1: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:00:00 ID:???00
※蓮ノ空× アニメ 少女⭐︎歌劇レヴュースタァライトの世界観
元ネタに忠実だったり改変してたり

(スタァライトでは“キラめき”表記のところ、SS内では蓮ノ空準拠の“きらめき”に統一しています)

2: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:01:00 ID:???00
泉「──戯曲『スタァライト』は、一言で言えば、“悲劇”だ」

泉「その8人の物語は、どうしようもなく私達を虜にする」

泉「その8人の歌は……どうしようもなく私達を駆り立てる」

泉「…………だけれどね、セラス」


泉「その舞台に、貴女は立つべきではないんだよ」

3: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:02:00 ID:???00



第一話 舞台少女 = スクールアイドル



.

4: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:03:00 ID:???00
セラス(最近、泉の様子がおかしい)

泉「……zzz」

セラス「あれ、泉。またメニュー見ながら、寝ちゃったの?」ユサユサ

泉「ん……? ああ……すまない。少し寝不足でね」フワァ

セラス「えっ、泉、あんまり眠れてないの? 何かあった?」

泉「いや……そうじゃない。大丈夫、セラスは気にしないでくれ」ニコッ

セラス「…………ふーん……」ジトー

セラス(怪しい……)

5: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:04:00 ID:???00
────

セラス(──と、いうわけで)ザッ…

セラス(なんか不満だったので、思い切って泉を尾行することにしました。セラス 隠密 忍者フェルトです……)キリッ

セラス「……なーんて。どうせ泉の事だし、実は隠れてパック牛丼食べに行ってましたとかでしょ、きっと」

セラス(もしそうなら、それはそれで……わたしにまで隠すのは、泉のクセに癪だけど……)ムムム

6: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:05:00 ID:???00
セラス「さーて、と。確か泉はこっちの方に……って。……え?」

セラス(泉を追った先、そこには──古い“エレベーター”)

セラス「は? こんなの、蓮ノ空に置いてあったっけ?」

ポチッ

セラス「? あれ──」

セラス(地下を示す下矢印のボタン。それを何気なく押した瞬間、身体がフワッと浮くような錯覚……これ、は)

ガタン…‼︎

セラス「え、エレベーターが…………“落ちてる”──!??」

ガタガタガタ‼︎ ……

────

──

7: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:06:00 ID:???00
セラス「──…………ここ、は」キョロキョロ

セラス「…………客席??」

パッ‼︎

セラス「!? な、何ごと……!? ステージに、スポットライトが……」チラッ

セラス「…………え?? あれ、って──さやか先輩!?」



さやか「背負う期待を炎に変えて、応えてみせます今のわたしで!」

ザッ…‼︎


さやか「──103期生、村野さやか。どこまでも高く、遠く、もっと!」

8: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:07:00 ID:???00
セラス「……は??? なんで、さやか先輩がここに……? というか、泉は何処……??」

パッ‼︎

セラス「!?」



泉「伝え合おう、この劇場で情熱を。見届けてくれ、私の生き様」

シャキン…バッ‼︎


泉「──104期生、桂城泉。……溶融飛灰のような日々は、まだ、期待に震えている」

9: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:08:00 ID:???00
セラス「え、えええぇぇ!?!?? い、泉まで、ステージの上に……!?!?」

セラス(青い上掛けが付いた衣装に、スクールアイドルのアイコンにもある細長い槍……なんで、泉が、そんなものを)

『 それでは、オーディション1日目 』

『 “情熱のレヴュー”を始めます 』

『トップスタァを目指して、歌って、踊って』



『──奪い合いましょう』

10: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:09:00 ID:???00
…キィン‼︎

さやか「──はぁっ!!」

泉「! ぐっ……!」



セラス「は? えっ?? な、なんで、さやか先輩がレイピアを持って、いきなり泉を襲って──」

『──レヴューはすでに、始まっているからですよ』

セラス「!? だ、誰!?」

『わかります。目が、離せませんよね』

セラス「……え」

『あれこそ、レヴュー。歌とダンスが織りなす魅惑の舞台……舞台少女が作り上げる芸術!』

11: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:10:00 ID:???00
セラス「……えっと? レヴュー……??」

『そう。最もきらめいたレヴューを魅せてくれた方には、“トップスタァ”への道が、開かれるでしょう……』

セラス「? よく分かんないけど……それがいま、泉が立ってる、このステージでの……」

『オーディション、ですよ。上掛けが落ちればレヴュー終了』

セラス「…………どうして、それに泉とさやか先輩が」

12: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:11:00 ID:???00
『舞台上できらめく、舞台少女。──それは“きらめき”を持つスクールアイドルも、同じですから』

セラス「きら、めき……」チラッ



さやか「……泉さん。わたしは、貴女を尊敬しています」スッ…

さやか「“情熱”を手にするために答えを模索し、下した決断。貴女が蓮ノ空でソロのスクールアイドルになる……その勇気自体は、嬉しいことです」

泉「…………さやか先輩」

さやか「──でも!」バッ

キン…‼︎

泉「……っ!?」

さやか「その言葉だけじゃ……叶わないんですよ!」



さやか「──待っているだけじゃ、何も、変わらない!!」バッ


 ♪ Runway
https://www.youtube.com/watch?v=8gg7UjisT1k

13: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:12:00 ID:???00
『あちらの、村野さやかさん。彼女が持つような……みずいろの“きらめき”。あれこそ、わたしが観たいものです』

セラス「……それって、スクールアイドルの…………きらめいてる姿が、観たいってこと?」

『ええ。そう、わたしは、きらめいている舞台少女が観たい……!』

『……ただ、それだけです』

セラス「……」

『オーディション、貴女も参加しますか?』

セラス「…………わたしは──」

14: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:13:00 ID:???00
─キン…‼︎‼︎

セラス「……!」

セラス(──舞台に、恐怖を感じてしまった)

シュッ…ピタ

泉「! っ……」ビクッ

セラス「…………あ。……い、泉!?」

セラス(さやか先輩の持つレイピアが、泉の首元に、上掛けの留め具に、差し迫って)

さやか「ふぅ。そろそろ終わりにしましょうか。貴女1人の“情熱”では、わたしには届きません」

泉「……さやか、先輩」

さやか「…………ごめんなさい、泉さん」スッ



さやか「“きらめき”を、届けたいから──」

15: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:14:00 ID:???00
…キィィィン‼︎!

セラス「あ……」

セラス(呆気なく、何かが、弾けとんだ音)

泉「……」

ファサッ…

セラス(さやか先輩によって泉の上掛けが……落とされ、た)


ザッ…‼︎


さやか「──ポジション・ゼロ」


『オーディション1日目、終了します』

16: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:15:00 ID:???00
────

──蓮ノ空、夜の中庭にて


セラス「──! 泉、居た!」

泉「……セラスか。こんな夜遅くに、わざわざ私を探していたのかい?」

セラス「あ、当たり前でしょ! だって、さっきのオーディション……」

泉「…………セラスのことだ。どうせ、私を追いかけて観ていたんだろう? 私は、負けてしまったんだ」

セラス「泉……」

泉「詳しく気になるかもしれないが、このオーディションは他言無用でね。……関わらないほうがいい」

セラス「で、でも──」

泉「──戯曲『スタァライト』は、一言で言えば、“悲劇”だ」

17: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:16:00 ID:???00
泉「その8人の物語は、どうしようもなく私達を虜にする」

泉「その8人の歌は……どうしようもなく私達を駆り立てる」

泉「…………だけれどね、セラス。その舞台に、貴女は立つべきではないんだよ」

セラス「……スタァ、ライト?? それって……何? じゃあ、どうして泉もさやか先輩もあの舞台に……」

泉「勝てば、運命の舞台に立ち、時を越えて永遠に輝くことさえも出来る、そんなたった1人の“トップスタァ”になれる……」

泉「──だが。もし負ければ、舞台少女は一番大切なものを失うんだ。このオーディションは、ね」

セラス「……え?」ピタ

泉「もしも、参加するというのなら。貴女はその覚悟があるのかい? ……セラス」

セラス「…………」

セラス「わたし、は──」


第一話 終

18: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/06(金) 19:16:19 ID:???00
次回 第二話 太陽であれ!
   →2/7 21:00

19: 名無しで叶える物語◆U5AKqBFq★ 2026/02/06(金) 19:17:09 ID:???MM
スタァライト好きなので嬉しい

20: 名無しで叶える物語◆3bhRA6nK★ 2026/02/06(金) 19:43:46 ID:???00
期待

21: 名無しで叶える物語◆z7skLWv6★ 2026/02/06(金) 19:50:29 ID:???Sd
ᶘバ^⇁^ナ川

22: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:00:00 ID:???00
小鈴「えーっと……」

セラス「どうなんですか、小鈴先輩。知ってるんですよね?」

小鈴「な、何のことだか、徒町はサッパリ……」

セラス「エレベーター……地下で行われる極秘オーディション……」ボソボソ

小鈴「えっ、どうしてセラスちゃんがそれを!?!???」ガタッッ

セラス「その反応、絶対知ってるやつじゃないですか」

23: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:01:00 ID:???00



第二話 太陽であれ!



.

24: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:02:00 ID:???00
小鈴「……あ。し、しまっ……」

セラス「小鈴先輩……」ジトー

セラス(さやか先輩が参加してるのに、小鈴先輩が出てないわけがない。そう思ってカマをかけたけど……)

セラス「本当、嘘つくの向いてないですよね。他言無用らしいのに、後輩に全部言っちゃうくらいですもん」

小鈴「それは、その!」

小鈴「クラブの皆、徒町と同じく招待メールが届いてるみたいで……セラスちゃんにだけ隠し事するのも、徒町は心苦しく……」

セラス「……えっ?」ピタ

25: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:02:59 ID:???00
セラス「待ってくださ……え、メールって何ですか?」

小鈴「え? ……あ! き、聞かなかった事には……」

セラス「いやいやいや無理ですよ、流石に!?」ブンブン

セラス「このセラス、大好きな小鈴先輩のことはもちろん大尊敬大リスペクトしてますけど……誤魔化されるのは、ちょっと」

小鈴「!」

26: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:03:59 ID:???00
小鈴「そう、だよね。…………ごめん。徒町、セラスちゃんの先輩なのに、らしくなかったかも」シュン

セラス「……? えぇと……?」

小鈴「先輩に何か隠されるのは……誤魔化されるのは、すっごく辛いって。最近の徒町自身、それを身をもって知ってるんだ」

小鈴「……だから! 徒町が話せる範囲でよければ、セラスちゃんに何でも伝えるよ!」グッ

セラス「えっ、なんと!! さ、さすが小鈴先輩……!」パァァ

小鈴「うん! まずそもそも、あのオーディションは『選ばれた舞台少女によるレヴュー』でね。だから参加者にだけメールが──」


ガチャ


さやか「──小鈴さん、ここに居たんですね」

27: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:05:00 ID:???00
小鈴「あ、さやか先輩!」

セラス「……!」

セラス「…………さやか、先輩。こんにちは」ペコリ

さやか「おや。こんにちは、セラスさん。……今日は、泉さんと一緒ではないんですか?」

セラス「い、泉はその…………なんか最近、寝不足だったみたいなんで! だからえっと、今日は寝かせてきました」

さやか「そう、ですか。お大事に、と伝えておいてください」ニコッ

セラス「…………はい」

セラス(昨晩、舞台の上であんなにも泉と激しく戦っていたさやか先輩。……昨日のことはどう思っているんだろう)

小鈴「……」ジー

さやか「さて。では小鈴さん、今日もダンスレッスンを──」


~~♪♪


小鈴「──!!?」

さやか「……!」

28: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:06:00 ID:???00
セラス「? 着信音……?」

さやか「……」ジー

さやか「……こほん。あの、小鈴さん」チラッ

小鈴「え? あ! は、はい!」

さやか「今日の練習、お休みにしましょうか。夜半前に少し、用事ができてしまいましたので」

小鈴「そ、そう……ですね! 徒町も、それがいいと思います!」

さやか「ええ。……よろしくお願いしますね、小鈴さん」ニコッ

ガチャ

バタン…

29: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:07:00 ID:???00
セラス「……あの、小鈴先輩。もしかして」

小鈴「うん。今日のオーディションの相手、今ちょうど発表されて……徒町の相手、さやか先輩だったんだ」

セラス「! さやか、先輩が──」

セラス(──途端に、昨晩の舞台がフラッシュバックした。無慈悲に刃を突きつけるさやか先輩の姿、……あれが、また?)

小鈴「だから、ごめんセラスちゃん! 徒町も、オーディションに参加して、さやか先輩に会いに行かなきゃ……」スタッ

セラス「ま……待ってください、小鈴先輩!」ギュッ

小鈴「!?? セラスちゃん!?」

セラス「…………どうして、そんなに、小鈴先輩は……」ギュッ…

小鈴「……?? セラス、ちゃん?」

30: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:08:01 ID:???00
セラス(これは、小鈴先輩への心配、なのかな? それとも……。不確かな感情が混ざったまま、言葉が、勝手に飛び出していく)

セラス「…………小鈴先輩はどうして……どうして、あのオーディションに参加してるんですか?」

小鈴「……! ……それは」

セラス「だって、あんな危険な舞台、レヴューとやらに小鈴先輩がチャレンジする意味なんて……ないですよ」

セラス(オーディションに参加する“覚悟”。わたしは昨晩、泉からのその問いに答えることが出来なかった)

セラス(武器を持って舞台に立つ自分自身。そんなの想像もできない。ステージに1人で上がることは……どうしても、怖いから)

31: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:09:00 ID:???00
小鈴「……」

小鈴「……このレヴューは今だけしか、あそこでしか立てないステージ。徒町には、どうしても立ちたい舞台があるから、かな」ポツリ

セラス「! …………小鈴先輩が、立ちたい舞台」

セラス(それを……、もし、知ることが出来たなら)

セラス「……」

小鈴「えっと……セラスちゃん?」

セラス「…………あの、小鈴先輩。もしよければなんですが」

小鈴「?」


セラス「わたし今日、観に行ってもいいですか? 小鈴先輩のレヴュー」

32: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:10:00 ID:???00
────

──

セラス「寒……」ブルブル

『今日もまだ、貴女は観客ですか?』

セラス「えっ、はい。だって、小鈴先輩の転んでもすぐ立ち上がり、失敗することを恐れないあの姿、めちゃ推せるので……!」

『わかります。今日のオーディションも楽しみですね』

セラス「……」

『どうか、されましたか?』

セラス「……ねぇ、一個質問していい?」

『ええ』

セラス「なんで、わたしはここに来れたの?」

33: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:11:00 ID:???00
『と、いうと?』

セラス「小鈴先輩が言ってた。メールで事前に招待されていたのは“選ばれた舞台少女”だ、って」

セラス「……それなら。招待されていないわたしが、観客としてここに来れた理由は、何?」

『ふむ……わかります。貴女が初めからオーディションに選ばれてはいない理由が、わたしには』

セラス「…………それは?」

『貴女は、1人で“きらめき”を作り出すタイプとは、少し違う。真にスクールアイドルですから』

セラス「……」

『そんな貴女が最高のタイミングで舞台に上がることを、わたしは観たい。ただ、それだけです──』

パッ‼︎



さやか「背負う期待を炎に変えて、応えてみせます今のわたしで!」

ザッ…‼︎


さやか「──103期生、村野さやか。どこまでも高く、遠く、もっと!」

34: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:12:00 ID:???00
小鈴「よーし……徒町も!」

パッ‼︎

小鈴「心に輝く勇気のバッジ! かちまちチャレンジの合図はちぇすとー!」

ドンッ…‼︎


小鈴「──104期生、徒町小鈴! 決めるのは、自分だ!!」



『 それでは、オーディション2日目 』

『 “渇望のレヴュー”を始めます 』

『トップスタァを目指して、歌って、踊って』



『──奪い合いましょう』

35: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:13:00 ID:???00
小鈴「先手必勝!! ちぇすとーーー!!!!」タッタッタッ

ザッ…‼︎

さやか「重くて短い、斧……ですか。小鈴さんらしい“きらめき”ですね」クスッ

小鈴「……ありがとうございます、さやか先輩! ……やぁッ!!」

ドシンッ…‼︎

さやか「……っと。そんなんじゃ、当たりませんよ。それどころか……」

小鈴「え? わ、わぁ……!?」ズテッ

36: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:14:00 ID:???00
セラス「……え!? 小鈴先輩、あれじゃ転んで進めない……!」

セラス(眼下に見えるのは──“スケートリンクのような氷の舞台”)

セラス「あんなにツルツルな舞台、昨日まではなかったのにどうやって……」

『──舞台少女の“きらめき”に、舞台は応じてくれます』

セラス「!」

『照明装置、音響機構、舞台機構……! このステージは、舞台少女の“きらめき”……それによって動き出すのです』

セラス「……そっか。だから、あんな風に氷のステージに……さやか先輩の“きらめき”が?」

『わかります。観客として考察するその気持ち』

37: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:14:59 ID:???00
バッ…‼︎

セラス「!」

セラス(スポットライトがさやか先輩を捉えて……この舞台の主役が、移り変わる)



シュッ…

さやか「小鈴さん。どうして、このオーディションに参加を……貴女が望むものは、ここにはありませんよ」スッ

小鈴「……」

さやか「さぁ、お引き取りを。貴女にしかない、貴女だけの“きらめき”を、こんなことに使っていいわけありません」

─キンッッ……‼︎

さやか「!」

小鈴「──違う!」バッ

38: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:16:00 ID:???00
さやか「……何が、ですか?」

小鈴「さやか先輩の言い分が、ですよ! 徒町がオーディションに出ちゃいけないなら、なんでさやか先輩はここに居るんですか!」

さやか「それは……、……まだ、言えません」

小鈴「じゃあ、一体いつになれば、さやか先輩は徒町に全部言ってくれるんですか?!」

さやか「…………」

小鈴「そう、ですよね。 ……徒町も、わかってるんです」

小鈴「今のままじゃ、さやか先輩に信頼してもらえない……徒町は、追いつけないって……!」

小鈴「渇望して努力して、それでも、徒町はこのままじゃ何者にもなれないんだって!!」

さやか「…………ッ!」

小鈴「あぁ、どうして、こうも悔しいんだ……階段をのぼったところで、太陽には遠く及ばない──」



小鈴「──“翼”が欲しい!!」


 ♪ 太陽であれ!
https://www.youtube.com/watch?v=RPhEisXCYFY

39: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:17:00 ID:???00
カラカラカラ…‼︎

セラス「!?」

セラス(天井のワイヤーが勢いよく回転して、小鈴先輩が──空を、翔んだ!?)



小鈴「──茜空を、翔ける、鳥のようにッ!!!」バッ‼︎

さやか「……っ! わたしが歌う、パートまで……」



セラス(ライブの空中演出のように、舞台少女がワイヤーで中空を翔ぶ。重い斧を振り回して、さやか先輩に上から──)

セラス「っ……!」



小鈴「ちぇすとーーーーー!!!!!」ブンブンブン


ドカァァン…‼︎

40: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:18:00 ID:???00
さやか「っ…………、……え?」キョロキョロ

さやか「傷ひとつない……まさか、この状況で攻撃を外した……?」

小鈴「──手を、伸ばせ!!」グッ…

さやか「! 刺さった斧を足掛かりに……しまっ!?」

小鈴「徒町はっ! さやか先輩と一緒のステージに立つことを、何より“渇望”している……ただ、それだけだッ!!」バッ‼︎



小鈴「自分らしい、太陽で、あれ──」



プツン…!

41: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:19:00 ID:???00
さやか「……!」

ファサッ…


ザッ…‼︎


小鈴「──ポジション・ゼロ!!」


『オーディション2日目、終了します』

42: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:20:00 ID:???00
────

──

セラス「すごかったなぁ、今日の小鈴先輩……」ポツリ

『わかります。感想戦ですね』

セラス「良いレヴューだったよね。小鈴先輩の感情が、セリフに全部乗ってて……そっか、これが舞台なんだ」

セラス(……今なら、わかる。小鈴先輩がこのオーディションに参加している理由。立ちたい舞台のことが)

セラス(“後悔したくないから”、だ。さやか先輩と真っ向からぶつかりあうことが出来る、ただそのための舞台……)

セラス「……あれ?」ピタ

セラス(じゃあ、さやか先輩の方は? どうして先輩は、このオーディションに参加しているんだろう……)

43: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:21:00 ID:???00
『あれこそ、スクールアイドル特有の、未完成でも熱を持った者が作り出す芸術なのでしょう。わかります』

『普通の喜び。女の子の楽しみ。全てを焼き尽くし、遥かな“きらめき”を目指す……そう、それがスクールアイドル、舞台少女!』

セラス「……ねぇ」

『なにか?』

セラス「泉が言ってた……スタァライトっていう、戯曲? があるんだよね」

『その通り。スタァライトは、8人の女神達による物語……今回のこのレヴューの下地とも言えるでしょう』

セラス「……それなら」

セラス(わたしは知らなくちゃいけない。さやか先輩の目的、泉が隠している秘密、それから……この、オーディションについても)



セラス「8人目のキャスト、まだ、空いてる?」


第二話 終

44: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/07(土) 21:21:19 ID:???00
次回 第三話 Edelied
   →2/8 21:00

47: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 20:59:59 ID:???00
セラス「いーずみ」ヒョコ

泉「! ……なんだ、セラスか」

セラス「なんだ、は酷くない? あ、そうだ」

セラス「昨日のオーディション、泉はどうだったの? お休みだった?」

泉「…………その件は他言無用だと、私以外の存在にもそう言われなかったかい?」

セラス「レヴューの感想を話してたら、盛り上がっちゃって。なんか、気づいたら有耶無耶になってた」

泉「何故アレと仲良くなっているんだ」

48: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:01:01 ID:???00



第三話 Edelied



.

49: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:01:59 ID:???00
────

──蓮ノ空 レッスンルーム


セラス「まぁ、それはそれとして。……泉」

セラス「今日もあるんでしょ? 地下での、オーディション」

泉「……! ……誰にそれを聞いたんだい?」

セラス「ふふ。今まさに横ですごい悲鳴をあげてる、太陽みたいな先輩が、教えてくれたの」クスッ



小鈴「ああああぁ……! さ、さやか先輩! 今日は徒町、朝からヘトヘトで……!」

さやか「わたしはクタクタでも起きましたよ。……夜に備えて、せめてマッサージくらいはしておきましょうね」ギュー

小鈴「ふぁい…………あ、そこ気持ちいいれす……」グデー

50: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:03:00 ID:???00
泉「……」

セラス「一度負けても、終わりじゃないんだよね。だって今日の小鈴先輩の相手は──泉、なんだから」

泉「…………。セラス、貴女は関わるべきじゃないと言っただろう」

泉「観客気分ならば、もうこのオーディションの事を詮索するのは止めて──」

セラス「──観客じゃ、なければいいの?」

泉「!」

51: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:03:59 ID:???00
泉「それは……、……」

泉「……いいや、違う。舞台の上に“トップスタァ”は1人」

泉「そう最初から、決められているんだ、セラス。覚悟もないのに、ステージに立とうとしないでくれ……!」ガタッ

セラス「! 泉、待って──!」

ガチャ‼︎

…バタン

52: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:04:59 ID:???00
……

シーン…

小鈴「……あ、あれ? セラスちゃん達、もう行っちゃったんですかね……」グデー

さやか「…………」

さやか「……本当に決められた物なら、三年生が蓮ノ空に居られるのはあともう残り僅かというのも、そう、あるべきなんですよね……」ポツリ

小鈴「……? さやか、先輩──?」

53: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:06:00 ID:???00
────

──

─パッ‼︎

小鈴「心に輝く勇気のバッジ! かちまちチャレンジの合図はちぇすとー!」

ドンッ…‼︎


小鈴「──104期生、徒町小鈴! 決めるのは、自分だ!!」



パッ‼︎

泉「伝え合おう、この劇場で情熱を。見届けてくれ、私の生き様」

シャキン…バッ‼︎


泉「──104期生、桂城泉。……溶融飛灰のような日々は、まだ、期待に震えている」



『 オーディション3日目 』

『 “誇りのレヴュー”の開演です 』

54: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:07:00 ID:???00
ズドン…‼︎

小鈴「徒町、このオーディションで泉ちゃんともぶつかり合えるなんて! 今しか立てない舞台、今しか立てないステージで!」キラキラ

泉「……」スッ…

小鈴「行っくよー、泉ちゃん! 徒町みたいな未完成なスクールアイドルだって、熱を持って、芸術を作り出せるんだっ!!」ブンブン

ズッ…‼︎

泉「ぐ、っ…………──はぁ!」

55: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:08:00 ID:???00
キィン‼︎

小鈴「!」

泉「……小鈴さんは、…………本当に、眩しいね」ポツリ

小鈴「? ありがと、泉ちゃん! 徒町には、徒町だけの“きらめき”があるって、さやか先輩が前に教えて、くれたからっ!」グッ

小鈴「その“きらめき”を今! ちぇす──」

──パッ‼︎

小鈴「わ、わわ!?!?」ピタ

泉「……! ……まさか!」クルッ






「容姿端麗、才色兼備、誰もが羨む佇まい、プリティキュートでマジ尊い!」

56: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:08:59 ID:???00
バッ…‼︎





セラス「──105期生、セラス 柳田 リリエンフェルト! 此の命さえ、捧げてもいい!」


 ♪ Edelied
https://www.youtube.com/watch?v=fT4kYUdyx7o

57: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:10:00 ID:???00
シャキン…‼︎

セラス(赤い上掛け。それに、鋭いランゲメッサー。これこそがわたし、舞台少女 セラス 柳田 リリエンフェルトの衣装……!)

セラス「小鈴先輩っ! 泉っ!」バッ

泉「…………セラスっ!?!?」

小鈴「!」



『オーディションへの飛び入り……わかります』

『……』

『特別扱い? ……いいえ。わたしは初めから、これが観たかった』


『あなた方と一緒。わかります』

58: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:11:00 ID:???00
小鈴「わぁ……!! 遂に、セラスちゃんもこのオーディションに!?」

セラス「小鈴先輩。昨日はありがとうございました。……おかげでわたし、わかったんです」

セラス「先輩がオーディションに参加している理由……何者かになれる舞台、ステージ、立ちたいレヴューがあるからなんだって」

小鈴「!」

セラス「それで、わたしも気付けました。なので……今日は先輩の胸、わたしと泉で借りさせていただきます!」スッ…

小鈴「……!! うん、もちろん!! 求められたなら疾風怒濤! 徒町、精いっぱい頑張るぞー、ちぇすとーーー!!!」グッ

59: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:12:00 ID:???00
泉「セラス……。……何が、起こっているんだ」

セラス「──喪失の気配に、覆われる太陽、嘆きの帷が落ちてく」

泉「! …………もう探せないほど、遠くの星たちに、敢えなき願いは砕けた……」

小鈴「うぉぉりゃあ~!!」ブンブンブン

……




セラス「──“それでも”!!」バッ

……キィン‼︎‼︎

60: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:13:00 ID:???00
小鈴「! わわっ……」フラッ

泉「……セラスの剣が、小鈴さんの斧を弾いた……」

セラス「泉。……前に、わたしに訊いたでしょ。オーディションに参加する、一番大切なものを失う“覚悟”はあるのか、って」

泉「あ、ああ……だが、それは」

セラス「決めたよ、わたし」ニコッ


セラス「わたしは……泉と2人で! “トップスタァ”になりたい! わたしにとって大切な存在の泉と、一緒に!!」


泉「……!」

61: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:14:00 ID:???00
セラス「その為には……此の命さえ、捧げてもいい!」

セラス「だから、わたしは、このオーディションを絶対──」スッ…

小鈴「!! セラスちゃん……徒町、だって……!!!」ズシッ





セラス「──“覚悟”を胸に、気高く、あれ!!!」



…キィィィン‼︎!

62: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:14:59 ID:???00
小鈴「! 留め具、が……」

ファサッ…




ザッ…‼︎


セラス「──ポジション・ゼロ!!」


『オーディション3日目、終了します』

63: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:16:00 ID:???00
────

──蓮ノ空、夜の中庭にて


泉「……驚いた。まさか、セラスが勝ててしまうなんて」

セラス「わたしだけの勝利じゃないよ。泉も勝ち。2人での白星なんだから」

泉「! ああ……そう、なのか」クスッ

泉「…………プレーオフの時を思い出したよ。貴女が、定められたルールを超え、舞台に立つ様は……あの頃のようだった」

泉「セラスならば……決められた物語『スタァライト』の結末さえも、変えることができるかもしれない。そう希望が湧いたよ」ニコッ

セラス「……! ……良かった」ホッ

64: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:16:59 ID:???00
泉「改めて、すまなかった、セラス。ここ数日、私は希望が見えず塞いでいて……強くあたってしまった」

セラス「ううん、別に。泉、わたしの事を巻き込まないようにしてたのかもだけど、もう一蓮托生なんだから! ……蓮だけに」

泉「……」

セラス「だから……泉! こんどの休みに、ご飯食べながらでいいから、詳しい事情ちゃんと全部話してもらうからね!」ピシッ

泉「……ご飯食べながらでいいのか?」

セラス「まぁ、泉は使う武器が槍なんだし、本気出せば超強いでしょ。なんたって、泉はフェンシングも出来るんだから」フフン

泉「どうやって槍でフェンシングをするんだ??」

65: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:18:00 ID:???00
泉「全く……。ふ、ふふ……あはは!」クスクス

セラス「? 泉?」

泉「こんな時だと言うのに……あんなレヴューをした後だと言うのに、セラスは変わらないんだね」クスッ

セラス「……ふふっ。泉、やっと笑ってくれた」

セラス「泉はスクールアイドルなんだから、わたしみたいに笑顔の方が似合うよ」ニコッ

泉「ああ……そうだね」

泉「セラス。やはり、私には貴女が……セラスが、必要なようだ」クスッ

セラス「! ふふん。そりゃそうでしょ。だってEdel Noteはわたしと泉、2人のユニットなんだし! …………だから!」



セラス「なろうよ、わたしと泉の2人で。──“トップスタァ”に!」ニコッ


第三話 終

66: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/08(日) 21:18:24 ID:???00
次回 第四話 フュージョンクラスト
   →2/9 20:00

67: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/09(月) 20:00:01 ID:???00
セラス(どうも、みなさん。セラス 焼肉 もぐもぐフェルトです)

セラス(本日は、蓮ノ小四辺形+わたしの5人で、焼き肉とお寿司が食べ放題のバイキングレストランに来ています)


泉「──燃やせるはず 燃やそうとすれば 燃えなくたって 燃やしてやる~♪」ジュー

吟子「お肉を焼きながらそれ歌われると、良い曲なのに笑っちゃうからやめて」

小鈴「あ! この辺、もういい焼き加減かも! セラスちゃん、どうぞ!」サッ

セラス「あ、ありがとうございます、小鈴先輩」


セラス(とても賑やかで、温かい……そんな)

セラス(……わたしの大好きな、やさしい、空間)

68: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/09(月) 20:01:00 ID:???00



第四話 フュージョンクラスト



.

69: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/09(月) 20:02:00 ID:???00
小鈴「もぐ、もぐもぐ……美味しい!」パァァ

姫芽「ほれほれ、いずみん~。牛肉、トロトロに焼けたよ~」

泉「ほう。さすが姫芽ちゃん、素晴らしい焼き具合だね」ヒョイッ

吟子「……もしかして泉、白米に乗っけて牛丼にしようとしてる?」

泉「ああ。丼米、丼米ってことだね」クスッ

セラス「今日の泉、テンションやけに高くない??」

70: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/09(月) 20:03:00 ID:???00
吟子「あ、そういえば……今日のこの食事会は確か、泉が企画してくれたんだよね?」

泉「そうだね。休日にセラスとご飯を食べに行く約束をしていたんだが……その時ちょうど、食べ放題のお店を見つけて」

セラス「で、わたしがそれなら先輩方も誘って、Bloom Garden Partyまでの決起会? 的なのをやろうって言って……」

泉「──その結果がこれ、というわけさ」ニコッ

ジュー…ジュー…‼︎

71: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/09(月) 20:04:00 ID:???00
姫芽「なるほど、いずみんもせらりんも、それで急に誘ってくれたんだね~。いやぁ、ナイスアイデア! だったよ~」ウンウン

小鈴「徒町もそう思う! 蓮ノ三連華の先輩方が、ちょうど予定が重なって来れなかったのは残念だけど……」

吟子「まぁ……諸々の打ち上げのときに今度は先輩方も含めてまた来ればいいでしょ。……多分、卒業後かもだけど、ね」

セラス「! そ、っか。…………卒業、かぁ」ポツリ

セラス(3月までは、あと少し…………もうすぐ、あのさやか先輩だって居なくなってしまう)

セラス(……あの“オーディション”は、いつまで続くんだろう?)

72: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/09(月) 20:05:00 ID:???00
────

─ガヤガヤ…

小鈴「ちぇすと~~!!!」ジュー‼︎

姫芽「お~、小鈴ちゃんが目にも止まらぬ速さでお肉をひっくり返してる~~……!!」

小鈴「徒町、最近重いものを振り回すことが多かったから、このくらい任せて!!」グッ

吟子「重いもの……、……わかるかも」ボソッ



泉「……さて、セラス」チラッ

セラス「あ、泉、お肉もう十二枚くらい食べる?」サッ

泉「食欲旺盛すぎじゃないか?? ……そうじゃなくて」コホン

泉「話そうと思ってね……あの、“オーディション”の事を」

セラス「!」

セラス「……わかった、ご飯食べながらね」

泉「ふふっ。ああ、食べながらでいいから聞いてほしい──」

73: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/09(月) 20:06:00 ID:???00
────

──回想


泉(それは、私がまだ東京の学校にいた頃の事)

泉(私が……演劇は私のすべてで、命を捧げるにふさわしい生きがいだとそう盲目に信じていた頃の、つまらない、悲劇の話だ)



泉「──!? 先輩!?」



泉(……先輩が、稽古の最中に私の目の前で倒れた日の晩)

泉(……1件のメールが届いたのが、全ての始まりだった)




『お持ちなさい あなたの望んだその星を』

『And it shall be bestowed upon you,

the Star which you have longed for ―』

74: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/09(月) 20:07:02 ID:???00
パッ‼︎


「キミと一緒なら天下を取れるよ! 一緒に天下を目指そうじゃないか!」

「泉ちゃんは、私のベストパートナー! 一緒ならあの星を掴めるよ!」



泉(先輩と一緒に参加した“オーディション”)

泉(先輩は文字通り命を燃やし、病に侵されているとは思えないほど“きらめき”を放っていた)

泉(そして……)



「……やったよ、泉ちゃん! わたしたち……やったんだ!」

「これで、わたしたちは2人で“運命の舞台”に──」

75: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/09(月) 20:08:00 ID:???00
泉(……だが。──運命は、私たちに無常だった)

『 最終オーディション 』

『 “悲劇のレヴュー”の開演です 』

『トップスタァを目指して、歌って、踊って』



『──奪い合いましょう』

76: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/09(月) 20:09:00 ID:???00
「……」

泉「先輩……?」

「やっぱり、“オーディション”の合格者は1人。……それなら」

キンッ…‼︎

泉「!」

「絶対、負けないからね! ベストパートナー!」

77: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/09(月) 20:10:00 ID:???00
泉(先輩は、分かっていたんだ。演劇とはたった1人の主役を奪い合う苛烈な争いである事を)

泉(命さえも差し出そうとした先輩はとうに知っていて……気づいていなかったのは、愚かな、私だけだった)



…キィィィン‼︎!



『小さな星を摘んだなら、あなたは小さな幸せを手に入れる』

『大きな星を摘んだなら、あなたは大きな富を手に入れる』

『その両方を摘んだなら』



『あなたは永遠の願いを手に入れる』

78: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/09(月) 20:11:00 ID:???00
──

────

セラス「永遠……、……」

泉「……セラスも知っての通り、先輩は、今も演劇を続けている」

泉「あのレヴューで勝ち残り、“きらめき”を奪い、ただ1人の永遠の主役──“トップスタァ”になったんだ」

泉「そして私は……、その代償に“きらめき”を失った」

泉「舞台少女 桂城泉は、ただの灰殻となった……」

79: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/09(月) 20:12:00 ID:???00
セラス「……」

泉「後は、セラスも知っている通りさ。情熱を無くし、彷徨っていた私を救ってくれたのが、他でもない貴女だからね」クスッ

セラス「そ、っか。……だから、泉は蓮ノ空での“オーディション”から、わたしを遠ざけようとしてたんだね」

泉「……ああ。セラスには私と同じ結末を辿ってほしくない、そう思っていたんだが」

セラス「だが?」

泉「セラスのことだ。絶対にグイグイと首を突っ込もうとするだろうとも予想できていてね」クスッ

泉「……そのせいで、始まる前から気が気でなかったんだ。前日からして、ついつい寝不足になってしまったよ」

80: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/09(月) 20:13:00 ID:???00
セラス「……でも、もうわたしも舞台少女だからね。泉と2人で“トップスタァ”になる為に、参加したから」

泉「! ああ。この前のレヴューを観て、セラスならば──結末を変えられると、私も本気で思ってしまった」

泉「本当に“2人”で立てるかもしれないんだ……!」ポツリ

セラス(そう話す泉は凄く、嬉しそうだった。だから、わたしは)

セラス「……そうだね。一緒に“トップスタァ”になるため、頑張ろう、泉。約束だよ」ニコッ

セラス「……」ギュッ


セラス(…………いつか、泉と戦うことになっても……)


第四話 終

81: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/09(月) 20:13:20 ID:???00
次回 第五話 月夜見海月
   →2/10 21:00

82: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:00:00 ID:???00
吟子(幼馴染という存在に……どこか憧れを抱いていた)

吟子(昔から同年代の付き合いは薄く、そういった友人に恵まれていなかったからかもしれない)

吟子「……本当に、院友って何? そんなの、ズルい……」ギュッ…

吟子(もしも、先輩の住んでる場所が違ったら。もしも、幼い頃に病院に通っていたら。もしも、もしも……)

吟子(──もしも。あの舞台の上で、私がきらめけたらのなら……)



吟子(先輩は、振り向いてくれるでしょうか?)

83: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:01:00 ID:???00



第五話 月夜見海月



.

84: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:02:00 ID:???00
吟子「…………」ジー

小鈴「? 吟子ちゃん?」

姫芽「どうしたの、急に鍵を見ながら固まって……ん、あれ~?」

姫芽「それ、もしかしてせんぱいの部屋の鍵~?」

吟子「……うん。花帆先輩の部屋の、合鍵」

吟子「これって……、いつまで持ってていいのかな、って思って」

85: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:03:00 ID:???00
姫芽「……? いつまで、って……」

小鈴「先輩が卒業したら使わないんだし、もうそろそろ返さなきゃなんじゃないかな? 徒町、さやか先輩からはまだだけど……」

吟子「そう、だよね。合鍵を、返す……」ポツリ

姫芽「……んん? その反応はもしかして~、吟子ちゃん……」


姫芽「──大好きなかほせんぱいの合鍵は、離さずずっと持ってたい……みたいな恋心、的な感じかにゃ~?」ニヤニヤ


吟子「!? 別に、そんなんじゃ……! た、ただ……」ボソッ

吟子(返したくない。返してしまえば、消えてしまう…………先輩との繋がり、が)

吟子(それは絶対、“永遠”には、なれない。……だから眩しくて、手放すのは苦しい)

吟子「……」


ガチャ


瑠璃乃「──姫芽~? まだ教室いるー?」ヒョコ

86: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:04:00 ID:???00
姫芽「! あ~、るりちゃんせんぱいとさやかせんぱい~。わざわざ部活の迎え、来てくれたんですか~?」

瑠璃乃「そうそう。あ、そういや姫芽はちょっち用事あるから……今日の夜、“ルリの部屋”にも来てほしくて」

姫芽「!?!!!?!!」ガタッッ

さやか「ふふ。わたし達はいつも通り、スクールアイドルとしてレッスンの時間ですよ。行きましょうか、小鈴さん」

小鈴「はいっ、さやか先輩! 徒町、すぐに行きます! ……えっと」チラッ

小鈴「吟子ちゃんも一緒に行く? それとも……」

吟子「あー……いや、花帆先輩が迎えに来てくれるはずだから、ここで待ってるよ。小鈴は先に行ってて」ニコッ

87: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:05:00 ID:???00
────

バタン…

吟子(……つい、嘘をついた。先輩はBloom Garden Partyに向けて忙しいから、私に構ってる時間なんてないのに)

吟子「はぁ……」

吟子(どうしたら、いいんだろう。もしも、本当にいま花帆先輩がここに来てくれたら)

吟子「…………」

吟子(私1人だけ残された、教室。……もしも、このまま、消えてしまえたら……)



~~♪♪



『お持ちなさい あなたの望んだその星を』



吟子「……」

吟子「あぁ、そっか」

88: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:06:00 ID:???00
────

──

─パッ‼︎

セラス「容姿端麗、才色兼備、誰もが羨む佇まい、プリティキュートでマジ尊い!」

バッ…‼︎


セラス「──105期生、セラス 柳田 リリエンフェルト! 此の命さえ、捧げてもいい!」

89: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:07:00 ID:???00
吟子「伝統を尊び、未来へ繋ぐ。想いを込めて、織って魅せましょう」

…ビシッ‼︎


吟子「──104期生、百生吟子。ここに、生きた証明が残るように……!」



『 それでは、オーディション4日目 』

『 “嫉妬のレヴュー”の開演です 』

90: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:08:00 ID:???00
バッ‼︎

吟子「……セラス」スッ…

セラス「えっ……、吟子先輩の武器、棍棒なんですか……!?!?」

吟子「棍棒じゃなくてメイス……いや、そんな事よりも」

ギュッ…

吟子「……まさか、セラスまでこのオーディションに参加してるなんて、ね」

セラス「? それはまあ……飛び入りですが、スクールアイドル──舞台少女なんで」ドヤッ

吟子「…………」

セラス「吟子、先輩? あの、何か……」

吟子「……………………………………羨ましい、なぁ……」ポツリ

セラス「……吟子?」

91: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:09:00 ID:???00
『ふむ。オーディションの私物化ですね。わかります』

『舞台の上で、舞台少女が胸の内をぶつけ合う……わかります』



吟子「もしも、永遠になれないのなら。この感情も、世界も、何もかも…………このまま全部、消えてしまえば良いのに!!」ユラッ…

─ドシン…‼︎

セラス「!?? こわっ……え、吟子先輩!?!?」

吟子「セラスがもしも、先輩と同じ病院じゃなかったら? そうしたら、全部違ってたの? 私が、花帆先輩の隣に居られたの??」

セラス「何何何???!! え、吟子先輩だってスリーズブーケとして、花ちゃんの隣に立ってますよね……?」

吟子「そうじゃない。……そうじゃないんやよ、セラス」

吟子「あくまでそれは“今”だけの事で、いつかは終わるんだ……だから、そのための繋がりが欲しい。絶対消えない、キズナが」

セラス「え」

吟子「ねぇ、教えてよ……セラス」スッ…



吟子「──私にはないものを、欲しがるのは駄目、でしょうか?」


 ♪ 月夜見海月
https://www.youtube.com/watch?v=iPIxvDi_dS0

92: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:10:00 ID:???00
ズッ…

吟子「似合うわけ、ないくせに……夢見るのは変、でしょうか?」

ズシッ‼︎

セラス「!?! ちょ……ぎ、吟子先輩!? ひぇ、セラスともあろう可愛い後輩になんて事を……!」

吟子「大丈夫、痛くしないから……」スッ…

キンッッ…‼︎

セラス「っ…………あの、吟子、先輩!」バッ

93: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:11:00 ID:???00
セラス「変えられない歴史の重要さ……とか! 伝統が大好きな吟子先輩なら、ちゃんと分かってるんじゃないんですか?!」

吟子「……! うん……それは、もちろん」ニコッ

吟子「過去は、変えられない。梢先輩と一緒に花帆先輩の実家に行った時、私だってそう知った。……でも」

吟子「──だから、ダメなんだよ」

94: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:12:00 ID:???00
セラス「……え?」

吟子「あの日作った思い出、私が見つけた『ホントのたいせつ』……かけがえのない先輩との“今”が、もうすぐ、途切れちゃう……」

セラス「……、……それって」

吟子「──どうして、この体はいつも透明だ……」

吟子「セラスみたいに、幼馴染だったら……卒業しようが何しようが、絶対に消えない繋がりがあるのに、私はっ!!」

吟子「私、は……。……永遠を、信じ、られないよ……」カタッ…









セラス「──願うだけじゃ、海の、月にはなれない!!」


 ♪ 月夜見海月(セラス 柳田 リリエンフェルトver.)
https://youtu.be/bdY-t4j9Ek8?t=3279

95: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:13:00 ID:???00
バッ‼︎

吟子「…………え」

セラス「……………………もう──!!」

セラス「“永遠”がなんなんですか、吟子先輩!? 泉の先輩にしろ吟子にしろ、どうしてそんな概念に拘るの!!!」プンプン

吟子「えっ……え???」

吟子(セラスがこんなに怒ってるの、初めて見た……)

ザッ…

シャキン…‼︎

セラス「──わたしは!!」

セラス「病院にいたときも、瑞河にいたときも、蓮ノ空にいるときも“今”を大切にしてた!!」

セラス「いつか“今”は消えちゃう? それがなんですか……。同じ時間が永遠に続くなんて、その方がよっぽど──つまらない!!」

吟子「……!」

96: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:14:00 ID:???00
…パッッ‼︎

『舞台のスポットライトが、舞台の主役を照らし出している……!』

『わかります。本来の歌割りを奪い、ステージに認めさせた……』

『これこそ、舞台少女。スクールアイドルの“きらめき”ですね。わかります』



吟子「っ……!」

キンッ…キィン‼︎

セラス「というか吟子先輩だって、花ちゃんの“後輩”っていう繋がりがあるんだから……本当は、悩む必要だってないんですよ」

吟子「それは……」

セラス「それに。夏合宿のとき、吟子先輩が教えてくれたじゃないですか。想いがない人なんていない……それは“今”を生きているから!」

吟子「!」

セラス「誰かのことをそう想えるだけでも、それが消えない“繋がり”になる筈……! ──だから、吟子先輩っ!」バッ







セラス「届け、わたしの歌──!!」ザッ…



…キィィィン‼︎!

97: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:15:00 ID:???00
吟子「……!」


ファサッ…




ザッ…‼︎


セラス「──ポジション・ゼロ!!」


『オーディション4日目、終了します』

98: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:16:00 ID:???00
────

──


スタスタ…


吟子「……っと」

吟子「なんか……吹っ切れた気分。セラスのおかげ、かな」ポツリ

吟子(この想い、永遠を信じられないのなら……私は怖くても、途切れてしまうとしても、“今”できる事をしよう)

吟子(それがきっと、いつかは消えない“繋がり”になっている。そう感じられる日が遠くても来るはずだと、信じて)

99: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:17:00 ID:???00
コンコンコン

吟子「百生吟子です。コーヒー、淹れたんだけど……いま大丈夫、花帆先輩?」

シーン…

吟子「…………作業中かな。それなら、明日にでも……いや、それじゃダメなんだって、吟子」ブンブン

吟子「花帆先輩ー? 合鍵あるんで……もう勝手に入りますよ!」

ガチャ

バタン…

吟子「……あれ?」





吟子「誰も……、居ない?」


第五話 終

100: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/10(火) 21:17:18 ID:???00
次回 第六話 JOKER.
   →2/11 21:00

101: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:00:01 ID:???00
姫芽「るりちゃんせんぱい……8月31日。8月末の生まれ……」

姫芽「……」スッスッ

姫芽「…………? 予定日の、“逆算”……?」スッ

姫芽「誕生日から……逆算できるのは、両親が……た日……」ポツリ

姫芽「……」

姫芽「…………」スッスッ

姫芽「……」

姫芽「……え」

102: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:01:00 ID:???00



第六話 JOKER.



.

103: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:02:00 ID:???00
────

──

泉「今日のオーディション、相手は……姫芽ちゃん、か」ポツリ

泉(今の時点で私は、さやか先輩や瑠璃乃先輩に負けてしまっている。……流石に、次はそろそろ勝たないといけないな)

泉「ふふ。このままではセラスが怒ってしまうだろうからね。いつまで本気出さないの泉! ……なんて」クスッ

泉(今までの私は、レヴューには消極的だったと言うのに。心持ちが変わったのはおそらく、セラスのおかげだろう)

泉「そういえば。そのセラスは今日、吟子とだったかな。……」

泉(…………一緒に“トップスタァ”になる、か。楽しみだ)フフッ

104: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:03:00 ID:???00
……

パッ‼︎



泉「伝え合おうこの劇場で情熱を。見届けてくれ、私の生き様」

シャキン…バッ‼︎


泉「──104期生、桂城泉。……溶融飛灰のような日々は、まだ、期待に震えている」

105: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:04:04 ID:???00
カチャ…

姫芽「大好きには嘘はつけない! 好きをみんなに! 対戦よろよろ~」ニッ

スッッ…‼︎


姫芽「──104期生、安養寺姫芽~。アタシの辞書に『我慢』って文字は、もう……いらないや」



『 それでは、オーディション5日目 』

『 “約束のレヴュー”の開演です 』

『トップスタァを目指して、歌って、踊って』



『──奪い合いましょう』

106: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:05:06 ID:???00
姫芽「ふぅ……よし」

泉「……?」

姫芽「いずみんは…………お~、槍かぁ~。見てみて、アタシの武器、こういうクロスボウなんだ~」カチャカチャ

泉「あ、ああ。…………姫芽ちゃん?」

姫芽「いいよね~。ステージの上なら、舞台上なら……本音だって嘘だって、全部“セリフ”になれる……」ポツリ

姫芽「だから訊きたいんだ、泉に。アタシって──」




姫芽「──どうして、生まれてるのかな?」カチャ‼︎

107: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:06:13 ID:???00
BANGBANG‼︎

泉「!?? っ…………──はぁ!!」サッ

スカッ…

姫芽「あ~…………二発じゃ流石に当たんないし、ダウンもしないか~……」ボソッ

泉「……姫芽ちゃん? さっきから何を……様子がおかしいが、どうしたんだい?」

姫芽「いずみん。──アタシさ、9月生まれなんだよね」

108: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:06:58 ID:???00
泉「……?」

姫芽「それでさ。ちょっと前の……るりちゃんせんぱいが。新曲を作るために時間をとってしてたこと、覚えてる?」

泉「…………」

泉(新曲……『Echoes Beyond』制作のときだろうか)

泉「今までの曲、ないし自分の人生を遡ること、かい?」

姫芽「……ふふ。せいか~い」ニコッ

姫芽「るりちゃんせんぱいと同じように、アタシも過去を回顧してみたくなって……“逆算”してたら、ある時、気づいちゃったんだ」

姫芽「今って、ネットで誕生日を調べたらさ~、──そこまでの“逆算”も、一緒にできちゃうんだね」ポツリ

109: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:08:01 ID:???00
泉「? それがどうしたんだ?」

姫芽「──お正月、だったんだ。アタシの両親は、……」

姫芽「ねぇ。前にいずみんに話したよね~? 『アタシがもっといい子にしてたら、お父さんともお母さんとも、今も一緒にいられたのかな』って」

姫芽「それって、もっと言えば……“もしもアタシが生まれてなかったら”」

姫芽「アタシのお母さんもお父さんも、ずっと……今よりずっと、長生きしていた、って事なのかな?」

泉「……それは」

姫芽「アタシは、生まれてきた理由を作るために。ど~しても勝って永遠の主役……“トップスタァ”にならなきゃ、いけないんだ~」

姫芽「…………だから。負けたくない。泉にだけは絶対……!!」

カチャ‼︎

泉「……っ!?」



姫芽「そう──だからっ!! アタシは、“演じる”んだ。敵役を、舞台の主役を!!!」

BANGBANG‼︎

姫芽「じゃなきゃ……、アタシのアイデンティティまで、壊れちゃう、んだからっ!!」ジワッ…

泉「!」

泉(姫芽ちゃんまさか、泣い、て……)




……キン‼︎

110: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:09:01 ID:???00
姫芽「……えっ」

ジャキン…‼︎

泉「なるほど。セラスが斧を弾くのを見て、真似してみたが……存外、腕にくるんだね。フェンシングをやっていて良かったよ」クスッ

姫芽「…………嘘。アタシのクロスボウの矢が、いずみんの槍で全部弾かれてる~……!?」

泉「すまない。涙ぐむ少女をいたぶる趣味はないんだが……」

バッ…‼︎

泉「あいにく、私だって負けられないんだ」ニコッ

姫芽「! …………ふふ」

姫芽「そう、こなくっちゃ~!」カチャ‼︎



…ザッ!

泉「…………どうにもできないことが、この世にはある……。でもあるはず、まだ戦略」



泉「──切り札になる言葉を、探してる……!!」


 ♪ JOKER.
https://www.youtube.com/watch?v=68FhiJvw_Dg

111: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:12:49 ID:???00
BANGBANG‼︎

泉「──っ! やぁ……!!」シュッ…

キンッ……キィィン…‼︎

姫芽「っ!」

泉「なるほど……よく分かったよ。姫芽ちゃんがこの“オーディション”に参加している理由は、そのためか」

姫芽「…………そう、だね。……だったら、どうするの?」

泉「どうもしないさ。過去も未来も関係なく、貴女は──」

──

「どんな不幸が襲ってきても! ただ自分の選んだ道を正解にするために、毎日がんばるんでしょ!」

──

泉「……そう、私に教えてくれたじゃないか! だから……生まれてきたことを、正解にしようとするのなら」

泉「私は……姫芽が生まれてきた理由は、もう、ある筈だと答え、受けて立つッ!! それだけだ──!!」ザッ

シュッ…‼︎

姫芽「!!」

112: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:14:00 ID:???00
姫芽「ぁー…………そういえば、いずみんに前、そんなことも言ったっけ」

姫芽「……ふふ、アタシ、最近ずーっと悩んでたのに……いずみんは凄いや」クスッ

泉「悩みは晴れたかい、お姫様?」ニコッ

姫芽「ん……かもね。じゃあさ、ついでに教えてよ。いずみん」ニコッ

姫芽「……いずみんの方は、どうしてこのオーディションに参加してるの?」

泉「ああ……それは。ね」




泉「セラスと、“約束”をしたからさ」ニコッ

113: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:15:31 ID:???00
姫芽「……」

泉「セラスは……どこまで知っているのかな。私の、この気持ちを」クスッ

泉(かつて、先輩はオーディションの末に“トップスタァ”になった。私は勝手に傷つき、1人で立つしかないのだと思い込んだ……)

泉「──セラスが言ってくれた、“2人で”きらめきたいと。だから私は、結末を変えるために、ここにいる……!!」

泉「同じ過ちは繰り返さない。……もし、私がセラスと戦うことになっても、その時は──」ガタン…

姫芽「!」

シャキン…‼︎



泉「──本、心は! 気付かれなくて、いい…………」スッ…

泉「……………………はぁ、ッ──!!!」




…キィィィン‼︎!

114: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:16:39 ID:???00
姫芽「…………」

ファサッ…


ザッ…‼︎


泉「──ポジション・ゼロ!!」バッ


『オーディション4日目、終了します』

115: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:17:30 ID:???00
────

──夜半


ゴロゴロゴロ…

姫芽「…………うにゃぁぁぁ~~」ジタバタバタ

姫芽「にゃぁぁぁぁぁぁ~~~……」ジタバタ…



「お疲れだねぇ……大丈夫?」

116: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:18:15 ID:???00
姫芽「! 大丈夫では、ありますけど~…………ちょっと、普通に実力でいずみんに負けちゃったのが悔しくて~~……」シュン

姫芽「今日、勝ったんですか? ──るりちゃんせんぱい」

瑠璃乃「ん、まぁね。小鈴ちゃんの斧めっちゃ怖かったけど、弓でひょい、って。……姫芽は、ダメだったんだよね?」

姫芽「……。るりちゃんせんぱいに教えてもらった、勝つために出来ることはちゃんと実践したんです、けど……」

瑠璃乃「あぁ。舞台に、自分が主役だって認めさせること?」

姫芽「はい……」シュン

姫芽「アタシなりに……相手の心を揺さぶるような暗い過去を持つ主役、それを演じたつもりだったんですけど、ね~」

117: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:19:06 ID:???00
姫芽「……まぁ。割と本心から思ってたことを、舞台でいずみんに真っ直ぐぶつけたら……なんか、スッキリはしましたよ~」ニヘラ

姫芽「負けちゃったってことは、アタシよりもいずみんの方が舞台の主役っぽかったってわけですし。なら、仕方ないです」ウンウン

姫芽「まぁそれはそうとして、めっっっっっちゃ悔しい~~……!!」ジタバタバタ

瑠璃乃「そっ、か。……」

瑠璃乃「…………じゃあ」



瑠璃乃「次は、姫芽の代わりに──ルリが勝ってあげるね」ニコッ

118: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:19:55 ID:???00
瑠璃乃「ま、そもそも、そのために姫芽を呼んだんだし。いま誰が勝ってるのか、どんな戦い方をしてるのか……それと」

瑠璃乃「──“どうしてオーディションに参加してるのか”。姫芽が知ったこと、ルリに詳しく教えて?」

姫芽「…………」

瑠璃乃「……ん、姫芽?」

姫芽「いや、わかってはいるんです……。そのためにアタシはレヴューで演じたんですし。道化──JOKERを」

119: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:20:46 ID:???00
姫芽「だけどそれってやっぱり……、るりちゃん、せんぱいは」

瑠璃乃「もうっ、大丈夫だって。……ルリは、負けられないし、絶対負けない。みんなを助けるヒーローだから」ニコッ

姫芽「でも……」

瑠璃乃「──最弱は最強、なんだよ? 敗退しちゃいけない……ルリは弱いからこそ、このゲームで、勝つ」

瑠璃乃「……心配しないで、姫芽。みんなを守ってあげるのが、ルリの役目、役柄。これはクラブのみんなのためでもあるし」





瑠璃乃「101期生──さちパイセンのためでもあるから、ね」クスッ


第六話 終

120: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/11(水) 21:21:42 ID:???00
次回 第七話 大賀美沙知
   →2/12 20:00

121: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:00:00 ID:???00
沙知「よく来てくれた、2人とも」

沙知「……ああ。少し話があってねぃ、急に呼び立ててすまない」

沙知「ここ蓮ノ空で、かつて行われた──“オーディション”について、話しておかなくちゃいけないと思ったんだ」

沙知「……ん? ああ、2人だけでいい。2人に伝える必要があるからねぃ」

沙知「これから話すのは、歌とダンスが織りなす魅惑の舞台……レヴューにかつて参加した、蓮ノ空のスクールアイドル達のことだ」

沙知「……そうさ。スクールアイドルである梢も、綴理も、慈も、参加していた。が、その記憶については全て消されているんだ」



沙知「──他でもない、あたしによって」

122: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:01:00 ID:???00



第七話 大賀美沙知



.

123: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:02:00 ID:???00
────

──約3年半前


梢「藤島さん、知らないの!? あの有名な戯曲『スタァライト』を!?!?!?」

慈「うわ乙宗、声デカいって…………すたー、何??」

綴理「すたぁらいと……」ポツリ

梢「! ゆ、夕霧さんならもちろん存じているわよね!?!?」

綴理「え、ううん。けど、こずが楽しそうで嬉しいな」ニコニコ

梢「なっ……夕霧さんも、なの……!??!?!?」




ガチャ…

沙知「──おいおい、外まで争う声が聞こえてきたんだが、今日は何があったんだ??」

124: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:03:00 ID:???00
慈「えっ、その言い方……毎日なんかしら問題ごと起こしてるみたいで笑えますねー、沙知先輩♡」キュルン

沙知「誰のおかげだと思ってるんだぃ。……ったく、どうしてあたしの後輩は3人とも問題児ばかりなんだ?」ハァ

綴理「ん、あれ……ボクも?」

沙知「問題というか、夕霧ちゃんは夕霧ちゃんで、もう少しグイグイ出てきてくれるとあたしも助かるんだけどねぃ……」ウーン

梢「そうでしょう、そうでしょう! 全く……私以外のみんな、困ったものだわ」フンス

沙知「そういう乙宗ちゃんも、ねぃ。……さて。3人とも、何の話で言い争っていたんだぃ?」

125: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:04:00 ID:???00
梢「そうでした、沙知先輩! この2人、あの有名な戯曲『スタァライト』を知らないって言うんですよ!?」

梢「藤島さんは芸能に詳しいと思っていたのだけれど、まさかこのくらいの知識も無いだなんて……!」

沙知「あー…………まぁ、と言っても、それはスクールアイドルとは関係ない分野な気もするからねぃ」

梢「これは一般教養です! それに、スクールアイドルだってステージに立つ人間……舞台少女と言っても過言ではありません!」

慈「や、過言でしょ。スクールアイドルは演劇しないじゃん」

綴理「……そう、かな? めぐ、演劇向いてると思う。監督とか」

慈「監督? あ、めぐちゃんが主役で、それをめぐちゃんが撮ればいいって事!? 綴理ちゃん、天才!」

梢「話を逸らさないでほしいのだけれど……!」

126: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:05:00 ID:???00
沙知「スタァライトは確かに有名な演劇だが……夕霧ちゃんや藤島ちゃんが知らなくても無理はないと、あたしは思うけどねぃ」

慈「? 沙知先輩はそのスタァライト? 知ってるんですかぁ?」

沙知「ふっ、おいおい、あたしを誰だと思ってるんだぃ? あたしは、芸事に秀でたこの蓮ノ空女学院の理事長の孫娘だぜ?」ドヤッ

綴理「おー。さち、すごい」

沙知「あ、そうだな……よし、せっかくだ。乙宗ちゃんが2人に説明してやってくれないかぃ? 親交も深まるだろうからねぃ」クスッ

梢「……そういう事でしたら。僭越ながら、私から説明させていただきます──」コホン

127: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:06:00 ID:???00
──

『戯曲『スタァライト』。それは、星の光に導かれる女神達の物語』

『だけど、引き離され二度と会えなくなってしまう、悲しい物語』

『小さな国の小さな村に伝わる夏の星祭り。フローラとクレールは“運命”の出会いをした』

128: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:07:00 ID:???00
『遠い約束で結ばれた2人』

『しかし。1年後、クレールは記憶を無くし、フローラの事を忘れていた』

『今日は、1年に一度の星祭り。塔の頂であの星を掴むことが出来れば、クレールの記憶も戻るかもしれない……』



『──小さな星を摘んだなら、あなたは小さな幸せを手に入れる』

『大きな星を摘んだなら、あなたは大きな富を手に入れる』

『その両方を摘んだなら、あなたは永遠の願いを手に入れる──』

129: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:08:00 ID:???00
『星摘みは、罪の許し。星摘みは、夜の奇跡』


『歌を頼りに2人は星の塔に辿り着く』

『だが、行く手を阻むのは、塔に幽閉された6人の女神達』



『──ああ、また繰り返すのね。絶望の輪廻を、星明りの下で』

130: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:09:00 ID:???00
『女神達の黒き感情に切り裂かれながらも、フローラとクレールの2人は塔の頂上へ』



『お持ちなさい。あなたの望んだその星を』



『だが。星の輝きに目を焼かれたフローラは、塔から落ち、クレールと永遠に離れ離れとなった』

『そして頭上では、永遠に星が瞬き続けるのだった……』

131: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:10:00 ID:???00
──

梢「──というお話よ」コホン

梢「実は、終盤の展開は様々あって、原本ではクレールが罪人として塔に幽閉されているのだけれど……」ペラペラ

慈「……」

梢「藤島さん?」

慈「…………それ、つまりバッドエンドって事じゃん。聞いてても思ったんだけど、なんかめっちゃ後味わるくない?」

132: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:11:00 ID:???00
梢「は、はぁ……!? こ、このエンディングの良さが、藤島さんにはわからないというの……!!」ガタッ‼︎

綴理「ん……ボクはこれ、いいと思う」パチパチ

慈「いや、めぐちゃんだったらー、るりちゃんのこと絶対忘れないからハッピーエンドになるのになぁ、って⭐︎」キラッ

梢「幼馴染はこれに関係ないじゃない! 藤島さんはいつもいつも、スクールアイドルの練習の時だって適当に屁理屈ばかり──」



沙知「──はいはい、そこまで!」パン

133: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:12:00 ID:???00
梢「! 沙知先輩っ、どうして!」

沙知「なに、このままだと、親交どころか溝が深まりそうだったからねぃ……ま、どうせあと少しで撫子祭も始まるんだ」コホン

沙知「細かい事を発端にいがみ合ってないで、一致団結でもして頑張ろうじゃないかぃ、諸君!」ニッ



沙知(そうさ。あたしが、スクールアイドルに感動したきっかけでもあった撫子祭)

沙知(102期の後輩にとっては初めての文化祭がもうすぐ……)



沙知(──その矢先、だった)



~~♪♪

『お持ちなさい あなたの望んだその星を』

134: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:13:00 ID:???00
────

──


『何故、このオーディションに?』

梢「──舞台少女として、スクールアイドルとして……“トップスタァ”になる必要が私にはあるからです」


『何故、このオーディションに?』

綴理「──スクールアイドルに、なるため」


『何故、このオーディションに?』

慈「──“トップスタァ”っていうのになれば、めぐちゃんが、世界中を夢中にできる!」



……

『貴女は、どうしてですか? 大賀美沙知さん』

135: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:14:00 ID:???00
キンッ…

沙知「あたしは──」



沙知「──“きらめき”を、守りたいからだ」



『 オーディション█日目 』

『 “運命のレヴュー”を開演します 』

136: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:15:01 ID:???00
────

…キィィィン‼︎!

沙知「はぁ……、……はぁ……」

沙知(必死だった。毎日毎日、どうして可愛い後輩たちとこうも戦わなくちゃならない?)

沙知(……だが、どうしても、あたしは!)



ザッ…‼︎

沙知「──ポジション・ゼロ!!」



『おめでとうございます、大賀美沙知さん』

沙知「!」

137: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:16:00 ID:???00
『貴女が、今回のオーディションの合格者です』

『これで燃料は焚べられ、炉に火がともりました。貴女が望む“運命の舞台”とは?』

沙知「……」

『貴女の望む、どんな舞台でもいいんですよ?』

沙知「どんな舞台でも、ねぃ……それなら。あたしの後輩 102期生が、今回のことを忘れた上で」

沙知「──恵まれた後輩たちと立つ、スクールアイドルとして“きらめき”を魅せる舞台、かねぃ」ニッ



『……はい?』

138: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:16:10 ID:???00
『貴女が、今回のオーディションの合格者です』

『これで燃料は焚べられ、炉に火がともりました。貴女が望む“運命の舞台”とは?』

沙知「……」

『貴女の望む、どんな舞台でもいいんですよ?』

沙知「どんな舞台でも、ねぃ……それなら。あたしの後輩 102期生が、今回のことを忘れた上で」

沙知「──恵まれた後輩たちと立つ、スクールアイドルとして“きらめき”を魅せる舞台、かねぃ」ニッ



『……はい?』

139: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:17:01 ID:???00
『……』

沙知「なんだ、まさか無理なのかぃ?」

『レヴューとは、“きらめき”を奪い合うもの……。それなのに貴女は、奪わず、しかもその舞台に自分では立たないおつもりで?』

沙知「ああ。そもそも後輩から奪う気はないし、あたしはこれでも充分多くの“きらめき”を持つスクールアイドルだからねぃ」ニッ

『……』

『……』

『……よいでしょう』

140: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:18:00 ID:???00
『舞台少女が“トップスタァ”になる瞬間』

『奇跡と“きらめき”の融合が起こす化学反応。永遠の輝き。誰にも予測できない運命の舞台!』

『わたしは、それが、観たいだけなのですから』

沙知「! ……ははっ、なんだそういうことか」クスッ

『何がです?』

沙知「なに、スクールアイドルクラブを通した生活の中で、ステージ作りの楽しさは、あたしもよく知ったからねぃ」ニッ

沙知「──観客、って訳か。舞台を用意し、首を伸ばして舞台少女を観る存在が……キミなんだねぃ」

『……』

141: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:19:00 ID:???00
『……“運命の舞台”、それは、種火にもなり得ますよ』

沙知「ああ。乙宗ちゃん達が言ってたように、スクールアイドルはステージを観て憧れるものでもあるからねぃ、仕方ないさ」

沙知「だが、観客だろうと誰だろうと、なりたいと思ったらなれるのもスクールアイドルさ。……なんならキミも、ね?」クスッ

『わかりかねます』

沙知「今はそれでいいさ。だが、未完成でも熱を持った者が作り出す芸術──そんな“きらめき”を、スクールアイドルは作れる」

沙知「それをよく、覚えておくといい。いつか……また観に来るのなら、ねぃ」ニコッ



『……わかりました』

142: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:20:00 ID:???00
──

────

沙知「こうして、あたしは……130g分、舞台少女の“きらめき”を全て燃やし、ステージから降りた」

沙知「でもね、知ってるんだ。いつだって観客が観たいのは舞台での“きらめき”さ。それは、何年経っても変わってない」

沙知「いま蓮ノ空で──“運命の舞台”を、過去のステージへの執着を元に、新しく作り上げようとしてる子がいるんじゃないか?」

沙知「……。あぁ、やっぱりねぃ……」

沙知「わかるさ。終わってほしくない気持ち、ずっと物語を観ていたい気持ちくらい。……だが、何度も再演して、どうする?」

沙知「……」

沙知「そういう事だ。だから、出来ればでいいんだが……2人に頼みたい。どうか」

沙知「あのオーディションを、再び、終わらせてくれ」


第七話 終

143: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/12(木) 20:20:23 ID:???00
次回 第八話 Euphoria
   →2/13 21:00

145: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:00:02 ID:???00
~~♪♪


瑠璃乃「!」ガバッ

瑠璃乃「…………」ジー

瑠璃乃「あぁ。今日はセラスちゃんとか……」

瑠璃乃「それなら……昨日、姫芽に聞いた泉ちゃんの攻略は……使えない、……ね」ポツリ

瑠璃乃「……」

瑠璃乃「……」

瑠璃乃「…………槍、かぁ」

146: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:01:00 ID:???00



第八話 Euphoria



.

147: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:02:00 ID:???00
パタパタパタパタ…

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1|……
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2|セラス 柳田 リリエンフェルト
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
3|大沢 瑠璃乃
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4|村野 さやか
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5|桂城 泉
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
6|……
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

スタ…スタ…


「……」ジー

148: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:03:00 ID:???00
────

──


……─パッ‼︎



セラス「容姿端麗、才色兼備、誰もが羨む佇まい、プリティキュートでマジ尊い!」

バッ…‼︎


セラス「──105期生、セラス 柳田 リリエンフェルト! 此の命さえ、捧げてもいい!」

149: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:04:00 ID:???00
パッ‼︎

瑠璃乃「今日も元気をフルチャージ! みんなに笑顔をお届けしゃす!」

シュッ‼︎


瑠璃乃「──103期生、大沢瑠璃乃! 逃げるな! 戦え!!」


『 それではオーディション5日目 』

『 “狩りのレヴュー”を始めます 』

『トップスタァを目指して、歌って、踊って』



『──奪い合いましょう』

150: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:05:00 ID:???00
────────

────

ガサガサガサ…

セラス「……………………えっ??」キョロキョロ

「……」

セラス(??? 今、わたしは舞台の上に居たはずだったのに……)

ガサガサガサ…

セラス「…………」ジー

セラス「あのー……瑠璃乃先輩?」

ガサガサガサガサガサガサ

セラス「……葉っぱが擦れる音がすっごいんですけど、これって、まさか」




セラス「今回のレヴュー、舞台は──森?」

151: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:06:00 ID:???00
ザザッ

セラス「!」

セラス(…………これ、小鈴先輩が立っていた、さやか先輩の時の“スケートリンクのような氷の舞台”に似てる気が)

セラス(そう、前に確か──舞台は、舞台少女の“きらめき”によって動き出す。そう言ってた筈で……)

セラス「じゃあ、この森は瑠璃乃先輩が…………“きらめき”で、舞台を作り替えたから?」




…ガサッ


セラス「?」



「すーっと広がる森の匂い……ぎゅっと踏み込む土が柔い…………」

セラス「!?!?」


 ♪ かくれんぼしよう
https://www.youtube.com/watch?v=V7UdxnQBXrk

152: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:07:00 ID:???00
セラス「えっ、姿は見えないまま歌が……!?」

ガサガサガサ…



「これは“狩り”だよ、セラスちゃん」



セラス「! か、狩り……?」

ガサガサガサ…

「そう! ルリは……凶暴なチャウチャウ。セラスちゃんはルリを退治しに来たハンター! そういう、舞台だっ!」

グググ…



──BANG‼︎‼︎

153: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:08:00 ID:???00
キンッ…‼︎

セラス「!? あ、危なっ!?? な……最近のチャウチャウって弓まで撃つんですね知りませんでした!!!」

セラス「で、でも……わたしは瑠璃乃先輩ほどではありませんが小柄な方なので! そう簡単には当たりませんよ!」ピシ


「…………そっか」



グググ…



「それならそれで、さ。……ねぇ、セラスちゃん。ルリに教えてよ」

「──なんで、この“オーディション”に参加したの?」

154: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:09:00 ID:???00
セラス「? 何故って、そんなの──泉と“約束”をしたからです」

「……約束?」

セラス「はい。2人で、一緒に“トップスタァ”になるって……『スタァライト』の結末を変えるって、泉に宣言したので」

セラス「だから、飛び入りで客席からステージに上がった! 舞台少女 セラス 柳田 リリエンフェルトはこのオーディションで──」

ガサガサガサ…

「──勝ちたいんだ? …………そっかぁ」

「眩しいスタァに……たった1人の筈の“トップスタァ”に、ね……」

セラス「……? 瑠璃乃、先輩?」

「本当に“トップスタァ”になってくれるなら。ルリ、この舞台の主役は、セラスちゃんに譲ってあげていいかも……」

セラス「! それは、つまり……………………」








「なんてね」

155: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:10:00 ID:???00
セラス「…………………………えっ?」

ガサガサガサ…‼︎

瑠璃乃「    が おーーーーー ッ!!!!!!!    」



バッ‼︎



セラス「!?!??」

セラス(急に、下から──)



──BANG‼︎‼︎

156: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:11:00 ID:???00
……

カキン‼︎!



セラス「……っ、ギリギリ! だけど、何とか矢は弾け──」

ザッ…‼︎



瑠璃乃「──させない!」

セラス「!」

セラス(舞台全体を照らしていたスポットライトが、瑠璃乃先輩を捉え、て)

瑠璃乃「ルリは、自分のためじゃない……あの子もみんなも、守りたいから“オーディション”に勝つ! だから!!」




瑠璃乃「ルリは、弓で、………………──斬るッ!!!」バッ



セラス「な!?? え、えぇぇぇ!?!!!?!!?」

157: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:12:00 ID:???00
…キィィィン‼︎!



セラス「!!」

ファサッ…


ザッ…‼︎


瑠璃乃「──ポジション・ゼロ、っ!!」バッ


『オーディション5日目、終了します』

158: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:13:00 ID:???00
────

──夜半


瑠璃乃「──ふぅ……」

瑠璃乃「弭槍(はずやり)なんて、ルリ、今回のオーディションで初めて知ったなぁ……」ウンウン

瑠璃乃「弓の端っこに小さな刃物……槍穂をつけた、昔の武器。ルリ自身の“きらめき”でこれを似せてみたけど、凄く良かったし」

瑠璃乃「ホント、流石だよ。ルリが勝てたのはこの武器を──さやかちゃんが教えてくれたから、だね」ニコッ



さやか「いえ。槍にまつわる武器がないか、と瑠璃乃さんが相談に来てくださったからですよ」クスッ

159: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:14:00 ID:???00
瑠璃乃「ん……多分だけども、セラスちゃんは一回じゃ諦めてくれなそうだし、今のうちに次のレヴューにも備えなきゃね」ウンウン

さやか「……瑠璃乃さん、本当にお疲れ様です」ペコリ

さやか「わたしも尽力していますが、小鈴さんに一度負けてしまいましたし。……それに」

さやか「…………なんというか、小鈴さんの“きらめき”を直に受けてというもの、寧ろ、レヴューのためにマッサージをしてあげている始末で……」ハァ

瑠璃乃「お世話体質変わんないねぇ、さやかちゃん……」クスッ

160: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:15:00 ID:???00
瑠璃乃「ま、でも、さやかちゃんはそのくらいでいいんだよ!」ニコッ

さやか「そうでしょうか……」

瑠璃乃「ルリは相棒の姫芽にもけっこー色々話しちゃってるから、ちょいとズルい訳でね。……後輩を巻き込まないため、でもあるけど」

瑠璃乃「“オーディションに参加する理由”。それを聞いた上で、寄り添って理解した上で、ルリは倒す。みんなに諦めさせる」グッ

瑠璃乃「これが──ルリのやり方、だから」ニコッ

161: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:16:00 ID:???00
さやか「……沙知先輩が教えてくださった、レヴューの詳しいお話も役立てられて良かったですね」

さやか「わたし達は、負けるわけにはいきませんから。……蛍光灯のようなあの人は、1人でも“トップスタァ”になってしまいます」

瑠璃乃「…………だね」

瑠璃乃「……」

瑠璃乃「……あなたの望む“運命の舞台”、だっけ」ポツリ

162: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:17:00 ID:???00
さやか「おそらく──第一回Bloom Garden Partyは、それに匹敵するでしょう。あれは、理想を詰め込んだステージです」

瑠璃乃「そう、かもね。あれは102期生の先輩達も来てくれる、スクールアイドルにとっての夢のステージだから……」

瑠璃乃「囚われたくなっちゃうのは、ルリもわかるし」ウンウン

さやか「……瑠璃乃さん」

瑠璃乃「でも。The show must go on. ──舞台は、ループは、終わらせないといけない……永遠の幸福なんて、ないんだ」グッ

瑠璃乃「絶対に阻止する…………だから、頂で待っててね」



瑠璃乃「花帆ちゃん」

163: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:18:00 ID:???00
────

パタパタパタパタ…

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1|日野下 花帆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2|大沢 瑠璃乃
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
3|セラス 柳田 リリエンフェルト
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4|村野 さやか
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
5|桂城 泉
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
6|……
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

164: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:19:00 ID:???00
スタ…スタ…





花帆「……」

花帆「……静かだなあ」


第八話 終

165: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/13(金) 21:19:20 ID:???00
次回 第九話      ! Wonderful Trip!
   →2/14 21:00

166: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:00:00 ID:???00
『選択希望舞台少女……いえ』

『選択希望“スクールアイドル”は? セラスさん』



セラス「……」

セラス「……泉っ!」シュッ

泉「!」

『上掛けの留め具を渡したという事は……パートナーは桂城泉さん、でよろしいのですね?』

セラス「もちろん。わたしは泉と2人で“トップスタァ”になるんだから」フフン


さやか「では。わたしは瑠璃乃さんと、ですね」ニコッ

瑠璃乃「そーだね。……さぁ、行こうか──」

167: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:01:00 ID:???00



第九話      ! Wonderful Trip!



.

168: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:02:01 ID:???00
────

──レヴュー観客席


姫芽「小鈴ちゃん、それ、何~?」

小鈴「お弁当! さやか先輩が今日、徒町に作ってくれたんだ! 美味しい卵焼きも入ってるんだよ!」ニコニコ

姫芽「そうなんだ~。一個食べてみてもいい~?」

小鈴「もちろんだよ、姫芽ちゃん! はい、あーん……」サッ

姫芽「──ん……! わぁ、おいしい~」モグモグ



吟子「……なんで2人はくつろいどるん?? ……っていうか、『レヴュー観客席』ってなんなん!?」ガタッ

169: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:03:00 ID:???00
『飛び入り参加された方がいらっしゃいまして、スケジュールの調整が必要になりました』

『ここまでの結果で合格する可能性があるのは、あちらの4人と、……1人』

小鈴「? 1人?」

『そこで本日は──2人対2人による、特別公演レヴューデュエットを開演します』

姫芽「なるほど~? つまりは、どっちかのペアしか勝てない、2on2~……?」ウーン

小鈴「そ、そんな!? さやか先輩のことも、セラスちゃんのことも応援したい徒町はどうすれば……!!」

吟子「…………」

吟子「……それならもう、黙って観てるしかないんじゃない? 一応、オーディションなんだから」

170: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:04:00 ID:???00
──控室


泉「……本当にいいのかい、セラス?」

セラス「? 何が?」

泉「私はさやか先輩に1日目の時点で敗北している。そんな私と組んだところで、セラスは……」

セラス「わたしだって、昨日瑠璃乃先輩に負けてるし、おあいこ! ……それに、わたし達は、Edel Note」

セラス「──2人で、“トップスタァ”になる。そう約束したでしょ、泉?」ニコッ

泉「! ああ……もちろんだ」クスッ

171: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:05:00 ID:???00
────

──

…パッ‼︎


泉「伝え合おうこの劇場で情熱を。見届けてくれ、私の生き様」

セラス「容姿端麗、才色兼備、誰もが羨む佇まい。プリティキュートでマジ尊い!」


シャキン…バッ‼︎


泉「──104期生、桂城泉」

セラス「──105期生、セラス 柳田 リリエンフェルト!」



「「此の命さえ、捧げてもいい!」」

172: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:06:00 ID:???00
…パッ‼︎

さやか「背負う期待を炎に変えて、応えてみせます今のわたしで!」


さやか「──103期生、村野さやか。どこまでも高く、遠く、もっと!」

パッ‼︎

瑠璃乃「今日も元気をフルチャージ! みんなに笑顔をお届けしゃす!」


瑠璃乃「──103期生、大沢瑠璃乃! 逃げるな! 戦え!!」



『どちらか一方でも上掛けを落とされたら、負けとなります……』

『 それでは、オーディション6日目 』

『 “絆のレヴュー”の開演です 』




さやか「──何処まで、行けるだろう……ただ夢中で、かけだした………………は ぁッ!」ザッ


 ♪ 明日の空の僕たちへ
https://www.youtube.com/watch?v=NY4c2TfMRDs

173: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:07:00 ID:???00
…キィィン‼︎

セラス「っ!」

さやか「……防がれましたか。……でも!」


──BANG‼︎


セラス「!?」

泉「セラス! ……──はぁっ!!!」

キンッッ…‼︎

174: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:08:00 ID:???00
瑠璃乃「わ、さすが泉ちゃん! 周りのこと、よく観てるね」クスッ

泉「……ふふ。お褒めいただき光栄だよ、瑠璃乃先輩」

さやか「ふぅ……泉さんの“情熱”、それが言葉だけのものではないのなら。わたしも舞台少女として、受けて立ちましょう」スッッ…

セラス「…………あ、あの!」

セラス「……先輩方に。少し、お訊きしたいことが…………わ、わわっ!!??」ガタッ‼︎


──BANG‼︎


瑠璃乃「あー、ギリギリで避けられちゃった……。で、セラスちゃん、訊きたいことって?」

セラス「……」

泉「セラス……?」



セラス「さやか先輩に、瑠璃乃先輩は──どうしてこのオーディションに参加してるんですか?」

セラス「……何を、知っているんですか?」

175: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:09:00 ID:???00
セラス(……昨日、ステージ上で投げかけられた、あの舞台設定。それに乗り切れず負けたからこそ、わたしは気付くことがあった)

セラス(このレヴューは、舞台世界の中でスポットライトを浴びること──即ち、主役になることが重要なんだ、って)

セラス(そして……さやか先輩も瑠璃乃先輩も、その光の浴び方を最初から知っているような、そんな気がした)

瑠璃乃「ま、これはもう隠せないね。……さやかちゃん、お願い」

さやか「ええ。……わたし達は既に卒業した先輩から、頼まれているんです。オーディションを、終わらせることを」

セラス「? それって、何で……」




さやか「──花帆さんが、三月のBloom Garden Partyを、“運命の舞台”に……あのステージに囚われようとしているから、です」

176: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:10:00 ID:???00
セラス「…………えっ?」

泉「それは……どういうこと、かな?」

瑠璃乃「まぁ、沙知先輩に前回のオーディションについて聞いた上での、推測ではあるんだけどもね」ウンウン

さやか「花帆さんは1人でも“スタァ”です。先輩と同じステージに立ちたい、すべての人を花咲かせるステージ……」

さやか「これを現実にしてしまえるのは、花帆さんだけ。そう、だからこそ彼女は、誰よりも、それに焦がれてしまっている」

セラス「!」

さやか「そんな……あの人を止めるために、わたし達はオーディションに参加しているんです!!」バッ






さやか「──『ずっと今が続けばいいのに』なんて、強がったキミの声が、ふるえた……」





…キンッ‼︎

177: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:11:00 ID:???00
『自分達が“トップスタァ”になるためか。或いは、ある人を“トップスタァ”にさせないためか』

『どちらの理由が、より“きらめいたレヴュー”を魅せてくれるのか……目が離せませんね。わかります』



セラス「…………」

泉「っ……セラス!」ググ…

さやか「泉さん。庇うのは良いですが……このままでは、貴女だって困ることになるんですよ?」

さやか「ソロのスクールアイドルになるんでしょう? 花帆さんが“トップスタァ”になれば、そんな未来も消えてしまう……」

セラス「…………それ、って」

セラス(花ちゃんがオーディションに合格したら、泉だって来年、蓮ノ空で“きらめく”どころではなくなってしまう……?)

セラス(…………わたし達が“トップスタァ”になろうとしても、それで結局、花ちゃんに負けてしまうのなら)


セラス(頼れる先輩方に……全部、任せてしまってもいいのでは?)



さやか「さぁ終幕を、今、ここで──ッ!!」バッ

178: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:12:00 ID:???00











泉「──必ず、活路を切り拓くッ!!!!」

─キンッッ︎‼︎


 ♪ Retrofuture
https://www.youtube.com/watch?v=GEuBxkF5kD4

179: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:13:00 ID:???00
さやか「……!」

セラス「え、…………泉?」


泉「………………セラス!!」バッ‼︎

泉「花帆先輩がなりたいから“トップスタァ”になろうとするならば! 先輩方が止めようと“トップスタァ”を目指すのならば!」

泉「私達も同じこと…………2人できらめくために“トップスタァ”になると約束した! そうじゃ、ないのかっ!!」

セラス「……!!」

泉「──奮い立て!! さあさあ、一体どうしたい?」



瑠璃乃「……良いとこ邪魔してわるいけどさ、ルリの出番もまだあるんだぁ!!」グググ



──BANG‼︎



……

キンッ…‼︎

セラス「──変えたい!!!」

180: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:14:00 ID:???00
瑠璃乃「!」

セラス「ごめん、泉っ。先輩の言葉くらいで揺らいでしまう“覚悟”なんて、わたしは……持ってないんだった!!」バッ

泉「! ああ、それでこそ!」ニッ

さやか「セラス、さん…………本当にそうなら、言葉じゃなくて行動で、スタァライトの“きらめき”でわたしに、魅せてください……っ!!」サッ‼︎





バッ‼︎

181: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:15:00 ID:???00


さやか「……、っ? セラスさんが、一瞬で消え──」

瑠璃乃「! …………上だっ! 泉ちゃんの槍に乗って、翔んだんだ……!」





泉「──必ず」


セラス「奇跡を──成し遂げるッ……!!!」



…キィィィン‼︎!



ザッ…‼︎


セラス、泉「「──ポジション・ゼロ!」」


『オーディション6日目、終了します』

182: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:16:00 ID:???00
────

パタパタパタパタ…

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1|日野下 花帆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
2|セラス 柳田 リリエンフェルト
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
3|桂城 泉
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4|……
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

183: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:17:00 ID:???00
セラス「勝て、た…………わたし達が?」

泉「ふふっ。ああ、2人での勝利だよ、セラス」ニコッ

泉「そして……同時に、次へ繋がる一歩でもあるようだ」

『その通りです』

セラス「!」

184: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:18:00 ID:???00
『今までのオーディション、“全て”に合格している舞台少女』


『──日野下花帆』

『彼女が、貴女がた2人の次のオーディションのお相手、ですよ』

『……さぁ。トップスタァを目指して、歌って、踊って』



『──奪い合いましょう』


第九話 終

185: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/14(土) 21:18:21 ID:???00
次回 第十話 雪舞う空と、
   →2/15 21:00

186: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:00:00 ID:???00
────

──長野、とある病院にて


かほ「──“死にたくなければ、ころぶでないぞ”」

セラス「……? え、こわ……はなちゃん、なに読んでるの?」

かほ「絵本だよ! 『三年峠』!」ニコッ

セラス「さんねん……とうげ?」

かほ「“三年峠でころんだならば、三年きりしか生きられぬ”! ってセリフがあってね! もうすっかり覚えちゃった!」フンフン

セラス「そう、なんだ。……、それ暗いおはなし?」

かほ「え、ううん! 確かに、一度ころべば、三年後に死んじゃうのはすこし怖いけど。……でも、それは、逆にいえば」



「──“三年間は何をしても死なない”」

187: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:01:00 ID:???00



第十話 雪舞う空と、



.

188: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:02:00 ID:???00
────

──蓮ノ空、スクールアイドルクラブ部室


小鈴「──“きらめき”を奪い合うオーディション、ですか……?」

さやか「ええ。それが、あのレヴュー……毎夜、地下で行われていたアレの実態です」

さやか「“きらめき”とは、スクールアイドルにとっての生きる動力、すなわち心臓であり血液でもあります」

さやか「……だからこそ、それが“運命の舞台”の燃料にふさわしいということでしょうね」

189: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:03:00 ID:???00
瑠璃乃「ホントは、全部終わるまで黙っておこうとは思ってたんだけどね。その、ルリは、後輩のみんなを……」

姫芽「…………巻き込まないようにしてた、んですよね~」

瑠璃乃「……! そう、だね」コクリ

瑠璃乃「このオーディションで負ければ、舞台少女はいちばん大切なものを、つまり“きらめき”を失う。それを避けたかったから」

瑠璃乃「…………ごめんね、姫芽。絶対に負けない、って言ったのに。あの2人の方が、レヴューで『スタァライト』してたんだ」

さやか「……わたしも申し訳ありません、小鈴さん。少し前に貴女の強い“きらめき”を受けて尚、隠し事をしてしまい……」



小鈴「──い、いえ!」ガタッ

190: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:04:00 ID:???00
小鈴「徒町は、さやか先輩と一緒のステージに立てて嬉しかったので! 徒町が立ちたい舞台、だから、後悔はしていません!」グッ

小鈴「それに……さやか先輩にそれを話してもらえるくらいの徒町に、信頼してもらえるくらいの“何者か”に、徒町はなれたってことですから!!」ニコッ

さやか「! 小鈴、さん……」

姫芽「……」

瑠璃乃「……姫芽は、やっぱり怒ってる、かな?」

姫芽「るりちゃんせんぱい…………いや、アタシは……アタシも、小鈴ちゃんと同じです」

姫芽「結局、“トップスタァ”になりたかったのは本心ですし、レヴューで色々ぶちまけたのも、後悔はしてないんで~」ニッ

姫芽「ただ、その。……吟子ちゃんが」チラッ



吟子「…………」

191: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:05:00 ID:???00
さやか「吟子さん。花帆さんは……」

吟子「──私、花帆先輩に言ってたんですよね。これからの半年間、全力で後輩をするって、Bloom Daysの時に」ポツリ

さやか「!」

吟子「時間が経って、先輩が卒業して、関係が。繋がりが消えちゃうとしても、もう先輩と後輩じゃなくなったとしても……」

吟子「“今”の想いは消えない」

吟子「だから、怖くても受け入れなきゃ……そう、レヴューで知りました。知ることができました。それに、同じ時間が永遠に続くのは………」

吟子「……つまらない、ですし」ポツリ

192: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:06:00 ID:???00
瑠璃乃「…………吟子ちゃん」

さやか「兎に角。わたし達に出来ることはもうありません」

さやか「……あとは、Edel Noteか花帆さんのどちらが“トップスタァ”になるか」

さやか「ただ、わたし達はBloom Garden Partyの準備をしながら彼女らを、“舞台で待っている”。それだけです……」

193: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:07:00 ID:???00
────

『 オーディション最終日 』

『 “孤独のレヴュー”の開演です 』



花帆「……」



花帆「──あたし、再生産」



……ガタガタガタガタッッ…‼︎!

194: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:08:00 ID:???00
────

──

バッ‼︎



花帆「みんなを照らす、おひさまガール! 笑顔のお花を咲かせます!」

ピカッッ…‼︎


花帆「──103期生、日野下花帆! このままじゃ、終われないよ!!」

195: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:09:00 ID:???00
…パッ‼︎


泉「伝え合おうこの劇場で情熱を。見届けてくれ、私の生き様」

セラス「容姿端麗、才色兼備、誰もが羨む佇まい。プリティキュートでマジ尊い!」


シャキン…バッ‼︎


泉「──104期生、桂城泉」

セラス「──105期生、セラス 柳田 リリエンフェルト!」



「「此の命さえ、捧げてもいい!」」

196: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:10:00 ID:???00
花帆「…………」

セラス「……花ちゃん」

ザッ…ザッ…

花帆「…………」

泉「ただ黙って、距離を詰めてくるというのなら。こちらも小鈴さんに倣い…………先手、必勝──!」ザッ…‼︎





─キィン…‼︎



花帆「一緒に、見たいんだ……消えない夢、I believe……──!!」


 ♪ Dream Believers(2:05:30~)
https://youtu.be/thO-op9VFfY?t=7530

197: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:11:00 ID:???00
花帆「……──ッ!!」シャキンッッ

泉「!? っ……日本刀、か!」

…キィィン‼︎

花帆「! わ、泉ちゃんの槍、細くて折れちゃいそうだね。……わずかな“きらめき”で、そこまで再生産できるなんて」スッッ…


花帆「…………Sky, my sky ……ミライの、太、陽へ…………」ポツリ


セラス「花、ちゃん……??」

泉「っ……この槍は、セラスによって燃え上がった私自身の新たな“きらめき”の形だ!! ──はぁッ…………!!」バッ‼︎


キィィン…‼︎





花帆「──手を、伸ばそう」ググ…

198: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:12:00 ID:???00
泉「!? な、槍を……片手で……!」

セラス「…………泉! わたしのランゲメッサーなら、打ち合いになっても──」バッ‼︎

…キン‼︎

花帆「──ダメだよ、せっちゃん」

セラス「!」

花帆「ねぇ……知ってる?」

花帆「……あたしが蓮ノ空に入学する前、病弱でずっと苦しんでた頃に、考えてたこと。せっちゃんは、さ」ニコッ

199: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:13:00 ID:???00
セラス「…………え?」

花帆「あたし、ずっと寂しかった。……苦しかった」ポツリ

花帆「真っ白なベッドの中で、ずっと考えてたよ。元気になって学校に行っても、きっと皆、あたしの事なんて覚えてないんだろうって」

花帆「だから、高校生になったって、蓮ノ空に入学したって、また……みんなに忘れられるんじゃないか、って眠れなかったんだ」

セラス「……!」

泉「花帆先輩、貴女は……ずっと“孤独”だったというのか?」

花帆「ふふっ、かもね。…………でも」

スッ…




花帆「あたしは、蓮ノ空であの日…………“運命”に、出会えたんだ」

200: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:14:00 ID:???00
キィィン…‼︎‼︎

セラス「──!!?!? ……っ、花ちゃん!?」

花帆「あぁ、惜しかった……ごめんね、せっちゃん。一発で終わらせられなくて」サッ…


花帆「…………お互いを信じて、始まりたいと、伝わったなら……思い切り、……飛ぶよ!!」

泉「!」



カラカラカラ…‼︎



─バサッ‼︎

201: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:15:00 ID:???00
セラス「ぁ……」

セラス(小鈴先輩のレヴュー時の舞台装置のように、花ちゃんが飛ぶ……見えない、“ツバサ”で)

ヒュゥ…

花帆「今も、昨日のことのように思い出せる、103期の撫子祭。梢センパイがスクールアイドルとして“きらめき”を魅せていた……」

花帆「…………忘れられない、永遠の一瞬」ポツリ



泉「このっ……届け!!」シュッッ…‼︎







花帆「──だから。同じ展開を、何回も、何回も……無駄だって、泉ちゃん!」

キンッ…‼︎

202: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:16:00 ID:???00
セラス「花、ちゃん」

花帆「三月のBloom Garden Partyだけじゃ、足りない。叶えられない。あのきらめく瞬間は、“運命の舞台”でしか!」

花帆「だから、せっちゃん。…………くりかえす物語のなかで、夢を見ようよ!!」ニコッ

セラス「………………何、言ってるの?」

泉「花帆先輩。その言い方だと貴女は……三月のBloom Garden Partyを“運命の舞台”にしようとしているんじゃ、ない、のか?」

花帆「……?」

セラス「さやか先輩たちが、花ちゃんはそのステージを繰り返すために“トップスタァ”になろうとしてるって、推測……してて」

花帆「え?」

花帆「……あははっ、そういうこと。あたしが第一回Bloom Garden Partyだけを? ううん、そんなのしないよ。だって…………」クスッ

花帆「あたしが“再演”したいのは、“運命の舞台”にしたいのは、三月のBloom Garden Partyじゃない」




花帆「──あの、三年間なんだから」

203: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:17:00 ID:???00
セラス「…………ぇ」

泉「! セラス、上だ、危ないッ!」


─ドンッッ‼︎


花帆「太陽に近づけば、こうしてツバサは溶けて、地に落ちる。それならあたしは、ずっと、未完成のままでいたい──」

カキン…‼︎‼︎

セラス「っ……!」ググ…


花帆「103期から105期まで、あの眩しい三年間を、永遠に!」



花帆「それが、あたしの目指す──三月のBloom Garden Partyじゃ絶対に立つことの出来ない、“運命の舞台”、だから!!」


第十話 終

204: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/15(日) 21:17:20 ID:???00
次回 第十一話 三年の永遠
   →2/16 20:00

205: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/16(月) 20:00:00 ID:???00
「あら、今の声は……?」


「いいのよ。元気なかわいい新入生さん」


「保健室に連れて行ってあげるから、少しだけ、辛抱してくれる?」


花帆(三年前。あたしは梢センパイに……“運命”に初めて出会った)

花帆(あの瞬間を、あたしは──)

206: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/16(月) 20:01:00 ID:???00



第十一話 三年の永遠



.

207: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/16(月) 20:02:00 ID:???00
『永遠に繰り返しては、終わり、また繰り返す』

『終わることのない“きらめき”、永遠の高校三年間。無制限の時間の中で輝く、スクールアイドル』

『……わかります』

『さて。スタァライトは、悲劇。6人の女神達、そしてクレールとフローラによる物語……』

『セラスさんが飛び入り、8人目のキャストに選ばれたのならば』

『一体それは、何の役なのでしょうね』

208: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/16(月) 20:03:01 ID:???00
─キンッ…キンッ‼︎

セラス「っ……!」

花帆「せっちゃん。今、あたしは何も覚えていないけど……ずっと、ずっとこうだった気も、するんだ」

花帆「あたしが卒業しても、蓮ノ空はあの三年間を永遠に映し続けていく。みんな、あったかもしれない物語を観るために、ずっと」

泉「それは……、……つまり」

泉「花帆先輩がしたいのは、していたかもしれない事は。“記憶を消した上で”103期から105期までを何度も繰り返す事、だと?」

花帆「もちろん。梢センパイに出会う15歳のあたしは、何も知らない日野下花帆じゃなきゃ、蓮ノ空の物語じゃないからね」ニコッ

209: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/16(月) 20:04:00 ID:???00
セラス「……花、ちゃんは」ポツリ

花帆「? せっちゃん?」

セラス「…………永遠が、欲しいの? 花ちゃん、先輩になった蓮ノ空のわたしが見たいって、前に、言って、くれたのに……」

花帆「! あぁ、ごめんね、せっちゃん。そんなに泣きそうな、震えた声を出させたかったわけじゃないんだよ……。……でも」

花帆「せっちゃんなら、わかってくれると思ったんだ。だってあたし達、院友なんだから」ニコッ

セラス「……」

花帆「覚えてない? あの頃読んで……せっちゃんに教えてあげた物語、『三年峠』。せっちゃん、暗いお話か、って訊いたよね」クスッ

花帆「それで、あたしは言ったんだ。怖いけど、でも──」


花帆「──“三年間は何をしても死なない”」


セラス「!!」

210: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/16(月) 20:05:00 ID:???00
花帆「あの頃はあたし、勘違いしてたんだよね。『三年峠』って、たくさん転んだ分、生きる三年がどんどん増えていくお話……」

花帆「あの三年、限られた三年を大切にするストーリーじゃない。そう、改めて知ったとき、少しガッカリしたんだ」

花帆「あの頃の、病弱なあたしにとって……死なない三年は永遠だった。羨ましくて、仕方がなかったのに」グッ…

セラス「…………花、ちゃん」

花帆「あたしは作るよ。Bloom Garden Partyでは絶対に叶えられないステージ……永遠の舞台。死なない、“きらめき”の三年間を」

花帆「だってあたしは、スクールアイドルだから。未完成だからこそきらめけるのなら、その可能性を……消したく、ないんだ」

花帆「だから、蓮ノ空の結末は変わらない、変えられない、変えさせない……」

花帆「……未来なんていらない。“今”が大事なら、それをずっと引き延ばして、あたしが、永遠にしてみせる──っ!!!」

シャキンッッ…‼︎

泉「! っ……花帆先輩!!」バッ


花帆「Grace,Delight,Rejoicing…………」




花帆「──Darkness」


 ♪ ゲッカビジン
https://www.youtube.com/watch?v=AUjdycJ4lO8

211: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/16(月) 20:06:00 ID:???00
花帆「Make a moment last forever…………!!」ザッ

キンッ……カキン‼︎

…ザンッ‼︎

泉「──……は、あーッ!」バッ

花帆「…………遅いよ、泉ちゃん!」

泉「っ!」

キンッ‼︎

212: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/16(月) 20:07:00 ID:???00
花帆「乾きも、潤いも全て……、根に葉に、糧にしたらStand on stage」スッ

泉「!」

セラス「…………泉っ!」

セラス(花ちゃんの日本刀、その切先が、泉に迫って……)

花帆「…………最高の一夜を────」



──キィィン‼︎

213: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/16(月) 20:08:00 ID:???00
……



花帆「! な……なんで」



泉「──朝陽が、紗幕照らす……夢が夢だったと知らせる……」スッ…



セラス「泉!」

花帆「……どうして」

花帆「どうして『ゲッカビジン』を泉ちゃんが! それは、あたしが歌っていた曲なのに……っ!!」バッ


キンッ…‼︎

泉「──Edel Noteだからだよ、花帆先輩」

泉「いつか終わるからこそ……一年契約だからこそ、今、激しく咲くことができるんだ」

ザッ…‼︎

花帆「…………っ!!」バッ

214: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/16(月) 20:09:00 ID:???00
…ガキン‼︎

花帆「……、……っ」

泉「列車は必ず、次の駅へ。私達Edel Noteは車掌で、花帆先輩は未来への乗客、だろう? さぁ、もう……駅に着く頃だ」

スッ…

花帆「……」

花帆「………………嫌、だっ!!」バッ‼︎

花帆「──あたしは! “運命の舞台”を……花咲きたいと想いを込めて、夢中で駆けてきた、あの三年間を忘れたくなんて──」



「──花ちゃん!!」ギュッッ

215: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/16(月) 20:10:00 ID:???00
花帆「! せっちゃん。…………その手、離してよ」

セラス「……」

花帆「ねぇ……どうして?? せっちゃんだって、Edel Noteが続く一年が、105期の物語が引き延ばされた方が、嬉しくない?」

セラス「ううん。……花ちゃんはただ、忘れられるのが怖いだけなんでしょ? わたしは全然、怖くない」

花帆「……」

セラス「だって、わたしは絶対忘れないもん。花ちゃんが大学生になって、社会人になっても……お婆ちゃんになったって絶対」ニコッ

花帆「そんなの……」

セラス「わたしだけじゃないよ、吟子先輩だって。それに……いままでずっと蓮ノ空を観てきた観客も、絶対に、忘れることはない」

セラス「──目が醒めても、忘れない……。花ちゃんもわたしも、“今”これからもずっと、生き続けるんだっ!」バッ

──ガタガタガタガタ…‼︎

花帆「! 舞台が……」

216: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/16(月) 20:11:00 ID:???00
泉「……スポットライトが、セラスを……」

セラス「わたしは、泉と……2人で“トップスタァ”になる! 限りある時間を越えて、精一杯に花咲こうともがくために!」

キンッ…‼︎

花帆「それじゃあ、“きらめき”がいつか終わっちゃう……!!」

セラス「終わらないよ。だって来年もその先も、106期以降も……金沢で、蓮ノ空のスクールアイドルは、続いていくんだから」

花帆「……!」

花帆「……、…………っ」



セラス「………………だからっ!!」



セラス「終わるときが、いちばん綺麗だなんて……言わせない──っ!!」






…キィィィン‼︎!

217: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/16(月) 20:12:00 ID:???00
花帆「……」

花帆「…………ぁぁ」



ザッ…‼︎


セラス「──ポジション・ゼロ!」

218: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/16(月) 20:13:00 ID:???00
────

──

『オーディション最終日、“孤独のレヴュー”』

『わかります。とても素晴らしいものでした』

『……もう、残るはエンディング? わかります』

『ですが、まだ……本日のオーディション、その“全て”は終わっていませんよ』




『 最終オーディション 』

『 “星摘みのレヴュー”の開演です 』


第十一話 終

219: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/16(月) 20:13:24 ID:???00
次回 最終話 シアター生き様
   →2/17 20:00

220: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:00:00 ID:???00
泉「…………」ジー

セラス「泉? どうしたの?」

泉「……いや。やはり、貴女には舞台の真ん中が相応しいなと、少し思ってね」ポツリ

セラス「? まぁとにかく、これで……わたし達が“トップスタァ”になれたんだよ、泉。2人で、約束の舞台に──」



『……本日のオーディション、その“全て”は終わっていませんよ』


セラス「……!?」


『 最終オーディション 』

『 “星摘みのレヴュー”の開演です 』

『トップスタァを目指して、歌って、踊って』



『──奪い合いましょう』

221: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:01:00 ID:???00



最終話 シアター生き様


.

222: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:02:00 ID:???00
花帆「……」



セラス「最終オーデション……って、え、“トップスタァ”はもう決まったでしょ! どうして……」

『最もきらめいたレヴューを魅せてくれた方には、“トップスタァ”への道が、開かれる、とお伝えしました』

『演者が立ち、観客が望む限り……舞台は続きます』

泉「……ああ、やはり、そうなのか」ポツリ

セラス「泉?」

泉「舞台の上に、スタァは1人。私は必ず、セラスと戦うことになる……だとするならば」スッ


シュッッ…‼︎


泉「……同じ過ちを、私は繰り返すものか…………ッ!」バッ

223: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:03:00 ID:???00
セラス「!」

泉「……セラス。私にとって、貴女は希望の光だ」

泉「先ほどのレヴューでも、舞台の中心、ポジション・ゼロは貴女の立ち位置だった……そして、それが似合ってもいたんだ」

『わかります』

泉「貴女の“きらめき”は、奪えない。……奪わせない」

セラス「………………泉、それは──」




泉「さよならだ、セラス」




…キィィン‼︎

224: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:04:00 ID:???00





泉「……」

泉「……え」

ググ…

……キィン‼︎

セラス「──やっぱり。泉はヘンに自罰的ですぐ悪役を演じるたがるから、絶対こうすると思った」

泉「…………セラス!? 剣で槍を……何故、止めたんだ」

セラス「自分で自分の星を投げ捨てて、灰殻になっても意味ないじゃん。星は皆、祈りを背負っている……のにね」

セラス「泉、自分の留め具を刎ねて、“わざと”負けようとしたんでしょ?」

225: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:05:00 ID:???00
泉「……ああ。だが、こうするより他は」

セラス「──結末、変えるんでしょ。諦めちゃダメだよ、泉」ニコッ

泉「!」

セラス「ずっと、考えてた。いつか、泉と戦うことになっても……それでも2人で“トップスタァ”になることを諦めないって」スッ…

セラス「だって、わたし達は舞台少女で、スクールアイドルで、ライバル、だから」ニコッ

泉「だが…………『スタァライト』は必ず別れる悲劇だ」

セラス「そうだね。でも、惹かれ合うことまでは罪じゃない」

セラス「泉とわたし、2人で1つ。……そう、Edel Noteは2人だから“きらめき”を放てる……」

セラス「わたしは、戯曲『スタァライト』のように別れを、悲しい結末にはしてみせない。……だって!」




セラス「──さようならは、悲劇じゃない!」


 ♪ シアター生き様
https://www.youtube.com/watch?v=9Bctgk_f_Zk

226: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:06:00 ID:???00
『……!』

セラス「星摘みは、もう終わってる。だって、希望の光を幽かでも放つ星は、他でもないわたしだから!」バッ

セラス「わたし達はもう舞台の上。戯曲の“トップスタァ”は1人でも、人生というムービーはそうじゃないんだっ──!」

──パッ‼︎

ガタガタガタガタ…‼︎



     __________
ENCORE アンコール
      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



『別れの、続き……悲劇ではない、戯曲『スタァライト』……?』

泉「あぁ……そう、か」ポツリ

泉「私は、星の輝きに目を焼かれたフローラであり……同時に、希望の光を放つそれに、精一杯と手を伸ばすクレールでもあるのか」

泉「なるほど。だから、セラスは飛び入りだったわけだ」クスッ

227: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:07:00 ID:???00
『……ただ1人の“トップスタァ”を決めるオーディションは、“星摘みのレヴュー”は、まだ、終わっていませんが』

セラス「……うん、だから魅せてあげる」ニコッ

セラス「最もきらめいたレヴュー、そしてその“運命の舞台”を──この先、ずーーっと、未来の蓮ノ空で」

『……』

『……』

『……はい?』

228: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:08:00 ID:???00
泉「ふふ、そういうことか」クスッ

泉「自分でステージを作って、自分で衣装と曲を用意して歌う……“きらめき”を生み出せる、そういった舞台少女こそ、スクールアイドル」

泉「ならば、あなたも。それに他の観客も観たいだろう? 限られた時間で輝くスクールアイドルの──素晴らしい永遠の舞台を」ニコッ

『……』

『私は……途切れさせたくない。舞台を愛するただの観客にして、“運命の舞台”の主催者にすぎない存在』

『舞台少女は──スクールアイドルはそのステージで、長い歴史の中で、決して消える事なく“きらめき”を生み出し続ける、と?』

セラス「もちろん、そうに決まってる」コクリ

セラス「元々はあなたと同じ観客だったわたしが、今スクールアイドルに……舞台少女になってるんだよ? なら、当然でしょ」フフン

『…………“運命の舞台”の、上演。それには、胸を熱くし心を焼く、大量の燃料が不可欠。それは、貴女1人で?』

セラス「ううん。だって、1人じゃないから。ね──花ちゃん」



花帆「………………え?」ピク

229: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:09:00 ID:???00
花帆「え……っと、なんで、あたし?」

花帆「あたしはもう、レヴューに負けて舞台から降りた……“きらめき”だって、少しも残ってなんか」

セラス「花ちゃん。繋がる力は誰が誰のために使ってもいい……だったよね?」クスッ

花帆「……!」

『話が見えませんね。わかります』

230: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:10:00 ID:???00
セラス「わたし達は“きらめき”を再生産する舞台を、自分の力で作れる。……花ちゃんが目指した、全ての人が花咲くステージ」

セラス「何度も、何度でも、未来のスクールアイドルは“きらめき”を生み出せる。そして、それを観たい人もいる」

『……ふむ』

セラス「ねぇ、あなたは、観たいんでしょ? 観客が望む、誰にも予測できない“運命の舞台”が。だったら!」

セラス「誰でもスクールアイドルに……“きらめき”を持つ舞台少女に、戻れる舞台」

セラス「──金沢の伝統になったBloom Garden Partyは、それに、なれるっ!!」バッ

231: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:11:00 ID:???00
花帆「ぁ……」

『……』

泉「あの一回だけを“運命の舞台”にするのではない。繰り返すわけでも、囚われるわけでもない……舞台は生き物だからね」

泉「スクールアイドルなら、未完成でも熱を持って芸術を作り出せる。伝統になれば、それこそ永遠にね」クスッ

『……』

『…………昔、“きらめき”を充分に持っていたスクールアイドルも、似たようなことを言っていました』

『未完成で不安定な舞台少女……スクールアイドルは、それだからこそ“きらめき”を作れるのだと。わかります』

セラス「でしょ? 他でもない、あなただってね」クスッ

232: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:12:00 ID:???00
『……。わたしはあくまでも、舞台を愛する観客です。観客は自らをも燃やし、舞台のための燃料となる存在で』

セラス「演者と観客、アイドルとファン。……でも、スクールアイドルはそれ以上の存在だ、って」

セラス「あなたは知ってるはずでしょ? 舞台少女を──スクールアイドルを、今までずっと客席で観てきたんだから」フフン

『…………。しかし……』

セラス「スクールアイドルが大好きになっちゃったんなら。もう、何も知らなかったあの頃には、戻れないよ」ピシッ

泉「ふふ。私も、セラスによって経験済みだから分かるさ。あなたはもう、スクールアイドルによって変えられてしまったんだ」

『……なるほど』

『…………わかります』

『スクールアイドル、なりたいのなら誰でもなれる……舞台に上がれる存在だと。ああ、わかります……。ならば』



『私は、その“きらめき”を、観たい……!』

233: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:13:00 ID:???00
花帆「!」

花帆「…………それなら! 夢を……持ってるのなら!」ガタッ

花帆「あなたのことも、あたしは、Bloom Garden Partyの舞台で待ってる……“きらめき”を再生産して、絶対、花咲かせてみせるよ!」

『!』



『ええ。……わかりました』

234: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:14:00 ID:???00
……

泉「さぁ、セラス。そろそろ、幕引き……エンディング曲が終わる頃だ」スッ

セラス「ん。じゃあ──行こう。皆が、舞台で待ってる」ニコッ

ガタガタガタガタ…

「「──劇場を出た瞬間、眩しい光、溢れるから──」」





「「ポジション・ゼロ」」

235: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:15:00 ID:???00
────

──エピローグ


ガヤガヤガヤ…

花帆「吟子ちゃん、あの……」

吟子「花帆先輩。Bloom Garden Partyまでは時間がないんだから……口より手を、手より頭を動かさなきゃだよ」

花帆「それはわかってるんだけど、その……」チラッ

吟子「…………なに?」ギューー

花帆「……吟子ちゃん、さっきからあたしのこと強く抱き締めすぎじゃない?! ちょっとくらい、離してくれないかなーって……」

236: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:16:00 ID:???00
吟子「ダーメ。花帆先輩は放っておいたら、この間の夜みたいにまた勝手にどこかに行っちゃいそうだから……」ギューー

吟子「花帆先輩のそばには私が居る。絶対に、花帆先輩の手を、離さない。離してやらないって前にも言ったでしょ?」ギューー

花帆「でも……」

吟子「未完成でも、怖くても、次のステージには向かわなきゃ。花帆先輩だって、そうだよね?」ニコッ

花帆「! …………うん」

237: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:17:01 ID:???00
花帆「Bloom Garden Partyをちゃんと……スクールアイドルの、ううん、誰でも夢が叶うような“舞台”にしなくちゃだもんね」グッ

吟子「ふふ。いま、一番いい顔してるよ、花帆先輩」クスッ

花帆「…………ねぇ、吟子ちゃん」

吟子「?」

花帆「……もし、あたしがさ。“運命の舞台”を……Bloom Garden Partyを、成功させられたら」

花帆「あたしのこと、吟子ちゃんは──永遠に忘れないでいてくれる、かな……?」ギュッ…

238: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:18:00 ID:???00
吟子「……」

花帆「吟子ちゃん?」

吟子「いや……こんなヘンな先輩、忘れられるわけないじゃないですか……早く責任、とってください……!//」プイッ

花帆「へ、ヘン!?!?」ガーン

ガチャ

さやか「──花帆さーん! なんと、ここに居たんですね!」

瑠璃乃「Bloom Garden Partyについて、三連華でちょっち相談したいことがあるんだけど……」

花帆「あ……い、いま行くよ!」ガタッ

ガヤガヤガヤ…

239: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:19:00 ID:???00
泉「ふむ。どうやら皆、随分と元気になったようだね」チラッ

泉「私としては少し、花帆先輩の事が気がかりだったんだが……吟子が上手く噛み合ったようだ」クスッ

セラス「ね。2人とも似たような悩みを拗らせてただけで、花ちゃんも吟子も、結局は似た者同士だから……」

セラス「まぁ大丈夫でしょ、たぶん。……わたし達は、あのオーディションを経験した舞台少女でもあるんだし」

泉「ふむ、それもそうかもしれないね。落ち着いたら……またゆっくりと焼肉でも食べに行きたいところだ」ニコッ

240: 名無しで叶える物語◆HI7YHQX5★ 2026/02/17(火) 20:20:00 ID:???00
セラス「でも、まだまだやる事はいっぱいだよ、泉。目標は遥か遠く、“運命の舞台”だからね」

泉「ああ。私達が目指すのは、誰もが花咲くステージ……舞台少女もスクールアイドルも」

セラス「そう、首を長くして待ってる観客だって、ね」クスッ



セラス「さ、行こ、泉。次の舞台へ──!」ニコッ


最終話 終

──【SS】花帆「あたし、再生産」 終演

引用元: 【SS】花帆「あたし、再生産」