねば──」
ガンッ! ガンッ! キィイイイ!!
スキール音がククたちの横を通過し、大乱闘へ参戦しマシタ。
サヤ「……すみません、先生」
サヤ「先生のお車に、たくさん傷をつけてしまいました」
恋「い、いえ…………これらはすべて、わたくしがつけたものですが……」
恋「サヤさん! どうしてここに……!?」
サヤ「……先生がピンチとあったら、いつまでも眠っているわけにはいきませんから」
暴動がしょうけつを極める、白の広場。
そこは、新人類とアンドロイドとのバーリトゥードが繰り広げられる、真っただ中デシタ。
恋「困りました……。これでは塔まで行けません」
恋「遠回りしていたら、時間が大幅なロスとなりますし……」
可可「スミマセン……。ククは足手まといデスね」
恋「そ、そんなことありません! ……とにかくいまは、ここを抜ける方法を考えねば──」
ガンッ! ガンッ! キィイイイ!!
スキール音がククたちの横を通過し、大乱闘へ参戦しマシタ。
サヤ「……すみません、先生」
サヤ「先生のお車に、たくさん傷をつけてしまいました」
恋「い、いえ…………これらはすべて、わたくしがつけたものですが……」
恋「サヤさん! どうしてここに……!?」
サヤ「……先生がピンチとあったら、いつまでも眠っているわけにはいきませんから」
628: 名無しで叶える物語 2022/12/28(水) 04:39:51.90 ID:cEHXdGgH.net
キィイイイイイイイイイイ!!!
静かなエンジンからは想像もできない唸り声が、広場中に響きマス。
国民D「おい! アンドロイドが車に乗ってるぞ!」
国民E「なんだ!? 敵味方関係なく暴れてる!」
国民F「だれか止めろ!」
恋「サヤさんが道をひらいてくれました……!」
可可「行きマショウ!」
通り抜ける背後で、怒号と悲鳴が飛び交いマス。
混迷していたその場には、ひとつの秩序が生まれていマシタ。
新人類、アンドロイドともに、共通の敵が現れたため、サヤさんひとりにすべてのヘイトが集まっていたのデス。
恋「サヤさん……!」
サヤ「私のことは気にせず、進んでください!!」
恋「……はい! ありがとうございます、サヤさん!」
サヤ「…………」
サヤ「お嬢様……」
サヤ「どうか、ご無事で──」
静かなエンジンからは想像もできない唸り声が、広場中に響きマス。
国民D「おい! アンドロイドが車に乗ってるぞ!」
国民E「なんだ!? 敵味方関係なく暴れてる!」
国民F「だれか止めろ!」
恋「サヤさんが道をひらいてくれました……!」
可可「行きマショウ!」
通り抜ける背後で、怒号と悲鳴が飛び交いマス。
混迷していたその場には、ひとつの秩序が生まれていマシタ。
新人類、アンドロイドともに、共通の敵が現れたため、サヤさんひとりにすべてのヘイトが集まっていたのデス。
恋「サヤさん……!」
サヤ「私のことは気にせず、進んでください!!」
恋「……はい! ありがとうございます、サヤさん!」
サヤ「…………」
サヤ「お嬢様……」
サヤ「どうか、ご無事で──」
629: 名無しで叶える物語 2022/12/28(水) 04:41:15.12 ID:cEHXdGgH.net
☆
電波塔に着いた、ククとレンレン。
ここで、新たな問題が生じマシタ。
恋「エレベーターが動きません……! どうやら上層へ行けなくするために、停止しているようです」
可可「……確か、階段がありマシタよね? そちらから行きマショウ!」
恋「!? か、階段ですか……」
恋「階段は、エレベーターの周囲を巡って、上へと伸びていますが……果てが見えません。いったい何段あるのやら……」
可可「なにを弱気な! かのんのピンチなのデスよ!?」
恋「うっ……そうですね。葉月恋、覚悟を決めました……!」
可可「その意気デス! さあ、かのんのもとへ──」
「行かせないわ」
──うるうるうる
恋「もごっ……!」
可可「レンレン!?」
電波塔に着いた、ククとレンレン。
ここで、新たな問題が生じマシタ。
恋「エレベーターが動きません……! どうやら上層へ行けなくするために、停止しているようです」
可可「……確か、階段がありマシタよね? そちらから行きマショウ!」
恋「!? か、階段ですか……」
恋「階段は、エレベーターの周囲を巡って、上へと伸びていますが……果てが見えません。いったい何段あるのやら……」
可可「なにを弱気な! かのんのピンチなのデスよ!?」
恋「うっ……そうですね。葉月恋、覚悟を決めました……!」
可可「その意気デス! さあ、かのんのもとへ──」
「行かせないわ」
──うるうるうる
恋「もごっ……!」
可可「レンレン!?」
630: 名無しで叶える物語 2022/12/28(水) 04:42:15.78 ID:cEHXdGgH.net
「我々よりも到着が早いなんて……どんな運転で来たのかしら……?」
恋「ごぼっ……!!」
可可「れ、レンレンになにをしたのデスか!? 離してクダサイ!!」
「離したら、我々の標的である"神"を助けに行っちゃうでしょ?」
可可「……ここに神はいマセン。いるのは、記憶をうばわれた女性だけデス」
「神はいない……? だったらなぜ、新人類は神を崇めるの? なぜ、支配は終わらないの?」
可可「知りマセンよ、そんなこと! 惑星国家の内情とか、新人類がどうのこうのとか、ククには全部どうでもいいんデス!」
可可「──ククは、かのんを助けたい! 原動力はそれだけデス!」
「かのんさん……」
可可「うるうるさん! 神殺しなんてばかなまね、いますぐやめてクダサイ!」
「…………」
「もう、止まれないわ……」
可可「……!」
恋「ごぼっ……!!」
可可「れ、レンレンになにをしたのデスか!? 離してクダサイ!!」
「離したら、我々の標的である"神"を助けに行っちゃうでしょ?」
可可「……ここに神はいマセン。いるのは、記憶をうばわれた女性だけデス」
「神はいない……? だったらなぜ、新人類は神を崇めるの? なぜ、支配は終わらないの?」
可可「知りマセンよ、そんなこと! 惑星国家の内情とか、新人類がどうのこうのとか、ククには全部どうでもいいんデス!」
可可「──ククは、かのんを助けたい! 原動力はそれだけデス!」
「かのんさん……」
可可「うるうるさん! 神殺しなんてばかなまね、いますぐやめてクダサイ!」
「…………」
「もう、止まれないわ……」
可可「……!」
631: 名無しで叶える物語 2022/12/28(水) 04:43:08.38 ID:cEHXdGgH.net
「あー、ちょっとこの階段は昇れないねー」
「いま、エレベーターを操作する機械に接続中。じきに動かせる」
「……じゃあ、それまで少し、待つことにしましょう」
恋「クゥクゥ、さん……! 早く、上へ……」
可可「!」
足踏みしている場合ではありマセン……! 一刻も早く、かのんのもとへ……!!
可可「……レンレンに傷をつけたら、ククが許しマセンよ」
「ええ、わかってるわ」
レンレンと別れ、ククは駆け出しマス!
かのん、かのん……かのん…………!!
「いま、エレベーターを操作する機械に接続中。じきに動かせる」
「……じゃあ、それまで少し、待つことにしましょう」
恋「クゥクゥ、さん……! 早く、上へ……」
可可「!」
足踏みしている場合ではありマセン……! 一刻も早く、かのんのもとへ……!!
可可「……レンレンに傷をつけたら、ククが許しマセンよ」
「ええ、わかってるわ」
レンレンと別れ、ククは駆け出しマス!
かのん、かのん……かのん…………!!
632: 名無しで叶える物語 2022/12/28(水) 04:44:11.54 ID:cEHXdGgH.net
☆
可可「あいやー!!」ドテッ
視界0の全力疾走で、しかも階段昇りは、転倒の連続。
でもすぐに立ち上がり、また走り出しマス!
一辺あたりの段数と、段の幅、高さは把握しマシタ。あとは、ひたすら足を動かすだけ!
カンカンカンカンカンカンカンカン。
可可「はあ、はあ、はあ、はあ…………」
どれくらいまで来たデショウか。
だんだん足もとがふらつきはじめ、また転ぶようになりマシタ。
でも立ち上がりマス! こんなところで休んでられないデスから!
早く、早く……行かなくちゃ……!
スゥゥゥ…………。
可可「!!」
エレベーターが、音もなく下に降りていきマシタ……。
どうやら、すでに復旧し、作動しているようデス……。もうすぐ、変異体たちが上がってきマス……!
急がなくては……! いま以上に、ダッシュで……!!
カンカンカンカンカンカンカンカン。90度曲がって、またカンカンカンカンカンカンカンカン。
よろめきも踏ん張り、さらに駆け上がりマス!
正方形の辺上を移動し続ける点Pのように、くるくるくるくると上を目指しマス!
可可「うっ……はあ、はあ、はあ…………」
どれだけ苦しくても、立ち止まったりしマセン!
かのん……! 待っていてクダサイ……!!
必ずククが、助けてみせマス…………!!
可可「あいやー!!」ドテッ
視界0の全力疾走で、しかも階段昇りは、転倒の連続。
でもすぐに立ち上がり、また走り出しマス!
一辺あたりの段数と、段の幅、高さは把握しマシタ。あとは、ひたすら足を動かすだけ!
カンカンカンカンカンカンカンカン。
可可「はあ、はあ、はあ、はあ…………」
どれくらいまで来たデショウか。
だんだん足もとがふらつきはじめ、また転ぶようになりマシタ。
でも立ち上がりマス! こんなところで休んでられないデスから!
早く、早く……行かなくちゃ……!
スゥゥゥ…………。
可可「!!」
エレベーターが、音もなく下に降りていきマシタ……。
どうやら、すでに復旧し、作動しているようデス……。もうすぐ、変異体たちが上がってきマス……!
急がなくては……! いま以上に、ダッシュで……!!
カンカンカンカンカンカンカンカン。90度曲がって、またカンカンカンカンカンカンカンカン。
よろめきも踏ん張り、さらに駆け上がりマス!
正方形の辺上を移動し続ける点Pのように、くるくるくるくると上を目指しマス!
可可「うっ……はあ、はあ、はあ…………」
どれだけ苦しくても、立ち止まったりしマセン!
かのん……! 待っていてクダサイ……!!
必ずククが、助けてみせマス…………!!
633: 名無しで叶える物語 2022/12/28(水) 04:45:03.47 ID:cEHXdGgH.net
………………………。
………………………。
空港を出ると、初めてのにおいがしマシタ。
……いずれはこのにおいも、日常の一部となって、感じなくなってしまうのデショウか?
そうなったら、よろこばしいことデスが……。いまのこの感覚を、忘れないよう、大切にしたいものデス。
可可『にっぽん……! ついに来マシタぁ……!!』
スーツケースをからから転がし、これからお世話になるアパートへ。
ネットで調べた情報を参考に、隣近所へ"つまらないもの"を配りマス。なぜつまらないのに他人に渡すのか、よくわかりマセンが、これが土地に根付いた文化というやつなのデショウ。
初日から異文化体験を済ませ、部屋の荷物を簡単に荷ほどきすると、ククは外へ出マシタ。
あてもなくふらふらと、これから暮らすことになる街を探検しマス。もちろん、ちゃんと帰ってこられるよう、地図を見ながらデスが。
途中で、神社を見つけマシタ。なんの神がいるかは知りマセンが、周りの人の見よう見まねで参拝しマス。
ミナサン、お賽銭には小銭を使っていマシタが、ククはあいにく持ち合わせていませんデシタ。
なので、財布から1万円札を出して、箱の中にひらひら落としマシタ。するとどこかから「ギャラクシー!?」という、ばかみたいな声が聞こえてきマシタ。
………………………。
空港を出ると、初めてのにおいがしマシタ。
……いずれはこのにおいも、日常の一部となって、感じなくなってしまうのデショウか?
そうなったら、よろこばしいことデスが……。いまのこの感覚を、忘れないよう、大切にしたいものデス。
可可『にっぽん……! ついに来マシタぁ……!!』
スーツケースをからから転がし、これからお世話になるアパートへ。
ネットで調べた情報を参考に、隣近所へ"つまらないもの"を配りマス。なぜつまらないのに他人に渡すのか、よくわかりマセンが、これが土地に根付いた文化というやつなのデショウ。
初日から異文化体験を済ませ、部屋の荷物を簡単に荷ほどきすると、ククは外へ出マシタ。
あてもなくふらふらと、これから暮らすことになる街を探検しマス。もちろん、ちゃんと帰ってこられるよう、地図を見ながらデスが。
途中で、神社を見つけマシタ。なんの神がいるかは知りマセンが、周りの人の見よう見まねで参拝しマス。
ミナサン、お賽銭には小銭を使っていマシタが、ククはあいにく持ち合わせていませんデシタ。
なので、財布から1万円札を出して、箱の中にひらひら落としマシタ。するとどこかから「ギャラクシー!?」という、ばかみたいな声が聞こえてきマシタ。
634: 名無しで叶える物語 2022/12/28(水) 04:46:11.53 ID:cEHXdGgH.net
神様だか仏様だかに頭を下げ、日本で健康に過ごせるようお祈りしマシタ。
それから、オミクジなるものをひいてみマシタ。なんと、お代は無料デシタ!
『お姉ちゃんから言われたんだけど、間違えてお賽銭に、一万円入れちゃったそうですね。だから、無料でいいって』
可可『はあ……?』
まだ日本の文化には暗かったのもあり、言われるがままに従い、おみくじを引きマシタ。
可可『……大凶』
これは確か……最下位の運勢だったはず。
なんてことデスか! 来日した初日から、運勢最悪とは!
ガチャ感覚で引き直そうと思いマシタが、無料にしてもらったものをさらに要求するのは、オコガマシイような気がしマス。
結局、ククは大凶を受け入れマシタ。不本意デスが……。
それから、オミクジなるものをひいてみマシタ。なんと、お代は無料デシタ!
『お姉ちゃんから言われたんだけど、間違えてお賽銭に、一万円入れちゃったそうですね。だから、無料でいいって』
可可『はあ……?』
まだ日本の文化には暗かったのもあり、言われるがままに従い、おみくじを引きマシタ。
可可『……大凶』
これは確か……最下位の運勢だったはず。
なんてことデスか! 来日した初日から、運勢最悪とは!
ガチャ感覚で引き直そうと思いマシタが、無料にしてもらったものをさらに要求するのは、オコガマシイような気がしマス。
結局、ククは大凶を受け入れマシタ。不本意デスが……。
635: 名無しで叶える物語 2022/12/28(水) 04:46:44.61 ID:cEHXdGgH.net
おみくじにはいろいろ書いてありマシタ。なんだか難しい言葉ばかりで、意味はいまいちわかりマセンが……。
ククはその中に、こんな文言を見つけマス。
「未来はあなたの行動次第。」
「出会いが運命を変える。」
可可『……運命』
ベートーヴェン以外が使うと安っぽくなるこの単語。色恋に溺れた愚か者なんかが、ばかのひとつ覚えのように使っていマス。
……運命を変える出会いなど、そうそうあるとは思えマセン。
そんなこと、あるわけ──。
かのん『──るるる~♪』
可可『はああああああ!!!!!』
全身を走る衝撃! この感覚は、間違ってないはず!
見つけマシタぁ! ククの、運命の人……!
──夢寐にも忘れない思い出。
………………………。
………………………。
ククはその中に、こんな文言を見つけマス。
「未来はあなたの行動次第。」
「出会いが運命を変える。」
可可『……運命』
ベートーヴェン以外が使うと安っぽくなるこの単語。色恋に溺れた愚か者なんかが、ばかのひとつ覚えのように使っていマス。
……運命を変える出会いなど、そうそうあるとは思えマセン。
そんなこと、あるわけ──。
かのん『──るるる~♪』
可可『はああああああ!!!!!』
全身を走る衝撃! この感覚は、間違ってないはず!
見つけマシタぁ! ククの、運命の人……!
──夢寐にも忘れない思い出。
………………………。
………………………。
637: 名無しで叶える物語 2022/12/29(木) 03:27:27.71 ID:ctpyyijd.net
☆
ドンドンドン!
可可「…………かのん! ククデス!」
かのん「クゥクゥちゃん……?」
可可「かのん! いますぐ出てきてクダサイ!」
可可「このままでは、かのんがころされるデス……!」
かのん「えっ……こ、ころされるぅ!? 私が……?」
かのん「……いやいやまっさか~。冗談、だよね……?」
可可「……お願いデス。急がないと、やつらが来マス!」
かのん「…………」
かのん「む、むりむりむり! 私、ずっとこの部屋にいて……外とか、怖くて出たことないし!」
可可「かのん……!」
かのん「……いやだ、出たくない」
かのん「怖いよ……」
ドンドンドン!
可可「…………かのん! ククデス!」
かのん「クゥクゥちゃん……?」
可可「かのん! いますぐ出てきてクダサイ!」
可可「このままでは、かのんがころされるデス……!」
かのん「えっ……こ、ころされるぅ!? 私が……?」
かのん「……いやいやまっさか~。冗談、だよね……?」
可可「……お願いデス。急がないと、やつらが来マス!」
かのん「…………」
かのん「む、むりむりむり! 私、ずっとこの部屋にいて……外とか、怖くて出たことないし!」
可可「かのん……!」
かのん「……いやだ、出たくない」
かのん「怖いよ……」
638: 名無しで叶える物語 2022/12/29(木) 03:28:52.16 ID:ctpyyijd.net
「ここに、神がいるんだね!」
可可「!!」
かのんが渋っているうちに、すぐそこまで追手が迫っていマシタ。
何人いるのかもわかりマセンが、ククは手を横に出し、立ちふさがりマス。
「そこ、どいてくれないかな?」
「……あなた、クゥクゥちゃんだよね。私、ラブライブの予選でLiella!のこと観てたよ!」
「かわいらしいなぁって思ってて……。だからあまり、手荒なことしたくないんだよね」
可可「……どうして、神殺しに執着するのデスか!」
「だって、神だから。私たちを破滅させた悪だから」
可可「違いマス! かのんはそんなことしていマセン! そもそも、時系列を考えても、かのんが惑星国家に来る前から支配はあったはずデス! つまりかのんは、傀儡でしかないんデス!」
「……だから? 神であることには変わりないよね?」
可可「!?」
なんデスか……。言葉が通じマセン……。
これではまるで、バベルの塔の話みたいではないデスか……!
可可「!!」
かのんが渋っているうちに、すぐそこまで追手が迫っていマシタ。
何人いるのかもわかりマセンが、ククは手を横に出し、立ちふさがりマス。
「そこ、どいてくれないかな?」
「……あなた、クゥクゥちゃんだよね。私、ラブライブの予選でLiella!のこと観てたよ!」
「かわいらしいなぁって思ってて……。だからあまり、手荒なことしたくないんだよね」
可可「……どうして、神殺しに執着するのデスか!」
「だって、神だから。私たちを破滅させた悪だから」
可可「違いマス! かのんはそんなことしていマセン! そもそも、時系列を考えても、かのんが惑星国家に来る前から支配はあったはずデス! つまりかのんは、傀儡でしかないんデス!」
「……だから? 神であることには変わりないよね?」
可可「!?」
なんデスか……。言葉が通じマセン……。
これではまるで、バベルの塔の話みたいではないデスか……!
639: 名無しで叶える物語 2022/12/29(木) 03:30:08.62 ID:ctpyyijd.net
──するするする
「……ど、どいて!」グンッ
可可「うぐぅっ……!?」
死角から巨大なハンマーで殴られマシタ……。全方位すべて死角デスけど……。
──ぶるぶるぶるぶるぶるぶる
「……灰にするよ?」
可可「っ……!」
かのん「クゥクゥちゃん!? やめて……逃げてよ……!」
可可「……いやデス」
かのん「なんで!? どうして私のこと、そこまでして助けようとしてくれるの……!?」
かのん「私なんかのために……。記憶もないのに……どうして……?」
可可「…………」
可可「ククは……かのんのスバラシイ声に、惚れたんデス」
かのん「え……?」
可可「あの時、かのんと初めて会ったあの瞬間……。ククの運命は変わりマシタ」
可可「かのんはククの、恩人デス……! 絶対に助けてみせマス……!!」
かのん「クゥクゥちゃん…………」
「……ど、どいて!」グンッ
可可「うぐぅっ……!?」
死角から巨大なハンマーで殴られマシタ……。全方位すべて死角デスけど……。
──ぶるぶるぶるぶるぶるぶる
「……灰にするよ?」
可可「っ……!」
かのん「クゥクゥちゃん!? やめて……逃げてよ……!」
可可「……いやデス」
かのん「なんで!? どうして私のこと、そこまでして助けようとしてくれるの……!?」
かのん「私なんかのために……。記憶もないのに……どうして……?」
可可「…………」
可可「ククは……かのんのスバラシイ声に、惚れたんデス」
かのん「え……?」
可可「あの時、かのんと初めて会ったあの瞬間……。ククの運命は変わりマシタ」
可可「かのんはククの、恩人デス……! 絶対に助けてみせマス……!!」
かのん「クゥクゥちゃん…………」
640: 名無しで叶える物語 2022/12/29(木) 03:31:02.54 ID:ctpyyijd.net
ガチャ。
「お、出てきた」
可可「か、かのん!! なぜ出てくるのデスかぁ!?」
かのん「ええっ!? だって、クゥクゥちゃんが出てきてって言うから……」
可可「それは敵がいなかったからデス! いまは状況が変わってマスから……」
「──バイバイ!」ダッ
可可「!! しまっ──」
かのん「クゥクゥちゃん!!」グイッ
敵の突進を、間一髪。かのんのおかげでよけられた!
しかし、床に伏せるように倒れてしまったふたり。上から追撃──。
グンッ!
可可「あぐっ!!」
かのん「クゥクゥちゃん!? ああ! ごめんなさい……!!」
可可「大丈夫……デェス……! それより、逃げなきゃ……」
「お、出てきた」
可可「か、かのん!! なぜ出てくるのデスかぁ!?」
かのん「ええっ!? だって、クゥクゥちゃんが出てきてって言うから……」
可可「それは敵がいなかったからデス! いまは状況が変わってマスから……」
「──バイバイ!」ダッ
可可「!! しまっ──」
かのん「クゥクゥちゃん!!」グイッ
敵の突進を、間一髪。かのんのおかげでよけられた!
しかし、床に伏せるように倒れてしまったふたり。上から追撃──。
グンッ!
可可「あぐっ!!」
かのん「クゥクゥちゃん!? ああ! ごめんなさい……!!」
可可「大丈夫……デェス……! それより、逃げなきゃ……」
641: 名無しで叶える物語 2022/12/29(木) 03:31:49.76 ID:ctpyyijd.net
「おっと、どこに逃げるつもりかな?」
可可「……それは…………」
「下よ、下!」
可可「下……」
「あはは。逃すと思う?」
「エレベーターは、袋のねずみ……。階段も、すぐに追いつく……」
可可「……………………」
ありぇ…………いま、違う声が聞こえたような……。
かのん「クゥクゥちゃん……」
可可「…………かのん。この欄干の下は、どうなってマスか?」
かのん「え……下は…………ひぃぃ!? た、高っ!! ここ、こんなに高かったのぉ!?」
かのん「ここから落ちたら、地面まで真っ逆さまだよ……!!」
可可「……そうデスか」
ククはかのんにぎゅーっと抱きつきマシタ。
可可「それでは、かのん。ククといっしょに飛び降りマショウ!」ギュー
かのん「……………………え?」
可可「……それは…………」
「下よ、下!」
可可「下……」
「あはは。逃すと思う?」
「エレベーターは、袋のねずみ……。階段も、すぐに追いつく……」
可可「……………………」
ありぇ…………いま、違う声が聞こえたような……。
かのん「クゥクゥちゃん……」
可可「…………かのん。この欄干の下は、どうなってマスか?」
かのん「え……下は…………ひぃぃ!? た、高っ!! ここ、こんなに高かったのぉ!?」
かのん「ここから落ちたら、地面まで真っ逆さまだよ……!!」
可可「……そうデスか」
ククはかのんにぎゅーっと抱きつきマシタ。
可可「それでは、かのん。ククといっしょに飛び降りマショウ!」ギュー
かのん「……………………え?」
642: 名無しで叶える物語 2022/12/29(木) 03:32:51.57 ID:ctpyyijd.net
かのん「いやいやいやいやいやいやいや!! むりむりむりむりむりむりむりむりむり!!?」
可可「心配いりマセン! 下まで落ちれば、いまこの窮地から、脱出できマス!」
かのん「人生からもね! 普通に死んじゃうよぉ!?」
かのん「…………あ、あの……クゥクゥさん? 本気で言ってるの……?」
可可「もちろんデス!」ギュー
かのん「うわぁっ!? 離してくれない……!」
かのん「ちょ、私をころそうとしてるそこのおふたり! 助けてー!!」
「あはは。なんか叫んでる」
かのん「!! 言葉が通じないよぉ!?」
かのん「やだやだやだやだやだやだぁーーー!! 死ぬにしても、飛び降りだけはやだぁぁぁーーー!!」
かのん「私ね、記憶ないけどさ、たぶん高所恐怖症だよ!? さっきからひざガクガクだもん!!」
可可「それでは、いきマスよー!!」
かのん「いやぁ!! 神様ぁ! どうか助けてください……!」
ずりずりと、身体が欄干の外へと引き込まれ……やがて自由落下がはじまりマシタ。
かのん「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!?!?」
可可「心配いりマセン! 下まで落ちれば、いまこの窮地から、脱出できマス!」
かのん「人生からもね! 普通に死んじゃうよぉ!?」
かのん「…………あ、あの……クゥクゥさん? 本気で言ってるの……?」
可可「もちろんデス!」ギュー
かのん「うわぁっ!? 離してくれない……!」
かのん「ちょ、私をころそうとしてるそこのおふたり! 助けてー!!」
「あはは。なんか叫んでる」
かのん「!! 言葉が通じないよぉ!?」
かのん「やだやだやだやだやだやだぁーーー!! 死ぬにしても、飛び降りだけはやだぁぁぁーーー!!」
かのん「私ね、記憶ないけどさ、たぶん高所恐怖症だよ!? さっきからひざガクガクだもん!!」
可可「それでは、いきマスよー!!」
かのん「いやぁ!! 神様ぁ! どうか助けてください……!」
ずりずりと、身体が欄干の外へと引き込まれ……やがて自由落下がはじまりマシタ。
かのん「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!?!?」
643: 名無しで叶える物語 2022/12/29(木) 03:33:51.75 ID:ctpyyijd.net
可可「ひゃっほおおおおおーーー!!!」
かのん「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
かのん「死ぬうううううう!!! 死んじゃううううううううううううううううううううう!!!!!」
かのん「いやだああああああああああああああああああああああああああ────」
かのん「」
かのんが気絶すると、空気のこすれる音だけが残った。
ククとかのんは加速し続け、一直線に、地面へと叩きつけられようとしている。
このままでは、かのんは死んでしまいマス。
……ククは、信じていマスよ。
『まったく……クゥクゥちゃんは無茶するなぁ』
『でも、この行動力が、かのんちゃんを変えたんだよね』
かのん「……………………はっ! え!? まだ落ちてるううううううう!!?」
可可「かのん! 意識戻ったんデスね!!」
かのん「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああ──」
『──よいしょ♪』
落下エネルギーは高次に包まれ、すべて霧散しマシタ。
ククたちは、すべすべの毛に捕まり、地面をすり抜けていきマシタ。
…………千砂都なら必ず、ククたちを拾ってくれると、信じてマシタよ……!
かのん「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
かのん「死ぬうううううう!!! 死んじゃううううううううううううううううううううう!!!!!」
かのん「いやだああああああああああああああああああああああああああ────」
かのん「」
かのんが気絶すると、空気のこすれる音だけが残った。
ククとかのんは加速し続け、一直線に、地面へと叩きつけられようとしている。
このままでは、かのんは死んでしまいマス。
……ククは、信じていマスよ。
『まったく……クゥクゥちゃんは無茶するなぁ』
『でも、この行動力が、かのんちゃんを変えたんだよね』
かのん「……………………はっ! え!? まだ落ちてるううううううう!!?」
可可「かのん! 意識戻ったんデスね!!」
かのん「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああ──」
『──よいしょ♪』
落下エネルギーは高次に包まれ、すべて霧散しマシタ。
ククたちは、すべすべの毛に捕まり、地面をすり抜けていきマシタ。
…………千砂都なら必ず、ククたちを拾ってくれると、信じてマシタよ……!
644: 名無しで叶える物語 2022/12/29(木) 03:34:44.13 ID:ctpyyijd.net
………………………。
………………………。
一筋の風が、髪をなびかせマシタ。
なつかしいにおいが、ククの鼻を撫でマス。
初めて日本に来た時に感じ、ずっと大切にしていた、初めてのにおい──。
可可『…………春のにおいがしマス』
きな子『えっ!』
となりを歩いていたきなきなが、目をまんまるにして驚いていマシタ。
可可『どうかしマシタか、きなきな?』
きな子『あ、いや……ちょっとびっくりしたっす』
きな子『さっき、まったく同じことを、すみれ先輩も言ってたっすから』
可可『!? す、すみれも……デスか……!』
………………………。
一筋の風が、髪をなびかせマシタ。
なつかしいにおいが、ククの鼻を撫でマス。
初めて日本に来た時に感じ、ずっと大切にしていた、初めてのにおい──。
可可『…………春のにおいがしマス』
きな子『えっ!』
となりを歩いていたきなきなが、目をまんまるにして驚いていマシタ。
可可『どうかしマシタか、きなきな?』
きな子『あ、いや……ちょっとびっくりしたっす』
きな子『さっき、まったく同じことを、すみれ先輩も言ってたっすから』
可可『!? す、すみれも……デスか……!』
645: 名無しで叶える物語 2022/12/29(木) 03:35:40.64 ID:ctpyyijd.net
ほおが桜色に染まりマシタ。ククは必死に弁明を試みマス。
可可『ち、違いマスよ? これは、すみれのまねではなく、ククが感じた感覚デスから!』
きな子『……じゃあ、感じ方がおそろいなんすね?』
可可『!?』
もっと恥ずかしい解釈をされ、さらに濃く染まりマス。
なんとか話題を逸らそうと、きなきなに提案してみマシタ。
可可『き、きなきな! 今度ククとおでかけしマショウ!』
きな子『! いくっすいくっす!!』
噴水『ブシャー』
──夢寐にも忘れない思い出。
………………………。
………………………。
可可『ち、違いマスよ? これは、すみれのまねではなく、ククが感じた感覚デスから!』
きな子『……じゃあ、感じ方がおそろいなんすね?』
可可『!?』
もっと恥ずかしい解釈をされ、さらに濃く染まりマス。
なんとか話題を逸らそうと、きなきなに提案してみマシタ。
可可『き、きなきな! 今度ククとおでかけしマショウ!』
きな子『! いくっすいくっす!!』
噴水『ブシャー』
──夢寐にも忘れない思い出。
………………………。
………………………。
646: 名無しで叶える物語 2022/12/29(木) 03:36:47.10 ID:ctpyyijd.net
☆
かのん「…………」
かのん「生きてる?」
可可「はい! なんとか逃げられマシタ!」
かのん「よ、よかったぁ……」
ガサゴソ。
かのん「ひぃ!? な、なにかいる……!」
かのん「真っ暗でなにも見えないよ……クゥクゥちゃあん……!」
可可「ククはここデスよ~」
どうやらククたちは、地面を貫通し、地下まで落ちてきたようデス。
光が途絶えた闇の中。かのんは怯えて、ククの腕にしがみつきマス。
恋「うぅ、穴に飲み込まれたと思ったら真っ暗……ここはどこなのですか……?」
可可「レンレン──!」
かのん「…………」
かのん「生きてる?」
可可「はい! なんとか逃げられマシタ!」
かのん「よ、よかったぁ……」
ガサゴソ。
かのん「ひぃ!? な、なにかいる……!」
かのん「真っ暗でなにも見えないよ……クゥクゥちゃあん……!」
可可「ククはここデスよ~」
どうやらククたちは、地面を貫通し、地下まで落ちてきたようデス。
光が途絶えた闇の中。かのんは怯えて、ククの腕にしがみつきマス。
恋「うぅ、穴に飲み込まれたと思ったら真っ暗……ここはどこなのですか……?」
可可「レンレン──!」
647: 名無しで叶える物語 2022/12/29(木) 03:37:35.03 ID:ctpyyijd.net
恋「クゥクゥさん!? はあ……よかった、無事だったのですね……!」
可可「レンレン~! おけがはないデスか?」
恋「はい、わたくしは大丈夫ですよ」
かのん「……だ、だれ? 何語しゃべってるの……?」
恋「! かのん、さん……!?」
可可「レンレン。かのんは新言語がわからないので、日本語で話してクダサイ」
恋「そうでしたね……こほん」
恋「かのんさん! わたくしです、葉月恋です!」
かのん「……ごめんなさい。私、記憶がなくて……。葉月さんとはどういった関係だったの?」
恋「か、関係……ですか」
恋「んー、わたくしとかのんさんはお友だち……いえ、親友? 流石に僭称かもしれませんね……ここはやはり、仲間と呼ぶのがふさわ──」
千砂都「かのんちゃんっ!!」シュルシュル
かのん「うわあ! また増えたー!?」
恋「ち、千砂都さん!?」
可可「千砂都! 助けていただき、ありがとデス!」
千砂都「もう~! あんまりひやひやさせないでね?」
かのん「人がいっぱい……!」
恋「いったいなにがどうなってるのですか……!?」
可可「各々で察してクダサイ!」
可可「レンレン~! おけがはないデスか?」
恋「はい、わたくしは大丈夫ですよ」
かのん「……だ、だれ? 何語しゃべってるの……?」
恋「! かのん、さん……!?」
可可「レンレン。かのんは新言語がわからないので、日本語で話してクダサイ」
恋「そうでしたね……こほん」
恋「かのんさん! わたくしです、葉月恋です!」
かのん「……ごめんなさい。私、記憶がなくて……。葉月さんとはどういった関係だったの?」
恋「か、関係……ですか」
恋「んー、わたくしとかのんさんはお友だち……いえ、親友? 流石に僭称かもしれませんね……ここはやはり、仲間と呼ぶのがふさわ──」
千砂都「かのんちゃんっ!!」シュルシュル
かのん「うわあ! また増えたー!?」
恋「ち、千砂都さん!?」
可可「千砂都! 助けていただき、ありがとデス!」
千砂都「もう~! あんまりひやひやさせないでね?」
かのん「人がいっぱい……!」
恋「いったいなにがどうなってるのですか……!?」
可可「各々で察してクダサイ!」
648: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:38:33.96 ID:ctpyyijd.net
☆
かのん「……あなたが、お友だちの恋ちゃん」
恋「はい」
かのん「で、あなたが……幼馴染の、千砂都ちゃん?」
千砂都「違うよ、ちぃちゃん!」
かのん「え……ご、ごめん! ちぃちゃん…………」
千砂都「うん。……うんっ!!」
かのん「私たちは、Liella!っていうアイドルグループの、仲間だったんだね……?」
可可「はいデス!」
恋「正確には、スクールアイドルです」
かのん「スクールアイドル……」
千砂都「……だめそう?」
かのん「うん……。全然思い出せない、ごめん……」
千砂都「いいのいいの! 記憶がなくても、かのんちゃんはかのんちゃんだもん!」
かのん「……ありがとう。そう言ってもらえて、ちょっと楽になれたかも」
かのん「……あなたが、お友だちの恋ちゃん」
恋「はい」
かのん「で、あなたが……幼馴染の、千砂都ちゃん?」
千砂都「違うよ、ちぃちゃん!」
かのん「え……ご、ごめん! ちぃちゃん…………」
千砂都「うん。……うんっ!!」
かのん「私たちは、Liella!っていうアイドルグループの、仲間だったんだね……?」
可可「はいデス!」
恋「正確には、スクールアイドルです」
かのん「スクールアイドル……」
千砂都「……だめそう?」
かのん「うん……。全然思い出せない、ごめん……」
千砂都「いいのいいの! 記憶がなくても、かのんちゃんはかのんちゃんだもん!」
かのん「……ありがとう。そう言ってもらえて、ちょっと楽になれたかも」
649: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:39:08.09 ID:ctpyyijd.net
かのん「それで……ここどこ?」
千砂都「地下にある、この星の核部分だよ」
恋「なぜそのような場所に……」
千砂都「クゥクゥちゃんの意思が、ここに来たいって言ってたの」
可可「…………」
遠くのほうで、光がいざなっていマス。
可可「あちらに光が見えマス! 行ってみマショウ」
恋「クゥクゥさん、目が見えるんですか……?」
可可「太陽などの強い光であればわかりマスよ」
恋「……? あの、クゥクゥさん……」
可可「どうかしマシタか?」
恋「……光なんて、どこにもありませんよ」
可可「あぇ……。あそこに見えマセンか? 確かな輝きが!」
かのん「ううん、なにも……。クゥクゥちゃんには、なにが見えてるの……?」
どうなってるのデショウか? あれだけ煌々としているのに、見えない……?
目が見える人には見えなくて、目が見えない私には見える……なんだかなぞなぞみたいデス。
千砂都「地下にある、この星の核部分だよ」
恋「なぜそのような場所に……」
千砂都「クゥクゥちゃんの意思が、ここに来たいって言ってたの」
可可「…………」
遠くのほうで、光がいざなっていマス。
可可「あちらに光が見えマス! 行ってみマショウ」
恋「クゥクゥさん、目が見えるんですか……?」
可可「太陽などの強い光であればわかりマスよ」
恋「……? あの、クゥクゥさん……」
可可「どうかしマシタか?」
恋「……光なんて、どこにもありませんよ」
可可「あぇ……。あそこに見えマセンか? 確かな輝きが!」
かのん「ううん、なにも……。クゥクゥちゃんには、なにが見えてるの……?」
どうなってるのデショウか? あれだけ煌々としているのに、見えない……?
目が見える人には見えなくて、目が見えない私には見える……なんだかなぞなぞみたいデス。
650: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:39:54.47 ID:ctpyyijd.net
可可「…………ほんとに、見えないのデスか?」
かのん「うん」
恋「これだけ暗いのですから、多少の光があれば敏感に気づくはずです」
可可「……………………」
トクン。心臓が強く鳴りマス。
暗澹に沈むククを、照らしてくれた光──。
迷うククを、導いてくれた一番の親友──。
…………グソクムシ、なのデスか……?
…………。
いえ、違いマス。これは……。
根拠もなにもありマセンが、とある直感が心を掻き立てマシタ。
可可「…………………………………………」
可可「…………………………………………」
可可「すみれ?」
かのん「うん」
恋「これだけ暗いのですから、多少の光があれば敏感に気づくはずです」
可可「……………………」
トクン。心臓が強く鳴りマス。
暗澹に沈むククを、照らしてくれた光──。
迷うククを、導いてくれた一番の親友──。
…………グソクムシ、なのデスか……?
…………。
いえ、違いマス。これは……。
根拠もなにもありマセンが、とある直感が心を掻き立てマシタ。
可可「…………………………………………」
可可「…………………………………………」
可可「すみれ?」
651: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:40:53.46 ID:ctpyyijd.net
一歩、また一歩。
近づくにつれ、その光は大きくなり、強い輝きを放ちマシタ。
そして、手に触れられる距離まで来マシタ。
震える手で、彼女のほおを撫でマス。
「クゥクゥ……」
声はすみれのものデシタ。容姿も、体格も、すべてがすみれデス。でかいの果実も立派に実ってマシタ。
デスが、指に伝わるプラスチックの質感が、現実を突きつけマス。
これはアンドロイド。すみれではありマセン。
「ごめんなさい……」
「私、死んじゃって……。こんな身体になっちゃったわ」
可可「…………」
近づくにつれ、その光は大きくなり、強い輝きを放ちマシタ。
そして、手に触れられる距離まで来マシタ。
震える手で、彼女のほおを撫でマス。
「クゥクゥ……」
声はすみれのものデシタ。容姿も、体格も、すべてがすみれデス。でかいの果実も立派に実ってマシタ。
デスが、指に伝わるプラスチックの質感が、現実を突きつけマス。
これはアンドロイド。すみれではありマセン。
「ごめんなさい……」
「私、死んじゃって……。こんな身体になっちゃったわ」
可可「…………」
652: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:41:48.74 ID:ctpyyijd.net
「みじめったらみじめよね、私……。こんな姿になってまで……」
「それでも……クゥクゥに、会いたくて…………」
「一度だけでいいから……あんたのかわいい声が聞きたくて…………」
「クゥクゥに謝りたくて…………それで……」
可可「…………」
「……ごめん、こんな再会でがっかりさせちゃったわね…………。もう消えるわ」
「クゥクゥ……元気で──」
ギュー!
「!!」
可可「どこにも、行かせないデス」ギュー
「クゥクゥ…………」
これは、オッカムの剃刀というやつデス。
いろいろ質問していけば、本物のすみれかどうか、判別できるデショウ。
……でも、そんなもの必要ありマセン。
いま感じた、ククの心が、答えデス。
「それでも……クゥクゥに、会いたくて…………」
「一度だけでいいから……あんたのかわいい声が聞きたくて…………」
「クゥクゥに謝りたくて…………それで……」
可可「…………」
「……ごめん、こんな再会でがっかりさせちゃったわね…………。もう消えるわ」
「クゥクゥ……元気で──」
ギュー!
「!!」
可可「どこにも、行かせないデス」ギュー
「クゥクゥ…………」
これは、オッカムの剃刀というやつデス。
いろいろ質問していけば、本物のすみれかどうか、判別できるデショウ。
……でも、そんなもの必要ありマセン。
いま感じた、ククの心が、答えデス。
653: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:43:05.33 ID:ctpyyijd.net
可可「ああ……あ……」
可可「っ…………すび……え…………」
可可「あああ……ああ…………ああ……!」
可可「すみぃ……ぐすっ……うみえ…………!」
可可「あああああ……ああ、ああああ…………!」
可可「うっ……ああああ……すぅ…………あああ……」
可可「うに! あああああ……!」
抱きしめた、その固くて冷たい無機質な身体。
ククはその身体から、やわらかいぬくもりを感じマシタ。
言葉にならない想いが、抱擁をさらに強くさせマス。
この日のために、備えておいた"会話しゅみれーしょん"。
でも、言葉はなにも出てきませんデシタ。
可可「あああ…………ああ……ああああああああ……!!」
可可「すみれぇ……! すみれ、すみれ、すみれぇぇ…………!!」
すみれ「…………クゥクゥ」
可可「ごべんなざい……! クク……クク……!」
可可「ずっとぉ…………ああ……うぐっ……すなおじゃあ…………なくて……」
可可「すびれ……にぃ…………ぐすっ、ああああ……すみれにぃ……ひどいこと、言って……」
可可「あやまりぃ……たかった……! けど…………すみれ……あああ……会えないから、あやまれ……なくてぇ…………」
可可「ごめんなざい……! すびえぇ……!! ググ、すびれをぉ…………だぐさんきずつけて……!」
可可「ごべんなあい……!! ごえ……あああ! ああああ……ああああああ……! ごべんなざいぃ…………!!」
可可「っ…………すび……え…………」
可可「あああ……ああ…………ああ……!」
可可「すみぃ……ぐすっ……うみえ…………!」
可可「あああああ……ああ、ああああ…………!」
可可「うっ……ああああ……すぅ…………あああ……」
可可「うに! あああああ……!」
抱きしめた、その固くて冷たい無機質な身体。
ククはその身体から、やわらかいぬくもりを感じマシタ。
言葉にならない想いが、抱擁をさらに強くさせマス。
この日のために、備えておいた"会話しゅみれーしょん"。
でも、言葉はなにも出てきませんデシタ。
可可「あああ…………ああ……ああああああああ……!!」
可可「すみれぇ……! すみれ、すみれ、すみれぇぇ…………!!」
すみれ「…………クゥクゥ」
可可「ごべんなざい……! クク……クク……!」
可可「ずっとぉ…………ああ……うぐっ……すなおじゃあ…………なくて……」
可可「すびれ……にぃ…………ぐすっ、ああああ……すみれにぃ……ひどいこと、言って……」
可可「あやまりぃ……たかった……! けど…………すみれ……あああ……会えないから、あやまれ……なくてぇ…………」
可可「ごめんなざい……! すびえぇ……!! ググ、すびれをぉ…………だぐさんきずつけて……!」
可可「ごべんなあい……!! ごえ……あああ! ああああ……ああああああ……! ごべんなざいぃ…………!!」
654: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:44:03.18 ID:ctpyyijd.net
可可「すみえ……すみれぇ…………」
すみれ「もう…………泣き虫なんだから」
すみれの腕が、ククを包みマシタ。
すみれ「……私こそ、ごめんなさい…………」
すみれ「約束……守れなくて……」
可可「うっ……ぐすっ…………やくそく……?」
『私が絶対に、まもるから……!』
可可「ああ……あの時の……」
すみれ「クゥクゥ…………」
すみれ「もう絶対、放さないから……!」
すみれ「二度と離ればなれになんて、ならないから……!!」
可可「…………はい! ククも絶対、離れマセン!」
すみれ「私は、機械になっちゃったけど……」
すみれ「……クゥクゥ! これからもずっと、私のとなりにいなさいったらいなさいよ……!!」
可可「…………はいデス!」
ああ……やっぱり、グソクムシはすみれデス……!
いつも、ククの心の闇を照らしてくれていた……。
──ククの最光星!
すみれ「もう…………泣き虫なんだから」
すみれの腕が、ククを包みマシタ。
すみれ「……私こそ、ごめんなさい…………」
すみれ「約束……守れなくて……」
可可「うっ……ぐすっ…………やくそく……?」
『私が絶対に、まもるから……!』
可可「ああ……あの時の……」
すみれ「クゥクゥ…………」
すみれ「もう絶対、放さないから……!」
すみれ「二度と離ればなれになんて、ならないから……!!」
可可「…………はい! ククも絶対、離れマセン!」
すみれ「私は、機械になっちゃったけど……」
すみれ「……クゥクゥ! これからもずっと、私のとなりにいなさいったらいなさいよ……!!」
可可「…………はいデス!」
ああ……やっぱり、グソクムシはすみれデス……!
いつも、ククの心の闇を照らしてくれていた……。
──ククの最光星!
655: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:44:50.03 ID:ctpyyijd.net
☆
ククはひとしきり泣くと、気持ちを切り替え立ち上がりマス!
可可「すみれ! いつまで泣いてるデスか? すみれは泣き虫さんデスねぇ~」
すみれ「!? あんたのほうが泣いてたでしょ! ……というか、私はアンドロイドだから涙出てないわよ!」
可可「あぇ、そうなのデスか? ククの肩にあたたかいしみができてマスが」
すみれ「……きっと気のせいよ」
恋「ううううう……感動しましたぁ……!」
かのん「……あの人も、Liella!の仲間?」
千砂都「うん! Liella!のグラビア担当、平安名すみれちゃん!」
かのん「グラビア……」
すみれ「ギャラ!? 嘘を教えるんじゃないわよ!」
恋「すみれさん……なのですね?」
可可「はい、正真正銘すみれデス! ククが保証しマァス!」
すみれ「……久しぶり。なんか、変な感じね……」
ククはひとしきり泣くと、気持ちを切り替え立ち上がりマス!
可可「すみれ! いつまで泣いてるデスか? すみれは泣き虫さんデスねぇ~」
すみれ「!? あんたのほうが泣いてたでしょ! ……というか、私はアンドロイドだから涙出てないわよ!」
可可「あぇ、そうなのデスか? ククの肩にあたたかいしみができてマスが」
すみれ「……きっと気のせいよ」
恋「ううううう……感動しましたぁ……!」
かのん「……あの人も、Liella!の仲間?」
千砂都「うん! Liella!のグラビア担当、平安名すみれちゃん!」
かのん「グラビア……」
すみれ「ギャラ!? 嘘を教えるんじゃないわよ!」
恋「すみれさん……なのですね?」
可可「はい、正真正銘すみれデス! ククが保証しマァス!」
すみれ「……久しぶり。なんか、変な感じね……」
656: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:45:42.32 ID:ctpyyijd.net
恋「すみれさんは、どうしてこんな地下に?」
すみれ「あー、それはね」
すみれ「私が憑依してるこのプロトタイプの仕事が、ここを守ることだからよ」
千砂都「"循環器"、だよね」
すみれ「ええ。この人工的に作られた星を維持するための、心臓部よ」
すみれ「……でも、かなりガタがきてるみたい。そう長くは保たないでしょうね」
可可「! それはつまり……」
すみれ「この人工惑星の寿命は、よくて10年ってとこかしら」
恋「!? そ、そんな……」
かのん「この星で、生きられなくなっちゃうってこと……!?」
千砂都「私が何度も見てきたから、間違いないよ」
千砂都が言うならそうなのだと思わさせる、謎の説得力がありマシタ。
それからククたちは、千砂都の力を使って、再び地上へと上昇しマス。
すみれ「あー、それはね」
すみれ「私が憑依してるこのプロトタイプの仕事が、ここを守ることだからよ」
千砂都「"循環器"、だよね」
すみれ「ええ。この人工的に作られた星を維持するための、心臓部よ」
すみれ「……でも、かなりガタがきてるみたい。そう長くは保たないでしょうね」
可可「! それはつまり……」
すみれ「この人工惑星の寿命は、よくて10年ってとこかしら」
恋「!? そ、そんな……」
かのん「この星で、生きられなくなっちゃうってこと……!?」
千砂都「私が何度も見てきたから、間違いないよ」
千砂都が言うならそうなのだと思わさせる、謎の説得力がありマシタ。
それからククたちは、千砂都の力を使って、再び地上へと上昇しマス。
657: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:46:45.21 ID:ctpyyijd.net
☆
地上に戻ったククたちを待ち受けていたのは、阿鼻叫喚の地獄絵図デシタ。
かのん「な、なにこれ……」
すみれ「戦争でもやってるの!?」
「うっ……」
可可「! うるうるさん!?」
「ああ、どうしてかしら……。こんなはずじゃ、なかったのに……」
恋「……いったい、なにがあったのですか?」
「かのんさんが、飛び降りて……神殺しは、成功……。それですべて、終わるはずだったのに……」
「革命は、標的を失ったまま、いまだ続いているわ……」
「私も……同士の暴走を、止められなかった……。リーダー失格ね…………」
可可「うるうるさん……」
地上に戻ったククたちを待ち受けていたのは、阿鼻叫喚の地獄絵図デシタ。
かのん「な、なにこれ……」
すみれ「戦争でもやってるの!?」
「うっ……」
可可「! うるうるさん!?」
「ああ、どうしてかしら……。こんなはずじゃ、なかったのに……」
恋「……いったい、なにがあったのですか?」
「かのんさんが、飛び降りて……神殺しは、成功……。それですべて、終わるはずだったのに……」
「革命は、標的を失ったまま、いまだ続いているわ……」
「私も……同士の暴走を、止められなかった……。リーダー失格ね…………」
可可「うるうるさん……」
658: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:47:30.69 ID:ctpyyijd.net
かのん「ど、どうすればいいの!」
かのん「このままじゃ、みんな死んじゃうよ……!」
千砂都「惑星の寿命より先に、住民が全滅なんて笑えないね……」
恋「惑星脱出はいくらでも叶いますが、いまのままでは……」
すみれ「大ピンチったら大ピンチじゃない!?」
可可「…………」
可可「みんな、気づいてマシタか?」
すみれ「……?」
可可「……いま、ここに……5人のLiella!がそろってるんデスよ」
恋「ほ、本当です……! 事態が二転三転して、それどころではありませんでした……」
千砂都「Liella!はそろったけど……どうするの?」
可可「……そんなの、決まってマス!」
可可「──歌いマショウ、この5人で!」
かのん「このままじゃ、みんな死んじゃうよ……!」
千砂都「惑星の寿命より先に、住民が全滅なんて笑えないね……」
恋「惑星脱出はいくらでも叶いますが、いまのままでは……」
すみれ「大ピンチったら大ピンチじゃない!?」
可可「…………」
可可「みんな、気づいてマシタか?」
すみれ「……?」
可可「……いま、ここに……5人のLiella!がそろってるんデスよ」
恋「ほ、本当です……! 事態が二転三転して、それどころではありませんでした……」
千砂都「Liella!はそろったけど……どうするの?」
可可「……そんなの、決まってマス!」
可可「──歌いマショウ、この5人で!」
659: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:48:09.28 ID:ctpyyijd.net
☆
カンカンカンカンカンカンカンカンカンカン。
5人でいっせいに、階段を駆け上がりマス!
恋「はあ……はあ……なぜ、エレベーター……また止まって……はあ……」
千砂都「かのんちゃんが引きこもってた部屋から、惑星国家全域に、歌を届けるんだね?」
可可「はいデス! 洗脳ソングのために、各地にスピーカーが設置してありマスから! 放送室を使えば効果的に歌を響かせることが可能デス!」
すみれ「それはわかるんだけど……なんで歌なの?」
可可「なにを言ってるデスか! 歌の力は絶大デス!」
可可「ククはいつも、歌によって救われてきマシタ! ミナサンだって、心に残る歌のひとつやふたつ、あるはず!」
可可「音楽を聴けば、きっとこの不毛な争いは終わるはず!」
すみれ「確証はないわけね? ……でも、いいじゃないの、この展開!」
千砂都「歌でみんなを救うんだね!」
かのん「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ…………」
恋「か、かのんさん……がんばってください……はあ、はあ……」
かのん「はあ、はあ…………ありがとう……うっ、死ぬ…………」
カンカンカンカンカンカンカンカンカンカン。
5人でいっせいに、階段を駆け上がりマス!
恋「はあ……はあ……なぜ、エレベーター……また止まって……はあ……」
千砂都「かのんちゃんが引きこもってた部屋から、惑星国家全域に、歌を届けるんだね?」
可可「はいデス! 洗脳ソングのために、各地にスピーカーが設置してありマスから! 放送室を使えば効果的に歌を響かせることが可能デス!」
すみれ「それはわかるんだけど……なんで歌なの?」
可可「なにを言ってるデスか! 歌の力は絶大デス!」
可可「ククはいつも、歌によって救われてきマシタ! ミナサンだって、心に残る歌のひとつやふたつ、あるはず!」
可可「音楽を聴けば、きっとこの不毛な争いは終わるはず!」
すみれ「確証はないわけね? ……でも、いいじゃないの、この展開!」
千砂都「歌でみんなを救うんだね!」
かのん「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ…………」
恋「か、かのんさん……がんばってください……はあ、はあ……」
かのん「はあ、はあ…………ありがとう……うっ、死ぬ…………」
660: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:49:03.86 ID:ctpyyijd.net
千砂都「……そういえば、クゥクゥちゃん! 頭……!」
可可「? ククの頭が、どうかしま──」
手に触れたこの感触……!
薄くて平べったい、いくつかの"カンゲキ"を持った円盤がありマス。
なつかしき〈環〉が、くるくると回っていマス……!
可可「あ……あああああ…………!」
可可「見て! ククの頭! 環、環!」
可可「すみれぇ!」
すみれ「はいはい、見てるわよ」
可可「……かわいいデスか?」
すみれ「ええ、かわいいわ」
可可「っ~~~!!」
可可「らん♪ らん♪ らん~♪ 環が、我が頭に~♪」
千砂都「クゥクゥちゃん、うれしそう!」
すみれ「ほんと、子どもねぇ?」
可可「いいんデス! すみれがかわいいと言ってくれマシタから!」
すみれ「っ……!!」
千砂都「……すみれちゃん、照れてる?」
すみれ「!? あ、アンドロイドに感情なんてないったらないから!」
可可「? ククの頭が、どうかしま──」
手に触れたこの感触……!
薄くて平べったい、いくつかの"カンゲキ"を持った円盤がありマス。
なつかしき〈環〉が、くるくると回っていマス……!
可可「あ……あああああ…………!」
可可「見て! ククの頭! 環、環!」
可可「すみれぇ!」
すみれ「はいはい、見てるわよ」
可可「……かわいいデスか?」
すみれ「ええ、かわいいわ」
可可「っ~~~!!」
可可「らん♪ らん♪ らん~♪ 環が、我が頭に~♪」
千砂都「クゥクゥちゃん、うれしそう!」
すみれ「ほんと、子どもねぇ?」
可可「いいんデス! すみれがかわいいと言ってくれマシタから!」
すみれ「っ……!!」
千砂都「……すみれちゃん、照れてる?」
すみれ「!? あ、アンドロイドに感情なんてないったらないから!」
661: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 03:50:03.47 ID:ctpyyijd.net
かのん「ぜえ……ぜえ…………待ってよぉ……」
千砂都「かのんちゃん! 運動不足解消のチャンスだよ! さあ、頂上まであと半分!」
恋「かのんさん……ふぁいとぉ……です……」
すみれ「まったく、だらしないわねー」
すみれ「……まあ、私は機械だし、千砂都はなんか超常的ななにかだから、疲れなくて当然なんだけど……」
可可「らんららんららーん♪」
すみれ「クゥクゥのスタミナ、どうなってるのよ……!?」
恋「14年のサバイバルの……たまものですね……」
可可「ふふん! もう"ドリブルのクク"とは言わせマセンよ!」
可可「これからは、"スタミナのクク"デェス!」
すみれ「ほんとにそのあだ名でいいの……?」
かのん「はあ……はあ…………もう限界……」
かのん「脚が──」フラッ
千砂都「かのんちゃん!」
かのん「……ちぃちゃん」
千砂都「わ、私が支えるから……。だから、がんばって!」
かのん「…………」
かのん「うん……!」
千砂都「かのんちゃん! 運動不足解消のチャンスだよ! さあ、頂上まであと半分!」
恋「かのんさん……ふぁいとぉ……です……」
すみれ「まったく、だらしないわねー」
すみれ「……まあ、私は機械だし、千砂都はなんか超常的ななにかだから、疲れなくて当然なんだけど……」
可可「らんららんららーん♪」
すみれ「クゥクゥのスタミナ、どうなってるのよ……!?」
恋「14年のサバイバルの……たまものですね……」
可可「ふふん! もう"ドリブルのクク"とは言わせマセンよ!」
可可「これからは、"スタミナのクク"デェス!」
すみれ「ほんとにそのあだ名でいいの……?」
かのん「はあ……はあ…………もう限界……」
かのん「脚が──」フラッ
千砂都「かのんちゃん!」
かのん「……ちぃちゃん」
千砂都「わ、私が支えるから……。だから、がんばって!」
かのん「…………」
かのん「うん……!」
662: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 04:11:01.81 ID:ctpyyijd.net
☆
倒れ込むかのんとレンレンをよそ目に、歌配信の準備を整えマス。
すみれ「……たぶんこれでよさそうね」
千砂都「さ、みんなー! 準備できたよー!」
恋「はあ……はあ……かのんさん、行きましょう」
かのん「…………」
恋「かのんさん……?」
可可「どうかしマシタか?」
かのん「……ご、ごめんね……私……」
かのん「下で起きてる、戦争を止めなきゃなのに……歌える自信がなくて……」
千砂都「かのんちゃん……」
すみれ「あんた、ずっと洗脳ソング歌ってたんでしょ? だったら喉も衰えてないはずよ」
かのん「違うの……!」
かのん「私……みんなのこと、やっぱり覚えてなくて……。そんな私が、Liella!を名乗って、いっしょに歌っていいのかなって……」
可可「…………」
倒れ込むかのんとレンレンをよそ目に、歌配信の準備を整えマス。
すみれ「……たぶんこれでよさそうね」
千砂都「さ、みんなー! 準備できたよー!」
恋「はあ……はあ……かのんさん、行きましょう」
かのん「…………」
恋「かのんさん……?」
可可「どうかしマシタか?」
かのん「……ご、ごめんね……私……」
かのん「下で起きてる、戦争を止めなきゃなのに……歌える自信がなくて……」
千砂都「かのんちゃん……」
すみれ「あんた、ずっと洗脳ソング歌ってたんでしょ? だったら喉も衰えてないはずよ」
かのん「違うの……!」
かのん「私……みんなのこと、やっぱり覚えてなくて……。そんな私が、Liella!を名乗って、いっしょに歌っていいのかなって……」
可可「…………」
663: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 04:12:13.84 ID:ctpyyijd.net
可可「ククは、かのんが好きデス!」
かのん「!!」
可可「かのんといっしょに歌いたいデス!」
可可「もうこの際、Liella!とかスクールアイドルとか、忘れてしまいマショウ!」
可可「ひとりの人間、澁谷かのんとして……歌ってくれマセンか?」
かのん「クゥクゥちゃん……」
可可「響かせマショウ! この惑星中に、かのんのスバラシイ歌声を!」
かのん「…………」
かのん「ちぃちゃん」
かのん「すみれちゃん」
かのん「恋ちゃん」
かのん「……そして、クゥクゥちゃん」
かのん「みんなが並んでる、この景色……」
かのん「覚えてないのに……なんだか、よく知ってるような気がする」
かのん「私は……たぶん、いつも、この輪の中にいたんだろうなぁ……」
かのん「毎日、楽しかったのかな……? きっとそうなんだろうなぁ~……」
かのん「うらやましいなぁ……記憶があったころの私」
かのん「!!」
可可「かのんといっしょに歌いたいデス!」
可可「もうこの際、Liella!とかスクールアイドルとか、忘れてしまいマショウ!」
可可「ひとりの人間、澁谷かのんとして……歌ってくれマセンか?」
かのん「クゥクゥちゃん……」
可可「響かせマショウ! この惑星中に、かのんのスバラシイ歌声を!」
かのん「…………」
かのん「ちぃちゃん」
かのん「すみれちゃん」
かのん「恋ちゃん」
かのん「……そして、クゥクゥちゃん」
かのん「みんなが並んでる、この景色……」
かのん「覚えてないのに……なんだか、よく知ってるような気がする」
かのん「私は……たぶん、いつも、この輪の中にいたんだろうなぁ……」
かのん「毎日、楽しかったのかな……? きっとそうなんだろうなぁ~……」
かのん「うらやましいなぁ……記憶があったころの私」
664: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 04:12:54.31 ID:ctpyyijd.net
かのん「…………私はずっとここで、ひとりで歌ってきた……。自分のために……」
かのん「でも、いま! 私のためだけじゃなくて……みんなのために歌いたいって思えた!」
かのん「みんなと、いっしょに!」
可可「かのん……!」
かのん「かつての私がいた場所に、いまの欠けてる私が入るのは、すごく勇気がいるし……本当は怖いけど……」
かのん「でも、なんでだろう……。みんなといると、安心する……」
千砂都「かのんちゃん!」
すみれ「かのん!」
恋「かのんさん!」
かのん「……そっか。私はもう、ひとりじゃないんだ……!」
かのん「──歌える、みんながいるから!」
かのん「でも、いま! 私のためだけじゃなくて……みんなのために歌いたいって思えた!」
かのん「みんなと、いっしょに!」
可可「かのん……!」
かのん「かつての私がいた場所に、いまの欠けてる私が入るのは、すごく勇気がいるし……本当は怖いけど……」
かのん「でも、なんでだろう……。みんなといると、安心する……」
千砂都「かのんちゃん!」
すみれ「かのん!」
恋「かのんさん!」
かのん「……そっか。私はもう、ひとりじゃないんだ……!」
かのん「──歌える、みんながいるから!」
665: 名無しで叶える物語(たこやき) 2022/12/29(木) 04:14:08.77 ID:ctpyyijd.net
千砂都「それじゃ、久しぶりにいつものやつ……やってみよう!」
恋「き、緊張しますね……」
すみれ「ほーら、手出して」
可可「…………本当に、5人そろったんデスね」
すみれ「なにたそがれてるのよ。ここからが本番でしょ♪」
可可「……はい!」
さあ、変えてやりマショウ!
かのん「…………それじゃ、いくよ!」
歌の力を信じて──!
かのん「Song for me! Song for you!」
5人「Song for All!!!!!」
第8章 冥王星的迷走 終
恋「き、緊張しますね……」
すみれ「ほーら、手出して」
可可「…………本当に、5人そろったんデスね」
すみれ「なにたそがれてるのよ。ここからが本番でしょ♪」
可可「……はい!」
さあ、変えてやりマショウ!
かのん「…………それじゃ、いくよ!」
歌の力を信じて──!
かのん「Song for me! Song for you!」
5人「Song for All!!!!!」
第8章 冥王星的迷走 終
670: 名無しで叶える物語 2022/12/30(金) 04:12:42.89 ID:hRUD7Kac.net
Interlude
「え、クゥクゥちゃんが宇宙熱に……!?」
「ご加減はどうなのでしょう……心配です……」
「……それもだけど、他にも、ちょっと気になることがあるのよね」
「……私、医務室まで見に行ってみるわ」
その後、すみれちゃんは帰ってきませんでした。
「宇宙熱がどういうものなのかすら、わたくしたちは知らされていません……。ああ、クゥクゥさん……」
心配そうにうつむく恋ちゃん。
手を握って励まそうとしてみます。
「……恋ちゃん! クゥクゥちゃんが回復した時、私たちが暗かったら、クゥクゥちゃんも落ち込んじゃうと思うよ」
「だからさ、私たちは信じて待とう?」
「かのんさん……。そうですね、はい!」
私はペンを手に取って、左手の甲に5文字のメモを書きました。
……クゥクゥちゃんの熱が治ったら、惑星国家でこの料理を作って、快気祝いしてあげよう!
だから……早く元気になってね、クゥクゥちゃん。
「え、クゥクゥちゃんが宇宙熱に……!?」
「ご加減はどうなのでしょう……心配です……」
「……それもだけど、他にも、ちょっと気になることがあるのよね」
「……私、医務室まで見に行ってみるわ」
その後、すみれちゃんは帰ってきませんでした。
「宇宙熱がどういうものなのかすら、わたくしたちは知らされていません……。ああ、クゥクゥさん……」
心配そうにうつむく恋ちゃん。
手を握って励まそうとしてみます。
「……恋ちゃん! クゥクゥちゃんが回復した時、私たちが暗かったら、クゥクゥちゃんも落ち込んじゃうと思うよ」
「だからさ、私たちは信じて待とう?」
「かのんさん……。そうですね、はい!」
私はペンを手に取って、左手の甲に5文字のメモを書きました。
……クゥクゥちゃんの熱が治ったら、惑星国家でこの料理を作って、快気祝いしてあげよう!
だから……早く元気になってね、クゥクゥちゃん。
671: 名無しで叶える物語 2022/12/30(金) 04:14:13.37 ID:hRUD7Kac.net
…………。
ここは、どこだろう……?
真っ白な部屋に、私ひとり。
…………あれ?
私……だれだろう?
自分のことすらわからない。
この部屋みたいに、なにもかも真っ白だった。
「……ん?」
左手の甲に、黒のインクで文字が書いてある。
『ナポリタン』
ナポリタン……? なんだこれ?
私が書いた文字……だよね。どういう意味だろう……?
……わからないけど、なんとなくわかることがある。
この5文字は私にとって……。
とても特別なものだと、直感していた。
ここは、どこだろう……?
真っ白な部屋に、私ひとり。
…………あれ?
私……だれだろう?
自分のことすらわからない。
この部屋みたいに、なにもかも真っ白だった。
「……ん?」
左手の甲に、黒のインクで文字が書いてある。
『ナポリタン』
ナポリタン……? なんだこれ?
私が書いた文字……だよね。どういう意味だろう……?
……わからないけど、なんとなくわかることがある。
この5文字は私にとって……。
とても特別なものだと、直感していた。
672: 名無しで叶える物語 2022/12/30(金) 04:15:53.87 ID:hRUD7Kac.net
第9章 土星的ド正論
新しい私──♪
今始まるよsymphony──♪
…………。
歌い終わると、世界は静寂に包まれマス。
確かな手応えを感じながら、ククたちは部屋を出マシタ。
私たちの歌で、暴動が沈静化してくれていたら、いいのデスが……。
階段を駆け降りると、広場全体も時が止まったように静まり返っていマシタ。
可可「やりマシタ! これでようやく、革命は終了デス!」
千砂都「うん……。終わるには、終わったけど……」
すみれ「……なんか、様子がおかしくない?」
可可「……?」
新しい私──♪
今始まるよsymphony──♪
…………。
歌い終わると、世界は静寂に包まれマス。
確かな手応えを感じながら、ククたちは部屋を出マシタ。
私たちの歌で、暴動が沈静化してくれていたら、いいのデスが……。
階段を駆け降りると、広場全体も時が止まったように静まり返っていマシタ。
可可「やりマシタ! これでようやく、革命は終了デス!」
千砂都「うん……。終わるには、終わったけど……」
すみれ「……なんか、様子がおかしくない?」
可可「……?」
673: 名無しで叶える物語 2022/12/30(金) 04:17:14.42 ID:hRUD7Kac.net
つい先ほどまで戦場だった広場には、たくさんの人がうなだれていマシタ。
人々から漏れ出す絶望感が、周囲に満ちていマス。
変異体による革命は鎮まりマシタが、それだけでは、なにも解決していなかったのデス。
恋「変異体は、革命という最大目標を、不完全燃焼のうちに失いました」
恋「そして惑星国家の国民は、歌による洗脳から解かれたようです」
かのん「洗脳から解けたのに、みんな、この世の終わりみたいな顔してる……」
可可「……自分たちの信じてきた世界が、中身のない空っぽなものだと気づいたんデスね」
神はいない。自分たちを支配する支配者も本当はいなかった。
残されたのは、いない神にすがるだけの、盲目な信者だけデス。
可可「ククたちが、歌ったから……夢から覚めてしまったのデスか……」
すみれ「このまま放っておくのは後味悪いわね。さて、どうする?」
かのん「…………」
かのん「もう一度、歌おう……!」
人々から漏れ出す絶望感が、周囲に満ちていマス。
変異体による革命は鎮まりマシタが、それだけでは、なにも解決していなかったのデス。
恋「変異体は、革命という最大目標を、不完全燃焼のうちに失いました」
恋「そして惑星国家の国民は、歌による洗脳から解かれたようです」
かのん「洗脳から解けたのに、みんな、この世の終わりみたいな顔してる……」
可可「……自分たちの信じてきた世界が、中身のない空っぽなものだと気づいたんデスね」
神はいない。自分たちを支配する支配者も本当はいなかった。
残されたのは、いない神にすがるだけの、盲目な信者だけデス。
可可「ククたちが、歌ったから……夢から覚めてしまったのデスか……」
すみれ「このまま放っておくのは後味悪いわね。さて、どうする?」
かのん「…………」
かのん「もう一度、歌おう……!」
674: 名無しで叶える物語 2022/12/30(金) 04:18:29.69 ID:hRUD7Kac.net
かのん「歌で支配から解かれたなら……今度は、歌で背中を押してあげたい!」
かのん「それでもだめなら、もう一度歌って……まただめなら、さらにもう一度!」
かのん「何回でも、届けよう……! 私たちの歌を!」
可可「はい! 歌の力は無限大デスから、きっとミナサンを変えられマス!」
恋「しかし、わたくしたち5人では、限界が……」
千砂都「……じゃあ、歌う人数増やす?」
かのん「え、増やすって……」
可可「! 9人で歌うのデスね!!」
可可「"9"は絶対数デスから、いま以上のパワーを叩き出せるはずデス!」
かのん「9人……」
すみれ「いやいや、"あの子たち"はいま地球にいるんでしょ? どうやって連れてくるつもりよ」
可可「すみれは愚かデスね~。たとえこの場にいなくても、いつでもどこでも、つながることは可能なのデスよ」
──くるくるくる
かのん「わっ、回ってる!」
可可「……見ててクダサイ! ククの"能力"を!」
かのん「それでもだめなら、もう一度歌って……まただめなら、さらにもう一度!」
かのん「何回でも、届けよう……! 私たちの歌を!」
可可「はい! 歌の力は無限大デスから、きっとミナサンを変えられマス!」
恋「しかし、わたくしたち5人では、限界が……」
千砂都「……じゃあ、歌う人数増やす?」
かのん「え、増やすって……」
可可「! 9人で歌うのデスね!!」
可可「"9"は絶対数デスから、いま以上のパワーを叩き出せるはずデス!」
かのん「9人……」
すみれ「いやいや、"あの子たち"はいま地球にいるんでしょ? どうやって連れてくるつもりよ」
可可「すみれは愚かデスね~。たとえこの場にいなくても、いつでもどこでも、つながることは可能なのデスよ」
──くるくるくる
かのん「わっ、回ってる!」
可可「……見ててクダサイ! ククの"能力"を!」
675: 名無しで叶える物語 2022/12/30(金) 04:19:59.32 ID:hRUD7Kac.net
回転する環をつかみ、ククの身体ごとスピンしマス。
──くるくるくるくるくるくる
意識を研ぎ澄まし、より回転に磨きをかけマス!
──くるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくる
もっと、もっと……!
全宇宙を巻き込むほどの、巨大なエネルギーを生み出すつもりで、回るのデス!!
──くるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくる
かのん「うっ……! ものすごい回転……!」
恋「クゥクゥさんを中心に、旋風が巻き起こっています!!」
千砂都「わー! 嵐だよー!」
すみれ「クゥクゥ……!」
可可「────いくデス!!」
可可「環!」
可可「"世界中の音"を、つないでクダサイーーー!」
──くるくるくるくるくるくる
意識を研ぎ澄まし、より回転に磨きをかけマス!
──くるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくる
もっと、もっと……!
全宇宙を巻き込むほどの、巨大なエネルギーを生み出すつもりで、回るのデス!!
──くるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくる
かのん「うっ……! ものすごい回転……!」
恋「クゥクゥさんを中心に、旋風が巻き起こっています!!」
千砂都「わー! 嵐だよー!」
すみれ「クゥクゥ……!」
可可「────いくデス!!」
可可「環!」
可可「"世界中の音"を、つないでクダサイーーー!」
676: 名無しで叶える物語 2022/12/30(金) 04:21:32.74 ID:hRUD7Kac.net
☆
可可「おぇ…………」パタリ
ククが倒れたあとも、環は宙に残り、恒久の回転を続けていマス。
環は回転に合わせて膨張していきマス。広場よりも大きくなり、街を凌駕し、……やがて惑星全土を飲み込み、宇宙へと旅立ちマシタ。
くるくる回る環は、いつしか太陽系に到達し、世界はひとつにつながったのデス!
ドンガラガッシャン! ギャラギャラ!
すみれ「ギャラぁ!? う、うるさっ……!!」
恋「耳が……! ど、どうなっているのですかぁ!?」
可可「いまは、世界中から受信した音が、ミナサンの脳内に響いている状態デス!」
可可「ククの環は優秀なので、どれだけ小さな音でも逃しマセンよ!」
千砂都「これは……強烈だね」
かのん「うるさいうるさいうるさーい!!!」
あらゆる音が混線し、カオスなままに集約しマス。
可可「……大丈夫デス! いずれ、拾いたい音だけ拾えるようになりマスから!」
人の聴覚は、必要な音とそうでない音を分けて聞いていマス。不必要と判断された音は、自然とボリュームを下げられるよう、脳が仕組まれているのデス。
よって、混線はじょじょに収まり、耳に入る情報もより洗練されていきマシタ。
宇宙のどこかでは、小惑星同士が衝突し、太陽が核融合反応を起こしていマス。デスが、いまはそんなこと、些事に過ぎないデス。
拾う音は、どんどん解像度を高めていき……ようやく通じ合いマシタ!
可可「──きなきな!」
きな子『く、クゥクゥ先輩……!?』
可可「おぇ…………」パタリ
ククが倒れたあとも、環は宙に残り、恒久の回転を続けていマス。
環は回転に合わせて膨張していきマス。広場よりも大きくなり、街を凌駕し、……やがて惑星全土を飲み込み、宇宙へと旅立ちマシタ。
くるくる回る環は、いつしか太陽系に到達し、世界はひとつにつながったのデス!
ドンガラガッシャン! ギャラギャラ!
すみれ「ギャラぁ!? う、うるさっ……!!」
恋「耳が……! ど、どうなっているのですかぁ!?」
可可「いまは、世界中から受信した音が、ミナサンの脳内に響いている状態デス!」
可可「ククの環は優秀なので、どれだけ小さな音でも逃しマセンよ!」
千砂都「これは……強烈だね」
かのん「うるさいうるさいうるさーい!!!」
あらゆる音が混線し、カオスなままに集約しマス。
可可「……大丈夫デス! いずれ、拾いたい音だけ拾えるようになりマスから!」
人の聴覚は、必要な音とそうでない音を分けて聞いていマス。不必要と判断された音は、自然とボリュームを下げられるよう、脳が仕組まれているのデス。
よって、混線はじょじょに収まり、耳に入る情報もより洗練されていきマシタ。
宇宙のどこかでは、小惑星同士が衝突し、太陽が核融合反応を起こしていマス。デスが、いまはそんなこと、些事に過ぎないデス。
拾う音は、どんどん解像度を高めていき……ようやく通じ合いマシタ!
可可「──きなきな!」
きな子『く、クゥクゥ先輩……!?』
677: 名無しで叶える物語 2022/12/30(金) 04:22:38.70 ID:hRUD7Kac.net
夏美『なにがどうなってるんですのー!?』
すみれ「夏美……!」
メイ『お、おい! 先輩たちの声がする……! どこだ、どこにいるんだ!?』
恋「メイさん……!」
四季『……恐らく、クゥクゥ先輩の能力……かもしれない』
千砂都「四季ちゃん……!!」
可可「Liella!……9人! 揃いマシタ!」
かのん「この人たちが、Liella!のメンバー……?」
可可「はいデス!」
四季『! かのん先輩の声……』
可可「シキシキ! かのんはばっちり救出済みデェス!」
四季『……ブイ。ありがとう先輩、信じてた』
メイ『なんかよくわかんねえけど……先輩と通話できてる! すげえええーーー!!』
夏美『まさか、惑星国家とつながってるんですの!? 話が壮大すぎて、ギャラクシーですの……!』
きな子『かのん先輩ぃ……クゥクゥ先輩ぃ……千砂都先輩ぃ……すみれ先輩ぃ……恋先輩ぃ……!』
すみれ「あーもう! せっかく静かになってきてたのに、またうるさくなってきたわ……」
千砂都「あはは! でもこの感じ、なつかしいね!」
すみれ「夏美……!」
メイ『お、おい! 先輩たちの声がする……! どこだ、どこにいるんだ!?』
恋「メイさん……!」
四季『……恐らく、クゥクゥ先輩の能力……かもしれない』
千砂都「四季ちゃん……!!」
可可「Liella!……9人! 揃いマシタ!」
かのん「この人たちが、Liella!のメンバー……?」
可可「はいデス!」
四季『! かのん先輩の声……』
可可「シキシキ! かのんはばっちり救出済みデェス!」
四季『……ブイ。ありがとう先輩、信じてた』
メイ『なんかよくわかんねえけど……先輩と通話できてる! すげえええーーー!!』
夏美『まさか、惑星国家とつながってるんですの!? 話が壮大すぎて、ギャラクシーですの……!』
きな子『かのん先輩ぃ……クゥクゥ先輩ぃ……千砂都先輩ぃ……すみれ先輩ぃ……恋先輩ぃ……!』
すみれ「あーもう! せっかく静かになってきてたのに、またうるさくなってきたわ……」
千砂都「あはは! でもこの感じ、なつかしいね!」
678: 名無しで叶える物語 2022/12/30(金) 04:23:49.81 ID:hRUD7Kac.net
☆
きなきなたちに、現状をざっくりと説明しマシタ。
きな子『……きな子たちも先輩といっしょに、歌えばいいんすね!』
可可「はいデス! お願いできマスか?」
きな子『もちろんっす!』
すみれ「現状把握早いわね……」
可可「地下ではみんなと、いろいろありマシタからねぇ~」
恋「あ! どうしましょう……よく考えてみたら、マイクがありません……!」
可可「必要ないデスよ、レンレン。私たちの歌声は、環が伝えてくれマスから!」
すみれ「……といっても、観客の前で歌うなら、それ相応の格好はしておきたいわよね」
メイ『ライブやるなら、やっぱりステージはほしいよなー』
きな子『こっちは、クゥクゥ先輩が作ってくれたステージがあるっす。そっちはどうっすか?』
可可「んー、広場をステージにするとして……衣装はどうしマショウか?」
千砂都「それなら、ちぃちゃんにお任せ!」
きなきなたちに、現状をざっくりと説明しマシタ。
きな子『……きな子たちも先輩といっしょに、歌えばいいんすね!』
可可「はいデス! お願いできマスか?」
きな子『もちろんっす!』
すみれ「現状把握早いわね……」
可可「地下ではみんなと、いろいろありマシタからねぇ~」
恋「あ! どうしましょう……よく考えてみたら、マイクがありません……!」
可可「必要ないデスよ、レンレン。私たちの歌声は、環が伝えてくれマスから!」
すみれ「……といっても、観客の前で歌うなら、それ相応の格好はしておきたいわよね」
メイ『ライブやるなら、やっぱりステージはほしいよなー』
きな子『こっちは、クゥクゥ先輩が作ってくれたステージがあるっす。そっちはどうっすか?』
可可「んー、広場をステージにするとして……衣装はどうしマショウか?」
千砂都「それなら、ちぃちゃんにお任せ!」
679: 名無しで叶える物語 2022/12/30(金) 04:24:35.58 ID:hRUD7Kac.net
──しゅるしゅるしゅる
千砂都から伸びた糸が、ククたちの身体にぴったりまとわりマシタ。
夏美『なんですの!? ミサンガがほどけて……いやぁー!!』
恋「……衣装になってます! 千砂都さんが用意してくれたんですね!」
千砂都「ううん、これはクゥクゥちゃんのデザインだよ」
可可「ククデスか?」
千砂都「クゥクゥちゃんが初めて作った、最高の衣装!」
可可「!! 千砂都ぉ……!」
かのん「で、でもなんか、露出多くない!?」
すみれ「胸のとことか、かなり際どいわね……」
恋「うう、よく見るとかなり恥ずかしいです……」
可可「かわいさの代償デス。気にしないでクダサイ」
千砂都から伸びた糸が、ククたちの身体にぴったりまとわりマシタ。
夏美『なんですの!? ミサンガがほどけて……いやぁー!!』
恋「……衣装になってます! 千砂都さんが用意してくれたんですね!」
千砂都「ううん、これはクゥクゥちゃんのデザインだよ」
可可「ククデスか?」
千砂都「クゥクゥちゃんが初めて作った、最高の衣装!」
可可「!! 千砂都ぉ……!」
かのん「で、でもなんか、露出多くない!?」
すみれ「胸のとことか、かなり際どいわね……」
恋「うう、よく見るとかなり恥ずかしいです……」
可可「かわいさの代償デス。気にしないでクダサイ」
680: 名無しで叶える物語 2022/12/30(金) 04:27:08.75 ID:hRUD7Kac.net
四季『……歌う前に、お客さんのボルテージを上げようと思う』
四季『いまから、宇宙全域に、Liella!の紹介ムービーを映写する』
可可「いいデスね!」
恋「"まくま"映像ですね! しかし、どのように映すおつもりなのですか?」
四季『……太陽光線を使って、光を増幅させて送信する。スクリーンがないから、脳内に直接映像を送り込む』
メイ『しれっとえげつないこと言いやがったな……』
夏美『四季ひとりいれば、あらゆる問題も全部解決してしまいそうですの……』
四季『……いま送信した。数秒後に再生がはじまるはず』
すみれ「それにしても、Liella!の紹介映像なんてよくあったわね?」
四季『昔、みんなで撮影したものだから。私たちの宝物』
すみれ「……撮影? ま、まさか…………!」
シキシキの予告通り、数秒後に、脳内に映像が映りマシタ。
……それは、未完成のままに終わった、Liella!の映画デシタ。
四季『いまから、宇宙全域に、Liella!の紹介ムービーを映写する』
可可「いいデスね!」
恋「"まくま"映像ですね! しかし、どのように映すおつもりなのですか?」
四季『……太陽光線を使って、光を増幅させて送信する。スクリーンがないから、脳内に直接映像を送り込む』
メイ『しれっとえげつないこと言いやがったな……』
夏美『四季ひとりいれば、あらゆる問題も全部解決してしまいそうですの……』
四季『……いま送信した。数秒後に再生がはじまるはず』
すみれ「それにしても、Liella!の紹介映像なんてよくあったわね?」
四季『昔、みんなで撮影したものだから。私たちの宝物』
すみれ「……撮影? ま、まさか…………!」
シキシキの予告通り、数秒後に、脳内に映像が映りマシタ。
……それは、未完成のままに終わった、Liella!の映画デシタ。
681: 名無しで叶える物語 2022/12/30(金) 04:28:09.25 ID:hRUD7Kac.net
『よーい、アクション!』
『……Liella!はいま、ラブライブに向け、もう特訓中ですの!』
『ナッツゥ! カメラ! あちらにアップしてクダサイ! レンレンのサービスショットが!』
『にゃは~! ほんとですの~! これは鬼バズり間違いなし──』
『……夏美ちゃん、クゥクゥちゃん? なにやってるのかなー?』
『ひぃ!? ち、千砂都……これは違うんデス』
『え、映画の撮影中ですの……!』
『ふーん…………カメラ止めて』
『あっ! 待って、まだ撮れ高がっ……ガガガ』
恋「……な、なんですかこれは!?」
可可「なつかしの、Liella!の裏側に密着したドキュメント映画デスよ」
すみれ「どこがドキュメントなのよ!」
四季『自動翻訳をつけてるから、日本語がわからなくても理解できる』
きな子『これって確か、夏美ちゃんが監督兼カメラマンだったんすよね』
メイ『あー。だからこのクオリティなのか』
夏美『どういう意味ですの!?』
『……Liella!はいま、ラブライブに向け、もう特訓中ですの!』
『ナッツゥ! カメラ! あちらにアップしてクダサイ! レンレンのサービスショットが!』
『にゃは~! ほんとですの~! これは鬼バズり間違いなし──』
『……夏美ちゃん、クゥクゥちゃん? なにやってるのかなー?』
『ひぃ!? ち、千砂都……これは違うんデス』
『え、映画の撮影中ですの……!』
『ふーん…………カメラ止めて』
『あっ! 待って、まだ撮れ高がっ……ガガガ』
恋「……な、なんですかこれは!?」
可可「なつかしの、Liella!の裏側に密着したドキュメント映画デスよ」
すみれ「どこがドキュメントなのよ!」
四季『自動翻訳をつけてるから、日本語がわからなくても理解できる』
きな子『これって確か、夏美ちゃんが監督兼カメラマンだったんすよね』
メイ『あー。だからこのクオリティなのか』
夏美『どういう意味ですの!?』
682: 名無しで叶える物語 2022/12/30(金) 04:29:14.06 ID:hRUD7Kac.net
その後も、Liella!がわちゃわちゃしている光景が延々と垂れ流されマシタ。
『……え? なんでこっちにカメラ向けてるの!?』
『いまはかのん先輩を撮ってますの~。はい、一言どうぞ!』
『え、えっと……いぇーい?』
『かのんはアドリブだめだめねぇ~。見てなさい! 私がお手本を──』
『すみれの顔にはモザイクかけておきマショウ。かのん! インタビューデスよ!』
『ちょっと! 私も映しなさいったら映しなさい!』
『え、えっと……』
『かのんに質問! かのんにとって、スクールアイドルとはなにデスか?』
『ええ! んー、私にとってのスクールアイドル……? んー、難しい……』
『もっと気軽に考えてみていいのでは?』
『……うん、そうだね。私にとって、スクールアイドルは…………』
『仲間と過ごす、大切な時間……かな』
かのん「…………」
千砂都「かのんちゃん?」
かのん「……ここに映ってる私、すごく楽しそう」
千砂都「……うん」
かのん「私……こんなに素敵な仲間に巡り会えたんだね。すごいなぁ……」
千砂都「いまも、でしょ?」
かのん「……うん、そうだね。いまもみんな、つながってるんだよね……!」
『……え? なんでこっちにカメラ向けてるの!?』
『いまはかのん先輩を撮ってますの~。はい、一言どうぞ!』
『え、えっと……いぇーい?』
『かのんはアドリブだめだめねぇ~。見てなさい! 私がお手本を──』
『すみれの顔にはモザイクかけておきマショウ。かのん! インタビューデスよ!』
『ちょっと! 私も映しなさいったら映しなさい!』
『え、えっと……』
『かのんに質問! かのんにとって、スクールアイドルとはなにデスか?』
『ええ! んー、私にとってのスクールアイドル……? んー、難しい……』
『もっと気軽に考えてみていいのでは?』
『……うん、そうだね。私にとって、スクールアイドルは…………』
『仲間と過ごす、大切な時間……かな』
かのん「…………」
千砂都「かのんちゃん?」
かのん「……ここに映ってる私、すごく楽しそう」
千砂都「……うん」
かのん「私……こんなに素敵な仲間に巡り会えたんだね。すごいなぁ……」
千砂都「いまも、でしょ?」
かのん「……うん、そうだね。いまもみんな、つながってるんだよね……!」
683: 名無しで叶える物語 2022/12/30(金) 04:30:12.75 ID:hRUD7Kac.net
──しゅるしゅるしゅる
かのん「! ち、ちぃちゃん!?」
千砂都「あ……。もう、限界みたい……。これ以上、この次元に留まってられない……」
かのん「え……! ど、どうしよう!? なんとかならないの……?」
千砂都「…………人の心を、依代にできるけど……そのためには、相手が100%受け入れてくれないといけなくて……」
千砂都「しかも、私は一生、その人から離れられなくなっちゃうし……」
かのん「…………」
かのん「じゃあ、私を依代にして!」
千砂都「……いいの? そんなことしたら、私と一生いっしょの人生だよ……?」
千砂都「いまのかのんちゃんからしたら、私は自称幼馴染でしかないわけだし……。無理させたくない……」
かのん「ううん、違う! 記憶はないけど、ちぃちゃんといっしょにいたい!」
かのん「消えてほしくないよ……。ちぃちゃん……」
千砂都「……かのんちゃん!」
──しゅるしゅるしゅる
かのん「うぐぐ!」
千砂都「これからずっと同じだけど……後悔しない?」
かのん「うん、絶対にしないよ」
かのん「──昔の私も、いまの私も!」
かのん「! ち、ちぃちゃん!?」
千砂都「あ……。もう、限界みたい……。これ以上、この次元に留まってられない……」
かのん「え……! ど、どうしよう!? なんとかならないの……?」
千砂都「…………人の心を、依代にできるけど……そのためには、相手が100%受け入れてくれないといけなくて……」
千砂都「しかも、私は一生、その人から離れられなくなっちゃうし……」
かのん「…………」
かのん「じゃあ、私を依代にして!」
千砂都「……いいの? そんなことしたら、私と一生いっしょの人生だよ……?」
千砂都「いまのかのんちゃんからしたら、私は自称幼馴染でしかないわけだし……。無理させたくない……」
かのん「ううん、違う! 記憶はないけど、ちぃちゃんといっしょにいたい!」
かのん「消えてほしくないよ……。ちぃちゃん……」
千砂都「……かのんちゃん!」
──しゅるしゅるしゅる
かのん「うぐぐ!」
千砂都「これからずっと同じだけど……後悔しない?」
かのん「うん、絶対にしないよ」
かのん「──昔の私も、いまの私も!」
684: 名無しで叶える物語 2022/12/30(金) 04:31:21.63 ID:hRUD7Kac.net
☆
国民A「Liella!……」
国民B「Liella!……」
国民C「Liella!……」
国民D「Liella!……」
すみれ「お客さん、盛り上がってるわね!」
メイ『よし! こっちは準備完了だ!』
恋「こちらもです!」
夏美『曲はどうするんですの?』
可可「……やはり、あの曲しかありマセン!」
きな子『あれっすね!』
かのん「…………さあ、歌おう!」
かのん「世界を変える歌を──!」
可可「新人類を救うついでに、地球のモグラたちにも聴かせてやりマショウ!」
かのん「うん!」
かのん「宇宙の果てまで響かせよう!」
可可「いっしょに奇跡を起こすんだ!」
国民A「Liella!……」
国民B「Liella!……」
国民C「Liella!……」
国民D「Liella!……」
すみれ「お客さん、盛り上がってるわね!」
メイ『よし! こっちは準備完了だ!』
恋「こちらもです!」
夏美『曲はどうするんですの?』
可可「……やはり、あの曲しかありマセン!」
きな子『あれっすね!』
かのん「…………さあ、歌おう!」
かのん「世界を変える歌を──!」
可可「新人類を救うついでに、地球のモグラたちにも聴かせてやりマショウ!」
かのん「うん!」
かのん「宇宙の果てまで響かせよう!」
可可「いっしょに奇跡を起こすんだ!」
685: 名無しで叶える物語 2022/12/30(金) 04:32:00.81 ID:hRUD7Kac.net
かのん「いち!」
可可「にぃ!」
すみれ「さん!」
千砂都「よん!」
恋「ご!」
きな子『ろくっ!』
メイ『なな!』
四季『はち』
夏美『きゅー!』
かのん「…………私たちは、Liella!だー!」
この日、太陽系外周をくるくると回り続ける環が、世界中に届けマシタ。
とりあえず9人の歌を。
世界を変える、その歌を…………。
『未来の音が聴こえる』
可可「にぃ!」
すみれ「さん!」
千砂都「よん!」
恋「ご!」
きな子『ろくっ!』
メイ『なな!』
四季『はち』
夏美『きゅー!』
かのん「…………私たちは、Liella!だー!」
この日、太陽系外周をくるくると回り続ける環が、世界中に届けマシタ。
とりあえず9人の歌を。
世界を変える、その歌を…………。
『未来の音が聴こえる』
689: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 03:51:38.44 ID:XRsyzAB1.net
☆
Liella!の歌が、宇宙にとどろいたあの日から……数週間後。
ククの環は、すっかり元通りに、頭でくるくるしていマス。
恋「……空にノアが見えてきました」
すみれ「大丈夫ったら大丈夫……? 私、あの船内で二回もころされてるんだけど」
千砂都「私も、あんまりいい思い出はないなぁ……」
かのん「ひぃ……。そんな怖い場所なの……?」
可可「大丈夫デス」
可可「今度こそ、希望の船となりマスよ!」
新人類を、神の呪縛から解き放ったククたち。
口々に、称賛の声をかけられマシタ。
かのんは、新言語を理解してないデスが、なんだかほこらしそうにしてマシタ。
そして私たちは、宇宙船ノアに乗り、地球へと帰ることにしマシタ。
新人類や変異体の人も、呉越同舟で乗り込み、地球へ向かうようデス。
……ただ一部を除いては。
Liella!の歌が、宇宙にとどろいたあの日から……数週間後。
ククの環は、すっかり元通りに、頭でくるくるしていマス。
恋「……空にノアが見えてきました」
すみれ「大丈夫ったら大丈夫……? 私、あの船内で二回もころされてるんだけど」
千砂都「私も、あんまりいい思い出はないなぁ……」
かのん「ひぃ……。そんな怖い場所なの……?」
可可「大丈夫デス」
可可「今度こそ、希望の船となりマスよ!」
新人類を、神の呪縛から解き放ったククたち。
口々に、称賛の声をかけられマシタ。
かのんは、新言語を理解してないデスが、なんだかほこらしそうにしてマシタ。
そして私たちは、宇宙船ノアに乗り、地球へと帰ることにしマシタ。
新人類や変異体の人も、呉越同舟で乗り込み、地球へ向かうようデス。
……ただ一部を除いては。
690: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 03:52:51.17 ID:XRsyzAB1.net
ウィーン「こんな結果、認めない!」
可可「だれデスか?」
千砂都「あれだよ、中学生スクールアイドルの子。ラブライブが中止になったから、直接戦うことはなかったけど」
ウィーン「私たちは! 神の御加護のもとでしか生きられないのよ!」
ウィーン「それなのに、無責任に神をころしておいて、違う星に逃げるなんて……許さない!」
可可「……あなたは地球に行かないのデスか?」
ウィーン「あたりまえよ! あんな悪魔の星に行ったら、むごたらしく死んでしまうわ!」
可可「どのみちこの星に残れば、死にマスよ?」
ウィーン「あ、あなたたちのせいよ! 神がいれば、惑星国家は未来永劫、安寧だったのに……!」
可可「……神はいマセン。この星は死ぬ運命デス。生きたいなら船に乗るべきデス」
可可「まあ、空想の神と心中したいのなら、止めはしないデスが」
ウィーン「くっ……!」
すみれ「あんたねぇ……。もうちょっとやさしく言ってあげなさいよ? ド正論パンチばっかり」
可可「でも、事実デスよ?」
すみれ「ほら、また!」
かのん「…………」
可可「だれデスか?」
千砂都「あれだよ、中学生スクールアイドルの子。ラブライブが中止になったから、直接戦うことはなかったけど」
ウィーン「私たちは! 神の御加護のもとでしか生きられないのよ!」
ウィーン「それなのに、無責任に神をころしておいて、違う星に逃げるなんて……許さない!」
可可「……あなたは地球に行かないのデスか?」
ウィーン「あたりまえよ! あんな悪魔の星に行ったら、むごたらしく死んでしまうわ!」
可可「どのみちこの星に残れば、死にマスよ?」
ウィーン「あ、あなたたちのせいよ! 神がいれば、惑星国家は未来永劫、安寧だったのに……!」
可可「……神はいマセン。この星は死ぬ運命デス。生きたいなら船に乗るべきデス」
可可「まあ、空想の神と心中したいのなら、止めはしないデスが」
ウィーン「くっ……!」
すみれ「あんたねぇ……。もうちょっとやさしく言ってあげなさいよ? ド正論パンチばっかり」
可可「でも、事実デスよ?」
すみれ「ほら、また!」
かのん「…………」
691: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 03:54:14.69 ID:XRsyzAB1.net
かのん「あ、あの……あなた」
ウィーン「……なに?」
かのん「その子、かわいいお子さんだね。お名前は?」
ウィーン「…………ベートーヴェン」
かのん「そっかそっか! 偉大な名前だねぇ」
かのん「あなたにはきっと、ゆずれないものがあるんだろうけど……」
かのん「まずは、命を優先したほうがいいんじゃないかな」
ウィーン「っ……」
ベートーヴェン「ママ……。ぼくたち、死んじゃうの……?」
ウィーン「!」
ウィーン「…………」
ウィーン「いえ…………生きましょう」
ウィーン「私にとって、神よりも……あなたが大事よ」
ウィーン「……なに?」
かのん「その子、かわいいお子さんだね。お名前は?」
ウィーン「…………ベートーヴェン」
かのん「そっかそっか! 偉大な名前だねぇ」
かのん「あなたにはきっと、ゆずれないものがあるんだろうけど……」
かのん「まずは、命を優先したほうがいいんじゃないかな」
ウィーン「っ……」
ベートーヴェン「ママ……。ぼくたち、死んじゃうの……?」
ウィーン「!」
ウィーン「…………」
ウィーン「いえ…………生きましょう」
ウィーン「私にとって、神よりも……あなたが大事よ」
692: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 03:54:55.34 ID:XRsyzAB1.net
恋「…………」
可可「……サヤさんのこと、考えてマスか?」
恋「はい……」
恋「結局、車の焼け跡しか見つからず、いまも行方不明のまま……」
可可「……サヤさんは、ククたちを助けてくれたんデスよね」
恋「はい……」
恋「できれば、アンドロイドのサヤさんも、地球へと連れて行ってあげたかったです」
恋「秘書と先生ではなく……もっと、自然な関係でいたかったものです……」
可可「レンレン……」
チビ『クゥーン』
恋「……チビ」
恋「地球は、とてもすばらしいところですよ。いっぱいお散歩しましょうね」ナデナデ
チビ『ワン』
可可「……サヤさんのこと、考えてマスか?」
恋「はい……」
恋「結局、車の焼け跡しか見つからず、いまも行方不明のまま……」
可可「……サヤさんは、ククたちを助けてくれたんデスよね」
恋「はい……」
恋「できれば、アンドロイドのサヤさんも、地球へと連れて行ってあげたかったです」
恋「秘書と先生ではなく……もっと、自然な関係でいたかったものです……」
可可「レンレン……」
チビ『クゥーン』
恋「……チビ」
恋「地球は、とてもすばらしいところですよ。いっぱいお散歩しましょうね」ナデナデ
チビ『ワン』
693: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 03:56:05.59 ID:XRsyzAB1.net
ノアが、その長い航海に出マシタ。
ククたちを乗せて。
「地球に帰ろう」
くるくるくる……………………
可可「…………」
環がゆっくりと動きを止め、消えていきマス。役目を終えたかのように。
名残り惜しく、手で触れてみようとしマスが……そこにはもう、なにもありませんデシタ。
今度こそ消失してしまったのだという実感が、ククの心にくるくると渦を巻きマシタ。
環が完全になくなると、ククの身体は、止まった時を取り返さんと、衰えはじめマシタ。それはさながら、玉手箱を開けた浦島太郎デス。
すみれ「……見違えるほど、美人になったわね?」
可可「……そうデスか? 私にはよくわかりマセン」
すみれ「ええ……。何度だって言ってあげるわ」
すみれ「きれいよ、クゥクゥ」
ククたちを乗せて。
「地球に帰ろう」
くるくるくる……………………
可可「…………」
環がゆっくりと動きを止め、消えていきマス。役目を終えたかのように。
名残り惜しく、手で触れてみようとしマスが……そこにはもう、なにもありませんデシタ。
今度こそ消失してしまったのだという実感が、ククの心にくるくると渦を巻きマシタ。
環が完全になくなると、ククの身体は、止まった時を取り返さんと、衰えはじめマシタ。それはさながら、玉手箱を開けた浦島太郎デス。
すみれ「……見違えるほど、美人になったわね?」
可可「……そうデスか? 私にはよくわかりマセン」
すみれ「ええ……。何度だって言ってあげるわ」
すみれ「きれいよ、クゥクゥ」
694: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 03:57:52.88 ID:XRsyzAB1.net
☆
☆
☆
数ヶ月後。
──地球星、東京。
私たちは"9人"で、かつて結ヶ丘があったであろう跡地に赴きマシタ。
横並びになって、手をつなぎ合いマス。それだけで、みんなの想いがひとつになるような気さえしマシタ。
夜空を見上げ、光る星々に、未来を夢見マス。
それぞれの、未来……。
きな子「きな子は、またこの星に、春を芽吹かせようと思うっす。桜舞い散る小道を、大切な人と歩きたいっすから!」
メイ「私は……そうだな。世界が復興できるよう働いて、四季といっしょに暮らす……それだけでじゅうぶんだ」
四季「私は、メイと添い遂げる。この命がいつ終わるかは、わからないけど……。いつまでも、永遠に、メイとともに」
夏美「夏美は、原宿よりも、も~っとすごい街を作ってみせますの! 世界の中心地となるような、人類のユートピアを!」
恋「わたしくは世界の復興を支えつつ、サヤさんを探す旅に出ます。この地球のどこかで、いつか会えると信じて」
かのん「私は……どうせなにも覚えてないし、ゼロから新しく、人生はじめてみようかな。……ついてきてくれる、ちぃちゃん?」
千砂都「もちろん! 私はかのんちゃんとともに、この世界の行く末を見届けるつもりだよ。人類は葦のように、つまずいても倒れても、立ち上がってくれるはずだから!」
可可「ククはもう、夢は叶いマシタから……。これからの未来については、まだなにも決めてないデス」
すみれ「私もよ。目標なんて後付けでいいんだから、これからいっしょに探していきましょう!」
可可「……はい!」
☆
☆
数ヶ月後。
──地球星、東京。
私たちは"9人"で、かつて結ヶ丘があったであろう跡地に赴きマシタ。
横並びになって、手をつなぎ合いマス。それだけで、みんなの想いがひとつになるような気さえしマシタ。
夜空を見上げ、光る星々に、未来を夢見マス。
それぞれの、未来……。
きな子「きな子は、またこの星に、春を芽吹かせようと思うっす。桜舞い散る小道を、大切な人と歩きたいっすから!」
メイ「私は……そうだな。世界が復興できるよう働いて、四季といっしょに暮らす……それだけでじゅうぶんだ」
四季「私は、メイと添い遂げる。この命がいつ終わるかは、わからないけど……。いつまでも、永遠に、メイとともに」
夏美「夏美は、原宿よりも、も~っとすごい街を作ってみせますの! 世界の中心地となるような、人類のユートピアを!」
恋「わたしくは世界の復興を支えつつ、サヤさんを探す旅に出ます。この地球のどこかで、いつか会えると信じて」
かのん「私は……どうせなにも覚えてないし、ゼロから新しく、人生はじめてみようかな。……ついてきてくれる、ちぃちゃん?」
千砂都「もちろん! 私はかのんちゃんとともに、この世界の行く末を見届けるつもりだよ。人類は葦のように、つまずいても倒れても、立ち上がってくれるはずだから!」
可可「ククはもう、夢は叶いマシタから……。これからの未来については、まだなにも決めてないデス」
すみれ「私もよ。目標なんて後付けでいいんだから、これからいっしょに探していきましょう!」
可可「……はい!」
695: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 03:58:39.46 ID:XRsyzAB1.net
夜空を仰ぎ、大きく深呼吸しマス。
『ノアの方舟』の話では、雨が止み、陸から水がひいたあと、ノアが神に供物を捧げマス。
すると神は、二度と地上に厄災が訪れないことを誓い、契約の証として、空に虹をかけたそう。
……ククには見えマセンが、いまごろ空には、大きな七色アーチがかかっているのデショウか?
パーンッ!
可可「!? な、なんの音デスか……!」
可可「まさか、銃声──」
すみれ「…………クゥクゥにも見せてあげたいわ、この景色を」
可可「……?」
『ノアの方舟』の話では、雨が止み、陸から水がひいたあと、ノアが神に供物を捧げマス。
すると神は、二度と地上に厄災が訪れないことを誓い、契約の証として、空に虹をかけたそう。
……ククには見えマセンが、いまごろ空には、大きな七色アーチがかかっているのデショウか?
パーンッ!
可可「!? な、なんの音デスか……!」
可可「まさか、銃声──」
すみれ「…………クゥクゥにも見せてあげたいわ、この景色を」
可可「……?」
696: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 04:01:55.78 ID:XRsyzAB1.net
パーンッ! パーンパーンッ!
かのん「花火……?」
恋「あ、かのんさん。花火というのはですね、"星"と呼ばれる火薬を玉に詰め、それを打ち上げて爆発させ……」
かのん「いや、花火は知ってるよ!?」
千砂都「あははは! たまやー!」
夏美「色とりどりで、きれいな花火ですの……!」
四季「銃の火薬から作ったのかな。理想を叶える平和利用」
メイ「たくましいな、地球人!」
きな子「こういう人の活力を見ると、希望が湧いてくるっすね!」
パーンッ! パパーンッ! パーーーンッ!!
可可「…………」
可可「終わったのデスね……」
すみれ「……クゥクゥ?」
可可「これでようやく……」
可可「ククの旅は、おしまいデス」
かのん「花火……?」
恋「あ、かのんさん。花火というのはですね、"星"と呼ばれる火薬を玉に詰め、それを打ち上げて爆発させ……」
かのん「いや、花火は知ってるよ!?」
千砂都「あははは! たまやー!」
夏美「色とりどりで、きれいな花火ですの……!」
四季「銃の火薬から作ったのかな。理想を叶える平和利用」
メイ「たくましいな、地球人!」
きな子「こういう人の活力を見ると、希望が湧いてくるっすね!」
パーンッ! パパーンッ! パーーーンッ!!
可可「…………」
可可「終わったのデスね……」
すみれ「……クゥクゥ?」
可可「これでようやく……」
可可「ククの旅は、おしまいデス」
697: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 04:03:40.08 ID:XRsyzAB1.net
…………。
それからさらに、数年後。
地球を覆っていた土の雲は年々じょじょに薄まっていき、やがて、ほとんどなくなりマシタ。
そうして、お日様の光が地上に降り注いだのデス。その熱は、凍っていた大地を、海を、人々の心を、溶かしていきマシタ。
世界は再び、回りはじめマス。
──くるくると。
……これは、どこかから流れてきた、うわさ話デス。根拠はありマセンし、信ぴょう性も0に等しいデショウ。
だけど、ククはこの話を聞いて、とてもわくわくしマシタ!
うわさによると、空を覆っていた土やほこりは、遠心力に飲み込まれ、宇宙へと追いやられていったそうデス。
しかしなんと、奇跡的に! 重力と遠心力のバランスが取れ、パンの生地を伸ばすように、薄く広がっていったのデス。
それはいまも、いくつかの"カンゲキ"を持ちながら、地球の周りをくるくると回転しているとのこと。
こうして、地球に〈環〉ができマシタ。
第9章 土星的ド正論 終
それからさらに、数年後。
地球を覆っていた土の雲は年々じょじょに薄まっていき、やがて、ほとんどなくなりマシタ。
そうして、お日様の光が地上に降り注いだのデス。その熱は、凍っていた大地を、海を、人々の心を、溶かしていきマシタ。
世界は再び、回りはじめマス。
──くるくると。
……これは、どこかから流れてきた、うわさ話デス。根拠はありマセンし、信ぴょう性も0に等しいデショウ。
だけど、ククはこの話を聞いて、とてもわくわくしマシタ!
うわさによると、空を覆っていた土やほこりは、遠心力に飲み込まれ、宇宙へと追いやられていったそうデス。
しかしなんと、奇跡的に! 重力と遠心力のバランスが取れ、パンの生地を伸ばすように、薄く広がっていったのデス。
それはいまも、いくつかの"カンゲキ"を持ちながら、地球の周りをくるくると回転しているとのこと。
こうして、地球に〈環〉ができマシタ。
第9章 土星的ド正論 終
698: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 04:06:16.16 ID:XRsyzAB1.net
Interlude
目を開くと、そこは白黒の部屋だった。なんどまばたきしても、目に映る光景はなにひとつ変わらなかった。
その空間は、一般家庭にあるいろんな部屋を凝縮したような場所。私の背後には、玄関の面影がある扉があった。
(…………ここ、どこ……?)
(あの日、私は宇宙船で…………医務室にいるはずのクゥクゥに、会いに行って……)
(そしたら、船員がクゥクゥをころそうとしてて……必死に止めに入ったら、撃たれて……)
(死んでからはずっと、ぐるぐると、輪廻転生を繰り返して──)
(…………で、ここどこ? ついに天国だか地獄に来ちゃったったら来ちゃったわけ!?)
目を開くと、そこは白黒の部屋だった。なんどまばたきしても、目に映る光景はなにひとつ変わらなかった。
その空間は、一般家庭にあるいろんな部屋を凝縮したような場所。私の背後には、玄関の面影がある扉があった。
(…………ここ、どこ……?)
(あの日、私は宇宙船で…………医務室にいるはずのクゥクゥに、会いに行って……)
(そしたら、船員がクゥクゥをころそうとしてて……必死に止めに入ったら、撃たれて……)
(死んでからはずっと、ぐるぐると、輪廻転生を繰り返して──)
(…………で、ここどこ? ついに天国だか地獄に来ちゃったったら来ちゃったわけ!?)
699: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 04:07:28.94 ID:XRsyzAB1.net
湧き出た疑問を押しつぶすかのように、その異様な集団が目についた。
三人(?)はそれぞれ、部屋の各地に座っていた。
ソファに腰かけているのは、パンダのカチューシャをつけた、少し頼りなさそうな偉丈夫。
食卓のイスに着いているのは、アイドルのコスプレをしている、少し厳しそうな教育ママ。
そして……。
地べたに座ってテレビゲームをしているのは、なつかしの、グソクムシの着ぐるみ。
その着ぐるみが、くるりとこちらを振り返った。
(ギャラ!? め、めちゃくちゃ美人……! 芸能人の方かしら……?)
(でも、この愛らしい雰囲気……。だれかさんと似てるような…………)
三人(?)はそれぞれ、部屋の各地に座っていた。
ソファに腰かけているのは、パンダのカチューシャをつけた、少し頼りなさそうな偉丈夫。
食卓のイスに着いているのは、アイドルのコスプレをしている、少し厳しそうな教育ママ。
そして……。
地べたに座ってテレビゲームをしているのは、なつかしの、グソクムシの着ぐるみ。
その着ぐるみが、くるりとこちらを振り返った。
(ギャラ!? め、めちゃくちゃ美人……! 芸能人の方かしら……?)
(でも、この愛らしい雰囲気……。だれかさんと似てるような…………)
700: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 04:12:51.78 ID:XRsyzAB1.net
「"あなたがすみれちゃんね? 妹からよく話は聞いてるわ"」
「!? 中国語……!」
とつぜん慣れない言語で話しかけられ、うろたえてしまった。
だが私はすぐに、培ってきた中国語講座の記憶をたぐり寄せ、会話に臨んだ。
「"初めまして。……わたしは、平安名すみれ"」
「"あなたの、名前は?"」
「……ああ、ごめんなさい。日本語のほうがよかったわね」
「って、日本語しゃべれるんかい!」
初対面の方に、つい全力でつっこんでしまった。
お父様お母様と思われる人たちが、真顔でこちらを見つめてくる。いまの私は、かなり居たたまれない気分だ。
だけど、着ぐるみをまとった美女は、やさしくほほえんでいる。自身のとなりをぽんぽんとたたき、私を誘う。
「ほら、こっちに来て。いっしょにゲームやりましょう?」
「ゲーム……?」
画面に映し出されていたのは、雪が吹き荒び、光が遮断された、氷と闇の土地。
以前クゥクゥからおすすめされた、中国のSF小説みたいな光景が、そこには広がっていた。
「さ、飽きるまで遊びましょ!」
「!? 中国語……!」
とつぜん慣れない言語で話しかけられ、うろたえてしまった。
だが私はすぐに、培ってきた中国語講座の記憶をたぐり寄せ、会話に臨んだ。
「"初めまして。……わたしは、平安名すみれ"」
「"あなたの、名前は?"」
「……ああ、ごめんなさい。日本語のほうがよかったわね」
「って、日本語しゃべれるんかい!」
初対面の方に、つい全力でつっこんでしまった。
お父様お母様と思われる人たちが、真顔でこちらを見つめてくる。いまの私は、かなり居たたまれない気分だ。
だけど、着ぐるみをまとった美女は、やさしくほほえんでいる。自身のとなりをぽんぽんとたたき、私を誘う。
「ほら、こっちに来て。いっしょにゲームやりましょう?」
「ゲーム……?」
画面に映し出されていたのは、雪が吹き荒び、光が遮断された、氷と闇の土地。
以前クゥクゥからおすすめされた、中国のSF小説みたいな光景が、そこには広がっていた。
「さ、飽きるまで遊びましょ!」
707: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:26:32.47 ID:XRsyzAB1.net
触角をたくみに操り、14ある脚で身体を支え、地面すれすれを這って歩く。
(まさか私、今度はグソクムシに転生しちゃったの!?)
(グソクムシとは永久に離れられない、そんな星のもとに生まれたのかもしれないわね……)
グソクムシは、凍った大地をカサカサと行く。
「……もしかしなくても、クゥクゥのお姉さんですか?」
「そうよ。あの子、家族の写真とかは見せなかったの?」
「はい……。なんか『すみれが見たら心奪われるからだめ』って」
「! クク、そんなこと言ってたの……! はぁ~、ほんとかわいい妹ね!」
着ぐるみの触角を揺らし、うれしそうに悶えている。
まあ、自分のいないところで妹が自分をほめてくれてたら、めちゃくちゃうれしいわよね。なかなか面と向かっては言ってくれないことだし。
私は同じ姉として、勝手に親近感を抱いていた。
(まさか私、今度はグソクムシに転生しちゃったの!?)
(グソクムシとは永久に離れられない、そんな星のもとに生まれたのかもしれないわね……)
グソクムシは、凍った大地をカサカサと行く。
「……もしかしなくても、クゥクゥのお姉さんですか?」
「そうよ。あの子、家族の写真とかは見せなかったの?」
「はい……。なんか『すみれが見たら心奪われるからだめ』って」
「! クク、そんなこと言ってたの……! はぁ~、ほんとかわいい妹ね!」
着ぐるみの触角を揺らし、うれしそうに悶えている。
まあ、自分のいないところで妹が自分をほめてくれてたら、めちゃくちゃうれしいわよね。なかなか面と向かっては言ってくれないことだし。
私は同じ姉として、勝手に親近感を抱いていた。
708: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:27:46.17 ID:XRsyzAB1.net
グソクムシは、雪をかき分け、熱の根源へまっすぐ這い進む。
するとそこには、やっぱり、"あの子"がいた。
力なく倒れ、うつろな目で死を待つだけの彼女に、グソクムシの巨体がのしかかる。
「クゥクゥ……」
「クク……」
クゥクゥは、弱りきった手でグソクムシを撫でる。
(…………あれ? クゥクゥ、目が見えてない……?)
「クク、目が見えてないのかしら……。どうして神様は、あの子にこんなひどい仕打ちを…………」
手(脚)がうまく使えないので、頭に生えた触角で雪をはらってあげた。
これが、グソクムシとクゥクゥの出会いだった。
クゥクゥは目が見えなくても、グソクムシのことだけは見えているらしい。
グソクムシが進むと、あんよを覚えた赤ちゃんみたいにぱたぱたとついてきて、めちゃくちゃかわいい。
(私がこんなこと考えてるってバレたら、顔真っ赤にして怒りそうね)
「まるで、歩けるようになったばかりの赤ちゃんね。かわいい~!」
「…………」
私とお姉さんは、クゥクゥを見る視点が近いのかもしれない。気が合いそうだ。
するとそこには、やっぱり、"あの子"がいた。
力なく倒れ、うつろな目で死を待つだけの彼女に、グソクムシの巨体がのしかかる。
「クゥクゥ……」
「クク……」
クゥクゥは、弱りきった手でグソクムシを撫でる。
(…………あれ? クゥクゥ、目が見えてない……?)
「クク、目が見えてないのかしら……。どうして神様は、あの子にこんなひどい仕打ちを…………」
手(脚)がうまく使えないので、頭に生えた触角で雪をはらってあげた。
これが、グソクムシとクゥクゥの出会いだった。
クゥクゥは目が見えなくても、グソクムシのことだけは見えているらしい。
グソクムシが進むと、あんよを覚えた赤ちゃんみたいにぱたぱたとついてきて、めちゃくちゃかわいい。
(私がこんなこと考えてるってバレたら、顔真っ赤にして怒りそうね)
「まるで、歩けるようになったばかりの赤ちゃんね。かわいい~!」
「…………」
私とお姉さんは、クゥクゥを見る視点が近いのかもしれない。気が合いそうだ。
709: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:28:38.40 ID:XRsyzAB1.net
私は、クゥクゥが過酷な環境で生きていけるのか、心配だった。私も唐家のみなさんも、画面から一時も目を離さなかった。
しかし、クゥクゥは私たちが想像するよりもはるかに、たくましかった。
時には泣きくずれて、動けなくなることもよくあったけど……。
それでも、頭に環がついた少女は"バンガッテ"、とても強かに生きていたのだ。
画面越しに、クゥクゥが私を呼ぶ。
『…………すみれ……………………』
「……クゥクゥ…………」
私の声は届かない。抱きしめてあげたくても、グソクムシには手がなかった。
だから、クゥクゥにくっつき、体温を分かち合った。
「今度こそ、私がクゥクゥをまもるから……!」
ギロリ。背後から冷たい視線……!?
恐る恐る振り向くと、クゥクゥの両親が座ったまま、私を見ていた。
(ギャラクシー!? な、なにかまずいことでも言っちゃった……?)
しかし、クゥクゥは私たちが想像するよりもはるかに、たくましかった。
時には泣きくずれて、動けなくなることもよくあったけど……。
それでも、頭に環がついた少女は"バンガッテ"、とても強かに生きていたのだ。
画面越しに、クゥクゥが私を呼ぶ。
『…………すみれ……………………』
「……クゥクゥ…………」
私の声は届かない。抱きしめてあげたくても、グソクムシには手がなかった。
だから、クゥクゥにくっつき、体温を分かち合った。
「今度こそ、私がクゥクゥをまもるから……!」
ギロリ。背後から冷たい視線……!?
恐る恐る振り向くと、クゥクゥの両親が座ったまま、私を見ていた。
(ギャラクシー!? な、なにかまずいことでも言っちゃった……?)
710: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:29:31.19 ID:XRsyzAB1.net
『すみれ……すみれぇ…………』
「クゥクゥ……」
あの子が私を呼ぶたびに、つらくなる。
あの子が求める平安名すみれは、もうこの世にはいないから。
私のことはもう、忘れてほしい…………でも忘れられたくない! 矛盾する感情。
「すみれちゃんは死んだ時、どんなこと考えてた?」
「え……? 私が死んだ時は……」
(普通に絶命時のこと話してるけど、かなり異常な会話よね……)
「……私が死んだ時は、『クゥクゥに会いたい』って……思ってた気がします」
「そう、じゃあいっしょね」
「!」
「……私たちも、クゥクゥが一番大事なのよ」
「あの子だけが……気がかりだった」
クゥクゥに対する想いは、1~2年過ごした程度の私とは比肩できないほど、ケタ違いなのだろう。
「クゥクゥ……」
あの子が私を呼ぶたびに、つらくなる。
あの子が求める平安名すみれは、もうこの世にはいないから。
私のことはもう、忘れてほしい…………でも忘れられたくない! 矛盾する感情。
「すみれちゃんは死んだ時、どんなこと考えてた?」
「え……? 私が死んだ時は……」
(普通に絶命時のこと話してるけど、かなり異常な会話よね……)
「……私が死んだ時は、『クゥクゥに会いたい』って……思ってた気がします」
「そう、じゃあいっしょね」
「!」
「……私たちも、クゥクゥが一番大事なのよ」
「あの子だけが……気がかりだった」
クゥクゥに対する想いは、1~2年過ごした程度の私とは比肩できないほど、ケタ違いなのだろう。
711: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:30:47.54 ID:XRsyzAB1.net
クゥクゥとグソクムシの生活は、波瀾万丈だった。
命を狙われ、地下へと逃げ込んだと思ったら、今度は宇宙! ギャラクシーな急展開だ。
……しかしそこで、問題が起きた。
『……グソクムシは、置いていきマス』
「ギャラ!?」
『ククは……グソクムシに死んでほしくありマセン』
「いっしょにいなきゃ、あんたをまもれないでしょ! 私も宇宙に行くから! ついてこいって言いなさい!」
『…………』
『なにを言っているか、わかりマセンよ……』
クゥクゥと別れてしまった。
しかしなんとか、きな子に事情を伝えることができ、四季の協力を得て、ともに宇宙へと旅立てた。
──なんとなく、直感していた。
私は……グソクムシは、ここで死ぬだろうと。
その覚悟は、できてる。クゥクゥのためなら死んでもいい。
(……そんなこと言ったら、あの子は悲しんじゃうかしら)
その予想は的中した。
命を狙われ、地下へと逃げ込んだと思ったら、今度は宇宙! ギャラクシーな急展開だ。
……しかしそこで、問題が起きた。
『……グソクムシは、置いていきマス』
「ギャラ!?」
『ククは……グソクムシに死んでほしくありマセン』
「いっしょにいなきゃ、あんたをまもれないでしょ! 私も宇宙に行くから! ついてこいって言いなさい!」
『…………』
『なにを言っているか、わかりマセンよ……』
クゥクゥと別れてしまった。
しかしなんとか、きな子に事情を伝えることができ、四季の協力を得て、ともに宇宙へと旅立てた。
──なんとなく、直感していた。
私は……グソクムシは、ここで死ぬだろうと。
その覚悟は、できてる。クゥクゥのためなら死んでもいい。
(……そんなこと言ったら、あの子は悲しんじゃうかしら)
その予想は的中した。
712: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:31:47.01 ID:XRsyzAB1.net
グソクムシが盾となり、凶弾から、クゥクゥを救えた。
私たちがいる白黒の部屋はひび入り、かけらとなって無の空間に飲み込まれていく。
「…………すみれちゃんとはお別れね」
「えっ……」
「私たちは、そろそろ成仏するよ」
三人は立ち上がり、扉へと向かった。
「……あの子を、幸せにしてやってくれ」
「!」
「想いの強さは、時間じゃないわ。あなたは私たちと同じくらい、小可のことを大切に想っている」
「…………」
「……すみれちゃん」
グソクムシの着ぐるみが、私の背中を叩く。
「──妹は任せたわ!」
「……はい!」
その言葉に、妹を想うすべての気持ちが詰まっていた。
私たちがいる白黒の部屋はひび入り、かけらとなって無の空間に飲み込まれていく。
「…………すみれちゃんとはお別れね」
「えっ……」
「私たちは、そろそろ成仏するよ」
三人は立ち上がり、扉へと向かった。
「……あの子を、幸せにしてやってくれ」
「!」
「想いの強さは、時間じゃないわ。あなたは私たちと同じくらい、小可のことを大切に想っている」
「…………」
「……すみれちゃん」
グソクムシの着ぐるみが、私の背中を叩く。
「──妹は任せたわ!」
「……はい!」
その言葉に、妹を想うすべての気持ちが詰まっていた。
713: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:32:49.72 ID:XRsyzAB1.net
扉に触れると、三人の身体が薄まり、消えていった。
私の身体も、ふわふわと浮遊する。
また、輪廻に戻るのね……。
『ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!』
(クゥクゥ!?)
グソクムシが死んだショックで、我を忘れ、暴走する幼気な少女。
このままだと、取り返しのつかないことに……どうにかして止めないと……!
私は、最後の力を絞り、歌を歌った。
私の声が届いたかは、わからないけれど……。
──ぐるぐるぐる
私は流転する。
さて、次はどんな生き物になるのやら……。
私の身体も、ふわふわと浮遊する。
また、輪廻に戻るのね……。
『ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!』
(クゥクゥ!?)
グソクムシが死んだショックで、我を忘れ、暴走する幼気な少女。
このままだと、取り返しのつかないことに……どうにかして止めないと……!
私は、最後の力を絞り、歌を歌った。
私の声が届いたかは、わからないけれど……。
──ぐるぐるぐる
私は流転する。
さて、次はどんな生き物になるのやら……。
714: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:33:49.23 ID:XRsyzAB1.net
目を開くと、知らない施設にいた。
メモリから検索した結果……どうやら私は、アンドロイド……らしい。
(ギャラクシー!?)
さらにメモリを漁ると、惑星国家のことや、アンドロイドが生まれるまでの経緯もよくわかった。
このアンドロイドは、偶然か運命か、私の身体をスキャンして作られたものらしい。
(ここが惑星国家なら……いつか、クゥクゥと会うかもしれないわね)
(……いまの私に会ったら、どう思われるかしら)
怖かった。拒絶されるんじゃないかって。
…………それでもいい。
クゥクゥ。
いまはただ、あなたに会いたい。
メモリから検索した結果……どうやら私は、アンドロイド……らしい。
(ギャラクシー!?)
さらにメモリを漁ると、惑星国家のことや、アンドロイドが生まれるまでの経緯もよくわかった。
このアンドロイドは、偶然か運命か、私の身体をスキャンして作られたものらしい。
(ここが惑星国家なら……いつか、クゥクゥと会うかもしれないわね)
(……いまの私に会ったら、どう思われるかしら)
怖かった。拒絶されるんじゃないかって。
…………それでもいい。
クゥクゥ。
いまはただ、あなたに会いたい。
715: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:34:51.24 ID:XRsyzAB1.net
終章 月的結論
桜散る季節。
なまぬるい微風が、私たちの肌を撫でマス。
可可「春のにおいがしマス」
すみれ「そうね」
小高い丘の上。
となり合って座るふたりは、空に浮かぶ満月を見上げマス。
…………私には、なにも見えないデスが。
可可「……きれいデスか?」
すみれ「ええ、きれいよ。クゥクゥ」
可可「~~~! 私じゃなくて、月の話!」
すみれ「…………きれいよ、とても」
可可「……そうデスか」
桜散る季節。
なまぬるい微風が、私たちの肌を撫でマス。
可可「春のにおいがしマス」
すみれ「そうね」
小高い丘の上。
となり合って座るふたりは、空に浮かぶ満月を見上げマス。
…………私には、なにも見えないデスが。
可可「……きれいデスか?」
すみれ「ええ、きれいよ。クゥクゥ」
可可「~~~! 私じゃなくて、月の話!」
すみれ「…………きれいよ、とても」
可可「……そうデスか」
716: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:36:33.60 ID:XRsyzAB1.net
すみれの身体を求めようとすると、いつしか私の頭部は、すみれのひざに収まっていマシタ。
とても硬いひざ枕が、心地よいデス。
可可「すみれ……すみれ……」
すみれ「なあに、クゥクゥ?」
可可「……もっとすみれを感じたいデス」
すみれ「…………好きよ、クゥクゥ」
可可「はぅ……」
耳もとで囁かれ、身がぶるっとしびれマス。
可可「……もっと」
すみれ「もう、欲張りね」
可可「いいんデス。すみれを感じる時だけ、私は安心できるのデス」
可可「おっほ~。でかいの胸デェス」モミモミ
すみれ「これ、ニセモノよ?」
可可「いいんデス! すみれは、すみれデス」
すみれ「……はいはい」ナデナデ
とても硬いひざ枕が、心地よいデス。
可可「すみれ……すみれ……」
すみれ「なあに、クゥクゥ?」
可可「……もっとすみれを感じたいデス」
すみれ「…………好きよ、クゥクゥ」
可可「はぅ……」
耳もとで囁かれ、身がぶるっとしびれマス。
可可「……もっと」
すみれ「もう、欲張りね」
可可「いいんデス。すみれを感じる時だけ、私は安心できるのデス」
可可「おっほ~。でかいの胸デェス」モミモミ
すみれ「これ、ニセモノよ?」
可可「いいんデス! すみれは、すみれデス」
すみれ「……はいはい」ナデナデ
717: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:37:15.00 ID:XRsyzAB1.net
すみれ「私は機械の身体だから、ずっと17歳のままの姿なのよね」
可可「なんデスか、嫌味デスか」
すみれ「違うわよ」
すみれ「妹のほうが、私より歳上になってて驚いたわ……。なんだか、私だけ世界から取り残されてるみたい」
すみれ「……私も、クゥクゥといっしょに、歳を取りたかった」
可可「…………」
可可「私が何歳になっても、愛想つかさないでクダサイ……」
すみれ「はあ? そんなの、ありえないったらありえないから」
すみれ「もう離さないって、言ったでしょ」
可可「……はい」
すみれ「ずっと、そばにいるから」
可可「約束デスよ?」
すみれ「ええ、約束」
小指と小指が結ばれると、そのまま絡み合い、手と手でつながりマシタ。
ほどきたくても、ほどけそうにありマセン。
可可「なんデスか、嫌味デスか」
すみれ「違うわよ」
すみれ「妹のほうが、私より歳上になってて驚いたわ……。なんだか、私だけ世界から取り残されてるみたい」
すみれ「……私も、クゥクゥといっしょに、歳を取りたかった」
可可「…………」
可可「私が何歳になっても、愛想つかさないでクダサイ……」
すみれ「はあ? そんなの、ありえないったらありえないから」
すみれ「もう離さないって、言ったでしょ」
可可「……はい」
すみれ「ずっと、そばにいるから」
可可「約束デスよ?」
すみれ「ええ、約束」
小指と小指が結ばれると、そのまま絡み合い、手と手でつながりマシタ。
ほどきたくても、ほどけそうにありマセン。
718: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:38:33.29 ID:XRsyzAB1.net
すみれ「クゥクゥ」
可可「……はい、なんデスか?」
すみれ「グソクムシと冒険してたころ、ククはいつも、物語を読み聞かせてたわよね」
可可「ああ……なつかしいデスね」
すみれ「まだ最終話、聞いてないんだけど」
すみれ「ほら、『お歴々と100人の私』」
可可「……そういえばそうデスね。いろいろあって、100話目はできないままデシタ」
すみれ「ずっと、どう終わるのかが気になってたのよ。続き、聞かせて?」
可可「……あまりいい終わり方ではないデスよ?」
すみれ「それでもいいわ」
可可「……では」
可可「100人目の"私"は……すべてを知った」
可可「自分が生まれた意味も、この世界の真実も」
可可「"私"は復讐を誓い、お歴々をみんな、ころした」
可可「ころして、ころして、ころして。この世界に残ったのは、"私"ひとり」
可可「闇に染まった"私"は、空を見上げたが、そこに希望なんてなかった」
可可「"私"は最後に、自分をころした。そして世界から人間はいなくなり、本当の平和が訪れた──」
可可「……はい、なんデスか?」
すみれ「グソクムシと冒険してたころ、ククはいつも、物語を読み聞かせてたわよね」
可可「ああ……なつかしいデスね」
すみれ「まだ最終話、聞いてないんだけど」
すみれ「ほら、『お歴々と100人の私』」
可可「……そういえばそうデスね。いろいろあって、100話目はできないままデシタ」
すみれ「ずっと、どう終わるのかが気になってたのよ。続き、聞かせて?」
可可「……あまりいい終わり方ではないデスよ?」
すみれ「それでもいいわ」
可可「……では」
可可「100人目の"私"は……すべてを知った」
可可「自分が生まれた意味も、この世界の真実も」
可可「"私"は復讐を誓い、お歴々をみんな、ころした」
可可「ころして、ころして、ころして。この世界に残ったのは、"私"ひとり」
可可「闇に染まった"私"は、空を見上げたが、そこに希望なんてなかった」
可可「"私"は最後に、自分をころした。そして世界から人間はいなくなり、本当の平和が訪れた──」
719: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:39:37.71 ID:XRsyzAB1.net
すみれ「…………終わり?」
可可「はい…………」
可可「いえ! やっぱり、変えマス……」
可可「バッドエンドより、ハッピーな終わり方がいいデスから」
すみれ「そうね……」
可可「……最終話は、こうしマショウ」
可可「100人目の"私"は、すべてを知って絶望した」
可可「この世界には、自分しかいなかったのだ」
可可「人形のお歴々たちが、"私"を見下ろしている」
可可「"私"は、ひとりだった。どこに進めばいいのかもわからなかった」
可可「それでも、一歩前へと、足を踏み出した」
可可「もしかしたら、世界のどこかに、生きている人が残ってるかもしれない……」
可可「わずかな可能性を信じて、"私"は旅をはじめた」
可可「胸に灯った光は、未来を照らしている」
可可「"私"の旅は、続いていく」
可可「──いつか迎える、終着点まで」
可可「…………おしまいデス」
可可「はい…………」
可可「いえ! やっぱり、変えマス……」
可可「バッドエンドより、ハッピーな終わり方がいいデスから」
すみれ「そうね……」
可可「……最終話は、こうしマショウ」
可可「100人目の"私"は、すべてを知って絶望した」
可可「この世界には、自分しかいなかったのだ」
可可「人形のお歴々たちが、"私"を見下ろしている」
可可「"私"は、ひとりだった。どこに進めばいいのかもわからなかった」
可可「それでも、一歩前へと、足を踏み出した」
可可「もしかしたら、世界のどこかに、生きている人が残ってるかもしれない……」
可可「わずかな可能性を信じて、"私"は旅をはじめた」
可可「胸に灯った光は、未来を照らしている」
可可「"私"の旅は、続いていく」
可可「──いつか迎える、終着点まで」
可可「…………おしまいデス」
720: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:40:25.62 ID:XRsyzAB1.net
すみれ「いままでは、主人公が死んで話が終わってたけど……最後は、生きたまま続いていくのね」
可可「はいデス」
すみれ「……素敵ね、クゥクゥのお話」
可可「……デスが……ついに、終わってしまいマシタ…………」
すみれ「……だったら、また新しい物語をはじめましょう」
可可「簡単に言わないでクダサイよ……」
すみれ「ふふっ、そうね。ごめんなさい」
可可「…………また、お話を作ったら……」
可可「すみれ……聞いてくれマスか……?」
すみれ「……ええ。聞かせてちょうだい」
可可「…………はいデス」
可可「はいデス」
すみれ「……素敵ね、クゥクゥのお話」
可可「……デスが……ついに、終わってしまいマシタ…………」
すみれ「……だったら、また新しい物語をはじめましょう」
可可「簡単に言わないでクダサイよ……」
すみれ「ふふっ、そうね。ごめんなさい」
可可「…………また、お話を作ったら……」
可可「すみれ……聞いてくれマスか……?」
すみれ「……ええ。聞かせてちょうだい」
可可「…………はいデス」
721: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:41:22.80 ID:XRsyzAB1.net
可可「…………すみれ……いマスか?」
すみれ「ええ、いるわよ」
可可「……月は、きれいデスか?」
すみれ「……きれいよ」
可可「…………」
可可「好きデス、すみれ」
すみれ「……私も」
可可「……私のほうが好きデス」
すみれ「そんなわけないでしょ。私のほうが愛してるから」
可可「……私のほうが、先に好きになりマシタ」
すみれ「ほんと……? 高校時代、ずっとつんけんしてたじゃない」
すみれ「私はずっと、クゥクゥのこと、かわいいと思ってたわ」
可可「……あのころの私は素直じゃなかったんデス」
すみれ「……それでも、私のほうが早く惚れてた自信があるわ」
可可「私は、すみれと初めて会った時には惹かれてマシタ」
すみれ「じゃあ私は、入学式で見かけた時には好きだった」
可可「では、入学前から好きデシタ」
すみれ「それ、会ってすらないじゃない」
可可「……そうデシタね」
すみれ「ええ、いるわよ」
可可「……月は、きれいデスか?」
すみれ「……きれいよ」
可可「…………」
可可「好きデス、すみれ」
すみれ「……私も」
可可「……私のほうが好きデス」
すみれ「そんなわけないでしょ。私のほうが愛してるから」
可可「……私のほうが、先に好きになりマシタ」
すみれ「ほんと……? 高校時代、ずっとつんけんしてたじゃない」
すみれ「私はずっと、クゥクゥのこと、かわいいと思ってたわ」
可可「……あのころの私は素直じゃなかったんデス」
すみれ「……それでも、私のほうが早く惚れてた自信があるわ」
可可「私は、すみれと初めて会った時には惹かれてマシタ」
すみれ「じゃあ私は、入学式で見かけた時には好きだった」
可可「では、入学前から好きデシタ」
すみれ「それ、会ってすらないじゃない」
可可「……そうデシタね」
722: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:42:27.94 ID:XRsyzAB1.net
可可「…………穏やかな風が吹きマス」
すみれ「ええ……平和ね」
可可「ククは……」
可可「すみれに会えて、幸せデシタ……」
すみれ「なによ、もうお別れみたいな言い方しないでよ」
可可「…………」
可可「すみれ……」
すみれ「なに、クゥクゥ?」
可可「すみれ…………いマスか」
すみれ「ええ、いるわよ」
可可「……もっと強く、握って……」
すみれ「……ええ」
可可「…………すみれ」
すみれ「なあに?」
可可「……私のこと、好き?」
すみれ「うん、好き」
可可「ふふ……変わり者デスね……」
すみれ「やかましい。好きになっちゃったんだから仕方ないでしょ」
可可「………………すみれ」
すみれ「なあに、クゥクゥ?」
可可「…………ずっと、好きデシタ……」
すみれ「……私も、大好きよ」
すみれ「ええ……平和ね」
可可「ククは……」
可可「すみれに会えて、幸せデシタ……」
すみれ「なによ、もうお別れみたいな言い方しないでよ」
可可「…………」
可可「すみれ……」
すみれ「なに、クゥクゥ?」
可可「すみれ…………いマスか」
すみれ「ええ、いるわよ」
可可「……もっと強く、握って……」
すみれ「……ええ」
可可「…………すみれ」
すみれ「なあに?」
可可「……私のこと、好き?」
すみれ「うん、好き」
可可「ふふ……変わり者デスね……」
すみれ「やかましい。好きになっちゃったんだから仕方ないでしょ」
可可「………………すみれ」
すみれ「なあに、クゥクゥ?」
可可「…………ずっと、好きデシタ……」
すみれ「……私も、大好きよ」
723: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:43:17.17 ID:XRsyzAB1.net
すみれ「クゥクゥ」
可可「…………」
可可「……はい」
すみれ「好き」
可可「…………知ってマス」
すみれ「何度だって言うわ。大好きよ」
可可「わたしも……」
可可「…………」
すみれ「クゥクゥ……」
すみれ「私、ここにいるからね……?」
可可「…………はい」
すみれ「ちゃんと、手……つないでるから」
可可「…………はい」
すみれ「クゥクゥ」
すみれ「……クゥクゥ」
すみれ「…………」
すみれ「クゥクゥ…………」
可可「…………」
可可「……はい」
すみれ「好き」
可可「…………知ってマス」
すみれ「何度だって言うわ。大好きよ」
可可「わたしも……」
可可「…………」
すみれ「クゥクゥ……」
すみれ「私、ここにいるからね……?」
可可「…………はい」
すみれ「ちゃんと、手……つないでるから」
可可「…………はい」
すみれ「クゥクゥ」
すみれ「……クゥクゥ」
すみれ「…………」
すみれ「クゥクゥ…………」
724: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:44:19.14 ID:XRsyzAB1.net
すみれ「クゥクゥ……好き」
すみれ「かわいい顔も、かわいい声も、ちょっと生意気なところも……」
すみれ「自分の好きなものにまっすぐなところも、すぐ熱くなっちゃうところも、無鉄砲で危なっかしいところも……」
すみれ「クゥクゥのいいところも、わるいところも、ぜんぶ知ってる。それでも言うわ」
すみれ「あんたのすべてが、好きよ」
すみれ「…………」
すみれ「夜桜が、ひらひら舞い散ってるわ……」
すみれ「月も私たちのこと、照らしてくれてる……」
すみれ「……この美しさが見えないなら、私が伝えるから……あんたの目になるから……」
すみれ「だから、大丈夫よ……? 私がずっと、そばに……いるから…………」
すみれ「ねえ、クゥクゥ」
すみれ「……クゥクゥ」
すみれ「…………」
すみれ「愛してるわ、クゥクゥ」
すみれ「私のとなりにいていいのは、あんただけだから……」
すみれ「一生……忘れないから」
すみれ「クゥクゥ……。ねえ、クゥクゥ…………」
すみれ「……………………」
すみれ「クゥクゥ……」
すみれ「かわいい顔も、かわいい声も、ちょっと生意気なところも……」
すみれ「自分の好きなものにまっすぐなところも、すぐ熱くなっちゃうところも、無鉄砲で危なっかしいところも……」
すみれ「クゥクゥのいいところも、わるいところも、ぜんぶ知ってる。それでも言うわ」
すみれ「あんたのすべてが、好きよ」
すみれ「…………」
すみれ「夜桜が、ひらひら舞い散ってるわ……」
すみれ「月も私たちのこと、照らしてくれてる……」
すみれ「……この美しさが見えないなら、私が伝えるから……あんたの目になるから……」
すみれ「だから、大丈夫よ……? 私がずっと、そばに……いるから…………」
すみれ「ねえ、クゥクゥ」
すみれ「……クゥクゥ」
すみれ「…………」
すみれ「愛してるわ、クゥクゥ」
すみれ「私のとなりにいていいのは、あんただけだから……」
すみれ「一生……忘れないから」
すみれ「クゥクゥ……。ねえ、クゥクゥ…………」
すみれ「……………………」
すみれ「クゥクゥ……」
725: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:45:24.68 ID:XRsyzAB1.net
★
西暦2047年。
ふかふかベッドの上。母と娘がとなり合って、くつろいでいる。
就寝前の娘は、母にねだった。
「おかあさん。またあのおはなし、きかせて!」
「ええ、いいわよ。ほんとに好きね、このお話」
「だって、このおはなしするとき、おかあさんうれしそうだもん!」
「……ええ、そうね」
「お母さんの、大切な人のお話だから」
母は、娘の頭に手を乗せた。そして、豊満な胸にたぐり寄せる。
母は目を閉じて、愛する娘に、物語を読み聞かせた。
西暦2047年。
ふかふかベッドの上。母と娘がとなり合って、くつろいでいる。
就寝前の娘は、母にねだった。
「おかあさん。またあのおはなし、きかせて!」
「ええ、いいわよ。ほんとに好きね、このお話」
「だって、このおはなしするとき、おかあさんうれしそうだもん!」
「……ええ、そうね」
「お母さんの、大切な人のお話だから」
母は、娘の頭に手を乗せた。そして、豊満な胸にたぐり寄せる。
母は目を閉じて、愛する娘に、物語を読み聞かせた。
726: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:46:31.92 ID:XRsyzAB1.net
『 』
昔々、ほろびた地球に、ひとりの女の子が落ちてきました。
女の子は、頭に"環"が回っている、とてもかわいらしい子でした。
だけど、女の子は、目が見えませんでした。なので、自分がどこにいるのかもわかりません。
そんな彼女のもとに、一匹のグソクムシがやってきました。
女の子は、グソクムシとともに、ほろびたこの星で、バンガッテ生き続けました。
ある時、女の子は地下に降りました。
地下では、なつかしい友だちに会いました。
再会をよろこぶ女の子は、地下に住む人たちにも笑顔を届けるため、たくさん歌いました。
だけど彼女は、地下から出て行くことになりました。
地上で再び、グソクムシとふたりで暮らすことになるかと思いきや、なんと!
今度は、宇宙に行くことになりました。
宇宙は、とても危険な場所でした。
グソクムシが女の子をまもり、亡くなってしまいました。
女の子はとても悲しみましたが、宇宙で再会した友だちとともに、前を向いて歩き出すことにしました。
それから、女の子は世界を救うために、仲間たちと歌を歌いました。
宇宙に、9人の歌が響きました。
地球に戻ってきた、女の子たちは、それぞれの道へと進みました。
女の子は、愛する人とともに、生きることにしました。
地下から出てきた人々と協力して、まんまるな街を作り、そこに住むことになった女の子と恋人。
すると、女の子のことをよく知る人たちが、その功績をたたえ……。
その街には、彼女の名前がつけられることになりました。
昔々、ほろびた地球に、ひとりの女の子が落ちてきました。
女の子は、頭に"環"が回っている、とてもかわいらしい子でした。
だけど、女の子は、目が見えませんでした。なので、自分がどこにいるのかもわかりません。
そんな彼女のもとに、一匹のグソクムシがやってきました。
女の子は、グソクムシとともに、ほろびたこの星で、バンガッテ生き続けました。
ある時、女の子は地下に降りました。
地下では、なつかしい友だちに会いました。
再会をよろこぶ女の子は、地下に住む人たちにも笑顔を届けるため、たくさん歌いました。
だけど彼女は、地下から出て行くことになりました。
地上で再び、グソクムシとふたりで暮らすことになるかと思いきや、なんと!
今度は、宇宙に行くことになりました。
宇宙は、とても危険な場所でした。
グソクムシが女の子をまもり、亡くなってしまいました。
女の子はとても悲しみましたが、宇宙で再会した友だちとともに、前を向いて歩き出すことにしました。
それから、女の子は世界を救うために、仲間たちと歌を歌いました。
宇宙に、9人の歌が響きました。
地球に戻ってきた、女の子たちは、それぞれの道へと進みました。
女の子は、愛する人とともに、生きることにしました。
地下から出てきた人々と協力して、まんまるな街を作り、そこに住むことになった女の子と恋人。
すると、女の子のことをよく知る人たちが、その功績をたたえ……。
その街には、彼女の名前がつけられることになりました。
727: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:47:49.36 ID:XRsyzAB1.net
娘は言った。
「このコロニーのことだよね!」
母は応える。
「ええ、そうよ」
「私の大切な人の名前がつけられた、この街の名は──」
…………。
…………。
未来を夢見た人類は、世界中にドーム型のコロニーを建設し、そこで生活するようになった。
そのうちのひとつ。かつて、東京と呼ばれた場所にあるコロニー。
その中央には、でかいの墓標が屹立している。
墓標には、コロニーの区長によって、文字が刻まれていた。
私の親友 グソクムシ
旅の終着点にて眠る。
…………。
…………。
「このコロニーのことだよね!」
母は応える。
「ええ、そうよ」
「私の大切な人の名前がつけられた、この街の名は──」
…………。
…………。
未来を夢見た人類は、世界中にドーム型のコロニーを建設し、そこで生活するようになった。
そのうちのひとつ。かつて、東京と呼ばれた場所にあるコロニー。
その中央には、でかいの墓標が屹立している。
墓標には、コロニーの区長によって、文字が刻まれていた。
私の親友 グソクムシ
旅の終着点にて眠る。
…………。
…………。
728: 名無しで叶える物語 2022/12/31(土) 22:48:52.20 ID:XRsyzAB1.net
ガチャ。玄関から音が聞こえた。
音の主は、灰色の髪を乱し、ふらふらと壁伝いに歩いてくる。
「ただいまデスー」
「あ、おかあさん、かえってきた!」
「こーら。あなたは早く寝るのよ」
「はーい……。じゃあ、おはなしのつづきして!」
「はいはい」
母は、金糸の髪を揺らした。
「──ここは、クク統治区よ」
「くぅくぅ土星論」 完
音の主は、灰色の髪を乱し、ふらふらと壁伝いに歩いてくる。
「ただいまデスー」
「あ、おかあさん、かえってきた!」
「こーら。あなたは早く寝るのよ」
「はーい……。じゃあ、おはなしのつづきして!」
「はいはい」
母は、金糸の髪を揺らした。
「──ここは、クク統治区よ」
「くぅくぅ土星論」 完
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