2: 名無しで叶える物語◆HPLDBbGW★ 2026/01/17(土) 00:44:34 ID:???00
アタシにはどうしても辞めることのできないものがこの世の中に3つある。
1つは、ゲーム。
これはアタシの周りの人たちなら誰でも知っていることだろう。
学生チャンピオンの経験もありアタシのゲームに懸ける想いは誰にも負けないと自負している。
2つ目は、るりちゃんせんぱい及びめぐちゃんせんぱいの追っかけ。
これもスクールアイドルクラブのみんななら全員知ってること。めぐちゃんせんぱいが卒業して間もない頃、部室にめぐちゃんせんぱいの写真を立てて拝んでいたくらいである。
そして3つ目。
これは誰にも話したことはないしとてもじゃないけど口にできないことなんだけど、吟子ちゃんの困り眉をこっそりと観察することである。
吟子ちゃんには大変申し訳ないとは思ってる。思ってるんだけど吟子ちゃんの困り眉って本当に可愛いんだよねぇ~。何度見ても飽きないというか、最低1日1回は見たくなっちゃう。いつの間にか吟子ちゃんの困り眉を見ないと生きていけない身体にされてしまったらしいアタシ…。

3: 名無しで叶える物語◆HPLDBbGW★ 2026/01/17(土) 00:45:35 ID:???00
「……姫芽? さっきから、何?私の顔に何かついてる?」

授業の合間の休み時間。
吟子ちゃんと席が近いアタシはそんなことを考えながらずっと吟子ちゃんの顔を凝視していたらしい。アタシの視線に気がついた吟子ちゃんが若干困惑気味に尋ねてくる。

……

これこれ、これだよ。
この眉尻が少しだけ下がって守ってあげたくなるような表情なんだよねえ…
でも恥ずかしいし吟子ちゃんも拗ねちゃうだろうから黙っておく。

「ううん、何でもないよ~」ニヤニヤ
「ニヤニヤして何なん?」

あ、もっと眉尻が下がった。
眼福眼福~

4: 名無しで叶える物語◆HPLDBbGW★ 2026/01/17(土) 00:47:59 ID:???00
「……」ジトメ

あ、吟子ちゃんがジト目になった。
この表情も可愛いんだよねえ…

「いや本当に何でもないよ~。しいて言えば今日も吟子ちゃんは可愛いなって思って」
「また適当なこと言って。……あんまり見られると、落ち着かない////」

あ、困り眉のまま照れた。
何これすっごく可愛いんだけど。

「~~~~~~~」クネクネ
「本当になんなん…」
「……姫芽、さっきから様子おかしいって」
「え~? そんなことないよ~?」
「……」ジトメ

5: 名無しで叶える物語◆HPLDBbGW★ 2026/01/17(土) 00:50:31 ID:???00
そう言いながらも、吟子ちゃんから目を逸らせないアタシ。
だって今、吟子ちゃんは 困り眉+照れ+ジト目 という最強コンボを繰り出してきているわけで。
こんなの耐えろって方が無理でしょ。

「……ほんとに、なんでそんなに見てくるの」
「だってぇ」
「だってなに…」
「んん~」
「誤魔化さないでほら、白状したら?」

さてどうしたものかと考えたときにちょうど都合よく次の授業の開始を知らせるチャイムが鳴り会話はここで終了した。
助かったぜ~
吟子ちゃんは相変わらずアタシのことを見つめてきたけどしばらくしてようやく諦めてくれたらしく小さくため息を一つつくとアタシへの追及をやめた。

6: 名無しで叶える物語◆HPLDBbGW★ 2026/01/17(土) 00:52:39 ID:???00
―――――夜 姫芽の部屋―――――

今日は危ないところだったなあ~
でも吟子ちゃんの可愛い顔が見れてよかったよふへへへ~

なんて思いながら寛いでいるとノックの音が。

コンコン

「姫芽。いる?」

「おわっ、吟子ちゃん」アタフタ

「今ちょっと時間ある、かな?」

うっすらと吟子ちゃんの用事は分かっていた。
また追及されたらアタシはどう対処すればいいのやら…
とはいえ吟子ちゃんを無視はしたくないので、とりあえず部屋に入れる。

7: 名無しで叶える物語◆HPLDBbGW★ 2026/01/17(土) 00:59:34 ID:???00
「はい、お茶。コーヒーじゃないけど…」
「あんやと」

アタシの入れたお茶を一口飲む吟子ちゃん。

「それで、姫芽。昼間はどうしたの?」

いきなり本題に入る吟子ちゃん。

「……やっぱり、その話になるよね~」
「なるよ。あれだけ見られたら」
「そ、そっか~……」

逃げ道を探すように視線を彷徨わせるけど、吟子ちゃんは逃がしてくれない。
こういう時の吟子ちゃん、静かだけど圧が強いんだよね。

8: 名無しで叶える物語◆HPLDBbGW★ 2026/01/17(土) 01:06:14 ID:???00
「姫芽」
「は、はい」
「教えてくれないの…?」

吟子ちゃんその言い方はずるいよ~

「怒らない…?」
「怒らないから、ほら…」
「絶対に絶対に~?」
「ああもう、いじっかしい。怒らないから早く言う」

吟子ちゃんがそこまで言うなら…

「えっと、その。吟子ちゃんの眉がですね…」
「私の眉がなんなん…」

あ、また困り眉をした。
可愛い。
じゃなくって…

9: 名無しで叶える物語◆HPLDBbGW★ 2026/01/17(土) 01:12:20 ID:???00
「吟子ちゃんの困り眉が、可愛くて好きなんだよね…」
「…………」
「…………」

沈黙。
非常に気まずい……
カチ、という時計の音がやけに大きく聞こえる。
何秒経っただろうか、あるいは何分経っただろうか。
吟子ちゃんが口を開く。

「……困り眉、が?」
「うん」
「私の?」
「そう」
「……顔の?」
「うん」
一つ一つ確認するように聞いてくる吟子ちゃんに、アタシは全部正直に頷く。

10: 名無しで叶える物語◆HPLDBbGW★ 2026/01/17(土) 01:16:03 ID:???00
「可愛いな~って思って」
「ずっと見てたいな~って思って」
「見てたら幸せだな~って……」

そこまで言ったところで、吟子ちゃんの顔がみるみる赤くなっていく。

「な、ななな……//」
「……」

両手で顔を覆いながら、吟子ちゃんが俯いた。
そして――

「……変態。だらぶち…//」
「ひどっ!?」
「そんな理由で、あんなに見てたん……?//」

声は小さいけど、耳まで真っ赤だ。

11: 名無しで叶える物語◆HPLDBbGW★ 2026/01/17(土) 01:20:33 ID:???00
やばい。
今、過去最高に可愛い。

「だ、だってさぁ」
「だってなに…」
「吟子ちゃんの困り眉って、なんか守りたくなるっていうか。放っておけないっていうか」
「……」ジトメ
「見てると落ち着くっていうか……」
「や、やめて……」
「可愛い」
「なんなん本当に//」

12: 名無しで叶える物語◆HPLDBbGW★ 2026/01/17(土) 01:24:49 ID:???00
「……吟子ちゃん?」
「……」

そっと声をかけると、ゆっくりこちらを向いた。

「……姫芽」
「は、はい」
「……ずるい」
「え?」
「そんなこと言われたら……」
「吟子ちゃん?」
「意識、するに決まってるでしょ……」

ぷい、と顔を逸らす吟子ちゃん。
もちろん困り眉のまま。

「……だから」
「……?」
「これから、あんまりジロジロ見ないで」

13: 名無しで叶える物語◆HPLDBbGW★ 2026/01/17(土) 01:29:19 ID:???00
吟子ちゃんから禁止されてしまった……
アタシは、これからどうすればいいんだろうぅ~~~

「でも」ボソッ
「ん?」
「どうしても、って時は……」
「うん?」
「……一言、可愛いって言ってからにして」

一瞬、理解が追いつかなかった。

「……それって」
「もう、察しなさい……!」

吟子ちゃんは完全に顔を真っ赤にして、困り眉のまま睨んでくる。
最高で最強…

14: 名無しで叶える物語◆HPLDBbGW★ 2026/01/17(土) 01:31:14 ID:???00
「……吟子ちゃん」
「なに…」
「やっぱり今日も可愛いね」
「~~~~~っ////」

バシッ、とクッションで叩かれたけど、全然痛くない。
ああもう。
これだからやめられないんだよね。
吟子ちゃんの、困り眉観察。


おしまい

引用元: SS 姫芽「吟子ちゃんの困り眉が見たくて」